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血を噴出して崩れる男を前にして、知恵はじっと佇んでいる。その手に血塗れのナイフを握りしめ、まるで凶行の余韻を楽しむかのように、かすかに震えている。 はぁっ、と恍惚の吐息を漏らす彼女は、今しがた自らの取った凶行を思い起こして凄惨な笑みを浮かべるのだった。 時は数刻ほど前に遡る……。 「こんにちはぁ……北条さん、いらっしゃいませんか……!」 「なんじゃいね、おどれは。やかましか、とっとと失せぇ!!」 豪邸とは言えないまでも、そこそこの大きさをもった古風な造りの家の玄関で押し問答をする影が二つ。その片方は、雛見沢分校の教師である知恵留美子と、もう片方はつい最近雛見沢へ帰ってきたという、北条沙都子の親権者を名乗る北条鉄平。 知恵がこの日、北条家自宅に訪問していたのは、大事な生徒である沙都子が、この鉄平に虐待を受けているという情報を確かめるため、北条家へ向かった。 確かめるといっても知恵も実際のところは、鉄平の帰宅と時を同じくして沙都子は不登校気味になったし、特に親しい友人たちが、沙都子を救うために鉄平を殺害するなどと物騒な事を騒ぎ立てていたぐらいだから、間違いないであろうという予測は十分にたてていた。 しかし、日本は法治国家である。確たる証拠なしに闇雲な訴えを起こすわけには行かないのだ……そういう信念の元に、知恵は勇気を持って北条家へと向かった……はずだった。 しかし。 目の前に出てきた男、北条鉄平は、知恵の想像を超えて嫌な印象を与えてきた。それどころか、彼女がこの世で最も嫌悪する条件をいくつも兼ね備えているような人物であった。 知恵は、その姿を見て震えた……それは、柄の悪い男に大声でまくし立てられる事に対する恐怖からではなく、彼女の価値観ではとても認める事のできない、醜悪な物体に対する憎悪の念が起こす震えである。 知恵は鉄平と相対するまでは、一個の良識ある大人として、そして生徒を導くべき教師としての使命感から、あくまで法治国家である日本の憲法と法律のルールに乗っ取って、この問題を解決するつもりでいた。 だが、鉄平と一つ言葉を交わすごとに、ぷつり、ぷつり、と張り詰めていた良識の袋を締める緒が千切れていく。 そもそも、沙都子の問題は雛見沢分校赴任当初からの課題だった。どうも沙都子は鉄平に限らず実の母親も含めて親類と徹底的にソリが合わないかったらしく、常に知恵を悩ませてきた最も大きな問題だったのだ。 それでも沙都子は唯一慕った兄の失踪をきっかけに、人としての回復と成長を迎えていたはずだった。 だから、時が和らげてくれた傷を、今更に蒸し返してくれた存在……つまり鉄平には、圭一たちよりも遥かに恨みの感情を持っていたのだ。 知恵はあくまで、良識ある大人として感情的な振る舞いしまいとしていただけで、もし自制心がなければ真っ先に自身で鉄平を殺害しに行っていただろう。 だが、鉄平と一つ言葉を交わすごとに、ぷつり、ぷつり、とその良識の袋を締める緒が千切れていく……。それでも知恵は良識を止めようと抵抗を試みる。 「私、雛見沢分校教論の知恵と申します……沙都子さんはいらっしゃいますか。今日、彼女が学校をお休みしましたけれど、連絡がなかったもので何かあったのかと思いお伺いさせていただきました。プリントとかをお渡ししたいので、少しだけ、お話をさせていただけませんか?」 「あぁん、ガッコのセンセぇ……?」 いかにも、気に食わないといった風に語尾を上げて威嚇するような声を出す鉄平。知恵は食い下がるが、その反抗に激昂した鉄平は口汚い罵りを次々と知恵に浴びせていく。 「すったらん……沙都子のやつは風邪で熱ぅ出しとるん! それくらい知っとけアホが!」 (嘘だ) 「……うんうん唸っとるんね! それを会わせられるかいボケ!」 (なら、朝に連絡を入れればいいでしょう) 「それにわしは忙しいんよ、木っ端役人の相手しとる暇はないんね!」 (忙しい? 仕事もロクにできない男のくせに) 「ったく、こんダラズが! つまらん事に手間ぁかけさせよって……!」 (つまらない、ですって?) 「おぉ! ぼさっとしてぇ聞いとんのかぁ、おぁぁ!?」 (…………) そして鉄平の口から再びダラズの言葉が飛び出た時、最後の緒がプツン、と途切れる音が聞こえた気がした。それまで押し止めていた良識はざらざらと溢れ出、代わりに悪意が彼女の意識を支配していく。 知恵は連日の沙都子の問題で緊張状態に陥っていた精神が、逆に異様なまでにおだやかなものへと転じていくのを感じながら、しかし、ふつふつと黒い欲望の火が爆ぜていく感覚を覚える。 殺してしまえ、それが一番の望みだろう? と、悪意がささやく。 普段の知恵なら何を恐ろしい事を、と一蹴するはず思考が、今は不思議と心地がよい……それどころか、汚いごみを掃除するのと同じように、鉄平というごみを血みどろにしてゆく想像上の自分がとても魅力的に見える。 (ああ、そうか。簡単な事……コレは人間じゃない……。そうだ、そうだ。北条家というのは、ごみ扱いだったじゃないか……村人だけじゃなくて、私の理想も邪魔してくれる、粗大ごみ。 ……何を今まで遠慮していのだろう。ごみなんだから、どのようにしても構わない。目障りなら、殺してしまうのが良い) 歪む思考が知恵の精神を掌握する。とどまっていた良識は全て押し流され、それを抱えていた部分すらも総動員して鉄平を殺害するための手段が計算されて、次々と浮かんでは消えていく。 だが、どうやっても体力で勝る男を力ずくで殺すには無理がある……油断を誘わないとならない。なぜか、いらいらして妙な痒みが走る首筋を掻き毟ると、ふと一つのアイデアが頭に浮かびあがる。 (そうだ、このスケベそうな男なら) 色仕掛けがいい。電球がついたという表現が一番合うであろう、彼女のひらめきだった。 それは間違いない選択といえた。基本的に男は色魔であり美しい女の誘惑には弱いものだ。そして幸い、というべきかどうかは解らないが、知恵は容姿については自信があった。 うまく迫れば、この程度の男なら簡単に落ちてくれるだろう……気があるそぶりを見せて、寝技でも使えば隙が生まれるはずだ、と彼女は企む。 そうと決まれば話は早い……知恵は瞳の奥に黒い火を宿すと、わずかに頭を下げて表情を作って、再び鉄平の視線へと顔をさらす。それでも他人の心の機敏など髪の毛一本ほどにも介さない、この男にはまったく感づかれなかったようだ。 知恵は純白のワンピースのネックに手を掛けて、ぐいっとずり下げると、あいも変わらずわめき散らす鉄平に向かって、 「もちろん……タダで上がらせろ、なんて言いませんよ」 と、豊かな胸の谷間を見せて鉄平ににじり寄る。 「わからんダラズやなぁ……! ん……ほ、ほぉぉ?」 するとやはり、下半身と脳が直結している様な男なのだろう。色のある仕草を見せた途端、その態度が豹変する。知恵はしてやったりとばかりに微笑むと鉄平に、どうですか? と問う。 「ん……まぁ、センセがそこまで言うんなら、しゃあないわなぁ……せやけど、実は沙都子の奴は今、いないんね。買いも……ちゃう、診療所や。さっき診療所へ連れてったん。藪医者めが時間かかる抜かしよってん、一回帰ってきたんね」 さきほどまであんなに拒絶していたくせに、若いオンナを家にあげるなら悪くないとばかりに、見え見えどころか先ほどの証言と矛盾している嘘をつらつらと並べ立てる鉄平を見て知恵は、なおさらにこの男は消すべきだ、と黒い火をまた燃え上がらせる。 しかしここで感情的になってはならない。目的は一刻も早く鉄平をこの世から消し去る事なのだから。ゆえに彼女はそんな事を考える表情などは一切現さず、それどころか微笑すら浮かべて鉄平に擦り寄っていくと、その論調に合わせてしらっと言いはなつ。 「そうですか……お迎えにいくまで、中で待たせてもらってもよろしいでしょうか?」 勘の良い……いや、勘が良くなくとも常識的な人間なら、知恵の言う事に矛盾を感じるはずだろう。沙都子に用事があるなら、直接診療所へ出向けば良い話なのだから。 だが、知恵に擦り寄られて鼻の下を伸ばしている鉄平は、そんな破綻した論理すらも欲望を満たしたいがため、自分の有利な様に解釈していく。 「おぉおぉ、わしも今帰ったばかりなんね、まぁだ時間もかかりよるわなぁ……そいで良ければ待っとれ」 「では、お言葉に甘えて……」 にやにやとしている鉄平を連れ立って、知恵は北条家へと足を踏み入れた。広い家ではあるが、どうやら沙都子が居ないのは事実の様だった……といっても、診療所へ連れて行ったというのは嘘だろう。さきほど言いかけた通り、幼い彼女を使い走りにしているに違いなかった。 そして鉄平に誘われて居間へ案内される間、知恵は後の展開をだいたい、あらすじ立てていた。内容としては、こうだ。 鉄平の目的は、あわよくばうまい事して知恵の肢体を貪ってやろう、という事に違いない。そうであるなら、こちらがその企みに乗じてやればいい……とはいえ、あまりに明け透けでは、さしもの鉄平にも怪しまれる恐れがある。 そこでまずは、適当に沙都子の事を気にかけるふりをして、会話を成り立たせていく……そうこうしている内に、会話のベクトルを自分の方に向けさせて旦那なり、彼氏なりと死別したとか、失恋したとかで傷心している最中だと伝えるのだ。 もちろんハッタリに過ぎないが、そう言う事で鉄平の「あわよくば」という目論見を加速させてやるのだ。雛見沢唯一の教師として、それなりに名前が知られてしまっているので、旦那よりは彼氏の方が信憑性があっていいだろう。 ここまで行ったら後は、実は男日照りしている……とでも言えば、獣欲を最大に刺激できるはずだった。まるで四流、五流のピンク映画じみたお粗末な筋立てだが、この男相手のお膳立てとしては、それでも十分だ。話が佳境に入る頃には沙都子の事などはすっかり忘れて、自分に掛かりきりになっているはずだ。 しかし後はこちらも多少の損害を被らねばならない。この醜悪な生き物と同じ空間にいるだけでも吐き気がするのに、それに抱かれようとするのは相当に勇気のいる事だった……しかし、そうすれば最大の油断を生み出す事ができる。どんな生き物も情事の最中ほど無防備になる時間は無いのだから。 そして、頃合を見計らって…… 殺す。 「んっんんっんぅっ……」 汚く散らかされた居間に、これまた掃除もせずに敷かれたままの布団の上で知恵は産まれたままの姿となり、同じく裸一貫になった鉄平の上に乗った形で、そのやや肥えた体に赤い舌をつつつ、と走らせる。下腹部から胸にかけて丁寧に舐め回しながら、空いた手は大きく反り返ったペニスの根元にぶら下がる睾丸をやわやわと揉みしだいていた。 対する鉄平はあまり経験豊富では無い知恵の初々しさが新鮮なのか、女教師と寝るというシチュエーションに燃えるのか、はたまたその両方か……ともかく女を抱く事だけは慣れきった彼にしては、いつになく興奮した様子だった。 結局、鉄平は知恵の怪しげな誘いにまんまと乗ってくれた。ちょっと頬を紅潮させて、しな垂れかかってやっただけで、もうその気なのだ。知恵はなるほど、男を手玉に取りたがる女の気持ちも解らなくもないな、と思ったが、相手が鉄平ではその楽しみも激減だ。 そして切なげな目で鉄平を見つめるふりをしながら、さきほど目をつけておいた凶器になりそうな物をちらりと見やる。 (果物ナイフ……か。ふ、ふ、ふ……) 恐らくは、リンゴでも沙都子に剥かせたのだろう、赤い皮がそこかしこに散らばっていた。 ともかくは、殺傷能力に秀でた凶器が手の届く範囲に置いてあったわけだ。まさしくおあつらえ向きだと言える。後は、なんとかして鉄平の油断を誘って、これで首を掻き切ってやればいいだけだ。 (それまでは、かりそめの馴れ合いを演じるのも悪くはないわ) 知恵は心でほくそ笑むと、改めて鉄平に媚びを売るかのような表情を浮かべて甘い声をあげる。 「んんぅ……鉄平さん、逞しいんですね。特に、ココとかぁ」 「おおぅ。わしのソレに満足せん女はおらんねぇ。えっへっへ……」 「私も、満足させてくださるのかしら。ふふふ……サービスしますね」 ちゅぷっと舌を放して上体を反らすと、そのまま鉄平の下半身へと頭をスライドさせる。すると目の前に、確かに逞しいといえるペニスが激しい自己主張をしながら知恵を挑発していた。洗っていないのか、異様な臭いが鼻につく。 知恵は、これをナイフで切断したらどうなるだろう……とおぞましい妄想をしながら生ぬるい息を吐きかけて、亀頭をぬちゃぬちゃとねぶりまわすと適当に、唾液に塗れたところで口を大きく開いて、いきり立つペニスを飲み込んでいく。 「うぅん……あむ、むむ、むう」 「うぉ……おぉぅ……せ、センセ、清純そうな顔して激しいねぇ……前の彼氏にもこんな事しとったんね?」 ムードもへったくれもない鉄平の言葉に、知恵は内心で毒づきながらストロークを加速させる。そもそも鉄平が雛見沢にやってきたということは、噂の愛人に捨てられでもしたのだろう。それならどうせ、溜まっているのだろうから、さっさと一発出させて大人しくさせてやろう、と目論む。 案の定、鉄平は知恵が少し激しく愛してやると、あっけなく精をその口の中へ放った。断りなしにいきなりだったので、少しむせたが吐き出さずに全て飲み込んでやる。 (どうせあと少しで消える命だから、せめてもの情けにくだらない征服欲を満たしてあげる。ふふふ……) 鉄平も若くはないので、さすがに一発放った直後に再び襲いかかってくる様な事はなかった。こうなれば、若い知恵の方にイニシアチブがあった。鉄平を休ませるつもりもない彼女は、今度はその大きな乳房で萎えた鉄平のペニスを挟み込むと、無理やり奮い立たせようと擦り上げる。 「まだ休むには早いですよ……ほぉら、勃たせてください。私、もう濡れちゃってるんですからぁ……」 にゅるにゅると胸を臭い液まみれにして、鉄平のペニスをマッサージし続ける。それは効を成して、誘惑の言葉と共に若い肌で優しく愛撫されるたびに、ペニスは硬度を取り戻していく。胸の中で再び熱をもっていくのを確認すると、知恵はわざといやらしい笑みを浮かべて鉄平に口付けするとペニスを数度しごくと、 「素敵……ふふ、もう我慢できません。入れさせてもらいますね」 と、赤くした顔で言いながら腰をペニスの上に持ってくると、ゆっくりと高度を下げていく……。やがて、知恵の秘裂にあてがわれたペニスが、ずぶりとその中へと飲み込まれていった。 先ほどまでの威勢はどこへやら、鉄平はうぅ、と呻くと与えられる快楽に身を任せて腰を振り始める。それに気をよくした知恵は、鉄平の上で激しく上下しながら言葉で彼を責めていく。 「うふうふ、意外に可愛いんですね鉄平さん」 「こ、こんダラズが……ガキでないんじゃ、猿みたいにすりゃええってもんじゃ、ないんね」 「私、鉄平さんみたいに経験豊富じゃ無いんです。全部吸い取とるまで、止めませんよ……ふふふ」 「かーっ……しばらく来ない内に、とんだ淫乱教師がおったもんね」 「うふふふふ……」 部屋にまとわりつく六月らしい湿気った空気をさらにじめじめとさせて、知恵は組み敷いた鉄平を思うがままに貪っていく。 知恵は鉄平という、ろくでなしのごみを弄ぶ感覚が楽しくて仕方が無かった……こんなに浅ましい欲望が自身の内に潜んでいたのか、と驚きながらも、後に待つ血の祭りに胸を高鳴らせ、あられもない声をあげてよがり狂う。 「あんっ、あひっ、ひいっ、うぅっ」 「くっウウ……センセ、ちょい待っ」 「ンンっ……! うふうふふ……だぁめ。止めてあげないあげません。さぁ出しなさい、欲にまみれた汚い液をいっぱい……」 「だ、だめじゃ……うぐっ、出る」 何かに憑かれたかのように、ひたすら腰を振りたくる知恵に、いよいよ根を上げ始めた鉄平が二回目の射精感を覚える。さすがに子供はまずいと思って知恵を除けようとするが、しかし彼女の細い体からは想像もできない怪力で押さえつけられてしまう。その間もなお知恵は尻を何度も鉄平に押し付けて、彼の体液を貪ろうとする。 この時、知恵の脳裏には恐ろしい想像が映写されていた。 (この男の子供を引裂いてやるのも面白い) そんな知恵の黒い欲望などつゆ知らず、ついに堪え切れなくなった鉄平は知恵の中に勢い良く子種を噴出し始めた。知恵は熱いモノが下腹部に流れ込んでくるのを感じて、大嫌いな汚物にまみれる妙なおぞましさから来る恍惚感を味わいながら絶頂を迎える。 「あ、あぁ、あぅぅぅぅっ……!」 そして知恵はびくんと震えて鉄平の上で仰け反ると、そのままの姿勢でわずかの硬直の後、鉄平の胸へと倒れ伏せる。はぁはぁと荒い息をして獣の様な結合の余韻に浸る……。 だが、意識をやってしまっている訳ではない。この後に、最高のメインディッシュが待っているのだから……知恵は同じように荒く息をしている鉄平の首に左腕を絡ませて、ひそかに頭を動かせない様にすると、さっと残った腕を翻して、目をつけておいた果物ナイフを手に取る。 その間も鉄平が目を逸らさない様に、妖しく微笑みながらキスをねだると、激しく舌を絡ませてその意識をかく乱する。鉄平は自分に危機が迫っている事など、一辺のかけらほどにも想像していないことだろう。 知恵はそして、音も無しにナイフを鉄平の首筋へと近づけていく……。そしてちゅぷんと唇を離すと、別れの言葉を口にする。 「ンっ……うふ、とっても……気持ちよかったですよ」 「そ、そうじゃろう……」 「えぇ…………ゴミにしては」 その呟きと共に、右腕がぐわっと動いてナイフが鉄平の首へと突き刺さった。 突然の知恵の豹変に何が起こったのかも解らずに、遅れて走る首への激痛に鉄平は鶏をシメたかの様な、奇怪な絶叫をあげて暴れようとするが、知恵は落ち着いて刺さったナイフをそのままぐるりとねじ回すと、力ずくで真横に引裂いていく。 手の平に硬い肉を調理する時の様な、ぐりぐりとした感触がはしる。 鉄平の絶叫は、すぐに動脈が切断された喉からごぼごぼと吐き出される真っ赤な血へと変わり、布団の上を鮮血に染めていく。むわっと吐き気を催す鉄分の悪臭が辺りに広がり、知恵もまたその返り血を裸身に浴びるが、それでも臆すること無く念入りに首を切断していく……。 「ひゅひゅ、ひゅひひ、ひひ……」 知恵はしかし、やはり大量の血を浴びて錯乱したのか、空気が漏れる音のような、奇妙な笑い方をする。もしもその表情を普段の知恵を知る他人が見れば悪鬼の様なそれに恐れおののいた事だろう。 血走った眼つきでナイフをかき回す。結局、血と油に邪魔をされてナイフが完全に首を切断するまではいかなかったが、彼女の満足のいくまで首の肉が裂かれていく頃には、鉄平は痙攣するだけの肉塊と化していた。 ひとしきり首を切り開くと、知恵は鉄平の死亡を確認する。そして、生暖かい血でぬるぬるになった手で、先ほどからずうっと痒みの走る自身の首筋を掻きながら、おもむろに立ち上がって鉄平の骸を見下ろす。すると、 「これも、もう要りませんね」 そういって、足で先ほどまで自分を貫いていた鉄平のペニスを踏み下ろしてしまう。ペニスが破裂して潰れる、ぐちゃりとした嫌な感触を確かめると満足げに頷いて、数歩引き下がった。 血を噴出して崩れる鉄平を前にして、知恵はじっと佇んでいる。その手に血塗れのナイフを握りしめ、まるで凶行の余韻を楽しむかのように、かすかに震えている。 はぁっ、と恍惚の吐息を漏らす彼女は、今しがた自らの取った凶行を思い起こして凄惨な笑みを浮かべるのだった。 しかし…… その後ろから、がしゃがしゃと騒々しい音が知恵の耳に入った。はっと振り向いた先には、 「ぃぃぃ……ひぃぃぃい……!!」 「あぁら、北条さん……」 いつの間にか、腰を抜かしたのかその場にへたり込んで動けない沙都子が居た。見れば、左右に大きなスーパーのビニール袋から、様々な商品がぶちまけられていた。先ほどの音の正体は、これだろう。 恐怖に失禁している沙都子を見つめる知恵の思考がぐるぐると渦巻く。 (鉄平は殺したけど、この子は殺していない。この子は北条さんで、北条さんは鉄平。北条さんは村の仇で、ごみみたいなもの。だから殺しちゃって構わないし、むしろ殺してしまうべきなのに、そういえばまだこの子は生きている……何故? だめだ、早く殺してしまわなければ。早く。早く。早く……) すでに思考回路の論理がおかしくなっている知恵が、殺害の現場を見られた事よりも新たな標的を見つけた事に気が猛り、そのまま猛禽類の様な目で沙都子を捕らえて、しかし口だけは笑ったまま彼女へ近づいていく。 沙都子が恐怖のあまりに泣き叫ぶが、知恵は無言でその細い首にゆっくりと血塗れの手をかけていった……。 END
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羽入(はにゅう) 色々な話が出ている。 すいませんが真実は管理者も知りません。 オヤシロ様、梨花の親、梨花の先祖などなど色々な逸話が出ている。 嫌いな食べ物はキムチとワインで、 その二つが好きな梨花に飲まれ喰われ気持ち悪くなることも少々。 口癖は「あぅあぅ」。 祭囃し編では見事実体化。 圭一たち部活メンバーと共に暮らしている。
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頭の中が真っ白だった。 考えられるのは、あの指に首を絞め上げられること。 口は顔の飾りになる。水から揚げられた魚のようにあがいて意識が途絶えるのを待つ。 そうすれば楽になれる。 だけど彼女がそれを許してくれなかった。 ギイ、と叫び声をあげて扉が開いた途端、胸が詰まる。 いくら息をしても気管に穴が空いているのか漏れ出し、運良く通り抜けても石になってしまった。肺には届かない。 頭痛が、悪寒が、目眩がした。 なにもこれは今日に限ったことじゃなかった。毎日毎日同じように私を苛んだ。 靴を鳴らす音が止む。 膝にうずめた顔を上げたくなかった。 薄暗い牢内で表情がはっきりしなくても、据わった瞳に射貫かれていることはわかった。 視線が体中を這いずり回って、まるで針先で撫でられているようだった。 影が覆い被さり、それから逃れたくて後ずさりしたけれど、背中はすでに岩壁。 剥き出しの肌に浅い傷ができた。 痛みに呻く気力はない。 やっとの思いで私は固く目をつぶった。 このまま瞼が縫いつけられればいいと思った。 なにも見たくなかった。 世界から遮断されることを望んだ。 でもそれは許されないから、私は弱いから、視界に彼女を受け入れる。 目と鼻の先に白無垢の──ああ、もう白なんかじゃない。 赤だ。 赤でほとんど塗り潰されている。 足が折れたように彼女は膝をついた。 布が擦れてぬちゃっと音がする。 しばらくしても水音は消えなかった。ボタボタとずっと続いている。 それは彼女からするようだった。 指先から滴るだけじゃない。腕から足から首からも落ちていく。 色々なところからこぼれていてどこなのかわからない。 手には冷たい光を放つものがあった。 肉厚ナイフ。これも塗り潰されている。 「ここにもいたんだね、『魅音』」 怖いとか悲しいとかいう感情はなかった。 ついにその日がきたんだと実感するだけ。 ただただ私の頭は働いている。 彼女が泣いてることしかわからなかった。 だから抱きしめた。 冷たさが刺さっても、ドロドロとした熱が広がっても抱きしめた。 ……もう、いいよね。私、がんばったよ。 …おねえ…ちゃん…………
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私は誰よりも美しい。 今日、私は学校を休んだ。 別に具合が悪かったわけではない。 両親が仕事で東京に行っているのをいいことに、そのままズル休みをしたのだ。 学校には風邪だと連絡した。 電話口でちょっと咳でもしたら、あの人の良い先生はコロっと騙されてくれた。 とても美人で生徒達にも尊敬されている教師、知恵留美子……。 だが所詮彼女も女としては甘いということだ。 私の嘘にあっさりと騙されるあたり、やはり浅はかだと言うほかあるまい。 まあもっとも顔だけ見れば、この雛見沢の中でも数少ない美人に入る部類だとは思うが……。 私だってあのくらいの年になればもっともっと美しくなっているはず。 別に驚嘆すべきほどでもない。 むしろ若さを兼ね備えている分、遥かに私の方が「上」なのだ。 美人教師などものの数ではない。 ……そう。 たとえ「本物」ではなくとも、「本物」を越えることはできるのだ。 それを私はこの雛見沢で証明して見せるのだから……。 「ふふふふふ……♪」 現に今の私はこんなにも輝いている。 こんなにも美しいではないか。 こうして道端を歩いているだけで村人の誰もが振り返ってくる。 一人たりとも私を無視できない。 まだ年端もいかない少女、少年。 私と同い年くらいにも見える青年。 そして今真横をすれ違っていった老獪なご年配の方ですら。 「あんれまぁ~、一体どこの子だろうねぇ。 あんな可愛いらしい子、村におったっけ?」 「あ~ほれほれ、あの**さん家の娘さんじゃないかい? にしてもほんと綺麗じゃねえ……」 そんなヒソヒソ声を聞くたび、私の中にとめどない優越感が沸いてくるのだ。 胸の中を沸々と熱いものが駆け巡っていくのを感じる……。 今日は学校を休んで本当によかった。 でなければこうして「この格好」で村を歩くなどできなかっただろうから。 さっき偶然出会った鷹野さんですら、私を見て 「あらあら可愛い子ねぇ♪ 見ない顔だけど、どこのお家の子?」 などと話かけてきたほどだ。 人口二千人にも満たないこの雛見沢では、私のような見たことのない「美少女」はさぞ珍しいのだろう。 つまり今の私は、誰の目から見ても「どこかのお家の女の子」というわけだ。 「……まあ、当然か♪」 田んぼに挟まれたあぜ道を歩きながら、私はおもわずそんなことをつぶやく。 こうなってくるとやはり、あの両親には感謝しなければならないだろう。 私をこの姿へと目覚めさせてくれた彼ら。 こんなにも素晴らしい「美少女」へと昇華してくれたお父様とお母様に……。 「……へ? 仕事の手伝いだって?」 ある日、俺は家で両親に声をかけられた。 父の仕事の資料でどうしても女の子の被写体が必要だから、「これ」を着てくれないか? と。 そうして両親が差し出してきたのはものは、生では生まれて初めて見る洋服だった。 まるでドレスのような感じのデザインで、全体に黒を基調としている洋服……というより、コスプレに近いか。 一度父の持っている雑誌で見たことがあるが、いわゆるそれは「ゴスロリ服」と呼ばれるものだった。 上下の装飾にはレースやフリルがたっぷりと使われており、いかにもお嬢様が着るものといったゴージャスな雰囲気をかもし出していた。 おまけに、手首、胸元、首などには小さな黒いリボンがいくつも備えつけられていて、少女(ロリータ)という意味を象徴する可愛らしい装飾がふんだんに盛り込まれていた。 下。 スカートの丈の方もかなり短くされていて、少しかがむだけで下着が見えてしまうんじゃないかというほどだった。 そしてその短いスカートを引き立てるように、同色のニーソックスまでもがしっかりと膝上までを覆い尽くせるほどの長さで用意してあったのだ。 部活の罰ゲームで、たしか梨花ちゃんが似たようなデザインのものを着ていたのを見た記憶があるが……。 これを男である自分に着ろ、と? この両親は息子にこれを着ろ、と言っているのだろうか? 「あ、あんたら正気かっ!? お、おおお、俺は男だぞぉーーーっ!?」 もちろん俺は即座に断わった。 二つ返事に。 いくら前原家の家計を支える父のためであっても、こんなドレスのようなものを着るのは男としてのプライドが許さなかったのだ。 何よりこんなものを自分の息子に着せようなどと、この両親は本気で変態ではないかと疑ったものだ。 そうして俺は何度も断わったのだが、彼らはそう簡単には諦めてくれなかった。 「はっはっは、照れ屋さんだなぁ圭一は~♪ ほんとは着てみたいんだろう~?」 「だ、誰が着てみたいんだよこの変態親父がっ! おふくろも何とか言ってくれよ!」 「まぁまぁそんなこと言わず、おねがいよ圭一。 お父さんを助けると思って……ね?」 そうして申し訳なさそうにするお袋は、スっと何枚かのお札を差し出してきた。 それを見た瞬間、俺の目の色が変わる。 これを着てくれたら、なんとバイト代まで出すと言っているのである。 そこまで重要な仕事なのだろうか。 その具体的な金額の提示を見て、俺の中で少しだけ心が揺らいでいったのを憶えている。 「ちょっとこれを着るだけで……そ、そんなにくれるの? むむむー……」 女装という羞恥と、その金額でできることを両天秤にかけていく。 俺は頭の中でそれをクールに判断していった。 よく考えてみれば、普段からこういった女の子の洋服は着せられているのだ。 もちろん罰ゲームで……。 魅音やレナはそういった女装系は俺を狙い撃ちしていて、メイド服やセーラー服といった恥ずかしいものはわりと頻繁に着させられていた。 おまけにその格好のまま下校までさせられるのだから、俺はすでに村中の人間に「そういった趣味」があるものと勘違いされていてもおかしくはない。 ならば今さら両親二人に見られることぐらい、どうでもいいのではないか? もっとも血の繋がった人間に見られるのはまた別かもしれないが、それさえガマンすればこの破格のバイト代がもらえるのだから悪くないかと思った。 「…………わかった、いいぜ。 この男前原圭一、愛する両親のために人肌脱いでやるさぁぁぁぁっ!!」 そうして俺はそのゴスロリ服を着ることを承諾した。 もっとはっきり言ってしまえば、女装することを受け入れたのだ。 女の子の洋服。 おまけにこんな特殊なものを着た経験がまったくない俺は最初とまどっていた。 だがおふくろが着させてあげると、色々と世話をしてくれたのだ。 本当に色々と……。 「お、おいおふくろ! これはちょっとやりすぎじゃ……」 「いいからいいから♪ いや~こんな可愛い女の子が欲しかったのよね~♪」 その時のおふくろはとてもノリノリだった。 もうお肌テッカテカで実の息子である俺を女装させていったのだ。 写真に写るため本物の女の子に見えなければいけないらしく、なんと俺の顔に化粧まで施していったのである。 おまけにあらかじめ用意していたのか、ロングの綺麗な女性用かつらまでかぶせられ……。 もはや俺はおふくろ専用の着せ替え人形と化していたのだ。 「はい、完成♪ とっても可愛いわよ~圭一ぃ♪」 「ば、ばか、何言ってんだよ! まったく……」 「はっはっは、照れるな照れるな♪ ほんとに可愛いぞぉ圭一、お父さんもう辛抱たまらんなぁ!」 「死ね変態親父! さ、さっさと終わらせようぜっ!!」 そうして俺は親父のアトリエで写真を撮られることになった。 早く終わらせたい……その時はとにかくそれだけで頭がいっぱいだったことを覚えている。 アトリエの中はすでに撮影用に様々な装飾がなされていた。 つまり親父は、俺がこれを承諾してくれるものと決め付けていたわけだ。 壁にはしっかりと真っ白なカーテンが張られていて、その一角にはアンティークなテーブル、イスなどの家具が様々に用意されていた。 色々と指示をされ、俺はまずそのイスに腰をかけていった。 親父はこういった撮影には慣れているようで、女装した俺はそこでさまざまな要求をされていくのだ。 指を噛みながら甘えるような表情をさせられたり、下着が見えてしまうだろうという女豹のポーズをさせられたりと……。 正直、ものすごく嫌だった。 もう死んでしまいたいほど恥ずかしかったが、これもあの金額のためと黙って従っていったのを覚えている……。 そうして長い長い時間が過ぎていき、ようやく親父のフラッシュの音が止むと俺の屈辱のバイトは終わっていった。 親父は取り終わった写真をすぐに現像し、わざわざ俺とおふくろに見せてくれた。 一体どんな変態女装男が写っているのかと……恐る恐るそれを見る。 すると、そこに写っていたものは……。 「へ…………こ、これが、俺?」 そこには……生まれてこの方見たことの無いほどの「美少女」が写っていた。 ニコっと笑顔を振りまきながら、可愛くイスに座っているその女の子……。 おふくろの化粧が上手かったのか、それとも俺の「才能」のなせる技なのか……。 そこに写っている女の子にはまるで違和感が無かったのである。 それどころかもう完璧な美少女だった。 着ている服がそうなせいもあり、どこか深窓のお嬢様といった雰囲気も感じられる。 こんな可愛い女の子が道を歩いていたら俺は間違いなくナンパするだろう。 ……いや、逆にレベルが高すぎて手が出せないか? それくらいに思えるほど「俺」は美しかった。 「女装した俺」は美しかったのだ。 そしてその女の子を見たとき、同時に俺の中でいままで感じたことのない感情が芽生えていた。 優越感や高揚感といったような、そんなドクドクとした感情が胸の中で混ざり合っていく感じ……。 その感情が一体何だったのか、その時の俺にはまだわからなかったが……とりあえず一つだけ確信したことがあった。 「この女の子……あいつらより可愛いな……」 魅音。 レナ。 沙都子。 梨花。 俺が愛する部活メンバーよりも断然可愛い。 美しかったのだ。 この時はまだこの少女は覚醒しきっていない。 冷静に考えればそんなことは有り得ないのだが、その時の俺にはなぜかそう思える確固たる自信があったのだ……。 それ以来、「私」はそのゴスロリ服を頻繁に着るようになった。 父に部活の罰ゲームで使えそうだからと譲ってもらい、ほぼ毎日自分の部屋で身に着けるようになった。 鏡で自分の女装した姿を見ると、私はますますこの少女に見惚れていった。 そしてその魅力をもっともっと引き出したくなっていった。 何も姿形だけでなく、立ち振る舞いや雰囲気も完璧な女の子になりたいと思うようになったのだ。 まずお化粧の仕方。 これは母のしているところを見て学んだり、興宮でそっち系の女性雑誌をたくさん買いあさった。 女性特有の歩き方、仕草も雑誌や母を観察して身につけるようにした。 思ったよりも簡単だった。 手伝いたいからという理由でお料理も教わるようになったし、洗濯や掃除も率先して自分でこなすようになった。 突然の息子の「親孝行」に母はとても喜んでいるようだったが、はっきりいってそれは的外れと言う他ない。 私は女の子になるため。 より完璧なそれになるためにそうしていただけだ。 ある意味母を騙していたとも言えるかもしれない。 だが特に罪悪感などは感じなかった。 母だって娘が欲しいとは言っていたし、そもそも私はこんなにも可愛い「女の子」なのだから、それをより完璧にすることの何がいけないというのか。 こんな山奥の田舎に、こんなにも素晴らしい「美少女」がいる。 それを世間に知らしめないなんてことは、この雛見沢にとって何よりの損失だろう。 もったいない! そう思うようになっていた。 そうして日々女の子の格好をし、女の子の仕草を勉強していく私……。 もうすっかり心まで女に染まっていた。 もはや女装しているという考え方自体がなくなっていったし、むしろ普段はあの前原圭一という姿に「男装」しているのだと言えるまでの考えに至っていたのである。 「だけど……だけど、まだ足りない……まだ……」 学校へと続く並木道を歩きながら、私はそう呟く。 こうして身も心も女になると、女の子の気持ちがより一層身近に感じられるようになったのだ。 ずっと一緒に過ごしてきたあの子達のこと。 あの四人のことが気になるようになったのである。 ……悪い意味で。 園崎魅音。 竜宮レナ。 北条沙都子。 古手梨花。 今ならあの部活メンバー四人がどれほど素敵な女の子であったのかがよくわかる。 それぞれが女の子としてとても魅力的な部分を持っていて、それでいてそれに驕るような仕草を微塵もみせない。 だがそれが私には鼻についた。 憎たらしかったのだ。 学校にしろ自宅にしろ、一緒に過ごしている時は常に嫌味を言われているような気分だった。 特に努力もせずにあの可愛さを保っているあの子達に嫉妬していったのだ。 男であったときは性的な欲望を感じることすらあったというのに、今の私はむしろ彼女達を疎ましいとすら思うようになっていた……。 「魅音……レナ……沙都子……梨花ぁっ!!!」 四人の顔を思い浮かべ、ギュっと唇を噛み締める。 あの子達さえいなければ、この雛見沢でもっとも美しいのは私なのだ。 村で権力のある家系だかなんだか知らないが、こんなにも美しい私なら村中の人間の心を掌握することなど容易いはず。 たとえ人の嘘がわかる女だろうがなんだろうが、この私の本当の姿までは見破れるはずもない。 トラップ? 罠だとぉ? そんなチンケなもので、このクールな頭を持った私を止められるものか。 たかが高貴な家系に生まれ出でたというだけで、村人にチヤホヤされまくっているあの女もそう……。 オヤシロ様の巫女? 生まれ変わりだぁ? 馬鹿を言うな……オヤシロ様はこの私だっ!!! あんな女が神などであってたまるものかっ!!! あー憎い憎い憎いあの女達が憎いっ!! 存在すら消し去ってやりたいっ!!! あいつらさえいなければあいつらさえいなければ……。 アノコタチサエイナケレバ……ワタシガイチバンカワイイノニ……。 「………………!?」 その時、私の心臓がドクンっと大きく高鳴った。 歩いてきた道がちょうど長い田んぼ道にさしかかったところ。 その遥か遠くに見えてきた人影に、私の胸の中をドクドクとした熱いものが駆け抜けていったのだ。 「まさか……あれは……?」 見覚えのある四つの人影。 色彩にすると、緑、茶、金、青、といったところか。 私にとってもっとも忌むべき、あの部活メンバーのカラーを示すものがあぜ道の遠くに見えてきたのだ。 先頭にまず、魅音とレナ。 そしてそれに少し遅れて、沙都子、梨花と……。 ご丁寧にも四人揃い、私のいるこちらの道に歩いてきていたのである。 腕に付けていた時計をチラっと確認すると、たしかにいつもの下校時刻になっている。しかしだからといって、あの四人が揃って下校というのは少々おかしい。 魅音とレナがこちらの道に来るのはわかるが、沙都子と梨花は家への方向がまるで反対方向のはずなのである。 つまり本来なら、あの四人が揃って下校しているなどとは有り得ない光景。 有り得ない状況……。 そうなると考えられる答えは一つ……それしかなかった。 「私の家に向かっているのか……?」 私が今日学校を休んだことは当然知っているはず。 風邪で、というのも知恵から聞いているだろう。 そうなると、四人でお見舞いに行ってあげよう! となるのはごく自然に考えられる流れだった。 思ったとおり、先頭を歩いている魅音の手にはどこかの青果店で買ったと思われる見舞い用のフルーツ籠がブランブランと揺れている。 まさしく私の考えはドンぴしゃりで当たっていたわけだが……。 「……ちっ。 どうする……?」 だんだんとこちらに近づいてきている彼女達を見ながら、私はおもわず舌打ちしていた。 周りを田んぼや森に囲まれている一本道。 他には道がない。 つまり逃げ道がないのだ。 もちろんその田んぼや森をむりやり突き進んでいくはできなくもないが、そんなことをしたらこのお気に入りのドレスが醜く汚れてしまう。 それだけは私にとって耐え難い苦痛。 このままだとどうしてもあの子達とすれちがうことになってしまう。 あまり面識のない村人達ならともかく、毎日一緒に過ごしている部活メンバーなら私の「正体」に気づく恐れがあるのだ。 仮にバレなかったとする。 それでも彼女達は生まれてからずっと過ごしている雛見沢に、まさかこんな見知らぬ女の子がいるなんて…と少なからずの興味を抱くだろう。 魅音あたりは鷹野さん以上につっこんで話かけてくるかもしれないし、レナなどはいきなり「はぅ~お持ち帰り~♪」などと抱きついてくる危険性もある。 そうなったら私にとって……非常にまずい状況になる。 声など出せば途端にバレてしまうだろうし、抱きつかれでもしたら感触でわかってしまうかもしれない。 私にとってその二つは最大の弱点。 唯一無二の弁慶の泣き所なのだ。 もちろんいずれは完全に女となってその欠点すら克服するつもりだが、やはり今はまずい。 蝶のサナギはその身が美しく変わるまで殻をまとい、美しく羽ばたける瞬間を日陰でじっと耐えるのだ。 だからこそ、今はまだあの子達の目に触れるべきではない。 逃げるしか、ない……。 そう決心した私はクルっとその身をひるがえし、元来た道を戻ることにした。 だが、その時……。 (ニゲルヒツヨウナンテ……ナイ) もう一人の自分がそう語りかけてきた。 この格好をするようになってから、私の中にずっと潜んでいる「そいつ」。 それは逃げの行動にでようとした私の身体をせき止めた。 そして頭の中で繰り返し繰り返し、そのまま進め、突き進め、と命令してくる。 この美しい姿を見せてやれ。 あの女達に見せつけてやれ、と……。 「そうだ……そうだ、そうだ、そうだ……」 自らに自信をつけさせるようにそうつぶやき、私はグっと顔をあげた。 もう何も怖くなかった。 さっきまでの恐れの感情などまったくなくなっていた。 いまだ道の遠くに見える憎っくき女達。 そこに向かって私はゆっくりと歩みを進めていったのだ。 ゴスロリ服と合うよう、自前で買った厚底のブーツで道に転がっている小石をジャリジャリと踏みしめていく。 その小気味良い音が私の行動を正しいと言ってくれているような気がした。 「私は可愛い……私は美しい……あの子達よりも……!」 そうだ。 たとえまだ完璧ではなかろうと、すでに私はこんなにも美しいと確信したではないか。 私には叶わないとはいえ、あれだけの美貌を持つ。 用心深い鷹野ですら容易に騙せたのだ。 たとえ最強の部活メンバーですら、この私の美貌の前にただただ呆然とするにちがいない。 魅音は自らの心の底にある「女」を刺激され、それでもなお自分よりも美しい私にため息を漏らすだろう。 自分は女であるのにあまりそれらしく振舞えない。 なのに、生物学的には男である私に嫉妬の念すら抱くのだ。 そして人の嘘を見抜くレナは、私の正体になんらかの疑問は抱くかもしれない。 だが所詮そこまでだ。 どうせおまえは、はぅ~あの子かぁいいよぅ♪で終わりだろう? 「くっくっく……♪」 徐々に近づいてくる先頭の二人を見ながら、私はどうしても抑えきれない愉悦に笑みをこらえた。 本当ならこのまま走って行ってあの前でポーズでもしてやりたいところだが、さすがにそれはやりすぎだろう。 あくまで自然に、優雅に、だ。 いままでに会得した女らしい仕草や雰囲気をたっぷりと放ちながら、奴らに私の美貌を見せ付けてやるのだ。 ……そう。 これはいわばいつも私達がやっている「部活」となんら変わりない。 私とお前達がすれ違い、そして四人の中の誰か一人でも私の正体に気づくか。 私の中身が前原圭一だと気付けるかどうかのゲームなのだ。 「もっとも、無理だろうけどね? ふふふふ♪」 そう、無理だ。 なぜかというと、このゲームはあきらかに私に分があるからだ。 常識的に考えて、道でたまたますれ違っただけの女の子が実は知り合いの男の子だった。 などと考えるものはそうそういないだろう。 おまけに私の化粧はほぼ完璧に仕上がっている。 母のそれで習い、伊達に父がそういった仕事に従事しているわけではないほどの「才能」があったのだ。 しかも今の私の服装は、こんな田舎では見ることもできないであろうゴシック&ロリータ。 大抵の人間はこのめずらしい服の方に目がいってしまい、この美少女が男であるという「ありえない想像」まで気が回らないだろう。 目立つ方に目がいってしまうのだ。 「勝てる……私は勝てる、あの女達にっ!」 そうして自らの勝利がより確信に変わっていくと、はっきりと視認できる距離にまで近づいてきた彼女達が小さな存在に見えた。 まずは先頭を歩いている、あの二人だ……。 さあ……魅音、レナ! 見 抜 い て み る が い い。 この私が、普段お前達が淡い恋心を抱いているあの男だと看破してみるがいい! できるものならねぇ? くっくっくっく……♪ 「はぅ~♪ 圭一くん、そんなこと言ったの?」 「そうなんだよ~、まったく圭ちゃんったらほんとにデリカシーがないんだから……さ……?」 隣のレナとちょうど私の話をしていたらしいところに、まず魅音がこちらに気がついた。 まだすれ違うほどは近づいていないのだが、この派手な服装なら嫌でも目につくのだろう。 やはりまず魅音は、私の着ているこのめずらしい服に目がいったようだ。 「へ? なんだろあの服、見たことないなぁ……って……」 その瞬間、さっきまでおじさんモードでだらしなく笑っていた魅音の表情が……真っ赤に染まっていった。 まるで「お人形」を貰った時のような、ポーっと見惚れるような目。 それで私のことを見つめてきたのである。 「うわ……すごく……か、かわいい……♪」 そうしてまるでレナのような言葉をつぶやきながら、魅音は完全に私の姿に目を奪われた。 まあ、当然だろうか。 魅音は一見女らしくないように振舞ってはいるが、その中にとてつもない乙女心を秘めていることを私は知っている。 というより、気が付いたといったほうが正しいか。 女になって初めて女のきもちがよくわかったということだ。 目の前にまるでおとぎ話に出てくるような美少女。 それも人形のような可愛いドレスを身に着けて現れたとあっては、彼女が目を奪われるのも至極当然というものだ……。 「………………」 「……? はぅ、魅ぃちゃんどうしたの? 急に黙っちゃって……」 隣で顔を真っ赤にしている魅音を見て、レナも同様に私の方に視線を向けてくる。 すると彼女もまた、マッチに一瞬で火が点くようにボっと顔を赤くさせた。 「う、うあぁぁぁあああぁぁぁっ!? な、なにあれなにあれ! なにあれぇぇぇぇっ!!!」 すかさずいつものかぁいいモードに切り替わるレナ。 両手をスっと胸の前にかかげるあのファイティングポーズをとる。 それに一瞬身の危険を感じたが、ここで怯むわけにはいかない。 私は澄ました表情のまま、しゃなりしゃなりと二人に近づいていった……。 「み、みみみ、魅ぃちゃん! あ、あああの子すっごくかぁいいよぉ~♪ お持ち帰りしていい? ねぇいい?」 「………………」 興奮するレナの問いに魅音は答えない。 答えられない。 きっと私の可愛さに声も出ないのだろう。 すっかり見惚れていた。 それをいいことにレナは驚くような速度で走り出す。 私にものすごい勢いで近づいてくるのだ。 「い、いいんだねー? お返事ないからこの子レナがもらっちゃうよーっ!? はぅ~お持ち帰りぃぃ~♪」 「……へ? あ、あああ!? ダ、ダメだってレナぁぁぁ!!!」 あっちの世界にいっていた魅音が、ようやく暴走しようとするレナを止めに入ろうと走ってくる。 もはや私の眼前にまでグイーっと迫っている魔の手。 それが寸でのところで魅音にガシっと掴まれる。 「はぅっ!? なんで邪魔するの魅ぃちゃん、離してぇ離してよぉ~!?」 「ば、馬鹿! 知らない子を持ち帰っちゃいけないって、いつもあれほど言ってるでしょうが!」 「そんなの関係ないよぉ!このかぁいい子レナがお持ち帰りすーるーのーはぅぅぅぅ~!!!」 「ちょっ、や、やめなってレナぁっ! ……あ、ご、ごめんね? この子ちょっとアレでさ、あ、あはははは♪」 手をバタバタとさせながら暴れまわるレナを抑えながら、魅音が気まずいといった表情で私に笑いかけてきた。 きっと何も喋らない私が、このかぁいい星人に怯えているとでも思ったのだろう。 私がその道を通れるよう、魅音はレナの体をむりやり脇へ脇へと押しやってくれた。 「…………ふふ♪」 それを愉快に思いながら、私はありがとうっといった意味を返すように……ニコっと満面の笑顔を返してやった。 「!?……あ……」 「!?……は、はぅ~♪」 瞬間、またもや魅音とレナの顔からボっと火が噴き出した。 何度も何度も鏡の前で練習した、この美貌で男を殺すための笑みだ。 女に使うのは計算していなかったが、この反応を見れば分かる。 効果テキメンらしい。 このタイミングでこれを使えば、この二人とてたまらないらしかった。 最早何も怖がることはない。 私は優雅にスっと長い髪をかきあげながら、二人の脇をゆっくりと通り抜けてやるのだった……。 「……はぅ~。 み、魅ぃちゃん、あんなかぁいい子雛見沢にいたっけ?」 「いや、わ、わかんないけど……」 目の前を毎日会っている男が通り抜けていったというのに、魅音とレナはまるで「見知らぬ美少女」がすれ違ったかのように呆けていた。 私は思わずその場で笑い出したくなる衝動を必死に抑えながら、背後のメス二匹に堪らない優越感を感じていく。 そう……私 の 勝 ち だ。 思ったよりも簡単だった。 そして容易かった。 いや、やはり私の美貌が素晴らしすぎるということか……? 魅音は最初に私と目が合った瞬間に「堕ちた」と確信できたし、レナにいたっては説明すら不要だろう。 最強のかぁいいモードなどと言われているが、逆にそれにしか目がいかなくなるのがアレの最大の弱点。 私の正体を見破るどころか、ただの色欲に堕ちたメス犬に成り下がっていたのは明白だ。 「くっくっく、馬鹿な子達……♪」 まずは半分。 そして次はあの二人。 レナが暴走して走ってきたせいで少し離れた位置になった。 遠くに見える、あの小娘二匹との勝負だ。 ちょうど私の胸ほどの位置で揺れている金髪と青髪……沙都子と梨花だ。 道の向こうで何やらキャピキャピと盛り上がっているが、どうせくだらないおしゃべりでもしているにちがいない。 沙都子。 お前の愛するに~に~が目の前にいるというのに呑気なものだな。 そして梨花。 おまえもそんなに油断していていいのか? オヤシロ様の生まれ変わりと噂されるお前には、どうも何か不思議な神通力があるなどともてはやされているようだが……。この私の美しさにまでそれが通用するかな? お前達より遥かに人生経験を重ねている魅音とレナはすでに陥落した。 お前達がせいぜい有利といえる点は、まだ世俗の毒に汚されていないその純真な心くらいだろう。 経験や知識で判断できないならば、動物的なカンともいえる「感覚」で私を見抜くしかないのだ……。 「あんな乳臭い小娘共に、私が負けるはずがないっ!」 もはや揺るぎない自信に、私は不敵な笑みを浮かべていった。 そしていまだ黄色い声をあげて会話をしている沙都子と梨花に、自らの存在を見せ付けてやるように躍進していくのだ。 「み~。 沙都子はほんとに圭一大好きさんなのですね~♪」 「な……だ、だからちがうと言っているでしょう! いいかげんにしないとわたくしも怒りますわよー!」 「くすくす♪ 沙都子は照れ屋さんなのです。 かぁいいかぁいいなのですよー♪」 「り、梨花ぁぁぁ~!!!」 二人の小さな体がはっきりと視認できるようになってくると、私のことを話しているらしい会話が聞こえてくる。 どうやら沙都子が何やら意味ありげなことでも言ったらしく、それに梨花が冷やかすようにしながらその頭をナデナデと撫でてやっていた。 もしかしたらこの私に対するお見舞いも、元は沙都子が言い出したことなのかもしれない。 部活メンバーではツンデレに属するタイプのこの子ならば、 「布団でウンウン唸っている圭一さんを、みんなでからかいに行きましょうですわー!」 などとはいかにも言いそうである。 そんなすでに顔を真っ赤にしている沙都子を見ながら、私は少し考えていた。 まずいかもしれない、と。 もはや私とあの二人の距離は4~5メートルといったところまで近づいている。 本当ならもうこちらを見ていてもおかしくない距離だ。 だがあの小娘共は……気づいていないのだ。 魅音とレナは今の距離ですでに私に近寄って来ていたが、沙都子と梨花はおしゃべりに夢中のようでこちらに顔すら向けていない。 このままだと、ただ私が二人の横を通り抜けるだけ。 それではこの勝負は成立しない。 あくまでもこの美しい姿を見せつけ、それによって彼女らが前原圭一だと気づかないという「結果」がなければならない。 まったく世話のかかる子達だ……あいかわらず。 しかなたく私は歩いている方向を微調整し、沙都子と梨花のちょうど真ん中を通るように歩んでいった。 二人はまだこちらに気がついていない。 つまりこのままだと間違いなく彼女達の体と正面から「ぶつかる」ことになる。 そしてそれでいい。 それ「が」いいのだ。 むしろそれこそ本気の勝負といえるのかもしれない。 私の正体を見抜けるかどうかの勝負なら、お互いに体を触れ合わせるくらいがフェアな戦いというもの。 さっきの魅音とレナのは少し卑怯だったかもしれない。 なによりもこの幼いメス二匹には、私が誰よりも女らしいということを感触で知らしめてやりたい。 将来この子達は絶対にいい女になる。 それはもう私の類われなる女のカンが告げている。 だからこそ知らしめてやりたい。 ここにそれ以上の存在がいることを。 私はただまっすぐ。 微塵も怯まずに沙都子と梨花の体へと向かっていった……。 「ま、まったく梨花は。 ぶつぶつぶつぶつ……」 「あ……さ、沙都子、あぶないのです!」 「……え? きゃっ!?」 ドンっとした音をさせ、よそ見をしていた沙都子の頭が私にぶつかる。 一足先に気づいた梨花が声をかけたようだが、私はそもそもそれが目的で近づいたのだ。 ちょうど沙都子が前を向いたところに、その可愛らしい顔がムギュっと胸に押し付けられてきた。 その時、綺麗な金髪から流れてくるシャンプーの香りがほんのりと鼻腔をくすぐった。 それが少し憎たらしかった。 「あ、も、申し訳ありませんわ! よそ見をしてて……あああ、ご、ごめんなさい!」 沙都子はすぐに頭を下げる。 ペコリペコリと何度もお辞儀をしていった。 小さな頭がピョコンピョコンと上下する仕草が可愛らしい。 と、同時にまたもや憎らしかった。 年齢が幼いということはそれだけでこんなにも「萌え」を演出できるものなのか。 憎たらしい……。 私はおもわずその頭を掴んでやりたい衝動を抑えながら、ゆっくりと彼女の頭に手を置いていった。 「ふぇ……あ、あの?」 突然頭に置かれてきた手の感触に、沙都子がポーっと顔を赤くする。 悟史に触られた時のことでも思い出したのだろうか。 それを見ながら私は、ぶつかったことを気にしてないよ、という返事を返す意味でその頭を撫でてやった。 別におかしなことでもないだろう。 たとえ見知らぬ人間でも、こんなにも幼い少女を見れば可愛がってやりたくなる。 私は可愛いらしいおもちゃでも愛でるように、沙都子の頭をナデナデと撫でてやるのだった。 「あ、あう……え、えと、えっと……」 沙都子はらしくない声をあげ、私の行動にモジモジと体を揺らせる。 指にまったく絡まない、サラサラとした髪の感触が伝わってくる。 とてもスベスベしたそれに、おもわず一体どこのシャンプー使ってるの? と聞きたくなった。 「う……あ、あの本当に申し訳ありませんでしたわ! それじゃあ!」 あまりに私が頭を撫でるため照れくさくなったのか、沙都子は私の手から逃れるようにもう一度深くお辞儀した。 そして顔をゆでだこのように真っ赤にしながら、あたふたと私の隣を走り抜けていく。 その彼女とすれ違う瞬間、私の中にまたもやとめどない優越感がドクドクと溢れていった……。 …………あ ま り に 容 易 す ぎ る。 自分の頭を撫でた相手があのに~に~だと疑問にすら思わず、トラップの天才といわれている少女が逆に私の「罠」にはまった瞬間だった。 普段あれだけ高飛車ぶっている小娘がこの美貌にひれ伏し、恐れすら抱いたのを私はこの目でしかと確認した。 おまけにすれ違う瞬間、素敵なレディーになるなどと言っていたあの口で……「綺麗な人」と呟いたのをこの耳でたしかに聞いた。 それはつまり、北条沙都子の陥落を意味するものだった……。 「ふふふふふ……♪」 これで残す部活メンバーはあと一人。 メンバーの中でマスコット的な存在とも言われている、古手梨花のみだ。 だが今の私にもはや敵などいない。 誰が来ようがやはりこの美貌に叶うものなどいないのだ。 一見男勝りとみせて、溢れる乙女モードをその内に秘めている園崎魅音。 正統派なお嫁さんタイプであり、更にサドッ気までをも併せ持っている竜宮礼奈。 に~に~大好きっ娘、ツンデレ幼女の北条沙都子。 雛見沢を代表するといっても過言ではない三人の美少女。 それが揃ってあっさりと陥落していった。 私の存在をすぐ目の前で確認したにもかかわらず、それでいてその美しさにため息まで漏らしていた。 誰一人私を前原圭一と気づかず、それどころかその中身が男と想像すらしなかったのだ。 たとえ最後の相手がこの古手梨花。 「オヤシロ様」の生まれ変わりだろうと言われている小娘ですら同じこ……と……。 「………………っ!?」 その瞬間、私は全身が身の毛がよだつような感覚に包まれた。 沙都子を余裕で見送り、さあいよいよ梨花だ……と顔を前に向けた、その時。 なんと梨花は、私の顔のすぐ目の前にまで顔を近づけていたのである。 それも唇が触れ合ってしまいそうなほどの超至近距離。 もうキス寸前の距離。 グ~ンとつま先立ちをして、生意気にも私の顔と同じ位置にまで顔をグググっと伸ばしていたのだ。 「……み~。 み~み~、みぃ~?」 お得意の鳴き声を出しながら、梨花はそのまま私の顔をまじまじと見つめてくる。 まん丸とした愛くるしい瞳で、この完璧な姿に何か疑問でも抱くような……そんな視線を向けてくるのだ。 「う~んう~ん。 みぃ……みぃみぃ、み~?」 そうしてジーっと向けられてくる無垢な瞳に、私はおもわず目を反らしたくなるような衝動に駆られる。 だがそれはまずい。 間違いなく失策だ。 そんなことをすれば、自らに後ろめたいことがあると認めているようなもの。 絶対にダメな一手だ。 落ち着け。 クールに、あくまでクールに考えるんだ。 たしかにこの小娘は何か感づいているかもしれない。 いや、もうそれは間違いないことだろう。 だがだからといって、それが私を前原圭一だと看破したものだとはかぎらないのだ。 ただ興味本位で見つめてきているのかもしれないし、このめずらしい服装と合わせてつい夢中になって見ているだけとも考えられる。 たとえそれは私が彼女にとって知らない人物であっても同じこと。 この古手梨花という少女は、昔から誰にでも好かれるという特殊な環境に身を置いている。 初対面の人間の顔をジロジロと見つめても、それが相手に失礼だなどとは一切考えない。 甘ったれた性格に育っているのだ。 オヤシロ様の生まれ変わりというだけで、何の努力もせずにチヤホヤされて生きてきた小娘。 そんな女にこの私が負けるわけがない! 「…………ふっ♪」 うっすらと笑みを浮かべると、私は動揺しかけていた心をむりやり押さえつけた。 そして目の前の梨花の瞳をまっすぐ見つめ返し、魅音とレナを殺したあの笑顔をもう一度繰り出す。 この村一番の美少女と言われている小娘に、ニコっとしたそれを突きつけたのだ。 「……みぃ? にぱ~☆」 すると梨花も私に合わせるように、天使のような笑顔をにぱ~と返してきた。 そして何が嬉しいのか、その場でピョンピョンと飛び跳ねていくのだ。 「みぃ♪ みぃみぃみぃ~♪」 ……抱っこして、とでも言っているのだろうか。 梨花は私に向かって大きく手を伸ばし、まるで抱きしめてくれといわんばかりに飛び跳ねていくのだ。 ……憎ったらしい。 この女は普段から一挙一動がいちいち可愛らしい。 おもわず抱きしめてやりたくなるようなその仕草、計算でやっているならたいしたものだ……。 もっともそれは私には通じない。 今までそうして何人の人間を虜にしてきたかは知らないが、この私だけにはその笑顔は通じないぞ古手梨花。 そうやってにぱ~とやれば可愛がってくれると思ったか。 ピョンピョン跳ねれば抱きしめてもらえると思ったか? ……甘いな。 昔の私ならいざ知らず、今の私には通用しない。 「おまえよりも」断然可愛いこの私が、なぜ自分より劣る存在などを可愛がらなければならないのか……。 「……みぃ。 みーみーみー!」 梨花は更に飛び跳ねていく。 私に大きく両手を広げてくるのだ。 だが私は無視する。 もっとも笑顔は崩さずに、あくまで可愛い子だな~というふうを気取りながらだ。 私はあくまでお姉さん。 美人のお姉さんであることを崩してはいけないのだ。 そうしてすましたまま、私はスっと梨花の横を通り過ぎる。 ……通り過ぎようとした。 「……………っ!?」 私はおもわず身の毛がよだつ思いがした。 梨花が突然……私の身体に抱きついてきたのだ。 「みぃみぃ。 ダメなのですよ~、にぱー♪」 どうやら私にとても興味を持ってしまったらしい。 にぱ~と笑顔を振りまきながら抱きついてくる梨花。 その笑顔に若干の不安を感じた。 ……まずい。 さすがにここまで密着されるのはまずすぎる。 普段から梨花にはこうして抱きついてこられることが多かった。 もちろん前原圭一であるときの話だが、こうして今も同じことをされると体型などでバレる恐れがあるのだ。 私はすぐに振りほどこうと思った。 最早なりふりなどかまっていられない、梨花の身体を半ば乱暴にでも引き剥がそうと思った。 「みぃ~! ダメなのですダメなのです。 逃がさないのですよ~♪」 ……だが、離れない。 離れてくれないのだ。 梨花は大きく広げた両手を背中にまで回してきて、まるでヘビが巻きついてくるように私の身体を抱きしめてくるのだ。 しかもこの小娘、今なんて言った。 逃がさない……だと? それは一体どういう意味なのか。 獲物を、と前に付ければちょうどしっくりくるが……。 私の中である仮説が浮かび上がる。 だがそんなことは有り得ない。 ありえないありえない。 魅音も気づかなかった。 レナももちろん、沙都子にも気づかれなかった。 この女がいかに特殊であろうとも、私のこの美貌を見破れるはずがないのだ。 こんな小娘になど……。 私はキっと睨みつけてやった。 もちろん抱きついている梨花をだ。 まるで親の敵とばかりに見てやった。 ……だが、今考えるとそれがいけなかったのかもしれない。 悪手だった。 悪意を向ける、という一手。 梨花にとっては自分にそんなことをする人間はそうはいないのだから、それはつまり……。 「……ふふふ。 くすくすくす……♪」 梨花が笑った。 まるで鷹野のような大人の女性の雰囲気で口を歪ませたのだ。 いや、これは梨花か? 少なくとも私の知っている「梨花ちゃん」ではなかったかもしれない。 それはある種私に似ていた。 前原圭一でありながらそうでない「私」。 同じ人物でありながらちがう面を併せ持った人間のそれに思えた。 そして梨花は口をゆっくりと開いていった。 あいかわらず私の身体をギュッと抱きしめながら、その恐ろしい言葉。 私が今この場でもっとも聞きたくない「単語」を口にしていったのだ……。 「捕まえたのですよ。 圭 一 ♪」 笑顔。 梨花はあいかわらずあのにぱ~とした表情だった。 まさに天使のそれといった比喩すらできる可愛らしい笑顔だ。 だがその時の私にとって、それは悪魔の微笑みとしか表現出来ないものに思えるのだった……。 続く - -
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魅音が居なくなってからというもの、 俺たちの周りでは不可解なことばかり起きていた。 梨花ちゃんと沙都子が失踪したのだ。 恐怖におののく俺に、レナが優しく言った。 必ず私が犯人を見つけてみせる、と。 きっと、これは俺への罰だった。 俺が魅音を裏切ったから……だからって、こんなことが許されるのか? あいつは……人を消して喜んだりするやつだったのか? 「圭一くん、ごめんね」 「……謝らないでくれ、俺が……惨めだ。卑怯ものなんだよ……うそつきで、卑怯者で……最低なやつだよ」 「そうだね、圭一くんは最低だね。人の気持ちも考えないで、傷つくこと平気で言うし、今もそうやっていじけてる」 俺は、何にも言い返せなかった。 「……圭一くん、だから、がんばろ?」 レナにはたかれた頬が、痛かった。そんなに力いっぱい殴られたわけでもないのに、 レナのそれは、効いた。 「……ありがとう、レナ。俺も決心した。行こうか、魅音のところ」 「うん、大石さんにはもう連絡してるから……後は、圭一くん次第だよ」 俺が行かなくちゃ、どうにもならない。俺が魅音に謝って……その後、どうなんだろう? 魅音は認めてくれるだろうか? 自分の犯した罪を。俺だけに制裁を加えるならわかる。 でも、俺以外の皆に……理不尽すぎる。 「圭一くん、魅ぃちゃんのこと、好きだった?」 「……うん」 言うか言うまいか、迷った。俺はたぶん、好きだった。仲間だとか、そういうことじゃなくて、それよりもっと親密な…… 勉強漬けだった俺に、遊びを教えてくれた人。本当に楽しむということを教えてくれた人。 本気で物事に当たることを……教えてくれた人。 それと多分……異性を好きになるということを、教えてくれた人。 「余計にがんばらなくちゃね、ふぁいと、おーだよ? だよ?」 レナは強いやつだ。こんな状況でも、俺を元気付けてくれる。 「本当、ありがとう」 俺は、レナの頭をくしゃくしゃとやった。 「はぅ……」 レナは赤面する。さっきまでの怖かったレナとは別人みたいで…… でも、今の俺にはどっちもがレナなんだって分かる。 そして魅音も……残虐な鬼の魅音と、俺が……好きだった魅音…… 俺の、勝手な思い込みだったのかもしれない。 魅音は魅音で、あの残虐行為を好んでやったんじゃないだろう。 その一線だけは、どうしても譲れない。 「魅ぃちゃんの……家だよ」 馬鹿でかい門だった。噂には聞いていたが、実際に見ると圧倒される。 木造瓦屋根の、古めかしい門だ。 俺とレナは、インターフォンを押す。返事は無かった。 「勝手に……はいろ」 「緊急事態です、仕方が無いでしょう。 少々面倒なことですが……ま、上手くやりますよ」 大石さんは、笑顔で背中を押してくれる。 この人たちにとって、魅音が逮捕できれば、家宅侵入なんて些細なことなんだろう。 俺とレナは、鍵が掛かっていないことを確認して、門を開いた。 門は、ぎぃぃときしみながら巨体を滑らせていった。 門から実際に住んでいるであろう家屋まで、大分あった。 広い庭だ。 「たぶん、魅ぃちゃんは中に居ないね。私たちが来るだろうから、気付いたのかもね。 ちょっと危ないけど、二人で手分けして探そうか? 三十分ごとにここに戻ること。はい、腕時計と防犯ブザー」 大石さんが念のためと用意したものだだ。 腕時計は、中で色々なことが起きたときに、一度目を落として欲しいと言っていた。 「おう、レナも気をつけろよ」 大石さんとその部下たちは、集音機の調整をしていた。 これが、万一の時に俺たちの命を救ってくれるかもしれないものなのだ。 俺は門から左回り、レナは右回りに捜索を始めた。 庭の半分ずつだから途中でかち合うことは無い。かち合ったのなら、 俺が道に迷った証拠だ。それぐらい魅音の家の庭は広い。 しばらく歩いていると、鬱蒼と木が茂る、林のようなところへと出た。 俺の体は、そこで止まる。あの長い髪は……魅音? 魅音は、白装束姿でうつむいて林をさまよい歩いていた。 まるで、牛の刻参りでもするかのような格好だ。 声をかけるかどうか、迷った。でも、かける。 「おい、魅音か?」 「けっ、圭ちゃん!」 魅音が一瞬、明るくなったように見えた。 それぐらい、魅音の表情は憂鬱が多くを占めていた。 「魅音……」 俺は、魅音の名前を呼びながら、ゆっくりと歩いていく。 魅音は、何かにおびえるように後ずさり、すぐに背後の木に当たってへたり込んだ。 「魅音?」 「来ない……で……いや、来て」 魅音が、耳の辺りを触って言葉を訂正した。 俺は、無言で魅音に近づく。 「梨花ちゃんや……沙都子を探しに来たんでしょ?」 「……ああ、魅音……お前、なんだろ?」 「……そうだよ」 「謝る、魅音……俺は、お前のことを喋っちまった…… でもよ、なんで……俺に最初に手をつけなかったんだ?」 魅音が、また耳の辺りを撫でた。髪、だろうか。髪をかくようなしぐさだった。 「そのほうが……圭ちゃんが怖がると思って……」 「何だって!」 「ひっ!」 魅音は、さらにずるずると地面に倒れこんでいく。 「ご、ごめん……」 「っく……ひっく……ごめん、ごめんなさい、罰ゲームだよね? これ……圭ちゃんが、私の罰ゲーム、半分持っててくれたから…… こんなことになっちゃったんだよね?」 魅音の言っていることが、よくわからなかった。泣いた魅音を前に、 俺はどうしようも無い気持ちになっていた。 「あははは、ころ、殺しちゃった、あははは、梨花ちゃんは逃げちゃったけど、 沙都子はこの手で確実に殺したよ、あははは」 魅音は、錯乱しているのだろうか? 俺を見ていない気がした。 「魅音ッ! いい加減にしろよ! ちゃんと話せよッ!」 俺は、かまわず魅音の胸倉を掴んだ。そうすることで、正気を取り戻すことを願って。 「ばーかばーか、遅かったね、圭ちゃん、沙都子を助けられなかったね」 「魅音んんんんッ!」 力強く引きすぎて、白装束がはだけだ。魅音の体が露になる。 「け、圭ちゃっ」 「お前、お前のせいで! 何で、何であんな程度で殺すんだよッ! 人の命を何だと思ってんだ、おぃッ! 聞いてんのか?」 「人の命なんて……大したもんじゃないよ」 俺は、完全にキレていた。魅音に平手をお見舞いしてやる。 「ひゃうっ!」 「拳で無かっただけ……感謝しろ……魅音、警察に行くぞ?」 俺は、魅音を殴ってようやく冷静さを取り戻した。 「誰が行くもんですか。圭ちゃんも殺してやるよ」 そうは言っても、魅音が襲いかかってくる様子も無い。 「……魅音、俺を舐めてんのか?」 殺人を犯さなくても、殺人と同じぐらいの苦しみを与える方法を、 俺は一つだけ知っていた。俺は、制裁を与えなくてはならない。 沙都子の無念を晴らすためにも。それと……詩音の無念も…… 「け、圭ちゃ、な、何すんの?」 俺は、魅音の胸を乱暴にわしづかみにした。 無言で、俺は自分のズボンのファスナーを開ける。 「へ、へぇ、犯すんだ。私が殺人犯だから、圭ちゃん私を犯すんだ?」 神経を逆なでする魅音の声も、今はもう聞こえない。 「……やってみなよ、その代わり圭ちゃんも警察に捕まっ」 俺は、魅音を黙らせるために、無理やり挿入した。 魅音の膣は、めちゃくちゃきつかった。 それもそうだ。ロクに愛撫もしていない。 本に書いていた知識だが、俺でもそれは相当の苦痛を与えるものだと知っていた。 魅音は、ただ口をパクパクさせていた。 「ひっうぅっ、ひたひぃぃぃぃ」 魅音は泣き出した。俺もさすがに痛いから、 ちょっとだけ自分でしごいた。魅音の性器も、軽く撫でる。 今さらそんなことをしたところで、魅音の痛みが無くなるはずも無かった。 拷問は続く。 さっきよりは若干きつくは無いが、それでも隙間が無いんじゃないかというぐらいの狭さで、 俺も気持ちいいというよりは、痛い。 でも、魅音の痛みは俺の比ではないはずだ。 数センチも入っていなかったペニスを、半分……五センチぐらい突っ込んだ。 「ぬ、ぬひぃてぇぇ、けっ、ちゃん、ご、ごめんなしゃひ、いた、いたい」 「魅音、分かったかよ? 沙都子や詩音の痛みは、こんなもんじゃなかったはずだ!」 俺は、無理やり……全部挿入した。何かを突き破る感触が伝わる。 「あうっ……」 魅音は、気絶した。 俺の中の暴力性は、衰えることが無い。こいつは人を殺すことに、何の躊躇も無い悪魔だ。 近くの泥水をかけてやる。白い衣装が茶色く変色し、魅音の体に砂利が一杯ついた。 「おい、起きろよ」 「……はい」 妙に素直になった。 「なぁ、分かってんのか? 自分の立場がよ。お前は人を殺したんだぜ?」 「はい」 魅音は全く、俺を見ようとしない。駄目だ、こいつは分かっていない。 出血している魅音の膣を、魅音の服で拭いた。まだ白い部分が残っていた装束も、さすがに白を残せないでいた。 「おらッ!」 俺は、それが終わったあと、一気に挿入した。今度は、信じられないぐらいの快感があった。 俺の目の前に、軽く火花が散る。腰が、第二撃目を勝手に行っていた。魅音はもう、何も言わない。 でも、意識を失っている様子は無かった。四往復したところで、俺は魅音の一番奥で射精した。 今まで自分でしたときとは、比べ物にならないぐらいの脈動を感じる。 魅音の中から抜く時も、腰が引けた。 魅音が、四つんばいになった。 「あぁ? 何だ? 犬の真似か?」 抜いた俺のモノは、全く衰えなかった。この魅音の格好が、たまらなくいやらしい。 俺は、魅音の髪を思いっきり後ろに引っ張った。 魅音の顔が空を見るほどに。その瞳に光宿っていない。 やった、敵をとったぞ、沙都子、詩音。 俺はこいつの心を殺した。 俺は歓喜に震え、魅音の尻を両手で思いっきり掴んで、後ろから犯す。 魅音が、なにやらぼそぼそと喋っていた。 「これも……罰ゲームなの? 圭ちゃん?」 「ああ、そうだよ! お前は反則したんだ、だから罰ゲームだッ!」 自分で何を言っているのかわからない。 とにかく、俺は自分の行為を正当化した。 もはや、制裁は済んだのだ。 俺はこのまま、快楽をむさぼるため、この雌を犯す権利がある。 俺の親父が持っていたビデオに、こういうのがあった。 後ろから激しく突いているコレを見て、いつか自分もやってみたいと思っていた。 それを今、自分でやっているのだ。 射精を我慢することも無く、二回目の射精を魅音の中でした。 妊娠しようが関係ない。こいつは悪だ。 「け、ちゃ、いた、い……」 「ごめんなさいって言ってみろ! 沙都子にッ! 詩音にッ! ごめんなさいって言ってみろよぉぉッ! 「ごめ……なさい……詩音、ごめん、なさい、沙都子……ごめん、なさい……」 目の端から落涙する魅音の声を聞いて、俺は三度目の射精をまた、 後ろから突きながらした。快感、怒り、悲しみ、あらゆる感情がない交ぜになって、 俺の体を支配した。もう、自分だって痛い。 それでも、魅音の体はたまらなく気持ちよかった。 昔、興味本位で雑誌に乗っていた、 豚骨ショウガ味のカップラーメンに穴を開けてそこに入れるというのをやったことがあるが、 そんなものとは比べるべくもない。 あの魅音を犯しているという事実もあり、 俺は三度目の射精をしても、まだ魅音の中に入れたままだった。 もう中はぐちゃぐちゃで、一体どうなってしまっているのか想像もできない。 「……から……だから、圭ちゃんを……圭ちゃんを、殺さないで……」 え? 俺は、そう言おうとした。 だが、言葉が出なかった。 炎に触れたような感覚。 針が侵入していくような感覚。 筋肉が震え、脳の機能が遮断される。 俺は、意識を失った。 「圭ちゃん、起きましたか?」 「……魅音?」 魅音、じゃない。魅音は、もっと奥に居た。 「詩音ですよ、覚えてます?」 「うう……」 俺は、体を起こそうとして気付く。 拘束されていた。 木製の台座に、金具と皮のバンドでしっかりと手足が固定されていた。 「面白かったですよ、お姉の格好。 犬と同じ格好しろっていったら、本当にするんですから。 圭ちゃんのためにね?」 詩音が、うなだれ座り込んでいる魅音に言った。 白装束や体はあのときのままで、汚れていた。 「しお……ん、お前……お前が指示してたのか?」 「いや、犯したのは圭ちゃんでしょ? 本当、何しですかわかったもんじゃないですね。 せいぜい、お姉をボコボコにするぐらいかなーと思ってたんですが」 何も、言い返せない。 「とにかくですねぇ、お姉を一番苦しませるなら、 今この場で圭ちゃんを殺しちゃうのが一番なんですよ。 死んでもらいますね?」 「い、い、いやあぁぁぁぁぁ! やめてぇぇっ! け、圭ちゃんを殺さないでぇっ!」 俺、あれだけ酷いことしたのに……魅音…… 俺は、悔いても悔いても足りないほどの後悔をし、 反吐が出るほどの自分の不甲斐なさを……呪った。 「殺せ、詩音。俺にとっちゃ……生きるのが一番つらい」 「そういう人は居ますよ? でもね、釘が指に刺さったら違うんですよ。実際ね」 詩音は、力一杯木槌を俺の人差し指の爪めがけて叩き下ろした。爪が割れる。 「っぐ!」 「どうです? 痛いでしょう? 今から足の指もあわせて、全部やってあげますよ」 「ああ、頼む」 詩音は無言で、俺の右手の指全てに対して、同じことをした。 そのたびに激痛が走ったが、魅音の痛みに比べたら、全然マシだろう。 「なかなか、頑張りますね。次は指折っちゃいましょうか?」 「やめ……てぇえ……詩音、お願い……」 「……そうですね、条件付でやめましょうか……お姉? お姉が好きなゲームですよ。ゲームをしましょう。負けたら罰ゲームです」 詩音はそう言って、さも愉快そうに笑った。 「うん……なんでもする」 「じゃあ、オナニーして五分以内にイってください。知ってますよね? やり方? 私が前お姉の部屋行ったとき、やってましたもんね? 圭ちゃん、圭ちゃんって」 「無……わかり……ました」 「ほら、五分ですよ、お姉! 今から五分です」 「……詩音、やめろ。魅音は……痛いんだ。無理だ」 「そうですよね、知ってますよ? でも、圭ちゃんへの愛が本当なら、お姉も出来ますよねぇ?」 俺は、なりふりかまわず暴れようとする。 が、皮と金具が邪魔をして、そんなことできるはずも無い。 「ちょっと圭ちゃんは黙っていてください、今はお姉の番ですから」 詩音は、こちらも見ずに腕組みをしたまま、魅音の方を向いていた。 魅音は相変わらず、涙を流しながら、痛みに震える体をなんとか動かし、 気持ちのいいはずのない自慰を続けていた。 待ってろよ、魅音、俺の最後の罪の償いをさせてくれ。 俺は、なんとなく気付きつつあった。この手の複合部品を使った道具は、 手入れされてこそ作りが頑丈なのだ。これがたとえば、 木の台にそのまま削りだされた木のわっかに俺の腕がはめられていたのなら、 まずはずせなかっただろう。 俺の右手は……さっきの暴走で自由になっていた。左手の止め具は普通にはずせた。 ごく自然な動きで、両足の止め具もはずす。 ここまでで約二十秒。音を一切立てなかった。上出来だ。 「うぉぉぉぉぉぉ!!!」 「!」 詩音がやっと、こちらの存在に気付く。 もう遅い。 俺は、詩音に組み付いたまま、牢屋の柵に向かって思いっきり突き進んだ。 がしゃんと派手な音が鳴り、牢屋が開く。 「くっ!」 何とか踏ん張って押しとどめようとする詩音だが、 その程度で俺の動きを止められるはずもなかった。 なぜ、今になって詩音が動いたのか分かった。 その先にあるのが……奈落。 異常事態を察した魅音の声が、聞こえた。聞こえた気がした。 最後の最後で、俺の名前を、呼んでくれた気がした。 落下時間は短かったと思う。衝撃というのは一瞬だったし、 苦痛もそれほど長くは続かなかった。 ただ、俺の自分勝手な行動で、詩音には悪いことをしたかなとも思う。 詩音が俺の腕の中でうずくまっていた。 全てを許せる気がした。 全てを受け入れられる気がした。 だから、来いよ。 オヤシロ様か? それとも死神か? 誰かは知らないけど、死ぬべき俺は、死ぬべき時に死ねた。 だから、かかってこいよ。 俺が昔読んだ小説の一説が浮かぶ。 さあこい、モンキー野郎ども。 人間一度は死ぬもんだ。 平成。 バブルの熱狂の時代は過ぎ、急激な景気の冷え込みと共に人と人との間の関係も、 同時に冷たくなっていく時代。 そんな時代を知らない人間が、一人居た。 「園崎さん? 園崎魅音さん?」 初老……いや、もう老人なのだろうか。 白髪交じりの男が、病院のベッドに身を起こした魅音に、話しかけた。 魅音だった。間違いなく、魅音だった。 あれから十年以上の月日が経ったというのに、魅音は魅音のままだった。 「そろそろ、話してくれませんかねぇ? 園崎……詩音さん?」 詩音という言葉に、魅音は体を震わせた。が、それはすぐに収まる。 「圭ちゃん……来てくれたの? この前のりんご、おいしかったよ」 「それはよかった。さぁ、魅音さん。話してくれますか?」 「ちょっと待ってね、さっき皆も来てたんだ。おーい、皆ぁ……」 ぼそぼそと、魅音はつぶやいた。 「魅音……さん」 「へへ、今日はあの、圭ちゃんが貰ったゲームしようね。傾注傾注。ルールを説明するよ……」 「魅音さん」 老人……大石は、カードをディールしようとする魅音の手首を掴んでとめた。 老人といっても、大石の力は相当なものだ。 「あ、あの、圭ちゃんさ、その、今度するときは……やさしくしてって、言ったじゃない…… 「魅音さん!」 今まで大石の顔と魅音の顔をさえぎっていた髪の毛を、大石は横へと分けた。 「刑事さん、やめてあげてください」 看護士が大石を制止する。それでも大石は、かまわず話を続けた。 「事件は、終わって無いんですよ! まだなぁんにも終わって無いんです! 魅音さんの証言が必要なんです! 話してください、魅音さん! 一緒に事件を終わらせましょう!犯人を……野放しにしておくわけにはいかないんですよ!」 「終わってない?」 魅音の顔に、疑問の色など一つもなかった。 「終わって……無かったの?」 かたかたと魅音は震えだし、両肩を掴む。 「終わって、無いんですよ」 大石も興奮していた。 あまりにもいたたまれない魅音の状態を見て、 より一層事件解決への情熱に、燃料が投下されたからだ。 今の大石は、幾分か落ち着きを取り戻したものの、 魅音の手をしっかり握って、話さないでいた。現実逃避をさせないためだ。 「圭ちゃん……罰ゲームが……多いよ……一つだけにしてよ…… 圭ちゃん、圭ちゃん、圭ちゃん、圭ちゃん、圭ちゃん……」 魅音は、大石の手を振り解き、突っ伏して泣き出した。 これ以上の話は無理だと思い、見舞いの果物を置いた。 「また、来ます」 「お願いです……患者だって、人間なんですよ……」 「わたしゃあね、この子を救えたんです。 でも、救えなかったんですよ。この子だけじゃない。 村のみんなの命を救えたんです。私がつまらない誤解をしていなかったら…… すみません……また、日を置いて来ますよ」 看護士はただ、黙って大石の去り行く背中を見ていた。 一層大声で泣く魅音に、やっとのことで意識を取り戻し、魅音を落ち着かせるようにした。 魅音を落ち着かせるには、それほど苦労しなかった。ゲームの相手をしてやればよかったからだ。 「ご、ごめんね、レナ。なんでもないよ。続きをしよう……」 後日、大石と魅音が再び会うことはなかった。 お日様を見たいという魅音の訴えに、看護士が答えたからだ。 一瞬だった。止める暇なんて無かった。 ずっと寝たきりの人間とは思えないスピードで、地球の重力に吸われた魅音は……そのまま…… その日のうちに、魅音の遺書らしきものが見つかった。 みんなの居るところへ行きますとだけ書いていたそれは、 大石の魅音への見舞いの中に入っていた紙の裏側に記されていた。 しかし、それを見た大石は、瞬時に気付いた。刑事の勘だろうか? 遺書を書くような人間が、これだけ残して死ぬわけが無いと思ったのだ。 今から死のうという人間というのは、実は未練が一杯ある人間なのだ。 全てを失った魅音の未練は、たった一つ。 大石は、十分もしないうちに、それを見つけた。 一冊の日記帳のようなもの。 魅音の見たこと、聞いたこと、したこと、されたことが、そこに克明にかかれてあった。 中には見るのもおぞましいものがあったが、 やっぱり、魅音も事件を解決したいと思っていたのだと思うと、 大石は勇気付けられた気がした。 本当なら、これを生きているうちに見せてもらいたかったものだが…… 大石には、それを乗り越える強さがあった。 日記帳の文は、この一文で締めくくられている。 今までお見舞いに来てくださって、ありがとうございます。 大石さん、私が望むことはただ一つです。 どうか、事件の真相を暴いてください。 盥回し 壊 ―完―
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マッサージローションが必要です。 l 「あぅあぅ。レナのお弁当はすごく美味しそうなのです!!」 お弁当の蓋を取った瞬間、隣にいた羽入ちゃんは食い付いて来た。 「特にその春巻が美味しそうなのです、あう! 」 「駄目ですわ、羽入さん! ねーねーは私のためにおかずを用意してくださいましたのよ」 沙都子ちゃんが羽入ちゃんを咎めた。あの日以来、私は沙都子ちゃんのねーねーになった。まあそれは私の欲望を満たすために演じているだけ。姉という立場を興じているだけなのだけれども。 「私の嫌いな食べ物をとても美味しくしてくださるの、レナねーねーは」 この春巻も皮に沙都子ちゃんの嫌いな南瓜を練りこんで仕立てている。作るのは結構大変なのだが、それに見合うだけの対価はいただいているからまあ良い。 昨日だって、マッサージと称して口で犯してやった。乳首の腫れがひどい、指でやっちゃあ刺激が強すぎるとかこつけて、舌先で転がしてやった。乱れっぷりは相当なものだった…… 「……いいのです……沙都子はレナの手料理を堪能できて……」 「ふふふ、大丈夫だよ羽入ちゃん。羽入ちゃんの分もちゃんとあるからね」 ぱっと羽入ちゃんの顔が晴れていくのが分かる。ああ……良い。その顔に口をつけて毛穴に舌を這わせてやりたい。 「いただきなのです~」 春巻を頬張る羽入ちゃん。皮から油が染み出て羽入ちゃんの唇に艶やかなグロスを掛ける。そのてかてかした唇を私の乳房に塗りつけて欲しい。 「頬が落ちちゃいそうなのです……」 美味しそうな羽入ちゃんを見て私も頬が落ちる思いだ。 『レナ! 俺も俺にも分けてくれよ!! 』 「あっ……」 空気を読めない二号が許可も無しに春巻に箸をつけた。 ……この恥知らずの雄豚め……せっかく女の子たちに食べてもらおうと……あんたにやって何を返してくれるのだ? 汚い白い液体を撒き散らすしか能のない痴漢め。 だから男という奴は何も魅力を持たないのだ。こんな汚い男が私の沙都子ちゃんや羽入ちゃんに牙を剥いたら……想像もしたくない。その時はその汚い下半身を鉈か何かで切ってやろう。沼に打ち捨ててやろう。 「はうぅ圭一くん、許しも無しに食べちゃ駄目だよう」 『いいじゃんレナ、また作れば良いし』 優しく出れば調子に乗りやがって。今度食べ物に何か盛ってやろうか…… ……盛る……か 圭一くんじゃなくて羽入ちゃんの食べ物に何か盛れば……簡単に持ち帰れるのでは…… 妙案だ。毒ではなく睡眠薬か何かを混ぜて食わせば良い。即効性じゃなくなるべく遅効性のやつを。しかも羽入ちゃんは私の料理にゾッコンだ。甘い菓子か何かを作ってやれば諸手を挙げて食い付くだろう。 ───角幼女を持ち帰れる。 ありがとう圭一くん。ゴミ山での発掘作業だけの能無しだと思ってたけど少しは役に立つんだね。 内心の感謝と共に私は餌撒きに食らい付く角の生えた幼女を静かに見据える。さあ、準備準備。今週の土曜日までに、羽入ちゃんの好物をリサーチし手篭めプランを構築していかねば…… ロリ組三人の話を聞いていると、どうやら羽入ちゃんはシュークリームが大の好物らしい。甘甘の紅茶とともに食すのが至上の幸せと話していた。 シュークリームか。少し手間が掛かりそうだが作ることはできる。甘く仕立てたクリームと紅茶に薬を盛ればバレる事は無いはず。 薬は実はもうある。私が不安定なときのために常駐している睡眠薬がある。過去、精神を患っていたときに貰っていた薬だ。すっと入り込まれるように眠気が襲ってくるやつだ。私ほど耐性の無い、しかも幼女の羽入ちゃんはすぐさま眠りの世界へと飛んでいくだろう。 眠っている間にその体を犯す。意識の無い世界でも体は正直に反応する。先日に沙都子ちゃんで試してみたから間違いは無い。膨らみのある胸や未成熟の股間を指と舌で犯し、覚醒する瞬間に羽入ちゃんの性のスイッチを入れる。後はあの子の持っている特有のエロさに賭けてみよう。思惑通りなら、快楽欲しさに私の体を欲しがって来るはず。 プランは決まった。後は誘うだけ。うまい事羽入ちゃん一人だけ釣り出すように試みる。授業の終わり、沙都子ちゃんと梨花ちゃんが席を立った瞬間を見計らって声を掛けた。 「ねえ、羽入ちゃん、今度の土曜日は何か用事ある? 」 唐突だったのか、少し驚きの表情を見せた。 「特には無いのですけど……どうしてなのです? 」 「ふふ、実はシュークリームを初めて焼くんだけど……羽入ちゃんに食べてもらおうかななんて考えてるの」 シューという言葉が出てきた瞬間にがっつくように席を乗り出して迫って来た。 「あうあうあうあう!! 本当なのですか! レナはすごい器量の利くお姉さんなのです」 予想以上の食いつきの良さに内心驚きながらも、言葉を続けた。 「それで、実は羽入ちゃん……実はあなただけを家に招きたいの……どうしてかって言うと……」 「わかってますのです! 僕一人だけに味わって貰いたいのですね。沙都子や梨花なんかに食べさせてたまるもんかなのです!」 あは。自ら網に突っ込んで来てくれた。シュークリームがよほど魅力的なんだろう。 いいよ、羽入ちゃん心行くまで食べさせてあげる。夜も眠れなくなるほど美味しいレナ特製シュークリームを。二つのお口で二度楽しめる、とっておきの奴を。 当日、既にシューは焼きあげた私は、羽入ちゃんが来る前に薬入りクリームの作成に入った。果たしてクリームに混ぜて効くのか心配だったので事前に沙都子ちゃんに毒見をして貰った。美味しいと連呼していた沙都子ちゃんはすっと意識を失っていった。 くーくー寝息を立てる彼女に我慢できず体を弄んでしまったのだがそのあとしっかりと覚醒してくれたので薬の効き目は問題は無い。 あ、もちろん薬入りだってことは流石にあの子には言ってはいないけれど。 家の訪問を知らせるチャイムの音が鳴った。来たか。胸の高鳴りが一層のものになっていくのを感じた。 「こんにちはなのですよ、レナ」 「こんにちは、羽入ちゃん」 ピンク色のワンピースを着た羽入ちゃんがニコニコ顔で佇んでいた。くんくんと鼻を鳴らした羽入ちゃんは言った。 「すごい良い匂いがするのです! あうあう」 「今焼きあがったところなんだよ。さ、あがってあがって」 律儀に一人で罠に掛かりに来た角の生えたかぁいい女の子に内心の笑みを浮かべて私は自室へと招いた。 紅茶とシュ-クリームを乗せたトレーをテーブルの上に置いた。粉砂糖のまぶされたシューに嬌声をあげる羽入ちゃん。 「あうあう! もういたただいてもいいのですか!? 」 「いいよ……全部独り占めしてもいいんだよ」 「それじゃあ、いただきますなのです」 まず一つ手に取りもぐもぐと口を動かす羽入ちゃん。味は完璧なはずだ。薬の味はほとんどしないからばれる事は…… 「ああううああうう、頬がとろけちゃいそうなのです」 やっぱり無かった。 「ふふふ、そう言ってもらえるとレナもとても嬉しいな。紅茶も注いであげるからね」 そういって私は羽入ちゃんの目の前に紅茶を置く。まあこれにも盛ってあるのだが。 「レナのお菓子とお紅茶に囲まれて、僕は果報者なのです……」 何も知らずに頬張っていく角幼女を見て思わずほくそ笑んでしまう。3個目か4個目を取ろうとしたときだった。 「レナは食べないのですか? 」 ……まずった。確かに私が食わないのは少しおかしい。とりあえず1個手に取った私はとっさに言い訳を述べた。 「ええと、羽入ちゃんが満足するまで食べてからレナはいただこうかな……」 苦しい言い訳だ。こうなれば半ば強制的に勧めてやろう。 「ほ、ほら羽入ちゃん。レナが食べさせてあげから……」 一口サイズにちぎり、羽入ちゃんの口元に持っていく。 「変なレナなのです……でも気にせず、あーん」 よしよし。このまま食わせ続けて眠りまで持たせよう。奇妙なお酌を何度か繰り返して次のシューを羽入ちゃんに舌に乗せようとしたときだった。 「あうあぅ……なんだか……急に」 ようやく効き始めたか。まるで酔ったかのようにまぶたを落としかけている。すかさず羽入ちゃんの後ろに回って声を掛けた。 「どうしたのかな、羽入ちゃん……どうしたのかな」 「急に……眠気が……きた……ので……す」 眠りの世界へ落ちかけている羽入ちゃんに更なる追い討ちを目論む。シューからクリームだけを指に取り、眠り姫の口元に持っていった。 「ほら、羽入ちゃんの大好きなクリームだよ……だよう」 朦朧とした羽入ちゃんは弱々しく口を開けクリームを舐り取ろうと試みた。 「あう」 私の指をくわえ込んだ羽入ちゃん。その艶めかしい舌先の動きに背筋がくっと震えるのが分かる。 「クリーム……美味し……・・・・・・」 ついに意識を失った羽入ちゃんは私にもたれかかるようにして体の力を失った。 すやすやと眠りを立てる角幼女。クリームでつやつやに光る唇に魅了された私は意識の無い彼女の唇に無意識のまま口をつけていた。 私にもたれかかるようにして寝息を立てている羽入ちゃんを見る。さて、どうしてあげようか。多少乱雑にしても起きることはないはずだ。まずはそのワンピースの上から膨らみを揉んでやることにしよう。薬が効いているのをいいことに両手でわしわしと揉んでやった。 「ん……」 うぁぁ、いい柔らかさ……大きさは沙都子ちゃんと同じくらいだろうか。 この年でこのくらいなのだから成長すればもっと大きくなってしまうだろう。どうせこの子も発育したらその胸で大人たちを虜にしていくのだろうか…… いいさ、それが運命ならその前に食べてしまえばいいのだから。ていうか今から、食ってしまうのだから。少し力を込めて膨らみを後ろから揉み込む。 「……ぁ……う」 寝息に漏れて羽入ちゃんが声を漏らす。やはり意識が無くても体は素直なのだろう。 そうか。この子はもともとエロ幼女だったんだ。もしかしたら下半身のほうはすごい反応してるのかも。まあ、それは後から攻めてあげることにして…… しばらくの愛撫によって肩紐が肌けたのを見た私はそこから両手を中に滑り込ませる。下着に手が掛かったのだがそれを無視して生乳を目指す。 「……あ! 」 羽入ちゃんの声が少しうわずった。起きてしまったのかと思い、咄嗟に手を止めた。 「……」 再び、寝息を立てたのを見た私は安心して動きを再開させた。 ……って言うか何これ。何でこの子、こんなにおっ立てちゃってるの。服の上から揉んだだけなのに既にびんびんに羽入ちゃんの乳首は勃起していた。やっぱりこの幼女は淫乱だったのか。二つの突起はまるで生えている角のようにそそり立っていた。 まあいい。エロいほどこちらも扱いやすいものだ。 生の膨らみを手のひらに収めて直接指でその突起を弄ぶことにする。 「……ぅ……あう」 ふふ、いいでしょ羽入ちゃん。こんなに立たせてるんだからさ。私は人差し指を用いて、ぴんと弾いてやる。弾くたびに体を震わせてうわずりを聞かせてくれる羽入ちゃんの唇に吸い付く。舌と舌を絡ませたいのだが、歯を閉じていてそれはできなかった。代わりに硬くて尖った犬歯とぷりっとしたピンク色の歯茎に舌に添わす。甘い砂糖の味がした。犬歯の尖ったところに舌をあてがって少しだけその刺さる痛みに酔う。 さて、今日の本題だったその角に取り掛かることにする。恐る恐るその角に触れてみる。 ……何だろうか。少しだけ潤いがあるというか……形容しがたい感触だが、癖になるような感じ。薬が効いていることにすっかり強気になった私は握りこむようにして角を掴んだ。そしてやはりここにも舌を添わせた。 まるで牛の角を舐めているような感じ……舐めたことは無いけど。そんなに味は惹かれるようなものではないので、次はにおいを嗅いでやろうか。 すんと鼻を鳴らして嗅いでみた。石鹸のいい匂いがした。やっぱり本人も気には掛けているのだろうか。 でも……まだ。その角の根元はどうだ。髪と地肌と角が面したその部分はどんなにおいがするのか……癖の掛かった毛髪を押し分けてその面に鼻をつけた。 そして大きく大きく吸った。 ───うふふふふふふ。 芳しい臭い。汗と皮脂と角の老廃物が混じり合った臭い。一般的に言ったら、 頭くさい。 やはり、洗髪が十分行きと届かないのだろう。手入れをしているのにも関わらず臭いは残ってしまう。この子はきっとコンプレックスと感じているのだろう。 ───可哀想な子…… そのしおらしさに言い表せない愛情を感じた私は再び羽入ちゃんの唇を奪った。 その……臭い角に自分の股間を押し付けたい衝動に駆られるが、まだ我慢する。だって美味しいものは後で食べる派だから…… 次はこの子の下半身に手を添わす。白色の木綿のパンツか。幼女御用達だね羽入ちゃん。両膝を抱えてちょうど秘所が露出するような体勢を取らせた。 ……はいはい。それに関して少しは考えていたが……この幼女濡らしている。 それだけならいいが、その染みの範囲が半端じゃあなかった。親指大なんてものじゃない、本当にお漏らしをしてしまったような濡れ方だった、はじめは本当に失禁しちゃったのかと考えたぐらいだ。 ……ていうかこの濡らし様……実は開発済みなのでは? 家で毎日オナっているのでないのか? …… 染みの部分をぐっと押し込んでやる。 「んんぁう……くぅん」 今までよりも大きな嬌声を出した。このエロ幼女め……化けの皮を剥いでやる。下着に手を入れ既に勃起したクリトリスを摘んでやる。 「あっ……ああ」 頬を上気させるはにゅ……エロ幼女は眉を少し曲げその快感に酔っているようだった。 既に指がふやけそうなほどにこの子は愛液を分泌していた。ただ漏れになっているその秘所を攻めようとした瞬間だった。 「あああぅ! ああ……んぁ……」 するっと私の指を羽入ちゃんは咥え込んでしまった。しかも2本も。 「あう……良い……」 良いだと……? とりあえず指を出し入れさせてやる。 「あっあっあっ……! 」 ───はっ? なんだこいつ。もしかして処女でもないのか? この年で? まさか汚い大人の逸物を何度も咥え込んでんじゃないのか? 幼女なのに体は汚れきって…… 間違いは無い。だって指2本まるまる飲み込んで、愛液垂れ流しまくりで…… ……子供の皮を被った汚い幼女め……賞味期限が切れた○物め…… 幼女が床に投げ出されるがそれに対して歯牙にも掛けずに立ち上がり、私は自室の引き出しに足を運んだ。オナニー用の数本バイブの内、細めの奴を選択する。直径はそれほど無いから、あの淫乱なら簡単に飲んじゃうだろう。ローションを付けてやろうと思ったがあの濡れ方だ。付けても付けなくても同じだろ。 沸々と怒りが湧いている私を尻目に快感の余韻に浸っている角。目を覚まさせてやろう。 すっと下着をずらして躊躇も無くバイブを突っ込んでやった。 「……うあう!! ひぁぁう! 」 ぬぷりと全て押し込んだ私は角幼女の下着を戻してやる。下着がこんもり膨らんで、傍からみると男子がペニスを勃起させているみたいになった。……まだ起きないのか。あ、起きたときのことも考えて手錠を掛けておこう。罰ゲーム用の 手錠を持ち出し、あえて後ろ手ではなく体面の前ではめてやった。 準備はOK。あとはスイッチを入れるだけ。入れ直した紅茶とリモコンを手に持ち一口すする。 優雅な午後のひと時を過ごすような感じで足を組んだ後に、私はリモコンのスイッチをオンにした。午後から始まるメロドラマを見るような感じで。 「……うああう! な、何……くぅあんん! 」 やれやれやっとお目覚めか。 「レナ……これは、あう! 何なのですか! 」 それはこっちの台詞だろうに。この淫乱角めが。 「まさか、羽入ちゃんがこんな淫らな子だとは思わなかったよ……」 手錠の戒めに逆らって股間の疼きを必死に止めようとする羽入ちゃんに声を掛けた。 「あぅ……はあん! 放してください……なのです」 「こんな醜態を見せられて放せるわけ無いよ……」 「レナが……何を……言っているのか……分からないのです」 まだ皮を被るのかこの幼女は。 「たらたらよだれ垂らして、張り型ずっぷり銜え込んでる羽入ちゃんは……」 すっと息を吸って、できるだけ冷酷を込めて言う。 「変態淫乱幼女だって言ってるんだよ? わかんない? 」 「そんな、ぼ、僕はそんな……こと」 悪いけど瞳にいっぱいの涙を貯めていても、快楽に溺れているようにしか見えない。 はい、今さら今さら。 「ふん、そんな悪い子は一人でオナってなよ。なんとか手は届くでしょ? 」 本人からしたら両手を必死に伸ばしてバイブを取り払おうとしているのだろうが、私から見たらバイブをさらに食い込ませようとしか思えなかった。 この際だ。私もこの子を使ってやろう。常駐のローションを手に取り、そそり立った角に塗りこめていく。2本のうち角ばったほうにだけ塗りこめていく。量が多すぎたのか髪の毛や顔面に垂れてしまったが気にしない。むしろ悪戯心が湧いてきて顔にも塗りたくってやった。 「んむぅぅう! や、やめ、んんん! 」 無抵抗の羽入ちゃんに情欲をそそられた私は下着を脱ぎ、いよいよ角に腰を下ろす。他人から見たら顔面騎乗を行ってるようだろう。ごつごつした角の感触が私を包み込む。 「はあぅ……」 ぬるぬるの角に自分のクリトリスを擦り付けていく。髪の毛の感触も感じることができてすごい良い。 「い、良いよ、羽入ちゃん。最高のオナペだよぅ……んん」 「ああぅ、レナが、僕の角を……」 私の愛液とローションと羽入ちゃんの角の底部の臭い部分が混じり合う。 「ほら、レナと羽入ちゃんとで作った特製クリームだよ……」 「んむぅぅ……! うくぅぅう!! 」 指でそのクリームを掬い取った私は、顔を振って嫌がる幼女の口にねじり込んでやった。 快感とS気が徐々にこみ上げてきた私は、羽入ちゃんの顔を膝とももで挟み込み快感がぶれない様にする。 「ほら、羽入ちゃんも動かしなよっと」 「ああ! だ、駄目なのです!! 」 突き刺さったバイブを固定している下着を裾を引っ張り上げた。さらに深くへと押し込んであげる。 「れ、レナ、もうすぐイキそう……羽入ちゃんも……一緒にイこうね」 ぐっと手の力をいれて羽入ちゃんのバイブを食い込ませる。既にバイブの全面を飲み込んでしまいそうになっている。 「ああ……あっあうあうあうあう!! もう……だめぇぇ!!!! 」 「レナも……変態幼女の角でイっちゃうぅぅぅ!! 」 私たちはほぼ同時に達した。羽入ちゃんは下着を通り越して床に溜まりを作った。 私は羽入ちゃんの髪の毛の中に淫液を垂れ流していた。 「あ、やっと起きたね羽入ちゃん」 「あう……僕は眠っていたのですか……? 」 何も憶えていない様な羽入ちゃんは寝ぼけ眼で私を見つめてきた。 「そう、ずっとお昼寝してたんだよ……」 あの後、後処理を必死に行ったのだ。絶頂に達した羽入ちゃんは運良くまた寝息を立て始めた。その間に濡れタオルを用意して、体についた色んな液体を拭ってやった。 お菓子の廃棄やその他もろもろ……覚醒したときに私の攻めがばれてしまうのではないかと内心冷や冷やしていた。しかし、何か悪い夢を見ていたのです、シュークリームに食べられるような感じだったのです、と羽入ちゃんは言ってきた。 彼女の夢見の良さに感謝しつつその場を私は凌いだのだった。 まあ、別に羽入ちゃんに嫌われたくない思いで後処理を行ったのではない。この子に所業がばれたら、たちまち村のみんなに広まって暮らしてはいけなくなる。いわば証拠隠滅のための処理だった。 羽入ちゃんなんて非処女で純真さもないただの淫乱だもの。私の守備範囲ではない。あの角の感触だけは最高によかったんだけど。それが良かった分、残念だ。 「あうあう、レナのシュークリームとっても美味しかったのです。また、食べに来てもいい良いですか? 」 帰りがけに羽入ちゃんはそう言った。一応は承諾してやったのだが心のうちは黒に染まっていた。 ───ふん、誰が羽入ちゃんのようなけだものに食べさせてやるものか。 淫乱幼女は男の肉棒でも食ってりゃいいのに。あ、もう食べてるか。あなたの角が欲しくなったらまたお菓子作ってあげるね。そのときまで角磨いて待っててね。また角を使ってあげるからね。 残る幼女は一人、古手梨花ちゃん。 あの子は妙に勘がいい部分がある。この村の巫女として一目置かれた存在になっている。にぱにぱ振りまいてのらりくらりと都合の悪いことはかわして行ってしまうとってもいけない子。レナが捕まえなきゃ。 さすがにこの子は羽入ちゃんのように非処女ではないだろう。だって……全然発育してないし。洗濯板だしね。もし捕まえられたら久々に青い果実を食うことができるだろう。どう嵌めようか。今回は罰ゲームを利用して私の隠れ家に連れて行ってやろうか。そして、あの子の好きな猫さんのプレーを強要してやろう。 黒髪の洗濯板幼女の夢を見ながら、私は羽入ちゃんの愛液の付いたままのバイブを下の口で飲み込んでいった。 aルート d (梨花×レナ)に続く bルート n 変態レナ 梨花編に続く -
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前回 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ弐〜 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ参〜<捕食> その9からその13まで収録 幸福とは愛することであり、また愛する対象へ、 時としてわずかに心もとなく近づいてゆく機会をとらえることである。 トオマス・マン『トニオ・クレエゲル』より 情欲の血が燃え立つと、心はむやみに 誓いの言葉を並べたてるものだ。 シェイクスピア『ハムレット』第一幕第三場より 「あ…ん、あぁ…」 俺の下で股を開き、だらしなく愛液を滴らせるレナの秘裂に、俺の怒張が緩慢な動きで侵入する。 初めて男を受け入れるそこは、レナ自身の慰めによって十分な下地は出来ていたが、 処女特有の閉塞感がまず俺を襲う。 「ク…ッ!フフフ、さすがに初めてだからキツいなぁ…レナのココは」 「はうぅ…け、圭一くん…」 「済まないな、最初は少し痛みを感じるだろう…けどな、最初さえ乗り切れば後は楽になる…緊張せずに力を抜けよ、レナ」 「う…うん…。レナ、まだよくわからないから…圭一くんの言う通りにしてみるよ…」 「クックック…それが一番だ。もう少し奥に進むからな…」 俺はレナに促しつつ、レナの身体を引き寄せつつズズッと一段深く挿入する。 「んんん…ッ!!」 さらに内部は狭くなっていたが、なおも緩慢に俺自身を侵入させる。 締め付けがまたもきつくなってきたところで、一段と深く前へ進んだ瞬間、何かが割れるようなプツンとした感触を得た。 「い、痛…ッ」 レナが苦痛の表情を一瞬浮かべると、秘裂から鮮血が愛液と混ざり合って流れ落ちた。 …レナの純潔を、俺が獲得した瞬間だ。本当に、儚く処女を散らす時の女の表情というのはいつ見ても最高だな…! だが、その征服感を露にしてはならない。あくまでも、処女を捧げた女に対して配慮する、紳士を演じねばな…。 「だ、大丈夫か、レナ…。やっぱり苦しかったか?」 レナは眉間に皺を寄せ、下に敷いたタオルケットを強く掴んだままだが、潤んだ瞳で俺に微笑む。 「う…うん。レナは…大丈夫だから。…レナはね、ずっと…圭一くんに、レナの初めてを貰ってほしかったんだよ…だよ」 タオルケットを掴んでいた右手が、俺の頬にそっと触れる。親指で俺の唇をなぞる艶かしいその仕草に、不覚にも俺は胸中でゾクリとしてしまった。 レナは穏やかな表情になって、俺の頬を撫でながら話す。 「こうやって、圭一くんと一つになれて…レナは、今までで一番幸せなの。 『自分は穢れている』…そう信じ込んで、自分を壊してしまいたいと思って、自分を傷つけたりもした。 やがてオヤシロさまがやって来て、雛見沢に戻って…みんなと出会い、そして圭一くんと出会った」 …俺は何故だか、神妙な気持ちでレナの言葉を聞いていた。 『らしくないな、前原圭一…お前はこの女を蹂躙しているんだろ?その相手の情にほだされてどうする、今さら言葉なんてのは肉体の前では意味を成さない』 心の声は、そう言っている。だが、それでも俺はレナから目を逸らせなかった。 「レナは部活のみんなのおかげで、楽しい毎日を送ることが出来てるの…もう、みんながいない世界なんて… 圭一くんがいない世界なんて…レナには考えられない。だからね」 レナは俺の首に手を回し、ゆっくりと引き寄せ、静かに口付ける。舌を交わらせ、つうっと唾液が糸を引く。 「圭一くんと、こうして一つになって、レナはもう大丈夫なんだって思えるの。 圭一くんに守ってもらって、レナの幸せがやっと見つかったんだって、そう思えるの。 レナはオヤシロさまの祟りが恐くてたまらないけど…圭一くんが側にいてくれるだけで、その不安を乗り越えられる、そう思えるの」 レナの瞳から涙が一筋流れ落ち、それはやがてポロポロと頬を濡らしていった。 「…圭一くん。…私は、大丈夫だよ…だよ?だから…圭一くんの好きなようにして。 圭一くんがやりたいように…して?レナは、もう圭一くんのものなんだから」 …この女は…レナは…紛れも無く、本心から俺を慕っている。俺のことを疑いもしないで、全てを委ねてきている。 『前原圭一は、竜宮レナを救わねばならない』…これは運命だ。そう思うしかないし、そう決められている気さえしている。 『…その運命を、受け入れるのか?』 心の中の俺が、聞いてくる。…どうするんだ、前原圭一。 …今までのお前なら、こんな女の気持ちなんか無視してきた。だが…レナの本心に触れた今の俺は… …いや。そうだ…こいつは既に俺の『モノ』なんだ…だったら、そいつを活かすも殺すも俺の思いのまま… …クックック、なんだ、悩み抜くことなんてないじゃないか…! レナが自分で望んでいるというなら…俺はそれを使わせてもらうだけだ…! 「ああ…嬉しいよ、レナ。俺のことを、そこまで想っていてくれたなんて」 俺は喉の奥で笑いを堪えつつ、感動を装いレナに微笑む。 今度は俺の方から口付け、にっこりと笑い、瞳を見つめる。 「レナを守ると、俺は誓う。オヤシロさまの祟りも、俺たちを襲うことはない…俺が側にいる限り、レナは幸せでいられるんだ」 「圭一、くん…!」 「二人で幸せになろう。これからはオヤシロさまでさえ、俺たちを引き離すことは出来ない…俺とレナの『想い』が、祟りを打ち破るはずだ」 「圭一くん…ありがとう、圭一くん…!」 俺たちは強く抱き合う。…その時の俺の口元は、この上なく醜く歪んでいたのだろう…だが、レナに気付かれてはいなかった。 「…じゃあ、レナ…少しずつ、動くからな。痛かったら、ちゃんと言うんだぞ」 「…う、うん。レナ…頑張るからね…」 俺は腰をゆっくりと引き、深く、しかし刺激を与え過ぎないようにレナの中へ再び俺自身を送り出した。 「うぁう…っ!」 レナの中に、再び打ち込まれる怒張。 心の準備はしていたとはいえ、初めての感覚にレナの身体がビクリと反応する。 俺はそのまま出し入れを開始し、前後のピストン運動を緩慢に始めた。 「あッ…はぁ…はぁ…あん…」 処女を失い、緊張をほぐし始めたレナも、寄せては返す波のような快楽を感じ始めたようだ。 「…んん…はあ…あぁ…ん…け、圭一く…ん…ッ!」 「…どうだ、レナ?…さっきよりは、楽になってきたか?」 「はあ…はぁ、う…うん…。…レナ、圭一くんにいじってもらった時より、ふわふわした感じになってきたよ…」 「はは…そりゃあいい。もう少し動くからな…さらに気持ち良くしてやるよ…!」 言葉と同時に、腰の動きを大きくする。より強い衝撃に、レナの身体がさらに跳ね上がる。 「ああんッ!」 秘裂の入り口付近までペニスを戻し、一気にズンと打ち込む。 長さも太さも日本人の平均をゆうに上回るだけでなく、多くの女を虜にし使い込んだ俺の砲身。 押し込むだけでも敏感な女ならオルガスム寸前までもっていける…。 レナ、良かったなぁ!初めてでこんな大物を体感出来て!もう並の男のモンじゃあ満足出来なくなるだろうよ…あははははは!!! 「はぁっ!んあぅッ!あんッ!…す、凄いよ圭一くんの…!レナの中で、動いてるのが分かるの…!」 「ふははは、満足か、レナ!?」 「うあぅッ!う…うん!…け、圭一くんのが出たり入ったりするたびに、レナのアソコがビクビクしちゃうのッ!!」 「そうか、やっぱりなぁ!!レナのオマンコは、俺のオチンポを銜え込んで離してくれないもんなぁ!!」 「ひッ!んんっ!ああんっ!そんな、レナ、そんな…」 「今さら隠すなよ、レナ!素直になれ、お前は淫乱でかぁいいオチンポ奴隷だろうが!! 『前原圭一くんのオチンポを、オマンコで銜え込むのが好きで好きで堪らない、スケベで淫乱な竜宮レナです』と、認めてしまえ!!」 俺は更にスピードを上げ、レナを責め立てる。 突かれるたびにレナの身体から汗と愛液が飛び散り、レナの嬌声が大きくなる。 いよいよ小刻みに腰を打ち付ける。レナが快楽の果てまで到達するのはもう少しだった。 レナは意識を飛ばす寸前…そして、さっきの俺の言葉がレナの最後の理性を吹き飛ばした。 「そ、そうですッ!!竜宮レナは、前原圭一くんのオチンポが大好きですッ!! オマンコで大きなオチンポを銜え込むのが好きで好きで堪らない、スケベで淫乱なメス犬ですッ!! 圭一くんの大きなオチンポで、レナをイカせて下さいッ!! どうかレナのだらしないオマンコに、オチンポ汁をいっぱいいっぱい注ぎ込んで下さいッ!!!」 「上出来だ、レナッ!!お望みどおり、お前の中にくれてやるッ!!!存分に味わえッ!!!」 ラストスパートを掛け、俺はレナの下半身に自らを打ち付ける。 レナは俺の腰の後ろに足を絡め、背中に手を回し、離そうとしない。 そして、レナの締め付けがさらに増し、俺自身の限界も近付いた。 「イクぞ、レナッ!!俺のをお前の中に全部出してやるからなッ!!!」 「うんッ!!出してぇ!!圭一くんのオチンポ汁、レナのオマンコに全部頂戴ッ!!」 「ぐ…うおおおおおぉぉぉッ!!!」 「イ、イク…ッ!!!レナもイっちゃう、あああぁぁぁぁッ!!!」 同時に俺たちは絶頂を迎え、レナの膣内の一番奥で精を放つ。 ドクンドクンと送り込まれた精液の量は尋常ではなく、入り切らない分が外に溢れ出した。 これは新記録だな…ここまでの量、俺は出したことが無い。レナとの相性が良すぎるからかな…かな?クックック…。 レナは身体をビクンビクンと痙攣させ、俺の身体にしがみついたあと、ぐったりとした。 意識が一瞬だけ飛んだだろうが、再び肩で息をしながら俺の顔を見つめていた。 「はあ…はぁ…はぁ…ん、は…。け、圭一、く、ん…」 「…はぁ…はぁ…。…レナ…」 俺たちは抱き合ったまま見つめ合い、同時に口を近付ける。 情事の後のキス…今まで、抱いてきた女には何度もしてやった…だが、この気持ち…。 レナと一つになっている時の、この気持ちは…今までとは違う、温かさのようなモノを感じる。 またしても、俺らしくない…そう思いつつも、レナと甘くキスを交わし、お互い果てた後の余韻をいつまでも味わっていたかった。 「レナ…」 「圭一くん…」 言葉をこれ以上重ねる必要は無い…そう目で交わす、無言のやりとり。 レナは再び俺の頬に手を触れ、安心しきった笑顔を浮かべた後、眠りに落ちた。 意識が薄れる直前、俺は思った。 『レナは完全に、俺のモノになった…だが、レナは俺にとって、ただの奴隷なんだろうか…? …今まで出会った女と違う特別な女だとしたら…奴隷としてでなく、どう扱うべきなんだ、前原圭一…?』 そこで意識は途切れ、俺もまた深い眠りに落ちていった。 五年目の綿流しの晩…オヤシロさまの祟りを恐れるべき夜は、何事も無く過ぎ去ったかのように思われた。 だが…俺とレナが知らない所で、事態は進行していた。 前原圭一の、そして竜宮レナの運命は、やはりこの晩から転がり落ちていったんだ…。 ただ一人の男の、奇怪な死が引き金となって…。 次回 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ肆〜<怪異>
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前回 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ伍〜<家畜> 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ陸〜<聖職者> その27からその30まで収録 最も強い力で婦人を護り得るものこそ 婦人の愛をうける値打があるのです。 ゲーテ『ファウスト』第二部第三幕より 婦に長舌(ちょうぜつ)あるは、維(こ)れ厲(れい)の階(はし)なり。 【女のおしゃべりは、世の中を乱す階段である】 『詩経』大雅(たいが)・蕩之什(とうのじゅう)・瞻卬(せんぎょう)より さて。 レナに魅音攻略の秘策を授けた、次の日のことだ。 「あれ~?圭一くん、目の下にクマさんが出来てるよ?なんでかな?かな?」 いつもの待ち合わせの場所に着いた後、レナが俺の顔を見て訊いてきた。 俺は完全に寝不足だった。 夢を見た。それも、『悪夢』と言って差し支えないような内容の。 …俺が殺される夢だ。いや、正確には——俺が死ぬ夢だ。 俺は自分が殺される瞬間を、まるで傍観者のように見ていた。霊魂だけが肉体を離れたように、自分の死を眺めていたのだ。 夢の中で客観的に自分を眺めている、というのは時々ある。だが、昨晩の夢が異様に感じられたのは、俺の死に方だった。 俺は夢の中で、包丁を手に、喉を貫いていた。キッチンに血溜まりを作りながら、何度も何度も。 やがて包丁が喉に突き刺さったまま、前のめりに倒れる。それをずっと、もう一人の——意識が有る方の俺は見続けていた。 そして、死んだ俺を茫然と見ていた時だ。キッチンに入ってくる人影が、二つ。 レナと、魅音だった。 彼女たちは死んだ俺に歩み寄って、無表情のまま見ていた。 しばらくすると、レナがしゃがみ込んで、死んだ俺の頭を撫で始めた。そして、ぼそりと言った。 「…あーあ、圭一くんも駄目だったかぁ」 抑揚の無い声で。まるで、実験に使ったモルモットが予想通り死んだ時のように。 その時、俺は——彼女たちを見ている、意識が有る方の俺は、戦慄を覚えた。 夢の中で寒気を覚えた瞬間、目が覚めて——悪夢から解放されたのだ。 時計の針は三時半を指していた。その後、なかなか寝付けずに——陽が登ってしまったというわけだ。 こんな夢を見て。気分がいいはずがない。 「…昨日は遅くまでテレビ観てたんだよ…」 レナにはこう弁解しておく。 「はぅ~…夜更かしはいけないんだよ、だよ?ちゃんとお眠りして、明日のために元気を蓄えなきゃ」 「あぁ…そうだな…ふあぁぁぁ~」 欠伸で返答するが、レナは心配そうに俺の横顔を見ていた。そのうちスッと視線を落とし、ボソボソと何か呟いている。 「…レナが圭一くんの…めさんなら、テレビで夜更かしなんてさせないのに…」 「は?レナが俺のなんだって?」 「!…う、ううん!何でもないよ、只の独り言だよ、だよ!」 …まぁいいか、今の俺はマジでパワーダウン中だ。学校でも大人しく居眠りさせてもらおう。 …『弓』こと知恵先生が、指に挟んだチョークを飛ばしてこないことを祈るが…。 眠気眼をこすりつつ、今度は魅音と合流する。 「レナに圭ちゃん、おはよ!…って…なぁ~んか圭ちゃん眠そうだねぇ?」 「…夜更かししちまったんだよ…悪いが今日は大人しくさせてもらうぜ…」 「ありゃ、つまんないなぁ。…じゃあ、おじさんのぱふぱふ攻撃で起こしてあげようかな?」 「はぅ、魅ぃちゃん…そんなことはいけないんじゃないかな、かな?」 「じょ、冗談だってレナ!そんな構え取らなくても…って、もう8の字ウィービング始めてるし!?」 俺は眠気に襲われつつ、コントを演じる二人を眺めていた。 …ミンミンゼミのなき声に混じって、「まっくのーうち!」「まっくのーうち!」と連呼する声が聞こえた気がした。 …こうやって、微笑ましいやり取りをしている二人だが、夢の中でのこいつらは、その瞳に冷ややかなものを秘めていた。 …あれは俺の意識の底にある、彼女たちへの「恐れ」が夢の中に表れただけに過ぎないのだろうか。 それとも…脳内の未知なる部分にあるという、「予知能力」が見せた、俺の未来だったりするのか。 …そんなのあってたまるか。俺が死んでたまるか。 何より——こいつらに殺されるのも、まっぴら御免だ。 そもそも、「殺す」だの「殺される」だの、そういう話が俺たち『仲間』の中にあってはいけないんだ。 …俺はこいつらを、自らの愉悦のために使いたいとは思うが。命のやりとりなど、あってはならない。 ——ん?ということは…つまり。こいつらの命が危険に迫った時は、守らねばならないという論理も成り立つな。 ——それはそれで、いいかもな。 レナと魅音のじゃれあう様を見ながら、俺は知らないうちに微笑していた。 学校に着いても、俺の調子は上がらなかった。 昼休みになっても机の上でゴロゴロする俺に沙都子がちょっかいを出そうとするが、梨花ちゃんに諭されて離れていった。 窓際では、レナと魅音が二人で何か話しているようだ。 深い眠りに落ちそうなのを耐えていると、不意に思いもよらなかった単語が聞こえてきた。 「綿流しの晩に失踪したらしいよ」 …ナニヲイッテイルンダ? 声の主は魅音だ。まさか…レナに、富竹と鷹野のことを話しているのか!? 「…けさん、…たけさんなの?」 「…知る限りではね」 「…他にもいるんでしょ?」 「彼女が祟りにあったのか…『鬼隠し』にあったのかはわかんないけどね」 やっぱり魅音の奴…! よりにもよって、レナに今年の『鬼隠し』のことを不用心にベラベラと…! 俺は今すぐにでも起き上がって魅音の口を塞ぎたい一心だったが、それはマズい。 なぜなら、表向きとして雛見沢においては、俺はまだ『鬼隠し』も知らない新入り扱いである。 その立場を崩さずに真相を探らねばならないのだから、畢竟『無知』を装わねばならない。 ゆえにこの場は大人しく会話の内容を探るしか出来ないのだ。大それた発言も動きも、今は許されない。 俺は居眠りしているふりをしつつ、二人の会話に耳を傾ける。 「いずれにせよ、もう一人いるんだよね…だよね?」 「オヤシロさまなら…ね」 「じゃあレナたちが知らないだけで…誰かが…たかもしれない…ってこと?」 「…かも、ね…」 「…次は…レナ、かな…」 「…大丈夫だよ、レナはちゃんと帰ってきたよ」 「…でも…くんは駄目だったんでしょ?」 「昔の話だよ…もうやめよ、この話」 …まずい。やはり、レナに今年も起こってしまった『オヤシロさまの祟り』を教えるべきではなかったのだ。 あいつの祟りに対する恐れは尋常ではない…それは大石に言われたことでもあるが、俺自身もレナと交わりながら感じたことでもあった。 レナを心底から服従させるためにも、今年の祟りのことは絶対にレナの耳に入れてはならない。…それが俺が出した結論だった。 …なのに、魅音はそれをベラベラと喋ってしまった。 散々レナの恐怖心を煽っておいて、「もうやめよ、この話」はねぇだろうよ、魅音…! しかし、今やレナが知ってしまった以上、早く『オヤシロさまの祟り』の正体を暴いてあいつの不安を払拭してやらねばならないだろう。 そのためにも、やはり…魅音を俺の意志に沿うモノに仕立て上げねばならない。 今回のような、空気を読まないことを平気でやらかす奴だ。俺が御しなければ、いずれどんな動きを見せるか分からない。 …そもそも、何故魅音が『今年のオヤシロさまの祟り』が起きたことを知っているのか? おそらく園崎家の情報網があるからだろうが、警察内部の機密まで入手出来ているとはな…さすがに雛見沢の暗部を司る一家はあなどれないということか。 やはり園崎家が黒幕に近いのか…あるいは、黒幕自身なのか。 そうであるならばリスクの高い正面対決ではなく、園崎家次期当主を俺の配下にすることが上策だろう。 『オヤシロさまの祟り』の正体を暴き、雛見沢における俺の名声を高め、影のフィクサーとしての前原圭一=雛見沢の『神』としての地位を安泰にする…。 ならば俺とレナの手で、園崎魅音を「陥落」させることが先決だ。計画を早めねば…! 俺は眠気をようやく一蹴し、「あー、よく寝たぜ」とぼやきながら立ち上がる。 …その瞬間、みんなの外履きが俺の頭上にポコポコと落ちてきた。沙都子のトラップに引っかかったらしい。 …まったく、今日は散々だぜ…。だが、魅音を堕とすことだけは失敗しないさ。 …そう、俺には頼もしい『仲間』…いや、『配下たち』がいるからな…くっくっくっく! 俺はレナを廊下に呼び出し、こう耳打ちする。 「…今日の放課後。魅音を『俺たちの部活』にご案内する」 「…ッ!」 息を飲むレナに構わず、俺は口元を歪めながら言葉を続ける。 「…いつもの『部活』は今日だけ中止にする。レナは魅音を××し、その後…」 「…」 「…という風にな。…首尾良く行ったら…レナにかぁいい『ご褒美』をやろう」 俺はレナの胸をむにゅっと掴む。 一瞬「んうっ」と声を上げるレナ。だが喘ぐ声を押し殺しつつ、俺に囁く。 「…分かったよ、圭一くん…。レナ、魅ぃちゃんをうまく『部活』に誘うよ…」 「クク、その意気だ…楽しい楽しい『部活』にしような、レナ」 最後に乳首をつまみ上げ、俺とレナは教室へ戻る。 …平静を装って俺の後ろを歩くレナ。だが、俺だけは知っている。 牝狗としてのスイッチが入ったレナが、顔を紅潮させてしまっていることを。 …そして、その牝狗が明日には『二人』に増えることをな…あははははははははははははは!!!! 放課後。 「さて、いつもの部活の時間でございますわね」 「今日は負けないのですよ、み~☆」 沙都子と梨花ちゃんが、俺たち上級生組の机に集まってきた。 だが、そこで魅音が顔の前でパンッと手を合わせてこう切り出す。 「あ~、三人ともごめんね~。おじさんさぁ、これからレナと行かなきゃいけないところがあるんだよ」 突然の部活中止に、沙都子と梨花ちゃんがきょとんとしている。 「ごめんね、みんな。今日は魅ぃちゃんと、興宮まで行かなくちゃいけないの。 レナのお家で家具を買うことになって、魅ぃちゃんのお知り合いの家具屋さんで選べることになったから、魅ぃちゃんにも付き添いを頼んだの…」 レナも二人に謝る。 …いいぞレナ。こういう理由なら、沙都子と梨花ちゃんが入り込める余地はない。 俺が指示した通り…全ては俺の計画通りだ。 「なぁんだ、そういうことがあるなら仕方ねぇなぁ。んじゃ、今日の部活は中止だな。 …ま、明日は今日の分も含めて盛り上がればいいさ」 俺は何も知らないふりをする。 沙都子と梨花ちゃんも「そういう事情なら、仕方ありませんわね」「レナと魅ぃなら、きっといい家具を選べるのですよ。にぱ~☆」と部活中止を受け入れ、荷物をまとめて帰宅した。 …年少組には悪いが。ここから先は俺たちの『部活』の話なんだよ…。 沙都子と梨花ちゃんが帰ったのを確認すると、俺も荷物をまとめてレナたちに「じゃあな」と手を振り、教室を出る。 …昇降口に出ると、知恵先生が待っていた。 「知恵先生。…俺たち以外は、もう学校には誰もいませんよね?」 「ええ、全員帰宅しました。校長先生も、今日は興宮で教育委員会の会議があるために出かけられていますから、戻ることもありません」 「じゃあ、学校の鍵も、今は知恵先生が持っていることになるんですね?」 「ええ。…校舎と校門の鍵なら、ここに」 知恵先生が、ワンピースのポケットからキーホルダーについた鍵を取り出した。 俺はそれを受け取ると、ニヤリと笑う。 「…くっくっく。…よくやったぞ、『知恵』」 演じていた『生徒』の仮面を引き剥がす。それは俺だけではない。…目の前にいる『女』も、『教師』の仮面を引き剥がした。 「…ありがとうございます、前原くん」 知恵留美子…表向きは、雛見沢分校のただ一人の教師。 だが、もう一つ…俺が雛見沢で最初に――転校初日に――堕とした『女』としての顔も持っている。 …レナたちは牝狗として従えるつもりだが…こいつは別枠だ。 教師としての立場がある以上、あまり露骨に接すると周りに勘ぐられてしまうかもしれないからな。 あくまでも『協力者』であるが…それでも俺にとって大事な手駒であることに変わりはない。 …命令を忠実にこなす点でも信頼出来る上、本当に素直で可愛い奴だ…。 「知恵、感謝するぞ…お前の協力が無ければ、今回の策は破綻するからな」 俺は口元を歪めつつ、知恵の白いワンピースの上から形の良い乳房を揉んでやる。 「あ…ん、あ、ありがとうございます…私が、前原くんに『ご奉仕』出来て…むしろ光栄です…」 愛撫に耐えながら、知恵は息遣いを荒くしていく。 俺は右手で乳房を愛撫しながら、左手をワンピースの下から突っ込み、知恵の秘部をヌチャヌチャといじくる。 「んんッ、ああんッ!…前原、くんッ」 「くくくく、知恵…ちゃんと言い付け通りに、毎日ノーパンで教壇に立ってるようだな」 そう、俺は初めてこの女をモノにした後、ある条件を出した…「これからも俺に抱いてほしければ、毎日ノーパンで教壇に立て」と。 「は…はい、今日も、明日も…んくぅッ!…前原くんの言い付け通り、ノーパンで教壇に立ちます…あぅッ!!」 「クク、お前はとんでもない淫乱教師だな!聖職者でありながら、純真な子供達を導く立場の教師でありながら、ノーパンで感じる変態だとはな!! 生徒に見られるかもしれない、気付かれるかもしれないというスリルでオマンコを濡らしてるんだろ、お前はッ!!」 「ひぁッ!!…あ、あんッ、そ、そうです…!知恵留美子は、子供達に気付かれたらどうしようって思うだけで濡れてしまう、変態でドスケベな淫乱教師なんです…んんうッ」 俺は胸への愛撫と秘裂への責めを激しくしながら、知恵の唇を塞ぐ。 無理矢理舌を侵入させ、口内を蹂躙する。それに応えるように知恵も舌を絡め、お互いの唾液が混ざり合う。 「…ぷはッ!…くっくっくっくっく!大変良く出来たで賞、だな!…いい子にはご褒美あげようか、そらぁ!」 「んん、んふッ!…ん、あ、あああ、イ、イク!イッちゃいます…ッ!!」 知恵は俺にしがみつき、崩れ落ちそうになるのを堪える。だが俺は手を休めず、むしろ激しく手を動かし、知恵を責め立てる。 「ははは!いいぞ、ここでイっちまえ!ただし声はあんまり上げるなよ、レナたちに気付かれたらヤバイからなぁ!!」 「ん、あ、あ、んん、あああ、イ、イク、イク!んんんんんーーーーッ!!!」 知恵は俺の胸に顔を押し付け、なんとか声を大き過ぎない程度にして果てた。 俺は知恵の身体を抱きとめ、ビクビクと身体を震わせる知恵が落ち着くまで待ってやった。 …息が落ち着いてきた知恵は、俺を潤んだ瞳で見つめてくる。…哀願する牝狗の瞳。…やはりこいつも、そこまで堕ちている女に変わりないか…! 俺はニタリと笑みを浮かべ、知恵に囁く。 「くくくく、知恵…。レナが魅音で『遊んで』いる間…もうちょっとだけ『ご褒美』をやってもいいぜ…?」 知恵は瞳の奥で欲情の炎が点いたようだった。 …それは、さらなる快楽を得るためなら狗にでもなんでもなろうというスイッチが入った証拠。 「…はい、ありがとうございます…前原くんのコレで…私の膣内を存分に楽しんで下さい…んっ」 知恵はズボンの上から俺の逸物を擦りつつ、唇を重ねてきた。 俺は知恵とキスしつつ、レナたちのことを思った。 うまくやれよ、レナ…こいつへの『ご褒美』後になっちまうが、お前たちにもちゃんと『ご褒美』くれてやるからな…! はは、はははは、あはははははははははははははははははははは!!!!! 次回 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ漆〜<反転>
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SIDE 圭一 明朝4:00に48時間作戦が開始される。 梨花ちゃんの命を狙う……いや、そうじゃない、雛見沢の命を狙っている鷹野さん達との戦いが始まる。 俺達は戦いに備えて、魅音の家に寝泊まりすることにした。 朝は早い。それまでに少しでも睡眠を取っておくというのが魅音の指示だった。 それは分かっている。……しかし、俺はなかなか寝付けないでいた。 時計の針は夜の11:00をまわったところ。 いつもならまだ起きている時間なのだから当然だといえば当然なのだろうが……。 畜生。最高のコンディションを整えなくちゃいけないってのに、こんなんじゃ明日になってみんなの足を引っ張りかねない。 寝返りを打って、目を開ける。 あれ? 障子の向こうに誰かいないか? 月明かりに照らされて、人影が映っている。 誰だろう……こんな時間にやってくるっていったら、それは―― 1,レナかもしれない 2,魅音かもしれない 3,沙都子かもしれない 4,梨花ちゃんかもしれない 5,羽入かもしれない ========================================== rァ レナかもしれない 俺以外にまだ眠れない奴がいるのかと思い。そっと布団から抜け出し、障子へと移動する。 「レナ? ……どうしたんだよ? こんな時間に」 戸を開けると、そこにはレナが立っていた。 「あ…………その。ゴメンね圭一君。起こしちゃった?」 「いや……別に構わないぜ? 俺は寝付けなかったから、まだ起きてた」 「そうだったの? 圭一君も眠れなかったんだ……」 そう言うとレナは照れくさそうに笑った。 「っていうことはレナもか? じゃあ、ひょっとしてみんなも……?」 「ううん。みんなはもう寝ちゃったよ。布団に入ってすぐだった。魅ぃちゃんと沙都子ちゃんなんて凄いいびきなんだよ?」 俺は苦笑した。なんとなく容易にその様子が想像できたからだ。 同時に、彼女らの強さを少し羨ましくも思った。 「……そりゃ確かに眠れないよな。それでレナは部屋を抜け出してきたっていう訳か」 レナは頷いた。 「出来たら圭一君とお話し出来ないかなってここまできたけど、よく考えたら圭一君だって休んでるんだから邪魔しちゃ悪いよねって……」 「仕方ないから部屋の外に突っ立ってたっていうわけか? なら、取り敢えず部屋に入れよ? いくら夏だからって、いつまでも夜風に当たっていると風邪引いちまうぞ? 魅音の言葉を忘れたのかよ?」 そう言うと、レナはくすくすと笑った。 「そうだね。……それじゃ、お言葉に甘えてそうさせてもらうね」 レナが部屋に入って、俺は障子を閉めた。 二人して布団の上に座る。 でも話す切っ掛けが見付け出せなくて、俺達は互いに無言だった。 庭園に流れる水の音しか聞こえない静寂。 月明かりしかない暗がりで、レナがどんな顔をしているのかよく見えない。 でも、俺の隣にレナがいる。それだけで、なんだか少しほっとする。 「レナ。……話ってなんだよ?」 「ん? ……何だっけ。もう忘れちゃった」 「おいおい。なんだよそれは。……別にいいけどさ」 わしわしとレナの頭を撫でてやる。 「でも俺は、レナが来てくれてよかったと思う」 「え……?」 「……あっ」 慌てて口を押さえたがもう遅い。頭の中だけで言うつもりだった……かなり恥ずかしい台詞を、俺は既に口にしてしまっていた。畜生、俺の馬鹿、俺の馬鹿……。 きっと、この暗闇の中でも俺が顔を真っ赤にしているのはレナに丸見えだったと思う。 でも……そうだよな。ここまで言ってしまったんだから、もう隠す必要も無い。 「ホント言うとさ……俺、ずっと考え事してしまってて……それで眠れなかったんだ」 「…………うん」 「みんなと一緒なら絶対に勝てるって分かっているし信じてる。さっきみんなの前で言ったように燃えていて、興奮しているから寝付けないっていうのもある。 ……けど、みんなと別れて一人っきりになると……不安も湧いてきてしまって……。男のくせに情けないって思うけどさ」 「……圭一君…………」 「怖いんだよ。レナも魅音も沙都子も梨花ちゃんも羽入も、みんな俺の大切な、かけがえのない仲間なんだ。誰一人だって欠けるのはイヤだ。……俺達部活メンバーがそんなことになるはずがないことは分かってる。……けれど…………」 そんな考えたくもないイメージが次から次へと湧いてきてしまう。 レナがいない世界。魅音がいない世界。沙都子が、梨花ちゃんがいない世界。羽入がいない世界。そんな世界は……駄目だ、想像しただけで涙が出てくる。何故だか分からないけど……どうしようもなくリアルにイメージ出来てしまう。 「…………レナ?」 いつの間にか、俺は俯いていて……レナが俺の両肩に手を置いていた。 「大丈夫だよ。……レナは死なない」 俺は顔を上げて、右手をレナの頬に添えた。 「ああ、分かってる。……レナは死なない」 何故なら、俺が絶対に守ってみせるからだ……。 「私もね。……圭一君と同じこと考えてた」 「レナ……?」 「私の大切な仲間達が……私の大好きな圭一君がもしもいなくなっちゃったらって……そしたら、胸が痛くて……」 そっ とレナは俺の右手を掴み……自分の胸に押し当てた。 「レナっ?」 「ほら……分かるでしょ? 私の胸もドキドキしてる。……そして私も、そんな風に悩んでいたのが私だけじゃないって知って、少しほっとしたの」 俺は静かに目をつむって、レナの鼓動に集中した。 レナの温かみ。レナが生きているという確かな証拠。 「どうしても眠れなくって……そうしたらどうしても圭一君と会いたくなって……」 俺は閉じていた目を開けた。 そして……何も考えないうちに、いつの間にかレナの顔へと自分の顔を寄せていた。 レナも……目を閉じていた。 俺は再び目を閉じて……レナと唇を重ねた。 互いに互いの唇を押し付け合い、存在を確認する。 どれくらい……ひょっとして一分ぐらいか? 長いキスをして、唇を離す。 右手の中のレナの鼓動は、より強く激しいものとなっていた。 俺の息も激しいものとなっていた。 プツリと上着のボタンを外す。ゆっくりと右手をずらし、レナのパジャマの中へと差し込んでいく。 レナは……抵抗しなかった。 レナの胸に直接触れる。そこは柔らかく、そして温かかった。優しく揉みしだくと、その分優しく手を押し返してきた。……そして、その乳首は固く尖っていた。 「んんっ はぁっ」 レナの甘い吐息。 レナは目を閉じたまま、俺の愛撫を黙って受けていて……ときおりそのまぶたがぴくぴくと震えていた。 ごくりっ 生唾を飲む。 俺の頭の中は、既に沸騰していた。 右手をレナの胸から離し、余った左手をレナへと伸ばすと、気配を感じたのかレナが目を開けた。 「……圭一君? …………きゃっ」 俺はレナの両肩を掴んで、力いっぱい引き寄せ……そして、布団へと押し倒した。 俺はレナの上で四つんばいになっていた。 はあ~っ はあ~っ はあ~っ はあ~っ 俺の息が荒い。レナの息も荒い。 二人の呼吸が、月明かりに照らされた部屋に響く。 そして、ただそうして見つめ合っていて……。 「…………いいよ。圭一君となら……」 その言葉を聞いた瞬間、俺はレナに覆い被さっていた。 夢中でレナの唇を貪る。レナもまた俺の首に腕をまわして、舌を絡めてくる。 左手をレナの胸の上に置いて、中指と人差し指の間で乳首を軽く押さえる。 右手をレナの下着の中に突っ込んで、柔らかい恥毛とその中にある秘部を撫で回す。そこは既に熱を帯びていて、仄かに潤っていた。 レナは軽く喘いで、俺の首から右腕を離し……俺のズボンの中へと手を入れた。俺の胸を撫でて……、その手は徐々に下半身へと移動していく。そして、するすると俺の下着の中にその手を入れて……俺のものに添えた。 互いに互いの性器を刺激し合う。 それは決して激しいものじゃないけれど、それでも俺のものはこれ以上ないほどに固くなっていった。 レナもまた同じらしい。レナの秘部の潤いもまた、俺の手の動きに応じて増していった。 俺はレナから唇を離し、上半身を起こした。 「…………圭一君?」 とろんとしたレナの瞳。 「レナ……脱がすぞ?」 そう言いつつも、レナの返事を聞く前に脱がしていく。 レナの秘部を覆うものが無くなると、そこから濃密に淫蕩な……俺の雄としての本能を刺激する匂いが立ちこめてくる。どこかすえたような、それでいて甘いようなレナの匂い。 俺は無言のまま、下着から自分のものを取り出した。 「レナ……もう、いいか?」 レナが俺を見つめ返す。その時間が、途方もなく長く感じる。 「うん。……来て、圭一君」 俺は頷くと、レナの秘部に俺のものをあてがった。亀頭にレナの愛液をまとわりつかせながら、膣道を探す。 「……はうっ」 レナが軽く身悶えする。この刺激で感じたらしい。俺も、正直言ってこれだけでイってしまいそうだった。 やがて亀頭の先が手で触っていたときと同じようにくぼんだ位置にくる。ほっそりとしたレナの入り口。 「レナ…………いくぞ?」 レナは何も言わず、ただ頷いた。 俺はレナの腰を掴んで、一気に自分のものをレナの中へと挿入した。 「んっ …………んんん~っ」 レナの処女膜を破り、その奥まで突き入れる。 結合部に愛液とは違う温かいものが流れた。 俺のものを押し出すように、レナの中は固くきつく締め上げてくる。 と、俺の下でレナが目を閉じて小刻みに震えている。 「レナ。大丈夫か?」 しかしレナは答えない。パジャマの袖を噛んで、黙って痛みに耐えている。 「レナ。……ごめん。無理ならすぐに抜くから」 畜生。何やっているんだ俺は……いくら頭に血が上っていたからって、これはないだろ。 「…………えっ?」 レナは俺の腰に両脚をまわして、首を横に振った。 「私は……大丈夫だから。痛いけど……もっと、圭一君を感じていたいの」 その上……ゆっくりと、レナは腰を上下した。 「レナ……」 「お願い。……圭一君が気持ちよくなってくれないと、私はヤダよ?」 レナは泣いていた。痛みよりも、俺との繋がりが無くなることを恐れて泣いていた。 俺の目からも、一筋の涙が流れた。レナのその想いが胸にいたいほど伝わったから。 「じゃあレナ。……俺、ゆっくり動くからな」 「うん」 俺がそう言うと、レナは嬉しそうに微笑んだ。 くちゅ くちゅ くちゅ 宣言通りに、ゆっくりとピストン運動を開始する。レナもまた、俺の腰に脚をまわしたまま、俺の腰の動きに応じて腰を振る。 くちゅ くちゅ くちゅ その動きはとても遅いけれど、それでも互いの想いが伝わる、優しい営みだった。 互いが互いの温もりを伝え合い、互いを包み込みそして包まれる幸福感を味わう。 俺は文字通り身も心もレナと一つになっているということを実感していた。 「…………圭一君」 「なんだよ? レナ」 「あのね。……レナ、ちょっとだけ気持ちよくなってきた☆」 レナは幸せそうに呟いた。 「レナ……」 「何? 圭一君」 「俺も……レナの中、温かくて気持ちいいぜ」 そう言うとレナは、満面の笑顔を浮かべた。 「じゃあ、……もっと気持ちよくなろ?」 「ああ、そうだなっ」 もう少しだけ腰の動きを速くする。 レナの中を入り口からその奥まで満遍なく出し入れして、その奥を小突く。 俺が出し入れするたびに、レナは軽く呻いた。 「レナ?」 レナは再び袖を噛んでいた。 「……ゴメン。こうしてないと声が……出ちゃうの。……はうっ」 それは俺も同じだった。 レナの中にあるひだが締め付けて、俺の男性器にある性感帯のすべてをあますところなく、しかも休み無く刺激し続けているのだ。 何度となく俺も呻き声を漏らしていた。 でも、お互いに腰の動きを止めることが出来ない。快楽を貪ることを止められない。 あともう少し……あともう少しと、限界まで登り詰めていく。 「ごめん。レナ、俺……もうイク」 だめだ……もう腰が言うことを聞いてくれない。 レナもいつまでもしがみついて離れてくれない。 「私も……私ももうイっちゃうからっ……」 がくがくと腰が震える。ダメだ……もう、限界だ……。 「あっ ああああああぁぁぁぁぁっ!!!!」 「うああああああああああああっ!!!!」 レナがイクのとほとんど同時に、俺はレナの中に精液を流し込んでいた。 どろどろの精液がレナの中を満たしていく。 レナは力無く大の字になったまま、それを受け止めていた。 俺はその様子を見ながら……いつのまにか自分から不安が消えていることを自覚した。 翌日。 「おっ持ち帰り~っ☆」 ドッゴオオオオオオオオオオオオオンンッ!! レナの萌える拳によって山狗が吹き飛ばされてくる。 そして、その落下地点には俺が一本足打法で待ち構えていた。 「うおおおおおっ! バスターホームランッ!!!」 カキイイイイイイイイイィィィィィィィンンッ!!! 寸分のタイミングのズレもなくジャストミートした山狗は再びレナの方向へと飛んでいき、挙げ句レナの頭上を飛び越えて落下していった。 「よっしゃあっ! 次行くぞレナあっ!」 「うん。ガンガン行くよ圭一君っ!」 威勢よくハイタッチを交わす俺とレナ。 結局あの後、後先考えずに汚してしまったシーツやパジャマやらを誤魔化すために色々と大変ではあったけれど……別れ際にレナともう一度キスをして、それぞれの部屋に戻ってからは、短い時間だったけれどよく眠れた。コンディションは最高だ。 「なんだか、今日の圭一さんとレナさんは見ていて震えが来ますわね。コンビネーションがもう芸術的でしてよ?」 「……まったくだね。おじさんちょっと嫉妬しちゃうよ」 指揮官としてコンビネーションには参加していない魅音が口を尖らせる。 「まったく、あの二人に何があったのやら…………。知ってる? 羽入?」 「さあ? 僕は何も知らないのですよ? きっと愛の力なのです。あぅあぅあぅあぅ☆」 そう、互いの絆をより深いものにした俺とレナのコンビはもはや無敵だった。レナと一緒なら怖いものなんかありはしない。俺達のいる部活メンバーに敗北なんてありはしない。 魅音から次の指令が下る。 どうやらまた俺達のコンビネーションに出番が来たらしい。 俺はレナと目を合わせて、一緒に次の標的へと駆け出した。 ―レナEND―
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それは、存在しない世界。 或いは、存在しても書き留められる事のなかった世界。 それは穏やかで、ルールは閉じ込めれていて、だから何も起こらなくて、誰も涙を流さない世界。 「悟史君、ホワイトデーって知ってますか?」 「何だいそれ」 「何年か前から出来たらしいですよ、バレンタインデーの対になる日」 「対…?」 「バレンタインデーに女の子がチョコをあげるでしょう?そのお返しを一ヵ月後の3月14日に男の子があげるんです」 「へぇ、じゃあ僕が詩音に何かあげるんだね」 「そうなんです。期待してますよー?」 「ええっ! そ、そうだなあ…むぅ…」 本気にして眉を顰める悟史君が愛おしい。 「うそうそ、あんまり気負わないでください。一緒にいられるだけで嬉しいんですから」 「むぅ…」 先月のバレンタインデーに私は悟史君に輸入物のチョコレートをあげた。 私のお小遣いはそんなに多くはないから、6粒入りのそれでも大奮発だった。 「あのチョコ、美味しかったですか?」 「美味しかったよ!中がとろーっとしてた…」 幾つかは沙都子の口に入ったのかなと苦々しい邪推をしたが、その無邪気に細められた目を見ていると 悟史君が私のプレゼントに喜んでくれた事を純粋に喜ぶ余裕が生まれてきた。 悟史君の唇が好きだ。ピンク色で女の子みたいにぷるんとしていて、笑うとぴんと張る。 「詩音は何がほしい?」 一瞬思いを巡らす。 可愛い人形? ふわふわのぬいぐるみ? ちらちら光るアクセサリー? 抱えきれない程の花束? 「だーから、何にもいらないんです。悟史君と一緒にいられれば良いんです。」 私には予感があった。いや、記憶と言った方が正しいかも知れない。 悟史君が私に笑いかけてくれなくなる記憶。私の頭を撫でてくれなくなる記憶。 だからその言葉は真実だった。 悟史君は、むぅ、と呟いてまた喫茶店の大きな窓の外に目をやる。 「お姉だけですって、そんなのお願いするの」 『そっかなー? 普通なんじゃないの、若い二人だったら…」』 電話の向こうのお姉はうひゃひゃひゃと少し下品に笑った。わざと。 『でもさ、何かくれっつったって欲しいモノってそれ以外ないんだよねー』 溜息を吐きながら圭ちゃんを少しだけ不憫に思う。 「お姉はガンガン押せるタイプじゃないと思ってましたが」 『そりゃ園崎家次期頭首、此処一番には押さなきゃねえ』 この年頃の女の子のお喋りは取り留めなく続く。殊それが恋人の事ともなれば尚更だ。 『ま、とにかく詩音も私みたいに押してみるこったねー!」』 「はいはい、参考にさせていただきます」 いつものように挨拶して受話器を置く。 葛西が用意してくれた食事をつつきながらも悟史君にどう言おうか悩んでいた。 気のない様子で切ったハンバーグを転がす私を葛西が心配そうに覗き込んでいる。 私の不安を消す方法。叔母の所に厄介になっている悟史君の負担にならない私へのプレゼント。 「一緒にいるだけ」と呟いてみる。限りなく正答に近い回答だと確信する。 ご飯をよそっていた葛西が怪訝そうに私の方を振り返るので、私はにっこり笑って、 このハンバーグ美味しい! と言ってあげる。 「私ね、悟史君がいいです」 「…ふぇ?」 「だから、ホワイトデー。悟史君がいい」 悟史君の目はよくわからないと言っている。これ以上直接的に言いたくない。 「あと一週間しかないでしょう? 私からのリクエストです。」 「う…うん…」 悟史君のシャツの袖を軽くつまんで、少しだけ手を触れさせる。 色とりどりのショーウィンドウを眺めるふりをして、私は鏡越しの悟史君の顔を見る。 ぽんやりと視線の定まらない顔。半歩後ろを歩く私から見える悟史君の耳は赤かった。 その赤さがたまらなく愛おしくて、指先を悟史君の手の平に回してみる。 包んでくれた悟史君の手はとても温かかった。 「じゃあ、また」 「はい」 悟史君の自転車のブレーキが軋んだ。 「次はいつかな」 「一週間後に」 「…むぅ、遠いなあ」 「私も早く会いたいです」 「……むぅ。僕も。」 「きっと一週間なんてすぐですよ。じゃあ」 「詩音、またね。」 自転車に腰を入れてこぎ始める悟史君を見送る。 夕日が照って悟史君のシャツを染めていた。 悟史君が毎日雛見沢に帰らなくて済むようになればいいのに。 そうしたら夕暮れが大好きになるのに。