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306 名前:1/5[sage] 投稿日:2007/01/03(水) 00 14 24 ID Y7rYqJWv 深い深い穴を掘る。 俺達二人で穴を掘る。 「よーし、順調だな、ヴェルダンデ」 あぁ、ぼくの相棒は何て優秀なんだ…… 惚れ惚れとヴェルダンデを見つめてから、掘りあがった穴を覗く。 昼間のサイトとの取っ組み合いで悟った事が有る。 「武器さえ握っていなければ、勝てないほどではない」 そう……どういう仕組みかは分からないが、サイトが強いのは剣を握っている時だ。 「普通は、あの剣が特殊と考えるんだろうが……」 ぼくとの決闘でも強かったことを考えると、サイト自身の特性だろう。 なら……寝こみを襲えば勝てる……が。 「そんな卑怯なことは出来ないしなっ、貴族として」 しかしサイトには勝ちたかった。 理由――勝ったらモテモテ 「……罠だな、罠にかけて襲う、これぞ貴族らしい戦いかただ」 そうか? そして、その為に人の滅多に通りかからない裏庭に、ヴェルダンデと共に落とし穴を掘っていた。 サイトが飛び上がれない深さの穴が有れば、後は上から魔法をぶつければいい。 「完璧だ……完璧すぎる。なんて恐ろしいんだ、ぼくの頭脳!!」 ヴェルダンデがのっそりと穴から出てきた。 「一つ目は終わりかい?ヴェルダンデ」 ぼくたちは目と目だけで通じ合えた…… 「そうか、わかったよヴェルダンデ、すまないがそんな感じでこの辺り一帯を穴だらけにしてくれ」 『任せときな坊主!』 ヴェルダンデがそう言ってくれたような気がした。 流石だヴェルダンデ、男は黙って土木工事。 頼れる兄貴だヴェルダンデ。 ヴェルダンデが次の落とし穴を掘り始める横で、ぼくは今出来た所の落とし穴に飛び込む。 かろやかに着地!! 「ぬおぅ、そ、底がでこぼこおぉぉぉぉ」 ……あくまでも軽やかに着地……捻挫したりしてない。 痛くない、だってぼくは男の子!! 「く……目から水が……」 思わずその場に座り込む。 「くそっ……サイトめ……見事だ!!」 さすが我が好敵手!! 罠にかけるつもりが、先手を取られた様だ…… 「罠とは卑怯だな、サイト……しかしっ、最後に勝つのはこのぼく!! ギーシュ・ド・グラモンだ……今は……勝ち誇っているが良い!!」 サイトへの復讐を胸に、罠をとりあえず完成させてみる。 魔法を使って落とし穴の入り口に蓋をする。 「うぉっ、真っ暗になった」 うん、深さも丁度だし、あとは上に上がって外観を整えればいいかな? サイトなら捻挫もしないだろうし。 「重症を負わせてしまうわけにはいかないしな」 前回の決闘の時のように、ベットに数日貼り付けるわけにもいかない。 気の毒だし……なにより。 「ルイズに殺されるし……なんか人望あるからなぁ……」 サイトの悪口を言った生徒の食事は格段に味が落ちる。 学院における最近の常識だ。 理由は分からないが、とにかく現実問題そうなるのだ。 「恐るべし、サイト」 故にこそ、サイトとは正々堂々と、決闘によって勝負をつけなくてはならない。 落とし穴の底で、ギーシュは心に誓っていた。 307 名前:2/5[sage] 投稿日:2007/01/03(水) 00 14 55 ID Y7rYqJWv 騎士隊の伝達事項を、どうして皆わたしに伝えるのかしら? ぶちぶちと、口の中で文句を言いながらギーシュを探す。 「ギーシュしらない?」 通りかかるのに声を掛けても、 「モンモランシーが知らないのに、俺が知るわけないじゃないか」 「あら、貴方の部屋ではなくって?」 クラスメイトは妙な誤解をしていると思う。 「わ、わかりませんっ」 昨日訓練を覗きに着ていた下級生は、人の事見て怯えるし。 面白くないわねー 「あ、ルイズ、ギーシュ知らない?」 「さっき、あっちに歩いていったけど……サイト知らない?」 「さっき、厨房の方に……お互い苦労するわね」 最近ルイズと妙に話が合う。 少し話してから、お互いに自分の相手の元に向かう。 あの子はちょっと危なっかしいけれど、大事にされているのが離れてみているとよく分かって…… 「うらやましいなぁ……」 ギーシュもアレくらい…… 少し想像してみる、わたしが危なくなったら一も二も無く駆けつけて、 危なかったら命でも掛けてくれる。 ……ギーシュじゃないわね。 「ま、わたしもルイズじゃないしね」 死んでしまったコルベール先生みたいに、いざと言うときに頑張るとしましょう。 ……って。 「ヴェルダンデ?」 人気の無い裏庭で、ギーシュの使い魔がもそもそと歩いている。 「どうしたの?あなたのご主人様は?」 結構賢いヴェルダンデが右手(右前足?)の爪を、向こうの方に向けた。 「ありがとう」 『なんの』 ちょいっと、手を上げて挨拶してくれる。 結構可愛いかも。 「……何この穴だらけ……」 ギーシュの指示だろう……ヴェルダンデは2,3個の穴を開けて、今もまた次の穴を掘っていた。 「怒られるわねーこれ」 まぁ、たまにはいい薬よね? そう思いながら、穴を避けてヴェルダンデの示した方向に一歩進んで…… 踏み出した地面がいきなり抜けて、そのまま真っ直ぐ落ちていった。 308 名前:3/5[sage] 投稿日:2007/01/03(水) 00 15 48 ID Y7rYqJWv 穴の底に光が差し込んできた。 「おや?」 不思議に思っていると…… どすんと、ぼくの両脇の辺りに足が降って来た。 あぶなー、お腹に直撃だったら悶絶している所だ。 ふわりと甘い香りが漂う。 覚えのある香水。 モンモランシー? 不思議に思っている余裕があったのは一瞬で、 次の瞬間にはモンモランシーの膝がカクンと曲がり、彼女はぼくに馬乗りになった。 「ぐほっ」 重い…… 「なっ、何?なにこれ?真っ暗じゃないっ」 目が慣れているぼくと違って、何が起きているのか分かっていないようだ。 ……チャーンス モンモランシーの目が慣れるまでがチャンスだっ 日頃は触るどころか、見つめるだけで睨まれる胸の膨らみに手を伸ばす。 「ひっ……なに?なんなの?」 はっはっは、モンモランシーが怯えている。 むにむにっと 「やぁっ、なに?何か居るのっ?」 居ますよー、君の永遠の賛美者、ギーシュくんですよ〜 服の上から柔らかい感触をこね回す。 モンモランシーがガクガク震えているのが分かる。 ちょっと見えないところで一方的に身体を弄られているだけなのに、 可愛いところも有るなぁ……そう思うと、 「ひっ……いやぁぁぁ」 更に止まらなくなったぼくは、ブラウスのボタンをいくつか外して直に触ってみる。 直接の方が柔らかい感じがするのも素晴らしいが…… なによりこの、すべすべの感触がたまりませんなぁ、ギーシュさん。 まったくですね、ギーシュさん、女の子はみんないけない魔法使いですね。 脳内でギーシュ会議開催!!全会一致にて決議。 この、まったくもってけしからん身体を、もっと色々調べようではないか。 ――すまない、モンモランシー、議会の決定は絶対なんだ。 (この間3秒) モンモランシーは左手で胸をガードしようとしながら、右手で見えない何かと戦っていた。 「やぁっ、触らないでっ……なんなのよぅ……」 ぼくは足元に居るので、右手は空振りするだけで、左手のガードも両手を使えるぼくにはまったく障害にならない。 『おんなのこって素晴らしい!』 あーこれは、後でサイトやマリコルヌに自慢しなくては。 そう思いながら、胸の感触を堪能していると、諦めたのかモンモランシーの手が力なく落ちる。 ふっふっふ、観念したのかいモンモランシー。 今度はスカートから伸びる白い太ももでも…… この際触れる所は全て触ろう。 次の機会なんて有るのかどうか分からないし。 そう思っていたぼくの耳に、小さな小さな声が聞こえる。 「たすけて……ギーシュ……」 頭から冷水でも掛けられた様に、血の気が引く。 ……ぼくは……何を…… 「こわいよぅ……たすけて…………ギーシュ」 ……ぼくは……好きな子になんて真似を…… 調子に乗っていた行動を思い返し、何も見えないまま悪戯されたモンモランシーを見上げる…… その瞬間に、ぼくの胸に小さな雫が落ちた。 「ギーシュ……ギーシュ……」 何かから自分を守るように、両手で胸を抱きしめながらぼくを呼ぶモンモランシーの涙だった。 309 名前:4/5[sage] 投稿日:2007/01/03(水) 00 16 25 ID Y7rYqJWv こんな所で……死ぬのかな? それとも……まるで人みたいな手だったから……最悪の可能性を考える。 怖い……よぅ。 『ごめんねギーシュ、こんな事なら……貴方に上げてれば良かったね』 もし危険な魔法生物とかなら、なんとしても……汚されても生きて戻って先生に報告しないと…… ギーシュにごめんなさいと詫びながら、最悪の事態に備える。 ……と、何も起きなくなる。 あれ? ……あの……わたしの決意は? 「ご、ごめん、モンモランシー」 ……聞きなれた、さっきまではすご〜く、聞きたかった声が…… ある意味一番聞きたくないタイミングで聞こえてくる。 「……ギーシュ?」 ――――マサカ、サッキマデノ、コイツデスカァ? 「ねぇ、ギーシュ、何してるのかしら?怒らないからおねぇさんに言ってごらん?」 ぼんやりとギーシュの輪郭が見えてくる。 ギーシュだって確認できると、さっきまでの緊張が嘘みたいに解ける。 でも……でもねぇ……あんた……ちょ〜〜っと 「洒落になってないわよ?ギーシュ」 「ごめん……モンモランシー」 そもそもこいつこんな所で何してるのよ? 二人も入ると結構狭い穴の底で、ギーシュから極力距離を取るため、足の方に…… 「って……熱い……これ、捻挫?」 「っっっ、ごめん、モンモランシー謝るからそこはちょっと……」 まさかこいつ、穴に落ちて足挫いて……わたしがいきなり落ちてきたからもがいてたのかしら? 「動いちゃ駄目よ?」 わたしは魔法を使おうと……あれ? 「杖が……無い?」 落ちた時に、衝撃で飛んだみたい。 「ごめん……ギーシュ、直せないわ」 「いや、いいさモンモランシー丁度良い罰さ」 ……ギーシュはそんな事を言っているけれど…… 気になって、ギーシュの表情を見ようと顔を寄せる。 ギーシュはジタバタを逃げようとしているけれど…… 「痛いのね?」 ギーシュの顔には涙の後が有った。 「平気さ」 こんな穴の底で、怪我をしてうずくまっているギーシュの上に落ちてしまって申し訳なくなる。 「ごめんね、ギーシュ」 せめて、と指先で涙を拭っていると…… 「ギーシュ?」 「ごめん」 馬乗りの成っているわたしの腰に、なにか硬いものが当たっている。 ……男の子って…… 「あんたねぇ……」 何を言って良いのか分からないけれど、とりあえず怒ろう。 言葉を捜しながら、ギーシュに詰め寄ろうとするけれど、ギーシュの言葉のほうが早くて…… 「すっ、好きな娘にっこんな距離で触られたら、男なら誰でもこうなるよっ」 そして何より効果抜群。 「好きな子?」 暗い中でもギーシュが頷くのが見える。 310 名前:5/5[sage] 投稿日:2007/01/03(水) 00 16 57 ID Y7rYqJWv モンモランシーの顔がゆっくりと近づいてくる。 当然の主張だとは思うけれど、モンモランシーが不快に思ったのなら甘んじて制裁を受けよう。 そう思って歯を食いしばり、目を硬く閉じる。 ……と、 ちゅっ 小さい音共に、ぼくの唇に少し湿った感触が、一瞬だけ触れる。 「モンモランシー?」 赤くなったモンモランシーは何も言ってくれないが…… 「しまったぁぁぁぁぁぁ、目ぇ閉じるんじゃんかあったぁぁぁぁ」 父上、母上、ギーシュ・ド・グラモン一世一代の不覚でございます。 あ、本気で涙出てきた。 「もぅ……馬鹿ね」 「ぼ、ぼぉくぅのぉ、ふぁぁすときすぅぅぅ」 なんで見てなかったんだぁ、もったいねぇぇぇ 力の限り叫ぶ、ぼくの魂からの絶叫の最中に、 モンモランシーの呟きが聞こえた。 「次から見とけばいいじゃないの」 その情報が脳に到着するや否や、モンモランシーに問いただす。 「つ、次でありますかっ?」 暗くてよく分からないけど、モンモランシーの顔が紅く染まっているのが分かる。 ぼくの腰に座ったままとはいえ、真っ直ぐ背筋を伸ばして距離を取り、 顔まで反らして、小さな声で何か……いや、ぎりぎり聞こえる声だった。 「いやならいいわよ」 嫌な筈無いぼくは、思わず両手でモンモランシーを抱き寄せた。 いつもなら幾らでもモンモランシーを賛美する言葉が出てくるのに、胸が一杯で何もいえなくなった。 抱き潰されたモンモランシーは、一瞬身構えたけれど全身の力を抜いてぼくにしなだれかかってくれる。 「ばか」 小さな呟きに、今なら好意が含まれていると信じることが出来る。 「そうさっ、ぼくは君の前だと馬鹿な道化に成り下がるのさっ」 うれしさで一杯のぼくは、モンモランンシーに少しでもそれが伝われと、 我ながら甘くなった声で告白する。 最も、モンモランシーの答えは 「いつもじゃないの」 だったけれど…… 幸せの絶頂のぼくは、そんな事にめげない、負けない、挫けない。 「こんな穴の底でも、モンモランシーが居るだけでまるで太陽の照る花畑の様だ」 「……こ、香水のせいじゃない?」 つれない所も、更に良い。 「ぼくの事が好きなくせにぃ」 「っっっっ、調子に乗らないのっ!!」 はっはっは、赤くなってる赤くなってる。 可愛いモンモランシー。 抱き合ったままだと、大きな声が耳に痛いから、 いつの間にか二人の語らいは、囁く様な声に成る。 真っ暗な闇の底で、飽きることなく囁きを交わして…… ……今度は目を閉じなかった。
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KI/S44-076 KI/S44-076SP カード名:“インモラル”日染 カテゴリ:キャラ 色:青 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:1000 ソウル:1 特徴:《キズナ》?・《インモラル》? 【永】 他のあなたの前列の中央の枠の《キズナ》?のキャラに、パワーを+1500。 【自】 このカードが手札から舞台に置かれた時、あなたは自分の山札の上から1枚を公開する。そのカードが《キズナ》?のキャラなら手札に加え、あなたは自分の手札を1枚選び、控え室に置く。(そうでないなら元に戻す) RR 俺が欲しいのは純粋に痛み、なんだけど レアリティ:RR SP ・関連カード カード名 レベル/コスト スペック 色 備考 “それ系のアレ”日染 3/2 10000/2/1 青 早出し
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消えゆく命の中、「彼」は思考した。反芻した。 きっとそれは年頃の子供が抱く「目上の人間に対する劣等感」みたいなモノで、一時的なモノだったのかも知れない。 自分はゼウスによって作り出され、捨て石となるために生まれた。 アレスを滅ぼすための先触れ。 つまり、自らには「死」の運命が確定する。 彼は捨て石である故に、感情は持っていなかった。自らを起動しようとする人間を全て抹殺し、日々を過ごしていた。 自分に流れ込む人間達の意志は、無意味な記号でしかなかった。彼を道具としか認識しない彼らの感情など、雑音に等しかった。 だが、ある日それが変わった。 ある時、とても軍人とは思えない少年少女が、彼に乗り込んできた。今まで触れたことのない少年少女の若い感性は、彼を刺激した。それはもともとゼウスの一部であった彼を、覚醒させるのに十分であった。 不安、喜び、憤り、悲しみ。 ある時彼らは、彼に語りかけてきた。彼を「モノ」としてでなく、「彼」として認識した人間は、彼らが初めてであった。 彼は少年少女に、親しみを覚えた。そして、交流を図ろうとした。だが、皮肉にも彼が少年少女と深く繋がるごとに、彼らの体は蝕まれた。 彼は悲しんだ。 -----カナ。マサヒト。 彼は、この矛盾に激怒した。 そして、自らに死の運命を与えたゼウスに、激怒した。 そして、この運命を生み出す元凶となったアレスに、激怒した。 それらは無垢な彼を怒りに染めるのに十分なパワーを持ち、そしてその怒りは単純なゼウスへの憎悪に変じた。 やがて、彼は少年少女を道具のように扱うようになった。深く自らの根を下ろし、自分の手足とした。 ゼウスへの復讐だけが、彼を突き動かすようになった。 思えば、あの時あの戦いを静観していれば、何も起こらずにすんだのかもしれない。スサノヲはジュピターに破壊され、彼は役目を終えて解体される。それだけのことですんだのかもしれない。 だが、ゼウスへの憎悪が勝った。 ジュピターの頭部を握りつぶした時、復習を満たした満足感と共に、虚ろなものと、もう戻れない、という自責の念が流れ込んできた。 コドモの劣等感は異常な程肥大化し、ついには他人を巻き込んだ。ここで戻ることは出来ない。そして彼は、もう一人の憎悪の根源、アレスにその剣を向けた。世界の新生を謳って。 負けることは許されない。 例えそれで何も得るものが、なかったとしても。 彼は剣を抜いた。 思えばあの時から、アレスの剣に自らの命が絶たれることを、望んでいたのかもしれない。 走馬灯のように逆再生された記憶が途切れる。 景色が白く霞んでいく。 俺は、あんなことがしたかったんじゃない コピーという烙印を押されるのが嫌だっただけ 劣化複製として死にたくなかっただけ アレスの代用品と ゼウスの代用品と いわれたくなかっただけ。 不意に景色が黒く暗転した。それと同時に、目の前で剣を掲げるアレスの姿もまた、消えた。周囲のいっさいは消失し、彼は無に放り出された。 どこが手で、どこが足なのか、わからない。わずかに生きる視覚を総動員し、状況を、把握しようとする。だが、わからない。何もかもが、わからない。 -----ここが、地獄なのか? -----ちがうよ。 声。その声は、厳格な老人の声にも、妖艶な女性の声にも、無垢な子供の声にも、しわがれた老婆の声にも聞こえた。 -----君は必要とされている。まだ、誰かに その言葉が終わるか終わらないかのうちに、銀色の視界が開け、彼の意識は失われた。 何十回目かのサモン・サーヴァントは、成功した。沸き上がる魔力の奔流。風は周囲の物体を吹き飛ばすばかりの勢いで荒れ狂った。そして、数秒のうちに止んだ。 ルイズは儀式は成功した、と確信する。間違いはない(ハズだ)。この手からほとばしり、杖に至り、その先端から大気へと放出される魔力を、感じ取れた(気がする)。 今の自分なら、きっと神とて一撃で打ち倒せるだろう。そうおもえるほどの高揚感が、今の彼女を満たしていた。 「……来た、私の使い魔が」 煙が晴れる。ゴーレムか。飛竜か。それとも亜人か。ルイズの期待は高まる。 煙の向こうに見える使い魔の姿を、ルイズは想像した。そしてそれを従える自らの姿も。 サイッコーの使い魔とサイッコーのアタシが、今に学園のトップになってやる。 そして、煙が晴れる。 煙の向こうに見えたのは、石像だった。 しかも、頭だけの。 「………」 ルイズも、周囲の人間も、言葉を失う。それがただの頭なら、即刻周囲の生徒はルイズを笑い飛ばしたことだろう。だが、それはただの頭ではなかった。 大きい。 それの全高は、軽く2メートルを超えている。小さなルイズからしてみれば、さらに巨大に見えたことだろう。 「…なにこれ」 アーティファクトの類だろうか。ルイズはゆっくりとそれに近づいていく。周囲は押し黙ったままだ。頭は動かない。 ルイズは近づく。頭は動かない。ルイズはさらに近づく。頭は動かない。ルイズはそれに、手を触れようとした------- 「危ない!」 誰が叫んだのか。途端に、石像の目が光った。ルイズは突然の事態の急変に、腰を抜かして座り込んでしまった。赤い輝きが、石像の目からほとばしる。 一部の生徒は既に逃げの体勢に入っている。場の空気は緊張から危険へと変じた。 「え、え、えぇぇぇええ!?」 だがルイズは動けない。目の前の石像の動向を、見守ることしか出来ないのだ。石像は動かないが、目の光は止まず、真昼よりも明るくその場を真紅に染めた。 だが、それだけだった。光は次第に収束し、灯った時と同様、また静かに消えていく。ルイズも、周囲も安堵した。 「……ほっ」 ルイズが息をついた瞬間。事態は再び急変する。石像から触手が伸びた。黄緑色に輝く触手。触手は石像の上で、絡まるように暴れた。 「下がりなさい!」 儀式の監督に当たっていたコルベールが、生徒達の前に踊りでて、自らの杖を構える。これは使い魔と呼ぶに相応しくない、単なる魔物だと判断したのか。既に詠唱を始めている。 だが、触手の主はこれに気付いたのか、頭上で暴れていた触手は突如規則的な動きに変じ、コルベールの杖を叩き落とした。 さらに触手は向きを変えて伸びる。先ほどまで無秩序に暴れていた触手が、一方向へと、加速する。ルイズはその触手の行く先を見やった。 観衆のほうに向かっている。その方向に集まっていた生徒達の一部は蜘蛛の子を散らすように逃げ出す。触手はこれを個別に追った。生徒の悲鳴が響き渡る。 その追われる生徒の一人があしをもつれさせ、派手に転んだ。 「モンモランシー!」 その少女は、立てロールの髪を何本もさげ、いかにも「貴族」と言ったカンジの少女だった。そのモンモランシーに触手が迫る。 一方のモンモランシーは恐怖に顔を引きつらせ、杖を構えることすらままならない。触手は速度を緩めることなくモンモランシーに到達した。 「いっ、いや、ひやぁあああああっ!!?」 昼間の学園に響き渡るモンモランシーの悲鳴。触手はモンモランシーに吸い込まれるようにして内側へと侵入し、消えた。 同時に他の触手が消失し、モンモランシーは弓なりにビクビクと痙攣して震えている。依然顔は恐怖で固まったままだ。 前代未聞の事態に、コルベールもうかつに手を出せずに固まっている。足腰の調子が戻ったルイズは立ち上がると、石像を仰ぎ見る。 「あんたが…あんたがやったの!?」 その声とほぼ同時に、病気の発作のように震えるモンモランシーの動きが止まり、モンモランシーはがくりとたおれこんだが、緩慢な動作ですぐに立ち上がった。 だが、その顔はうつむき、無表情で固まっている。 「な、直ったのか?」 生徒の一部が彼女に語りかけるが、彼女は反応を返さない。うつむいたまま、固まっている。見かねたコルベールが彼女に近づき、肩を揺すった。 「大丈夫ですか?」 何度か肩を揺すられるモンモランシー。だが、顔はうつむいたままで反応は全くない。コルベールは再び揺すった。 「返事を返しなさい」 『…うるさい』 モンモランシーは、声を発した。 だが、それはそこにいる人間が知っているモンモランシーの声ではなかった。どす黒い、邪気に満ちた声。 まるで、ファンタジーに登場する魔王のような。モンモランシーはコルベールの腕を振り払うと、コルベールが反応するより早く、掌底をコルベールに叩き込んだ。 コルベールは凄まじい勢いで吹き飛び、3メートル程空中を舞った。心配した生徒がコルベールに駆け寄る。 この時、ほとんどの生徒の視線は、当然ながらそのモンモランシー…否、「モンモランシーかどうか疑わしい何か」に向けられている。 驚愕で動けない、というのもあるが、やはりそうさせるのは、恐いもの見たさなのだろうか。モンモランシーは、次にルイズを指差した。 「…わたし?」 『俺を呼んだのは、お前か』 「そ、そうよ。わたしがあんたを呼んだのよ。あんたはわたしの使い魔なんだから、わたしの言うことを聞きなさい」 ルイズは精一杯の威厳を混めて言い放った。だが、それはこの場では逆効果だった。 『ふざけるな…』 トーンの低い声でモンモランシーは言った。怒気がこもっている。怒気を通り越して、殺気の域にまで来ているかもしれない。 困惑するルイズを尻目に、モンモランシーは右手をスッ、と天にかざした。途端、モンモランシーの腕から先ほどモンモランシーを襲った触手のようなものが数本のび、モンモランシーの掌の上で収束した。 形態を失い、一個の個体に変じた触手は、一本の剣となり、モンモランシーの手の中に収まる。鈍い輝きを放つ剣は、殺意の証。 『死人をおいそれと起こすな』 どんっ。 モンモランシーが踏み込んだ。まるで彼女とは思えない。達人の域にまで達したその動作はルイズに身構える暇を与えない。 わずか4歩で、モンモランシーはルイズのまさに目の前まで肉薄し、それと同時に剣を振りかぶり、それと同時に空いた腕でルイズを殴りつけていた。 顔面にまともに入ったパンチに、ルイズはふらりとよろけて後退し、豹変したモンモランシーを見据えようと顔を上げる。 目の前にあったのは、剣の刀身だった。鈍い輝きが、目の前に、ある。 だが、それ以上にはならなかった。剣はルイズの目の前でまさに「停止」していた。モンモランシーもまた、石像のようになり、動きを止めている。 ルイズもまた、極度の緊張感と何が起こったかわからない不安と、死の恐怖が先ほどまで目の前にあった故の緊迫感により、動けない。 そのまま数秒が経過した。 『…クソ…この少女の魔力量では、やはりライトニングソードは…無理か』 次 回 予 告 呼び出されたものが何かもわからぬままに、 混乱は増大する。 ゼロの少女が呼んだものは、 神か、悪魔か。 次回「前世」 機械をまとった神々の戦いが、始まる。
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「ふんふんふーん♪」 食堂で食後の紅茶を楽しむ少女、ゼロのルイズはご機嫌だった。 今日のデザートは彼女の好きなクックベリーパイなのだ! なにやら食堂の一角が騒がしくなっている気もするが、彼女にとって今は誰にも 邪魔されたくない至高の時間なのである。 使い魔がそっちの方に行ったような気もしたが、当然無視した。 「まったく、あの馬鹿ったら…」 食堂で食後の紅茶を楽しむ少女、香水のモンモランシーは先日の事を思い出して 不機嫌になっていた。 「ギーシュ、ポケットから壜が落ちたぞ」 「おお!その香水はモンモランシーのものじゃないか!」 「つまりギーシュ、お前はモンモランシーと付き合っている。そうだな?」 「ち、違う!彼女の名誉の為に…ケ、ケティこれはその… ヒィ!も、モンモランシー!?違う、違うんだ!」 「ヘイ!ケティ、マスク狩りの時間だ!」 「OKモンモランシー!」 「クロス!」「ボンバー!」 「ウギャー!キン○マ―ン!」 「すまないギーシュ!僕が壜を拾わなければ…」 「いいんだ…それより、誰か僕の顔を見て笑っていやしないか?」 「誰にも…誰にも笑わせはしない…」 「ありがとう…マルコメミソ」 「マリコルヌ!風上のマリコルヌだよ!?」 つまりは、付き合ってる男に二股かけられたのである。 気位の高い彼女には、とてもとても許容しがたい出来事であった。 気位が高くなくても許容できない話だと思うが。 それでも謝られると許したくなってくるのが、余計に腹が立ってくるというかなんというか。 「どうぞ」 そんなことを考えていると、メイドがデザートを机に持ってくる。 当然貴族である彼女が『ありがとう』等と、平民に一々礼を言うわけも無く、 配った彼女を見ようともしないでクックベリーパイを口に運ぶ。 「…ちょっと、そこの貴方」 「え、私ですか?」 ケーキを配ったメイドが、貴族に呼び止められた事に当惑して立ち止まる。 「これ…どういう事?」 シエスタはこれ以上ないというぐらい脅えていた。 目の前の貴族、学生といえど魔法を操り、平民である自分にとって絶対的な存在が 自分に怒りをぶつけているのである。 「申し訳ございません!どうか、どうかお許しください!」 体の震えが止まらない。 「お許しください、ですって? 貴族である私の口に、平民である貴方の髪の毛を入れておいてお許しください?」 「お願いします、どうかお許しを!」 涙が溢れてくる。 平民の自分が貴族に粗相をして唯ですむはずが無い。 周りを見ても、他のメイドは見てみぬフリをし、貴族は何事かと一度は見るものの、 平民が貴族から罰を受けているとわかれば、あとは特に関心をしめさない。 助けなど望むべくも無いのだ。 シエスタにとって不幸だったのは、モンモランシーの機嫌が悪かった事だ。 そうでなければ怒りこそすれ、基本的に野蛮な事を嫌う彼女が『お仕置き』を する事もなかっただろう。 「覚悟はいいかしら?」 魔法の杖を取り出し、残酷に告げる。 「どうか…」 脅えるメイドに、嗜虐心をそそられたモンモランシーが杖を振ると、 メイドの頭上から水が降り注いだ。 「あら、似合ってるじゃない?」 ずぶ濡れになった姿を見て、にっこりと微笑むモンモランシーの姿に、 シエスタは更なる恐怖を覚える。この程度で済むはずが無いのだ。 「あぁ……ぁ……」 「さあ、次は…」 魔法を繰り出そうと杖を振り上げた瞬間、誰かがその腕を掴んだ。 「やめないか!」 育郎が食堂での騒ぎに気付き、駆け寄って見た物は、杖を振り上げる女生徒の前で、 先日世話になったシエスタがずぶ濡れになって震える姿だった。 「な、何よ貴方!?平民が気安く貴族にさわらないでよ!」 女性が抗議の声をあげるが、無視して育郎が尋ねる。 「君は何をやっているんだ!?」 「ハァ?この子の持ってきたデザートにね、髪の毛が入ってたのよ。 粗相をしたメイドにお仕置きして何が悪いのよ?」 「な!?そんな事で…」 「さっさと離しなさいよ!」 モンモランシーが、呆然とする育郎の腕を振り払おうとするが、 掴まれた腕はまったく動かない。 「彼女に謝るんだ」 静かに、だが強い意志を持って育郎の口から出た言葉を、モンモランシーは 鼻で笑って拒否する。 「謝る?何で貴族の私が平民に謝らなきゃいけないの? それに悪いのはこの子の方じゃない」 「君が怒るのもわからないわけじゃない…でもこれはやりすぎだ!」 「な、なによ…」 なんだなんだと、周りの生徒が2人のやり取りに気付く。 「おい、平民が何やってるんだ!」 「あれは…ゼロのルイズの使い魔じゃないか?」 「主人が主人なら使い魔も使い魔だな…」 周りの生徒が騒ぎ出した事により、少し弱気になったモンモランシーが勢いを取り戻す。 「さあ、早く手をはなしなさい!」 しかし育郎は手をはなそうとはせず、モンモランシーを見据える。 「彼女に謝るんだ…」 な…なんなのこいつ!? 生徒達に囲まれても、まったく物怖じせずに自分を見る育郎に、モンモランシーは 恐怖とまではいかないが、言いようのない不安を感じていた。その時、 「君!今すぐその汚い手を、僕の愛するモンモランシーからはなすんだ! さもなくば、このギーシュ・ド・グラモンが相手になってやろう!」 ギーシュは先日の事を謝る為に、愛するモンモランシーを探していた。 ポケットには今月の小遣いの大半をはたいて買った指輪が入っている。 「これを精一杯の愛の言葉と共に渡せば、彼女もきっと許してくれるに違いないさ」 彼は女の子が好きで、特にかわいい女の子が好きで、さらに女好きの家系という 環境で育ち、あとちょっと頭が弱かったりするため、つい二股なんてしてしまったが、 それでもなんのかんの言って、モンモランシーが一番好きなのである。 「モンモランシーならまだ食堂にいたわよ」 彼女の友人の言葉に従って食堂に行って見れば、なんとモンモランシーが平民、 ゼロのルイズが呼び出した使い魔に凄まれているではないか! 当然の如く、彼は愛するモンモランシーを助ける、というよりは相手が平民なので、 どちらかというと彼女にいい格好を見せる為に、前に出たのであった。 「ああ、ギーシュ!」 そんな思惑も見事に的中したようで、不安になっていた彼女が元気を取り戻す。 「聞こえなかったのか?手をはなすんだ…」 彼なりの凄みを効かせて育郎に薔薇の形をした杖を向ける。 「ほ、ほら早くはなしなさいよ。痛いじゃないのよ!」 「あ、すまない」 やっと手をはなした育郎を見て、モンモランシーは先程の不安を思い出し、怒りに震えた。 この平民にどんな罰を与えてやろうか? 平民が貴族に向かって生意気な目を向けてきたのだ… そうだ!ギーシュのゴーレムを使って痛めつけてやろう! 「まったく、貴方にも躾が必要なようね、ギーシュ!」 「ああ、任せてくれたまえ、モンモランシー…」 「とにかく、シエスタさんに謝るんだ」 「そう、このメイドにあやまって」 「ふっ、何がなんだかよくわかんないけど…すまないね、君」 「は、はぁ…」 「………って違うわよ!ギーシュ、貴方も何言うとおりにしてるの!?」 「え、でも君が謝れって?」 「貴族の僕たちが、何故平民なんかに頭を下げなきゃいけないんだ?」 事の経緯を聞いたギーシュがやれやれと首を振る。 「そうよ!大体平民の貴方が私に気安く触れるなんて…」 「そうだ、僕の愛しいモンモランシーになんてことをするんだ? だいたい、そのメイドが悪いんだろう?」 「…だからと言って、ここまでする事は無いだろう」 育郎が呆然とするシエスタを快方する。 うーん、なんだか変なことになってきたぞ? ギーシュの予定では、今頃は格好よく現れた自分がこの平民を叩きのめし、 モンモランシーからお礼のキスでも貰っているはずなのである。 それがこの平民と来たら訳のわからない事を言って、予定とは違う方向に 話が向かっている。 そういえば何で僕がメイドに頭を下げてるんだ?思い出したら腹が立ってきた。 モンモランシーも機嫌が悪くなってるし…よし、ここで一つ良いとこを見せよう! 「モンモランシー…彼の言うとおり謝ってあげてもいいんじゃないか?」 「な、何を言ってるのよギーシュ!」 先日の一撃で頭のどこかが壊れてしまったのかと、驚きながらギーシュを見る。 「ただし、僕に勝ったらだ………『決闘』だよ!!」 オオーッ!と周りから歓声が上がる。 「『決闘』?」 「そうだよ、正々堂々戦い、負けたほうが勝った方のいう事を聞く。どうだい?」 「そんな!?」 おどろく育郎を、脅えているととったギーシュは、調子に乗ってさらに続けた 「貴族から『決闘』を申し込まれたんだ、まさか断るは言わないよな? いや、所詮『ゼロのルイズ』の使い魔…主人同様出来損ないなら、 臆病風に吹かれてもしかたあるまい…」 その言葉に周りの生徒達から笑いが起こる。 「…わかった、受けよう」 「そんな!?育郎さん駄目です!」 育郎が女生徒を止めた時、シエスタの目には彼がおとぎ話の勇者の如く映った。 物語のなかから出てきた英雄が自分を救いにきてくれたのかと。 しかし、時が立つにつれ怖くなってきた。育郎はただの平民なのだ、 それが貴族と『決闘』だなんて…自分のせいで育郎が殺されてしまうかも知れない、 そう思うと先程より強い恐怖が襲ってくる。 「イクローさん、相手はメイジなんですよ!?殺されちゃいます!」 「殺される…だって!?」 驚いた育郎の顔を見ると胸の中が罪悪感でいっぱいになる。 もっとも、育郎が驚いたのは、生命の危険を感じたからではないのだが。 「僕はヴェストリの広場で待っている…逃げるなよ?」 ギーシュがそう言ってモンモランシーと一緒に去っていく。 「私が…私が悪いんです…だからイクローさんがこんな事を…」 ついには泣き出してしまうシエスタ。 「いいんだ…大丈夫だから」 「何が大丈夫なのよ!」 いつの間にか現れたルイズが育郎を怒鳴りつける。 「あんたどういうつもりなのよ、貴族と『決闘』だなんて!? ちょっと馬鹿力だからって調子に乗らないでよ…ほら、一緒に謝ってあげるから」 「それは出来ない…」 「なんでよ!?いい、メイジに平民は絶対に勝てないの! 心配しなくても、誰もあんたを臆病者なんて言わないわよ…」 「…違う」 「な、何が違うのよ…」 育郎にとって臆病者と呼ばれることなど、どうという事は無かった。 シエスタの事もあったが、逃げればルイズも馬鹿にされてしまう、 それが彼に『決闘』を受ける決心をさせたのだ。 「シエスタさん、彼の言っていた広場はどこですか?」 「駄目!?駄目です!」 涙を流しながら必死で止めようとするシエスタをなだめながら、 育郎は近くにいた生徒に広場の場所を聞く。 「何やってるのよ!?やめなさいって言ってるでしょ、ご主人様の命令なのよ!?」 「…それはできない」 「………もう知らない!ギーシュの馬鹿にボコボコにされればいいのよ!!」 走り去るルイズの後姿を見送り、シエスタを他のメイドに任せてから、 育郎は広場に向かった。 果たして、僕はあの力を使わずにすむのか? そう考えながら… 「何か俺忘れられてねーか?いらない子認定されてね!?」 そのころデルフリンガーは言いようの無い不安を感じ、思考がネガティブになっていた。
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ギヨーム(25) フランスのモンモランシー公の系譜に登場する人物。 関連: アンヌドモンモランシー (アンヌ・ド・モンモランシー、父) マドレーヌドサヴォワ (マドレーヌ・ド・サヴォワ、母)
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前ページ次ページ黄金の使い魔 虚無の曜日 ヴェストリの広場 一人黙々と訓練に勤しむ男性生徒がいる 彼の名はギーシュ・ド・グラモン トリステイン魔法学院の2年生である 自分は特別な存在では無い――― そう気付いたのはいつだっただろう グラモン家4男に生まれ、3人の優秀な兄の背中を見て育ってきた いつか僕も兄さんみたいに!そう思っていた 現実は甘くはなかった 僕は優秀でもなんでもなかった 兄さん達はどんどん手の届かない所へ行ってしまう 同級生達がどんどんラインになっていく 僕はもがいた 必死に訓練した 必死に勉強した 必死に必死にもがいた あがいた その結果ワルキューレを同時に7体出せるようになった でも兄さん達はもっと遠くへ行ってしまった 諦めたくない でも追いつけるのだろうか このまま必死にもがいて あがいて 追いつけるのだろうか 大切な人を 守れるのだろうか 逃げたい 怖い 溺れる 「ギーシュ!また訓練!?私をほっぽって!」 そう言ってギーシュに近づいてくる少女 モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ 「モンモランシー・・・」 「どうしたの!?大丈夫!?ギーシュ」 涙を浮かべるギーシュの様子に気づいたモンモランシーが駆け寄る 「僕は出来そこないのクズだ、兄さん達に追い付くどころかどんどん引き離されていく 皆がラインになっていく中、必死になって訓練しても僕はまだドットのまま。 怖いんだ・・・、僕は怖いんだモンモランシー・・・ 4男が相続できる物なんかたかが知れている、なのにこのままじゃ、幸せに・・・・君を幸せにすることもできない・・・」 吐き出すようにギーシュは言った 「ギーシュ・・・・」 「いや、君を幸せにするのは何も僕じゃなくてもいいのかもしれない・・・。 でも、君に何かあった時僕は守る力すらない!!」 何度も吐きそうになりながら、今まで貯め込んでいた全てを、心の叫びを全て一人の少女にぶつけた 「大丈夫よ、ギーシュ。あなたは誰よりも、誰よりも努力しているじゃない。私はそんなあなたが大好きだし、きっと素晴らしいメイジになれるわ。 それに私は今でも十分幸せよ?それはあなたは浮気はするし、頼りないけど。あなたが怒ったり、泣いたり、大きく驚いた時一緒に居られればそれで私は幸せなのよ」 ギーシュを抱き締めて優しくそれでいて透き通る様な笑顔でモンモランシーは言った 「だから泣いたりしないで・・・、あなたが泣いていたら私まで悲しくなっちゃうじゃない」 「モンモランシー・・・・」 涙を流しモンモランシーを抱きしめ返したギーシュは、その日生まれて初めて呼吸をした気がした 前ページ次ページ黄金の使い魔
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ルイーズ(13) フランスのモンモランシー公の系譜に登場する人物。 ジェルシー女子修道院長。 関連: アンヌドモンモランシー (アンヌ・ド・モンモランシー、父) マドレーヌドサヴォワ (マドレーヌ・ド・サヴォワ、母)
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第四話 ギーシュ君の運命 前編 あーた~らしーいあーさが来たッきぼーのあーさーだ。 はいよっこらしょっと。 僕はベットから立ち上がり鏡を手のとる。今日もいい男だ。僕ほど薔薇が似合う男もそうそう いない。否ッ!僕以外にはいないィィ~~♪ なぜか上機嫌なギーシュ君。鼻歌交じりに支度を済ませ朝食に向かう。 「おはよう僕のモンモランシー。今日も君は一段と美しいねぇ…食堂までご一緒してもいいかい?」 「…………フン」 あれ?怒ってる?なんで怒ってるんだい。生理? 「何を怒ってるんだいモンモランシー。君の美しい顔が台無しじゃあないか」 「…アナタ。昨日何したか覚えてないの?」 「昨日?昨日は確か…何もなかったと思うよモンモランシー」 「フ~ン…それじゃアナタが私とケティに二股かけてたことがバレている事も忘れてるわけねえぇ…」 そ、そんなに怖い声で言わないでおくれモンモランシー。ってなんでバレタァ!?昨日は 確か酔っ払って。ルイズに暴力をふるって……ルイズに暴力?馬鹿な。僕は紳士さ。女性に暴力なんてとんでもない。 「アンタ。昨日のヘビに噛まれたことまで忘れたんじゃないでしょうね。」 ヘビ…ヘビだって!? ヘビというキーワードで頭の中の記憶が鮮明にフラッシュバックしていく。 僕は昨日の朝に酔っ払った勢いでルイズに暴行し、そのルイズの使い魔の平民に皿を投げつけられて かつ決闘を挑み挑む前にアソコにヘビを喰らってあえなく敗北しました♪ヤッベ冷汗出てきた。 ああ、そうかッ!その時の香水のせいで二股ばれたんだっけ。あっはっは。やだなぼくったら~。 「思い出したようねぇ。じゃあ今からアナタがすることを言いなさい。ちなみに間違ったら殺すわよ。」 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ! DIO様も真っ青なこの迫力ッ!黄金のオーラがギュインギュインいってるッ! なんていうことだ。モンモランシーは殺すといったら殺す。スゴ味があるッ!ヤ、ヤバイ 「モ、モンモランシー。あ。あの… ル、ルイズにちゃんと謝ります…」 モンモランシーの目が今赤く光ったッ!気のせいじゃないよねっ!? 「それだけぇ?なんか物凄く大事なもの忘れてないかしらぁ。」 だがグラモン家に伝わる戦い方(正確にはギーシュにだけ)をモンモランシーは知らない。それは『土下座』! 「ゆるしてくださいあぁーいッモンモランシー様ーーーーーーーッ!改心しますひれ伏します 靴もなめます悪いことしましたァ!殴っても蹴ってもいいですゥ!でも!命だけが助けて くださいイイイイイィいいいい!!モンモランシー様~~~~~~」 やれやれ。土下座しながらここまで言われるとさすがに罪悪感沸くわよ。まったく。 「ギーシュ。顔を上げて。」 「は、はひぃ!」 涙まで流しているギーシュを抱き寄せて 「ギーシュ。あなたは昨日貴族としてやってはいけないことをしたわ。最低の行為よ。 でもね、アナタが昨日あの平民にやられて死に掛けた時ホントに心配したんだから。もう二度とあんなこと はしないで。それに浮気ももうしないこと。浮気分かった時悲しかったんだから。」 「モンモランシー……」 昨日ルイズを君も散々責めていなかったかい? この言葉は口に出さずしまっておこう。今言ったらまたキレるだろう。 「ありがとう。浮気なんてもうしないよ。モンモランシー…」 「ギーシュ……」 食堂前の通路で二人だけの世界を作っている。しかしこのカップル。ノリノリである。 ルイズは上機嫌だった。 昨日の事件もあって影でボソボソ言われてるもの表だって ルイズのことを馬鹿にするものはいない。もちろん昨日の朝食のギーシュ事件の せいである。その時からジョルノの事をタダの平民だと思う者はいなくなった。 ルイズが呼んだのは先住魔法を使う蛇使い。悪魔。魔人。いろいろな憶測がた飛び交い ジョルノは影でそんな風に呼ばれていた。ルイズを馬鹿にするとあの男が毒蛇を呼んでくる。 ジョルノ自身はルイズが馬鹿にされたぐらいではなんとも思ったりなどはしないのだが。 とまあこんな感じのうわさのせいで平民?が貴族用食堂で食事しているのを咎める者はいなかった。 「ダーリンッ。アーンしてぇ~」 「一人で食べれます。邪魔ですよ」 「つれないわねぇ。そんな所がまたソソるわぁ。」 「ちょっとキュルケ!嫌がってるでしょ!やめなさい」 ルイズとキュルケがギャアギャア言ってる所に昨日の酔っ払い。あのギーシュという少年がやってきた。何のつもりだ? 「ルイズ。後で話したいことがあるんだ。その、授業前にちょっといいかな。」 「……何のつもりよ。私正直に言えばあなたの顔も見たくないんだけど。」 「怒る気持ちはもっともだ。でも、僕は君に謝りたい。」 コイツは昨日こんな性格だったか?やはりルイズに暴行したのは泥酔したせいらしい。別人だな。 「……わかったわ。後でね。」 「ありがとう…ルイズ。」 それだけ言うとギーシュは食堂を出て行った。しぶしぶ承諾したようだ。この場で殴ってやればいいのに。 「ルイズ。この場で謝罪させればよかったのでは?」 「アイツにもメンツがあるわ。それに反省しているみたいだしいいわよ。」 あそこまでやっておいてもはやメンツなんてないと思うけどな。 まあいい。もうちょっと食事を楽しもう。 「あら?ダーリンワインが飲みたいの?お酌してあげるぅ。」 「どうも。でも次からは結構です」 「キュルケ!いい加減にしなさいよッ」 食事を済ませたルイズはギーシュのいる廊下に来ていた。 「で、話って何?昨日のことならアンタがジョルノに土下座して謝った事聞いたわよ。」 「それでも、それでも直接僕は君に謝りたいんだ…僕は女性に。暴力を振るってしまった…」 その様子を廊下の端っこから二人を覗く影が三人。ジョルノとキュルケとモンモランシーだ。 「なんだかんだでダーリンも心配なんじゃないのぉ」 「それはアナタもですよキュルケ。ところでそこのロールケーキはギーシュの彼女ですか?」 「ロールケーキじゃないッ!!モンモランシーだ!オンモランシーでもモンモラシーでもないッ!」 そんなことまで聞いちゃいない。おや。ギーシュが土下座を始めたみたいだ。 「ルイズ!僕は最低なことをしてしまったんだッ!だから僕を……僕を!」 「僕を………踏んで来ださい…」 「「「「え?」」」」 to be continued
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マドレーヌ(6) フランスのモンモランシー公の系譜に登場する人物。 カーンのサント=トリニテ女子修道院長。 関連: アンヌドモンモランシー (アンヌ・ド・モンモランシー、父) マドレーヌドサヴォワ (マドレーヌ・ド・サヴォワ、母)
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マリアフェリシアオルシーニ(マリア・フェリシア・オルシーニ) フランスのモンモランシー公の系譜に登場する人物。 関連: アンリニセイドモンモランシー (アンリ2世・ド・モンモランシー、夫)