約 632,084 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4029.html
ら行で始まる作者別らしいの人 れみりゃが大嫌いな人 ロウ ロベルト ら行で始まる作者別 らしいの人 ゆっくりいじめ系50 寿司の恨み 制 ゆっくりいじめ系60 環境にやさしいゆっくり虐 ゆっくりいじめ系64 寿司の後の水責め制 ゆっくりいじめ系75 鬼母虐共家無 ゆっくりいじめ系90 cube虐そ機 その他 alien そ ゆっくりいじめ系158 ヴェニスのゆっくり制家 ゆっくりいじめ系243 チョコエッグ的な何か虐家料道 れみりゃが大嫌いな人 ゆっくりれみりゃ系いじめ32 俺はれみりゃが嫌いです その他 ゆっくり殺しノート ロウ ロウの作品集 ロベルト ロベルトの作品集
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/470.html
前編へ 「ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 真夏の太陽を天に抱いた森の中、ゆっくりたちの声が木霊する。 大人のゆっくりのものが一つと、赤ちゃんゆっくりのものがたくさん。 群生する草を掻き分けて、最近の幻想郷ではよく見かけられるようになった、ゆっくり家族の姿が現れた。 「ゆっゆっ、おひさまきもちいいね!」 「ゆっくりできるね!」 「あ、アリさんがいるよ!」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 生まれてまだ間もないであろう、ミニトマト程度の大きさしかない赤ちゃんゆっくりたちは、元気にはしゃぎまわっている。 種類は全てゆっくり霊夢種であり、小さなリボンをはためかせて元気いっぱい飛び回る姿は人間の子供たちと左程変わりない。 そしてそんな微笑ましい光景を、後ろから優しい顔つきで見つめるゆっくりが一匹。 「あまり遠くに行かないでね!」 ゆっくり魔理沙だった。 バレーボール程度もある身体を揺らして、四方八方に行こうとする自らの子供たちに注意を向けている。 「おかあさん、アリさんいっしょにたべよ!」 「お母さんはだいじょうぶだよ! みんなで食べるといいよ!」 「わーい♪」 「ゆっくりたべるね!」 「おかあさんだいすき!」 列を成して歩くアリの集団を見つけた赤ちゃんゆっくりたちは、小さな舌を伸ばしてアリを食べ始める。 近くに湖が存在し、生き物がたくさん生息しているこの場所は、ゆっくりたちが過ごすには快適すぎるほどのゆっくりスポットだった。 幸せそうにアリを頬張る赤ちゃんゆっくりたちの姿を慈愛の表情で見つめるゆっくり魔理沙。 その左頬は、他のゆっくり魔理沙と比べて、ほんの少しだけ歪な形をしていた。 二週間前、人間の手によって失われ、そして再生した結果だった。 そう――このゆっくり魔理沙は、あの無礼な態度のせいで『お仕置き』されたゆっくりだった。 あの後、怪我による衰弱で意識不明の重態に陥っていたゆっくり魔理沙は、偶然通りがかったゆっくり霊夢に助けられた。 一週間の看病の末、餡子の大半を失っていた身体は万全とはいかないまでも回復。 お礼を兼ねての親愛の表現として身体を寄せ合って揺すり合い、ついムラムラしてそのまま性交に発展してしまった。 助けてくれたゆっくり霊夢は黒ずんで朽ちてしまったが、代わりに可愛い赤ちゃんがなんと七匹も生まれたのだった。 それからゆっくり魔理沙は母として、赤ちゃんたちを育てている。 右も左も分からぬ森の中での生活だったが、暮らし始めてみれば今まで暮らしていた場所より遙かに快適で、既に安住の地と化している。 あの男が言っていた野良犬やゆっくりれみりゃ、ゆっくりアリスの姿も見かけない。 ……あの男。 顔を思い出す度に、ゆっくり魔理沙の左頬がじくじくと痛み出す。 あの男には酷いことをされた。 ――しかし、あの男を怒らせるようなことを、自分は仕出かしてしまったのだ。 そう考えるゆっくり魔理沙。別に知能が上がったわけではなく、単にトラウマが生じているだけなのだが、本人はそのことに気付いていない。 ――今でも怒っているのだろうか。 あれ以来、人里には近付いていない。場所が分からないということもあるが、近付いてあの時と同じような目に合いたいとは、二度と思わなかった。 「おかあさん!」 思考に没頭していたせいか、ゆっくり魔理沙は自分の子供が目の前に来ていたことに気付かなかった。 慌てて思考を中段し、微笑みを作る。 「ゆっ、どうしたの?」 「みてみて、アリさん!」 赤ちゃんゆっくり霊夢が舌をべっと伸ばす。その先には、踏まれてぺしゃんこになったアリの死骸がくっついていた。 「えらいね! ちゃんととれたんだね!」 「ゆゆっ♪」 褒められたことが嬉しいのだろう、赤ちゃんゆっくり霊夢はその場で踊るように飛び回る。 その愛らしい姿を見て、ふと電撃のような閃きがゆっくり魔理沙の脳裏に浮かんだ。 この可愛い赤ちゃんたちを見れば、きっとあの男も許してくれるに違いない! それは人間からすれば何とも愚かな考えだったが、今のゆっくり魔理沙にとって天啓ともいえる閃きだった。 早速赤ちゃんたちを全員呼び集め、高らかに宣言する。 「今からお兄さんのおうちへしゅっぱつするよ!」 「ゆ?」 「おにいさんってだれ?」 「ゆっくりできるの?」 「とてもゆっくりできるよ! おいしい食べ物があるし、れいむたちよりも大きなれいむもいるよ!」 「ゆゆっ!?」 「いきたい!」 大はしゃぎする赤ちゃんゆっくりたち。「ゆっ♪」「ゆっ♪」と楽しげにその場で飛び跳ねている。 それが静まるのを待ってから、ゆっくり魔理沙は記憶を頼りに道を歩み始めた。 「それじゃ、ゆっくり行こうね!」 「「「ゆっくりいこうね!!!」」」 時は少し遡り、早朝。 俺は知人の美鈴さんから習った太極拳を練習していた。 別に拳法に目覚めたわけではなく、ここのところ働き詰めだったので、健康のためにやっているだけだ。 ゆっくり魔理沙に『お仕置き』してから一週間くらい経ったころだろうか、俺の勤め先でちょっとしたトラブルが生じた。 それ自体は解決したのだが、それの尻拭いのために俺や同僚たちは朝から深夜までずっと駆り出され、今日まで一週間ずっと働きっぱなしだったのだ。 おかげでゆっくり霊夢には寂しい思いをさせてしまった。こういうとき、畑仕事をしている人が羨ましいと思ったりもする。 だけどまぁ、五年前に外の世界から迷い込んできた外来人である俺に土地なんてあるはずもなく、こうして家を持てただけでも大したものなのだろう。 「……ゆ?」 ゆっくり霊夢が眠りから目覚めたようだ。きょろきょろ周囲を見渡し、俺と目が合うや否や、 「ゆっくりしていってね!」 とお決まりの挨拶。 うぅん、相変わらずぷりちーなナマモノだ。 頬ずりしたくなる衝動をグッと堪えて、朝食の準備に取り掛かる。 その間ゆっくり霊夢はずりずりと腹ばいで俺の足元に近付き、ずっと身体を摺り寄せていた。 普段こいつが起きる前に家を出ていたので、久しぶりのスキンシップが取りたいのだろうか。 萌え死ぬ。 足の親指で頬のあたりをくすぐってやりながら、てきぱきと料理を作る。 外の世界のガスコンロと比べて竈は使い辛い(そもそも使ったことが無かった)が、今ではすっかり慣れたものだ。 今日は夕飯にも再利用出来るシチューを作る。 器に注ぎ、おひたしに鰹節を振りかけて醤油をかけた皿と丁度炊き上がったお米を並べて完成。 テーブルの上に乗せ、少量を別の皿によそうと、ゆっくり霊夢が食べやすいように床に置いた。 「いただきます」 「ゆっくりいただくね!」 ゆっくり霊夢は舌を器用に使い、零さず綺麗にご飯を平らげる。うーん、美しい。 おっと、感心してないで俺も早く食べなくてはな。 外の世界にいた頃と比べてずいぶん質素になった朝食を手早く食べ終え、皿を水の入った桶につけておく。帰ったら洗おう。 「じゃあ、行ってくる。今日は通常業務だからいつもの時間に帰れるよ」 「ゆっ、本当!?」 「ああ。それに明日はお休みも貰っている。一緒に遊ぼうな」 「ゆっくり待ってるね!」 ゆっくり霊夢に見送られながら、俺は家の扉を閉めようとして―― ごしゃん。 「……」 忙しくて修理する暇のなかった扉が、ついにご臨終なされたようだった。 なんか変な方向に曲がっており、動かそうとしてもビクともしない。 どうしよう、時間をかければ直せそうではあるが、そうすると仕事の開始時間に間に合わない。 扉は中途半端に開いたままだ。別に泥棒に盗られて困る貴重品はないが、野犬やゆっくりたちが入り込んでくる可能性もある。 仕方無いので、雨漏りの修理用に何本かストックしてある木の板を裏から持ってきて、扉の前に置いた。 あとは野犬の目の高さくらいの位置にいらなくなった新聞紙を米を糊代わりにしてくっつける。 突撃されたらすぐ剥がれてしまうが、多少の目眩ましにはなるだろう。 「いいか、知らない人が来ても追い返すんだぞ。お前のリボンにつけたペット証があれば、誰もお前を傷付けないからな」 「わかったよ!」 ちょっと心配だったが、仕事はしないといけない。 俺は何度も振り返りつつ、家を後にした。 時間は過ぎて、三時を過ぎたころ。 ゆっくり霊夢が主人の作ってくれた手製の滑り台で遊んでいると、何処からか自分を呼ぶ声が聞こえた。 どうやら玄関の方かららしい。この家に来客は滅多に来ないので、ゆっくり霊夢は多少警戒しながら扉に近付いた。 「ゆっ、誰かいるの?」 「れいむ! まりさだよ!」 「ゆゆっ、まりさ!?」 聞こえた声は、懐かしい知人のものだった。 二週間前、たった一日だけ遊んだ友達。主人から家に帰ったと聞かされて残念な思いをした記憶が蘇る。 板と新聞紙の隙間から外を覗くと、確かに見覚えのあるゆっくり魔理沙の姿があった。 「どうしてここに?」 「遊びに来たよ! ゆっくりさせてね!」 「ゆゆっ! ゆっくりしていっ……ん……」 「……? れいむ、どうかしたの?」 ゆっくりしていってね、とお決まりの台詞が聞けると思ったゆっくり魔理沙は、訝しげな視線をゆっくり霊夢に送る。 ゆっくり霊夢を引き止めたのは、主人が出かける前に言った言葉だった。 『知らない人が来ても追い返すんだぞ』 何者かがこの家に来たのなら、自分は追い返さなければならない。 しかし…… 「ゆっくり入れてよ! れいむに見せたいこどもたちもいるんだよ!」 「ゆっ、子供!?」 ゆっくりとしての本能を刺激する単語に、ゆっくり霊夢はぴくりと反応して顔を上げた。 「そうだよ! みんな、れいむにあいさつするんだよ!」 ゆっくり魔理沙の言葉に、板の向こうから赤ちゃん特有の甲高い声が幾重にも折り重なって唱和された。 「ゆっくりしていってね!」 「おねえちゃん、おかおがみえないよ!」 「はやくいれてね!」 「そこはゆっくりできるところなの?」 「ゆっくりさせてね!」 ゆー、ゆーと甘い鳴き声。ゆっくり霊夢は理性と本能のせめぎ合いでおろおろする。 主人は、ゆっくり魔理沙たちが部屋に入ることを是としないだろう。 しかし、赤ちゃんたちを見たい衝動が心の内よりどんどん溢れてくる。 主人への忠節を取るか、自身の抑えがたい興味を優先させるか。 悩みに悩んで、ゆっくり霊夢が取った行動は、 「今、この板をどけるよ! ゆっくり下がってね!」 ゆっくり魔理沙たちは知らないゆっくりじゃないから大丈夫だという、後先を考えない愚者の選択だった。 「おねえちゃん!」 「ゆっくりしていくね!」 「ゆっ、ゆっ♪」 赤ちゃんゆっくりたちに纏わり付かれながら、ゆっくり霊夢は幸せだった。 加工所で生まれ、この家に引き取られてからずっと、ゆっくり霊夢は赤ちゃんというものを見たことがなかった。 ペット用のゆっくりは英才教育を受けるために誕生してすぐ親元から引き離され、ゆっくりブリーダーと呼ばれる人間の下で厳しい訓練を受けることになる。 だが、生まれたばかりの蜂が教わらなくても狩りの仕方を熟知しているように、種族の本能的な部分は親と子の愛情関係を完全に理解していた。 赤ちゃんゆっくりたちを見てゆっくり霊夢の中に浮かんでくる感情は、間違いなく『愛』と呼ばれるものだった。 「うわー、すごいね! ゆっくりできるものがたくさんあるよ!」 「みんなでゆっくりしようね!」 ゆっくり赤ちゃんたちは大はしゃぎで、家の中を飛び回っている。 特に目を引いたのは、主人がゆっくり霊夢のために作ってあげた手製の玩具の類だった。 滑り台にブランコ、蛙人形やシーソーなど、さながら小さな遊園地といった風情である。 赤ちゃんゆっくりたちは玩具に駆け寄ると、思う存分ゆっくりし始めた。 列を作り、順番に滑り台を滑り。 ブランコに乗って、どちらがより高い場所まで行けるか競い合い。 蛙人形に群がって、ゆっくりれみりゃ退治ごっこをして。 シーソーを使って、自分の身体が沈んだり持ち上がったりする感覚を楽しんだ。 生まれて一週間、森の中でこんな遊びをしたことはなかったのだろう。赤ちゃんゆっくりたちは終始はしゃぎっぱなしだった。 ゆっくり霊夢もそんな赤ちゃんたちに付き添うように遊んでいたのだが、 「ゆ~……ふぁ……」 急に眠気を感じ、ふらふらと壁にもたれかかってしまった。 今日までの一週間、ずっと帰りの遅い主人を待ち続け、早く寝ないで夜遅くまで待っていた結果がこれだった。 眠ってはいけないと思いつつ、意識が闇の中へと沈んでいく。 やがてくぅくぅと寝息を立て始めたのを、離れて赤ちゃんゆっくりたちを見守っていたゆっくり魔理沙が発見した。 「れいむ、れいむ?」 「ゆっ……くぅ……」 揺すっても起きない。 赤ちゃんゆっくりたちが、心配したかのように駆け寄って来る。 「おかあさん、おねえちゃんどうしたの?」 「つかれて眠っちゃってるだけだよ! しんぱいしないでゆっくり遊んでてね!」 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢は起きないよう、小さな声で告げる。 だが赤ちゃんゆっくりたちは動かない。集まってきたのは、ゆっくり霊夢が心配だったからだけではないからだ。 「おかあさん、おなかすいたよ!」 「なにかたべさせてね!」 朝食の蟻を食べてから、この家に来るまでずっと移動中だったゆっくり魔理沙たちは、その間何も口に入れていなかった。 それに加えて、今激しい運動をしてきたばかりである。 空腹を訴えるのも当然の行動だった。 「ちょっと待ってね! お兄さんが帰ってこないと……ゆっ?」 言葉の途中で、ゆっくり魔理沙は鼻をひくつかせる。 漂ってくる、いい匂い。 食欲を促すその香りは、台所の竈の上に置いてある鍋のほうからしていた。 「あっちに、ご飯があるよ!」 ゆっくり魔理沙は竈のほうへと近付いた。 そこにはこの家の主人が今朝方作ったシチューの入った鍋がある。 だが、鍋はかなり高い位置に置かれており、普通は届く距離ではない。 ただ竈は角の部分が先に行くほど少しずつ丸みを帯びていく構造になっており、角の先端はゆっくりにとってただの坂と呼んでも差し支えない形状になっている。 あの部分まで飛ぶことが出来れば、鍋に届くかもしれなかった。 「いくよ!」 ゆっくり魔理沙は助走をつけ、竈の少し手前で思い切りジャンプした。 浮遊感。一瞬の空白の後、坂道の部分にギリギリ身体が届いた。 間髪入れず、もう一度ジャンプしようとする。 だが坂道での踏ん張りが効かずにバランスを崩し、そのまま床に落下してしまった。 「ゆぶっ!」 衝撃。口から餡子が少しはみ出る。 「おかあさーん!」 赤ちゃんゆっくりたちが心配して駆け寄ろうとするのを、ゆっくり魔理沙は静かに押し留めた。 「だ、大丈夫だよ! ゆっくりそこで見ててね!」 ゆっくり魔理沙は何事もなかったかのようにニッコリ笑うと、もう一度チャレンジするために距離を取る。 無論、痛くないわけではないが、それでも子供たちを心配させないために我慢しなくてはならない。 それは親になったゆっくりとしての本能だった。 「……ゆっ!」 気を落ち着かせ、もう一度トライ。タイミングを見計らって、竈の坂道へ一直線に跳躍する。 べしゃっ、と身体が押し付けられる感覚。その感覚を維持したまま、ゆっくり魔理沙はもう一度ジャンプした。 一瞬の緊張。果たして自分はどうなった? 答えは、身体に触れる床の感触で分かった。 ゆっくり魔理沙は、見事に竈の上に着地していたのだった。 「ゆっ! ゆっ!!」 「おかあさん、すごい!」 遙か下方で、赤ちゃんゆっくりたちがやんややんやの喝采を母親に送る。 その声に満足しながら、ゆっくり魔理沙は鍋に近付いた。 この鍋を持って床に降ろすのは、物理的に不可能だということくらいゆっくり魔理沙の知能でも分かった。 ならば、方法は一つしかない。 「ゆっくり落ちていってね!」 体当たり。がん、という衝撃と共に鍋の位置が少しずれる。 もう一度アタック。ずず、ずず……と少しずつ鍋がぐらつき、そして…… がしゃーーーん!!! 豪快な音を立てて、鍋が竈から転がり落ちた。 床にぶちまけられるシチュー。掃除するのにかなり苦労することになるだろうが、無論ゆっくりたちはそんなこと知ったことではない。 赤ちゃんゆっくりたちは歓声を上げてシチューに群がり、ぱくぱく食べ始める。 「ゆっゆっ、つめたいけどおいしいね!」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 「うっめ!!! メッチャうっめこれ!!!」 その様子を幸せそうに眺めていたゆっくり魔理沙は、床に水の入った桶が置いてあるのを発見した。 後で皿を洗うために浸けていたものだが、ゆっくり魔理沙にとってその桶は飲み水にしか見えなかった。 「みんな、お水もあるよ!」 地面に慎重に下りると、ゆっくり魔理沙は躊躇無く桶も引っくり返す。 水が一面に溢れ出し、勢いよく流れ出た皿は地面を擦って何筋もの傷を付けた。 「ゆゆっ、ちべたーい!」 「おみず、きもちいいね!」 「ごくごく、おいしーい♪」 赤ちゃんゆっくりたちは大はしゃぎ。風呂代わりに水浴びしたりするゆっくりまで現れる。 皆にとって、ここは最高にゆっくり出来る環境だった。 「……ゆっ!? みんな、何してるの!?」 と。 先程鍋を落とした音で目を覚ましたゆっくり霊夢は、台所の惨状を見て驚愕の声を上げた。 「あ、れいむ!」 ゆっくり魔理沙はぴょんぴょん飛び跳ね、フリーズしているゆっくり霊夢に近寄る。 そしていかにも自分は幸福です、というような顔で、 「おにいさんがまりさたちのために用意してくれたばんごはん、美味しいね!」 「……」 ゆっくり霊夢は口をぱくぱくさせるだけで反応しない。 「……? どうしたの、れいむ?」 不審そうな表情を浮かべるゆっくり魔理沙。気付いた赤ちゃんゆっくりたちも二匹の周囲に駆け寄った。 「おねえちゃん、どうしたの?」 「ゆっくりしていってね!」 「おねえちゃんのぶんもまだあるよ!」 悪意のない赤ちゃんゆっくりたちの言葉。 ゆっくり霊夢は何とか餡子の底から声を絞り出そうとして、 「ゆっくり霊夢っ!!!」 叫び声と、ぶち壊す勢いで開けられた扉の音にびくりと身体を硬直させた。 それは、ゆっくりが進入しないように置いておいた板が外れているのを発見し、慌てて帰宅した主人の声だった。 「ゆっ……ゆっ!?」 これはマズい、とゆっくり霊夢は思った。 何がマズいのかは分からなかったが、とにかく本能的な危険をゆっくり霊夢は感じていた。 どたどたという足音、そして、 「ゆっくりれいっ……む……」 惨状を見つけてしまう。 目を見開き、硬直する主人。 ゆっくり霊夢は固まったまま反応出来ない。 「……ゆっ!」 だが、大きな声に少し驚いたゆっくり魔理沙は、自分がここに来た目的を思い出した。 「みんな、来て!」 「ゆっ?」 「おかあさん、どうしたの?」 突然闖入してきた初めて見る人間の姿を興味津々に眺めていた赤ちゃんゆっくりたちは、母の言葉を受けてゆっくり魔理沙の周囲に集まる。 「みんな、お兄さんに『挨拶』するんだよ!」 「「「ゆっ!!!」」」 朝、ここに来る道中で母に教わった『挨拶』。 赤ちゃんゆっくりたちはぽかんと口を開けっぱなしの男に向かって、精一杯の愛らしい顔で、 「「「ゆっくりしていくね!」」」 言った。 ゆっくり魔理沙は順繰りに赤ちゃんたちを見渡し、 「お兄さん、この前はごめんね! 赤ちゃんたちをとくべつにかわいがっていいから許してね!」 そして、 「だから、みんなでここに住まわせてね!」 その日、ゆっくり霊夢はゆっくりれみりゃやゆっくりフランなど足元にも及ばない恐怖を味わった。 それはいつかの『お仕置き』すらも凌駕する、圧倒的なまでの修羅の形相だった。 「おにいさん、ここからだして!」 「おなかすいたよ!」 「ここじゃゆっくりできないよ、おうちかえる!」 赤ちゃんゆっくりたちの声。 俺はいらついた風を装い、ゆっくりたちを閉じ込めた透明の箱を蹴り上げる。 「五月蝿い、殺されないだけありがたく思え!!!」 「ゆゆっ!!?」 衝撃と振動。 赤ちゃんゆっくりたちは怯えて隅に固まり、震えながら泣き出してしまった。 「やめてね! 赤ちゃんたちに酷いことしないでね!!」 と、こっちはゆっくり魔理沙。 赤ちゃんゆっくりたちを入れた箱とは別の小さな透明の箱に詰められ、ずいぶんと苦しそうだ。 子供たちを庇おうとするその姿勢は、いつかの自分勝手な姿からは想像出来なくて少し吃驚する。 「お兄さん、まりさたちを許してあげて!」 更に別の箱、こちらは少し空間のゆとりがある透明の箱の中で、ゆっくりれいむは俺に温情を訴えかける。 ゆっくり魔理沙たちを家の中に入れてしまった罪で閉じ込められてなお、友達の安否を気遣うとは……流石我がペット。 ぶっちゃけた話、俺は別にそこまで怒り心頭というわけではなかったりする。 確かにあの惨状を目にした瞬間、ちょっと怒りの沸騰点が限界を超えかけた。 でもそこを鋼の精神でぐっと堪え、ゆっくりたちを閉じ込めるだけに留めている。 何故殺さなかったのか? 勿論『殺害』という直接的な攻撃を俺が嫌っているというのもある。 だがそれ以上に、 「ほーれほれ」 「ゆゆっ!? お、おかあさーん!」 「ゆっくりやめてね! 赤ちゃんを放してね!!!」 こいつらの泣き叫ぶ声と必死の表情が、最高に俺の心を満たしてくれる。 殺してしまったら、この愉悦は味わうことは出来ない。 自分の唇がすごい勢いでひん曲がっているのを感じる。 蓋を少し開き、赤ちゃんゆっくりの一匹を掴み上げた。 ああ、ゆっくり魔理沙の懸命な顔……そそる。 「しかしぷにぷにしてんなー、こいつ」 掌に乗せた赤ちゃんゆっくりの頬を突く。 最初は優しく、そして少しずつ力を込めて。 「ゆ、ゆゆっ、いたいよ! ゆっくりできないよ!!!」 最初はくすぐったそうにしていた赤ちゃんゆっくり霊夢だったが、力が入ると苦しそうな声を上げた。 その様子を見て、ゆっくり魔理沙が半狂乱で泣き叫ぶ。 「な゛ん゛でごん゛な゛ごどずる゛の゛ぉ゛ぉぉぉぉ!!?」 「何故? 分からないのか?」 いつかのような質問。あの時の痛みを思い出したのか、ゆっくり魔理沙がびくりと震える。 「ここは、誰の家だ?」 「お……お兄さんのおうちです……」 おぉ、覚えていたか。感心感心。 「で、お前は何をしていた?」 「あそんでました……」 「それは別に構わん。その次だ」 「お兄さんが用意してくれたおゆうはんを」 「違う」 赤ちゃんゆっくり霊夢にデコピン。 結構本気で叩いたからか、「ゆ゛ーっ!!!」と泣き出してしまった赤ちゃんの姿を見て、慌ててゆっくり魔理沙が訂正する。 「まりさたちのじゃないおゆうはんを勝手に食べてしまいました!」 「そして?」 「お水も勝手に飲んでしまいました!」 「ふむ」 もう一度デコピン。赤ちゃんゆっくり霊夢の泣き声が激しさを増す。 ゆっくり魔理沙は俺の動きを止めようと必死に箱をガタガタ揺らした。 無駄な努力ご苦労さん。 「さっき言ったよな? ここは俺の家だって」 「そ、そうです、だから赤ちゃんをゆっくり放してね!」 「あ?」 「は、放してください!」 ゆっくりが敬語を使ってるのは面白いなぁ。 「で、お前は人の家で、俺が俺のために作ったシチューを床にぶちまけたわけだ? お前の都合のために?」 「あやまります! あやまりますからまりさの赤ちゃんにひどいことしないでぇぇぇ!!!」 ゆっくり魔理沙の顔はもう涙で皮がべちょべちょになっていた。 うはぁ、やべぇ。超快感。 だけど台所の掃除と扉の修理で時間を使いすぎた。 はっきり言って俺は眠い。 今日はゆっくり魔理沙に『絶望』を知ってもらうだけで終わらせてしまうか。 俺は泣きながら俺の手を逃れようとする赤ちゃんゆっくり霊夢を指で掴むと、 「あーん」 「ゆ゛ゆ゛っ!!?」 大きく口を開き、奥歯に挟んだ。 「や゛め゛でぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇぇ゛ぇ゛ぇ!!!」 そんなに騒がなくても食わないよ。 まだ。 俺は奥歯に挟んだ赤ちゃんゆっくりを見せ付けるように、ゆっくり魔理沙と他の赤ちゃんゆっくりたち、そしてゆっくり霊夢の箱を順繰りに回る。 「いいか、今からお前に問題を出す」 うっ、しゃべりづらい。 「お前が十秒以内に答えられたら子供は助けてやる。答えられなかったら子供は食われる。分かったな?」 「わ、わかったからいそいでもんだい出してね!」 歯と歯の間で母の名を呼びながら泣き叫ぶ(口の中に振動が起きて少し気持ち悪い……)赤ちゃんゆっくりを見つめて、ゆっくり魔理沙は俺を急かす。 おやおや、ゆっくりのくせにゆっくりしないでいいのかな? まぁいいや。 「問題。ゆっくり魔理沙には七匹の子供がいます。ある日ゆっくりれみりゃに襲われて二匹殺されてしまいました――」 逃げた先でゆっくりフランの群れに遭遇してしまい、また二匹無残に殺害されました。 更に発情期のゆっくりアリスと出会ってしまい、ゆっくり魔理沙は子供の一匹を犠牲にして逃れました。 しかし家に帰ると、そこはゆっくり霊夢の一家に占拠されていました。 ゆっくり霊夢たちに押し潰され、また一匹子供が死んでしまいました。 そうこうしてるうちにお腹が空いてしまったゆっくり魔理沙は、残った子供をぺろりと食べてしまいました。 さて、子供は現在何匹残っているでしょう――? 「ゆっ!? ゆ、ゆっくり……」 ゆっくり魔理沙は顔を顰めて考え出す。 くくく、所詮ゆっくりブレイン、答えられまい。 しかもゆっくりれみりゃなどの天敵の名前をわざわざ出している。本能的な恐怖で冷静な思考なで出来ようはずもない。 「なーな、ろーく」 「ま、まってね! ゆっくりかぞえてね!」 「ごー」 焦ってるゆっくり魔理沙も可愛いなぁ。 その頬を引っ張りたい。 「さーん、にー」 「ゆゆゆゆっくりしてね!!! ゆっくりして」 「いーち」 「ゆ……う゛わ゛あ゛あ"ああぁ゛ぁぁ゛ぁ゛ぁぁぁ゛!!!」 「ぜろー、残念でしたー」 やっぱり無理だったか。 ゆっくり魔理沙は何とかしようと、目に見えて暴れ出した。 だが狭い箱の中、己を苦しめるだけだ。 俺は口の中から聞こえる赤ちゃんゆっくり霊夢の泣き声を聞きながら、他の赤ちゃんゆっくりたちを閉じ込めた箱の前に移動した。 「おにいさん、なんでこんなひどいことするの!?」 「はなして! いもうとをはなしてね!」 「ゆっくりできないおにいさんはゆっくりしんでね!」 口々に喚きたてる赤ちゃんゆっくりたち。だけど俺が箱を蹴ると大人しくなる。 「非常に残念だが、こいつは死ぬ。あーあ、残念だなぁ。お前たちのお母さんがちゃんと問題に答えられてれば、こいつも助かったのになぁ」 まるでゆっくり魔理沙が全て悪いような言い方。 勿論、どう考えても悪いのは俺なのだが、ゆっくりの餡子脳ではそんなこと分かるはずもあるまい。 「お前たちのお母さんのせいでこいつは死ぬのかぁ。あーあ。酷い親だよなぁ」 「ゆっ!?」 「そんな、おかあさん!?」 赤ちゃんゆっくりたちが一斉に母親の方を振り向く。 ゆっくり魔理沙は違うと言いたげに身体を少しだけ揺らした。本当は首を振りたかったのだろうが、箱が狭くて身動きが取れないのだ。 「ち、ちがうよ! おかあさんは赤ちゃんをたすけようとしたよ!」 「それなら赤ちゃんは助かってるはずだよなぁ。もしかしたら、お前たちも見殺しにされるかもなぁ」 論理の破綻した言葉。 だが、それは赤ちゃんゆっくりたちを突き動かす原理になる。 「ひどいよ、おかあさん!」 「ここにつれてきたのもおかあさんだったよね!」 「れいむたちがひどいめにあってるのもおかあさんのせいなんだ!」 「おかあさんはゆっくりしね!」 「「「ゆっくりしね!!! ゆっくりしね!!!」」」 「や゛め゛でぇ゛ぇ゛ぇ゛!!! ぞん゛な゛ごどい゛わ゛な゛い゛でぇ゛ぇ゛ぇぇ!!!」 子供を護ろうと必死だった母親が、護ろうとした子供たちに糾弾されて泣き叫ぶ。 人間ならば同情を誘う光景だが、こいつらはゆっくり。 快感しか生まん。 「さて」 俺は再びゆっくり魔理沙の前に戻り、口の中を見せた。 相変わらず、奥歯に挟まってがたがた震えている赤ちゃんゆっくり霊夢の姿がそこにある。 「こいつを助けたいか?」 「だずげであ゛げでぐだざい゛ぃ゛ぃ!!!」 「うん、でも駄目」 ぷちん。 俺は口を開けたまま、見せ付けるように奥歯で赤ちゃんゆっくり霊夢を押し潰した。 飛び散る餡子。意外と美味しいが、それよりも生命を奪った生理的な罪悪感を覚えてしまうのは俺がゆっくりを愛している所以か。 「う゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ゛!!!」 ゆっくり魔理沙のこれ以上ないという悲鳴。 いいね、ゾクゾクする。 先程の罪悪感はそれで消し飛んだ。 さて、じゃあ眠るとするか。 明日は休みだ。 もっと遊ぼうな、ゆっくり魔理沙…… 続く。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2154.html
※ぬるいいじめ?注意 大人なれみりゃとちょっと子供なお兄さん 「ん…?」 俺は眼を開ける。 え~っと…俺はなにやってたんだっけ…。 と、体を起こそうとしたところで、目の前の胴付き肉まんが視界内に入る。 そういや、こいつを抱き枕にして寝てたんだっけ…。 俺は気持ちよさそうな笑顔で胴付き肉まんの顔を突いてみる。 「う~♪」 相変わらず食べちゃいたいくらい可愛らしい寝顔だ。 胴付き肉まん…ゆっくりれみりゃと俺は一緒にゆっくりと日曜日の午後を過ごしていた。 「ふあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」 俺は大きく伸びをする。 そういや、今何時だ…? と、時計を探す。 俺の部屋には掛け時計がない。 理由は簡単。 時計など携帯で十分だからだ。 と、思っていたのだが、今はその携帯がどこにあるのか分からない。 こう言う時、掛け時計があったらと思うんだよな…と、心の中で愚痴る。 どうせ買うつもりなどないのだが。 「携帯、携帯…おお、あったあった」 さて、今何時かなっと…。 「うっう~♪おやつのじかんだっぞぉ~~~~!!!!」 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 さっきまで眠っていた筈のれみりゃが大声を出しながら突然起き上がった。 俺はその大声に驚いて思わず悲鳴を挙げてしまった。 「う~?…おにいさん、おはようだっぞぉ~♪」 「…ああ、おはよう…」 笑顔で挨拶をするれみりゃに俺は反射的に挨拶を返す。 「うっう~♪おにいさん、れみぃおやつがほしいんだぞぉ~♪」 こいつのおやつの時間は3時と決めてある。 これはこいつが俺の家に来た時から決めてる約束だ。 じゃなきゃ、こいつは際限もなく食ってしまうし。 …まあ、こいつの主食は甘い食べ物みたいだから、はっきり言っておやつも主食と内容は変わらないのだが…。 …と、時間を確認するんだったな。 手元にある携帯を開く。 …3時2分か。 …ん?ということは、こいつ大体3時きっちりに起きたのか? なんつー体内時計…。 呆れながられみりゃの方を見ると 「おやつおやつ~♪うぁうぁ♪うっう~♪あまあま~♪」 歌いながら踊っていた。 まあ、こいつは食べる時は本当にゆっくりしてるもんな…。 俺は、れみりゃのおやつに取っておいたプリンを取りに冷蔵庫まで歩く。 「うっう~♪ぷっでぃんぷっでぃんたべたいぞぉ~♪」 俺の後ろを踊りながら付いてくるれみりゃ。 どうせまた戻るんだから、居間で待ってりゃ良いのに。 まあそんなことも可愛いのだが。 れみりゃがプリンを食べる時に必要なのはプリンは当然として、スプーンに赤ちゃん用のよだれかけだ。 何故よだれかけが必要かと言うと、こいつはよだれかけがないと服を汚してしまうからだ。 そして、服を汚したら 「おにいさ~ん!!ふいてふいて~♪」 とか言って、服の汚れた部分を俺の前に付き出す。 そういう手間を省くためだ。 つっても、最初はスプーンも使えなかったのだから、それでも十分に努力したと言えるだろう。 まあレベルの低い話なんだけどな…。 俺は冷蔵庫からプリン、引き出しからスプーンとれみりゃ用のよだれかけを取り出し、居間まで戻る。 「ぷっでぃ~んぷっでぃ~ん♪」 れみりゃは俺の手の中にあるプリンを見て目を輝かせている。 こんなもん、そこら辺のスーパーで買ってきた物だってのに。 安上がりな奴だ。 俺達はさっきまで2人で寝てた居間まで戻り、テーブルの上にプリンとスプーンとよだれかけを置く。 よだれかけも一緒に置くのは、れみりゃに自分でよだれかけを付けさせる為だ。 (ビリビリ…) 俺が何でもやってやったら、こいついつまで経っても何も出来ないし。 マジックテープ式のよだれかけだから、幼児並に不器用なれみりゃでも付けることは出来る。 と、んなこと考えてたら、よだれかけを付けたれみりゃが俺の方を見ていつもの笑顔を見せていた。 「おにいさ~ん♪れみぃひとりでこれつけれたよぉ~♪えらいえらい~?」 ぴょんとぴょん飛び跳ねながら、一人でよだれかけを付けられた事をアピールするれみりゃ。 可愛い…。 いや、そうじゃなくて、それくらいは付けられて当然なんだよな、うん。 まあ、こいつがやる気を出す為には褒めてやんなきゃやっぱダメだろ、うん。 それだけだからな! と、自分に言い訳しつつ、俺はれみりゃの頭をそっとなでてやる。 まあ、実際に俺が気付かないくらいに早かったしな。 「ああ、偉いぞ、れみりゃ」 俺の口から出たのは、平凡極まりないセリフだった。 そんなんでもれみりゃは嬉しかったのか、俺に頭を撫でられながらめっちゃ喜んでる。 「うっう~♪おにいさんにほめられたぞ~♪れみぃうれっし~ぞ♪うぁうぁ♪」 なんだこの肉まん。 可愛過ぎる。 そんなこと、絶対口には出さないがな! 「いただきま~す♪」 れみりゃは律義に手を合わせていただきますをする。 こうやって教えたことをきちんとやってくれているってのは嬉しいもんだな。 「うっう~♪あまあま♪だっぞぉ♪れみぃしあわせだぞぉ~♪」 「こらこら、食べながら喋るのはやめなさい」 これは以前から言っているのだが、なかなか治らないな。 「うっう~♪ごめんなさ~い♪」 わかってるのかわかってないのか、れみりゃは相変わらずの笑顔を見せながらプリンを頬張る。 やれやれ。 「ごちそうさまでしたぁ~♪」 手を合わせてごちそうさまをするれみりゃ。 う~ん、やっぱりまだよだれかけが汚れてしまっているな。 以前に比べたら大分改善はされてはいるのだが。 最初はよだれかけが甘い物でべっとべとになってたし。 れみりゃは立ち上がり、食べ終わったプリンをゴミ箱に、スプーンを流しに、汚れたよだれかけを洗濯籠に入れる。 おお、これもしっかり覚えていたんだな。 俺はれみりゃの成長に感動を覚える。 やっぱこいつもやれば出来るんだなあ、と。 「うっう~♪しょくごのかりしゅま☆だんすのれんしゅうだっぞ~♪」 と、言いながらいつものダンスを踊り始める。 俺にはれみりゃのダンスが上手いのかどうかなんてわからない。 ぶっちゃけ見た目には手足と頭とお尻を不器用にばたばた動かしてるようにしか見えないし。 まあ、可愛いのでそんなことはどうでもいいのだろう。 「うっう~♪うぁうぁ♪れみ・りゃ・う~!!」 相変わらず笑顔なれみりゃ。 …こいつはいつも楽しそうだな。 たまには違うれみりゃの顔を見てみたいもんだ。 れみりゃの笑顔以外の顔を見る方法…。 俺はれみりゃの踊りを見ていて、その頭の上に乗っている物を思い出す。 帽子だ。 れみりゃは帽子を非常に大切にしている。 お風呂に入る時以外は絶対に外そうともしない。 最初はお風呂に入る時も帽子を外すのを嫌がっていたから、説得するのに苦労した。 …少し試してみるか。 俺は踊っているれみりゃの帽子を素早く奪う。 「…う~?」 れみりゃは何が起きたのかわかっていないようだった。 しかし、頭に違和感があるのか、そのふくよかな手で自身の頭を触ってみると、いつも大事にしていた帽子がない事に気付いたのだろう。 「うぁ~ん!おにいさ~ん!れみぃのぼうしなくなっちゃったぁ~!」 さっきまでの笑顔から一転、泣き顔になってしまう。 ああ、涙と一緒に鼻水も出てるよ。 …つーか、こいつ鼻あったんだな。 俺はれみりゃの帽子をさっとれみりゃの頭に帽子を乗せる。 「う~?」 れみりゃは自分の頭を触る。 帽子が戻っている事に気付いたようだ。 「うっう~♪かりしゅまふっか~つ♪だっぞぉ♪」 さっきまでの泣き顔はなんだったのか、一瞬にして笑顔に戻る。 俺はもう一度れみりゃから帽子を奪ってみる。 今度はすぐに気付いたようで、すぐに泣きだしてしまう。 「うぁ~ん!れみぃのかりっすまなおぼうしがぁ~~~!!!」 俺は帽子を戻す。 「うっう~♪おぼうしはっけ~ん♪だっぞぉ~♪」 …面白い。 う~ん、もう少しれみりゃの表情を見てみたいな。 …そうだ! 俺は冷蔵庫からプリン、引き出しからスプーンとれみりゃ用のよだれかけを取り出す。 勿論、さっきのとは別の物だ。 れみりゃは俺の手元にあるプリンを見て目を輝かせる。 2個目を食べて良いの?って目をしてるな。 …まあ、すんなり食べさせてもいいのだが、もう少しれみりゃの可愛いところ見てみたい。 俺はテーブルの上にプリンとスプーンとよだれかけを置く。 「うぁうぁ♪ぷっでぃ~ん♪ぷっでぃ~ん♪」 うわあ、満面の笑顔。 (ビリビリ…) よだれかけを付けるのも早いし。 そんなにプリンが好きなのか。 …いや、俺はプリンに嫉妬なんかしてないからな! 「いっただっきま~す♪だっぞぉ♪」 れみりゃはスプーンを持ってプリンを食べようとするが…。 「…待て」 ここで俺の待てが入った。 「…う?おにいさん、な~にぃ?」 れみりゃは俺の顔を不思議そうに見ている。 まあ、当然だろう。 プリンを食べる時にこんなことを言ったことなかったし。 俺は無言かつ険しい顔のままれみりゃの顔を見つめる。 れみりゃは俺の顔とテーブルの上のプリンを交互に見る。 あ、ちょっと涎が出てきた。 でもれみりゃはプリンを食べない。 いつもと違う俺の様子に戸惑っているのだろう。 何だか可哀想になってきた…って我慢だ、我慢! …ってか、れみりゃよりも俺の方が我慢しているような気がする…。 (30秒後) …あ、涙目になってきた。 もうこれ以上無理、俺が限界。 「れみりゃ、食べて良いぞ、待たせてすまなかった」 「うっう~♪れみぃはいいこだからきにしないぞぉ♪いっただっきま~す♪」 れみりゃはプリンを食べ始める。 やはりれみりゃも必死に我慢していたのだろう。 さっきよりプリンを食べるペースが早かった。 …あ~、もう、俺何やってんだか…。 れみりゃに意地悪して馬鹿みたいだ。 俺は、プリンを食べ終わったれみりゃを正面からそっと抱き締める。 れみりゃは暖かかった。 「…う~?」 れみりゃは戸惑っているようだが、俺を振りほどきはしない。 …俺の方がれみりゃに甘えているのかもしれんな…。 「なあ、れみりゃ」 「う~?おにいさん、どうしたんだぞぉ?」 「今日の晩御飯は外で美味しいパフェでも食べに行くか」 「うっう~♪あまあまぱふぇ~♪れみぃたのしみだぞぉ~♪」 きゃっきゃと両手を上げて喜ぶれみりゃ。 意地悪をしたお詫びと言う訳じゃないが、俺はれみりゃの一番の笑顔が見たかった。 れみりゃは泣き顔も可愛かったけど、やっぱ笑顔が最高だな! そんなことが確認できた日曜日の昼下がりだった。 「うぁぁぁぁぁ~~ん!れみぃのあまあまぱふぇがぁ~~~~~!!!!!」 俺の車の助手席で大泣きしている我が家のお姫様。 いや、これは俺が悪い訳じゃないぞ。 たまには奮発して高級そうなレストランにれみりゃと行ったのだが… 店内に入って席をどこにしようか探してた時、店員にこう言われたんだ。 「誠に申し訳ございません。当レストランはゆっくりは禁止にさせていただいております」 深々とお辞儀をされながら言われてしまったよ。 れみりゃを立ち入り禁止にされてるレストランなんかでゆっくり出来るわけがない。 仕方ないかられみりゃの手を引きながらそのレストランを出てきた訳だ。 「うぁ~~~~~ん!!れみぃあまあまたべたいよぉ~~~~~~!!!!!」 レストランから出る頃のれみりゃはもう大泣きしていたな。 んで、車に戻って違うレストランを探している訳だ。 「あ~もう、ちょっと待っててくれ」 「うぁ~~~~~ん!!!れみぃおなかすいたよぉ~~~~~~~!!!!」 俺は車を運転しながら、美味しそうなパフェを食べられそうな店を探す。 我が家のお姫様を泣きやませるのはもう少し時間がかかりそうだ。 やれやれ。 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!」 やっぱれみりゃの悲しんでる姿はゆっくりできないな。 …笑顔が一番だな、マジで。 そんなことを考えながら、俺はハンドルを握り直した。 後書き 俺得です。 なんとなく中途半端な感じがしたので改訂してみました。 お兄さん・・・羨ましいわ・・・ 可愛い可愛いれみぃとの甘々ライフ・・・ あー!羨ましい!妬ましい!パルパルパルパルパル・・・ -- 名無しさん (2010-12-30 04 38 35) …とりあえず、おみせの偉い人におねがいしにいきたいです。 ゆっくりさん達もいっしょにしあわせーってできるようにー。 -- ゆっけのひと (2011-01-01 15 24 39) お店の人、後で屋上な? -- 名無しさん (2012-12-03 21 38 11) このレストランに関わってるもの全部爆発☆ -- れみりゃ好き (2023-11-06 20 24 03) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/238.html
「小さな親切、大きなお世話」 僕が来たのは、家から程近い“草原”。 ゆっくり達の生息地として知られているここには、よく加工所の職員がゆっくりを 捕獲しに来ている。そんな僕も、ゆっくりを見つけに来たのだが… 僕はかねてから、不幸なゆっくりを思う存分ゆっくりさせてやりたいと思ってい た。ゆっくりが畑を襲ったり、民家に居座るようになってから、ゆっくりは憎悪の 対象となり、頻繁に虐待されるようになっていた。 「あんなかわいいやつに、よくそんな事が出来るよな」 僕の友達もよくゆっくりを虐待しているらしいが、僕はどうしてもそんな気にな れない。僕だったら絶対に、ゆっくりを虐待したりしない。最大限にゆっくりさせ てやるのに… 草原にやってきたのは、ゆっくりできていない可哀相なゆっくりを連れ帰って、 思う存分ゆっくりさせてあげるためだ。 「ゆーーーーーーっ!!!」 そんなところに、一匹のゆっくりの悲鳴が聞こえてきた。悲鳴の聞こえた方向を 向くと、そこにはゆっくりれみりゃから必死に逃げているゆっくりれいむがいる。 「がおーーー!!たーべちゃーうぞーーー!!」 「ゆゆっ!!れいむはおいしくないよ!!ゆっくりたべないでね!!」 僕の捜し求めているゆっくりが、そこにいた。 「やめろーーーーー!!!!」 力の限りダッシュして、ゆっくりれみりゃを蹴り飛ばす!! 「うーーーーぎゅーーーーー!!!!」 餡子をブチまけながら、紅い屋敷のある方向へ飛んで行った。僕は弱いものを虐 める奴を、絶対に許したりしない!!それが僕の正義だ!! 「おにいさんありがとう!!これでゆっくりできるよ!!」 と、お礼を言いながら寄り添ってくるゆっくりれいむ。あぁ、やっぱりかわいい なあ。この子だけは、絶対に守らなければ… 「ここはさっきみたいなゆっくりれみりゃも生息している。ここに住んでる限り、 君はゆっくりできないよ」 「ゆゆっ!?」 かわいそうだが、事実を告げる。ここに住んでいたら、いつまたゆっくりれみりゃ などの捕食種に命を狙われるか分からない。ゆっくりするためには、ここから出て 行かなければならないのだ。 「僕の家ならゆっくりれみりゃは入れないから、思う存分ゆっくりできるよ」 「ゆっ!!じゃあそこでゆっくりするよ!!ゆっくりつれていってね!!」 どうやら、慣れ親しんだ草原を捨てる決心をつけてくれた様だ。僕はゆっくりと、 ゆっくりれいむを自分の家に案内した。 ◆ 「ここだよ。さあ入るといい」 「ゆゆっ!!ひろいね!!あたたかいね!!」 ゆっくりれいむのために用意した部屋に案内する。ここには遊ぶ道具もあるし、 空調設備も整っているし、走り回れるだけの広さもある。ここなら寿命で死ぬまで 一生ゆっくり出来るだろう。 「おにいさんありがとう!!ここでゆっくりするね!!」 「ああ、そうしなさい。それじゃあ僕はご飯を作ってくるよ」 「ゆっ!ごはん!ゆっくりまってるね!!」 僕は自分の財力が許す限りのご馳走を用意した。普段、僕でも食べられないよう な豪華な料理が並んでいる。 「ゆゆーーーー!!むーしゃむーしゃ♪しあわせーーー!!」 今まで何度か食事中のゆっくりを見たことがあるが、こんなに幸せそうなゆっく りは初めてだ。腕によりをかけて準備した甲斐がある。 「どう?美味しいかい?」 「すっごくおいしいよ!!ゆっくりたくさんたべるね!!」 そう言って、ゆっくりらしからぬスピードで食べていくれいむ。でも、料理はな かなか減らない。 「おにいさんはたべないの?ゆっくりたべてもいいよ!!」 「これはれいむの為に用意した料理だから、れいむが全部食べていいよ」 「でも、れいむこんなにたくさんたべられないよ!!」 ちょっと用意しすぎたかな…でも、遠慮してるだけかもしれない。 「そんな遠慮しないで、ほら、お口開けて…あーん」 「ゆゆっ!!??もういいよ!!たべられないよ!!!もごぅっ!!??」 れいむの口を無理やり開けて、美味しい料理を沢山食べさせてあげる。よほど嬉 しかったのか、れいむは涙を流して喜んでいた。 「うぎゅーーーー!!うぐぐあえrがえりのい!!!」 「ほらほら、もっともっと♪」 「むり!!!もうやめでよ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!だべられ゛な゛い゛よ゛ お゛お゛お゛!!!」 「そんなこと言ってると大きくなれないぞ」 用意した料理がなくなったのは、食べ始めてから30分経った頃だった。沢山食べ て満足したのだろう、食事前より一回り大きくなったれいむは、無言でゆっくり床 に転がっていた。うんうん、沢山食べればそのうち立派なゆっくりになれるぞ! お礼を言いたくて口を動かそうとするが、食べ過ぎたせいでうまく喋れないらし い。でもいいんだ。お礼なんて言われなくても。僕は君をゆっくりさせることが出 来ればそれでいいのだから…! 「じゃあ、お兄さんは片付けたらまた来るからね。ゆっくりしていってね」 ◆ ゆっくりの部屋に戻ると少し暑く感じたので、冷房をつけることにした。エアコ ンから出る冷機がれいむに当たると、れいむは「ゆゆっ!」と一瞬震えた後、喜び ながら飛び跳ね始めた。 「すずしいね!!これならたくさんゆっくりできるよ!!」 「そうだろう。もっと涼しくするから、もっとたくさんゆっくりしていってね」 そういって設定温度を-5℃にする。これだけ涼しくすれば、思う存分ゆっくり出 来るだろう。 しばらくすると、れいむが震えながら苦痛を訴え始めた。 「ゆゆゆゆゆ………!さむいよ!つめたいよ!」 「え!?でも、涼しくすればたくさんゆっくり出来るだろう?」 「ゆゆゆゆゆ……!!さむいよ!!ゆっくりできないよ!!」 ちょっと温度を下げすぎただろうか?暖めてあげる為に、暖房に切り替える。し ばらくすると、れいむは幸せそうな顔をして部屋の中を跳ね回るようになった。 「ゆっゆっゆっ♪あたたかくてきもちいいよ!!これならたくさんゆっくりできる よ!!」 「そうか、じゃあもっと暖かくしてあげるから、もっとたくさんゆっくりしていっ てね」 設定温度を50℃にして、僕は部屋を出る。50℃なんて、人間には耐えられないが、 れいむなら思う存分ゆっくりすることができるだろう。 僕は自室に戻って、オーディオを最大音量で聞きながら気分転換に本を読むこと にした。 ◆ 1時間後、夕飯を持ってれいむの部屋を訪ねたのだが… 「あつ……い…よ…………ゆっぐり…でき…な……」 今にも消え入りそうな声で、異常を訴えるれいむ。ゆっくりできないだって!? そんな…僕は暖房で思いっきり部屋を暖かくしてあげたのだから、思いっきりゆっ くりできるはずなのに!! 部屋に入ると、ちょうど真ん中にれいむは転がっていた。水分がかなり抜けてし まっていて、干からびた饅頭のようになっている。 「ゆ…っくり……水を……もってき…て…ね……」 「み、水だな!!わかった!!ゆっくり持ってくるよ!」 本当は急いで水を与えたかったが、れいむが「ゆっくり」と言うのだからしょう がない。僕は30分かけてゆっくり水を持ってきた。 「おぞいよ゛お゛お゛お゛お……ばやぐみずぼどお゛あ゛い゛ぼお゛お゛お゛……」 「ごめんごめん、君がゆっくりって言うからさ。ほら、水だよ」 水を与えて暫くすると、れいむの皮に潤いが戻ってくる。 50℃の部屋に僕は長くいられないので、れいむには悪いが冷房をかけて室温と同 じ温度に戻した。 「ゆゆっーーー!あづかっだよおおお!!ゆっぐりできながっだよおおお!!!」 「おー、大変だったんだね。でももう大丈夫だよ。食べ物を持ってきたからね」 「ゆゆっ!?たべもの!?ゆっくりたべていくね!!」 そのあと、昼ごはんと同じように、れいむが動けなくなるまで沢山食べさせて上 げた。たくさん食べれば、たくさんゆっくり出来るからね! ◆ 夜。寝る時間である。僕はれいむの部屋を訪れた。 「そろそろ寝る時間だよ。ゆっくり眠ってね」 「ゆ!!あしたもゆっくりするよ!!あしたもゆっくりしようね!!」 そんなれいむを僕は抱き上げて、一緒にベッドに入る。 「あたたかい!!これならゆっくりねむれるね!!」 「そうだね。明日もたくさんゆっくりしていってね」 「おにいさんもゆっくりねむっていってね!!」 そういうと、れいむはあっという間に眠りについた。きっとゆっくりしすぎて疲 れたんだろうな。明日もたくさん遊んであげて、たくさんゆっくりさせてあげよう。 僕は、枕もとのれいむを思い切り抱きしめて深い眠りについた… ◆ 「はなじでよぼおばお゛お゛お゛お゛お゛!!ゆ゛っぐりはな゛ぢでね゛え゛え゛ え゛!!!」 れいむの悲鳴で、僕は目を覚ました。目を開いた瞬間、あまりの惨状に僕は固ま ってしまった。 ベッドを汚す大量の餡子。その餡子の出所は、なんとれいむだったのだ。れいむ はピクピクと痙攣しながら、苦しそうな悲鳴をあげ続けている。 「どうしたんだい!?」 れいむを抱きしめていた手を緩めると、れいむはぴょんと跳ねてベッドの下に降 り立った。流出した餡子の量が多すぎた為に、目が虚ろで元気がない。 「おにいざんはなぢでえええええ!!!おにいざんどばゆっぐりできなびいいいい いいっ!!」 いったい何があったというのだろうか?…いや、とにかくれいむを苦しみから解 放してやることが先だ。 僕は散らばっている餡子を一箇所にかき集め、ベッドの上にれいむを持ち上げた。 そして… 「ちょっと痛いだろうけど、我慢してね」 「ゆっ!?ゆぎゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛!?!?!?!」 れいむの背中を切り広げて、そこから餡子を中に戻していく。人間だったら麻酔 なしで欠損した内臓を戻すようなものだから、絶対に発狂してしまうだろう…。で もゆっくりれいむなら、きっとそんなことはないに違いない。 「ぎゅうううう!!やめでよごごおお!!!いだいよおおおお!!!」 「我慢するんだ!今れいむの中身を戻してあげるからね!!」 白目をむき、あごが千切れんばかりに口を開いて泡を吹くれいむ。でも…放って おくわけにもいかない。放っておいたら、発狂するだけじゃ済まないのだから!! 「やめでおおおおお!!!じんじゃぅおおおおおお!!!!????」 「頑張るんだれいむ!!我慢すればゆっくりできるようになるからな!!」 「ゆっぐりいいいい!!!ゆっぐりじだいよおおおおばおあおあおあおあr!!」 綺麗に餡子をつめるために、かなり時間がかかってしまった。何とかすべての餡 子を戻し終え、傷口を塞いで縫う。しばらくすると、元気を取り戻したれいむが僕 に向かって言い始めた。 「もうひどいことするおにいさんとはゆっくりできないよ!!ゆっくりでていって ね!!」 「え!そんな…!」 「ここはれいむのおうちだよ!!おにいさんはゆっくりでていってね!!」 「……!!」 その言葉に、僕は固まってしまった。「れいむのおうち」だって…!? 一晩経って……れいむはこの部屋を自分の家だと思い込んでしまったのだ。 「……そうか、そうだよな」 「そうだよ!!ここでれいむだけゆっくりするよ!!ゆっくりできないひとはでて いってね!!」 「僕が悪かったよ。れいむは僕がいない方がゆっくりできるんだな。今まで気づか なくてごめんな」 そういって部屋の出口に戻る。 「ずっとゆっくりしたければ、ここをれいむのおうちにすればいい。誰も入ってこ ないようにお兄さんが守ってあげるからな」 手のつけられていない料理を持って、僕は扉を閉める。一緒にゆっくり出来たの は半日だけだったけど、これが“ゆっくり”の本来の姿なんだ。 「それじゃ、僕は出て行くよ。ずっとゆっくりしていってね」 「ゆゆっ!?おにいさん!!たべものはおいてって!!ゆっくりたべるよ!!」 扉を閉めて、頑丈に鍵をかける。 「おながずいだよおおお!!ごはんたべざぜでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 何かれいむが喋っているのが聞こえたが、悲しみのあまり返事をするのも忘れて その場から立ち去った。仕方ないんだ、これはれいむがゆっくりするためのことな んだから…。僕は涙を堪えながら自室に戻り、最大音量で音楽を流して沈んだ心を 癒すことにした。 「あぁ…もっとれいむと一緒に、ゆっくりしたかったなぁ」 ◆ それから…れいむの部屋の前を通ることは何度もあったが、れいむが何を言って もなるべく気にしないように努めた。僕が関わってはいけない。僕が部屋に入った られいむはゆっくりできないのだから。 そして、最後にれいむに会ってか3日後。どうしても気になって、僕は静かに鍵を 開けて、れいむの部屋に入り込んだ。そこには…どういうわけか、弱りきったれい むが横たわっていた。 「おなが…すいだおおおおおおおあえおおおお!!!!おにいざん!!ごはんちょ おだいよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 お腹…すいた?もしかして、今まで何も食べてないのか!? 「れいむ、僕の用意したご飯が食べたいのかい?」 「だべざぜで!!おにいざんのごばんだべざででおおお!!!」 そうか、僕の作ったご馳走が美味しかったから…れいむはそれをずっと待ってた んだ。空腹を我慢して、3日間も…!! 「ゆっ…ゆっ…ごはんんんんんーーー!!!」 れいむはピクピクと痙攣しながら、僕の足元に這いずってくる。そして、僕の足 にぱくっと噛み付いた。空腹が限界に来ている…目の前のものすべてが食べ物に見 えるんだ。 「れいむ…目を覚ますんだぁッ!!!」 れいむを掴みあげると、僕は壁に向かって全力投球でれいむを投げつけた。 「ゆぎゅうううあえろうあおえろおおおあえrべ!!!!」 壁に張り付いたれいむは、ぴくっと一度動くと床に落ち、大量の餡子を吐き出し た。でも、幻覚かられいむを解き放つにはこれしかなかったんだ!! 「れいむ、待っててね!!今すぐご馳走を用意するから、ゆっくりまっててね!!」 その後、用意したご馳走をれいむが動けなくなるまで食べさせてあげた。これぐ らい食べないと3日分の空腹を満たすことは出来ないだろう。動けず喋ることもでき ないれいむは何か言いたそうにしていたが、「お礼はいいよ」とだけ言い残して僕 はその場を立ち去った。 ◆ 食べたものの消化が済んだ頃、僕は再びれいむの部屋を訪れだ。マッサージをし てあげるためだ。でも、僕が部屋に入るとれいむは… 「おにいさんといるとゆっくりできないよ!!」 「え!?」 「れいむはゆっくりたべるの!!いそいでたべさせるおにいさんはでてってね!!」 「あ、あぁ…それは悪かったよ。お詫びにマッサージしてあげるからさ」 「ゆ!?じゃあゆるしてあげるね!!ゆっくりまっさーじしていってね!!」 どうにか許してもらえたようだ。適度に振動を与えると、れいむは気持ちよさそ うな顔をする。そんな表情を見ると、僕も幸せな気分になるのだ。 「ゆゆゆゆゆゆぅ~~~~」 「どうだ、気持ちいいかい?」 「ゆうぅ~きもちいいのおおお~~~~ゆゆゆゆゆゆ……」 そのうち顔が紅潮して、声も艶っぽさを帯びてくる。さらにマッサージを続ける と… 「ゆゆゆゆゆゆゆ、ゆふうううぅぅぅぅんんんんんんんんんん!!!!」 目を大きく見開いて、口も千切れんばかりに大きく開いたのだ。女の子らしから ぬ、下品な顔。涎まで垂らしている。僕はそれを止めさせる為に、マッサージを止 めた。 「ゆゆっ!?なんでやめちゃうの!?すっきりさせてね!!」 「今のれいむの顔が酷かったから止めたんだよ。女の子なんだから、そんな顔しち ゃダメだ!!」 「やだああああ!!!ずっぎりじだいのおおおおおお!!!」 「じゃあ、もうあんな顔しないと約束する?」 「するよ!!もうへんなかおしないよ!!」 と約束したので、また気持ちよくしてやるが…やはりあの下品な顔になってしま うので、僕はマッサージを止める。 「やめないでよね!!ゆっくりすっきりさせてね!!」 「すっきりしそうになると、やっぱり君は変な顔になっちゃうんだよ。だからすっ きりさせてあげることはできない」 「ゆああああああ!!!ずっぎりじだいよおっばお゛あ゛お゛お゛お゛お゛!!!」 何度マッサージしてやっても、れいむはすっきりする直前になると“例の顔”に なってしまう。その度に僕はマッサージを止めざるを得なかった。すっきりしたい れいむにとってはまさに生殺しだろう。 「ゆぐっ…ゆっ…ずっぎゅりざぜでばおおおおお!!ごのままじゃゆっぐりでぎな えろおおお!!」 「あ、れいむごめん!!お兄さんこれから用事あるから、またあとでね!!」 「いやああああおにいざんいがないでえええええ!!すっぎりざぜでえええ!!」 すっきりさせてやれなくて可哀相だけど、わかってくれ!!れいむのためなんだ!! すっきりできないストレスで扉に体当たりする音が聞こえるが、鍵をかけているの で出てこれない。そんな痛々しい音を耳にしながら、僕はその場から離れていった。 ◆ 仕事が終わったのでれいむの部屋に戻ると、部屋に入った瞬間『むぎゅ』という 感触が足から伝わってきた。足元を見ると… 「ゆぎゅううううううう!!!はなぢでえええええええ!!!」 ぺしゃんこに潰れたれいむの姿が、そこにはあった。部屋の入り口近くでゆっく りしていたのだろう、そこに僕がやってきて思い切り踏んづけてしまったのだ。皮 をうまく引き伸ばして元の形に戻してやる。 「いだあああああいいいいい!!!やめでえええええ!!やぶれちゃううう!!!」 僕は形を戻すのに夢中で、返事をすることも忘れていた。そんな時だった… ぶじゅ!! れいむの頬あたりから餡子がもれてしまったのだ。 「ゆぎゅうううう!!!もうやめでえええ!!ざわらないでえよおおおおああ!!」 「でも、ちゃんと元に戻さないと!」 「いいの!!れいむにちかづかないで!!おにいさんなんかきらいだよ!!」 …ショックだった。今まであんなにゆっくりさせてあげたのに、嫌われた… 「そんなこと言うなよ。あんなにゆっくりさせてあげただろう…」 「ゆ゛っ!!ぜんぜんゆっくりできなかったよ!!おにいさんがわるいんだよ!!」 衝撃だった。僕はゆっくりさせてあげているつもりが、全然ゆっくりできていなか ったというのだ。 「ゆっくりついてこないでね!!れいむはおうちにかえるからね!!」 今まではここがれいむのおうちだったのに…もう昔のおうちに戻るというのか。 あそこはゆっくりれみりゃがいるから危ない、と教えてあげたのに…! でも、れいむがそう決めたのなら、その選択を尊重してやるべきだよな。 「そうか、わかったよ。出口はこっちだ」 門まで案内し、ゆっくりを外に出してやる。その瞬間、ゆっくりは震え上がった。 「ゆぎゅ!!さむい!!さむくてゆっくりできないよ!!!」 「寒いのは当たり前さ。今の“草原”は冬なんだから」 全天候型ゆっくり放牧区画、通称“草原”。加工所の所有する施設である。今の 時期、このドーム内は気温-10℃の極寒に設定されているのだ。 「どうして!!さっきまであたたかかったよ!!」 「あぁ、さっきの部屋は暖房がかかってたし…君が前ここに住んでたころは、あた たかく設定されていたんだよ、このドーム」 そう、昨日まで“草原”は夏だった。でも今日から“草原”は冬なんだ。 「ゆ!?なにいってるの!!わけわかんないよ!!ここじゃゆっくりできないよ!!」 確かにそうかもしれない。でも決めたのはれいむ…君自身なんだ。 「大丈夫、れいむならゆっくりできるよ、きっと…たぶん」 そう言ってれいむの背中を押す。れいむはころころ雪の上を転がって、大岩にぶ つかると転がるのを止めた。体には行きが纏わりついていて、寒そうに震えている。 「やめでええええ!!おうぢにがえるうううう!!!」 「れいむのおうちはずーっと向こうだぞ。頑張って帰るんだぞー!」 「ぢがうの!!さっきのおうぢにがえるのおおお!!!!」 それは許されない。れいむは自分で“元の家に帰る”と決めたのだから。 別れるのはつらい。僕ってれいむと一緒にゆっくりしたかった。でも、それは許さ れないんだ。 「じゃあ、こんな厳しい環境だけど…頑張ってゆっくりしていってね」 「いやああああああああ!!!ぢめないでえええええええ!!ゆっぐりざじでええ ええええよおおおおお!!!」 皮が凍り始めたれいむ。だんだん元気がなくなり始めた。 「いや……ゆっぐり……ざぜ……で…」 寒さで震えて、うまく喋れないのだろう。僕も…別れの悲しさから、感極まって 目に涙を浮かべながら震えていた。 「や……じにだくな…いよ……ゆぐり…じだい…」 「…頑張って、ゆっくりするんだよ…」 れいむに涙を見せないように、僕は急いで門を閉めた。もう何も聞こえない。 『もっど…ゆっぐりじだがっだよ…』 そんな声も、きっと僕の幻聴だ。 『おにいざん……ごめんなざい…ゆるじで…ゆっぐりざぜで…』 いったい何を謝ってるんだ。君はゆっくりしてただけじゃないか。 『ゆ……っぐり…』 そう…君は、ゆっくりしてるだけでいい。 誰もいないところで、僕のいないところで… ずっと、ゆっくりしていればいいんだ… 『……ゆっ………―――――――――』 それっきり、幻聴は聞こえなくなった。 …… 門を開けると、そこにはもうれいむの姿はなかった。 雪原のほうへと続く、2つの足跡。 それを見て、僕は確信した。 きっとあのれいむなら、この厳しい環境の中でもゆっくりできるだろう、と。 今まで僕のしてきたことは決して無駄ではない…そう確信して、僕は自室に戻った。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1863.html
『いいつけてやる!』 昼もすぎて、太陽が傾きかけた頃。 人通りの少ない道を行く、4匹のゆっくりれみりゃがいた。 「う~う~♪ ぱたぱた~♪」 「「「うぁっうぁっ♪ ぷっでぃ~ん♪」」」 楽しげに口ずさんでは、えっちらおっちら体を揺らす、れみりゃ達。 この4匹は、森で暮らす家族だった。 先頭を行くのは身長1mほどの親れみりゃ。 そのすぐ後ろに、身長60cmほどの3匹の子れみりゃ達がついて歩く。 「おぜうさまのおとおりだっどぉー♪」 「うー♪ わんわんもにゃーにゃーも、ずがたかいどぉー♪」 「したにぃ~したにぃ~だどぉ♪ ぶれぇーものはたーべちゃうぞぉー♪」 「おぜうさまのかりしゅま☆にみんなびびってるどぉー♪ うつくしさはつみだどぉー♪」 れみりゃ達は楽しげに「ぱたぱた~♪ う~♪」と小さな黒い羽を動かすが、 言葉とは裏腹に、ずんぐりむっくりした体はフワフワ浮いてはすぐに高度を下げ、 結局よたよただばだば歩くことになる。 それは端からみれば滑稽にも思える光景であったが、当のれみりゃ達は幸福感でいっぱいだ。 それぞれが手に持って広げる、ボロボロの日傘とあいまって、 実にエレガントでカリスマな様だと得意満面だった。 そんなれみりゃ達が、ふと足を止める。 その眼前には、ひなびた神社があった。 「「「「れみ☆りゃ☆う~♪ にっぱぁ~♪」」」」 到着を喜んでか、それとも自分達の存在をその場にいるものに知らしめるためか、 れみりゃ達は境内の中央で愉快に踊り合い、可愛さを讃え合うように周囲に笑顔を振りまいた。 「ついたどぉー♪ きょうはここででぃなーにするどぉー♪」 「れみぃー、もうおまんじゅうはあきちゃったどぉ♪ ぷっでぃ~ん☆たべたいどぉ~♪」 ニコニコ笑顔は崩さぬまま、親へ文句をつける子れみりゃ達。 親れみりゃは、そんな子れみりゃ達に腹をたてることもなく、変わらぬ下ぶくれスマイルを浮かべている。 親れみりゃは、子ども達に"おぜうさまのつとめ"を教えるためにここに来ていた。 おぜうさまたるもの、森の中で"あまあま"を食べるだけで満足してはならない。 自然とあふれでるカリスマで従者を増やし、高貴なるスイーツ"ぷっでぃ~ん♪"を得てこそ一人前といえる。 また、それこそが"かりすま☆"たる自分に与えられた権利であり責務であり"でっす☆てぃにぃ~"なのだと、 れみりゃは本気で信じていた。 故に、毎日"おうた"や"だんす"といった、エレガントなレディーになるためのレッスンを、 親れみりゃは愛する子れみりゃ達に課してきた。 そして、今日はそのさらに先のレッスン、"ぷっでぃ~んもってきて~♪"を教えようと、 親れみりゃは家族総出で人間達のところへ遊説に来たのだ。 「うー♪ あがじゃん、だいじょーぶだどぉ♪ まんまぁーのいうとおりにやってみてねぇーん♪」 「「「ゆっくりりかいしたどぉー♪」」」 親れみりゃは、最後の復習とばかりに、 子れみりゃ達に"ぷっでぃ~ん"を得るための手順を教えていく。 身振り手振り、実演をまじえて始まる、親れみりゃのレッスン。 親れみりゃは、足下の石をヌイグルミのような手で掴みあげると、ぽーんと放り投げた。 「まずはー♪ ぽーい☆するんだどぉ♪」 "ぽーい♪ぽーい♪"と、踊りながら物を投げ捨てるジェスチャーを繰り返す親れみりゃ。 子れみりゃ達もそれに倣って、お尻をぷりぷり揺らしながら、物を投げる仕草を始める。 「まじゅいおやさい、ぽぉーい♪」 「くちゃいおさかな、ぽぉーい♪」 「きょうはきぶんじゃないから、くっきぃーもぽぉーい♪」 「「「ゆっくりできないものは、みんなぽぉーい♪ ぽいするのぉー☆ぽぉーい♪」」」 子れみりゃ達が歌うように口ずさむフレーズが揃ったのを聞いて、親れみりゃは満足気だ。 自らの両頬をたたんだ両手で押さえながら、大きな頭を左右に揺らす。 「う~~♪ れみりゃのあがじゃん☆かわいいどぉ~~♪ それにおりこーさんだどぉー♪」 可愛くて自分そっくりの、自慢の子ども達に惚れ惚れする親れみりゃ。 親れみりゃに褒められた嬉しさに、子れみりゃ達はふてぶてしい下ぶくれ笑顔を一層広げる。 そして、両手を物をせびるように前にへつきだし、尻を左右に振りながら、教わった通りの台詞を口にした。 「「「ぽーい♪のおれいにぷっでぃ~ん☆もってくるんだどぉ~♪」」」 「かんぺきだっどぉー♪ かわいいれみりゃたちに、みんなメロメロになっちゃうどぉー♪」 ゆっくりできないものを"ぽーい♪"してあげれば、 その偉大な所行に人間達は平伏し、お礼に"ぷっでぃ~ん"を持ってくる。 もし、"ぷっでぃ~ん"のことを"プリン"などと言う人間に対しては、 「ぶぁ~か☆ぶぁ~か♪ これはぷりんじゃなくて、ぷっでぃ~ん☆だどぉ~♪」 と優しく丁寧に、おぜうさま自らが教えてあげるのだ。 そうすれば、その人間は、寛大でお優しくてとっても賢いれみりゃの召使いになりたがるはずだ。 ……それが、れみりゃの思い描く、かりすまおぜうさまと庶民の関係だった。 同時に、れみりゃは思う。 優しい自分達は、貧乏人相手であろうと分け隔て無くきちんとお礼をするのだと。 その点においても、子れみりゃ達は親れみりゃの期待を裏切らなかった。 「「「ぷでぃ~ん☆のおれぇーにぃー♪ とくべつに"のうさつ☆だんす"みせてあげるどぉー♪」」」 子れみりゃ達は、覚えたての"のうさつ☆だんす"を境内で踊り出す。 その光景に、親れみりゃは確かに悩殺されて、興奮を露わにした。 「うぁー☆うぁー♪ ほんとに、ほんとにかわいいどぉーー♪」 親れみりゃは、3匹の子ども達を抱き寄せて、抱きしめては顔をすりすり擦りつけた。 子ども達も、親れみりゃの温かい肉まんボディに「ぽかぽかだどぉー♪」と実にゆっくりした表情を浮かべる。 親れみりゃは思う。 この可愛い子れみりゃ達なら、きっと自分と同じ、 もしかしたらそれ以上の、立派な"おぜうさま"になるんだろうなーと。 それに、もし何か困難があっても、自分たちには"さくや"がついている。 何があっても、さくやを呼べば、さくやに"いいつければ"大丈夫、だから安心だ。 親れみりゃは誰に言うとでもなく、心の中で呟いた。 "しゃくやぁ~♪ かわいい~れみりゃたちを~♪ おまもりしてねぇ~ん♪" 幸せで、微笑ましい親子の団らん。 そのひとときをゆっくりすませて、れみりゃ達は境内の先にある神社へと体を向けた。 「それじゃー、みんないっくどぉー♪」 「「「うっうー♪ すべてのゆっくりはれみりゃたちにみちをあけるがいいどぉー♪」」」 どったどった、だっばだっば。 れみりゃ達は両手をバンザイに広げ、"ぎゃおー♪"と叫びながら走っていった……。 * * * 「……なにこれ?」 神社の主たる、紅白の巫女は、目の前の光景を見て軽く頭痛を感じた。 一休みしようと台所へ来たところ、4匹のゆっくりれみりゃが泣きわめいていたのだ。 すっかり散らかりきった台所の真ん中で、 一際大きい親れみりゃが、仰向けに倒れながら痛がっている。 天に向かって突き上げ振り回すその手の先には、ガッチリとネズミ取りが噛みついていた。 「うぁぁーー! れみりゃのがわいいおででがぁーー! さくやぁーー! さくやきてぇぇーーー!!」 むぎゅーとネズミ取りに挟まれた柔らかな手。 それを取り巻く3匹の子れみりゃ達は、いずれも心配そうだ。 「まんまぁー! しっかりするどぉー!」 「さくやはなにしてるんだどぉー! れみぃーのまんまぁーがおこまりだどぉー!」 「う~~! こんなのれみぃーが"ぽーい"してやるどぉー! はやくまんまぁーをはなすんだどぉー!」 ある者は親れみりゃを励まし、 ある者は助けが来ないことに文句を言い、 ある者はネズミ取りへ向かって息巻いて、親れみりゃを助けようとしている。 だが、3匹の子れみりゃ達の前に、勝手口から1匹の丸い物体が現れ、状況は一変する。 それは、紅白の巫女が、番犬代わりに居候を許している1匹のゆっくりれいむだった。 「うー♪ おまんじゅーがいるどぉー♪」 「ほんとだどぉー♪ あいかわらずぶちゃいくなかおだどぉー♪」 「うぁうぁ☆うっうー♪ おまんじゅうたべて、まんまぁーにげんきになってもらうどぉー♪」 普段捕食しているゆっくりの出現に、一様に笑顔になる子れみりゃ達。 だが、泣きわめいていた当事者たる親れみりゃだけが、ゆっくりれいむを見て違和感を感じていた。 「う、うぁ? な、なんかへんだどぅ?」 親れみりゃの違和感は正しかった。 そのゆっくりれいむは、番犬用のゆっくりとして育てられており、通常よりもはるかに巨大な体を誇っていた。 「ぎゃおー♪ たーべちゃうぞぉー♪」 だが、経験値の少ない子れみりゃは、その危険性に気づけない。 1匹の子れみりゃが、自分よりも大きい、ゆっくりれいむの下へ駆け寄り、 そのまま弾力ある体に弾かれて尻餅をつく。 「う、う~?」 何が起こったかわからず、子れみりゃは首を傾げる。 そんな子れみりゃへ向かって、ゆっくりれいむは不適な笑みを浮かべたまま跳躍した。 「ゆっくりー♪」 「ぷんぎゃぁぁーー!!?」 「「う、うぁ!?」」 親れみりゃの嫌な予感は、現実となって的中する。 果敢にも巨大ゆっくりれいむに挑んだ子れみりゃは、あっさりゆっくりれいむの下敷きになってしまった。 「まんまぁー! たすけてだどぉーー!!」 「うぁぁー! れみりゃのあがじゃんがぁー!?」 辛うじて下敷きを免れた顔を、涙でぐしゃぐしゃにして叫ぶ、子れみりゃ。 それを見て、親れみりゃが"ぎゃー!"と目を見開く。 「う~~! れみぃーのおねぇーさまをはなすんだどぉー!」 「おまんじゅーのくせになまいきだどぉー! れみぃーのかりしゅま☆におそれおののくがいいどぉー!」 下敷きになった子れみりゃを助けようと、他の2匹が腕をぐるぐる振り回してポカポカゆっくりれいむの体を叩くが、 圧倒的質量差の前に、その攻撃は無力だった。 「おお、おろかおろか」 ゆっくりれいむは鼻で笑って、他の子れみりゃ達を弾き飛ばす。 吹き飛ばされた子れみりゃ達はすぐに戦意を喪失し、その場で蹲って泣き出してしまった。 「うっびぃぃーー!! れみぃーのえれがんとなおがおがぁぁーー!!」 「もうやだどぉーー!! おうぢがえりたいどぉーーー!!」 だが、それを見て一番ショックだったのは親れみりゃだった。 可愛い我が子達に命の危険が及ぶなと、危害を加えられるものがいるなど、 親れみりゃは想像したこともなかった。 「ああぁぁーー!! れみりゃのあがじゃんーー!! どぉーじでだどぉーー!?」 目の前の現実が、親れみりゃには理解できなかった。 しかし、とにかく自分の子ども達に危険が迫っていることだけは、いやがおうにも察せられた。 親れみりゃは、ネズミ取りに挟まれた痛みをこらえつつ、 ゆっくりれいむへ向かって"へこーへこー"と土下座を繰り返し始めた。 「ごべんなざいぃーー!! れみりゃだぢをゆるじでくだざいぃーー!!」 「おお、みのほどしらず、みのほどしらず」 「は、はいぃーー! あなたのほうがずっとえれがんどなおぜうさまなんでずぅーー!!」 「れみりゃはゆっくりできてないね! ここはれいむとれいむのおうちなんだよ! ゆっくりりかいしてね?」 「はいぃぃー! ゆるじでぐだざいぃーー! れみりゃはおまんじゅうざまのめしづがいになりまずぅーー!!」 親れみりゃは、生き残るために必死だ。 顔を涙と鼻水とヨダレでぐしゃぐしゃにしながら、卑屈な態度で許しを請うている。 その様子を眺めていた紅白の巫女は、溜息をつきつつ、 ゆっくりれいむに退席を命じた。 「……ゆっくり、もういいわよ」 「ゆゆ! れいむだよ! れいむはゆっくりりかいしたよ!」 ゆっくりれいむは、下敷きにしていた子れみりゃを解放し、ゆっくり跳ねながら勝手口から外へ出て行く。 生きながらえたれみりゃ達はといえば、一カ所に固まって、"うーうー!"と泣きながら抱き合った。 「やれやれ……あんた達もこれにこりて、もう来るんじゃないわよ」 隠してあった煎餅を手に取りつつ、れみりゃ達へ向かって告げる紅白の巫女。 しかし、ようやく紅白の巫女の存在に気付いたれみりゃ達は、頬を膨らませて抗議を始めた。 「う~! おぜうさまにむかって、なんてぶれぇーものなんだどぉー!」 「そうだどぉー! れみぃーたちとってもこわかったんだどぉー!」 「れみぃーたちをこわがらせたつみはじゅうざいだどぉー!」 「でもでもぉー、れみぃーたちはかんだいだからー……」 「「「「ぷっでぃ~ん☆もってきたらゆるしてあげるどぉ~♪」」」」 さっきまでの涙はどこへやら。 声を揃えて、両手を前へ出して"ぷっでぃ~ん"を要求する、れみりゃ達。 れみりゃ達は、さきほどの巨大ゆっくりれいむの無礼な態度は何かの手違いであり、 目の前の人間がその手違いに気付いて慌てて自分たちを助けたのだと考えていた。 そして、怖い目にあわされたぶん、相応のお詫びを受けられて当然だと信じて疑わなかった。 「いやよ。だいたいそんなものウチにはないし」 「「「「どぉーしそんなこというんだどぉーー!?」」」」 紅白の巫女のドライな対応に、れみりゃ達は不満を露わにする。 「うー! おはなしにならないどぉー!」 「おねぇーさんは、おばかさんだどぉー♪」 「のうさつ☆だんすみれなくて、こうかいしてもしらないどぅ?」 「ゆっくりしてないおねぇーさんは、れみぃーのめしつかいにさせてあげないんだどぉー!」 口々に紅白の巫女を罵るれみりゃ達。 一方の巫女はといえば、そんなれみりゃ達を無視して急須を探していた。 「うぁ!」 無視されたことに腹を立てたのか、親れみりゃは何かを決意したように立ち上がる。 その顔には、余裕と自信が満ちあふれていた。 「そうだどぉー♪ こうなったられみぃーをこわがらせたぶんもいぢめてもらうことにするどぉー♪」 「「「うー?」」」 親れみりゃの頼もしい下ぶくれスマイルに、子れみりゃ達は不思議そうに首を傾げる。 親れみりゃは、子れみりゃ達の頭を優しく撫でてから、紅白の巫女へ向かって高らかに宣言した。 「ぷっでぃ~ん☆くれないと、さくやにいいつけちゃうぞぉ~♪」 さくや。 それは、れみりゃを守り、無償の愛を注いでくれる存在の名前。 れみりゃ種にとって、本能レベルで刻み込まれた、切り札の名前だ。 何があろうと、さくやを呼べば大丈夫。 どんなこわいことがあっても、さくやさえいればもう安心。 強くて優しいれみりゃだけのさくや……その名前を聞けばどんな人間でも言うことを聞く。 親れみりゃは、そう確信していた。 だが。 「……いいわよ。さっさと咲夜のやつを呼んで来なさい」 「う~~!?」 その紅白の巫女の返事は、親れみりゃにとって全く予想していないものだった。 「ほ、ほんとに、いいつけちゃうんだどぉー?」 「だから、さっさと連れてきなさいよ。これの文句言ってやるから」 そう語る紅白の巫女の手には、割れた急須の柄が握られていた。 * * * 紅白の巫女から"咲夜を連れてこい!"と言われた親れみりゃは、 べそをかきながら暗い夜の森を彷徨っていた。 「う~~! さくやぁ~~! さくやどこぉ~~!?」 さくやの名前を呼び続けるが、親れみりゃの期待とは裏腹に 肝心のさくやが姿を現すことはなかった。 おぜうさまたる自分がこんなに呼んでいるのに、さくやは何をしてるんだ! 親れみりゃはぷんすか腹をたてて下ぶくれた頬をさらに膨らませる。 「おぜうさまがおこまりなんだどぉー! さっさとくるんだどぉー!」 けれど、親れみりゃがどんなに癇癪を起こそうと、 涙声になろうと、機嫌を取ろうと猫撫で声をあげようと、 特別サービスで"のうさつ☆だんす"を踊ってあげても、 それに応えてくる"さくや"はどこにもいなかった。 どぉーして? なんでさくやは来てくれないの? れみりゃのさくやはどこにいるの? 親れみりゃは頭上に「?」マークをいくつも浮かび上がらせて、獣道を歩いていく。 「う~♪ さくやったらだめいどさんだどぉ~♪ これだからにんげんってつかえないんだどぉ~♪」 解決できない疑問に、とりあえず相手のせいという答を出して、 親れみりゃはふてぶてしい下ぶくれスマイルを取り戻す。 しかし、親れみりゃにはどうしても"さくや"を見つけなければならない理由があった。 頑張って下ぶくれスマイルを維持しようとしても、それが不安となって親れみりゃの顔を曇らせる。 「……うー、さくやぁー、はやくきてほしいどぉー」 呟き、とぼとぼ歩く親れみりゃのお尻、ピンク色の大事なおべべには、大きな足跡がついていた。 それは、いつまでたっても"さくや"を連れてこようとしない親れみりゃを、 紅白の巫女が蹴飛ばして神社から追い出した時についたものだ。 可愛い子れみりゃ達は、"こぁいおねぇーさんと、こぁいおまんじゅー"に人質に取られてしまっている。 自分が頑張って、さくやを連れて行かなければ……親れみりゃはそれを肉まんの胸に刻んで、森を奥へ奥へと進んでいった。 太陽は既に沈み、空には満月が浮かんでいる。 いつもなら月明かりの下、子ども達と"こーまかん"で優雅かつご機嫌なステージを満喫している頃だ。 けれど、今日に限って言えば、ちっともゆっくりできはしない。 あてもなく森を彷徨い、どこからか獣の声が聞こえるたびに、ビクっと体を強ばらせる親れみりゃ。 怖さをまぎらわせるため、さくやーさくやーと空元気で呼ぶことしか、親れみりゃには出来なかった。 「うー、れみりゃのかぼそいあんよが、じんじんするどぉー……あそこできゅーけいするどぉー」 呟く親れみりゃの視線の先には、大木の根本にぽっかり開いた洞があった。 洞は端から見ても大きく、入り口だけでも2m近い広さがある。 「うー♪ あそこならゆっくりできそうだどぉー♪」 親れみりゃは元気を振り絞って、パタパタ羽を動かしながら洞へ向かう。 そして、洞の前まで来て、その中にいる存在を見て目を輝かせるのだった。 「うっうー☆さくやだどぉー!!」 喜色満面。 疲れも忘れて、親れみりゃは興奮を露わに叫んだ。 「さっくやぁー☆さっくやぁー♪ れみ☆りゃ☆うー♪」 洞に中にいたのは、親れみりゃが助けを呼び続け、探し求めていた存在。 そして、自分たち"おぜうさま"に尽くし無償の愛を捧げ続けてくれると信じている存在。 すなわち、"さくや"だった。 ただし、それは紅魔館にいる咲夜ではなく、約50cmほどの胴無し"ゆっくりさくや"であった。 「お、おぜう……さま?」 さくやは親れみりゃを見て、嬉しそうな、 それでいてどこか不思議そうなはにかみ笑顔を浮かべた。 一方の親れみりゃは、疲れと興奮、緊張からの解放でテンションが上がりきっている。 そんな状態の親れみりゃが、さくやの微妙な表情の機微を読み取ることが出来るはずもなく、 警戒することもなくどった☆どった☆と洞の中へ入り込み、さくやに抱きついた。 「うー♪ さくやったらこんなとろにいたんだどぉー♪ はやくれみりゃをたすけにこなきゃだめなんだどぉー♪」 文句を言いながらも、さくやをぎゅっと抱きしめ離さない親れみりゃ。 頬をすりすり、おぐしをなでなで、頭をはむはむ、ちょっぴり中身をちぅちぅ……。 親れみりゃは、あらん限りのスキンシップで、さくやへの思いを爆発させる。 と、その時。 洞の奥から、ずんぐりむっくりした影がぬぼーっと現れた。 「うー? れみりゃがいるどぉー?」 その影の正体は、この洞の主たる、胴体有りゆっくりれみりゃだった。 れみりゃは、自分の従者たるさくやに抱きつく、自分以外のれみりゃを見て、首を傾げた。 「うー?」 「うぁ?」 状況がわからず、きょとんとするれみりゃ。 さくやを抱いていた親れみりゃも、やっとその存在に気付き、顔を上げる。 う~っと視線を交差させるれみりゃ達。 数秒後、爽やかな夜風が洞の中に吹き込んだのと同時に、れみりゃ達はにっぱぁーと下ぶくれ顔を輝かせた。 「うー♪ れみりゃだどぉー♪ はじめましてだけど、とってもえれがんとぅだどぉー♪」 「うー♪ れみりゃこそ、さすがもりのおぜうさまだどぉー♪」 互いの可愛さ、えれがんとさを褒め合うれみりゃ達。 親れみりゃは立ち上がり、洞のれみりゃの下へ「うっあ♪ うっあ♪」ステップを踏みながら近づいていく。 それに呼応して、洞のれみりゃも、「うぁうぁ☆」リズムを刻み始める。 いつしかそれは互いの"だんす"の披露会へとなっていく。 自慢の"のうさつ☆だんす"を見せ合い、一緒に歌って踊り合う。 れみりゃ達のゆっくりした楽しいひととき。れみりゃ達の社交界がそこで繰り広げられる。 「「うっうー☆うぁうぁ♪ れみ☆りゃ☆う~♪」」 ダンスの最高潮をともにして、れみりゃ達は笑顔と"かりしゅま☆"を弾けさせた。 こうなれば、れみりゃとれみりゃはもう友達だ。互いにホカホカ上気する体を抱きしめて、親愛を表現する。 「「う~~☆ぽかぽかぁ~~☆」」 柔らかくて温かくて、それでいて少し独特の匂いのする肉まんボディ。 互いのれみりゃは名残惜しそうに、ハグを解いて、体を左右に揺らしながら、笑顔を交換した。 「う~♪ れみりゃってば、とってもゆっくりしたおぜうさまだどぉ~♪ おともだちになれてうれしぃどぉ~♪」 「れみりゃこそとっても"かりしゅま"だどぉ~♪ えれがんとなおともだちに、のぼせちゃうどぉ~♪」 屈託の無いれみりゃ達のコミュニケーション。 しかし、親れみりゃの方のみが、やがて残念そうに微笑んだ。 「うー、せっかくおしりあいになれたけど、れみりゃにはだいじなようがあるんだどぉー♪」 「うー、それはざんねんだどぉー♪ またあそびにきてだどぉー♪」 名残惜しそうな洞のれみりゃに"イェアー☆"とウィンクを返して、 親れみりゃは、てくてくさくやの下まで歩いていくと、よいしょと両手でさくやを持って頭上に掲げた。 「ゆっくりりかいしたどぉー♪ やさしいおともだちができて、れみりゃはしあわせだどぉー♪」 "ばいばいだどぉー♪"と口にして、洞から出ようとする、親れみりゃ。 それを、洞のれみりゃが慌てて呼び止めた。 「う、うぁ? ま、まってだどぉー♪ さくやはれみりゃのだどぉー♪」 笑顔は崩さず、されど一筋の冷たい汗を流す、洞のれみりゃ。 親れみりゃはといえば、洞のれみりゃの言葉を理解できず、こちらも悪意の無い笑顔のまま、首を傾げた。 「うー? ちがうどぉー♪ さくやはれみりゃのさくやだどぉー♪」 きょとんとしたまま、動きを止めるれみりゃ達。 何度か「さくやはれみりゃのさくやだどぉー♪」という主張をしあっても、それはいつまでたっても平行線のまま交わらない。 「「う、う~~~!?」」 「お、おぜうさまがおふたりも……ああ、さくやはしあわせものですぅーー」 流石に困惑を始めるれみりゃ達。 当のさくやはといえば、本来ならば洞のれみりゃに加勢すべきなのは理解しつつも、 親れみりゃに持ち上げられたまま、愛しのおぜうさま達に取られあう喜びに恍惚としていた。 いつしか、うっすら涙を浮かべてべそをかきだすれみりゃ達。 そんないつ終わるともしれないやり取りを終わらせたのは、洞の外に舞い降りた"ゆっくりフラン"だった。 「ぷぅー?」 エサを集めて帰ってきたフランは、洞の中に見慣れぬれみりゃがいることに気づき、「?」マークを浮かべる。 このフランもまた、この洞で暮らすゆっくりであり、"おぜうさま"の"いもうとさま"であった。 「おねぇーさま、どーかしたの?」 がさがさ落ち葉を踏みしめる音を立てながら、洞へ入ってゆくフラン。 そのフランを見て、れみりゃ達の平行線は、急速に別々の方向へ向かっていった。 「うー♪ ふらんちゃーん♪」 「う、うぁぁぁーー! ふりゃんだどぉーーー!!」 可愛い妹の帰宅に喜ぶ洞のれみりゃとは対称的に、 親れみりゃの方は恐怖で顔をひきつらせて「ぎゃー!」と叫んだ。 親れみりゃは、これまで何度となくフランに虐められながら生きてきていた。 親れみりゃにとって、よそさまのフランは可愛い妹などではなく、恐怖の象徴でしかない。 「さくやぁぁーー!! たずげでぇぇぇーーー!!」 親れみりゃは涙を飛び散らせながら絶叫し、持ち上げていたさくやを投げ捨てると、 全力疾走でだっばだっばと夜の森をかけて、逃げていった。 「「うー?」」 残されたれみりゃとフランは、そんな親れみりゃの急変を不思議に思ったが、 やがてそんな疑問は忘れ、フランのとってきたエサを前にヨダレを垂らして、ゆっくり食事を始めた。 夜の森、どこか遠くで、親れみりゃの絶叫が響いていたが、それがもはや洞の中に届くことはなかった……。 「ふりゃんいやだどぉーー! こぁいどぉーー!さくやぁぁーーー!!」 * * * 「遅い……ゆっくりしすぎよ……」 神社の縁側を掃除しながら、紅白の巫女は顔を上げ毒づいた。 その傍ら、障子の向こうの居間では、預かり物たちがひっきりなしにぐずっている。 「うー、まんまぁーおそいどぉー……」 「れみぃー、おなかがぐるぐるきゅーきゅーだどぉー……」 「うっぐひっぐ、のうざづだんすみぜであげだのに、なんでぷっでぃんくれないんだどぉー……」 当初こそ暴れていた3匹の子れみりゃ達だったが、 その勢いもとうに失われ、今はただ畳の上でえっぐえっぐとベソをかくだけだ。 紅白の巫女が"咲夜を呼んでこーい!"と親れみりゃを追い出してから、既に丸一日近くが立っていた。 たとえゆっくりれみりゃとはいえ、それだけのあいだ子どものベソを聞かされ続ければ、さすがに気が滅入る。 と、同時に、時間とともに巫女の頭を不安がよぎりはじめていた。 もしかしてあの親は逃げたのではないか? そもそもこのれみりゃ達は紅魔館のれみりゃなのか? 最悪の場合、自分が3匹の子れみりゃ達の面倒見なければならないのかと思うと、 紅白の巫女は自分のやっかいな客人と居候を寄せ付けてしまうタチに溜息をつかずにはいられなかった。 そんな矢先のこと。 玄関から聞き覚えのある歓声が聞こえてきた。 "うっう~♪ おまたせしたどぉ~~♪" その声を聞き、ぱぁーと顔を輝かせたのは、子れみりゃ達だった。 立ち上がって羽をパタパタ、腕をぐるぐる、体をよたよた、昨日までの喧噪を取り戻す。 「うぁ♪ あのおこえはまんまぁーだどぉー♪」 「う~! これでやっとおうちにかえれるどぉー♪」 「はやく、ごーまがんでまんまぁーとだんすおどりたいどぉー♪」 その様子に苦笑しながら、紅白の巫女は一人玄関へと向かう。 けれど、玄関で待っていたものを見て、彼女は言葉を詰まらせた。 「やれやれ、ちょっと咲夜おそかったじゃ……」 「おまたせしましたですわ、だどぉー♪」 そこに、少なくとも巫女の知っている咲夜はいなかった。 それどころか、もしやと脳内で想定していた"ゆっくりさくや"もいなかった。 そこにいたのは、あの親れみりゃだった。 ただし、親れみりゃは、どこからか拾ってきただろうボロボロのエプロンを纏い、 普段かぶっている帽子の代わりにくしゃくしゃの紙切れで作ったヘッドドレスらしきものをつけていた。 「……何してるの?」 「おぜうさまのごめいれいで、あがじゃん……おぜうさまたちをおむかえにきた……きましたわ、だどぉー♪」 唖然としつつも冷たい視線を送る紅白の巫女。 それに対して、親れみりゃはくねくね体を揺らしつつ、紅白の巫女へ向かって頭を下げた。 親れみりゃは、自分自身がさくやに扮装して、子れみりゃを助けようとしていた。 ぼろぼろよれよれになった肉まんボディーを眺めれば、そこに相当の苦労と苦渋の決断があったことが見受けられる。 「……はぁ、もういいわ。子ども達つれてさっさと帰んなさい」 紅白の巫女は、怒りをどこかへ忘れて脱力し、れみりゃ一家を解放することに決めた。 これ以上関わると、こちらが疲れるだけだ……巫女はそう感じはじめていた。 「ありがとうですわ、だどぉー♪ よかったらぷっでぃ~ん☆をよこす……くれるとうれしいですわ、だどぉー♪」 「……そろそろ、ゆっくりのエサの時間ね」 自分の扮装が上手くいったのだと勘違いしたれみりゃが顔に希望を灯らせて余計なことをいいかけたが、 それも巫女の一言と、巨大なゆっくりれいむの影を見た瞬間に、消え去った。 「ゆ、ゆっくりりかいしましただどぉー!」 へへーと地面にはいつくばり、頭を下げる親れみりゃ。 かくして、子れみりゃ達は解放され、一家は"こーまかん"への帰路につくこととなった……。 * * * ぱたぱた跳ぶ元気も、うぁうぁ☆ステップを踏む余裕も無く、 4匹のれみりゃ達はとぼとぼ森へ向かって歩いていた。 「「「う~~、れみぃ~こあかったどぉ~~!」」」 3匹の子れみりゃ達は、先頭をゆく親れみりゃに連れられて、その後をついていく。 その顔は、3匹ともが涙で濡れて、ぐずぐずになっていた。 そんな子れみりゃ達を可哀相に思い、親れみりゃは足を止めて、子れみりゃ達へ向き直る。 可愛い我が子達を優しく"はぐはぐ☆"してあげようと親れみりゃは考えていた。 「うー、あがじゃん、もぉーだいじょーぶだどぉー♪」 親れみりゃは両手を広げ、子れみりゃ達を抱き寄せようとする。 ……だが。 「う、うぁ!?」 3匹の子れみりゃ達は、抱き寄せようとする親れみりゃに抵抗し、暴れ出した。 その顔はぐずりながらも、目の前の親れみりゃに体しる不満で溢れている。 「うー、あがじゃんどーしたどぉー? いっしょに"はぐはぐ☆ぎゅー"して"うー☆"するどぉー♪」 困惑しつつも、笑顔を絶やさないように努める親れみりゃ。 しかし、親れみりゃが愛想を振りまけば振りまくほど、子れみりゃ達は気分を損ねていった。 「うー、れみぃーはさくやのあかちゃんじゃないどぉー!」 「めしつかいのくせにとんだぶれぇーだどぉー!」 「それより、まんまぁーにあいたいどぉー!」 「う、うー!?」 子れみりゃ達のクレームに、戸惑う親れみりゃ。 わけもわからず、親れみりゃは子ども達へアピールを繰り返す。 「なにいってるんだどぉー♪ まんまぁーが、まんまぁーだどぉー♪」 ニコニコ下ぶくれスマイルを浮かべる親れみりゃとは対称的に、 子れみりゃ達は不機嫌から下ぶくれをぷくぅーと膨らませて叫んだ。 「うー! さくやはだまってるどぉー!」 「れみぃーのまんまぁーがそんなきちゃいないわけないんだどぉー♪」 「それより、れみぃーたちがこぁいめにあってるのに、さくやのくせになんですぐたすけてくれないんだどぉー!」 「「「さくやってば、だめいどだどぉー♪」」」 親れみりゃへ向かって、"さくや"に対する不満と文句をぶちまける子れみりゃ達。 子れみりゃ達は、扮装した親れみりゃを"まんまぁーが迎えによこしたさくや"だと、すっかり信じこんでしまっていた。 「う、うー♪ まんまぁーはさくやじゃないどぉー♪ あがじゃんたちのまんまぁーだどぉー♪」 親れみりゃもそのことに薄々気づき、エプロンとヘッドドレスを脱ぎ捨て、 "ぎゃおー♪"と両手をバンザイに上げてポーズととった。 しかし、子れみりゃ達の対応は冷ややかだった。 親れみりゃに気付くどころか、"さくや"が分をわきまえないおかしな言動を繰り返している……そう認識していた。 そもそも、子れみりゃ達は親れみりゃから話を聞いていただけで、実際に"さくや"に会ったことはなかった。 また、現在の親れみりゃは全身ぼろぼろでおべべや帽子も一部欠損しており、 子れみりゃ達の中で美化されていたイメージとはあまりにもかけ離れていた。 故に紅白の巫女が自分たちを解放し、また先ほどまでは自分でも"さくや"だと名乗っていた目の前の存在が、 今更"さくや"ではなく"まんまぁー"なのだと言い出しても、到底信じられなかった。 「ほ、ほら、これをみるがいいどぉー♪ のうさつ☆だんすでめろめろになるんだどぉー♪」 子ども達の視線に耐えきれなくなった親れみりゃは、汗を飛び散らせながら"のうさつ☆だんす"を踊った。 自慢の、そして子れみりゃ達も憧れてくれていた"のうさつ☆だんす"……にも関わらず、 親れみりゃの期待するような反応は返ってこない。 「れみりゃうー! れみりゃうー! うっうーのうー!!」 不安。焦り。混乱。恐怖。 それらを払拭したい一念で、必死になって踊る親れみりゃ。 だが、皮肉なことに。 その必死な様は、普段のよたよだだばだばした"のうさつ☆だんす"とはまるで趣が違っていた。 子れみりゃ達は親れみりゃのことを信じるどころか、やはり目の前の存在は嘘をついているのだと確信してしまう。 結果、子れみりゃ達が出した解答は、ステップ中の親れみりゃめがけての体当たりだった。 「だっどぉぉーー!?」 片足立ちになっているところに体当たりをくらい、 親れみりゃはバランスを崩して尻餅をついていしまう。 「あ、あがじゃん?」 目の前に立つ子れみりゃを見上げる形になる、親れみりゃ。 子れみりゃ達の顔には、明らかな怒りが見て取れた。 「そんなのぜんぜんえれがんとじゃないどぉー♪」 「さくやのくせに、のうさつ☆だんすなんてなまいきなんだどぉー♪」 「のうさつ☆だんすは、れみぃーたちとまんまぁーしかおどれないんだどぉー♪」 親れみりゃはわけがわからなかった。 自分は昨日までのように一緒に踊りたいだけなのに、こーまかんでまた一緒にゆっくりしたいだけなのに……。 すれ違う想いと、目の前にあるのに手の届かない願望に、親れみりゃは切なくなって、涙を流し始める。 「ち、ちがうどぉー! れみりゃが、あがじゃんだぢのえれがんどなまんまぁなんだどぉー……」 「「「うー! いいかげんにするどぉー!」」」 うっぐひっぐと泣き出す親れみりゃ。 その情けない姿に辟易とし、子れみりゃ達は顔を揃えて結論を出した。 「う~♪ れみぃーいいことおもいついたどぉ♪」 「れみぃーもだどぉー♪ こんなだめいどはいじめてもらうにかぎるどぉー♪」 「れみぃーもどうかんだどぉー♪ みんなでいっせぇーのぉー、だっどぉー♪」 「「「だめいどさくやは、まんまぁーにいいつけてやるどぉー♪」」」 これでわからずやな"さくや"も身の程を知るだろう……そう考えて"にぱぁー☆"と笑う子れみりゃ達。 子れみりゃ達もまた、早く"こーまかん"に帰って親れみりゃとゆっくりしたいと切望していた。 そのためにも、子れみりゃ達は目の前の"さくや"をどうにかしたかった。 ……切望する親れみりゃが、目の前の"さくや"なのだとも知らずに。 「ひ、ひどいどぉー……どぉーじでわがっでぐれないんだどぉー……」 子れみりゃ達からの扱いに、落ち込む親れみりゃ。 親れみりゃは、まるで呪文のように"まんまぁー"であることを主張し続けるしかなかった。 「ほんとにしつこいどぉー……」 「これじゃゆっくりできないどぉー……」 「ゆっくりできないものは……」 その時。 ピッカーンと、3つの電球が子れみりゃ達の頭上で輝いた。 そうだ、こういう時はどうすべきか、自分たちはちゃんと教わっていたじゃないかと。 「「「やっぱりれみりゃたちってば☆おりこーさんだどぉー♪」」」 子れみりゃ達は互いに同じことを思いついたこと察して、 「「「ゆっくりできないものはー♪」」」 下ぶくれスマイルを全開にして叫んだ。 「「「ぽぉーい☆するどぉー♪」」」 * * * 「う、うあぁぁぁぁーーーー!!!」 親れみりゃは叫んでいた。 3匹の子れみりゃ達に胴上げのような形で持ち上げられ、斜面に放り投げられて。 ごろごろごろ。 もはや崖に近い急斜面を転がっていく親れみりゃ。 ようやく勢いが止まった時、親れみりゃは湖の湖畔にいた。 全身が痛くて、何より心が苦しくて、親れみりゃはなかなか起きあがることが出来ない。 「なんでだどぉ……れみりゃのあがじゃん……ひどいどぉ……」 どうすることも出来ない心と体の痛み。 こんな時、親れみりゃに残された最後の手段は一つだけだった。 だから、べそをかいて、涙をながして、 親れみりゃはその最後の手段をとることにする。 「い、いたいどぉ……さくやはなにしてるんだどぉ……さくやぁ……」 しぼりだす声とともに顔をあげると、湖畔の先に大きな洋館が見えた。 親れみりゃは何故かその洋館に心を奪われながら……いいつけてやった。 「……はやくこないと……さくやに……いいつけちゃう、ぞぉ♪」 そのまま体を丸め込むようにうつぶせになり、目を瞑る親れみりゃ。 昨日から殆ど飲まず食わずでろくに眠らずに奔走した、その心身の疲労はすさまじい。 周囲への警戒を行う余力も無く、親れみりゃはあっという間に深い眠りへと落ちていった。 「うー、うぁー、さくやぁー……」 悪夢にうなされながら、うびぃーうびぃーと荒い寝息をたてる親れみりゃ。 寝汗とも涙ともしれぬものが、下膨れ顔を埋める柔らかい手を濡らすのだった……。 そして、それから数刻後。 その傍らには、銀髪のメイドが立っていた。 「……どうしてこんなところに、れみりゃお嬢様が?」 銀髪のメイドの疑問に答える者は、湖畔にはいない。 その代わりに、親れみりゃがごろんと寝返りをうって寝言を呟いた。 「……うー、うびぃー、もうゆるさないどぉー、さくやにいいつけてやるどぉー♪」 おしまい ============================ そうえいば「さくやにいいつけてやる!」って台詞を あんまり使ってないなーと思い、書きはじめて早2ヶ月余。 まさか、こんなに難産になってしまうとは……。 ちなみに私は、件の台詞も、おならも、のうさつ☆ダンスも、ぽーい♪も、 すべて悶絶するくらい可愛くて辛抱たまらなくなってしまうのです。 ぶっちゃけ虐めたいとかの他意は関係無く、ほんとに可愛くて悶絶しかけます。 かといって、それらは一般的には共感されにくい部類でしょうし、 そうじゃないれみりゃも勿論好きですし……我ながら難儀だなと。 まぁ、たぶん病気なんだと思います(笑) ああ、れみりゃが可愛すぎて生きるのが辛い……。 by ティガれみりゃの人 ============================
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2184.html
※れみりゃとお兄さんシリーズの設定に準拠しております。 ※これはれみりゃとお兄さんの出会い(表)の続編です。 出来れば先にそちらをお読みいただきたいと思います。 ちなみに、裏の方は全く読む必要はありません。 ↓よろしければどうぞ 初めてのれみりゃ観察日記 「う~♪う~♪」 「ほ~れ、高い、高い」 「うっう~♪ゆっくりぃ~♪」 俺はれみりゃを持ち上げ、そのまま両腕を頭上に上げる。 俗に言う『高い高い』というやつだ。 れみりゃは俺の手の中で両手を上げて喜んでいる…と、思う。 こいつずっと笑顔だから表情じゃよくわからないんだよな。 「じゃあ、弟君。れみりゃの相手をしててあげてね」 「おう、任せてくれ」 姉貴がそう言って立ち上がり、玄関の方へ歩いて行く。 先程言っていた『必要なものを買ってくる』のだろう。 何を買うのか気になるが、どうせ金を出すのは姉貴だ。 それに俺なんかよりこいつ…れみりゃのことに関しては詳しいのだろう。 何も聞かずに任せることにした。 これ以上地雷を踏むのは御免だったからだ。 「行ってきま~す」 「おう、車には気をつけろよ」 「う~♪う~♪ゆっくりぃ~♪」 俺はれみりゃと一緒に姉貴を見送る。 ドアを開けて出て行こう、という時に姉貴が一度こちらを振り向いた。 その顔はすでに先程まで泣いていたという面影は全くなく、いつもの悪戯っ子のような笑みを浮かべていた。 …それにしても、なんて邪悪な笑顔なんだ。 「いくられみりゃが可愛いからって変なことしちゃダメだよ?」 「するか!!」 「ひひひ、行ってきま~す!!」 姉貴は笑いながら今度こそ部屋を出て行く。 人を何だと思っているのか。 うむ、確かにれみりゃは可愛いけどな。 やましい感情ではないことは断言しよう。 まあ、姉貴もそれがわかっているからこそ冗談を言ったのだろうけどな。 「う~♪ゆっくりしていくんだぞぉ♪」 「ああ、俺は十分ゆっくりしているよ、れみりゃ」 俺はれみりゃを一度地面に置き、れみりゃの頭を帽子の上から撫でてやる。 「う~♪う~♪」 れみりゃは嬉しそうな声を出す。 撫でられるのは嫌いではなさそうだな。 これから俺とれみりゃは一緒に生活して行くんだ。 れみりゃの好きなこと、れみりゃの嫌いなこと、どちらも把握していかなければならない。 「う~♪う~♪ゆっくりぃ♪ゆっくりするんだぞぉ♪」 そうだな、姉貴が帰ってくるまでれみりゃの行動を観察してみよう。 こいつは人間の赤ん坊と違い、すでに二本足で歩くこともできるようだ。 ならばある程度の行動は取れるのだろう。 いつも笑顔でいるこいつがどのようなことをしたらどうなるのか。 俺はそのことに興味がわいてきた。 「うっう~♪」 ん? 俺がれみりゃに手を出さずに黙って見ていると、れみりゃが突然おかしな行動をとりだした。 え~っと…両手を頭上に上げ、それを同時に左足も一緒に上げる。 左足と両手を下げたと思ったら、今度は右足と両手を一緒に上げ始める。 その同じ動作を一定のリズムで繰り返す。 …何だこれ。 何をやっているんだ? 何かの儀式なのか? 俺は一所懸命考えるが…さっぱりわからん。 一度儀式にしか見えないと思ってしまうと、そのようにしか見えなくなってくる。 まさか邪神でも呼び出す訳ではないだろうしな…。 れみりゃが突然真顔になって『悪魔が集いし邪教の館へようこそ』とか言い出したら嫌過ぎるしな。 …って、邪教の館なんて言われてもメガテニストにしかわからん話か。 くそっ、さっぱりわからん。 仕方ない、れみりゃに聞いてみるか。 答えてくれるかどうか怪しいけど。 「なあ、れみりゃ。お前は一体何をやっているんだ?」 「うっう~♪かりしゅま☆だぁ~んすぅ♪」 そうか、『かりしゅまだんす』というのをやっているのか。 どういう儀式なんだ? … あ、ダンスか! こいつ踊っているのか!! 「なあ、れみりゃ、お前踊っているのか?」 我ながらアホのような質問だ。 しかし、踊っているのかどうかはもう一度確かめたかった。 何故なら、見た目だけでは踊りかどうかよくわからないからだ。 「うっう~♪れみぃのかりしゅま☆だぁ~んすぅ♪うぁうぁ♪」 その同じ動作をただただ繰り返すれみりゃ。 相変わらずの満面の笑顔。 やはり踊っていることは間違いないようだな。 もしかして、こいつ…。 「なあ、れみりゃ。お前踊ることが好きなのか?」 「かりしゅま☆だぁ~んすぅはぁ♪ゆっくりゆっくりぃ♪」 踊りながら俺の質問に答えるれみりゃ。 …なんか、いつの間にかれみりゃのコミュニケーション能力が格段に上がっているような…。 ついさっきまでは『う~う~』としか喋らなかったのに。 それはそうと、れみりゃが踊ることが好きなことはわかった。 正直、れみりゃの踊りは言われないと踊りってこともわからなかったが、それは今はいい。 一所懸命踊るれみりゃがとても可愛く見えてきた。 さっきまでは謎の儀式にしか見えなかったっていうのにな。 「え~っと、じゃあれみりゃ、お前の『かりしゅまダンス』というものを俺にもっと見せてくれ」 「うっう~♪れみぃのかりしゅま☆だんすでぇ♪ゆっくりしていくんだぞぉ♪うぁうぁ♪」 俺はれみりゃのダンスを眺め続ける。 れみりゃは俺の目の前で踊り続ける。 相変わらず同じ動作を繰り返すだけだったが、俺はそのことに不満を感じる訳ではなかった。 そうだな、これがゆっくり出来ているってことなのかもしれない。 「う~…」 そのダンスをしばらく眺めていると、れみりゃが突然踊るのを止め、お腹を手で抑えてその場に座り込んでしまった。 今は満面の笑顔もなく、どこか疲れたような顔をしている。 れみりゃの笑顔以外の顔を見るのは初めてのことだった。 ダンスを踊り続けて疲れたのだろうか? 「おい、れみりゃ、どうしたんだ?」 「う~…れみぃ…ぐ~ぐ~…」 ぐ~ぐ~? そしてお腹に手を当てている…。 あっ、こいつ腹減ったのか。 え~っと、確か姉貴はこいつはプリンが好きだって言ってたな。 冷蔵庫の中にプリンなんかあったかな…。 俺は無言で立ち上がる。 ここで『よいしょ』なんて言ったら負けだろうから言わない。 俺は姉貴と違ってまだ若いのだ。 …こんなこと姉貴に言ったらぶん殴られるな。 俺は冷蔵庫を開け、れみりゃが食べられそうなものを探す。 う~ん…ないな…。 甘い物はそこまで好きじゃないからあまり買わないんだよな…。 砂糖ならあるが、これを直に食べるのは…ないよなあ。 どうしようかな。 「う~…」 れみりゃの悲しそうな声が聞こえる。 ああっ、もう少しだけ待ってくれ。 なにか考えるから! え~っと、甘い物…つまりれみりゃは糖分が大好きなんだよな!? 砂糖を出したら舐めそうだが、さすがにそれは味気ないだろう。 しかしれみりゃが食べられそうな甘い食べ物はない。 う~ん…。 俺の視界に昨日買った黒いペットボトルが目に入る。 これだ! 俺はその黒いペットボトルの成分表を見てみる。 よし、糖分入っている!! 俺はその黒いペットボトルの中身を容器に移し替える。 中から黒い液体と白い泡が出てきて、それはシュワシュワシュワ…という音を立てる。 うん、良い音だ。 「おい、れみりゃ、これを飲め!甘いもんだぞ!」 「う~…?あまあまぁ~?」 「ん?あ、ああ、そうだぞ!!あまあまだぞ!!」 食べ物ではないがな。 俺はれみりゃにその黒い液体が入っている容器を差し出す。 しかし、甘味が好きならこれも好きだろう、多分。 「うっう~♪あまあまぁ♪」 れみりゃは俺の方を向いて大きく口を開ける。 …飲ませろってか? まあ、コップの使い方もわからないだろうから、仕方ないか。 「じゃあ、行くぞ、れみりゃ」 「うっう~♪あまあまぁ♪」 俺はれみりゃの口の方に容器を傾ける。 少しずつ入れてやらねばいけないだろう。 …少しずつ…少しずつ…。 あ、こんな時に…クシャミが…。 「へ…へ…」 やばい、止まらない。 「ヘックション!!」 「うぁぁぁぁ!?」 やばい、クシャミの衝撃で一気にれみりゃの口の中に入れてしまった! 俺は容器の中を見る。 その中はすでに空っぽだった。 つまり、れみりゃの口の中に全部入れてしまった。 「うぁぁぁぁぁぁ!!!しゅわしゅわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 「だ、大丈夫か、れみりゃ!!」 俺がれみりゃに飲ませたもの…それはコカ・コーラだ。 いわゆる炭酸飲料って奴だった。 いや、だって俺はコーラ好きなんだもん。 糖分入っているかられみりゃも大丈夫だと思って…。 「しゅわしゅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 「れ、れみりゃ、落ち着け!!」 れみりゃは狭い室内をのたのた走り回る。 その動きは鈍いが、当のれみりゃは大混乱の様子だった。 赤ん坊のれみりゃには炭酸飲料は刺激が強すぎたのだろうか? まさかここまで盛大な反応をするとは。 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 ごつん、という音を立ててれみりゃの動きがようやく止まる。 …あ、思いっきりドアに激突した…。 「だ、大丈夫か、れみりゃ!?」 「う~…しゅわしゅわぁ…ゆっくりできないしゅわしゅわはぽぉ~いだっぞぉ…」 れみりゃはフラフラしながらうわ言のように呟いている。 いかん、衝撃で目を回してしまったようだ。 俺はれみりゃの身体を両手で掴み、その場に寝かせる。 「れみりゃ、一旦寝るんだ。悪いシュワシュワはもういないから」 「う~…しゅわしゅわ…ゆっくりできないのぉ…」 れみりゃはうーうー言いながら寝た。 その寝顔はあまりゆっくり出来ていない様に見えた。 いや、間違いなくゆっくり出来ていないだろう。 俺は心の中で今日の反省をする。 うん、れみりゃが炭酸飲料が嫌いだってことがよ~くわかった。 失敗は成功の母だって言うしな! これから共同生活を始めるに当たって、好きな物だけではなく嫌いなものも把握して行かなければいけないだろう! だからこれは収穫なのだ! 断じて失敗ではないのだ! 別に自分を精一杯誤魔化している訳ではないぞ! 自分でも訳のわからないことを考えていると… 「ただいまぁ~!!」 姉貴が帰ってきたようだ。 なんて最悪なタイミングなんだ。 何とか悟られないようにしなければ。 笑顔だ、笑顔。 姉貴は両手いっぱいに荷物を持ちながら居間へと続くドアを開け、その笑顔を見せる。 すっかり元気になったようだな。 「お、おう、お帰り、早かったじゃないか」 「げっ!れみりゃどうしたの!?」 姉貴は俺の言葉を無視し、倒れているれみりゃに駆け寄る。 両手いっぱいの荷物は放り出して。 一方のれみりゃはうーうー寝言を呟くだけ。 れみりゃの様子を慌てた様子で見ていた姉貴が、ゆっくりと俺の方に振り返る。 口元は笑っていたが、目は全く笑っていなかった。 やばい、これは完全に怒ってる。 「弟君…れみりゃに何をやったの…?」 「え?え、え~と…さっきまでダンス踊っていたから疲れて寝てしまったんじゃないかな~…?」 必死に誤魔化す俺。 い、いや、確かに失敗したかもしれないけどさ…。 これは収穫ってことで…。 失敗は成功の母って言うし…。 「ふ~ん…」 姉貴は俺の供述に全く納得していない様子で室内を見渡す。 姉貴の視線が一点で止まる。 そこには、先程の騒動の時に放り投げてしまったのであろうコーラのペットボトルとコップが落ちていた。 やばい、重大な証拠が発見されてしまった!! 「へぇ~…どうしてあんな物が落ちているのかなぁ~?」 「あ、ああ…さっき俺が飲んだんだよ…」 こんなので誤魔化せるか…? やばい、やばいって。 「ふぅ~ん…ふぅ~ん…」 姉貴はその全く笑っていない目で俺の顔を見る。 …これは確信持たれている…よな? 謝るなら今のうちかな…? いや、まだまだだ! あれは失敗ではない、収穫なのだ! 「う~ん…しゅわしゅわはぁ…ゆっくりできないぞぉ…」 ここでれみりゃの寝言が俺の心にクリティカルヒット! やばい、被害者の証言は重大な証拠となってしまう! どうする、どうする俺!? 「へぇ~…れみりゃはシュワシュワが大嫌いなんだ~…シュワシュワって何のことだろうねぇ~…」 「あ、ああ…さっきアーノルド・シュワルツェネッガーがテレビに…」 「…言いたいことはそれだけ?弟君…?」 ゆっくりと姉貴が俺のいる方向に歩みを進める。 それに合わせて俺は一歩後退。 やばい、マジ恐い。 「お、落ち着けって、姉貴…。し、失敗は成功の母という言葉を…」 姉貴の歩みは止まらない。 俺は壁際まで追い込まれる。 「いや、だから…」 「赤ちゃんにぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 「ちょ、ま…」 俺の言葉は姉貴の叫びにかき消された。 そして、直後に飛んでくる拳。 「炭酸なんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 「ぐはあっ!!!!!」 姉貴の拳が俺の腹にクリティカルヒット。 相変わらず半端ねえ。 「飲ませちゃダメでしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」 「ドゥワッハァァァァ!!!!」 その拳は一撃ではない。 容赦なく俺の腹に襲いかかる連激。 一発一発が非常に重い。 胃の中の物が逆流しそうな感覚に陥る。 ああ、やばい。 目の前が真っ白になってきた。 俺は薄れ行く意識の中で思う。 シュワちゃんって昔ボディビルダーだったんだよね、と…。 後書 沢山の更新に刺激されて私も書いてみました。 お兄さんはまだ若いので、失敗を認めたくないという子供っぽいところが残っております。 赤ん坊に炭酸飲料はないわー -- 名無しさん (2011-01-25 03 40 36) まさかの邪教の館w -- 名無しさん (2011-01-25 13 19 12) OK姉貴、時に落ち着けってw -- 名無しさん (2013-01-12 21 47 38) 砂糖があるなら砂糖水つくれよ -- 名無しさん (2013-02-01 20 03 12) うー♪うー♪うー♪うー♪うー♪うー♪ -- れみりゃ (2023-12-09 21 20 30) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1860.html
『アイドルのオシゴト』 人知らぬ森の中。 獣道を、1匹の胴有りゆっくりれみりゃが歩いていた。 「だっどぉーぅ♪ だっどぉーぅ♪」 希望に満ちた笑顔を浮かべる下膨れ顔。 リズムを刻んで元気よく振るふくよかな腕。 よたよただばだば歩みを進める足に、左右にフリフリ揺らす尻。 それらはいずれも、普通のれみりゃと比べておよそ1.5倍はふとましい。 中身のギッチリ詰まった重量級の体からは、 ステップを踏む度に黄色いガスが「ばぶーっ! ばぶーっ!」と漏れだしている。 「てぇれびだどぉ~♪ しゅ~やくだっどぉ~♪ うぁうぁ☆うっう~~♪」 このれみりゃは、駆けだしの"アイドル"だった。 今日は、これから初めての"てれび"の仕事に向かうところだ。 しかも、マネージャーによれば主役らしい。 御機嫌にならないはずがない。 「えびりゃってばぁ~☆かわいすぎてごめんねぇ~ん♪ だっどぉ~~ぅ♪」 下膨れた頬を抱えて、幸せを体現する、れみりゃ。 この実にゆっくりしたふとましい体、たっぷりした下膨れは、れみりゃの自慢だった。 自分をこんなに可愛くえれがんとに育ててくれた親達のことを思い出し、感傷にふけるれみりゃ。 最初、アイドルになりたいと言った時、親からは"おぜうさまらしくないどぉー! はしたないどぉー!"と猛反対を受けた。 だが、れみりゃは知っている……なんだかんだ言いつつも自分を支え応援してくれたことを。 今日てれびに出るとことをうーぱっくで伝えた時も、誰より喜んでくれたことを。 「こーまかんのまんまぁーたちも、きっとたのしみにしてるどぉー♪ えびりゃがんばるどぉー♪」 そんなれみりゃの後ろから、ゆっくりさくやが跳ねてくる。 このさくやは、れみりゃファンクラブ会長にしてマネージャーでもあった。 「さようですわ、おぜうさまぁー! ふぁいとですぅー!」 「うっふ~~ん♪ えびりゃにおまかせしてねぇ~~ん♪」 れみりゃは気合いを入れて、うぁうぁ☆ぐるぐる腕を振り回す。 ぶぅーぶぅー漏れるガスを効果音にして、栄光のロードを歩いていくれみりゃ。 そうこうしているうちに、れみりゃとさくやは現場の屋外スタジオに到着した。 そこには、既に他のスタッフ達が集まっていた。 「ゆゆっ! れみりゃがきたよ!」 「むきゅ~ん! れみぃーちゃんはいりましたぁ~!」 「ゆっくりおつかれさまだよ! きょうはよろしくおねがいしますだよ!」 れみりゃを囲み、挨拶するスタッフ達。 れいむ、ぱちゅりー、まりさ、ありすにちぇんにめーりんもいる。 現場に集まったスタッフ達もまた、全員ゆっくりであった。 どこから手に入れたのか、ゆっくり達はカメラや機材を揃えていた。 どれも旧式でアナログなものだったが、ゆっくり達は口を器用に使って、おぼつかないながらもそれらを使いこなしていた。 「ゆっ! それじゃさっそくほんばんはじめるよ!」 そう言って、カチンコを咥えるまりさ。 れみりゃは、カメラの正面、書き割りのセットへ上がり鼓動を高鳴らせる。 「うーうー♪ これできょうからえびりゃも"かりしゅま☆すたぁー"だどぉー♪」 「ゆぅ~~~い………あくしょん!」 カチン! まりさの咥えたカチンコが渇いた気持の良い音をたてた。 照明が舞台上のれみりゃにスポットしていき、ベータのビデオカメラが回りはじめる。 たくさんのゆっくりが緊張した面持ちを作る中、収録は開始された。 (まんまぁ~♪ しゃくやぁ~♪ えびりゃをみまもっててねぇ~ん♪) れみりゃは、カメラに向かって今日のために必死に練習した"のうさつ☆だんす"を踊り出す。 尻を突き出すように左右に振って、ぶぅーぶぅー生理現象の伴奏を奏でていく。 「うっうー♪ えびりゃのぷりてぃー☆ひっぷにぃー♪ め~ろめろ~になるんだどぉ~~♪」 照明の熱量は相当なものだ。 れみりゃは、額に肉汁を浮かべながらも渾身のダンスをおどりきる。 「えび☆りゃ☆う〜☆にっぱぁ~~♪」 決まった! 心の中で声を揃える、れみりゃとさくや。 しかし、他のスタッフ達から"カット"の声は聞こえない。 舞台上で頭上に「?」マークを浮かべる、れみりゃ。 その直後、スタッフの一人が口に咥えた紙をれみりゃに見せた。 そこには歪な平仮名で「あしすたんとの"ふーちゃん"せんたーへ」と書かれていた。 「うぁ?」 ふーちゃんとは誰のことなのか。 れみりゃが疑問に思っていると、上空からその横にゆっくりフランが降り立った。 「ぷぅー☆ゆっくりしね」 「う、うぁぁー! ふりゃんだどぉーー!?」 本番中であるにも関わらず、れみりゃは恐怖の叫びをあげる。 森で一人暮らしを始めてからというもの、れみりゃは何度もフランに虐められていた。 「う~~! でぃれくたぁー! じゃーまねぇー! ふりゃんやだどぉーー!!」 れみりゃは涙ぐみ、へなへなと腰から崩れ落ちてしまう。 しかし、そんなれみりゃと"ふーちゃん"ことゆっくりフランへ出されたカンペには、こう書かれていた。 "ちょうりすたーと" 「ぷぅー☆おりょうり☆おりょうりー」 「うっ!? な、なにするんだどぉー!?」 カンペを読むや否や、フランはれみりゃを押し倒し、その服と帽子を無理矢理剥ぎ取っていく。 「や、やべでぇー! やべるんだっどぉー!」 「ぷーぷー☆ぱっぽぉー♪ これきたないー☆おじゃま☆じゃまー」 「ぶ、ぶっぎゃぁぁぁーーー! えびりゃのだいじだいじがぁーーー!!?」 れみりゃは為す術無く、あっという間にドロワーズ1枚の姿にさせられてしまう。 「えびりゃは"せいじゅんは"あいどるなんだどぉー! ぬぐなんてきいてないどぉー!」 「ぷぅ~~~! うるさい~~~!」 フランは、びよ〜んびよ〜んとれみりゃの頬を左右に引っ張っていく。 そしてカメラの真正面にアップになるよう、れみりゃの体を持ち上げた。 「おもしろいかおー☆ぶさいくなかおー☆」 「うびぃーーーー! うびぃーーーーー!」 れみりゃの下膨れで楽しそうに遊ぶフラン。 その間に、スタッフ達がテキパキとセットを入れ替え、道具を搬入していく。 れみりゃとフランの前には、2つのプールと1つの巨大な鍋が並べられた。 プールの一つには生卵が、一つにはパン粉が、そして火にかけられた鍋には油が熱せられている。 やがて、フランは準備が整ったと見計って、れみりゃを生卵のプールに突き落とした。 「まずは~ひたひたにする~~☆」 「う~~~~~っ!」 フランは、起きあがろうとするれみりゃを無理矢理押し倒し、生卵まみれにしていく。 顔を押さえつけられ、危うく生卵のプールで溺れそうになる、れみりゃ。 「つぎは~こうやってまぶす~☆」 「うぁぁぁぁぁーーーー!」 次にフランは、れみりゃをパン粉のプールに投げ入れる。 頭からパン粉にダイブし、思い切り顔を打ってしまうれみりゃ。 「うぁぁぁーーー! えびりゃのびゅーてぃふぉーなおかおがぁぁぁーーー!!」 泣き叫ぶ、れみりゃ。 そんなれみりゃの声など素知らぬ風に、フランはテキパキ作業を進めていく。 生卵で濡れているれみりゃの体をパン粉のプールで転がしていき、パン粉の服を着せていく。 「さいごは~ゆっくりあげる~☆」 フランはにっこり微笑むと、息も絶え絶えでピクピクしているれみりゃを抱えて浮かび上がる。 そのまま熱々の鍋の上まで移動するフラン。 パチパチ跳ねる油の滴があたり、ハッとするれみりゃ。 呆然自失としながらも、恐怖でひきつった顔に精一杯のスマイルを浮かべる。 「……そ、そうだどぉー♪ これはどっきりなんだどぉー♪ えびりゃってば、うっかりだまされちゃったどぉ~~♪」 れみりゃは、ドッキリが終わる瞬間を心待ちにして、周囲へ視線を送る。 だが、スタッフはみな至って真剣に仕事をしており、マネージャーのさくやも熱い期待の視線をれみりゃに送っていた。 「う、うぁ?」 「ぷぅ~~☆くりゃえ~~☆」 れみりゃが観念するより早く、フランはれみりゃを油鍋の中へ叩き落とした。 ジュワジュワパチパチ、衣を纏ったれみりゃは揚げられていく。 「ざぐやぁぁぁーーー! だずげでぇぇーーー!! まんまぁぁーーーー!!!」 「きつねいろになったら~かんせい~☆」 フランは"れーばてぃん"と呼ばれる金属の棒を取り出すと、それで油の中のれみりゃを引き上げる。 引き上げられたれみりゃは、大事なおべべの代わりに、サクサク狐色の衣を着込んでいた。 フランは、ぐったりして気を失ったれみりゃを、スタッフが用意した大皿に乗せる。 山盛りのキャベツをベッドにして、れみりゃは無意識に嗚咽を漏らす。 「ぅ~~~っ……」 「ぷっぷ~☆ぷぁぷぁ~」 盛りつけられたれみりゃを見て、フランは楽しそうに歌を口ずさんだ。 「きょうのしゅやく~☆かりかり"えびふりゃー☆"かーんせぇー」 センターカメラに向かって、微笑むフラン。 その数秒後、まりさの「かっとぉー!」という叫びが響き、現場の緊張した空気はようやく弛緩するのだった……。 * * * 数日後、今日も適度に平穏な紅魔館。 そのパーティールームに、館の住人達とゲストが集まっていた。 「う~~! しゃくやぁ~はやくぅ~はやくぅ~! はじまっちゃうどぉ~~!」 「……ということです。さっさと準備してください」 居候のゆっくりれみりゃに急かされた咲夜は、ナイフを片手に持って河童に告げた。 ビクッと体を震わせて、目の前の四角い箱と格闘する河童。 しかし、河童の焦りとは裏腹に、四角い箱は何の反応も示さない。 その時、今日のために紅魔館を訪れた珍客……緑髪の巫女がしずしずと黒い箱の前に歩み出た。 「あの……ちょっといいですか?」 緑髪の巫女は、古めかしい四角い箱を見てから溜め息をつき、片手を思い切り振り上げる。 「こういう時はですね……えいっ!」 ベチンと、平手で箱を叩く巫女。 すると、周囲が唖然とする中、箱の前面に映像が映り始めた。 「うぁーうぁー♪ てれびじょんだどぉー♪ えれがんとなおぜうさまにふさわしいぃ~どぉ~♪」 興奮する、れみりゃ。 「さすが最近外の世界から来ただけはあるわね……」 「興味深いわね……どいういう仕組みなのかしら?」 初めて目にするテレビに、各々興味を示す一同。 やがて、テレビにはこの日の目的のプログラムが流れ始める。 「う~~どきどきわくわくだどぉ~~♪ あかちゃんのはれぶたいだどぉ~~♪」 れみりゃは、咲夜の膝の上に座り優しく抱かれながらテレビに釘付けになっている。 咲夜はといえば、興奮するれみりゃの頭ををなだめるように撫でながらも、鼻からはうっすら赤いものが垂れ始めている。 「あっ、はじまるみたいですよ!」 ノイズ混じりの画面に、森の片隅に組み立てられたセットらしきものが映し出される。 そうして、手ぶれならぬ口ぶれののひどい映像に、番組のタイトルが表示された。 "ゆっくり3分調理クッキング えびふりゃー編" 「うぁ~うぁ~☆しゅっごいどぉ~~♪ れみりゃのあかちゃ~ん☆かぁ~わいいどぉ~~♪」 目をキラキラ輝かせ、同時に溺愛するわが子の姿を見てうっすら涙さえ浮かべる、れみりゃ。 だが、3分後。 "れみりゃのぷりてぃーなあかぢゃんがぁぁーー!!" という絶叫を紅魔館に響かせて、れみりゃは泡を吹いて倒れてしまうのだった……。 * * * 「いだいぃーー! いだいどぉーーー! ざぐやぁーーー!!」 大木の根元の洞の中、敷き詰めた藁の上で、れみりゃが悶え苦しんでいる。 自慢のたっぷりふとましい体は全身火傷で、平時と比べてさらに3割増し水膨れていた。 「おぜうさましっかりしてくださいまし! あしたはしゅうろくのひですよ!」 「うっびぃーーー! もぉーやだぁどぉーーー! まんまぁーーえびりゃおうちがえりだいどぉぉーーー!!」 新人編・了 作者当ての時に途中まで書いたのを、勢いで最後まで。 細かい部分は後で修正するかもしれません。 いろいろ考えていることはあっても、 それを実行にうつせる時間が無いのが呪わしいですorz by ティガれみりゃの人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/879.html
傾向 虐待 ---□----- 制裁 虐待者 名無し ---□----- 東方キャラ 虐待方針 生かさず殺さず ------□-- 皆殺しダァ! 出演ゆっくり 普通のゆっくり -□------- 悪いゆっくり ゆっくりいじめ系76 ゆっくりした結果がこれだよ!制無 ゆっくりいじめ系88 美味しく食べていってね!虐家料無 その他 美味しく食べていってね! 数年前? そ ゆっくりいじめ系102 ただゆっくりを突っつくだけの話虐無 ゆっくりれみりゃ系いじめ7 運命?虐無 ゆっくりいじめ系104 ゆっくりみじめそ その他 ゆっくりゆっくりれ~みりゃ☆?虐そ無 魔理沙×ゆっくり系2 普通の饅頭と普通の魔法使い?虐そ ゆっくり加工場系12 ゆとり線香?虐 ゆっくりいじめ系139 見・ゆ・必・ゆ(サーチアンドゆっくり)虐無 ゆっくりいじめ系143 わからないちぇん虐無 ゆっくりいじめ系151 ゆっくり魔理沙が極限までゆっくりできる話1虐環性無 ゆっくりいじめ系199 ゆっくりブリーダーいじめ虐無 ルーミア×ゆっくり系1 ルーミアとゆっくり虐家捕 ゆっくりいじめ系210 ゆっくりの住む山制環無 ゆっくりいじめ系248 おわらないゆっくり虐環 ゆっくりいじめ系250 ゆっくり魔理沙が極限までゆっくりできる話2虐環家無 ゆっくりれみりゃ系いじめ21 ゆっくりれみりゃいぢめ~おめぇに食わせるぷっでぃんはねぇ!~?制そ ゆっくりいじめ系289 詰め替えゆっくり?虐環無 ゆっくりいじめ系349 ゆっくり研究してね!?そ 幽香×ゆっくり系7 ゆっくり後悔し続けてね!?制 ゆっくりいじめ系446 ゆっくり研究してね!赤ちゃん食い研究?虐環家無 ゆっくりいじめ系462 虐待お兄さんプロフェッショナル?虐 ゆっくりいじめ系588 ゆっくりしないでね!?制無 ゆっくりいじめ系758 ゆっくりのんでいってね!?虐家無 ゆっくりいじめ系826 ゆっくり魔理沙が極限までゆっくりできる話3(前) ゆっくりいじめ系827 ゆっくり魔理沙が極限までゆっくりできる話3(後) ゆっくりいじめ系1115 ゆっくり食べてね! ゆっくりいじめ系1183 おねしょゆっくり ゆっくりいじめ系1495 虐鬼?虐無外 ゆっくりいじめ系2043 ネコ×ちぇん
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1353.html
今日は紅魔館のピクニックの日である。 最近、昼間に起きているようになったレミリアが思いつきで開催したものだが、主とその妹以外は基本的に昼型の紅魔館である。 メイドたちも前日から嬉しそうに準備をしていた。 「全員集まったようね。それじゃあ出発しましょう」 レミリアの合図で数十人のピクニックが始まった。 その中には、図書館から無理矢理連れてこられたパチュリーも含まれている。 「う~! さくや~、れみりゃもいく~♪」 「ふらんもいぐー♪」 ふと、後ろから咲夜を呼ぶ声がする。 振り向くと、屋敷に住み着いているゆっくりれみりゃとフラン。 二匹とも手に日傘をもってよたよたと走ってくる。 とたんにレミリアが顔をしかめる。 「アレは私の予備の日傘じゃない、しかも私の鞄まで背負ってるし。咲夜! 今すぐあの二匹を昼食に加えなさい」 高貴な自分の物が泥臭いゆっくりに手に握られている、それは決して我慢できるものでは無いようだ。 「まぁまぁ、お嬢様。ゆっくり達がしたことですし。二匹ともピクニックの為に頑張って用意したんですから」 いつの間にか、ゆっくりを自分のもとへ来させた咲夜がそう言ってなだめる。 「これはれみりゃのだよ!! れみりゃじゅんびちたの!!!」 「ふりゃんもじゅんびしたの!!! だからふりゃんにょなの!!」 そう言って二匹は、大きめのポーチを開けて中身を見せる。 そこの中には、無造作に詰め込まれたお菓子、蝋燭台、置物などなど。 どれもレミリアの部屋に置かれていたものばかりだった。 「この、中華まん……」 それ以上語らず、二匹の首を締め上げるレミリア。 「がー!! ひゅー、ひゅー」 必死に暴れて離そうとするが、力の差が歴然なのでそれもかなわない。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 口から肉汁の泡を吹き、みるみる顔が真っ青になっていく。 「お嬢様! おやめください」 あと少し、と言うところで時間を止めてレミリアの手から二匹を助ける。 当の二匹は咲夜にしがみ付いて泣いている。 「ざぐやーざくやー!! わるいひどがいじめるよー!!!」 「ざぐやー!! わるいひどをやっつげでー! ゆぐっりじねーー!!!」 「はいはい。もうだいじょうぶですよ」 そう言って、両手で抱きしめて慰める咲夜は、顔だけをレミリアの方に向ける。 「お嬢様! 変えの品は直ぐに準備いたしますので気を荒げないでください」 「だって咲夜、そいつが私の……」 「この二匹は、メイド達も可愛がっているんですよ。少し我侭ですけど、まだ小さいんですから、大目に見てやってください。」 ねぇ、と他のメイド達に視線を向ける。 皆一様にハイ、とか、そうです、と言ってはいるが本心でないのは丸分かりだ。 しかも、先日咲夜と一緒に買い物に出かけた二匹のゆっくりが居なくなった。 それらは最近になって庭に住み着いたのだが、それでも咲夜は懸命に街中を探し回った。 それからは、一番初めのゆっくりであり、屋敷内で生活していたこの二匹を今まで以上に大事にするようになった。 外は危ないので買い物にも連れて行かず、庭に出るときも休憩中のメイドを呼び出して監視させた。 それゆえ、最近はれみりゃ達が泣こうものなら目を真っ赤にして飛んでくる、凄い溺愛ぶりを発揮しているのだ。 当然、今日も自室に置いていこうと思ったのだが、どうやら事前にこの事をしってこっそりと準備していたようだ。 ちまちまとポーチにモノをつめる二匹を想像して、思わず顔がにやける咲夜。 それを見てため息をつくレミリア。 「……、まぁいいわ。私の邪魔にならないようにして頂戴」 この場はそれだけ言って引き下がる。 レミリアとしても、折角のピクニックに水を挿したくはないのだろう。 「う~♪、こんどいじめたら、しゃくやにいいづけてやる!!!」 「ゆっくりしね!!! ゆっくりしね!!!」 ゆっくりの性か。 既に泣き止み、ふてぶてしい笑顔でレミリアにそう言い放つ。 レミリア達が反応する前に、咲夜の手からはなれ列の中ではしゃいでいた。 「いいわ、先を急ぎましょう」 それを合図にまた歩を進める一向。 二匹のゆっくりは、自分達からすればかなり早く歩いている事が不満らしく、咲夜に文句を言って歩く速度を遅らせた。 今日のピクニックは色々と波乱に満ちている。 満足そうに笑いながら、ヒョコヒョコと傘にバランスを取られつつ進んでいく二匹を見て、咲夜以外の誰もがそう思った。 ペースは遅くなったが、それでもお昼前には目的地に着くことができた。 小悪魔が提案した小高い丘の上、近くには綺麗な川も流れている。 程なくて、全員が集まったのを確認しレミリアが挨拶をする。 「さて皆、今日はゆっくり羽を伸ばして、明日からまた頑張って頂戴」 レミリアが言い終わると、各々がシートを広げて昼食の時間が始まった。 一番見晴らしの良い場所に陣取ったシートには、レミリア・フランドール・パチュリー・小悪魔・紅・咲夜という、何時ものメンバーが陣取る。 「たまには全員でピクニックも良いものね」 「お姉様、それ私が食べようと思ってたのに……」 「早い者勝ちよ! パチェ、本ばかり読んでいないで景色を楽しんだら?」 「さっき見たわ。……小悪魔、それは私じゃなくて、きちんとあなたが食べなさい」 「ギクッ」 屋敷にいる時とあまり変わっていない様にも見えるが、本心では全員楽しんでいるのようだ。 「そうだ。咲夜、霊夢とそれから魔理沙も呼んできて頂戴。折角だから大人数で楽しみましょう」 「畏まりました」 既に昼食を食べ終えた咲夜は、そのまま博麗神社へと飛んでいった。 ここに戻ってくるまでには一時間は掛かるだろうか? 一方、れみりゃとフランの二匹は我が者顔で走り回っている。 「ゆくっりしね! ゆっくりしね!」 「いだい! さくやー! さくやー!」 フランに傘で殴られながら、必死で傘を盾にして防ぐれみりゃ。 既に何度か殴られたのか、顔は醜い泣き顔になっていた。 幾ら泣いても咲夜は来れないのだが、もはや口癖に様になっているれみりゃに言ってもしょうがない。 「う~、おなかへった~♪」 「ぐすっ。れ、れみりゃもへった~♪」 お腹が減ったら仲直り、一瞬で醜い笑顔に戻ったれみりゃと二人で、また日傘をさしてシートをうろつく。 「う~♪ がぁお~♪」 「れみりゃも! れみりゃも! がぁお~、た~べちゃうぞ~♪」 ずんずんとシートの上に土足で上がりながら縦断していく、メイド達が遊んでいたトランプの山を蹴飛ばし、殆ど残っていないランチボックスは、中身が気に入らないようでまた蹴飛ばす。 メイドたちは咲夜が怖くて黙って見ているだけ。 それがいっそう二匹をエスカレートさせる。 「う~♪ う! がぁお~! た~べちゃうぞ~」 さくやがいたシートを覚えていたれみりゃ、しかし既に咲夜はいなかった。 が、変わりにまだまだ沢山残っているランチボックスを見つけて大声で踊り出す。 「う~♪ うっう~♪」 「ふらんもするのぉ! う~う~♪」 なにが楽しいのか、日傘を持ったまま起用にたどたどしいヒゲダンスを踊る二匹。 一通り踊り終わると、今一度ランチボックスに向き直り一言。 「れみりゃごはんたべるぅー♪ どって~」 「ふりゃんもたべるー♪ はやくどって~」 にぱーっとステレオ笑顔で話す二匹。 自分達でとれる距離にある上に、そんなふてぶてしい顔で言われても取る人はこの席にはいないだろう。 勿論、直ぐ取ってくれる咲夜もこの付近にはいない。 「……。あぅ。はっ、はーい、れm……どうぞー」 周りの空気に耐えられなくなった小悪魔が、慎重に言葉を選んで二匹に差し出す。 その手のには大きなおにぎりが二つ。 和風なお弁当、と言うレミリアの提案で今日のお弁当は全て和風のもので締められた。 中でもおにぎりは、初めて一緒に外で食べる主に食べてもらいたくて、小悪魔が一生懸命作ったもの。 何故かは知らないが、おにぎりを作っただけなのに、彼女の手には沢山の絆創膏がしてあった。 「がぁおーーー!!!」 地面に落ちていくおにぎり、勢いよくれみりゃが叩き落としたからだ。 「あっ」 それを踏みつけるれみりゃ、見ていたフランも倣う。 「れみりゃは、さんどいっちたべたいの!! こんなのいらない!!」 「ふらんもさんどいっちたべちゃい♪ さんどいっち!!」 ズカズカとシートに上がりこんで、バスケットの中身をおにぎりごとを全て踏みつけ、勝利のヒゲダンスを踊る二匹。 「う~♪ さんどいっち♪ さくやのさんどいっちたべるぅ~♪」 「さくやのさんどいっち! ふらんもたべる~♪」 「お前達! いいかげんn「そうですか、サンドイッチが食べたいんですか?」」 レミリアがこの場で不夜城レッドを繰り出そうとした時に、小悪魔が微笑みながら二匹に聞き返す。 人間以上の生き物なら分かるが『目が笑ってない』という状態だ。 レミリアもいそいそと退散する、オーラは既に大悪魔そのものだったから。 「うっう~♪ さんどいっち! はやくたべるぅ~♪ はやくしないどさくやにいいつけちゃうぞ~♪」 「う~♪ はやくもってこないならゆっくりしね♪ さくやにおこられてゆっくりしね♪」 異常な気配にも気付かずに命令する二匹、この性格は似ている吸血鬼とゆっくりの性格が合わさってできたものだろうか。 「はいはい直ぐ用意しますよ♪」 今度は目も笑って、そう答える小悪魔。 バンザイして喜ぶ二匹。 「「う~♪ しゃんどいっじ~♪ うーーー!! ? うー! う゛わ゛ーーー!!!!」」 勢いよく風が吹いた瞬間、二匹とも自分の片腕が切れ取られていた。 一瞬何が起こったのか分からなかった二匹だが、直ぐに痛みが押寄せて状況を理解する。 「うーー? !! う゛わ゛ーー!! う゛わ゛ーーー!!!」 「ゆ゛っぐりしんじゃう゛! ゆ゛っぐりしんじゃう゛!」 「はいはい、直ぐ準備しますから泣かないでくださいね♪」 ブチッ、ブチッっと二匹の羽を引きちぎる、二匹は口から肉汁の涎を出しながら絶叫している。 「「うあーー!! ざぐあーーー!! ざぐあどごーーー!!!」」 「そんなに涎を垂らさなくても、後ちょっとですよ」 羽二枚で同じゆっくりの腕を包んでサンドイッチの出来上がり。 「はい♪ どうぞめしあがれ♪」 有無を言わさず、サンドイッチを元のゆっくりの口に無理矢理ねじ込んでいく。 「むぐむぐ!! ごれはれみりゃのおでで!! れみりゃのおででなの!! むぐ……」 「ちがうの! むぐむぐ……、これはさんどいっちじゃないの!!!」 「美味しいですか? そもそも最初のサンドイッチは、サンドイッチ伯爵が……」 二匹の口を押さえつけながら、サンドイッチの薀蓄を語り出す小悪魔。 「……なんですよ。ねっ、レミリア様、フランドール様」 「「はっはいっ!!!」」 パチュリーの後ろにしがみ付いていた二人。 急に話を振られたので思わず声が上ずった。 「よかったー、あってました。と言うわけです、美味しかったですか?」 押させていた手を離して尋ねる小悪魔。 なみだ目になりながら、なんとか完食した様だ。 「うーー! おいちくない! ざくやにいいつげでやるーーーー!!!」 「ゆっくりしね!!! ざくやにおごられでゆっくりじね!!!」 「えー、美味しくなかったんですか?」 額に指を置いて考えるポーズをする小悪魔、その間に二匹の欠損部も再生したようだ。 「う~♪ さくやにいいつけやる~♪」 「ゆっくりしね♪」 小悪魔の目線まで飛んで得意げにしゃべり出す、このまま咲夜を探して飛び回るつもりだろう。 「あっ、わかりました♪」 そう言って、今度は一気に羽を切り落とす。 「れみry……ぶんぎゃ!!!」 「ぼぎょあ!!!」 羽がなくなった二匹は、勢いよく地面に飛び込んで顔面とお腹を強打。 その後勿論泣き喚く。 「そういえば、れみりゃさまは甘いほうが宜しかったんですね。反対にフラン様はお肉の方が宜しかったんですね!」 すぐ準備します、と宣言し手早くサンドイッチを作っていく。 今度は両腕を使って大盛りにするつもりらしい。 程なくして出来上がったそれを口にねじ込む。 「どうですかぁ? おいしいですかぁ? おいしいですよねぇ? ご自分がすきなものですからねぇ? それも上質な肉と餡子ですもんねぇ?」 今度はがっちり押さえ込んでいるので口も開けない。 飲み込んだ頃を見計らって手を離してやる。 「う゛わ゛ーーー!!!! ざくや!!! ざぐやどごーーーー!!! ごわいひどがいるよーーー!!!」 「ゆっぐりじね!!! ざくやにいじめられでゆっくりじんでーーー!!!!」 傘を畳んで、ペチペチ叩いてくる二匹。 「ああこわいですねぇ♪ だったらー、言いつけられなければいいんですよね?」 「「う? うーーーー!!!」」 小高い丘、そこから勢いよく蹴り落とされる二匹。 蹴り落とした小悪魔は終始ニコニコ。 ニコニコしながら丘のの下まで飛んでゆく。 「はいはいー縛りますよ♪」 二人を手足を縛って近くの大きな洞窟へ、ポイッ。 後生大事に持っていた傘もポイ。 そして、ありの子を散らすように出てくる沢山のゆっくり霊夢と一匹のアリスほか二匹。 「おねーさん、ありすのおうちにれみりゃがはいってきたよ」 「それは、私からの贈り物ですよ。ちょっと早いけれど、人は夏と冬に二回贈り物をするんです、特に都会の人はいっぱい貰うんですよ」 「ゆっ!! ありすはとかいはだよ!!! しかたがないからこれももらってあげるよ!!!」 「アリィス、モットトカァイハァ」 「トカイハー」 「ふふ、ありがとうございます。きつく縛ってあるし、魔法もかかっているので絶対外れないですよ。知ってると思ういますけど、れみりゃもふらんも少し残しておくと再生しますから、これから越冬するあなた達にはもってこいでですよ」 「しってるよ! そんなこと、とかいではじょうしきだよ!!! おねえさんはいなかものだから、しらないんだね!!!」 「そうですか、よくしってるますね。では、私はこれで失礼します」 そういって近くにいた一匹のゆっくり霊夢の頭を撫でる。 「ゆゆ! おねえしゃんもゆっくりちていってね!!」 そう言って、仲間と一緒に戻ろうとした一匹を川に遠投。 ご馳走に夢中な他の家族は全く気付かなかった。 「むしゃむしゃ♪ おいしー」 「うっめぇ、これめっちゃうめー」 「だめだよ、そんなことばつかっちゃ、でなーのときにわらわれるよ!」 「はーい」 「う゛あ゛ーーーー!!! ざぐやー!!!!」 「ゆっくりしんじゃうよーーーーーーー!!!」 美味しそうに餌にかぶり付く声を聞きながらその場を後にする。 丘に戻り、シートまで飛んでいく。 どうやら、咲夜はまだ戻ってきていないようだ。 ほっと一安心知ってシートに目をやる。 「えっ」 本を読みながら、潰れたおにぎりを食べている主。 ふと、こちらに気付いて一瞬目が合うが、直ぐにまた本に目を落とす。 「パチュリー様! 汚いですよ、お屋敷にもどったら急いで何か作りますから」 「大丈夫よ、シートの上に落ちたのだし汚れた部分はちゃんととったから」 「でも、でも」 「それにね」 目に涙をいっぱい浮かべている小悪魔を諭すように話す。 「こんなにしょっぱいおにぎりじゃ、蟻も食べてくれないわ」 「ぱちゅりーざまー!」 「抱きつかないで、涙で本にしみが出来る」 「あう」 魔法で突き飛ばされた小悪魔、その目線の先には咲夜がいた。 「さっさくやさん、あの、その……」 「わかってるわ、れみりゃ様とフラン様が悪戯したんでしょ。ここは私が片付けるから大丈夫よ」 手馴れた手つきで片付け始める、霊夢と魔理沙は、と姉妹が聞いてきたが二人とも留守でした、とだけ言って作業を再開する。 モノの数分で掃除が終わり、いとしのゆっくりを探す咲夜。 「れみりゃさま、フラン様! 和食は合わないだろうと思いまして、さくやがサンドイッチとミルフィーユを作ってきましたよ、ミルクセーキもよく冷えていますよ」 しかし、反応はない。 何時もだったら、醜い顔をさらして駆け寄ってくるのだが。 「れみりゃさまー……、フランさまー……。へんねぇ、あなた達二人を見なかった?」 近くにいたメイドに聞く。 ここで踊っていました。 違うメイドに聞く。 ここで遊んでいました。 何人のメイドに聞いても、二匹の足取りを辿るような答えは摘めなかった。 まるで事前に口裏を合わせたような答えに、あっちへフラフラこっちへフラフラと走り回る咲夜。 「その二匹ならあっちに駆け出していったわ」 「パッドしか見てないけどね」 そう言ったのはレミリアとフラン。 「「まさか私達にもお守りをしておいてくださいなんて、言わないわよね?」」 丁寧に肯定し、一目散にその方角へ向かう。 あの綺麗な川ものある森の反対側。 ゆっくり達が沢山住んでいる森へと。 その後さすがに主を放ってはおけないので、皆で帰る前に戻ってきた咲夜だが、その日から雪が振る一ヶ月の間、暇を見つけたはあの森に探しに行っていたようだ。 この事を契機に、姉妹が小悪魔に妙に礼儀正しくなったり、小悪魔の部屋が豪華になったり。 小悪魔に投げられた直後、子供の数を正確に把握していたアリスは食後に一匹足りない事に気付いたが、都会派の親は反抗期の子供を持ってこそだと訳の分からない理屈で軽く流したり。 味を占めたアリス一家が雪が降り始めた頃、里に下りて半数が高値で売られたり。 暇な越冬中に、偶然傘の開き方が分かり得意げに傘で遊んだり、自分達のポーチの中身を得意げに説明して自分の宝物にするアリスを見て、自分達のモノだと傲慢に主張する二匹がまた食べられたりするが、それはまた別な話。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2062.html
注意 ゆっくりに対して性的な虐待あり(18禁) れみりゃ、ふらん、ちぇんが登場 受け付けない人は【戻る】推奨 少しでも気分が悪くなったらブラウザを閉じることを推奨 会社帰り、駅を降りてアパートに向かう途中の路地裏に露店がある 置いてあるものはどれもこれも胡散臭いものだが、ここで販売している裏ビデオだけは本物で質が高いことを私は知っている 少々値は張るが恋人も特にこれといった趣味も持たない私にとって、これは数少ない楽しみだった 丁度今日は新作が2本入っておりそれを購入した 購入した際、露店の男性から「これはいつも贔屓にしてくれているサービスだ」と言われて 売り上げを入れている鞄から一本のビデオテープを取り出して私の買ったビデオに上乗せしてきた 不安になり「何のビデオか?」と尋ねると「警察の厄介になる品じゃないから大丈夫だ」と答えた どうやら私は在庫処分品を押し付けられたらしい アパートに付き、飯を食べ終えて部屋を暗くしてイヤホンを挿してビデオを見る 購入したビデオはどれも私の期待に応えてくれるものだった 最近はDVDが主流だが、こういったものはビデオだからこそより楽しめると私は個人的に考える 2本を見終えて、最後に残った一本に視線を移す。露店で無理矢理押し付けられたビデオだ ふと過去に見た映画で、これに良く似たシチューションがあったことを思い出す 「まさか呪いのビデオ?」 自分で言って苦笑する。馬鹿馬鹿しい、いい年のおっさんが考えるようなことじゃない 詳細不明のビデオを年季の入ったビデオデッキに入れてみる。ちなみにこのビデオテープも相当年季が入っていた 大きな不安と小さな好奇心に僅かばかりの期待感 子供の時ガチャガチャに百円を入れて回す感覚に似ていた 今思えば、これが呪いのビデオだったらどんなに良かったのかと後悔している 数秒の砂嵐の後、映像が始まる。画質からして一般に販売されているビデオカメラだと分かった だが映っていたのは人間ではなかった 生き物なのか食べ物なのか判別できないモノ テレビ番組でその特集が何度も組まれていたため、大体のことは知っていたし覚えてもいた 「・・・・・これってゆっくり?」 ゆっくりれみりゃの胴付きとゆっくりふらんの胴付きが床にぺたりと座り、飼い主から貰った餌を食べているところだった カメラが二匹に近づくとれみりゃは「う~♪」と笑い、ふらんはキッとこちらを睨みつけた 二匹が食事をしている周りには格子のような棒がいくつも見えた どうやら二匹は檻の中にいるらしい その檻は意外と広めに作られており。撮影者も檻の中からその状況を記録していた 本来れみりゃとふらんの個体は仲があまり良くないと聞く、しかし二匹は喧嘩する様子もない それどころかれみりゃがふらんの頬についた食べかすを取ってあげたりと色々気にかけていた 音声が乱れて聞き取れないが、れみりゃがふらんにしきりに話しかけているようだった れみりゃは独特の口調で流暢に話すが、ふらんの方は話せる言語が少ないようだった 見た感じ二匹の仲は良さそうだった カメラが後にさがると、二匹の向こうにゆっくりちぇんが一匹だけおり、同じものを食べていた 飼われているという仲間意識があるのか、ちぇんを襲おうという素振りは二匹に無い ここでいきなり画面が変わった 今度は熟睡する先程の三匹を映していた カメラが密着しているれみりゃとふらんに寄る 手を繋ぎ眠る二匹は仲の良い姉妹のようにも見えた 撮影者の男のいかつい手が二匹にかかっていた毛布を剥ぎ取る 嫌な予感がした 毛布をどかすと、男は片手だけで器用に二匹の衣服を脱がしていった すぐに二匹は上半身裸にされた 二匹の半裸がを幼児のそれと同じように見えて、慌ててその錯覚を捨て去る 男はふらんの手(れみりゃとは繋いでいない方の手)を掴むと自分の半立ちになっている性器を握らせた そのまま寝ているふらんに手コキをさせる 見る見る男性の性器は膨張していき。しきりに男が吐くの息が不愉快なノイズとなり流れた 男はカメラを床に置き固定すると、今度はれみりゃの手も掴み、ふらんの手コキに参加させた 柔らかな二匹の手に包まれ摩られて男のソレはさらに大きくなる 二匹は未だに起きる気配がなく穏やかな寝息を立てている。もしかしたら睡眠薬か何かを飲まされているのかもしれない 先走りにより男のその先端がぬらぬらと光る 怒張したそれが大きく脈打つと先から大量の精液が飛び出した それは寝たままのふらんとれみりゃの顔に掛かった 私はそこで一時停止ボタンを押してビデオを止めた 吐き気がしたので洗面所で口をゆすいだ 私はビデオの内容が理解出来なかった。饅頭相手に興奮できる奴の気が知れない。あれは獣姦というレベルの話ではない さっさと取り出して捨ててしまおうと思い、エジュクトボタンに指を近づける だが、あろうことか私の手は止まってしまった 正直に言うとこのビデオの結末が気になった そういえば明日は久しぶりの休暇だった、寝るのが遅くなっても問題なかった 好奇心に負けて私は再び再生のスイッチを押した 結末を見届けたらすぐにこのビデオは捨ててしまおうと決めた 再生されると丁度場面が切り替わるところだった 今度は起きているゆっくりちぇんが映っていた 背景に檻があることから同じ部屋で撮影しているのだとわかった その証拠に檻の中には未だ眠ったままの二匹がいた ちぇんは周囲を見回し「わかるよー」「わからないよー」の言葉を繰り返していた 男が手を差し出すと、その手の匂いを嗅ぎ始めた 手を一舐めすると「うにゃ~」と呆けたような声を漏らして、丸い体がころりころりと不自然に揺れ始めた ちぇんは酔っ払っていた。昔、実家で飼っていた猫もあれと良く似た状態になったことがある 「マタタビ?」 山地に自生するマタタビ科のつる性の木本で、夏に白色の花を咲かせる。本来はリウマチや神経痛、腰痛に効果があるものだが猫に使用すると感覚を酔わせる効果があった おそらく手からマタタビの匂いがしたのだろう 撮影者の男の体が一瞬映ると、彼は全裸になっていることがわかった あぐらをかいた膝の上にちぇんを乗せると手を小刻みに振動させた 段々とちぇんの目蓋がトロンと下がり、吐く息が甘くなっていく 頬を赤く染め、春の発情期に入った猫と同じような声を出し始めた 男のお腹にちぇんは擦り寄り、頬をくっつけてこすり付ける ゆっくりの間で【すりすり】と呼ばれる前戯だ ちぇんの表情が火のついた雌のものになる それを見て男も興奮したのか、先ほどの姉妹の手コキで射精し一度萎えた男根にまた血液が集まりだした 時計の秒針のように、カチリカチりと脈打ちながら大きさを増して上を向いていく ちぇんがそれを見て何かを言っているが音の乱れと呂律が回らないのとでまた良く聞き取れない 男のソレにちぇんは興味を持ったらしい 言い終わると唐突にちぇんが男のを舐め始めた あそこまで積極的に舐めるということは性器にもマタタビの匂いがするものが吹き付けてあるのかもしれない ちぇんのざらざらの舌が亀頭を刺激する。丁寧に尿道の先を刺激すると男の腰が一瞬浮いた ゆっくり特有の大きな舌がイチモツ全体を包み込みそのまま口内へと誘う、男のナニを咥え込むとそれを頬の内側を擦り付けた 擦り十分に固くなるのを感じたら、口をすぼめて体全体を前後させて何度もストロークを繰り返す 男に調教され教え込まれたのだろうか、ちぇんの口技は見ていて巧みに思えた これまで多くの女性を見てきたがあそこまで口を使い奉仕する者は少ない。口を主体として生活するゆっくりだからこそ出来る口淫だった 今までずっとされるがままだった男が動くちぇんの体を両手で押さえた ちぇんは一瞬、頭上に「?」を浮かべるも、その意味を理解して男の手から逃れようと若干の抵抗を見せた 男は腰を乱暴に突き上げた 両手で押さえてひたすら腰を振りその喉奥を無遠慮に抉る ちぇんは涙をボロボロこぼし、2本ある尾がピンと張り苦痛を訴えている 何度も何度もちぇんの顔が男の下半身にぶつけられる ピストン運動はまだ止まらない しばらくして男がちぇんを股間にうずめた、ちぇんの尾が千切れる寸前まで張り詰める 男はちぇんの口内で射精していた 全てを出し終えるとちぇんを離す、引き抜いた竿は唾液まみれでべとべとだった ちぇんの口は手で塞がれており精液を吐き出すことを許されていない カメラのマイクがゴクリという音を拾うと、ようやく口を開けることを許された ちぇんは冷たい床の上でぐったりとしていた 人は自分の理解できないことを見るとその対象の姿に関係なく恐怖を感じるという 私は画面の中に居る男に畏怖の感情を抱いていた 彼はゆっくりを勝手に動くオナホールか何かと見ているのだろうか、それともそれ以上の価値を見出しているのかはわからない 胴つきを見ていると人間に童女に見えてしまうそうな錯覚に陥りそうになるが、あの男が興奮する理由はそれでは無いような気がした 自分自身よく分からないがそう確信できた 一旦画面がブラックアウトして再び違う場面に切り替わる 今度は服を着ていないれみりゃとふらんがいた。場所は今さっきちぇんと男が交わった場所だった 羞恥心があるのかどちらも手で体を隠すように自分で自分の体を抱きしめていた 二匹には首輪が取り付けられており、その首輪の鎖は手錠のように二匹の首を繋いでいた ゆっくりゃが一歩前えへ出るとふらんが苦しそうな表情をした どうやら鎖を引かれると首輪の内側が絞まる仕組みになっているようだ 咽るふらんにれみりゃが慌てて近づき背中を摩った。雑音に混じってれみりゃの「ごめんだどぉー! ごめんだどー!」という声を拾えた イヤホンの音声の微調節を繰り返しようやく声が聞こえるようになった ふらんが石で出来た床に「仰向けになれ」と男に命令される。しかしふらんはそれを無視して反抗的な目で睨み返した 直後、空気の爆ぜるような小気味の良い音が響いた。男がふらんの頬を叩いていた 叩かれて放心するふらんを男は蹴飛ばした。それにより二匹の首輪が絞まりれみりゃもつんのめる 男の暴力は見た目ほど痛くはなさそうだったが、ふらんの戦意を喪失させるのには十分だった 男の手にポリ製の容器がありそのキャップが開けられる 容器の中にはローションが入っていた。それを無遠慮に寝そべるふらんの上に垂らす。「ひゃぅっ!」と驚く声がはっきりと聞こえた 満遍なく垂らされてあっという間にふらんの体の表面が光沢を放つようになった 今度は手にローションを塗りたくってれみりゃの体にそれを擦り付け始めた れみりゃの表情は不快感に満ちていたが、男が怖いのか声を押し殺して必死に耐えていた 塗り終わるり「ふらんに覆いかぶされ」とれみりゃは指示された 無言で首を横に振り拒んだが、男に鎖を掴まれるとすんなり言うことを聞いた れみりゃとふらんは裸で体を重ねた そのれみりゃの背中と羽根に男は残りのローションを全てぶちまけられた れみりゃはいきなり背中にローションをかけられたことで、 ふらんはこれから何をされるのかという恐怖で、 お互いにしがみついて抱き合った 摩擦による抵抗が完全に失われているため、抱き合ったはずみでれみりゃはふらんの上を数センチ滑った 「んんっ・・」「うあぅ・・・」 体の敏感な部分が擦れあったことで二匹は甘い吐息を漏らした 勢いがなかなか無くならず、れみりゃはふらんの上を何往復もする れみりゃは慌てて床に手を付き制動を掛けようとした、しかし下のふらんがそれを許さなかった それどころか体を動かしはじめた 「やめるんだどぉ~」 ふらんの目つきがおかしい、瞳の色彩が薄い 「ん・・・ちゅぅ」 何の予告もなくふらんがれみりゃの口をついばんだ 単純な愛情表現。ふらんはれみりゃにこすられて発情していた ふらんの動きが徐々に大きくなる 「ふっ・・・ふっ・・・・・」 最初の映像で、このふらんはあのれみりゃに対して恋愛感情もしくは依存しており何らかの好意を持っていることが感じ取れた だかられみりゃに対してこれだけ積極的なのかもしれない 「あっ♪、あっ♪、あっ♪・・・・」 歯を向き出しにて嬌声をあげるふらん。よほど気持ちが良いのか顔は蕩けるような笑みを浮かべる 体を激しくこすり合わせるのがゆっくりの交尾だと聞くが、まさにそれが展開されていた 一方のれみりゃは快楽に負けまいと首を左右に振り目を口をきつく結んで耐えていた だがその動く顔を押さえつけられ、下に引っ張られて顔を舐められる 舐める行為は口付けに変わりディープキスへと発展していく 「あう・・・・・くちゅ・・・・んん・・・・・はあぁ・・・・・・ちゅぅ・・・・」 いつしかれみりゃも自制を失い自分からにふらんに舌を伸ばしていた ふらんの足がれみりゃを逃がさないと言わんばかりに両足をれみりゃの腰部分に回してロックする、それにより二匹の密着は強まる そしてれみりゃもふらんと手のひらを合わせて指を絡める お互いに快感を貪り昇り詰めていく 「「ぅぅぅぅぅぅっ!」」 二匹の体がビクビクと震える。絶頂を迎えた だが、ふらんの動きは止まらない。体を痙攣させながらもまだ体をこすり合わせる れみりゃは少しだけ辛そうだったが、ふらんの要求に応えようと絡めた指を固く結びなおした 何度も達した二匹は目を閉じたまま抱き合っていた。胸が激しく上下している ゆっくりはこの場合どちらかが妊娠するというが、その様子は無い。あのローションに避妊効果でもあるのだろうか? 男はくたくたになった二匹の首輪を外すと、今度は両手を背中に回させて手首を縛りそれぞれ両手の自由を奪われた 縄を軽く引いて解けないのを確認した後、右腕でれみりゃを、左腕でふらんをそれぞれ抱える 軽々と抱えて立ち上がり、部屋の隅に移動する その先にSMでお馴染みの“三角木馬”があった 前にれみりゃをその後にふらんを跨らせた姿勢を維持させ浮かせてから、一気に落とした 「いぎぃぃぃぃぃぃぃ!!」「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」 目蓋を力一杯閉じて、歯を食いしばるも痛みで悶える二匹 内股に力を入れて踏ん張るが絶頂を繰り返した二匹にそれだけの体力は無い 股に三角の頂点が容赦なく食い込む 先端部分はゴムで出来ているため体を損傷するということは無いが痛みは確実に感じている 「おろじてほじぃんだどーーーーー!!」「いだいぃぃ!! いだいぃぃ!!」 動くほど余計に体が沈んでいく 木馬に目を凝らすと、それが小刻みに振動していた。木馬は電動の玩具の部類のようだ 全てのゆっくりが振動により発情状態になるため電動系の玩具はゆっくりに効果が高いのだろう 「ああふっ! ああふぅ!・・・・・ああ」 痛みとも快楽ともつかない感覚に襲われ正常な呼吸が出来ていない 振動はそんなのを全くお構いなしで二匹を刺激し続ける 「っっ・・・・!!」 ふらんが体を仰け反らせて気をやった そのままれみりゃの羽根と背中にもたれ掛かる 「ぎゃう!!」 ふらんに後から体重を掛けられたことでれみりゃの体がさらに深く食い込む 必死にどいて欲しいと叫ぶが絶叫するが、それはふらんの耳には届いていなかった 「あぁ゛~~~~~あぁ゛~~~~~~」 ふらんは虚ろな目で涎をたらしていた。さらにゆっくりゃに体重が掛かる そんな状況にも関わらず二匹を乗せる木馬の動きが大きくなった。男が遠隔操作で機械の振動を強めていた 「おぢるぅぅぅぅぅ!! おぢじゃうどぉーーー!!」 落とされないように内股に力をキュッと入れたがそれがいけなかった それが敏感な部分の強い刺激に繋がった 「いぃぃぃぎぎぎぃぃああああああああああああ」 れみりゃも体をガクガクと痙攣させる。絶頂したようだ 男が跨った状態のれみりゃとふらんの肩を揺すった 「「・・・・・・・」」 反応は無かった 二匹は目を開けたまま失神していた 男が乱暴に木馬を蹴り上げた 「「っっあぁぁ!!!!!!!!!!」」 ガコンッと木馬が上下する それに連動して二匹の体も自発的に跳ね上がった。目が飛び出す寸前まで見開かれた 股間に大きな衝撃が与えられ、体が十二分に引き絞られた弓のように反る 二匹が同時に失禁した。この場合流れているものは砂糖水なのだろう 男は再び動かなくなったそれらを木馬から降ろすと檻の中の布団が敷かれた簡易ベットの上に寝かせた そこでれみりゃとふらんは密着した状態で上下逆の状態で並べられた 体位で説明するなら“シックスナイン”というものでお互いの股座が見えるように転がされていた しばらくして二匹の目覚める お互いの散々痛めつけられた部分が目の前にあった どちらが先ということなく、ほぼ同時に舌を伸ばした 少ししたらそれはいやらしい水音に変わった 男はそれを檻の外からちぇんを抱えて見つめ・・・ バツン 「あれ?」 いきなりテレビ画面に何も映らなくなる 真っ暗な部屋に砂嵐のあの不協和音が木霊する 取り出したテープを見ると中のテープが千切れていた ビデオ自体だいぶ劣化していたため再生中にガタが来たようだ まだテープは4分の1ほど残っていた。あの後もまだ少し続いたらしい 結局、男のことも飼われているゆっくりについてもその結末も、何も分からずじまいだった ビデオについては何の編集もされていなかったことからして、販売目的ではなく個人で楽しんでいたものが流失してしまったのだろうと察しがついた 「なんだ、折角これからだって時に・・・・・・・・え? 待て、今、自分でなんて言・・・・・」 自身が口走ってしまった内容に背筋が凍った 「嘘だろ・・・」 ビデオが途中で切れたことを『残念に思う自分』がいる。饅頭の擬似交尾を見て『興奮していた自分』がいた 「そんなはず無い」 慌てて取り出したテープを窓から捨てた。向かいを流れる川にそれの落ちる音がした 「これを見る前に2本裏ビデオを見たからだ。今興奮しているのはそのせいだ・・・」 そうだ、そうに違いない。それ以外の理由など有りはしない、あってはならない 今日はさっさと寝てしまおう。寝ればこんな気の迷いは吹っ飛ぶはずだ しかし私は遠足前の小学生のように、その日は妙にソワソワとして寝付くことが出来なかった 朝日が昇る頃にようやく眠りにつくことができた、起きたのは夕方だった 昨夜見た光景が何度も脳内で再生されている。網膜に焼きつきスライドショーのようにコマ送りで上映されている これから逃れる方法を私は知っている。しかし実行するわけには行かない 実行したら最後。私はまっとうでなくなってしまう 「ありがとうございましたー」 店員の声で我に返れば、私は店で購入したゆっくりが入ったゲージを抱えて家路についていた ゲージの中では昨日見たのと同じ種類のゆっくりちぇんが興味津々な目でこちらをのぞきこんでいた 何も知らない無垢な瞳 私は素直にこのちぇんのことを可愛い奴だと思った これが私の所有物になった ゆっくりは動物と規定されていないため、どんなことをしても許される そう考えたら、無意識に私の頬と口元が吊りあがっていた 自分が笑っているのだと自覚するのに少しだけ時間が掛かった eNd present by ゆっくりレイパー このSSに感想を付ける