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『『こーまの王 「館」』』 36KB 愛で 観察 思いやり 引越し 捕食種 希少種 自然界 愛護人間 創作亜種 独自設定 ○○あき 作 待っていてくれた人にごめんなさい 『こーまの王 「館」』 ○○あき 作 前作の『こーまの王 「賢者」』の続きです。 知性や能力の高いゆっくりが登場します。それに違和感や不快感を感じられる方は回避願います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 秋風が肌に染みだすのを感じる、そろそろ野生のゆっくりは越冬の準備を進めなければならない。 飼いゆとして育ち、越冬経験の無いぱちゅりーには不安な事ばかり。 特に洞窟の岩肌は冷たく、どんなに枯草をひいても底から冷える寒さを感じる。 『ではこれよりさくやは、えっとうようのかりにいってまいります。 かえりはおそくなりそうですので、おしょくじはめーりんにごよういさせますので。』 『わかったんだどぉ!ごくろうさまなんだどぉ』 『では・・・・』 声と共にれみりゃの前からさくやの姿は消え失せる. さくやは群れの越冬用食料を集めに出た、捕食種の食料は通常種なのだが生かしておくためには多少の草や虫は必要。 その質は悪ければ悪い程、通常種は苦しみ甘味を増す。 そして良い質の物は自分達で摂り、冬の間に味覚は偏るのを調整する。 いつもならばめーりんを引き連れて荷物持ちをさせるのだが、それでもゆっくり2匹ではたいした量は運べない。 『むっきゅ?たべものをはこぶならすぃーをつかうといいわ!これならさくやだけでもたくさんはこべるわよ。』 『おかりしてかまわないの?』 『ぱちゅはこのあたりのことをよくしらないわ、とおくまでいったりしたらかえってこれないわね。 だからつかうことないから、えんりょなくつかってちょうだい。 それよりちょっとおしえてほしいことがあるの・・・・・』 『なにかしら?』 『むっきゅ!このへんに・・・・・・・』 今年はぱちゅりーの所持していたすぃーがあり、これに乗せて運べば1匹でも沢山の食料を運ぶ事が可能。 ぱちゅりの提案を受け、さくやは1匹だけで狩に出掛けて行った。 『ことしはぜんぜんはえていないわね・・・・』 昨年茸が生えていた場所に今年はまだ影も姿も見つからない、夏の猛暑が影響したらしく山菜の生育が遅れている。 しかし冬の間を通常種ばかりを食べていたら、舌が甘味に麻痺してしまいかねない。 どうしても美味しい山菜を貯め込む必要がある。 『しかたがないわね・・・あそこにいってみましょう・・・・・・』 通常種の群れは、何かしら狩場に近い場所に作られる事が多い。 秋が遅れた分、今ならまだ採り尽くしてはいないだろう。 さくやは通常種の縄張りへと向かった。 そこを避けていたのは通常種はさくや達の大事な餌故、余計な戦いで餌の数を減らしたく無い。 しかしだからと言って、美味しい山菜を譲ってやる理由も迷う必要も無かった。 『たしかあのおかのむこうにきのこさんがあったはずよね・・・・・・ん?なにかしら?』 丘上にある松林にやってくると、何やらそこから騒がしい声がする。 別に通常種から隠れて行動している訳でも無かったので、興味半分で近寄ってみた。 そこに見えたのは、紅髪に黒い羽の生えた見た事の無いゆっくり。 そしてそれを囲む通常種達の姿。 『みたこともないゆっくりだみょん!ぜんぜんゆっくりしてないやつだみょん!』 『わかるよーぜんぜんゆっくりできないんだねぇー』 『げらげらげら~まりささまにさからうからこんなめにあうんだぜ!』 その見慣れるゆっくりは、既に通常種に虐げられボロボロになっていた。 この紅髪のゆっくりとさくやは、別に知り合いでも無かったので別に無視しても良かった。 しかし通常種が調子に乗っている姿は癪に障る。 『ゆっくりしてなければいじめていいのかしら?』 『あたりまえだみょん・・・・ゆ?だれ・・・・・・・・・ゆ?』 後ろから尋ねる声にみょんが振り向いた時には、口から背中に枝が突き抜けていた。 さくやはその枝を一気に引き抜く、みょんの傷口からはホワイトチョコが流れ落ちる。 まりさとちぇんの目前に、みるみる白い水溜りは広がっていく。 『た・・・た・・す・・けて・・・・・くれだ・・・みょ・・ん』 『ゆ!ど・・どど・・どど・・・どおぢでこんなことをするんだぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』 『わがらないよぉーちぇんはなんにもわるいことはしてないんだよぉー』 『そのこをいじめるすがたはゆっくりしてなかったわよ。 ゆっくりしてないゆっくりは、いじめていいらしいからゆっくりりかいするといいわ。』 みょんの声で我に帰る2匹、何時の間にやられたのか理解出来ず混乱する。 理解出来ようがさくやには関係ない、ちぇんの眉間を喰いちぎる。 『ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』 『ゆわわわわわわわわわわわ!』 ちぇんの額と両目が、チョコの穴で繋がり目玉がその間を漂う。 激痛に転がり苦しむちぇん、その姿にまりさはただたじろぐだけ。 『さっきあなたはどおして?ときいたわね・・・』 『そ・・・そうなんだぜぇ!まりさだってがんばっていきてるんだぜぇ!』 『それはあなたがむだにいきているからよ、さすがにさくやもしんだゆっくりにはこんなことはしないわ。』 『どおじでそんなご・・・・・・・ゆ”!・・・ゆ”・・・ゆ”・・ゆ”・・・・・』 最後の台詞を大きく口を開けた瞬間に、まりさの半身だけが後ろに倒れる。 ゆっくりの開きとなったまりさの下半身からは、舌だけがバチバチと身体を叩いて暴れていた。 残ったのはさくやと虐められていた、見慣れぬゆっくりだけとなる。 『ほんとにくずははきけがするわね・・・・さて・・・・あら・・・けっこうやられちゃっているわね・・・・・』 『こ・・・・ぁ・・・・・・こ・・・・・・ぁ・・・・』 『みたことないけどいちおうきしょうしゅのようね・・・・ふぅ~・・・・・・ ほっておくわけにもいかないわ、まえにもこんなことしたばかりなのに・・・・・』 その見慣れぬゆっくりは、まだ生きていたがかなり衰弱している。 希少種ならば見捨てる訳にもいかない、れみりゃの群れの再興には多くの仲間が必要なのだから。 さくやはすぃーに積んでいる食料の上に、そのゆっくりを乗せると住処目指して走り出す。 かなり弱っているので急がねばならない。 『れみぃはふゆもここですごすの?』 『それをいまかんがえているんだどぉ・・・・まえのこーまかんはあったかかったんだどぉ。 でもここはさすがにさむすぎるんだどぉ・・・・・』 さくやが越冬の準備を始めだし、れみりゃもそろそろ対策を練らねばならなかった。 前に住んでいた森には、それぞれ住処とする虚や小さな穴があったのだが。 ここは岩肌剥き出しの洞窟、地面の冷たさが体温を奪う。 『むっきゅ!そこでぱちゅからていあんがあるんだけど・・・・・』 『なんだどぉ?』 『ぱちゅはおひっこしをしたらいいとおもうの。』 『それはれみぃもかんがえたんだどぉ、でもいきさきがないんだどぉ・・・・・・』 ぱちゅりーの提案はれみりゃも考えた、しかし行先がなければ引越しのしようが無い。 だがぱちゅりーには、それについても考えがあった。 『むっきゅ!だからぱちゅはやしろさんにすんだらどうかとおもうの。』 『やしろさんってなんなんだどぉ?』 『そうね・・・・やしろさんというのは、ひとさんにとってのせいいきみたいなものかしら?』 ぱちゅりーが考えたのは、どこの村にも豊作を祈願する神を祭った小さな社がある。 そしてその場所一帯は、あえて何も建てられない事が多い。 これならば住処を追われる事も無いだろう。 『ひとさんにちがづくのはあぶないんだどぉ!』 かつてれみりゃは、人によって群れと番を失いこの様な場所まで追いやられた。 人に脅威を感じた故、敵を知るべく連れて来られたのがぱちゅりーである。 『そうね・・・・ゆっくりがたたかってかてるあいてではないわ・・・・・ でもねひともむじょうけんで、ゆっくりをころしているのではないのよ。』 『う?』 人はゆっくりを憎み疎んでいるとれみりゃは思っていた、しかし人には人の事情がある。 そもそもこの国に、所有者の居ない土地は存在しない。 害がなければ問題は無いのかもしれないが、蝗の如く自然を喰らい尽くすとなれば大問題である。 『むっきゅ、とりあえずそこは、ぱちゅにまかせてもらってだいじょうぶよ!』 『でもいそがなくてもだいじょうぶなんだどぉ・・・・れみぃのこーまかんはてっぺきなんだどぉ!』 『むきゅ・・・・・れみぃ・・・・ちょっとこれをみてくれるかしら?』 れみりゃの言葉に、ぱちゅりーは表情を曇らせて話す。 そして洞窟の奥へとれみりゃを連れて行く、そこには岩の隙間からチョロチョロと滴る水が溜まっている。 これまで水の確保は、近くの川まで行くか雨水を貯めていた。 ある日、岩の隙間から水が出る様になり、容易に水が手に入る様になったとれみりゃは喜んでいた。 しかしこれは、重大な問題を抱えている事をれみりゃは知らない。 『おみずさんがわいているんだどぉ・・・・これがどうしたんだどぉ?』 『むっきゅ・・・・ゆっくりおちついてきいてね?これはここがくずれるかもしれないよちょうなのよ・・・・』 『れみぃのこーまかんがくずれるだどぉ?』 『そうよ・・・・くわしくはぱちゅもしらないけど、いままでなかったところからおみずさんがでるとあぶないのよ。』 ぱちゅりーれみりゃが話している間も、隙間から水が染み出し続ける。 この夏にTVで見た事を思い出し不安が増す。 『むっきゅ!つ・・つめたいわ!!ゆゅ?』 天井から雫が落ちてきた、よく見ると天井や他の箇所からも水が染み出してきているではないか。 ここは危ないとぱちゅりーは直感する。 『れみぃ!おねがい!ぱちゅをしんじておちびちゃんをつれてここからでるのよ!』 『う?ど・・どうしたんだどぉ?・・・・!』 急に慌てだすぱちゅりーに驚くれみりゃ、だがこれまで染み出す程度だった隙間から水の量が増えている。 何が起こっているのかは解らないが、れみりゃも何か危険な物を感じた。 『めーりん!おちびちゃんをつれてそとにでるんだどぉ!れみぃもいっしょにいくんだどぉ!』 『じゃおぉぉぉぉぉぉぉ!』 れみりゃの声に即座に反応して洞窟の奥へと駆けるめーりん、奥では2匹がお昼寝の真最中。 スヤスヤと寝息を立てて気持ち良さそうに眠っている2匹、起こさぬよう素早く咥えると急いで出口を目指す。 そしてれみりゃは、その更に奥に隠してあった大事な物を取りに行く。 だが洞窟内にピキピキ響く地鳴り、事態は急変した。 『むきゅう!れみぃ!なにをしているの!はやくにげてぇぇぇぇぇ!』 めーりんと共に洞窟の外に出たぱちゅいいーが叫ぶ、このままではれみりゃが危ない。 危険を冒してまでれみりゃが取りに行った物、それは番であった亡きふらんのお帽子。 『あったどぉ・・ふらんをおいてにげるのはもぉいやなんだどぉ・・・・』 お帽子を咥え駆けるれみりゃ、パラパラと天井から砂が降ってくる。 ここが崩れるのは時間の問題だった。 『ゆゅ・・・?ゆ!みゃみゃ!』 『むきゅ!ふ・・ふらん!あぶないわ、ちかよっちゃだめぇぇぇぇ!』 目を覚ました子ふらんが訳も分からず、母を求め洞窟に入ろうとする。 既に土煙で中の様子は見えない、だが刻一刻と事態は悪化していく。 『うぅーーーーーーーー!う?ふらん!』 土煙の中から飛び出したれみりゃと擦れ違いで、母を助けに子ふらんが入る。 そしてそれを追いかけ飛び込むぱちゅりー。 『う?いみゃのはみゃみゃ?みゃ・・・・・・ぐひぃ・・・・・・・・』 『むきゅぅぅぅぅぅ!ふらんしっかりしてぇ!いますぐぱちゅがだしてあげるから!』 崩れ落ちた小石に直撃して子ふらんは気を失う、だが幸いにも追っかけてきたぱちゅりーによって直に救出される。 すぐさま洞窟を飛び出すぱちゅりー、これで全員なんとか難を逃れる事は出来た。 だが住処を失い路頭に迷う事になってしまう。 『れみぃのこーまかんが・・・・・・・』 『れみぃ・・・・むきゅ・・・・こうなってはしかたがないわ!おひっこしよ!』 『でも・・・・ひとさんにちかづくのはあぶないんだどぉ・・・・』 『ぱちゅにまかせて・・・かんがえがあるの・・・・とりあえずここにいてもなにもかわらないわ!』 このままここに居ても何も解決しない、まずは安全な場所に移動する必要がある。 しかしれみりゃの従者であるさくやは、越冬用の狩に出ていて何時戻るか分からない。 ぱちゅりーは本来ならば、人と交渉してから社を根城として借り受けるつもりだった。 しかしそんな事は言っていられない、とりあえずめーりんを伝言に残しれみりゃ達と社へ向かう。 『むきゅぅ~おそとをすぃーもつかわずにでるのはひさしぶりだからつかれるわぁ・・・・』 『だいじょうぶだどぉ?』 社まではまだ距離があると言うのに、改めて己の体力の無さを実感させられるぱちゅりー。 れみりゃも気絶したふらんを抱えていたが、それでもぱちゅりーよりは速い。 だからと言って先にれみりゃ達を行かせると、土地勘の無いぱちゅりーには社の場所が分からない。 結果、れみりゃを待たせるしか無かった。 『ご・・・ごめんなさいね・・・すぃーさえあれば・・・・むきゅぅ・・・・・・』 こうしてれみりゃ達は、牛の歩みよりも遅く急ぐ。 その頃さくやへの伝言に残っためーりんは、元こーまかんだった場所で気持ち良さそうに寝ていた。 『な・・・な・・な・・・なにこれぇーーーーーーーーー!ど・・ど・・・どうなってるのぉぉぉぉぉぉぉ?』 故あって予定を切り上げて戻り、こーまかんがあった場所を見たさくやの絶叫が木霊する。 どう見ても洞窟崩落で、めーりんが死んでいるように見えなかったからだ。 『じゃぉ・・・じゃお?』 『え・・え?え?いきてる?』 さくやの叫びでめーりんは目を覚ます。 死んだと思い込んでいためーりんが、生きている事にさくやはビックリする。 そんなさくやにめーりんは、暢気に欠伸をしながら事情を話し出す。 『じゃおじゃおじゃおーん!じゃおじゃおじゃお!』 『なるほど!まったくわからないわ!』 普段はある程度のコミュニケーションはとれているが、流石に事の詳細となると一切分からない。 とりあえずれみりゃ達は無事らしい、ならばめーりんに案内してもうしかない。 『もういいからおぜうさまのところにはやくあんないしなさい・・・』 『じゃおじゃお?』 『ん?ああこのこはひろったの、えっとうのごはんさんじゃないわよ!』 さくやが引いていたすぃーの上には沢山の茸などの山菜が、そしてその上に置かれた紅髪のゆっくりの姿。 衰弱激しく未だ気を失ったままである。 『このこをみてもらおうとおもってね・・・かいゆだったのなら、なんとかしてくれるかもしれないでしょ?』 『じゃお!じゃおーーーーー!』 『わかったからはやくあんないしてちょうだい・・・』 弱り食事も取れなくなったゆっくりを回復させる方法は、野生のゆっくりの持つ知識の中には無かった。 しかし人の技術ならばそれも恐らく可能であろう。 さくやはめーりんに先導させてれみりゃの元へと急ぐ、この衰弱したゆっくりの為にも時間が惜しい。 『むぎゅううう~う~ぢぬわぁ~ぱちゅわぁ~ぜ~はぁ~ぜ~はぁ~』 『たいじょうぶだどぉ?そんなにしんだかっただどぉ?』 れみりゃ達が社に着いた時には、既に日も落ちかけて薄暗くなっていた。 普段出歩かないぱちゅりーにはかなり辛かったらしく、息も絶え絶えで社の床下で転がっている。 無人の小さな社は神社らしく外を朱色に塗られ、最近あったであろう神事の跡がそこかしらに残っていた。 周囲を床まで木で覆われていたが、裏側にあった隙間からなんとか床下に入る。 『う~なんだかあかくておちつくんだどぉ~』 紅い外壁がいたく気に入ったのか、れみりゃは何度も外に出ては社を眺めていた。 しかしこれは人によって建てられた物、ゆっくりが住み着くには問題がある。 ぱちゅりーの腹案がどう言う物なのか分からない以上は、話を鵜呑みにして油断する事は出来ない。 『ぱちぇにきたいするんだどぉ・・・・・』 しかしここを気に入ってしまった以上は、ぱちゅりーの策に期待するしか無かった。 今日は急遽の引越しだったため、昼からずっと食事を摂っていない。 『みゃみゃ~おにゃかちゅいただどぉ~』 『うぅ~こまったんだどぉ・・・・ごはんさんはこーまかんといっしょにうまっちゃたんだどぉ・・・』 蓄えてあった食糧は洞窟の中に置き去りとなり、さくやとめーりんは2匹とも出払っていて不在。 おまけに子ふらんは気絶したままで、迂闊に側を離れて狩に出る訳にもいかない。 だからと言ってぱちゅりーに行かせでもしたら、間違い無く何処かで野たれ死ぬだろう。 『むきゅう~ふぅ~ふぅ~れみぃ・・・・』 床下でのびていたぱちゅりーが、子れみりゃの声で起きてきた。 疲労困憊ながらもなんとか床下から這い出てくる。 『・・・・・・・・・ほんとうにだいじょうぶだどぉ?れみぃにはしにそうにみえるんだどぉ?』 『も・・・・もんだいないわ・・ぜぇ~はぁ~』 『かわりにれみぃがいくどぉ・・・』 ぱちゅりーは喘ぎながら社の階段を登ろうとしたが、体力尽きた身体では登る事ままならない。 看かねたれみりゃが代わりに社に上がった、そこにあったのは祭壇に捧げ物として置かれた供物。 供えられてから日がたっているのか、少し干からびている蜜柑やさつま芋等が並んでいた。 『うぅ~すごいごちそうなんだどぉ~!でもこれはひとさんのごはんさんなんだどぉ・・・・』 『ふぅ~むっきゅ~それはもんだいないわ・・・・・ ひとさんは、おそとにおかれたごはんさんはぜったいにたべないから・・・』 大きな寺や神社に供えられた供物ならまだしも、村の小さな社に捧げられた供物は食べる事はほとんど無い。 仮に食べるとしても、捧げたその日のうちに回収してしまう。 『あしたぱちゅがひとさんにこうしょうにいくからそのときにあやまっておくわ。 だからきょうのところは、そのごはんさんをいただきましょう・・・・・』 『うぅ~わかったんだどぉ、でもあしたはれみぃもいっしょにいくんだどぉ!』 れみりゃは供物の中から、干からびた蜜柑を頂戴すると子れみりゃの前に置いてやる。 皮は干からびているが中の実はまだ水分をたっぷり含み、酸味と甘味の調和が素晴らしかった。 『うぅ~おじぇうのしゅ~ぱ~でなぁ~たいむにゃんだどぉ~む~ちゃむ~ちゃ・・・ちあわちぇ~~~~』 『いっぱいむ~しゃむ~しゃするんだどぉ・・・・』 余程餓えていたのか子れみりゃは、一心腐乱に蜜柑を貪り食べる。 しかしれみりゃとぱちゅりーは、気になる事があり食事を摂ろうとはしなかった。 子ふらんがまだ気絶したままで目を覚まさない、いくら衝撃を受けたとは言え大分時間がたっている。 2匹は口にこそしなかったが、流石にこれはまずいと内心気が気で無い。 『うぅ!しずかにするんだどぉ!だれかくるんだどぉ!』 外で何かがやってくる音に気がつき、すぐさまに子れみりゃとぱちゅりーを床下に避難させる。 そして自分は物陰に隠れ何者かを確認、引きずるような車輪の音だがそれほど大きくはない。 『うぅ!これはゆっくりが2ひきとすぃーのおとだどぉ!このおとは・・・』 夕闇の中で音だけで判断するれみりゃ、そしてこの足音には聞き覚えがある。 そうこれはれみりゃのよく知るあの2匹の音。 『さくやーーーーーーー』 『はい?ただいまもどりました。』 社の前にはさくやとめーりんが辿り着いていた、思わず従者の名を叫ぶれみりゃ。 いくら気丈に振舞えど、抱えるその不安を拭いきる事なぞ出来無い。 その不安が爆発してしまう。 『れみぃのおちびがぁぁぁ・・・・ふらんがあぶないんだどぉ・・・・・どうしていいかわからないんだどぉ・・・・』 『お・・・お・・・・おぜうさま?どうしたのです?』 さくやの顔を見て緊張の糸が切れてしまったのか、思わずさくやに泣きつくれみりゃ。 だが事情の説明も無くただ泣き崩れるれみりゃに、さくやもただオロオロするばかり。 『むきゅ!さくやがもどってきたの?むっきゅ?れみぃ!ないてるばあいじゃないわ!』 れみりゃの声に飛び出てきたぱちゅりー、れみりゃが泣いているには驚いたがそれどころでは無い。 さくやが引張っていた自分のすぃーを確認すると、れみりゃに声をかける。 『れみぃ!ないていてもふらんはなおらないわ!いまからぱちゅがひとさんのところにいってくるわ! さくやとめーりんはこのごはんさんをすぐにおろして!』 『いまからですか?もうよるさんですしあすにされたら?』 『むっきゅ!だめよ!ふらんにはいますぐにでも、おれんじじゅーすさんがひつようなの!』 暗い夜道を進んでは狸や野犬等の獣に襲われる危険性がある、だがぱちゅりーはさくやの提案を一蹴してしまう。 オレンジージュースが何なのかはれみりゃ達は知らない、だがふらんに必要な物と言われては放ってはおけない。 『そのおれんじじゅーすさんでふらんはたすかるのかだどぉ?』 『むっきゅ!もちろんよ!おれんじじゅーすさんはゆっくりにとってばんのうなおくすりよ!だから・・・ むっきゅ?このこはだれかしら?』 めーりんが食料をすぃーから降ろすのを待ちきれず、ぱちゅりーは自ら降ろそうとすぃーに乗る。 そこで初めて、見知らぬ紅髪のゆっくりが乗っている事に気がついた。 『あぁ・・・・すみませんが、ついでにそのこもなおしてやっていただけませんか?』 『むっきゅ!わかったからはやくこれをのけてちょうだい!』 さくやは子ふらんのついでに、その紅髪のゆっくりの治療を頼む。 どうせ必要なのは同じオレンジジュース、二つ返事で了承するぱちゅりー。 紅髪のゆっくりを社の床下に移動させると、食料も次々と降ろされる。 『むきゅ?これは・・・・・さくやこのきのこさんをもらってもいいかしら?』 『ん?いいですよ、おなかでもすいたのかしら?』 『ちがうわ、このきのこさんはおかねさんのかわりにつかえるわ!』 さくやの集めた食料にあったのは茸の王様松茸、これとの交換ならば嫌がる人は少ないだろう。 もともとゆっくりと人では対等の交換は望めない、だがこれで対等以上の交換条件が揃った。 松茸を2本持つとぱちゅりーは、眼下に広がる人里へと下る。 『むきゅ・・・・いそがないと・・・・・』 すっかり陽も落ち辺りは真暗、街灯も少なく民家の明かりが目立つ。 ぱちゅりーはその中でも、目的のオレンジジュースが置いてありそうな商店を探す。 だが街暮らししかした事の無いぱちゅりーは、郊外の店舗は閉まるのが早い事を知らなかった。 『むきゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!これはいったいどうなってるのぉ~~どこのおみせやさんもあいていないわぁ!』 思いもよらぬ事態にうろたえるぱちゅりー、だからと言って何もせずに帰る事は出来ない。 今のぱちゅりーに、2匹のゆっくりの命がかかっている。 『むきゅう・・・・どうしたらいいの・・・・・』 進退窮まったぱちゅりーが立ち止まったのは自動販売機の前、サンプルの中にオレンジジュースがあるのが見える。 しかしお金を持たないぱちゅりーに買えない事は承知してた、ただ何となく明るい場所を求めて留まっただけ。 だがその判断は、意図しないところでぱちゅりーに功を成す。 「あぁ?何かと思えばゆっくりか・・・」 商店が閉まって困るのは本来はその一帯に住む住人、当然喉が渇いて飲み物を欲しても売っているのは自動販売機だけ。 晩酌用のビールを切らしてしまい、仕方がなくここに買いにきた男性に出会う。 『むっきゅ!おにいさんおねがいがあるの・・・』 「飼ってくれってのなら断る!」 『ちがうわ!ぱちゅにおれんじじゅーすさんとこむぎこさんをうってほしいの!』 「売って欲しいって・・・・お前金持ってんのか?と言うかゆっくりのくせに銭の価値を理解してやがるのか!」 『ごめんなさい・・・ぱちゅはおかねさんはもっていないわ、でもこれとこうかんでおねがいできないかしら?』 「こ・・これは!」 ぱちゅりーは男性に松茸を1本だけ差し出しす、流石に松茸だけはどんな素人が見ても一目で判る。 恐る恐る松茸を手に取ると男性は、何度も首を縦に振って了承した。 だが常時小麦粉を携帯しているのは、特異な愛で派お兄さんぐらい。 「と・・・と・・・りあえずお前うちに来い!うちにあるだけくれてやる!あと・・あぁオレンジジュースか・・・・」 男性は持っていた千円札を、自動販売機に突っ込むとボタンを連打しだす。 ガッコンガッコンと景気良く落ちてくるオレンジジュース。 安売りの販売機だったので、10本ものオレンジジュースが取り出し口に詰まる。 「あ・・・・・詰まった・・・・」 『むきゅぅぅ・・・・おにいさんいそいでぇ~』 5本でも取り出し難いと言うのに、流石に10本となると出す事が出来ない。 男性は隙間から指と枝を突っ込み、ジュースを横にずらそうと四苦八苦する。 その横でぱちゅいりーがヤキモキしていた。 「お~し!何とか出来た!さて次はうちに行かないとな・・・・よし!じゃあうちに行こう。」 自販機から取り出すのに時間がかかり、男性の家に着いた時には9時を過ぎる。 抱えられて連れて来られたぱちゅりーは、子ふらんの容態が気になってしかたがない。 だからと言ってここで男性を怒らしては、折角のチャンスを失ってしまう。 『むきゅ・・・おにいさん?』 『あ?何?小麦粉ならすぐ用意するよ。」 『ぱちゅはふらんのためにいそがないといけないの・・・・・』 「ふらんって・・・・捕食種だろうが・・・・お前はどっちかと言うならその餌に入るんじゃ?あれ?お前飼いゆ?」 そこで初めて男性はぱちゅりーの金バッチに気がつく、そして何かしら事情があるのを察した。 通常種が捕食種を守ろうとする時点でただ事では無い、しかも飼いゆの最高峰である金バッチゆっくりならば尚更である。 「わかった、巣まで送ってやっからまずは事情を話せ!」 『むきゅ・・・・わかったわ・・・ぱちゅはね・・・・・』 ぱちゅりーは男性にこれまでの経緯を話す。 飼いゆとして暮らしていたぱちゅりーが浚われてこの山へやって来て、そこで出合ったれみりゃに共感した事。 れみりゃは群れの再興を目指しているが、住処が崩落してしまい子ふらんが怪我をした等を話す。 「ふ~ん・・・なるほどねぇ~じゃあとりあえず行くか」 「むっきゅ?いくってどこに?」 男性はぱちゅりーの話を聞き終えて最初の1言がこれだった、返事も待たずにぱちゅりーを持ち上げ抱える。 その手に持った袋の中には、先程購入したオレンジジュースと小麦粉が入いっていた。 「何処も何もその社に決まってるだろが、今からお前だけで帰ってどれだけ時間がかかると思ってんだ?」 『むきゅ・・・でも・・でも・・・・・・』 「あぁ?まだ何か困ってる事でもあるのか?」 『ごめんなさい・・・ぱちゅたちはかってにそこにおいてあったごはんさんをたべちゃったの・・・・・・』 ぱちゅりーは社に住む事も供え物を食べてしまった事も、まだ誰にも許可を取れてはいない。 今日の所はとりあえず薬が欲しかっただけで、許可を取るのは後回しにしていた。 「ご飯ってあのかっさかさの蜜柑とか芋かよ?あんなもん猿も喰わねぇよ! 畑荒らさなきゃ誰も文句なんかつけないから大丈夫だって・・・とりあえず時間が無いんだろ急ぐぞ!」 『むっきゅ、おにいさん・・・・』 「あぁ?何だ黙ってないと舌噛むぞ。」 『ありがとう・・・・』 「その台詞はそのふらんが助かってから言え、ゲームや漫画じゃないんだから死んだゆっくりは蘇らないぞ!」 男性は自転車の前カゴにぱちゅりーを入れ、山の入り口にある社に向かって走り出す。 流石に運動の苦手なぱちゅりーであっても、すぃーで移動してきただけあって少し遠い。 街灯の無いあぜ道は真っ暗で、それが逆に夜空の星を鮮やかに魅せる。 20分ほど走ると暗闇の中に、薄っすらと小さな屋根が木の間に見えた。 「あそこで間違いないな?」 『むっきゅ!まちがいないわ!』 自転車のライトに鳥居が照らされ、その下に2匹のゆっくりがこちらを伺っている。 れみりゃとめーりんが、帰りの遅いぱちゅりーを心配して待っていたのだ。 だが流石に、そこに人の姿を確認すると物陰に隠れる。 『れみぃ~おくすりをもらってきたわ~』 『う~?ぱちぇのこえだどぉ!』 ぱちゅりーの声に無事帰還した事を安堵するれみりゃ、すぐに物陰からぱちゅりーを迎えに出てくる。 だがぱちゅりーの側には人に姿があったので、警戒して近づいては行かない。 「まぁ・・・・なんだ・・・とりあえずそのふらんを連れて来い、まずは兎に角も看てみるから・・・・」 『むっきゅわかったわ、れみぃふらんをこのおにいさんにみせてあげて・・・あとあのこもいっしょにおねがい。』 『う?ひとさんになおしてもらうんだどぉ?』 『そうよ!ぱちゅたちにはできないことがひとさんにはできるのよ!いそいで!』 『わ・・・わかったんだどぉ!』 ぱちゅりーの言葉に従い、れみりゃは急ぎ社の床下で伏せる2匹を連れてくる。 未だ気を失ったままの2匹、赤髪のゆっくりは衰弱が原因と思われるがふらんは原因がわからない。 「どれ?ふ~ん・・・・・まぁとりあえずこいつから・・・・・・」 『こ・・・ぁ・・・・こあ」 「お!効いた効いた!」 男性は2匹をしげしげと眺めると、赤髪のゆっくりにオレンジジュースをキャップ1杯分だけかける。 すると赤髪のゆっくりはモゾモゾと動きだした。 「こいつはこれでOKだろう、後は少しずつオレンジジュースを飲ませてやれ。 絶対に一度に沢山やるなよ!身体が吸収し過ぎて舌が肥えるうえに、記憶まで糞に混じって出ちまうぞ!」 『むっきゅ!ゆっくりりかいしたわ!』 次に男性は子ふらんを手に乗せ顔をしかめた、特にこれといった外傷が見当たらないのだ。 身動き一つしない子ふらんだったが、その体温がまだ生きている事を証明している。 「まさかな・・・・・あ!これは酷いな・・・・・・・」 『むっきゅ!』 子ふらんのお帽子を取ると、そこには大きく陥没して頭部が割れる怪我があった。 中身の餡が割れ目から見えている。 「洩れちゃいないようだがかなりヤバイな、まぁ蓋しとけばいけるかも知れん。」 男性は用意していた小麦粉を取り出すと、それをオレンジジュースで練り始める。 凹んだ頭部を少し切り開き、そこに練った物を流し入れた。 再度蓋をして、上からオレンジジュースをかけて終了。 すると子ふらんがプルプルと少し震え、ずっと閉じていたその目を見開く。 『うぅ~おじぇうのいもうちょがおめめしゃんをあけちゃんだどぉ~』 子ふらん意識を取り戻した事に喜び、子れみりゃが側へと飛んできた。 抱きつく様に擦りあう姉妹、だが何か様子がおかしい。 『ううううううううううううううううううううううぐあう!』 『うぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・・い・・・・・・い・・・・・・・』 子ふらんが突然唸り咆哮を上げると、姉である子れみりゃに噛みつく。 そして姉を一心不乱に喰らう子ふらん、その姿は獣の如き殺気を帯びている。 あまりの事にあっけにとられ、れみりゃやぱちゅりーは子ふらんを止めるのが遅れてしまう。 我に帰った時には、子れみりゃ既に半身を喰われ虫の息。 「おい・・・・・あれ止めなくていいのか?」 『むっきゅ!むきゅうううううううう!ふらんなにしてるのぉぉぉぉぉぉぉ!』 『おちびちゃんがおちびちゃんをををををを?』 『だ・・・だ・・だめですいもうとさまぁぁぁ!』 さくやが中枢餡を止めて子ふらんを静止させるが、そこには既に息絶えた子れみりゃの姿。 その後も子ふらんは静止を解かれると、目に写った者相手かまわず飛び掛ってくる。 そこにはもうれみりゃもさくやさえも区別は無い、これでふらんの静止を解く訳にはいかなくなってしまう。 それを一部始終見ていた男性が、さくやのゆっくりを静止させる能力に気づく。 「おい・・そこの銀髪のゆっくり・・・・」 『ゆゅ?ぎんぱつ?それはさくやのことかしら?』 「あぁお前だよ。お前はどうやらゆっくりの動きを止めれるみたいだが、それは何匹でもいけるのか?」 『そうね・・・・ちかくにいればむれひとつぐらいならいけるとおもうわ。 でもこれでいもうとさまからはなれなくなってしまったわね・・・・』 「それは俺がなんとかしてやるから、その能力を生かして働いてみないか? ここに住むのも俺が、自治会長に話しをつけてやるから。」 男性がさくやの能力と引き換えに、住む場所の提供を申し出る。 正直いってこれはれみりゃ達にとって、喉から手が出る程欲しかった話だった。 社に住む事が出来るうえに、中枢餡を損傷して狂ってしまった子ふらんをどうにかしてくれると言うのだから。 『むきゅ・・・おにいさん・・・・ふらんをどうするつもりかしら?まさかころさないわよね?』 だがぱちゅりーは、単純に人の言葉を鵜呑みにはしない。 万が一にも最悪の事態を想定する。 人との具体性の無い約束は、後でどんな罠が待っているか分からない。 「お?流石にお前は賢いな・・・・大丈夫だちゃんと医者に診せてやるから任せておけ。」 『むっきゅ・・・それだったらおねがいしたいわ・・・・もぅぱちゅたちではふらんをたすけられないもの・・・ れみぃどうかしら?ぱちゅはこのおにいさんのていあんをのむしかないとおもうの。』 ぱちゅりーは男性から、子ふらんを医者に診せるとの言質を貰う。 元々ここまでぱちゅりーを連れてきてくれた時点で、この男性が信用出来そうな気はしていた。 欲しかった約束は貰った、後は当主の許可を得るだけ。 『うぅ・・・・さくやになにをやらすきなんだどぉ?』 喉から手が出る程の条件だったが、男性がさくやに何をさせる気か判らない。 配下の者の安全が保障されていない話に、主のれみりゃが容易に乗る訳にはいかなかった。 「ん?ああ畑の監視官をしてもらえないかと考えてる」 『むっきゅ?はたけさんのかんしかん?』 『はたけってなんだどぉ?』 野生のゆっくりに畑の概念は無く、如何なる植物も自然に生えてくる物であり栽培すると言う知識は無い。 だが人の下によって、生まれ育まれきたぱちゅりーは理解出来る。 『むきゅ・・・・そうね・・・・・』 理解しているだけに説明に困るぱちゅりー、容易に野菜は生える場所と説明すれば誤解が生じる可能性がある。 かと言って育成過程等を難しく説明しても、れみりゃ達に理解して貰えない。 「畑ってのはお前らが子供を育てるみたいに、人が野菜を大事に育ててる場所だ。」 『ひとさんがおやさいさんをそだててるんだどぉ?かってにはえてくるんじゃないんだどぉ?』 「野菜は赤ゆの様に弱い植物なんだ、誰かが面倒をみてやらんと枯れちまうんだ。」 男性はれみりゃに、野菜は面倒をみないと育たないとだけ説明した。 種だの土壌がどうだのと説明しても、ゆっくりには理解出来ない事は分かっている。 『よくわからないんだどぉ・・・でもひとさんがめんどうをみているってのはわかったどぉ』 とりあえずは人が管理している場所で、そこで植物が育てられていると言う事は理解するれみりゃ。 ここまで理解出来れば、何故さくやが監視しなければならないかは推察出来る。 『つまりはゆっくりからはたけさんをまもればいいんだどぉ?』 「おぉ~察しがいいな!御名答だ!ゆっくりが畑を荒らしに来たら、ゆっくりの動きを止めて呼んでくれればいい。 後の駆除はこっちでやるからさ・・・・それに余った野菜もお前らにやる。」 畑の監視をすれば住居どころか、売れない野菜までくれると言う破格の条件が提示される。 だがこれにれみりゃは以外に反応を示した。 『おやさいさんはいらないんだどぉ!れみぃはこーまかんのあるじなんだどぉ! ここにすませてもらうだけでじゅうぶんなんだどぉ!』 「ほぉ~ゆっくりが言うねぇ~いいねぇ~その誇り高き信念って奴は俺も嫌いじゃない。 とりあえず監視官の仕事はOKって事でいいな?後は俺に任せておけ。」 長としてのプライドかそれとも人への警戒か、れみりゃの誇りが食べ物の施しを拒む。 だがこれでさくやにやる畑の監視は認められた。 男性もれみりゃの長としての姿勢が気に入ったらしく、子ふらんを連れて暗闇の中を帰って行った。 『いもうとさまはだいじょうぶでしょうか・・・・・』 『もぅれみぃには、おにいさんにまかせるしかないんだどぉ・・・・・』 さくやとれみりゃは、その姿を見えなくなるまで見送って呟いた。 賽は投げられたのだ、後は流れに身を任すしかない。 『むっきゅ!わすれていたわ!めーりん!このこをなかにはこんでちょうだい!」 『じゃおおおおお!』 赤髪のゆっくりをめーりんに、社の床下へと運ばせるぱちゅりー。 続くように皆の床下へと入って行った。 社の床下には建築時の廃材だったのか藁や木屑が置かれ。 秋風の冷える夜でも暖かく、昼の疲れもあり皆ぐっすりと眠りにつく。 『むきゅ・・・・さぁのみなさい・・・・』 『ごくごく・・・・こぁ~』 しかしぱちゅりーは寝る事なく、紅髪のゆっくりの看病をする。 これから1晩中、少しずつオレンジジュースを与えなければならない。 量の加減の作業もあり、これはぱちゅりーにしか出来ない作業である。 ゆっくりにとって万能薬のオレンジジュースの唯一の欠点、それは大量に与え過ぎると口が肥えてしまう事。 ただでさえ体力の無いぱちゅりー種、しかも子ふらんの為に慣れない里をすぃーで走り回り疲れている。 『むきゅ・・・う・・ぅ・・・むきゅ!ねてはだめよ!このこのいのちにかかわるわ!』 必死に己を鼓舞しながら、眠気と戦い紅髪のゆっくりを看病するぱちゅりー。 混沌とし意識の焦点が合わず、ぼんやりながらもそんなぱちゅりーを見つめる紅髪のゆっくり。 『こ・・・あ・・・?』 現と幻の区別がつかぬ中、額に汗するぱちゅりーに今は亡き母の姿を思い描く。 夜がしらじむ頃には通常種にやられた腫れもひいていた。 『こぁ~こぁ?こあこあ!』 紅髪のゆっくりが目覚めた時には、怪我は癒え痛みはまったく感じられない。 そしてその横で疲れて眠るぱちゅりーの姿、夜明けまで奮闘し癒えたのを確認すると気絶するかの様に眠りにつく。 薄っすらと覚えている昨夜の情景を思い出す。 思わず感謝の気持ちを込め、眠っているぱちゅりーに頬を擦りつける。 『むにゅ・・むきゅ・・・・むっきゅ?きがついたのね・・・・・よかった・・・わ・・・・・』 その感触に目を覚ますぱちゅりー、すぐにその相手が紅髪のゆっくりである事に気がついた。 元気になった姿に安堵するが、すぐに疲労から眠気に襲われ混沌としながら眠りにつく。 それからぱちゅりーが目を覚ました時には、既に太陽は高く昇り時刻は昼を過ぎる。 『むきゅ~んん~?ぱちゅはなにをしていたのかしら?』 『こあ!こあこあ!』 紅髪のゆっくりが慌てて外に飛び出していく、そしてすぐにれみりゃを連れて戻ってきた。 れみりゃは、起きたばかりのぱちゅりーを床下の外へと連れ出す。 『ぱちぇありがとうなんだどぉ!おかげでりっぱなこーまかんができたんだどぉ!』 『むっきゅ?れみぃ?なにを・・・・・?まぶしくてみえないわ!』 寝起きのうえに徹夜だったぱちゅりーには、いきなりの光は眩しく何も見えない。 やがて目が光に慣れてくるにつれて、その目に写ったのは人影と紅い小屋の様な建物。 『むっきゅ?これは・・?』 「おー起きたか寝ぼすけ」 そこにいたのは、ぱちゅりーが昨夜出会った男性と見知らぬ男性が数人。 皆で社の裏に小屋を建て、さきほど紅く塗り終えた所である。 「ここに住めるように、自治会長から許可貰ってきてやったぞ。」 『むっきゅ?じゃあこうにんになったのね!」 「だが条件は話した通りだ、それもこいつと本ゆんの許可は出てるし問題ないな。」 男性は昨夜のうちに自治会長と話をつけてくれ、ここに住むどころか専用の家を作ってくれた。 子ふらんは昨夜のうちに、ゆっくりの餡医に預けられている。 交換条件だったさくやによる畑の監視、これはぱちゅりーが眠っている間に既に始められていた。 『さぁきょうこそはおやさいさんをひとりじめする、げすなじじぃからおやさいさんをてにいれるよ!』 『えいえいゆーーーーー!』 『はぁ・・・・・ばかばっか・・・・・』 「こ・・これは凄いな・・・・・糞饅頭共が木偶人形の様になったぞ!」 監視を始め僅か数分で初の襲撃があり、速攻でさくやの能力の有効性を見せる結果となった。 畑に侵入しようとした所をさくやによって静止され、そのまま固まる野生のゆっくり達。 男性達がそれを拾う様に集め一箇所に集める。 『ゆ?ゆゆゆ?どぼぢでこんなとこにいるのぉぉぉぉぉぉ?』 「はっはっは!馬鹿が騒いでやがる!」 『じじぃぃぃぃぃぃ!はやくここからだせぇぇぇぇぇぇぇぇ!』 「お前等は加工所送りだ!いや~良いゆっくりもいたもんだ!愉快愉快!」 さくやの能力により楽に、畑を荒らすゆっくりを集める事が可能となった。 こうして高い評価を得て、気を良くした自治会長の計らいでこの小屋を建てて貰えたのである。 「塗装をどうしようかと思ったんだが、こいつが五月蝿いから紅く塗っておいたぞ。 神社も同じ朱色だから、違和感が無くてちょうどいいしな。」 男性の指差す先に満面の笑顔のれみりゃが、建ったばかりの新こーまかんを眺めていた。 人の配下となるのはれみりゃにとっても思うところはあるが、それ以上に味方と考えるのならこれほど心強い存在は無い。 幸いにもここは山と人里を分ける場所にあり、山のゆっくりはここを通らなければ里には行けず。 畑はさくやが監視しているので隙は無いだろう。 『こーあこーあ!』 「むっきゅ・・・くすぐったいわよ・・・・あなたしゃべれないのね・・・・なまえはなんというのかしら?』 ぱちゅりーの看病により助かった紅髪のゆっくりは、話す事が出来ないようで「こぁこぁ」としか話さない。 それでもぱちゅりーに対する感謝を表そうと身体を擦り付け、親愛を込めて頬を舐めてくる。 「こあでいいじゃねぇか?さっきからこあこあ鳴いてるし。」 『むっきゅ!そうね!きょうからあなたはこあよ!こあゆっくりしていってね!』 「こーあ!こあこあ!」 こうしてれみりゃは、新たな仲間と居城となる場所を得る。 今後人との協定は、れみりゃに何をもたらす事となるのか・・・・ 力が仲間を呼ぶのか仲間が力を呼ぶのか、れみりゃの群れ再興はここから今始まる。 おわり ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー まさか続きを書こうとしてこんなに時間がかかるとは思いもしませんでした。 これも全部仕事が忙しくなったのが悪いんです・・・・・・ 申し訳ありませんが、続きはかなり時間かかると思われます。 時間が無さ過ぎて全然纏まりません。 出来るだけ頑張ってみますので、どうぞお見捨てなきよう御願い致します。 ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板 http //jbbs.livedoor.jp/otaku/13854/ ○○あきのSS感想はこちらへ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1275503703/ 誤字・脱字等あれば勘弁して下さい これまで書いた物 anko1218 ゆ虐ツアー anko1232 ゆ虐ツアー お宅訪問編 anko1243 ゆヤンワーク anko1495 ゆ虐にも補助金を anko1785 ゆうかにゃんはアイドル anko2265 『てんこふみふみ』 anko1237 デスラッチ01 雪原のまりさ anko1250 デスラッチ02 まりさの思い出 anko1274 デスラッチ03 まりさとつむり anko1282 デスラッチ04 まりさとおにいさん anko1314 デスラッチ05 まりさとおちびちゃん anko1337 デスラッチ06 まりさとリボン anko1341 デスラッチ07 まりさと春 anko1711 デスラッチ08 まりさの子ぱちゅりー anko1931 デスラッチ09 まりさの写真 (終) anko1296 デスラッチ外伝01 まりさとまま anko1505 デスラッチ外伝02 まりさとめぐりあい anko2208 デスラッチ外伝03 まりさに出会うまで・・・・・ anko1276 ゆっくり種 anko1278 ゆっくり種2 anko1291 ゆっくり種3 anko1310 ゆっくり種4 anko1331 ゆっくり種5 anko1350 ゆっくり種6 anko1391 ゆっくり種7 anko1482 ゆっくり種8(終) anko1362 ケーキ anko1527 極上 anko1612 砂の世界 anko1768 永遠の命 anko1779 塗りゆ anko1863 れみりあが愛したおちびちゃん anko1872 疾風ゆっくリーガー anko1942 ゆっくりキング anko1969 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前 翌日の朝── 「ゆっゆっゆっ、きょうこそれいむにいっしょにすんでもらうんだぜ」 巣穴から出てきたのはゆっくりまりさ。あの三匹のまりさの内の一匹である。 ちなみに三匹は全員れいむに惚れており、誰が先に自分の伴侶にするか競争しているライバルである。 最も、この三匹はまったくれいむから相手にされていないわけではあるが。 「まずははらごしらえなんだぜ、たべものをさがすんだぜ」 このまりさはゆっくりの中では立派とも言える巣をもっているが、食べ物を保存するという計画性はまったく無かった。 その辺りにある物を食べたり、他のゆっくりから食べ物を無理矢理奪うなど、実にその場しのぎな生活をしていた。 今日もいつもと同じように、食べ物が無いか跳ねながら辺りを見回す。 「ゆっ、なんかあまくていいにおいがするんだぜ」 匂いの元を探して跳ね回ると、さほど離れていない場所に、小さな黒い塊が落ちていた。 どうやら先程の甘い匂いは、この塊から発しているらしい。 まりさは一口丸ごと食べてみる。 「うめぇ!! これめっちゃうめぇ!!」 思わず声に出して叫ぶほど美味しい味がまりさを包んだ。こんな物は食べた事が無い。 この美味しい食べ物がもっと欲しい、まりさは他に同じようなものが無いか辺りを見回す。 すると先程と同じように、黒い塊が点々と落ちていた。 まりさはそれを見るや、点々と落ちている黒い塊を食べながら辿っていく。 道しるべのように点々と落ちていたその先には、大きな黒い塊が落ちていた。 「ゆゆーっ!! これはまりささまのものなんだぜ、だれにもわたさないんだぜ!!」 夢中になってその大きな塊を貪るまりさ。その姿は醜かったが、とても幸せそうだった。 だがそのために気づかなかった。考えもしなかった。 この塊が何でできているかという事に。 この塊が何でここに落ちているかという事に。 自分の家から点々と小さな塊が落ちていたという事に。 いつのまにか、誰かに見られていたという事に。 「がつがつがつがつがつがぶぉぶ!!」 食事中に強い衝撃を受け、黒い塊に突っ込むまりさ。 突然の出来事に思わず吐き出してしまい、吐き出した先に突っ込んでしまった事で、自身の顔がべとべとの黒まみれになってしまう。 食事の邪魔をされたどころか言いようの無い屈辱を受けたまりさは今までに無い怒りを覚えた。 「なにをするんだぜ!! まりささまをおこら……せ……」 後ろを振り向いたまりさは唖然とする。 そこには遠ざかるまりさの姿が見えた。 しかしその帽子には見覚えがある。見間違えることなどない。 まりさは今までに無い怒りを即座に忘れ、さらに強い怒りと焦りを覚える。 「ばがあぁぁぁぁ!!!!! まりざざまのぼうじがえぜええええぇぇぇぇぇ!!!!!」 帽子を奪った相手のスピードはそこまで速くはなく、見失う事は無かった。 しかし追いつくことも無く、一定の間隔以上は離されていた。 それでもまりさは必死になって、自分の帽子を取り戻そうとひた走る。 しばらく走っていると、急に相手のスピードが速くなった。 負けじとまりさも追いつこうとするが、離される一方であり、見えなくなってしまった。 それでも帽子を取り返さなければいけない、ゆっくりできなくなるのは嫌だ。 そんな思いから気力を振り絞って懸命に進む。 そしてその苦労は報われ、先程帽子を奪ったまりさに追いついた。 よくみると、その先にはいつも一緒に行動しているゆっくり仲間がいるではないか。 これで帽子を取り返せると思い、まりさは叫ぶ。 「ごのばがあぁぁぁ、まりざざまのぼうじをざっざどがえじでゆっぐりじねえぇぇぇ!!!!!」 その声にゆっくり達は反応する。 「ゆっ、ゆっくりできないゆっくりがいるよ!!」 「ゆっくりできないゆっくりは、ゆっくりしぬといいんだぜ!!」 「まりささまがころしてやるから、ありがたくおもうんだぜ!!」 まりさは一瞬言っている事が理解できなかった。 仲間達の反応は、自分の考えていた反応とまったく違っていた。 「なにいっでるのおぉぉ!!! ぼうじをうばっだゆっぐりでぎないゆっぐりばあいづだよおぉぉぉ!!!」 「なにねぼけたことをいっているんだぜ? まりささまがぼうしをとられるわけがないんだぜ」 「おお、おろかおろか」 「ゆっくりできないゆっくりはやっぱりばかなんだぜ」 「あんなのがいたらゆっくりできないよ!! みんなあいつをやっつけてね!!」 「「「わかったんだぜ!!!」」」 涙ながらに訴えるが、仲間たちは判ってくれなかった。 それどころか、帽子を奪った犯人と一緒に此方に来るではないか。 「ぢがぶっ!! まりざざまがまりざざまなんだぜえぇぇ!! にぜものはあいぶぅぅぅ!!!」 必死に伝えようとするが、仲間達は聞く耳持たず、それどころか体当たりを仕掛けてきた。 このままでは死んでしまう、そう思ったまりさは一旦逃げることにした。 「まりざざまがまりざざまっでなんでわがっでぐれないんだぜえぇぇぇ!!」 「にがさないんだぜ、ゆっくりしぬといいんだぜ」 「まりささまのなをかたるなんて、しけいなんだぜ」 「まりささまがじきじきにころしてやるから、ありがたくおもうんだぜ」 しばらくまりさは逃げていたが、先程まで全力疾走していたのだ、そう体力も持たなかった。 すぐに三匹のまりさに捕まってしまい、体当たりを受ける事になる。 「ゆぎゃっ、ゆべぇっ、やめるんだぜ、まりざざまばぼんもの゛おぉぉぉ!!」 「うるさいんだぜ、そんなうそにはだまされないんだぜ」 「このごにおよんでうそをつくなんて、おうじょうぎわがわるいんだぜ」 「うそつきのゆっくりはさっさとしぬといいんだぜ」 「ゆぎぃっ、ゆぶっ、ゆげっ、ゆぎゃあぁぁぁ!!!」 最早まりさには体力は残されておらず、ただ三匹のまりさたちのサンドバッグとなる運命しかなかった。 しばらく悲鳴を上げていたが、やがてその声も弱まり、遂にはなんの反応も示さなくなった。 動かなくなったまりさだった物をみて、二匹のまりさはゲラゲラと笑い出す。 「すごくゆっくりしてなかったんだぜ、しんでとうぜんなんだぜ」 「せいぜいあのよでゆっくりするんだぜ」 勝手な事を言って馬鹿笑いをしている二匹に対して、もう一匹のまりさは二匹に聞こえないように呟いた。 「そうだね、おまえたちもいっしょだよね」 「ゆっぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」 「な、な、な、なんなんだぜ!?」 突然悲鳴を上げるまりさに驚き、まりさはそちらを見る。 そこには大きく口を開けて叫ぶまりさの姿が見える。 そしてその後ろにもう一匹、枝を咥えているまりさの姿があった。 「いだいいいぃぃぃ!!! どうじでごんなごどずるんだぜえぇぇえぇぇ!!!!!」 「なにしてるんだぜ!? きがくるったんだぜ?」 背中に枝が突き刺さり、悲鳴を上げるまりさ。 突然の狂った行動に戸惑うまりさ。 状況が理解できていないまりさ達の問いに、枝を咥えているまりさは平然と答える。 「れいむにいわれて、ゆっくりできないまりさをころしているんだぜ。 ゆっくりりかいするんだぜ」 思いもよらない答えにますますわけが判らなくなったまりさ達だったが、痛みでそれどころではないまりさは叫ぶ。 「うぞだあああぁぁぁあぁぁ!!! うぞをいうまりざはゆっぐりじねえぇぇぇええぇぇ!!!」 「うそじゃないんだぜ、ゆっくりしね!!」 「そごのまりざあああぁぁぁあぁぁぁ!! まりざざまをだずげろおぉぉぉおおぉぉぉぉ!!!」 「まりさ、れいむがいってたんだぜ、ゆっくりできないこいつをころすんだぜ!!」 目の前で行われている仲間の行動に頭が追いつかないのは傍観しているまりさだった。 だが目の前の光景や先程言われた言葉、自分の立場を考える。 そして一つの結論を出した。 「ゆっくりしね!!」 「ゆっ!?」 まりさが選択したのは、枝を加えているまりさへの攻撃だった。 枝を加えているまりさは思わず枝を離して攻撃を避ける。 (ちっ、やっぱりうまくはいかないね……でもよそうどおりだよ) 避けたまりさは心を落ち着かせると、体当たりしたまりさを見る。 枝が刺さったまりさは助かったと思い、罵倒を始めだした。 「ゆううぅぅ、たすかったんだぜ!! まりささまをこんなめにあわせたあいつをたおすんだぜ!!」 これであの裏切り者を倒せる、そう怪我をしたまりさは思っていた。だが── 「うるさいんだぜ、まりささまにめいれいするなんて、ひゃくねんはやいんだぜ」 「ゆぶぇ!!」 「……ゆ?」 なんとせっかく助けたまりさを先程体当たりしたまりさは攻撃し始めた。 その行動は完全に予想外であり、身構えていたまりさは唖然としている。 「なにをずるんだぜえぇぇぇ、でぎばあっぢなんだぜえぇぇぇ!!!」 「おまえはれいむにとってじゃまなんだぜ、ゆっくりしね!!」 訳が判らない。傍観者となったまりさはそう思っていた。 だが当事者である二匹には通じているようで── 「あれはあいづのうぞなんだぜえぇぇぇ、れいむばまりざざまのごどがいぢばんずぎなんだぜええぇぇ!!」 「れいむがいちばんすきなのはまりささまなんだぜ、おまえらみたいなくずはゆっくりしぬといいんだぜ!!」 (ああ、そういうことか) 傍観していたまりさは理解した。 こいつは自分にとって都合のいいように解釈しているだけなんだ、 おそらくれいむを取り合うライバルをこの機会に排除しようとしているのだろう。 仮にれいむが排除しようとしてた事が嘘でも、他の二匹の事は嘘を言えばいいと思っているのだろう。 単純な事だった。まりさはそう思った。 「れいむをうばおうとするやつはまりささまがゆるさないんだぜ、ゆっくりしね!!」 最早動かなくなったまりさに対して、執拗にまりさは攻撃し続ける。 その隙を見逃すはずも無く、傍観していたまりさは助走をつけた力一杯の体当たりを仕掛けた。 「ゆぶぎゃっ!!」 全力の体当たりはまりさに大きなダメージを与え、白目をむいて気絶してしまった。 こうなってしまうと後は一方的な展だった。 無傷のまりさは瀕死のまりさから枝を抜き取ると、気絶しているまりさに向かって勢い良く突き立てる。 「ゆっぎゃあああぁぁぁぁぁ!!!!!」 痛みで目を覚ますまりさ。しかしまりさは容赦はせずに枝を動かし、抜き差し、揺さぶっていく。 「やめろばがっ!! やめっ、やっ、やめでっ!!」 罵倒する体力も気力も尽きたのか、しだいに懇願するようになっていった。 「やめでぐだざいっ!! おねがいじまずっ!!」 まりさにとって偉大な自分が相手に懇願するなど屈辱だった。 だがだからこそこれは効果がある。そう信じていた。 事実、その言葉を発した事によって、枝の動きは止まったのだ。 「やめてって……おねがいしてるの?」 「そうだよ!! だがらまりざをだずげでね!!」 ちょろいもんだ、まりさはそう思っていた。 相手にまったく感謝の気持ちなど存在してなかった。 まりささまがここまで譲歩してやったのだ、助けるのは当然のことだ。 傷が癒えたら復讐してやる。頭の中はそのことで一杯だった。 しかし、帰ってきた言葉はまりさの望みとはまったく異なる物だった。 「そうしたおねがいをしたゆっくりに……おまえはどうこたえたの……?」 「うるざいっ!! さっさとだずげろごのばがあぁぁぁあぁぁ!!!」 上辺だけの誠意だったのが、本来の口調にもどるまりさ。 それを聞いて枝を咥えたまりさは動きを戻す。 「ゆぎゃあああぁぁ!!! やめでえぇぇええぇぇ!!!」 最早枝の動きは二度と止まってくれることは無かった。 やがてまりさは唯の黒い塊と化した。 まりさが後ろを見ると、瀕死だったまりさがわずかに這って動いた後があった。 だが結局は黒い塊と化していた。 「これで……あとはあいつだけだね……」 「ゆっ、れいむをまたせるなんて、やっぱりあいつらはつかえないね!!」 何時まで経っても帰ってこないまりさ達に、れいむは文句を垂れていた。 ゆっくりできないゆっくりくらいすぐに片付けることができないなんて、なんて役立たずなんだ。 別の使えるゆっくりを探そうか、そう思い始めた頃にまりさが一匹帰ってきた。 「ゆっくりかえったんだぜ!!」 「ゆっくりしすぎだよ!! れいむをまたせないでね!!」 ばかなの?しぬの?と続けたかったところをれいむは抑える。機嫌を損ねることは避けたかった。 次に何を命令しようか考えようとして、他の二匹がいない事に気づいた。 「ゆゆっ? ほかのまりさはどうしたの?」 「ほかのまりさはゆっくりできないゆっくりにやられてしまったんだぜ」 「ゆゆっ!!」 れいむは怒った。ただしそれはゆっくりできないゆっくりに対しての怒りではなかった。 三匹対一匹にもかかわらずやられるようなまりさなんて役立たずにも程がある。 いっそ切り捨てれて良かったかもしれないとまで思い始めた。 このまりさだって本当は逃げてきたのではないのか? そう疑い、まりさを値踏みするように見始めてれいむは気づいた。 (ゆゆっ? まりさがとてもゆっくりしているよ?) 今日のまりさは一段と輝いて見えた。 皮もしっかりしていて艶があり、とても良いゆっくりに見えた。 これなら一緒になってもいいかなとれいむは心揺らぐ。 そんなまりさが突然話をし始めた。 「れいむ、まえにぱちゅりーをおそったときのこと、おぼえてるんだぜ?」 「ゆゆ?」 どうしてそんなことを聞くんだろう。れいむは疑問に思ったが、まりさに心揺らぎ始めてたので素直に答えた。 「ゆっ、おぼえてるよ!!」 「どうしてぱちゅりーをおそったのか、しりたいんだぜ」 「ゆ? あのぱちゅりーはゆっくりできなかったんだよ?」 「そのゆっくりできなかったりゆうってのをしりたいんだぜ」 執拗に理由について聞いてくるまりさに、れいむは嫌悪感を覚えた。 なんだこいつは、このまりさはこんな些細な事を気にするような奴じゃなかったはずだ。 苛立ちながらもれいむは答えた。 「れいむのさがしてたまりさをおいかけていたからだよ!!」 「……そのまりさってどんなまりさ……?」 「まりさがたべものをうばったまりさでしょ!! そんなこともおぼえてないの?」 れいむの答えを聞くたびに、まりさのテンションは下がっていく。 それに対してれいむの怒りによるテンションは上がっていった。 れいむはここまで言って、あることを思い出す。 「そうだよ!! まだあのときのまりさをみつけてないの? さっさとみつけてきてね!!」 自分でもすっかり忘れていたことを棚に上げ、自分の願いを忘れたまりさを怒るれいむ。 だがまりさはまったく動く気配はなく、それを見てれいむはさらに激昂する。 「なにをぼーっとしているの!? れいむがみつけてほしいっていっているんだよ!? さっさとさがしてきてね!! それともいっていることがわからないの? ばかなの? しぬの? れいむをゆっくりさせないまりさなんてさっさと──」 れいむの罵倒の嵐は中断させられる事となる。 まったく動かなかったまりさが突然れいむの眼前に迫り── そのままれいむは空を見上げる形となる。 空は照りつけていた太陽が雲によって遮られていた。 「ゆぐっ!! なにをするの!! れいむにてをだしてただですむとおもってるの!?、ぜったいにまりさをゆる……さ……」 起き上がり、相手を罵倒しようとしたれいむはそれ以上言葉を紡ぐ事ができなかった。 目の前の出来事が夢ではないかと疑ってしまうほど、れいむには衝撃的だった。 「どうして……」 目の前のゆっくりは命の次に大事という黒い三角帽を外しており、枝を咥えて此方に向けている。 先程まで黒い三角帽のあった場所には、別の帽子がつけられている。 そのゆっくりの被っている帽子に、れいむは見覚えがあった。 おかしい、だってあの帽子をしたぱちゅりーは── 「どうじでばぢゅりぃがいぎでるのおぉぉぉぉ!?!?!?!?!?!?」 ぱちゅりーと呼ばれたゆっくりは、枝を構えてれいむに狙いを定める。 恐怖と混乱で動けなくなっているれいむの瞳を見て、静かに言い放った。 「──まりさは、わたさない」 「ゆっぎゃああああああああああ!!!!!」 恐怖で思うように避けることが出来ず、右の頬を枝によって切られてしまう。 致命傷には程遠いが、れいむは大きく悲鳴をあげていた。 これまで自分で手を下さず他のゆっくりに任せていたため、自分が傷つく体験がなく、痛みに悶えているようだ。 「いだいいだいいだいいぃぃぃ!!!!!」 涙を流しながら大きくのたうち回ること数秒、れいむは見苦しくも命乞いを始めだした。 「ごめんなざいごめんなざい、まりざはあぎらめまず、にどどでをだじまぜん」 「れいむはなにもじでまぜん。ぜんぶあのまりざだぢがやっだんでず」 「ぼんどうでず、ゆるじでぐだざい、おねがいじまず」 「いやだああぁぁぁぁぁ、じにだぐないいいぃぃぃぃぃ、もっどゆっぐりじだいいいぃぃぃぃ」 べらべらと喋るれいむを見て、今までに無い程の怒りが込み上げてくる。 なんなんだこいつは、自分では何もせず他の者にやらせ、自分の思い通りに行かないと納得しない。 そのくせ都合が悪くなると簡単に手のひらを返して仲間のせいにする。 今まで見た中で最低のゆっくりだ。 こんなクズのせいで── こんなクズのせいで── こんなクズのせいで── 「ゆぎゅぶぇ!!」 咥えていた枝を離し、ぱちゅりーの帽子を被ったゆっくりはれいむの上に圧し掛かる。 れいむは潰れはしなかったが、圧し掛かられた衝撃で餡子を吐き出す。 そんなれいむにお構いなく、圧し掛かったゆっくりはゆっくりとれいむのリボンを咥えて── ぶちぶちぶちっと音がした。 「ぎゃあぁぁああああぁああぁぁあああああぁぁぁあぁ!!!!!」 リボンを咥えて全力でそのまま飛び跳ねた結果、れいむの髪の毛ごとリボンを奪い取る。 あまりの痛さにれいむの方は失神してしまったようで、白目をむいて倒れていた。 それを見たぱちゅりー帽子を被ったゆっくりは、少しれいむを見た後、振り返り移動する。 奪い取ったリボンは黒い三角帽の中に入れ、そのまま運び出す。 もうれいむに関して興味は無くなっていた。 「ゆぎぃ、いだいっいだいいぃぃぃぃ!!!」 目を覚ましてすぐ、れいむは激痛に襲われていた。 周りを見てもぱちゅりーはいなかった。 れいむはいなくなったぱちゅりーにむかって怒りをぶつける。 「ゆっぎいいぃぃぃ!!! ぱちゅりーめ、れいむをこんなめにあわせるなんて、ぜったいにころしてやるうぅぅ!!!」 怒って叫ぶが痛みがぶり返してきてしばらく黙る。 落ち着いたところで誰かに助けてもらおうと少しずつ動き出す。 そこに都合よく、れいむとまりさの二匹が通りかかった。 「ゆっ、そこのれいむとまりさ!! れいむをたすけてね!!」 その声に反応するれいむとまりさ。これで助かったとれいむは思った。 だが相手の様子がおかしい。見ればこっちを見る目が険しくなっているではないか。 「ゆっ!! ゆっくりできないゆっくりだよ!!」 「れいむのなまえをかたるなんてわるいゆっくりだね、ゆっくりしね!!」 助けてくれると思っていた二匹が、敵意を向けてこちらに来る。 れいむは事情を理解してもらおうと必死になって叫び始めた。 「ゆううううぅぅぅぅ、なにをずるのおぉぉぉ!! れいむばれいむだよぉぉぉぉ!!」 「ゆっ、そんなうそにはだまされないよ、れいむにはりっぱなりぼんがあるんだよ!!」 「うそつきのゆっくりはゆっくりしね!!」 「ぢがううぅぅぅ!! うぞじゃないいいぃぃぃ!!」 二匹に攻撃され、動く体力も残っていないれいむができることは、ただ殺されるのを待つのみだった。 死にたくない、もっとゆっくりしたい、誰でも良い、あのゆっくりできないゆっくりでもいい、助けてくれ。 そう思うが、そのゆっくりの顔を思い出すことは出来ない。何も思い出すことが出来ない。何も── そうしてれいむは永遠に暗闇の中へゆっくりする事になった。 新たな住処となるはずだった穴の中、まりさは佇んでいた。 全てが終わったはずなのに、全然心が晴れない。 むしろ心に空白が出来た感じもする。 復讐に燃えていた頃は、こんな気持ちにならなかったのに。 いや、空白にはなったことがある。目の前で大切な者が死んで、全てが壊れたと思った時だ。 嫌な思い出なのに、今でも鮮明に覚えている。 笑い声の聞こえなくなった広場で、まりさは傷ついた体を引き摺って進んでいた。 その目はただ虚ろに動かなくなった黒い物体と最愛の者を映していた。 幸いにもまりさは体が痛むだけで、命の素である餡子は流出していない。 この雨で死ぬことはなさそうだが、帽子もないため、危険なことには変わりはなかった。 「ぱちゅりー……」 目の前で大切なものが壊れてしまった。 絶望した子まりさにはただ呟くことしか出来なかった。 その時である。 「まりさ……?」 「ぱっぱちゅりー!? まりさだよ、しっかりしてえぇぇぇ!!!」 「まりさ……だいじょうぶそうだね……よかった……」 動くことはないと思っていた子ぱちゅりーが反応した。 慌てて子まりさは子ぱちゅりーの餡子の流出を抑えようとするが、止まる気配はまったくなかった。 それどころか雨により状況は悪化していく一方だった。 「まりさ……ぱちゅりーはもうだめよ……」 「どうじでぞんなごどいうのぉ!? いっじょになろうっでやぐぞぐじだでじょおぉ!?」 「ごめんねまりさ……ぱちゅりーはやくそくまもれないよ……」 「ばぢゅりーっ!! うごいだらだめっ!! ゆっぐりでぎないよ!!」 もはや子ぱちゅりーは手遅れの状態である。そんなことは誰の目に見ても明らかであった。 しかし子まりさは判っていても認めたくないのか、必死に餡子の流出を抑えようと努力していた。 そんなまりさに、ぱちゅりーは声をかける。 「もういいよ、まりさ……ありがとう」 「だめだよ!! じんじゃっだらゆっぐりでぎないよ!!」 「……まりさ、おねがいがあるの……」 「なんでもぎぐよ、だがらじなないでばちゅりいぃぃぃぃ!!!」 もうぱちゅりーは死んでしまうことは理解していた。最後くらい望みを叶えてやりたい。 子まりさはどんな願いでも聞き届けるつもりだった。 「まりさに……このぼうし、もらってほしいの……」 「ゆっ!?」 「もうぱちゅりーはだめだよ……まりさがもらってくれればゆっくりできるよ……」 「で、でも……」 「ぱちゅりーがしんじゃうまえに……はやく……」 「──わかったよ、ぱちゅりー……」 死んだゆっくりの飾りをつけると、ゆっくりの間では死臭を感知すると同属殺しとみなされ、問答無用で殺されてしまう。 しかし、生きているゆっくりの飾りをつけた場合は、殺される心配はない。 子ぱちゅりーが急かす理由はそこにあった。 自分の飾りをつければゆっくりできないゆっくりとして認識されることはない。 もう死んでいく自分には必要の無いものだ。 帽子を無くした子まりさのためにできる恩返しとして思いついたのが、帽子の譲渡であった。 そんな子ぱちゅりーの意思を汲み、子まりさはぱちゅりーの帽子を受け取った。 「ありがとうまりさ……ぱちゅりーのかわりだとおもってね……」 「ぱちゅりー……」 子ぱちゅりーは微笑んでいた。だがその微笑みは苦しそうであり辛そうであり── 子まりさはそんなぱちゅりーをただじっと見ることしか出来なかった。 そして、最期の時が訪れる。 「……まりさ…………ずっと……ゆっくり……して……いっ……て…………ね…………」 その表情は、とても安らかだった。 「ぜんぜんゆっくりできてないよ……ぱちゅりー……」 まりさは自然と呟いていた。 どうしてぱちゅりーは最期に、ゆっくりしていってねと言ったのか。 いや、それ以前から、まりさのことを確認してからずっとまりさの事を気遣っていた。 この帽子だって、帽子を無くしたまりさが、自分の帽子が無くてもゆっくりできるようにと考えてくれたのだろう。 ぱちゅりーは、優しすぎた。まりさはそう思う。 そんなぱちゅりーだからこそ、それを奪った奴らがどうしようもなく憎かった。 どうしても罰を受けさせたかった。苦しめてやりたかった。殺してやりたかった。 きっとぱちゅりーはそんなことを望んでいないのだろう。だからこそまりさはそれが許せなくて── 晴れた空であるにも関わらず、雨が降っていた。 しばらくして雨が止んだところで、まりさは決意する。 ──行こう。 ぱちゅりーはまりさにゆっくりして欲しいことを願った。 まりさはそれに答えるべきだと考えた。 ただし、この辺りでゆっくりするにはあまりにも辛い思い出が多すぎる。 どこか自分の知らない土地に行こう。そう思って歩きだすと── 「ゆ、ぱちゅりーだね、おひさしぶり!!」 「ゆっ!?」 まりさに声をかけるゆっくりが現れた。 そのゆっくりをまりさは知っていた。見間違えるはずなかった。 自分をここまで育ててくれて、あの日巣立ちの別れをしたまりさ唯一の家族。 まりさの生みの親である母まりさだった。 「まりさはげんきかな? ぱちゅりーにめいわくかけてない?」 「ゆっ……まりさはげんきだよっ!! すごくたすかってるよ!!」 どうやら生みの親も自分が本当の子供だとは気づかないらしい。 要らぬ心配をかけるまでもないと思い、適当に合わせる。 「そう、よかったよ……ゆっ? ぱちゅりー?」 「ゆゆっ!?」 気づかれたか!? まりさは内心焦ってしまう。 だが親まりさはまりさにとって思いもしない言葉を話す。 「ぱちゅりー……なんだかまりさのぱちゅりーおかあさんににているね……」 「っ……」 「ぱちゅりーをみてると……なつかしいふんいきがするよ……」 「……」 「おもいだすよ……いろいろと……」 「……」 「ゆっ、ごめんね!! へんなはなししちゃったね!!」 「ゆっ、そ、そんなことないよ!!」 思い出に浸っていた親まりさだったが、目の前のぱちゅりーに気づき慌てて謝罪する。 言われた本人は少しの間呆然としており、親まりさに言われてこちらも慌てて否定する。 何とも言えない雰囲気になり、両者とも退場しようとする。 だが親まりさの方がまりさに声をかける。 「まって、ぱちゅりー!!」 「ゆっ!?」 まりさはなんだろうと思い、振り返る。 親まりさは此方を振り返ったのを確認して話す。 「まりさのこと、よろしくおねがいするね!! あのこのことだから、つらいことがあったらひとりでせおいこむとおもうんだ。 だから、できればむりをしていないか、きづかってあげてくれるとうれしいな。 わがままなおねがいでごめんね!!」 話すのを終えた後、此方を見ていたぱちゅりーは背を向けた。 どうしたんだろう? 親まりさがそう思っていると、返事が返ってくる。 「ゆっぐりりがいじだよ!!」 そう言って、去っていってしまった。 親まりさは不思議に思うが、その後ろ姿を見送り続けた。 そしてその姿が見えなくなりそうになったところで、親まりさは見た。 「ゆ~っ、とってもきれいだよ~!!」 まりさの進む方向に、きらきらと輝く虹が架かっていた。 あとがき 題名が思いつきませんでした。 ただ単に帽子の違うゆっくりが書きたいなとおもった結果がこれだよ!! このSSに感想を付ける
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前 翌日の朝── 「ゆっゆっゆっ、きょうこそれいむにいっしょにすんでもらうんだぜ」 巣穴から出てきたのはゆっくりまりさ。あの三匹のまりさの内の一匹である。 ちなみに三匹は全員れいむに惚れており、誰が先に自分の伴侶にするか競争しているライバルである。 最も、この三匹はまったくれいむから相手にされていないわけではあるが。 「まずははらごしらえなんだぜ、たべものをさがすんだぜ」 このまりさはゆっくりの中では立派とも言える巣をもっているが、食べ物を保存するという計画性はまったく無かった。 その辺りにある物を食べたり、他のゆっくりから食べ物を無理矢理奪うなど、実にその場しのぎな生活をしていた。 今日もいつもと同じように、食べ物が無いか跳ねながら辺りを見回す。 「ゆっ、なんかあまくていいにおいがするんだぜ」 匂いの元を探して跳ね回ると、さほど離れていない場所に、小さな黒い塊が落ちていた。 どうやら先程の甘い匂いは、この塊から発しているらしい。 まりさは一口丸ごと食べてみる。 「うめぇ!! これめっちゃうめぇ!!」 思わず声に出して叫ぶほど美味しい味がまりさを包んだ。こんな物は食べた事が無い。 この美味しい食べ物がもっと欲しい、まりさは他に同じようなものが無いか辺りを見回す。 すると先程と同じように、黒い塊が点々と落ちていた。 まりさはそれを見るや、点々と落ちている黒い塊を食べながら辿っていく。 道しるべのように点々と落ちていたその先には、大きな黒い塊が落ちていた。 「ゆゆーっ!! これはまりささまのものなんだぜ、だれにもわたさないんだぜ!!」 夢中になってその大きな塊を貪るまりさ。その姿は醜かったが、とても幸せそうだった。 だがそのために気づかなかった。考えもしなかった。 この塊が何でできているかという事に。 この塊が何でここに落ちているかという事に。 自分の家から点々と小さな塊が落ちていたという事に。 いつのまにか、誰かに見られていたという事に。 「がつがつがつがつがつがぶぉぶ!!」 食事中に強い衝撃を受け、黒い塊に突っ込むまりさ。 突然の出来事に思わず吐き出してしまい、吐き出した先に突っ込んでしまった事で、自身の顔がべとべとの黒まみれになってしまう。 食事の邪魔をされたどころか言いようの無い屈辱を受けたまりさは今までに無い怒りを覚えた。 「なにをするんだぜ!! まりささまをおこら……せ……」 後ろを振り向いたまりさは唖然とする。 そこには遠ざかるまりさの姿が見えた。 しかしその帽子には見覚えがある。見間違えることなどない。 まりさは今までに無い怒りを即座に忘れ、さらに強い怒りと焦りを覚える。 「ばがあぁぁぁぁ!!!!! まりざざまのぼうじがえぜええええぇぇぇぇぇ!!!!!」 帽子を奪った相手のスピードはそこまで速くはなく、見失う事は無かった。 しかし追いつくことも無く、一定の間隔以上は離されていた。 それでもまりさは必死になって、自分の帽子を取り戻そうとひた走る。 しばらく走っていると、急に相手のスピードが速くなった。 負けじとまりさも追いつこうとするが、離される一方であり、見えなくなってしまった。 それでも帽子を取り返さなければいけない、ゆっくりできなくなるのは嫌だ。 そんな思いから気力を振り絞って懸命に進む。 そしてその苦労は報われ、先程帽子を奪ったまりさに追いついた。 よくみると、その先にはいつも一緒に行動しているゆっくり仲間がいるではないか。 これで帽子を取り返せると思い、まりさは叫ぶ。 「ごのばがあぁぁぁ、まりざざまのぼうじをざっざどがえじでゆっぐりじねえぇぇぇ!!!!!」 その声にゆっくり達は反応する。 「ゆっ、ゆっくりできないゆっくりがいるよ!!」 「ゆっくりできないゆっくりは、ゆっくりしぬといいんだぜ!!」 「まりささまがころしてやるから、ありがたくおもうんだぜ!!」 まりさは一瞬言っている事が理解できなかった。 仲間達の反応は、自分の考えていた反応とまったく違っていた。 「なにいっでるのおぉぉ!!! ぼうじをうばっだゆっぐりでぎないゆっぐりばあいづだよおぉぉぉ!!!」 「なにねぼけたことをいっているんだぜ? まりささまがぼうしをとられるわけがないんだぜ」 「おお、おろかおろか」 「ゆっくりできないゆっくりはやっぱりばかなんだぜ」 「あんなのがいたらゆっくりできないよ!! みんなあいつをやっつけてね!!」 「「「わかったんだぜ!!!」」」 涙ながらに訴えるが、仲間たちは判ってくれなかった。 それどころか、帽子を奪った犯人と一緒に此方に来るではないか。 「ぢがぶっ!! まりざざまがまりざざまなんだぜえぇぇ!! にぜものはあいぶぅぅぅ!!!」 必死に伝えようとするが、仲間達は聞く耳持たず、それどころか体当たりを仕掛けてきた。 このままでは死んでしまう、そう思ったまりさは一旦逃げることにした。 「まりざざまがまりざざまっでなんでわがっでぐれないんだぜえぇぇぇ!!」 「にがさないんだぜ、ゆっくりしぬといいんだぜ」 「まりささまのなをかたるなんて、しけいなんだぜ」 「まりささまがじきじきにころしてやるから、ありがたくおもうんだぜ」 しばらくまりさは逃げていたが、先程まで全力疾走していたのだ、そう体力も持たなかった。 すぐに三匹のまりさに捕まってしまい、体当たりを受ける事になる。 「ゆぎゃっ、ゆべぇっ、やめるんだぜ、まりざざまばぼんもの゛おぉぉぉ!!」 「うるさいんだぜ、そんなうそにはだまされないんだぜ」 「このごにおよんでうそをつくなんて、おうじょうぎわがわるいんだぜ」 「うそつきのゆっくりはさっさとしぬといいんだぜ」 「ゆぎぃっ、ゆぶっ、ゆげっ、ゆぎゃあぁぁぁ!!!」 最早まりさには体力は残されておらず、ただ三匹のまりさたちのサンドバッグとなる運命しかなかった。 しばらく悲鳴を上げていたが、やがてその声も弱まり、遂にはなんの反応も示さなくなった。 動かなくなったまりさだった物をみて、二匹のまりさはゲラゲラと笑い出す。 「すごくゆっくりしてなかったんだぜ、しんでとうぜんなんだぜ」 「せいぜいあのよでゆっくりするんだぜ」 勝手な事を言って馬鹿笑いをしている二匹に対して、もう一匹のまりさは二匹に聞こえないように呟いた。 「そうだね、おまえたちもいっしょだよね」 「ゆっぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」 「な、な、な、なんなんだぜ!?」 突然悲鳴を上げるまりさに驚き、まりさはそちらを見る。 そこには大きく口を開けて叫ぶまりさの姿が見える。 そしてその後ろにもう一匹、枝を咥えているまりさの姿があった。 「いだいいいぃぃぃ!!! どうじでごんなごどずるんだぜえぇぇえぇぇ!!!!!」 「なにしてるんだぜ!? きがくるったんだぜ?」 背中に枝が突き刺さり、悲鳴を上げるまりさ。 突然の狂った行動に戸惑うまりさ。 状況が理解できていないまりさ達の問いに、枝を咥えているまりさは平然と答える。 「れいむにいわれて、ゆっくりできないまりさをころしているんだぜ。 ゆっくりりかいするんだぜ」 思いもよらない答えにますますわけが判らなくなったまりさ達だったが、痛みでそれどころではないまりさは叫ぶ。 「うぞだあああぁぁぁあぁぁ!!! うぞをいうまりざはゆっぐりじねえぇぇぇええぇぇ!!!」 「うそじゃないんだぜ、ゆっくりしね!!」 「そごのまりざあああぁぁぁあぁぁぁ!! まりざざまをだずげろおぉぉぉおおぉぉぉぉ!!!」 「まりさ、れいむがいってたんだぜ、ゆっくりできないこいつをころすんだぜ!!」 目の前で行われている仲間の行動に頭が追いつかないのは傍観しているまりさだった。 だが目の前の光景や先程言われた言葉、自分の立場を考える。 そして一つの結論を出した。 「ゆっくりしね!!」 「ゆっ!?」 まりさが選択したのは、枝を加えているまりさへの攻撃だった。 枝を加えているまりさは思わず枝を離して攻撃を避ける。 (ちっ、やっぱりうまくはいかないね……でもよそうどおりだよ) 避けたまりさは心を落ち着かせると、体当たりしたまりさを見る。 枝が刺さったまりさは助かったと思い、罵倒を始めだした。 「ゆううぅぅ、たすかったんだぜ!! まりささまをこんなめにあわせたあいつをたおすんだぜ!!」 これであの裏切り者を倒せる、そう怪我をしたまりさは思っていた。だが── 「うるさいんだぜ、まりささまにめいれいするなんて、ひゃくねんはやいんだぜ」 「ゆぶぇ!!」 「……ゆ?」 なんとせっかく助けたまりさを先程体当たりしたまりさは攻撃し始めた。 その行動は完全に予想外であり、身構えていたまりさは唖然としている。 「なにをずるんだぜえぇぇぇ、でぎばあっぢなんだぜえぇぇぇ!!!」 「おまえはれいむにとってじゃまなんだぜ、ゆっくりしね!!」 訳が判らない。傍観者となったまりさはそう思っていた。 だが当事者である二匹には通じているようで── 「あれはあいづのうぞなんだぜえぇぇぇ、れいむばまりざざまのごどがいぢばんずぎなんだぜええぇぇ!!」 「れいむがいちばんすきなのはまりささまなんだぜ、おまえらみたいなくずはゆっくりしぬといいんだぜ!!」 (ああ、そういうことか) 傍観していたまりさは理解した。 こいつは自分にとって都合のいいように解釈しているだけなんだ、 おそらくれいむを取り合うライバルをこの機会に排除しようとしているのだろう。 仮にれいむが排除しようとしてた事が嘘でも、他の二匹の事は嘘を言えばいいと思っているのだろう。 単純な事だった。まりさはそう思った。 「れいむをうばおうとするやつはまりささまがゆるさないんだぜ、ゆっくりしね!!」 最早動かなくなったまりさに対して、執拗にまりさは攻撃し続ける。 その隙を見逃すはずも無く、傍観していたまりさは助走をつけた力一杯の体当たりを仕掛けた。 「ゆぶぎゃっ!!」 全力の体当たりはまりさに大きなダメージを与え、白目をむいて気絶してしまった。 こうなってしまうと後は一方的な展だった。 無傷のまりさは瀕死のまりさから枝を抜き取ると、気絶しているまりさに向かって勢い良く突き立てる。 「ゆっぎゃあああぁぁぁぁぁ!!!!!」 痛みで目を覚ますまりさ。しかしまりさは容赦はせずに枝を動かし、抜き差し、揺さぶっていく。 「やめろばがっ!! やめっ、やっ、やめでっ!!」 罵倒する体力も気力も尽きたのか、しだいに懇願するようになっていった。 「やめでぐだざいっ!! おねがいじまずっ!!」 まりさにとって偉大な自分が相手に懇願するなど屈辱だった。 だがだからこそこれは効果がある。そう信じていた。 事実、その言葉を発した事によって、枝の動きは止まったのだ。 「やめてって……おねがいしてるの?」 「そうだよ!! だがらまりざをだずげでね!!」 ちょろいもんだ、まりさはそう思っていた。 相手にまったく感謝の気持ちなど存在してなかった。 まりささまがここまで譲歩してやったのだ、助けるのは当然のことだ。 傷が癒えたら復讐してやる。頭の中はそのことで一杯だった。 しかし、帰ってきた言葉はまりさの望みとはまったく異なる物だった。 「そうしたおねがいをしたゆっくりに……おまえはどうこたえたの……?」 「うるざいっ!! さっさとだずげろごのばがあぁぁぁあぁぁ!!!」 上辺だけの誠意だったのが、本来の口調にもどるまりさ。 それを聞いて枝を咥えたまりさは動きを戻す。 「ゆぎゃあああぁぁ!!! やめでえぇぇええぇぇ!!!」 最早枝の動きは二度と止まってくれることは無かった。 やがてまりさは唯の黒い塊と化した。 まりさが後ろを見ると、瀕死だったまりさがわずかに這って動いた後があった。 だが結局は黒い塊と化していた。 「これで……あとはあいつだけだね……」 「ゆっ、れいむをまたせるなんて、やっぱりあいつらはつかえないね!!」 何時まで経っても帰ってこないまりさ達に、れいむは文句を垂れていた。 ゆっくりできないゆっくりくらいすぐに片付けることができないなんて、なんて役立たずなんだ。 別の使えるゆっくりを探そうか、そう思い始めた頃にまりさが一匹帰ってきた。 「ゆっくりかえったんだぜ!!」 「ゆっくりしすぎだよ!! れいむをまたせないでね!!」 ばかなの?しぬの?と続けたかったところをれいむは抑える。機嫌を損ねることは避けたかった。 次に何を命令しようか考えようとして、他の二匹がいない事に気づいた。 「ゆゆっ? ほかのまりさはどうしたの?」 「ほかのまりさはゆっくりできないゆっくりにやられてしまったんだぜ」 「ゆゆっ!!」 れいむは怒った。ただしそれはゆっくりできないゆっくりに対しての怒りではなかった。 三匹対一匹にもかかわらずやられるようなまりさなんて役立たずにも程がある。 いっそ切り捨てれて良かったかもしれないとまで思い始めた。 このまりさだって本当は逃げてきたのではないのか? そう疑い、まりさを値踏みするように見始めてれいむは気づいた。 (ゆゆっ? まりさがとてもゆっくりしているよ?) 今日のまりさは一段と輝いて見えた。 皮もしっかりしていて艶があり、とても良いゆっくりに見えた。 これなら一緒になってもいいかなとれいむは心揺らぐ。 そんなまりさが突然話をし始めた。 「れいむ、まえにぱちゅりーをおそったときのこと、おぼえてるんだぜ?」 「ゆゆ?」 どうしてそんなことを聞くんだろう。れいむは疑問に思ったが、まりさに心揺らぎ始めてたので素直に答えた。 「ゆっ、おぼえてるよ!!」 「どうしてぱちゅりーをおそったのか、しりたいんだぜ」 「ゆ? あのぱちゅりーはゆっくりできなかったんだよ?」 「そのゆっくりできなかったりゆうってのをしりたいんだぜ」 執拗に理由について聞いてくるまりさに、れいむは嫌悪感を覚えた。 なんだこいつは、このまりさはこんな些細な事を気にするような奴じゃなかったはずだ。 苛立ちながらもれいむは答えた。 「れいむのさがしてたまりさをおいかけていたからだよ!!」 「……そのまりさってどんなまりさ……?」 「まりさがたべものをうばったまりさでしょ!! そんなこともおぼえてないの?」 れいむの答えを聞くたびに、まりさのテンションは下がっていく。 それに対してれいむの怒りによるテンションは上がっていった。 れいむはここまで言って、あることを思い出す。 「そうだよ!! まだあのときのまりさをみつけてないの? さっさとみつけてきてね!!」 自分でもすっかり忘れていたことを棚に上げ、自分の願いを忘れたまりさを怒るれいむ。 だがまりさはまったく動く気配はなく、それを見てれいむはさらに激昂する。 「なにをぼーっとしているの!? れいむがみつけてほしいっていっているんだよ!? さっさとさがしてきてね!! それともいっていることがわからないの? ばかなの? しぬの? れいむをゆっくりさせないまりさなんてさっさと──」 れいむの罵倒の嵐は中断させられる事となる。 まったく動かなかったまりさが突然れいむの眼前に迫り── そのままれいむは空を見上げる形となる。 空は照りつけていた太陽が雲によって遮られていた。 「ゆぐっ!! なにをするの!! れいむにてをだしてただですむとおもってるの!?、ぜったいにまりさをゆる……さ……」 起き上がり、相手を罵倒しようとしたれいむはそれ以上言葉を紡ぐ事ができなかった。 目の前の出来事が夢ではないかと疑ってしまうほど、れいむには衝撃的だった。 「どうして……」 目の前のゆっくりは命の次に大事という黒い三角帽を外しており、枝を咥えて此方に向けている。 先程まで黒い三角帽のあった場所には、別の帽子がつけられている。 そのゆっくりの被っている帽子に、れいむは見覚えがあった。 おかしい、だってあの帽子をしたぱちゅりーは── 「どうじでばぢゅりぃがいぎでるのおぉぉぉぉ!?!?!?!?!?!?」 ぱちゅりーと呼ばれたゆっくりは、枝を構えてれいむに狙いを定める。 恐怖と混乱で動けなくなっているれいむの瞳を見て、静かに言い放った。 「──まりさは、わたさない」 「ゆっぎゃああああああああああ!!!!!」 恐怖で思うように避けることが出来ず、右の頬を枝によって切られてしまう。 致命傷には程遠いが、れいむは大きく悲鳴をあげていた。 これまで自分で手を下さず他のゆっくりに任せていたため、自分が傷つく体験がなく、痛みに悶えているようだ。 「いだいいだいいだいいぃぃぃ!!!!!」 涙を流しながら大きくのたうち回ること数秒、れいむは見苦しくも命乞いを始めだした。 「ごめんなざいごめんなざい、まりざはあぎらめまず、にどどでをだじまぜん」 「れいむはなにもじでまぜん。ぜんぶあのまりざだぢがやっだんでず」 「ぼんどうでず、ゆるじでぐだざい、おねがいじまず」 「いやだああぁぁぁぁぁ、じにだぐないいいぃぃぃぃぃ、もっどゆっぐりじだいいいぃぃぃぃ」 べらべらと喋るれいむを見て、今までに無い程の怒りが込み上げてくる。 なんなんだこいつは、自分では何もせず他の者にやらせ、自分の思い通りに行かないと納得しない。 そのくせ都合が悪くなると簡単に手のひらを返して仲間のせいにする。 今まで見た中で最低のゆっくりだ。 こんなクズのせいで── こんなクズのせいで── こんなクズのせいで── 「ゆぎゅぶぇ!!」 咥えていた枝を離し、ぱちゅりーの帽子を被ったゆっくりはれいむの上に圧し掛かる。 れいむは潰れはしなかったが、圧し掛かられた衝撃で餡子を吐き出す。 そんなれいむにお構いなく、圧し掛かったゆっくりはゆっくりとれいむのリボンを咥えて── ぶちぶちぶちっと音がした。 「ぎゃあぁぁああああぁああぁぁあああああぁぁぁあぁ!!!!!」 リボンを咥えて全力でそのまま飛び跳ねた結果、れいむの髪の毛ごとリボンを奪い取る。 あまりの痛さにれいむの方は失神してしまったようで、白目をむいて倒れていた。 それを見たぱちゅりー帽子を被ったゆっくりは、少しれいむを見た後、振り返り移動する。 奪い取ったリボンは黒い三角帽の中に入れ、そのまま運び出す。 もうれいむに関して興味は無くなっていた。 「ゆぎぃ、いだいっいだいいぃぃぃぃ!!!」 目を覚ましてすぐ、れいむは激痛に襲われていた。 周りを見てもぱちゅりーはいなかった。 れいむはいなくなったぱちゅりーにむかって怒りをぶつける。 「ゆっぎいいぃぃぃ!!! ぱちゅりーめ、れいむをこんなめにあわせるなんて、ぜったいにころしてやるうぅぅ!!!」 怒って叫ぶが痛みがぶり返してきてしばらく黙る。 落ち着いたところで誰かに助けてもらおうと少しずつ動き出す。 そこに都合よく、れいむとまりさの二匹が通りかかった。 「ゆっ、そこのれいむとまりさ!! れいむをたすけてね!!」 その声に反応するれいむとまりさ。これで助かったとれいむは思った。 だが相手の様子がおかしい。見ればこっちを見る目が険しくなっているではないか。 「ゆっ!! ゆっくりできないゆっくりだよ!!」 「れいむのなまえをかたるなんてわるいゆっくりだね、ゆっくりしね!!」 助けてくれると思っていた二匹が、敵意を向けてこちらに来る。 れいむは事情を理解してもらおうと必死になって叫び始めた。 「ゆううううぅぅぅぅ、なにをずるのおぉぉぉ!! れいむばれいむだよぉぉぉぉ!!」 「ゆっ、そんなうそにはだまされないよ、れいむにはりっぱなりぼんがあるんだよ!!」 「うそつきのゆっくりはゆっくりしね!!」 「ぢがううぅぅぅ!! うぞじゃないいいぃぃぃ!!」 二匹に攻撃され、動く体力も残っていないれいむができることは、ただ殺されるのを待つのみだった。 死にたくない、もっとゆっくりしたい、誰でも良い、あのゆっくりできないゆっくりでもいい、助けてくれ。 そう思うが、そのゆっくりの顔を思い出すことは出来ない。何も思い出すことが出来ない。何も── そうしてれいむは永遠に暗闇の中へゆっくりする事になった。 新たな住処となるはずだった穴の中、まりさは佇んでいた。 全てが終わったはずなのに、全然心が晴れない。 むしろ心に空白が出来た感じもする。 復讐に燃えていた頃は、こんな気持ちにならなかったのに。 いや、空白にはなったことがある。目の前で大切な者が死んで、全てが壊れたと思った時だ。 嫌な思い出なのに、今でも鮮明に覚えている。 笑い声の聞こえなくなった広場で、まりさは傷ついた体を引き摺って進んでいた。 その目はただ虚ろに動かなくなった黒い物体と最愛の者を映していた。 幸いにもまりさは体が痛むだけで、命の素である餡子は流出していない。 この雨で死ぬことはなさそうだが、帽子もないため、危険なことには変わりはなかった。 「ぱちゅりー……」 目の前で大切なものが壊れてしまった。 絶望した子まりさにはただ呟くことしか出来なかった。 その時である。 「まりさ……?」 「ぱっぱちゅりー!? まりさだよ、しっかりしてえぇぇぇ!!!」 「まりさ……だいじょうぶそうだね……よかった……」 動くことはないと思っていた子ぱちゅりーが反応した。 慌てて子まりさは子ぱちゅりーの餡子の流出を抑えようとするが、止まる気配はまったくなかった。 それどころか雨により状況は悪化していく一方だった。 「まりさ……ぱちゅりーはもうだめよ……」 「どうじでぞんなごどいうのぉ!? いっじょになろうっでやぐぞぐじだでじょおぉ!?」 「ごめんねまりさ……ぱちゅりーはやくそくまもれないよ……」 「ばぢゅりーっ!! うごいだらだめっ!! ゆっぐりでぎないよ!!」 もはや子ぱちゅりーは手遅れの状態である。そんなことは誰の目に見ても明らかであった。 しかし子まりさは判っていても認めたくないのか、必死に餡子の流出を抑えようと努力していた。 そんなまりさに、ぱちゅりーは声をかける。 「もういいよ、まりさ……ありがとう」 「だめだよ!! じんじゃっだらゆっぐりでぎないよ!!」 「……まりさ、おねがいがあるの……」 「なんでもぎぐよ、だがらじなないでばちゅりいぃぃぃぃ!!!」 もうぱちゅりーは死んでしまうことは理解していた。最後くらい望みを叶えてやりたい。 子まりさはどんな願いでも聞き届けるつもりだった。 「まりさに……このぼうし、もらってほしいの……」 「ゆっ!?」 「もうぱちゅりーはだめだよ……まりさがもらってくれればゆっくりできるよ……」 「で、でも……」 「ぱちゅりーがしんじゃうまえに……はやく……」 「──わかったよ、ぱちゅりー……」 死んだゆっくりの飾りをつけると、ゆっくりの間では死臭を感知すると同属殺しとみなされ、問答無用で殺されてしまう。 しかし、生きているゆっくりの飾りをつけた場合は、殺される心配はない。 子ぱちゅりーが急かす理由はそこにあった。 自分の飾りをつければゆっくりできないゆっくりとして認識されることはない。 もう死んでいく自分には必要の無いものだ。 帽子を無くした子まりさのためにできる恩返しとして思いついたのが、帽子の譲渡であった。 そんな子ぱちゅりーの意思を汲み、子まりさはぱちゅりーの帽子を受け取った。 「ありがとうまりさ……ぱちゅりーのかわりだとおもってね……」 「ぱちゅりー……」 子ぱちゅりーは微笑んでいた。だがその微笑みは苦しそうであり辛そうであり── 子まりさはそんなぱちゅりーをただじっと見ることしか出来なかった。 そして、最期の時が訪れる。 「……まりさ…………ずっと……ゆっくり……して……いっ……て…………ね…………」 その表情は、とても安らかだった。 「ぜんぜんゆっくりできてないよ……ぱちゅりー……」 まりさは自然と呟いていた。 どうしてぱちゅりーは最期に、ゆっくりしていってねと言ったのか。 いや、それ以前から、まりさのことを確認してからずっとまりさの事を気遣っていた。 この帽子だって、帽子を無くしたまりさが、自分の帽子が無くてもゆっくりできるようにと考えてくれたのだろう。 ぱちゅりーは、優しすぎた。まりさはそう思う。 そんなぱちゅりーだからこそ、それを奪った奴らがどうしようもなく憎かった。 どうしても罰を受けさせたかった。苦しめてやりたかった。殺してやりたかった。 きっとぱちゅりーはそんなことを望んでいないのだろう。だからこそまりさはそれが許せなくて── 晴れた空であるにも関わらず、雨が降っていた。 しばらくして雨が止んだところで、まりさは決意する。 ──行こう。 ぱちゅりーはまりさにゆっくりして欲しいことを願った。 まりさはそれに答えるべきだと考えた。 ただし、この辺りでゆっくりするにはあまりにも辛い思い出が多すぎる。 どこか自分の知らない土地に行こう。そう思って歩きだすと── 「ゆ、ぱちゅりーだね、おひさしぶり!!」 「ゆっ!?」 まりさに声をかけるゆっくりが現れた。 そのゆっくりをまりさは知っていた。見間違えるはずなかった。 自分をここまで育ててくれて、あの日巣立ちの別れをしたまりさ唯一の家族。 まりさの生みの親である母まりさだった。 「まりさはげんきかな? ぱちゅりーにめいわくかけてない?」 「ゆっ……まりさはげんきだよっ!! すごくたすかってるよ!!」 どうやら生みの親も自分が本当の子供だとは気づかないらしい。 要らぬ心配をかけるまでもないと思い、適当に合わせる。 「そう、よかったよ……ゆっ? ぱちゅりー?」 「ゆゆっ!?」 気づかれたか!? まりさは内心焦ってしまう。 だが親まりさはまりさにとって思いもしない言葉を話す。 「ぱちゅりー……なんだかまりさのぱちゅりーおかあさんににているね……」 「っ……」 「ぱちゅりーをみてると……なつかしいふんいきがするよ……」 「……」 「おもいだすよ……いろいろと……」 「……」 「ゆっ、ごめんね!! へんなはなししちゃったね!!」 「ゆっ、そ、そんなことないよ!!」 思い出に浸っていた親まりさだったが、目の前のぱちゅりーに気づき慌てて謝罪する。 言われた本人は少しの間呆然としており、親まりさに言われてこちらも慌てて否定する。 何とも言えない雰囲気になり、両者とも退場しようとする。 だが親まりさの方がまりさに声をかける。 「まって、ぱちゅりー!!」 「ゆっ!?」 まりさはなんだろうと思い、振り返る。 親まりさは此方を振り返ったのを確認して話す。 「まりさのこと、よろしくおねがいするね!! あのこのことだから、つらいことがあったらひとりでせおいこむとおもうんだ。 だから、できればむりをしていないか、きづかってあげてくれるとうれしいな。 わがままなおねがいでごめんね!!」 話すのを終えた後、此方を見ていたぱちゅりーは背を向けた。 どうしたんだろう? 親まりさがそう思っていると、返事が返ってくる。 「ゆっぐりりがいじだよ!!」 そう言って、去っていってしまった。 親まりさは不思議に思うが、その後ろ姿を見送り続けた。 そしてその姿が見えなくなりそうになったところで、親まりさは見た。 「ゆ~っ、とってもきれいだよ~!!」 まりさの進む方向に、きらきらと輝く虹が架かっていた。 あとがき 題名が思いつきませんでした。 ただ単に帽子の違うゆっくりが書きたいなとおもった結果がこれだよ!! このSSに感想を付ける
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アスキーアート注意、携帯で読まれている方はアスキーアートの部分を飛ばしてお楽しみください。 説明をわかりやすくするための配慮ですので、要望があれば文章にて詳しく説明します。 ぱちゅりーちゃんが部屋の隅に置かれたピアノ、アップライトのタイプです。それに、近づきます。私たちはぼぉーっと見ていると、ぱちゅりーちゃんから手招きをされてしまいました。 やや小走りでピアノに近づくと、パチュリーちゃんはピアノの蓋を開け、鍵盤に掛かっている布を取り説明を始めます。 「今から教えることは、そうね。たとえ楽器を始めなくても、とても有効なこと。自慢して優位にも立てるし、役に立つ場面も多い。作曲なんかを志すんだったら、必須。覚えておくことね」 前置きをそこそこに、ぱちゅりーちゃんが鍵盤に手を置きます。 「手を生卵を持つようにとかどうでもいいのよ、大切なのは知識。それから、フォーム。人は、皆それを異端というけれど。 …音階、スケールと呼ばれるもの。『ドレミファソラシド』の綺麗な並び、あれが『スケール』」 「…?」 早速話が飛躍して、わからないです。ぱちゅりーちゃん…? 「難しい話ではないわ。単純に『ドレミファソラシドにする作業』と覚えてしまえばいい。試しに、ドからずっと白鍵を弾くと、綺麗な音が聞こえるわよね?」 ドレミ~…と、ぱちゅりーちゃんが音を奏でていきます。確かに、綺麗に音が響いていきました。 「なら、レからなら」 ぱちゅりーちゃんは、黒鍵が2つある場所の真ん中からドレミを弾き始めます。レ、ミ、ファと、なんだか残念な音が聞こえました。 「そんなあからさまに顔をしかめないでよ、聞いてくれてるんだなってわかって嬉しいけれど。これ、『法則』を使って綺麗な音にすることが出来るの」 ぱちゅりーちゃんが、再びレの場所からドレミを弾いて行きます。今度は、黒鍵を交えて。レ、ミ、ファ…、先ほどの残念な響きとは打って変わって、全く『ドレミの響きと一緒』の、音を一つあげた綺麗な響きが聞こえるじゃないですか! 「どう? これが、スケール。これね、きっと音楽の授業で先生から説明を受けているのだろうけれど、皆理解しようとしないで名前だけ知っているだけだと思うわ。『音階』、これは『2、2、1、2、2、2、1』の法則。この221がドレミファソラシドなのよ」 「えっと、」 「『全全半全全全半』ね。もしくは、『2こ2こ1こ2こ2こ2こ1こ』。言葉で説明も出来るけど、絶対に誤解するから。見ていて」 │ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ └┘└┘ │ └┘└┘└┘ │ └┘└┘ ││ド │ │ │ │ │ │ │ド │ │ │└─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘「あぁ~面倒臭い!! そうよ、どうせ手抜きよ! 私には無理、なんか文句ある!?」「落ち着いて、ぱちゅりーちゃん!」「これでずれてたらどうしようもないわ。ともかく、鍵盤があるわね。『ド』から始まるドレミの法則」│ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ │2 ││ │ ││││││ │ ││││ ││ └┘└┘ │ └┘└┘└┘ │ └┘└┘ ││①│ │ │ │ │ │ │ │ │ │└─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘「ずれた。ごめん」「諦めないで、ぱちゅりーちゃん!」「まあいいや、黒鍵の番号は上に表記するわ。ともかく、これが最初の『2』…」 2 2│ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ └┘└┘ │ └┘└┘└┘ │ └┘└┘ ││①│①│ │ │ │ │ │ │ │ │└─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘「2つめの『2』。2こ数えたわね?」 2 2│ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ └┘└┘ │ └┘└┘└┘ │ └┘└┘ ││①│①│1 │ │ │ │ │ │ │ │└─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘「3つめは『1』だから2つ『数えない』の」 2 2 2│ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ └┘└┘ │ └┘└┘└┘ │ └┘└┘ ││①│①│1 │①│ │ │ │ │ │ │└─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘「4つめの『2』…。この数える作業を、1の手前の6つ目まで続けて」 2 2 2 2 2│ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ └┘└┘ │ └┘└┘└┘ │ └┘└┘ ││①│①│1 │①│①│①│ │ド │ │ │└─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘「それぞれ2つずつ数えて、最後は『1』だから」 2 2 2 2 2│ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ └┘└┘ │ └┘└┘└┘ │ └┘└┘ ││①│①│1 │①│①│①│1 │ド │ │ │└─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘「1つ数える。おわり。で、また続けるならドから『2』」「…、ええと」「『2』とはグループ、『1』とは単音。口で言われたり文章にされるとなんでわかりずらいかは、『実際にやれない』からなのよ。音を出して、①と1の部分だけ弾いてみて? この場合だと、綺麗に音をだせるのは当たり前だけど」恐る恐る、震える手でドレミを弾いていきます。ぱちゅりーちゃんみたいに指全部ではなく、人差し指で、一つ一つ。…何も代わり映えの無い、ただのドレミでした。緊張する必要性はさっぱりでした。「そんな、不機嫌な顔しないの。今のは例だから、とびきりわかりやすいね。…これを、レの法則に当てはめる」 2 │ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ └┘└┘ │ └┘└┘└┘ │ └┘└┘ ││ド │①│①│2 │ │ │ │ド │ │ │└─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘ ↑スタート「あんまりに面倒だから途中までやっちゃったわ。どう、気付いた? さっきの時は『黒鍵に当てはまってた2』が、『白鍵まで来ている』のよ。すなわち、次の『1』は」 2 『①』│ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ └┘└┘ │ └┘└┘└┘ │ └┘└┘ ││ド │①│①│2 │ │ │ │ド │ │ │└─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘ ↑スタート「ここね。わかりづらいかもしれないけど、ここ。黒鍵を使うのよ、そうすれば矛盾が無くなる」「…!」 2 ① 2 2 『①』 (2)│ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ ││││ │ ││││││ │ ││││ ││ └┘└┘ │ └┘└┘└┘ │ └┘└┘ ││ド │①│①│2 │①│①│①│2 │(1)│ │└─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘ ↑スタート ↑ゴール「こうなるわね。『2つずつ音を出して、前の音。ときどき1つだけの時がある』って解釈しているわ。どう、わかりやすい?」「…AAが変だから、なんとも」「ああもう、本気だすわよ! 見てなさい!」│ │ ││ │ │ │ ││ ││ │ │ │ │││ ││ │ ││ │ │ │ ││ ││ │ │ │ │││ ││ │ ││ │ │ │ ││ ││ │ │ │ │││ ││ │ ││ │ │ │ ││ ││ │ │ │ │││ ││ └ ┘└ ┘ │ └ ┘└ ┘└ ┘ │ └ ┘└┘ ││ド │ │ │ │ │ │ │ド │ │ │└─ ┘─ ┘─ ┘─ ┘─ ┘─ ┘─┘─ ┘─┘─┘「こうして、」│ │ ││ │ │ │ ││ ││ │ │ │ │││ ││ │ ││ │ │ │ ││ ││ │ │ │ │││ ││ │ ││ │ │ │ ││ ││ │ │ │ │││ ││ │ ││2│ │ │① │2││2│ │ │① ││ ││ └ ┘└ ┘ │ └ ┘└ ┘└ ┘ │ └ ┘└┘ ││ド │ ① │ ① │ 2 │ ① │ ① │①│ 2 │①│ │└ ┘─ ┘─ ┘─ ┘─ ┘─ ┘─┘─ ┘─┘─┘ ↑重要! ↑「どうよ!」「さっきみたいに『1』の部分が割り振りされてないからなんとも…」「ああもう何とでもいいなさいよ! ほら、さっさと①の部分を弾いて」ぱちゅりーちゃんは怒り気味ですが、どうしたのでしょう。ともかく、歯向かうと怖いので素直に黒鍵を交えて①の部分を弾きます。レ、ミ、ファ…。ひ、弾けました! 『ドレミファソラシド』と、『レから始まった綺麗なドレミの並び』が、弾けました!「…これが、『スケール』。ドレミよ、『コード』を弾く上でとても重要になる。スケールの呼び方は始まりの場所により『Cのスケール』などと呼ぶわ。日本的な言い方だと、『ハ長調』とか。『長調』もスケールと同じ意味で、ドレミよ。様々な曲は、このスケールにより『8つの音にふるいを落とされて』形成されているの。もちろん、このスケールはどんな場所から、黒鍵からでも通用するわ。本当、『枠組み』ね」【ついでに、ピアノ フラッシュ でググると一番上あたりにピアノのフラッシュが出てくるわ。パソコンの環境が整ってる方は、是非試してみて頂戴。携帯の方は、こんなアスキーアート使って申し訳無いわ。私は携帯で見る人を心がけて文章を構成しているつもり、けれどこの説明はどうしてもわかりやすくしたくて。コメントで、要望があればこの部分だけスレに投下するから、べっかんこで見て頂戴】【ぱちゅりーちゃん…?】【…閑話休題。戻りましょう】「なるほど…。これにより、『不協和音』というか、残念な音を防ぐのですね」「お、物分りいいじゃない。その通り、和音とは限らなくても、『バンドの楽器の音』の残念な音を防ぐために重要。今から説明するコードなんて、まさに防ぎまくりよ? じゃあ、下記を見て」│ │ ││ │ │ │ ││ ││ │ │ │ │││ ││ │ ││ │ │ │ ││ ││ │ │ │ │││ ││ │ ││ │ │ │ ││ ││ │ │ │ │││ ││ │1││3│ │ │2││ ││ │ │ │ │││ ││ └ ┘└ ┘ 4│ └ ┘└ ┘└ ┘ │ └ ┘└┘ ││ド │ 2 │ ミ │ 1 │ ソ3│ │ │ │ │ │└─ ┘─ ┘─ ┘─ ┘─ ┘─ ┘─┘─ ┘─┘─┘「この『ド、ミ、ソ』。すでに、コードよ」「なるほど、音が重なってますもんね」「ええ。これも、法則。一応このドミソはドの『次の音』から数えて『4、3』の区切りになっているわ、数えてみて頂戴」「…数えました、ちゃんとあります!」「この『次の音』っていうのが落とし穴で、私もよくだまされたわ…。まあ、これがいわゆる『メジャーコード』。覚えなくていいけどね、どうせ『スケールで変わる』のだから」│ │ ││ │ │ │ ││ ││ │ │ │ │││ ││ │ ││ │ │ │ ││ ││ │ │ │ │││ ││ │ ││3│ │ │ ││ ││ │ │ │ │││ ││ │1││ミ│ │ │3││ ││ │ │ │ │││ ││ └ ┘└ ┘ │ └ ┘└ ┘└ ┘ │ └ ┘└┘ ││ド │ 2 │ 1 │ 2 │ ソ4│ │ │ │ │ │└─ ┘─ ┘─ ┘─ ┘─ ┘─ ┘─┘─ ┘─┘─┘ ※ミはフラット(♭、一つ下がる)になっています! 「これ、『マイナーコード』。『真ん中が一つ下がる』って解釈でいいわ。まあ、法則は【3、4】とあるのですけれど。そんな大事じゃないからすみつきカッコ。 これら、2つを用いるわ。他にも何種類かコードはあるけど、基礎はこれ。覚えきれないだろうし、正直他のコードは『これの応用、展開』だから直接覚えなくていいわ。本格的に『ジャズ』などをやるんだったら必要だけど」 「は、はあ」 「このメジャーとマイナーコード。使い分けは、スケールよ。コードは何もつかなければ基本的にメジャーを差すわ。Dのコードは『レから始まる4、3』で『レ、ファのシャープ(♯、半音上がる方)、ラ』。 でも、スケールがC、『黒鍵がさっぱりない』状況だったら? …『スケールは絶対』、妥協して『真ん中のファ♯をただのファに下げる』。これが、マイナーコードね」 「…なるほど!」 「理解した? 『スケールにあわせる』のよ、ガツガツ和音の種類を覚える必要は無い。メジャーコードを率先して覚えて、余力があったらマイナーも。 スケールはね、既に先人がリストを作っているからググりなさい、そして照らし合わせる。メジャーコードもスケールもなるべく『直感で覚えた方がいい』わね、覚えないと満足に『ソロも出来ない』し、何より面倒じゃない?」 「なるほど、メモメモ…」 【ちなみに、英語のドレミはドから『C,D,E,F,G,A,B,C』になっています! コードのAA、ずれていてごめんね! だから今紹介したDのコードはレから始まっていることになるんだね! 日本語も、ハニホヘトイロハ! これは覚えなくていいかな、以上咲夜メモでしたっ!】 「うわあ! びっくりした!」 「何驚いているの? それに、メモ用紙持って無いじゃない。ともかく、ざっとこの位かな。これさえ頭の片隅に入れておけば、あとは手が動くだけ。手が動けば、ライブが行える」 今人が居たような気がしたんだけど、気のせいかな。ぱちゅりーちゃんが私に優しく語り掛けてくれます。 ずっと先にあると思っていた、ライブ。案外、手の届くところにある様な気がします。 けれど、キーボードって、こんな簡単なのかな…? 「楽器はね、基本的に簡単なのよ。難しいことを要求しなければ。ベースでいう『スラッピング、スラップ』とかギターでいう『ハーモニクス』、これは簡単か。まあ、とか。 『基礎を固めること!』さなえちゃんにキーボードの楽器説明で『ケーキのデコレーション、苺の部分』って説明したけどキーボードにも『スポンジ』なる『クリーム』なる部分があるの。まずは、『スポンジから』よ!」 ぱちゅりーちゃんが拳を高らかに挙げ、熱く私たち2人を呼びかけます! 私も、なんだかやる気が出てきました…。やるぞお、キーボード…!! さとりちゃんの様子を伺います。さとりちゃんは、目を点にして思考を放棄したみたいです。サクサクと小刻み良い音を立てながらルマンドとホワイトロリータを口に頬張っています。 戻って来て、さとりちゃん! 「…ぷはっ、何よ、なんなのよ! どーせ私はドラムだもん、ただ叩けばいいんだもんっ! ぷんっ」 「拗ねちゃったわね。いつか機嫌直るでしょう、放っておきましょう」 ぱちゅりーちゃんの手慣れた扱いに、一抹の恐怖を感じました。 「それと、練習に楽器店で触った『ペラペラな鍵盤』のものを使わない方がいいわよ、あれはあくまで『本番用』。ちゃんとハンマーが付いていて『重い』やつじゃないと指の筋力がつかないのよ、変な癖も付くだろうし。 家、近いのでしょう? よかったら家のピアノを使わせてあげるわ、指を動かせるようにする楽譜も簡単なのを用意しましょう。指をある程度。『森のくまさん』が弾ける程度になれば和音は自由に押さえられるわ」 『森のくまさん』…。さらっと言われましたけど、それって十分ピアノが弾けているのではないでしょうか。 まだまだ道のりは遠い…。 「そうでもない、大体『3日』くらいあれば弾けるわ。『1日や2日』じゃあ無理、2日目どうしても弾けなくて不貞寝して、3日目何故かスイスイ弾けるようになるだとか。 『ウィザードリィ』、わかる? 別に、たとえではないけれど。あのゲーム、『寝るとレベルがあがる』のよ。手も、休めるとなんか動くようになるのよね」 弦楽器だけでは無く、とことんピアノに詳しいぱちゅりーちゃん。ぱちゅりーちゃんは、本当にピアノやキーボードをやっていないのでしょうか? 「ぱちゅりーちゃん、実は鍵盤弾けるのでは無いですか? さっきのドレミも、『指全体を使って、指5本だけでは足り無そうになったら親指を駆使して』弾いていましたし」 「…むきゅ。まあ、それこそ森のくまさんくらいなら」 「やってみてくださいよ!」 意外な所に、お手本となる人がいたなんて! 是非やって貰いたいです、どんな風なのか! 「ええ、恥ずかしいわ、正直…」 …しかし、ぱちゅりーちゃんは乗り気ではありません。顔に赤みをおびらせ、照れています。…そんな格好には騙されませんよ! さっき散々不恰好でお菓子をバリボリ食べていた人が恥じらいの何を語るのですか! 「ほら、ほら! やってください!」 「むきゅ…。わらわ、ないでね?」 ぱちゅりーちゃんが不安そうに私たちの顔色を伺います、そして弾き始めました。…あるー日、もりのっなっか~♪ 「…ぷ。ふ、くすくす」 上手い、上手いのだけれど! …元々の曲の固有概念と単音だけのチープな演奏、何よりその様な演奏をぱちゅりーちゃんが弾いているというギャップが、笑いを、誘う…! 「は、はっは! あっはっはっはっは! やめて、く゛る゛し゛…!」 先ほどから空気を噴き出していたさとりちゃんがバカ笑いを始めました。堪えられない、十分に堪えたという顔つきです。 ぱちゅりーちゃんの顔色は、湯気が立つのではないかというスピードでどんどん紅潮していきます。 「だから、演奏したくなかったのよ!」 ぱちゅりーちゃんが涙目になりながら、とうとうそっぽを向いて拗ねてしまいました。拗ねる人多いですね、私たち。 ごめんごめんと後ろから声をかけて肩を叩き、ぱちゅりーちゃんを慰めます。 「…くすん、むきゅ。ともかく、あれくらいが目安ね」 「…目安、かあ」 笑ってはいたけれど。私にとっては死活問題です。 確かにチープな演奏でしたが、両腕、指ともしっかり動いていてはたから見て『ピアノが弾ける』といえるほど弾けていました。保育園の先生とか、あんな感じです。 あれを、3日で? 「…できるか、なあ」 「ふふ。難しいかもね、自分の家でゆっくり練習したいでしょ? まあ、最初は『はちぶんぶん』あたりを練習してなさい、楽譜はきっとあるからあげるわ」 「はあい」 私は意識したやる気ない返事をぱちゅりーちゃんに返します。 もちろん、ふざけてですけれど。 「全く。…応援、するわ」 「ありがとう。…ぱちゅりーちゃんは、毎日どのくらい練習しているの?」 「むきゅ。10分」 「…え?」 まさか、そんな? そんな練習時間で、あそこまで上手に? 「気が向いたときに気が向いているだけ弾いているわ。防音室だから、人目も時間も気にしなくていいの。便利ね、軽いスタジオにもなるし」 「…うーん、上手になるまでは?」 「それも、10分。気が向いた時でいいのよ、『縛られるとやる気を失う』わ。やる気を失うだなんてもってのほか、『楽器にすら触らなくなる』のですもの!」 「…そっか」 確かに、一番危惧すべき事。『飽き』、それが来たら最後、惰性でやってもどうかと思うしなあ…。 私は深くうんうんと頷き、ぱちゅりーちゃんの話を理解した事を示します。 「さとりちゃんには、本当に悪いのだけれど。ドラムについては、全くわからないの。個人スタジオには付き添うわ、だから申し訳ないのだけれど、」 「自分でやれってことね。勿論よ、私は人に教えて貰うから始めたのではないわ」 さとりちゃんも、手に拳を作り呼びかける、決意を私たちに示すように答えます。 ううん、熱い。皆が皆、それぞれの意思を持っている…。 「…もう、夕方の5時。早いわね、親の人は心配しない?」 ぱちゅりーちゃんが部屋の壁に掛けてある時計を見上げて呟きます。さとりちゃんが、喋ります。 「私は、帰るわ。妹、…。誰かしら、いるだろうから」 私とぱちゅりーちゃんと違い、家が遠いのも理由にあるのでしょう。特に引き止めず、次に私の決断が求められました。 「…もう少し、居させて欲しいな。ピアノで、練習したいです」 「むきゅ。わかったわ。それじゃあ、一旦解散しましょう、玄関まで見送るわ」 「ええ、お願い」 さとりちゃんが一足先に立ち上がり、ドアを開けて部屋の外にでます。ひょいとお盆を拾うぱちゅりーちゃん、私たちも後に続いて最後だった私は部屋のドアを閉めました。 トタトタとそこそこの音を立てて階段を降り、玄関前で『じゃあね』と挨拶をしあい、さとりちゃんがドアの鍵を開けて外にでます。 パタン、と扉が閉まる音。少しして、ぱちゅりーちゃんは鍵前まで出向き鍵を閉めました。ぱちゅりーちゃんは一旦リビングに入り、お盆を置きました。 「ふう。…さなえちゃん。あなたは、被害者だと思うわ。 …憧れと羨望は違う、羨望はいつしか嫉妬へと行き着くの」 「…ぱちゅりー、ちゃん?」 「ごめん、忘れて」 いきなり、本当にいきなり。ぱちゅりーちゃんから意味深な事を言われて、戸惑ってしまいます。 ぱちゅりーちゃんは素早く階段を駆け上がっていって、『早く、早く!』と囃し立てられてしまいました。 …羨望、いつも。ぱちゅりーちゃん、何を知って…? 「遅いわよ、さなえちゃん! 先に楽譜探して置くわ!」 「あう、待ってくださいよ、ぱちゅりーちゃん!」 …、今は、楽器だ。折角家が近く、ピアノが触れるのだから。めいっぱい、触っておこう! 駆け出すような事はせず、静かに階段を登っていく。目の前の部屋に入り、楽譜はどこだと慌てふためくぱちゅりーちゃんを横目に私も楽譜探しを手伝う事にしました。 「…もしもし、ママ? …うん、ごめんね、どうしてもママに尋ねたくて。尋ねるっていうか、お願い。 うん、えっと、お金を振り込んで欲しいんだ。ピアノとキーボード、それと電子ドラム買うから…。うん、うん、50万くらいあれば足りるかなあ。わからないけど、お願い。いつもの通帳でいいよ、ママも面倒だろうし。 キーボード、始めるんだ。学園の友達で、誘われて。嬉しかったよ、度々ママに相談してたけど、もうその必要も無さそうだよ…。 …いいや。自分の力というか、自分たちの取り巻きでやりたい。また一人でに上手くなったとかで、疎遠になったら嫌だもん。教師は、つけなくていいよ。 …大丈夫だよ、さなえだってママの子なんだから。絶対に、成功してみせる。うん、連絡する。じゃあね、仕事、…早く終わったらいいね」 東風谷さなえのロックバンド! NEXT,To Be Continued! →東風谷さなえのロックバンド! 結成へ ←東風谷さなえのロックバンド! 発心へ この質と量、読みやすさ。 -- 名無しさん (2009-05-04 11 01 30) こりゃあわかりやすい説明だわ AAをこうやって使う表現方法もあるんだね -- 名無しさん (2009-05-04 13 10 44) 今日は更新しないのかな?期待しています -- 名無しさん (2009-05-05 04 05 39) 名前 コメント
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「ゆ? ゆっくりうごいてるよ! もうすぐうまれるね!」 「ゆゆ! ほんとだわ! いまやわらかいばしょをよういするわ!」 ありすは急いで脇の方に置いてあった枯草を、れいむの前に敷き詰める。 ちょうどそこは、れいむの頭から生えている赤ちゃんたちの落ちる場所である。 「ゆっくりうまれてね!」 「「「ゆっゆ!」」」 産まれる直前ともなると、親の言葉に反応してプルプルと震える事ができる。 れいむはその振動を感じ取って幸せに包まれた。 もうすぐ愛する我が子と会える事に。 「ゆゆ! うまれるわ! ゆっくりがんばってね!」 ありすが掛け声をかける。れいむは子供たちが無事に生まれる事を願っていた。 ポロリと。頭の茎から一匹のありすが落ちた。そしてそれを皮きりに残り七匹も枯草の上に落ちてくる。 たっぷりと敷き詰めた枯草の上は柔らかいのだろう。落ちた後も枯草の上でモゾモゾとしていた。 親である二匹は心配そうに見つめていた。 やがて、三匹が目を開けた。そして二匹の方を向いて、生まれたてとは思えないほど大きな声で 「「「「ゆっきゅりちていっちぇね!!!」」」 そう言った。れいむはその光景を見て思わず涙ぐむ。 「ゆぐ、ゆぐっ!・・・ゆっくりしていってね!!!」 ありすもとても幸せそうな顔で挨拶を交わす。 「ゆーゆ♪」 「ゆっきゅりごひゃんたべちゃわ!」 「ゆっくりー!」 ありすが三匹とれいむが五匹。植物型でも少々多い。 が、両親は特に気にしなかった。今の季節は春である。食料も出産前から十分に溜めている おうちの方も、ゆっくりにしてはかなり広い方なので、狭いという事もない。 「おちびちゃんたち! ゆっくりごはんをたべてね!」 れいむがそう言うのと同時に、頭の上から茎が落ちてきた。 子供に送られていた栄養がたっぷりと詰まっていて、味もほどほどに抑えられている茎は 最初に子供が食べるものとしては最高の餌だ。 ありすとれいむはそれらを口の中に入れて、むーしゃむーしゃと噛み砕いた。 「ゆゆ! ゆっきゅちごひゃんをとらないでね!」 一匹の赤れいむが怒り出す。れいむは謝りながら 「ごめんねあかちゃん! でもこれでやわらかくなったからゆっくりたべれるよ。」 「ゆっくりたべてね!」 生まれたての赤ちゃん達はむしゃむしゃと柔らかくなった茎に被りつく。 そして生まれて初めての食事を楽しむ。 「「「「「「「むーちゃ!むーちゃ! ちあわちぇー!」」」」」」」 「ゆっきゅちちちぇいってね!!!」 「ゆ?」 両親は何か違和感を感じた。が、この時はそれは何なのかはわからなかった。 食事を終えた赤ちゃんたちは、さっそく家の中で遊んでいた。 「ゆっっきゅちおうたをききちゃいよ!」 「ありちゅはとかいちぇきなおうちゃをききちゃい!」 「れーみゅはすりすりしちゃいよ!」 無邪気に親に甘える赤ちゃん達。その中で変な言葉が聞こえてきた。 「ゆっゆっー! ゆっきゅりちちぇいっちぇね!」 一番小さい赤れいむである。 「ゆゆ? れーみゅたちはゆっきゅちちちぇるよ?」 「どうしたのあかちゃん? ゆっくりしてるわよみんな?」 赤れいむに話しかける家族。しかし帰ってくる答えは 「ゆっゆっゆー!」や 「ゆっくりー♪」 「ゆ?」 といった言葉しか返さない。というか基本的に「ゆっくりしていってね!!!(発音修正済み)」 か、「ゆー」とかしか言わないのだ。 「ゆ? どうちちゃったのれーみゅ?」 心配そうに見つめる兄弟 「ゆゆ! どうなってるの? まさかびょうきなの!」 れいむはソワソワと落ち着きなくおうちの中をうろついている。 ありすは家族を落ち着かせようとした。 「おちついてねみんな! いまぱちゅりーをよんでくるわ!」 そういって大急ぎで近くのぱちゅりーを呼びに行った。 「むきゅん! これはせんぞがえりね!!!」 「ゆー? なにそれぱちゅりー?」 ぱちゅりーの言った言葉の意味がわからないれいむ達。ぱちゅりーは話を続けた。 「むかしむかし、ゆっくりがだれにもじゃまされずにゆっくりしていたじだいとがあったのよ! むかしはみんな『ゆっくりしていってね!!!』しかいわなかったそうだわ!」 「それで! だいじょうぶなのあかちゃんは!」 ぱちゅりーはあくまで冷静にみんなに話す。 「おちついてねありす。これはとてもうんのいいことなのよ! むかしのゆっくりはぜったいにゆっくりできるっていいつたえがあるの! このこもとてもゆっくりできるはずよ!」 「ゆゆーん! さすがれいむたちのこだね! とってもゆっくりできるなんてすごいね!」 「とってもとかいはなこね! ありすはうれしいわ!」 「れーみゅはとちぇもゆっきゅりできるんだね!」 家族はとてもゆっくりできるという事を大いに喜んだ。 そして家族の生活は始まった。 最初の頃は、言葉が伝わらずに大変苦労したが、それでも長い間暮していると、言葉が伝わるようになっていった。 元々、ゆっくり達の話す『ゆっくり』にはかなり広い範囲の意味が込められている。 それこそ『おいしい』という意味から敵がいるかいないかまで、状況に応じて意味が違ってくる。 太古のゆっくりはその微妙なニュアンスの違いを感じ取っていたのかもしれない。あるいは意志の疎通など必要なかったのか。 とにかく、進化したとはいえ現在のゆっくり達の遺伝子にもそれは受け継がれている。 要は馴れれば分かるようになってくるのだ。 「ゆっくりしていってね!」 「そうねれいむ! きょうはおそとでとかいてきなひなたぼっこをするわ!」 「ゆっくりおひさまにあたろうね!」 「おかーさんもゆっくりいくよ!」 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆー!」 この一月の間に完璧なコミュニケーションが取れるようになった。 家族は近くの野原で思い思いに遊んだ。 「ゆっくりころがるよー!」 「ゆゆー! まってねばったさん!」 「ゆゆーん! とかいはのたんぽぽよ! れいむにあげるわ!」 「ゆっくりー! ゆっくりしていってね!!!」 「おねーちゃん! れいむもほしいよ!」 両親はその光景を眺めていた。 「みんなとってもゆっくりできてるね!」 「そうよね。ありすたちはとってもしあわせものね。」 互いに頬を寄せ合う二匹。それは親愛の証でもあった。 その時だった。二匹の後頭部ががっちりと何かに掴まれたのは。 「ゆゆ! だれなの! ゆっくりはなしてね!」 「そうよ! ありすたちはとってもよっくりしてるのよ!」 「ぷくううううううううう」と膨らんで怒り出す二匹。しかし掴んだ相手はそんな事はまるで気にしなかった。 「う~♪ あっまあまだっどぉー♪」 間抜けな声が聞こえた。そしてそれは近くで聞いてはいけない声だった。 「「でびりゃだあああああああああ!!!!!」」 「やめてね! おかーさんたちをはなしてね!!!」 子供たちは両親を掴んだ敵に対して体当たりを繰り出す。しかしそんなものは効果がない。 「うー? じゃまなんだどぉー! ちっちゃいあまあまはおちびちゃんたちのぶんなんだからー! だまってるんだどぉ♪」 そういって足でガッ!っと踏みつける。 「やべちぇえええええええええ!!!!」 「いたいですうううううううう!!!! 「ありすもういやああああああ!!! だれかたすけてえええええええええ!!!!」 次々に踏みつぶされる兄弟。あのれいむも家族を助けようとするが、 「まってねれいむ!」 長女のありすに止められた。 「ゆ! ゆっくりしていってね!」 「わたしたちじゃかてないわ! どすをよんできて!」 れいむ達の家の近くにはドスまりさが住んでいる。群れは持っていないが、ドスの周りには大勢のゆっくりが住んでおり れいむ達もその一つだ。 ドスならばみんなを助けられるとありすは考えた。 「ゆっくりしててね!!!」 れいむはそれを理解して急いでドスの家へ向かっていった。 れみりゃは家族を踏むのに夢中で気づかなかった。 「う~? ぷにぷにしておもしろいどぉ~♪」 「いじゃいよ! やめてよ! ゆっくりできないよ!」 れいむは走った。途中で何度も転びそうになりながらも必死で走った。家族の為に。 その思いが通じたのか、何の障害もなくドスの家の前についた。 「ゆっくりしていってね!!!」 そういってドスの家へ飛び込むれいむ。 「ゆゆ? ゆっくりしていってね!!!」 中にはドスと何匹かのゆっくりがいた。その中にはぱちゅりーのつがいのまりさもいた。 「どうしたの? ゆっくりはなしてね!」 ドスの声に反応して、さっそく助けを求めようとするれいむ。 しかし 「ゆゆ? ちゃんとはなしてくれないとわからないよ! ドスだっておこるよ!」 「ゆ・・・ゆっくりしていってね!!!」 「さっきからなにいってるかわからいよ! れいむはちゃんとしゃべってね!!!」 「ばかなの? しぬの?」 かれこれ10分はこんな調子である。 れいむの言葉は馴れた家族には伝わったが、初めて会話する他のゆっくりには通じなかったのだ。 「ゆ・・・ゆっゆっくりしていってね!!!」 ついには泣きだしながら喋るれいむ。 「だからわからないっていってるでしょ? ばかなの?」 だんだんとドスは苛立ってきた。そしてもう家から追い出そうかと考えたちょうどその時 「どすー!たいへんなんだよー!れいむとありすたちがれみりゃにおそわれてるんだよー!」 「れみりゃのこどもたちもいっぱいきてるみょん!」 運よくれみりゃ達を目撃したちぇんとようむがドスに伝えに来たのだ。 「ゆ! わかったよ! すぐいくね!」 「ゆっ!ゆっくりしていってね!!!」 ドスがやっと動き出した事に喜ぶれいむ。 そして一目散に家族の元へ向かった。 助けを連れて戻ってきたれいむ。しかしそこに居たのはれみりゃ達とただの皮だった。 「うー! おいしかったどぉー! れみ☆りあ☆うー☆」 「とってもえれがんとだどぉ~♪ れみりゃのおちびちゃんはとってもかりしゅまなんだどぉー!」 「さくやー! のどがかわいた~♪ れみりゃはおれんじじゅーすがのみたいどぉー!」 「うっうー! のう☆さつだんすでふみふみだどぉ~♪」 そこには餡子を失って皮だけになった家族で弄ぶれみりゃ達がいた。 既に光のない眼で空を見ている両親と兄弟。先ほどまで元気に動いていた家族。 それが今ではただの動かない皮。 「ゆ・・・・ゆっくりじでいっでねぇえええええええええ!!!!!!!」 れいむは半ば半狂乱になりながらゴロゴロと転がりまわった。 それを周りのゆっくりが止めてるうちに、ドスはれみりゃ達に近づいた。 「ゆっくりできないれみりゃはゆっくりしんでね!!!」 それだけ言い放つと、口からドススパークを放ち、れみりゃ達をあっという間にやっつけた。 このれみりゃ達はみんなのごはんとして分けることになった。 ドスの家の前。近くのゆっくりが全員集まり、れいむとありす達を土の中に埋葬していた。 そこには当然れいむが居るはずである。しかしれいむはそこから少し離れた場所にいた。 近づけて貰えないのだ。 ゆっくり達は最後の別れを済ませた後に、口ぐちにれいむを責め立てた。 「れいむがちゃんといわないからありすたちはしんだんだみょん!」 「こどもなんだからしゃべれるでしょ! ほんとにできそこないのゆっくりだね!」 「ありすたちがしんだのはれいむのせいだね! はんせいしなくていいからゆっくりしんでね!!!」 「ことびゃもまちょもねはなちぇないなんて、ゆっきゅちできにゃいね!!!」 「ほんとはきょうだいをゆっくりさせたくなかったんでしょ!」 遂にはドスまでも 「れいむのせいだからね! ドスがもっとはやくついたらみんなぶじだったんだよ! わかってるの? ばかなの? しぬの? ゆっくりしないでどっかいってね!!!」 「ゆゆ・・・ゆっくりしていってね!!! ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくじでぎるわげないでしょおおおおおおおおおおおお!!!! どっどどでていってねえええええええ!!!!!」 こうしてれいむはこの付近から立ち退くことになった。れいむにとって嬉しかったことは ぱちゅりーだけは最後まで味方でいてくれた事だ。 「れいむ、たべられるものやかりのしかたはおぼえてるわね?」 出発当日、ぱちゅりーは朝早くからやってきて真剣な目で問いかけてきた。 「ゆっくりしていってね!!!」 ぱちゅりーには言葉の意味がわからなかったが、おそらく肯定したのだと思って話を続けた。 「そう、おうちのつくりかたもだいじょうぶね? これはあさごはんよ!」 そういって口から差し出したのは、はちみつだった。 野生のゆっくりにとっては滅多に食べれない貴重なものである。 「ゆっくりしていってね!!!」 「れいむもゆっくりしてね!!! がんばってねれいむ!!!」 帰って行ったぱちゅりーの後ろ姿を寂しげに見つめながら、れいむは新たな家を求めて旅立った。 【あとがき】 昔書いて途中でほったらかしたヤツ うん。何に影響を受けてたかよくわかるな俺 あと、久々に発掘した時に書かれてたメモが 【メモ】 ジャギ様登場 どういうことなの…… byバスケの人 このSSに感想をつける
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設定的には虐待が好きでない虐待お兄さん&2の続き。 虐待というよりは実験。 すっきりちうい。 そしてオリキャラ&俺設定てんこ盛りなので、嫌いな人は回れ右、というより左(ブラウザバックボタン) やあ、僕は虐待お兄さん!!でも、本日行うのは虐待じゃなくて実験だよ!! 僕は実験の方が大好きなんだ!!ヒャア!!我慢できねぇ、実験だぁ!!! …という事で実験に移ることにする。 まずは材料として、赤ゆっくりを9匹用意。 れいむ、まりさ、ぱちゅりー、ちぇん、みょん、れみりあ、さくや、ふらん、めーりん、各1匹づつである。 ちなみに、全員体無し、同種同士の親から植物性出産で生まれた赤ゆっくりである。 さらに、生まれてすぐ、ゆっくりしていってねの声を上げている途中で催眠ガスで眠らせたため、全員ゆっくりと眠っている。 これなら少々のことで目は覚まさない。 さて、それでは処置開始。 まずはれいむを手に取り、台の上に乗せ、左頬の辺りの皮をメスで円を描くようにして切り取る。 そして、次にはまりさの右頬にも同じ事を行う。 そうしたら餡子の露出している所を合わせ、小麦粉で溶いた水で合わせ目を塞ぐ。 それが終わったら少し様子見をし、癒着していることを確認したら、今度はまりさの左頬の辺りの皮を…という事を繰り返す。 その結果出来たのが、円状に並んで連なる赤ゆっくり達。 ちなみに顔は全員外側を向いている。 現在の状態を例えるなら、ポン・デ・リングを思い浮かべてもらえば分かり易いだろうか。 最後に繋げたれいむとめーりんの間を確認する。 …うん、問題なし。 軽く気付け薬を嗅がせた後一発で全員が目を覚ます魔法の言葉を唱える。 「ゆっくりしていってね!!」 「「「「「ゆっくちしちぇいっちぇね!」」」」」 効果は抜群だ。 全員が一気に目を覚ました。 「ゆ?おにーちゃんじゃれ?」 「おかーちゃんは?」 「みょんみょん?」 「わかりゃにゃいよー?」 「じゃおーん?」 等、口々に言葉を発する赤ゆっくり達。 ちなみに、この赤ゆっくりの親たちは、壁際にある箱の中につがいごとに分けられている。 しかし、その箱は防音対策が完璧に施されているため、今のように赤ゆっくりの様子を見て何か叫んだり箱に体当たりをしても 何の物音も立てなかったりする。 さて、試しに軽く指先で霊夢を小突いてみる。 「「「「「ゆぐっ!!」」」」」 途端、全員が苦悶の表情になった。 やはり、餡子がくっついている状態だと、痛みは共通に感じる様である。 「にゃにしゅるのぉ!!ゆっくりやめちぇね!!」 「ゆあーん!!ゆあーん!!」 「おかあちゃんのところまでにげりゅよ!!」 「わかりゃにゃいよぉー!!」 「うあ゛ー!!うあ゛ー!!」 等、その後の反応は種によってさまざまであった。 そして、 「しょろーりしょろーり、ゆっ!!うごけにゃいよぉ!!」 「「「「「ゆううううう!!!!」」」」」 赤まりさの声で、動けない事にようやく気づいた一同。 いくらなんでも遅すぎである。 「おにいしゃん、たちゅけてぇ!!」 「ゆっきゅりできにゃいぃぃいいい!!!!!」 「むぎゅううぅうぅ!!」 「ゆっきゅりちね!!!ゆっきゅりちね!!!」 パニックになる赤ゆっくり達だが、ふと親ゆっくりの方を見てみると、そちらも大盛り上がりを見せていた。 大声で赤ゆっくりに何か叫んでいるだろうもの、狂ったように何度も箱の壁にぶつかるもの、ただ泣いているもの、様々である。 しかし、防音対策されている箱に入れている以上、音は漏れないし、自分自身の大変さのために赤ゆっくりは親の存在に気づいていない。 …実験に邪魔だからという事で防音の箱に入れたけど、やっぱり音聞こえた方が良かったかな? 一瞬そうは思ったものの、実験の邪魔に繋がる可能性のある事は出来るだけ避けた方が良いのは確かなので、このまま進める事にする。 さて、もぞもぞと振動はするものの、大して動けないポン・デ・ゆっくりの赤ゆっくりたち。 当然こんなものを作るのが実験ではなく、これはあくまで下準備である。 ここで取り出しますは1匹のゆっくり。 成体のゆっくりぱちゅりーである。 そいつを赤ゆっくりたちの前に置く。 「「「「「おにぇえちゃんたちゅけちぇえ!!」」」」」 たちまちぱちゅりーに助けを求める赤ゆっくりたち。 しかし、ぱちゅりーはその様子を薄く笑いを浮かべたまま見ているだけだった。 そこで、僕はこうぱちゅりーに命令を出す。 「じゃああちゅりー、好きなゆっくりですっきりしていいぞ、ただし1回だけな。」 その言葉を聴いた途端、にんまりとした表情を浮かべるぱちゅりー。 その表情はぱちゅりーではなく、むしろれいぱーありすのものである。 「むぎゅぅうぅぅうう!!!あがんぼぅのばりざがわいいわ゛ぁー!!!!!!」 言動までれいぱーありすそのものである。 それもそのはず、このぱちゅりー、見た目こそぱちゅりーだが、中身はげすれいぱーありすである。 それも3匹分。 どういう実験で出来たかの説明は別の機会に回すが、ぱちゅりーの皮に3匹分のげすれいぱーありすを詰め込んでできた このあちゅりー(ありすが中身のぱちゅりーなのでこう呼んでいる)、頭が良い上にげすであるため、強い存在であると 認めた僕に対しては絶対服従をするので何かと実験の役に立っている。 しかしやはりまりさに行ったか。いくら外側が変わっても頭が良くなってもありすはありすといった所か。 「「「「「ぎぼちわりゅいぃいぃいぃ!!!やめちぇええぇえええ!!!!」」」」」 ひたすらに赤まりさを嘗め回したりすりすりしたりでぃーぷちゅっちゅをしたりするあちゅりー。 そして気持ち悪さで顔を歪めるまりさ、だけではなく他の赤ゆっくりも顔を歪めている。 痛みだけではなく触覚も共有しているようだ。 「んほぉぉぉおぉぉ!!!あがんぼぅま゙りざぁ、ずでぎよぉぉぉぉぉぉおお!!!」 「「「「「ゆげべぇえぇぇえぇえ!!」」」」」 本領発揮といわんばかりに赤まりさにぺにぺにをたたきこむあちゅりー。 体格差もあるが、そもそも自由に動けない赤まりさにはその体を貫く凶器から避ける術はなかった。 「んほおぉお!!!んほぉおおぉぉおおぉ!!!!!!」 激しく体を打ち付けるあちゅりー。 「「「「「ゆっ!!やべ、ぢぇええぇ、げべっ!!」」」」」 そのリズムに合わせるように苦悶の声を上げる赤ゆっくり達。 どうやら同一の痛みを味わっているせいか、シンクロしているようで、どの赤ゆっくりも同じ声を上げている。 「んっほおおぉぉ!!! すっきりー!!!」 「「「「「ゆびゃががが!! ちゅっきりー!」」」」」 隣の赤ゆっくりとの接合面から剥がれてしまうんではないかと思ったが、何とかその様な事もなくすっきりが完了したようだ。 さて、僕が見たいのはここからだ。 念のためあちゅりーを赤まりさから引き剥がしつつ赤ゆっくりたちの様子を見る。 すると、するすると赤まりさの頭から茎が一本生えてきた。 普通ならこの時点で赤ゆっくりは黒く朽ちて死んでしまう。 それは、体内の餡子量が、茎と新たにできる赤ゆっくりが作られるだけの量が無い為である。 なら、餡子が足りていればにんっしんできるのか? そして、今回のような複数種のゆっくりと融合している場合、出来る赤ゆっくりはどの種類が出来るのか? それが今回の実験の趣旨である。 「「「「「ゆげげげげげ!!!!」」」」」 ぼこんという音がしたので良く見てみると、まりさの丁度逆側にいたれみりあとさくやが皮だけになっていた。 そしてだんだんと潰れていくふらんとみょん。 他の赤ゆっくりもものすごい苦悶の表情を見せている。 そしてそれに比例するように大きく太くなっていく茎と、そこに生る赤ゆっくりの実。 6つ生っており、どんどん大きくなる赤ゆっくり。 それに比例するようにどんどんと潰れていくポン・デ・ゆっくり。 30分もすると、生っている赤ゆっくりは、母体と同じだけの大きさになった。 「ゆぶぇへぇええへえべふぇへぇへへへ…」 ポン・デ・ゆっくりも膨らんでいるのはもはやまりさしか残っていない。 それも、中身を吸われた事によって人格はとうに失われたようで、あらぬ方向を見たままケタケタ笑っているだけだ。 まあ、くっつけて中身を混ぜ合わせたのと同じ事だからある程度は予想はついていたが。 多分、元々の赤まりさの餡子分など、茎が出来た時点で全て無くなっていただろう。 そして、茎の先に出来た赤ゆっくりを確認。 6つのうちの3つはありす種。 そして残りは、まりさ種が2つとれいむ種が1つ。 「…まいったな。」 僕は思わず呟いた。 予想ではありす種とまりさ種のみ、もしくはありす種と他様々な種類のゆっくりが生ると思っていたのだが、 今回のように母体であるありす種とまりさ種と1種だけ違う、ということになるとは少々予想外だった。 1種だけでは、ただの取替え子である可能性が残るからだ。 そのため出来るだけそうなる可能性を下げようと同種同士の親から赤ゆっくりを選定したのだが、 それでもごらんの有様である。 「…仕方ない、もう一度やり直すか。」 そう呟きつつ生っている赤ゆっくりまりさを毟って食べる。 小さくゅっと声を上げたが、無視。 うん、甘くて美味い。 とはいえ甘すぎる事もない、なかなか良い具合の甘さである。 と、そこで気がついた。 このまりさの中身は紛れもない餡子であり、クリームやカスタード、プリン等他ゆっくりの中身は入っていない。 つまり、茎、もしくはへた部分にそれらを正しい赤ゆっくりに変換する機能が備え付けられているはず。 そこで、茎を根元から引っこ抜いてみた。 「ゆべ!!ふへぇふぇふぇへへへ…。」 一瞬反応はあったものの、目玉を左右違う方向にぐるぐると回しながらまた良く訳の分からないことを呟き続けている。 まずは、その赤まりさを割ってみた。 「ゆぼむぎゃ!!」 そして、中を覗いて見ると…ああ確かに色んな中身が混じり合っている。 色もものすごく、とてもじゃないが口に入れる気も起きなかったので、ごみ箱に叩き込んだ。 次に、引っこ抜いた茎を見てみる。 根元部分には訳の分からない色の餡子がついているそれを、根元から先までメスですっぱり切り開けてみた。 「お、これはこれは…、なるほど。」 茎の断面図を見てみると、根元部分には変な色の餡子があったものの、先の方に行くすぐの所、一番手前に出来た実の寸前で 透明になっている。 すくって舐めてみると甘い。どうやら砂糖水のようだ。 どうやら、茎に吸い上げた餡子を砂糖水にろ過する働きがあるようである。 本来の実験は失敗したが、今回は興味深いデータをとる事が出来た。 とりあえず再度の実験の前に、加工所へ用を済ましがてらあちゅりーと散歩に出るか…。 そう思いつつあちゅりーを抱え上げ、僕は実験室を出たのであった。 あとがき 題名は、妖怪虐待お兄さんを縮めたもの。 『あやかしぎゃくにい』と読んで下され。 あちゅりーについては次に書きます。 by ノーム・ライヴ 今まで書いたもの 小ネタ269 虐待が好きでない虐待お兄さん ゆっくりいじめ系1684 虐待が好きでない虐待お兄さん その2 ゆっくりいじめ系1723 キノコ狩り ゆっくりいじめ系1772 はないちもんめ
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花野じゅりあをお気に入りに追加 花野じゅりあとは 花野じゅりあの47%は勢いで出来ています。花野じゅりあの22%は気の迷いで出来ています。花野じゅりあの9%は波動で出来ています。花野じゅりあの9%は汗と涙(化合物)で出来ています。花野じゅりあの6%は微妙さで出来ています。花野じゅりあの5%は不思議で出来ています。花野じゅりあの1%は雪の結晶で出来ています。花野じゅりあの1%は元気玉で出来ています。 花野じゅりあの報道 明日海りお 今振り返る宝塚時代、目指す女優像とは? 退団後初の宝塚関連番組、収録直後にインタビュー - http //spice.eplus.jp/ 20年磨いた美学、メイクの道へ 元娘役・花野じゅりあ [宝塚歌劇団] - 朝日新聞デジタル版 花野じゅりあのウィキペディア 花野じゅりあ 花野じゅりあの掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る 花野じゅりあのリンク #blogsearch2 ページ先頭へ 花野じゅりあ 宝塚歌劇団 このページについて このページは花野じゅりあのインターネット上の情報を時系列に網羅したリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新される花野じゅりあに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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寒風吹きすさぶ工業団地の一角にある公園の中 そのゆっくり達はいた。 「風さんぴゅーぴゅー吹かないでね!れいむは寒いんだよ!」 「ゆーどうなってるのぜ?どうしてこんなに虫さんいないんだぜ!」 「むきゅ・・・去年はこんなに寒くなかったのに」 「花さんも全然ないわ、こんなの都会派じゃないわ」 れいむ、まりさ、ぱちゅりー、ありす、4匹はブルブルと 震えながら、突然の寒波に戸惑っていた この地域は本来温暖であり、冬眠や冬篭りの習慣もなかったが今年は例年 になく、気温が下がり辛い冬となった 当然ゆっくりの餌となる虫や草は激減、寒さはお家に枯れ草を敷いたり 仲間同士かたまりスーリスーリすることでどうにか凌いできたが飢えだけ はどうしようもならない 「ぱちゅりーこのままじゃみんなお腹がすき過ぎて永遠にゆっくりしてしまうわ」 「そうだよ、ぱちゅりーれいむはあまあまが食べたいよ!なんとかしてね!!」 「むきゅ・・・そういわれてもこんな寒い冬さんはぱちゅも初めてだし・・・」 「なにが森の賢者なのぜ!!ぜんぜん役立たずなのぜ!!」 「むきょーー!ひどいわ!・・・んっ・・・あれはなにかしら・・・」 ぱちゅりーは公園の入り口の方に視線を向けた、話をはぐらかそうとしたわけではない 近くの工場の作業員であろうか男が一人、公園のベンチに腰掛けていた 時間は12時昼時である、男は手に持ったビニール袋からメロンパンの袋を取り出し、その封を開ける 「ゆわーー!!おいしそうだよ!パンさんはれいむの大好物だよ」 「あれはメロンパンさんだわ、すごく都会派な匂いよ」 その時まりさの目がキラリと光った。 「ゆっへっへっ!あのメロンパンさんを全部いただくのぜ!」 「なるほど・・・分けて貰えるようにお願いするのね。むきゅん」 「いいや、あの人間からメロンパンさんを奪うのぜ」 「無理よ・・人間さんには敵わないわ都会派じゃない事になるわよ」 「ゆふっゆふふ・・・」 その会話を遮るように不気味な笑い声が聞こえる。 「ゆふふふ・・・れいむにはまりさの考えがわかったよ。あの人間さん髪の毛は真っ白だよ お爺さんなんだよ、そして普通工場の人間さんは暖かいお部屋でみんな仲良くご飯を食べるのに あの人間さんは寒いお外で一人で食べようとしている・・・きっと嫌われ者なんだよ」 こういったゲスな事には鋭いれいむである 「なるほど、お爺さん相手だったらありす達なら楽勝ね」 「嫌われ者なら痛めつけても他の人間からの報復はないわね、むきょきょ」 「そうと決まればあのメロンパンをじじいから奪い返すのぜ!!」 そう言うが早いかゆっくり達はメロンパンにかじりつこうとする男の前に飛び出した。 「んっ・・・ゆっくりか・・・なにか用か?お前ら・・・」 「用も何もないんだぜぇ!!じじい誰に断ってここでご飯をムーシャムーシャしようと してんだぜぇ!!」 「そうよ!!ここはありす達のゆっくりプレイスよ、痛い目みたくなかったらそのメロンパンさん をよこしなさい!!」 「れいむ強いんだよ!ぷくーー!」 「むきょきょ、抵抗は無意味よ!」 普通なら問答無用で叩き潰される言動・・・セルフ死の宣告・・・ 「・・・なんだ・・・この寒さでエサが取れず苛立ってるって所か・・・いいぜ 食えよ・・・」 男はメロンパンを4つに千切るとれいむ達の前の置いてやる 「むーしゃむーしゃ、しっしあわせーー!」 「うめっこれめっちゃうめっ!がつがつ!」 「都会派な味だわ、でりーしゃすよー!」 「むきょーおいひいわー!」 メロンパンを食うゆっくり達、貪り喰う 「・・・それじゃ俺はアンパンでも食うか・・・」 男は袋からアンパンを取り出す、しかしその行動をゆっくり達は見逃さない 「待ってね!ハグハグ、そのアンパンさんもれいむ達の物だよ。ガツガツ!」 「そうなんだぜぇムシャムシャ!!白髪のクズじじいが食う位ならまりささまが食べてやるのぜ!パクパク」 「そうよこの田舎者!都会派の常識よぉ!」 「むきゅ・・・誰かお水を・・・パンさんが喉に・・・」 強欲!際限なき要求! 「おいおい・・・ずいぶんと欲張るじゃないか・・・ふーん・・・いいぜくれてやっても・・・」 にやりとほくそ笑むゆっくりたち(ぱちゅりー意外)相手が絞れると見れば絞れるだけ絞る最後の血一滴まで まるでヤクザ・・・テロリスト・・・最悪の思考! 「ゆふん!れいむに恐れをなしたね、なかなか利口な判断だよ」 「さあ白髪じじいはとっととアンパンさんをよこすのぜ」 「あら?ぱちゅりー食べてすぐ寝ると牛さんになるわよ」 「・・・きゅ・・・ちが・・・水・・・」 しかしゆっくり達は見逃していた、男の口の端がわずかに笑みを浮かべていたことに 「・・・俺一つと賭けをしようじゃないか・・・簡単なギャンブルさ・・・ 俺の投げたコインをお前らが裏か表か当てる・・・一回勝てばアンパンだけじゃなくこの 袋にあるポテチとオレンジジュースもやろう・・・嫌なら俺はもう戻るぜ・・・」 そう言うと男はベンチから腰を上げ公園を出る素振りを見せた 「ゆゆっ?まってねレイムのポテチさん返してね!」 「そうなんだぜ!白髪じじいに負けるわけないぜ、オレンジジュースさんはまりさのものなんだぜ!」 「そうよぉ!都会派にアンパンさんゲットだわ」 「む・・・・きゅお・・・・・・」 こうして勝負は開始された・・・ゆっくりの根拠のない自信と共に・・・ 「一番はれいむがやるよ、白髪ジジイを瞬殺だよ」 そういってふんぞり返りながら男の前にれいむが踊り出た 「フッ・・・れいむが一番手か・・・いいだろう・・・だがお前にはその頭の上のリボンを賭けてもらう・・・」 男の予想外の発言に唖然とするれいむ。自分は勝利しあまあまをムーシャムーシャする、それだけで頭がいっぱいだったのだ 「・・・なっ何言ってるのぉー!!おリボンさんがなくなったらゆっくりできな・・「やるのぜ!!」 れいむの抗議の声をまりさがさえぎる 「ばりざぁなに勝手な事言ってるのぉ!れいむのおリボンさんでしょぉー!」 「大丈夫なのぜれいむ、あんな白髪じじいに負けるはずないのぜ!それにここでゴネたらじじいに逃げる口実をやる だけなのぜ」 「そうよ、れいむなら都会派に完勝できるわ。ねっぱちゅりー」 「・・・・・・・」 ぱちゅりーはパンが喉につまりすでに永遠にゆっくりしかけていた。が、お昼寝を始めたと勘違いされ見事にスルーされていた 「決まりだな・・・始めるぜ・・・ピンッパシッ・・・さあ表か裏か・・・」 男は親指でコインを弾くと右手の甲で受け取り左手で挟みこむ 「さあ・・・れいむ・・・表か・・・裏か・・・」 おリボンを賭けた今れいむに当初の勢いはない、それどころかダラダラと砂糖水の汗を流している 「ゆゆぅ・・・表・・・嫌、裏のような気もするよ・・・」 「なにやってるのぜ!れいむそんなじじい相手にびびってんじゃないのぜ!!」 「そうよれいむ都会派じゃないわ!」 苛立つ外野の声、乱れるれいむの心、真綿のごとし 「ゆっ決めたよ!!表にするよ!!」 「・・・わかった・・・オープンだ・・・」 男はゆっくりと手をどかす・・・注がれる視線 コインは裏、敗北!覆る・・・れいむの絶対勝利! 「コインは・・・裏だ・・・お前の負けだれいむ・・・」 「ゆゆっ!ぞんなーどぼじでコインさん表じゃないのぉ!!」 「れいむなにやってるのぜー!そんな白髪じじいに負けるれいむはグズなんだぜ!!」 「この田舎物!制裁っしてやるわ!」 まりさとありすに挟まれ激しい暴力を受けるれいむ。まったくの加減なし 「おいおい・・・そのへんにしておけよ・・・とりあえずれいむのリボンはもらうぜ・・・」 「ゆんやぁ・・・れいむのおりぼんさんがえじでぇ・・・」 仲間にぼこぼこにされおリボンまで奪われるれいむ・・・もはや動く気力もない 「さあ・・・次は誰だ?・・・まりさかありすか・・・」 「まりさ様が勝負するのぜ!!」 勢いよくまりさが名乗りを上げる、その表情に一切の恐れはない 「いいだろう・・・ならばまりさお前にもそのとんがり帽子をかけて「まつのぜ!!」 男の話をまりさがさえぎった 「まりさが賭けるのはそこでお昼寝しているぱちゅりーのお帽子をなのぜ!」 「まりさ!何言ってるの都会派じゃないわよ!」 意外、まりさの提案。他人のお帽子を賭ける暴挙!しかも本人の承諾一切なし!! 「フッ、なるほどね・・・いるんだよな・・・自分は安全地帯で他人を危険にさらし勝負しようとする奴・・・ 今まで他人をハメることばかり考えて来た奴の思考・・・痩せた考え・・・」 実際まりさは他のゆっくりを犠牲にすることで生き延びてきたゲスである、仲間を囮にお野菜を盗んだり 口先だけで口説いたゆっくりとすっきりーをしそのまま母子共々捨てたことすらあった 「ゆっそれは違うぜじじい!ぱちゅりーはまりさの親友なのぜ!まりさのお帽子より・・・いや・・・まりさ 自身より大事なのぜ!その大切な物を賭けることでまりさは背水の陣をしいたのぜ!!」 「まりさ・・・そこまでぱちゅりーの事を・・・感動だわぁ!」 無茶苦茶な理論であるがまりさは大真面目である、無意識のゲス。罪を意識しないもっともドス黒い悪、それが まりさなのだ 「フフッ・・・アハハ・・・そう来るか・・饅頭の癖になかなかおもしろい事いうじゃないか・・・ ならば俺も少しはお前の狂気に答えなくちゃな・・・」 「じじい何を言ってるのぜ?」 「何・・・このままじゃまりさお前を鉄火場に引き込めない・・・だから掛け金を上乗せするのさ・・・ 俺は、当初のアンパン、ポテチ、オレンジジュースに加え先ほど得たれいむのおリボンを賭ける・・・ 倍プッシュだ・・まりさ・・・これでお前は自分の帽子を賭けざるをえなくなった・・・」 見る間に青ざめるまりさの顔 「なっ何言ってるのぜー!そんなこと勝手に「やるよぉ!!」 まりさの声をさえぎったのはれいむであった、その顔は腫れまるでゾンビである 「ヒィィッ!でいぶぅぅ!!」 「やるよねぇまりさぁ・・・逃げたりしないよねぇ・・・れいむに言ってたよねぇ・・・ あんな白髪じじい楽勝だってぇ・・・」 「そうよ、まりさは逃げたりしないわ!!だって自分より大事なぱちゅりーのお帽子を賭けたのよ 今更自分のお帽子なんてうんうんみたいなもんよ!!」 「ぞんなぁぁ!!」 まりさ追いつめられる、行動がすべて裏目。完全な自業自得・・・ 「決まりだな・・・いくぜ・・・ピンッパシッ・・・裏か・・表か・・・」 「ゆあー!かってに始めるなだぜー!」 ありすとれいむの応援が響く 「まりさ!!まりさ!!まりさ!!まりさ!!MARISA!!」 「ばりざぁ・・・ばりざぁ・・ばりざぁ・・・」 まりさに掛かる重圧、プレッシャー、ストレス、この状況から抜け出したい その一心でまりさは答えた 「はぁっはぁっ・・・表なのぜぇ!!」 「オープンだ・・・」 コインの向きは・・・ 「・・・裏だな・・・残念だったなまりさ・・・」 「ゆがーん!ウソなのぜぇー!」 「まりさぁ!この田舎物ぉ!」 「まりさぁ・・・まりさのお帽子素敵だよねぇ、でももう似合わないようにグシャグシャにしてあげる ねぇ・・・てめーの顔面の方をな!」 「やべでーばりざに近寄るなー!」 こうして男はまりさとぱちゅりーのお帽子を得ていびつな饅頭は二つになった 「さあ、ありす・・・次はお前だ・・・」 「来なさい、白髪じじい!ありすは負けないわ!」 ありすには秘策があった、裏・裏と連続したのだ次まで裏のはずがない。 事実コインギャンブルの確立は常に1/2である、確立的にも最善、安全な選択 「表よ!」 「・・・死ねば助かるのに・・・」 「えっ?」 「オープン・・・裏・・・」 三連続で裏はない・・・この考えはギャンブルでは通用しない・・・埋まっている・・・首まで底なし沼に! 「都会派じゃないわーーー!」 「ありずー」「制裁っ」 そのころぱちゅりーは三途の川で生死の境をさまよっていた 「むきゅ・・・ここは何処かしら大きな川さんね・・・あらなんだか光が見えるわ・・・それにあたたかい ゆっくりできるわぁー」 「おいお前、そこのぱちゅりーお前だよ!!」 声をかけたのは三途の川の渡し役、ゆっくりこまちである 「むきゅ!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!じゃないよせっかく仕事さぼってすーやすーやしようと思ってたのに 悪いタイミングで死にやがって!」 「そう言われても、ぱちぇはなんだか川の向こう側へ行かなくちゃいけないような気が・・・」 「うるさい、あたしはお昼寝がしたいんだとっとと現世に帰れ!」くぱぁ! 「むきょおおー!」 川原の地面に穴が開きぱちゅりーは落ちてゆく 「・・・ぐえっ!がはっごほっ・・むきょ!」 ぱちゅりーが気が付くと背中の上にはぼろぼろのありす、自分の目の前には吐き出した餡庫にまざりぱちゅりー の喉を塞いでいたパンが落ちていた。 「みんながぱちゅの背中を押して助けてくれたのね・・・」 「まりさのせいで負けたんだよーこのゲス!」 「うるさいんだぜ!このレイパーのせいなんだぜ!」 「違うわよ、田舎者のでいぶのせいよ!」 「そこまでよ!」 「「ぱちゅりー」」 「なんだ・・・お前・・・てっきり死んだと思っていたが・・・生きていたのか・・」 どうやら男だけはぱちゅりーが死にかけていたことに気がついていたようだ 「むきゅ・・・たしかにぱちゅは一度死んだわ・・・でも地獄の鬼達を叩き伏せこの世に舞い戻ったのよ!」 「すごいのぜぱちゅりー!」「都会派よ!」「だかられいむにあまあまちょうだい!」 仲間の声援を一身に受けぱちゅりーは周りを見回すと瞬時に状況を理解した 「どうやらぱちゅ達は負けたようね・・・」 「なんだ・・・お前初めて見た時とはまるで別人だな・・・いや別餡とでも言うのかな・・・」 死線を潜り抜け、ぱちゅりーは何かを得ていた。神は困難を乗り越えた者に新たなる力を授ける事があるのだ 「むきゅむきゅむきゅー!」 ぱちゅりーの餡庫脳が唸りを上げ計算を開始する、この状況を打開するロジックそして勝利へのルート 「むきゅ!ぱちゅ達は白髪じじいに再戦を申し込むわ、ただしギャンブルの種目はぱちゅが決めるわ」 「何いってるのぉぱちゅりー!」「どうしたのぜー!」「すーやすーやzzz」 れいむ達からすれば寝耳に水である 「いいぜ・・・受けて立とう・・・ただお前らには相応の物を賭けてもらう・・・」 「当然ね・・・ぱちゅは全員のもみあげさんを賭けるわ!」 「何言ってるのぜ狂ってるのぜ!」「いやじゃぁーもみあげさんなくなったらゆっくりできないぃ!」「ぱちゅりー都会派な提案だわ!」 「ありす、あなたはもみあげさんがないからぺにぺにをかけてもらうわ」 「全然都会派じゃないー!」 阿鼻叫喚・・・当然であるゆっくりにとってもみあげを奪われる事は、人間が両腕を奪われる事に等しい 「面白い・・狂気の沙汰ほどおもしろい・・・ギャンブルらしくなってきたじゃないか・・・」 「白髪じじい・・・ぱちゅ達は作戦会議をするから少しまってちょうだい、みんなこっちに来て」 あまりの出来事の連続で混乱するばかりの仲間を落ち着かせるため、そして間を空ける事で男の勝負熱を下げ 流れを返るため、ぱちゅりーは作戦会議を始めた 「ぱじゅりーのばがーどうじでれいむのもみ上げさん賭けたのぉ!」 「勝手に人の物を賭けるなんてゲスすぎるんだぜぇ・・・」 「ありすのぺにぺに・・いやぁ!」 先ほどの敗戦が効いているのか、浮かぶのは敗北のイメージばかりである 「むきゅ作戦を説明するわ、勝率100パーセント、絶対勝利の計画をね・・・」 男はタバコをふかしていた、タダの暇つぶしのはずがここまで面白くなるとは正直思っていなかった 公園の端からはギャアギャアとゆっくり達の嘆きが響いている、しかしその声が止まったかと思うと不気味な 笑い声へとかわった・・・ 「ゆっへっへっこれは絶対勝てるのぜ、白髪じじいめ」 「白髪じじいも年貢の納め時だよ、ゆふふふ」 「田舎者の破滅する姿がみえるわぁ」 「むきゅきゅきゅ・・はじめましょうか」 ニヤニヤしながらゆっくり達は再び男の前の立つ、気持ちの悪い笑みには絶対的な自信が見え隠れしていた 「終わったか・・・ギャンブルの内容を説明してくれ・・・」 「ええ・・勝負は、れいむの左右のもみあげさんどちらかにコインを握り じじいがそれを当てる。それだけ・・・一回勝負よ」 「なるほどね・・・」 「ただし、れいむはじじいみたいにコインを弾けないから握る時にはじじいには後ろを向いて貰うわ」 「わかった・・・コインだ・・・」ピンッ・・・パシッ 「ゆふふ、たしかにれいむが受け取ったよ・・・後悔させてあげるね」 「やめるなら今なんだぜぇ白髪じじい!」 男はまりさの挑発を一切無視するかように後ろを向いた 「いいぜ・・・始めよう・・・」 「ふんっ・・・まりささまにびびってやがるのぜ」 にやりとぱちゅりーが笑いゲーム開始の合図を出す 「始めるわ!れいむはコインを握ってね!」 「わかったよぱちゅりー、コインを握るよ!」 れいむはコインを右のもみあげから左のもみあげに移し、そのままコインを 投げた、コインの行く先は大口を開けたまりさの口の中である。 そしてれいむは空になった両方のもみ上げを空のまま握りこんだ 「(むきゅきゅ、れいむ、まりさ完璧な仕事よ)」 これがぱちゅりーの作戦だった。 男が右左、どちらのもみあげを選んでも男の勝利はない、勝利を示すコイン自体 れいむのもみあげにはなく、まりさの口内にあるのだ。 あとは、男の指定した空のもみあげが開き男の負けが確定した瞬間、ありすがれいむによくやったと 飛び掛り全員で大騒ぎ、そのドサクサにコインを地面におけばいい。 完璧すぎる作戦、並の人間ではまず打破不可能な作戦とゆっくり達は思っていた しかしゆっくり達は思い知ることとなる、この男が並ではないことを・・・ 後半へ続く みなさんならどのようにぱちゅりー達の作戦を打破するでしょうか もし宜しければ推理して感想欄に書いてみて下さい。 後半はすでに出来ていますのでみんなの推理を見てから結末を変えるような ズルはしません、ご安心を。 後半は2日以内にはあげます。
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かぶきち 部屋データはこちら しょうた村長(@tomato_a202) 2013/7/27更新 BEFORE AFTER かぶきち宅。 ダークブラウンスカンジナビア+かすみのふくリメイクで統一。 好みの色は紫とのことですが、初期服リメイクの方が部屋に合うと思い、SSの状態に至りました。 クロゼットの位置等、今後調整して行きたいです。 #とび森御宅訪問 裏話記載を希望の方は、お名前を明記の上コメント欄に書き込んでください。 名前 コメント
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ドスまりさの哀しみ 暖かな日差しが差し込む山の中 ゆっくり達は精を出して狩りを行っていた それぞれ木の実を取り、虫を捕まえては葉っぱでくるみ巣に持ち帰る 巣に持ち帰るとこの日食べる分といざというときの備えとを分ける 備えは先日この群のリーダーとなったドスまりさの住かである洞窟へと保存される 「ふゆにそなえてたくさんあつめないとね!」 ドスまりさが来る前のリーダーであったぱちゅりー 彼女は冬に備えて早々と食糧を溜めることを提案した 始めは今をゆっくりしたいと言うゆっくり達が反発を起こしたが、それでも越冬の厳しさを思い出しぱちゅりーに賛成をするようになった あるゆっくりがいつもより離れた場所で狩りを行っているととても大きなまりさと出会った 始めは食べ過ぎてデブまりさになってしまったのかと思っていた しかし、その寂しげな顔はデブゆっくりのように大きさと顔の比率がおかしいわけではなかった その大きな体に見合った顔、そのゆっくりは気付いた。 このゆっくりはドスまりさだと。 ドスまりさはまりさ種が突発的に変異を起こした上位種だ 変異条件は不明だが、ドス化すると茸を使った能力を身につけることが出来る また、成体ゆっくりを超える巨体を誇り群を守ることで知られている だが、ドスまりさは一匹だった それを見たゆっくりは群の仲間を呼び寄せた ドスまりさを見たゆっくり達はその大きさに驚くと同時に歓喜し、ぱちゅりーが群のリーダーとなってくれるように頼んだ ドスまりさは承諾したわけではなかったが、済し崩しにこの群のリーダーとされてしまった 「ドス、あなたはこのむれのりーだーよ!しっかりしないと!」 「……そうだね」 ぱちゅりーから見てもこのドスまりさは覇気がなかった いつも寂しそうな顔でどこか遠くを見つめている ぱちゅりーはそれについて深く考えなかった そして1日でも早くリーダーとしての貫禄を身につけてもらおうと思った ある日、大雨が降った ゆっくり達は急いで巣に避難し雨が止むのを待った 梅雨ではないので雨はじきに止むだろう が、ドスまりさは大雨に打たれていた 実はドスまりさの住かである洞窟は見かけほど広くはなかったのだ そのためどうしてもドスまりさの体がはみ出してしまう 帽子があるがそれでもはみ出た分だけ、ドスまりさは雨に打たれて濡れてしまう ドスまりさは涙を流した しかし、その涙も大雨に流されていった 雨が開けて数日 再びゆっくり達は狩りをしていた 今日はドスまりさも混じって狩りである しかし、ドスまりさはその巨体故に足元の花が見えない そうしていくつかの花を踏み潰してしまった 「どす!おはなさんをふまないでね!」 一匹のれいむに注意されてしまった このれいむはしっかり者でぱちゅりーの幼馴染みだ れいむとぱちゅりー。二人は協力して群をまとめていた 「ゆっくりごめんね。まりさは大きいからじめんのお花さんがみえないんだよ」 ドスまりさはその後花が取れないので木の実を取ることにした しかし、巨体が災いして木の実は中々見つけられない 終わってみれば子ゆっくりと同じくらいしか見つけていなかった これを見た群のゆっくりはドスまりさを群れのリーダーに相応しくないと思い始めた だが、ぱちゅりーはドスまりさの凄さを知っていたためゆっくり達を説得した そしてドスまりさは狩りが上手くできなかったから今日のご飯は少なくされてしまった 元々1日の食事はドスまりさからすれば満腹にはほど遠い その巨体故に摂取しなければならない量も多いからだ 「む〜しゃむ〜しゃ…ふしあわせ…」 雀の涙ほどの食事を終えてドスまりさは洞窟に戻ろうとした せめて自分の住かをもう少し広くしようと思ったのだが 「「「ふらんだあああああ!!!」」」 しかし、ふらんの襲来のよってそれは阻まれた 胴体無しふらんが2匹、群のゆっくりを襲い始めた 「うー!あまあま♪」 手近な場所にいたありすにかぶりつくとふらんは素の中身を吸い出し始めた 「いやぁあぁああ!!ありすはもっどゆっぐりじだいいいいい!!!!」 「うー♪あまあまおいしい♪」 そのありすはカスタードを全て吸い取られてデスマスクと化してしまった 混乱は加速しゆっくり達は逃げまどう 「むきゅ!いまこそどすのちからをみせるときよ!」 いつの間にかドスまりさの傍らにはぱちゅりーがおり、ふらんを倒せと言い出した ドスまりさは茸を使ったドススパークという必殺技を持っている これを受ければ捕食種と言えでも忽ちに焼けこげてしまう しかし、ドスまりさはスパークを使わなかった 「どす!ゆっくりしてないでみんなをたすけてね!」 れいむも一緒になってドスを急かす れいむとぱちゅりーが二匹で騒ぎ出し、ふらんがそちらに気が付いた 「どすのちからをみんなにしめすのよ!」 「ゆっくりはやくふらんをたおしてね!」 ふらんが来ると二匹はスタコラサッサと逃げ出してしまう 一匹になったドスまりさの元へふらんが飛んでくる そしてドスまりさのほっぺたに噛みついた 「ゆぎぃいぃぃぃぃぃぃ!!」 噛みつかれたドスまりさは悲鳴を上げのたうち回る あまりの痛さに我も忘れて だがそれが功を奏してもう一匹のふらんを潰すことが出来た 反対側に回り込んでいたふらんはドスまりさが暴れたため下敷きとなった 「うー!うー!」 それをみたふらんはさらに噛みついた口に力を込め、頬の一部を引きちぎる 「ゆぎゃああああああああああああああ!!!」 いかにドスまりさといえど頬を引きちぎられては激痛が体を襲う 皮が分厚かったために餡子は漏れだしてはいない ふらんはそれに気を悪くし再度攻撃を仕掛けようと近づく が、ドスまりさも痛みを回避するためにふらんに立ち向かった そしてその巨体でジャンプするとふらんを踏み潰した 踏み潰されたふらんの餡子があんよに付いてしまったが群を守ることができた とにかくドスまりさはホッとした 「どすはおそいよ!どうしてふらんをすぐにたおしてくれないの!?」 「とかいはのありすのいもうとがたべられちゃったのよ!どおじでぐれるのよおおお!!」 群の仲間からは罵声を浴びせられた ドスまりさなら一瞬のうちにふらんを倒せると思いこんでいるのか 先ほどのドスの対応に不満を爆発させている 「まりさはふらんをたおしたよ!」 ドスが抗議するもそれを聞き入れるようなゆっくりはいなかった その後、傷を負ったゆっくり達は互いに傷をぺろぺろとなめて傷を癒やしていく ドスまりさも頬に傷を負った しかし、誰もぺろぺろしてくれなかった ドスまりさに見合うだけの大きさのゆっくりはいない そのためドスまりさは一人寂しそうにぺろぺろしているゆっくりを眺め続けた このドスまりさはまだドスに成り立てだった しかも、胎児型出産で産まれたため見かけによらずまだ精神は子どもなのだ ドスになる前のまりさはとてもゆっくりしていた 幼馴染みのれいむと親友のだぜ口調が特徴的なだぜまりさ そして4匹の妹と両親に囲まれて幸せだった れいむとだぜまりさ、三人でよく遊び将来のことを話し合った だぜまりさは大人になったら自分だけのゆっくりプレイスを探しに行きたいと言い、れいむはゆっくりとして赤ちゃんが欲しいと言った まりさはまだ将来について深く考えていなかった ただ、今のようにみんなでゆっくり出来る生活がしたいと思っていた しかし、ドス化したことでその希望は打ち砕かれた まりさが目覚めると急に体が大きくなっていた 妹たちも自分もとても驚いていたが両親は祝福してくれた 「まりさはドスになれたのよ!」 まりさもドスのことは知っていた だが、自分がドスになるなどとは考えたことがなかった れいむとだぜまりさも驚いていたが共に祝福してくれた 始めはまりさも嬉しかった。しかし、ドス化したことで弊害が発生した いつものようにれいむにスリスリをしようとしたところれいむに止められてしまった 「ドスになったまりさとすりすりしたられいむがつぶれちゃうよ!」 そう、その巨体ですりすりをしたら加重を誤れば潰れてしまう しかし、すりすりは拒否されたがそれ以外は普通に接してくれていた それが余計にまりさには堪えた すりすりはゆっくりにとって敬愛を示す行為だ それを幼馴染みであるれいむにできなくてとても悲しんだ そしてもう一つ。 まりさはいつかれいむに告白しようと思っていた れいむは赤ちゃんが欲しいと言っていたから子供を作りゆっくり育てようと考えていた だが、ドスになったまりさとれいむの結婚は叶わない そもそもすっきりーしないと子どもが出来ないのだが、まりさが大きすぎてすっきりーできない まりさの哀しみは積もる一方だった そんなある日、だぜまりさが大人となり独り立ちをした 両親とれいむ、まりさに見送られて自分のゆっくりプレイスを探しに行くのだ 「ゆっくりいってくるんだぜ!まりさがゆっくりプレイスをみつけたられいむとまりさもあそびにくるんだぜ!」 そういってだぜまりさは旅立った その姿がまりさには羨ましかった だぜまりさは自分の夢を叶えようとしている それに比べ、自分はドスとなったことで夢叶わぬこととなった 人知れずまりさは涙を流した だぜまりさが旅立って数日立ったある日のこと まりさ達の元へれみりゃの群がやってきた 胴付きのれみりゃに次々と仲間が食べられた あまりの恐怖にまりさは白目をむいて気絶してしまった 目が覚めるとそこには地獄が広がっていた れみりゃに食べられて体が半分になったゆっくりやデスマスクと化したもの 必死に妹たちや両親の名を呼ぶが、答えるものはいなかった 生きているゆっくりはまりさだけだった 哀しみのあまりまりさはその場を離れた そうして、現在に至る 結局まりさの哀しみは深まる一方だった 「まりさはドスになんてなりたくなかったよ…ドスじゃなくてまりさってよんでほしいよ…」 ドスまりさと言えばゆっくり達の憧れの的だ しかし、ドスまりさからしてみれば、普通のゆっくりの方がとても素晴らしいものだった ドスとなったことで群のことを第1に考えさせられる 群をまとめられて当たり前、それができないと批難させられる 愛情を表現できる相手もいない 「まりさはもっとゆっくりしたいよ…」 だが、ドスまりさの孤独を理解できるものはこの群には一人もいなかった… by お題の人