約 632,079 件
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1703.html
かわいいゆっくりゲットだぜ!!花C(クールビューティ?) 俺設定満載です。 ゆっくり視点と人間視点で物語りはかかれます。会話量が多いです それでもよければ読んでください では本文開始 気のせいだろうか先ほどからヒュンヒュンと風を切るような音が聞こえる。 まあ、気のせいだろうと思い私はPCを起動すると適当なサイトを見ながら遊んでいた。 なんとなく料理のサイトを見ているとうまそうなお手軽料理を発見したのでメモりはじめた。 人間の私はゆっくりフードでは生きていけないからだ。にしても視線を感じる日だな。 皆様こんにちは。 突然、登場をして申し訳ありません 清く正しいと評判のきめぇ丸です。 頭飾りである羽毛でできたぽんぽんと赤い帽子に黒い髪を特徴としています。(あと目の位置が少しずれてる) 私は、一応フリーのジャーナリストとしてとある天狗に雇われております。 彼女については機会があればお話できればと思っています。 文面では見せれませんが私がつけているカメラは彼女からいただいた古いカメラです。 本日は、最近、里で噂になっているゆっくり牧場の取材をしに参りました。 朝から隠し撮りをしているのですが面白い記事をかけそうにないので持ち主に直接交渉をしようと思います。 窓をコンコンと叩くと彼が窓を開けてくださいました 「こんにちわ。清く正しいきめぇ丸です。」 「驚いたな…窓の外から挨拶をするなんて初めまして私がこの牧場の管理者の…だ」 そういうと20代後半ぐらいの人間が家の中にはいるようにと手招きをしています 中にはいると畳が10畳ひかれております。 それから外に出るようでしょうか扉がついております 扉を開けると彼は隣の(?)小さなキッチンに向かいお湯を沸かし始めました。 私は、彼の横からこっそりと様子を見ていました 残りの広さは4畳でトイレとバスルームと小さなキッチンがあとから作られたのであろうと思います。 合計するとだいたい14畳前後の大きさの部屋になるのでしょうか。 部屋にあるのは彼が寝るための布団と毛布と角に置かれたかごがおいてあります。 かごの中をのぞいてみるとめーりん種とるーみあ種の子ゆっくりが昼寝をしておりました。 それ以外には、本棚と洋服用のクロゼットと起動中のパソコンと使われていなさそうなパソコンがありました。 本棚には、CDと本が半分ずつ入っています。 石鹸屋とかかれたCDや西尾維○という作者の小説などがおかれています。 「粗茶ですがどうぞ」 「おお、おかまいなく、おかまいなく」 「遠慮をしないでください…もしかして猫舌ですか?」 「大丈夫。大丈夫。それではいただきます」 私は彼が出してくれたお茶を飲むことにした。 どうやら彼は私のことを客人としてもてなしてくれているようです。 ここは、この機会にいろいろと質問をしてみようかと私は考えました 「急で申し訳ないのですが、質問をしてもよろしいでしょうか?」 「構わないがどんな質問でしょうか?」 私が質問をした内容はいろいろあったが少し省きます。 「あなたがこの牧場を作ろうとした動機はなんなのですか?」 「動機ですか、特にはないのですよ」 彼は窓の外で遊んでいるゆっくりをみながら答えました。 自分は、単純にゆっくりと一緒に住みたいと思っていたらこんなところまできてしまったのだと。 10人ぐらいのゆっくりとのんびり暮らす生活を考えていたのに増えたもんだなと苦笑をしている。 自分の過去を思い出していた彼は笑いながら答えてくれました。 「あえて動機を挙げるなら自分の性格の甘さですね」 「甘さですか?優しさではなく?」 「ええ、困ってるゆっくりや一人ぼっちのゆっくりを見捨てることが私には出来ないんですよ」 「それを優しさというのではないですが?」 「その1人のゆっくりを助けたとしてもゆっくり全体を助けたというわけではないんです 同じような状況のゆっくりはたくさんいるでしょうし。 もっと困っているゆっくりはたくさんいるかもしれません。 その中の数人を助けることで私は満足しているんですよ 簡単に言えば目の見える範囲のゆっくりがしあわせならば私はそれでいいのです。 偽善かもしれませんが…外の世界では、年間40万匹以上の犬猫等動物の殺処分されるらしいです その中の一匹だけでも助けれればと考えるのですよ。私は」 その処分されかけていた幼犬が大きくなって門の前で昼寝をしているんだよなと彼は思った。 次の質問はなんだろうかと考えているときめぇ丸はいろいろとメモをしながら質問をしてきた。 「では次の質問ですが、こちらにいるゆっくりにれいむ種・まりさ種・ありす種がいない理由は?」 「ああ、それはここがゆっくり出来ない場所として有名だからですよ。 捕食種のふらん種とれみりゃ種だけで60はいますからね。 それに加えて、ゆゆこ種・れてぃ種などもいますから、他のゆっくりも怖がってこないのは仕方ないでしょうね」 「おお、なるほど、なるほど。確かに食べられる可能性をもつゆっくりもいるでしょうね」 「赤ゆっくりのうちから一緒に生活し一般的な社会常識を教育してあるので子供世代は問題がないです」 「おお、道徳教育、道徳教育」 「親世代のゆっくり達もゆっくりを食ないようになっているのですがね」 「おお、それはどうやって、それはどうやって」 「単純にゆっくりを食べてはいけないと思わせる様に教育したのと舌を肥えさせました」 「なるほど、なるほど彼女たちはゆっくりを食物とみないのですね。」 「ええ、彼女達はゆっくりよりもゆっくりフードを食べるようになっていますから心配ないです。ボソッ」 「おお、素晴らしい。素晴らしい。」 ここまで徹底的なゆっくり教育を出来るものは里にはいないだろう それどころかドスのいる群れでもここまでゆっくりとした空間をつくるのは難しいかもしれない。 彼がボソッとつぶやいた言葉を聴き残さなかった私はそれを質問することにした 「胴体つきがいるようですが、よろしければ出会いや特徴を詳しく話してくれないでしょうか?」 「わかりました。ゆっくりらん75cmとゆっくりれみりゃ75cmと1メートルとふらん1メートルです ゆっくりらんとは、この場所が人間の小屋だった頃に会いました。今も隣の部屋で遊んでいます。 特徴としてはとても気がやさしく穏やかでゆっくり達のまとめ役をやっています。 ゆっくりれみりゃ75cm(通称れみぃ)とはこの地下に住むぱちゅりー親子の養子みたいなものです 実の親と迷子になったためぱちゅりー親子に育てられたので気が優しいゆっくりに育ちました れみりゃ1メートルは先ほど話したれみぃの母親です。性格は甘やかしすぎた子供です。 どんなに説得しても教育をしても甘やかされた性格が固まってしまっていました 苦労しましたがゆっくりを捕食するのだけはやめさせましたが、 自分がこの館の主といまだに勘違いをしています。 次にいきますがふらん1メートルですか彼女が実質的に館の主といえるでしょう。 彼女はふらん種とれみりゃ種、両方のリーダーとして活躍しています。 だめりゃも彼女のいうことだけは聞くので重宝しています。」 「なるほど、理解、理解、それ以外のゆっくりは何がいるのでしょうか?」 「言葉で説明するのも大変なので目録を書いときますので少々お待ちください。」 そういうと彼は、起動中のパソコンにいろいろな文字を入力していきました。 そして数分ほど立つとゆっくりの目録の書かれた用紙を私に渡してきました。 軽く見た感じで200近くのゆっくりが書かれているような気がしました。 「先ほどはいい忘れていましたが胴体つきぱちゅりーとこぁもいましたね」 「おお、すばらしい。すばらしい…できればこの館を案内してはくれないでしょうか?」 「…まあ、いきなり来た方にそこまでする必要があるかはわかりません」 アポイントメントをとり忘れていきなりきたのがまずかったのだろうか ここは誠実に謝って取材をするべきではないかと思い頭を下げました。 「おお、失礼、失礼、急な訪問を謝りますのでお願いします」 「…わかりました。ご案内をいたしましょう。まずこれをお渡しします。」 そういうと彼は、きめぇ丸に一枚の紙を渡した。 ttp //www9.atpages.jp/~slowslow/slowup/img/slowslow451.jpg それは、この屋敷を表した一枚の地図だった。 彼女はそれを一読すると彼に様々な部屋を案内された。(ゲットだぜ!!7参照) 館の三分の一以上がゆっくりれみりゃとふらんの部屋であることに私は驚いた。 ちなみにゆっくりふらんとれみりゃの部屋が多いのはとあるメイド長の約束ですと彼は話した。 途中、胴付きのれみりゃ種2人にあったが彼がいったとおりの性格だった。 それと春までのあいだはどの種族も子供をつくるのを禁止しているということを彼は付け加えた。 私が一番驚いた部屋についてだけ書いておこうと思う 元当主の部屋 床全体には暖かそうなカーペットがしたにひかれていてクッションも何十個もおかれている はじのほうにはフカフカの子供用ベットが二つおかれている 乳児用ブランコに滑り台、お絵かき用の小さなホワイトボード、積み木、タンバリン、小さな子供用ピアノ、 ボールにゆっくりのぬいぐるみや怪獣のきぐるみなどが綺麗に中央に置かれている。 ゆっくりにとってこれ以上もないと思われるゆっくりプレイスといえるかもしれない 加えて書いておくとこの様々な道具を用意したのは現在の館の持ち主ではないらしい。 この館の前の持ち主がお金と時間と門番を使って作り上げた最高のゆっくりプレイスだ。 現在は、館の主の考えによりれみりゃ・ふらん種以外のゆっくりの使用も認めている。 この部屋だけで90畳近くの場所をとっているのだから驚きである だが実際に遊んでいるのは、一部のゆっくりだけだったりすると聞き驚きを隠せなかった。 その後も地下図書館や各部屋のゆっくりたちを紹介しながら時間は過ぎていった。 その後時間も遅いので失礼しようと思ったときにもう少し話がしたいととめられた。 そのときに話した内容は天狗や河童の情報を聞いてきた。 それと珍しいゆっくりについて聞かれたがこれといって情報がなかったので知らないと答えた。 話のお礼だと夕飯までご馳走になってしまった 最近、人間の里や妖怪達の間でゆっくり用の食事として広まっているゆっくりフードだった。 それを食べると私は、お礼を言いながら館を後にしようとしたのだった。 「そういえば君はどこに住んでいるんだいきめぇ丸?やはり天狗の家なのかい?」 「いえ、木の上や洞窟などを住処にしています」 そう答えると私の前の人間は少し考えた風な顔をして質問してきました。 よければこの館の空き部屋にすまないかと彼はいってきました。 きめぇ丸種に関心があってできれば捕まえたいと思っていたそうです 「おお、感謝、感謝、喜んで住まわせていただきます」 「地図の左上の部屋が君の部屋だ。まあールームメイトが出来るまでのんびりやってくれ」 そういうと私は首を高速シェイクを開始して喜びを表したのでした。 その横で彼が何かをボソッと行っていました 「首を高速シェイクするきめぇ丸ゲットだぜ!!」 こうして私がゆっくり牧場の一員になりました。 ただ、天狗の写真の仕事は続けさせていただいております。 ときおり、この牧場の写真を乗せたりしてるのは私に当たえられた仕事の一つです。 ルームメイトはいないがそのうち来るかもしれないので待っていてほしいとのことです。 ではこれにてゆっくり牧場の取材を切り上げたいと思います。では、またの機会に。 ここで選択肢です。かわいいゆっくりゲットだぜ!!花C以外の作品を全部呼んだ 全部よんだ→かわいいゆっくりゲットだぜ!!花Eへ 読んでいない物語がある→かわいいゆっくりゲットだぜ!!花序章へ 【あとがき】 作者名無しです。 思えば自分がゆっくりSSを書こうと思ったのはこのゆっくりとあいつのせいなんだよなと思うこのごろ あと話は変わりますがきめら丸の仲裁という漫画が好きです。ロダに残っているのかなあのマンガ… ルームメイトの件だけどよく考えたらもみじは(外伝の)ちぇんとくっついちゃったんだぜ。 -- 名無しさん (2009-11-01 11 48 36) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4521.html
『しまわないで!』 ※一部にパロディ要素を含みます 「うー! しね! よわむしおねえさまは、ゆっくりしね!」 「うー! ふりゃんのぶぁーか! おねぇーさまはかりしゅま☆れでぇーなのぉー!」 × × × 「うーうー♪ あまあま☆でりしゃすぅー♪」 「う~~! ちっぢゃいれみりゃ、やめてぇー! それ、れみりゃのおやづなのにぃ~!」 × × × 「ゆゆっ! にくまんがいるよ! みんなあれをつかまえれば寒い冬さんも安心だよ!」 「やだやだぁー! れみりゃはにぐまんじゃないのぉー! おでで、はむはむしないでぇー!」 × × × 「おっ! ゆっくりゃだ! 珍しいな」 「なぁ、知ってるか? あいつらの服や髪、結構いい金になるらしいぞ」 「うわぁぁー! れみりゃのだいじだいじがぁー! ざらざらへあーがぁぁーー!?」 × × × 「うっぐ、ひっぐ、えっぐ……」 幻想郷の里山の一画から、聞こえてくる嗚咽。 それは、ふくよかな手で大きな下ぶくれ顔を押さえ、 必死に涙をこらえようとする"ゆっくりれみりゃ"のものだった。 「う~~っ、ぐやじぃよぉ~~!」 よたよた、どたどた、ゆっくりと歩くれみりゃ。 左右にふらふら揺れては、大きなお尻を振ることで、辛うじてバランスを取る。 このれみりゃは、度重なるトラブルで、すっかり疲れ果てていた。 真っ赤になって泣きじゃくるれみりゃの顔は薄汚れ、 手も足も擦り傷だらけで、大事なおべべも帽子もしわくちゃになっている。 妹の"ゆっくりふらん"に散々馬鹿にされた上で、虐められ。 友達になろうとした"胴無しゆっくりれみりゃ"には食べ物を奪われた挙げ句、見捨てられ。 迷子で泣いていてところをドスの群れに見つかり、"にくまん"の汚名を着せられて追いかけ回され。 その挙げ句、こぁいお兄さん達に意地悪をされ、大事なおべべや髪の毛をぐちゃぐちゃにされてしまった。 痛くて、苦しくて、悔しくて。 解決できないモヤモヤを押さえきれず、れみりゃはぺたんと座り込み、叫んだ。 「もうやだぁ~~! なんでみんな、おぜうさまにやさしくしてくれないのぉ~~!?」 再び"こぁいなにか"と出会ってしまう危険性も厭わず、わんわん叫んで泣く、れみりゃ。 自分は可愛くて、えれがんとで、かりすま溢れるえら~いお嬢様なのに、 一体どうしてこんな目に遭わねなければならないのか……。 れみりゃはその不条理にどうしても納得ができない。 せめて、今のこのゆっくりできない状況だけでもどうにかしたい。助けてもらいたい。 れみりゃはよちよち立ち上がるり、本能レベルですり込まれた絶対的な味方を探し求めるのだった。 「しゃくやぁー! れみりゃのしゃくやどごぉー!?」 "ガサッ" 「うっ、うぁっ!?」 れみりゃの赤い靴が、泥の上にいくつかの足跡を作ったその時、 れみりゃの眼前のしげみの奥から、がさがさという音が聞こえてきた。 その音に驚き、反射的に身をすくめる、れみりゃ。 がさがさという音は次第に大きくなっていき、 しげみの奥の暗がりに、うっすらと巨大な何かの影が映りだす。 「う~~~~っ!」 れみりゃは怯え、身を屈めて両手で頭を抱えこむ。 それは、"大好きなまんまぁー"から教わった、秘伝の緊急回避法だった。 もっとも、周りからは姿も丸見えで、 体を丸めてガタガタ震えるその様は、むしろ戦闘力の無さをアピールしてしまっていたが……。 「ごごにはだれもいないのぉー! れみりゃはゆっぐりずるのぉー!!」 恐怖で声を抑えることができないれみりゃは、必死に叫ぶ。 もういやだ。 おうちへかえりたい。 まんまぁー、ふらん、たすけて。 ぐるぐる、思いが頭と胸を駆けめぐり、意識は恐怖で混濁していく。 そして、その精神的負荷がついに限界に達し、れみりゃは目を瞑り両手を広げて近づいてきた何かへ向かって叫んだ。 「ぎゃおーーーーー!!!」 自分のカリスマを最大限にほとばしらせる、必殺のポーズ。 それが、錯乱したれみりゃの取れた、唯一の行動だった。 「……ゆぅ?」 「……ぎゃ、ぎゃおー?」 しげみの奥から現れた者の声を聞いて、 れみりゃはおそるおそる、大きな赤い瞳を開いてみる。 「う、うわぁぁぁーー!!?」 バンザイの姿勢のまま、その目をパチクリさせて、 見上げるほど大きいその存在に、れみりゃはあんぐり口を開けて固まった。 「……おぜうさま、およびになりましたか?」 しげみの奥から現れた存在。 それは、高さ2mにも達する動くプリン饅……すなわち巨大なゆっくりさくやだった。 * * * 「うっう~♪ すぴあ☆ざ☆ぐんぐにるぅ~♪」 「ゆべしっ!」 れみりゃが巨大さくやと出会ってから数時間後。 そこには、笑顔で木の棒を振り回してはしゃぐれみりゃと、 れみりゃの"ぐんぐにる"に無抵抗のままべしべし叩かれ続けるドスまりさの姿があった。 「ふやじょう☆れっどぉー♪ ぜんせかい☆ないとめあー♪」 「ゆぐ、ゆぐぐ……」 調子に乗って、下ぶくれスマイル全開で攻撃を続けるれみりゃ。 ドスまりさもれみりゃに抵抗しようとするが、 より強大な存在に取り押さえられ、なすがままになっていた。 「そのちょうしです! 素敵ですわ、おぜうさま!」 れみりゃへ声援を送るのは、あの巨大さくやだ。 数分前、巨大さくやは体当たりと口にくわえた鋭利な石片で、あっという間にドスまりさを痛めつけ、 上からのしかかって動きを封じ、れみりゃ用のサンドバッグにしたてあげたのだった。 「うっうー☆」 「ゆぅ……ゆっくりした結果がこれだよ……」 れみりゃの御機嫌な一撃を受け、とうとう絶命するドスまりさ。 動かなくなったドスまりさを、れみりゃは不思議がり、おそるおそる触れていく。 やがて、自分がドスまりさを倒したことを知り、れみりゃはぴょんぴょん跳ねて喜びを露わにした。 「れみりゃ、つよぉーい♪ うぁっ☆うぁっ☆うっうー♪」 興奮冷めやらぬ様子で、腕をぐるぐる、お尻をぷりぷり振り出し、ダンスを踊るれみりゃ。 実際は殆ど巨大さくやの手柄であったが、そんな事実は今のれみりゃにとってどうでもいいことだった。 「さすが、おぜうさまです! さくやかんげきです!」 「う~♪ しゃくやぁ~♪ いっしょにおまんじゅうたべよぉ~♪」 巨大さくやの言葉にさらに機嫌を良くし、 れみりゃは巨大さくやと一緒に"えれがんとなでぃなー☆"を開始する。 「あぅー♪ おいじぃー♪」 口の中いっぱいに広がる甘み。 お腹から全身へ広がっていく、ゆっくりとした満足感。 これが勝利の味、これがカリスマ☆にふさわしき食事、これがおぜうさま本来の姿……。 「あーぅ☆あぅー♪」 口のまわりを汚しながら、れみりゃは幸福感に酔いしれる。 そして、この幸福を自分へ運んできてくれた巨大さくやへよりかかり、頬をすり寄せた。 「うーうー♪ しゃくやぁーごれがらもずっどいっしょー☆いっしょだよぉー♪」 そんなれみりゃの様子を微笑みながら眺める巨大さくや。 そして巨大さくやは、れみりゃへ向かってハッキリと告げる。 「もちろんです、おぜうさま。さくやは"こうまかん"でおぜうさまにおつかえしつづけます」 「うー? ごーまがん?」 きょとんとして、首を傾げるれみりゃ。 「そうです! おぜうさまのおやしきです!」 こーまかん……おぜうさまのおやしき……。 巨大さくやから澱み無く放たれたその響きに、 れみりゃは胸がときめきわきたつのを感じずにはいられなかった。 「うー♪ ごーまがん☆ごーまがん♪ れみりゃのおやじぎぃ~♪」 実際のところ、このれみりゃにとって"こうまかん"は初耳の単語であり、 当然元々そこに住んでいたわけでもない。 けれど、れみりゃに刻まれた本能が、おぜうさまとしての宿命が、 "こうまかん"へ行くことを促して止まらない。 「うーうー♪ れみりゃはおぜうざまだがら、ごーまがんでゆっぐりずるのぉー♪」 「はい、おぜうさま! それではこちらへ!」 れみりゃが肯定するのを聞くや否や、 巨大さくやは自分の頭の上にれみりゃを乗せ、どすんどすんと森を跳ねていった。 巨大さくやの頭上で、れみりゃは至って御機嫌だ。 "たかいたか~い♪"と喜び、巨大さくやを見て逃げ回る他のゆっくりや動物達を見ては、 自分のかりすまに恐れおののいているのだと解釈して、誇らしげにうぁうぁ☆リズムを刻んだ。 そうして、楽しい一時をすごしているうち、 大きな岩山に開いた巨大な洞の前で、巨大さくやは跳ねるの止めた。 「さぁ、つきましたよ、おぜうさま」 「すごぉーい♪ おっぎぃー♪」 立派で頑丈そうな、それでいて綺麗な乳白色の岩山と、 元々あった天然の穴を拡張し、整地したであろう洞穴とエントランス。 それでいて、付近には花が植えられ、彩り鮮やかに周囲を賑わせている。 それらは、永い年月をかけて、巨大さくやが瀟洒に整えたものであった。 「うー♪ れみりゃはごーまがんのあるじなのぉー♪ とっでもえらいんだぞぉー♪」 巨大さくやさえ余裕で入れる"こうまかん"の大きさに、ご満悦のれみりゃ。 おぜうさまとしての自信と誇りを胸に、パタパタ中空へ浮かびあがって、洞の中へ入っていく。 そのまま直線の回廊をしばらく進むと、れみりゃは明るく広大な場所につきあたった。 「うー?」 そこは直径20mはあろう円形の広場になっており、 天井は吹き抜けで、上空から優しい木漏れ日が照明として降り注いでいた。 そして円形の外周部には、広場を囲むように、岩で組んだ箱状のものが何十個も並んでいた。 「うぁ☆おまんじゅうがいっばいあるぅー♪」 れみりゃは、地面に降り立ち、とてとて歩いてその岩の箱へと近寄っていく。 岩の箱の中には、一つの箱につき一匹ずつ、弱り切ったゆっくりが収まっていた。 うぁうぁお尻を揺らし、その様を観察するれみりゃ。 やがて、その光景にも飽きたれみりゃは、岩の箱の中からゆっくりを取り出し、無造作に放り投げる。 「うー♪ おまんじゅうはたべあぎちゃっだがら、ぽいっ☆するのぉー♪」 一匹、また一匹と、れみりゃはゆっくりを放り投げて遊び出す。 「ぽーい☆ぽーい☆ぽぽいのぽーい♪」 独特のリズムを刻み、時折ダンスとお歌を混ぜながら、ゆっくりを"ぽいっ☆"していくれみりゃ。 飽きずに20匹ほど放り投げ終えてから、れみりゃは自身の下ぶくれスマイルを両手で指さし、 誰へとでもなくぬぼーと笑顔を広げた。 「ぽーいしたら、おながすいちゃったぁー♪ ぷっでぃ~ん☆たぁ~べだ~いなぁ~♪」 にぱぁーと、笑顔満面のれみりゃ。 すると、どこからか、れみりゃに呼応するかのように声が聞こえてきた。 "うー……" 「……うー?」 その声を不思議がるれみりゃ。 最初は気のせいかと思っていたが、 ほどなく円形広場の一画から、その声が聞こえてくることに気付き、そこへ歩を進める。 "うーうー……" "うっぐ……ひっぐ……" 「う、うぁ!?」 その一画へたどりついた時、れみりゃは立ちつくした。 そこにもまた、岩の箱が大量に並べられていた。 ただ、先ほどゆっくりを放り投げたところとは違い、平べったい岩で蓋がされていた。 そして何より、その岩の箱の中から、同じれみりゃ種のものと思われる声が聞こえてきた。 それも一つや二つではない。その区画にある殆どの箱の中からである。 「う~!? れみりゃがいっばい~!?」 困惑するれみりゃ。 れみりゃは疑問を解決すべく、岩の箱を調べだす。 岩の箱をおっかなびっくり撫でてみたり、こんこんと蓋を叩いてみたり。 そのうち、ちょうど蓋の閉まっていない箱を見つけ、れみりゃはその中を覗き込んでみる。 ……と、その時。 「ぶぶっ!」 突如、何者かに背中を押され、れみりゃは顔を箱の底に打ち付けてしまう。 「うわぁぁーー!! れみりゃのえれがんとなおかおがぁぁーー!?」 顔の真ん中を赤く腫らし、歪なへの字に口を広げて、滝のように涙を流すれみりゃ。 痛みで我を忘れ、のたうちまわるれみりゃ。 れみりゃの体は、顔を先頭にして既に半身が岩の箱の中に入ってしまっている。 苦しむ上半身に併せて、箱から出ている大きなお尻がじたばた揺れて、捲れたスカートからドロワーズがまる見えになる。 その動きに誘われたのか、れみりゃの背中を押した何者かが、今度はお尻を押しはじめた。 「じゃぐやぁー! ごぁいひどがいるよぉー! はやぐぎでぇーー!」 ぎゅうぎゅうと、狭い岩の箱の中へ強引に押し込まれていくれみりゃ。 れみりゃも暴れて抵抗するが、何者かの力は強く、なすすべもない。 「やだやだぁー! れみりゃばごーまがんでゆっぐりずるのぉー! じゃぐやぁー! はやぐだすげでよぉー!!」 必死に助けを呼ぶ、れみりゃ。 しかし、その願いがかなうことはなく、とうとうれみりゃの体はすっぽり岩の箱の中へ押し込められてしまう。 そして、れみりゃを押し込めた何者かは、れみりゃの体が箱に収まったことを確認すると、すばやく岩の蓋を閉めてしまった。 狭いの箱の中で、身動きも出来ぬまま、光さえ奪われるれみりゃ。 手足や羽を動かすことも出来ず、れみりゃはただただ助けを呼び続けるのだった……。 「ぶぇぇぇ~~! じゃぐやぁ~~! まっぐらでごぁいよぉぉ~~!」 * * * 『ぐらいよぉー! ごぁいよぉー! おながずいだよぉー!』 岩で組まれた箱の中、平べったい岩の蓋の向こうから、れみりゃのくぐもった泣き声が聞こえてくる。 その声を聞きながら、恍惚の表情を浮かべ、小さくひとりごちる者がいた。 「これでもうあんしんです」 それは、れみりゃを箱の中へ閉じこめた張本人。 そして、れみりゃをこの"こうまかん"へ招いた張本人。 「おそとはきけんがいっぱいですから。おぜうさまはこうまかんでゆっくりしていってくださいね」 れみりゃ達が閉じこめられている箱の前。 そこには、自らの職務を瀟洒に果たしたと自負する、巨大さくやがいた。 「うふふ、ゆっくりできていないおぜうさまは、どんどん☆しまっちゃいましょうねぇ~♪」 おしまい。 ============================ れみりゃおぜうさまをペットとして飼いつつ、 自分自身はさとり様にペットとして飼ってもらう……そんな生活に憧れる日々です。 さておき、れみりゃSSにはまだまだ可能性があるはず…… 最近、それを模索中だったりします。 by ティガれみりゃの人 ============================ このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1866.html
『お目覚めはゆっくりと』 ※現代にゆっくりがいる設定です 東京近県の衛星都市。 比較的地価の安いこの地域は、学生やフリーター、若手の新入社員達が多く住んでいる。 だから、専門学校を卒業して間もないような人間でも、 このあたりで部屋を借りつつ、"ゆっくり"と暮らすのも可能だった。 * * * 8畳フローリング・ロフト付き。 そんな間取りの部屋の中央で、1匹のゆっくりれみりゃが座っていた。 その傍らには、クレヨンや画用紙や積み木といったものが散乱している。 れみりゃは、大好きな玩具に囲まれながら、 幸せそうにだらしのない下ぶくれスマイルを浮かべていた。 「うー♪ ぷっでぃーん♪」 自然と口から漏れるのは、大好きな言葉。 れみりゃは、この部屋の主の人間とともに暮らし、実にゆっくりとしていた。 その証拠に、れみりゃの体は標準的なものに比べて、はるかに"ふとましかった" ふくよかな四肢ははちきれんばかりにプヨプヨしており、 お腹はぷっくら膨らみ、下ぶくれ顔にはさらに二重顎のおまけがついている。 「うー♪ ぽかぽかしてきたどぉー♪ そろそろだどぉー♪」 太陽から差し込む温かい光。 ポカポカの陽気を受け、部屋の中はエアコン無しでも温かい。 れみりゃは、その気温と太陽の光を確認してから"うーしょ、うーしょ"と重たそうに立ち上がり、 小さな黒い羽をパタパタ動かして、重たい体を浮き上がらせた。 「ぱたぱた~♪ う~☆」 れみりゃが、ご機嫌で飛んでいく先、 そこは部屋の角にあるベッドの上だった。 「おねぇーさーん♪ あさだっどぉー♪」 ベッドの上には、部屋の主である人間が眠っている。 れみりゃには、この部屋で"ゆっくりする"ためにいくつかの対価……すなわち勤めが課されていた。 朝になったら起こすというのも、比較的夜行性のれみりゃの役目の一つだ。 「……ん、うん……すぅ……すぅ……」 ベッドで寝ている人間は、わずかなリアクションだけをして、また健やかなな寝息をたてはじめてしまう。 その寝顔に下ぶくれ顔を近づけ、ぬぼぉーっと覗くれみりゃ。 れみりゃは、起きない人間のために、次なる手段をとることに決めた。 「しょーがいなどぉー♪ とくべつさーびすだっどぅ♪」 人間を踏まないように、れみりゃはよいしょとベッドの上に着地する。 短くて柔らかい足は、ちょうと人間の首を中心にして、左右に置かれていた。 れみりゃは、それからドスンと、まるで尻餅をつくように尻から座り込む。 大きなお尻の下には、ちょうど人間の顔があった。 「……うぷっ」 それまで定期的な寝息を立てていた人間の口から、反射的な吐息が漏れた。 それから、れみりゃは尻を顔に乗せたまま、左右に尻を振るように体重を移動する。 それはまるで、尻を顔に擦りつけるような所作だ。 「でびぃーのかわいいおじりぃー♪ あさから、くんかくんか☆できるなんてしあわせもんだどぉー♪」 ご機嫌満悦の微笑みを浮かべる、れみりゃ。 "うーうー"とリズムを刻みながら、お尻を揺らしていく。 「……うぁ?」 ふと、れみりゃはお尻のあたりがムズムズしているのを感じた。 れみりゃは、そのムズムズに促されるように、少しだけいきむ。 「あーぅあぅー♪ でび☆りゃ☆ぶぅーーー♪」 "ばっぶぅーーーー!" 豪快な音をたてて、れみりゃの尻から黄色いガスが勢いよく放出された。 「うー♪ でちゃったどぉー♪」 れみりゃは、照れながら、それでいてどこか得意そうに、顔を赤らめて笑う。 その直後、れみりゃの体はゴロンと前転して、布団の上に着地した。 「うー!」 驚き、目を見開くれみりゃ。 何が起きたかわからず左右をきょろきょろしてから、 れみりゃは背後へ振り向いて元気に叫んだ。 「うっうー☆おはようさんだどぉー♪」 そこには、気だるそうに上半身を起こして、片手で頭を押さえている部屋の主がいた。 「……おはよう、れみりゃ」 "自分のおかげで、今日も部屋の主が起きられた" そう考えているれみりゃは、どこか誇らしげだ。 大好きな人間に構っても追うと、朝の支度を始める人間のまわりをピョコピョコついて回る。 一方の当の人間はというと、れみりゃを適当にあしらいながら、洗顔に着替えにと、テキパキすませていく。 「……物騒な事件が続くなぁ」 人間は、新聞を開いて、ジャムを塗ったパンと野菜ジュースを口にする。 "未確認ゆっくりまた出現!" "未確認ゆっくり第4号、第21号と交戦" "ゆっくりと人間の共存は可能なのか?" "鏡の中に現れたゆっくりが人間を襲う!?" 記事を流し読みで済ませて、オートマティックな所作で朝食を終える人間。 テキパキ食器を洗い終えて、ふと一息。 この後、温かいコーヒーを一杯飲んで家を出るのが、この人間の毎日だった。 コーヒーに、ふーふー息を吹きかけて、人間は今の時間を確かめようと机の上へ視線を移す。 「……あれ、時計は?」 そこには、置いてあるはずの時計が無かった。 いわゆる電波時計という奴で、仮にれみりゃが起床役を忘れていても、きちんとアラームが鳴る代物だ。 量販店で買った安物ではあったが、あるはずのものが無くなっているというのは何とも気持ち悪い。 コーヒーを冷ますのをやめて、人間はあたりを探し始めた。 すると、人間の様子から事態を察したのだろう。 れみりゃが、机の上に立ち、人間の前にバンザーイと両手を上げた。 「う~~♪ あのゆっくりできないジリジリは、でびぃーがぽぉーいしといてあげたどぉ♪」 "ぽぉーい♪" その言葉を聞いて、人間は溜息をついた。ああ、またやってしまったのかと……。 人間は肩を落として、ゴミ箱の蓋を開ける。 すると、中には探していた電波時計が確かに入っていた。 「あれもぽぉーい☆これもぽぉーい♪ ゆっくりできないものはみんなぽいするのぉー♪ ぽぉーい♪」 「ぽーいぽーい♪」と物を投げ捨てるジェスチャーを織り交ぜながら、 "うぁうぁ"楽しげに踊り出す、れみりゃ。 それとは対照的に、人間は電波時計と一緒に捨てられていたものを見つけて、顔を青くした。 「ああっ、ボクのケータイ!!」 人間は、最近買い換えたばかりの携帯電話が乱雑に捨てられていたのを見て、慌ててそれを取り出す。 液晶をオンにすると、待ち受け画像と今日の日付、それにアラームが鳴っていた履歴が表示された。 どうやら、れみりゃはアラームが鳴ったものをまとめて、"ぽーい"してしまったらしかった。 壊れていないことにほっと胸を撫で下ろしてから、人間はケータイ電話をポケットに移す。 れみりゃはといえば、相変わらず誇らしげに胸をはり、人間の足下でニコニコしている。 どうやら頑張ったご褒美を欲しがっているらしい。柔らかくて短い手で、人間の服の裾を引っ張っている。 「でびぃーがんばってぽぉーいしたどぉー♪ ごほうびに、ぷっでぃ~ん☆ふたちょもってきてぇ~ん♪」 れみりゃからすれば、全くの善意の行動だったのだろう。 怒られるという不安は全く感じていないようだった。 本来ならば、しっかりここで教えておくべきなのだが、 ケータイに表示された予想外の時刻の前では、そんな余裕は無かった。 人間は冷蔵庫を開けてプリンを取り出すと、それをれみりゃに手渡す。 れみりゃはプリンを掲げて喜び、部屋の中央に座ってプリンを開ける。 「はぁ……いってきます……」 「うーうー♪ ゆっくりおつとめしてくるがいいどぉー♪」 プリンをがっつきながら、れみりゃは靴を掃き終えた人間に手を振った。 そうして、プリンを食べ終わると、れみりゃはパタパタ飛んで、ロフトの上に向かう。 ロフトの上には、収納用の段ボール箱と、ゆっくり用のおもちゃ箱、 そして人間の赤ん坊用のベビーベッドが置かれていた。 ベビーベッドには、ひも付きの札がひっかけてあり、 そこには汚い平仮名で大きく"こーまかん"と書かれていた。 「でびぃーはこれからおねむするどぉー♪ おやすみだっどぉー♪」 れみりゃはそのベビーベッドで横になり、目を瞑る。 それから、うぴーうぴーと鼻提灯を出しながら眠り始めるのに、さして時間はかからなかった。 * * * それから、数時間が経った。 れみりゃはタオルケットにくるまりながら、相変わらず寝息を立てている。 幸せそうにヨダレを垂らしているれみりゃ。 その顔に、突如"こぶし"がめり込んだ。 「ゆっくりしね☆」 「う、うびぃー!?」 いきなりの痛みに、れみりゃは起きあがり、 赤くなってヒリヒリジンジン痛む顔に手をあてる。 「うぁ~~! でびぃーのえれがんとなおかおがぁ~~~!」 目が覚めるとともにより明確になる痛みに、れみりゃは涙を浮かべて叫んだ。 「うー! おねぇーさま、ようやくおきた! おそい!」 「う、うぁ!?」 涙でにじむ視界の中、れみりゃの視線の先には、ゆっくりフランがいた。 このフランもまた、れみりゃとともにこの部屋に住んでいるゆっくりであった。 「うー! おねぇーさまをいぢめるふらんは、でびぃーがやっづげでやるどぉー!」 れみりゃはグシグシ涙とヨダレををぬぐってベビーベッドから出ると、 その手をぐるぐる振り回して、フランの下へドタバタかけていく。 だが、フランはそんなれみりゃの姿を見て、 キランと目を輝かせたかと思うと、手に持った棒で逆にれみりゃを殴り飛ばした。 「くりゃえ~☆ れ~ばてぃん☆」 「!!??」 "れーばてぃん"の直撃を受けたれみりゃは、叫ぶことさえできずに、床に倒されてしまう。 フランはそんなれみりゃの上に馬乗りになると、べしべしその頭をたたき出す。 「うーー! ふらんちゃん、やべでぇーー!」 「うー☆しねしね! ゆっくりしね!」 れみりゃの戦意は、あっという間に粉砕されてしまった。 だぁーだぁー泣き叫び、フランに許しを請うのが精一杯だ。 「うー! もぉーぶただいでぇー! でびぃーは、ゆっぐりおねむしてただけだどぉー!」 一方、フランは電波時計をれみりゃの前にドンと置いて指を指す。 時刻は午後4時。ちなみにれみりゃの起床時間は、午後3時と決められていた。 「もうおきるじかん! おねぇーさま、ゆっくりおきる! そしてしぬ☆」 「ぷんぎゃー!」 フランは最後に大きな一発をれみりゃにお見舞いすると、 "うー☆"という天使の笑顔に戻って、"こーまかん"と名付けられたベビーべッドへ上る。 「う、うぁ、うぁぁ……」 れみりゃは、痛む体を何とか起こして、 ベビーベッドでタオルケットをかけるフランに抗議の叫びをあげた。 「う、うー! そこはでびぃーのこーまかんだどぉー! ふらんちゃんはつかっちゃだめだどぉー!」 「うー、ゆっくりねる……つぎのしごとまで、しえすた……」 れみりゃの我が侭などどこ吹く風。 フランは涼しい顔を浮かべたまま、健やかな眠りに入っていく。 れみりゃは、何とか"こーまかん"を取り戻して再び眠ろうと考えたが、 先ほどまでの攻防の後では、フランに逆らうほどの勇気も無かった。 「さくやぁー! さくやぁどこぉーー! ふらんちゃんがいぢめるどぉーー!!」 れみりゃに残された手は、泣いて助けを呼ぶことだった。 なお、この部屋を借りている主、すなわち現在働きに出ている人間の名前は"さくや"ではない。 無償の愛で自分に尽くしてくれる存在、さくや。 れみりゃ種にとって、その名前を叫ぶことは本能的なものであった。 故に、仕方の無い側面もあるのだが、これから眠ろうとするフランからすれば、その騒音はたまったものではない。 それに、あまり五月蠅くしては、アパートを借りている人間にも迷惑がかかる。 困り者の姉が我が侭を言った時、ブレーキ役となるのが自分の役目だと、フランは考えていた。 故に、フランはベビーベッドから出て、 前のめりでわんわん泣いているれみりゃの尻を蹴飛ばした。 「ゆっくりしね☆」 「ぶひぃー!」 フランのその考え自体は間違っていないのだが、 そのやり方は少々過激で、主の人間からも度々注意はされていた……。 しかし、れみりゃに対して過激な言動に出てしまうのは、 れみりゃがさくやを呼ぶのと同じく、フラン種にとっての本能だ。 れみりゃへの愛情・愛着・信頼があったとしても、 あるいは、そういった感情があればこそ、フランはれみりゃに対して過激な行動に出てしまう。 「うぁぁーー! うぁぁー! でびぃーのぷりてぃーなおじりがぁーー!!」 「おねぇーさまもちゃんとしごとする……そうじとせんたくしなきゃだめ」 両手で尻をさするれみりゃに対し、冷静に告げるフラン。 それに対し、れみりゃは仰向けになると、泣きながらダバダバ手足を振り回し始める。 「でびぃーはおぜうさまだからいいんだもぉーん! そんなのさくやがやってくれるもぉーん♪」 フランは、大きく息をはいた。 しかし、それは残念だからでは無い。 聞き分けの無い姉に対して、今日もこれから"姉妹水入らずの肉体的コミュニケーション"を行える喜びからだ。 「う、うぁ!?」 キラーン☆と光るフランのルビー色の瞳に、れみりゃは反射的にビクっと体を震わせた。 「かぞくのるーるをまもれないやつは、ゆっくりしね!」 フランはそう叫ぶと、段ボール箱の中に入っていた小さな"あまあま"のヌイグルミを、れみりゃの口に押し込んだ。 口を塞がれ、"んーーんーー"とさくやの名を呼ぶこともできないれみりゃ。 その様子を確認して、うんうんと頷くフラン。 そうしてフランは、背中をゾワゾワ走る愉悦に身を任せるのだった。 * * * 薄暮の空の下、れみりゃ達の主の人間は、自転車を横に歩いていた。 自転車のカゴの中には、近所のスーパーで買った食品や日常雑貨が入っている。 「まいったなぁー、もう遅刻できないよ……やっぱり分担を変えるしか……」 主の人間は、結局今朝遅刻してしまい、上司からたっぷりしぼられてしまった。 元々、この人間は朝に弱く、遅刻をしがちだった。 より確実に起きられるよう、れみりゃにお願いをしたが、どうにも成果は上がらない。 妹のフランに頼めばより確実なのだが、 フランは、昼頃まで夜~朝シフトのバイトに出ており、それは難しい。 バイトといっても、いかがわしいものではなく、深夜のラジオ出演や雑誌関係の仕事が殆どだ。 いわゆる、タレントペットならぬ、タレントゆっくりなのだ。 その出演料は意外とバカにならず、"共同生活"を行う上で大いに助かっている。 実のところ、仕事が忙しい月に関して言えば、この人間の正規の月収さえ上回ることもあった。 そんな折、一人だけ働くフランに負い目を感じてか、それとも姉としてのプライドがあってか、 れみりゃにも家事という名の仕事を与えてみたが、なかなか上手くはいかない。 予想はしていたが、目覚まし係というのも向いていなかった。 「……うん?」 ふと、とある光景が目に止まり、人間は足を止めた。 自転車をアパート共有の駐輪場に置いてから、小走りでその現場へと向かう。 その現場は、アパートの目の前の電柱だった。 そこに、数人の小学生らしき子ども達が集まっている。 思い思いのバッグを持っていることからすると、学校帰りというよかは、塾帰りなのかもしれない。 そして、彼らの中心には、縄跳びのロープで電信柱に巻き付けられた、ゆっくりれみりゃがいた。 れみりゃの体はしっかり固定されており、うびーうびーと濁った寝息を立てている。 そのふとましい姿、何かあった時のため帽子に刺繍したアップリケ型の飼育証明を見て、 "間違いなく我が家のお嬢様だ"と主の人間は確信した。 「おい、こいつなんだよ?」 「こいつ、ゆっくりだろ? どっかのペットかな?」 「これ見てみろよ! 眠っていたらつねって起こせってさ」 少年が指差した先、電柱に一枚のメモが貼り付けられている。 そこには、平仮名で"ねてたらつねっておこす。それいがいしたらゆっくりしね"と書かれていた。 その文字を見て、主の人間には察しがついた。 姉妹喧嘩……というには一方的な、フランの制裁が行われているのだと。 そんなことを知らない少年の一人が、むぎゅーとれみりゃの頬を引っ張った。 その痛みには、寝ぼけ眼でれみりゃが目を覚ます。 「う~~! でびぃーのきゅ~どなほっぺがじんじんするどぉ~~!」 赤く腫れた頬をさすろうとするが、手はロープで固定されているため動けない。 しばらく"うーうー"難儀した後、れみりゃは痛みから逃げるように目を瞑って浅い眠りへ落ちていく。 「おっ、起きたぞ」 「でも、また寝ちゃったぞ?」 「なんか面白いな、こいつ♪」 少年達は、次々にれみりゃの頬を抓ったり、引っ張ったり、叩いたりしていく。 見ると、れみりゃの頬にはあちこちに赤く腫れた後がある。 おそらく、この少年達の前にも、同じようなことをした人がいたのだろう。 最初はおそるおそるだった少年達も、 起きてはまたすぐ寝てしまうれみりゃに対し、徐々に警戒感を無くして力を入れていく。 「うぁぁー! やめるんだどぉーー! さくやぁぁーーー!!」 れみりゃはとうとう泣き叫びだし、目の前の少年達へ敵意をあらわにしだした。 れみりゃのボリュームの大きな声に、びくっと後退する少年達。 少年達は、れみりゃが動けないのを再確認してから、れみりゃへ文句を言い始めた。 「なんだよ、このデブ! ここに起こせって書いてあったから起こしてやったんだぞ!」 「うー! でびぃーはおでぶさんなんかじゃないどぉー! こういうのは"ふとましい"っていうんだどぉー♪ これだから、ものをしらないしょみんはいやなんだどぉー♪」 説明してやれば美的感覚の無い少年達も、自分の凄さを認めるに違いない。 そして、あふれだすエレンガントさとカリスマにひれ伏して、ぷっでぃ~んを持ってくるに違いない。 れみりゃはそうとでも考えたのか、余裕の笑みを浮かべはじめた。 しかし、そんな事が起こるはずもなく。 少年の一人が、怒りの形相でれみりゃへ向かい、拳を振り上げる。 ここに来て、ようやく危険を感じ取ったれみりゃは、本能に従って絶叫した。 「なんだと、この!」 「さくやぁぁーー! たすけてぇぇーーー!! ああああーーー!!」 さすがにこれはやりすぎだ。 距離を置いて見ていた主の人間は、そう判断して、すたすたとれみりゃ達の下へ歩いていく。 その際、主の人間は、物陰に隠れているフランの姿を見つけた。 おそらく、ひどいめにあっている姉の姿を楽しみつつも、適度なところで助けに入るつもりだったのだろう。 主の人間は、やれやれと心中で肩をすくめた。 フランは頭の良いゆっくりであり、事実その能力もゆっくりとしては最上級のものだが、 自分の力を過信しすぎてしまうのが困ったところだ。 本当の危険が迫った時には、いかにフランといえどどうすることも出来ないのだ。 現に、この少年3人の前にフランが現れたとしても、いざ喧嘩になってしまえばフランに勝ち目は無い。 後でちゃんと話そう。 主の人間がそう決めたと同時に、れみりゃが主を発見して希望の声をあげた。 「う、うぁ! お、おねぇーさんだどぉー♪」 泣き叫んでいたのも忘れ、あっという間に喜色満面になるれみりゃ。 一方、驚いたのは少年達だ。 「「「え?」」」 少年達は、れみりゃに接していたのとは異なり、すっかり萎縮してしまっている。 少年達にも、れみりゃが飼いゆっくりであるのは何となく理解できていた。 もし自分たちがいじめていたのを見られていたら。 もし、さらに電柱に巻き付けたのまで自分たちだと思われたら……。 目の前のお姉さんに、親に、先生に、しかられる光景……。 いやそれ以上に、せっかく勉強したのに受験に影響するかもしれない、 損害倍賞の裁判を起こされ支払いを命じられてしまうかもしれない……。 なまじさかしかったが故に、少年達は最悪のケースを連想して震え上がっていた。 「え、あの、ご、ごめんなさい」 「こいつ……じゃない、このゆっくり、お姉さんのものなんですか?」 萎縮する少年達に無かって、主の人間は微笑んだ。 ただし、目だけは笑わずに。冷たく見下ろす視線を心がけて。 「うん、確かに。そのれみりゃはボクの家族だよ」 少年達は、目の前の女の冷たい目と威圧感、それに"家族"という言葉に恐怖した。 そこから、どれだけ自分たちへ怒りを持っているかを察し、 このまま見過ごしてはくれないだろうことを覚悟した。 「うー♪ ばかなしょみんも、これでゆっくりわかったどぉー♪ でびぃーをこあいめにあわせたぶん、たっぷりおねぇーさんにいぢめられるがいいどぉー♪」 一方、れみりゃはすっかり調子に乗っていた。 「うー♪ これでようやくぐっすりできるどぉー♪」 フランに少年達に、自分を襲った理不尽な恐怖は取り払われた。 これでもう安心だと、れみりゃはすっかり気を抜いていた。 だから、突如お尻に走ったムズムズ感を押さえることもできなかった。 "ばっぶぅーーーー!" 驚いて少年達が振り向き、さらに一様に鼻を押さえる。 れみりゃは、豪快な放屁を放って、恥ずかしそうに赤面した。 「う~~♪ あんしんしたら、でちゃったどぉ~~♪」 どこか誇らしげな、れみりゃの笑顔。 その笑顔を見ているうちに、主の人間の中にふと芽生える感情があった。 「……ねぇ、みんな。最近このれみりゃ運動不足なんだ。良かったらもう少し遊んであげて」 何気なく放たれた、主の人間の言葉。 少年達は目を丸くし、れみりゃは耳を疑いながら冷たい肉汁の汗をダラダラ流した。 「う、うー?」 「でも、ひどいことしたらダメだよ! ボクの大切な家族なんだからね!」 主の人間は、それだけ言うと、れみりゃに背を向けてアパートの方へ歩いていく。 「お、おねぇーさん? おねぇーさんまつんだどぉー!!」 れみりゃは必死に叫ぶが、それが聞き入れられることはない。 主の人間の姿は、そのままアパートの自室へ消えていった。 その代わりに、れみりゃの視界に入ってきたのは、ニヤニヤと不気味に笑う少年達だった。 * * * 「うー、おねぇーさま、だいじょぶ?」 人間が部屋に入ると、窓からフランが入ってきた。 仕掛け人の割には、姉のれみりゃのことを心配してソワソワしている。 「大丈夫だよ。それより仕事までちゃんと寝といた方がいいよ?」 「うー、わかった」 人間は、フランの頭を撫でてやり、それから冷蔵庫を開けた。 そこからプリンを3個と、オレンジジュースの入ったペットボトルを取り出す。 それから風呂場へ行き、桶を持って出ると、 そこに冷蔵庫から取り出したものとタオルも入れ、短い廊下を歩いて玄関へ向かった。 扉の外からは、れみりゃの声が今も聞こえていた。 "おねぇーさんたすげでぇーー! ごぁいひとがいぢめるよぉぉーー!!" ああ、この声だったらきっと自分もすぐ起きられるんだろうな。 主の人間は、そんなことを思いつつ、玄関のドアを開けた。 おしまい。 ============================ 自分の憧れのライフスタイル(?)を書いてしまった結果がコレだよ! まぁ近所の子どもにいじめられていたら助けると思いますが。 たぶん、子ども相手に大人げなくマジギレしちゃうかもです; あと一部に特撮ネタが無駄に入っていますが、ご容赦を。 『仮面ライダーゆケイド』とか妄想してました。 by ティガれみりゃの人 ============================
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/229.html
前? 「う~?」 ゆっくりれみりゃがパチュリーに連れてこられたのは、今までの自分の家では無かった。 「お姉さんも、ここでいっしょにゆっくりしようね」 ゆっくり霊夢が言ったが、ここはもうゆっくり達の家でもない。 「あら、思ったほど酷くなかったわね。これなら意外と早く終わりそうね」 「じゃあ、さっさとやって頂戴。私はここ数日働きすぎて疲れたわ」 「何を言っているの? あんたにも手伝ってもらって、やっと意外と早くよ」 「むきゅーん」 そういって人形を使い家を直してくアリス。 彼女がこの家の主である。 「あぁ、でも人形のダメージは酷いわね。コレが終わったらいったん修理しないといけないわね」 ブツブツ言いながら、同じくブツブツ言っているパチュリーにアレコレ指示をする。 ちなみに、パチェリーのブツブツは、小悪魔早くこっちに来いだったりするが。 「お姉さん、わたしたちもてつだうよ!」 三匹が、何か仕事は無いものかと、ウズウズしながら話しかける。 「大丈夫よ。あなた達は外で遊んでいらっしゃい。ずっと檻の中に居たから、体が鈍ってるんじゃない?」 「いいの?」 「えぇ、良いわよ」 「やったぁ、まりさ、ぱちぇりー行こう」 「むきゅー」 「お姉さんゆっくりしてくるよ!!!」 ゆっくり魔理沙がアリスにそう話す。 元が単純なゆっくり種であるゆっくり魔理沙は、先ほどの会話で、アリスが優しくなったと思ったらしい。 その口調は、普通のゆっくりが人に向けるそれと同じであった。 「いってらっしゃい」 「イッテラシャィ」 「ラシャーイ」 笑顔で送り出すアリスとその人形達。 「お庭もひどいねー」 「あらしだったからだよ」 「ぱちぇりーはものしりだね」 「きょうはおともだちこないねー」 「「ねー」」 日が天辺まで昇った時、木陰を求めて、何時もの木の下で話す三匹。 ゆっくり魔理沙も、アリスが居なくなってからの暮らしと、何も変わっていない事に安堵する。 「う~♪」 玄関からした声は、庭に追い出されたゆっくりれみりゃの声だ。 「う~! ゆっくりゆっくり♪」 一昨日、加工場内で見たゆっくり達が忘れられなかったのだろう。 木陰で屯っている三匹を見て、とても嬉しそうにダンスを踊る。 「いっしょに来たゆっくりだね」 「にんげんみたいに、からだもあるね」 「きしょうしゅっていうんだよ」 「「ぱちゅりーはものしりだね!!!」」 「むきゅ~」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「う~~!!! ゆっくりしゅるしゅる!」 それから、四匹はいっしょになって遊んだ。 庭を駆け、一緒になって話をしている内に、日は森の木よりも低くなっていた。 家の修理もそろそろ終わるようだ。 「みんなー、修理は終わったわよ。そろそろ暗くなるから、入ってらっしゃい」 「「「はーい」」」 「うっう~」 四匹がドアに近づくよりも前に、ドアの前に一人の人影が立った。 「すいませーん。遅くなっちゃいました。もう修理は終わっちゃいましたか?」 小悪魔だ。 片手に持っている大きな紙袋は、荷物が入っているのだろう。 「小悪魔。あなた随分遅かったじゃない。外で様子でも見てたんじゃないの?」 「いいえー。そんなことないですよ。私は、パチュリーさまに使役される身ですから。主が必要としているなら、直ぐにでも駆けつけますよ」 「お姉さん、ずっと外に居たよ」 「れいむたちが、そとにでたときからいたよ」 「おそとでゆっくりしてたよ」 「う~♪」 「ちょ!! 止めてよ!! 折角直したんだから!!!」 それを聞いてスペルカードを使おうとするパチュリーを必死に止めるアリス。 「いえ、それは落としていった幻影のスペルカードがですね……」 必死に言い訳する小悪魔。 「ゆゆゆ!!」 「「ゆ~~♪」」 「うっう~♪」 面白そうに笑う四匹。 暗くなった外から見るそれは、とても幸福そうな生活の一ページに見えた。 翌日、数少ないゆっくりれみりゃの持ち物(主にきぐるみ)を置いて、パチュリーとその使い魔は帰っていった。 太陽が、地面から切離されたばかりの、まだ早朝と言ってもいいような時間。 今、この家で起きているのはアリスだけだ。 「さてと。それじゃあ、朝食の用意をしちゃいますか」 上海と蓬莱を起こし、朝食の用意に取り掛かるアリス。 二人で、必死に野菜を切る人形達。 そして、切った野菜を鍋に入れ、調理していくアリス。 クツクツと煮立つその鍋からは、食欲をそそる匂いが漏れている。 「うん! 上出来ね。二人とも、四匹を起こしてきて」 二人は頷いて台所から出る。 向かう先は、随分前から使っていなかった石造りの小屋。 二人が中に入ると、たっぷりと敷き詰められた藁の中で、三匹が気持ち良さそうに眠っていた。 外で寝ると言っていたので、アリスが急遽、藁をしいて寝室にしたのだ。 それまで、ベットやソファーの上で寝ることはあっても、専用の寝室がなかった三匹には、与えられた専用の寝室を非常に喜んでいた。 一方のれみりゃは、壁際で毛布に包まって眠っていた。 昨夜、仲良くなった三匹と一緒にこの部屋をみた直後、れみりゃだけは走って家の中に行ってしまった。 初めての寝室に興奮している三匹に、おやすみを言って家の中に入ったアリス達。 家に戻り、れみりゃを探すと、アリスの部屋のベッドで跳ねて遊んでいるところを見つけた。 「う~♪ ゆっくり!!!」 本人は、ゆっくりのつもりで遊んでいるのだろうその様子は、アリスを突き動かすには十分だった。 「ねぇ、れみりゃ。三匹はもう寝ちゃったわよ。一緒に寝ないのかしら?」 「ここでねりゅ~。べっど♪べっど♪」 加工場で床で寝ていた事はあっても、やはりベッドが恋しかったのだろう。 まして、あんなところで寝るなどということは、紅魔館ぐらしのれみりゃには考えられないことであった。 「ふーん。でもそこは私のベッドよ?」 「ん~ん。れみりゃの。ちかづくとた~べちゃうぞ~♪」 この時、ゆっくり魔理沙がいたならば気付いただろうが、今のアリスの目は何時もの、ゆっくりを見る目であった。 「せっかくお風呂にも入れてあげたのに。それでもまだそんなに図々しいなんてね」 つかつかと、無言で自分のベットに近づいていくアリス。 「きちゃだめ~♪ ぎゃお~♪ぎゃお~♪」 暖房を効かせた部屋と外の様な、二人の温度差はすさまじいものであった。 「た~べty!?」 かいじゅうの真似事をしているれみりゃに回し蹴り。 れみりゃは、衝撃をモロにくらって部屋の入り口に吹っ飛ぶ。 「うー。うー」 「コレは私のベッドよ? あんたはさっきの三匹と一緒に、あの中で眠るのよ。分かった?」 「うー。わがっだ。わがっだー!! うあ!!! ああ!!!」 れみりゃの返事も無視し、更に二三発蹴る。 とたんに、先ほどまで大泣きしていたれみりゃが大人しくなった。 「……あら、もう気絶しちゃったの?」 「本気で蹴り過ぎよ。あれじゃあ誰だって気絶するわよ。まぁ気持ちは分かるけど」 呆れた声で言うパチェリー、だが余程眠いのかしきりに目を擦っている。 「あんなのが私の部屋に入っただけで嫌気がするわ。小悪魔、コイツさっきの小屋に入れてきてくれるかしら」 同時に、シーツかと思う程つぶれた毛布が投げられる。 「人間らしく寝たがってたから、それでもかけてあげて」 「はい。分かりました、アリスさん」 アリスも疲れていたのだろう、後は小悪魔に任せて、自分も早々にベッドに潜っていった。 ―― そして、昨日のそれが引きがねになったのだろう。 アリスは早々に、れみりゃを最重要に、と人形たちに命じた。 魔理沙たちには余力でいい、とも言った。 その言葉の通り、眠っているれみりゃの顔面にパンチをして起こす上海。 「うー? うー?」 れみりゃの方は、何が起こったのか分からずおろおろしていたが、やがて何時ものように泣き出した。 さらに、自分が小汚い小屋の中で寝て言うことに気付いてまた泣き出す。 「どーしたの?」 「なんでないてるの」 「むきゅー」 その声で起き出した三匹、れみりゃが泣いているのが不思議なようだ。 「ォコシタラナィタノ」 「イエ、カワテサビシークナタノ」 「そっか~」 「れみりゃもゆっくりしようね!!!」 「しよおねー、……むきゅ」 懸命にゆっくりれみりゃを気遣う三匹。 れみりゃも、三匹に励まされだんだんと泣き止んだ。 「「今日もいっしょにゆっくりしようね!!!」」 「むきゅ~」 「う~♪」 大声で泣いたので目も覚めたのだろう、れみりゃは機嫌よく返事をする。 「ゴハンダァヨ」 「アサゴーハン」 人形達に引きつれらて家の中に入る、玄関から既に美味しそうな匂いが漂っていた。 「おねえさん、おはよー。おいしようなにおいだよ」 「おはよー。おなかへったよ、おねえさん」 「ごはん。ごはん」 「はいはい、どうぞ。」 トン。 軽い音と共に、パンとスープを人数分床に置くアリス。 それは、犬用の入れ物であった。 「テーブルの上は狭いから、ここで我慢してね」 たしかに、アリスの家のテーブルは狭い。 仮にゆっくりが三人のったら、それだけでいっぱいになってしまうだろう。 それを食事代わりにするのであれば、話は別だが。 「だいじょうぶだよ、お姉さん」 「魔理沙おねーさんがきたときもこうしてたべたよ」 「ごはん。ごはん」 ガツガツと、意地汚く食べる三匹。 以前の魔理沙なら、ここまで汚く食べていたら、すぐにアリスにイジメられていたが、一年という月日ですっかり忘れていた為、他のゆっくりと同じような食べ方に戻っていた。 それを見て、嫌悪感を感じているのではないかと思われたアリスだったが、それよりも、突然飛び出た魔理沙の名前に、一瞬頬を赤らめていた。 しかし、すぐにその熱は直ぐに冷めることとなった。 この三匹が、魔理沙を慕っているのが許せなかったからだ。 「う~? う~?」 その上このゆっくりれみりゃである。 以前、レミリアから散々コケにされていたアリスにとって、このゆっくりに出会えたことは幸せだった。 普通のれみりゃ種を相手にしたところでは晴れない。 しかし、この『元』レミリアであれば、その気持ちが晴らせるのだ、これ以上このれみりゃができる恩返しは無い。 「う~! ぱちぇ? こぁくま?」 そのれみりゃは、嘗て大事にしてくれた人の名前を叫びながら、キョロキョロと辺りを伺っている。 どうやら、パチェリーと小悪魔が見当たらないので騒いでいるらしい。 「あの二人ならもう帰ったわよ」 「っ!!」 その表情を見るたびに、体が小刻み震えていく事を感じるアリス、あのレミリアを自分が責めている。 それだけで、それだけで最高の興奮剤になり得た。 「ほら、パチュリーがあなたにって置いていったわ」 パチュリーが作っておいたプリンを差し出す。 とたんに、飛びつかんばかりの勢いでアリスの元に駆け寄るれみりゃ。 「う~♪ぷりんたべるたべる♪」 その表情でうかがい知れる。 どうやら、早くよこせといっている。 スプーンを両手に持って、椅子に座って待っている。 「どこに座っているの?」 「う~♪はやくちょうだい♪」 昨日のことを既に忘れたのか、それとも気絶して記憶が無いのか、アリスのどす黒い空気を全く気に止めないれみりゃ。 そのまま、笑顔でプリンを出す、バケツ一杯分もある大きなプリンだった。 「う~♪おっきいおっきい」 自分の顔ほどもある大きなプリンにご満悦のれみりゃ、彼女ならものの数分で平らげてしまうだろう。 「そのまえに、きちんとご飯をたべなさい」 スープとパンを三匹と同じ皿に装ってれみりゃの前にだすアリス。 「い~らない♪ ぷりん~ぷりん~♪」 元からお菓子しか食べないれみりゃは、聞く耳を持たない。ましてや、目の前に大きなプリンがある状態ではなおさらだった。 「そう、仕方ないわね」 いざ、スプーンを付けようとした瞬間に取り上げる。 当然、れみりゃは不満爆発だ。 「うー!れみりゃのぷりん!ぷりん!」 意に返さず、一人前だけを切り取ってれみりゃの前に出しなおす。 残ったプリンは三匹の前に出し。 「好き嫌いしたからよ。……さぁ、デザートのプリンよ」 食事に夢中で気が付かなかった三匹、突然出された大きなプリンにご満悦だ。 「すっげっ、でっけぇ!」 「うまい! うまいよお姉さん!!!」 「ごはん! ごはん! むきゅ~」 むしゃぶりつく三匹、対照的に自分のプリンと三匹のプリンを交互に見るれみりゃ。 急いで自分の分を食べ終える。 そして、その中に割り込もうとする。 「う~!」 しかし、既にプリンは無くなっていた。 れみりゃに限らず、お菓子はゆっくり達にとってご馳走のようだ。 「うーー」 「好き嫌いした方がわるいのよ。これからはきちんと食べなさい」 紅魔館ではお菓子しか出されなかったれみりゃは、アレは違う人の食事だと思っていたのだろう。 「うー!! いぎゃあ!!!!」 「そして、あそこは私の席よ。分かった?」 突き破らんばかりの蹴りを放ったアリスは、代わりの椅子を準備して自分も朝食を取った。 ―― 「おーいアリス、いるかぁ?」 「まっ魔理沙! いっ居るわよ」 朝食を終えて、人形達の修理でもしようかと思っていたアリスの家に、意外な来訪者がやってきた。 「まぁ、もう入ってるけどな。それにしても一日でここまで直すとはなぁ」 いつでもあんたを迎え入れるためよ、とは口が裂けても言えないアリス。 適当に相槌を打ってごまかした。 「あっ、魔理沙おねーさんだ」 「魔理沙おねーさん~いらっしゃい」 「ゆっくりしていってね」 「おお、元気だったか。あの嵐だったから心配したぜ。まぁアリスがいたんなら、大丈夫だろうけどな」 とたんにアリスの表情が曇る。 馴れ馴れしく魔理沙に話しかけるゆっくり達を見ているアリスの顔、それは先ほどと同じ感情だった。 「はは、そうだな。ところでアリス、これからちょっと出かけないか?」 「でっ、でかける! 何処へ?」 ひっそりとアリスに耳打ちする魔理沙。 当の本人は、昨日はきちんとお風呂に入ったか、寝癖はないか、そればかり考えていた。 「紅魔館さ、フランの奴がたまには運動したいって言うからな。お前もずっと図書館に篭ってただろ? 運動しないと体に毒だぜ」 「……ごめんなさい。今日はちょっと行けそうに無いわ。家に置いておいた人形の修理もあるから」 そうか、それじゃな、と言い残して出て行った声も、さよならと言った三匹の声も、既にアリスには届いていなかった。 また、他の人の所に行くのは別に良い、こうして誘ってくれたから。 でも、私より饅頭三匹を心配していたのが気に食わなかった。許せなかった。 「ねぇ、あなた達。私はこれから街に行ってくるから、魔理沙の所に遊びに行ってきたら?」 「まりさのところ?」 「いくいく!」 「そう、場所は分かる? えぇ、大丈夫。蓬莱に道案内を頼むわ」 「ホラーイ」 蓬莱人形に連れられて家を出る三匹、もう一匹はもたもたと何かをしているようだ。 「あなたは、何をしているの?」 「うー、がお~!がお~!」 どうやら、お気に入りのきぐるみを着て行きたいらしい。 「それなら、何日も着ていたから洗濯するわよ」 「うー! もうひとつだして! だして!」 代わりのきぐるみを出せと、駄々をこねるれみりゃ。 「これかしら?」 「う~♪はやくはやく」 良くやったと言わんばかりの顔をしているれみりゃの前で、きぐるみに朝のスープの残りをかける。 「う゛ー!」 ころころと表情が変わるれみりゃ、それを見て興奮するアリス。 「あらあら、これも洗濯しないとね。ダメじゃない、こぼさずに食べないと」 「う~! やってない! やってない!」 ブンブンと首を振って否定するれみりゃ。 「……その態度がムカツクのよね。いいわ、きぐるみを着せてあげる」 ちょっと待ってなさい、そう言いながら上着を脱がす。 ドロワーズ一枚になったゆっくりれみりゃを取り合えず庭に出しておく。 「そのこのきぐるみを乾かすまでちょっと待っててもらえるかしら」 「うん、いいよおねえさん。ゆっくりまってるよ!!!」 魔法を使えば直ぐ乾くが、あえて一時間ほど自然乾燥させてから魔法を使う。 傍から見ると何をしているのか分からないが、当の本人は酷く嬉しそうなので何か意味が有るのだろう。 「ほら、乾いたわよ。自分で着れるでしょ?」 「う~!きる~!」 ばしっとアリスの手から奪い取る、きぐるみが着れる事が嬉しいようで、ドロワーズの上から直接着ていることに気付いていない。 「がぁお~♪ た~べちゃ~うぞ♪」 「ゆっくりしてね!!!」 「おおこわいこわい」 「むきゅー」 三匹の元へ駆け寄っていくれみりゃ、これで全員準備はできたようだ。 「じゃぁ、きおつけていってらっしゃい」 「うん、ゆっくりしてくるよ!!!」 四匹を送り出したアリスも町へ向かった。 そこで、急遽製作した特製のゆっくり専用のセルフ販売ボックス設置する。 勿論、ゆっくり達の餌代対策であるが、思いのほか順調に事が運んでいる。 これは、なかなかいいビジネスかもしれない。 アリスはそう思っていた。 続き このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/975.html
ゆっくりいじめ系1119 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!1 ゆっくりいじめ系1128 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!2 ゆっくりいじめ系1131 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!3 ゆっくりいじめ系1156 お兄さんとドスれいむ ゆっくりいじめ系1168 鬼意屋敷殺人事件 ゆっくりいじめ系1191 どすの加工所 ゆっくりいじめ系1205 幻想樹の迷宮 ゆっくりいじめ系1206 幻想樹の迷宮Ⅱ ゆっくりいじめ系1245 徹夜でゆっくりしようぜ! ゆっくりいじめ系1266 徹夜でゆっくりしようぜ!2 ゆっくりいじめ系1281 地震 ゆっくりいじめ系1302 ゆーうーかい ゆっくりいじめ系1344 ゆーうーかい 解決編 ゆっくりいじめ系1345 ゆーうーかい番外編 ~ゆっくりプレイス~ ゆっくりいじめ系1362 ゆっくりパニック ゆっくりいじめ系1417 ゆっくりプレイスを求めて ゆっくりいじめ系1436 水上レース ゆっくりいじめ系1464 貴方にあったゆっくり ゆっくりいじめ系1503 雪だるま ゆっくりいじめ系1549 デモ活動 ゆっくりいじめ系1550 めーりん達のその後 ゆっくりいじめ系1586 プレゼント ゆっくりいじめ系1616 ドスの話? ゆっくりいじめ系1658 ゆっくり掘ってね!!! ゆっくりいじめ系1694 赤ちゃんれみりゃ ゆっくりいじめ系1776 ふらんちゃんウフフ ゆっくりいじめ系1801 虐待スキーなみんなへ ゆっくりいじめ系1822 片羽のれみりゃ ゆっくりいじめ系1859 帰省 ゆっくりいじめ系1901 哀しみを背負ったれいむ ゆっくりいじめ系1982 片羽のれみりゃ2 ゆっくりいじめ系1998 ゆっくり売ります ゆっくりいじめ系2040 うー競争 ゆっくりいじめ系2056 よくわかるグレムリン ゆっくりいじめ系2133 制限 ゆっくりいじめ系2221 立てこもってみた。 ゆっくりいじめ系2243 北斗と南 ゆっくりいじめ系2283 ゆっくりバスターvsうー!うー! ゆっくりいじめ系2452 ドスは死亡フラグ ゆっくりいじめ系2510 ツバメと雨 ゆっくりいじめ系2743 餡黒七ゆンギャック ゆっくりいじめ系2746 ゆっくりしていってね!!! ゆっくりいじめ小ネタ226 最近の日常? ゆっくりいじめ小ネタ275 まりサンタ? ゆっくりいじめ小ネタ285 白いれいむ? ゆっくりいじめ小ネタ317 エアバッグ? ゆっくりいじめ小ネタ330 ゆっくり海外デビュー? ゆっくりいじめ小ネタ338 チョコでも食ってろれいむ? ゆっくりいじめ小ネタ342 ラッピング? ゆっくりいじめ小ネタ398 キノコと馬とチルノと裏と? ゆっくりいじめ小ネタ410 ペットショップを眺めてたらお持ち帰りされちゃった!テヘ? ゆっくりいじめ小ネタ419 厚みのないゆっくり? ゆっくりいじめ小ネタ426 ゆっくりしてください? ゆっくりいじめ小ネタ440 見えない? ゆっくりいじめ小ネタ490 奇跡? ゆっくりいじめ小ネタ499 おうち大改造? ゆっくりいじめ小ネタ507 嘘つき!? ゆっくりいじめ小ネタ510 修羅の国?虐共巨希無ゆっくりいじめ小ネタ521 おお、かゆいかゆい?滅他無 ゆっくりいじめ小ネタ581 にとりとれみりゃとうつほ虐滅希ゆ ゆっくりいじめ小ネタ600 冷たい箱?虐無 ゆっくりれみりゃ系いじめ62 れみりゃをむーしゃむしゃー? ゆっくりれみりゃ系いじめ63 帽子のないれみりゃ? ゆっくりれみりゃ系いじめ64 サンタクロース?
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/330.html
ご注意 ※一部独自解釈を含みます。 ※今回はあまりゆっくりを虐待していません。 それでも宜しければ、お楽しみ頂ければ幸いです。 魔法の森からそう遠くないとある丘の一角に、人間の里を見下ろすように立つ屋敷 そこにはちょっと変った男と、ちょっと変ったゆっくり達が住んでいました。 そしてその屋敷の扉には、こう書かれた看板が下がっていました。 「ゆっくり改造工房 ここだけでしか手に入らないゆっくり、お作りいたします 品種改良から整形、改造、インテリア、能力強化まで」 マイスタ ゆっくり改造職人のお話 「ちんちーん」 一番鳥が鳴く声で男は目を覚ました。ゆっくり職人の朝は早い。 しかし何時聞いても酷い鳴き声だな……声の質自体は良いんだけれど。 ブツブツ呟きながら洗顔と支度を済ませて居間に下りると、既に彼の助手が食事の支度を終えた所だった。特徴的な耳がゆらゆら揺れている。 「あ、師匠、おはようございます」 「おはよう。あのゆっくり目覚ましの声、なんとかならないの?朝っぱらから卑猥なんですが」 「改造したの貴方でしょうに……ゆっくりみすちーなんか素材に使うからですよ」 「アイディアは良かったと思うんだけどなぁ」 苦笑する助手と漫才しつつ食事を取る。 「そういえば、この前作った試作型四足歩行まりさですが」 「おお、アレは跳躍行動を止めさせるのにえらく苦労したっけなぁ。行動半径が広がったから野外牧場に移してたが、どうだ調子は?」 「全員死んでました。機動力を生かして夜のうちに柵を飛び越えて逃げようとしてたはいいものの、着地を考えておらず 地面に激突して骨折した所をそのまま野生動物の餌になったようです」 「Oh…………」 食事が終わると、助手とともに多目的ゆっくり飼育場の様子を見に行く。 「むっきゅ~~!親方、おはようございますなの!」 「むっきゅ~~!今日もお仕事がんばりますなの!!」 「おはよう、もう他のゆっくり共の朝の餌やりは済んでいるな?じゃミーティング始めるぞ」 出迎えたのは10匹のゆっくりパチュリーだった。一般的にゆっくりパチュリーは体が弱い脆弱種となっているはずだが ここにいるパチュリーは全員が野生種の数倍体が大きく、血行の良いなんとも精悍な体つきをしている。 話す言葉も聡明であり、腰?には反抗的なゆっくりを制裁する為の警棒、帽子には彼女等の地位と権力を示すバッジがつけてあった。 彼女たちは男が、飼育所管理用に特別調教したエリート達である。 ゆっくり改造には、生きた状態の大量多種類のゆっくりが必要となる。 改造のメインボディーとなるゆっくりだけではなく、パーツ移植用、練習用、研究用に体質変化の為の飼料用など、膨大な数のゆっくりが使われるからだ。 それら全ての世話を、彼と助手だけで行うのは時間的に厳しく、かといって沢山人を雇う余裕も無い。 そこで考えたのが、ゆっくり種の中でも体は弱いが比較的頭がよく、雑務を命令するのに適したゆっくりぱちゅりーの教育であった。 まずは薬物と手術で強制的に巨大化、長命化させたゆっくりぱちゅりーを使い子供を大量に養殖、 そして生まれた数多の子供の中でも特に知性が高く従順なものを選び抜き、特別訓練を施す。 特別な栄養を与え、筋トレをさせ、ゆっくり飼育場に必要な多種多様の知識、特に他のゆっくり命令を出す為の帝王学を学習させる。 その中でノルマを達成すればよい食事を与え可愛がり、成績が悪ければ拷問を、命令に従わないものには死を与えることで、主人への一層の依存と忠誠心を植えつけた。 それが終わるといよいよ最終試験として、訓練済みぱちゅりー達を当時の収容所……もといゆっくり飼育場に放り込み、彼女等以外の全ゆっくりを完全に命令に従う状態にするよう命じた。 当然ゆっくりたちは猛然な反発をし、ぱちゅりー側にも相当な犠牲が出たが 訓練済みパチュリーたちは強い団結とナチス顔負けの恐怖政治で反対勢力を無力化し、とうとう飼育場を完全にその支配下に置くことに成功した。 こうして飼育場は修羅場を潜り抜けた歴戦のパチュリーたちによって管理され、労働力の問題はようやく解決されたのである。 「じゃぁ今日の仕事を伝えます。パチュリーA、B、Cは通常通り、部下と一緒に飼育場の清掃と給仕をお願い。 D、Eは農園の管理。最近野菜の数が合わないわよ、犯人を捕まえて見せしめで殺しなさい。適当に下手人を立ててもいいわよ。 F、Gは野外農場と家の周りの清掃。使う労働力は適当に見繕って。 Hは人体実験済みゆっくりの経過記録、Iはロボトミーれみりゃ軍団をつれて森の罠の回収に向かって頂戴 J、貴方は私と一緒に家内の清掃よ。 以上、解散!」 助手の掛け声とともに、パチュリーたちは一斉に持ち場に散っていった。 一通り飼育場を見て周ってから母屋に戻ると、助手が本日最初の依頼者を案内してきた。 見た目は40を過ぎた位の裕福そうな男。話を聞くと町の実業家だそうだ。 「それにしても珍しいですね。ゆっくり加工場にも永遠亭にも属さずに、個人でゆっくりの改造を行っているとは。」 「私は商売人でも研究者でも無く職人ですからね……まぁ半分は自己満足みたいなものです。 予算と時間さえ頂ければ、大抵のゆっくりは作って差し上げますよ。一体どのような改造をお望みですか?」 「それは……」 実業家氏は暫く口篭っていたが、やがて意を決したように言った。 「実は私の愛するゆっくりれみりゃの肉体を、できるだけ人間に近く改造したものが欲しいのです」 「HENTAI目的ですね。わかります。」 慎重に言葉を選んだ実業家の努力を、男は爽やかにブチ壊してくれた。 「い、いやわわたしは何も……」 「そう恥ずかしがることでもありません。実際人間タイプのゆっくりの改造を希望される方は、9割方性行為も視野に入れた愛玩が目的ですからね。 人として自然な欲求ですよ。比較的プラトニックなものから非常にサディスティックなものまで、その程度は様々ですが」 淡々と男は説明する。もっとも彼自身にはそういう趣味は無い。 だが彼のその言葉で、男性の心の殻は必要以上に破れてしまったようだ。 「そ、そうですよね!私は決してアブノーマルなんかじゃ無いですよね!それなのに世間一般の奴等はこぞってそういった趣味の人間を危険人物のように…… 大体少女愛や獣姦は太古から行われてきたことで、そのオルガズムは……」 「(うわ……地雷踏んじまったよ……)」 男の後悔をよそに実業家の熱弁は止まらない。そのまま10分近く演説を聴かされた所で、助手が盆を手に部屋に入ってきた。 「お茶をお持ちしました…………ごゆっくり」 「あ、こりゃどうも……」 罰の悪そうな表情で湯飲みを受け取る実業家。助手は笑顔で二人に一礼すると静かに部屋を出て行った。 「あはは、可愛い方ですな……ひょっとして奥さんですか?」 「ご冗談を、ただの助手ですよ。」 「……私達の会話、聞かれてましたかね?」 「多分」 気まずい空気を振り払うように、二人は改造仕様の具体的な協議に入った。 身長は原型のままでよいか? Aよい。ロリコンこそ正義 体型は? A歳相応に健康的に、だが胸は膨らみかけで 爪の移植は? A無くてよい。爪きりめどいし 髪の色は?顔の輪郭は?足の長さは?etc etc etc…… 大まかな注文が纏まると、男はそれを元に必要予算の見積りを出す。 提示された金額は、依頼者には払えぬほどでは無かったが、幻想郷の物価からすれば相当な高額であった。 「むぅ……少しお高いですな。」 苦言を呈す実業家に、男は反論する。 「お言葉ですが、ゆっくりというのは生物学的に見て、普段我々が思う以上にデリケートで予測困難な存在なのです。その施術の難しさは計り知れません。 単にゆっくりを切り刻み、肉体をくっつけるだけなら子供にでも出来ます。 しかし技術と欠いた手術は術後も傷跡が残ったり、施術した部分が歪んで再生したり、壊死したりと時間の経過につれて問題が噴出します。 そして何より、ゆっくりの潜在的な寿命を大きく縮めてしまうのです。 私が高額の料金を取るのも、そのような悲劇を防ぐ為に入念な下準備をおこない、最高の素材を用いた上で施術を行うからです」 「しかし、実際どの程度劇的な差ができるものかは……」 未だ渋い顔をしている実業家に、男は頷いて言った。 「まぁ言葉だけでは実感が沸かないとは思います……。では、サンプルをお見せしましょう おーい、キモ子!」 手を叩いて助手を呼ぶ。程なくして先程お茶を運んできた少女が、耳をピョコピョコ揺らしながらやってきた。 「お呼びですか師匠?あと次にその名前で呼んだらブン殴ります。Please call me レイセン, OK?」 「いや、かといってその名前は色んな意味で不味い気がするんだが……特に永夜ファン的に…… それはそうと、お客さんがお呼びだぞ」 「いや、私は人間型ゆっくりの改造サンプルを見せていただけると聞いただけで……」 困惑する実業家を前に、レイセンと名乗った少女は自分を指差すとニコニコ笑いながら言った 「でしたら、ここに。お疑いでしたら試しに触ってみてくださいな」 「いやいやいや(サワサワ)……ん(サワサワ)……え………うそぉん!!」 差し出された手を握ったまま、思わずのけぞった実業家を素早く支えつつ、男が話しかけた。 「はい、素晴らしいリアクションをありがとうございます!ええ、間違いなくゆっくりですよ。私の最高傑作です。 元々彼女は超特別製でしてね……迷いの竹林の奥深くにあるとされる永遠亭 そこでしか確認できない希少種『ゆっくりうどんげ』の中の、更なる突然変異『きもんげ』なのです。」 まだ口をパクパクさせている依頼者を横目に、男は説明を続ける。 「突然変異故、生まれつきゆっくりらしからぬ非常に高い知能を持っていたものの その顔面があまりにも、殺人的に、ウザくて不細工だった為に、仲間のゆっくりからも屋敷の住人からもひたすら嫌われ、いぢめられていました。 とうとう拷問の末処分されるというその一歩手前の所を、私が頼み込んで譲って貰ったのですよ。 それから半年程かけて、私の持っていた全ての知識と技術を投入し、整形手術を行い 見事『全米ブサイクな兎コンテスト』優勝候補だった彼女を、美少女として蘇らせることに成功したのです!」 苦笑いしている助手の肩に手をおいて、男は胸を張る。それは手塩にかけた自慢の娘を紹介する父親のようだった。 「しかし信じられない、どう見ても人間そのものだ……」 実業家の言うとおり、少女はどう見てもゆっくりには見えなかった。 身長も体型もゆっくりの胴長短足とは程遠いスレンダーなもの、そのくせ出ている所はしっかり出ている。 顔は睫毛から耳の形まで完全にモデルとなったであろう月兎の美少女を再現しており、実際に肌に触れてみない限り誰もゆっくりとは気付かなかったであろう。 「まぁ家一軒は余裕で建てられるほどの金を費やしましたので……素材も墓からにんg……ゲフンゲフン ともあれ、ダッチワイフもどきに金を捨てたと親族には罵られ、婚約者には逃げられましたが、結果には満足しています。」 苦笑する男、しかしその話を聞いた依頼者の態度は明らかに変わっていた。 「感動しました、貴方は男の夢の体現者だ!是非とも私にもその力をお貸し下さい、お願いします!!」 「解って頂けましたか。」 二人の男は堅い握手を交わし、その後つつがなく商談は成立した。 「……なお、体型等はなるべく其方の要望通りに作らせて頂きますが、顔についてはオリジナルに若干のアレンジを加えさせていただきます あまりに紅魔館の主そっくりに作ってしまいますと、万が一本人の目に留まった場合ほぼ確実に殺されますからね」 「なるほど……承知しました。」 実業家が帰ってしばらくしてやって来たのは、男が暮らす家の一つ隣にある村の村長だった。 「これは村長、いつもお世話になっております。今日はどういったご用件で?」 「いやー、実は……」 村長の話は次のようなものだった。 最近、村の畑をゆっくりの群れが徒党を組んで荒らすようになった。 これまでゆっくりの被害にあったことの無かったその村では、慌てて柵を作ったり罠を張ったりして対策を練ったが そのゆっくり達は長く生きて悪知恵に長けているのか、罠は看破するわ柵は地面を掘って進入するわでまるで効果が無いのだという。 しかも夜更けなど人が畑にいない時間を見計らって襲撃してくる。毎日畑に見張りを出すわけにもいかず、村人全員弱りきっているのだか。 「と、いうわけです。何か良いお知恵はありませんか」 「なるほど。それなら丁度良いモノを作っていた所です」 そう言って、男は村長を飼育場の方に案内した。 「あーー、にんげんだー、こんにちはーー」 「あそんでくれるんだねー、わかるよーー!」 「ゆっくりしていってねー」 村長が案内された飼育場の一角では、数匹のゆっくりちぇんが遊んでいた。 男達を見つけるとぴょんぴょんと飛び跳ね近づいてくる。 元々性格の良い個体が多いゆっくりちぇん種だが、ここで飼育されているちぇんは特に人間への警戒心が薄いようだった。 「ただのゆっくりちぇんじゃないですか……こいつらを番猫にしろとでも?」 「まぁ見ていて下さいな」 落胆する村長を尻目に、男はあるものをちぇんたちの前に放り投げた。 「ゆっ!」 それは一匹のゆっくり霊夢だった 柵の内側に投げ込まれたゆっくり霊夢。最初は男達に文句を言っていたがちぇんたちの姿を見ると笑顔になってすりよっていく。 「ゆっ!おともだちがいるよ!ゆっくりあそぼうね!!」 だが、その姿を見たゆっくりちぇんたちの取った行動は、彼女の期待とは真逆のものであった。 「ゆっ!てきがおちてきたよっ!」 「ころすんだね!わかるよわかるよーーっ!!」 「さっさとしね!むごたらしくしね!!」 突然表れたゆっくりれいむに対して、殺気をむき出しにするちぇんたち 先程まで優しい光をたたえていた双眸は、れいむを睨むと大型肉食獣のごとく吊り上がり 歯を剥き出しにした所を見ると、その口の中にはゆっくりちぇん種には似合わぬ凶悪な牙がズラリと並んでいる。 更には体をぶるぶると震わすと、刹那、その背中からは歪な翼が飛び出してきた。 「「「ゆっくりしねぇ!!!」」」 「どぼちてぇぇぇ!!!gbふぁa」 声をあげると、ちぇんたちは一斉に哀れなゆっくりれいむに飛びかかった。 牙で裂き、翼でえぐり、その体に似合わぬスピードで踏み潰す。 男達の目の前で、れいむはあっという間に原形を留めぬ汚いミンチとなっていった。 「これがわが工房の『高機動ちぇんF型』です。」 唖然としている村長を横目に、男は解説を入れる 「通常、ゆっくり同士の生体間移植は同種でしか成功しません。 種族ごとに、彼らの体を構成する『餡』が異なり、別種のものを入れても拒絶反応を起こして壊死してしまうからです。 しかし例外的に、彼らの皮膚や歯、羽や洋服といったいわゆる『皮』で出来た部分は、組成成分が近いせいか拒絶反応が少なく、移植が成功する場合があります。 これらのちぇんは、まだ拒絶反応が少ない幼少のうちに歯を全て引き抜き、代わってゆっくりふらんの歯と翼を移植したものです。 施術を施したものの多くは拒絶反応によって死にましたが、一部はこうやって生き残りました。 その後も、ゆっくりへの凶暴性を高めるために餌にゆっくりふらんの血肉を混ぜて与え続けたり 餓死寸前になるまで干しておいてから、徐々に他の生きたゆっくり種を餌として与えるなどして 最終的にこのような優秀なハンターとなるまで鍛え上げました。ゆっくり狩りには最適ではないでしょうか。」 その後も男は死亡率を下げるべく切開面を少なくしようといかに工夫したか、翼と背筋餡の接続にいかに苦労したかを延々と語り始めたが、村長は既に聞いていなかった。 呆然としてゆっくりちぇん達を眺める。先程まで殺戮に興じていたちぇんたちは、今は何事も無かったかのように嬉々として助手の少女と戯れていた。 「しかし聞いたところ、一匹のちぇんを強化するにはかなりの労力と費用がかかる様子 元々弱いゆっくりちぇんをわざわざ改造して強くするよりは、れみりゃ種を捕獲して番犬代わりに使った方が良いのでは?」 と、気を取り直して村長が疑問を呈す。 貴方は何も解っていない。魔改造したジムでビグザムの群れを殲滅できるようにするのが男のロマンでしょうが! と、男が独自の美学に基づいて反論しようとする前に、改造ちぇんを抱えてひょっこりと助手が顔を出した。 「それについては、私からご説明させて頂きます。 ゆっくりれみりゃは捕食者としては優秀ですが、いかんせんゆっくりの中では1,2位を争う頭の悪い種族。 散々苦労して仕事を覚えさせても、ある日突然蝶々を追いかけていなくなってしまった、などというのもよくある話です。 一方ゆっくりふらんはれみりゃほど知能は低くないもののプライドが高く躾が難しい、 下手に暴力で言うことを聞かせようとすれば、自殺してしまうことすらあります。 そして何よりこの2種は希少種です。最近養殖モノが出回り始めたとはいえ、未だに一匹辺りの値段は高い。 その点この改造ちぇんなら母体のゆっくりは安価に手に入りますし、移植する羽と翼は一匹のゆっくりふらんからいくらでも手に入ります。性格も良く躾も簡単。 忠誠心と有用性、コストパフォーマンスの全てを備えたこの改造ちぇんこそ、次世代を担う番犬ゆっくりなのです!」 相変らず良く回る口だと、村長に立て板に水のセールストークを続ける助手を見ながら、男は呆れ気味に思った。 助手に迎えてから解ったことだが、この元きもんげは金儲け関連の仕事をさせると抜群に上手い。 彼女に言わせると「人間が金儲けに関して抜けすぎているだけ」だそうだが、本人に商売の素質があることは間違いないだろう。半分詐欺まがいの商売を発案することもあるが…… 職人としてのこだわりから、しばし将来性や採算度外視の仕事に走る男と足して二で割って、丁度良くバランスが取れているといえる。 とか何やら男が考えているうちに、助手と村長の間では 村長の家で暫く試用期間を設けた上で、効果が認められれば村を代表して正式に購入する、という話が纏まったようだった。 「可愛がってあげて下さいね」と手渡された改造ちぇんを大切に胸に抱え、村長は村に帰っていった。 結局その日、新たに職人の下を訪ねてきた客は二人 一人は自分の飼っていたゆっくりが大きくなりすぎたので、餌代節約の為にサイズダウンさせて欲しいという男 もう一人はペット用ゆっくりアリスの避妊を依頼してきた業者で、ダンボール一杯に子アリスを詰めた物を置いていった。 「4件か……まぁ多い方かな。今日は準備だけに留めて、施術は明日から始めるとしよう」 「最近仕事もコンスタントに増えてきていい感じでんなぁ。スケベパワー様々や」 「……その似非方言は止めろと言っているだろ、関西人に失礼だ」 すみません、と助手は舌を出す。たまに偽関西弁が出るのも彼女に言わせると「きもんげの特性」だそうだ。 みっともないから男も注意し、本人も普段は注意しているのだが、たまに気を抜くとつい出てしまうのだとか。 そういえばこの前家計簿をつけさせたときも、札をカウントしながら 「どんだけ中身が薄くても、タイトルに東方ってつけて表紙どんげにすればアホがぎょーさん買うていく。笑いが止まらんわぐっへっへ」 とかなんとか言ってたが、あれは一体何のことだろうか。 「……まぁ、一番手間がかかる施術さえ元々生命力の高いゆっくりれみりゃの改造だ。失敗の可能性は薄いだろう。 コツさえ知っていれば誰にでも出来る、大工仕事だよ……たまには難易度の高いパチュリーの改造等をしてみたいねぇ。」 「そんなこと言っていますが、顔は笑っていますよ?」 美しい顔にニヤニヤ笑いを浮かべて助手は指摘する。この辺の性格は改造前とあまり変っていないな、と男は思った だがまぁその通りだ、なんだかんだと文句を言いつつ、自分は明日の仕事を楽しみにしている。 改造は、楽しい。 子供が粘土で「ぼくだけのかいじゅう」を作るように、男は自分の思うがままにでゆっくりに手を加える。 ゆっくりの命を切り貼りし、肉体を繋ぎ合わせ、醜い部分を削ぎ、綺麗な部品を加え、新たな生命として蘇らせる。 命を媒介にして行う粘土遊び。命を弄ぶ行為、神への冒涜と言われようと、これほど面白い遊びはこの世には無い。 安定した収入を捨て、これを生業に選らんだことで失ったものも多かったが、男は微塵も後悔してはいなかった。 「とりあえず俺はパチュリーどもと夜のミーティングを済ませてくる。お前jは明日使う器具と素材を準備してくれ。それが終わったら飯だ。」 「了解しました、師匠!」 助手と別れて飼育場に向かう男の目は、まるで明日は何をして遊ぼうかと考えている子供のように輝いていた。 後編に続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3917.html
fuku5629.txt『重箱の隅』の続きです。 豆れみりゃと二重人格お兄さん by ”ゆ虐の友”従業員 俺は豆れみりゃ一家の入った重箱を、家事の邪魔にならないよう台所の片隅に移動させる。 それから通常サイズのれみりゃの入ったガラス箱も、同じように移動させた。 そうした上で、その一角を手製の柵で囲い、さらに蚊帳を張ってれみりゃが勝手に飛び出ないようにする。 かつて、台所全体を我が物顔に飛び回っていたころからは想像もできないほどの都落ち―― 豆れみりゃ用のこーまかん(重箱)、通常れみりゃ用ガラス箱、それと豆れみりゃ数匹が踊れる程度の面積の床。 それが、俺がれみりゃ達に与えたあたらしい住処だ。 「こんなせまいとごろやだどぉー」 「おぞどにでだいどぉーー!!」 俺は通常れみりゃに、あることを言い聞かせた。 「これからは、お前がこのおちびちゃんたちをきちんと世話してやること。いいね」 通常れみりゃは豆れみりゃ達を見ると、元気よく頷く。 「わかったどぉ~!」 なかなかものわかりがいい。 「餌もすべてお前にまかせるからな、きちんとわけてあげるんだぞ」 「う~わかってるどぉ!おぜうさまはりっぱなおねーさまだどー」 * * * * それから数日が過ぎた。 「うっう~おちびぢゃんたち~ごはんだどぉ~」 「うー!」 「ぷっでぃんー!」 俺が通常れみりゃのガラス箱に与えた餌を、通常れみりゃはきちんと豆れみりゃ達に分け与えている。 親豆れみりゃはというと… 「おっきいおちびちゃんはぁ、いっぱいたべなきゃだめだどぉ!」 相変わらず子ども扱いされている。無理もない。通常種のれみりゃから見れば親豆れみりゃも子豆れみりゃも小さいことには 変わりないのだ。 「おぜうさまはまんまぁなの~!おちびちゃんじゃないどぉ~!」 おちびちゃん扱いされてぐずる親豆れみりゃだが、不承不承に餌の施しを受ける。 親豆れみりゃが泣こうがわめこうが、俺は通常れみりゃにしか餌を与えていないからだ。 「ぐやじいどぉー!でもおながずいだがらごはんたべるんだどぉー!」 「うー!でっかいおぜうさまのおうち、とってもえれがんとだどぉ~」 一匹の豆れみりゃが、通常れみりゃのガラス箱を見てそう言った。 今や、豆れみりゃだけに与えられた空間は”こーまかん”重箱と、数匹の豆れみりゃが踊ることができる程度の 床の広さしかない。 それに比べ、通常れみりゃのガラス箱は体に比例して大きく居住区全体の半分以上の場所を取っている。 新しいれみりゃ居住区はそれほどに狭いのだ。 通常れみりゃは胸を張って答える。 「おぜうさまのこーまかんだどぉー!えれがんとなのはあたりまえだっどぅ♪」 「おぜうさまたちのこーまかんのなんばいもおっきくてりっぱだどぉー」 他のれみりゃも追従する。 「ぴかぴかしてきれーだどぉー」 「いっぱいうーできるどぉー!」 気をよくした通常れみりゃ。 「そうだっどぉ!いいことかんがえたど♪ おちびちゃんたちぃ、おぜうさまのこーまかんのおちびちゃんになるどぉ♪ おぜうさまをまんまぁだとおもっていいどぉ~♪」 当然怒るのが親豆れみりゃだ。 「あうー!もうゆるざないどー!」 何倍も大きい通常れみりゃに飛びかかり、ぽかぽかと打ち据える。 「あう?おっきいおちびちゃん、おいたはだめだどぉ♪」 「うううーーー!!」 はっはっは、ぜんぜん相手にされてないでやんの。 と、そのとき、俺は脳の奥が疼くのを感じる。それは俺と”もうひとり”が人格交代する前兆だ。 「まったく、いいところで……」 しかし、考えようによってはむしろいいタイミングかもしれない。 この状況を見れば、俺が”もうひとり”の仕掛けたゲームに乗ったということは一目瞭然のはず。 ここから”もうひとり”がどうするのか。お手並み拝見といこう。 「あとは、任せた――」 次に戻ってくるのが楽しみだ。 * * * * ――数日して”戻ってくる”。 いつものように”もうひとり”が散らかした部屋を掃除すると、俺は台所へと向かった。 台所の隅のれみりゃ居住区の外観は変わっておらず、れみりゃの数や状態にも変化はない。 しかし、 「うあー!うあー!」 「まんまぁ~」 「うー!おぜうざまのおっきいおちびぢゃん~~」 「おぢびぢゃん~まんまぁをだずげでぇ~!!」 蚊帳で手狭に囲われた居住区の中で一匹のハエが親豆れみりゃを追い回している。 大きさからいえばいい勝負だが、鈍重なれみりゃと俊敏なハエでは勝負にならない。 すでにババくさい衣服はぼろぼろに食い破られ、ところどころから肉餡がはみ出ている。 「あっ、まんまぁのじゅうしゃだどぉー!まんまぁをはやくたすけるんだどぉー!!」 「まんまぁはつよいんだろう?ハエぐらいどうとでもなるんじゃないのか?」 「つべごべいわずにだずげなきゃだめなのーーー!!!」 親豆れみりゃは手をばたつかせてハエを追い払うが、すぐさまハエは舞い戻ってきてれみりゃに食らいつく。 「うんぎゃーー!!ぶんぶんいやだどぉーー!!」 俺は通常れみりゃにハエ叩きを握らせた。 「これでぶんぶんをやっつけるんだ」 「わかったどぉ!おっきいおちびちゃん、いまたすけるどぉーー!」 すっかり豆れみりゃを自分の所属物と思っている通常れみりゃである。発奮してハエを追い回し始める。 (やっぱりゆっくりしてるけど) 「いっくどぉー!」 大きく振りかぶって、べちん。 「いだいどぉぉぉぉ!!!」 思いっきりハエ叩きを振り下ろされた親豆れみりゃの悲鳴が上がった。 しかし、ハエはとっくに飛び立ってしまっている。 「うー!?おちびちゃんごめんだどぉ!こんどこそ……うー!」 「うっぎゃーーー!!」 「どーじでぶんぶんにげるんだどぉーー!ずるいどぉーー!」 「もうやだどぉーー!!」 「まんまぁ~!まんまぁ~!」 やると思ったぜ……期待通りだ、通常れみりゃ。 むきになってハエ叩きを振り回しながら親豆れみりゃを追い回す通常れみりゃ。子豆れみりゃはぴーぴーと泣きながら それをみまもることしかできない。 「びゃぶぅぅぅ!!!」 「またしっぱいだどぉ!だけどだいじょうぶだどぉ♪」 何が大丈夫なのかわからないが、大した自信だ。 「つぎこそほんとーにまちがいなくほんきのふるぱわーでぇ、いちげきひっさつだどぉ! おねーさまに、お☆ま☆か☆せ☆だっどぉ♪」 「いだいのやぁぁぁぁ!!!!」 * * * * 「さて」 通常れみりゃからハエ叩きを奪い取り、ハエを始末してやる。 すでに親豆れみりゃは全身打撲状態で、虫食いよりもハエ叩きのダメージの方が深刻というありさまだ。 通常れみりゃはというと、悪びれる様子もなく親豆れみりゃをなでている。 「う~おっきいおぢびちゃんごめんだどぉ。でもでもぉ、けっかよければすべてよしだっどぉ♪」 「ぜんぜんよぐないどぉぉぉぉぉ!!!ぞれにおぜうざまはおちびちゃんじゃないどぉぉぉ!!! でっかいおぜうざまなんがぎらいだどぉぉぉぉぉ!!!!」 「これからどうしたものか……」 思案するが、すでに十分痛めつけられたれみりゃをどうするか判断に迷う。 「あう?おふろだどぉ♪きもちいいどぉー♪」 とりあえず鍋にお湯にを入れ、そこに親豆れみりゃを入れてみた。通常種のゆっくりに与えるオレンジジュースとやらの代わりだ。 ひょっとしたら出汁が取れるかもしれないしな…… そのまま火にかけ、ことこと煮込む。 「あう~?ひかげんがあつすぎるどぉ!きのきかないじゅうしゃだどぉ!もっとぬるくするどぉ~」 蓋の下から何か声がするが、気にしない気にしない。 「~♪~♪~♪」 「あぢゅいぃぃぃぃぃ!!!!!!」 「本当に、これからどうしよう……」 折角”もうひとり”がいるのだから、たまには手抜きもいいかもしれないという結論に達した。 れみりゃ居住区を区切っている蚊帳を広げ、れみりゃ達の行動可能な空間を倍ほどに広げてやる。 「うっうー!ごーじゃすだっどぉ~」 「ひろびろ~だっどぉ~!」 早速うれしそうに飛び回る豆れみりゃ。 ほんの少し前まで、この台所すべてを勝手気ままに飛んでいたのだが……そんなことはもう忘れているのかもしれない。 通常れみりゃの方は、このぐらいの空間ではまだ飛ぶには手狭なようで、床に座り込んで豆れみりゃ達を応援している。 「うーみんなかわいいどぉ♪とってもえれがんとだどぉ♪」 ひとしきり飛び回った後、豆れみりゃ達は床に降り立って踊り始めた。 どうせならここで邪魔してやりたいところだが、今日は安息日だ。 (命拾いしたな……) 「うっうーうあうあ☆」 「じょーずだどぉー!」 「うあ☆うあ☆」 「せくしぃだどぉー!」 こんなときばかり手際のいいことに、順番に列を抜けて声援を送る役に回っている。 「……」 通常れみりゃが音頭を取り、手足をばたばた、翼をぱたぱた。 「れみ☆りゃ☆」 「しびれるどぉー!」 「う……」 「しゃおらぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 その瞬間、俺は沸かせていたお湯を蚊帳の向こうへぶち撒けていた。 「うびぃぃぃぃぃ!!??」 「あうあーーー!!」 「まんまぁ~!まんまぁ~!」 「あ、ご、ごめ、つい」 まったく無意識に体が動いていた。 そうか、何で湯なんか沸かせていたのか自分でも不思議だったんだが、こういうことだったのか。 「大変だ、大変だ」 俺はいそいそと床を拭き始めた。 「それじゃあ、俺は一旦出て行くからゆっくりしていってね!」 「うー!ばいばいだどぉ!もうもどってこなくていいどぉー!」 「ぽーいだどぉー!どっかいっちゃえだどぉー!」 「そういうなって。俺がいなくなったら、お前ら飢え死にだぞ☆」 「とっととでていくどぉー!」 「わかったよ、ばいばい」 俺はそっと引き戸を引く。……少し待ってまた開ける。顔だけを出して、 「ゆっくりしていってね!」 「うざいどぉぉぉぉぉぉ!!!!」 もう一回。 「……ゆっくりしていってね!」 「ゆっぐぢでぎないどぉぉぉぉ!!!!」 * * * * しばらくして台所へ戻る。 「うーおなかすいだどぉ~」 「ぷっでぃんー」 いつものようにわめくれみりゃ達に餌を用意する。 「安息日、安息日……」 そうだ、今日は特別に親豆れみりゃにも餌をくれてやろう。結果については責任持たないけど。 「うっうー!おぜうさまのかり☆すまにやっときづいたんだっどぅ? と☆く☆べ☆つ☆にゆるしてやるんだどぉ♪もうわるいことをしてはだめだどぉ♪」 重ねて言うが、結果については特に責任持たない。それに”もうひとり”が俺のあとを引き継いでどうするかは なおさら知ったことじゃないのだが…まあ安息日だしな、いい気にさせておいてやろう。 俺から餌を得た親豆れみりゃは、両手にそれを抱えて子れみりゃのもとへと飛ぶ。 「うっうー!まんまぁがでぃなーをもってきたどぉー♪おちびちゃんたちいっぱいたべてえれがんとにそだつんだどぉ♪」 威信回復をかけて、目いっぱい餌を抱えてきた親豆れみりゃだが、子豆れみりゃたちの反応は今ひとつ。 「うー?」 「おぜうさまはおっきいおぜうさまからもらうからいらないどぉ?」 「どーじでーー!!!???」 (尺が違うんだよ) 親豆れみりゃが一生懸命に餌を抱えたところで、その量はたかが知れている。 それよりも通常れみりゃ用の――豆れみりゃには巨大な――皿に群がって餌を食む方が手っ取り早いのは当然だ。 それに、長い習慣づけによって『おっきいおぜうさま=ごはんをくれる』という風に記憶が上書きされているのだろう。 「まんまぁがまんまぁなのーーーー!!!」 * * * * それからまた”もうひとり”と交代し、戻ってくると、何やられみりゃ居住区にみょんな植物がしげっている。 百日紅(さるすべり)のようにつるつるとした幹。枝からはまばらに葉が茂り、いたるところに棘が生えている。 れみりゃ達はそれに絡まって遊んでいるように見えたのだが、 「いだいどぉーー!!」 「だじでーー!だじでーー!」 「?」 居間の机の上に紙切れが置いてあった。 「何々……?」 <カザリガリノキ カザリガリノキは、ゆっくりの髪飾りを取るよう開発された植物です。 庭に植えるなどして防ゆっくりにどうぞ。 棘があり、外部からの刺激によってオジギソウのような就眠運動を誘発します。お手を触れる際にはご注意ください> 「世の中にはいろいろなものがあるものだなぁ……」 俺は感心した。 そういうことなら。俺は早速台所へもどって観察を始める。 「いぢゃいぃ~~!!」 「だずげでぇ~まんまぁ~」 子豆れみりゃはすっかり枝と枝の間に入り込んでしまっている。出ようとしても翼や手足が枝のどこかしらにひっかかり、 その度に枝はよじれて豆れみりゃを刺す。 今やいっぱしの虐待お兄さんとなった俺には、こうなった経緯が容易に想像できた。 「えれがんとないんてりあだどぉー!」 「おぜうさまがじきじきにたんっけんしてあげるどぉ~!」 意気揚々と、生い茂るカザリガリノキの突っ込んでいく豆れみりゃ。しかし豆れみりゃに触れられ動き出した木に捕らわれ、 そのうちにれみりゃが大事にしているお帽子を取られてしまう。 「おぜうさまのおぼうしかえすんだどぉー!」 「かえさないとたーべちゃーうどー!」 腹を立てた豆れみりゃ達は、茂みのより奥へと進んで行き―― 「どーじででられないんだどぉーー!!??」 そして現在にいたる、と。 「じゅうしゃー!なんとかずるんだどぉー!」 俺は適当に返事をする。 「自分でしなさい、まんまぁでしょ」 「うー!そうだどぉ!まんまぁがいまたすけてあげるどぉー! うっうー!」 こいつら本当に面白いな。 「うー!……あう?」 先ほどの俺の想像通りに木に突っ込み、絡まってもがく親豆れみりゃを見て俺は心からそう思ったのだった…… 「だれが~!!まんまぁをだずげでぇ~!!」 * * * * それにしても、最近床が汚れてきたな…… もちろん台所のこちら側は俺が掃除している。問題なのはれみりゃ居住区の床である。 「自分のこーまかんは、自分できれいになさい」 俺はれみりゃ達に布きれをやり、そう言い渡す。 「う~?なにばかなこといってるんだどぉ~?」 「おそうじはぁ、じゅうしゃのしごとだどぉ☆」 「あ、そ。 お兄さんは言うこと聞かない子にはご飯あげないよ?」 「そんなのめっだどぉー」 それから最初の食事の時間が来た。 「うっうー!おぜうさまはおなかがすいたどぉ♪」 「ぷっでぃーんはやくぅ☆」 昨日までと同じくそう命令してくるが、無視。 「おながずいだどぉー!!」 「ぷっでぃんたべたいどぉー!!」 れみりゃ達はその次の食事にも、そのまた次の食事にもありつけなかった。 うおんうおん泣くその声がいくらか鬼気迫ってきた。それでも掃除に取り掛かる気配はない。 こちらとしては一匹生き残れば繁殖させられるのだから譲歩するつもりはない。全滅という一線を越えなければいいだけなのだ。 三日目に入って、通常れみりゃが布切れを使って自分のガラス箱をのろのろと掃除し始める。 しかし、やはり気が進まないようですぐに投げ出してしまう。 「う゛ーづまんないどぉー!」 「そろそろ昼飯だどー……じゃなかった、昼飯だぞー。お掃除終わらさないとご飯抜きだぞー」 「ううー!」 俺の言葉で、ようやく豆れみりゃどもも通常れみりゃを真似て掃除を始める。 「うー!ごんなのえれがんとじゃないどぉー」 「づがれだどぉー!!」 飛び回るには狭くとも、むらなく拭くのには広すぎる空間だ。しかもれみりゃ達は統率を図るでもなく、 それぞれ思うがままに動いて頭をぶつけ合ったりしている。 俺は料理に取り掛かった。今日は豪勢に肉饂飩だ。 「えれがんとならんちだどぉー!」 「はやくたべたいどぉー♪」 どうやら飯にありつくつもりらしい。今までの流れでどうやったらそう思えるのか、不思議でならない。 「いいにおいだどぉー」 「……」 深く考えるのも馬鹿らしい。俺は気にせず料理に集中しよう。 近所の猟師からもらった肉を取り出し、普段はあまり使わない香辛料類もふんだんに使って調理を進めていく。 俺が葱を切る包丁の音が、れみりゃ達の物音をかき消して台所に響く。 「うっうー!まちきれないどー!」 「はやくつくってほしーどぉ-!」 「……」 「よし、完成だ!」 テーレッテー 「奥義・肉煮込み饂飩みそ風」 品名の前に奥義を付けたことにより味わいと風格がそなわり最強に見える。 「はやくはやくぅ、おぜうさまにちょーだいだどぉー!」 「おなかすいたどぉー!」 何だ、早速いただこうと思ったのに麺が延びてしまうじゃないか。 俺は一応床を一瞥するが、もちろん掃除が終わっているはずもない。 「お前ら、掃除、終わってない、以上」 簡潔に切って捨て、居間へと向かう。 「あうーー!!やだどぉーーー!!」 「おなかぺこぺこだどぉぉぉぉぉ!!!」 俺は少し考えたあと、丼を持ったまま台所へ戻る。 「あう!」 「いじわるしないで、はやくたべさせるどぉー!」 「いや、俺ここで食うことにしただけなんだけど。何勘違いしてるの?馬鹿なの?死ぬの? ……うっめ!これめっちゃうっめ!」 「あうーーー!!!!」 半ば錯乱状態なのか、仰向けになってごろごろ転がりだすものまでいる。いいぞもっとやれ。 「しばらく、料理に凝ってみようかね……」 俺はやけに美味く感じる饂飩をすすりながら、そう思ったのだった。 END □ ■ □ ■ ”もうひとり”視点からとか、野生で生活したら?とかは書ききれないのでいったん締め。 豆れみりゃは初心者向けな一方ダイナミックないじめができないので結構ストレスなのぜ…… ぬるいじめ用ゆっくりってことで。 読了ありがとうございました。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/578.html
※ゆっくり達が食べ物を食べる必要がなくてゆっくり光合成するだけで栄養を得られる、ゆっくり間に捕食種は存在しないみんな仲良し、 ゆっくりれみりゃがこわがり、ゆっくりアリスが強姦魔ではないなどのあまり使われない設定が多いですので注意してください。 ※また、俺設定がありますので注意してください。 「おめぇ!!めっちゃおめぇ!!」 必死なのに悲壮感を感じさせない悲鳴を上げているのはゆっくりれいむだった。 れいむは木の下に釣り針で逆さにつるされて引っ掛けられていた。その周りには子供達が数人と、 子供達に向かって体当たりを繰り返すゆっくりまりさがいた。 ここは人間の里のすぐそばにある森の中、あまり木々が密集していないので、日の光が存分にあたり、空気が澄んでいる。 ここは里に近いためか、妖怪がほとんど出没しない。けれども、妖怪に代わりゆっくりと呼ばれる生き物が出没していた。 ゆっくり達はゆっくりとしていけば生きていける。何をすることもない動く饅頭。そんなゆっくり達は人間にあまり近づかない。 人間を怖がっていた。それなのに人間の、特に子供達はそんなゆっくりたちを、例えるならば蛙や虫のように面白半分に弄んで殺す。 「ゆっくりしていってね」という不似合いで間抜けな反応と豊かな表情が、 虐めたときゾクゾクと子供達の加虐心を満たしていたためであった。 「ゆっくりやめてね!れいむをはなしてね!!」 まりさは必死に仲間を助けようと子供達に体当たりを繰り返す。 けれども饅頭ごときの強度では人間の子供にすら満足なダメージを与えることはできなかった。 「言われたとおりゆっくりするよ。俺達が満足するまでね。」 「ねぇねぇ、石を投げて的にしようよ~。あ、爆竹を口の中に突っ込むのもおもしろそうだよ。」 「さんせ~、どっちにしようか」 子供達はそんなまりさを存在しないかのように扱い木に吊るされているれいむをどうやっていたぶるか考えていた。 子供の残酷性は、被害者の都合など考えはしない。 「れいむはまりさのおともだちだよ!すっごくいいこなんだよ!!」 まりさは何度も何度も子供達に向かっていく。まりさはこの晴れた日ほんの少し前まで友達のれいむと一緒にピクニックをしていた。 小鳥のぴぃぴぃと鳴く声、ひらひらと花に向かってまう蝶々、ぽかぽかと暖かい空気、お日様に当たってきらきら輝く木々の緑。 友達のれいむと一緒にゆっくりするのはとっても楽しかった。ゆっくり過ぎていく時間。 それもすでに過去の事、今は目の前で友達のれいむが苛められていた。 まりさは助けたかった。なんとしてでも助けたかった。けれども、まりさの体当たりはまったく効果がなかった。 それどころか、攻撃の矛先はまりさに向くことになった。 「ゆっくりゆっくりうるさいなぁ、お前から先に苛めてやろうか。」 「じゃあさ、ちょっと俺にやらせてよ。さっきからこいつ何回もぶつかってきてうざったいんだ。 俺あまりゆっくりをシンプルにいたぶった事ないからさ。」 「さんせ~、もう一匹の子は動けないから、お友達が苛められるのをゆっくり見せるんだね。」 子供達はそんなまりさの気持ちがわからなかった。子供の中の一人が地面に転がっている木の棒を拾うと、まりさに向かって打ちつけた。 ぱしり、ぱしり、べしっ、べしっ。そこにはまったく同情や、手加減など存在しなかった。 「いだい!い゛たいよ!どうじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!!」 「まりざっ!まりざぁっっっ!!はやぐゆっぐりやめでよぉぉぉぉ!!」 「ん~、いい声で鳴くなあこいつら。少しワンパターンだけど、やっぱりいい声するや。発音の変化がいいね。濁音がついて。」 「次僕ね。そうだ。動けなくなったらとどめはスイカ割りみたいにしようよ。それで餡子はみんなで分けよう。」 「さんせ~、苛めた後のゆっくりっておいしいんだよね。」 「ゆっ、ゆぐ・・・・・れいむぅ・・・・・・にげてぇ・・・・・・・」 「まりざぁ・・・・もういいよ・・・・・まりざだげでもにげでよぉぉぉぉ・・・・・・・」 まりさは打ち付けられながらもれいむの事を考えていた。いつも一緒だったれいむ。赤ちゃんのころから一緒に遊んだ。 おうたも、おどりも、いつもれいむと一緒にやっていた。れいむは意外と負けず嫌いだった。何回か喧嘩したこともある。 まりさから謝ったときも、れいむから謝ったときも、一緒に謝ったときもある。 まりさが冬に寒くて死にそうだったときに、れいむは巣に入ってきて寄り添って暖めてくれた。れいむのほっぺたは温かかった。 まりさはうれしくて泣いてしまった。背中を向けて涙を見せないようにした。でも、きっとれいむはわかっていた。 犬に食べられそうだったときに友達のゆっくりを呼んで助けてくれたこともあった。あのときの気持ちは言葉にできなかった。 まりさはもうほとんど動けない。このままだったら死んでしまうだろう。だけど、自分が死んだられいむはどうなっちゃうんだろう。 せめてれいむだけでもゆっくりして欲しかった。 だれでもいい。 だれか、 だれかたすけて。 「何やってんだぁ、糞餓鬼ども」 そのとき、何者かが日の光をさえぎり地面に大きな影が映った。まるで、目の前にいきなり山ができたような気がした。 まりさがそちらに眼を向けると、本当に山のような大男が鬼のような形相をして仁王立ちしていた。 その肩には藁がたくさんかかっている。 「弱いものいじめはするなって親に習わなかったべか。え゛ぇっ!!何も悪いことをしていないのに、 そんなことをするのかお前らは・・・・。お前らみたいな悪い子は同じ目にあわせてやろうがぁ!!」 男は子供達に詰め寄ると、一人ひとりにお仕置きをした。いや、それはお仕置きなどという生易しいものではなかった。 大男は控えめに見ても2mは超えていた。そんな男が子供達に向かって、何のためらいもなく拳を振りかぶっていた。 「痛いなぁ!何すんだよ!これって虐待だぞ!!いでぇ!何度もたたくなって!っぐぇ! えぐっ!ごばっ!ごめんなさい!ごべんなざい!だだがないで!も゛うやめでぇ!!へげっ!」 「うぎぎいぃい、離せ、離せよぉっ!!・・・・・・・・・・ちょっ高いって・・・やめて、 離さないで、はなさないでぇ・・・・・・・・・・・・はな・・・ぐぇっ!!」 「虐待はんた~、あべしっ!!」 子供たちが脱兎の如く逃げて行く。それを見逃した大男の顔はどこか辛そうだった。 そこで大男はれいむの方に目を向ける。まりさは焦った。 自分達がまったくかなわなかった子供達でもあんなにぼろぼろになるまで痛めつけられたのだ。 まりさがかなうはずもない。まりさは涙を流してがたがたと震えていた。もうだめだ。逃げられない。 「ゆぅぅっ!?ゆっくりできるよ!」 大男はれいむに優しく手をかけると、引っ掛かっていた釣り針をはずして地面に置き去った。 その顔はまるで仏のように穏やかであった。次にまりさに向かって近づいてくると、ひょいと抱えて、 霊夢の隣に置いた。大男は優しい声で 「大丈夫か。いやぁ、死んじゃわなくてよかったべ。ひどいものだぁよまったぐ。悪い子にはおしおぎをしてやらないどなぁ。」 れいむとまりさはきょとんとしていた。 目の前の優しいおじさんがさっきまで子供達を何度も殴り飛ばしていた人と同じ人とは思えなかった。 「本当にごめんなぁ。お前達は何もしないでただゆっくりしているだけなんだもんなぁ。お前達はいい子だよ。 いつか人間達と一緒にゆっくりできる日が来るといいな。」 れいむ達は大男の雰囲気から、彼が自分達を助けてくれたことを理解した。 彼がいなかったら自分達は両方とも死んでいただろう。二匹はとても感謝した。 「たすけてくれてありがとう!!」 「おじさん、ありがとう!おれいするよ!!おれいするよ!!」 けれども、大男は照れくさそうな顔をすると、 「せっかくだけど、ゆっくりしている暇はないだ。これからやることが残ってるから。まぁた今度ゆっくりさせてもらうよ。」 そういうと大男は去っていった。彼はまるでヒーローのようだった。 翌日になった。まりさはあの大きなおじさんのことが忘れられなかった。今までゆっくりの仲間達は人間の子供に苛められていた。 色々ひどいことをされてきた。中にはまりさたちが昨日受けたことがまるで遊びのように思えるようなこともある。 そんな中、自分とれいむを助けてくれたヒーロー。人間がみんなあんな人達だったら、 人間とゆっくりが一緒に仲良くできるかもしれない。そう考えていた。 そう、まりさは人間と仲良くする方法を考えていた。あの時よくわかった。このままだったら、 いつ人間にゆっくりさせてもらえなくなるかわからない。それなら、人間と仲良くできればいい。 ゆっくりの仲間達はみんないい子。みんなのことをよく知ってもらえたらいいなと思っていた。 何かいい方法はないかなと思っていると、空からゆっくりれみりゃがゆっくりアリスをつれて飛んできた。 れみりゃが空のお散歩に連れて行ったところらしい。アリスは誰も見ていないからと思って、うれしそうにはしゃいでいた。 誰かの前では決してあのような顔をしない。 「う~♪う~♪たべちゃうぞ~♪」 「ゆっゆ~~♪、ゆっくり~~♪」 れみりゃはとてもご機嫌だった。アリスもうれしそうに歌っている。 けれども悲しいことに、アリスのその歌声は、あまり聴けた代物ではなかった。 そうだ、あの子達に相談しよう。まりさは思い立ち、二匹を呼び止める。 「ありす~!れみりゃ~!ゆっくりしようよ~!!」 「ゆうゆうゆゆ゛ゆゆう゛ゆうゆyyluuulury」 「う゛~!う゛ぁ゛~~~!!」 アリスはいきなり呼び止められたことで動揺してしまった。 しかも相手は彼女がライバル意識をしているまりさだった。気持ちよく歌っていたところに突然だったので、 驚きのあまりぶるぶると震えて声にならない叫びを上げる。そのまま落下しそうになるのを慌ててれみりゃが支える。 危うくつぶれ饅頭が出来上がってしまうところだった。 「なんのようなのよ!つまらないことならゆっくりしないわよ!」 「いないいない・・・う~♪」 「ゆっくりしていってね!!れみりゃ!アリス!」 アリスは何事もなかったかのように振舞うと、まりさのまえに着地した。 まりさは二匹に向かって挨拶をすると、すぐに本題を切り出した。まりさはアリスとはよく喧嘩する。 しかしそのためか、あまり他のゆっくりには言えないことも言える仲である。 まりさは、人間と仲良くする方法を探していることを言った。アリスは頭がいい。 きっと何かいいことを考えてくれるはずだと信じていた。 「にんげんとなかよくなるほうほうねぇ・・・・。って、あんたばかぁ!あたまにあんこでもつまっているんじゃないの!」 「ゆぅぅ!?あんこがはいっているのはありすもじゃない!まりさはしんけんだよ!なにかしらない?ゆっくりおしえてよ!」 「ありすはかすたーどよ!あんこなんかといっしょにしないでよ!!それににんげんってはなしがつうじないのよ! いきなりつぶされたおともだちもおおいの!むりよ!ぜったいむり!」 慌てて否定するアリス。以前何か嫌なことでもあったのであろうか。けれどもまりさは引き下がらなかった。 みんなにゆっくりしてもらいたい。幸せになってもらいたい。まりさはみんなのことが大好きだった。 だから、頑張る。考える。相談する。 「おねがい!ありすならなにかいいことしっているでしょ!まりさはありすにおべんきょうでかったことないもん! うたではいっかいもまけてないけど!」 「いちいちよけいよ!!」 「うぅ~、ありすこぁい・・・・・」 れみりゃは少し遠くで怖がっていた。軽くアリスが怒鳴っているくらいで怯えるとは、臆病なところがあったものである。 結局まりさの熱意に押し負けたのか、アリスはまりさの手伝いをすることになった。 アリスは人間に対して仲良くなりたいなら、人間のことを知ればいいと思った。 そこで人間の本をたくさん持っているゆっくりぱちゅりーの家に遊びに行くことになった。 ぱちゅりーの家は木のうろの中にできていて、人間の絵本がたくさん入っていた。 「ぱちゅり~、あそびにきたよ~、ゆっくりしてい~い!」 「むきゅ、ほんをもっていかないでね。ゆっくりしていってね。」 まりさはぱちゅりーの家からいろいろな絵本を読んだ。文字は難しいので読めなかったけど、絵だけならお話がわかる。 しばらくして、まりさはいい方法が載っていた本を見つけた。 《泣いた赤鬼》 昔々あるところに赤鬼と青鬼がいました。鬼達は人間にとても怖がられていました。 赤鬼はじつはとっても寂しがりや。いつも人間と仲良くしたいと思っていました。 ある日親友の青鬼が人間の里で悪さをしました。そんな青鬼を退治する赤鬼。青鬼はどこかに去ってしまいました。 人間に英雄として仲間にしてもらえた赤鬼。赤鬼は全てが終わった後に気がつきました。 そう、青鬼は赤鬼をみんなにいい子だということを伝えるためにわざと悪さをして、退治されたのでした。 それを知った赤鬼は、二度と友達に会えなくなることに涙しました。 めでたし、めでたし。 まりさはこれだと思った。これなら、人間にもわかってもらえる。 だけど、このことをれいむやアリスに言うと反対されそうだから黙っていた。 アリスとぱちゅりーにはいい方法が載った本は見つからなかったということにした。 まりさはこの本の結末のような未来を思い描く。青鬼は自分がなろう。かけっこなら誰にも負けたことがない。自分なら逃げられる。 赤鬼はれいむにやってもらおう。れいむならすぐにまりさを止めてくれるはずだ。 でも、このことを話したられいむはあぶないからやめてというだろうから黙っていよう。 まりさは後の事を考えず都合のいい妄想にふけっていた。 だが、まりさは青鬼になる決意を決めることはできなかった。 餡子の詰まった頭でも、妄想の興奮が冷めた後にゆっくり考えればわかることだった。 青鬼になるということは、みんなとお別れすることになる。 今までずっと一緒にいたれいむとも、素直じゃないアリスとも、怖がりなれみりゃとも、 あまり動かないぱちゅりーとも二度と会えない。会っているところを人間に見られると、 みんなが悪い子の仲間だと思われてつぶされてしまう。それがすごく怖かった。 それに、まりさは死にたくなかった。まりさは青鬼のように強くない。悪さをするということは、 人間達に立ち向かうということになる。そのときにつかまったら、今度こそ殺されてしまうだろう。 いや、殺されるだけだったらいいけど、ゆっくり時間をかけて痛めつけられたらどうなるだろう。まりさはとても怖かった。 一日、二日と時間が経っていく。段々とまりさの決心が鈍ってくる。 あれから何も起こっていないんだからまりさが何かしなくても大丈夫じゃないかな。 ああやって人間に虐められることはもうない。あれは本当にたまたま。 きっと人間の子はもう二度と来ない。 だったらまりさが何かする必要はない。 みんなとゆっくりしていってもいいんだ。 そう思っていた。 しかし現実は餡子のように甘くなかった。 まりさは結局青鬼になることになった。赤鬼になってもらうれいむの赤いリボンはとてもきれいだった。 中編 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2636.html
豆れみりゃとこうまかん 35KB 虐待-普通 観察 家族崩壊 親子喧嘩 姉妹物 赤ゆ 子ゆ 捕食種 透明な箱 現代 うんしー ぺにまむ おうち観察もの(?)です。3,2,1ファイアー! ※作中に登場するれみりゃは全て豆れみりゃです。 れみりゃには屋敷がある。 それはそれは立派な屋敷である。 カーペットはふっかふか。壁はとても頑丈。おちびちゃん10人が寝られる雄大な寝室。 常にあまあまを欠かさない立派な食糧庫。そしてなんと豪華三階建て! こんな恵まれたれみりゃは世界で、自分とおちびちゃんたちだけ! れみりゃは信じて疑わない。だってこんなに楽しいんだから! 昨日もうーうー、今日もうーうー、そして明日もみんなでうーうー! いつでも素敵なこうまかん! では、れみりゃの優雅でかりすまでしんぐるまざーな一日をさっとごらんあれ。 朝、れみりゃは瀟洒な声をきいて目を覚ます。 「おぜうさまー!おきてくださいー!おぜうさまー!」 「むにゅむにゅ・・・あと5じかんなんだどー・・・」 「おぜうさまー!にどねってれべるじゃねぇぞ!!!」 「!!!おっ、おきるんだどー!?」 れみりゃは瀟洒な声を聞いて、目を覚ます。 れみりゃの寝室は2階。3階は子供達の寝室や遊び場でいっぱいだし、1階は食料庫や食堂などで十分に使われているからです。 2階であることに別に不満はない。2階には【だんすほーる】があるため、おちびちゃんたちの世話が終わった後、 ひっそりとひとりでエレガントでかりすまなだんすを踊ることが出来るからです。 (きょうもおねんねするまえに、いっぱいいっぱいおどっちゃうんだどぉ~♪) さくやのたすけを借りて、おべべをきる。れみりゃは胴つきのゆっくりなのに、とても不器用。 ボタンをつけることが出来ない。だから、しゃがんでさくやにやってもらう。さくやは胴無しのゆっくりなのに、とても器用。 だから、おべべをすいすい着れちゃう。さぁ、『せれう゛りぃてぃ』な朝食のために、もう少し頑張りましょう。 階段をゆっくり下りたら、ババァーーーンと豪華な食堂だ! かりすまなれみりゃ達はいつもここで、でりしゃすぅな食事を営んでいる。 ほっぺが堕ちるあまあまのために、もうひと頑張り。扉をあけると、そこには立派なお庭さんが。 お庭さんのちょうど中心に不思議な井戸がある。あまあまじゅーすの井戸だ。 さくやが見つけたものだが、胴無しであるさくやには使用できないため、れみりゃが使います。 まず、玄関に置いてあるれみりゃの身長の半分くらいの大きな樽(上部が開いたまま)の乗ったすぃーをれみりゃが操作します。 すぃーを井戸に横付けしたら、井戸を動かしてあまあまじゅーすを樽の中に汲み上げる。 れみりゃは井戸のポンプを押す作業に疲れ「もうつかれたんだどー、やめるんだどー」 と何度も断念してしまうが、その度にさくやに 「おぜうさま!おぜうさまのおこさまのれみりゃさまがおきてしまいますよ!」 言われて、なんとか無事あまあまじゅーすを手に入れます。 すぃーを操って、あまあまじゅーすを食堂の中心におく。 次にあまあま(れいむやまりさ)やかりかりさん、ぷでぃんなどがある食糧庫から朝のメニューをさくやと協力してテーブルに乗っけます。 あぁ・・・、なんてかりすまでりしゃすぅなでぃなーなんだろうと、感心するれみりゃ。 「おぜうさま、おちびさまたちをおこしてきますね」 「うっ、うーっ!りょうかいだどー!!!」 さくやは三階へ上り、れみりゃのおちびちゃん達を起こします。 れみりゃと同じく、子供達も寝起きがよろしくないですねぇ。 うーうーうーうー唸ったり、寝言をぎゃーぎゃー叫んだり、挙句に屁をこき、やりたい放題。 でも、一匹がさくやに付いたあまあまのにおいを嗅ぎつけて、 「ぷっでぃ~ん!れみりゃのだいしゅきなぷっでぃ~ん!」 などといい始めると、次々と食欲に負けたれみりゃたちがぱっちりと目を覚まします。 全員おきたところで、さくやが瀟洒な合図を出してみんなで揃って食堂に。仲良くみんなで朝ごはん。 食堂に着いたら、即、席に座る。もうあまあまは調理されてテーブルに置かれている。「ゆ゛・・・ゆ゛・・・」と息のよさそうな音がする。 「みんないるのかだどー?」 「みゃんみゃー!れみぃたちはいるどー!」×10 こうまかんの一階にステレオボイスがこだまする。みんなにこにこ。しあわせーって感じですね。 「じゃぁみんなでかりすまなでぃなーにするんだどー!」 「うー!」×10 朝ごはんだからブレックファーストなんだけどね。れみりゃは朝でも昼でも深夜でも食事のことをでぃなーと言います。 食事という行為そのものを指して、でぃなーと言っているのかもしれません。 おのおの自分達のペースであまあまを頬張っていく。飴細工の髪の毛を毟ったり、でろりと飛び出ている舌をギリギリと引っ張って遊んだり、 両目を抉って、頬いっぱいにおめめを詰め込んだり。捕食種の本能の赴くままに、瀕死のあまあまたちを蹂躙し、貪っていきます。 「う゛っ!!!」ジタバタジタバタ 一匹の子れみりゃがまりさのおぼうしをのどに詰まらせたようである。苦しそうにもがいております。顔色も心なしか青ざめて見えます。 「おちびちゃん、あまあまじゅーすをのむんだど~!!」 れみりゃは即座に子れみりゃを、食堂の真ん中で堂々としている樽に近づける。 さくやがどこからともなく現れて、子れみりゃにながーいストローを渡す。 「ちゅーちゅーするんだどー!!!」 子れみりゃは急いでストローを樽のなかに突っ込む。 「う゛、う゛ー!!ちゅーる、ちゅーる・・・あまあまでりしゃすなんだど~!!!」 どうやら事なきを得たようである。母れみりゃ、さくや、姉妹達もほっとしています。 「おちびちゃんきおつけるんだど~!あまあまはよくかんでたべないとかりすまがなくなっちゃうんだどー!」 「わかったんだどー!これからはきおつけるんだど~!みゃみゃ、さくや、ありがとうなんだどー!」 「いえいえ、しょうしゃですから」 食べるのが遅い子も、逆にさっさと食べて姉妹とおしゃべりをしている子も、 あまあまを食べた後はみんな例外なくおべべが汚い。餡子や饅頭皮が飛び散って、顔もあんよもどっろどろ。 だから、あまあま食べた後にはみんなで揃ってお風呂へGO! お風呂は一階の玄関の近く。お庭で遊んだ後やでぃなーを食べた後にすぐに利用できるためなのです。 ぞろぞろとお風呂へと連なって進む子れみりゃたち。脱衣所ではもたくそもたくそと服を脱ごうと努力している。 姉妹に手伝ってもらったり、さくやにやってもらったりしてなんとかおべべを脱いだ子れみりゃ達は 姉妹全員で入っても大丈夫なビックなお風呂の中にさぁダイブ!!けどあんまり深くないからちょっと頭をぶつけたり・・・。 はしゃぎすぎるのも良くないね!気をつけよう。お風呂に入る前には体を洗うべきなんだけど、れみりゃたちにはそんな風習は ありません。その代わりとして、今お風呂のなかにはスポンジがぷかぷかと浮いています。 一匹の子れみりゃがスポンジを取り、隣にいたれみりゃにこう言います。 「ごーしごーしするんだど~!!!ごーしーごーし!!」 れみりゃの体をスポンジでこすり始めました。最初は背中、次は肩、そしてつぎはお腹と次々とれみりゃをきれいにしていきます。 それを見ていたほかの姉妹達も、 「れみぃもごーしごーしするんだど~!」と言って体のこすりっこをはじめました。さくやと母れみりゃはそれを微笑ましく眺めています。 「うー・・・おまたさんなんだかきもちいいんだど~・・・」 「うー!!!もっとやってあげるんだどー!!!ごーしごーし!!!」 おや、なにやらおかしなことを始めた子達がいるようです。これは早い春の訪れでしょうか? 擦られているほうのれみりゃは顔が上気し始めていて、こすっているれみりゃの方もなんだかはぁはぁと荒い息遣いをしています。 これを見ていた母れみりゃ。すかさず彼女らの元へ舞い上がって・・・ 「なにやってるんだどー!!!そんなかりすまじゃないことはやめるんだどー!!!めっめなんだどー!!!」 烈火のごとく叱りました。れみりゃ種のアイデンティティであるかりすまを利用した効果的な叱り方です。 「う゛ー!がりずまじゃないどやなんだどー!!!」 「ごべんなざいなんだどー!」 子れみりゃ達も反省したようです。 「さすが、おぜうさま!かりすまなしかりかたですわ!」 お風呂が終わってみんなさっぱり。さくやにおべべを着るのを手伝ってもらった後は、三階に行ってみんなで わいわい楽しく遊びます。ボールを蹴飛ばし追いかけて遊ぶれみりゃもいれば、ごろごろと寝そべって転がっているれみりゃもいる。 おにごっこをしているれみりゃもいれば、積み木に興じているれみりゃもいます。 「かくれんぼするかりすま、このゆびとまるんだどー!」 一匹の子れみりゃが一本指を高々とあげ、いくさんのポーズをする。暇そうにしていた子れみりゃ5匹が集まってきました。 「じゃあ3かいさんだけでかくれるんだどー!」 「りょうかいだどー」×5 「じゃあかぞえるんだどー。いーち、にー、さーん、たくさんだどー!」 さすがゆっくり。3より大きい数は数えられません。 しかし、そんなわずかな時間しか与えられていないにもかかわらず、子れみりゃたちは隠れていました。 きょろきょろとする子れみりゃ。かりすまなセンサーを全開にして姉妹を探します。 すると、おもちゃ箱の隣で、しゃがみガードをしている姉妹がいるではありませんか。 かりすまオーラをフルに発散して、 「れみりゃ、みつけたどー!」といいます。 見つけられた子れみりゃは子れみりゃで「れみぃのかりすまがあふれてたからみつかっちゃったんだどー」なんて言ってます。 最初の発見で調子をつかんだのか、ベットの中、積み木の山の中、母れみりゃのスカートの中と次々と姉妹を見つけていきました。 「うー。いまみつけたのはいち、に、さん、たくさん!みんないるんだどー!!!」 本当はあと一匹見つけないと行けないのですが、れみりゃが数を数えられない以上かくれんぼはここでお開きです。 最後の一匹はどこに行ったのでしょう?それはわかりません。でもこうまかんではよくあることなので気にしないで結構です。 「おなかがすいたんだどー。でぃなーにするんだどー!」 「「「「うー」」」」 食堂では既にお昼ご飯が配られていました。朝のあまあまとは打って変わって、かりかりさんがお昼のでぃなー。 れみりゃはあまあまが大好きで、一般的にはそれほどゆっくりフードなどを好みません。そのれみりゃが何故? さくやと母れみりゃの方針により、かりすまでせくしーなれでいになるために健康的なゆっくりフードのかりかりさんを食べることにしたのです。 子れみりゃたちからしてみれば毎回あまあまを食べたいと思うでしょうが、かりすまなれでいになりたいので、ぐっと我慢して食べます。 でもやっぱりかりかりさんだけだど味気ないので、あまあまじゅーすを朝の倍以上飲んでいきます。 かりかりさんを食べてもおべべやお顔はあまり汚れないのでお風呂には入りません。一度くつろいだら、母れみりゃが子れみりゃたちに声をかけて、 「おちびちゃんたち、だんすのおじかんなんだどー!2かいにあつまるんだどー!」ダンスパーティーの準備をします。 一方でさくやは「おゆはん、おゆはん」と本当のディナーの準備のためにとても忙しそうです。 2階のダンスホールに子れみりゃたちを集めた母れみりゃ。子れみりゃ達を3つのグループに分けます。 一つはシンバルやカスタネットを使ってダンスのBGMを奏でる『おんがくたい』 一つはだどだど言葉でダンスに合わせてみんなでおうたを合唱する『せいかたい』 最後は音楽やおうたにあわせて自らの思うかりすまを体で表現する『だんすたい』 もちろんだんすたいがいちばんの人気だけど、割り振りは母れみりゃの手に委ねられているので、自分がやりたい所に行けるかは分からないのです。 おそらく何匹かそういった子れみりゃはいるのでしょう。しかし、彼女らはそれを口に出しません。 いつかまんまに選ばれて、まんまに認められて自分のやりたいことをやろうと固い決意を秘めているのです。 各々が持ち場に着いたら、さぁ、楽しいダンスの時間です! おんがくたいがシンバルとカスタネットでリズムを刻みます。当然のようにタイミングはバラバラなのですが、れみりゃたちは気が付きません。 音楽がある程度の時間流れたらせいかたいは、かりすまな歌詞を歌いだします。 当たり前のようにメロディーと歌があっていませんが、れみりゃたちは気が付きません。自分達ではベストな歌い出しだと思っているのでしょう。 歌が最初のサビに差し掛かったら、だんすたいは踊りだします。おしりをフリフリ、おててをフリフリ、ついでにあたまもフーリフリ! 誰一人周りとあわせようとせず、誰一人として音楽を聴いちゃいませんが、れみりゃ達は一切気にしておりません。 みんなの汗が飛び散る頃にダンスパーティーはやっと終わりました。ずっと見ていた母れみりゃは 「そこのおちびちゃん、きょうはたまたまだんすをやってもらったけど、なかなかうまかったからあしたもやってみるんだどー」 「まんまほんとなのかなんだどー?!れみぃはとってもうれしいんだどー!!」 など、それぞれの動きっぷりを評価して、みんなに伝えていきました。で、なんやかんややっていると、もう夕方です。 れみりゃたちは動き疲れてへとへとなのではやくでぃなーが食べたいのです。できればとってもあまあまなでぃなーが。 そんな希望を知ってかしらずか、瀟洒なメイドは最高のおゆはんを用意しました。 食堂に行ってみると、なんとそこにあったのは、正真正銘のぷっでぃん。れみりゃの誰もがあこがれる最高の料理ぷっでぃん。 それがなんとれみりゃ達全員分用意されているではありませんか。これはもはや狂喜乱舞するほかありません。 先ほどのダンスの疲れも忘れて踊りだす子れみりゃもいます。しかし大半のれみりゃは即座に席に座って、でぃなーのぷっでぃんを 両手で貪り食い漁ります。顔面にカラメルをベトベトと絡ませ、おべべに溶けるようなぷっでぃんのカケラを染み込ませ、 おぜうさまのぷらいどなんて一ミクロンもありはしねぇと言わんばかりにぷっでぃんを貪ります。 「あまあまでりしゃすぅ~!」 「ほめてつかわすんだど~さくやぁ~!」 「うーうー!うまうまなんだどー!」 「こぜうさまがたがよろこんでいただけてなによりですわ」 「う゛ーれみぃはもっとだべたいんだどー!!!」 「おちびちゃんもうないんだどー。またあしたたべられるからがまんするんだどー」 「う゛ーそんなこといったらあまあまもかりかりさんもぽーいっするどー!!」 「そういうこというおちびちゃんはもけーれにたべられちゃうんだどー!!!」 「もけーれごわいどー!!!」 やっぱりおべべと体がドロドロに汚れたれみりゃ達は、お風呂に入ります。 朝一度怒られた子れみりゃ達は再びペアになってこすりあいをしておりますが、いまのところ怪しい動きはありません。反省したのでしょうか?? 相変わらずさくやにお手伝いしてもらっておべべを着るれみりゃ。れみりゃたちが入浴しているわずかな時間にお洗濯を終えるさくや。 実はとっても瀟洒でかっこいいゆっくりなんです。 お風呂が終わったら、3階の寝室でおねんねです。母れみりゃの子守唄を聞いてみんな静かに眠ります。 天使みたいな寝顔です。本当によく眠りますね。子れみりゃが寝るのを見届けたら母れみりゃも2階の寝室で眠ります。 ベットに入って考えるのは、突然いなくなった父れみりゃのことばかり。相思相愛、周りに祝福されながらの夫婦生活。 訳もなくいきなり父れみりゃがいなくなるはずがない。そう信じていました。確信は持てないが、いつもあまあまやぷっでぃんを 食糧庫に用意しているのは父れみりゃである。その思いだけが父れみりゃと母れみりゃをつなぐ最後の糸でした。 皆が寝静まったことを確認した瀟洒なメイド長。そっと食堂からお外に出ます。 「みなさまおやすみなさい。ではゆっくりしていってくださいね・・・クスッ」 母れみりゃは夢を見ていた。夕日を背に父れみりゃと追いかけっこをしている夢だ。 つかまえてーといわんばかりに駆け回る母れみりゃ。もっと追いかけっこを楽しみたいのでゆっくり走る父れみりゃ。 アツアツで実に幸せそうな夢である。しかし、夢の中で少しでも早く父れみりゃが母れみりゃに追いついていれば、 現実はもう少し違ったものになっていたかもしれない。 今現在庭先はアッツアツに燃えているのだから。れみりゃたちは誰一人として気づいていないが、メラメラとお庭は激しく燃えている。 今日はいろいろな出来事があったため、なかなか眠れない子れみりゃが数多くいた。お風呂で怒られた2匹もそうである。 彼女達はあの時の感触が忘れられず、今もこすりあっこをしているのだ。それもスポンジを使わずに素手で。 「うー・・・きもちいいんだどー・・・」 「れみぃもなんだどー・・・」ムクッ 「れみりゃ、ぺにぺにがたってるんだどー!!!」 「ほんとだどー!れみぃおっきしてるんだどー!!」 2匹は顔を見合わせ、アツく見つめあう。 「れみぃはすっきりーしたいんだど・・・」 「でもすっきりーはかりすまじゃないってまんまがいってたんだどー・・・」 「れみぃはもうがまんできないんだどー・・・ぼうそうきかんしゃとーますなんだどー・・・」 「れみぃもなんだどー・・・。も、もうだめなんだどー!!!」ガバッ 子れみりゃたちはお風呂の中で絡み合う。初めてのすっきりーは姉妹同士でお風呂場とかなかなかレベルが高いことをやってくれる。 あまりにもエロ漫画にありそうなシチュエーションにもしれみりゃでなかったなら興奮せざる終えない。 将来が楽しみなものだ。ぺにぺにを姉妹のまむまむに挿入し、一心不乱に腰を振る。この瞬間において世界は2匹だけであった。 腰と腰を打ち付けあう音が、水のはねる音で打ち消される。ピストンのスピードをドンドン速めていき、訳も分からないうちに絶頂を迎える。 「「す・・・、すっきりぃぃぃぃぃぃーーー!!!!!!」」 子種を放った直後、被弾した方の子れみりゃのお腹が少し膨らむ。にんっしんだ。新たな命の誕生である。 初めて精を思いっきり放った余韻を感じながら、わが子の誕生を喜ぶ子れみりゃ達。お互いのことを抱きしめ合おうとしたそのとき、 振り上げた両の手がぼとりと崩れ落ちた。あまりにも非現実的な出来事に2匹は現実を受け入れられないで静止している。 「「う・・・・?」」 「「れみぃのおででがぁぁぁぁ!!!!どぼじでなんだどぉぉぉぉ!!!」」 胴付きゆっくりは胴無しゆっくりに比べてはるかに水に強い。 このれみりゃ達のように2、30分くらい入浴するぐらいではビクともしないのである。では、なぜこのような事態がおきたのか? 答えは明確。先ほどの火事である。すっきりーっに夢中だった子れみりゃ達は気が付いていなかったが、今現在、庭で起きた火事は、 こうまかんにも移っており、現在風呂場は絶賛燃焼中なのである。もちろんお風呂のお湯も例外ではなく、 今現在の水温は既に80℃近くに達している。いくら水に強い胴つきであろうと、厚い饅頭皮を持とうと、ゆっくりに この温度の熱湯に耐えられる性能などはありはしない。ぐつぐつと美味しそうに煮込まれるだけである。 「うぎゃぁぁぁぁぁ!!!おででがぁぁぁあんよがぁぁぁ!!!」 「せなかさんれみぃにくっつくんだどぉぉぉぉぉ!!じゃないとぐんぐにるずるんだどぉぉぉぉ!!!!」 あっという間にぼろぼろと崩れ落ちていく子れみりゃ達。さっきのしあわせそうな姿はいずこへか。 「れみりゃぁぁぁ!!!れみぃをたすけるんだどぉぉぉぉ!!!」 「なにをいってるんだどぉぉぉ!!!れみぃのことをたすけなきゃいけないにきまってるんだどぉぉぉ!!!」 れみぃれみぃうるさいが、れみぃとは自分の事を指す。要するにとりあえず自分だけが助かればいいといっているのだろうか? 「れみぃはかりすまなんだどぉぉ!!!れみぃをたすけるのはとうぜんなんだどぉぉぉ!!!」 「れみぃはおぜうさまなんだどぉぉ!!れみぃがまずたすかるんだどぉぉ!!!おまえはしんでればいいんだどぉぉ!!!」 「う゛ぅぅぅぅぅ!!!!おばえがじねぇぇぇぇぇ!!!!」 「う゛ぁぁぁぁぁ!!!!おばえごぞじねぇぇぇぇ!!!!」 「じねぇぇ!!」「じねぇぇ!!!」「う゛ぅぅじねぇぇぇ!!!」「どっどどじねぇぇぇぇ!!!!ぶざいぐがぁぁぁ!!!」 「「う゛わ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!じねぇぇぇ!!!!!!!」」 姿かたちの通り醜く罵りあう2匹。だが、体の半分が崩れ、死へのカウントダウンが始まりだすと、弱気になり、 信じるものへの救済を願い始めた。 「ま゛んま゛ぁぁぁぁぁぁだずげでぇぇぇぇ!!!!!!いだいよ゛ぉぉぉぉ!!!!!」 「ざぐやぁぁぁぁぁだずげろぉぉぉぉ!!!じゅうじゃはおぜうざばをだずげるんだどぉぉぉ!!!」 ゾンビのような姿で死に物狂いで助けを請う子れみりゃ達。しかしここは夜のお風呂場。近づくものなどいやしない。 欲におぼれた結果がこれだよ!!! 「う゛・・・う゛・・・う゛あ゛う゛あ゛ぁぁぁ・・・。」 「・・・・・・」 もう一匹は既に事切れたようである。赤ちゃんを身ごもったほうはまだかろうじて息があるようだ。 赤ちゃんれみりゃがいたはずの腹であった部分をぼーっとながめ、 「れみぃのあがぢゃん・・・かりずまぶりでぃーなあがじゃん・・・」 恨めしそうに一言残してグチャグチャに崩れ、正真正銘の肉団子となっていった。 お風呂は燃え上がり、美味しそうな肉汁の香りがするだけである。 2匹のれみりゃが息絶えるほんの少し前。1匹の子れみりゃがこっそりと食糧庫の中に入っていた。 夕食でごねたれみりゃだ。ぷっでぃんがよほど食べたかったのだろうか、我慢できずに食糧を漁っていた。 普段は鍵のかかっているはずの食糧庫だが、この日に限って開いていた。これ幸いとあまあまを貪ったり、かりかりさんをぽーいして遊ぶ子れみりゃ。 「まずいかりかりさんは、ぽーいなんだどぉ~♪」 「あまあまはおとなしくれみぃにたべられるんだどぉ!こうえいにおもうんだどー!」 鬼のいぬ間に何とやらということわざのごとく、やりたい放題の子れみりゃである。 ところで、母れみりゃとさくやは、なぜこの食糧庫を立ち入り禁止にしたのだろうか。これには2つ訳がある。 一つはこの子れみりゃのようにおちびちゃんたちが節操なくでぃなーをするのを防ぐため。 このような行為は決してかりすまといえる行為ではないし、豚みたいな体系に近づく第一歩だからである。 もう一つは・・・ 「うー!かりかりさんじゃますぎるんだどぉ!みんなまとめてぽーいっするんだどぉ!!!」 一家全員が何日かけてもなかなか減らせないほど多量にある食糧は食糧庫内でも非常に大きなスペースを要しており、 かつ絶妙なバランスで保管されているため、お遊びでやってきた子れみりゃたちに荒らされて、食糧の雪崩がおきるを防ぐためである。 巻き上げられたかりかりさんが、最後の均衡を打ち破り、食糧の山は見事に崩れていく。かりかりさんの波に埋もれて初めて、 子れみりゃは自分のやったことに気が付きます。 「う゛わぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 ただ、かりかりさんはそこまで重いものではないので、子れみりゃにダメージはない。かりかりさんによって奪われた光を、 上へ上へとかりかりさんの海を泳いでいくことでなんとか視界を取り戻すれみりゃ。 パタパタと部屋を飛び回り、出た結論は・・・ 「でぐちがみあたらないんだどー!」 部屋中を埋め尽くすかりかりさんのせいでドアの位置をすっかり見失ってしまったれみりゃ。 これはどうしたものかと、頭を抱えてかりすまブレインを精一杯動かす。 うーうーうんうんと唸るれみりゃ。精一杯すぎてどうやら周りのことが見えていないようだ。 そんな中、かりかりさんの海の底から、地鳴りの様な鳴き声がきこえる。 「あじゅぃよぉぉぉ!!!れいみゅじにぢゃくな゛いぃぃぃぃぃ!!!!!!」 「あんよざんうごいでぇぇぇぇぇ!!!まりちゃやけちゃうのじぇぇぇぇぇぇ!!!!」 「どぎゃいば!!!どぎゃいば!!!!」 「むっきゅうぅぅぅぅぅぅぅ!!やげるぅぅぅぅぅ!!!!」 これは・・・あんよ焼きされて食糧庫に安置されているあまあま達の悲鳴である。 どうやら床にはもう火の手が回っているようだ。 不気味な声をきき、ようやっと辺りを見回した子れみりゃ。 「どぼじてかべさんがやけてるんだどぉぉぉぉ!!!!!!!」 そこには、右も左も前も後もついでに天井も見事に焼けている食糧庫があった。 どこかに隠れる場所はないか?れみりゃは必死に探す。そこでたどり着いた結論は一つ、かりかりさんのなかに隠れるというものであった。 そうと決まればさっさと避難。れみりゃはかりかりさんにダイブしようする。が、 パァーーーーン!!!ドゴォ!!!「う゛ぼぉぇぇぇぇぇ!!!」かりかりさんの猛スピードのタックルによって、ダイブを拒否された。 かりかりさんの原材料が何なのかはわからない。ただ、熱を加えるとポップコーンのように弾ける素材を使っていたのは確かだ。 突然のかりかりさんの逆襲に目を白黒させて驚くれみりゃ。打ち上げられた衝撃で天井に頭がぶつかりお帽子が燃えた。 鎮火させようと、かりかりさんの海に再び向かうも、またかりかりさんに迎撃される子れみりゃ。 れみりゃの体力が続く限り、この喜劇は続くだろう。もっとも、おべべは既に全焼し、体中真っ赤な痣だらけなので、朽ち果てるのはそう遠くない。 火の勢いは止まらない。1階を燃やしつくし、2階まで焼き焦がし始めた。 ダンスホールには、懸命に練習を重ねている三匹の子れみりゃがいる。 一匹はたどたどしい手つきでシンバルを叩いている。どことなく不安げに練習しているが、表情は真剣そのものだ。 また一匹は弱弱しい歌声を必死に大きくしようと努力している。努力しているが、歌声ははっきりとは聞こえてこない。 もう一匹は何度も尻餅をつきながらダンスをうーうー踊っている。全体的にどんくさい印象が拭えないでいるが。 3匹は今ダンスパーティーで自分達の望むポジションにいない。母れみりゃに認められるため、夜な夜なこっそり抜け出しては特訓を重ねているのであった。 いつかは母に認められて、いつかは姉妹に認められて、ダンスパーティーの主役を飾るんだと信じて疑わないのである。 シンバルを握るれみりゃの手に何か赤いものが落ちてきた。しばらくは演奏に夢中であったが、その物体が、その火の粉がれみりゃに熱を届けてから、 3匹だけのダンスパーティーは劇的に生まれ変わった。 火の粉が付いたシンバルのれみりゃは咄嗟にシンバルを離そうしたが、一向に離れる様子がない。火の粉の熱で、手の皮とシンバルがくっついてしまったようだ。 「う゛わ゛ぁぁぁぁぁ!!!!」と叫びながら、シンバルを手から離そうと、バンバンバンバン激しくシンバルを叩くれみりゃ。 先ほどの演奏とはうってかわって心地よいリズムである。もっとも本ゆんは気づく様子がないが。 姉妹の異様な演奏に、思わず歌うのをやめた子れみりゃ。辺りを見回すとそこは既に火の海であった。 信じられないほど馬鹿なれみりゃ種でもこの状況がいかに危機的であるかは把握したようだ。 「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」 あの弱弱しい声で歌っていたれみりゃが、聞いたもの全ての注目を集めるようなシャウトを放っていた。 もし、これを昼間にやっていたとしたら、れみりゃは注目の的であっただろう。今現在は半狂乱なので自分が何をしているのかよく分かっていないが。 一緒にダンスパーティーのとっくんっ!をしていた姉妹がいきなり発狂しだしておろおろし始める、ダンスのれみりゃ。 ふらふらと壁に寄りかかろうとするが、壁は熱く既に燃え盛っていたので、お帽子やおててに火をつける結果となった。 一心不乱に火を消そうとしたれみりゃの取った行動は、なんとブレイクダンス!火のついた箇所を床にこすり付けるために咄嗟に出た思いがけない行動だった。 でかい頭を床につけてぐるぐると回ったり、片手で倒立してみたり。普通のれみりゃの身体能力では考えられないことをやってのけた。 心を揺さぶる激しいビート。皆の注目を一挙に集める衝撃のシャウト。そして、魂が燃え上がるようなアツいブレイクダンス。 真夜中のファイアダンスパーティーは間違いなく彼女達が主役であった。 命の灯火が消えるまで、彼女達はその演目をやめないだろう。 1階や2階から聞こえる悲鳴でようやく目を覚ます母れみりゃ。窓から外を見てみると見事にお庭が赤く燃えている。 窓を開けて逃げようとするもなぜか窓は開かない。窓と格闘しているうち、子供達の安否が気になり、 鬼のような形相で3階に向かう。 「おちびちゃぁぁぁぁぁん!!!だいじょうぶだどぉぉぉぉ?!?!?!」 「「「まんまぁぁぁぁ!!!!」」」 なにやら数が少ないようだが、いち、に、さん、で自分をあわせたらたくさん!よし全員いるという形で納得した。 寝室には既に火の手が回っている。そして窓は何故か開かない。となるととる行動は・・・ 「おちびちゃん!ゆうぎしつににげるんだどー!!!」 「「「わかったんだどー」」」 こうまかんの最奥部にある遊戯室。あそこなら広いし、ゆっくりできるに違いない。れみりゃ達はそう信じて疑わなかった。 寝室を飛び出て、遊戯室へと向かうれみりゃ達。廊下は既に燃え上がっている。火に触れないように必死に走る。 一匹のれみりゃが、廊下に落ちていた積み木につまづいてしまう。頭から地面へダイブしたためビービーうるさくないている。 子供の異常を感じ取った母れみりゃは、転んだ子れみりゃの元へ寄っていくが、それを遮るかのように、天井が崩れ落ちて、 子れみりゃは一瞬で業火に包まれた。 「あづぃどぉぉぉっぉぉぉ!!!!!!!!!!!」 慟哭が響き渡る。ゴウゴウと子れみりゃは激しく燃える。 「ま゛ん゛ま゛ぁぁぁぁぁだずげでぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」 「お゛ぢびぢゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!」 愛するわが子の名を呼ぶものの、恐怖のあまり一歩も動くことが出来ない。 「あ゛づい゛どぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」 「お゛ぢびぢゃぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!」 「だじゅげでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」 「お゛ぢびぢゃぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!」 結局母れみりゃは子れみりゃが炭になっても動こうとしなかった。 「う゛・・う゛ー!!!」 気を取り直して、遊戯室へなんとかたどり着いたれみりゃたち。 しかし、遊戯室もまた、火の海と化していた。 呆然とする母れみりゃ。あっという間に炎に囲まれていく。さっきの子れみりゃの無残な死を目の当たりにしたせいか、恐怖はピークに達していた。 「ぼうぼうさんこわいどぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」 そこには、強き母の姿もなければ、立派なかりすまの姿もなかった。あるのは無様にしーしーを撒き散らす、惨めな豚饅頭があるのみだった。 「ぐるなぁぁぁぁ!!!ぐるなぁぁぁぁ!!!」 だがしかし、惨めな姿を晒してでも生きようとするれみりゃの姿にゆっくりの女神が微笑んだのだろうか? スプリンクラーのごとく撒き散らしたしーしーが、母れみりゃを覆っていた炎を見事消し去ったのである。 その一部始終を見ていた子れみりゃ達から歓声が沸きあがる。 「まんましゅごいんだどー!!!」 「かりすまかっこいいんだどー!!!」 「それほどでもあるんだど~♪」 先ほどの悲劇でお通夜モードだったれみりゃたちも母れみりゃの活躍で一気に元気を取り戻す。 「うっうー!れみぃもまんまみたいにかりすまなしょうかをするんだどー!!!」 「うっうー!おちびちゃんもがんばるんだどー!!!」 小さなドロワースを脱ぎ、燃え盛る炎にしーしー穴を向ける1匹の子れみりゃ。 「3、2、1・・・はっしゃだどー!!!」プッシャァァァァ!!!! ダムが決壊したかの如く勢い良く放たれる子れみりゃのしーしー。 「うっうー!!れみぃのしーしーはなにもかもをけしさるさいきょうのしーしーなんだどぉ~!」 炎なんか怖くない。火事なんてもうへっちゃらだと思っているれみりゃ一家。しかし、たかが小水で危機が去るのであれば、人類は火事なんて恐れない。 「うっうー!!!」グシャァ・・・ 下半身丸出しの子れみりゃに向かって、天井が落ちてきた。下品な振る舞いをしたれみりゃに天罰が下ったみたいだ。 ちょうど下半身だけ瓦礫に埋まっている。調子に乗って下半身丸出しになったことが仇となり、守るもののない柔肌を炎と瓦礫が蹂躙した。 「うぎゃぁぁぁぁぁ!!!!」 「おちびちゃぁぁぁん!!!がんばってでてくるんだどぉぉぉ!!!」 「ま゛ん゛ま゛ぁぁぁぁぁぁだずけでぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」 子れみりゃの声にハッと我に返るれみりゃ。そうだ、わが子を助けなければ。 燃え盛る炎への恐怖になんとか打ち勝ち、子れみりゃの手を握る。まずは瓦礫から抜け出さないと・・・ 「まんまがここからだしてあげるんだどー!!!もうすこしのしんぼうだどー!!!」 「ま゛ん゛ま゛ぁぁぁぁ!!!ま゛ん゛ま゛ぁぁぁぁ!!!」 両手をしっかりと握り、全身の力を使い子れみりゃを引き上げる。 「んぎぎぎっぃぃぃぃ!!!!!」 「い゛だい゛どぉぉぉ!!!!ま゛んま゛ぁぁぢぎれるんだどぉぉぉぉ!!!!」ミチッ 「んぎぎぅぅぅぅぉぉ!!!!!」 「ざげるんだどぉぉぉぉ!!!ま゛っでぇぇぇぇぇ!!!!!」プチプチ 「う゛ぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」ビリビリビリビリビリ!!! 「だっどおぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」ブンッッ!!! 危険を顧みず、我が子のために命がけで頑張る立派な母親。母れみりゃは、子れみりゃを瓦礫の中から取り出せたことで、完全に自信を取り戻していた。 自分はかりすまだから。自分はえれがんとだから。そんな自分のおちびちゃんは救われてとうっぜんっだと・・・。 しかし、掲げあげた子れみりゃの姿をまじまじと見つめた時、残酷な現実に直面する。 「う゛・・・ま゛ん゛ま゛・・・。れ゛み゛ぃのあ゛ん゛よ゛どう゛な゛っでる゛ん゛だどぉぉぉぉ・・・。い゛だい゛どぉぉぉ・・・」 助け出した子れみりゃの下半身が存在しなかった。華麗なダンスを踊るはずの腰の部分からは多量の肉餡がこぼれだしている。 目の焦点もあっていない。おべべはボロボロ。髪の毛はぐじゃぐじゃで、所々溶けて異臭を放っている。瀕死だ。おそらく助からない。 ありえない。 「ま゛ん゛ま゛・・・。い゛だい゛どぉぉぉ・・・」 うそだ。だっておちびちゃんはれみぃの子。こんな目に遭うはずがない。 「ぐる゛じい゛んだどぉぉぉぉ・・・・」 かりすまでえれがんとな最強の捕食種の子。こんなに惨めなはずがない。 「だずげでぇぇぇぇ・・・・」 幻だ。かりすまを惑わす恥知らずな幻はこの手で葬り去ってしまおうか。 嫌な幻は・・・ 「ぜーーーーーーーんぶ、ぽーいっするどぉ♪」ブンッ 「う゛ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」 真っ赤に燃える炎から命からがら助かったと思ったら、親愛なる母の手によって再び業火の中に放りこまれるれみりゃ。 体力のほとんど残っていない、その身体ではもはやわが身を守る術もなく、あっという間に焼けていった。 「うー。いいことしたどー!」 よい事をした。そう思っているのは錯乱している母れみりゃただ一人である。 「う゛あぁぁぁぁぁぁ!!!ま゛ん゛ま゛がこごろ゛じじだどぉぉぉぉ!!!」 「う゛!?おちびちゃんちがうんだどー!!!あれはまぼろしなんだどぉー!」 違う、自分は悪くない。そう言いたげなれみりゃは、子れみりゃを説得しようと近づいていく。 わが子を手にかけておいて、幻と言い張る母れみりゃに対して、子れみりゃは疑いを超えて恐怖を抱いていた。 廊下では、救助に向かうこともなくただ、命が消える瞬間を眺めていただけであった。 遊戯室では、助ける振りをして、下半身を引きちぎっただけではなく、燃え盛る炎の中に我が子を意気揚々と投げていた。 今、母親は肉汁だらけの手をかざして、自分の元へ近づいてきている。そうした一連の行動を踏まえ、子れみりゃの出した結論は・・・ 「ぐるなぁぁぁぁぁ!!!!!!!ごろざれるぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」 「うー!?おちびちゃんおちつくんだどぉぉぉ!!!まんまはそんなことしないんだどー!!!」 「ぐるなぁぁぁぁぁ!!!!!!!お゛に゛ぃぃぃ!!!あ゛ぐま゛ぁぁぁぁ!!!!!!」 捕まったら殺される。子れみりゃは燃え上がる遊戯室のなかを全力で駆け回った。慌てて母れみりゃはそれを追う。 成体れみりゃと子れみりゃでは体格が全くといっていいほど異なる。普通であれば、程なくして母れみりゃが子れみりゃを捕まえるはずであった。 しかし、炎の中の鬼ごっこはなかなか終わらない。子れみりゃは己の限界まで気力を振り絞って、母れみりゃから逃げていた。 「おちびちゃん、まつんだどー!!!こんなところではしったらあぶないんだどー!!!」 「ごろざれるんだどぉぉぉ!!!ぐる゛な゛ぁぁぁぁぁ!!!よ゛る゛な゛ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 熱いのも気にせず必死で逃げる子れみりゃ。母れみりゃは後を追うので精一杯である。 そうこうしている間にもこうまかんは燃える。もうすぐ崩れ始めるだろう。ほら、子れみりゃの上に天井が落下してくる。 「う・・・?う゛ぁぁぁぁぁぁ!!!!」グォォォ 「おちびぢゃぁぁぁん!!!!!!」ダッ 母れみりゃは無我夢中だった。もう、これ以上おちびちゃんを傷つけたくない。 かりすまでも、えれがんとでもなくてもいいから、おちびちゃんを守りたい。自然と体が動いた。 ドンガラガッシャァァン 子れみりゃを覆う形で母れみりゃが落下してきた天井の瓦礫を浴びた。おべべは燃え上がり、瓦礫の衝撃で中枢餡の近くを損傷した。 言語を司る部分を傷つけたようで、ろくに喋ることもできなくなった母れみりゃ。それでも我が子を守れたと安堵していた。しかし・・・、 ドスッ 瓦礫の破片が、母れみりゃの眼球に刺さる。いや、瓦礫の破片を母れみりゃに突き立てた・・・子れみりゃが。 「こごろ゛じがぁぁぁぁぁじぬ゛んだどぉぉぉぉ!!!!」 眼球を傷つけられたことで、張り詰めていた緊張が、我が子に傷つけられたことで、信じてきた絆が、脆く虚しく崩れていく・・・。 「お・・・・ぢ・・・・・・・じゃ・・・・」ガクッ こうして、我が子を火の手から守るようにして、母れみりゃは死んでいった。しかしその死に顔は決して晴れたものではない・・・。 母れみりゃの死体の脇から何とか這いずり出る子れみりゃ。その顔は親殺しをしたにしては実に満足そうである。 「こごろしのくそばばあはせいっさいっしたんだどー!つぎは、めざわりなひさんをせいっさいっするんだどー!」 同属殺しを行ったことで元々尊大であった子れみりゃの自尊心はますます肥大していった。体だけでなく彼女達は心も肥やす。 「れみぃのえれがんとなしーしーでせいっさいっしてやるんだどー!」 お得意の尻振りダンスをしながら、ドロワースを脱いでいくれみりゃ。 ドロワースをそこら辺にぽーいっ!して、しーしーの構えを取った瞬間、地面が軽くなるのを感じた。 子れみりゃは飛ぶことが出来る。しかし、こうまかんの天井はそこまで高くないので、飛ぶという習慣は存在していない。 だから、久しぶりであった。つい、言ってしまった。いつも自分達が食べているあまあまのように。能天気に、死を直視するのを避けるために。 火災によって、床が抜け落ちた。3階の床は、2階のダンスホールで踊っている3匹を押し潰した。 それでも勢いが止まらず、2階の床は抜け落ちて、1階の食糧庫で、必死に飛んでいる満身創痍の子れみりゃを叩き潰した。 浮遊感に気をとられ、一切飛ぼうとしなかった、遊戯室にいたれみりゃは、 「おそらをとんでいるみたいなんだどー!!!」 といいながら、目を輝かせ、空中を回転しながらしーしーを撒き散らして、3階から1階までのひもなしバンジーを楽しんでいた。 一階の瓦礫の山の上には、肉饅頭の汚らしい肉汁がボタボタと滴っている。 もう間もなく、こうまかんは全て崩れ落ちるだろう。 幸せなれみりゃ一家の思い出も全て灰へと消えてしまった・・・。 <おまけ> 「どうだい?なかなか見ものだっただろう?」 「うーん・・・。確かに豆れみりゃじゃないとこういうのは見れないっすね」 「そうだね。普通のれみりゃで三階建てのお家なんて余程なことがないとつくらないだろうからね。」 「へー。でも、透明な箱にシルバ○アファミリーがくっついた商品なんてあるんすね」 「いや、これはペットショップの商品じゃなくて、立派な実験キットなんだよ。だって大学のごみステーションから拝借したものだし・・・」 「あら、こんなんが実験器具なんすねー。まぁ人間の手を介さずに生活できるように作られてるっぽいから納得はできるっす。 ところで、この豆さくやはどうしたんすか?」 「ゆっくり学科の備品さ。教授に許可さえ貰ったら借りられる。豆さくやなんて珍しいゆっくりを自由に貸し出してくれるなんて、他の学科じゃありえないぞ」 「さくやはきしょうしゅらしいです。きしょうしゅってしょうしゃなひびきです!」 「他の学科はゆっくりの貸し出しなんてしてないっす。あと父れみりゃと、かくれんぼの時にいなくなった子れみりゃはどこに行ったんっすか?」 「あー・・・。父れみりゃは、俺がこのキットに豆れみりゃ一家を入れている最中に、とある捕食種のおねえさんに食べられました。」 「それって・・・」 「で、子れみりゃの方は、俺の胸ポケットのなかに。ほれ。綿とかで包んでやるとこいつらって結構長い間寝ていられるんだ。」 「わぁ、さっきまでの醜い争いをしていた奴等と家族とは思えないほど健やかな寝顔っすね」 「はは・・・。かくれんぼでズルして外にでようとしたやつだけが生き残るなんて皮肉な話だね・・・。」 「ふふふ・・・。二人とも。暇だったら鍋の準備をして欲しいわ。うふふふ。」 「あ、れてぃさん。この豆れみりゃかわいいと思わないっすか?ほらほら!?」 「あら、その子ちょっと貸してくれないかしら」 「いいですよ。はい。」 ヒョイ、パクッ・・・ムシャムシャ 「ちょっと塩味が足りないわ。ふふふ」 「・・・」 「・・・」 「「さすが捕食種」」 <あとがき> 前作で頂いた感想※のなかに館モノというネタがあったのでパク・・・インスパイアさせて頂きました。 見ていないようで実は見ているのです。面白そうなネタがあったら使います。 本文のほうはいかがだったでしょうか? 完成しての感想なのですが、豆れみりゃという題材を十分に生かすのは結構難しいなぁと感じています。 普通のれみりゃで出来ることはやらないし、基本種の豆ゆっくりで出来ることでも物足りない。といった感じでしょうか? あと自分の作品の中では珍しく地の分を多用しております。正直独白のほうが書きやすかったです。 長めのSSが続いているので、次は短編を書きたいところです。 というか、ゆくドナルド3が泣きたいくらい進まない。れてぃさんが動いてくれない。 4月上旬中にもう1つくらいSSをあげられたらいいなぁって思ってます。 最後に読んでくださってありがとうございました。 以上、ゆっくりとの楽しい学生生活を描くドナルドあきでした。 過去作 ふたば系ゆっくりいじめ 948 ゆくドナルド ふたば系ゆっくりいじめ 1045 ゆくドナルド2 ふたば系ゆっくりいじめ 1182 れいむと・・・ トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ゲス発言がちらほらと、カリスマドコイッタw 餡統が元々悪いな~ ユクドナルドの在庫か? この火事ってシルバ○アハウスの焼却処分中? -- 2018-01-15 10 18 52 火災が起きてからのれみりゃの遊戯室でのビート、シャウト、ブレイクダンスの表現でわろたwwww -- 2015-11-18 13 10 34 れみりゃは実に滑稽だなww -- 2013-01-18 21 28 52 なかなか。 -- 2012-04-12 17 00 43 おまけ。読んだらいた。早とちりスマソ -- 2012-02-20 19 44 55 いや、十分一方的だろw火に焼かれるという原型も残らない最期。そしてさくやどこいった? -- 2012-02-20 19 42 36 れみゃ虐は一方的に暴力を加えられてるシチュが好きなんだが、燃やしただけじゃなぁ・・・ -- 2011-07-14 21 14 01 食い物を粗末にするからだwww -- 2011-07-03 10 36 03 これは面白い! -- 2010-12-30 05 18 59 いや全然可愛くなかったから。特に最後のほう。 -- 2010-08-16 13 08 22 あああぁぁぁ…可愛いれみりゃ達があぁぁぁ… -- 2010-07-12 03 24 58 面白かった -- 2010-06-21 03 41 39
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3027.html
紅魔館といえば、悪魔が住む屋敷として有名な場所である。 しかし、その主はお祭り好き。 そして、幻想郷も多少近代化してきた折、いろいろと外来の文化が入り込んできた。 今日はクリスマスイブ。 紅魔館は朝からパーティーの準備で忙しい。 「さくや〜〜♪ パ〜ティ〜の準備はどうなってるの?」 「飾りつけは終わりました。後は料理の完成を待つだけです」 「そう。それじゃあ、私は霊夢を呼んでくるわ」 それだけ言い残して、紅魔館の悪魔は神社の方へと飛んでいった。 ついでに越冬中のゆっくりれいむの巣を破壊しながら。 「う〜〜♪ さぐや〜〜♪ ぷっでぃ〜んぱ〜て〜はすすんでるんだぉ〜〜?」 「はいはい。あと少しで終わりますよ」 「う〜〜♪ ぷっでぃ〜〜んだどぉ〜〜♪」 そしてもう一匹。 屋敷に住んでいる、ゆっくりれみりゃが咲夜を尋ねてきた。 このれみりゃ、元々は咲夜が飼い始めたものであったが、棟の咲夜は最近興味が無いようである。 曰く。お嬢様のように扱き使ってくれないから。だそうだ。 「さてと。……」 ぱたぱた走り去っていくれみりゃの後姿を背中で追いながら、咲夜は厨房へと姿を消した。 ======= 「うっう〜〜♪ あうあう〜〜♪」 何時にもましてご機嫌なれみりゃ。 そのわけは、今日はクリスマスと言う特別な日であることであった。 「う〜〜!! ざぐやーー!! ざぐやーー!!」 「およびですかおぜうさま!!」 迷子が親を探すような口調で呼んだのは、一匹のゆっくりであった。 さくや種であるそのゆっくりは、最近連れてこられたもので、れみりゃの近くにいることが多い。 「しゃぐや〜〜♪ きょうはくっりすすうがくだどぉ〜〜♪」 「そうですねおぜうさま!! きょうはぜんやさいです!!」 いまいちかみ合っていない会話だが、それでも二匹は意思の疎通が取れるらしい。 その証拠に、れみりゃはいつも通りニコニコとして、さくやも嬉しそうにしている。 「うっう〜〜♪ とうとうじっこうするときだどぉ〜〜♪」 「そうですね!! おぜうさま!!」 主に、本家姉妹とその従者が行ったならば、相当の雰囲気を出せるであろう言葉を発した二匹は、いそいそと自分達の部屋に戻っていった。 「うーー!! う〜〜〜!! くろうぜっとにいしょ〜〜がいっぱいだどぉ〜〜♪」 ダンボールで区切られた一角。 その中にあるダンボールの中から、手袋や原色まぶしい長靴などを取り出すれみりゃとさくや。 簡単な着衣にたっぷり時間をかけ、漸く準備が整ったようだ。 「う〜〜♪ じゅんびばんたんだどぉ〜〜!!」 「それでは、まいりましょうおぜうさま!!」 そのまま、玄関を抜け門へ。 珍しく揚げパンを食べていた美鈴に、ケーキを取っておけと命令し、そのまま門の外へ。 そして、自慢の羽を広げいざ目的地へ。 さくやが、1/2程の速さでついて行く。 ======== 人里。 午前中、半獣の先生がやってる寺子屋に、サンタコスをしてプレゼントを届け終えた男は、貰った謝礼金で酒を買い家に戻っていた。 ちなみにその服は森の魔法使いが作ったものであったが、受け取る際。 「これをきて、魔理沙に…………うふふ。うふふ」 などと訳が分からない事を言っていたが、一日寺子屋で先生を見て、男も完璧に理解したようだった。 「さぁーて。いい夢見れるように酔っ払うか」 淡い夢を思い描きながら、玄関を開け、中に一歩入ろうとしたときだった。 「うっう〜〜♪ まつんだどぉ〜〜!!」 「そうですわ!!」 聞きなれない声を聞いたのは。 「?」 男は意味が分からなかった。 どう見ても、目の前にいるのは飼いゆっくりである。 手袋や靴を履いていることから分かる。 そして、それは紅魔館のゆっくりであろうと言う事も分かった。 キャラクターがデザインされた手袋に、長靴。 そこに、ぜんせかいれみりゃさま!!! とかかれていたら安易に想像できる。 「で? なんか用?」 分からないのは何故ここにいるか。 たしか、いまの時間は紅魔館でパーティーをしているはずで、メイド長も急がしいはず。 永遠亭の主もそれに行っているので暇だ、といって手伝ってくれた女性が言っていた事を男は思い出していた。 「う〜〜♪ かんたんだどぉ〜〜♪」 「そうですわ!!」 「れみりゃが、およめさんになってあげるんだど〜〜♪」 「…………へ?」 じっくり一呼吸おかれて話されたれみりゃの内容に、男は一瞬で言葉を返した。 「だから〜〜♪ れみりゃがおよめさんになってあげるんだどぉ〜〜♪」 この男、間違っても、ゆっくりを恋愛対象になど見ていない。 そもそも、ロリコンでもない。 薬売りの兎の目を見てもその様な事はない。 むしろそのまま兎に惚れることは間違いない。 「う〜〜〜♪」 対するれみりゃは、余程絶対の地震があるのだろう。 何時にもましてすばらしい笑顔で男の事を見つめている。 ========= このれみりゃ。 以前、咲夜のお使い際に連れられて街に来たとき、男を一目見て一目ぼれした。 新しく出来た、カスタードケーキがとかいは美味しい今川焼き屋のオープンスタッフとして、首から下、怪獣のぬいぐるみを着てプラカード持ちをやっていた男。 れみりゃは、男のその服と甘い匂いを嗅ぎ、いても経ってもいられず咲夜をなきながら呼びつけた。 当初は、何故ないているのか分からなかった咲夜であったが、店を指差し泣いているれみりゃを見て納得し、十個ほど今川焼きを与え、泣き止んだ事を見てから自身の用事を再開した。 それはそのときで終わったが、れみりゃはその後も男の姿をちらほらと見かける事になった。 主に、自分が気に入った、新しく出来たスイーツの店に、必ず気ぐるみを着てやってくる男。 当初はただ単に喜んでいただけであったが、咲夜が構ってくれなくなってくると、いつも甘いお菓子と服を着ている男にが気になっていた。 咲夜のれみりゃ熱が冷め、比較的自由に外に出れるようになってから、男の後を付けて家を見つけることも出来た。 ゆっくりでも分かりやすい立地であった事も幸いしたが……・。 そうして、その頃になって、れみりゃは男と結婚する事を考え始めた。 =========== 「うっう〜〜♪ こんなかわいくて、こうまかんのあるじなんだどぉ〜〜♪ おまえにふじゆうはさせないんだどぉ〜〜♪」 紅魔館の主。 これこそがれみりゃの自信を絶対のものへと昇華させていた。 おまけに飛びっきりのおめかしもした。 まさに完璧だった。 「ふ〜〜ん……。で、お前は一人でここまで来たの?」 「ふ〜〜♪ このさくやといっしょだどぉ〜〜♪ で〜も! ふたりっきりになりたいなら、さきにかえすどぉ〜〜♪」 「まぁ、おぜうさま!! だいたんです!!」 変な目線で見つめてくるれみりゃを無視し、なるほどと納得したような男は、半開きだった玄関を 開け、二匹を招きいれた。 「まぁ。外は寒いから二匹とも中に入れよ」 「うっう〜〜♪ うまくいったどぉ〜〜♪」 「さすがですわおぜうさま!!」 ========= 結果として。 れみりゃは男に全てをささげる事が出来た。 「うあーー!! なんだどーー!! なんだどーー!!」 金のない若い青年にとって、れみりゃは貴重な食料になった。 「やめるんだどーー!! れみりゃはおぜうさまだどぉーー!!」 セオリーどおりに、処理していく男に向かって叫ぶれみりゃの顔は、まさに信じられないといったものであったが、男は構わずに処理を続ける。 「うあーー!! れみりゃのおべべーー!! おべべーー!!」 防寒具を取り去り、縄でがんじがらめにする。 季節は冬。 能天気なれみりゃでも寒さを感じるのは同じである。 「うーー!! さむいんだどぉーー!! はなすんだどぉーー!!」 やれ縄を解け、暖炉を入れろ、お湯割をもってこい。 そのどれもが無理な事である。 結果として、そのまま放置される事となる。 「うあーー!! ざむいーー! さぐやーー!! ざぐやーー!!」 天井から吊り下げられたまま、必死に名前を呼ぶれみりゃ。 人間のほうの彼女は、今は実際の主の頬についたクリームを拭いていることだろう。 ゆっくりである、さくやは、最初にれみりゃが危機なったときに男に向かっていき、たたき潰された。 「はいはい。大事な食料はそこでおとなしくしててね」 それだけを言い残し、男は台所を後にする。 「まつんだどーー!! こうまがんのあるじのれみりゃだどーー!! おむこさんにしてあげるんだどぉーー!!」 散々叫んでいたれみりゃであったが、男が酒を煽って男が眠りに就くよりもはやく、眠ってしまった。 これから、数週間。 れみりゃは夢にまで見た男との生活を満喫できるであろう。 「慧音さんですか? ええ。正月は、……。そうですか。それじゃあ、僕もお手伝いします。ええ、慧音さんに合わせて、僕も和服を着ていきますから」 ただ、男がれみりゃに好意を持っていたかは、誰も知らない。