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食堂に向かう道の途中、一人の使用人が尻餅をついていた。 名はシエスタと言い、身に着けたメイド服がよく似合っている、可愛らしい少女だ。 その彼女は今、尻餅をついたまま何かを探しているように、 困惑した表情で何度も何度も同じ風景を見回していた。 「あれ? おかしいなぁ……?」 ポツリと呟いて首をかしげる。 頭の上にクエスチョンマークを浮かべ、脳裏についさっきの出来事を再生し始めた。 ~ゼロの平面4~ 少し前――食堂に向かって足を速めた際、不意に『何か』とぶつかった。 しっかりと前を見て、障害となるものが何も無いと確認したにもかかわらず、 シエスタは正面から縦に細い『何か』にぶつかり、2、3歩とよろめくと重力にしたがって尻から床に落ちた。 「いたたたたた」 腰をさすりながら、シエスタは考える。 感触から、ぶつかった物は一本の棒みたいに細いものだったが、 道先に棒みたいなものはどこにも無かったはずだ。 もし、悪戯好きの貴族がわざと低級な魔法で転ばしたとしたらたちが悪い。 何かしらの因縁をつけ、貴族の立場を利用して虐めるに決まっている。 ぶるっと肩が震え、途端に畏怖の念が真摯なシエスタを襲った。 背筋に凍るような寒気を感じ、顔から血の気が引くのが自分でわかる。 早急に、謝らねば! しかし……一つ、問題があった。 自分とぶつかったはずの何かが、どこにも見当たらない。 呆けた顔で何度も何度も辺りを見回すが、相手の影も、形も、何処にも無いのだ。 「気のせいだったのかな……?」 それにしては、やたらと現実的な衝突を実感した。 でも、今はそんな疑問以上に湧き上がる安堵の念が胸を埋め尽くす。 (きっと疲れていたんだ。幻覚を見るくらいに) 目を閉じて、頭の中に染み渡るように反芻すると、 解ったとばかりにうんうんと頷く。 『ビ――――ッ』 耳を劈くような音が、足元から聞こえてきた。 次の瞬間、シエスタが足元を覗くよりも素早く、 両足に踏まれていた黒い影が滑るように抜け出した。 「え、きゃあっ!?」 足を取られ、再び尻餅をついてしまう。 そして、間髪居れず落ちて低くなったシエスタの視覚を、真っ黒いものが映り、覆い尽くした。 「え? え……? なに、これ……?」 ややおびえたように未知なる物を見つめる。 目の前の黒すぎるそれをシエスタは理解できなかった。 鼻の先すぐにあるそれは、近すぎて輪郭すら見えない。 ただ、それが『貴族』でも『平民』でもないことだけは解った。 ビ――――ッ!! ビ――――ッ!!! 黒いものから、さっき聞こえた音がうるさく響いた。 聞いていたら頭の痛くなりそうな音の襲来に、シエスタは思わず耳をふさぐ。 しかし、音は鳴り止まない。 その代わりに、黒いものはスッと身を引いた。 音がやや遠くなって、じょじょに輪郭が姿を現す。 『それ』は、意外にも人の形をしていた。 ただその上背はかなり低く、人間の子供以下。一メイルもないだろう。 丸々とした頭にはポコッと膨れた団子鼻がついていて、それでなぜか顔のバランスが取れている。 よくよく見てみれば、なかなか可愛らしい形をしている。 そして、体色は頭のてっぺんから足先まで黒一色だ。黒い。 黒すぎる。 身体的特徴から、シエスタはこれに対する一つの情報を導き出す。 これは、つい先日から話題となっていた『ミス・ヴァリエールの使い魔』ではないか? ――と。 そう思うと、ほんのわずかだが恐怖が和らいだ。 未知の魔物ならともかく、メイジの使い魔ならむやみに人を襲うことは無いからだ。 ……だが、どんな見てくれだろうとやはり貴族の使い魔。 しかもあの気の短くてプライドの高いことで有名なミス・ヴァリエールの使い魔。 下手をすれば何を言われるか解ったものではない。 「えっ、と。あなたはミス・ヴァリエールの使い魔ですよね……?」 シエスタはなるべく下手に出て、気分を損ねないようにと気を使った。 尤も、この使い魔に言葉が通じるのかわからないが。 ……ビ――――ッ! くるりと使い魔は背を向けた。 といっても、両面が等しく黒すぎるため、どっちが正面なのかは図りかねる。 「――――あっ!」 シエスタは異変に気づいた。 と同時に、これがこの使い魔をうならせている原因だと、 それは私のせいなのだといっぺんに理解した。 使い魔――Mrゲーム&ウオッチの背面真ん中辺りに、白い足型が スタンプのようにはっきりくっきりへばり付いていた。 「す、すみません! あの、私の不注意で……」 持ち合わせの布でゲーム&ウオッチの背(腹?)を拭きながら、 使い魔ことゲーム&ウオッチの、あまりのぺらぺらさに、シエスタは胸の内で驚嘆していた。 何で立てるんだろう? とか、 何で歩けるんだろうか? とか、 何で音が鳴るんだろうか? とか 何で動きがかたくて、一々ピコピコ言うのだろうか? とか、 何食べるんだろうか? それ以前にものを食べれるんだろうか? とか そんな疑問の数々でさえ、彼(性別もあるのか……?)の立ち振る舞いを見ていればたいした意味など無く、 ただ、『彼は歩けるから歩いてるんだよ』としか答えようが無かった、思いようが無かった。 彼に対するシエスタの第一印象は、不思議とか仰天とか通り越して、もはや『謎』の一言に尽きた。 「こぉ~ら~っ!!」 パタパタとした慌しい足音に2人が同時に振り向くと、 そこには杞憂だったと頭をかがめ、ばらばらと息を吐くルイズの姿があった。 ビ――――ッ♪ 確認するなりゲーム&ウオッチはどこかうれしそうに体をぴこぴこ鳴らし、 横向きのままやや歩きにくそうにルイズに駆け寄ったところで…… 「こぉの、バカッ!!」 ビィ――――ッ!!? ……ルイズに首根っこをおもいっきりつかまれてる。 ご主人(と思っているかは不明。)の突然の出来事に理解不能と必死に手足をバタつかせるゲーム&ウオッチだが、 いかんせん小柄で、しかもぺらぺらな彼はやはり見た目どおり軽いらしく、 首根っこをつかまれたまま人としては小柄で非力なルイズに軽々と宙に持ち上げられてしまった。 「あ、あの~。ミス・ヴァリエール……」 完全に腰が引けつつも、事態を飲み込めないシエスタが恐る恐るルイズに話しかける。 ルイズはやや怒気を含んでいるものの、比較的常識のある言葉でメイドを追い返した。 「あ――、アンタがここでこいつを捕まえてくれたんでしょ?一応お礼は言っておくわ。…………ありがと」 「えっ、ど、どうも。光栄です!」 最後の言葉は彼女が背を向け、やや照れくさそうにもぞもぞとしていた為か、あまり聞こえなかった。 ただ、それはしっかりとシエスタの耳に届いていたらしく、 シエスタはルイズの予想外な答えに驚き、このときだけは貴族への恐怖をどこへやらに投げ捨てた。 「さぁ行くわよ! 全く、私はまだ朝食とってないんだからね!!」 ビ――――ッ! 背を向けたまま、ごまかすように速いペースですたすたと歩き出す。 ルイズに引きずられた真っ黒い使い魔は片手をカタカタ細かく振ってビ――ッと鳴いた。 多分バイバイと言っているのだろう。 なんとなくおかしい光景に、自然と微笑みが漏れた。 片手を控えめに振って応えると使い魔はうれしいのか、 幼子のようにはしゃいで見せると余計にビ――ッとうるさく鳴き、今度は両手をカタカタと振り始めた。 やがて角を曲がってその姿が見えなくなるまで、シエスタは手を振り続けていた。
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前ページ次ページゼロのイチコ 「ちょっとタバサを驚かそうと思っただけだったんだけどね、ごめんなさい」 と笑顔で謝るキュルケとその横に立っているタバサ。キュルケのその態度はあまり反省してるように見えなかった。 三者三様、それぞれに非のある事もあったため。部屋の穴の修理費は三等分になった。 私の部屋の香水やランプなども被害にあったが、あまりツェルプトーに金を出してもらうのも癪であったため断った。 タバサも自分の部屋の修理は自分で金をだすらしい。 「ごめんなさい」 とタバサが頭を下げる。 「いいのよ、あなたはどちらかというと被害者だし」 今回の元凶はキュルケで、実行犯がイチコになる。 イチコは部屋の隅で足を折りたたんで座る、彼女が言うには「正座」という座り方、をしている。 昨夜にみっちり叱りつけたので反省しているようだ。 今日は虚無の日、授業は休みなのでみんな思い思いに過ごす日だ。 私はと言うと普段は部屋で本を読んだり、郊外で魔法の練習をしたりするのだけれど。 部屋の修理のため今日は部屋にいるわけにもいかない。 それに香水とランプを買いに街までいかないといけない。 私はイチコを連れて街に出かけることにした。 トリステインの城下町は今日も大勢の人間でごった返していた。 ここは貴族も平民も入り乱れ生活している。さすがに位の高い貴族はこんなところには来ないが、家名の低い貴族は平民と変わらない生活をしている者たちもいる。 「あの、ご主人様……」 「あによ?」 「なんだか、周りから見られているように思うのですが」 「そりゃ、杖も持ってない変な格好の人間が浮いてたら不信に思うわよ」 ふと間違えればエルフが街に紛れたと思う――慌て者はさすがに居ないにしても、さすがに不審者には見えると思う。 だからと言って、使い魔を留守番させてては意味が無い。常に主人のそばを付き従うのが使い魔だ。 別にやましい事をしているわけじゃないのだから、堂々としてれば良いのだ。 仮に兵士がやってきたとしても説明すれば分かってくれる、と思う。たぶん。 「やっぱり、わたし歩きましょうか?」 「周りの目なんか気にしなくて良いわよ、浮いてたほうが楽なんでしょう?」 歩くことはできる、というよりは足を動かして歩いている振りが出来るのだ。 だけれども、そんな事をしたらせっかくゴーストを使い魔として従えてるのに普通の人間を呼び出したみたいで嫌だ。 ほとんど見得なのだけれど、初めて成功した魔法なのだ。このぐらいは誇示したいと思う。 「あら、おかしいわね。ランプ屋は確か……」 この通りにあると聞いたのだけれども見当たらない、見過ごしたのだろうか。 キョロキョロと見回す。イチコも少し浮き上がって周囲を見渡している。 そこでピンと思いついた。 せっかく召喚した使い魔を使わないでおく事は無い。 「イチコ、あなた飛べるのだからランプ屋と香水を売ってる店を探してきなさい」 「あ、はい。分かりました」 ふわふわと浮き上がるイチコ、まる見えになる純白のパンツ。 「待ちなさい!」 「はい? どうしました」 「やっぱり二人で探しましょう」 「は、はぁ?」 主人の恥は使い魔の恥、逆もまたしかり。 イチコに無闇に高く浮き上がらないように言いながら街の散策を続ける。 その後、ランプ屋は簡単に見つかったのだが香水がなかなか見つからない。 いや、香水自体は露天などにも売っているのだが。普段使っているモノが見つからない。 家に居た頃は買い物などは使用人の仕事であったし、学院にも定期的に必要な雑貨は送られてくる。 今回のような事故など起こらなければわざわざ買い物など来なかったのだが。 一瞬学院のメイドに頼もうかと思ったが、あれの雇い主は学院長のオスマン氏となっている。 学生としての領分を越えた頼みは出来ない。 たまに無茶を頼む学生もいるとは聞くが…… 「おい、そこの嬢ちゃん。どうだ、何か買っていかねぇか?」 歩き疲れた頃、そう声をかけられた。 振り返るとそこは武器店だった。姿は見えないが中から声はする。 「おいっ! デル公、勝手に喋るなっつってるだろ!」 と奥から店主らしき男が出てきた。 その男はこちらに気づくと 「これは貴族様、とんだ失礼を」 と似合いもしない笑顔をこちらに向けた。 それよりも最初にわたしたちに声をかけた人間の姿が見えない。 イチコを見ると、彼女もわたしのほうを向いた。よく状況が分からないといった顔だ。 「おう、ココだココ。どうだ、貴族っつっても剣が使えて損はねぇぞ」 よく聞くとその声は無造作に木桶につっこまれた剣の一つから発せられていた。 なるほど、インテリジェンスソードだったのか。 「こらっ、黙ってろっつっただろ。大体お前みたいな大剣を扱えるわけ無いだろ!」 確かに護身用よりは実戦用の大きな剣だった。 女性に扱えるようには見えない。 「商売ベタのオマエさんの変わりに客引きしてやってるんじゃねぇか。どうせヒマなんだろ」 確かに店内はガランとしてる。といっても戦争が無い時期は普通こういうものなんじゃないだろうか。 「ぇええ?! 剣が喋ってます、お化け?!」 「お化けはアンタでしょ!」 イチコが随分と反応遅れて驚いていた。 「へぇ、お化けに取り憑かれている貴族様とは珍しいな」 と、その剣は失礼なことを言った。 「この子はわたしの使い魔よ」 「あ、でも憑いてるというのもあながち間違ってない気がしますね。幽霊になって日も浅いですからうっかりご主人様を呪い殺してしまわないかと最近不安で不安で」 何か恐ろしいことを言っている。だがこの底抜けに明るい幽霊が呪いとか言ってもまるで緊張感が無かった。 「どうも、はじめまして。わたくし高島一子と申しまして。訳あって幽霊しながらご主人様の使い魔などをさせてもらっています」 「おぅ、俺の名前はデルフリンガー。デルフとでも呼んでくれや」 「はい、デルフさん」 幽霊と剣が目の前で交友を深めている。シュールだった。 ふと目を逸らすと店主と目が合った。 「それで貴族様、剣などのご入用はございませんでしょうか? いえ、もちろん魔法があれば剣など入用では無いかもしれませんが……」 魔法があれば、という所が引っかかる。だがわざわざ自分から魔法が使えないとも言えない。 店主は装飾として杖としての剣も取り揃えている、などとと熱心に説明をしている。 しかし私は剣を買う気など毛頭無かった。 「そうです、いかがですか使い魔の方にも剣を持たせると見栄えが上がりますよ」 「悪いけどあの子幽霊だからモノが持てな――」 「本当に重いですね、う、腕が……」 「ま、お嬢ちゃんの手には余るわなぁ……って嬢ちゃん使い手か?」 モノが持てないはずのイチコが剣を持ち上げていた。 あまりの出来事に言葉を失くす、武器屋の主人はそんな私を首をかしげて見ていた。 「……イチコ」 「は、はい。ななんで、しょう。ご、しゅじんさ、ま」 インテリジェンスソードが重いのか、プルプルと震えながら話す。 「取りあえずソレを置きなさい」 「は、はぃ」 元の木桶の中に剣を戻す。そして改めて向き直った。 「なんでしょう、ご主人様?」 「アンタ、なんで剣が持てるの?」 「いえいえ、あれは重くて重くて持てるものではありませんでした。やっぱり少しは鍛えないといけませんねぇ」 「そうじゃなくて、なんで生き物じゃないものが触れるのよ」 「……あれ?」 振り返って手じかにあった棚を触ろうとする、しかし手がすり抜ける。剣を取ろうと手を伸ばすが突き抜ける。 順々に触れるものは無いかと探って横移動、何をしてるのかと呆然としていた店主に行き当たって握手をする。何をしているのか。 そうして店を一周して再びインテリジェンスソードの所まで戻った。 柄に触れるが突き抜けない、そのままガシリと持つと不安定ながらも持ち上げた。 「えぇ?! なんで持てるんですか? はっ、もしや私ついに幽霊としてパワーアップを成し遂げたのでしょうか? しかし、そうなるといよいよご主人様を呪い殺してしまわないか心配になってきますね。でもでも、触れるようになったのは大変喜ばしいことですし。 なにより、ご主人様のお世話が出来るようになるかもしれませんし」 う~ん、と悩みはじめるイチコ。 幽霊としてパワーアップ? そうじゃないと思う、だったら他の剣にも触れるようになって無いとおかしい。 さっき私は「生き物ではない」と言った。 しかしインテリジェンスソードは無生物だろうか、それとも生き物だろうか。 もしかしてインテリジェンスソードは生き物だから触れたのではないだろうか。 「ねぇ、この店にあるインテリジェンスソードはあれ一本なの?」 「へ、へぇ。すいやせん。インテリジェンスソード自体が希少なもので」 それもそうだ、実際剣が喋っても得なことなどほとんど無いのだ。 実験的に作られはしたものの需要が少なくほとんど量産されなかったのだ。 この機会を逃せばインテリジェンスソードなんてほぼ見つからない。 「分かった。それじゃ、あの剣を買うわ」 使い魔は主人を守るもの。 せっかく使える武器を見つけたのだから買っておいて損は無い。 重さに問題がありそうだけど、練習次第でどうにかなるだろう。 「へぇ、まいどありがとうございます」 もともと腰が低かった店主の腰がさらに低くなった。 さっさと支払いをすませると私は背中に剣を背負って、まだ悩んでるイチコを伴って外に出た。 ちなみにやっぱり重かった。肩が痛い。 「す、すいませんご主人様。一子はご主人様を呪い殺してしまうかもしれません」 「アンタまだそこで思考が止まってたの」 馬を駈けて街を出てからやっと悩んでいたイチコが出した台詞がこれだった。 この暴走思考はきっと頭をすげかえでもしない限り治らないのだろうと思う。 「アンタ用の剣を買っておいたから、せめて振れるようにしておきなさいよ」 「はい? 剣ですか?」 まさかとは思ったけれど、剣を買った事すら気がついていなかった。 「おぅ、よろしくな相棒」 「デルフさん。なぜそのような所に?」 「いいかげん店の中飽きたんで適当な奴に買ってもらおうかと考えてたが、使い手に出会えるたぁ俺も運がいいねぇ」 とこの喋る剣はよく分からない事を口にした。 「あの、ご主人様」 「なによ?」 「香水は買ったんですか?」 「あ……」 馬の頭を反転させた。 前ページ次ページゼロのイチコ
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前ページ次ページゼロのアトリエ 心配そうに二人を見守るヴェルダンデ。 そこから正三角形を描くように対峙するギーシュと、ヴィオラート。 ルイズがヴェルダンデの鳴き声に気付いた時には、既に周りを生徒達が取り囲んでいた。 「ヴィオラート!」 ルイズの声に反応し、人垣が通路を作る。 「何で、あんた決闘なんか…ギーシュも、女の子と決闘なんて何考えてんの!?」 「ミス・ヴァリエール。男には絶対に引けない時ってものがあるのさ。」 「ルイズちゃん…ごめんね。あたし、努力しないで後悔するのは嫌だから。」 二人はそれだけ答えると、ルイズの到着を合図にしていたかのように動き始める。 「ああもう! 使い魔のくせに、ちっとも私の思うとおりに動かないんだから!」 ルイズは、諦めの言葉を吐いた。 ヴィオラートなら何とかするだろう、そう思ったから。 ゼロのアトリエ ~ハルケギニアの錬金術師7~ 「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。よもや文句はあるまいね?」 創り出した『ワルキューレ』の後方で、自信満々に宣言するギーシュ。 だが、ヴィオラートの反応はギーシュの、いや集まったギャラリー全員にとって予想外のものだった。 「かわいいゴーレムだね。」 「なっ…!! このうえ、僕のワルキューレを愚弄するか!」 かわいいゴーレムと言い放ったヴィオラートの言葉に、周囲の空気が変わる。 数々の石人ゴーレムや、鉄人ゴーレム…金剛ゴーレムまで屠ってきたヴィオラートにしてみれば、実に自然な、むしろ好意的な評価であったのだが…ギーシュ達が、その事実を知るよしもない。 「かわいそうだが、痛い目にあわないと理解できない性分のようだね。」 ヴィオラートに向けてそう言い放つと、ギーシュはワルキューレを突進させる。 「あたしは、錬金術師だから。」 ヴィオラートはバッグからトゲだらけの何かを取り出し、ワルキューレに狙いを定める。 「錬金術師の戦いを、見せてあげるね。」 ヴィオラートの額のルーンが、輝きを放ち始めていた。 所変わって、ここは学院長室。コルベールの長い長い説明が、ようやく山場を迎えたようだ。 「つまり、あの使い魔は、始祖ブリミルの…何じゃったかな?」 「『ミョズニトニルン』です! このルーンはミョズニトニルンの証に他なりません!」 コルベールは、禿頭に光る汗を拭きながらまくし立てた。 「ふむ、確かにルーンは同じじゃ。しかし、それだけで決め付けるのも早計かもしれん。」 「それは…そうですが。」 コルベールもようやくオスマンとの温度差を感じたのか、学院長室に微妙な空気が流れる。 ちょうどその時、ドアがノックされた。 「誰じゃ?」 「私です。オールド・オスマン。」 扉の向こうから、ミス・ロングビルの声が聞こえてきた。 「ヴェストリの広場で、決闘している生徒がいるようです。」 「全く、暇な貴族ほど性質の悪い生き物はおらんな。で、誰が暴れておるんだね。」 「一人は、ギーシュ・ド・グラモン。」 「あのバカ息子か。親に似て女好きな奴じゃ、どうせ女の取り合いじゃろ。相手は誰じゃ?」 「それが、メイジではなく…ミス・ヴァリエールの使い魔だという話で…」 オスマン氏とコルベールは顔を見合わせた。 「教師達は、決闘を止める為に『眠りの鐘』の使用許可を求めています。」 オスマン氏の目が、鷹の様に鋭く光った。 「ふん、子供のけんかじゃ。放っておけと伝えよ。」 「わかりました」 ミス・ロングビルが去っていく足音が聞こえた。 「オールド・オスマン。」 「うむ。」 オスマン氏が杖を振ると、壁の鏡にヴェストリ広場の様子が映し出された。 ヴィオラートは驚いていた。ウニを持った瞬間、ウニの成分・能力・産地までもが手に取るように判った。 そしてまるで、ウニが体の一部、手の延長にでもなったかのような一体感。 「うにー!!」 ヴィオラートの叫びが、ヴェストリの広場に響き渡った。 (栗だ) (栗だよな) (くり。) (それは栗だ) (どう見ても栗だ) (どちらかといえば栗だな) その瞬間、ギャラリーの心が一つになる。 ウニと名づけられた何かが、迫るワルキューレに接触したその瞬間――― ウニは、ワルキューレを巻き込んで大爆発し、ワルキューレごと粉みじんになった。 (ウニって、こんなに強かったっけ…) ヴィオラートは、額のルーンに関係あるのかな? と、ほんの少し考えを巡らせた。 「ば、爆弾!? どこからそんなものを手に入れ…いや、決闘に爆弾を使うなど、卑怯…」 ギーシュの発言は、そこで止まった。ヴィオラートがほんの少し、真剣な顔に変わったから。 「言ったでしょ?あたしは錬金術師。これはあたしが自分のために、自分の力で用意したんだよ?」 ヴィオラートが一歩前に出る。ギーシュが一歩下がる。 「ギーシュくんも、冷静になって、ちゃんとお話できれば、誤解だってわかると思うんだけどなあ。」 ヴィオラートは歩を止め、あくまでも穏やかな笑顔でギーシュに語りかける。努力のあとは認められるが、意識して穏やかな笑顔を作っているというのがまるわかりな、威圧感たっぷりの笑顔で。 「ね? お話を聞いて?」 「く、来るな!」 ギーシュは慌てて薔薇を振る。花びらが舞い、新たなゴーレムが六体あらわれる。 「どうして、わかってくれないのかな…」 ヴィオラートは哀しげにそう呟き、バッグの中から渦巻状のハーモニカを取り出す。 「あんまりはりきりすぎると、こうなるんだよ…ギーシュくん。」 額のルーンが輝きを増し、渦巻状のハーモニカが不思議な旋律を奏でる。 「あ…れ…? こんな、ちかりゃが、はいらにゃ…」 まるで心そのものを削られたかのように、ギーシュは脱力し、地面に倒れ伏す。 広場に、歓声が轟いた。 オスマン氏とコルベールは、遠見の鏡で一部始終を見終えると、顔を見合わせた。 「オールド・オスマン。」 「うむ」 「あの平民、勝ってしまいましたが。」 「うむ」 「見ましたよね!? 不思議な道具を使いこなす、これぞミョズニトニルンの証ではありませんか!」 「うむむ…」 「オールド・オスマン! 早速王室に報告して、指示を仰がないことには…」 「それには及ばん」 オスマン氏は、重々しく頷いた。白いひげが、厳しく揺れた。 「どうしてですか!? これは世紀の大発見ですよ? 現代に蘇ったミョズニトニルン!」 「ミスタ・コルベール。大発見だからこそ、慎重にならねばならん。」 「はあ」 「王室のボンクラどもに過分の力を与えて、どうしようというのだね? 戦争でもしようと言うのか?」 「そ、それは…」 「そしてまあ、間違いの可能性もまだ無いとはいえん。報告するにしても、拙速に過ぎる。」 「ははあ。学院長の深謀遠慮には恐れ入ります。」 「この件はわしが預かる。他言は無用じゃ。」 「は、はい! かしこまりました!」 オスマン氏は杖を握ると窓際へと向かった。歴史の彼方へと、思いを馳せる。 「伝説の使い魔『ミョズニトニルン』か。どんな姿をしておったのかのう…」 夢見るように、そう呟いた。 前ページ次ページゼロのアトリエ
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前ページ/ゼロの使い/次ページ 瓦礫一つ、動くもの一つ無い、ニューカッスル城跡地に三体の鉄像が立ち尽くしていた。 しばらくすると、鉄像が徐々に元の姿に戻っていった。 「驚きましたね。」 「ああ、まさかワルドが自爆するとは・・・」 「そうじゃなくて、あれほどの大爆発の中で生き残った事に驚いたんですよ。」 あの時、マホカンタでは間に合わぬと判断したメディルが鋼鉄変化呪文・アストロンを唱えたお陰だった。 後、0.1秒判断が遅ければマホカンタを使用しているメディルはともかく、他の二人は城の者と運命を共にしたであろう。 「あれは自爆ではない・・・恐らく何者かに爆破させられたのだろう。」 「では、ワルドの他に文と私の命を狙う刺客がいたと?」 「そう考えるのが妥当だろう。傭兵や山賊の一件と言い、奴一人で全てをやったとは思えぬ。」 「とにかく、ここを離れましょう。その刺客が確認に来るかもしれません。」 「さっきも言ったが、僕はここで死ぬ。だから君たちは・・・」 ウェールズは台詞を言い終わることができなかった。 背後から突き出された槍に、心臓を貫かれ、断末魔すらあげる事の出来ぬまま即死したからだ。 「念の為来てみれば・・・道連れにすら出来ぬとは、つくづく役に立たぬ男だ・・・」 槍の主が、得物を死体から引き抜く。そいつは傭兵と山賊を雇ったあの髑髏の騎乗兵だった。 すかさず、メディルが五指爆炎弾を見舞うが、華麗な槍捌きによって、全て弾かれた。 「いきなり、メラゾーマ5発とは随分な挨拶じゃないか。」 「貴様が、もう一人の刺客か。」 「いかにも。呪いのかかった金貨で傭兵と山賊をけしかけたのはこの私だ。」 「よくも、皇太子を・・・!!」 ルイズが失敗魔法を放とうとするのを、メディルが制す。 「止せ。お前の適う相手ではない。」 メディルは無意識のうちに悟った。間違いなくこいつはワルドより格上。 1体1ならともかく、主を守りながら勝てるかどうかは五分五分だった。 「そうそう。私はたださっき吹っ飛んだ役立たずの尻拭いに来ただけなんだ。そしてそれはもう済んだ。 私が君たちと戦う理由は無い。」 「文はどうする?」 「さっき、上層部から連絡があってねぇ。もう文は要らぬと仰りだ。」 「ほう。」 「まあ、私自身が戦う理由は無い・・・だけだがね。」 言われて、メディルはようやく気づいた。いつの間にか周囲が紫色の霧に覆われ、そこから骸の兵士や 中身の無い血まみれの甲冑の群れが這い出してきていることに。 「我が名は死神君主・グレートライドン。冥土の土産に、覚えておいてくれたまえ・・・」 それだけ言い残して、グレートライドンの姿は消えた。 「どうするメディル?」 「この霧、恐らくこの近くで冥界の入り口が開いたのだろう。」 「それって・・・」 「恐らくこの亡者どもは無限に湧いて出るはず。相手にするだけ無駄だ。」 「じゃあ・・・」 「答えは一つ。ルーラ!」 しかし、不思議な力でかき消された。 「やはりそう甘くは無いか。・・・なんてな。」 メディルは手近な魔物にマホカンタをかけた。 「ルイズ、皇太子の死体と私の服の裾を掴め、早く!!」 「わ、わかった。」 言われるがままにするルイズ。 「生憎、着地がうまく行くかどうかは運次第だ。バシルーラ!!」 先程の魔物にかけたバシルーラが、跳ね返ってくる。 その結果、三人はニューカッスル城跡を脱出することに成功したのだが。 「この後はどうするの!!?」 「柔らかい場所か、海上か、その辺飛んでる船の上に落ちることを祈るしかない。ルーラはまだ発動できないんだ。」 「いやあああああああああああ!!!」ルイズの絶叫がアルビオン領空に木霊した。 ルイズ達が一生に一度しかしないであろう、スカイダイビングをしている頃、 アルビオン大陸軍港施設・ロサイスの一室に司祭姿の細い男が玉座に座っていた。 「閣下。」 馬に乗った死神君主が、その男の元へやってきた。 「君か。皇太子はどうした。」 「心臓を一突きに。他2名は取り逃がしましたが・・・」 「冥府の入り口まで開いておきながら・・・か?」 「あのメディルと言う男・・・かなりの切れ者のようで・・・」 「そうか。それにしても、子爵で作った花火は美しかったな。遠くからでも良く見えたよ。」 「皇太子一人吹き飛ばせない、完全な娯楽専用の花火でしたがね。」 「まあ、あれだけ綺麗ならあのお方も満足なさるだろう。それより・・・」 「分かっております。その準備を兼ねて、この世とあの世を繋げたのですから。」 「楽しみだな。トリステインが血と炎に染まる日が。」 「全く持ってその通りで。制圧の暁には閣下はまず何をなさるおつもりで?」 「・・・トリステインにはそれは美しい姫がいるという。ぜひ一度食したいと思っていたのだ。」 「相変わらずですね。百人もの美女を食べておきながら・・・」 ルイズ達は幸運にも、トリステイン国近海に不時着(落下直前、メディルが硬化呪文スクルトを連発し衝撃を和らげた)した。 彼曰く、岩場などの硬い場所ではアストロンを使う予定だったとの事。 事ここに至って、ようやくルーラが使用可能となり、ルイズ達は海水と海藻にまみれたまま、 死体を引っさげて姫に謁見と言う、トリステイン始まって以来の暴挙を成し遂げた。 死体を見せ、事の仔細を説明すると、姫は壊れたかのように号泣し、天もまた、惜しみない涙を流した。 1時間ほど泣いただろうか。ようやく涙の収まったアンリエッタが言った。 「ごめんなさい・・・つい取り乱してしまって・・・手紙奪還の件、有難うございます。 褒美にそなたが望むがままの地位を与えましょう。皇太子の遺体はわが国で手厚く葬ることに・・・」 「とんでもない。私はただ、友人の頼みを聞いたに過ぎません。」 「僭越ながら、姫様に申し上げたい義がございます。」 「何でしょう。」 「姫様はゲルマニアに嫁ぐべきではありません。」 「何故ですか?」 「最愛の男が目の前にいるのに、何故ですか?はないんじゃないか、アンリエッタ。」 ルイズとアンリエッタ、メディル以外は聞き覚えの無い声に、その場にいる者は皆振り向き、目を見開いた。 確かに死んだはずのウェールズ皇太子が立って喋れば誰でもそうしたであろう。 「どどど、どういう事!!?」 「どうもこうも無い。私の魔法で生き返らせたのだ。」 「だって、あれは・・・」 「一部を除き人は無理。確かに私はそう言った。しかし、幸運にもウェールズはその一部だったのだ。」 「一部の人間ってどういう定義で決まるの?」 「黄泉の国から舞い戻るほどの強い意志、または神や精霊などの何らかの助力。 どちらかを持ち合わせた者のみは蘇生が可能だ。」 「でも、いつの間に・・・もっと早く復活させたって・・・」 「愛しの姫の前に来れば、皇太子の死の淵から生還しようとする意志は強くなるだろうし、 敵には皇太子が死んだと思ってもらったほうが好都合だ。 そう判断し、王室へ戻り次第蘇生を行うはずだったのだが、姫が泣き出したお陰で、 タイミングを逃し、30分待っても泣き止む気配が無いので、復活させたが、 皆姫に気を取られていて気が付かなかった。で、今ここに至るわけだ。」 「ミスタ・メディル、その術で、我が王党派の者達の復活を依頼したいのだが・・・」 「残念だがそれは無理だ。あの爆発で全員、跡形も無く消滅してしまったし。時間も経ちすぎた。 灰や消し炭となった者、死後一時間以上経った人間はいかに私とて救えない。前述の助力を持つ者は時間に関係なく死体と意志さえあれば蘇生出来るが、 残念ながら、あの城の者達にそういう物は感じられなかった。 あの城の者達の毛髪でも肉片でもいいから、死体の一部があれば姫が泣き止む前に蘇生出来たかもしれぬのだが・・・」 「そうか・・・やはり叶わぬ願いだったか・・・」 「でも、良かったですね。姫様。」 「ええ・・・でも・・・」 「なりませぬぞ、姫!」 突如口を挟んだのは民から鳥の骨と呼ばれているマザリーニ枢機卿であった。 「一通の手紙でさえ、危うく国を危機に貶める所だったのに、事もあろうに・・・」 「この場の全員が口を閉ざし、皇太子は外部から見えぬ所で・・・ たとえば地下牢や隠し部屋で生活していただく。これならばどうと言うことはあるまい。」 「ききき、貴様。一国の姫に、不倫しろとでも言うつもりか!!?」 「敵から身を隠すためとはいえ、地下牢は勘弁してもらいたいな。」 「不倫しろといった覚えは無いし、さほど長い時間隠れていろという訳でもない。」 「どういう事?」 「間もなく、レコン・キスタが攻め込んでくるだろう。そもそも政略結婚の発端は奴らを倒すため、 同盟を結ぶしかなかったから。逆に言えば、奴らを倒せば晴れて堂々と結婚できると言うわけだ。」 「そんな簡単に倒せるわけが・・・」 「私なら倒せる。否、倒して見せる。」 「枢機卿殿、彼は緻密な策を用い、ワルド子爵を死闘の末、打ち負かしたのです。」 「他にも城一つ吹き飛ばす爆発から守る術を使ったり、凄まじい嵐を吹き飛ばしたり・・・ 正に彼の実力は桁外れです。国一つと戦わせても決して引けをとらぬはずです。」 「マザリーニ。私からも頼みます。私の友人とその使い魔を信じてやってはくれませぬか?」 使い魔、公爵の娘、皇太子、そして主君の眼差しに流石の枢機卿も折れた。 「では即刻、軍議に移るとしましょう。」とウェールズが切り出す。 「そうですな。敵の兵力は?」とマザリーニ。 「少なくとも5万。しかし、トリステイン侵攻の際はさらに多くの兵を率いてくるでしょう。」 「我が国の兵では太刀打ちできぬ。メディル殿に頼るしかないか・・・」 「ルイズ、ミスタ・メディル。ちょっと・・・」 二人は君主に言われるがままに、一冊の書の前に来た。 「これは始祖の祈祷書。指輪を嵌めた特定の者のみ、読めると言われています。メディル、あなたのルーンは始祖ブリミルの使い魔の物。 すなわちルイズ、あなたは始祖の使い魔の後継者を呼び出したと言えるのです。」 「なるほど。そのルイズならその書を読めるかも知れぬと。」 「はい。ミスタ・メディルの力を疑うわけではありませんが、保険は多いに越したことはありません。 あわよくば、この書にはこの戦を左右することが記されているかもしれないのです。」 「わかりました。」 返事と共に、書を手に取り、ゆっくりと読み上げるルイズ。その手には水のルビーが嵌められていた。 現段階で祈祷書から得られた情報はルイズが失われた虚無の使い手であり、彼女の爆発は失敗ではなく 虚無の初歩の術・爆発によるものであったこと。 そしてルイズは初歩の魔法『爆発』を覚えた。 「それはさておき、この度女王陛下のお耳に入れておきたいことが。」 「何ですか?」 「実は―」 「何と、そのような。」 「従わぬようなら国家反逆罪で処刑すればいいでしょう。」 「しかし、それは・・・」 「私も黙ってやるつもりでしたが、姫様の仰った通り、準備は多いに越したことはありません。」 「・・・分かりました。後ほど部隊を派遣します。」 「さて、これでお前と私はこの国の命運を左右する存在となったわけだ。」 「そんな・・・」事の重大さに、流石のルイズも腰が引けているようだ。 「人間とは死ぬ気になれば、誰かの為ならば、我ら魔族にも勝ることがある・・・認めたくは無いがな・・・」 その時ルイズは、使い魔の仮面の中に切なげな表情を見た気がした。 「ごめんなさい・・・」 「・・・謝る事は無い。お前が魔王様を殺したわけではないし、そもそも先に手を出したのは我らだ。 予想外の結果に終わったとは言え、戦と言うものの真理だと割り切っている。」 以前の自分では到底考えられぬ言葉に、彼は少しだけ自分の変化を自覚した。 ―ここへ来てまだ、数日しか経っていないと言うのに、随分といろんな目にあい、丸くなったものだ。我ながら。 前ページ/ゼロの使い/次ページ
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★今日のアクセス数★: - ★いままでのアクセス数★: - オリジナルでのPT しぷゼロ おにこんぼう ダークドレアム レオパルドorクイーンガルハート おにこんは疾風突きでダークドレアムは捨て身で行動早いがラウンドゼロ・・・こんな戦法 一番よくあるスキル おにこんぼう 攻撃力アップSP 攻撃力アップ3 ふうらいの剣技 多彩な技を使う用 攻撃力アップSP エスターク ふうらいの剣技orバウンティハンター ダークドレアム 攻撃力アップSP 攻撃力アップ3 侍 レオパルドorクイーンガルハート HPアップSP オムド・ロレス 竜神王orエース オリジナルの捨てゼロ グラブゾンジャック ダークドレアム レオパルドorクイーンガルハート
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303 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/11/27(月) 21 31 38 ID Fbj3A6iz アメリカンジョーク風ゼロの使い魔 ある朝、いつものように大好きな使い魔のサイトをつれて 授業を受けに行こうと部屋を出たルイズは、少し離れたところにある モンモランシーの部屋からギーシュとモンモランシーが出てくるのを目撃した。 見ると、ギーシュはなんとモンモランシーにお出かけのキスをしているではないか。 羨ましくなったルイズは傍らのサイトに真っ赤な顔を悟らせないよう言う。 「ね、ねぇ、ギーシュは出かける前にモンモランシーにチチチ、チュ−してるわよ・・・ あああ、あなたはなんで同じことしないの?」 「は?だって俺、出掛けにキスするほどモンモンと親しくないし」 その日一日、悲鳴が途切れることはなかった・・・・・・ 終わり
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ゼロのアルケミスト 1 ゼロのアルケミスト 2 ゼロのアルケミスト 3
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Blu-ray 劇場版名探偵コナン ゼロの執行人 豪華盤 発売日:10月3日・12月18日 封入特典 1. 三方背ケース(新規描き下ろしイラスト) 2. 新規描き下ろしを含むアートボード25枚 3. ムービーマークステッカー 4. 青山先生原画ポストカード ここを編集 2018年4月公開。~から紅の恋歌に続く第22作。23作に~紺青の拳がある。 http //www.conan-movie.jp/ 監督 立川譲 原作 青山剛昌 脚本 櫻井武晴 ストーリーエディター 飯岡順一 絵コンテ 立川譲 絵コンテ協力 寺岡巌、金井次朗、菅井嘉浩、許平康 演出 立川譲、菅井嘉浩、平向智子、許平康、宇根信也、鎌仲史陽、重原克也 キャラクターデザイン・総作画監督 須藤昌朋 作画監督 野武洋行、清水義治、堀内博之、岩井伸之、高橋成之、吉見京子、井元愛夕、とみながまり アクション作画監督 金井次朗、寺岡巌、小澤和則 作画監督補佐 本吉晃子、新谷憲、大高美奈、小野可奈子、佐々木恵子、三浦雅子、中島里恵、岩佐裕子 デザインワークス 小川浩 美術監修 石垣努 美術監督 佐藤勝、福島孝喜 美術設定 寺岡巌 3D背景モデリング 長谷川弘行 美術ボード 福島孝喜、佐藤勝、長谷川弘行、政木香里 イメージボード loundraw 色彩設計 加藤里恵 撮影監督・メインタイトルCGアニメーション 西山仁 CG監督 松倉大樹、小岩寛満 特殊効果 林好美 Monitor Works sankaku、わたなべしゅんすけ、中小原明典 グラフィックスデザイナー 志村泰央 編集 岡田輝満 HD編集 藤田育代 HD編集アシスタント 倉田しおり 音響監督 浦上靖夫、浦上慶子 ミキサー 田中章喜、田口信孝 音響効果 横山正和、横山亜紀、山田香織 アシスタントミキサー 小沼則義、鶴巻慶典 音楽 大野克夫 文芸担当 小宅由貴恵 アニメーション制作 TMS/V1 Studio ■関連タイトル Blu-ray 劇場版名探偵コナン から紅の恋歌 劇場版名探偵コナン ゼロの執行人 原画・設定資料集 劇場版 名探偵コナン 新価格版Blu-ray 10巻まとめて購入特典付き 劇場版 名探偵コナン 20周年記念 Blu-ray BOX【2007-2016】 名探偵コナン 安室透/バーボン/降谷零シークレットアーカイブスPLUS 劇場版『ゼロの執行人』ガイド 名探偵コナン 赤井秀一 安室透 シークレットアーカイブス 少年サンデーグラフィック 名探偵コナン 「ゼロの執行人」 オリジナル・サウンドトラック 名探偵コナン ゼロの日常 1 サンデーコミックス 劇場版名探偵コナン ゼロの執行人 上 小学館ジュニアシネマ文庫 名探偵コナン ゼロの執行人 名探偵コナン テーマ曲集4~THE BEST OF DETECTIVE CONAN 5~ 初回限定DVD付 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Blu-ray 魔女見習いをさがして Blu-ray「どうにかなる日々」Blu-ray Happy-Go-Lucky Edition 初回限定生産 Blu-rayDisc付き 『ラブライブ! スーパースター!!』「始まりは君の空」【みんなで叶える物語盤】 BEM~BECOME HUMAN~豪華版Blu-ray Blu-ray 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 10th Anniversary Compact Collection Blu-ray ぐらぶるっ! 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しばらくして、朝食を終えた生徒達が教室へ移動を始めた。 キレた目をしているルイズもディアボロを連れて教室へ向かった。無言なのが怖い。 教室には、生徒達が召喚した様々な使い魔が居た。 しかし、教室の椅子は貴族の席であり、ディアボロが座る席など存在しない。 仕方なしに、ディアボロは教室の一番後ろに行き、壁を背に立ち続ける。 その後シュルヴルーズという土系統のメイジの教師がやって来て、 生徒達が一年生の時、学んだ魔法の基礎をおさらいさせる。 魔法には四大系統というものがある。 『火』『水』『土』『風』 そして失われた伝説の『虚無』 等の話はディアボロの興味を心地よく刺激しており。 それに、教師が石ころを真鍮に変えた時はさすがに目を剥いた。 (そう言えば…使い魔が選ばれる理由は…) 召喚された直後にU字禿教師が言っていた事を思い出す。 『…現れた『使い魔』で、今後の属性を固定し、専門課程へ進む・・・』 キュルケのサラマンダーはどう見ても『火』以外ありえない……ならばキュルケは『火』の系統なのだろう。 (どおりで嫌な感じがしたわけだ) とすると、あの教師の言う通りならば。 ここに召喚されている生物は、ほぼ全てが四系統の属性に分類されるはず。 (では……私は何系統なのだ?) 火・水・土・風・虚無。ディアボロの持ち物はほぼ全ての系統に当て嵌まっていて。どれか一つに分類する事が出来ない。 「ふむ」 ディアボロが考え込んでいる最中、教室が突然騒がしくなった。 その原因は、ルイズが前に出て錬金をやる事になったからである。 (……あれが何系統なのか判断できれば、私の系統も逆説的に分かるはずだ) ディアボロのちょっとした興味。 何系統として呼ばれたのか。ほんのちょっとした好奇心 だが、ルイズの一挙一動を見守るディアボロは、生徒達や使い魔達が机の下に入ったり、教室から飛び出たのを見えていなかった。 ルイズは石に向かって杖を振り―――― ドッゴオォン! 爆発が起きた。 反応が遅れたディアボロは、その爆発をまともに……くらわなかった。 起きた爆風は、ディアボロの体に到達する前に和らぎ。 散弾銃のような小石は体に接触する寸前、燃え尽きた。 ほんの掠り傷程度ですんだディアボロだが。 彼は呆然としていた。 「な、んだと?」 爆心地はルイズ。 それを見た彼は、記憶の中のトラウマの一つが浮かんできた 『何かのアイテムが爆弾になったかも…う~むどうだったかな……?自信がない…』 この後、ディアボロはルイズの二つ名を脳裏に刻み込む事となった。 ドット!ライン!トライアングル!スクウェア!そのランクの中で、 一番下のドットにすら及ばない、魔法は使えるが何時も爆発を起こすメイジ。 成功率ゼロ!だから『ゼロ』のルイズと呼ばれている事。 そして――メイジの実力は召喚される使い魔にも反映されるらしい事。 それを聞いたディアボロは、何故ルイズに召喚されたのか納得した (私も最初は無能だったからな) ディアボロは、奇妙なダンジョンに初めて潜った時の事を思い出した。 無装備状態で手探りしながら迷宮を進み、罠や敵の手、それに自分のちょっとしたミスで何回も何回も死んだ記憶。 …………それでも、遅々とした足取りの中で実力を着け、ダンジョンを制覇した誇らしい記憶。 (これからの成長に期待と言う事か) 授業終了後、ディアボロがキュルケからそのルイズの話を聞いていると、 噂をすれば影とばかりに、その本人が不機嫌ですと顔に書いてやってきた。 「ちょっと!私はキュルケに近付いちゃ駄目って言ったわよね!?」 「硬い事言わないでよルイズ、私はアンタの二つ名を懇切丁寧に説明して上げてただけだから」 「よ、余計な事しないで!こいつは私の使い魔!あんたは関係無いでしょ!」 自分の不名誉な二つ名が知られた事を知って、顔が赤くなるルイズ。 面白そうな顔でそれを見つめていたキュルケだが。 さすがに、飽きたのか颯爽とその場を離れて行った 「じゃあね、食事に遅れるから私はそろそろ行くわ」 そして残されたルイズは、いきなりディアボロの足に蹴りを入れた しかし、その一瞬、ディアボロの周囲に砂が集まって、ルイズの蹴りを明後日の方向に受け流した。 ズダン。 滑ったルイズは華麗に転倒した。 「…何をする?」 「うるさいッ!」 不思議そうに尋ねるディアボロに罵声を返すだけのルイズ。 頭に血が昇ったルイズは、さっきの砂が集まった異常な事には気付いていない。 何も無いところで滑って転んだと言う無様な記憶だけである。 そのまま、体の埃を払うと教室を出るルイズとディアボロ。 食堂への途中、ルイズはディアボロの表情の変化に気付いた。 含み笑いをしている。それがルイズの勘に更に障った。 「なに笑ってんのよ!」 「何も笑ってはいないが?」 「笑ってた!」 「ふん?……まあ、いい。話は変わるが… お前は昨日メイジの誇りを熱心に語ってくれていたな…… それでだが、自分が魔法を使えないのはどう思っているんだ?」 言葉に詰まるルイズ。 「魔法が使えない無能の癖に、お前が言う平民で変態の私から貴族として尊敬されると思っているのか?」 「私だって…私だって努力はしてるわよ!ディアボロ!あんた、ご飯抜きだからね!覚悟しときなさいよ!」 涙が滲む目を向けながらも、捨てゼリフを残すとそのまま目の前の食堂のドアに飛び込んで行った。 「さっきの言葉は流石に厳しかったか?」 ディアボロなりに発破をかけたつもりだが、ルイズは想像以上に痩せ我慢をしていたようだ。 そしてディアボロは、食堂に入らなくては昼食を食べられないという事に溜め息をついた。 このままだと餓死する。さりとて、DISCの無駄な消費は避けたいとディアボロが悩んでいる時。 「あの……どうかなさいました?」 声がかけられた。 振り向くと、そこには夜空に輝く無数の星と同じ数ある男のロマンの一つメイドさんの姿をした少女。 「何でもないが……」 「もしかして、貴方はミス・ヴァリエールの使い魔になったって噂の平民の変態の……」 平民の変態発言を軽くスルーするディアボロ。指摘してもどうにもならないって事もあるが。 「お前もメイジなのか?」 「いえいえ、私は違います。普通の平民です。 貴族の方々をお世話するために、ここでご奉仕させていただいてるんです」 普通のと言う所を強調して発言するメイド。 そこまでして、ディアボロと同じだと思われたくないのだろうか。 「…………」 「私はシエスタっていいます。貴方は?」 「ディアボロだ」 「そうですか…それで、ディアボロさん。 こんな所でどうしたんです? 本当に何もお困りでないんですか?」 シエスタの目を見るディアボロ 腹に一物を隠し持ってはいないようだ。純粋な親切心から彼に声をかけたのだろう。 (これは、昼食の代わりを用意してもらえるか?) 「昼食を抜かれてしまってな」 「まあ!それはお辛いでしょう、こちらにいらしてください」 ディアボロがこっちに来て初めて出会った貴族以外の人間。 シエスタの対応を見て、何となく利用できそうだと外道チックな事を考え始めていた。 <<前話 目次 次話>>
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ほぼゼロの手がかり (怪盗L……あの時、死んだはずなんじゃ?) 黄色い探偵服の少女―――【譲崎ネロ】が椅子の上に座り考える。 こんな状況でも……いや、こんな状況だからこそ冷静になろうとする。 ひとまず、デイバックの中に入っていたお菓子の箱が一つだけ入っていた。 彼女の見たことのない銘柄のチョコ菓子であったが、一口だけ口に入れ、頬張る。 (毒は入っていないようだね……うん、美味しい) これから、頭を使うのだから、彼女にとって糖分補給は重要だった。 まずは連れて来られたこの状況―――直前までの記憶がない。 記憶を操作するトイズか何かを使われた可能性がある。 (怪盗Lの持つ『精神操作のトイズ』なら可能かも知れない。 けれど、これだけの人数に同時に精神操作のトイズを掛けるのは流石の怪盗Lでも不可能だろう。 ……あるとしたら、【協力者がいる可能性】だが、それはない) 怪盗は基本徒党は組まない。 特に伝説的大怪盗と呼ばれていた怪盗Lなら自身のプライドが許さないだろう。 (それに本物の怪盗Lだったら、自分の娘―――アルセーヌまでこんなことに巻き込む必要があるのかな?) 次に考えるのは支給されたこの名簿。 自分が知っている名前は…… ・シャーロック・シェリンフォード ・エルキュール・バートン ・コーデリア・グラウカ ・アルセーヌ そして、自身を入れて五人。 (……シャロもエリーもコーデリアもこんな殺し合いには乗らないだろうし。 アルセーヌは怪盗だけど、殺し合いには乗らないだろうしな) 「……さてと、試してみるか」 ネロのトイズは電子機器からの情報取得・制御のトイズ。 所謂、【ダイレクトハック】というものである。 (……ダイレクトハックが効かない……? 首輪だけがトイズを受け付けないのか……) 部屋の中の電子機器は問題なく全て動かすことは出来た。 そして、それと同じようにこの首輪に触り、感触を確かめる。 見た目は普通の金属製の首輪、爆発するということは機械制御式かもしれないと思い試した。 しかし、この首輪にはどういうわけかそのトイズの操作を全く受け付けない。 (と、なると考えられるのは……) 考えられるのは最初の場所にいた怪盗Lが【怪盗Lの名を借りた偽者】の可能性。 だが、これだけじゃまだ証明完了には至らない。 (でも、まだ足りないな、小林が言うところの【そう、これは重要なファクターだ!】って奴が) と、今までの自身の考察を軽くまとめる。 捜査は地道なことからコツコツとが、基本である。 そして、ネロが自身の考えをメモにまとめ上げた時であった。 「……ったく、えげつねェよな…………」 「うわ!?」 気配もなく背後に立っていて、自身のメモ書きを読まれていた。 ネロ自身、集中していたこともあるが、警戒は怠っていなかった。 それでも、突然ゴリラのような男が現れ、声をかけられたのだから、驚くのも仕方ない。 「アンタ、誰?」 「オレの名前はゴレイヌ、プロのハンターをしている」 「プロの……ハンター……?」 このゴリラのような男の名は『ゴレイヌ』。 本人の言う通り、ハンターライセンスを持つ正真正銘のプロハンターだ。 「おっと警戒しなくていい、オレはこんなゲームには乗っていない」 「僕が信用できないって言ったら、どうする気?」 「まあ、何も言わずにずっと見ていたことは詫びよう、すまなかった」 「……………」 見た目毛深いゴリラな割に割と紳士的な態度を取るゴレイヌ。 「見たところによるとお前はあの怪盗Lとかいうやつを知っているようだしな」 「…………つまり、情報のギブアンドテイクってことでいいの?」 「ああ、そうだ。話が早くて助かる」 一先ず、ネロは彼の話を聞くことにした。 情報集めは犯人探しの基本であるのだから。 【E-6・ヨコハマ警察/一日目・深夜】 【譲崎ネロ@探偵オペラ ミルキィホームズ】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、チョコロボ君(一個消費)@HUNTER×HUNTER、考察メモ [思考・行動] 基本方針:首輪の解除及び脱出 1:シャロ、エリー、コーデリアとの合流 2:アルセーヌはひとまず保留 3:(まだ信用しきれないが)ゴレイヌと情報交換をする [備考] ※探偵オペラ ミルキィホームズ2本編終了後からの参戦です。 【ゴレイヌ@HUNTER×HUNTER】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、ランダム品1~3 [思考・行動] 基本方針:殺し合いからの脱出 1:ゴン、キルア、ビスケとの合流 2:ヒソカ、クロロ=ルシルフルは警戒する 3:少女(ネロ)と情報交換をする [備考] ※少なくともグリード・アイランド編終了後からの参戦です。 チョコロボ君@HUNTER×HUNTER 一個150ジェニーほどのお菓子。ネロに一ケース分支給された。 時系列順で読む Back 帝王VS反逆者 Next 歪曲少女 投下順で読む Back 帝王VS反逆者 Next 歪曲少女 GAME START 譲崎ネロ [[]] GAME START ゴレイヌ [[]]