約 632,051 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/450.html
ここは、広大なゆっくり平原。 ゆっくり名所である池や、川、森、山など、ゆっくりたちが思う存分絶頂にゆっくりできる場所。 そんなゆっくり平原の辺境の森で、ゆっくり霊夢は空を飛んでいた。 もちろん自力ではない。 自力で飛べるゆっくりなど、捕食種であるゆっくりれみりゃとゆっくりふらんだけだったのだ。 ゆえにゆっくり霊夢は夢見心地だった。まさか空を飛べる日が来るだなんて。 頬が風を切って進む感覚。 ぐんぐんと流れていく景色。 徐々に、だが確実に遠くなっていく地面。 視界は広がり、遥か彼方まで見渡せる。 生まれてから死ぬまでに見ることなど、絶対に叶わない素敵な光景。 ゆっくり霊夢の小さな胸は感動でいっぱいだ。 それもこれも、みんなこの「うーぱっく」のおかげだった。 「わぁい!おそらをとんでるみたい!」 「ばかだぜれいむ!まりさたちはおそらをとんでるんだぜ!」 「うー!」 「とんでる!とんでるよ!!うわぁ~♪とりさんよりはやいや!」 「う~♪」 ゆっくり霊夢はご満悦の表情で、自分とゆっくり魔理沙を乗せて飛んでいる二匹のゆっくり種を 見ながらついさっきのことに思いを馳せた。 うーぱっく。 外見はゆっくりれみりゃを直方体にしたものだが、性質はそこまで強暴ではない。 なぜなら、出会い頭に襲撃してこなかったから。 いや、たしかに急に近づいてきたから、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙の二匹は思わず死を覚悟した。 自分たちも、今までにいた他の仲間と同じようにゆっくりれみりゃに食われるのだと思った。 だが、目を瞑り震えながら身を固めていた二匹に聞こえたのは「うーうー!」という人懐っこい声だった。 恐る恐る目を開くと目前にぱたぱたと浮遊しているそれ。 「ゆぎぃっ!」 恐怖の声をあげる二匹。 しかし覚悟した苦痛はいつまでもやってこない。 よく見るとそれは一つの動作を繰り返している。しかもにこにこ笑顔で、だ。 顎を上げるようにしているそれをゆっくり霊夢はこう解釈した。 「ゆぅ……?なぁに?の、のせてくれるの?」 「うー♪」 いかにも!と言うように返答する。 「だっ、だめだぜれいむ!あぶないぜ!それはれみりゃだぜ!!」 ゆっくり魔理沙が警告する。多少見た目が違い、少し人懐っこいからといってそれはゆっくりれみりゃに 違いないのだ。どんなに懐いていたとしても、それが猛獣だと忘れてしまったら危険な事故が起こる。 自分たちより圧倒的に強い相手には、警戒はいくらしてもしすぎると言うことは無い。 だが、ゆっくり霊夢はそれの誘いに乗った。 すでに死んだ身だという気持ちだったからだろうか? 「ゆっくりはいるよ!」 言って飛び跳ねると、ゆっくり霊夢の体はそれの頭頂部に開いている窪みに収まった。 「ゆ?ゆ、ゆ、ゆゆゆ?」 徐々に浮かび上がってくる。飛んでいるのだ。 目線が高くなる恐怖にいくらか震えていたが、ゆっくり霊夢はすぐに慣れてしまった。 それがゆっくりと静かに飛翔していることも関係しているだろう。 「まりさー!すごいよ!おそらをとんでるみたい!」 「れいむ、うらやましいんだぜ!はやくかわるんだぜ!!まりさによこすんだぜ!!」 ゆっくり魔理沙は、それに乗ってくるくると飛んでいるゆっくり霊夢を見て顔をゆがめていた。 「ねぇねぇ、れいむはいいからまりさをのせてあげて!ゆっくりおねがい!」 しかしそれはゆっくり霊夢の言うことに反応しない。ただ「うー」と鳴くだけだった。 もどかしげに身を震わせ、声を張り上げる。 「ねぇ!ゆっくりきいてるの?まりさとかわってあげてよ!ゆっくりしていってね!」 「うーうー!!」 それをかき消すかのような大きな声でそれは鳴いた。 「ゆっ!?」 するとどこからともなく同じような泣き声が聞こえてくるではないか!やがて、いくらもしないうちに もう一匹のそれが姿を現した。 「うーうー」 「うー」 「うっうー」 「うぅ~」 何らかの意思の疎通。そして後から現れたそれはすぐにゆっくり魔理沙へと降下していった。 「ゆぅ?のせてくれるのか?だぜ」 「う~♪」 「ゆゆゆぅ~~~!」 感極まったような高めの声で慌てて飛び乗るゆっくり魔理沙。 どっしりと座ったようなそのおさまり具合は、まるでそれが自分のために存在しているかのような 錯覚をゆっくり魔理沙に与えた。 素晴らしい一体感。 これを覚えてしまえばゆっくりアリスの強制すっきりなど物の数ではない。 「すごいぜ!ゆっくりとんでるんだぜぇ!!」 「まりさ!まりさぁああぁ!!」 「れいむぅううぅぅううぅぅぅ!」 二匹はランデブーするかのようにお互いの周りを旋回し、揃って空を飛ぶ幸運を堪能し始めた。 並んで飛行し、川を越え、枝を飛び越えて流れるように飛んでいく。 地面を飛び跳ねているだけでは、決して味わえない愉悦。ゆっくり霊夢たちは今、幸せの絶頂にいると 思った。自分たちはなんて幸せなんだろう!そして、この出会いに感謝したくなった。 「ゆ?そうだ!おなまえをゆっくりおしえてね!」 「うー?」 「おなまえだよ、お・な・ま・え。れいむはゆっくりれいむっていうんだよ!れいむってよんでね!」 「うー……ぱっく……」 とまどいがちに伝えるそれ。 うーぱっく。 ゆっくり霊夢はそれを聞くと目を輝かせて 「うーぱっくっていうんだね!ゆっくりしようね!うーぱっく!」 と頬を紅潮させて言った。 「まりさも!ゆっくりするぜ!ゆっくりまりさっていうんだぜ!」 二匹のうーぱっくはゆっくり霊夢たちを乗せて何処までもいつまでも飛んでいた。 木に成っている実を貪り食べていた二匹は、いつのまにか日が傾いていることに気づいた。 空は茜色に染まっていて、吹く風も冷ややかになり、鴉の鳴き声がどこか哀愁を誘う。 沈む夕日を今までに無い高みから望んで、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙は思わず涙ぐんだ。 圧倒的な情景。 空を翔る鳥たちは、いつもこんなものを見ているのか。 髪を撫でて耳を抜けて過ぎ去る風は、こんなにも冷たく、もの悲しいものだったか。 二匹に去来する思い。 それがなんなのか理解できないし、言葉にもできない。だが、ただ「そこにある」と感じることは出来た。 二匹はなんだか無性におうちに帰りたくなっていた。 「ねぇうーぱっく!ゆっくりかえりたいよ!ゆっくりかえしてね!」 「う、うー!」 うーぱっくは一声鳴くと、もと来た空を引き返し始めた。 ゆったりとしたその飛行は、余計に「帰る」ということを意識させ、二匹の心は逸っていく。 大地が近づき、森の深緑に包まれる。 木と土の匂い。慣れ親しんだそれが二匹の鼻孔をつくと、言い知れぬ安心感がにじんだ。 ゆっくり霊夢はおうちに帰ったら家族に今日のことを言って聞かせてあげようと考えていた。 うーぱっくとの出会い、初めて大地から離れたこと。 風を切って飛ぶ感覚。 大空の青。流れ往く雲の白。夕焼けの茜色。 お日様が沈んでいくと、風が寂しく聞こえること。 きっと妹たちは羨ましがるに違いない。母はそれは凄い体験だったね!とまるで我が事のように 喜んでくれるだろう。そうだ、明日は妹達も誘ってうーぱっくとも遊ぼう!ゆっくりしたいい考えだね! ゆっくり霊夢は自然と表情が緩んでいった。 「れいむ!れいむ!!」 「ゆ?」 そんな物思いに耽っていたゆっくり霊夢を、親友のゆっくり魔理沙は緊張したような声で必死に呼びかけていた。 「どうしたの、まりさ」 見ればゆっくり魔理沙はどこか緊張した面持ちで、やや汗ばんで見える。 「かおいろがわるいよ、まりさ。ぽんぽんとらぶる?」 「ちがうよぅ!まえをみるんだぜ!!」 「?」 ゆっくり魔理沙の必死の訴えに、きょろきょろと見回すゆっくり霊夢。 「ゆゆっ!?」 そこは見たことのない場所だった。 森の中でも他に類を見ないほどに木々が鬱蒼と茂っており、空のように広がっている木の葉のせいか どこか音が遠くにあるもののように聞こえてくる。 夕暮れではあるが、ここは特に暮色が濃い。夕闇の彼方から何か得体の知れないものがひっそりと 這いずり出てきてもおかしくないと思えるほどだった。 「ここどこぉおぉおお~~~っ!?」 「うー!うー!」 「ゆっくりかえしてほしんだぜ!おうちにかえすんだぜ!」 「うっう~~!」 ゆっくり霊夢たちの叫びに声を返すうーぱっく。しかしそこに意思の疎通は皆無だ。 「うー!うー~~~!!」 誰かに呼びかけるような嘶き。 するとどうだろう、周りの森林から唱和するように同じ泣き声が聞こえてくるではないか! そしてがさがさと枝葉を揺らして現れるのは五匹のゆっくりれみりゃだ。 「ひぃっ!!」 五匹は悲鳴をあげたゆっくり魔理沙を、そのにこにことした笑顔の目のままでねめつけると 二匹のうーぱっくを取り囲むようにして羽ばたき、進み始めた。 その先には洞穴があった。 そこは巣だ。 ゆっくりれみりゃの巣窟なのだ。 「うーうー!」 「ぎゃおーーーー」 わずかに漏れ出てくる泣き声が、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙を心胆寒からしめた。 二匹は恭しく運ばれる供物のような態で奥へ奥へと連れて行かれる。お互いを見詰め合うが どちらも涙目で震えていて歯の根があっていない。 うっすらと月光のような冷たく柔らかな光を皓々と発する岩々が過ぎ去り、湿った空気が まるでからみつくように流れている。しっとりとした天井の岩肌からは、時折水滴が落下しており 水の弾ける音がこだましている。 平常であれば、涼しくて水滴の音も耳に心地よいこの洞穴は、とてもゆっくり出来る場所であろうが すでにゆっくりれみりゃの巣になっており、それ以上に二匹はうーぱっくに連れられゆっくりれみりゃに 囲まれているのが現状だ。とてもゆっくりする暇などない。 唯一できることは、ゆっくりと死の覚悟をすることだけだろう。 どれほど進んだろうか?先にはまばゆく光るものがある。 巣の広間なのだろう、今までになく明るいそこにはたくさんのゆっくりれみりゃがいた。 体のないやつ、あるやつ、小さいやつ、大きいやつ、うーぱっく。 さまざまだ。 さまざまだが、それぞれが思う存分ゆっくりしていた。 ゆっくりと、していた。 左に目をやれば、そのゆっくりれみりゃはうーぱっくと五匹ほどで小さなゆっくりぱちゅりーを空中で キャッチボールのようにして遊んでいる。地面には親と思しきゆっくりぱちゅりーが声を上げて、弱い体を なんとか飛び跳ねさせているが、空中のそれらには決して届くことはない。 「むっぎゅぅ~~!むっぎゅぅうううぅぅ!!」 「……むきゅっ!……みきゅぅうぅ!!」 弄ばれている子ゆっくりぱちゅりーは生来の脆弱さもあいまって、すでに半分以上死に体だ。 投げ飛ばされ受け止められているので、ゆっくりれみりゃの牙で帽子はずたずたになり髪もぼろぼろ、 肌に至っては蒼白を通り越して蝋のように白くなっている。見れば右目が飛び出てぶら下がっている のがわかるだろう。 しかしそのゆっくりれみりゃたちは気にしない。玩具だからだ。下で必死に取り返そうと飛び跳ねている 親ゆっくりぱちゅりーが、とうとう口から紫色をしたクリーム状のものを吐き出していても相も変わらず にこにこ笑顔で放り投げ、受け止めて別のゆっくりれみりゃに放り投げていた。 右を見れば、そこには大きなゆっくり魔理沙がいた。 本当に大きい。1メートルくらいはあるだろうか。それに3匹のゆっくりれみりゃが群がっていた。 それらは胴体が生えていて、ぷにぷにとした手足もしっかりと動いていた。 「いいこえでなくんだどぉ~!」 「もっとだどぉ~~~!」 「そんなんじゃまんぞくできないんだっどぉ~♪」 一言ごとに平手や拳、蹴りを叩き込んでいる。その一撃ごとに大きなゆっくり魔理沙は 「ゆぐっふ!ぶぎゅぎゅっ!だべっ!やべでよぉおっ!やべっでゅんだぜ!!ぶめぎゃっ!?」 と声を上げていた。見れば皮は裂け、目は片方が飛び出しており、ところどころに餡子が滲み出ている。 「へたくそなんだぞぉ~」 「いぎゃっ!」 一匹が口に手を差し込み、歯をへし折ったのだ。これでゆっくり魔理沙の口の中には歯がなくなってしまった。 「まりゅしゃしゃみゃに……きょんなこちょしちぇ、ひぃ、たぢゃでしゅむとおみょうにゃ!だじぇ!!」 怒りと復讐心を湛えた燃えるような目。それに見つめられても三匹はにこにこ笑顔を崩さなかった。 むしろ、嘲笑の色が混じっていた。 「う~♪おまえのむれはもうないんだっどぉ~~」 「わすれたのか?どぅー」 「みんなみんな、れみりゃたちでくってやったんだどぉ~~~♪」 「なかなかうんまかったんだどぉ~☆」 「ほめてやるんだどぉ~~」 「ゆっ!?」 そうだ。そうだった。 大きなゆっくり魔理沙の脳裏にあの光景がよみがえる。 このゆっくり魔理沙は運が良いゆっくりだった。幼い頃、家族が獣に襲われたときもそれに跳ね飛ばされて すぐ側の茂みに転がり込んだことで一匹だけ助かった。その後、仲間と狩りをしていて二手に分かれたバッタ を追いかけたときも、相棒のゆっくり霊夢が追いかけた先には蜂の巣があって死んだのだった。 それから大きくなり、自分が支配する群れを持ったときまでその運の良さは発揮されていた。さらに言えば 体が大きくなったことで、自身を脅かすものが比較的少なくなっていたことも災いした。 脅威を、自分たちゆっくりは弱い立場であり、それを脅かすものが存在するということを、失念していたのだった。 それが致命的だった。 夜に、ゆっくりれみりゃの襲撃があったのだ。 自分を頂点に、おおよそ50匹はいた群れ。そのほとんど全てがたった3匹の、今目の前にいるゆっくり れみりゃによって屠られてしまった。群れには自分に及ばないまでもそれなりに大きなゆっくりもいたというのに、 まるで手も足も出なかった。 虐殺と蹂躙の限りを尽くした3匹は自分を含めた何匹かのゆっくりをこの場所に運び入れて、 自身の群れの餌や玩具としてゆっくり魔理沙たちを扱った。 それから続いた地獄の毎日がその恐るべき夜の記憶を薄めたのだった。 「これをみるがいいどぉ~~~」 一匹が飛び上がり、もたもたと上昇してゆっくり魔理沙の帽子をひっぺがした。 「ゆ゛っ!」 帽子を剥がされるという、今まで感じたことのない刺激に、思わず声を上げてしまう。 頭頂部は露出し、うっすらと餡子が滲み出て甘い匂いが漂い始めた。 すると、あたりのゆっくりれみりゃたちの目がこちらに向く。だが、その3匹はそれらを無視して 剥がしたものをゆっくり魔理沙の眼前で広げたのだ。 「ゆげぇえぇえぇえぇぇぇんっ!?!?」 帽子から、剥がれた髪の毛が垂れているが、問題はそれではない。 そこには苦悶の表情を浮かべたゆっくりたちの顔の皮がいくつも貼り付けられていたのだ。 どれもこれも苦痛と怨讐に満ちており、まるで見ているゆっくり魔理沙を恨みぬいているようであった。 自分は今までこんなものを頭にくっつけていたのか!? 「こっちはおまえのこどもなんだどぉ~~!さいごまでおとーさんおとーさんやかましかったんだどぉ~~~」 「これはれいむだどぉ~」 ゆっくりれみりゃは憤怒の形相で歪んでいる顔の皮を指す。 「こいつはぁ、こどもをまもろうとしてとびかかってきたから、ひっぱたいたらすぐしんだんだどぉ~」 「あれはもろかったんだどぉ~!わらえたんだどぉ~~~☆」 「こどものさけびが、すっごくたのしかったんだどぉ~☆」 「なかみがよじれてしぬかとおもったんだどぉ~~♪」 「ゆっぐっぐぐぐ!!!」 ゆっくり魔理沙は目の前に広げられた家族のデスマスクに悲しみの嗚咽を上げていた。 やがてその様子に飽きたのか、三匹のゆっくりれみりゃはそれを放り投げると、周りで様子を伺っていたほかの ゆっくりれみりゃたちに向かって 「こいつはもういらないんだどぉ~☆」 「すきにするんだどぅ~~♪」 「ちゃんととどめはさすんだどお~~~」 と言い放った。 「ゆっ!?ゆっぎゅりだずげでね!?」 「おまえはもうあきたんだどぉ~~」 「もっとおもしろいこといえ!」 「うっうー!うあうあ♪」 「いやあぁあぁあああぁぁぁ!!」 たくさんの爛々と輝く瞳。それらが一斉に大きなゆっくり魔理沙に向かって飛び掛っていった。 楽しそうな声に混じり、痛みをうったえ命乞いをする声が聞こえ、さらに大きいゆっくり魔理沙の皮を引き裂き 肉をかき混ぜ、引きちぎり、咀嚼する音によって覆い隠されてしまった。 また別のほうを見れば、そこにはうーぱっくやゆっくりれみりゃに餌をやっている胴体付きのゆっくりれみりゃがいた。 子ゆっくり霊夢を思い切り放り投げて、それを口で咥えて捕るというゲームじみたものだった。 「やめちぇぇええぇっ!!たちゅけちぇぇえぇぇえええぇぇ!」 「いじわりゅしにゃいでゅぇぇえええぇぇ!」 「おかあちゃあぁあぁあああぁぁぁん!!」 「うるさいんだっどぉ~、おかあちゃんならあれだどぅ~☆」 ゆっくりれみりゃの指差す先には、ただの肉塊があるだけだった。あたりに餡子を撒き散らし、わずかに見える リボンの赤が、それをゆっくり霊夢だと理解させるただひとつのものだった。 おそらく頬を左右に引っ張ったのだろう、顎下あたりから無残に二つに裂けている。 「おかぁちゃぁああぁああぁぁぁん!!!」 「いっぱいたべるんだどぉ~、たっくさんあるんだっどぉ~~♪」 「うー!うー!」 「うっう~~!」 「うぁー!うあー!」 何処もかしこもそんな様相だ。 これがゆっくりれみりゃの食事なのだった。 ゆっくりれみりゃにとって、ゆっくり霊夢やゆっくり魔理沙などのゆっくりは、餌であり玩具なのだった。 だから軽々しく弄び、蹂躙する。壊れてしまうなんて構いやしない。 壊れてしまえば捨てればいいのだ。 玩具はそこらじゅうにたくさんあるのだから。 「それはなんだどぅ~?」 大きなゆっくり魔理沙を虐めていたゆっくりれみりゃが一匹、うーぱっくのほうへとやってきた。 そのふわふわとした浮遊は、とても飛んでいるといえる速度ではなかったが、それでも囚われたゆっくり霊夢と ゆっくり魔理沙の二匹にとって脅威であることに変わりはなかった。 「うー!うあ~!」 「うあー♪うっうあ~♪」 うーぱっくが何を言っているかはわからない。しかしひょっとしたら自分たちは食べられないかもしれない。 ゆっくり霊夢たちはそんな淡い希望めいたものを抱いた。 「まりさをたすけてほしいんだぜ!!はやくはなすんだぜ!!」 ゆっくり魔理沙も身をよじりながら必死に訴えかけている。だがゆっくりれみりゃはそれらを無視して うーぱっくの言葉に耳を傾けている。 「ごはんをじぶんでとるなんて、えっらいんだっどぉ~~☆」 「うあ~~☆」 「どおじでぞんなごどい゙ゔの゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙ぉぉぉっ!!!」 「たべちゃだべだんだぜええぇぇっっ!!おいじくないんだぜえええええ!!!」 「う~?」 「おどもだぢっ!ぜっがぐれいぶだぢど、おどもだぢになれだどおぼっだのにぃいぃいぃぃぃっ」 「あじだはがぞぐどいっぢょにもっどゆっぎゅりじだがっだのにぃぃいいいい!!」 「なんでだばじだの?どおじで!?どおじでぇえええええぇぇぇぇっ!!??」 涙をだくだくと流しながら絶叫するゆっくり霊夢。 しかしうーぱっくは意に介さず、ただ一言 「うー!」 とだけ鳴いた。 「あっぁつぁつっ!!へんだよぉっ!!れいむぅっ!!へんなんだぜぇ!」 ゆっくり魔理沙が声を上げる。今までにない声色に、ゆっくり霊夢は嗚咽を上げながらも振り向いた。 「どうしたの、まりさ」 「なんかからだがへんなんだぜ!おかしいんだぜ!!」 ゆっくり魔理沙は、自身に襲い掛かりつつある異変に気づいた。体が崩れ始めているのだ。 「と、とけてるううぅうううぅぅぅ!!!まりざのかりゃだがどげでりゅんだじぇぇえええぇぇぇ!!!」 左右に体を暴れさせるゆっくり魔理沙。しかしその体はにちゃにちゃとした粘液が付着し、とろとろの 液状になり流れ始めていた。 これがうーぱっくの最大の特徴だ。 うーぱっくはゆっくりれみりゃの変種である。つまり捕食種なのだ。しかしうーぱっくは成長すると 経口摂食をしないようになり、このようにゆっくりを自身に乗せてじょじょに溶かしていってしまうのだ。 何故かはわからない。 しかし自然界にも似たような生き物が存在するのだから、それほど不思議なことでもなかった。 「うわあああぁあぁああぁぁっっ!!まりゅいざをだじゅげでぇええぇぇっ!!おねがいいぃい!!」 「うー?」 「ああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」 よくわからないと言うように唸るうーぱっくに、ゆっくり魔理沙の絶叫は続く。 「まりざああああぁぁぁっ!!ま゛ぁり゛ざあああああぁぁぁぁっ!!!!」 さらにゆっくり霊夢の絶叫も重なる。思わず聞きほれたくなるほど甘美なる合唱。 そこにゆっくりれみりゃが声をかけた。 「すのばしょをいえばたすけてやるんだどぅ~」 「ゆっ!?」 「さっきかぞくっていったんだど~~~♪」 「えらぶんだどぉ~~~★」 「いっ、いやだよ!!かぞくはだいじだもん!」 「どっちでもいいんだっどぅ~~☆」 いつのまにか、うーぱっくの周りにはあの三匹のゆっくりれみりゃが集まっていた。 「おねぇしゃんおしょいね?」 ちっちゃなゆっくり霊夢は巣の中で不安そうに母ゆっくり霊夢に話しかけた。 「だいじょうぶだよ!まりさといっしょだったし、きっとまりさのすでゆっくりしてるんだよ!」 「ゆっ!きっとしょうだにぇ!うりゃやましいよ!」 母ゆっくり霊夢の言うことを素直に聞き、よそのおうちにお泊りをする姉を羨ましがる妹。 よくある家族像だった。 このゆっくり霊夢の家族は母ゆっくり霊夢に、ゆっくり霊夢、妹ゆっくり霊夢の三匹だった。 出産環境が劣悪だったせいか、母体になったつがいのゆっくり霊夢から生えた蔦には未熟な実がいくつか 成ったが、しっかりと生れ落ちたのは二匹だけだったのだ。それでも片方は未熟児だったが。 しかし朽ちたゆっくり霊夢の黒ずんだ死骸は二匹の子の最初の栄養となり、その血肉のなかに脈打っている。 母ゆっくり霊夢は、つがいのゆっくり霊夢の、文字通り化身とも言える二匹の姉妹をとてもゆっくりと大事に 育て上げていた。ゆっくり霊夢は健康そのもので、すくすくと育ち元気に野原を駆け巡り、今では母と一緒に 十分な餌をとれるほどになった。 もしかすると巣を出るなどと言い出すかもしれないが、それもまたひとつの生き方だ。そのときは祝福して しっかりと送り出してやろうと、母ゆっくり霊夢は考えていた。 思えば自分も若い頃は親の庇護から飛び出し、この平原で将来つがいになるゆっくり霊夢と出会ったのだ。 愛し子であるゆっくり霊夢にゆっくりした未来がありますように。 そうして母ゆっくり霊夢は、もうひとつの愛し子、目の前でゆぅゆぅとしている妹ゆっくり霊夢を見る。 生まれたのはゆっくり霊夢と一緒だったが、こちらは未熟児ゆえに発育が悪いのだ。もうしばらくゆっくりと 母ゆっくり霊夢が育てる必要があった。 外は夜の帳も落ち、そろそろゆっくり眠る時間だ。妹ゆっくり霊夢を巣穴の入り口から守るように身を寄せる。 お互い肌をすり合わせて、眠気を誘う心地よい震えが全身をゆっくりと包み始めた。 「ゆぅ~~、ゆぅぅ~~~」 妹ゆっくり霊夢はすでに半分眠っていた。母ゆっくり霊夢はそのゆっくりとした様子を微笑みながら優しい眼差し で見つめ続けて、体を揺らしていた。 やがて母ゆっくり霊夢にも眠気がやってきた頃に、それは来た。 「う~、おまえのすのばしょはまりさがはいたんだどぅ~♪」 「!?」 ゆっくり霊夢はじめじめとした狭い場所に押し込められていた。ここはゆっくりれみりゃの食料庫で 岩肌にあいた穴にそれぞれさまざまなゆっくりたちが無理やり押し込められていた。 ゆっくり霊夢、ゆっくり魔理沙、ゆっくりぱちゅりー、ゆっくりさくや、ゆっくりめーりん。他にも ゆっくりみょんや、ゆっくりちぇんと、種類も大きさもまちまちなゆっくりたちが穴に納まっている。 特筆すべきは、そのどれもが生きているということ。 ゆっくりれみりゃは、食事と遊戯を一緒に行う傾向があるのだ。さんざん弄び、傷つけ、恐怖を植えつけ、 自身の暴力を味わわせた後に、ゆっくりとそれらを食す。 餌を壊す感触と、耳を振るわせる悲鳴と嗚咽、傷つく皮とそこから噴出す餡子が目を楽しませ、ゆっくり れみりゃの食事をより一層味わい深いものにするのだった。 「ど、どおいうごどぉおおおおぉぉぉっ!!!」 「たすけてやるかわりにいわせたんだっどぉ~~」 このゆっくり霊夢はうーぱっくに食べられる運命にあった。 だがしかし、絶叫と共に飛び出た「家族」という言葉がそれを変えた。ゆっくりれみりゃがその家族ごと 食べてやろうと考えたのだ。 しかし一向に巣の場所を言おうとしないので、この場所に安置しておいたのだ。 「あのまりさはとけるより、おまえをうるほうをえらんだっどぅ~~~♪」 「ゆぅううぅぅ」 「ばかなやづだっどぉぉお☆」 「ゆあぁあぁあぁああぁぁぁっ!!!」 「いまごろまりさはかぞくとゆっくりしてるんだどぉ~~」 「ゆぎゅううううう」 「おまえはかぞくとここでくわれるんだど~~~☆」 「ゆぐぁああぁああぁあ!!まりざあああぁああああああ!!!」 「かぞくがそろったら、いっしょにくってやるんだどぅ~~♪」 そう言うと、ゆっくりれみりゃは近くの窪みにはまっているゆっくりみょんを掴み取った。 「ち、ちんぽ~~~」 「こうやってくってやるんだど~~」 「きょせいっ!?」 そのままがぶりとやった。ゆっくりみょんは白眼を剥いて痙攣している。それを二口で食べてしまった。 「ああ、あああ、あああああ!!!」 「おもしろいかおなんだどぅ~!ゆかいだどぉ~~~♪うっう~、うあ♪うあぁ♪」 やがて、家族がそろったのかゆっくり霊夢はゆっくりれみりゃに引き摺られてあの広間へと来ていた。 「ゆっくりはなしてね!」 「ゆっきゅりはなちちぇにぇ!!」 そこには案の定、ゆっくり霊夢の家族がいた。 羽ばたいているゆっくりれみりゃに咥えられていて、うかつに暴れようものなら地面へと落下してしまう。 二匹には抵抗のしようがなかった。 だがそれだけではなかった。 その場所には他にもゆっくり魔理沙の家族もいたのだ。 「ゆっくりおろしてほしいんだぜ!まりさはおいしくないんだぜ!!!」 「ゆっきゅりおろしゅんだじぇ!」 「ゆぅううぅぅっ!?どうじでなんだぜ!?どおじでまりさのすをおしえたんだぜ!れいむううぅぅぅぅっ!」 その叫びはゆっくり霊夢のお友達のゆっくり魔理沙のものだ。 「まりさがさいしょにうらぎったんでしょ!!れいむはしってるんだよ!れいむのすをおしえたって!!!」 ゆっくり魔理沙の言葉に、怒りをあらわにしてゆっくり霊夢は声を荒げた。 「まりさなんかとけちゃえばよかったんだよ!!どおじでれいむのすをしゃべったの!?」 「し、しらないんだぜ!まりさはなにもいってないんだぜ!!」 「じゃぁどおじでれいむのかぞくがこんなどごろにいるのおぉぉおっ!!!」 「れいむがまりざのずをしゃべるからだぜえええぇええぅ!!!」 ゆっくり霊夢の追求に、ゆっくり魔理沙の絶叫が重なる。 「ぞんなのまでぃざがれいびゅのじゅをじゃべるがらでじょおおおおおお!!じがえじだよっ!!」 「だからじららいっでいっでるんだぜえええええっ!!!ひどいんだぜぇぇ!!」 泣きながら言い争う二匹を、周りのゆっくりれみりゃたちはにやにやと笑いながら眺めていた。 ゆっくりれみりゃはこの二匹をはめたのだった。 お互いがお互いを裏切ったと思い、復讐に お互いの巣の位置を喋ったのは、ゆっくりれみりゃたちにとって愉快の種だった。 「じゃぁどおじでれいびゅのかじょくがごごにいりゅのぉおおっ!?」 「れみりゃが、れいみゅがまでぃじゃのじゅのばじょをいっだっでいっだんだぜ!!」 「まりしゃがれいびゅのしゅをおしえたっでぎいだよぉお!!」 「うーうー!」 そんな言い争う二匹をよそに、うーぱっくがゆっくりれみりゃになにかをうったえた。 「う~!そろそろでなーだどー!」 「うーうー!うあうあ~~~♪」 「うーぱっくはれいむとまりさをたべるといいどぉ~」 「れみりゃはちっちゃいまりさをいただくんだっどーー☆」 「じゃぁれみりゃはおっきなれいむをたべちゃうぞ~~~♪」 「やめちぇね!おいちくないちょ!!やめてっていっちぇるにょにぃ!!」 「こっちはおいちくないいだじぇ!まりしゃはどくなんだじぇ!!ちんじゃうんだじぇ!!」 「やべでええぇえぇっ!!そのこがなにじだっていうのぉおおぉぉっぉっ!!」 妹ゆっくり霊夢はゆっくりれみりゃに握り締められて、中身を漏らした。ゆっくりれみりゃはそこから ゆっくりと中身を吸い上げていく。じゅるじゅると音を立てて萎んでいく妹ゆっくり霊夢。 中身と一緒に元気を吸い取られているようだった。 母ゆっくり霊夢は叩かれ殴られ、千切られて止むことのない悲鳴をあげ続けて食われた。少しでも声を 上げることをやめると苦痛を与えられるのだ、最期には口の下あたりが自然と裂けていた。 ゆっくり魔理沙の家族たちも体中を弄ばれて、痛めつけられながら食べられている。 「れいむのばがああぁぁぁつ!!おまえがうーぱっくなんがにのるがら゛っ!!」 「ぶぎゃっ!までぃざだってのっだでっじょっ!?!?」 うーぱっくに乗せられてもなお、罵声を浴びせあっている二匹。 その体はぐずぐずに蕩けていてもう満足に動くことは出来やしない。 もはや眼と口を動かしてその意識を失うまで緩慢な痛みに身を委ねるしかない状態になってしまった。 二匹にとって幸いなのは、傷みがほとんどないことだろう。 きっといつ自分が死んだのかもわからないほどゆっくりと食べられるに違いなかった。 ここは、広大なゆっくり平原。 森に行けば優しい風が木々を揺らし、耳ざわりの良い音楽を葉が奏でるゆっくり名所のひとつだ。 そんな心地よい音に混じって声が聞こえてくる。 どこか畏れを含んだような、何かを知りたがっているような、そんな声。 「うー♪」 「ゆゆ?……乗せて、くれりゅの?」 「うぅ~~♪」 「ふわっ!しゅごいしゅご~~~い!!おしょりゃをとんでゅぇりゅにょぉおおお~~♪」 終わり。 後半失速してしまった。 狩りの時、うーぱっくは体付きのゆっくりゃを乗せて自由に空を駆けます。 ガンダムのドダイやゲターみたいな感じなのですw 飛行速度:ゆっくりふらん≧ゆっくりれみりゃ>うーぱっく>ゆっくりれみりゃ(体つき) 著:Hey!胡乱 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1158.html
「まんじゅうこぁいこぁい!」 ゆっくりれみりゃがお食事をご希望のようだ。 『饅頭怖い』の話をしてから饅頭(=他ゆっくり種)が食べたい時に 「まんじゅうこぁい」と言うようになったのだ。 毎日ゆっくりを用意するのは骨だし、調子に乗ったゆっくれみりゃがうざいので 今日はゆっくりれみりゃを太陽の元に連れ出した。 「う”あ”あ”あ”あ”!!」 驚愕の表情で苦しむゆれみりゃ。頭から徐々に灰になっていく。 しかし死ぬより前に助けてやる。 「う、うー」 泣く時の顔になるが涙は出ない。枯れたのかな。 「だいじょうぶかれみりゃ(笑)。饅頭用意したぞ」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 れみりゃの大好物のゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙だ。 最初は怖がる二匹の饅頭だったが、れみりゃが弱っていることを確認すると徐々に近づく。 もちろん食べるためだ。 れみりゃも自分が食べられようとしていることに気づいたらしい。 「まんじゅうこぁい!こぁ”っ」 ゆっくり魔理沙がれみりゃにかぶりつく。ゆっくり霊夢も続けてパクリ。 「よかったな。お前の好きな饅頭だぞ」 しかしすでにれみりゃは食べられて帽子だけしか残っていなかった。 その後、ゆっくり霊夢と魔理沙はおいしくいただきました。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1384.html
昼。 仕事を終えて家に帰る。 鍵を開けようとしたところ、もう開いていた。 泥棒かと思って中に入れば、ゆっくりがいた。 「ゆっ! おにーさん! ここはまりさたちがみつけたおうちだよ! ゆっくりでていってね!」 「「「でていってね!」」」 数えて四匹のゆっくりまりさがそこにいた。 何をしているかと思えば、食料庫に置いておいた食べ物を全部食われている。 ご丁寧に貴重な胡椒や塩もだ。 しかし、俺はこいつ等を無視して台所へ向かう。 台所も荒らされており、鍋やらヤカンやらが散乱していた。 俺はそれをかき分けて椅子に座る。 そこで近所の子から貰った昼飯の握り飯を頬張った。 「ゆ! なにしてるのおにーさん! はやくでていってね!」 台所にいる俺を見つけて親まりさがぷくっと膨れて怒る。 子供たちも真似するように小さく膨らんだ。 「別にお前達の邪魔をしてないからいいだろう、ここはお前達の家なんだから俺は家具だとでも思えばいいさ」 俺はそう言って飯を食らう。 まりさ達はそれが気に食わない様子だった。 「いいかげんにしてよ! ばかなの? おにーさん!?」 「ばかなの?」 「しぬの?」 非難を浴びるが、俺は冷静に返す。 「ああ、馬鹿だよ」 その言葉に、俺が自分達より格下だと判断したらしくまりさは調子に乗る。 「さすがばかだね! ここがだれのいえかわからないなんて! いきてるかちないんじゃないの!?」 普通、並みの精神の人間だったらここでどうしていただろうか。 間違いなく引きちぎって殺していたに違いない。 「そうかもな」 「ゆふん! ばかなおにーさんはここでのたれじんでね!」 俺をせせら笑ってまりさ達は自分達がいた部屋へ向かった。 飯を食い終えた俺は、取り合えず眠りにつく事にした。 夜。 目が覚めるとゆっくり達がぷるぷると震えていた。 饅頭らしくおしくら饅頭をして暖を取っているようだ。 春になったばかりの夜はとてつもなく寒い。 「ゆうぅ……ここでさむさをしのごうね!」 「あったかいよおかーさん!」 「だいじょうぶだよ!」 「ぬくぬくだよ!」 まりさ達はみんな親を心配させないように言う。 家族愛って奴だろうか。 俺は台所にしまってある毛布を使い、それを服の中に仕込んだ。 そのまま掛けて寝れば、ゆっくり達に奪われるかもしれない。 多少動きづらかったが、晩御飯の準備をした。 今日は鹿のスープだ。 言い忘れていたが俺の職業は狩人で、山の近くで暮らしている。 そんな事はともかく、作業に移る。 調味料は食われていたため、お湯の中に山菜と鹿の茹でた肉が入ったような質素なものとなった。 しかし、それでもうまそうな匂いがするらしく、まりさ達が俺の元へやってくる。 「ばかなおにーさん! それをまりさによこしてね!」 無視。 するともう一度まりさが叫ぶ。 「おにーさん! それをまりさによ・こ・し・て・ね!」 よこせを強調するが、無視。 俺は体当たりされてスープを零されてはたまらないので、一気に飲み干す。 「どうしてくれないの!? なんで? いいかげんしんでよ!」 「俺はお前の家の一部で家具だ、家具はお前のためにご飯を作らないしあげもしない。それにお前はゆっくりだろ、自分で狩りくらいできるだろ」 その言葉にぐっと歯を食いしばるまりさ。 確かにその通りである。 まりさはゆっくりの中では知能があるほうで、狩りは得意なはずだ。 「おかーさん、おなかすいたよ……」 さむそうにしていた子まりさの一匹が親に言う。 親は憎しみの表情を浮かべて俺を睨んだ。 だが、無視。 「まぬけなおにーさんがごはんをくれなくてごめんね! あしたたくさんごはんをとってきてあげるからね!」 子供達は不服そうだったが、やがて親に従った。 (あの様子だと食料庫の中身全部なくなってるわけか) 俺はそう考える。 まりさ達的にはもう春が来ているようで、ご飯を溜め込むなんて事はしなくなる。 食べられるだけ食べる、というのがゆっくりの習性だ。 俺は早めに家を出る事にした。 朝。 俺が目を覚まし居間へ行くと、寒さに震えながらもすやすやと眠っているまりさ達がいた。 起こさないように猟銃を持ってすべての部屋の鍵を閉める。 そして俺は狩りへ向かった。 お昼ほどになって、俺は狩りをやめる。 そして、食料を調達するために里へ向かった。 里は相変わらずにぎやかだった。 そこで俺はあるお店を見つける。 店の名前はゆっくり屋という名前だった。 中に入ってみると、ゆっくりれみりゃがお迎えをする。 「ごんでぢわ! おぎゃぐざまはなんべーざまでづが!?」 鼻にかかる声で人数を聞かれたので俺は一人だと答える。 すると、ゆっくりれみりゃが少しほっとしたような顔をした。 「あ、いらっしゃいませ! こちらへどうぞ!」 後から店員がやってきて、俺を席へ案内する。 メニューを渡されて、俺は目を通してみた。 ゆっくりれみりゃの腕のハンバーグ。 子れみりゃの肉まん。 奇形子れみりゃの踊り食い。 ゆっくりれみりゃの足の丸焼き。 等と書かれていた。 俺はとりあえずハンバーグと肉まんを頼んでみる事にした。 数分経ってから、店員とれみりゃが俺の前にやってくる。 しかし、料理はなかった。 「いまからお客様の前でれみりゃの調理をします、ごゆっくりとお楽しみください。ほら、やれ」 店員が言うと、泣きべそをかいているれみりゃが自分の腕を台の上に置いた。 そして、あろうことが自分の腕を引きちぎったではないか。 「う゛ぐぎぎぎぎぎぎぎ!! い゛だい゛ー! ざぐやー! ざぐぐぇっ!?」 泣き叫ぼうとしたところ、店員に殴られるれみりゃ。 さらに指示されると、自分のもう片方の腕で腕を叩き潰した。 いい感じに余計な肉汁がこぼれる。 店員は満足そうな顔をしてそれを焼いた。 「はい、お待ちどうさまです」 「どうも」 俺はそれをいただく。 餃子の中身を食っているような味がした。 たしかにハンバーグといえばハンバーグだが。 次に用意されたのは踊ってやってきたれみりゃだった。 その上にはぱたぱたと子れみりゃがいる。 「う~☆ れみりゃのこどぼがわいいでそ~?」 俺がああ、と答えると腰に手を当てて尻を振る。 ダンスのつもりなのだろうか。 はたから見れば挑発してるようにしか見えない。 「いまですお客様、尻をはがしてください」 店員が言うので、俺はとっさにれみりゃのスカートを引っ張り、尻を丸出しにする。 別に子供と変わりないような尻だった。 かといって欲情したりしないが。 「う゛~なにするどぉー! れみりゃのぷりでーなおしりっがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 行ってる途中で悲鳴を上げる。 なにせ店員がナイフで尻の皮を切っているからだ。 一定の大きさに切り終えると、今度は親の前で子を叩き潰す。 「う゛ぎゅ!?」 「ぶぎゃっ」 間抜けな悲鳴がしたあと、台の上に肉の塊があった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! れ゛み゛り゛ゃのあがぢゃん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!」 それを無視して切り取った尻の皮に先程の子れみりゃの残骸をつめ、蒸篭に入れた。 しばらくたって、ほかほかと湯気が立ち上る蒸篭を開けるとなんと肉まんが完成しているではないか。 とても不思議だ。 そして何より吃驚したのがこれだ。 「ぅー ぅー」 小さな声だが、小刻みに震えながら声を出す肉まん。 かろうじて生きていた子れみりゃが再生し始めていたので、こんな風になるらしい。 よくかんで食べれば腹の中で再生することはないらしい。 俺はそれを美味しくいただき、勘定を払って店を出た。 また夜。 返ってくると瀕死のまりさがいた。 やせ細っていて、今にも死にそうである。 一日半食べなければ餓死するのか。 「おに、さん……ごは、ん、ちょうだ、いね……」 弱弱しい声を出すが、俺は無視する。 「このまま、じゃ、まりさたち……しんじゃう、よ……?」 「だから?」 俺は買ってきた物で料理を作る。 匂いに釣られて子供達もやってきた。 「それ、ちょ……だい」 「……」 俺は無視して飯を食う。 まりさたちは血眼になってそれを見ていた。 「お前達は自分で狩りができるんだろ? なら必要ないじゃないか、あと食料庫から食べればいいだろう」 鍵を閉めたのは俺だなんて眠っていたこいつらには分からない。 ただ、部屋から出られず、ただ衰弱していった。 「おかーさん……おなか、すいたよー……」 その言葉にまりさも限界が来たらしい。 歯を食いしばり、俺に飛び掛ってきた。 「えざよごぜえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 俺は銃を取り出し、飛び掛ってくるまりさの口に突っ込んだ。 「別にいいぞ、黒胡椒の飴を食わせてやってもいい」 黒胡椒の飴、つまり弾丸の事だ。 まぁ胡椒は発火に使うものだが。 「ゆぎぎぎ! よごぜ! よごぜぇ!」 喚くまりさを無視して、俺は飯を食い終える。 そして毛布を服に仕込んで寝た。 最初は、喚きたてるゆっくりがうるさかったが、段々と静かになる。 朝。 起きると、一家は死んでいた。 餓死と凍死だろう。 皆、死への恐怖に目を見開いている。 俺は、一匹を釘で指して壁に張り、ゆっくりが来ないようにする。 さすがに何度も来られては、こっちの身ももたない。 そして残った方は、今日の昼飯となった。 別に殺そうと思えば殺せる。 だが、こいつらのために体力を消耗したり、貴重な弾丸を無駄にしたくはなかった。 ゆっくりなど、所詮閉じ込めてしまえばいずれ死ぬ。 だから、余計な手は加えない。 俺はそう考えている。 居座ったゆっくりなど無視して生活すれば勝手に死ぬのだ。 俺は鹿を狙い打って、今日の晩御飯を手に入れた。 あとがき 皇国の守護者のパロディでもやろうかと思ったけど辞めた。 サーベルタイガーにでも食わせるかな? 新城ォォッ! このアフォが書いた作品 霊夢の怒らせ方 ゆっくりデッドライジング1~3? 霊夢のバイト 慧音先生とゆっくり ゆっくりCUBE 書いた猟師:神社バイト このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/711.html
『豆れみりゃ』 突然変異により生まれたと思われる、捕食種・れみりゃの亜種。 性質は通常のれみりゃと変わらず、ただ大きさが異なるのみである。 通常1m弱のれみりゃ種(胴付き)だが、豆れみりゃ(胴付き)は10cm前後。 手のひらサイズであるため器物や人畜へ被害をもたらす危険が少なく、初心者にも飼いやすいとされる。 野生の豆れみりゃ by 十京院 典明 (旧名 ”ゆ虐の友”従業員) 豆れみりゃはこーまかんで目を覚ました。まぶしい朝の光が全身を包んでいて気分がいい。 「うっうー!」 両手を高く上げ、誰にともなく威嚇のポーズをとる。 こーまかんとはれみりゃ種の自らの住居に対する呼称である。ちなみにこの豆れみりゃのこーまかんは一本の若木だ。 お気に入りのべっどである、根本に近いところに生えている葉から身を起こすと、朝のだんすを踊る。 おぜうさまたるもの、常にだんすの練習はおこたらないのだ。 「うっうーうあうあ!」 だんすが終わると、茎にしがみついて地上へと降りていく。 うっうー!きょうもいいてんきだどぉ!ぷっでぃんたべたいどぉ! おぜうさまはぁ、とってもぐるめなのぉ~。 えれがんとなぷっでぃんじゃなきゃいやなの~。 地面に降り立った豆れみりゃは、ぷっでぃんを求めてあたりをうろつきはじめる。 「うーうー!ぷっでぃんどこぉ~」 今までで一番おいしかったぷっでぃんは、道端に落ちていた黒くて甘い餡子。 「わせいすいーつだどぉー!」と喜んで食べた。 次においしかったぷっでぃんは、ひらひらの綺麗なちょうちょ。 「とってもえれがんとだどぉ~!」と、そのよろこびを踊りで表現した。 普段は地面から生えている雑草や、地面をうごめく虫を食べている。 「へるしーなさらだだどぉー!」 だけど、実はあんまりえれがんとじゃない。 おいしくないし、ちくちくのむしさんはおぜうさまのおはだを傷付けることもある。 だから、れみりゃは常にぷっでぃんを求めているのだ。 できれば黒くて甘いすいーつ(一度しか食べたことはないが)、それが駄目ならちょうちょを食べたい。 「うっう~うあうあ~」 上機嫌で鼻唄など歌いつつ、豆れみりゃは草むらを行く。 * * * * この日は幸運なことに、ちょうちょさんを見つけることが出来た。 「うっうー!たーべちゃーうどー!」 ぎゃおーと威嚇のポーズを取り、ちょうちょに向かって飛ぶ。 「とったどぉー!」 ひらひらのちょうちょさんは、こーまかんのおぜうさまにふさわしいえれがんとな味わいだった。 夕刻になって、豆れみりゃは道に迷うことなく自分のこーまかんに戻ってくることができた。 沢山食べて沢山踊って、今日はとってもいい一日だった。 「おやすみにはまだはやいどぉ~!うー!」 葉っぱの上でうあうあと踊る。 その時、額にむずむずとした感触が走った。 「あう?」 短い手を額に当てるが、むずむずは治まらない。 「へんだどぉ~どうしちゃったんだどぉ~」 しばらく気にしていたれみりゃだったが、やがてやってきた睡魔にあっけなく降伏した。 * * * * 次の日豆れみりゃが目を醒ますと、額からゆ木(ぼく)が伸びていた。その先にはゆっくりのつぼみがついている。 「おぜうさまにあがちゃんできたどぉ~!」 豆れみりゃは喜んだ。 充分に育ったれみりゃ種は、とてもゆっくりした環境におかれることでその身に子供を宿す。豆れみりゃも例外ではない。 ”せーじゅくしたおとなのみりょく”を持ち、”とってもえれがんとな(安全な環境にいる=子供を育てるのに適した)” ゆっくりれみりゃだけが子供を持つことができるのだ。 おそらく、かなりの好日であった昨日のうちに”えれがんとさ”が溜まり、そのために子供ができたのだろう。 「う~!おぜうさまはまんまぁになったどぉ~うれちいどぉ~」 れみりゃがぼよんぼよんと踊るたびに、額の上でゆ木が揺れる。その嬉しさで、またゆ木が育ったように思えた。 れみりゃはぷっでぃんさがしに出かけた。いつでもごきげんなれみりゃだが、今日はいっそうごきげんだ。 誇らしい気持ちと、親になったという責任感が原動力となり、れみりゃは力強く空を飛ぶ。 「おちびちゃん~♪おいちいぷっでぃんいっぱいたべさせてあげるど~♪」 * * * * 「ゆっきゅちちていってね!ゆっきゅちちていってね!」 「あう?」 割れるような大声が聞こえて、豆れみりゃは誘われるようにそちらへと向かった。 しばらく飛んでいくと、やがて草をかきわけて幼いゆっくりれいむが姿を現す。 「あうー?」 この豆れみりゃが他のゆっくりを見るのは初めてのことだった。子ゆっくりとはいえ、豆れみりゃの何倍も大きい。 豆れみりゃの狭い生活圏には他のゆっくりは存在していなかったのだが、今日のれみりゃは子供を得てテンションが上がっている。 そのため、普段の行動範囲よりも遠くまで来てしまっていたのだ。 相手の大きさに一瞬ひるんだ豆れみりゃだが、肉饅に刻まれた記憶が「この相手は自分達の獲物だ」と告げている。 いつか食べた黒くて甘いものがこの中に入っていると、れみりゃ種の本能で理解する。 「ぎゃーおー!たーべちゃーうぞー!」 いつものようにまず両手を上げて威嚇し、それから相手に向かって飛ぶ。 相手もこちらを認識したようで、こちらに顔を向けてくる。 「ゆゆ?!ゆっきゅりちていってね!むしさんれいみゅにたべられてね!」 当の子れいむはとてもゆっくりした表情で動きもしない。 「おいちいあまあまだどーー♪」 豆れみりゃは子れいむの腹部にうー!と突っ込んだ。 しかし、 「あうーーーー!!??」 「ゆ?」 もっちりとして弾力のある肌に弾かれて大きく跳ね返ったのは豆れみりゃの方だ。 「ゆゆゆ!!ぽんぽんがくしゅぐったいよ!ゆっくりやめてね!」 「うう……?」 状況がよく理解できないものの、襲撃が失敗に終わったことだけは理解する豆れみりゃ。 プライドを傷付けられた豆れみりゃは再び突撃する。 「うっうー!」 しかし、やはり効果は望めない。 「むしさんゆっくりやめてね!れいみゅはむしさんとはすーりすーりしないよ!」 「あううううう!!??どーじでたべられないんだどーー!!」 その言葉を子れいむが聞きとがめる。 「ゆゆ?これからゆっくりたべるよ?むしさんれいむのぽんぽんでゆっくりしていってね!」 「ぢがうどーー!おぜうざまがおまえをたーべちゃーうのー!!」 その時、まったくかみ合わない会話に割り込むように黒い影がよぎった。 起こった風に豆れみりゃは吹き飛ばされそうになる。 「おぢびぢゃーーーん!!!ゆっぐりにげでぇぇぇぇーーー!!」 影は、親れいむだった。 豆れみりゃからは見上げるような大きさと地鳴りのような声。 さしものれみりゃも恐怖に凍りつく。 親れいむの巨大な体が、恐ろしい速度でこちらへと迫ってきてれみりゃは目を回しかけた、が―― 「おねがいでずぅぅぅぅぅ!!!!がわいいでいぶとおちびぢゃんをみのがしてくだざいぃぃぃぃぃ!!」 それは親れいむの渾身の土下座(?)だった。 れみりゃ種の脅威を知る親れいむの態度に、豆れみりゃは俄然活気付く。 「おぜうさまはえらいんだどぉー!」 「わがっでまずぅぅぅぅ!!ゆっぐりりがいじでまずぅぅぅぅ!!」 「わかればいいんだどぉ~。おちびちゃんもいるんだどぉ~♪おぜうさまのおちびちゃん、かわいいどぉ~」 その時、ゆ木が大きく揺れた。 自分よりもずっと大きい親れいむを屈服させたことによる充足感で、またもゆ木の生長が促進されたのだ。 「う゛…う゛…う゛まれるどぉぉぉぉ!!!!!」 ゆ木の先のつぼみがぐむぐむとふくらみ、 「うーうー?」 子れみりゃが産声を上げた。 初めての子れみりゃの声に、豆れみりゃは感激する。 「すっごいどぉぉ~~!!まんまぁだどぉ~!まんまぁがまんまぁだどぉ~!」 自分の額を見上げるようにして、夢中で子れみりゃに言葉を浴びせ続ける。 「……ゆ!」 親れいむはこれを好機と悟った。 「ゆゆ!おちびちゃん、ゆっくりにげるよ!」 親れいむが子れいむを促すが、子れいむはわけがわからないといった表情。 「ゆぅ?れいみゅむしさんたべたいよ?」 「どぼじでわがっでぐれないのぉぉぉぉ!!??れみりゃはゆっくりできないんだよぉぉぉぉ!!??」 「おまえたち、なにしてるんだど?」 「ゆひぃぃぃぃ!!!!!」 言い争っているうちに豆れみりゃが気づいてしまう。 「だがらいっだのにぃぃぃぃぃ!!!!」 大きな瞳から滂沱の涙を流す親れいむ。そんなれいむに豆れみりゃは言った。 「うっうー! きょうはとくべつなひだからぁ、いのちだけはたすけてあげるど♪」 額の子れみりゃをみせびらかすように胸を張り、豆れみりゃは尊大に言い放った。 「ゆゆぅぅーーーん!!ありがどうございまずぅぅぅぅぅ!!!!」 「そのかわりぃ、そのおりぼんちょうだいだどぉ♪おちびちゃんへのしゅっさんいわいだどぉ♪」 「ゆうっ!?」 多くのゆっくりに見られる傾向として、自身の装飾品を大切にするという習性がある。 このれいむもその口のようで、結局のところ豆れみりゃの要求のレベルはほとんど変わらない。 「ゆぐぅぅ……それだけはゆるじでぐだざい……」 歯を食いしばり、体を左右にねじっていやいやをする親れいむ。 「だめだどぉ♪おりぼんでこーまかんをもっとえれがんとにするんだどぉ♪とっととよこすどぉ♪」 「ゆああああ……!」 そのとき、額の子れみりゃが笑う。 「うーうー!」 「しゅっごいどぉ!またわらったどぉーー!!」 豆れみりゃは、額にぶら下がってなかなか視界に入らない子れみりゃを見上げ―― べこん * * * * 気がつくと、地面にめり込んでいた。 「うっうーいだいどぉ……どーじたんだどぉ……?」 何とか身を起こし、すると眼前には二匹のれいむがいる。 「あう!そーだどぉ! とっととおりぼん……」 しゅるん、と子れいむの舌が伸びてきて、豆れみりゃの二枚の翼を絡め取る。 豆れみりゃは痛みに絶叫した。 「あ゛う゛ー!!はなぜぇぇぇーー!!」 親れいむがずいと這い寄ってくる。 「よくもいままでれいむをおどかしたね!」 先ほどまでと全く違う、怒りと攻撃性に満ちた顔が、動けない豆れみりゃを見下ろしている。 「ゆゆん!れいみゅのゆーとおりだったでちょ!むしさんはこわくなんかにゃいんだよ!」 「ゆぅぅ……さすがはれいむのおちびちゃんだね!とってもゆっくりしてるね!」 先ほど豆れみりゃを地面に叩き付けたのは、子れいむの舌による一撃だった。 その一撃で豆れみりゃは地面にめりこんで昏倒し――親れいむの”思い込み”が解けてゆく。 今、我が子の舌で地面に撃ち落された相手はあの恐ろしいれみりゃではない。 あるいは、れみりゃであっても見るからに小さく、取るに足らない存在である。 そう認識してしまえば、恐れが怒りへと変わるのは一瞬だった。 * * * * 親れいむは回想する。 「おぢびぢゃぁぁぁぁぁぁんんん!!!!ゆっぐりぢでぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「うっうーうあうあ☆もっとにげるんだっどぉ~♪」 親れいむの一匹目の赤ちゃんは、れみりゃに狩り殺されていた。 偶然が味方し自らの命は取り留めたものの、ひどく傷付けられた初児は二度と還らなかった。 あまりにも天敵は強大で、逃げることさえもかなわないそれは、通常種のゆっくりにとって命の行き止まり―― れみりゃに意地悪く追い回された数十分間の記憶は、いまだに親れいむの餡子に大きな傷跡を残している。 れいむは豆れみりゃを見下ろしている。 あの時の自分と同じ思いを、こいつにも味わわせてやる。 * * * * 豆れみりゃは翼を拘束されたままこーまかんへの道のりを案内させられていた。 「うっうーおぜうさまのこーまかんはりっぱなんだどぉー!」 「……」 やがて二匹のれいむと豆れみりゃはこーまかんにたどり着く。 「じゃん☆これがおぜうさまのこーまかんだどぉー! こっちがべっどでぇ、こっちがだんすほーる……」 まだ自分の立場を理解していない豆れみりゃは、二匹のれいむに熱っぽくこーまかんの美点を語る。 二匹のれいむはこーまかんの方を向いている。大きな塊が覆いかぶさっているので豆れみりゃにはこーまかんが見えない。 「あうー!おぜうさまのおかえりだどぉー!」 豆れみりゃは二匹れいむの間を割って、こーまかんへと向かおうとした。 この二匹にこーまかんのすばらしさを見せてやるのだ。 だが次の瞬間、豆れみりゃは我が目を疑った。 「むーしゃ、むーしゃ……それなりー」 「ふつうのくささんだにぇ!」 ずっと暮らしてきた、世界一立派な自分のこーまかんが二匹のれいむに食べ散らかされている。 巨大な二匹のゆっくりは、すでにれみりゃのこーまかんであった若木を根本近くまで食べてしまっていた。 「ぎゃぉぉぉぉぉ!!!だめだどぉぉぉぉぉーーー!!」 おぜうさまの大事なこーまかんが。これからおちびちゃんが暮らす大切な住処がなくなってしまった。 それどころか二匹のれいむはあたりの草花をも食べ進んでいく。 親れいむは思う。 (れいむもだいじなおうちをこわされたんだよ。そのせいでゆっくりできなくなったんだよ) 「ゆーん!あんまりゆっくちできなかったよ!」 「おぜうざまのごーまがんがぁーーー!!!」 不満をかこつ子れいむをぺーろぺーろしながら、泣きじゃくる豆れみりゃに目を向ける。 「うー!おまえらゆるざないどぉー!!」 舌でべちん。 「いだいぃぃぃぃぃぃ!!!」 「おかーさんれいみゅむしさんたべたいよ!」 「ゆ~、おちびちゃんもうちょっとまってね」 この段になって、ついに豆れみりゃも格の違いを思い知る。 「も、もうでびりゃをゆるじでほしいんだっど?」 舌でべちん。 「いだいのやだぁぁぁぁぁ!!!!」 「ゆくく、じぶんのことよりおちびちゃんのしんぱいをしたほうがいいよ」 親れいむは残酷に言い放った。 「あう?……おぢびぢゃん?」 激変した状況から来るプレッシャーか、子れみりゃの成長に欠かせない”えれがんとさ”が減ってしまった結果か。 まだゆ木から切り離されていない子れみりゃは目を閉じて、ぐったりとしている。 「おぢびぢゃんしっかりするどぉーー!まんまぁがいまだんすをおどってあげるどぉー!」 「ゆくくく……せいぜいやってみるといいよ、にげたらべちんだよ」 「ゆー!おかーさんおにゃかすいたよー!」 「うっうー、うあ☆うあ」 「ばかなの?しぬの?」 「ゆっくちちんでにぇ!」 豆れみりゃは子れみりゃを励まそうと必死に体を動かす。 しかし、前と後ろに陣取る二匹から常に罵声が浴びせられ、子れみりゃはどんどん生気を失っていく。 「れみ☆りゃ☆うー!」 「ばかじゃね」 「つまんにぇ」 「ううううーーーー!!!じゃまずるのなしだどぉーー!!」 豆れみりゃが怒るが、一瞬の後「べちん」の恐怖に身をすくめる。 だが「べちん」は飛んでこなかった。その代わりに親れいむは澄まして言う。 「ゆゆゆ?れいむはゆっくりしてるだけだよ?」 「しょうだよ!はやくむしさんがちんだらもっとゆっきゅりできるよ!」 「ぐやじいどぉぉぉぉーー!!おぢびぢゃんんーー!おぢびぢゃんんーー!」 どうすることもできない豆れみりゃを尻目に、二匹のゆっくりはいつものアレをはじめた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆゆ!おかーしゃんゆっくちちていってにぇ!」 「じょうずだよおちびちゃん!ゆっくりしていってね!」 「ゆゆーん!ゆっくりちていってにぇ!」 「うるざいどぉぉぉぉーーー!!おぢびぢゃんがじんぢゃうどぉぉぉぉぉーー!!」 「ゆっくりしんでね!」 「ゆっくりちんでにぇ!」 「やだぁぁぁぁぁぁ!!!!おぢびぢゃんんんんーーーー!!!」 ゆ木がしなびて顔の前に落ちて来た。 豆れみりゃの、草の実のように小さなおちびちゃんはもはや息も絶え絶えだ。 「うー……まんまぁ~……まんまぁ~……」 「おぢびぢゃん!!??おぢびぢゃん!!??」 「まんま……」 「「ゆ っ く り し て い っ て ね !」」 そのか弱い声をかき消すようなゆっくりしていってねが最後の一押しになったのか、 「まん……まぁ……」 子れみりゃはついにその短い生涯を終えた。 「ううううううーーーーー!!!!」 「ゆっゆっゆっゆ!」 「むしさんたべたいよ!もうがまんできないよ!」 「そうだね、もうおかーさんもゆっくりできたよ!ゆっくりむーしゃむーしゃするよ!」 悲嘆に暮れながらも、豆れみりゃは自らの命の最終通告を聞きわけた。 散り散りになった思考でも、その意味するところを理解する。 とってもえれがんとなおちびちゃんは、この大きな存在に苛められて殺された。 そして悲劇はこれで終わりではなく、これからわが身へと降りかかってくるところなのだ。 「うわあああああああ!!」 豆れみりゃは半狂乱になって飛んだ。 「うーうー!ざぐやー!ごあいどぉー!!おぜうざまはまだじにだぐないどぉぉぉぉーー!!」 こーまかんを失った悔しさも子れみりゃの無念も忘れて、死から逃れようと力いっぱいにもがく。 「だずげでぇぇぇぇぇ!!!!ざぐやーー!ざぐやーー!」 火事場の馬鹿力――生命の危機を前にした潜在能力で、豆れみりゃは今までで最高のスピードで飛ぶ。 「ざぐや……!」 しかし、その足に子れいむの舌が難なく巻きついて、豆れみりゃを地面に引きずり下ろした。 END
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1393.html
ゆっくりの思い込み 「ゆ・・・、このたべものおいしいね!!!」 「ゆ!むーしゃ♪むーしゃ♪」 「「しあわせー♪」」 一仕事終わって帰宅した時僕の家は二匹のゆっくりに荒らされていた。 お菓子、ジュース、挙句の果てには僕が育てた野菜まで食い散らされ、部屋中食べカスで散らかっていた。 他にも家具はぼろぼろ、枕も綿を全部抜かれていた。 一匹はゆっくりまりさ、もう一匹はゆっくりれいむだった。 どちらももう少しで大人、バレーボール位の大きさだった。 僕は少し頭にきたがそれを抑え、一応ゆっくり達に話しかけてみた。 「・・・なにをしてるんだい」 僕は口だけで笑いゆっくりに問いかけた。 「ゆ!?おじさん!ここはれいむとまりさのおうちだよ!さっさとでてってね!!!」 「おじさん!でていくまえにたべものちょうだいね!!!」 答えを返さない上に自分の家から出て行けとまで言われた。 普通ならここですぐに蹴飛ばすでもして潰しにかかるだろう。 しかしここですぐ殺してもむなしくなるしもっと苛立つに違いない。 ここは抑えてゆっくり虐めるのがベスト。 そう考えた僕はゆっくり達を1階に残したまま二階へあがる。 「ゆ!?おじさん!!!はなしをきいてなかったの!?ばかなの!?」 「ここはまりさとれいむのおうちなんだからしらないおじさんはさっさとでてってね!」 2つの饅頭ご立腹。 僕は無視して階段を登る。 2段目辺りでゆっくりが体当たりしてきたが3段目を登る時蹴落としてやった。 二匹ともピーピー喚いていたけど聞き取らなかった。 少しして僕は1階へと戻ってきた。 ちょっと用意するものがあったから。 それを持って1階へ戻ると・・・ゆっくり達の姿が無い。 食料が尽きたからだろうか。さっさと出て行ったのか。 しかし移動スピードは名前どおりゆっくり。ドアを開けると「ゆ”っ!!!」と泣き声がした、ドアの手前にいたんだろう。 「れ”い”む”!?霊夢"にな”にずるのぉおお”ぉ”お”!!」 ゆっくりまりさが僕に体当たりしてきたがそれをつまんで吹っ飛んだれいむも脇に抱えて再び家の中へ。 二匹を部屋につれてきた。部屋の大きさは6m×6m×4mくらいかな? 「「に”ゅっ!!!」」 部屋に入れまずは軽く蹴り飛ばす。 二匹とも壁にぶつかり餡を少し噴きだした。 「ゆぅ・・・おじさん!なんでげるの!!!ばかなの!!!」 「おじさんはゆっくりできないんだね!ゆっくりできないならさっさとれいむとまりさのおうちがらででってね!!!」 「おじさんのばーか!」 「ばーか!!!」 2匹はよろよろ体制を立て直しギャーギャー騒いだ。 それが原因で虐められるのを理解できないのか?頭が可哀そうだ。 人間の子供以下だな、子供だってこんな生意気言わないぞ。 「まあ落ち着け、今日からここの部屋はお前達の部屋だ」 「っゆ・・・?」 二匹とも呆気に取られたようだ。しかしすぐに顔を膨らませる。 「ちがうよ!まりさとれいむはここのおうちのもちぬしなんだよ!ここのへやだけじゃないよ!!!」 「でもおにいさんがかわいそうだからここのへやはおにいさんにあげるよ!!!だからでてってね!!!」 どっちだよ。 とりあえず僕は両者無視して2階から持ってきたブツを二匹の前においてやる。 「・・・ゅっ!!!???」 「ゆ・・・ゆぎゃああぁぁああ!!!!」 2匹は泣きながら後ろへ後ずさる。 無理も無い。そのブツとはゆっくりれみりゃだから。 いや、正確にはそのぬいぐるみなんだけれど。 但し質感はそれそのもの。しかもそれは・・・ 『うー♪たーべちゃーうぞー♪』 「ゆうぅぅううぅ”う”ぅうう!!!!」 喋る。 中に何通りかの声を出す機械が内臓されている。 さすが河童印。いいもんを作ってくれる。 二匹はすっかり怯え部屋の隅っこでがたがた震えていた。 「ごめんな”ざいいぃいいいぃいいぃぃ・・・!!!」 「ごごのおべや”でいいがらだづげでええぃい・・・!!!」 ぬいぐるみ相手に怯える様子を見るのはとても楽しい。だからもう少しぬいぐるみを近づける。 「い”や”あぁぁあああ”あああ!!!どぼじでだづげでぐれなびのぉおぉおぉぉぉお!!!!」 「おじざんなんがゆ”っぐるぃぢね!!!!」 「・・・まだ立場が分かってないんだね、おじさんに死ねなんて言うとこうなるよ?」 そう言うと更にじりじり近づける。2m1m50cm・・・ 「う"ぁがりまぢだごめんざいごめんざいぃいい”ぃ”ぃいい”!!!!」 「ぼじざんわでいむだぢよりうえでづぅうううぅう!!!!」 ようやく分かったところでぬいぐるみを持ち上げる。このぬいぐるみも「うー♪うー♪」鳴いて煩い。 「じゃあ確認するぞ?おじさんとれいむたちつよくてえらいのはどっち?」 「おぢだんのぼうがづよいでづう”ぇらいでづぅううう!!!」 「びるじでぇえええぇぇええ!!!!」 「分かったようだね、でもこのにんぎょうは置いておくよ。」 「びゃめでぇええええぇえ・・・・ゆ?」 「ゅ・・・にんぎょう・・・?」 2匹とも硬直する。笑いをこらえるのが必死だよ。 「これ、ぬいぐるみだよ?何に怯えてたの?」 すると二匹は段々元に戻っていき、 「おじさんひどいよ!!れいむたちをだますようなおじさんはゆっくりしね!!」 「おじさんのばぐぉんっ!!!」 あまりにも煩いのでもう一度軽く蹴り飛ばす。 「えらくてつよいのはどっち?」 「おぢざんでづぅううぅううう!!!!!」 「わがっだがらまりざをげらないでぇえええぇえぇええ!!!」 これだからゆっくりは・・・すぐにつけあがる。 もう声も聞きたくないのでちゃちゃっと説明して切り上げよう。 「じゃあちょっとやってほしいことがある。なに、簡単なトレーニングだよ。」 「ゅ・・・?とれーにんぐ?なにそれ?」 「簡単に言うとこのぬいぐるみをこてんぱんにやっつければゆっくりれみりゃよりも強くなったことになるんだよ。ゆっくりゃより強くなりたいだろう?」 二匹は少し間をおいて目を輝かせ、 「うん!ゆっくりれみりゃよりもつよくなりたい!」 「そうだろう?だからこのぬいぐるみを倒して強くなってごらん。勿論ごはんはあげるよ」 「おじさんやさしいんだね!!ありがとう!!」 「まりさにおいしいごはんちょうだいね!!!」 「じゃあ、がんばってね。」 さっきやられたこと全然覚えてない気がするよ。 あとまりさの発言に腹が立ったので部屋を出る前に軽く蹴飛ばしておいた。 部屋に鍵を掛けた僕は近くの森に出かけた。 「おじさん!はやくごはんちょうだいよ!!!」 それから数日がたった。2匹のゆっくりは結構成長した。 バレーボールからビーチボールより少し大きいくらいだろうか。毎日4食与えてやったんだし当然か。 それに態度も一変、再びつけあがるようになった。 「おじさん!こんなおやさいじゃゆっくりできないよ!!!もっとあまいものをもってきてね!!!」 「まりさのぶんはれいむよりもおおくもってきてね!!!」 数日前にされたことをすっかり忘れているようだ。 まあ、そろそろ丁度いいころだろうし、今くらいは聞いてやるか。 「ごめんね、お野菜じゃ物足りないよね。じゃあこれ、ケーキをあげよう」 こう見えても僕は料理やお菓子を作るのが好きだからこのくらいは朝飯前だ、それをゆっくりに与えるのは気に食わないが仕方ない。 「ゆ!おいしい!!けーきおいしいよおじさん!!!」 「でもまだまだだね!!こんなのじゃまりさまんぞくできないよ!!!」 ケーキ作り6年続けてる僕のケーキがまだまだとな。 さすがに少しムカついたから足で頬の先端を踏み潰す。 「い"だ"い"だい”ぃ”いいいぃ”い”い!!!」 「ごめんごめん、足が勝手に」 「からだがふじゆうなおじさんはゆっくりけーきをもってきてね!」 ある程度すっきりした僕はそろそろかと思い部屋を出て籠を持ってくる。 「ゆ?おじさんそれなあに?けーき?」 僕は笑顔で 「ゆっくりれみりゃだよ」 少し2匹の動きが止まるが、少しすると二匹はすぐに元通りになった。 「なんだ!ゆっくりれみりゃなられいむもうたおせるよ!!」 「まりさもつよくなったよ!!ゆっくりれみりゃなんていちころだよ!!!」 そう。 二匹の部屋に置いたゆっくりゃの人形がかなりぼろぼろになっている。 それで二匹は強くなったつもりなのだろう。 にんぎょうよりはつよいだろうけどね 「ゆっくり!?トレーニングの成果を見せる時だよ!!ゆっくりれみりゃをゆっくり倒してね!!」 「らくしょうだよおじさん!!!れいむがいちころだよ!!」 「もうこわくないよ!!!れみりゃよわいもん!!!」 よし、準備OKだ。 そして僕はゆっくりと・・・籠を開ける。 「「う~♪たーべちゃーうぞー♪」」 そこには二匹のゆっくりゃがお腹を空かして待っていた。 しかしぬいぐるみ効果ですっかり強気になったゆっくり二匹。 「れみりゃはよわいよ!まりさがゆっくりたおしていくからね!!!」 そう言い終わるとまりさは勢い良くゆっくりゃに飛び掛る。 しかし 「ガブッ!!!」 「ぎゅっ!!??」 ゆっくりゃはそれを待っていたかのように上を向いてまりさの足に噛み付いた。 そして噛み千切る。 「い"だい"よぼぉぉおおぉぉぉおお!!!!」 「まりさ!!!??れみりゃはよわいのになにやってるの!!!??まりさはよわかったんだね!!まりさのよわむし!!!よわむしまりさはゆっくりしんでいってね!!!」 「どぼじでぞんぎゅぉっ!!!!!!」 『どうしてそんなこというの?』 そう言い終るまでゆっくりゃは待ってくれない。ゆっくりゃは数秒でまりさを帽子だけ残して完食してしまった。 「あーあ、まりさは食べられちゃったね。でもれいむはつよいから二匹相手でもどうってことないよね?」 「もちろんだよ!!まりさはよわいけどれいむはつよいもん!!れみりゃなんかいちころだよ!!!!」 そう言うとれいむはゆっくりゃに体当たりを・・・当てられなかった。ゆっくりゃが素早く避けたのだ(素早くとは言ってもゆっくりの中でだが)。 勢い余って壁に激突したれいむは頭から餡子が少しもれてしまった。 「どおじで・・・どおじでよげるのぉお"ぉお"ぉおお!!!」 「う~♪う~♪たーべちゃーうぞー♪」 「ゔあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛・・・・・どごじどおじじゅ」 れいむも同じく数秒でリボンを残し食べられてしまった。 そう、相手は人形であって実際の生き物ではなかった。 ゆっくりの頭ではその程度のことも分からなかったようだ。 「う~♪う~♪」 さて・・・残りのゆっくりゃがうるさくなってきた・・・ 丁度食料が少なくなってきたところだ。今日の昼食は肉まんにすることにしよう。 そして僕は残ったゆっくりゃを丸かじりして今日の昼食を終えた。 その時余った1匹にかじられたので蹴り飛ばしてしまい食べれなくしてしまったのは内緒だ ____________________________________________________________ あとがき ゆっくりを強く・・・ではなく強いと思わせてみました。 しかし思っただけでは強くなることは出来ません。 ちなみに思い込みで強くなるパターン、すなわちれみりゃに勝つというパターンも考えたのですがれみりゃが嫌いな僕は最後自分の手でゆっくりゃに止めを刺したかったのです。 ゆっくりにさせるなんて言語道断。恥を知れゆっくり。 最後に、ここまで読んでくれた皆さん、ありがとうございました。 あとこれを読んだ方、出来ればゆっくりゃを全力で虐めたSSを書いてくれるとうれしいです。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3615.html
小ネタです。 虐待というか変種いじめ? 描写がかなり薄いです。 とある森にゆっくり達が住んでいた。人里からも遠いため人に迷惑をかけずゆっくり達は平和にゆっくりと暮らしていた。 そんなある日のことである。1頭のゆっくりれいむが行方不明になった。 ここ最近行方不明になったゆっくりの数が多くなってきたので群れは総出で捜索にあたることにした。 「れいむぅぅぅぅぅぅ……ゆふぅ、れいむどこにいっちゃったんだろう……」 森の中を跳ねてれいむを探すのはれいむの親友だったまりさである。今朝方れいむは水浴びに行っているといってそのまま行方不明になったのだった。 もしかして、れいむは川の深みにおちてしまったのかもしれない、と川伝いに探していた。 「ゆぅ、すこしつかれたからすこしやすむよ」 そういいながら、まりさは木に背(どこにあるのかは知らんが)をあずけた。 次の瞬間、ものすごい痛みがまりさを襲った。木の皮と思った場所がいきなり開き、まりさの背中に噛り付いたのだ。 「い、いたいよぉぉぉぉぉぉ!」 慌てて飛び起きようとしたが、齧られているために体が動かない。そうこうするうちにみるみる体の餡子が吸われていく。 「ゆががががが……れ、れみりゃ……」 そういってまりさは事切れた。 『う~♪』 木にれみりゃが隠れていたわけではない、まりさがのっかかった木にはどこもれみりゃが隠れれる洞などない。 木がれみりゃそのものだった。いわゆる『木ゆっくり』という奴である。 ある夜体付きふらんに遭遇してしまったこの元体付きれみりゃ、酷い怪我を負いながらもほうほうの体で逃げ出してこの森に不時着したのだった。 日光が木々に遮られていたことがれみりゃに幸いしてか、地べたに落ちていても灰になることもなく、気付いたられみりゃはこの木ゆっくりになっていたのだ。 地に根を張ったことから、ご飯を食べなくてもゆっくりできるのだが、捕食種の性かあんこが無性に食べたくなるのだ。 「かってにあまあまがくるかららくちんだどぉ~♪」 そこで、自分によっかかってきたゆっくりをこのように捕食していたわけである。皮も残さず食べていたので今までばれることもなくれみりゃは犠牲者を増やしてきていた。 「う~う~うあうあ~♪」 だがしかし、今日ばかりは違っていた。 「た、たいへんだみょん! すぐどすにれんらくだみょん!!」 行方不明になったれいむを探すために多くのゆっくりが捜索に参加していた。 このよーむもそのうちの一体。たまたま川辺を探していたときにさっきの惨劇を見てしまった次第である。 こうしてよーむから木れみりゃの存在が判明し、さっそく対策会議が始まった。 「たいあたりでいくんだぜ!」 というアホ丸出しの意見も出たが 「きにたいあたりしてもはじかれちゃうんだよー、わかるねー?」 「それにさいあくそのままたべられちゃうかのうせいもあるわ!」 と却下された。 「むきゅ、ぱちゅりぃにいいかんがえがあるわ! どすのどすすぱーくできをたおしちゃうのよ!」 という結構マトモな意見も出たが、 「どすすぱーくはへたをするともりをやいちゃうからどすはつかいたくないよ、それにきがみんなにたおれてきたらたいへんだよ」 とドス自身から反対意見が出た。こうして会議は難航していたが6日目にけーねが 「けーねかんがえたんだが、しょくぶつなんだし、ねっこたべちゃえばよくね?」 といった事から根っこ切り作戦をすることにした。 決行の日、昼寝(?)をしているれみりゃの前にみょんに先導されたゆっくり達はやってきた。 「れみりゃはねているね……(小声)」 「じゃぁみんなゆっくりしずかにあなをほろうね(小声)」 「「ゆーえすゆーえす(しつこいようだが小声)」」 数時間後、ゆっくり達は異常なスピードで掘り進み、ついに根っこまで掘り当てた。 『うー……あ、あまあまがいっぱいだどぉぉぉ!』 と上から呑気な声が聞こえてるが気にしないことにする。 根は硬いが所詮はゆっくり製の木・他の木々の根より格段に柔らかかった。 「まりさとれいむのかたきだみょん!」 と先陣をきって掘り進んでいたよーむが根に噛み付いた。 『い、いだいどぉぉぉぉぉぉぉ!!』 木れみりゃは困惑していた。あまあまがたくさんいてすっかりヘブン状態!だったのに、突然足元(れみりゃはそう感じている)から激痛が走ってきたわけだ。 天国から地獄というかヘルアンドヘヴンというか。 「れみりゃのねっこだべじゃだべだどぉぉぉぉぉ!! これいじょうだべだらおばえらをだべじゃうどぉぉぉぉ!!」 と叫んでも所詮は植物化したゆっくり。普通の捕食種だったならまだ勝ち目はあっただろうが、動かないものの威嚇など誰が聞くものか。 「うっめ、これめっちゃうめっ!!」 とただ旨いから根に噛み付いてる奴もいれば 「まりさのかたきぃ!れいむのかたきぃぃ!」 「このあいだいなくなっちゃったらんしゃまのかたきぃぃぃぃ!!」 と怒りのあまりに噛み付いているのもいる。 『ざぐや、ざぐやぁぁぁぁぁぁぁ!』 そんなこんなで数時間後には、木れみりゃの根っこは完全に食い尽くされ、れみりゃは地面に倒れていた。 『お、おなかすいたどぉ、なにかだべだいdうぎゃ!』 まだ戯けたことを言っているれみりゃの幹をドスが踏み潰した後に 「こいつはこのままほうちしといてだいじょうぶだよ! よるになったからどすからはなれないでゆっくりついてきてね!!」 「わかったよどす!!」 「くずのれみりゃはとっととしんでね!!」 と群れは帰っていった。 つい最近までしあわせな状態が続いていれみりゃの運は使い果たされている上憎い仇を助けるものなど誰もなく、木れみりゃはそのまま死んでいった。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/166.html
ゆっくりという種族が幻想郷に突如蔓延して、どのくらい経っただろうか。 畑を荒らす害獣として駆除されたり、加工所というところでお菓子にされたりするくらいには、既に浸透していると思う。 中には俺のように、ペットして飼うものも少なからず存在していた。 「今帰ったぞ~」 「ゆっ!」 仕事が終わり、帰宅して扉を空けると、部屋の真ん中に鎮座していた生首が声を上げて駆け寄ってきた。 赤いリボンが特徴的な、ゆっくり種の中でも一番数が多いとされるゆっくり霊夢だ。 博麗の巫女によく似た顔で(と言うと、霊夢さんは怒るかもしれないが)、性格は基本的に温和で純粋無垢。 それ故にトラブルを起こすことも多々あるのだが……まぁ、その話はもうちょっと後で。 「ゆっくりしていってね!」 仕事で疲れてる俺に対する労いの言葉――ではなく、単にこいつらの口癖なのだが、兎にも角にも癒される。 可愛いなぁ、くそ。 俺の友人たちはよくこいつを買って食べているが、正直薄目に見れば人の顔そのものであるこいつらによく噛み付けるものだ。 しかも食う時に痛々しい叫び声上げるんだぜ? 悲痛すぎて言葉が出ない。 友人曰く、「お前もその内分かるようになる」らしいんだが……そういう日が来ないことを願う。 「待ってな、今晩飯作るから」 「ゆっくり待ってるね!」 ぴょんぴょん飛び跳ねて晩飯を心待ちにしていることをアピールするゆっくり霊夢。 うぅん、ぷりちー。 気持ち悪がる人もいるが、俺にとっては可愛いペットだ。 晩飯を食べ終わると、読書タイムとなる。 最近友人になったパチュリーさんから借りた本を読みながら、まったりとした時間を過ごす。 ゆっくり霊夢は何をするでもなくぼーっと、たまにぴょんぴょん部屋を飛び跳ねて、「ゆっくりしてるね!」と言っていた。 ゆっくりの声には癒し効果でもあるのか、意識を阻害されることなく読書に集中出来る。 やがて切りのいいところで本を片付け、ゆっくり霊夢と遊ぶことにした。 「ほら、取って来い!」 「ゆ! ゆ!」 フリスビーを家の壁に穴を開けない程度に軽く投げ、ゆっくり霊夢に取って来させる。 ゆっくり種はその口癖と名前から勘違いされがちだが、飛び跳ねたり、野原を駆け回ったりと意外とアクティブな存在だ。 だから運動不足にならないよう、こうして遊んであげる必要がある。 俺が仕事に行ってる間に外に出してもいいんだが、もし野生のゆっくりアリスやゆっくりれみりゃと遭遇したときのことを考えると……駄目だ、放し飼いは認められない。 「取ってきたよ!」 口にフリスビーを加えたゆっくり霊夢が戻ってくる。 「おう、偉い偉い」 ゆっくり霊夢の頭を撫でてやると、ゆっくり霊夢は嬉しそうな顔をした。 その顔を見ていると、こっちの頬まで緩んでくる。 ……それと同時に、ある感覚が心の内より現れた。 「っ……」 「?」 不思議そうにこっちを見つめるゆっくり霊夢になんでもない、と首を振り、もう一度フリスビーを投げる。 せっせと追いかけるゆっくり霊夢を見つめながら、湧き上がる感情に戸惑いを覚える。 ――ゆっくり霊夢をいじめたい。 別に虐待をしたいわけではない。可愛いペットにそんな真似をしたくはない。 しかし、こう、なんというか……ううん、説明出来ない。 「ゆっくり取ってきたよ!」 再び戻って来るゆっくり霊夢。 俺は心のもやもやを打ち払うようにゆっくり霊夢の頭を撫で、そして振動させた。 「ゆっ!?」 小刻みにバイブレーション。 最初は驚いて逃げようとしたゆっくり霊夢の顔が、少しずつ赤らんでくる。 「ゆゆゆ、ゆー!! ゆー!!!」 甲高い声。時間の経過と共に、ゆっくり霊夢はどんどん発情していく。 荒んだ心を癒してくれる礼として、こうしてゆっくり霊夢に快感を与えてあげることは毎日の日課だった。 「……」 だが、今日の俺はなんとなく、手を止めてしまった。 中途半端なところで快感をストップされたゆっくり霊夢は慌てたように俺の手に擦り寄って、 「ゆ、ゆっくりして! もっとゆっくりしていって!」 潤んだ瞳で俺を見上げるゆっくり霊夢。 その視線を浴びて、 「……!」 何故か身体がゾクゾクする。 もっと見たい。 もっとこの目で見つめられたい。 「ゆー!!! ゆー!!! ゆー!!!」 だが、それと同時に可哀想だという感情も浮かび上がってくる。 俺は手をもう一度律動させ、ゆっくり霊夢を絶頂へと導いてやった。 未知の感覚に戸惑いながら、一週間が経過した。 臨時教師として慧音さんの手伝いをした俺は彼女と彼女の友人である妹紅さんと一緒にまったりとお茶を飲みながら歓談し、上機嫌だった。 「おーう、今帰ったぞー!」 扉を開ける。 ――瞬間、先程までの高揚した気分が嘘のように蒸発した。 俺はゆっくり霊夢に、家の中はどこをうろついてもいいから絶対に机の上には乗るなと言い聞かせてあった。 机の上には俺の大事なものがたくさん置いてある。 ゆっくり霊夢はそのことを理解したかどうかは知らないが、厳しく言っておいたので飼い始めてから三ヶ月、ずっと机の上に乗ることはなかった。 だが。 帰宅した俺を待ち受けていたのは机の上に鎮座してゆっくりと眠っているゆっくり霊夢の姿だった。 「……」 俺は机に近寄って、その惨状を目撃した。 綺麗に整頓されていた机の上は見事に荒らされ、物体のほとんどが破壊されていた。 アリスさんがくれた人形も、 妖夢ちゃんが作ってくれた剣神像も、 てゐから珍しく受け取った四葉のクローバーも、 幽香さんから頂戴した花も、 にとりさんと協力して発明したトランシーバーの試作機も、 みんなみんな、見るも無残に破壊され尽くされていた。 「……」 俺はどろどろとした心のまま、ゆっくり霊夢を起こした。 「ゆ……?」 とろんとした目を開け、俺が目の前に立っているのを認識するや否や、 「ゆっくりお帰りなさい!」 いつもの挨拶。 だが、俺の心はいつものように癒されはしない。 「なぁ、ゆっくり霊夢」 「どうしたの?」 「お前、なんで、机の上に乗ってるんだ……?」 「……ゆ!?」 俺の怒りのオーラを感じ取り、ようやく約束を思い出したのか、ゆっくり霊夢は慌てたように頭を下げた。 「ご、ご、ごめんなさいだよ!」 「謝るのは後でいい、理由を説明しろ」 「あのね、蝶々がね……」 ゆっくり霊夢が言うことには昼頃、窓の隙間から現れた蝶々を捕まえようと四苦八苦し、ようやく机の上で捕まえて食べ、そのまま眠ってしまったらしい。 あまりにも夢中で、俺との約束など「うっかり」忘れてしまっていたようだった。 うっかり。 それだけの理由で、俺の大切なものは破壊され、二度と元には戻らない。 俺はゆっくり霊夢を叩こうと腕を振り上げ、 「ゆーっ!!!」 目を閉じ、ぶるぶると震える姿を見て、静かに下ろした。 とんでもないことをしたとはいえ、三ヶ月間ずっと一緒に暮らしてきたペットだ。 暴力を振るうことは、俺には出来ない。 溜息をつき、ゆっくり霊夢を持ち上げ、そっと床に降ろした。 「ゆ……?」 「晩御飯にしようか」 ぱぁ、とゆっくり霊夢の顔が明るくなった。 「ゆっくり用意してね!」 先程の殊勝さが嘘のように、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜びを露にする。 「ふぅ……」 甘いな。 まったく甘い。 俺は、許してやるなんて一言も言ってない。 その日から、俺は帰りにある場所へ寄るようになった。 必然的に帰りは遅くなり、ゆっくり霊夢と遊ぶ時間はなくなる。 更に意識して朝飯と晩飯の量を減らしたので、ゆっくり霊夢は少しずつ文句を言うようになった。 「早く帰ってきてね!」 「たくさん遊んでね!」 「もっと食べたい!」 だが、俺はその声を悉く無視した。 少し胸は痛んだが、それでもこいつにはやったことの重大さを分からせてやらねばならない。 でないと、俺の怒りが収まらない。 俺のただならぬ様子を見かねた鈴仙さんから貰った精神鎮静剤を飲みながら、俺は準備が整うのを待った。 そして――三日後。 全ての準備は整ったのだった。 ゆっくり霊夢はまどろみの中にいた。 最近は自分の主人があまりゆっくりしてくれなくなり、寂しい思いをしていた。 だが昨日の夜、寝る前に彼は言ってくれたのだ。 「ここのところ、遊んでやれなくてすまなかったな」 「一週間の休暇を取ってきたから、ずっとゆっくり過ごそう」 「ご飯も今まで少なかったけど、豪華にするぞ」 「さ、今日は一緒の布団で寝ようか」 感激したゆっくり霊夢は、わくわくした気持ちのまま眠りに付いた。 一週間も、優しい主人とゆっくり出来る! だから、早く起きないと。 ゆっくり霊夢は寝返りを打とうとして――打てない。 「……?」 身体が動かない。 自分は今だ夢の中にいるのだろうか? なんだか息苦しい…… ゆっくり霊夢は静かに目を開いた。 「……!?」 そして映った光景に飛び上が――ることが出来ず、身体を震わせた。 自分の身体は、四角い箱の中に閉じ込められていた。 『んん゛っん゛ん゛ん゛ん゛……んん゛!?』 ゆっくりしていってね! 種族反射的にそう言おうとして、言えなかった。 自分の口に猿轡が噛まされており、更にその上からガムテープを貼られている。 周りは暗い。しかし自分の視点の場所だけ小さく四角い穴が開けられており、そこから外の様子が映し出されている。 そこには―― 「すぅ……すぅ……」 「ゆ……ゆっく……」 布団で眠っている、見慣れた主人と、ゆっくり霊夢の姿があった。 『ゆ!? ゆゆゆ!!?」』 混乱して喚くゆっくり霊夢、突然の事態に理解が追いつかない。 何故自分はこんなところにいる? 主人と一緒に眠っているゆっくり霊夢は何者だ? 「うぅん……」 と、その時。 主人が眠りから目を覚まし、起き上がった。 目をこすり、横で一緒に眠っていたゆっくり霊夢を見て―― ――惚れ惚れするような太陽の笑顔で、 「ほら、起きろゆっくり霊夢、いい朝だぞ」 『ちがうよ! そいつは偽者だよ!!!』 叫びたい。 しかし、その声は届かない。 やがて偽者のゆっくり霊夢が目を開き、開口一番、 「ゆっくりしていってね!」 「おう、ゆっくり朝飯にするか。昨日の約束通り豪華にいくぞ」 「ゆっくり作ってね!」 『待って! 気付いて!!!』 ゆっくり霊夢は泣きながら、自分と偽者が入れ替わっていることに気付いてくれと願う。 だが無情にも、主人はふんふんと鼻息を歌いながら台所に向かっていった。 『あ゛あ゛っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!』 絶望が心を支配する。 だが、気付いていないのはゆっくり霊夢のほうだった。 これはまだ、始まりにすぎないのだと。 (見ているか、ゆっくり霊夢?) 俺は料理を作りながら、心の中でほくそ笑んだ。 一緒にいたのが偽者だということくらい、先刻承知している。 何故なら二人のゆっくり霊夢を入れ替えたのも、本物のゆっくり霊夢を閉じ込めたのも、全部俺だからだ。 (それがお前への制裁だ。ゆっくり楽しんでくれ) ぞくぞくするような背徳感を感じながら、意識して本物のゆっくり霊夢が閉じ込められている箱を見ないように努める。 ゆっくり霊夢は現在、透明の四角い箱に入れられ、更にその四方と天井をダンボールの壁で一枚一枚覆っている。 そんな面倒なことしなくてもそのままダンボールを被せればいいじゃないか、と思う奴もいるかもしれないが、まぁこれにはちゃんとした理由がある。 その理由は後ほど語るとして、偽者のほうを説明しておこう。 こっちのゆっくり霊夢は三日前、ゆっくり加工所に行って手に入れたゆっくりだ。 所員に事情を説明し、余っている預かり部屋を利用して仲良くなった。 こいつには一週間、俺の家で一緒に暮らせると伝えてある。 何か変なことを言い出さないかだけ少し心配だったが、流石ゆっくり、あまり深くは考えない性質のようだ。 俺は今から、この偽者ゆっくり霊夢を最大限にもてなす。 そしてその様子を、本物のゆっくり霊夢に見せ付けるのだ。 本来なら自分が得られたはずの待遇が、突然現れた自分の偽者に奪われる。 しかもその様子をまざまざと見せ付けられ、自分は食べることも、遊ぶことも許されない。 お仕置きとして、これ以上のものはそうそうないだろう。 さぁ、ゆっくり霊夢。 お前がどれだけのことをしでかしたのか、分かってくれよ? 『う゛わ゛あ゛あああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』 ゆっくり霊夢は絶望の淵にいた。 どれだけ暴れても、どれだけ祈っても、自分の置かれている状況はこれっぽっちも変化しない。 朝食は豪華な豚カツだった。自分は何も食べていない。 昼飯までの間、二人はゆっくり過ごしていた。自分はきつい箱の中で息苦しかった。 昼飯は二人でどこかに出かけていた。孤独感が自分を押し潰すようだった。 夕食まで、二人はずっと遊んでいた。自分はただ身体が痒いのを我慢しているだけだった。 夕食は今まで食べてきた中で一番美味しかったお寿司だった。でも、やはり自分は食べられなかった。 そして、 「ゆー……ゆゆゆゆゆ……」 偽者のゆっくり霊夢は現在、主人の手によって振動を与えられていた。 「どうだ? ゆっくりしてるか?」 「ゆ……ゆっくりぃ……してるよぉ……♪」 『ゆっくりしてない!!! れいむは全然ゆっくりしてないよぉ!!!』 ゆっくり霊夢は快感を与えられている偽者の姿を滝の涙を流して見ていた。 滂沱のごとく流れ出る溢れ出る涙。何故、自分がこんな仕打ちを受けないといけないのか? ゆっくり霊夢の頭の中に、既に約束を破ったことは残っていない。 「んほおおおおおおおおおお!」 偽者ゆっくり霊夢が絶頂を迎えた嬌声を聞きながら、本物ゆっくり霊夢はこれがいつまで続くのだろうと考えていた。 それから太陽が昇り、また沈み、そして再び昇った三日目の朝。 空腹で朦朧とした意識を抱えながら、ゆっくり霊夢をうっすらと目を開いた。 映る光景は変わらず、静かに眠る主人と、そして主人の腕を枕に眠る偽者。 ようやく暴れたり叫んだりして体力を消費することが愚かだと気付いたゆっくり霊夢は、呆とした意識のまま、事態が変わることを待っていた。 がさ……がさ…… (……?) ふと気付く。壁の右側から何か音がする。 一体何だろうか? 確かめようにも、壁があって何も見えない。 やがて偽者ゆっくり霊夢が起き出し、ぴょんぴょん飛び跳ねて主人を起こす。 「ゆっくり起きてね!」 「む……もう朝か……」 ふわぁ、と欠伸をする主人。まだ眠り足りないようだった。 「ゆっくりご飯作ってね!」 「おう……だけどその前に」 「ゆ?」 「待ってる間暇だろ? いい遊び道具があるんだ」 そう言って。 主人はゆっくりと、自分の方向へ近寄ってきた。 『!!!』 これは千載一遇のチャンスかもしれない。 ゆっくり霊夢はありったけの力で出来る限り身体を震わせ、自分がここにいることをアピールする。 『れいむはここだよ! ゆっくり探してね!』 やがて映るのは主人の足のドアップ。そして、頭上から声。 「えーと、これだこれだ」 得心したような声。 同時に、ゆっくり霊夢の右側の闇が、突如として払われた。 『……!?』 どうやら、右側の壁が取っ払られたらしい。 もしかしたら脱出の糸口になるかもと、ゆっくり霊夢は明るくなった右側を、 見た。 「――――――ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!?」 声にならない悲鳴。 閉じ込められたときよりも大きい、今までで一番の驚愕。 「ほら、蛙さんの人形だぞ」「ゆっくり楽しむね!」という主人たちの声も聞こえない。 何故なら。 そこにいたのは。 『うー♪』 『だずけ゛て゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!』 自分と同じく箱詰めにされ、自分と同じゆっくり霊夢を食べている途中の、ゆっくりれみりゃの姿だった。 (気付いたかな……) 俺は朝食の準備に取り掛かりながら、昨夜のことを思い出していた。 ゆっくり霊夢の起床・睡眠時間は、永淋さんに頼んで作ってもらった気体状睡眠薬で周到に設定してある。 それをゆっくり霊夢の死角から呼吸用に空けておいた穴に流し込んで、眠気を調節するのだ。 だからゆっくり霊夢が起きる前に俺は起床し、加工所で買ったゆっくりれみりゃを入れた透明の箱を隣にセット。 同じく加工所で購入したゆっくり霊夢を中に入れ、準備は万端というわけだ。 箱の大きさはゆっくり霊夢に使った二倍、ちゃんと食べられるスペースはある。 ちなみに都合上ゆっくりれみりゃの口は防げないので、こちらの箱は少し値段の張る防音処理だ。 更にその上に右側――いや、ゆっくりれみりゃから見れば左側か、そこだけ空けた箱を被せてある。 偽者のゆっくり霊夢がゆっくりれみりゃに気付いて怯えたりしたら計画が台無しだからな。 そして全てを終えた俺は先程まで眠っていたフリをしていたわけだ。 自分の天敵がすぐ傍にいる恐怖。更にそいつは自分と同じ顔のゆっくりを目の前で食べているのだ。それも、毎日。 それがどれだけの恐怖か、俺には分からない。 俺の都合上、ゆっくりれみりゃは一日一匹のゆっくり霊夢しか食べられないので、かりかりして目の前のゆっくり霊夢をどうにかして食べようと躍起になるだろう。 それが更に、ゆっくり霊夢を襲う辛苦となる。 ゆっくり霊夢はどうするだろうか。 怯えてぶるぶる震えるだろうか。 我を忘れて泣き叫ぶだろうか。 それを想像するだけで、俺は――たまらない高揚感を得る。 あれから何日経過しただろうか。 ゆっくり霊夢には、もう時間の感覚が存在していなかった。 毎日毎日、自分が過ごすはずだった幸福の日々を目の前で見せ付けられる苦痛。 自分を食べようと、いらいらした様子で飛び回っているゆっくりれみりゃの恐怖。 それが何も口にしていない空腹と身動きが取れないことの不快感とごちゃ混ぜになり、混沌と化していた。 『ゆっくり……したい……』 考えることはもはやそれだけ。 些事を考える余裕など、今のゆっくり霊夢にあるはずもなかった。 「美味しかったなぁ、ゆっくり霊夢!」 「ゆっくり美味しかったね!」 ゆっくり霊夢が食べたことのない、ブ厚いステーキを食べ終わって、主人と偽者ゆっくり霊夢は満足した様子だった。 ステーキ。幾度となく食べたいと主人に言い、その度にあしらわれて食べる機会のなかったステーキ。 本来なら自分が食べていたはずの、ステーキ。 ゆっくり霊夢の中に偽者への憎悪が込み上げ、だがすぐに虚脱感に襲われ萎んでしまう。 もう、何をする気にもなれなかった。 右側には未だにゆっくりれみりゃが自分を食べようと、ぱたぱた飛び回っている。 壁がある限り襲ってこないとは分かっていても、本能的な恐怖は拭い去れない。 もう、ゆっくり霊夢の精神はボロボロだった。 「さて、遊ぶか」 「ゆっくり遊んでいってね!」 「そうだ、今日は面白い玩具があるぞ」 「本当!?」 「おう。ちょっと目隠しするぞ、楽しみにしておけ」 「ゆっくりわくわくするね!」 食事の片付けが終わった主人は、偽者ゆっくり霊夢に目を布で縛っていた。 そして、本物ゆっくり霊夢の方向に歩み寄る。 『……!』 主人が自分の方に近付くのは、どれだけ久しいことか。 ゆっくり霊夢の中に、淡い希望が芽生えた。 もう身体を震わせる体力は残っていない。 ただ、主人が自分を見つけてくれることを祈るだけだ。 「えーと、何処だったかな……」 しかし、主人は期待も空しく、ゆっくり霊夢の死角へと移動してしまった。 希望が潰える。しかし、落胆する体力すらない。 自分の左側からがそごそという音。 結構時間がかかっている。 「お、あったぞ!」 ようやく主人が喜びの声を上げた。 と、同時。 いつかのときと同じく、ゆっくり霊夢の左側の壁が取っ払わらわれた。 反射的に、視線がそちらへ泳ぐ。 そして。 また、いた。 『れ、れれ゛い゛むぅぅぅぅ゛ぅ゛ぅ゛う゛ううぅ゛ぅ゛!!!』 『ゆ゛! ゆ、ゆゆゆゆ゛っく゛り゛し゛て゛ぇぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!』 発情し、顔は真っ赤にして目を血走らせたゆっくりアリスと。 そのアリスに襲われ、世にも恐ろしい顔で絶叫を上げる同種のゆっくり霊夢の姿があった。 『…………!!!』 世にも恐ろしい光景に、悲鳴を上げることも出来ず、咄嗟に目を逸らすゆっくり霊夢。 だが逸らした先には、 『うー!!!』 空腹で般若の表情をしたゆっくりれみりゃが、自分を食べようと壁をかりかり引っ掻いている。 『……!! …………!!!』 まさに前門の虎、後門の狼。 ゆっくり霊夢はただ、この状況をなんとかしてくれと願いしかない。 やがてゆっくりアリスが交尾を終えると、ゆっくり霊夢は黒く朽ち果てるのと同時に蔦を伸ばし、子供を生む。 ゆっくりれみりゃの箱より更に四倍は大きい箱の中で、小さな赤ちゃんゆっくり霊夢がぽんぽんと生まれた。 『ゆっくりしていってね!』 『ゆっくりしていってね!』 『れ、れいむ……れ゛い゛む゛ぅぅぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!』 だが、その瞬間。 発情が収まらないゆっくりアリスが、なんと赤ちゃんゆっくり霊夢に襲い掛かった。 『ゆ゛!? ゆ゛ゆ゛っ!?』 赤ちゃんゆっくり霊夢は突然の出来事に暴れるが、成人したゆっくりアリスに力で適うはずもなく。 他の赤ちゃんゆっくり霊夢たちは、怯えて隅に固まる。 そして交尾は終わるが、赤ちゃんゆっくりは黒ずんだだけで、子供を生むことはなかった。 ゆっくりアリスはその様子はじっと見つめた後、 ぎらり、とその視線を他の赤ちゃんゆっくりたちに移した。 その顔は、未だ発情したまま留まっており。 始まる、地獄絵図。 ゆっくり霊夢が覚えているのは、ここまでだった。 ついにゆっくり霊夢は意識を失い、失神してしまった。 冷たい、空気。 ゆっくり霊夢が目を開くと、そこは今まで暮らしていた部屋の中だった。 「……ゆっく!?」 吃驚して声を上げる。 声が、出る。 ゆっくり霊夢はもう猿轡をしておらず、狭い箱の中にも閉じ込められていなかった。 何が起こっているのか。 周囲を見渡すが、左右にゆっくりれみりゃやゆっくりアリスの姿は見当たらない。 あるのは、激しい空腹感だけ。 「ゆ、ゆっくりー!!!」 とにかく、理由は分からないが助かったことだけは分かり、ゆっくり霊夢は歓喜の声を上げた。 と、そこに、 「おう、起きたか?」 台所で朝食の支度をしていた主人が、ゆっくり霊夢の方を振り向いた。 「ゆっ……」 その顔を見た瞬間、今までの監禁生活で押さえ込んでいた様々な感情が溢れ出し。 ゆっくり霊夢は号泣しながら、主人の足元に飛びついた。 「う゛わ゛あ゛あああ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ゛ん゛!!!」 「おいおい、どうしたんだよ?」 主人は優しくゆっくり霊夢の身体を抱きかかえ、その涙を拭ってやる。 「ゆ、ゆ゛っく゛りて゛きる″! ゆっくりできるよぉぉぉ!!!」 「あぁん、お前何言ってるんだ……?」 わけが分からん、といった具合に主人は首を捻った。 だがその顔が笑いを堪えていることに、果たしてゆっくり霊夢は気付いているのだろうか? 「まぁいいや、朝食にするぞ」 「ゆ! 朝ごはん!?」 とにかくお腹が空いていた。寿司、ステーキ、自分が食べられなかった数々の豪華な食事を思い出し、思わず涎がこぼれそうになる。 激しい期待を込めて、調理中の料理を覗き込むゆっくり霊夢。 「……ゆ?」 だが、そこにあったのは、人参、椎茸などの普通の野菜ばかり。 しかもその量はかなり少なく、この空腹を満足させられる代物だとは到底思えなかった。 「も、もっといっぱい欲しいよ!」 「あー、悪い。今まで一週間贅沢したツケでな。今日から一ヶ月くらいこれで我慢してくれ」 「ゆっくり!?」 嘘だ、とばかりにゆっくり霊夢は絶叫を上げた。 「やだ! 食べたい!! れいむもステーキとかゆっくり食べたい!!!」 「お前、あんだけ食べてまだ足りないのか? 少しは限度ってもんがあるだろ」 「食べてない! れいむは食べてないよ!!」 「嘘をつくなよ!」 主人の厳しい叱責。びくりとゆっくり霊夢の身体が震える。 主人にとって、あの偽者が本物だったのだ。 あまりの理不尽に、ゆっくり霊夢は涙を流して訴える。 「違うの! 今までのれいむは偽者だったんだよ!! だかられいむは食べてないの!!!」 「いい加減にしろ!」 主人はがっしりとゆっくり霊夢の頬を掴み、言い聞かせるように耳元に囁いた。 「これ以上文句を言うなら、『ゆっくり出来ないようにする』ぞ」 「――!!!」 ゆっくり、できないように、する。 その一言は、ゆっくり霊夢のトラウマを蘇らせた。 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 絶叫。涙の奔流が止め処なく溢れ出る。 「ごめ゛ん“な゛ざいぃ゛、ごめ゛ん゛な゛さ゛い゛ぃ゛ぃぃ!!! わがまま言わないからゆ゛る゛し゛て゛ぇ゛ぇぇぇ!!!」 「ごめ゛ん“な゛ざいぃ゛、ごめ゛ん゛な゛さ゛い゛ぃ゛ぃぃ!!! わがまま言わないからゆ゛る゛し゛て゛ぇ゛ぇぇぇ!!!」 その言葉を聞いた瞬間、俺は今までの人生で味わったことのない幸福感に包まれていた。 涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら、謝罪の言葉を口にするゆっくり霊夢。 その哀れな表情が……この上なく、俺の快感となる。 「じゃあ、文句は言わないな?」 「うん……」 「よーし、いい子だ。早苗さんから貰った野菜だぞ、ゆっくり味わって食べろよ?」 「ゆっくり食べるよ……」 消沈した様子のゆっくり霊夢。 それを見て、愛しさが込み上げてきた。 「ああもぅ、可愛いなぁお前は!」 ゆっくり霊夢を抱きしめて頬ずりする。 やっぱりこいつは最高のペットだ! 酷いことしたと思うって? でもそれって俺の愛なんだ! 愛ならしょうがないよね!! 選択肢 投票 しあわせー! (27) それなりー (3) つぎにきたいするよ! (2) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/571.html
前 「う~?」 ゆっくりれみりゃがパチュリーに連れてこられたのは、今までの自分の家では無かった。 「お姉さんも、ここでいっしょにゆっくりしようね」 ゆっくり霊夢が言ったが、ここはもうゆっくり達の家でもない。 「あら、思ったほど酷くなかったわね。これなら意外と早く終わりそうね」 「じゃあ、さっさとやって頂戴。私はここ数日働きすぎて疲れたわ」 「何を言っているの? あんたにも手伝ってもらって、やっと意外と早くよ」 「むきゅーん」 そういって人形を使い家を直してくアリス。 彼女がこの家の主である。 「あぁ、でも人形のダメージは酷いわね。コレが終わったらいったん修理しないといけないわね」 ブツブツ言いながら、同じくブツブツ言っているパチュリーにアレコレ指示をする。 ちなみに、パチェリーのブツブツは、小悪魔早くこっちに来いだったりするが。 「お姉さん、わたしたちもてつだうよ!」 三匹が、何か仕事は無いものかと、ウズウズしながら話しかける。 「大丈夫よ。あなた達は外で遊んでいらっしゃい。ずっと檻の中に居たから、体が鈍ってるんじゃない?」 「いいの?」 「えぇ、良いわよ」 「やったぁ、まりさ、ぱちぇりー行こう」 「むきゅー」 「お姉さんゆっくりしてくるよ!!!」 ゆっくり魔理沙がアリスにそう話す。 元が単純なゆっくり種であるゆっくり魔理沙は、先ほどの会話で、アリスが優しくなったと思ったらしい。 その口調は、普通のゆっくりが人に向けるそれと同じであった。 「いってらっしゃい」 「イッテラシャィ」 「ラシャーイ」 笑顔で送り出すアリスとその人形達。 「お庭もひどいねー」 「あらしだったからだよ」 「ぱちぇりーはものしりだね」 「きょうはおともだちこないねー」 「「ねー」」 日が天辺まで昇った時、木陰を求めて、何時もの木の下で話す三匹。 ゆっくり魔理沙も、アリスが居なくなってからの暮らしと、何も変わっていない事に安堵する。 「う~♪」 玄関からした声は、庭に追い出されたゆっくりれみりゃの声だ。 「う~! ゆっくりゆっくり♪」 一昨日、加工場内で見たゆっくり達が忘れられなかったのだろう。 木陰で屯っている三匹を見て、とても嬉しそうにダンスを踊る。 「いっしょに来たゆっくりだね」 「にんげんみたいに、からだもあるね」 「きしょうしゅっていうんだよ」 「「ぱちゅりーはものしりだね!!!」」 「むきゅ~」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「う~~!!! ゆっくりしゅるしゅる!」 それから、四匹はいっしょになって遊んだ。 庭を駆け、一緒になって話をしている内に、日は森の木よりも低くなっていた。 家の修理もそろそろ終わるようだ。 「みんなー、修理は終わったわよ。そろそろ暗くなるから、入ってらっしゃい」 「「「はーい」」」 「うっう~」 四匹がドアに近づくよりも前に、ドアの前に一人の人影が立った。 「すいませーん。遅くなっちゃいました。もう修理は終わっちゃいましたか?」 小悪魔だ。 片手に持っている大きな紙袋は、荷物が入っているのだろう。 「小悪魔。あなた随分遅かったじゃない。外で様子でも見てたんじゃないの?」 「いいえー。そんなことないですよ。私は、パチュリーさまに使役される身ですから。主が必要としているなら、直ぐにでも駆けつけますよ」 「お姉さん、ずっと外に居たよ」 「れいむたちが、そとにでたときからいたよ」 「おそとでゆっくりしてたよ」 「う~♪」 「ちょ!! 止めてよ!! 折角直したんだから!!!」 それを聞いてスペルカードを使おうとするパチュリーを必死に止めるアリス。 「いえ、それは落としていった幻影のスペルカードがですね……」 必死に言い訳する小悪魔。 「ゆゆゆ!!」 「「ゆ~~♪」」 「うっう~♪」 面白そうに笑う四匹。 暗くなった外から見るそれは、とても幸福そうな生活の一ページに見えた。 翌日、数少ないゆっくりれみりゃの持ち物(主にきぐるみ)を置いて、パチュリーとその使い魔は帰っていった。 太陽が、地面から切離されたばかりの、まだ早朝と言ってもいいような時間。 今、この家で起きているのはアリスだけだ。 「さてと。それじゃあ、朝食の用意をしちゃいますか」 上海と蓬莱を起こし、朝食の用意に取り掛かるアリス。 二人で、必死に野菜を切る人形達。 そして、切った野菜を鍋に入れ、調理していくアリス。 クツクツと煮立つその鍋からは、食欲をそそる匂いが漏れている。 「うん! 上出来ね。二人とも、四匹を起こしてきて」 二人は頷いて台所から出る。 向かう先は、随分前から使っていなかった石造りの小屋。 二人が中に入ると、たっぷりと敷き詰められた藁の中で、三匹が気持ち良さそうに眠っていた。 外で寝ると言っていたので、アリスが急遽、藁をしいて寝室にしたのだ。 それまで、ベットやソファーの上で寝ることはあっても、専用の寝室がなかった三匹には、与えられた専用の寝室を非常に喜んでいた。 一方のれみりゃは、壁際で毛布に包まって眠っていた。 昨夜、仲良くなった三匹と一緒にこの部屋をみた直後、れみりゃだけは走って家の中に行ってしまった。 初めての寝室に興奮している三匹に、おやすみを言って家の中に入ったアリス達。 家に戻り、れみりゃを探すと、アリスの部屋のベッドで跳ねて遊んでいるところを見つけた。 「う~♪ ゆっくり!!!」 本人は、ゆっくりのつもりで遊んでいるのだろうその様子は、アリスを突き動かすには十分だった。 「ねぇ、れみりゃ。三匹はもう寝ちゃったわよ。一緒に寝ないのかしら?」 「ここでねりゅ~。べっど♪べっど♪」 加工場で床で寝ていた事はあっても、やはりベッドが恋しかったのだろう。 まして、あんなところで寝るなどということは、紅魔館ぐらしのれみりゃには考えられないことであった。 「ふーん。でもそこは私のベッドよ?」 「ん~ん。れみりゃの。ちかづくとた~べちゃうぞ~♪」 この時、ゆっくり魔理沙がいたならば気付いただろうが、今のアリスの目は何時もの、ゆっくりを見る目であった。 「せっかくお風呂にも入れてあげたのに。それでもまだそんなに図々しいなんてね」 つかつかと、無言で自分のベットに近づいていくアリス。 「きちゃだめ~♪ ぎゃお~♪ぎゃお~♪」 暖房を効かせた部屋と外の様な、二人の温度差はすさまじいものであった。 「た~べty!?」 かいじゅうの真似事をしているれみりゃに回し蹴り。 れみりゃは、衝撃をモロにくらって部屋の入り口に吹っ飛ぶ。 「うー。うー」 「コレは私のベッドよ? あんたはさっきの三匹と一緒に、あの中で眠るのよ。分かった?」 「うー。わがっだ。わがっだー!! うあ!!! ああ!!!」 れみりゃの返事も無視し、更に二三発蹴る。 とたんに、先ほどまで大泣きしていたれみりゃが大人しくなった。 「……あら、もう気絶しちゃったの?」 「本気で蹴り過ぎよ。あれじゃあ誰だって気絶するわよ。まぁ気持ちは分かるけど」 呆れた声で言うパチェリー、だが余程眠いのかしきりに目を擦っている。 「あんなのが私の部屋に入っただけで嫌気がするわ。小悪魔、コイツさっきの小屋に入れてきてくれるかしら」 同時に、シーツかと思う程つぶれた毛布が投げられる。 「人間らしく寝たがってたから、それでもかけてあげて」 「はい。分かりました、アリスさん」 アリスも疲れていたのだろう、後は小悪魔に任せて、自分も早々にベッドに潜っていった。 ―― そして、昨日のそれが引きがねになったのだろう。 アリスは早々に、れみりゃを最重要に、と人形たちに命じた。 魔理沙たちには余力でいい、とも言った。 その言葉の通り、眠っているれみりゃの顔面にパンチをして起こす上海。 「うー? うー?」 れみりゃの方は、何が起こったのか分からずおろおろしていたが、やがて何時ものように泣き出した。 さらに、自分が小汚い小屋の中で寝て言うことに気付いてまた泣き出す。 「どーしたの?」 「なんでないてるの」 「むきゅー」 その声で起き出した三匹、れみりゃが泣いているのが不思議なようだ。 「ォコシタラナィタノ」 「イエ、カワテサビシークナタノ」 「そっか~」 「れみりゃもゆっくりしようね!!!」 「しよおねー、……むきゅ」 懸命にゆっくりれみりゃを気遣う三匹。 れみりゃも、三匹に励まされだんだんと泣き止んだ。 「「今日もいっしょにゆっくりしようね!!!」」 「むきゅ~」 「う~♪」 大声で泣いたので目も覚めたのだろう、れみりゃは機嫌よく返事をする。 「ゴハンダァヨ」 「アサゴーハン」 人形達に引きつれらて家の中に入る、玄関から既に美味しそうな匂いが漂っていた。 「おねえさん、おはよー。おいしようなにおいだよ」 「おはよー。おなかへったよ、おねえさん」 「ごはん。ごはん」 「はいはい、どうぞ。」 トン。 軽い音と共に、パンとスープを人数分床に置くアリス。 それは、犬用の入れ物であった。 「テーブルの上は狭いから、ここで我慢してね」 たしかに、アリスの家のテーブルは狭い。 仮にゆっくりが三人のったら、それだけでいっぱいになってしまうだろう。 それを食事代わりにするのであれば、話は別だが。 「だいじょうぶだよ、お姉さん」 「魔理沙おねーさんがきたときもこうしてたべたよ」 「ごはん。ごはん」 ガツガツと、意地汚く食べる三匹。 以前の魔理沙なら、ここまで汚く食べていたら、すぐにアリスにイジメられていたが、一年という月日ですっかり忘れていた為、他のゆっくりと同じような食べ方に戻っていた。 それを見て、嫌悪感を感じているのではないかと思われたアリスだったが、それよりも、突然飛び出た魔理沙の名前に、一瞬頬を赤らめていた。 しかし、すぐにその熱は直ぐに冷めることとなった。 この三匹が、魔理沙を慕っているのが許せなかったからだ。 「う~? う~?」 その上このゆっくりれみりゃである。 以前、レミリアから散々コケにされていたアリスにとって、このゆっくりに出会えたことは幸せだった。 普通のれみりゃ種を相手にしたところでは晴れない。 しかし、この『元』レミリアであれば、その気持ちが晴らせるのだ、これ以上このれみりゃができる恩返しは無い。 「う~! ぱちぇ? こぁくま?」 そのれみりゃは、嘗て大事にしてくれた人の名前を叫びながら、キョロキョロと辺りを伺っている。 どうやら、パチェリーと小悪魔が見当たらないので騒いでいるらしい。 「あの二人ならもう帰ったわよ」 「っ!!」 その表情を見るたびに、体が小刻み震えていく事を感じるアリス、あのレミリアを自分が責めている。 それだけで、それだけで最高の興奮剤になり得た。 「ほら、パチュリーがあなたにって置いていったわ」 パチュリーが作っておいたプリンを差し出す。 とたんに、飛びつかんばかりの勢いでアリスの元に駆け寄るれみりゃ。 「う~♪ぷりんたべるたべる♪」 その表情でうかがい知れる。 どうやら、早くよこせといっている。 スプーンを両手に持って、椅子に座って待っている。 「どこに座っているの?」 「う~♪はやくちょうだい♪」 昨日のことを既に忘れたのか、それとも気絶して記憶が無いのか、アリスのどす黒い空気を全く気に止めないれみりゃ。 そのまま、笑顔でプリンを出す、バケツ一杯分もある大きなプリンだった。 「う~♪おっきいおっきい」 自分の顔ほどもある大きなプリンにご満悦のれみりゃ、彼女ならものの数分で平らげてしまうだろう。 「そのまえに、きちんとご飯をたべなさい」 スープとパンを三匹と同じ皿に装ってれみりゃの前にだすアリス。 「い~らない♪ ぷりん~ぷりん~♪」 元からお菓子しか食べないれみりゃは、聞く耳を持たない。ましてや、目の前に大きなプリンがある状態ではなおさらだった。 「そう、仕方ないわね」 いざ、スプーンを付けようとした瞬間に取り上げる。 当然、れみりゃは不満爆発だ。 「うー!れみりゃのぷりん!ぷりん!」 意に返さず、一人前だけを切り取ってれみりゃの前に出しなおす。 残ったプリンは三匹の前に出し。 「好き嫌いしたからよ。……さぁ、デザートのプリンよ」 食事に夢中で気が付かなかった三匹、突然出された大きなプリンにご満悦だ。 「すっげっ、でっけぇ!」 「うまい! うまいよお姉さん!!!」 「ごはん! ごはん! むきゅ~」 むしゃぶりつく三匹、対照的に自分のプリンと三匹のプリンを交互に見るれみりゃ。 急いで自分の分を食べ終える。 そして、その中に割り込もうとする。 「う~!」 しかし、既にプリンは無くなっていた。 れみりゃに限らず、お菓子はゆっくり達にとってご馳走のようだ。 「うーー」 「好き嫌いした方がわるいのよ。これからはきちんと食べなさい」 紅魔館ではお菓子しか出されなかったれみりゃは、アレは違う人の食事だと思っていたのだろう。 「うー!! いぎゃあ!!!!」 「そして、あそこは私の席よ。分かった?」 突き破らんばかりの蹴りを放ったアリスは、代わりの椅子を準備して自分も朝食を取った。 ―― 「おーいアリス、いるかぁ?」 「まっ魔理沙! いっ居るわよ」 朝食を終えて、人形達の修理でもしようかと思っていたアリスの家に、意外な来訪者がやってきた。 「まぁ、もう入ってるけどな。それにしても一日でここまで直すとはなぁ」 いつでもあんたを迎え入れるためよ、とは口が裂けても言えないアリス。 適当に相槌を打ってごまかした。 「あっ、魔理沙おねーさんだ」 「魔理沙おねーさん~いらっしゃい」 「ゆっくりしていってね」 「おお、元気だったか。あの嵐だったから心配したぜ。まぁアリスがいたんなら、大丈夫だろうけどな」 とたんにアリスの表情が曇る。 馴れ馴れしく魔理沙に話しかけるゆっくり達を見ているアリスの顔、それは先ほどと同じ感情だった。 「はは、そうだな。ところでアリス、これからちょっと出かけないか?」 「でっ、でかける! 何処へ?」 ひっそりとアリスに耳打ちする魔理沙。 当の本人は、昨日はきちんとお風呂に入ったか、寝癖はないか、そればかり考えていた。 「紅魔館さ、フランの奴がたまには運動したいって言うからな。お前もずっと図書館に篭ってただろ? 運動しないと体に毒だぜ」 「……ごめんなさい。今日はちょっと行けそうに無いわ。家に置いておいた人形の修理もあるから」 そうか、それじゃな、と言い残して出て行った声も、さよならと言った三匹の声も、既にアリスには届いていなかった。 また、他の人の所に行くのは別に良い、こうして誘ってくれたから。 でも、私より饅頭三匹を心配していたのが気に食わなかった。許せなかった。 「ねぇ、あなた達。私はこれから街に行ってくるから、魔理沙の所に遊びに行ってきたら?」 「まりさのところ?」 「いくいく!」 「そう、場所は分かる? えぇ、大丈夫。蓬莱に道案内を頼むわ」 「ホラーイ」 蓬莱人形に連れられて家を出る三匹、もう一匹はもたもたと何かをしているようだ。 「あなたは、何をしているの?」 「うー、がお~!がお~!」 どうやら、お気に入りのきぐるみを着て行きたいらしい。 「それなら、何日も着ていたから洗濯するわよ」 「うー! もうひとつだして! だして!」 代わりのきぐるみを出せと、駄々をこねるれみりゃ。 「これかしら?」 「う~♪はやくはやく」 良くやったと言わんばかりの顔をしているれみりゃの前で、きぐるみに朝のスープの残りをかける。 「う゛ー!」 ころころと表情が変わるれみりゃ、それを見て興奮するアリス。 「あらあら、これも洗濯しないとね。ダメじゃない、こぼさずに食べないと」 「う~! やってない! やってない!」 ブンブンと首を振って否定するれみりゃ。 「……その態度がムカツクのよね。いいわ、きぐるみを着せてあげる」 ちょっと待ってなさい、そう言いながら上着を脱がす。 ドロワーズ一枚になったゆっくりれみりゃを取り合えず庭に出しておく。 「そのこのきぐるみを乾かすまでちょっと待っててもらえるかしら」 「うん、いいよおねえさん。ゆっくりまってるよ!!!」 魔法を使えば直ぐ乾くが、あえて一時間ほど自然乾燥させてから魔法を使う。 傍から見ると何をしているのか分からないが、当の本人は酷く嬉しそうなので何か意味が有るのだろう。 「ほら、乾いたわよ。自分で着れるでしょ?」 「う~!きる~!」 ばしっとアリスの手から奪い取る、きぐるみが着れる事が嬉しいようで、ドロワーズの上から直接着ていることに気付いていない。 「がぁお~♪ た~べちゃ~うぞ♪」 「ゆっくりしてね!!!」 「おおこわいこわい」 「むきゅー」 三匹の元へ駆け寄っていくれみりゃ、これで全員準備はできたようだ。 「じゃぁ、きおつけていってらっしゃい」 「うん、ゆっくりしてくるよ!!!」 四匹を送り出したアリスも町へ向かった。 そこで、急遽製作した特製のゆっくり専用のセルフ販売ボックス設置する。 勿論、ゆっくり達の餌代対策であるが、思いのほか順調に事が運んでいる。 これは、なかなかいいビジネスかもしれない。 アリスはそう思っていた。 続き このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3068.html
歳末の大宴会も終わり、今年も残すところあと二日となった。後は年越し宴会を待つのみだ。 まどろっこしいからいっそのこと三日連続正月含めてぶっ通しで宴会やろうよ、というアル中チ ビ鬼の提案は一蹴されている。開催会場の設営者が直々に「いやよ」の一言と見事な三白眼で断っ たのだ。そりゃ当然だ。一週間も延々騒ぎ通した挙句、博霊神社には何の見返りも無いのだから。 しかし、年越し宴会の開催は、皆の熱心な説得により開催される運びとなった。これには鬼も喜 んでいたので、ある程度の満足は得られたのだろう。博霊の巫女による最大限の譲歩だったのだろ うが、彼女は宴会の開催決定にうんざりした表情をしていた。 俺は、その年越し宴会のための鋭気を養うため、早々に帰路についている。今頃は三次会になだ れ込むところなのだろう。しかし、俺は年越し宴会で倒れるわけにはいかないのだ。しっかりと体 力を戻さねば、新年を昏倒した状態で迎えることになる。そんな一生の汚点を抱え込むわけにはい くまい。かなりの人数に引き止められたものの、必死に断りの文句を並べ立て、何とか解放しても らえたのだ。年越し宴会ではひどい目に遭わされそうだという確信もこのとき生まれた。そうなれ ば、酔った勢いを装って、あのチビ鬼の瓢箪を踏み割ってやろう。いっぺん泣きを見せてやらねば ならないのだ。もっとも、そういいながら実行に踏み切ることは無いだろう。 酔いを醒ますように、涼やかな夜風が吹く。今日は幸運なことに雪は降っていない。地面にはし っかりと根雪が積もり足場は悪いが、横殴りの雪が降るよりはましだ。酔いがさめる所の話ではな くなってしまう。 確かな足取りを保ちながら、家路を急ぐ。酔いが醒めてくるとともに、冬の寒さが身体の節から 沁みてくる。これは早く家について焼酎かなにかで寝酒に興じるのがよいだろう。もう一度身体を 暖めてからのほうが、俺の場合寝付きが良くなるのだ。 我が家への道のりもあと少しとなってくるころには、自然と俺の歩みは速くなる。寝酒を夢見な がら歩を進めていくうち、俺は妙な違和感に気づいた。 ――家に、灯かりが付いている。 俺は、まだ酔っているのかと自分に呆れながら、もう一度我が家の窓を見る。 ――台所の方が、やはり、明るくなっている。 再度、括目する。 ――居間の窓が割れていた。 三度、括目する。 ――何かが、室内で蠢いている。影が上下に揺れていた。 「不味いだろ……」 自然と呟きが漏れ、嫌な予感が脳裏を過ぎる。何者かが、俺の家の中でなにかをしている。この 状況を楽観視できる人間がいるなら、俺はすぐさまそいつをどこかの滝壺に突き落とそうじゃない か。骨は、白狼天狗の椛ちゃんが拾ってくれるだろう。 とりあえず、俺は現実から目を背けてはいけない。家の中に居るのが、喩え夜盗だろうと妖怪だ ろうと、立ち向かわねばならないのだ。我が家を守るには一所懸命。それ相応の努力労力を惜しん ではいけないのだ。 俺は深呼吸を何度もし――それでも心臓は落ち着きを取り戻さなかった――、決心を固め、玄関 の戸を、音を立てぬように引いた。 土間を通り過ぎ、静かに下足を脱ぐ。扉の隙間から、薄暗い居間で何かが飛び跳ねているのがわ かった。新種の妖怪だろうか。それとも気の狂った盗人だろうか。そのどちらとも判別は付かなかった。 意を決し、居間の扉を蹴り開けて、直ぐ脇にある電気のスイッチを入れた。 卓袱台の上に何かが在る――否、居る。“そいつ”は、跳躍運動をするように飛び跳ねながら、 百八十度反転し此方を向いた。 「――ゆっくりしていってね!! ゆっくりしていってね!!」 どこかで見たような面をした饅頭のような柔らかさをもった生首が、気色の悪い顔でそう言った。 実に愉しそうな動きで、そう言った。 俺は、“そいつ”から視線を外さぬように後退し、再び居間の扉を閉めた。 ○ 居間からは、まだゆっくりコールが聞こえてくる。拍子抜けしてしまった士気をもう一度上げる ために、深呼吸をした。 噂に聞いたことはあったが、実際に見るのは初めてであった。 『ゆっくりれいむ』 それが、居間に居座っていた饅頭に付けられた名前だ。 博霊の巫女の顔とよく似てはいるが、巫女本人とは何の縁も関係も無いとのことだ。 完全に生首であるその全貌。そこはかとない苛立ちを覚えさせるその表情。その視線に捕らえた ら、人妖問わずゆっくりしていくことを望むという奇怪な習性。中身は餡子などが詰まっていると いう、まさに饅頭そのもののような性質を持っているのが、先ほど相見えたゆっくりれいむである 。他にも、『ゆっくりまりさ』、『ゆっくりれみりゃ』、『ゆっくりふらん』といったように、幻 想郷に住む妖怪や魔法使いなど、よく似た饅頭状の生物、通称“ゆっくり”の存在が明らかになっ てきている。台所の方でも何かが蠢いていたことから、どうやら他の“ゆっくり”も乱入している ようだ。 多くの評判に拠ると、ちらりと見たくらいの内は、そのもちもちとした顔つきと目が可愛らしく て庇護欲が沸いてくるものの、じっと見つめているうちにその半開きの口と表情の全体的なバラン スに腹が立ってくる、とのことだった。中身にたっぷりと詰まっているのは、大半が餡子であり、 これがなかなかの美味らしい。そのための加工所まで出来たという。 確かに、俺も今一瞬見た限りでは、ぽよんぽよんと楽しそうに跳ねている様子は見ていても可愛 いと言えるかもしれないし、和んでしまうかもしれない。 だが、同時に我が家の居間に広がっていた“惨状”もしっかりと視界に捉えた俺は。ひとつの確かな結論を導いた。 間違いない。 間違いなく、今、こいつらは―― ――調子に乗っている。 外にある納屋から得物を持ってきた俺は居間に通じる戸の前に一口大の饅頭を置き、ゆっくりれ いむの横幅と同じくらいに開放した。饅頭は、貰い物として近所から受け取ったものだが、生憎俺 は和菓子系統の甘いものがあまり好きな方ではないのでそのまま放っておいたものだ。はっきり言 って、食べられる状況ではない。辛うじてカビがあまり生えていないものを選んでおいた。 「ゆ! おまんじゅうさん、そこでゆっくりしていてね! れいむがたべてあげるよ!」 居間から嬉しそうな声が聞こえた。間もなくして、グシャ、ビリッという音も聞こえてきた。先 ほどは“ゆっくり”にだけ視線を取られたが、恐らく卓袱台に置き放してあった食器や本の類が壊 されていたのだろう。やはり、こいつらは調子に乗っている。 やってくる。ゆっくりとした動きで影が近づいてきた。 ――勝負は一瞬で決まる。 気色の悪い顔の半分が引き戸から見えた瞬間、反動をつけて引き戸を一気に閉めた。 「ゆっ!?」 『プビュッ』 扉に腹立たしいほどにやわらかい感触が伝わる。ゆっくりの身体がぶにょっ、と形を変え、口は 火男(ひょっとこ)のような形になった。同時に口から中身の餡子が少し飛び出した。扉を完全に 引き開けると、ゆっくりれいむは床に力なく転がった。しかし飛び出した餡子は全体の三パーセン トほどだろう。これくらいで死ぬとは思っていないが、死なれては困る。俺はゴム手袋をつけて気 絶したゆっくりれいむを捕まえると、こぼれた餡子を中に入れてから丁度いい大きさの水槽に逆さ まにぶち込んだ。蓋は強力なテープで幾重にも貼り止め、ダンボールで周囲を覆った。 興味本位で、ゆっくりれいむから飛び出した餡を回収する。甘ったるい香り。指先に乗った分だ け味見してみると、意外なことに、甘味の嫌いな俺でもおいしいと思えた。なるほど、餡菓子の元 になり人気を博すのも理解できる。 ○ ゆっくりれいむと“遊んであげたい”欲望には打ち勝ちがたいものがある。玄関の下駄箱の上に 水槽ごと放っておいたが、早くも目を覚ましたゆっくりれいむは何やら叫んでいる。出してほしい ようだが、そうはいかない。コーヒーセットなどが入った食器棚の中身をひっくり返しておいて、 生きて住処に帰れると思っていただいては困ると言うものだ。これだけの食器を集めるまでに、何 度香霖堂に通ったと思っているのだろうか。ゆっくりれいむとは数年間を懸けて償ってもらうとす る。ゆっくりたちに住処はあるのか気になるところでもある。あるならば、一度足を運んでみたい ものだ。その理由は、ここで語る必要はないだろう。 さて、今、俺の目の前の床下に居るのは、頭を(全身を、のほうが正確なのだろうか)ぺしゃん こにし、餡子をだらしなく零して、ピクリとも動かなくなったゆっくりまりさである。もはや、こ れは数分前まで飛び跳ねるように動き、「ゆっくりしていってね!」と気色悪い顔で言っていたと は思えない状態になっていた。 唐突にストーリーが動いたため、動揺している方がいらっしゃるであろうことも加味し、今起こ ったことを詳細に告げるべきだろうと思う。 居間から台所に続く扉を開けた瞬間、扉を弾き飛ばすような勢いで身体を突っ込んできた者がい た。それが、ゆっくりまりさだった。 「ゆっくりしていってね!」 心にも思っていない言葉を投げかけると、ゆっくりまりさは俺の足にへばり付く様に飛び跳ねな がら、「ゆっくいひへいっへへ!!」と御決まりの文句をのたまった。 先ほどのゆっくりれいむと比較しても、このゆっくりまりさは随分と挑発的な顔つきに見える。 上目を見ているからなのかもしれないが、見ようによっては偉そうに踏ん反り返っているようだ。 しかも唇の端がやたらと上がっている。ゆっくりの中には、まあ可愛らしい(と言われているがそ れほどでもない)顔つきのものと、完全に人間をバカにしているような表情をしているものがいる らしい。このゆっくりは後者のゆっくりなのだろう。 ただ、ゆっくりの多くは、自分が入った家に住んでいたもの概要がそのときに誰も居なかったか らという理由で自分のものだと言い張るらしい。このゆっくりまりさにその兆候は見られないが、 しかし、その下膨れの頬はさらに膨らみ、滑舌も非常に悪かった。何かを口に含んで話しているの がすぐに判った。 「ま、まって! まいさにらにしゅるの!! ゆっくいしてね!! あなひへへ!! ゆっくいへ きないならどっかきえへね!!」 何も訊いていないはずなのだが、ゆっくりまりさを捕まえた瞬間、そいつはそう言った。これは 何かをやっていたに違いないと思い、ゴム手をつけた右手を口に突っ込んでかき回した。 「ゆ、ゆっふりやっへね!」 訳の判らないことを言ったので左手でぶん殴った。その感触はあまりに柔らかく、全身に戦慄の ようなものが走った。そして、右手にゆっくりには有り得るはずのない固い感触があったので、そ れを捕まえて取り出した。猶もやかましいゆっくりは、向かい側の壁に投げつけた。ゆっ、と言い ながら床に伏せた。というか、転がった。 手の中にあるのは桃の缶詰めだった。顔面饅頭は缶詰の蓋を開けることは出来ないため、缶をそ のまま飲み込んで味わっていたようだ。これでも美味しかったのだろうか。氷精並に頭も弱いらし い。いや、チルノでも缶切りくらいは使えるだろう。というか、使えていてほしいものだ。 気持ちの悪い体液に塗れた桃缶をゆっくりまりさに投げつけた。 「ゆっ!」 ぼぅよん、と身体を震わせながら痛みに耐えているらしく、その醜い目は次第に潤み始める。缶 詰は眉間に当たったのだが、この饅頭にも痛覚はあるのだと実感した。 「おじさんなにするの!! それはまりさのものだよ!! どうしてかってにとるの!! どろぼ うはよくないよ!!」 何を言うのだろうかと思えば、逆切れだった。そして、ついに自分のもの発言、いいようによ っては“ジャイアニズム発動”と相成ったわけだ。何を言ってやってもこの不細工バカ饅頭には理 解できないと決定づけた俺は、一跳びにゆっくりまりさの転がっているところへ走った。そして、 俺の全然ゆっくりでない動きに怯んだところを捕まえ、小刻みに震わせるように揺すった。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ」 最初は混乱したような表情を浮かべていたが、次第に熱を帯びたように逆上せた視線を揺らし、 頬を赤く染まりはじめる。小刻みに揺することで発情するということは、広く公にされて久しい情 報である。 ――感じさせてどうするのか? これは、あくまでも“餌”に過ぎない。 「ゆゆゆふふぅ、ゆゆゆゆうぅ……、ゆっ!!?」 生意気にも、随分と感じていただいたようなので、ゆっくりまりさを床に強く放り捨てる。快感 に身を委ねすぎていたせいか、耐性を立て直せずにまりさは顔面から床に衝突した。すぐさま、ゆ ゆゆといいながら俺を見上げる。 「もっとゆっくりしていってよー!」 もっとしてほしかったのだろうか、俺の足元で顔を真っ赤にして飛び跳ねている。物足りないあ たりで止めておいたのだ、その反応は当然と言える。 しかし、このときゆっくりまりさは、自分の欲望に正直になり過ぎであり、俺の右手に握られて いる納屋から引きずってきた得物の一つである棘付き鉛バットの存在を失念していたことで、自ら の死期を大幅に近くした。 「もっとゆっく……、ゆゆ!? ゆゆゆゆゆべべっ!!?」 我が家に轟音が響いた。 飛び跳ねた瞬間を見計らって、渾身の力を振り絞って鉛製の棍棒を振り下ろした。棍棒が床に接 触したとみるや、床は木っ端微塵に弾けた。ガリガリと床を削りながら棍棒を床に引き上げると、 その下では最初のような状況になっていたというわけである。総重量七十キロだ。饅頭如きがこの 重さに耐え切れるわけが無い。 しかし、こうしてしまってから俺は気づいてしまった。後処理が非常に面倒だ。このままにして いては、床下に夥しい黴が繁殖してしまう。いくら床を修理しようが、黴なんぞの生命力は末恐ろ しいもので、俺は数年後にアレルギー症状を起こしながらくたばってしまう。 「……嗚呼」 何のことは無い。 ――後でゆっくりれいむに処理してもらおう。共食いなんて容易いことだろう。 ○ 最後の砦になってくれるのだろうか、この台所の扉。 ゆっくりまりさが腐り始めるまえに台所の異変を解決しなくてはならないが、どうもその気がし ない。完全にやる気がしないわけでは無いのだが、あの気色の悪い饅頭のさらに気色の悪い屍を見 た後だからだろう、俺はゆっくりたちとの関わりあいを持ちたくないのかもしれない。 しかし、先ほどから「うー、うー」という妙に愉しそうな奇声が、扉を閉めているのに聞こえて くる。その奥にゆっくり何某が居るのは間違いなく、きっと台所をめちゃめちゃにして楽しんでい るのだろう。そもそも、台所から撤退して貰わないと、俺は飢え死にしかねない。 俺は指向を変え、裏の勝手口から潜入することにした。先ほどの“地響き”のために、もしかす ると居間側の扉近くには居ないかもしれない。奇襲をかけてみるのも、ひとつの方法だ。 俺は勢いよく勝手口を開いた。 ――その瞬間。 「うー!?」 扉に柔らかい感触があった。それに気づく間もなく叫び声が聞こえ、反対側の壁に何かがぶつか った。ぶつかったのは実際には見ていない。だが、その方角にある食器棚のガラスの引き戸が割れ る音が聞こえた。 中を見る。俺は絶句するしかなかった。 最惨劇は台所で起きていた。 水は出しっぱなし。冷蔵庫は開けっぱなし。中身はぐちゃぐちゃ。食器はすべて粉々。鍋やフラ イパンの類は辺り一面に散らかり、俺が暇さえあれば読んでいた料理本はビリビリに引き裂かれて いた。そのすべてに、よだれのような体液がこびりついていた。 ――犯人は誰だ? 食器棚の陰でうーうー唸っているゆっくりの正体を見るため、そっと近づいた。 「うー……!」 ゆっくりれみりゃだった。 頭から本人そっくりな羽を生やし、本人そっくりにカリスマ性の無さそうな顔をしている。しか し、こいつは、紅魔館付近で見られるゆっくりれみりゃと違って顔がやたら大きいものだった。別 の見方をすれば、胴体がまだ成熟しきっていないともいえる。恐らく、まだ幼体なのだろう。背中 の黒い翼は、おまけと言ってもいいくらいに小さい。これでは、この豚まんの身体を支えながら飛 行することは不可能だろう。 「おにーしゃん!! れみりゃにょぶっでぃーんは!? ぶっでぃーんはやくちゃべちゃいどー! !」 いきなり阿呆丸出しなことを言う。 んなもんねえよ。俺は洋菓子の甘味がこの世で一番嫌いなんだ。 俺の胸の中は、あっというまに、殺意で満たされた。 今日の宴会で、実は俺とレミリア・スカーレットは少々揉めていた。以前から鼻持ちならなかっ たのだが、ここにきて不満が爆発してしまったのだ。 理由は単(ひとえ)に、レミリアの傍若無人ぶりだった。 いつもは咲夜にすべての世話を遣らせるくせに、今日に限って、レミリアは咲夜を制し仕事をさ せなかった。年末だから、いつも甲斐甲斐しく世話をしてくれるメイド長を休ませてあげようと考 えていたのだろう。 その心意気は、買ってあげてもよい。そう思う。 だが、その代りに、平時咲夜がすべき仕事のすべてを俺に押し付ける、そういう道理は存在しな いのにも関わらず、それを俺に遣らせるのは理解できなかった。酒を注げ。料理を取れ。肩を揉め 。宴会芸をしろ。 最初のうちは、俺も然程厭ではなかったのだが、一時間以上も常識知らずの“お嬢様”の面倒を 見ていると腹が立って来るのは自明だ。主従関係、眷族関係のどちらでもない者が、延々を終わる こと無い命令に従っていられるはずが無いのだ。 途中俺を可哀想に思ったのか、咲夜はレミリアを止めようとしたのだが、そんなことで考えを変 更するほどの一般常識をレミリアは持たない。あれは、どれだけ自分にカリスマがあると《勘違い 》しているのだろうか。そもそも、十六夜咲夜がレミリアを持ち上げるから、あいつの傍若無人ぶ りには拍車を掛かっているのだが、咲夜には《そちらの感情》があるためその自覚はないのだろう。 酒も入り、普段は有り得ないのだが、完全に自我を失ったように激高した俺はレミリアと少々の 口喧嘩をしてきたのだ。 これだけは覚えている。俺はしっかりと言ったことばがある。 『《妹の出涸らし》の癖に調子に乗ってるんじゃねぇよ』 その一言で、レミリアは最初からゼロのカリスマ性をマイナスにした。 最後には咲夜や霊夢に宥められ、何とか事なきを得たものの、苛立ちが完全に霧散することは無い。 そんな折に、現れたゆっくりれみりゃは、実に運が無かったといえる。脳内で厳かな合掌をする。 「うー!! うー!! にゃんにもないけじょ、ここはおもちりょいかりゃ、れみりゃのべっそう にしちぇあげりゅんだどー!」 楽しそうにぽよぽよとジャンプするように踊ると、背中の薄汚い羽根で飛び始めた。といっても “Fly”ではなく“Jump”だ。椅子、机と順々に上がりながら飛び跳ねる。がしゃんと音を立てて 台所の照明が割れ、俺の足もとに飛び散った。 何が別荘だ。お前には洞窟で充分だ。ゆっくりふらんにでも襲われてしまえ、《妹の出涸らし》の癖に。 「う゛ー!?」 俺は、むんずとゆっくりれみりゃを鷲掴みにした。勿論、こめかみあたりに青筋を浮かべそうに なるのを必死になって抑え込み、笑顔で。だが、ただならぬ黒い思惟を見たのか、それでもゆっく りれみりゃは戦慄したようだ。 「君はゆっくりれみりゃだったよね。ゆっくりしていくのかい?」 テーブルにれみりゃを置きながら優しく聞く。敢えて。 そうすると、ゆっくりれみりゃは気色の悪い笑顔でうーうーと言い始めた。そしてにんまりと笑 って黙り込んだ。この次に、こいつが言うことは一つだけだ。そして俺が次に取る行動も一つだけ だ。 「う」 「――ゆっくり死ね!!」 俺は『うー、うー、うあうあ』と喜ぼうとしたゆっくりれみりゃの顔面(こいつには小さいなが らも身体があるからこの表記で大丈夫だろう)に鉄拳を捻じ込む。ゆっくりれみりゃの背中には、 先ほど自分でぶつかり落としたガラス製照明器具がある。それが刺さるように深く、深く。 三十秒はそのままの状態を保つ。 解放してやると、しばらく無表情を保ったゆっくりれみりゃだったが、堤が決壊したように瞳が 潤みだす。背中の方からも、肉汁と思しき液体が染み出した。 「……! ……!!」 声も立てずに無様な表情で涙を流しながら、身体をびくびくと震わせはじめた 。 「……!!?」 腹立たしい表情ゆえに、俺は我慢することを辞めた。ゆっくりれみりゃの頬に手を当てる。摘む 。徐々に力を込め、摘んだ部分が白色になったあたりでれみりゃの表情が歪みはじめ、涙が滝のよ うに流れはじめた。こいつのどこにそこまでの水分があり、涙腺がどこにあるか、などは関係ない 。朽ちはて腐り逝くまで弄り倒してやろうじゃないか。 ちぎれそうなのだろう。ゆっくりれみりゃは必死に逃れようとするが、そんな行動は到底無駄な もので、こんな腐れ饅頭なんぞの力が人間様に敵うはずがないのだ。 しかし、それにしても。 ――よく伸びる。 搗き立ての生餅のようによく伸びる。手を放したら元に戻るのか、と思っていたら、餅と同様に 伸びたままだった。 今度は頬の端を引っ張っていた右手を顎あたりに、左手をこめかみ付近にあてがい、再び伸ばす 。 「おお~、伸びる伸びる」 だんだん楽しくなってきた。もっちりと伸びていくれみりゃの皮の心地よさと、そのたびに泣き 喚くれみりゃの泣き声に、すっかり己を忘却してしまった。気がつけばゆっくりれみりゃの顔はス ライムのように原型をなくしていた。 「……!」 満面の笑みで見つめてやると、れみりゃは、何ということだろうか、俺を睨みつけてきた。恨み をこめた穢れた目で、俺を睨み付けて来た。 完全に、堪忍袋の緒は切れていたと思っていたが、俺の腸の中にはもうひとつ堪忍袋があったよ うで、今度はそちらが爆発した。下等畜生のくせに何たるザマだ。 俺はゆっくりれみりゃの頬を強烈に抓ったままで大手を振りながら風呂場へ向かう。伸びきった ゴムのような身体は扱いにくかったが、途中でわざとらしく、れみりゃの眉間を机の角に強打させ た。道中、聞き苦しい声で「あ゛―――!! ざぐや~、ざぐや~!!」と、訳のわからないこと を叫び始めた。あまりにも喧しく憎たらしかったので、流し台の下から包丁をだし、れみりゃの目 の前で光らせた。殺される、とゆっくりブレインでも理解できたのか、その瞬間は静かになった。 見るからに凶器であるそれに戦慄したのだろうが、別にゆっくりなんぞは包丁を餡で汚さずとも殺 めることは可能だ。 風呂場に入り、湯を浴槽に張る。河童のにとりから貰った『のび~る上水管・ボイラー付きバー ジョン』のおかげで、あっというまに浴槽いっぱいに水が張った。いつも俺がアイディアを提供す れば数週間でそれを具現してくれるからたいしたものだ。にとりも俺の持つ大量のアイディアには 感謝しているようだから、“Give Take”は成立しているようだ。次の機会には、ゆっくりを痛 めつけるためだけのアイテムを嘆願しようか。アイディアは全て、青狸が暗躍する漫画からの拝借 だが。 俺はれみりゃを浴槽にぶち込んだ。ただし全体を入れると死んでしまうのでそれは避けておいた 。そして、水の中で先ほど伸ばしていた皮をちぎった。 「う゛あ゛~~~!!! う゛あ゛~~~!!!」 赤い肉汁が浴槽にあっという間に広がっていく。子供だから生焼けなのだろうか。れみりゃは予 想通りに泣き喚く。ゆっくりたちは、俺の予想していたのとほとんど変わらない反応を見せてくれ るので面白い。非常に虐待甲斐がある。 ここで俺は再び納屋に向かった。れみりゃは力の限りを使って喚いていたためか、水の中から逃 げ出す様子は無かった。ただ、水から顔を辛うじて出しながら喘いでいた。 納屋から二つ目の水槽を出してきて玄関に置き、風呂場へ戻る。肉汁を垂れ流しながら泣いてい るれみりゃを引き上げ、そのままの足で再び玄関に向かった。肉汁を垂れ流し、これ以上家を汚さ れては叶わないので、風呂場横に置いてあった残飯入れ用のゴミ袋を取り出し、それに入れた。 ふとその脇を見れば、蕎麦打ち用の麺棒が置いてあった。ひとつ閃きが舞い降りてきた。 袋の中で手負いの身体を必死に捩って抜け出そうとしているれみりゃの頭であろう辺りを強烈に 殴り飛ばす。怯んだのか気絶したのか判じ切れないものの、動きが止まる。触診のように胴体の位 置を確認すると、麺棒を押し付けて転がした。 「むぎゃああああああああああ!! ざぐ、ざぐ、ざぐううううう!!」 変な声が響く。 粗方遣り終えると、もう一枚ゴミ袋を取り出して中身をそちらに移し変え、先ほどよりもギュウ ギュウに縛った。れみりゃは痙攣するのが精一杯のようで、袋は微細動だけを繰り返している。 玄関の扉を開けると、黄色い、かつ気色の悪い声が響き渡る。 「おにいさん! はやくだして! おうちかえる!!」 ゆっくりれいむが必死に救出を願っている。ダンボールで水槽ごと目隠しをされその中で逆さま になったままで、涙を頭の天辺へと垂らしているのだろう。れみりゃの泣き顔のように汚く、気持 ち悪いのが容易に予想できる。 ところで、こいつの言う処の《おうち》とはなんだろうか。もしかしたら、此処、つまりは俺の 家のことを言っているのかもしれない。だとしたら、こいつの命は無い。というか、俺の家なら既 にこのゆっくりれいむは帰宅しているではないか。 先ほどのゆっくりれみりゃを袋ごとぶち込み、再び蓋を閉める。少し落ち着いて《ゆっくりした 》ところで、遠巻きにゆっくりれいむの入った水槽を見つめる。 凄まじい。凄まじいまでの光景だ。 ガラスの表面にへばりつく様なゆっくりの皮。もちもちとした丸みを帯びた身体は、巣層の輪郭 に合わせるように角張っている。 ここでゆっくりれいむにとって幸運ともいえることは、ゆっくりれみりゃが、自分の後ろの水槽 に居るものが何であるのか把握できていないことだった。ゆっくりれみりゃは、他のゆっくり―― と雖も自分より弱い立場のものだけ――を食べる習性があると言う。ガキ大将宜しく、レミリアそ っくりだ。そんなところまで似なくてもいいのでは、とも思う。しかし、今その天敵は黒いゴミ袋 に入れられて、しかも深い傷を負っていてほとんど叫ぶ力もない。 「ぅ……。うう? う”―――!! ざぐやあああああ!!」 目が覚めたのだろうか。黒いゴミ袋から、ゆっくりれみりゃの絶叫が漏れ出てくる。れいむのほ うに目を遣ると、顔色――もとい、皮色が悪くなって行く瞬間だった。 「お、おに”ーさん! そのだかぢはいっでるどっでだでぃ!!?」 鼻づまりのような聞き苦しい声が震えている。『その中に入ってるのって何?』と、確認のため に訊いて来たのだろうから、俺は懇切丁寧な解説を送ってやる。この反応から察するところ、れい むとれみりゃには面識が無いのだろう。 「ああ。この中に入っているのは、ゆっくりれみりゃの子供だよ。子供って言ってもそんなに小さ くはないから、……そうだね、君くらいなら軽く、ペロリとやっちゃうんじゃないのかな?」 「ゆ”――!! ゆっぐりじだい、ゆっぐりじだいどに゛――!! でぇ、おに゛いざん、だずげ でよ――!!」 冗談である。身体を潰され衰弱しているチビれみりゃがゆっくりれいむを食べることなど、出来 るようには思えない。だが、れいむは、袋の中身はゆっくれれみりゃであることしか知らず、それ が大人であるのか子供であるのかの判断は、まあ出来ないだろう。 逆さの状態で泣き喚く様は、実に愉快なものだ。ゆっくりは横柄な性格ながら、命に危険が迫る のを確認すると、途端に猛烈な勢いで命乞いをすると聞く。それはかなり凄絶なものだ。絶望の度 合いが大きくなれば大きくなるほど、必死になる。自己中心の志向を持つものには、そう言う傾向 がある。 「おに゛―ざん、おでがいだがら!! でいぶはばだだべだでだぐだいどでぃ!!」 すげえ必死。もはや笑える。そもそも、何と言っているのやら。自分の名前も巧く発音できてい ない。でいぶって、デーブ大久保か? ただ日がな一日飛び跳ねて、隙あらば人ン家に忍び込んで好きなだけ食い物を食い荒らし家財装 具をめちゃめちゃにする、生産性の欠片も無い下らない一生に何の未練があるのやら。それはゆっ くりになってみないと分からないのかもしれないが、人間とゆっくりの間には決して越えることの できない壁のような立場の差が存在している。そんなことは不可能だ。 ゆっくりは、人間に虐げられる。ただそれだけのために、生を受けし者だ。 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2743.html
オリ設定有 虐待ほぼ無し ぶっちゃけただのネタ 「じじいさっさとはなしてね!!いまならゆるしてあげるよ!!」 「あとおかしももってきてね!!そしてすぐしんでね!!」 ぎゃあぎゃあ騒ぐゆっくり共が入っている袋を担いで歩く俺。ゆっくりは村に来て畑を荒らすゲスどもだ。 だいたい村に来るゆっくりはゲスかバカばっかりである。普通のゆっくりは来る必要ないし。 そして村から少し離れた小屋に着く。小屋にしては少し大きめではあるが、人間が住むには狭い程度の大きさだ。 そして扉は閉まっているがここからでも小屋の中の生物の声が聞こえてくる。 「ゆゆっ!?このこえは…」 がちゃ 『うー!』 「れみりゃだあああああ!!!!!!!」 げすゆっくり達が言うとおりここは村のゆっくりれみりゃの飼育小屋である。 その数は結構多く、五十を超えるほど。ただし三分の二くらいは子供だ。 俺は持っている袋の中身を餌箱の中に入れる。げす達はぼとぼとと落ちた、中にはつぶれたものもいたが気にしない この箱はゲスゆっくりが逃げないよう結構深い。 しかし空を飛ぶことができるれみりゃには簡単に入ることが出来る。 「ほーれ、あまあまだぞー。たっぷり食えよ」 「うー♪」 「やめてね!!れみりゃはゆっくりできな…ああああああ!!!」 「だずげでぇええええ!!!」 「いびゃああああああああああ!!!!!! あっという間に子れみりゃにたかられるゆっくり達。 狭い箱を必死に転がって抵抗しているものもいるが、そいつはすぐに親が押さえつけるので結局何もできず中身を吸われる。 餌箱の底にはさっきまで生意気言ってたゆっくり達のデスマスクだけが残った。これは後で畑の肥料にする。 『うー!うっうー!』 「うまかったか?そいつはよかった」 『うー!うー!』 「ああ、待ってろ今開けるからな」 子れみりゃに返事をしながら親れみりゃ用の入り口を開ける。ちょっと大きい木窓のような代物だ。 そしてあっという間にそこから飛び立っていく親れみりゃ達。小屋にはまだ狩りができない子れみりゃだけが残った。 それなりに昔、ゆっくりと呼ばれる饅頭生物が現れた。 そしてそいつらはだんだんと野生の生き物として知識をつけ、人間の畑を襲うようにもなった。 そこで農家は対策としてそいつらを捕食するゆっくりを飼うという流れが起きる。それがれみりゃというわけだ。 ゆっくりの捕食種であるれみりゃを飼うようになった村は次々と増えていった。 分かりやすくいうとねずみを取るために猫を飼うようなものだと思えばいい。 そしてそれを繁殖させ、別の村などに売り払うのがこの小屋である。 ちなみに全て胴体無し。ペットではなくあくまで狩りをやらせるためのゆっくりなのだ。胴体有など売れるはずも無い。 胴体有は動きは遅い、わがままは言う、野菜を引っこ抜くことから逆に害獣扱いされている。 『うー♪うー♪』 子れみりゃ達がいっせいに歌う。満足したのだろう。 一日一食で適当なゆっくりで済むのだから実にリーズナブルだ うちでは基本子供には餌をやるが親には自分でとりに行かせるようにしている。 なぜならゆっくりを取れないと飼う意味が無いからだ。 そのため餌は子供の分だけしか入れない。そして親れみりゃは子れみりゃに優先的に与えるので狙いどおりに食べてくれる。 後は親達を解放してきちんと狩りに行かせる。しばらくしたら戻ってくるのできちんと集まってるか確認したら閉める。 彼女達はここを家だと認識している上に、子供を残しているから何もしなくても戻ってくる。副業としてはかなり楽である。 俺は親が全員飛んでいったのを確認すると、小屋を出て家へと戻った。 次の日。朝日が顔を出す頃に小屋に来る。 親達が戻ってきており、うとうとと眠っていた。 こいつらは夜行性だからそろそろ眠る時間なのだろう 「ひぃ、ふぅ、…よし、足りてるな」 俺は数を数えて全員いる事を確認すると出入り口を閉め、畑仕事へと戻った。 ~~~~~~~ これだけ書くのにえらく時間かかってしまった。 現在のんびりゆっくり戦乱シミュを製作中…完成するかどうかも不明だが 過去作品 巨大(ry 餌やり ゆっくり対策 巨大まりさ襲来 ゆっくり埋め どすまりさの失敗 原点 ゆっくり駆除ありす まきぞえ なぐる ゆっくりのある田舎 現実的なドスまりさ このSSに感想を付ける