約 632,046 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1235.html
※俺設定注意 ゆっくり家庭料理 今日俺は大バーゲンで買ってきたゆっくりれみりゃ1体をまるまる使って料理しようと思う。 さて、まずは今日のメインのゆっくりれみりゃだ。 「ぎゃお~、た~べちゃうぞ~!!!」 今日にもお前はた~べられちゃうぞ~!!!という突っ込みはさておき、 まずは下ごしらえだ。 服を脱がす。 「うー!こうまかんのおぜうさまのれみりゃになにするんだどー!」 下ごしらえです。 ゆっくりの飾りにおいしいものはほぼない。 ただの皮どころか、泥臭い某国産餃子のような味がする。 プロがせいぜい料理できるのがゆっくりふらんのへんちくりんな棒だという。 さて、このれみりゃは無洗れみりゃではない。 ということであらってやる。 「う~♪きもちいいど~♪さくりゃ~♪もっと~♪」 『さくりゃ』とは誰だろうか。とりあえず水につけっぱなしにしておく。 その間別の作業をしないといけないからだ。 「「「「「さあ調理しなさい!!!」」」」」 調理用に遺伝子をいじくって調理されることを本能とするゆっくりちぇんだ。 ちぇんであることに意義がある。中身はオリーブオイルで皮はレタスのような味がする。 要するに付け合わせだ。 ちぇん達の言葉に応じてゆっくりを調理する際の俺の決まり文句を言う。 「ゆっくり調理させてね!!!」 ふう。終わったか。 慣れたとはいえ貴重なオリーブオイルをこぼさないのは一苦労だ。 とりあえずちぇん皮の付け合わせができた。じゃあ早く連れてこなきゃ。 メインディッシュを 「うー?このぢぇんでべさせてくれるのかどー?」 ぢぇんって誰だ、それとでべさせるって何だ。 まあ、いいや。れみりゃをまな板の上にのせる。 「う?べっどにしてはかたいど~♪かえるんだど~♪」 そういってるれみりゃに右手のナイフで語りかける。 「ゆっくり調理させてね!!!」 そしてその愛らしい首と体を 叩き斬った。 「う゛!うあー!うあー!」 首を切った瞬間、れみりゃは瞬間的に退行する性質がある。 「どおして?れみりゃとからだがー!!」 どおしても糞も、あんた食材ですから。 次に邪魔なので人間でいう「子宮」に値するものを取り除く。 排泄物よりまずいんで。 「ひゃ!れみりゃのはずかしいところが!!」 恥ずかしいんだったらなくなっていいんじゃないでしょうか。 ちなみに顔は厨房の俺の後ろで調理のさまを見ている。 これがどう怖いのかは知らないが、ゆっくりは精神攻撃でおいしくなる性質がある。 というわけだ。 次に足を切り落とす。 ちなみに今回は出来上がりのものの関係上、輪切り。 「おにーさんなんでれみりゃのあしきるの!しつじのくせに!」 本当のレミリアがこう言っているなら 「俺は小悪魔どころか、悪魔ですから。」と言っていることだろう。 まあ、これはそれによく似た饅頭なので関係ない。 とりあえず、あとはいったん放置して、サラダを完成させる。 足の輪切り投入。 そしてちぇん油をかける。 はい、付け合わせの「れみりゃとちぇんの仲良しサラダ」(一人当たり456kcal)出来上がり。 そしてメインの続きだ。 ああ、れみりゃはいちいちうるさいのでボンレスハムのひもで縛っておいた。 全部みじん切り。 単純に思えるが、別々の体パーツでも同じ大きさにしておかなければいけない。 切った後の肉まん部分を取り出す。 そしてマッシュポテトとその肉まん部分を混ぜてポテトサラダみたいにする。 「さあ、ゆっくり意識失ってね」 れみりゃの頭をかっ捌いて、肉まん部分とポテトサラダみたいなのを入れ替える。 頭をボンレスハムのひもで閉じる。 そして蒸し焼きにして… 完成!「苦痛のぽてみりゃ蒸し焼きサラダ」(一人分792kcal)! 試食してみた。 「…まず。新メニューにはならんな」 今日の実験料理は忘れることにした。 某所で書いたコイキングの料理のやつを強引に改変してみたらこれだった。 もともとそれ自体がやっつけだったんで、さらにやっつけ度増し。 すんません。他のハイレベルなSS書きさんのSSを見てすっきりしてください。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1203.html
ゆっくりれみりゃの足って纏足っぽいんだけど、靴脱げないようにして水虫流行らせて「う”ぁ”あ”ぎも”ぢわるいよぉ”お”お”」とか叫ばせたい。 どうせだし体つきのゆっくりれみりゃの背中の羽を引きちぎって耳の横に縫い付けたい。 それで「ぱたぱたさせてみろよ」とか言って両手でパタパタさせんの。 「う”-!ばだばだ!ばだばだ!」で 「ばだばだばだ!バダバダバダバダバ」ってなって 「ダバダー、ダバダー、ダー!」って叫ばせる。 今日もコーヒーが美味い。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1395.html
今日の天気は快晴。昨日も快晴で、一昨日も快晴だった。 季節は夏。あちこちでセミが我が物顔をしながら鳴いている。 太陽は容赦なく照り付け、もう暑くて暑くてしょうがない。 こんな日でもちゅ…美鈴は紅魔館の門番をしている。だって仕事だから。 「ぅあー…あつーい…」 いつもだったら暇なときはシェスタしている美鈴だが、こんな天気で寝たら日射病になってしまう。 それに空きっ腹でもある。気力で抑えればいいって物ではない。 「はぁ…暑いし退屈だし…いや、安全第一ってことはわかってるんですけどね?なんか、こう、 面白い事でも起きないかねぇ…」 そう呟きつつ見慣れた光景を見る。 別になんてことない風景だ。たまにゆっくりれみりゃが映ることはあるが、別にどうってことはない。 しかし、今回は話が違った。 「ん…?見慣れないゆっくりですねぇ…」 門の目の前に赤い髪をして『龍』という文字が入った星を付けた緑の帽子を被っている饅頭。 どっかで見たような…あれこれって…もしかして… 「も、もしかして、私のゆっくり?」 「私じゃないよ、ゆっくりめいりんだよ」 当たり。 「とうとう私のゆっくりが出現したか…なんか複雑な気分です」 「わたしのなまえはゆっくりめいりんだよ、わかった?」 「はいはいわかったわかった」 お嬢様や咲夜さんのゆっくりは何度か見たけど、まさかこんなんになるとは… 私ってゆっくりにしたらこうなるのだろうか…しかも同じことしか言わないし… とりあえず見てて腹が立つので、れみりゃの餌にすることにした。 咲夜さんがゆっくりれみりゃを気に入っていて世話をしているので、れみりゃには困らない。 今も後ろで「うーうー」言いながら遊んでいることだろう。 でも前を良く見たられみりゃがぱたぱたと羽音を立てながら飛んでたので、そっちにあげる事にする。 「おーい、そこのお嬢様のパチモン、これあげるから食べていいよ」 「うー♪」 美鈴はゆっくりめいりんを鷲掴みにすると、れみりゃに向かって投げた。 「そぉい!」 変な掛け声と共にゆっくりめいりんはれみりゃに向かって飛んでいく。 ちょっと投げる勢いが強かったかな…とも思ったが無事にキャッチ。 れみりゃに掴まれているにもかかわらず平然としている。鈍感なのか。 「わたしはゆっくりめいりんだよ、めいりんってよんでね もんばんってよんじゃやだよ」 「がぁおー!たべちゃうぞー!」 ゆっくりめいりんが言っている言葉を理解できるはずもなくめいりんに噛み付くれみりゃ。 鋭い歯でめいりんの皮を切り裂き、それを自分の体内へと飲み込む。 まぁなんとも幸せそうな顔をしている。 が、しかし、その顔はすぐに消えた。 「う゛あ゛あ゛あ゛~~!!ざぐや――!!ざぐや――!!」 れみりゃはめいりんを投げ捨てどっかに飛び去っていってしまった。 なんだか自分が不味いと言われているようでいい気分ではない。 ゆっくりめいりんは結構な高さから落下したのに平然としていた。やっぱ体のつくりが元のと一緒なのか。 ゆっくりめいりんを拾い上げると齧られた痕から赤い具が見えた。 なんとも鼻を突く匂い。美鈴はこの匂いが好きだった。 なんか齧り痕から齧るのは気がひけたが腹も減っていたので少し齧ってみた。 「ゆぐ!いたいよー!めいりんだけどいたいよー!」 さっき声を上げなかっためいりんが痛みの声を上げるが、そんなことよりも。 「あ!『辛い』っ!これ辛いっスッ!激辛っス!」 ゆっくりめいりんはピザまんだった。ただタバスコがたくさんかかっているのかハバネロが混じっているのか 青とうがらしが材料なのかは定かではないが、とにかく辛いのだ。 こんなんじゃあ野生のゆっくりは辛くて食べれない。 辛党の美鈴ですら辛いと思ったのだから相当なもの。 しかし。 「普通の味覚だったら食えるはずがねーんだよなこんなカライの! でも思わず食っちまった…クセになるっつーかいったん味わうとひきずり込まれるカラさっつーか…… たとえると『豆まきの節分』の時に年齢の数だけ食おうとして大して好きでもねぇ豆をフト気づいてみたら 一袋食ってたっつーカンジかよぉ―――~~~っ!」 美鈴がゆっくりめいりんの身を減らしていく。 「おねえさんやめてよ!かじられるのはがまんしてるけどいたいんだよ!」 めいりんが何か言っているが美鈴に届くはずもなかった。 「うわああああはっ腹が空いてくうよお~~~~~~っ!! 食えば食うほどもっと食いたくなるぞッ!こりゃあよお――ッ!!! ンまぁ―――いっ!!味に目醒めtひぎゃあああああああああっ!?」 台詞が途中で途切れる。原因は額に刺さったナイフ。 「あなた、門番の仕事をサボって何をやっているの…?」 「うわっ!咲夜さん!いつの間にいたんですか!?えっと、サボってないですよ、決して」 「………今日の夕食も抜きね」 「あ、あァァァんまりだアァァァ HEEEYYY!!」 美鈴の鳴き声が森に木霊する。 足元に落ちているのは美鈴が被っている帽子のミニサイズだけであった。 FIN by GIOGIO ~~誰も使わないと思うがゆっくりめいりんの生態~~ 改変とかは好きにしたらいいんじゃあないか… ゆっくりめいりん 一応希少種。 「ゆっくりめいりんだよ」が口癖。 動きはすばやく、基本的に何でも食べる。腹が減っているときは他のゆっくりを襲うことも多々ある。 しかしゆっくりれみりゃ、ゆっくりさくや、ゆっくりパチュリー、ゆっくりフランを襲うことは決してない。 それどころか攻撃されても反撃すらしない。ゆっくり小悪魔とかがいたらどうなのかは不明。 ピザまんで、非常に辛い。なので、捕食種に襲われても大抵は食いきれずに投げ出していく。 そんなめいりんの天敵はゆっくりゆゆこ。だってカービィだから。 ゆービィがめいりんを食したあと、火を吹いていたという目撃もちらほら。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1015.html
ティガれみりゃ その4 ======================== ≪はじめに≫ 『ティガれみりゃ3』の後編になります。 他の作者様の設定や名称を一部使わせていただいております。 パロディネタおよび、自分設定有りです。 本家東方のキャラの性格口調、壊れ気味です すみません、まだ続きます。 以上、何卒ご理解・ご容赦ください。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。 ======================== 4、誇りをかけた試練(後編) 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪』 「ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪」 歌いながら森を往く2匹のゆっくり。 よったよったどたどた歩く、巨大ゆっくり・ティガれみりゃ。 そんなティガれみりゃの頭の上に乗っている、通常サイズのゆっくりゃザウルス。 全長20メートルの、くてくてだぼだぼのヌイグルミ風恐竜。 大きく開かれた口から覗く、れみりゃ種特有の下ぶくれスマイル。 その大きな顔の上の、恐竜の頭部の上では、 ゆっくりゃザウルスが、腹ばいになって、ティガれみりゃにしがみついている。 ゲスまりさに襲われて千切られた手足と尻尾は、もう殆ど回復しきっている。 ニコニコ笑いながら、体全体を左右に揺らしながらリズムをとっている。 『うっう~うぁうぁ~♪』 「うっう~うぁうぁ~♪」 ゆっくりゃザウルス……先だって子供を失った親れみりゃは、 その悲しみを払拭するかの如く、楽しげに歌う。 親れみりゃにとって、ティガれみりゃの存在は、 まさに希望であり、憧れであり、救世主であった。 このティガれみりゃと一緒なら、どんな困難も悲しみも乗り越えられる。 親れみりゃは、巨大なティガれみりゃに揺られながら、かつてない安心と勇気を感じていた。 ティガれみりゃもまた、親れみりゃのことを、 親友のように、妹のように、娘のように愛おしく感じていた。 その巨体故に、他の生物から常に避けられ続けるティガれみりゃにとって、 自分をこの上なく慕ってくれる親れみりゃの存在が、嬉しくて楽しくてたまらなかった。 この温かい気持ちをどう言えばいいのだろう? この胸にこみ上げる幸せをどう表現すればよいのだろう? そんな時、不器用なれみりゃ種がとる行動は一つ。 嬉しい時も、悲しい時も、わき上がる思いをあらわにして。 (歌っちゃおう♪) (踊っちゃおう♪) 『ティガ☆』 「れみ☆」 『りゃ☆』 「うー♪」 『「にぱぁ~~~♪」』 決まったぁー♪ 渾身の「れみりゃ☆うー」が決まり、 ますます幸福感に包まれる2人のれみりゃ。 そんな2人の前に、1人の少女が現れた。 「やぁ! ずいぶんと御機嫌だねぇ~」 少女は空を飛んでいた。 知識のあるゆっくりならば、その時点でその少女が人間ではないこと。 恐い人間よりもさらに恐ろしい、妖怪と呼ばれる存在であることに気付いただろう。 しかし、そんな知識、れみりゃ種に求めるのは酷である。 『うっうー♪ れみりゃはいつでも御機嫌だどぉー♪』 「うー♪ おねぇーさんだぁーれだどぉ?」 屈託無い笑顔で少女とのコミュニケーションに応じる2人のれみりゃ。 「……ふふ、まぁ名乗るほどのものじゃないさ」 そう言って口の端を歪める少女。 『う~? おねぇーさんの角、とぉ~~ってもかっこいいどぉ~~♪』 そう言って、目を輝かせるティガれみりゃ。 角。 そう、少女の頭には、二本の角が生えていた。 れみりゃ達が知るよしも無いが、この少女こそ、 既に幻想郷からは姿を消したといわれていた伝説の種族・"鬼"の一角、 小さな百鬼夜行、伊吹萃香であった。 「それより聞きたいんだけどさ……」 『う~、なんでもきくがいいどぉ♪』 「ゆっくりれみりゃってのは、おまえ達のことであってる?」 『「うーっ♪」』 嬉しそうに反応する、2人のれみりゃ。 『そうだどぉー! れみりゃは~~♪ ティガれみりゃだどぉ~~~♪』 ティガれみりゃは、両手を頭の横に持ち上げ、うぁうぁとリズムを取り出す。 『「うっうーうぁうぁ♪ うっうーうぁぅぁ♪」』 最高に上機嫌なれみりゃ達。 そんなれみりゃ達に、萃香の真意など図れるわけがなかった。 「そりゃよかったよ。おまえ達をさがしていたんだ」 『「う~~?」』 不思議そうに首を傾げる、れみりゃ達。 「そう、おまえ達がほしいんだ」 笑顔のまま屈託なく告げる萃香。 一方、れみりゃ達は、いっぱく置いた後、 両手を自分の頬に充てて、身をよじりだした。 『きゃーきゃー♪ おねぇーさんだいたんなんだどぉーー♪』 「すとれーとなあいのこくはくだどぉーーー♪」 頬を赤くして、きゃーきゃー騒ぐ、れみりゃ達。 れみりゃ達は、萃香の言葉を、プロポーズと勘違いしていた。 「ま、というわけでね、どっちか一人でいいんで、私についてきて欲しいだ」 空高くを指さす萃香。 『「う?」』 意味を理解しかねる、れみりゃ達。 萃香は、山の上の天上の地で、大宴会を開こうとしていた。 しかし、天上の地にあるツマミといえば桃くらいのもの。 やはりここは塩味のもの、お腹にたまるものも欲しい。 腹が減っては夜通しどんちゃん騒ぎもできぬ。である。 そこで、萃香はかねてから噂に聞いていた珍味。 ゆっくりれみりゃの肉まんを探していたのだ。 それも、ただのれみりゃ肉まんではない。 一層珍しく、美味しいとされる、ゆっくりゃザウルスの肉まんをだ。 そんな折、巨大な肉まん……もとい巨大なゆっくりゃザウルスがやって来るのを見つけたのだった。 話に聞いていたのとは、ずいぶんサイズが違うが、 まぁ本人達がれみりゃだと言っているのだから、そうなのだろう。 萃香は納得し、ティガれみりゃ達を連れ去ろうとする。 しかし、それに異を唱えたのは、他ならぬれみりゃ達だった。 「う~~~! イヤだどぉ~~~! れみりゃはもうおうちにかえりたいんだどぉ~~~!」 『う~~~、そうだどぉ~~~! れみりゃたちはおねぇーさんとはいけないんだどぉ』 ティガれみりゃは、親れみりゃをお家(紅魔館)に送り届ける途中であった。 もっとも、2人とも紅魔館の場所など知らず、適当に歌って踊って歩いているだけであったが。 「ふーんそっかぁ……それは困ったな」 ちっとも困った風じゃない顔をして、萃香は腕組みをして考えるフリをする。 「……よし! じゃあこうしよう! 私と勝負して勝った方が負けた方の言うことを聞く!」 明らかに強引な論法。 だが、れみりゃ相手には、このムチャクチャな単純さが功をそうした。 『う~~~、わかったどぉ♪ れみりゃがあいてになるどぉ♪』 「おっ、話がわかるじゃないか! デカイの!」 『そんなに褒められると、さすがに照れてしまうどぉ~~♪』 もじもじと体をよじるティガれみりゃ。 "デカイ"というのは、褒め言葉として捉えるらしい。 『う~♪ れみりゃが勝ったら、おねぇーさんの角が欲しいどぉ♪ それがあれば、れみりゃはさらにぱーふぇくとなれでぃーになれるどぉ♪』 「はいはい」 適当に流す萃香。 「きゃーっ! ティガれみりゃがさらにかっこよくなっちゃうどぉー!」 興奮する親れみりゃ。 ティガれみりゃは、そんな親れみりゃを手に乗せ、少し離れた場所の地面に降ろす。 『あぶないがらぁ~ちっちゃいれみりゃはそこで見ててぇ~♪』 「わかったどぉ! ティガれみりゃ~がんばるんだどぉ♪」 『う~♪ まかせるんだどぉ♪ ちっちゃいれみりゃもおうえんじでねぇ~ん♪』 「うー! まかせとけだどぉ♪」 「やれやれ……そろそろいいかい?」 待ちくたびれて、肩をまわす萃香。 『うーっ、準備おっけぇーだどぉ♪ おねぇーさんなんかイチコロだどぉー!』 「ふーん、はたしてそうかな♪」 萃香は笑みをこぼし、スペルカードを使用する。 鬼神"ミッシングパープルパワー" 『「ううううう~~~~っ!?」』 目を丸くして驚く、ティガれみりゃと親れみりゃ。 小さな人間の少女でしかなかった萃香が、みるみる間に大きくなり、 いまやティガれみりゃと同等か、それより一回り大きい姿になっていた。 『うー♪ おねぇーさんおっききぃどぉー』 自分より一回り多くなった萃香を見上げるティガれみりゃ。 「それじゃ、勝負開始といこうか!」 『うっうー! いっくどぉー♪』 ぎゃぉー! と叫びながら、ティガれみりゃが萃香に突進する。 いや、正しくは、それは突進などと呼べるシロモノではなかった。 どたばたどたばた。 短い手足を振り回しながら、えっちらおっちらやって来るティガれみりゃ。 (……お、遅っ) 萃香は、逆の意味で驚きつつ、 わけもなくティガれみりゃの突進をかわす。 『うっ?』 ドターン。 勢いそのままに前のめりに倒れるティガれみりゃ。 普通のれみりゃ種ならば、ここで泣き叫ぶところだが……。 『う~、ゆだんしちゃったどぉ♪』 ティガれみりゃは、笑顔のまま立ち上がる。 この点こそが、ティガれみりゃ最大の強点であった。 体の大きさや防御力ではない、言わば痛みを痛みとして認識しない超鈍感力。 根拠無きポジティブシンキングと思いこみ、そして実際に鈍い五感と思考の速度。 その自身が置かれた状況に対する"鈍さ"が、痛みや苦しみを和らげ、 いいこと・たのしいことだけを考えさせる。 そんな鈍感力こそが、ティガれみりゃの得た、ゆっくりするための切り札といえる。 『おねぇーさんはつよいからぁー、れみりゃもとっておきを披露するどぉ♪』 「ふーん、とっておきねぇ」 『くらっておどろくどぉ♪』 ティガれみりゃは、萃香に背を向けると、 両手を腰にあて、おしりと尻尾を左右に振り出した。 『ティガれみりゃの~、の☆う☆さ☆つ☆しっぽふりふりぃ~~だどぉ♪』 「きゃぁ~~~! しぇくしぃーーーすぎるどぉ♪」 ティガれみりゃの勇姿を見て、地上の親れみりゃが興奮する。 あんなセクシーな姿を見せられては、 どんな相手もメロメロになってしまわずにはいられない! 顔を紅潮させて叫ぶ親れみりゃは、本気でそう信じていた。 『うっふぅ~~~ん♪ 尻尾ふ~りぃふりぃ~~♪』 尻尾を左右に振りながら、徐々に萃香に近寄っていくティガれみりゃ。 だが、萃香は溜息をつくと、その尻尾をむんずと掴んだ。 『うっ?』 「そぉーら!」 『ううううっ!?』 萃香は尻尾を綱引きのように引っ張り、ティガれみりゃを引き寄せる。 ティガれみりゃは抗おうとジタバタするが、結局萃香の目の前まで引っ張られ、 「う~♪」と反転して萃香の方を向いた瞬間、両脇を掴まれ、空中に持ち上げられてしまった。 『うっうー♪ つかまっちゃったどぉ♪』 まだ余裕なティガれみりゃ。 『う~~~♪ たかいたかぁ~い♪』 いつも以上に高い位置からの眺めに、ご満悦だ。 「すっごいどぉー! ティガれみりゃがおそらをとんでるどぉーー!」 そんなティガれみりゃを見て、興奮する親れみりゃ。 「……はぁ」 ただ一人、萃香だけがテンションを下げていた。 『うー、おねぇーさんはつよくてやさしぃんだどぉ♪ れみりゃのめしつかいにしてあげるどぉ♪』 萃香が自分のために高い高いをしてくれているものと信じるティガれみりゃ。 観戦している親れみりゃにしても、萃香がティガれみりゃの力に恐れをなして、 "こうさんです~あなたがいちばんです~"とあがめているのだと勝手に思いこんでいる。 (もういっか。宴会に遅れてもなんだし) れみりゃ種のペースに巻き込まれているのがバカらしくなった萃香は、 さっさと勝負を決めることにする。 「そりゃ!」 『うっ!?』 抱え上げたティガれみりゃを、背中から地面に叩きつける萃香。 ドシーンと、土煙が舞い上がる。 『う~~~♪ おねぇーさんつよいどぉ♪』 地面に大の字になったまま、萃香を見上げるティガれみりゃ。 思い切り叩きつけたにもかかわらず、まだ笑顔でいるティガれみりゃを見て、 鈍さだけは大したものだと呆れる萃香。 萃香は、ティガれみりゃの上に馬乗りになり、 大の字に広げられたティガれみりゃの腕を両手で押さえつけて固定する。 『うぅ~~♪ おねぇーさんのえっちぃ~~♪』 「きゃー! あかちゃんたぢには、みぜられないどぉー!」 勝手に興奮するティガれみりゃと親れみりゃ。 それに対し、萃香は冷静にティガれみりゃの体を眺めて、吟味する。 こんなやつが本当に絶品珍味なのだろうか? だんだんと不安になってくる萃香。 ゆっくりが出没しはじめたのは最近のことなので、 鬼にしてもゆっくりに関する知識は殆ど持ちあわせていたなかった。 「うーん……いちおう味見してみようかな」 萃香はティガれみりゃの下ぶくれ顔に、そっと顔を近づける。 そして、舌をのばして、ほっぺたを舐め上げた。 『くしゅぐったぁーい♪』 照れるティガれみりゃ。 一方、萃香は口の中に、たしかに肉汁が広がっていくのを感じていた。 (へぇー! こいつの汗、肉汁なんだ!) 妙に感心した萃香は、引き続きティガれみりゃの顔を舐め回す。 最初は嬉し恥ずかし状態だったティガれみりゃだったが、 次第に嫌悪感をあらわにしだす。 『う~~~~、う~~~~』 レロレロレロレロレロレロ。 『うぁ、うぁぁ、うぁうぁうぁ~~~~』 なめ回されていくうちに、奇妙な感覚を覚えるティガれみりゃ。 肉まんの皮がふやけていくのと同時に、顔に適度に振動を与え続けられたことで、 なんともむずかゆい気持にさせられてしまっていた。 そして萃香は、とうとう一つの決断をする。 「う~~ん、思い切って食べてみるか」 肉汁はうまいし、これだけデカければちょっとくらいつまみ食いしても大丈夫だろう。 いや、むしろ宴会の幹事としてはツマミの味を確認しないわけにはいくまい。 萃香はそう己を納得させ、 口角を歪めて、牙をひからせる。 『う~~? れみりゃ、おねぇーさんにたべられちゃうどぉー♪』 顔を紅潮させ、 かぶりを振って、イヤイヤ♪とするティガれみりゃ。 だが、その顔は相変わらずの満面しもぶくれスマイルのままで、むしろ嬉しそうでさえある。 「さっすがティガれみりゃだどぉ♪ あんなにつよいおねぇーさんを、もぉーとりこにしちゃったどぉ♪」 親れみりゃも、何を勘違いしたか興奮気味。 変なところで耳年増なのか、2人のれみりゃは、萃香の「食べちゃう」発言を、 これからいっしょに「すっきりぃ~♪」しようという誘いに受け取ったらしい。 『れみりゃはじめてだからぁ~♪ やさしくしてねぇ~~ん♪』 どこで覚えたのか、恥じらいの台詞を口にするティガれみりゃ。 ちなみに、本当に「すっきり」するのが初めてかどうかは定かでない。 「はいはい、やさしくなっと」 萃香はティガれみりゃの勘違いを軽く受け流すと、 にぃーっと笑った後、徐々に口を開いていき、鬼の牙を煌めかせた。 次の瞬間。 ぱくり。 萃香の小さな(?)口が、 ティガれみりゃの下ぶくれ顔の端にかぶりつき、そのまま一部をえぐりとった。 『「う?」』 何が起こったかわからず、硬直するティガれみりゃと親れみりゃ。 構わずむしゃむしゃ租借し、モチモチとした皮と、上質な肉餡を舌の上で堪能する萃香。 口内にじゅわぁーと肉汁がひろがっていくのにつれて、萃香の顔が輝いていく。 「おっ、おいしぃー!」 パァーと輝く萃香の笑顔。 その笑顔と言葉で、超鈍感力の持ち主たるティガれみりゃも、ようやく事態に気付いた。 おそるおそる、視線を下に向けると、自慢のふくよかな顔の一部が、えぐれていた。 『いっ!』 認識した瞬間、痛みが一気に広がった。 『いだぃぃぃぃぃ!』 泣き出し、ジタバタと体を動かすティガれみりゃ。 だが、ティガれみりりゃの動きは、馬乗りになった萃香によって封じられ、 その場から逃げ出すことは出来ない。 『うぁぁぁぁぁっっ! うぁぁぁぁぁぁっっ!!』 ティガれみりゃは、唯一動かせる顔だけを左右に揺らし、わめき散らす。 『しゃくやぁー! はやくぎでぇぇ! ごぁいひどがいるぅぅぅぅっっ!!』 「ん~? 咲夜ならこないぞ。 今頃は山の上じゃないか?」 『うぞづくなどぉぉぉ! しゃくやはでみりゃが呼べばぎでぐれるどぉぉぉ! でみりゃはおぜうさまだからえらいんだどぉーー! そしたらおまえなんがぁっ!!』 「そりゃお前がアノ吸血鬼だったらそうかもしれないけどねぇ。お前は違うだろ、恐竜さん♪」 『うぞだどぉー! うぞだどぉーー! ぎゃおーーっ! ぎゃおーーーっ!!』 自分が紅魔館のお嬢様でないはずがない! れみりゃ種特有の絶対的矜持を揺るがされ、必死に抵抗するティガれみりゃ。 恐竜と言われて否定するつもりが、「ぎゃおー!」とやってしまうあたりが、 れみりゃ種の限界らしく、それはティガれみりゃといえど例外ではなかった。 一方、そんな苦しむティガれみりゃの姿を見た親れみりゃ。 当初は下ぶくれスマイルのままだった彼女も、 次第に冷や汗がうかびだし、顔が徐々に青くなり、いまではガクガクと小刻みに震えだしている。 親れみりゃは、ティガれみりゃを崇拝し、信じ切っていた。 その崇拝と信頼は、如何にティガれみりゃが劣勢に立たされても揺らぐことはなかった。 萃香に捕まれようと、持ち上げられようと、投げられようと。 ティガれみりゃにとっては何の問題もない。そう期待していた。 現に、ティガれみりゃは笑顔のまま立ち上がったではないか。 やっぱり凄い、きっと自分だったら最初に転んだ時に泣き出してしまっていただろう。 すごい、ティガれみりゃ。 そんなティガれみりゃとそっくりな自分も、きっといつかあんな風に……。 そう、思っていた。 だが、しかし。 今のティガれみりゃの姿は。 動きを封じられ、なすすべなく助けを呼ぶ光景は。 まるで、さきほどゲスまりさに食べられそうになった自分そっくりで……。 崇拝と信頼と憧れで栓をしていた、恐怖と不安がどっと湧き出てきて、 親れみりゃを混乱させる。 「うぁ、うぁ……」 笑顔は自然と消え、 目からは涙が流れ出す。 だめ! ティガれみりゃは負けちゃだめ! じゃないと! じゃないと! 私まで! 「ううううーっ! ティガでみりゃぁぁぁ!! だづんだどぉぉ!! がんばっでだどぉぉぉぉっっ!!!」 号泣し、ろれつの回らないまま叫び続ける親れみりゃ。 けれど、そんな親れみりゃの応援むなしく、 ティガれみりゃは、萃香に食べられ続ける。 『うあぁぁぁぁっっ!! うあぁぁぁぁぁっ! おねがぃぃぃぼぉうやべでぇぇぇぇっっ!!!』 耳を貸さず、萃香はティガれみりゃの下ぶくれ顔をパクパク食べ続ける。 「う~ん、こんなうまい肉まん初めてだよ♪」 「うっ!!」 "肉まん" その単語を聞いて、親れみりゃはビクッと体を硬直させる。 ちがう、ちがう、ちがう! れみりゃは、れみりゃは! 「ちがうどぉぉーーっ!! でみりゃはにぐまんじゃないどぉぉぉぉーーーっ!!」 まるで自分のことのように叫ぶ親れみりゃ。 だが、叫んだその刹那。 暴れるティガれみりゃから飛散した肉まんの小さな欠片が、 大口を開いた親れみりゃの口の中へスッポリと収まった。 「うっぎゃぁ!! ティガでみりゃのおかおぉぉ!!」 嫌悪し、吐き出そうとする親れみりゃ。 ほんの小さな破片とはいえ、崇拝対象の顔を口の中に入れてしまうなんて。 「うーっ! うーっ! ………ううっ!?」 吐き出そうと咳き込むその時、 親れみりゃは、誤ってティガれみりゃの欠片を噛んでしまった。 じゅわぁ~~~と口内に広がるアツアツの肉汁。 「う、うーっ!!?」 そのあまりの肉汁の美味しさに、 親れみりゃは反射的に、ティガれみりゃの欠片を租借しだす。 噛めば噛むほど味が染み出る肉餡の美味しさに、もはや罪悪感もなんのその、 親れみりゃは食べるのを止めることができなくなっていた。 ごっくん。 ティガれみりゃの欠片を堪能し、飲み込む親れみりゃ。 「う~♪ しあわせぇ~~だどぉ~~~♪ こんなにおいじぃにぐまんははじめてだどぉ~~~♪」 そして。 思わず、言ってしまった。 ぷっでぃんとも甲乙つけがたいその美味しさに、 親れみりゃは決して言ってはならないことを言ってしまったのだ。 そのことに、数秒後に気付き、 親れみりゃは震えが止まらなくなった。 ティガれみりゃ、食べちゃった。 とっても美味しかった。 美味しいなんだった? ぷっでぃん?おまんじゅう? ううん、ちがう。 おいしぃおいしぃにくまんさん。 あれ。 ティガれみりゃはおいしぃにくまん? それじゃ、れみりゃは? れみりゃはこーまかんの? おぜうさ? にく? れみりゃは……。 にくま。 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!」 親れみりゃの中で、決定的な何かが壊れた。 小さな体であげたその悲痛な叫びは、巨大なティガれみりゃと萃香がたてる音によってかき消されていった…。 数分後。 『た、たしゅげでぇぇ……』 既に下ぶくれ顔の三分の一近くを失ったティガれみりゃは、 ブクブクと泡を吹き、白目を向いて、ぴくぴくと体を痙攣させていた。 「……うっ、しまったな」 萃香はハタと我に返り、立ち上がる。 眼下で苦しむティガれみりゃを見つめて苦笑いする萃香。 「調子にのって食べ過ぎた。こんな食べ残しを土産にしちゃ悪いかな…」 とはいえ、この素晴らしい肉まんの味は、是非他の連中にも味わってもらいたいのだけど。 う~ん。と、しばし考える萃香。 すると。 「おや?」 ふと眼下の森をを見ると、そこには目の前でノビている恐竜そっくりな、小さいヤツがいるではないか。 その小さな恐竜は、逃げるでも戦うでもなく、ぼぉーとその場に突っ立ているように見えた。 「そういえばいたな。 あれって、おまえの子供?」 ティガれみりゃに話しかける萃香。 ティガれみりゃは、ずりずりと地面を這いつくばりながら萃香から逃げ出そうとしていた。 「なぁ、ちょっと!」 『は、はぃぃぃ!』 萃香に呼び止められたティガれみりゃは、 這うのを止め、両手で頭を抱えて、ブルブルと震え出す。 『う~~~~っ! う~~~~~~っ!』 やれやれと肩で息を吐く萃香。 この様子では聞くだけ無駄か。 「なぁ、お前…」 『ごめなざぃぃぃぃ!! あなだのかぢですぅぅぅぅう!!』 何を勘違いしたか、ティガれみりゃは萃香の方を向き、 へへぇー、へへぇーと、何度も両手をついて土下座を繰り返し始めた。 「お前、もういいよ。さっさとどっかへ行きなよ」 『は、はぃぃぃぃっ! ありがどぉぉございまずぅぅぅぅ!!』 ティガれみりゃは涙を流し、 そのままずりずりと地面を這い出す。 『うぅ~~~~~~、うぅ~~~~~』 痛くて、辛くて、悲しくて、悔しくて、恐くて、惨めで、 ただただ泣きながら、逃げ去っていくティガれみりゃ。 その後ろ姿を溜息で見送った後、 萃香は元の人間の少女大のサイズに戻り、 森で呆然と立つゆっくりゃザウルス……即ち、 先ほどティガれみりゃの欠片を食べてしまった親れみりゃの下へ降りる。 「あばっ、あぶあっ、あばばばばばばば……!」 親れみりゃの様子は、既に正常を失っていた。 目の焦点を失い、口から泡を吹き、足下に肉汁の水たまりを作って、 よれよれと体を左右に揺らし続けている。 「おい、おまえ!」 萃香が呼ぶと、親れみりゃは、反射的に体を強張らせる。 「はいぃぃっっ! なんでじょぉぉ!?」 じぃーと親れみりゃを眺める萃香。 やはり、先ほどの大きいヤツの子供なのだろうか? そんなことを考えつつ、口を開く。 「おまえも、あのデカイ奴みたいに食べられるんだよね?」 すると、親れみりゃは、 実にストレートな答えを返した。 「そうでずぅぅ! でびりゃばおいじぃにぐまんでずぅぅぅぅぅぅっっっっ!!」 口角から肉汁を飛ばしながら喋る親れみりゃ。 「にぐまんいっばいうむがらぁぁぁ! いじべないでぇぐだじゃいぃぃぃぃぃっっ!!!」 その顔は満面笑顔だが、笑ったままの目尻から大量の涙を流し続けている。 「ふーん、じゃ鬼らしくさらわせてもらおうかな」 よくよく考えれば、こいつ一体いればツマミの肉まんとしては充分すぎる量かもしれない。 そう考えた萃香は、しばらく親れみりゃを物色した後、 ひょいっと親れみりゃを抱え上げ、その場を後にした。 無機物のように抱え上げられた親れみりゃ。 移動中、その顔は常に笑顔であり、ずっと歌を口ずさみ続けていた。 「うぁ~~うぁ~~♪ あばばぁ~~♪ でびりゃばおいじぃ~にぐまんだどぉ~~~♪」 ……数時間後。 『ティ…ガ…ティガ…ティガ……』 息も絶え絶えに地面を這い続けるティガれみりゃ。 萃香に食べられた下ぶくれ顔は、既にかなりの部分が再生している。 だが、いくら表面的な体の傷がなおっても、 再生に栄養をまわしたぶん、体力の消耗は激しかった。 それに、深く心にえぐられた傷はそうそう治るものでもない。 『ティガ…れみ…りゃ……うぅ……』 少しでも気を紛らわせようと、弱々しく口を開くティガれみりゃ。 しかし、いくら歌を歌っても、 その気持は、痛みは、苦しみは、ちっとも晴れはしなかった。 おかしいな。 そうティガれみりゃは感じていた。 ついさっきまで、あんなに楽しく歌ったり踊ったりしていたのに。 あれ、そういえば、誰かといっしょにいたような? おかしいな、だれだっけ? とってもやさしくて、おうたもダンスもじょうずな子だったような。 思い出せないけど、きっとあの子は今頃たのしくおうたをうたっているんだろうな。 また、いっしょにおどりたい、な。 『うぅー…うぅー…うぁ…うぁ……』 森のはずれの湖のほとり。 そこでティガれみりゃは意識を失った。 『…………ZZZ』 それから、どれくらいの時間がたっただろうか? たまたま湖を訪れ休憩する、ゆっくりの一団がいた。 「むっ、むっきゅーーーーーっ!!??」 昏睡するティガれみりゃを見つけて叫んだのは、 かつてティガれみりゃによって、群れを壊滅させられた、あの胴体付きぱちゅりーだった……。 to be continued 次回予告 『ティガれみりゃ5・さらばティガれみりゃ(予定)』 ============================ (あとがき) どうも、ティガれみりゃ第4回です。 今回は、『ティガれみりゃ3』から直接続くエピソードになります。 どうにも肉体的な虐め描写は苦手なのですが、 苦手ゆえに、敢えてこの前後編で挑戦してみました。 如何だったでしょうか? ……それにしても、ただの一発ネタのはずのティガれみりゃも、 随分書いた気がします。とりあえず次回で一区切りつける……予定です。 byティガれみりゃの人 (これって自分で名乗るものなんでしょうか?) ============================ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1389.html
「「「ゆ゛~っ!!!」」」 3匹のゆっくりが竹林の中を必死の形相で駆け抜ける。 ゆっくりれいむ、ゆっくりまりさ、ゆっくりありす。 先頭でルートを選択し、後の2匹を導く、ゆっくりありす。 それに続く、ゆっくりまりさ。 運動が苦手なのか少し遅れているのが、ゆっくりれいむだった。 「がおー! たーべちゃーうぞー♪」 3匹は後方に迫る脅威・ゆっくりれみりゃからの逃走の真っ只中である。 普通のゆっくりなら、こんな状況ではすぐに捕まるところであるのだが、障害物の多い竹林と、それを巧みに利用するゆっくりありすの気転により、3匹はゆっくりれみりゃとの距離を保ったまま竹林を突き進んでいた。 しかし、こういう危機にこそ、アクシデントというものは起きる物だ。 最後尾にいるゆっくりれいむが突然つまづいてしまったのである。 ゆっくりれいむは人間でいうところの運動神経に欠けており、もし、ゆっくりありすの先導が無ければ、自ら竹に突っ込んで破裂してしまうのではないか、という程度の運動音痴ぶりであった。 「ゆ゛っ!?」 ゆっくりまりさが立ち止まり、ゆっくりれいむを助けにいく。 それに気づき、ゆっくりありすも立ち止まって、声をかける。 「れいむ! はやく立ち上がってね!」 そもそも倒れているのと立っているのの差もほとんどないのだが、ゆっくり達の概念的には一応存在しているようだ。 ゆっくりありすは正直なところ釈然としない。 なぜなら、この複雑な竹林の中で、ゆっくりれみりゃに追われながらのルート選択という難問の中においてなお、足元の小石などにも配慮して、なるべく走りやすいルートを選んでいたのだ。 すなわち、ゆっくりれいむは何も無いところで躓いてころんでしまったわけである。 以前から、ゆっくりありすは ゆっくりれいむに対し思うところがあった。 ゆっくりれいむのために危機を迎えたのは今回限りの話ではないのだ。 『もし、れいむがいなければ、もっと楽にゆっくりできるのに。』 正直な所、そう思ってしまうことも多々あった。 しかしすぐに、そんな考えを持ってしまう自分を自ら戒める。 なぜなら、ゆっくりれいむも ゆっくりまりさも大事な友人だから。 3匹は子供のころに、それぞれの親を亡くしてしまっていた。 いずれもゆっくり捕食種の襲撃によるものである。親に守られて何とか命拾いした3匹。いつしか出会い、協力して、どうにかここまで生き延びてきたのである。 そんな3匹にもいよいよ生命の危機がそこまで迫っていた。 ゆっくりれいむは急いで立ちあがったものの、次の1歩で再び転んでしまい、今度は横の竹に激突してしまった。もはや、スタミナ切れで、餡子がもつれているのであろう。 そしてその背後にはついに、ゆっくりれみりゃが口を開いており、今にもゆっくりれいむを食べようとしていた。 「いーただーきまーす♪」 このゆっくりれみりゃは胴なしのタイプである。 これは逃走していた3匹のゆっくりにとって不幸なことであった。 もし胴つきの希少種ゆっくりれみりゃであれば、おそらく竹に激突していたのはゆっくりれみりゃの方であろう。 しかし、ここにいるそれは無駄に人間を模した足が無いために激突する可能性は低い。 飛んでいるゆっくりれみりゃはコウモリの性質が強く残っており、超音波を利用した反響定位によって、複雑な地形と化している竹林の中でも、なんなく進んでいけるのである。 「「「ゆ゛~~~~っ!!!!」」」 3匹のゆっくりは死を覚悟した。 ゆっくりれみりゃが今まさに目の前にいる饅頭を食らおうとした際に、3匹のゆっくり達にとっての救世主が舞い降りた。 「お待ちなさい!」 兎のような耳を持つその少女の、赤い瞳が妖しい輝きを放つ。 ゆっくりれみりゃは その瞳にとりこまれるかのように、その場で静止した。 ゆっくりありすは その一瞬を見逃さず、すかさず声をかける。 「まりさ、れいむ! はやくこっちへ!」 「「ゆっ!」」 駆け出す2匹。 その声に反応して、我に返ったゆっくりれみりゃは再び獲物の追走に入る。 しかし次の瞬間…… ゆっくりれみりゃは頼もしく育った1本の竹に、全速で激突した。 「う゛~? う゛~?」 ゆっくりれみりゃには一体何が起こったのかわからない。 目をぱちくりさせるが、そうこうしてるうちに獲物はさらに遠くへと逃げてしまう。 ゆっくりれみりゃは気を取り直して再び浮遊。そして全速で追走に入り……そして全速で竹に激突する。何度も何度もそれを繰り返した。 「う゛わ゛あああああああ!」 ゆっくりれみりゃは ついにその場で泣き出してしまった。 「まんじゅういらない! おうちかえる!」 獲物を諦めたゆっくりれみりゃは 何十回と竹にぶつかりつつ、竹林を後にした。 さきほどまで すいすいと竹林をかき分けて飛んでいたはずなのに急に竹の位置が正確にわからなくなってしまったのだ。 その原因はあの兎少女・鈴仙の赤い瞳から発せられた妖しい光。超音波を狂わせることで、コウモリとしての能力を奪っていたのだ。 これは鈴仙の、無駄な殺生をしたくないという意向が強く働いた結果の措置であろう。 当のゆっくりれみりゃも、この竹林さえ越えれば いつもどおりに飛ぶことができるようになる。そこまで何度衝突するかは知らないが。 「「「おねーさん! たすけてくれてありがとう!」」」 逃走していた3匹のゆっくりは、ゆっくりれみりゃが飛び去るのを確認して、自分達を救ってくれた救世主にお礼を言いに戻ってきた。 「いえいえ、当然のことをしたまでよ。」 鈴仙はやさしく応えて、そのまま言葉を続けた。 「ところで……ここは危ないでしょうし、よかったらもっとゆっくりできるところまで案内してあげるけど?」 先ほどの逃走劇で疲れ果てているゆっくり達には魅力的な提案。 しかし、ゆっくりありすは考える。 『人間達は嘘をつくから気をつけろって、おかあさんが言ってたな』 実際のところ相手は人間ではないのだが。 ゆっくりありすが この申し出は断ろうと口を開く。 「ごめn」「「ゆっくりしたいよ!! ゆっくりつれていってね!!」」 ゆっくりれいむと ゆっくりまりさが、ゆっくりありすの言葉を遮った。 ゆっくりありすは一瞬唖然とするが、しかし理解も示す。 『あああ……まあ仕方ないかしら……』 ゆっくりれいむは この様子では、しばらく歩けないであろう。 この場で回復を待つにしても、確かに危険が無いわけではない。さらにいえば、辺りに食料も見られない。これに乗らない手も無いのかもしれない。 個人的には行きたくないのだが、2匹とバラバラになるのも心細い。ゆっくりありすも仕方なく了承し、3匹は鈴仙に着いていくことにした。 鈴仙が動けないゆっくりれいむを持ち上げる。 「ゆっ! たかいたかーい♪」「いいなーっ、れいむ」 先ほどまでの危機など嘘のように、ノンキである。 鈴仙は3匹を連れて永遠亭へと向かった。 永遠亭に辿りつくと、入り口で3匹に待つように言う鈴仙。 鈴仙はお使いを頼まれていたのだ。 「お師匠さまー! つれてきましたー!」鈴仙は八意永琳に声をかける。 「ありがとう、うどんげ。地下の庭でゆっくりさせてあげて。」永琳は応えた。 鈴仙は入り口に戻ると、3匹を連れて地下のとある部屋まで案内した。 「「「ゆ~っ!!」」」 部屋に案内され驚くゆっくり達。 その部屋の中は、まるで外の自然と同じ物である。 地面には緑が生い茂り、川も流れている。空も青く、雨の心配も感じさせない。 「すごい!おうちのなかなのに、おそとにいるみたい!」 ゆっくりまりさが興奮する。 「でもごはんはどうしたらいいの?」 ゆっくりありすは未だに疑いを捨てきれていないようだ。 そんなありすの疑いを晴らすかのように鈴仙は言う。 「ごはんは私が後でもってきてあげるから、思う存分ゆっくりしていってね。」 さらに追い討ちをかけるように続ける。 「ここならゆっくりれみりゃとか ゆっくりふらんも絶対こないから安心してね。 夜になったら明かりは消すから、好きなところでゆっくり眠ってね。」 「「「ゆ~っ! ゆっくりしていくよ!」」」 絶対的に保障されたゆっくりプレイスの存在に、ゆっくりありすももはや抗うことはできなかった。 それからの5日間、ゆっくり達はまるで理想郷にいるような生活を送った。 広さには限界があり、風景が変わらない点には、多少の不満はあったのだが、生命の安全と食事が約束されていることもあり、毎日毎日 思う存分ゆっくりすごしていた。 しかしゆっくりありすだけは、その生活にかまけているだけではなかった。 「うさぎさんにめいわくかけられないし、そろそろおそとにもどらない?」 ゆっくりれいむと ゆっくりまりさに提案してみる。 無論、そんな提案にのるゆっくりれいむとゆっくりまりさではない。 「ゆっ!? なんででていかなきゃいけないの?」 「ここはれいむたちのおうちだよ! ずっとゆっくりしていくよ!」 ゆっくり達としては当然の反応。 むしろ ゆっくりありすが変わり者のような扱いである。 翌日、3匹はいつものように食事を終えたあと、川で水分補給をしていた。 並んで川に顔を突っ込む姿は少々滑稽である。 しかし、ここで いつもと違うことが起こった。 水を飲むのを早々に切り上げた ゆっくりれいむと ゆっくりまりさが、水を飲んでいるゆっくりありすの後ろに、しずかに移動した。 「ゆっ?」 影に気がつき振り返るゆっくりありす。 その瞬間、2匹のゆっくりの体重がゆっくりありすへと向けられた。 「ゆ゛っ!?」 何が起こったのかわからないまま、ゆっくりありすは宙に浮く。 そしてゆっくりと川へ落ちていった。 「ゆ゛っ! ゆ゛っ! だずっ…けでっ!」 溺れながら助けを求めるゆっくりありす。 しかし、友人であったはずの ゆっくりれいむと ゆっくりまりさは、川辺で溺れる ゆっくりありすを見てニヤニヤしていた。 「ゆっくりできない ゆっくりありすは、ゆっくりしんでね!」 「これからはれいむとまりさだけで ゆっくりしていくね!」 絶望し言葉を失ったゆっくりありすは、泳ぐ気力も失ったのか、そのまま水没した。 『みんなで生きていくために、がんばったのに。』 『親友、いや……家族のようなものだと思っていたのに。』 実際、ゆっくりありすは3匹の中で一番生存するための技術に長けていた。 それはゆっくりれいむと ゆっくりまりさのため。そして自分のため。ゆっくりれいむと ゆっくりまりさも、それは認識しており、そしてそれを利用していた。しかし、今はもう生存する技術など必要無いのである。 ゆっくり捕食種は襲ってこないし、何をしなくても食事にありつける。 満たされていた ゆっくりれいむと ゆっくりまりさにとって、何にでも疑いを持つ ゆっくりありすは目の上のたんこぶであった。 また、これから家族をつくっていこうにも、3匹では数が合わない。 ゆっくりありすは、ゆっくりれいむと ゆっくりまりさにとって、今後ゆっくりし続けるためには邪魔な物でしかなかったのだ。 ゆっくりありすは いったい何を悔やんでいいのかもわからないまま、水の中で気を失った。 ゆっくりありすは天使の手の中で目覚めた。 「あら、気がついたのね。大丈夫?」 天使が言う。 「ゆっ……!? てんごく?」 ゆっくりありすは、もはや何が何なのか わからない状態である。 「ふふ。残念だけど天使じゃないわよ。」 声の主は八意永琳その人であった。 天使と見間違われたことに、悪い気はしないようだ。 しかしすぐさま真面目な表情に戻る。 「あなた、このままだと死んじゃうわよ。今すぐ手当てしてあげるからね。」 そう永琳は言った。 地下室の庭にある川は、当然ながら自然の物ではない。 流された ゆっくりありすが水を循環清浄している機械のフィルタに引っ掛かっていたところ、それを点検していた鈴仙の手によって発見され、永琳のところへ連れてこられたのだ。 ゆっくりありすは自分が生き残ったことを自覚すると、こう言った。 「いいの……もう……」 子供の頃から連れそった友人達の突然の裏切り。 仮に生き残って、また ゆっくりれいむと ゆっくりまりさに会っても怒りの感情が面にでてしまいそうで、どういう顔をしていいかわからない。 かといって、れいむとまりさが他の場所にいるのに会えないなんていうのは、身を切り裂かれるような想いであろう。 ゆっくりありすは すでにこの世で生きていく気力を失っていたのだ。 「……そう、わかったわ。」 永琳はそう言いながら注射器を取り出す。 「大丈夫、もう1人じゃないからね。あの子達とずっと一緒にさせてあげるから、ゆっくりしていってね。」 やさしくそういって、ゆっくりありすの身に注射をうつ。 ゆっくりありすは その言葉に にこやかな表情を見せて、最後の眠りについた。 翌朝、地下室ではいつものように ゆっくり達が目覚めていた。 「「すっきりー!」」 いつもと違うのは、3匹が2匹になったことだけである。 しかし その事実もまた、残りの2匹のとってはすっきりな事なのであろう。 「ゆ? ゆゆ?」れいむが身の異変に気づく。 「なんだか あたまがかゆいよ! ゆ゛ー! ゆ゛ー!」 特に外見に変化は無い。しかし痒みにもだえる ゆっくりれいむ。 ゆっくりまりさは その姿が心配になり、ゆっくりれいむの頭を掻いてやることにした。 「ゆっ? このあたり? このあたり?」 ゆっくりれいむの頭にのしかかり、かゆみポイントを探りながらごしごしと身をこするゆっくりまりさ。 「ゆ゛っ! ゆ゛っ! ゆ゛っ! 徐々に顔を紅潮させていく ゆっくりれいむ。何かがおかしい。 その様子に気づいた ゆっくりまりさは、ゆっくりれいむの背後に降りる。 ゆっくりれいむは ゆっくりと、ゆっくりまりさの方へ振り返った。 「まっまっまっ、まりさ!!!」 口にするがはやく、今度はゆっくりれいむが ゆっくりまりさへのしかかる。 どうやら先ほどの行為で発情してしまったようだ。 しかし、おかしい。発情期でもないのに。 「や、やめて! しんじゃうよ! ゆっくりしていってね!」 ゆっくりまりさは抵抗する。なにせまだ成体してはいないのだ。 交尾すれば死がまっている。そのことは ゆっくりありすに教えてもらった。 ゆっくりれいむも その事は知っているはずだった。 しかし、ゆっくりれいむは もう止まらない。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛! れいむのあいをうげどっで~!」 運動音痴とは思えないすばやい動きで、その身をこすり上げる。 そしてほどなくすると、その行為は終了した。 「すっきりー!」 ゆっくりれいむだけが そういった。 ゆっくりまりさは苦痛に泣いている。 「ないでるまりさもか゛わ゛いいいいいい」 そう言うと、ゆっくりれいむは第2ラウンドへ突入した。 「う゛わ゛ああああ、もうやめでえええええ」 もうボロボロな状態である ゆっくりまりさは もはや悲鳴をあげるしかなかった。 その後同じような事が5ラウンドほど続き、ようやく我にかえった ゆっくりれいむは目の前の惨状に驚く。 「まりさ! なんでこんなことに!? まりさ~!!」 ゆっくりまりさから応えは無い。その生命はもう尽きているのである。 ゆっくりれいむは その場で凍りついてしまった。 少しすると、ゆっくりまりさの頭から5本の蔦が生えてきた。 ここのところ ゆっくりできていたためか、成体していないとはいえ母体としての役割はある程度備わっていたのであろう。 蔦からは小さい蕾が生まれ、そして小さいゆっくりの形状へと変化していった。 それを見たゆっくりれいむに幸せの表情が戻る。 「ゆ~♪ れいむのこども!」 自分が友人を死なせてしまったことも忘れたかのうように、新たな生命の誕生に胸を躍らせていた。 しかし、赤ちゃんの形がはっきりしてくると、ゆっくりれいむは再び凍りつく。 蕾の半数は赤ちゃんれいむが占めていた。 そして赤ちゃんまりさが少数。 残りの赤ちゃんゆっくりは……赤ちゃんありすだったのである。 「な、なんでえええええ!?」 まさか、ゆっくりまりさは浮気をしていたのか。 ゆっくりありすのいない所で、2匹だけで将来を語り合ったこともあったのに。 信頼していたパートナーに裏切られた気持ちでいっぱいである。 自分のした事を考えれば因果応報なのではあるが。 ゆっくりれいむが固まっているところに、八意永琳がはいってきた。 「あらあら、もうできたのね。」 そういうと、ゆっくりまりさの蔦の下に籠を設置する。 「うどんげ! こっちの子をを治療室につれていって! まだ使うから!」 そういって、固まっている ゆっくりれいむを指差す。 「はーい」 鈴仙がゆっくりれいむを回収してどこかへ連れていった。 そうこうしているうちに、赤ちゃんゆっくりは いよいよ誕生の時を迎えた。 次々と蔦から、設置した籠へとこぼれ落ちる赤ちゃんゆっくり達。 「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」 総勢20匹以上の赤ちゃんゆっくり達が次々と誕生の挨拶をする。 「はいはい、ゆっくりしていってね!」 永琳のやさしい微笑み。 すべての赤ちゃんが生まれ落ちると、永琳は籠を背負って居間に向かった。 居間には大きめの透明な箱が置いてあり、永琳は赤ちゃんゆっくり達を籠の中から透明な箱へと移しかえてやった。 「「「ゆ~っ! せまいよ! はやくだしてね!」」」 ゆっくり達は不満をもらしているが、永琳が砕いたクッキーを餌にやると途端におとなしくなった。 「う~ん、煩いなー」 その場へと、永遠亭の主・蓬莱山輝夜がやってきた。 「あら丁度よかった。今できたところなんですよ? 試してみませんか?」 永琳はそう言うと、赤ちゃんれいむを1匹とりだして輝夜に手渡した。 「ゆっくりしていってね!」 赤ちゃんれいむは何をされるかもわからず、輝夜を目の前にして言い放つ。 「普通のゆっくりじゃない。これがなんだっていうの?」 つまらなそうな表情で そう言いながらも、赤ちゃんれいむを口にする輝夜。 咀嚼。 次の瞬間、つまらなそうだった表情が、とろけるような表情へと変わった。 「お……おいひー! なにこれ?」 新鮮な味への驚きによって、輝夜の声が弾みだした。 永琳は応える。 「はしたないですよ、もう。……それがあなたに言われていた、新しいお茶受けです。」 最近、永遠亭のお茶受けといえば ゆっくりである。 永琳が研究がてら選別したものを出しているため、味は良いのであるが、さすがに毎日それでは飽きるのも必然であろう。 そこで、輝夜は永琳に新たなお茶受けを用意するように、命じていたのだ。 とはいえ、研究のついでに、しかも安価で手に入るゆっくりはお茶受けに最適であるため、これを利用しない手は無い。 そこで永琳は新しい中身を開発して、味を変化させようと思いついたのである。 あの日、瀕死のゆっくりありすを注射で眠らせた後、ゆっくりありすの頭を開き、カスタードクリームを絞りとった。 火にかけてクリームの水気を少し抜き凝縮させた後、その日の晩の夕食に混ぜた睡眠薬の効果で眠りこけている ゆっくりれいむの頭を開き餡子を少し取り出して、変わりにクリームを入れたのである。 そしてさらに秘密の薬を流し込んた上で縫合し、翌朝を迎えたのである。 翌朝すぐに赤ちゃんができた事は想定外であった。 ゆっくりれいむの頭の縫合がしっかり馴染む前に朝になってしまったのだろう。 しかし、結果的にそれが怪我の巧妙となり、早々の完成に至ったわけである。 通常の赤ちゃんゆっくりにクリームを注入するだけでは、この味は出せない。 縫合面などの影響がどうしてもでてしまうだろうし、カスタードと餡が馴染まない。 その点、出産という一手間を挟むことによってできた、自然な味のカスタード餡ゆっくりは、赤ちゃんであるために身もやわらかく、まさにお茶受けに最適のお菓子であった。 永琳は、後からきた鈴仙にもカスタード餡ゆっくりを手渡してやった。 鈴仙はそれに舌鼓を打ちながら、今回の研究についての感想をのべた。 「なんか だましているようで申し訳なかったけど……」 鈴仙は あの3匹を助けようとして助けたわけではない。 ただ、研究素材に頼まれていた物がたまたまいて、たまたま襲われそうになっていたから、それを守っただけなのである。 鈴仙は続ける。 「でも、ゆっくりできる状況におかれても、仲間を殺すなんて……ゆっくりは本来ゆっくりできない生物なんでしょうか。」 「そうね、だからこそ ゆっくりしたいのかもしれないわね。」 永琳がそう応え、続ける。 「にしても、人格の融和までには至らなかったわねえ。実験は半分成功で半分失敗かしらね。」 秘密の薬は、その辺りの実験も含めて作った物であるようだ。 「本能だけ残っちゃいましたね。」 鈴仙はそう言う。たしかに、あのときのゆっくりれいむは、まるで発情期のゆっくりありすを見ているようでもあった。 見たところ、あのゆっくりありすは発情したことがなかったようだが、それでも本能に刻まれている部分なのであろう。 その発見は今回の実験の1つの成果であるといえる。 2人が実験の感想を言い合っている中、いつの間にか輪に入っていた因幡てゐが、カスタード餡ゆっくりを無言で食していた。 輝夜はその横で2つめのそれに手をつけていた。 透明の箱の中にいる赤ちゃんゆっくり達は、自分達の仲間が食されていく光景を見て、凍り付いている。甘みも一層増すことであろう。 後に永遠亭のお茶受け・カスタード餡ゆっくりは知人の間で話題になり、特に用もない来客がしばらく後を絶たなかったという。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1935.html
~ゆっくり魔理沙の生涯『子育て編』~ 前書き このSSは時間軸的には私の3つ目の作品「ゆっくりれみりゃの生涯」のその後にあたります。 前作を読んでいなくても内容は理解できるのでご安心下さい。 また、原作キャラが登場します。嫌いな方はUターンをオススメします。 本編 「ゆ~ゆゆ~ゆゆ~♪」 魔法の森のとある場所、1匹のゆっくり魔理沙が木陰でゆっくりしている。 このゆっくり魔理沙は子育ての上手な母霊夢と父魔理沙の間に生まれ、ゆっくりと大切に育てられた。 そして今では立派に独り立ちをして自分の巣を持ちゆっくり暮らしている。 「ゆ!ちょうちょさんだ、まりさにゆっくりたべられてね。」 蝶を見つけたゆっくり魔理沙はゆっくりするのを中止して狩りを開始した。・・・ゆっくりしてないじゃん。 蝶を追いかけてどんどん森の奥へ進んでいく。 普段なら簡単に捕まえられる蝶であったが、この日に限ってなかなか口に収まらない。 「ぷんぷん!ちょうちょさんのくせになまいきだね!はやくまりさにたべられてね!」 蝶が低空飛行を始めたところをここぞとばかりに飛び掛る。・・・しかし。 「ゆ゛!・・・。」 ゆっくり魔理沙は木に激突し気絶した。 蝶に夢中で目の前に大きな木があることに気付かなかったため、そのまま木とディープキスをする事になった。 もちろん蝶は華麗にゆっくり魔理沙を避け無事である。 日も傾きかけた頃、ようやくゆっくり魔理沙は目を覚ました。 「・・・ゆ・・・ゆ!もうすぐゆっくりできないじかんになっちゃうよ!」 ゆっくりできない時間、それは捕食種が活動を始める夜のことである。 急いで自分の巣に戻ろうとする。・・・しかし。 「ゆゆ?ここ・・・どこ・・・?」 蝶を追うのに夢中で森の奥まで来てしまった事にようやく気が付く。 「ゆゆゆゆゆ!ゆっくできないよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !」 今自分が刻一刻と危険に晒され始めていると気づき、ゆっくり魔理沙は錯乱状態に陥った。 「おうぢどこぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !くらいのはいやあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !・・・・・ゆ?」 錯乱状態のゆっくり魔理沙は突如平常心に戻った。 そして茂みの方角を見詰める。 「あまくておいしそうなにおいがするよ!」 さすがゆっくりブレイン、危機的状況にあるにも関わらず三大欲求の一つにあっという間に思考を乗っ取られてしま った。 ゆっくり魔理沙はもうすぐ夜になるという事も忘れ、能天気に茂みの中へ跳ねていく。 「ゆ♪おかしだぁ♪」 茂みの奥は少し開けた場所になっており、その中央にクッキーやチョコレートが置かれていた。 「これはまりさがみつけたからまりさのものだね!いっただっきま~す♪」 ゆっくり魔理沙は目を輝かせお菓子に飛び・・・つけなかった。 確かにゆっくり魔理沙はお菓子目掛けて飛んだ。 しかしお菓子に口が届くと思ったその直後、ゆっくり魔理沙は透明な箱に入れられ身動きが取れないまま、知らない 人間に抱えられ運ばれていた。 「ゆ、どうして!?なんで!?ここからだして ぇ ぇ ぇ !」 ゆっくり魔理沙は何とかして脱出しようと体を動かそうとする。 しかし箱はジャストサイズであるため、ゆっくり魔理沙は今自分を運んでいる人間の顔を見る事さえできなかった。 「だせえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !まりさをここからだせ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 ゆっくり魔理沙は己の出せる限界の大きな声を上げた。・・・しかし次の瞬間! 「いだあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!いだいよお゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!」 ゆっくり魔理沙の体に1本のナイフが刺さっていた。 もちろん透明な箱は開けられていない。 ゆっくり魔理沙が叫んだその直後にナイフが体に刺さっていたのだ。 何がどうなっているのかわからないゆっくり魔理沙はただ喚き散らす事しかできない。 「静かになさい、次に騒いだら・・・死ぬわよ。」 ゆっくり魔理沙の耳(の機能を果たす部分)に自分を運んでいるであろう人間の声が入ってくる。 その声を聞いて本能的に悟る。・・・騒いだら本当に殺されると。 ゆっくり魔理沙は体に刺さっているナイフの痛みに耐え口を噤(つぐ)んだ。 しばらくすると紅い建物が現れ、ゆっくり魔理沙はその建物の一室に運ばれた。 「・・・ゅ・・・お姉さん、おねがいします。まりさをだしてください。」 弱々しく自分を運んだ人間に助けを請う。 「ゆ!?」 ゆっくり魔理沙は突如金網のゲージの中に入れられていた。 「なんでえぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !どうなってるのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !」 何が起こったのかわからないゆっくり魔理沙は発狂しだした。 「うー♪うー♪」 どこかで聞いた事のある泣き声を聞き、ゆっくり魔理沙は正気に戻ると恐る恐る泣き声のする後ろへ振り返った。 「う~?」 「れ、れ、れ!れみりゃ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !」 ゆっくり魔理沙は体を金網にめり込ませながら必死にゆっくりれみりゃから逃げようと暴れだす。 「落ち着きなさい、それはまだ赤ちゃんよ?あなたを襲ったりはしないわ。」 その言葉を聞くとゆっくりと暴れるのを止め、再び後ろへ振り向いた。 「うー?うー♪うー♪」 1匹のプチれみりゃが無邪気に鳴き声を上げていた。 目の前にいるれみりゃは自分を襲わないと理解するとゆっくり魔理沙は下膨れの顔を弛(たる)ませて安堵した。 「ふん、あかちゃんのくせにまりさをおどかすなんてゆるさないよ!ゆっくりし・・・いだあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !」 プチれみりゃに襲い掛かろうとした次の瞬間、ゆっくり魔理沙の体に再び1本のナイフが突き刺さった。 「いだいよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !だずげでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 なぜ体にナイフが刺さっているのか理解できないゆっくり魔理沙は悲鳴をあげ助けを請う。 「静かになさい・・・死にたいの?」 どこか冷たく殺意のこもった言葉を聞くとゆっくり魔理沙はすぐに口を噤んだ。 「よく聞きなさい、私の言うことを素直に聞けば命までは取らないわ。理解できる?」 「ゆ、ゆっくりりかいしたよ!」 ゆっくり魔理沙の返事を聞くと人間は話を続ける。 「今あなたと一緒にゲージに入っているのはゆっくりれみりゃの赤ちゃんよ、その赤ちゃんをあなたが育てなさい。」 「ゆゆゆゆゆ!そんなのむり・・・いだあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ !」 ゆっくり魔理沙の体に(ry 「さっき言ったわよね?素直に聞けば命までは取らないって・・・聞かないなら殺すまでよ。」 「ごべんなざい、ごべんなざい!なんでもいうことききますからころさないでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 ゆっくり魔理沙は涙を流しながら必死に助けを請う。 追い詰められ魔理沙種特有の傲慢な態度は見る影もなかった。 「・・・・・なら続けるわよ。エサは毎日届けるわ、あなたが赤ちゃんに食べやすいように咀嚼して与えなさい。 ちなみにあなたに与えるエサと赤ちゃんのエサは別よ、赤ちゃんのエサを横取りしたら・・・わかるわね?」 「わかります、わかります!よこどりしません!」 「あと赤ちゃんが清潔でいられるように身の回りの世話もしなさい。もし赤ちゃんが死んだらあなたも死ぬ、2週間世 話を続けられたら外に放してあげるわ。」 「にしゅうかん?」 「お日様が14回昇るまでよ。」 「ゆっくりりかいしたよ!このこはまりさがそだてるよ!」 こうして通常種と捕食種の奇妙な同居生活が始まった。 次の日の早朝、ゆっくり魔理沙の目にはクマができていた。 ゆっくりれみりゃは夜行性であるため、夜中中「うー♪うー♪」鳴きながらゆっくり魔理沙にじゃれついていたのだ。 ゆっくり魔理沙にとって少し力を出せばプチれみりゃを潰すことなど造作もないことであったが、 『 プチれみりゃの死 = 自分の死 』 であるためどうする事もできず、置物のようにプチれみりゃが飽きるのを待つしかなかった。 そして朝日が昇る頃、ようやくプチれみりゃは眠り、ゆっくり魔理沙は開放された。 「ようやくゆっくりできるよぉ・・・。」 ゆっくり魔理沙はようやく眠りにつく事ができた。 日が落ちる頃、ゆっくり魔理沙はプチれみりゃの鳴き声によって目覚めた。 「うー!うー!」 プチれみりゃは機嫌が悪いようで怒った様な鳴き声を上げていた。 ゆっくり魔理沙がどうしたらいいのか悩んでいると部屋の隅にある扉が開き見覚えのある人間が入って来た。 「ようやく起きたみたいね。これが今日の分のエサよ、3食分あるから分配は自分で考えなさい。」 人間は金網のゲージを開けるとゆっくり魔理沙の前にクズ野菜とおいしそうな洋菓子を置いた。 「うわぁ~おいしそう!おねえさんありがとう!いっただっきま~・・・あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 洋菓子を食べようとしたゆっくり魔理沙の体に(ry 「あなたのご飯はこの野菜、そのお菓子は赤ちゃんのご飯よ。・・・わかるわよね?」 「わがりまず!わがりまじだ!ゆるじでぐだざい!」 ゆっくり魔理沙の言葉を聞くと人間は部屋から出て行った。 「うー!うー!うぅぅぅ!」 「・・・・・ふん!まぬけだね!いまならまりさがおかしをたべてもばれないね!」 ご飯を強請(ねだ)るプチれみりゃを無視してゆっくり魔理沙は洋菓子目掛けて大きな口をあけた。 「いっただっき・・・いぎゃあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ! !」 今だ嘗てない苦痛に悶(もだ)え悲鳴を上げるゆっくり魔理沙にはナイフが刺さっていた。 ただ、今までとわけが違う。・・・左目に突き刺さっていた。 「いだい!いだいよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !まりざのおめめがあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!だれがだずげ・・・。」 「言ったわよね?赤ちゃんのエサを横取りしたら・・・わかるわよね?って。」 扉から入って来た訳でもないのに金網のゲージの前にはあの人間が立っていた。 その姿を残っている右目で確認するとゆっくり魔理沙は硬直した。 「あ゛っ!あ゛っ!あ゛っ!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 「どうしたの?赤ちゃんのエサを横取りしたって事は死にたいって事よね?」 人間は笑顔でゆっくり魔理沙に話しかける。 「まりざがわるかっだでず!まりざがわるかっだでず!おねがいでずゆるじでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 ナイフの刺さっている左目から中身の餡子を流しながら必死に謝る。 「・・・本当に反省した?」 その言葉はゆっくり魔理沙にとって救いの一言であった。 「はんぜいじまじだ!はんぜいじまじだあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ!」 「・・・そう、ならもう一度だけチャンスをあげるわ。ただし、次は目が無くなるだけじゃ済まないわよ。」 ゆっくり魔理沙は自分の食事を後回しにしてお菓子を食べやすいように咀嚼してプチれみりゃに与え始めた。 その様子を見ていた人間は無言で部屋から出て行った。 「うー♪うー♪うー♪」 与えられたお菓子の三分の一程を食べるとプチれみりゃはお腹がいっぱいになり笑顔で鳴き声を上げた。 プチれみりゃが満足したのを確認するとゆっくり魔理沙はクズ野菜を食べ始める。 「・・・むーしゃ・・・むーしゃ・・・。」 クズ野菜は先ほど口に含んだ際のお菓子とは比べる事ができないほど不味かった。 ゆっくり魔理沙は空腹を満たすためだけにクズ野菜を貪った。 「・・・ごちそうさま・・・。」 お腹がいっぱいになり、狭いゲージの中では他にすることもないので置物の様にボーっとしていた。 「うー♪うーー♪」 プチれみりゃは遊んで欲しいのかゆっくり魔理沙にじゃれついていた。 昨日とは違い眠気が襲ってこないため、しかたなく体を舐めてやったり、帽子の上に乗せたりして遊んでやった。 「うー♪」 プチれみりゃは楽しそうに鳴き声を上げた。 無邪気なプチれみりゃの姿を見てゆっくり魔理沙は純粋に可愛いと感じ、世話をするのも悪くないと考えるようにな っていた。 その後、2匹は遊び続け朝日が昇る頃仲良く眠りについた。 「うー♪うーー♪うーーー♪」 「くふふふふ、くすぐったいよ。」 次の日、ゆっくり魔理沙はプチれみりゃを可愛がっていた。 与えられたエサはきちんと与え、積極的に体を舐めて清潔にしてあげる。 餡子は繋がってはいなくても親子そのもの、ゆっくり魔理沙はお母さん魔理沙となっていた。 通常種が捕食種の母親役になるという極めて稀な世界がゲージの中に出来上がっていた。 10日後、プチれみりゃは成体にはまだ及ばないものの、もうプチとは呼べないほど大きく成長していた。 「うー♪がおーたべちゃうぞー♪」 「そんなことばしゃべっちゃだめだよ!」 ゆっくりれみりゃはある程度の言葉が話せるようになり、エサもお母さん魔理沙に咀嚼してもらわなくても食べられ るまでに成長していた。 十日間、お母さん魔理沙の体には一度もナイフが刺さることはなかった。 それほどまでにお母さん魔理沙はプチれみりゃを可愛がり育てていた。 「うー♪うー♪」 今夜もゆっくりれみりゃはお母さん魔理沙にじゃれついていた。・・・しかし 「いたいよ!かんじゃだめだよ!おかあさんがけがしちゃうよ!」 プチれみりゃだった頃はまだ顎と歯が発達していなかったため、じゃれついた際に噛み付いてもお母さん魔理沙はく すぐったいくらいにしか感じていなかった。 しかし今では成体の捕食種には敵わないものの、ある程度の通常種ならば捕食できるほどまでに成長していた。 「おかあさんはたべものじゃな・・・・・ゆ!」 ある不安がお母さん魔理沙の脳裏に浮かんだ。・・・いつか食べられてしまうのではないかと。 次の日からお母さん魔理沙はゆっくりれみりゃと一定の距離を置くようになった。 「うぅぅぅぅぅ!」 「もうれみりゃはおとなだよ!いつまでもおかあさんにあまえてちゃだめだよ!」 13日目、あと一日で外に出られるという日に事件が起こった。 「どうしてごはんがこないのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !」 いつも決まった時間に運ばれてくるご飯が今日は届かなかった。 「うー!うー!うーーー!」 空腹でゆっくりれみりゃの機嫌はかなり悪い。 「おねえさん!はやくごはんをもってきてえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ !」 お母さん魔理沙の叫びが人間に届くことはなかった。 空腹のゆっくりれみりゃは本能に支配され、目の前にいるお母さん魔理沙はエサにしか見えていなかった。 「ゆゆゆゆゆ!こ、こっちにこないでね!ももも、もうすぐごはんあげるから!」 にじり寄るゆっくりれみりゃを必死に説得しようとするが、本能に支配された捕食種には届くことはない。 「がおー!たべちゃうぞー!」 「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ! ! ! ! 」 14日目、ゲージの中にはスヤスヤと眠るゆっくりれみりゃとお母さん魔理沙の帽子だけが残されていた。 「あら、予想通り今まで育ててくれた母親を食べちゃったのね。殺す手間も省けたし丁度いいわ。」 人間の声を聞くとゆっくりれみりゃは目を覚ました。 「うー♪がおーたべちゃうぞー♪」 どうやらエサがもらえると思っているらしい。 「ちょうどいいサイズね、これならお嬢様も納得してくださるはずだわ。」 無邪気に笑っていたゆっくりれみりゃは気が付くと白い板の上に置かれていた。 ※補足 Q:登場した人間は例のメイドさんですか? A:その通り!十六夜 咲夜、紅魔館のPA・・・メイド長です。 東方を知らない人のために更に補足すると、彼女の持っている能力は「時間を操る程度の能力」です。 簡単に言えば時を止めてその間に自分だけ動くことができるという事です。 Q:ゆっくり魔理沙はなんであんなに虐めたくなる性格なの? A:今回登場したゆっくり魔理沙は幼い頃から何不自由なく育てられ、狩りも上手であったため、失敗、挫折という ものを知りません。そのためこんな憎たらしい性格になってしまったと考えられます。 Q:ゆっくり魔理沙は善いゆっくり?悪いゆっくり? A:咲夜さんに捕まった段階ではまだ人に被害を与えるような事はしていないので善いゆっくりであったと言えるか もそれません。 ただあの性格です、いずれは何らかの悪事を働いたことでしょう。 Q:ゆっくり魔理沙の見つけたお菓子は何? A:咲夜さん特製ゆっくりれみりゃホイホイです。 肉まん料理の気に入ったお嬢様のために定期的に罠を仕掛けてはゆっくりれみりゃを捕まえています。 今回はたまたま仕掛けた直後にゆっくり魔理沙がエサに飛びつこうとしたため、時を止めてそのまま捕獲しまし た。 Q:ゆっくり魔理沙は何度もナイフで刺されていたけどよく死にませんでしたね。 A:刺したナイフはある程度時間が経過したら咲夜さんが時を止めて回収しています。 また、その際に多少の応急手当もしてあげているので死ぬ事はないのです。 Q:プチれみりゃはどこから連れてこられたの? A:咲夜さんが以前料理したゆっくりれみりゃの子供です。 Q:どうして咲夜さんはゆっくり魔理沙を持ち帰ったの? A:通常種が恐怖により中身の甘みが増すのに対し、ゆっくりれみりゃは愛情を持って育てることにより、中身の肉 の旨味が増すのです。また、通常種を食べさせることにより更に旨味が増すと言われています。 また、恐怖を与えることにより肉が引き締まって弾力のあるおいしい肉まんともなるため、甘やかして育て、恐 怖を与えて調理するのが一般的なゆっくりれみりゃの調理方法です。(私の設定です。) 以上の理由により、咲夜さん自身はメイドの仕事で忙しいため、ゆっくり魔理沙を使って子育てをさせたのです。 Q:このSSの設定、どこかで読んだことがある気が・・・。 A:このSSは星 新一という方の短編小説を参考にしてい書きました。(結構前に読んだので題名忘れた><) その小説では、ある国のスパイが捕まり子ライオンと同じ檻に入れられ、子ライオンが死んだらお前も殺すと言 われます。どうする事もできないまま月日は流れ子ライオンは大人に成長します。ある日、監視員が檻の中を覗 くと肉片が飛び散りライオンの姿だけが残っていました。その後そのライオンはすぐに野生に放されます。 誰もいなくなったところでライオンの中からスパイが現れます。スパイはライオンを殺しその皮を被っていたの です。訓練中、素手でライオンを殺す訓練を受けていたため助かったのです。 たしかこんな内容だったと思います。 今回のSSでは普通に食べられてしまうんですけどねw Q:最後にゆっくりれみりゃが置かれた白い板って何? A:まな板です。その後どうなったかはわかりますよね? ~ゆっくり魔理沙の生涯『子育て編』~ END 作成者:ロウ 後書き 最後まで読んでくださった方々にまずはお礼を申し上げます。 ゆっくり達の生涯シリーズ第9弾『ゆっくり魔理沙の生涯「子育て編」』はいかがだったでしょうか? お盆休みも数日で終わり、忙しい日が続いているため短編SSながら時間がかかってしまいました(泣 ちなみに私の中の設定では咲夜さんにとって大切なのはお嬢様ただ一人であり、ゆっくりれみりゃは大嫌いです。 次回のSSはなかなか虐められないゆっくりレティに登場してしもらおうかなぁと思っています。 ただ、皮が厚く水に強い、捕食種の中ではトップクラスの強さ、デカイ、こんなゆっくりをどうやって虐めたらいい ものか悩んでいます。 どうしてもつまったら、例の着物を着た少女に出演していただく予定です。 ちなみに、使いたい方がいるのかはわかりませんが、私の書いたSSの設定を使っていただくのは全然かまいません。 むしろ嬉しいくらいです。 先日も「ゆっくりえーきの生涯」を参考にえーきの中身を鶯餡にしました。 という後書きを見てとても嬉しかったです。 しかしSS書くスピードUPをなんとかしてしないとまずいなぁ・・・(泣 おまけ(という名のゆっくりの考察報告書1(続く?)) ※注意 考察という名のもとに私の中での設定を書きまくっています。 いくつかのSSのゆっくりの繁殖とは結びつかないものもありますが、あくまで私の中での設定ですご了承下さい。 ○○年○○月○○日 2ちゃんねる ゆっくり虐待スレ 虐待お兄さん 様 2ちゃんねる ゆっくり虐待スレ ロウ ゆっくりの繁殖についての考察(報告) 1.繁殖の型 虐待スレの皆様ならご存知の通りゆっくりには植物型と胎内妊娠型の2種類の繁殖方法が存在します。 植物型については厳密に述べると二種類存在すると考える事ができます。 (1)植物型(母親が朽ち果てる場合) この繁殖は成体ではないゆっくりが他のゆっくりと「すっきり」して母親役になった場合起こります。 朽ち果てる理由は、頭から伸びる蔓に栄養を取られてしまうためだと考えられています。 この繁殖において興味深い点は、朽ち果てたゆっくり種と同じゆっくり種が生まれるという事です。 詳しいメカニズムなどは解明されていませんが、ゆっくりは繁殖力が旺盛で、頻繁に子供を生むことができます。 しかし、自分が死ぬという事はこれ以上自分の子孫を残すことができないことを意味しています。 自らの子孫を少しでも多く残そうとする種としての本能が自分と同じ種のみを実らせているのではないかと考えら れます。 ゆっくりアリスが強姦魔であるにもかかわらず、ゆっくりアリスが大繁殖しないのは上記の事が原因の一つではな いかと考えています。 また、この手法により加工場では目的のゆっくりを効率よく生産しているようです。 (2)植物型(両親共に生き残る場合) この繁殖は成体のゆっくり同士が「すっきり」した場合に起こります。 成体のゆっくりは十分な餡子を体内に持っているため、蔓に栄養を取られて朽ちることはありません。 この繁殖において興味深い点は、霊夢種がパートナーである場合9割以上のつがいの母親役が霊夢種になるという 事です。 なぜこのような事になるのかはあくまで推測の段階ですが、力の強弱が関係しているのではないかと考えています。 基本的に母親役は子供の面倒を見て狩には参加しません。 そのため、父親役がエサを集めます。つまり力の強いゆっくりが父親役になる事で一家の生存率を高めているので はないかと考える事ができます。 力の強弱によって父母が決まると考えると、強姦魔であるゆっくりアリスが「すっきり」しても自分の頭には蔓が 生えないという事も納得することができます。 (3)胎内妊娠型 この繁殖方法は成体のゆっくりがさらに成長し、それらがつがいになった場合に起こります。 胎内妊娠型において母親役になると身動きが取れなくなってしまうため、人目のつかない巣穴を見つけ、食料を大 量に蓄えた後、つがいは「すっきり」します。 (たまに後先考えずに「すっきり」して悲惨な末路を迎えるゆっくりを目撃します。) この繁殖において興味深い点は、ある程度成長したゆっくりを生むことができるという点です。植物型の繁殖は大 量にプチゆっくりが生まれるものの、その大多数が親の目の届かないところでの不慮の事故や、他の動物に捕食さ れたり、親子ゆっくりを虐待するのが大好きな虐待お兄さんに捕まり命を落としてしまうのです。 出産型ならば、母親の胎内にいるうちからある程度の意識があるため親子の絆が強くなり、母親の餡がある程度赤 ちゃんに受け継がれるため植物型のプチゆっくりに比べると知識も持っており、自然と生存率も上がると考えられ ています。 ただ、出産型の欠点は平均して3匹程度しか生むことができないということです。 また、母体となるゆっくりにかなりの負荷がかかるため、体の弱いパチュリー種などは出産と同時に死んでしまう ことがよくあります。 2.繁殖方法 ゆっくりはどのようにして身篭るのか? ゆっくりの中身は基本食材であり、生殖器官などまったく見当たりません。 ゆっくりの中には「ぺにぺに」「まむまむ」と言っているゆっくりがいるものの、それらの器官が実際に見つかっ たという報告は上がっていません。 しかし、ある興味深い報告がありました。それは幻覚を見せられたゆっくり霊夢が幻覚のゆっくり魔理沙と交尾を して植物型で繁殖したというものです。 この報告を聞き、私はある一つの仮説を立てました。 「ゆっくりは1匹でも繁殖する能力を持っているが、他のゆっくりとすっきりしたという事実がないと身篭らない。」 この仮説の通りならば幻覚によってゆっくり霊夢が身篭ったことは説明がつきます。 また、ほぼすべてのゆっくりが1匹で「すっきり」しても快楽を得るだけで体に大きな変化がないのに対し、他のゆ っくりと一緒に「すっきり」した直後にはどちらかのゆっくりの体に変化が訪れるという点についても説明がつきま す。 また、ゆっくりに手術を施して子供を産めなくするという事が可能であるため、ゆっくりの体内には何らかの器官を 司る餡の部位が存在すると考えられます。 3.今後の方針 今回述べたものの殆どが仮説の段階なので今後も虐待スレのゆっくりの観察を続け、仮説を定義にしたいと考えてい ます。 また、最近では木ゆっくりなどというのも現れだし、ゆっくりの生態について更なる研究(虐待)が進むことに期待 したいと思います。 おまけの後書き 以上のおまけがゆっくりの繁殖方法について私が考えているものです。 これらの設定を基に出産シーンが登場するSSを書いております。 (魅力的な設定が出たら改変するかもしれないけどねw) ちなみに、「ぺにぺに」「まむまむ」という設定は非常に面白いと思います。 ただ、私はその・・・生々しいものはあまり好きではないので、今回のおまけではそんな器官は存在しないと書かせ ていただきました。 冒頭部分は加工場の人の「ゆっくりいじめ系260 ほほえみの村(永琳の報告書)」の書き方の一部を参考にさせてい ただいております。 最後に、これは私の中の設定です。他の職人様の設定を批判するつもりはまったくありません。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/293.html
「ぎゃおー!たーべちゃうぞー!」 「や゛べでよ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!だずげでれ゛ーむ゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!」 「こらー!!またアンタか!!うちの子を虐めるなって言ってんでしょこんダラズがぁ!!」 怒りの雄叫びを上げつつ、生首を追いかけ回す童女に踵落としを浴びせる巫女は博霊霊夢。 蹴り飛ばされた童女はゆっくりれみりゃ。一見人間の子供だがその実肉まんである。 ゆっくりれみりゃから解放され、すかさず霊夢の控えめな胸に飛び込んで勝ち誇っているのはゆっくりれいむ。 人間の生首によく似た姿であるが饅頭である。 幻想郷全域に突如として大発生し、田畑を荒らし民家に侵入するなど多くの被害を齎しているゆっくりだが、 人々の中にはこの霊夢の様にゆっくりを愛玩する者も少なからず居た。 「う゛あ゛ー!!ざぐや゛だずげでよ゛ー!ごあ゛い゛ひどがい゛じめ゛る゛よ゛ー!!」 「何よ!虐めてたのはアンタでしょう!来なさい!!」 そう言ってゆっくりれみりゃの首根っこを引っつかんで足音荒く神社の階段を下りていく。 行き先は勿論このゆっくりれみりゃの飼い主が住む紅魔館である。 「あ、こんにちはー。ははぁ、またやらかしたんですか小さいお嬢様は」 「そうよ!分かってるならさっさと通しなさい。素っ首落とすわよ」 「びゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!ぢゅう゛ごぐー!!だずげでー!!」 「はいはい分かりましたよ。…これで何度目でしたっけ」 「二十二回目。アンタも、外から来る奴だけじゃなくて中から出て行く奴も止めてくれればいいんだけど」 「どお゛ぢでだずげでぐえ゛な゛い゛の゛ー!!ぢゅう゛ごぐの゛ばがー!!う゛あ゛ーう゛あ゛ー!!」 「それはお嬢様に言って下さいよ。私はお嬢様の御命令で外敵を防いでいるんですから」 「融通の利かない奴ね。まあいいわ。ほら、グズグズ泣いてないでとっとと来なさい」 「ぶあ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!ぶえ゛え゛え゛え゛ん゛!!ざぐや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 来いと言いつつずんずん首根っこを掴んだまま引きずる霊夢。 その目前にいきなりメイド服の少女が現れた。 彼女の名は十六夜咲夜。紅魔館のメイド長を務めるロリコン少女である。 「ちゅーっす!お疲れ様でゅーっす!」 挨拶と同時にハリネズミならぬナイフネズミになる門番。合掌。 「出たわねロリコンメイド。ちょっと、アンタの肉まんがまた私のゆっくり虐めてたわよ!!」 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛ざぐや゛ー!ごあ゛い゛よ゛ー!だずげでー!!」 霊夢は咲夜に向かってゆっくりれみりゃを放り投げる。 すかさず胸部のふくよかなクッション(本物)で受け止める咲夜。瀟洒瀟洒瀟洒瀟洒瀟洒!!! 「あ゛どひど!!あ゛どひどがれ゛み゛り゛ゃ゛を゛い゛じめ゛る゛よ゛ー!!」 「虐めてないわよ!!虐めてんのはアンタの方でしょこの馬鹿肉まん!!」 「この子が悪いのは分かったけど、何も引きずってここまで来る事ないでしょ!足先が磨り減って無くなっちゃってるじゃない!」 「そんな事知らないわよ!うちの子なんて餡子はみ出たのよ!!すぐ再生するそいつと一緒にしないで!!」 「う゛え゛え゛え゛え゛え゛ん゛!!う゛え゛え゛え゛え゛゛え゛ん゛!!」 まるで子供の喧嘩にしゃしゃり出てきた親同士のようなやり取りである。 一応断っておくとここは紅魔館の門前である。断じて紅魔幼稚園などではない。 「……とにかく、この子には後できちんと言い聞かせますから、今日の所はお引き取り下さい」 「はいはい分かりましたよ。その台詞もいい加減暗誦できる位聞いたけど。……言っておくけど、次は無いからね」 「分かりました。今日こそはよーく言い聞かせておきますよ」 「ばーがばーが!!ごんどいじべだらざぐや゛に゛やっづげでも゛ら゛う゛んだがら゛ー!!」 涙で顔をふやかしつつ歪んだ笑顔で咲夜の胸(偽物ではない)から勝利宣言を浴びせるゆっくりれみりゃ。 顔が一瞬般若になるも、強引に精神を鎮めて帰宅する霊夢。 「さあ小さいおぜうさま。おやつの時間です。今日のおやつは世界の亀田製菓が誇るハッピーターンですよ」 「や゛だや゛だや゛だ!!ぎょうはぬ゛ーぼーがい゛い゛の゛!!ぬ゛ーぼーじゃな゛ぎゃや゛な゛の゛!!」 「はい分かりました。ぬーぼーですね。直ぐに用意いたしますのでお部屋で待ってて下さいね」 「うー♪うー♪ぬーぼ!ぬーぼ!たしろ!うっうー♪」 途端に上機嫌になり、咲夜の胸(パッドじゃない)から飛び降りてもたもたと踊りながら館内に行くゆっくりれみりゃ。 既に目を覚ましていた妖怪ナイフネズミは、 「はあ。言い聞かせるんじゃなかったんですか?」 と呆れてものも言えない様子で進言。言えるのか言えないのかどっちなんだろう。 「仕方ないでしょう。あの子はまだ小さいのよ。大事なのは言葉より愛よ、愛」 「そうでしょうか……ま、私は子育てなんてした事ないですからよく分かりませんけどね」 そう言って誤魔化しつつも、その表情(ナイフ塗れ)は咲夜の溺愛っぷりに心底呆れ果てている事を語っている。 「そんな経験は私だって無いけれどね。さ、ぬーぼーを用意しないと」 「…………優先順位は間違えないで下さいよ」 「ん?何か言ったかしら?」 「いえ何も」 果たして今のメイド長の中での優先順位の一番は本当に主なのだろうか。 一抹の不安を覚えつつ、門番業務を続行する紅美鈴であった。ナイフ塗れで。 翌日の博霊神社。前日と何ら変わらない光景が境内で繰り広げられていた。 「ゆっくりたすけてね!!ゆっくりたすけてね!!れーむー!!」 「ぎゃおー!たーべちゃ「またッッッ!!!」 閻魔より恐ろしい表情でゆっくりれみりゃに迫る霊夢。被告人は笑顔のままで硬直している。 硬直している被告人の胸倉を掴み上げるサイバンチョ。今なら視線だけで蓬莱人すら殺せる。 「ざぐや゛だずげでー!ま゛だごわ゛い゛ひどがい゛る゛よ゛ー!!」 「あの閻魔風に言うなら、アンタは少し調子に乗り過ぎた。博霊審判においてアンタの地獄行きが決定したわ」 いつもの様に紅魔館に連れて行かれず、静かに何事かを宣告されてきょとんとするゆっくりれみりゃ。 胸倉を掴まれたままで何処かへ運ばれる途中で漸く意味が理解できたのか、激しく泣き叫びだす。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!も゛う゛じまぜん゛!!も゛う゛じま゛ぜん゛!!!」 「今更何を言ってるの?もうしません、って。何が悪いのかも分かってないんでしょ?」 「ゆっくりしんでいってね!!ゆっくりしんでいってね!!」 「ゆっくり、あなたは部屋に戻っててね。これの処理は私が一人でやるから」 「ゆっ…わかったよ!!れいむおるすばんしてるよ!!ゆっくりがんばってね!!」 「ありがとうゆっくり。……さて、始めましょうか」 「ごべん゛だざい゛!!ごべん゛だざい゛!!ぼうじだい゛がら゛ゆ゛ゆ゛じでぐだざい゛い゛い゛い゛!!」 「何をしないって?聞いてあげるから答えなさい。あなたは、何を、しないと、言ってるの?」 「ひっぐ……!う゛……う゛ー!う゛ー!!」 途端に黙り込み、媚びる様な笑顔を向けるゆっくりれみりゃ。それ見たことかと言わんばかりに霊夢は言う。 「何よその不細工な顔。媚びてんの?やっぱり何一つ分かってないんじゃない。 ……咲夜は教育者には向いてないわね。ひょっとしてアンタあいつに一度も叱られた事無いんじゃないの?」 「ざぐや゛の゛ごどを゛わ゛る゛ぐゆ゛う゛な゛!!わ゛る゛も゛の゛!!ぶー!ぶー!」 「へぇ。咲夜の事となると随分調子が良いじゃない。そんなに甘やかされてたの?」 「ざぐや゛はいづも゛や゛ざじい゛ぼん!!れ゛み゛り゛ゃのゆ゛う゛ごどだん゛でぼぎい゛でぐれ゛る゛ぼん!!」 「相当ね。これじゃ他の奴らは大変でしょうねぇ。咲夜は悲しむかもしれないけど、他の奴らからは感謝されたりして」 呆れながら、土蔵の中にゆっくりれみりゃを放り込み、自身も中に入って扉を閉める。 土蔵の隅から縄を拾い上げ、床に足を投げ出して泣き喚くれみりゃを手早く縛り上げる。 「う゛ー!!う゛あ゛ー!!うごげな゛い゛よ゛ー!!ほどいで!ほどいでよ゛ー!!」 「アンタの背中に生えてるのは何かしら。私には羽に見えるんだけど、違うの?」 「う!」 今思い出したかの様に羽を羽ばたかせて霊夢の目線の高さにまで飛び上がるゆっくりれみりゃ。 「うー♪うっうー♪れみりゃはとべるんだぞー!ぎゃーおー!」 先程までの狂態が嘘のように上機嫌になるゆっくりれみりゃ。霊夢はそんなれみりゃの羽を掴み、一瞬で引きちぎる。 「う゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!い゛だい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 地面に転がって悶絶するゆっくりれみりゃ。足で転がされ、うつ伏せにされて膝で押さえつけられる。 その背中の傷口からは早くも羽が再生しようとしていた。そこに霊夢お手製の御札を貼り付け、再生を阻害される。 「う゛?いだぐない!いだぐないよ!!うー♪うー♪れみりゃつよいこ!うっうーうあうあ♪」 再生が完全にストップしている事を確認すると、霊夢はゆっくりれみりゃを転がしたまま土蔵を出る。 「お゛い゛でがな゛い゛で!!れ゛み゛り゛ゃもづれ゛でっでよ゛ー!!」 「嫌よ。今日からそこがアンタの家よ。いい家でしょ?食べ物も無いし壊せる家具だって無い。 外敵もいなければ、アンタを猫又もドン引きする位猫可愛がりするメイドだって居ない。アンタ一人だけの場所」 「や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!だじでだじでだじでえええええ!!!」 「さようならレプリカな肉まん。そこで死ぬまで反省すると良いわ」 外に出て扉を閉め、ゆっくりの待つ居間へ向かう霊夢。 その表情は先程のアブないものとは一変して晴れやかで、歳相応の可愛らしさに満ちている。 「ゆっ!!おかえりなさいれーむ!!ゆっくりしてきた!!?」 「ただいまゆっくり。あの肉まんをゆっくりさせてきた所よ」 「ゆっ!?あのひとゆっくりさせたの!!?だめだよれーむ!!こわいよ!!」 「大丈夫よ。もうあの肉まんはあそこから出られないから。ゆっくりはずっと安心してゆっくりできるわ」 「やった!!ありがとうれーむ!!またいっしょにゆっくりできるね!!」 「ええ、本当に……あら、誰かと思ったら美鈴じゃない。珍しいわねあんたが門を離れるなんて。クビ?」 「違うわよ。ちょっと休憩を戴いたの。……あの小さいお嬢様は?」 「さあ何の事かしら。私は知らないわ」 「あぁ、あの土蔵か。……それで、もうあそこからは出さないのね?」 「分かってるならいちいち聞かないでよ面倒臭い。ええ、出さないわよ。あの土蔵は当分封印」 「そう。あの耳障りな気配が突然消えたんでまさかとは思ったけど。あーあ、咲夜さんを宥めるのが大変そうだなぁ」 「ってあんた。連れ戻しに来たんじゃないの?」 「違うわよ。正直私もパチュリー様もお嬢様も、アレにはほとほと困り果ててたのよ。 仕事は邪魔するしシエスタは邪魔するし花壇は何度言っても荒らす。 パチュリー様も何冊本を駄目にされたか。魔道書を開いたらクレヨンで落書きされてて気を失った事まであるのよ」 「はあ、やっぱりあんたら皆迷惑してたのね。咲夜の悪趣味も困ったものね」 「あれさえ無ければ素敵なんだけ……ゲフンゲフン」 「?どうしたのよ。美鈴の癖に風邪?」 「私の癖にって何よ紅白の癖に。まあいいや。ちょっとしたお礼代わりにお参りでもさせてもらうわ」 「うわ、異変だわ。異変が目の前に」 「失礼な。私のような美人を捕まえて」 「さっさと有り金全部素敵なお賽銭箱に入れて帰りなさいよ」 「何という貧乏巫女」 そうしてお参りを済ませ、走って帰っていく門番。 その間ずっと土蔵からは小さく悲鳴が聞こえていたが、気にする者はいなかった。 何日も聞こえ続けた土蔵からの悲鳴が漸く聞こえなくなった頃、 紅魔館のメイド長が今度はゆっくりフランを飼いだしたという噂が霊夢の耳に届いた。 紅魔館の面々がメイド長の悪癖に振り回される日々はまだまだ続くようである。 LOLITA COMPLEX MAID-LEADER RESTART 作:ミコスリ=ハン
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1368.html
「うっう~♪ れみりゃがた~べちゃ~うぞ~♪」 今日もニコニコと森を飛んでいるゆっくりれみりゃ。 太っていると言うわけでは無いが、ゆったりしている体からくびれの付いた四肢をだらんと垂らして、木々の多い森の中を飛んでいる。 「ゆっぐりそごにいでねーーー!!!」 れみりゃが、追いかけているのはゆっくり霊夢。 「う~~~♪」 「だどぉ~~♪」 数匹の家族と一緒に行っているこれは狩りではない。 それは、最近れみりゃが考え出した遊びだった。 「う~~~♪ ……とっだどぉ~~~~♪」 「ゆ!! がえじでーー!! れーむのぼーーーじーーー!!!!」 「うっう~~~♪ つかまえたどぉ~~~♪」 「ゆーーー!! がえじでーーーー!! がえじでーーー!!!」 その遊びは、ゆっくりの髪飾りを剥ぎ取ると言うのもだった。 以前偶然に髪飾りを取った所、突然泣き叫び出した。 その様が琴線に触れたれみりゃは、時々紅魔館からやってきて遊んでいるのだ。 「う~~♪ おなかがすいだからかえるどぉ~~~♪」 「「う~~~♪ かえる~~~♪」」 このゆっくりの姿を見るのにも飽きた一家は、おやつを求めて紅魔館に舞い戻った。 「ゆーーー!! がえじでーーー!!! れいむにおぼーじかえじでーーーー!!!」 泣き叫ぶゆっくり霊夢を残して。 「う~~♪ ? ぽいするの!! ぽいっ!!!」 その髪飾りは、途中で捨てられた。 ―― 「う~~♪ おか~しゃんたちがかえってきたどぉ~~~♪」 「う~~♪ まぁまぁ~~おかえりなしゃ~~い♪」 屋敷に戻った一家を出迎えたのは、赤ちゃんれみりゃだった。 これらも全て親れみりゃの子ども。 以前、森に遊びに行った時に集団アリスに襲われ、今の姉れみりゃ達を生んだ。 その後、またまた森へ入ったときに集団アリスに襲われ、今の赤ちゃんれみりゃを産んだのだ。 「う~~~♪ みんなでぷっでぃ~~んをたべるどぉ~~~♪」 「「「うっう~~~♪」」」 普通のれみりゃよりも遥かに多い家族。 その長でもある親れみりゃが、仲間が大勢居るであろう庭の一角まで足を運ぶ。 ここには自分達の仲間が沢山居る。 そのどれもが、丸々としている。 無理もない、唯一といっても良いゆっくりフランはここにはやってこない上に、おやつや食事と称して美味しいプリンが振舞われる。 まさにれみりゃ達にとっては夢の楽園。 「う~~~♪ ぷっでぃ~~んもらうんだど~~~♪」 「れみ☆りゃ☆う~~♪」 一家がそこに着くと、既に多くのれみりゃが集まっていた。 予定ではそろそろプリンが出される頃合だからだ。 「ちょっと。貴方達?」 予想通り、そこに一人の女性がやってきた。 「「「「う~~~♪ ぷっでぃ~~ん♪ ぷっでぃ~~んはどこだどぉ~~~♪」」」」 「無いわ」 一切の間を置かず、瞬時に言い放つ。 れみりゃ達の頭では、理解するのに少し時間がかかった様で、数刻気味の悪い間が流れた。 「「「うーーーー!!! ぷっでぃーーんくれないどーーさぐやにいいつげてやるどーーー!!!」」」 「お前等にやるプリンはもう無いのよ」 れみりゃと同じような格好をした少女が、更に言葉を続ける。 その目は、明らかに目の前のれみりゃ達に憎しみ以上の何かを見つけていた。 「うーーー!!! こうまがんのあるじのれみりゃがいってるんだどぉーーー!!!」 「はやぐよこすんだどぉーーー!!!」 「おまえなんがやっつげじゃうどーーー!!!」 「……煩い蛆虫ね」 「「「う?」」」 飛び掛ってきたその三匹に、弾幕を放つ。 狂い無く命中した弾幕は、れみりゃの首から下を全て吹き飛ばした。 「ああああ!!! れみりゃのきゅーどなからだがーーー!!!!」 「どうじでだどぉーーーー!!!」 「さぐやーーー!!! ざぐやだずけるんだどぉーーーー!!!!」 「少しは黙ってなさい」 「ぴゅぎゃ!!!」 一匹のれみりゃの頭を踏みつけ、此方に注目している全てのれみりゃに言葉を発する少女。 「良いこと? これから冬になるの。だから庭は雪に埋まる。私は絶対にお前達を屋敷の中には入れたくない。だから、金輪際ここに立ち入る事は許さない。……つまり、二度と屋敷の敷地に入るなって言う事よ」 ゆっくりには難しすぎたか。 一度考え直し、もう少し簡単に・端的に言い直した。 「うーーー!! ごごはれみりゃのおやしぎだどーーー!!!」 「かっでにおいだすなんでゆるざないどーーー!!!!」 「うーーー!! ……ぎゃ!!!」 「うー? ぷじゃ!!!」 「……」 黙って半数のれみりゃを粉砕し終えた少女は、残ったれみりゃ達にもう一度だけ呟いた。 「出て行かなかったら、今度は全員殺すわ」 「はいーーー!!ででいぎまずーーー!!!!」 「みんなでででいぎまずーーー!!!!」 一番最初に言葉をあげたのはあの家族だった。 殺されないために、その道を選んだ。 それだけの事だったのだが、その態度に少女は少し表情を和らげた。 「そう。貴方達は聞き分けが良いわね。慈悲深い私が、冬の間の食料と巣をプレゼントしてあげるわ」 そういい残し、呼び出した自分の従者に後を任せ森の奥へと進んでいく。 「うーー!! ざぐやーーー!! あいづたおじでーー!!」 「れみりゃだじのおやしぎなのにーーー!!!!」 目を真っ赤にした従者に擦り寄って行ったのは、家族以外のれみりゃ達だった。 ―― 「ふん。ここなんか丁度良いわね」 「入るわよ!!!」 「ゆ? おねーさんだれ? ここはまりさたちのおうちだよ」 「みちにまよったの? だったらゆっくりしていくといいよ!!!」 「にんげんがたべれるたべものも、たくさんあるよ!!」 中に居たのは、一匹の大きな魔理沙と小さなゆっくりが沢山。 それも、キチンとしているゆっくり達だった。 「そんなにゆっくりする気はないわ。ここは私が貰う事に決めたの。だから貴方達は出て行きなさい」 「ゆ!! なにいってるの!! でてきけないよ!! これからふゆになるんだよ!!!」 今出て行けばみんな死んでしまう。 当然の主張をするゆっくり魔理沙だが、今の少女は聞く耳を持っていない。 「そう……出て行く気は無いの?」 「とうぜんだよ!! いくらにんげんだって、まりさたちはここをまもるためにたたかうよ!!」 「そうだよ!!! このなかではれいむたちのほうがつよいよ!!!」 一匹の帽子の無い霊夢が、魔理沙の考えに同調する。 それに喚起され、巣の内部の全てのゆっくり達が戦う意思を明らかにした。 「そう。仕方が無いわね」 「ゆ? ゆゆゆ?」 一匹の霊夢を捕まえ。 「ゆーーーー!!!! いだいーーー!! ゆっぐりじだいーーー!!!」 威力を絞った不夜城レッドで焼き払った。 「「「ゆゆ!!!」」」 巣の内部に同様が広がる。 「ゆ~~!!」 特に、この魔理沙は後悔した。 人間ではなく妖怪だったのだ。 このままでは確実に巣は全滅する。 「でも、安心なさい」 「「「「????」」」」 既に、巣の中の全てのゆっくりは、目の前の少女の声に聞き入っている。 「さっきのは、威力を絞ったの。今度は、皆纏めて一瞬で消し去ってあげる」 「「「「っ!!!!」」」」 声をあげる間もなく巣内のゆっくりは一掃された。 「いけない。食べ物まで燃やしてしまったわ。……まぁいいか。あいつ等こんな物食べそうにないし」 ―― 「ほら、冬の間はここで過ごすのよ!!」 「うーーー!! ありがどーーーござまずーーー!!!」 「ありがどーーー!!!!」 新しい巣に案内されて尚、未だ泣き叫んでいる一家。 無理も無い、少女が帰ってみると、一家以外のれみりゃは全てナイフでズタズタにされ、片目をくり貫かれ、歯を削り落とされていたのだから。 「ごめんなざいいーーー!! ごごはあなだのおうじでずーーーー!!!!」 少女に向かって叫んだその一言が終わった瞬間、そのれみりゃ達の命も終わった。 目の前で、その光景をずっと見ていた一家は随分こたえたのだろう。 現に、少女に対する口調も、かなり丁寧なものになっている。 「ほら。これが食料よ。これだけ有れば冬の間は足りるでしょ?」 小悪魔に頼んで、用意させたゆっくり総勢百匹を巣の中に纏める。 「もっと用意できますが?」 嬉々として語る小悪魔に礼を言い、逃げるようにしてその場を離れた少女は、もう二度と小悪魔には頼らないと誓ったそうだ。 「はいーーー!! だりまずーーー!! ありがどーーござまずーーー!!」 「そう。私はこれで帰るけど、もし雪が解けたらお屋敷に来てもいいわよ? プリンくらいなら上げるわ」 「はいーーー!!! はいーーー!!!」 それじゃあね。 入り口に板をはめ、少女は冷えてきた空に飛び去っていった。 「うーーー!! みんなでふゆおごすどーー!!!」 「「「「うーーー!!!!」」」」 緊張の糸が解けたのか、何時もの口調には戻ったれみりゃ達が、やや強張った口調で来るべき冬への抱負を語った。 「ゆっぐり!!」 「ゆっぐりゆるしてね!!」 「まりさたちのおうちにかえしてね!!!」 「とかいはのありすは、こんなおおべやでなんてふゆをこせないわ!!!!」 声をあげたのは、食料のゆっくり達。 「う?」 当然、何も食べていなかった一家の食欲を呼び起こさせるのには十分だった。 「うっう~~♪ た~べちゃ~うぞ~~♪」 近くに居たゆっくりに、親れみりゃが一番最初に飛びついた。 「ゆーーーー!!! いだいーー!! はなじでーーーー!!!!」 「う~~♪ うまうま~~~♪」 「「「「う~~~~~♪」」」」 それを合図に子供達も飛び掛る。 「ゆーーー!! まりざをはなじでねーーーーー!!!」 「むぎゅーーーーーー!!!!」 「ゆっゆ!! とかいはのありすははやくかえるの!!! ゆぐーーーーー!!!」 「う~~~~♪ !! う~~~~♪ ひどりいっこまでだどぉ~~~♪ ゆきがなくなるまでもたせるんだどぉ~~~♪」 「「「「う~~~~♪」」」」 一匹でもここに居るゆっくりは皆大きい、一匹食べればお腹も膨れるだろう。 小悪魔が集めてきたのはこういう優しい理由が有るのかもしれない。 「ゆーーー!! こどもだじがいるおーじにがえらぜでーーー!!!! ……」 親れみりゃに食べられていた霊夢が、そういい残して息絶えた。 「まりざもーー!! こどもたじのおーじーーー!!!」 「むぎゅーーーー!!!」 「ふゆのあいだにとかいはのみのごなじをおじえよーどおもってたのにーーー!!!!!」 次々と死んでいくゆっくりの声を聞くと、どうやらここに集められたゆっくり達は、皆親ゆっくりのようだ。 確かに、餡子に質も落ちた親ゆっくりでも、れみりゃなら食べるだろう。 小悪魔が考えた廃材利用の方法らしい。 「けっぷ♪ う~~♪ おなかいっぱいだどぉ~~~♪」 「「「う~~~♪ おにゃかいっぱいだどぉ~~~♪」」」 食事を終えた一家は既にまどろみモードに入っている。 「う~~♪ みんなでゆ~がにねるど~~~♪」 「「「「う~~~~♪」」」」 親れみりゃの命で、一箇所に集まりスヤスヤ眠り始める一家。 「がえじでーーー!!!! れいむのあがじゃんがーーーー!!!!」 「まりざのかわいいあがじゃーーーーん!!!」 ゆっくり達が騒々しく泣き喚くのも気にせずに、全員がれみりゃスマイルを浮かべて眠りに着いた。 ―― それから数日間、れみりゃ達は優雅に過ごしていた。 泣き叫ぶ声をBGMに楽しく食事を取ったり。 一家でうーーうーーお喋りしたり。 れみ☆りゃ☆う~~♪ にぱ~~♪ と踊ってみたり。 しかし、数日が過ぎると流石にゆっくり達は衰弱し、一家を楽しませた叫び声もあげなくなっていた。 「うーーー!! つまらないどーーーー!!!」 真っ先に不満を漏らすのは親れみりゃ。 「うーーー!!」 それが子供にまで伝わった時に、親れみりゃの頭には新しい考えが浮かんでいた。 「う~~~♪ ぼうしをとっちゅうぞ~~~♪」 そう、以前やっていた楽しい遊びを思い出したのだ。 「う~~~♪ まぁまぁただまいいどぉ~~~♪」 「あがじゃんもみてるんだどぉ~~♪」 そう言って、親を先頭にお姉さんれみりゃ達がゆっくりの髪飾りを取っていく。 「!!! あああーーーーーー!!!! れいむのかみかざりがーーーー!!!!」 「むっぎゅーーーーー!!! ぱじゅりーのぼうじもっでがないでーーー!!!!!」 予想通り、先ほどとは打って変わって大声を出し泣き叫ぶゆっくり。 その様子に、一家全員は狂喜乱舞。 「う~~~♪ れみりゃもやる~~~♪」 「ゆゆ!! ぼうしのないまりさは、とかいはのあr……!!! あああーーー!!! がえじでーーーー!! おねがいーーー!! どがいはにはひっずなのーーー!! なんでもするがらーーーー!!! がえじでーーーーー!!!! いじめられじゃうーーーーー!!!!」 ついには、赤ちゃんまで混ざり、大髪飾り取り大会が始まった。 「うっう~~~♪ みんなれみりゃのくちのなかにぽいするど~~~♪」 「う~~♪ ぽいっ♪」 「あああーーーー!!! れいむのりぼんがきえじゃっだーーーーー!!!!」 白熱し大会は、取る相手が衰弱していた事もあり瞬く間に終了した。 「うっう~~~♪ たのしかったど~~~♪」 「う~~~♪」 しかし、それだけでは終わらない。 「ゆーーー!! ぼうしのないまりさはさっさとしんでね!!!!!」 「ゆ!! ありすだってへんてこりんなものがないよ!! しんでね!!!」 「むっきゅーーーー!!!! みんあしげぇーーーー!!!!」 ゆっくりのアイデンティティーの崩壊、それによる副産物が、この巣の中で始まったのだ。 「ゆーーー!!! ……」 「ゆっゆ!! はやくつぶれてね!!!」 「むっじゅーーー!!! じゅーーーー!!!」 「ありすがつぶしてあげるよ!!!!!」 「むっしゃ!! うめーーー!! めっちゃうめーーー!!!」 「ゆゆ!! たべものだね!!!!」 「むっきゅーー!!! ひさしぶりーーーー!!!」 何日も食事をしていないゆっくり達にとって、既に目の前の捕らえられた親ゆっくりは饅頭でしかない。 殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ、殺して食べ。 その数をドンドンと減らしていく。 「うーーーー!!!! どうしてだどぉーーーーー!!!!!」 「やめるんだどぉーーーーーー!!!!!!!」 当然、れみりゃ達は大混乱だ。 今まで遊んでいた、大人しい食料達が一斉に暴れ出し共食いを始めたのだ。 直ぐにでも止めさせなければ、自分達の命も危ない。 「うーーー!! おどなじぐするんじゃどーーーー!!!」 一匹の赤ちゃんゆっくりが、その中へ飛び込み、大声で訴える。 しかし、今のゆっくり達は捕食種であっても関係が無い。 「ゆ!! じゃましないでね!! じゃまするゆっくりはゆっくりしんでね!!!」 「!!!! うぎゃーーー!!! まぁまぁーーーー!!!!」 「あああーーー!!!! あがじゃんがーーーー!!!!」 ゆっくりの波に飲み込まれたかと思うと、ボロボロになって吐き出され、それをゆっくり達に食べられる。 「はぁはぁ!! これめっちゃうめーーー!!!」 「ゆゆ!! りぼんのないれいむはゆっくりしんでね!!!」 「うめ!! ぶ!!!」 食べていた霊夢が死んだ時、そこには赤ちゃんの帽子が残されているだけだった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! れみりゃのぷりでーーできゅーどなあがじゃんがーーーー!!!!」 「うーーー!! がずがらやめるんだどぉーーーーー!!!!」 「ゆ?」 今度は、お姉さんれみりゃが一匹の魔理沙に未だ残っていた帽子を被せに近づいていった。 「ゆーー!!! そのぼうしはゆっくりできないよ!!!」 「がえずーーー!!!」 ポフ 「!!!! あああ!!! やめでーーーー!!!!!」 その声で、数多くのゆっくりが二匹に視線を飛ばす。 「「「「ゆ!! あのゆっくりはゆっくりできないよ!!!!」」」」 「「「「ぼうしをかぶせたれみりゃもゆっくりできないよ!!!」」」」 そして待っているのは今までを同じ制裁。 しかし、今度は多くのゆっくりが同じ目標に攻撃をしているのだ。 いかに大きな捕食種といっても、結果は先ほどと同じだった。 「うーー!! うーーー!!!」 もはや、残された家族は離れてその光景を眺めているしかなかった。 「うあーー!! まぁまぁーーーー!!!!」 「だずけでだどーーー!!!」 逃げ遅れた数匹の子供達が再び波に消えていく。 「うーー!! ざぐやーーー!! だずげてーーーー!!! れみりゃのあがじゃんだじがーー!! たべものがーーー!!!!!」 唯、泣きながらオロオロするだけの親れみりゃ。 全てが終わるまで、ずっとそのようにしていた。」 ……。 先日から振っている霙が完全に雪に変わったのか、洞窟内には深々と雪が降り続ける音だけが聞こえる。 「……」 残った家族達は何も話さない。 「………………」 最後まで残った魔理沙も、全身に食べられた後が無数にあり、もう長くは持たないだろう。 !!! 界雷の一発が、その沈黙を打破した。 「うーーー!! れみりゃのごはんがーーー!!!!」 「うーー!! どうするんだどぉーーー!!!!」 「まぁまぁーーーー!!!!!」 同然としたまま、眠りに着くまで、残された一家はその場で立ち尽くしていた。 ―― それから一週間が過ぎた。 外は既に深い深い雪で覆われ、飛翔能力のあるれみりゃでさえ動けない。 「うーーー……ごはん……たべたいどぉーー」 「ぷっでぃーーん……」 「ざぐやーー……ぷっでぃーーんもっでぎでーー……」 「さむいどーーー……」 「うーー!! どうじでなのーー!!!」 幾ら泣いても食料は出てこない。 共食いしようにもそこまで頭は回らない。 「うーー!! うああーーーー!!!」 襲い来る空腹と寒さのなかで、森の中にある灯台のように、その洞窟からは絶え間なく叫び声がなり続けていた。 ―― 更に二週間が過ぎた。 「う……さぐ……ありが……だど……」 「みん……で……あそび、いく……ぉー」 「まぁ……まっで……」 「がえっ……ら……ぷっで……たべる……」 「うーー……このひろば……おどるど」 「「「「れみ☆りゃ☆う~~♪ にぱ~~~♪」」」」 一家は既に幻想の中に旅立っていた。 おそらく、一週間後には一家でこの世から旅立っているであろう。 ―― 「お嬢様、あのれみりゃ達はどうしていますかね?」 暖かい暖炉の前で、紅茶にブランデーを入れながら、咲夜は自分の主であるレミリア・スカーレットに思い出した事を尋ねてみた。 「さぁ。……でも、足りなくなってもゆっくりアリスにでも子供を生ませれば数は増えるし。何よりアレだけ居たら大丈夫でしょ。」 「そうですか。それでも、子供を生ませて親のほうは大丈夫ですか?」 紅茶を手渡し、手持ちぶさになったそこにお盆を挟んで、再度尋ねる。 「大丈夫よ。あいつ等はみんな親だったんだから」 冷えた体に取り込むと、途端に頬が赤く染まった。 「そうでしたか。でも、この時期に良く親をあんなに連れ出せましたね。小悪魔は」 「……その話はもうしないで……」 「……? 分かりました。ですが、お嬢様なら、運命を見れるんじゃないんですか?」 「それは無理よ」 一度冷えてしまった体を温め直すように、今度はゴクゴクとあおっていく。 「はぁ?」 「あいつ等畜生の運命は見れない。死後も何処に行くのか、畜生道だったかしら?」 「さぁ。そこまでは……」 「とにかく!! なかなか聞き分けの言いやつ等だったから、雪解けでまた現れたら、今度は特大プリンくらいご馳走してあげなさい。できるなら教育をしてもいいわよ」 「はい。そのように」 紅魔館の一室で、来年のれみりゃの動向を話す二人。 その一家が畜生道へ行くのか、はたまた違う所に落ちるのか。 それは、未だ誰も知らない このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1213.html
いつも疲れた帰りに 875のゆっくりれみりゃが寄ってくるの。 そしたら腹立たしくなって「がおー、お前をたべちゃうぞ~」って言ってやったら 「う”-!だべぢゃやだぁああ」とかゴネ出すんだよ。それで 「冗談だよ、よしよしお前はいつも可愛いな」って撫でてやると 「ぅ、うー♪うん!」って膝に抱きついてくるので暑苦しく感じながらよしよしして 「じゃあ、おすもうさんごっこがいいな」って言ってやる。 「おすもぅさん、ごっこ?うー、それなにぃ?」ってつぶらな赤い目をぎょろりと向けてくるれみりゃ。 ウゼェ。と指を差込みたくなる衝動を抑えながら相撲のルールを手短に説明。 合点がいって「うー♪わかったうー!」っとぴょんぴょん跳ねるゆっくりゃ。 「じゃあこかされたら負けだよ」「がぉー♪たべちゃうぞ~♪」とのらくらと踊っているつもりなのだろう。 てめぇのような知能の低い薄汚い豚に食べられたら先祖に顔向けできねぇよ。 「じゃあはっけよーい、のこった!」さあスタートだ。さっきからウザかったゆっくりゃをいじめてやる。 ゆっくりゃはババクサイかっこしてるから色んな所をすぐ掴める。 一方ゆっくりゃは俺の膝までしかないから脚にしがみつこうとする。 よける度にこけそうになるゆっくりゃをさっと後ろから抱える。 「う!がぉ~♪つかまっちゃったぞぉ~♪」と何故か嬉しそう。 ますますむかついたからそのまま両手で合掌するごとくゆっくりゃを徐々にプレスする。 最初は楽しそうだったゆっくりゃはやがて苦しそうに 「う”-!はなじで!うぁ!」とじたばたしだす。そこで俺は手を背中の翼に伸ばしぶちっと一気に引きちぎる。 「う”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!!!!いだいよぉぉおおおおお!!」 絶叫するゆっくりゃの口に思いっきり羽を突っ込んでやる。 「うるさいから黙ってろ」「ん”-!ん”-!!」ともごもごさせるれみりゃは正に豚のようだ。 相撲のことなんてどうでもよくなった俺は早速ゆっくりゃを床に叩き付ける。 「ふぶっ」と醜い声を漏らしたあと、「ん”-------!!!ん”-----!!」とさっきより苦しそうにじたばたしている。 俺はれみりゃの足についた蹄をキッチンから包丁を取り出して切断する。 れみりゃの豚足なんて不味くて食えないだろうけどな。 「ん”あ!!!!!」と汚い声とともに 卑しくも翼を吐き出したれみりゃは「びどいよぉ”なん”でごんな”ごどずどぅの”ぉ”」 とブヒブヒ呻いてる。黙れ汚いんだよこの豚が。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/337.html
ここは、広大なゆっくり平原。 ゆっくり名所である池や、川、森、山など、ゆっくりたちが思う存分絶頂にゆっくりできる場所。 そんなゆっくり平原の辺境の森で、ゆっくり霊夢は空を飛んでいた。 もちろん自力ではない。 自力で飛べるゆっくりなど、捕食種であるゆっくりれみりゃとゆっくりふらんだけだったのだ。 ゆえにゆっくり霊夢は夢見心地だった。まさか空を飛べる日が来るだなんて。 頬が風を切って進む感覚。 ぐんぐんと流れていく景色。 徐々に、だが確実に遠くなっていく地面。 視界は広がり、遥か彼方まで見渡せる。 生まれてから死ぬまでに見ることなど、絶対に叶わない素敵な光景。 ゆっくり霊夢の小さな胸は感動でいっぱいだ。 それもこれも、みんなこの「うーぱっく」のおかげだった。 「わぁい!おそらをとんでるみたい!」 「ばかだぜれいむ!まりさたちはおそらをとんでるんだぜ!」 「うー!」 「とんでる!とんでるよ!!うわぁ~♪とりさんよりはやいや!」 「う~♪」 ゆっくり霊夢はご満悦の表情で、自分とゆっくり魔理沙を乗せて飛んでいる二匹のゆっくり種を 見ながらついさっきのことに思いを馳せた。 うーぱっく。 外見はゆっくりれみりゃを直方体にしたものだが、性質はそこまで強暴ではない。 なぜなら、出会い頭に襲撃してこなかったから。 いや、たしかに急に近づいてきたから、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙の二匹は思わず死を覚悟した。 自分たちも、今までにいた他の仲間と同じようにゆっくりれみりゃに食われるのだと思った。 だが、目を瞑り震えながら身を固めていた二匹に聞こえたのは「うーうー!」という人懐っこい声だった。 恐る恐る目を開くと目前にぱたぱたと浮遊しているそれ。 「ゆぎぃっ!」 恐怖の声をあげる二匹。 しかし覚悟した苦痛はいつまでもやってこない。 よく見るとそれは一つの動作を繰り返している。しかもにこにこ笑顔で、だ。 顎を上げるようにしているそれをゆっくり霊夢はこう解釈した。 「ゆぅ……?なぁに?の、のせてくれるの?」 「うー♪」 いかにも!と言うように返答する。 「だっ、だめだぜれいむ!あぶないぜ!それはれみりゃだぜ!!」 ゆっくり魔理沙が警告する。多少見た目が違い、少し人懐っこいからといってそれはゆっくりれみりゃに 違いないのだ。どんなに懐いていたとしても、それが猛獣だと忘れてしまったら危険な事故が起こる。 自分たちより圧倒的に強い相手には、警戒はいくらしてもしすぎると言うことは無い。 だが、ゆっくり霊夢はそれの誘いに乗った。 すでに死んだ身だという気持ちだったからだろうか? 「ゆっくりはいるよ!」 言って飛び跳ねると、ゆっくり霊夢の体はそれの頭頂部に開いている窪みに収まった。 「ゆ?ゆ、ゆ、ゆゆゆ?」 徐々に浮かび上がってくる。飛んでいるのだ。 目線が高くなる恐怖にいくらか震えていたが、ゆっくり霊夢はすぐに慣れてしまった。 それがゆっくりと静かに飛翔していることも関係しているだろう。 「まりさー!すごいよ!おそらをとんでるみたい!」 「れいむ、うらやましいんだぜ!はやくかわるんだぜ!!まりさによこすんだぜ!!」 ゆっくり魔理沙は、それに乗ってくるくると飛んでいるゆっくり霊夢を見て顔をゆがめていた。 「ねぇねぇ、れいむはいいからまりさをのせてあげて!ゆっくりおねがい!」 しかしそれはゆっくり霊夢の言うことに反応しない。ただ「うー」と鳴くだけだった。 もどかしげに身を震わせ、声を張り上げる。 「ねぇ!ゆっくりきいてるの?まりさとかわってあげてよ!ゆっくりしていってね!」 「うーうー!!」 それをかき消すかのような大きな声でそれは鳴いた。 「ゆっ!?」 するとどこからともなく同じような泣き声が聞こえてくるではないか!やがて、いくらもしないうちに もう一匹のそれが姿を現した。 「うーうー」 「うー」 「うっうー」 「うぅ~」 何らかの意思の疎通。そして後から現れたそれはすぐにゆっくり魔理沙へと降下していった。 「ゆぅ?のせてくれるのか?だぜ」 「う~♪」 「ゆゆゆぅ~~~!」 感極まったような高めの声で慌てて飛び乗るゆっくり魔理沙。 どっしりと座ったようなそのおさまり具合は、まるでそれが自分のために存在しているかのような 錯覚をゆっくり魔理沙に与えた。 素晴らしい一体感。 これを覚えてしまえばゆっくりアリスの強制すっきりなど物の数ではない。 「すごいぜ!ゆっくりとんでるんだぜぇ!!」 「まりさ!まりさぁああぁ!!」 「れいむぅううぅぅううぅぅぅ!」 二匹はランデブーするかのようにお互いの周りを旋回し、揃って空を飛ぶ幸運を堪能し始めた。 並んで飛行し、川を越え、枝を飛び越えて流れるように飛んでいく。 地面を飛び跳ねているだけでは、決して味わえない愉悦。ゆっくり霊夢たちは今、幸せの絶頂にいると 思った。自分たちはなんて幸せなんだろう!そして、この出会いに感謝したくなった。 「ゆ?そうだ!おなまえをゆっくりおしえてね!」 「うー?」 「おなまえだよ、お・な・ま・え。れいむはゆっくりれいむっていうんだよ!れいむってよんでね!」 「うー……ぱっく……」 とまどいがちに伝えるそれ。 うーぱっく。 ゆっくり霊夢はそれを聞くと目を輝かせて 「うーぱっくっていうんだね!ゆっくりしようね!うーぱっく!」 と頬を紅潮させて言った。 「まりさも!ゆっくりするぜ!ゆっくりまりさっていうんだぜ!」 二匹のうーぱっくはゆっくり霊夢たちを乗せて何処までもいつまでも飛んでいた。 木に成っている実を貪り食べていた二匹は、いつのまにか日が傾いていることに気づいた。 空は茜色に染まっていて、吹く風も冷ややかになり、鴉の鳴き声がどこか哀愁を誘う。 沈む夕日を今までに無い高みから望んで、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙は思わず涙ぐんだ。 圧倒的な情景。 空を翔る鳥たちは、いつもこんなものを見ているのか。 髪を撫でて耳を抜けて過ぎ去る風は、こんなにも冷たく、もの悲しいものだったか。 二匹に去来する思い。 それがなんなのか理解できないし、言葉にもできない。だが、ただ「そこにある」と感じることは出来た。 二匹はなんだか無性におうちに帰りたくなっていた。 「ねぇうーぱっく!ゆっくりかえりたいよ!ゆっくりかえしてね!」 「う、うー!」 うーぱっくは一声鳴くと、もと来た空を引き返し始めた。 ゆったりとしたその飛行は、余計に「帰る」ということを意識させ、二匹の心は逸っていく。 大地が近づき、森の深緑に包まれる。 木と土の匂い。慣れ親しんだそれが二匹の鼻孔をつくと、言い知れぬ安心感がにじんだ。 ゆっくり霊夢はおうちに帰ったら家族に今日のことを言って聞かせてあげようと考えていた。 うーぱっくとの出会い、初めて大地から離れたこと。 風を切って飛ぶ感覚。 大空の青。流れ往く雲の白。夕焼けの茜色。 お日様が沈んでいくと、風が寂しく聞こえること。 きっと妹たちは羨ましがるに違いない。母はそれは凄い体験だったね!とまるで我が事のように 喜んでくれるだろう。そうだ、明日は妹達も誘ってうーぱっくとも遊ぼう!ゆっくりしたいい考えだね! ゆっくり霊夢は自然と表情が緩んでいった。 「れいむ!れいむ!!」 「ゆ?」 そんな物思いに耽っていたゆっくり霊夢を、親友のゆっくり魔理沙は緊張したような声で必死に呼びかけていた。 「どうしたの、まりさ」 見ればゆっくり魔理沙はどこか緊張した面持ちで、やや汗ばんで見える。 「かおいろがわるいよ、まりさ。ぽんぽんとらぶる?」 「ちがうよぅ!まえをみるんだぜ!!」 「?」 ゆっくり魔理沙の必死の訴えに、きょろきょろと見回すゆっくり霊夢。 「ゆゆっ!?」 そこは見たことのない場所だった。 森の中でも他に類を見ないほどに木々が鬱蒼と茂っており、空のように広がっている木の葉のせいか どこか音が遠くにあるもののように聞こえてくる。 夕暮れではあるが、ここは特に暮色が濃い。夕闇の彼方から何か得体の知れないものがひっそりと 這いずり出てきてもおかしくないと思えるほどだった。 「ここどこぉおぉおお~~~っ!?」 「うー!うー!」 「ゆっくりかえしてほしんだぜ!おうちにかえすんだぜ!」 「うっう~~!」 ゆっくり霊夢たちの叫びに声を返すうーぱっく。しかしそこに意思の疎通は皆無だ。 「うー!うー~~~!!」 誰かに呼びかけるような嘶き。 するとどうだろう、周りの森林から唱和するように同じ泣き声が聞こえてくるではないか! そしてがさがさと枝葉を揺らして現れるのは五匹のゆっくりれみりゃだ。 「ひぃっ!!」 五匹は悲鳴をあげたゆっくり魔理沙を、そのにこにことした笑顔の目のままでねめつけると 二匹のうーぱっくを取り囲むようにして羽ばたき、進み始めた。 その先には洞穴があった。 そこは巣だ。 ゆっくりれみりゃの巣窟なのだ。 「うーうー!」 「ぎゃおーーーー」 わずかに漏れ出てくる泣き声が、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙を心胆寒からしめた。 二匹は恭しく運ばれる供物のような態で奥へ奥へと連れて行かれる。お互いを見詰め合うが どちらも涙目で震えていて歯の根があっていない。 うっすらと月光のような冷たく柔らかな光を皓々と発する岩々が過ぎ去り、湿った空気が まるでからみつくように流れている。しっとりとした天井の岩肌からは、時折水滴が落下しており 水の弾ける音がこだましている。 平常であれば、涼しくて水滴の音も耳に心地よいこの洞穴は、とてもゆっくり出来る場所であろうが すでにゆっくりれみりゃの巣になっており、それ以上に二匹はうーぱっくに連れられゆっくりれみりゃに 囲まれているのが現状だ。とてもゆっくりする暇などない。 唯一できることは、ゆっくりと死の覚悟をすることだけだろう。 どれほど進んだろうか?先にはまばゆく光るものがある。 巣の広間なのだろう、今までになく明るいそこにはたくさんのゆっくりれみりゃがいた。 体のないやつ、あるやつ、小さいやつ、大きいやつ、うーぱっく。 さまざまだ。 さまざまだが、それぞれが思う存分ゆっくりしていた。 ゆっくりと、していた。 左に目をやれば、そのゆっくりれみりゃはうーぱっくと五匹ほどで小さなゆっくりぱちゅりーを空中で キャッチボールのようにして遊んでいる。地面には親と思しきゆっくりぱちゅりーが声を上げて、弱い体を なんとか飛び跳ねさせているが、空中のそれらには決して届くことはない。 「むっぎゅぅ~~!むっぎゅぅうううぅぅ!!」 「……むきゅっ!……みきゅぅうぅ!!」 弄ばれている子ゆっくりぱちゅりーは生来の脆弱さもあいまって、すでに半分以上死に体だ。 投げ飛ばされ受け止められているので、ゆっくりれみりゃの牙で帽子はずたずたになり髪もぼろぼろ、 肌に至っては蒼白を通り越して蝋のように白くなっている。見れば右目が飛び出てぶら下がっている のがわかるだろう。 しかしそのゆっくりれみりゃたちは気にしない。玩具だからだ。下で必死に取り返そうと飛び跳ねている 親ゆっくりぱちゅりーが、とうとう口から紫色をしたクリーム状のものを吐き出していても相も変わらず にこにこ笑顔で放り投げ、受け止めて別のゆっくりれみりゃに放り投げていた。 右を見れば、そこには大きなゆっくり魔理沙がいた。 本当に大きい。1メートルくらいはあるだろうか。それに3匹のゆっくりれみりゃが群がっていた。 それらは胴体が生えていて、ぷにぷにとした手足もしっかりと動いていた。 「いいこえでなくんだどぉ~!」 「もっとだどぉ~~~!」 「そんなんじゃまんぞくできないんだっどぉ~♪」 一言ごとに平手や拳、蹴りを叩き込んでいる。その一撃ごとに大きなゆっくり魔理沙は 「ゆぐっふ!ぶぎゅぎゅっ!だべっ!やべでよぉおっ!やべっでゅんだぜ!!ぶめぎゃっ!?」 と声を上げていた。見れば皮は裂け、目は片方が飛び出しており、ところどころに餡子が滲み出ている。 「へたくそなんだぞぉ~」 「いぎゃっ!」 一匹が口に手を差し込み、歯をへし折ったのだ。これでゆっくり魔理沙の口の中には歯がなくなってしまった。 「まりゅしゃしゃみゃに……きょんなこちょしちぇ、ひぃ、たぢゃでしゅむとおみょうにゃ!だじぇ!!」 怒りと復讐心を湛えた燃えるような目。それに見つめられても三匹はにこにこ笑顔を崩さなかった。 むしろ、嘲笑の色が混じっていた。 「う~♪おまえのむれはもうないんだっどぉ~~」 「わすれたのか?どぅー」 「みんなみんな、れみりゃたちでくってやったんだどぉ~~~♪」 「なかなかうんまかったんだどぉ~☆」 「ほめてやるんだどぉ~~」 「ゆっ!?」 そうだ。そうだった。 大きなゆっくり魔理沙の脳裏にあの光景がよみがえる。 このゆっくり魔理沙は運が良いゆっくりだった。幼い頃、家族が獣に襲われたときもそれに跳ね飛ばされて すぐ側の茂みに転がり込んだことで一匹だけ助かった。その後、仲間と狩りをしていて二手に分かれたバッタ を追いかけたときも、相棒のゆっくり霊夢が追いかけた先には蜂の巣があって死んだのだった。 それから大きくなり、自分が支配する群れを持ったときまでその運の良さは発揮されていた。さらに言えば 体が大きくなったことで、自身を脅かすものが比較的少なくなっていたことも災いした。 脅威を、自分たちゆっくりは弱い立場であり、それを脅かすものが存在するということを、失念していたのだった。 それが致命的だった。 夜に、ゆっくりれみりゃの襲撃があったのだ。 自分を頂点に、おおよそ50匹はいた群れ。そのほとんど全てがたった3匹の、今目の前にいるゆっくり れみりゃによって屠られてしまった。群れには自分に及ばないまでもそれなりに大きなゆっくりもいたというのに、 まるで手も足も出なかった。 虐殺と蹂躙の限りを尽くした3匹は自分を含めた何匹かのゆっくりをこの場所に運び入れて、 自身の群れの餌や玩具としてゆっくり魔理沙たちを扱った。 それから続いた地獄の毎日がその恐るべき夜の記憶を薄めたのだった。 「これをみるがいいどぉ~~~」 一匹が飛び上がり、もたもたと上昇してゆっくり魔理沙の帽子をひっぺがした。 「ゆ゛っ!」 帽子を剥がされるという、今まで感じたことのない刺激に、思わず声を上げてしまう。 頭頂部は露出し、うっすらと餡子が滲み出て甘い匂いが漂い始めた。 すると、あたりのゆっくりれみりゃたちの目がこちらに向く。だが、その3匹はそれらを無視して 剥がしたものをゆっくり魔理沙の眼前で広げたのだ。 「ゆげぇえぇえぇえぇぇぇんっ!?!?」 帽子から、剥がれた髪の毛が垂れているが、問題はそれではない。 そこには苦悶の表情を浮かべたゆっくりたちの顔の皮がいくつも貼り付けられていたのだ。 どれもこれも苦痛と怨讐に満ちており、まるで見ているゆっくり魔理沙を恨みぬいているようであった。 自分は今までこんなものを頭にくっつけていたのか!? 「こっちはおまえのこどもなんだどぉ~~!さいごまでおとーさんおとーさんやかましかったんだどぉ~~~」 「これはれいむだどぉ~」 ゆっくりれみりゃは憤怒の形相で歪んでいる顔の皮を指す。 「こいつはぁ、こどもをまもろうとしてとびかかってきたから、ひっぱたいたらすぐしんだんだどぉ~」 「あれはもろかったんだどぉ~!わらえたんだどぉ~~~☆」 「こどものさけびが、すっごくたのしかったんだどぉ~☆」 「なかみがよじれてしぬかとおもったんだどぉ~~♪」 「ゆっぐっぐぐぐ!!!」 ゆっくり魔理沙は目の前に広げられた家族のデスマスクに悲しみの嗚咽を上げていた。 やがてその様子に飽きたのか、三匹のゆっくりれみりゃはそれを放り投げると、周りで様子を伺っていたほかの ゆっくりれみりゃたちに向かって 「こいつはもういらないんだどぉ~☆」 「すきにするんだどぅ~~♪」 「ちゃんととどめはさすんだどお~~~」 と言い放った。 「ゆっ!?ゆっぎゅりだずげでね!?」 「おまえはもうあきたんだどぉ~~」 「もっとおもしろいこといえ!」 「うっうー!うあうあ♪」 「いやあぁあぁあああぁぁぁ!!」 たくさんの爛々と輝く瞳。それらが一斉に大きなゆっくり魔理沙に向かって飛び掛っていった。 楽しそうな声に混じり、痛みをうったえ命乞いをする声が聞こえ、さらに大きいゆっくり魔理沙の皮を引き裂き 肉をかき混ぜ、引きちぎり、咀嚼する音によって覆い隠されてしまった。 また別のほうを見れば、そこにはうーぱっくやゆっくりれみりゃに餌をやっている胴体付きのゆっくりれみりゃがいた。 子ゆっくり霊夢を思い切り放り投げて、それを口で咥えて捕るというゲームじみたものだった。 「やめちぇぇええぇっ!!たちゅけちぇぇえぇぇえええぇぇ!」 「いじわりゅしにゃいでゅぇぇえええぇぇ!」 「おかあちゃあぁあぁあああぁぁぁん!!」 「うるさいんだっどぉ~、おかあちゃんならあれだどぅ~☆」 ゆっくりれみりゃの指差す先には、ただの肉塊があるだけだった。あたりに餡子を撒き散らし、わずかに見える リボンの赤が、それをゆっくり霊夢だと理解させるただひとつのものだった。 おそらく頬を左右に引っ張ったのだろう、顎下あたりから無残に二つに裂けている。 「おかぁちゃぁああぁああぁぁぁん!!!」 「いっぱいたべるんだどぉ~、たっくさんあるんだっどぉ~~♪」 「うー!うー!」 「うっう~~!」 「うぁー!うあー!」 何処もかしこもそんな様相だ。 これがゆっくりれみりゃの食事なのだった。 ゆっくりれみりゃにとって、ゆっくり霊夢やゆっくり魔理沙などのゆっくりは、餌であり玩具なのだった。 だから軽々しく弄び、蹂躙する。壊れてしまうなんて構いやしない。 壊れてしまえば捨てればいいのだ。 玩具はそこらじゅうにたくさんあるのだから。 「それはなんだどぅ~?」 大きなゆっくり魔理沙を虐めていたゆっくりれみりゃが一匹、うーぱっくのほうへとやってきた。 そのふわふわとした浮遊は、とても飛んでいるといえる速度ではなかったが、それでも囚われたゆっくり霊夢と ゆっくり魔理沙の二匹にとって脅威であることに変わりはなかった。 「うー!うあ~!」 「うあー♪うっうあ~♪」 うーぱっくが何を言っているかはわからない。しかしひょっとしたら自分たちは食べられないかもしれない。 ゆっくり霊夢たちはそんな淡い希望めいたものを抱いた。 「まりさをたすけてほしいんだぜ!!はやくはなすんだぜ!!」 ゆっくり魔理沙も身をよじりながら必死に訴えかけている。だがゆっくりれみりゃはそれらを無視して うーぱっくの言葉に耳を傾けている。 「ごはんをじぶんでとるなんて、えっらいんだっどぉ~~☆」 「うあ~~☆」 「どおじでぞんなごどい゙ゔの゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙ぉぉぉっ!!!」 「たべちゃだべだんだぜええぇぇっっ!!おいじくないんだぜえええええ!!!」 「う~?」 「おどもだぢっ!ぜっがぐれいぶだぢど、おどもだぢになれだどおぼっだのにぃいぃいぃぃぃっ」 「あじだはがぞぐどいっぢょにもっどゆっぎゅりじだがっだのにぃぃいいいい!!」 「なんでだばじだの?どおじで!?どおじでぇえええええぇぇぇぇっ!!??」 涙をだくだくと流しながら絶叫するゆっくり霊夢。 しかしうーぱっくは意に介さず、ただ一言 「うー!」 とだけ鳴いた。 「あっぁつぁつっ!!へんだよぉっ!!れいむぅっ!!へんなんだぜぇ!」 ゆっくり魔理沙が声を上げる。今までにない声色に、ゆっくり霊夢は嗚咽を上げながらも振り向いた。 「どうしたの、まりさ」 「なんかからだがへんなんだぜ!おかしいんだぜ!!」 ゆっくり魔理沙は、自身に襲い掛かりつつある異変に気づいた。体が崩れ始めているのだ。 「と、とけてるううぅうううぅぅぅ!!!まりざのかりゃだがどげでりゅんだじぇぇえええぇぇぇ!!!」 左右に体を暴れさせるゆっくり魔理沙。しかしその体はにちゃにちゃとした粘液が付着し、とろとろの 液状になり流れ始めていた。 これがうーぱっくの最大の特徴だ。 うーぱっくはゆっくりれみりゃの変種である。つまり捕食種なのだ。しかしうーぱっくは成長すると 経口摂食をしないようになり、このようにゆっくりを自身に乗せてじょじょに溶かしていってしまうのだ。 何故かはわからない。 しかし自然界にも似たような生き物が存在するのだから、それほど不思議なことでもなかった。 「うわあああぁあぁああぁぁっっ!!まりゅいざをだじゅげでぇええぇぇっ!!おねがいいぃい!!」 「うー?」 「ああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」 よくわからないと言うように唸るうーぱっくに、ゆっくり魔理沙の絶叫は続く。 「まりざああああぁぁぁっ!!ま゛ぁり゛ざあああああぁぁぁぁっ!!!!」 さらにゆっくり霊夢の絶叫も重なる。思わず聞きほれたくなるほど甘美なる合唱。 そこにゆっくりれみりゃが声をかけた。 「すのばしょをいえばたすけてやるんだどぅ~」 「ゆっ!?」 「さっきかぞくっていったんだど~~~♪」 「えらぶんだどぉ~~~★」 「いっ、いやだよ!!かぞくはだいじだもん!」 「どっちでもいいんだっどぅ~~☆」 いつのまにか、うーぱっくの周りにはあの三匹のゆっくりれみりゃが集まっていた。 「おねぇしゃんおしょいね?」 ちっちゃなゆっくり霊夢は巣の中で不安そうに母ゆっくり霊夢に話しかけた。 「だいじょうぶだよ!まりさといっしょだったし、きっとまりさのすでゆっくりしてるんだよ!」 「ゆっ!きっとしょうだにぇ!うりゃやましいよ!」 母ゆっくり霊夢の言うことを素直に聞き、よそのおうちにお泊りをする姉を羨ましがる妹。 よくある家族像だった。 このゆっくり霊夢の家族は母ゆっくり霊夢に、ゆっくり霊夢、妹ゆっくり霊夢の三匹だった。 出産環境が劣悪だったせいか、母体になったつがいのゆっくり霊夢から生えた蔦には未熟な実がいくつか 成ったが、しっかりと生れ落ちたのは二匹だけだったのだ。それでも片方は未熟児だったが。 しかし朽ちたゆっくり霊夢の黒ずんだ死骸は二匹の子の最初の栄養となり、その血肉のなかに脈打っている。 母ゆっくり霊夢は、つがいのゆっくり霊夢の、文字通り化身とも言える二匹の姉妹をとてもゆっくりと大事に 育て上げていた。ゆっくり霊夢は健康そのもので、すくすくと育ち元気に野原を駆け巡り、今では母と一緒に 十分な餌をとれるほどになった。 もしかすると巣を出るなどと言い出すかもしれないが、それもまたひとつの生き方だ。そのときは祝福して しっかりと送り出してやろうと、母ゆっくり霊夢は考えていた。 思えば自分も若い頃は親の庇護から飛び出し、この平原で将来つがいになるゆっくり霊夢と出会ったのだ。 愛し子であるゆっくり霊夢にゆっくりした未来がありますように。 そうして母ゆっくり霊夢は、もうひとつの愛し子、目の前でゆぅゆぅとしている妹ゆっくり霊夢を見る。 生まれたのはゆっくり霊夢と一緒だったが、こちらは未熟児ゆえに発育が悪いのだ。もうしばらくゆっくりと 母ゆっくり霊夢が育てる必要があった。 外は夜の帳も落ち、そろそろゆっくり眠る時間だ。妹ゆっくり霊夢を巣穴の入り口から守るように身を寄せる。 お互い肌をすり合わせて、眠気を誘う心地よい震えが全身をゆっくりと包み始めた。 「ゆぅ~~、ゆぅぅ~~~」 妹ゆっくり霊夢はすでに半分眠っていた。母ゆっくり霊夢はそのゆっくりとした様子を微笑みながら優しい眼差し で見つめ続けて、体を揺らしていた。 やがて母ゆっくり霊夢にも眠気がやってきた頃に、それは来た。 「う~、おまえのすのばしょはまりさがはいたんだどぅ~♪」 「!?」 ゆっくり霊夢はじめじめとした狭い場所に押し込められていた。ここはゆっくりれみりゃの食料庫で 岩肌にあいた穴にそれぞれさまざまなゆっくりたちが無理やり押し込められていた。 ゆっくり霊夢、ゆっくり魔理沙、ゆっくりぱちゅりー、ゆっくりさくや、ゆっくりめーりん。他にも ゆっくりみょんや、ゆっくりちぇんと、種類も大きさもまちまちなゆっくりたちが穴に納まっている。 特筆すべきは、そのどれもが生きているということ。 ゆっくりれみりゃは、食事と遊戯を一緒に行う傾向があるのだ。さんざん弄び、傷つけ、恐怖を植えつけ、 自身の暴力を味わわせた後に、ゆっくりとそれらを食す。 餌を壊す感触と、耳を振るわせる悲鳴と嗚咽、傷つく皮とそこから噴出す餡子が目を楽しませ、ゆっくり れみりゃの食事をより一層味わい深いものにするのだった。 「ど、どおいうごどぉおおおおぉぉぉっ!!!」 「たすけてやるかわりにいわせたんだっどぉ~~」 このゆっくり霊夢はうーぱっくに食べられる運命にあった。 だがしかし、絶叫と共に飛び出た「家族」という言葉がそれを変えた。ゆっくりれみりゃがその家族ごと 食べてやろうと考えたのだ。 しかし一向に巣の場所を言おうとしないので、この場所に安置しておいたのだ。 「あのまりさはとけるより、おまえをうるほうをえらんだっどぅ~~~♪」 「ゆぅううぅぅ」 「ばかなやづだっどぉぉお☆」 「ゆあぁあぁあぁああぁぁぁっ!!!」 「いまごろまりさはかぞくとゆっくりしてるんだどぉ~~」 「ゆぎゅううううう」 「おまえはかぞくとここでくわれるんだど~~~☆」 「ゆぐぁああぁああぁあ!!まりざあああぁああああああ!!!」 「かぞくがそろったら、いっしょにくってやるんだどぅ~~♪」 そう言うと、ゆっくりれみりゃは近くの窪みにはまっているゆっくりみょんを掴み取った。 「ち、ちんぽ~~~」 「こうやってくってやるんだど~~」 「きょせいっ!?」 そのままがぶりとやった。ゆっくりみょんは白眼を剥いて痙攣している。それを二口で食べてしまった。 「ああ、あああ、あああああ!!!」 「おもしろいかおなんだどぅ~!ゆかいだどぉ~~~♪うっう~、うあ♪うあぁ♪」 やがて、家族がそろったのかゆっくり霊夢はゆっくりれみりゃに引き摺られてあの広間へと来ていた。 「ゆっくりはなしてね!」 「ゆっきゅりはなちちぇにぇ!!」 そこには案の定、ゆっくり霊夢の家族がいた。 羽ばたいているゆっくりれみりゃに咥えられていて、うかつに暴れようものなら地面へと落下してしまう。 二匹には抵抗のしようがなかった。 だがそれだけではなかった。 その場所には他にもゆっくり魔理沙の家族もいたのだ。 「ゆっくりおろしてほしいんだぜ!まりさはおいしくないんだぜ!!!」 「ゆっきゅりおろしゅんだじぇ!」 「ゆぅううぅぅっ!?どうじでなんだぜ!?どおじでまりさのすをおしえたんだぜ!れいむううぅぅぅぅっ!」 その叫びはゆっくり霊夢のお友達のゆっくり魔理沙のものだ。 「まりさがさいしょにうらぎったんでしょ!!れいむはしってるんだよ!れいむのすをおしえたって!!!」 ゆっくり魔理沙の言葉に、怒りをあらわにしてゆっくり霊夢は声を荒げた。 「まりさなんかとけちゃえばよかったんだよ!!どおじでれいむのすをしゃべったの!?」 「し、しらないんだぜ!まりさはなにもいってないんだぜ!!」 「じゃぁどおじでれいむのかぞくがこんなどごろにいるのおぉぉおっ!!!」 「れいむがまりざのずをしゃべるからだぜえええぇええぅ!!!」 ゆっくり霊夢の追求に、ゆっくり魔理沙の絶叫が重なる。 「ぞんなのまでぃざがれいびゅのじゅをじゃべるがらでじょおおおおおお!!じがえじだよっ!!」 「だからじららいっでいっでるんだぜえええええっ!!!ひどいんだぜぇぇ!!」 泣きながら言い争う二匹を、周りのゆっくりれみりゃたちはにやにやと笑いながら眺めていた。 ゆっくりれみりゃはこの二匹をはめたのだった。 お互いがお互いを裏切ったと思い、復讐に お互いの巣の位置を喋ったのは、ゆっくりれみりゃたちにとって愉快の種だった。 「じゃぁどおじでれいびゅのかじょくがごごにいりゅのぉおおっ!?」 「れみりゃが、れいみゅがまでぃじゃのじゅのばじょをいっだっでいっだんだぜ!!」 「まりしゃがれいびゅのしゅをおしえたっでぎいだよぉお!!」 「うーうー!」 そんな言い争う二匹をよそに、うーぱっくがゆっくりれみりゃになにかをうったえた。 「う~!そろそろでなーだどー!」 「うーうー!うあうあ~~~♪」 「うーぱっくはれいむとまりさをたべるといいどぉ~」 「れみりゃはちっちゃいまりさをいただくんだっどーー☆」 「じゃぁれみりゃはおっきなれいむをたべちゃうぞ~~~♪」 「やめちぇね!おいちくないちょ!!やめてっていっちぇるにょにぃ!!」 「こっちはおいちくないいだじぇ!まりしゃはどくなんだじぇ!!ちんじゃうんだじぇ!!」 「やべでええぇえぇっ!!そのこがなにじだっていうのぉおおぉぉっぉっ!!」 妹ゆっくり霊夢はゆっくりれみりゃに握り締められて、中身を漏らした。ゆっくりれみりゃはそこから ゆっくりと中身を吸い上げていく。じゅるじゅると音を立てて萎んでいく妹ゆっくり霊夢。 中身と一緒に元気を吸い取られているようだった。 母ゆっくり霊夢は叩かれ殴られ、千切られて止むことのない悲鳴をあげ続けて食われた。少しでも声を 上げることをやめると苦痛を与えられるのだ、最期には口の下あたりが自然と裂けていた。 ゆっくり魔理沙の家族たちも体中を弄ばれて、痛めつけられながら食べられている。 「れいむのばがああぁぁぁつ!!おまえがうーぱっくなんがにのるがら゛っ!!」 「ぶぎゃっ!までぃざだってのっだでっじょっ!?!?」 うーぱっくに乗せられてもなお、罵声を浴びせあっている二匹。 その体はぐずぐずに蕩けていてもう満足に動くことは出来やしない。 もはや眼と口を動かしてその意識を失うまで緩慢な痛みに身を委ねるしかない状態になってしまった。 二匹にとって幸いなのは、傷みがほとんどないことだろう。 きっといつ自分が死んだのかもわからないほどゆっくりと食べられるに違いなかった。 ここは、広大なゆっくり平原。 森に行けば優しい風が木々を揺らし、耳ざわりの良い音楽を葉が奏でるゆっくり名所のひとつだ。 そんな心地よい音に混じって声が聞こえてくる。 どこか畏れを含んだような、何かを知りたがっているような、そんな声。 「うー♪」 「ゆゆ?……乗せて、くれりゅの?」 「うぅ~~♪」 「ふわっ!しゅごいしゅご~~~い!!おしょりゃをとんでゅぇりゅにょぉおおお~~♪」 終わり。 後半失速してしまった。 狩りの時、うーぱっくは体付きのゆっくりゃを乗せて自由に空を駆けます。 ガンダムのドダイやゲターみたいな感じなのですw 飛行速度:ゆっくりふらん≧ゆっくりれみりゃ>うーぱっく>ゆっくりれみりゃ(体つき) 著:Hey!胡乱 このSSに感想を付ける