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とある廃工場で、銃声が響き渡る 発砲音が響くたび、雄叫びが一つ、消えていく 「がああああああああああ!!!!」 麻薬中毒者が、雄叫びを上げて警官たちに突撃してくる 一人の中年警官は、怯むことなく発砲した 撃ち出された弾は吸い込まれるように麻薬中毒者に命中した 麻薬中毒者は、ただの麻薬中毒者ではなく…今、学校町を騒がせているコーク・ロア支配型の被害者 そして、それに向かって撃ち出された銃弾もまた、ただの銃弾ではなかった 銃弾は相手の体内に入り込むと同時に、中に入り込んでいた液体が体内へと溶け込んでいき…コーク・ロア支配型の被害者は、びくりと体を震わせて、その場に倒れた 銃弾に込められていた液体は…薬品は、コーク・ロア支配型の影響を除去するものだ 「組織」が、コーク・ロア支配型の被害者を救済するために使っている薬品と、同じものだ 「よし、これで最後だな…無事かー?」 「はい。坂上は…!?」 「こっちも無事だ」 コーク・ロア支配型被害者達と応戦していたのは、三人の男性警察官 「……皆さん、ご苦労様でした。被害者達を回収しましょう」 そして、それらに指示を出していたのは、一人の女性警官だ 女性警官の名前は広瀬 美緒 …「組織」に通じて、学校町の都市伝説絡みの事件を、もみ消し続けている その代償として、都市伝説絡みの事件の解決を「組織」に任せているのだ そんな彼女が、部下を伴って、コーク・ロア支配型被害者の制圧に…都市伝説絡みの事件に動くなど、異質な光景である 「まったく。こんな銃弾、どこで手に入れたんだ?」 「…あなた達を、わざわざ都市伝説絡みの事件に関わらせたのです。余計な質問は受け付けません」 中年警官の言葉に、広瀬は冷たくそう答えた その表情は、酷く苦々しい 本当ならば、彼女は部下を都市伝説絡みの事件に巻き込ませたくはないのだ しかし、彼らはどうしても、都市伝説事件に関わっていってしまう …ならば 前もって、危険度の少ない都市伝説事件に関わらせて、危険な都市伝説事件と関わらせないようにするしか、ない それが、彼女が見つけ出した答えなのだ だが、それでも…彼女からは、迷いが消えない 「…それでは、この場は任せます。私は、残党がいないか、調べてきますから」 「一人で行かない方がいいんじゃないか?現場は慣れてないだろ」 「…馬鹿にしないでください。訴えますよ?勝ちますよ?」 中年警官の言葉にそう答え、彼女は廃工場の奥へと踏み込んでいく …「組織」から得た情報によれば、コーク・ロア支配型の被害者達が暴れている傍には、高確立でその支配者が存在する 恐らく、遠く離れすぎると、指令が届かないのだろう ……ならば、この廃工場内に、先ほど部下達が制圧した被害者達を操っていた者がいる可能性は高い 広瀬は銃を手に、警戒して歩く ……ぴちゃり、ぐちゃり 小さな音が、聞こえてきた 「………?」 ゆっくりと 警戒しながら、そちらに向かう そして 「----っ!!」 彼女は、見てしまった 死体を喰らう、犬を 顔が、手が、脚が 犬達に、食い散らかされている、その現場を 血の匂いが、辺り一面に漂っている 「う………」 嘔吐感を堪える広瀬 後ずさった拍子に…カタン、と、小さく、音がなってしまって ぴくり 犬達が、一斉に、広瀬の方を向いた 慌てて、犬達に銃を向ける しかし、一匹の犬が、そんな事に構う事なく、広瀬に向かって飛び掛り 「っぎゃん!!??」 「…!」 何者かに、弾かれた 「大丈夫ですか?」 「…影守、さん?」 かごめかごめの契約者、影守蔵人が、広瀬と犬達の間に割り込んできていた 刀を構え、犬達を睨みつけている 「何故、あなたがここに…」 「コーク・ロアが出没したって報告がきたから、僕に仕事が回されたんです…どうやら、契約者は既に、口封じされた後のようですが」 犬達が、唸り声をあげて広瀬と影守を睨みつける ……その、犬達の、向こう側から 「……「組織」の狗か」 かつん、と足音をたてて 尾なしの犬を引き連れた、灰色のコートを着た男が、姿を現した 冷たい眼差しで、広瀬と影守を睨みつけてくる 「あなたが親玉ですか?」 「…そうだ、と言ったら、どうする?」 刀を向けてきた影守に、男は嘲うように、そう言った 「組織」には、既に悪魔の囁きとコーク・ロア騒動の主犯の顔と名前は、情報が入ってくる …朝比奈 秀雄 影守の元に寄せられたその情報で見た写真の顔と、男の顔は一致していた 「その身柄、拘束させてもらいます」 この部屋は、扉が壊れてしまっていて、「かごめかごめ」の能力を発動できる状況下ではない そして、一応、上からの指示は「拘束しろ」と言うものである 殺せ、ではない だから、影守は忠実に、それに従おうとした 鍛えられた脚力で一瞬で朝比奈に近づき、みね打ちで相手を気絶させようとして ---っが!!と 鈍い音が、響く 「……!?」 片手で 影守の刀は、朝比奈の片手で、あっさりと受け止められた ぎろり、朝比奈が影守を睨む 「…私を、拘束する?……「組織」の狗風情が……私に、敵うとでも思っているのか!?」 「う、わっ!?」 「…影守さんっ!?」 ぶんっ!!と 影守の体は、朝比奈によって壁に向かって放り投げられ…広瀬の横を通り過ぎて、壁に叩きつけられた どごぉん!!と大きな音が響き渡り……壁が、崩れる 人間一人を片手で放り投げて…その衝撃で、壁が砕ける どれだけの怪力で投げたのだ? そして、その力で叩きつけられて…人間は、生きていられるのか? 広瀬は、急いで影守に駆け寄った 骨を痛めたのか、影守がうめいている 「影守さん……影守さん!」 「…駄目、です…相手に、背を、向けちゃ……!?」 己に駆け寄ってきた広瀬の背後で…朝比奈が、大きく息を吸い込んだ様子が、影守には見えた 逃げろ 本能が、そう叫ぶ 「っ…!?」 痛みを堪えて起き上がり、影守は自分を覗き込んできていた広瀬の体を、抱え上げる その、直後 朝比奈の口から吐き出された炎が、室内を包み込んだ 「-----うわっ!?」 ごぉうっ!!! その炎の先端は、中年警官たちがコーク・ロア被害者達を回収していたその部屋にも、ほんの少し入り込んだ どさり その炎から逃げてきた影守が…広瀬を庇うように抱きかかえた状態で、倒れこむ 背中を炎が掠ったのか、酷い火傷を負っていた 「…っ影守さん!影守さん、しっかりしてください!」 「おい!救急車を呼べ。早く!!」 広瀬が、気を失いかけている影守に必死に呼びかける その傍で、中年警官は若い警官に、救急車を呼ぶよう指示する 「…だ、大丈夫、ですから……これくらい、なら、「組織」で所持している、霊薬で…」 「しかし………!」 影守を、じっと見つめる広瀬 …その頬を、一瞬、光るものが伝ったように見えたのは、気のせいか? 「…私の、せいで………っ」 影守を見つめる、広瀬の体は 小さく、小さく、震え続けていたのだった to be … ? 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
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天地に、「組織」の人達の事を徹にどう説明すればいいのか尋ねてみた紗奈。 考えている様子の天地に代わり、辰也が口を開く。 「「組織」の事を隠したままにするか、それとも、伝えるか。そこで変わるだろう」 天地以上に事務的な口調で続ける。 「天地、葬儀の手続きを行っているのは、どのナンバーだ?」 「…C-NoとD-Noだ」 「それなら、純粋な「組織」の黒服って事もないだろう。葬儀屋と言う事にしておけ。「組織」は警察とも一部協力関係にある。その従兄とやらに事情の説明を求められたら、そちらに任せる手もある」 「組織」の事を隠したままにするか…話すか。 …徹も都市伝説と関わっている以上、「組織」と無関係でいる、という訳にもいかないだろう。 ただ、徹が、従妹の両親の死に「組織」の一部の黒服が関わっていた、と知ったら…「組織」を嫌いかねない。 「組織」の中にも、自分達に警告してくれた黒服や、天地のように良い人もいるのに…誤解されたくはなかった。 折を見て、「組織」の事を話すべきだろう。 「…とりあえず、そう言う事にしておいてくれ。一応、俺も葬儀には立ち会うから、ある程度フォローする」 「…分かりました…ありがとう、ございます。「組織」の事は…今は無理でも、折を見て、話したいと思っています」 ――― 「…都市伝説も、人間も、命である事に代わりは無い」 「……?」 獄門寺の言葉に、紗江が立ち止まる。 「……あの時、俺が切ったのは元は人間だっただろう…だが、今は黒服と言う都市伝説だった」 「俺は、今までも都市伝説を殺してきている。「退治」と言う名目で」 「……っ」 「……初めに、都市伝説を斬ったのは、12歳の頃だ。その時点で、俺はとうに、命を奪うと言う行為を行っている」 「その時も……あの、黒服を切った時も。どちらも、俺の意志で行った事だ。天倉が謝罪する事ではない」 「……っでも」 「…どちらにせよ………俺は、役目をやり遂げる為にも。いつかは、この手を血で染める必要性がある。ただ、それが早いか遅いかそれだけだ」 12歳…そんな幼い頃に、初めて都市伝説の命を奪った、と獄門寺は言った。 昨日、人を殺した自分よりもずっと前から、彼は奪った命の重さを抱えて生きていた。 「……せめて、お前達が無事だったならば、良かった……………お前達の両親を助けられなくて、申し訳ない」 獄門寺が、紗江に頭を下げた。 「…引き止めてすまなかった。俺は、これで」 「ぁ………」 そう言って、獄門寺は歩き出した。 獄門寺の姿が視界から消え、一人その場に残された紗江。 獄門寺は、命を奪った事を忘れず…それでも前に進もうとしている。 だから、自分も逃げてはいけない。 紗奈を、護る為にも。その手を、血で汚させない為にも。 もう、戻れはしないのだから。 ただ、獄門寺と話していて……獄門寺が、背負った物を護ろうとして、戻れない、深い所へおちていくような…そんな錯覚を覚えた。 ――― 障子が開いて、紗江が戻ってきた。 ここに来た時と同じように紗奈の隣に座る紗江に、紗奈が尋ねる。 「おかえり、紗江ちゃん。獄門寺君と話、出来た?」 「…うん」 「そっか…なら、良かった。 あ、門条さん達に聞いたら、徹兄には「組織」の人達の事…「組織」の事を話すかどうかで変わるみたいなんだけど…今は、葬儀屋さんって説明しておく事になったよ。 徹兄も契約者な以上、「組織」と無関係でいるわけにも行かないだろうし… 「組織」の事は、折を見て、話したいなって思ってるの。 門条さんも、葬儀に立ち会ってくれるみたいで…フォロー、してくれるって」 「そうなんだ… 門条さん…色々と、ありがとうございます」 紗江が、天地に頭を下げる。 「いや…大したことじゃない」 しばらくして、紗江が、迷いながらも口を開く。 「………あの、門条さん…私達、本当に「組織」を抜けてもいいんですか…?」 自分達に色々としてくれた天地達に対して、申し訳ないと思う気持ちと、「組織」に居るのが怖いという気持ちがぶつかりあっていた。 「ああ。さっきも言った通り、お前達は被害者だ。それに、もう暗示も解けている。お前達の好きにすればいい。A-No.666の実験に協力していた残党共にも、邪魔はさせない」 はっきりと答える天地。 「―――ええと、それじゃあ……私達、「組織」を抜けたいです」 続く…?
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これは、黄昏正義が小学2年生の頃の話。この話は夕暮れ頃から始まる。 正義「大王、そろそろ行くよ。」 大王「いつでも良い。だが、なんでわざわざこんな時間に戦わねばならんのだ?」 正義「だって夕方にしか出ないやつらもいるんだろ?」 大王「ったく、分かった。行くか。」 正義は彼の契約した都市伝説、【恐怖の大王】に抱えられて窓から飛んでいった。 正義は子どもでありながら都市伝説と戦っているのだ。 だが、世界征服を企む【恐怖の大王】にとって、この行為は無駄でしかない。 大王はすぐにも征服活動がしたいのだ。 しかし、正義少年といる事で自分の能力はどんどんパワーアップする。それに彼を放っておくと契約による死の危険もある。 結局のところ、大王は正義から離れる事はできないのだ。 大王「ところで少年、何故背中に乗らないんだ?そっちの方が楽だろ?」 正義「ん?だって、この方が飛んでるみたいで気持ち良いじゃん。」 大王が「そうか」と返した頃にはもう小学校が見えていた。 飛んでいけばあっという間なんだ、と正義は思った。 門を飛び越え、何故か鍵が開いていた扉から校内に潜入した。 正義「いい?懐中電灯持った?ボクはあっちを見に行くから大王はそっちを見に行って。」 大王「分かった。気をつけろよ。」 そう言って二人は分かれた。大王は数分ほど歩き回ったが、それといった気配は無い。 とりあえず現状報告ぐらいしておくか。スパイごっこのように・・・。 大王「ん?通信機なんて受け取ったか?懐中電灯に・・・も無いな。」 しまった、あまりに自然に言われたから受け取ったものと勘違いしていた。 これでは見つけた時報告が・・・いや、先に少年が見つけてしまっていたら? く、どうやって少年を探したら・・・。 ???「ぎぃゃあぁあぁ!!」 確実に、正義少年の声。 大王「・・・。通信機、いらないな。」ヒゥューッ ―――一方、正義は、 正義「ぅわあぁぁー!気持ち悪いよぉぉー!」 想像通り、都市伝説に追われていた。 正義「(大王から武器、貰っておけばよかった。しかもあいつ早い!) 誰かぁー!大王ぉー!助けてぇぇー!」 不意に、正義は何かにぶつかる。 ???「いてて・・・。大丈夫か?」 正義「え?あ、う、うん。そ、それより速く逃げないと・・・。」 “ピタピタピタ”という音が聞こえる。あの都市伝説がこちらに近づいてくる。 ???「“チッ”【テケテケ】のやつ、もう追ってきたのか。」 謎の少年はあの都市伝説の方に手を伸ばす。瞬間、彼の手から0と1のような何かが波紋のように広がる。 ???「よし、逃げるぞ!」 正義「えっ、で、でも」 ???「いいから!」 謎の少年に引かれて正義は走っていった。 すぐにあの都市伝説も追いかけ走る走る―――ぶつかる。 何にぶつかる?壁?とにかくここは通れない。 その都市伝説は別の道を“ピタピタ”と探しにいった。 その少し後、入れ違いになるように大王がやって来た。 大王「確かこっちだったな。おそらくここを“ガン”、た、くぅー。なんだ?透明な・・・壁?」 大王も見えない何かにぶつかる。触ってみるとガラスのような、しかし何か違う感覚がする壁が広がっていた。 辺りを見回すと、天井と床と壁に奇妙なマークが刻まれていた。 大王「(ちょうどここから壁になっているな。やはり都市伝説か? だとしたら追い込まれたら閉じ込められる、ってところか。とにかく少年を探さないと。ここを壊すか?)」 さらに辺りを見回すと、近くに階段があった。少年が行くとしたらこっちか?大王は2階へと飛んでいった。 その頃、1階にいる正義は、謎の少年に引かれながら窓際を走っていた。窓からの光が少年の顔を照らす。 正義「もしかして、勇弥くん?」 勇弥「お、やっぱり正義だったのか。」 謎の少年の正体は[日向 勇弥]だった。 彼は正義の幼稚園の頃からの1番仲の良い友人で、俗にいう親友だ。 勇弥「変な悲鳴上げてたぞ。そんなに怖かったのか?って、それより!なんでここにいるんだ!?」 正義「ん!あぁ、えっと・・・。筆箱忘れて・・・。」 勇弥「・・・そうか。」 『嘘は何とかの始まり』とは言うが、大王の言いつけで都市伝説の事は黙っておこう、と正義は考えた。 しかしそう言った後、ふと気付く。あの都市伝説を知っていた事、そして・・・。 正義「さっき、いったい何したの?」 勇弥「あ、あぁ。後で説明する。」 勇弥が困ったような顔をしているように見えたが、それを気にしている暇は無かった。 正義が何かの気配を感じる。 正義「また、なにか来る!」 勇弥「なに?!もう【テケテケ】が追いついてきたのか!?」 正義の言う通り、向こうから“ペタペタ”と音がする。勇弥はとっさに逃げる方法を考える。 勇弥「く、こうなったら・・・。正義!しっかり摑まってろよ!」 正義「うん!」 正義が勇弥につかまると、勇弥の周りにまた0と1のようなものがベールのように2人を包み込む。 例の都市伝説が“ペタペタペタ”正義たちのところへ向かう。そして―――2人がどこかへ消える。 後に残ったのは、0と1のようなものが、はじけた後、すうっと消えていくだけであった。 ―――正義が目を開けると、そこはどうやら学校の屋上のようだ。 つまり一瞬で1階から3階のさらに上まで瞬間移動したのだ。 これが人間のできる事か?いや、そんな訳が・・・。 突然、月が長い影を映す。その方向を見ると人が浮いている。 勇弥「ま、また都市伝説か!?」 勇弥は身構えるが、正義は逆に落ち着いていた。正義には何が来たかすぐに分かったようだ。 正義「勇弥くん、大丈夫だよ。ねぇ、大王!」 その影はだんだんと正義達に近づく。そして、光がゆっくりと大王の顔を照らす。 大王「都市伝説の気配を探って来てみたら・・・。 少年、大丈夫だったか。そして、少年の友達か。礼を言おう。」 表情が硬いままそう言ったあと、大王は勇弥に疑問を投げかける。 大王「だが、1つ質問をさせてもらおう。どうやってここ瞬間移動した?ただの人間にはできないはずだ。 もっとも、俺が見えている時点で、お前が契約者なのは確定だがな。」 正義「えっ、あ、そうか。じゃあ、あの時も能力を使ってたの?」 勇弥「・・・ん。バレたら仕方ないな。では、説明させてもらおうか。 オレが契約したのは【電脳世界=自然界論】だ。」 正義&大王「【電脳世界=自然界論】?」 コンピューターの基本は1と0で構成されている。これは陽と陰の二極理論と一致する。 また、陰陽を組み合わせて生じる八卦は、コンピュータの基本単位である8ビットに相当し、 16、32、64、128、256、・・・という数字にもそれぞれ意味がある。 ゆえに『コンピューターというのは、小さな箱の中で世界を再現しようとする試み』だというもの。 従って、『現実社会で起こることは基本的に電脳空間の中でも再現できる』ことになる。 それが【電脳世界=自然界論】である。 勇弥は軽やかで簡潔にこれを説明した。 大王「・・・。それでは説明になっていないはずだぞ。 今回は現実世界に影響を与えている。お前の能力は電脳世界に関する事だろ?」 勇弥「ん?あぁ、オレの能力ね。オレの能力は『現実世界のコントロール』さ。 あの時は『空気のせん断応力(?)』を高めて壁にしたんだよ。」 正義「『せんだんおうりょく』って何?」 勇弥「んー、分からん!なんかその辺りの数値をいじったら壁になった。 この能力自体は強いし便利なんだけど、頭使うから痛くなるんだ。」 正義「大変だね。」 勇弥「慣れればどうって事無いさ。ただ、1度覚えた物体のコントロールとかは簡単なんだけど、 もっと複雑な『生物』はやろうと思ったら死ぬね。たぶん。都市伝説なんかも調べるのは一苦労さ。」 大王「だから、現実世界に影響を与えられるのは何故だ?」 正義「調べてどうするの?」 勇弥「待った。んー、両方いっぺんに説明できるな。」 勇弥は手を合わせ、ゆっくりと離していく。両手の間から0と1のようなものが現れる。 勇弥「つまりオレはこの世界の管理人になったのさ。 オレは現実世界をコンピューターの設定を変えるような感覚で、 この数値を組み替えて性質を変える事ができる。 そして、そのデータを消す事もできる。ウイルスを消すワクチンプログラムのようにね。」 この事を聞いた時、正義よりも大王の方がが唖然としていた。いつ消されるか分からない不安に陥ったのだろうか。 しかし、その不安もすぐに消し飛ぶ事になった。 勇弥「ただ、さっきも言ったように1度覚えないと消す事もできない。 前に大変な事になったからもう2度とやらないだろうな。」 大王「(宝の持ち腐れ、か。心配して損したな。)さて、あの都市伝説を片付けに行くか。」 勇弥「おっと、【テケテケ】の事忘れてた。」 正義「そういえば、【テケテケ】って?」 【テケテケ】とは、下半身の無い女性の霊で、 『冬の北海道の踏み切りで女性が列車に撥ねられ、上半身と下半身が切断されたが、 あまりの寒さに血管が収縮したために出血が止まり、即死できずに数分間もがき苦しんで死んでいった』という話を聞いたものの所に3日以内に現れる、とされる。 逃げても『時速100~150キロの高速で追いかけてくる』といわれ、その異様なスピードと動きとは裏腹に 童顔でかわいらしい笑顔を浮かべながら追いかけてくるため、その恐ろしさをさらに助長するという。 勇弥「まぁ、これが大本だが、今回は違う。 『真っ二つに切られた女子高生の上半身が、犯人が持っていった下半身を捜している』 って話だったかな。これを聞いてオレはここに来たんだ。」 大王「それなら、速さに気をつければ問題ないな。」 壁を作るなどして隙を見つけ、攻撃。2人が作戦を考案中、正義はただ、腑に落ちない顔をしていた。 大王「少年、どうかしたか?」 正義「うーん・・・、とにかく行ってみよう。そうしたら分かるから。」 正義の言葉の意味も分からず、勇弥は0と1のベールを生成し、1階へと瞬間移動した。 ―――とたんに正義が何かを察知する。 正義「来るよ!」 勇弥「来たか。どっちからだ?」 正義「あっちとこっち!」 大王「2方向だと!?まさか・・・。」 正義の指した方向から“ペタペタ”“ピタピタ”と何かが来る。 片方は、勇弥の言っていた【テケテケ】。しかしもう片方は―――下半身だけの、スカートをはいた何か。 正義「あのスカートの方がボクを追いかけてたんなんだよ!」 なるほど、気持ち悪い。これがただ走っていたら【テケテケ】よりも気持ち悪い。 勇弥「く、【トコトコ】か。都市伝説2体を相手なんて・・・。」 【テケテケ】と【トコトコ】が跳びかかる。―――しかしそれらの軌道は正義達を離れ、2体がぶつかる。 よく見ると、どうやら【テケテケ】は【トコトコ】を抱擁しているようだ。これはいったい? 勇弥「どうゆう事だ?」 正義「やっぱり。ボクが聞いた話は勇弥くんとは違ったんだよ。」 (奈海「ねぇ知ってる?この辺りで殺人事件があったんだって。) ( その犯人は下半身を持って逃げたんだけど、その下半身が妖怪になって) ( 置き去りにされた上半身を捜してさまよっているんだって。」) その後は例によって3日以内に食べられる、と続いたらしい。 正義「つい『口が無いのにどうやって食べるんだよ!』って言っちゃったよ。」 勇弥「あいつ好きだなー、お前を怖がらせるの。」 大王「つまり、とうとうお互いを見つけてしまった、という事か。」 そう、【トコトコ】とは【テケテケ】の下半身版のことである。そして今回の場合、お互いに探しあっていた関係だったのだ。 【テケテケ】が【トコトコ】の体の上に乗っかる。つまり、いつかの女子高生の姿に戻ったのだ。 正義「【テケトコ】になったー!?」 勇弥&大王「「【テケトコ】?!」」 【テケトコ(正義命名)】が正義達をにらむ。嫌な予感がする。 勇弥「このままハッピーエンドだったら幸せなんだが・・・。」 勇弥の願いは彼女に届かず、【テケトコ】は攻撃を仕掛ける。 3人は何とかよけたが、彼女のパンチが廊下を破壊する。 勇弥「ふざけるなよ!なんであんな威力が出るんだよ!」 正義「たぶん、今まで走るために使ってたから腕力が上がったんだよ!」 大王「おまけに体も安定する。これであのスピードにパワーが加わった、か。」 【テケトコ】が跳び上がる。次はキックと来るのだろう。 勇弥はとっさに手を【テケトコ】に向け、空気を壁に変換する。 空気の壁に【テケトコ】の蹴りが炸裂する。想像に反し、壁が壊れそうになる。 勇弥「これも持たないな。正義!お前の都市伝説、【大王】だったか?何ができる?」 正義「色々降らせる事ができるよ。武器とか雷とか。」 勇弥「雷ィ!?すげぇじゃねぇか!」 大王「ただし、命中率が低い。ここはやつの弱点を」 勇弥「あるぜ。雷の命中率を上げる方法。あっちに行くぞ!」 正義と大王は勇弥に指示された方へ走り、勇弥もその後を走る。途中、足止めのためか壁を2枚ほど作る。 曲がり角を曲がったところで、頭に手を当てながら勇弥が言う。 勇弥「よし、ここでいい。いいか、正義、大王さん。空気ってのは普通は絶縁体なんだ。つまり電気を通さない。 だから雷は空に大量に溜まった電気を無理に地面に流そうとしているんだ。」 勇弥がそう説明した後、来た方向を指差す。すると指した場所に0と1が線のように並ぶ。 ゆっくりと線は伸びていき、最後には正六面体を作っていた。 それに勇弥が触れると、線の数値が変わりだし、囲んでいた空間にも0と1が波のように広がっていった。 何をしているかは正確には分からない。だが、だいたい想像はつく。 正義「大王、『雷』の準備!」 大王「わ、分かった。」 大王は驚いているのか、信じられないのか、少しつまりながら返事をする。 紫がかった黒い雲があの空間の上方に広がる。雷の準備は万端だ。 ―――その頃、向こう側では、【テケトコ】が空気の壁を百烈拳で破壊していた。 勇弥によって彼の知る最大値となった耐久も、この力の前では無力。 とうとう3つ目の壁も破壊され、次は襲うのみとなった。【テケトコ】がゆっくりと角を曲がると正義達がいた。 百烈拳、跳び蹴り、あるいは―――などと考えながら正義達に歩み寄る。 勇弥「今だ!」 正義「大王!」 大王「分かっている!」 【テケトコ】の頭上の黒雲にスパークが走る。まずい!そう思った頃には手遅れだった。 ―――所詮100km/h以上の速さで走れても、彼に敵う訳がなかった――― 勇弥「人々は考えた。もし空気の一部を導体にする事ができたら雷を操れるのでは、と。 それが半導体研究の始まりと言われている。そして、オレにはそれができる!」ドゴォォォ・・・ン テケトコ「あぁああぁあぁー!」ビリビリビリ 勇弥が作った正六面体の空間の中に電撃が走る。 分かった方もおられるだろうが、勇弥はあの空間の空気の電気伝導率を上げたのである。 そうする事によって大王の雷があの空間全体に広がるようになったのだ。 勇弥「へへん、名付けて『雷撃棺(ライトニング・コフィン)』!決まったね。」 正義「かっこいい・・・。勇弥くん、すごい!と、大王、そろそろ止めて。」 大王「(またあれか・・・。)分かった。」ピタッ シュゥゥ・・・ 雷が止まると、分裂した【テケテケ】と【トコトコ】が倒れていた。おそらくまだ生きているのだろう。 勇弥「おい、正義。いったい何を・・・?」 正義「いい?いくら殺されて辛かったからとはいえ八つ当たりするのは(中略)だいたい捜していたものが見つかったんだから(後略)」 やはりいつものお説教が始まった。【テケテケ】と【トコトコ】は早々に正座のような体勢をとっている。 何度も聞いている大王にとってはもう慣れた事だが、どうやら勇弥は初めてのようだ。 勇弥「まさか、いつもやっているのか?」 大王「あぁ。お人好しにもほどがある。」 勇弥「ま、それが正義らしいところなんだけどな。」 勇弥は自然と笑みを浮かべる。数分後、説教も終盤を迎えたようだ。 正義「―――だから、これからは良い都市伝説として人を助けたりする事。分かった?」 【テケテケ】と【トコトコ】は、どうやら頷いているようである。 正義「よし、じゃあもう行ってもいいよ。」 【テケテケ】は【トコトコ】の上に乗って【テケトコ】になり、廊下の向こうへ駆けていく。 途中、彼女は振り返って手を振った。かわいらしい笑顔で。 改めて考えてみれば、元はただの女子高生で、犠牲者の1人でしかなかったのかもしれない。 そして彼女の姿も、ゆっくりと、夜の闇に消えていった。 勇弥「一件落着、だな。」 正義「さてと・・・、もう晩御飯の時間だ!早く帰らないと。」 勇弥「俺ん家まで送ってやるよ。そこにならブックマーク置いてあるからワープできる。」 大王「屋上に瞬間移動した時の能力か。ネットのリンクの要領か・・・。 ん?という事はその能力でここに来たのか?」 勇弥「そうだけど、なんか問題でもあった?」 大王「では、誰がここの鍵を開けたんだ?お前の能力で開けたんじゃないのか?」 正義「そういえば開いてたっけ・・・。まさか、他に契約者が?」 勇弥「・・・ただの閉め忘れかもな。」 正義「それだったらがっかりだなぁ。いい友達になれると思ったのに。」 不意に出たプラス思考な発言に勇弥は笑い、3人は自宅へと帰るのであった。 ―――数日後、ある男が誘拐未遂で逮捕された。その時、その男がこんな事を言ったらしい。 “犯人「女子高生ぐらいの女が俺を投げ飛ばしたんだ!それから、逃げていたら、 前からその女の上半身が、鬼のような形相でやって来て、振り向いたら、女の下半身が、ぅわあぁぁー!」” ―――世界征服への道は遠い。 第4話「雷撃棺」―完― 前ページ次ページ連載 - 舞い降りた大王
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ドクター83 普段はやる気も体力も根こそぎ奪っていく、夏真っ盛りの気温と熱射 それもこうして遊ぶとなると、不思議と心地良くすら感じるから不思議なものだ 「タオルや飲み物はこの辺に置いておくから。お前さん達は好きに遊んでくるといい」 人で賑わうプールの一角に、『第三帝国』一行はマットを敷いて陣取っていた 荷物を下ろした有羽はその場に座り込もうとするが、コンスタンツェがその腕にしがみつく 「普段遊んでない人は率先して遊ぶべきなのでありますよ!」 「そうは言っても荷物番は必要だろ。ドクターとパスカルの着替えも終わってないし」 無理矢理引き込まれた犬メイド、どうやらドクターが用意した水着をどう着るかでまず揉めているらしい 「荷物番は私がしていますので、あなたは行ってらっしゃいな」 麦藁帽子を被り、マットの上にぺたんと座り込むのはトライレス 「あなたも遊ぶのを楽しみにしてませんでした?」 「私は若い子達の水着姿を見に来ただけですもの。それに……」 太陽光に晒すのが勿体無いほどの白い肌を日陰に滑り込ませ、彼女は微笑んだ 「水って苦手なの。流水のは特に」 「……『エリザベート・バートリー』って吸血鬼伝承ありましたっけ?」 「ある所にはあるわね。でもまあ冗談よ、冗談」 口元に手を当て、ころころと笑うトライレス 「昔、魔女狩りで何度か川に沈められた事があるから、水が苦手っていうのは本当。泳ぐだけなら鎖で縛られてても泳げるようにはなったけれど」 結局は何処まで本当で何処まで冗談なのか判らないまま 「行くでありますよー! 時間は有限であります、疲れたとか言わさないでありますよー!」 「およぐ、はじめて、です。どうする、いいですか?」 いつもの毛玉姿ではなく、まとめて編み込んだ大きなお下げを揺らし手を上げるメイ 「わたしも初めてなんだけど……というか生後一年経ってないんだけど」 ドクター譲りの無駄なまでのナイスバディを揺らしながら、おずおずと手を上げる沙々耶 「はいはい、軍でガッチリ水泳教練を受けてる私達にお任せです。一時間後には着衣で銃を担いでも泳げるようにしてあげますよ?」 「水遊び程度に留めておけ。教えるにしても軍隊式は止めておけ」 変な方向に自信満々なデリアに若干の不安を覚えつつも、有羽は四人の外国人美少女に囲まれて水辺へと向かっていった それを見送ったトライレスは、改めてプールに集まる人々をゆっくりと眺め回す 自らの性的趣味のためと、結構な密度で存在する都市伝説と契約者の気配を探るために 「特異点というか、既にブラックホールの様相ね。一度入り込んだ都市伝説も契約者も、この町から出るのは大変でしょうね……色々な意味で」 永い時間を生きてきた少女は、都市伝説が集まるこの町をそう評価する 友を、恋人を、家族を、好敵手を、怨敵を、死を 快楽を、愛情を、安息を、高揚を、怨嗟を、絶望を 様々なものを与えるこの町を、受け入れるべきか拒絶するべきか 「ま、考えるのは後にしましょう。今は今を愉しむのが一番よね」 そう呟くとトライレスは、プールではしゃぐ若く美しい少女達をじっくりと視姦する事を愉しむのであった 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
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人肉料理店とその契約者 06 ――北区の山―― 「へ~。あのにーちゃん、契約者だったのかー」 「直ぐに行ってしまわれたので、何の都市伝説と契約していたかは解りませんが」 昨日の事を話しながら歩く二人。 「それにしても、ホントにこんなトコに居んのか?都市伝説」 「えぇ、気配は確かにこちらからしています」 「まぁ、オーナーがそう言うなら…って、なんだありゃあ!?」 「ふむ、あの方々、都市伝説ですよ?」 「マジでっ!?」 二重に驚く少年。その間にも彼等は近付いてきて…… ?「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」 ?「「「「「「待てぇ~!!!」」」」」」 「はっや!?」 「先頭の方は人間のようですが、かなりの速度ですね」 あっという間に視界から消えていった。 「…なんでだろ?スゲー必死で逃げてんのはわかんだけど、助けちゃダメな気がする」 「あちらの三人も都市伝説のようですよ?聞いてみましょうか」 オーナーが示す方向を見ると、少し離れた位置に人影が見える 「おぉ?都市伝説のバーゲンセールだな。んじゃ早速…」 「大丈夫だとは思いますが、一応警戒は怠らないで下さいね?」 「りょーかいっ!すいませ~んっ!」 言うが早いか三人組に声をかける。 ?「はい?」 少年「えーっと、都市伝説の方ですか?」 ?「……なんだ?お前等?」 オーナー「これは失礼、私は都市伝説【人肉料理店】、こちらは少年、契約者です」 少年「あ、人肉料理店っつっても人襲ったりはしないっすよ?」 慌てて自己紹介して、敵意が無い事を表わす。わざわざ怒らせる趣味はない。 ハク「あ、これはどうもご丁寧に。私、ハクと申します」 コン「コンだ!」 禿「禿と申します」 少年「ども、少年です。んでちょっと聞きたいんスけど、向こうで走り回ってる人達知ってます?」 ハク「ああ、先頭で走っているのが」コン「私達の契約者だ!」 禿「追っているのは私の契約している都市伝説達ですね。ちなみに私は彼が所属している組織の担当者です」 少年「組織?」 聞き慣れない名前に首を傾げる。傍らのオーナーに尋ねてみると、 オーナー「聞いた事がある、程度の事しか知りませんね」 禿「あなた方は最近学校町に?」 オーナー「ええ、つい先日越して来たばかりです」 少年「なーなー禿さん、組織ってナニ?」 禿「ついでに、ここ最近に起きた事件も話しておきましょうか。組織とは――― ~~~~説明中~~~~ 少年「はへ~。組織に首塚、そんで夢の国、か~。もうちょい早くきてりゃーオレらも戦えたのになー」 オーナー「一足遅かったみたいですね」 自分達の知らぬ間に始まり、終わっていた出来事。驚愕と、少しの悔しさを滲ませる少年。 ハク「いやいや、戦わないに越した事はないですよ。それに女の子なんでs」 少年「 オ レ は 男 だ っ !!」 思わず叫ぶ。しかしここは確実に否定しておかなければならない。少年にも男としてのプライドがある。 ハク「ご、ごめんなさ「まあ見た目は殆ど変わってませんが」 少年「ごふぁっ」 にこやかに致命傷を与えるオーナー。少年の男のプライド、ズタズタ。軽く涙目。 禿「男?もしやマッドガッサーの攻撃ですか?」 オーナー「おや、知っていましたか」 禿「はい、先程連絡が受けまして。夢の国の一件でしばらく学校町を離れていた筈なんですが、最近になって仲間を連れて戻って来た、と」 オーナー「ふむ、治療法はご存知で?」 禿「ユニコーンの角を使えば治療は可能ですが、今組織には在庫が無いそうです」 未だにオーナーの一言から立ち直れない少年。 少年「…オレは男だ……女の子じゃないんだ…………男なんだよ………」 コン「女体化する前と見た目たいして変わってないって事は、元々女の子っぽかったんじゃなのいか?」 少年「」 追い討ち掛けられた上に図星をさされる。御臨終です。 禿「初対面の人間をあまりいじめてはいけませんよ?」 コン「いやいじめてないって」 流石に見兼ねたのか止めに入る禿さん。 禿「そんなに気にしないで下さい。彼女達は少々悪戯好きですが、悪気は無いんですよ」 少年「……禿さん」 禿「それに男らしさというものは、外見のみで決められるものではありません。内側から滲み出るものも重要なんですよ?」 少年「禿、さん…!ありがとうございますっ……!」ハク・コン「「……なにあれ」」 少年の中の禿さん株、うなぎ登りです。 オーナー「所で先程から気になっていたんですが……あなた『エベレストの全裸筋肉男』に似ていますね?」 少年「それはオレも最初に会った時思ったけど、体格全然違うぜ?」 禿「いえ、それは私ですよ?」 少年「…え?でも……」 禿「証拠を見せましょうか?噴ッッ!!」 掛け声と共にピンク色のオーラ吹き出しながら膨れ上がる肉体。2㍍を超えた辺りで膨脹は停まるが、その威圧感は尋常ではない。 禿「これが!私の!!鍛え上げられた鋼鉄の肉体ですっ!!!」 オーナー「なんと…」 コン「…やっちゃったよ」 ハク「ドン引きですね」 そんな中、一人無言の少年。 少年「………!」フルフル オーナー「どうしました、少年?」 少年「スゲェェェェエェェェェェェェッ!!!!!」 ハクコンオーナー「「「」」」 なぜかいきなりテンションMAX。その勢いのまま禿さんの身体をぺたぺたと触り始める。 少年「スゲーや禿さんっ!!つーかどうなってんのコレ!?なんかでてるし!!!」 禿「これは兄気!厳しい修業の果てに得た、男の中の男の証っ!!」 少年「おぉぉおおぉぉぉっ!!!」 ハクコンオーナー「「「……え~」」」 話に着いていけず、取り残される都市伝説達。 しかし事態はそんな三人を置いて進んでいく。 少年「禿さん!オレを………………オレをっ、弟子にして下さいっっっ!!!!!!」 ハクコンオーナー「「「イヤチョットマテ」」」 少年の凄まじい提案に、思わず突っ込む。そのお陰で我に返ったのか口々に説得を始める。 コン「君、少し落ち着け!?」 ハク「そうですよ!考え直して下さい?まだ間に合いますから!」 オーナー「しょ、少年。初対面の人間相手にそれはちょっと……」 そんな三人の声が聞こえていないのか、禿さんだけを見つめる少年。 だが…… 禿「…残念だが少年、それはできない」 少年「なんでですか!?オレがこんな姿だからですかっ!?」 禿「少年、外見は問題ではないのだよ。これは私の問題なのだ。私は未だ修業中の身。弟子を取る事は……出来ない」 少年「………そ、そんな………」 禿「だが少年よっ!同じ高みを目指す者同士、共に高め合うことに何の問題は無いっ!!」 少年「………っ!禿さんっ…………ありがとうございます!!」 ハクコンオーナー「「「」」」 がっしりと抱き合う二人。再び置いてけぼりの三人。 そして完全に忘れられているかごめかごめの契約者と兄貴達。 青年「まだかぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁっ!!???」 兄貴「「「「「「やらないか?」」」」」」 終 前ページ次ページ連載 - 人肉料理店とその契約者
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《テケテケ》 下半身のないきみが線路の側にいたのを見付けたのはたまたまだ。 たまたま、きみが寂しそうにしていたのが目に入った。 次の日も、その次の日も、その次の次の日も。 ただ寂しそうに、きみはそこにいたから。 あまりにも寂しそうにしていたから。 ぼくは思わず声をかけてしまった。 きみが『テケテケ』という都市伝説だとわかっていても声をかけたのはきみの横顔に見惚れたから。 いつまでも見ているだけじゃ埒が明かないから。 ぼくと、きみとの距離が縮まらないから。 だから声をかけた。 口下手なぼくが都市伝説とはいえ女の子に声をかける日がくるなんて今でも信じられない。 今のぼくはきっと声をかけていないだろう。 声をかけた時のきみは、とても驚いた顔をしていたね。 まさか自分に声をかけてくる人間がいるなんて思いもしなかったんだろう。 でも、あの時のぼくは声をかけずにはいられなかった。 きみの力になりたいなんて正義感溢れる理由じゃなく、きみのことが知りたかったから。 下半身がない、人間じゃない、そんなのはどうでもよかった。 きみの横で、きみの笑顔が見たかった。 ただそれだけだった。 ――ぼくはきみに恋していたんだ。 声をかけられて驚いたきみの顔、顔を真っ赤にしたぼくを見て笑う顔、拗ねて頬を膨らませた顔。 どれもこれも愛しかった。 寂しそうな顔が消えたことが、ぼくのちっぽけな自尊心を満たしてくれた。 でも――ぼくは知らなかった。 きみが女の子じゃなくて男の娘だったなんて。 下半身がないから騙された。 都市伝説なんて大嫌いだ! 前ページ連載 - ぼくの物語
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―――この物語はIFでありどうせ幻想に決まってます 本編と関係あるはずもありません――― これは、少し昔の話 まだ、「首塚」組織が出来る前の話…… 「ん……------」 目の前で酩酊状態の少年を前に、店主はほくそえんだ 本人は高校生だ…と言い張っていたが、まだ中学生だろう 年齢を偽ってバイトの面接に来た時点で、訳アリに決まっている だから…たとえ、この少年が行方不明になったとしても、周囲はさほど騒ぎ立てないだろう いや、騒ぎ立てたところで、彼はそれを問題とはしないのだが -----ねぇ、知ってる? あのお店のバイトの子って、しょっちゅう入れ替わるでしょ? あれって、どっかの国に売られてるからなんだって どうして売られるかって? そりゃあ、エッチなお仕事につかされるためらしいよ? 面接の時点で、既に選別されるんだって そこで選ばれると…売られちゃうんだって そんな噂があった そんな都市伝説があった 店主は、その都市伝説と契約していた …いや、そもそも、彼には「契約した」と言う自覚はない 自覚などないままに、彼はその仕事を行っていた 面接にきた、主に女性を相手に、水に能力で作り出した特殊な液体を混ぜて飲ませ、今のこの少年のような状態にして そして、じっくり、じっくりと選別して 売り物になりそうだったら、売り払う その相手がどうなるのか、彼は知らないし興味がない ただ、対象の初物を得られるのが楽しくて、彼はそれを続けていた 彼は気付いていない 無意識に都市伝説と契約してしまった時点で、彼は既に都市伝説に飲み込まれかけていた …それ以前から、彼は別の都市伝説とも契約していたからだ あまりにジャンルが違う都市伝説同士の多重契約 もともと、さほど器が大きくなかった彼は、それによって…都市伝説に、飲み込まれかけた 既に彼は、彼自身が半ば都市伝説となりかけている 「…さぁて、男相手は久々だが…」 相手は、まだ中学生だ …この年頃で、まさか後ろの経験なんぞある訳ないだろう あったらむしろ驚く 元から契約していた能力で配合した薬も、水に混ぜておいた たとえ、そっちの才能がなかったとしても…じっくりと、開発してやればいい 「------んん」 するり シャツの下に、手を滑り込ませた 少年特有のきめ細やかな肌の感触を堪能する 薬の効果が表れているだろう、ぴくりっ、少年の体は触れられた事に反応し、小さく跳ねる つつ、と脇腹からゆっくりと、手を上へ上へと移動させ…そこに、到達する 「---っ」 くに、とそこを弄ってやれば、少年の体はますます跳ねた 執拗に弄ってやれば、そこはぷくり、立ち上がってきて せっかくだ、味も見させてもらうとするか シャツをたくし上げ、露出させた肌に、舌を這わせようとした…その時 「---そこまでです」 「っ!?」 駆けられた声に、慌てて振り返る 彼の能力が発動し、誰も入り込めないはずの部屋 …その部屋の入り口に、何時の間にか、黒服の男が立っていた 彼に銃を向け、静かに告げてくる 「…その少年から、離れなさい」 「っく……「組織」か!?」 都市伝説の知識などほぼないはずの彼であったが、なぜか「組織」の事は知っていた その理由を、彼は知らない 彼の以前にこの都市伝説と契約し、「組織」に消された人間がいるなど…そんな事実を、彼は知る良しもないし だからこそ、その知識を自分が受け継いでいるのだ、と言う事実など知らない ただ、彼がいますべき事は あの黒服を、どうにかする事だ 幸い、ひょろりとした体格で弱そうだ 不意さえ打つ事ができれば… そう考えて、彼はそれを発生させた 己の体から、人間だけではなく、都市伝説相手すら効果のある薬を生み出す それが、彼の力 薬の効果は、彼の思いのままに作り上げられる 睡眠薬なり媚薬なり、毒殺できるような薬こそ作れないが、他人を思いのままにできる薬を作り出せる その、応用だ 体内で睡眠薬を合成し、彼は体中から発生させる 霧状になったそれは、部屋を包み込み… ----しかし、黒服に、変化はない 「…対策を打たずに来るとお思いますか?」 「っち……」 眠らせてやろうと思ったのだが…中和剤か何かでも飲んできたか!? 薬が効かないとなると、不味い あの銃で一発でも撃たれたら、彼は死ねる 彼自身の肉体は、強化などされていないのだから 「…く、くそっ!」 少年は惜しいが、仕方ない 彼は急いで部屋の奥へと走り、隠し扉の奥へと逃げ込んだ そのまま、外へと…… 「おぉっと、残念」 「ーーーーっ!?」 ……しゅるんっ ! 彼に向かってきた、それ 彼は、それを寸前で避けた びたんっ!と壁に張り付く 「お?」 しゅるり 黒い、まるで触手のようになった髪を操る黒服の男が、そこにはいた …逃走経路は既に抑えられていたか! だが、甘い! にょろん、ズボンの裾から真黒な尻尾をはみ出させ、彼はひたひたと壁を垂直に登っていく 「……「イモリの黒焼き」との多重契約かい。それで、イモリっぽい能力もあるってか?」 っち、とその黒服は舌打ちしてきた しかし、彼はそんな事は聞いていない 今は、逃げるべきなのだ 逃げて、どこか遠くでこの商売を続ければいい そう、彼は考えていた 殺されるつもりなんざ、さらさらない……! 「…だが、逃がさねぇよ」 黒服も、彼を逃がすつもりなどなかった しゅるり、際限なく伸び続ける髪が、彼を追う ごがっ! ごがっごがっごがっ!!! 強烈な薙ぎが、次々と壁に打ち付けられる 彼は、それを必死で避けて逃げ続けた 捕まるものか、捕まるものか まだ、自分は生き続けるのだ 仕事を続けるのだ …自分を生み出した噂は、まだ生き続けているのだから……!! 「…残念ゲームオーバーだ」 しゅるりっ 彼の、そのズボンからはみ出した尻尾が……捕らえられた 「お前、もう飲み込まれてるよ」 無慈悲な声と、共に 彼の体に、黒服の髪の毛が一斉に絡まりだした 「大丈夫ですか?しっかりしてください」 「……ん」 …駄目だ 睡眠薬の類でも、摂取させられたようだ 意識が定まっていないのだろう、ぼんやりとしていて…こちらの声も、聞こえているかどうか 呼吸が荒く、頬が紅潮している辺りを見ると…他の薬も混ぜられているのかもしれない とにかく、急いで解毒してやらなければ 黒服は、すぐに「ユニコーンの角の粉末」を鞄から取り出した 少年に、飲ませようとするが… 「………」 …口を、空けてくれない 水は…コップに入ってる分は問題外だ。鞄にミネラルウォーターが入っているから、それを使えばいい ただ、どちらにせよ口をあけてくれない事には… 「…仕方ありませんね」 強引にでも、飲ませなければ そう考えながら、黒服はミネラルウォーターのペットボトルをあけた ミネラルウォーターとユニコーンの角の粉末を、そのまま口に含むと、少年の顎に手をかけた 少し力を入れると、少年の口が、うっすらと開いて その口内に、ユニコーンの角の粉末を含んだ水を流し込んでいく ……ぴくりっ、と 黒服の腕の中で、少年の体が小さく跳ねた 「………んん」 まだ、意識は戻っていないが…ユニコーンの角の粉末の効果が現れているようだ 呼吸が、落ち着いてきている 黒服がほっと息をはいて、少年の頭をそっと撫でてやったのだった 「悪いねぇ、お前さんに恨みはないんだけどよ……むしろ、女の子相手にエロエロする。それに関しては羨ましいと思うよ」 しゅるしゅるしゅるしゅる その黒服の伸びる髪が、店主を束縛する 全身を髪の毛で覆われ、店主は苦しそうにもがき苦しんでいた …それだけ、ではない 全身を締め付けられ、呼吸など最早できていないはずだ 「でも、まぁ、こっちは黒服成り立てでよ……上の信頼を得なきゃいけないだわ、これが」 困ったように笑いながら、黒服はそう言って …そして、残酷に言い切った 「だから、悪いけど死んでくれや。俺が上から信頼を得るために」 ぶちんっ!! 店主の首を、髪で引きちぎる ぽい、と、なるでボールのように投げられたそれは、壁にぶつかり、ごろん、と床を転がった 「うっし、終わりー!」 ぐぐぅ、と背伸びする黒服 とてもじゃないが、たった今、人殺しをしたようには見えない …と、携帯が着信を告げて、黒服はすぐに応対した 「あ、はいはい……あぁ、始末したぞ………ん?あぁ、被害者がいたのか……まぁ、未遂かどうかは割りとどうでもい…あ~、わかったわかった。そう責めないでくれよ。とりあえず、そいつ、送ってやるのな?……わかった」 …やれやれ なんとも、優しい同僚がいたものだ 黒服に優しさなど、必要なのか? …この黒服には、その必要性がわからない 「ま、いいか」 後始末は任せられた ……すなわち! 「店のどこかにいるかもしれない、囚われのおねーちゃんたちの扱いは俺に任せられた、という事だな!!」 しゅるしゅるしゅるしゅるしゅる!!! 物凄い勢いで、髪を伸ばし この黒服はスキップなどしつつ、店内へと入っていったのだった 「………あれ?」 「あぁ、目が覚めましたか?」 少年を背負って、店を出た …薬の効果が切れたのだろう 少年が、意識を取り戻した 「…あれ…俺…」 「あまり、無理に喋らなくてもいいですよ…とにかく、家に送りますから」 「家………嫌だ……」 ふるふると 少年は、小さく首を振る 「…あんな所……もう、戻らねぇ…」 ……また、家出だろうか? 一瞬、そう考えたのだが…少年の声から感じられたのは、「家には絶対に帰らない」と言う、はっきりとした強い意志 今までの家出とは、明らかに違う もう二度と、家には戻らない…あの両親に対する、はっきりとした拒絶を感じ取れた 「…それでは、どちらにお帰りになられるので?」 「…………」 …返事はない ほぼ無計画で家を飛び出したのだろう 全く、困ったものだ ……しかし、少年の考えもわからなくはない あの家は…この少年には、酷すぎる環境だから 「わかりました、今夜は、ホテルに送りますから…家から、私物は持ち出しているのですか?」 「…きょーかしょとか、着替えとかは……ダチの家に…」 「わかりました。明日、その友人に連絡するのですよ?」 わかった、とそう頷いてきて 少年はこてん……と、力尽きて、寝息を立て始めた 小さく、ため息をつく この少年は、まだ中学3年 生活費を稼ぐ為に、アルバイトをしようとしたのだろうが… …あぁ言う都市伝説に引っかかってしまうようでは、危ない せめて、安全なアルバイト先を見極められるようになるまでは、自分が援助してやらないと 黒服はそう考えながら、少年を背負い、夜の街を歩き続けたのだった fin
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色鮮やかな浴衣が踊る 己の契約者は、昨日とは違う浴衣を纏っていた 昨日の浴衣は戦闘中に汚れてしまったから、着る気がしないのだろう 帯を可愛らしく結び、子供っぽさを強調した姿 だが、そうだと言うのに、その浴衣のデザインは、どこか大人びたもの そのアンバランスさがまたいいのだが 「…変な事考えてない?」 「いや、何も」 契約者の言葉に、首を左右に振る 変な事は考えてないぞ 当たり前の事を考えていただけだ 「…なら、いいんだけど」 肩をすくめ、契約者は祭り会場を歩いていく 祭り会場には、相変わらず、堂々と歩いている都市伝説たちの姿が見えた まぁ、今回のような機会でもないと、祭に参加して楽しむなど、できない都市伝説たちも多いだろう 案外、いい機会なのかもしれない 祭というものはいいものだ ロリの浴衣、うん、素晴らしいぞ 浴衣になっても、歩き方は洋服のままの子供が多いから、微妙に浴衣が着崩れてきたり ちらり、ちらり、足が見えたり …うん、いいぞ、いいぞ 「…やっぱり、変な事考えてるでしょ?」 「いいや」 あくまで、首を左右に振ってみせる 変な事ではない これは、全て当たり前のことなのである ロリは素晴らしい だからこそ、ロリを観察するのは、別に変な事ではあるまい 「…全く」 契約者は、小さくため息をつく やや早脚になった彼女の後を、決してはなれずについていく 結局、彼女の父親は何も知らないままだ この秋祭りが、ある都市伝説を倒すために利用された事は知らないまま きっと、それでいいのだろう 知らないままの方がいいのだ 自分も都市伝説であるが、その存在は広く知られない方がいいと思う それによって、良い結果がもたらされるとは限らないのだから 「…それよりも、せっかくの祭なんだ。もう少し、屋台を楽しんだらどうだ?」 「……そうは言っても、ねぇ」 …まぁ、育ちが育ちである 出店の、屋台の食べ物なんて、ほとんど食べたことがないのだ 夏祭りの時とて、見て回っただけで、何かを食べたりはしていなかった 秋祭りの1日目だって、そうだ 自分の契約者は、祭を心から楽しむことなど、できていない 父親が金を出資している祭だから、視察に来ている それくらいの認識しかないのだ 1日目、友人である少年と一緒に居た時とて、少年がはしゃぐ様子を見て和んでこそいたものの…祭自体を楽しんでいる様子がなかった まだ、子供なのだ まだ、ロリなのだ もっと、無邪気に祭を楽しんでもいいと思うのに この契約者は、早く大人になろう、大人になろう、と焦りすぎている 大人に囲まれてばかりの環境、背伸びしたくなるのはわかるのだが …もっと、ゆっくりでいい ロリの時間は貴重なのだ まぁ、そうやって貴重だからこそ、ロリとは人類の至宝であり、護るべき存在であると理解しているが 「…楽しんだら、って言っても。何をしたらいいのかわからないわ」 ぼそり 契約者が呟く …祭を楽しんだ事がないから 楽しみ方も、わからない 「気になる食べ物があれば、買って食べて見ればいいだろうし、クジなり射的なりをやってみたかったら、やってみればいい 幸い、軍資金はたっぷりあるだろ?」 「まぁ、確かにそうだけどね」 それじゃあ……と、契約者は、周囲の屋台を見渡しだす …その、表情に かすかに、子供らしさと言うか、歳相応のロリっぽさが戻ってきて その事実に、ほっとした やはり、ロリはロリらしくしているのが一番だ 「…ところで」 「何だ?」 「浴衣姿のちみっこたちに見とれてんじゃないわよ?」 っが!!!! 下駄で、盛大に足を踏まれて おぉおおお……っ!?久々に程よい痛みがっ!? こちらがうめいている間に、契約者はさっさと歩き出して 痛む足を引きずりながら、慌てて追いかける 秋祭り、最終日 せめてこの日に、契約者が少しでも楽しんでくれればいいのだ fin 前ページ連載 - 赤い靴
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恐怖のサンタ 悪魔の囁き&コークロア編 15 ――――四月。 各地で新生活の始まる今月の初旬は、どこも忙しいものらしい。 この学校町もその例外ではなく、うちのアパートの空き室にも、何人か新しく入居者が越してきていた。 こんな都市伝説がうようよしている町によく越してくるものだ。 越してきている当人の事情は千差万別なのだろうが、少なくとも俺ならこの町を選ぼうとは思わない。 ……都市伝説退治なんて奇怪な職を生業にしている俺が思うべきことではないのかもしれないけれど。 とにかく、今は何かとこの町に不慣れな人間が多くなる。 それはつまり、この町の地理に詳しくない人間が増える事を意味するわけで。 「………………」 「――――えぐ、うぐっ」 今俺の目の前で泣いている迷子らしき少女もまた、そんな被害者なのかもしれなかった。 ********************************************* 「ええと、その、なんだ。……どうした?」 「えぐっ、うっ……」 内心びびりまくりながら少女に尋ねてみるも、返答は泣きじゃくる声のみ。 幸い平日の、それもまだ昼にもなっていないような時間だからか、周囲に人影はない。 もし仮に第三者がこの光景を見た場合、俺がこの少女を泣かせているように見える事請け負いである。 「泣いてても分からないだろ。えっとほら、どこから来たとか、どこでお母さんとはぐれたとか」 「うぐっ……えうっ……」 ……迷子の子猫を前にした犬のお巡りさんはこんな気持ちだったのだろうか。 外見から推察するに五歳くらいの年齢であろう少女は、先程から一言もまともな言葉を発していない。 やり辛い所の話ではない。正直な話、俺の方も泣きそうである。 「(イイジャネェカ。見捨テチマエヨ)」 駄目押しとばかりに、脳に俺以外の声が直接響いてくる。 普通の感性を持つ人間なら跳び上がりそうなそれは、別にテレパシストが俺に語りかけているわけでも、漫画なんかで見られる俺の分身である悪魔が語りかけているわけでもない。 「(誰カガソノ内何トカスンダロォ? テメェガ立チ去ッテモ誰モ文句ナンカ言ワネェッテ)」 そう俺を怠惰な方向へと引きずり込もうとしてくるのは、デビ田。 今学校町を騒がせている「悪魔の囁き」という都市伝説の一個体である。 俺を堕落させ、支配するはずが失敗。現在は「悪魔の囁き」の大元から役立たずの烙印を押され、いつ消されるかとびくびくしながら俺の中で生活をしている。 「(泣いてる迷子を見捨てるわけにもいかないだろ、常識的に考えて)」 「(ハッ! ンナ『常識』ノセイデテメェノ家ハ都市伝説ダラケジャネェカ、イイ加減学ビヤガレ、へたれガ)」 「(はいはい。どうせ俺はお人よしですよー)」 どうしたものかと考えながら、適当にデビ田をあしらう。 デビ田が俺の中に巣食ってから数週間。 不本意ではあるのだが、この毒舌にも大分慣れてしまった。 「……けど、どうすっかなぁ」 「えう、うぐっ……」 見捨てはしない。そう考えた後ではあるのだが、解決策が一個も思い浮かばない。 手がない訳ではない。 一応、俺は都市伝説の契約者である。 その気になればこの少女の記憶を読み取って、それを元に親御さんを探す事も出来る。 それをためらってしまうのは、やはりまだ俺の中に「倫理観」が残っているせいか。 いや、捨てるつもりは全くないのだから、それで全然構わないのだけれど。 「……うぐっ、ぐすっ……」 「あー、えっと、んー……」 泣きじゃくる少女と困惑する俺。 そんな光景はしばらくの間続いた。 【終】 前ページ次ページ連載 - 恐怖のサンタ
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Vol.5 THE トランプ 発売日:2006年6月22日 メーカー希望小売価格:2,800円(税込) ジャンル:トランプ プレイ人数:1~4人 メーカー名:ディースリー・パブリッシャー 攻略サイト 公式ホームページ このゲームの感想など 名前 コメント