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『Stray 4 ~自称 稀少種~』 46KB 観察 不運 日常模様 都会 現代 第4話です かすがあきです。 注意 anko4487 Stray 3 ~薄れゆくもの~ の続きです。 「」はゆっくりの発言です。 『』は人間の発言です。 善良(?)なゆっくりが酷い目にあいます。 Stray 4 ~自称 稀少種~ 太陽が眩しい中、れいむたち地域ゆっくりは今日も公園の掃除に精をだす。 「ゆぅ………きょうも たいようさんが ゆっくりしてないよ。」 れいむが左の揉み上げで汗を拭いながら、ため息をつく。 れいむは日常の動作の ほとんどを左の揉み上げで行う。 右の揉み上げには待針が隠されており、動かすことができないからだ。 幾多の れいむ種を殺してきた大事な待針である。 この待針、元々ゆ虐趣味の人向けに作られた ゆっくりを一撃で簡単に殺す長めの待針である。 (ちょうど れいむの揉み上げの根元から髪先までの長さ。) 使用者が ゆっくりとはいえ、本来の使い方をされて、待針も本望である。 れいむが まわりを見渡す。 「ゆぷぷ。れいむが いないよ。れいむは れいむだけだよ。ゆぷぷ。」 これまでの努力と人間の偶然による協力により、現在この群れに れいむ種は2匹しかいない。 あと1匹殺せば、群れの れいむ種は れいむだけになり、稀少種になれる。 妹の さなえと同じ稀少種だ。そうすれば、飼いゆっくりになれるハズだ。 辛く長い日々も、間もなく終わる。そう考えた れいむの頬は自然と緩む。 「れいむ。ゆっくりしていってね。 ゆ?れいむが すっごく よい えがおさんを しているよ。 すっごく ゆっくりしているよ。れいむも おさから きいたの?」 「ゆ?ゆっくりしていってね。」 反射で返事をし振り返ると、そこには自分以外で生き残っている最後の れいむ種がいた。 彼女は人間が保育園を襲う前日から掃除をするようになった、れいむよりも若い個体である。 (以後、若れいむと表記。) 「ゆ?れいむ なにも きいてないよ。 いったい なんのことなの?若れいむ?」 「ゆ。まだ きいてないんだね。ゆぷぷ、若れいむが おしえてあげるね。 れいむ、若れいむたちね、すっごく らっきーさん なんだよ! なんとね、けっこんしたら、おちびちゃんを たくっさん うんでいいんだよ!」 「ゆ?おちびちゃんを たくさん? ……ゆぷぷ、なに いっているの若れいむ。 れいむたち ちいきゆっくりは いちかぞくにつき おちびちゃんは ふたりまで なんだよ。 そんなこと、ほいくえんにいる おちびちゃんでも しっているよ。」 若れいむに対して、れいむは笑いながら、少しバカにした口調で言う。 が、若れいむは笑顔のまま続けた。 「ゆぷぷ。しっているよ。でもね、おさが にんげんさんに かけあってくれたんだよ。 そしたら、とくっべつに れいむたちは おちびちゃんを たくっさん うんでいいって おゆるしさんが できたんだよ。 ゆっくりりかしていね!」 若れいむは、笑顔で要領をえない説明をする。 要約すると、 群れの半数を占めていた れいむ種が激減し、このままでは群れの存続が危ないと長ぱちゅりーが判断した。 長ぱちゅりーは、一時的に残っている れいむ種の出産制限をといてほしいと公園の管理者に掛けあった。 そして、制限解除は人間の判断で行うことを条件に、残った れいむ種は一度に れいむ種が3匹・相手似は1匹まで産んでいい許可を得ることができた。 「そ、それって、れいむと若れいむは けっこんして、おちびちゃんを たくっさん うんで いいってこと?」 「さっすがれいむだよ。若れいむと おなじ れいむだけあるね。 りかいが はやくて たすかるよ! そうだよ。若れいむと れいむは おちびちゃんを たくっさん うんで いいんだよ! ゆぷぷ。いっぱいの おちびちゃんに かこまれて くらせるだなんて…… ゆーん そうっぞう しただけで ゆっくりできるよ!ゆっくりーー!!」 若れいむは嬉しそうに叫ぶ。 「………」 若れいむとは対照的に、れいむの顔は沈んでいる。 今まで努力して れいむの数を減らしてきたのに、出産制限がとかれればまた れいむ種が爆発的に増えてしまう。 そうなれば、これまでの努力が無駄になるからだ。 「ねぇ、若れいむ。若れいむは、けっこんしたい ゆっくりが いるの?」 「ゆ!いるよ!ありすだよ!! さっき ありすに おちびちゃんが たくっさん うんでいいことを はなしたら、 すぐに ぷろぽーずさんを してくれたよ!」 「そ……そうなんだ………」 「それじゃぁね、れいむ。若れいむは おとーさんに けっこんの ほうっこくにいくから。」 若れいむは笑顔で立ち去る。 今すぐにでも殺したいが、まわりには掃除をしている ゆっくりたちがおり、それはできない。 れいむは仕方なく、掃除を続けた。 掃除が終わり、長ぱちゅりーのところへ向かう れいむ。 「おさ、おそうじ、おわったよ。」 「むきゅ。れいむ、おつかれさま。れいむに だいっじな おはなしが あるからゆっくりきいてね。」 「おちびちゃんのことなら、若れいむから きいたよ。」 「むきゅ。なら おはなしさんは はやいわ。 れいむ、すぐにでも けっこんなさい。」 れいむはこれまでプロポーズを受けても断ってきた。 結婚相手に自分が殺ゆんをしていることがバレるかもしれないと考えているからだ。 また、結婚し、子供を産めば、当然れいむ種が増える。 れいむ種は自分だけにならなくてはいけないと考えている れいむにとって、 我が子とはいえその存在を許すことはできない。 「ゆ……ゆぅ……おさ、れいむはね けっこんさんは まだ したくないよ。」 「むきゅ。れいむ。そういって いままで ぷろぽーずさんを ことわってきたことは しっているわ。 でもね、かんがえても みなさい。れいむの としだと けっこんしているのが ふつうさんよ。 それにね、たくっさんの おちびちゃんよ。とっても ゆっくりできるでしょ。」 「それは……そうだけど……ゆぅ……」 「むきゅ。れいむが なんで けっこんさんを したくないのか ぱちぇには わからなけど、 これは おさとしての めいっれいよ! あと さんかい たいようさんが のぼるまでに けっこんしなさい! しなければ、むれから ついっほうよ!ゆっくりりかいなさい!」 結婚に乗り気でない れいむにイラついた長ぱちゅりーが声を少し荒げながら言う。 長ぱちゅりーはれいむの態度が気に入らなかった。 群れのために、れいむのために、危険を犯して人間と交渉したにも関わらず れいむが喜ばれなかったからだ。 ------ 自宅に帰る途中、れいむは子まりさと一緒に歩く笑顔の まりさを見かけた。 かつて隣に住んでおり、れいむと一緒に掃除をした まりさだ。 殺ゆんに慣れておらず、元気がなかった頃、れいむは まりさからプロポーズを受け、そして断っている。 ふられた まりさは、その後、他のれいむ種と結婚し、子供を授かった。 まりさの番である れいむ種と まりさの母親である れいむ種は、れいむによって殺されている。 また、娘である れいむ種も先日の人間の騒動で失っている。 今、群れでは父1匹、父と同種の娘1匹という一家や、 番を失ったことで、鰥夫暮らしをしている ゆっくりが多い。 公園の隅を歩きながら、れいむは父娘を見る。 「ゆぅ……まりさたち、とっても しあわせーそうだよ。」 れいむの脳裏に、子供に囲まれる自分の姿が浮かぶ。 想像すればするほど、その姿はとても ゆっくりでき、幸せそうである。 れいむとて、結婚に憧れがないわけではない。 番を持ち、子供を持つ。本能に刻まれた ゆっくりできることだ。 しかし、地域ゆっくりの生活は辛い。 野良に比べると多少はマシかもしれないが、常に死と隣り合わせである。 辛い労働がない。極上の食事。人間からの脅威がない。 飼いゆっくりになるまで、れいむは結婚への憧れを捨てている。 が、幸せそうなまりさを見ることで、れいむの結婚への憧れは強くなる。 加えて、結婚の命令と子供をたくさん産んでよいという特権が与えられた。 「………ゆぅ……おちびちゃんが たくさん…… ゆぷぷ。けっこんさんも わるくないかも……」 結婚し、地域ゆっくりとしてたくさんの子供に囲まれて生活する。 そんな妥協案が れいむの頭によぎる。 -ッ ゴ ッ ジャ ! れいむが妥協案を採用しかけた時、子まりさが飛んできた野球ボール(硬球)によって潰された。 「お!おちびぃいいいい!!」 飛び散った餡子で顔を汚しながら、まりさが絶叫をあげる。 「ぺーろぺーろ……ぺーろぺーろ……おちび!! ゆっくりするのぜ!!ゆっくり めを さますのぜ!! おでがいなのぜ!!おどうざんを ひどりに じないでぼじいのぜ!! おちび!ゆっぐり なおるのぜぇええええ!!」 まりさは潰れた饅頭を泣きながら舐めるが返事はない。 『げー、クソ饅頭にあたっちまった……』 泣いている まりさ側に、ボールの持ち主である少年が近づく。 この少年、友人とキャッチボールをしていたところである。 『はぁ………ボールが餡子で汚れてるよ……汚ねー。 おい、まりさ。』 少年は まりさを軽く蹴りながら言う。 「っゆっばぁ!?な!なんなのぜ??にんげんざん!! ばりざは いば いぞがじいのぜ!おちびが!おちびがぁあああ!!」 『うるさい!』 「っぐっべぇええ……や、やべ……つ……つぶれりゅ…のじぇ……やべでぇ……」 少年は まりさを踏みつけたまま続ける。 『おい、そのボールを あそこの水道まで運べ。 イヤならこの場でお前を潰す。どうする?』 「わ……わがりばじだ……だがら……あじをどげで……」 『よし。じゃぁ運べ。あ、そうそう。口にいれたり、落としたりするなよ。 もししたら、潰すからな。』 「ばいぃいいい!!ゆっぐりわがりばじだぁあああ!!」 まりさの舌がボールを掴む。 その際、子まりさの体内に舌が一時的に入り、まりさにいいようのない悪寒を与える。 が、まりさは悲鳴をあげない。 人間との力関係を理解しているからだ。 もし騒げば、気分を害した人間に殺されるかもしれないからだ。 まりさは ただ涙を流しながら、ボールを舌で持ち上げ、我が子を殺したボールを大事に運ぶ。 母親と妹と妻と娘、そして、最後に残った娘までを人間によって失ったにも関わらず、まりさは人間に従う。 従わなければ、殺されるのだ。まりさは悔し涙を流しながら、必死にボールを運んだ。 (母親・妹・妻は れいむが殺しているのだが、まりさは人間の仕業だと考えている。) 「ばごびばじだぁあああ!!」 『ん。じゃぁ、ここに降ろせ。』 「ばいぃいい!!」 少年の指示通りに水道の下にボールが置かれる。 少年は蛇口をひねり、餡子で汚れたボールを洗う。 『よし、まりさ。もういいぞ。』 ボールを洗い終えた少年はそう言って、友人の元へと駆けてく。 「っゆっばぁあ……た……たすかったのぜぇ…… ゆ!!おちび!!まりさのおちび!!」 残された まりさは安堵すると同時に子まりさの遺体の側による。 「おちび……おぢび……ばりざの おちび…… ど…どぼじで おちびが しぬのぜ?…… どぼじでぇえええ!!??どぼじで おちびがぁあああああ!! っがぁあああああああ!!どぼじで ばりざの だいっじな かぞぐがぁああああ!! ばりざが なにを じだのぜぇえええええ!!?ただ かぞくで ゆっぐり じだいだけなのにぃいいいい!!! ごんなの!!ごんなの ゆっぐりでぎないぃいいいいいいいいいいい!!!!」 まりさは遺体の側で泣叫ぶ。 それは、群れの ゆっくりによって遺体が片付けられても続く。 「むきゅ。まりさ、ゆっくり おちつきなさい。」 「まりさ、ゆっくり おちついてよ。 まりさが ゆっくりしないと、おちびちゃんが あんっしんして おそらの ゆっくりぷれいすに いけないよ。」 泣き止まない まりさを心配して、ぱちゅりーと れいむが声をかける。 「ぱじゅりぃいいい!!れいぶぅうううう!!おちびがぁああ!! ばりざの ゆっくり!ばりざの ゆっくり!ざいごの かぞぐがぁああああ!!!ゆっくり!ゆっくり!」 「まりさ!!」×2 最後の家族を目の前で失い、人間に復讐をすることもできない まりさは、非ゆっくり症を患った。 暫くして、自警団のリーダーを務める幹部まりさが やってきた。 「まりさ………ごめんなのぜ………やすらかに ねむるのぜ。」 そう言って、幹部まりさは咥えた枝を まりさに深々と突き刺した。 非ゆっくり症は群れの ゆっくりでは治せず、また働けない ゆっくりを養える程群れは豊かではないからだ。 まりさの遺体を片付けながら れいむは思う。 例え子供が沢山いたところで、地域ゆっくりでは人間の脅威から身を守れない。 本当に幸せになるには、まず飼いゆっくりとなり、身の安全の保障を得なければならないと。 一瞬だけよぎった、地域ゆっくりのままでもよいという妥協案を れいむは捨てた。 ------ 夜。れいむはダンボール箱からでて公園の中を歩く。 若れいむを探しているのだ。 ゆっくりは基本的に夜は活動をしない。 が、結婚前の若れいむだ。 婚約者とのデートをしている可能性は高いと れいむは考えている。 「ゆ。ありす。ゆっくり こんばんはだよ。若れいむと でーとさんなの?」 しばらく歩くと、れいむは若れいむの婚約者である ありすに出会った。 ありすの頬は真っ赤に染まっている。 「れ!れいむ!こ、こんばんは……そ、それじゃぁ、ありすは もう いくわね……」 ありすは逃げるように れいむから離れていく。 「ゆぷぷ。きっと ありすは若れいむと でーとさんだったんだね。 ということは……あっちのほうに………ゆ!いたよ。若れいむだよ。」 れいむの予想通り、ありすは若れいむとデートをしていた。 2匹は別れ際に唇を交わしており、ありすはその光景を見られたかもと考え、頬を真っ赤に染めていたのだ。 身体を低くし、れいむは見つからないように若れいむの様子を伺う。 口付けの余韻に浸った若れいむが幸せそうに目を閉じ、ゆっくりしている。 若れいむのその姿を見て、れいむは今がチャンスだと確信する。 れいむはゆっくりと右の揉み上げから待針を抜き、口に咥える。 れいむ種を殺すことに もはや躊躇いなどない。 自分が幸せになるためならば、何でもする。 それが例え ゆっくりできないことでも、将来ゆっくりするためならば、今は耐えるしかない。 そして、これが最後の殺ゆんである。 若れいむを殺せば、群れのれいむ種は れいむだけになる。 晴れて稀少種の仲間入りである。れいむの頬が自然とニヤけた。 「もうすこしだよ………あと すこしで れいむは きしょうしゅだよ…… そしたら、かいゆっくりになれるよ………これで……これで さいごだよ……」 呆けている若れいむの背後に ゆっくりと回り込み、狙いを定める。 「っゆっぴ!!!」 そして、一気に跳躍し、若れいむを背後から刺した。 待針は若れいむの中枢餡を貫き、若れいむは短い生涯を終えた。 れいむは慣れた手つき(?)で待針を抜き、舐める。 もはや必要の無い針だが、れいむは取りあえず右の揉み上げにしまうことにした。 いつもの行為だ。いつもどおり、れいむは れいむ種を殺した。 「やったよ………これで……これで れいむは れいむだけだよ……」 最後の殺ゆんを済ませた れいむが、目を閉じて達成感を味わう。 その夜、れいむは満たされた気持ちで、ゆっくりした気分で眠りにつくことができた。 ------ れいむが心地好い眠りについた頃、れいむの妹である さなえはベットの中で眠りにつこうとしていた。 胴付き金バッチの さなえは人間に飼われており、夜は人間の家で、ベットで眠る。 「おにーさん、ねたばこさんは ゆっくりできませんよ。」 眠たい目をこすりながら、青年に話しかける。 青年は横になりながら就寝前のタバコを吸っている。 『ん?………あぁ、そうだな……危ないからな。』 体を起こし、ベットに腰かけながら青年が言う。 『さて、それじゃぁ寝るか。』 暫くして、タバコの始末をした青年が証明を落としながら言う。 「はい。………うふふ……」 布団の中でさなえが笑う。 『ん?ずいぶんと嬉しそうだな。どうしたんだ?』 「あしたは こうえんさんに いけますから、うれしいんです。 だって、おねーさんに あえますから。」 さなえが微笑みながら言う。青年は腕を伸ばし、さなえの頭をなでる。 『そっか。さなえは本当に れいむのことが好きなんだな。』 「はい。おねーさんは とっても ゆっくりしていらして、とても すてきなんですよ。 おねーさんに あって、おはなし して、いっしょに ゆっくりすると、 すごく しあわせに なれるんです。 それに、あしたは おねーさんとの やくそくさんも まもれますし。 おにーさん、ほんっとうに ありがとうございます。」 『なに。俺の大事なさなえのお願いだからな。少しぐらいは聞いてあげないとな。 さ、もう寝るぞ。きょうも疲れただろ?おやすみ。』 「はい。おやすみなさい……。」 しばらくして、さなえが寝息をたてる。 『ほんっとうに眠りにつくのが早いよな、ゆっくりって。』 そう呟いてから青年はタオルケットにうずくまり、眠りについた。 ------ 「れいむ。ゆっくり おきなさい。れいむ。」 翌日、自分以外の れいむ種根絶の目標を達成し、気持ちよく眠っている れいむは長ぱちゅりーに起こされた。 「ゆぁ……?………おさ?……ゆぅ……れいむに なにかようなの? れいむ、まだねむいよ………っゆっべぇええ!?」 左の揉み上げで目を擦っていた れいむが、長ぱちゅりーの隣にいた幹部まりさに思い切りお下げで殴られた。 「いっじゃぁあああ!!どぼじでぇええ!!?? どぼじで れいぶが だだがれるのぉおおお!!??」 「だまるのぜ!!れいむ!!若れいむごろしの ようぎで たいほするのぜ!!」 「ゆ!?どぼじでぇえええ!!??どぼじで じっでるのぉおおお!!?? っれ!れいむじゃないよ!!若れいむを ころしたのは れいむじゃないよぉおお!!」 「むきゅ。ごまかしても むだよ。ぱちぇは きのう この めで みたの。 あなたが若れいむを………若れいむを ころすところを。」 昨晩、長ぱちゅりーはれいむの家を尋ねた。 結婚という本人(本ゆん?)の意思が最大限尊重されなけければならないことを、 強要しようとしたことを恥じたからだ。 謝罪した上で、再度れいむに群れの ゆっくりと結婚するよう頼むつもりであった。 が、家の中に れいむはいなかった。 しかたなく自分の家へと帰ろうとした長ぱちゅりーは れいむを見つけた。 声をかけようとしたが、れいむは身体を屈めてており、様子がおかしかったため、様子を伺うことにした。 そして、長ぱちゅりーは見た。れいむが待針を若れいむを刺すところを。 すぐにでも れいむを捕まえたかったが、 虚弱体質であるため反対に殺される心配をした長ぱちゅりーは れいむが 現場から立ち去るのを待った。 れいむが いなくなった後、若れいむに声をかけ、 若れいむが死んでいることを確認した長ぱちゅりーは幹部まりさの元へと向かう。 幹部まりさも最初は長ぱちゅりーの言葉を半信半疑であったが、若れいむの遺体を見て、話を信じた。 そして、今、長ぱちゅりーと幹部まりさは自警団をつれて れいむを逮捕をしにきているのだ。 「むきゅ。まりさ、れいむの みぎもみあげさんを しらべて。 きのう、れいむが みぎの もみあげさんの なかに きょうきを しまっているのを みたわ。」 「ゆっくりりかいしたのぜ。」 幹部まりさは れいむに体当たりをし、れいむを家から追い出す。 倒れた れいむを自警団の ゆっくりたちが抑え付ける。 幹部まりさは、舌を伸ばし、右の揉み上げの中を調べる。 「ゆ!こ!これは……まちばりさんなのぜ!!」 「むきゅ。この まちばりさんで若れいむを………」 「ちがうよ!!れいむじゃないよ!! むれの れいむたちを ころしたのは れいむじゃないよ!! これは なにかの まちがいだよ!!」 れいむは必死に否定する。 が、ゆっくりは嘘をつくのが生来苦手な生物(なまもの)である。 余計なことまで口にしてしまった。 「むきゅ!?むれの れいむたちって………まさか れいむ!! むれの れいむが どんどん しんでいったのって、れいむが!?」 「っゆっがぁああああ!!なんでしってるのぉおお!!? ちがうよ!!れいむは なにも しらないよ!! まちばりさんで れいむたちを ころしてなんてないよ!! れいむが したけど、ぜんぶ にんげんさんの しわざだよ!!」 「おさ。まちがいないのぜ。れいむたちの おおくは はりさんで しんでいたのぜ。 ゆっくりは はりさんを もっていないから にんげんさんの しわざだと おもっていたけど…… れいむが むれの ゆっくりを ころしていた ようなのぜ。」 「なんて おそろしいことを………。 むきゅ。みんな、れいむが とうっぼうしないように あしを えださんで はかいして。 でも まだ ころしたらだめよ。きんっきゅうしゅうかいで この げすの しょぶんを れんらくするわ!」 「ゆっくりりかいしたよ!」×たくさん 「やべでぇぇええええ!!れ!っれれれ れいぶは わるぐないよぉおおお!! ご!ごかいだよぉおおおお!!れいぶは なにもじでないよぉおおおお!!! ぜんぶ にんげんざんが しだごどで いいでしょぉおおおお!!れいぶを たすげでぇえええ!!!」 れいむは全身から汗を流しながら嘘をつく。 相手の言うことを基本的に信じるゆっくりだが、証言と証拠、 そしてれいむの言葉から騙される ゆっくりはいなかった。 「うるさいのぜ。この うそつきの げすが。しっかり おさえつけているのぜ……」 幹部まりさが枝を咥えながら言い、れいむの足を枝で刺す。 「っゆっぎゃぁああああ!!や!!やべずえぇぇえええ!! ぷーすぷーす じないでぇええええ!!! っれ!れいぶの!れいぶの がぼじかざんの ような あんよがぁああ!!」 れいむは泣きながら後悔する。あの時、もっとまわりに注意を払っておけばと。 今までは、待針を取り出す前に周囲に誰もいないことを確認していた。 が、昨晩はそれを怠ってしまった。 早くしなければ、若れいむが結婚し、れいむ種が増えるという焦りと 慣れによって心が緩み、れいむは警戒を怠ったのだ。 「っいっじゃぁああ!!やべじぇぇえええ!!!っゆっぎゃぁぁあああああああ!!!」 静かな雑木林の中に、れいむの悲鳴が響き渡る。 ------ 緊急の集会で、長ぱちゅりーは群れの ゆっくりに状況を説明する。 れいむが、群れのれいむ種を殺してきた事実を。 大量殺ゆんの罪で、公開処刑をすることを。 刑を執行するのは、残された遺族。 そして、群れの ゆっくりは全員でれいむが死ぬまで見学をすることを。 「っゆっぎゃあぁぁぁああああああああああ!!!!」 れいむが悲鳴をあげる。 「じね!じね!じね!!!まりざの れいむを ころした げすな れいぶは じねぇえぇええ!!」 「ごの いながぼのぉおお!!ありずの とがいばな およべざんを ごろじだ づみは おぼいのよぉおおお!!」 「むきゅぅぅうう!!!よくも!!よくも!!!ぱちぇの れいぶをぉおおおお!!ひどり むすべをぉおおおお!!!」 「おかーしゃんの かたき なのじぇぇえええ!!」 「いにゃがもにょぉおおお!!」 「けんじゃの おがーじゃんを がえじぇええええ!!」 群れの約半数が れいむによって家族を失った ゆっくりである。 遺族たちは、れいむを罵り、暴行(体当たり)を加えている。 歩行機能を失っているれいむに抵抗も逃亡も許されていない。 ただ、なすがままに暴行をうけ、地面を転がることしかできない。 「っゆっべぇえええ!!やべ!やべでぇえ!! いっじゃぁあああ!!やべりょぉおおお!!!れいぶを いじべるなぁぁああ!! だずげ!だずげでぇええ!!だれがぁあああ!!れいぶを だずげどぉおおおおお!!」 「うっるざいのっぜぇえええ!!おばえ みだいな げずを だれが だずげるがぁあああ!!」 れいむの右の揉み上げを強く噛んだ まりさが叫ぶ。そして、揉み上げを噛んだまま、大きく跳ねる。 「ぞうよ!!れいむ みだいな いながぼの、みだごどないわぁああ!!」 左の揉み上げを噛んだありすが叫び、まりさと反対の方向に跳ねる。 「っゆっぎゃあぁああああ!!っぼ!ぼびあげぎゃあああぁああ!!!」 れいむの両方の揉み上げは逆方向に引っ張れ、れいむに激痛を与える。 - ッ ブ チ ー ン!! そして、れいむの両方の揉み上げは同時に千切れた。 「っゆっぎゃぁああああ!!いい!!いっざやぁぁあああああ!!! っれ!れいぶの ぼみあげぎゃぁああ!! っぼ!ぼうびごびごでぎないぃいいいい!!! おでがいじばずぅうう!!ゆ!!ゆるじでぐだざいぃいいい!!!」 激痛かられいむは泣き叫び、許しを乞うが、その願いは無視される。 家族を殺されたという正しい怒りを彼女達は常に抑えつけていた。 それは、加害者が人間だと思っていたからだ。 人間に対して報復をすれば、逆に自分たちが全滅することを理解していたからだ。 だが、加害者は人間ではなく同じゆっくりの れいむであった。 抑えつけていた怒りは爆発し、 どの ゆっくりも手加減することなく、れいむへの報復を続ける。 「っゆっぎゃぁああああ!!っだ!!だずげでぇえええ!!! おで!おでっぎゃぁあああああ!!いっじゃぁああああぁああ!! ばりざぁあ!!ありずぅうう!!っぱっぱぢゅりぃいい!!だ!!だずげでぇえええ!!」 悲鳴をあげることと、涙を流すことしかできない れいむが見学している ゆっくりに命乞いをする。 「げらげらげらげらげら。なにを いってるのぜ? おまえみたいな げすを たすけるはずないのぜ!」×たくさん 「いなかものを たすけるはずないでしょ? そんなことも りかいできない だなんて、ほんっとうに いなかものね。」×たくさん 「むきゅきゅ。じごうじとくさんと いうものよ。あきらめて しになさい。」×たくさん 当然だが、どの ゆっくりも れいむを助けようとしない。 家族を失ってはいないが、同族殺しという最大のタブーを犯した れいむに対して同情心は当然ない。 加えて、彼女達は毎日ゆっくりできない労働が課せられている地域ゆっくりだ。 野良よりはマシだということを頭でわかっていても、心の中は不満が渦巻いている。 無残な姿になっていき、命乞いをする れいむを見ることで、彼女達はストレス解消をしている。 「むきゅ。みんな、けいは いちじちゅうだんよ。」 長ぱちゅりーの一声で、れいむへの暴行が一時的に止まる。 長ぱちゅりーは れいむの前に貴重な角砂糖をおく。 「れいむ、これをたべなさい。」 「おお、っおざぁああ!?っれれっ れいぶを だずげでぐれるのぉおお!??」 「むきゅ。いいから さっさと たべなさい!」 「ゆっぐりりがいじだよぉおお!!むーじゃむーじゃ……っじあっわっぜぇえええ!!」 角砂糖を食べるにつれ、れいむの顔色がよくなる。 体力が回復し、痛みが次第に引いていく。 それにつれ、れいむが笑顔になる。助かったと考えているからだ。 笑顔のれいむを長ぱちゅりーは冷たい顔で見る。 「むきゅ。げひんな たべかたね。ほんっとうに げすなのね、れいむは。 さぁ、みんな!けいの つづきよ!」 長ぱちゅりーはれいむを許す気などない。 貴重な角砂糖を与えたのは、れいむをすぐに殺さないためだ。 すぐに死なれては ゆっくりたちの気がすまない。 それほどの大罪を れいむは犯したのだ。 「もっと もっと くるしめて、くるしめて。 しにそうになったら かいっふくさせて さらに くるしめるわよ! たくっさんの れいむを ころした れいむは らくに ころさせないわ!」 「ゆっくりりかいしたよ!!」×たくさん れいむの顔が一瞬で絶望に染まる。 「っぞ!っぞんなぁあああ!!! っれいぶはぁあああ!!れいぶはぁあああ!!!っれいぶはぁああああああ!!!」 全ての ゆっくりから敵意を感じ れいむはガタガタ震えながら、失禁をする。 「いっじゃぁあああ!!おでが!おでがいじばずぅうう!! ぼう!っぼぼぼぼう ゆるじでぐだじゃぃいいい!!ごべんなざぃいい!!」 再び始まった暴行に れいむは泣叫ぶ。 惨めな姿を見て、ゆっくりたちの口が微かに緩む。 そして、加虐心はエスカレートしていく。 1匹のまりさが、枝を咥え、れいむの右目に突き刺す。 「っゆっぎゃぁああああああああああああああああああ!!!!っめ!!っめっぎゃぁあああああ!!!」 雑木林に れいむの悲鳴が広がっていく。 ------ 駅・繁華街・住宅街に隣接する形で存在する大きな公園。 ここが、胴つき、金バッチの さなえの生れ故郷だ。 「おにーさん。こっちです。」 『おい、そんなに慌てるなよ。急がなくても ゆっくりは逃げないぞ。』 「それは そうですけど、おねーさんと おはなし できる じかんさんが すくなくなるんですよ。」 『はいはい。』 久しぶりの故郷に、さなえが笑顔で飼い主の青年の手を引っ張る。 「ゆふふ。おにーさん。ありがとうございます。さなえの おねがいを きいてくれて。」 『ん?あぁ……まぁ……』 歯切りの悪い受け答えをする青年でだが、さなえは気にしていない。 さなえの願いは、姉である れいむに頼まれていたことだ。 「いちど いもーとの かいぬしさんを つれてきてね。 いもーとを だいじにしてくれて ありがとうって おれーさんが いいたいよ。」 さなえは れいむと会う度に、飼い主を連れてくるように頼まれていた。 その度に青年にお願いしていたが、青年は それを断っていた。 社会人で忙しいということもあるが、青年は通常種に対してあまり良い感情を持っていない。 礼を言いたいというのは建前で、自分を飼えと言い出すに違いないと青年は決め付けており、 それを断るのが面倒だと考えている。 男性が さなえの頼みごと = れいむの頼みごとを断る度に、さなえは落ち込む。 れいむのお願いを叶えられないことに罪悪感を感じているからだ。 さなえに元気をなくされては困る青年は、 しかたがなく さなえの為に、れいむに会うことにしたのだ。 青年は さなえと一緒に公園に入る。 「あら??」 『ん?どうした?』 公園に入った さなえは、首を傾げる。 「いえ……まだご ぜんちゅうさんなのに、だれも おそうじを していないなぁって……」 『今日は休日なんじゃないか?』 地域ゆっくりに休日などない。 が、青年は地域ゆっくりに対して興味はそれほどないのでそのことを知らない。 「……そう……かもしれませんね。 とりあえず、おねーさんの おうちにいきましょ、おにーさん。」 幼い頃に地域ゆっくりから飼いゆっくりになった為、さなえは地域ゆっくりに休日がないことを忘れていた。 さなえは、深く考えることもなく、姉であるれいむの家を、雑木林の中へと足を向けた。 ------ 雑木林の中、少し開けた場所に、群れの ゆっくりが全て集まっている。 中央には、両方の揉み上げと右目を失った れいむがいる。 殺ゆんを犯した罪で、れいむは制裁を受けている最中である。 「むきゅ。れいむ、この かくざとうさんを はやくたべなさい。」 貴重な角砂糖をれいむの前におき、長ぱちゅりーが冷たい声で言う。 「………や……やだょ……… おでがぃ……れいぶを だずげで……」 角砂糖を食べれば また暴行を受けることをしっている れいむが食べるのを拒む。 「むきゅ。しかたがないわね。まりさ、れいむの口をひらかせなさい!」 「ゆっくりりかいしたのぜ!」 長ぱちゅりーに言われ、幹部まりさはれいむの口に枝をいれ、強制的に口を開かせる。 長ぱちゅりーは開いた隙間に、角砂糖を無理矢理ねじこみ、自らの身体で れいむの口を塞ぐ。 幹部まりさがジャンプをし、れいむの頭にのり、何度も跳ねる。 「ぶぅうう!!ぶぅううう!!ごっぐん………」 飲み込んだことを確認した長ぱちゅりーと幹部まりさが れいむから離れる。 「ゆばぁああ!!の!のんじゃっだよ!! れいぶげんぎになっちゃだよぉおお!!また いじべられるよぉおおお!!」 体力を回復してしまった れいむが嘆く。 そんな れいむに、長ぱちゅりーがニヤついた顔で話しかける。 「むきゅ。れいむ。たすけてほしいかしら?」 「たすけてほしいよ!おねがいだよ!!れいむを たすけてよ!! れいむはかわいぞうなんだよ!みんなにいじめられでるんだよ! だからたすげてよ!おでがいだよ!!れいぶをたすげでぐだざいぃいい!!」 れいむは必死に命乞いをする。 「むきゅ。そうね。ここまでの たいっざいを おかした ゆっくりは ほんらいなら ゆるされないわ。 でも、れいむは げすですって せんげんを したら たすかるかも しれないわ。」 長ぱちゅりーの言葉を聞き、群れの ゆっくりの顔がニヤける。 餡子脳で意思の疎通がまともにできない ゆっくりだが、何故かこういうときだけは真意を理解することができる。 「どうしたのかぜ?げすだって せんげんしないのかぜ?」 「いなかものの げすは じぶんのことも しょうっじきに いえないのね!」 ゆっくりは嘘をつくことに強いストレスを感じる。 そして、自分が常に正しいと根拠のない自信をもつ生物(なまもの)である。 故に、自分がゲスであると宣言することは、 例え自信がゲスであったとしても強いストレスを感じるため決して口にすることはない。 れいむの身体から滝のように汗が流れ、ガタガタと身体が震える。 れいむ自信が、自分はゲスではないと信じているため、 ゲスであるという真実を宣言する = 嘘をつくことに拒絶反応がでているのだ。 右の眼孔に突き刺さった枝が大きく揺れ、れいむに激痛を与えるが、 悲鳴をあげる余裕さえ今の れいむにはない。 「むきゅ。どうするの?れいむ。 もし げすだと みとめたら、ゆるしてもらえるかも しれないわよ。」 長ぱちゅりーの言葉を聞き、れいむは唇を噛み締め、嘘をつく決意をする。 「っゆっばぁあああああ!!!っれ!っれれれ…… っれいぶはぁあああ!!れいぶはぁああああ!!げ!………げずでずぅううう!! だがらぁああ!!だがら だずげでぐだざいぃいいい!!!おでがいじばずぅううう!!!」 餡子の涙を流しながら、れいむは自信がゲスであると宣言をする。 「ゆぁ~~?よく きこえないのぜ? もっと おおきな こえで いってほしいのぜ?」 幹部まりさがお下げを上に持ち上げながら、 人間でいうところの手で外耳を大きくする動作をしながら言う。 「れいぶはぁああ!!れいぶはぁああ!!れいぶは げずでずぅううう!!! げず なんでずぅううう!!どうじようぼない げずなんでずぅうう!! だがら!!だがら だずげでぇえええええええええええええ!!!」 助かりたい一心で屈辱にまみれながら、命乞いをする。 「むっきゅきゅきゅきゅ!!」×たくさん 「ゆぷぷ!!」×たくさん 「げらげらげらげらげらげら!!」×たくさん 泣きながら自分はゲスだと宣言する れいむ。 そんな れいむを見て、群れの ゆっくりたちは笑顔になる。 家族を失った怒りも、地域ゆっくりとしての辛い生活も、他者を見下すことで薄れるからだ。 普段は群れで協力して生活しているため、他者を見下すことはない。 久方ぶりに心からの優越感に浸ることができた彼女達は笑顔で笑う。 当然だが、彼女達は れいむを許す気など毛頭ない。 ゆっくり殺しは大罪である。 それも大量殺ゆん犯である。許せるハズがない。 彼女達は れいむをより苦しませるために、暴行の後に体力の回復をさせ、更にゲスであると宣言をさせた。 この後、更に暴行を加え、最後は殺す気でいる。 自身が行っている行為自体がゲスであるということにも気づかずに、 ゲスであると叫ぶれいむを見下すゆっくりたちである。 「みなさん、たのしそうですね。とっても ゆっくりしてます。 ゆっくりしていってくださいね。」 ゆっくりたちの笑い声につられて、 れいむを探してた さなえと青年が ゆっくりたちに近づく。 「ゆっくりしていってね!!」×たくさん 反射で返事をした ゆっくりたちから笑顔が消えた。 青年の顔を見たからだ。 菓子をくれる優しい人間もいるが、多くの人間は ゆっくりを無視する。 いや、無視ならば まだいい。 人間は気まぐれで ゆっくりを殺すことがあるのだ。 ゆっくり殺しは大罪だが、人間を裁くことは不可能である。 もし、それをしようとすれば、返り討ちにあい、群れの全滅は確定してしまう。 地域ゆっくりにとって人間は恐怖の対象でしかない。 その人間が側にきたのだ。 ゆっくりたちが緊張するには十分な出来事である。 「むきゅ。にんげんさん、ぱちぇが おさめる むれに なにか ごようですか? ぱちぇたちは ちいきゆっくりとして、 にんげんさんの おやくに たてるように ひび がんばってるわ。」 長ぱちゅりーが前にでて挨拶をする。 人間との交渉は基本的に長の勤めである。 「い!!いぼうどぉおおお!!!だ!!だずげでぇえええ!!!」 青年が ゆっくりに話しかけるより早く、れいむが妹である さなえに向かって叫ぶ。 「おねーさん!!いったい どうしたんのですか!!??」 れいむの酷い状態を見て、さなえが驚く。 「び!びんながね!れいぶを いじべるんだよぉおおお!! おでがい!!いぼぉど!!れいぶを だずげでよぉおおお!!」 唯一の肉親であり、飼いゆっくりである さなえならば自分を助けてくれる。 れいむはそう信じ、必死に助けを求める。 「ゆっくり まっていてください!すぐに たすけますね!」 れいむの考え通り、さなえは れいむを助けようとする。 が、さなえの前に幹部まりさがたつ。 「さなえ!ゆっくり まつのぜ!!これは せいっさいなのぜ!! れいむの けがは じごうじとくさんなのぜ!!」」 「せいさい?おねーさんが なにを したっていうのですか? おねーさんは とっても ゆっくりした ゆっくりなんですよ! せいさいを うけることなんて あるはずが ありません!!」 れいむを心から信頼している さなえが声を荒げて言う。 『へぇ、さなえも怒ることがあるんだな。始めてみたよ。 でさ、俺の さなえの姉。れいむが何をしたんだ?言ってみろよ。』 さなえが声を荒げるところを始めて見た青年が、れいむのに興味をもち、尋ねる。 「むきゅ。ゆっくりごろしよ。それも たくっさんの れいむを ころしたわ。 さなえも しっているでしょ?むれに いたころ、がっこうで おそわったでしょ? ゆっくりごろしは たいっざいよ。しけいさんなのよ。」 長ぱちゅりーが前にでて言う。 「!!そ!そんな!おねーさんが そんな ゆっくりできなことを するはずが ありません。 そんなの うそです!なにかの まちがいさんです!!」 れいむの無実を信じている さなえが叫ぶ。 「うそじゃないわ!!ぱちぇは このめで みたのよ! ありすの こんやくしゃの若れいむを ころすところを!!」 「そうなのぜ!それに、れいむの みぎの もみあげさんから きょうきの まちばりさんも でてきたのぜ!!」 「それだけじゃないわ! いなかもので げすな れいむは ほかにも たくっさんの れいむたちをころしたって しょうっげん したわ!! れいむの せいで むれから れいむが いなくなってしまったのよ!!」 「そ!……そんな……」 長ぱちゅりーたちの証言で、さなえの顔色が悪くなる。 「そうなのぜ!れいむの せいで まりさの だいっじな れいむが!! せいっさい すべきなのぜ!!」×たくさん 「いなかものの せいよ!あんな いなかものの げすは ゆるせないわ!! とかいはな せいっさいが ひつようなのよ!」×たくさん 「むきゅ!ここまでの げすは みたことが ないわ! せいっさい しなければ、むれに もっともっと わざわいが おきるわ!」×たくさん 群れの ゆっくりたちが、れいむへの制裁が正当であると声を揃えて叫ぶ。 そして、れいむを罵倒する言葉を各々が叫ぶ。 「っゆっがぁああ!!れ!!れいぶは わるぐないよぉおお!! だがらぁああ!!だがらだずげでぇえええ!!」 れいむは独り自分は悪くないとさけぶが、その声はまわりの ゆっくりの罵声に消され、誰にも届かない。 「………おねーさんが………」 信頼する姉が犯した罪をしり、さなえがショックで膝をつき、涙を流す。 「むきゅ。さなえ。わかったでしょ?れいむが どんなに ひどい ゆっくりかということを。 あねである れいむが おきてによって しけいに なるのが つらいのは わかるわ。 でもね、これは ちいきゆっくりの もんっだいなの。かいゆっくりの あなたには かんっけいが ないことよ。 ゆっくりりかいなさい。」 泣いている さなえに対し、長ぱちゅりーが言う。 『はぁ……』 泣いているさなえを見ながら、青年がため息をつく。 れいむの生死など、青年にとっては興味がない。 が、間の悪いことに、れいむは さなえの姉である。 れいむの悪行をしっただけで膝を付き、泣き出す さなえである。 もし れいむがこのまま殺されれば、酷くショックを受けることは目に見えている。 『ちょっと待て!!』 激しい罵倒の中、青年が声を荒げて叫ぶ。 ショックを受けた さなえを慰めることを面倒だと感じた青年は、 れいむの罪を軽くする方法を模索することにしたのだ。 ゆっくりの甲高い、人によっては不愉快になる声が消えた。 野良と違い、人間の恐怖を正しく理解している地域ゆっくりである。 人間に待てと言われれば、静になる。 『れいむが他の れいむを殺したことは分かった。 で、れいむ。いったい何のためにそんなことをしたんだ? 正直に話してみろ。理由によっては…… えぇっと……情状酌量の余地ありで死刑は免れるかもしれないぞ。』 青年は さなえの頭を撫でながら、使い慣れない単語を交えて言う。 「………」×たくさん ゆっくりの視線が れいむに集まる。 「れ!れいぶはねぇええ!!かいゆっくりに なりたいんでずぅううう!! かいゆっくりなるだべに!!がいゆっぐりになるだべに!! がいゆっぐりになるだべに れいぶいがいの れいぶを ごろじばじだぁああああ!」 れいむが泣きながら殺ゆんを犯した動機を叫ぶ。 「ゆぷぷ!!なにを いってるの?この いなかもの!!」×たくさん 「むっきゅきゅ!ばかだとは おもっていたけど、ここまでの おばかさんだなんて。むっきゅきゅ。」×たくさん 「げらげらげらげらげ!なにを いってるのぜ? どうして ゆっくりごろしをすると かいゆっくりに なれるのかぜ? まったく、これだから ゆっくりしてない げすは こまるのぜ!」×たくさん 「……お……おでぇざ……」 動機を聞いた 群れのゆっくりたちは、笑いだし、さなえは涙を流す。 飼いゆっくりになりたいことは、殺ゆんを犯す動機になるハズがないからだ。 笑われながら れいむは右の眼孔に突き刺さった枝に舌をからませる。 「ぐぎぎぎぃいい!!っゆっがぁあああ!!いじゃい……ゆっぐ!ぼ!ぼうずごじで…… っいっじゃぁああ!!で、でぼ!!でぼ どれだよぉおお!!ど!!どれだよぉおお!!」 痛みに耐え、枝を抜き取った れいむは、動けない身体を必死に動かし、青年に向かって土下座をする。 「にんげんざん!!おでがい じばずぅう!!れいぶを がいゆっぐりに じでぐだざいぃいいい!! にんげんざんは いぼーどを かいゆっぐりにしだでしょ!! いぼーどは れいぶより ゆっぐりじでながったけど、 ものめずらじい きじょうしゅだから かいゆっくりにしたんでしょ! みで!にんげんざん!!もう れいぶは れいぶだけだよ!! れいぶは きしょうじゅに なっだんだよ!!だがら!!だがら れいぶを がっでぐだざいぃいいい!! れいぶはね!れいぶは きしょうじゅなんだよぉおおおお!!! めずらじい きしょうしゅ なんでずぅううう!!だがらぁああ!!だがらぁぁあ!! れいぶを がいゆっぐりにじでぐだざいぃいいいいい!!!」 れいむの土下座を見て、群れの ゆっくりたちは益々笑い出す。 同族殺しを行うような ゆっくりできない存在が飼いゆっくりになれるハズがないと考えているからだ。 『はぁ……期待した俺がやっぱりバカだったか。』 青年はれいむの犯行動機でまともな理由などないと思っていたが、やはりまともな理由ではなかった。 少しでも群れのゆっくりを同情させる動機であれば、なんとか説得するつもりであったが、 この動機ではどうあがいても無理である。 とはいえ、れいむを殺させるわけにはいかない。さなえの為にも、自分の為にも。 『はぁ……しょうがないな。いいよ。飼ってやるよ。』 「っどぼじでぞんなごどいのぉおおおおお!!?? きじょうしゅの れいぶを がっでぐだざいぃいいいい!!おでがいじばずぅううう!! がいゆっくりにならないど、れいぶは ごろざるんでずぅううううう!!!」 興奮しきっている れいむが勘違いをして叫ぶ。 『いや、だから飼うって。今から れいむは俺の飼いゆっくりだ。 だから、群れのゆっくりからは殺されない。安心しろ。あと、さなえも安心しろ。お前の姉は助けたから。』 「……ゆ?ぼ……ぼんどですがぁあああ!!??あ!!ああありがどうございばずぅううう!!!」 「お、おにぃざん……あ、ありがどうございばず。」 れいむと さなえは、涙を流しながら喜ぶ。 夢だった飼いゆっくりになれたことと、命が助かったこと、二つの意味でれいむは感激している。 「………」×たくさん れいむ・さなえ姉妹とは反対に、群れのゆっくりは言葉を失った。 『眼や足は後で治してやるからな。とりえず、これで傷を治せ。』 静かな ゆっくりたちを無視して、青年は れいむにオレンジジュースをかけ、治療を施す。 「ゆぅ………きもちいいよ………おれんじじゅーすさん……さすがかいゆっくりだよ……… ゆぅ…………あんっしんしたら……れいむ……ねむくなってきたよ……」 「よかったですね、おねーさん。もうだいっじょうぶですから、ねむってください。 おにーさん!ほんっとうにありがとうございます。」 さなえの頭を撫でた青年が、エコバックを取り出し、れいむを入れる。 『よし、それじゃぁれいむは俺が連れて帰る。いいな?』 青年が長ぱちゅりーを睨みながら言う。 「むっきゅ!?……………むきゅぅ………」 長ぱちゅりーが言葉をつまらせる。 れいむは連続殺ゆんの罪で、制裁しなければならない。 が、人間がれいむを保護してしまった。人間には逆らうことはできない。 れいむを制裁すべきという心と、人間には抵抗できないという理性で葛藤が生じる。 「に!にんげんさん!!そ!その れいむは ゆっくりできない ゆっくりなのぜ!! だから、かうのは おすすめ できないのぜ!!かうなら、ゆっくりしている まりさを かうべきなのぜ!!」 葛藤で動けない長ぱちゅりーの代わりに、群れの若いまりさが叫ぶ。 「そ!そうよ!!そんな ゆっくりしてない れいむよりも とかいはな ありすを かったほうが にんげんさんの ためよ!かんがえなおして!!」 「むきゅ!けんじゃである ぱちぇを かったほうが にんげんさんの やくにたつは! だからぱちぇを!!」 まりさにつられ、他のゆっくりたちが自分を飼ったほうがいいと叫び出す。 『いや、お前らを飼う気はないなら諦めろ。』 本来ならば れいむだって いらいないと考えている青年は冷たく言う。 「どぼじでぞんなごどいうのぉおおおお!!?? そんなげすより まりさ(・ぱちぇ・ありす)のほうがゆっくりじでるでしょぉおおおお!!!」×たくさん 全ての ゆっくりたちが声を揃えて叫ぶ。 ゲスである れいむより自分の方が ゆっくりしているハズだ。 にも関わらず、自分を飼いゆっくりにせずに、 ゲスである れいむを飼いゆっくりにするという青年の行動は彼女達の理解を越えている。 『いや、だって、俺は通常種に興味がないから。 優秀なお前らは俺以外の人間に飼われてくれ。じゃ、そういうことで。』 「…………」×たくさん 青年の素っ気ない発言に、群れの ゆっくりたちは言葉をなくした。 エコバックを持った青年がその場を立ち去る。 目を赤く腫らした さなえは、目を点にし黙っている ゆっくりたちに大きくお辞儀をしてから青年の後を追う。 ------ - ジー…ツクツクツク…ボーシ!ツクツクボーシ! 青年が立ち去った雑木林にツクツクボウシの鳴き声だけが鳴り響く。 「っど!!どぼじで ぞんなごどいうのぉおおおお!!! ぞんなの!つうっじょうしゅ だがら がいゆっぐりに なれないなんでぇえええ! ぞんなの!!ぞんなの ゆっぐりでぎないぃいいいいいいいいいいいいい!!!」×たくさん どれぐらいの時間がたっただろうか、長い時間をかけて、ゆっくりたちは状況を理解することができた。 ゲスよりも ゆっくりしている自分たちが、通常種だから飼いゆっくりになれないことを知り、ショックを受ける。 「おかしいのぜ!!さいっきょうの まりさは ゆっくりしているのぜ!! なんで さいっきょうの まりさが かいゆっくりになれなくて、あんな げすが かいゆっくりになれるのかぜ!? こんなの なにかの まちがいさんなのぜ!!」×たくさん 「あんな いなかものの げすよりも ありすのほうが ゆっくりしているのにぃいい!!」×たくさん 「むっきゅぅうう!!かしこい ぱちぇを えらばないなんでぇええ!!!」×たくさん 飼いゆっくりになりたいと常に願っている彼女達は、 自分よりも下の存在であるハズのゲスれいむが飼いゆっくりになれたことが悔しく、地団太を踏む。 「っゆっがぁあああ!!まりざぁあ!!おまえが じゃまなのぜぇえええ!!」×たくさん 「この いなかものぉおお!!いなかものの ありすの せいでぇぇええええ!!!!」×たくさん 「むっきゅぅうう!!けんじゃである ぱちぇが かいゆっくりなれないのは ぜんっぶ いつわりの けんじゃである ぱちゅりーの せいよぉおお!!」×たくさん 同種族内で罵り始める ゆっくりたち。 「っゆっがぁああああ!!まりさが いなげでばぁあああ!! せいっさいしてやるぅうう!!さいっきょの まりささまが、 さいっじゃくな まりさを せいっさいしてやるぅうう!!」×たくさん 「いなかものの ありすだななんて とかいはな ありすが せいっさいしてあげるわぁあああ!!!」×たくさん 「むきゅぅうう!!!いつわりの けんじゃは さっさと しになさい! しんの けんじゃである ぱちぇの めいっれいよぉおお!!」×たくさん 彼女達のストレスは頂点に達し、やがて罵り合いは殺し合いに変わった。 さなえとゲスれいむが飼いゆっくりなれたのは稀少種だからだ。 自分はゲスれいむは当然のこと、さなえよりも ゆっくりしている。 ゲスである れいむはともかく、 さなえよりも ゆっくりしているという根拠の無い自信をもっている ゆっくりたちはれいむの成功例を見て確信した。 稀少種になれば飼いゆっくりになれるということに。 青年は さなえのために れいむを救ったにすぎないのだが、彼女達はそのことを知らない。 ただ、れいむのように、同種属を全て殺せば稀少種になり、飼いゆっくりなれる。 誤った認識だが、思い込みの激しい ゆっくりである。 飼いゆっくりになるために、誤った方法を実行する。 それがどんなに ゆっくりできないことであろうとも、飼いゆっくりなれるという話は魅力的すぎるからだ。 ゲスである れいむに すらできたのだ。ゆっくりしている自分にできないハズがない。 彼女達はそう思い込み、殺し合いを続ける。 「っゆっぎゃぁぁぁあああ!!」×たくさん 「いっじゃぃいいいいいい!!」×たくさん 「やべ!やべどぉおおおお!!」たくさん 雑木林に ゆっくりたちの悲鳴がなり響く。 「っゆっぎゃぁああああああああ!!!も!もっど……っゆっぐりじだが……だ……」 やがて、まりさ種・ありす種・ぱちゅりー種がそれぞれ1匹づつになった。 「ゆばぁ~~ご!ごれで!!ごれで!!まりさは きしょうじゅなのっぜぇえええ!!」 「とかいばで、きじょうしゅな ありずは すぐに かいゆっぐりに なれるのよぉおおお!!」 「むっきゅぅうう!!まいにち まどうじょを よみふける ゆうがな かいゆっぐりらいふが はじまるわぁああ!!」 「ゆっぐりでぎる!!ゆっくじでぎる!!これで!!ごれでづいに!! づいにゆっくりでぎるよ!!!………………ゆっくりぃいいいい!!!」×3 勝ち残った3匹は、大量のゆっくりの死骸に囲まれた中で雄叫びをあげる。 長く辛い、永遠に続くと思っていた地域ゆっくりの生活から解放されると信じている 3匹は返り血(返り餡?)まみれで涙を流す。 『………おまえら……これは?』 そんな3匹の耳(?)に人間の声がはいってきた。 声の主は公園管理をしている市職員の男性であった。 「にんげんさん!!まりさは きしょうしゅなのぜ!かいゆっくりにするのぜ!!」 「にんげんさん!!ありすは きしょうしゅなのよ!かいゆっくりにしてね!!」 「にんげんさん!!ぱちぇ はきしょうしゅなのよ!かいゆっくりにしてね!!」 3匹は男性に向かって叫ぶ。 その顔は笑顔で、将来に対して何の不安もない顔である。 『………お前ら、何を言っているんだ?通常種だなんて、捨てるほどいるだろ?』 「ゆ?」×3 男性の言葉を聞いて、3匹の笑顔が泣き顔に変わる。 「なにを いってるのぜぇええ!!」 「とかいはな おめめで もっと よくみてぇえええ!!」 「このむれで ぱちぇは ぱちぇだけなのよぉおおおお!!」 「さいっじゃくな まりさは ぜんっぶ しんだのぜぇええ!!!」 「とかいはな ありすは ありすだけなのよぉおおお!!」 「ぱちぇは きしょうじゅでしょぉおおおお!!!」 泣きながら、3匹は叫んだ。同種属はもういない。だから、自分は稀少種だと。 『…………バカか。いや、悪い。ゆっくりだからバカだったな。 公園から出てみろ。ゆっくりだなんて、絶滅させたくてもできない程いるぞ。 そいつらはお前らと同じ通常種だ。』 「…………」×3 男性の言葉で、3匹が固まる。 『はぁ……公園の利用者から雑木林で ゆっくりの悲鳴が聞こえるって苦情で来てみれば…… お前ら、同族で無意味な殺し合いをしてたんだな。』 「どぼじでわかるのぉおおおお!!??」×3 『お前らの まわりの死骸を見れば分かるだろ。まぁ、いい。とりあえず、コレを喰え。甘いぞ。』 呆れ顔で男性は3匹の前に黄色い錠剤を置く。 「あまあまだぁあああ!!! むーしゃむーしゃ……ごっくん……しあわっせーー!!!」 人間から甘いものを直に貰うことは始めての経験である。 3匹は何も考えず欲望に忠実に錠剤を口内に納める。 「………ゆ?ゆっげぇえ……ぐ、ぐるじ…… っげっぼ!がっばぁ!!……あ……あんござんが……… げっぼ!っげっっぼ!!げっぼぉおおおおおおおおお!!!!」×3 笑顔の3匹は突然苦しみだし、餡子・カスタード・生クリームを吐き出す。 「っげっぼぉおおお!!!っげっぼぉおおおおお!!! っゆばぁああ……ど…どぼじで……げっぼぉおおお!!! ゆばぁ……ゆばぁ……ただゆっぐりじだい……だげなのに…… っげっぼぉおおお!!!も……もっどゆぐり……したか………た……」×3 3匹が食べた錠剤は、猛毒であるカプサイシンを飴でコーティングした毒餌である。 『はぁ……この群れは ゲスがいなくて割と上手くいっていたのにな…… れいむの数が極端に減っていたから特別に出産制限を解いたっていうのに、 同族で殺し合いやるだなんて ゆっくりって本当にわけが分からん。 ま、しょうがないか。ゆっくりだし。 どんな善良だって、ちょっとしたことでゲスになって勝手に滅ぶからな。』 男性が頭を掻きながら言う。 地域ゆっくりの群れにゲスが増えて利用者に迷惑をかけて駆除されたり、自滅することはよくあることである。 公園管理課の職員をしている男性にとって、地域ゆっくりの群れが滅ぶことは珍しいことではない。 『さっさと他の公園から地域ゆっくりをてきとうに連れてきて、掃除をさせないとな。』 他公園に暮らす地域ゆっくりの手配は面倒だが、仕事だ。 男性はブツブツ文句を言いながら、事務所に向かって歩き出す。 雑木林の中には、大量の ゆっくりの死骸だけが残った。 ------ あとがき 次回でラストの予定です。 過去作品 http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/3986.html
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公式サイト→お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ公式サイト 2012年10月 お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ Vol.1 [Blu-ray] posted with amazlet at 12.10.24 メディアファクトリー (2012-12-26) 売り上げランキング 150 Amazon.co.jp で詳細を見る ブログ #blogsearch2
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Hello. Welcome to my wiki. They are my friends. Kaguya is very nice boy.He likes Omanko ) He loves Taikono Tatsujin.I like it,too. He will play sex.He is playing masturbation. He plays masturbation everyday!!!!!!! Noa is very nice girl! She has very nice voice!I like it very much!! She is very cute!!! などなど、いろいろとみていってくださいw 帰月夜(かぐや) おまんこ大好きかぐや君です。 おまんこおまんこおまんこおまんこおまんこおまんこ 心愛(のあ) 優しい人だぜbb トップページの画像をかいてくれた 迅 おっぱーい 魁斗 最近いねーよアホ みはえる なんでいねーんだよ、喧嘩凸とかやめろよアホ。 月光音 あ、どーも。 巧海 たくみってチンコ何センチだっけ? ゆら 最近君なにしてんねん なす なすb ネロ ういすきーだったっけ。 ウミ WWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWW 名無し@ボイコット うへ 燎原さん頑張ってw -- 籲欏☈ (2011-12-21 19 01 46) 何をがんばるんだろうか… -- 籲欏☈ (2011-12-21 19 02 31) かな?ってwww -- 月光音 (2011-12-21 19 58 25) ・・・・^^;; -- なす (2011-12-21 21 02 24) あれれ?僕が入ってないぞ? -- 迅 (2011-12-22 14 17 35) 俺のしろとりがうつってるのはなぜだろうか。 -- かいと (2011-12-23 00 20 16) 文字黄色ww -- 心愛 (2011-12-23 00 30 41) なんで入ってないんだよ;w; -- ウミ (2011-12-23 20 15 09) 燎原ありがと! 燎原がとても優しい人です。 -- 心愛 (2011-12-27 01 28 52) 載せてくれてありがとう^^ボインコットのお出ましだよ~www -- 名無し@ボインコット (2012-01-07 18 31 50) いつもお世話になってまぁぁぁぁす -- こころあい (2012-01-07 18 33 04) ハリーポッター面白いぜw -- アリえっティ (2012-01-27 08 11 22) お・・・俺が・・・のってないだと!?!?!? -- 団子 (2012-02-06 22 22 22) 燎原sいれて~ -- キングツルリーナ3世 (2012-02-18 16 45 54) 燎原君いままでありがとう。 -- はる (2012-04-06 14 49 01) 燎原!いつもさんきゅー☆ -- みるきー (2012-04-07 08 14 58) ホント楡羅はいいこだったな。・・・・俺このごろあってるわ -- 橘 (2012-05-01 18 23 20) どしたん??? -- manami (2012-05-04 01 29 51) りょーげんさん復帰したっしょー?w -- 団子 (2012-05-04 02 29 11) だれかわかんないけど・・・ありがとねー -- みか (2012-05-07 21 52 54) K-POPまぢさいこー!!!!!!!!! -- さば (2012-05-07 21 54 25) ちびで、会話楽しい^ω^ -- 杏莉 (2012-05-25 23 09 31) どんだけ変態多いんだよ ぶっ殺すぞ!御前らみてーなksがちびちゃとにいると トリハダ がたってくるぜ -- 団子 (2012-05-27 10 16 35) 団子お前も変態だお(*´∀`*)自覚しろよ雑魚 -- 団子お前も変態だお (2012-07-02 00 46 35) 大ちゅき・・・?!?!?!?!?!? 大ちゅき♥ -- 心愛 (2012-07-18 17 55 24) 団子すまなかった!俺がこういう変な発言で団子の名をけがしてしまった! -- 暴風 (2012-07-29 13 54 11)
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大丈夫、私は一人じゃないし、いざとなったら店員さんだって動いてくれるはず。 愛理の手を引っ張って、ぐんぐん奥へ進んでいく。 「このっ・・・・・」 変態め!2人を解放しなさい!! ウサギ人間をにらみつけてそう叫ぼうとしたのだけれど、どうも様子がおかしい。 みぃたんとえりかちゃんのまん前に陣取るその人は、腕組み足組みふんぞりかえって、威圧感と貫禄はかなりのものだった。 でも、超華奢。 どう考えても大人の体つきじゃない。っていうか、 「舞ちゃんじゃん!」 「ぶははははははははは」」 もう耐え切れんとばかりに、みぃたんとえりかちゃんがテーブルを叩いて笑い出した。 「なっきぃ反応よすぎ!ねえねえ何で“このっ”って言ったの?何で何で?」 「“このウサギ野郎!”って言おうとしたの?あっはっはっは!」 くっ・・・! 年長者2人がかりの言葉責めに、顔が真っ赤になる。 いったん顔を上げた二人は、私のみかん星人Tシャツを見てさらに吹き出した。 「みかんー!」 背後で愛理が耐え切れずに「ケッケッケ」と笑い出す声が聞こえた。 うさぎ舞ちゃんの細い肩もカタカタ震えている。 ヒドいケロ!とんだドSグループだ! 「もーなっきぃはやっぱり最高だね。おいで。」 涙を流しながら、みぃたんは私の腰を抱いて横に座らせてくれた。 「本当なっきぃはかわいいなあ。」 「ちょ、ちょっとそんなことより、何でうさぎ?」 私の質問に答えるように、舞ちゃんがおもむろにうさぎの首を取った。 たっぷり笑ったから、機嫌はかなりいいみたいだ。はにかんだ顔が可愛い。 「・・・なんか、目立つかなと思って。」 「いや、目立つけど誰だかわかんないよ。」 好きな歴史上の人物は徳川家康。モノマネもできます。 好きな言葉は一石二鳥。でも使い方はちょっと変。 舞ちゃんはしっかりものだけど、やっぱりどこか天然で変わった子だった。 「・・・じゃあ、全員揃ったところで。」 えりかちゃんはお誕生日席に移動して、私のみかん星人と目が合わないように若干上を見ながら、話を始めた。 「多分みんな気づいてると思うけど、今日は栞菜と千聖の件で集まってもらいました。」 わかっていたこととはいえ、みんな昨日のあの光景を思い出したのか、一気に緊張が走った。 「ウチはあの後栞菜を送っていったんだけど、かなり落ち込んでたのね。本当にひどい状態だった。だから、すぐ助けてあげなきゃって思って。」 「、ちっさーも同じ。泣けなくなっちゃうぐらいすごいショック受けてた。それで、えりと相談して、今日この場を設けたの。」 「・・・・なんで、2人はあんな風になったの?」 えりかちゃんたちの報告を聞いて、舞ちゃんが静かに問いかけた。 「それは・・・ごめん、私が勝手に言っていいことじゃないから。ちゃんと仲直りできたら、舞にも直接話がいくと思う。もうちょっと待ってて。 でも、これだけは言っておくけど、どっちか一人が悪くてああなったんじゃないの。 多分気持ちのすれ違いと誤解がたくさん積もっちゃっただけなんだ。 あとね、できるだけ舞と愛理となっきぃには中立でいてほしい。 正直、私はちっさーからいっぱい話を聞いたから、きっとこの件に関してはちっさー寄りの考えになっちゃうと思うのね。」 「そうそう。ウチは逆に栞菜とずっといたから、今は特に栞菜の気持ちが心配でたまらない。」 「・・・・要は、ニュートラルでいてってことだね。」 愛理がつぶやくと、2人は5秒遅れて「ニュー・・そ、そ、そうそう。・・・多分。」と言った。 舞ちゃんもしばらく考え込んでから、小さなうなずきとともに「わかった。」と短く返事をした。 「なっきぃも了解。」 本当は詳しい話が聞きたくてたまらなかった。 あんなにも当事者2人が傷つき果てた事件を、このままうわべだけ知って素通りなんてできるはずがない。 でも、みぃたんたちがそう言うなら待ってみようと思った。 今は先入観なしで、2人の手助けをしてあげるべきなんだ。 「で、具体的に何を?」 「うーん、まあ何をするってわけでもないんだけどさ、ここで2人を見守ってあげて。」 見守る? 「今からウチは栞菜の家に行って、栞菜をつれてここに戻ってくるから。千聖にはもう連絡してあって、もう一時間もしないでここに来ると思う。 ウチらが変に口出しするんじゃなくて、2人でとことん話し合ってほしいから、みんなは本当に緊急の時だけ手を差し伸べて。」 「わかった。」 「お店の人には、サプライズを仕掛けたい子がいるから、私たちの姿が見えづらい席に案内してって頼んであるから。」 さすがお姉さんコンビ。ぬかりないな。 「じゃあ千聖が来るまで、何か適当にオーダー・・・・・おっと」 テーブルの上に出しっぱなしになっていた、えりかちゃんのケータイが光った。 「やっばい、千聖だ。・・・もしもし?」 えりかちゃんは声をひそめて電話に出た。 いつもならマナー違反!とたしなめるところだけれど、正直、会話の内容が気になる。 「えっあと1駅?ウチまだなんだよ。・・・・うん、ごめん。待ってて。」 どうやらもうすぐ着いてしまうらしい。 ちょっとあわてているえりかちゃんを観察しながら、お冷に入っていた氷をごりごりとかじった。 二言三言交わした後、えりかちゃんはおもむろに口元を手で覆って、ニヤニヤしながら電話を切った。 ぶはっ 私の口から飛び出た氷が、愛理のおでこにゴチンとぶつかった。 「なっきぃ何やってんの!?」 「え、え、え、えりかちゃん・・・・・!」 幸か不幸か、私はかなり耳が良い。口を隠したって、斜め横の人の声ぐらいなら拾えてしまう。 えりかちゃんはエロカの顔になりながら、こんなことを言っていた。 「待たせちゃうけどごめんね、お詫びに今度すごいのしてあげるからね、千聖。トロントロンにしてあげる。」 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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anko1659 越冬のススメの特番です。 「ごめんねえぇ! ドスがすっきりーしちゃったせいで、みんなおちびちゃんができてごめんねえぇぇ!」 「……ごべんね! ドスはいなかものだよね! でもがまんしてね、ありす!」 「れいむ! そこのれいむとれいむとれいむとでいぶとれいむも! おちびちゃんがかわいいからって、 "しょくりょうこ"のごはんさんをかってに食べさせちゃだめだよ!」 「ゆ……! なにしてるのまりさ、おちびちゃんたべちゃだめでしょおおお!?」 「――むりだよぱちゅりー! ドスもあんよがかちんこちんで、うごけないんだよ!」 「ゆう……みんながしずかになってくれないなら、仕方ないよ。 "ゆっくりオーラ"!」 「ゆ……あとキノコさんが二つしかないんだよ……」 「……"ゆっくりオーラ"! そろそろあたたかくなってきたよ!」 「……"ゆっくりオーラ"! ゆんしょ! ……どぼじでドスのあんよさんうごかないのおぉぉ?」 「ゆ……みんな、ゆっくりしていってね! あとちょっとで冬さんがおわるからね。ちぇんもわかってねー!」 「――やめてね! ドスの顔を食べないでね! みょんはドスのべろさん切ったらだめだちーんぽ! "ふのうまらぺにす"? ちがうよ、"ばいあぐらっ!"だよ。みんなゆっくり……ゆっくりいっ!」 「ゆっぐり、ゆっぐじ、ゆっぐじ……ゆっぐじじでええええぇ!」 「――もっと……ゆっくり……してほしかった……」 ~ゆーぶつ奇想天外 春のとくっばんっ!編~ ■1 あのドスは今? 皆さん、このどこかぶにょぶにょとした岩肌を覚えて居られるでしょうか? そう! 洞窟の入口を我が身で塞ぎ、群れの暖かな『越冬』にその身を捧げたドスですね。 既にゆっくりステルスの効果も切れたのか、饅頭肌を春の陽気に晒しています。 皆さんにも聞こえませんか? ドスの饅頭皮の中で蠢く、さわやかな命の気配が。 決定的瞬間まであと三秒! 3、2、1――。 ぼこぉ! 「はるさんがきたよ! ……ドスはどこにいったのお!?」 ドスの亡骸を食い破って、洞窟の中から先ず顔を出したのはゆっくりまりさ。 自分たちがドスをむーしゃむーしゃした事なんて、二日で忘れてしまったようです。 ドスのあんよをコンクリで固めたカメラマンさんは、後で呼び出しですよ。 一応これ、ドキュメンタリー番組ですから。 「ゆゆ! おいしそうなおはなさんがたーくさんだよ!」 「ほんとう、とかいはなおはなさんね。とかいはなありすのあさごはんさんにふさわしいわ!」 「むきゅ、ぱちゅはゆっくりたんぽぽさんをむーしゃむーしゃしたいわね」 長く苦しい冬ごもりを終えたゆっくり達は、三々五々に春の恵みを貪りに散りました。 れいむ種のみなさんは先ず、惰眠を貪りはじめたようです。流石です。 「むーしゃむーしゃ……げろまずううう!?」 「なんなの、このいなかものなあじは?」 「こんなのたべられないわ! えれえれえれ……」 が勿論、一冬ドスを食べ続けたようなゆっくりの舌が、苦い草や虫を受け付けるわけもありませんね。 「ゆぅ……だめなんだぜ。あまあまじゃないと、むーしゃむーしゃができないのぜ」 「でも、あまあまはあんまりはえてこないんだねー。わかるよー。……わかりたくないよー!」 「いーんぽ!」 段々と自分たちの置かれた現実に、ゆっくりできなくなってくるまりさたち。 状況の分かっていないのは、速攻で寝に入ったれいむたちくらいのものです。 「ゆ……? まりさもちぇんもさわがしいね! れいむがゆっくりすーやすーやできないでしょ!? れいむはこれからおちびちゃんとおうたをうたわなきゃいけないんだよ! たいへんなんだよ? それもわからないの? ばかなの? しぬの?」 空気の読めないれいむの言葉が、群れの注目を集めます。 「なになのまりさ。……ゆふふ、さてはれいむにみとれてるんだね! かわいくってごめんね! れいむの"び"でゆっくりできたら、ゆっくりあまあまもってきてね。たくさんでいいよ!」 「あまあまは……そこにあるのぜ」 「ゆゆ――!? あまあま!」 いいえ、正確にはまりさの視線は、れいむのふてぶてしい唇についた、黒い餡子に注がれていました。 ふらふらとれいむに近寄ったまりさが、ドスの残骸をぺーろぺーろします。 「ゆふぅん……まりさせっきょくてきっ! だよう。はずかし――『かりっ』――ゆっ! いきなりかむなんて、まりさはげしすぎ――『ばつん』――ゆぎゃああああっ!」 「あまあま……あまあま……れいむが、あまあま……」 まりさは一口一口、中身を確かめるようにれいむをついばみはじめました。 見れば、群れのゆっくり達がそれぞれ、寝ているれいむや体の弱いぱちゅりーに群がっていますね。 「れいむのなかみはあんこさんなんだねー。ぱちゅりーはくりーむさんなんだねー。わかるよー!」 「やめて。ぱちゅのくりーむさんをすわないでぇ!」 「やりチン! やりまむ! めんくい!」 「みんな、どうしたの! ゆっくりをたべるのはとかいはじゃないわよ!?」 今や群れ中が食べるものと食べられるものに別れています。 ぽつんと中立の立場にいるありすの動きに注目して置いて下さい。 これが、『越冬』の食糧不足を『共食い』によって乗り越えたゆっくり達の末路なのです。 "おたべなさい"をしていないゆっくりを食べると、その過剰な甘さによってゆっくりの味覚は 致命的な打撃を受けてしまい、自然界の食物に順応出来なくなってしまうのですね。 『共食い』をしてしまった群れの九割は、こうして周りに影響することもなく、 自滅への道を辿って全滅してしまいます。 では、残りの一割はどうなるのでしょうか? 先程のありすに、なにやら変化が起きてきましたよ。 「みんな、ゆっくりできないいなかものよ。ゆっくり……ゆっくり……。 ゆん……ん……んほおおおおおぉぉぉぉっ!」 「れ、れいぱーだああぁぁぁ!」 ご覧下さい。ゆっくり出来なさに耐えかねて、ありすがれいぱーと化してしまいました。 全身から卑猥な粘液を吹き出しつつ、手近なゆっくりをれいぽぅしてゆきます。 「ゆべええぇぇっ! ぎぼじわるいいいぃぃ!」 「んほおおおおぉぉぉぉっ!」 まさに阿鼻叫喚の地獄絵図。 あ、カメラマンさんは、あまりれいぱーを接写しないで下さいね。主に全体がきもいので。 「「すっきりー!」」 はい、最初の犠牲となったまりさの額から、にょきにょきと茎が伸びてきました。 こうして生まれたれいぱーが、都会派な愛を他の群れにまで伝染させて行くのです。 『越冬』は、れいぱーを生み出す遠因でもあったわけですね。 うららかな春の季節は、ゆっくりにとってもすっきりーと子育ての季節。 今回は、『越冬』を終えたゆっくり達の様子を、特集して参ります! ■2 あの家族は今? 皆さん、この巣穴を覚えてらっしゃいますか? 記憶力の良い方は、まるで昨日見たように 感じてらっしゃるかもしれません。 そう、『越冬』に備えて十分な食料をため込んだにもかかわらず、すっきりーの誘惑に勝てずに ゆっくりスパイラルの死亡フラグを打ち立てた、あの家族のゆっくりぷれいすです。 小型カメラが、ゆっくりと巣穴の奧まで侵入して行きます。 でぶん。 ……皆さん。今のが、ゆっくりの存在感が放つ効果音だと信じられるでしょうか? 「ゆふふ……でいぶのために、はるざんがきたよっ!」 でいぶです! 巣の中に、でいぶが居ます! カメラが今、巣穴の奧に転がるお飾りを確認しています。 放送局の金バッジまりさが判別した所によりますとこのでいぶ、つぶらな瞳と無邪気な言動で テレビの前のお兄さん達をびきぃっ! させてくれた、あの赤れいみゅだとのこと。 巣の中に蓄えられたごはんさん。"おたべなさい"でその身を捧げてくれた両親の餡子。 何もせずとも与えられた豊富な食料が、一冬の間に、まんまるピンポン球の赤れいみゅを、 うねくるナスビ型のでいぶへと育て上げたのでしょう。 え……姉妹ゆっくりが居たはず? 姉妹は犠牲になったのです。でいぶの犠牲に。 「ゆん。すっきりーをしたくなってきたよ!」 しかしでいぶとはいえ、春になればすっきりーの誘惑には抗いがたいことでしょう。 この肥満体でどうやってつがいを探すのか、気になる所です。 「だから、だれかでいぶにびゆっくりをつれてきてね! まりさでいいよ!」 受身でしたっ! 「それからくしょどれいはあまあまももってきてね、たくさんでいいよ!」 一体誰に向って物を言っているのか!? いや本当に。 「ゆ……だれかゆっくりしたでいぶのどれいになりたいゆっくりはいないの?」 居るわけがない! 「ゆっくりしないすぐでてきていいよ! ……どぼじでだれもいないのおおおっ!?」 でいぶがたべたからですっ! とまあ、独り言はさておいても反応がないのはあたりまえ。そもそも入口の"けっかいっ"が 閉ざされたままになっているので、でいぶの声は外のゆっくりに認識されないのです。 「だれがへんじをじろおおおおおおぉぉぉっ! くそどれいいいいっ!」 ええ、ここで。そびえ立つ糞の如きでいぶの無残な様子に、カメラマンさんがドキュメンタリーの 枠を飛び越えた保護運動をはじめたので、このコーナーを終了させて頂きます。 なお、番組終了後のプレゼントコーナーにて、クイズに正解された視聴者の方から抽選で 一名の方に、保護したこのでいぶをプレゼント致します。 どうか番組を最後までお楽しみ下さい! それではCMに引き続き ゆーぶつ奇想天外 をどうぞ! ■3 ↓↓↓ ここからCM ↓↓↓ 「私の毎朝は、ほくほくのチョココロネから始まります。あまあまだね!」 「うんうん、わかるよー」 中身操作を一切行わず、ちぇん種をコロネ状に加工して焼き上げる新技術! ちぇんがいつもより余計に捻れております。 「わきゃらないよおおおおっ!」 TOSHIAKI 春の餡祭開催中! ↑↑↑ ここまでCM ↑↑↑ ■4 シリーズ特集"ゆー効利用7" ~学校でもゆっくりできるね!~ 春と言えば新学期。 近年、ゆっくりを教育現場でも利用しようという動きが活発化しているのをご存じでしょうか? というわけでシリーズ特集"ゆー効利用"、今回は町内にある小学校までお邪魔しています。 この学校、なんとカメラマンさんの母校でもあるんですね。 この小学校、九年ほど前にドスまりさが授業中の校舎内に侵入し、体育館を全壊させた事件で 全国的に知られています。その被害を重く見た行政が、ゆっくり対策課を発足させました。 そのドスをカメラに収めたのが、カメラマンさんが今の仕事を志す切っ掛けだとか。 公共施設にゆっくりを持ち込むと言うことで、ゆっくり対策課が来るようになっていますが、 姿が見えませんね。あちらの上級生に伺ってみましょうか。 こんにちは。 「こんにちは、ゆっくり対策課駆除班です」 おっと、小学生かと思いきや、この方がゆっくり対策課のお姉さんだったようです。 ずいぶん小さいので分かりませんでしたよ。 「うふふ、よく言われますね」 素晴らしい笑顔で挨拶して頂きました。相棒の金バッジふらんちゃんも、とっても可愛いです。 ……カメラマンさん、青い顔をして今日はやけに大人しいですね? お姉さんは、ゆっくり対策課の、駆除班に居るという事ですが。 「ええ、主にゴミの様なゆっくりと、ゆっくりの様なゴミカスの処理を仕事にしています」 ははぁ。小さい体で町のお掃除がかりというわけですね! ……カメラマンさん? そんなに震えて風邪ですか? それでは、ゆっくりを教材として利用する様子を見せていただきたいのですが。 「はい、授業の内容は……性教育です」 六年一組の教室にやってまいりました。 対策課のお姉さんが、小学生男子の前でまりさとれいむを発情させつつ、『ぺにぺにが』、 『まむまむが』と果敢な羞恥プレイの様子を全国のお茶の間に届けています。 20%ぐらいは余裕で行きそうです。 「ぺにぺにをまむまむに挿入して、"すっきりー"を行わせます」 「「すっきりー!」」 「おやぁ? れいむの額から茎が生えてきましたよ。みんな、これが何だか分かるかなー? ――そう! ゆっくりの子供、おちびちゃんです。人間の赤ちゃんも、ここまで簡単じゃ ないけれど、同じようにして出来るんだよー」 「ゆふふ……れいむのおちびちゃんかわいいよー」 「望まれない子供は中絶されることもあるから、みんなが将来、好きな女の子とすっきりーを する時には気をつけてね!」 ぶちぃっ! 「れいむのがわいいおぢびじゃんがああーー!」 「ほっ……。せきにんをとらずにすんだのぜ……」 れいむに実った茎を笑顔で引っこ抜いたお姉さん。 「でもね、考え無しのすっきりーで起きる大変なことは、望まれない子供だけじゃないの」 今度は、おもむろに取り出した見るからに毒々しい緑色の薬剤を、れいむのあんよに注射しています。 「ゆ……れいむのあんよがむずむずするよ! なにかへんだよ!」 「れいむ――! もういっかいすっきりーしたいのぜ!」 「まってまりさ! ゆん――ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ……"すっきりー"!」 「今れいむに注射したのは、感染力の強い"ゆカビ"なんだけどね――」 おや? すっきりーしたまりさとれいむの様子が、なんだかおかしいですよ。 「ま……まりさ、なんだかおかしいよ。お――おちびちゃん!」 「ゆええぇ。おちびちゃんがカビさんだらけなのぜ……」 れいむの額から真緑の茎が弱々しく生えたかと思うと、赤ゆを実らせることもなく しおれてしまいましたねえ。 「ゆわああ! れいむのあんよにもカビさんがはえてるよ! ぺーろぺーろ……とれてね! カビさんゆっくりいなくなってね! ぺーろぺーろ……」 「ゆぅ……れいむがカビさんだらけになっていくのぜ。こわいのぜ。……ゆ? どうしてまりさにもカビさん生えてくるのぜええええっ!?」 「こんな風に、すっきりーを通してお互いに病気を感染させてしまったりするの」 ご覧下さい、れいむとまりさが、あんよの方から緑色のカビに覆われて行くではありませんか。 「だからすっきりーは、安心できる相手とだけ、おちびちゃんの事を考えながらするように。 良い? お姉さんとの約束よ?」 「はーい!」 「「ねぎぃっ!」」 教室に集まった男の子達が手を上げると同時に、まりさとれいむが崩れ去りましたよ。 動いて増えるお饅頭を通して、命の大切さとすっきりーのマナーを学んで行く。 これが、ゆっくりのゆー効利用という物なんですね。 「それじゃあ、次はありすを使ってコンドームの意味を学習するけれど、 その前に皆からの質問はあるかなー?」 「はーい! お姉さんは、男の人とすっきりーしたことあるんですかっ?」 「…………」 お姉さんの顔真っ赤です。25%行けそうです。 ……カメラマンさん、何故帰ろうとしてるんですか? さあ、お姉さんの返答や如何に――とここで、教室に血相を変えた校長先生が乱入してきました。 なにやら凄い形相で、にっこり笑う対策課のお姉さんと話し込んでいます。 え……中止? 授業中止ですか校長先生? 彼女が来るとは思わなかった? ははぁ、お姉さんもこの小学校の卒業生だったんですね。大丈夫、数字は取れます! ……はいはい、また体育館が壊される? "また"って何ですか校長先生? 校長先生――!? …………はい、カメラマンさんと校長先生が仲良く逃げ出してしまったので、 今回のシリーズ特集"ゆー有効利用"はここで終了させていただきます。 おっと、何か寒気が。 お姉さん、目が怖いですよお姉さん。 ■5 お兄さん宅でもすっきりー 「なにやってるんでしょうか……先輩は」 「いやあ……お姉さん、相当無理して猫を被っていたね」 「「すっきりー!」」 お兄さんはため息を一つ、知り合いの顔を映していたテレビを消した。 野良ゆっくりの額に生えてきた茎の先端を、おもむろに取り出したタイバンドで縛る。 親ゆっくりの体内に残留した有毒物質は、先端に集中するためだ。 「ュ……」 親ゆから餡子が届かず、毒物のみをため込んだ先端の実ゆは、れいむかまりさかの区別も 着かないままに、黒くしおれて落ちた。長女ゆっくり、生前に死亡。 「れいむのおちびちゃんが! むぎゅ……。むうう――! …………!!」 「よっこらしょ」 悲嘆に暮れる親れいむのあにゃると口を塞いで、上から全体重を掛けると、 行き場を無くした体内の餡子が一斉に、茎を通して残った実ゆへと殺到してゆく。 頬をぱんぱんに膨らませた親れいむの目は血管もない癖に血走っていて、主に全体がきもい。 「ゆ……ゆゆゆゆゆゆっ!」 「……!? ――……!! ……!」 大量流入する餡子の量に饅頭皮の伸びが追いつかず、生まれる前からこの世の物とは思えない 苦痛を味わう羽目になった実ゆは、びりびりと肌が裂けつつ、茎からぽとりとお盆の上に落ちた。 「はい、Aさん。破れ饅頭です」 「おお、有り難う有り難う。相変わらず流れるような饅頭作り、結構なお手前だね」 「恐れ入ります」 加工所職員のAさんは、苦悶の表情を全体に浮かべる破れ赤れいむを口に運ぶ。 まったりとして癖のない甘味、薄皮の舌触りもしつこくなく、中枢餡をかみつぶした瞬間の 「もっちょ、ゆっくちしたかっちゃ」という断末魔も淀みない。 「やっぱりさあ、その技を腐らせとくのは勿っ体っないっ! と思うんだよね。 今からでも遅くないから加工所に来ない? 対策課の3倍……いや、5倍出すよ? 新しい加工所は飼いゆっくり用の部署だからさ、お兄さんも気に入ると思うんだけど?」 「それはとても魅力的ですね」 「そうでしょ?」 「……」 「……」 沈黙が応えだった。Aさんとお兄さんは、無言で新鮮な赤ゆっくりを飲み込んだ。 お兄さんがお茶を淹れ直す間に、Aさんが赤ゆの実っていた茎を等分に切って行く。 「そっかあ、やっぱりお兄さんは、あのお姉さんにイカレちゃってるかあ。勿っ体っないなあ」 「そんなのではありません」 「この山から離れたくないって事か。確かに、お兄さんがここを離れたら、あの腐れ町長が 何してくるか、分かったものじゃないしね」 「……もう少し食べませんか?」 「頂こう」 お兄さんは静かに立ち上がると、あんよを焼いたまりさとれいむを小刻みに揺らしはじめた。 「も……もうやべでえ! あやばりばず! ごべんなざい! ここはおにいざんのおうちです!」 「おちびじゃんをだべないでくだざい! あやばりばずがらあああっ!」 「はいはい、鳴き声鳴き声」 春は恵みの季節。すっきりーの季節。 人間達にとっても、往来を闊歩する甘味に不足することはない、あまあまの季節であった。 気をつけるべきはただ一つ、野良ゆっくりを食べる時の加工法だけである。 「「すすすすっきりー!」」 終わり。 としあきがたくさんコールするから、とくばんさんがはえてきちゃったでしょおおおぉ!? なまえがキャンセルあきになったよ。 としあきのみんなせきにんとって、ちゃんとおぼえてかえってね! なまえだけでいいよ! 過去作品 anko1659 越冬のススメ anko1521 その台詞は言わせない3 anko1508 その台詞は言わせない2 anko1481 その台詞は言わせない
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『望みは叶ったはず』 30KB 虐待 野良ゆ 現代 もっと早く書けるようになりたいものです 望みは叶ったはず 「にんげんさんんんんっ! おねがいですううううっ! おちびちゃんおおおおおおっ! れいむのおちびちゃ んをたすけてえええええっ!」 月のない夜、と言い切ってしまうにはまだためらわれる宵闇の頃だった。思い出したかのようにポツンポツン と灯る街灯。コンビニ袋をぶら下げた帰り道の、まさにその街灯の光の下で、野良れいむは俺を認めるなり大声 で助けを求めてきた。 髪も体も全体的に薄汚れて…いや、汚れていて、赤かったはずのリボンは乾いた血反吐の跡のような汚れた赤 褐色。鉤裂きだらけのフリルに至っては元の色が白だと知らなければ、元からそういう泥水色なのだと納得せざ るをえないほどだ。 ただでさえ土埃と泥汚れにまみれた体の、右の目の下あたりからほっぺた全体には何だかよく分からない油染 みがべっとりこびりつき、砂利道にできた水たまりに10万キロ走った車のエンジンオイルをこぼしてかき混ぜ たみたいな、不快な色とテカり方をしている。陰になって見えないが、おそらく尻はろくにふき取れていない排 泄物がこびりついて、夢精した翌朝の中学生のパンツの中よろしくデロデロのガビガビになっているのだろう。 髪はさらにひどい。美容師が悪意を持って失敗したドレッドヘアのケツ毛さながらに泥と油で束になってゴワ ゴワと固まり、脂性の中年男のスダレハゲのごとく異様な臭いとギラつきを放っている。左のもみあげを束ねて いたはずのフリルは破れてほどけ、どうやったのか引き延ばしたチューインガムでぐるぐる巻きにしてあった。 それはもう汚い汚い、野良のレベルで見てもあきれるほど汚い、ありふれた野良ゆっくりだった。そいつが涙 を流しヨダレを跳ばし、全身から汗とも鼻汁ともつかない気持ちの悪い汁を流しながらにじりよってくる。 そのナリを見るに、鈍くさく要領悪く、だが幸か不幸か駆除されることもなく今まで生きて…死なないままで やってこれたのだろう。だがその幸運だか不運だか悪運だかは、ようやく『品切れ、再販予定なし』の札を掲げ たと見える。 れいむがその汚い頭の上にのせている仔ゆっくりは、野良の仔ゆっくりとしては髪もそれなりに整い、体もま あほどほどに白く、お飾りも目立った染みや汚れもなく整えられて…いたのだろう。 見開いた目は黒目がまぶたの裏に隠れるほど裏返り、眼球の下側には何本もの細い餡子の筋が干からびたイト ミミズのごとく浮いている。アヘ顔ダブルピースの目玉と言えば分かりやすいだろうか。引き攣ったようにいび つな形にゆがんだ口からは、ひび割れ欠けるほど食いしばった歯列がのぞき、すすり上げることすらできないま まヨダレが垂れ流しになっていた。ときおり小さく痙攣するように身震いしては、食いしばった歯の隙間から 「ゆっ」なのか「ぎゅ」なのか「ぢゅ」なのか何とも表記のしようのない声を漏らしている。 非ゆっくり症の末期症状だ。おそらく朝を迎えることはないだろう。 れいむの姿を見るに、おそらくは水場の確保すらろくにできてはいないのだろう。それなのに仔ゆっくりの身 なりが野良としては珍しいほどにまだマシなのは、このれいむが仔ゆっくりを存分に甘やかしていた証拠に他な らない。体表に付着したホコリ、ゴミ、泥汚れ、食い散らかした食べかすに、ところかまわずひり出される排泄 物。それらのすべてを、このれいむは舐めとっていたはずだ。 そうでなければこの仔ゆっくりが、今はややしなびてはいるものの、まだまともなナリをしていられるわけが ない。 現に今、仔ゆっくりがあごの下あたりから垂れ流しはじめた薄黄色の液体が、れいむの脂ぎった前髪を濡らし て顔面に滴り落ち、涙と混じり合いながら細い筋を作って口腔に流れ込んでも、特に気にする様子は見られない。 「れいむはあああ! れいむはだめなおかあさんですううううっ! おちびちゃんをゆっくりさせてあげられな くてえええええ! おちびちゃんがゆっくりできなくなってええええええ! ゆっくりしてたのにいいいいいい っ! みんなみんなしあわせいっぱいでゆっくりしてたのにいいいいいいっ!」 野良ゆっくりの分際でゆっくりが希求するレベルのゆっくりをやっていたら遅かれ早かれそのゆっくりはゆっ くりできなくなるだろうよ。などとゆっくりがゲシュタルト崩壊しかねない愚考がチラリと浮かぶ。 その言とそのナリから想像するに、番を失ったのだろう。番を失ってからまだ日は浅いはずだ。仔ゆっくりが 干し柿よろしくしなびきっているわけではないことから、それはおそらく間違いない。で、日が浅いにもかかわ らず既に非ゆっくり症の末期症状を呈していることから分かるのは、番は相当程度に優秀で、れいむも仔も文句 なくゆっくりできていたということ。このれいむは紛う事なき母性特化型生活無能力種であること。仔ゆっくり もそれに乗っかった無制限増長怠惰型泣きわめく専門種であろう、ということ。 何らかの理由で番を失い日々の食餌に困窮したれいむ種という生活能力のないゆっくりの終着としては、珍し くも何ともないじつにありふれた詰み方だ。 「おとなりのぱちゅりーはあきらめろってっ! おちびちゃんはこんなにかわいいのにっ! そんなのできるわ けないよおおおおっ! なのにっ! なのにもうなんとかできるのはにんげんさんしかいないからむりだって! だからにんげんさんになんとかしてもらうしかないのおおおおっ! たすけてよおおおおおっ! れいむのお ちびちゃんをたすけてえええええっ! こんなにおねがいしてるのにどうしてだれもたすけてくれないのおおお おおおっ!」 こんな、夏休みのあいだじゅうボウフラのわく防火バケツに突っ込まれていた雑巾の方がまだましなレベル、 の汚い野良ゆっくりを助けようという酔狂を起こす人間はいないだろう。というか、いなかったのだろう。さら に言えば、その饅頭皮をこすりつけられた靴が微速度撮影でも見るようにみるみる腐り落ちてゆく幻影すら見か ねない汚い野良ゆっくり、を潰そうという奇特な人物もまた、いなかったのだろう。 言うまでもなく俺もその一人である。本来ならば。 時間がすでに宵闇の迫る時間であり、普通のゆっくりならば同じ状況であっても巣に戻って悲劇のヒロインぶ りながらゆんゆん泣いているのが関の山であるはずの時間にもかかわらず、このれいむは必死に仔の命乞いをし ていること。 れいむが自身の身繕いを放棄してまで身綺麗にしてやっていた仔ゆっくりが、れいむではなくまりさであるこ と。 ちょっとしたいたずらを思いついたこと。 その三つが揃わなかったのならば、もろともに側溝に蹴りこんであらゆる意味で終わらせていただろう。 「ゆっ…ゆっくりもういちどせつめいしてほしいよ」 「何度でも説明してやるが、お前の大事なこのチビはお前が説明を聞いているあいだに死ぬかもな。それが嫌な らそろそろ理解して覚悟しろ。いいか…」 「だって、だってそんなのゆっくりできないいいいいっ!」 「説明が欲しいなら黙って聞けこの阿呆」 近くの市民公園の噴水のそばに来ている。 ガキを助けて欲しいのか、と。そのためなら何でもするか、と。俺の問いに対するこのれいむの返答はむろん 然りだった。小賢しくも、れいむにできることならなんでもするよ、という限定条件を付けてきたこのゆっくり に、お前にしかできないことだと俺は請け負ってやった。 この公園は街の中にあるが、植樹が多く野鳥も多い。どこから移住したのか不明だが、シマリスやモモンガが 営巣しているという話も聞く。 一般に、噴水と聞いてまず思い浮かべる形状はおそらく、巨大なコンクリートの子供用プールの真ん中から水 が噴き出す、というものだろう。だが、小動物が水場として利用できるように、ここの噴水は一般的なイメージ の噴水とは少し異なっている。 周囲の石畳からごく低い段差で階段状に下って低まったところに、直径10メートルはあろうかという大きさ で丸くコンクリートが敷設されている。その上を中央部分から湧き出して外周へと静かに流れる水は、せいぜい 水深1センチといったところ。一定時間ごとに中央の円錐状のオブジェから噴き出すのは水柱ではなく、スノー マシンのような濃密なミストだ。 周囲に柵に類するものはなにもなく、立ち入りは自由。というか真夏には公園内屈指の人気スポットである。 もっとも、今は時間的にも季節的にも水遊びには少々厳しい頃合いで、この人っ子一人いない状況は俺にとっ ては好都合だ。 噴水の外周部に腰を下ろし、仔まりさを足の間に置く。れいむがトチ狂って取り返そうとしても、その瞬間に 踏みつぶせる位置だ。 もっとも、水際にいるれいむの注意はもっぱら目の前に注がれているが。 相変わらずゆっぐゆっぐとしゃくりあげながら、水の中に無い足を踏み出そうとしてはためらい、また踏みだ そうとしては後ずさる。まったくもってらちがあかない。 「もう一度言うぞ。お前のガキを助けて欲しいなら、お前しかできないことをやって見せろ。それを見届けたら ガキを治す。 ただし、お前は助けてと言ってはならない。死にたくないと言ってはならない。生きていたいとか死ぬのは嫌 とかもだめだ。おたべなさいもするな。 お前はその水に入って、死ぬまでそこにいろ。お前が死んだら、ガキは助かる」 「ゆあああああああああああ! ゆっぐりでぎないいいいいいい!」 「なに言ってんだお前」 自分にできることなら何でもするというこの母れいむへの要求は、我が子のために自ら死ねというシンプルな ものだ。 我が子のために死ぬのは、今のこのみすぼらしく汚れて無力なゆっくりにできる最大のものだろう。そしてお そらく、俺が思うに 「かわいい子供のために死ねるならそれで十分しあわせーだろ?」 ゆっくりが常日ごろ主張してやまぬ建前からすれば、それは親の特権であるはずだ。 「でぼぉ! でぼぉ! れいぶがいなぐなっだらおぢびぢゃんはだれがぞだでるのっ! おぢびぢゃんがひどり ぼっぢになるのはゆっぐりでぎないよっ!」 「そしてお前はガキを助けられずにひとりぼっちになるわけだ。ガキを見捨てたゆっくりできないダメなゆっく りとして是非この先も後ろ指を指されていってくれ」 「れ、れいぶはおぢびぢゃんをみすでだりなんがじないよおおおおっ!」 「そうかそうかお前の決意はよく分かった」 というかもう何度も聞いた。 「そろそろおしゃべりの時間は終わりだ。お前がしゃべればしゃべるほど、ガキに残された時間はどんどん少な くなっていくからな」 「ゆあああああっ! おちびちゃんゆっくりしてね! ゆっくりだよっ! ゆっぐり! ゆっぐ、ゆぐぅ、ゆぐ うううううう」 仔まりさを見る。水面を見る。そうやって汚れの染みついた体をぐねぐねとよじりながら、また泣く。 本当にれいむというゆっくりは汁気が多い。 「ゆあ、あああああああああああああっ!」 一瞬体をたわませ、目を閉じたまま絶叫とともにジャンプ。15センチほど飛んで、ばしゃん、という水音と ともに、れいむは着水した。 「ゆああああ……ゆっぐり……ゆっぐりぃぃぃ……」 自分の体の周りを流れる水を見ては、もみあげをわさわさと上下に振り、際限なく泣くれいむ。どぼぢでどぼ ぢでと繰り返すだけになっているあたり、水に浸かっているという現実を認識するだけでいっぱいいっぱいにな っていて、大事なことを忘れていると思われる。 確認。 「久しぶりの水浴びはどんな気持ちだ?」 「ゆう…つべたいよ。それにおみずさんがいっぱいはゆっくりできないよ…」 俺が今『水浴び』と言った瞬間に他のいろんな要素の一切合切を忘れて水浴びしている気分になったらしい。 ゆっくりの思考回路は究極のシングルタスクと言われる所以だ。 思い出させてやることにする。 「おいれいむ、いいかよく聞け。もう一度言うぞ」 「ゆう?」 体をよじってこっちを向いたれいむが、俺の足下で痙攣を繰り返す仔まりさを視界に留めて硬直する。 「おっ、おぢびぢゃあああああああん! ゆっぐりだよっ! ゆっぐりっ!」 「お前が、死んだら、まりさを、治す」 「ゆっ!」 「お前が、死ぬまで、まりさは、治さない」 「ゆうううううっ!」 「お前が、死ねば、まりさは、助かる」 「ゆぐうううううっ!」 「お前が、死ななければ、まりさは、助からない」 「ゆんやあああああああああっ!」 文節を区切って、一言一言を強調しながられいむに告げる。 「お前が、生きていたら、まりさが、死ぬ」 「おぢびぢゃああああああああんっ!」 「ゆっくり、しないで、急いで、死ね」 「ゆあ、ゆああ…れいぶ、れいぶ――」 「助けてと言うな。死にたくないと言うな。おたべなさいをするな。忘れたか?」 「――! れいぶ…ゆっぐり、りがいじだ、よ……」 恐らくは『死にたくない』だろう。危うくNGワードを言いそうになったれいむを、先回りして黙らせる。言 いかけた言葉を途中で止めるという、ゆっくりにしてはかなりの神回避を見せたれいむが、目の幅ほどの涙を滂 沱と流した。 何がどうあろうと自分は死ぬ以外の道がないことをようやく現実として認識した絶望と、自分が死にさえすれ ば子供は救われる――十中八九、ゆっくりの幸せ餡子脳変換フィルター経由では飼われて不自由なく暮らすとこ ろまで確定事項――という希望に満ちあふれた未来絵図。そのつたない思考のモザイクを、ゆっくりの鳴き声表 情行動動作から推測し想像して悦に浸るのが良いのであって、そのためにはここで早々とゲームオーバーしても らっては俺が困る。 「ゆあぁぁぁ……ゆんやぁ、ゆんやああっ……ゆぐっ……ゆっぐりぃぃぃっ!」 かといってただひたすら泣くだけのれいむをこのまま放置していたのでは、どう見ても仔まりさの方が先に死 ぬ。それはそれでつまらない。そう、それはつまらない。子供思いのれいむの死出の旅路は成り行き任せではな く、ちゃんとしたプロデュースを。 「ヒントを少し出してやるから感謝しろよ。ひとつめ、水は真ん中の方がたくさんある。ふたつめ、じっとして いるよりたくさん動いた方が、たくさん水に濡れる。みっつめ、水をたくさん飲めば、体の中も濡れる。 ……どうしたそんなににらんで? かわいいかわいいおちびちゃんを助けてくれる人間相手にそんな顔してい いのか? ん?」 「……にんげんざんは……げすだよっ! おぢびちゃんを…なおじでぐでるのはゆっぐじあぢがどうだげど…… でぼやっばじにんげんざんは、げすだよっ!」 「助けてと言わない。死にたくないと言わない。おたべなさいをしない。このルールを守っている限り、暴れて もいいし泣き叫んでもいいぞ。幸いこの公園は広くて、近所迷惑にもならないからな」 「うぶあああああああああああああああああああああっ!」 「ゆっぐぢじないで…びょんびょんずるよ」 こんな時でも宣言するんだなと、今更ながらに呆れると言うべきか感心すると言うべきか判然としない感覚を 抱きながら噴水の中央に向かって跳ねるれいむを眺め、傍らのコンビニ袋から喉飴の袋を取り出す。個別包装さ れた小袋を破いて飴玉を取り出し、踏み砕いた。 いい感じに細く砕けた飴玉の破片を選びつまみ取る。空いた手で足もとの仔まりさから帽子を取り、その頭頂 部やや後方に飴の欠片を突き刺した。 ぴっ、と仔まりさが鳴く。ちろちろと垂れ流されていた小便が、その一瞬だけほんの少し勢いをつけて吹き出 した。 ちょうどれいむが泣きながら「ごーぐごーぐずるよ!」などと宣言しては湧き出る水に顔面しかない顔面を突 っ込んでいたときのことだ。聞こえてはいまい。 れいむを追いつめるために仔まりさがもう死ぬぞ、すぐ死ぬぞ、ほら死ぬぞとばかりに脅してはいるが、実の ところこの仔まりさを早々に死なせるつもりは毛頭無い。 少なくともこのれいむが終わりを迎える寸前までは保たせてやるつもりでいる。ゲスと呼ばれる程度は気にも ならないが、事実も真実も現実すらもまともに認識できず、息をするように嘘をつき、排泄するように記憶を捏 造するゆっくりごときに嘘つき呼ばわりされるのは、まあさすがに不本意だろう。 仔まりさの処置を終えて、れいむはと見ると。 「ゆううっ! ゆんゆんゆんゆんっ! ごーくごーくごーく、うぶっ! ゆぎぃぃぃっ!」 汚らしい汚饅頭が汚らしく転げ回っていた。 前後左右に転がっては水をかぶり、水底に油まみれの顔をこすりつけるようにしながら吐き戻しそうになるま で水を飲む。ごわついたもみあげを振り回し、小さく上下に体を揺すったかと思うと大きく延びをしながらぐね ぐねと体をひねる。仰向けに寝転がり後頭部と尻を水面にべちべちと叩きつけ、ひっくり返ってうつ伏せになり 排泄物のこびりついた尻をぶりぶりと左右に振りたてる。 「――あああああああああああっ! ゆんやああああああああああああっ! ゆっぐり! ゆっぐりぃぃぃぃい いぃっ! どぼぢでっ! どぼぢでごんなごどにいいぃぃぃいっ! おぢびぢゃんっ! まりざっ! おぢびぢゃんんん っ! ばでぃざああああああっ! うわああああああああああああっ!」 そのあいだひっきりなしに実にいい声で鳴き声をあげていた。言ってはならない言葉があるという制約がある 以上、悲鳴のバリエーションが少ないのはこの際目をつむり、しばしレティクルの主の気分を味わう。 れいむの悲鳴はおのずとただ一つの言葉に集約されていた。ゆっくりがゆっくりと呼ばれるゆえんとなり、ゆ っくり自らが己たちを指して称する例の言葉。 「ゆっぐりぃっ! ゆっぐり! ゆぐりいいっ! ゆぐう、りぃぃぃっ! ゆっ! ぐりぃっ! ゆっぐぅぅう りぃぃいぃいぃぃぃいいぃっ!」 仰向けになり、ゆっくりゆっくりと叫びながら、水面を尻でたたく。目はきつく閉ざしたままだ。ガムで留め ていた左のもみあげは、いつの間にかざんばらにほどけている。 と―― ぽびゅう、と。間抜けな音を立てて小便のかわりに汁粉みたいな餡子が吹き出した。ほぼ同時に熟しすぎた柿 が落ちて潰れたときのような音。一瞬遅れてほぼ真上に吹き上がった小便汁粉がれいむの顔にたぱたぱと降りか かる。 ただでさえ無駄に丸い目玉をさらに丸く見開いた惚けた顔をして、れいむはしばらく動きを止めた。ぶるぶる と震える舌をそうっと伸ばし、己の腹あたりをおそるおそる探ろうとしている。 見つけたときから涙を流しっぱなしの目に、新たな涙が盛り上がる。 恐ろしくてグロテスクで絶対に見たくはないのにどうしても見てしまわざるを得ないものでも見るように、れ いむは目を背けながらガクガクと半身を持ち上げた。 じりじりと視線が下がってゆく。白玉の目玉が一瞬、見ることを拒否するようにぎゅるぎゅるとでたらめに動 いた。 「ゆあ……あ…ああ……あっあっあっ……」 堰を切ったように涙があふれ出る。たらふく水を飲んでいただろうから貯蔵は十分だ。 「…まむまむ……れいむの…まむまむ……」 れいむの腹、というか足、というか尻、というか下半身、なのか。何となくその辺りの部分は、最後に振り上 げたときに噴出した小便汁粉によって内側から張り裂け、落ちた衝撃でひしゃげて潰れていた。 水の過剰摂取でゆるいゲル状になった中身の餡子がでろりと漏れ出し、流水に洗われて崩れ流れていく。薄め た汁粉をシンクに流したときのように。 「いだい…いだいよぉ……どぼぢで? れいぶ……まむまむ…なぐなっぢゃっだ……。まりざが…きゅーどだっ て……ほめでぐれだ……れいぶの…かばいいかばいいまむまむ……。 いだいよ…いだいよ……あんよさん…うごがないよ……ぴごぴござんもっ…ばらばらだよっ。ゆんやぁ…ゆん やぁぁぁ! いぢゃいぃぃぃ、いぢゃいよぉぉぉぉぉ!」 足に当たる部分が破壊されたからだろう、先ほどまでのように転がり回ることもせず、急速に夜の領域へと切 り替わりつつある空を見上げたまま泣きわめく。 「良かったな。おまえもうすぐ死ねるぞ」 「――れいぶ、れいぶなんにもわるいごどじでないのにぃぃぃ……」 「ああ、そういえば何があったか聞いてなかったな。なぜあんなところにいた?」 れいむはゆっくりと話し始めた。 「……れいぶなんにもわるいごどじでないのにどぼぢでごんなめにあうの? れいぶだけじゃないよ? まりざ だっでづよぐでやざじぐでかっごよぐでゆっぐぢじでだのに… れいぶににだおっぎなおぢびぢゃんどまりざににだおっぎなおぢびぢゃんもどっでぼおぎょうぎがよぐでおり ごうでとっでぼゆっぐじじだいいごだったのに。かげっごじであぞんでただげのおぢびぢゃんだぢをにんげんざ んはえいえんにゆっぐじざぜだんだよ。 おぢびぢゃんだぢがなにをじだっでいうの? なんにもわるいごどじでないよ? にんげんざんにめいわぐが げでないよ? あまあまほじいなんでいっでないよ? ――ゆっぐりあぞんでだだげだよ? ちいざいおぢびぢゃんはおねえぢゃんだぢどまだいっじょにあぞべない がら…まりざとゆっぐりわらっでみでいただげだよ? れいぶといっじょにゆっぐりみでいだだげだよ? まりざも…まりざはにんげんざんにあやまっだんだよ? めいわぐがげでたらごべんなざいっで… まりざはどっでぼおごっでだよ。だっでにんげんざんはおぢびぢゃんをえいえんにゆっぐいざぜだんだよ? おごっでとうっぜんっでじょお! でもまりざはちゃんどあやばっだよ? がなじぐでごわぐでぐやじぐでゆっぐじできないでもあやばっだんだ よっ! がまんじであやばっだんだよっ! まりざは…でぼまりざはゆっくりあやまっでねっでいっだだげだよ? まりざゆっぐりじないであやばっだよ! にんげんざんもあやばっでね? おあいごっ!でじょお? ごべんなざいとごべんなざいはゆっぐりでぎるでじょおっ! なのにどぼぢでにんげんざんはまりざをえいえんにゆっぐりざぜぢゃっだの? れいぶもおごっだよ。でぼにんげんざんはごわぐでゆっぐりじでないがられいぶはごわぐでよぐわがらなぐで なんにぼうごげながっだよ。 ぞじだらにんげんざんは…ぐぞまんじゅうっで! ぐぞまじゅうっでいっでどごがにいっぢゃっだ… ひどいよ! ひどいよ! ひどいよ! ひどすぎるよっ! れいぶはごわぐでぐやじぐでゆっぐじできなぐで…まいにぢだぐざんだぐざんないだよ。 ――きがづいだらぢっぢゃなおぢびぢゃんがゆっぐりでぎなぐなっでだんだよ…」 少々作業をしながら聞いていたので正確に聞き取れているか自信はないが、まあずいぶん長くしゃべったもの だ。赤ゆっくりや仔ゆっくりほどではないにしろテンパったゆっくりのしゃべりほど聞き取りにくいものはない。 要するに、やかましく騒いでいた仔れいむと仔まりさが誰かに潰されたので父まりさが何だか知らんが謝った がそこで止めりゃいいものを愚かにもこっちが謝ったんだからお前も謝れと人間相手に言ってのけたら父まりさ も潰された、と。仔が潰されたことに反応できた比較的――そう比較的――餡子の出来のいい父まりさは潰され て、フリーズしていたこのれいむと甘ったれ末っ子まりさは生き残ったものの目の前で潰される親姉妹を見たこ の仔まりさがれいむの適切なケアがなかったせいで急性の非ゆっくり症を発症した、と。 正直、仔まりさが比較的状態の良いまま発症していたので気にはなっていた。豆腐メンタルなどと言われるこ との多いまりさ種だが、実際のところは程々のストレスの連続にはみょん種に次ぐ耐性があると聞く。 まあ恐らくそうなのだろう。でなければ日々の餌集めなどできたものではない。 ところが、ごく短時間で処理能力を超える激しいストレスにさらされた場合には、耐性の欠片もなく発症する そうだ。 ちなみにれいむはこの逆。多大なストレスに対しては現実を認識しなかったりすり替えたりという逃避をする ことで対処できるが、軽いストレスの連続にはまるでダメだとか。 真偽のほどは知らないが、そういった傾向は確かにある気はする。 それはさておき、しゃべらせたのは理由が少しだけある。なにしろゆっくりという代物は呆れるほど簡単に傷 つき、傷ついたことに周章狼狽してばかばかしいほど容易に致命傷にまで傷を広げては死に瀕する。 だが死に瀕してからは疎ましくも微笑ましいくらいにしぶとい。 オレンジジュースでいくらでも――というと語弊があるが――治療延命が効くのもそうだし、死病のはずの非 ゆっくり症でさえ甘味があれば回復する。 ゆっくりが口を利くうちは死なないのだ。 当のれいむは悲劇のヒロインよろしく自分の惨状に酔いしれて、弱々しさのアピールに余念が無いのだが、こ れだけ綿々としゃべりまくるゆっくりはまだまだ保つ。 つまりれいむがしゃべっているうちは、れいむを放置していても問題ない。 「ゅっ……ゅっ……ゅぅ………」 上々だ。 見ての通り痙攣するだけのきもちわるい白黒饅頭が、痙攣しながら口を利くよりいっそうきもちわるい白黒饅 頭へと変化しつつある。 先ほどから俺のやっている作業は、早い話が仔まりさの治療――あるいは修復――だ。飴玉を靴底で踏み割り、 出来た欠片を仔まりさの体に突き刺し中身の餡子にまでいくつも埋め込む。併せて食いしばりすぎて欠けた歯の 隙間から口腔内に押し込んでやる。全身にオレンジジュースを振りかけて飴の欠片の吸収を促進させ、さらに追 加の飴の欠片を押し込んでいく。 これでもかという過剰かつ執拗なオーバードーズ。 回復したとしても味覚は破壊され、もはやこの先何を口にしたとて満ち足りることはないだろう。何かを口に することがあるかどうかは知らないが。 「ゅぅ……ゆくち……」 俺が見かけてから初めて、仔まりさがまともな声を上げた。 「――んやあぁぁぁぁぁぁっ! ……ゆっ!? お、おぢびぢゃんのごえがじだよっ! おぢびぢゃん! おぢ びぢゃんどごっ! おへんじじでねっ! ゆっぐりじでねっ! おぢびぢゃあああああああっ!」 その声を耳ざとく――いや耳はないが、言葉の綾だ――甘美な絶望に染まる悲鳴を上げ続けていたれいむが聞 きつけた。 「おぢびぢゃん! おぢびぢゃん! おぢびぢゃああああああんっ!! よがっだあぁぁぁぁっ! よだっがよ おおおぉぉぉっ! げんぎになっだんだねええええぇぇぇぇっ!」 全身を苛んでいるであろう痛みを押し、ふやけて溶け崩れかけた動かせないはずの体をよじり、れいむは顔を 上げてこちらに向き直ろうとした。 ふやけて張りを失い破れて体内餡を失った体ではそれも果たせず、斜めに傾いだ姿で、それでもなんとか顔を 向けようとする。 そこでれいむは見ただろうか。ついさっきまで苦悶の表情で引き攣り続けていた仔まりさが、つらそうにはし ているものの寝ぼけたような半眼で自分を見るのを。 「ゆあああああああああっ!! あじがどございばずにんげんざん! あじがどございばずうううううっ! お ぢびぢゃんをだずげでぐれでええええぇぇぇあでぃがどおおごぶばっ!」 たとえその相手がゆっくりだとしても感謝をされるというのは良いものだ。たとえそれが、起き上がろうとし たがうまくいかずに口が水面に接してうまくしゃべれなくなったゆっくりだとしても。 「いやまあ、俺が言うのも何だが、お前は実によくやった。本当ならお前が死んでから治す約束だったが、前倒 しして文句言う奴はいないだろ」 手を休めずに俺は言う。 ここまできたなら、せめてこのれいむと仔まりさに最後の会話をさせてやらねば。 ……我ながらひどいそら言である。 仔まりさの口に踏み砕いた飴を押し込み、オレンジジュースを注ぐ。反射的に飲み込むのを確認して、さらに 飴を丸ごと口に放り込んでから仔まりさを噴水外周の水際に置き、帽子を外してからオレンジジュースをかける。 元通り帽子をかぶらせてしばし…… 「……ぺーりょ…ぺーりょ……ちあわちぇー……ちあわちぇーっ!」 「ぼっでぃびぢゃがぱっ!」 れいむは相も変わらず涙を流しているうえ、先ほどのセルフ顔射で自分にひっかけた小便汁粉が涙と混じって 流れ、薄黒い筋が何本も顔面を彩っている。左のもみあげはほどけてばらばらになり、体もふやけてぶよぶよに なり、醜悪と言うほかはない惨状を晒している。 だが、れいむは笑っていた。 破けた体と、刻々と流れ出ていく体と、水に晒される体と、そのすべての痛みを忘れて、れいむは微笑んでい た。 仔を殺され番を殺され最後に残った仔さえも死病の顎門に囚われ果てはその仔の救命に自殺を強要されまさに 今死の淵に居る地獄の刻の中、最早二度と聞けぬものと半ば諦めていた我が仔の声は、それはそれは心地よく響 いたことだろう。それはまさに忘れていた、失っていた、諦めていた『ゆっくり』であるはずだ。 そしてれいむの残念な餡子脳の中では、もう既にこの一瞬で俺のことを「なんだかんだ言って結局はれいむ 『たち』をちゃんと助けてくれる優しいお兄さん」あたりのレベルまで甘ったるすぎる妄想的希望的観測で過剰 評価している可能性が無きにしも非ずといったところ。 にんげんさんがおちびちゃんを助けてくれたのはおちびちゃんがすごくゆっくりしてるから。おちびちゃんを 助けてくれたにんげんさんはゆっくりしてる。ゆっくりしたにんげんさんはれいむを助けてくれる。なぜなられ いむはとってもゆっくりしてるから。とか。 まさか。 さて。 残り時間も少ない。仕上げにかかろう。 まりさを水際に置いて、背後から声をかける。 「おはようまりさ、ゆっくりしていってね」 「――んゆっ? ゆゆっ? ゆっくちしちぇいっちぇにぇ? ……ゆううっ! ここはどこなんだじぇ? まりしゃ、どうちてこんなところにいるんだじぇ?」 まだ上手く体を動かせないのだろうか、仔まりさはふらふらと体を左右に振りながら、辺りを見回しているよ うだった。 そして当然ながら、それに気づく。 「ゆぐぶっ! ごっ! どぃびゃっ! ごぱっ!」 「ゆ? ゆゆゆゆゆゆっ? ゆ……ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! おきゃぁしゃぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!」 母と仔の感動の再会だ。 「大変だまりさ! お前を助けるためにお母さんが大怪我をしてしまったぞ! 治してやるからここまで連れて くるんだ! 大丈夫、まりさならできる! 最強のまりさなら簡単にできる! さあ行くんだまりさ!」 「ゆううううっ! ゆっゆっおーっ!」 まりさ種は他種のゆっくりよりも水に対する恐怖心が少ない。 おそらくは帽子を利用しての水上への対応能力により。そしておそらくはその種としての無謀な性質により。 そして煽てて動かしやすい。悪意というものに接する機会の少ない仔ゆっくりならなおさらだ。 まりさは、恐らくは何の考えもなしに、帽子を投げると飛び込んだ。 命を賭した母の献身で命を繋いだ仔が、今度はその母のために身命を捧げる。いやはやまったくチープな感動 に言葉もない。 「まっちぇてにぇおきゃあしゃんっ! まりしゃがいまいくのじぇっ!」 オーバードーズと、先ほど述べた。 まさにその通りで、過剰な糖分とオレンジジュースにより、まりさは水の冷たさ水への恐怖を物ともせず、愛 しい母の元へ向かう。 れいむの目が驚愕に見開かれる。 やめろ馬鹿なんてことをさせるんだお願いおちびちゃん来ないで戻ってやめて帰って引き返してだめだめだめ だめやめてやめてやめてやめて! 言えるものなら言いたかったに違いない。 「ごぱっ! がぱっ! ゅげぶゎばっ!」 れいむの口から吹き上がったのは、溺死寸前みたいな叫びと、汁粉状の餡子だった。 こちらに向き直るということはつまり、上流に背を向けるということだ。破れた穴から水は遠慮会釈もなしに れいむの体内に流れ込み、体内の餡子を攪拌しながらついに口からあふれ出た。 びくんびくんと震えながら残ったもみあげで力なく水面をぺちぺち叩くが、もとよりゆっくりのもみあげなど、 ただ意味もなくわさわさぴこぴこ動くだけのものでしかないわけで、それで体の向きを変えることも起き上がる ことも不可能だ。 さて、我らがまりさは母の死の瞬間に間に合うかなと思いつつ、仔まりさに目を遣ると、早くも電池切れのご 様子。 「ゆひぃぃぃぃ! おみずしゃんいじわりゅしにゃいでねぇぇぇっ! まりしゃきょわいのじぇぇぇぇぇっ!」 1センチの水深では帽子で浮かぶことも叶わないし、なによりこの仔まりさはオール代わりの木の枝すら持っ ていない。母の元へ向かう、と言ったところで、向かってるのは気ばかりというていたらく。 現実には流水に押しやられ、噴水の外周下の排水溝に引っかかっている。 「ゆっぴぃぃぃぃぃぃぃっ! ちゅべちゃいぃぃぃぃぃぃっ! ゆわわわわわわわっ! おみずしゃんこにゃい でにぇ! こにゃいでにぇ! まりしゃのおぼうちにはいっちぇきちゃらだめなのじぇぇぇぇ!」 帽子の縁から水が流れ込み、仔まりさを直接洗う。こうなってはもはや仔まりさに為す術はない――わけでも ない。 いったん水の中に入り、そこからジャンプすればいいだけなのだが、日が落ちてさらに冷たさを増した水に生 身で飛び込むことができれば、の話になるわけで。蝶よ花よと甘やかされていたと見るこの仔まりさに、その判 断と決断ができるかどうかとなると、もうほとんど期待できない。 せっかく助けてやったのにあっさりリタイヤされてしまいそうだが、しかたあるまい。まあそもそもこの場合、 仔まりさはれいむより先に退場しなくては、それこそ話にならない。 「ゆっぷ! ゆぴぃ! こぱっ! ゆげぱっ!」 口に流れ込んでくる水に、しているはずのない呼吸を邪魔されたまりさが悲鳴を上げる。そして悲鳴を上げ、 鳴き叫ぶたびにさらに余分に水を飲んでむせ返る。むせ返りながら汁粉状になった餡子を吐いた。 「おごっ! ぷばっ! がぼぼぼぼばばっ!」 れいむが何か必死に百面相をしながら何事かを訴えかけている気がするが、言いたいことがあるならはっきり 言ってもらわねば分からないから困る。普通の犬や猫と違い、人間がダイレクトに理解できる言葉を話すのがゆ っくりなのだから。 「まりしゃのあんよぎゃあああああああああああ!」 ひときわ高い仔まりさの悲鳴。見ると仔まりさは、帽子を捨て、その身一つで脱出しようとしたらしく、水の 中に直接その身をさらしていた。正しい判断であり、果敢な決断である。惜しむらくはその時期が遅すぎたこと だろうか、跳ねようとした際にすでに充分水を吸ってふやけていたまりさの足は、込められた力に耐えられなか った。 仰向けにひっくり返ったまりさの底一面がぺろりとめくり返っていて、無防備な体内餡を直接水が洗っている。 ミカン大の仔ゆっくりの餡子の量など多寡がしれているわけで、見る間に中枢餡が露出するまで中身を浚われて いた。 「いじゃああああああああああああああっ! いじゃいいいいいいいいいいいいいいいいいっ! ごべんなし ゃ! ごべなしゃっ! おびずじゃんゆるぢでっ! まりしゃあやばりまじゅがらっ! まりじゃのだいじなあ んごじゃんにいだいいだいじにゃいでええええええっ!」 「おぶぶべえばばぼおぼおおぼぼおおおおおっ!」 悲痛なまりさの絶叫にれいむの解読不能の叫びが唱和する。実に息の合った母と仔と言えよう。 「だじゅげでっ! だじゅげでぇぇぇぇっ! まりじゃじにだぐ――――」 仔まりさの叫びがもぎ取られるように消えた。違う。もぎ取られたのは叫びではなく、仔まりさの中枢餡だ。 ころころと転がりながら水に洗われ小さくなり、排水溝に届く前に見えなくなった。 「………………………………っぼ」 ああ、れいむが目に絶望を貼り付けた。 たしかにそろそろこいつもお仕舞いだ。 「れいむ、おちびちゃんは残念だったな。俺としてもせっかく助けた『とうといとうといかけがえのないいの ち』が、虚しく散るところを見るなんてとても辛い。 だがまあそう気を落とすな。確かおまえらゆっくりは、こんなときこう言うんだろ? おちびちゃんはまた作ればいいよ! って」 俺がそう声をかけた直後、れいむは餡子を――まだこれほどの量が残っていたのかと感心するほどの量を―― 吐いた。 水はれいむの餡子を溶かして流し、皮を溶かして流す。れいむのリボンが流されてきて、排水溝に引っかかっ たままの仔まりさの帽子に寄り添った。 俺はリボンと帽子をつまみ上げ、一つにぐしゃぐしゃと丸めると、公園の備え付けのゴミ箱に捨てた。 さすがにそろそろ水際は冷える。帰ったらまず温かい風呂にしよう。 作中の季節感がずれてるのは書き始めた時期のせい 書いたモノ anko3400 自販機 anko3403 WP anko3459 自販機 The day before yesterday anko3496 かいっだんっ anko3746 かいっだん・貮燭目 anko3995 かいっだんっ・參燭目
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『おっぱい』 7KB 愛で 思いやり 愛情 日常模様 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 現代 愛護人間 重大な語爆が見つかったので上げ直しします。 風の少ない穏やかな天候だった。太陽が真上に登るお昼ごろ、私は目が覚めた。 ベッドの上にいる私はお布団を手繰り寄せながらその暖かさに身を委ねようとする。二度寝だ。 だが、私はあることに気付く。あれ、いつものケータイのアラームが鳴らない。どうしてだろう。 そっと、私は近くにあるアナログな置き時計を見つめる。見慣れているせいか私は何時を指しているすぐにかわかった。 もう、学校に間に合わない時刻だ。ああ、二度寝をしてしまいそうになる。 おっぱい 嘘あき 不健康極まりない私は眠たい気持ちを抑えて二階の自室からリビングにたどり着く。リビングからは物音一つしない。 住宅街の一軒家にある我が家には鳥のさえずりしか聞こえてこない。あとは車の音かな。 「ゆぴーゆぴー」 そういうわけでもなかった。 白い柵状のゲージの中でピンポン玉サイズのれいむがお昼寝をしていた。私の妹が飼っているれいむ。 バイトをしない典型的な温室育ちの私と違って、妹が初めてのバイト代で購入したものだ。 「いいよなぁ、ゆっくりしてて」 羨ましく思いながられいむを眺めていると、れいむの口から一線の涎が流れる。のんきなやつだ。 腹をすかせた私はトースターに食パンをぶち込む。こんがり焼き目の付いたトースターが飛び出し、それに何もつけずにかじる。 「ゆゆ、にゃんだかいいにおいしゃんがしゅるよ!!」 コーヒーを啜る渡しの足元でれいむの目が覚めたらしい。軽く、ゲージを裸足でノックして私は挨拶をした。 「ゆっくりしていってね」 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!」 笑顔で返すその挨拶は無邪気なものだ。私の足元近くに寄り添い、ゲージの壁がれいむの邪魔をする。 「ゆー! しょっちにいけにゃいよー! かべしゃんどっかいっちぇね!!」 まだ子供だから仕方のない事なのかもしれないが、私は柵の隙間から少しちぎったトーストを零す。 「ゆゆ、とーしゅとしゃんだ!! おにぇーしゃんありがちょう!!」 挨拶を忘れないれいむ。子供の頃の私とは大違いだ。さすが金バッチ候補生。 小さい頃から賢さと善良さで判別されて選ばれたゆっくりだからこそ、こうして人のペットになれる。 私がもしゆっくりならば、きっと、銅バッチとして生まれ虐待されて死んでいたのかなと思う。 話を戻そう。トーストを食べ終えた私とれいむ。 レポートを仕上げるために私はデスクトップパソコンに向かい、れいむは一人でスーパーボールと遊んでいる。 カチカチとキーボードと書籍を読みながら作業をすすめる私はなんだかゆっくり出来ない。 その点、れいむは一人遊びの達人で、常に誰もいないリビングで狭いゲージの中遊んでいる。 なんだか、不公平な気がしてきた。 「れいむ、おいでー」 私はゲージの扉を開いてれいむの体を摘んだ。何事だろうと慌てる素振りを見せるれいむだが私は気にしない。 「ゆゆ? どーしたの?」 不思議そうにしているれいむをわたしは自分の胸の谷間に押しこむ。 「ゆゆ! おっぱいさんはゆっくりできるよ!!」 それなりに自信のある私の胸。妹より誇れる部分だ。 私の最近のトレンドで、れいむを谷間に入れてその暖かさを楽しむのが風流なのだ。 「ゆ~ん、おかーしゃんとおとーしゃんのかんじがしゅりゅー」 れいむも喜んでいる。どうやら、見たことすら無い父母の肌の感触を思い出しているようだ。 そう言えば、父か母に撫でられてことがあるのはいつの日だったかな。そう思うと私は自然とれいむの頭皮を撫でた。 「おねえさんはてくにっしゃんだね!!」 喜んでくれて何よりだ。 れいむを胸の谷間に入れたまま、私は洗面台で身だしなみを整える。 ズボラだとはわかっているが、化粧はいらない。顔を洗って、寝癖を直すだけだ。 「ゆぴーゆぴー」 胸の谷間でのんきに寝るれいむが可愛い。まるで子供が出来たみたいだ。 ああ、私に子孫は残せそうもないので、その手のことは妹にすべて任せている。 私はのんびり、ゆっくりという養子を設けるのがいいのかもしれないな。 めーりんとかゆうかとか、家事手伝いをしてくれる胴付きさくやとか欲しいかも。 良い子がほしいだけの私はまだまだ子供だから大人になる資格なんて無いのかもしれない。 何となく散歩に出かけたくなった私は公園でれいむを遊ばせることにした。 公園デビューは私がやると息巻いていたな、我が妹は。だが残念、早い者勝ちだ。 私は、胸に仕込んだままのれいむを連れて散歩に出かける。 途中、私の胸をちらちら見る男や不思議そうにれいむの所在を見つめる子供がいた。気にしない気にしない。 公園では飼いゆっくりを遊ばせているおばさんが一人いた。子供の姿はない。 私もゲームをするが、最近の子供はゲームに依存している気がする。まあ、それはいいや。 「あら、あなたも? うふふ、可愛いところにいるのね」 「こんにちは。ほられいむも挨拶しなさい」 初めての他人にも動じず、れいむは挨拶をした。 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!」 「はい、ゆっくりしていってね。うふふ」 胸に入りっぱなしのれいむの姿がそこまで面白いのだろうか。 「あられいむ、ゆっくりしていってね!!」 おばさんの飼いゆっくりであろう、銀バッチのありすがれいむに返事をした。 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!」 「ゆふふ、おちびちゃんはかわいいわね!」 私はれいむを胸の中から取り出し、そっとありすの近くに置いてみた。足を汚したがどうのこうのであとで怒られそう。 ありすはれいむの近くに寄り、すりすりと自分の頬を擦りあった。砂埃で汚れている頬であるが私は気にしない。当人も気にしてない。 あとで妹に怒られるのは私だ。その点は気にする。 「おちびちゃんのおはだはゆっくりできるわね!」 「ありしゅおにぇーしゃんのおはだしゃんもゆっくちできりゅよ! でも、おにぇーしゃんのおっぱいしゃんのほうがゆっくちできりゅよ!!」 「あらら、うふふ」 おばさんは口を抑えて必死に笑いをこらえようとしていた。そんなにおかしいことかな。 「おねーさんのおっぱいはゆっくりできるのね。とかいはだわ」 「ゆっへん、おにぇーしゃんのおっぱいしゃんはおとーしゃんとおかーしゃんのにおいがしゅるよ!!」 胸を張るれいむに私は少し恥ずかしさがこみ上げてきた。 「れいむそこらへんで……」 「ちょっとまつのぜ!!」 ガサゴソと茂みの中から所々破れた跡がある黒い帽子が飛び込んできた。野良のまりさだ。 「ほんとうのおやのぬくもりをしらないげすちびにまりささまがおやのあたたかさをおしえてやるのぜ!!」 「そうだよ! でいぶとまりさのおちびちゃんにしてあげるよ!!」 まりさの後ろからこれまた埃で汚れきったれいむが現れた。二匹とも体を洗うということをしていないゆっくりだろう。 大方、こいつらの考えていることはわかっている。多分、れいむの親になって、飼いゆっくりにしてもらう寸法だろう。 人間でもよくある話だ。宝くじにあたった人間にいきなり親族が増えておこぼれを与ろうとするのと同じく。 「どくのぜ!!」 「きゃぁ!!」 ありすを押しのけてまりさとでいぶはれいむの間に立った。おばさんと私は少しばかり混乱して出だしが遅れた。 「ほれ、すーりすーり」 「でいぶさまのすーりすーりだよ!」 乱雑なすりすりをされてれいむは顔をしかめる。そりゃそうだ、愛情もなく荒れた肌であんなことをするからだ。 「ゆー! とっちぇもゆっくちできにゃいよ!! ゆわーん!!」 ついに泣きだしたれいむをみて二人はさきほどのゆっくり出来ない発言に切れていた。 「げすがほざくんじゃないのぜぇえええええ!!」 「でいぶさまのすーりすーりにもんくをつけるやつはせいっさいだよぉおおお!!」 二匹で中身の潰れたサンドイッチ状態にするつもりだろう。どうしよう、妹に怒られる。 「この、やめなさい!!」 すると、弾き飛ばされていたありすがまりさをど突き返した。 「ゆべっ!!」 「いやがってるのに、そんなことをするのはとかいはじゃないわ! げすよ!!」 「おまえぇええええ!! ゆべしっ……」 ありすに食って掛かろうとしたところをおばさんの足が止める。 「なにをするんだぜ、はな――おそらをとんでるみたいぃいいい!」 パスを貰ったサッカーボールを側面で受け止めてゴールに蹴りこむように、まりさを電柱に蹴飛ばした。 「びゅびっ!!」 そのまま、あんこを破裂させてまりさは死んだ。 「ゆぁああ、くそがぁあああ!!」 状況をいち早く判断したでいぶがれいむの頭をあんよで踏みつける。ゆん質にするつもりか。 だが、そうはさせないと私はでいぶにインターセプト。そのまま相手のゴールにシュート! エキサイティングはしてない。 「おそらを―――がびゃっ!!」 丁度、樹の枝に刺さってれいむの体が貫かれた。 「いだい……ごれどっでぇえええ!!」 中枢餡を貫いてなかったのか、まだ生きてやがる。このまま放置してやろう。それが報いだ。 「だずげでぇえええええ!!」 朝になったらカラスにでも食われな! アリーヴェデルチ。 帰ったら、妹に説教を食らった。それも2時間ぐらい。 「いいじゃん、ちょっとぐらい……」 軽口を叩いてもう一時間増えた。 それから、私は妹の前ではゆっくりを触れなくなった。れいむも私に近づいてはダメだと命令された。 だが、妹がいないときに私はれいむと内緒で遊んでいる。 「ゆんゆゆーん」 私の胸の中で歌うそのちびっこい姿は愛らしい。だけど、大きくなるとこんなこともできなくなるだろう。 それはきっと、ひなの旅立ちと一緒だ。それまでは、一緒にゆっくりしていきたいところだ。
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あなたのゆっくりが下痢をしているというのなら、そのゆっくりはかなり危険な状態だ。 ゆっくりは短時間で水を摂取しすぎると下痢になる、その点他の生き物の下痢とは少し違う。 これにかかると液状のうんうんを頻繁に排泄するようになる、 放置すれば中枢餡まで排出してしまい、永遠にゆっくりしてしまうだろう。 梅雨の時期、小さい赤ゆは特に下痢になりやすく、多くのダンボールから泣き声が聞こえるはずだ。 雨のあがった梅雨のある日、公園でのありふれた光景である。 公衆便所に住む家族の一匹の赤ゆが、ゆ下痢で瀕死の状態になってしまった。 ちゃーぷちゃーぷしゅるよ! と水たまりでばかみたいに遊んでいたのがまずかった。 口とあにゃるから大量の水が入って、下痢になってしまった。 「ゆひゅ……ゆひゅ……」 「おちびちゃんじっがりじでええええええ!!!」 「むきゅきゅ、まりさはまだなのかしら……」 れいむとまりさのつがい、そのおちびちゃんの真ん中にあたる子である。 このぱちゅりーは群れの医師役で、人間さんのおうちにりゅうっがくっ(というより拾われて捨てられただけ)して得た 数々の医療知識は公園ゆっくりの間でかなり評判になっていた。 「おれんじじゅーすさんさえあればちりょうができるのに……」 とりあえずなんでもオレンジジュースをかけておけば、というのがぱちゅりーの知識の全てだった。 父まりさはぱちゅりーのアドバイスによってオレンジジュースを手に入れにゆっくりしないで出発していた。 「ゆ゛っ」(ぶりゅ) 下痢うんうんが飛び出す。餡子が減ったことで既に楕円形にまで縮んでいる。 「……とってもきけんなじょうたいよ、ほうっておけばいのちもあぶないわ」 「ぞ、ぞんなあああああ!!!」 母れいむが崩れ落ちる。 他のおちびちゃんたちも、姉妹の重病にさぞかし心を痛めているだろう……。 「まりちゃのおうちにきちゃないうんうんしにゃいでにぇ!」 「びちょびちょうんうんはゆっくちできにゃいよ!」 「おうちでうんうんしゅりゅなんちぇ、たりにゃいことおなじだじぇ!」 「おうちをよごしゃないように、はやくちんでにぇ!」 どうやらそうでもないらしい、四匹の赤ゆは病気の姉妹をごみのように罵倒している。 うんうんは餡子だが、ゆっくりにとっては臭い臭い排泄物だ。 臭いものを出してゆっくりできない奴は、赤ゆたちにとってゲスと同じだった。 「どぼぢでぞんなごどいぶのおおおおおお!!!!????? でいぶおごるよおおおお!!!! ぷぐううう!!!」 「「「「ゆひいい! ごめんなちゃいいいい!!!」」」」 あまりのゆっくりできない言動に、母の教育的措置が発動された。 「れいむ、おれんじさんはなかったけど、みかんさんならあったのぜ!」 「ぶぐ!?」 「まりさ、かえってきたのね!」 まりさが戻ってきたのは丁度その時だった。 息を切らせて、帽子も少し曲がっている。 スーパーさんに忍び込んで命がけで盗んできたみかんさんだった。 「ゆ……、でもぱちゅりーは"おれんじじゅーすさん"って」 「いやいいわ、みかんさんならたぶんだいじょうぶよ、おれんじじゅーすさんをつくるわ」 捨て物のお茶碗の中に皮を剥いたみかんを入れ、思い切りのしかかる。 じゅっじゅっじゅっ、みかんの汁がだんだんあふれてくる。 「ゆわぁ……」 母れいむの目が輝く。 「ぺーろぺーろ、ほらおれんじじゅーすさんがでてきたのぜ……」 飛んできた水滴をなめ、父まりさは言う。 「できたわ! さっそくのませましょう!」 みかん汁を絞り出し、100%果汁のあまあまジュースが完成した。 母れいむがとっさに近づき、口に含んで下痢ゆに与える。 「おちびちゃん、おくすりだよ! げんきになれるよ!」 「ゆひ……」 力を振り絞ってなんとかジュースを口に入れる。 オレンジジュースは万能薬、きっと治るはずだとぱちゅりーは確信していた。 ぶりゅりゅりゅ! あにゃるから出てきたのは更に水分を含んだ、おしるこ状態のうんうんだった。 「れいむ、いそがないとあぶないわ!」 せかすぱちゅりー。 あせって更に口うつしを続ける母れいむ、早くお薬を一杯飲ませないと! しかし次にあにゃる出てきたのは、オレンジと茶色の液体であった。 「ゆひぇ、ゆぴぢぢ……」(ぴゅーぴゅー) 赤ゆが妙な笑い声を洩らす、中枢餡が水分でぐずぐずになっているのだ。 あにゃるの締まりも弱くなって、液がだだもれだ。 「「どぼぢでおちびちゃんげんきにならないのおおおお!!!??」」 うんうんは止まらず、餡子量は更に減少していた。 両親の前にある赤ゆは饅頭というにはぶよぶよで、酷く悲惨な姿になっている。 眼孔のすきまからもうんうんが漏れ、オレンジジュース治療の甲斐なく…… いや、むしろジュースを飲ませるたびに病状は悪化していたようであった。 過剰な水分が原因のゆ下痢なのに、さらに水分を取らせるのは最悪の判断だった。 オレンジジュースは下痢だけには効かないのだ。 「ゆっぢ、ゆっぢぢ……」 「ゆああああ……おぢびちゃんがあああ……」 排泄を繰り返しぺしゃんこになった赤ゆはうんうん汁にまみれて死んでいった。 「ゆっぷ……」 中枢餡の溶けた赤ゆはもっとゆっくりしたかった、という言葉すら言えなかった。 「ちりょうはてきせつだったけど、おちびちゃんのたいりょくがもうなかったのね……」 ちーん。おさげを合わせて黙祷するぱちゅりー。 「ごのやぶいしゃああああああ!!!」 もちろん親はそれで納得しなかった。 ジュースを飲んでからすぐに永遠にゆっくりしたことぐらい、ゆっくりでもわかった。 「むぎゅうううう!!! やべでええええ!!!!」 頬に噛みつき、ちぎる父まりさ。 ぱちゅりーの皮は柔らかく、中身はクリームで漏れやすい。 びりびりと皮が破れると、どろりと景気よくクリームが溢れてきた。 「いやああああ!!! じぬううう!!!」 クリームを漏らしながら必死ではいずりまわり、余ったオレンジジュースにありつこうとする。 「ゆふふふふおれんじじゅーすさんはゆっぐりできるねえええ……」 半笑いでうふうふ笑う母れいむが、おちびちゃんの死体にオレンジジュースを与えていた。 れいむはあまりのショックで狂ってしまった、死臭も感じずおちびちゃんにすりすりしている。 オレンジジュースはもうなかった。 「むぎゅううううう!!! 「おまえみたいなげすにはこれでじゅうぶんなんだぜ!」 父まりさは死臭たっぷりの赤ゆ下痢うんうんを思いきり吸い上げ、ぱちゅりーに吹きかけた。 「むぎょっっ!! えれえれえれ……」 「ゆっぶげええええ!!! げれげれげれ……」 死臭汁を傷口に吹きかけられたぱちゅりーはあまりのゆっくりできなささに中枢餡を吐いた。 しかしそんな劇薬を口に含んだまりさも無事では済まない、餡子を吐いて死んだようだ。 ゆふゆふゆふ……。 にやける母れいむと、取り残された四匹の赤ゆ。 「すごいこえがしたのはこのおうちだねー、わかるよー」 「まちがいないみょん! ゆっくりしんにゅうするみょん!」 このゆっくりできないトイレに新たなゆっくりが現れた。 群れの警察担当のちぇんとみょんだ。 他のゆっくりからつうっほうっがあったのだ。 「「「「ゆわああああんこわかっちゃよおおおお!!!!」」」」 ちぇんはふさふさの尻尾で赤ゆを保護した。 現場を調査するみょんは、ベテランとしての勘をフル活用して事件の真相をあっというまに暴いてみせた。 「そこのよにんのおちびちゃんがはんにんだみょん! げんばでまともにいきてるゆっくりはおちびちゃんたちだけだみょん!」 「「「「にゃ、にゃんでえええ!!??」」」」 ちぇんの尻尾は固い拘束縄に変わった。 赤ゆ四匹は公平な裁判の結果ゆっくり三匹の殺ゆんで死刑になり水洗便所に送られたらしい。 「なにかいうことは」 死刑執行ゆんが尋ねる。 赤ゆたちはあんよを千切られ洋式便所の便座に置かれている。 「まりちゃ(れいみゅ)はなにもしてにゃいよおおお!!!!」 その返事にゆっくりたちはゆーゆー騒ぐ。 「このさつゆんきいいいい!!!!」 「おいしゃさんがいなくてうちのおぢびちゃんがああ!!! おばえらのぜいだあああ!!!」 「づみをみどめてじねええええ!!!!」 長もあからさまに軽蔑の視線を向けている。 「まったくはんせいしていないようね、やってしまいなさい」 「「「「ゆんやああああ!!!!」」」」 突き落とされた赤ゆは便所をくるくる回ったかと思うと、底の方に吸い込まれた。 しかし四匹も居ると一度では流れない。 「「「「やべでよおおおお!!!!」」」」 水が補充されていく、体のあらゆるところからゆっくりできない水がはいりこんでくる。 赤ゆたちはぐちゃぐちゃに溶けるまで完全には流れず、大いに苦しんだという おわり anko1693 2100年のゆっくりたち anko1651 超高級ゆっくり市 anko1637 一人のまぬけでみんな台無し anko1621 れいぱーは人気者 anko1609 幸せ崩壊丼 anko1592 赤ゆが凄い生えちゃった事件
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そのまりさは、幼いころに帽子を痛めた。 具体的には、帽子のつばに切れこみができてしまった。 命のつぎに大切な帽子が傷ものになってしまい、まりさは絶望し、泣きじゃくった。 だが、お家に奥底に縮こまって震えるしかなかったまりさは、やがて自信を快復する。 その契機となったのは、親れいむだった。 「おちびちゃん。ぺーろぺーろしてあげるね!」 そう言って、暗い穴底でせっせと我が子の頬をなめたのだった。 ちびのまりさは、どうしてぺーろぺーろする対象が帽子ではなく自分なのかと、疑問だった。 傷ついているのは、お帽子なのに。 「おちびちゃん。すーりすーりしてあげるんだぜ」 続いてやってきたのは親まりさだった。 自信にあふれた顔つきで、いつまでもいつまでも、頬ずりをしてくれた。 「ゆゆ~。いもーちょに くさしゃんを あげりゅんだじぇっ」 「いもーちょに あまあまとっちぇきったんだじぇ~」 「まりしゃ、ぺーりょぺーりょ しちぇあげりゅねっ」 姉妹たちも群がってくる。 両親も姉妹も、帽子の切れこみについては一言も口にしなかった。 繊細な日常を壊さないように、あるがままにふるまっている。 しだいに、まりさは穴倉に閉じこもっている自分がふしぎに思えてきた。 だから、 「おちびちゃん、おそとに でようっ」 と、家族が言ってきたときも、 「でりゅんだじぇ」 と、素直にうなずくことができた。 ちびまりさは、三日ぶりにお家の洞窟を出た。 陽光のもとに歩みでたとき、まりさは濃厚な春のにおいに包まれた。 やわらかな草が地面を覆っている。木々の黒々とした幹は逞しくかつ美しい。 樹木はことごとく冠を装備する。王冠からしたたる木漏れ日が、草原の上に躍っている。 とりわけ、草むらの中心にたたずんでいる樹木が幼いまりさの目をひいた。 それは、白い樹幹をもっていた。 中空に投げかけられた梢はたっぷりと葉をつけている。 静かな君主が、草むらのただなかにそびえていた。 「……ゆっきゅりぷれいちゅ」 まりさは呆然としながら呟いた。 それらは見慣れたはずの風景、日常の景色にすぎなかった。 だが。 暗い穴の底から這い出てきたまりさの目には、 「きょきょは とっちぇも ゆっきゅり できりゅんだじぇ!」 と、おもわず宣言してしまったほどに、みずみずしいものとして再生されていた。 その快活な声は、一点の濁りもない澄みわたる蒼天に吸いこまれていった。 白濁した空のもとで、ゆっくりたちが草むらにうごめいていた。 その顔には覇気も生気もない。 「むーちゃ、むーちゃ……。ゅげぇ……むーちゃ……。むーちゃ……ゅぐ……」 わきめもふらずに痩せこけた雑草をむさぼっている。 何十頭というゆっくりがいるのに会話もなければ歌声もない。 草と唾液がこねくりまわされる湿った音だけが、無言の生首の這いずりまわる草むらにこだましていた。 草むらの中心には、白い大樹が立ち枯れている。 すでに老樹と化してひさしい。子孫を残す機能などはるかな昔に失われていて、 もはや座して死をまつしかすることがない。しかし樹木であっても死は怖いのか、 まるで救いを求めるように葉のない梢を曇天へと伸ばしている。 その曲がりくねった梢のさき、はるかな高みには、数十もの、はばたかない鴉が悠々と飛んでいた。 それは、戦闘機の編隊だった。 しかしゆっくりたちは空飛ぶ機械などには目もくれない。 空など仰ぐ価値もないと言わんばかりに、ただひたすらに、 あしもとにたむろす痩せこけた雑草を胃の腑にものをつめてゆく。 永遠に続くかとおもわれていた静寂は、しかし突然にひきさかれた。 「ゆぴゃぁぁぁっ!」 悲鳴が草むらにこだまする。 ゆっくりが一斉にふりむく。 広場のすみで、一頭のれいむが野良犬の餌食となっていた。すでに半身を食いちぎられ ていて、中身の餡子はとめどもなく流れだしていた。 「だっ、だずげっ、だずげでねぇっ!」 助けをもとめる濁った悲鳴が空にまう。 混沌が発生した。 ゆっくりできない、こっちこないでね。たすけて。にげるよ。 ゆっくりたちは金切り声をあげながら一目散に逃げだしていゆく。 救援に耳を貸すゆっくりは、ただの一頭もいなかった。 「だずげっ、だずげでっ! ど、どぼじでっ!」 ついにさいごの一頭がれいむの視界から消えた。 すべてのゆっくりが、一度たりとも、ふりむかなかった。 「どぼじでぇ……なんでぇ……ゆぐぅ……ゅぐっ!」 れいむが白目をむいた。 痩せこけた犬がれいむの肌を噛み、そのまま森の暗がりへとひきずりこもうとする。 れいむはあんよを踏ん張ってこれに抵抗した。 ぐるりと眼球が回転し、黒目がもどった。 「やべでぇ……やべ……だずげでっ、だれが、だずげでぇ」 哀訴はとどかない。 ずるずると森のなかへと引きずられてゆき、悲鳴は森の暗やみのなかに吸いこまれた。 こうして、一頭のれいむは仔犬の餌としての運命を歩むことになった。 翌日、草むらのすみには森へと伸びる餡子の道ができていた。 だが、ゆっくりたちはまるで気に留めることなく、草をはみつづけた。 すべては日常の光景だった。 だから驚くにはあたいしない。 猛獣に狩られる同胞も、 曇天に躍る戦闘機の群れも、 ときおり聞こえる爆撃音も、 日常のひとこまにすぎなかった。 星無き夜空の統治がはじまった。 森も山も、まったくの暗がりの満たすところとなる。 白い枯木の広場も例外ではない。 その広場からすこし離れたゆっくりの巣穴では、赤ゆのれいむがさんざんに泣いていた。 「ゆぴぃぃぃーーーー! おにゃきゃ ずいぢゃーーーー! おにゃきゃ ずいぢゃーーー! でいびゅば おにゅぎゃ ずいぢぇりゅにょーーーーーっ! ごばんじゃぁぁーーーんっ!」 この癇癪はいまに始ったことではなかった。それどころか毎晩繰りかえされている。 慟哭がはじまると、家族はいつもおなじ手をつかう。 「おちびちゃん。おかーさんが すーりすーりしてあげるよ。すーりすーり……」 成体のれいむが頬ずりをしてこれをあやす。 「ごはんさんは もうないのぜ。がまんするのぜ。ぺーろぺーろ……」 成体のまりさは舌で頬をなめあげて空腹をまぎらわせようとしていた。 「ゆゅ。れいむがしっかりしないから。すーりすーり……」 成体間近に成長したれいむも、先達にならって頬ずりをする。 しかし赤ゆはいっこうに泣きやむ気配をみせないのだった。 「おなきゃ ずいだのぉぉーーーーっ! でいみゅは おなぎゃ ずいだのぉぉーーーーっ! ゆんやぁぁぁぁーーーーー! ゆんやぁぁぁぁぁーーーーーーっ!」 いくらだだをこねても、食べものは出されない。 あたりまえだ。 巣にはひとかけらの食料も残されていなかったのだから。 だから、赤ゆに供されるものは腹のたしにならない愛情だけであった。 そして、無駄と知りつつ愛情をそそぐ三頭のゆっくりの姿を、 べつの二頭のまりさ種が心配そうな目で見つめている。 このさびれた巣穴には合計六頭のゆっくりが息づいていた。 まず、父まりさと母れいむ。 この二頭には四頭のこどもがいる。 生まれた順かられいむ、まりさ、まりさ、れいむだ。 両親とともに赤ゆをなぐさめているのは、長女たる姉れいむ。 すでにツガイを得ていてもおかしくない年頃だ。 姉まりさはまだ子供といえたが、分別のつかない童でもない。 赤ゆの段階を脱しているもののまだ頼りないのが、妹まりさだ。 そして末っ子れいむ。 けっきょく、赤ゆの嗚咽を止めたのは、 れいむ種の愛情のこもった頬ずりでもまりさ種の温かい舐めあげでもなかった。 泣き疲れと、眠気だった。 子供たちが寝静まると、父まりさはツガイのれいむにつぶやくように告げた。 「……ひっこし、するのぜ」 「ひっこし?」 「もう いやなのぜ」 どれだけ血眼になって探し集めても、土をはんでいるようなまずい草しか食べられない。 森には肉食獣が息づいている。遠雷のような爆音は昼夜をとわず聞こえてくる。 父まりさは限界に達していた。 「ゆぅ……」 母れいむはあいまいな態度をとり、子供たちを横目で見やった。 みんな泣きながら眠っている。涙の理由はよくわかる。子供たちは生まれてこのかた、 一度も満腹をあじわったことがない。寝ても覚めても、空腹がじくじくと痛んでいるにちがいなかった。 「ひっこし するのぜ。あたらしい ゆっくりぷれいすで おちびちゃんたちに おなか いっぱい ごはんさんを たべさせるのぜ」 「……そんなゆっくりぷれいす、あるのかな」 「あるのぜ!」 父まりさが声をあらげた。 母れいむは慌てて子供たちにふりむいたが、起きた子供はいなかった。 「おちびちゃんたちは どーするの?」 桃源郷を探す旅は、長く厳しいものになるだろう。長旅に子供たちが耐えられるかどうか。 姉れいむは問題なくついてこられるはずだ。姉まりさも運動能力にすぐれている、問題はない。 妹まりさにしても、休憩をおおくとるといった工夫しだいでなんとかなる。 問題は、末っ子れいむだ。 「おちびちゃんは まりさが ぼうしのなかに いれて はこぶのぜ」 母れいむは冷たく返答した。 「……まりさのおぼうしには たべものを いれておかなくちゃ」 備蓄はない。 だが、旅に危険はつきものだ。今日食べものが得られてから、 明日も食べられるとは、かぎらない。だからみちみち食べものを集め、余裕をもちながら旅をしなければならない。 このとき運搬具としてまりさの帽子が役に立つ。 逆にいえば、まりさの帽子は食べもの運搬用であり、ここに赤ゆを閉じこめておくわけにはいかなかった。 「ゆぅ……」 父まりさが悲しげにうつむいた。そこにツガイの声がかかる。 「だから。おちびちゃんは れいむがおんぶするよ」 父まりさは顔をあげツガイを見た。母れいむの凛呼とした顔がそこにあった。 「くろうをかけるのぜ……」 翌朝、両親は族長まりさの巣におもむき、旅立ちのむねを伝えた。 族長まりさは特徴的な容姿をもっている。帽子のつばに切れこみがあるのだ。 族長は引っ越しの通告に接して、力なく首を横にふるだけだった。あきらかに反対の意をしめしていた。 だが、明確に反対したわけではなかったので、父まりさは旅立ちを決意した。 こうして、六頭家族は新天地めざして群れを出た。 その日も天空は膿んだ色をたたえていた。 出発してしばらくは、家族は非日常と格闘していた。 引っ越しという初めての経験が、家族にいいしれない不安と緊張と興奮を与えていた。 もっとも末っ子れいむだけは母の頭上で眠りこけていたので、身を切るような緊張とは無関係だった。 しかし、そうした緊張も時間もやがてほぐれていった。 まわりの風景は白の枯木のふるさととあまり変わらず、地獄も天国もそこにはない。 とはいえ、故郷とかわらない景色とは、 痩せさらばえた樹木が呼吸を止めたようにたたずみ、空には濁った雲が渦をつくるばかりの、 生も死も消えてしまったような朽ちかけた光景でせいかなかったのだが。 家族は一列縦隊で行進していた。 先頭をゆくのは父れいむだ。その後ろに補佐役として姉れいむがつづく。 列のまん中をしめるのは妹まりさ。四頭目は姉まりさ。しんがりを担うのは母れいむだ。 いちばん脆弱な赤ゆは、母の頭の乗せられて運ばれていた。 「ゆゆー。しずかなんだじぇー」 妹まりさがぼそりと言った。 その指摘に歯向かうように、末っ子れいむが目をさまし、起きるやいなや泣きだした。 「……ゅ……ゅ……ゆぴゃぁぁぁーーーーーーーーー! おにゃぎゃずいだーーーーーっ! ゆんやぅわぁぁぁーーーーーっ! おにゃが ずいだよぉーーーーーー!」 「ゆぅ……」 行軍がとまり、赤ゆあやしがはじまった。 ただし父まりさは参加しない。 道の行く手に背をむけて、泣きくずれる末っ子れいむとそれをなぐさめる家族たちを見つめるだけだ。 しかし、家族のなかでも一等悲痛な目つきをたたえていたのは、父まりさにほかならなかった。 これからずっと見知らぬ土地を歩くのだ。 どこに危険がひそんでいるか、わかったものではない。 そして、避けられる危険は避けるにこしたことはない。 そのためには息をひそめて、ふかく静かに行軍するのがいちばんだ。 ところが末っ子れいむは親の心配など露知らず、それが赤ゆの本能とはいえ、 ひたすらに自己の欲望を主張するばかりで抑えることをしらない。 こんなことで約束の地に辿りつけるのか。 森に息づき舌なめずりをする危険の網をかいくぐることができるのか。 それを思うと暗澹たる気持ちを抱かざるをえない。 いっそ今からでも戻るべきか……? とさえ、思いはじめていた。 今なら間に合う。今なら……。 「おちびちゃん、しずかにしてね! なけばいーってもんじゃないよ!」 その叱責は、姉れいむのものだった。 家族は水をうったように静まりかえった。 めったに怒りを表明しない姉れいむの怒声は、それだけの効果があった。 「……ゅ……ゅ……!」 末っ子れいむは、母の頭上でふるえた。そして、 「ゆびゃぁぁぁぁーーーーーーーーーっっ! ぼねーぢゃんぎゃ いじばりゅーーーーっ!」 火がついたように泣きだした。 姉れいむの馴れない叱責は、かんぜんに逆効果だった。家族のほうがうろたえてしまう。 ただ父まりさだけは、姉れいむの慌てる姿をみて微笑みをうかべていた。 そのとき、父まりさの背後でかさりと音がした。 家族が音に反応する。 野道のまん中に、猫がいた。 その黒い体毛はひどく薄い。筋肉のもりあがりはすさまじく、ほとんど異形と化している。 爪は曇天からもれる光をふうじて冷たくきらめいている。 その怪物が、琥珀の両眼でゆっくり六頭をしずかに見つめている。 末っ子れいむは狂乱した。 「ゆぎやぁぁぁぁぁーーーーーーー! ぎょばいよぉぉぉぉぉーーーーっ! ねござんば ゆっぎゅり でぎにゃいよぉーーーーー! でいびゅぎょばいぃぃぃーーーーーーーーっ! あっぢ いっでねぇーーーーっ! あっぢ いっでーーーーーっ!」 六頭は立ちすくんでいた。父まりさにいたってはしきりに歯を噛みならしておびえている。 魔物が足を踏みだした。 すると、父まりさの震えがとまった。一家の庇護者たる役割をおもいだした。 一気に頬をふくらまし、 「ぷくぅぅぅーーーーーっっ!」 と、涙ながらに威嚇を展開した。 姉妹たちもそれにつづく。 「ぷ、ぷ、ぷっ……ぷくうぅぅぅっ!」 「ぷきゅーーーーーっ!」 「ぷきゅぅぅぅぅーーーーっ!」 母れいむだけは赤ゆをきづかい、戦闘には参加しなかった。 魔獣とゆっくりによる闘争は、ゆっくりたちの勇気に軍配があがった。 黒猫はしばらくゆっくりを睨みつけていたのち、ぷいと顔をそむけ、草むらに消えた。 家族たちは抱き合っておのれの無事をよろこんだ。 「ぎょばぎゃっだぁぁぁーーーーーーーーーっ! ぎょばがっだぁぁぁーーーーーーーっ!」 しかし末っ子れいむは泣きやまない。 「おちびちゃん、ねこさんは もういないのぜ! かったのぜ!」 父まりさが戦勝を誇ってみせた。 だが赤ゆは、 「おなぎゃずいぢゃぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!」 と、叫びかえした。 その嗚咽を聞き、父まりさはゆるゆるとかぶりをふった。 末っ子れいむの嗚咽をすておいて、行軍の再開を宣言した。 子供らは心配そうな目をしていたが、父まりさは厳しい目つきをするばかりでとりあわなかった。 家族は無言で、背の高い草むらを両脇にしたがえているけものみちを進んだ。 赤ゆはいつしか叫ばなくなっていた。泣きやんだわけではない。 号泣がむせび泣きにかわっただけだ。 「おにゃぎゃ……ゆぐっ……おにゃぎゃっ……ひぐっ」 などと、つぶやいている。 父まりさが口をひらく。 「おちびちゃんたち、おうたを うたって ほしいんだぜ」 すこしでも家族の不安を和らげようとする一家の長の知恵だった。 「おうちゃー、ききちゃーい」 確信があったわけではなかったが、効果があった。末っ子れいむはぴたりと泣きやみ、 母れいむの飾りの上できゃっきゃとさわぐ。 姉れいむが音頭をとった。 「ゆ~は~、ゆっくりの~、ゆぅ~」 ほがらかな歌声がひっそりとした森に広がった。 母と姉妹が声をあわせる。 「ゆ~、ゆ~、ゆ~、ゆっくり~、ゆっくり~、ゆっくりのゆ~」 葬列のような雰囲気は消しとんでいた。上々だと父まりさは胸をなでおろしていた。 赤ゆだけは、 「ゆっくちぃー! ゆっくちぃー!」 と、叫び散らしていたが。本人は歌っているつもりなので、父まりさはよしとした。 ところが、歌声は闖入者によってさえぎられることとなった。 突然、左右に横たわる背のたかい草むらのなかから、ゆっくりが飛びだしてきた。 ありす種だった。 ありすは一列縦隊で進む家族のまんなかを横切ると、そのまま道の反対側に消えた。 「……ゆ?」 先頭をゆく父まりさが振りかえったときには、ありすの姿はすでにない。 「なにかとーったのぜ?」 「ありしゅがいたんだじぇー」 姉まりさが元気よくこたえた。 母れいむも無言でうなずき同意し、しかし直後に悲鳴を上げた。 「おちびちゃんがぁっ! おちびちゃんがいないよぉー!」 一隊のまんなかを歩いていた妹まりさの姿がない。 「まさか……そのありすに……れいむ!」 父まりさが鋭い声を放った。 「ゆゆ?」 「おちびちゃんを みていて ほしいのぜ! さっきのありす なのぜ、おちびちゃんを さらったのぜ! とりかえしてくるのぜ!」 一気呵成にそう言うと、母れいむの了解を待たずして、父まりさは草むらに分けいった。 草むらの向こうで、なにかが逃げてゆく音がする。 あたりの草はおしなべて背がたかく、視界が晴れない。 「はなちぇぇぇーーーー! まりしゃをはなちぇぇーーーー! げしゅぅーーーーーっっ! ゆわぁぁぁーーーーーん! ゆわぁぁーーーーーーーんっっ!」 妹まりさの悲鳴が聞こえてきた。だいぶ遠い。父まりさは殺気立った叫びをあげた。 「おちびちゃんをはなすのぜぇぇぇーーーーー!」 「……ゅ……? ぉ、ぉ、お、おどーじゃぁぁーーーーーーん! だずげでーーーーーっ! ばりざを だずげでぇぇーーーーっ! はなぢぇぇぇーーーーーっ!」 「たすけるのぜぇぇーーっっ」 と、叫びながらも父まりさは焦燥にかられていた。 おもいのほか誘拐犯は足が速かった。 敵には地の利があるらしく、父まりさはなんども石や樹木といった障害物にさえぎられた。 子供の助けをもとめる声も、しだいに小さくなってゆく。 やがて、完全に誘拐犯を見失った。 父まりさはがむしゃらにあたりの草をかきわけた。鋭い葉にあんよが切れる。 石をふみつぶして激痛がはしった。それでも探索の手はやすめなかった。 だが、いくら草むらをかき分けても、痕跡ひとつつかめない。動悸がはやまる。 そのとき、左手方向の遠くから死にいろどられた悲鳴がきこえてきた。 「ゆんやああぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーっっ!」 父まりさは目をみひらく。 方向を転じて、跳ぶように走った。 「おちびぢゃぁぁぁーーんっ!」 返答はなかった。 もどかしい。 父まりさは歯ぎしりした。 悲鳴を耳にして身をこがすような不安にかられていたのに、 いまはその返事の不在が不安でたまらず、悲鳴でもいい、妹まりさの声がききたかった。 「ゆんっ!?」 とつぜん、藪のような草むらが途切れ、背のひくい草が繁茂する広場に転がり出た。 「おちびちゃん!」 がばりと起きあがりあたりを見回す。 灰色の葉をつけた大樹の足もとに、ありすがいた。 父まりさを蒼ざめた瞳で見つめている。 「……」 二者は黙して対峙した。 「……おちびちゃんは、どこなのぜ」 ありすの体が、びくついた。その目に涙がたまってゆく。 が、それも一瞬のことでしかない。 一転して獰猛な目つきをたたえると、猛然と飛びかかってきた。 父まりさは横っとびに飛びのいて、奇襲を回避した。 敵は着地に失敗してバランスを崩す。 父親はすかさず背後をとった。 地面に落ちていた小枝をひろいあげ、あかいカチューシャのちかく、脳天にふかぶかと突き刺した。 絹を裂くようなするどい悲鳴が、しずかな森をさわがした。 父まりさはありすの上に飛びのり、全力でこれを押しつぶす。 白いクリームがぶっと吐き出された。もういちど、全力で踏みしだく。 こんどは口のみならず肛門と性器からも白濁液が流出した。 ありすは痙攣をはじめた。 父まりさは誘拐犯からおりて、詰問をはじめた。 「おちびちゃんはどこなのぜ。いうのぜ! いますぐ!」 「ゆ……ぐ……あなだの……ごども……」 瀕死の重傷だった。 「そーなのぜ! どこなのぜ! いうのぜ!」 尋問官の目は血走っている。ありすはクリームの涙をながしながら答えた。 「……ゆ……ゅ……ごべ……ごべんな……ざい…………あがぢゃん……が……おなが…… ずいでだがら……ゅ……だがら……」 「ど……どーでもいーことなのぜ! げすのこどもが おなかすいてたから なんなのぜ! こたえるのぜ! おちびちゃんは どこにいるのぜ!」 「……ごべんなざいぃ……」 さいごに謝罪をくりかえすと、ありすはひときわ大きく痙攣し、 せいだいに中身を吐きもらして事切れた。 父まりさは舌打ちして、あたりを見回した。焦燥が父まりさの胸を騒がしていた。 謝罪とは、過去の行いに対する反省の弁にほかならない。 すなわち、ありすは既に何かを実行してしまったことになる。 「おちびちゃーん!」 叫び声は森林に吸い込まれてゆく。 「……?」 どこからか声が聞こえてくる。 くぐもった、甲高い響きだ。 音源へと歩く。 樹木の根もとに、まりさ種の帽子が置かれていた。その帽子のつばには石が置かれている。 大きさから察するに、もちぬしは成体まりさ種であろう。 そして、ゆっくりがお飾りや帽子をその身からはずすことはありえない。 もちぬしのいない帽子など、不気味なだけだ。 振りかえり、ありすの死骸を見やった。ぴくりとも動かない。完全に死んでいる。 また黒帽子を見つめた。 父まりさは帽子に顔を近づけて耳をそばだててみた。 甲高い声が、帽子のなかに渦巻いていた。 『……みゅーちゃ……みゅーちゃ……みゅーちゃ……みゅーちゃ……おいちぃぃーーーー!』 『……おいちぃーわ……とっちぇも ときゃいひゃな おあじにぇ!』 『……ちあわちぇー……。まりしゃは とっちぇも ゆっきゅりしちぇいりゅんだじぇ……』 吹き飛ばすように、帽子をのけた。 蓋の下には、窪みがあった。 そこに七頭の赤ゆがいた。 窪みの底には藁がしかれている。巣のつもりか。 赤ゆらはいきなり明るくなった空をあおぎ、じぶんたちを睨みつける巨大な顔を見つけた。 かれらは同時に失禁し、蜂の巣をつついたような大騒ぎを呈した。 「ゆぴぃぃぃぃーーーーー! しりゃにゃい ゆっきゅりが いりゅぅぅーーーーーーーー! ゆっぐぢ でぎにゃのじぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーっっ!」 「ぶぎゃぁぁぁっ! ゆっぎゅり でぎにゃいぃぃーー! みゃみゃぁぁぁぁーーーーーー! みゃみゃぁぁぁーーーーーー! どっどど だじゅげりょぉぉぉーーーーーーーーーーーっ!」 「……ま、ま、まままま、まり、まりっ、ま、まりまりまり、まり、まりしゃっ、まりしゃはっ、 ちゅ、ちゅ、ちゅよっ、ちゅちゅちゅちゅ、ちゅよい、ちゅちゅちゅちゅ、ちゅよいっ」 「ゆわぁぁーーーん! ゆわぁぁぁーんっっ! ごっぢごなびでぇぇーーーーーーーっっ!」 曇天のもと、父まりさはひどく澄んだ目つきで、騒然と泣きわめく赤ゆたちを観察した。 まりさ種が三頭と、ありす種が四頭だった。 その口もとは、ことごとく、べったりと黒く汚れていた。 窪みのすみには、もちぬしのいない四つ目の小さな帽子が座っている。 赤ゆのまりさのそれにくらべると、少しばかり大きかった。 草むらのなかから父まりさがその姿を見せると、子供たちはよろこびに沸いた。 母れいむも安堵のため息をもらす。ところが、奪い返しにいったはずの妹まりさの姿が みえず、黒い不安が胸のうちで頭をもたげてきた。 「ね、ねえまりさ」 「おちびちゃんたち。ごめんなのぜ」 父まりさはツガイの呼びかけを無視して、群がってくる子供たちのもとにすすんだ。 そして黒帽子からなにか白い塊をとりだして子供たちの前にさしだした。 それは大量のあまあまだった。カスタードクリームと餡子の混合塊だ。濃厚な甘ったる い匂いが、子供たちの鼻孔を直撃する。 「ゆゆぅぅぅぅーーーーーーーーっっ!」 狂ったような歓声をあげた。 それと同時に。 ぷしっ。 と、いっせいに子供の肛門から尿が吐き出された。唾液はまたたくまによだれとなってあごをつたう。 目は食欲にきらめき、凝然と甘味を見つめている。 父まりさは包容力のある笑みをうかべる。 「すーぱー むーしゃむーしゃ たいむなのぜ。……たべるのぜ」 「ゆ゛ん゛や゛あ゛ぁぁぁぁーーーーーーっ!」 自制心など吹きとんでいた。 三頭のゆっくりは我先にと餡子にむらがって、一心不乱にをむさぼりはじめた。 しかし、母れいむは素直にはよろこべなかった。 妹まりさはどうしたのだ? 父まりさの横顔を見てもよろこんでいるようにはみえない。むしろ悲痛でさえあった。 それに、こんなに大量のあまあまをどこから調達してきたのだろうか。 餡子もクリームも自然界には存在していないのに。 いやちがう。 唯一存在する場所があるが、それは……。 「ねえ、まりさ。これって もしかして」 「れいむ。いうんじゃないのぜ」 おおいかぶせるように言って、ツガイの疑問を遮断した。 「さあ、まりさたちもゆっくりたべるのぜ」 「……これを?」 「おちびちゃんだけに たべさせちゃ だめなのぜ」 母れいむは息を呑んだ。 「わかったよ……」 と、答えたときだった。 「ちあわちぇぇぇぇーーーーっっ!」 末っ子れいむの雄叫びが森にこだました。 「えぐっ……ゆぐっ……ぢあばぢぇぇ……ぢあばじぇだよぉ……」 姉女れいむにいたっては、ふってわいたような幸せかみしめ、むせび泣いている。 その喜悦は想像するにあまりある。 ゆっくりは頭上から茎を生やし、その先に実をつけるように子を成らすことで繁殖する。 その茎型の生殖管は子供が生まれたときにへし折られて食事として子に与えられる。 砂糖水をたっぷりと沁しみこませた茎は極上のあまあまだ。 姉れいむはそのとき以来、一度も甘味をたのしんだことがなかった。 そして、一生涯、二度とあまあまは食べられないものだと悟り、あきらめてさえいた。 忘れかけていた砂糖の味は、陶酔するほどおいしかった。 「おどーじゃん……おいぢーよぉ……ありがどぉ……あり……?」 姉れいむは父を見て声を失った。 父まりさは甘みを一心に見つめるばかりでいっこうに食べようとしていない。 空腹にはちがいないのに。あきらかに挙動が不審だった。 それでも意を決したように甘みを口にふくんだ。その瞬間、目をむいた。苦しんでいる。 甘みと格闘し、死にものぐるいでのみくだした。 どうしてこんなにおいしいのに苦しむのだろう。 姉れいむはクリームと餡子のかたまりを見下ろした。 大量の甘みは、家族にたしかな活力をあたえた。 それから数日間は旅程の消化もはかどった。 さしたる危険を感じずに過ごすことができた。 ときおり上空を戦闘機の轟音が駆けぬけていったが、馴れたものだ、気にしなかった。 唯一の気がかりといえば、 「ゆんやぁぁぁーーーーーーーっ! おねぇぇじゃぁぁーーーーーーーんっ!」 と、ときおり末っ子れいむが思い出したように姉の不在を強調することだけだった。 妹まりさについては、 「しっそう」 ということにされた。追跡したが見失ったと父まりさは言った。 それが嘘だと、すくなくとも母れいむと姉れいむは気づいた。 姉まりさの話題は禁忌となった。しかし、赤ゆに泣きわめかれては家族の努力もむなしくなる。 妹まりさが失踪してから七日目のことだった。 道行く家族の目のまえに、一頭の見知らぬゆっくりが踊り出た。 「ゆゆ!?」 家族はひさしぶりに見たゆっくりに安堵をおぼえた。 ちかくに群れがあるならば迎え入れてもらおう。そんなことさえ思いはじめた。 だが驚きと戸惑いはすぐに恐怖へと転じた。 左右と背後からもゆっくりが飛び出してきて、五頭の家族をすきまなく包囲したためだ。 一家を包囲するゆっくりたちは、一様に瞳を欲望にたぎらせている。 だれもが尖った白い棒で武装していた。それは研磨した動物の骨だった。 「な……なんなのぜ」 父まりさは正面のゆっくりまりさに問いかけた。 「へへ。ひさしぶりの えものなんだぜ」 リーダー格と思わしきゆっくりまりさは、家族を品定めするようにねめつける。 母れいむ、姉れいむ、姉まりさは父まりさの背中によりそった。 末っ子れいむは本能的に事態を察して母の髪の毛のなかにもぐりこむ。 「みちをあけるのぜ……」 乾いた声で、父まりさは言った。 「いやなんだぜ」 リーダーはほくそ笑みながら即答する。 「ぜんいん ここで いただくんだぜ」 「いただくって、なんなのぜ」 リーダーだけではない。襲撃者たちは全員、おびえる家族を見すえてあざ笑っている。 「ふん。どれいにしてやるんだぜ」 「どりぇい!」 その単語に鋭く反応した姉まりさが、父まりさのかたわらに進み出た。 「なにいっちぇるのじぇー!」 「おちびちゃん、さがってるのぜ!」 父まりさは襲撃者をにらみながら大声を張った。ところが姉まりさは下がろうとしない。 「まりしゃは げしゅの どりぇいに なんきゃ ならないんだじぇーっ!」 涙をこらえつつ、姉まりさは朗々と宣言した。 「こいつ……なんなんだぜ?」 山賊頭のまりさは、勇敢なるゆっくりを睥睨した。 「ゆぴっ!」 あらごとに馴れた山賊の敵意はほんものだった。壮絶な敵意をあてられて、 姉まりさは失禁した。それでも引き下がりはしなかった。それどころか対抗した。 「まりしゃは ちゅよいんだじぇ!? しゃっしゃと みちをあけにゃいと……」 「あけないと、なんなんだぜ?」 「せ、せ、せ……」 「おちびちゃん、さがるのぜ、ここはおとーさんに まかせるのぜ!」 「せ?」 姉まりさは目をつむって悲鳴をあげるようにさけんだ。 「せ、せ……『せいっさいっ』しゅるんだじぇーーーっっ!」 「へぇ……やってみてほしいんだぜ、なあ?」 リーダーまりさは仲間を見渡した。七匹の仲間は嗤っていた。侮蔑の笑みだった。 「ま、ま……まりしゃを わりゃうにゃーーーーっ! ゆりゅせにゃいんだじぇーーーっ! もう、あやまっちぇも おしょいんだじぇー! まりしゃの『ぷきゅー』をくりゃえーっ!」 「お、おちびちゃん、おとーしゃんも てつだうのぜ!」 父まりさも同調した。二頭のまりさが息をすいこむ。 「せーの……」 父と子は呼吸をあわせて、 「ぷくぅぅぅぅぅーーーーーーっ!」 「ぷきゅぅぅぅぅーーーーーーっ!」 全身全霊の「ぷくぅ」を見舞った。 はたして勇敢な姿をつきつけられた襲撃者たちは爆笑した。 「ひ……ひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ! うぎゃー。こ、こわいんだぜー! ぷくーはー、 こわいんだぜー。……ってかぁ!? ゆひゃひゃはははひゃはっっ!」 「こわいよ~、くくっ……ぷくーはやめてね~、ぷくーはこわいよー、くくっ。あははっ、 くくっ……こわいよ~、げっひゃひゃひゃっひゃっ!」 『ぷ、ぷ、ぷくくぅぅぅぅーーーーーっっ!』 攻撃意志を表明するたびに哄笑は高まっていった。 「あはははは、まだ、まだやってるんだぜー! けっさくなんだぜー!」 姉れいむの目は涙が落涙した。母れいむも唇をかみしめている。 末っ子れいむは母の髪の毛のなかで震えていた。 そして父まりさと姉まりさは、山賊たちの侮辱など聞こえないとでも言いたげに、 効果のない威嚇を壊れたようにくりかえしていた。 「ひひ……わかったんだぜ。そのぷくーにめんじて……」 威嚇行動が止まった。 父まりさの瞳に希望が差す。 だが、直後に発せられた襲撃者の一言により、一縷の望みはあっけなく断ちきられた。 「……ひとりでゆるしてやるんだぜ」 「ゆ?」 リーダーは父まりさに鋭い眼光を投げつつ、ことばを重ねた。 「ひとりさしだすんだぜ。それでゆるしてやるんだぜ」 「お、おちびちゃんはさしだせないのぜ!」 父まりさは金切り声を発した。 リーダーの笑みが止まった。侮蔑がひっこみんだ。 「なにいってるんだぜ。おちびちゃんが だめなら おまえでもいーんだぜ。おちびちゃ んを さしだすひつようは ないんだぜ。どーして おちびちゃんが ぜんてい なんだ ぜ? けっ……。ぽーずだけ なんだぜ……」 父まりさは言葉に詰まった。ちがうと言いたかった。 じっさい、そんなことは露ほども考えていなかった。 ではなぜおちびちゃんが奪われると思ったのかと問われれば、その理由は思いつかなかった。 「さあ。どいつにするんだぜ?」 「だ、だれも だめなのぜ……」 顔をうつむかせてこたえた。そんな返答で許してもらえるとは思えなかった。 「じゃあ、ぜーいん どれいにして やるだけなんだぜ」 「それは だめなのぜ」 「じゃあ、きめるんだぜ。えらぶんだぜ」 「え、えらべないのぜ……」 「……れいむが!」 姉れいむが凛々と叫んだ。 その場にいたすべてのゆっくりにとり予想外の反応だった。 リーダーはどことなく困惑した顔つきを浮かべつつれいむを見やった。 「れ、れいむが……いくよ」 れいむは震えていた。尿も垂れ流している。涙も浮かべている。 だが口調はしっかりしていた。その毅然とした態度をみて、山賊頭まりさは目をほそめた。 部下に命令をくだす。 「みあげたゆっくりなんだぜ。わかったんだぜ。おい、つれていくんだぜ!」 その命令に従い、部下のゆっくりが姉れいむを家族から引き離した。 襲撃者たちが引き上げてゆく。しかしリーダーは最後まで残っていた。 呆然自失している父まりさを心底から蔑んでいた。 「おやだったら、もっと ていこうするべき なんだぜ。こいつ、あんしんして やがるん だぜ。へどが でるんだぜっ! こどもがさらわれるってのに どうして あんしん で きるんだぜっ! しねっ!」 山賊ゆっくりは力いっぱいぶちかました。 父まりさはかるがると吹き飛ばされ、いくばくかの餡子を吐きもらした。 山賊に前後左右をかためられて、姉れいむは道を歩いている。 おそらくは、もう家族と再会することはない。 「へっ。どーしようもないおやだったんだぜ」 前方を行くリーダーまりさは独りごとのように言った。姉れいむは答えない。 「ほんとうに どーしようもない……」 「あなたも」 姉れいむが静かに口をはさんだ。 「あなたも、いえあなたは、おやにすてられたの?」 リーダーまりさの足が止まった。それにあわせて七匹の仲間も停止した。 姉れいむは金色の後ろ髪を一心にみつめて返答を待った。 「……むかしのことなんて わすれたんだぜ」 そう言って、また歩き出す。 一行は無言で歩きつづけた。 やがて。 前方を行くリーダーまりさが、それを踏みつけた。 人間はそれを、地雷とよんでいる。 爆音が森をおどろかし、爆風が草をなぎ倒す。 火焔があたりの腐った植物をなめ、黒煙が曇天を汚した。 ほどなく、濁った空から砕け散ったゆっくりの残骸が降ってきた。餡子が大地に森にばらまかた。 こうして姉れいむをふくむ九頭のゆっくりは、 悲鳴をあげる権利さえあたえられぬまま、 爆炎にのまれて全滅した。 (下に続く)
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?ゆっくり達の生涯『冬篭り編』(前編)? 第1話 ?ゆっくり眠れないまりさ? 「ゆゆ?♪ まりさ、はるさんはまだかな?」 「ゆ?、きがはやいよれいむ。ふゆさんはゆっくりしてるからはるさんはまだこないよ。」 2匹のゆっくりが入り口を塞いだ木の洞の中で仲良くゆっくりしている。 2匹は成長途中であり、将来は夫婦となるであろうが現在のところ非常に仲の良い友達同士と言ったところである。 巣の奥にはキノコや木の実などの食糧が大量に蓄えられており、万全の状態で冬篭りを始めた事がうかがえる。 「ゆぅ?おうちのなかはせまくておもしろくないよ・・・。」 「しょうがないよれいむ、ゆっくりはるさんをまとうね! す?り♪ すーり♪ 」 まだ子供心が残るれいむをまりさが頬ずりをしながらなだめている。 ちなみにこのやり取りは本日5回目、所詮は餡子脳なので何気ない会話などすぐに忘れてしまうのだ。 そんなやり取りが繰り返されるうちに1日が終わろうとしていた。 「ゆぅ?なんだかねむくなってきたよ、まりさおやすみぃ?・・・z z z z z 。」 「ねてればはるさんはすぐにくるよ、おやすみれいむぅ?・・・z z z z z 。」 次の日、先に目を覚ましたのはれいむであった。 意識がはっきりするとれいむはすぐに異変に気が付く。 「ゆゆ!まりさどこ!?」 隣で眠っていたはずのまりさの姿は無く、れいむは慌ててまりさの姿を探す。 しかし所詮は小さな洞の中、れいむはまりさの姿をすぐに見つける事ができた。 「ゆゆ? まりさなにやってるの?」 まりさは顔を大量に溜め込んだ食糧に突っ込みスヤスヤと眠っている。 れいむの声を聞きまりさの意識はようやく覚醒する。 「ゆぅ?おはよぉ?れいむ。きょうもゆっくりしようねぇ?。」 このまりさ、まりさ種に多く見られる高慢な態度、いわゆるゲスの素質は微塵も持ち合わせておらず相方思いの良い ゆっくりであるのだが、一つ厄介な癖を持っていた。 それは・・・。 「ゆぅ?まりさ、ゆっくりねむっててよね!もぅ、ぷんぷん!」 「ゆゆ!ごめんねれいむ、ゆっくりしてるとなんでかいつもこうなっちゃうの。」 そう、このまりさは寝相がとてつもなく悪いのである。 現在は冬篭りのため入り口はがっちり塞いでいるから大丈夫であるが、過去に何度も眠ったまま転がり巣の外で朝を 迎えたことがあった。 運が良かった事もあり捕食種に食べられずに無事ここまで成長する事ができていた。 「ゆ、そういえばあさごはんがまだだよ! はやくたべようね!」 「ゆゆ! そうだったね、はやくごはんをたべたいよ!」 れいむに責められ分の悪いまりさは朝食の話題を出し話題の転換を図った。 結果は予想通り、腹ペコのれいむはコロっとまりさの寝相についての不満を忘れ思考はご飯に乗っ取られてしまった。 「「む?しゃ♪ む?しゃ♪ ・・・・・しあわせ?♪ 」」 2匹は食後のゆっくりタイムを満喫している。 そして、れいむはどこか聞き覚えのある言葉を発するのであった。 「ゆゆ?♪ まりさ、はるさんはまだかな?」 「ゆ?、きがはやいよれいむ。ふゆさんはゆっくりしてるからはるさんはまだこないよ。」 こうして昨日と同じ様なやり取りをして何気ない一日が過ぎていくのである。 しかし、そんな平和な巣穴に不幸な出来事が襲い掛かる。 「ゆぅ?・・・ゆぅ?・・・はるさん・・・はやくき・・・ゆぅ?・・・。」 時刻は深夜、れいむは気持ち良さそうに眠っている。 まりさはと言うと毎度の如く巣穴の中をコロコロ転がりながら眠っている。・・・よく目が覚めないものだ。 「ゆぅ?・・・まりさもっとゆっぐ!」 れいむは突然体に加わった圧力により目を覚ます。 そしてれいむは自らの目を疑う光景を目撃する。 「ゆぅ?・・・だいすきだよぉれいむぅ・・・むにゃ?・・・。」 まりさは寝ぼけたまま自らの体をれいむに押し付けており、しかもどこか気持ち良さそうな顔をしている。 「ゆゆ!まりさおきて!ゆっくりねむれないよ!」 れいむが必死に声を上げてまりさを起こそうとするが目を覚ます気配はなかった。 このまりさ、寝相が悪い事に加えて一度眠ったらなかなか起きないのである。 「ゆふふふ・・・なんだかきもちよくなって・・・。」 まりさの顔は次第に紅潮し、体を小刻みに振動させ始める。 まりさの行為の意味を知っていたれいむは血相を変えて騒ぎ出す。 「や、やめてまりさ! れいむまだこどもつくりたくないよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」 れいむは必死にまりさから離れようとするが、きっちり押さえつけられているのに加え自らも少しずつ快楽に支配さ れ力が入らず逃れられない。 そして体をくねくねさせて抵抗するうちにれいむのリボンがほどけてしまう。 「ゆゆー! れいむのりぼん! 」 リボンがほどけ気がそれたのがいけなかった。 まりさは好機とばかりに更なる快楽を求めどんどん振動を強くしていく。・・・夢と現実の両方で。 「ゆふ・・・ゆふふふふ・・・んほぉぉおおおぉおぉおぉおお! ! ! 」 「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!じにだぐない! じにだぐない! もっどゆっぐりじだいよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !まだずっぎりじだぐないよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」 「「すっきりー! 」」 まりさは満面の笑みで、れいむはこの世の終わりに遭遇したような表情で“すっきり”を迎えた。 れいむの頭から蔓が芽を出し、涙を浮かべ絶望の表情のまま黒ずんでいく。 まりさは“すっきり”して満足したのか何事もなかったかのようにスヤスヤと眠っている。 翌日、まりさは久しぶりにれいむに起こされずに目覚めた。 「ゆっふ???! なんだかとってもすっきりしてるよ!」 軽く伸びをしてれいむの方へ目を向けるとまりさは愕然とする。 まりさの目には黒ずみ朽ちた物体が映っていた。 その物体の頭頂部からは緑の蔓が伸び先端に3つの小さな実が実っていた。 理解を超えている光景にまりさはフリーズしてしまった。 (ゆゆ? れいむはどこにいったの? なんでいないの? おうちのいりぐちはふさいでるよ? なんで? どうして?) フリーズしているまりさの目にある物が映りそれに釘付けとなる。 黒く朽ち果てた物体の横にいつも見ているれいむのかわいらしいリボンが落ちていた。 (なんでれいむのりぼんがおちてるの? ) リボンを見詰めているうちにまりさはある結論にたどり着く。 (ゆゆ!? ひょっとして・・・これって・・・) まりさの思考が間停止する。 (・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・) 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ ! ! ! ! ! れいむ! れいむ! でいぶう ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! なんで!? どうして!? でいぶ! ゆっくりしすぎだよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! おぎでよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! いやだあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ! ! 」 黒く朽ち果てている物体がれいむであると理解したまりさは大声で泣き喚きだした。 もちろん自分が寝惚けてれいむとすっきりした事に気が付いてなどいない。 その時、泣き声が木霊する巣穴の中に一つの変化が訪れる。 プチッ! プチッ! ・・・・・プチッ! 朽ちたれいむに実った3匹のプチゆっくりが蔓から切り離され落下する。 地面に着地すると3匹は満面の笑みで産声を上げる。 「「「ゆっくりちていってね!」」」 プチゆっくりの産声を聞きまりさは我に返る。 まりさの目線の先ではれいむの忘れ形見である3匹のプチれいむが笑顔で飛び跳ねていた。 「れいむの・・・あかちゃん・・・? 」 声に反応したプチれいむ達とまりさの目が合う。 「「「おか?しゃ?ん、おなかちゅいたよ。」」」 この瞬間、まりさの餡子脳の大部分を占めていた悲しみが一気に喜びと母性に入れ替わった。 「ゆゆ! すぐごはんをあげるよ! まっててね! 」 まりさは急いでプチれいむ達が実っていた蔓の元へ駆け寄り食べやすいサイズに食い千切る。 「おちびちゃん! これがごはんだよ! ゆっくりたべてね! 」 「「「おか?しゃん、ありがちょ?♪ 」」」 プチれいむ達は目の色を輝かせてパクッと蔓に食い付く。 「「「む?ちゃ♪ む?ちゃ♪ ・・・ちあわせ?♪ 」」」 (ゆゆ?♪ とってもゆっくりしたおちびちゃんたちだね! れいむのぶんもおちびちゃんたちとゆっくりするからね!) まりさは3匹のプチれいむを見ながらこれから始まる幸福な時間に思いをはせるのであった。 その日の夜、巣穴の中は幸福で包まれていた。 「す?り♪ す?り♪ さすがまりさのおちびちゃんだね! とってもゆっくりしてかわいいよ! 」 自分がれいむを無理やりすっきりさせたなどと夢にも思っていないまりさは、既にれいむの事など忘れてプチれいむ 達とスキンシップをはかり幸福の絶頂にいる。 「おか?しゃんくしゅぐっちゃいよ♪ 」 「いいにゃ?いいにゃ?♪ ちゅぎはれいみゅのじゅんばんだよ! 」 「ゆゆ! じゅりゅいよ! れいみゅもしゅ?り♪ しゅ?り♪ しちゃいよ! 」 4匹はとてもゆっくりとした時間を過ごしている。 しかし、幸せな時間というものは早く過ぎてしまうものである。 「ゆゆ! おちびちゃん、そろそろおねむのじかんだよ! 」 「「「まだねみゅくにゃいよ! もっちょゆっくりしちゃいよ! 」」」 プチれいむ達は大丈夫だと言い張るが既に目が何度も閉じかかっており、眠くて仕方がない事がうかがえる。 「ゆっくりねむらないとゆっくりしたゆっくりになれないよ。 おちびちゃんたちはゆっくりしたゆっくりになりたいでしょ?」 「「「ゆゆ! ゆっくりしちゃいよ! れいみゅはゆっくりねむりゅよ! 」」」 ゆっくりは“ゆっくり”と言う単語に非常に敏感であり、ゆっくりしたゆっくりを理想像とする。 故に賢い親はその理想像を利用して子供の躾に“ゆっくり”と言う単語をよく使用する。 「ゆ?、やっぱりまりさのこどもはいいこだね! おちびちゃんたちのべっどはここだよ! 」 まりさの横には落ち葉のベッドが出来上がっていた。 昼間プチれいむ達のために一生懸命作った努力の賜物である。 ベッドを見るや否やプチレイム達は目をキラキラさせる。 「「「ゆゆ?♪ とっちぇもゆっくりできしょうだよ! おか?しゃんありがちょ?♪ 」」」 プチれいむ達の賞賛を聞き、まりさは満更でもなさそうに照れている。 プチれいむ達は各々お気に入りポイントを決めると落ち葉を身にまとい眠る体勢に入る。 「おか?しゃん、おうたうちゃって?。」 「ゆゆ! れいみゅもおうたききちゃいよ?。」 「うちゃって♪ うちゃって♪ 」 プチれいむたちの期待に応えてまりさは目を瞑るとゆっくりと子守唄を歌い始める。 「ゆ?っく?り??ゆゆ?ゆ?ん?ゆゆ?ゆ?ゆ?ゆ?♪ 」 人間が聞いていたら思わず拳が飛んできそうな歌声であるが、プチれいむ達は気持ちよさそうに夢の中へ旅立ってい った。 そしてまりさも幸福で満たされた笑顔のままゆっくりと眠りについた。 深夜・・・。 コロコロコロ・・・コロコロコロ・・・コロコロ「ぴぎゃ・・・。」・・・コロコロコロン・・・ コロコロコロ・・・コロコロ「ゆぎゃ・・・。」・・・コロコロコロ・・・コロコロコロリン・・・ 翌日、巣穴の中は絶望で埋め尽くされていた。 「なんでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛! ! ! どうじでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛! ! ! おちびちゃんがぶだりもづぶれてるのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !?おねがいおぎでよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! ! ! 」 まりさが気持ちよく目覚めると2匹のプチれいむが無残にぺちゃんこに潰されていた。 ご想像通り、深夜まりさの寝相の悪さによって運悪く踏み潰されてしまった2匹である。 残念なことに貧弱な餡子脳では自らが踏み潰したなどと考えは及ばず、まりさは物言わぬ潰れた饅頭となった2匹を 眺めひたすら泣き喚く事しか出来ない。 また、運良く生き残った1匹のプチれいむも熟睡していたせいでまりさが姉妹を踏み潰したなどと思い浮かぶ事無く、 居もしない犯人に怯えながら潰れた2匹に対して涙を流すのであった。 「ゆあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん! ! ! おちびちゃんゆっぐりじずぎだよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! ! ! 」 「ぴぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ゆっぐりできにゃいよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」 その日、2匹は片時もゆっくりする事ができないのであった。 夜、まりさは追い詰められていた。 この状況に至ってもまりさは自身の寝相で2匹を踏み潰したなどど微塵も思っておらず、どうやって生き残ったプチ れいむを護ろうか悩んでいた。 「ゆぅ・・・このおちびちゃんだけはぜったいまもらないと・・・。」 まりさは貧弱な餡子脳をフル回転させて打開策を考えている。 「ゆゆ! いいことおもいついたよ! 」 そしてある名案を思いつくのである。その名案とは・・・。 ※エンディング分岐です。 プチれいむを口の中に隠す → A プチれいむを帽子の中に隠す → B A:プチれいむを口の中に隠す 「おちびちゃん! おかあさんのおくちのなかにはいってね! 」 「ゆゆ?? おくちのにゃか? 」 まりさの意図を理解していないプチれいむは頭上に?マークを浮かべている。 「おかあさんのおくちのなかでねむればきっとあんぜんだよ! ゆっくりりかいしてね! 」 「ゆゆ! おか?しゃんはてんしゃいだね! ゆっくりりかいしちゃよ! 」 大きく開けられたまりさの口の中にプチれいむは勢いよく飛び込む。 「ゆゆぅ、ちょっとくりゃくてこわいよぉ、おか?しゃん。」 「ごめんねおちびちゃん、おかあさんがまもってあげるからがまんしててね。」 少し怖がっていたプチれいむであったが母親の口の中に居る安心感もあり、すぐに眠りにつく事ができた。 深夜、まりさは眠気と必死に戦いながらまだ起きていた。 2匹のプチれいむを潰した犯人を見つけるために徹夜する覚悟でいた。 「ゆぅ、ぜったいねむらないよ、おちびちゃんはまりさがまも・・・・・z z z z z 。」 しかし、遂に睡眠欲に負け眠ってしまった。 当然といえば当然の事である。 ゆっくりは三大欲求の誘惑に非常に弱いナマモノである。 自然界に生き、人間から特別な訓練を施されていないゆっくりがそれにあがなおうとするのは並大抵の行為ではなく、 まだ成体でもないまりさにとって到底無理な事である。 「ゆぅ?・・・おか?しゃんだいしゅ・・・むにゃ?。」 まりさの口の中でプチれいむは安心しきった寝顔で眠っている。 しかし、一度下り始めた幸福から不幸への下り坂はそう簡単に終わらないのであった。 プチれいむは異変に気が付き目を覚ました。 コロコロコロ「ゆゆ! 」・・・コロコロコロ「おか?じゃ! 」・・・コロコロ「もっぢょ! 」・・・ コロコロコロ「ゆっぐり゛! 」・・・コロコロコロ「ゆぎゅ! 」・・・コロコロ「ぴぎゃ! 」・・・ まりさの口の中でプチれいむは何度も壁にぶつかっていた。 理由は言うまでもなくまりさが転がりながら眠っているからである。 プチれいむは必死に悲鳴を上げてまりさを起こそうとするが、目を覚ます気配は微塵もない。 コロコロコロ・・・・・「ゆゆ?」・・・・・「とまっちゃの?」 突如まりさの動きが止まり、プチれいむも悲鳴を上げるのを止める。 しかし、口の中にいるプチれいむはなぜまりさが動きを止めたかまではわからなかった。 「ゆゆ?、やっちょゆっくりねむれりゅよ。」 プチれいむが再び眠ろうとした時異変が起こる。 「ゆぅ?・・・ゆふふ♪ おいしそうなごはんだ・・・むにゃ?。」 「おか?しゃん、れいみゅねむれにゃいよぉ。」 夢の中でまりさは大量のご飯を目の前にしている。 「ゆふ・・・ゆふふ♪ いっただっきま?す・・・むにゃむにゃ?。」 「ゆえ?ん! ねむれにゃ・ゆぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」 夢の中で食糧にかぶりつく・・・現実でも同じ様に。 プチれいむは間一髪の所でまりさの歯をかわしていた。 しかし、口の中という足場が不安定で視界も暗い中で的確な行動が取れるはずもない。 「む?しゃ♪ 「ぴぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」む?しゃ♪ 「たべにゃいでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! 」しあわせ?♪ 」 翌日、まりさは溜め込んだ食糧に顔をうずめた形で目を覚ます。 昨夜まりさが見た夢はおそろくはこれが原因である。 「ゆ?っふ?ん! おちびちゃんきょうもゆっくりしようね! おくちからゆっくりでてね! 」 まりさは大きな口を開けてプチれいむに口から出るように催促する。 しかし、プチれいむが飛び出す気配はなかった。 「ゆゆ?? おちびちゃんどうしたの? 」 しかたなくまりさは口の中に感じるプチれいむであろう異物を慎重に吐き出す。 ペッ! ベチャ! まりさの目の前には唾液でベタベタになった赤いリボンが現れる。 昨日と同様にまりさの思考が停止する。 (・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・) ?5分経過? (・・・・・あのりぼん・・・・・おちびちゃんのだよね?・・・・・おちびちゃんはどこ?・・・・・) ?10分経過? (・・・・・ひょっとして・・・・・まりさが・・・・・おちびちゃんを・・・・・たべちゃったの?・・・・・) ?15分経過? (・・・・・あれ?・・・・・どこかで・・・・・おなじようなことが・・・・・あったよね?・・・・・) ?20分経過? (・・・・・おきたら・・・・・おちびちゃんがふたり・・・・・いなくなってた・・・・・) ?25分経過? (・・・・・れいむも・・・・・あさ・・・・・いなくなって・・・・・) ?30分経過? 貧弱ながらも餡子脳で必死に情報を整理したまりさはある結論にたどりつく。 「あ゛っ! あ゛っ! あ゛っ! ・・・・・ぜんぶばりざのざいなのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !? ゆぎゃあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ! ! ごべんなざいごべんなざいごべんなざい! ! ! ぱっ! ぱっ! ・・・ぱ ぴ ぷ ぺ ぽ っ ! ! ! ぱ ぴ ぷ ぺ ぽ お お お お お お お お お お ! ! ! 」 普段使わない餡子脳をフル回転させたことに加え自らが犯した過ちに気が付き、それらの重圧に押しつぶされまりさ の心はついに壊れてしまった。 「ゆふふふふふふふふふふ! ゆはははははははははは・・・・・! 」 その日からまりさは溜め込んだ食料に口をつける事無く、眠ることも忘れ笑い続けるのであった。 ?春? 長い冬を乗り越える事に成功したゆっくり達が巣穴から続々と顔を見せ始める。 まりさのいた巣穴には餓死したまりさの亡骸と大量に残された食糧という矛盾した光景が広がっていた。 こうしてれいむは強制すっきりにより、プチれいむ2匹は踏み潰され、1匹はまりさに食べられ、元凶であるまりさ は何も食べずに餓死し、各々の生涯を閉じたのであった。 B:プチれいむを帽子の中に隠す 「おちびちゃん! おかあさんのぼうしのなかにはいってね! 」 「ゆゆ?? ぼうちのにゃか? 」 まりさの意図を理解していないプチれいむは頭上に?マークを浮かべている。 「おかあさんのぼうしのなかでねむればぜったいあんぜんだよ! ゆっくりりかいしてね! 」 「ゆゆ! おか?しゃんはてんしゃいだね! ゆっくりりかいしちゃよ! 」 まりさは舌を出し、プチれいむはそれを踏み台にして帽子まで到達するとゆっくりと中に潜り込む。 「ゆゆ?♪ ちょっとくりゃいけどゆっくりできしょうだよ♪ 」 「おちびちゃんはおかあさんがまもってあげるからね! またあしたいっしょにゆっくりしようね。」 プチれいむはすぐ傍に母親がいるという安心感もあり、すぐに眠りにつく事ができた。 深夜、まりさは居もしない犯人を見つけるために必死に眠気を我慢して起きていたが、結局睡眠欲に負け眠ってしま う。 「ゆぅ?ゆぅ?・・・だいすきだよ・・・・むにゃむにゃ?。」 「ゆぅ?・・・おか?しゃんだいしゅ・・・むにゃ?。」 プチれいむはまりさの帽子の中で幸せそうな寝顔で眠っている。 しかし、一度転落を始めた幸福から不幸への下り坂はそう簡単に止まる事はなかった。 「ゆぐ!」 プチれいむは突如体に加わった衝撃で目を覚ます。 「ゆぅ?ゆっくりできにゃいよ?おか?・・・?・・・・・ゆゆ!おか?しゃんがいにゃいよ! 」 現在プチれいむは地面に転がった帽子の中で横向きになっている。 まりさはと言うと帽子が脱げた事になど気づかないままコロコロ転がりながら眠っている。 帽子が傾いているためプチれいむはまりさの姿を確認する事ができず少し不安そうにしている。 「おか?しゃんをさがしゃないちょ。」 プチれいむは這うようにして傾いた帽子から脱出を図る。 「うんしょうんしょ。」・・・コロコロコロ・・・「おか?しゃ?ん! 」・・・コロコロコロ・・・ 「うんしょうんしょ。」・・・コロコロコロ・・・「どこにいりゅにょ??」・・・コロコロコロン・・・ プチれいむが帽子の入り口に到達する。 「やっちょおしょとにでられりゅよ。」 ピョンッと外に飛び出した瞬間、プチれいむの目には転がりながら接近するまりさの姿が映っていた。 コロコロコロ「ぴぎゃあぁぁ! とまっちぇぇぇぇぇぇ! 」ブチュ!・・・コロコロコロ・・・ コロコロコロ・・・コロコロコロ・・・コロコロコロ・・・コロコロコロリン・・・ 迫り来る母親の巨体、それがプチれいむの見た最後の光景であった。 翌日、まりさは帽子が脱げた状態で目を覚ます。 「ゆ?っふ?ん! ゆゆゆ! まりさのたいせつなぼうしがないよ! どこいったの!?」 まりさは血相を変えて巣の中を見回す。 すぐに帽子を発見し安堵するが、近くに転がっているある物を見つけ表情を凍らせる。 まりさの目線の先には押しつぶされて物言わぬ饅頭となったプチれいむが転がっていた。 「あ゛っ! あ゛っ! あ゛っ! ・・・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! おぢびぢゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! なんでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!?どうじでづぶれでるのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !? ぜんぶばりざのぜいだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! ごべんでえぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! ばりざがねぢゃっだがらだあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」 ついに独りぼっちになってしまったまりさは潰れたプチれいむの横でひたすら泣き続けた。 ?1時間後? 「いなくなったおちびちゃんおぶんもまりさはゆっくりするからね! 」 あっさり立ち直っていた。 幸い巣穴には1匹なら余裕で春を迎えられるであろう大量の食糧が蓄えられている。 まりさはゆっくりと春を待つのであった。 ?春? ガサゴソ・・・ガサゴソ・・・ガサゴソ・・・ヒョコッ! 巣穴からまりさが顔を出す。 「ゆゆ?♪ やっとはるになったよ♪ これでゆっくりできるね♪ 」 まりさは尊い犠牲(?)により無事春を迎えることができた。 今となっては相方であったれいむや潰れて死んだプチれいむの事はほとんど記憶に残ってはいない。 「ゆっゆゆ?ん♪ ゆっゆゆ?ん♪ 」 まりさは希望に胸膨らませて春の森へ繰り出していった。 結局、最後までまりさは自分が原因でれいむやプチれいむが死んでしまった事に気付かなかった。 そして、当然寝相の悪さは直ってなどいない。 この先、まりさは再び気の合うゆっくりを見つけてつがいになるだろう。 そしてそのつがいとなったゆっくりはゆっくりできない生涯を送る事になるのであった。 第1話 ?ゆっくり眠れないまりさ? END 「そこまでよ! このすぺ?すはぱちぇがいただいたわ! 」 なにやら変なのがわきました。 番外編 ?がんばれゆっくりぱちゅりー2? 「むきゅ?♪ おうちがかんせいしたわ! これでふゆがこせるわ! 」 現在ぱちゅりーは自分で地面に掘った巣穴の中に居る。 決して広くはないが、体の弱いぱちゅりー種が巣穴を1匹で完成させるのは非常に稀なケースである。 「むきゅ?♪ ちかくにはたくさんしょくりょうがあるしかんぺきだ・・・。」 パラッ・・・パラッ・・・パラパラパラ・・・ドッシャ?ン 「むぎゅー! 」 突如巣穴が崩れぱちゅりーは下敷きになってあの世へ旅立った。 少し考えればわかるものだが、体の弱いぱちゅりー種が掘れる場所など柔らかく崩れやすい場所に決まっている。 完成した時はぎりぎり形状を保っていたが、中でぱちゅりーが出した声がトリガーとなり崩壊してしまったのだ。 本来ぱちゅりー種は自らの知識を活かし他のゆっくりと共生することで生き延びる種である。 自らの豊富な知識に自惚れ他のゆっくりに近づこうとしなかったこのぱちゅりーに初めから未来など無かったのだ。 (むっきゅーーー! これじゃまえとおなじじゃない! なんでぱちぇだけこんなにすこしなのーーー! けほっけほっ。) 以前にも似たような事があった気がするけどTAKE2 「むきゅ?♪ しょくりょうもあつまったしこれでふゆがこせるわ! 」 現在ぱちゅりーは老木の洞の中に居る。 洞の奥には色とりどりの秋の味覚が溜め込まれている。 体の弱いぱちゅりー種がこれだけの量の食糧を1匹で集めるのは非常に稀なケースである。 「しっかりいりぐちをふさいでっと、かんぺきだわ! 」 ぱちゅりーは完璧な計画に胸躍らせながらゆっくりと眠りについた。 ガクガクガクガクガク 大寒波が到来した翌日、ぱちゅりーは寒さに震えていた。 いかに洞の中とはいえ寒さをすべて緩和する事など不可能である。 「ざ、ざむいわ・・・も・もうだめ・・・むぎゅぅ・・・・・。」 寒さに耐えられなくなったぱちゅりーは敢え無くあの世へ旅立った。 ぱちゅりー種はゆっくり一皮が薄く、また中身が生クリームという事もあり寒さにも暑さにも弱い種である。 他のゆっくりと一緒に越冬し、肌を触れ合わせて体温を上昇させ生き延びるのがぱちゅりー種である。 自らの豊富な(ry (むきゅぅ・・・。) 中篇へ続く