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Fast Card WIZ-DOM 2F/0C 目標/瞬間 あなたは、目標の≪プレイヤー1人≫の手札を見る。その中のキャラクターカード以外のカード1枚をオーナーのデッキの一番下に置くことが可能。そうした場合、目標は1ドローする。 No.3696 Rarity R Illustrator 白玉団子 Expansion 約束の世界 カード考察 管輅のような手札操作を行うカード。 厄介なカードをデッキに送ることができるが、その後の1ドローがあるため手札総数は変わらず、 送ったカードを再度引かれてしまう可能性もあるのでコントロールとしては不確かさが残る。 MI6と合わせると、送ったカードを勢力アタックでダメージ送りにするといった手が採れるのでコントロールの精度が上がるだろう。 ちなみにオブリビオンとは忘却を意味しており、イラストでは「忘」という漢字を飛ばすという魔法の演出となっている。
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偽福音書の1つで、初期キリスト教の異端であるエビオン派によって用いられた。エピファニオスがエビオン派について、彼らは『マタイによる福音書』を受入れて、これを『へブル人福音書』と呼んだ、と述べているところから、いわゆる『ヘブル人福音書』としばしば同一視されてきたが、現在は異なるとする意見が強い。断片からの推定によれば,その内容は,共観福音書の素材を混合し、伝説的粉飾を加えたもので、ギリシア語で書かれ、エビオン派の根拠地ヨルダン東岸の地方において2世紀に成立したらしい。 内容としては、『マタイによる福音書』を改変したものである。 エビオン派 Ebionites 初期ユダヤ人キリスト教徒の一派。エルサレムの原始キリスト教団が紀元70年のエルサレム滅亡直前にヨルダン川東岸へ脱出し、以後教会史の主流を外れてその地に成立したもの。その呼称はエルサレム原始教団の自己表示〈貧しい者たち〉(《ローマ人への手紙》15:26など)にさかのぼるとされる。イエスの処女降誕を拒否し、正典福音書を改竄するなど独特の教義と祭儀を形成し、やがてシリア、パレスティナのグノーシス主義的洗礼運動の中へ解消していった。
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back/ 薔薇乙女も使い魔menu/ next ~対アルビオン戦争 一日前、早朝 ―――アルビオン軍事施設、ロサイス 朝日に照らされた空軍工廠。 送電線のような鉄塔型桟橋には、ずらりと軍艦が並んでいる。どれも今すぐにでも出航 可能な状態にされている。どの戦艦も、せわしなく出入りする人々、運び込まれる荷物、 整列する貴族と傭兵達で一杯だ。特に旗艦『レキシントン』号の威容は、それを見る人々 全てを圧倒している。 そしてそれ以上に、警備する人間・使い魔の数も桁違いだ。文字通りにアリが入り込む 隙間もない。軍港の内も、外も周囲数リーグに渡って、『どうしてここまで』と頭を捻り たくなるほどの警備をひいている。港に出入りする人も荷物も、これでもかと言うほどし つこく調べられていた。 警備の邪魔になる木々は全て切られ、民家は潰され、野原は灰にされ、港は荒れ地の中 にポツンと取り残されたかのようだ。その中に、様々な使い魔を引き連れたメイジ達と平 民の兵士達が立っていた。 荒れ地の中を巡回する上官に、付近のメイジと兵士が次々と敬礼していく。 「異常は?」 「はいっ!何もありません!」 「そりゃ、そうだろ・・・正直、なんでここまでしなきゃならんのだか」 「やはり、例の噂ではありませんか?」 「ああ、あれか?『ガリア王宮がトリステインの平民使い魔を怒らせて城ごと消された』 てやつか。・・・まさか偉いさん達は、こんなよた話を信じてるのかねぇ?」 「やはり、ただのデマでありますか?」 「当たり前だ。非常識にもほどがある。大方、トリステインのスパイが流した流言の類だ ろ」 「ですが、やはりこの警備は異常としか・・・」 「それは…確かにな。遠征に参加しない陸軍連中の暇つぶし、にしても変だしなぁ」 上官も部下達も、あまりに異例な警備態勢に首を傾げていた。 第五部 第2話 その炎は罪深く アルビオン首都ロンディニウム、王城ハヴィランド宮殿。この宮殿も、非常識なまでの 警備で囲まれ、守れている。 白一色に塗られた荘厳なホワイトホール。16本の円柱が取り囲み天井を支え、白い壁 は傷一つ無く輝いている。ホール中心の円卓には、明日公式に樹立が宣言される神聖アル ビオン共和国の閣僚・将軍達が着席していた。 上座に座り、後ろにシェフィールドを従えたクロムウェルは、シェフィールドから手渡 された報告書に目を通しながら、肉を刺したフォーク片手に閣議を黙って聞いていた。そ の閣議は朝食と共に、ゆったりと和やかな空気の中で進んでいく。 「・・・以上が式典の進行予定表であります」 「うむ、その通りで頼むよ。特に正午の式典最後、出陣式を兼ねた艦隊パレード。これが 一番重要だよ」 「その点は滞りなく手はずは整っております。艦隊は正午のパレードを終え次第、トリス テインへ向かいます」 「トリステイン到着は次の日の昼頃か。地上へ滑空するだけだし、もっと速くいけるかも な」 「ダータルネスからの輸送船等との合流と艦隊編成、それに船足の遅い民間船も多いです ので、昼が限界ですね」 「そうか、まぁ急ぐ事もないか。さて、あちらさんは、どう出るかな?」 「普通に考えればラ・ロシェール前の、タルブ辺りで迎撃というところだな。あそこを押 さえられたら、我らの艦隊に地上補給拠点を与える事になるからだ」 「その時はラ・ロシェールで艦隊戦、別働隊でトリスタニアだ…といっても、この程度は 向こうも考えてるだろうが」 「うむ、そして勝敗は戦う前から決まっている事も、百も承知だろうよ」 「トリステインとしては、どの程度負けた所で白旗をあげて戦力を温存させるか、少しで も有利な講和条約を結ぶか、だな」 「そうだな。正直、ここまで念入りに準備するのは、もはや外道かとすら思える。・・・ 閣下、失礼ながら、本当にこの作戦でよろしいのか?」 閣下、と呼ばれたクロムウェルはフォークも机に置いて、一心不乱に報告書を読み続け ていた。 「あ~、閣下。よろしいでしょうか?」 「…ん?・・・あ、ああ、失礼。なんだったかな?」 「え~、もともと軍事力で天地の差があるトリステインを相手に、ここまでする必要があ るのか、ということです」 「ふむふむ、続けてくれたまえ」 「はい。あまりヤツらに被害を与えると、その後の講和条約締結や占領政策に支障をきた すと思えます。我らレコン・キスタの地上拠点となるのですから、出来る限り無傷で手に 入れるべきでは? それに、この桁外れな警備の件です。この異常な警備態勢に、軍内部のみならず国民か らも不審の声が出ています。例の、トリステインの魔法人形の噂が真実では、と面白おか しく吹聴する者も」 「ふむ、そうだね、そういう噂、だね・・・」 クロムウェルは、再び報告書に視線を落とした。 「まぁ、君の言う事ももっともだ。だが、我らとしても、一刻も早くハルケギニアを統一 し、聖地を奪還しなければならない!そのために一日でも早くトリステインを降伏させ、 我らの力を広く世に知らしめる必要がある!これは、そのための作戦だよ」 「ふむ・・・確かに」 「それと、噂の件。皆、これを見て欲しい」 そう言って、クロムウェルは手に持っていた報告書を隣の席に手渡した。その報告書が 回されると、手に取った将軍と閣僚の顔色が次々と変わっていった。食事を机に置き、食 い入るように読み続ける。 「読んでの通りだ。ガリアの同志からの報告書だよ。・・・全て、真実だ。 かの少年使い魔と魔法人形達は、確かに3日前にヴェルサルテイル宮殿を襲撃。王宮で 散々ふざけた悪戯をして、最後にプチ・トロワを消し飛ばして帰ったらしいよ!誰にも姿 を見られることなく、ね。彼等は、なんと臭いすら残さなかったそうだ!鼻の効く使い魔 が追えなかったと。 唯一手がかりになりそうだった遺留品の懐中時計も、いつの間にか消えてしまったそう だよ。残ったのは落書きやら、ゴミばかり」 「まさか、そんな・・・」「魔法も使えない、平民の、それも子供が?」「これは、すぐ 箝口令を」「ガリアだって箝口令くらいひいていたろう、それでもこの有様・・・」「ガ リアからアルビオンまで、僅か2日で噂が広まるとは」「トリステインのスパイによる情 報操作では?」 先ほどまでの和やかな空気は消えた。円卓は不安と緊張感に塗り替えられている。 バンッと円卓を叩いてクロムウェルが立ち上がった。 「諸君!恐れる事はない!この作戦はもともと、トリステインの秘密兵器をも計算に入れ て立案してある!そのために『レキシントン』号のみならず、多数の民間船を接収して改 造したのだから!」 おお…と円卓に感嘆のどよめきがあがる。 「確かにヤツらは謎だ!恐るべき戦力だ!しかし、所詮は大海に浮かぶ小舟!聖地回復運 動という大きな歴史の流れに、使い魔一匹ごときが逆らえるものか!なんのことはない、 あの使い魔がどこか一つの戦場で暴れ回るというのなら、それ以外の戦場を全てレコン・ キスタの旗で埋め尽くしてしまえばいい!やつらは、しょせん主と使い魔の二人だけでし かないのだから! 無論、艦隊にそれなりの被害は出るだろう。だが、それも聖地回復という大義の前には 些細な事でしかない!! それに、その報告書が正しければ…ヤツらには、致命的弱点があるのだよ!」 円卓を覆おうとしていた暗雲はどこかへ消え去り、閣議は終了した。朝食を追えた一同 はクロムウェルへ一礼し、皆ホールを後にした。 ―――トリステイン魔法学院、昼前。 分厚いカーテンのひかれたルイズの部屋には、キュルケとタバサがいた。二人が見つめ る鏡台の鏡が輝き、真紅・ルイズ・デルフリンガーを背に担いだジュン・翠星石が這い出 してきた。 「おっでれーたなぁ。あんな警備、見た事ないぜぇ」 「ううう、悔しいですぅ~。おんのれぇえ~~おくびょーもの共めぇええ」 「どうなってんの!?どうみても僕らがガリアの宮殿で暴れたのを知ってるとしか思えな いよ!ガリアからアルビオンまで、情報が渡ったぁ!?あっという間にぃ!?」 「そうね。この様子じゃ港や宮殿内部へのルートを見つけてもダメね」 「あー!ムカツクわねえー!あたしのエクスプロージョンで、艦隊丸ごと吹っ飛ばしてや ろうと思ったのにぃー!」 悔しさを露わにするルイズ達に、キュルケとタバサも様子を聞くまでもなく状況は理解 出来た。 話を聞いていたキュルケも腕組みして溜め息を吐く。 「はぁ~…ホントにレコン・キスタの情報網は凄いわねぇ。それかホントに裏でつながっ てるのかしら?とにかく、昼食にしましょ」 「あ、ゴメン。僕、トイレ行ってるから、先に行ってて」 と言って部屋を出ようとしたジュンの襟を、ルイズががしっと捕まえた。顔は笑顔、で も目が笑っていない。 「あの・・・ルイズさん、何?」 「ねぇ~ジュう~ん~、どーこいっくの?」 「だ、だから、トイレ・・・」 「ふぅ~~~~~ん」 真紅と翠星石も、笑顔なのに目が笑ってない。三人に取り囲まれ、ジュンも冷や汗。 キュルケはそんなルイズ達をニヤニヤと笑っている。タバサはやっぱり無表情だが、首 を傾げている。 「スぅイぃ~、ジュンを見張っててくれるかしらぁ~?」 「まっかせるですよー」 「な、なんで!?トイレくらい一人で」 「いーから来るですぅ!お前を一人で行かせるわけにはいかねーですぅ!!」 ジュンは、翠星石を頭に乗っけたままトイレに行かされた。 そんな様子を見て、首を傾げたタバサがキュルケをチラと見上げた。 「ああ、ジュンちゃんったらねぇ~。昨日、警護のオネーサン達やぁ、メイドさんやぁ、 近くの村に避難してきたイケナイお店のお嬢様達とねぇ…とぉ~っても仲良くしてたんで すってぇ!」 「うっさいわよキュルケぇ!」「お黙りなさいっ!」 ルイズと真紅がハモりながら、キュルケを睨み付けるのであった。 「・・・第一、どうしてお前等が昨日の僕の事、そんなに詳しく知ってるんだよぉ!?」 ジュンは頭の上の翠星石にブツブツ文句を言いながら石畳を歩いていた。 「あ、まさかデル公!?」 「ちっちげーよ!俺ッちはンな事いわねーよぉ!」 「ふっふーん!教えてあげるですよぉ~」 翠星石がジュンの頭の上で、腰に手を当ててふんぞり返る。 「かーんたんですぅ!お前の背中にスィドリームつけといたですぅ~」 「なーっ!なんでそんな事をー!」 「あーんなフツーの人間達に、お前の護衛を任せてらんねーからですぅ!そしたら、お前 と来たら、おおまえと来たラあァー!ち、ちちち!チビ人間のクセにぃ!!!」 ポコポコと翠星石が頭を踏みつける。 「ぶぅえっ、べぇっ!別に僕は悪くないだろお!?」 「うっせーコンチキショーですぅっ!お前に悪い虫が付かないようにするのも、あたし達 の役目ですぅーだ!」 「人権侵害だあー!」 ジュンがフトウなタイグウに抗議していると、警備の女性武官数人とすれ違った。皆、 ジュンを見るとニッコリ笑って手を振り、ジュンも少し赤くなってペコリと礼をする。 ぎゅうぅにいいいい~~~ ジュンの頭の上から、翠星石がほっぺたを思いっきりつねりあげる。 「お・ま・え・と…いうやつわぁああああ」 「ひぃっひたひ!ひゃめれえーっ!」 「お・・・おでれーた、女は怖いねぇ」 遠くから眺める女官達も、朝食に向かう女学生達も、二人の姿をクスクス笑っていた。 昼食中、ジュンと真紅と翠星石は、いつものように入り口横のテーブルで食事をしてい た。ただ最近は、ルイズも一緒。 そして少女達三人は、ジトォ~とジュンを睨んでいた。 「あの、さぁ・・・お前ら、いい加減にしろよなぁ」 「そーれはこっちのセリフですぅ!ねー、ルイズ?」 「そーよねー、ジュンったらこう見えて、イロオトコですもん。ねー、シンク?」 「そうね、さすが私のミーディアムね。本当に、誇らしいったらないわ」 アルヴィーズの食堂では、他の生徒も教員も食事している。メイドなどの平民や、警護 もいる。ただし、そのほとんどが女性。男性はほとんどみんな軍へ志願し、残っているの はコルベールやジュンなど、ごく少数。 ジュンはトリステインの戦力としても、数少ない男性としても、目立っていた。なので 周囲の視線も集まってくる。ジュンがちょっと視線をずらせば、自然に周囲の女性と目が 合う。 その度にジュンは、真紅と翠星石にバターやパンを投げつけられ、ルイズに足を踏んづ けられた。 「・・・なんで、こんな目に・・・」 そんなジュンのつぶやきも、冷たく睨み付けてくる三組の目に潰されてしまった…。 ―――夕刻、トリステイン王宮会議室。 「・・・城下の避難、完了致しました」 「艦隊は既に臨戦態勢にあります」 「全軍、予定通りに展開しております。明日には陣の形成を完了致します」 「よろしい。それでは、あとはアルビオン艦隊が来るのを待つばかりですね」 会議室では、上座のマリアンヌと、隣に座るマザリーニが全軍の配置と市民の避難状況 などについて報告を受けていた。 豪華な夕食と貴重な年代物ワインも並べられていく。同時に、扉からはヴァリエール公 爵やラ・ラメー伯爵、その他将軍達も次々と入室し、席に着いていく。その表情は暗くは ない、だが陽気でも無かった。皆、悲壮な決意を秘めてこの晩餐に臨んでいた。 全ての将軍や大臣達が机を囲んだ後、最後に入ってきたのはアンリエッタとウェールズ だ。二人は手を取り合い、末席に肩を寄せ合って着席した。 居並ぶ重臣達を見渡したマリアンヌが、ワインを手に立ち上がった。 「皆、よくぞこれまでトリステインを支えて下さいました。まずその事に感謝します。 そして、このトリステイン存亡の危機に臆することなく、この晩餐にも席を並べて下さっ た事、誇りに思います」 「女王陛下!何を弱気な事を言われますか!?」 そう言って立ち上がったのは、デムリ財務卿だ。 「このデムリ、武官でありませんので前線には立てません。ですが必ずや陛下を、王家を お守り致します!金勘定しか出来ない非力な身ではありますが、なればこそ!軍資金につ いてはお任せ下さい!」 「よくぞ言われた!デムリ殿!」 今度は魔法衛士隊マンティコア隊隊長ド・ゼッサールが立ち上がる。 「不肖、私も衛士隊隊長として、陛下の盾となる所存にございます。王家に降りかかるあ らゆる魔法から、陛下も姫もお守りして見せましょう」 そんな二人の後に続くように、居並ぶ重臣達も次々とワイン片手に立ち上がり、気勢を 上げる。 「全くですぞ陛下!確かに空軍力では劣りますが、なあに!ヤツらもいずれは地上に降り なければ占領が出来ンのです!そこからが本番ですぞ」 「そうそう!第一、あやつらは聖地回復などと掲げてはおりますが、しょせん烏合の衆! 利権目当てに集まったダニ共に過ぎません!」 「その通り、我らが地上で粘り続ければ、やつらは内部分裂を起こし、瓦解して自滅しま す。我らはその時を待てばよいのです」 「何よりここは我らの国!やつらが土足で踏み込んだ所で、この国の民がヤツらの支配を 良しとはしません。民衆と共に、各地で解放の旗を上げるとしましょう!」 「これこれ諸君、まずは艦隊戦ですぞ。まだ我が艦隊が、負けると決まったわけではあり ません」 そういって苦笑いと共に皆を制したのは、艦隊司令長官ラ・ラメー伯爵だ。 マザリーニが手を挙げて、皆を一旦着席させる。 「・・・諸君、ともかく決戦の時は刻一刻と近づいておる。我らはその時まで牙を研ぎ、 力を蓄えよう。そしてなによりこの一戦において、トリステインは弱国ではないこと、他 国の侵略には一丸となって立ち向かうという意思と誇りと力、何より王家への忠誠を示し ましょうぞ」 おおっ!という喊声と共に、一同はワイングラスを高く掲げた。 そんな晩餐の中、アンリエッタとウェールズは静かに微笑みあっている。 「ウェールズ様…明日、行かれるのですね」 「うむ、アルビオンから来てくれた貴族達も、既に大勢が『イーグル』号に乗り込んでい る。 ニューカッスルで死に損ねたこの身だが、生きて姫と共に過ごして、目が覚めた。アル ビオン王家の誇りを示す、なんて言わない。ただ姫を守るため、明日は全てを賭けて戦う とするよ」 「どうか、どうか生きてお戻り下さい。このアンリエッタを、再び一人にしないで下さい まし」 「分かっている。必ず、必ず生きて帰る。二度とそなたを一人にするものか」 二人は机の下で、固く手を握り合っていた。 ―――シャン・ド・マルス練兵場、深夜。 トリスタニアの中ほどにある、この練兵場には、数多くの連隊が駐屯していた。 戦いを前にたき火を囲んで気勢を上げたり、武器を磨いたり、詠唱の練習をしたり、馬 や使い魔を撫でながら語りかけたり、皆思い思いに夜を迎えている。 そんな練兵場の隅に、若い貴族の姿があった。薔薇の造花をキザッたらしく口にくわえ たギーシュが、じっと地面を見つめて意識を集中している。 ぽこっぼこぼこ 彼の足下の地面が盛り上がり、大きなモグラが顔を出した。 「お疲れ様、僕のヴェルダンデ。本当によく頑張ったねぇ。これで君のお仕事は終わりだ よ。さぁ、遠くへお行き。トリスタニアは危ないからね」 ギーシュは優しく自分の使い魔の頬を撫で、労をねぎらった。だが、遠くへ行けと命じ られたジャイアントモールは、動こうとしない。ただ円らで愛らしい瞳が、主をジッと見 上げている。 「ダメだよ。君はとてもとても素晴らしい使い魔だけど、戦場では役に立たないんだ。君 は、もっと素晴らしい働きを、既にしてくれたんだよ。 さぁ行くんだ!短い間だったけど、君を召喚出来て本当に僕は幸せだったよ!僕は世界 一の幸せ者だったよ!」 それでもモグラは去ろうとしない。潤んだ瞳が、若い主を見上げ続けた。 「ヴェルダンデ・・・ああ、ありがとう!僕の一番の友達よ!」 ギーシュは膝をつき、モグラの頭を抱きしめて涙を流した。 そんな主と使い魔の姿も、城下に駐屯する数万の軍勢の中では、よくあるワンシーンの 一つでしかなかった。 平民も貴族も人間も動物も、等しく夜の闇に包まれる。 アルビオン~トリステイン戦争 開戦初日 アルビオン首都ロンディニウム、ハヴィランド宮殿前大通りは、朝から群衆で埋め尽く されていた。 石造りの整然とした町並みの中に色とりどりの旗が翻っている。楽隊の勇壮な演奏の中 を、人々の歓声を受けて華やかな騎士隊の隊列が進んでいく。宮殿内でオリヴァー・クロ ムウェルの初代神聖皇帝戴冠式も滞りなく、神妙に執り行われていた。 正午、宮殿テラスからクロムウェルが姿を現し、民衆へ手を振る。同時に大歓声がわき 起こり、皇帝自身の口から神聖アルビオン共和国樹立とトリステインへの遠征が宣言され た。 そして宮殿奥、ホワイトホールでは、遠見の鏡から式典の進行を眺める人物の姿があっ た。それは本物のクロムウェルだ。 「ふむ…さすがに影武者で戴冠式をするのはやり過ぎかとも思ったけど、まぁいいか。念 には念を、とも言うしな」 ほどなくして鏡には、上空を悠然と進むアルビオン艦隊が映された。数多くの竜騎兵に 周囲を警護された艦隊は、ゆっくりとトリステインへ船首を向ける。 港町ロサイスとロンディニウムを繋ぐ交通の要衝、サウスゴータ。 そのサウスゴータの森の中、ロサイスから北東に50リーグほど離れたウエストウッド 村には、丸太と漆喰で作られた民家があった。村といっても、ある篤志家の援助で作られ た孤児院みたいなものだったが。 そしてその篤志家と、その友人と、村を運営する女性が、孤児達と共に昼食を囲んでい た。 「あー!見てみてぇー!」 一人の子供が上空を見上げると、アルビオン艦隊が竜騎士を引き連れて通過する所だっ た。 「うわぁー!すっごおーい!」 「今度はどこいくのかなぁ?」 「しらねーのかよ、トリステインだってさ」 子供達は、無邪気に艦隊を珍しがり、その後を追って駆け出した。 「こらあー!みんなー、まだ食事中よー!」 「はーい!」 「ごめんよテファ姉ちゃん!」 テファと呼ばれた耳の長い少女に止められ、子供達はみんな食卓へ戻ってきた。 「まったく、あのティファニアといい、子供達といい、平和なものだな」 そう言って麦酒を口にしたのは、篤志家の友人であるワルドだった。マントを外して衛 士隊の制服も脱ぎ、今はただの村人にしかみえない――その鋭い眼光と鍛え抜かれた肉体 を除いて、だが。 「本当だねぇ・・・内戦直後のトリステイン遠征で、高い税金やら焼け出された民衆やら で貴族への恨みがつのっているって言うのに。 杖で民衆を脅しての戴冠式典に艦隊パレードを兼ねた出陣式、ほ~んとにご苦労なこっ たよ」 ぼやき混じりにパンを頬張っているのは、土くれこと篤志家のフーケ。 「で・・・あんたはどうすんだい?」 「どう、とは?」 「しらばっくれてんじゃないよ。今朝はずっと、あれの横でじぃ~っと考え込んでたじゃ ないか」 そう言ってフーケが指さした先には、体を丸めてうたた寝するグリフォンがいた。その 大きくてフカフカの体の上では、小さな女の子も一緒に昼寝している。 「今の俺は、ただの子守だよ。子供達と遊ぶのに精一杯さ」 「ぬけぬけとまぁ、よく言うねぇ!子育てにグリフォンなんか連れてくるもんか!まった く、あんなでっかくて目立つのをここまで連れてくるのに、どんだけ苦労したと思ってる んだい!?」 「意外だな、お前からそんな事を言ってくるとは。こういう平和で穏やかな生活は嫌い か?」 「そっ!そんなことはないけど、ねぇ・・・って、からかうんじゃないよ!」 「んもぉ~、マチルダ姉さんもワルドさんも、子供達の前でケンカしちゃだめです!」 「いや、別にケンカしてるワケじゃ」「ふふ、すまんなティファニア」 ティファニアに怒られ、二人とも黙って昼食を済ませる事にした。 昼食をモゴモゴと食べながらも、ワルドの目は遠くを見つめていた。 ―――夜、ルイズの部屋 薔薇乙女達がトランクで眠りについた頃、ベッドの上ではルイズが寝返りをうち続けて いた。 ・・・寝れないなぁ・・・ もう何度も何度もコロコロ寝返りをうってるが、目が冴えて全然寝付けない。 ぼんやりと天井を見つめても、いつもの天井があるばかり。 「弱ったなぁ、グッスリ寝なきゃいけないのに」 ふと床を見れば、わら束の上にひいた毛布にくるまるジュンの背が見える。 「おーい」 返事なし。 「こらー、ジューン」 やっぱり返事はない。 「・・・女ったらし」 「…誰がだよ」 「やっぱり起きてるじゃない」 ジュンは背を向けたまま、小声で抗議した。 「ジュンも寝れないの?」 「う…ん、まあね」 「床で寝てるのがまずいんじゃない?」 「もう慣れたよ。他に寝る所なんて無いし」 「あるわよ」 「どこに?」 「ここに」 ヒョイとジュンが頭を上げると、ルイズがベッドの、自分の隣を指さしている。 「・・・冗談はよせよ」 慌てて毛布にくるまりなおすジュンの顔は、一瞬で真っ赤になっていた。 「あら、冗談じゃないわよ」 ルイズは悪戯っぽく微笑みながら、ジュンの背を見つめている。 「明日は大事な日だもの。ぐっすり寝てくれないと、こっちだって困るわ」 「そりゃお互い様。バカ言ってないで、早く寝ようぜ」 「ふーん、来てくれないんだぁ」 「あ、あったり前だろ」 「じゃあ~、オネーサンがジュンのトコに行ったげようかなぁ~?」 「かーっからかうなよ!」 「うふふ、ゴメンね。それじゃ、お休みなさい」 「ああ、お休み」 ルイズはジュンに背を向けて布団にくるまる。 ほどなくして、二人は夢の世界に旅立っていった。 「やれやれまったく…ジュンはやっぱ、まだまだお子様だねぇ・・・」 壁に立てかけられたデルフリンガーの言葉も、聞く者はもういなかった。 back/ 薔薇乙女も使い魔menu/ next
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ぽめはポメラニアンだよ! お家がなくなってしまったんだよ。 にげろー --ぽめ宣言-- 今日まで、あらゆる社会の歴史はぽめの歴史である。 今日まで、あらゆる階級闘争の歴史はぽめの歴史である。 ぽめ主義の当面の目的は階級へのぽめ階級の形成、 ブルジョア支配の打倒、ぽめ階級による政治権力の奪取である。 ぽめ主義革命は、伝統的所有諸関係との もっとも根本的な決裂である。 この革命の発展行程の中において、 伝統的思想ともっとも根本的に対立することは、不思議ではない。 ぽめ主義者は、これまでの一切の社会の秩序を徹底的に転覆することによってのみ、 自己の目的が達成されることを、公然と宣言する。 支配階級よ、ぽめ主義革命の前に恐れおののくがいい ぽめタリアは革命において鎖の他は失うべきものを持たない。 彼らが獲得するものは、世界である。 万国のぽめタリアートよ、団結せよ! 【ぽめ王国】 Umbuso we ponmen (pome語) Kingdom of pome (英語) 【国の標語】(標語は2つ存在する) 1.Jamhuri ya Muungano wa ponmen (pome語) (pome語: 我々は巨大な要塞なり ) 2.Uhuru na Umoja (pome語 依存症 ) 【国歌】 Mungu Ibariki ponmen 公用語 pome語(国語) 【首都】 ムババーネ 【最大の都市】 ボンゴ・デ・アミータ 【王様】 ぽめ 【首相】 ミゼンゴ・ピンダヴィッチ(ぽめの別名義) 【面積】 総計 1,087km²(最下位) 水面積率 76.2% 【人口】 総計(2008年) 7人(最下位位) 人口密度 未測定 【GDP】(自国通貨表示) 合計(2008年) 24兆8,174億 【GDP】(MER) 合計(2008年) 207億 【GDP】(PPP) 合計(2008年) 537億 1人当り 測定不能 【通貨】 ぽめ(ぽめ) 【時間帯】 UTC (+3)(DST なし) 【国際電話番号】 695 2 【国名】 正式名称は英語で、Kingdom of pome(きんぐだむ・おぶ・ぽめ)。通称、ぽめ王国。(ぽめおうこく) 通称ぽめ王国は、地球。周囲を豊かな自然とモザンビークに囲まれている。 首都はムババーネ。 古来より言われている「桃源郷」「理想郷(ユートピア)」という言葉は ぽめ王国を指すものではないかと最近の研究で明らかになりつつある。 ・さらに近年ではPeter Dohertyがしばしば詩的テーマの1つとしてぽめ王国の神話的のりもの「アルビオン」を用いている。 ・Peter Dohertyは、規則も権力もない理想郷アルカディアへ向けて航海する船の名前としても「アルビオン」の名を用いている。 (理想郷=ぽめ王国という学説が有力になりつつある今、Peter Dohertyのこの着想は当を得たものであるといえる)
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前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 闇を閃光が切り裂いた。 仮面の男の杖がまさしく閃光のような鋭さでユーノの胸に迫る。 「デル・イル・ソル・ラ……」 ユーノの振り上げるデルフリンガーが仮面の男の杖とぶつかり、小さく火花を上げる。 デルフリンガーの剣先は天を向き、男の剣先も天を向く。 勢いのままにユーノは弾むように後ろに飛び退いた。 軽い男の杖の方が先に攻撃可能となる。ルーンの直感がそう教えてくれたからだ。 そして、その通りに男は風切る音を鳴らす杖を振り下ろした。 「ウィンデ」 それで男が唱えていた呪文が完成する。 杖先に突如現れた空気の固まりが槌となった。エアハンマーの魔法だ。 ユーノはさらにもう一歩飛び下がり、剣から離した左手を広げ前に突き出す。 「シールド!」 エアハンマーがシールドとぶつかる音が夜のラ・ロシェールに響く。 手をたたき合わせたような軽い音だが、シールドを支えるユーノの腕には衝撃がわずかだが届いた。 「ふぅ、相棒。危なかったな。その光の盾がなかったら、骨の2本……いや5、6本くらい折れてたぜ」 ユーノの返事はない。 ただ、荒い息だけが連続している。 体が酸素を求めて、肺を無理矢理動かしていた。 咄嗟に返事などできはしない。 「あいつ、並じゃねえな」 町を覆うほどの木の化物。 無数のロケット砲を備えたゴーレム。 どちらも単純な攻撃力で言えば仮面の男よりもずっと強力だが、この男にそれらにない物がある。 優れた技量。 対人戦闘の経験の浅いユーノには、それは単純な破壊力よりもずっと恐ろしい。 今、仮面の男との距離は剣の間合いではなく魔法の間合い。 二つの月の光が互いの姿が隠すことなく見せている。 「来ない……か」 男がぽつりと呟く。どこかで聞いたような声だった。 「なら、先に行かせてもらうとしよう」 男が駆けだした。 ユーノに向かってではない。 桟橋に伸びる道につながる小さな路地に向かい駆けだしたのだ。。 「あっ!」 ユーノは男を追って走る。 空を飛ぶ魔法は使えない。重なる屋根が仮面の男を隠してしまう。 ルイズ達を追わせるわけにはいかないのだ。 息切れはまだ続いているが、ルーンがユーノの足に力を与えてくれる。 風の速さでユーノは仮面の男の前に駆けだした。 剣と杖、魔法とシールド、そして追跡。 ユーノと仮面の男はそれを何回も続け、そしてなおも続いていた。 戦う場もいつしか移り変わり、横に見えるラ・ローシュの整えられた崖の上にはフーケのゴーレムだった残骸が見える。 互いに相手を倒すほどの一撃を繰り出すせてはていない。 仮面の男が回り込み、桟橋に走ろうとすれば、ユーノはその前に立ちはだかる。 仮面の男の魔法はユーノのシールドに防がれる。 そして、ユーノの剣は仮面の男を倒せはしない。ユーノにはそれができない。 互いに決め手を欠いている。 ──ルイズを追わせないなら それでいいはずだ。 ワルド子爵もいるが、ルイズを守りながらの戦いでは不利になるはず。 だから、仮面の男はここで止めておかなければならない。 ユーノは仮面の男の動きを注視する。 ──次は魔法、杖、それとも…… 仮面の男はじりじりと間合いを詰め、また間合いを開ける。 そして、もう一度間合いを詰める、かとも思ったが仮面の男は足を止めた。 「終わらせるとしよう」 仮面の男が杖を空に突き出す。 杖の先から巻き上がる風は頭上のゴーレムの残骸とぶつかり、微妙な平衡を持ってそこにあった残骸を大きく揺らす。 そうなれば、支える物のない岩はその身を重力に任せ遙か下へとただ、ただ落ちていった。 その下にいるユーノはわずかに顔を上げると、左手を頭上に掲げた。 直後、光の魔方陣が湖面に広がる波紋のように姿を現す。その儚げな見かけとは裏腹に光の魔方陣は落ちる残骸を全てはねとばす。 同時に身を低くした仮面の男は呪文を唱えながら前に飛んだ。 「あっ!」 ユーノの作るシールドの傘の下に潜り込んだ仮面の男が呪文の最後の一説を唱える。 「ウィンドブレイク」 杖の前に渦巻く風が現れる。 さらに踏み込んだ仮面の男が杖を振ると、風は暴風となりユーノを襲った。 「う、わぁあっ!」 ユーノはデルフリンガーを振り下ろそうとする。が、体が硬直する。 わかっているのだ。剣では魔法は防げない。 「相棒!振れ!思いっきりな!」 デルフリンガーの怒鳴り声に押されるようにユーノは剣を振り下ろす。 切れるはずのない魔法の風を斬らんばかりの勢いで。 デルフリンガーが魔法を切り裂いた。少なくともそのように見えた。 魔法の風の中に入ったデルフリンガーは突如、光を放つ。 光の中で風はねじれ、うねり、刀身の中に吸い込まれていった。 「なにっ!?」 男が驚きの叫びを上げる。 それは、魔法がデルフリンガーに吸い込まれた事のみによる物だけではなかった。 振り下ろしたデルフリンガーは地面とぶつかり固い感触を腕に伝える。 その少し前、デルフリンガーは地面とは別の固い感触をユーノの腕に伝えていた。 今、ユーノの目の前に仮面の男はいない。 仮面を切り裂かれ、素顔をさらした男が1人いるのみ。 しかもユーノはその男を知っていた。 その男はユーノが信頼し、信用できると思った男だった。 ルイズを守ってくれると思った男だった。 「ワルド……さん!?」 ワルドはルイズと桟橋まで行ったはず。 そのときには間違いなくワルドと仮面の男は同じ場所にいた。 なら、このワルドは? ユーノは心当たりを1つ見つける。 ルイズと風の魔法のレポートを書いていたときに調べたあの魔法なら…… 「わかったようだな」 ワルドは唇をゆがめ、その表情に悪意を隠そうともしない。 「だが、私の勝ちだ。見たまえ」 ワルドの天を指す杖の遙か上を、空を飛ぶ帆船が通り過ぎていく。 「あれが……船?」 見ただけでは、どのような技術を使っているかはわからないが次元世界を探しても滅多に見られないような航空機だ。 あの、帆船のような形をした航空機こそフネなのだろう。 ユーノの目の前でフネは腹を、次に背中を見せる。 ルイズはあのフネの中にいるはずだが、その姿はユーノは見えようはずもなかった。 見えるはずもないが、ユーノは確かに船の中にルイズの存在を感じていた。 ユーノはその感覚に手を伸ばし、のばしきっても届かず、石畳を蹴る。 それでも届かず、魔力を体に纏わせ、空を飛んだ。 「私の勝ちなのだよ」 口の端をゆがめるワルドの持つ杖が、魔法を紡ぐ。 魔法の力はわずかに口笛の音を立てながら空気を集め、その固まりをユーノめがけてごうっと振り下ろした。 「わぁっ!あ、あああっ!!」 ユーノの体をくの字に曲げて地面にぶつかる。何かが砕ける音が体のどこかでした。 次に、ユーノの体は伸びきって弾み、路地の中に飛び込んでそこに置かれた木箱の上に落ちる。 月明かりがあるとはいえ、今は夜だ。 うっすらとした埃が路地の入り口をふさいでしまった。 「ふ……む」 ワルドは振り下ろした杖を再び上げ、次の呪文を唱える。 組み合わせるのは、風を3つ。 少年1人を砕くには十分な数だ。 倒すではない。殺すでもない。 ワルドはユーノの体を砕こうと、呪文にあわせて杖を振った。 「がぁああああああああっ!?」 ワルドの口から出たのは呪文の最後の一節ではなかった。 苦痛の叫びを上げ、地面を転がる。 杖と共に貴族の象徴であるマントが深紅に燃え、彼の背中を飾っていた。 「ワルド子爵。今のはどういうわけかしら?」 ワルドを燃やす火の魔法の使い手の声が夜の町に響く。 炎に照らされる赤い髪と褐色の肌。 伸ばした長い手に杖を持ち、倒れているワルドを見下ろすのはキュルケ・フォン・ツェルプストー。 彼女の右には眼鏡の奥から静かな視線を向けるタバサが体には不釣り合いな杖をワルドに向け、その左にはしきりにワルドとキュルケを見比べるギーシュがおろおろしていた。 「彼は私達の敵だったのだ」 「あら、それは嘘ですわね」 杖を振るう音が小さくする。 ワルドがその音の元を見ようと首を動かしたとき、タバサの唱えたウィンディアイシクルの氷の槍がその体を貫ぬいた。 とたんに突風が吹き上がり、ワルドを包む炎がさらに大きくなった。 「し、子爵が。あぁあ……き、君たち。何をしたかわかっているのか?」 大きく開いた口をわななかせて、無意味に手足を振り回すギーシュを無視してキュルケは燃えるワルドを蹴飛ばしたが、彼女の足には何も当たらない。 「え?」 「よく見なさい。何もないわ」 蹴散らされた火が爆ぜて消えていくだけだった。 「ど、どういうことだい?」 「あなた、授業を聞いていなかったの?」 ため息混じりにのキュルケが足下の火を踏みつけていく。 すでに魔法の効果の切れた炎はそれだけで消えていった。 「ミスタ・ギトーが言ってたでしょ。飽きるくらいに。風の遍在よ」 「遍在?」 「そう、遍在。あのお髭の子爵様、スクエアだって話だし。それなら、風の遍在が使えても不思議じゃないわね」 「だったら、子爵が言ってたようにあのユーノという子供がルイズ達の邪魔をしようとして、それで子爵が魔法を使ったんじゃないのか?」 「あ、それはないわね。絶対に」 根拠など無い女の堪ではあるが男のこととなるとキュルケはこれを滅多に外さない。 タバサのことで外したことはあったが、あれはタバサが女なので数には入れていない。 そのタバサはと言うと、ユーノが飛び込んだ路地の入り口にしゃがみ込んでその中を杖で探っていた。 「何か見つかった?」 こくりとうなずいて、タバサは立ち上がって振り向く。 手の中には小さな白いフェレットが抱かれていた。 「みつけた」 「あら、そっちのユーノ?人間のほうは?」 「いない」 タバサの胸元でユーノはぐったりと動かない上に、元は淡い琥珀色の毛皮の所々には赤い汚れがついている。 ワインや果物の染みではない。間違いなく血だ。 「大丈夫なの?」 タバサはうなずく。 「傷はふさがっている。息もしている。平気」 ユーノがわずかに動いて空に向かって小さく鳴く。 キュルケにはそれが空にいるルイズに声を届けようとしているように見えた。 その後、キュルケ達はゴーレムが暴れた現場を急いで離れた。 ゴーレムがいなくなって、ようやくラ・ロシェールの衛兵達が駆けつけてきたのだが、キュルケ達はそれにつきあうつもりはなかった。 これで静かになって今後のことを考えられるかと思ったがそうはいかない。 「あぁ、どうしよう。どうしよう。僕はこれからどうすればいいんだ」 頭を抱えるギーシュがそこら辺を歩き回って、かなりうるさい。 「少しは落ち着きなさいよ」 「落ち着けるものか!一体ルイズはどうなったんだ?子爵は何をやっていたんだ?任務はどうなるんだ?」 「黙りなさい!」 魔法で作った炎でギーシュの髪の毛を軽くあぶってやった。 少しは静かになるかと思ったが、逆にギーシュのわめき声で騒がしくなってしまう。 「はぁーー、これからどうしよう」 ため息をつくキュルケに頭の火を消し終えたギーシュが勢い込んで答える。 「もちろん僕はルイズを追う。そして任務を達成する!」 「あんた、ルイズがどこに行ったか知ってるの?」 「う……アルビオンじゃないかな」 「そんなことわかってるわよ」 またため息が漏れる。 そんなことは分かり切っている。 こいつは当てになりそうにない。 「ねえ、タバサ。貴方はどうするの?」 「追いかける」 即答だった。 しかも、それはたぶん無いだろうと思っていた答えが即答で返ってきた。 「本気?」 タバサはいつものように無言で首を縦に振る。 ワルド子爵が怪しいのなら、ここから先は今までよりもさらに危険になるかもしれない。 戦地のアルビオンに行くとなればなおさらだ。 それなのに、タバサがそこまでしようとするとは思わなかった。 「貴方、そんなにルイズと仲良かった?」 今度は首を横に振る。 「でも心配。だから行く」 それならキュルケもタバサを1人で行かせのは不安になる。 ギーシュも着いていくのならなおさらだ。 キュルケまでルイズの心配をしているように見られそうなのが釈然としないが、 「ま、一緒戦った仲って事にしておきましょう」 キュルケはそれで納得することにした。 とはいうものの、それでも問題はまだある。 「ねえタバサ。あなたのシルフィードでアルビオンに行ける?」 タバサは黙って肯定する。 いつもながら、簡単な答えだ。 「じゃあ、アルビオンまではそれで良いとして問題はアルビオンのどこに行けばいいかよね。ギーシュはどこが目的地かは知らないって言うし……」 「うむ。目的地はルイズにしか伝えられていない。重要な任務だからね」 ──ダメだ。こいつ本当にダメだ 三回目のため息をつき、キュルケは夜空を見上げる。 とりあえず、アルビオンに行ってみるのがいいかもしれない。 アルビオン最接近より前の日にラ・ロシェール出て、アルビオンの港に入るフネはかなり珍しいはずだ。 そこから辿れるかも知れない。 ──よし、これでいきましょう 「うわああ?わあ、あぁあああああ!?」 ようやく決まった決心を台無しにするギーシュの叫び声。 キュルケが赤い怒りを宿したような視線を向けると、ギーシュの背がどんどん伸びていく。 「た、助けて。助けてくれぇえ」 よく見ると背が伸びているわけではない。 ギーシュの足下がどんどん盛り上がっているのだ。 木の芽が土を割る様子にも似ているが、そんな物とは比べものにならない速さでまだ盛り上がる。 「だ、誰か。だれぁ……ぐあっ」 ふるえる足を踏み外したギーシュはひっくり返って盛り上がった土の上から落ち、後頭部を石畳にぶつける。 目を回すギーシュの上に黒い影がのしかかった。 土をふるい落とし姿を見せたのはギーシュの使い魔ヴェルダンデだった。 前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ
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10話 女王アンリエッタが突如王宮から姿を消した。 警護をしていた衛兵を蹴散らし馬で駆け去ったのだ。ただちに王宮内にはかん口令がしかれ、出入りの業者から陳情に来ていた 地方貴族に至るまですべて留め置かれた。進入した形跡が皆無なことから、内部に協力者がいることは確実であったからだ。 結果、高等法院のリッシュモン長官が逮捕された。女王が消えてからわずか5分後の、超スピード逮捕だった。 「なにこれ?待ち構えてたよね?」 女王誘拐の報が入るとほぼ同時に突入してきた憲兵隊に組み伏せられながら、リッシュモンが叫んだ言葉である。実際憲兵隊は ドアの外から窓の外、たんすや机の下、ベッドの脇にまで隠れていた。これは気づかなかったリッシュモンの落ち度であろう。 その後、あっという間に腕を切り落とされたリッシュモンはピーピー泣きながら今回の事件について告白をした。だが、憲兵隊が聞き たかったのはトリステイン内部にいるアルビオンへの協力者、内通者であったため右目まで失うはめになった。酷い。 リッシュモンの供述に基づき、ただちに強襲したのは新設された銃士隊であった。逃げる暇など当然存在せず、スパイ網は一夜に して壊滅した。 それらの報告を聞きながら生きたここちがしていなかったのはマザリーニ枢機卿である。孔明の、 「女王は本日、お忍びで外出されます。これを機会に敵間諜を一網打尽にしようではないですか。」 という進言を聞き入れた結果がこの逮捕劇である。最終的には貴族28名を含む107名が獄に繋がれるという語り継がれる事件となっ た。 最初はアンリエッタの外出とは何事だろうと思っていた。やがて誘拐騒ぎが起きた。孔明の手による狂言だと思っていたが、入って くる情報はアンリエッタ女王は本当に誘拐されたらしい、ということばかり。 なぜ孔明はこの事件が起こることを知っていたのだ。女王様を囮に使うとはなにごとか、と憤ると同時にそれ以上に恐怖を感じてい た。なぜならば、知っていたということは防ごうと思えば防げたわけである。ところがそれを行わぬばかりか、あえて囮に使った。これ はすなわち、孔明にとってアンリエッタ王女はその程度の価値しかない人間である、ということを意味する。 ひょっとすると孔明は神聖アルビオン以外の国の回し者では?それならば神聖アルビオンのスパイ網をバラバラにした理由もわか る。現実に孔明はアンリエッタ王女誘拐犯の追撃を出すこと、一切まかり通らぬときつく厳命している。疑わぬ理由はない。 だがその孔明は今宮殿にはいない。今日は出仕する日ではないからだ。 念のためリッシュモンに孔明との関係を詰問する。首を振って何もないと泣くリッシュモン。見るも哀れな姿に、正視に堪えずすぐに 牢獄から逃げ出すようにマザリーニは立ち去る。 よく考えれば孔明ほどの人材をわざわざ他国にやる国はない気がする。これほどの人物、自国で使ったほうがよいに決まっている。 考えれば考えるほど、孔明の正体がわからなくなるマザリーニであった。 「ようこそお越しくださいました。」 誘拐されたアンリエッタを乗せた馬が走ること2時間あまり。たどり着いた先で彼女を出迎えたのは、年のころ30代半ばの聖職者の 格好をした男であった。快活な、澄んだ声をした男だ。 「…っ!あ、あなたは!?」 そう、出迎えたのは紛れも泣く神聖アルビオン国皇帝、オリヴァー・クロムウェルその人であった。周囲には警護らしい大男と、数名 の護衛兵がいる。 「ウェールズさま、これは……いったい……」 自分を抱きかかえた誘拐犯へ、何が起こっているのか信じられないといった視線を向けるアンリエッタ。そう、アンリエッタを誘拐した 犯人は、紛れもなくアルビオン国皇太子ウェールズ王子であった。 「昨晩言ったじゃないか。国内にいるぼくの協力者だよ。」 にこにことアンリエッタに蕩けるような笑顔を向けるウェールズ。ついその笑顔に見とれてしまうアンリエッタ。 「ぼくはあの戦いで気づいたんだ。彼らレコン・キスタの思想こそ、われわれにふさわしいものだって。だからぼくと彼は友人になったん だ。」 「でも……、でも、こんな……」 横からクロムウェルが口を挟む 「驚き驚愕致し方ない汝姫君。私と彼は、あの戦いであらゆる垣根を超越千万、友人となったのです。皇太子は、私にハルケギニア 統一の手助けをしてくれると約束してくれました。」 クロムウェルの言葉を受けてウェールズが頷く。 「その通りなんだ。だから、ぜひアンリエッタにも協力して欲しいんだ。」 「わたし、わからないわ。何がなんだか…。なにをしようとしているのか。」 どこまでも優しい言葉でウェールズは告げた。 「わからなくていいよ。ただ、きみはあの誓いの言葉通り、行動すればいいんだ。覚えているだろう?水の精霊の前で、きみが口にし た誓約の言葉を。」 「我はそのような誓約など知らぬぞ。」 突然2人の間に割り込む冷たい声。何事か、と全員がそちらの方向へと振り向いた。 声のした方向の木々がなぎ倒され、巨大な鉄のゴーレムが姿を現した。 身の丈数十メイル。丸太のような太い腕、ドラム缶のような胴体。そして空に浮かぶ三日月のような頭部。 そう、3つのしもべのひとつ、ポセイドンだ。 右手に巨大なビンを持っている。声はそこからしたらしい。 「我はそのようなまがい物との誓約など聞き覚えはないぞ。なあ、命の鐘よ。」 巨大なビンの中に人影が現れた。輝く宝石のような姿。すなわち水の精霊だ。ついてきたのかよ。 「否!?否否否否否否否ぁっ!?」 命の鐘と呼ばれ、クロムウェルが激しく動揺する。目がぐるぐると動き回り、赤みを帯びている。 「あれが、命の鐘とやらを使いすぎた後遺症か。」 ポセイドンの肩の上にバビル2世が現れた。風を受けて学生服と髪がたなびく。 「左様じゃ。あれはあらゆる生命を操る代わりに、使用者の魂を食らっていく魔性の鐘。やがてあの単なるものは心と身体を鐘に食い 尽くされ、その一部になる。命の鐘を扱えるは、同じく命の概念を持たぬ精霊か、あるいは命の鐘自身のみ。」 「曰く水精霊如何に参上!?貴様が如きは明鏡止水東方烈火!?思えば不戦は墨子が大儀!」 すでに言語になっていない雄叫びを上げるクロムウェル。その顔はすでにクロムウェル自身のものから、別人へと変貌しつつある。 「もはやあの単なるものは限界。あとは命の鐘に食われるのを待つのみ。だが、あちらの単なるものの蘇生体は、命の鐘ある限り 存在し続ける。単なるものが食らい尽くされようとも、意思をもって動き続けるだろう。」 「つまり、あの偽者は、クロムウェルが死のうと消えぬということですか?」 バビル2世の背後から、キセルを咥えた覆面男、白昼の残月が現れた。 水の精霊が肯定の意を示す。 「どのようにすれば、消える?」 「単純だ、乳房を好む単なるものよ。ふたたび命を奪えばよい。」 「なにかいま余計な修飾語がついていたような気がしますが、了承しました!」 残月が針を雨霰と放った。何百本もの針が、ウェールズを貫く。だが、ウェールズは倒れない。それどころか傷痕があっという間に 塞がっていくではないか。 「なにっ!?」 「無駄だよ。きみたちの攻撃では、ぼくを傷つけることはできない。」 その攻撃を見て、アンリエッタの表情が変わった。 「見たでしょう!それは王子ではないわ!別の何かなのよ、姫様さま」 ルイズたちがバビル2世とは逆の肩の上に現れた。 「お願いよ、ルイズ。杖を収めてちょうだい。わたしたちを行かせてちょうだい。」 「姫様!?」 アンリエッタはにっこりと笑った。 「そんなことは知ってるわ。でも、それでもかまわない。わたしにとってウェールズさまは最愛の人。全てなの。たとえ人でなくなろう とも、そんなことは関係ないわ。愛しているのよ!だから行かせてルイズ。」 ぐはぁ、と残月が大きく仰け反った。 「ぅう……まるで胸を剣で突き刺されたような痛み。おそるべき魔法!」 「魔法じゃないだろう。」 バビル2世が呆れたような声で言う。どう考えても引け目や懺悔の気持ちです。少しは悔い改めなさい。 「しかし、アンリエッタも胸が大きくなりましたな。うーむ……早まったでしょうか。」 ブツブツと査定をおこなう残月に、もはや突っ込む気力すらないバビル2世。 「ところで、アンリエッタが愛しているのがあちらのウェールズならば、ここでそれを眺めている私は、一体全体何者なのでしょうか?」 「乳房好きの単なるものよ。誰が粗忽長屋をしろと言ったのだ。」 さすがに水の精霊があきれ果てて言う。 「あの蘇生した単なるものは、命の鐘を扱っている単なるものが食われるか、死ぬまでは存在するはずだ。」 水の精霊の言葉を受けて、バビル2世はクロムウェルと偽ウェールズを交互に見やる。 「なるほど。では優先すべきは命の鐘、ということだな。残月、本物の皇太子なら、偽者から姫を救い出してやっちゃあどうだい?」 「心得ました!たしかにあの乳は魅力!私に奪還はお任せください!」 バビル2世と残月がポセイドンから飛び降りた。そのとき―― 「うわあ!」 突如襲い掛かってきた赤い突風をまともに食らって、バビル2世がポセイドンに叩きつけられた。ポセイドンも身体をよろめかせる。 「何者だ!?」 突風のやってきた方向を見る残月。その目に飛び込んできたのは… 「ふん。アンリエッタを見張っていた甲斐があったというものだ。」 ハートマークの髪形をした、モノクルの男だ。 「アンリエッタが何者かに連れられて出て行くので、もしやと思い後をつけたかいがあったな。」 恰幅のいい老人が後ろから続いて現れる。 バビル2世がくるくると回転しながら地面に降りたった。 「むう。あやつらは…」 残月がうなり声をあげる。 「知っているのか、残月。」 バビル2世の言葉に残月が頷いた。 「タルブの村の戦いにいた、アルビオン側の傭兵です。お気をつけください。あのモノクルの男、奇妙な魔法を使いますぞ!」 「ではアルビオンの味方か?」 バビル2世の問いに、モノクルの男が首を横に振って答えた。 「否。断じて、否。我々はバビル2世、貴様に用があって来たのだ。」 「左様。我々の中に生じたエラーの原因を知るためにな。」 「バビル2世だと?」 むっと、バビル2世が二人を睨みつける。 「ではヨミの部下か?」 モノクル男が咥えていたなにかを地面にはき捨てた。 「それも違うな。」 「我らは地球監視者」 「「危険な人類を宇宙から抹消するために送り込まれたものだ!」」 1人は大地を蹴り、1人は大きく飛び上がり、バビル2世に襲い掛かった。 「ビッグ・ファイアさま!」 残月が叫び声をあげ、救援に向かおうとした。 「待て、残月!」 同時に襲い掛かってきた地球監視者の攻撃を何とか避けて叫ぶバビル2世。 「いまはクロムウェル優先だ!ぼくがこの2人を抑えている間に、はやくクロムウェルを倒すんだ。」 急ブレーキをかける残月。バビル2世とクロムウェルを何度か交互に見返し、覚悟を決めてクロムウェルに襲い掛かった。 「クロムウェルはすぐに始末します!それまで持ちこたえてください、ビッグ・ファイア様!」 だが、水の壁が行く手を阻む。慌てて水を駆け上がり着地する残月。 「あの男が死ねば、ウェールズ様も死ぬというのならば……指一本触れさせません。」 杖を握ったアンリエッタが、震えながら立ちすくんでいた。 自業自得、という言葉が残月の脳裏をよぎった。 「ぐわあ!」 モノクルの男、No.3と呼ばれている男の腕から放たれた赤い旋風・衝撃波をまともに食らって地面に転がるバビル2世。 転がった先の地面が地割れを起こし、バビル2世を飲み込もうとする。 腕の力で跳ね起き、それをかわすバビル2世。だがかわした先に即座に衝撃波が飛んでくる。 「なんて威力だ。吸収しきれない。」 衝撃波を2つ3つまともに食らいながら、なんとか木の上に飛び乗ったバビル2世が呟く。その言葉を聞いてNo.3が不敵に笑う。 「どうした。それでも最強の超能力者か。」 「わしの念動力と、No.3の衝撃波能力。ともに貴様をはるかに凌駕しておる。」 No.1が腕組みをして、バビル2世の横の木に飛び乗る。 「「そして2対1。今の貴様に勝ち目はないぞ!」」 高らかにハモる二人の地球監視者。そしてNo.3が両腕を突き出した。 「最大パワーの衝撃波で、この世界から完全に消えうせろ、エラー原因よ!」 「――だが、それは少し卑怯じゃないかね?」 No.3の耳元で何者かが囁く。穏やかで、優しい声だ。 「なにやつ!?」 振り返らんとするNo.3の腕をマントが包みこむ。狙いを外された衝撃波が、空の彼方へと消え去った。 「この幻惑のセルバンテス、ビッグ・ファイア様に助太刀しようではないか。」 セルバンテスは、マントを引き裂き飛び退いたNo.3へと、優雅に会釈をして言った。 「変態仮面さん。そっちをひきつけておいてね」 タバサとキュルケが呪文を詠唱しながらアルビオン側の裏手から飛び出した。 アンリエッタが残月に気をとられた間隙をついたのだ。目的はもちろんクロムウェルだ。 「あれを倒せばいいんだから、楽なものよね」 そんなキュルケを横目に、残月は 「あの乳も捨てがたい。が、やはり清純に反比例する魅力の固まり、というものがベストだな!」 などというあほなことを一瞬考えた。 「ワルキューレ!」 ギーシュがワルキューレを召喚した。ワルドを葬った灼熱のワルキューレだ。 たとえ水の壁がきても、これを盾に強行突破する腹積もりだ。上手く行けばクロムウェルに飛び掛ることもできるだろう。 「しまった!」 ウェールズが叫び、杖を振り上げた。だがもう間に合わない。この距離では飛び掛るほうが先だ。 そう、誰も判断したとき、クロムウェルに異変が起きた。 目が完全に真っ赤になり、全身が膨れ上がった。そして鐘を取り出し、意味不明の呪文を唱える。 その途端、ワルキューレが光の粒子となってボロボロと崩れ落ちていくではないか。あっというまに全てのワルキューレは、虚空へ と消えてしまう。 「命の鐘を英雄本職!玩具で遊ぶは笑止千万! 我に楯突く向かうが者共!所業を背負えば現世に還る!聞けぃ!盛者必衰!! 命の鐘の響きあり!!」 巨人が、現れたのだった。
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前ページハルケギニアの狼 最終話 「悪・即・斬」 学院長からの頼みでルイズ達に同行してアルビオンへ向うことになった斎藤。 役立たずだと判断されたギーシュは、その場で医務室送りにされ、その代わりに斎藤の手下となったフーケを密かに尾行させていた。 ラ・ロシェールへ向かう道中で盗賊に襲われるも、これをワルドとともに撃破。 放っておいて良いというワルドを無視し、彼らを尋問した結果、仮面の男に雇われたという情報を得る。 斎藤の戦闘を見ていたルイズに何故刀が直っているのかを問いただそうとするが、ワルドに急ぐよう促され結局有耶無耶になってしまう。 「――つまり、明後日にならねばこの街を出ることは出来ないというコトだ」 ラ・ロシェールで一番上等な宿「女神の杵」の酒場で、乗船の交渉に行ってきたワルドがルイズ達にそう告げる。 「そんな……急ぎの任務なのに」 「確かにこのタイムロスは厳しいが、焦って失敗してしまったらそれこそ意味がない。明日はゆっくり休もうじゃないか」 不安そうに呟いたルイズを気遣うように、ワルドは優しく話しかける。 そして先ほどから一言も発していない斎藤の方へ顔を向け続ける。 「君の使い魔くんも、慣れない乗馬で疲れただろうからね」 ルイズもワルドに釣られて彼を見るが、当の本人は二人を無視してくつろいでいた。 こうして港町での夜は更けていくのだった。 翌朝、斎藤が宿の外で煙草を吸っていると、宿から出てきたワルドに声をかけられた。 「おはよう、使い魔くん。昨日はよく眠れたかね」 「何か用か。用がないなら話しかけるな」 ワルドの目を見ようともしないで答える。 どうやら会話をする気はないようだ。 「おや、釣れないな。まあ用はあるから聞いてくれたまえよ」 そこで初めてワルドの顔を見る。 ニコリと笑っている顔が気に入らない。 斎藤は煙を吐き出し、話を続けるよう目で促す。 「君はあのフーケを捕らえたんだろう? その腕前がどれくらいか知りたくてね。手合わせ願えないだろうか」 「断る」 即答である。 吸い終わった煙草を地面に落とし靴底で踏みつぶすと、ワルドに背を向けて街の賑わいの中へ消えていった。 夜になって斎藤が宿屋へ戻ってきてみれば、そこは傭兵達とフーケが戦っている最中だった。 愉快そうに鼻をならし、先ほどから感じていた背後からの殺気に声を掛ける。 「貴様の差し金か? 全く、面倒なことをしてくれる」 振り返ると、そこには白い仮面をつけた男が杖を構えて佇んでいた。 そして男は彼の問いには答えず、杖で斬りかかってきた。 何度か切り結ぶ内に、剣技では敵わないと見たのか男は距離を開けようとする。 それをさせまいと男に追撃を仕掛けようとするが、エア・ハンマーでそれを防がれてしまう。 (この魔法を喰らって無事でいたヤツはいない。その澄まし顔を恐怖で歪ませてくれる!) 「『ライトニング……ッ!?」 その直後、刃が男の喉笛を凄まじい勢いで突き破った。 それと同時に男の意識と姿は、霧のように消えてしまった。 「こっちは片付いたよ……今のは遍在かい?」 その声がした方を見れば、フーケがゴーレムの肩に立っていた。 どうやら傭兵の掃除は既に完了したらしい。 「相変わらず凄いね、遍在が使えるってことはスクエアクラスの使い手だって証拠なのに、それを瞬殺しちまうんだから」 「世辞はいらん。それよりあいつらはどうした」 「ヴァリエールのお嬢ちゃん達なら、あたしが暴れている間に桟橋へ向かったようだね。きっと今頃雲の上さ」 斎藤はそれを聞いて何らや考える仕草を見せ、ややあってフーケに質問を投げかける。 「アルビオンへ行く方法は何かないのか?」 「え? あ、ああ、そうだね。やっぱり明日まで待たなきゃ無理だろうね」 予想外の言葉だった。 彼のことだから、後は二人に任せて自分はさっさと帰るものだと思っていた。 そう告げると彼は特になんの感情も顔に浮かべず答えた。 「俺はとっとと元いた場所に帰りたいだけだ。コルベールとか言う禿がその方法を探すとほざいていたが全く期待出来ん。 それならばもっと組織力のあるところを使えばいいだけのコト。そして――」 「そこに王女直々の任務がアンタの主人の元へ舞い込んできた、と。なるほどねぇ。王宮の力ならなんとかなるかもだね」 「そんなところだ。明日まで何もできないのなら俺は休ませてもらう」 三時間ほどの短い仮眠をとった後、未だ夢の中のフーケを叩き起こして船が来ているであろう桟橋へ向かった。 ちなみにフーケはアルビオン入りを心底嫌がっていたが、斎藤はそれを無視して強制的に追従させていた。 夜明けと同時にアルビオンへ着いた二人は、フーケの案内でレコン・キスタに見つかることなくニューカッスル城へたどり着く。 フーケと別れて捜索していた斎藤は、礼拝堂から聞こえたワルドの怒号でここが当たりだと確信した。 「やれやれ。力任せに婚約を強要とは……貴族が聞いて呆れるな」 その声に振り替えれば、ワルドにとって最大の障害が立っていた。 何故、どのようにしてアルビオンまで追って来たのか気がかりではあったが、ここいる以上始末する以外ない。 昨夜の一戦から接近戦は危険だと判断し、遠距離からのライトニング・クラウドで一気に勝負をつけようとする。 だが、斎藤はそんな彼の殺気を全く意に介さず、懐から取り出したものをただ投げるだけだった。 ワルドの足もとに落ちたそれは白い仮面だった。 その行動の意味を悟ったワルドは驚いた顔で斎藤を見る。 「何故気付いた」 「気付かれていないと思っていたのか? 御目出度いヤツだな」 ワルドの放つ殺気が一気に膨れ上がる。 その殺気を愉しそうに受け止め、斉藤は話を続ける。 「港町へ向かう途中に山賊と戦っていたお前と、仮面の男の挙動が全く同じだった。分身を使うならもっと頭を使え、ド阿呆が」 「もういい! 貴様は死ね!!」 激昂したワルドは凄まじい勢いで多くの風の矢を放つ。 斎藤はそれらをすべて見切り、さらに追撃してきたワルドの杖を易々と受け止める。 鍔迫り合いの形になり、斉藤と目が合う。 その瞬間、ワルドを今までに感じたことのない種類の恐怖がじわりと包み込む。 (何故だ! 何故俺はやつに勝てない!! 何故俺の攻撃が通じない!!) 「やはり、なんだかんだ言っても主人を守るか! 飼い慣らされた犬めが!! 自分の御主人様がそんなに愛おしいか!!」 自分の攻撃が通じず、混乱気味のワルドが自分を保つために吠える。 「フゥ……貴様は甚だしい勘違いをしているようだな」 「なんだと!」 「この俺を動かすのは唯一つ」 斎藤の纏う空気が変わる。 ワルドの目に、誇り高い狼の姿が見えた気がした。 「悪・即・斬という俺自身の正義の為だけだ! 故に、金や名誉や契約をもってしてもこの俺を飼う事など何人にも出来ん!!」 彼の発する剣気に、ワルドは一瞬動けなくなってしまった。 そしてそれが彼の人生最期の後悔となる。 ほぼゼロ距離から放たれる必殺の牙突、「牙突零式」。 刀は砕け散り、ワルドは走馬灯も見る間もなく上半身が千切れ飛び、絶命した。 遅れてやってきたフーケがその惨状に息を飲み、すでに事切れているウェールズを見てさらに驚愕する。 そしてルイズも死んだはずのフーケが生きていることに驚愕する。 「い、一体ここで何があったいうのさ!?」 「そういえばなんであんたが生きてんのよ! てかなんでこんなとこにいんのよ!」 気が動転しているフーケとルイズを尻目に、斎藤は今度こそ修復不可能になった愛刀を鞘に納める。 そして、 「阿呆どもが」 理不尽な物言いだとわかっていても、その言葉に二人は反論することが出来なかった。 足を怪我し走れないルイズをレビテーションで浮かべ、砲撃で崩壊していくニューカッスル城内を走り抜ける。 桟橋に残っていた最後の船の甲板から、船員が急げと叫んでいる。 ルイズとフーケが乗り込んだ直後に、今までにない衝撃が走る。 度重なる砲撃の衝撃で土台が耐えきれなくなり、桟橋が崩れてしまったのだ。 「やれやれ…」 崩れていく足場を眺めながら、斎藤はゆったりとした動作で煙草に火をつける。 そして煙を吐き出しニヤリと笑う。 「ちょ、ちょっとあんた何やってんのよ!! はやくこっちへ来なさい!!」 「やめな! ……もう間に合わないっ!」 手すりを乗り越えかねない勢いのルイズをフーケが抑える。 そして何もできない絶望感から、その場にへたり込み、顔を伏せてしまう。 「阿呆が――」 ハッとルイズは顔をあげる。 「貴様らとはくぐった修羅場の数が違うんだよ」 その言葉とともに、斎藤は瓦礫の中へ消えていった。 「いやあああああああぁぁぁぁ!!」 その日、アルビオ王国はレコン・キスタの前に敗れ、その長い歴史を閉じた。 その裏で、孤高の狼が一人、ルイズの前から姿を消した。 前ページハルケギニアの狼
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0083で新登場、主力機体。又は0083と関係が深い機体 連邦 MS ガンダム試作0号機~4号機、ジム改、パワードジム、ジムクゥエル、ジムキャノンⅡ、ジムカスタム、ザクⅡ、ボール改修型 戦艦など サラミス(0083)、マゼラン(0083)、バーミンガム、アルビオン、グレイファントム、スタリオン、ソーラ・システムⅡ、コロンブス改 ジオン MS、MA ガンダム試作2号機、ノイエ・ジール、ザクⅡ、ドム・トローペン、リックドムⅡ、ドラッツェ、ゲルググM、ザメル、ガーベラ・テトラ、ヴァル・ヴァロ、ドム・フュンフ、試作型リック・ドム 他、1年戦争時代MSも使用可 戦艦など グワジン、ザンジバルⅡ(リリー・マルレーン)、ムサイ、ユーコン、チベ改
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前のページを読み直す / 表紙へ戻る / さらにページをめくる 「アッララララ――――――――――イ!!!」 雄叫びを挙げて跳び、ニューカッスル城に突入する蛮人トラクス。手には抜き身のデルフが握られている。 『土くれ』のフーケも後を追って城壁に降り立つ。すでにトラクスの『投石と矢』によって、こちら側の櫓や城壁の兵士は死に絶えていた。 トラクスは背後を振り返ると、鉄弓と矢を背負って背嚢を投げる。 「ロングビル、俺の荷物を持て」 「ここではフーケとお呼び。あたしは怪盗『土くれ』のフーケさ」 フーケは城壁の内側の地面から、高さ30メイルにも達する巨大な土のゴーレムを創造する。 それに二人は乗り移り、城の方へと向き直る。 「あたしが雑魚をひきつけてるから、あんたはさっさと大将首を取ってきな! 危なくなったら加勢してやるよ」 「おお、敵のメイジだぞ!!」「くそっ、一人で突入するとはいい度胸だ! なめおって」「いや、もう一人いるぞ」 わらわらと城の中から、アルビオン王党派の将兵が出てくる。 殺しは好きではないが、トラクスの殺しぶりを見ていると、躊躇っているのが馬鹿らしく思えた。 「あははははは、憎きアルビオン王党派め! この『土くれ』のフーケが、引導を渡してやるよ!!」 ゴーレムが豪腕を振るい、トラクスを城の尖塔めがけて、ふわりと投げつける。 トラクスは尖塔のテラスの手すりにしがみつき、中に入る。 「侵入者だ!」「しかもメイジではない、傭兵か!?」「剣や弓で、このニューカッスルに集いし勇士を滅ぼせると…」 ビュウ、と剣風が吹き、守備兵二人の首を刎ねる。もう一人だ。 「う、あああ、ああああ」 「おい、王様どこだ。教えろ」 デルフをひたりと首筋に当て、求める首の在処を聞き出す。聞き終わると、すっと刃を引いて動脈を切断してやった。 ついでに鉄弓を引き絞り、鉄の矢を放っては、下にいる敵兵を次々に串刺しにする。 矢を撃ち終わると尖塔を駆け下り、二つの首を目指して『礼拝堂』へひた走る。 暴れまわるゴーレムが外で陽動し、疾風のように駆けるトラクスは、すれ違い様に老若男女を切り倒していく。 前へ、前へ、前へ、前へ。血飛沫が舞い、臓腑が流れ、首や腕や手首が転がる。人々が逃げ惑う。 敵を切り殺すたび、マジナイを吸い込むたび、デルフは血と脂と魔力を喰らって輝きを増す。 その刃は妖しく光り、兇刃デルフの発する哄笑も大きくなる。 『そうだあ! トラクス、お前は始祖ブリミルにも仕えたという伝説の「ガンダールヴ」だ! あらゆる武器や兵器を自在に操り、メイジの盾となる戦士!! お前の左手のルーンはその証さあ! ご主人様のルイズはあのザマだがよおおおおお!!』 礼拝堂に来ると、宮廷メイジたちがトラクスの乱入に気づき魔法を放つが、デルフにはいい食事だ。 『そして俺様、デルフリンガーは六千年前、初代ガンダールヴが振るった魔剣!! こいつら如きのへろへろ魔法、俺様が全部食い尽くしてやるぁぁぁあああああ!!!』 何を言っているのかよく分からなかったが、自分とデルフがとても凄い存在だという事は伝わった。 少しずつだが、切り殺した相手の魂を吸ってか、この世界の知識も蓄積されていく気がした。 そして、無人の野を行くが如きトラクスの前に、細身の剣のような杖を構えた金髪の美丈夫が立ちはだかる。 「よく来たな、勇敢なる刺客よ。我が名はアルビオン・テューダー王家の誇り高き後継者、ウェールズ皇太子。 生憎だが、ここで命を落とすわけにはいかない。せめて貴族派に一矢報いたいのだ。 いざ、名乗られよ!! この僕が相手だ!! 他の者は、手を出すな」 ウェールズ。その名を聞いて、血塗れのトラクスが名乗りをあげる。 「俺は、トラクス。世界で最も勇猛で誇り高く、残忍なスキタイ人の戦士。 俺に王様も貴族もない、ただ殺す。 お前は、王子か。お前と王様の首をもらい、俺は生きて帰る」 互いに力量と間合いを測り合う。蛮人といえども、ウェールズは微塵もトラクスを見下していない。 一人の戦士として、死命を賭して戦うに相応しい相手だと見極める。 「スキタイ人・トラクスよ、いざ参る!!」 「来い、アルビオンの王子、ウェールズ!!」 ウェールズが横薙ぎの烈風を放ち、同時にトラクスへ突進する。 トラクスは風の刃を左手のデルフで切り裂きながら、沈み込んだウェールズに右腰の蛮刀を鞘走らせる。 だが、ウェールズは素早く懐へ入り、鋭い風を纏った杖でトラクスの肩を突く。 トラクスはよろめきながら避け、ウェールズの顎を蹴り上げる。 ウェールズは仰け反って衝撃を逸らし、後ろに跳び上がるや、くるくると回転して着地した。 「強い……!」「やるな、王子」 互角か。いや、トラクスの方が剣の腕は上。デルフリンガーの加護もある。 しかし、ウェールズは『風』のトライアングル・メイジ。直接攻撃魔法は魔剣で防げても、変幻自在な風は奥深い。 アルビオン王党派の生き残りは、固唾を呑んで勝負の行方を見守る。 老王ジェームズ1世は杖を握り締め、玉座を降りて非戦闘員を脱出船『イーグル』へ誘導する。 「今度は、こちらからだ!!」 トラクスが跳んだ。空中は風のメイジの独壇場、ウェールズは杖を振るい、トラクスの手足を空気の枷で縛る。 それをデルフが瞬時に切り裂き、両手で魔剣を振りかぶったトラクスは回転しながら皇太子に迫る。 咄嗟に横へ逃げたウェールズを、トラクスの回し蹴りが襲う。延髄に入った。 ぐらついたウェールズの咽喉を、右手で掴み、床に押し倒して締め上げる。 「首、もらった」 そこへ、皇太子とは別の風が吹く。トラクスは意表を点かれ、横殴りの『エア・ハンマー』に吹き飛ばされた。 「ぐがっ、何ッ!?」 「だ……誰だ!? ゴホッ」 礼拝堂の入口から現れたのは、羽根つき帽子を被り髭を蓄えた、若い貴族の男。 その後ろに、赤毛で褐色の肌の豊満な美女もいる。グリフォンから降り立ち、二人は皇太子に駆け寄った。 「ウェールズ皇太子! ご無事ですか!!」 「ああ、有難う。君は?」 「僕はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。二つ名は『閃光』。 トリステイン王国の魔法衛士隊、グリフォン隊の隊長です。 アンリエッタ王女の御命により、御前に参上いたしました。ご安心を」 「そして、私はゲルマニアの留学生、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。 二つ名は『微熱』。魔法学院の友人が蛮人に誘拐されたため、取り戻しに参りました」 「トリステインの……これは心強い!」 新手か。それも、強い。赤毛の女の方は学院で会ったが、タバサやルイズの友人らしい。 そして、ワルドという男。こいつは、ウェールズより強い。多勢に無勢が、ようやく現実の壁となる。 「山勘が当たったな。トラクスを保護した貴族派が、彼を『投入』するとしたらこの決戦場だと目星はつけていた。 三対一。卑怯とは言うまいね、蛮人(バルバロイ)のトラクスくん。さあ、ルイズを返してもらうよ」 形勢逆転。トラクスは壁際でふらりと立ち上がり、構えを解く。ワルドの放った風の槌は、左腕を骨折させていた。 「ウェールズ。お前のしている指輪は、『風のルビー』か?」 「ああ、いかにも。我が王家に伝わる、始祖ブリミルの秘宝だ」 急に問いかけられ、立ち上がったウェールズが答える。 「ここでお前を殺すのは、難しそうだ。どうせこの城は落ち、お前は死ぬ。 その指輪をもらって、そこの王様の首を刎ねて、持って帰る。いやなら、指か手首ごともらう」 (続く) 前のページを読み直す / 表紙へ戻る / さらにページをめくる
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オブリビオンの門 門が開くタイミング 門の最大数 オブリビオンの次元 影響 オブリビオンの門を60門封鎖する場合の注意 門の位置固定門 ランダム門ブラックウッド UESP Blackwood コロヴィア台地 UESP Colovian Highlands ゴールドコースト UESP Gold Coast グレートフォレスト UESP Great Forest ハートランド UESP Heartlands ジェラール山地 UESP Jerall Mountains ニベネイ盆地 UESP Nibenay Basin ニベネイ渓谷 UESP Nibenay Valley ヴァラス山地 UESP Valus Mountains ウェストウィルド UESP West Weald 門が開くタイミング オブリビオンの門は、ゲーム開始時点ではクヴァッチのみに存在するが、メインクエストの進行により、各地に発生するようになる。 クヴァッチでマーティンを仲間にし、ウェイノン修道院に連れて行く10個のランダム門(上記完了時点で即座に開く) フィールド探索時に25%の確率、最大25個のランダム門 クエスト「デイゴンの祠」完了7個の固定門 フィールド探索時に50%の確率、最大50個のランダム門 クエスト「ブルーマの門」開始1個の固定門 クエスト「大いなる門」開始大いなる門 クエスト「楽園」を完了、マーティンに王者のアミュレットを渡すフィールド探索時に25%の確率、最大20個のランダム門 メインクエスト完了すべての門が封鎖 門の最大数 オブリビオンの門の最大数は60個である。 うち1個は大いなる門、9個が各地に固定で開く門となる。 ランダムで開く門は50個だが、ランダム門の候補箇所は全部で90箇所ある。 オブリビオンの次元 門から接続されるオブリビオンの次元には、いくつかの種類がある。 クヴァッチタイプ シェイディンハルタイプ ブルーマタイプ 大いなる門タイプ ランダムタイプ1(ブラヴィルタイプ) ランダムタイプ2(コロールタイプ) ランダムタイプ3(レヤウィンタイプ) ランダムタイプ4(スキングラードタイプ) ランダムタイプ5 ランダムタイプ6 ランダムタイプ7(アンヴィルタイプ) 固定門からは、決まったタイプの門に接続される。(サッチ砦を除く) ランダム門からは、ランダムタイプ1~7のいずれかに接続される。 タイプ1~7のいずれになるかは、門からオブリビオンの次元に入った際に決定される為、セーブ&ロードを繰り返して好みのタイプを選ぶこともできる。 ランダムタイプ5、6の次元内には、入口の門の他にもう1つ門(出入り口)がある。 この門から出ると、シロディール内の別の場所に開いたオブリビオンの門にワープする。 ワープ先は、2つ目の門から出た時点でランダム門候補地から選ばれる為、セーブ&ロードを繰り返して好みの場所にオブリビオンの門を開かせることもできる。 また、ウェイノン修道院に到着した時点で即座に開く10個のランダム門など、見つけにくい門と接続される可能性もある為、オブリビオンの門探索に役立つ。 なお、接続可能な門がない場合には、2つ目の門から出ようとすると「どこにも通じていない扉です。」と表示され、何も起こらない。 このオブリビオンの次元を攻略し、印石を取って門を閉じた場合、最後に入った入口側の門が封鎖される。 もう1つの門は開いたまま残るが、接続先の次元が崩壊した為、門に突入した時点で再度タイプ1~7のいずれかにランダムで接続される。 影響 プレイヤーがオブリビオンの門を発見すると、マップにアイコンが追加される。 門を閉じた後も、このアイコンは消えずに残る為、恒久的にFT移動できる箇所となる。 門が開いた箇所は、九大神の祠などの建造物が壊れることがあり、門を閉じた後も残骸が残る為、美観を損なう。 門によっては、近くにブラッドグラスやハラーダが生えているが、これらも残骸と共に残る為、錬金素材の採取に役立つ。 門をひとつ閉じるごとに、プレイヤーは名声(1~2)を得ることができる。 また、レベルに応じた印石を入手できる。 門を閉じずに放置してメインクエストを完了した場合、すでに開いていた門は閉じた後の状態になる。(残骸が残る) オブリビオンの門を60門封鎖する場合の注意 オブリビオンの門を60門封鎖した場合でも、ジャーナル上の「オブリビオンの門封鎖数」が60にならない場合があるらしい(参考:UESP) UESPによると、ランダム門、固定門を合わせて58門閉じてから、「大いなる門」を閉じ、最後にランダム門を1門閉じることにより、60門と正しく表示されるようになる、とある 筆者の実プレイ(XBOX360版)の結果(UESPの情報と異なった為、参考に書いておきます)59門閉じ、最後に「大いなる門」を閉じた場合に60門と表示されることを確認 57門閉じ、「大いなる門」を閉じ、続けてランダム門を2門閉じた場合に60門と表示されることを確認 閉じる順番以外で正しく表示されなくなる条件があるのかもしれないので、ジャーナルの表示にこだわる人はこまめなセーブ推奨 門の位置 固定門 位置 オブリビオン世界 UESP MAP 備考 クヴァッチ城 クヴァッチタイプ A Gate to Oblivion シェイディンハル シェイディンハルタイプ A Gate to Oblivion ブルーマ ブルーマタイプ A Gate to Oblivion アンヴィル ランダムタイプ7 A Gate to Oblivion コロール ランダムタイプ2 A Gate to Oblivion レヤウィン ランダムタイプ3 A Gate to Oblivion スキングラード ランダムタイプ4 A Gate to Oblivion ブラヴィル ランダムタイプ1 A Gate to Oblivion サッチ砦近く ランダムタイプ A Gate to Oblivion 2、3、4、7のいずれか ランダム門 ブラックウッド UESP Blackwood 位置 UESP MAP 備考 ウェルケ南、テレマン砦北 A Gate to Oblivion フィールドハウス洞穴東 A Gate to Oblivion アルペニア南東 A Gate to Oblivion ノクターナルの祠とブランケンマークの間、街道沿い A Gate to Oblivion オニキス洞窟東 A Gate to Oblivion レヤウィン北、城を取り囲む湖の小島 A Gate to Oblivion ブルーブラッド砦北 A Gate to Oblivion ダークファザム洞穴とブルーブラッド砦の間 A Gate to Oblivion ブルーブラッド砦南西 A Gate to Oblivion ボグウォーター野営地東 A Gate to Oblivion ボグウォーター野営地東南 A Gate to Oblivion 豹の口南、レマンのルーンストーンそば A Gate to Oblivion シェオゴラスの祠南、ロックミルク洞穴北 A Gate to Oblivion モラヘイム南、豹の口そば A Gate to Oblivion コロヴィア台地 UESP Colovian Highlands 位置 UESP MAP 備考 リプサンド・タルン南東、サンクレ・トール西南西 A Gate to Oblivion コロール西 A Gate to Oblivion コロール南西、約束破りの洞穴東 A Gate to Oblivion タルウィンク西 A Gate to Oblivion クヴァッチ城壁北西、レマンのルーンストーンそば A Gate to Oblivion クヴァッチ城壁北東、リンチャル砦南西 A Gate to Oblivion トランベ北東、粉砕された鉱山西 A Gate to Oblivion ヴァロンド南西、アレス野営地北 A Gate to Oblivion オントゥス砦南西、ヴァロンド北東 A Gate to Oblivion ディリック砦南西 A Gate to Oblivion ノヌンガロ南東、ディリック砦北西 A Gate to Oblivion オントゥス砦北 A Gate to Oblivion レイレス砦東 A Gate to Oblivion レイレス砦南西 A Gate to Oblivion ゴールドコースト UESP Gold Coast 位置 UESP MAP 備考 クヴァッチ西、ガーラス・アジーア南東 A Gate to Oblivion ガーラス・アジーア北西 A Gate to Oblivion アンヴィル南東、グウェデン農場南西 A Gate to Oblivion ドラッド卿の私有地西、ベルダブーロ東 A Gate to Oblivion トロール・キャンドル野営地南 A Gate to Oblivion サッチ砦北、ニルヤステア西 A Gate to Oblivion グレートフォレスト UESP Great Forest 位置 UESP MAP 備考 ブルーマ南、毒キノコの洞穴近く A Gate to Oblivion ピウカンダ南西、街道沿い A Gate to Oblivion セルセンと洗手の洞穴の間、街道沿い A Gate to Oblivion ウェニヤンダウィク東 A Gate to Oblivion ポソール洞窟南、ウェニヤンダウィク西 A Gate to Oblivion ネニヨンド・トウィル南西 A Gate to Oblivion フェルゲガルド洞穴南東、ローベック砦北西 A Gate to Oblivion ペルズ・ゲート南、ファレギル北 A Gate to Oblivion ゴトルズフォント修道院とセヤタタールの間 A Gate to Oblivion ニケル砦北西 A Gate to Oblivion ハックダートとナルフィンセルの間 A Gate to Oblivion 不吉な前兆そば A Gate to Oblivion ハルムズ・フォリー北西、チャルマン砦北東 A Gate to Oblivion ハルムズ・フォリーと荒涼たる採掘坑の間 A Gate to Oblivion コロール東、アッシュ砦北西 A Gate to Oblivion ハートランド UESP Heartlands 位置 UESP MAP 備考 帝都がある島の南東部 A Gate to Oblivion チャルマン砦とヴィルヴェリンの間、街道沿い A Gate to Oblivion ローランドの丸太小屋北西 A Gate to Oblivion ナガスターニ南西 A Gate to Oblivion クロップスフォード北西 A Gate to Oblivion キュロット南東 A Gate to Oblivion ヴァリエラ砦南東、ヴェヨンド洞穴北西 A Gate to Oblivion アレッシア砦南東、ヴァリエラ砦北 A Gate to Oblivion ジェラール山地 UESP Jerall Mountains 位置 UESP MAP 備考 リプサンド・タルン北東、サンクレ・トール北西 A Gate to Oblivion アップルウォッチ南 A Gate to Oblivion セドール北西 A Gate to Oblivion 聖蚕会神殿西 A Gate to Oblivion 隠れ野営地南東、荒廃した鉱山西 A Gate to Oblivion ニネンダーヴァ北東 A Gate to Oblivion ニベネイ盆地 UESP Nibenay Basin 位置 UESP MAP 備考 シェイディンハル北、ウィンド・レンジ野営地東 A Gate to Oblivion シェイディンハル南、ヴァータセン北 A Gate to Oblivion シェイディンハル南西、ヴァーミルナの祠北東 A Gate to Oblivion シェイディンハル南、ドレイクロウ北 A Gate to Oblivion ウェンダーベク洞穴南西、クロップスフォード東北東 A Gate to Oblivion セドリアン砦東、影の石碑近く A Gate to Oblivion ブランブルポイント洞穴と賢者グレンの洞穴の間 A Gate to Oblivion ヘイム南西 A Gate to Oblivion ファシアン砦南 A Gate to Oblivion オンド東南東、迷子の洞窟北 A Gate to Oblivion カプター砦南、リーフロット洞穴北 A Gate to Oblivion マラーダ東南東、廃坑北東 A Gate to Oblivion セジャヌス砦北 A Gate to Oblivion ニベネイ渓谷 UESP Nibenay Valley 位置 UESP MAP 備考 モラヘイム東 A Gate to Oblivion ヴァラス山地 UESP Valus Mountains 位置 UESP MAP 備考 シェイディンハル北東、ケーメン北 A Gate to Oblivion ウェストウィルド UESP West Weald 位置 UESP MAP 備考 スキングラード北西、荒涼たる洞穴南西 A Gate to Oblivion スキングラード東、グロ=バック野営地北 A Gate to Oblivion スキングラード北東、廃れた採掘坑そば、街道沿い A Gate to Oblivion スキングラード南東、シローン東 A Gate to Oblivion スキングラード西、メリディアの祠南東 A Gate to Oblivion メリディアの祠北 A Gate to Oblivion ダセクムーア南東 A Gate to Oblivion 九大神修道院南西 A Gate to Oblivion 九大神修道院東、孤立した家 A Gate to Oblivion ノルナルホルスト東 A Gate to Oblivion スキングラードから西の街道沿い、ファットランプ野営地とファイアライト洞穴の間 A Gate to Oblivion スキングラード北、ゴブリン・ジムの洞穴西 A Gate to Oblivion Top>MAP>オブリビオンの門