約 312,794 件
https://w.atwiki.jp/trpgken/pages/1016.html
くまきち/"C90003" 「どうも。僕はウォーレンの遣いで、活動型のインテリアです。くーちゃんと呼んでください」 「おや、また僕の仕事ですか。住まわせてもらっている以上は協力しますが、正直、あなた方の好戦的思考は理解しかねます」 「やはり、くーちゃん、では呼びにくいのですか。成人男性の多くがそのように言いますね。僕には不可解です」 「僕の本業はインテリアです。インテリアは日常の彩りですので、僕は日常を守る活動を行います」 「……譲歩しましょう。くーさんと呼んでください」 消費EXP:27 設定 人の名 くまきち 魔の名 “C90003” 年齢 数年 性別 人格としては男 外見的特徴 本体→一抱えもあるくまのぬいぐるみ お仕事時の格好→大きなくまのぬいぐるみを背負った、無表情な十代前半の少年(本体のぬいぐるみが、少年型ロボットに背中で接続している) 種族/種別 機械、来訪、概念 カヴァー インテリア 出自/絆 脱走(組織、逃避) 邂逅 千種令(恐怖) エゴ 私は人形 変異 機械のきしむ音がする 設定 数年前、ある組織が開発した戦闘用ロボットの試作品が自我を持って脱走したという事件が裏社会を騒がせた。 それは、幻の永久機関「心魂機関(ゴスペル・エンジン)」で駆動し、電脳世界を利用して本部と緊密に連携をとりながら任務を遂行する「人型」戦闘ロボット。 組織の執拗な追撃にもかかわらず、ロボットの行方は知れず。 逃走の中で与えた損傷は激しく、人知れず活動限界を迎えたと噂されていたのだが―― そのロボットが、ペルソナネットワークに回収されているということを知る人物は少ない。 というのも、心魂機関は稀少である。組織は修復と生活手段の確保を交換条件に、任務やデータ採取に協力させることのしたのである。 ちなみに、現在そのロボットはすっかり組織に居着いて馴染んでいる。 拾われて最初の修理の際に、剥き出しのコアを見た構成員が冗談で与えたくまのぬいぐるみ「くまきち」を、彼は随分と気に入った様子。 彼自身の手で勝手に魔改造された「くまきち」は、今ではメインのボディである。人型より落ち着くらしい。 最近では、自分のアイデンティティを戦闘用ロボットではなく「インテリア」に見出しているようだ。 仕事が無い時は、ペルソナネットワーク支部の休憩室のテーブルの上で、無線LAN接続可能なしゃべって動けるくまさんとしてのんびりしている。 性格・行動 淡々としていて、無表情かつ抑揚無く話す。 感情が薄いように見えて、どこかずれた場面で妙なこだわりを見せることもある。 データ スタイル サポーター ブラッド フルメタル ストレンジャー ルーツ 自動人形 電脳魔術師 肉体 技術 感情 加護 社会 基本能力値 5 9 7 4 4 能力値B 2 4 3 2 2 アーマー値 11 13 12 11 11 白兵値 射撃値 回避値 行動値 FP 初期人間性 元値 7 7 4 11 41 56 修正値 7 7 4 12 41 52 アーツ Lv Time コスト 効果 アレナ展開 魔獣化 マイナー 絆の救済者 効果参照 愛 真の死を回避し、【FP】完全回復。1/シナリオ サポートフォーム 常時 魔獣化をイニシアチブにも使用可能。回復、支援の効果 +【最も高い能力B】 異界のコスチューム 常時 2 防具を一つ選択し、アーマー値と行動値修正を + 2 心魂機関 1 常時 2 アーマー + Lv × 2 感情 + 2 ブービートラップ 1 効果参照 3 ガードを行う際、攻撃側が【技術】 + Lvd6 のFPを失う ワンモアチャンス 判定直後 2 判定振り直し。ラウンド1回。 ニューロマンサー 1 判定直前 2 あらゆる判定を【技術】 + Lv で行う 1 / ラウンド フォローアシスト 1 判定直前 2 (自分以外)達成値 + 3 1 / ラウンド チャンスメイク メジャー 3 未行動にする 一気呵成 効果参照 4 攻撃直前、対象を範囲に 1 / ラウンド アウトオブコントロール ダメージ直前 3 ダメージ + 2D6 ダメージ入る→狼狽 1 / ラウンド 軍神 3 メジャー 3 範囲。シーン間ダメージ + Lv × 3 クイックサポート イニチアシブ 5 メインプロセスを即座に一度行う 1 / シーン 装備品 防具 ドッジ アーマー 行動値 常備化P 備考 くまさん(複合装甲相当) 0 7 +1 10 異界のコスチュームで選択 名前 常備化P 効果 超再生薬×2 12 マイナー、単体。FP + 4D6 障壁符 5 ダメージ前、ダメージ - 1d6 アクセスコード 5 情報判定を【技術】で。使用後人間性 - 2 通信機器 小動物やろうかな→私は猫好き→でも猫はやったことがある→犬? 魚? 熊?→熊→くま→ぬいぐるみ!!! 動物ではなくなりました。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/19.html
「むきゅう………にんげんさん、ぱちゅたちになんのようかしら?」 警戒心をあらわに、ぱちゅりーはそのお兄さんと向かい合った。 群れのゆっくり達は、怯えた表情で群れ長のぱちゅりーの背後に下がり、成り行きを見守っている。 突然群れを訪ねてきたそのお兄さんは、背中に大きなリュックを抱えてぱちゅりー達を睥睨していた。 その表情がゆっくりしているかどうか、にわかに判別はつかない。 わからないものはまず警戒すべきだ、それがわかる程度にはぱちゅりーは賢い。 かといって、相手は人間さん。警戒したところで対処しきれる相手ではない。 仮に、百匹以上を数えるこの群れ全員で挑んだところで、 このお兄さん一人に苦もなく殲滅させられるだろう。 「おにいさん、ぱちゅたちはなにもわるいことはしていないわ。 にんげんさんのすんでいるところにはちかづいたこともないし…… にんげんさんになにかめいっわくっをかけたならあやまるわ」 とにかく下手に出て、機嫌を損ねないようにする。 人間さんにとれる対策といえばそれぐらいしかない。 ともすればクリームを吐いてしまいそうなこの緊張感を、ぱちゅりーは長としての資質と矜持で耐え抜いていた。 お兄さんはぱちゅりーの前に屈みこみ、笑みを浮かべた。 「そんなに怯えなくていいよ、ぱちゅりー。 僕は君たちの群れにゆっくりできないことをしにきたわけじゃないんだ」 「むきゅう?」 「僕がここまでやってきたのはね、聞いてほしい頼みがあるからなんだ。 僕のお願いを聞いて、僕をゆっくりさせてくれたなら、 お返しに君たちをゆっくりさせてあげたい」 「むきゅ………おにいさん、ぱちゅたちはぱちゅたちでゆっくりできているわ」 ぱちゅりーは警戒を解かない。 人間の口車に乗ってゆっくりできなくなった仲間は数知れず、 ゆっくりとしては長く生きてきたぱちゅりーはその実体験から慎重になっていた。 「そうかい?たとえば、いつもこんなものを食べているかな?」 そう言うと、お兄さんはポケットの中から数枚のクッキーを取り出してぱちゅりー達の前にばらまいた。 「むきゅっ!?」 「ゆゆっ!!あまあまだよ!!あまあまがあるよっ!!」 「あまあま!!あまあまたべたい!!たべさせてね!!ゆっくりたべるよ!!」 ぱちゅりーの背後に引っ込んでいた群れのゆっくり達が勢い込んで前に出てくる。 ぱちゅりーはそれを強く制した。 「むきゅ、やめなさい!!にんげんさんのおはなしをきいてからよ!!」 「ゆううううぅぅ!!たべたい!!たべたい!!たべたいよおおぉ!!」 「いいよ、これはほんの挨拶だから。遠慮しないで食べてくれ」 「で、でも……」 「いいっていったよ!!にんげんさんがいいっていったよ!!これはれいむのものだよ!!」 「なにいってるのぜぇ!?まりささまのものなのぜぇ!!ゆっくりどくんだぜぇぇ!!」 「ゆっくり!!ゆっくり!!むーじゃ!!むーじゃあぁ!!」 たった数枚のクッキーに、群れの三割ほどの意地汚い数十人が群がり、 もぞもぞと押し合い舌を絡ませ合い蠢きながら涎を撒き散らして奪い合った。 「むきゅううぅ………」 「そんなに残念がらなくても、おかわりのあまあまは沢山あるよ、ぱちゅりー」 「むきゅ、にんげんさん、そういうことじゃなくて」 「ゆゆっ!!おかわり!!あまあまちょうだいね!!れいむにあまあまちょうだいね!!おかわりおかわりいいぃぃ!!」 「とかいはなあまあま!!ありすがたべてあげてもいいのよっ!?いいのよおおおぉぉはやくううぅぅ!!!」 「まりささまにあまあまよこすのぜぇぇ!!」 群れの醜態に、ぱちゅりーは眉間に深い皺を寄せる。 あまあまはいけない。あまあまはゆっくりの理性を狂わせ、分別を失わせる。 といって人間さん相手に強い拒絶を示してはあとが怖い。 あまあまの味を知ったこの数十匹をあとあとどう処置するか、頭が痛かった。 「もっと欲しいなら、僕の頼みを聞いてくれるかな?」 「むきゅ、でも」 「おさはきいてくれるよっ!!にんげんさん、なんでもいってね!!あまあまちょうだいねっ!!」 「きくよね!?おさ!!おにいさんのたのみきくよねええ!!あまあまもらおうねええぇぇ!!」 もはや殺意に近い、ぎらつく群れの視線に目を伏せ、ぱちゅりーは観念して答えた。 「……どんなおねがいかしら、にんげんさん」 「うん、簡単なことだ。僕の大事なゆっくり達を、群れに迎え入れてほしいんだ」 「むきゅっ?」 「まりさとれいむ、子供が八匹。合計十匹の仲よし一家さ。 都会で会って仲良くなってね、都会の暮らしは辛いから山の群れに行ってゆっくりしたいと言うんだ。 だから僕がここまで連れてくることにしたんだけど、群れの仲間として迎え入れてくれるかな?」 「………」 そんなものは、その一家の質による。 ゲスゆっくりを群れに入れたりしたら、たちまち被害を撒き散らすだろう。 ぱちゅりーの見立てでは、八匹という子供の多さからみて、 後先考えずにすっきりをする考えなしの厄介者、という公算が高かった。 「そして、迎え入れたからには、きちんと群れで面倒を見てやってほしいんだ。 絶対に死なせたりしないでくれ。 僕は定期的にここに来て、友達の様子を見にくるからね。 もし一匹でも死んだりしていたら、僕は怒るよ。その子が死ぬ原因を作ったゆっくりを突き止めて制裁する」 「そ、そんな……むきゅうぅ………」 「でも、生きているなら…… そう、生きていてさえいるなら、僕は嬉しい。 生かしてくれていた君たちに感謝して、確認するたびに沢山のあまあまをあげよう」 「ゆゆっ!!あまあま!!あまあまだよおぉ!!」 「おさ!!こんなうまいはなしはないのぜ!!むかえいれるのぜぇぇ!!」 あまあまの言葉が飛び出すたびにがなり立てる連中は、群れでもどちらかといえば無能なほうだ。 どうせ、人間さんのゆっくりが死んでも、長である自分に責任をなすりつけてくるだけだろう。 過去にそう感じた回数は数えきれないが、 ぱちゅりーは今また、群れの長になったことを後悔していた。 ぱちゅりーの苦悩を察したのだろうか? お兄さんは、念を押すように繰り返してきた。 「いいかい、繰り返すけど、生きてさえいればいい。 生きていてさえいれば文句はないんだよ。 僕の友達といっても、ゆっくりできないことをしたら、君たちのルールでせいっさいっして構わない。 群れのルールは大事だからね。群れに対してゆっくりできないことをするようなら、 僕に気兼ねしたりしないで、遠慮なくびしびしいっていいんだよ。死にさえしなければいいんだから」 「むきゅ、そ、そう?」 「そうだとも。さあ、僕の頼みを聞いてくれるね?」 「…………」 ぱちゅりーが渋っていると、お兄さんはリュックの中から大きな袋を取り出し、 その中身を群れの前にぶち撒けた。 「むきゅっ……………!!」 「ゆああああああああああまあまあああああああああ!!!」 「れいむの!!れいむの!!れいむの!!れいむのだよおおぉぉ!!!」 「まりしゃがたべりゅよっ!!じゃまちにゃいでにぇえぇぇ!!」 小山のように積み上がる大量のあまあまを前に、いまや群れの全員が突進する。 それらを手で制し、お兄さんがぱちゅりーに促した。 「さあ、どうだい。引き受けてくれないなら、僕はおとなしく帰ろう。 残念だけど、このあまあまも持ち帰るしかないけれどね」 「「「「「お゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!!」」」」」 もはや明確な殺意をはらみ、群れのゆっくり達の視線がぱちゅりーを射抜く。 ぱちゅりーは目を閉じ、こみ上げてくる嘔吐感と戦いながら、やっとのことで答えた。 「………わかったわ、にんげんさん………ゆぷぅ」 「ありがとう!ゆっくりした君たちならそう言ってくれると思っていたよ」 口々にわめきながらあまあまに突進しようとするゆっくり達をなお制して、お兄さんはリュックの口をこちらに向けた。 「あまあまの前に、僕の友達に挨拶しておくれ。 さあ、まりさ、れいむ。君たちを迎え入れてくれる、やさしいみんなにご挨拶をしようね」 リュックの中から、群れの新入り達が、 苛立たしいほど緩慢な動作で、群れの前にその姿を現した。 ――――――― 「ごしゅじんさま、おきてください、ごしゅじんさま」 「ゆゆっ!おにいさんおきてねっ!あたらしいあさだよっ!!きぼうのあさだよ~ゆ~ゆ~♪」 「はいはい、ゆっくりゆっくり……おい、歌をやめろ」 「どぼじでぞんなごどいうのおぉぉ」 さくやとれいむが僕の布団の上で飛び跳ね、起床をうながす。 ゆっくりさくやは、従順なように見えて頑固なところがあり、僕が起きるまでてこでも布団の上から動かない。 飾りのないれいむの聞くに堪えない歌をやめさせるためにも、僕はさっさと起きる。 「ゆっくりおはようございます」「ゆっくりおはよう!」 「ああ、おはよう」 布団から起き出し、居間に向かうと、そこでもゆっくり達に出迎えられる。 「じゃーおーん♪」 「あさだち!むせい!おきぬけのいっぱつ!」 「うー♪あさごはんだっどぅー」 「おはよう、おにいさん!とかいはなあさね!」 れみりゃがぱたぱたと羽ばたき、口に食パン入りの袋をくわえて飛んでくる。 唯一飛べるれみりゃは、高いところに手が届くので、意外と一番役に立つ。 冷蔵庫を開けて食パンやバターを持ってくる、皿を並べるなど朝飯前だ。 さすがに、食パンをトースターに入れて焼くのは僕だが。 飼いゆっくり達のそれぞれ個別の皿に、ゆっくりフードを盛り付けてやった後、 簡単なベーコンつき目玉焼きを作り、作り置きの味噌汁と合わせて食卓につく。 僕が食卓について挨拶をするまで、全員がフードに手をつけずに待っている。 「いただきます」 「「「「「「ゆっくりいただきます!!(じゃおーん!)(でぃーぷふぇら!)」」」」」」 食事をしながら、我が家の飼いゆっくり達をひとしきり見渡す。 そもそもは、復讐のためだけにショップや街角で集めてきたゆっくり達。 目的を果たして頭が冷えると、処分に困った。 紆余曲折はあったが、結局、全員普通に飼っている。 れみりゃは、すっかり周りのゆっくりと打ち解けていた。 正直躾けるのにはかなり手間取ったが、いまでは飛行できるアドバンテージを生かし、 我が家のゆっくりファミリーになくてはならない存在だ。 さくやもめーりんもみょんも、それぞれ行儀よく飼われている。 赤ゆっくりだっためーりん達も、一か月たった今ではバレーボール大の準成体だ。 めーりん種は言葉のつたなさと気立ての優しさゆえに野良では虐められるのだが、 その実、ゆっくりの中でも非常に賢くて身体能力が高いことは人間にとっては常識だ。 犬猫を思えば、言葉が話せないことは全く問題ではない。むしろそれが利点だという意見も多い。 みょん種はその独特の言語のおかげで、実際敬遠されがちなのだが。 飾りのないれいむは、賢さや性能面から見れば、正直他の連中とはかなり見劣りする。 とはいえ、ずっと飾りのない野良生活を送ってきて、家族というものの有難さをよく理解しているせいか、 賢くないなりに懸命に周囲に気を配ろうとしているところがあり、なんとも憎めないムードメーカーになっていた。 未熟児のゆっくりは、やはり生体としての構成の不完全さはいかんともしがたく、二週間もたずに死んでしまった。 自然死だったようだが、れいむとありすが特に嘆いていたものだ。 レイパー気質だったありすは、元気に飛び跳ねている。 レイパー気質をどうにかしようとしていろいろ努力しつつも効果はあがらなかったが、 結局、去勢することで憑き物が落ちたようにおとなしくなった。 むしろかなり賢く、さくやと並んでゆっくり達のまとめ役を任じているふしさえある。 子供が作れなくなったことの傷は決して浅くはないだろうが、その分気を配ってやっているつもりだ。 どうしてもあの子の顔がちらつき、ありす種に対しては甘くなってしまう。 衝動で飼ってしまった総勢六匹のゆっくり達だが、充分に僕をゆっくりさせてくれていた。 やはり僕は、ゆっくりが好きだ。 「それじゃ、出かけてくるよ」 「「「「「ゆっくりいってらっしゃい!」」」」」 リュックを抱えて、さくやを伴い、週末のお楽しみに出かける。 ゆっくり達が笑顔で出送ってくれる中で、車の助手席に鎮座するさくやだけが複雑な表情でいた。 僕がどこに行き、何をしてくるのか、我が家の中で彼女と僕だけが知っている。 さくやは従順だったが、どこか冷めたところがあった。 そして、他種のゆっくりを見下しているようだった。 かつて二匹の赤ゆっくりの奴隷になるよう指示したとき、 赤ゆっくりの命令に従いながら、その瞳に宿る深い侮蔑に、僕はぞっとしたものだ。 僕と二人きりになるたびに、「あんなくず、つぶしてしまえばいいでしょう」と言ってきた。 そういう気質だと、あのまりさ達と同じ、他のゆっくりを虐めるゆっくりになってしまう。 それを危惧した僕は、あの一家のなれの果てをさくやだけには見せている。 「こんしゅうもいくんですか、おにいさん」 「ああ、行くとも。嫌かい?」 「…………いいえ」 ありすが死んだあの山に、今週もやってきた。 あの山のゆっくりの群れは、今日もゆっくりしていることだろう。 砂利と草を踏みしめ、通いなれた道を通る。 すぐに、狩りの途中で飛び跳ねているれいむが見つかる。 「ゆっ!!おにいさんっ!!ゆっくりしていってねっ!!」 「ああ、ゆっくりしていってね」 「あまあまがきたよおおぉ!!みんなあつまってねえぇ!!」 叫びながらさっさと跳ねていくれいむ。 毎回この調子で、すぐに群れは森の広場に集まってくれる。 群れに囲まれながら、ぱちゅりーが元気に挨拶をしてくれた。 「むきゅ、おにいさん!ゆっくりしていってね!!」 「ああ、ゆっくりしていってね」 「あのこたちはきょうもげんきにいきてるわ!あまあまをちょうだい!」 「あまあま!!あまあま!!あまあまちょうだいね!!」 「まあ焦らないで、まずは確認してからだよ」 「むきゅ、こっちにどうぞ!」 ぱちゅりーの後につき、僕とさくやは川べりの岩場に歩いていく。 その後を、涎を垂らした群れがぞろぞろとついてくる。 岩場の壁面に、川に面して大きくへこんだ洞窟状の空間。 そこにあの一家はいた。 すっかり大きくなった子ゆっくり達を含め、十匹が欠けることなく揃っている。 「むきゅ、ごらんのとおりよ。いっぴきもえいえんにゆっくりさせていないわ」 「うんうん、さすがだね。ありがとう」 「ゆゆっ!!おにいさんだよ!!あまあま!!はやくあまあまぁ!!」 洞窟の奥で十匹に群がっていたゆっくり共が、涎を撒き散らしながらこちらに向かってきた。 「ああ、今週の分のあまあまだ。たっぷり食べていってね!」 そう言い、リュックから大量のクッキーやチョコレートを地面にぶち撒ける。 長のぱちゅりーを始め、はふはふうめうめ言いながらゆっくり共が群がり寄る。 僕とさくやは洞窟の奥に進み、一家と対面した。 「やあ、みんな。ゆっくりできているかな?」 「ゆ゛………ぶ…………おぼっ…………」 「おびっ、おに゛………おに、いざっ……………」 「ゆぐじっ、ゆっぐ…………じだ……ぃぃ」 「……お、でが………ごろっ、ごろ………じでぇぇぇ…………」 岩壁に、一家が数匹ごとに間隔を開けて縛り付けられている。 二匹の子ゆっくり(といっても、もう全員がバレーボール大になっているが)が、 ロープで仰向けに縛り付けられ、フックで口を限界まで開かされている。 最初に家族に虐められた、あの子まりさと末っ子れいむだ。 「おごぉ………ぼ………ぶぼぉ…………」 「ゆぶう゛う゛う゛う゛う゛、ぼぶう゛う゛う゛う゛」 どちらも両方の目を抉り出されていたが、 僕の来訪を感じ取っているらしく、呻き声をあげながらちぎれかけのもみあげを弱弱しく振る。 口の中にみっしりと詰められている内容物のせいで喋れず、傷だらけの舌が先だけ出してへろへろと弱弱しく踊る。 言いたいことはわかりきっている。「助けて」「殺して」。むろん、どちらも叶えてやる気はない。 「ゆっ、ゆっ、おちびちゃん、うんうんはここでしようね!!」 「きゃわいいれいみゅのしゅーぱーうんうんたいみゅだよっ!!うんうんでりゅっ!!(モリッモリッ)」 「ゆわあぁ!!まだしないでねぇ!!ちょっとまってねぇぇ!!」 赤ゆっくりを頭に載せながら、れいむが跳ねてくる。 縛られている子ゆっくりの丁度眉間のあたりに子供を乗せると、れいむは促した。 「さあ、ここでうんうんしてね!!」 「うんうんちゅっきりー!!(モリュリュン)」 「ゆ゛ぶう゛う゛う゛ぅ………」 口内に新しいうんうんをひり出され、子まりさが屈辱と悪臭にぶるぶる震える。 脱糞した直後、赤ゆっくりがすぐに泣き喚く。 「ゆぴぇええん!!くちゃいよおおぉぉ!!」 「ゆぅ……うんうんつまりすぎだよっ!!おちびちゃんがゆっくりできないでしょ!! おといれさんはさっさとうんうんかたずけてね!!すぐでいいよっ!!」 「ゆぼっ!!ぼぼぉぉ!!」 口の中に詰まっているうんうんの固まりを呑みこませようと、れいむがおといれゆっくりに体当たりをする。 そのたびに呻き、むせ返りながら、必死にうんうんを呑みこもうとしてびくびくと跳ねる子ゆっくり達。 体中に刻まれた傷痕の中に、今回も新しい生傷が見受けられる。 逆らったりしようものならただちに制裁されるのだ。 足を運び、次の三匹のところへ向かう。 「んほおおおぉぉぉ!!ごみくずまむまむいいわあああぁぁぁ!!」 「ゆぶぐうううぅ!!やべで!!いやあああぁぁずっぎりじだぐだいいいぃぃ!!」 「とかいはなあいをそそぎこんであげるわねえええぇぇえぇすっきりいいいぃぃぃ!!」 「「ずっぎりいいぃぃ!!!」」 こちらの三匹はやはり縛り付けられ、まむまむとあにゃるを突き出した状態で固定されている。 そのまむまむにありす種が一匹ずつ取りついて腰を振っていた。 今、精子餡を注ぎこまれたれいむの腹が膨れ、二匹のまりさの方は植物型で頭から茎が生えている。 れいむの茎のほうはありすが折り取り、むしゃむしゃと咀嚼し、飲み下してしまった。 「むーしゃむーしゃ、それなりー!!」 「ばり、ばりざのあがじゃあああああ……………」 「んもうっ!こんなとかいはなあいをわけあたえてあげてるのに、なくなんてとかいはじゃないわ!! さあ、だいにらうんどよおおおおんっほおおおお!!」 「やべで!!やべでええぇ!!にんげんざん!!おにいざんだずげでえええぇぇ!!」 助けを求めてくるが、僕は答えない。 三匹のありすはさんざんにすっきりを繰り返し、植物型妊娠で生まれた子供を食べ尽くしてしまうと、 帰りがけに僕に挨拶してから行ってしまった。 この三匹のありすは、別にレイパーではない。予備軍ではあるが。 レイパーであったら群れにはいられない。 ありす種特有の強烈な性衝動を持て余した個体がここにやってきてすっきりをし、レイパーにならないように発散しているのだ。 ありす種に限らず、性欲処理のためにここにやってくるゆっくりは多い。 特にすっきり制限が課される冬籠り直前の時期は混雑が予想された。 並はずれて性欲の強い生き物であるゆっくりにとって、性衝動にからむトラブルは多い。 そのトラブルが、この性処理用ゆっくりの設置で驚くほど減少したと、長のぱちゅりーが喜んでいた。 次の三匹。 「ゆぢぢぢ!!ぢぢぃ!!ばっびびぃぃ!!ぢーっ!!」 「きゃわいいれいみゅのうんうんをかたじゅけさしぇてあげりゅよ!!こうえいにおもっちぇにぇ!!」 「ぴょぴょぴょ!ちーっ!!ちーっちーっ!!ゆぎゅじっ!!」 「しゃっしゃとまりしゃしゃまをゆっくちさしぇりょおおぉぉ!!ごみくじゅううぅ!!」 「ゆ゛ひぃ…………あ゛ひぃ………… おで、が……やずばぜでぐだじゃい………ぼう、ぼう、みっがも……ねでないんでずぅ……」 「ゆはあああああああぁぁぁぁ!!!!?にゃにいっちぇるにょおおおぉぉ!!?ばきゃなの?しにゅの!?」 「おみゃえみちゃいにゃごみくじゅにやしゅみなんちぇあるとおもっちぇるにょおおおぉぉ!!?」 「ぢぢぃ!!びぃ!!ゆぢぢーっぢーっ!!ぽびぇえぇ!!」 「あ、ああぁ………おちび、ちゃ……うんうんしちゃだべぇぇ………」 岩壁の一角に、プラスチック製の柵で仕切られた空間。 その中で、三匹の子ゆっくりが、数十匹の赤ゆっくりに囲まれて右往左往している。 群れの「ほいくじょ」の管理を、この三匹は任されている。 とはいえ、可愛い子供を、飾りのないゴミクズに預けるゆっくりなどいない。 飾りがなかったりどこかが足りない状態で生まれた未熟児や、 ゲス気質を現した子ゆっくりが、すべてこの「ほいくじょ」に預けられるのだ。 多産のゆっくりは、未熟児を産み落としたり、子育てに失敗してゲスにしてしまうことが多い。 忍耐力のないゆっくりは、たとえ我が子でも、そんな出来損ないはさっさと処分したがるものだ。 しかし、ほとんどの群れでは、「ゆっくりごろしはゆっくりできない」という掟があり、 殺すことはタブーとなっており、それを破ればゆっくりできない制裁が待っている。 そのため、嫌々ながら未熟児やゲスを育てるのが通例だったが、 ここでは、そういう厄介者はすべて「ほいくじょ」に預けられることになった。 実質捨て子なのだが、名目上は、子育てをサポートする施設である。 そして、ここで子ゆっくりが傷つけられたり死んだりしようものなら、 その責任はすべてほいくじょの管理者、この三匹に負わされることになる。 「あみゃあみゃよこしぇ!!ごみくじゅ!!」 「いだいっ!やべ、やべでねぇ……!」 「はああああぁ!!?いみゃれいみゅにめいりぇいしちゃにょおおぉ!!? ごみくじゅが!!こにょこうきでうちゅくちいれいみゅに!!めいりぇいしちゃにょおおお!!?」 「がまないでええぇ!!ゆぐううぅぅ!!あ゛ーっ!!あ゛あ゛ーーっ!!」 三匹は、数十匹に上る赤ゆっくり共に常時全身を噛まれている状態だ。 しかし、逆らったりしようものなら群れからの制裁が行われる。 子ゆっくりを傷つけず、つねに攻撃されながら世話しなければならない。 常にあちこちで、赤ゆっくりが眠れないだのお腹がすいただの泣き喚く。 そのたびに必死でぺーろぺーろしてなだめようとするが、 自尊心だけは例外なく始皇帝レベルの赤ゆっくり共は、飾りのないゴミクズに慰められることをよしとせず、 逆に舌に噛みつき返し、それによって憂さを晴らす。 それが三匹の子育てだった。 こちらの赤ゆっくりが眠れば、あちらの赤ゆっくりが起きだして叫ぶ。 朝から晩まで休みなしの無間地獄だった。 涙を流し涎をこぼし、ゆひいゆひい呻きながら這いまわる三匹の表情は疲労困憊を通り越し、もはや死相といっていい。 そこまでしても、赤ゆっくりは実にたやすく死ぬ。 たった三匹で百匹近くの面倒を見ることなどできるはずもなく、 狭い空間で他の赤ゆっくりに押しつぶされたりいじめ殺されたり、未熟児ゆえの自然死もあり、 赤ゆっくりは毎日しょっちゅう死んでいる。 そしてそのたびに、しっかりとチェックしている親たちになじられ、三匹は群れから制裁を受ける。 「ゆ゛っ……ゆ゛っぐ………ゆっぐじ、じだいいいぃぃ…………」 泣きじゃくりながら、子ゆっくりは赤ゆっくり共の食糧を調達するために、 やや離れたところに縛られた両親のところへ這いずってゆく。 その後について、両親のところへ向かう。 仰向けの状態で拘束されたまりさとれいむの夫婦は、近づいてくるわが子の姿を認めて弱弱しく首を振っていた。 「やべで………やべでぇ…………れい、むぅぅぅ……」 「おでがい………ゆぐじで…………ぼう、いやあぁ」 「いだいの……ぼんどに………いだいいのおおおお」 「ゆぐっ………ゆぐっ………ごべんで……ごべんでぇぇ………」 仰向けの夫婦は、その腹に、縦に裂かれてできた大きな傷があった。 そして頭と尻にフックをつけられ、岩壁の上部から吊り下げられて、腰のところで折り曲がった状態だ。 腹の傷はなかばふさがりかけていたが、 ほいく係の子れいむがまりさの傷口に口を近づけると、ぶりんぶりんと尻を振って抵抗しだした。 「やべでぇ……!おでがいいぃ………いだいの、いやあぁぁ……!!」 「ごべんで……ごべんで………あがぢゃんの、ごばんざん………だがら……… あがぢゃん、ぞだでだいど……でいぶが、でいぶが、ぜいっざいっざれるんだよぉぉ………」 「やだよおぉ!!ぼういやあぁぁ!!ゆっぐじでぎだい!!ゆっぐじじだいいいぃぃいぎゃあああぁぁ!!」 ブチブチブチ…… 癒えかけていた腹の傷を、子れいむが口に咥えて引きちぎる。 激痛に絶叫し身をよじるまりさの腹をこじ開け、露出した餡子を舌ですくいあげる。 「あごっ!!おごっゆぼぼっ!!ゆぶっ!!あがっばっゆがががががが!!」 「ごべんで……ごべんで……べーろ、べーろ…………」 「いぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃあああああぁぁぁゆがばあああああ!!!」 内臓をほじくり出される痛みに、口から餡子を吐き出して悶絶するまりさ。 しかし、傷口を巧みに上に向けられているために、中の餡子が必要以上に漏れだすことはない。 「中枢餡が破壊される」「体内の餡子を三分の二以上失う」、この二つのどちらかの条件が満たされないかぎり、 ゆっくりというものは驚くほどの耐久力を見せ、なかなか死なない。 傷口を上に向けてこぼれないようにする、たったこれだけで、定期的に餡子を取り出せる便利な食糧庫が完成する。 そしてその中身は、日々与えられる想像を絶する苦痛によって甘くなりきった餡子だ。 赤ゆっくり達の食糧のみならず、 この三匹の餡子は、群れのゆっくり達にも愛好されていた。 そんなにすぐには補充されず、一度に供給できる量には限りがあるので、 定期的に行われる群れの集会において、特別ゆっくりできることをしたゆっくりにのみ、 褒美として群れの長から分け与えられることになる。 その餡子が食べたいばかりに、群れのゆっくりは掟を守り、この群れは実に順調に運営できているようだった。 ある程度まりさの餡子を掻きだすと、子れいむは母親のもとへと這いずっていく。 次の食糧庫れいむが甲高い歌を奏ではじめた。 この十匹の体には、それぞれ岩壁上部に備え付けられたタンクから伸びたコードが繋がっている。 タンクの中身は、群れには「生命維持のためのゆっくりできない薬」と伝えてあるが、 要するにオレンジジュースである。 点滴の容器を応用し、少しずつそれぞれの体内に注入され、生命活動を維持するようにしてある。 ゆっくりを味わえない程度に、少しずつ、少しずつだ。 そのタンクにオレンジジュースを補充する。 言うまでもなく、これらの仕掛けを考案、実行したのは僕だ。 ぱちゅりーの要請に応える形で、僕はいろいろ手助けしてやった。 人間からゆっくりを預かるぱちゅりー達は最初、萎縮していたが、 飾りのないゆっくりできないゆっくりだとわかると、さすがに抗議してきた。 「むきゅ、このゆっくりたちはゆっくりできないわ……」 「おかざりのないゆっくりだよ!!ゆっくりできないよ!!」 「こんなごみくずどもがむれにはいっていいとおもってるのかぜぇ!?」 「ゆーっ!でも、いれないとあまあまがもらえないよ……」 「ゆうぅぅぅ……!!でも、こんなやつらのめんどうなんかみたくないよ………」 飾りなしの面倒は見たくない、しかしあまあまは欲しい、 そんなジレンマから眉をしかめるゆっくり共に、僕はさらに念を押した。 「そんなに悩まなくていいんだ。たいした面倒は見なくていい。 生きていれば、いいかい、生きていてさえいれば、あまあまを持ってきてあげるからさ!」 毎週末に、僕はここにやってきて一家の様子をチェックする。 一家は当初から、群れの中では虐げられていたようだった。 露骨に悪罵を浴びせられ除け者にされ、視界に入ったというだけで体当たりをされる。 それでも長のぱちゅりーが、まがりなりにも人間からの預かり物だということで、 群れをなんとか抑えていた。 しかし、僕がやってきて家族の様子を見ても、 生きてさえいれば文句を言わずにあまあまをくれるのを見て、 群れはどんどん増長して、一家に対する虐めをエスカレートさせていった。 そのエスカレートを僕は喜び、ぱちゅりーを褒め称えた。 群れのストレス解消を推奨する、ゆっくりできる群れ長だと。 あとは、ぱちゅりーのアイデアに従い、一家に処置を施した。 岩壁に縛り付け、オレンジジュースの点滴で生命活動を保証し、 ここで虐げられ続ける生活を送ってもらうことになった。 そして三か月、今日もこの家族は元気に苦しみ続けているようだ。 「やあ、みんな、ゆっくり出来ているかい?」 僕が声をかけてやると、家族は泣き咽び、命乞いをする。 「だずげでぐだざい!!だずげでぐだざい!!ぼう、ぼうげんがいでず!!ゆっぐじじだいんでず!!」 「おにいざん!!おにいざぁん!!ごろじで!ぼう、ごろじでよおおぉ!!いやだよおおおぉぉ!!」 「あごっ!!ごぼっ………ゆげっ……!!おで、がいっ……ごろ、じで……」 「ごべんだざい……ごべんだざい………おにいざんごべんだざい………ゆっぐじでぎだいごびぐずでごべんだざい……… あでぃずをごろじでごべんだざい………でいぶも……でいぶも、ごろじで、ごろじでぐだざいいいいぃぃぃ」 「ゆっぐじ、ばんっぜいっじでばず……あでぃずをいじべでぼうじわげありばぜんでじだ…… づぐないばず……いっじょう、づぐないばず……だがら、だがら、だずげで………だずげでぐだざい………」 「うんうん、だからそこで一生償っていってね!」 「「「「ゆ゛んや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」」」」 こいつらの懇願もすっかりワンパターンなルーチンワークになった。 もともとゆっくりのことで貧困な語彙なのだが。 うんうんを咀嚼しながら、空洞となった眼窩から涙を滝のように流してもみあげを振る子ゆっくり。 全身を赤ゆっくりにかじりつかれながら柵にしがみついて懇願する子ゆっくり。 口から餡子を断続的に吐き出しながら、弱弱しい声で命乞いする夫婦。 立ち去ろうと僕が体の向きを変えるだけで、一家はいよいよ必死に体を蠢かせて声を上げる。 毎週の僕の来訪、それだけが一家の希望なのだ。 僕に許してもらい、この地獄から解放してもらおうと、全身全霊をかけて詫び、乞う。 僕は座りこんで、にやにやと笑みを浮かべながら一家を眺める。 絶対に許してはもらえない、自分たちの懇願をせせら笑い楽しんでいる、 それがわかっていながら、それでもなお懇願するしかない一家。 みじめで無様なその姿を、僕はとてもゆっくりした気分で眺め続けていた。 「おでがいじばず……いっじょうの、おでがい、でずぅ………ごろじで……ごろじっ、でぇ……」 「ぼう、いいでじょお……だっぶり、ぐるじんだよおおぉ…………おわびじだよおおぉぉ…… あでぃ、あでぃずだっで………ごんなに、ごんなに、ぐるじんでないばずだよおおぉぉ………!」 「ごびぐずのぶんざいであでぃずをいじべでごべんだざい!! にんげんざんにばなじがげでごべんだざい!!にんげんざんのじがいにばいっでごべんだざい!! いぎででごべんだざい!!うばれでぎでごべんだざい!!だがら、だがらごろじでええぇぇ!!じなぜでえええええ!!!」 「ぼういやだよおおおお!!いぎるのいやだよおおおお!!いぢびょうだっでいぎでいだぐないよおおおお!! じにだいよおおおおおおお!!だんでじだぜでぐれだいどおおおおお!!? ばりじゃなんでなんのやぐにもだだないのにいいいい!!めいわぐがげるだげでじょおおおおお!!? だがらじにだいのにっ!!じぬのに!!なんでじぬのをじゃばずるのおおおおおおおおおぉぉぉぉ」 「おにい、ざん………ぼんどうに、ぼんどうに、おでがい、おでがいじばず……じばずがらぁ……… ごろじで、ごろじでぐだざいいぃ………あわれなごびぐずを、どうが、どうが、おでがい、おでがいじばずうぅぅ」 「う~~~~~~~ん………どうしよっかなぁ~~~~~~~~~」 僕は立ち上がり、うんうん首をかしげながらしばし考えたあと、 一家の前で両腕をクロスさせて満面の笑顔で答えてあげた。 「うん、ダメぇ~~~~~~~~~~♪」 悲しみ、絶望、怒り、悔しさ、諦め。 これをやった時のゆっくり達の表情は、何度見てもなんともいえない味わい深さがあるのだった。 ――――――― 「さて、あとどれだけもつかな、あいつら」 「………」 帰路、助手席のさくやは黙りこんでいる。 「さっきから塞ぎこんでるな、いつもの事だけど。 どうだ、さくや、ゆっくりできたか?」 「……………」 「泣き叫ぶあの家族を見て、どうだった?可哀想か?それともすっきりしたか?」 「………すっきりしました」 さくやは嘘をつかない。そこは信用できるやつだった。 「じゃあ、あの家族を虐めるあの群れは、僕はどうだった?ゆっくりできたか?」 「………いいえ」 「そうだろう。 虐めは楽しいさ。すごく楽しい。 ありすの復讐なんて言ってるが、結局は僕も、虐めが楽しいゲスだってことさ。 そしてさくや、お前もたぶんそうだ」 「………」 「僕がお前をあそこに連れていくのは、あの群れを見せたいからだ。 自分より弱い者をよってたかって虐めるその姿を見せるためだ。僕自身もね。 さくや、お前にはそんなふうになってほしくない。「ああなりたくない」、そう思ってくれ」 「おもってます。いえ、おにいさんはべつですけど」 「弱い者を虐めるのは楽しい。ゆっくりも人間も同じだ。 歴史を見てみれば、人間だってゆっくりとそう変わらない。 僕が愛したあの最初のありすも、飾りがない同種を見つければ虐めたくなっていたのかもしれない。 今、僕の家にいるゆっくり達も、なにかの拍子でいじめたい欲望が頭をもたげてくるかもしれない。 そんな時は、あそこに連れていくつもりだ。 あの群れは、お前たちの教材だと思ってくれたらいい」 言いながら、自分へのかすかな嫌悪が頭をもたげる。 最愛のありすを殺されたことで逆上し、それまで知らなかった自分を見た。 ゆっくりの家族をあそこまで虐げ、それを楽しんだ自分に、 冷静になった今でも、あの家族を許してやる気にならない自分に多少ぞっとする。 あまあまの味を知ったあの群れのその後がどうなるかも知ったことじゃない。 この期に及んで取り繕いはすまい。 これは制裁でもなく、正義の鉄槌でもなく、より強い者が弱い者を食い物にしただけのことだ。 僕のしたことはあの家族と同じだった。 この復讐劇はこれかぎりだ。 この件以後、野良ゆっくりには関わることなく、 飼っているゆっくり達の面倒を最後まで見て、それで終わりにしよう。 本当にそうか? 嗜虐の快感を知った僕が、一生この衝動を隠し通せるものか? なにかの拍子で、たとえば今飼っているゆっくりが危害を加えられたとしたなら、 その復讐を免罪符として、嬉々としてまた繰り返すんじゃないのか? そんな僕が、飼いゆっくりや子供たちに「虐めはよくない」と説教する資格があるのか? 「ははは」 自嘲の笑いが漏れ、さくやが怪訝な顔を向けてくる。 その頭を撫でてやりながら、僕は一人で頷いた。 そうするしかない。 自分にその資格がないとわかりながら、それでも子供たちの前では立派な顔をしていなければならない。 それが大人というものなんだから。 せめてこいつらの前では、「ゆっくりできるおにいさん」でいよう。 今はそれで充分だ。 〔終〕
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1625.html
・ゆ虐度数はC-(ぬるめ)です。 バケツまりさ 「昨日は雨さんが沢山降ってきたけど 今日はご飯さんが沢山降ってこないかな」 雨上がりの朝、町で過ごすゆっくりまりさは餌を探していた。 水溜りを避けるため道路を右往左往しながら。 目的は餌場でありその場所を目指してはいたのだが 場所の当ては何もなくたださまよっているに等しかった。 雑草のひとつでも生えていれば口にでも突っ込むのだが 町で住むゆっくりにとって雑草はお気軽な食料で 見付けられる様な場所にある場合すぐ食べられてしまうし 人間さんが作った道路の近くではそれすらもあまり生えてこない。 はぁ~と、ため息をついてるとまりさの全身に衝撃が走った。 「ゆがっ!!」 まりさはぼいんぼいんと鞠のように弾みながら吹っ飛ばされる。 一旦飛ばされると、途中で踏ん張る等の防御方法はまったく取れない。 まりさは吹っ飛んだ後もそのままごろごろと転がっていき 奥にあったゴミ捨て場に突っ込むことでようやく止まった。 「んあ、ゆっくりか。 蹴っちまったな、わりーわりー」 携帯電話を片手に持った人間がうっかりした表情で まりさの方に話しかける。 「ぐーるぐーる」 「おーい、ゆっくり大丈夫かー?」 目が回っているまりさには、それを聞き理解するのは困難だ。 人間はまりさを見てふき出し、携帯電話のカメラでまりさを撮った。 ぴろりろりん。 「ぷはwwwコリャ傑作だわ」 人間は先ほど撮った携帯電話の画像を見て もう一度まりさを見ると笑いながらその場を去っていった。 「ぐーるりぐーるり」 人間の持つ携帯電話には目を回したまりさの画像が映っていた。 そのまりさの頭の上部にはいつもある黒い帽子ではなく 緑色をしたプラスチックのバケツがズッポリはまっていた。 そして、まりさはしばらく起きることが出来なかった。 我に返ったまりさは自分の住みかに戻ってくることが出来た。 口には戦利品がくわえられている。 そしてバケツはまだ頭に被った状態のままであった。 まりさがたどり着いたそこはまりさのゆっくりプレイスであり 空き地にコンクリート製の土管が3本積み重ねて置いてある。 生まれたすぐ後からこれまでずっとその上で生活を行ってきた。 土管の中は空洞になっていたので、中でよく雨風をしのいだものだ。 「やれやれ、今朝はなんだかひどい目に遭ったよ う~ん。まだ調子悪いのかな。肩さんがとても重いよ でも、そのおかげか、ご飯さんが降ってきたから運がいいね」 まりさはありもしない肩がさもあるかのように首を左右にかしげる。 まりさがご飯さんと呼ぶ戦利品のコンビニ弁当だが 先ほどまりさが突っ込んだゴミ捨て場にて見付けたものだ。 半透明のゴミ袋の中から丸見えだったため簡単に探すことが出来た。 久しぶりにありついた豪勢な食事を一生懸命口にする。 満足な食事をしながら、頭上に広がる澄み切った青空を満喫していた。 「今日はなんだかいつもよりお空さんが沢山見えるよ きっと雨さんが晴れたからお空さんもゆっくりしているんだね まりさもとってもゆっくりしているよ」 まりさは空を見上げたままゆっくりと眠りについた。 「むきゅーーーーーん たじゅけてーーーーーー」 昼寝をしていたまりさはゆっくり出来ない声で目が覚めた。 「おがあじゃん、目をさましてーーーー!!」 まりさは声の方向へ走る。 なにかしらの影が見えたので、まりさは飛び込んでいった。 「まりさのなわばりでゆっくり出来ないことは許さないよ!」 飛び出したまりさはそこでの散々な有り様に目を疑った。 潰れたゆっくりが1体。ぱっと見て助からないことがわかる。 ゆっくりの中身である餡子が止め処なく流れ出していた。 そして追いかけるものから走り逃げるゆっくりが1人。 逃げているゆっくりはピンクの帽子をかぶったぱちゅりーであった。 その逃げるぱちゅりーを追いかけている、片手に棒を持った人間が1人。 人間さんの大きさで比較すると小さい方に見えるが それでもバスケットボールぐらいのゆっくりの5倍はある。 「ひゃはー、ぎゃくたいー!」 「むきゅきゅーーーー 誰かだじゅけてーーーーーーー」 まりさは一度こういう場面を遠くから見たことがあった。 だから潰れたゆっくりは人間がやったことだとすぐわかった。 人間にはゆっくり出来ないそんな悪い人間がいる。 そして、とてもゆっくりしているゆっくりが妬ましいのか襲い掛かる。 まりさは普段から腕っ節が良いほうで 子供ゆっくりにすっきりをしようとしたレイパーや 縄張りを荒らすゆっくりを幾度も追い払ったことがあった。 人間がゆっくりを潰そうとしたときも まりさはその悪い行為を制裁するため駆けつけたのだが 人間は事が終わると煙の様にその場から消え去っていったため 人間にやられ事切れ残されたゆっくりしか見たことは無かった。 だからこそ、まりさはまだ生き残っているゆっくりを見て駆けつけた。 これ以上の被害は出してはいけないと。 人間が手持ちの棒で逃げるゆっくりに殴りかかる。 「あぶない!」 まりさは走るが、まだ遠い。 このままでは棒がぱちゅりーに当たる。 ブン!! 人間が棒を振り下ろしたがそれは当たらず 逃げるぱちゅりーのピンクの帽子を吹き飛ばすだけで済んだ。 ほっとしたのも一瞬、キッと目を細めるまりさ。 「これは勝機だよ!」 まりさは空振りしたことによりたたらを踏んでいる人間に 真横から思いっきり体当たりをした。 バランスを崩していた所を横から押されたため簡単に転ぶ人間。 まりさはあっけなく倒れた人間を見て相手の力量を悟った。 「よし、もう一度体当たりをすればヤレル!」 まりさは力を入れるため思いっきりためを作る。 人間は、転んだままくるっとまりさの方を向いて棒を握りなおした。 「むきゃ! 油断はきんもつよ!」 逃げていたと思ったぱちゅりーがまりさに向かって叫んでいた。 その声を聞いたまりさはフッと笑った。 「ゆっくり見てるんだぜ、ぱちゅりー まりさはこれまで悪いゆっくりを9体もたおしてきたんだぜ 今、目の前にいる悪い人間さんも制裁してやるのぜ ぱちゅりーは悪党10体制裁の祝いをどうするか心配するのぜ」 ためた力を一気に開放し人間へ跳躍するまりさ。 人間は転んだ体制のまま棒を使ってまりさに殴りかかった。 ガイィーーーン!!! 「ゆげ!!」 「うわぁ!」 ゆっくりと人間の声が重なった。 頭から一刀の元にやられた!! まりさは考えていなかったその結果自身に絶望した。 人間の動きは早く、まりさの頭天辺へ棒の一撃が綺麗に決まったのだ。 まりさはそのまま死を覚悟した。 くちおしや、まりさも今まで人間にやられて来た中の1人になるなんて。 ぼいん。 衝撃はあったものの地面にまっすぐ落ち、まりさは驚いた。 さほど痛くない。 殴られたらしき頭は無事のようだ。 やはりこの人間は強くない。勝てる。まりさに負ける要素が無い。 「なんだこいつ!! バケツなんかかぶりやがって!!」 人間もまたまりさのタフさに対して驚いているようだ。 しかも、今のまりさの一撃で人間は持っていた棒を落としたようだ。 「なんだかチャンスなんだよ まりさが人間さんなんかに遅れをとるわけないでしょ?」 「むきゅ!!すごい!人間さんが悲鳴を上げたわ! このまま人間さんなんてやっつけるのよー!!」 人間は起き上がったが、まりさがその足へ体当たりを仕掛けた。 「いったーーー! 脛に当たるなんて卑怯だぞ!!」 「戦いにひきょうもひほうもないんだぜ!」 まりさは人間へそう言い切った。 「そのバケツをとってやる!!」 人間が突然ジャンプし、上から全身でまりさに覆いかぶさった。 まりさはその重みで潰れるかと思った。 「うぶっ、体だけは大きいなんて人間さんは本当に汚いね こらー、まりさを離してね!離してねー!!」 人間はまりさへのしかかっていた体重をあっさり引き離す。 それと一緒に、まりさが被っていた帽子は人間に引き剥がされた。 美まりさの象徴である大切な帽子を。 それをこんなよわっちい人間なんかに! 「やめてーーー まりさの帽子を取らないでねーーー! すぐ返してねーーーー!!!」 まりさは今にも泣きそうな目で人間に訴える。 だが、まりさが人間の手に取ったバケツを見て驚いた。 「バケツさん?」 なんだ、まりさの帽子は取られてないじゃないか。 「ぷふ、人間さん、今頃新しい武器を出しても遅いよ 最強のまりさにびびりまくってるのが一目瞭然だね」 「何言ってんだ、これはお前のものだろ」 人間はまりさにバケツを投げつける。 「あだっ まりさの頭に傷がついたらどうするの!! ・・・って、あれ?? 帽子さんがないよ???」 まりさは気がついた。 素の頭に衝撃があったことで気がついた。 やっぱり、まりさの帽子がない。 「人間さん!!! まりさの帽子さんをどこにやったの!!!」 「ばーか、そこに転がってるだろ」 そう言って、転がったバケツを指差す人間。 「これはバケツさんでしょーー!!」 まりさはきょろきょろして帽子を見つけた。 慌てて駆け寄ったが、色が違う。 先ほど逃げていたぱちゅりーが飛ばされたものだった。 「まりさの帽子さん、こんなところにあったよ! って、違うよ!! こんなド派手なピンクの帽子さんじゃないよ! しかもちょっと小さいし!」 「これはぱちゅりーのお帽子さんよ!! ゆっくりかえしてね!」 まりさを見て近くによってきたぱちゅりーがその帽子を拾い そのまま被ると帽子はぱちゅりーにぴったりとフィットする。 それを見てまりさは自分の帽子がないことを再認識する。 「まりさの帽子さんは?? まりさの帽子さんは??? どこいったの?まりさの」 「うるさいな! 返せばいいんだろ! お前の帽子また被せてやんよ!」 人間はバケツを両手で掴むや、まりさの頭にずぽっと被せた。 「ゆんやぁーーー!! こんなのゆっくりできないーーー!!!」 その時、遠くから別の人間の声がした。 「こらーー! 糞ガキーー!!」 目の前にいる人間の倍の大きさはあるだろうか。 それほど大きさに違いがある人間がもの凄い勢いでやってきた。 「やば、カミナリオヤジ来た!」 まりさにバケツを被せた人間はビクッと立ち上がった。 「むきゅきゅきゅきゅきゅきゅ! 人間さんが仲間を呼んだわ! あ、あれは大人の人間だわ!! もうだめだわーー!! 捕まって殺されるーーー! えれえれ・・・」 周りが騒がしくなってきていたが バケツを被ったまりさは直接は見えない頭上のバケツを見ようと 目玉がひっくり返るぐらい上向きになっていた。 「帽子さん帽子さん まりさの帽子さん? そういえば、つばがないよ?? バケツさんがまりさの帽子さんなの?? まりさの帽子さんがバケツさんなの???」 呪文の様に呟くまりさにしがみ付くため ぱちゅりーは自分で流れ出した中身をじゅじゅじゅと吸う。 「むきゅきゅ・・・じゅる・・・! ぱちゅりーとまりさ、人間さんに挟み撃ちになっちゃったわ? まりさどうじゅるる?? さすがの・・じゅる・・・けんじゃにもわからないわーー!!」 人間がもう1人近づいているにも関わらず まりさ達はそれに対処できず、その場にいることしか出来なかった。 「バケツのお前、覚えたからな!」 そう言うと子供の方の人間はくるっとまりさに背を向けると走っていく。 「こらーーー!! 道路にゆっくりを撒きちらかすんじゃないぞーー!! 掃除していかんかーーー!!!!」 「むきゃーーーー!! 潰されるわーーーーーー!!」 大人の人間はまりさ達は眼中になく子供の方を真っ直ぐ見ていたため まりさ達の存在を意識していなかった。 「そうだ、帽子さんをゆっくり脱いで確認するよ・・・」 まりさは帽子であるバケツをはずしてみる。 そのとき丁度まりさの顔面ぎりぎりを、大人の人間の足がかすめる。 大人の人間はまりさがはずしたバケツに足を突っ込む形になった。 「ゆ゛??ゆ゛??ゆ゛??」 踏み込んだ足はそのままバケツによって後ろの方へ大きく滑り込む。 「ぐもぉぉぉぉぉぉおおおおおお」 大人の人間は思わぬ事態に対応できず派手にその場に倒れこんだ。 大人の人間は咳き込みながら立ち上がる。 子供の人間も咳き込んでいた。笑いすぎたらしい。 「やーい!ばーーかぶぁーーーか! ゆっくりで転んでんなよ!! だっせーんだよ!!超うける!」 「このガキャーーーー!!!」 転んだ理由はまりさだったのだが、大人は怒り沸騰子供しか見ていない。 そのまま子供の人間を追いかける形で大人の人間は走っていった。 二人の人間はあっという間にその場からいなくなった。 「む、むきゅーー!!すごいわ!! まりさはすごすぎるわーーーー!! 人間さんを2人ともやっつけちゃったわ!!」 あまり元気のないまりさの隣では 中身を完全に食べなおしたぱちゅりーがはしゃいでいたが とても一緒に喜ぶ気にはなれなかった。 まりさは人間に踏まれて飛んでいったバケツを拾いなおす。 「ゆう・・・」 まりさはバケツを脱いだり被ったりしながらその感触を確かめていた。 「ぴったりくるし、しっくりくるよ 産まれたころから被っているからこそわかるよ このバケツさんこそまりさの帽子さんなんだよ まりさの帽子さんはバケツさんになっちゃったよ」 落ち着きを取り戻したぱちゅりーがまりさに近づいてくる。 ぱちゅりーはバケツを取ったまりさをゆっくり見たことで まりさがまりさ種であることにやっと気づいた様だ。 もっとゆっくり見たならばまりさの頭上部の形がバケツの形に 変形していたことがわかったのだろうが、そこまでにはいたらなかった。 「まりさはまりさだったのね 帽子さんがそんなんだからわからなかったわ でも、とってもゆっくりしているわね」 「ゆ?」 「まりさは人間さんも倒しちゃうし 何も出来ないぱちゅりーと違って とってもゆっくりしたゆっくりなのだわ」 「ゆ?そうかな?」 「そうだわ! 帽子さんも硬くて強そうだわ! いいえ、それはけんじゃのちしきだと兜だとおもうわ えらばれしゆっくりだけが手に入る兜なのだわ」 「このバケツさんはかぶとなの? まりさはえらばれしまりさなの?」 「そうよ、まりさは伝説のえらばれしゆっくりなのだわ!! 大人の人間さんもなぎ倒すなんて普通は出来ないわ! 伝説のゆっくりがいるなんてけんじゃですらわからなかったわ」 「ゆっへん!! ぱちゅりーは実に幸運だよ! 伝説のまりさがたまたま通ったことにね!」 「ほんとだわ!! ぱちゅりーは町のみんなに 伝説のゆっくりが現れたこの出来事を伝えていくわ」 「てれるぜ・・・ほどほどにしてくれよな」 その後、ぱちゅりーの母親であるゆっくりの亡がらへ黙とうすると まりさとぱちゅりーはそれぞれの住処へと分かれた。 「どこでまりさは選ばれたんだろう・・・」 夕方、まりさは1日の行動を振り返ってみた。 昨日はもう、雨のことしか覚えていなかったけど おとといはまだバケツが帽子だった様な気がしたからだ。 今はすごい強いかぶととして頭の上に乗っかっているとはいえ まりさはまりさを象徴するお飾りである黒い帽子に未練があった。 「まず ご飯さんを食べたいなーと思っていたんだ」 そう考えながらまりさは町の中をぶらつく。 朝は溜まっていた水溜りもすっかり無くなったようだ。 「ひそひそひそ・・・」 「くすくすくす・・・」 「ふふふふふ・・・・」 ふと、すれ違う人間がまりさを見てにこやかな顔になっていた。 まりさはなんだろうと考えた。 今日は悪い人間さんもやっつけてとてもゆっくりしたんだ。 そうだ、ゆっくりしたまりさを見ると人間もゆっくりするんだ。 伝説のまりさを見て、人間がまりさにびびりまくっているのも それはそれで気持ち良いものだとは思ったが まりさはゆっくりした人間を見るのも悪くないと思った。 「途中にまりさの帽子さんは落ちてなかったな・・・」 どこをどう歩いてるか、自分でもわからなくなってきたころ 既にゴミが回収されていたゴミ捨て場にたどり着いた。 「それから・・・ えっと? 気づいたらここでご飯さんが降ってきたんだ」 まりさは頭のバケツを脱いでその場に置くと すぐさま上に乗っかり周りを見渡した。 バケツに乗って上から見下ろせば 普段ゆっくりに見えないものも見つけられるはずだ。 だが、ゴミが捨ててあった場所やその周りには何もない。 まりさはバケツの上でため息をつく。 後は何をしただろうか。 「そして、おうちでご飯さんを食べたら眠くなって・・・」 あれ??? その後は悪い人間からぱちゅりーを助けて そこでバケツを被ってることに気づいたんだよ! 「選ばれるってのは突然なのかな・・・ もしかして・・・帽子さんが突然へんけいしたのかな このバケツさんはまりさが産まれたころから ずーと被っている帽子さんなんだよね」 無理矢理自分を納得させたまりさは さっき助けたぱちゅりーを思い出した。 「ゆ! こんなことで落ち込んでいられないよ まりさは最強のかぶとさんからえらばれたゆっくりだからね! 悪い人間さんがいても追い払えるんだからね」 その時まりさは「お巡りさん」と呼ばれる人間が通っていくのを見て 悪い人間を捕まえる「お巡りさん」がいることは聞いて知ってはいたが ゆっくり殺しをした人間を捕まえなかった話を聞いていたので なんて役に立たない人間なんだろうとまりさは思っていた。 まりさは「そうだ」と言うと、バケツの上からぴょんと飛び降りた。 「まりさはパトロールをするよ! 伝説のまりさが治安管理をすれば この町はゆっくりも人間さんもみんなゆっくり出来るよ! これはえらばれしまりさにしか出来ないことだね!」 そう言うと、まりさはバケツを被り直し夕焼けを背に歩き出した。 ところで、まりさが最後にいたゴミ捨て場だが そのゴミ捨て場の金網で出来たフェンスの上の方に コンビニ袋に入ったある黒いものと紙切れが挟んで置いてあった。 紙切れにはこう書いてある。 「帽子が落ちてました 雨に濡れないように袋に入れてあります」 だが、その中身を取りに来るものは一向に現れなかった。 今日も緑色のバケツを被ったゆっくりが 町中をぽよんぽよんと元気に巡回している。 おわり あとがき 4作目っす。前回は書き足りないSSですいませんでした。(作品は消してます) 今回は反省して書けるだけ書いてみましたが、いたらなかったらすいません。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3344.html
糸の切れた人形のように小悪魔はぐったりとイスに座り込んでいた。 目の前にはゆっくりありすがゆっくりまりさに頬ずりしている。 「下品な女・・・」 小悪魔は口だけを動かす。 「ゆ?おねーさん、こいびとのまりさのわるぐちはやめてよね」 「あなたですよ。この阿婆擦れ」 小悪魔はゆっくりぱちゅりーを少し強く抱きしめ、ゆっくりありすを睨みつける。 「この阿婆擦れ、絶対に殺してくださいって言わせてやる」 小悪魔は小声で呟く、それはゆっくりまりさとイチャイチャするゆっくりありすには届かなかった。 小悪魔が仕事の合間に見つけた暇つぶし、 それはゆっくりの世話だった。最近見つけたもう使われていない掃除用具入れを掃除し、 主のパチュリーから少しばかりの賃金と休日をねだり、改装したご自慢の飼育部屋だった。 丸っこい可愛い文字で「ゆっくりのお部屋」と彫られ、ゆっくりパチュリーとゆっくりまりさが描かれていた。 ファンシーなプレートまでドアに飾っていた。二週間前までは、 小悪魔が飼っていたのは、 屋敷の前で日向ぼっこをしていたゆっくりまりさ、 人里のゆっくり屋で売られていたゆっくりありす、 その帰りに拾ったボロボロのゆっくりぱちゅりー、 だった。 三匹は最初、平等にエサを与えられ、平等に相手をされていた。 しかし、小悪魔はボロボロのゆっくりぱちゅりーを不憫に思い、 傷を治療をしてやったり、帽子を縫ってやったりしてやったのがよくなかった。 「ぱちゅりーはズルい!!」 意地汚いゆっくりまりさはすぐにゆっくりぱちゅりーに嫉妬した。 「やめなさい、ぱちゅりーは傷ついてたから治療してあげたのよ」 小悪魔は何度も言って聞かせたが、このゆっくりまりさはそれまでかなり不条理な世界で育ってきたのだろう。 ゆっくりぱちゅりーを不満のはけ口にしていた。 ゆっくりありすはというとゆっくりまりさに気に入られたいがためにゆっくりまりさに味方していた。 小悪魔は仕方なくゆっくりありすとゆっくりまりさをゆっくりぱちゅりーから遠ざけるため部屋に透明の仕切りを作った。 それでも二匹はゆっくりぱちゅりーに汚い言葉を投げつけた。 小悪魔がゆっくりぱちゅりーを庇えば庇うほど、二匹の行動は激化していった。 ゆっくりまりさも自分に同調してくれるゆっくりありすが居る事で良心は停止してしまっていた。 小悪魔が仕事で忙しかった日、二匹は仕切りに向かって体当たりした。 仕切りはグラつき、もう一度体当たりを受け、仕切りは倒壊した。 小悪魔がニコニコとエサを持ってきた頃にはゆっくりぱちゅりーは酷く痛めつけられ震えていた。 すぐさま、小悪魔はゆっくりまりさを払いのけ、ゆっくりぱちゅりーを抱きかかえる。 「誰、こんな事した子は?まりさ?!」 「ゆ!まりさじゃないよ・・・」 ゆっくりまりさは余所見をして答える。 「じゃあ、誰なの!!」 「とかいはのありすだよ。だってまりさがそのこのこときらってるんだもん!!」 ゆっくりありすはゆっくりまりさに頬ずりをする。 小悪魔はその日、一生懸命作ったプレートをゴミ箱に捨てた。 代わりに小悪魔が用意いたのは一斗缶と握り拳ぐらいの小石だった。 ゆっくりまりさを一斗缶に縛り付ける。極簡単な魔法で小石を焼け石に変える。 ゆっくりまりさはやめろと喚くが、小悪魔には聞こえない様子だった。 コトン、熱せられた小石を一斗缶の中に落とす。 もう一つ、コトン 次第に一斗缶の温度が上がってくる、今でちょうど人肌程度、 無論、ここで辞めるつもりなど毛頭ない。 「おねえさん、はやくこのなわをほどいてね」 「・・・」 コトン、返事をするように真っ赤な小石が一斗缶の中に落とされた。 「ゆぎゅ!!!ゆぎぃぃ!!」 ゆっくりまりさが痛がる様を少しでもよく見たいのだろうか、 小悪魔の目は目玉が飛び出るほどに開けられている。 ギョロっとした目でゆっくりまりさが悲鳴を上げる様を見ている。 口元は緩み、今にもケラケラと笑い声が聞こえてきそうだ。 「やめなよ。おねえさん、まりさがいやがってるでしょ!!」 「ゆぎぃ!!そう・・・だよ。はやくやめて・・・ね」 二匹は抗議をする。しかし、ゆっくりありすは熱いのが嫌なのか一斗缶から随分離れた場所に居る。 「まだお喋りに余力が残っているのですか、売女が。でしたら、もう少々熱を上げさせてもらいましょう。恋で焦がれていたいでしょ」 それからゆっくりまりさは右の頬が壊死するまで高温の一斗缶に縛り付けられていた 最後は悲鳴を上げる事すらできず、ただ白目を向いているだけだったが 翌日、また一斗缶と小石が用意された。 ゆっくりまりさは逃げようと努力はしたが、あっさり捕まってしまう。 「お、おねえさん、まりさがだめなところがあったらおしえてね。まりさ、ゆっくりなおすよ」 引きつりながらも明るく笑ってみるまりさ、 右の頬は動かず、左右非対称の気持ち悪い笑みだが、まりさには精一杯の行動だった。 小悪魔は無言で一斗缶にゆっくりまりさを縛り付ける。今度は左の頬を一斗缶にあてがう。 「なおすから!!まりさのわるいところなおすから!!」 コトン、小悪魔の返事は焼けた小石を一斗缶に落とす事だった。 昨日の繰り返し、ゆっくりまりさが熱いと騒ぎ出し、ゆっくりありすが心配し小悪魔にやめる様に抗議し、 小悪魔が小石を落としそれに答える。 昨日のようにまたゆっくりまりさは白目を向き気絶する 「そんなに心配ならもっと寄って慰めてあげてくださいまし」 ゆっくりまりさを心配そうに、しかし離れた場所から見守るゆっくりありすに小悪魔は声をかける 「私が怖いですか?あなたの愛ではここまで来れないのですよ。所詮は年中欲情女の勘違いですよ」 それでもゆっくりありすは動かないでいた。 自分をまず守らなきゃ、ゆっくりありすは選択をし、自分の命を生きながらえさせた。 その選択が正しいかどうかは後で分かる事となる。 両頬が壊死してしまったゆっくりまりさから笑顔が消えた。 笑えなくなったのだ。顔が全く動かない。喋る事には不便は無いが、表情を作れなくなってしまった。 ブスッといつも不機嫌そうな顔をしているゆっくりまりさ。 「ブサイクな顔がよりブサイクになりまして、そんな事では誰も買ってくれません事よ。売女さん」 小悪魔がゆっくりまりさの帽子を奪い取るとヒステリックに何度も踏みつけた。 ボロボロになった帽子をゆっくりまりさの頭の上に載せる。 「まあまあ、前衛的なお帽子ですこと。ブサイクには勿体無いぐらいです」 だんだんと自分達の待遇が悪くなってくる。エサは減り、部屋の掃除もされなくなった。 かける言葉も刺々しくなり、ゆっくりまりさは毎日苛められる。 ゆっくりぱちゅりーはテーブルの上で二匹を見下ろすように飼われている。 クッキーや紅茶、美味しいものばかり毎日食べさせてもらえている。 すると、ゆっくりありすは態度を一変させる。ゆっくりパチュリーに媚を売り出したのだ。 「ぱちゅりー、ありすにもクッキーちょうだい」 ぷいとぱちゅりーは身体をありすとは別の方向に向ける。 「ねぇ、ぱちゅりー、あやまるからぁ。ごめんなさい、ゆっくりゆるしてね!」 それを見て気分がよくないのはまりさだ。 「ありす?」 不安そうにゆっくりありすを見つめる。仲違した、ぱちゅりーはそう思った。 しかし、共犯関係はそう簡単に崩れるものではなかった。 小悪魔が部屋に戻ってくると、ぱちゅりーが死んでいた。 テーブルの上から落ちたのだ。そして、その死体をありすとまりさは食べている。 小悪魔はすぐに死体に集る二匹を蹴り飛ばした。 仕掛けておいた監視用の魔法の鏡を起動させる。 この鏡は数時間前に映した様子をもう一度再生する事ができる。 「ねぇ、ぱちゅりー、ありすとすっきりしない?」 「むきゅ?すっきり?」 「そうよ。とってもきもちいいのよ」 ぱちゅりーは野生だったが、今まですっきりした経験は無かった。 所謂、処女だった。それは体力的な問題、不運な境遇が原因だった。 決してすっきりししたくないわけではなかった。 今は毎日食事が取れ、病弱とは言え体力はかなり付いた。そして境遇は。 形の良いゆっくりありす。ペットショップで売られていた美しいゆっくりありす。 今までは自分を苛めていた嫌な存在だったが、そんな関係も終わった。 目の前にいるのは自分とすっきりを望む綺麗なゆっくりありす。 「むきゅー、そこまでいけないわ」 「ちょっとまっててね」 かかった。ありすは急いで小悪魔が用意したクッションを持ち出す。 「ここにとびおりればいたくないよ!!」 「むきゅー、ありすってかしこいね!!」 そして、ぱちゅりーは飛んだ。 ありすはクッションを別の場所に投げ捨てる。 糸の切れた人形のように小悪魔はぐったりとイスに座り込んでいる。 目の前には先ほど蹴ったゆっくりありすがゆっくりまりさに頬ずりしている。 痛かったねなどと痛みを慰めあっている。 「下品な女・・・」 小悪魔は口だけを動かす。 「ゆ?おねーさん、こいびとのまりさのわるぐちはやめてよね」 「あなたですよ。この阿婆擦れ」 小悪魔はゆっくりぱちゅりーを少し強く抱きしめ、ゆっくりありすを睨みつける。 「この阿婆擦れ、絶対に殺してくださいって言わせてやる」 小悪魔は小声で呟く、それはゆっくりまりさとイチャイチャするゆっくりありすには届かなかった。 まりさは嬉しかった。ありすは裏切ったわけじゃない。 ありすはあの憎たらしいぱちゅりーをやっつけてくれた。 とても嬉しかった。まりさは目を覚ます。大好きなありすが傍にいると思って。 「お早い御起床で、この鈍間。お食事は何になさいますか?生ゴミ?泥?それとも肥溜めから糞尿でもすくって参りましょうか?」 目の前にいたのは小悪魔だった。逃げないとまた酷い事をされる。今まで忘れていた事が蘇る。 どうして、ゆっくりしていたんだろう。ぱちゅりーを殺して小悪魔が黙っているわけ無いじゃないか、 必死に身体を動かすが、どうにも動かない。いや、動こうとするととても痛い。 「いひゃい」 声がおかしい。大きい声が出せない。 「あひふ、ひゃふひぇて」 クスクスと小悪魔は笑った後、ギョロっとした目でまりさを見つめ、説明した。 「足はこの通り、切り取らさせていただきました」 目の前に置かれたのは今まで自分の底だった部分、ゆっくりでは足と呼ばれる部分だ。 円く切り取られている足、まりさは吐き気がする。 人間だって自分の足が切り取られて見せ付けられれば恐怖のあまり嘔吐するだろう。 「あと、口元を縫い付けさせていただきました。それと」 口元が縫い付けられていて思ったような声が出せない。 急に小悪魔が消える。よく考えれば視界が狭い。 「左の眼球を摘出させていただきました」 まりさは小悪魔の元から逃げ出し、ありすを探す。 「あひふ、あひふ、ほひへ」 「ゆー?まりさ?」 眠気まなこのありすにも分かる。まりさがおかしい。 小悪魔がありすのところまで来て説明する。 「あなたのパートナー、私が壊して差し上げました、如何でしょう?髪もイカしますでしょ?」 「あ・・・ああ」 ありすは目に一杯の涙を浮かべている。 髪は所々無残に切られ、目をなくし、口を縫われ、 「綺麗でしょ?パートナーの容姿を褒めてあげて下さいまし。都会派の阿婆擦れ、ほら、笑ってくださいまし、フフフ」 元々焼かれている頬とボロボロの帽子、ありすはまりさに何の好感も持てない。 「愛していると言ってあげてくださいまし、あなたが愛したせいでこうなったんですから」 ありすの頬にまりさの焼けてゴツゴツした頬を押し当てる。 次第にありすの顔が青ざめていく。そして、まりさがありすに呼びかける。 「あひふ、ひゃふへへ」 「し、しらない!!こんなかいぶつしらないよ!!こんなのありすのまりさじゃないよ。はやくでていってね!!」 せきを切りありすがまりさを拒絶する。 「あひふ、まひははほ。まひははほ」 「そうです。これはあなたが愛したゆっくりまりさですよ。しっかりしてくださいまし、壊れるにはいささか早うございますよ」 「じゃあ、まりさなんていらない。こんなのありす、いらない!!」 そう言うと、ありすは何度もまりさに体当たりを繰り返す。 「あひふ、ひゃへてへ!!」 「うるさいよ!!おまえなんてゆっくりできないよ!!はやくしんでね!!」 何十回、何百回と体当たりを繰り返し、ようやくまりさは動かなくなりました。 「それでは最後はあなたですよ。皆様あちらであなた様がお死にになるのをお待ちしていますよ」 ゆっくりありすは最期に。 「ころしてね」と力なく言ったが、それから三ヶ月も拷問は続いた。 by118
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3221.html
『境界線 後編その3』 39KB 制裁 自業自得 駆除 群れ ゲス ドスまりさ 希少種 独自設定 ナナシ作 完結です *注意 anko3083 境界線 後編その2 の続きです。 この物語はフィクションであり、実在の人物、団体、国家とは一切関係ありません。 独自設定の希少種が出ます。 人間が犯罪行為を犯す場面が出てきます。 いつも通り過去作品の登場人物や世界観が出ますが読んでなくても大丈夫です。 「ゆっゆっゆー!ゆっくりー!」 今、山の山道を鼻歌を歌いながら呑気にゆっくりとした速度で下っているゆっくりがいた。 ドスまりさ(本物)とその帽子の上に乗った幹部ぱちゅりーだ。 「むっきゅう!まったくこのけんじゃのぱちぇと、どすをさしおいて、みんなでさきにいくなんてどういうつもりなのかしら!」 「まあまあぱちゅりー!どすはそのくらいべつにかまわないよ!」 ご機嫌なドスとは違い、やや不機嫌な様子の幹部ぱちゅりーをなだめるドス。 群れ総出で出発したはずなのに、今のドスの周りには頭の帽子に乗っかっている幹部パチュリー以外のゆっくりの姿は見当たらなかった。 何故かといえば理由は簡単で、ドスは移動しているゆっくりたちの集団の最後尾にいたからだ。 通常、大勢のゆっくりたちと共にドスがどこかへ移動する場合、ドスの居場所は必然的に先頭か最後尾になる。 何故なら迂闊に行軍の真ん中などにドスが居座られると、その巨体ゆえに移動時に他のゆっくりを踏み潰してしまう危険性があるからだ。 故に今回の群れを率いての大移動は、はじめはドスを先頭にしてその後ろにゆっくりの集団を配置しての進軍の予定だった。 がしかし、えいっゆうまりさの集団が先走って前に出てしまい、それに釣られる形で大勢のゆっくりたちが、 我先へと憧れのお野菜プレイスを目指したため、現在ドスは最後尾に陣取ることになってしまったのだ。 そういったわけで、ドスは前にいるゆっくりたちを急かすことのないように、わざとゆっくりと前進し、 結果として前の一団とは大きく距離が空いてしまっていた。 今ドスの周りに、帽子に乗った幹部ぱちゅりー以外のゆっくりが一匹もいないのはそういうわけだ。 きっと今頃は、全てのゆっくりが目的地であるお野菜プレイスに到着している頃合だろう。 「むっぎゅー!こんなかってなまねをしたのは、きっとさいきんちょうしにのっているあのまりさね! どす!こんなことはゆるされることではないわ!くそにんげんとのけんにかたがついたら、 ただちにあのばかまりさを、せいっさいするべきよ!」 「まあまあぱちゅりー!そんなにかっかしないで!」 命令違反をしたえいっゆうまりさを制裁すべきだとドスに主張する幹部ぱちゅりー。 幹部ぱちゅりーとしては、最近勢力を強めているえいっゆうまりさは自身の地位の維持のためにもなるべく早い内に潰しておきたい相手。 そういった下心からの進言だったのだが、それを知って知らずかドスはまったく取り合わなかった。 「ぱちゅりー!そんなちいさなことで、せいっさいなんてゆっくりできないよ! どすはね、ほんとうはだれもせいっさいなんてしたくないんだよ、それがたとえ、くそにんげんであってもね!」 「むぎゅ!いったいなにをいってるのどす!くそにんげんたちは………」 「わかってるよ!ぱちゅりー!くそにんげんはるーるをやぶった! だからせいさいしなければならない!あやまちは、おおいなるただしきそんざいが、あらためなければならない! それがいだいなそんざいである、どすの、ぎむだってことはね! ふぅ……でもね、わかってはいてもつらいものだよ!おろかなそんざいをせいっさするのはさ! おうはね、つねにこどくなんだよ!ゆふふふふふ!」 遠い目をしながら、わけのわからないことを口走るドス。 実際のところドスは、本気で人間を制裁するのを辛いと思っているというわけではない。 それは昨日意味なく男を土下座させて、悦に入っていたことからも明らかだ。 結局のところこの行為は、見当違いの自己憐憫により、自らは特別な存在であるという優越感を感じて自分に酔っているに過ぎない。 まあ、要するにこれは新しい遊びというやつなのだ。 名づけて「つよーいドスは誰にも理解されなくて孤独なんだよ、かわいそうでしょ」ゴッコである。 無論本人にはそんな意識は毛頭ないが。 「むぎゅ!どすはきっとやさしすぎるのね!いいわ!そのぶんこのけんじゃのぱちぇが、きびしくゆっくりとにんげんをみちびいていくわ! なんといっても、ぱちぇはいだいなけんっじゃだからね!」 「ゆゆ!そうだね!たよりにしてるよぱちゅりー!」 そして幹部ぱちゅりーもまたドスと同じように酔っていた。 愚民を導かなければならない、偉大なけんっじゃという自分の立場に。 にやにやと笑い合う両者。 そんな両者の間にはなにか奇妙な一体感があった。 それは多分、集団で集まって誰かの悪口を言い合うときのアレだ。 自分以外の全てを劣として見下す笑みだ。 結局人間もゆっくりも、皆で集まって誰かをバカにしたり、見下しているときが一番ゆっくりできているのかもしれない。 「ゆう!そろそろぷれいすにとうちゃくするよ!」 そんな気持ち悪いやり取りをしながら進んでいくと、やがて木々が薄れ、目の前の視界が開けてきた。 目的地のお野菜プレイスはもうすぐそこだだろう。 先行したゆっくりたちはみなどうしているだろうか? もしかしたら群れのみんなはもう既に、人間たちを制裁してしまっているかもしれない。 もしそうならば、止めるつもりだった。 何故ならば制裁は絶対者たるドスの役目だからだ。他の何者にも裁く権利は無い。 そして制裁を止めたドスは、さっきぱちゅりーに言ったことを、群れのゆっくりたちと人間どもにも聞かせるのだ。 強大さゆえのドスの苦悩を知ったみなは、きっと感動するに違いない。 人間などはドスのあまりの偉大さと慈悲深さに涙することだろう。 ああ、なんだろう、そのときのことを想像すると、何故かとてつもなくゆっくりできる。 はっ、はやく!はやくその瞬間を味わいたい!ゆっくりしたい! そんな妄想を加速させながら、ドスはわきめも振らず、畑へと飛び出した。 「またせたね!みんなのすーぱーりーだー!どすさまのとうっじょうだよおおおおおお!」 「むきゅ!てんっさいけんっじゃのぱちゅりーもいるわよおおおおおおお!」 満面の笑みで、勢いよく飛び出したドスと幹部ぱちゅりー。 しかしその笑みは、広場の惨劇を見た瞬間にこおりつく。 その場に広がっていた光景は、ドスの予想とは違いゆっくりが人間を制裁している物ではなかった。 いや、確かに制裁はされていた。 ただし、それはまったく対象が逆で、人間がゆっくりに対して行なっていたのである。 それはドスたちが想像だにしていない光景。 プレイスの所々には黒い染みが四散しており、各所には苦悶の表情をしながら事切れているゆっくりたちの死体が大量に転がっている。 まだ息のあるゆっくりは全員ネットに押し込められ、泣きながら一箇所に集められてた。 そして、畑の中央にいる人間の女が、今手に持っていびっている物体は……。 「ゆっ……が……どす、だずげで……」 れいむ?だろうか。 全身をズタズタにナイフで切り刻まれ、ほとんどの髪は無理やり引っこ抜かれ、目も片方抉り出されている。 かろうじて残る黒髪が、かつてれいむだった名残を残すのみで、もうほとんど気味の悪いハゲまんじゅうと成り果ていた。 「あらんドス、やっとごとうちゃくぅ?あんまり来るのが遅いもんだから、おねいさん先に少し遊んじゃったわぁん」 そう言っておねいさんは、手に持っていたれいむらしきものを、ヒョイ、とドスの方へ向かって無造作に放り投げた。 ベチャ! 「ゆがべ!」 全身を切り裂かれていたせいで餡子が流れてでいたれいむは、落下の衝撃に耐え切れずあっけなくドスの足元で自壊する。 「なっ、なっ、なんなのおおおおおおおおおおお!これはわあああああああああああああああ!」 「むっきょおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 あまりに自身の妄想とかけ離れた光景を前にして、ドスと幹部ぱちゅりーの絶叫が周囲に響き渡る。 「あらあら、どうしちゃったのぉ?突然そんな大声出してぇ?」 驚愕にわななくドスと幹部ぱちゅりーに対して、何気ない風に話しかけるおねいさん。 今広がっているこの光景の、一体どにに不自然なところがあるのか?と言わんばかりである。 もちろん不自然なところなど何所にもない。 人間がゆっくりを虐待しているのも、ゆっくりたちが虐待されているのも、ごく自然な光景である。 むしろ今まで異常だった展開が、ただ正常に戻っただけ。それだけのことである。 だがドスにはそんなこと理解できようはずもない。 「ふざけるなあああああああああ!おまえらじぶんのしたことがわかってるのかあああああああああ!」 怒りのままに咆哮するドス。 しかしおねいさんは涼しい顔だ。 「ああん、そうそう、一応言っとかないとねぇ。あんたたち、うざいんで一斉駆除することになったからん。 で、私は一斉駆除するついでに、こうして今までの鬱憤を虐待で晴らしてるってわけよん。 自分で言うのもなんだけど、おねいさんはとっても小物でねぇ。 たとえゆっくりだろうと、売られたケンカは残らず買い取るし、やられたことはきっちりやりばっちり返す主義なのよん。 それでこういう状況になっているわけよ。おわかりいただけたかしらん?」 「わかるかあああああああああああああああああああ!」 大声で怒鳴り返すドス。 挑発的とすら言えるおねいさんの言動に、ドスの怒りはとどまることを知らない。 「どすううううう!はやくあのくそにんげんをせいっさいしてねええええええ!」 「どすすぱーくで、はやくやっつけてえええええええ!」 「あのくそにんげんが、むれのなかまたちおおおお!ゆるせないよおおおおおおおお!」 「わかるよー!どすがきてくれたからもうあんっしんなんだねー!あやまるのならいまのうちだよー!」 そんな中、ゆっくり捕獲用ネットによって一箇所に固められている他のゆっくりたちが、必死にドスに声をかける。 目の前で凄惨な虐待を見せつけられて、次は自分の番かと今までの絶望の泣き顔をしていたゆっくりたち。 しかし一転、ドスが来てくれたという希望が、捕まっていたゆっくりたちを活気づけた。 もしかしたら助かるかもしれない、いや助かるべきなのだ!何せあの無敵のドスが来てくれたのだ! きっと人間を土下座させた上に制裁してくれるに違いないんだ!ざまあみろ! 「むっ、むっきゅ!そうよどす!もうこれはきょうていいはんとか、そういうじげんのもんだいじゃないわ! くそにんげんは、おろかではじしらずにも、じぶんたちのつごうがわるくなったから、ぼうりょくにうったえるきよ! そんなことはむだだということを、しらしめるためにも、あのくそにんげんをかくじつにせいっさいするひつようがあるわ! それでどすにさからうことのおろかさを、くそにんげんども、にいちどみせしめるのよ!」 周りのゆっくりたちの叫びにより、ショックから立ち直った幹部ぱちゅりーがドスに進言する 「いわれるまでもないよぱちゅりー! いくらかんだいなどすでも、むれのなかまをこんなにした、くそにんげんをゆるすことはできない! そう!てんがゆるしても、このどすがゆるさない!これは、してきなせいっさいではないよ! いだいなどすによる、せいっぎのさばきだああああああああああああ!」 そう言い、キノコを口に含みながら大きく口を開けるドス。 ドススパークの体勢だ。 が、おねいさんは、自分の足元にあった物体をドスに見せるつける様に乱暴に持ち上げ、言い放った。 「おおっと!そこまでよぉん!これを見てもドススパークを撃てるかしらぁん!」 「ゆ?」 目を見張るドス。 おねいさんの手に握られていたもの。 それは、 「どすううううううう!たすけるのぜええええええええ!」 えいっゆうまりさだった。 腹部からあんよにかけて、やや大きめのクギのようなものが貫通しており、痛々しい姿を晒している。 しかし、クギが栓になって傷口から餡子が漏れ出るのを防いでいるようで、苦痛こそ感じているものの命の別状はないようだ。 それが証拠に、今も痛みに涙を流しながらも大声でドスに助けを訴えている。 「ゆうううううううう!どすうううううううう!はやくこのむれのえいっゆうである、まりささまをたすけるぜえええええ! それから、このくそにんげんを、せいっさいするのぜええええ!はやくしろおおおおおおおおおお!」 「ちょっとうるさいわよん、まりさちゃん。今おねいさんが話してるところでしょお!」 手もとでやかましく騒ぐえいっゆうまりさを、腹部を貫通しているクギをぐりぐりと上下に動かすおねいさん。 「ゆぐああああああああああああ!いだいいいいいいいい!やめでえええええええええ!ぐりぐりしないでえええええ!」 「まりざあああああ!」 「やめてあげてね!いたがってるよ!」 「おいいい!このくそにんげん!いいっかげんにするみょん!」 その様子を見て騒ぎ出すその他のゆっくりたち。 だがそんなゆっくりたちに対しておねいさんは、 「お前らもいい加減、うるさいわねん」 おねいさんは、ブン!と、懐から取り出したクギを無造作にネットで拘束されているゆっくりたちの集団に向かってぶん投げた。 ブチョ! 「ゆぎゃああああああ!わがらないよおおおおおおおおお!」 クギはネットに内にいるちぇんの目に命中した。 「ひいいいいいいい!」 「あ、あああ……」 ちぇんの隣にいたゆっくりたちは、目にクギが突き刺さり、痛がるちぇんの様子に戦慄を覚える。 「やべろおおおおおおお!なにやってんだおまえええええええええ!」 それを見て、再び怒りの叫び声を上げるドス。 しかし、おねいさんはまったくペースを崩さずに言う。 「あらん、おほほほほ、ごめんなさい、ちょっと話しが逸れちゃったわねん。 それじゃ話を戻すけど、要するに今手に握ってるこのまりさはゆん質よん。 あなたが私の言う事を聞かなかったら、こいつの命は保証できないわぁん。 そしてそれは同時に、ドススパークを私に向けて撃ったらこいつの命もないってことねん。 理解できたかしらん?」 「ゆあああああああああああ!ちからでかてないからって、そんなのひきょうだよおおおおおおおおおおお! このひきょうものおおおお!くそにんげんはあくだよ!はきけをもよおすじゃあくだよおおおおお!」 「ほっほっほぉ!なんとでも言いなさいな。 あーやっぱり、ゆっりは面白いわぁ、この茶番じみた行為を本気でやるバカバカしさが面白いわぁ」 歯を食いしばって悔しがるドスに対して、余裕の笑みを浮かべるおねいさん。 それにしてもこのおねいさん、ノリノリである。 「むきゅ!どす!おちついて!ひとじちならこっちにもいるわ! あのくそにんげんと、まりさをこうかんするようにいうのよ!」 ドスとおねいさんの対応を見ていた幹部ぱちゅりーが、ドスに提案する。 「ゆっ!ゆゆっ!そうだよ!そうだったよ!こっちにだってくそにんげんのひとじちがいるんだよ! わかったらさっさとまりさをはなしてね!それからおとなしくどすにせいっさいされてね!すぐでいいよ!」 幹部ぱちゅりーの進言により、自分たちの側にも人質がいることを思い出したドス。 これで状況は五分だと急に強気になるが、しかしおねいさんは余裕の表情をまったく崩さない。 「え゛何それ怖い、人間の人質がいるなんて話、今はじめて聞いたんですけどぉー。 何のことだか、おねいさんさっぱりわからないわぁー」 おちょくるように言うおねいさん。 「なにいってるのおおおおおおお!きのういったでしょおおおおおおおお! そんなこともおぼえてないの!ばかなの!しぬのおおおおおおお!」 話しがかみ合わずヒステリックにドスが叫ぶ。 「そ・ん・な・事実は…………なかった! 私たちは、そんな話は聞かなかった! つまりはそうゆうことよぉん」 「むっきゅううううううう!さっきからなにわけのわからないことをいっているの! ごちゃごちゃいってないで、さっさとまりさをはなしなさい!ひとじちがどうなってもいいの!」 おねいさんのふざけた態度に業を煮やしたのか、幹部ぱちゅりーが人質を引き合いに出す。 しかし、 「どうやって?」 「むぎゅ?」 「今群れのゆっくりたちはこの場に全員いるのよぉん、 それなのにどうやってこの場にいない人質に危害を加えるつもりかしらん? まっ、もっともぉん、人質なんて『いない』んだからそもそも何の心配もないんだけどぉん」 「むっ、むぎゅ!そ、それは……」 思わず言葉に詰まる幹部ぱちゅりー。 「ふふふふふ、ようやく自分たちの置かれた立場が理解できてきたみたいねぇ。 それじゃあまず手始めに、あんたたち二匹には土下座して『人間に逆らってごめんなさい』してもらいましょうか。 上手にできたら、このまりさちゃんを放してあげてもいいわよぉん」 「ゆなっ!」 「むぎゅ!」 昨日の交渉時の意趣返しとでも言うべきおねいさんの要求に、声を上げるドスと幹部ぱちゅりー。 「ほらほらぁ、はやくしないとこのまりさちゃんが永遠にゆっくりしちゃうわよぉ」 楽しげに言いながら、えいっゆうまりさに突き刺さったクギをグリグリといじくりまわすおねいさん。 「ゆべががががば!やべでえええええええええ! どすううううううう!なにじっどしてるのおおおお! さっさとどげざじろおおおおおおおお!えいっゆうであるまりささまがどうなってもいいのおおおおおおお!」 自身を貫く痛みにたまらずドスに向かって土下座を催促するえいっゆうまりさ。 その様子を見て唸るドス。 「ゆぐ!ゆぐぐぐぐぐ!」 (こんな!こんな卑怯で下等な生き物であるクソ人間に、こうっすいな存在であるこのドス様が土下座なんてできるわけないよ!) ドスは思っていた。 偉大な存在である自分が人間に頭を下げることなどあってはならないと。 そんな世界の真理を無視した行いが許されるわけがない。 こんな!こんな……。 「むきゅ、どすおちついて」 憤るドスに、幹部ぱちゅりーがおねいさんに聞こえないような小さな声で話しかける。 「ゆうう!ぱちゅりー!いったいどうすれば…」 「かんたんよどす!あのおんなを、まりさもろともどすすぱーくでふきとばせばいいのよ!」 「ゆゆ!」 幹部ぱちゅりーの驚愕の提案に驚くドス。 なんとあのえいっゆうまりさを見捨てて、人間に攻撃を仕掛けろというのだ。 「で、でもそんなことしたらまりさが」 「むきゅ!いいどす!あなたはゆっくりのおうなのよ!そんなちいさなことにこだわっていて、たいきょくをみうしなってはいけないわ! ここでゆっくりのとっぷであるどすが、くそにんげんなんかにあたまをさげたら、それこそにんげんのおもうつぼよ! くそにんげんは、ゆっくりよりもおとったそんざいだという、しぜんのせつりをくつがえしてはいけないわ! これはどすだけではなく、ゆっくりぜんたいのもんだいなのよ!」 「ゆっ、ゆゆ!そうだね!そのとおりだよぱちゅりー!」 幹部ぱちゅりーの説得にあっさり応じるドス。 というかぶっちゃけた話、ドスとしては土下座を回避できるのなら別の何でもよかったというのが本音だった。 そして、そんなドスの様子を見て幹部ぱちゅりーはひそかにほくそ笑む。 (むっきょきょきょきょ!ちょろいもんだわ! あのバカまりさがゆん質に取られたときは一瞬驚いたけど、よく考えてみればこれは好都合ね。 もともとあのバカまりさは、ことが終わった後で消えてもらうつもりだったわけだし。 むしろどうやって自然な感じで始末をしようかと悩んでいたところだわ。 そこにきて、このバカまりさがゆん質に取られるという展開。 これを利用しない手はないわね。 バカまりさには人間と一緒に消えてもらいましょう。 これで邪魔者を始末できると同時に、クソ人間たちへの見せしめにもなる。 皆が見ている前でドスがバカまりさを始末するのだから、自身に責が及ぶこともまったくない。 まったく一石二鳥とはこのことね。むっきょきょきょきょ) 幹部ぱちゅりーがそんなことを考えてる間にも、ドスはキリッとおねいさんの方に向き直り、ガバッと大口を開けた。 ドススパークの体勢だった。 「かくごしてね、くそにんげん!これからどすがおまえをせいっさいするよ!」 一片の戸惑いもなくおねいさんに言い放つドス。 そんなドスに対しておねいさんは、いささかわざと臭い、大げさな仕草で驚いて見せる。 「え゛え゛ええええ、ちょっと本気なのぉ? こっちにはゆん質がいるのよぉん。それでも撃つ気なのん?」 「どすううううううう!なにがんがえてるのぜえええええええ! まだまりささまがつかまってるのぜええええええ!せいっさいするのはまりささまを、たすけたあとにするのぜええええええ! ただたんに、どげざすればいいだけのはなしでしょおおおおおおおお! このくず!げどうがああああああああああ!」 自分もろともドススパークで吹き飛ばしてしまうという、ドスの考えを悟ったえいっゆうまりさもまた叫びだす。 「そうだ!そうだ!この外道!人でなし!あら、こういう場合はゆっくりなしって言うのかしらん?」 茶化すようにまりさの叫びに追従するおねいさん。 「だまってねええええええ! どすはおうなんだよ!いだいなんだよ!ゆっくりのだいひょうなんだよ! どすは、あくにくっするわけにはいかないせきにんがあるんだよおおおおおおお! そのためには、ちいさなぎせいはやむをえないんだよおおおおおおおおおお!」 そんなことを口走りながら、標準をおねいさんに固定するドス。 どうやら撃つ気なのは間違いないらしい。 「きゃあーーー!いやーーーー!」(棒読み) 「ゆあああああああ!やめるのぜえええええええ!」(迫真) ドススパークの発射態勢を前にして、 うさんくさいおねいさんの悲鳴と、えいっゆうまりさの緊迫の絶叫が周囲に響き渡ったその瞬間。 ヒュッ!と何かが風を切る、鋭い音が聞こえ、 ブスッ! 「ゆぶぇえ!」 今まさにドススパークを発射せんとしていたドスに、矢が突き刺さった。 「ゆっ!がっ!あがががががががが!ふがげげげげげ!」 突然襲った激しい痛みに訳がわからず唸り声を上げるドス。 「なっ、なにが……、ゆっぐう、ゆがああああああああああああああああ!」 訳がわからない状況のドス。 だがしかし、はじめは矢が刺さった部分の一点だけだった痛みが、何故か全身にまでまわりはじめて、苦痛の悲鳴をあげることしかできない。 もちろんドススパークなど撃てるはずもない。 「むっ、むぎゅう!なにやってるのどす!そんなちいさなやがつきささったくらいで! はやくどすすぱーくであのくそにんげんたちをふきとばすのよ! どうしたの!はやくしなさい!このぐず!」 ドスの無様な様子に、幹部ぱちゅりーが苛立ながら叱責する。 確かにドスの体積からすれば、小さな矢が突き刺さっただけでのこの痛がりようは少々異常だった。 「ゆぐぐぐう、ど、どすのからだが……どじで…」 先ほどからまったく身動きできずに唸るドス。 と、そこへ、 「ああ、いくら足掻いても無駄だよ。その矢には対ドス用の特殊な薬品が塗ってあるからね。 それをくらったからには、ドススパークはおろか、二三日まともに動く事すらできんよ」 今まで死角に隠れていた先輩が、ボウガンを抱えながらドスたちの前に姿を現した。 「むっ、むぎゅ!なんですって! ひっ、ひきょうよ!ひきょうだわ!こそこそかくれていて、とつぜんふいうちするなんて! くそにんげんには、せいせいどうどうとたたかおうっていう、ぷらいどがないの!」 「卑怯とは失礼だな。 相手の注意を引いておいて、そのスキに側面から攻撃するのは戦術の基本だよ。 相手が攻撃する瞬間こそ、もっともスキができるものだからね。 次からはもっと周りにの様子にも注意を払うべきだな。 まあもっとも………」 先輩はてくてくとドスと幹部ぱちゅりーのところまで歩いていくと、幹部ぱちゅりーの顔面を無造作に蹴り飛ばした。 「むっぎょっばああああああああああ!」 無様にコロコロと転がっていく幹部ぱちゅりー。 「君たちに次はないんだけどね。 まっ、正直な話、君たち程度の相手にここまで念入りに下準備する必要はまったくなかった。 でも今回は万に一つの失敗も許されない状況だったんでね。 念には念を入れさせてもらったというわけだ。 そしてこれは最後の仕上げだ」 それだけ言うと先輩は、隣で身動きできずにプルプルと震えているドスに、入れ物から取り出した矢を突き刺した。 「ゆっがぶがあああああああああああああああああ!」 身動きできない状況にて、さらに薬が塗られた矢を追加され、絶叫を上げるドス。 これで完全にドスの動きは封じられた。 もう何をどうやっても動くことはできないだろう。 「作戦完了っと」 ボソリと先輩が呟いた。 こうして畑に集まったきた群れのゆっくりたちは全て制圧された。 今や群れの大半のゆっくりは潰され、畑のそこかしこに散乱している。 潰されずに残った生きているゆっくりたちは全て、ゆっくり捕獲用ネットによって一緒に集められており、 頼みのドスは先輩によって完全に無力化させられてしまった。 今のところ唯一捕まってないのは、ゆっくり中で最も運動能力の低い幹部ぱちゅりーのみだが、 それも先ほど先輩に蹴飛ばされ意識を失っている。 もっとも起きていたとして、何ができるというわけでもない。 完全に詰みだ。この状況を絶望と言わずして何と言おうか。 「あっ、ああ、そんな、うそなのぜ……」 えいっゆうまりさは目の前の光景が信じられなかった。 ドスが自分もろとも、ドススパークで人間を吹き飛ばそうとしたのも信じられなかったし、 そのドスが、いつの間にか死角に隠れていたもう一人の人間に、何もできずにあっさりやられてしまったことも信じられかった。 この光景は果たして現実のものなのか、それすらもあやふやな状況だ。 「ゆぎぎいいいいい!」 しかしそんな漠然とした意識は、身を貫く激しい痛みによって強制的に現実に引き戻される。 おねいさんがまりさを貫いている大きめのクギを掻きまわしたのだ。 「あらん、どうしちゃたのまりさちゃん。 ぼーっとしちゃってさ」 「ゆがあああ!こんなばかなことがあるはずないんだぜえ! むれのえっゆう、であるこのまりささまが、こんなめにあうはずが! これはなにかのまちがいなのぜえええええ!」 必死に現実を否定するえいっゆうまりさ。 今のまりさには、もうそれくらいしかできることがなかった。 「ふーん、群れのえいっゆうねぇ。 でもおねいさんの見立てではぁ、あなた今回の主犯というよりは、ただ単に利用されただけのザコって感じなのよねぇ。 まあ、せいぜい調子に乗ったチンピラってとこかしらん? どこの群れにもいるような、取るに足らない、居ても居なくても別に誰も困らない存在ってことねん」 「ちっ、ちがう!まりさは、まりささまは、むれのえいっゆうなんだぜえええええええ! ざこなんかじゃないいいいいいいい!とくべつなそんざいなんだぜえええええ! いずれはどすになって、むれも、にんげんもしはいして、それから!ずっとずっとゆっくりするんだぜええええ!」 「へー、まっ、どっちでもいいわん。もうあんたみたいな小物には用はないから殺してあげる。 それじゃあねぇん、哀れな道化のえいっゆうさん」 おねいさんはえいっゆうまりさに突き刺さったクギをグッと握ると、 それをメリメリと横に動かしはじめた。 「ゆがああああああああ!どうしてえええええええええええ!こんな!こんあはずじゃあああああああああ! ゆがぼげがはばああああああああああああああああ!」 おねいさんがクギを動かすことによって、今まで塞がっていた傷口が抉れ、どんどん広がっていき、そこから大量の餡子があふれ出す。 中身が出るにつれ、みるみるえいゆうまりさからは生気が失われていき、やがえて身体の半分くらいが裂けた頃になると、 「もっど、ゆっくり……」 小さな断末魔を残し、えいっゆうまりさは永遠にゆっくりした。 「ふん、ただの雑魚が語るには、随分と不相応な夢だったわねぇ。 一時でも夢を見なければ、もっと楽に逝けたかもしれなかったのにねん」 おねいさんはグチャグチャになった物体を、地面に放り投げながら言う。 「やれやれ、まあなんと言うか、哀れなヤツだったね」 その様子を見ていた先輩もまた、手に持ったボウガンを分解しながら呟く。 「まっ、別に自業自得だからいいけどねん。さーて、お次は誰の番かしらん」 「「「「「ゆひいいいい!」」」」」 おねいさんの視線がネットに捕まっているゆっくりに向けられたのを見て、恐怖する群れのゆっくりたち。 もはやゆっくりたちは抵抗しようという気力はなく、ただ怯えるばかりだ。 「お、おでがいです!だずげてくだざい!れいむがまちがってましたあああ!」 「わがるよおおお!もうにんげんさにさからったりしないよおおお!だからたすけてねええええ!」 「どすがああ!どすがわるいだよおおお!まりさははんたいしたのに、むりやりここにつれてこられたんだよおおおお!」 「そっ、そうよ!ありすたちは、ただどす、やぱちゅりーのしじにしたがっていただけよ!だからわるくないわ!」 「みょおおおん!しにたくないみょん!たすけてみょん!」 何とか助かろうと、次々と反省や無実を訴えるゆっくりたち。 「ふーんそっかぁ。反省している上に、無理やりやらされたってんじゃしょうがないわねぇ。 それじゃあ許しちゃおっかなぁ」 「「「「ゆ、ゆるされた!?」」」」 そのおねいさんの一言によって、パアッと明るい顔になるゆっくり一同。 が、 「ゴメンやっぱり許さない」 「「「「ゆあああああああああ!そんなああああああああ!」」」」 またもやおねいさんの一言によって、絶望の表情になるゆっくり一同。 「はっきり言ってさぁ。もう許すとか許さないとかそういう段階はとっくに過ぎちゃってるのよねぇ。 せめてもう少しそれがはやければねぇ。 でもまあ、あなたたちは基本的に何もしてないから、楽にサクッと殺してあげるわん。 まっ、恨むなら自分たちのトップを恨むことねん」 そう言いながらおねいさんが、恐怖に慄くゆっくりたちに向かって歩き出したそのとき。 「むきゅ!そこまでよ!くそにんげん!」 いつのまに復活したのだろうか? 先輩に蹴り飛ばされてて気絶していた幹部ぱちゅりーが、おねいさんに向かって声を上げたのだった。 「あら、ぱちゅりーちゃんどうしたのかりしらん? 心配しなくてもあなたは後でおねいさんがたっぷり可愛がってあげるわよん。 おねいさんの見立てでは、今回の件のゆっくり側の首謀者はあなたみたいだからねん」 ニヤリと笑うおねいさん。 しかし幹部ぱちゅりーは臆することなく言い放つ。 「いいかげんにしなさい! こんなごくあくひどうなこういが、ゆるされるとおもっているの! きょうっていいはんからはじまり、けんじゃのぱちぇのていあんをうけいれないばかりか、あまつさえむさべつなぼうりょくこうい! こんなしゃかいてき『あく』は、せけんがみとめないわ! いまならまだおそくないから、はんせいして、おとなしくこのけんじゃのぱちぇのどれいになりなさい!」 「………はぁん?」 この後に及んでいったい何を言っているのだろうか、このクソ袋は? 流石のおねいさんも、この幹部ぱちゅりーのトンチンカンな言動の意図を察しかねた。 「ほぉ、世間とは……なかなか面白いことを言うね君は」 だが困惑するおねいさんとは対照的に、面白そうな顔をしながら幹部ぱちゅりーに近づく先輩。 「それで?君の言う事を聞かないと、我々はどうなってしまうのかなぱちゅりー君?」 「む、むぎゅ!だ、だからいったでしょう!こんなことせけんがゆるさないわ! なっんったって、さいしょにきょうっていをやぶったのは、そっちなのよ! そうよ!『せいぎ』はぱちぇたちのほうにあるのよ!あななたちは『あく』なの! せけんは『せいぎ』をおうえんするわ! ぱちぇたちをころせば、きっとくそにんげんたちは、せけんてきせいさいをうけることになるわ!」 「バカだね君は。 先ほども彼女が言ってたが、君たちが今ここで全滅したら、誰がそのことを世間とやらに伝えるのかな」 「そっ、それは、そう!そうよ!にんげんさんよ! ぱちぇたちのばっくには、にんげんさんがいるのよ! ぱちぇたちになにかあったら、そのにんげんさんが、きっとそのことをつたえるわ! これでわかったでしょう!『せいぎ』のぱちぇたちを、おうえんしているにんげんさんもいるのよ! わかったら、さっさとひざまずきなさい!いまならまだ、はんごろしのうえに、うんうんどれいでゆるしてあげるわ!」 勝ち誇ったようなドヤ顔の幹部ぱちゅりー。 そんなぱちゅりーの目に先輩は、グチョリ!と、無造作に人差し指を突っ込んだ。 「むぎょおおおおおおおおお!ぱちぇのおめめがああああああああああああ!」 突然の行為に悲鳴をあげる幹部ぱちゅりー。 先輩は無言で目に差し込んだ人差し指をグリグリと回すと、そのまま目玉を引き抜いた。 「あんぎゃあああああああああ!どじでえええええええええ! さっきのはなしをきいてたのかあああああああああ! けんっじゃのぱちぇにこんなことして、ただですむとおもってるのかああああああああああ!」 「ああ、もちろん聞いていたさ。そしてもう大方知りたいことは聞き終えた。 だからもう死んでいいよ」 「あああああああああああ!なんなのおおおおお!どういうことなのおおおおおお!」 「うるさいなぁ。まあめんどくさいけど冥土の土産に教えてやるよ。 私たちにとっての最悪の事態は、人間とゆっくりが手を組んでいる場合ではなく、 本当にゆっくりが人間の人質を取っている場合だったのさ。 普段ゆっくりに関心がない連中でも、人命が関わってるとなれば血相を変えるからね。 だから混乱をさけるためと、それと私的な理由で、とりえずそんな事実はなかったことにしたのさ。 で、今の君の話によって、我々の予想通り、ゆっくりと人間が結託していたことがわかった。 人質は自演で、バカな人間がゆっくりを先導して、なにかやらかそうとしているだけだったと判明したわけだ。 後は、はじめに人質を取ったと宣言したゆっくり連中を残らず始末して、人質宣言をなかったことにしてしまえば、 人間がゆっくりと組んで迷惑行為をしていたという事実のみが残るというわけだ。 ゆっくりと人間が結託して、我々の妨害行為を行うことは、たまにある事だしね。 多少ゴタゴタしたところで、たいしたお咎めはないのさ。 ああ、そうだ、今となってはどうでもいいが、君の言う協力者の人間の目的が何なのか聞いてないかい?」 「むっきゅううううううううう!こんな!こんな!『あく』がゆるされるわけないいいいいいいい!」 唸る幹部ぱちゅりーに溜息をつく先輩。 「やれやれ、さっきから悪だの正義だのくだらない。 それじゃ聞くがね、君にとっての正義とはなにかな?」 先輩が幹部ぱちゅりーに質問する。 「むきょおおおお!そんなのゆっくりが、ゆっくりすることにきまってるでしょおおおおおお! そんなせかいのしんりもわからないのおおおおおおおお!ばかなの!しぬのおおお!」 「では悪とは?」 「ゆっくりをゆっくりさせないくそにんげんにきまってるでしょおおおお! この『あく』があああああああ!なんでもかんでもひとりじめしてえええええええ! だいたい、くそにんげんも、ほかのだゆっくりどもも、どすだって、そうだよおおおおお! おまえらぜんいん、おとなしくこのけんっじゃのいうことをきいていればいいんだよおおおおお! それこそが『せいぎ』なんっだよおおおおおお! このけんっじゃにさからうものは、みんな『あく』だああああああああああ!」 「そうかい」 幹部ぱちゅりーの叫びに短く答えた先輩は、入れ物から矢を取り出し、 それをブスッ!と幹部ぱちゅりーの脳天に突き刺した。 「むっびょええええええがばああああああああああああ!」 体中を何かが弾け回るような痛みに、声にならない絶叫を上げる幹部ぱちゅりー。 先輩が刺した矢は、対ドス用の薬が塗られたものだ。 それを普通の、しかもゆっくりの中でもっとも身体の弱いぱちゅりーがくらうとどうなるか。 「むぎょ!がべぱはっ!えれえれぐばあぁああああぁあぁあ!」 突然口から、そして中身を抉り出されて、穴のあいた目から中身を吐き出しはじめる幹部ぱちゅりー。 それを無感動に見下ろす先輩。 「自分の行動に正義があると思い込むのは、まあいいよ。人間だって似たようなものさ。 だがそれが全ての存在にとっての、共通の正義だと思わないことだね。 ああ、ちなみに私たちは君が言ったように悪さ。 なにせ君を殺すのは正義のためなんかじゃなく、自分たちの都合のためなんだからね そしてその悪が許せないというのならば、遠慮なくかかってくるといい、いつでも相手になろう。 ただしこれだけは言っておく。ゆっくりの正義では人間の悪には絶対に勝てないよ」 「むっ……がっ」 最後の先輩の言葉は、果たして幹部ぱちゅりーに聞こえただろうか。 しかし聞こえていたところで意味はないだろう。 そこには自身の薄っぺらい正義を全て吐き出して、ぺちゃんこになった気持ち悪い物体があるだけだった。 「うーむ、少し……大人気なかったかな。つい偉そうに説教などしてまって…」 ふと我に返ったように、先輩は少しバツの悪そうな表情でカリカリと頬を掻く。 「いやー、よかったんじゃないのぉ。 そりゃ、私らだって決して誉められた人間じゃないけどさぁ。 いままで散々やりたい放題やっといて、 都合のいいときだけ正義だ世間だ言って、ドヤ顔するようなクズゆには遠慮は無用よん」 そう、おねいさんが先輩をフォローする。 「さぁて、それじゃあ群れの雑魚共は後でまとめて処分するとして、残る最後の先導者はドスちゃんだけねぇ。 いよいよ大ボスって感じかしらん。 ていうかぁ、あんたさっからずっと黙ってるけど、どうしちゃったのぉん? もっとこう、ほらさ、ゲスッっぽくバカだの死ねだの暴言を吐いててもいいのよん? そのほうが、こっちもやる気出るからん」 おねいさんがドスに向かって挑発的に語りかける。 確かに彼女の言うとおり、ドスはさっきっから一言も発していない。 えいっゆうまりさが真っ二つにされたときも、幹部ぱちゅりーが中身を全て吐き出したときもだ。 いくら薬で全身が動かないとはいえ、喋ったり叫んだりはできるはず。 しかしドスはうつろな目をしながら、ただピクピクと痙攣しているだけだ。 ドスは昔を思い出していた。 そう、それはまだドスになる前の、ただのまりさだったときの記憶。 あのときの自分は気弱でいつもオドオドしていた。 自分よりも大きな人間に逆らうなんて、もってのほかだと思っていたはずだ。 そしてその考えは、ドスになった当初もかわらなかったはず。 むしろ、何かと人間の悪口ばかり言っていた幹部ぱちゅりーと違って、 自分はちゃんと人間のと付き合っていこうと思っていたはずだ。 それが、一体なぜこんなことに? どうして自分は人間に逆らうなんてバカな真似をしてしまったのだろう? 何故自分は世界一強いと勘違いしてしまったのだろう? 何かがおかしい。 どうしてこんな……。 「おいぃ、さっきからなに黙って余裕ぶってんのよ、このタコォ!」 ドカッ! 「ゆぶぇえ!」 ずっと黙ったままのドスに腹に、おねいさんのケリが炸裂する。 薬で痺れ、体が敏感になっているドスにはたまらない痛みだった。 「ちょっとぉ、あんたしっかりしなさいよぉ。 一応この群れの長のドゲスでしょうがぁ。 なーんか、さっきから覇気がないわねぇ」 怪訝な表情をするおねいさんにドスは小声で何かを呟く。 「……さぃ」 「あぁん?」 「ごべんなざぃいぃいいいいいいいいい! どすがちょうしのっでまじだあああああああ!」 「………はぁ?」 急に大声で泣きながら謝罪しだすドス。 「お前……いまさらなんなのぉ」 呆れた表情で言うおねいさん。 「ちがうんでずううううううう!ほんとは、どすはにんげんさんにさからうきなんてなかったんですうううううう! それなのに、むれのみんながあああ!ばじゅりいがああああ!あのおねいざんがあああああ! にんげんをゆるずなっでいったんでずうううううう! だから!だから!どすはしかたなくうううう!」 涙を滝のように流しながらドスは語る。 しかしその言葉を聞いて群れのゆっくりたちは黙ってなかった。 「ゆあああああ!なにいってるのどすうううううう!れいむたちのせいにしないでねええええ!」 「んほおおお!ほかのゆっくりのせいにするなんて、とかいはじゃないわああああ!」 「わがるよおおおお!どすがいちばん、にんげんのとちをのっとるのに、せっきょくてきだったよおおおおお!」 「くそにんげをどげざさせたって、じまんげにはなしてのを、まりさはきいたんだぜええええ!」 自分らの責任にされてはたまらないと、口々に叫びだす群れのゆっくりたち。 「だまれええええええええ!ぜんぶおまえらのせいだろうがああああああ!どすはわるくないいいいいい!」 「黙るのはテメェだよ、このカス!」 思わず興奮して乱暴な言葉を吐き捨てながら、おねいさんが長めのクギをドスに突き刺す。 「ゆぎいいいいいいいいい!いだいよおおおおおおおお!」 涙を流しながら金切り声を上げるドス。 「チッ、まったく、白けるわぁん」 「なんというか、流石にこれは醜いと言わざるを得んな」 「ほんともう、なんかどうでもよくなってきたわん。 さっき殺った、えいっゆうまりさはチンピラで小物だったけど、コイツはそれ以下のクズね。 こんなヤツに、力を尽くした虐待をするのもアホらしくなったわん」 「なんだ?もしかして助ける気か?」 「んなわけないでしょバカね、予定をはやめるのよ」 そう言うと、おねいさんは置いてあった自分の荷物をゴソゴソといじりだした。 「おねがいですうううううう!たすけてくださいいいいいいい! これからはこころをいれかえますうううう!もうけっしてにんげんさんにはさからいませんんんん! げすゆもきちんとせいっさいしますううううう!だからああああああ!」 なおも続く懇願を無視しておねいさんが取り出したもの、それは……。 「ちょ!おまっ!それは」 思わず声を上げる先輩。 そんな先輩を無視しておねいさんは、勢いよくドスに、黒くて臭くてよーく燃える液体をぶっかけた。 「そぉら、くらえぇい!」 「ぶひゃあああああ!なにごれくさいいいいいいい!」 自身にかけられた、危険極まりない液体の性質を知ってか知らずかドスはその臭いに不快を訴える。 「おい!お前そんなもの一体どこで調達した!」 「今朝、民家のおばちゃんからゆずってもらったのよん」 「正気かおい、ここは一様、私有地の畑だぞ」 「昨日、罠を仕掛ける際に何やってもいいって持ち主に許可もらったでしょう。 大丈夫、大丈夫、大した量じゃないからさ、終わったあときちんと片付けるわよん。 それにこの虐待はなかなかやる機会がないのよぉ。 室内はもちろん、主にドスが生息する森の中でも危険極まりないしね」 「どこでやっても危険極まりないわ、バカ者」 「まあまあ、いいからいいから」 「な、な、な、なんなのおおおおおお!いったいどすをどうするきなのおおおおおおおお!」 先輩とおねいさんの会話に不吉なものを感じ取ったのか、ドスが堪えきれない様子で叫びだす。 「あぁん、それはねぇ」 おねいさんはポケットからマッチ箱を取り出し、シュッと擦り火をつけると、 「こうするのよ!ヒャッハー!点火だぁ!」 それをドスに向かって放り投げた。 マッチは動けないドスへ命中し、そして、 「ゆぎゃあああああああああああああああ!あち!あち!あずいいいいいいいいいい! なにごれええええええええええ!あついいいいいいいいいいいいいい! だずげでええええええええ!あばばばあばあばああああああああ!」 一瞬にして身体全体に炎が燃え広がり、もだえ苦しむドス。 薬で全身を麻痺させられているため転げまわることもできない。 全身を一気に焼かれる苦しみは、通常の足焼きなどとは比較にならないだろう。 「うんうん、さっすが、ゴミクズはよく燃えるわぁん。 そんじゃ、ついでに残った連中も処理しちゃうとしますか」 そう言うと、おねいさんはネットに拘束されているゆっくりの一匹を外に取り出した。 「ゆゆ!おそらをとんでるみた…」 そしてそのまま、そのゆっくりを炎に包まれ、悲鳴を上げているドスの口にヒョイと投げ込んだ。 「ゆばがああああああ!あじいいいいいいいいい!がらだがもえるうううううううう!」 当然のことながら、投げ込まれたゆっくりも地獄の業火に全身を焼かれることになる。 唯一の救いはドスほど身体が大きくないため、すぐに焼き尽くされ永遠にゆっくりしてしまうことだろうか。 「さぁて、どんどんいくわよぉ」 「ゆひいいいいい!やめてえええええ!」 「ああああ、いやだあああああああ!」 「わがらないよおおおおおおおおお!」 次々に燃え盛るドスの口内へとゆっくりたちを投げ入れるおねいさん。 「しねええええ!このくそどすがあああ!ぜんぶおまえのせいだああああ!ゆあづいいいいいいいいいい!」 「なんでまりさがこんなめにいいい!このやくたたずがあああああ!」 「ばかああ!どすのばかああああ!おまえさいいなければこんなことにわあああああ!もえるううううう!」 ドスの口内で焼かれるゆっくりたちは、みな最後にドスへと恨み言を吐きながら散っていく。 そして皮肉にも、口の中に次々と投げ込まれるゆっくりたちが栄養分となり、ドスの余命を、即ち苦しむ時間を長くしていく。 「ゆがばばあああああ!もうやべでええええ!もうあついのいやだあああああああああああ!」 ドスは泣いていた。 熱のせいで、涙はどれだけ流しても一瞬で蒸発してしまうが、それでもドスは泣いていた。 自身を焼く炎の痛みに、口の中で消えていく群れのゆっくりたちの憎悪に、そして自身の運命に。 そして果ての無い後悔の末に、ついにドスは永遠にゆっくりしたのであった。 その後…。 「ふう、終わったみたいねん」 「なんともまあ、壮絶な光景だった」 「ふふ、楽しかったでしょう」 「別に」 「あら、つれないわぁん」 焼け残った物体を前にして語り合うおねいさんと先輩。 こうしてこの付近の群れは一匹残らず全滅した。 そして彼女らは知る由もないが、今頃は山中にて男が女を倒している頃だろう。 「まったく、わかってるのか?面倒なのはこれからなのかもしれないんだぞ?」 「あの女のこと言ってるの? だったら平気よん、きっと彼が上手くやるわん。 そもそも女とゆっくりが手を組んでるってわかったんだから、 人質の件さえもみ消しちゃえば、後は女が何言っても、知らぬ存ぜぬで通しちゃえばどうとでもなる話だしねん」 「まあ確かにそうなんだけどな。 しかし、結局あの女の目的は謎のままだからなぁ、どうなることやら……」 「やぁねえ、心配性。 どうせ大した目的じゃないわよん。 大方、世界平和とかそういう夢想の類じゃないぉ?あの手のキチガイのやることってさ。 それにね、たとえ世界の誰かが、ゆっくりでどんな企みをしようとも、確実に言えることが一つだけあるわん」 「んん?なんだそれは?」 「ふふん、それはね、この世におねいさんがいる限り、ゲスゆは必ず制裁されるってことよ!」 グッと親指を立てると、おねいさんは誰にともなくウインクをしたのであった。 おしまい。 後書きと、過去作品は容量制限のため省略。 そんなわけでまた次の機会によろしくお願いします。 ナナシ。
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1549.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 734 未成ゆん/コメントログ」 こういうゲスゆっくりはいいね、まさかポリバケツに入ってたのがゴッドファーザーだとは・・・ こういう憎めないキャラはいいし、ゲスだけどきちんとルールがあるからゆっくりできる 子ゆっくりがちゃんと制裁されたのもいいね ただあのまりさ、頭良い個体だったから死んじゃったのがちょっともったいないかも -- 2010-03-26 13 51 01 発想がすごいおもしろかった! -- 2010-06-05 12 17 26 ゲスファミリーかっけぇw -- 2010-06-06 21 59 16 面白いね!作者さんからは溢れる才能を感じるね! -- 2010-06-27 23 06 20 みょんとパチュリーの経緯が知りたい -- 2010-07-01 00 01 16 面白いけど 面が三つのサイコロっておかしくないか? -- 2010-08-12 22 28 55 1〜3の目がそれぞれ2個ずつついてるんじゃないかな? そんなのが有るかどうかは知らないけど -- 2010-08-13 11 41 38 カイジに456サイってあったからあんな感じじゃないかな? -- 2010-08-19 18 37 31 みょんがかっこ良すぎる…。ヤクザものの映画に出てきても違和感無い性格だったw -- 2010-08-22 03 41 38 お父さんには幸せになってもらいたかった あれだけ生き抜いてきた最後がこれだなんて、お父さんまりさも子まりさを助け出したれいむも救われなさすぎだろ・・・ -- 2010-09-07 13 06 20 ゲスファミリーすげぇ -- 2010-10-17 17 32 27 まりさざまあ -- 2010-10-27 09 25 33 子まりさざまぁww 親まりさもこんな馬鹿に関わったばかりに可哀想だったね。 愛情が深いってのも良し悪しか。 ゲスファミリーの設定が面白すぎるw ゴッドがコンポスト入りとか、設定だけで楽しませてもらいました -- 2010-10-30 21 01 33 今まで呼んできた中で最高の作品でした。 ありがとう。 -- 2010-12-06 01 06 19 親まりさは優秀だったがあの救いようの無い出来損ないのゴミを 切り捨てる事が出来なかったってのは過酷な世界を生きる野良としちゃあよろしくなかったな。 -- 2010-12-16 23 26 50 挿絵の目つきが怖すぎるぱちゅりーと、真顔だからこそ狂気が際立っているみょんがこええ -- 2011-01-19 03 24 48 普通のヤクザ映画より出来が良いじゃねーかwゲスファミリーカッコ良すぎだなw 親まりさは生きてて欲しかったなぁ。義母れいむが浮かばれないぜ… -- 2011-01-20 02 32 10 人間そのものだよ GJ -- 2011-01-24 13 35 24 ゆっくりのみたゆめ…叶わず、か…。 -- 2011-02-16 18 34 49 超チートまりさが死んだのは良かった はっきり死んだとはなっていないが実は生きていたなんてくだらない展開はない事を祈る 子まりさの死に方があっさりしていてつまらん、もっと練ってほしかった 裏のゲス一家や表のみょん警察などいろんな設定の野良ゆが出てきたがなんかアホらしい これが山の群れのゆっくり達だけの世界で出てきたならおとぎ話でも読むかのように 何も違和感を感じないんだが 設定が現代で普通に人間が暮らしている町で出てくると途端にアホらしくなる -- 2011-07-15 01 11 18 挿し絵のみょんとぱちゅりーの差はなんだwww -- 2011-08-21 01 04 00 何よりも一番上と一番下の絵以外全て怖い -- 2011-09-17 15 51 25 みょんかっけー、挿し絵もかっけーと思うんだが・・・ 明日眼科行ってきますww -- 2011-10-18 22 32 40 みょん怖ぇwww -- 2011-10-19 19 59 04 みょんカッケーーーーー 設定もおもしろい -- 2011-12-22 15 59 12 みょんの中ってどうなっているんだ? 4枚目のぱちゅりーがバカっぽいwww -- 2012-03-28 22 03 29 仁義なき戦いみたいです。ゲスファミリー優秀。 -- 2012-09-09 19 03 14 なんだろう…これ虐待じゃなくて哀しいシリーズだな…… そういえば『ゴッド・お父さん』の成り上がりを他作者が書いてたな -- 2012-11-28 01 36 22 ゲスファミリーのお父さんマヌケすぎだろwwwww -- 2013-01-27 17 43 18 並みのVシネマより面白いかったwwwwwwwww -- 2013-03-26 18 08 06 バッ バカなJOJO第一部より面白い (JOJO見ながらチラッとみていたがいつの間にかSSしか見ていなかった) -- 2013-04-03 14 30 22 親まりさは個人的に生きてて欲しかったなあ…… ちょっと悲しくなったわ…… -- 2013-05-07 02 15 41 挿絵の差がw -- 2013-08-24 22 33 51 挿し絵見て思った。 にんげんさんでも勝てる気がしない -- 2013-12-11 02 33 42 だめなゆっくりが虐待されるのはいいけど、そうじゃなければ切ないよなあ。 子ゆっくりも最後の最後に気付けた分だけ救いがないし。 -- 2015-08-03 22 27 12 挿絵のクオリティがw -- 2015-11-23 01 47 40 凄く面白かったです。本作のみょんとぱちゅりーは広江礼威先生の作品、特に、「BLACK LAGOON」に出てきそうなキャラクターですね。最後に、みょんとぱちゅりー凄くかっこいいです。 -- 2016-07-19 15 09 12 本作読んでる時はまるで広江礼威作品を読んでるいる気分でした。 -- 2016-07-19 15 13 32 訂正、本作を読んでるいる時は、広江礼威作品を読んでいる気分でした。 -- 2016-07-19 18 48 44 三番目のくらっかーあきさんの挿絵を見た瞬間にMELLさんの「Red Fraction」が脳内再生された。 -- 2016-07-19 19 55 21 本作をよんでいる時は、広江礼威先生の作品を読んでいる気分でした。 -- 2016-08-12 23 02 54 素晴らしすぎます。みょんとぱちゅりーカッチェー! -- 2016-08-12 23 23 02 この作品は、まさに、ノワール。この作品はゆっくりノワールだ。 -- 2016-11-09 22 30 49
https://w.atwiki.jp/melty_cmv/pages/281.html
【MBAACC】フルムーン赤主秋葉 基本コンボムービー CC YouTube https //www.youtube.com/watch?v=lBfMrJ7NOYs nico http //www.nicovideo.jp/watch/sm16791333 フルムーン赤主秋葉 コンボムービー「Hesitation Snow」 CC YouTube http //www.youtube.com/watch?v=oT0aNzFF3OU (xW7YeVt6C6k) nico http //www.nicovideo.jp/watch/sm17499000 【MBAACC】ゲストコンボムービー CC YouTube http //www.youtube.com/watch?v=tdbPAKC-6RY nico http //www.nicovideo.jp/watch/sm18410927 ゆきちさん達の合同ムビです。 【MBAACC】赫訳・誘凪解説動画【F赤主】 CC YouTube http //www.youtube.com/watch?v=2N5RHC2Metc nico http //www.nicovideo.jp/watch/sm18737023 【MBAACC】F赤主秋葉 2ndコンボムービー「last fortune」 CC nico http //www.nicovideo.jp/watch/sm19076908 F赤主秋葉 3rdコンボムービー「sister s noise」 CC imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 YouTube https //www.youtube.com/watch?v=yTstqNKvMfA nico http //www.nicovideo.jp/watch/sm21402563
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/554.html
前 「ここまでくればもう大丈夫だよ!」 「みんなゆっくりしようね!」 「ふがっ、ふがっ!(ゆっくりお口から出てね!)」 れいむ達は森まで行き木々を障害物として利用しながらなんとかイナゴを振り切ったのだった。 「ゆー、ちぬかとおもったよ!」 「これでみんなでゆっくりできるね」 「よかったね!ゆっくりしようね!」 和気藹々とするまりさとぱちゅりーと子ども達だったがれいむだけは気が気ではなかった。 「……い、一番おっきなれいむの子どもはどこ…?」 初めて産んだれいむの子どもが見当たらなかった。 まりさとの思い出をもっともたくさん一緒にすごした子どもが居ない事実に震えが止まらない。 「あ、あれ?おねえちゃん?おねえちゃーん!?」 「お゛ね゛え゛ぢゃんがい゛な゛い゛よ゛おおおお!!!」 「ゆ゛っぐりできな゛いいいいいいいいい!!!!!!!」 「み゛ん゛な゛でゆっぐりぢだがっだああああ!!!!!」 子どもたちの和気藹々とした雰囲気が一瞬で壊れ、嘆きの叫びが辺りを支配した。 れいむは声を殺して静に子どもとまりさの三匹で過ごしていた頃の思い出を反芻して泣いた。 二人の初めての子どもだったからあの子は本当にたくさんゆっくりさせた。 あの子にたくさんご飯を食べさせるためにまりさが無理して危険な目にあう事もしばしばあった。 そういう無謀な行為に明け暮れたのもあの頃は若かったのもあるだろう。 そのおかげでとても丸々とかわいいゆっくりに育ったゆっくりだった。 れいむは心の中で一番かわいいのはあの子どもだと思っていた、口には出さないが。 あんなにまりさに愛してもらったあの子を失うなんて…! れいむは目の前が真っ暗になりそうだった。 「ま、まりさがもう一回もどって助けに行くよ!」 すぐに子れいむを助けに行きに飛び出そうとするまりさ。 「ま…」 「駄目だよ!どの道もう助からないよ!まりさもゆっくりできなくなるよ!」 ぱちゅりーが何か言おうとしたが無視してまりさを止めるためにれいむはその前に立ちふさがった。 「どおぢでぞんなごどい゛う゛のおおお!?」 「お゛があ゛ざんのばがあああああ!!!!」 「お゛ね゛えぢゃんをだずげでよお!!!!」 「れ、れいむ!まりさは強いから大丈夫だよ! 子れいむを助けてすぐに帰ってくるよ! ゆっくりどいてえええええええええ!!!」 まりさは必死にれいむを退かして進もうとするがれいむは絶対にその場から動く気はなかった。 「もうあの子は助からないの…!だから…だからせめてみんなあの子の分までゆっくりして…!」 「ゆ、ゆうう…」 れいむはまりさに涙を流して懇願した。 ここであの子のために命を失うことはあの子の命を無駄にすることなのだ。 それはあの子を守るれいむの事を命を賭けて守ったれいむのまりさの命を無駄にすることと同義だ。 それだけは許せなかった。 「まりさ、れいむが言うことが正しいよ…」 ぱちゅりーがゆっくりとまりさ達を嗜めてくれた。 れいむと同じようにぱちゅりーにももう子れいむは助からないだろうことはわかっていた。 まりさも心の底ではわかっていたのだろう。 しかし現実を見据えられない彼女の若さがどうしても認められなかったのだ。 れいむの涙を見てまりさはようやく目の前の現実を受け入れた。 「ゆぐぐぐううう…」 「お゛ねえぢゃん……」 「ごべんね…ごべんねぇ…!」 「おねえぢゃんのぶんもいっぱいいっぱいゆっくりするからね…!」 その場に居る全てのゆっくりがあの子のために涙を流した。 涙を拭って、ゆっくり達は再びこの地獄、永夜緩居から脱出するために進み続けた。 ガサガサと枯葉の地面を踏み歩きながら森を抜ける道を探す。 れいむはこのままでは済まないだろうという予感がした。 そしてその予感は的中した。 「ゆぅ~~!?」 段差に気付かずに子どもが一人が足を踏み外して転げ落ちたのだ。 「れ、れいむの赤ちゃんが!?」 慌てて下を覗き込むれいむと子ども達。 「ゆゆ?おそらをとんでるみたい~~~!」 しかしその子は不思議なことに下まで落ちずにまるで中に浮いているかのように 段差からの途中辺りから伸びていた4、50センチほどの枝と枝の間の空間で止まっている。 その子はそこで楽しそうにぽよんぽよんと跳ねていた。 「ゆ、おねえちゃんいいな、ずるいずるい!」 「れいむもやるー!」 ぴょんぴょんとそこに飛び込んでいく子れいむ達。 「ゆ、ゆー?」 一体どうなっているのか、れいむはわけもわからず首を傾げる。 子どもは楽しんでいるようだが、れいむは何か釈然としない。 「ごほっ、むぎゅうううん!だめええええ!ゆっぐぉほっ、ゆっぐりでぎなぐなっぢゃううう!!!」 その時、後ろからぱちゅりーが子ども達を制止した。 「ぱ、ぱちゅりー?どうしたの?おなかいたいの!?」 まりさは突然餡子を吐いて叫ぶぱちゅりーを心配して傍によって背中をさすっている。 「うああああああ!だずげでおがあざあああああああん!!!」 「いやあああああああ!!こないでえええええええええええ!!!」 人間の拳二つ分ほどもある巨大な蜘蛛が二匹、枝の影から現れた。 その時やっとれいむはぱちゅりーの叫びの意味を理解した。 あそこは蜘蛛の巣、子ども達は巣に掛かった餌なのだと。 「い゛や゛ああああああ!れ゛い゛む゛のあがぢゃんがああああああ!!!」 少なくとも最初の子より先に飛び込んだ子以外はれいむが止めれば助けられたはずなのになんてことをしてしまったのか。 取り返しのつかない絶望感にれいむは叫んだが空しく森に木霊すると大蜘蛛が身動きの出来ない子ども達に齧りついた。 「あがっがっがっがっが…」 「ゆっ…ゆぐっ…ゆ゛…」 皮を突き破った牙から餡子に毒を混ぜられて子ども達はもはや喋ることもままならなくなった。 「おねえぢゃああああああああああん!!!」 「れいむの…れいむのい゛も゛う゛どがあああああああ!!!」 獲物が動けなくなったのを確認すると大蜘蛛達はれいむの子どもを咀嚼し始めた。 子どもの皮をが剥かれて蜘蛛の頭が餡子の中に埋まる。 凄惨な咀嚼音と光景に耳と目を背けて涙を流した。 「うっ、ゆうう…ごめんね…ごめんね…」 嘔吐感を堪えながらただひたすら自分の過失で失った命に謝るしかなかった。 「おねえぢゃん!おねえぢゃん!」 生き延びた子どもの一人が身を乗り出して家族の名前を呼んだにも関わらず、自分は目を背けていたために気付かずなかった。 このことがどれほど愚かな行為だったがを数瞬後れいむはいやと言うほど知らされることになる。 「ゆぎゃあああああああああ!?」 悲鳴に気付いてはっと振り向くと、その子は茶色い蟷螂に連れられて段差の下へと落ちていっていた。 「いやあああああああああ!!?」 「あ、あああああああああああ!?」 何故傍にいながら子どもを守ることが出来なかったのか。 どこまで愚かだと言うのだ自分は…! れいむはそう心の中で何度も自分を責めた。 「だずげでよおがあざん!れいむおねえぢゃんだぢみだぐにたべられだぐ…! ああああ!いだいいいいいいいい!おがあざん!おがあざん!みでないでだずげぎぃ!」 枝蟷螂は鎌で器用に可哀想なその子のリボンを切り裂いた。 あのリボンはまりさがこの子のは特に出来がいいからとよく手入れしてあげていたリボンだ。 「あ゛!やべでええ!れ゛い゛む゛の゛!れ゛い゛む゛の゛リ゛ボン!れ゛い゛む゛のだいじなりぼんな゛のお゛!!!」 なんてことだ、まりさがあんなに大事にしていたリボンがあんな薄汚い蟷螂の手で切り裂かれるなんて。 それもこれも全て自分の油断が招いたミスなのだ。 れいむは目の前がグルグルと廻るのを感じた。 「ごめん…こんなお母さんでごめんね…もっとゆっくりさせてあげたかったよ…」 一滴、ポタリと涙がこぼれた。 その行く末を見届けてれいむは再び背を背けた。 「おがあざん!?どうじでぞっぢむいぢゃうの!?れ゛い゛む゛はごっぢ!ごっぢだよ゛!」 「早く行くよ、急いでここから出ないとゆっくりできなくなっちゃうから」 非常な決断だが自分の判断は間違っては居ない。 「ゆ!?ま、まってよおかあさん!」 「で、でもおねえちゃんが…」 「……」 生き残りを連れて出口を目指してれいむは進んでいった。 「お゛があざんお゛いでがないでだずげで!だずげでよ゛おお゛お゛!!! れ゛い゛む゛ゆっぐりでぎでだいどおおお!おいでがないで!おいでがないで! れ゛い゛む゛をだずげでごのま゛まぢゃれ゛い゛む゛ゆっぐりでぎないよ!! お゛があざん!お゛があざん゛ん゛んん゛ん゛ん゛ん゛んん゛ん゛ん゛!!!」 振り向くものか、絶対に。 啜り泣きながられいむについてくる子ども達を尻目にれいむはただひたすらに出口を目指して歩いた。 「ゆ!森を抜けるよ! もうすぐゆっくり出来るよ!」 木々の間から光が挿している。 ここを抜ければあとはあの丘を越えるだけだ。 その時、絶望の羽音がゆっくり達の耳に届けられた。 いいや、たとえ絶望だとしても負けるものか。 自分達はまりさのために絶対に生き残らなくてはならないのだから。 「急いで!もう丘は目の前だよ!」 さっきのように口の中に子ども達を非難させる。 今度は全ての子れいむ達が入ることが出来たし喋ることも出来た。 無論、子どもの数が減ったからだ。 とにかく今度はさっきのようなロスは無い ただ必死にあの丘を越えればいいだけだ。 「むぎゅ…うげぇ!エロエロエロ…!」 「ぱ、ぱちゅりー!?どうしたのぱちゅりー!ぱちゅりー!」 丘を登る最中に突如、ぱちゅりーが激しく嘔吐し辺りにどろどろの餡子が飛び散った。 「む、むぎゅぅ゛…」 「ふが…ま、まさか…!」 れいむはぱちゅりーに何が起きたのかはっと思い当たった。 すぐにぱちゅりーの顔から葉っぱを取り去る。 「ど、どうじでぱちゅりーのお顔が紫色なのおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 ぱちゅりーは顔中に紫色の斑点が浮き出ており、その表情は死相としか言いようが無い痛々しく生気の無いものだった。 恐らくちょうちょを食べた子どものように毒に当たってそのままにしてしまったのだろう。 もはや手遅れなことは素人目に見ても明らかであった。 「これは…もう…助からないよ…」 「うん…ぱちゅりーが…一番わかってるよ…むぎゅぇっ!ごばぁっ!」 「二人とも何をいっでいる゛の゛おおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?!?!?」 れいむとぱちゅりーの二匹がぱちゅりーの死を受け入れる中でまりさだけが現実を受け入れようとしなかった 「むきゅ…ありがとうねまりさ、でもぱちゅりーは、もう駄目だからまりさには生き延びてゆっくりして欲しいの…」 その言葉の意味がれいむにはすぐにわかった。 この子はれいむのまりさと同じように、まりさのために犠牲になろうというのだ。 「馬鹿なこといってないで早く行こうね!もうすぐイナゴさんが来るよ!!」 しかしその意味をこのまりさは理解しようとしない。 頭で理解しても心が拒んでいるのだろう。 そう言ってまりさはぱちゅりーの帽子を引っ張って無理やり連れて行こうとする。 ぱちゅりーは力無い瞳でれいむの方を見つめた。 「れい…む…このままじゃみんな死…んじゃう…から…おね…がい…わか、るよね まりさ達が…ゆっくりする方法…」 わかってる、そう伝えるために力強くれいむはうなづいた。 「そんなの簡単だよ!まりさとぱちゅりーがあの丘を越えればいいだけだよ!」 どこまでこのまりさは愚かなのか。 ここまで来てもそれを理解しようとしない。 ぱちゅりーが行う命を繋ぐという行為の意味を。 「さよなら、まりさ」 れいむはぱちゅりーに体当たりをして丘の下に叩き落した。 「ぱちゅりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!! な゛に゛を゛ずるどれ゛い゛む゛うううううううううううううううううう!!!!」 まりさがれいむに向かって掴みかかりれいむをにらみつけた。 れいむはまるで化け物のように恐ろしい形相だと思った 「ぱちゅりーはもう駄目なんだよ!だからぱちゅりーはみんなを助けるためにああやって犠牲になったの!ああやって…!」 「今助けに行くからねぱちゅりー!!!」 「駄目ぇ!!どうしてぱちゅりーがああまでして犠牲になったのかわからないの?ばかなの? まりさに助かって欲しいからだよ!お願いだからぱちゅりーの命を無駄にしないで!!」 れいむはこの愚かな化け物に少しでもぱちゅりーの気持ちを伝えようと言葉を尽くした。 「黙れこの豚れいむがああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」 ああ、まりさはまりさをやめてゆっくりできない本当の化け物になってしまったんだとれいむは思った。 まりさはれいむを突き飛ばすとイナゴの群れの中心へと ぱちゅりーの所へと転がっていった。 その姿を見てれいむの心に湧き出たのは怒りだった。 一時はれいむのまりさのように素敵なまりさだと思っていたまりさが命を無為にするような行為をするのをれいむは許せなかった。 まりさは、れいむのまりさはれいむの命を守るために命を投げ打ったのに! 「どうして…どうしてぱちゅりーが命を捨てる気持ちがわからないの…! 何でまりさはぱちゅりーの気持ちを無駄にするの…! みんな命を繋ぐために生きてるのに!れいむだってぱちゅりーだって虫さんだってみんな命を繋ぐために生きてるのに! まりさああああああ!まりさは最低だよ!最低のゴミクズだよ! 死ね!まりさはそこでゴミクズらしくゆっくり死ね!!!」 あんなゴミクズをれいむのまりさに似ていると思った自分が許せなかった。 れいむは丘の上からまりさに唾を吐き掛けた。 そして丘の上を目指し振り向かずに子ども達を連れて登っていった。 永夜緩居を脱出し、れいむ達は森の中を歩いていた。 「ゅ…」 「ゅぅ…」 「どうしたの?これからはゆっくりできるんだよ!もっと元気にゆっくりしていってね!」 「……」 れいむのかけた声とは裏腹に子ども達の表情はどこまでも暗かった。 当分は子ども達のショックが取れないだろう。 しかし冬越しのためには数も減ったしちょうどいいくらいだ。 今からでも頑張って餌を集めてゆっくり冬を越そうとれいむは思った。 とにかく今日は早く子ども達を休ませてゆっくりしようと決めるとれいむはすぐに寝床を探し始めた。 急いでしたくして、一刻早く眠らなくてはならない。 ゆっくり眠れば子ども達の気分も切り替わる。 夜が来て、次の朝を迎えれば永夜緩居での悪夢は終わりを迎えるのだ。 やわらかい木漏れ日を感じながられいむは目を覚ました。 「ゆー、みんな!今日もゆっくりしようね!」 「ゅー?ゆっくりしようね!」 「まだちょっとねむちゃいけどゆっくりちようね!」 「ゆっくりー!」 れいむの朝の挨拶で子ども達も次々と目を覚ました。 昨日までの悪夢から覚めたように子ども達は元気を取り戻しつつあるのがれいむにはわかった。 「ゆー、すぐにしゅっぱつするよ!みんなあつまれー!」 「ゆー!」 洞から出てれいむの周りに子ども達が集まった。 「ひーふーみーゆー…あれ、真ん中の子どもがいないよ?」 「ゆ?おねえちゃーん!」 「どこにいったのー!?」 「ゆー、おきないとおいてっちゃうよー!」 何か、胸騒ぎがした。 何事もなく家へ帰るだけだった時に起きたその事件と異様な雰囲気は まるで永夜緩居での悪夢がまだ続いているんだと 全てが終わったと思ったれいむ達を嘲笑うようだった。 れいむ達はすぐに居なくなった子をみんなで探し始めた。 1時間ほど辺りを探し続けただろうか。 これ以上の捜索はこれからの進行に差し支える。 そうなれば冬越えの準備も厳しいことになるだろう。 れいむがこのまま先に進むべきか、苦渋の決断を下そうとしたその時、下から二番目のれいむの悲鳴が響き渡った。 「おねえちゃーん!でてきてよー! おねえ…おねえちゃあああああああああああああああああん!?」 「どうしたの!?れいむのあかちゃんどこ?!」 突然泣き出した子どもの傍にれいむは寄り添って何があったのかを聞き出そうとしたが泣き喚いて話にならなかった。 ただただその子は上を向いて泣いてばかりである。 一体上に何があるのか、最悪の事態を覚悟をしてれいむは上を見上げた。 「あ…あ…」 最悪の事態を覚悟していたにも関わらずれいむの覚悟は粉々に砕かれた。 木の枝の上に、植物の蔓で縛られた子れいむが吊るされていた。 その姿はまるでれいむのまりさのように苦痛に満ちた凄惨なものだった。 永夜緩居からどころではない、れいむの悪夢はれいむのまりさが死んだ時からずっと、あの光景のまままだ続くというのだろうか。 れいむの視界がぐらりと歪んだ。 「うわああああああああああ!ま゛り゛ざあああああああ!!!うわああああああああああ!」 「ゆ!?おかあさんどうしたの?あれはまりさじゃないよ!まりさはしんだんだよ!おかあさん!おかあゆっげぇ!?」 トラウマが蘇りれいむは半狂乱になり、暴れる母を止めようとする子れいむを吹き飛ばした。 「おかあさんどうしちゃったの!?やべでえええええええ!!!」 「ごんな゛おがあざんじゃゆ゛っぐりでぎな゛いよ゛おおおお!!!」 「う゛あ゛あ゛あ゛!ぐざい!ま゛り゛ざのだいじなぼうしがぐざい゛の゛お゛お゛お゛!!!」 子ども達が怯えて辺りの木の陰に隠れると、今度は子れいむが吊るされている木に体当たりを始めた。 ただ木を揺らそうというのではない、まるで自分の体まで叩き潰すのではないかというくらい何度も 何度も何度も何度も、辺りに餡子が飛び散るほど体当たりをしたころ、枝に結んであった蔓が切れて子れいむの体が落下しても体当たりは続いた。 それから当たり所が悪くて気絶しそうになってから、やっとれいむは正気に戻った。 「はぁ…はぁ…はぁ…」 落ち着いて正気に戻ると同時に辺りを見回し愕然とする。 子ども達は怯えて木の影に隠れてガタガタと震えている。 れいむを見つめる子ども達の目はとても母親を見る子どもの目ではなかった。 「び、びっくりさせてごめんね お母さんもうだいじょーぶだからね れいむの子どもが死んじゃったのはかなしいけど、これをのりこえておうちでみんなでゆっくり…」 「こな゛い゛でねええええええええええ!」 狼狽した顔つきで一番小さな子れいむに近づくと、子れいむは恐怖に囚われた表情で絶叫した。 「ゆ!?お母さんはもうだいじょう」 「こな゛い゛でよおおおおおおおおお!!!」 健在をアピールしようと笑顔で飛び跳ねたれいむに対して子ども達はさらにあとずさった。 「れ゛い゛むのい゛も゛うと゛をづぶずようなゆっぐり゛おがあざんじゃな゛いいいい!!!」 れいむは耳を疑った。 れいむが子どもを潰すだと?こいつらは何を言っているんだ。 怪訝顔をしたれいむが後ろに居る他の子れいむに助け舟を求めようと振り向くと、さっきまで自分が居た場所に潰れた餡饅があった。 さっきまで潰れた餡饅なんてどこにもなかったはずだ。 いつの間にとれいむはいぶかしみ、そしてはっとした。 れいむは慌てて子どもが木の上に吊るされていた場所を見上げる。 そこにはもう蔓は無くいつの間にか蔓が切れてしまっていったようだ。 ならばれいむの子どもはどこかに落ちているはずである。 しかし辺りをぐるりと見回しても居るのは潰れた餡饅と生き残ったれいむの子どもが四匹居るだけだった。 興奮冷めやらぬれいむにも何が起こったのかがようやく理解できた。 「ち、違うの…れいむはそんなつもりじゃないの…」 必死に弁解を始めるれいむに対して子ども達の目が言っていた。 『この同族殺しが』 『さっきもぱちゅりーを殺してたし、きっとれいむ達も殺す気なんだよ』 『おおこわいこわい』 『れいむの妹達を見殺しにした屑が』 その冷めた視線は何よりも雄弁で、鋭利にれいむの心を抉った。 「ぢがう゛のお゛お゛おお゛おおおお゛お゛お゛お゛お゛おおおおおお!!!!」 れいむの必死の叫びも空しく子れいむ達は木の後ろに隠れた。 れいむががっくりと項垂れ全てを諦めようとしたその時 お姉さんれいむがれいむをかばうかのように前に出て言った。 「おかあさんはあかちゃんがしんじゃってかなしくってどうしていいかわからなくなっちゃっただけだよ! おかあさんがわざとれいむたちをころすはずなんてないよ! なのになんでみんなひどいごどいうの゛おおおおおおお!?」 「ゆ……!?」 「ゆー…」 「ゆ…おかあさん…」 子れいむ達もはっとしたようにれいむとお姉ちゃんれいむを交互に見つめた。 木の後ろに隠れていた子ども達が一匹ずつすまなそうにれいむに歩み寄ってきた。 「ごめんね、おかあさんにひどいこといってごめんね」 「ゆっくりゆるしてね!」 「やっぱりおかあさんといっしょじゃないとゆっくりできないよ」 子れいむ達はれいむに謝りながらぺろぺろとれいむの頬を舐めたりこすり付けたりした。 「ゆ゛、ゆっぐりじでいっでねええええええええ…!!!」 れいむは感動で咽び泣いた。 そして必ずこの子ども達をお家に連れて帰ってゆっくりさせてあげようと誓った。 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/369.html
前 「ここまでくればもう大丈夫だよ!」 「みんなゆっくりしようね!」 「ふがっ、ふがっ!(ゆっくりお口から出てね!)」 れいむ達は森まで行き木々を障害物として利用しながらなんとかイナゴを振り切ったのだった。 「ゆー、ちぬかとおもったよ!」 「これでみんなでゆっくりできるね」 「よかったね!ゆっくりしようね!」 和気藹々とするまりさとぱちゅりーと子ども達だったがれいむだけは気が気ではなかった。 「……い、一番おっきなれいむの子どもはどこ…?」 初めて産んだれいむの子どもが見当たらなかった。 まりさとの思い出をもっともたくさん一緒にすごした子どもが居ない事実に震えが止まらない。 「あ、あれ?おねえちゃん?おねえちゃーん!?」 「お゛ね゛え゛ぢゃんがい゛な゛い゛よ゛おおおお!!!」 「ゆ゛っぐりできな゛いいいいいいいいい!!!!!!!」 「み゛ん゛な゛でゆっぐりぢだがっだああああ!!!!!」 子どもたちの和気藹々とした雰囲気が一瞬で壊れ、嘆きの叫びが辺りを支配した。 れいむは声を殺して静に子どもとまりさの三匹で過ごしていた頃の思い出を反芻して泣いた。 二人の初めての子どもだったからあの子は本当にたくさんゆっくりさせた。 あの子にたくさんご飯を食べさせるためにまりさが無理して危険な目にあう事もしばしばあった。 そういう無謀な行為に明け暮れたのもあの頃は若かったのもあるだろう。 そのおかげでとても丸々とかわいいゆっくりに育ったゆっくりだった。 れいむは心の中で一番かわいいのはあの子どもだと思っていた、口には出さないが。 あんなにまりさに愛してもらったあの子を失うなんて…! れいむは目の前が真っ暗になりそうだった。 「ま、まりさがもう一回もどって助けに行くよ!」 すぐに子れいむを助けに行きに飛び出そうとするまりさ。 「ま…」 「駄目だよ!どの道もう助からないよ!まりさもゆっくりできなくなるよ!」 ぱちゅりーが何か言おうとしたが無視してまりさを止めるためにれいむはその前に立ちふさがった。 「どおぢでぞんなごどい゛う゛のおおお!?」 「お゛があ゛ざんのばがあああああ!!!!」 「お゛ね゛えぢゃんをだずげでよお!!!!」 「れ、れいむ!まりさは強いから大丈夫だよ! 子れいむを助けてすぐに帰ってくるよ! ゆっくりどいてえええええええええ!!!」 まりさは必死にれいむを退かして進もうとするがれいむは絶対にその場から動く気はなかった。 「もうあの子は助からないの…!だから…だからせめてみんなあの子の分までゆっくりして…!」 「ゆ、ゆうう…」 れいむはまりさに涙を流して懇願した。 ここであの子のために命を失うことはあの子の命を無駄にすることなのだ。 それはあの子を守るれいむの事を命を賭けて守ったれいむのまりさの命を無駄にすることと同義だ。 それだけは許せなかった。 「まりさ、れいむが言うことが正しいよ…」 ぱちゅりーがゆっくりとまりさ達を嗜めてくれた。 れいむと同じようにぱちゅりーにももう子れいむは助からないだろうことはわかっていた。 まりさも心の底ではわかっていたのだろう。 しかし現実を見据えられない彼女の若さがどうしても認められなかったのだ。 れいむの涙を見てまりさはようやく目の前の現実を受け入れた。 「ゆぐぐぐううう…」 「お゛ねえぢゃん……」 「ごべんね…ごべんねぇ…!」 「おねえぢゃんのぶんもいっぱいいっぱいゆっくりするからね…!」 その場に居る全てのゆっくりがあの子のために涙を流した。 涙を拭って、ゆっくり達は再びこの地獄、永夜緩居から脱出するために進み続けた。 ガサガサと枯葉の地面を踏み歩きながら森を抜ける道を探す。 れいむはこのままでは済まないだろうという予感がした。 そしてその予感は的中した。 「ゆぅ~~!?」 段差に気付かずに子どもが一人が足を踏み外して転げ落ちたのだ。 「れ、れいむの赤ちゃんが!?」 慌てて下を覗き込むれいむと子ども達。 「ゆゆ?おそらをとんでるみたい~~~!」 しかしその子は不思議なことに下まで落ちずにまるで中に浮いているかのように 段差からの途中辺りから伸びていた4、50センチほどの枝と枝の間の空間で止まっている。 その子はそこで楽しそうにぽよんぽよんと跳ねていた。 「ゆ、おねえちゃんいいな、ずるいずるい!」 「れいむもやるー!」 ぴょんぴょんとそこに飛び込んでいく子れいむ達。 「ゆ、ゆー?」 一体どうなっているのか、れいむはわけもわからず首を傾げる。 子どもは楽しんでいるようだが、れいむは何か釈然としない。 「ごほっ、むぎゅうううん!だめええええ!ゆっぐぉほっ、ゆっぐりでぎなぐなっぢゃううう!!!」 その時、後ろからぱちゅりーが子ども達を制止した。 「ぱ、ぱちゅりー?どうしたの?おなかいたいの!?」 まりさは突然餡子を吐いて叫ぶぱちゅりーを心配して傍によって背中をさすっている。 「うああああああ!だずげでおがあざあああああああん!!!」 「いやあああああああ!!こないでえええええええええええ!!!」 人間の拳二つ分ほどもある巨大な蜘蛛が二匹、枝の影から現れた。 その時やっとれいむはぱちゅりーの叫びの意味を理解した。 あそこは蜘蛛の巣、子ども達は巣に掛かった餌なのだと。 「い゛や゛ああああああ!れ゛い゛む゛のあがぢゃんがああああああ!!!」 少なくとも最初の子より先に飛び込んだ子以外はれいむが止めれば助けられたはずなのになんてことをしてしまったのか。 取り返しのつかない絶望感にれいむは叫んだが空しく森に木霊すると大蜘蛛が身動きの出来ない子ども達に齧りついた。 「あがっがっがっがっが…」 「ゆっ…ゆぐっ…ゆ゛…」 皮を突き破った牙から餡子に毒を混ぜられて子ども達はもはや喋ることもままならなくなった。 「おねえぢゃああああああああああん!!!」 「れいむの…れいむのい゛も゛う゛どがあああああああ!!!」 獲物が動けなくなったのを確認すると大蜘蛛達はれいむの子どもを咀嚼し始めた。 子どもの皮をが剥かれて蜘蛛の頭が餡子の中に埋まる。 凄惨な咀嚼音と光景に耳と目を背けて涙を流した。 「うっ、ゆうう…ごめんね…ごめんね…」 嘔吐感を堪えながらただひたすら自分の過失で失った命に謝るしかなかった。 「おねえぢゃん!おねえぢゃん!」 生き延びた子どもの一人が身を乗り出して家族の名前を呼んだにも関わらず、自分は目を背けていたために気付かずなかった。 このことがどれほど愚かな行為だったがを数瞬後れいむはいやと言うほど知らされることになる。 「ゆぎゃあああああああああ!?」 悲鳴に気付いてはっと振り向くと、その子は茶色い蟷螂に連れられて段差の下へと落ちていっていた。 「いやあああああああああ!!?」 「あ、あああああああああああ!?」 何故傍にいながら子どもを守ることが出来なかったのか。 どこまで愚かだと言うのだ自分は…! れいむはそう心の中で何度も自分を責めた。 「だずげでよおがあざん!れいむおねえぢゃんだぢみだぐにたべられだぐ…! ああああ!いだいいいいいいいい!おがあざん!おがあざん!みでないでだずげぎぃ!」 枝蟷螂は鎌で器用に可哀想なその子のリボンを切り裂いた。 あのリボンはまりさがこの子のは特に出来がいいからとよく手入れしてあげていたリボンだ。 「あ゛!やべでええ!れ゛い゛む゛の゛!れ゛い゛む゛の゛リ゛ボン!れ゛い゛む゛のだいじなりぼんな゛のお゛!!!」 なんてことだ、まりさがあんなに大事にしていたリボンがあんな薄汚い蟷螂の手で切り裂かれるなんて。 それもこれも全て自分の油断が招いたミスなのだ。 れいむは目の前がグルグルと廻るのを感じた。 「ごめん…こんなお母さんでごめんね…もっとゆっくりさせてあげたかったよ…」 一滴、ポタリと涙がこぼれた。 その行く末を見届けてれいむは再び背を背けた。 「おがあざん!?どうじでぞっぢむいぢゃうの!?れ゛い゛む゛はごっぢ!ごっぢだよ゛!」 「早く行くよ、急いでここから出ないとゆっくりできなくなっちゃうから」 非常な決断だが自分の判断は間違っては居ない。 「ゆ!?ま、まってよおかあさん!」 「で、でもおねえちゃんが…」 「……」 生き残りを連れて出口を目指してれいむは進んでいった。 「お゛があざんお゛いでがないでだずげで!だずげでよ゛おお゛お゛!!! れ゛い゛む゛ゆっぐりでぎでだいどおおお!おいでがないで!おいでがないで! れ゛い゛む゛をだずげでごのま゛まぢゃれ゛い゛む゛ゆっぐりでぎないよ!! お゛があざん!お゛があざん゛ん゛んん゛ん゛ん゛ん゛んん゛ん゛ん゛!!!」 振り向くものか、絶対に。 啜り泣きながられいむについてくる子ども達を尻目にれいむはただひたすらに出口を目指して歩いた。 「ゆ!森を抜けるよ! もうすぐゆっくり出来るよ!」 木々の間から光が挿している。 ここを抜ければあとはあの丘を越えるだけだ。 その時、絶望の羽音がゆっくり達の耳に届けられた。 いいや、たとえ絶望だとしても負けるものか。 自分達はまりさのために絶対に生き残らなくてはならないのだから。 「急いで!もう丘は目の前だよ!」 さっきのように口の中に子ども達を非難させる。 今度は全ての子れいむ達が入ることが出来たし喋ることも出来た。 無論、子どもの数が減ったからだ。 とにかく今度はさっきのようなロスは無い ただ必死にあの丘を越えればいいだけだ。 「むぎゅ…うげぇ!エロエロエロ…!」 「ぱ、ぱちゅりー!?どうしたのぱちゅりー!ぱちゅりー!」 丘を登る最中に突如、ぱちゅりーが激しく嘔吐し辺りにどろどろの餡子が飛び散った。 「む、むぎゅぅ゛…」 「ふが…ま、まさか…!」 れいむはぱちゅりーに何が起きたのかはっと思い当たった。 すぐにぱちゅりーの顔から葉っぱを取り去る。 「ど、どうじでぱちゅりーのお顔が紫色なのおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 ぱちゅりーは顔中に紫色の斑点が浮き出ており、その表情は死相としか言いようが無い痛々しく生気の無いものだった。 恐らくちょうちょを食べた子どものように毒に当たってそのままにしてしまったのだろう。 もはや手遅れなことは素人目に見ても明らかであった。 「これは…もう…助からないよ…」 「うん…ぱちゅりーが…一番わかってるよ…むぎゅぇっ!ごばぁっ!」 「二人とも何をいっでいる゛の゛おおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?!?!?」 れいむとぱちゅりーの二匹がぱちゅりーの死を受け入れる中でまりさだけが現実を受け入れようとしなかった 「むきゅ…ありがとうねまりさ、でもぱちゅりーは、もう駄目だからまりさには生き延びてゆっくりして欲しいの…」 その言葉の意味がれいむにはすぐにわかった。 この子はれいむのまりさと同じように、まりさのために犠牲になろうというのだ。 「馬鹿なこといってないで早く行こうね!もうすぐイナゴさんが来るよ!!」 しかしその意味をこのまりさは理解しようとしない。 頭で理解しても心が拒んでいるのだろう。 そう言ってまりさはぱちゅりーの帽子を引っ張って無理やり連れて行こうとする。 ぱちゅりーは力無い瞳でれいむの方を見つめた。 「れい…む…このままじゃみんな死…んじゃう…から…おね…がい…わか、るよね まりさ達が…ゆっくりする方法…」 わかってる、そう伝えるために力強くれいむはうなづいた。 「そんなの簡単だよ!まりさとぱちゅりーがあの丘を越えればいいだけだよ!」 どこまでこのまりさは愚かなのか。 ここまで来てもそれを理解しようとしない。 ぱちゅりーが行う命を繋ぐという行為の意味を。 「さよなら、まりさ」 れいむはぱちゅりーに体当たりをして丘の下に叩き落した。 「ぱちゅりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!! な゛に゛を゛ずるどれ゛い゛む゛うううううううううううううううううう!!!!」 まりさがれいむに向かって掴みかかりれいむをにらみつけた。 れいむはまるで化け物のように恐ろしい形相だと思った 「ぱちゅりーはもう駄目なんだよ!だからぱちゅりーはみんなを助けるためにああやって犠牲になったの!ああやって…!」 「今助けに行くからねぱちゅりー!!!」 「駄目ぇ!!どうしてぱちゅりーがああまでして犠牲になったのかわからないの?ばかなの? まりさに助かって欲しいからだよ!お願いだからぱちゅりーの命を無駄にしないで!!」 れいむはこの愚かな化け物に少しでもぱちゅりーの気持ちを伝えようと言葉を尽くした。 「黙れこの豚れいむがああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」 ああ、まりさはまりさをやめてゆっくりできない本当の化け物になってしまったんだとれいむは思った。 まりさはれいむを突き飛ばすとイナゴの群れの中心へと ぱちゅりーの所へと転がっていった。 その姿を見てれいむの心に湧き出たのは怒りだった。 一時はれいむのまりさのように素敵なまりさだと思っていたまりさが命を無為にするような行為をするのをれいむは許せなかった。 まりさは、れいむのまりさはれいむの命を守るために命を投げ打ったのに! 「どうして…どうしてぱちゅりーが命を捨てる気持ちがわからないの…! 何でまりさはぱちゅりーの気持ちを無駄にするの…! みんな命を繋ぐために生きてるのに!れいむだってぱちゅりーだって虫さんだってみんな命を繋ぐために生きてるのに! まりさああああああ!まりさは最低だよ!最低のゴミクズだよ! 死ね!まりさはそこでゴミクズらしくゆっくり死ね!!!」 あんなゴミクズをれいむのまりさに似ていると思った自分が許せなかった。 れいむは丘の上からまりさに唾を吐き掛けた。 そして丘の上を目指し振り向かずに子ども達を連れて登っていった。 永夜緩居を脱出し、れいむ達は森の中を歩いていた。 「ゅ…」 「ゅぅ…」 「どうしたの?これからはゆっくりできるんだよ!もっと元気にゆっくりしていってね!」 「……」 れいむのかけた声とは裏腹に子ども達の表情はどこまでも暗かった。 当分は子ども達のショックが取れないだろう。 しかし冬越しのためには数も減ったしちょうどいいくらいだ。 今からでも頑張って餌を集めてゆっくり冬を越そうとれいむは思った。 とにかく今日は早く子ども達を休ませてゆっくりしようと決めるとれいむはすぐに寝床を探し始めた。 急いでしたくして、一刻早く眠らなくてはならない。 ゆっくり眠れば子ども達の気分も切り替わる。 夜が来て、次の朝を迎えれば永夜緩居での悪夢は終わりを迎えるのだ。 やわらかい木漏れ日を感じながられいむは目を覚ました。 「ゆー、みんな!今日もゆっくりしようね!」 「ゅー?ゆっくりしようね!」 「まだちょっとねむちゃいけどゆっくりちようね!」 「ゆっくりー!」 れいむの朝の挨拶で子ども達も次々と目を覚ました。 昨日までの悪夢から覚めたように子ども達は元気を取り戻しつつあるのがれいむにはわかった。 「ゆー、すぐにしゅっぱつするよ!みんなあつまれー!」 「ゆー!」 洞から出てれいむの周りに子ども達が集まった。 「ひーふーみーゆー…あれ、真ん中の子どもがいないよ?」 「ゆ?おねえちゃーん!」 「どこにいったのー!?」 「ゆー、おきないとおいてっちゃうよー!」 何か、胸騒ぎがした。 何事もなく家へ帰るだけだった時に起きたその事件と異様な雰囲気は まるで永夜緩居での悪夢がまだ続いているんだと 全てが終わったと思ったれいむ達を嘲笑うようだった。 れいむ達はすぐに居なくなった子をみんなで探し始めた。 1時間ほど辺りを探し続けただろうか。 これ以上の捜索はこれからの進行に差し支える。 そうなれば冬越えの準備も厳しいことになるだろう。 れいむがこのまま先に進むべきか、苦渋の決断を下そうとしたその時、下から二番目のれいむの悲鳴が響き渡った。 「おねえちゃーん!でてきてよー! おねえ…おねえちゃあああああああああああああああああん!?」 「どうしたの!?れいむのあかちゃんどこ?!」 突然泣き出した子どもの傍にれいむは寄り添って何があったのかを聞き出そうとしたが泣き喚いて話にならなかった。 ただただその子は上を向いて泣いてばかりである。 一体上に何があるのか、最悪の事態を覚悟をしてれいむは上を見上げた。 「あ…あ…」 最悪の事態を覚悟していたにも関わらずれいむの覚悟は粉々に砕かれた。 木の枝の上に、植物の蔓で縛られた子れいむが吊るされていた。 その姿はまるでれいむのまりさのように苦痛に満ちた凄惨なものだった。 永夜緩居からどころではない、れいむの悪夢はれいむのまりさが死んだ時からずっと、あの光景のまままだ続くというのだろうか。 れいむの視界がぐらりと歪んだ。 「うわああああああああああ!ま゛り゛ざあああああああ!!!うわああああああああああ!」 「ゆ!?おかあさんどうしたの?あれはまりさじゃないよ!まりさはしんだんだよ!おかあさん!おかあゆっげぇ!?」 トラウマが蘇りれいむは半狂乱になり、暴れる母を止めようとする子れいむを吹き飛ばした。 「おかあさんどうしちゃったの!?やべでえええええええ!!!」 「ごんな゛おがあざんじゃゆ゛っぐりでぎな゛いよ゛おおおお!!!」 「う゛あ゛あ゛あ゛!ぐざい!ま゛り゛ざのだいじなぼうしがぐざい゛の゛お゛お゛お゛!!!」 子ども達が怯えて辺りの木の陰に隠れると、今度は子れいむが吊るされている木に体当たりを始めた。 ただ木を揺らそうというのではない、まるで自分の体まで叩き潰すのではないかというくらい何度も 何度も何度も何度も、辺りに餡子が飛び散るほど体当たりをしたころ、枝に結んであった蔓が切れて子れいむの体が落下しても体当たりは続いた。 それから当たり所が悪くて気絶しそうになってから、やっとれいむは正気に戻った。 「はぁ…はぁ…はぁ…」 落ち着いて正気に戻ると同時に辺りを見回し愕然とする。 子ども達は怯えて木の影に隠れてガタガタと震えている。 れいむを見つめる子ども達の目はとても母親を見る子どもの目ではなかった。 「び、びっくりさせてごめんね お母さんもうだいじょーぶだからね れいむの子どもが死んじゃったのはかなしいけど、これをのりこえておうちでみんなでゆっくり…」 「こな゛い゛でねええええええええええ!」 狼狽した顔つきで一番小さな子れいむに近づくと、子れいむは恐怖に囚われた表情で絶叫した。 「ゆ!?お母さんはもうだいじょう」 「こな゛い゛でよおおおおおおおおお!!!」 健在をアピールしようと笑顔で飛び跳ねたれいむに対して子ども達はさらにあとずさった。 「れ゛い゛むのい゛も゛うと゛をづぶずようなゆっぐり゛おがあざんじゃな゛いいいい!!!」 れいむは耳を疑った。 れいむが子どもを潰すだと?こいつらは何を言っているんだ。 怪訝顔をしたれいむが後ろに居る他の子れいむに助け舟を求めようと振り向くと、さっきまで自分が居た場所に潰れた餡饅があった。 さっきまで潰れた餡饅なんてどこにもなかったはずだ。 いつの間にとれいむはいぶかしみ、そしてはっとした。 れいむは慌てて子どもが木の上に吊るされていた場所を見上げる。 そこにはもう蔓は無くいつの間にか蔓が切れてしまっていったようだ。 ならばれいむの子どもはどこかに落ちているはずである。 しかし辺りをぐるりと見回しても居るのは潰れた餡饅と生き残ったれいむの子どもが四匹居るだけだった。 興奮冷めやらぬれいむにも何が起こったのかがようやく理解できた。 「ち、違うの…れいむはそんなつもりじゃないの…」 必死に弁解を始めるれいむに対して子ども達の目が言っていた。 『この同族殺しが』 『さっきもぱちゅりーを殺してたし、きっとれいむ達も殺す気なんだよ』 『おおこわいこわい』 『れいむの妹達を見殺しにした屑が』 その冷めた視線は何よりも雄弁で、鋭利にれいむの心を抉った。 「ぢがう゛のお゛お゛おお゛おおおお゛お゛お゛お゛お゛おおおおおお!!!!」 れいむの必死の叫びも空しく子れいむ達は木の後ろに隠れた。 れいむががっくりと項垂れ全てを諦めようとしたその時 お姉さんれいむがれいむをかばうかのように前に出て言った。 「おかあさんはあかちゃんがしんじゃってかなしくってどうしていいかわからなくなっちゃっただけだよ! おかあさんがわざとれいむたちをころすはずなんてないよ! なのになんでみんなひどいごどいうの゛おおおおおおお!?」 「ゆ……!?」 「ゆー…」 「ゆ…おかあさん…」 子れいむ達もはっとしたようにれいむとお姉ちゃんれいむを交互に見つめた。 木の後ろに隠れていた子ども達が一匹ずつすまなそうにれいむに歩み寄ってきた。 「ごめんね、おかあさんにひどいこといってごめんね」 「ゆっくりゆるしてね!」 「やっぱりおかあさんといっしょじゃないとゆっくりできないよ」 子れいむ達はれいむに謝りながらぺろぺろとれいむの頬を舐めたりこすり付けたりした。 「ゆ゛、ゆっぐりじでいっでねええええええええ…!!!」 れいむは感動で咽び泣いた。 そして必ずこの子ども達をお家に連れて帰ってゆっくりさせてあげようと誓った。 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2200.html
ご立派さまとゆっくり 8KB ギャグ パロディ 小ネタ 自滅 自然界 人間なし ぺにまむ 第二作目となります、一部ぺに注意をば。 まずは最初に、感謝の言葉を述べさせていただきます。 前作、『ふたば系ゆっくりいじめ 872 横バンジー』におきまして、閲覧・コメント等を下さった皆様に対して、 この場を借りてお礼申し上げます。 今作において、皆様にご指摘いただいた箇所を活かせることが出来ていれば幸いです。 また、今作を書くにあたり、きっかけと先陣を切って下さいました、 ゆっくりメガテンSS作者様に、無上の感謝を。 一部、悪魔の台詞部分の括弧などを引用させていただいております。 それでは、暫し稚拙な文にお付き合いいただけましたら、之幸い。 ――― 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!!」 一匹のれいむが、懸命に跳ねている。 ゆっくりならば、ゆっくりとしていて当然であろうに、 何がそこまでれいむを急がせているのだろうか。 ふと、れいむが後ろを振り返ってみると、 「んほおおおおおお!!とかいはなれいむねええぇぇぇ!!! ありすがとかいはなあいをあげるわああぁぁぁ!!!」 れいぱーありすの集団に追われているではないか。 「ゆひぃー―!!れいぱーはゆっくりできないよおぉぉ!!!」 捕まればゆっくりできない目に遭わされる。 本能でそれを理解している以上、決して立ち止まるわけにはいかない。 「だれかれいむをたすけてよぉー!!……ゆっ?」 ふとれいむが前方を見ると、樹の下の陰に、小さく簡素なドアがあり、 中から微かにゆっくりの声が聞こえる。 「ゆゆっ!なかからゆっくりのこえがするよ!ゆっくりいそいで なかにひなんするよ!!」 れいむは持てる力を振り絞り、先程までの1.2倍のスピードで 樹の下のドアに向かって跳ねた。 やっとの思いでドアに飛び込んだれいむは、背後かられいぱーが 迫っていないか、耳(?)をすませてじっとしている。 しばらくそのままの体勢でいたが、れいぱーの声が聞こえないことに気付くと、 「ゆふぅー…れいぱーはいなくなったみたいだよ。 やっぱりれいむがとくべつだから、たすかったんだね! かわいくってごめんねっ☆ミ」 安心と同時に、誰も見ていないにもかかわらず、 媚びたポージングもしてみせた。 一通りの戯言を終えた後、れいむは現状確認をする。 「ゆぅん…それにしても、ここはどこなの?くらくてずいぶんゆっくり してないし、さっきこえがきこえたゆっくりはどこにいるの? れいむがせっかくきてあげたのに、気がきかないね!ぷんぷん!」 れいぱーに追われて逃げ込んだことなど、既に忘却の彼方だ。 今では、わざわざ遠方から来てやったことになっている、さすがは餡子脳。 「ゆっ……したのほうからゆっくりのこえがするね、ゆっくりいってみるよ!」 れいむはぽよんぽよんと、ドアを入った奥、地下に到る道を跳ねていった。 れいむが下に潜って少し経つと、開けた空間が目前に広がった。 地面には木の枝で描いたのであろう円のようなものがあり、 部屋の最奥には、葉っぱの上に芋虫が乗せられたものが4つ並んでいる。 その芋虫が置かれた前の位置、円の外周面に、1匹のゆっくりぱちゅりーがいる。 周りを見回してみると、ありすが2匹、ぱちゅりーから少し離れた位置に並んでいた。 ありすが先程のれいぱーの仲間かもしれないと思い、一瞬身体が強張ったが、 「ゆっくりしていってね!!」 口の動きだけは、れいむの意思に反して、勝手に言葉を紡いでいた。 「ゆん?ゆっくりしていってね!!」 「むっきゅっきゅ、ゆっくりしていくといいわ…。」 幸い、普通に返事をした所を見ると、どうやられいぱーではないらしい。 一安心して、れいむはこの3匹が何をしているのか尋ねる。 「れいむはれいむだよ!ありすやぱちゅりーはここでなにしてるの?」 「ありすはありすよ!ありすたちはぱちゅりーにおねがいして、 れいぱーをたおす『あくまさん』をしょうかんしてもらおうとしてるのよ!」 「ぱちゅはぱちゅよ……むっきゅっきゅ。」 肯定の意なのか、挨拶の後にぱちゅりーが含み笑いをする。 悪魔の意味は分からなかったが、れいぱーを倒すときいて、 れいむは自然とテンション高めで、目を輝かせながら話に飛びついた。 「ゆわあぁぁ…!れいぱーをたおすなんて、『あくまさん』は ゆっくりしてるんだね!」 「そうよれいむ!そこにきづくなんてなかなかとかいはね!! わかったら、れいむからもぱちゅりーにおねがいしてくれないかしら?」 このありす達、れいぱーと同じありす種という理由だけで群のゆっくりに迫害され、 ついには群を追放されてしまったのだ。 あてもなく森を彷徨っていると、通りすがりのちぇんから、 「すごいちからをもったゆっくりがいる」という噂を聞き、 こうしてぱちゅりーのもとを訪れたという訳だ。 「ゆん!れいむからもおねがいするよ!! ぱちゅりーははやく『あくまさん』をしょうかんしてね!! それとれいむにあまあまちょうだいね!たくさんでいいよ!!」 どさくさに紛れて自分の要求もしっかり言っているところが、 れいむらしいといえばらしいのであろう。ゲス素質が見え隠れしているが。 「そうよそうよ!はやく『ごりっぱなあくまさん』をしょうかんしてね!! ……ありがたやー。」 3匹に頼まれ、ぱちゅりーは少し目を閉じて考え込み、そして言った。 「………むっきゅっきゅ、さっきからいってるように、まだ 『あくまさん』をしょうかんするときじゃないのよ。 あの『あくまさん』は『ごりっぱなあくまさん』……かんっぺきっな ときにしょうかんしないと、おそろしいことになるのよ。」 ぱちゅりーのやんわりとした否定の言葉に、ありす達が怒り狂う。 「なにいってるのお゛お゛お゛!!! はやくしょうかんしなさいっていってるでしょお゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!! ありすとおなじれいぱーなんて、1びょうもいきてちゃ いけないことをりかいしなさい!!このいなかものお゛お゛ぉ゛ぉ゛!!!」 「ほら、れいむもはやくおねがいして!『ごりっぱなあくまさん』をしょうかんして、 れいぱーたちをえいえんにゆっくりさせてって!!」 れいむは少し考え込み、すぐにれいぱーに追い回されたことを思い出し、 ぱちゅりーに早くするよう催促する。 「ゆううう!ぱちゅりーはさっさと『ごりっぱなあくまさん』をしょうかんしてね!! ぐずはきらいだよ!!」 「ほら、れいむもこういってるわ!ぱちゅりーははやく 『ごりっぱなあくまさん』をしょうかんしてちょうだい!!」 れいむの発言に少しイラッとしたが、ぱちゅりーは不適に笑いながら告げる。 「……むっきゅっきゅ、どうなってもぱちぇはしらないわよ?」 そう言うと、ぱちゅりーは呪言の詠唱を始めた……。 「えるえろひむえろほえろひむさばおとへいおねいえちあぎえれえかあどないじゃあ しゃだいてとらぐらまとんしゃだいあぎおすおせおすいすくひろさたんとん… あぐら…あーめん…きえぇえぃ!」 ぱちゅりーの最後の叫び声と同時に、雷が円(魔方陣)の中央に落ち、 皆が待望の『ごりっぱなあくまさん』…マーラ(様)が召喚された。 …が、 【…ウジュル………ウジュルジュル……ググ……ギギ………】 予想していた『ごりっぱ』な姿ではなく、ふにゃふにゃの頼りない姿であった。 予想外のマーラ(様)の姿に、これにはありすも大激怒。 「ばぢゅりいい゛ぃ゛ぃ゛!!これはどういうごどなのお゛お゛ぉ゛ぉ゛!!!」 左右に振り回され、クリームを吐きつつパチュリーは答える。 「えれえれえれ……むきゅ、どうやらあわててしょうかんしちゃったから、 かんっぺきっじゃない『あくまさん』をしょうかんしちゃったみたいね……えれえれえれ。」 ありす達の希望の光とも言うべき悪魔、マーラ(様)が失敗作と聞いて、 自分達の悲願を達成できないと知ってしまって、 そして、目前の『ごりっぱ』ではない失敗作を恐れ、怯えた。 「「「ゆ、ゆわあああああああ!!! きもちわるいあくまさんはかえってねええぇぇぇ!!!」」」 勝手に召喚した挙句、今度は気持ち悪いから帰れとは、なんと自分勝手な。 その感情を口にするべく、マーラ(様)は口を開く。 【ググ………ギ………オマ…エラ……ヨク…モ……!】 そこまで言って、マーラ(様)は突如身体を伸ばし、 一時的に『ごりっぱ』な姿を取り戻した。 すると今度は身体を縦横無尽に振り回し、狭い空間にいるゆっくりたちを 押し潰すべく、暴れまわりだした。 「ゆんやあぁぁー――!!れいむはかわいいからゆるしぐべらっ!」 話の途中で、入り口付近にいたれいむは、上半身を吹き飛ばされた状態で即死した。 「「あああ、ありすはとかいはなのよ!きもちわるい『あくまさん』でも、 ありすにかかればとかいはなこーでぃねーとをぶぎゅっ!」」 マーラ(様)を再度挑発してしまったことで、ありす達はまとめて カスタード塊に変えられてしまった。 自分以外のゆっくりがすべて永遠にゆっくりさせられたことで、 召喚主たるぱちゅりーは、焦りながらもマーラ(様)を説得しようとする。 「む、むきゅー!ぱちゅは『あくまさん』をしょうかんしたしゅじんさんなのよ! わかったら『あくまさん』はぱちゅのいうことをえぶふぇっ!」 不完全な姿で召喚した者の言うことなど聞く必要はないとばかりに、 ぱちゅりーはマーラ(様)の突進をまともに受け、爆ぜた。 悪魔を召喚する以上、対価は必要になる。 供物として芋虫を用意したはいいが、その程度でかの魔王は満足しなかったようだ。 犠牲になったゆっくり4匹程度でその穴は埋められたのだろうか。 それは、彼以外誰にも分からないのであった…。 完 ――― 少しの後書き いかがだったでしょうか、少しでも楽しんでいただければこれ以上の喜びはありません。 とはいえ、ターゲット層を絞った作品ではありますが…。 最後に再度、ゆっくりメガテンSS作者様に感謝を。 もし迷惑でしたら、コメントに気付き次第削除させていただきます。 それでは、ありがとうございました。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ナニが御立派かって? カリにも魔王マーラ様だぞ? お釈迦様でもない限り誰にも勝てんよ。 -- 2018-01-05 18 32 15 カリにも魔王だぞ? 許すわけないだろう・・・ -- 2014-08-04 15 03 29 マーラ様は瞬殺派らしいな。 -- 2013-05-30 00 01 51 マーラさんは、ゲス野郎4っつと、芋虫4匹で許すって…心が広いな -- 2010-12-11 16 17 30