約 579,018 件
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/520.html
潮時・翌朝の時系列のククゼシ はじめて身体を重ねてから数度目の夜。荷物の整理をし、そろそろシャワーでも浴びようかとゼシカが腰を上げた時だった。「…っ!」突如後ろからはがいじめにされ硬直する。もちろん犯人は、恋に狂った色ボケ僧侶、ククールしかいない。「ゼシカー」「っ、な、なによ、はなして」「ゼシカーしようぜー」「ッ!!」恥じらいもムードも何もない誘い文句と、うなじに這わされた口唇の感触に一気に体温が上がる。否定も肯定もできずわなないていると、返事も待たずさっそく胸を弄り始めた指にハッと我に返る。「あっ…アンタ…ッ…なんで、そんな、…毎日毎日…ッ」必死に胸をガードしようとするがあっさりと払いのけられ、「なんでかって言うとゼシカが可愛いから。以上」「ちょっ…ん!!」正面を向かされながら反論を封じるようにキスされる。それでもゼシカは反抗しない。嫌だやめてとは言えない。セックスがしたいからじゃなく、臆面もなく嬉しげに自分を抱きたいと言ってくる、このバカな男が好きだからだ。だから、衣服の上から優しく胸を揉まれても、拒めない。ニヤける彼の顔を睨みつけながらも、許容する。ゼシカは吹っ飛びそうな思考の中、徐々に襲い来るその慣れない感覚に目をつぶり、身体を固くした。この行為で、まず襲い来るのは羞恥。そしてゆるやかな快感。どちらにも、未だに慣れない。とにかく堪えてやり過ごすしか すべがない。そうしていればそのうちククールが勝手に好き放題しはじめ、気付けば自分も快楽の波に浚われていて、その時にはすでに羞恥という概念も吹き飛んでいる。だから、どうせなら一刻も早くそこまで行きつきたいのだ。そこに至るまでのいたたまれない恥ずかしさ。誰かに裸を見せるということ。身体に触れられるということ。自分ですら見たことのない場所まで晒し、触れさせて、あまつさえ口付けられて。はしたない声を出し、制御できず乱れる身体。その全てを見届けながら「かわいい」と慈しまれることまで…その全てがあまりにも恥ずかしく、言葉にできない。ゼシカにとって快楽は、「耐えること」だった。それはまるで苦行のよう。セックスはやはりどこか恥ずべきもの。密かにこっそりと行うこと。求めることははしたないこと。箱入りお嬢様であり根が純情なゼシカには、そんな考え方がどうしても拭えないのだ。身体が性感を快楽と感じても、それを素直に求めるなんて禁忌にすら思えた。だから、与えられる感覚を「気持ちいい」と感じ、それどころかさらなる快感を無意識に求めている自分がどうしようもなく罪深く思えて、その自責と羞恥にさらに身悶えるのだ。そんな姿がククールをこの上なく興奮させていることには、露ほども気づかずに。 ベッドのふちに2人で腰掛け、久方ぶりに離された口唇の合間に、ツ、と唾液の糸が光って消えた。ゼシカはククールによって無理やりに引きずり出された舌をしまうことも忘れ、はぁはぁ、と乱れる息のまま虚ろな目でククールを見上げる。行き場をなくし差し出されるかのような赤く小さな舌は、それだけで十分すぎるほどククールを煽った。ククールは自身も荒くなる息を抑えつつ、唾液に濡れたゼシカの口唇を親指でなぞり、「…、…ゼシカ…キスして」「…ぇ?」「ゼシカからキスして。ちゃんと、舌使って」そう言った途端、ゼシカの顔がカアッと染まる。ただ口唇を合わせるだけのキスしか知らなかったゼシカは、はじめて舌を忍ばせてキスをした時、凄まじい拒絶反応を見せた。異常な行為に思えたのだろう、しかしその時には当然2人ともかなり盛り上がってきていた段階だったので、そんなことで行為を中断されるのにイラッときたククールは、嫌がるゼシカに強引にディープキスをしかけた。しつこく時間をかけて懐柔し、ゼシカが体の力を失って動けなくなってから傲慢に言ったものだ。「舌入れんのなんか好き同士ならやって当たり前だ。オレのこと好きならこの程度で今さら嫌がるな」…と。それ以来、ゼシカはどことなく深い口付けを恥じる。当たり前だと言われたからこそ恥ずかしいのか。ククールの舌が誘っても、ゼシカの舌はなかなか応えない。委縮してしまって、動かない。可愛いと思いながらも、物足りなかったのも事実。いい機会なので、今夜それをブチ壊す。俯きかけたゼシカの顎をククールが持ち上げ、逸らすことすら許さないとでも言うように目線を合わせる。ゼシカは一瞬泣きそうな顔をしてから、ぎゅっと目をつぶると、勢いをつけてククールに口付けた。その勢いに押されるように、ククールは背中からゆっくりと自らベッドに倒れる。もちろん身長差を考えて、ゼシカがキスしやすいようにだ。ゼシカはククールの上に重なって、一生懸命に拙いキスをはじめた。口唇で口唇をはさんで、そっと噛んで、舐めて。ぎごちなく角度を変え、薄く開かれた唇の間におそるおそる舌を滑り込ませ、中に潜むククールの舌に重ねて、控えめに絡ませる。すべてククールが教えたやり方だ。いや、教えたつもりすらない。今ゼシカは、いつも自分がされているキスを懸命に思い出しながら、幼く未熟な口づけをククールの望むとおりに施しているのだろう。その羞恥に耐える必死な表情を、ククールは彼女を抱きしめながら薄目を開けてずっと見ていた。「…ッ、んふ、んぅ…ッは、はぁッ……………ん…」苦しそうに息を紡ぐその様子も、無駄に男を興奮させる。慣れていないため息継ぎがうまくできない。唾もうまく飲み込めない。ククールの胸元を握る手は小さく震えている。ククールは一切動かなかった。ゼシカはとにかく必死に、ククールの口腔を愛撫した。いつまでやればいいのかということすら、思いつかなかった。―――長い時間が過ぎたような気がしたころ、ふいにククールの方から顔の角度を変え、ゼシカの舌に自ら絡みつき攻勢に出ると同時に、体制を入れ替えてゼシカを押し倒した。「んっ!…ん、ふ、ん……ん…っ………ク、ク…?」「……よくできました」にっこり微笑むと、きょとんとしたあと、夢中になっていたことに気づいてゼシカは赤面する そんな彼女をからかうこともなく、ククールはコルセットを外し、貞淑なブラウスのボタンを一つずつ丁寧に片手で外しながら、もう片手は徐々にその中に忍ばせ、ブラジャーをかいくぐり綺麗に弧を描く大きな乳房をしっかりと掴んだ。それだけでビクンとゼシカの身体が跳ねる。「……ちょっとは慣れたか?」「……ッ、……」ゼシカはどちらとも言わず顔を背けて、ククールのからかうような視線から逃れた。まともに答えられるわけがない。慣れた、と言えば、そりゃあ一番はじめのあの時に比べれば多少は、だ。断じて「もう平気」と開き直れるほどの肝が据わったわけじゃない。誰にも触れさせることはおろか見せることも絶対にしてこなかった「嫁入り前の身体」をこんな風に無防備に曝け出して、躊躇なく触られて、恥ずかしいに決まっている。しかも、「…マジで、最高だな。ゼシカの胸は。見てるだけでヤバいくらい興奮、する」「ゃ、やめて…見ないでよ、バカ…!!」こんな風に揶揄されるほど、羞恥に爆発しそうになる。ゼシカが自分の胸を自慢してきたのは、とにかく「大きい胸は誇るべきこと」だからだ。間違っても、誰かにマジマジと卑猥な視線で見られながら、それが男の雄をどれほど刺激するものなのか、無理やり教え込まれたかったわけじゃない…「んぁっ、…ぅ」そして、ククールの指先が胸の先端を様々な角度でつねるたび、小さな声が漏れ身体が勝手に浮く。これが、本当に恥ずかしい。仕方ないのだと言い聞かせても、抗うように口唇を噛んでしまう。そしてククールはゼシカが快感を堪えることを許さない。だから、ゼシカが堪えれば堪えるほど、それを許すまいとさらに濃厚な愛撫を仕掛け翻弄する。「イヤッ」「嫌じゃない」「…ッア、あ、…ぅ、…んん…ッ!」ゼシカの指がククールの髪に絡みついた。その行為は、もっと、とでも言うようにククールの口唇を自らの胸に押し付けることにしかならない。ククールはゼシカの乳首を強く吸う。「――あっ、ん、んぅっ、ぅうう…ッッ!!!」ゼシカが首を左右に振る。舌でくすぐり湿った息を吹きかけながら指先でも弄り、それを交互に繰り返すと、しばらくしてゼシカがようやく陥落した。「あっ、あ、ん…ッ、…ッ、ァ、クク、や、やだぁ…っ」声を抑えることを諦め唇をだらしなく開け放しながら、それでもなんとかやめさせようと、足掻く。「やだ、もう、っあ、は…っ、…なんで…っ、なんで、なめ、るの…っ?それ、やだ…」「なんでって。好きな女のおっぱいがそこにあったら吸いつくのは男の本能。――それに、ゼシカにいっぱい感じてほしいから」「ヤッ!…やだ!」「ほんとに嫌?」もう一度乳首を甘噛みしてやると、くぅ、と身悶えて、ゼシカが泣きそうな顔で訴えてきた。「…わ、私ばっかり、こんな、変な…っ、変なの…やだよ…私ばっかり…」「ばっかりじゃねぇよ。ゼシカが感じれば感じるほど、オレも感じるんだから」「そ、そう、なの…?ど、…どうして、でも、…だって」ゼシカは眉をひそめ困惑した。自分が今感じている快感がそのままククールに伝わるなんて、いくら気持ちが繋がっていてもあり得ないだろうと。ククールはにっこりと、世にも優しく笑う。それに関する詳しい説明は、このあとじっくりさせてもらおう。 ※開発未満1※・※開発未満2※・※開発未満3※・-※開発未満4※・※開発未満5※・※開発未満6※
https://w.atwiki.jp/dqhtalk/pages/22.html
コメント
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/421.html
ククゼシな大冒険①~ドッキリ無人島編~の続編 *雨風をしのぐために入ったのは、狭い洞窟の中だった。焚き火がパチパチと小さく爆ぜる音と、遠くの波音。しかし2人にはお互いの息遣いと、自分たちの心臓の音しか聞こえていなかった。「…ッ、…ぁ…。……ク、ク」何度も口をパクパクさせて、ようやく出せた声はあまりにか細く、呼びかけにすらならない。ましてや抗議の声などにはとても聞こえない。だからなのか。背後からゼシカの両肩をキツく抱きしめていたククールの左手は、徐々にゼシカの二の腕をなぞりながら降下していく。性急ではなく、少しずつ、むしろ焦らすかのように。その辿りなぞられる感覚がくすぐったくてかすかに身悶えながら、ゼシカは焦る。自分が拒否の言葉を言わないことで、そうすることを許していると思われているのだろうか。そうじゃない。そんなわけない。でも頭が真っ白で身動きできない。―――ダメ、ククール、何してるのよ、待って、待って、やめてそう言いたいのにひきつれたような声が喉からもれるばかり。咄嗟に両手で覆うように胸を隠したものの、ゼシカの小さな手の平ではとてもじゃないが隠し切れていない。かろうじて先端だけは死守している状態だった。ククールの熱い手の平がゼシカの細い腰に到達し、指先がくすぐるように蠢いた。ビクンと反応する敏感な身体。今やククールは埋めた肩にキスを降らし、首筋から耳に舌を這わせ、ゼシカの滑らかな肌を文字通り味わってさえいた。腰にあてがった指は今度は明確な意思をもたず、背中といわずお腹といわず、さらけ出された白い肌を泳ぐように行き来し、手に吸いつくような肌の感触を楽しんでいる。明らかに動揺しているゼシカの震える身体はあまりにも魅惑的で、さらなる愛撫で虐めたくなる。肩に回されたままだった右手が移動し、必死に胸を隠しているゼシカの健気な手に重ねられた。怯えるように大きく跳ねる身体。ククールは一切かまわず、ゼシカの手の平ごとその大きな乳房をゆっくりと揉みしだく。男の手が、自分の手ごと自分の胸にいたずらを仕掛けているという信じられない状況に、ゼシカの思考は一気に許容を超えパンクする。拒絶の言葉よりも先に身体が動き、ゼシカは背後から身体をなぶるその手からなんとか距離を取ろうと、咄嗟に前のめりになった。「…ッヤ、やめ、て」ようやくはじめてまともな抗議の声が絞り出る。しかしククールの手は、あろうことかゼシカの手をかいくぐって、直に胸を揉みはじめた。柔らかく、優しく、そしてゼシカが必死で守っていた淡く色づく先端までも、指先で刺激する、小さな電流が走ったような感覚にゼシカはハッと我に返り、今度こそ拒否の声を上げた。「バカッ!!やめて!!」慌ててククールの手をひきはがそうとするが、ちっともうまくいかない。いつの間にか左手ががっしりと腰に巻きつき、ゼシカは身動きが取れなくなっていた。ククールの息遣いが実に近い。耳の中に直接息を吹き込まれゾクリとした。「……~~ッ、ククールッ!!」返事すらない。いやらしい指が、誰にも触れられたことのない胸を好き放題にまさぐるのをどうにか止めようともがく。羞恥心が破裂しそう。こんなやらしいこと、したくない…!いきなり顎を掬い上げられ首を捻ると同時に、強引なキスがゼシカの口唇を奪った。衝撃に見開かれる瞳を、ククールは目を閉じずに見つめ返す。情熱的に燃え、切迫した何かに追い詰められているような焦燥と、切なくひたむきな想いを伝えようとするかのように。ゼシカははじめてククールの表情を間近で見せつけられ、わけもわからず胸を高鳴らせた。さっきまで思い描いていた顔じゃない。軽薄で、女好きで、スケベなアイツの顔じゃない。(―――イヤだ…そんな目で見ないで…っ)身体から力が抜けるのがわかったが、ゼシカにはどうしようもなかった。彼の口付けが巧みだから?身体をなぞる指が優しいから?わからないけれど、抵抗を忘れてしまった。キスは長かった。当然ながらゼシカにとってこのような深いキスは、経験もなければ知識にもない。それなのに、…拒めない。嫌じゃない。ククールに全てのリードを任せて、ゼシカは溺れた。慈しむような、好きだという甘い告白が、絡み合った舌から伝わってくるような、そんなキス…頭のどこかではわかっていた。こんなキスを自分も望んでいたのだと。だから嬉しくてたまらないのだと。―――しかし初心なゼシカが望んだのは、あくまで「それ」だけであって…「…イッ!!―――やッッ!!やめて!!!!!」とろけきったゼシカの様子を見計らったように、ククールの指先が下腹部に伸び下着をなぞった瞬間、ゼシカは一気に現実を思い出した。自分の望みなど関係なく、目の前の男が、今、この場でしようとしている行為がなんなのかを!キスしている間にゆるんだ彼の腕の中からガバッと抜け出し、洞窟の岩肌に張り付く。といっても狭い空間なので、たいした距離をとることはできない。先ほど脱いで脇に置いておいた自分の服に手が届くほどの距離。ゼシカは座り込んだまますぐさまそれを手にとって、裸の身体を隠した。しかし隠せるのはせいぜい胸元くらいで、剥き出しの肩や足、下半身のほとんどは曝け出されたままの心もとない状態だ。ククールが無言のままムクリと身を起こし這い寄ってくるのに、ゼシカは恐怖心を押し殺して叫んだ。「こっ、来ないでよ!バカ!!」今できるのは精一杯の抗議で彼を拒むことだけ。「これ以上何かしたら…っ、……お、怒るわよ…」語尾に勢いがないのは気のせいじゃない。何を考えているのかわからないククールの表情が、少しだけ皮肉に歪んだのも気のせいじゃないだろう。「燃やすわよ」と言えないことが悔しい。クタクタの身体でこの島に着いた時点で、MPなんて底をついていた。武器も流された。今のゼシカは本当の意味で、ククールには、絶対かなわない。わかっていてもそう簡単にこの状況に流されてしまうわけにはいかなかった。いつもとあまりに違う環境だったから2人ともどこかおかしかったんだ、なんて、あとで言い訳なんかしたくない。後悔するのは目に見えている。ゼシカは真っ赤な顔を抑えられないままで、自分自身も確認するように、ゆっくりと言った。「…ククール。…私たち……そんなんじゃ、……ないでしょ」心底不思議そうな顔で、ククールは小首を傾げる。ゼシカは自分の方がおかしなことを言ってるような気持になって、さらに顔を赤くした。「あ、あんたはッ!裸の女が目の前にいたら、誰でもいいんでしょうけどッ!私はッ」胸を隠している服をギュウッと握りしめる。「私は…ッ…ちがうでしょ…私は、ただの、……………なか」「オレはゼシカが好きだ」―――息が詰まった。なに…ソレ。「だからゼシカに触れたいし、抱きたい――」「バカなこと言わないでよッッ!!!!!」一気に感情が爆発した。頭に血が昇る。もちろん嬉しくなんかない。ただ腹立たしくて。許せない。許せない。やっぱり軽薄で最低な男。キライ、キライ、――キライ!!「なんでそんな顔でそんなこと言えるの!?なんで!?信じられない!ダイキライ!!」「なんでって」「そんな当たり前みたいな顔でっ!よくそんな適当に言えるわね!!最低!!ホントに最低…っ」「適当なんかじゃねぇよ」腹立たしくて…悔しい…!悔しすぎて、涙が出そうになる…「今ここに他の女がいたって!平然とした顔で!おんなじこと言って!それで…っ …やらしいことするんでしょう…っ…わかってるんだから…!……最低…っ」なんの躊躇もなく告げられた愛の告白。ゼシカはそれにひどく怒り、そして傷ついた。なぜこんなに心掻き乱されるのかわからない。いつものことだと流してしまえばいいのに。ただ、彼のその淡白さが、あからさまに「他の女を抱く時と同じやり方」なのだと思い知らされ、それなのに「好きだ」という一言にこんなにも動揺している自分ひとりが惨めで。(――ククールには簡単な言葉なんでしょ。平気で口にできる言葉。言った次の瞬間に忘れてしまえる程度の)それが腹立たしくて、悔しくて…悲しい…!瞳に涙がたまって、零れ落ちる―――その寸前で、ククールの腕がゼシカをしっかりと抱きしめた。ゼシカが握りしめていた上着を手から滑らせ、膝の上にパサリと落ちる。お互いの素肌が合わさり、鼓動までもが重なった。「………っっ!!は…っ、離してよっ、アンタなんか」「―――どうしたら信じてくれる?」「な……。…………なに、が」「もうオレにとって、ゼシカだけが大切な女の子なんだって」「は…っ?しん、信じられると思ってるの…っ?バカじゃないの…」「もしこの場にいたのがゼシカ以外の女だったら、手ぇ出す気になんか絶対ならなかったって」「信じないって言ってるでしょ!」「本当にどうでもいいんだ、ゼシカ以外の女なんて。オレ今、けっこう命も危ない危機的状況だってのに、このまま誰もオレ達を助けに来なければいいって思ってる。ゼシカだけはオレが命に代えても守るから、ゼシカとオレとずーっと永遠に2人きりで、世界の終りまでここにいたい」「……なに、……言ってるのよ……」「こんなわけわかんねぇ状況に陥って、はじめて自覚したよ。オレもう、」「く、ククール…っ」「ゼシカがいないと生きていけない」ククールの両手がゼシカの赤く染まった頬を包みこみ、これ以上ない真剣さで瞳をのぞきこむ。「――――もうゼシカしかいらない」そこに、余裕はなく。この想いが伝わってほしいという切望だけが、まっすぐにゼシカの心に突き刺さった。ウソばっかり、ともう一人の自分が悪あがく。認めない、と悪あがく。それなのに、もう一度近づいてくる口唇を拒めない…静かに口唇が重ね合わされ、ゼシカは眠るように目を閉じた。身体中の力を抜いて、全てを彼に預ける。「んぅ…」誘うように舌をからめられて、ゼシカはまたあの抗えない虚脱感を味わった。どうしてこんなに逆らえないんだろう…でも、また溺れる。ゼシカはうっとりしている自分を自覚する。すると唐突にキスが中断され、ククールの濡れた舌と口唇がなぜか不機嫌な響きでボソリと呟いた。「…………嫌がれよ」「…………ぇ」「さっきもお前、イヤだイヤだって言いながら抵抗もしないでそんなエロい顔するからこっちだって抑えきかなくなるんだろ。ホントに嫌ならそう言えよ。頼むから」ゼシカの顔がこれ以上ないくらい赤らむ。それでも、拒まない理由は一つしかない。「……っだ、だって……。……イヤじゃ…ないんだもの…ど、どうしてかわかんないけど…」凝視されるのが恥ずかしくて、ククールの穴を穿たんばかりの視線から目を逸らす。「し、仕方ないでしょ。そうなんだから。………………………………。……あんまり見ないでよッ!」「―――……なぁゼシカ、オレのこと好き?」「はあっっ!?!?」人を裸で腕の中に抱きしめたまま、真顔で何を言い出すのかこの色ボケ僧侶は。「人にばっか言わせてズルいだろ。お前も答えろよ」「ず、ずるいとか何言って…」「オレにキスされるの嫌じゃないの?もっとしてもいい?」「いいわけないでしょ!バカバカッ!変態ッ!」「お前なぁ…」ククールが眉間にしわを寄せ、何に対して頭痛てぇ…と呟いたのか。にぶすぎる、とか、素直じゃなさすぎる、とか、かわいすぎる、とか。ゼシカにはさっぱりわからない。ただ沸騰しそうな顔で、今さら自分の大きな乳房が素肌でククールの胸に押し付けられているのに気づき、慌てて距離をとろうともがくのだった。ククールが一瞬にして背負った心労も、しかし考えてみればなんて幸せな心労であることだろう。開き直ったようにいきなり満面の笑みを浮かべ、ククールはゼシカのかわいいおでこに口づける。「なぁ、オレのこと好き?」「…ッ!だから…っ!なんでそういう話になるのよ!」「だってオレはちゃんと言ったぜ。お前の返事は聞いてない」「…ぅ……し、知らないわよ…」「オレにキスされるの好きなんだろ?」「それとこれとは話が別よ…!」「それともやっぱりオレにキスされるのは嫌?」「…………。………そんなこと言ってない……」「もしオレ以外の男にいきなりキスされたらどうする?」「――ッそ、そんなのッ!!アンタ以外の男なんて死んでもイ――」ドォーー…ンその時、浜辺からそれほど遠くない位置にあるこの洞窟に、かすかな振動と大きな音が響いた。ザザーン、と打ち寄せる大きな波音。そしてほどなくして、自分たちの名を呼ぶ聞き慣れた声が方々から聞こえはじめる。それが仲間の声だと認識した瞬間、2人して唐突に、…夢から覚めた。ここが遭難したあげく漂着した無人島であること、命も危うい危機的状況であることを。波音、風音、薪の爆ぜる音、暗い洞窟の中、あらゆる事象に一瞬にして思い出す。…そして、お互い裸で抱き合っていることを、今さら、本当に今さら自覚して、いたたまれなくなる。ククールは視線をあさっての方向に固定したまま、さりげなさを装ってゼシカの身体から手を離した。「……ぁー…あいつら、助けに来てくれたみたいだな…」しかしわずかに距離をとると、逆にゼシカの露わな胸が視界に飛び込んでくるのに気づき心の中で悲鳴をあげる。慌ててわざとよっこらしょ、などと言いながら腰をあげ、「オレ呼んでくるな。ゼシカはちゃんと服着てここで待ってろよ」まだほとんど乾いていないずぶ濡れのズボンとシャツを適当に身につけ、ククールは背中越しにそう言った。ゼシカの返事はない。多分恥ずかしさのあまり絶句しているのだろう。ここで何か言うべきかと思ったが、何もかけるべき言葉が思いつかない。むしろ下手に何か言ったら大失敗しそうな予感がものすごくする。ククールは微妙すぎる空気の中、不本意ながら無言でゼシカを置いて、洞窟の外に出ようとした。その時、…ポツリと。「―――――……私も…好き…なの……?」 外から聞こえてくる波と風の音にまじって、ククールの耳にわずかに届いた囁き声は、ククールの思考を停止させた。ゆっくりと振り返る。スカートで胸元を隠す、裸のゼシカがうつむいている。「…………ぇ?」思わず声がもれた。なんだか間抜けな声だった。ゼシカが、愛らしく染めた顔を戸惑いがちにあげ、2人の視線が合わさる。再び彼らには、何も聞こえずお互い以外何も目に入らなくなった。まさにそこは2人だけの世界。そして、世界が制止する――「………わたしも……ククールの、こと―――」「兄貴―!!ここに洞窟があるでげすよー!!中から煙も………って、おぅわぁ!?ククール!?」「―――ちょっ、おまっ!!!!!馬鹿ヤロ、なんつータイミングで…っ」「何言ってるでげすか、ゼシカは!?ゼシカは無事でがすか!?」「うあああああああああああ 待て 入んなっ!!!!」「ヤンガス2人ともいた!?…あ、ククール!よかった無事だったんだ!!ゼシカは?奥にいる?」「だから無事だからちょっと待てって!!……ゼシカッ!早く服着ろっ!!」入口に立ちふさがり必死でバリケードをはるククールが、奥にいるらしいゼシカに肩越しにそう叫んだ瞬間、エイトとヤンガスはぎょっとして彼を見上げた。「……服って……。……ククールまさか」「こっ、この破廉恥ヤロウ…っ!」「は?………っち、ちがう!ヤってねぇ!!じゃなくてっ」「誰にも助けを求められない状況だからって娘っこに手ぇ出すなんざ…!見損なったぜククール!!」「うるっせえ!!話を聞け!!」「……とりあえず弁明はあとで聞くよ。事と次第によっちゃ、ぼくも容赦しないからね?」「あああもうだからちがうっつってんだろぉぉおお!!!!!!!!!!!!」短い無人島生活を経ていつもの旅に戻ったククールとゼシカ。そしてこの直後ついにドルマゲスと対決し、その翌日にゼシカはククールの前から姿を消すことになる…
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/51.html
「ああ! 今日僕は片思いの相手を見かけてしまいました。 でもその人は僕に振り向いてくれる気配が全然ありません。 神よ、僕は一体どうすればよいのですかっ!?」 「ならば コクるがよい。ダメでもともと。当たって砕けろ。 神は行動する者に祝福を与えよう。」 「…今の声はもしかして神様っ!? わかりましたっ! 必ずやおっしゃる通りに実行します!」 「いやぁ、絶好のカジノ日和だね、今日は」 「バカ言ってんじゃないわよ。ほどほどにしておきなさいよねっ!」 「ハイハイ、わかってますよ」 昼間の賑やかなベルガラックの街に、石畳の床を踏みしめて歩く影が二つ。 先日の激しい戦闘のため、旅の一行は今日一日この街に留まることにした。 一番の理由は、旅のリーダーがその身に深い傷を受けてしまったからだ。 傷自体は治癒魔法で大方治ってはいるのだが、まだ完治というわけではなく 無理は禁物ということで休養を取ることになったのだ。 本当ならゼシカはエイトの看病をしてあげたいところではあったが 彼にはヤンガスがついているし、何よりククールがカジノに行くと言うので あまり無駄使いしないようにと監視役として彼についていくことにした。 「しかし思わぬところでゼシカとデートできるなんてな」 「バカ言わないで。私はあくまで見張り役なんだから」 「相変わらずお堅いことで」 「ゼシカさんっっ!」 何か自分の名前が呼ばれた気がして振り向けば、そこにはどこかで見た顔があった。 「ゲッ! あいつは…」 「ゼシカの知り合いか?」 「ここまで出掛かってるんだけど」 「ひどい…。 ほら、ゼシカさんの婚約者のラグサットだよ。」 心底がっかりしたような顔で告げる名前には、確かに聞き覚えがあり、 同時に記憶の中のそれと一致する。 「「ああ! 思い出した!」」 「なんであんたがここにいるのよ?」 「偶然ですよ、偶然。 いや、運命と言うべきか。」 いつもよりどこか自信のある様子で、そんな歯の浮くようなセリフをさらりと言う。 その自信の原因にククールはひとつ心当たりがあった。 「あー。なんか嫌な予感がする。どっかで見た顔だとは思ってたんだがな。」 「?」 ククールの零した言葉を聞き逃さなかったゼシカに構わず、彼は言葉を続けた。 「ゼシカさんっ! 今日こそ僕と結婚してください!」 「…………は?」 「あーらら。 んじゃま、ゼシカがんばって…」 「ちょっと待ちなさい。 あんた何か知ってるでしょ?」 怪しい言葉を残してどこかに行こうとするククールをゼシカが逃がす筈もなく、 その襟元をゼシカはしっかりと掴んでいた。 「………。」 彼女から逃げられないことは、今までの経験からも嫌と言う程分かっていた。 「教会で嗾けたあ?」 「面白そうだったから、つい。」 「あんたねぇ…どう責任取ってくれんのよ? 家同士のこともあるし、今ここで軽々と返事するわけにもいかないのよ?」 「いや、ゼシカちゃんモテモテで困っちゃうね」 「そんなに灰になりたいかぁっ」 「わ、悪い悪い! 判った、なんとかする」 「何してるんだろう、ゼシカさん。 フフ、きっと照れてるんだな。 そうに違いない! 何しろ今日の僕には神がついてるんだから!」 幸せな想像をしている彼に、裏路地から凛とした声が響く。 「待たせたわね」 「いや、全然待ってないよ。 そ、それで、返事は…」 ゼシカはどうするのよ?と視線をククールに投げ掛けると、 彼はいつも通りの堂々とした態度で口を開いた。 「ゼシカはお前とは結婚しない」 「どうしてだ! ていうかお前誰」 「オレ?」 ゼシカは何となく嫌な予感がした。 ククールはにんまりと意地悪い笑顔を作り、腕をゼシカの肩に回し自分の方に抱き寄せ ると、もう片方の手の親指を自分に向けた。 「ゼシカのカ・レ・シ」 「なにぃぃーーーー!!」 「なんですってぇ?!」 予想外の発言にさすがのゼシカも反応せずにはいられない。 全く心当たりのない発言に、一気に顔が熱くなる。 直ぐ様ククールはグローブ越しに、驚くゼシカの口を塞いだ。 「な、ゼシカ?」 何が何だかわからない様子のゼシカに構わずククールは同意を求める。 ゼシカはパニック状態の頭をなんとか落ち着かせ、少しずつ状況を飲み込むと、 眉間に皺をよせ、鋭い視線でククールを睨みつけた。 いろいろ文句を言ってやりたいところなのだが、口を塞ぐ大きな手がそうさせてくれない。 もちろん、そんな状態では例え同意することだってできるわけがない。 「ほら、頷いてるぜ」 頭が短く動いているのは頷いているのではなく、声にならない声を発しているからなのだ が、彼はそれで押し通す気らしい。 冷静に見ればそれはとても強引な光景なのだが、ショックのあまり頭が回っていないラグ サットを騙し通すには十分だった。 「そんな……バカな…」 「まっ、トーゼンだって。お前よりオレの方が全ての点で上回ってるぜ。 顔は当然オレの方がいいし、イカサマの腕も、剣の腕も……なんなら試してみる?」 マントの下からチラと剣を覗かせる仕草に、剣の心得があまりないラグサットはぶんぶん と首を振った。 「相手が悪かったな。このククール様に適う男なんてそうそういまい。」 慰めるようにラグサットの肩を大袈裟にぽんぽんと叩くと、今度は促すよう片手をひらひ らと返す。 「ホラ、分かったら帰った帰った」 「ああ、神よ!! 神は僕を見放されたのですか?!」 遠ざかっていく叫び声と共に、どうやら教会へ向かったらしい足音。 ようやくククールがゼシカを開放すると間髪入れずに怒声が響き渡った。 「どういうつもりよっっっ!!」 「うまい具合に追い返せただろ?」 「どこがよっ! ますますややこしくなっちゃったじゃないのっ」 「ゼシカが責任取れっていったんだろ? 責任とってあげるよ、ハニー」 「バカバカバカっ、だいたい、この話が母さんの耳にでも入ったらどうするのよ!」 「いいんじゃない? 別に」 「あんたね……っ …それ、どういう意味かわかってんの?」 「オレが婚約者じゃ申し分ないだろ?」 「あんたなんか真っ平ごめんだわっ」 「顔赤らめながら言われても説得力ないんですけど?」 「~~…」 その後、街の真ん中で爆音が聞こえたとか聞こえてないとか。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/513.html
雑談スレ374-401の流れから +++2人はベッドに腰掛け見つめあっていた。ゼシカがかすかに頬を紅潮させ、瞳を閉じる。ククールは一瞬目を細めたが、すぐに彼女の肩に手を置き、薄く開いた可憐な口唇に優しく口づけた。あの忌まわしい出来事から、数か月が経っていた。それ以来いつからか2人の間に、約束事のように繰り返されている一つの行為があった。抱きしめ合い、睦言を交わし、素肌に触れ合って、見つめあって、キスする。お互いを慈しむための行い。性行為などとは到底呼べないままごとのような愛情確認。ふとしたことで、ゼシカが異性に触れられるとひどく怯えることに気づいたククールが始めたことだった。それはゼシカ自身は全く気づいていなかった、心の奥底に残された傷だった。「オレがすることが嫌だと思ったらすぐにそう言って。嫌じゃないと思ったら、目を閉じて、なんにも考えないで、身体の力を抜いて、受け入れて」ククールは真摯な瞳でそう言って、ゼシカの身体をまるで壊れやすい宝物のように大切に扱った。少しでもゼシカが拒絶の反応を見せれば、ククールはすぐに謝って手を離した。ゼシカは、ククールに抱きしめられることに嫌悪など感じなかった。どうしようもない恥ずかしさはあったけれど、泣き出したくなるほどの安心感と苦しいくらいに高鳴る胸の鼓動は、大好きな兄に抱きしめられた時の幸福感とはまるで違うときめきと疼きを与えてくれた。最初は、両肩を掴まれただけで身体が跳ねた。それでも、ククールが丹念に肌を撫で、羽根のように優しく触れ続けてくれたおかげで、徐々に緊張がほぐれ、彼に身を任せることができるようになった。はじめてキスした時も、思い返せばゼシカの方から望んだような空気がある。熱っぽく潤んだ瞳で見つめてくるゼシカに、あと数センチで口唇が触れ合ってしまうような距離のまま、ククールはひどく戸惑った様子で眉をひそめていた。しかしゼシカが泣きそうな顔でククール、と名前を呼ぶと、何かを決心したように(あるいは何かを諦めたように)、そっと…キスをした。触れ合い、口づける。そこで終わりではないことは、さすがにゼシカにもわかっていた。これが「男女」の営みであるのなら、この先に続くべき行為も想像がつく。さらに言えば、すでに一つの確信があった。ククールはきっとそれを望んでいるのだろうと。そして―――自分も。ククールに「これ以上」をされても、もうあの恐怖は蘇らないとわかっていた。 「……………ククール…?」ふいに彼の手が身体のどこからも離されて、ゼシカはうっとりと閉じていた目を開いた。ククールは腰かけたまま組んだ指を額にあててじっとうつむいていた。表情が見えない。ゼシカは不安になる。「…ど、うしたの?何かした?わたし…」「もうやめよう」いきなりキッパリと言い切られ、意味がわからずゼシカは目を丸くする。「もうゼシカは大丈夫だ。あとは自分自身で心を回復していかなくちゃならない。 オレにできるのはここまでだよ」絶句するゼシカをよそに、ククールは流れるように言葉を口にする。しばらくして、ゼシカの口からようやく零れた言葉は震えていた。「ここ、まで?…ここまでって、なに?」「本当は、オレがするべきじゃなかった。ごめん。でもお前のトラウマを克服させるのはあの時点でオレしかいなかったから、やってよかったと思ってる。これでゼシカが怯えることはもうない。オレの役目は終わった」それはあらかじめ用意してあったセリフのようによどみなく、躊躇もない。ゼシカは声だけでなく、全身が震えてくるのを感じた。ククールの言いたいことが、おぼろげながらわかってくる。決してわかりたくない内容が。“役目”?口唇が開くが、言葉が出てこない。明らかに狼狽しているゼシカに、ククールは低い声を落とした。「――――ゼシカとセックスはできない」その途端、衝撃で空気がひび割れた気がした。ゼシカのか細い声が響く。「……役目、だから?」「………………」「ククール、私に触れてくれるの、嫌だった?」「…そういう話じゃない」「私、わたしは、ククールに触れてもらえるの、すごく好き、だったよ。しあわせだった」おそるおそるゼシカは本音を吐露する。もう羞恥などとなりふりかまっていられない。はっきりとククールが離れていく感覚が、怖い。「…わたし、わたしは、ククールと、…。………した、い」そう告白した瞬間ククールが乱暴に立ち上がり、ゼシカは思わず身を縮こませた。嫌われた、軽蔑された、どうしよう、と、ただ混乱する。ククールはゆっくりと背を向ける。「――――吊り橋理論って知ってる?」 へ?とゼシカは気の抜けた声を洩らす。「深い谷の揺れる吊り橋の上で男と女が出会うと、恋に落ちる可能性が高いんだと。 心臓が高鳴ってる状態での出会いは、相手を好きなんだと脳が誤認するらしい」温度のない置物のようにつらつらと並べられていく言葉。だからなに?とゼシカは言いかけた。しかし、声にはならなかった。彼が何を言いたいのか、嫌でもわかる。一気に頭に血が昇った。「わ…っ、私のこともそうだって…言いたいの…!?私の気持ち…っ!!」「お前が悪いんじゃねぇよ、全部偶然だ。お前はもうオレなんかにひっかかってちゃいけない。 キスもセックスも、ほんとに惚れた男とす…」どん、とククールの肩を押したゼシカが、全身の力をこめてその頬を張った。「バカにしないでよ!!!!」さっきまでなんとか耐えていた涙が叫びと共に零れ落ちる。それ以上言葉が出てこなかった。それぐらい腹が立っていた。そして、同時に悲しかった。“勘違い”だと言われた自分の想い。“思い込み”だと切り捨てられた自分の恋。ドキドキしていたから、ククールを好きになった?バカにするんじゃないわよ、そこまで子供じゃないしそこまで単純じゃないわ!ボロボロ流れる涙を止めることもできず、ゼシカはただ無言でククールを睨みつけていた。ククールも顔を逸らしたまま動かない。これ以上言うことはないとでも言うように黙っている。――――何か言ってよゼシカは心の中でククールに訴えた。心を突き刺す沈黙に、もう、気勢を張れない。彼を殴ったまま握りしめていたこぶしから、ふっと力が抜ける。本当は、もう気づいていた。“吊り橋理論”。そう、そうなんだね。それに引っかかってしまったのは、私じゃない。…あの時、身も心もボロボロになった女に出くわして、決して一人では立ち上がれなかった女を前にして、ククールは“勘違い”した。「自分はこの女のそばにいるべきなんだ」と、“思いこんだ”。あなたの性格で、あんなに情けなくて惨めで可哀想な女を前にして、放っておくなんてこと、できるわけなかった。だから、自分の気持ちを同情から恋心にすり替えた。そうでもしなければ、好きでもない女の身体に、愛情を持って触れて、キスするなんて、できなかったから。そして私が傷を克服できそうになって、ようやくわかったのね。自分の本当の気持ちに。「……ごめんね」永遠に感じられた沈黙を破って、ゼシカがポツリと言った。ククールがゆっくりと顔を上げる。その力なくうつむくゼシカの様子に、さきほどの迸るような怒りはもう微塵も感じられない。「ずっと、嫌なことさせてたんだね。…ごめんね」降ってわいた偶然で、私は自分たちが好き合っているんだと誤解した。告白ひとつまともに交わしてはいなかったのに、まるで恋人同士になった気になって、浮かれていた。……それが「本当に」嬉しかったのは、自分だけだったのだと。ククールは私と「これ以上」をするなんて、まっぴらごめんなのだ。その事実を冷静に受け止める。私はただの仲間。なら未練なんか残してはいけない。少なくとも、そのように振舞わなくてはいけない。じゃないと彼はまた、私に「同情」してしまう。 フラリと扉に向かって歩き出したゼシカに、ククールが何か言いかけてグッと口唇を結んだ。ククールの心の中の葛藤がどれほどのものであるかなど、当然ゼシカが気づくわけもない。何もかもを抑え込み封印しなければと考えたのは、ゼシカだけではなかった。「もうやめよう」と、その一言を口にすることがどれだけ彼を苦悩させたか、ゼシカは知らない。そしてククールにもそれを知らせるつもりはなかった。ククールの決意は強固だった。だから、ゼシカが部屋から出ていくのをじっと待つ。こぶしを握りしめて。「――-――あのね」ふいに、ドアノブに手をかけたまま、ゼシカの囁くような声が床にしんと落ちた。「…あの時、すごく怖くて、とにかく怖くて、声も出なくて、私、もう終わりだと思ったの」ククールが眉をひそめる。強姦未遂に遭った彼女の、まさにその時の心情を聞くのはこれが初めてだった。「その時ね。私の頭の中に無意識に浮かんだのは、…………ククールのことだけだったんだよ」ハッ…とククールが目を見開いたことに、背中を向けるゼシカは気づかない。ゼシカはポツリポツリと、でも意志をもってククールに伝える。「他の誰も思い浮かばなかった。兄さんのことすら、考えもしなかった。ただ、ククールのことしか考えられなかった。ずっとずっとククールの名前を呼んで、ククール助けて、って最後まで叫んでた」ノブにかけられた指が震えている。そして、声も。それを隠そうと必死になっているのが伝わる。「………だから…。―――“吊り橋理論”は、私には、当てはまらないの。だってククールに抱きしめてもらう前から、私はククールが、…好き、だったんだもの」それだけは伝えたかったの、という言葉と同時にゼシカは扉を開く。ククールの足がわなないた。引き留めたいと、全身がわなないていた。でも見えない糸に縛られて、時を止められたかのようになぜか指先ひとつ動かせない。ゼシカが肩越しにわずかに振り返る。口唇だけで、ありがとう、と告げて。その瞳から光る雫が流れ落ちたのを認めた瞬間に、ククールの呪縛が解けた。廊下に踏み出し扉を閉めようとした―――ゼシカの身体を、ククールは攫うようにして腕の中に閉じ込める。それはオレのセリフだ、と、心の中で叫ぶ。そしてククールはゼシカがそれまで聞いたこともないような苦しげな声を、ゼシカの耳元に囁く。「オレもゼシカを抱きしめる前から、………お前のことが、好きだった…!!」最初からそういえばよかったのに。バカみたいね、私たち。ずいぶん時間が経ってから、ゼシカはそう言って泣きながら、笑った。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/206.html
0・サーベルト 私の名は、サーベルト=アルバート。 フルネームだとゴロが悪いというのは、自覚しているので触れないでほしい。 ドルマゲスに殺され、一時はリーザス像に預かっていただいていた私の魂の一部は、今は村の墓地の自分の墓の周りに留まっている。 この村には私とゼシカ以外に戦える者はなく、私が死に、ゼシカが敵討ちの旅に飛び出した後は、子供のポルクとマルクが村を見回るだけの、心許ない守りだった。 心配で、とても成仏など出来なかった。 そして、それよりも更に心配だったのは妹のゼシカのことだった。 母とはケンカばかり、同世代の友達もいなく、本当に心を許すのは私に対してだけ。 あのままでは、孤独な一生を送ることになってしまうかもしれないと思うと、どうして私の後ばかり付いてくるゼシカを、それではいけないと突き放しておかなかったのかと悔やまれた。 だが、私が余計な心配をするまでもなく、ゼシカは旅の間に友を得て成長し、母と言い争うことも少なくなり、メイドたちとも仲良くできるようになった。 そして何より喜ばしいことは、ゼシカが愛する人と無事に心を通わせ、つい先日、この村の教会で結婚式を挙げたことだ。 もう私がこの村に魂を留める必要は無いのだが。 まだ少し。ほんの少しだけ、ここで妹の幸せを見届けたいと思うのは、わがままなのだろうか。 1・ゼシカ ゼシカは、必ず毎朝、切り立ての花を供えに来てくれる。 「おはよう、兄さん。今日は今年一番に咲いたバラを切ってきたのよ。綺麗でしょう?」 愛する人と結ばれて幸福に輝くゼシカの方こそ、咲き誇るバラのように生命力に満ちた美しさに溢れていた。 だが私としては、墓の前でその人間の妹とイチャイチャベタベタしたあげく、痴話喧嘩からプロポーズに突入するような男を、どうしてゼシカが選んだのかが正直不思議だった。 ゼシカにはもっと、誠実なタイプの方がふさわしいと思うのだが、残念ながら死人には口出しできない。 「おはようございます、ゼシカお嬢様。いつもお早いですね」 開店準備に行く途中の防具屋が、ゼシカに気づいてこちらにやってきた。 「おっと、こりゃあ失礼しました。お嬢様じゃなくて、若奥様でしたね」 防具屋の言葉にゼシカは頬を赤くする。 「やだもう、からかわないでよ!」 そしてそのまま防具屋の背を力一杯叩いた。 そう、暗黒神と素手で殴り合えるゼシカが、力一杯。 次の瞬間には防具屋は、数十メートル先の木にめり込んでいた。 「きゃああああああああぁぁぁ!!!!」 ゼシカが悲鳴を上げると同時に、ククール君がタイミング良く駆けつけてきた。 「どうした? ゼシカ!?」 「ク、ククール! 早く! 早く、ホイミとベホイミとベホマとザオラルとザオリクかけてー!!」 動揺して支離滅裂な事を言うゼシカに対して、ククール君は実に冷静に、変わり果てた姿になった防具屋を蘇生する。 「ったく、イヤな予感がして迎えに来てみれば、やっぱりやらかしてたか。だから、自分のバカ力を自覚しろっていつも言ってるのに」 「だってぇ~」 ……やっぱり、ゼシカにはククール君じゃなきゃダメかもしれない。 いや、『ダメ』というより、『無理』と言った方が正確か? 2・アローザ 正午を少し回った頃、今度は母が花を持って現れた。 「この所、ゼシカの結婚や何やらで忙しかったから、ご無沙汰してしまったわね。だけどようやく一段落ついたわ。私もやっと肩の荷が下りて、ホッとしてるところよ」 ゼシカが旅に出ている間は、まるで元気を無くしてしまっていた母も、ゼシカが村に戻ってきてからは少しずつ気力を取り戻し、今ではすっかり元通りになったように見える。 この若さで死んでしまうなんて、最悪の親不孝をしてしまった身としても、ようやく肩の荷が下りた気分だ。 なのに母さんは、大きな溜め息を吐いている。 「ねえ、サーベルト? 私、昔からゼシカが貴方ベッタリなのをずっと心配してたのよ。このままじゃあこの子、誰とも結婚出来ないんじゃないかって。 だから、貴方とは全然タイプの違うククールさんを紹介された時、少し安心したの。ようやくこの子も兄離れ出来たのねって。でもね……」 そしてまた母さんは、大きく一つ溜め息を吐いた。 「ククールさんって、ずっと着たきり雀であんまりだったから、新しい服を作ってもらおうと仕立て屋を呼んで採寸したのよ。そしたらね」 更に大きな溜め息が一つ。 「全く同じだったのよ、あなたとサイズが……。背丈も、肩幅も腕周りも股下も。そう意識して見てみると、歩き方なんかもそっくりなのよ。 ゼシカって、ずっとサーベルトの後を付いて歩いてたじゃない? それでククールさんの後ろ姿に貴方の面影を見てるとしたら、まだ兄離れできてないんじゃないかと心配で」 ……それは母さんの考えすぎだと思うけど……。 もし。もしそうだとしたら……ゼシカには自覚は無い分、問題じゃないか? 3・ククール 夕方、珍しくククール君が、その辺で適当に摘んだらしい花を墓前に供えに来てくれた。 だが、何も言葉は無い。空を仰いだり、振り返って村の様子を眺めたりしている。 だがやがて、ゆっくりと静かに話しだした。 「……いいトコだよな、この村は。ここにいると、空がすごく近く感じる。住んでる人たちも穏やかで、何て言うか、気持ちが伸びやかになってく気がするんだ」 こちらに顔を向けたククール君の目は、とても誠実なものだった。 「これからはオレが守るよ。ゼシカも、この村も……だから安心して……」 その続きを聞くことは出来なかった。 「あら? ククール?」 ゼシカがやってきたからだ。 「珍しいわね、ククールが兄さんのお墓参りだなんて」 「いや、たまには、男同士の話でもしようと思ってさ」 ……母さん、ゼシカがククール君に私の面影を追ってるなんてことは、絶対に無いよ。 いつだってゼシカはククール君の背中なんて見ていない。こうしてまっすぐに目を見て話している。 だからこそ、彼の真摯な瞳に魅かれたんだろう。 死んでしまったことが、今更ながらに残念だ。 生きて彼と出会い、『ゼシカと結婚したかったら、私に勝ってからにしてもらおう』なんて頑固親父のマネ事もしてみたかった。 ……まあ、ほぼ間違いなく、私が瞬殺されるだろうけど。 でもその後は、友人として、兄弟として、多くの時間を共有しながら、とても楽しく暮らせただろうに。 ゼシカもこの村も、私が見守る必要は無い。ククール君に任せて大丈夫だろう。 いつまでも、こうやって魂を現世に留めておくのも、そろそろ潮時だろうか? 4・バカップル改めバカ夫婦 「ってことは何? ゼシカはオレを迎えに来たわけじゃなくて、本日二度目の墓参りだったのか?」 「うん。だって今朝はあんなことがあったから、ゆっくり兄さんとお話しできなかったんだもの」 ん? 「ほ~。うちの可愛い若奥様は、新婚の夫よりも、兄貴の方が大事なのかよ」 「誰も、そんなこと言ってないでしょう!?」 ちょっと待て。なぜいきなり、痴話喧嘩が始まる雰囲気なんだ? 「だってそうだろ。毎朝毎朝、おはようのキスもそこそこに『兄さんにお花~』って。ブラコンもいい加減にしろ!」 ……狭い……。 何て心の狭い男だ。死んでしまった兄に対して嫉妬なんてしなくても良いだろうに。 そして、ふと思い出す。 ククール君は元は僧侶で霊感が強いと、ゼシカが言っていたことを。 もしかして彼は、私の魂がこの世界に留まっていることに気づいているのか? そしてさっきの『だから安心して……』の続きは『サッサと成仏しろ』だったりするのか? 「もう、バカね。ククールより兄さんが大事だなんて、そんなわけないじゃない」 「ゴメン。でもさ、ゼシカにはオレだけ見ててほしいから、ついヤいちまったんだ」 「ふふ。いつも私ばっかりヤいてるから、たまにはいいかもね」 二人はまた、わざわざ人の墓の前でケンカした後でイチャつき始めた。 そしてククールは私の方を見て、確かに一瞬、舌を出した。 間違いない……こいつ、わさとやってるんだ。 母さん、冗談じゃないよ! こんな男にオレが似ていてたまるもんか。 ククールに、ゼシカを任せて安心なんて大きな間違いだ。 オレはまだまだ、成仏なんてしないぞ! 終
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/269.html
544 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/21(月) 23 11 45 ID Gs234PpT0 ククールがあまりの暑さに何かがプッツン切れいきなりゼシたんに襲いかかって (しかも人前で)ヒャドでもおもきし喰らってればいいな。 「…はっ。オレは一体なにを」冷たさで我に帰った 「あらククール寒そうね。メラでもいかが?(にっこり)」 545 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/22(火) 15 29 01 ID /U8ML2YdO アホクク可愛いw 真夏でもあの真っ赤な騎士服着てんのかな?そりゃ暑さで頭やられるわw 日頃晒されたゼシカの白い肌を前に日々我慢+暑い日差しで意識朦朧のコンボじゃ仕方ない 意識が戻った時には首筋に虫に刺されたような跡をつけ物凄い形相をしたゼシカが… 546 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/22(火) 18 49 49 ID jsC7L0m00 ククールがあらわれた! ククールはゼシカがみがまえるまえにおそってきた! ククールはゼシカを押し倒し首筋にキスをした! つうこんのいちげき!ゼシカに500のダメージ! ┏━━━━━━━━━━┓┏━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ .ゼシカ .┃┃ククール 1人. ┃ ┠──────────┨┗━━━━━━━━━━━━━┛ ┃ こうげき とくぎ ┃ ┃⇒じゅもん どうぐ. ┃ ┃ ぼうぎょ そうび ┃ ┗━━━━━━━━━━┛ 547 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/22(火) 20 40 32 ID LLNgvjBdO そのうちゼシカも暑さにやられてククにぱふぱふや投げキッスをするかもしれない 夏って素晴らしい 548 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/22(火) 21 52 53 ID D8pBH6Ug0 ククール「ぽーにょぽにょぽにょ ボインな子♪」 ゼシカ「変な歌歌わないでくれる?」 549 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/22(火) 22 50 01 ID rbfD53x4O ゼシカ「変な歌歌って…主人公もククールに何か言ってやってよ。暑さでどうにかなっちゃったみたい」 主人公「そうだね。僕から注意するよ。ククール! ゼーシゼシゼシ ボインな子 小さな村からやってきた ゼーシゼシゼシ ふくらんだ まんまるお胸の女の子♪…の方が良いと思うんだ」 ククール「そうか!なるほど。んじゃ続きも考えなきゃな パークパク チュッギュッ!ゼシカが大好き…」 ゼシカ「ヒャダルコ!」 550 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/23(水) 00 59 28 ID uDWHhHTH0 ククと主人公、よし、お前らはもう少し薄着しろwww 551 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/23(水) 17 55 07 ID ERjQzMh70 ウィッチレディ がククールにぱふぱふしてきた ククール気持ち良さそうにしていた その後ゼシカのイオがウィッチレディに直撃した 552 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/23(水) 19 51 27 ID vZsi+BB0O ウィッチレディからのぱふぱふで気持ち良さそうにしているククを見て 暑さにやられたゼシカが「私の方が気持ち良いんだから!」と ククにいきなりぱふぱふを… 553 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/23(水) 21 01 50 ID MKXQTSX1O もしゼシカにぱふぱふされた場合ククは、 さらに壊れるかいっきに覚醒するかどっちだろう 554 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/24(木) 01 43 35 ID 9CJq1PCI0 さらにもう一つの選択肢は ③意外と戸惑う・硬直する だな 個人的には③を押すが、この暑さだと ①さらに壊れる しかない気がしてきた… 獣のようになるんじゃなかろうかククール。咆哮あげて 敵にぱふぱふされて気持ちよくなってるククを見て内心かわいいヤキモチ妬いてたらいいなゼシカ 「…あ、そ。やっぱり女なら誰でもいいわけねー気持良さそうでよかったわねーククールさん?」 ククールは正気に戻った! 「は?や、オイ、ちょ、待て!!これは不可抗力ってやつだぞ、誤解すんなよ?!」 かすかにできあがりつつある旅終盤の2人ってこんなんばっかだと思ってる 555 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/24(木) 13 14 09 ID OGWFhCrZO 自分も③を推したいwだけど夏だしさらに壊れるククも良いかも。 壊れたククに襲われたら壊れ気味だったゼシカは一気に我にかえりそうw 554 出来上がりつつある終盤の2人可愛すぎw それでちょっとした言い合いになって いつまでも平行線状態でいい加減プチと切れたククが 「だーかーらー、俺が本当にぱふぱふされたい相手は ゼシカだけだっての!!」と叫んでしまったり… 唖然とするかますます怒るゼシカを他所に、 バカップルのやり取りにすっかり慣れっこでのほほんスルーな仲間達。 そんな日常 556 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/24(木) 13 52 55 ID pUWOdEL40 以前買った同人誌で見たネタなんだけど、 呪われしゼシカ戦で主人公がいきなり 「ゼシカがぱふぱふするまで全員防御!!」 と命令するってのがあったのを、 547からの流れで唐突に思い出した。 557 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/24(木) 20 24 04 ID fX1mWdPzO 556 その同人読みたいw でもククはおとなしくぱふぱふを待っているだけじゃなく 呪われしゼシカが自分以外の男(主人公達)に ぱふぱふしてしまわないよう必死に阻止していて欲しいw 558 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/24(木) 23 22 15 ID uYM0NYsp0 ククゼシってお互いにアダルティーな雰囲気があるのに 時々妙に子供っぽくなるというか、 カプにするとやたら初々しくなったりもしてかわいいなw 仲間にもぱふぱふできたらいいのに>DQ8 559 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/24(木) 23 39 12 ID Jxg+M5QOO 554 なんて素敵な日常なんだ… ビデオカメラ回しながら旅に同行したい 560 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/25(金) 00 17 41 ID PwGzK5RE0 じゃあ559のビデオ完成したらダビング頼むわ 呪われしゼシカが現れた!! *ゼシカいっぴき 主人公「ゼシカがぱふぱふするまで全員防御!!」>防御 ヤンガス「兄貴の命令なら逆らえないでがす!!」>防御 ククール「そうはいくかぁ!!ザラキ!!!!!」>ザラキ 主&ヤン「えええーーーーー!?!?!?!?!?!?」……ガクッ 主人公とヤンガスは死んでしまった!! ククール「…よし…。さぁマイハニー、準備は万端だいつでもカマーン!!」 呪ゼシカ「イオナズン」 ぎゃーー 561 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/25(金) 13 33 31 ID NXs8EmumO 560 ちょwアホすぎるwww 逆に考えるとそうまでしないとゼシカからのぱふぱふは味わえないのか ラプソーン倒す以上の困難かもw 実はゼシカからククがぱふぱふを受けられる試練とかが 隠しイベントとして存在していいる… 562 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/25(金) 20 32 29 ID QUcsRSX+O ゼシカがククールにぱふぱふする隠しイベントをクリアすると ククールとゼシカは晴れて結婚する なんとなくゼシカはぱふぱふとかは 人間相手には結婚を誓った人にしかしないを信条にしていそう 563 名前がない@ただの名無しのようだ[sage]2008/07/25(金) 22 01 27 ID qsFszFJd0 560 ワロタw 夏でみんな頭沸騰しとるw ラプソーンやモンスターとかではなく夏の猛暑こそが1番の脅威だな
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/240.html
ゼシカとケンカした。 原因?なんだっけ?とにかくまぁいつも通りくだんねぇことだ。気付いたら魔法を乱発した ゼシカのおかげで、部屋の中は台風でも通り過ぎたあとのような惨状になっていた。 「…………今日はもう、勘弁しないよ?」 にこやかなのに背筋が凍るような声に我に帰ったオレ達が振り向くと、 笑顔に青筋を浮かべたエイトが、チャリ、と鍵を掲げて見せた。 「開かねぇっ!!アイツマジで閉じ込めやがった!!」 扉を壊したりしたらどうなるかわかってるよね…?と言ったエイトの顔は忘れない。 オレはひとしきりガチャガチャとノブと格闘していたが、やがて頭をかきながらため息をついた。 「ご丁寧に窓のない部屋まで用意しやがって…こりゃ大人しくしてるしかねぇみたいだな」 「誰か、大きな声出したら来てくれるでしょう?」 胸の前にこぶしをギュッと握って不安いっぱいに声かけてくるのは、 ついさっきまで呪われてた時よりおっかねぇ顔で、オレとケンカしてたゼシカ。 「何があっても開けないでくださいってぐらい言ってあるだろ、エイトなら。 一晩頭を冷やせって言ってたから、まぁ明日の朝には出してくれんだろうけど…」 「あ…っ!?!?あし……って、そ、そんなの困るわ!」 「困るったって仕方ねぇじゃん。そもそも悪いのはオ・レ・ら」 そう言って少し意地悪げに、ん?とのぞきこむと、言い返せないゼシカがかわいくてニヤけてしまう。 まったく、オレ達も懲りねぇよな。まぁオレは彼女の怒る顔が見たくてけしかけてるわけだから 確信犯なんだが。しかし、そろそろエイトの機嫌がまずいかな、と思ってた矢先にコレだ。 「…ホント、あーいうタイプは切れさすと怖いんだよな~…」 ブツブツ言いながら一つしかないベッドにバフッと腰をおろす。 ふと目をやると、ゼシカは部屋のすみっこで、両手を身体の後ろに回して所在なさげに壁にもたれている。 「こっち座れば?」 なんてこともなくそう言ったら、途端にゼシカは思いもよらない激しさでブンブンと首を横に振った。 …なんか、雰囲気が変だ。 オレの方をわざと見ない。 よく見ると頬がかすかに赤い。 「……………………」 「……………………」 ………オイオイ。 やめてくれよ変に意識すんなって… なんかいたたまれなくなって、オレは心中で腹の底からのでかいでかいため息をはいた。 「…………ゼシカ」 名前を呼んだだけであからさまに身体をビクつかせる。あーもう… 「なんでこっち来ないの?」 試しに聞いてみると、彼女はハッとして顔を上げオレと何秒間か見つめ合ったのち、 顔を真っ赤にしてまたすぐ顔をうつむかせてしまった。そしてしばらくしてから 「…………………………………………だって……………。」 蚊の鳴くような声で、そう漏らした。 六畳一間、とでもいうのか?ベッド一つとテーブルだけでいっぱいになっちまうような狭い部屋だ。 オレとゼシカの距離なんか、ほんの数メートル。立ち上がり、2,3歩歩くだけで オレは簡単にゼシカを捕まえられる。 わかってる。ゼシカが意識してるのはそういうことだ。 あぁ…やめてくれ。オレまでなんかもうさ…ああぁぁあ いくら2人きりの密室だろうと、絶対邪魔の入らない環境だろうと、こんなイレギュラーな状況で 手ぇ出したりしねぇよ!!何のために今まで我慢の我慢のさらに我慢を重ねてきたと思ってんだ。 女の子には挨拶代わりにキスしてた こ の オ レ が ッ 来るモノ拒まず去るモノ追わずだった こ の オ レ が ッ 未だにキスの一つもしねぇで(できねぇで)、ゼシカの来訪に喜び、去りゆくゼシカを追いかけ、 振り向いてくれる笑顔だけで今は充分だと、あらゆる欲望を抑え込んでここまでキタっつーのに!! ………イヤ、まぁね。オレだってこの状況にまったくの平静でいるわけじゃないぜ? かわいくてかわいくてたまんねぇ好きな女と密室に閉じ込められて、下世話な考えがカケラも 浮かばないほど、オレは聖人君子でもねぇし性欲が希薄でもねぇ。れっきとした健康な 成人男子であるからして、その気になればスイッチひとつでいつでも臨戦態勢だ。 …でも。 オレ達の間に「もしかしてそういう関係になってもいい?」的な雰囲気が流れ出してから今まで、 健全男子としてはけっこうキツい期間、彼女に何もしないでこれたのは。 オレは片手で顔を覆いながら、がっくりと肩を落とした。 「…そんなにオレ、信用されてない?」 「え…っ?え、そ、そんなこと…っ」 否定する語尾が消えていくのに、今度こそため息がもれる。あーあ…オレ、かっこわりぃ。 「ククールだからとかそんなのじゃなくって、その、………じょ、条件反射っていうか」 条件反射で拒まれるオレって一体… 「だって、警戒して当たり前でしょ?お、男の人と部屋に…2人っきりなんて…」 「ここにいるのがオレじゃなくてエイトとかヤンガスだったとしても?」 「…………………」 オーイ真剣に考え込むなよ。 「未だにお前にとって、オレってケーハク男のままなんだな」 「!違うわよ!!」 「そう思ってても、心の奥ではオレに対する不信感が残ってるから、そーいう態度とるんだろ?」 「違うったら!どうしてそんな風に言うのよ…」 ゼシカはすぐに泣きそうな顔になって、スカートをぎゅっと握りしめた。 しまった…ショックでイラついて言わなくていいこと言っちまった。 「…ごめん」 すぐに抱きしめてやりたいのに、指先すら触れられないこの距離がもどかしい。 自分を落ち着かせるために、ふぅ、と一息ついてからゆっくりと口を開く。 「………確かにオレは軽薄だし最低だし、今までしてきたことが褒められたもんじゃないのは わかってる。でも、………オレ、ゼシカは。ゼシカにだけはさ」 そこまで言って、伝えたいことがまとまらずに髪の毛をくしゃくしゃにして、 「………なんつーか、すんげぇ大切にしてきたつもり。手ぇ出すとか出さないとかそーいうの だけじゃなくて、そういうのも含めてだけど、ほんとに、大切にしたいと思ってここまできた」 「ククール…」 「だからさ…伝わってねぇんだなぁと思って、勝手にショック受けただけ。わりぃ」 あぁ、本格的にかっこわるいなオレ。ゼシカの前だとなんでこうかな。 まぁいいや、伝えたいことはちゃんと伝えたし。 これでゼシカが少しでもオレの想いを感じとってくれればそれでいい。 沈黙が続きすぎて、さすがに耐えられなくなったので何か言おうとしたら。 「…………………伝わってるよ」 え? 「ちゃんと伝わってるよ、ククールはわたしのこと、ちゃんと想ってくれてるって。 ククールの、そういう…優しいところ。真面目なところ。誠実なところ。本当は不器用なところ。 そういうところ………」 顔を上げて、ゼシカは微笑んだ。 「好きよ」 強烈すぎる不意打ちに、思わずグラリ、と身体の軸がかたむく。 「………ごめんね、避けたのはククールのこと信用してないからじゃないの。そうじゃなくて… は、恥ずかしい、のよ。ククールだから…。ククールじゃなかったらわたし、こんなに… ……………ドキドキしてないわ」 頭のネジがいっぺんに吹っ飛びそうなオレに気付かず、ゼシカは顔を真っ赤に染めて そんなダメ押しまで言ってくれた。 オレのこと好きだから、だから意識しちゃうのって?今のそういう意味だよな? まいった…マジで。ほんっとーーに、ゼシカには適わない… 「やっぱり…こんなに近くにいるのに、さわれないなんて寂しいね。…そこ、座ってもいい?」 さらにトドメとばかりに彼女がそんなことをいうから、オレは苦笑しながら頷くしかなくて。 照れた笑みを浮かべながらゆっくりと歩いてきたゼシカは、静かにオレの隣に腰掛けた。 手の平が重なる。 見つめてくる視線が熱っぽい。オレの視線はさぞかし余裕のないものだろう。 ダメだっつーのに、勝手に手が動いて彼女の薔薇色の頬を両手ではさみこむ。 なんの言葉もなかった。ごくごく自然に、オレとゼシカははじめてのキスをしていた。 ただ触れ合っただけの口づけに、めまいがするような感覚を憶えてクラクラする。 「あ゛~~~………。…………ヤバい」 「…なにが?」 「さっき言ったこと、いきなり撤回していい?」 「大切にしてるってこと?」 「そこは変わんねぇんだけど…。大切、にも、色々あるってことで」 そのままゼシカを抱きしめると、腕の中でかわいらしくクスクスと笑う。 「…いいよ。ククールのこと、信じてるから」 その言葉にオレは今度こそ、もうダメだ、と思った。理性と矜持と意地が、音を立てて壊れていった。 2度目のキスをしながら、聞こえてきたのは上目遣いの小さなお願い。 「………大切に、してね」 ほんっっっとーーーに、ゼシカには適わない。 これって結局エイトの思惑通りなのか?と気づいたが、すぐにそんなことどうでもよくなった。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/518.html
「……どこ行く気だったんだ?ゼシカ」ククールが一歩前に出て、背後で扉が閉められる。反射的にゼシカは一歩後退した。必死で隠そうとしているものの、その顔は怯えに満ちている。「…っ、……べつ、に、……どこにも」ククールはひどく面白そうに目を細めながら、ゼシカに大股で近づいていく。そのたびにゼシカはあとずさり、じりじりと壁際に追い詰められた。ハッと気付いた時には壁に背中が当たり、ククールの腕がダン!と乱暴な音をたててゼシカの顔の両脇に突かれた。ゼシカは思わず身をすくめ目をつむる。20㎝近くの身長差のせいで、ゼシカの小さな身体はククールの影にすっぽりと覆われてしまう。室内の照明は点いていない。月影に見える男の微笑は不気味なほどに美しい。そしてその瞳の奥に潜む確かな怒りを見出す。あぁ、やっぱり彼は最初からわかっている。ゼシカは逃げようとしたことを死ぬほど後悔した。自らクモの巣に飛び込んできた蝶をみすみす逃すような真似はしない。この沸き上がる憤りに応えるだけのものは返してもらうつもりだった。震えながらもがき抗う彼女の姿は、ククールの加虐心を大いにくすぐる。一纏めに高く結わえられているまだ半乾きのポニーテールにサラリと指をからませながら髪留めを外すと、ゼシカによく似合う赤髪がフワリと肩にすべり落ちた。その一挙一動にゼシカはいちいち身を震わせる。何をされるのかと怯えているのは一目瞭然だ。そんな態度がますます男をつけあがらせるだけとも知らずに。ククールはほくそ笑んだ。そのまま耳に口づけ耳たぶを甘噛みし、性感帯をゆるやかになぞりながら言葉を注ぎ込む。もっともゼシカが羞恥を煽られる方法で…「――――ちゃんと身体中キレイにしてきたか?」“オレに抱かれるために” 言外に含まれたその嘲りに、ゼシカの全身が紅潮した。一瞬にして耐えがたい羞恥に襲われ、拒絶の言葉が口をついてほとばしる。「―――やめてよ…っっ!!!!」舐められる耳を振り切って彼の胸を押し返し、阻まれた二の腕の中から逃れ出ようとした。許せない。咄嗟にそう思った。それは言わないのが“ルール”のはずなのに!虚を突かれたククールは、扉の方へ走ろうとする身体をすぐさま力任せに捕えた。それでも尚 暴れ、なりふりかまわず抵抗するゼシカに、ククールは動揺の色を顔に張り付ける。手首を捕え大きな音を立てて乱暴に壁に貼り付けると、ギリギリまで顔を近づけて強引に視線を合わせる。―――睨みつけて、怯えさせるつもりだった。しかしゼシカの思いがけぬ反抗は、一瞬でククールから全ての余裕を奪ってしまった。唐突に沸き上がったのは怒りではなく、畏れ―――ゼシカは強引に合わされた視線を逸らそうとしたができなかった。間近で注ぎ込まれる碧眼に何かを奪われるような錯覚を覚える。掴まれた手首にさらに力がこめられ、聞こえてきたのは絞り出すような呻きに似た…「……オレから、逃げようとするな…ッ…!」その目にはすでに怒りなどなかった。ただ、狂おしい焦燥と…悔念に満ちた、今にも泣き出しそうな悲しい瞳…その言葉を、彼は「乞うて」いる。強く願い、望み、欲しているのだと気付く。どうして?ゼシカにはわからない。治療と称した、辱められるだけの行為を跳ねのけられず屈辱に甘んじて、快楽に翻弄され好き放題にされ、苦しいのは、悔しいのは、自分のはずだ。逃げるなと言うのなら彼はそれを「強要」できる立場にあるのに、なぜこんな目をして「懇願」するのだろう。ゼシカの口唇が何かを言おうとしてわなないた。しかし、言葉は出てこない。ククールは顔を下向け、ゼシカの額に自分の額を静かに合わせた。キツく閉じられた瞳。眉間には深いしわが刻まれている。苦しいのだろうか。どうして?ねぇ、どうしたの?黙っていないで。言葉にしてくれないとわからないよ。 ゼシカの胸中に、いいようのない感情が広がっていく。同情ではなくて、憐憫でもなくて―――愛しさ、この人を放っておけないという強い思い、自分だけがという責任、自負…首の角度を変え、ゼシカは掬いあげるようにククールの口唇に自分のそれを重ねた。なぜそうしたのか、自分にもわからない。そうすることが一番自然な行動だった。ククールが一瞬驚きに身を固くするのがわかる。しかしすぐにゼシカを拘束していた手は彼女の頬を両手で包みこみ、むさぼるように夢中で口づけに溺れた。ククールの腕はゼシカの細い身体を壊しそうなほどに締め付け、ゼシカも彼の背中を優しく撫でながら、果てのないキスを続ける。彼の腕の強さにゼシカの胸は締め付けられた。まるで嵐に怯える子供のようにしがみついてくる。どこにもいかないでと、子供の姿のククールが泣きながらすがりついているような気がした。そう、怯えているのだ。怯えていたのは私だけではなかった。彼もずっと怯え震えながら、自分を抱いていたのだ。いつ私が逃げ出すかと…彼を一人おいて逃げ出すのではないかと…「―――――怖かったの…?」互いの口唇の隙間で、必死で紡がれた言葉にピクリと反応したククールの動きが止まり、ゆっくりと唾液の糸を引きながら顔を離した。間近に見つめあう。怯えた目。困惑の目。己を恥じている目。それでも救いを求めている子供の目。ククールは泣かなかった。そして唐突にゼシカの瞳から一筋の涙が流れ落ちた。その雫を舐めとり、ククールは堰を切ったように再び激しくゼシカの口唇に噛みついた。抵抗できなくなったのは、決して快楽に支配されたからではない。ゼシカは今それを知った。この人を、こんな風に抱きしめてあげたかった。胸のどこかに封じられてしまった彼の本来の優しさや悲しみを、もっともっと知りたかった。だから離れられなくなった。例えどんなに強引に抱かれても…どうしてもこの人をおいて、逃げられなかった。 それだけで達してしまいそうな濃厚なキスの余韻をお互い引きずったまま、ククールは荒い息と口づけをゼシカの首筋や肩に注いでいく。「ククー…ル。私…わたし、………逃げないよ…にげないから…」彼の力はやっぱり強くて痛くて、ゼシカは小さな声で訴えるがククールは聞こえないフリをする。ローブの合わせ目に手を入れてずらし、片方の白い肩と乳房を露わにした。肩に近い腕の上方に深い傷が現れ、ククールは動きを止めた。そこは清められてはいるが薬も包帯も施されず、明らかに痛みと熱をもっている。当たり前だ…これが、ゼシカが今夜この部屋にくるための「口実」だったのだから。……そして自分が彼女を抱くための。ククールはほんの刹那口唇をかみしめ、そっとその傷に口づけた。ゼシカが困惑しているのが伝わる。この傷を今治してしまえば、今夜自分たちがセックスをする理由はなくなる。その通りだ。自分達は恋人同士じゃない。愛を誓い合ってなんかいない。――それでも。傷口に口唇から直接回復呪文が注ぎ込まれ、ゼシカは切なげに目を細め背筋を震わせた。淡い光に包まれ癒されていく自分の身体。そう、最初にククールがこの行為に及んだのは、彼が優しい人だったからだ。彼の回復呪文は優しさの表れだとゼシカは思った。そしてその恩恵を受け取ることがいちばん許されているのは、きっと自分なのだろうと。そのことがこんなにも嬉しいなんて。…今気づいたんじゃない。忘れていた…ククールの口唇と舌が、傷から逸れ腕を這い、胸の盛り上がりを縁取るようにくすぐりはじめると、ゼシカの頭の中はしびれたように麻痺していく。たったこれだけの戯れに息を乱すなんて。どうしよう。羞恥とは違う、疼くような感情に戸惑う。幾度も望まない行為を続けてきて、いまこの瞬間にはじめて、ゼシカは心からククールに抱かれたいと思った。そしてそれはククールもまったく同じ。ただひたすらにゼシカを抱きつくして、この清純で淫乱な白い身体を自分だけのものにしたかった。辱めるのではなく、慈しみたかった。口実はもう存在しない。欺瞞はもう必要ない。ここにあるのはようやくさらけ出した本心だけだ。「逃げない」と言ってくれた彼女を、その真意を、言葉ではなく身体で実感したかった。ずっとお互いが本音を押し隠したまま、意味のない行為を繰り返していた。でもきっと最初からわかっていたんだろう。「究極魔法」が、自分達の間でしか効果を示さないただ一つの理由を…
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/62.html
体に突き刺さるような寒さから、ククールは目を覚ました。 ぶるっ、と身震いする。重い身体を起こし、あたりを見回す。 「………?」 知らない部屋。 自分が使っている物を含めてベッドが四つ並んでいる。右隣にゼシカ、左隣にヤンガス、その向こうにはエイトが眠っている。 けたたましくガラスを叩く風。窓の外には見慣れぬ雪の嵐、薄明るい夜。 まだハッキリしない頭で自分の置かれた状況を考える。 ―――確か、オレたちは黒犬を追って北に向かっていて… 「つ…ッ!」 身じろぎすると、打撲のような鈍い痛みが全身を襲った。瞬時に記憶が蘇る。轟音と共に、視界に迫る圧倒的な白。ゼシカの悲鳴。 「雪崩が…!」 ベッドから飛び降りて、ゼシカを見る。 ゼシカは毛布にくるまって、すやすやと安らかな寝息を立てていた。 ククールはゼシカを起こさないように毛布を剥いだ。 顔に色が無いのが気になるが、呼吸は落ち着いている。とりたてて大きな外傷はなさそうだった。 ホッと安堵の息をついて、一応他の二人の様子も見る。 いつもどおり必要以上に元気に寝ている凸凹コンビに少しうんざりして、寝ていたベッドにひとまず腰を下ろした。 「それにしても…ここはどこだ?」 あらためて周囲を検分する。古いけれど綺麗にしてある、人の手が行き届いた小さな部屋。 悪い気配は感じなかった。 誰か―――あの時先に行ったトロデ王あたりが、雪崩巻き込まれた自分たちを、近くにあった山小屋に運んだというところだろうか。 ククールがそんな事を考えていると、寝ている筈のゼシカが突然大声をだした。 「いい加減にしなさいよ…ッ!ククールッ!!」 いきなり名前を叫ばれて、ぎょっとする。おそるおそる声をかけてみる。 「ゼシカ…?」 返事は無い。 「どーゆー夢見てんだよ…。」 何もしていないのに、後ろめたさを感じるのは、日頃の行いのせいだろうか。冷や汗がでる。 「夢にまで見てくれるなんて、男冥利につきるね…。」 ククールはゼシカの寝顔を眺め、頭をそっと撫でた。 「う…ん…寒い…ククール…」 ゼシカは仰向けに寝返りを打って、言葉を洩らした。 続けざまに名前を呼ばれてドキリとする。ささやかな嬉しさで、心が小さく波立つ。 「寒いって言っているし、身体で暖めてやろうかなぁ。」 下らない発想は言葉に出して言うと、急に現実味を帯びてきた。 ゼシカは本当に寒そうだった。むき出しの肩は鳥肌が立ち、吐く息は白い。 ゼシカを暖める為に今自分が出来ること---抱いてやる他に何がある? 上向かれた、色の引いた唇は、乾燥して潤いを求めるようにほんの少しだけ開かれている。 しどけなく乱れた服からのぞく、肌理の細かい白い胸。 幸いにも“凸凹兄弟仁義”たちはぐーすか寝ている。 自分の腕の中でうっとりと目覚めるゼシカ。あわよくばキスして服を脱がせて… ---いや、それは駄目だろう!とククールは自分の不埒な想像に自らツッコミを入れた。 そう。ただ抱いて寝てやるだけでいいのだ。 ククールが躊躇うのは、ゼシカに対して自分の理性がどこまで働くのか、自信が無いからだった。 葛藤しながらゼシカの顔をみると、先ほどより更に色を失っている様に見える。触れてみると氷の様な冷たさだった。 あーもう、いい!どうなろうと必ず幸せにしてやるぜ、と立ち上がり、上着を脱いだ。 そのとき、カチャリと部屋のドアノブが音を立てた。 ドアが開き、見知らぬ小さな老婦人と、大きな犬が入ってきた。 ククールは上着を脱いだ姿勢のまま、硬直した。 「お目覚めですかな旅の人。」 「え…、あ、はい。」 なんとか返事をする。 「良かったです。上に来て温かい薬湯でも飲みなされ。」 「あ、でもゼシカ…連れの女の子が寒がっていて…」 「おお、そうでしたか。バフや、暖めておやり」 老婦人の命令に従って、犬がゼシカの横に寝そべった。犬はふかふかで、いかにも暖かそうだった。 「………。」 諦めたククールは老婦人の後ろに従いつつも、名残惜しく、犬に埋もれるゼシカを顧みる。 犬が白い目で見ているような気がした。 ククールは恨みと感謝のないまぜになった心境で犬を睨み返して、部屋を出た。 部屋のドアがしまるのと同時にゼシカの目が開いた。 「バカ…。根性無し…。」 ゼシカは閉ざされた扉と犬を見て、口を尖らせて小さく呟いた。