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15.野比のび汰 (のび汰) 男 漢字は違うが、某アニメと動揺の名前を持つ中学生。キャラもそのまんまで、まるでアニメのキャラが成長したような男子。 ただし、青い猫型ロボットは身の回りに存在しない。 いじめられっ子で成績も悪く、女子からも嫌われている。ただ逃げることはせず、めげずに学校には通っている。行動するとすべてが逆に作用する不運の持ち主。不運が転じて助かっていることも無くはない。 素直なのだが、そのせいで騙されやすく、いつも他人を信じては痛い目に遭っている。ここ数ヶ月でかつあげを十数回されるが、両親に話す勇気もなく、金遣いが荒いと言われ怒られている。 物静かなのだが、キレるとどうなるかは不明。というよりも、本人もキレたことがないために、怒り方すらよくわかっていないらしい。
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【作品名】ドラえもん 【ジャンル】アニメ(シンエイ動画) 【名前】野比のび太(シンエイ動画制作版アニメ) 【属性】ダメ人間 【年齢】20歳 【長所】昼寝・あやとり・射撃 【短所】その他のエピソードを見るに20歳になっても精神年齢は変わってなかった 【備考】アニメーション制作がシンエイ動画になった以降のアニメのドラえもん。 このシリーズではのび太は小学5年生の学年設定なので最低でも10歳。 無人島で10年を過ごしたのを加算して20歳、無人島での加齢分はタイム風呂敷で若返った。 vol.4
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前へ ~隊員C~ 『僕は死んだのか?』 のび太は暗い闇の中で目覚めた。 「ここは……さっきの部屋なのか?」 「そうだよ。のび太君」 「!?」 のび太は寝そべった状態からすぐさま立ち上がり戦闘体勢をとった。 「さすがに動きが早いね。でも僕は敵じゃあ無いよ」 目が暗闇に慣れていき、声の主がはっきり見えてきた。 「…あなたは……タイムパトロールですか?」 「久しぶり…いや初めましてと言うべきかな。 僕はクッド。仲間からは隊員Cと呼ばれてるよ」 このクッドと名のる青年。 見た目は20歳前後。肌は白く髪は黒のショート。 初対面だが何処か懐かしい雰囲気を漂わせる不思議な青年だった。 「クッドさんが僕達を助けてくれたんですか?」 「そうだよ。ギリギリ間に合って良かった。 あと少し助けるのが遅かったら死んでいた所だよ。 僕がこの部屋に入ってきた時、君達に瓦礫が落ちてきた所でね。 僕はとっさにウルトラストップウォッチを押して時を止めて、君達をすぐに移動させたのさ」 「じゃあジャイアン達は……」 「よぉ、のび太!起きたか」 後ろにはジャイアンとスネ夫が立っていた。 「クッドさんが言ってた通りこの先にタイムパトロールは監禁されてませんでした」 「そう……やっぱりな」 状況がいまいち飲み込めないのび太にクッドは説明を加えた。 「剛田君達はあの時気絶しなかったんだ。 だからこの先に僕の仲間が捕まってないか確かめに行ってもらってたんだ」 「じゃあ今も時間は止まったままなんですね?」 のび太は周りを見渡した。 天井から今にも崩れそうな岩が顔を出したまま止まっている。 「だったらこのまま出木杉の所へ」 「それは無理なんだ」 クッドはポケットからウルトラストップウォッチを取り出した。 「これは……」 時計は画面にヒビが入り、今にも壊れそうな状態だ。 「出木杉は頭が良いみたいだよ。 僕達がこの時代に来ることを予想して未来の道具対策を用意していたみたいだ。 何の影響かは分からないけど使用した道具は使えなくなってしまうんだよ」 クッドは使い物にならなくなったショックガンの引き金を引いて見せた。 「この時計が壊れるまで後もって10分。 10分以内にここから脱出しないといけないんだ」 「おぉ!久しぶりの外だぜぇ!」 ジャイアンは外に出たことの嬉しさに思わず、叫んでしまった。 脱出はスムーズにいった。 ジャイアン達が先に罠を解除してくれたおかげで 走れば5分もかからずアジトの外に出れた。 そこから係員に見つからないようにドームの外に出たのだった。 「そう言えば凄い長い時間地下に居たからねぇ…… ん?のび太どうした?」 のび太はボーっと前だけを見ていた。 「え?……いや何でもないよ」 「きっと疲れたんだよ。明日も試合何だろ? のび太君のお父さんには僕から言っておくからもう部屋に戻りなよ」 三人はうなずき、部屋へ帰って行った。 「……昔から変わらないな。 こんな見ず知らずの男を信用する何て……」 クッドは一人笑い、空を見た。 「でもそれが彼等の良い所なんだよな……」 クッドは少し目をつむり考えた後、裏山に向かった。 『後は……あのことを伝えるだけだな』 「……もう朝か」 のび太は早めに目が覚めた。 窓からほのかに太陽の光がさしこんでいる。 まだ熟睡中の二人を起こさないように部屋を出て ドームの外のベンチに座り、ジュースを飲みながら周りを眺めた。 「そう言えば……こんなゆっくりの朝って久しぶりだなぁ」 あの事件から三ヶ月。 朝起きたらすぐに戦いか修行の毎日だった。 「まぁ起きたらすぐドラえもんに怒られて学校に走って行ってたんだけどね」 自分で言ったことがおかしくてのび太は笑った。 「ドラえもん……無事だよね」 あれから一度も聞いていない独特のドラ声がとても懐かしかった。 「のび太君」 声の方を向くと、クッドがこちらにやって来た。 「君に話しておきたいことがあるんだ」 「分かってますよ。 ドラえもんに聞いたことがあります。 もしもボックスの使用には2つのルールがあるって。 1つは世界の中で人を殺してはいけない。 もう1つはあまり長期間使用をしてはいけない。 この2つのルールの内どちらか1つでも破られればタイムパトロールは強固の手段をとる」 「そう……全世界の未来を変えない為に使用者を殺すんだ。 そしてその攻撃はあと数日以内に始まる。 つまり君の友達……出木杉を救うには数日以内にもしもボックスを破壊しないといけないんだ」 のび太は拳を強く握り締めた。 タイムパトロールが来た時から予想はついていた。 だけど……やっぱりこの決まりはおかしい。 「……どうして。どうして殺す必要があるんですか?」 ガシッ! 「あいつはただ母親と一緒に居たかっただけ何だぞ!」 のび太はクッドのすそを掴み叫んだ。 「あなたに分かりますか! 家族が……居なくなって…一人ぼっちのあいつの気持ちが…… 僕達にはあいつを救う義務がある!あなた達には絶対殺させはしな…」 ドシャッ! クッドはのび太を地面に叩き付けた。 「話をよく聞くんだ! 僕はまだ数日あると言ってるんだよ! 君達がどんなに出木杉のことを思ってるかは僕も知ってる。 僕が攻撃を延ばしてる間にもしもボックスを破壊しろって言ってるんだ!」 「……まさかあなたが攻撃を延ばしてくれてたんですか?」 「そうだよ。この時代のことは未来でもかなり有名になってる…… 攻撃の開始はもう秒読み何だよ!」 「そうだったのか…」 のび太はクッドの言葉にショックを受けた。 いくら出木杉でもタイムパトロールの力には勝てないだろう。 それどころかきっとこの街もかなり被害を受けることになる。 只でさえ厄介なこの状況。 さらに厄介になることは間違いなかった。 「安心してくれ。僕が後5日はもたせる。 出木杉を救いたいなら5日以内にもしもボックスを破壊するんだ」 「…分かりました。必ず出木杉を…いやみんなを助けてみせます」 「頼んだよ」 のび太は無言でうなずいた。 「それと……実は君と話をしたいと言う人がもう一人いるんだ。 誰か分かるかい?」 「?……誰が…」 困惑するのび太に聞こえてきたのはあの懐かしい声だった。 「のび太君」 「!? こ…この声は…」 「通信が可能なのはこの一回だけだ。思う存分しゃべりなよ」 クッドの声はもうのび太に聞こえてはいなかった。 気付けばクッドの手の通信機は奪い取られていた。 「ドラえもん!」 「のび太君!」 「……久しぶりだね」 不思議だ。今まではしゃべりたいことが沢山あったが実際にしゃべってみると… 「何か……何しゃべれば良いか分かんないね」 どうやらドラえもんも一緒の様だ。 僕達は笑った。 ただそれだけなのに……凄く嬉しかった。 それから約五分。 何のへんてつも無い雑談が続いた。 「じゃあまたね」 といつも話し終る様に話は終わった。 正直……どんなことを話したかは覚えてない。 ただ……生きてくれているだけで良いのだ。 言葉何か交さなくても……目を合わさなくても…… 生きてくれてる。 それだけで……僕は… 「それじゃあ僕は行くよ」 クッドはポケットから小さなミニチュアを取りだし、地面に置いた。 するとそれは大きくなり巨大な宇宙船…いや時空船になった。 その後地下で会ったビーが裏山の方から現れ、 のび太と軽くしゃべった後時空船に乗り込んだ。 次にクッドが時空船に乗り込んだが、何かに気づき降りてきた。 「ピンチの時はこれを使ってくれ」 タイムパトロールは去って行った。 のび太の心に不安と希望を与えて…… ~のび太VS憂作~ 『二ヶ月前』 「くそぉ!間に合うか!」 俺は必死で走り、商店街の花屋へ向かっていた。 ガラッ! 「はぁ…はぁ!すいません。リーガの花ってまだありますか?」 「まぁ、憂ちゃん!大きくなったわねぇ。 リーガの花って……もしかして彼女へのプレゼンt(ry」 「ははっ!違いますよ」 俺はオバサンの冗談を軽く受け流し、話を続けた。 「今日は母さんの誕生日何だよ。リーガの花は…」 「分かってるわよ。 リーガの花の花言葉は『言葉に出来ない感謝』さすが植物博士ね」 オバサンは店の奥へ行き、とても綺麗な赤色の花を持ってきた。 「運が良かったわね。これが在庫の最後よ」 俺は花を受け取り、家に急いだ。 「待っててね。母さん」 母さんは昔から俺のことを大切に育ててくれた。 父さんが借金作って夜逃げした時も…… 俺が自殺しようとして学校の屋上から飛び降りた時も…… 絶対に俺を裏切らなかった。 ガチャッ 「ただいま……?」 おかしい。 この時間にはいつもパートが終わってる時間の…はず 「母さん、居ないの?」 暗闇の奥から返事は無かった。 だが、リビングへ向かうとその答えを示す物がテーブルの上に見つかった。 『憂作へ 勝手な母さんを許して下さい。 お爺ちゃんの所で元気に暮らして下さい。さようなら』 チラシ裏に書かれたたった2つの文…… その2つの文は文字が崩れ愛のひとかけらさえも感じられなかった。 「何でだよ……母さん」 俺の手から落ちたリーガの花は……まるで血のように床に飛び散った。 ドンドンドン! 「…うっ!」 「憂作選手、出番ですよ!」 「すいません、今行きます」 『またあの日の夢か……』 孤独になったあの日以来……あの日の夢ばかり見ている。 俺が大会に出た目的はただ1つ。 この悪夢を終らせることだ。 きっとこんな夢を見るのは俺がまだ弱いから。母さんにまだ未練があるからだ 強くなれば悪夢は終わる。 そう思い続けて俺は特訓をしてきた。 「俺は他の甘っちょろい奴とは違うんだ」 『のび太達の控室』 僕はジャイアンとスネ夫に朝のことを伝えた(ドラえもんとの会話は内緒にしといた)。 もちろん驚き、ジャイアンに殴られた。 スネ夫にも軽くキックされた。 「何でそんなこと今まで隠してたんだよ!」 「いつ攻撃が来るか分からなかったんだよ。 って言うかタイムパトロールが来るまで忘れてたし……」 ジャイアンはまだ納得してないみたいだが、ここで話は中断になった。 《のび太選手、ホールに来て下さい》 「ごめん、行ってくるね」 僕は部屋を出て、ホールへ向かった。 すると途中でパパが待っていて、僕を呼び止めた。 「のび太、対戦相手の憂作……奴は強いぞ。 奴はずっと一人で戦ってきた。つまりお前とまったくの逆だ。 奴は…奴のポケモンには他のポケモンとはまるで違う力がある」 「……僕は負けないよ。 確かに僕はあいつと違う。 ずっとみんなに支えられてここまで来た。 確かにそれは弱さかもしれない。 でも……僕はみんなが居たからここまでこれたんだ。 憂作に見せてやるよ。 仲間が居るからこその力って奴をさ」 パパは僕の言った言葉を聞き、何かに満足したように言った。 「勝って来いよ」 ……準備は良いですね。試合開始!」 二人のポケモンが同時にステージに現れる。 『ピカチュウか。俺の相手じゃないな』 『ワタッコ……厄介なのが来たな』 睨み合う二体。 先に動いたのはピカチュウだった。 「ピカチュウ、10万ボルト!」 ワタッコに向けて放たれた電撃は空を斬り、ステージの床に当たった。 「指示もないのに避けた!このワタッコ、強い!…」 「驚いてる暇は無いぞ。ワタッコ、はねる!」 「えっ!?」 のび太は2つのことに驚いた。 はねるを使ったと言うこともある。 だが真の驚きは跳ねたワタッコの体が空高く浮かび上がったことにあった。 「ワタッコが飛んだ……」 のび太は見たことも無い光景に呆然とした。 「どうだ?面白いか?ならもっと面白いもの見してやるよ。 ワタッコ、しびれ粉を巻き散らせ!」 ワタッコが体から金色の粉を吹き出し、上空を覆った。 照明の光が粉に反射し、ドーム内は金色の明かりに包まれる。 「まずい!これじゃあ避けきれない。 ピカチュウ、かみなりでワタッコを撃ち落とせ!」 金色の粉を上から何発もの雷が貫く。 だが粉に隠れて見えないワタッコに雷が当たるわけがなかった。 「ははっ、見えない相手にどうやって当てるんだ? いくら電気で粉を焦がしても意味が無いぞ?」 「粉を……焦がす?」 『ワタッコに攻撃を当てることは出来ない。 ワタッコの攻撃を避けることも出来ない。 それはみんなあの粉のせいだ。あの粉の向こう側に行けば……』 「ピカチュウ、体中の電気を掻き集めろ!」 ピカチュウは待ってましたとばかりに、体に電気を溜める。 もう粉の壁はのび太の頭上すぐそばまで来ていた。 「一気に貫け!ヴォルテッカーだ!」 ピカチュウは光の塊となり、粉の壁に突っ込んで行った。 「自分から突っ込む何て正気か!?」 ボン! 《これは!?のび太選手のピカチュウが粉の壁を貫きました!》 「何だって!?」 粉の壁の向こうは見えないがどうやらピカチュウは無事のようだ。 「ピカチュウ聞こえるかぁ!あとは自由に戦って良いぞぉ!」 「あのネズミが俺のワタッコに勝てると思ってるのか? あのワタッコは産まれた時から一人で、ずっと戦ってきた。 お前のピカチュウじゃ……」 「残念だったね。僕のピカチュウは絶対負けない。 あのピカチュウも産まれた時は一人だった。 でもあなたのワタッコと違うのは、産まれてすぐ僕と出会ったこと。 ピカチュウはずっとみんなに支えられてきた。 誰よりもあいつは知ってるはずだよ。仲間の大切さを……」 「こ、これは……」 のび太の頭ギリギリの所で粉は消えた。 すると上空からボロボロのワタッコが落ちてきた。 「ピカチュウ、良くやったね」 のび太の肩にピカチュウが誇らしげに着地した。 (投下省略:ワタッコを撃破した後も二人は激しい熱戦を繰り広げていた。) 「メガニウム、そのままのしかかりで押し潰せ!」 ハッサムの上のメガニウムがさらに体重を架ける。 「ハッサム、メガニウムの顔にアイアンヘッドだ!」 ハッサムの硬い頭ががら空きのメガニウムの顔にめり込む。 「とどめのギガインパクト!」 ひるんだメガニウムの体に光るハッサムの腕がヒットした。 「はぁ…はぁ。お前…やるじゃねぇか。 何だ?お前も何か目的が有るのか?」 「……僕はただ友達を助けたいだけだ」 「へっ、つまんねぇガキだな。 俺の目的はなぁ……強くなって俺を見捨てた母親に教えてやることだ。 見捨てられた奴の気持ちをさぁ!」 憂作が不気味な笑みを浮かべる。 だがのび太にはその顔が幸せそうには見えなかった。 「あなた……自分に嘘をつくのは止めたらどうですか?」 「俺が嘘を?冗談だろ?」 「あなたは本当は母親に帰ってきて欲しいんですよ」 「……違う」 「でも母親に帰ってきて欲しいと思ってる自分が許せない。 違いますか?」 「うる……さい!」 『憂作、おかえり』 『憂作、大丈夫?』 『憂作、ごめんね』 『 さ よ う な ら』「うるさい……消えろぉ!」 エルレイドがステージに姿を現す。 「ソーラビームだ!」 「しまっ…」 ソーラビームはのび太に直撃した。 「そんな、ジャイアン!のび太が!」 「良く見ろ。のび太は生きてる」 光の中から頭から血を流すのび太が現れた。 「ソーラビームの溜めが少なかったおかげだな…… だけどもし次攻撃をくらったら……」 観客が心配そうにのび太を見つめる中二人の会話は再開した。 「……どうだ。痛いだろ?苦しいだろ? 俺はこの何倍もの傷を心に受けたんだ。 母さんを恨むのは当たり前だろ?」 「はぁ……はぁ…っ!」 のび太の体が横へふらつく。 「へぇ……この程度なら僕は耐えられるけどね…」 「へっ、何言ってやがる。もうフラフラのくせして!」 「でも……僕は倒れない。 何度攻撃をくらったって僕は倒れないぞ!」 「お前は!……」 『そんなに男の子が泣いてちゃダメよ』 『でも母さん……父さんが…』 『確かに辛いわね。でもどんなに辛くても苦しくても止まっちゃダメよ。 将来私達は離ればなれになるかも知れない。 でも止まっちゃダメ。 私は必ず憂作を何処かで見てるから……』 「エルレイド、もう良い……」 エルレイドが驚いた様に憂作を見つめる。 「戦いは……もう終わりだ」 「本当は分かっていたんだ。 俺は母さんに戻ってきて欲しいんだって。 誰よりも俺の幸せを願っているのは母さん何だって。 でも……怖かったんだ! 母さんがもしもう戻って来なかったらって思うのが。 ……司会さん。俺の負けにしてく…」 「 待 っ て !」 憂作の声を遮ったのはのび太だった。 「まだ勝負は着いてないよ」 「何言ってるんだ。もう勝負はお前の勝ちのようなものだろ」 「やっと本当の憂作さんが現れたのに勝負出来ない何て嫌ですよ! 僕も切札のホウオウを出します。 だから本当の憂作を見せてください!」 憂作は少し驚き言った。 「のび太……後悔するなよ!」 「……憂作」 二人の戦っている姿を観客席から見ている女性が一人。 女性は見ている途中急に目をハンカチで押さえて席を飛び出した。 「はぁはぁ…ごめんなさい……ごめんなさい!憂作」 「待ちなよ」 前には小太りの男性が居た。 「あなたは誰ですか?」 「今戦ってるメガネの子の親…かな。 まぁつまりあなたと同じですよ。憂子さん」 「!?……どうして私の名を」 「息子の対戦相手のことを調べるのは当然のことですよ。 全部知ってます。憂作君のことも…家庭のことも」 「知ってるから何なんですか? 今からあの子に謝って来いとでも言いたいのかしら?」 「そんなこと言いませんよ。でも……」 バサッ パパはポケットから封筒を取り出した。 「ここにあなたを騙した詐欺師の住所や犯罪履歴が全て書いてあります。 好きなように使って下さい」 「待って!」憂子はパパを呼び止めた。 「私は…私は今さらどんな顔してあの子に会えば良いの? あの子を苦しめたのは私なのに……」 パパは光の射し込む方を指さした。 「……ステージを見て来たらどうですか?」 「これは……」 ステージには楽しそうに戦う憂作の姿があった。 押されてはいるがとても楽しそうで、まるであの頃に戻ったようだった。 「メガネ君が思い出させたのね。あの子の中の優しさを……」 「聖なる炎!」 炎はエルレイドを包み、憂作の周りに広がった。 「勝者、のび太選手!」 ドサッ! 試合終了と同時に憂作は倒れた。 「憂作さん!」 のび太が駆け寄る。 「馬鹿やろう、俺はもう落っこちる。近づくなよ」 「……いい試合だったね」 「ああ。いい試合だった」 『あとは……母さんが居ればな』 「ゆ…さく」 !? 微かにに聞こえた声の方を見ると、そこにはずっと会いたかった人があった。 『母さん!』 憂作は母親に気づいたが、気づかないふりをした。 「ばいばいだな。のび太……」 のび太が憂作から離れる。 『母さん、もう俺は大丈夫だ』 憂作は落ちる寸前に憂子の方に手を突きだし、消えていった。 「……憂作、ごめんね。絶対帰ってくるから…」 その頃パパはロビーで煙草を吸っていた。 「家族……か」 上がっていく煙は止めることは出来ない。絶対に…… 次へ
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隕石群が衝突する中、ドラえもんたちは空港に向かう途中でネコジャラの妨害に遭う。 しかし、なんとかそれを乗り切ってようやくノラジウムを空港に届けた。 補佐官「全員乗り込みました。いつでも出発できます!」 大統領「うん……」 ドラえもんがタイムマシンの修理を終える。 ドラえもん「タイムマシン、修理完了しました!」 大統領「うん。いろいろ協力してくれてありがとう…… 国民に成り代わりお礼を申し上げます」 のび太「イチ……」 イチ「のび太さん。今度こそお別れですね……」 のび太「イチ、僕たちと一緒に21世紀に帰ろう。ね?」 イチ「それはできません。私には新しい星でみんなと新しい国を作る責任があります」 のび太「それは、他の人に任せれば……」 首を横にふるイチ。 ドラえもん「のび太くん、無理なんだよ。犬人間に進化したイチを21世紀に連れて行くわけにはいかない」 イチ「ドラえもんさんの言う通りです。人類の歴史を変えてしまうことにもなり兼ねません……」 のび太「で、でも! でも…… ううっ…… わかった! イチ」 イチ「のび太さん……」 シャミー「ドラちゃん……」 スネ夫「ダク!」 シャミー「さようなら。あなたのことは忘れないわ……」 ドラえもん「ぼ、僕だって…… うわあーん!」 しずか「元気でね、チーコちゃん……」 チーコ「ええ……」 スネ夫「ダク、風邪引くなよ」 ダク「スネ夫こそ下着で出歩くなよ」 ジャイアン「ブルタロー!」 ブルタロー「ジャイアン!」 巨大隕石が地球に突入する。 乗務員「出発するぞ!」 イチ「さようなら。のび太さん」 のび太「さようなら、イチ」 イチ「さようなら、のび太さん!」 一同「さようなら!!」 のび太「イチ! みんなを…… みんなを、頼むね!」 扉が閉まり、宇宙船が飛び立っていく。 のび太「さようなら! さようなら、イチ!! (ありがとう。イチ……)」 宇宙船ではネコジャラとニャーゴが掃除をさせられていた。 地球に隕石が衝突。ワンニャン国は壊滅したのだ。 ドラえもんたちはタイムマシンに乗って21世紀に向かっていた。 ドラえもん「地球は46億年の間にこういうことを繰り返してきたんだ。生まれては消え、そしてまた、新しい命が誕生する……」 しずか「私たちと同じね。おじいちゃん、おばあちゃんがいて、パパとママがいて。そして私たちが今度はパパやママ、おじいちゃん、おばあちゃんになっていくのよね……」 のび太「うん。いつか宇宙の何処かで僕たちの子孫とイチの子孫が出会うかもしれないね、きっと。ねぇ、イチ……」 (終)
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11ページ目 のび太「ちっ、壊れやがった」 ジャイアン「こいつ本当にのび太か?」 のび太「ジャイアンか。そうだよ僕はのび太だ」 ドラえもん「いかれてる」 のび太「とりあえず死ねや」 ドラえもん「もう躊躇いはないっ」ピカー ジャイアン「きた!スモールライト!」 のび太「ふっ、そんなこと想定済みさ」ささっ ドラえもん「鏡!?」 のび太「ジ、エンド」ピカー ドラえもん「うぎゃぁぁぁぁ」 次へ トップへ
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ペプラーによる騒動から1日がたち、ドラえもんたちは鈴探しに専念していた。 クルト「あった。ドラえもん、あったよ! 半分だけど」 ドラえもん「本当? よかった……」 クルト「ごめんね、ドラえもん。もう泥棒はしないよ…… デラックスがとったものも元のところに戻しておくよ……」 ドラえもん「うん。僕は鈴が戻ってくればそれでいいんだよ…… さぁ、もう半分も探そう……」 マスタード「ペプラーめ、どこへ行ったんだ? 怪盗デラックスはきっと奴に違いない!」 フィークス「ミュージアムの怪人というのも奴に決まってますよ、絶対に!」 マスタード「ペプラー! 必ず探し出してやるからな。首洗って待ってろよ‼︎」 ペプラー「お前らのへなちょこシステムで感知できるものか。ワシは諦めんぞ! いつの日か必ずペプラーメタルを完成させて見せる! はっはっは!」 ジンジャー「おじいちゃん…… いつか世界を滅ぼす気がするわ」 ペプラーとジンジャーは超空間に消えた。 ジャイアン「ないなぁ……」 スネ夫「もう疲れた。帰ろうよ……」 ドラえもん「絶対ダメ! 鈴を見つけるまで帰らない! ちゃんと探して!」 のび太「やれやれ。どうしてあの鈴にあんなにこだわってるのかなぁ?」 すると頭部のタケコプターが外れ、のび太は落下してしまう。 のび太「うわああっ! いったぁ……」 さらにのび太の頭にもう半分の鈴が落ちる。 のび太「あった! こんなところに…… あっ」 2人「あははは!」 ドラえもん「のび太くん、ありがとう…… これ、一生大事にするよ」 のび太「なんだよ、大げさだな」 ドラえもん「これのおかげでわかったんだ。のび太くんは勉強もダメ、運動もダメ、根性もなくてどうしようもない奴だけど……」 のび太「なんか気分悪いなぁ……」 ドラえもん「でも、君は、いい奴だな……」 のび太「えへへ……」 ドラえもん「ありがとう、のび太くん……」 のび太「うん」 のび太「ドラえもん…… あんなこと、ずっと覚えてたんだ…… ドラえもん、あったよ」 ドラえもん「ええっ! どこ、どこ? どこ? どこにあったの⁉︎」 のび太「僕の靴の中、なんてね……」 ドラえもん「のび太くん……」 2人は鈴をくっつける。 おわり
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プロフィール 職業:小学生 出演作品:ドラえもん 戦績 総参戦回数7(戦闘中1回含む) 賞金獲得回数1 復活回数0 累計逃走時間5時間31分55秒 平均逃走率61.54% 最高逃走率100%(逃走成功) 各回戦績 タイトル 逃走時間 逃走率 順位 学校に眠る宝 47分21秒/80分 59.19% 11位/18人 恐竜時代 35分47秒/80分 44.73% 15位/18人 ハンターシティ 100分/100分 100% 1位/20人 逃走成功→ボーナスゲーム制覇 王国の独裁者 35分18秒/90分 39.22% 14位/20人 奪われたシーサー 61分40秒/90分 68.52% 10位/20人 終末の天気予報 51分49秒/90分 57.57% 11位/20人
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▽タグ一覧 一般人 男 , ──- 、 ゝ/______\ / | / , - 、 - 、l l | / l l l |─| ^|^ | Y⌒ ` ─ ヘー ヽ ヽ_ |`───┘ノ ∩ ヽ、_ヽ__// ∩ ┘`ー┬─´\/\/ー┬─´ └-、 _ __|_ ノ |_|___三 | | 出典 ドラえもん 【概要】 スマイルプリキュア達がいるクラスの隣のクラスの生徒(つまり中学生)。特技はあやとりと射撃とピーナッツの投げ食い。特に射撃は宗介も驚愕するほど(*1)。 小学校時代の思い出が強くて中学校での環境に馴染むことができず(*2)不登校となり、ななこの悩みの種の一つだったが、80の体を張った説得により部屋から出てきて科特隊基地見学へ行くことになる。 アイギスに接しているうちにロボット工学者になりたいと思うようになる。 ウルトラマンに変身した80に地球人形態の時に負った頬の傷を見つけた為、80の正体を知る。 確定しているわけではないが、おそらくこの世界にドラえもんはいないと思われる(*3)。 第25話で再び登場し、女の子と一緒にシャイニングを応援した。
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【作品名】ドラえもん 【ジャンル】アニメ(シンエイ動画) 【名前】野比のび太(シンエイ動画制作版アニメ) 【属性】ダメ人間 【年齢】20歳 【長所】昼寝・あやとり・射撃 【短所】その他のエピソードを見るに20歳になっても精神年齢は変わってなかった 【備考】アニメーション制作がシンエイ動画になった以降のアニメのドラえもん。 このシリーズではのび太は小学5年生の学年設定なので最低でも10歳。 無人島で10年を過ごしたのを加算して20歳、無人島での加齢分はタイム風呂敷で若返った。 vol.4
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前へ #28「謎」 ―――ふと見渡してみれば、周りは一面真っ黒だった。 身動きはとれない、でも動こうとは思わない。 いまは何だか、不思議な心地よさが体を包んでいた。 その心地よさに身を任せ、何もない空間を見つめていると、突然誰かの声がした。 「……い…………ろ」 うるさいなあ……せっかく人が気持ちよく眠ってるっていうのに…… 「……おい……っかり……しろ!」 ああ、もう! 鬱陶しいなあ。 こうなったら、徹底的に無視してや…… 「おい、しっかりしろっ!」 声の音量が、突然何倍にも跳ね上がった。 「うわあああああ!」 おかげでようやく、骨川スネ夫は目を覚ました。 冷静さを取り戻したスネ夫は、ゆっくりと周りを見渡してみた。 洗面所に便器……ここはどうやら、トイレのようだ。 地面には、割れた花瓶の欠片が転がっている。 「そうか、僕はここで襲われて……気を失って……」 後頭部をさすってみると、物凄く大きなたんこぶができていた。 「おい、大丈夫なのか?」 突然スネ夫の顔を、何者かが覗き込んでくる。 白いローブで全身を包み隠しているその男に、スネ夫は見覚えがあった。 「あなたは確か……『レジスタンス』のリーダーの……」 「フォルテだ。 よろしく、骨川スネ夫君」 白いローブの男、フォルテが静かに言い放った。 スネ夫はそれから、フォルテが何故ここにいるのかを説明してもらった。 どうやら、先程からスネ夫を起こそうとしてくれていたのはフォルテのようだ。 彼はトイレに入り、後頭部を叩かれて気絶しているスネ夫を発見した。 そしてスネ夫が目を覚ますまで、ひたすら呼びかけてくれていたそうなのだ。 「えっと……ありがとうございました……」 混乱しながらも、とりあえずフォルテに礼を告げるスネ夫。 とその時、再び頭に激痛が走った。 「っ……い、痛ああああああ!」 激痛に悶えるスネ夫を見て、フォルテは慌てて何かを取り出す。 それは、救護カバンのようなものだった。 フォルテはその中から聴診器を取り出すと、突然それをスネ夫の胸に押し当てた。 スネ夫が戸惑っていると、突然機械の中から薬のような物が出てきた。 フォルテはそれを取ると、スネ夫に向けて差し出した。 「心配するな、ただの痛み止めだ」 フォルテにそう言われたスネ夫は躊躇いながらその薬を口に含んだ。 すると不思議なことに、痛みが急激に引いていった。 痛みが消えたことで落ち着いたスネ夫は、ふとあることを思い出して立ち上がる。 「そうだ、試合にいかなくちゃ! 僕がいなかったら、人数不足で負けになっちゃう!」 慌てて駆け出そうとするスネ夫を引きとめ、フォルテは説明を始める。 「今から言ったって無駄だ。 君が試合に間に合わず、ドラーズは人数不足で不戦敗となった。 だが案ずることはない、君の代わりに補員として出木杉英才が出場した。 彼と野比のび太のコンビは見事勝利を収め、そして二番手の剛田武も……」 『勝者、『ドラーズ』剛田武選手!』 ここでタイミングよく、ジャイアンへの勝利の宣告がコロシアムに響き渡った。 「……どうやら、終わったみたいだね。 決勝進出おめでとう。 私もいまから試合があるから失礼させてもらうよ」 「え……ちょ、ちょっと待って……」 スネ夫が引き止める間もなく、フォルテはトイレから去っていった。 ……一方ドラーズの一行は、戦いを終えて部屋へと戻っていた。 「見たか、俺様の華麗な勝負姿を!」 ウコンに勝利したジャイアンは、達成感に浸っていた。 「ジャイアンも凄かったけど、今回勝てたのは出木杉のおかげだよね」 いい加減彼の自慢話にうんざりしてきたのび太が、話の対象を出木杉へとすり替える。 「ほんとそうよね。 のび太さんとのコンビ、かなりうまくいってたわ。 それに出木杉さんがいなかったら、今頃不戦敗で地下室行きだったしね。 ありがとう、出木杉さん」 「そ、そんなことないよ。 僕の方こそ、みんなには随分世話になったよ。 だから、おあいこってことで……」 静香に絶賛された出木杉は、照れて頭を掻きながらそう言った。 「不戦敗といえば……スネ夫の奴、一体どこに行きやがったんだ? あいつのせいで負けかけたんだ、見つけたらただじゃおかねー!」 先程まで上機嫌だったジャイアンが一転、怒りのオーラを全身から放出し始める。 ちょうどその時、4人は部屋の前に到着した。 「まあまあ、落ち着いてよジャイア……」 のび太がジャイアンをなだめつつ、部屋のドアを開ける。 その時見た光景に、4人は一瞬凍りついた。 部屋の中央に、いままさに話題に上っていたスネ夫が座っていたからだ。 「や、やあ。 お疲れ様……」 スネ夫が右手を上げておどおどと挨拶を始めたとき、すでにジャイアンは動き出していた。 「てめー! いままで何してやがった!」 迫りくるジャイアンから逃げつつ、スネ夫は必死に事情を説明した。 「……なるほど、一通りの事情はわかったよ」 スネ夫の話を聞いても、出木杉は冷静さを崩さない。 だが、他の3人は驚愕して口をポカンとあけていた。 「まさかお前が襲われて、大怪我を負ってたなんて…… スマン、スネ夫! 事情も知らずお前に殴りかかったりして……」 ジャイアンがスネ夫に向けて頭を下げる。 こういうことがキチンと出来るようになったのは、ジャイアンが成長した何よりの証だろう。 「痛みは無いって言うけど、一応その頭のコブは治療しておいた方がいいわね。 いまは他に使えそうな物が無いから、これで我慢してね」 静香はそう言うと、バッグから薬を取り出す。 「ちょ、ちょっと待って! それ、ポケモン用の傷薬じゃないか!」 スネ夫がうろたえながら後退する。 その姿を見て、静香が慌てて説明をする。 「学校で聞いた話によると、ポケモンと人間の遺伝子構造はよく似ているらしいの。 遺伝子学の研究が禁止になったから、あまりくわしいことは分からないんだけど…… ……とにかくそう言う事だから、ポケモン用の薬は人間にも効果があるらしいの。 ただ、人間の方が遺伝子構造が複雑だから、ポケモンに比べて薬の効果は薄いらしいけど。 それでも、何もしないよりはましよ!」 静香は説明を終えると、さっそく傷薬をスネ夫の頭へ吹きかけた。 「それじゃあ私、次の試合がどうなってるか見てくるわ」 薬を使い終えた静香は、試合を見るために部屋を出て行った。 「骨川君を襲った奴も気になるけど、レジスタンスのリーダーも気になるな…… いったい、どうやってそんなに凄い痛み止めを作ったのか……」 先程から無言で考え込んでいた出木杉が呟いた。 そこに、突如のび太が割り込んでくる。 「それなんだけどさ……“お医者さんカバン”じゃないかな?」 「「お医者さんカバン?」」 のび太の口から出てきた謎の単語に、他の4人は声を合わせて聞き返す。 戸惑いながら、のび太はその道具について説明する。 彼によると、フォルテが使った道具は、ドラえもんの持つ“お医者さんカバン”という秘密道具である可能性が高いと言うのだ。 「で、でも! 秘密道具はここじゃあ使えないってドラえもんが言ってたぜ…… 第一、なんでそいつが秘密道具を持ってるんだ?」 「わからない、だから僕も戸惑ってるんだよ……」 ジャイアンの問に、のび太は答えられない。 誰もが謎だらけで考えに行き詰まり、部屋に沈黙が流れる…… とその時、突然部屋のドアが開いた。 ドアの向こうから現れた静香が、早速報告をする。 その顔は、若干青くなっているように見えた。 「そのフォルテさんたちのチームだけど、つい先程敗退したわ。 試合時間は1人あたりたったの十分、まさに完敗だった…… 私たちの決勝の相手はMr.ゼロの最強の手下、『ジョーカーズ』よ」 #29「決勝前夜」 レジスタンスが、完敗した。 その知らせを聞いたのび太たちが、思わず立ち上がる。 「そんな……あの人たちですら、ジョーカーズに敵わないなんて……」 皆の顔は青ざめていた。 彼らなら……レジスタンスなら、ジョーカーズに勝てるかもしれない…… そんな希望を、どこかに抱いていた。 だが、その希望はあっさりと打ち砕かれてしまったのだ。 のび太の口から、溜息がこぼれた。 「レジスタンスの人たちはよく頑張っていた、いままでのどのチームよりも検討したと思う。 でも、それでも……ジョーカーズとは圧倒的な戦略差があったわ。 レジスタンス側は、相手のポケモンを1匹倒すのがやっとだったもの……」 静香が、先程のバトルをこう語った。 圧倒的なジョーカーズの力を改めて実感し、のび太は再び溜息をついた。 自分たちは本当に、奴らに勝つことができるのだろうか? そんな思いが、胸を過ぎったのだ。 「結局、あのリーダーの実力は未知数のまま終わっちゃたね」 そう言った出木杉はいまだに、フォルテのことを考えている。 今回彼は大将だったので、出番が回ってこなかったのだ。 謎だらけの彼の正体に少しでも近づくためにも、その実力がどの位のものなのか見極めたたい。 そのためには、ジョーカーズの選手のような強い選手との激突を見なければならなかった。 彼なら、ジョーカーズの選手にも勝てたかもしれない。 そういう予感があっただけに、彼らの戦いが実現しなかったのが残念だった。 「あ、忘れてた!」 出木杉が思考をめぐらせていた時、突如静香が大声をあげた。 「フォルテさんが、私にメッセージを残していったのよ!」 フォルテは敗北して地下室に向かう途中、静香に向かって大声で何かを伝えたのだと言う。 いったい、彼は何と言ったのだろうか? 4人の視線が静香に集まる。 静香は緊張した様子で、ゆっくりと言葉を発した。 「『どんなときも、決して諦めるな。 必ず強い意志を、希望を持ち続けろ。 そうすれば、チャンスは簡単に途絶えはしない』 ……それが、彼が残していった言葉よ」 場が、完全に静まり返ってしまった。 皆、どういう反応をすればよいのかわからなかったのだ。 その言葉はただ単に、自分たちを励ましているだけなのか。 それとも、もっと深い意味を持っているのか…… 5人とも、理解に苦しんでいた。 ―――その言葉に秘められた真意など、いまの5人には知る由も無かった。 (※注 ここからのび太視点になります) それから数十分が経ち、いま部屋にいるのは自分と出木杉だけになっていた。 出木杉が補員として加わったので、この部屋のベッドは一つ足りなくなってしまった。 そこで、スネ夫がこんな提案をしたのだ。 「いまは全部の部屋が空いてるんだから、1人が1つの部屋を使えばいいじゃないか」 他の部屋を使っていた選手たちはすでに、全員負けて地下室に送られていた。 故に、いまは全ての部屋が空き室になっているのだ。 皆すぐにスネ夫の提案に賛同し、近くの部屋へ移っていった。 なのに出木杉がまだこの部屋に残っているのは、自分が引きとめたからだ。 彼はいま、いろいろなことを考えていた。 フォルテのこと、この大会のこと、そして明日の試合のこと…… だから、部屋から出て行こうとする出木杉を、こう言って引き止めたのだ。 「考え事をするのなら、1人より2人のほうがいいよ。 僕も一緒に考えてあげる!」 だが、大して頭がよくない自分が出木杉の役に立てるわけがない。 自分は先程から、出木杉の言うことに適当に相槌を打つだけだった。 こうなることは、分かっていた。 では何故、役に立てないのに出木杉を引き止めたのか? それは恐らく、1人になるのが怖かったからだ。 明日の試合に本当に勝てるのか、不安で不安で仕方なかった。 1人でいると、その重圧に押し潰されてしまいそうだった。 だから、誰かに傍にいてほしかったのだ。 「さてと、考えるのはこの辺でやめて、そろそろ僕も自分の部屋に行こうかな……」 突然出木杉が、そう言って立ち上がった。 「え! ちょ、ちょっと待って……」 慌てて止めようとする自分に、出木杉は穏やかに微笑みかけた。 「野比君……不安なのは、僕も一緒だよ。 おそらく、剛田君たちも…… でもいまは、明日の試合に勝つことだけを考えよう。 それがいまの僕たちにできる、最良の選択のはずだよ」 出木杉はそう言うと、部屋から出て行った。 その間ずっと、自分は呆然としていた。 ―――見抜かれていた、自分が不安で彼を呼び止めていたことを。 さすがは出木杉だと思った。 本当は彼だって不安なはずなのに、自分のために部屋に残ってくれたのだ。 己のことで精一杯な自分とは、大違いだ。 彼の優しさに、感謝の気持ちがあふれ出てきた。 「ありがとう、出木杉……」 誰もいない部屋の中で、こっそりと呟いた。 その後、僕は自分の部屋のドアノブを握っていた。 他の仲間とも、話をしたいと思ったのだ。 そうすれば、自分の不安がもっと和らぐかもしれない。 また、出木杉のように、相手の力になってあげられるかもしれない。 そう思って、ゆっくりとドアを開けた。 最初に向かったのは、自分の隣にあるスネ夫の部屋だ。 中に入ると、スネ夫と一緒にジャイアンもいた。 先程まで談笑していた2人は、自分に気付くと話を中断して視線をこちらに向けた。 2人とも自分とは違い、かなり余裕があるみたいだ。 「おうのび太、どうしたんだ?」 「ちょっと、話がしたくてさ……」 ジャイアンの問いにそう答え、2人の近くまで歩み寄っていった。 「あのさ……2人は、明日の試合が怖くないの?」 単刀直入に聞いた。 何故そんなに落ち着いていられるのか、気になったからだ。 しばらく考え込んだあと、まずスネ夫が話してくれた。 「そりゃあ僕だって、明日の試合は怖いよ。 でもそれ以上に、なんとかなるんじゃないかって気持ちがあるんだ」 スネ夫の声は、明るかった。 「……僕はずっと、才能がないからって自分に言い聞かせて、トレーナーの夢を諦めていた。 でも今回の大会で、僕は自分の可能性を試すことができた。 この世に『不可能』なんてないってことを、知ることができたんだ。 実際、僕たちは何度も、困難な壁を越えてきたんだ。 絶対に勝てないと思っていた、四天王やフロンティアブレーンとの試合でさえね。 だから明日の試合だって、きっと何とかなる。 そんな根拠のない自信が、どこからか湧いてくるんだ」 スネ夫は話を終えると、軽く笑みを浮かべた。 「俺だって、スネ夫と同じだ」 今度は、ジャイアンが語りだした。 「俺はいままでずっと、力で無理やり敵をねじ伏せるような戦い方しかできなかった。 でも、それじゃあ駄目だった。 あのままでは、俺は敵と化したジャイ子を救えなかった。 なら、何故俺はジャイ子を救えたのか? 何故ここまで勝ち上がってこれたのか? ……それは、お前たちが、『仲間』がいたからなんだ 仲間が俺に、戦術を教えてくれた。 挫折していた俺を、立ちなおさせてくれた。 だから俺はジャイ子に勝って、あいつを救うことができたんだ。 ここまで勝ち上がってこれたのだって、仲間がいたからだ。」 傲慢だった昔のジャイアンからは、考えられないような言葉だった。 「今度の敵はたしかに強すぎる、俺1人じゃあ間違いなく敵わないだろう。 でも俺には、最高の仲間たちがいる。 俺は仲間と一緒なら、どんな敵にでも勝てると信じてるぜ!」 ジャイアンの声は、自信に満ち溢れていた。 ―――2人の話を聞いて、胸をハッとつかれた感じがした。 そうだ。 僕たちはいままで、どんな困難にも打ち勝ってきたではないか。 それなのに、今ここで諦めてどうするんだ。 不安はだいぶ消えてきた、そして代わりに自信が湧いてきた。 「ありがとう! ジャイアン、スネ夫!」 礼を告げ、勢いよく部屋を飛び出していった。 廊下に出ると、自分の部屋の前に静香が立っているのが見えた。 「どうしたの、静香ちゃん?」 静香の下に歩み寄って、尋ねた。 「話したいことがあるんだけど……いいかしら?」 首を縦に振り、早速静香を自分の部屋に招きいれた。 「それで、話したいことって何?」 「えっと……実は、明日の試合のことなんだけど……」 静香の口調は、重々しかった。 「その……不安だったの、本当に明日勝てるんだろうかって。 だから、のび太さんに相談しようって思って……」 同じだ。 静香も自分と同じく、明日の試合への不安を抱いていたのだ。 自分は先程、出木杉とスネ夫とジャイアンにその不安を取り除いてもらった。 ―――だから、今度は自分が静香の不安を取り除いてあげる番だ。 「……確かに、敵はあまりにも強大だ。」 先程の試合を目の前で見た静香は、だれよりもそのことを実感しているだろう。 そう考えるとますます、自分が静香の力にならなくてはいけないと感じた。 「でも僕たちだって、ここまで勝ちあがってきたんだ。 僕たちはこれまで何度も、大きな壁にぶつかってきた。 でもその度に、みんなの力を合わせて壁を乗り越えてきた! だから……今度もきっと、乗り越えられるさ。 みんなの力を合わせれば、きっと……」 静香の手を、両手で握り締める。 手は少し、冷たくなっていた。 「がんばろう、静香ちゃん! 明日の試合に勝って、みんなを救い出すんだ!」 静香の手を強く握りながら、呼びかけた。 しばらくの間、ずっと静香の手を握り締めていた。 やがて、黙り込んでいた静香が言葉を発し始めた。 「……なんだかちょっと、元気がでてきたわ。 ありがとう、のび太さん!」 安心した。 静香が、笑顔だったからだ。 静香の手はいつのまにか、ぬくもりを取り戻していた。 と同時に、頬が少し紅潮していた。 ……その後静香は何も言わず、部屋を出て行った。 その後は出木杉に言われたとおり、明日の試合に勝つことだけを考えていた。 ―――大丈夫、きっと勝てる。 自分には、最高の仲間たちがいるのだから。 ジャイアンとスネ夫が言った通りだ。 フォルテが残した言葉を思い出した。 そうだ、まだ諦めてはいけない。 希望を、手放してはいけない。 自分が負けたら、たくさんの命が失われることになるのだから。 たくさんの人の思いが、頭の中を過ぎっていく。 真っ先に脳裏に浮かんだのは、いまだに消えたままのドラえもんと交わした約束だった。 彼と約束したトーナメント優勝に、あと少しで手が届く。 絶対に、掴んでみせる。 胸にそう誓い、ゆっくりと目を閉じた。 次に目を開けたときが、最後の決戦のときだ。 #30「素顔」 「そ、そんな……」 試合を見守る出木杉の顔が、みるみる青くなっていく。 「マニューラ、冷凍パンチ」 敵の二番手、2ndの冷酷な一言が響く。 次の瞬間、ジャイアンのボーマンダは地に墜ちていった。 「勝者、『ジョーカーズ』2nd選手……」 審判は2ndの勝利を告げたあと、冷酷な宣告を下す。 「よってこの試合、『ジョーカーズ』の勝ち」 「チクショオオオオオ!」 ジャイアンが、天へ向けて咆哮した。 「私が、負けさえしなければ……」 「悪いのは、僕も同じだ」 静香とスネ夫は、自分を責め続ける。 「終わったのか? すべて……」 出木杉の一言が、虚しく響きわたった。 ―――今回の試合、敵は一番弱い4thを大将にもってきた。 最初の2試合で、勝負を決めにきたのだ。 始めのダブルバトル、ドラーズのスネ夫と静香はかなり健闘した。 ……しかし、1stと3rdのコンビには勝つことができなかった。 続く3対3のシングルバトルは、ジャイアンと2ndの対決。 こちらもかなりの死闘となったのだが、ジャイアンは最終的に敗れてしまった。 こうしてドラーズは、大将ののび太まで回せないまま敗北を喫してしまったのだ。 「……やれやれ、ようやく終わったか……」 ふと、コロシアムの上の方から声が響いてきた。 椅子に座り込んでいる、黒いローブを纏った男……Mr.ゼロだ。 となりには相変わらず、司会の者が立っている。 「君たちはなかなか頑張ったよ、ドラーズの諸君。 ……だが、私のもつ最強のチームには到底及ばない。 所詮、君たちの力はその程度ということだ。 あとに待ち構えているのは、“死”のみ。 君たちは、ここで終わりだ」 Mr.ゼロの言葉を聞き、皆が顔を俯けていた。 ……だが1人だけ、真っ直ぐとMr.ゼロを見据えている者がいた。 ―――野比のび太だった。 彼は視線をそむけずに、はっきりと言い放った。 「まだ、終わってなんかいないさっ!」 「まだ終わっていない? 何を言っているんだい、野比のび太君。 君たちにはもう、死ぬ道しか残されていないんだよ?」 Mr.ゼロの挑発を無視し、のび太は仲間たちに呼びかける。 「まだ終わりなんかじゃない…… だって僕たちには、まだ戦えるポケモンがいるじゃないか!」 彼の言うとおり、まだ全員無傷のポケモンを所持していた。 戦っていないのび太と出木杉は6体、敗北した残りの3人も3体ずつ。 「で、でも……」 「たったこれだけの戦力で、いったい何ができるのっていうの?」 仲間の4人は、彼の言葉に困惑する。 ――精一杯戦った。 でも、奴らにはその力は届かなかった。 圧倒的な実力差を、見せつけられた。 最早4人に、戦う気力など残されていなかった。 「彼らの言うとおりだよ、いまさら君たちに未来は残されていない。 まさかたった5人で、ここにいる全員を倒そうなんて考えてるんじゃないだろうな?」 Mr.ゼロが、馬鹿にするように問う。 だが、のび太は意外な返し方をしてきた。 「ああ、その通りさ」 ―――Mr.ゼロがほんの少し、動揺した。 「な……本気か、のび太?」 スネ夫が信じられないという顔を浮かべる。 「フフフ、面白い冗談を言ってくれるじゃないか。 ジョーカーズだけでも勝てないっていうのに……いまここに何人のトレーナーがいるか分かっているのか? 係員、警備員、審判、敗北した配下の3チーム……総勢200名近くの敵が君たちにはいる。 抵抗するだけ無駄、君たちが生き延びられる可能性は0%だ。 さっさと諦めて、おとなしく死を迎えるんだな」 「そうはいかない! この世に“不可能”なんてありえない……僕たちはこの戦いで、そのことを実感してきたんだ!」 どんな言葉を浴びせられようと、のび太は決して挫けない。 「みんな、もう一度戦おうよ!」 「この大会の参加者みんなを救えるのは、僕たちしかいないんだ!」 「僕たちなら、きっとできる。 だから最後の最後まで、戦い抜くんだ!」 「だから無駄だと、何度言えばわか……「のび太、お前の言うとおりだよ」 Mr.ゼロの言葉が、強い意志をもった言葉に遮られる。 その声の主は、ジャイアンだった。 「俺はさっきまで、もう自分は死を待つだけだって諦めてた。 でもそれじゃあダメだ。 だって、俺たちはまだ戦える。 ……なら、戦うしかないじゃないか!」 「ジャイアン……」 のび太が嬉しそうな笑顔を浮かべた。 「のび太……お前のおかげで、そのことに気付けたよ。 ありがとな。 ……ったく、昨日あれだけ大口叩いてた自分が情けないぜ!」 ジャイアンが恥ずかしそうに頭を掻く。 「僕も同じだ。 たったいま、君に自分が何をすべきかを気付かされたよ、野比君。 地下室で待つ『チーム・コトブキ』の仲間や、ここにいる仲間のために……僕も戦うよ!」 出木杉が、モンスターボールを取り出した。 「私も戦うわ。 みんなを、守りたいから……」 「僕だって、こうなったら徹底的に抵抗してやる!」 静香とスネ夫も、戦う決意をあらわにした。 「みんな……」 のび太が涙を浮かべた目で、仲間の顔を見渡す。 仲間たちが頷いたのを確認すると、大きく息を吸い込む。 そして、Mr.ゼロに向けて宣戦布告する。 「見ての通り、僕たちは決して諦めない! 最後まで戦う…これが僕たちの選んだ道だ!」 しばし、沈黙の時が流れた。 のび太たちは無意識のうちに、Mr.ゼロの言葉を待っていた。 彼が先程までのように、こちらの行動を蔑むような言葉を放つ。 それが、開戦の合図になるはずだった…… ―――だが、彼が見せた反応は予想外のものだった。 「そ、そんな馬鹿な…… この絶望的な状況でなお、希望を捨てないだなんて…… ありえない! こんなことは、ありえないいいいいぃぃぃ!」 Mr.ゼロは突如、狂乱したかのように叫び始めた。 いくら感情がこもっていないように感じられる機械音声でも、彼が動揺しているのがはっきりと分かる。 「なんであいつ、あんなに焦ってるんだ……」 先程まで戦闘態勢だったジャイアンが、気の抜けた声を出す。 その疑問は至極当然のことだ。 いくらこちらが奮闘しても、奴らに勝てる確率は1%にも満たない。 そのことは、先程Mr.ゼロ自身が言っていたはずではないか。 しかしいま、彼はのび太たちが戦うと聞いて物凄く動揺している。 一体、何故? 皆この状況に戸惑い、動けなくなっていた。 それからしばらくの時が経った。 先程から誰も一言も喋らず、ただその場に立ち尽くしていた。 突然、その静寂をMr.ゼロの声が切り裂いた。 「くっ……こうなったら仕方ない…… 見せてあげよう、私の正体を……」 「え?」 とのび太が呟いたと同時に、激しい音が響き渡った。 ――何かが、爆発する音。 次の瞬間目に入ったのは……粉々に砕け散ったMr.ゼロと、司会の姿だった。 「きゃああああああああぁぁぁぁ!!!」 最初に響き渡ったのは、静香の甲高い悲鳴だった。 それに続いて他の者たちも、混乱し、ざわめき始める」 「心配することはない、それはただの人形だ」 場を静めようとする、何者かの声が聞こえた。 先程までMr.ゼロたちがいた、時計の下の広場。 聞こえてきたのは、その奥からだった。 のび太は、身震いしていた。 その声に、聞き覚えがあったからだ。 少しずつ、広場に歩み寄ってくる2つの丸い影。 それがハッキリと姿を現したとき、誰もが自分の目を疑った。 「ド………ドラミちゃんに……ドラえもん?」 ついにその素顔を露にした、Mr.ゼロとその傍らにいた司会者。 青と黄色の、丸い顔を持つ奇妙な生物。 誰がどう見ても、見間違えることなど絶対にありえない。 ―――それは間違いなく、のび太と長い時をすごした親友とその妹の姿だった。 「うわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 いつのまにかのび太は、わけも分からず咆哮していた。 次へ