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第一章 使い魔は暗殺者 中編 リゾットとルイズが歩いて城に戻ると、すでに次の授業は始まっていた。 ルイズは渋々ながら使い魔を引き連れて次の授業に出席しようとしたが、リゾットはそれを聞いてあっさりと首を振った。 「悪いが、仲間たちの様子を見に行きたい」 その言葉遣いにルイズはご主人様に対する礼儀がなってない! と叫んだが、リゾットは何処吹く風といった様子だったので、まあしょうがないわね、と許可を出した。 何しろ、これ以上遅れたら教師にどれだけ怒られるか分からない。 ルイズは近くを歩いていた黒髪のメイドに声を掛けると、リゾットを救護室まで案内することと寮の自分の部屋の場所を教えるように言った。 ルイズと同じ年頃のメイドはそれを礼儀正しく承ると、リゾットを連れて救護室へと向かった。 話は少し遡る。 まだリゾットとルイズが草原を歩いている頃、コルベールによって運ばれた六人のうちの一人が目を覚まそうとしていた。 トリステイン学院の救護室はかなり広い。 戦争が起きた場合、この学院も砦として活用されるので、大勢の兵士を収容するためなのだが、平和なときは無駄な広さである。 しかし、今はコルベールが連れてきた六人の奇妙な平民たちが眠っていた。普段使用しないベッドにもシーツを敷き、布団をかけて昏々と寝ている。 水のトライアングルメイジである治療師は全員に外傷が無いのを確認し、目が覚めたときの説明役のために椅子に座る。 地方の小貴族の三男坊だった彼は、一応貴族ではあるが、領土は持ってない。 領土がないということは、職が無いということなので、働かなければいけない。 けれど、この職が中々見つからない。実力の無いメイジだと門戸は狭いし、やっと就職できたとしても給料は安い。 そのせいで危険だけれども金になる傭兵や泥棒などになるメイジもいる。 国はそんなメイジを貴族の恥さらしと呼んで必死になってとっ捕まえようとしているが、そんなことをする前に給料上げた方がいいんじゃないのか、と彼は思っている。 ちなみに彼は水のトライアングルであったし、治癒魔法に優れていたのでけっこう門戸は広かった。 そんな中でこの学院の治療師を選んだのは年老いても出来そうな仕事だったからだ。それに、子供たちと触れ合う事も楽しかった。 そんな彼も六十の半ば。そろそろ退職時期かと考えていた。けれど後任の治療師が来ないので今に至る。 (オスマン学院長もそろそろ誰か採用してくれんかのー。この歳だと患者をベッドに寝かせるのも一苦労なんじゃ) コルベールが手伝ってくれたからどうにかなったものの、六十代の老人には少々骨の折れる仕事だった。 何しろ全員屈強な男たちだ。一人だけ女のような奴がいたが、しっかり筋肉はつけているようで、中々持ち上がらなかった。 (にしても、奇怪な格好だわ。最近の平民の間ではこんな服が流行っとるのかの。見たことの無い材質もあるようだし……。特にあの片目を隠すのは最先端流行ファッションとかいうやつかの?) 治療師は一番奥のベッドに寝ている男に視線を移す。 最初は女だと思った平民だ。 ちゃんと見ると男だと分かるのだが、他のがっしりとした骨格の男たちに囲まれると、アレ? となる。 奇妙な対比である。 しかし、彼らが運ばれてからすでに三十分ほど経過しているが、誰も起きない。 治療師は少し退屈してきたので、自室から本でも持って来ようかと腰を上げた。 と、そのとき、 「……う……うぅ……?」 眠っている一人が僅かな唸り声を上げた。 見れば一番奥のベッドで横になっていた妙な目隠しをつけた男がもぞもぞと動いている。 治療師は驚き、彼にしては早いスピードで側に近寄った。 「おお、目が覚めたかの?」 枕に顔を擦りつけ、ごにょごにょと何かを口にしている男に、治療師はそう尋ねた。 「…………ん? 何だ、ここは……。オレはいったい…………はっ、蛇だ! 蛇が!」 すると、声に反応して目を開けた男は突如として上体を起こして叫んだ。 治療師はそれを避けようとしてひっくり返りそうになったが、後ろの壁に手をついて何とか体を支える。 「お、落ち着きたまえ。ここに蛇は居らんよ。ここはトリステイン魔法学院の救護室じゃ」 「って、ここは駅じゃない? テルミニ駅にはこんな石で出来た部屋はないはずだ……。 ということは、何者かに運ばれたという事か? ブチャラティの奴らではないな……。 ボスの配下か?」 が、男は治療師の声が聞こえていなかったらしい。 ブツブツと独り言のような声で早口に何かを喋っていた。 治療師はこの平民が『サモン・サーヴァント』で呼び出されたことを思い出して、男の混乱に納得する。 そうして、もう一度声を掛けた。 「ここはトリステイン魔法学院だよ。 君たちは生徒の『サモン・サーヴァント』によって呼び出されたんだ。 ここまではミスタ・コルベールが魔法で運んできてくれたんだよ」 ぴくっ、と男の肩が揺れた。どうやら今度はちゃんと耳に届いたようだ。 治療師はこれで一安心と息を吐きかけて、 「トリステイン魔法学院? 『サモン・サーヴァント』? 魔法で運んだ? …………どういうことだ? 答えろ! お前は誰だ?!」 ぎょっとした。落ち着くどころか益々興奮した男が治療師の胸倉を掴んで喚く。 だらだらと汗を流して、眉は吊り上がり、目は爛々と輝き、唇の端は捲りあがっている。そのあまりの剣幕に治療師はひぃっと、小さく悲鳴を上げた。 怖すぎる。左目だけがこちらを睨んでいるのも怖い。 杖は職務机の脇に立てかけているので魔法を使うことも出来ない。 「答えろって言ってるだろ?! ここは……、ここは……、魔法が存在する世界なのかッ?!」 「…………………………………………………………………… ……………………は?」 ああ、わしの人生オワタと、心の中で始祖ブリミルに対する祈りの言葉を唱えていた治療師は、 続いてとても嬉しそうに発された間抜けな質問に、心底気の抜けた声を出した。 プロシュートはぼんやりとした気持ちでどこかに立っていた。どこかは分からない。 というより、足に何かが触れている感じがしない。 黒で塗りつぶされた空間の中に、曖昧な感覚のまま立ち尽くしていた。 自分は死んだはずだ。と、プロシュートは思った。 ブチャラティと戦い、列車の外に飛ばされ、ブチャラティの策略にはまり落とされた。 それでもペッシを援護するために車輪に捕まり、ザ・グレイトフル・デッドを使っていたが、 段々意識が薄れていきとうとう…………途切れた。 ――ペッシは娘を手に入れられたのだろうか? メローネとギアッチョはどうしているのだろうか? リゾットはボスを倒せたのだろうか? 残された仲間の事が気に掛かるが、プロシュートには確かめる術も無い。 ただ、この漆黒の闇に囲まれていることしか出来ない。 それにしても、ここはどこなのか。天国でも地獄でも無いことは確実だが。 死後の世界とはこういうものなのだろうか。 何もすることが無いので、プロシュートはこの場所について考える。 けれど、すぐに堂々巡りするだけだと気付いて、別のことを考えようとした瞬間、 ぐいっと何かに引かれる感触がした。 ――何だ? プロシュートは錆び付いた歯車のように働かない思考で呟いた。 その間にもプロシュートはぐいぐいと引っ張られていく。 上か下かは分からないが頭の方向へと、何かがプロシュートを運んでいくのを感じる。 それと同時にプロシュートを囲っていた闇が薄くなっていった。 頭上から光が射してきたのだ。 それは瞬く間にプロシュートの周りの闇を払うと、さらに輝きを強くする。 ――くっ、目が! プロシュートは反射的に顔を庇った。 そうして、あまりの眩しさに目が開けられなくなったとき、目が開いた。 「……か! ディ・モールトッ! ディ・モールトッ! よいぞぉッ!」 目が覚めた瞬間、プロシュートは自分がベッドに寝ていることに気付いた。 白い、清潔そうなシーツだ。あまり使われて無いらしく、生地は少し硬い。が、手触りはよかった。 「…………またメローネがゲームをやってるのか。 普段は冷静で頭脳派なんだが、ジャッポネーゼが絡むと途端に人が変わるからな……。 それがなけりゃあイイ奴なんだが……」 起き抜けに聞こえたメローネの歓声から、ここがチームの家だと判断したプロシュートは 二度寝をしようともう一度毛布を頭から被り――、 「ちょっと待てぇぇぇぇぇッッッッ!!!!! これはどおぉぉいう事だあぁぁぁぁぁッッッ!!!!」 有らん限りの音量を振り絞って叫んだ。 そうして、それを耳にした残りの仲間たちが、 「なんだ?! プロシュート! 敵か?!」 「おいおい、プロシュートォ。いきなり叫ぶなよ。煩いだろぉ」 「プロシュート兄貴! なんかあったんですかい?!」 「うっせぇぇなぁプロシュート。オレは眠いんだ。起こすなよ」 と、プロシュートとの関係がよく分かる言葉を発してくれた。 ホルマジオとペッシは非常事態だと思い、勢いよく上体を起こした。 イルーゾォとギアッチョは耳を塞いで眠る気満々の姿勢だ。 そんな二人の反応――ホルマジオとペッシは飛び起きたのでよしとする――にプロシュートはギアッチョよりも盛大にブチギレた。 「これが叫ばずにいられるかぁッ!!! なんでオレは……オレたちはここに居るんだッッ?!! オレたちは……それぞれに別れてブチャラティたちを追っていたはずだ!!!」 その言葉に、ベッドの上に居た六人は、この状況の異常さに気付いた! 「そうだ! オレは……ナランチャの野郎に殺されたはずだ!」 「オレはあの三人と戦って変なウイルスに……。 クソッ、もう少しで鍵を手に入れることが出来ていたのによぉ!」 「お、オレは兄貴の仇を取ろうとしてブチャラティにバラバラにされたはずなのに……。 な、なんでこんなところに?」 「オレは……、ミスタの野郎を殺そうとして、新入りのヤツに殺された……。 クソクソッ! あと一歩だったのによ!」 「オレはブチャラティを列車から落とそうとして逆に落とされた。 最後の力でザ・グレイトフル・デッドを使ったが……。駄目だったと言うわけか」 五人はベッドから飛び降りると、輪になって互いに自分たちが失敗したときのことを語り合った。 そして、全員が語り終わると同時に、部屋に沈黙が落ちる。 自分たちは負けた。それならばリーダーは? 数少ない情報でボスを倒せたのだろうか。それとも、死んでしまったのか。 「…………とにかく、なんでオレたちはこんなところにいるんだ? 全員、別々の場所で死んだっていうのに、こんなところに揃ってるのはおかしいだろ」 まるで通夜か葬式のような雰囲気になった気分を吹っ切るためにプロシュートは強引に話を切り替えた。 最初に気付いたせいか、当初の驚愕は比較的治まっていた。 混乱して喚いていても、任務の失敗を思い出し沈鬱としていても、意味は無い。 今やらないといけないことは、この状況を把握してリーダーのところへ帰ることだ! 五人は戸惑い揺れていた瞳に決意と覚悟を宿すとぐっと表情を引き締める。 そうして、互いの顔を見合わせた――ところで、メローネがいないことにようやく気付いた。 「おい、メローネのヤツはどうした?」 「まさかあいつだけここに来ていないとかいうオチじゃねーよな」 「そ、そんな……。メローネだけ居ないなんてこと……」 「チェッ、あいつだけ仲間はずれってことか?」 「いや、オレはあいつの声で目が覚めたんだ……」 仲間が一人居ない。そのことに妙な不安を感じて四人は顔を見合わせる。 が、一人プロシュートだけは確信をもって周りを見渡し……、 「おお! すごいぞ! こんなことも出来るのか!」 「ほっほっほっほっ。 これは基本の基本である『錬金』で、位が高いメイジならさらにすごい事も出来る。 わしはトライアングルメイジの中級クラスぐらいの実力だからそうはできんがな。 それに、『錬金』を得意とするのは土のメイジだから水のメイジであるわしはあんまり使用せん」 「なるほど、なるほど。相性というものだな? ふむう……しかし魔法というのは貴族の血を引かないと使えないのだろう? それなのに全てのこういった作業を魔法だけで行っているのか?」 「うむ。メイジは数が少ないからね、非効率ではある。 それに、こういった仕事は給料が低い事もあって専門的に行うメイジはほとんど居らん。 自分が必要だと感じたときに自分が必要な分だけ作るというのがメイジの基本になっとる」 和気藹々と語り合うメローネと、黒いローブを纏った変な老人を見つけた。 こちらがすごい覚悟をした後で、少々盛り上がっていたところなので、そのギャップはかなりすごかった。 どれくらいすごいかというと、 シリアスなシーンでスマイル全開でタップダンスを踊るリゾットを目撃してしまった! ぐらいの衝撃である。 「……………………………………………… ………………………………………………」 「……………………………………………… ………………………………………………」 「……………………………………………… ………………………………………………」 「……………………………………………… ………………………………………………」 「……………………………………………… ………………………………………………」 さっきとはまた違った意味で不穏な空気が五人を包む。 ペッシは、どこからともなくゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴという音や、 ド ド ド ド ド ド ド ドという音が聞こえてきた気がした。 なんだか周りに居る仲間や兄貴の顔が大変な事になっていっている。 反対に自分はどんどん脂汗を流しているような気がしてきた。 (プロシュート兄貴ィィ~~~~~ッ。目がイってるぜ~~~~~ェェッッ) ペッシは後退る。ブチャラティとの戦いでマンモーニから脱却したとはいえ、 まだまだ経験の浅いひよっこでしかない彼には、この本物たちの放つ気配は重い。 「なるほど! なるほど! ディ・モールト! ティ・モールト! よく分かったぞぉ! だからこそ貴族は平民を支配できているのだな! そういった科学技術を独占する事で!」 「そうとも言えるな。平民には鉄を精製したり火の秘薬を作ったりすることはできん。 ところでカガクとはなんなのだ?」 「あっ! あっ! それは秘密だな。 オレたちにとって重大な秘蘊(ひうん)だからだ。タダで教えるわけにはいかないものだ」 そんな彼らとは正反対に、メローネは至極楽しそうに会話を続けている。 ああ、こんなに楽しそうなメローネはベイビィ・フェイスの息子を操作しているときか、ジャッポネーゼ絡みのときだけだ。 そう、老人と語り合う彼は、とても、とても、とても――――幸せそうであった。 ブッチィィィィ―――――z______ンッ!!!!! その瞬間、何かが切れる音をペッシははっきりと耳にした――と思った。 「めぇぇぇぇぇぇろぉぉぉぉぉぉねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 ペッシを除く全員が、声を揃えて怒鳴る。 あまりの大音量に毛布が浮かび上がった。枕も宙に浮く。ベッドも床から足を離した。 地球のギネスブックには、『閉店だ!』と叫んだ酒屋の亭主が窓ガラスを割った記事があるが、 そのレベルの大声である。ローブを着た老人は漫画のように飛び上がった。 しかし、メローネはふんふんと鼻歌を歌いだしそうなくらいの上機嫌な空気を撒き散らしつつ、 「オマエたち起きるのが遅いな。寝てばっかりいると脳が溶けるぞ」 と、のたまった。 ――ちなみにそれに対するプロシュートたちの返答は――スタンドでの容赦ないオラオララッシュであった(人、これを自業自得と言う!)。
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光の使い魔 Summon 1(光) / 400f ファミリアーの召喚 Atk=0 HP=1 光の使い魔が対戦相手にダメージを与えた際、あなたは1MPを得る。 -- http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/27456/1135510382/826 参照:炎の使い魔, 水の使い魔, 風の使い魔, 闇の使い魔 コメント欄 名前 コメント
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康一達がマリコルヌに地獄を見せていた同時刻、 本塔の最上階にある学院長室で、ちょっとした騒ぎが起ころうとしていた。 トリステイン魔法学院の学院長を務めるオスマン氏が、白いひげと髪を揺らして、退屈そうにしていた。 「暇じゃのう……」 オスマンは、机に手をつきながら立ち上がり、理知的な顔立ちが凛々しい、ミス・ロングビルに近づいた。 椅子に座ったロングビルの後ろに立つと、重々しく目をつむった。 「こう平和な日々が続くとな、時間の過ごし方というものが……」 「オールド・オスマン」 オスマンが、年季の入ったしわをよせながら重々しく語ろうとするが、ロングビルによって遮られる。 「なんじゃ?」 「暇だからといって、わたくしのお尻を撫でるのはやめてください」 オスマンは口を半開きにして、耳をロングビルに向けながら聞く。 「え? ポッポ ポッポ ハト ポッポ?」 「都合が悪くなると、ボケた振りをするのもやめてください」 どこまでも冷静な声でロングビルが言った。 オスマンは深くため息をついた。そして真剣な顔をしながら語る。 「そういえば、昨日召喚されたという平民の少年はどうしてるんじゃろうな? 後で様子でも……」 「少なくとも、私のスカートの中にはいませんので、机の下にネズミを忍ばせるのはやめてください」 ロングビルの机の下から、小さなハツカネズミが現れた。 オスマンの足を上り、肩にちょこんと乗っかって、首をかしげる。 「気を許せる友達はお前だけじゃ。モートソグニル」 そう言って、ネズミの前にナッツを振る。 「ほしいか? カリカリの欲しいじゃろう? なら報告をするんじゃ」 ネズミは、ちゅうちゅうと鳴きながら、オスマンに耳打ちした。 「そうかそうか、白か。純白か。よーし、よしよしよしよしよしよしよしよしよしよし! よく観察してきたのう、モートソグニル! 褒美をやろう。いくつ欲しいんじゃ? 二個か?」 ネズミは、顔を横に振って、ちゅーうちゅうちゅうちゅう! と鳴いた。 「三個欲しいのか? カリカリのを三個……。いやしんぼじゃのう! よし、三個くれてやろう!」 ロングビルが眉をぴくぴくとさせながら、その光景を見ていた。 「オールド・オスマン」 オスマンは、ネズミに向かってナッツを放り投げながら聞く。 「なんじゃね?」 「今度やったら、王室に報告します」 その言葉を無視するかのように、オスマンはネズミと戯れていた。 ネズミが手を使わずに、全てのナッツを口でキャッチして、カリコリさせながらナッツを食べている。 「よォ~しよしよしよしよしよしよしよしよしよし! とってもいい子じゃぞ、モートソグニル!」 うれしそうにネズミを撫で回すオスマン。 その光景を見ていたロングビルは、オスマンの背後に無言の圧力をかける。 「下着を覗かれたぐらいでカッカしなさんな! そんな風に怒ると、余計にしわが増えるぞ。 これ以上、婚期は逃したくないじゃろう。 ぁ~~~~、若返るのう~~~、何というスベスベの……」 オスマンが、ロングビルのお尻を堂々と撫で回し始めた。 ロングビルは立ち上がり、無言で上司の顔面を手の甲の部分で引っぱたいた。 バギィッ! 小気味良い音を立て、オスマンは地面に倒れる。 追撃といわんばかりに、ドガドガドガと、オスマンの体中に何度も蹴りを入れ続ける。 「ごめん。やめて。痛い。もうしない。ほんとに。許して!」 「このッ! このッ! このエロじじぃがッ! 思い知れッ!!」 普段の冷静なロングビルとは思えない台詞を言い放ちながら、尚もオスマンに蹴りを入れる。 「あだッ! うげッ! ごげッ! と、年寄りを、きみ。ちょま、まって。折れちゃう! はぐッ!」 「私の清らかな部分を! よくも汚れた指先で! いやらしく撫で回してくれたわねッ!」 ロングビルは完全にプッツンしているようで、目を尋常じゃないほど見開いている。 迂闊なことをしたと後悔しながら、意識が遠くへいきそうになるオスマン。 オスマンが失禁寸前になっていたその時、 ドアがガタン! 勢いよくあけられ、中堅教師のミスタ・コルベールが飛び込んできた。 「オールド・オスマン!!」 「……」 返事がない。 ロングビルは何事も無かったように机に座っているが、オスマンはピクピクと体を痙攣させていた。 いつものことなので、特に気にも留めずにコルベールは話を進める。 「たた、大変です! ここ、これを見てください!」 『炎蛇のコルベール』の二つ名を持つコルベールは、 白目をむいて気絶しているオスマンを燃やして、強制的に意識を覚醒させる。 そして、図書館にあった書物をオスマンに手渡した。 「これは『始祖ブリミルの使い魔たち』ではないか」 オスマンは何事も無かったかのように、書物をマジマジと見つめている。 「これが一体どうしたと言うんじゃ。 こんな古臭い文献など漁ってる暇があったら、貴族から学費を徴収するうまい手を考えるんじゃよ。ミスタ……、なんだっけ?」 オスマンは首を傾げた。 「コルベールです! お忘れですか!」 「そうそう。そんな名前だったな。それで、この書物がどうかしたのかね? コルベット君」 「コル 『ベール』ですッ! わざとらしく間違えないで下さい!!」 だめだコイツ……、と思いながら頭を抱えるコルベール。 「とにかく、これを見て下さい!」 コルベールは、康一の手に現れたルーンのスケッチを手渡した。 それを見た瞬間、オスマンの表情が変わった。目が光って、厳しい色になった。 「ミス・ロングビル。席を外しなさい」 ミス・ロングビルは立ち上がり、部屋を出て行った。 彼女の退室を見届け、オスマンは口を開いた。 「詳しく説明するんじゃ、ミスタ・コルベール」 ルイズがめちゃくちゃにした教室の片付けが終わったは、昼休みの前だった。 罰として、魔法を使って修理することが禁じられたため、時間が掛かったのである。 といっても、片づけをしたのは殆ど康一で、ルイズは面倒くさそうな顔で机の煤を拭いただけだった。 新しい窓ガラスや重い机を運ばされた康一はくたくたになりながら、食堂へ向かうルイズの後ろを歩いてる。 「……」 「……」 二人とも無言であった。 ルイズは不機嫌そうにしており、康一は話す気力もないと言った感じで肩を落としてる。 だらだらと歩く康一に我慢できなくなったルイズが、康一に向かって怒鳴りつける。 「ちょっと! 私の使い魔らしく、もっとシャキっとなさい、シャキっと!」 康一は、何も答えずにノロノロと歩いている。 「人の話を聞いてんの? この犬!」 犬と言われた康一は、ムッとしながらも何とか堪え、ルイズの所までスタスタと歩いた。 ルイズの肩に手をポンと置き、散々コキ使われた恨みを籠めながら笑顔で返事をする。 「僕もシャキっとしたいんだけど、何せもう体力が 『ゼロ』 だからなぁ~」 康一は、『ゼロ』の部分だけ声を張った。 ルイズの眉毛がぴくぴくと動き、歯はギリギリと不協和音を奏でていた。 「いや、本当は僕も急ぎたいけど、体力が『ゼロ』だし、気力も『ゼロ』だからさぁ~!」 「ふーん、へぇ~、そーなの。 体力が無いなら仕方ないわね~」 ルイズは笑顔で、しかし、万力の力を込めるように、拳を握った。 それを見た康一は、ヤバイと思って、後ずさりしながら離れる。 「さ、さあ~てッ! 早いとこ食堂に行こ……」 ルイズの右ストレートが、康一の左頬にクリーンヒットする。 バギィッ! という音が、食堂へと続く廊下に響いた。 康一は、明日の食事も全て抜きとされてしまった。 殴られた左頬を押さえながら、康一はシエスタに案内された厨房へ向かっていた。 口の中は鉄の味で充満しており、虫歯になった時のように、ジンジンと痛みが走っている。 「あら、コーイチさん」 厨房の前に到着すると、シエスタが大きな銀のトレイで、何枚もの皿を運んでいる最中だった。 康一は、シエスタのところまで駆け寄り、一礼をした。 「どうも、シエスタさん。朝はお世話になりました。運ぶの手伝いますよ」 そう言って、シエスタの持っていたトレイを持ち上げる。 しかし、片づけで大幅に体力を失っていたこともあり、持ち上げた体勢のままプルプルと震えて動けなくなる。 「あ、あの……無理はなさらないほうが……」 シエスタが康一を心配そうに見つめる。 「だ、だ、だ、大丈夫……です。あ、いや……。やっぱまずいかも……」 シエスタは、康一の両手に重なるように手を置き、トレイを持ち上げるのを手伝う。 「す、すいません……」 シエスタの手に触れていることも相まって、康一は顔を真っ赤にして俯いた。 「一緒に運びましょう。二人で運べば、お互い楽に運べますから」 そう言って、可愛らしい笑顔でニコリと微笑むシエスタ。 康一は十分の一でもいいから、シエスタの優しさをルイズに分けてほしいと思った。 皿が乗っているトレイを、厨房のテーブルに乗せる。 トレイから皿を下ろしていると、料理を作っていたコックが皿を何枚か要求した。 康一が皿を持っていき、コックが料理を盛って、再び康一に手渡す。 シエスタが康一から料理を受け取り、何枚か大きな銀のトレイに乗せて食堂へと持っていった。 数分後、メイン料理の全てを運び終えたメイドたちは、デザートの時間になるまで昼食を取っていた。 「うーん、やっぱおいしいッ!」 康一も、シエスタを含むメイドたちと賄い料理を食べていた。 今日の賄いはシチューらしく、康一の腹を満たすには充分すぎる程の量が入っている。 シエスタは、その様子をクスクスと笑いながら見ている。 「……? どうしたの?」 「コーイチさんって、本当においしそうに食べてくれますね」 「そりゃあ、本当においしいんですから、自然とそうなりますよぉ~!」 そう言って、満面の笑みでシチューを頬張る康一。 ルイズに殴られた傷なんて、気にならないくらいであった。 「この後、デザートを運ぶんですよね? 僕も手伝いますよ」 「そんな、そこまでしてもらうわけには……」 既に厨房の仕事を手伝って貰っており、これ以上手伝ってもらっては申し訳ない、とシエスタは思った。 「いえ、朝もご馳走になりましたから、是非やらせて下さい!」 「……わかりました。なら、手伝って下さいな」 康一の素直な瞳を見て、断っては逆に失礼だと思ったシエスタは、デザート運びを手伝ってもらうことにした。 大きく頷き、康一は再びシチューを食べ始めた。 大きな銀のトレイに、デザートのケーキが並んでいる。 康一がトレイを持ち、シエスタがはさみでケーキをつまみ、一つずつ貴族たちに配っていく。 「なあ、ギーシュ! お前、今は誰と付き合ってるんだよ!」 声のした方を見ると、金色の巻き髪にフリルのついたシャツを着た、キザなメイジがいた。 薔薇をシャツのポケットに挿している。どうやら友人らしき人物と話をしているようだった。 「誰が恋人なんだ? ギーシュ!」 「つきあう? 僕にそのような特定の女性はいないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」 あの人、自分を薔薇に例えるなんて、よっぽど自分の容姿に自信があるんだなぁ~。 などと思いながら次の席までトレイを運ぶ。 特に興味もなかった康一は、すぐに視線を元に戻した。 次の席にケーキを配ろうと康一が移動した時、シエスタが何かに気づき、はさみをトレイに置いた。 「すみません、ちょっと待ってていただけますか?」 「あ、はい」 そう言って、シエスタはさっきのキザな男の元に駆け寄った。 知り合いかな、と思いながら康一が見ていると、何やら少しモメているようだった。 シエスタは困った顔をして、オロオロとしていた。 何かあったのかと思い、トレイをテーブルに乗せて康一がシエスタに声をかける。 「どうしたんですか?」 「あ、それが……」 その時、一人の女性がキザ男に向かってコツコツと歩いてきた。 「ギーシュさま……。 やはりミス・モンモランシーと……」 「彼らは誤解しているんだ。ケティ。いいかい、僕の心の中に住んでいるのは……」 ギーシュと呼ばれた男がそう言いかけた時、パァンッ! という音が、食堂に響いた。 ケティと呼ばれた女性が、ギーシュの頬を思いっきり引っ叩いていた。 「その香水が貴方のポケットから出てきたのが、何よりの証拠ですわ! さようなら!」 ギーシュは頬をさすった。 康一が何事かと思っていると、康一を押しのけて、また一人の女がギーシュの前に現われた。 「モンモランシー。誤解だ。彼女とはただ一緒に、ラ・ロシェールの森へ……」 「やっぱり、あの一年生に、手を出していたのね?」 モンモランシーは、テーブルに置かれたワインのビンを掴むと、中身をどぼどぼとギーシュの頭の上からかけ、 「うそつき!」 と怒鳴って去っていった。 しばし、なんともいえない沈黙が流れた。 ギーシュはハンカチを取り出すと、ゆっくりと顔を拭いた。 そして、首を振りながら芝居がかった仕草で言った。 「あのレディたちは、薔薇の存在の意味を理解していないようだ」 康一は、この人二股かけてたのか、まあ自業自得かな。などと思っていた。 あんまり惨めな姿を見ていると可哀想だったので、康一はすぐにその場を去ろうとする。 「……メイド風情がやってくれたね。君が軽率に、香水のビンなんかを拾い上げたおかげで、 二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだい?」 シエスタは、体を震わせながら、半泣きで土下座をする。 その光景を見た康一は、ピタリと足を止め、ギーシュの元へと引き返した。 「も、申し訳ございません!」 「謝って済む問題じゃない。キミには責任を取ってもらうとしよう。 ここのメイドをやめて、今すぐトリステインから出て行ってくれたまえ」 そう言って、ギーシュはシエスタの元から去ろうとする。 それを聞いていた康一が怒りをあらわにしながら言った。 「ちょっと! 何もそこまでする必要はないじゃないですか!」 「ん? 君は確か……ゼロのルイズの使い魔だったか。 使い魔如きが、軽々しく僕に話しかけないでくれたまえ」 使い魔如きと言われカチンとするが、 それよりも頭に来たのは、ギーシュが自分の責任をシエスタに押し付けてることだった。 「話を聞いていると、悪いのは明らかにキミの方だ! 大体、二股をかけてるのが悪いんじゃあないか。自業自得だよ!」 ギーシュの友人たちが、どっと笑った。 「確かにその通りだ! ギーシュ、お前が悪い!」 「そうだ、お前が悪い!」 それを聞いていた、周りのギャラリーたちも、一斉にギーシュを攻め立てた。 「責任転嫁するなんて、かっこ悪いぞ!」 「この極悪人め!」 「キミが真の邪悪だ」 周りから好き放題言われるギーシュ。 プルプルと振るえ、顔を怒りの形相へと変えた。 「よくも……僕にこんな恥をかかせてくれたな……」 歯をギリギリとならし、康一をキッと睨みつけている。 康一も負けじと、ギーシュを真っ直ぐ見る。 「そうやって、なんでもかんでも人のせいにするのは止めた方がいいよ。 全てキミが悪いじゃあないか。周りの皆だって、そう言ってるよ」 うんうん、と頷くギーシュの友人とギャラリー達。 「……どうやらキミは貴族に対する礼を知らないようだな。 よかろう、ヴェストリの広場で待っている。ケーキを配り終えたら来たまえ」 くるりと体を翻し、ギーシュと、その友人たちが去って行った。 「コ、コーイチさん! 逃げて下さい! 殺されちゃいます!」 「シエスタさん」 「悪いのは私なんです! だから、行くのは絶対にやめて下さい!」 「シエスタさん、聞いて下さい」 康一は地面に座り込んでいたシエスタの手を取って、立たせた。 その姿は、体の小さな康一とは思えないほど、凛々しかった。 ドキリと胸をならし、シエスタは思わず視線をそらす。 「僕が逃げるってことはつまり、シエスタさんの名誉を汚すことになります。 シエスタさんは何も悪くないんです。だから、自分が悪いなんて言うのはやめて下さい」 康一は、真っ直ぐにシエスタを見ながら言葉を続ける。 「それに、僕は彼に解らせてあげなければならないんだ。『お前が悪いんだ』ってね。 大丈夫。僕は一度殺されそうになったことがあるからね。あんな奴、ちっとも怖くなんかないよ」 そう言って、康一はテーブルに置いたトレイを持った。 「さ、それより、早くケーキを配りましょう。皆さん、お待たせしてすみません」 康一達は、残りのケーキを貴族達に配っていった。 To Be Continued →
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クロス元はサガ・フロンティア、 時の君を召喚 時の使い魔-01 時の使い魔-02 時の使い魔-03 時の使い魔-04 時の使い魔-05
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ゼロの使い魔とは、原作:ヤマグチ ノボル・絵:兎塚 エイジのライトノベルをアニメ化した作品である。 他にネットラジオ・漫画・ゲーム化がある。略称して『ゼロ魔』とも呼ばれている。 このアニメには、強いくぎゅううううううううううううううううううと釘宮病が含まれています。 原作のライトノベルは、メディアファクトリー・MF文庫Jレーベルから。 本編は20巻(原作者死去のため、物語は未完結)、外伝は5巻刊行 原作者であるヤマグチ ノボルは、がんによる闘病生活を続けていたが2013年4月4日に死去(41歳没)。 …合掌 アニメ化は2006年7月から始まり、最新作の第4期が2012年1月より放送予定である。 アニメーション製作はJ.C.STAFFが担当。アニメ版については下の一覧表参照。 【TVアニメ一覧表】 シリーズ数 タイトル 放送期間 放送局 第1期 ゼロの使い魔 2006年7月~9月 チバテレ・他U局 第2期 ゼロの使い魔 双月の騎士 2007年7月~9月 チバテレ・他U局 第3期 ゼロの使い魔 三美姫の輪舞 2008年7月~9月 チバテレ・他U局 第4期 ゼロの使い魔 FINAL 2012年1月~3月 チバテレ・他U局 ※チバテレ→旧名・チバテレビ(千葉テレビ)、2008年で改名。 ちなみにCSでは第4期を除きキッズステーションが初であり、ほぼ一、二週遅れで放送している。 このアニメはお下がりものだったのである。ただし第4期のみAT-Xは製作委員会に参加している。 しかも2010年5月の『今月の新番組情報』では、当時唯一の最新作で、テレビ東京より28日遅れで放送した「メタルファイト ベイブレード爆」がキッズステーションで放送済かつ、3年10ヶ月遅れのゼロ魔の下になっている。 シリーズ数 キッズステーション ⇒ AT-X 第1期 2006年7月7日 ⇒ 2010年5月6日 第2期 2007年7月13日 ⇒ 2010年8月5日 第3期 2008年7月17日 ⇒ 2010年10月28日 第4期 - - 2012年1月7日 第4期はチバテレ、TVKより一日早い放送。 AT-Xでの放送は全シリーズ通して、通常枠で週1話・通常枠で週2話・ベルト枠ですでに3度放送されているが、 来る2011年の大晦日の日には、第1期~第3期全てを一挙放送。 【ゼロの使い魔シリーズ一挙放送】 放送時間は下記の一覧表参照。釘宮 理恵、日野 聡の二大声優をゲストにミニトークを、合計39回放送。 タイトル 放送日時時間 ゼロの使い魔(全13話) 12月31日・07:30~10:30 ゼロの使い魔 双月の騎士(全12話) 12月31日・13:00~18:00 ゼロの使い魔 三美姫の輪舞(全13話) 12月31日・18:00~23:30 アニメ本編の後にミニコーナーがあり、ガシャポンを使って出てきたカプセルの内容でフリートークを展開。 それぞれのシリーズ中はCMは一切流れない。アニメ本編第1話→(トーク→アニメ本編を繰り返し)トーク→アニメ本編最終回 大晦日なだけあって『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで・絶対に笑ってはいけない空港24時』など、特番等がぶつかってしまい、実況板が何度か落ちてしまった。 【放送リスト】 回数 放送枠 第1期 第2期 第3期 1回 通常枠・1話ずつ 2010年5月6日 2010年8月5日 2010年10月28日 2回 通常枠・2話ずつ 2011年1月31日 2011年3月21日 2011年5月2日 3回 ベルト枠 2011年4月7日 2011年7月14日 2011年10月7日 4回 一挙放送(※再放送なしの1回) 2011年12月31日 回数 放送枠 第4期 1回 通常枠・1話ずつ 2012年1月7日 2回 4回枠 2012年6月19日 果たして5回目はあるのだろうか…? 《主な登場人物》※一部ネタバレあり(それでも見たい方はクリックされたし) 【トリステイン魔法学院の人々】 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール(声・釘宮 理恵) この物語のヒロインであり、ツンデレである。授業で召還した平賀 才人を「バカ犬」と呼ぶが、密かに好意を抱いていた。声がシャナに似ているのは、同じ声優が担当しているためである。『うるさいうるさいうるさい!』 実は… 『虚無』の魔法使いであり、第2期あたりでデレ始めるらしい。 平賀 才人(声・日野 聡) ルイズに召還されて使い魔になってしまった17歳の普通の高校生。何かとルイズにお仕置きされてしまう女好きのへタレだが、実は武器の使い手である。ちなみに『灼眼のシャナ』の坂井 悠二の声も同じ声優が担当している。 キュルケ(声・井上 奈々子) ルイズの同級生で、お色気担当のナイスバディな巨乳女。使い魔は火竜(サラマンダー)。何かとルイズに突っかかってきたり、才人に誘いをかけたりする。フルネームは『キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー』。 タバサ=シャルロット・エレーヌ・オルレアン(声・いのくち ゆか) ルイズの同級生で、眼鏡っ子でいつも本を見ている森田さんは無口な長門 有希少女。使い魔は風韻竜(ドラゴン)である。第1期の第6話では、かなりマジな一面を見せている。ちなみに幼い頃は明るい性格で眼鏡っ子ではなかった(第8話の回想シーンから)。豹変した母親に苦悩したり、悪夢でうなされる事もしばしば。余談だが「まほらば~Heartful days」で空木 桜の声を担当した頃は、『猪口 有佳』と平仮名でなく漢字である。井口 ギーシュ・ド・グラモン(声・櫻井 孝宏) ルイズの同級生で、バラがトレードマークの女たらしのスケコマシ。使い魔は巨大モグラ・ヴェルダンデ。アニメ版ではかなり人気のあるキャラクターだったらしい。ちなみに第1期の最終回では、ある意味貢献した活躍をみせている。 モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ(声・高橋 美佳子) ルイズの同級生でギージュと一緒にいることが多い負け組。使い魔はカエルのロビン。香水の錬金が得意で、また惚れ薬も練成したりもしてる。その惚れ薬でルイズがとんでもない事に…。 惚れ薬を飲んでしまったルイズは… 一気にデレた。(ただし元に戻ると、一気に激怒モードに。) シエスタ(声・堀江 由衣) 機用で手際がいい17歳(井上 喜久子ではない)の会長はメイド様。才人に好意を寄せている。第1期のOPでは、セーラー服姿の汗たらりのシエスタが見れる。実は例のアネ オスマン(声・青野 武、第4期のみ島田 敏) トリステイン魔法学院の学院長で、セクハラ爺さんだが高名なメイジである。ただしアニメ版ではメイジとして活躍の場が少ない。年齢は100~300歳らしい。ハツカネズミを使い魔にしており、これを使ってロングビルの股座に潜入させ、パンツの色を物色したりしている。なお第4期の代役の理由は、2010年に脳梗塞で入院したためである。病状は快方に向かっていたが、2012年4月9日永眠、享年75歳。 ロングビル(声・木村 亜希子) トリステイン魔法学院の秘書で、オスマンにセクハラされまくりの23歳。「ミス・ロングビル」と呼ばれている、気品あるお姉さん風の女性。 だが、実は… 女盗賊フーケで、口調は少し荒々しい。第1期の第6話で魔法の杖(バズーカ砲)を奪うため、その正体を才人たちに明かした。第7話以降は眼鏡をかけている。また彼女の家柄やフルネームを知っていたのは、後でも触れるがワルドだけのようだった。…にも関わらずOPでは最終回まで、ロングビルが除外されず普通に登場している。蛇足として、レギュラーキャラが物語の中盤あたりで、実は敵だったという展開は『アスラクライン2』『Weiß kreuz Gluhen』『宇宙大帝ゴッドシグマ』などでも使われている。 ジャン・コルベール(声・鈴木 琢磨) トリステイン魔法学院の教師で、ほぼハゲ頭。『炎蛇』の二つ名を持つが、科学的な研究も行っている。 『ハゲキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!』『俺たちのハゲ』ちなみにキャラクターソングも出ている。 【貴族連合レコン・キスタの関連人物】 フーケ=マチルダ・オブ・サウスゴータ(声・木村 亜希子) 第1期の第5話から登場した女盗賊で、土ゴーレムを生み出す「土くれのフーケ」。 OP、第5話はフードで素顔を隠している。第6話で才人にあっけなく倒された後にトリステイン王国の独房に拘束されるが、 ある男の協力で脱獄、貴族連合レコン・キスタの一員となり、ルイズ達の前に立ちはだかる。キュルケに「年増」呼ばわれされ「私はまだ23よ!」とムキになる一面もある。アニメ版の第2期以降には登場していないため、第1期の最終回で敗退したその後の消息は不明である。 蛇足だが、 原作ではトリステイン魔法学院の秘書になった経緯が描かれているが、アニメ版では一切触れられていない。独房から脱獄したのに、誰も突っ込みがなかったのも謎である『\アッカリーン/』。オスマンから受けたセクハラ…。 謎の男(声・?) 仮面をつけた正体不明の謎男。『同志を迎えに来た』と言い、土くれのフーケの脱獄を助けた張本人でもある。フーケと共にルイズ達の行動を監視したり、キュルケ達の前に立ちはだかり襲撃する。 その正体は…? 後でも触れるが、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドである。 オリヴァー・クロムウェル(声・斉藤 次郎) 貴族連合レコン・キスタの総司令官で年齢は30代の半ばのいかにも悪人ズラな司教。 第1期の敵の黒幕的存在でトリステイン王国の侵略を企む。ただし平民出身のため、魔法は使えない。 その代用として「アンドバリの指輪」を使用して、クロムウェルを慕う国民や同じ貴族連合の兵士などの前で「虚無」を演じていた。 この指輪の魔力でキュルケ達を動けなくしたり、ルイズを操ったりしている。 その後… 第1期の最終回では、フーケが敗北して逃走、ワルドが虚無の魔法で消え去り、トリステイン王国侵略に送り込んだ兵士たちも倒され、完全に不利と感じて逃亡しようとするところをキュルケたちと鉢合せになり、アンドバリの指輪で彼女たちの動きを封じるも、たまたま通りかかったギーシュの加勢であえなく敗北し、トリステイン王国の独房送りとなった。なおクロムウェルは第2期にも登場しているが、アンドバリの指輪を奪い返したシェフィールドに暗殺される。 【第2期以降からの登場人物】 ティファニア・ウエストウッド(声・能登 麻美子) ウエストウッド村の出身のハーフエルフで巨乳キャラ。愛称は「テファ」。 実は… 戦闘で死亡した才人を蘇生したのは彼女である。 イルククゥ(声・井口 裕香) タバサの使い魔である風韻竜=シルフィードの人間した姿。実はメスだった事が判明された。キュルケ、ティファニアにも劣らぬ巨乳で、変身後は全裸である。 ジョセフ1世(声・小杉 十郎太) ガリア王国の国王で、虚無の魔法を使えるのだが、世間の間では「無能王」と呼ばれている。普段は一人チェス、人形を使った戦争ごっこなどをして遊んでいる。 実は… 貴族連合レコン・キスタと、総司令官であるクロムウェルを裏で操り、アルビオン・トリステイン・ゲルマニアの国々を翻弄するなど、裏で悪行を企てている鬼謀な王だった。またシェフィールドを使い魔にして才人たちを何度も襲撃している。第4期でも登場しており、ルイズたちとの死闘の末、シェフィールドと共に火石の爆発で死亡した。 シェフィールド(声・勝生 真沙子) 神聖アルビオン共和国皇帝クロムウェルの秘書。 その正体は… その正体はジョセフ1世の使い魔で、魔道具を操る『神の頭脳・ミョズニトニルン』。才人たちの前に立ちはだかる。第4期でも登場しており、ジョセフ1世と同じ理由で死亡した。 【その他・ゲスト等+α】 デルフリンガー(声・後藤 哲夫) 才人の武器。片刃の長剣で意思を持つ魔剣「インテリジェンスソード」。タメ口口調だが、頼りになる相棒的存在である。 スカロン(声・後藤 哲夫) 第1期の第7話に登場した「魅惑の妖精」亭の店長。ゴリマッチョなボディにオネエ言葉を使う。『ウホッ!いい男』娘に看板娘のジェンカ(声・樋口 あかり)がいる。ルイズは、この酒場でアルバイトをするハメとなった。 アンリエッタ・ド・トリステイン(声・川澄 綾子) トリステイン王国の王女で、ルイズが慕ってる。別名『ロイヤルビッチ(*1)』。アルビオン王国のウェールズ王子(声・山中 真尋)を愛していたが…。 オルレアン公夫人(アニメ版では『タバサの母』『タバサ母』)(声・土井 美加) アニメ第1期の第8話に登場。まるでゾンビのような醜いおぞましい姿で、人形を我が子にように可愛がっているというその狂気さは、視聴者にトラウマを与えかねないキ◯◯イBBA。実の娘であるタバサには全く眼中になく、彼女にひどい罵声を浴びせたり、下手すればタバサ自身が死亡しかねない危険な任務をやらせたしたりしている(*2)。なお回想シーンに登場したオルレアン公夫人は、別人のような美しさである。『ママン、綺麗だよ』。オルレアン公夫人は第4期にも登場している。 なぜこうなった?… 第1期の第8話の回想から。「心を狂わせる水魔法」の入った毒入りの飲み物をタバサに飲ませようと企む貴族の男に気づいたオルレアン公夫人が、無理矢理タバサから取り上げて自分で飲んでしまったため。「投げ捨てればいいいんでね?」と突っ込まないように…。毒入りの飲み物を飲んだオルレアン公夫人は、毒の効果で狂気化してしまい、今の状況になってしまったのである。なお、タバサを狙った貴族はいうまでなく断罪されている。オルレアン家の執事であるペルスラン(声・田原 アルノ)は、今もその事を悔やんでいる。キュルケはタバサの家庭事情をこの時、知る事となった。 ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド (声・26歳・志村 知幸、青年時代・鈴木 達央) ルイズが「理想の王子さま」と慕っていたグリフォン隊・隊長のイケメン髭男爵。二つ名は「閃光」。ルイズに婚約を申し込むため、現れるが…。 実は… 実は貴族連合レコン・キスタの一員で、ウェールズ王子をルイズたちの目の前で殺害した悪い奴《ワルド=悪(わる)奴(ど)》だった。いわゆる腹黒ある。裏でクロムウェルがアンドバリの指輪を使ってルイズを操り、本人の意思とは関係なしで無理矢理結婚しようとしているところから、ワルドにとってルイズは利用するだけの存在でしかないと思われる。最終回では、ゼロ戦に乗った才人とルイズに戦いを挑み、ルイズの虚無の魔法で消し飛ばされる。その後の生死は不明である。なお、フーケの脱獄の手助けをしたのもワルドである。 新井 里美 こちらは登場人物でなく、声優の新井 里美の事を示している。実は様々な使い魔役を演じている。 (演じた使い魔) フレイム(キュルケの使い魔・サラマンダー) シルフィード(タバサの使い魔・風韻竜=ドラゴン) ヴェルダンデ(ギーシュの使い魔・巨大モグラ) ロビン(モンモランシーの使い魔・カエル) モートソグニル(オスマンの使い魔・ハツカネズミ) 『ババアキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!、黒子キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! 』 1人何役という大役はのちの「キルミーベイベー」の『エトセトラガール』に発展する。
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登録日:2009/08/31 Mon 15 09 24 更新日:2024/06/06 Thu 23 58 44NEW! 所要時間:約 8 分で読めます ▽タグ一覧 5部 「いい母親」すぎたか… やべーやつ イクメン イケメン カーマ・スートラ ジョジョ ジョジョの奇妙な冒険 スタンド使い ディ・モールト デザイナーズベイビー ハチク ヒャブッ ベイビィ・フェイス マジキチ マスク メローネ 全女性の敵 出産 変態 変態という名の紳士 変態マスク 変態紳士 女の敵 妊娠 子煩悩 暗殺チーム 暗殺者 木内秀信 残忍なイケメン 残念すぎるイケメン 残念なイケメン 汚いキキララ 碧眼 筋金入りの変態 紫髪 遠隔自動操縦型 野島健児 間島淳司 魔界転生 黄金の風 君…健康状態は… 「良好」ですか? 『ジョジョの奇妙な冒険 Part5 黄金の風』に登場する人物。 CV:木内秀信(黄金の旋風)/野島健児(オールスターバトル)/間島淳司(アニメ版) 名前の由来はイタリア語で「メロン(Melone)」。直前のプロシュート兄貴の名前の由来は生ハムだが、狙ったのだろうか……(*1) 余談だが黄金の風の舞台であるイタリア共和国のロンバルディア州コモ県にメローネという街がある。 【概要】 暗殺(ヒットマン)チームの一員。 片目が隠れた半透明の変なマスクと薄紫の長髪(*2)が特徴で、「ディモールト(非常に)」が口癖の、端正な容姿の美青年。 容姿「だけ」なら、暗殺チーム一番の(そして『ジョジョ』でも屈指の)色男。 …なのだが、その美形っぷりを全部台無しにするぐらいのド変態。 どれくらいかと言うと女性にビンタされた時に、 スゴクいい!いいビンタだ!! と喜び、しかも 手首のスナップといい腰の入れ方といい こういう元気なビンタをくり出せるんなら君の健康状態はまちがいなく 「 良 好 」だ(ペロリ と、妙に細かい説明をしながらその手を舐め、皮膚を舐めただけで血液型を判断できるぐらいの変態。(*3) 補足するとドMの変態ではない。が、それはそれでやばい変態。 アニメ版では変態趣味を除けば(ある意味容姿通り)クールかつ紳士的な一面を見せており、ON/OFFはきっちり分けられるようである。 どうやら「仕事」の時には興奮して変態モードが出てしまうらしく、2年前のある政治家の暗殺では、その政治家の妻の美脚を見て舌舐めずりしていた(一応空気を読んで自重したのか、それ以上の事はしなかったが)。 これにはその場にいたホルマジオと(恐らく)入団したてであったペッシはおろか、プロシュート兄貴ですらドン引きしていた。 チーム内ではギアッチョと特に仲がいいらしく、アニメでは彼との掛け合いが増えている。通称「汚いキキララ」 しかし、一方で壮絶な最期を遂げたプロシュートとペッシの亡骸を確認しても一切気色ばむことなく淡々と自分の仕事を遂行しており、 前述のように仕事の幸先が良いと普通にはしゃいだ態度を取ったりするなど、常人とは違う観点で現実を見ている不気味さがある男。 特に生命というものに対する淡泊なスタンスは、彼のスタンドがああなった所以を感じ取ることができるかもしれない。 なお、ライダーであり、移動の際の足には自前の大型バイクを利用している。 このバイクは『ベイビィ・フェイス』の「息子」が勝手に乗って行ってしまったうえに、結果的にその息の根を止める元凶ともなってしまった。 【スタンド】 手間はかかるが 『ベイビィ・フェイス』の息子は『無敵の遠隔型スタンド』!! おまえを倒せる者はいないッ! スタンド名:『ベイビィ・フェイス』 破壊力―A スピード―B 射程距離―A 持続力―A 精密操作性―教育次第 成長性―教育次第 (※アニメでは全て「教育次第」) スタンド自体は メローネの手元にあるパソコンのような形をした「親」 自動追跡遠隔操作型スタンドの「息子」 の2体に分かれている。分類的には第四部で登場した『キラークイーン』と『シアーハートアタック』のそれに近い。 前述のデータは「息子」のものであり、「親」自体の戦闘能力は不明。母胎となる女性を取り押さえ、ガラスを割る程度の動きは作中で見せている。 詳細は後述するが、「厄介な代わりに行動パターンが単純でスタンドが置かれている状況も分からない」という遠隔自動操縦型スタンドの弱点を克服した、本人の称する通り『無敵の遠隔型スタンド』とさえ言える恐ろしい能力。 ちなみにアニメではメローネは「息子」の事は「ジュニア」と呼んでいる。 フルネームは『ベイビィ・フェイス・Jr』と言ったところだろうか。 ◆「親」の能力 モニタ一体型のパソコンに手足が生えたかのような、シュールな容姿のスタンド。 手足と顔は収納可能だがそれでも連載当時のノートPCと比べてもかなりでかく、小さめのスーツケース程のサイズはあり、マウスやタッチパネルもついていない。 本物のパソコンと一体化してるのか、その姿のスタンドなのか原作ではイマイチ不明だったが、アニメでは襲われた女性にも明確に「見えていた」ので、一体化型のスタンドで間違いないと思われる。 能力は、追跡対象の血液を保存したカプセルを「親」に入れ、適当な女性にいくつかの変な質問をした後、その女性に「息子」を孕ませ、産み落とさせること。 ちなみに、キスの仕方が重要らしい。 息子は襲われた女性がチェックしてなんともなかったり、母親の髪の中に突如出現する描写があるなど一般的な妊娠→出産とは誕生経緯が異なるようである。 また、その後「息子」は空腹を訴えて母親を分解して喰ってしまったがメローネは我慢させようとするなど、即座に親を殺してしまうのは不本意だった模様。 産まれた「息子」は、母体となった女性の 性格 健康状態 生活習慣 ターゲットの遺伝子との相性 メローネの教育 によって性格や能力が決定される(*4)。 追跡対象と「母親」となる女性の性格や血液型などの「相性が悪いほど」凶悪な「息子」を作成できる。逆に相性のいい場合はどうなるのか、ちょっと気になるところである。 任務の性質によっては、母親を捕食せず「護衛」するような、善良な「息子」にも教育可能なのだろうか? メローネの職業柄教育方針は「いかに無慈悲かつ迅速に標的を殺害できるか」を追求するものであり、彼はそのために専用の絵本を持ち歩き息子に読み聞かせている。 内容は一見動物や子供の遊びの絵が描かれたポピュラーな雰囲気だが、次のページをめくると動物が襲い掛かってターゲットをバラバラにしていたり、子供の玩具を凶器として用いて人を惨殺するオチが待っているなどどう考えても市販の代物ではない。 ブチャラティチームが敵という本編の状況ではデフォルメした彼らが殺される展開だったが、彼らがボスの娘を護衛しているという真相を突き止めてから一日程度しか経過していないのに、カスタムメイドできちんとした装丁の絵本を拵えているのは結構なマメさである。(*5) 「息子」を「教育」するスタンドであることから、「メローネは実は子供の頃に両親から育児放棄された過去があるのでは?」と考察するファンもいる。 そうなのだとしたら、「自分なら子供を完璧に育てられる」「両親のようにはならない」という願望が歪んだ形で産んだスタンドなのかもしれない。 変態趣味も、両親、特に母親への歪んだ愛情(サディズム)とコンプレックスが原因…と考えると、どこかもの哀しいものがある…かも? 「息子」の能力がジョルノと似ているのも、「親に捨てられた境遇」が似ているからかもしれない……。 とはいえ、産まれた「息子」はメローネの台詞から「最初の食事」として母親を喰うのが通例のようであり、母親を喰らって成長した後は遺伝子上の父親を殺しに行くという、きわめてサイコパス的な能力である。 アイディアの元は恐らく連載当時空前の大ヒットをしていたポケモンやたまごっちなどの育成ゲーム。能力の極悪さは比ではないが。 アーティストの元ネタはエリック・クラプトンのプロデュースなどで有名な「ベイビーフェイス」。 ベイビーフェイスとは「童顔」という意味の他に、いわゆる「善玉」という意味もあるため、極悪な息子を育てる能力への皮肉となっている。 ◆「息子」の能力 人型のスタンド。 人間の細胞から作り出している為、実体化しており、一般人にも見えるスタンド。きっちり食事や排泄も行う。 遠隔自動操縦型でありながら確固たる知性と感情を持つ『自我のあるスタンド』であり、教育や戦闘の際には、メローネが「親」からチャット形式で命令を出して「息子」を操作する。 あとドMではない。が、『汚らわしい』発言を『なんていい母親』と感じる変態。これに対してメローネはディモールト!な反応だった。 善良さのかけらもない、冷酷で凶悪な資質を見せた事への反応なのかもしれないが…。 人間や物質を細かいブロック状に分解し、違う形に再構築したりできる能力を持つ。 能力の応用性は非常に多岐に渡り、相手のみならず自分自身も作り変えて別の物に擬態する上、攻撃のスピードも非常に速いため上手くいけば不意打ちに近い形で標的を仕留められる。 生物の一部を抉り取ることでダメージを与えることもでき、首などを抉れば相手は呼吸困難に陥る。 身体を細切れにすることで敵からの攻撃を回避することもでき、その反応スピードも極めて速い。 「物体から生命を創り出す」ジョルノのスタンド『ゴールド・エクスペリエンス』とは完全に対を成すスタンドである。 元が遠隔自動操縦型であるため、本体との距離が離れていてもパワーが低下しない。 おまけに身体をまるごと消滅させるほどの攻撃でなければ次々と再生し、たとえ倒されたところで本体には一切影響がないばかりか、標的の「血液」さえあれば何度でも新たな「息子」を作ることができる。 母親の素質や育て方次第ではかなり強くなることもあり、劇中では亀のウンコのせいでブチ切れた影響で身長・体重が急激に成長し、大人並みの体格になった。 そして何より凶悪なのが、この「息子」に対しては離れていてもパソコンを通じて意思疎通が出来るという点にある。 遠隔自動操縦型は本来、特定の条件に従って動くロボットのような存在で、感覚の共有が出来ず複雑な指令も不可能な融通の利かなさが最大の弱点である。 しかし、ベイビィ・フェイスはパソコンを通じて「息子」と会話することで、上述のような弱点をある程度以上克服することが可能であり、事実上遠隔自動操縦型の長所だけをつまみ食いしているのに近い。 そのため育成に手間こそかかるが、相手が死ぬまで離れた場所から一方的に攻撃し続けられるという反則技が可能なのである。 弱点は「息子」には自立心(自我)があるので、命令を100%は聞かない事。 メローネと「息子」はチャット形式で情報をやり取りする為、「息子」のハッキリした現状がメローネにはイマイチ伝わりにくい。 また、「息子」がどこまで成長するのか、どのくらいの速さで育つかは本体のメローネにもわからず、「親」で教育したとしても場合によっては息子が教育方針に反抗し制御困難になる。 特に素質に優れた息子ができた場合、未知数故にかえって想定外な行動を繰り返す問題児に成長する可能性が大きい。 あと、前述の通り「親子」共に実体化してるスタンドなので、場合によっては追跡がかなり目立つデメリットもある(*6)。 そのため、凶悪極まりない反面、非常にギャンブル性の強い能力といえる。 そして最大の弱点は、「息子」を追跡に向かわせた後だと、本体である自分自身の身を守る手段がほぼ皆無である事。 その為、追跡任務をしている間は、メローネ自身はなるべく安全な場所に隠れている必要がある。 仲間内では、追跡の間「鏡の世界」に匿わせてくれるイルーゾォの『マン・イン・ザ・ミラー』や、友人のギアッチョも、「護衛役」としては最適かもしれない。 ちなみに、任務完了し終わった「息子」がどうなるのかは、劇中では明らかになっていない。 そのまま自然消滅するのだろうか?だとしたら、極悪ではあるが、『意思』がある分ある意味非常に哀れなスタンドでもあると言えるだろう。 あるいは任務遂行と教育の引き換えに自立し、一人歩きしてしまうのかもしれない。 暗殺での運用法は恐らくターゲットの身近にいる女性を利用するのだろうか? 血液を入手すれば後は相性診断だけだが、血液が手に入らない時はどうするのかは不明。 ジョセフや承太郎が血の絆により祖父や高祖父であるジョナサンの肉体を感知したように、トリッシュを母胎にするか、トリッシュの血液を入手すればボスのDNAを感知して追跡できていた可能性があるため、メローネは暗殺チーム造反のキーマンだったのかもしれない。 【劇中の活躍】 対プロシュート兄貴&ペッシ戦の後に登場。 ペッシの死体のそばに落ちていたブチャラティの血を採取し、前述のとおりの変態っぷりを見せつけながら「息子」を産み出す。 その「息子」にブチャラティ達を追わせ、ブチャラティとトリッシュを家具に変えて攫う寸前まで成功するが、居合わせたジョルノと対決。 彼の右目、喉、足首を奪い、瀕死状態にまで追い詰めるが、「新しい力」に目覚めたジョルノの機転によって復活される。 影(*7)に化けて奇襲するも、手首が変化したご存知ピラニアに背中を貫かれ、更に亀のウンコを顔に付けられるハメになった(*8)。 それでブチ切れた影響で急成長する(*9)が、ダメ押しに乗ってきたバイクと融合させられ、ガソリンが引火・爆発して「息子」は敗北。焼死した。 ジョルノが「物体から肉体の部品を作り、はめ込むことで治療する」という『ゴールド・エクスペリエンス』の新しい活用法に気づくきっかけとなった。 最後には、ローマ駅に到着した際に、次の「母親」を物色しながらギアッチョに連絡してる最中、ジョルノが「息子」の残骸から造り出した毒蛇に舌を噛まれて死亡(*10)するという、 自分が作り出した「刺客」が、自分自身の「刺客」として帰ってきたという、皮肉な最期であった。 余談だが、他のメンバーは死亡の表記がはっきりあったにもかかわらず、メローネの場合はそれが無かったため、ネット上では生存説も囁かれていた。 アニメ版では倒れて動かなくなったメローネの姿が明確に描写された上に、フーゴが「本体は始末した」と口にしていた為、メローネの死亡が確定となった。 修正はしてるかい?追記してるなら もっと君は最高にディモールト(非常に)いいんだがなああ △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] こいつのスタンドは教育係りをプロシュート兄貴に任せりゃ最強になるかも -- 名無しさん (2013-12-03 01 48 21) 暗殺チームの中でも非人間的な変態っぷりが際立つ男。どっちかというとセッコを調教してるチョコ先生の同類って感じがする -- 名無しさん (2013-12-03 01 57 40) ライフの変態優等生の佐古克己とメローネを比べるとどっちが変態なんだろう? -- 名無しさん (2013-12-13 15 04 46) 仲間を殺されても、『やるべき仕事はきちんとやってくれた』と冷静に評価・満足してブチャチームに敵意や恨みを全然燃やしてないあたりが怖い。ある意味一番暗殺者の適正が高いのかもしれん。 -- 名無しさん (2014-02-15 21 04 09) ↑暗チで仲間の敵討ちに燃えてたのってペッシくらいだろ。他はみんな、どんな状況でも目的の遂行を第一優先事項にしてる -- 名無しさん (2014-05-13 17 43 07) コイツのやってることって強姦殺人ってことでおk? -- 名無しさん (2014-05-19 19 40 19) ジョジョベラーのスタンド辞典でメローネ死亡してるって書かれてた気が -- 名無しさん (2014-07-11 17 32 10) 暗チ屈指のサイコキラーであるこいつの猟奇性が埋もれてしまったのは兄貴とゲスラータのせい -- 名無しさん (2014-07-15 19 51 45) 一応甘いマスクの美人顔なのに、ものすごい残念イケメン -- 名無しさん (2014-10-15 15 10 40) 「孕ませる」過程はどうしても必要だったのか…? -- 名無しさん (2015-02-20 15 47 01) 「良さそうな母親」として酒とタバコとドラッグをやってる女を探してたとすると、きっと組織内でブチャラティは麻薬を憎んでるのがバレてるし、口が酒臭くてヤニ臭い女が死ぬほど苦手な事でも有名なんだろう。 -- 名無しさん (2016-01-18 19 10 00) こいつヒョロい方なのにディアボロだとガチガチ -- 名無しさん (2016-05-01 15 55 14) パソコンでカタカタ成長させるのって、90年代半ばに流行ったたまごっちやらポケモンの影響受けてそうだよな -- 名無しさん (2016-05-01 16 10 30) 5部がアニメ化したらこいつの話はどう描写するんだろうか? -- 名無しさん (2016-05-08 17 41 37) ウンコもサザエさんもやってくれたんだ。これもラプソディーも問題なくやってくれるさ -- 名無しさん (2016-05-08 18 19 35) 出産までの描写からするに実際にコトに及ぶわけじゃなくてスタンドで女性の肉体に因子を埋め込むだけなんだな -- 名無しさん (2016-06-05 09 12 23) 少年誌で借り腹とはいえ孕ませやりやがった人 -- 名無しさん (2016-07-03 23 04 57) ・・・こいつが仕事するたびに女性1人犠牲になってるんだよな(本編だと分解されて壁や床に同化されたかな? と思ってたけど)。なんで周りはこいつ野放しにしてるんだろ? -- 名無しさん (2016-07-03 23 30 26) ↑一般市民の女ひとり行方不明になったくらいで組織にデメリットは一切ないから。チームは身内の仲こそ良好だが、無関係の人間を巻き込むことに関しては特に躊躇しないし。 -- 名無しさん (2016-07-04 00 54 49) 二次創作ではオタクキャラ扱いされてることが多い人 -- 名無しさん (2017-07-21 00 42 29) ↑パソコンにかじりつく、やたらとエロに詳しい男だからかな(風評被害) -- 名無しさん (2018-03-10 20 59 38) ↑×3 一応、一般市民は極力巻き添えにはしない方針ではある。暗チで劇中で一般市民殺したのはこいつと兄貴、ペッシの3人だけ。(小説版含めればイルーゾォもだけど) -- 名無しさん (2018-11-28 21 36 22) チームの仲間からもドン引きされていた変態っぷりw ↑そんな方針ないぞ。必要なら周りを巻き込む事も全く辞さないのが良くも悪くも彼ら暗殺チームの資質 -- 名無しさん (2018-12-08 14 46 57) ジョルノがパッショーネ入団以降に単独で戦った相手ってこいつだけだっけ? -- 名無しさん (2019-01-12 21 23 36) TVアニメ版はASBと違ってスタンドと本体は全て声優を統一してるから、次回は中の人のクールな変態とガラの悪いチンピラの演技分けがきけるね -- 名無しさん (2019-01-27 23 27 07) 原作でのパワーやスピードは多分「今回の息子」のデータなんだろうな。となると相性が良すぎた結果ということになるのか。分解能力も教育次第で精度がダウンするのかな? -- 名無しさん (2019-02-02 10 14 30) 原作では影に化けてたけど、アニメだと夜だったせいか影に化けずにオイルになってたなぁ……来週の死に際が思い浮かぶわぁ。よりにもよって何故それに化けたし -- 名無しさん (2019-02-02 19 53 00) 死んでないにしても舌を思い切り毒蛇にやられちまった訳だから何らかの後遺症は出るだろうな。そうでなくともディアボロ、あるいはジョルノの手によって始末されてしまうだろうからどの道詰んでるな -- 名無しさん (2019-02-14 19 34 34) ジュニアの生産方法は現実の生殖と同じっぽいのがなんとも。母親に見せてたキスの仕方って本当は体位だったみたいだし。少なくともあの手足の生えたパソコンの怪物とセックスらしき行為は必ず挟むのだろう。アニオリで仲間にまでドン引かれてたのも納得のきっしょいが凶悪なスタンドだわ -- 名無しさん (2019-05-05 21 12 20) やっぱディ・モールト言ってる時の目がラリってるんだよなあ -- 名無しさん (2019-12-11 10 23 16) 標的の「血液」が必要なのが一番の問題だな -- 名無しさん (2020-02-17 17 53 57) 「細かいブロックの再構築」……なるほどドット絵の表現かあ、たまごっちが元ネタとすると納得がいった -- 名無しさん (2020-02-17 18 06 45) 本体へのダメージが完全にない成長する遠隔自動操縦型のスタンド(たまに言うこと聞かない)が強すぎる。 -- 名無しさん (2024-05-31 19 08 24) 名前 コメント
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その日、マルトーに夕食を御馳走になった後、年代物が手に入ったといって振舞われたワインに気をよくし、ついつい長居をしてしまったヴァニラが部屋に戻ると、既にドアに鍵が掛けられていた 「おい、ここを開けろ」 酒精のおかげで多少おおらかになったヴァニラは即座にプッツンする事は無かったが多少いらついた口調でドアをノックする が、反応は無い 気配を感じる以上中にいるのだろうが寝ているのか無視しているのか・・・・恐らく後者だろう しかも足元には御丁寧に綺麗に畳んだ毛布まで置いてある ヴァニラは知る由もないが食事を終え部屋へ戻ったルイズは部屋にいない使い魔を探しに出て、ヴァニラが厨房でシエスタやマルトーたちとささやかな品評会を催しているのを見て機嫌を損ね、このような行動に出ていた しかし先記した通りヴァニラはそのことを知らない、つまりまたルイズの高慢さから出た自分勝手な行動だと認識する・・・・つまり挟み撃ちの形にならない バリバリとドス黒いクレヴァスが口を開け始め新しい入り口を新設してやろうか等と思い始め、即座に行動に移そうとしたのとほぼ同時に、廊下の向うからペタペタと四足歩行生物の足音が聞こえてきた 「む?」 クリームの口内へ潜り込もうとしていたのを中断し、音の方へ顔を向けると廊下の暗がりから微かに光る一対の瞳と、赤々と燃える炎が近づいてくる 「お前は・・・・」 それは今までこそこそと影からヴァニラを監視していた爬虫類 堂々と姿を現したのを戦意アリと認識したヴァニラがクリームを飛ばそうと身構える が、相手はそれを否定するように首を振り、きゅるきゅると人懐っこい鳴き声を出す 何故かヴァニラはその鳴き声の意味が理解できたような気がし、しゃがんで視線を合 わせ、問いかけてみた 「お前は・・・誰の使い魔だ?」 「きゅるきゅる」 その問いに答えるようにサラマンダーはルイズの隣の部屋へ平べったい顔を向けた 「・・・・・隣か、迂闊だったな」 眉間に皺を寄せ、苦々しく呟くヴァニラを他所に、サラマンダーはついて来いと催促 するようにヴァニラのジャケットの裾を引っ張る 「・・・いいだろう、何の用か知らんが理由も聞きたい」 ヴァニラは軽く溜息を漏らし、隣室のドアをノックする 「どうぞ」 返って来た女の声に、女子寮なので当然といえば当然だが――呼吸を整えると不意打ちに身構えつつドアを開け、足を踏み入れる しかし、部屋の中は真っ暗だった ヴァニラの後からついてきたサラマンダーの周りだけぼんやりと明るく光っている DIOの館で暗闇には慣れていたが召喚されて以来光のある生活が当たり前になっていた ヴァニラには先の見通せないでいた 不意打ちに備え急所を庇うようにクリームを展開させるが魔法の変わりに女の声が聞こえてきた 「戸を閉めて?」 ヴァニラは言われた通りにした 逃げ道なら簡単に作れる 「ようこそ、そして初めまして・・・・でもないわね。こちらにいらっしゃい」 「この蜥蜴を通してみていたのか?」 その場から動かずヴァニラは淡々と訊ねる ここは既に相手の領域、これ以上主導権を奪われるわけには行かない 相手が戦うつもりであると信じ込んでいるヴァニラは臨戦態勢だった 「ええ、それに直接見ることもあったわ。ねぇ、そんなに堅くならないでこっちにいらっしゃいな」 地の利と視角、絶対有利なはずのこの状況で攻撃もせず、誘うような相手の声にヴァニラは漸く疑問を持ち始める 「しかし暗いぞ」 指を弾く音が聞こえた すると部屋の中に置かれたいたロウソクが一本ずつ燈っていく ヴァニラの近くに置かれていたロウソクから順に火は燈り、ベットの傍のロウソクがゴールだった 道のりを照らす街灯のように、ロウソクの灯が浮かんでいる ぼんやりと淡い幻想的な光の中、ベットに腰掛けた褐色の肌に深紅の瞳と頭髪を持つ女の悩ましげな姿があった ベビードールというのだろうか、そういう誘惑するための下着を着けている・・・・ というかそれ以外はなにもつけていない それを見たヴァニラの感想は (・・・・・・・・痴女か?) 冷めていた 何せDIOの配下に扇情的な衣装の女が一人いたうえに食料の女たちも似たり寄ったりで今更動じる事は無かった だが殆ど透けたような生地の下着を持ち上げる盛り上がりには多少驚いたが そのベクトルもルイズと同い年でどうしてここまで違うのかという ルイズが聞いたら激怒するであろうものだった 勿論学園のシステム上同学年であっても年齢は違うのだが それにしてもこの差はないだろう 女はヴァニラの視線を勘違いしたのか微笑み、名乗った 「名乗るのが遅れたけど私の名前はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプトー、キュルケと呼んでくださってけっこうよ?」 名乗る際にクセなのか軽く前髪を掻き揚げるが、その動作すらも計算したように悩ましげな様子を見せる 「ではキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプトー嬢、既にご存知だろうがこのヴァニラ・アイスに何のようだろうか?」 一度聞いた名前を一字一句間違えず返し、軽い皮肉を込めて訊ねる 「あん、つれない人ね。そんなところに突っ立ってないで、いらっしゃいな」 キュルケはヴァニラの問いに答えず色っぽい声で誘う 望む答えが得られず軽い落胆の溜息を吐くとヴァニラは諦めたよう、誘われるままにキュルケの元へ向かった 「座って?」 ヴァニラは言われたとおりにキュルケの隣に腰掛けた 裸に近いキュルケの隣にいても至って平静を保っていたが流石に多少の興味は湧き ・・・・・DIOの姿を思い浮かべると即座に消えた 「改めて聞くが、何の用だ?」 至って平静を保った声でヴァニラが言った 燃えるような赤い髪を優雅に掻き揚げ、キュルケはヴァニラをみつめる ぼんやりとしたロウソクの灯に照らされたキュルケの褐色の肌は野性的な魅力を放ち、ヴァニラ以外の誰かをどうにかしそうになる キュルケは大きく溜息を吐き、そして悩ましげに首を振った。 「あなたは、あたしをはしたない女だとおもうでしょうね」 「まったくだ」 「思われても、しかたがないの。わかる?あたしの二つ名は『微熱』」 「知らん。熱なら水でも被って醒ませ」 突然の口上に呆れたように受け答える 「あたしはね、松明みたいに燃え上がりやすいの。いきなりこんな風にお呼び出ししたりしてしまうの。わかってる、いけないことよ」 「理解していて抑えられないのか、最低だな」 ヴァニラは早く解放されて適当に相槌を打った 正直相手の意図がさっぱり読めない 読めないのが逆に恐怖になりつつある 「でもね、あなたはきっとお許しくださると思うわ」 キュルケは潤んだ瞳でヴァニラを見つめた 確実にヴァニラが言った事を理解していない 「・・・・・・・・何故?」 キュルケはすっとヴァニラの手を握ってきた 一本一本、ヴァニラの手を確かめるようになぞり始めた ヴァニラの背筋に悪寒が走った 「恋してるのよ。あたし。あなたに。恋はまったく、突然ね」 「まったく突然だ。ところで帰っていいか?」 ヴァニラは真顔で切り返すがキュルケの顔は真剣そのものだった 「あなたが、ギーシュを倒した時の姿・・・・。かっこよかったわ。まるで伝説のイーヴァルディの勇者みたいだったわ!あたしね、それを見て痺れたのよ。信じられる!痺れたのよ!情熱!あああ、情熱だわ!」 「・・・・情熱か、で?」 「二つなの『微熱』はつまり情熱なのよ!その日からあたしはぼんやりとマドリガルを綴ったわ。マドリガル、恋歌よ。あなたの所為なのよ、ヴァニラ。あなたが毎晩あたしの夢に出てくるものだから、フレイムをつかって様子を探らせたり・・・・。ほんとうにあたしってばみっともない女だわ。そう思うでしょう?でも、全部あなたの所為なのよ」 ヴァニラはなんと答えればいいのかわからずにじっと座っていた とうか答える答えない以前に言い知れぬ恐怖を感じていた キュルケはヴァニラの沈黙をイエスと受け取ったのか、ゆっくりと目を瞑り唇を近づけてきた 確かにキュルケは魅力的だ カリスマ性こそ比べるべくも無いが女性という点ではDIOより明らかに魅力は上のはずだ、ヴァニラも男である どうせ元に戻る当ても無い、このまま流されてしまうのもありか、などと一瞬浮かぶが・・・・・キュルケの肩を押し戻した なんとなく、悪い予感がした どうして?と言わんばかりの顔でキュルケがヴァニラをみつめる ヴァニラはキュルケから目を離さず 「つまり今までの話を要約するとお前は惚れっぽい」 それは図星のようでキュルケは顔を赤らめる ヴァニラにしては何を今更、といったところだが 「そうね・・・・・。人より、ちょっと恋ッ気は多いのかもしれないわ。でもしかたないじゃない。恋は突然だし・・・・」 キュルケがその台詞を言い終わらぬうちに、窓の外が叩かれた そこには恨めしげに部屋の中を覗く一人のハンサムな男の姿があった 「キュルケ・・・・。待ち合わせの時間に君が来ないから来てみれば・・・・」 「ペリッソン!ええと、二時間後に」 「話が違う!」 ここは三階だがどうやらペリッソンと呼ばれた生徒は魔法で浮いているらしい キュルケは煩そうに胸の谷間に差した派手な魔法の杖を取り上げると窓のほうを見もしないで杖を振る その動きに同じてロウソクの火から炎が大蛇のように伸び、窓ごと男を吹き飛ばした 「まったく、無粋なフクロウね」 ヴァニラはすっかり元のように冷め切った目でその様子をみつめていた 「でね?聞いてる?」 「今のは?」 「彼はただのお友達よ。とにかく今、あたしが一番恋してるのはあなたよ。ヴァニラ」 キュルケはヴァニラに再び唇を近づけた しかしそれを阻むように今度は窓枠が叩かれた 見ると悲しそうな顔で部屋の中を覗き込む精悍な顔立ちの男がいた 「キュルケ!その男は誰だ!今夜は僕と過ごすんじゃなかったのか!」 「スティックス!ええと、四時間後に」 「別けはともかく理由を言えッ!」 怒り狂いながら男は部屋に入ろうとするが再びキュルケが杖を振ると同じようにロウソクの火から生まれた蛇が男を飲み込み、地面に落ち ていった 「・・・・今のも友人か?」 「彼は、友達というよりはただの知り合いね。とにかく時間をあまり無駄にしたくないの。夜が長いなんて誰が言ったのかしら! 瞬きする間に太陽はやってくるじゃないの!」 キュルケはヴァニラに唇を以下略 今度は窓だった壁の穴から悲鳴が聞こえた 既に予想はついていたが、ヴァニラは呆れたように窓の外に目を向ける 窓枠で三人の男が押し合いへし合いしている 三人は同じに同じ台詞を吐いた 「キュルケ!そいつは誰なんだ!恋人はいないって言ったじゃないか!」 「マニカン!エイジャックス!ギムリ!」 今まで出てきた男が全員違うのにヴァニラは感心した (まるでホルホースだな。あいつはきちんと折り合いをつけてそうだが・・・) 「ええと、六時間後に」 キュルケが面倒そうにいうと 「朝だよ!」 三人は仲良く唱和した キュルケはうんざりした声でサラマンダーに命令した 「フレイムー」 きゅるきゅると部屋の隅で寝ていたサラマンダーが起き上がり、三人が押し合っている窓だった穴に向かって炎を吐いた それをもろに浴びた三人は仲良く地面にキッスすべく落下していく 「今のは?」 ヴァニラは分かりきったことを敢えて尋ねた 「さあ?知り合いでも何でもないわ。とにかく!愛してる!」 キュルケはヴァニラの顔を両手で挟むと真っ直ぐに唇を奪おうとする その時、ドアが物凄い勢いで開けられた 正しくは内側に向かって吹き飛ばされた また男か、と思ったら違った ネグリジェ姿で杖を持ったルイズが立っている キュルケはちらりとルイズを見るがドアが吹き飛ばされたにも関わらずそのままヴァニラの唇を奪おうとするが、ルイズが杖を振り上げた のを見てヴァニラがキュルケを突き飛ばす、 それに僅かに一瞬遅れて先程まで二人の顔のあった場所の延長線の壁が爆発した 「キュルケ!」 小さく舌打ちし、艶やかに部屋を照らすロウソクを一本一本忌々しそうに蹴り飛ばしながら、ルイズは二人に近づいた ルイズは怒る男口より先に手が動き、さらに起こると手より足が先に動くのだった ヴァニラに似ている気がするがきっと気のせいだろう キュルケは起き上がりながらルイズに今気づいたように顔を向ける 「取り込み中よ。ヴァリエール」 「ツェルプストー!誰の使い魔に手を出してんのよ!」 ヴァニラは我関せずといった様子で成り行きを見守っている ルイズの鳶色の瞳は爛々と輝き、火のような怒りを表している 「しかたないじゃない。好きになっちゃったんだもん」 キュルケは両手を上げた ヴァニラは二人の間に挟まれ心底面倒臭そうにしている 三人の温度差が物凄く激しい、ひょっとしたら陽炎が出来ているかも知れない 「恋と炎はフォン・ツェルプストーの宿命なのよ。身を焦がす宿命よ。恋の業火で焼かれるなら、あたしの家系は本望なのよ。 あなたが一番ご存知でしょう?」 キュルケは上げた両手を竦めて見せた ルイズの手がわなわなと震える 「きなさいヴァニラ」 ルイズはヴァニラをじろりと睨む それに応じるようにヴァニラは立ち上がり、それを見ていたキュルケが追いすがるように裾を掴む 「あら、お戻りになるの?」 キュルケは悲しそうにヴァニラを見つめる キラキラとした目が、悲しそうに潤む 「・・・・・・」 だがヴァニラは可哀想だけど明日には以下略な目で見るとルイズに促されるままにさっさと歩き出した 部屋に戻ったルイズは身長に内鍵を閉めるとヴァニラに向き直った 「まるでサカリのついた野良犬じゃないの~~~~~~~~~ッ!」 声が震えている ルイズは怒ると口より先に手が動き、手より先に足が動く、もっと怒ると声が震えるのだ その震える声でツェルプストーとヴァリエールの長きにわたる因縁を語り始める ヴァニラは初めは面倒臭そうにしていたがどうやらDIOとジョースター家のような関係なのだと理解した したのだが (それは殆ど逆恨みじゃないのか?) 領土の問題は別として恋人云々の話は明らかに逆恨みだ しかも寝取られたということは開いてのほうが魅力的だったということだろう このヴァニラ、どこまでもドライだった 一頻り文句をぶちまけ、乗馬用の鞭を振るうだけ振るったルイズは肩で息をしながらヴァニラを睨みつけている まだ何か言う事はないかと必死に考えているようだが怒り心頭の頭では何も浮かばないらしい 因みに鞭は振り下ろす度に先端を削り取られ今は持ち手以外残っていなかった、勿論ヴァニラにかすりもしていない 「そうか、わかった。今後気をつけよう」 そのタイミングを見計らったようにヴァニラが頭を下げる それでも何か言おうとするが文句を言い尽くしてしまった後では何も出てこない 「そ、そう。分かればいいのよ!」 仕方なく威厳を保つようにちっぽけな胸をそらしてみせた 「今度から何かあったらきちんと断りなさいよ、脅してもいいわ」 ルイズは物騒なことをぬかしたが、流石にクリームで消し飛ばしたとあっては責任問題としてルイズにも累が及ぶ、暫し考え 「あんたに剣を買ってあげる」 「剣?私には必要ない」 ヴァニラは即答するが 「いいから持ちなさい、あんたいつかあのわけの分からない力で人を殺しそうで見ちゃいられないのよ」 先程隣人の顔面に向けて失敗魔法をぶつけようとした人間の台詞とは思えない 「明日は虚無の曜日だから街に連れてってあげる」 ヴァニラの意思を無視して明日の予定を決めるとルイズはベットに潜り、灯りを消す 「おい、私は中で寝ていいのか?」 「いいわよ。またキュルケに襲われたら大変でしょ」 ヴァニラの問いに面倒臭そうに答えると程無くして静かな寝息を立て始めた 灯りの落ちた部屋で小さく溜息を吐き、ヴァニラは毛布に包まって横になる まだ何か嫌な予感がするが、きっと気のせいだと言い聞かせ、そのまま眠りに落ちた To Be Continued...
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一行はラ・ロシェールの高級ホテル、「女神の杵」の1階の酒場「ジョディ・ターナー」で休めていた。 ギーシュは酒を飲む余裕も無く、ぐったりとし、ルイズとタバサは嗜み程度にグラスをたまに傾けていた。 キュルケはトリステインワインの利き酒をし、ルイズからこれは任務だと窘められるが気にしない。 ワムウは暖炉の前のソファにどっかりと座っている。 明日の乗船のために桟橋へ交渉に行っていたワルドが帰ってくる。 「アルビオンに渡る船は二つの月が重なる今夜の『スヴェル』の月夜のせいで明日 最も大陸とここが近づく。軍船でもない限り、短い距離でアルビオンの高度まで上がれるだけの 馬力も、大陸の周りを一周して入るだけの風石を積むスペースも確保できないそうだ」 ルイズが声を漏らす。 「そんな…急ぎの任務なのに…」 「慌てることはないさ、明日明後日でアルビオンが落とされると決まったわけではない」 ギーシュは一日いっぱい休めるとわかり、ほっと一息つき、酒に手を出す。 「ちょっとギーシュ、飲みすぎないでよ」 ルイズが釘をさす。 「酒は百薬の長ともいうだろ、体の調子を明後日には戻さないといけないし」 「良薬は口に苦しよ」 「いいじゃないか、ここの酒の一覧を見てみなよ。見ただけでよだれズビッ!だよ」 「ちょっとワルド、こいつになにか言ってよ」 「じゃあ彼が酔いつぶれる前に酒場は引き上げて部屋に行くとするか。 部屋割りはミス・タバサとミス・キュルケで一部屋、もう一部屋はギーシュくんとワムウくん、 あとの一部屋は僕とルイズで構わないかね?」 ワルドは一行に提案するが、彼と同部屋だということにルイズが異議を唱える。 「そんな、ダメよ!わたしたち結婚したわけじゃないんだから!」 しかしワルドは首を振る。 「大事な話があるんだ」 高級ホテルの最上級の部屋だけあって、かなり上等なたたずまいであった。 ロマリアと小さく書かれたセンスのいいテーブルにワルドはつく。 「一杯どうだい、ルイズ」 これまた上等なワインをグラスに惜しげもなくついでいき、ルイズはグラスをテーブルに置く。 「二人に、乾杯」 ルイズは俯いたままグラスを掲げ、小さく高い音が響く。 「姫殿下から頂いた手紙はちゃんと持っているかい?」 「もう、子供扱いしないで」 ルイズは大事そうに包装されている手紙をポケットから取り出す。 「おやおやルイズ、煌びやかなのはいいが、 敵が狙ってきたときそれが目的のものだとすぐバレてしまうよ?」 「心配しないで、本命はこれの下だから」 その包装された手紙の入っていたポケットの裏側に、質素な手紙が縫いこまれていた。 「…ずいぶん、用意周到だね、ルイズ」 「一日あればこれくらいは学園でも用意できるわよ」 「いや、そうじゃなくて…なんというか、失礼かもしれないけど君は、なんというか正直すぎるからね。 筋を通すと決めたら回りも見ずに駆けていくような…そこが君の魅力でもあると思うけどね」 「最近裸足で薄氷の上を突っ込むような奴にあってね、 走る前に靴を結ぶくらいはしておこうと思うようにったのよ」 「なんだか色々あったみたいだね、もしかしてそれはあの使い魔のことかい? 彼ならその上、炎のスクウェアでも持ってこないと止められないだろうね。 なんたって彼は伝説の使い魔、『ガンダールヴ』だからね」 ルイズは限られた人間しか知らないそのことを聞かされ、驚く。 「ワルド、知ってたの?」 「どうやらその反応なら間違いじゃなかったみたいだね。野盗どもに襲われたとき手に描かれてあったルーンをみてね、 もしかしてと思ってさっき桟橋で交渉するついでに立ち寄って調べてみたんだが大当たりのようだね。 あれは誰にでも持てる使い魔じゃない、きみは他人には無い特別の力を持っているんだ」 「そんな、冗談はやめてよワルド。爆発を特化して一握りの火薬でも身に付けろって言うの?そんなのごめんだわ」 「そうじゃない、君はまだ目覚めてないだけさ。きみは始祖ブリミルのような歴史に名を残すメイジになるような気がするんだ」 ワルドの熱い口調に、お世辞以上のものを感じ取り、ルイズは俯く。 「なあルイズ、この任務が終わったら結婚しよう」 「へ?」 突拍子の無い、しかしルイズにとっては衝撃的な一言に顔を上げ、呆けた声と顔を見せる。 「僕は魔法衛士隊の隊長で終わるつもりはない。いずれは国にさえ影響力を持つような、このハルケギニアすら動かすような 貴族になりたいと思っている。それには君が必要なんだ」 「そ、そんな…まだ早いわ…」 「君はもう十六だ、もう子供じゃない。自分のことは自分で決められる年齢だ」 その真剣さに押され、ルイズは少し考えた後、口を開いた。 「で、でも…私はまだそんなあなたに釣り合うような立派なメイジじゃない…父上、母上から町の商人まで 皆に認めてもらえるようなメイジになってないのし、ならなくちゃいけないの。もちろんあの使い魔にも」 「それじゃあ、もう寝ようか。さすがにこれだけの強行軍だ、疲れただろう」 そういってワルドは腰に手を回し、唇を近づけてくる。 しかし、それをルイズは押し戻す。 ワルドは苦笑いをうかべ名残惜しそうに手を離す。 「少し急ぎすぎたようだね、じゃあ寝ようか」 部屋の光は一つに重なりかけている月だけになった。 月は沈み、日が昇る。 ワムウとギーシュの部屋にコンコン、とドアを叩く音が響く。 「どなたでしょーか」 ギーシュが顔を出す。 そこには羽帽子をかぶったワルドがいた。 「あれ、出発は明日でしたよね?」 ワルドはハハハと笑う。 「いやいや、これは任務関係じゃないんだ、あのワムウといったね、ルイズの使い魔に興味があってね」 「ああ、ワムウならいませんよ」 「へえ、ずいぶん早起きなんだね」 「いやいや、昨晩からこの部屋にはいなくて」 ワルドが怪訝な顔をする。 「なに?ではどこにいってるんだね?」 「普通の人間の部屋や寝床ではあわんから適当に探してくるといって窓から街へ」 ワルドは悩みこむ。 「ふむ、彼は見た目によらず火遊びが好きなのかな?それとも見た目どおり酒でも飲み歩いてるのか…」 「どちらも違うと思いますよ、彼は女どころか人に対してまともに接しませんし、酒なんか飲んでるところはみたことないですし」 「ふむ、そうか…すまなかったね、ギーシュ君」 ワルドは頭を抱えながら一階の酒場へと降りていく。 驚いたことに、すでにワムウが暖炉の前のソファに腰掛け、本を読んでいた。 「おはようワムウくん」 「なにか用か?」 「ふむ、君は文字が読めるのか。人間ではないようだが人語を解するし…識字はどこで習ったんだね」 「3時間前からこの剣にわからん部分を聞いていた」 壁にはオレっちこんな屈辱的な役立ち方初めてだよと涙声でこぼすインテリジェンスソードが立てかけられていた。 「ふむ、インテリジェンスソードか。しかし、剣に聞いたんじゃ効率が悪いだろう。いくらなんでもその本は早すぎないか?」 「ラテン語に似ている部分もあったんでな、この程度の本はもう読める」 貴族として教育を受けてきたワルドでさえもちょっと敬遠したくなるような厚さの本で、どうみても児童向けや 教育用として適さない物であった。 「君、ぼくをもしかしてからかってるのか?」 「なぜ俺がお前をからかう必要がある」 「…じゃあこの文はなんと読むんだね?」 「『昨今のアルビオン大陸の風石の貿易戦略と歴代王の傾向について』」 「ここは?」 「『トリステインに幽霊が出る――産業革命という幽霊である』」 「…じゃあこれは?」 ワルドは手元にあった紙に筆を走らせる。 「『いいもわるいもメイジしだい、ゴーレムゴーレムどこへいく』」 ワルドはあっけに取られる。 「亜人だっていうのになかなかの知能だね、人間のようじゃないか!」 「人間と我々を比べるな、覚えるだけが知能じゃないだろう」 「しかし驚いた…あの伝説の使い魔『ガンダールヴ』の上に数時間で文字を覚える知力とは」 ワムウが首を傾げる。 「『ガンダールヴ』?俺が読み漁った中にはそんな言葉はなかったが…一般的な語なのか?」 ワルドは明るく笑う。 「なんだ、君は知らなかったのか。始祖ブリミルはわかるかな?」 「ああ、東方に住む強力なエルフの集団に比肩しえる程の能力を持ったメイジらしいな、 それ以外のことが書かれている物もあったが神格化されているためか誇張が多くて信頼できん」 「『ガンダールヴ』とはな、その始祖ブリミルが従えていた四体の使い魔の内の一体で、どんな武器も操ったといわれている」 「そうだそうだ相棒、まさか『ガンダールヴ』に二度も握られるとは思わなかったぜ」 壁のデルフリンガーが口を挟む。 「ふむ、君は以前にも『ガンダールヴ』に振るわれていたのかね?」 「おう、いやーあいつはすごい奴だった。今度の相棒はそれ以上にすごいオーラがただよってるんだぜ、 さっき言ったとおり相棒は武器を操れば今にも増して身体能力があがるんだぜ?」 「ハハハ、剣のクセに持ち主よりよく話すじゃないか、そこでだ、ちょっと手合わせしてみたいんだが」 「手合わせだって?俺とお前がか?」 「軽い決闘みたいなものさ、もちろん僕は杖を使う。君もその剣を使うといいさ」 「よーし相棒、やっと俺の出番か、見せてやるぜ俺のすごさを!」 しかし、ワムウは乗り気ではない。 「明日アルビオンに行くんじゃなかったのか?」 ワムウの発言に再びワルドは明るく笑う。 「言ってくれるね、しかし安心したまえ。多少の怪我なら近くの治療師に頼めばいい」 「その治療師とやらが胴体と首が離れても助けられるか、腹に穴を開けられても助かるほどお前が丈夫ならいいだろう。 そんな覚悟もなしに決闘を挑むのか?『軽い決闘』だと?貴様は戦い、ひいては戦士を侮辱しているのか?」 「これでもグリフォン隊隊長、奇襲ならともかく錆びた剣の使い手に真正面から一撃でやられるなんてことはないだろうさ。 それより僕は風のスクウェア、気をつけるのは君のほうじゃないか?風は急には止まれないよ」 「だ、誰が錆びた剣…」 デルフリンガーを鞘にしまい、ワムウはソファから立ち上がる。 「いいだろう、そこまで言うなら少々遊んでやる、貴様ごときには軽い決闘すら相手にはしない」 ワルドは少々険悪な目でワムウを見据える。 「まあ、なんとでもいうがいい。中庭決闘に丁度いい錬兵所がある。ついてきてくれ」 日差しがさす中庭。 ワムウにはあまりいいコンディションとはいえなかった。 先についていたルイズが決闘すると聞き、止めようとする。 「ちょっと中庭に来てくれって、決闘ってなによ!今はそんなことしている場合じゃないでしょう! 両方ともやめなさい!特に、ワムウ」 「彼が言うには決闘でもないよ、ただのじゃれあいさ」 「そうじゃなくて、えーと…その…」 ルイズはワムウを止めるのは無理だと考え、次にワルドのプライドを損ねることなく止める発言を考える。 しかし無常にも彼女が考えている間に両方の準備は整ってしまった。 ワルドは威勢良く叫ぶ。 「では、始めよう!」 ワルドは杖を片手槍のように構え、ワムウに向ける。 ワムウはワルドに向かって、歩き出す。 「余裕なのはいいが、メイジ相手に少し悠長じゃないかい?」 杖から風の刃が数個飛び出す。 ワムウはその間を最小限の動きでかわし、スピードを落とさず歩きつづける。 ワルドは顔色一つ変えずに、もう一度何発か風の刃を放ちながら今度はワムウに接近する。 「遊びだからといってメイジに詠唱させたまま近づけるのは危険だ、覚えておきたまえ!」 言い終えると同時に2メイル程の距離で先ほどより大きい刃を放つ。 確実に当たると思ったが、その直後。 ワムウはその刃をかいくぐり、前にステップする。 2歩目の足が着地すると同時にワルドの脇腹にデルフの柄を叩き込む。 ワルドがくぐもった声を出したと同時に、彼は顔面に回し蹴りを食らい、気絶した。 「決闘ごっこだからといって戦士に無防備のまま近づくのは危険だ、覚えておくんだな。 まだギーシュの方がマシだったな、しかし、15行とは情けないぞ、隊長殿」 もちろんその声は彼には届いていなかった。 ルイズの激昂した声を無視し、ワムウは中庭を出て行った。 To be continued.
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おれたちは馬車にのってフーケの隠れ家に行くらしい。 どー考えても罠だ。だってそこに行くための馬車を動かしているのがそのフーケなんだぜ? でもおれはそれを言わない。 何故かってーと我が敬愛するご主人様はそんな事聞いてこないからだ。 いやー使い魔の見本だねおれは。 しばらくして馬車が森の深い所に止まった。 「ここからは徒歩で行きます」 フーケがそう言った。 「よし、行くわよ」 気合のはいってるご主人様。 がんばれよ、応援してるぜ。 フーケの隠れ家(絶対隠れてないけど)は空き地のような所にあった。 作戦はこうだ。偵察兼囮が小屋のそばに行って、中を確認。 フーケがいれば挑発しておびき出す。 そしてその肝心の偵察兼囮は誰がやるんだ? 「すばしっこいの」 黙れタバサ。顔がいいからって怒らないと思うなよ。 「それに使い魔なんだから見たものをルイズも見れるでしょ?」 黙れキュルケ。胸がデカイからって…怒れないな、おれには。 「う…そ、それは…」 「何?もしかして出来ないの?m9(^Д^)プギャー」 「m9(^Д^)プギャー」 タバサまでやりやがった。 空気を読んでおれもm9(^Д^)プギャー ルイズに蹴られた。何でだろ。 小屋の中には案の定誰もいない。おれはルイズたちに報告する。 「だれもいないぜ~~~~~!」 「大声を出すなぁ!!近くにいたら気づかれちゃうでしょ!!」 ビックリマーク二つだしお前の方がデカイじゃねーか。 警戒しながら小屋の中にはいるルイズたち フーケのヤツは「辺りを偵察してきます」とか言っていなくなった。 コレ絶対ゴーレム来るよ。ルイズの魂をかけてもいい。 小屋の中が騒がしい。どうしたんだ? 「秘宝があったのよ!」 そりゃ良かった、なら早いとこ帰ろうぜ。ゴーレム来るから。 いやもう後ろに来てるから。 「ルイズー後ろ後ろ」 「後ろ?後ろに何があるって…くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」」 声にならない悲鳴。 パニック全開のルイズ。それを落ち着かせたのはおれの後ろから聞こえてきた言葉だった。 「うろたえるんじゃあないッ!フーケ討伐隊はうろたえないッ!」 勇ましい言葉だ。でも誰が言ったんだ? おれがその声の主を探すために振り返るとそこにいたのは… 意外!それはタバサッ! タバサの発言でゴーレムなんかよりタチの悪いパニックに陥ったルイズ。 だがキュルケとタバサは違った。魔法でゴーレムに攻撃する。 炎の玉と氷の矢の二重攻撃。こうかはいまひとつのようだ。 「どーすんだよ、効いてねえじゃん」 おれの言葉にキュルケは不適な笑みを浮かべる。 「ツェルプストー家には代々伝わる戦法があるのよ」 「おお!それは何だ?」 「それは……逃げる!」 「わあ~~~!!なんだこの女ーッ」 おっとボケてる場合じゃねぇな。確かに逃げねえとヤバイ、という事で 「ワオ~ン!(降りて来いッ!)」 おれの指示通りに下りてくるウインドドラゴンのシルフィード。 「タバサ、これ貴方の使い魔でしょ?あらかじめ待機させてたの?やるわね」 え?手下二号はタバサの使い魔だったのか? 「……」 「きゅいきゅい(お兄様の指示通りにしたのね!)」 タバサは何も言わない。どうやらお咎めは無しらしい。さっさと逃げよう。 手下二号にみんなが乗り込む。アレ?ルイズがいないぞ? 振り返って見てみると、ゴーレムに杖を向けてた。 「なっ!何をやってるだァ―――――ッ」 「敵を前にして逃げるなんて!そんなの貴族じゃない!」 ゴーレムを爆発させる。あまり効果はない。 「わたしは貴族よ。魔法が使える者を貴族と呼ぶんじゃないわ」 再度爆発させる。やはり効果はない。 「敵に後ろを見せない者を、貴族と呼ぶのよ!」 「後で拾いに来いッ!」 手下二号に指示を出し走り出す。 ゴーレムがルイズを踏み潰そうと足を上げる。 だがその前にッ! 「ザ・フール!」 ザ・フールのパワーじゃゴーレムを止められない。でも砂で目くらましくらいは出来る。 おれは砂粒で相手の視界を奪い攻撃目標を見失わせ、ルイズの元へダッシュする。 そしてそのまま砂を使って自分たちのことをカムフラージュする。 「何やってんだお前!」 「だって…悔しくて…」 お、何かいつもより弱々しいぞ。今のうちにもっと罵っておこう。ってあれ? 「おい、何だそれ」 ルイズの持っている物をアゴで示しながら聞いてみる。 「ああ、これが秘宝よ。『魔除けの首輪』これがあれば敵が襲ってこないらしいわ」 「…それがか?」 おれはちょっと考えこんで、気が変わった。 「フーケを倒すぞ」 「え?」 おれはフーケの臭いを見つける。 そしてゴーレムが自立行動型だったとしても間に合わない速度でザ・フールをブチ込むッ! おれが戦闘を初めてから二行。ギーシュよりも短い時間でフーケを倒した。 「ちょっと!何ミス・ロングビルを攻撃してるのよ!」 「こいつがフーケだからだ」 「え?何言ってるのよ?何の証拠があってそんなことを言うの?」 「ゴーレムが止まってる。それが証拠」 「え?あ、ホントだ。…よく場所が分かったわね?」 「え?それは…えーと、ホラ、他の臭いが無かったから分かったんだ」 ホントの事言ったら怒られるだろうしな。 そして学院長室前。ルイズたちが今回のことを報告してるって訳だ。 おれは報告が終わったら話したいことがあるのでここで待機だ。 「失礼します。イギー、質問いいってよ」 やっとあの『秘宝』について聞ける、フーケを捕まえたのも無駄じゃなかったな。 「いらっしゃい。聞きたいことが色々あるじゃろうが大体分かっておる。左前足のルーンの事と秘宝のことじゃろ?」 左前足のルーン?なんだそれ? 左前足を見てみる。そこにあるのはおれの美しい足…に何か書いてある。 「何じゃこりゃあぁぁぁぁ!?」 どうやらコレは使い魔のルーンと言うらしい。ルイズの使い魔の証なんだとか。 「ガンダールヴの印でな、伝説の使い魔の印じゃよ」 「伝説?」 「そうじゃ。ガンダールヴはありとあらゆる武器を使いこなしたそうじゃ。お主も武器を持てば強くなるかもの?」 「おれ犬なんだけど」 「それがどうしたんじゃ?」 「武器をどうやって持つの?」 沈黙の学院長室 「それは…こう、後ろ足で立って前足で扱ったり、あとは口にくわえたりとか」 「難しそうだな」 そして秘宝についての話はこうだ。 百年以上前にオスマンが森で倒れていて 森にいる獣たちに襲われそうになった時 犬が一匹現れて獣たちと睨み合い、 戦う事無くその獣たちを引かせたそうだ。その上木の実等の食料もくれたとか。 オスマンはこの犬に感謝したがこの犬は別の獣と戦った傷跡がたくさんあり、 もう瀕死の状態だったとらしく、そのまま息を引き取ったらしい。 オスマンはその犬の墓を作りこの犬の首輪を形見として持ち帰り、 『魔除けの首輪』として秘宝扱いした。 おれは話を聞いていてその犬が獣たちを引かせたのは きっとその獣たちのボスが『こいつは精神的にも貴族だ』とか何とか言って気に入ったからだと思っていた。 そう思ったのも首輪にあった名前を見たからだ。 「そういえばこれ、文字だと思うんじゃがお主、読めるかのう?」 「『ダニー・ジョースター』だ」 きっとおれの知っているジョースターと同じ意味だろう。 ジョースターはやっぱり凄いんだな。 そんなことを考えながら学院長室を出た。 To Be Continued…
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ルイズは城下町の通りをディアボロを従えて歩いている 目的地は武器屋、ディアボロに武器を持たせようというのだ ディアボロからすれば扱えない武器など邪魔になるだけなのだが、ルイズにはルイズの考えがあった (ディアボロの都合や意思は関係ないのだ) 決闘騒ぎでの思惑が外れたルイズはディアボロの評価について半ば諦めていた (ちなみにギーシュが人の使い魔を殺したことについては貸し一つという事で話がついた 生きているところを見られたら物凄い頑丈で実は生きてたと誤魔化す心算だ) たとえ力があろうとも振るう前に死んでしまうのでは意味がない だから見た目だけでもそれらしくする為、武器を持たせようと考えたのだ 幸いディアボロの体格は悪くはないから、物によってはそれなりに映えてくれるだろう 貴族とは縁遠そうな路地裏を進んだ所に武器屋は在った 中に入ると慌てた様子でまくしたてる店主を無視して、ディアボロに合う武器を見繕うよう言いつける 店主が店の奥から何振りかの剣を持って来てあれやこれやと口上を述べ立てる ルイズはその中から特に立派な一振りに目をやった 「これは?」 「ああ!若奥様、御目が高い。 これはかの高名なゲルマニアの錬金術師シュペー卿の鍛えた業物で、鉄さえ切り裂く代物でさぁ 御値段の方は相応に張りますが、貴族の従者に持たせるんであればこれ以上のものはございませんぜ」 振るどころか抜くのも苦労しそうな大剣だが、ルイズにしてみれば見た目重視で実用性などどうでもいいのだ 「これにするわ、おいくら?」 「エキュー金貨で2千、新金貨なら3千」 「おい親爺、ボリすぎだろソリャ」 唐突に声が響いたかと思うと抜き身で壁側に積んであった剣が一斉にディアボロ目掛けて崩れ落ちた 「………………………………………………………………………………」 「あれ?これってオレのせい?」 ■今回のボスの死因 崩れ落ちてきた剣に全身を串刺しにされて死亡