約 632,112 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1565.html
群のリーダーであるゆっくりまりさは捕食種のゆっくりれみりゃやゆっくりフランまで撃退できるほどの強く。 ゆっくりパチュリーやゆっくりアリスの力を借り、今日までしっかりと群をまとめあげてきた。 森に人間が多くなってくると、まりさたちの群は竹林に移動した。 人間と関わってはゆっくりしていられなくなる。ゆっくり達はあくせく働く人間が嫌いだった。 しかし、人間の方がよっぽどマシだ。彼らは勤勉で、それ故に暇つぶしなどという言葉は持ち合わせない。 同じ森にいても仕事の邪魔さえしなければ、彼らからゆっくりに関わろうとする人は少ない。 もし出会ってしまったとしても、少量のきのこを渡され、巣に帰るように促されるだけだ。 ゆっくりを虐待して遊ぶなんて人はそうはいない。 「ここまでくれば、ゆっくりできるね」 呑気に辺りの草を食べ始めるゆっくりれいむ。 しかし、リーダーであるゆっくりまりさは警戒を怠らない。 若い衆が絶えず周りの状況を報告してくる。 二匹で偵察に行かせれば、一匹は無事に帰ってくる。 ツーマンセルのアイデアを出したのはゆっくりパチュリーだった。 それにより素早く確実に周りの情報が得られるようになったこの群は、 こういった住処を変えるという大仕事を何度も成功させてきている。 それも今回限りだが、 「ちぇんとまりさのペアがもどってこない」 その報告を受けてゆっくりまりさは不安だった。 そのペアのゆっくりちぇんは群の中で一番足が速く、自分と長く苦楽を共にした歴戦の猛者だ。 そして、そのゆっくりちぇんとペアを組むのは立派に育ち、いずれはこの群の新しいリーダーとなるはずの自分の娘だった。 だから、余計に不安だった。リーダーとして苦渋の選択が迫られる。 彼らを待って竹林に残るか、彼らを置いて森に戻るか、 他の偵察に出たゆっくりはみんな帰ってきているし、誰も危険だという報告はしていない。 「どこかでゆっくりしてるんだよ。れいむたちもゆっくりしようよ」 ゆっくりまりさはゆっくりれいむを侮蔑した。何も考えずただ現状を享受しているだけのこいつを。 「うおー!!」 竹林から一匹の暇な兎が駆けてくる。 因幡てゐは久しぶりに休暇にやる事がなさ過ぎて困っていた。 そこにゆっくりの群を見つけたもんだから、酷い暇つぶしが始まってしまった。 大声を上げて、ゆっくり立ちの前にやってくるてゐ。 「危ないぞ、伏せろ」 ゆっくり達にそう言う。群れの連中はポカン口を開け、頭に疑問符を浮かべている。 「私は兎銀河パトロールのてゐ・イナバだ。君達、ここは危ないぞ」 「ゆゆ?おねえさんほんと?」 群のリーダーのゆっくりまりさが尋ねる。 「ああ、ここは既にグレゴリン星人の異次元竹林の中だ。君達はどうやら異次元竹林に迷い込んでしまったらしい」 わざと大げさな声でてゐは言う。 「まりさがいいだしたんだよ。れいむはこんなところきたくなかったよ!!」 今までゆっくりしていたのに手のひらを返したかのような批判。 「待て!!仲違は止すんだ。そうか、ここは既にグレゴリン星人のテリトリー、君は精神攻撃を受けておかしくなってしまったんだな!!」 てゐはビシッとゆっくりれいむを指差す。 「ゆゆ?おかしくなったの?」「れいむ、ゆっくりできないの」「どうすればいいの?」 「グレゴリン星人の精神攻撃は強力だ。残念だが、このゆっくりれいむはもう元には戻れないだろう」 とても残念そうにてゐは言う。 「れいむ、かわいそう!」「ぐれごりんせいじんめ。よくもれいむを」「おねえさん、れいむをたすけて」 「いいや、無理だ。グレゴリン星人の精神攻撃は兎銀河の技術を使っても直ることはない」 「れいむはゆっくりしてるよ。びょうきじゃないうよ!!」 今まで黙っていたゆっくりれいむが反論する。 「ほら見ろ。これが奴らの精神攻撃の卑怯な所だ。奴らの攻撃を受けたものは絶対に自分が攻撃されたとは思っていない素振りをするんだ」 「ゆゆ、ほんとだ。れいむ・・・」「こんなのれいむじゃないよ。ゆっくりしね」「そうだよ。ぐれごりんせいじんのてさきはしんでね」 「仕方ない。兎銀河パンチ!!」 ゆっくりれいむは殴り飛ばされ、地面にめり込む。 「ゆゆ?なにするの?」 ゆっくりまりさは抗議する。 「悲しいが、君もグレゴリン星人に操られたゆっくりれいむを見ているのは辛いだろう。彼女の死は無駄にしないよ」 「ゆ・・・れいむ、まりさたちかならずいきてゆっくりプレイスにもどるからね」 「す、少し回りの様子を見てくる。兎銀河バリアを張ったからこの場に待機していてくれたまえ」 「おねえさん、ありがとう。がんばってね!!」 ゆっくり達から見えない位置まで来るとてゐは笑い転げた。 「危なかった。もう少しで噴出すところだった。何だよグレゴリン星人の異次元竹林って、ぷふふふ」 一頻り笑い転げた後、まじめな顔を作り、それを維持しながらてゐはゆっくりまりさ達の群の所に帰ってくる。 「大丈夫だったかい?」 「うん、おねーさんのばりあのおかげでたすかったよ」 「しかし、兎銀河バリアもそう長くは使えない」 「ゆゆ?どうすればいいの?」 「私が。私がグレゴリン星人を倒すしかない」 「むきゅ・・・それでパチュリーたちはここからぬけだせるの?」 「安心しなさい。グレゴリン星人を倒せば異次元竹林も消滅する。時空の歪みが元にもどり君達も元いた場所にもどれる」 「じゃあ、ぐれごりんせいじんをたおしてきてね」 そう言われた瞬間、てゐは危ないとゆっくりパチュリーを抱え、横に跳ねる。 「むきゅ?どうしたの?」 「グレゴリン星人の原子破壊光線だ。あれを喰らったら死んでしまうぞ」 「ゆゆ、ここもあぶないの?」 「皆、落ち着け。私について来るんだ。安全な場所に行こう」 「みんな、おねーさんについていこうね!!」 ゆっくりまりさが号令をかけると、群の皆がてゐについてくる。 「いやだよ。ここでゆっくちしたい」「まりさもここでゆっくりするよ」 そう言って、動かない連中は片っ端から精神攻撃を受けたと言われ、その場で処刑された。 「ぐれごりんせいじんめ、ゆっくりしね」「ほんとだよ。ぐれごりんせいじんはゆっくりできないんだね」 群の皆は存在しない敵に憤怒していた。 「ここだ。ここに隠れるんだ」洞窟の中にゆっくりまりさの群を誘導する。 その頃には群れは半分ほどになっていた。 「くそ、半分しか救えなかった」 てゐは力いっぱい地面を殴り、自分の無力さを嘆くふりをした。 「おねーさんのせいじゃないよ。ぐれごりんせいじんがわるいんだよ」 てゐを慰めるゆっくりまりさ。自分も辛いけどお姉さんも辛いんだと思っていた。 「グレゴリン星人、奴は強い。今の私では勝てるかどうか・・・」 「ゆ?よわきにならないで、まりさもぐれごりんせいじんとたたかうよ」 「むきゅん、まりさはゆっくりふらんにもかっちゃうぐらいつよいのよ」 「それは頼もしい。他にも私と戦ってくれる子はいないか?」 「れいむもいく!」「むきゅん、どこまでいけるかわからないけど」「とかいはのたたかいかたをみせてあげるわ」 「みんな・・・ありがとう」 てゐの見事な嘘泣きにその場にいる皆が感動していた。 「泣いてばかりもいられない。この先に池がある。そこがグレゴリン星人の巣だ」 「ゆ?まりさはへいきだけど、ほかのこはいけにはいれないよ」 「そうさ、池に見せかけているんだ。グレゴリン星人は君達が巣に入ってこれないように池に見せかけているだけなのさ」 「ゆゆ?ひきょうだね」「むきゅー、ゆるせない」「れいむ、ぐれごりんせいじんをやっつけるよ」 「でも、あかちゃんはここでまっててね」 ゆっくりアリスがそう言う。逃げてきた何匹かの中にはゆっくりの赤ちゃんもいた。 「まりちゃ、がんばってぐれごりんせいじんをたおしてきちぇね」「うん、まりさたちがんばるからね」「ゆっくちまってるね」 熱い頬ずりを交わした後、てゐと大人のゆっくり達はグレゴリン星人の巣に突撃した。 「・・・グレゴリン星人なんているわけないじゃん」 池で苦しみもだえているゆっくり達にてゐが言い放つ。 「だっで、おねーざん、ぐれごりん」 「作り話」 「うぞずいだの?!」「むぎゅ・・・だまざれだ」「あやまっでね」 「ゴメンね」 悪気もなくそう言ってのける。 「まりざだぢをだずげて!!」「もっどゆっぎりじだがっだ」「どがいはの、どがいばのありずが」 「いい暇つぶしになったよ。じゃーねー」 そう言ってグレゴリン星人より凶悪な兎は去っていった。 その帰り道、ゆっくりちぇんとゆっくりまりさを見かけた。 「おねーさん、このへんにゆっくりのむれはいなかった?」 「あー、いたよ」 「どこへいったかわかる?」 「異次元竹林じゃない」 そう言うとてゐは永遠亭に帰っていった。 それから数日後、 「師匠、この竹林ってた私達以外に宇宙人って住んでましたっけ?」 「え?そんな話聞いたことないわよ」 「ゆっくりの赤ちゃんから聞いたんですよ。ぐれごりんせいじんとかいうのがいるって」 ぶっと、てゐは珈琲を噴出す。 「わ、汚い。ちょっと、てゐ。早く雑巾で床を拭いて」 てゐはしばらくその場で笑い転げていた。 by118
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2966.html
今までに書いたもの 神をも恐れぬ 冬虫夏草 fuku4385(タイトル付け忘れた……) ※注意事項 人間は介在しません。 登場するゆっくりは全滅しません ぼくのかんがえたさいきょうゆっくりが登場します。 ……最強っていうか、ゆっくりしろよ的ゆっくりか。 ここは、人里から遠く離れた博麗大結界に間近い山の中。 妖怪の山からも遠い幻想郷の外れでは、人間どころか妖怪の姿さえほとんど目にする事はできない。 そんな幻と現の境界地帯の主は、大きく分けて二種類だった。 一つには、結界の内外いずれの側にも満ち溢れた自然の具象である妖精たち。 そしてもう一つには、生き物と食べ物の境界に位置するナマモノ――ゆっくりと呼ばれる生き饅頭たちだ。 山際に残る朱の色が、月が高くに上ると共に紫へと塗り替えられてゆく。 冬の太陽は早くに沈む。日のある内はまだ温みを残していた山の空気も、空に紺と紫の領域が増すに連れて 突き刺すような冷気で地上を満たし始めていた。 野山から生けるモノの気配が極端に少なくなる、死と静寂に満ちた季節。厳しいこの時期をやり過ごす為、 巣穴に閉じ篭るという習慣は捕食種のゆっくりにとっても例外ではない。 「うー! よるがきたどぉー!」 ここは、厚く堆積した柔らかい土壌を掘り進めて作られたれみりゃ一家の巣穴である。 もともとは、彼女らのモノではない。先住者は子連れのれいむとまりさのつがいだった。その先住者はこの秋、 老幼あわせて十匹残らずこの冬の入りにれみりゃ一家の保存食となっている。 晩秋、より中心部――紅魔館の近くに適当な住処を見つけられず、辺境を流れ流れてここまで来た家族だった。 「みゃんみゃ〜、にぇみゅいぢょぉ〜」 「うりゅさきゅちぇよくねむれなかったぢょぉー……」 親に続いてもそもそと起き出してくる、体のない子れみりゃや赤れみりゃ、その数五匹。 器用に羽根で眠い目を擦る。どうやらまるで寝たりないらしい。それは両親――体つきと体なしのつがいだった――も同じらしく、 二匹揃ってみっともない大あくびをすると疎ましげな眼差しを入り口へと送る。 「ふぁ〜。まんまたちもねむいんだどぉ〜……」 「らぶり〜なれみりゃをゆっくりさせないなんて、ひどいかぜさんなんだどぉ〜」 ぐるぐる頭の中をかき回す眠気のせいで、楽しい家族の会話もどこへやら。きちんと戸口の閉じられた巣穴は 地中の温もりもあって眠気を覚ますほどの寒さもない。家族揃って言葉もなく、じーっと扉の様子を見詰めてみる。 ばたん、もしくは、ごつん。 静かになった部屋の中は、木の皮を引っぺがして接着用餡子で固めた扉は、今もガタガタいってる物音だけに 支配されてしまった。 今日は日中ずっとこんな感じだった。夜もこんな感じのままなのかもしれない。うるさいのは扉が立てる音ばかり ではなく、外の枯れ葉が擦れあう音、モノが落ちたり転がったりするような物音なんかも同じこと。 きっと、今日はとても冷たい風さんがゆっくりしていない一日なのだ。 さすがに閉じた戸をわざわざ開けてまで外の『かぜさん』に抗議する気にもならず、れみりゃ家族は寒気の 差し込まないおうちの奥からせめても大声を張り上げて呼びかける。 「かぜさん、ゆっくりするんだどぉ〜♪」 「ゆっくりしなきゃ、あとでさくやにいいつけるどぉ〜♪」 「「「ちゃくやにいいしゅけるどぉ〜♪」」」 ……と。 まるで、間延びした二匹の呼びかけをまるで理解したかのように、戸を叩く音が一時に止まった。 もちろん、れみりゃたちが風をどうこうできる訳もないのだが、餡子脳は全てを都合よく解釈するものだ。 「う〜♪ かぜさん、れみりゃがこわくてだまったんだどぉ〜」 「おちびちゃんたち、これでまんまぁとゆっくりできるどぉ♪」 「「みゃんみゃ、しゅごいんだどぉ〜♪」」 勝ち誇る両親に、それを真に受けて褒め称える子供たち。 万が一にも風の妖精がれみりゃの言葉に従ったのだとしても、それは引き合いに出された『さくや』が怖かったんじゃ? なんて謙虚な発想はゆっくりにはないわけで。 「「おちびちゃん、すーりすーり♪だどぉ〜♪」」 「「「すーり、すーり♪しゃわしぇだどぉ〜♪」」」 勝利の余韻に浸った家族、一頻り体を寄せ合わせる。 既に変な空気になった餡子脳の中では『かぜさんもさからえないこうまかんのおぜうさま』は伝説にすらなっているらしい――が。 ―――どがあぁぁんっ!!――― 伝説、粉砕。文字通りに。 「うーっ!?」 「と、とびらさんがこわれたどぉぉ!?」 「みゃんみゃーっ!? さささっ、さむいんだっどぉ〜!!」 「ゆぐっ、ゆっぐぢぢだい゛どぉ〜……」 いったい、何事が起きたのか。 突然入り口から大きな破壊音が響いたと思うと、薄く立ち上った土煙の向こうに壊れた扉と真っ暗な空が見えた。 お外とおうちの間を遮るものはすでになく、びゅうびゅうと吹き込んでくるのは、冬の夜の容赦ない寒気。 両親れみりゃには一つ思い当たることがあった。こんな時期、 「う〜っ……もしかして、れてぃがきた!?」 「れてぃやだどおおぉぉっ!!?」 「「みゃんみゃぁ、きょわいどぉ〜!!」」 地中の巣に篭っていたのでは、長く伸びるれてぃの舌からは逃げられない。 かといって、出口が一つしかないこの巣では、外に出るのはわざわざ「おたべなさい!」するのと同じ事だ。 進むは地獄、引く事は出来ず。まさしく進退窮まった状態で、一家はお星様が綺麗に覗くおうちの入り口から 長く伸びる死への誘いがやってくるのを、ただ身を寄せ合い震えながら待ち受ける。 両親はせめて子供だけでもと、背中、巣の奥に子供たちを押し込めて守るが……蟷螂の斧、報われるまい。 「……う〜?」 「う〜、う〜?」 そう、親子揃って観念して、しばらく縮こまっていた。 扉が壊されてからすぐ。れてぃの舌は入ってこない。 扉が壊されてからちょっと。れてぃの舌は入ってこない。 扉が壊されてから少し。れてぃの舌は入ってこない。 扉が壊されてから大分。れてぃの舌は入ってこない。 扉が壊されてからしばらく。れてぃの舌は入ってこない。 扉が壊されてからかなり。れてぃの舌は、入ってこなかった。 「……う〜? れてぃ、ちがったどぉ?」 「うっう〜♪ ちびちゃんたち、もうしんぱいないどぉ〜」 「「「……う〜?もうだいじょうぶだど?」」」 さすがにこれは、れてぃではないらしい。 恐怖がゆっくり溶け、疑念に変わり、安堵に移り変わるまでたっぷり十分ほどは待った。 最後まで、れてぃの舌が入ってくることはなかった――怖がる必要なんてなかったのだ。 「うっう〜♪ おぜうさまのれみりゃにこわいものなんかないどぉ♪」 「みゃんみゃはとてもつよいんだどぉ〜♪」 「つよいまんまぁはおうちのとびらもさくやがいなくてもなおせるんだどぉ〜♪」 「みゃんみゃはなんでもできるんだどぉ〜」 そうと知ると、一転して強気である。餡子脳には先ほど見せた自分の(親の)みっともない姿なんて欠片も残ってない。 扉が壊れた原因を、突き止めようという考えすらなかった。 ただ、そんな餡子脳でも流石に扉を直さなければというぐらいの思考はあるらしく、両親を先頭に寒気厳しい外界との 入り口に向かう。一応野生で生きてきたれみりゃである。扉の作り方、治し方ぐらいは知っている。 「……とっ、とびらさんがどこかいくんだどぉ〜」 ただ、一から作るとなるとさすがにこの時期、面倒だ。 壊れた扉に逃げられては困る。だから真っ二つに割れた扉の片割れが、急に巣穴の外の方へと動き出したことにれみりゃは 少し慌てて這う速度を上げる。 「う〜、おいかけっこだどぉ〜♪ とびらさん、ゆっくりまつんだどぉ〜♪」 「はやくつかまえるんだ……どぉ?」 どうして扉が動き出したのだろうか。 風の仕業だろうか? そんなはずはない。扉は中から外に動いているのに、風は外から中に吹き込んでいる。 巣穴が斜面になっているから? それなら滑り落ちる方角が逆だし、巣穴はそんなに急な角度で地面に潜っている訳ではない。 その答えを知らず、考えもせず、家族は無防備に入り口近くまで近づいた。 「どうした……う〜?」 「「「うゅ〜?」」」 そしてそこで目にした光景に、全員が思わずぽかんとした。 巣穴の入り口、そのすぐ側。覗き込む顔がいくつも、いくつも。見知ったものばかり並んでいたからだ。 「う〜!? あまあまがいっぱいいるどぅ〜♪」 「あまあまがいっぱ……い……」 やがてれみりゃたちの口から漏れたのは、喜び半分、驚き半分。 巣穴から見えるのは、れいむが三匹にまりさが四匹。 喜びはおいしいあまあまが向こうから巣の近くまで来てくれたからで、驚きはこんな冬場に外をうろつくゆっくりがいる なんて思っていなかったからだ。 「……う〜☆ たべきれないんだどぉ〜♪」 「「「うー! たーべちゃうぞー!!」」」 よく考えたら起き抜けで、ちょうどおなかがすいていたところだ。 親れみりゃと子れみりゃたちは、みんなそろってお決まりの台詞をごはんになってくれるあまあまたちに投げかけた。 もそり、もそもそ。 ……反応が、おかしい。まるで恐れる様子のない獲物たちの様子が、ちっぽけなれみりゃの肥大したプライドに小さな 棘となって突き立った。 「……? あまあまのくせに、さからうつもりなんだどぉ〜?」 のそり、のそのそ。 反応は、変わらない。 恐れるでなく、猛るでなく、のっぺりとした笑顔を浮かべたままで蠢くだけ。 まるでこちらの存在を軽視――むしろ無視するかのようなその態度。自分が軽んじられていることを自覚するに至って、 ようやく状況に思考が追いついた。 扉を壊したのは、こいつらではないか。 おひさまがある間から、おうちの周りでがたがた物音を立てていたのもこいつらではないか。 たかがあまあまが。 このこうまかんのおぜうさま相手に。 勝てるわけもないのに、一体なんのために? 「……う〜。どっちでもいいどぉ〜」 「はやくごはんにするどぉ〜♪」 「「「うっう〜♪ ごはんだどぉ〜♪」」」 その理由がなんであるにしても、食ってしまえば同じことだ。それ以上小難しいことを考えるのは、れみりゃの脳には 手に余ることだった。 もういい、めんどうだ。何匹いるか知らないが、こいつらをご飯にしよう。みんなおなか一杯になってもまだ残るなら、 この冬の保存食としてありがたく巣の奥に保管させてもらえばいいのだから。 早々に思考を打ち切って、両親れみりゃは子を引き連れて寒い巣穴の外へと這い出していく。 そして、外の空気にじかに触れたれみりゃ家族の体はたちまちのうちに凍りついた。 「……だれつかられみりゃたちのごはんになってくれる……んだ……ど……?」 いや、凍りついたのは体ではなく心だ。だぶついた顔からは、満面の笑みが凍って砕けて消し飛んでいる。 巣穴を、出た。 外の景色が見渡せるようになった。 見渡す限りに、あまあまがいた。 そう、見渡す限りに。 数十、といった数ではない。 成体のれいむとまりさを中心に、百を軽く超えるゆっくりがひしめいていた。 れみりゃが空を飛ぶことを思い出していれば、百や二百で利かない数と、ずらりと敷かれた陣列の後ろの方にみょん種や めーりん種の姿がある事にも気が付いたかもしれない。 だが、どうせ三つ以上の数を数えられない餡子脳だ。『とてもたくさん、いろんなあまあま』ぐらいにしか考えられなかった かもしれないが……。 それでも。同じ高さで目の前に見える数しか把握することができなくても、流石に今なにが起ころうとしているかぐらいはわかる。 襲うものと襲われるもの。 その逆転が、今まさに起ころうとしているのだ。 「……っ。あまあまは、たべられるものなんだるどぉーっ!!」 気付かなければいいのに、察してしまった。 知性などないに等しいれみりゃなのに、気付かされてしまった。 心の中に急激に広がる真っ暗な何かを、知ってしまった恐怖を振り払う為に親れみりゃは叫んだ。 叫ばなければ、子供の為に立ち向かう意志が挫けそうだった。必死の形相へと変じた顔色からは、狩猟者としての精神的 優位など疾うの昔に消え去っている。 まるで風のように、親れみりゃたちは奔った。 父れみりゃの正面すぐ近くにいたれいむの顔面が弾け、突き抜けた腕がその後ろのちぇんの眼球を抉り出した。死んだれいむの 両脇にいたまりさとれいむが振り向くより早く、二匹の側頭部を父れみりゃの左右の腕が貫いていた。 母れみりゃの側方、仲間のれいむやまりさを挟んでやや間合いを取っていたぱちゅりーは、跳躍して直上から襲い掛かる 母れみりゃに踏み潰され、あっさりと大量の生クリームを吐いて死んだ。その周囲を固めていた四匹のれいむとまりさも、力尽くの 強襲にろくに抵抗することもできないままただの動かぬ饅頭へと変えられた。 両親れみりゃが進むところ、たちまち取り囲むれいむやまりさ、ちぇんやぱちゅりーはただの中身を垂れ流す饅頭へと変えられてゆく。 両親れみりゃが進むところ、たちまち取り囲むゆっくりたちの陣列に穴が開く。 両親れみりゃが進んだ後には、たちまち孤島を取り巻く潮の満ち引きのごとく、取り囲むゆっくりに新たなゆっくりが補充される。 声もなく屠られ、声もなく足されてゆく。 それはれみりゃと同じゆっくりというナマモノではなく、ただのゆっくりという記号、数字として親れみりゃの前に分厚く、 冷たく立ち塞がった。 「う、ひぁっ……!」 一体、あまあまはどれほどの数がいるというのだ。 幾ら殺しても目の前の獲物がまったく減らないという事実にやっと気が付き、父れみりゃが乱れた息にやがて来るべき破局への 怯えの色を滲ませた。 夫婦それぞれ十を潰し、十を引き裂き、十を貫き、十を噛み破り、その全てを容赦なくばらばらの餡子の塊へと変えた。その間、 無言で襲い掛かる無言のゆっくり達を蹴散らし寄せ付けず、れみりゃは傷一つ受けていない。 でも、あまあまは逃げない。逃げずに、最初のゆっくりできない笑顔を浮かべたままで突出した二匹を取り巻いている。 にこにこではなく、にやにやと。一様に作ったような、相手を、獲物を。 れみりゃという、狩られるべき獲物を、明らかに作られた笑いを一様に浮かべて。 「ゆっくりしていってね!」 ただ、明るい呼び掛けが返ってきた。 散々仲間を殺されたというのに、何の心も篭らない、無駄に明るい呼びかけだった。 ああ、と両親れみりゃはようやく理解する。 こいつらには、怒りはない。恐怖も知らない。笑顔を浮かべているけど、楽しいことすら知らない。 役割以外の何も知らないから、何もかも失っても平気なのだ――命を失うことの恐怖すら、この連中は知らないのだ、と。 「うぎゃああぁぁっ、まんまぁああぁぁぁあっ!!」 「だずげでええええええぇぇぇっ!!」 愕然として棒立ちになるれみりゃ夫婦の後ろの方から、求める子供たちの悲痛な叫びが聞こえたように思う。 気が付けば、すでに巣穴から遠い。意図したものか、そうではないのか……いずれにしても、戦ううちに両親と巣穴は遠く離れ、 子供たちは敢え無く敵の手に落ちてしまったのだ。 悲鳴は長く、しかし元気に続いている。 どうやら子供たちはその身柄を抑えられただけで、すぐに危害に晒されているわけではないらしい。 でも、今の両親にとってもうそんなことはどうでもよかった。 「……うっ……うぅっ、うううううぅぅぅああぁぁぁっ!?」 「ぐるな゛っ、ぐるな゛っ! じゃぐや゛! じゃぐや゛あああぁぁぁっ!!!」 死が、あまりにも確実な死が、自分たちの目の前にも迫っていた。 例え今は捕まるだけでも、後で必ず殺されて食べられる。飛んで逃げるにしても、間合いがあまりに近すぎた。体がふわりと 浮かんだと思った瞬間には、無防備な足や腹に食いつかれ、力尽くで地上に引き降ろされるだろう。 そうなった時にはもう戦う力も残っていない。そこから先は、なぶり殺しだ。 その確実な未来を、目の前の『生きていない』笑顔の群れが担保している。 無機質な笑顔を連ね、瞬きのごとに縮まる彼女らとの距離。それはれみりゃたちが三途の川へたどり着くまでの道のりに等しい。 どれほどれいむを殺しても、どれほどまりさを壊しても、ただの黒ずんだ餌になったあまあまたちからすらその不気味な笑いを 消し去ることはできない。 それを、思い知ってしまった。何もかもが無駄だと、すでに二匹は知ってしまったから。 「ウサウサ☆ミ」 「ゲラゲラ☆ミ」 連中の作り出した分厚い壁、後ろの方から聞こえる二組の笑い声。その声にだけ、意志の存在がはっきりしていた。 そしてその二匹の意志が、ここにいる全てのあまあまの意志を支配している。そのことに、母れみりゃも気付いた。 それと気付いた所で、この分厚い壁がある以上どうなるということでもないのだが。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりさせてあげるね!」 「ひめさまをゆっくりさせてね!」 「ゆっくりしね!」 ――虐殺がはじまった。 一斉に、だがばらばらな内容の言葉を叫んで無数のゆっくりが全周囲で動いた。 不気味な笑顔は崩れない。まるで同じ笑いを浮かべた連中が、れみりゃたちを『ゆっくり』させるために襲い掛かる。 「でびりゃのおべぶぇぼびゅぁっ!?」 「ゆっくりしね!」 「ゆっくりしね!」 心がほとんど折れかけていた父れみりゃは、その動きに反応することができなかった。 前から飛びついたれいむに腹を噛み破られ、服を毟り取られてようやく我を取り戻すがもはや遅い。 後頭部にちぇんが、肩口にまりさが、左右の足にまた別のまりさが、次々と食いつくゆっくり達の中にたちまちれみりゃの 体が消えてゆく。 「でっ、でびりゃのでびりゃがあああぁぁぁ!!」 母性の役割を受け持ったれみりゃの性質だろうか、まだ生きる意志を強く失わなかった母れみりゃが、襲い来るゆっくりを 力任せに振り払いながら、目にした惨状に何度目かの絶叫を上げた。 連れ合いに食らい付いたゆっくりが歪な形に固まって、その姿はまるで葡萄の房のよう。 中の様子をうかがい知ることはできない、だがもはや生きてはいないだろうことは母れみりゃにも容易に知れた。れみりゃ種の 再生力といっても、限度はあるのだ。 「ゆっくりかむよ!」 「ぎや、いぎゃっ! ご、ごろじでやるううぅぅ!」 「ゆっくりひめさまにもってかえるよ!」 右の腕を噛み砕かれ、羽根を食い千切られ、あられもない悲鳴をあげて、なおいきり立つ。 捕食種のプライドではない。囚われた子を救う為でもない。殺された伴侶の仇だからでもない。 ただ単に、そうしないと、生きられないから。 早くも再生を始めた傷口から迸る肉汁。それが一張羅を汚すことを気にする暇もない。 残った左腕でなぎ払い、叩き落しためーりんを踏み潰し、咥えた枝を顔面に突き立てようと襲い掛かってきたみょんを 真っ向から噛み潰す。 「う゛あああぁっ!! ごろずっ、ごろじでやるううどおぉぉ!!」 「ゆっくびゅべっ」 口を餡子まみれにして、天に向かって吼え猛る様はまさに獅子奮迅――だが、悲しいかな。もはやれみりゃは単騎であった。 さらに不用意に近づいたみょんを蹴り飛ばす間に、今度は左腕が噛み千切られた。両腕がなくなると、腹と足が噛み千切られる まで一瞬だった。 「ううぅぅぅっ、う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!」 もはや立つ事もできなくなった体をパージして顔だけとなり、それでもなお前へ、前へと目指す。 そこに、さっき聞こえた笑声の主がいるはずだった。この群れの意志を支配する存在がいるはずだった。 そいつさえ殺せば、そいつを殺す事にしか、この場を切り抜ける可能性をれみりゃは感じとることができなかった。 そして、その可能性は結局の所、ほんの欠片ほども残ってはいなかった。 「うううぅっ……うびゅいいぃぃぃっ!!」 「うさっ♪」 「げーら♪」 頭をパージして、二度ジャンプした。 二度ジャンプしただけで、両脇から飛び掛ってきたゆっくりにプレスされ、地べたに落ちた。 「う゛ぅぅ……う゛ーっ! う゛っう゛う゛ぅ゛ぅ゛!!」 最初に感じたのは潰された痛みと、地面に打ち付けられた痛み。 それを圧倒したのは、助かる見込みが完全にゼロになったという恐怖。 「ぼうやべべええぇ、おでがいじまづうぅぅ!!」 聞き入れられることなんかない、そう知りつつれみりゃは命乞いを叫んだ。 自分が何匹殺したか、自分の家族がどれだけ殺されたか、そんなことは頭の中になかった。 「うさうさ☆ いいよやめてあげるよ♪」 「……うー?」 一瞬、痛みと恐怖が消し飛ぶかと思った。 次の一瞬に、それが錯覚だったと思い知った。 「……これいじょうばらばらにして、あんたまでおうちでひめさまのごはんになるまえにしなれちゃこまるからね♪」 「げーらげーら!!」 それくらいなら、まだしなないでしょ。 うさぎ耳のゆっくりたちは、そう冷たく囁いて笑っている――当たり前の事だが。母れみりゃの最初の予感が、正しかったのだ。 「ぃ……ィやだどおおおおおぉぉぉぉぉぉ……!!」 「れいむのおくちのなかでゆっくりしていってね!」 「ばらばられみりゃをうんぱんするね!」 「ゆっくりひめさまのごちそうになってね!」 泣き喚くれみりゃの体に数多のゆっくりが群がり、その体を手際よく解体していく。 れみりゃの強力な生命力も見越して、生死のぎりぎり、中身が漏れぬよう、適度に塞がるよう。 周囲を削り取るように、抵抗力を完全に奪って運ぶのだ。 「ゆっくり!」 「ゆっくり!」 作業が進むにつれ、長く響いていた泣き声は徐々に擦れ、小さくなり、ゆっくりたちの声の中に消えてゆき。 やがて一際大きなれいむの口に収まる程度にまで縮小される頃には、限界ぎりぎりまで体を剥ぎ取られたもうれみりゃの声は 聞こえなくなっていた。 五体ばらばらにした母れみりゃ、肉片となった父れみりゃ、完全に怯えて抵抗の意志も見せない赤れみりゃ。 そして両親れみりゃに殺された、百に迫る仲間のゆっくりたちの死体。 その全てを『獲物』として、未だ数百を数えるゆっくりたちの隊列は『おうち』への帰路に着く。 「……んーっ。かなりへったかな」 「げらげら!」 「まあもんだいないよね」 「げらげら!」 わかっているのかいないのか。 同じように仲間――というより配下の隊列を後ろから眺めながら、ただげらげらと笑うだけのうどんげに構わず、てゐは体を 前に傾けて頷くような仕草を見せた。 「うーん、だよね。へったぶんは、ひめさまとおししょうさまがつくればいいんだし」 「げーらげらげら!」 少し、うどんげの笑い方が変わった。何か意味のある内容なのかもしれない。 それの証拠にゆっくりてゐのウサギ耳がぴょこんと動き、彼女はにんまりと皮肉っぽい笑顔を見せてうどんげの方に頷いた。 「うさうさ☆ じゃ、かえろっか」 * * * 「ゆっくりしないでね!」 「ゆっくりいそいでね!」 既に季節は冬の入り。本格的な降雪はまだだが、外界には既にろくな食べ物がない。 本来なら、ゆっくり達は既に餌を巣穴に溜め込んでゆっくり冬篭りに入っていなければならない季節のはず。 となると、今聞きなれた挨拶の声に送られて落ち葉に埋もれた巣穴から飛び出してきたみょんとちぇんの二匹は、十分な食べ物を 集め損ねた怠け者ということになる。 ここが普通の巣であるなら、という但し書きがつくのだけど。 「ちんぽー!」 「わかるよー、ゆっくりいそぐんだねー!」 凍月は既に山の上に上り、飛び出したみょんとちぇんはちっともゆっくりしてない忙しなさで一直線に走り去ってゆく。 周囲の様子には脇目も振らない二匹の表情には、どこかしら作り物めいた笑顔が張り付いていた。 愛で派と呼ばれる人々からは愛くるしいと、虐待派と呼ばれる人々からはふてぶてしいと称されることの多い大きな双眸には意志の 存在が見られない。 生き饅頭がゆっくりと呼ばれる所以、『こころ』の存在が、どこにも感じられず――しかしこの生き饅頭たちもまた、ゆっくりと 同じように喋り、飛び跳ね、駆けて行くのだ。 「ゆぅ……もんだいなくおわれば、いいのだけどね」 全速力で徐々に遠ざかっていく二匹の姿を見送って、入り口に佇むえーりん種がぽそりとかすれた呟きを洩らした。 このえーりん種は、ゆっくりであると確かにいえる。見詰める両の眼差しには、確かな意志と知性の力が宿っているからだ。むしろ ゆっくりにしては不相応なほどの強い光を宿した両眼を不安に揺らがせ、えーりんはその場を動かない。 「じゃお?」 まるでアストロンでも掛かったかのように身動きを止めたえーりんに、背後に控えるめーりんが気遣わしげな声を掛けた。 どうやらこの巣穴の門番らしい。その気遣いはえーりんの様子というよりはこの寒い中に開け放たれたままの入り口へと向けられて いるのだろう、自分と『扉』――枯れ枝と枯葉を組み合わせ、少量の餡子で固めたもの――を見交わすめーりんに冷ややかな一瞥を投げ、 えーりんはわざとらしい溜息を一つ吐く。 「……ゆっ。わかったわ、しめてちょうだい」 「じゃおっ!」 きびすを返すえーりんの後ろで、手馴れた様子で数匹のめーりんが手早く扉を閉ざしていく。 扉が覆う面積を増すに伴って巣穴の中を照らす光量は乏しくなり――だがしかし、ゼロにはならなかった。 ぼぉっと巣穴を包み込むのは、月のように淡く儚い金緑色の光。 その光が照らし出すのは、深く深く、冥府まで招き入れるような外界の光を拒む大きな洞穴。 「ひめさまにほうこくしないと」 その光――巣穴(それは既に洞穴に近い)一面にヒカリゴケが生み出すエメラルドの輝きに照らされて、えーりんはゆっくり二匹が 行き交えるほどの道を急いだ。 目指すはこのコロニーの長、何もしない支配者、『ひめさま』と称されるゆっくりかぐやの下である。 真社会性動物、という生き物の一群が、外の世界には存在している。 というよりも、幻想郷の中にもそれらはいる。スズメバチやアリの仲間がその代表で、哺乳類にもネズミの仲間が一種のみ存在する。 名前に社会性とあるように、その特徴は多数の同種で共同社会を作り上げて生活する点にあるが、真社会性動物は人間他の哺乳類の ような社会性動物とは幾つかの点において違っている。 一つには、繁殖活動を行う個体と行わない個体がカーストとしてはっきり分かれていること。 一つには、共同して子供の養育を行うこと。 一つには、複数の世代に渡って共同生活を営むこと。 少なくともこの三点、特に不妊の個体が存在する事が重要な要素となる。 繁殖個体は目的にあわせて数多くの子を生む。 生むだけで、育てない。子を育てるのは、ある程度育った他の子供。その中でも労働カーストに育った個体だ。 兵隊カーストも育児や餌集めには参加しない。その代わりに、巣穴の防衛という重要な任務がある。 この巣穴に暮らすゆっくりの群れも、まさにその真社会性に区分される成り立ちから形作られた群れだった。 辺境にしか住まない上、地中でその生活の大半を過ごす生態のために、一つの群が大きい割には人にはその存在を知られていない。 ゆっくり達も、辺境地域の群れ以外はあまり知ることはないだろう。 実際、不幸にして中央から流れてきたあのれみりゃの家族はこんな存在を知らないがために、安易に彼らが支配する領域に 住居を構えてしまったのだ(もちろんこの地にも彼らの巣の先住者のように、家族単位で暮らすゆっくりも多くいるのだが)。 全てのカーストに属するゆっくり達が、ほとんど例外なく目的別に産み分けられた親族だ。真社会性を持つゆっくり種は、女王が どの種であるかに関わりなく、作業目的によって子を産み分けられるらしい。 働きゆっくりはれいむやまりさ、ぱちぇりーやちぇんなどに。 兵ゆっくりはめーりんやみょん、より上位の個体としててゐやうどんげに。 昆虫や鼠に比べれば多少の知恵を持つゆっくり独自の特徴的な例として、知的労働階級としてえーりんが存在する。 そして繁殖階級即ち女王として――まあ、この巣では女王はおらず、ひたすらに怠惰な姫君が代わりに君臨しているのだけれど。 「ひめさま」 「ゆっ。えーりん、ゆっくりしなさい。おいしいれみりゃはてにはいった?」 報告に入るなり、奥の間から掛けられた言葉に側近のえーりんは脱力する思いだった。 もともと、この冬場に働きゆっくりと兵ゆっくりを大勢繰り出してれみりゃ狩りなんぞを試みたのは、完全にこの引き篭もりの姫君が 唐突に言い出したわがままのせいである。 最大で数千にもなるこの種のゆっくりの巣だが、通常種でも同種を捕食するようになる特性にあわせて、枯れ葉と排泄物を混ぜ合わせた 『畑』で巨大キノコを栽培するなどして食料状況に問題はないのだ。 ……支配者の気まぐれでこの手の贅沢を言い出さない限りは。 普段はほぼ先天的に自由意志を奪われた働きゆっくりの姉妹を馬鹿にしながらも、こういう理不尽に付き合わされる時ばかりは 自由意志があるばかりに直面させられる悩みに苦しむえーりんである。 「ゆっ、今はそれどころじゃないの。じゅんかいの『つきのししゃ』が、よそのむれにこうげきされたのはおぼえてる?」 目標を捕獲した、という情報は入っていたが、えーりんはとりあえずその問い合わせを一蹴した。 れみりゃを捕獲したうどんげとてゐの狩猟部隊が、同時にもたらした報告のほうが何倍も重要だったからだ。 つきのししゃ――かぐやの巣では、兵ゆっくりはそう呼ばれる。冬場であるにも関わらず、縄張りの巡回に借り出された『ししゃ』が 正体不明のゆっくりに襲撃されたのは、一週間ほど前のことだった。 正確には最初に次々と襲われたのは働きゆっくりで、兵ゆっくりは生き残りの連絡を受けて見回りに出かけたところを襲われたという 順番である。 ただ、地上に出かけた働きゆっくりが天敵に襲われて連絡を絶つなんて事はいつものことなので、生き残りの報告が出るまで誰も問題 だとも思っていなかっただけだ。 この群れのゆっくり達は、かぐや種とえーりん種以外の生命の維持に関心を払わないのである。 「ゆぅ? おぼえてるけど……もこうのしわざじゃなかったの?」 そのことは、かぐやもまだ覚えていた。しかし、同時にすでに解決したものだとも思っていた。 このかぐやの巣から森を一つ挟んだ向こうに、やはり真社会性を持ったゆっくりもこうを女王とする群れの巣穴があった。 かぐやの群れとは代々縄張りを巡って対立し、何度かお互いの巣の奥深くにまで攻め入るほどの激しい戦い――増えすぎたゆっくり 人口の調節という側面を強く持つ――を交えた宿敵と呼ぶべき相手だ。 お互いに同等の勢力を持つ群れである為に、屋外の戦いで勝利しても相手の巣穴を攻め切るまでには至らないまま泥沼の抗争が続いて いる両者が、そろそろ前の戦いから随分時間が経っている。 そろそろあちらの動きがあってもおかしくない頃合だから、どうせまた小競り合いでも起きたのだろうと思っていたのだが。 「それもかのうせいとしてはきえていないけれど……」 「ゆぅん。べつのよそものがみつかったのね」 言いよどむえーりんの様子に、かぐやはその先を察して面白そうに口の端に笑みを灯す。 かぐやもえーりん同様、ゆっくりにしては知性の高い種だ。普段は何事にも面倒くさがりな正確が災いして通常種ゆっくり以下の 鈍重さを見せるのだが、興味が沸いたことには積極的になることもある。 「どこからきたかしらないけど、ながれゆっくりをみつけたわ。ドス、とかいうまりさがじょおうらしいの」 ドス、という言葉を口にした時、えーりんはまるで知らない未知の何かについて話す人特有のあいまいな表情をした。 ゆっくりかぐやにしても、人間が首を傾げるように頭部しかない体をやや右に傾けて、聞きなれない言葉が意味する所を探りあぐねている。 二匹は『ドス』が何を意味するか知らなった。通常のゆっくりと異なる習性に生きる彼女たちに、ドスとなる個体は存在しない。 繁殖種はゆっくりを他のゆっくりさせる存在ではなく、他のゆっくりにゆっくりさせられる存在だからだ。 だが、群れの経験が培ってきた知識としては知らずとも、どこかざらついた感覚が『ドス』について思うたびに餡子脳を這い上がる。 なにか、ゆっくりとしての本能というべき部分が二匹に強く訴えかけていた。それと戦うべきではないと。 それはただ大きいだけではない。まともに正面から戦ってはいけない存在だ。 戦いを挑めばゆっくりできなくなってしまうかもしれない、と。 「……ゆぅ。どうせふゆなんだし、ゆっくりしすぎたやどなしなんてほっておいてもいいんじゃないの?」 「いいえ、ながたびでよわってるみたいだもの。いまたたかったほうがらくにかてるわ」 だがその本能から来る警告が二匹に齎した結論は、まるで正反対のものだった。 即ち、根が怠惰なかぐやが選んだのは、いずれ消え去るだろう存在をはじめから無視するという選択肢。 即ち、根が慎重なえーりんが選んだのは、或いは生き延びるかもしれない存在をあらかじめ除去するという選択肢。 どうして、とは聞かない。理由ならお互いわかっているから。 相反する結論を得た二匹はお互いにしばし無言で見詰めあい、沈黙の中に相手の反応を待ち続ける。 「……ゆゆ。わかったわ、えーりんにまかせる」 ……ほどなく、先に折れたのはかぐやだった。 この群れの『ひめさま』であるかぐやの役割は、考えることでも決断をくだすことでもない。それはえーりんの役割だ。 だから、かぐやはえーりんの判断にことを委ねた。 そうだ。群れでのかぐやの役割は、知的労働ではない。 「わかりました。ではひめさま……なにを?」 兵ゆっくりや働きゆっくりに新たな指示を出す為、ひめの間を辞去しようとしたえーりんが、当惑を隠さぬ声で問うた。 それもそのはず、いつの間にかえーりんのすぐ側に寄り添ったかぐやが彼女の頬を甘噛みしてきたからだ。 「ゆっくり、していきなさい」 「かぐや、いまはそんなこと」 「ちいさいけど、いくさなんでしょう?」 かぐやは、繁殖相手としてえーりんを求めているのだ。このゆっくりできそうにない忙しい時に。 えーりんもこの世代が一つ下の主君とは、もう長い付き合いである。呆れと共に姪の意図を理解して、とんっと軽く突き放す。 だが窘めようとするえーりんにさらに体を寄せて、ゆっくりの姫君は蕩けるような笑みを血縁でいえば叔母にあたる腹心へと向ける。 「ししゃのかずがへるぶん、かわりをつくっておかないと……ね?」 「……もう、かぐやったら」 かぐや種は同種に働く強力なフェロモンを持つという。 それでなくともかぐや種と強い相互依存性で結ばれたえーりん種が、その誘いを拒むことはゆっくり離れした知性をもってしても難しい。 それ以上えーりんは拒絶の言葉を口にすることなく、かぐやを受け入れた。 ヒカリゴケの燐光の中、二匹の影が一つに重なる。 明日には多くの働きゆっくりの実が、かぐやが長く延ばした茎に連なるだろう。 そして巣は何事もなかったように日常を続けるのだ。 一握りのゆっくりを、ひたすらに他のゆっくりがゆっくりさせ続けるだけの日常を。 続
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2400.html
巨大ゆっくりの饗宴(中編)の続き 「・・・んぉ!?」 目を覚ました私の視界に広がっていたのはいつもと変わらない天井に壁に家具一式。 右を見ても左を見ても木の一本も見当たらなかった。 寝具もきっちりと布団を使っており、藁でもばければ枯葉でもない。 「・・・・・・私んち、だよなぁ・・・?」 何処をどう見ても紛れもなく饅頭の香りのこびり付いた住み慣れた我が家だ。 巨大なゆっくりが眠っているということも、超絶美人の人外社長がでっかい瓢箪を担いでいるということもない。 もちろん、触手を生やしたきもいありすの姿も、ライガーもホッキョクグマも真っ青のきめら丸姿もない。 薄暗い部屋の中で耳を澄ませば、我が家のゆっくりども寝息が聞こえてくる。 「・・・夢オチか」 それにしてもアホ丸出しのこっ恥ずかしい夢だった。 何だよ、ドスお姉さんって。ジャンプ系バトル漫画の見過ぎだ。 馬鹿馬鹿しい、寝直そう。 「・・・んあ?」 ぽよん。 横になった瞬間、そんな擬音がよく似合う柔らかいものが後頭部に当たるのを感じた。 れいむでも下敷きにしたかと思い、頭の下のものを引っ掴んで見ると・・・ 「ゆゆっ!おかーさん、ゆっかりんとゆっくりしていってね!」 「・・・誰がお母さんか」 いや、まず突っ込むべきところはそこじゃない。 我が家のゆっくりはれいむ、まりさ、すいかの三種だけのはず。 ゆっかりんなんて拾った覚えないぞ? 「・・・・・・・・・もしかして」 まさか、と思いつつもおもむろに標準的なゆっくりのサイズのゆっかりんの頬に頬擦りをしてみる。 ゆっかりんの頬、暖かいナリ。悔しい、悔しいが認める。こいつ気持ち良い。 すりすり・・・すりすり・・・ ぷにぷに・・・ぷにぷに・・・ 「お前・・・でかゆっかりん?」 「いまはちいさくてかわいいゆっかりんよ!」 「そうか、お休み」 きっとこれも夢だ。 そう結論付けた私はゆっかりんを放り投げて、再び布団の中にもぐりこんだ。 翌朝、やっぱりゆっかりんはそこにいて、夜中には気付かなかったが彼女の後頭部には変な張り紙があった。 『ゆっかりんを連れて本社社長室まで来なければ・・・・・・』 世の中には回避不可能なイベントというものが存在することを実感した。 差し出し人はもはや言うまでもないだろう。 そんな訳で大学の講義をすっぽかして本社へと赴いた私とゆっかりんは社長室に案内された。 素材は分からないが見るからに高級そうな扉を開け、中に入った私たちを出迎えたのは社長と3匹のゆっくり。 それと妙な目を胸に取り付けた、紫色の髪をちょっと野暮ったい感じに短く刈った可愛らしい女の子だった。 「れみりゃザウルスに、角の生えたきめら丸に、なんか触手が2本生えた気色悪いありすに、それに・・・」 「小五ロリではありません」 「・・・地球の男に飽きた社長のツバメ?」 我ながら半端に古い上に分かりづらいネタを振ったものだ。 それも違います、という少女の突っ込みを聞き流しつつ私は3匹の様子をじっと伺う。 「ゆゆっ!ありすきしょくわるくなんかないわ!」 「ぎゃお~!たべちゃうぞ~!」 「おお、ゆっくりゆっくり!」 見たところ、角や触手、着ぐるみを除いては何の変哲もない普通のゆっくりだ。 特徴と呼べるようなものを強いて挙げるならば、過去にどこかで見たことがあるくらいだろう。 というか、間違いなく夢だと思っていたあの時に遭遇したゆっくりだった。 「お前ら、ちょっと見ない間に縮んだか?」 そう尋ねながらありすの触手をちょうちょ結びにして、きめら丸の角に引っ掛けてやった。 「おお、不快不快」だの、「いながものおおお!」などと喚いているが相手にする必要はないだろう。 紫髪の少女が「読めなかった。無意識に・・・」とか何とかわけの分からないことを呟いている。 「ところでどうしてゆっかりんが縮んだ上に我が家に?」 「あなたの戦いを観戦していたら治療が間に合わない程衰弱しちゃったのよ」 「で、仕方ないから小型化して助けたと?」 「そういうことよ。貴女の家に・・・「言わなくても分かるんでケッコウデス」 どうせ面白そうだからとかそんなところだろう。 「んで、社長室なんかに呼び出して何の用です?」 「実は貴女に伝えておかなくちゃならないことがあるのよ」 「私に?」 「まずはこれを見て欲しいのだけれど・・・お願いできるかしら?」 何故か社長によく懐いているれみりゃザウルスの頬を引っ張りながら、彼女は少女に話しかけた。 「想起『テリブルスーヴニール』」 「・・・んお?」 少女の言葉と同時に、社長室が全く異なるつくりの研究室風の真っ白な部屋とへ姿を変えた。 社長曰く「彼女の能力でこの子達のトラウマを映像化してもらっているのよ」とのこと。 この子達、というのはもちろん例の3匹のゆっくりのことだ。 「ゆぅぅ・・・こわいぃぃ・・・」 「おお、心的外傷心的外傷」 「ぎゃおーーーーーー!!」 その証拠に真っ白な部屋を見た3匹は酷く怯えていた。 「「「「ぬふぅ!」」」」 「「「「ずっぎぢー!?」」」」 研究室風の部屋では男が一列に並んで無数のゆっくりをレイプしている。 ゆっくりの種族は様々で、胴体付きのものもいれば、うーぱっくと呼ばれる変わったゆっくりの姿もある。 そんな有象無象のゆっくりを数人の男が入れ替わり立ち代りすっきりさせていた。 「にんっしんっしたものはおらんか!?」 「「「「にんっしんっの兆候は見られません!」」」」 「そうか。次の組に交代しろ!ゆっくりどもはケージに戻しておけ!」 「「「「了解しました!」」」」 現場監督と思しき中年男の号令に従って、男達はゆっくりを連れて部屋の外へと出て行った。 しかし、彼らと入れ替わるようにしてまた数名の男たちがゆっくりを連れて部屋へと入ってくる。 「撃ち掛け、用意!」 「「「「撃ち掛け、用意!」」」」 「「「「やめてね!ゆっくりさせてね!?」」」」 「はじめ!」 「「「「ぬふぅ!」」」」 そうして再開されるゆっくりレイプ。 その中には後のありすもいるらしく、彼女の悲鳴が聞こえてきた。 「ゆびぃ!やべで、やべでえええええ!ありぢゅ、まぢゃしゅっぎぢぢだぐないよおおおお!?」 「やめてね!ゆっくりできないよ!」 「ゆひぃ!いぢゃい!いぢゃいいいいいいい!?」 ゆっくり達は双眸からぽろぽろと涙を零しながら、その行為の中断を懇願する。 が、誰ひとりとしてやめる気配を見せず、ズンズンッとゆっくりのまむまむにモノをねじ込み続ける。 正直、胴体付き相手にそれをやっている光景は引く。 「「「「ずっぎぢー!」」」」 「にんっしんっしたものはおらんか!?」 「「「「にんっしんっの兆候は見られません!」」」」 「そうか。次の組に交代しろ!ゆっくりどもはケージに戻しておけ!」 「「「「了解しました!」」」」 先ほどと同じやり取りの後、またしてもゆっくりを抱えた男達が室内に入ってきた。 そしてまた同じような光景が繰り広げられる。 「「「「ずっぎぢー!」」」」 「にんっしんっしたものはおらんか!?」 「「「にんっしんっの兆候は見られません!」」」 「こちらのれいむがにんっしんっしたと言っております!」 「そいつは真偽の確認の後にんっしんっしたゆっくり用の部屋に移送!ほかはいつも通りだ!」 「「「「了解しました!」」」」 そう言って男達が出て行くとまた別の男達が入ってきて同じ事を繰り返す。 なんとも混沌とした光景である。開いた口がふさがらない。 「「「「ずっぎぢー!」」」」 「にんっしんっしたものはおらんか!?」 「「「にんっしんっの兆候は見られません!」」」 「こちらのまりさがにんっしんっしたと言っております!」 「そいつは真偽の確認の後にんっしんっしたゆっくり用の部屋に移送!ほかはいつも通りだ!」 「「「「了解しました!」」」」 そう言って男達が出て行ったところで、映像に変化が表れ、にんっしんっしたまりさを追いかけてゆく。 にんっしんっ個体用と書かれたプレートのついた扉を開かれたその先には一辺70cm程度の箱が所狭しと並んでいた。 その中にはいずれも何らかの形のにんっしんっをしたゆっくりが壁際にがっちりと拘束された状態で収められている。 その体には流動食を流し込むためのチューブが取り付けられており、飢えることも渇きを覚えることもないらしい。 「どうだ。前の部屋よりずっと広いだろ?しかも、マジックミラー&防音ガラス仕様だからプライバシーはしっかり守られているぞ!」 「ゆ゛っ!?まえのおへやのほうがいいよおおおお!ぜばぐでもびんなどおはなぢがでぎだもん!?」 「にんっしんっした己の不運を呪うんだな!」 「うぞでず!ばでぃざほんどうはにんっぢんっぢでまぜんんんんん!?」 「じゃ、死ね」 男の冷酷な宣告の直後、まりさは真っ白な床に叩きつけられ、底部からの圧力で餡子を吐いてしまった。 「ゆげぇ・・・おぉ゛・・・」 「はい、さようなら」 嘔吐の苦しみから解放される間もなく踏みつけられ、更に餡子を吐き続ける。 そして、数十秒後。生命を維持するのに必要な量以上の餡子を吐き出したまりさは永遠のゆっくりへと旅立っていった。 「ったく・・・ちゃんと始末しとけよ?」 まりさを潰した男が来る以前から部屋にいた眼鏡をかけた神経質そうな男が、あるれいむが産んだ赤ゆっくり達を調べながら毒づく。 数秒後、この赤ゆっくり達も「ハズレか」という言葉と共に、床にたたきつけられ、3分にも満たないゆん生を終えた。 「なかなか産まれないな・・・」 「仕方ないさ。裏の情報網でもゆっくり人間の存在はせいぜい数体しか確認されていないんだからな」 「しかも、その情報も真偽は極めて怪しい、と?」 どうやら、この男達はゆっくり人間の製造に関する研究を行っているらしい。 そんなものを造って何がしたいのかは、きっと頭が痛くなるような理由だろうから特に知りたくもないが。 そんな馬鹿げたやり取りの後で急に場面が切り替わった。 今度はれみりゃザウルスの視点だろうか。 「ぎゃお゛~!もうだべられないどぉーっ!?」 「嫌なら食うな。その代わり死ぬだけだ」 「う゛う゛うう゛う゛うう゛ー!?」 無理矢理口を押し広げられ、その中に大量の餡子をねじ込まれる。 1回の量が私の握りこぶしくらいはあるような餡子の塊を何度も何度も。 しかし、男の手にしたバケツにはまだ10個ほどその塊が残っている。 「ほら、急いで食え!」 「う゛ー!ぎゃおー!?」 抗議しても、抵抗しても結局全て徒労に終ってしまう。 人間とゆっくりの力の差に物を言わせて強引に餡子の塊を食べさせられる。 そんな拷問を10回ほど受けたところで、ようやくバケツが空になった。 「う゛ーーーっ・・・ごんなの、えれがんどじゃないんだどぉ~・・・」 「ようやく食い終わったか。じゃあ次は運動だ」 男はれみりゃザウルスに首輪をつけると、運動用の部屋へと彼女を連れて行った。 数々の虐待用ツールの並べられたその部屋はゆっくりにとっては相当広く、運動部屋に相応しいものだった。 「さあ、走れ!」 「う゛~っ!ぐるぢぃーーー!?」 最初は拒絶していたが男に鞭で打たれ、その痛みと恐怖から逃げるようにして運動を始めた。 満腹以上の餡子を詰め込まれた体は非常に重く、下手をすれば中身を吐き出しそうになる。 が、その都度男が口を押さえつけて吐かせないようにするので叶わない。 それどころか、吐しゃ物のせいで呼吸が出来なくなってしまい余計に苦しそうだった。 「さあ、走れ!もっと走れ!」 「う゛あーーーーーーーー!?」 「でないと・・・あっちに放り込まれるぞ!」 男が指差した先には小さな窓がついていて、そこから隣の部屋の様子が伺える。 決して広くない隣室にいるのは7匹の胴体付きゆっくりれみりゃ。 1匹は1m弱の立派な成体だが、他は50cm前後の子どもだ。 れみりゃ種は基本的に陽気で、これだけの仲間が揃えば普段ならば仲良く踊っているものである。 しかし、そこにいたれみりゃ達はゆっくり特有の鬱陶しい笑みを浮かべる余裕すらなく、目を真っ赤にして泣きじゃくっていた。 「う゛ーーーー!れみりゃはぢにだぐないんだどー!おねーさまだぢがぢぬんだどー!?」 「えれがんどなおぜうざまはでびりゃだげでいいんだどーっ!!」 「でびりゃのあがぢゃん!もうげんがはやべるんだどー!!?」 スピーカー越しに聞こえてくるその音声はこれから起こる惨劇を十二分に予期させた。 そして、予期どおりの光景が目の前で繰り広げられる。 「う゛ーーーー!いだいどおおおお!?」 「えびりゃのあん゛よ゛がーっ!」 「う゛ーーーー!う゛ーーーーっ!?」 それはまさに蠱毒そのもの。 姉が妹を突き飛ばし、母が我が子を制止するために圧し掛かってぽかぽかと殴る。 たいした膂力もないれみりゃの闘争ゆえ、一見するとふざけているようにしか見えないが、徐々にそれゆえに凄惨さを帯び始める。 不可抗力で目を突き破られたあるれみりゃが床に伏して絶叫したのが、そのきっかけだった。 「うぎゃあああああああああああああああああああ!?」 「うぅ?・・・わかったどぉ!おべべをねらえばいいんだどぉ~!」 決定打を与えられない状況に業を煮やしていたれみりゃ達は、偶然によってもたらされた必殺の攻撃に頼り始めた。 姉の、妹の、母の、娘の2つしかない、流石に再生しようのないそこを狙って7匹がぶつかり合う。 抱き合ったまま転がり、相手の上に馬乗りになることに成功したものが相手の目を抉り出すが、その隙に横から目を穿られる。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」 「ぎゃお゛ーーーーーー!?びえない゛いい゛い゛い!ぐらいどーーーっ!?」 「うー・・・・・・」 「ままぁ~・・・れみりゃ・・・」 数分後、そこには両目を失ったれみりゃ5匹と、片目を失ったれみりゃ2匹ののた打ち回る姿があった。 既に息絶えたものや痛みでうずくまるものにぶつかりながらも狭い部屋の中を徘徊する両目を失った母れみりゃ。 そんな地獄のような光景を見てなおも闘志を失わなかった、片目だけは何とか守り抜いた2匹は未だに争い続けている。 「う゛ーーーー!ぢね!ゆっぐりぢね!」 「えでがんどなでびりゃはぢなないんだどー!れびりゃがぢぬんだどーっ!?」 まるでゆっくりふらんのように死ねを連呼しながら揉み合う2匹。 殴り、噛みつき、踏みつけ、突き飛ばし、圧し掛かり・・・お互い、目に攻撃を当てられないながらも確実にダメージを蓄積させてゆく。 決着がついた頃には片目こそ相変わらず勝利を収めたれみりゃもまた右腕と翼を失い、全身に出来た傷から肉汁を垂れ流していた。 その後、修羅と化した(というには幾分緊張感を欠く容姿だが)幼いれみりゃは全盲の母が躓いて転んだ隙をうかがって襲い掛かった。 「う゛ーーーー!やべるんだどー!?おがーざまになにずるんだどーっ!?」 「うー!ぢね!しね!?」 「やべるんだどーっ!うーーーーーーー!?」 「ぢね!ぢね!ぢね!ぢね!?」 「うっう~・・・うー・・・」 ようやく、家族同士の殺し合いに決着がついた。 もちろん、その間もずっとれみりゃザウルスは走りっぱなしだったのは言うまでもないことだろう。 「よし、とりあえずドス食わせてみるか?」 「ほら、食え食え」 「やめてください、おおすぎます」 今度は元きめら丸視点。 彼女の隣には3m程度の大きさのドスまりさと思しき何かが逆さ向きに転がっていた。 口を塞がれた巨大饅頭は半分以上焼け焦げた底部をうねうね動かしている。 「ー!・・・・・・っ!?」 一切の移動もドスパークも封じられたドスまりさは何とか動かせる部位だけを動かして起き上がろうともがいている。 しかし、彼女の巨体はその程度では微動だにせず、そうこうしている間にも男が彼女の皮を剥ぎ取ってゆく。 更に皮を失った部分の餡子を穿り出すと、それを角の生えた・・・というよりも角を刺されたきめぇ丸にねじ込む。 「やめてください、もどしてしまいます・・・エレエレエレ」 「しかし戻したものを更に戻す!」 意味も無く叫んだ男は右手できめぇ丸を押さえ込むと左手で彼女の吐いたものを掬い、乱暴にそれを飲ませる。 流石のきめぇ丸もこれには死に物狂いで抵抗するがやはり人間には敵わず、ゆっくりにとっては酷い匂いを漂わせるそれを飲まされた。 「お、おお・・・くさいくさい・・・」 そう言いながらもニヒルな笑みは絶やさないきめぇ丸だったが、きめぇ丸特有のシェイクには普段の切れが全くなかった。 それからも色んなものを見せられた。 子どもの成長速度を強化され、ひたすら子どもを産まされ続けるれいむ。 レイパー因子を外部から投与されて後天的にレイパー化させられたありす。 この両者の交わりは1週間に140匹という驚異的な多産を可能にした。 それと同時に己の蛮行に苦しむありすと、毎日今生の別れを繰り返すれいむの心を凄まじい勢いで蝕んでいった。 「でいぶうううう!ぎょうもずっぎぢごべんなざいいいいいいいいいい!?」 「いyAあああああああああああAaaaa!?ZuggiりぢだぐNaいいいいい!?」 「「ずっぎりー!」」 「「「「「「「「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」」」」」」」」 「ゆ、ゆっくりSiていってNE!」 「だがお別れなんだな!」 「れいぶNoあがぢゃんGaああああああああああ!?」 「あぢずのどがいはなあがぢゃんんんんんんんん!?」 あるまりさ達は若手のドスまりさの用いるキノコを食べて、ドスパークの練習を強要されていた。 しかし、そのキノコを食べたからと言って簡単に撃てるような代物ではない。 「ゆ゛ヴぁ!?」 「ゆびぃ!?」 パンッ!という軽快な音が室内に響くと同時に黒いものが四散する。 言うまでも無く、ドスパークに失敗したまりさが爆ぜたのだ。 それを見たまりさ達は訳も分からずに怯え、泣きじゃくる以上のことなど何も出来ない。 運良く原因がキノコにあることに気付いて吐き出したとしても、お仕置きと称して人間に潰されてしまう。 知能強化と称して中身を増量させられたぱちゅりーの皮が破れ、そこから中身が漏れ出して死んだ。 人語を話せるように改造されたみょんとめーりんはオリジナリティがないという理由で潰された。 あるちぇんは何となく潰された。 「「「「「「「「「「ごれぢゃゆっぐぢでぎないよ!」」」」」」」」」」 そこはまさにゆっくりにとっての地獄だった。 「で、これがどうしたんです?」 それが映像を見終えた私の率直な感想だった。 確かに私はゆっくりを飼っていて、多分それなりに可愛がっている。 しかし、その一方でお菓子として食べることもある。 それゆえ、ゆっくりがいたぶられる光景に可哀相だとは思うが憤ることは決してない。もちろん、喜びもしないが。 「実は彼らはゆっくりで世界征服をたくらむ悪の秘密結社なのよ」 「・・・なんかコロコロの悪の組織みたい」 本当にあいつらは何がしたいんだろうね? ミニ四駆やベーゴマやヨーヨーで世界を征服しようって言うんだからとても正気とは思えない。 そんな馬鹿丸出しの組織が実在、それもゆっくりを用いてだなんて・・・。 「放っておけば?」 「そうしたい所なんだけれどね・・・」 と、頭をかきながら呟いた社長はおもむろに私を扇で指した。 「問題は貴女のようにドスパークを使えるゆっくり人間が誕生するかも知れないってことなのよ」 「・・・・・・ああ、なるほど」 確かにそりゃ危険だ。 キノコの一本でもあれば、酷い時にはそれすら無しに破壊光線を撃てる人間。 外見によって識別も金属探知すらも無効化し、おおよそ文明のある場所ならどこにでも侵入できる。 ついでに言うと、人間一人の侵入を完璧に阻む都市なんて存在するはずもない。 しかも、社長によると「姿を消す能力を有するドスまりさ」もいるらしい。 そんな能力を持ったゆっくり人間が悪用されてしまえばどうなるか・・・まともな脳みそを持つ人間であれば説明するまでもない。 「って、そうじゃなくて・・・」 「何の意図があって私にこんなものを見せたのか、ですね」 「アンタ、便利ね?」 異能力を身に着けたゆっくり人間が世間に出回るとどうなるかとか、ドスパークを使えることを受け入れている自分はどうなんだろうとか・・・ まとまり無く色んな事を考えていた私の思考の中から最も重要な一点を正確に代弁してくれたのは紫髪の少女。 よく見ると実に可愛らしい子だ。あ、今照れた・・・なんてやってる場合じゃない。 少女から視線を外し、改めてれみりゃザウルスをあやしている社長の顔を見つめた。 「そうそう。それで貴女に注意しておきたかったのよ」 「注意?まあ、何となく予想できるけど・・・」 「“私、狙われるかもしれない?”」 「そこは心より空気を読もうね、お嬢ちゃん・・・」 薄々感付いていても第三者に指摘されると結構へこむ。 しかし、がっくりとうなだれる私に社長は更に追い討ちをかけてくれた。 「あと・・・貴女がドスパークを使える理由なんだけれど」 「いや、別に聞きたくないから」 「却下♪」 「“力の源泉を知らないと暴走する恐れがある”」 「フォローされても聞きたくない・・・」 頭を抱える私の都合なんてお構い無しに、ついに力の正体が明かされた。 「実は・・・貴女の前世がとても有名なドスまりさだったのよ」 ・・・案外普通でほっとした。 ---あとがき--- 次回、第一の刺客リオれいむ! ドスお姉さんと謎の組織の激しい田打開の火蓋が今・・・切って落とされる!! なんて事はきっとありません。どうせ今後も緩々です。 この作品のネタ元は『ゆっくりいじめ系2023 ある少女のお話』のあとがきから 勝手にゆっくり人間を増やすのもアレだろうということで、スピリチュアルな理由付けになりましたが。 社長とか、紫髪の少女とか何かもう色々やりたい放題です。さーせん>< 【登場キャラ紹介という名の作者の独り言】 ドスお姉さん(仮) ノリと勢いで前世が饅頭になり、更に訳の分からない力に目覚めさせられてしまった酔いどれ女子大生。 今後の訓練次第では不可視化も習得できるので遅かれ早かれ極めて危険な人間兵器になる。 ゆっくりに懐かれやすいのも、ゆっくりとの交渉能力が高いのも前世がドスまりさだかららしい。 社長 ミステリアスのパーフェクト美人女社長。多くは語るまい。 紫髪の少女 テレパスっ娘。何故いると訊かれればお答えしよう。作者の趣味、と・・・。 ゆかりモス 名前を思いついたのは書き終えてから。元ネタはグラビモス。 ドスまりさ 後日談にて今後のみの振り方を明かされなかった気の毒なやつ。 テンタありす 元ネタはテンタクルス。正直、これはもうゆっくりじゃないよ・・・。 そう考えるとホ○ミスライムってすげぇなと思ってしまう。 ティガれみりゃ うん、なんだ。ティガれみりゃの人のれみりゃを可愛く書くスキルは異常だと痛感した。 きめら丸 こんな奴虐待できるかチクショウwww byゆっくりボールマン
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/349.html
ある昼下がり。 川沿いを歩きながら妹紅は暇を潰していた。 いつもならば、こういう時はバ輝夜との殺し合いか慧音と会うか家事に勤しんで過ごしている。 しかし今日に限って輝夜はなんの動きもなく、慧音も忙しくて会えない。家事も終わってすることもなく、じっとしているのも退屈だった妹紅は外へ散歩に出ていた。 竹林から少し離れた所に川がある。自然のあふれるこの光景も、長い年月の果てに緑が育ち、枯れ果て、川が荒れ、水が引いて、様々な形で変化している。 妹紅は昔の風景を一つ一つ噛みしめるように思い出しながら歩いていた。 「ゆっ!」 「ゆゆっ!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくり! ゆっくり!」 「ゆっくりしてだって」 「おお、めでたいめでたい」 「……」 台無しだった。 川辺で水でも飲んでいるのか、妹紅の目の前ではゆっくりれいむの家族達がしきりに騒いでいる。情緒もへったくれもないその光景に思わず妹紅はため息をついた。 「お姉さんどうしたの?」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっ! ゆっ!」 妹紅に気づいたゆっくりが妹紅の側へ寄ってくる。 頭を抱える妹紅。しかし嫌がってるわけではない。別に暇とはいえゆっくりと過ごす気なんてなかった妹紅としては微妙な状況だが、他にやることもなく、ちょっとはゆっくりしていくのも有りかと思っていた。 「ゆっ!」 「ゆゆっ! ゆっくりっ!」 「ゆっくりちていってね!」 「……」 なんだか、やたらと声が多いな……。 疑問に思った妹紅は、あらためて妹紅はゆっくり達の数を数え始める。 普通のゆっくりれいむが1匹、お母さんゆっくりが1匹、なんかうざいのが2匹。 そして今、草をかけ分けながら妹紅の側へ来ようとしているちびゆっくり達が。 「……うおっ」 草が邪魔で数え間違えているかもしれないが、適当に数えても20匹以上いた。産んだばかりなのだろうか、もしそこにいるお母さんれいむだけで産んだなら随分珍しい出産数だろう。 そのちびゆっくりの多さに驚きながら、妹紅の頭の中にふとある考えが浮かんだ。 ……これだけ数がいるなら楽しめそうだ。 「あんたら、まだここにいるの?」 「ここはれいむ達のあそびばだよ!」 「あそびばだよ! あそびば!」 妹紅の言葉にぴょんぴょん飛び跳ねるれいむ達。この川辺は自分たちのものだと主張しているらしい。 「別にここを奪ったりはしないよ。私はこれから行くところがあるけど、その後で一緒にゆっくりしてもいいか?」 「いいよ! れいむ達しばらくいるよ!」 「お姉さん一緒にゆっくりしようね!」 「ああ」と返事をして立ち去っていく妹紅。 まずは準備のために、自分の家へと戻っていった。 妹紅が用意したのは、まずその辺でゆっくりしすぎた結果がこれだよ!と倒れているゆっくりちるの。ゆっくりちるのは、たとえ倒れていても体温は冷たいので上手く炎を調節し、ちるのが溶けないように、手が凍結しないようにして運んでいく。 次に用意したのが細身の竹。太い竹ならいくらでも生えているが、脆すぎず、固すぎない竹を探すのは意外に手間がかかった。 最後に家から小刀などを持ち出すと、妹紅は元の場所まで戻ってきた。 「あ! お姉さん!」 「ゆっくりしていってくれるの!」 「たくさんゆっくりしていってね!」 約束通り現れた妹紅に飛び跳ねながら喜びをあらわにするゆっくり達。まだ飛び跳ねられないちびゆっくりは、体をぷるぷる震わせながら喜んでいた。 妹紅は持ってきたゆっくりちるのを地面に置く。 「お姉さん! この子とはゆっくりできないよ!」 「冷たいよ! 凍えるよ!」 さらに持ってきた風呂敷を広げ、ちびゆっくりたちを集めていく。 「ゆっ! ゆゆっ!」 「お、お姉さん!」 「早く離してね! すぐに離してね!」 しかし妹紅は手を止めず、そのまま20匹いたゆっくり達は風呂敷に包まれてしまった。 「ゆゆっ!」 「くるぢひよ! ゆっくりできないよ!」 「早く離してね! すぐに離してね!」 残された普通のれいむが足下にまとわりついて離れないが、妹紅は気にした様子もなく、そのままうざいゆっくり達の側へいく。 「ゆっくり離してだって」 「おお、こわいこわい」 何か言っていたが気にすることもなく、うざいそれを蹴り飛ばした。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆっ!」 「おおおぉおぉおおおぉおぉっ!」 地面に当たって二度三度跳ねながら、川へと落ちていった。 何か叫んでいるようだが、川の底で叫んでも聞こえない。水を含んで体が膨張していく。 「酷いよ! お姉さんとはゆっくりできないよ! 早くどこかへ行ってね!」 妹紅の足に体当たりをするれいむ。さすがに歩いている最中に体当たりされて転けかけるも、踏ん張る妹紅。 このまま体当たりを続けられたら敵わないと、妹紅はゆっくりを踏みつけておいた。 「ゆ゛っ!」 体が少し潰れ、痙攣するゆっくり。すぐに動く事はできないだろう。 妹紅はそのままお母さんゆっくりへと近づいていく。一瞬の出来事でどんどんいなくなる子供達にお母さんゆっくりは状況が理解できず、川辺で固まったままだった。 「よっと」 お母さんゆっくりを持ち上げて、そのまま運んでいく。途中で「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁあ゛あ゛ぁあ゛っ!」「がえ゛じでぇえ゛え゛ぇえ゛え゛ぇえ゛ぇっ!」と暴れ始めるが、妹紅の手が緩む事はなかった。 ゆっくりちるのの側まで戻ると、妹紅はお母さんゆっくりをその上に乗せる。 「ひ゛ぃぃい゛い゛ぃあ゛あ゛あ゛あ゛ぁあ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛ぁっ!」 徐々に冷たくなっていくお母さんゆっくり。ほどよい冷たさになったところで持ってきていた小刀を取り出すと、妹紅はお母さんゆっくりの頭の上の部分を横に切り取り、あんこを露出させた。 「あ゛あ゛ぁあ゛ぁあ゛っ! あ゛だま゛! あ゛だま゛がぁあ゛あ゛がぁあ゛あ゛っ!」 「よし、準備できたっと」 満足げに呟く。先ほど踏みつぶしておいたゆっくりが、また妹紅の足下にやってきた。 「お、お゛があ゛ざんっ、お゛があ゛ざん、がえじでぇええぇぇえっ!」 「ああ、ちょうど良いところに来た」 そう言うと、先ほどよりも強めに力を込めて踏みつける! 「ゆ゛っ!」 地面にゆっくりが軽くめり込んだのを確認すると、妹紅はその上に腰を下ろした。 「ゆゆうい゛い゛い゛ぢあ゛ぁあ゛ぁおあ゛あ゛あ゛ぁっ!」 椅子にされたゆっくりの絶叫が響く中、持ってきた竹の先に糸を括り始める。 括り終わると、結んだ風呂敷に手をいれ、ちびゆっくりを取り出した。 窮屈さから解放され、顔に花を咲かせるちびゆっくり。 「おねえさんありが──」 ぶすりと、釣り針を刺した。 「いだい゛ぃい゛い゛ぃい゛い゛っ!!」 「さて、なにが釣れるかな」 竹をしならせ、餌のちびゆっくりを川へ投げ込む。 穏やかな気候の中、妹紅の釣りが始まった。 「ゆっぐり゛り゛ぃい゛い゛いぃいい゛ぃいっ!」 竿を通じて当たりが来る。なかなか強い引きが大物を予感させる。 「よっし来たっ!」 竿を引っ張り上げる。釣り糸の先には、ちびゆっくりとその餌に噛みついて離れない魚の姿があった。 「う゛う゛う゛う゛ぅう゛う゛う゛っ!」 水を含んで脆くなった体に、食いついた魚の重さで引き千切られそうになるちびゆっくり。 妹紅としてみればちびゆっくりを丸呑みできるような大物に期待しているのだが、さすがになかなか食べてはくれず、釣れては半端に欠けるちびゆっくり達をさらに川へ戻して釣りを続けている。 しかし今のちびゆっくりほど脆くなったらもう無理だろうと思ったのか、魚を外すと、そのままちびゆっくりを針から外して川へ放り投げた。 「あ゛ぁぁぁあ゛あ゛ぁぁぁっ!」 川に落ち、分解していくちびゆっくり。巻き餌代わりにはなるだろう。 最初に落としたうざい奴らは、もう全部食べられてしまったのか、川を見てもそれらしい跡は見あたらなかった。 釣った魚を手に持ち、お母さんゆっくりの元へ行く。 「ゆ゛っぐり゛……ゆ゛っぐり゛ぃいいぃい……」 何匹か投げ飛ばされていったちびゆっくり達の末路に悲しむお母さんゆっくり。そのゆっくりの頭に魚をのせ、あんこを穿っていく。 「ゆ゛っ! ゆ゛っぐり゛っ!」 冷たくなったあんこが妹紅の手を急激に冷やすが気にせず、開いた穴に魚を入れ、そのまま埋めていった。 「あ゛あ゛あ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛あ゛ぁぁ……っ」 瞳孔が開き、僅かに痙攣するお母さんゆっくり。 そんなお母さんゆっくりの横に、もはや絶命して動かなくなったちびゆっくりの姿がある。風呂敷から取り出し、先ほどちるのの上に置いておいたちびゆっくりだ。 妹紅はしっかり冷やされたちびゆっくりを手にすると、また釣りを再開するために戻っていく。 れいむに腰を下ろすと、そのままちるのの冷気で冷やされたちびゆっくりを口にいれる。 しゃりっとした感触とちびゆっくりのあんこの甘みが、妹紅を笑顔にした。 「そろそろ、もうちょっと大きめの大物が釣りたいな~」 風呂敷から新たなちびゆっくりを取り出す。外に出されたらどうなるか既に理解しているちびゆっくりは、既に震えながら泣き叫んでいた。 変わらずちびゆっくりに釣り針を刺し、そのまま川へと放り投げる。 しかし今回はいつもと違っていた。 「えっ?」 水音がしない。妹紅の竿にも、ちびゆっくりが落ちた感触がなかった。 「うー♪ うー♪」 「ゆ゛っく゛り゛ぃい゛いい゛ぃいいぃっ!」 「……」 どこからともかくやって来たゆっくりれみりゃに、空中で受け止められ、そのまま齧られていた。 思いもしなかった獲物に言葉を失う妹紅。 「……まぁ、大物かな?」 「うまうま♪」 すぐにちびゆっくりを平らげるゆっくりゃ。その口には釣り針が引っかかっているが、場所が良かったのか痛みに耐える様子はない。 妹紅は側に寄せようと、釣り竿を大きく引っ張る。 ゆっくりゃの体が大きく横に伸びた。 「うっ! う゛ぁあ゛あ゛あっ!」 激しい痛みと力に、羽ばたいて抵抗するが、ゆっくりゃの力は人に逆らえるほどはない。 ほどなくゆっくりゃは釣り上げられ、妹紅の手の中に収まった。 「うー……!」 引っかかった針が痛むのだろう、涙を浮かべたまま妹紅に怒りを向けるゆっくりゃ。肉まんなその頬が膨れている。 しかし妹紅は気にすることなく羽をもぎ取る。 「い゛ぎぃあ゛あ゛ぁぁあぁぁっ!!」 邪魔なものがなくなったとばかりに、そのままゆっくりゃに齧りついた。 「ごめ゛んな゛ざいいいいいいい!!」 謝られても、美味しいし。妹紅に止める気はまるでない。 ものの5分もしない内に、ゆっくりゃは妹紅のお腹の中に収まった。 残った羽は、一端燃やし、ほどよく火が通ったところで齧る。 噛めば噛むほど味が出てくる、魚の干物のようなそれは酒のつまみに持ってこいで、妹紅もお気に入りの一品だ。 羽を咥えたまま、新たに餌をつけ、釣りを再開する妹紅。思わぬところでつまみも手に入り、魚も入れ食いで気分は上々だ。ゆっくりに散歩を邪魔された時はどうなるかと思っていたが、これはこれでいい暇つぶしになっていた。 竿にまた当たりが出る。先ほどよりも強い引きに、妹紅の期待は高まった。 「よぃ……しょっと!」 両手に力を込めて引き上げる。 「ケロケロ! ケロケロ!」 「カッパ! キュウリ!」 「……」 釣れたのは、外道だった。 「……」 「ケロケロ!」 「にとりー!」 ちびゆっくりに食いついて離れないゆっくりケロちゃんとにとり。 もうお腹いっぱいになっていた妹紅に食欲はなく、ちびゆっくりから針を外すと、そのまま3匹とも地面へ落とし、燃やしていった。 「ゲロゲロゲロ!」 「み゛、み゛どり゛ぃぃい゛いっ!」 「……ゆっ、ゆ゛っく゛り゛……」 ゆっくりの臭いに、焼ける蛙の臭いを思い出す妹紅だった。 妹紅が腰を上げる。気づけば日は夕暮れ。そろそろ用事も終わり、慧音が訪ねてくるかもしれない。バ輝夜は居留守で充分だけど、慧音に無駄足を踏ませるのは可愛そうだ。せっかく大漁だったのだから、慧音にも分けてあげよう。 釣り自体気まぐれであり、普段もしているわけではない妹紅に取って釣り竿はただ荷物になるだけだ。竿を真ん中でおり、糸を外して置いていく。 座られ続けたれいむは数時間前からピクリとも動かない。体は完全に硬直し、今やただのオブジェと化していた。 ゆっくりちるのの上に乗せていたお母さんれいむを、炎で解凍していく妹紅。氷が溶けきり、どうにかちるのから外れそうだ。 両手で抱え、そのまま膝を使って持ち上げた。 「……うっ……ゆっ……」 かすかに聞こえてきた声に、思わず妹紅は抱えているものの顔を見た。 「……ゆっ……」 「まだ生きていたんだ」 子供の多さからタフそうだと思っていたが、それにしてもその生命力の高さは妹紅を随分驚かせた。 元来た道を戻っていく妹紅。その間にも、お母さんれいむは希に声を上げる。生きてはいるものの、あんこを魚に陵辱され、ちるのの冷気で冷凍されている、このまま放っておけば死んでしまうだろう。 妹紅はずっと考えていた。 こんな生命力のあるゆっくりでデザートを作れば、バ輝夜はとても喜んでくれるだろう。 いつか輝夜に食べさせるため、魚臭いあんこでなんのデザート作るか考える妹紅だった。 End 妹紅 → もこたん釣りしたお! お母さんゆっくり → クーラーボックス ふつうのゆっくり → 椅子 うざいの → 撒き餌 ちびゆっくり → デザート 兼 餌 ゆっくりゃ → 昼ご飯とつまみ チルノフ → ゆっくりした結果がこれだよ! ■話を書く前の気持ち 実際ゆっくり餌にしたら何が釣れるだろうな ↓ ゆっくりゃが釣れるんじゃね? ↓ それじゃゆっくり餌にゆっくりゃ釣って虐待しようぜ! ■書き終わった後 もうれいむでいいや……。 by 762 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1578.html
前 ※人間、妖怪等は出てきません ※俺設定あります ※某ゆっくりがとても美化されております 春も中盤にさしかかった。まりさの子供達は順調に育っている。 まりさと同じく、普通のゆっくりでは考えられないほどのスピードで成長していた。 今では既に全員大人ゆっくり並みの大きさになっている。 この一ヶ月余り、まりさ親子は不幸に見舞われながらもその度生還した。 ある時は発情していたありす達に襲われてはそのコミュニティを壊滅させた。 ある時は牙を剥いてきた数匹の体無しれみりゃを難なくやっつけた。 ある時は周りのゆっくり達に迷惑をかけていた体長2mほどもある巨大ゆっくりを倒した。 皆で力を合わせれば怖いものなんて無い。自分達は無敵だ。 何度もやってくる危機は、まりさ達に過剰ともいえる自信を与えていた。 そんなある日の事。 まりさ達親子は草原でかけっこをしたりお昼寝したりしてゆっくりしていた。 そして日も沈みかけたころ、まりさの耳にこの世で最も憎い声が聞こえてきた。 「う~! た~べちゃうどぉ~!」 忘れることなど出来ようか。 それはかつて幸せだった自分達の家族を引き裂いた存在。 声のした方向にまりさは目を向ける。 そこにはあの日と同じように、にこにことした笑顔を浮かべる体つきれみりゃがいた。 勿論、以前とは違う個体だろう。だがまりさはその姿を見るだけで、心の奥から憎しみが湧きあがってくるのを感じた。 「れみりゃはおなかがすいてるんだどぉ~! おまえたちはれみりゃのでぃな~になるんだどぉ~☆」 両手を天に掲げ、れみりゃはまりさ達に向かってくる。 以前と同じ光景。母を失ったあの時と。 だが自分はあの時とは違う。あれから沢山の出来事を体験した。 何度も何度も死にかけたし、家族を持ち幸せな時間も過ごした。 体も大きく強くなったし、自分と同じぐらい強く逞しい子供達もいる。 いくら体付きれみりゃであろうと、自分達が力を合わせればどんなゆっくりにも負けはしない。 まりさはそう信じている。 「ゆっ! みんな! あのれみりゃをやっつけるよ!」 「「「ゆーーー!」」」 まりさの掛け声を号令に、子ゆっくり達は散らばり、れみりゃを取り囲む。 それが何を意味しているのか、れみりゃのお馬鹿な頭では全く理解できない。 「う~? あそんでないではやくれみりゃのでぃな~になるといいどぉ~!」 れみりゃは一番近くにいた子まりさに手を伸ばした。 非常にゆっくりした動作。故に子まりさはそれを難なく避ける。 そして空いたれみりゃの脇腹へと勢いよく体当たりした。 ドガッという音と共にれみりゃの顔が苦痛に歪む。 「う゛あ゛~~~!! い゛だいどぉ~! な゛にずるんだどぉ~~!!」 突撃した子まりさは再び元の位置へと戻り、体勢を立て直す。 それからは同じような事の繰り返しだった。 れみりゃの空いた背中や脇腹へまりさ達は体当たりをし、そして定位置へ戻る。 実に単純な攻撃。だが頭の悪いれみりゃ相手には効果的な戦法だった。 何度か繰り返すと、漸くれみりゃの体に負担が来たようで、彼女はその場に膝をついた。 ぜーはーぜーはーとれみりゃは息を荒げている。 その様子を見てまりさは再び子供達に号令をかけた。 「ゆ! いまだよ! みんなでとびかかるよ!」 周りを囲っていた子まりさ達が一斉にれみりゃへと飛びかかる。 不意打ちを食らったれみりゃはその衝撃でうつぶせに倒れた。 まりさ達はそのままれみりゃの体へと飛び乗り、体重をかけてプレスする。 「う゛あ゛~! や゛め゛る゛んだどぉ~~!!」 れみりゃが手足をジタバタさせて暴れる。 その力はとても強く、まりさ達は体から跳ね飛ばされて地面へと着地した。 だがれみりゃが立ち上がる前に再びその体へ乗って飛び跳ねる。 しばらく繰り返すと、れみりゃは疲労と痛みが蓄積したのか、横たわったまま全く動かなくなった。 息はしているので死んではいないようだ。 まりさ達もまりさ達で既に満身創痍だった。 途中何度か、れみりゃのジタバタ攻撃によって子供達もダメージを受けてしまっていた。 攻撃を受けた部分がへこんだり痣になったりしているが、幸い命に別条はないようだ。 「うぅ…いたいよぉ…!」 「だいじょうぶ!? がんばったね!」 一対多数とはいえ相手は捕食種、それも最上位にランクする体付きれみりゃである。 いくらまりさ達が進化したとはいえ、誰一匹も死なずに済んだのは幸運としか言いようがない。 まりさは子供達を励ましたあと、近くの木にあった太く長い蔦を数本れみりゃに巻きつけた。 無事な子供達にも手伝ってもらい、身動きできないようにしっかりと結びつける。 「う゛~! これをほどくんだどぉ~! さもないとたべちゃうどぉ~!」 話せる程度に回復したれみりゃは体を動かそうとするが、足首までしっかり結ばれているため全く身動きできない。 移動する事も出来ないので、まりさ達を食べることはできない。 とうとうあの体付きれみりゃをも倒せるようになった。力を合わせた自分達は無敵だ、とまりさは思う。 それと同時に優しい母の顔を思い浮かべ、涙を流した。 お母さんの仇はとったよ、と。 思えばあれから色々な事があった。何度も何度も辛い経験もし、その度に自分の無力さを嘆いた。 だがこれからはもう大丈夫だ。自分達に怖いものはない。 早くゆっくりプレイスを見つけて、可愛い子供達と一緒にゆっくりと暮らそう。 と、そこでまりさはお腹がすいているのに気が付いた。 「ねー、おかあさん。おなかすいたよ!」 「なにかたべものをさがそうよ!」 子供達も先程の戦いで疲れたのか、空腹なようだ。 とは言っても周りに食べ物は無い。 やはりこれから探しに行かなければならないか、と思ったところでまりさはいい匂いがすることに気づいた。 食欲を刺激する肉の香り。それはどうやられみりゃから発せられているらしい。 少しためらったが、まりさは試しにれみりゃの指を食べてみた。 「う゛あ゛ーーーーー!! や゛め゛る゛んだどぉーーーー!」 刹那、まりさの口内に肉汁が染み、具の肉まんの旨みが広がった。 何て美味しいんだ! まりさは子供達にもれみりゃを食べてみるように言った。 最初は恐る恐るだった子供達も、一口れみりゃの一部を口に含むととても幸せそうな顔になる。 「「「「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」」」」 まりさ達の合唱と、れみりゃの悲鳴が周囲に響いた。 蔦で縛っている部分を避けながられみりゃを食べていると、まりさはある事に気が付いた。 何と、食べて無くなったれみりゃの体の部位が再生してきたのだ。 「ゆ! すごいよ! すぐにもとどおりになるよ!」 「これならいくらでもたべられるね!」 むしゃむしゃと再び生えてきたれみりゃの部位を食べるまりさ達。 食べられては再生し、再生しては食べられるという恐ろしいループへと陥ったれみりゃは泣き叫ぶしか出来ない。 それからまりさ達はお腹いっぱいになると、そのままゆっくりと眠り始めた。 こんなところで堂々と眠っていたら捕食種が襲ってくるかもしれないが、それでも自分たちならば負けないという自信があった。 しばらくすると、まりさは大きな叫び声で目を覚ました。 どうやらその声は縛られているれみりゃが出しているものらしい。 どういうわけか、れみりゃは元々不細工な顔をさらに涙でぐしゃぐしゃにしながら泣き叫んでいた。 「う゛あ゛ーーーーー!! はやぐれみ゛り゛ゃをじゆう゛にするんだどぉーーーー!!」 その声はいつもの呑気な様子はなく、切羽詰まった声色である。 恐らく先程の出来事を思い出して泣いているのだろうとまりさは思った。 「むにゃむにゃ…なんだかうるさいよ」 「ゆー…おかーさん、どうしたの?」 れみりゃの悲鳴を聞いてまりさに続いて子供達も目を覚まし始めた。 まりさは子供達に起こしちゃってごめんねと言い、れみりゃには静かにして、と怒鳴る。 だがそれでもれみりゃは一向に叫び止む気配がない。 「うあ゛ーーーーー!! だずげでぇーー!! ごごがら゛に゛げるん゛だどぉーーーー!!」 「しずかにしてね! ねむれないよ!」 と、そこでまりさはおかしな事に気づいた。 れみりゃは先程の光景を思い出したか、またはこれからの事を考えて泣き叫んでいるのかと思っていた。 だがれみりゃは自分を見ていない。顔を上げ、遥か上空に視線を定めている。 一体何なんだ、とまりさが言おうとした瞬間――。 ゾクリ とまりさの背中に凄まじい悪寒が走った。 一刻も早くこの場から逃げ出したくなるような、刃物で体内を滅多刺しにされたような感覚。 れみりゃは何を見ているんだろう。 そう思ったまりさは自分も振り向こうとする。 だがゆっくりの本能が訴えかけていた。見てはいけない、さっさと逃げ出せ、と。 それでもまりさは何とかれみりゃの視線の先――自分の背後の夜空を見た。 まりさは三つの間違いを起こした。 一つ、さっさとれみりゃを処分しなかったこと。 一つ、あまりにも自分の力を過信していたこと。 そして――『それ』の存在を知らなかったこと。 れみりゃとまりさが見つめる先、美しく光を放つ満月を背に『それ』はいた。 煌めく金色の髪を風になびかせながら、『それ』は無機質な目で下界を見下ろしている。 見た目はれみりゃに似ている。しかし、れみりゃを出来損ないのぬいぐるみと例えるなら、『それ』はまるで職人によって精巧に作られた人形のようだ。 何よりその圧倒的な威圧感はれみりゃなぞには出せはしない。 ゆっくりの一種ではあるが体が存在し、その背からは一対の優雅に輝く羽が生えている。 れみりゃの匂いに惹きつけられ、やって来た『それ』――最強にして最凶の捕食種、ゆっくりふらんは今宵の獲物を確認すると二マリと口を開いた。 「ゆっくりしねっ!!」 その言葉が周囲に響くやいなや、空中のゆっくりふらんの姿が消える。 「ゆゆっ!? どこにいったの!?」 まりさが困惑していると、彼女の後ろから悲鳴が聞こえた。 「う゛ぎゃ゛ぁ゛ぁぁぁぁーーーーーー!! い゛だい゛どぉぉぉーーーー!!」 その声の主はれみりゃの様だ。恐る恐るまりさは振り返る。 そこで見た光景は。 「や゛べでぇ゛ぇ゛ぇ゛ーー!! ざぐやーーー!! ざぐやーーー!!」 「ゆっくりしねっ!!」 ふらんが後方かられみりゃの頭を齧っていた。ゆっくりふらんは一瞬にして地上まで急降下し、肉に噛みついたのだ。 真正面から見ているまりさの眼には、涙や肉汁でぐしゃぐしゃになったれみりゃの顔と、その頭を頂点から鋭い牙で削り、咀嚼する楽しげなふらんが写る。 それを見たまりさの背中に冷たいものが走った。 れみりゃは縛られているため身動きができず、ただただ泣き叫ぶことしかできない。 「あ゛あ゛あ゛ーー!! れみ゛り゛ゃはだべもの゛じゃな゛い゛どぉーーー!! ざぐやーーー!! だずげ」 「うるさいっ!!」 「ぶべ゛ぇっ!?」 ブチッ、という大きな音。それはふらんが齧りついていたれみりゃの頭部をそのまま力任せに胴体から引き千切った音だった。 「びぃぎゃあ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!?」 「うるさいれみりゃはさっさとしねっ!!」 ふらんは頭だけになったれみりゃを手に持ち直す。 既に元の三分の二ほどの大きさになった顔の正面から、彼女は大きく口をあけてそれを喰らった。 無数の細く、鋭い牙がれみりゃの顔面を一瞬にして削り取る。 くちゃくちゃとふらんが肉まんを噛む音が辺りに木霊した。 断末魔を上げる暇もなく、れみりゃはこの世のものではなくなった。 「あーーん」 と、ふらんは口を開けて後ろ半分だけになった頭部を両手で掲げ、絞るように力を入れた。 顔だったモノの断面から肉汁が滴り落ち、それを咽の奥へと導く。 「んぐっんぐっ…ぷはっ」 肉汁を完全に絞りとり、全て飲み終えてから水分の無くなった頭部を捨てる。地面に叩きつけられ、乾いた後頭部は粉々に砕けた。 唇の周りに付着した肉片や肉汁を紅い舌で丁寧に舐めとった後、ふらんは未だにピクピクと痙攣しているれみりゃの体を食べ始めた。 ほんの数分の出来事。しかし、まりさ達にとってそれは永遠とも感じる時間だった。 彼女たちの目の前であのれみりゃがなす術もなく見たことないゆっくりに食べられていった。 逃げなければならない。本能はそう告げるが体が動かない。 体を震わすまりさたちの目線の先では、ふらんがれりみゃの体をむさぼっていた。 まりさ達にとって恐るべき天敵だったものの四肢を引き裂き、胴体両腕と次々にその体内へ取り込む。 皮を齧りとり、中身を喰らい、肉汁をすする。 「けふっ、たべたべた」 最後に残った右足を食べ終え、満足そうにふらんは言う。彼女の前にはれみりゃを縛っていた数本の蔦しか残っていなかった。 ガクガクと本能的な恐怖で震えるまりさ達。 そして次はそんな彼女たちが標的にされることとなる。 「うー、まだたりない」 ふらんが体勢を整え、まりさ達に目を向けた。 それはまるで蛇と蛙。その場にいる時点で決着がついた、食う者と食われる者。 どんな生き物でも、自分の運命を受け入れるしかないと考えるような状態。 だがまりさは違った。今までの経験から、自信が付いていたまりさは今回も大丈夫だという確信があったから。 皆がいれば何も怖くはない。 怯えを捨てて勇気を振り絞り、まりさは子供達に言った。 「だいじょうぶだよ! まりさたちはつよいんだから! あんなやつ、かんたんにやっつけれるよ!」 母親の言葉に励まされ、子まりさ達も闘争心が燃え上がる。 そうだ、自分たちは進化した強いゆっくりなんだ。たとえどんな相手でも負けるものか、と。 「そうだよ! おかあさんのいうとおりだよ!」 「あんなれみりゃみたいなやつなんかにまけるはずないよ!」 れみりゃの時と同じように、まりさ達はふらんを取り囲む。 まりさ達は進化した。 れいむやありすは勿論、あの巨大ゆっくりや体付きれみりゃでさえも力を合わせた自分たちに勝てはしない。 それに、いくら見たことがないゆっくりだからって所詮大きさはれみりゃ程度しかないじゃないか。 だから今回もいつも通り、自分達は負けはしない。そう思っていた。 しかし――。 「しねっ!」 「ゆ゛ぶぅ゛っ!!!」 一匹の子まりさがふらんに飛びかかった瞬間、その体が鋭利な爪で引き裂かれた。 輪切りになって絶命する子まりさ。 高い再生能力を手に入れたといっても所詮はゆっくり、頭の中心部、中枢餡子が完全に破壊されてしまえば再生など出来なかった。 「ゆゆっ!?」 まりさ達は一瞬何が起こったのかわからなかった。 れみりゃの時のように誰が飛びかかり、相手の体がぐらついた時に全員で跳びかかれば簡単に倒せる。 まりさ達はそう思っていた。だから今目の前で起こった事を脳が処理できない。 そしてふらんの足元に転がり、ぴくりとも動かぬ子まりさを見て、まりさ達はゆっくりと理解した。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ま゛り゛さのこども゛がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 「お゛ね゛え゛ぢゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃん!!」 「な゛んでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ゛!!??」 スライスされた家族の姿を見てまりさ達は号泣する。 自分が生んだ可愛い子供。今までも、そしてこれから一緒にゆっくりしようと誓ったとても大切な家族。 それを失ったまりさの悲しみは大きく、次々と涙をあふれさせる。 その様子をふらんはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら見ていた。 まりさは涙を流しながらも般若のような形相になる。 「よ゛ぐもま゛り゛さのごども゛ををををををををを!!!」 我が子を殺され、怒り狂ったまりさがふらんに突進する。そのスピードは尋常ではない。 さらにこのまりさは皮が分厚く、中身も通常より重いため、その突撃の威力は恐ろしく高い。 「まりさのこどもをころしたやつはゆっくりじね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇ!!!」 怒涛の勢いでふらんへと体当たりするまりさ。 そのまま自分の攻撃でふらんは倒れるだろうとまりさは予測していた。 しかし、残念ながらその予想は外れてしまう。 「うー!」 「ゆっ!?」 ガシッとまりさの体は何の苦労もなくふらんに掴まれた。 「ゆー! ゆっくりはなしてね!」 まりさは何とか拘束から逃れようとするが、がっちりとホールドされていて全く動けない。 一体この華奢とも言える腕のどこにそんな力があるのだろうか。 「ゆっ! まりさをはなしてねっていってるんだよ!」 「あー、うるさい」 「ゆぶぶぶべっ!?」 ドゴッとふらんはまりさの頬を軽く殴った。それだけでまりさは意識が飛びそうになる。 今まで受けたことのないような威力の攻撃。 たった一発殴られただけでまりさの皮は破裂し、餡子が噴き出す。 さらにその衝撃が体内を波のように伝わり、激しい嘔吐感に襲われて口からも餡子を吐きだした。 ふらんはまりさを掴みながら羽を使い、宙に浮く。 そして勢いよくまりさを近くの大木の枝に突き刺した。 「あ゛ぎゃ゛ゃ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 芯がしっかりしている枝は、まりさの体を深々と貫通した。 何とか中枢餡子は傷つかなかったものの、体内を引き裂かれる痛みにまりさは声を上げた。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい゛だい゛よ゛おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「おかあ゛あ゛さぁぁぁぁぁぁぁん!!」 「まっでて、いま゛たすけであげるから!」 子まりさ達は身動きできない母に近づこうとする。 しかし、そんな彼女らの前にふらんが立ちはだかった。 そのドス黒い笑顔にはどんなゆっくりも怯えるしかないだろう。 だが子まりさ達は違った。 「ゆっ!? そこをどいてね!」 「おかあさんをたすけるんだから!」 子まりさ達とふらんが睨み合い、緊張が張り詰める。 とその時、この場に予期せぬ来訪者が現れた。 「う~! おいしそうなにおいがするんだどぉ~!」 「あのきからにおってくるどぉ~!」 「う~! た~べちゃうどぉ~!」 緊張感の欠片もない声を上げながら低空飛行でやってきたのは、三匹の体付きれみりゃだった。 さっきの一匹といい、どうやらこの辺りにはれみりゃの巣があるらしい。 木に突き刺さったまりさの餡子の匂いに誘われてきたのだろう、その顔には何の危機感もない。 そしてまりさは思った。あの体付きれみりゃが三匹もいるならあの金色の化け物にも勝てるに違いない。 だからまりさはやって来たれみりゃ達に向かって叫んだ。 「れみりゃたち! そこのゆっくりをやっつけてくれたらまりさをたべさせてあげるよ!」 それを聞いた子まりさ達は困惑した。 何故お母さんはそんな事を言うのだろうと。 だが同時に、お母さんに何か考えがあるのだろうと思って黙っていた。 子供達の考え通り、まりさにの頭の中では既に計画が完成していた。 まず三匹のれみりゃにあの恐ろしい金髪のゆっくりを始末させる。 それから自分を食べやすいようにとの理由をつけて、れみりゃに木から下ろして貰ったところで奇襲をかけようと。 三匹もいるが、れみりゃなら倒すことができることがつい先程証明された。 子供達と力を合わせ、各個撃破していけば何とかなる。 それがまりさの考えだった。 「う~? そこのゆっくりってどれだ…ど…!?」 まりさの言葉を聞き、辺りを見回したれみりゃ達はそこで初めてふらんの存在に気が付いた。 刹那、れみりゃ達の体に恐怖が湧きあがって来る。 それは捕食種の中でもとても強い自分達をも喰らう究極の捕食種。 れみりゃ達は命の危機を感じ、普段なら有り得ないような高さまで飛び立った。 しかし、ふらんは目にも止まらぬスピードで先頭のれみりゃの前へと先回りする。 そして両手でれみりゃの手首をそれぞれ掴み、力任せに引き千切った。 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! い、い゛だいどおおぉぉぉぉぉぉ!!」 肉汁が飛び散り、地面へと降り注ぐ。 それを浴びながら、ふらんは千切り取った両腕を放り捨てると、右手をれみりゃの顔面へと突き刺した。 さらにれみりゃが悲鳴を上げる暇もなく傷口へと左手も抉りこませ、そのまま左右に引き裂いた。 顔を二つに裂かれた両腕のないれみりゃの死体が地上へと墜落し、グチャリと音を立てて潰れる。 休む暇なく、ふらんは別のれみりゃへと襲いかかった。 「う゛あ゛ーーーー!! ごわ゛いどぉーーーー!! ざぐやーー!! ざぐやーー!!」 何とか逃げようとするもふらんのスピードに敵うわけはなく、あっさりと捕まって羽を毟り取られた。 飛ぶための機能を失い、バランスを崩したれみりゃは先程のれみりゃと同じように落下し始めた。 だが幸いにもこのれみりゃは飛行していた高度が低かったため、そのまま落ちたなら命は助かりそうである。 「うー♪ なんとかたすかりそうだどぉ~~♪」 そのまま落ちたなら。 「う゛あ゛っ!?」 「うー♪」 落下しているれみりゃの後頭部へと、ふらんは足を乗せた。 そのまま体重をかけ、地上へと墜落する。 地面とふらんの足に挟まれたれみりゃの頭は潰れ、肉まんの具を周囲に飛散させた。 ふらんは潰れた頭部から足をどけ、れみりゃの体からまだ温かい右手を引き千切って再び飛翔した。 残るれみりゃはあと一匹。 その最後の生存者は顔をぐしゃぐしゃにして必死にこの場から遠ざかろうとしている。 しかし努力空しく、すぐにふらんに追いつかれ、その手に持っていた仲間の右腕で頭を思い切り殴打された。 「う゛あ゛゛ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!! い゛だいっ! でみり゛ゃのぷりぢーなあ゛だまがぁぁぁぁーーーーーー!!」 頭がへこみ、ショックと痛みで声を上げるれみりゃ。 そんな彼女の胴体を、ふらんは両手で掴んで飛行する。 その目的地は一本の大木、そこから突き出ている太い枝だった。 「う゛あ゛ーーーーーー!! やっ、やべべべべべっっ!!」 最後まで言い終わらぬうちに、れみりゃの顔面に枝が突き刺さった。 鋭く尖った枝はそのままれみりゃの体内を楽々と通り続け、股間から貫通する。 「れみりゃのくしざしいっちょうあがり♪」 ピクピクと動くれみりゃの右足をもぎ取る。それを食べながら、ふらんはまりさ達の近くへと戻って来た。 一部始終を見ていたまりさ達は先程より大きくガクガクと体を震わせている。 木の枝に突き刺さっているまりさはもとより、子まりさ達もあまりの恐怖に動くことが出来ない。 あのれみりゃを一瞬にして三匹も屠り去ったゆっくりふらん。 圧倒的な力による一方的な虐殺。 まりさ達は漸くその恐ろしさと力の差を真に理解した。 ゆっくり、ゆっくり、とふらんは不敵な笑みを浮かべながら子まりさ達との距離を詰める。 「う゛…う゛わ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 金縛りが解けた子まりさ達は一斉にバラバラに逃げた。 体を震わせながらも、それを見ていたまりさはいい考えだと思った。 いかに強くても相手は一匹だけ。様々な方向に逃げだせば助かる可能性が高い。 運悪く標的にさたなら命はないだろうが、全滅するよりはましだ。少しでも多くの子供に生き残って欲しい。 だがその願いも無残に打ち砕かれる。 「しねっ!」 何と、ふらんが掛け声をあげた直後、その体が四つに増えたのだ。 これぞゆっくりふらんの特性。自分の分身を三匹まで作り出すことが出来る。 四匹のふらんはそれぞれ素早く移動し、四方から子まりさ達を取り囲んだ。 ガチガチと歯を震わせ、子まりさ達は涙を流す。 と、その中の一匹が勇気を振り絞って言った。 「お、おまえなんてこわくないよ! まりさたちがちからをあわせればまけるはずないもん!」 声は震えていたが、その言葉で子まりさ達は皆勇気を出し、それぞれ捨て身の思いで数匹ずつ目の前のふらんへと飛びかかった。 そして――。 「うー、しねっ! しねっ!」 まりさ達は進化した。 だが悲しきかな、そんなことは彼女たちの目の前にいる怪物には全く関係がなかった。 ゆっくりふらんとゆっくりまりさ。両者の差は数字で例えると1と0。それは極めて近く、それと同時に果てしなく遠い距離。 どれだけ強くなっても、どれだけ餡子の質が良くなっても、どれだけ数が多くても、それが自然から生み出されたものである限り、 ゆっくりまりさがゆっくりふらんを超えるなど不可能だ。 0が何倍になろうとも、0がどれだけ集まろうとも、『1』という最小の数字さえ超えることが出来ないのだから。 ある子まりさは地面に叩きつけられ餡子を飛び散らせて死んだ。 ある子まりさは顔の中心部から引き裂かれて死んだ。 ある子まりさは勢いよく踏みつけられて死んだ。 ある子まりさは顔の上半分を噛み千切られて死んだ。 ある子まりさは餡子をじわじわ吸い取られ、皮だけになって死んだ。 ある子まりさは―――。 死因は様々。だがその全てに共通しているのは即死ではなくゆっくりゆっくりと死んだことだ。 ふらんは子まりさ達をすぐには殺さず、だからといって生き残ることは出来ないぐらいの絶妙の力加減で攻撃していたのだった。 そのどれもこれもが中枢餡子を破壊され、再生もできなくなっていた。 これがゆっくりふらんの性格。獲物を出来る限り痛めつけて殺すという恐ろしき習性。 「い゛だい゛い゛だい゛ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!! や゛め゛でぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!! だずげでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「ゆっぐり゛でぎな゛い゛ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 「どぼじでごんな゛こどにな゛っだの゛おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ぐべっ……ゆ゛ぐべべべべ…っ…」 「ああ…あ゛あ゛…」 まりさは滝のように涙を溢れさせてその様子を見てることしかできなかった。 目の前で次々と子供達が無残に殺されていく。絶望がまりさを覆い、もう叫ぶこともできない。 もういい、このまま死んでしまいたい。 思考するのをやめ、意識が深い闇へと沈み始めたその時。 「い゛や゛あああぁぁぁぁ!! お゛がぁざぁぁんたすけてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 その言葉にはっと我に返るまりさ。 見れば、最後の一匹となった子まりさをふらんが右手で掴んでいた。 ほとんど大人ゆっくりと同じ大きさの子まりさはふらんの片手に収まるような大きさではない。 だがふらんの圧倒的な握力によって体をねじ曲げられ、無理やり手の中に押し込まれていた。 既に周囲に分身はおらず、元のふらん一匹だけに戻ったようだ。 「もうさいご。つまらない」 「おがぁぁぁぁぁぁざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 泣き叫び、自分を呼ぶ愛しの我が子。その声にまりさの中に再び気力が燃え上がった。 ふらんは徐々に握る力をあげていく。 子まりさの表皮が黒ずみ、今にも目や口から餡子を吹き出しそうだ。 「ゆっくりしね――」 「まって!!」 突然のまりさの声にふらんは力を加えるのを止める。結果、ぎりぎりで子まりさは握り潰されずに済んだ。 ふらんはギロリと目をまりさに向ける。 その眼光にまりさは背筋が震えたが、何とか声を絞り出した。 「ま、まりさはどうなってもいいから、まりさのこどもをにがしてあげてね!」 状況は圧倒的に不利。というより有利不利などというものは無い。相手は一方的な惨殺者、こちらの言うことなど聞く必要はない。 しかしそれでもまりさは言った。自分は死んでもいいから子供だけは生き残って欲しい。 たとえどれだけ確率が低くても、可能性があるならそれに賭けてみたかった。 ふらんは考えるように沈黙し、暫くして口を開いた。 「いいよ、ちびはにがしてあげる。やくそくする」 それはまりさにとって信じられない言葉。しかし、確かにふらんはそう言った。 まりさは喜びで飛び上がりそうになったが、同時にあまりに上手くいきすぎるとも感じた。 「ぜったいだよ! やくそくだからね!」 「だいじょうぶ、やくそくはまもる」 そう言ってふらんは子まりさを握る右手を緩めていく。その手つきは優しく、先ほどまでの荒々しい様子はない。 それに安堵したのか、まりさの顔に笑みが浮かぶ。 さらにふらんは空いている左手でまりさの刺さっている枝を根元から折り、そのまままりさを地面へと置いた。 子まりさは寂しそうな顔をしているが何も言わない。いや、言えない。 完全にふらんの手から握力が無くなり地面に落ちると、最後の子まりさは親の元へと駆け寄った。 「ゆー…おかあさん…」 「おかあさんはだいじょうぶだよ! でも、これからはいっしょにいられないからひとりでいきてね! まりさのこならだいじょうぶだよね!?」 暗い表情の子供に対して、まりさは少しでも元気を出してあげようと笑いながら明るい声で言う。 「うん…、まりさがんばるよ!」 それに励まされ、少し表情が明るくなる子まりさ。 親子は頬を擦り合わせて、最後になるであろう抱擁を交わす。 その様子をふらんは微笑みながら見ている。今度は純粋な、まったく害のない笑みだった。 そんなふらんの笑顔を見てまりさは完全に安心した。良かった、もう子供は大丈夫だ、と。 しかし、まりさは気付かない。優しく微笑むふらんの口から、わずかに緑色の光が漏れているのを。 「ゆっ…じゃあそろそろいくね!」 子まりさは決心した。 おそらくもう母親には会えない。でももう大丈夫だ。母が助けてくれたこの命、大切にしよう。 子まりさの言葉に、まりさは無言で、しかし力強く頷いた。 子まりさは背を向け、数歩進み――勢いよくふらんの口から放たれた弾幕が直撃し、爆散した。 辺り一面に飛び散る餡子。その破片がまりさの頭にべったりと張り付く。 おそらく子まりさは自分が死んだ事も認識できずにその生涯を終えただろう。 まりさは何が起きたのかわからない。 自分の子供はどこにいったのだろう。何故ふらんは楽しそうに口を開けているのだろう。 一体この顔にかかった黒いものは何なんだろう。 そして降りかかった餡子が顔を伝い地面に落ちた時、まりさは漸く理解した。 「どぉぉぉじでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!! や゛ぐぞぐはま゛も゛るっでいっだのに゛ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 「やくそくはまもった。 ちびをにがしてあげた」 「でぇぇぇぇぇも゛お゛お゛ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 その言葉にゆっくりふらんはとびきりの、悪意の塊のような素敵な笑顔で答えた。 「でも…ふらんはちびをころさないとはいってない♪」 「う゛…う゛あ゛…」 まりさは震え、そして爆発した。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!! じね゛っ!! じね゛っ!! ゆっぐり゛じね゛ぇぇぇぇぇぇぇぇ ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!こ゛ろ゛す゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!! こ゛ろ゛し゛でや゛る゛っ!! じね゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」 まりさが動けないことなど関係なく、その場にいたものならどんなゆっくりでも、 例え捕食種のれみりゃであっても逃げ出すであろう、怒り、憎しみ、絶望…あらゆる負の感情を孕んだ咆哮。 だがゆっくりふらんは全く物怖じすることなくケタケタと笑っている。 当然だ。いくら負の感情をかき集めたとしても、そんなものは本物の純粋な悪意の前では何の意味もなさない。 「さて、そっちもやくそくをまもってもらうよ」 そう言うと、ふらんは呪詛を吐き続けるまりさの底面からその体を貫通している太い枝を抜き取った。 ぐちゃぐちゃと音をたて、枝がまりさの体内を通過していく。 「ひ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 体を内部から引き裂かれるような痛みがまりさに走る。そして数秒後には彼女は空を飛んでいた。 ふらんはまりさを帽子の上から鋭い爪を食い込ませて固定させている。 飛翔してから数秒後、枝が貫通していた穴が早速再生し始める。それを見たふらんは新しいおもちゃを見つけた子供のような顔をした。 悪意が充満した純粋な瞳をキラキラと輝かせている。 「すごいすごい、まりさなのにかいふくする」 「はな゛ぜぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「あー、うるさいなぁ」 そう言うとふらんは指でまりさの右目を貫いた。そのままぐりぐりと指を回し、少し曲げて引っこ抜く。 ボコリと音をたて、まりさの目玉がえぐり出された。空洞となった部分から餡子が漏れだす。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ま゛り゛ざのめ゛がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 無くなった右方の視界。残る左目には自分の目玉を食べるふらんが写る。 頭の片隅で、そう言えば以前もこんなことがあったな、とまりさはどこか冷静に考えていた。 あの後はぱちゅりーに出会ったっけ…。 それをきっかけに、これまでの記憶が次々と浮かんでは消えていった。 母に祝福されて生まれた。可愛い妹達と一緒に旅をした。美しい妻と出会い、自分の家庭を持った。 そしてそれらはすべて壊された。その後に出来た子供も、今自分を掴んでいるこの化け物に全て殺された。 どうしてこんなことになったんだろう。自分はただゆっくりしたかっただけなのに。 しばらくするとまりさの右目は再生し始め、五分もすると元通りになった。 「うー、おもしろい♪」 今度は右手の指をVの字にし、まりさの両目に突き刺すふらん。 痛みと視界が無くなった恐怖でまりさは絶叫する。中途半端に高い再生力のせいで気絶することも出来なかった。 あと数分もすれば失った両目も完全に元通りになるだろう。 美しく輝く満月を背に、ゆっくりふらんが夜空を舞う。 その手に持つは両の目の無いゆっくりまりさ。 それからまりさにとって地獄のような日々が始まった。 ふらんの巣の中に動けないように固定され、何度も何度も痛めつけられる。 ある時は髪を千切られ、ある時はおやつとなり、ある時は両目や口を引き千切られ、それでもその度に体は再生して元通りになる。 こうしてまりさはその命が終きるまでゆっくりできることなどなく、ふらんのおもちゃとなるのだった。 終わり あとがき ふらんちゃんの すごい 無双。 前中編で影も形もなかったのでオチはバレバレだった気がしますが。 あまり捻った話が書けなくてごめんなさい。 こんな長い駄文を最後まで読んでくださった読者様、有難うございます。 どうでもいい質問コーナー Q.これ別に進化させなくても、普通のまりさで良くない? A.ぶっちゃけ強さよりも再生力が欲しかっただけです。 Q.何でゆふらんが普通に喋ってるの? あと厨スペックすぎね? A.かわいいから仕方ない。 今まで書いたもの それいけ! ゆっくり仮面 ゆっくり仮面の憂鬱~邪悪な心~ お兄さんの逆襲 前後編 ゆっくりれいむの悪夢 あるゆっくりまりさの一生 前中編 by.ダイナマイト横町 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2779.html
蟻地獄とゆっくり ズシャッ。 その柔らかい砂の感触は、なぜか、ぜんぜんゆっくりしていなかった。 「ゆ、ゆぅ?」 れいむは餡子を引き締めて、さらさらとした砂に身をまかせたい欲求を我慢する。 「ゆっくr……ちがうよ!これはゆっくりしちゃいけないすなさんだよ! れいむはかたいじめんさんのほうがゆっくりできるよ!」 このれいむの餡子は、幾百回もの世代交代を経て練りこまれた一級品だった。 欲求よりも、その餡子が「危険」と打ち鳴らす警鐘にれいむは従う。 「ゆっくりもどるよ!ゆー……しょ!」 土の上に戻るために跳躍しようと考える。 体を地面に押し付け…… ミシッ。 「ゆー!?」 伸び上がるために体を砂に押し付けると、そのたびに体は余計に砂へと沈んでいく。 「ゆゆ!やめてね!れいむはすなさんとはゆっくりしないよ!」 れいむは懸命に伸び上がろうとし、そのぶんだけ砂の中へと沈んでいく。 「どーじてやめてくれないのおおおお!?やだっていっでるでじょおおおお!!??」 死の恐怖がれいむを捕らえる。 「やだ……やだよ……」 れいむはつがいのまりさの事を考える。いつか育まれるであろう、二人の間のおちびちゃんの事を考える。 今までゆっくりしてきた沢山の仲間のことを考える。 「やだよぉぉぉぉぉぉ!!!れいむしにたくないよ! 、もっともっとみんなとゆっぐりしたいよぉぉぉぉぉ!!!!」 「すなさん……ゆっぐりとまっでね……かわいいでいぶをじめんさんにもどじてね……」 暴れるだけ余計に沈むと悟ったれいむは、少しずつ自分を土の底へと運ぶ砂に身を任せるほかはなかった。 砂はただ無情に、れいむを生の終端へと追いやっていく。 「ゆゆ!れいむ!れいむーーー!!」 「ゆへへ……とうとうまりさのこえがきこえてきたよ……これはきっとげんちょうだね…… さいごにまりさのこえをきかせてくれてかみさまありがとうね……ゆっくりしていってね……」 「れいむってばぁ!!」 はっ、と我にかえる。 その声は聞き間違えようもない、そして幻聴でもないほんものの愛しいまりさの声だ。 狩りから帰って来ないれいむを心配して出てきたのだろう。れいむはまりさのために警告の叫びを上げた。 「まりさ!!きちゃだめだよ!ゆっくりできなくなるよ!!」 「でいむぅぅぅぅぅぅ!?」 まりさは泣きながら、蟻地獄の底へと向かうれいむを見送ることしか出来ない。 「まりさ……れいむはまりさとであえてしあわせだったよ…… れいむがしんだら、まりさはべつのゆっくりしたゆっくりとゆっくりしていってね…」 「でぎないよぉ!!ぜっだいぜっだい、ぞんなごとでぎないよぉ!!」 砂が目に入り、れいむは目を閉じた。 「ゆ……」 暗闇の中に、からからと回る走馬灯が浮かびあがり、それは餡子に残った記憶を呼び覚ます。 おかあさんれいむの茎で目覚めた日のこと。 はじめてむしさんを捕まえた日のこと。 まりさと出会った日のこと。 まりさと、さまざまな場所でゆっくりしたこと―― 「!」 走馬灯の中に、一つの可能性があった。れいむはおぼろげな記憶を懸命にたどり、 その可能性を拾い上げる。 「ゆ!!れみりゃだ!れみりゃだよ!まりさ!あのれみりゃをつれてきてよ!」 以前、にんげんさんの罠にかかったれみりゃを助けてやったことがあった。 「うー!うー!だずげでぇぇぇぇ!!!ざぐやぁぁぁぁ!!!!!」 「れみりゃだよ!いまならにげられるから、そろーりそろーりにげようね!」 「……」 「れいむ?どうしたの?」 賢いれいむはもちろんれみりゃの脅威を熟知していた。 「いだいどぉぉぉぉぉーーーー!!おぜうざまのあんよがぁぁぁぁーーー!!!」 「れいむ?」 しかし、それでもれいむはれみりゃの前に飛び出した。 足を鉄の顎に噛み込まれたその姿がにあまりに可哀相で、助けずにはいられなかったのだ。 「でいぶぅぅぅぅぅ!!!まりざぁぁぁぁぁぁ!! とっでもとっでもかんしゃするどぉぉぉぉぉぉ!!!! このごおんはぜったいわすれないどーーー!!!」 そのれみりゃはそう言うと、友情のしるしにかり☆すま☆だんすを披露して、 「れみぃはあかちゃんやさくやとくらさなきゃならないからいっしょにはいられないどぅ… だけど、こまったときにはいつでもよんでほしーどぅ! れいむとまりさをこまらせるやつはれみぃがぽーい☆しちゃうどー♪」 そう請け合ってくれた。 「れいむはとってもばかだよ!でも……かっこよかったよ、れいむ……」 「ゆ、ゆゆぅー……」 れみりゃほども力があれば、蟻地獄からゆっくり一匹引っ張り上げるのはたやすいことだ。 しかも、その棲家も知っている。とても運のいいことにここからそう遠くはない。 まりさが必死で跳ねてくれれば、必ず間に合うはずだ。 「あのれみりゃなられいむをひっぱりあげてくれるよ!ゆっくりよんできてね!!」 「でいぶぅぅぅぅ!!!だずげてあげられなぐてごべ……いまなんでいっだの? あのれみりゃってどのれみりゃのこと?れみりゃはゆっくりできないよ?」 「なにいっでるのまりざ!?あのれみりゃはあのれみりゃだよ!はやぐじでよぉぉぉぉ!!!」 「ゆ……れいむ……」 「おでがい!!おでがい!!おでがいだがらおもいだじでよぉぉぉ!!!!! れみりゃよんでぎでぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 危機に瀕したれいむだからこそやっと思い出せたものを、そうでないまりさが思い出せるはずがない。 「れ、れいむ……?」 れいむの言葉を理解できないまりさは、れいむが苦しさのあまり狂ってしまったと思った。 「ごべんねぇぇぇぇぇぇ!!!だずげられないばりざをゆるじでねぇぇぇぇぇ!!!」 砂は少しずつ、少しずつ……泣き叫ぶれいむを蝕みながら流れる。 「おでがいだよぉぉぉぉ!!でいぶまっでるがら!!まっでるがられびりゃよんでぎでぇぇぇぇ!!!!」 れいむは力の限り叫び続けた。 「まりざ!!はやぐじでよ!!まにあわなぐなっぢゃうよ!!」 「まりざ!!おでがい!!ゆびぃ!もうれみりゃじゃなぐてもなんでもいいから、ゆぷっ!でいぶを……」 「まりざ!ぐるじいよ……まりざ……どごにいるの……」 「まりざ……?」 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1982.html
切断マジック(?) 15KB 虐待-普通 理不尽 自滅 飼いゆ 捕食種 現代 虐待人間 愛護人間 独自設定 れみりゃいじめです。まりさやれいむは出ません。 ・俺設定あり。 ・れみりゃいじめですのでれみりゃ以外出ません。 ・ちょいグロです。 天然あき 俺は説明不要の虐待お兄さん。 今日は趣向を凝らしてゆっくり虐待を楽しもうと思い立ったので実行しようと思う。 という訳で今回は“マジで種も仕掛けもないマジックショー”。 私虐待お兄さんマジシャンもどきバージョンがお送りしよう。 さて今回行うのは切断マジック。 それに挑戦するのはこのゆっくりんピ~スとやらの一人であるババアに猫可愛がりされていた肥え太った胴有りれみりゃ。 見てのとおり甘やかされたのでとんでもなく我が儘だ。 それはもう拷問して殺したくなるほどに。 ちなみにババアには別のれみりゃをすり替え…いやプレゼントしてあるのでご安心を。 「う、う~♪きょうはえれがんとなおぜうさまのだんすをよくみにきたんだど~♪ほめてやるんだど~♪」 ぶっぶ~!と屁をこきながら手を振る胴有りれみりゃ。 バタバタと手を振っているが暫くしたら飽きたようで、 「う~、えれがんとなおぜうさまにぷっでぃんをもってくるんだど~♪」 「断る」 れみりゃの言葉に簡潔に答えると「ダンスすんじゃなかったのか?」と内心思いながられみりゃを頭の部分と足を出した状態にして箱に収める。 中がよく見えるように透明な箱にしてある。 そしてそれをれみりゃの頭が下になるように逆さ吊りにセッティングする。 この際上となった箱の面の角の部分に留め金をし、四つの頑丈な紐で吊し、切断の邪魔にはならないようにする。 「うあ~、きゅうくつだど~!!ぎぼぢわるい゛んだど~!!はじゅかじいんだど~!?はやぐだすんだど~!!」 足と頭のみを固定しているので片手でドンドン箱を叩いてもう片手で逆さまになって下にさがろうとするスカートを抑えようとして頭が固定されて完全に抑え切れていない状態で脱出しようとしているが無駄な事。 というかウザったい羞恥心なんか見せるんじゃねえ!! 誰も見ねえよ。お前のきったねえドロワなんてよお!!! ……………すまん取り乱してしまった。 気を取り直して、続けよう。 逆さ吊りなので放っておけば鬱血するかもしれないがゆっくりなのでわからないから無視しよう。 箱の耐久力はれみりゃ自身より高いから破壊出来る訳がないので問題も無い。 「さぁこのれみりゃはこれから真っ二つにするぜ。縦に」 ポケットから明らかにサイズの合わない巨大鋸を取り出す。これが唯一のちゃんとしたマジックである。後はホント種も仕掛けも無い。 「う~、なにいってるんだど~!!いいからはやぐここからだすんだど~!!!」 バンバン箱を叩く音が喧しい。 手も拘束しとけばよかったなぁ…と後の祭りな事を考えながら鋸の刃をれみりゃの股の間の箱の位置に付け、ギーコギーコと動かし始める。 「うー!なにずるんだどー!!?あぶないんだどー!!はやぐどげるんだどー!!!」 どうやら危険なのは理解できているようだ。やめるように言ってくる声を俺は無視して箱を鋸で切っていく。 「く、くくくるなだど~!!?やめないどた~べちゃうぞ~!!」 まだ余裕有るな。構わずギーコギーコと鋸を動かす。 ちなみにどうして縦に真っ二つにするかというと下半身と上半身分けた程度じゃこいつ死なないからだ。 あとそっちの方が楽しいからでもある。楽しいかどうかは重要だ。 何だか普通のマジックとは趣が違ってきたが対象が気にしない。 「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?ざぐや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 目を背けても着実に迫る鋸を否応無く感じずにはいられない。 「ぐる゛な゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?あ゛っぢいげえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!ざぐやあ゛あ゛あ゛あ゛!!?ばやぐごい゛!!おぜうざまのぴんぢなんだどお゛お゛お゛!!?」 咲夜が来る訳ない。 ここは幻想郷ではないのだから。 それとも飼い主のババアを咲夜だというのならぶち殺すぞテメエ…。 あ、結局殺すんだった。ありがとうございます。 そうこうしている内に鋸の先がれみりゃの股部分に接した。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?がえ゛る゛う゛う゛う゛う゛!!!でみりゃおう゛ぢがえ゛るう゛!!!がえっでぷっでぃんたべる゛う゛う゛う゛!!!?」 れみりゃには股先に感じる冷たい感触を存分に味わっていただこう。 触れた時点で動かすのを止め、存分に楽しんでいただいたところでゆっくりと動かし出す。 「うぎゅう゛う゛!!?」 ザリザリと尖った刃先が動き、チクチクとした痛みをれみりゃは感じ、恐怖する。 だが安心していいよ。もうすぐそれどころじゃ無くなるから。 「さぁ~行きますよ~♪これでおぜうさまを真っ二つにしちゃいます。痛いですよ、苦しいですよ、全然ゆっくり出来ませんから覚悟して下さいね♪」 「う゛あ゛あ゛あ゛たじゅげ…」 れみりゃの嘆願を聞かず鋸の切るスピードを上げた。 股の部分に鋸の刃が入り込んだ。つまりは裂けたのだ。 「う゛ん゛ぎい゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!?」 ゆっくりとは思えない醜い悲鳴が響き渡る。 まあ股を、人間でいえば生殖器がある位置を鋸で切られたんだ、自分がその立場だとぞっとする。 お母さんにも言われたっけ、「自分がされて嫌な事は他人にしちゃいけません」って。けどゆっくりは人じゃ無いのでオールオッケー。どんどん進めちゃうぜ。 ザリザリ、と箱を切る音と水っぽい音、そして、 「んぎゅ!!?うんぎぃ!!?」 もはやれみりゃというかゆっくりの面影すら無い奇声を上げているれみりゃの声が聞こえてくる。 そういえば随分昔に読んだ少年ジャ●プにこれと似たような殺し方する読み切りを見た気がするな。 確か逆さまにして股から段々と鋸で裂いていく。 すると、鋭利ではない削って切る役割を持つ鋸の刃はとんでもない激痛が走るという。それでいてなかなか死ぬ事が出来ない苦痛はあまりにも凄惨だったという話だそうで。鋸が心臓に達するまで死ぬ事は出来ないとその読み切りではあったけど心臓が無いれみりゃならきっと大丈夫だね!! 「んぎぃいいい゛い゛い゛い゛!!?」 おお、醜い醜い。 まあ人間が同じ状況なら吐き気を催すグロさなのだが何故かゆっくりにすると滑稽にしか見えないから不思議だ。 その滑稽さに思わず切るスピードを速めてしまう。 「いぎゅりゅべえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ ゛あ゛あ゛!!!?」 何言ってんでしょねこいつ?日本語喋れよ。 気が付けば、腹のあたりまで鋸が食い込んでいく。 「きひ!?ぎひいいい!!!」 何て言うかこれ…ゆ虐じゃなくて立派な拷問だね。まあここまでやっちゃったんなら最後までやってあげるのが礼儀だな。とりあえず進行状況の確認として一旦鋸を動かすのを止める。 ボタボタと肉汁が流れて箱の底に貯まっている。固定している首の部分がふやけて頭がとれちゃうかもしれないがそれはそれで面白いので放置しておこう。 「ゆひっ…きひぃっ…」 もはや喋る事すらままならないれみりゃ。それを見ながら私は優しく問い掛けた。 「れみりゃ、やめてほしい?」 「いひゃ…ひゃひいいい……」 顔から体液という体液を流しながら震える頭を必死で縦に動かそうとしている。 しかしそのままでいるだけで激痛が走るだ状態で頷くという行動はかなり苦しい ものだったようだ。 「ちゃんと頷いてくれないとわからないなぁ…また動かそっかなぁ…」 「!!?」 おお、驚愕するのがよくわかる。 「おべ、おべぎゃいじまじゅ!ゆぴ!?やみぇちぇ、くぴゃ!ちゃい…!!」 痛みを堪えて頷き、命乞いをするれみりゃ。 鋸の柄をつんと指先でつつくだけで「ひゃぴゃあ!!?」とか悲鳴をあげてくれるから可愛くてしょうがない。 俺はそうしてれみりゃが頷くのを見届けて笑顔で、 「やなこった」 拒絶してあげた。 「うぁ…?」 「俺はお前を鋸で真っ二つにする。それは絶対にする。お前が何をしようが絶対にな」 その言葉を聞いてもはや顔が体液でふやけだしている顔が絶望に染まっていく。 「やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!?じびだぶない!!!たぶべでざぐや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!」 「さあて1、2、3でまた斬り始めるよ!」 「ぷっでぃんたべだいいいいいい!!? じびだぐなびい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 「1」 「おでがいびまず!!!まだれみりゃじびだくなびんでぶ!!おにいざんにかりずまだんずみぜであ゛げばずがらやべてぐだざい!!!」 「2」 「でびりゃのとっべおぎのあばあばぼあげばずがらだずげでぐだざい!!?ごうまがんもあげばずがだやべでぐだざいいいいいいいい!!!」 「3!」 「う゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 鋸引きを再開する。 刃が悪くなってきたので中々上手く切れない。 鋸をかえた方がいいのだろうが面倒なのでそのままいく。 「ぎゅぴいいい!!?」 刃の悪い鋸による苦痛で口から泡をふくれみりゃ。だが気絶しようとしても痛みで意識を失う事も出来ない。 ざり、ざり、と箱を切る音が響く。 箱の頑丈さで尚更鋸の切るスピードが落ちる。 「けひっ…!!?」 ゆっくりのゆの字の特徴もない悲鳴を上げながら切断され続ける。 完全に胸の辺りまで切断されて人間ならようやく死ねるというのにれみりゃはまだ死ねなかった。驚異的な再生力が死ぬ事を許さない。 「いぎ!!?ひぎぃ!!? ざぐや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」 必死に自分の味方に助けを求めるれみりゃ。 もはや俺の慈悲が期待できない今、唯一縋れる人物に助けを求める。 「じゃぐや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 だがその叫びも空しく響いただけだった。 そうこうしている内に切られてないのは頭だけになった。 人間、いや他の動物でも…他のゆっくりでも死んでしまうだろう中でれみりゃはまだ生きていた…。 「けひ…ぐびゃ…じゃぶ…う゛ぁ…」 もはや体液でふやけ、皮が剥がれて傷だらけで顔が原型を留めていない。 おそらく飼い主であろうとわからないだろう。 「ねぇ痛い?苦しい?」 当たり前だ。ゆっくりれみりゃでなければ死んでるような事をされたのだ。痛くて苦しくない筈がない。俺はそれを解っていながら尋ねた。 「う゛ぁ…」 「あ、別に答えが聞きたい訳じゃ無いから喋るなよ。空気が汚染される」 まだ意識があるのを確認する。これなら大丈夫そうだ。 「はいれみりゃ。こっち見てね」 れみりゃに見せるのは一つの映像。 そこに映るのは…、 「はい、れみりゃちゃ~んデザートのぷっでぃんですよ~♪」 「う~♪いただきます~♪」 そう言って器用にスプーンを使ってぷりんを食べるれみりゃがいた。 そしてその横にはずっと切られている間れみりゃが助けを求めていた「さくや」と呼ぶ従者のババアがそこにいた。 「ざぎゃやあ゛!!?ばやぐだずげでだどぉ!!!ごいづをやっづべるんだどお!!!」 死にそうだったれみりゃが生気を取り戻して叫ぶ。 映像という概念のないれみりゃには今目の前にようやくさくやが現れてくれたと思ったのだろう。 だが、 「ごちそうさまだど~♪」 「はいよくできましたねおぜうさま」 目の前にいるさくやことババアはそこにいる自分とは似ても似つかないれみりゃ基準でブサイクなれみりゃをおぜうさまと呼んでいた。 「なに゛いっでるんだどぉ゛お゛お゛!!!?おぜうざまはでびりゃだどお゛お゛お゛お゛!!!ぞんなぶじゃいぐじゃないんだどお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 れみりゃは泣き叫ぶ。 ずっと助けを求めていたさくやが自分ではなくぶさいくなれみりゃをおじょうさ まと呼んで可愛がっているのだ。 そしてそのぶさいくなれみりゃ(本当はゆっくり基準では美ゆっくりでこの肥え太ったれみりゃの方が遥かに不細工)はついさっきまで自分が満喫していたえれがんとな日々を満喫しているのだ。 「がえ゛ぜえ゛ぞればでびりゃのだど~!!!」 くじゅぐじゅと汚い音を撒き散らして泣き喚く元おぜうさま。 「どうだい、れみりゃ?さくやさくやってずっと泣いてたから会わせてあげたよ」 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?ざぐやぁ!はやぐたずげどお゛お゛お゛お゛お゛!!?」 こちらの声も聞かず画面上のれみりゃは喚き続ける。 「人の話を聞こうねれみりゃ♪」 頬の一部をちぎり取る。 「うんぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 醜い悲鳴が響き渡る。 「いじゃあ゛あ゛!!?どう゛じべぇ゛!!?でびりゃはおぜうざばなんだどお゛お゛!!!」 「それは間違いだよ。お前はおぜうさま“だった”んだよ」 優しく現実を突き付けてあげよう。 「新しいおぜうさまがいるからもうお前はいらないんだって。よかったね、これで君が死んでも誰も悲しまない」 「ちがう゛どお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!おぜうさまはでびりゃだべなんだどお゛お゛お゛お゛お!!!あんなのじゃないんだどお゛お゛お゛お゛!!!」 おお、やかましいやかましい。 「本物のおぜうさまならきっと咲夜が助けに来てくれるよ。だから助けに来ないお前は偽物だね」 「なにいっでるんだどお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?でびりゃはほんぼののおぜうざまなんだどお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!ずぐにざぐやがだずげにぎでおばえなんがやっづけでやるんだどお゛お゛お゛お゛お゛!!!」 そいつはよかったね。 「おお、こわいこわい。ならさっさと殺しちゃおう」 「ぶぎい゛い゛い゛!!?」 鋸を動かし、再びれみりゃの醜い悲鳴が響き渡る。 「いやばあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 れみりゃは絶対に来ない助けを求め、泣き叫ぶ。 「う~、れみりゃう~☆」 映像は楽しげにダンスを踊るれみりゃとそれを見て微笑むババアが映し出されている。 こりゃこっちに対しても拷問になっちまうな…。 「ぐぎぎゅ!!?ぎゅぼべ!!?」 もはや奇声しか出なくなった口は歯を食いしばり、目を飛び出んばかりに見開かれる。 どうして助けに来ない? そんな表情をしている。 助けに来る訳がない。お前の時だって気付かなかっただろ? 安心しろ、あのれみりゃもしばらくしたらお前と同じように拷問されて死ぬから…。 どうせだだ甘に甘やかされるんだ。すぐにゲス化する。だから安心して死んでいいんだよクソ豚。 「ねえわかる?もうすぐお前は死ぬんだよ。俺がちょこっと勢いよくこの鋸さんを振り下ろせば自称おぜうさまのれみりゃは死ぬ…わかる?」 「ぐぎ…じゃぐ…ゃ…」 「残念だったねー。おぜうさまなのにさくやは助けてくれなかったよー。どうしてかなー?」 「う゛…ぎ…」 顎の部分にあたる部位が裂け、口に到達する一歩手前で最期の時間を与えてやる優しい俺。 「わかったかなー?君はおぜうさまじゃないんだよ。ただの肉まん。豚の餌」 「ち、ちが…」 こんな状態になってもまだ否定する涙ぐましい馬鹿れみりゃ。 そんなプライド持ったって何の役にも立たないのになぁ…。 「な、にが違うのかなぁ?だってもうすぐれみりゃ死んじゃうんだよ。それにこんな大怪我じゃ助けてもらっても二度とダンスも出来ないしね」 「う゛…う゛ぁぁ…」 何故だか知らないが胴付きれみりゃ種は変にダンスというなの奇怪な動きを好む傾向がある。 “おぜうさまのかりすまなたしなみ”らしいがどう見てもダンスと呼べるものではない。 ただ手足を無意味動かしたり振ったりする奇行をダンスと呼べるのなら保育園のお遊戯の方が5那由他倍マシだ。 そしてれみりゃにしかわからない価値観だがダンスがよりカリスマなゆっくりが“こ~まかんのおぜうさま”になるらしい。 と言っても殆どの胴付きれみりゃが生まれた時から自分がそうだと思い込んでいるから意味はない。 そもそもよりカリスマってどういう基準なのかわからない。 「さ~て、もうすぐ死んじゃうれみりゃちゃん。気分はどうかな?」 「や、やじゃ…ぢにだぐばい…」 いい顔だ。とてもいい顔だ。 恐怖に歪んでいつもの憎たらしい顔よりも全然いいね。 「ダーメ、死ぬんだよ絶対。もうダンスも踊れないしぷっでぃんも食べられない。さっき言ってたとっておきのあまあまも食べられないよ。我慢しないでさっさと食べてればよかったのにね…」 「いぎゃあ…じゃぶや…」 「こーまかんとやらにも戻れないし、咲夜もお前を助けない。お前の全部をあのれみりゃが持ってっちゃった。だ・か・ら・さっさと死ねよ糞豚」 「や…じゃ…でび…りゃは…おぜ…う゛…」 「だ~から、お前はおぜうさま何かじゃねえんだよ。ただの豚。その証拠にこんなんなっても咲夜は助けてくれないだろ?」 「でびりゃは…ぶたじゃ…」 「…もうどっちでもいいからとりあえず死んどけよ。もし死後の世界があんのならそこでせいぜい閻魔様の前でぶ~ぶ~吠えてろよ。豚らしくさ」 「ぶ…だ…じゃ…」 「いいからさっさと死にさらせえええええええ!!!」 「ぷぎょびゃあ゛あ゛!!?」 口が真っ二つに裂かれ、悲鳴が聞けなくなるとつまらないので一息で殺す事にした。 その結果断末魔の悲鳴を上げて一気に真っ二つにれみりゃはなる。 死に顔は最期まで自分がこんな目に遭うのかわからない、と言いたそうな表情をしていた。 「これで、マジックは終了。ご苦労様れみりゃ」 役目を終えたれみりゃを労い、箱に火をつける。 勢いよく燃え上がるれみりゃ。 これでれみりゃが死んだ事を知る奴は俺以外誰もいなくなった。 おれはババアに溺愛されてゲス化するだろうれみりゃをどう虐殺するか楽しげに考え込むのであった…。 END あとがき 「元銀バッジまりさの末路」が完結したので今まで書けず溜め込んでいたSSを出してみました。 本当は10KB以下の簡潔なものだった筈なのに例の如く長くなってしまいました。どうしてだろう? それはそうとして今回は餡庫の方ではあまり見ないれみりゃいじめに再チャレンジ。いかがだったでしょうか? それでは、今回このSSを読んで頂き誠にありがとうございました。 過去に作ったSS ふたば系ゆっくりいじめ 293 おかざりがないとゆっくりできないよ! ふたば系ゆっくりいじめ 311 きゃわいきゅっちぇぎょめんにぇ!! ふたば系ゆっくりいじめ 347 れいむはしんぐるまざーでかわいそうなんだよ!! ふたば系ゆっくりいじめ 397 大好きだよ ふたば系ゆっくりいじめ 447 おきゃあしゃんのおうちゃはゆっきゅちできりゅね! ふたば系ゆっくりいじめ 521 元銀バッジまりさの末路 上 ふたば系ゆっくりいじめ 543 元銀バッジまりさの末路 中 ふたば系ゆっくりいじめ 630 かいゆっくりじゃなくてごめんね!! 上 ふたば系ゆっくりいじめ 631 かいゆっくりじゃなくてごめんね!! 下 ふたば系ゆっくりいじめ 669 おうちのなかでかわれなくてごめんね!! ふたば系ゆっくりいじめ 677 元銀バッジまりさの末路 下 ふたば系ゆっくりいじめ 750 あまあまおいてさっさとでてってね!! ふたば系ゆっくりいじめ 803 雨の日はゆっくり遊ぼう ふたば系ゆっくりいじめ 919 元銀バッジまりさの末路 終の1 ふたば系ゆっくりいじめ 920 元銀バッジまりさの末路 終の2 天然あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ご那由他倍www -- 2014-09-28 13 03 47 ↓↓別に誰が何を好もうと、勝手でなんだねー いちいち人の好みにケチ付けてたら面白くないんだねー わかってよー -- 2013-09-11 20 50 24 れみりゃざまぁ -- 2012-12-29 16 41 44 れみりゃ狂信者はゆ虐新参の奴が多いよな。古参ぶるつもりはないが。多分れみりゃは愛での絵が多いし、れみりゃは胴付きがほとんどだから新参は「れみりゃはかわいい、ゲスはいない」と思い込んでいるんだろ。 俺的にはれみりゃは一番嫌いなゆっくりだがね -- 2012-02-29 13 50 58 u-nn・・・ れみりゃはいただけない・・・・ -- 2011-09-14 00 29 38 虐待お兄さんの楽しいマジックのタネとそのれみりゃが絶対に死に誰にもバレないというしかけがあるわけだな -- 2011-02-27 15 39 49 マジックじゃねぇじゃねぇかw 後で半分になったのくっつけてみようぜー -- 2010-11-28 09 53 26 実際目の前にれみりゃが現れて「ぷっでぃ~んをよこすんだど~☆」とか言ったら即座に家に誘拐して地獄の苦しみを味わわせる -- 2010-11-24 01 38 58 れみりゃにゲスはいない…たしかにそれはそうかもしれないな。つまりれみりゃはゲスじゃなくても、ナチュラルな状態ですでに頭悪くてわがままでうざくているだけで害悪なゆっくりということですね。わかります。 -- 2010-08-07 22 17 04 ちらほられみりゃ狂信者がいるな おお怖い怖いwwww -- 2010-08-07 00 39 21 このれみりゃがどれくらいゲスなのか書いてほしかったなあ でないとすっきりーって感じがしないな れみりゃいじめはあまり見ないしもっと見てみたいな -- 2010-07-11 00 18 21 れみりゃにゲスなんかいない、ゲス化もしない。れみりゃはみんな良い子。れみりゃは素敵なかりすまおぜうさま。 れみりゃを虐待・虐殺するゲス野郎は地獄に落ちろ。 地獄で獄卒の鬼に切り裂かれたり、引き千切られたり、叩き潰されたり、焼き尽くされたり、串刺しにされたり、ひき肉にされたり、生皮を剥がれたり、喰われてウンコになったりしろ。 -- 2010-07-11 00 01 52
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2264.html
※胴付戦隊ゆっくりじゃーを見る時は、部屋を明るくしてテレビから離れて見てね! 空を覆う黒い影、地球の平和が脅かされる(ゆっくりじゃー!) 青き海原・緑の草原・光る都会の輝きを 今こそ守るぞひそーのけん おお、みんなを守るため おお、今こそスクランブルだ 天にそびえし金色の 角で貫けゆーぎロボ 切り裂け怒りのひそーのけん 悲しみ払い、みんなに笑顔を取り戻すまで 胴付戦隊ゆっくりじゃー!(YUKKURIJYA!) 胴付戦隊ゆっくりーじゃー! 世界は危機に直面していた。 度重なる不幸や悪意、自然の驚異を乗り越えたゆっくり達が、人間への復讐を始めたのだ。 その名も暗黒ゆっくり軍団。 人間は武力を持って立ち向かったが、ゆっくりの持つ驚異的な繁殖力に抵抗しきれていないのが現状だった。 微妙に劣勢であった人間に更なる問題が発生した。 暗黒ゆっくり軍団四天王「ド・スフォー」が人間の本拠地である日本に集結したのだ。 本来悪の幹部は一度に集まって攻撃しないのが定説だが、その辺りは空気を読まない事で有名なゆっくり。 大人の事情を全く考えずに四天王が集まってしまった。 『ゆっへっへ、邪魔な人間さんはとっとと消えないと、ドスパークで灰になるんだぜ!』 「うわぁー助けてくれー!」 強大な火力を用いて全てを焼け野原にする、ドスまりさ 『にんげんさんはとっととつぶれてね!ぽいんぽいんするよ!』 「ひぃ、お、俺達の家が…」 異常に太った巨体で全てを薙ぎ払う、ドスれいむ 『んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』 「うぇ…マジ気持ち悪い……あん!?動けねぇ!!」 醜悪な顔と粘着性の高い精子餡で全てを粘着する、ドスありす 『むきゅ…三人とも暴力でしか物事を解決できないなんて…賢者は知能で戦うのよ』 「井戸が!俺の井戸に毒が!!」 知能を駆使し、トラップや破壊活動に長ける、ドスぱちゅりー この四匹の暗躍により、地域は壊滅状態。 自衛隊の努力も虚しく四天王を含むゆっくり軍団は、地球防衛組織の基地まであと一歩のところまで攻めてきた。 「もうおしまいか…」 「まさかあれほどバカにしていたゆっくりに人間が負けるなんてな、笑えないぜ…」 『ゆっへっへ、弱っちい人間さんはさっさとどくのぜ!いや、どかなくてもいいのぜ、そこで灰になるといいんだぜ!』 「うわぁぁぁぁぁ!」 「そこまでです!」 『ゆぎゃぁぁぁぁ!目が、目が痛いんだぜぇぇぇぇ!』 誰かが叫んだと同時に、ドスまりさの目に岩石が刺さった。 『んほっ!?』 『まりさ、だいじょうぶ?』 『な、何者なんだぜ!』 「砂糖と大豆の塊に、綺麗な地球は渡さない。 ひなないゆっくりてんこ!」ジャキーン!(青い爆発) 「右にスクープ、左にゆっくり、どちらも逃がさず。 清く正しいゆっくりきめぇまる!です」シャキーン!(黒い爆発) 「人間さんを守りつつ、美味しいあまあまいたたきますだどぉー。 すかーれっとゆっくりれみりゃ!だどぉー」ズガガーン!(紅い爆発) 「おりんりんらんど、はっじまるよー。 にゃんにゃんゆっくりおりん!」シュヒーン!(赤い爆発) 「……ふらん」(ふ、ふらん!ちゃんと決め台詞を言うんだどぉ!)「……うるさい」ガキーン!(黄色い爆発) 「「「「五人合わせて、「比那名居」「文文」「紅魔」「ふゅーじょん」戦隊ゆっくりじゃー!参 上 !」」」」「…参上」ドドーン!!(もう一度各個同じ爆発) 「…おかしい、比那名居戦隊って決めたはず」 「ひなないせんたい(笑)おお、ダサいダサい」 「こーまかんが一番カッコいいんだどぉ」 「やっぱりおりんりんランドにしようよー」 「おりんりんランド…おりん、さっきふゅーじょんって言ってた」 「別に紅くもないのに紅魔戦隊、おお、おかしいおかしい」 「人名なんてダサいんだどー」 「にゃーん」 『ゆがぁぁぁぁおばえらなんなんだぜぇぇっぇ!?おめめの仇ぃぃぃぃ!!』 要石を目に刺された挙句、思いっきり無視されたドスまりさは怒り心頭。 すぐさまドスパークを放った。 「おっと!」 「おお、おそいおそい」 もちろん当たるはずもなく、スパークは空しく空に飛散する。 『ゆぎぎぎぎぎ!こうなったらドスパーク連射だぁぁぁぁ!』 口が焼き切れんばかりに何度も光線を放つドスまりさ。 しかしその光線は誰にも当たる事はなかった。 「遅すぎてカリスマ☆ダンスを踊っちゃうんだぞー」 「おねーさん、ちっともやる気がないねぇ」 『だばれぇぇぇぇ!ドスパークッ!!』 「うー!?ふらん、避けるんだどー!!」 またも渾身のドスパークが放たれるが、その射線上のふらんは回避する様子がない。 『やったぜ、勝ったのぜ!』 「…ウザい」 握り締めたれーばていんを振りかざすと、ふらんはドスパークを撃ち返した。 バシンッと轟音が鳴り響き、光の光弾がドスまりさを襲う。 『そ、そんな…ゆぎゃああああああああああ!』 『まりさ!』 『んほっ!?』 反射されたスパークの直撃を受け帽子は消失、顔の半分は黒くただれてしまった。 右目には要石が、左目はただれてもはや機能していない。 『目が、目が見えないんだぜぇぇぇ!真っ暗なんだぜぇぇぇ!?』 「あまり苦痛を与えるのも酷です、ゆっくりしないで消えて下さい!」 てんこは右手を要石へとかざし 「てんくーのれーせき!」 と叫びながら決めポーズ「あらぶるひなないのぽーず」をとった。 するとドスまりさの目に埋め込まれた要石が見事なまでに爆散し、ドスまりさの半身は消えてなくなった。 『ぶべっ!ゆ!?……ゆっぶり…ぶぼっ、ゆっぶり…じで…』 『ば、ばりざのおがおがぁぁぁぁぁ!!』 「おお、むごいむごい」 「てんこー!ちゃんととどめささないと、たましいがとれないよー」 『で、でいぶ…ゆっぶり…ばりざ…まだじにだぐ…』 『ばりざ!じっがりじでいっでよ!!』 『じにだぐ…ぶぼっ!』 今生の別れになるだろう会話だが、それさえ終わることなくドスまりさはれーばていんに貫かれた。 「…ウザいしキモい」 『ばりざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!よ、よぐもぉぉぉぉ!!!!ありず!アレをやるよ!』 『んほっ!』 ありすは歯を食いしばり力を込める、すると底部から数十本の触手が伸びてきた。 「わぁーさすがドスありすだね、すごいよ!」 「これならまけるわけないぜ!」 「なんてとかいはなぺにぺになの…すてきだわ」 お付のゆっくり達もその触手…いわゆるぺにぺにに見とれてしまう。 そのくらいゆっくりにとっては、雄々しく頼もしい存在であった。 だが。 「ゆ?なんなの?」 「ドスありす!てきはむこうなんだぜ!?」 「や、やめなさい、そくばくぷれいなんてじょうきゅうしゃむけよ!」 ドスありすのぺにぺには配下のゆっくり達に巻きついていった。 そしてそのぺにぺにが狙うべきは… 「ゆぎゃぁぁっぁああああ!どぼじでまりざのまむまむにいれぢゃうのぉぉぉ!!にんっしんっしちゃうぅぅぅぅぅぅ!」 「やめてね、やめてね!こんなのゆっくりできないよ!」 「お、おなじありすどうしでこんなのふけつだわっ!」 『ん…ん…んほぉぉぉぉぉぉおぉおおおおおおおお!!』 「…みにくい」 「ファインダーが腐りそうなので撮影は控えます」 『さすがありすだね、じゃあこんどはれいむのばんだよ!みんな、れいむのおくちのなかににげてね!』 「ゆゆ!?ドスれいむがたすけてくれるの!?」 「ま、まりさがさきににげるんだぜ!」 「どきなさい!」 『ゆっふーん、れいむはにげないからじゅんばんにはいってね!』 頭に茎の生えた者も腹を異常に膨らませた者も、全員仲良くドスれいむの口の中に入っていく。 ゆっくり達は成体になっても所詮ゆっくり、まるで母の口の中にいるかのような安堵感に、眠りにつく者もいた。 「ゆっふーん…ドスれいむのなかはゆっくりできるよぉー」 『うれしいよ!じゃあゆっくりれいむのえいようになってね!』 「ゆゆっ!?」 今なんて言った? れ い む の え い よ う に な っ て ね え?お口の中にいるって事は、守ってもらえるって事で…れいむはドスれいむのお口のなk『ごりゅっ!』 『むーしゃむーしゃ!』 「ゆぼぁぁぁぁぁ!!」 「ドス、なにやってるの!」 『なにって、ぱわーあっぷのためのじゅんびだよ!』 「どぼじでばりざだぢをだべるのぉぉぉ!」 『たべなきゃおおきくなれないでしょ?ばかなの?しぬね』 「やべろぉぉぉぉぉ!!」 口に含んだゆっくり達を、ゆっくりと食しするれいむ。 そのただでさえドスである巨体は、にんっしんっ!状態のゆっくりを摂取する事で当初の4倍にまで膨れ上がった。 『ゆっふーん…さぁほんばんだよぉ!』 「デブ」 「おお、でぶいでぶい」 「みにくいんだどー☆」 「あれ、たましいはこべるかなー?」 「………」 『ゆがぁ!れいむのぷりてぃぼでぃーはおでぶじゃないよ!』 怒りながらもとても跳ねる事のできない巨体のためか、転がりながら突っ込んでくる。 されど効果範囲は広いものの、あまりの遅さに潰される者はいなかった。 『どぼじでつぶれないのぉぉぉぉ!!』 「ドスパークより酷いです、面倒なので一気に決着をつけます」 てんこは振り向き様に「ひそーのけん」でドスれいむの頬にあたる部分を切り裂いた。 切り口からは餡子が… 「あれ?」 『ゆっふっふ、そのていどでれいむのおはだはやぶれないよ!』 「だったら…かなめいし!」 右手から放たれた要石は、まりさの眼球を貫いたように、ドリルの如く回転しながられいむの柔肌に命中した。 回転しながら皮にめり込んでいくが、その回転は徐々に止まってしまう。 『ゆふふふふ、くすぐったいよ!』 「むぅ…」 「おお、てんこ。ここはあれをつかいましょう」 「でも」 「敵が大きくなったら使うのが定石、まさに定番、テンプレ乙」 「わかった」 てんこはポーチから携帯電話を取り出すと、慣れた手つきでアドレス帳を開く。 「『ぷるるるる、ぷるるるる、ガチャ!』はーい、わかるよー!」 「ちぇん、ピンチです。ひなないロボを要求します」 「……ゆーぎロボの事だね、わかったよー」 「いえ、ひなない…『ブツッ!』…ろぼ…」 「おお、ひなないロボならまだおりんりんロボのがマシですね」 「じゃっじゃーん、おりんりんロボ、やってくるよー!」 「いえいえ、おりんりんロボはない」 「うっうー、そのまえにあれをやるどぉー」 『おばえらでいぶをむじずるなぁぁぁぁぁ!!』 連続しての罵倒、そして無視に耐えかねたれいむが再度襲い掛かる。 襲い掛かると言っても相変わらずの回転圧殺攻撃だけだが。 「ロボを呼び出す時は見守るべきです、空気を読んでください(フィーバー!)ん?」 「おお、どうしました?」 「いえ、何だか深海魚っぽい幻聴を聞きました、疲れているようです」 「さぁ、みんなでやるどー☆」 「れみりゃは本当にあれが好きだね、流石のおりんもちょっと恥ずかしいよ」 「いくどー!」 「「「「ゆーぎロボ、かむひあー!」」」」「………」 「ふ、ふらん!早くポーズと掛け声を合わせるんだどぉ!」 「…やだ」 「我侭はダメだどぉ!」 「…絶対やだ」 「我侭を言う子はおしおきだどぉー」 言うが早いか、れみりゃのビンタが炸裂! する瞬間にその右手を捌き取り、そのままアルティメット・スカーバスターへと移行する。 そしてドスの飛び跳ねる音よりも、さらなる轟音が周囲に鳴り響いた。 「う、ううっ…ざぐやぁぁぁぁぁぁ!」 「…ふんっ」 「おお、姉なのによわいよわい」 「ふらん、このままでは負けてしまう」 「…ふらんは一人でもアレを倒せる、あんなわけのわからないポーズは絶対に嫌」 「ふらん、このままだとめーりんも潰されちゃうねぇ」 「!?」 「おりんはめーりんの魂がレアだから嬉しいけど、ふらんはどうかなー?」 「……だからあんなのふらん一人で」 「ふらんがアレの相手をしている間に、ドスありすやドスぱちゅりーがめーりんに対してじゃんじゃじゃーん!」 「…くっ」 「ふらん、一緒にひなないロボを呼びましょう」 「…わかった、ゆーぎロボを呼ぶ」 「ちっ!」 『どぼじででい「もうちょっと待って下さい」ゆがぁぁぁぁぁぁ!!』 「こほん、では気を取り直して」 「「「「「ゆーぎロボ、かむひあー!」」」」」 「わかったよー!ゆーぎロボ、 はっ しん !」 巨大化したれいむを食い止める事はできるのか? てんこ達の呼ぶゆーぎロボとは!? 次回、胴付戦隊ゆっくりじゃー「衝撃・怪力乱神砲」でゆっくりしていってね! 「うー!続きが気になります!」 「ってもしょうがねーだろ、この世の中での戦隊物は30分番組って決まってるんだ」 「このままではてんこのストレスが有頂天!」 「はいはい、そんな事もあろうかと準備しておいたぞ」 そう言ってお兄さんはバッグの中から何かを取り出す。 もぞもぞと動くバッグから出てきたのは、口をガムテープで押さえたゆっくりれいむ。 腹部が膨らんでいるのでどうやらにんっしんっしているようだ。 「ひそーけん!」 「んんんんー!んんんんんんんんんんんんー!!」 てんこの拳がれいむの眉間に直撃し、顔が陥没する。 「ひそーけんって、殴ってるだけじゃねーか…ほら、これ使え」 「おにいさん、これはどうみてもれーばていん」 「そうなのか?まぁどっちでもいいだろ」 「よくない、これはふらんの武器、最強最高エクセレント戦士てんこの持つ武器ではないのは明らか」 「叩けば一緒だ」 「…ぷくぅ」 「わかったわかった、わかったから頬を膨らますな、今度ひそーのけんとやらを買ってやるから、今日はそれで我慢しろ」 「てんこ変身ポーチも」 「……はいはい、わかりましたよーだ」 「流石お兄さん、てんこ愛してる」 そしててんこはればーていんを片手にれいむの元へと走っていった。 当のれいむは砂糖水の涙を流しながら、んーんーと何かに懇願しているようだ。 「すたーぼうぶれいく!」 「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ーーーーーー!!」 「結局何でもいいのかよ…………………………『てんこ愛してる』か……うひょぉぉぉぉ!!」 「お兄さんがキモいのは確定的に明らか」 「おまっ、な、何で隣にいるんだよ!」 「てんこに欲情、おお、キモいキモい」 「きめぇまるの真似をするなっていつも言ってんだろ!!」 あとがき 胴付てんこが可愛くてぱちぇを愛でたり炉心融解させる暇がない。 てんこ愛してる。 今までに書いたゆっくり ゆっくり信仰していってね! ゆっくり新技術を導入していってね! ゆっくり体調管理をしていってね! 虐待理由 協定 ゆっくりの能力を得たお兄さん ゆっくり並列宇宙の旅 ゆっくり名言集 おまけーね 胴付戦隊ゆっくりじゃーエンディングテーマ れっつ かりすま だんしんぐ (うっうー Let's charisma dancing !) うっ、う、ううっうー☆ 今日も地球は平和だどぅー 懲りずに出てくる黒い影ー 優雅で綺麗なぐんぐにるー☆ ゆっくり蹴散らし(餡子が美味しいどぉー!) たまには咲夜に泣きつくけれどぅー れみりゃはかりすまおぜうさまー ふらんの前ではなかないどぉー 悲しい時には(dancing!) みんなで踊ろう(dancing!) かりすまかりすま かりすまだんすだどぉー! このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/4250.html
『れみりゃ修行する』 17KB 愛で ギャグ 飼いゆ 姉妹 失礼します ※ 「anko4058 まちょりーになりたい」のキャラが少し出てきます。 ※ めーりん語は翻訳してあります。 チートあきです。 「おねえさま、しね! しねー!」 「うー。いたいんだどー。やめるんだどー」 ぽかぽかとれみりゃの頭を叩く胴付きのふらん。 れみりゃは必死に反撃しているが、ふらんの方が優勢である。幼稚園児のような体格で の殴り合い。身体能力ではふらんはれみりゃよりも上だ。れみりゃでは分が悪い。というか ふらんがほぼ一方的にれみりゃを叩いている。 「平和だなー」 その様子を眺めながら、飼い主の男はのんびりと麦茶を飲んでいた。 れみりゃとふらんのケンカはいつもの事であるし、今更気にするものではない。習性や本 能のようなものである。無理に止めるとかえってストレスが溜まってしまうらしい。殺し合い になることは、あまりない。 「いもうとのくせになまいきなんだどー!」 れみりゃが反撃に出るが、あっさりと突き倒された。 「あはははは! だらしないおにくのおねえさまは、ぶたのようにしね!」 マウントポジションを取り、ふらんは楽しそうに拳を振り回す。 みしり、とれみりゃの顔面に肘が打ち込まれた。 そんなある日。 男の前にれみりゃが正座した。 「うー。おにいさん、おはなしがあるんだど。れみぃはふらんにかちたいんだど。いもうとに やられっぱなしは、いやなんだど」 「ふむ。そう言われてみればそうだな」 男は首を傾げる。 記憶にある限り、れみりゃがふらんに勝てたことはない。それどころか優位に立てたこと すらない。連戦連敗。それは姉のプライドが許さないらしい。 生まれる順番からするとふらんの方が姉だった。余談であるが。 「じゃあ、修行してみるか?」 畳の上に正座をした男と、隣で同じく正座をしているれみりゃ。とある空手道場の練習場 だった。壁には『剛よく柔を断つ』と記された書が掲げられている。 「というわけでオヤジ。しばらくれみりゃを預けたい」 「くくく。そいつは面白れぇな」 男とれみりゃの前に座っている、厳つい男。 空手着の上からでも分かる筋骨隆々な肉体。きれいに剃髪された頭は、その異様な空 気をさらに強めている。手や顔には古傷がいくつも見えた。全身から立ち上る気迫。男の 父親であり、空手の師範だった。 ふらんのれみりゃの関係を手短に説明し、鍛えるように説明してある。 「おねがいしますだど」 父の迫力に気圧されつつ、ぺこりと頭を下げるれみりゃ。 父はれみりゃの細目を見据え、 「れみりゃ。修行は辛く苦しいぞ? 途中で何度も挫けたり泣いたり家に帰りたくなったりす るだろう。だけど、諦めず最後まで頑張ってくれるって、オレに誓ってくれるな?」 「うー。ちかうど」 れみりゃが頷いた。 「ぱちゅりー」 父が声を上げる。 その声に応えるように部屋の戸が開いた。 「よんだかしら、しはん?」 「うーあー!? ばけものー!」 正座を崩し両手を床に付き、れみりゃが悲鳴を上げる。 無骨な筋肉を持つ胴付きのぱちゅりー。まちょりーだった。身の丈二メートル近い長身に 紫色の服がきつくなるほどの分厚い筋肉。巨木、もしくは大岩。そんな表現の似合う体躯 である。腰に黒帯を巻き、袖は無く、スカートの左右にスリットが付けられていた。足とドロ ワが見えているが、色気は無い。むしろ変な卑猥さがある。 まちょりーとしてもかなり規格外の体格だ。 父親の飼いゆっくり兼弟子である。 「バケモノとはしつれいね。ぱちぇはぱちぇよ。むっきゅりしていってね」 のしのしと足を進め、ぱちゅりーがれみりゃの傍らまでやってくる。身長で二倍、容積なら 十倍以上の差はあるだろう。バケモノという表現は間違っていない。 「なかなかかわいいれみぃね。おにんぎょうさんみたい」 無造作に手を伸ばし、れみりゃの頭を掴んだ。 「うあああ!? つぶれるぅぅ!? つぶれるどおおお!」 ぱちゅりーの手を掴み返し、れみりゃが暴れる。 ぱちゅりーとしては軽く撫でる感覚だった。だが、れみりゃにしては万力で頭を挟まれた ようなものだ。実際ぱちゅりーが少し力を込めれば潰れるだろう。豆腐のように。 腕組みしながら父が笑っていた。 「んじゃ、ぱちゅりー。れみりゃの事は頼むぜ? 死なない程度にな」 「わかったわ」 ぱちゅりーが手を放した。 うつ伏せに倒れたれみりゃを見下ろし、 「はなしがまとまったところでさっそくだけど、トレーニングをはじめようかしら。まずはきそた いりょくをつけるために、ぱちぇといっしょにマラソンね」 「まらそん……どれくらいだど?」 「10キロよ」 見上げるれみりゃにさらりと答えるぱちゅりー。 「じゅっきろって……どれくらいだどー?」 れみりゃは冷や汗混じりに男を見る。 10という数字が理解できないわけではない。kmという距離の単位が理解できないわけ ではない。だが、10Kmという言葉は理解できなかった。 男は少し考えてから、笑顔で答える。 「たくさんだ」 「………」 れみりゃが顔を引きつらせる。凄く多いという事は理解した。 「れみりゃ。今になって『やっぱやめる』ってのは無しだぜ?」 父が凶暴な微笑みとともに告げる。いつの間にか右手を持ち上げていた。拳ではない。 親指と人差し指、中指で何かを掴むような形。れみりゃは本能的に悟った。拳よりも危な い手の形。もし迂闊な事を言えば、ここで死ぬ。 「ぜんはいそげ。いくいわよ、れみぃ」 「うーあー!?」 ぱちゅりーに引きずられ、れみりゃは無力に泣いた。 ぱちゅりーのマラソンコースは近所の運動公園だった。マラソンやウォーキングができる ように小さな道が造られている。一周およそ一キロ。コースにはマラソンをしている若者や 犬の散歩をしているおばさんの姿があった。 「むっきゅ、むっきゅ」 両手両足にパワーリストを巻き付け、ぱちゅりーは軽快な足取りで走っていた。 走る度にスリットの刻まれたスカートが翻り、丸太のような足が覗く。 マラソンするまちょりーという光景は異常なものだが、周りの人間は既に慣れてしまって いるので、普通に道を開けたりしている。 「ぅ……」 一方、のたのたと走るれみりゃ。視線は何もない空を彷徨い、足取りもおぼつかない。現 在二キロを過ぎたあたり。体力の限界はとうに越えていた。 「さー、れみぃ。あとはっしゅうよ」 ゾンビのように走るれみりゃを、ぱちゅりーが追い抜いていく。 「あんしんしなさい。たおれたらたたきおこしてあげるわ」 「………」 れみりゃには呻く余力も無かった。 赤い空と広い河原。 その隅の方の石に三匹のゆっくりが腰掛けていた。身体の細い胴付きのぱちゅりー、れ いむ。そしてれみりゃ。川岸に着けられた小舟の横でこまちが一匹眠っている。 「ところであなた、いったいなにをしてここにきたの?」 「まちょりーとまらそんしてたら、ここにいたんだどー。そこからよくおぼえてないんだど……。 ぱちゅりーとれいむはなんでここにいるんだど?」 れみりゃが尋ねる。 「おふとんかけすぎておひるねしちゃったから、たぶんだっすいしょうじょうね」 「れいむはばななのかわさんで、すべってころんじゃったよ。うっかりしてたね!」 「それはさいなんだどー」 ガバッ! 薄い布団をはね除け、れみりゃが起きる。 「なんだどー!? なんかざんすのかわっぽいところで、かいわれだいこんみたいなぱちゅ りーとのうてんきそうなれいむと、しっぽりはなしこんじゃったどー!?」 「むきゅ。おきたのね」 ぱちゅりーが声をかけた。 道場にあるトレーニングルームである。今は人はいない。隅に置かれた椅子の上にれみ りゃは寝かされていた。 横には回復に使ったらしいオレンジジュースの空パックが置いてある。 「………。うー?」 かちゃり、かちゃりと金属の鳴る音。 ぱちゅりーがダンベルを持ち、腕を上下に動かしていた。ウエイトトレーニングらしい。鉄 の棒に巨大な円盤がよっつ付けられている鉄塊。それを両手にひとつづつ。腕が動くたび に留め具が鳴っていた。動きはかなり速い。 「それ、なんキロなんだど?」 椅子に座り直しながら、れみりゃは聞いてみた。 「かたほう80キロよ」 「……はちじゅっきろって、どれくらいなんだどー?」 80という数字が理解できないわけではない。kgという重さの単位が理解できないわけで もない。だが、80kgという言葉は理解できなかった。 「たくさんよ」 そう説明してから、ぱちゅりーはダンベルを床に置いた。 「とりあえず、れみぃは10キロからね。むきゅ。ちょっとかるいかしら?」 近くに置かれていた小さなダンベルを掴む。銀色の棒の左右に小さい円盤をひとつづつ 取り付けたもの。ぱちゅりーが今使っていたものに比べると随分と小さく軽く見えた。 ぱちゅりーはおもちゃでも持つように軽々と持ち上げている。 だが、ゆっくり基準では十二分に重いことを、れみりゃは理解した。 「はい」 ぱちゅりーがダンベルを投げてくる。 「う!?」 れみりゃは目を見開いた。 緩い放物線を描いて飛んでくる鉄の塊。もしかしたら門下生と一緒に鍛錬をする時に軽 いバーベルは放って渡しているのかもしれない。ともあれ、れみりゃにとっては絶対に持て ない代物だ。それを投げつけられた。受け止めたら危険、受け止めなくとも危険。 「どおおおおお!?」 鈍化した時間の中で、れみりゃは滝のような涙を流した。 ダンベルを投げてはいけません。れみりゃとお約束だぞ☆ ぐちゃ。 夕暮れのような赤い空。湖のように広い川。丸い砂利が敷き詰められた河原。石に座っ ている細い胴付きぱちゅりーと普通っぽいれいむ。 その前で、れみりゃは呆然と立ちつくしていた。 「あら、もうもどってきたの? きがはやいわね?」 「おかえりなさい、れみりゃ! ここがきにいったの? ゆっくりしていってね!」 「れみぃ、もうおうちかえるどおおおお!?」 両手を振り上げ、れみりゃは叫んだ。 「むっ、きゅっ!」 勢いよく空を切る正拳。 公園の端っこで、ぱちゅりーが正拳突きをしていた。足元から拳の先端まで流れるように 伝わっていく力。鮮やかな構えから突き出された拳が、重い風切り音を立てる。 「うー……あー……」 その横でぎこちなく正拳突きをしているれみりゃ。全身から流れる汗と真っ青な顔色、焦 点の合っていない瞳、身体は小さく震えている。ぱちゅりーによる鍛錬のおかげで死にか けていた。実際日に十回以上臨死体験を繰り返している。 「ぱちゅりーのくせにおねえさまをいじめるなんて、なまいきだわ。おねえさまをいじめてい いのは、ふらんだけなのに……」 二匹の修行の様子を、ふらんが物陰から伺っていた。嫉妬に歯を軋らせながら。 ふらんがれみりゃを虐めるのは、ふらんなりの愛である。自分以外の誰かられみりゃを 虐める。ふらんはそれが許せなかった。 もっとも、あのぱちゅりーにケンカを売って勝てるとは思っていない。 「こまったわ。おねえさまがつよくなったら、いじめられなくなっちゃう……」 そして最大の問題はれみりゃが強くなることだった。ふらんが見ても無茶苦茶と思える鍛 え方。だらしないれみりゃでもこの鍛錬を続ければ確実に強くなるだろう。れみりゃがふら んよりも強くなっては虐めることができなくなってしまう。 「そうだ」 ふらんはぽんと手を打った。 街外れにある古い日本家屋。日の光が差し込む客間で、男とふらんは座布団の上に正 座をしていた。床の間の壁には『柔よく剛を制す』と書かれた掛け軸が飾ってある。 「というわけで、婆ちゃん頼む」 「それは面白いのう。ふぇっへっへ」 ふらんの前には男の祖母である婆さんと、年老いた胴無しのめーりんがいた。 強くなったれみりゃに負けないように強くなりたい。その言葉を聞き、男が連れてきたの が祖母の元だった。かつては柔術の達人と言われた女傑である。最近でも麓に下りてき た熊を素手で仕留めたりと元気に暴れているが。 「それじゃあ、めーりんや。しばらくふらんを鍛えてやってくれ。まぁ、死ななきゃ何してもい いわ。アタシが直してやるからのう。へっへっへ」 楽しそうに笑いながら、祖母がめーりんを見る。 「わかったじゃお」 頷くめーりん。 「めーりんが、ふらんをきたえる?」 ふらんは眉を寄せてめーりんを眺めた。一目で分かるほど老いている。ここまで老化した ゆっくりはむしろ珍しいだろう。赤い髪は色褪せており、ほぼ白髪だ。帽子に付いた星マー クもくすんでいる。顔にも沢山のシワが入っていた。 「ふらん。そのかおだと、めーりんがつよいってしんじていないじゃお? まあ、とうぜんじゃ お。ろんよりしょうこじゃお、おもてにでるじゃお」 「わかった」 ふらんは立ち上がった。 庭に出てふらんとめーりんが対峙する。 男と祖母は縁側に座って二匹を眺めていた。 「相手はシロウトだ。うっかり殺すんじゃないよ?」 「わかってるじゃお」 祖母の言葉にめーりんが頷く。 ふらんは地面を蹴った。ふらんは単純な身体能力ならゆっくりでも随一だ。胴付き化する ことにより、人間の子供並まで上昇する。そこにふらん種特有の破壊衝動を加えれば、ゆ っくりではほぼ最強となる。 「めーりん、しね!」 めーりんめがけ、右手を振下ろす。五指を伸ばした狩りの動き。 「じゃお」 見たままを言うなら、めーりんがふらんの手に軽く体当たりをした。普通なら。普通のめー りんが相手なら、ふらんの指と爪がその身体を抉り取っていただろう。 跳ね返ってきた衝撃は大きかった。 慌てて後ろに飛退くふらん。 「うあ。ふらんのうでが……」 右手が壊れていた。五指があらぬ方向にひしゃげ、前腕に新しい関節が増えている。肘 もおかしな方向に曲がっていた。裂けた皮から、餡子がこぼれている。右腕は動かない。 これでは治療するまで使い物にならないだろう。 不思議と痛みは無かった。意識が追い付いていないらしい。 「じゃ~お」 ぽよん、と。 めーりんが跳んだ。 ゆっくりと。のんびりと。だが、ふらんの頭より高く跳び上がり、近付いてくる。それは風船 が動くような軽さだった。ぶつかっても痛みもないだろうと思わせるほど。 だが、そこに映るのは明確な死だった。 「もうこんてぃにゅーできなくなっちゃうわ!?」 ふらんは近くに落ちていた拳大の石を左手で掴み、めーりんに叩き付けた。 ガコッ。 粉々に割れた石が地面に落ちる。 ふらんは左手を下ろした。右腕のように目に見えたダメージはない。だが、肩から先の感 覚が全部消えていた。左腕が無くなってしまったかのように。 もし素手で受けていたら、どうなっていだろう。 「………」 唾を呑み込み、ふらんはめーりんを見る。絶対に勝てない。付け入る隙も無い。捕食種と 赤ゆっくり。それほど、いやそれ以上の差だった。理解を超えた圧倒的な強さ。 「これが『き』をつかうことじゃお」 赤い瞳をふらんに向け、めーりんが頷く。 「ひつようなとき、ひつようなすべを、ひつようなそくどでしようするじゃお。そのタイミングを しることじゃお。かんぜんなタイミングをてにいれているなら、もはやそこにはそくどさえもい らないじゃお」 「うー……。おわった……ど……」 道場の玄関に手をつき、れみりゃは肩で息をしていた。流れ落ちた汗がコンクリートに小 さな染みを作る。父の元に預けられてから一週間が立っていた。 「むきゅ。マラソンおわってもうごけるていどには、たいりょくついてきたわね」 れみりゃはぱちゅりーを見る。 最初は途中で気絶していた。だが、今は一応最後まで走り終えることができる。れみり ゃの身体は、この地獄に適応しようとしていた。適応せざるをえない。 ぱちゅりーが空を見上げ、口を開く。 「ふらんがしゅぎょうしているらしいわ」 「う?」 れみりゃは妹を思い浮かべた。 妹のふらん。正確には姉だが、れみりゃにとって年齢は関係なくふらんは妹だ。可愛く元 気な妹だが、理不尽な暴力が玉に瑕だった。いつもいきなり思いついたように殴りかかっ てくるふらん。思い返してみると、久しく殴られていない気がする。 「ふらん、が……? しゅぎょう……?」 嫌な予感がれみりゃの背を撫でる。 その予感は的中した。最悪な形で。 「おばあちゃんのところのめーりんにでしいりしたわ。むきゅ。あのめーりんはぱちぇのらい ばるなの。とってもつよいわよ。ふらんもきっとものすごくなってくるわね」 重機のような腕を動かしながら、ぱちゅりーが獰猛な微笑を見せる。 「それはたいへんなんだど……」 ふらんよりも強くなろうとしているのに、ふらんはさらに強くなってしまう。必死に鍛えても、 ふらんがさらに強くなっていては、意味がない。 ぱちゅりーが大きく腕を振る。 「そうね、たいへんよ。だから、ぱちぇのとっておきをおしえてあげるわ。れみぃにおんそく のせかいをみせてあげる。これでふらんもこなごなよ!」 「おん、そく……?」 音速。 その単語に、れみりゃは嫌な予感しか覚えなかった。 賽の河原にて。 れみりゃは石に座ってため息を付いていた。 「こぶしでおんそくこえるって、むちゃなんだど……」 ぱちゅりーが見せた音速。最大速度が音速に達する無茶苦茶な突きだった。曰く、全身 を無数の関節として加速する。ぱちゅりーが拳を突き出した瞬間大爆発が起り、れみりゃ はまたここに来ていた。超音速拳の余波で吹っ飛ばされたらしい。 「というか、なんでれみぃはこんなことしてるんだど……? れみぃはただ、ふらんといっし ょになかよくくらしたいだけなんだどー……」 れみりゃの前にはこまちが座っていた。横に鎌が置いてある。 「まあ、こまちにはよくわからないけど、あんたもたいへんだねー。まいにちいったりきたり。 いまはてもあいてるしひまだから、ぐちくらいはきいてあげるよ」 「ありがとなんだどー」 「どうしてこんなことになってるんだど……?」 れみりゃは小声で自問した。 一ヶ月半の鍛錬を経て、れみりゃの筋肉は成長していた。ぱちゅりーのような異様な形 ではないが、街路樹の枝程度には逞しくなっている。以前のふらんと戦ったらさほど苦労 もなく勝てる。その程度には成長していた。 「おねえさま、ひさしぶりね」 正面に目を向けると、ふらんがいた。前に見た時よりも一回り細くなっていた。どのような 修行をしたのかは分からない。痩せたとは違う。窶れたわけでもない。鋼鉄を削り、研ぎ、 一振りの刃に変えたような変化だった。 「あのぶたまんじゅうが、ずいぶんとたくましくなったみたいだけど、ふらんはもーっとつよく なったわ。だから、しね! ぶちまけてしね! ごみのようにしね! そしてもげろ!」 ふらんは満面の笑顔で親指を真下に向ける。 ぱたぱたと嬉しそうに羽を動かしていた。 「がんばりなさい、れみぃ! たたきつぶしてやるのよ!」 「おう、れみりゃ。一応お前もうちの看板背負ってるんだ。負けるんじゃないぞ」 れみりゃの後ろの応援している父親やぱちゅりー。 「ふぇっへっへ。試し割の相手としちゃぁ上等じゃないか。捻ってやりな、ふらん」 「ちゅーごくよんせんねんのれきし、そのちからをみせてやるじゃお」 ふらんの後ろでは祖母と老めーりんが応援をしていた。 近くにある運動公園にて、れみりゃとふらんは対峙している。色々あった末に姉妹の決 着を付けると決闘の場が用意された。れみりゃは遠回しに止めさせようとしたが、誰も相手 にせず今に至る。もはや引き返せない。 ただならぬ雰囲気に野次馬も集まりつつあった。 「審判は俺だ」 れみりゃとふらんの間には、飼い主の男が立っている。 「勝った方には洋菓子屋サクヤのカスタードプリンご馳走してやるぞ」 「さくやぷでぃ~んぐ……。ごくり」 出てきた単語に、れみりゃは涎を呑み込んだ。 洋菓子屋サクヤ。近くにある有名なお菓子屋で、さくやがマスコットをしている。そのプリ ンの味は絶品で、遠くから買いに来る者も多い。れみりゃとふらんは一口だけ食べた事が ある。その時はあまりの美味しさに気絶しかけた。それほど美味しいのだ。 「あははは! ぷでぃーんぐはふらんがいただくわ!」 瞳に赤い輝きを灯し、ふらんが牙を見せる。 「わかったど……」 れみりゃは右手を握り込んだ。小指から人差し指まで、緩く握り締める。余計な力は入れ ず、だが気は緩めずに。体内の謎肉が熱を帯びるのが分かった。 「こうなったら、やってやるんだどおおおお! ふらんもたおして、おねえさまのカリスマをと りもどすんだど! それから、さくやぷでぃ~んぐもいただくんだどおおお!」 れみりゃが駆け出した。 胴付きれみりゃののたのた走りではない。しっかりと地面を踏みしめ、勢いよく地面を蹴 り、身体を前へと撃ち出す疾走。小さな羽がなびく。修行の成果だった。 「かくごしろおおお、ふらんんっ!」 「おねえさまああ、しねえええ!」 ふらんが笑った。 過去SS anko4193 BGM 真ゲッターロボ anko4158 お帽子さん、外れてね anko4147 ぐんまりさ迷子になる anko4144 いたさなえ anko4128 ちぇん CV:若本規夫 anko4109 ゆっくり・ボール・ラン 2nd STAGE anko4108 ぱちゅりーの居場所 以下略
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/813.html
注意書き 人間に飼われるゆっくりがいます うーぱっくが登場します さらにうーぱっくは自分の脳内設定全開です あとすこし人間、飼い主虐めな部分もあるかもしれません では、本編行きます 「おにいさん!まりさはゆっくりいってくるよ!!おひさまがしずんだころにはかえるからね!!」 「ああ、ゆっくり気をつけてな」 畑で農業をやっているお兄さんに大切に飼われているこのまりさは毎日朝ごはんを食べた後は夕方、日没まで外で遊ぶのが日課になっていた。 「ゆゆ!きょうもゆっくりたんけんするよ!!」 このまりさは人間に家から出してもらえない飼いゆっくりのために家の外の楽しいもの、面白いもの、怖いものを見聞し、ゆっくり集会で発表するのが楽しみだった。 今日もその集会のネタ探しのために里のはずれの野原まで跳ねていった。 「ゆ~、おひさまがちもちいいね!!」 目的地の原っぱについたまりさは原っぱのど真ん中で日向ぼっこをしていた。 ここは飼いゆっくりや野生のゆっくりがたまに訪れるゆっくりプレイスであり、ここに来る野生のゆっくりは温厚なものが多いため野性と飼いゆっくりの衝突もほとんど起きていなかった。 今日は自分以外のゆっくりがいないな?そうまりさが思ったとき、自分の後ろから声が聞こえた。 「う~、たべちゃうぞ~」 「れ、れみりゃだぁー!!」 なぜ昼間にれみりゃが居るんだ? まりさにはその理由は分からなかったがそこにれみりゃがいることは確か、まりさは全力で森の中へ逃げ出した。 このれみりゃは昨日の夜から餌を探していたが餌が見つからなかった、一日ぐらいなら我慢できたが二日も餌が見つからないと空腹で辛くなる、 そのためれみりゃは本来活動時間ではない昼間も起きて餌を探していたのだ。 ちなみにれみりゃが白昼堂々飛んでいるのを見た周囲一帯のゆっくりみんなが巣にこもってしまい逆に餌が取りにくくなったことは言うまでもない。 まりさは何とかれみりゃの攻撃をかわしていた。 もともとれみりゃは旋回性能が低い、全速力で飛んでるときは致命的なまでに。 河に流されていたれいむを救ったれみりゃが目の前の電柱をかわしきれない…そんな絵はかなり有名なので見たことがある人も多いと思う。 そのためれみりゃは「たべちゃうぞ~」とゆっくり達の恐怖心を刺激し、恐怖したゆっくりは直線コースでしか逃げようとしないためれみりゃにつかまってしまう。 だがある程度成長したゆっくりや、飼いゆっくりはれみりゃの欠点を知っているためれみりゃの進行方向に対し垂直に動くことでれみりゃの攻撃をかわすことができるのだ。 「う~逃げると食べちゃうぞー!!」 何度も自分の突撃をかわすまりさにしびれを切らしたれみりゃは全速力で突っ込んできた。 「まりさはれみりゃになんかたべられないよ!!ゆっくりしね!!」 れみりゃの牙がまりさに刺さる直前、まりさは横にはねた。 「う~?うああぁぁぁぁ!!!」 目の前にいたまりさがいなくなったと思ったら目の前には切り株、れみりゃはよけることも止まることもできずに正面から激突してしまった。 「う~…」 そのまま白目をむいて気絶するれみりゃ、これで一安心だ、しばらくは目を覚まさないだろう。 「ふぅ、これでやっとゆっくりできるよ…ゆ?」 そのとき、まりさはある事に気づいた。 「ここ゛どこ゛お゛ぉぉぉぉ!?!?」 そう、まりさはれみりゃから逃げるのに夢中になり、森の奥深くに入った結果、道がわからなくなってしまったのだ。 さらにもう夕方じゃないか、このまま日がくれればれみりゃの時間になる、もし複数のれみりゃに襲われれば自分は簡単に食われてしまうだろう。 お兄さんとの約束を破って怒られるのは怖くなかった、悪いのは自分だからだ。 でもお兄さんにもう二度と会えないと思うと震えが止まらなかった、れみりゃに食われることよりもお兄さんの方が大事だったのだ。 その時、饅頭に神がいたかどうかは知らないがまりさのすぐ近くを通りがかったうーぱっくがいた、あれに乗ればゆっくりできる!そう思ったまりさはうーぱっくを呼びとめた。 「ゆゆ!そこのうーぱっく、ゆっくりとまってね!!」 「う~?」 「まりさはみちにまよっちゃったの!かえりたいからゆっくりのせてね!!」 「うー!うー!」 うーぱっくから了承を得たまりさはうーぱっくの上に飛び乗った。 うーぱっくが上昇してくれたおかげでまりさはなんとか里の方向を特定した、まりさはうーぱっくに目的地と方角を告げるとうーぱっくの中へ入って行った。 「ゆぅ…これでゆっくりできるよ…」 これで家に帰れる、つく頃には真っ暗になっているかもしれないがそれで怒られるのなら仕方がない。そうまりさは思った。 そういえばうーぱっくにあげるお礼、持っていないな…お兄さんにお願いしなきゃ… そのまままりさはうーぱっくのなかで眠ってしまった、きっと精神的な疲れと肉体的な疲れがどっと溢れたのだろう。 「まったく、まりさのやつ遅いな…いったい何をやっているんだろう?」 お兄さんはそう呟きながら家の前を左右に何往復もしていた。 いままでまりさがこんな遅くまで帰ってこないことはなかった、もしかして怒られると思ってすぐ近くで様子をうかがってるのかもしれない、まったく自分には起こる気なんてないのに… 「おい、まりさー!!出て来いよー!!俺は怒ったりはしないぞー!!」 うん、出てこない。 もしかしたら本当になにかあったのかな?お兄さんは胸騒ぎのようなものを感じた。 その時、満月をバックにこっちに飛んでくる物体が目に入った。あれはうーぱっくだ、あの特徴的なシルエットは鳥とか蝙蝠ではないだろう。 「あの糞段ボール…ついに来たか!!」 男は急いで家の中に「ある物」を取りに行った。 うーぱっくは目的地の人間の家を視界に収めた、載せているまりさのいった特徴そっくりだからあそこで間違いないだろう。 「うー、うー!」 うーぱっくが中で寝ているまりさを起こそうとしたとき、自分のすぐそばを何かが通過した。 「う?」 気がつくとうーぱっくの角が削れていた。 「う、うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ!!」 その悲鳴でまりさも飛び起きた。 「ゆゆっ!?どうしたのうーぱっく、ゆっくり!!ゆっくりしてね!!」 「糞段ボールがぁ!!こっちに来るんじゃねぇよ!!」 パチンコを連射していたお兄さんが叫んだ。 彼は飼っているゆっくりを愛してはいるがゆっくり愛護派というわけでもない、畑を荒らすゆっくりは今まで撃退しているし、罠にかかった野生のゆっくりは加工所に売り飛ばしている。 しかしうーぱっくはゆっくりを載せ、畑のど真ん中に着地、そのまま畑を荒らし、飛んで去っていく。今までの対ゆっくり用の罠の殆どがうーぱっくのせいで無効化されるのだ。 彼はまだこのうーぱっくを使った畑荒らしの被害は受けたことはなかったが、知り合いから話を聞いて何時自分のところにも来るかと警戒していたのだ、 そして対策用ネットの準備が整うまでの間パチンコで迎撃することにしていたのだ。 当然あのうーぱっくの中には畑を荒らそうとする糞饅頭が入っている、お兄さんはそう信じて疑わなかった。 ふつう畑荒らしの際、うーぱっくは野菜を持って帰る個体が随伴する、つまり最低でもうーぱっくは二匹いるのだが…知り合いから話を聞いただけのお兄さんは知らなかったのだ。 「うー!うー!」 「ゆっくり!!ゆっくりしてねー!!」 うーぱっくは何とか体を左右にずらし回避行動をとろうとするが飛んでくるパチンコ玉はどんどん近くを通るようになってくる。 「う、うー!!」 うーぱっくは引き返そうと思った、指定の位置に積み荷を降ろせないことはうーぱっくの沽券にかかわることだがこのままあの家の前に着陸しようものならあの人間に殺されかねない。 中のまりさには悪いが少し離れた所から歩いてもらおう、そう思い、高度を上げて離脱しようとした。 「逃げる気か糞段ボールが!!」 しかし、人間は許してくれなかった。 「直撃させる!!」 なんか額から火花のようなものを出しながら放ったパチンコ玉。 お兄さんの全力全開のパワーを一身に受けたそのパチンコ玉はうーぱっくの後頭部を突き破り、中のまりさの後頭部を突き破り、眉間から飛び出て、うーぱっくの目と目の間から飛び出した。 「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…」 「まり゛さの゛な゛か゛み゛があ゛あ゛ああ゛あ゛ぁぁぁぁ…」 うーぱっくは飛行能力を失い近くの小川へ墜落していった。うーぱっくのほかにゆっくりまりさの悲鳴も混ざっていたがお兄さんには聞こえなかった。 「ふぅー、すっきりしたぜ!!」 うーぱっくが逃げようとしたときはどうしようかと思ったが撃墜できてよかった、あの高度から落ちたんだ、中のゆっくりも死ぬだろう… 「しかし…まりさは遅いな…」 明日になって帰ってこなかったら、近所の飼いゆっくり達にまりさを見なかったか聞いてみよう、そう思いお兄さんは家の中に入っていった。 結局、飼いゆっくり達の捜索作業にもかかわらずまりさは発見できなかった。 最愛のゆっくりを失ったお兄さんはこの後、堕落していくことになるがそれはまた別のお話 あとがき 自分の脳内設定うーパックについて少し… 内部は空洞、飛行中も中に乗ったゆっくりはうーぱっくの頭の上に乗って周りの風景を見ることができます。 このSS内では説明不足の部分もあるかと思うのでその時は質問してくだされば大抵のことにはこたえようと思います。 8月31日 0111 セイン このSSに感想を付ける