約 579,014 件
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/68.html
「ね、ククール…?何考えてるの?」 声を掛けられて我に帰る。 裸のオレ。オレの腕の下に組敷かれている、これまた裸の女。しわくちゃのシーツ。その周りに脱ぎ散らかされた、服だの下着だの。 「考え事してた。ごめん。」 女性と二人きりで居るときにぼんやりを決め込むのはマナー違反だ。オレは素直に相手に謝る。 「いいのよ…。」 彼女は優しく微笑む。数時間前、そのつやのある紅い髪が気に入って誘ってみた女。年齢がよくわからない。見た目は若いけど、落ち着いた雰囲気が漂う。 名前は確か…シンディちゃんだったかな?ケイトちゃんだったかも?いかんいかん。オレとした事が女性の名前を全然覚えていないなんて。マナー違反、二つ目だ。仕方ないからここは便宜的にシンディ(仮)ちゃんということにしておこう。 オレは喉が乾いたので、ベッドの脇にあるサイドテーブルの上から、水差しとグラスを取る。横からシンディ(仮)がオレの腰に手を回す。もぞもぞと細い指が腹の上をはい回る。オレはほんの少し水を飲み、危ないのでグラスをテーブルに戻し、仰向けになる。 誘っておいて何だけど、正直少し面倒臭いと思う。ノリノリでベッドに連れ込んだのに、どうして急にこんなに気が重くなったのか。 でも、シンディ(仮)の指と舌があんまり素晴らしいので、オレの身体は直ぐに反応してしまう。オレはオレの単純な生理を憎む。先程、彼女の服を脱がせながらも頭を占めていた思いが、またモヤモヤと広がってくる。 オレは永遠にこんなことしてなきゃならないんだろうか。 エイトたちとの長い旅が終わってオレは一人きりになった。 エイトはめでたくトロデーン王家に婿入りを果たし、ヤンガスは女盗賊の所に腰を落ち着け、ゼシカはリーザス村に帰り家族と暮らしている。 オレはマイエラ修道院にもドニにも帰らなかった。適当に旅でもするつもりだった。 それが差し当たり『自由』でいられる方法だと思っていたからだ。 しかしその『自由』を手に入れた時からオレは身動きが取れなくなってしまった。世界に放り出されて混迷してしまった。 オレは自由であるという事=ひとりぼっちであるという事をすっかり失念していた。 オレにはある種の束縛が必要だったのだ。例えそれが酷い憎しみであれ、オレは意識される事でようやく生きていける類の人間だった。 オレはオレの業の深さを知り、どうしようもなく落ち込んだ。 シンディ(仮)は柔らかい唇と温かい舌と歯とを器用に使い、オレを快楽に導こうとしている。本当にスゴイよシンディ(仮)ちゃん。 オレはこうやって摩擦と消耗を繰り返して、自分と誰かをちょっとずつすり減らして、死ぬまで時間をなんとか潰していかなければならないんだろうか。 オレの落ち込みはどんどん酷くなる。 そもそもなんでオレがこんなこと考えなくちゃならないんだよ。クソ!あの旅さえなければ、こんな風に自分の弱さなんか自覚しないで済んだのに! ああ、畜生。オレにこんなことを考えさせる原因は、ひとつしか思い当たらない。 ---ゼシカ。ゼシカ。ゼシカ。ゼシカ。お前がいないからだ! オレはお前さえ此処に居て、この手をぎゅっと掴んでいてさえくれれば、それだけで安らかでいられるのに。 旅の間、オレを踏み出させていたのは他ならぬお前だったのに。 「どうしたの?」 不安そうなその声にオレは目を開ける。心配そうに見上げるシンディ(仮)。 なんて事だろう。オレは情けないことに、すっかり萎えきってしまっていた。 「あれ?」 オレはいささか驚く。 こんなにイイ女が滅多に体験できないテクニックを披露してくれているというのに、どうした事だろう。おい、しっかりしろよオレ!しかしどんなに叱咤激励しても、気合いを入れてもなだめすかしても、勃たないものは勃たない。 まずい。女性に恥をかかせるワケにはいかない。オレは彼女を見た。つやのある紅い髪。 ああ神様、と思わず心中で呟く。---ここでまたゼシカだ。いい加減、未練がましいよ。 「好きな子の事を考えていた?」 オレは正直に頷く。目の前の女に心から申し訳ない気持ちになる。本日最大のマナー違反を、シンディ(仮)は笑って許してくれた。優しい女だ。思ってた以上に年上なのかも知れない。 「バカね。あんたは早くその子の所に行かなくちゃいけないのよ。紅い髪の女の子。そうでしょ?」 そう言いながら彼女は立ち上がり、散らばった衣類を拾い集める。呆気にとられているオレを見て笑う。 「ああ―――、だって貴方、最初からずっと私の髪しか見てないんだもの。どうせ名前も覚えてないんでしょ?早く行きなさい。もう限界ですって顔してるよ?そんなに求めているのにこんな事しているあんたの気が知れないわ。」 オレの完敗だった。 オレは心底彼女に出会えた事に感謝した。オレに自覚を促し、きっかけを与えてくれたシンディ(仮)ちゃん。君の期待に応えられるといいんだけどね。 オレは着衣を整え、彼女の頬にキスをして、感謝と謝罪の言葉を伝えて宿屋を飛び出した。振り返ると二階の窓から手を振ってくれる彼女が見えた。君はやっぱり少しゼシカに似ている。 ルーラを唱えて、まずはトロデーン城に移動する。もう夕暮れが迫っている。 エイトはどこだ? 城内は使用人たちがせかせかと忙しそうに働いている。ならばあそこだと食事の間に走る。どかっと必要以上に大きな音をたてて、その扉を開く。 案の定、夕食時だったらしいが、今はそんな事に構ってはいられない。 エイト、ミーティア姫、トロデ王。なんだよヤンガスまでいやがるのか。 一同が呆然としている中、オレはつかつかとエイトの前まで歩み寄った。 「な、な、なんじゃお前。突然。」王様が焦っている。 「エイト、地図まだ持ってるよな?オレに寄越せ。」オレは言う。 「いきなり来て何を言っているんでげすか?」ヤンガスが首をかしげている。 「それと船!使えるようにしてくれよ。」オレは言う。 「音沙汰がないから、皆さんククールさんの事を心配していたんですよ?」ミ―ティア姫が困っている。 オレが言いたい事だけ言うので、全然誰とも会話が噛み合ない。 「ゼシカにも会いに行ってあげなよ。寂しいと思うよ?彼女。」 やっと口を開いたエイトとまでも話が噛み合ないので、苛ついたオレは簡潔にコンパクトにまとめて言った。 「だから、今から地図と船を持ってゼ・シ・カに会いに行くの!!オレは!!」 一瞬の間を置いて、その場に居た全員の顔がパッと明るくなった。一斉に動き出す面々。 やっとの事で地図を手にしてその部屋を出た時、後ろから拍手やら喝采が聞こえた。 オレは振り返らないで思う。本当にいつもごめん。ありがとう仲間たち。 リーザス村に着くと、ほとんど日は暮れかけていて、家々からは明かりが漏れていた。 ゼシカは教会の墓地に居た。その中でも一際豪華な墓の前で膝を抱えてしゃがんでいた。 オレはゆっくりとその背後に近付く。 「兄さんともう一度話ができないかなぁって、毎日ここに来ちゃうんだよね。」 ゼシカは振り返りもせずに言った。 「それで一度でも話はできたのか?」 オレが聞くと、ゼシカは立ち上がって振り向いた。 「ううん…。本当は解ってるんだ。サーベルト兄さんは、ここにも東の塔にももう居ないって。今は安心して遠い安らかな所に居るんだよね。」 ゼシカはそう言って穏やかに微笑んだ。久しぶりに見るゼシカの顔。 「今日はどうしたの?」 何から言えばいいんだろう。確固たる意志で此所まで来たのに上手く言葉が出て来ない。伝えなくては。オレがどんなにゼシカを必要としているかを。 ゼシカはオレの言葉を待って黙っている。オレは焦る。なんとか言葉を絞り出す。 「えっと…あー、その……迎えに来た。」 なんて間抜けな台詞だよ。そうじゃないだろう!前置きも無しにいきなり核心に迫ってんじゃねーよ。このオレがなんたるザマだ。 何か言わねば。必死に考えながらゼシカの顔色を伺う。 驚いた事にゼシカの目にみるみる涙が浮かんでくる。眉根を寄せて。口を引き絞って。 泣くほど嫌なんだろうか…。いや、ゼシカの事だからオレを哀れんでるんだろうか? オレはショックを受けて、ただぼんやりと突っ立っていた。 ハッキリ言って自信は無かったよ。確かに…うん。というか、ある程度は予想していたんだ。 でもいざとなるとこの衝撃はやり過ごすにはあまりにも大きくて、ゼシカから目をそらす事も出来ずにいた。 ゼシカはこちらに向かって歩き出した。涙を指で掬うように拭き、オレの胸に顔をうずめた。 そして言った。 「待ってた…。」 オレはとりあえずゼシカの身体を抱きしめたものの、しばらくの間ポカンとしていたと思う。カッコ悪い事この上ない。 腕の中の温かさにだんだん状況が掴めて来て、どうしようもない嬉しさが込み上げてくる。 ゼシカを身体から引き離して顔を見ると、もう泣いてはいなかった。恥ずかしそうに下を向き、ゆでたタコの様に耳まで赤くなっている。 可愛くて可愛くて仕方がなかった。 その顔を上向かせてキスをする。顔を離してゼシカを見ると更に照れているので愛しさが募ってもう一回キス。増々照れる様子に面白くなって来てもう一回キス。…調子に乗っていたらゼシカに殴られた。まあいいさ。これからはずっと一緒に居られる。 とりあえず今日はゼシカの家に行く事にした。ゼシカの母親にもお許し願わなければならないし、旅立ちは朝の方が縁起がいい。 ゼシカに手を引かれて歩き出そうとすると、オレの肩を後ろから誰かの温かい手が叩いた…気がした。振り返ると、そこにはゼシカの兄の墓。 ……まさか、ね。 オレはゼシカの手を強く握り、歩きはじめた。今の事、ゼシカには言わないでおこう。きっと物凄く悔しがるから。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/31.html
宿屋。 夜まで休むの時間、ゼシカとククールの二人だけがそこに居た。 二人は机を挟んで呪文書に目を通していた。 おもむろにゼシカが口を開く。 「ククールってさ・・・」 「ん~?」 間の抜けたような声でククールは返事を返す。 ゼシカは次の言葉を言わないまま、じっと雑誌を持ったククールの手を見つめる。 その視線に気付いたククールは、ぱたんと呪文書を閉じ、身を乗り出した。 「何?」 「・・・手、おっきいよね」 「手?」 「うん。だって、ほら」 ゼシカはククールの手をとると、自分の手と合わせた。 「こんなに違うよ?」 ゼシカの指はククールの指の第一関節くらいまでしかなかった。 確かに、ククールの手は大きい。 大きいというか、前まで弓術をしていたせいもあって、指が長いのだ。 手だけ見るとよくサルの手とからかわれ、昔は悩みの種になったものだ・・・ 「あたし、手が大きい人、好きなんだよね」 「・・・ふ~ん」 「あたしの手ってさ。何か不揃いなんだよね。指だけこんなに細くってさ・・・」 「いいじゃねーか。、ゼシカの手、好きだぜ?」 ゼシカがはっとしたように顔を上げる。 そこには頬杖をつきながら柔らかい顔でゼシカを見つめるククールが待っていた。 「そ、そんな・・・冗談やめてよ」 「冗談なんかじゃ、ないぜ?」 そっとゼシカの手をとる。 触れた瞬間、少しびくついた。 ゆっくりと手を撫でながら、指と指の間にそっと指を差し込んだ。 「あ・・・」 ゼシカの呟きも無視して、包み込むようにぎゅっと握る。 少し戸惑いながらも、ゼシカの指が握り返す。 「ゼシカの手、冷たくて気持ちいいぜ・・」 「ククールの手、あったかいね・・」 お互いの手の感触に、しばし意識を任せる。 まるで手から二人の心が伝わってくるようだった。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/517.html
ここ最近の流れの、」どうしようもなく黒ーるです。エロはない、救いもない。ゼシカたんかわいそう。それでも大丈夫な方だけ読んでくださるようお願いします… ++―――今日もククールは「どうせもうすぐ次の街に着くから」という理由で、ゼシカのケガを癒さないまま強引に歩みを進めた。確かに彼女の傷は重傷ではなかった。それでも、魔物と戦いながら旅を続けるのが辛いくらいには傷を負っていることに変わりはない。ここ最近ククールは限界ギリギリまでゼシカに回復呪文をかけなくなった。それはとてもじゃないが、彼女の騎士としてふさわしい態度ではない。以前ならMPの無駄遣いだと皆に責められても、ほんのかすり傷でホイミを唱えていたはずが。そのくせ未だに、自分以外の仲間が彼女に回復呪文をかけるのは断固として許さなかった。「ククール、ゼシカを回復してあげてよ」エイトは眉間にしわをよせてそう言った。怒っているというより、考えあぐねた結果の進言といった感じだ。ククールは何をバカなことを、とでも言いたげに意外そうな顔を作る。「大丈夫だって。どうせ宿泊まればある程度回復するんだし。MP節約だろ?」「腕をケガしてるんだよ、あれじゃ可哀想だ」「ちゃんと戦える程度には浅いケガだよ。ホントにヤバくなったらちゃんと回復する。 戦闘に影響がないようにはするから、心配すんなって」「そんなこと心配してるんじゃない。はぐらかすなよ」エイトの本来の強さが目に現れる。ククールはじっとそれを見返し、薄く笑った。「…じゃあお前がアイツに言ってやれよ。回復してやろうか、って」不審そうに、エイトがククールを見上げる。していいものならとっくにしている。それを禁じたのは他でもないククールじゃないか…。エイトは嫌な空気を振り払うように「それなら」、と踵を返した。その背中に、ククールの楽しそうな声が聞こえる。「―――――アイツはさせないだろうけどな。…絶対に」その後エイトに回復を勧められたゼシカは、「ククールにしてもらうから大丈夫」と、それを拒んだ。その笑顔は、痛々しかった。 *ゼシカは扉の前でずいぶん長い間立ち尽くしていた。傷を負った腕がひどく痛みはじめていた。そこをかばうように、ギュウと掴む。早くしないと、扉の向こうで自分を待っているはずの人物を怒らせてしまうかもしれない。その部屋は―――ククールの部屋だった。あの夜から、ククールはたびたび、機会があれば強引にゼシカを抱いた。あくまでただのセックスではなく、「MPを要しない究極の回復魔法」という名目のもとに。ゼシカは拒んだ。こんな風に自分たちの関係が変わってしまうのは耐えられなかった。しかしククールはそれを強要した。なぜ、と問うても決して答えは返らなかった。はじめはどこか煮え切れない表情でゼシカを抱きしめていたククールは、回数を重ねるたびにその顔を皮肉にゆがませ、ゼシカが嫌がれば嫌がるほどそれを楽しむようになる。そしてゼシカはあまりに急激に植え付けられた性感に翻弄されすぎて、ククールが与えてくる暴力的な快楽にとらわれ、いつしか抵抗することを忘れた。 それは麻薬そのものだった。やめなければ身を滅ぼすとわかっているのに、浅ましく求めることをやめられない。宿で個別の部屋が取れた日は、必ず夜更けにククールがゼシカの部屋を訪れた。ゼシカも、部屋割りが判明した瞬間から今夜自分が彼に何をされるのかを知っている。わかっているなら逃げればいいのに、それをしない時点でこの行為は同意のうえだった。しかし彼が部屋を訪れる時間はいつもバラバラで、ゼシカがまだお風呂に入っていないからと言ってもかまわず抱かれるし、お風呂に入っている最中に乱入してきてそのまま無理やり行為になだれこまれたことも一度や二度じゃない。たとえ愛情に基づいた行為ではなくても、ゼシカはせめてちゃんと身を清めてからじゃないと、他人に己の身体を触らせることに大きな抵抗があった。いつかそれを羞恥をこらえて訴えたことがある。するとククールはニヤリと笑って言ったのだ。「じゃあ、お前がオレの部屋に来いよ。オレの“回復”が恋しくなったら、ゼシカの方からくればいい」自分からククールの部屋を訪れるということが、どれほどゼシカの羞恥を煽り、ゼシカに屈辱を与えるかをわかりきっていて。ククールが強要するからではなく、ゼシカが抱かれることを望んでいるのだと。それを証明させようというのだ。そしてゼシカはこの狡猾な提案に逆らえるすべを持たなかった。指先が滑稽なほどに震えながら、ドアノブを掴み、ひねる。いつだってこの瞬間は心臓が破裂しそうなほどに高鳴る。それは期待ではなく、恐怖。この扉を開ければ、また一つ、自分達は戻れなくなる。わかっているのに…部屋の中に人影はなかった。足を踏み入れる。彼の部屋を訪ねているのを他の仲間に見られたくなかったから、扉を閉めた。シャワーの水音も聞こえない。か細い声で彼の名を呼ぶが、返答はない。ゼシカは肩の力が抜ける気がした。ホッとしているのは間違いない。「逃げられる」――ゼシカの脳裏に咄嗟に浮かんだのはその言葉。ちゃんと部屋に来たのだ。でも、ククールはいなかった。だから帰ったのだと…ゼシカが来たい時に来ればいいと言ったのは彼なのだからそんな言い訳自体が無用なものであるはずなのに、なぜかゼシカは必死で弁解を考えていた。なぜ来なかったのかと責められた時の言い逃れを。きっとククールは問い詰めない。でも、確実に…怒る。彼が不機嫌な時にされる“究極回復”を、ゼシカは身をもって知っていた。必要のない長い長い乱暴な愛撫に、高められるすぎて苦痛なほどの快楽を延々と味あわされても、ククールはゼシカが一番求めているものを最後の最後までなかなか与えてくれなかった。焦らされすぎて、自分がどれほどはしたなく懇願したかも覚えていない。あんなのはもうイヤだ。ゼシカは顔を赤らめ、悔しそうにスカートを握りしめる。あれは自分がこっそりエイトに回復を頼んだことが彼に知られてしまったからだった…今なら、逃げられる。このあと自分の部屋には戻らず、教会ででも一晩過せばいい。ゼシカは弾かれたように振り返りドアノブに手をかけた。しかしまさにその瞬間、廊下側から扉が引かれ――――目の前に立つククールを見上げ、ゼシカはあからさまに怯えの表情を見せた。意外な邂逅にしばらくきょとんとしていたククールだが、ナイトローブ姿の彼女を一瞥し、静かに微笑んだ。「……どこ行く気だったんだ?ゼシカ」――――その声は、ゼシカにとって堕ちていく合図だった。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/145.html
オレは武器に対してこだわりは無い。 剣でも弓でも、杖だって構わない。その時点で手に入る最良の物を使う。 ある時は『器用』と褒められ、ある時はその言葉の後ろに『貧乏』と付けられて陰口叩かれてきた。 別に構わなかった。人間なんて、いざとなったら一人だと思ってたから、一つのことしかできないより、何でも一通りこなせる方が有利だと思ったからだ。 でもやっぱり、コンプレックスあったんだろうな。だから、ドルマゲスとの最後の戦いの直前にベホマラーが使えるようになった時、浮かれちまった。 旅の間でも、オレの器用貧乏ぶりは健在だったからだ。 力や体力ではエイトとヤンガスに及ばず、攻撃魔法ではゼシカに完敗。かろうじて得意と言えた回復魔法も、エイトだって大抵のものが使えた。オレにしか出来ないことってのが見当たらなかった。 それがあの土壇場で、最高に役に立つ呪文を習得して、回復全部任せてもらって、キッチリ役目を果たせたもんだから、テンション上がっちまったんだ。 そして、ゼシカのことは放っておいた。 ゼシカには帰る家があって家族も待ってるんだから、大丈夫だろうと勝手に決めつけてたんだ。 オレは薄々、気づいていた。ドルマゲスを倒した後、ゼシカを襲うのは虚しさだろうってことは。 実際そうなってしまったのにも、すぐ気がついた。 でも、何もしてやらなかった。 事前にそれとなく忠告だけはしてきた。敵討ちが終わった後の、身の振り方は考えておけと。 今思うと、言葉が足りてなかったのはわかる。 復讐なんてものを最終目標にすれば、終わった後にガックリ来て、全てが虚しくなっちまうもんだって。だからオレはその後にある自由を目指したんだって。そう教えてやれば良かったんだ。なのに、そうしなかった。 同じ『敵討ち』という目的を持っていたオレだけが出来たことだったのに・・・。 こんなところでまで、オレは中途半端だった。 あの時のオレも不安定だったんだ。 いろんなしがらみを断ち切ったと思う解放感。自分の役割を果たせたという達成感。そして、追いかける相手がいなくなった喪失感と、自由に対しての不安。 でも、そんなこと間違っても口に出したくはなかった。 だから、避けたんだ。ゼシカと話をすることを。 あの瞳に見つめられるのが怖かった。つい、自分をさらけ出してしまいそうになるから。 いつもオレはそうだった。 ゼシカはいつでも、オレに歩み寄ろうとしてくれていたのに。 ゼシカがオレにそっけなかったのは本当に最初だけで、その後はずっと理解しようとしてくれていた。仲間として、信頼もしてくれた。 オレのために怒ったり、悲しんだりして、心配してくれていた。 でも、オレは決してそれを受け入れなかった。 いつでも壁を作って、心の深いところまでは入り込ませないように突き放してきた。 それなのに、気が向いた時だけ、優しさや気遣いを見せたりして、ゼシカを戸惑わせ続けた。 一度だって、本当にゼシカを思いやったことなんてなかった。 『ゼシカもうれしいだろ? どうだ? 兄のカタキを討った感想は?』 ドルマゲスを倒した後、オレが言った言葉。 あれがどれだけゼシカの心を逆なでしたかと思うと、胸が痛む。 嬉しいはずがない。オレだって、ちっとも嬉しくなんてなかった。だからこそ言っちまったんだ、あんな言葉。オレはいつだって、自分の心をごまかすことばかりに一生懸命だったから。 仇を討つという誓いが、いなくなってしまった人との間に残されていた最後の絆だった。 それが無くなってしまったんだ。嬉しい気持ちになんて、なれるはずがない。 ましてやゼシカにとって、兄のサーベルトの存在は幸福の象徴だった。喪失感はオレなんかの比じゃなかったと思う。 心の中に何もなくなって、スキができてしまったのかもしれない。 もしあの時オレが、ゼシカの事をもっと、ちゃんと考えてやっていたら。 何かは変えることが出来たんだろうか。この悪夢の様な現実を、少しでも。 「マホカンタ」 光のカベを出現させる。魔法使いを相手にする時の、戦術の基本だ。 覚悟は決めた。どうあっても、しくじるわけにはいかない。必ずここで止めるんだ。そうでなければ取り返しのつかないことになる。 ゼシカ、もう少しだけ待っててくれ。必ず助けてやるからな。 たとえ、その手段が、こうしてお前と戦うことだったとしても。 ようやく見つけたゼシカは変わり果てていた。 関所を強硬突破し、リブルアーチの町を破壊して、人の命を狙ってる。何が起こってるのか正確なところはわからないが、何かに操られてるんだろう。 今もオレたちを殺して、目的を果たそうとしている。頼みの綱は、ハワードが調合している結界だけ。 オレたちの目的は、ゼシカを倒すことじゃなく止めることだ。 ゼシカがゼシカである限り、主な攻撃手段は魔法のはず。マホカンタを切らさずにいれば、手詰まりにさせられる。そう思った。 甘かった。おかまいなしだ。 マヒャドやベギラゴンが跳ね返されて、自分の身体に火傷や切り傷、凍傷を負っても、ゼシカは魔法を撃ってくるのを止めない。このままじゃあ本当にゼシカは死んじまう。 おまけに、メラゾーマまで撃ってきた。オレが出現させた光のカベに跳ね返され、ゼシカの身体は巨大な火の玉に包まれるが、それでもあいつは笑っている。 汚ねえやり方しやがる。結果的にゼシカを傷つけてるのはオレだとでも言いたげだ。でもな、相手を間違ってるぜ。オレはそんなに優しい人間じゃねえんだ。マホカンタの解除だけは絶対にしない。感傷なんかで、やられてやるわけにはいかねえんだよ。 ゼシカが杖で撃ちかかってきた。油断してると吹っ飛びそうだ。こんな力をゼシカの華奢な体で出し続けたら、骨も筋肉もボロボロになる。 もう結界なんて待ってられねえ。オレのこの手でやるしかない。 オレは堕天使のレイピアを抜いた。エイトとヤンガスが驚いた顔をする。 「ククール! まさかゼシカの姉ちゃん、斬るつもりでがすか!?」 「このままにしておく方が残酷だ! 大丈夫、修道院にいた頃、人の身体の仕組みは勉強した。命は取らずに身体の自由だけ奪う。任せろ!」 悪いな、ゼシカ。かなり痛い思いさせることになる。少しの間、耐えてくれ。 文句なら、後でいくらでも聞いてやるからさ。 ゼシカはずっと眠り続けている。時折うなされるものの、目を覚ます気配はない。 ゼシカが受けた傷は全て治療した。少し前まで熱を出してたけど、それも下がった。 だけど、ゼシカは目覚めない。・・・もう夜が明ける頃か。 肩に手を置かれ、振り返るとエイトが立っていた。眠ってていいって言ったのに、起きてきたのか。 付き添いを代わると言われたが断った。あの戦いで、ほとんど無傷だったのはオレだけだからだ。特にエイトは、オレがゼシカを止めてる間、シャドーの相手をしながら自分自身とヤンガスの回復も引き受けてたんだ。簡単に疲れは取れないだろう。 そう、あの場面で動く体力があったのは、ゼシカの魔法をくらってないオレだけだった。なのに何故動かなかった? ハワードの結界に弾き飛ばされ、地面に落ちてくるゼシカを、オレは抱きとめてやれなかった。体は動いたはずなのに、ただ見ていただけだった。 ゼシカの両足は折れていた。あんな高さから落下したんだ、当たり前だろう。 ふと外の気配がおかしいのに気づく。殺気とまではいかないが、妙にザワついてる。穏やかじゃない。 やっぱりエイトに付き添いを代わってもらうように頼んで、外に出てみた。 宿屋の外では、町の男たちが集まっていた。武器を持っている者もいる。皆、オレの姿を見て後ずさる。 「・・・何の、用だ?」 聞かなくてもわかる。狙いはゼシカか。 思わず剣の柄に手がかかるが、かろうじて抜かずに止める。 コイツらが悪いんじゃない。昼間あれだけのことがあったんだ。恐れをなして当然だ。ゼシカが起き出して、また暴れるんじゃないかと心配なんだろう。だから眠ってるうちに殺してしまおうとする。 無理のないことだ。責められない。 「・・・あんたたちには迷惑かけたと思ってる。だけど、彼女を殺させるわけにはいかない。責任は全てオレが取るから、この場は退いてほしい。頼む」 「責任取るって、どうするんだ?」 武器屋のオヤジが訊いてきた。 「もし彼女の目が覚めて、まだ誰かの命を狙うようなことがあったら、その時はオレのこの手で始末をつける」 この手で、今度こそゼシカを斬る。 「それでも退いてもらえないというなら、今この場で、あんたたちの相手はオレがする」 剣にかかる手に力がこもる。もう、これ以上誰にも、ゼシカを傷つけさせはしない。 町の連中は、引き上げていった。 でも、まだ油断はしない方がいい。オレは入り口近くで見張ることにした。 エイトだけでなく、ヤンガスもトロデ王も起きてきていた。 「どこに行っておったんじゃ、ククール」 「ちょっと外の空気を吸いにな」 とても、本当のことは言えない。 「少し眠っておいた方がいいでげすよ。一晩中起きてたんでがしょう?」 「いいんだよ、夜更かしは得意分野だ」 ゼシカが目を覚ます時には、その場にいなきゃならない。さっきの連中との約束を果たすためにも。 あいつらに対する最後の脅しは、ほとんど八つ当たりだ。悪いことした。 ただ、気づいちまったんだ。オレがゼシカを抱き止められなかった理由。 オレは心のどこかで諦めてたんだ。ゼシカを取り戻すことを。 オレに手足の筋を切られ、動けなくなってもなお、あれだけの膨大な魔力を放とうとするゼシカの姿。 あの姿を見た時、ゼシカはもうダメなんじゃないかって思った。 ドルマゲスのように完全に人ではなくなって、砕けて灰になるしかない存在に変わってしまったんじゃないかと、そう思ったんだ。 根拠なんてなかった。オレの心の問題だ。 いつだって、最悪の事態ばかり想定する。 下手に期待を持たなければ、裏切られることはない。 望む前に諦めてしまえば、叶わなくても傷付かずに済む。 初めから逃げてしまう癖がついてるんだ。 最低だ・・・。 そして、バカだ! 諦めるなんて、出来るのか、本当に? 目を覚ましたゼシカが、また襲いかかってきたとして、本当に殺せるのか? ああ、やるさ。オレがゼシカの立場だったら、わけのわからない奴に操られて、いいように利用されるぐらいなら殺してほしい。きっとゼシカも同じはずだ。だから出来る。他の誰かにやらせるぐらいなら、このオレの手でやる。 でも、そうしたら終わりだ、何もかも。この世の全てのものに、意味なんて無くなる。 ゼシカ、頼むから目を覚ましてくれ。声を聞かせてほしい。 バカでもアホでも、軽薄野郎でもいい。お前の言葉なら、何でも受け入れる。 今度こそ約束する。必ず守るって。どんなことからも、何者からでも。 全てをかけて誓うから、どうか戻ってきてくれ! 「おお、おお、ようやく気づいたか」 トロデ王の声で、ゼシカが目を覚ましたことに気づく。 「トロデ王・・・。エイトも・・・。私・・・どうしてたの?」 ・・・正気、だよな。 一気に体中の力が抜けそうになった。壁によりかかってなかったら、みっともなく引っ繰り返ってたかもしれない。 ゼシカが暗黒神ラプソーンがどうたらって話をしてるが、半分も頭に入ってこない。 かろうじてわかったのは、ゼシカが持ってた杖を回収しないとならないってことと、その杖に触れるのはヤバイってことだ。 まだ本調子じゃないゼシカは宿に残してトロデ王に任せ、オレたちは杖を探しにいくことになった。 エイトとヤンガスが、やけにニヤニヤしてる。二人で、肩とか叩いてきやがる。 ちくしょう、わかったような顔してんじゃねえよ。 「仕方がなかったとはいえ、レディと戦うというのは、オレの美学に反する行動だったな。もっとも、あんなに手強いレディをデートの相手にするのは、ごめんだがね」 オレはいつも以上にスカした調子で軽口を叩く。 エイトは溜め息を吐き、ヤンガスは呆れ声を出した。 「素直じゃねえでがす」 素直じゃねえのは認めるが、今言ったことは本心だぜ。 変な諦めグセのついてる今のオレに、ゼシカをデートに誘う資格はないからな。 ドルマゲスを倒した時に、少しはマシな自分になれたと思ったが、まだまだだった。 弱くて、情けない自分のままだった。諦めのいいフリをして逃げてるだけのオレ。 でも、もうそこで立ち止まりはしない。 諦められないものがあると知ってしまった以上、今のままではいられない。 それを失わずに済ませるためには、強くなるしかない。 ゼシカ、これから先のオレの全てを、お前のために使ってくれてかまわない。 戻ってきてくれたことに、ありったけの感謝を捧げる。 今は言葉にはできないけれど、改めてここに誓う。 オレはお前を守る。お前だけのための騎士になる。 誓い-後編
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/60.html
マイエラ修道院、サヴェッラ大聖堂に次ぐ三大聖地のひとつ聖地ゴルド。 エイト達一行はマルチェロを追ってこの地に来ていた。 シンボルである巨大な女神像は今はなく、代わりに巨大な穴がぽっかり口を開けていた。 辺りはすっかり暗くなったというのに、この寒空の下穴を前に銀髪の青年がひとり瓦礫に腰掛けている。手には金の指輪。 「ちょっと、そこのお兄さん!」 不意に掛けられた声にククールは声の主を探して振り返った。 「ゼシカか・・・」 怒っているような、心配しているような表情のゼシカが歩み寄ってきた。 「アンタ、まさかこの穴に飛び込もうなんて考えてないわよね?」 ゼシカの言葉に黙ってニヤニヤしているククール。 「な、なによぉ」 「オレの事心配してるんだ?」 「なっ、ばか言わないでよ!何で私が・・・」 言い掛けて止めてしまった。マルチェロの事で落ち込んでいるであろうククールを気遣いここまで来たのに、これではいつもの調子になってしまう。 「そりゃ・・・心配してるよ」 それでも恥じらいからか声が小さくなってしまう。 「あー、あー、アンタその指輪どうするつもり?」 今度は照れ隠しに声が大きくなってしまった。 自分でも顔が赤くなってるのがわかる。 「コレ?んー・・・わかんね。コレをどういうつもりでアイツがオレに渡したのかも。」 指輪を見つめるククールの瞳。ククールの瞳はいつも悲しみの色を湛えている、とゼシカは思った。 「・・・騎士団長に・・・なれって事じゃないの?」「はぁ?やだよ。オレはね、あんなヤツの跡を継ぐ気はないね」 「うふふ。そうだね。何よりアンタには勤まりそうもないし」 「ム・・・言ってくれちゃって」 フンと鼻を鳴らし、また穴を見つめる。 わずかな沈黙の後、口を開いたのはククールだった。「ゼシカには、話してなかったよな?」 「?」 「アイツ・・・マルチェロは最初は優しかったんだ・・・」 それからククールは自分の事、マルチェロの事を話しはじめた。 ゼシカはククールの瞳から目が離せなかった。いつもおちゃらけたククール。聖職者であるにも拘らず不真面目なククール。ときどき寂しそうなククール。 兄との確執は知っていたが、こんなにもククールは愛情に飢えていたのだ。あの笑顔の裏にはこんなにも苦しみが隠されていたのだ。自分はそれに気付きながらもわかってあげられていなかった。 情けなかった。ククールの事をわかっているつもりになっていたのだ。 笑いながら何でもない事のように話を続けるククール。でも本当は心が悲鳴をあげている。そう思うとゼシカはたまらなく切なくなった。 話し続けるククールの視界が急に遮られ、自分を包む空気が温かく感じられた。「え・・・?」 あまりに突然な出来事にそれがゼシカの腕の中であることに気が付くのにしばらく掛かってしまった。 「ゼ・・・シカ・・・?」「アンタ・・・ずっとひとりぼっちだったのね」 ゼシカの心臓の音が聞こえる。ククールはゼシカの胸に頭を預け目を閉じた。 「私が・・・居るからね」「ゼシカはあったかいなぁ・・・」 「ククールもあったかいよ・・・」 そう言うとゼシカはククールの額にキスを落とした。 今日はなんだか自分でも変だ。とても素直になれる。ククールは立ち上がりゼシカの頬にキスを返し、強く抱き締めた。 「ありがとな。・・・でもオレ、そんなに弱くないぜ?」 「・・・うん。知ってるよ」 わかっていた。ただ、たまらなく目の前の男を抱き締めたかっただけな事も。 「ばかだな・・・。こんなに肩が冷えてる」 自分を気遣いこんな寒空の下に来てくれたゼシカに申し訳なく思い包み込むように抱き締めた。 ゼシカの冷えきった肩に、頬にキスをする。 ゆっくりとお互いの唇が近づく。 「あー、やっぱりタンマ」ゼシカの手がククールの唇を遮った。 「・・・モガ。・・・なんだよぉ、折角いいムードだったのに・・・」 文句を言っているククールを無視してゼシカはニコニコと笑顔。 「魔王を倒して無事帰って来られたら、続きはその時。ね?」 「は?そんなん帰って来られなかったら、このままお預けじゃねーか?」 んー、と再びキスを迫る。「ダーメ」 ククールの腕からするりと抜けると代わりに手を繋ぎ促した。ククールの手を引きゼシカは歩き出す。 「行こ。みんなが待ってるよ」 「そりゃ、ないぜー!」 ゴルドの寒空にククールの声が響き渡った。 2-無題2 続編
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/193.html
「なぁ、ゼシカ。オレたちさ、パーティ組んでからあれだけいろんなコト話したのに まだ一回も使ってないコトバがあるのに気づいてたか?」 ゼシカはオレの手を取って起き上がるとベッドからおりて、オレと向かい合う。 「ホントに短い言葉だけど、でもきっと…すごくドキドキするって思うんだ」 オレは下を向いて考え込んでしまったゼシカに、ヒントを出してみる。 「あっ」 今のヒントでわかってくれたのか、顔を上げたゼシカはうれしそうに笑った。 「…そっか。ホント、あんなにたくさん話したのに…まだ一度も、言ってなかったんだね」 思い出し笑いするみたいに、くすっと小さく笑って。 「どきどきしてきたかな?」 「うん。してきたみたい」 手を上げかけたゼシカよりも一瞬早く、オレは彼女の左胸に自分の右手をあてる。 「…ホントだ」 深く息を吸い込んだゼシカの胸がふくらむと、オレの右手もそれに合わせて押し戻される。 深く息を吐いたゼシカの胸がへっこむと、オレの右手も向こう側へ吸い込まれる。 「ククールだって」 オレの左胸に自分の右手をあてて、ゼシカが言った。 右手に感じるこの音は、自分の鼓動なのかそれともゼシカのモノなのかはわからなかったが… そんなコトは、どっちでもいいような気がしていた。 だってオレたちの胸は今、きっと同じ速さで鼓動しているはずだから。 そうだよな?ゼシカ。 オレたちはまっすぐ見つめ合って、大きく深呼吸する。 ずっと言いたくて、ずっと言えなかった、魔法の呪文を唱えるために。 「ゼシカ」 「ククール」 二人で終わらせよう。 そして、二人で始めるんだ。 『 好 き 』
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/192.html
172 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2007/04/19(木) 13 10 18 ID CuGjFctL0 ゼシカの方が直接攻撃が強いとククールの立場がなさそう いやいや、防御面では圧倒的にククールの方が優秀なんだから、攻撃力は ゼシカの方が上でも何の問題も無いでしょう。 (スカラ+マホトーン+マホカンタ+大防御+ベホマ+諸々の状態以上系の弱耐性) この鉄壁の守りを崩すには、ラリホーマで眠らせるか、マダンテ決めるしか無いけど、 スーパーリング装備したら、まず眠らせられないし、マダンテのターンに大防御されたら 双竜打ちするMPまで無くなっちゃう。 どちらかというと、ククール有利だね。 でも、夫婦喧嘩でククールに勝ち目が無いっていうのは、全く同意見。 きっとサーベルトと同じで、ゼシカが泣いたら、ククールが謝って終わりになると思う。 奥さんが強い方が夫婦は円満だしね。 あー、なんか、すごい長文になっちゃったよ。 173 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2007/04/20(金) 00 42 38 ID wqW99KMk0 ゼシカが泣いたら そこらへんの女のようにしおらしく泣くんじゃなくて、 ククをさんざ罵倒して蹴って殴って雷落としながら、興奮してボロッと涙が出ちゃう感じが良いな ククール「…って、ちょ、オイ待てよ、泣くなっ!」大慌て 174 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2007/04/20(金) 01 37 23 ID VSMrgAsR0 そうだな。これらのレス読んで改めて考えてみると、 この2人衝突が多くなりやしないかなーとちょっと心配だ。 ゼシカはたぶんに世間知らずで子供っぽいところが結構あるし ククールだって精神的に脆そうというか繊細というか かなり正確に心の機微を分かる人間でないと支えきれないんじゃないかと。 ゼシカはその辺大丈夫かな… 175 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2007/04/20(金) 08 11 39 ID vNgve3MJ0 大丈夫じゃない? 確かにククールは繊細ではあるけど、あの兄貴の逆恨みイヤミを10年以上も 浴びせられてたのに歪んでしまわなかったんだから、芯の強さは折り紙つきでしょう。 兄貴に比べたらケンカした時のゼシカの罵倒なんて、きっとククールにとっては 「あー、もう、ストレートで可愛いな、チクショウ!」ぐらいのもんじゃないかと。 で、泣いてるゼシカにハグして、チューして、あんなことやこんなことして、 ますます二人は仲良くなってくんだよ。 ……何で、朝からこんなテンション高いんだろ……。 さ、仕事行ってこよ。 180 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2007/04/20(金) 21 24 02 ID hgASB9ys0 ククールは繊細なのに必要とされたいタイプだから全面的に支えられるとダメなように思う。 ゼシカは世間知らずだからククールがフォローしなきゃいけない部分もあるし、 逆に幸せに育った人間にしかない図太さみたいなものもあるからククを支えていけるんじゃないかな。 182 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2007/04/21(土) 01 18 38 ID d7m0Ahyt0 幸せに育ったゼシカのいい部分がククを支えるだろうし、 苦労背負ってきたククのいい部分がゼシカを成長させるだろうし。 それなりに相互補完で納得してると思う。 「腹立つとこもめちゃめちゃあるけど、結局多分相性はいいんだな」って。 184 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2007/04/21(土) 16 05 35 ID tmF5hWysO ○チェロがボロボロになって去っていく場面で、 ゼシカが、ゼシカだけがククールに口を挟んだことが何か良かった。 二人の仲が他人行儀のままでは、ああいう風には言えなかったろう。 それまでの間に深い仲になる何かがあったんだろうニヤニヤ 185 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2007/04/21(土) 22 11 34 ID r9xQh3NB0 その場面のゼシカ、本当にいい子だよな~、と思った。 それこそ最近このスレで言われてる、ゼシカがククールを支えられる部分で、 二人の相性の良さを象徴してる場面だよね。 もしゼシカが苦労して育ってたら、気を回しちゃって、そっとしておいてやろうとかして あんな風にククールに駆け寄ったり出来なかったような気がする。 きっとあの場面のククールは、あれだけのことをやらかしたマルチェロの命を助けたことを、 完全に正しいことだと思い切れてなかったろうから、ケガの手当てもしてやれって 詰め寄るゼシカの言葉に、内心すごく救われてたんじゃないかな。 だからこそ、暗黒魔城都市のククールは、それを引きずってた様子もなく 戦いに集中できたんだと、勝手に思ってる。 186 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2007/04/24(火) 13 05 18 ID KLHaPMxY0 主人公やヤンガスは苦労人だから逆に声をかけられないんだよね。 主人公はシステム的な問題でもあるけど。 でも暗黒魔城都市でのククールはガキの頃のことばっか思い出す、 みたいなこと言ってなかった?あれはどういう意味なんだろう。 ところで攻略本での暗黒魔城都市のセリフは笑ったよ。 ついにオレにホレたか?って… 187 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2007/04/26(木) 01 07 46 ID MVY760fm0 惚れたんじゃない?
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/102.html
「ゼシカ、俺とつきあわね?」 これがここのところ、ククールの『挨拶』だった。 「なあ?」 暇な証拠だ。 「イヤ」 「…ノーカウントかよ。それはあまりにもつれねーんじゃね?」 「ありえないもの」 「なんで?」 「興味ないし」 その淀みない応えに、あっちゃーっとククールは大げさな演技で天を見上げる。 「体験してもいないのに、切り捨てるのは如何なモノかと」 「今日はしつこいわね。一体、何が言いたいの」 ウンザリぎみのゼシカに、ククールはニッと笑う。 「そこでだ。いきなり深い仲になるのは恋愛未経験のゼシカちゃんにはステップが高かろうというわけで、俺考えたわけよ」 「相手があんたという時点で終わってんだけど?」 「試してみよーぜ」 「は?」 「だから、お試しで俺と付き合ってみんの。それで良けりゃあ、正式に恋人になる」 ハー…、今度はゼシカが溜息をつく番だった。 何を言い出すかと思えば…。 「……。」 「OK?」 「つまり、今日一日付き合ってあたしがやっぱりイヤだったら、ちゃんとあきらめてくれるってことなのね?」 「いちにちぃ!?」 「何よ、まだなんかあるの?」 「ゼシカちゃんよお。一日で恋愛の良さの何が分かるっての?」 「なにそれ」 「無理だね、短すぎる」 「じゃ、二日?」 「あのですね、ゼシカさん」 「…一週間」 「……。」 「何よ、その目。じゃー、あんたは一体どのくらい付き合えばお試し完了出来る思ってるの?」 応えてククールはサラッと言った。 「一万回」 「いちまんっ!?」 何ソレ、一万て一体何週間…いや何ヶ月…もしかしなくても年単位… そこまで思わず考えて、不意に違和感に思い当たる。 ゼシカは上目遣いでククールを睨んだ。 「一万『回』って言わなかった?」 一万日じゃなくて、一万回。 「ああ、言ったさ」 「何よソレ?」 彼は笑みを浮かべて、飄々とした仕草で、「もちろん、ナニだ」とワケ分からない。 しかも、怪訝な顔をしているゼシカを面白そうに見下ろして、クックと笑う。 ゼシカはそんなことされるとムカッときて、 「腹が立つわね、はっきり言いなさいよ!」 そう言うから、ククールはちゃんとゼシカにも分かるよう『はっきり』言った。 それは、Sで始まる卑猥な単語で 「このっ!」 ゼシカの頬がたちまち赤く上気する。 「何考えてんのよ、この馬鹿! 誰があんたなんかと付き合うもんですか!」
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/297.html
636 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/10(日) 00 59 29 ID upclmTmu0 やや話豚切りですまんこったが、8月と言えば浴衣の季節ですよ。 ゼシカの、おくれ毛がかすかに垂れる美しいうなじ&その浴衣姿… それをちょっと高い位置から見下ろすクク… ムフフフフフフフw(壊れてますすみません 637 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/10(日) 02 45 14 ID zfAhB2MO0 635 悲しい?男の性ですね。 見ても見なくても悶々として見ている方がある意味辛いのに それでも見ずにはいられないw そういえば本編でもイベントとかのムービーシーンになると ククはいつも必ずゼシカの傍に立っていたなw 636 ゼシカに浴衣攻撃なんかされたら さすがのククも理性抑えるのは無理だろうなw 慣れない浴衣にゼシカは上手く動けずにちょっと着崩れたりしそう。 動きも制限されるからいつもより頼りないようなしおらしい仕草になって 普段は健康的な色気を感じさせるゼシカが、妖艶な雰囲気を醸し出しそうだw 638 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/10(日) 11 31 40 ID /LiGGRz/0 DQ世界では浴衣は民族衣装的な扱いになるのかなあ レティシアだかでククが民族衣装をゼシカ用に欲しがっていなかったっけ? 浴衣もククがゼシカのために(というか自分が見たいだけ)調達してきたりしてw 639 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/10(日) 12 11 00 ID upclmTmu0 会話などから、レティシアの衣装は露出が高いという事らしいが グラフィック見る限りでは全然なんだけどな。 中にはあの柄のビキニ状の衣装の子もいたとか?w 640 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/11(月) 00 42 04 ID TAn8QQ+30 レティシアの衣装よりゼシカの方が断然露出高いしねw でも民族衣装萌えというものかもw わざわざゼシカ用に欲しがるククというのがミソですな 641 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/11(月) 14 47 47 ID M0ySw6Vt0 ゼシカに色んな格好させて楽しんでいるのは 主人公=自分だと思っていたけど、実際はククールだったのか 642 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/11(月) 17 33 56 ID qBYUNxMTO 浴衣、おくれ毛と見た時、鮮やかな柄の浴衣で夏祭りとかじゃなくて どっかの温泉旅館で旅館の浴衣を来た湯上がりゼシカを想像してしまった… 即死魔法(ザキ)より効くな、これはと真っ赤な顔で固まるククもセットです 643 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/11(月) 21 03 19 ID qAdSg6Wq0 ゼシカの色気にのぼせていたのと温泉のコンボで、不覚にもぶっ倒れるククール 目覚めると目の前に浴衣ごしでもわかる特大ボインとのぞきこむゼシカの顔 「起きた?バカね、のぼせたのよ。もうしばらく安静にしてらっしゃい」 ひざまくらでうちわを扇いでくれているゼシカ キツい口調ながらもやさしく微笑み、おしぼりを冷水にひたしておでこにのせてくれる 「…ずっとのぼせてても、いいかも」 役得すぎてニヤけつつ呟くククール 「なに甘えてんのよ!湯あたりくらいで倒れるなんてホント情けないわね!」 「仕方ねぇじゃん。オレ、もうずっと前からのぼせてんだから」 「は?」 「出会った時から、ずっとゼシカにのぼせてる」 「……バカ!///」 ここまでセットでお願いします 644 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/11(月) 21 58 11 ID r19Nypzi0 643 まるで新婚夫婦みたいなククゼシwww でももしこれが旅終盤で仲間達も普通にいて はっきり恋人同士でもない状態とかだったら凄いなw ヤンガス「見ているこっちがのぼせそうでげすよ…」 主人公「なんであれでお互いに無自覚なんだろうね」 645 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/12(火) 16 15 13 ID Qnekhj+i0 642 ゼシカの膝の上でにやついているククと同じくらいか それ以上ににやついてしまったではないかw ククの言葉で今度はゼシカがのぼせる番だなw 今更ながら浴衣+温泉ってすっごいおいしいシチュエーションだと気づかされた 646 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/12(火) 20 22 24 ID tMP6yHvHO 湯あたりくらいで倒れるなんて あなたのせいですよゼシカさん! 湯上がり浴衣姿は反則ですよー!!…と、 ククは叫びたい気分だったに違いないw 647 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/12(火) 22 01 04 ID pUzU02310 多分これで旅終盤だよ わざわざひざまくらしたのも、なんとなく湯冷めにはその方がいいかとゼシカが思ったから これで彼女は「気を許した仲間」くらいにしか思ってない。ククはちょっと自覚してるけど敢えて言わない そんな関係だと予想 つか妄想 そのうちゼシカの膝の上でゴロゴロしはじめるクク 「ゼシカのひざやらかくて気持ちい~~」 「ちょっ…!!///(ワナワナ)………いい加減にしなさいッこの色ボケ僧侶!!!!!」 ドカーン!! ふっ飛ばされて膝から転がり落ちる …が、幸せそうなクク ニヤニヤがおさまらないククに顔を真っ赤にしてそっぽを向くゼシカ 「ゼシカが湯あたりしたら、オレが誠心誠意看病してやるからな♪」 「ぜぇぇぇぇっったい、お断りよッッ!!!!!」 くっつく前ならこんなもんだ多分 そんで644の主とガスの会話に戻る 648 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/12(火) 22 01 26 ID esYNhtg30 643 下から見上げるボインって凄い迫力ありそうだな~ ゼシカ的には介抱のつもりの膝枕でもククは余計にのぼせてしまいそう 649 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/12(火) 22 18 51 ID esYNhtg30 647 もう手遅れなくらいにのぼせ上がっているみたいだね、ククw 650 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/12(火) 23 04 48 ID l0tYt2b30 647 転がり落ちながら幸せそうにニヤニヤしているククの図を想像して吹いたww 湯中りしたのがゼシカでククが看病ってなったら いろんな意味でゼシカが危険な気がするw まずいつもと違って全然身体に力が入らないだろうし… 651 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/13(水) 16 19 38 ID IQdtwyNC0 新婚時代のらぶらぶいちゃいちゃ膝枕と思いきや 実際はまだくっつきそうでくっつかない王道パターンを行く二人w 新婚ククゼシもいいけど旅終盤の絶妙な関係もいいな~ もう本当ククゼシカプには萌え殺される
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/524.html
潮時・翌朝の時系列のククゼシ ※開発未満1※・※開発未満2※・※開発未満3※・※開発未満4※・※開発未満5※・※開発未満6※ 「あんっ、あっ、アッ、…ッヤ、クク…ダメ、そこ、やあぁっ、アッ!んんっ」最奥を細かく突くと、甲高い嬌声が絶え間なく続く。締め付けに逆らうようにかき混ぜると、彼女の腰も妖艶にくねりだす。秘部の上にある、赤く腫れた小さな可愛らしい突起を捏ね回すと、高い悲鳴をあげて啼く。今までにないくらい激しい行為。快感に狂うゼシカはあまりにもエロティックだった。ククールは理性も思考も失われた心の片隅で、最高の充足感を味わう。―――ついにゼシカを堕とせた、と。貞淑で純潔なお嬢様の殻をなかなか破れなかったゼシカの本性を、ようやく引きずり出せた、と。恥辱という名の愛撫に感じて濡れる、ゼシカの淫らな身体。ククールは、嗜虐心を煽られて悦に入るような己の性癖に気づかされて内心で笑うしかなかった。(―――…… コレ はオレのものだ)激しく突き上げながら、ククールは己に対して断言する。ゼシカはこれから先永遠に、オレの前でだけその本性をさらけ出して啼くのだ。オレ以外の誰一人、こんなゼシカを知ることは許さない。他の誰にもこの権利は渡さない。絶対に。満たされていくのは、深淵のように底の知れない、ゾクゾクするほどの独占欲。(……オレだけの、……ゼシカ) ゼシカは苦しいくらいに喘ぎながら泣いた。何度のぼりつめても強烈な快感に飽きることのない貪欲な自分の身体に、畏れすら感じながら。ひざ頭が目前に迫るほど持ち上げられると下半身が宙に浮き、まるで真上から串刺しにされるように強く貫かれても、もう悦びの悲鳴しかあがらない。ククールに何をされても、その全てが快楽に変わる。こんな自分が信じられないと驚愕し、衝撃に打ちのめされても、その感情すら、気持ちよくて。泣き濡れた瞳をこじ開けてククールを見上げると、目が合った瞬間に激しいキスで口をふさがれた。直前に見えた彼の顔にはいつものクールぶった余裕なんてどこにもなくて、何かを必死で堪えるかのような表情は確かな快楽に歪んでいた。こんな凄まじい快感に狂わされているのは自分だけではないのだとゼシカは安堵する。そしてククールにこんな快感を与えているのは自分の身体なのだと考えて熱くなる。ククールを飲み込んでいるそこが、きゅううぅと痛いほどに締まった。(―――…おおきく なった…)もう知っている。その前兆を。愛しいククールの半身が自分の中でさらに膨らめば、次に待っているのは何か。(…クク、…イ、く?)そう思っただけで、痺れるような悦びが身体も心も満たしていくのはなぜだろう。ゼシカは待ちわびる。激しい口付けに応えながら、ククールと自分の最後の絶頂を、胸を高鳴らせて待ちわびる。「…ッ、ハッ……」「きゃ、っあ…!!」キスの合間の息継ぎと同時に、2人は身体をのけぞらせて声を上げた。「ッだ、め、おねが…い…ッ!!クク、ククぅ…ッッ!!」「ゼシ、カ…ッッ」咄嗟にククールが腰を引いた。それは癖になっていることで、ククールも無意識にそうしようとした。引きずり出される熱い塊。突然ゼシカが叫んだ。「イヤ…ッッ!!!!イヤ、ククール…!!」「…ッなに…」「ヤだ、や…ッ…クク…ぅ」まるでククールが遠ざかっていくことに怯えるかのように、彼の腕を弱弱しく掴んで首を振る。ククールは意味がわからず呆然とした。そもそも頭に血が上っているので状況判断などできない。ただ、唾液で光るゼシカの口唇が動くのを、熱に浮かされながらじっと見つめていた。ゼシカの見上げてくる潤んだ目が切なげに眇められて、涙が流れおちる。「………抜か、ない、で……ぇ……」―――ドクン!―――と。心臓が跳ね、時が止まると同時に、あっと思う間もなかった。「…ッア…!ぅ、あ…!!」「あっ、あっ、ア…ッッ!!――ククール……ッッ!!!!」“おねだり”の通りに。ククールはゼシカの中に、溜まった全てのものを注ぎ込む。愛とか欲とか全てのものを。それははじめてのことだった。婚前前の2人にとって、本来セックスはご法度といってもいい。しかしながらヤらないという選択肢はククールにはない。だからこそ決して失敗しないように、いつも最後にはゼシカの中から自身を抜いて、外に出していた。少しでも危険を減らすために。だから、今 自分の欲望の証をゼシカの中に一滴のこらず注いだのだとわかった瞬間、最高の快楽と共に、単純に感動した。注がれたモノを感じ、際限なく締め付けてくる愛しい内壁。ゼシカもほぼ同時にイっていた。身体の奥、お腹の中に、叩きつけられた熱い飛沫の正体がなんなのか、考えることもできないまま。最高の快楽と、理由のわからない歓喜に、身体が達するより前に精神が達していた。 …必死で酸素を吸いながら恍惚の表情で、気持ちいい、気持ちよすぎて死んじゃう、と繰り返すうわ言はいつものこと。放心しているゼシカに自分が何を言っているかの意識はない。ククールがそんな彼女を愛おしそうに抱きしめ、口付け、直後の余韻に浸るのも、いつものこと。しかし、今夜はそうもいかなかった。ククールは脱力したあとドサリとゼシカに覆いかぶさったまま、ゼシカと共にはぁはぁと荒く息を吐き続けている。可愛くエッチなうわ言を耳元で聞きながら、(死にそうだったのはこっちだぜ…)と、淫乱で清純なこの恋人の、すさまじい誘惑スキルにもはや呆れながら毒づいた。絞り取られる、というのはまさにこういうことをいうのだろうか。本当に壊してしまうかと思うぐらい、果ての見えない行為だった。ククールも脳内ばかりで何度も達し、身体は限界の限界まで彼女を貪り続けた。正直セックスに対する欲は淡白なつもりだったが、ゼシカの身体はそんな矜持などたやすく吹き飛ばしてしまう、魔性のような魅力がある。これこそがゼシカの本性なのか、それともこれは惚れた欲目なのか?(………なんつーか…危険)ククールは野生のカンで察知するものの、すでに抜け出せない罠にかかっている自分に気づいていているうえにそこから抜け出そうという気もさらさらないのだから、どうしようもない。…今さらすぎるのだ。「…クク…ル、……ククぅ…」「………。…わり、重かったな…」ゼシカの顔の脇に両肘をついてけだるい身体を持ち上げると、ゼシカが悦にとろけた顔で見上げてくる。「…ククール……。……すき」―――完全に油断していたところに喰らったカウンターの威力は想像を絶する。またもククールは一瞬 忘我の境地に導かれたが、繋がったままの下半身がこの期に及んで再び熱を帯びてくるのを、あれだけ絞り取られといてどんだけ節操ないんだテメエは、と己を罵ることで死ぬ気で耐えた。いや、悪いのは本当にオレなのか?と自問自答しながら。カウンターを繰り出したあと、ゼシカは何事もなかったように穏やかな息をたてて瞳を閉じていた。眠ったというよりは休んでいる、と言った方が合っているだろう。眠りと覚醒の狭間でまどろんでいる。ククールは気の抜けたため息をつくと、そっとゼシカの中から自身を引き抜いた。案の定トロリと溢れ出てくるのは白く、濁った、粘り気のある、男の汚れた欲望そのもの。ゼシカの内から流れ出し、白いふとももを卑猥に汚す。……自然と、ククールは再び大きなため息をつくのだった。 ※開発未満1※・※開発未満2※・※開発未満3※・※開発未満4※・※開発未満5※・※開発未満6※