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「ミッミッ♪」 パソコンに向かって仕事をしていたら、飼っているタブンネが何かを持ってきた。 ん、タブンネちゃんどうしたの? 「ミィミィ♪」 タブンネが持ってきたものを見てみると、それは博物館の広告だった。 『シッポウ博物館でタブンネ展を開催!いろいろなタブンネを見ることができます!』か…タブンネちゃん、これに行ってみたいの? 「ミィ!」 よし、それじゃあ今度の日曜日に行ってみようか! 「ミィミィ♪」 タブンネは嬉しそうに鳴いた。 そういえばこの子、生まれてから一度も自分以外のタブンネを見たことがなかったからなぁ… そして日曜日、タブンネを連れてシッポウ博物館に行った。正面には大きく、タブンネ展のポスターが貼られている。 「ミィミィミッ♪」とタブンネは早く入りたいのか服を掴んで引っ張ってくる。 タブンネちゃん、この日をずっと楽しみにしてたもんなぁ、そんなに急がなくても大丈夫だよ。 タブンネ展の会場に入ると、さっそく数匹のタブンネが展示されているのが目に入る。 タブンネは、展示されているタブンネに嬉しそうに駆け足で近付くと「ミッミッ♪ミィィ?」と話しかけていた。 展示品に話しかけるなんてタブンネちゃんはお馬鹿さんでかわいいね♪ 「ミィィ?ミィ?」 いくら話かけても返答がないので、展示品のタブンネの胸に触覚を当ててみるタブンネ。 「ミ…ミ?ミィ……ミギャアア!?」 もう、何びっくりしてるの?剥製から心臓の音が聴こえる訳ないでしょ?ホントタブンネちゃんは天然なんだから♪ あ、ホラ、あそこに色違いのタブンネさんの剥製もあるよ。綺麗だね~、こんなのめったに見られないよ。あれっ、タブンネちゃんどうしたの? タブンネは隅の方でブルブルと震えていた。 人がたくさんいるから怖かったのかな?大丈夫よ、私がおててをつないであげるから♪さっ、次のコーナーに行ってみようか。 次のコーナーにあったのは、ホルマリン漬けの子タブンネやベビンネだった。 「ミキャアアアア!!」 またタブンネちゃんびっくりしてる。たしかにホルマリン漬けっておめめが白くなってたりお口をパックリ開けてたりしててちょっとグロテスクだもんね、でも子タブンネちゃんやベビンネちゃんだったらかわいいから私は平気だよ♪ あ、見て!このホルマリン漬け、卵の中のベビンネちゃんの成長過程がわかるようになってるよ。すごいね~。 「ミヒィ…ミヒィ…ミヤァ…」 プルプル タブンネは泣き出してしまった。 どうしたの?もしかしてベビンネちゃんや子タブンネちゃんのことを見て童心に帰っちゃったのかな?甘えんぼさんだなぁ♪ じゃあもう次のコーナーに行こうか。 次のコーナーにも、タブンネのホルマリン漬けがあった。しかしそれは先程のものとは違い、腹を切られて内臓が見えるようになっていた。 へー、このコーナーはタブンネの体の構造とかがわかるんだ…ふぅーん、タブンネの体の中ってこういう風になってるんだね。勉強になるなぁ… 「ミ…ミヤァ……ァ…ァ…」 ガタガタ タブンネは展示されている同族の骨格標本に戦慄していた。 タブンネちゃん、骨格標本を指して何か言ってるよ、きっとあれに触ってみたいのね。 でも骨格標本は触ったりするのはダメって注意書きがしてあるからダメみたい…どこかに触れるコーナーはなかったっけ? あ、あそこに触れるコーナーがあったわ! 「ミ…ミィミヒィ?』プルプル そこには、プラスチックのケースに入れられた何かがあった。そして、そのケースには人間の手が入るサイズの穴があり、中の物を触れるようになっている。 ねぇねぇタブンネちゃん、あれ、タブンネの脳味噌が直接さわれるんだって! 「ミヤァアアア!!」 ポロポロ これでタブンネの脳味噌の感触や重さがわかるのね、すごいわ!ねえ、タブンネちゃんもせっかくだから触ってみようよ。 「ミャ、ミャア!」 フルフル 遠慮しなくていいのよ、ここは展示品に触ってもいいコーナーなんだから♪ グイッ タブンネの手がケースの穴に入り、中の脳味噌に触れた。 「ミィィイイイイィィィ!!!」 急いで手を穴から抜こうとするタブンネだったが、太い腕が穴にすっぽりとはまってしまっていた。 「ミィャア!!ミィィィ!!ミピィィィ!!」 フルフルフルフル なかなか穴から手が抜けず、タブンネは同族の脳味噌の感触を味わい続けた。 もう、タブンネちゃん興奮しすぎだよ♪ 帰り道 今日は楽しい一日だったね、お土産コーナーでかわいいベビンネちゃんの触覚ストラップも買えたし♪ 「………」 タブンネ皮でできたおそろいの帽子も買っちゃったわ、タブンネちゃん似合ってるよ♪ 「ミ……」 あれ、タブンネちゃん疲れちゃったの?まぁ、たくさんはしゃいだもんね。そうだっ、今度の日曜日には世界のタブンネ料理展に連れてってあげようか! 「ミギャァァアアアアア!!」
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私はタブンネ愛護団体に所属している。 今日も仕事が終わり、家への帰路に就いたところだ。 私たちの仕事はタブンネ達を守ること。しかし今やタブンネの数は急激に減少している。 凶悪なトレーナー達からのいわれもない虐待、狩猟、そして乱殺… 野生ポケモン達の容赦の無い迫害、止まぬ捕食… イッシュ全土に生息していたタブンネだったが、もはや野生のタブンネなど滅多にお目にかかれなくなってしまった。 タブンネは自然から追放された存在になってしまった。今タブンネを見ることが出来るのは牧場か、ペット売り場だけだった。 もちろんそれらのタブンネも、まともな生き方をしない。タブンネの社会的地位はもはやどん底であった。 そんな尽きぬ悩みに苦悶しながら、私は歩を進める。 すると、脇道の草むらがわずかにカサカサと揺れ始めた。 私は吸い込まれるようにそこへ向かった。 「これはひどい…」 そこにあったのは、傷だらけのタブンネの家族だった。 皆力無く地面に伏し、ピクピクと痙攣していた。 どうやら音の主は父タブンネのようで、私の足音を聞いて必死に草を揺らしていたようだ。 タブンネ達の体をよく見ると全身深い切り傷、打撲だらけで、血にまみれていた。 特にひどかったのが母タブンネで、耳が削ぎ落とされていた。 「大丈夫か!?今助けてやる!」 私はタブンネを抱き起した。 「フィ、フィ……」 どうやら立てないほどに弱っているらしく、連れて歩くことはほぼ不可能だった。 子タブンネ達も哀弱がひどく、ピクリとも動かない。 幸い家は近かったので、タブンネ一匹ずつ大切に運んだ。 とても重く、血が服にべっとりついてしまったが、そんなことはどうでもよかった。 家に入れ、ある程度の手当をし薬を塗り、汚れを落としてベッドに五匹綺麗に並べた。 そして私は汚れたシャツを洗濯機に投げ入れ、 さっさと着替えるとフレンドリィショップに行き、フーズやオボンの実を大量に買い込んだ。 家に帰った途端急に一日の疲れに襲われ、ソファに倒れ、死んだように眠ってしまった。 私が目を覚ました時、時計は既に9時を回っていた。 急いで愛護団体に電話をして、理由を話し休みをもらった。 私はタブンネ達の寝ている部屋のドアを開けた。 「ミィ…ミィ……」「ミニャァ…」 可愛らしいタブンネの親子が、川の字になって寝息を立てていた。 私はほっとして、安らかな表情をしている子タブンネ達の頭を撫でた。 「ミィィ……♪」 子タブンネ達は幸せそうな顔をして、口をチュパチュパと鳴らしている。 私はおもわずに口の中に指を入れてしまった。 すると子タブンネ達は私の指を小さな手できゅっと掴み、チュウチュウ吸い始めた。 なんて幸せなんだ。ずっとこうしていたい… 「ミィ…?」 しまった、子タブンネ達が目覚めてしまった。 「ミファァ……」 それから次々とタブンネ達が起き始めた。 「ミッ?ミィ?」 タブンネ家族はキョロキョロとしている。そして私を見て怯え、心配そうな表情をした。 「大丈夫だよ。もう安心だ、これからは私がずっと守ってあげよう。」 その言葉を聞いてタブンネ達はパァッと明るくなった。 ぐぎゅるるるる… その時一斉に皆の腹の虫が鳴いた。そういえば私も夕飯を食べていなかった。 「ミ、ミィ…ミィミィ」 タブンネ達が私のシャツの端をチョコンと摘み、私を見上げた。 私は走って台所に向かい、木の実とフーズを皿に盛り大急ぎでタブンネ家族の待つ部屋に持って行った。 「ミッミー♪」「ミィ~♪」 おいしそうな食べ物を見るや否や、タブンネ達は木の実を頬張り始めた 「ミッミッ♪」 子タブンネ達はとても幸せそうな表情をしている。私はたまらなく幸せだった。 「フミィ…」 だがしかし母タブンネだけは子タブンネ達と全く逆の表情をしていた。 それもそのはず、タブンネ唯一の長所である耳と触覚を削ぎ落とされてしまったからだ。 しきりに耳のあった場所をさわり、涙を流している。 タブンネ達の傷はかなり癒えていたが、一度損なわれた部分は二度と戻らないようで、相当なショックを受けているようだった。 耳を失くしたタブンネは自然では絶対に生き残れない。 ましてや、あんな危険な自然に帰すわけにもいかない。私はタブンネ達とずっと暮らすことを決めた。 私はあの草むらで何があったのか、翻訳機を使って聞いてみることにした。 …どうやらタブンネ家族は散歩中に、ドクロッグを父としたキリキザンの一族に襲われてしまったらしい。 戦うことを知らなかったタブンネ達は、キリキザンやドクロッグのいいようにされ、あのような事になっていたそうだ。 キリキザン家族の目的は、タブンネの経験値だった。 彼らは子供たちのコマタナを一人前のキリキザンとして育てるために、罪のないタブンネ家族を利用したのだった。 子タブンネ達も容赦無く痛みつけられ、見せしめや目印のために母タブンネの耳を削ぎ落とした。 キリキザン達はタブンネ家族を殺しはしなかったものの、また次の育成のために生かしたそうだ。 これでは死ぬよりつらい。死ぬまでキリキザン達の経験値となり、そのたびに半殺しにされるのだ。 私は怒りに震えていた。また、タブンネ達もそうだった。 「ミッ…ミッミッ…」 父タブンネは悔し涙を流した。何故自分たちがこのような仕打ちを受けなければならないのかと。 そして父タブンネは、キリキザン達に復讐がしたいと言い出した。 それには私も大賛成。さっそく私は物置から火炎放射の技マシンを持ち出し、父タブンネに覚えさせた。 それからというもの、父タブンネは毎日火炎放射の練習をしていた。 最初は熱い息が出るだけだったが、最近はライターサイズの炎を吐けるようにはなった。 子タブンネ達も順調に成長し、可愛い盛りだ。 母タブンネも元気を取り戻しやっとあるべき家族の姿になった。 そしてある日の昼下がり、私はPCの前で情報収集をしていると、子タブンネ達がポテポテと部屋に入ってきた。 「ミッ!ミッミッ!ミミィ!」 子タブンネ達は私の足に抱きつき、何かを訴えているようだった。 私はひとまず子タブンネ達を膝の上に乗せ、頭を撫でてから、何がどうしたのかと聞いてみた。 どうやら父タブンネが、火炎放射を習得したらしい。 私は子タブンネ達を抱きかかえて、庭へと向かった。 「ンミィィィイ!」 庭についた途端、父タブンネは私を見ると得意げに火炎放射を見せてくれた。 他のポケモンと比べればかなり小さかったものの、私は感動で涙が出そうになった。 母タブンネも感動のあまり涙を流してパチパチと手を叩いていた。 子タブンネ達は笑顔でぴょんぴょんと飛び回り、喜びを全身で表現している。 しかし感動もつかの間、火は雑草や花に燃え移った。 「ミッ…ミィィィイ!」 タブンネ達は一斉に家の中に引っ込んでいった。まずい、早くなんとかしなければ。 私はすぐさま消火したが、趣味で育てていた花壇が全て真っ黒になっていた。 「ミィ…」 それからタブンネ達がドアからひょこっと頭を出して、私を見つめている。怒られると思ってるのだろう。 私はそんなことよりも、父タブンネの努力を褒め称えたかった。 怒ってないよ、と言ってタブンネ家族に歩み寄り、皆を抱き寄せ頭を撫でた。 タブンネ家族はパッと明るくなり、いつもの天使のような笑顔を見せた。 今日はそれっきり。タブンネ家族はいつものように夕食をたくさん食べ、今は家族仲良くベッドで寝ている。 しかし火炎放射を習得したとなると、明日はいよいよ復讐の日だ。 なんだか嫌な予感がする…だが、ここまで来たらやるしかない。キリキザン達に、正義の炎を浴びせるのだ。 そして私は深い眠りについた。 朝が来た。父タブンネは朝早く起きて火炎放射の練習をしているようで、庭から声が聞こえてきた。 子タブンネ達はまだ母タブンネのおなかに顔を埋めてぐっすりと寝ていた。 いつものように朝食の準備をし、タブンネ達を呼んだ。 「ミィ~?」「ミファ…」 母タブンネと共に子タブンネが目をこすりながらリビングに来た。 父タブンネもお腹がすいていたようで、喜んで家に上がってきた。 今日は父タブンネにとって大切な日。朝食も腕によりをかけて作った。 「ミッミッ♪」クチャクチャ 美味しそうに朝ご飯を頬張り、幸せそうな笑顔を浮かべるタブンネ家族。 それを見て、思わず私も微笑んでしまう。 しかし、今日はタブンネ家族の復讐の日。 父タブンネもそれをわかっているようで、いつもの倍も食べている。 出来ればタブンネ達には危険な事をさせたくないのだが、彼らのプライドがかかっているとなれば、私も口出しは出来ない。 気が付けばあっという間に朝食は無くなっていた。それもそのはず、子タブンネ達は食べ盛りなのだ。 私も急いで朝食を食べて、食器を片づけ、皿を洗う事にした。 タブンネ達はいつものようにテレビの前でソファに座り家族仲良く遊んでいる。 皿洗いを終え、私はタブンネ達に声をかけた。 「そろそろ行こう。」 タブンネ達は「ミィ!」と元気良く返事した。 そして私はタブンネ達の手をひき、家のドアを開けた。 子タブンネ達は外に出るや否やぴょんぴょんと飛び回ったり、庭でコロコロと転がりはじめた。 母タブンネは子供達を愛しそうに見つめている。 私はそんなタブンネ達に一声かけ、父タブンネについていった。 どうやらここがタブンネ家族が被害にあった草むららしい。奥には河原が見える。 父タブンネがずんずん草むらを進んでいく。私とタブンネ達は列を成してついていく。 そして河原についた時、遠くに太陽に反射して鋭く光る何かが見えた。 キリキザン親子だ。キリキザン親子は河原の石で刃を研いでいた。 側にはドクロッグもいて、川で水浴びをしている。 その姿を見た途端、私はぞわっと背筋が凍った。 しかし父タブンネは勇敢にも、「ミィィィィイイ!!」と雄叫びを上げながら彼らに走って行った。 「ミッミッー♪」「ミィーーー!」 母タブンネと子タブンネが、父タブンネを応援している。 キリキザン達が父タブンネと、私たちに気づいたようだ。 「ミィッ!ミミィミィミィミミッ!ミィィィ!!」 父タブンネがキリキザン親子に人指し指を向けて、何やら叫んでいる。 その叫びを聞いて、キリキザン達は嘲笑うかのように鼻で笑うと、父タブンネを無視してどこかに行こうとした。 「ンミィィィイイイイイイ!!!!」 父タブンネは頬をプクーッと膨らませ、火炎放射の体制を取った。 父タブンネの口から火炎放射が放たれる! やせいの キリキザンの ふいうち! しかしその瞬間、目にも止まらぬ速さでキリキザンが父タブンネの懐に入り、鋭い斬撃を放った。 「ミビャァアアアアアアアアアアアアアア!!」 耳をつんざくような悲痛な叫びが河原にこだました。 父タブンネの腹からは鮮血が吹き出し、父タブンネの放出しようとしていた炎は口の中で暴発した。 ガスと共に大量の血を吐きだす父タブンネ。 返り血を浴びたキリキザンは顔を歪めると、素早く父タブンネの背後に回り込み、強烈な回し蹴りを叩き込んだ。 「ミビィィィイイイ!!」 父タブンネは腹と口から血をまき散らしながらドクロッグのいる方向に吹き飛んでいった。 ドクロッグの きあいパンチ! ドゴォッという何かが潰れるような音がしたと思えば、父タブンネの背中にドクロッグの拳と思われる物がくっきりと見えていた。 「ミボォォォオオオオオオオオオオ!!?」 父タブンネは凄まじい勢いでぶっ飛び、近くにあった木に背中から激突した。 「ボォオオオオオオェェェエエエエエ!!」 激突した衝撃で、今朝食べたものが潰れた内臓と共に父タブンネの口から流れ出した。 父タブンネはその汚物の中にどちゃりと力無くうつ伏せに倒れ、コヒューコヒューと必死に息をしている。 一瞬の出来事だった。 「ミィィィイァァァアアアアアアアアアアアアア!!」 母タブンネはパニックを起こし、涙と鼻水を滝のように流し悲痛な叫びを上げた。 子タブンネ達は母タブンネのお腹にしがみつき、プルプルと震え、怯えた声で鳴いている。 私は絶句するしかなかった。あんなに仲の良く、幸せな家族が一瞬で崩壊してしまったからだ。 そしてキリキザン達の刃物のように鋭い目線が、私たちに向けられた。 「ミヒィィィィイッ!!」 タブンネ親子は阿鼻叫喚とし、我先に草むらに向かって逃げ出した。 もちろん私も死の恐怖を感じ、家の方向へ全力で走り出した。 殺される。死にたくない。怖い。逃げたい。 心のあらゆる感情が恐怖に支配され、私は必死になって手足を動かした。 そうだ、あのタブンネ達は・・・ キリキザンの おいうち! 河原にいたキリキザン達が一斉に逃げおおせる私たち目がけて走り出した。 背後からバシャッ!と水を蹴る音が聞こえた。石を踏む音がする。怖い。いやだ。死にたくない。 恐怖に駆られ思わず振り返ってしまった。 ドクロッグの足にしがみつき、必死に足止めをする父タブンネの姿があった。 だがゴミのように蹴飛ばされ、ついには川に投げ入れられてしまった。 ドボンと血まじりの水しぶきを上げ弱弱しく沈んでいく父タブンネ。川が赤く染まっていく。 そして、父タブンネの血に濡れてひしゃげた尻尾が川から顔を出した。 信じられなかった。数分前までは、あんなに元気だった父タブンネが・・・ 「ミギャァァアアアアアアアア!!」 母タブンネの悲鳴が聞こえた。 私は悲鳴のした方を見ると、そこには地獄絵図が広がっていた。 一匹のキリキザンが母タブンネに馬乗りになり、ザクザクと顔や体に刃を突き刺している。刃を抜くたび、血が空を舞う。 子タブンネも逃げられるはずもなく、既に一匹の子は目と目の間に刃を刺され、血にまみれて絶命していた。 まだ生き残っている子タブンネ達は、まるで技の練習台のようにもて遊ばれながらその命を終えようとしている。 「ミ゛ギヒィッ!ミ゛ィィイイ!」「ミギッ!ミギィッ!ンギィィイイイ!」「ギィィィヤァァァアア!」 いまにも消え去りそうな大声が私に助けを求める。 私はいつのまにか足を止めていた。足が震えている。 どれくらいの時間が経っただろう、タブンネ達のまわりには、血のじゅうたんが出来上がっていた。 そのじゅうたんの上で子タブンネ達が壊れた人形のように傷まみれになって突っ伏している。 「ブミ゛ィ゛ィィィイイイイイイイ!!」 力無く横たわる母タブンネが絶望の叫びを上げた。 キリキザン達は満足したようで、足にまとわりつく子タブンネの死体を蹴散らすと河原に向かって歩きだした。 どうやら私は生かされたようだった。 そして、母タブンネと私の目があった。 「ブィィイ・・・ギヒィィィイイ・・・・・・」 喉を刺されまともな声も出ず、手足も切断され、体中のあちこちから血を吹き出す変わり果てた母タブンネがそこにいた。 もはやそれは、タブンネの原型を留めていなかった。 母タブンネは血涙を流し、死にもの狂いで私に助けを求めていた。 子タブンネは手足を切断され、首もとれていた。 尻尾は血に染まり、あんなにくりくりで可愛かった瞳は刃に刺され跡形も無くなっていた。 私は必死に鳴き続ける母タブンネを後目に、恐怖のあまり泣き叫びながら走り出した。 いつの間にか家の前にいた。 狂ったように走った。足が壊れそうになるまで必死で走った。 走っている間、ずっと母タブンネの顔が脳裏に浮かんでいた。 「なんてことをしてしまったんだ・・・」 私はタブンネ家族を見殺しにしてしまった。 後悔と罪悪感が押し寄せる。 ああ、どうにかなってしまいそうだ。 罪悪感が心を支配する。何かを求め、狂ったように家の中に入った。 そして真っ先に台所に向かった。 包丁だ。 太陽に反射して、鋭い光を放っている。 そして私は、その包丁で自らの首をかき切った。 翌日、その街にたくさんの警察が来ていた。 家には男性の死体、離れた河原には大量のタブンネの惨殺死体。 男性の死因は自殺。手に持っていた包丁で、自分の首をはねたようだ。 タブンネ達は刺し傷、切り傷だらけで、どれも手足が取れており、中には首も取れている死体があった。 男性との関連性は強いようで、警察はこの男をタブンネ殺しのサイコパスと断定した。 後にその男性はタブンネ愛護団体に所属していた事が判明。 これを機に愛護団体は批判の対象となり、社会からその姿を消した。
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とある採石場。 タブ虐愛好会が借りたこの場所に、何組ものタブンネ家族が集められた。 タブンネたちの顔には、不安と決意の両方の感情が浮かんでいる。 そんなタブンネたちの目の前には、大きな岩や、無数の石が転がる急斜面がある。 タブンネたちはここで競争をさせられることになっている。 競技内容は『ヒルクライム』と『ダウンヒル』の2つ。 1位でゴールしたタブンネとその家族には大量の木の実が与えられる。 そして、それ以外のタブンネはその場で即座に殺されることになっている。 競技に参加するタブンネと、そのタブンネの家族たちがそれぞれ所定の位置に誘導されていく。 タブンネたちにとって、過酷にすぎる2つの競技がいよいよ開始される。 ヒルクライム編 ダウンヒル編 名前 コメント すべてのコメントを見る
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チャンスは突然訪れた。 町長が3日後に町で重大発表をすると言うのだ。その日は観光業を休みとし、テレビ局のカメラの前でそれを発表すると言う。既にテレビ局の手配も済んでいるそうだ。 相変わらずワンマンな町長な事だ。 町民たちは会合し、その日を全てのタブンネへの復讐を決行する日と決めた。 町民たちはその日に向けて、色んな準備を進めていった。 町長が3日後と宣言、町民達が会合をした次の日の夜、町長の家へと町民達は足を運んだ。 町民「町長、おはようございます。明日の件でお話があるのですが・・・」 町長「何だね?」 町民「扉を開けていただけますか?資料をお見せしたいのです。」 町長は扉を開く。開いたところで隠れていた町民たちは扉を大きく開き、中へと突入した。 町長「いきなりなnムグッ!!」 町民達は町長にキノガッサの胞子を被せ、町長を眠らせた。 そして町民たちは町長の家へと入った。玄関を潜ると普段見慣れたタブンネと違って、少し小柄で見た目がとても可愛らしいタブンネが4匹「ミィミィ♪」と甘えた声を出しながらやってきた。 しかしそのタブンネ達は、急に眠った町長を見ると、少し怖がってしまった。うるさくなりそうなので、町長と同じくキノガッサの胞子で眠らせた。 町長の家を皆で物色してみた。すると、タブンネの愛護団体からの表彰状がたくさん出てきた。その御礼を兼ねて~と書いてある紙を見つけた。 どうやら愛護団体からお金を沢山貰っていたようだ。つまり町長は、複数の愛護団体に所属していたらしい。 町民達は町長がお金をなによりも大切だと思っていたと勘違いしていたが、町長は熱心なタブンネ愛好家だと言う事を知った。Cのお爺さんの事業をやめさせた理由もタブンネを愛するが故だったのだろう。 お金のためだけならば、わざわざタブンネを家の中でも飼うわけがない、タブンネは文字通り腐るほど町中に湧いて出てくるのだ。 町長はボコボコにした後テレビ局のカメラの前で今までのことを全て話し、世界中に晒してやるつもりだったがそれよりも苦しめてやることが出来ると知り、町民たちはニヤりと笑った。 町民達は町長と、無駄に可愛いタブンネ4匹を担いで工場へと入っていった。 いつも暴行するのに使っていた部屋で町長を椅子にきつく縛る。4匹のタブンネ達は縛って転がしておいた。 その部屋の中には大勢の町民とポケモン達の他、特性が再生力の全身禿と、全身が痣と血にまみれのタブンネが居た。二匹とも倒れていた。 全身禿は今日もずっと暴行させられ続けていたのだろう。特性が再生力と言えど朝から晩まで町民とポケモン達に暴行され続けることを繰り返したタブンネの身体が治りきるはずもなく、傷だらけだった。 そして毎日死んだ自分の同族を食べさせられていたのだろう。栄養状態が一気に悪くなったためか、顔色は良くなかった。そして目には相変わらず光が宿っていなかった。 6匹のタブンネと町長に熱湯をかけ、目を覚まさせた。 「ミビャ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙」「あ゙づあ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ」 タブンネと町長の叫び声が聞こえました。 町長の可愛がっていた4匹の鳴き声はとても可愛く、その叫び声は町民達をより一層喜ばせてくれた。 町長「何をするんだ!!町長である私に向かってきさまらぁぁぁぁ」 町民は町長の顔を力を込めて一発殴った。そしてブバッっという汚い声をと血飛沫を上げる町長に言い放った。 「町の平穏よりも、町民よりも、町に住んでいたポケモン達よりもタブンネと金を自分の思想で優先したお前はもう町長ではない。ここで地獄の苦しみを味合わせてやる」 そして元町長の口を縛りあげた。その光景をタブンネ達は震えながら見ている。暴行されていたタブンネは元より、無駄に可愛いタブンネ達はただ震えているだけだった。 4匹のタブンネ達はきっと町長だった人間にずっと可愛がってもらっていたんだろう。毛並みもそこら辺のとは比べ物にならないくらい綺麗だった。 町民達はタブンネ達に言い放った。「イスに縛られた人間を暴行しろ。そうしたらお前たちは助けてやる。」 全身禿は大きく頷いた。4匹のタブンネ達は首を横に振り、涙を流していた。しかし血と痣まみれのタブンネは全く動かなかった。 どうやらそのタブンネは四足を折られていたらしい。動けないタブンネに要はない。そう言って町民はそのタブンネを蹴飛ばすために近づいた。 しかしその歩みは農家の人に止められた。 農家の人「どうせならそいつからやらせようぜ。」町民達は頷いてタブンネ達に言い放った。 「先にその死に損ないを暴行しろ。そしてとどめをさせ。しなければお前らを苦しめて殺す。」 その言葉に4匹のタブンネ達は震える。しかし全身禿は「ミ゙ーーーーッ゙!」と叫びながら倒れている血だるまタブンネを思い切り蹴り飛ばした。 「ヒビ゙ャ゙ッ゙」短い叫び声をあげながら血だるまは壁に激突する。痛みと暴行された辛い記憶を思い出し、「ビィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙」と掠れた声で叫び続けた。 全身禿はレベルが高いわけではなかったが、今までの暴行をされ続ける地獄の日々から解放されるのなら・・という悲痛な願いから湧き出る力なのだろう。 血だるまは再生力の力が無いため、暴行の傷が癒えておらずダメージも大きいのだろう。 全身禿は血だるまを殴る蹴るの暴行をし始めた。血だるまのタブンネは掠れた声で叫び続ける。 4匹のタブンネ達と、元町長はその光景を涙と涎を流しながら見ているだけだった。 町民達は4匹のタブンネ達の縄を外し、「そんなに死にたいのか」と言い放ち、一匹の蹴り飛ばし、尻尾に手をかける。 タブンネは小さい足をばたつかせながら「ミィ・・・ミィ・・」と許しを乞う鳴き声をあげた。3匹のタブンネも同様の鳴き声を上げ、町民を見ている。 しかしその願いを一蹴するように笑い、タブンネの尻尾を引き抜いた。 「ミ゙ッ゙ギァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!」と甲高い叫び声と尻から血を流しながらタブンネはこちらを見ていた。 綺麗に手入れされて真っ白な尻尾があったところには、赤黒い骨だけが残っていた。 見栄えが悪いので、尻尾の骨を折りとってあげた。見栄えを良くされたタブンネは泣きながら「ミ゙ッ゙ギァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!」とまた叫んだ。 元町長はその光景を暴れながら「ンヌゥ~~~」と叫んでいた。 「やらないとどうなるかわかった?」そう問いかけると、4匹のタブンネは大きく頷き、全身禿と共に血だるまのタブンネを暴行し始めた。 集団でタブンネがタブンネを暴行するその光景は、元町長にとって地獄絵図でしかなかった。愛するタブンネが・・しかも自分が愛情を注ぎ育て続けたタブンネが必死の形相で違うタブンネを暴行しているのである。 元町長は口を縛られながら叫び続けていた。やがて、掠れた声の絶叫が止まった。町民たちが暴行をしていたタブンネ達の腹を蹴り飛ばし、血だるまを確認すると血だるまは死んでいた。その形相は、苦痛と絶望に満ちていた。 蹴り飛ばされたタブンネ達はお腹を抑え、嘔吐していた。全身禿は中途半端に消化された赤黒い肉を、他のタブンネ達は消化不良のオボンやモモンの実を吐き出していた。 それを手袋で掴み元町長の口へと運び、「喰えばタブンネ達を助けてあげる。」と言い、元町長の口縄を解いてやる。そして口に入れたが、町長も嘔吐した。 ちゃんとやれよ。と呟き、町民達は笑いながら尾がなくなったタブンネを集団で暴行し始めた。20分程暴行を繰り返し、一度解放した。 そのタブンネは全身が痣だらけになり、色違いのようになっていた。その光景を見せつけられていた元町長にもう一度問う。「喰え」と。元町長は泣きながら首を縦に何度も振った。 そして口にタブンネの嘔吐物と、血まみれの尻尾を口に何度も運んで食べさせた。元町長が必死の形相でタブンネ達の嘔吐物を食べるその様子は皆の笑いものになっていた。 タブンネ達は震えるばかりだった。唯一全身禿は、早く解放されたいらしく元町長を如何にも殺してやろうというような表情をして見つめていた。 元町長を苦しめたいので、全身禿には違う命令をした。尾無しのタブンネを縛られた人間の前で暴行して殺せと。 全身禿は頷き、必死な顔で尾無しを暴行し始めた。全身禿の狂気に満ちた声と、尾無しの辛そうな掠れた声が響く中、もうやめてくれと泣きながら叫ぶ元町長。その元町長に近づく3匹のタブンネ達・・・ 元町長は3匹のタブンネを見て、少し和らいだ表情になった。だがそれは一瞬の事だった。3匹のタブンネは縛られた元町長を殴った。そしてイスは倒れ、元町長の顔を中心に暴行し始めた。 その時の元町長は死にそうな表情だった。 タブンネ達は町民たちに屈したのである。 元町長が全身痣だらけになり、歯が何本も折れている状態になったので、タブンネ達を殴って一旦止める。一件ひ弱そうなタブンネ達も必死になれば結構出来るようだ。 全身禿に暴行され続けていた尾無しのタブンネは既に絶望の表情のまま死んでいた。尾無しの死体を元町長の縄にくくりつる。そして全身禿を大人しくなるまで暴行し続ける。 大人しくなったら縛り上げた。他の3匹はよく出来たね。と褒めてあげてから腕だけを縛った。 町民達は満足し、自分たちの家に帰っていった。 次の日(復讐決行日の前日) 朝になったので今日非番の者達が町長だった人のもとへと行く。 3匹のタブンネは縛られた元町長にずっと寄り添って眠っていた。全身禿は壁際で寝ていた。 3匹のタブンネ達の前足の縄を解いでやった後、いつものように熱湯をかけて起こしてあげる。今日は元町長も熱湯をかけて起こしてやった。 「ミ゙ビャ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙」「ぐがぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙」と絶叫しながら目を覚ました。 3匹のタブンネも元町長はやけに騒ぎ続けていた。そんな元町長を心配そうな顔で見つめながら元町長に寄り添う3匹のタブンネ。 タブンネ達が元町長に触れると元町長は更に大きな絶叫をした。 実は今日のはただの熱湯ではなく、塩分たっぷりの食塩水だったのだ。元町長はすごい絶叫をしてくれている。 全身禿のタブンネ以外は昨日と比べ皆回復していなかった。どうやら再生力ではないようだ。 町民「そんなに大好きな人をそんなに傷だらけにした酷いのは誰だろうなぁ~♪」と意地悪く言う。 また泣きそうなタブンネ達は元町長に更に強く寄り添った。しかし傷が塩水で染みる元町長にタブンネが強く触れると、元町長はとても苦しんだ。 その苦しみ様を見て泣き始め、3匹のタブンネ達は元町長に強く抱きついた。 元町長は苦痛の表情をしながら絶叫する。タブンネ達はそんな元町長を更に強く抱きしめる。 地獄の無限ループになっていた。町民達は大笑いしながら、その光景を見ていた。 1時間程その光景を見て飽きた町民達は3匹のタブンネを蹴り飛ばしてどかした。 そして元町長に「こいつらは自分の為にお前を傷つけた。所詮タブンネなんてそんなもんだよ。それでもお前はタブンネが好きかい?」 その問に元町長は「当たり前だ。この子達がそうしたのも全て貴様らのせいだ!」と叫んだ。 答えをきいた町民は笑いながら元町長に冷たく「この3匹のタブンネの内、一匹をお前の手でたっぷりいたぶってからから殺せ。ちゃんと出来たら残った2匹とお前は助けてやる。」と言い放った。 それを聞いて絶句し、顔が青ざめる元町長。 町民は畳み掛けるように「嫌ならいいよ。俺たちが3匹を一匹ずつお前の目の前でたっぷり可愛がってから殺してあげるから。その時はお前は解放せず、他のタブンネ達を沢山捕まえてきてお前の目の前で暴行し続けるだけだ」 この言葉を聴いた元町長は悔しそうに泣きながら、首をゆっくり縦に振った。それを確認した町民は「俺らがこうなったのも、タブンネを苦しめる事になったのも全部お前のせいだ。その恨みたっぷり仕返しさせてもらうよ。」 「まぁそれはいい。俺たちが満足するように苦しめる事が出来ずに殺してしまったら生きてるタブンネでやり直しな。しっかり苦しめろよ。」 それを聴き、元町長は声に言葉になっていない悲鳴を上げた。 少しでも長く元町長の愛しているタブンネと元町長を苦しませる為に、3匹のタブンネ達をすごいキズぐすりで回復してやった。 傷がふさがり、痛いのがどこかに飛んでいった3匹のタブンネ達は喜び、「ミィミィ♪」と無駄にかわいい声で鳴き、3匹で抱き合っていた。1匹の家族を失い、まだ解放されていないというのにのんきなもんだ。 可愛らしいタブンネ達を虚ろな目で見つめる元町長の縄を切った。縄を切られた元町長は尾無しのタブンネの死体と共に床に崩れた。 全身禿は震えながら倒れている。町民は尾無しの肉塊を全身禿の口元に持って行き、食べろと言った。 全身禿は逆らっても逆効果だということをわかっていた。全身禿は縄に縛られ倒れたまま尾無しタブンネの肉塊をなんとも言えない表情をしながら食べはじめた。 元町長が縄から解放された事に気づいた3匹のタブンネ達は、元町長の所へ嬉そうに走って行き、そのまま元町長を抱きしめた。元町長の顔が少し強張ったが、声をあげることはなかった。 元町長は啜り泣きをしながら自分を抱きしめる3匹のタブンネを見ている。町民達はそれをニヤニヤしながら見守った。きっとどのタブンネも元町長が出来る限りの愛情を注ぎ続けていたのだろう。 元町長は独り身だ。昔結婚していたらしいが、妻を病気で亡くしていたらしい。きっとタブンネ達を家族として、まるで自分の子供のように溺愛していたのだろう。 そんなタブンネ達の中から一匹を選んで沢山苦しめる暴行をした後その子を殺すのだ。元町長の心情を察した町民は居たが、同情をした人は居るわけがなかった。 一方その頃全身禿は元町長が愛情を沢山注いだタブンネだった肉塊を吐き出しそうになりながら少しずつ平らげていた。その光景を元町長は複雑そうな顔で何度もチラチラ見ていた。 元町長は、自分を抱きしめる3匹のタブンネを見続ける。30分程経っただろうか。元町長はタブンネ達に離れるように言う。 そして、一匹のタブンネの腹を蹴り上げた。「ミ゙ッ!」という声をあげながら吹っ飛ぶタブンネ。それを無事な2匹のタブンネは呆然として固まった。 蹴られたタブンネも「なんで?どうして?大好きな人にこんな事されたの?」というような顔をしながら元町長を見ている。元町長は泣きながらそのタブンネの顔を殴った。殴られたタブンネは元町長から逃げ、 「ミィミィ!」というような子どもが駄々をこねるような口調で元町長に何かを訴えた。 しかし元町長は「許してくれ・・」と言い、狙いを定めたタブンネを暴行し始める。「ミィ!ミミミミィ!!」といういつも殴られる時に出す絶叫とは全く別の鳴き声でタブンネは暴行され続けた。 タブンネの目には大粒の涙が沢山出ていた。 固まっていた2匹のタブンネが元町長の所へと走り出し、一匹は元町長の腕に泣きながらしがみつき、もう一匹は暴行されていたタブンネを庇うように抱きしめた。 そして2匹が「ミィ~ミィミミィ!!」と元町長に訴えかけ続ける。元町長は「すまん」と言い、二匹のタブンネ達を振り払う。そして再びタブンネを暴行し始めた。 しかし振り払われた2匹は諦めずに元町長を邪魔し、暴行されるタブンネを庇おうとする。それを延々と繰り返していった。 見事な種を越えた家族愛に町民達は驚く。しかしその家族愛は、タブンネ達と元町長を一層苦しめるだけだった。 邪魔される事に腹を立てたのか、元町長は邪魔をするタブンネ達の顔を殴り飛ばした。 その二匹は「ミ゙グッ」と小さい声をあげながら後ずさりし、怯える表情で元町長と暴行されていた家族を見る。そして元町長がまた暴行を始めると、「ミァァァァァァン」と2匹揃って泣き出しだ。 2匹は寄り添い、ギュっと抱き合いながら元町長の暴行を見届ける。全身が痣だらけになったタブンネは泣き疲れ「フィィ・・」と掠れた声でまだ元町長に何かを訴えていた。 町民達にはその意味はわからないが、泣いてる2匹と元町長にはきっとその意味がわかるのだろう。精神的に苦しめてくれていたようだ。 その声に腹をたてた町民が元町長に怒鳴った。「両耳をちぎってやれ!」と。 元町長は顔をしかめるがすぐに何かを決意した顔になり、暴行していたタブンネの耳を掴む。不安そうに見るタブンネ達。 次の瞬間耳を掴みながらタブンネを振り回した。あまりの痛みにとうとう何かを訴えるような声ではなくなり、「ミ゙イ゙ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙」という声で叫ぶタブンネ。 耳はタブンネの長所であるらしい。長所ということは急所でもある。その耳をぐっと掴まれちぎるために振り回されているのだ。おそらく物凄く痛いのだろう。 その光景を、町民達は笑いながら見ていた。 振り回し続けられるタブンネの声が少しずつ激しくなっていく。 ブチッ!という音と1拍子遅れて「ビヴ゙という煩い叫び声が聞こえた。耳を掴まれていたタブンネは吹っ飛んだ。 吹っ飛んだタブンネを見ると、片耳がなく、赤い血がどくどくと噴き出すように流れている。その耳があった付け根の部分をものすごい表情をしながら抑えていた。 元町長は「すまん・・すまん・・!」とつぶやきながら、頭を抱えて座り込んでしまった。 町民は元町長に「もう片方残ってるぞ!」とまくし立てる。 元町長はタブンネに向かいながら「許してくれぇぇぇ」と言いながら近づいた。片耳は元町長を怖がり、走って逃げ出した。 傷だらけの元町長はあまり早く走れなく追いつけなかった。おそらく歳のせいもあるのだろうが。 どちらが鬼かわからない顔をしている追いかけっこは延々と続いた。元町長では片耳に追いつけないらしい。 イラついた町民は、寄り添って抱き合うタブンネに近づき、「あの片耳を捕まえろ。」とタブンネ達に言った。 タブンネ達はそれを聞いて「ミィ!ミィ!」と拒否する。しかし、「お前も死んだ家族のように惨めに死にたいか?」という一言でタブンネ達はおとなしくなった。 そして、逃げて壁際に居る片耳の所へ走る。片耳は二匹が助けてくれるのかと思ったのか、安堵の表情を見せ、二匹のもとへと駆け寄っていく。 しかし2匹のタブンネ達が片耳を抑えた。裏切られた片耳は「ビグィ゙ィ゙ィ゙!!」と叫び、首をキョロキョロさせて暴れた。 二匹の抑えられて動けない片耳に元町長はゆっくりと近づき、残った耳を掴んだ。タブンネは叫び始めたが、元町長はまたも何度も何度も振り回しはじめた。 片耳はまたも絶叫し続ける。そして10分程振り回されたとき「ミ゙ブィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙!」という声を上げ、吹っ飛んだ。タブンネの両耳がなくなった。 掠れた声で泣きながら、両耳があったところを抑えるタブンネに元町長は近づき、今度は尻尾を掴んだ。尻尾を掴み引っ張り始める元町長。 タブンネは手足をジタバタさせながら「ギャ゙ビィ゙ィ゙ィ゙~」と叫び続けた。そして断末魔のような声をあげる。 尻尾はタブンネの尻尾から完全に無くなった。元町長は火事場の馬鹿力のような力で掴んだのだろう。骨ごと引きぬかれていた。 尻尾を失ったタブンネは泡を吹き、気絶していた。 町民達は元町長に一旦やめるように指示をした。そして元町長に鋸を渡し、2匹のタブンネ達に、耳と尾無しをしっかり抑えるように指示をした。 元町長には何もいっていないが、すぐに理解しただろう。顔が青ざめ、少しの間固まった元町長だが、鋸を使い、耳と尾無しの右腕から挽きはじめた。 「グビャ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙」ともの凄い絶叫を上げ目をさました。 必死に暴れる耳と尾がないタブンネと、必死の形相でそのタブンネの腕を挽く元町長と、泣きながらタブンネを抑える2匹のタブンネ。 まさに地獄絵図であった。 耳と尾なしはなんとか抜け出した。しかし右腕は骨まで切られており、血がどくどくと流れていた。 そして元町長に殴りかかった。殺されるなら・・とでもいうのだろう。元町長はその攻撃を受けて倒れてしまった。耳と尾無しは元町長に追撃しようとしたが、元町長の足蹴りを喰らってうずくまってしまった。 元町長は怒鳴り声を上げながら耳と尾なしを容赦のない攻撃をしはじめた。 2匹のタブンネはそっぽを向き、震えて耳を抑えて丸まっていた。 「ミ゙ッ゙ヴャ゙ァ゙」耳と尾なしは耐えられずに倒れてしまう。元町長は足でタブンネの短い足を思い切り体重をかけて踏み潰し、鋸を挽いた。 耳と尾なしは暴れるが、本気の元町長には敵わず、叫びながら切り裂かれて言った。 そして骨をゴリゴリ削られ、右腕がポロリと落ちた。タブンネはまたも逃げ出そうとするが、元町長に足をかけられ倒れてしまった。 うつ伏せになりながら、左腕でもがきながら逃げようとするタブンネ。しかし元町長はそんなタブンネを踏み潰し、今度は右足を挽き始めた。「ブビィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙!」叫び続けるタブンネ。 そんな事を繰り返しながら四足は完全になくなり、タブンネはダルマになった。 タブンネは息も絶え絶えになりもう死にそうである。元町長は今度は腹を何度も踏み潰す。「ミ゙ギャ゙ッミ゙ギャ゙ッミ゙ギャ゙ッミ゙ギャ゙ッ」潰される旅に叫ぶタブンネ。 やがて元町長は首に鋸の刃を当てた。少しずつ鋸を挽く元町長。ダルマとなったタブンネは涙を流しながら元町長の顔をじいっと見た。見続けながら首を切られ、叫んだ。 骨まで達すとヒュ~ヒュ~という呼吸音と共に、「ミ゙ヴォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ッ!」という断末魔が発し、ダルマになったタブンネは元町長に憎しみのまなざしをしながら死んだ。 死んだ・・否、自分が殺したタブンネを見ながら元町長はすまん・・と何度も言いながら泣き崩れた。 町民達はそんな元町長に「お疲れ様~♪いい物見せてもらったよ♪」とご機嫌な様子で言った。 元町長はそんな町民達にものすごい表情で睨んだ。 その顔を見た町民達は、「随分と偉そうな態度だね。俺らやっぱ満足してないからもう一匹をさっきのより苦しめてから殺してくれよ。」と言った。 絶望した元町長と、2匹のタブンネ。元町長は鋸を掴んで、こちらに襲いかかってきた。 だが、疲れきった元町長では町民達の相手にすらならなかった。鋸による攻撃を避けられ、その腕を掴まれ、腹に見事な一撃を喰らう元町長。グボッという声を発しながら、うずくまった。 町民の一人が「まぁ町長だった人頑張ってくれたし元町長はやらなくてもいいか。あの二匹で戦って、生き残った方を助けてやらないか?」と言った。 町民達はそれに同意し、元町長を再び縛り上げた。 2匹のタブンネは、心配そうにこちらを見ていた。町民は二匹に「お前ら殺し合え。生き残った方と元町長を解放してあげるよ^^」と笑いながら言う。 二匹が絶句し、お互いの顔を見合わせた。町民は畳み掛けるように「じゃあ元町長さんとお前ら全員死んでもらおっか^^」と再び笑いながら言った。 その話をきき、ミィミィ・・と媚び始めるタブンネ達。町民達は元町長を思い切り蹴飛ばした。それを見て「ミィィィィィィィィ」と悲痛な叫び声をタブンネ達は上げた。 少し見合わせた後、小柄な方のタブンネがもう一匹の頬を殴った。 頬を殴られたタブンネは尻餅を着き、頬を抑えながら、目をまん丸にして、小柄な方を見ていた。ミィミィ!!と何かを訴えているが、小柄な方は追撃をする。 その光景を元町長は死んだ魚のような目をしてジーっと見ていた。 小柄なタブンネは必死の形相で「ミ゙ー!ミ゙ィィィィ!」と叫びながら殴り続ける。もう一匹も殴り返しはじめた。蹴り等も交えながら2匹の決闘は始まった。 あれ程可愛らしかったタブンネ達は今、その可愛らしさの欠片も見せず叫びあい攻撃しあう。レベルは低いが、それなりの見ごたえがあった。 奇声を両者は上げながら殴り合う。やがて一匹が倒れる。小柄な方が先制攻撃をしかけていたのが効いたのか、少し大きいほうが倒れた。 そこにマウントし、「ミ゙ー!」と叫びながら攻撃し続ける小柄なタブンネ。 倒れて攻撃された方はあざと血にまみれ、叫び続けるが、その叫び声が止まった。 タブンネ達に町民達が近づく。倒れているタブンネは息はしていなかった。死んでいた。 元町長はそれを虚ろな目で見続けていた。きっと見るに耐えられなかったのだろう。 いい表情だ。元町長の縄を解いてやったが、元町長はその場から崩れ去り、動かなかった。 町民達は生き残ったタブンネを笑顔で頭を撫でながら「これでおうちにかえれるね♪」と軽い声で言った。 小柄なタブンネは少しも嬉しそうではなかったが、溜息をつきながら元町長の所へとぼとぼと歩いていった。 生き残った小柄なタブンネは元町長の所へと辿りつき、「ミィ~・・」とか細い鳴き声を発した。 元町長が小柄なタブンネにゆっくりと手を伸ばす。そして撫でようとした瞬間小柄なタブンネは「ビギュッ゙」という声を上げ、吹き飛んだ。 吹き飛んだ傷だらけの小柄なタブンネに更に追撃しようとする者が居た。 それは全身禿だった。実は全身禿は、生き残った方のタブンネを殺せば解放してやると、町民に言われ、縄を解かれていたのだ。 「やっと・・やっと地獄から解放される。」そう思ってた小柄と元町長にとってそのふいうちは素晴らしいほど効いた。 小柄に全身禿はマウントし、何度も何度も殴りかかった。表記出来ないような奇声を出しながら暴行し続ける全身禿。それをニヤニヤしながら見続ける町民達。 元町長は全身禿を蹴り飛ばし、小柄の安否を確認する。小柄なタブンネは「フィィ・・」と弱々しい声を発しながら元町長を見る。絶望に満ちた良い表情だ。 そんな二人に全身禿は再び襲いかかる。蹴り飛ばされ、倒れる元町長。そして再び暴行される小柄。元町長は怒り、全身禿を攻撃しはじめた。 全身禿と元町長は奇声を発しながら攻撃しあう。実力伯仲で、なかなか勝負がつかない。意外な好勝負に町民達は沸いた。 しかし全身禿は今日は殴られていないのでかなり回復出来たようだ。一方元町長は、殴ったり、殴られたり、走ったりで体力を大きく消耗していた。 全身禿が優勢になり、元町長を何度も何度も殴り続けた。小柄なタブンネは「ミ゙ミ゙ミ゙ミ゙ミ゙ミ゙」と叫び、全身禿を攻撃し始めた。それを好機とし、元町長も全身禿を攻撃し始めた。 全身禿は抵抗したが、さすがに必死な1人と一匹の攻撃には耐えられず、されるがままになっていた。やがて全身禿の動きと叫びは止まるが、元町長と小柄なタブンネは暴行し続けていた。 小柄が息を切らし、倒れると、元町長は攻撃をやめ、小柄に詰め寄った。元町長は小柄に謝りながらその体をゆすっていた。 全身禿はゆっくりと動き出した、まだ死んで居なかったのだ。全身禿はビギャァァァアと絶叫しながら元町長をどついて、小柄を暴行した。 狂気の表情で攻撃をし続ける全身禿を、元町長は殴り飛ばした。お互い体力は限界らしい。全身禿は倒れる。 倒れた全身禿を元町長は殺気の篭った拳をぶつけ続けた。そして、全身禿の首を掴み、長い間しめつづけ、殺した。 戦いに勝った元町長は小柄の元へと這いずりながら行く。たどり着いた時に、元町長は絶叫を上げた。小柄は体力の限界の後に暴行され、事切れてしまった。 元町長は小柄を泣き叫びながら抱きしめた。 町民達はその光景を見て満足し、元町長を地下室に入れ、監禁した。 この光景はしっかりビデオカメラに収めている。 今日来れなかった元町長に恨みを持つ人は仕事が終了後に見て、皆満足した。 明日はタブンネ達に復讐する日だ。ポケモン達を含む町民達にとってずっと待ち望んでいた日がもうすぐ来る。
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ここはイッシュ地方の孤島にあるタブンネ裁判所。その名の通り、タブンネを裁くための施設だ。悪事を働いたタブンネが世界中からこの裁判所に送られ、法の裁きを受ける。 しかし法と言っても、この世界にはポケモン自体を裁く法律は存在しない。実はこの裁判所はタブンネ虐待愛好会が作ったものであり、タブンネを裁く法律は全て愛好会によって非公式に定められたものだ。 もちろん通常の裁判とは異なり、厳粛な決まりは無く非常にラフな形式を取る。あくまでも虐待を楽しむ手段だからだ。 「静粛に!それでは開廷します」般若の面を被った裁判長が鉄槌をベビンネに叩きつける。バキボキと骨が折れる音で裁判は始まった。 「被告人1番・あぶらみ、糞豚容疑で逮捕」裁判長が番号・名前・罪状を読み上げると縄で縛られた一匹のタブンネが法廷に姿を表した。 ボンレスハムのような体を捻り縄から抜けようとするが当然無理である。 「えー、被告人は4日、ヒウンシティのアイスクリーム屋を襲撃しヒウンアイス600円相当を強奪、さらに店主に全治2週間の不快感を与えた」 「ミィィッ!ミフォッ(僕にアイスを売らなかったから奪ったんだミィ!文句あるかミィ)」タブンネは裁判長に悪態を付いた。タブンネの言葉は翻訳機を通して人間にもわかるようになっている。 「くたばれ外道!」「私のアイスを返して!」「死んで償え!」傍聴席からヤジが飛ぶ。投げられた石が一つ、タブンネの頭に当たった。 「ミフーッ!ミブッ!(なにするミィ!殺してやるミィ!)」タブンネは癇癪を起こし、地団駄を踏みながら歯を剥き出した。 「静粛に!静粛に!」裁判長が鉄槌をベビンネに振り降ろす。傍聴席は静かになったがタブンネはまだミィミィ騒いでいた。 「えー、被告人は身勝手な理由により強盗を働き、さらに法廷を侮辱しました。よって判決、死刑!」 「ミィィィ!ミミッ!!(意味がわからないミィ!ふざけるなミィ!)」 するといきなり法廷に筋肉質の死刑執行官が5人入ってきて、タブンネの顔面を殴ると隣の執行室へ引きずっていった。死刑はすぐに執行され、その様子は法廷の巨大モニターで見ることができる。 タブンネは執行室に連れてこられると補助係のドーブルにより抵抗できなくされる。 まずトリックで持ち物を没収され、次に金縛りで動けなくされる。そして封印と変身で技を使えなくされるのだ。 「1番・あぶらみ!貴様は名前通り油の刑だ、フライドタブンネの刑に処す!」裁判長が叫ぶと執行官は一斉に柄杓を持ち、バケツに入った煮えたぎる油を動けないタブンネにかけ始めた。 「ミギャアアアア!ウギギギィ―――ッ!!(みぎゃああああ!熱いよぉ―――っ!!)」 ジュウジュウと音を立ててタブンネの全身が高温の油で焼かれていく。 「ギチヂヂイ!ミボオボオボボボッ!!(もうしまぜん!もうじまぜんがらあ!!)」 淡いピンク色のチョッキ模様の皮膚はベロベロと剥がれ落ち、醜い肉と脂肪が泡を噴いて溶ける。 「ミ゛ジシャャアィアアア!ヴジュイイェェ!!(ごめんなざい゛!ごべんなざいぎぎぎぃぃ!!)」タブンネは白濁した目から涙をぼろぼろ溢しながらただひたすら懺悔していた。 そのうちにタブンネの表面がパリパリと揚がっていき、美味そうな匂いが立ち込めてきた。フライドタブンネの完成である。 執行によりタブンネ料理が完成した場合、休廷時に裁判官や傍聴者、原告などに振る舞われることになる。このシステムにより被害者は満腹感の中で心から救われるのだ。 「被告人2番・マランネ、電子計算機使用詐欺罪並びに電子計算機損壊等業務妨害罪並びに名誉毀損で逮捕」 裁判長が番号・名前・罪状を読み上げると「マランネ」が一匹法廷に現れた。 しかし、それは紛れもなくタブンネであった。耳があった、手があった、尻尾があった。 「えー、被告人は11日、GTS…グローバルトレードステーション内のポケモン交換所において、名前を偽りマランネとして通信交換を成立させた。これによりGTSサーバーに不正処理を起こし、通信回線を約5時間もの間停止させた」 「ミッミッ!ミミィ(私じゃないです!ご主人が私にマランネなんて名付けたのが原因です!)」 「またマランネが高レートで取引されていることを利用し、タブンネと釣り合わないレートに設定されている同時4遺伝マッギョを不正に入手した」 「ミィ、ミッミッ!?(そ、それは私と関係ない罪じゃないですか!?)」 「またこの件について国際マランネ協会から、マランネを貶める行為であるとして嘆願書が提出されている」 「ミッミッ!ミッミィ!(だからそれは私のせいじゃないです!言いがかりです!)」 「えー、被告人は公共施設のシステムに異状を発生させ、個人間および企業間の取引に重大な損害を与えた。またマランネを偽って悪質な詐欺行為を行った。倫理道徳心に著しく欠けており更正の余地は無い。よって判決、死刑!」 「ミエエエエエン!」タブンネは判決を聞くとその場で泣き出してしまった。しかし泣き落としで判決が覆った例は無く、今回も同様であった。 タブンネは泣きながら執行室へ連れていかれた。 「2番・マランネ!貴様はタブンネであるにもかかわらずマランネの名を騙った!タブ切断の刑に処す!」タブ切断、それはタブンネから「タブンネらしさ」を奪う刑である。 執行官は上部にスリットがある黒い箱を運んできた。そして動けないタブンネを持ち上げるとスリットに耳のクルクル巻いた触角をあてがった。その瞬間―― 「ビャアアアアアア!!!」ガリガリガリと激しい音を立てて、黒い箱……シュレッダーの口はタブンネの触角を吸い込み、その鋭い歯でグザグザに噛み砕いた。 シュレッダーは一度食い付いた物はなかなか離さない。神経が集中している触角を切り裂き、大きな耳までも飲み込んでいく。 「ィビビャアアア!ヒィィィ(痛いよう!痛いよぅぅぅ)」 執行官が足でシュレッダーを押さえ、強引にタブンネを引っ張ると耳のあった場所から伸びた糸束のような神経がプヂプヂと小気味良く切れていく。 タブンネは痛みに歯を食い縛っているが執行官は構わずもう片方の耳をシュレッダーに突っ込んだ。 「ミギヒャャヤアアアアアア!!ミフォオエアアアアッ!(痛いよぉぉおおおおおおお!!助けてぇええええええっ!)」タブンネは両耳を失いハゲンネになった。執行官は次に、縄で一纏めにされている両腕をシュレッダーに投入する。 バキリメキリと太い骨の砕ける凄惨な音が執行室に響き、赤黒い血が床を染める。 タブンネは気絶してしまい、叫ぶことはなかった。抵抗すらせず、そのままダルマのようになっていく。 最後に尻尾がシュレッダーに食いちぎられて完成、と思いきや執行官は些細なミスに気づいた。 「ん、そういえばマランネは頭に割れ目があったな……」執行官はそう呟くと壁に掛けてあった鉈を取り、タブンネの頭に思い切り刃を叩き込んだ。 おめでとう!タブンネはマランネに進化した!しかしマランネが目覚めることは二度と無かった。 「被告人3番・ウコンネ、糞豚容疑で逮捕」法廷に現れたのはヘラヘラと笑うタブンネだった。 「えー、被告人は7日、ブラックシティで帰宅途中の会社員に糞尿を投げつけ全治6ヶ月の不快感を与えた。この他に被害届が数百件確認されtぶべら」 「ミヒィ!ブリブリ(うんこぶりぶりミィ!)」裁判長の言葉が途切れた。タブンネはなんと法廷で脱糞し、あろうことかそれを裁判長に投げつけたのだ。 「ミヒィヒィ!ミフャヒャヒャヒャ!(楽しいからやってるのに何が罪だミィ?面白いミィ!ドヤンネ~)」 「……判決、死刑」裁判長はそれだけ言うと、鉄槌の一振りでベビンネを粉砕した。唇を噛み破ったのか、般若の面の顎から血が流れる。 「ミヒヒヒヒ!!キエーーーーーッ!!!(死刑に出来るもんならやってみろミィ!)」タブンネは両手に糞を握るといきなり傍聴席や裁判官に無差別に投げつけ出した。法廷は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。 「ミヒヒヒヒ!!ミヒヒヒヒヒヒヒヒ!!ミヒッ…!?」調子に乗って糞を撒き散らしていたタブンネの動きがいきなり止まった。ドーブルが封印で「なげつける」を封じたのだ。 タブンネは懲りずに糞を投げようとするが、どういうわけか糞はタブンネの手の中から消えてしまっていた。 次の瞬間、タブンネは口の中に異物を感じたと思うといきなり真っ青な顔になって目を見開いた。トリックで全ての糞がタブンネの口の中に移ったのだ。 「フビィ!ブゴホホ!(臭いミィ!死にそうだミィ!)」タブンネは吐き出そうとするが金縛りで全く動けない。それを見て死刑執行官が一斉に飛び出し、タブンネを警棒でメッタ打ちにした。 「ブヒィイ!ンブフッ、フゴォッ!フゴォッ!グムッ!(誰か!助けて、痛いミィ!臭いミィ!死んじゃうミィ!)」 警棒の渾身の一撃が後頭部に打ち込まれるとタブンネは大人しくなった。頭蓋骨の割れ目から覗いたタブンネの脳は腐ったような茶色をしていた。 「えー、では本日はこれにて閉廷。本日のタブンネ処刑数は531匹です、お疲れ様でした」夕方、裁判長は鉄槌でベビンネを叩き潰しながら閉廷を宣言した。 これがタブンネ裁判所である。タブンネ犯罪検挙数・被害者数は近年減少傾向にあるが、それは犯罪を犯したタブンネがタブンネ裁判所で法の裁きを受けているからなのだ。 タブンネによる犯罪が無くなるその日まで、正義の鉄槌は絶え間無く振り下ろされるであろう……。 完 名前 コメント すべてのコメントを見る
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欲望の街、ブラックシティ 前回に続き、この街のポケモン産業を紹介しよう タブンネというポケモン 奴隷として、街中至る所でその姿を見かけることができる 外敵から身を守る術を持たないこの劣等種は、人間の奴隷として飼われる事でしか生きることしかできない その小汚いピンクと白の体毛は、野生ポケモンにとっても的でしかない 今回は、奴隷タブンネを生産する過程についてを見ていこう ブラックシティに強制連行されてきた野生タブンネは、枷を付けて、人間のために働く奴隷として生まれ変わる 主な調達先は一つの大きな集落であり、生息する個体全てを丸々乱獲する タブンネは無駄に繁殖力が高く、イッシュ地方の多くで集落が確認されている ブラックシティでは日々、多くのタブンネの死骸が廃棄処分されているが、新しいタブンネの供給が尽きた事は過去に一度も無い 所詮、タブンネなど使い捨てのゴミと同等である。いくらでも代えが利くのだ 野生のタブンネを服従させるため、まずは作業員が死なない程度の暴力を加える 『ミッ!ミッ!』 このタブンネは、今回の調達先の集落で一番身体の大きな個体だ まるで迫力を感じられないその醜く肥えた顔で、作業員を威嚇している ここは、大量の檻が並んだ巨大倉庫 檻の外で作業員と向かい合っている一匹を除いて、一つの集落に生息する全てのタブンネが、檻の中へと押し込められていた その個体には何も拘束を行わず、自由にさせる ただ、屈強な肉体を持つ作業員が道を塞いでいるため、逃げることはできない 檻の中のタブンネたちは、群れで一番のタブンネが、今にも人間を打ち倒し、自分たちを解放してくれるなどと信じていた 群れ全体で応援するかのように、喧しい鳴き声で騒いでいる 『ミィィ!』 それに呼応するかのように、タブンネは、渾身の捨て身タックルを作業員にぶつけた しかし、作業員はビクともしない 作業員は、無言でタブンネを引き倒し、マウントポジションを取る そのまま腕に力を込め、タブンネの腹目掛けて拳を振り下ろした 『ミボォ! ・・・・・オゲェェェェェェェ!!!!!!!』 たまらず胃の中身を吐き出すタブンネだったが、作業員は続けて拳を振り下ろす 先程よりも速いペースで、何度も、何度も、振り下ろした 『ミイィィ・・・ミヒィィィ・・・・・』 胃の中身を全て吐き出したのか、タブンネは短く息を吐き続けていた 作業員は手を止めると、今度はタブンネの顔面を、靴底でグリグリと踏みつけた 『ミィ! ミィィィ!』 タブンネは怒りを孕んだ声をあげ、イヤイヤと身を捩り抵抗する タブンネという種族は、その小汚い見た目に似合わず自尊心が高い 野生で生きる他のポケモンとは違った、悪い意味の個性であるピンク色の体毛がその原因だと言われているようだ 自分の種族だけが特別なポケモンだと思い込み、付け上がるという、醜悪な精神を持ち合わせている よって、顔を踏みつけられるのはかなりの屈辱なのだろう そのちっぽけな自尊心など、人間の手にかかれば無意味なものだが タブンネが抵抗する素振りを見た作業員は、再びマウントを取り、腹目掛けて拳を叩き込んだ 『ミギャッ!』 涙を流そうが、血反吐を吐き出そうが、抵抗しなくなるまでこの工程は繰り返されるのである 二時間程殴られると、タブンネは顔を踏みつけられても抵抗しなくなった 息苦しいのか、叫ぶことすらせずに、濁った目から涙を流している くだならい自尊心を叩き折るには、暴力を加えるのが一番効果的だ タブンネの精神など、痛みによって支配してしまえば簡単に堕ちてしまう 作業員は仕上げに入る まずは、長く伸びた触角を片方を、乱暴に引き千切った 『ア”ア”ア"ア"ア”ア”ア"ア"!!!!!!!!!!』 神経が集中した触角を千切られ、タブンネは枯れた喉で悲鳴をあげた 血だけではなく、様々な体液が飛び出している 作業員は、ジタバタと暴れ回るタブンネに、冷たく重い鋼鉄の首輪を嵌めた 奴隷用の特注品であり、リモコンで起動する小型爆弾が付いているものだ そして最後に、腹と背中に熱した焼き鏝を押し付ける ブラックシティの刻印であり、人間のために死ぬまで働き尽くすという、奴隷タブンネとしての存在証明である タブンネはぐるんと白目を剥き、泡を吐いて気絶した 目が覚めてからは、奴隷としての新しい生活が始まるだろう 檻の中のタブンネたちはどう感じただろうか、言うまでも無い 集落で一番強いと思われていたタブンネが、いとも簡単に人間に服従したのだ 絶望と恐怖で、とっくに精神が折れているだろう 大量の折が置かれた倉庫は、タブンネの悲鳴一つ無く、しん、と静まり返っていた こうして、効率良く、他の個体も人間に服従する 今のタブンネと同じように、身体の一部を欠損させ、顔面は再生力で修復出来ない程、グチャグチャに変形させてしまう より醜くなったタブンネたちは、奴隷の焼印と首輪を晒しながら、今日も、明日も、街中を歩く その労働力によって、ブラックシティの人々は、快適な生活を維持することができるのである 終 クソブタブンネは永遠に奴隷としてあつかわれな!wwwwwwwwwwwwww -- (七十) 2012-06-05 07 05 02 名前 コメント すべてのコメントを見る
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とある野生タブンネがお腹を空かせて街の近くを物欲しげにウロウロしていた時。 一人の変なオッサンに声をかけられた。 「ねえ、そこのタブンネちゃん。キミ、可愛いね~。よかったらテレビに出てみない? 実はおじさんはタブンネちゃんが主役のテレビ番組を作ってる監督なんだ。 こうしてたまに外に出て新しいアイドルタブンネちゃんをスカウトしてるの。 どう、キミ出てみない?テレビに出たら皆の人気者になれるし、ギャラで美味しい木の実もた~くさん貰えるよ」 「ミッミィ?」 このタブンネ、人間に可愛いと言われたことなんか一度もないし、野生の世界の辛酸をそれなりに舐めてきた子、 そんな子にとって『皆の人気者になれる』『美味しい木の実もた~くさん』という甘い言葉はあまりに魅力的で ついホイホイと怪しいオッサンの後に付いて行ってしまったのだった。 オッサンがタブンネを案内したのは大きなビルの一室、テレビ撮影のスタジオ。 高い天井にライトが幾つも煌めき、町のジオラマが部屋の中央にでんと置かれている。 ジオラマを囲むのは無数のカメラ。大勢の人間がそれらの間を忙しそうに行ったり来たりしていた。 「ここでタブンネちゃんを撮影するんだよ。楽しみでしょう」 「ミッミィ♪」オッサンの言葉に嬉しそうなタブンネ。 でも、ちょっと待てよという風に考え込んだ後、オッサンに「ミィミィ」と何かを聞いた。 オッサンはタブンネのテレビ番組を作っているだけあってタブンネの言葉がわかるのか 「ああ。何をすればいいのかわからないって?」とタブンネに言った。 「簡単だよ。あのジオラマを踏んだり蹴ったりして壊してくれればいいの」 「ミミッ?」 「ん?壊しちゃっていいのかって?いやいや!キミ野生の子でしょう? 野生のタブンネのワイルドな可愛さを表現するためなんだから、豪快にぶっ壊してもらわないと困るよ~」 「…ミィ~?」なんだか納得いかない様子だが監督と名乗るオッサンの言う事は聞くつもりみたいのタブンネ。 「じゃっ、テレビに出るための特殊なオシャレをしないとね。 あっちにメイク係さんがいるから言う事を良く聞いて綺麗になるんだよ」 オッサンの言葉に従い部屋に入るタブンネ。鏡の前にちょこんと座って美人のお姉さんにメイクアップしてもらう。 「…ミミィ~?」タブンネはメイクが進んでいくにつれて不審げになっていった。 なぜならタブンネに施されたメイクはボコボコした皮膚に変な角、コロモリみたいな羽と どう見てもタブンネ的には綺麗とは程遠いものだったからだ。 でもお姉さんは怪獣みたいなメイクをされたタブンネを撫でながら 「うん、最高!とっても良くできたよ!これなら子供たちも大喜びだわ!」と、しごくご満足のご様子。 こうなると野生のタブンネも「今ニンゲンさんの間ではこれが綺麗なのかなぁ…」と思わざるをえなかった。 「メイクできたかい?おおっ。最高じゃないか。メイクさんの腕もいいけど、 素材のタブンネちゃんが最高だからだね!じゃあ早速撮影開始だ。スタンバイOK!」 オッサン監督の言葉に従ってスタジオが動き出す。場の緊張感にタブンネもドキドキしてきた。 「シーン6、スタート!」カチン! オッサンの言葉とカチンコの音を合図にジオラマにとてとてと走り出すメイクされたタブンネ。 「(豪快にブッコワス…)ミギャオ~。ミミィ~」 短い腕や足を懸命に振り回してタブンネ的に思い切りジオラマ模型の家々を壊していく。 が、傍目から見ると単にじだんだでも踏んでいるようにしか見えなかった。 「タブンネちゃん!もっと思いっきり!もっと迫力のある絵が欲しいんだよ!」 「(思い切り…?)ミギャァ~~オン!ミギャ~ン!」 オッサンの言葉を受けて体の動きを激しくして、ボディプレスやヒップアタックまでしてジオラマを壊すタブンネ。 スタジオ中にズシンズシンと軽い地響きまでひびく勢いになっていった。 「そう!いい感じだよ!そこだ!そう!最高だよ、その壊しっぷり!いいぞ!もっと!」 オッサンの褒め言葉に嬉しくなるタブンネ。それに何だか物を思い切り壊すのが楽しくなってきた。 「ミギャァオオ~~ン♪ミギャ~~♪」 「よし、いいぞ!そろそろ登場シーン行こう!」 調子にのって暴れまくるタブンネの前でオッサンがどこかへ合図をした。と、その時。 「エルエルッ!」シュンという音と共にテレポートでエルレイドがタブンネの前に現れた。 「ミミィ?!」いきなりの事にビックリするタブンネ。競演のポケモンさん?聞いてないよ?と思いながら どうしよう、とタブンネがオッサンの方を向きかけた瞬間。 エルレイドの正拳突きがタブンネの鼻先に思い切りめり込んだ。 「ミバァァァ!」鼻血ブーしながら後ろに倒れかけるタブンネ。 しかしそれをエルレイドは触角を掴んで止め、今度は強烈なハイキックをタブンネの側頭部に叩き込んだ。 「ミガァァ!」痛みに目の前で星が飛ぶタブンネ。 「おお!上手くなったじゃないか!今のは良い絵になったよ!」興奮したオッサンの声。 「ミヒィ…ミギュウゥ…?」側頭部の強打でクラクラする頭でどういう事なの?と必死で考えようとするタブンネだが 「エルレイッ!」考えが纏まる間も無くエルレイドのパンチを腹部に受け、ジオラマを壊しながら吹っ飛んでいった。 「今だ!必殺サイコカッター!!」オッサンの指示に従いエルレイドが仰々しいポーズをキメながら 肘の刃を伸ばし、体の前後でクロスさせて 「エルレイッド!」という掛け声と共にサイコカッターが発射された。 吹っ飛んで受身の取れないタブンネにそれが避けられるハズもなく 「ミッ…」という微かな声を断末魔としてタブンネは頭頂部から股まで縦に真っ二つにされてしまった。 左右に割れた胴体から血や内臓が派手にブチ撒けられる。 「よっしゃあ!カーット!」カチン! オッサンはカチンコを鳴らした後、嬉しそうにエルレイドに近づいて頭を撫でた。 「いや~。さんざんお前を叱った甲斐があったわ。よくここまで上手くなったもんだよ。 これで今週のタブンネQも撮影終了だ。いい絵が撮れたしきっと視聴率も上がるな!」 「エルエルッ♪」オッサンの言葉に嬉しそうなエルレイド。 実はオッサン監督が言っていたタブンネが主役のテレビ番組とは 『ネンブータ博士によって産み出された超巨大タブンネの怪獣が正義の味方エルレイマンに成敗される』という番組 タブンネQの事なのであった(スポンサー:タブンネ虐待愛好会)。 タブンネQに登場するタブンネ怪獣は全て実際のタブンネが特殊メイクで扮したものであり タブンネ怪獣のヤラレシーンが(グロ断面図にはモザイク入り)迫力あって最高と 一部の特撮マニアにはウケているようである。 勿論、一般のお子様や保護者にはグロすぎると大ブーイングで視聴率的には最悪なのだが 監督のオッサンは「まだ迫力が足りないのか!ようし!次こそもっと派手にモツをブチ撒けるぞ!」と 正反対の方向に熱意を燃やしているようで、タブンネQが続く限り スタジオの一室でこのタブンネのようにモツを晒して横たわるタブンネは絶えないであろう…。 お わ り
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海に釣りに出かけた。この間見かけた人気のない穴場だ。 釣り針に餌のオボンの実をつけ軽く後ろに振ると、急に竿が重くなった。 見ると、野性のタブンネがかかっているじゃないか。釣り餌を食うとは大胆なヤツだ。 タブンネはミィミィ鳴きながら口の端に刺さった針を取ろうとしているが、 がっちり食い込んだ針は不器用なタブンネには取りはずすことができない。 盗人タブンネを少しこらしめてやろうと思った俺は、釣り竿を上下左右に振った。 竿の動きにつれてタブンネの口元はビロ~ンと伸び、愛らしい顔がマヌケな顔に変わる。 「ミヒッ!ミヒッ!」と鳴きながら引っぱられた方向に短い足でチョコチョコ走るのも面白い。 涙の浮かんだタブンネの目は「どうしてこんな目に遭わなきゃいけないの? なんにも悪いことしてないのに…」と言っているようで、俺をますますムカつかせる。 しかし、そろそろ釣りをしたいので、タブンネを逃がすことにした。 竿を振るのをやめると、とたんにタブンネが怒りに燃える目ですてみタックルして来た。 俊敏な俺はさっと脇によけ、カウンターの蹴りをタブンネの腹にぶち込む。「フミッ!」 倒れたタブンネを蹴りまくるうちに、タブンネは鈍臭くも海に転がり落ちた。 「…ミッミッ!」泳げないタブンネは打って変わって媚びた声で助けを求める。 しかし、俺は助けなかった。 水の中を四方からタブンネめがけて泳いで行くキバニアたちが見えたからだ。 「ここはキバニアの棲息地だったのか。キバニアは食えないし釣ってもしょうがないな」 タブンネは早くも何カ所か食いつかれて「ミ!ミ!ミ!ミ!」と悲鳴を上げている。 俺は釣り糸をナイフで切った。 そして、キバニアたちに水中に引きずり込まれるタブンネを見届けてから、その場を去った。 名前 コメント すべてのコメントを見る
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月曜日 今日は木の実を集めるミィ。 私達タブンネは戦うことが苦手、だから肉なんて美味しい物はめったに食べれないミィ・・・。 食べれるとしたら他のタブンネを倒すしか方法が無いんだミィ・・・。 だってイッシュでは、私達タブンネが被食役を担っているからこればかりはどうにもならないんだミィ・・・。 だいたい非力&鈍足って酷すぎるミィ!私達にも凄い力や戦闘力が欲しいミィ! そういえばこの間「タブンネちゃんは耳が良いから、敵に見つからないんじゃないの?」 「あ!そっか!タブンネちゃんはバカで間抜けでドジで(ry だから見つかって狩られちゃうんだねw」m9(^Д^) ってエモンガちゃんが言ったんだミィ!空を飛べるエモンガちゃんには私達の気持ちなんて分からないんだミィ!!! しかも「タブンネちゃんのその尻尾なぁにwそれって異性へのアピールだってねwwwたしかwww」 「そんな汚い尻尾じゃ同族以外誰も寄ってこないよw悔しかったら私みたいにキレイにすることねwww」 「あ!でも元がデブで短足だからキレイにしてもダメかwwwあんたも少しはミミロップ先輩を見習いなさいよwww」m9(^Д^) ってチラーミィちゃんも言うんだミィ!確かにチラーミィちゃんの尻尾はいつ見てもキレイだミィ・・・。 でも二人ともm9(^Д^)←こんな表情で笑うんだミィ!!!もう許せないミィ!!!リア獣爆発しろミィ!!! そう思っていたらタブンネボムを思い出してしまったミィ・・・。悔しいミィ・・・。 って、不満ばっかり言っても始まらないミィ。 今日は結局とくに何もなく一日が終わったミィ。やっぱり平和が一番ミィ。 私もチラーミィちゃんみたいに尻尾キレイにしようかな・・・。 火曜日 今日は朝から気分が良いミィ♪ 久しぶりに皆とお食事会を開いたミィ!とっても楽しかったミィ。 午後からは森を探索。そして澄んだ小川を見つけたミィ! そこで尻尾をキレイにしてたら、偶然♂のタブンネに告白されたミィ! それから二人で小川付近に巣を作って暮らし始めたミィ♪ 夜には六個のタマゴを作ったミィ。けっこう激し・・・おっと口が滑ったミィ。 元気な赤ちゃんが孵るといいな♪ 水曜日 今日は一日中雨だったミィ。 小川は増水して小川に巣が飲み込まれそうで怖かったミィ・・・。 とりあえずすることが無かったからタマゴを温めていたミィ。 そしたらピクンっ!ってタマゴが動いたんだミィ! もうすぐタマゴが孵りそうだミィ! 今日は徹夜でタマゴを見守ったミィ。 眠いミィ・・・zzz 木曜日 ついにタマゴが孵ったミィ! 「チィチィ♪」「チィ!」「チチィ」「チィィィ!」「チィ・・・。」「チュィチュィ♪」 みんな可愛いくて私、幸せだミィ! パパンネがいつのまにか木の実をたくさんとってきてくれて、 母乳と木の実ジュースをのんだべビンネちゃん達は幸せそうに眠ったミィ。 川も元の水位に戻っていて安心したミィ。 可愛い可愛いべビンネちゃん♪これから頑張って育てなきゃ! 金曜日 どうしてだミィ・・・。 あんなに元気だったべビンネちゃん達はいつの間にか食べられていたミィ・・・。 私とパパンネが寝ている隙に・・・。 でも、幸い三匹残ってたミィ。 でもおかしい・・・。どうして三匹だけが食べられたんだミィ・・・?謎だミィ・・・。 私達はその真相を翌日になって知ることになる・・・。 土曜日 気が付いたら意識がもうろうとしていたミィ・・・。 どうやら残っていた三匹はゾロアで、べビンネちゃんに化けていたんだミィ・・・。 三匹のゾロア達は私達が眠っている隙に巣に侵入し、べビンネちゃんを捕食。 私達が起きる直前、イリュージョンでべビンネちゃんに化け、私達の目を欺く。 そして、私達が再び眠ったのを見計らって、今度は私達を捕食。 実は私達タブンネは負の感情を持ったときに「ミィアドレナリン」という旨味成分が出るみたいで、 ゾロア達はそれを知っていて、先にべビンネちゃんを捕食して、絶望した私達を後で食べる作戦だったみたいだミィ・・・。 うぅ・・・もう・・・いしき・・・が・・・・・・・・・ 日曜日 「ごちそうさまでした。いやぁwやっぱタブンネの魂うめぇわwwwさすが被食用にアルセウス様が作っただけはあるなwww」 そんな声が聞こえた。 END ベビンネちゃん達は声ひとつ上げずに丸飲みされた訳ですな。生まれたてだからこそミィアドレナリンが出やすいと言うのに勿体無いww -- (名無しさん) 2013-02-10 20 29 02 名前 コメント すべてのコメントを見る
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翌日。 朝日が昇ると共に目が覚めてしまった。元々早起きなたちだが、今日はうまく眠れなかった。 あまりも楽しみだったのだ。 毒ンネはあのあと日が暮れるまで冷蔵庫の中で失神と覚醒を繰り返したようだ。 扉越しにムゥ・・・ムゥ・・・と力ない声が聞こえていたが、夜中にはすっかり静かになってしまった。 どうしても気になって真夜中に一度冷蔵庫の扉を開いたが、残念ながらすでに毒ンネは絶命していた。 恐怖か苦痛か、目はカッと見開かれ、顔面の筋肉は強張った状態で。 なんともいえない表情に感銘を受けてしまったので、その場で頭を切り落とし頭部は冷凍庫で冷凍保存することにした。 というわけで今日の毒ンネには頭部がない。もう市販の丸焼き用タブ肉となんら変わり無い姿である。 オーブンでじっくり焼き上げよう・・・とオーブンを開けると中から昨日焼いたおいしそうなポフレが顔を出した。 そういえば渡すの忘れてたな。食べる前に食べられちゃうなんて可愛そうな毒ンネ! ポフレを取り出してオーブンを暖める。今日は低温でじっくり焼き上げたいので160度。 オーブンが温まったら天板にクッキングシートを乗せ、その上に毒ンネを置く。 さらにプチトマト、スライスオニオンなどを添えてオーブンへ。 今日の昼食が楽しみだ さて料理が出来るまで昨日から麻痺と眠りの状態でボールに収まっているチビンネ達と遊ぶとしよう。 まずは眠り状態のチビンネをボールから出す。起こさないようそっと抱き上げ、新品のタオルでおくるみの状態にする。 そうしておくるみされた眠ンネを抱いたまま裏口を開けると、ママンネが心配そうにこちらを見ていた。 巣の中ではパパンネとベビンネ、そして昨日運よく逃げたチビンネが丸くなって眠っている。 ママンネと目が合ったので微笑んでみる。ママンネはわが子が大事そうに抱かれているのを見て安堵の表情を浮かべた 「ミィ!ミィ!」 ママンネは駆け寄ってくるとチビちゃん起きて!と眠ンネに語りかける。 当然起きない。許容量を超えた薬による昏睡レベルの深い眠りである。自発呼吸しているのは奇跡かもしれない 「どうも消耗が激しくてね・・中でゆっくり看病するから心配しないで」 私が優しく言うとママンネは耳を垂れて「ミィ・・」と悲しそうにうなずいた。 「大丈夫、すぐに良くなるよ」 そう言って昨日のクッキーの残りを手渡して私は屋内へと戻る。 ちなみにママンネたちに渡したクッキーには何も入っていない。ただの美味しいクッキーだ。 ママンネは手渡されたクッキーが余程うれしかったのかチビンネのことなど忘れて小躍りしながら巣へと戻っていった。 本当にダメな親だと思う。 さておくるみ状態にした眠ンネはそのままボールに戻す。 一応致死量には満たない量だが、このまま体温が低下して死んだりしては計画に支障が出てしまう。 今日私と遊ぶのは・・・麻痺ンネ!君に決めた。 ボールを投げると中から身動きひとつしないチビンネがポンと出てきた。 ポケモンは他の生物にに比べかなり強靭な肉体をしている。 そのため成熟した個体なら麻痺していてもある程度戦うことができる。 が、これはまだ成熟する前、生まれたてのチビンネだ。 麻痺毒に体が追いつかず、いまだに硬直したまま目を見開いている。 眼球だけがぐりぐりと動いて愛らしい。このまま人形にしたいくらいだ。 「大丈夫か?まだ体が動かないんだな・・・かわいそうに・・・」 私の問いかけにも眼球を動かしながら「ミヒュッ・・・ヒュッ・・・」と空気の通る音でしか答えられない。 しっかりしろ、気を確かに、そんな言葉をかけながら麻痺ンネを抱き上げ地下室へ降りる。 麻痺ンネはぬくもりに安心したのか呼吸が少し落ち着いてくる。 「大丈夫だぞ。キレイにしてやるからな」 私の言葉に麻痺ンネは不思議そうな顔を・・・できていたらしただろう。 なんとなく目が「キレイにするの?」と問いかけている気がした。 今日はこのかわいい麻痺ンネで人形を作る。 だが普通にやっても意味がない。麻痺毒は時間経過では抜けないだろうし、万が一口に入れば人間には危なすぎる。 どうせ食わない肉なら多少薬を足しても問題はない。 痛みを緩和するために新たな薬を注射器で足す。 「これで苦しくなくなるぞ」 私の言葉に麻痺ンネは信頼のこもった視線で答えているような気がする。 注入するのはいわゆる麻薬である。とは言えわが国でも一般的に麻酔として処方されるような物なので、決してアブナイ路地裏で怪しいニーチャンから買ったわけではない。 入手方法は今後の入手ルート確保のためにも割愛させていただこう。 意識を失われても面白くないのでいわゆる硬膜外麻酔を施す。今まで散々練習してきたのでたぶん上手くやれてるだろう。 ためしに仰向けにして、麻痺ンネから見えないよう腹にメスで薄く切れ目を入れてみる。 うん。痛がらないし多分成功だろう。 「一度やってみたかったんだ・・・剥製ってさ・・・」 地下室の物置からホコリを被ったマネキンを引っ張り出す。 真っ白なウレタン樹脂でできたそれは、ちょうど麻痺ンネと同じ背格好だ。 「バッチリだな」 そして早速とりかかる。 昨日は解体のために手足を落としたが、今日のはそれに比べるとずっと難しい。 皮を全てつなげなければならないのだ。 先ほど切れ目をいれた腹部から慎重にメスを進めていく。まずは顎の下へ、そして恥部まで。 剥製を作るのは今回が初めてだ。あらかじめシミュレートした手順でゆっくりゆっくりと毛皮を傷付けないよう進めなければ。 当の麻痺ンネは眼球以外首すら動かせないおかげで、自分の腹部で一体何が行なわれているのか検討もつかないといった表情だ。 もちろん、握ったメスは絶対に麻痺ンネに見せない。 ひとまず、腹側の毛皮を左右に広げ、下肢も剥ぎ終わった。 痛がらないところを見ると麻酔は成功のようだ。 だが麻酔が切れてはさすがの麻痺ンネも暴れだすだろう。かわいそうだから麻酔の効いてるうちに全部終わらせてやろう。 小さな手足を完全にズル剥けにすると、次は背中だ。 流石にうつぶせはかわいそうなので横にかたむけて背中まで剥いていく。 ぶっちゃけ痛みもなく視認もできないのでここまで麻痺ンネに大きな反応はない。 さぁ背中まで完全にズル剥けである。 残るは頭部のマスクを引っぺがす最大の見せ場だ。 ちなみにマニュアルはないので完全に自己流。これからまた練習していけばいいのだ。 耳は面倒なので耳介ごと取り除く。もちろん麻酔しているので違和感こそあれど痛みはないだろう。 徐々に、徐々に、後頭部から皮を剥いでいく。前頭部まで剥ぎ、今度は下顎から頬まで。 そして残るは眼窩のみだ。 漸く違和感の正体に気付いたのだろう。不安げに泳いでいた目が右へ左へ上へ下へせわしなく動き始める。 怖いのだろうか?静かな地下室にドクドクドクドクとすばやい鼓動が小さく響く。 「ヒュッ・・・ミェッ・・・・ヒュウウッ」 麻痺により息をするのもやっとだろうに、何か言おうとしても口がうまく動かないようだ。 タイムリミットが近づいている。さっさと終わらせてしまおう。 ズルっと剥いたらタブンネの皮の出来上がり!一皮剥けて大人になったね麻痺ンネ! 毛皮はすぐになめしたいところだが、まだ生きている麻痺ンネと遊ぶほうが先だ。 ひとまず毛皮の裏にたっぷりと塩を塗りこみ冷蔵庫で保管。 明日にでもなめそう。 さて毛皮をまるごと失いついでに耳介も失った哀れな麻痺ンネちゃん。 露出した筋肉がやけに生々しい。 痛みはないし身体的苦痛は味わっていない。 しかし自慢の尻尾も毛皮もまるごと失ったというのが相当こたえたらしく、動かない身体をガタガタ震わせている。 仕方が無いので手鏡でその姿を映してやると「ヒュッッッ・・・・ヒッィ・・・ミヒィイイッ・・・」と間抜けな悲鳴を上げた。 さすがにそろそろ身体が動かないとかわいそうなので昨日から用意してあったクラボの実ジュースを飲ませる。 クラボの実はからいので口に合わないかもしれない。 スポイトで昨日の毒ンネのように食道へ直接注ぎ込む。こうかはばつぐんだ。麻痺ンネは喉の粘膜にやけどを負った。 すぐに麻痺が抜けたのかゲフゲフと咳き込みながら、そばに置いてある手鏡を両手をついて覗き込む。 何度見てもそこには真っ赤な筋肉のかたまりに不気味な青い目玉のついたオバケしか写っていない。 「ミッ・・・ミェッェエエエエエエエ!!!」 恐怖と嫌悪で四つんばいの麻痺ンネが嘔吐する。 嘔吐によって消化器が動いたせいで、今まで麻痺により緊張していたもろもろの括約筋が緩み、筋肉ダルマの股間を汚していく。 「き、汚いっ!さすがタブンネ汚い!」 私は潔癖なのでタブンネの糞尿など絶対触りたくない。 地下室のシンクからホースをつないで排水溝へと糞尿を流していく。 まだ身体に力の入らない筋肉と化した麻痺ンネは、ホースの水流に流され自分の糞尿にまみれて地下室をころがった。 「ミィェ・・・ミィェエエエエエエエエエエエエエエン!」 毛皮を失ったことが悲しいのか、それとも糞尿の水溜りを転がされることが悲しいのか。 たぶんその両方だろうが、麻痺ンネは泣いた。声の限りに。 しかしここは地下室。お前のパパとママはきょうだいたちと暖かい巣の中でおいしいクッキーに夢中さ。 可愛そうな麻痺ンネ ひとまず私が手を加えるのはここまでだ。 あらかた糞尿を落とし、ついでに麻痺ンネのからだに付いた汚物も流し終わったら水を止め椅子に腰掛ける。 ショウタイムはまだまだこれからだ。 局所麻酔は種類にもよるが大体1時間から2時間でその効力を失う。 今回出来はともかくスピードを第一に作業したので、本来ならあと1時間は麻酔が切れることはないはずだ。 だが先ほど飲ませたクラボの実には麻痺を即座に完治させる薬効があり、そのすさまじい効能が麻酔にまで及ぶという。 つまり、もうすぐ麻痺ンネの麻酔は完全に切れてしまうわけだ。 麻酔後にも関わらず麻痺ンネが動き回っているのも、クラボの実の効果なのだろう。 そんなことも露知らず筋肉ダルマもとい麻痺ンネは手鏡で自分の姿を何度も見直している。 これは悪い夢だ!と言うかのようにいやいやと首を振り、瞼を切り離したことで数倍大きくなった目玉からボロボロと涙があふれている。 異変は徐々に訪れた 最初、麻痺ンネは鏡とにらめっこしながら無意識といった様子で腹をポリポリと掻き始めた じわじわと、ゆっくりと、感覚が次第に戻っていく。 しばらくするともう片方の手で足を掻き、だんだんと掻く範囲が広がっていく。 ゆっくりと、緩慢に。痛みは痒みとして麻痺ンネの身体に戻っていった。 その状態で10分もすると麻痺ンネは唸りとも叫びとも付かぬくぐもった声を出しながら床をごろごろと転がり始めた。 「ミグウウウ・・・ミィイグウウウ!」 いかんせん薬が強かったのか、クラボのジュースをもってしても抜けるのが遅い。 今麻痺ンネをおそっているのは全身を駆け巡る途方も無い痒みだ。 「ミィ!ミイイイイ!」 つめは面倒なので剥がさず残していたのが仇となり、麻痺ンネの手が届く範囲はもれなく麻痺ンネ本人のつめで傷付けられていく。 掻いた場所は血がにじみ、転がりまわるもんだから地下室はなんともグロテスクである。 汚いのでもう一度水で流す。 「ミィギャアアア!!!!」 さすがに冷水に当たると痛かったらしい。やっと痛覚が戻ったよ!やったね麻痺ンネちゃん! 「ガァアア・・・ミイイイイイ」 全身くまなく皮をはいだので、全身くまなく痛いようだ。 真っ赤に腫れあがり熱をもっていそうな気がしたので冷水で冷ましてあげることにした。 少し痛いだろうががんばれ麻痺ンネ!きみのためだ! 「ミガアアアアアアアアアアアアアアアアア!」 普段の可愛い鳴き方はどこ行った!と聞きたくなるような悲鳴で麻痺ンネが鳴いた というか叫んだ。 「ミフウウウウウウウ、ミフウウウウウウウウウ」 口唇も眼瞼も失った異様な姿で、眼を血走らせた麻痺ンネ。 もうタブンネだったころの面影はどこにもない。 ホースをむけると四つんばいになり、ホースに向かって荒い息で威嚇している。 どうやら痛みで錯乱し始めているようだ。 すかさず厚手の軍手を4枚ほど重ねて装着し、つかみ上げる。 痛みで暴れ、自身をつかむ軍手に歯を立てるが幼い乳歯では軍手を貫くことはできない。 「だいじょうぶ、怖くない」 もう片方には先ほどお世話になったメス。これで喉頭の上部を切り開く。 「カフウウウウウウウウ」 狙ったのは声帯。まだまだ麻痺ンネにはしてもらいたいことがあるのだ 切開は多分上手く行った。多分。いかんせん声帯と気管は近い位置にあるので、傷ついていたならばもう彼が事切れるのも時間の問題だろう。 暴れ続ける麻痺ンネ、っていうかもう何かよくわからない生ける肉塊を手に地下室を出る。ついでに正面から外に出て、こっそりと外から庭へ肉ンネを投げ込んだ。 ボスンと音を立てて肉塊のタブンネモドキが落下する 「フッフウウウウウウウ!カアッフウウウウウ!」 雑草のクッションがあるとは言えダイレクトに衝撃があるとやっぱり痛かったらしく、声にならない声で肉ンネが鳴いた。 「ミッ、ミイイイ!?」 声に反応してタブンネたちの巣からママンネとパパンネが顔を出し、その異形に悲鳴を上げた。 ママンネは「ミイイ、ミイイイ!」と悲鳴を上げ続け、パパンネは「ミギイイ!」と威嚇している。 当の肉ンネは愛する家族の居る愛する我が家へ痛みをこらえながらズリズリと匍匐前進している 立ち上がろうにも激痛で這い回るのがやっとのようだ あと少しで巣に手が届く。 そんなところでパパンネが仕掛けた! パパンネのおうふくビンタ! バシン!バシン!バシン! 「カフウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!」 大した威力もないパパンネのおうふくビンタが3回決まると、肉ンネは叩かれたところから血を吹きながら吹っ飛んだ。 「ミギギギイイイイイ!」 巣の前に立ちはだかり、両手を広げて威嚇している。後ろではママンネがチビンネたちと抱き合って震えていた。 我が家は俺が守る!そんなパパンネの熱い思いが伝わってくる。 かわいそうな肉ンネ!もう彼はパパンネにとって家族ではないのだ。 そしてママンネたちにとっても。 タブンネという種族は主に鳴き声やしぐさ、匂いや触覚、そして視覚といった方法で個体の判別を行なう。 だが今の肉ンネはかつての面影はなく、血の匂いのする異形はとても仲間とは認識できないようだ。 ひどくショックを受けたのだろう、瞼のない眼からはボロボロと涙をこぼし、何かを訴えたいかのように手を伸ばす。 パパンネは巣へ振り返り「ミッ!」とママンネへ一言言うと、ママンネも力強くうなづいた。 たぶん「君たちを守るから」とでも言ったのだろう。カッコイイ~ パパンネが構える! パパンネは助走をつけると肉ンネへとっしんを決める。 肉ンネの身体は宙を舞う。そこへパパンネの捨て身タックル! 脂肪を失った身体に緩衝する力はなく、骨へダイレクトに衝撃が伝わる。ビキ、とやわらかな骨が割れる音が聞こえた。 文字通り手ごたえを感じたのか、「いける!」という顔でパパンネが最後のわざを繰り出す。 肉ンネはすでに虫の息なのでとっくにライフはゼロといったところか。 「ミイイイイイハアアアアア!」 大げさな掛け声とともに、パパンネの「とっておき」が炸裂する。 モロに受けた肉ンネはろくに受身もとらずに庭の外にある草むらへ落下した。 「ミィッフ!」 「ミミィ♪ミイイ♪」 「やったぜ!」「かっこいいわ♪あなた♪」 そんなやり取りをしているのだろう。パパンネを労わりペロペロと頬を舐めるママンネ。 お前らが殺したのはお前らの子供だけどな。 大笑いしそうになるのをこらえ、こっそりと玄関から肉ンネが落ちた草むらへ急ぐ 当然だが肉ンネは絶命していた。 瞼も唇もないのでいまいち表情はわからないが、眼窩から目玉が零れ落ちかろうじて視神経とつながっているさまは軽くホラーだったので、記念に写真をとっておいた。 明日には無くなっているからこのまま放置して問題ない。 ころあいよくオーブンから香ばしいタブ肉の香りが漂ってきた。 すっかりおなかも減ったところだし、そろそろお昼にしよう。 食べたあとのカスは、先ほどのバトル(笑)で消耗したタブ家族にあげることにする。 一日に2匹ものわが子を文字通りその牙にかけたことを知ったら、あのタブンネたちはどんな顔をするのだろう。 そんなことを考えるとよだれが出てしまうのだった。 美しく皿に盛られた毒ンネの丸焼き。 付け合せには焼いたプチトマトとスライスオニオン。 ソースはヒメリをベースにマゴ、ザロクをブレンドした甘辛いフルーツソースだ。 こんがりと焼きあがった肉にハケでソースを塗ったら完成! 一日中苦しんだタブ肉など、自家製でなければ味わえない。 ナイフを入れるとジューシーな肉汁を出しながらもやわらかいことが伺える。 ソースを十分にからめて一口。 「美味い!」 やはりタブ肉は自家製に限る! こんなに美味いのだし誰かとこの悦びを分かち合いたいが、あいにく僻地にある我が家へは今から招待しても料理が冷めてしまう。 せっかくだから庭にいる我が愛しの客人へおすそ分けすることにしよう 食べ易いように肉を切り分け、しっかりソースをからめて適当なポリ袋に入れる 裏口を開けるとまずママンネが巣から小走りで近寄ってきた。 「ミミッ。ミィイ」 子供たちの様子を知りたがっているようだ。 腰からボールを取り出し、中で眠っている眠ンネに会わせてやる 最初、ボールに入れられたわが子に「ミィイ!?」と驚愕していたが、治療のためにこうしていることを説明するとなんとか落ち着きを取り戻した。 「それより、君たちさっきは大変だったね」 「ミミッ。ミッミイィ」 「うんうん、パパかっこよかったよ」 「ミヒィイン♪」 身振り手振りでパパンネを賞賛するママンネ。それに同意してやるとご満悦な表情を浮かべた 「それよりお昼ごはんはどうだい?とっても美味しく出来たんだ」 そういって透明なポリ袋をちらつかせるとママンネの顔がパアっと明るくなった。 主食が雑草のママンネは乳の出が悪い。そのため高栄養なものをもらえることはとてもうれしいようだ まあそれだけでなく単純に美味いものを食べれるのがうれしいのかもしれないが。 「じゃあこれ、みんなで分け合って食べるんだよ」 そういってウインクするとママンネは「ミィッ」と元気良く返事をして巣へ戻っていった。 その姿を見届けて、私も屋内へ戻る。 皿の上のタブ肉を平らげ、二階にある自室でアフタヌーンティーを楽しむ。 タブ肉のおかげで今日は一日とても頑張れそうだ・・・ 「出て来い、バルジーナ」 自室に置いてあるボールから出てきたのはほねわしポケモンバルジーナ。 数ヶ月間ボールと自室しか出入りを許されていなかったためとても気が立っている。 「ごめんな。ほらこれ、おいしいとこ取っといたぞ」 タブ肉を与えると美味そうに一口で飲み込んだ。 「そろそろ仕事を頼むよ。それが終わったら好きにお散歩し放題だからな」 喉を撫でながら私が言うと、バルジーナはクルルと鳴いて返事をした。 バトルの時間だ。 いつもどおりこっそりと玄関からバルジーナを解き放つ。 あらかじめ使う技と使う相手を指定し、あとはバルジーナに任せることにした。 こいつはずっと昔から私と一緒に生活しているので、きっと私好みの仕事をしてくれることだろう 屋内へ移動し、今回は二階のベランダから観察することにする。 上から見るとタブンネの巣が丸見えだ。 バルジーナもこれなら仕事がしやすいだろう。 当のタブンネたちは食後の毛づくろいにいそしんでいる。 ママンネはチビンネ二匹をペロペロと交互に舐めてやり、チビンネたちはうれしそうにミイミイと歌っている。 パパンネはそんな三匹を他所に自分の尻尾の手入れに余念が無い。バルジーナは一体どれを最初に狙うだろう・・・ チビンネたちの毛づくろいが終わったところで、バルジーナが仕掛けた。 はるか上空から優雅にタブンネの巣へ降り立つ。 「ミッ!?」 突然の強襲に皆言葉がない。 無理もない。数ヶ月ろくな敵もなく突然こんな強敵を前にしてしまったらとっさの行動もできないのだろう。 バルジーナはギロリ、とタブンネたちを品定めする。 そしてまずはママンネに「はたきおとす」 ママンネは抱いていたベビンネを取り落としてしまった! 急いで取り戻そうとするが、バルジーナはママンネが動くよりも早くベビンネを銜えた。 「ミイイ!ミイイイ!」 ママンネの悲痛な声がこだまする。返して!返して!というように手を伸ばすが、その手はバルジーナの翼で軽く叩き落された。 大粒の涙をぼろぼろこぼしながら、ママンネが呆然とバルジーナを見ている。 おそらくだが、ママンネには攻撃するためのわざが備わっていないのだろう。 「チィ!チチチィ!」 ベビンネもママンネの柔らかい身体ではなくバルジーナの硬いくちばしが不快なのか、身をよじりママンネへ手を伸ばしている。 ようやく事態を飲み込んだパパンネが立ち上がった 「ミギャアアア、ミギイイイイイ」 汚い声でバルジーナを威嚇しているが、バルジーナに怯む様子はない。 それどころかベビンネを上に放り投げたり銜えたりして「ちょうはつ」している。 パパンネは攻撃しかできない!まぁこいつは攻撃技しかもっていないことを昨日確認済みなので意味はないが。 とっしんしようとするモーションを見せるが、バルジーナは微動だにしない。 「ミイイイ!」 パパンネがとっしんを仕掛ける!バルジーナはとっしんをモロに喰らった! もちろん全く動じていない。当然だ。うちのバルジーナは野生にやられるほどヤワではない。 しかしパパンネはとっしんが全く効いていないことにひどく驚いていた。 どうやら昨日とった杵柄、もとい肉ンネとのバトル(笑)で過剰なまでに自信をつけていたらしい。 「ミッ!ミミミッ!」 ママンネがそんなパパンネに声援を送る。 「ミィー!ミィー!」 チビンネ二匹も父親の勝利を疑っていないようすだ。やっちまえ!というようにこぶしを突き上げている。 だが今度はバルジーナの番だ。 とっしんされて毛並みが乱れてしまったところを器用に翼でペシペシと整え、ぎろりと睨みパパンネにその大きなつめを食い込ませる。これは手痛い「しっぺがえし」だ 「ミギャア!」 どうやら眼に爪が刺さったらしく、パパンネは大げさに暴れ始めた。 地を這うパパンネの顔を片足で押さえ込み、バルジーナがベビンネをパパンネの股間へ落とした。 「チッ、チィ?」 開放されたこと、そして父の身体の上へ落とされたことで先ほどまで暴れていたベビンネの動きが一瞬止まる。 「ミィ!ミィイ!」 ママンネは両手を広げベビンネを呼んだ。 その声に応じてベビンネが這い這いでパパンネの身体の上を移動しようとしたとき、バルジーナがそのするどいくちばしをパパンネの股間へ付きたてた! 「ついばむ」だ!バルジーナはどうやらパパンネの股間のナッツを食いつくそうとしているらしい 「ミッギャウ!!!!ミギャギャアッ!!!!!」 パパンネの悲鳴が響いた。 パパンネの股間からは粘液とも血液ともつかぬ不思議な液体が飛び散り、それがベビンネの身体を汚くコーティングしていく。 どうもうちのバルジーナはタブンネのナッツが大好きらしい。喜びながら何度も何度もくちばしを付きたて、啜り、噛み千切っている。 「ミギャッ!ミギュウウ!ギャギイ!」 「ヂィイ・・・ヂイイイイ・・・・」 短い悲鳴を上げるパパンネとは対照的に、いまいち状況が分かっていないチビンネは自分の身体を小さな舌でペロペロと磨こうとする。 だがそのなんともいえない液体の味に顔をしかめ、一向にきれいにならない。 それどころかパパンネの血と種のシャワーはバルジーナが動くたびに噴出すのだ。 「ミギャアアアアアアアアアアアウ!ミッ・・・・ミフッ・・・・!!」 しばらくバルジーナが喰い進めたところでついにパパンネは泡を吹いて失神した。 痛みで死ななかった(というよりは死ねなかった)のは、タブンネという生命力の強い種ならではの悩みだろう 「ヂィイ・・・・ヂィ!ヂィヂィ!」 どうやら自分の父が生死の境をさまよっているというのに、このベビンネは遊んでいると勘違いでもしたのか、「汚れちゃったよう!やめてよう!」とパパンネの身体をぺしぺしとたたき始めたではないか! バカもここまでくればおめでたいものである。 「ミヒッィ・・・ミヒイイイ・・・・」 残されたママンネはというと、目の前で夫が食い散らかされていく様がよほどこたえたのか発狂寸前といった様子だ。 チビンネ二匹を抱きかかえ、ガタガタと震えている。その眼は焦点が合っていない。 もうベビンネのことは諦めたのだろうか?なんとも薄情な親だ。 バルジーナがゆっくりチビンネとママンネに向き合う。 ママンネは錯乱したのか、血にまみれたバルジーナのくちばしに向かっていやしのはどうを流し始めた。 バルジーナはニヤリと不適に笑い、ママンネに抱かれたチビ二匹を先ほどのようにはたきおとした。 しかしもはや正気でないママンネにその意味は理解できなかったらしく、さきほどのような抵抗らしい抵抗はない。 「ミッ!?ミィイイイ・・・・」 一匹は自らの運命を予測したのか、身を竦ませてジョロロロと音を立てて失禁した。 バルジーナは失禁ネをパパンネの肉片が付いたくちばしでチョンチョンとつついて遊んでいる。 失禁ネは眼を閉じ涙を流しながら必死でいやいやと首を振っている。 もう一匹は・・・お得意のアレをやるつもりらしい。 「ミィッ♪ミィッ♪ミィイイ!♪」 必死の形相で媚を売り始めたのだ。 汗をだらだらと流しながらも笑顔は崩さない。まったく見上げた根性だ バルジーナはというと、自身の足元で踊り狂うチビンネを一瞥すると血や肉片で汚れたくちばしをチビンネに擦り付け始めた 「ミッ・・・ミィイイ♪」 一瞬自慢の毛並みが汚れることに抵抗の色を示したが、媚売りが成功したと思ったのか、チビンネはそのくちばしを自ら抱きしめ一生懸命頬ずりをする。 しばらくそうして地獄の最中に和やかな空気が流れていた。 バルジーナは思う存分くちばしをチビンネに擦り付けると、抱きついていたチビンネを唐突に振り払い、その小さな頭を上から銜え込んだ。 「プミッ!?」 ろくな悲鳴を上げる間もなくチビンネの身体がバルジーナの身体の中へ消えていく 「ミゥッ!ミッ!」 チビンネは身体が完全に飲み込まれる寸前まで足をばたつかせていたが、抵抗もむなしく生きたままバルジーナの喉を通り過ぎていった あのチビンネはこれから窒息しながら肉体を酸で焼かれてしまうのだろう。その様子を見られないのは残念だ。 身体の中でタブンネを殺す感覚を味わえるバルジーナは本当にうらやましい。 「ミヒッ、ミヒイイイイ!」 残された失禁ネの悲鳴がこだまする。 しかしそんな失禁ネを助けてくれる者はもう誰も居ない。 まだ幼いベビンネはボロ雑巾と化した父親の股間でいまだに一生懸命自分の毛繕いをしている。 いつもやさしかったママンネは精神が限界に達したのだろう、光のない眼であらぬ方向を眺めて「ミヒャッ!ミヒャヒャ!」と笑い続けている。 右も左も仲間はいない。一生懸命辺りを見回していたチビンネは、ふとベランダから見下ろす私に気付き眼を輝かせた 「ミィイイイ!ミイッミイイイイイ!」 助けて!というように両手をこちらに向けぴょんぴょんとアピールをする。 なんとも微笑ましい姿だ。手を振ってやる 「ミイ!ミイイイ!ミイミイ!」 違う違う!とチビンネが首を振り、バルジーナを指差しながら助けて!とアピールを繰り返す。 思わず笑ってしまう。突然笑い出した私にチビンネはポカンとしている。 「バルジーナ、そのチビとそこで寝転がってるオスは食っていいぞ」 そう言ってバルジーナにGOサインを出した瞬間、ようやく状況を理解したチビンネの顔に絶望の色が戻っていく。 「ミイッ・・・・・ミ、ミイイイ・・・・」 ガタガタと両足が震え始め、極度の緊張と安堵と緊張を繰り返したせいで尻からは止め処なく下痢が漏れ出す。 バルジーナはそのくちばしを柔らかなチビンネの腹部へ突き刺した。見事に貫通し、風穴が開く 「ミギギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 チビンネが絶叫した。 バルジーナが食事を楽しんでいるのを尻目に、私は空のモンスターボールを用意して庭へと急いだ その後。 バルジーナは生きたままチビンネを食い散らかし、まだ息のあるパパンネの頭をカチ割って脳みそをすすった。 我が手持ちながらなかなかのグルメである。 残念ながらどちらもこれといって面白い反応はなく、あえて言うとしたらパパンネが脳髄をすすられている間、左右の目を別々の方向に向けながら前から後ろから止め処なく失禁し、ガタガタとオモチャのように痙攣していたことくらいしか特筆すべき点はない。 残されたのはベビンネといまだ眠り続ける眠ンネ、そして壊れてしまったママンネ。 ママンネにはボールを投げ、すんなりとゲットすることができた。 ベビンネはバルジーナがチビンネを食っているすきに暖かな濡れタオルでくるんで家に連れ帰り、その汚らしく光る毛皮を吐き気をこらえながらキレイにととのえてやった。 生まれて2日のチビンネには、自分の父親が股間を破壊されたことも、自分がその現場に居合わせたことも、愛する母親がすっかり壊れてしまったことも理解できていないらしく、ただ自分をキレイにしてくれたというだけで私に信頼を寄せている。 ママンネは地下室の片隅に檻を用意し、そこでボールから開放した。 相変わらずミヒャミヒャと笑い続けていて不憫だったので、この間麻痺ンネから剥いだ生皮をなめして、用意してあった例のマネキンにかぶせ剥製にして渡してやると相当気に入ったらしい。 口の部分に自らの乳房を当て、片手で無理やり乳をしぼって乳やりをしている気になっている。 もちろん飲み込むはずもないのでマネキンの皮はママンネの乳でべしゃべしゃである。 おもしろいのでコイツは次の季節までここで飼うことにした。 眠ンネはバルジーナが痕跡となりうる骨や肉片すべてを平らげた後、カゴの実を用いて起こしてやった。 そして沈痛な面持ちで 「ママンネが突然おかしくなり、巣を破壊した」 「パパンネたちはママンネから逃げてしまった」 「ママンネは危険なので地下室にいる」 と伝え、すっかり壊れた母親と対面させてやると、涙目になりながらも現実を受け止めたようだった。 まあその現実の半分以上は嘘なのだが。 起こした眠ンネにはベビンネと共にまだまだ途方もない仕事が待っている。 「さすがに、タブンネを二匹もうちでは養えないんだ・・・」 申し訳なさそうな声で私が言うと、存外眠ンネは分かっているとでもいうようにうなずいた。 この個体は比較的ひかえめな性格をしているらしい。タブンネに共通する卑しさが幾分少ないようだ。 まぁそうでなくとも壊れた母を前にして現実を思い知ったのだろう。 「パパンネたちはあっちの方向へ逃げていったよ。向こうには確かに森があるから、これからはそこで頑張って暮らしておくれ・・・」 私の言葉に眠ンネは涙をこらえてうなずいてくれた。 それから3日間、私は眠ンネとベビンネを甲斐甲斐しく世話した。 主食は栄養満点嗜好性抜群の高級フードとベビー用ミルク。眠ンネには毎日ポフレを与え、ベビンネにはきのみペーストの離乳食を与えたりもした。 そして4日目の朝ベビンネを託し、眠ンネとは涙の別れ。 眠ンネは何度もこちらを振り返りながら、森への道を進んでいった。 私は彼らが見えなくなるまで見送ってやった。 今彼らを取り巻く環境は、決していいといえないだろう。 タブンネという種は近年害獣として認識されつつある。 その高慢ちきな性格、糞尿を撒き散らす性質、そして豊富な栄養素を持つ肉。 こういった要因からタブンネはポケモン・人間双方から「積極的に狩る対象」として認識されている。 眠ンネとベビンネはこれからそれを痛いほど味わうことになるだろう。 幸いなことにこの近辺はタブンネを積極的に捕食するようなポケモンも、またタブンネを求めて狩りに出るトレーナーも存在しない。 だがそれは裏を返せばそういったポケモンたちが生息するに値しない枯れた土地ということでもある。 そういった場所にしか、もはやタブンネに安寧の地はないのだ。 眠ンネとベビンネはこれから過酷な体験を数多くすることだろう。 飢え、寒さ、暑さ、疎外、孤独。 そのたびに思い起こすのは、暖かな家族と我が家の甘美な思い出。 一度でも知ってしまえば忘れられないあの味。 彼らは絶対に戻ってくる。 あのパパンネのように、つがいの相手を連れて。 ここはタブンネが住むための庭。 「やりすぎたなぁ・・・庭掃除早く来て欲しいわ~」 荒れ果てた庭を前に、次の季節が来ることを思って私は心を躍らせた。 次のシーズンまでは、相棒のバルジーナと共に地下室のオモチャで思う存分遊ぶとしよう。 終