約 2,225,194 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1334.html
それにしても……。 「提督、いくら連れの『あの人』がいたからって、あんな無防備なことで良いのかな」 「なのはさん?」 「いえ、ヤン提督って、結構有名な人ですから、色々狙う人たちがいて……」 「へえ、何となく察してはいましたが、……成る程」 相づちをうつクロ。 「だから、本当は護衛の人がついてなきゃいけないんだけど……」 訝しむなのは。 《マスター》 「何、レイジングハート」 《上空から通信です》 「えッ、上から? 誰だろう……」 《マスターもよく知っている存在です。IFFの確認も完了しています》 「……解った、読んでみて」 RHは、その謎の通信文を読み上げた。 〈This is B‐1 Wonder is not verified within radius 200 meters Mission CMPL RTB〉 「……成る程、ね」 「なのはさん?」 「どうやら、頼もしい護衛が、遙か上空にもいたみたいですね」 そうして、なのはは空を見上げ、肩をすくめた。 「ちょっと気まぐれな天かける妖精の女王、『メイヴ』がね」 「へえ、妖精の女王様の加護、ですか。少々気まぐれでも、それは結構頼もしい護衛かも知れませんね……」 そう言って、帽子の鍔をめくりつつ、クロも見上げる。 あの一筋の飛行機雲は、その形を徐々に崩し始めていた――。 「お疲れ様です、深井大尉」 『棺担ぎのクロ。リリカル旅話』 インターミッション1・CMPL 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3600.html
「ドラなの」第3章(前編)『誕生会』←この前の話 『ドラなの』第3章(後編) (*) 誕生会はビンゴ大会、誕生日のプレゼント渡しと進行していくなかで異様なまでに盛り上がった。 しかしそんな楽しい時間も永遠ではない。彼ら彼女らが気づいた時にはもう時計は午後8時を知らせていた。 「楽しかったけどもう遅いし、お開きにせなあかん。・・・・・・みんな、今日はウチのためにホンマ、ホンマありがとう!」 はやてが壇上でマイクを両手に保持し、最高の笑顔で一同に告げる。それを合図にしたかのようにどこからか巻き起こる拍手。それは次第に拡がり、最後には全員に伝染した。 八神はやては車椅子で生活して過ごした3年以上前には考えもしなかったこの光景に、胸が一杯になった。 (*) 20分後 八神家一同はすずか邸専属メイドさんが運転する車で。なのはとフェイトもアリサの呼んだハイヤーで帰宅の途に着いた。 ここでできればドラえもん達もスネ夫の呼んだリムジンで・・・・・・とか言いたい所だが、世の中そう甘くない。 彼らの足はもっぱら己が足と自転車ぐらいだ。 静香の場合は家が八神家に近いため乗り合わせても良かったが、自転車をすずか邸に乗り捨てる訳にもいかない。必然的に自転車で帰る事になった。 ちなみにドラえもん、のび太は自転車がないので『どこでもだれでもローラースケート』だったりする。のび太達は自転車が羨ましいと言うが、果たして普通の人からすればどちらの方がいいのか・・・・・・ まぁ、それは置いておこう。 5人ともスケートや自転車を使わず話しながら帰っていたので、ものすごくゆっくりだ。そしてそれは丁度彼らが空き地前の角に行き着いた時だった。 一同の内、ジャイアンが何かを見つけた。 「何だありゃあ?」 ジャイアンの指差す先にはやや太い黒猫。いや、短足だからそう見えるのか。しかし最大の問題はそれが"二足歩行"しているという事だ。 見つかった事にびっくりしたのか 「キキーッ」 などと鳴きながら空き地へと逃げていく。 明らかにネコの鳴き声ではなかったが、ジャイアン達には関係ない。 ジャイアンとスネ夫は自転車に飛び乗ると、 「かわいそうよ!」 という静香の制止を振り切って 「捕まえて見せ物にしてやる!」 と言いながら追撃、空き地へ入っていった。 しかし次の瞬間聞こえてきた声は 「捕(と)ったどぉーーー!」 というような喜びの雄叫びでも 「逃がしたか!」 という悪態でもなかった。 暗い空き地に明らかに街灯とは違うオレンジ色の閃光が走ったかと思うと、 「ギャァァァ!」 というスネ夫の悲鳴が響き渡った。 「スネ夫!?ドラえもん!」 「うん!」 のび太とドラえもんが現場に駆けつけようとローラースケートで地面を駆る。 しかし空き地に着くと同時に今度はジャイアンの悲鳴が耳に届いた。 二人はそこで見た。"何かが書かれたオレンジ色の円状の透明な板"と、そこから伸びる"オレンジ色の光線"を。光線はあやまたずジャイアンを捉えており、当のジャイアンは感電でもしたように硬直。光線の解除と同時に地面に倒れ伏した。 「ジャイアン!」 のび太の声に呼応するような形で今度はこちらに光線が放たれた。それをなんとか建物の角に入ってやり過ごせたのは僥倖(ぎょうこう)、もしくは奇跡と言って良かろう。 「ドラえもん、これじゃ近づけないよ!」 「よぉし・・・・・・!」 ドラえもんも相手を脅威ある敵と見なしたのかポケットに手を突っ込む。そしてひみつ道具を取り出した。 「『スーパー手袋』!早く着けるんだ!・・・・・・『こけおどし手投げ弾』!僕がこれを投げ込むから、爆発したら突入。向こうが怯んでる隙にジャイアン達を助けるよ!」 「O・K!」 ドラえもんはのび太が手袋を着けたと見るや、手投げ弾のピンを抜き 「口をあけて目と耳を塞げ!」 という注意を発して空き地へとそれを投擲した。 数瞬の後轟音と共に炸裂。カメラのフラッシュほど短い時間に強烈な爆音と閃光を放射し、対応していなかった者の目を、耳を奪った。 「ゴー!」 ドラえもんの掛け声と共に二人は空き地へと雪崩れ込む。そこにはスネ夫とジャイアンが倒れていた。 それをのび太達はスーパー手袋によって得られる怪力とローラースケートによる機動力で救出、搬送を開始する。 ここまでの経過時間はたったの10秒弱。 素人には過ぎるタイムだ。おかげで敵からの迎撃はなく、ドラえもん達は二人を背負ったまま空き地から脱出。静香とともに安全圏への退避を図る。 「・・・・・・」 一目散に逃げていたのび太は2ブロックほど進んで後ろを振り返ったが、敵の追撃はないようだった。 というか根本的に"敵"はあのネコなのだろうか? 一方ドラえもんもこのまま逃げても仕方ないとみんなを建物の影へ誘導する。 「のび太くん、ジャイアンを」 ドラえもんは担いでいたジャイアンをのび太に託すと、再びポケットに手を入れる。しかし目的のものが出ないのか四苦八苦している。 「これも違う、これも違う、これも、これも、これもぉーーー!『お医者さんカバン』はどこだぁーーー!」 その焦りに見かねた静香に 「落ち着いてドラちゃん!」 と諌められる始末。 しかしその焦りも分かる。のび太の両腕に感じる重み。スーパー手袋を通して確かに感じるその重みは地球重力によるものではなく命の重みだ。 どちらにも切り傷といった外傷はないが、いかなる攻撃だったのかよくわからない。 のび太にはその辺りの知識はなく、それがさらに不安を煽った。 しかしドラえもんがようやく役に立つものを探し当てた。 「・・・・・・ん、これなら!『壁紙秘密基地』!」 ドラえもんは声も高らかにポスター大のそれを出すと、民家のブロック塀にそれを貼りつけてシャッターを開いた。 「中に!奥に治療のためのベッドがあるから二人をそこに寝かせて!」 ドラえもんはスーパー手袋を静香に渡す。 のび太は少なくともジャイアンよりは取り回しがきくであろうスネ夫を彼女に託すと、シャッターの先にあるはずのベッドへと向かった。 (*) ジャイアンを担ぐのび太、スネ夫を背負う静香を先に入れ、ドラえもん自らも入ろうとして静香の自転車の存在に気づいた。 「危ない危ない・・・・・・」 見つかっては困ると彼女の自転車を四次元ポケットへとぶち込み、やや煩雑にシャッターを閉めた。 閉めてしまえばこちらのもの。数ある壁紙シリーズのなかでも最大のサバイバビリティ(生存性)を発揮するこの道具は、発見されにくいこともさることながら、内部空間が超空間になっているため仮に壁紙自体が焼けても違う場所に出入口を出現させることができるのだ。 シャッターの施錠閉鎖を確認したドラえもんはさっと階段を駆け降りると、この施設の1つである治療室へ。 しかしそこではのび太と静香がまごついていた。 「ドラえもん、この"ベッド"でいいの?」 指差されるまるで棺桶のような箱。どうやらもっと寝台のような形を想像していたらしい。現代と未来の治療室の違いから発生したジェネレーションギャップであった。 「うん。急いで!」 ジャイアン達が所定のベッドに寝かされたことを確認すると、近くの制御コンソールから治療コンピューターを作動させた。 この秘密基地にはたいていの設備がそろっており、おもちゃに近い『お医者さんカバン』の域を超える高度な治療すら全自動で行うことができるのだ。 こうして二人を寝かした棺桶の蓋が閉まると、中央画面に検査中という文字が表示された。 棺桶の内部ではX線や超音波、核磁気共鳴など多岐に渡る種類の検査が「これでもか!?」というほど行われている。あの棺桶のような形状は患者を外部から完全に遮断して検査の精度の向上を図ることと、内と外の人間を同時に守るための形だった。 「・・・・・・ドラえもん、どう?」 のび太が聞いてくるが、結果が出るまで何とも言えない。そのため 「う~ん・・・・・・」 と唸ることしかできなかった。 (*) 機械の動作する音以外は沈黙が支配するその場に不意に光が戻った。 結果が出たのだ。 「えっと、ケガの程度は・・・・・・軽傷みたいだね。よかった・・・・・・」 のび太がさらっと流し読みしてその結論を読み上げた。しかし静香は他の部分も気になったようだ。 「ねぇドラちゃん、ケガの内容の所の『MEPによる1度の魔力火傷』ってあるけど、MEPってなぁに?」 ドラえもんは処置するよう機器を操作すると、その質問に答えようと頭を捻る。 「あ~えっと・・・・・・僕が持ってる『タケコプター』って知ってるよね?」 「ええ」 「あれとか他のひみつ道具も電池で動いてるんだけど、それが貯めてるのは電気じゃないんだ。MEP(マジカル・エレメンタリー・パーティカル)。訳して『不思議な素粒子』とか、誤訳か知らないけど『魔力素』とか呼ばれる空気中に浮かぶ素粒子を『連結核』っていう専門の発電所で使えるエネルギーに変換して、そのエネルギーを貯めておくものなんだ。だからこの時代じゃ僕の道具の充電がきかない」 「へぇ・・・・・・でもどうして電気じゃダメなの?少しぐらい過去に行っても充電できるじゃない」 当然の疑問である。そんな特殊な電源を使ってはせっかくの道具も使えなくなるばかりだ。しかしドラえもんは首を振る。 「ううん。これじゃないとダメなんだ。MEPはちょっと工夫するだけで簡単に重力子の制御による重力制御とか、空気中の元素に干渉して任意の物質を作るとか、空間歪曲による空間の瞬間移動とか・・・・・・う~ん、いきなり言ってもわからないよね・・・・・・」 もっと簡単に伝えたいんだけど、昔教科書で丸暗記したことを少しアレンジしてるだけだから・・・・・・と弁明するドラえもんに、静香は 「それでもいいわ。続けて」 と促す。 「うん。ともかくMEPはいろいろできるんだ。・・・・・・そうだ、例えば電気だけでタケコプターを飛ばそうとすると、重力制御装置が大きくなりすぎてここまで小さくできなかったり」 ・・・・・・お分かりだろうが、タケコプターは回転する翼(ローター)で発生させた揚力で飛ぶヘリコプターの原理と同じではない。 それを行った場合羽が小さすぎて必要な揚力が得られないばかりか、回転が強すぎて危険である。 そのためタケコプターには翼の内部に重力制御装置が組み込まれており、これによって10割の負担を軽減しているのだ。 トドのつまりプロペラ(回転翼)は見栄えと、目と耳でどの程度動作しているか(正常、電池切れ、故障など)を確認する"お飾り"である。 「じゃあこの魔力火傷ってのは何なのさ?」 続くのび太の質問にドラえもんは 「多分魔力素って誤訳からできたものだと思うけど・・・・・・」 と前置きをすると、ある道具を取り出した。それは彼の持つ道具の中でも攻撃的な要素の強い『ショックガン』だ。 ドラえもんはそれを空いた棺桶に入れるとフルスキャン。画面にその内部構造を示す3次元図面が浮かんだ。 「MEPは何にでも使える。例えばこのショックガンもこの丸い形をした粒子加速器で、こんな感じにMEPを速くして打ち出す道具なんだ」 誰か準備したのか、それとも今作ったのか―――――おそらく後者だろうが―――――パイプ状のリングの中を粒がくるくる回り、パッと前に撃ち出すアニメーションが流れた。 「・・・・・・MEPはすごく小さくて、普段は物を通り抜けちゃうんだ。でもこうしてビームにして密度を上げると、たまに物や体に衝突するものが出てくる。それが当たった場所にショック、つまり火傷みたいな症状を与えて気絶させる。それがショックガンなんだ」 「えっと・・・・・・つまり、相手がショックガンを使ったってこと?」 「わからない。とりあえず今は様子を見るしか・・・・・・」 ドラえもんはそれだけ言うと黙り込んでしまった。 (*) 時系列はジャイアン達の襲撃直後に遡る。 次元航行船『アースラ』は蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。 第97管理外世界でオーバーAランククラスの魔力砲撃の発砲を3発探知したのだ。 魔力周波数、魔力光、それら個人を特定する2つの要素は地球に駐屯するどの魔導士にも適合しなかった。しかし分かることは1つ。 術式がミッドチルダ式であることだった。 こうなると次元犯罪者の可能性が高くなる。 現在エイミィ達電算室のメンバーが術者を映像に収めようと努力しているが、強力なジャミングが行われているのかまったく映像電波が通らなかった。 「なのは達に知らせろ!海鳴町、中央空き地にて危険魔法使用。警戒しつつこれを確認せよと」 クロノの指示が飛び、通信担当の部下が動く。 なのは達は民間協力者とは言え管理局から謝礼という形で給料を貰っており、すでに管理局局員に数えられていた。 「艦長、すでに高町さんはフェイトさんと共に現場に急行中との事です」 「うん、さすが地元だ。初動が早い」 感心する内に他から通信リンクが開いた。クロノは怪訝な顔をしつつそれに応える。 「ん、どうしたシグナム?こちらの情報はそちらにも送ったはずだが─────」 『違う!"主はやてが消えた!"こちらでは精神リンクを含め消息を確認できない!そちらはどうだ?』 「なんだと!?・・・・・・エイミィ!」 「はいよ!」 クロノの指示にエイミィの手が目にも止まらぬ速打ちで機器を操作して確認するが、結果は同じだった。 「バイタル、デバイスの信号、第97管理外世界を含め、半径20次元宇宙キロ以内に応答認めず!本艦は、完全にはやてちゃんをロストしました!」 その報告にクロノは思わず艦長席のパネルに拳を打ちつけた。 「くそ!やつらの狙いははやてか!全力を挙げて探せ!転送魔法、結界、失踪に関する全ての可能性を洗い直すんだ!」 「「了解!」」 中央電算室のメンバーが一斉に応答。この事態にその誇りを掛けて挑み始めた。 クロノは一応の落ち着きを見せると、シグナムにどのように消えたのか説明を求める。 『それが・・・・・・目の前から突然消えたんだ』 シグナムの説明によると、はやては誕生会から家に帰ってすぐ疲れていたのか居間のソファーで寝入ってしまっていたという。 そこで風邪をひいてもいけないとシャマルが掛け布団を掛けようとしたその時、彼女は全員の視界から何の前触れなしに消え失せたらしい。 『誰も結界、転送魔法なんて感知しませんでしたし、物質操作魔法で空気中に元素分解された様子もないんです!こんなの普通あり得ません!』 シャマルが悲鳴のように言う。 確かに質量を持つものが我々の3次元世界で肉眼によって見えなくする方法は4つほどしかない。 1つはブラックホールのような強い重力で光をねじ曲げる方法と、2つ目は光を完全に吸収、もしくは反射させない事で相手の目に光を届かなくさせる方法。 もちろんブラックホールに代表される超重力を使うものは荒唐無稽であるため除外。後者は後ろの光を通して透明化する魔法として多用されるが、シャマルの探知能力は優秀で、この近距離なら必ず何かを探知するはずである。つまりこれも違う。 3つ目は核分裂などによる質量欠損。 しかしこれも『E=mc2乗(エネルギーは質量×光速の2乗)』という有名な式の通り、欠損した質量は全て熱、音、光といったエネルギーに変換される。それなりに軽いと予想されるはやてであろうと、質量全てがエネルギー化すれば余裕で日本を地球から消滅させることができる。よって除外。 最後の4つ目は肉眼で見えないほどバラバラに分解すること。 多少困難を伴うものの、恒常的に使われる物質操作魔法(例えばデバイスを無から空気中の元素を固定して生成したりする)によって実現可能なこの方法。そのためシャマルは大事をとって空気中の浮遊物を調べた。が、予想される空気の密度変化、もしくは質量の増加は確認できていなかった。 ともかくこの神隠しはエネルギーや質量といった対価となる何かが出ない以上、物理的にあり得ないものだった。 しかしそれはあくまで3次元的な考察であった。 「まさか・・・・・・本当にこんなことが・・・・・・!?」 解析していた電算室の一人が画面に釘付けになった。 「どうした?何か見つかった?」 主任であるエイミィの問いかけに彼は振り返って頷く。 「はい!データを送るので再確認願います」 データが送信され、エイミィがそれを一から解析し直す。そして導き出した結論は同じだった。 「なるほど・・・・・・これはイノベーション(技術革新)もいいとこだね・・・・・・」 「・・・・・・どうした?報告しろ」 まだ何にも知らないクロノがこちらに問うてくる。エイミィは自身すら信じがたいその結果を報告した。 「海鳴町全体を包む"結界"を確認!しかし魔法としてのプログラムを介していないようで、発覚が遅れました!」 「魔法を介さないだと!?そんなことができるのか?」 「今の技術じゃ無理です。おそらくデバイスなどに頼らなくてもいいほどの"科学"を持った者の仕業だと思われます。これより結界の突破方法の模索に入ります」 エイミィ達電算室メンバーは再びフル稼働体勢へと突入していった。 (*) 結界内 はやてが目を覚ますとソファーの上にいた。壁の時計によれば眠ってしまった時間は10分かそこらのようだ。 「シグナム?・・・・・・シャマル?・・・・・・ヴィータ?・・・・・・ザフィーラ?」 誰も応えなかった。 「あれ?みんなどこ行ってしまったん・・・・・・」 先のアースラと今とで2度目の独りぼっちに寂しさが募った。 「まぁ、さっきまでにぎやかやったし、しゃーないか・・・・・・」 『祭りの後の独りは寂しいもの』と割り切ったはやては、みんなを探そうと立ち上がる。 だが、その目があるものを捉えた。 「えっと・・・・・・どちら様でしょうか?」 そこにいたのは浮世離れした恐ろしい外見をした女と、"二足歩行"するネコだった。 To be continue・・・・・・ シレンヤ氏 第4章へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1191.html
魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~ クロス元:戦国BASARA ※完結 最終更新 08/01/01 プロローグ 第一話「忠勝、ミットチルダにて起動」 第二話「忠勝と機動六課」 第三話「忠勝、訓練をする。」 第四話「忠勝と予言、そして鬼」 第五話「聖夜の夜、そして風魔」 第六話「その日、機動六課。そして崩れ落ちる城(前編)」 第七話「その日、機動六課。そして崩れ落ちる城(後編)」 第八話「戦国最強がいなくなった世界/戦国最強が戻ってきた世界」 第九話「立ち上がった白銀の城」 第十話「龍と雷光」 第十一話「天覇絶槍」 第十二話「starlight and steel」 第十三話「第六天魔王VS究極戦国最強」 最終話「それから」 魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER クロス元:モンスターハンター 最終更新:08/03/03 第一話「狩人」 第二話「再会」 第三話「異変」 第四話「赤鳥」 第五話「水竜」 第六話「過去」 第七話「風翔龍」 第八話「休暇」 第九話「対面」 第十話「鎧竜」 第十一話「新生」 第十二話「白影竜」 第十三話「黒龍伝説」 第十四話「挑戦」 第十五話「轟」 第十六話「危機」 拍手感想レス :島津出るかなと期待したがでなかったので残念 個人の好みもあるから仕方ないけど :ドクターが凄く格好いい TOPページへ このページの先頭へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2656.html
魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~ クロス元:戦国BASARA ※完結 最終更新 08/01/01 プロローグ 第一話「忠勝、ミットチルダにて起動」 第二話「忠勝と機動六課」 第三話「忠勝、訓練をする。」 第四話「忠勝と予言、そして鬼」 第五話「聖夜の夜、そして風魔」 第六話「その日、機動六課。そして崩れ落ちる城(前編)」 第七話「その日、機動六課。そして崩れ落ちる城(後編)」 第八話「戦国最強がいなくなった世界/戦国最強が戻ってきた世界」 第九話「立ち上がった白銀の城」 第十話「龍と雷光」 第十一話「天覇絶槍」 第十二話「starlight and steel」 第十三話「第六天魔王VS究極戦国最強」 最終話「それから」 魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER クロス元:モンスターハンター 最終更新:08/03/03 第一話「狩人」 第二話「再会」 第三話「異変」 第四話「赤鳥」 第五話「水竜」 第六話「過去」 第七話「風翔龍」 第八話「休暇」 第九話「対面」 第十話「鎧竜」 第十一話「新生」 第十二話「白影竜」 第十三話「黒龍伝説」 第十四話「挑戦」 第十五話「轟」 第十六話「危機」 拍手感想レス :島津出るかなと期待したがでなかったので残念 個人の好みもあるから仕方ないけど :ドクターが凄く格好いい TOPページへ このページの先頭へ
https://w.atwiki.jp/kurosuyukikaze/pages/18.html
ルイズ・フランソワーズ ハルゲニアという世界の貴族の少女。 トリステイン王国の名門”ヴァリエール家”の出であるが、魔法の才能なし、「ゼロ」の二つ名を与えられた少女。 本人はプライドがとにかく高く、キュルケたちとはよく喧嘩している。 深井零 フェアリィ空軍特殊戦(SAF-V)の大尉。 戦闘中に愛機であるメイヴ”雪風”とともにハルゲニアにやってきた男。 なかなかの日本美人で容貌を動物にたとえると黒猫に近い。 ナイーブな戦隊長。 テレサ・テスタロッサ ”ミスリル”作戦部”トゥアハー・デ・ダナン”の戦隊長であり、艦長。 階級は大佐。 頭脳は天才だが、運動はかなりニガテで、わずか数センチの段差で躓いてしまうほど。 彼女が天才なのは彼女の能力によるもの。 愛称はテッサ。 雪風 フェアリィ空軍特殊戦の人工知能。 元々は”スーパーシルフ”(シルフィード)に搭載されていたが、スーパーシルフ撃墜により、新機体”メイヴ”へ体を移し変える。 その時、零も射出している。 シン・アスカ ザフト軍ミネルバ所属のMS、”デスティニー”のパイロット。 かなりの馬鹿で自身の感情による命令違反が多い。 真っ赤な赤い瞳の少年。 ダーナ ”トゥアハー・デ・ダナン”に搭載されている人工知能。 人工衛星等さまざまな場所にハッキングを行ったりしている。 かなり高度なAIでプログラミング語源”ベイダ”を主に使用するテスタロッサ大佐の命令により従う。 高町なのは 時空管理局機動六課所属の魔導師。 教導官でもある。 日本の海鳴市出身で元々はごく平凡な小学生であったが、ユーノ・スクライア、そしてデバイス”レイジングハート”との出会いにより魔導師となる。 主に砲撃魔法を使用している。 二つ名は「管理局の白い悪魔」。 フェイト・テスタロッサ・ハラオウン 時空管理局機動六課所属の魔導師。 執務官でもある。 十年前には海鳴市に散らばった”ジュエルシード”を母プレシアの命により集めていた犯罪者。 使用デバイスは”バルディッシュ”。 接近戦を主に使用する。 相良宗介 ざんばらに切った黒髪にへの字の口をしている少年。 過去に飛行機墜落事故に巻き込まれた時からずっと兵士として生活してきたため平和な国でのルールがさっぱりわかっていない。 学校内などに手榴弾や拳銃等、普通なら逮捕されるであろう物を持ち込んでいる。 また”ミスリル”のトゥアハー・デ・ダナンのSRT(特別対応班)の所属でもあるエリート。 人工知能”アル”のお喋り癖に呆れている様子。 ”レーバテイン”のオペレータ。 メリッサ・マオ トゥアハー・デ・ダナンSRT所属の中尉。 釣り目のベリーショートの容貌。 零と同じく動物にたとえるなら黒猫。 何かと悪運の強いM9オペレータ。 コールサインは”ウルズ2” クルツ・ウェーバー トゥアハー・デ・ダナンSRT所属の曹長。 コールサインは”ウルズ6”。 宗介、マオとトリオを組んでよく戦闘に出る狙撃手。 狙撃に関しては天才だが格闘等は平凡。 金髪碧眼の美男子だが喋るとボロが出る。 ベルファンガン・クルーゾー トゥアハー・デ・ダナンSRTの部隊長。 階級は大尉。 愛機は黒いM9”ファルケ”。 殺された元SRT部隊長の後輩でもある。 格闘術に関しては右に出るものはいない。 レイフォン・アルセイフ 自立移動都市”ツェルニ”、第十七小隊所属。 槍殻都市グレンダンのエリートである”天剣授受者”であったがある騒ぎで天剣を剥奪され学園都市”ツェルニ”に移り住んだ少年。 頸の使用や剣術など、トップクラス。 一般教養科から武芸科に無理矢理転科させられた。 ニーナ・アントーク ”ツェルニ”第十七小隊隊長。 武芸科の3年生。 2年前の”武芸大会”でツェルニがみっともない負け方をしたのがきっかけでもと居た隊をやめ、小隊を作った頑張りやさん。 少女ながらに重いクロムダイトの鉄瓶を振り回す。 フェリ・ロス ツェルニ十七小隊所属の念威操者。 髪やまゆ毛から念威の光を飛ばすほど強い念威能力を持っている。 無理矢理武芸科に転科させた生徒会長の兄を恨んでいる。 感情を顔に出すのがニガテ。 ハーレイ・サットン 十七小隊のダイトメカニック。
https://w.atwiki.jp/dangerousss3/pages/32.html
紅蓮寺工藤 ■キャラクター名:紅蓮寺工藤 ■キャラクター名読み:ぐれんじ・くどう ■性別:女性 応援画像1|2 キャラクター設定 ネット上で公開されている小説「アンノウンエージェント」の登場人物が 作者の魔人能力によって実体化した存在。名前が風変わりなのもそのため。 主人公ではなく、話によって敵だったり味方だったりというサブキャラの一人である。 設定上は二十代の女性。花柄のワンピースにロングコートという 女性らしい服装だが髪はボサボサで清潔感はあまりない。そして、どこか頭がおかしい。 弾のない拳銃(本物)を常に手で弄んでおり、考え事をする時は自分のこめかみに 銃口を押し付けてリボルバーをギャラギャラと回す癖がある。 焦点の定まらない眼で独り言を呟く。「ヒヒヒ」と笑う。一人称は「おれ」。 実際狂気的だが頭の回転は恐ろしいほど良く、小説内ではその策略・謀略で 主人公を時には助け、時には陥れた。 体力、スピードはそこそこだが腕力は乏しい。頑強な肉体とは言い難いが、作中では 暴力を受けながら笑い続ける描写があり、痛みを感じていないのではと思われるほどタフ。 爆発物を扱う描写が散見されるため、おそらくその手の知識に詳しい。 粉末火薬を常に一定量携帯している。 「自分が小説の登場人物である事」「実体化されたこの世界もSSの中である事」を 作者から受けた魔人能力により理解している。 趣味はマスターベーション。野外でもおかまいなし。 一人でするのが好きらしく、強姦目的で襲ってきた男を爆殺した事もある。 『アンノウンエージェント』 ネット上で連載されているライトノベル。作者のHPで無料で閲覧できる。 現在の世紀末状態から復興した近未来での私立探偵「エンドウ」の活躍を描く。 現行の最新は56話。ちなみに工藤の人気はあまり高くない。 ※「この世界の」ネット小説で実在はしない。版権キャラではない。 特殊能力:『創作の祭典(フィクション・ファンクション)』 他者が工藤と関わりを持った時点で自動発動する。 対象者に雷が落ち、瞬間、唐突に「自分が物語の登場人物であること」を理解する能力。 能力後は書き手の存在を認識でき、これがダンゲロスSS3というキャンペーンのSS である事、キャンペーンのルールや現在の文字数、投票で勝てば正史になる事など、 おおよそ作者が知りうる事は知る事ができると思ってよい。 工藤自身の能力ではなく、彼女に付与されているパッシブカウンター能力である。 工藤も既にこの能力下にあり、上記の事実を認識している。 効果時間は「工藤の関係者である間」。 たとえば「対戦相手」になった瞬間に雷が落ちるが、試合が終われば効果は消える。 戦いの中で対戦相手以上の関係(好敵手とか)になってしまった場合は効果が続く。 このキャラクターを彩る物語 プロローグSS 投稿した幕間 【アンナウンスンー】【第一回戦前幕間】 登場する幕間 鎌瀬戌幕間SS【第二回戦前幕間】 姫将軍と偽名探偵のファントムルージュ感想戦【第二回戦前幕間】 逆襲の『ドキドキ!光素ときららの試合場下見ツアー!』【第二回戦前幕間】 ギムレットにはまだ早い【準決勝戦前幕間】 事前準備【準決勝戦前幕間】 黄樺地セニオエピローグ:世界の合言葉はチャラ男【エキシビジョン以降幕間】 倉敷 椋鳥 前のキャラクター|次のキャラクター 黒田武志
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3283.html
―――我等の試練に討ち勝ちし者達よ、見事である――― ―――さあ…我等の下へ来るが良い、そして汝の強さを示せ――― ―――さすれば我等は汝の力と成らん事を約束しよう――― リリカルプロファイル 第二十七話 五層 第四層の試練も、なのは達の活躍により無事突破した一同は、 帰ってきたなのは達に激励をすると、今回の目的でもある神が住まう地、第五層へと足を運ぶ。 目的の地まで今までとは異なる程に長い階段を下る一同は、今までの試練を思い返していた。 最初はスバルとティアナが憧れ、そして目標である母と兄の壁を乗り越えた。 次にエリオとキャロが自らの内に潜む暗い闇に打ち勝ち、 はやてとヴオルケンリッターは自分達の罪を乗り越え、 そしてなのはとフェイトは守る意志を試され、父と母に打ち勝った。 …全ての試練を乗り越えた今ならば……そう考え気合いを込めていると、神が住まう地へと辿り着く。 それは今までとは異なり、とても広く三倍近くの面積があり、柵の外には見上げる程の巨大な柱時計がゆっくりと時間を刻んでいた。 そして神との対峙に鼓動が高鳴っていくと、床に描かれている二つの魔法陣が赤と青の色に分けて輝き出し、 なのは、ヴィータ、スバル、ティアナ、シャマルの身が赤い魔力に包まれ始め フェイト、シグナム、エリオ、キャロ、ザフィーラの身が青い魔力に包まれていく。 その中ではやて一人だけがぽつんと無色で佇んでおり、自分の身を何度も確認するが、 周りのような変化が起こらず、思わず怒鳴り散らすはやて。 「なんや!何で私だけなにも変化せぇへんのや!!」 「あ~たぶん定員オーバーなんですよ」 今回は神がバランスよく二班に分けた結果、一人余ったはやてが留守番する事になったとディルナが語ると、 全く納得いかない表情を表しながらシャマルに指を指し怒鳴り散らしながら抗議する。 「んじゃ何か!私よりシャマルの方が役に立つっちゅうんか!!」 「……それはどういう意味かな?はやてちゃん…」 シャマルはとても綺麗な笑みを浮かべながらこめかみに血管を浮き出させて質問する。 その表情に思わず慄くが、直ぐにつふてくされるはやて。 「私はもう真の夜天の王になったっちゅうねん、なのに何でハブかれなきゃいかんのや……」 ブツブツ言いながら体育座りで呟くはやてをリインが慰めているところで、なのは組、フェイト組は転送されていき、 その場にははやてとリイン、それにディルナが取り残されていた。 そしてディルナは落ち込むはやての肩に手を当てると顔を見上げると優しい笑みを浮かべ出迎える。 「心配なのはわかりますけど、大丈夫ですよ!試練を突破した皆さんなら!!」 そう言って励ますディルナ、確かに此処に来てから自分を含め成長したかに見える、 自分が此処で出来る事…それは皆の無事を祈る事であるだろう… そう考えたはやてはディルナの励ましに感謝して立ち上がるとディルナはある方向を指さす。 其処にはカフェなどに置いてありそうなお洒落な白いテーブルとチェアーが置いてあり テーブルクロスの上には白いティーポットとカップ、それにクッキーが入ったバケットが置いてあった。 ディルナ曰わく神が用意してくれたようで、此処で暫く休息を堪能して欲しい為の処置のようである。 そして説明を終えたディルナとリインはいち早くテーブルに向かい、はやては困惑しながら、テーブルへと赴くのであった。 場所は変わりなのは達は一面白い大地に覆われた場所に転送され、フェイト達もまた似たような別の場所に転送されていた。 一同は離れないように纏まって警戒をしていると両者の目の前に魔法陣が現れ中心から等身大の神が姿を現す。 その姿は金髪に三日月を彷彿させる杖を持ち、黒いローブを着ていて背中には六枚の翼、頭には金色の輪が浮かんでおり、 両者に現れた姿はほぼ同じなのであるが、なのは達の下に現れた神は赤い翼と魔力に覆われ、フェイト達の下には青い翼と魔力に覆われていた。 一同は神の出現に唖然としていると、神が静かに言葉を口にする。 『よくぞ辿り着いた…』 「我は男神ガブリエ・セレスタ」 「私の名は女神イセリア・クイーン」 『我等はこの世界の住人にして主である』 別の場所で言葉を合わせるように話す流浪の双神、様々な修羅場を潜って来た一同だが その圧倒的な存在感に息を飲まれていると、その中でなのはだけが先陣を切るように神に問いかける。 「流浪の双神よ!私達は―――」 「皆まで言わずとも分かる、我等の力を貸して欲しいのだろ?」 此処に来る者は、大抵腕試しか力を借りに来たかの二択位で なのは達は入って来た当初から力を借りに来たというのは分かっていたと語ると、 流石、神を名乗るだけの事はあると考えつつも話が早いと考える一同。 すると双神は杖で一同を指すと力強くこう述べる。 『我等の力を欲するのであれば、我等に強さを示せ!!』 神の言葉を合図に一同はデバイスを次々と起動させ神と対峙するのであった。 …フェイトは仲間と念話で作戦を伝える、先ずは自分とエリオが先手を打ち 次にザフィーラが時間差で攻撃、そしてキャロの援護と共にシグナムが攻撃を仕掛けるものであった。 フェイトの作戦に一同は頷くとフェイトはザンバーフォーム、エリオはデューゼンフォルムに変え構える。 「行きます!!」 気合いがこもったフェイトの声を合図に二人は飛び出し縦横無尽に動き回りフェイントをかけながらフェイトは 上空から振り下ろしエリオは地上から突き上げる。 しかし神、ガブリエはフェイトの攻撃を左上の翼で、エリオの攻撃を右中央の翼で難なく防ぐ。 だが時間差でガブリエの右後方上をとったザフィーラが拳を合わせガブリエの後頭部を狙うが それすらも右上の翼によって防がれる。 ザフィーラは一つ舌打ちをするとそれを合図に三人は怒涛の連撃を繰り出すが それぞれの翼にて難なく防がれてしまい、流石の三人も困惑の色を見せていた。 「そろそろ…此方も攻撃を仕掛けるか……」 ガブリエは小さく呟くように言葉を口にすると右手に持つ杖の先端が鈍く光る。 杖の先端の三日月部分は刃物のように鋭利で首を跳ねやすくする為に出来ている。 そしてフェイトとエリオの攻防で一直線に首が並んだところを狙い杖を右に振り抜くガブリエ。 しかしいち早くフェイトが気が付きエリオに念話で下がるように指示を送り二人は ソニックムーブにて回避、二人の前髪を何本か切り散らしただけですんだ。 だがガブリエの杖は更に進み後方を捉えていたザフィーラの頭部に迫るが、障壁を展開させ一撃を止める。 ところがガブリエの一撃は徐々にザフィーラごと障壁を押し上げ、 こう着状態から直ぐに障壁が砕けると、その勢いによりザフィーラは吹き飛ばされる。 一方ガブリエが背中を向いている位置にはキャロがおり、勝機と考えたキャロはフリードリヒにブラストレイを命じ フリードリヒはブラストレイを撃ち込むと、既にキャロの動きを察していたガブリエが左手をかざしファイアランスを唱え相殺する。 動きを読まれていた事に気が付いたキャロは驚きの表情を見せていると、 既にガブリエは目の前で見下ろしており、振り上げた右手には杖が握られていた。 「…まずは一人目」 そう小さく呟くと容赦なく杖は振り下ろされる、しかしガブリエの一撃はキャロの頭上を直撃する事はなかった。 何故ならガブリエとキャロの間をシグナムが割って入りレヴァンティンにて防いだからである。 そしてシグナムはキャロに下がるように指示をすると、キャロはフリードリヒに乗って後方上空へと避難 横目でそれを確認したシグナムはカートリッジを消費し刀身は炎に包まれ押し返すように紫電一閃を振り抜く、 シグナムの一撃はガブリエの予想を大きく上回り後方へと押し返されるが、 その勢いに乗りながら左手をかざしクールダンセルを唱え氷の刃を持った氷人形がシグナムに襲いかかる。 シグナムは一つ舌打ちをすると氷の刃を受け止め鍔競り合っていると刀身が凍り始め、 カートリッジを使用して溶かそうと考えた瞬間、金色の閃光がクールダンセルをバラバラに切り裂く。 そしてその場にはライオットブレードに切り替えたフェイトの姿があり、 愚直なまでに真っ直ぐ上空に移動したガブリエの下へ向かう。 フェイトはガブリエの目の前でソニックムーブを行い一気に後ろをとるが、動きを既に予測していたガブリエは右上の翼にて防ぐ。 ガブリエの翼とフェイトの攻撃により火花が散る中で、フェイトはエリオに念話で合図を送る。 (エリオ!!) (了解です!フェイトさん!!) エリオもまたフェイトに念話を送り応えると、カートリッジを二発消費、 ストラーダの矛先をガブリエに向け構え、スピーアアングリフを打ち出す。 そして見る見ると距離を縮めていきガブリエに迫るが、中央の二枚の翼にて受け止められエリオを吹き飛すように跳ね返し、 ガブリエは更に翼でフェイトを後方へ吹き飛ばした後エリオに迫ると、止めとばかりに杖を振り下ろす。 だがエリオの左手は電撃に覆われており、それに気が付いた瞬間の隙を狙いガブリエの顔を目掛けて紫電一閃を打ち抜く。 エリオの紫電一閃が迫る中でガブリエは振り下ろした杖の先端を向け攻撃を防ぐが、 エリオはそのまま拳を振り下ろしガブリエを吹き飛ばす。 しかしガブリエは体勢を立て直し床に静かに着地するのであった。 一方、空中から落ちて行くエリオをフリードリヒが口でキャッチ、 エリオは一言礼を言うとフリードリヒの背中ではキャロが微笑みを浮かべていた。 そしてガブリエはそれぞれに目を向けると口の端が徐々につり上がる。 「…成る程……がしかしまだまだこの程度では無かろう、さぁ…もっと強さを見せて見ろ!!」 そう言ってけしかけるガブリエを後目にフェイト達は冷静に今の状況を整理し対峙するのであった。 一方なのは達も念話によって作戦を練りそれぞれの役割の為に移動し始める。 そして定位置に付くとまずはなのはとティアナがアクセルシューターとクロスファイア合わせて12発で牽制する。 更に魔力弾に合わせるようにスバルは地上を滑走、ヴィータが上空を飛行してイセリア下へ迫りデバイスを堅く握る。 二人が放った魔力弾がイセリアの下へ辿り着き次々に着弾する中でスバルとヴィータは合わせるように一撃を放つ。 「ラテーケン!」 「リボルバー!」 「ハンマァァァ!!」「キャノォォォン」 二人の叫びが合わさると共に振り抜きヴィータの一撃は頭部に、スバルの一撃は腹部にそれぞれ直撃する。 だがイセリアは平然とした表情で右手に持つ杖を振り抜き二人を吹き飛ばす。 その間になのはとティアナは次の行動に入っておりアクセルシューターとクロスファイアが二人の前で激しく回転していた。 「アクセルシューター…」 「クロスファイア…」 『スパイラルシュート!!』 此方も声を合わせて放つと魔力弾が螺旋を描きながらイセリアへと迫る。 しかしイセリアは持っていた杖を振り抜き衝撃波を発生させると魔力弾をかき消し更に二人に襲いかかり、 衝撃波に飲まれた二人は吹き飛ばされていると、シャマルが二人の後方にヴァルヒ・スツーツを張り難を逃れる。 その頃スバルは反撃とばかりにイセリアへ向かうと拳と蹴りのコンビネーションであるキャリバーショットを繰り出すが イセリアは平然と攻撃を体で受け止め、その状況に困惑するスバル。 「…どうしたの?もう終わり?」 イセリアの優しく問いかける言葉にスバルの体に戦慄が走り、思わず離れると今度はヴィータがギガントフォルムに切り替え頭上から振り下ろす。 しかしイセリアは全く動じることもなくヴィータの一撃を頭で受け止め更に左手をかざしイグニートジャベリンを唱える。 そしてヴィータの頭上から光の槍が降り注ぎ、危険を察知したヴィータはパンツァーシルトにて攻撃を防ぎつつ後退すると、 一同はなのはを中心に集いイセリアを睨みつけながらも頬に冷たい物を垂らす。 …神とはこれ程の実力を持ち尚且つここまで差があるとは思っていなかった。 だからといってこの差を何とかして縮めなければ神の協力を得られない… なのははそう考えているとイセリアの口がゆっくりと動き始める。 「さて……そろそろ体も解れてきたようですし、始めますか」 今までの一連の動きは全て只の準備運動に過ぎず、今から本番であるとイセリアは話すと 赤い魔力が全身から噴き出し、魔力が衝撃波となって身を貫き、恐怖心をかき立てる。 なのはは震える左手をまるで恐怖心を押さえ込むように握り締めると、 自身の最大の能力であるブラスターシステムを起動、それを皮切りに次々に能力を解放させる。 それを見たイセリアは不敵な笑みを浮かべ杖をなのは達に向けると第二幕を開始する。 先ずはシャマルがスバルとヴィータにブーストアップのアクセラレイションとストライクパワーのツインブーストを掛けると スバルはA.C.Sドライバーを起動させて突進、ヴィータもまたギガントハンマーに フェアーテを加えて加速、イセリアの後方へと回ると一気に振り下ろす。 一方イセリアはスバルの一撃を左手一本で受け止め、ヴィータの一撃は杖にて受け止める。 するとヴィータはすぐさまその場から上空へ逃げ込むと、スバルの左手に環状魔法陣により発生した魔力球が握られており、 そのままイセリアの胸元に打ち付けると右手を突き出しディバインバスターを撃ち抜く。 イセリアはディバインバスターに飲み込まれ吹き飛ばされるが、魔力を放出し攻撃を吹き飛ばすと 上空から追い討ちとばかりにギガントハンマーを打ち出すが簡単によけられ、むしろ杖で弾き飛ばされ返り討ちに合うヴィータ。 するとイセリアの下へクロスファイアが弧を描いて襲いかかり、イセリアは杖で次々に払いのけるとティアナの下へ向かい一気に杖を振り抜く。 だがティアナは陽炎のように消え、辺りには無数の五人の幻影が姿を現す。 ブーステッドイリュージョン、ティアナの幻術をシャマルのブーストにより増幅・強化させたものである。 流石のイセリアも驚きの表情を隠せずにいると後方から桜色の直射砲が襲い掛かり それに気が付いたイセリアはギリギリのところで回避すると左右からクロスファイアが二発襲い掛かる。 「ちっ!」 イセリアは一つ舌打ちをするとその場で回転を行おうとしたところ、幻影の一つがシャマルに変わり戒めの鎖にてイセリアを縛り付けるとそのまま退避、 イセリアはなす統べなくクロスファイアを受けるが対したダメージは負っていなかった。 すると左右からショートバスターが襲い掛かり後方へ退避すると後ろの幻影がヴィータに変わりラテーケンハンマーを背中に受け、 そしてヴィータはそのまま退避し幻影の中に溶け込む。 イセリアはこのままでは埒があかないと考えた結果一つの案を導き出し 幻影の森よりも更に上空へと逃げ込み地上を見下ろす。 一方地上からはリボルバーシュートやアクセルシューター、クロスファイアに シュワルベフリーゲンなどがイセリア目掛けて襲いかかって来ていた。 「ちっ!仕方がないわね」 そう言うと足下に巨大な多角形の魔法陣を展開すると詠唱を始めるイセリア。 「…我、久遠の絆断たんと欲すれば……」 イセリアの詠唱により更に上空には巨大な槍が姿を現し縦回転を始め、 その状況を唖然とした表情で見上げる形のなのは達。 「まさか!アレは広域攻撃魔法!!」 「…言の葉は降魔の剣と化し汝を討つだろう」 すると巨大な槍の矛先がなのは達に向けられ、動揺の隠せないなのは達に対し 不敵な笑みを浮かべ見下ろしながらイセリアは杖を振り上げこう述べた。 「分からないから全てを吹き飛ばすだけよ!ファイナルチェリオ!!」 そして杖を振り下ろすと巨大な槍の鍔部分から魔力が放出し真っ直ぐ勢い良く落下、 床に激突すると辺りに衝撃が走り幻影ごとなのは達を吹き飛ばし、その勢いは床全体を超えるほどの広がりを見せ その光景を上空にて見下ろしているイセリアなのであった。 一方フェイト達もガブリエとの戦いにおいて切り札を切り始める。 先ずはフェイトがライオットザンバー・スティンガーに切り替え、二刀流による牽制を促す、 だがガブリエはいとも簡単にフェイトの猛攻を防いでいると、左後方へと先回りしていたエリオが突き刺す、 しかしガブリエは左手一本でストラーダをつかみ取り受け止めると、 エリオはウンヴェッターフォルムに切り替えノイズから金の針が飛び出す 「サンダァァ!レイジ!!」 エリオの叫びを合図にフェイトが退避しガブリエの周囲は稲妻に覆われ始めその身を打つ。 しかしガブリエは動じることなくエリオごとストラーダを振り投げ杖を向けるとキャロによるアルケミックチェーンに縛られる。 「フリード!ブラストレイ!!」 更に追い討ちとばかりにブラストレイを撃ち抜きガブリエの身は炎に包まれ、 加熱された鎖が身を締め付ける中でガブリエは魔力を一気に解放、炎と鎖両方を弾き飛ばした。 しかし弾き飛ばした瞬間の隙をザフィーラが突き鋼の軛にてガブリエの身を呪縛する。 そしてガブリエの前方にはフェイトとシグナムがおり、フェイトはスティンガーをカラミティに換え空いた左手をかざし、 シグナムは居合いの構えをとっており、両者はカートリッジを使用する。 「飛竜一閃!!」 「トライデントスマッシャー!!」 次の瞬間、金色と炎の直射砲がガブリエに迫り直撃、それを目撃した一同はフェイトの下へ集う。 二発の強力な魔法が直撃した場所は白煙に包まれており、白煙から上空へ突き抜けるようにガブリエが姿を現し、左手をかざし詠唱を始める。 「冥府の底で燃え盛る聖玉の採光…贖罪無き罪は罰と化し裁きの時を呼び寄せる」 するとガブリエから炎が放たれフェイト達の周りを青く染め包み込むと球体となって上昇、徐々に赤く染め上がり一気に爆発した。 ペイルフレアー、ガブリエ・セレスタが放つ闇属性の広域攻撃魔法である。 そして跡地をガブリエはじっと見つめていると、中からブーステッドプロテクションを展開しているキャロと エクストラモード起動させ更に多重障壁を展開させているザフィーラが姿を現し、 二人の障壁に守られる形で姿を現す一同、その状況を上空で見下ろしていたガブリエは、ゆっくりと下降し床に足を着ける。 「よくぞ耐え抜いた!だが貴様達の強さは此処までなのか?」 ガブリエは誉めながらも挑発を促し、一同はガブリエの挑発に乗る形で次々に力を解放させる。 そしてまずはエリオが動き出す、その動きはまさに地を走る雷鳴の如き動きで、 一回り小さくなったストラーダを右手に携え振り上げ、払い、通り抜けるように振り下ろすと、 全身に光る雷光が更に輝き出し加速、ストラーダから繰り出される突きは最早、人の目では認識出来ない程の速度にまで至っていた。 「奥義!エターナル!レイド!!」 加速された無数の突きはガブリエの身を突き、最後の一撃はすり抜けるように貫き通すと 次に真の姿のレヴァンティンを握り締めたシグナムが薙払うように振り抜く。 「火龍一閃!!」 撃ち出された火龍一閃は瞬く間にガブリエを飲み込み辺りが炎に包まれる中、 ガブリエが炎の中から飛び出すと、その周囲は長方形の刃に囲まれ飛び回りながらガブリエの身を切り裂いていく。 そして右腕に次々と刃が連結し巨大な刃に変わると一気に振り下ろすザフィーラ。 「奥義!グリムマリス!!」 振り下ろされた一撃をガブリエは杖で受け止めるが、ザフィーラは力を込めガブリエに直撃させると、 真・ソニックフォームの姿をしたフェイトが閃光の如くガブリエの下へ向かい、残像を発生させながら次々とその身を切り裂いていく。 「無限の剣閃、アナタに見えますか!」 そう言いながら徐々に加速しつつ斬りつけ最後はカラミティに切り替えて一気に振り抜き吹き飛ばす。 だがガブリエは最後の一撃に耐え抜き見上げると上空ではキャロが召喚したヴォルテールが見下ろしており、キャロはヴォルテールの肩の上で エクストラモード起動させを起動させるとヴォルテールの胸元に竜紅玉が姿を現し魔力が集い始める。 「奥義!ドラゴンドレッド!!」 キャロの命に呼応するように胸元から強力な光線が発射され、ガブリエに直撃すると爆発 辺りは爆風と衝撃が響きフェイト達の身を揺らす。 その中でフェイトは確かな手応えを感じ、拳を握り締めるのであった。 一方、ファナルチェリオを受けたなのは達は辺りに横たわっており、それを見かけたイセリアはゆっくりと床に着地する。 するとゆっくりとではあるが、確実に起き上がる一同にイセリアは不敵な笑みを浮かべながら話し出す。 「成る程…耐え抜いたか……しかしその分では抵抗すらままならそうだ……」 見下すような目線で見渡しているが、なのは達の目は未だ諦めの色が見えず、 その死んでいない瞳に密かに期待を寄せているイセリア。 そして全員が立ち上がるとなのはが振り絞るように声を発する。 「まだ……まだ私達は負けていない!」 そう力強く言葉を口にするとそれぞれの全力を解放させる。 先ずはスバルがエクストラモードを起動させてカートリッジを消費すると、体に纏っている赤い魔力が増大し威勢良くイセリアの元へ向かう。 そして右拳を突き出し、振り下ろし、更にその場で左回転して勢い良く振り上げ、 更に左回転から体ごと持ち上げるようにアッパーを繰り出しイセリアの体を持ち上げながら的確に顎を狙い撃つと 床に着地、そして床を打ち砕くように拳を振り下ろした。 「奥義!ブラッディカリス!!」 次の瞬間、床から大量の赤い魔力がイセリアに襲い掛かり、その身を何度も打ち抜いていく。 そしてスバルの攻撃が終わると間髪入れずティアナの攻撃が始まる。 ティアナはエクストラモードを起動させると、エーテルを散弾のように撃ち出すクリティカルフレアと呼ばれる攻撃で牽制する。 牽制が功をそうしたのか続いてクロスミラージュを平行に構えると白い直射砲サンダーソードを撃ち出し、 そして間髪入れずにカートリッジを消費すると魔力によってエーテルが増大、ティアナの前で巨大な球体となって姿を表す。 「奥義!エーテルストライク!!」 次の瞬間、エーテルストライクはイセリアを飲み込み辺りは閃光に包まれていき 閃光が落ち着き始めると今度はヴィータの番とばかりに力を現す。 ヴィータの全身には稲妻が走り右手は重厚な鉄の手袋、そしてその手にはツェアシュテールングスフォルムのグラーフアイゼンを握り締め 稲妻がグラーフアイゼンに伝わると目を瞑りたくなる程までに金色に輝き出していた。 そしてグラーフアイゼンの先端が外れ柄の部分を稲妻で繋ぐとヴィータは頭上で回転させ始める。 そして金色の環を描き最大加速に至ったところでイセリアの頭上目掛け一気に振り下ろした。 「食らえぇ!ミョルニルハンマァァァ!!」 振り下ろされたツェアシュテールングスフォルムの先端はドリル状で稲妻を発生ながら回転しており 流石のイセリアも息を飲み杖にてヴィータの一撃を受け止める。 しかしヴィータの一撃はイセリアを中心として広範囲に渡って稲妻が走りまたもや辺りを閃光で包む、 そして閃光が消え始めると跡地からイセリアがヴィータを睨み付けながら上空へ飛び出すと その瞬間的な隙をついてシャマルが鋼の軛を打ち出し、イセリアの身を貫き動きを止める。 するとシャマルの動きに呼応するようになのはが6基のブラスタービットを六角形の形で置き イセリアより更に上空でなのはは構え、なのはとブラスタービットの前には桜色の魔力が収束されていた。 「全力全開!スターライト…ブレイカァァァ!!」 七発のスターライトブレイカーはイセリアを飲み込み着弾地点では桜色の魔力光が球体の形となって輝いていた。 そして――――― 「ブレイクゥシュゥゥゥトォォ!!!」 なのはの言葉と共に七発の収束砲が消えると中央で形成されていた魔力球が膨張、 一気に爆発し天を貫くと言わんばかりの桜色の魔力柱が姿を現しそれは徐々に細くなって消滅、 スターライトブレイカーが直撃した地点の床は大きくクレーター状に窪み、其処にはイセリアの姿を見受けられなかった。 その頃上空では肩で息をし左手を抑えながらなのはがゆっくりと降下し床に着くと力が抜けたかのように膝を付き、 その姿に一同は集まり、跡地を見つめ確かな手応えと安堵が見え隠れしていた。 両者の世界は静寂に包まれ試練の終わりを感じる頃、それは起こった。 なのは達そしてフェイト達の下へ竜巻の如き勢いで姿を現した流浪の双神が仲間達を次々に巻き込んでいく。 それはまさに疾風怒濤、一騎当千に相応しい動きで相手を叩きつけるように次々と杖を振り下ろし 次に吹き飛ばすが如く突き刺すと、今度は回転しながら移動、なのは達フェイト達はなす統べなく跳ね上げられ、 更に流浪の双神の回転が増すとガブリエは青いイセリアは赤い魔力の嵐を生み出し、一同はまるで木の葉の如く舞い上がる。 そして流浪の双神は持っていた杖を力一杯振り下ろした。 「力とはこういうものだ!!」 「これぞ真の裁き!!」 別空間にいる両者の声が重なる瞬間に合わせ、空間が断裂するほどの激しい衝撃がなのは達フェイト達の身を貫き、力無く次々に床に落ちていく。 …女王乱舞、流浪の双神の切り札ともいえる怒涛の連撃で、これを受けた者は立ち上がる事が出来ないとさえ言われる程である。 故に床に落ちたなのは達フェイト達は一切動きを見せてはおらず、流石に流浪の双神も此処までだと考えその場から転送しようとしていた。 だがなのは達フェイト達はゆっくりと身に染み込む痛みに耐えながら徐々に体を動かし始め、 それぞれはまるで生まれたての動物のように弱々しく…しかし確実に力強く起き上がり あれだけの攻撃を受けてもなお彼等の瞳は死んではいなかった。 そんな彼等の行動に自分達が知る人の強さを垣間見た流浪の双神は、歓喜に震え笑みを浮かべる。 流浪の双神の見たかった人の強さ、それは不屈、根性、“ガッツ”とも言えるもので かつてこの地を訪れた人の中で何度も倒れても立ち上がり、結果自分達は倒す人物が現れた。 その敗北から人の強さ不屈の精神を知り、同じ精神を持つ人物には力を貸すという考えに至っていたのである。 そして流浪の双神は杖で床を叩くと一面が変わり、其処でなのは達フェイト達は合流を果たす。 互いはボロボロの姿に笑い合い心配し合いしていると、流浪の双神が一同を回復させて更にゆっくりと話し始める。 「お前達の強さ、確かに見せてもらったぞ!」 「その強さならこの力に溺れる事もないだろう…受け取るが良い!」 そう言うと流浪の双神の前に杖が姿を現す、魔杖アポカリプスと聖杖ミリオンテラーである。 この二本は持ち主の能力を高める事出来るほか、アポカリプスはペイルフレアーが ミリオンテラーはファントムデストラクションが撃てるようになり、 更に杖を媒介に此処の魔法陣を展開させれば流浪の双神を一回だけ召喚が出来ると語る。 しかし流浪の双神を召喚し終えると媒介となる杖は消失すると付け加えられた。 「では…お前達の武運を祈る」 「ありがとう…流浪の双神」 そう言ってなのは達を転送させると、先程までの戦いを思い返し自分の身を確かめる。 彼女達の攻撃はとても優しく、今まで此処に来た者に無い攻撃であった。 故に彼女等なら自分達の力を正しく扱ってくれるだろう、そう確信にも似た気持ちで考える両者であった。 一方で神との契約を終えた一同ははやての下へ転送されると其処ではへばったはやてとディルナの姿があり 一同ははやて達の下へ駆けつけると、はやての手にはひまわりの種が握られていた。 「何があったの?!はやてちゃん!」 「いや…ちょっとネズミがな……それよりどうやったんや?」 はやての言葉になのはとフェイトは首を傾げるものの、証拠の品でもある杖を見せる。 証拠を見たはやては頷き褒め称えると、頭を掻き照れ臭いようで赤く染め、 そして先程までへばっていたディルナが復活し、一同を連れて出入り口へと転送されるのであった。 …此処はセラフィックゲートの出入り口、それぞれが一列に並ぶと対面にはディルナが佇んでいた。 「またのご利用をお待ちしておりま~す!!」 そう言って手を振るとなのは達も別れの挨拶を交わす。 …だがその中ではやてだけが苦い顔をしながら見つめていた。 結局あの場でなにが起きていたのかは教えてくれなかったが、 きっと酷い目に会ったのだろうと言うのが一同の展開である。 そして…ディルナに背を向け一同は魔法陣に足を踏み入れ、聖王教会へと意気揚々に戻るのであった……… 前へ 目次へ 次へ オマケへ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/781.html
アンゼロット宮殿:ティアナ・ランスター アンゼロット宮殿からの出発を1時間後と定めた機動六課はそれぞれが最後の準備を始めていた。 ティアナもカートリッジの残り弾数を数えている。 絶滅社との戦闘が終わった後でも十分な量が残っていた。 多め、というよりも多すぎに持ってきておいて正解だった。 クラウディアのスタッフに無理を行って規定の1.5倍も持ってきておいたのだ。 おかげでスバルのカートリッジも不安はないようだ。 灯はどうしているのだろう。 隣を見ると、まだバラバラのガンナーズブルームが置かれていた。 なのはを助けた後、分解してしまったガンナーズムルームはさっきまで灯の手で修理されようとしていた。 だが、修理していたはずの灯の姿が見えない。 「……ねえ」 その灯の声がいきなり真後ろから聞こえた。 突然の声に心臓が体ごとびくつく。 「お、脅かさないでよ」 胸に手を当てると心臓がどきどきしているのがよくわかる。 「で、どうしたの?灯」 ティアナは会ってからそんなには経っていないのに、灯と名前を呼び合えるほどなじんできていた。 スバルも同じようで、なのはに注意されるまで灯がガンナーズブルームを修理する様子をじっと興味深げに見ていた。 「……八神部隊長の事が聞きたい」 灯は前と同じように表情の変化が乏しい。 それでも、互いに警戒しあっていたときとは、どことなく違うのは気のせいでないとティアナは感じていた。 「八神部隊長の事?」 灯が小さくうなずく。 「……リィンというのがあると八神部隊長は強くなるの?」 ティアナは何故、灯がリィンの名前を知っているのかわからなかったが、すぐに悩むようなことではないのに気づいた。 柊蓮司を説得──と言っていいのかわらないが──した後で、はやてが作戦を提案した。 そこでなのはとフェイトがリィンがいないことに不安を覚え、はやてと議論していたのである。 アニエス・バートンはその眷属の蝗が食べたものを自らの力をする。 戦闘中、その力によりアニエス・バートンが強化され、また回復することは防がなければならない。 そのため、はやては自分を結界の中心にある黒いドーム周辺の蝗と戦う役割に配置していた。 無数の蝗と戦うのは広域・遠隔魔法を得意とするはやてが最も適している。 「うん。リイン曹長は八神部隊長のデバイスでもあるの。リイン曹長とユニゾンすると八神部隊長は単独で戦うよりもずっと強くなるわ」 蝗と実際に戦ったフェイトは、はやてが単独で戦った時の広域・遠隔魔法の命中精度と魔力では危険ではないかと言っていた。 「……何故、一緒にこなかったの?」 「私たちが帰る時のため。八神部隊長とリィン曹長のつながりが道標になるの」 それでもはやては単独で蝗の群れと戦うことを選んだ。 他に代わりはいない。砲撃魔導師と呼ばれるなのはでさえ、蝗の群れに対しては点と言っていい程度の攻撃しかできない。 それに、魔王2人と戦うための戦力を蝗と戦うために裂くことは避けたかった。 「せめてクラウディアとリアルタイム通信ができればいいんだけど」 命中精度ならクラウディアからのオペレートによって上昇が見込める。 だが、クラウディアと冗長性を持たせた圧縮通信でしかデータのやりとりができない今の状況ではそれも不可能である。 ──他に方法はないの。 ティアナは改めて考える。 副隊長達、ヴォルケンリッターがいれば・・・・・・。 これも無理だ。クラウディアのアルカンシェルの修理はまだできていない。 仮に穴を開けられたとしても、時間がない。 アニエス・バートンが徐々に力を蓄えている今、残り時間は貴重だ。 世界結界に開いた出口とアニエス・バートンの結界の位置は合流するには離れすぎている。 「……そう」 考え込むティアナにその一言を残し、灯は横顔を向けて歩き出す。 「ちょっと、どこに行くのよ」 灯は首だけティアナに向けて両足を揃えて立ち止まった。 「……武器を用意してくる」 ティアナは隣に置きっぱなしのガンナーズブルームを見た。 あそこまでバラバラでは新しいものを用意した方がいいかもしれない。 「手伝おうか?」 灯は首だけを横に向けた姿勢のまま動かない。 しばらくして、灯は唐突にも思えるタイミングで首を縦に動かした。 「行きましょう、案内して」 ティアナはクロスミラージュをカード状に戻し、ポケットに入れながら立ち上がった。 「あ、待って」 スバルも机と椅子をがたがた言わせながら立ち上がる。 高級そうな椅子と机が傷まないかとティアナは少し気になった。 「あたしも行く」 「私も行こうかな。灯さんにまだお礼できてないし」 なのはまで椅子を引いている。 「……来て」 少し多めになった手助けを見て、灯は一言だけつぶやくように言った。 アンゼロット宮殿:ティアナ・ランスター ティアナ達が案内されたのは宮殿の地下だった。 そこには地上の優美な城とはかけ離れた、いかにも倉庫然としている無骨で頑丈そうな扉が並んでいる。 灯が立ち止まったのは、その中でも最も良く使われた形跡のある「ウィッチブルーム」のプレートのつけられた部屋だった。 重い扉の中は真っ暗であったが、手探りで見つけたスイッチを入れると天井の蛍光灯が部屋を照らしてくれた。 中には細長い棒状と形容したらいいようなものが幾つも並んでいる。 初めて見たならばそれらの用途は全くわからなかっただろうが、灯のガンナーズブルームを見た後ならそれらがファー・ジ・アースの航空兵器の一種であることがわかる。 どことなくガンナーズブルームに似ている所があるからだ。 「ねえ、灯。これって、一体どう言うものなの?」 その質問に灯が答えるのには少し時間がかかった。 「……魔法の箒」 「は?」「え?」 予想外の答えにティアナとスバルは口を開ける。 それを答え方がわからなかった仕草だと判断した灯はよりわかりやすく答えた。 「……空飛ぶ魔法の箒」 「って、なんで箒なのよ」 「……デッキブラシや掃除機の方がいい?」 「なんで、清掃用品ばかりなのよ。そうじゃなくて、これが箒だとは思えないって事」 それを聞いた灯は手近にあったガンナーズブルームを持ち上げる。 そして、オプションとプレートの貼られた棚から取り出したものをガンナーズブルームに取り付けた。 次の瞬間、灯の背の二倍以上もあったガンナーズブルームは竹箒に姿を変えていた。 灯はそれが当然のことのように床を掃き始めた。 「……掃ける」 「わ、すごいよティア。細かい埃までちゃんと掃けてる!」 「スバル、感動するところが違うと思うわ」 灯は別のパーツをこめかみを押さえるティアナに見せた。 「……モップもある」 「そ、そう」 ティアナは納得する機会を後にとっておくことにした。 ファー・ジ・アースの魔法文明や魔法文化に触れるカルチャーショックは楽しそうではあるが、今は別のことを急ぐべきだ。 「で、それでいいの?」 竹箒に変化するオプションを外したガンナーズブルームは灯が使っていた物と同じ型に見えた。 灯は仕草だけでティアナの言葉を否定すると、倉庫のさらに奥に足を進めた。 アンゼロット宮殿:ティアナ・ランスター 倉庫の最奥部のガラスケースに厳重におさめられたウィッチブルームは他と一線を画していた。 不思議な機能美を感じさせるその姿に、ティアナは思わず感嘆の声を上げた。 「これって」 未だため息が止まらないティアナの目の前で灯は右手を振り上げる。 「……エンジェルシード」 言葉と同時に腰の入った突きをガラスケースに一撃。 粉々に砕けたガラスが澄んではいるが不快な音を立てて地面に落ちる。 「い、いいの?」 「……いいの。いつでも使っていいから」 灯は枠組みだけになったケースに両腕を突っ込み、固定具を引きちぎりながらエンジェルシードを引っ張り出す。 「……持ってて」 エンジェルシードは呆けているティアナに投げ渡される。 「待ってよ!」 エンジェルシードもガンナーズブルーム同様に長大なウィッチブルームだ。 ティアナの両手にその重みがのしかかる、と思ったがそれは意外に軽かった。 むしろ予想外の軽さに落としそうになる。 その間に灯はガラスケース横にあるに専用オプションと書かれた引き出しを蹴りつけ、鍵をたたき壊す。 「ほ、ホントにいいのかな」 あはは、と笑うスバルにはまた長大なものが投げ渡される。 「わ、わわわ。これ、なに?」 「……超ロングレンジライフル」 さらに棚からコンテナと、何かラベルの貼った箱を取り出した灯はその二つを月衣に入れながらきょろきょろ周りを見る。 「……なのはは?」 「あれ?そういえば……なのはさん、なのはさん」 倉庫に入るまでは確かになのはは一緒にいた。 スバルの呼びかけにも、なのはの返事はなかった。 アンゼロット宮殿:高町なのは 倉庫の中でそれを見たなのはは足を止めたきり動けなくなってしまった。 幼かった頃のあの出来事が思い出される。 ちょっとした魔法を使えるようになっただけで飛び上がって喜び、空を飛べると聞いてはしゃいだあの頃のことが。 あの頃の魔法をうまく使えるようになりたいという夢はかなっていたが、1つだけかなっていない夢があった。 ほとんど忘れていた夢の具現を見たなのははそれから目を離せなくなっていたのだ。 「あ、なのはさん。何してるんですか」 スバルが少し頬をふくらませている。 後ろを向いたスバルが手を振ると、灯とティアナも追いついてきた。 「こ、これって」 なのはは少し声をかすれさせ、それを指さした。 灯はそれを覗き込む。 「……ウィッチブルーム、テンペスト」 「やっぱり。飛べるの?」 灯はうなずく。 テンペスト……それは、高速飛行用に開発されたウィッチブルームである。 ガンナーズブルームのような武装は装備されていないものの、それとは比べものにならない高機動性能、トップスピードを誇る。 空力を最大限考慮されたその形状は木製の柄に箒の穂という形状になっている。 すなわち、まさに魔法の空飛ぶ箒がそこにあったのである。 なのはは幼馴染みのユーノ・スクライアと出会ったばかりのことを思い出していた。 あの頃、空を飛ぶために箒が必要かどうかをユーノに聞いた事があった。 そのことはずっと忘れていたが、テンペストを見た途端に思い出が心にあふれ出してきた。 「ねえ、灯さん。これって、どのくらいするの?」 「……200万v.」 v.(ヴァルコ)とはウィザード間で流通している通貨のことである。 「えっと、日本円でどのくらい?」 「……200万円」 なのはは腕組みをして眉にシワを作る。 頭の中では預金データの数字が上下していた。 「貯金がこれだけ……今度のお給料が……」 「あ、あの……なのはさん?」 はっ、と我に返る。少し思い出に浸りすぎてしまった。 「あ、スバルごめん。それ、私が持つよ」 後輩達に恥ずかしいところを見せてしまったなのはは慌ててスバルが持っている超ロングレンジライフルを持つ。 なのは少しはしゃぎすぎてしまった事を反省をしながら倉庫の外にでた。 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3461.html
フェイトは思う。 出来る事なら、普通の女の娘として暮らしたかったと。 世界中にたった一人しか居ない、誰よりも大切な母親と、ここまで自分を育ててくれた恩師。 それから、幼い頃から苦楽を共にした、姉妹同然の使い魔と――本物の姉妹である、姉と。 皆が揃って、平和な毎日を送れて居たなら、どんなに幸せだっただろう。 自分の意思で空を飛んで、使い魔と共に魔法の訓練に励んで、それが終わったら、美味しい料理を作って待ってくれている母親。 一緒に食卓を囲む家族が居て、家族皆で笑い合える、幸せな生活。 だけど、それを叶える事は未来永劫不可能であった。 姉は……アリシアは、生まれる前に死んでしまった。 それが原因で母も狂い……虚数空間へと消えてしまった。 育ての親である師は姿を消して、残っているのは使い魔だけ。 だが、それでも今の日々が辛いなんて思った事は無かった。 何故なら、自分の事を大切に思ってくれる友達が、一緒に居るからだ。 だからフェイトは、過去の辛い境遇にも耐えられる。 だけど……もし、死んだと思っていた母が、生きて居たとしたら。 生きて居た母が、またしても悪事に手を染めようとしていたなら。 自分は、最後に残った娘として、一体何をしてあげられるだろう。 “どうすれば、母さんを救えるのだろう” EPISODE.21 母子 次元空間航行艦船アースラ、会議室―――11 02 a.m. 未確認生命体第42号の撃破から、既に一日が経過していた。 今回の議題は他でも無い、昨日クウガが撃破した42号について、だ。 それぞれがテーブルに向かい合わせに座るという形は、既に何度と無く見なれた光景だった。 「――で、この傀儡兵についてだが」 と、話を続けるのはクロノ・ハラオウン。 クロノは神妙な面持ちで、言葉を続ける。 「前回の戦闘で破壊された傀儡兵の残骸を調べてみたところ」 フェイトが僅かに俯いた。 その様をちらりと横目で見たクロノが、その先を告げる事を一瞬躊躇ったかのように見えた。 きっとそれは、見間違いでは無かったのだろう。 「プレシア・テスタロッサが時の庭園で使用していた物と、完全に一致した」 声のトーンを落として、結論が述べられた。 結論を聞いたフェイトは何も言わずに、その表情を曇らせた。 予想通り、というか、やっぱりか、というか。そんな表情であった。 一方で、未だ状況を飲み込めて居ない者が一人。 雄介が、神妙な空気を破る様に、声を発した。 「あの~……時の庭園とか、傀儡兵って、何なんですかね……? 戦ってみた感じ、何かロボットっていうか、人形みたいな印象でしたけど」 雄介はまだ、プレシアに関する事実を知らない。 必要が無ければ、フェイトのトラウマとも言えるこの話をしないのは、当然と言えた。 さて、そんな雄介に、「私が説明します」とフェイト。 十数分の説明の後に、雄介は事のあらましを大体ではあったが、理解した。 プレシアには、アリシアという娘が居た事。アリシアは不幸な事故で死んでしまった事。 その代わりに生み出されたのが、フェイトである事。そして、そんなフェイトを、プレシアは愛さなかった事。 それがきっかけで起こった、なのは達が魔法と出会う事になった事件――PT事件。 以上の話を全て聞き終えた雄介は、言葉を失った。 「でもね、五代さん。勘違いしないで欲しいの。 彼女は……プレシアは、本当は優しいお母さんだったと思うの」 「はい……俺もそう思います」 苦々しげに告げるリンディの言葉を、雄介は肯定した。 きっとプレシアは、本当は優しい母親だったんだと思う。 だから狂おしいまでに一人娘を愛して……愛が故に、本当に狂ってしまった。 だけど……娘への愛の為にそんな事件を起こしてしまった事は、本当に悲しい事だと思う。 そしてもしも、そのプレシアが生きて居て、未確認事件と何らかの関連性も持っているのなら……。 「もしもプレシアが未確認事件の黒幕だったなら……極刑は免れないだろうな」 「……次元犯罪だけでなく、大量虐殺の罪まで付いちゃう訳だからね……」 「でも、まだプレシアさんが黒幕だって決まった訳じゃないんですよ……ね?」 神妙な面持ちで告げるエイミィに、質問するのは雄介。 そうだ。まだプレシア本人が、自分の意思で未確認と関わっているとは限らない。 プレシアがかつて使っていた“道具”が現れたからと言って、それが直接プレシアが黒幕という結果に繋がるとは限らないのだから。 「まあ、その件については一旦保留にしましょう。現状では憶測の域を出ませんから」とリンディ。 そうですね、と言いながら、表情を切り替えるフェイト。 本当の意味で本心から気持ちを切り替える事はまだ出来ないだろうが…… それでも、今は伝えねばならない事がある。 「42号が言ってたんです。アリサの持ってる“バックルのかけら”を返せ……って」 「バックルのかけら……?」 「うん、それを返せば命だけは助けてくれるって…… その時は、42号の口車に乗せられちゃいけないと思って耳を貸さなかったけど」 それに、42号の言葉はフェイトの心をも抉るようなものだった。 そんな言葉を深く考えて聞こうと思わないのも仕方の無い事と言える。 だけど、翌々考えてみれば42号は重要なヒントを教えてくれていたのだ。 「バックルのかけら……ね」 「あのー……それについては心当たりがあるんです」 「心当たり?」 「あ、はい。前にも言ったと思うんですけど、クウガと未確認の身体って、ほとんど同じらしいんですよね。 未確認にも俺のアマダムと同じような霊石があって、多分42号が言ってたのはそれの事じゃないかと思うんです」 察しのいいクロノは、その説明だけで雄介の言わんとする事を理解した。 クウガとしての雄介の身体の中枢を担っているのは、腹部のアマダムだ。 それがベルトとして顕在し、そこから全身へと神経状の組織が繋がっている。 「つまり、クウガのベルトと同じようなベルトが未確認にもあって、その欠片を42号が求めて居た……と、そういう事か」 果たして、その通りであった。 42号は何らかの未確認生命体が本来身に付けて居たバックルの欠片を求めて居た。 そして、それを所有しているのがアリサ……という可能性が高い。 だけど、これに関してもアリサ本人に確認を取らない事には何とも言えない。故に、現状で話せるのはここまでだ。 この事に関しては、後ほどアリサから話を聞くという事で、話がまとまった。 次の話題を出したのは、雄介であった。 伝えなければならない事が、最後に一つだけ残っているのだ。 一同に説明したのは「未確認に、電撃攻撃は御法度」という事。 どういう事かと尋ねる一同に、雄介は説明を続ける。 「クウガがビリビリ……金の力でパワーアップするって事は前にも話したと思うんですけど、 それと同じように、身体が殆ど同じ未確認もやっぱりパワーアップしちゃうんですよね」 非常に解りやすい説明であった。 電撃でパワーアップする未確認に対して、電撃による攻撃は無意味。 現に45号が金の力に力に目覚めつつあった事も併せて説明する。 だけど、その為に42号との戦いでフェイト達を退かせた、とは言わない。 フェイト達とは、決して短くはない時間を共に過ごしたのだ。 戦いの場で「電気の力は役立たずだから下ってくれ」だなんて、遠回しにも言える訳が無かった。 されど、そこまで説明してしまえば、やはり遠回しに一つの結論が導き出されてしまう。 「つまり……私は戦っちゃいけないって事、だね」 只でさえ沈んでいたフェイトが、苦々しげに呟いた。 この事件には母親が絡んでいるかもしれない。だけど、自分が戦う事は許されない。 誰よりも真相を知りたい筈のフェイトが、未確認との戦闘においては事実上“役立たず”。 そんな事実を突き付けられたフェイトの心中はやはり、穏やかでは無かった。 だが、そんな空気を破るのは五代雄介だ。 「ううん……フェイトちゃんだけじゃない。出来れば俺は、なのはちゃんにもクロノくんにも、未確認とは戦って欲しくないんだ」 「五代さん……僕達の身を案じてくれるのは嬉しいが、そんな心配は――」 「クロノ君、未確認には42号や45号とは比べ物にならない程、強くて、惨い奴が居るんだ」 雄介にしては珍しく、相手の言葉を遮って言葉を続けた。 46号や、0号。もしもあんな奴らが出てきたら、なのはちゃん達には絶対に前線に立たせる訳には行かない。 たった一つしかない命を、こんな下らない戦いで散らして欲しくはないのだ。 それを伝える雄介の表情も、ただならぬ神妙さを帯びて居た。 「そんな奴らが出てきたら、もしかしたら怪我じゃ済まなくなるかも知れない。」 「でも……、それは五代さんだって――」 「俺は大丈夫だよ。だって俺は、クウガだから」 今度はなのはの言葉を遮って、雄介が言った。 雄介の言葉には、どういう訳か安心してしまう妙な気迫があった。 なのはやクロノはまだ何か言おうとしていたようだが、今度はそれをリンディが遮る。 「解りました……今後未確認生命体との戦闘で、魔道師組が前線に出ることを禁じます」 「ありがとうございます、リンディ艦長」 果たして、リンディの艦長としての判断は正しいものと言える。 何も魔道師組に出来るのは、戦闘だけではない。42号との戦いの様に、どうしたって魔道師のサポートが必要になる時もある。 今後はそういった局面でのサポートに重きを置いて、未確認事件の解決に挑む。 そして何よりも、大きな理由がもう一つ。 本局からの辞令が下れば、リンディは艦長を引退する事になっている。 皆にはまだ言っていないが、既に艦長引退の旨は本局に伝えているのだ。 しかし、引退まであと僅かという時に未確認事件が起こってしまった。 あと僅かの間だけでも、自分は艦長を務めねばならない。だからこそ尚更、最後まで誰にも命を落として欲しくは無いのだ。 当然、クウガとして戦う雄介が危機に陥れば手段を選ばずに救出するつもりだし、死人を出すつもりは無い。 それを踏まえた上での判断であった。 ◆ 42号が起こした小学生連続殺人事件から、既に一週間が経過していた。 未だに世間は42号の連続殺人事件の話題で持ちきりで、ワイドショーでは毎日の様に報道されていた。 それを見る度に胸を痛める事になるのは、仕方の無い事だったし、それはもうどうにもならない。 雄介やなのは達に出来るのは、今後こんな被害を出さない様に、もっと早く行動に出る事くらいだ。 この事件に係わった皆が皆、そんな決意を固めて、束の間の平和を享受していたある日の事。 「フェイト……?」 ハラオウン一家が暮らす部屋のリビング、その食卓での出来事。 声を掛けたのは、穏やかな面持で昼食を口へと運ぶリンディ。 声を掛けられたのは、リンディと向かい合って座るフェイト。 他には誰も居ない、二人きりの昼下がりであった。 「どうかしたの、母さん?」 「大した用事じゃないんだけど、少し話がしたくて」 くすっ、と笑うリンディに、フェイトも釣られて笑みを浮かべた。 42号が起こした社会的混乱は相当な物で、未だに臨時休校は続いていた。 だからフェイトが家に居て、クロノは何らかの用事で本局に向かっている。 母親と娘が二人きりになれるのは、本当に久しぶりなのであった。 「やっぱりプレシアさんの事、気になるわよね」 「え……いきなり何を……」 「最近の貴女、少し元気が無かったから」 「ううん、そんな事ないよ。私は今でも十分幸せだし……」 今の家庭が幸せだと、フェイトは微笑みを浮かべた。恐らくそれは本当の事だろう。 だけど、だからこそフェイトは気を使って、プレシアの話題を出そうとしない。 母親として接するリンディが居ながら、前の母親の話をする事はリンディに失礼だ、なんて思っているのだろう。 心優しいフェイトであるからして、仮にも母親を勤めるリンディには、それが手に取る様に解るのであった。 「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど……無理はして欲しくないわ」 「だから、私、無理だなんて……」 「生き別れになった本当のお母さんが、もしかしたら生きて居るかも知れない…… もしも私がフェイトの立場だったら、きっと夜も眠れないくらい気になると思うんだけど」 フェイトの、食器を動かす手が止まった。 果たして、リンディの言った事は正解であった。 ここ数日というもの、フェイトはろくに寝付けていない。 「もしフェイトがそうやって悩んでいるのなら、母親としてはとても心配なの」 「……ごめん、なさい」 居心地悪そうに、フェイトが呟いた。 苦笑いと一緒に溜息を漏らして、リンディが続ける。 「いい、フェイト? どんな理由があれ、私は貴女の母親で、貴女は私の娘なの。 困ってる事とか、相談したい事とか、遠慮せずに話してくれないと、私はとっても心配してしまうの」 「でも……プレシア母さんだって本当に生きているのか解らないし、今はどうしようもないから……」 「だからって、一人で抱え込んでちゃ余計に寂しくなるだけよ?」 果たして、リンディの言う事は正しかった。 事実として、フェイトの悩みは誰にも相談出来る筈も無い。 それと言うのも、誰かに心配をかけたくないというフェイトの優しさからのもの。 だからリンディも、その優しさを責めるつもりはない。娘を心配する母親の面持ちで、フェイトを見詰めた。 そんなリンディに多少心を許したのか、フェイトが苦々しげに口を開いた。 「プレシア母さんも気になるけど……私はもう、戦闘でも役に立たないし…… そう考えたら、何だか苦しくなって……母さんを助けたいのに、何も出来なくって」 「フェイト……」 助ける、というのは恐らく精神的な面で、という事だろう。 もしもプレシアが生きているのなら、今度こそその心の闇から救い出したい。そう考えているのだろう。 「何も出来ないなんて、とんでもないわ。貴女は優秀な魔道師で、貴女にしか出来ない仕事だってあるわ」 「私にしか出来ない仕事……?」 「ええ……魔道師として、アルフやなのはさん達と一緒に五代さんのサポートをしたり、それに――」 「それに……?」 一旦言葉を止めた。 それから、意を決した様に告げる。 「それに……もしもプレシアさんが生きていたら、もう一度彼女と対話が出来るのはきっと、貴女だけよ」 「私に、出来るかな……」 「出来るわ。きっと、貴女なら」 「でも、プレシア母さんは私を愛してないから……私は、アリシアじゃないから……」 「フェイト……」 それから、リンディはおもむろに立ち上がった。 テーブルを挟んで向かい側に座るフェイトの右隣へと歩み寄った。 脅える様な瞳で、何事かと見上げるフェイト。リンディは黙ったまま、その腕を伸ばした。 「――ッ!?」 フェイトの、声にならない呻き声が漏れた。 リンディが、その腕に、その胸に、フェイトの頭を抱いたのだ。 豊満な胸に頭を埋め、ぎゅっと強く抱き締める。 「確かに貴女はアリシアじゃない……ううん、アリシアである必要なんかないのよ。貴女はフェイトなんだから」 「でも……、私はアリシアじゃないから、プレシア母さんに愛されなかった……私は嫌われてるから……」 「貴女は嫌われてなんかいないわ。現に私は貴女を愛しているもの。世界中の皆が貴女を嫌っても、私は貴女を愛し続けるわ。 私の娘のフェイト。この世界にたった一人しか居ない、大切な大切な私の娘のフェイト・T・ハラオウン」 「リンディ……母、さん……」 震える声で、母の名を呼んだ。 大きな腕に抱かれながら、フェイトは小刻みに震えて居た。 気付けばフェイトの瞳からは、ぽろぽろと涙が零れ落ちていた。 「プレシア母さんも……昔はこうして抱いてくれた…… 家事を手伝って、褒めて貰った時……一緒にピクニックに行った時……何かあれば、いつだって優しく抱き締めてくれた…… ……でもそれは、本当は私の記憶じゃなくて、アリシアの記憶で……ひっく」 「ごめんなさいね、フェイト……昔の事、思い出させちゃったかしら」 困ったような表情を浮かべて、リンディはそっとフェイトの頭をかき抱いた。 だけど、フェイトの涙は止まらない。優しく撫でれば撫でる程、涙はぽろぽろと流れ続ける。 一拍の間を置いてから、フェイトが震える声で言った。 「ごめんなさい……リンディ母さんは、悪くないから…… だから、出来れば……もう暫くこのまま……」 リンディは、慈愛に満ちた笑みを浮かべて、フェイトを強く抱いた。 思えば、フェイトが涙を流す姿を直接見たのは初めてではなかろうか。 周囲に心配を掛けまいと、フェイトはいつだって自分の心の中にしまい込んできた。 悲しみや、寂しさを、ずっとしまい込んで来た、閉ざされたままの心の扉。 そんな心の扉を開ける為の鍵になったのが、リンディであった。 「ええ……泣きたいときは、泣けばいいのよ。いつも強がってばかりじゃ、誰だって身が持たなくなるわ」 「私……なのはやはやてに、心配をかけたくなかったから……」 「なのはさんもはやてさんも、それを迷惑だなんて思わないわ。あの子達は真剣にフェイトの話を聞いてくれる それは、フェイト自身が一番良く解っている筈よ。違って?」 何も違いはしない。 なのはもはやても、クロノやアルフだって、フェイトの事を本気で心配してくれる。 親友が悩んでいるとあらば、なのはなんかは他をほっぽり出してでも話をしようとするだろう。 はやて達だって同じだ。やり方は違えど、フェイトを思う心はなのはと何も変わらない。 フェイト自身もそれを理解しているからこそ、答える事が出来なかった。 「いい、フェイト? 絶対に諦めちゃ駄目よ。もしもプレシアさんが生きていたなら、もう一度ちゃんと話をするの。 今の貴女なら、今度はきっと大丈夫。きっと、プレシアさんを助けられる。ううん……絶対にプレシアさんを救い出せる。私はそう思うわ」 力強い眼差しで、リンディはそう告げた。 気付けばフェイトは、心の中に温かい何かが満ち満ちているような感覚を覚えていた。 こうしてリンディに抱き締められて、力強い眼差しでこう言われれば、頑張ろうと思えてくるのだ。 プレシアが生きている保証は何処にも無いが……もしも生きているのなら、もう一度話をしよう。 一度は諦めた筈なのに、不思議なものだな、とフェイトは思った。 「アースラ艦長として一緒に居られる時間はあと少ししかないけれど…… それでも私は、貴女の母親として、貴女を信じて応援し続けるから……だから、絶対に諦めないで」 「え……え? アースラ艦長としてって……どういう……」 「あ、ああ……まだ言って無かったわね」 胸から頭を持ち上げ、そっと見上げれば、リンディは気まずそうに苦笑いを浮かべて居た。 それからややあって、フェイトはリンディから事のあらましを聞いた。 聞けばリンディは、元々艦長を引退するつもりだったらしい。 未確認事件が始まる少し前に、本局にその旨を伝えていた事。 アースラ次艦長として、クロノを推薦しておいた事。 そして、今日はクロノが新艦長就任に関する案件で本局に赴いている事。 この話はまだ必要最低限の人員……クロノとエイミィにしか知らされておらず、他は誰も知らない事。 全ての話を聞き終えて、フェイトは何処か感慨深い思いに駆られた。 「じゃあ、母さんと一緒に仕事が出来るのは、あと少しだけなんだ……」 「そういう事に、なっちゃうわね……でも、あなた達の母親って事に変わりは無いから、安心してね?」 「あ、そっか……リンディ母さん、専業主婦になっちゃうんだ……」 艦長を辞めるという事は、つまりはそういう事だ。 正確には本局の仕事も少なからずあるだろうし、専業主婦という訳ではないのだが……。 だけど、炊事洗濯などの家事に専念するリンディを想像すれば、どういう訳か可笑しくなってくる。 気付けばフェイトはくすりと笑っていた。 「そうね、それにこれからはもっとフェイトと一緒に居られるわ。貴女だって本当ならもっと母親に甘えていたい年頃でしょうし」 「もう、母さんったら……」 悪戯っぽく笑うリンディに、フェイトは僅かに頬を赤らめた。 リンディの言う通り、フェイトはまだ10歳で、小学4年生の女の子。 普通ならまだ親に甘えている年齢だし、フェイトの様な人格の人間の方が珍しいのだ。 暫しの談笑を続けた後に、フェイトが口を開いた。 「あの、リンディ母さん……」 「ん? 何かしら、フェイト?」 「私、母さんに愛してるって言われて、凄く嬉しかった…… これからもリンディ母さんと一緒にいられるなら、私は本当に、本当に嬉しい……」 少しばかり恥ずかしそうに、顔を俯かせる。 伝えなければならない事がある。言わなければならない事がある。 恥ずかしくても、照れくさくても、自分はそれをリンディに伝えなければならない。 だからフェイトは意を決して……心からの声を絞り出した。 「あの、だから……その…… 私のお母さんになってくれて――本当に、ありがとう」 何処までも幸せそうな、年相応の少女の笑顔が、そこに輝いていた。 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1059.html
なのは「この番外編は際どい表現が入ってるなの」 フェイト「レイヴンの人達は本当はこんな変態じゃない筈だけど・・・」 はやて「まぁ、ええんとちゃうか?」 ???「いいだろう、それではドミナントである私が相手をしよう!!」 三人「「「…トリプルブレイカー!!」」」 ???「・・・あ、後は頼んだぞ、レイヴン!!」 リリカル・コア番外編4「バーテックスからの刺客なの」 「・・・、どうしよう・・・」 一人ぼっちで薄暗い施設の廊下をトボトボと歩くルーテシア・アルピーノは呟く。 いつも一緒にいる守護者の筈のガリューがいない。友達のエリオとキャロもいない。 回りにいるのは数匹の極小サイズのインゼクトのみ。 「はぐれちゃった・・・」 つまりは迷子である。 バーッテクスに占拠された施設内に突入、フェイトおば・・・、訂正フェイトさん以下七名で 広大な施設内を掃討にかかった。だが施設は広く部屋も多いためチームを三組に分けることになった。 ルーテシアはいつものようにライバルのキャロとほのかな恋心を抱くエリオと組行動をとった。 しかし、エ・キャ・ル組は運悪くバーテックス占拠部隊主力と接敵してしまう。 通路から通路へ、部屋から部屋へ・・・。交戦を繰り返した結果、ガリューや他の二人とはぐれてしまったのだ。 「みんな、周りはどう?」 通信しようにも強力なジャミングが施設内に仕掛けられているのか誰にも通信が繋がらない。 そのためインゼクトを周囲の探査に放った。 だがどのインゼクトも何等の兆候を発見してこなかった。 「・・・そう、ありがとう」 一人ぼっちでいることは怖い。特に薄暗く肌寒い無機質な廊下では。 自分の足音だけが響く、それがさらに不安を掻き立てる。 昔、それほど過去ではないが隣にはゼストがいてナンバーズもいた。あの忌まわしい事件の時に 友達ともいうべきキャロに出会い、そして自分が心のどこかで待ち望んでいた母親・メガーヌを得た。 「アスクレピオス、開ける?」 <ロック解除不能> 袋小路のゲートが目の前にあった。だがロックは開かなかった。 「ふぅ・・・」 ルーテシアは溜息をつく。開かないならここで待ちぼうけをする必要はない。 また来た道を引き返そうとルーテシアが踵を返した時だった。 『前方のゲートに反応接近。IFFを確認、バーテックス所属のレイヴンです』 アスクレピオスが警告を発する。 「どうして・・・、・・・こんな時に!!」 警告を聞いたルーテシアが後ずさる。自分は直接戦闘が出来る魔導士ではない。 直接戦闘を担任するガリューはいない。レイブンのコアデバイスの大半は 極小のインゼクトによる介入操作を無効化できるCPUを搭載している。 そのため残っている極小のインゼクトを使えない。 地雷王に白天王を召喚しようにもこの閉鎖空間では自分も被害を被る。 「ごめんね、みんな・・・」 殆ど戦闘力の無い数匹の極小のインゼクトがルーテシアを守るように前に出る。 そしてゲートが開く・・・。 ゲートが開いたその向こう側にいたのは・・・。 「お前もレイヴンなら戦場で・・・、 や ら な い か ? 」 <識別信号を受信、パンツァー・メサイア:G・ファウストです> アスクレピオスが報告する。 <敵はパンツです。どう見てもパンツです。危険です。> 「お前もレイブンなら覚悟は出来ているな?」 <敵は多彩なパンツを装備。特に遠距離では多彩なパンツです。 近接時の連続撹乱パンツ攻撃に注意してください> その名の如く、なのはのブラスタービットの如く多種多様なパ ンツが舞っている。 <なお、パンツアーメサイアである機甲救世主:G・ファウストはパンツの救世主です> 悪いデータでも受信したのか何時に無く饒舌なが分析データを伝える。 『つまり、彼はパンツの救世主だということ』 「?!」 ルーテシアには一瞬スミカ・ユーティライネンの声が聞こえたような気がした。 「悪く思うな、これも任務だ!!」 「わ・・・、わたし・・・、レイヴンじゃないし・・・」 震えながら涙目のルーテシアが呟く・・・。 「スパッツなんだけど・・・」 そう、彼女のバリアジャケットの下はスパッツを履いているのである。 「・・・なんと!!」 それを聞いた機甲救世主:G・ファウストはなぜか崩れ落ち、爆散した・・・。 「ルーちゃん!!」 開いたままとなっていたゲートの向こう側から白竜:フリードを連れてキャロが駆け寄ってくる。 「大丈夫だった?怪我は無い?」 隣にはエリオがストラーダを片手に駆け寄ってきた よくみると散乱しているはずの多種多様なパンツが消えている。 「まだジャミングが酷くてフェイトさん達やトーレさん達に連絡が取れないんだけど・・・、ルーちゃん?大丈夫?」 「うん、ちょっと・・・疲れた・・・」 強敵とも言うべきレイヴンを退けた後で、どっと冷や汗が流れ、さらにキャロに体を預けるように倒れこむ。 「うん、ちょっとここでお休みしようか・・・」 「でもすごいな、ルーテシアさんがこれを一人で倒したんだ・・・」 機甲救世主:G・ファウストの残骸を調べていたエリオが驚きの声を上げる。 「あ、・・・私は・・・」 「すごいよ!!ルーちゃん!!旧式とはいえレイヴンを一人で倒すなんて・・・、私も見習なくちゃ」 二人ともものすごく勘違いをしている。 「エリオ、キャロ、ルーテシア、みんな無事!?」 自分の歩いてきた方向からフェイトおば・・・、訂正フェイトさんが執務官補のティアを抱えて飛んでくれば。 「ルーお嬢、ご無事ですか?」 「セッテさんにトーレさんだ」 セッテとトーレもゲートの向こう側より飛んでくる。 やっと三組が合流できるようだ。 「G・ファウストがやられたか・・・」 ネタアセンとしか思えないレイヴンが呟けば・・・。 「所詮あいつはその程度だ!!ドミナントである私が相手をしよう!!」 ちょっと自己顕示欲の強いレイヴンが現れる。 「なるほど・・・、だがこの程度では力を図るには不十分か・・・、彼女らを倒してから・・・」 「 や ら な い か ?」 「いいだろう、私の実力を証明してやる、よく見ておくんだな!!」 ちょっと自己顕示欲が強いレイヴンが去っていく。 「私も急がねばならんな・・・」 ネタアセンとしか思えないレイヴンもまた踵を返しその場を去る。 変態集団バーテックス、その魔の手はクロスSSでも健在であった・・・。 エリオ「あれ?」 ???「何をしに現れた?」 エリオ「隊長はバーテックスじゃなくて戦術部隊では・・・?」 ???「なるほど、お前もか・・・。いいだろう選ばれたもののドミナント!!よく見ておくんだな!!」 エリオ「じょ、冗談じゃ・・・!!アーーーー!!!!」 数刻後 ジナイーダ「この静寂・・・、遅かったと言うのか?・・・一体誰が?」 戻る 目次へ 次へ