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べちん!! 「ゆっくりいたいよ!!おにいさんなにするの!!」 れいむは自分に害を為した張本人であるお兄さんを見上げた。 お兄さんの手によって下ろされたそこは、冷たい石作り、あたりを壁で囲まれたゆっくりできない場所。 今れいむが落とされてきたわずかな隙間から、もといた世界とお兄さんの目がのぞいているにすぎない。 「ここはせまくてぜんぜんゆっくりできないからゆっくりひきあげてね!」 「れいむ、話を聞きなさい。 ……そこはお兄さんが作った”ダンジョン”だ。 もう一度日の光が拝みたければ、ダンジョンを制覇して戻っておいで」 「なにいってるの!ぜんぜんりかいできないよ!!」 バタン。 お兄さんがそこに蓋をし、世界は闇に包まれた。 ゆっくりとだんじょん 「ゆびいいいいい!!!!どぼちでこんなことするのおおおおお!!!!!」 れいむは泣き叫んだ。その声は石の壁に反響して響いたあと、むなしく消えていくのみ。 ◎地下10階◎ ひとしきり泣いたあと、れいむはゆっくりと移動を開始した。 落とされてきた場所はまったくの暗闇だが、見回してみると明かりのついている場所があることに気づいたのだ。 せめて明るい場所で少しでもゆっくりしたいという思いで、れいむは進む。 「ゆっくりつかれたし、おなかもすいたよ! ぷんぷん!おにいさんがたすけてくれないなら、れいむはじぶんだけでゆっくりするからね!」 そうは言うものの、ゆっくりできるあてなどどこにもない。 人間でも踏破に時間のかかるであろう大規模のダンジョンを、ひたすら歩くしかないのだった。 「ゆゆ?」 しばらく進むうちに、れいむはなにやら見覚えのある箱を見つけた。 それはお兄さんがいつも食べ物などをしまうのに使っていた箱だ。 「きっとおにいさんのごはんがはいってるんだよ!れいむがたべてあげるね!!」 いつも勝手に開けては虐待の限りを尽くされているれいむだったが、ここにはお兄さんはいない。 重くて開けにくい箱を、必死の思いでこじ開けるれいむ。 れいむは たからばこをあけるのに せいこうした! 「……ゆゆ?」 宝箱のなかにはご飯は入っていなかった。そのかわりになにやら紙が入っている。 は ず れ ☆ ごはんがはいってなくてどうおもった?くやしい? まあでも、たまにはアイテムのはいっているはこもないとはいえないから、 そのつどがんばってあけるのがおにいさんてきにはおすすめ。 ゆっくりがんばってね! おにいさんより- 「ゆぎぎ……!!」 激しい怒りに駆られるれいむ。 「しょうがないから、ゆっくりすすむよ… ゆ?よくかんがえたら、このはこのなかでならゆっくりできるよ!!」 れいむは宝箱の中に充分なゆっくりぷれいすがあることに気づき驚喜する。 「ゆっくりよじのぼるよ!」 しかし、そうは問屋がおろさない。その背後に忍びよる影があった。 ブーン…… 「ゆっ!」 振り返るれいむの目に飛び込んできたのは、一匹の蜂だった。 通常のものより大きく、動きも活発で危険な空気をかもし出しているが、ゆっくりした頭では気づくはずもない。 いつもとおなじように、一方的に挨拶をかます。 「むしさん、ゆっくりしていってね……ゆ゛う゛う゛!!??」 蜂はれいむに飛び掛ってきた。れいむと同じように外から連れてこられて気が立っているのだ。 普段なら危険がないと放置しているゆっくり相手であっても、示威行動をするのは無理からぬところだろう。 というより、そのためにダンジョンに配置されているのだ。 「いだいよ!ゆっくりやめてね!!」 体当たりしてもかわされ、ところかまわず刺されまくるれいむ。 「もっとゆっぐりじたかったよぉぉぉ!!!」 「そこまでよ!!」 暗いダンジョンに光が満ちた。 「ゆゆっまぶしっ」 「むきゅーん!!」 どこからか現れたぱちゅりぃが松明を咥えて蜂へと突進する。ゆっくり随一ともいわれる緩慢な動きのぱちゅりぃだが、 松明の火の脅威を駆って、蜂を追い払うことに成功する。 「ゆゆっ!ありがとう!」 「むきゅん、どういたしまして」 長くからこの場所にいるというぱちゅりぃから、この場所についての説明を聞く。 「どうやらだんじょんというものらしいわね! だんじょんではぱーてぃーをくんでいきのこるものよ!ぱちゅりぃといっしょにだんじょんをこうりゃくしましょう!」 「ゆっくりりかいしたよ!ゆっくりぱーてぃーしていってね!」 「……」 ほんの少しだけ、心配なぱちゅりぃだった。 (かといってまりさはずるっこだし…ありすはどこでもかまわずすっきりしだすし… しょうがないわよね、むきゅ) ぱちゅりぃが仲間を求めたのはとても単純な理由からだった。 力のないぱちゅりぃには宝箱が開けられないのだ。 「こっちよ!」 ぱちゅりぃがダンジョンを案内し、今まで放置せざるを得なかった手付かずの宝箱を回収する。 「づがれたよ!!!ぞれなのにどぼちてはずればっかりなのぉ゛ぉ゛ぉ゛!!」 「がんばってねれいむ!」 宝箱の内訳 ハズレ……5つ 食料……1つ(分け合ってその場で食べた) 赤ちゃんゆっくり……1体 最後の宝箱には、小さなゆっくりが入っていた。 あまりにちいさいので、何の種族かはわからない。 「ゆゆっ!ゆっくりしたあかちゃんだよ!」 「ここにいたらきっとひどいめにあうわ!つれていくしかないわね!」 ◎地下9階◎ スロープ状の階段を登り、上の階にたどり着く一行。 上がってすぐに宝箱を発見し、その中には剣が入っていた。 「これであぶないことがあってもみんなをまもれるね!」 れいむは けんをそうびした! ◎地下8階◎ 「ゆっくりしたとりさんだよ!ゆっくりしようね!」 「れいむ!きけんよ!」 「ゆ!」 襲い掛かってきたカラスを懸命に退治する。 「ゆーはー…ゆーはー…」 「いい?れいむ、ここでであうあいてはみんなあぶないのよ」 「ゆっくりわかったよ…」 れいむは”そんなのゆっくりできないよ”と思ったが、 ぱちゅりぃの言うことも正しいと思いうなずいた。 早くここを出たい。ただそう願うのみだった。 ◎地下5階◎ 凶暴な動物を剣で撃退し、一行はスムーズにここまで上ってきた。 「むきゅん!きっともうすこしでおそとにでられるわ!」 「おそとにでたらゆっくりできるね!!」 「ゆゆー!」 しかし、一行は知らなかった。識者のぱちゅりぃでさえも知らなかったのだ。 この手のダンジョンに付き物のあるルール――”階層を進むにつれて敵が強くなる”ということを。 「うー!うー!」 はっ、と一行は息を呑む。 出会ったことはなくても、語り継ぐ餡子の記憶が知っている天敵。 その声が、ダンジョンの壁に反響して聞こえてきているのだった。 「ゆっくいいっぱいたべるっどぅ~☆」 まだ幼いれみりゃ種だが、見つかれば被捕食種である一行はあっさりと全滅するだろう。 「(こえをたてちゃだめよ!ゆっくりにげるわよ!)」 「(わかったよ!ゆっくりにげるよ…)」 「(ゆゆゆ…)」 何とかやり過ごしたものの、その後一行は何度もれみりゃに遭遇した。 そんな折、一行の前に広い空間が広がった。 そこはダンジョンの中でも比較的快適そうな空間で、アイテムが並べ売りされている。 人間が座っており、一行を見かけると話しかけてきた。 「やあ!ここはゆっくり用品店『ゆ虐の友』ダンジョン店だよ!ゆっくりしていってね!」 「ゆ、ゆっくりしていってね!おにいさんはゆっくりできるひと?」 「個人的にはすごくゆっくりしてるよ」 「ゆ?」 「つまり、お兄さんは、君達が生きてるのを見てゆっくりしてるんだよ」 「それじゃあ、やっぱりゆっくりしてるんだね!」 「むきゅん、それならなっとくだわ!」 れいむは並べ売りされている商品の食べ物に跳ねていく。 「ゆっくりたべてあげるよ!あかちゃんもゆっくりたべてね!」 「これこれ」 その前に立ちふさがるお兄さん。 「これはお店の売り物だから、お金をはらわなくちゃあげられないよ」 「どぼぢてそんなこというの゛お゛お゛お゛!!!」 「ぱちゅりぃはおなかがすいてるのよ!ゆっくりゆずってね!!」 「ゆゆ~!!」 「やれやれ、ここにたどり着くゆっくりは稀だけれども、貨幣を理解して持ってくるゆっくりはもっと稀だ。 ……それじゃあ、物々交換でもいいよ。ここに来るまでに拾ったものと交換してあげよう」 一行は口の中に物資を保管してここまでやってきたので、めいめいに自分の持っているアイテムを吐き出す。 その多くは食べ物で、ほとんど価値はなかった。 「ぜんぶでこれだけになるね」 適正に計算した見積もりを提示するお兄さん。 「わかったよ!それでここにあるものぜんぶちょうだいね!!」 「(こいつら何にも判ってねえよ…)」 小半時かかってお金の価値を説明するお兄さんだった。 「それじゃあなんにもかえないじゃないぃぃぃ!!!」 「やっと理解したか」 実際には一個か二個ぐらいなら買えるはずだが、手持ちの食料を手放して別な食料を買うのはほとんど意味がない。 しかも、れいむ的には全部手に入るのでなければ気に入らないのだ。 「それにしても強欲な奴だな……おっと?」 お兄さんはゆっくりから商品を守りながら、とあることに気づいた。 「そこのちびっこ、そうだな…お前とだったらここの食べ物三つと交換してやってもいい」 「ゆゆ!?」 「ほんとう!?おにいさん!」 「ああ本当だ。それはなかなかの貴重品でね。それとだったら交換してやれる」 「ゆゆ!!」 だが赤ちゃんゆっくりはれいむの側を離れようとしない。しがみついてくる。 離れたくない。自分も地上に出たい。その瞳はそう言っていた。 れいむは溜息をついた。 「おにいさん、せっかくだけどこのあかちゃんはあげられないよ」 「むきゅん!そのとおりよ!あかちゃんといっしょにちじょうへでるのよ!」 「そんなら出て行きなさいな、素寒貧に用はないよ」 「ゆゆ!いいあいでぃあがうかんだよ!ここをれいむのおうちにすればいいんだよ!ゆっくりでき……」 「ゆっくりゃの餌にすんぞお前ら?」 お兄さんが目を剥いたのでれいむは黙った。 「……おにいさん」 ぱちゅりぃだった。口の中にあった食料全部と、眠るときに使う毛布のきれっぱしをすべて吐き出す。 「これで、そこにあるまるいのをちょうだい」 ぱちゅりぃが目をつけたのは、店の隅に置かれていた球体だった。 「ふかふかがなくなったらゆっくりできないよ!なんでそんなものかうの?ばかなの?しぬの?」 れいむが呆れる。 「むきゅん、これは”ぼむ”といって、れみりゃをおいはらってくれるものなのよ!」 「そ、そうだったの!」 「お目が高いね、毎度あり」 「これはあぶなくなったときのためにれいむがだいじにもっていてね」 「わ、わかったよ、ゆっくりだいじにするよ」 ◎地下2階◎ 階を登るなり、まりさ種の悲鳴に遭遇した。 「ゆぎゅううううう!!!!!どぼぢでゆっぐりざぜてぐれないの゛お゛お゛お゛!!! れ゛い゛む゛!ばぢゅ゛り゛ぃ!た゛す゛げでぇ゛!!」 まりさがれみりゃに捕らえられ、いたぶられている。 「あっちにもゆっくりいるどぅ~☆たーべちゃーうどぅ~♪」 れみりゃはそういうが、実際には一行との間には格子状の仕切りがあり、視線は通るが通行はできない。 「やめてね!まりさをゆっくりたすけてね!!」 鉄格子越しに泣き叫ぶれいむと、 「むりよ…いまのうちにわたしたちはにげましょう。もうすぐちじょうだわ」 あくまで冷静なぱちゅりぃ。 「いやだよ!まりさをたすけるよ!」 れいむは感情のままに、口の中からアイテムを取り出した。 「!!だめよ!れいむ!!そんなのことをしてもあのまりさはたすからないわ!!」 それはよりにもよって、たった一つしかない貴重なアイテム、”ぼむ”だった。 れいむの口から射出された”ぼむ”はころころとれみりゃの足元まで転がり… 「そんなのでりしゃすじゃないんだっどぅ~♪ぷっでぃんよこすどぅ~☆ こんなの、ぽーい☆だっどぅ……」 ボン!!! それを踏んだれみりゃを、爆散させた。 「むきゅ!むきゅ!どうしてあんなことしたの!!」 「ゆ…ほっとけなかったんだよ……」 「ぼむはとってもきちょうなんだから、だいじにとっておいてっていったのに!」 いまや生命線を失った一行は途方に暮れる。 「ごめんねぱちゅりぃ…またがんばってたからばこあけて、おにいさんにうってもらうよ…」 「むきゅ。……わたしもいいすぎたわ。ごめんねれいむ。 たからばこはいいから、いそいでちじょうをめざすのよ、 いまのものおとでれみりゃがあつまってくるかもしれないわ」 ◎地下1階◎ ぱちゅりぃの洞察は哀しくも正鵠を射た。 「う~!!」 「こっちからおとがしたっどぅ~☆う?」 「うっう~!ゆっくりがさんびきだっどぅ~!!たーべちゃーうどぅ~!!」 ここまでは奇跡的に危険を避けてきた一行だったが、先ほどの物音を目指して 様々な方角から階段を目指してくるれみりゃと正面衝突してしまったのだ。 その数2匹。先ほどと違い、だだっ広い通路に仕切りはない。 後方からも、たった今逃れてきた別のれみりゃ集団の鳴き声がしている。 もうどこにも逃げ場はなかった。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛…」 「む゛っ゛ぎゅ゛う゛う゛ん゛!!」 絶望するれいむとぱちゅりぃ。 れいむの口から、剣がカラリと音を立てて落ちた。 子ゆっくりが口を開いた。 「おとうたん、おきゃあたん、ここまでつれてきてくれてありがとう!! てんこはおとうたんとおきゃあさんにあえてしあわせだったよ……」 「ゆっ?」 「あかちゃんなにをゆってるの?」 迫り来るれみりゃ。 その前に、ゆっくりてんこはただ一匹その身を投じた。 「ゆっくりいじめてね!!ゆっくりぶってね!!」 「へんなゆっくりだっどぅ~☆たーべちゃーうどぅ~☆」 ちいさなゆっくりは辛くもれみりゃの足の下をかいくぐり、前方の通路から脇道へと逃げ込む。 「ちっこいくせになまいきだっどぅ~!!」 「ぜったいつかまえるっどぅ~!!」 れみりゃ二匹はそれを追っていった。 「れいむ!いまのうちよ!!ゆっくりにげましょう!!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!!でいぶのあがぢゃああああんんんん!!!」 「ゆっぶ!ゆっぐり!ゆっぐりいじ!いじべちぇ!!いじっ!いじっ!!」 脇道から聞こえるゆっくりてんこの嬌声を聞きながら、二匹は走った。 もうてんこの声は聞こえない。けれども、階段はすぐそこだ。 ◎エピローグ◎ 風が吹いている。二匹のゆっくりはそれを体で感じると、思いのままゆっくりした。 それができるのは、石造りのダンジョンで出会った小さなゆっくりのおかげなのだ。 「あがちゃん……」 悲しい記憶が消えるのにはもう少しかかるけれども、それも風に吹かれていつか消えてゆくだろう。 「れいむは、おにいさんのところへもどるの?」 その言葉にこめられた意図に気づいたかどうか。れいむは首を横に振った。 「あんなひどいことをするおにいさんとはいっしょにいられないよ! べつなところでゆっくりするよ!!」 「そ、そそそそれなら、わ、わたしといっしょに……」 お兄さんは、ダンジョンの出口を遠くから眺めていた。 ”ゆっくりダンジョン”攻略は過去に例のない快挙だ。 「ってか、攻略するとは思わんかった……」 ゆっくりてんこ――よく希少なアイテムを引いたものだ。そして、それを手放さなかったとも報告されている。 「れいむか……」 品性に劣るまりさなら、それどころか頭のいいぱちゅりぃ単体であっても、その判断はできなかっただろう。 その判断が二匹を救ったのだ。 (俺のところへは……戻らないか) こちらから遠ざかっていく二匹を見て、お兄さんは笑んだ。 「おーい!! ゆっくりしていってねーーーーー!!!」 風に乗って、どこからか声が運ばれてきた。 二匹のゆっくりはそれに答えて、 「「ゆっくりしていってね!」」 と、声を返した。 それから三日後の夜、二匹はれみりゃの襲撃を受けた。 「うー☆うー☆うんまぁ~いどぅ~♪」 「ばちゅりぃ!!??ばぢゅりぃぃぃぃ!!!???」 ダンジョンでは、物陰で寝ていればれみりゃをやり過ごすことは簡単だった。 しかしここではそうではないのだ。ダンジョン用の飢餓感のないれみりゃと違い、 野生のゆっくりゃからはよほど巧妙に隠れないかぎり逃げられない。 それは、自然に生きるゆっくりがゆっくりぷれいすにこだわる理由でもある。 それを人間に育てられたれいむとぱちゅりぃは知らなかった。だから、ダンジョンとは勝手の違う餌取りに疲れ、 木の幹にもたれかかって寝ていたのだ。見つかって当然ともいえた。 お兄さんは思う。 「今頃あいつら、どうしてるかなあ……過酷な自然で、ゆっくりできるものならゆっくりしていってね!! さて次は何をダンジョンに放り込もうかな……れみりゃ沢山放って、ふらん無双とかもいいな……」 「むっぎゅむぎゅむぎゅ……」 「やめてね!!たいせつなぱちゅりぃをゆっくりはなしてね!!」 「つぎはおまえだっどぅ~!!おぜうさまにかんしゃしてたべられるんだっどぅ~☆ きょうはごちそうだっどぅ~☆」 おしまい。 □ ■ □ ■ 箱入りで育てられた結果がこれだよ!! ダンジョン→イージーモード 自然→ルナティック ってことで。 今までに書いたSSです。よかったら読んでくださいね 豚小屋とぷっでぃーん 豚小屋とぷっでぃーん2 エターナル冷やし饅頭 れみりゃ拘束虐待 無尽庭園 ゆっくりできない夜 ゆっくりぴこぴこ 何かがいる 踊り師とれみりゃ 小ネタ-瓶ゆっくり ゆっくりゆうぎ このSSに感想を付ける
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『ゆリーダー日記』 11KB 愛で 自業自得 飼いゆ 赤ゆ 子ゆ ゲス ペットショップ 都会 現代 三作目。短めです 虐待成分ほぼ皆無です。虐待派の方は早々にお逃げください。 俺はゆっくりブリーダーである。不思議な饅頭生物ゆっくりを人間が気に入るように育てゆっくりショップに卸すのが仕事だ。 今回は後で見返したとき面白そうなのでブリーダー日記をつけてみようと思う。 六月三日 今日は繁殖用ゆっくりに久しぶりに赤ゆっくりをたんまり産ませる。 毎日産ませると母体の消耗が激しい上に、俺の負担も多くなり教育の質が下がるからやらない。 母体に精子餡を注入し、すぐにオレンジジュースの点滴を始める。 今回使う母体はまりさ、ぱちゅりー、みょん、れいむの四種だ。 『ゆ……ゆ……ゆっきゅりちていっちぇにぇ!』 合計15匹の赤ゆっくりが大声で挨拶をする。 「はいはいゆっくりゆっくり。お前等はこれから俺の教育を受けてもらうから」 「むきゅ? きょういきゅ? にゃんで?」 比較的利発そうなぱちゅりーがこっちの方を向いた。他は言ってることがよく分からないのかぽかんとしている。 「これから教育を受けてもらって、良いゆっくりに育ったら飼いゆっくりになれるから。ゆっくり理解しろよ」 『ゆ!? かいゆっきゅりににゃれりゅの?』 「頭の良い奴だけな。ゲスは潰すから覚悟しろよ」 『ゆっきゅりりきゃいちたよ!』 「しました、だ」 この辺のやりとりは赤ゆっくりを育てる上でテンプレだ。 なぜ教育を受けさせるのか、教育を受けるとどうなるのか。 これを赤ゆっくりの時に叩き込んでおかないと後々教育をろくに聞かない奴が増えてくる。 「じゃあ、飼いゆっくりはどうすればいい? れいむ、答えろ」 とりあえず目の前のれいむを指さして言うと、れいむはしばらく唸った後「にんげんしゃんのおうちできゅらすこちょだよ!」と答えた。 「はい残念」「どぼぢでえぇぇ!?」 「飼いゆっくりは、ただ人間と居ればいいってもんじゃないんだよ。人間をゆっくりさせないといけないんだ。 さあ言え!『ゆっくりは人間さんをゆっくりさせます』」 『ゆっきゅりはにんげんしゃんをゆっきゅりさせまちゅ!』 とりあえず初日はこれをひたすら言わせる。餡子の芯までこの常識を叩き込むのである。 安物のゆっくりフードを適当に食わせ、その後ゆっくりに遊びついでに人間との力関係を覚えさせる。 「人間に勝てると思う奴、出てこい」 赤ゆっくりの内、気性の荒そうなまりさとみょんが前に出た。 「今は無理でも、大人になったか勝てると思う奴も出てこい」 赤ゆっくりの殆どが前に出た。 「よし、じゃあ俺に勝って見せろ。さあこーい」 ゆっくり達は最初動揺していたが、みょんとまりさを皮切りに全員が俺に体当たりしてきた。 ぽてぽてと小さな衝撃が足に来る。勿論俺にダメージはない。 「どぼじでだおれないのぜぇええええ!?」 「みょんだぢがかでないばずないみょおおおおん!」 一番気性の荒そうな二匹がゆーんゆーんと泣き出した。ちょっと潰したくなるが我慢我慢。 「じゃあ次はこっちから行くぞー、ほれ」 みょんとまりさの額に軽くデコピンをかます。人間からしてみれば軽くだが、赤ゆっくりから見れば相当な破壊力である。 「「いぢゃいいいいいいぃぃぃ!」」 「こんな感じで、人間はゆっくりよりも強いんだ。逆らおうとか思うなよ。……他に挑戦者は居ないか?」 赤ゆっくり達はぶるぶると首を振り、殆どが部屋の隅に這いずっていった。 こんな感じでリーダー格を簡単に弄んでみせ、他のゆっくりにも人間の力を分からせるのだ。 ここから一週間はこれを続け、他にも飼いゆっくりのルール全般を教え込む。今回は一応見るからにゲスな奴は居ないので楽しみだ。 六月十日 「お前等、こいつを見てくれ。こいつをどう思う?」『ゆ?』 こちらを見るゆっくり達に、そこで捕まえた野良ゲスを見せる。 「なにずるんだぐぞじいいいいいいいいぃいいいい! いだいなるまりざざまをばなぜええええぇええええええええ!」 『……ゆっきゅりできにゃいよ』「良しっ!」 「なにがよじだああああぁああああああああああああ! ばなぜええええええええ!」 「こいつが前に話した野良ゆっくりだ。極力関わらないようにしろよ。 無理矢理すっきりさせられたり、殺されてバッジを取られることもあるんだからな」 「むきゅ? ばっじしゃんはほきゃのゆっくりがつけちぇもいみがないんじゃにゃいの?」 ぱちゅりーが首を傾げる。 「ところがだ。野良のほとんどはそんなこと知らないか忘れているんだ。だから殺してでも奪おうとする」 「ゆぅ……だったらおしえてあげりぇびゃ……」 「無駄だ。そいつらはお前等の話なんか聞く気はない、バッジを奪うことしか考えていないからな」 他にもでいぶやれいぱーの恐ろしさを教え、とどめに野良まりさを叩き潰して教育終了。 赤ゆっくりの内何匹かはしーしーを漏らして気絶していた。まあ当然と言えば当然だろう。 この後は遊びの時間だが、みょんとまりさは一週間ほどデコピンで返り討ちにすると俺に向かってこなくなった。 それどころか他の赤ゆっくり達にデコピンの恐ろしさを語り始めた。思わぬラッキーである。 六月十五日 今日は雨だった。 「お前達、ちょっと外見てみ」『ゆ?』 六月に育てた赤ゆっくりは他に比べてほんの少し死亡率が低い。 ――ユンヤー、オチビチャンガー ――アメサンユッキュリシテエエエエェエエエエエ! 「水に濡れたらお前等もあーなるからな、気をつけろよ」 『ゆっきゅりりかいしまちたああああああああああ!』 なぜなら、雨や水の危険性を教えられるからである。 六月二十日 「あー、お前等! もうすぐバッジ試験を受けてもらうから、復習をしてもらうぞ! 飼いゆっくりはー?」 『にんげんさんをゆっきゅりさせます!』「ゆ? なにいってるにょ? にんげんにゆっきゅりさせちぇもらうんでちょ?」 「……むーしゃむーしゃは?」 『しまちぇん! ごちそうしゃまでしたといいまちゅ!』「はあああああ? しあわせ――っ! でしょ? ばかにゃの?」 「…………おちびちゃんは?」 『つくりましぇん!』「はあああああああああああああああああぁああああ!? おちびちゃんはゆっきゅりできるでちょおおお!?」 「………………お家の中では?」 『ものになるべくさわりましぇん! あとしずかにしまちゅ!』 「はあああああああああああああああああああああ!?おうちのなかのものはみんなれいむのものでちょおおぉお!? ばかにゃにょおおおおおおおお? しにゅのおおおおおおおおおおおおおおお!?」 俺の最近の悩みの種はこいつだ。ちなみに最初に質問に答えた奴とは違う。 「飼いゆっくりは人間さんをゆっく『なんどいえばわかるのおおおおおおおぉおおお!? ばかなにょおおおおおおおぉおお!?』」 この野郎………… どうもこいつは最初っから俺の話を殆ど聞いていなかったらしい。 デコピンをしても反省の色無し。というか何故怒られたのかが分かっていなかったようだ。 そう言えば最初にみょん達にデコピンかましてる間もこいつはそっぽ向いて遊んでたような記憶がある。 「れいむ! そんなこというのはやめるのじぇ!」「かいゆっくりににゃれないみょんよ!」 「だいじょうぶだよ! れいみゅみたいなかわいいゆっきゅりをにんげんがほっとくわけがにゃいよ! きゃわいきゅってごみぇんね――――!!!!!!」 だめだわ、これ。もう教育とかそう言うレベルじゃない。死ななきゃ、いや多分死んでも直らん。 ……とにかくバッジ試験は五日後だ。その時に全て決まるだろう。 六月二十五日 「おめでとうございます。十五匹の内、ぱちゅりーが金、みょん二匹とまりさ三匹が銀、ほか八匹は銅バッジを取得しました」 バッジ試験を受けさせに来た俺に受付のお姉さんが言った。 「どうも。……あの、最後の一匹ってひょっとしてれいむですか?」 「あー……あの子ですか。残念ですが……」 やはり銅バッジすらも取れなかったらしい。まあアレなら当然だろうが。 『おにーさん、わたしたちゆっくりがんばったよ!』「ああ、良かったな」 「どぼじででいぶがきんばっじじゃないのおおおおおおおおおおお!!!!!!!????? ばかなのおおおおおおおおおおおおおおおおぉおおおっ!? しぬのおおおおおおおおおおおおおぉおおおおおおおおおおおゆぶっ!」 とりあえず騒音の塊の口を塞いで防音の箱に入れ、俺は他のゆっくり達と車に乗った。行き先はこいつ等を卸すゆっくりショップ。 「金が一体に銀が五体、それに銅が八体ですか。金を三万、銀を一匹一万、銅を一匹一千円で買わせて頂きます」 「ありがとうございます。このれいむですが、その……虐待用に回せませんかね?」 少し声のトーンを落として聞くと、店員はニコニコと笑っていった。 「ええ、もちろん。これほど罪悪感無く虐待できるゆっくりはそうそう居ませんよ。では、またのご利用をお待ちしています」 そう言って六万一千円とれいむの分の百五十円を俺に渡し、店員はゆっくり達をケージの中に運び始めた。 『おにーさん、ゆっくりありがとう!』「ゆふふ、やっぱりれいむはすごいんだね! ばっじがなくてもれいむのみりょくはかすまないんだよ!」 うっすら涙を浮かべて俺に礼を述べるゆっくり達と、見事に勘違いしたでいぶが運ばれていく。 でいぶは『捕食種の餌用』と偽装された虐待用、他は『飼いゆっくり用』のケージに。 「はいはい。じゃあな、お前等。飼い主とも仲良くやれよ」 それだけ言って、俺は踵を返してショップから出て行った。 次は思い切って20匹ほど育ててみようか。そんなことを考えながら。 おまけ それぞれの行く末 リーダーまりさの場合 (……おにーさん、まりさはせいいっぱいかいぬしさんをゆっくりさせるんだぜ……) 改めてそう決意するまりさの前で、一人の男性が歩みを止めた。 「うーん、銀バッジか。悪くはないけドゥ……。相棒にはちと頼りないかしらね―い」 長身の男性は再び歩き始め、まりさはふう、と溜息をついた。 (まだまだこれからだぜ。かならずだれかがかってくれるのぜ) 「……おにいさん! れいむはこのまりさとお友達になりたいよ!」 「はは、そうか。じゃ、このまりさを貰えますか?」 (! 来たのぜ!) 満面の笑みでこちらを見る胴付きの子れいむと男の人に、まりさは何かゆっくりできるものを感じた。 「まりさ、ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね、なのぜ!」 リーダーみょんの場合 (……まりさがもらわれていったみょんか。つぎはみょんのばんだみょん) ――ゆこ、誰が良い? (あのおじさんはやさしそうだったみょん。みょんもあんなかいぬしさんにかわれたいみょん) ――こーぼね! 「あ、この子が良い? ゆゆこ」 (できればけんがつよいひとに……) 「こーぼね!」「みょおん!?」 考えごとをしていたみょんが、ようやくそこで目の前にいるゆゆこと若い女性に気づいた。 「これからは私が飼い主よ。ゆっくりしていってね」「こ~ぼね~!」 「みょ! ゆっくりしていってね!」 みょんの『剣が強い人』という望みはこの時叶ったのだが、それをみょんが知っているはずもなく。 ただ飼いゆっくりに選ばれた喜びで、力強く挨拶を返すのだった。 金ぱちゅりーの場合 (むきゅ、たくさんごほんがあるところにもらわれたいわね) ショップで出される餌をむぐむぐと咀嚼しながらぱちゅりーは思った。 「お、こいつはなかなか利発そうだぞ。こいつにしてみないか」 「えー、いいよぱちゅりーなんか。病弱だもん」 目の前を通った親子の会話を聞き、ぱちゅりーははあ、と溜息をついた。 (やっぱり、おそとであそべるほうがいいのかしら……むきゅう) 「こぁちゃん、あなたのご主人様を捜してあげますからね~」 「!? こぁ! こぁーっ!」 「ん? どうしたのこぁちゃん、……このぱちゅりーがいいの?」 みょんをもらっていった人と同じくらいの年頃の女性が、ぱちゅりーのケージにしがみつく赤こぁを追いかけてきた。 「こぁ! こぁ!」 こぁがぶんぶんと頷く。 「そっかー。じゃ、この子にしようか。すいませーん、この子くださーい」 「むきゅ!? ぱちぇをかってくれるの?」 「そうよー。ご本もたくさんあるから、こぁといっしょにゆっくりしていってね」 店員に持ち運び用のケージに入れられても、ぱちゅりーは未だに信じられないでいた。 (ぱちぇは……ぱちぇはかいゆっくりになれたの?) 「こぁ! ぱちゅりーちゃまぁ!」 ケージの中にこぁが入り込み、ぱちゅりーにくっついてすりすりとほおずりをする。 「むきゅ?」 突然ケージに入り込んできた見知らぬゆっくりに戸惑いながらも、ぱちゅりーはとりあえず挨拶をした。 「ゆっくりしていってね!」「こぁー!」 でいぶの場合 「すいません、この子貰えます?」 ニコニコと柔和な笑みを浮かべる青年にでいぶは購入された。 「ゆふふ! やっとれいむのみりょくにきがついたんだね! ちょっとゆっくりしすぎだよ!」 「そうだねー」 車の中で、でいぶの自分勝手な言葉に殆ど感情を込めず青年が返す。 「ついたぞ。ここが俺の家……」 「ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ! くそどれいははやくここをあけてね!」 「あーあ……はい、どうぞ」 早速お家宣言して中に入ると、そこに一体の胴付きゆっくりがいた。 「…………ふ」 「ただいま。ふらん。こいつ晩ご飯に食べても良いぞ」「うー! ありがとうお兄さん!」 「ふらんだあああああああああああああぁああああああ!」 でいぶが目を見開き叫び声を上げる。 「いただきまーす!」 「ゆっぐり! ゆっぐり! ぶらんはでいぶをゆっぐりさせてええええええええええええ!!」 思考回路がパーになったのか、でいぶが意味不明な叫び声を上げる。 かぷっ! ちゅうううぅぅぅ…… 「ぼっどゆっぐりじだがっだぁぁぁぁ………」 死にゆくゆっくり達の常套文句を口にして、でいぶは餡子を全て吸い取られぺらぺらの皮だけになった。 ○ 今まで書いた物 レイピアお姉さんと愉快な仲間達 レイピアお姉さんと愉快な仲間達2
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前 翌日の朝── 「ゆっゆっゆっ、きょうこそれいむにいっしょにすんでもらうんだぜ」 巣穴から出てきたのはゆっくりまりさ。あの三匹のまりさの内の一匹である。 ちなみに三匹は全員れいむに惚れており、誰が先に自分の伴侶にするか競争しているライバルである。 最も、この三匹はまったくれいむから相手にされていないわけではあるが。 「まずははらごしらえなんだぜ、たべものをさがすんだぜ」 このまりさはゆっくりの中では立派とも言える巣をもっているが、食べ物を保存するという計画性はまったく無かった。 その辺りにある物を食べたり、他のゆっくりから食べ物を無理矢理奪うなど、実にその場しのぎな生活をしていた。 今日もいつもと同じように、食べ物が無いか跳ねながら辺りを見回す。 「ゆっ、なんかあまくていいにおいがするんだぜ」 匂いの元を探して跳ね回ると、さほど離れていない場所に、小さな黒い塊が落ちていた。 どうやら先程の甘い匂いは、この塊から発しているらしい。 まりさは一口丸ごと食べてみる。 「うめぇ!! これめっちゃうめぇ!!」 思わず声に出して叫ぶほど美味しい味がまりさを包んだ。こんな物は食べた事が無い。 この美味しい食べ物がもっと欲しい、まりさは他に同じようなものが無いか辺りを見回す。 すると先程と同じように、黒い塊が点々と落ちていた。 まりさはそれを見るや、点々と落ちている黒い塊を食べながら辿っていく。 道しるべのように点々と落ちていたその先には、大きな黒い塊が落ちていた。 「ゆゆーっ!! これはまりささまのものなんだぜ、だれにもわたさないんだぜ!!」 夢中になってその大きな塊を貪るまりさ。その姿は醜かったが、とても幸せそうだった。 だがそのために気づかなかった。考えもしなかった。 この塊が何でできているかという事に。 この塊が何でここに落ちているかという事に。 自分の家から点々と小さな塊が落ちていたという事に。 いつのまにか、誰かに見られていたという事に。 「がつがつがつがつがつがぶぉぶ!!」 食事中に強い衝撃を受け、黒い塊に突っ込むまりさ。 突然の出来事に思わず吐き出してしまい、吐き出した先に突っ込んでしまった事で、自身の顔がべとべとの黒まみれになってしまう。 食事の邪魔をされたどころか言いようの無い屈辱を受けたまりさは今までに無い怒りを覚えた。 「なにをするんだぜ!! まりささまをおこら……せ……」 後ろを振り向いたまりさは唖然とする。 そこには遠ざかるまりさの姿が見えた。 しかしその帽子には見覚えがある。見間違えることなどない。 まりさは今までに無い怒りを即座に忘れ、さらに強い怒りと焦りを覚える。 「ばがあぁぁぁぁ!!!!! まりざざまのぼうじがえぜええええぇぇぇぇぇ!!!!!」 帽子を奪った相手のスピードはそこまで速くはなく、見失う事は無かった。 しかし追いつくことも無く、一定の間隔以上は離されていた。 それでもまりさは必死になって、自分の帽子を取り戻そうとひた走る。 しばらく走っていると、急に相手のスピードが速くなった。 負けじとまりさも追いつこうとするが、離される一方であり、見えなくなってしまった。 それでも帽子を取り返さなければいけない、ゆっくりできなくなるのは嫌だ。 そんな思いから気力を振り絞って懸命に進む。 そしてその苦労は報われ、先程帽子を奪ったまりさに追いついた。 よくみると、その先にはいつも一緒に行動しているゆっくり仲間がいるではないか。 これで帽子を取り返せると思い、まりさは叫ぶ。 「ごのばがあぁぁぁ、まりざざまのぼうじをざっざどがえじでゆっぐりじねえぇぇぇ!!!!!」 その声にゆっくり達は反応する。 「ゆっ、ゆっくりできないゆっくりがいるよ!!」 「ゆっくりできないゆっくりは、ゆっくりしぬといいんだぜ!!」 「まりささまがころしてやるから、ありがたくおもうんだぜ!!」 まりさは一瞬言っている事が理解できなかった。 仲間達の反応は、自分の考えていた反応とまったく違っていた。 「なにいっでるのおぉぉ!!! ぼうじをうばっだゆっぐりでぎないゆっぐりばあいづだよおぉぉぉ!!!」 「なにねぼけたことをいっているんだぜ? まりささまがぼうしをとられるわけがないんだぜ」 「おお、おろかおろか」 「ゆっくりできないゆっくりはやっぱりばかなんだぜ」 「あんなのがいたらゆっくりできないよ!! みんなあいつをやっつけてね!!」 「「「わかったんだぜ!!!」」」 涙ながらに訴えるが、仲間たちは判ってくれなかった。 それどころか、帽子を奪った犯人と一緒に此方に来るではないか。 「ぢがぶっ!! まりざざまがまりざざまなんだぜえぇぇ!! にぜものはあいぶぅぅぅ!!!」 必死に伝えようとするが、仲間達は聞く耳持たず、それどころか体当たりを仕掛けてきた。 このままでは死んでしまう、そう思ったまりさは一旦逃げることにした。 「まりざざまがまりざざまっでなんでわがっでぐれないんだぜえぇぇぇ!!」 「にがさないんだぜ、ゆっくりしぬといいんだぜ」 「まりささまのなをかたるなんて、しけいなんだぜ」 「まりささまがじきじきにころしてやるから、ありがたくおもうんだぜ」 しばらくまりさは逃げていたが、先程まで全力疾走していたのだ、そう体力も持たなかった。 すぐに三匹のまりさに捕まってしまい、体当たりを受ける事になる。 「ゆぎゃっ、ゆべぇっ、やめるんだぜ、まりざざまばぼんもの゛おぉぉぉ!!」 「うるさいんだぜ、そんなうそにはだまされないんだぜ」 「このごにおよんでうそをつくなんて、おうじょうぎわがわるいんだぜ」 「うそつきのゆっくりはさっさとしぬといいんだぜ」 「ゆぎぃっ、ゆぶっ、ゆげっ、ゆぎゃあぁぁぁ!!!」 最早まりさには体力は残されておらず、ただ三匹のまりさたちのサンドバッグとなる運命しかなかった。 しばらく悲鳴を上げていたが、やがてその声も弱まり、遂にはなんの反応も示さなくなった。 動かなくなったまりさだった物をみて、二匹のまりさはゲラゲラと笑い出す。 「すごくゆっくりしてなかったんだぜ、しんでとうぜんなんだぜ」 「せいぜいあのよでゆっくりするんだぜ」 勝手な事を言って馬鹿笑いをしている二匹に対して、もう一匹のまりさは二匹に聞こえないように呟いた。 「そうだね、おまえたちもいっしょだよね」 「ゆっぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」 「な、な、な、なんなんだぜ!?」 突然悲鳴を上げるまりさに驚き、まりさはそちらを見る。 そこには大きく口を開けて叫ぶまりさの姿が見える。 そしてその後ろにもう一匹、枝を咥えているまりさの姿があった。 「いだいいいぃぃぃ!!! どうじでごんなごどずるんだぜえぇぇえぇぇ!!!!!」 「なにしてるんだぜ!? きがくるったんだぜ?」 背中に枝が突き刺さり、悲鳴を上げるまりさ。 突然の狂った行動に戸惑うまりさ。 状況が理解できていないまりさ達の問いに、枝を咥えているまりさは平然と答える。 「れいむにいわれて、ゆっくりできないまりさをころしているんだぜ。 ゆっくりりかいするんだぜ」 思いもよらない答えにますますわけが判らなくなったまりさ達だったが、痛みでそれどころではないまりさは叫ぶ。 「うぞだあああぁぁぁあぁぁ!!! うぞをいうまりざはゆっぐりじねえぇぇぇええぇぇ!!!」 「うそじゃないんだぜ、ゆっくりしね!!」 「そごのまりざあああぁぁぁあぁぁぁ!! まりざざまをだずげろおぉぉぉおおぉぉぉぉ!!!」 「まりさ、れいむがいってたんだぜ、ゆっくりできないこいつをころすんだぜ!!」 目の前で行われている仲間の行動に頭が追いつかないのは傍観しているまりさだった。 だが目の前の光景や先程言われた言葉、自分の立場を考える。 そして一つの結論を出した。 「ゆっくりしね!!」 「ゆっ!?」 まりさが選択したのは、枝を加えているまりさへの攻撃だった。 枝を加えているまりさは思わず枝を離して攻撃を避ける。 (ちっ、やっぱりうまくはいかないね……でもよそうどおりだよ) 避けたまりさは心を落ち着かせると、体当たりしたまりさを見る。 枝が刺さったまりさは助かったと思い、罵倒を始めだした。 「ゆううぅぅ、たすかったんだぜ!! まりささまをこんなめにあわせたあいつをたおすんだぜ!!」 これであの裏切り者を倒せる、そう怪我をしたまりさは思っていた。だが── 「うるさいんだぜ、まりささまにめいれいするなんて、ひゃくねんはやいんだぜ」 「ゆぶぇ!!」 「……ゆ?」 なんとせっかく助けたまりさを先程体当たりしたまりさは攻撃し始めた。 その行動は完全に予想外であり、身構えていたまりさは唖然としている。 「なにをずるんだぜえぇぇぇ、でぎばあっぢなんだぜえぇぇぇ!!!」 「おまえはれいむにとってじゃまなんだぜ、ゆっくりしね!!」 訳が判らない。傍観者となったまりさはそう思っていた。 だが当事者である二匹には通じているようで── 「あれはあいづのうぞなんだぜえぇぇぇ、れいむばまりざざまのごどがいぢばんずぎなんだぜええぇぇ!!」 「れいむがいちばんすきなのはまりささまなんだぜ、おまえらみたいなくずはゆっくりしぬといいんだぜ!!」 (ああ、そういうことか) 傍観していたまりさは理解した。 こいつは自分にとって都合のいいように解釈しているだけなんだ、 おそらくれいむを取り合うライバルをこの機会に排除しようとしているのだろう。 仮にれいむが排除しようとしてた事が嘘でも、他の二匹の事は嘘を言えばいいと思っているのだろう。 単純な事だった。まりさはそう思った。 「れいむをうばおうとするやつはまりささまがゆるさないんだぜ、ゆっくりしね!!」 最早動かなくなったまりさに対して、執拗にまりさは攻撃し続ける。 その隙を見逃すはずも無く、傍観していたまりさは助走をつけた力一杯の体当たりを仕掛けた。 「ゆぶぎゃっ!!」 全力の体当たりはまりさに大きなダメージを与え、白目をむいて気絶してしまった。 こうなってしまうと後は一方的な展だった。 無傷のまりさは瀕死のまりさから枝を抜き取ると、気絶しているまりさに向かって勢い良く突き立てる。 「ゆっぎゃあああぁぁぁぁぁ!!!!!」 痛みで目を覚ますまりさ。しかしまりさは容赦はせずに枝を動かし、抜き差し、揺さぶっていく。 「やめろばがっ!! やめっ、やっ、やめでっ!!」 罵倒する体力も気力も尽きたのか、しだいに懇願するようになっていった。 「やめでぐだざいっ!! おねがいじまずっ!!」 まりさにとって偉大な自分が相手に懇願するなど屈辱だった。 だがだからこそこれは効果がある。そう信じていた。 事実、その言葉を発した事によって、枝の動きは止まったのだ。 「やめてって……おねがいしてるの?」 「そうだよ!! だがらまりざをだずげでね!!」 ちょろいもんだ、まりさはそう思っていた。 相手にまったく感謝の気持ちなど存在してなかった。 まりささまがここまで譲歩してやったのだ、助けるのは当然のことだ。 傷が癒えたら復讐してやる。頭の中はそのことで一杯だった。 しかし、帰ってきた言葉はまりさの望みとはまったく異なる物だった。 「そうしたおねがいをしたゆっくりに……おまえはどうこたえたの……?」 「うるざいっ!! さっさとだずげろごのばがあぁぁぁあぁぁ!!!」 上辺だけの誠意だったのが、本来の口調にもどるまりさ。 それを聞いて枝を咥えたまりさは動きを戻す。 「ゆぎゃあああぁぁ!!! やめでえぇぇええぇぇ!!!」 最早枝の動きは二度と止まってくれることは無かった。 やがてまりさは唯の黒い塊と化した。 まりさが後ろを見ると、瀕死だったまりさがわずかに這って動いた後があった。 だが結局は黒い塊と化していた。 「これで……あとはあいつだけだね……」 「ゆっ、れいむをまたせるなんて、やっぱりあいつらはつかえないね!!」 何時まで経っても帰ってこないまりさ達に、れいむは文句を垂れていた。 ゆっくりできないゆっくりくらいすぐに片付けることができないなんて、なんて役立たずなんだ。 別の使えるゆっくりを探そうか、そう思い始めた頃にまりさが一匹帰ってきた。 「ゆっくりかえったんだぜ!!」 「ゆっくりしすぎだよ!! れいむをまたせないでね!!」 ばかなの?しぬの?と続けたかったところをれいむは抑える。機嫌を損ねることは避けたかった。 次に何を命令しようか考えようとして、他の二匹がいない事に気づいた。 「ゆゆっ? ほかのまりさはどうしたの?」 「ほかのまりさはゆっくりできないゆっくりにやられてしまったんだぜ」 「ゆゆっ!!」 れいむは怒った。ただしそれはゆっくりできないゆっくりに対しての怒りではなかった。 三匹対一匹にもかかわらずやられるようなまりさなんて役立たずにも程がある。 いっそ切り捨てれて良かったかもしれないとまで思い始めた。 このまりさだって本当は逃げてきたのではないのか? そう疑い、まりさを値踏みするように見始めてれいむは気づいた。 (ゆゆっ? まりさがとてもゆっくりしているよ?) 今日のまりさは一段と輝いて見えた。 皮もしっかりしていて艶があり、とても良いゆっくりに見えた。 これなら一緒になってもいいかなとれいむは心揺らぐ。 そんなまりさが突然話をし始めた。 「れいむ、まえにぱちゅりーをおそったときのこと、おぼえてるんだぜ?」 「ゆゆ?」 どうしてそんなことを聞くんだろう。れいむは疑問に思ったが、まりさに心揺らぎ始めてたので素直に答えた。 「ゆっ、おぼえてるよ!!」 「どうしてぱちゅりーをおそったのか、しりたいんだぜ」 「ゆ? あのぱちゅりーはゆっくりできなかったんだよ?」 「そのゆっくりできなかったりゆうってのをしりたいんだぜ」 執拗に理由について聞いてくるまりさに、れいむは嫌悪感を覚えた。 なんだこいつは、このまりさはこんな些細な事を気にするような奴じゃなかったはずだ。 苛立ちながらもれいむは答えた。 「れいむのさがしてたまりさをおいかけていたからだよ!!」 「……そのまりさってどんなまりさ……?」 「まりさがたべものをうばったまりさでしょ!! そんなこともおぼえてないの?」 れいむの答えを聞くたびに、まりさのテンションは下がっていく。 それに対してれいむの怒りによるテンションは上がっていった。 れいむはここまで言って、あることを思い出す。 「そうだよ!! まだあのときのまりさをみつけてないの? さっさとみつけてきてね!!」 自分でもすっかり忘れていたことを棚に上げ、自分の願いを忘れたまりさを怒るれいむ。 だがまりさはまったく動く気配はなく、それを見てれいむはさらに激昂する。 「なにをぼーっとしているの!? れいむがみつけてほしいっていっているんだよ!? さっさとさがしてきてね!! それともいっていることがわからないの? ばかなの? しぬの? れいむをゆっくりさせないまりさなんてさっさと──」 れいむの罵倒の嵐は中断させられる事となる。 まったく動かなかったまりさが突然れいむの眼前に迫り── そのままれいむは空を見上げる形となる。 空は照りつけていた太陽が雲によって遮られていた。 「ゆぐっ!! なにをするの!! れいむにてをだしてただですむとおもってるの!?、ぜったいにまりさをゆる……さ……」 起き上がり、相手を罵倒しようとしたれいむはそれ以上言葉を紡ぐ事ができなかった。 目の前の出来事が夢ではないかと疑ってしまうほど、れいむには衝撃的だった。 「どうして……」 目の前のゆっくりは命の次に大事という黒い三角帽を外しており、枝を咥えて此方に向けている。 先程まで黒い三角帽のあった場所には、別の帽子がつけられている。 そのゆっくりの被っている帽子に、れいむは見覚えがあった。 おかしい、だってあの帽子をしたぱちゅりーは── 「どうじでばぢゅりぃがいぎでるのおぉぉぉぉ!?!?!?!?!?!?」 ぱちゅりーと呼ばれたゆっくりは、枝を構えてれいむに狙いを定める。 恐怖と混乱で動けなくなっているれいむの瞳を見て、静かに言い放った。 「──まりさは、わたさない」 「ゆっぎゃああああああああああ!!!!!」 恐怖で思うように避けることが出来ず、右の頬を枝によって切られてしまう。 致命傷には程遠いが、れいむは大きく悲鳴をあげていた。 これまで自分で手を下さず他のゆっくりに任せていたため、自分が傷つく体験がなく、痛みに悶えているようだ。 「いだいいだいいだいいぃぃぃ!!!!!」 涙を流しながら大きくのたうち回ること数秒、れいむは見苦しくも命乞いを始めだした。 「ごめんなざいごめんなざい、まりざはあぎらめまず、にどどでをだじまぜん」 「れいむはなにもじでまぜん。ぜんぶあのまりざだぢがやっだんでず」 「ぼんどうでず、ゆるじでぐだざい、おねがいじまず」 「いやだああぁぁぁぁぁ、じにだぐないいいぃぃぃぃぃ、もっどゆっぐりじだいいいぃぃぃぃ」 べらべらと喋るれいむを見て、今までに無い程の怒りが込み上げてくる。 なんなんだこいつは、自分では何もせず他の者にやらせ、自分の思い通りに行かないと納得しない。 そのくせ都合が悪くなると簡単に手のひらを返して仲間のせいにする。 今まで見た中で最低のゆっくりだ。 こんなクズのせいで── こんなクズのせいで── こんなクズのせいで── 「ゆぎゅぶぇ!!」 咥えていた枝を離し、ぱちゅりーの帽子を被ったゆっくりはれいむの上に圧し掛かる。 れいむは潰れはしなかったが、圧し掛かられた衝撃で餡子を吐き出す。 そんなれいむにお構いなく、圧し掛かったゆっくりはゆっくりとれいむのリボンを咥えて── ぶちぶちぶちっと音がした。 「ぎゃあぁぁああああぁああぁぁあああああぁぁぁあぁ!!!!!」 リボンを咥えて全力でそのまま飛び跳ねた結果、れいむの髪の毛ごとリボンを奪い取る。 あまりの痛さにれいむの方は失神してしまったようで、白目をむいて倒れていた。 それを見たぱちゅりー帽子を被ったゆっくりは、少しれいむを見た後、振り返り移動する。 奪い取ったリボンは黒い三角帽の中に入れ、そのまま運び出す。 もうれいむに関して興味は無くなっていた。 「ゆぎぃ、いだいっいだいいぃぃぃぃ!!!」 目を覚ましてすぐ、れいむは激痛に襲われていた。 周りを見てもぱちゅりーはいなかった。 れいむはいなくなったぱちゅりーにむかって怒りをぶつける。 「ゆっぎいいぃぃぃ!!! ぱちゅりーめ、れいむをこんなめにあわせるなんて、ぜったいにころしてやるうぅぅ!!!」 怒って叫ぶが痛みがぶり返してきてしばらく黙る。 落ち着いたところで誰かに助けてもらおうと少しずつ動き出す。 そこに都合よく、れいむとまりさの二匹が通りかかった。 「ゆっ、そこのれいむとまりさ!! れいむをたすけてね!!」 その声に反応するれいむとまりさ。これで助かったとれいむは思った。 だが相手の様子がおかしい。見ればこっちを見る目が険しくなっているではないか。 「ゆっ!! ゆっくりできないゆっくりだよ!!」 「れいむのなまえをかたるなんてわるいゆっくりだね、ゆっくりしね!!」 助けてくれると思っていた二匹が、敵意を向けてこちらに来る。 れいむは事情を理解してもらおうと必死になって叫び始めた。 「ゆううううぅぅぅぅ、なにをずるのおぉぉぉ!! れいむばれいむだよぉぉぉぉ!!」 「ゆっ、そんなうそにはだまされないよ、れいむにはりっぱなりぼんがあるんだよ!!」 「うそつきのゆっくりはゆっくりしね!!」 「ぢがううぅぅぅ!! うぞじゃないいいぃぃぃ!!」 二匹に攻撃され、動く体力も残っていないれいむができることは、ただ殺されるのを待つのみだった。 死にたくない、もっとゆっくりしたい、誰でも良い、あのゆっくりできないゆっくりでもいい、助けてくれ。 そう思うが、そのゆっくりの顔を思い出すことは出来ない。何も思い出すことが出来ない。何も── そうしてれいむは永遠に暗闇の中へゆっくりする事になった。 新たな住処となるはずだった穴の中、まりさは佇んでいた。 全てが終わったはずなのに、全然心が晴れない。 むしろ心に空白が出来た感じもする。 復讐に燃えていた頃は、こんな気持ちにならなかったのに。 いや、空白にはなったことがある。目の前で大切な者が死んで、全てが壊れたと思った時だ。 嫌な思い出なのに、今でも鮮明に覚えている。 笑い声の聞こえなくなった広場で、まりさは傷ついた体を引き摺って進んでいた。 その目はただ虚ろに動かなくなった黒い物体と最愛の者を映していた。 幸いにもまりさは体が痛むだけで、命の素である餡子は流出していない。 この雨で死ぬことはなさそうだが、帽子もないため、危険なことには変わりはなかった。 「ぱちゅりー……」 目の前で大切なものが壊れてしまった。 絶望した子まりさにはただ呟くことしか出来なかった。 その時である。 「まりさ……?」 「ぱっぱちゅりー!? まりさだよ、しっかりしてえぇぇぇ!!!」 「まりさ……だいじょうぶそうだね……よかった……」 動くことはないと思っていた子ぱちゅりーが反応した。 慌てて子まりさは子ぱちゅりーの餡子の流出を抑えようとするが、止まる気配はまったくなかった。 それどころか雨により状況は悪化していく一方だった。 「まりさ……ぱちゅりーはもうだめよ……」 「どうじでぞんなごどいうのぉ!? いっじょになろうっでやぐぞぐじだでじょおぉ!?」 「ごめんねまりさ……ぱちゅりーはやくそくまもれないよ……」 「ばぢゅりーっ!! うごいだらだめっ!! ゆっぐりでぎないよ!!」 もはや子ぱちゅりーは手遅れの状態である。そんなことは誰の目に見ても明らかであった。 しかし子まりさは判っていても認めたくないのか、必死に餡子の流出を抑えようと努力していた。 そんなまりさに、ぱちゅりーは声をかける。 「もういいよ、まりさ……ありがとう」 「だめだよ!! じんじゃっだらゆっぐりでぎないよ!!」 「……まりさ、おねがいがあるの……」 「なんでもぎぐよ、だがらじなないでばちゅりいぃぃぃぃ!!!」 もうぱちゅりーは死んでしまうことは理解していた。最後くらい望みを叶えてやりたい。 子まりさはどんな願いでも聞き届けるつもりだった。 「まりさに……このぼうし、もらってほしいの……」 「ゆっ!?」 「もうぱちゅりーはだめだよ……まりさがもらってくれればゆっくりできるよ……」 「で、でも……」 「ぱちゅりーがしんじゃうまえに……はやく……」 「──わかったよ、ぱちゅりー……」 死んだゆっくりの飾りをつけると、ゆっくりの間では死臭を感知すると同属殺しとみなされ、問答無用で殺されてしまう。 しかし、生きているゆっくりの飾りをつけた場合は、殺される心配はない。 子ぱちゅりーが急かす理由はそこにあった。 自分の飾りをつければゆっくりできないゆっくりとして認識されることはない。 もう死んでいく自分には必要の無いものだ。 帽子を無くした子まりさのためにできる恩返しとして思いついたのが、帽子の譲渡であった。 そんな子ぱちゅりーの意思を汲み、子まりさはぱちゅりーの帽子を受け取った。 「ありがとうまりさ……ぱちゅりーのかわりだとおもってね……」 「ぱちゅりー……」 子ぱちゅりーは微笑んでいた。だがその微笑みは苦しそうであり辛そうであり── 子まりさはそんなぱちゅりーをただじっと見ることしか出来なかった。 そして、最期の時が訪れる。 「……まりさ…………ずっと……ゆっくり……して……いっ……て…………ね…………」 その表情は、とても安らかだった。 「ぜんぜんゆっくりできてないよ……ぱちゅりー……」 まりさは自然と呟いていた。 どうしてぱちゅりーは最期に、ゆっくりしていってねと言ったのか。 いや、それ以前から、まりさのことを確認してからずっとまりさの事を気遣っていた。 この帽子だって、帽子を無くしたまりさが、自分の帽子が無くてもゆっくりできるようにと考えてくれたのだろう。 ぱちゅりーは、優しすぎた。まりさはそう思う。 そんなぱちゅりーだからこそ、それを奪った奴らがどうしようもなく憎かった。 どうしても罰を受けさせたかった。苦しめてやりたかった。殺してやりたかった。 きっとぱちゅりーはそんなことを望んでいないのだろう。だからこそまりさはそれが許せなくて── 晴れた空であるにも関わらず、雨が降っていた。 しばらくして雨が止んだところで、まりさは決意する。 ──行こう。 ぱちゅりーはまりさにゆっくりして欲しいことを願った。 まりさはそれに答えるべきだと考えた。 ただし、この辺りでゆっくりするにはあまりにも辛い思い出が多すぎる。 どこか自分の知らない土地に行こう。そう思って歩きだすと── 「ゆ、ぱちゅりーだね、おひさしぶり!!」 「ゆっ!?」 まりさに声をかけるゆっくりが現れた。 そのゆっくりをまりさは知っていた。見間違えるはずなかった。 自分をここまで育ててくれて、あの日巣立ちの別れをしたまりさ唯一の家族。 まりさの生みの親である母まりさだった。 「まりさはげんきかな? ぱちゅりーにめいわくかけてない?」 「ゆっ……まりさはげんきだよっ!! すごくたすかってるよ!!」 どうやら生みの親も自分が本当の子供だとは気づかないらしい。 要らぬ心配をかけるまでもないと思い、適当に合わせる。 「そう、よかったよ……ゆっ? ぱちゅりー?」 「ゆゆっ!?」 気づかれたか!? まりさは内心焦ってしまう。 だが親まりさはまりさにとって思いもしない言葉を話す。 「ぱちゅりー……なんだかまりさのぱちゅりーおかあさんににているね……」 「っ……」 「ぱちゅりーをみてると……なつかしいふんいきがするよ……」 「……」 「おもいだすよ……いろいろと……」 「……」 「ゆっ、ごめんね!! へんなはなししちゃったね!!」 「ゆっ、そ、そんなことないよ!!」 思い出に浸っていた親まりさだったが、目の前のぱちゅりーに気づき慌てて謝罪する。 言われた本人は少しの間呆然としており、親まりさに言われてこちらも慌てて否定する。 何とも言えない雰囲気になり、両者とも退場しようとする。 だが親まりさの方がまりさに声をかける。 「まって、ぱちゅりー!!」 「ゆっ!?」 まりさはなんだろうと思い、振り返る。 親まりさは此方を振り返ったのを確認して話す。 「まりさのこと、よろしくおねがいするね!! あのこのことだから、つらいことがあったらひとりでせおいこむとおもうんだ。 だから、できればむりをしていないか、きづかってあげてくれるとうれしいな。 わがままなおねがいでごめんね!!」 話すのを終えた後、此方を見ていたぱちゅりーは背を向けた。 どうしたんだろう? 親まりさがそう思っていると、返事が返ってくる。 「ゆっぐりりがいじだよ!!」 そう言って、去っていってしまった。 親まりさは不思議に思うが、その後ろ姿を見送り続けた。 そしてその姿が見えなくなりそうになったところで、親まりさは見た。 「ゆ~っ、とってもきれいだよ~!!」 まりさの進む方向に、きらきらと輝く虹が架かっていた。 あとがき 題名が思いつきませんでした。 ただ単に帽子の違うゆっくりが書きたいなとおもった結果がこれだよ!! このSSに感想を付ける
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【検索用 いかきち 登録タグ PV師 作い 作いか 作り手】 + 目次 目次 特徴 リンク 曲 CD 動画 コメント 特徴 作り手名:『いがきち』 カラフルながらもセピアな雰囲気を感じる、実写も交えたシュルレアリスムな作風。 リンク R11R profile Twitter YouTube 曲 JASH Limbo/立椅子かんな Payload S.S. Who? 愛も酣 オチは同じ キャサリン グリングリン 残星と鴎 シティライト ハイド ハイド ピプパペット フル=ギル ルラレル レイバー・ペインズ マガイゴト #PARASITES CD #596ab8 #596ab8 vol.2 閏 動画 コメント 名前 コメント
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ゆっくり爆発していってね 後編 22KB 観察 駆除 番い 群れ 自然界 現代 5作目です、前編からお読みくださいませ 群れのゆっくりたちが再び広場に集結したが、それがかなり異常な状態であると誰もが理解できた。 通常は成体ゆっくりだけが参加するこの場に、子ゆっくりどころか巣から出る事が全くない赤ゆっくりまで 総勢200匹近い群れの全てのゆっくりが長を今か今かと待ち侘びていた。 捕食種が活動を始める時間が近い事や、無理して外に出させた赤ゆっくりが愚図り始めた事でゆっくりの中から文句の声が上がり始める。 「みんなしずかに、せいしゅくにしてね!!」 長ぱちゅりーが指定席である、割った竹の上に乗り上げると、眉を吊り上げたゆっくりたちが一斉に長を罵り始めた。 「おさっ、もうれみりゃたちがすがたをあらわすじかんだよ!ゆっくりできないよ!!」 「れいむのあかちゃんがおなかをすかせているよ!!ゆっくりしないですにかえしてね!!」 「むきゅー、いったいなにがはじまるの?なにかあったの?」 様々な反応を示すゆっくりたちに話が進めないでいると、娘ぱちゅりーが何人かの友人を引き連れて長ぱちゅりーの前に立った。 「「「「「ぜんいんしずかにしてね!!!」」」」」 張り合わせた声が広場に響き渡る、しんっと一瞬だけ静まり返ると、その期を逃さず長ぱちゅりーは言葉を発した。 「みんなごめんなさいねっ、いちぶのゆっくりはしっているとおもうけれど、きょうあまあまさんがすのちかくでおちていたわ もしかしたらそれにどくがはいっていたかもしれないの!!いまからみんなをしょうどくをするから、 あまあまさんをたべたゆっくりは、むこうのひろばにあつまってほしいの」 消毒というのは勿論嘘で言い包めるための方便だった。 毒という単語に怯えた一部のゆっくりは混乱するが、長ぱちゅりーが消毒すれば大丈夫だからと落ち着かせ、ゆっくりたちは一斉に列を作り始めた。 長ぱちゅりーは覚悟していた。どれほどのゆっくりが爆弾を抱えているのかと、 なるべく少なくあって欲しいと願いながら細めた眼をゆっくりと開くと、 そこには群れのほぼ半数、100匹近いゆっくりが列を成していた。 「……むきゅう……」 パッと見ると稼ぎ手であるまりさ種が多く、中には子ゆっくりや、極僅かであるが赤ゆっくりまで存在した。 親が取ってきた物を分け与えられたのだろうか、どちらにしてもかなりの損害であるのは明瞭だった。 娘ぱちゅりーとは既に話し合いを終えており、山の中腹にある湖畔で消毒の名目として身体を洗う、ということで決定していた。 長ぱちゅりーは、生涯の別れとなるであろうと覚悟して娘ぱちゅりーを見た。 そこには気丈に振る舞い、爆弾持ちのゆっくりを先導する彼女の姿があった。 事は順調に進むと思えたが、その時――。 一部から甲高い悲鳴があがった、見ると混乱を引き起こさせないためにみょんが持ってきたブルーシートで覆ってあった ありすとまりさの無残な死体が大衆の眼下に曝け出されていた。 暇を持余した子ゆっくりたちが誤ってブルーシートを外してしまったのだ。 「ゆゆ!!あ、あれはありすだよ!ど、どうしてあんなふうになってるの!?」 「わ、わからないよー、わからないよー!」 「むきゅー……な、なんてしにかたなの!?ひどすぎるわ!!」 混乱し始めるゆっくりたち、長ぱちゅりーが杞憂した最悪の展開が引き起こされてしまった。 直ぐに一部からあまあまを食べたせいだ、と声があがり列が崩れ始める。 こうなればもう終わりだ、暴走したゆっくりたちを納得させる事は不可能になってしまう。 「ぜんいんだまってね!!!!!」 混乱を収拾したのは、娘ぱちゅりーだった。 ぱちゅりー種とは思えない程の大きな声で一喝すると、母に代わり近くの岩場に乗り上げゆっくりたちを見下ろした。 「あまあまさんをたべたゆっくりはれいがいなくぜんいんばくはつしてしまうわ!!! ぱちゅりーのありすは……まりさのばくはつにまきこまれてしんだのよ!!」 ごくりと息を呑む一同、夜風に靡かれたありすとまりさの死骸は何も語らない。 「ゆぐうぅう!!あまあまざんをだべだがら、でいぶじんじゃうの!?いやだよぉ……いやだよぉお!!」 「いやなのぜぇ!!ばでぃざはじにだぐないのぜぇ!!!」 「おきゃーじゃあぁん、まだありずじにだぐないよぉおお!!」 自身に突然と降りかかった災いに、皆納得できない様子で騒ぎ立てる。 その不幸の渦中でも娘ぱちゅりーは叫び続けた。 「ぱちゅりーもあまあまさんをたべたわ!みんなもかぞくをまきぞいにしたくなかった…… ぱちゅりーにしたがって、ゆっくりぷれいすからはなれるのよ!!!それとも、たいせつなゆっくりたちをまきぞいにしたいの!?」 涙する者、嗚咽を漏らす者、悲しみにひれ伏す者、群れを襲った悲劇はあまりにも大き過ぎた。 だが、娘ぱちゅりーが功を奏したお陰で皆が皆現実を理解することだけはできた。 長ぱちゅりーは時間がないことを承知の上で、声を荒げ宣言する。 「いまから5ふんだけじかんをあたえるわ!!みんな、かぞくとのわかれをすますのよ!!」 5分という生々しいタイムリミットが、悲しみに身を揺らしていたゆっくりたちを立ち上がらせた。 まりさは新妻のありすと産まれたばかりの赤ゆっくりたちに囲まれて今生の別れを惜しんだ。 「まりざぁああ……どうじで……どうじでぇごんなごどにぃい……」 「ありす、なくのはやめるんだよ!まりさのおちびちゃんたちをたのむのぜ!」 現実を真摯に受け止め落ち着き払ったまりさは家族の前で決して泣く事はなかった、 変わりに涙を流したありすと赤まりさ、赤ありすと一家全員で最後のすーりすーりをし始める。 「おちょうちぁぁん……もっちょゆっきゅちしていってよぉ!!まりちゃともっちょあちょんでほちかっちゃよぉおお!!」 「ありしゅもはなれちゃくないよぉおお!!おちょうしゃん!!」 「ごめんね、おちびちゃんたち……まりさはばちがあたったんだよ……しかたがないんだよ」 まりさには負い目があった、それは自分だけがあのあまあまさんを食べて満足してしまった事で、 この理不尽な仕打ちも自身の身勝手さが産み出してしまった天罰なのだろうと思えて仕方がなかったのだ。 結果としてまりさが食べてしまった事で妻や子供たちは死なずに済んだが、ゆっくりらしからぬ達観した境地にあるまりさは せめて愛すべき家族の前では恰好良い姿のままでいようと、精一杯の笑顔を振り撒いたのだった。 ちぇんは家族との別れを済ます事も叶わず、鋭い表情を浮かべる成体ゆっくりに囲まれて身を縮ませていた。 「おまえのせいなんだよ!!れいむのおちびちゃんがこんなめにあったのはおまえのせいなんだよ!!」 「ゆっくりしないでしんでね!!せきにんをとってね!!ぐずぐずするんじゃないよ!!」 ちぇんとありすは、怒り狂った友人の親たちに取り囲まれている。 あまあまさんを自分たちだけで独占せず群れの仲間たちに分け与えたのが、最悪の形で裏目に出てしまった。 2匹は親との最期の別れも出来ず、友人の親たちが元凶はこの2匹であると決め付けて有りっ丈の罵倒を投げつけている。 友人の子れいむや子まりさも親の脇で泣きながら険しい表情を作って、ちぇんとありすを恨めしそうに睨み付ける。 「ゆあぁあああん!!おがぁあざんっ!!まりしゃはじにだぐないよ!!ぢぇんどありずのせいだよ!!!」 「でいぶだっでじにだぐないよぉおお!!しねっ!!げすのぢぇんとありずはゆっくりしないでじねぇええっ!!」 ちぇんとありすは身を寄せ合い、貴方たちだって満足そうに食べていたじゃないか、と出掛かった言葉の全てを飲み込んで 必死に必死に耐えている。長ぱちゅりーが決めたタイムリミットはもう近い、どうしてこんな事にと隠し切れない涙を流して 俯いていると2匹の親である親ちぇんと親ありすが駆け寄ってきて取り囲まれたゆっくりの壁の隙間から名を呼んだ。 「ちぇんのおちびちゃん!!おかーさんだよー!!わかってねー!!」 「ありすちゃん!?おかーさんよ!!そこにいるの!?」 円陣を組むように取り囲まれたちぇんとありす、その陣の中心に割って入ろうとした親2匹は強い体当たりを受けてよろけた。 見上げるとぎりぎりと歯軋りを立てた友人の親ゆっくりたちが凄まじい形相で立ち塞がっていた。 「どうしてそんなことするの?わからないよー……」 「お、おねがいですっ!ありすちゃんにあわせてくださいっ!!あとでなんどでもあやまりますから!!もうさいごになってしまうのよ!!」 親ちぇんと親ありすは、自分たちの娘の所為で被害が広がってしまった事実を受け止め、親ゆっくりたちの心情を察し罪悪感を感じていた。 だがそれでも、この最期の瞬間だけは母親として娘の支えになってやりたいと切実に願っていた。 しかし納得のいかない友人の親たちは、それぞれ眼を合わせると2匹に無情とも言える台詞を突っぱねた。 「だめだよ!あわせるわけにはいかないよ!!これはばつだよ!!」 「そうだよ!!だれのせいでこうなったのか、ゆっくりりかいするべきなんだよ!!」 親たちの煮えたぎる怒りは最期の時間を与えることさえ許さなかった。 口を歪め眉を吊り上げると大きく身体を膨らませてちぇんとありすを跨った肉壁をより一層強化する。 絶対に進ませない、絶対に触れ合わせない、負の感情が異様な空気を作り出す。 「おねがい……おねがいですっ!!……ありすちゃんっ!!きこえるっ!?おかーさんはありすちゃんのことが――」 「うるさいよっ!!だまってよっ!!つたえさせないよっ!!ゆっくりりかいしたらはなれるんだよ!!」 諦めた親ありすがせめて自分の思いの丈を娘に知っていて欲しいと声を張り上げるも、 その僅かな願いさせも親れいむの轟音に掻き消された、親ちぇんと親ありすはボロボロと砂糖水の涙を流して身体を震わせる。 そして各々の想いを引き離すかのように、長ぱちゅりーの号令が掛かった。 「ありずちゃんっ!!ありずちゃああん!!!!ありずちゃああああんん!!!!」 「ちぇええんっのおぢびじゃぁあああん!!!ちぇええええええええんっっ!!!!ちぇぇえぇえぇええん!!!」 1匹の親まりさに弾き飛ばされるように、娘ぱちゅりーが先導する広場へ向かわされるちぇんとありす、 背後には大好きな母親の悲痛な叫びが聞こえてくる、返事をしようにも今も睨み付けている親まりさがそれを許さない。 友人の子れいむや子まりさが2匹にぶつかってその怒りの矛先を向け、後ろ髪を引かれる思いでちぇんとありすは列に戻っていく。 しんぐるまざーのれいむはこれから文字通りの彼岸へと旅立っていく、爆弾を抱えたゆっくりたちが山を登り始める後ろ姿を見つめていた。 最初に長ぱちゅりーが消毒をすると言った時、捻くれ者のれいむは、きっと消毒というのは嘘で残ったあまあまを 群れのみんなで食べる気なんだと思い込み列には並んでいなかったので、周囲に爆弾を抱えたゆっくりではないと見られていた。 内心、怯えて小刻みに身体をぶるぶると震わせているが、れいむは持ち前の自己中心的な思考がそれを緩和させていた。 (れいむはしんぐるまざーでかわいそうなんだよ!れいむだけはきっとだいじょうぶなんだよ!!) 自分を納得させるようにれいむは心の内で何度も何度も呪文のように詠唱する。 その近くで歩く死者の列を蚊帳の外といった感じにボーっと眺めているれいむの赤まりさが母の異変に気付いて尋ねた。 「おきゃーしゃん、どうしちゃの?ふるえちぇるよ!」 「な、なんでもないんだよ。だいじょうぶだよ!」 死んだような顔をして目の前を通り過ぎていく爆弾を抱えたゆっくりたちと、その家族の別れを惜しむ悲鳴が交差するその場で れいむは根拠のない自信を盾にどうにか立っていた。 直ぐ傍でご近所だった、長ぱちゅりーにれいむだけ優遇されていて不公平だと訴えたゆっくりまりさが通り過ぎる。 まりさはれいむに気付くと一度だけ冷え切った笑みを垣間見せ、列に紛れ込んで消えていった。 (れいむだけはへいきなんだよ!!あんなゆっくりたちとはちがうんだよ!!) れいむの震えは決して止まらない、その時が近付くまで――。 細長い行列を作り、100匹近いゆっくりの列が山の中腹を目指して歩き出す。 背後から泣き叫ぶ家族の声に何度も振り返りながら爆弾を腹の中に抱えたゆっくりたちは前を進む、 突然、前方の集団の方からがパンッと乾いた音が響き、遅れて悲鳴があがった、ついに始まってしまったのだ。 長ぱちゅりーがせめてもの情けとして最期の時間を割いた事が、不幸にも最愛の家族たちに間近で爆散していく凄惨な姿を見せ付ける結果になってしまった。 「ちぇんのおちびちゃんたち、みんなでなかよくくらすんだよー」 ちぇんの母親である親ちぇんは番のゆっくりらんと一度だけ視線を重ね頷くと、振り向いて走り始めた。 背後で残した子供たちの泣き声が聴こえる、しかし親ちぇんは一度も振り返らず死者の列を目指して突き進む。 「おきゃぁあしゃん、いかないでぇええ!!わがらないよぉおおお!!!」 親ちぇんは番のゆっくりらんに残された子ゆっくりの全てを託し、自身は生きて帰ってくる事はないと知りながら子ちぇんを見守り 最期まで側で寄り添っていてあげようと決め込んだのだ。 途中、同じように覚悟を決めた親ありすと合流すると、お互いに顔を見合わせて困ったような顔で小さく笑うと 死者の列に紛れて姿が見えない我が子を呼び続けた。 既に何匹かの爆発が始まっている、荒波の如く悲痛な叫びが交錯する列に2匹は潜り込んだ。 「ちぇえぇええん!!おかーさんがここにいるんだよー!!わかってねー!!」 「ありすちゃんっー!!おかーさんもいっしょにいくわ!!!どこにいるのーっ!?」 親の子を思う願いが天に通じたのか、奇跡的にも僅か前を行く娘の姿を発見し2匹は大声でそちらを呼んだ。 聞きなれた母親の声が伝わり振り返ったちぇんとありすは、その姿を見るなり言い表せないほど嬉しそうに涙を流して母の胸へと飛び込んだ。 「おがぁああざんっ!!わかるよぉおお!!わがるょよぉおお!!!」 「おかーさぁあん、ありす、どっでもあいだがっだ、あいだがっだよぉおおお!!」 自分を想い、死ぬ事すら承知の上で駆け付けてくれた母親の温かさにちぇんとありすは まるで赤ゆっくりに退化したようにわんわんと泣いて身を寄せ合い甘えた。 遠くの方でその様子を羨ましそうに見つめる子れいむと子まりさがいる、2匹の親はここに来てくれはしない。 れいむとまりさは目の前にある家族愛と自身を比較して、孤独に押し潰されそうになっている。 そんな2匹を親ちぇんと親ありすは微笑みこっちに来るように促した。 「おばざん……ま、まりざも……まりざもいっしょにいていいのぜ?……」 「ちぇんとありずにひどいごどじだ、でいぶも……いっしょでい”い”の?」 せめてもの罪滅ぼしのつもりだったのか、親ちぇんと親ありすは慈愛溢れる笑みを浮かべて頷いた。 「「「「おばざああんっ!!」」」」 「だいじょうぶよ、まりさちゃんも、みんなでいっしょにいこうね……みんなでいっしょならこわくないわ!」 「れいむもちぇんもいっしょだよー、みんなみんないっしょだよー!」 深い愛情に包まれた家族が爆発に巻き込まれたのは――ほんの一瞬だった。 ちぇんが爆ぜ、ありすも遅れて爆ぜると、そこには身体の上部を失った屍と無数の穴を開け息絶えた死骸が、物言わぬ小麦粉の塊と化した。 その家族たちが派手にば爆散した様を後ろで見ていた新妻のありすの番であるまりさは、 この断末魔が広がる悪夢の光景とも言える場所でついに押さえ付けていた精神の楔が弾け飛んでしまった。 まりさは何かに取り付かれるようにゆっくりと列を離れると、遠くからこちらの様子を見守っている残されたゆっくりたちに近付いていく。 それに気付いたれいむとみょんが、急いでまりさの足を止めさせ身動きが取れないように伸し掛かった。 「まりさっ!!そっちにいっちゃだめなんだよ!!ゆっくりしないでれつにもどるんだよ!!」 「かんけいないゆっくりがまきこまれてしまうみょん!!いっちゃだめみょん!!」 「はなぜぇえええ!!はなぜぇえええ!!!いやだぁあああっ!!まだぁああじにだぐなぃいいっ!!!」 近くで呆気なく死んでいく仲間たちの惨状に、もうまりさは耐え切れなくなっていた。 あれほど気丈に振舞っていても、つまるところがこの阿鼻叫喚の地獄絵図ではまりさが壊れてしまうのは無理もない。 かくいうまりさの身体を拘束しているれいむやみょんも既に限界は近い、こうして役割を演じる事でどうにか自我を保っている状態に過ぎない。 「いぃやぁだぁぁああ!!まりざはまだやりだいごどだっであるんだぉおおお!!たすげでぇええよぉおおお!!ありぃいいずゅうう!! おぢびじゃぁあんんっ!!いやじゃああっ!!じにだぐないっ!!まだまりざはじにじゃぁぐなぁぁぁああいよぉおおお!!!」 まるでポップコーンが作られていく工程を見ているようにパンッパンッと鈍い音が、あまあまを食べていない残されたゆっくりたちに伝わる。 一つ一つの音が響く度に最愛の者が消えていく事実に涙し、せめてもの願いを込めて名を呼んでいる。 既に見えなくなった娘の事を思い、長ぱちゅりーは群れの仲間たちが消えていく様子をジッと見つめ脳裏に焼き付けていた。 ふと長ぱちゅりーは列を脱線したゆっくりが視界に入るとそれを直視した、列を外れた3匹のゆっくりがこちらにじわじわと近付いているではないかと。 「むきゅー、あれは……まりさ……なの?ど、どうしてっ……!」 身体を封じ込めようと力で圧力を掛ける、れいむとみょんを引きずって、ゆっくりとまりさが這い寄ってくる。 長ぱちゅりーは、ともかく残った者の安全を優先するために急いで巣に避難するように訴えるも、 多くの仲間たちは気が動転しているため耳には伝わらない、雲に掛かった月が顔を覗かせ月明かりを地上が照らすと まりさが生にしがみ付こうと必死の形相でこちらに向かってくるのがよく分かった。 「まりざぁああ!!まりざぁああああっ!!!!」 「ゆわぁあああんっ!!おちょうしゃぁああんっ!!!」 一組の親子が、こちらに迫ってくるゆっくりが自分の家族の者であると気付き身を乗り出す。 ありすとその子供たちだ。 「いけないわっ!!だれか!!!だれもいいからありすたちをとめてぇええ!!!」 押さえ込んむ2匹を背負って徐々に距離を詰めていくまりさに、ありすたち一家が駆け寄ろうと走り出す。 それがどういう結果になるのか容易に想像できた長ぱちゅりーは引き止めるために叫ぶ。 正気を保っていたゆっくりみょんとゆっくりちぇんがありす一家の傍に居た事が幸いした。 まずちぇんが急いでありすたちの前に立ち塞がり、遅れてみょんが背中を押す形でありす一家の動きを封じた。 「だめだよー!!ありすたちもまきこまれちゃうよー!!」 「おねがいはなじでぇえ!!ありずはどうなっでもいいのよ!!まりざがっ!!まりさがぁあっ!!」 新妻のありすが、みょんの身体から逃れようと必死にもがく、 じりじりと這い蹲って距離を詰めるまりさに異変が起こったのは直後のこと。 「ゆがっ!?……ま、まりざ、じぬの!?い”やだぁああああ!!ごんなごどでじにだうあんあ”っ――」 一瞬、まりさの呂律が回らなくなったと思えば全身がみるみるうちに膨らんでいき、 寒天で作られた目玉が内圧に押されて今にも飛び出しそうになった。 呆気なく限界点を超えボンッと音を立てて、まりさの餡子は内部から破裂した。 まりさを抑えていたれいむとみょんは散弾を真っ向から喰らい、機能を停止するように息絶えた。 最愛の番の内臓物である固まった餡子の一部が凄まじい速さでありすの頬を掠めていくのを見て、ありすは番のまりさの凄惨な死に際を理解してしまった。 「いやぁああああぁぁああああ!!まぁありぃいさぁあああぁっ!!!」 「おちょうしゃぁああんっ!!」 ありすを押さえ付けていた、みょんとちぇんはそれらの行為が意味を成さなくなったと判断して 泣き崩れ頭を垂れた一家を背に悲しそうな顔をして離れていく。 入れ替わり、しんぐるまざーのれいむが白目を向いて一家の側に近寄ると、亡骸をれいむの大きな揉み上げで指してぶつぶつと何かを呟いた。 どうも様子がおかしいと長ぱちゅりーは恐る恐る近付くと、カッとれいむは見開いて喚き散らした。 「でいぶはがわいぞうなしんぐるまざーなんだよぉおおおぉおおお!!!!!」 平伏して嘆くありすに徐に伸し掛かり、しんぐるまざーのれいむは気が狂ったようにありすに懇願する。 「ありずはでいぶをだすげなぐっちゃいげないんだよぉおお!!でいぶはしんぐるまざーなんだよぉ!!だすげるのはどうぜんだんよぉおおおお!!!」 「なにずるのっ!?はなじでっ!!まりさぁああ、たすげでっ!!まりざぁああああ!!」 「おきゃぁしゃんをはにゃちゅんだじぇ!!」 れいむはありすを逃がさないように巨体な身体を押し付ける、ありすは突然襲い掛かり訳の分からないことを言い始めたれいむに困惑していると、 傍らで泣いていた赤まりさが親ありすを助けるべく小さく転がって、れいむに意味のない体当たりをしている。 「でいぶはばぐはづじだぐないぃいいい!!ありずだずげでぇえええよぉおお!!でいぶはじんぐるまざぁああなんだよぉおおお!!」 自分だけは大丈夫だと自己暗示を掛けるように何度も胸のうちで繰り返していたしんぐるまざーのれいむであったが まじまじと、ゆっくりたちが爆発して死んでいく現実を突きつけられ、彼女もまりさと同様にメンタルの部分を支えきれなくなった。 誰でもいいから助けて欲しい、あんな惨たらしく死んでいくのは絶対に嫌だ、憔悴しきったれいむは たった今家族を亡くし悲しみに溺れたありすに、それが無駄であるかどうかの判断さえつかずに延命を乞う。 長ぱちゅりーはれいむが『爆発』という単語を発したことと、れいむの背中の表面にゴツゴツとした丸い塊が、虫が地を這う様に移動しているのを目撃し、爆弾持ちであることを瞬時に見抜いた。 どうして爆弾持ちがここにいるのか、という疑問の一切を投げ捨て長ぱちゅりーはとにかく叫んだ。 「みんなとおくににげるのよっ!!れいむがばくはつするわ!!!」 導火線に火がついたしんぐるまざーのれいむを見る一同、れいむの異変を察知して蜘蛛の子を散らすように逃げ出すゆっくりたち。 れいむはまりさと同様に内圧で大きく膨れ始める、それでもありすを離すことはなく助けを求めている。 「だずげでよぉおおお!!でいぶをだずげでよぉおおおお!!!」 「おねがいはなじでぇっ!!はなじでよおぉおお!!!」 そして、しんぐるまざーのれいむは爆発した。 長ぱちゅりーは爆死したゆっくりの死体に下半身だけが残っている事を思い出し、 身を伏せる回避法を選択した事が命を繋ぐ結果になった。 降り注がれたれいむの餡子を寸前のところでかわし傷一つなくやり過す、 存えた長ぱちゅりーは皆の無事を願い周囲を見ると、その光景は凄まじいものだった。 「で、でいぶのあんござんが、おなかがらででるよぉおおおお!!あんござんゆっぐりじないでもどっでぇえよぉおおおお!!!」 腹を割られた子れいむが朦朧とする意識の中で、ピコピコと揉み上げを動かして外に溢れ出た餡子を腹の中に収め直そうとしている。 「まっぐらだよぉおお!!、みんなどごいっだのっ!?ありずをひどりにじないでぇえ!!!」 両目を潰されたありすが、頬からカスタードを撒き散らしながら見知ったゆっくりを探して彷徨っている。 「おちびじゃあぁあん!!おねがいだがらゆっぐりじでいっでね!!ゆっぐりっ、ゆっぐりいぃいい!!」 「ゆぴょぉっ……ゆぷぇ……」 身体を真っ二つに裂かれ、生クリームを盛大に噴出した赤ぱちゅりーにぺーろぺーろと舌を嘗め回す親まりさ、 親まりさ自身も穴の開いたこめかみの辺りから餡子が垂れている。 「お、おぎゃぁああじゃんっ!!うごいでよぉおお!!いっじょにゆっぐりじようよぉおおお!!」 子を庇って無数の大穴を開けた親れいむに反発性のないすーりすーりを繰り返している子まりさなど ほとんどのゆっくりがしんぐるまざーのれいむの爆発の煽りを受けて致命傷となる怪我をしている。 放って置けば助からない、だがどうすることもできない、長ぱちゅりーは振り返り爆心地を見ると ありすとその子供たちの骸としんぐるまざーのれいむの一部であったあんよが残されている。 「むきゅー……みんな、みん……な、いきて……る、ゆっく……り、は……あつ……ま……」 とにかく生きている者だけを集めて二次事故を防ぐ為に長ぱちゅりーは動き出そうとするが、ぺたんっとその場で転がる。 ぱちゅりー種であるが故、病弱な身体の疲労は限界に達していた。 長ぱちゅりーは避難を叫ぼうとしたところで意識が途絶えてしまった――。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 依頼主の老人が提供してくれた古屋、仮設のモニタールームとして機材を詰め込んだ一室で 加工所の職員が唸り声を上げて、小さな画面に食い入っていた。 「この結果じゃ商品化は難しいな……」 モニターには昨夜の出来事が克明に写されていた。 ゆっくり爆弾を食べたゆっくりはもれなく全滅したが、残ったゆっくりもそれなりの数に昇っていた、 群れ全体の3割の生存を監視カメラが捉えた映像を見て確認できた。 それなりの成果はあげた様に見えるが、企画課の職員たちは不満気に煙草を吹かしている。 「あの群れの長っぽいゆっくりぱちゅりーの指示が的確ですね」 「野生にしちゃ賢すぎるな、元飼いゆっくりか?」 長ぱちゅりーを指差して若い男が囁く、ヘッドホンを片耳に充てて音声を拾っているもう片方の職員は長ぱちゅりーの言葉を聞いて興味深そうに頷いた。 「やっぱり分離と分断の指示はこいつが出してるな」 「へぇ、やるねぇ~」 「やるねぇ~、じゃないですよ。この企画通らなかったら主任の立ち位置やばいんじゃないんですか?」 しれーっと目を細めて若い職員は上司である課長を見て呆れた顔をしてみせた。 「まぁでも首は繋がるさ、このぱちゅりーさえ捕獲できればね」 「ん?どういうことです?」 「俺の見立てじゃこいつは間違いなくプラチナ級だよ、実験課のいい土産になるぞ」 プラチナという単語に一番下っ端の職員を除いて全員が息を呑んで目を見合す。 「プラチナだからってどうなるっすか?」 一人ピンとこない様子の若年の職員が尋ねると、課長はにぃっと不敵な笑みを作ってモニターの中の長ぱちゅりーを指差した。 「お前プラチナバッチ持ってるゆっくりの相場って知ってるか?」 「知らないっすけど……」 「外車が新車で購入できるくらいすんだよ、冗談抜きで半端ないぞあれは」 「マジっすか!?……自分の年収より上……なんすか……」 課長はパンッと手を叩くと、職員たちは全員注目した。 「Bプランから変更してCプランでぱちゅりー種だけ捕獲、残りは全処分でいこう、このぱちゅりーさえいれば巻き返しは出来るさ」 「了解っ!」 この後、長ぱちゅりーが築いたゆっくりプレイスは人間たちの手によって、ぱちゅりー種を除いて1匹残らず抹殺された。 加工所に送られるゆっくりの中に長ぱちゅりーの姿があったが、その眼にあるべき輝きは既に失われている。 長ぱちゅりーには塀の中で、幸せかどうかは別にしても貴重品として大切に扱われるゆん生が待っている。 筍の茂る山に再び平穏が戻ると、そこにゆっくりの姿はなかった――。 あとがき 元ネタは某ロボットアニメです、加工所の職員の苗字もそれだったりします 前後編とやや長くなりましたがここまで読んで頂き感謝です、お付き合いありがとう御座いました 今まで書いたもの: anko2166 ゆっくり虐殺お兄さんの休日 anko2155 いつか見た赤染め姉妹たちの憧憬 anko2125 ゆっくりおうちせんげんの末路 anko2103 ゆっくり熟年離婚 書いた人:おおかみねこあき
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※お兄さんが試験官です ※虐待要素がほとんど無いです ※⑨というゆっくりがで増す 「ゆっくりテストを受けてね!」 突然だがゆっくりの知能が非常に低いことは知っているであろうか。 しかし、ゆっくりでも知識が高いゆっくりもいるのだがその知識はどれほどか気になるので 知性が高くも低くも無い通常種のゆっくりも含めてテストを行うことにした。 テストは小学一年生のたしざんひきざん①と書いてあるものを使用する。 回答者は れいむ、まりさ、ありす、ぱちゅりー、みょん、ちぇんというおなじみのメンバーと あと、特別ゲストにらんも入れている。 (席順は左からありす、みょん、れいむ、まりさ、ぱちゅりー、ちぇん、らんの順番) このメンバーでテストに挑戦してもらう。 ちなみに試験官はお兄さんが入る。 (ゆっくり何ぞに任せたらテストじゃなくなるため) 「おっけー、じゃテスト始めるぞー」 「「「「「「「ゆん!」」」」」」」 「あ、後逃げ出そうものならようしゃ無く叩き潰すからいいね? あと点数低いやつはお仕置きな では・・・はじめ!!」 お兄さんの合図とともにゆっくり達鉛筆を口に銜えるようにしてテストを始める。 それと同時にお兄さんはあたりを見渡す。 ぱちゅリー、らんの二匹はすらすらとテストを進めている ちぇん、みょんは少し考えひらめいたという感じの顔をすると少しずつ書いていた。 ありすは少しは知識があるのか頭(?)を捻らせがんばっている。 結構がんばっている姿はかわいらしいが 問題がひとつだけあった それはれいむとまりさだった。 れいむとまりさ種はそこらへんに生息しているゆえ 子供だのえさだのゆん生などでその他のことはまったく考えない奴らなので 頭はよほど悪いほうではないかと思った。 れいむとまりさのほうに視線を向けると わからないという顔をしてテストとにらめっこをしている。 ああ、だめだこりゃ、とお兄さんが呆れ顔でれいむとまりさを見ていると声が聞こえた。 「「おにいさん!てすとできた(わ)よ!」」 目の前に移ったのはらんとぱちゅりーだった。 おお、もうできたのかと関心し らんとぱちゅりーのテストの答案を受け取り採点を始める。 ふむふむ。 と答えと赤ペンを取り出し しゅっしゅっしゅっしゅっしゅっしゅっしゅっしゅっ・・・ と得意げに丸をふっていった。 「らん、すごいなお前。 100点満点だぞ!」 答案をらんに返す。 らんの答案の名前の隣にでかでかと100と書いてあった。 「どうする?らん。 もっと難しいのがあるが・・・」 「ぜひやらせてね!」 とらんが自身ありげに言うので今度はたしざんひきざん②というテストを渡す。 らんはテストを銜えて自分のいた場所に戻っていった。 次にぱちゅりー 「じゃあ、採点だな」 とまた得意げに赤ペンのキャップをはずし そして しゅっしゅっしゅっしゃっしゅっしゅっしゅっしゃっ・・・ 「惜しいなぱちゅりー 80点だ」 「むきゅん・・・」 「もう一回がんばってみろ・・・またできたらもってくればいい 間違えたところは俺が消しといてやる・・・ ほら」 と消しゴムでぱちゅリーの間違えたところを消す 「むきゅ、ありがとう。」 というとぱちゅりーはテストの答案用紙を銜え席に戻る。 しかし席に戻るなりまりさが声をかけた。 (ぱちゅりー・・・とうあんをみせてほしいのぜ・・・) (むきゅぅっ!? なにをいってるのまりさ!) (まりさはたすかりたいのぜ! となりのれいむはぜんっぜんだめなのぜ!!) (だからってかんにんぐはだめよ!まりさ!!) (うるさいのぜ!!ぱちゅりーはだまってとうあんをみせるのぜ!) (むきゅー!いやよ!) とこそこそと話しかけていたがついにまりさの堪忍袋の緒が切れたのか立ち上がって叫んだ。 「ゆっ!いちいちうるさいよ!ぱちゅりーはだまってとうあんをみせればいいのぜ!!」 その声を上げた後体当たりを仕掛けようとしたがすぐにそれを止めた。視線を感じる。 周りを見るとぱちゅりーを除く、すべてのゆっくりから冷たい視線が放たれた。 当然お兄さんからも。 「まりさ・・・」 「ゆっ・・・ゆゆっ!! ちがうよ! ぱちゅりーがとうあんみせろとうあんみせろっていちいちうるさかったからなんだよ! わるいのはぱちゅりーなんだよ!」 と必死の言い訳をする。 しかも他人に罪を擦り付けるとはこのまりさ・・・ゲスだなとお兄さんは呆れ顔で見ていた。 当然解答者からは 「みぐるしいよまりさ!」 「ちんぽー!!」 「しぼうふらぐなんだねー わかるよー」 「ちぇん、こんなわるいことをするとむくわれないんだよ。 わかってね」 「わかったよーらんしゃまー」 と罵声。 そして試験官がまとめに入る 「ま、まりさには罪を擦りつけようとしたし罰を与えんと。 異議は無いか?」 「「「「「「いぎなーし!」」」」」」 「ゆげげっ!」 「おっけーじゃあ、まりさにはれみりゃのえさになってもらおう!! 餡子を吸われてじわじわと死んで逝ってね!!」 「そ・・・そんなぁぁぁぁぁああああああああああああ!!」 「じこうじとくね、むきゅん」 「ぶざまだね!」 「まらぺにーす」 「ばかなんだねーわかるよー」 「ちぇん、ああいうばかのことを⑨っていうらしいよ」 「そうなんだ!らんしゃまはなんでもしってるねー すごいよー」 「まりさは⑨なんかじゃないいいいいいいいいいいいい!!」 再び罵声。 と、言うよりなぜらんが⑨を知っているのかが不思議だが 「おk、じゃあおぜうさまのところに案内してやろう。」 「やだあああああああああああああああたすけてええええええええええええええええええ!!!」 まりさを断音性のあるかごに入れ放置する まりさのことはおいておいてとりあえずまりさが脱落したところでタイムアップ できたところまででいいから見せてくれといい。 答案に採点をする 答案を採点した後それぞれに返す。 結果 1位 らん 100点 2位 ぱちゅりー 80点 3位 ちぇん 60点 4位 みょん 50点 5位 アリス 40点 6位 れいむ 10点 圏外 まりさ (反則行為を行ったため) 0点 となった。 やはりぱちゅりー種はやはり群れでは欠かせない存在だなと感じた 「ぱちゅりーはよくがんばったな。偉いぞ」 「むきゅ~んほめてくれるとうれしいわ」 終わり 「おわりじゃないでしょおおおおおおおおおおおおお!!」 「ん?なんだ、まだいたのか」 「まだいたかじゃないよー ぱちゅりーだけほめてちぇんたちはほめてくれないの?」 「いや、これはあくまでもゆっくりの知性を測るためのものだから ほめても意味無いぞ」 「ち・・・ちんぽぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!」 「そうよ!ありすをほめちぎったってなにもでないんだから!!」 「お前は何が言いたい。」 「ほ・・・ほめたってなんにもでないからね!」 「はいはい、ツンデレツンデレ あ、でもらんはよかったな。 100点とか 森の中で競い合ったら一番になれるんじゃないの?」 「ゆん、ありがとう、おにいさん できたらちぇんもほめてあげてね。」 「はいはい。ちぇん よくがんばったな」 「ゆん、うれしいよー」 「おk、らん、帰るぞ」 「わかったよ」 「じゃあなお前ら。元気でやれよ」 「またね!ちぇん!」 「またあおうねーらんしゃまー ゆ、もうちぇんもかえるよー じゃあねれいむ、みょん」 「けっきょくれいむはほめてくれないのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「まらああああああああああああああああああああ!」 「・・・ありすにもほめてほしかったな」 おまけ(まりさ その後) お兄さんの家の一室 「おーい、れみりゃ~ でてこ~ぅい」 とお兄さんはれみりゃの名を呼ぶとソファーから聞いてるだけでいやになる声がした。 「うっうー☆おにいさんのおよびだしだどぉ~ きっとかり☆しゅまなおぜうさまにいいたいことがあるんだどぉ~ よんだかだどぉ~」 「おお、きたか。 今日のご飯だ。 子供と一緒に味わって食えばいい。」 とまりさをぽいっと投げつける。 「うー☆おいしそうなあまあまだどぉ~ えんりょなくこどもたちとたべるどぉ~」 「そうするといいぞ。あ、そうだ 後、こいつもね一緒に食べな」 と無造作に投げ出されたのはテストを受けたれいむ。 「いたっ!おにいさん!もっとていねいにあつかってね! ・・・ってなんでれみりゃがいるのおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! あとなんでれいむがこんなことにいいいいいいいいいい!」 「いやお前テスト点数低かったじゃん。」 「ええええええ!?きいてないよおおおおおおおおおおおおおおお!!」 「いや、最初言ってたよね『点数低いやつはお仕置きな』って そういうわけだ。 ゆっくり食べられてね!!」 とお兄さんは部屋を後にした。 「「そんなあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 「こどもたち、くるどぉ~」 「う~☆おきゃ~しゃんにゃんぢゃどぉ~」 「う~☆あみゃあみゃがありゅどぉ~」 「おかあさんといっしょにたべるどぉ~」 「いただきまーすだどぉ~」 「いぢゃぢゃきまーしゅだどぉ~」 「「い・・・いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 今度こそ終わり あとがき 何日間かいろんな人のSSを見てきたけど やっぱすげー byさすらいの名無し このSSに感想をつける
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初投稿です いじめ少ないです 『WARNING』 20XX年1月1日深夜2時 ある加工所にて 「WARNING,WARNING第5ブロックにてゆっくりが脱走。 繰り返す、第5ブロックにてゆっくりが脱走。 職員は脱走したゆっくりを捕獲せよ。これは訓練ではない。」 「おい、聞いたか?」 「ああ。新年早々ゆっくりが脱走かよ。」 俺は仲間の鬼意と深夜の中央司令室にいた。 「第5ブロックか・・・よし、行こう。」 「おk」 俺は捕獲用の網と籠とゆっくり用睡眠剤を持って鬼意と第5ブロックに向かった。 ~5分後~ 「うわぁ何じゃこりゃー。」 俺と鬼意はそう言った。 何せ500を超える饅頭がもぞもぞと動いているのだから。 「ゆっくりにげるよ!」 「そろーり、そろーり」 「れいむたちはこれからゆっくりぷれいすめざしてかこうじょからにげるんだね!」 「むきゅ!そうよこのじかんならにんげんさんもすーやすーやしてるからね!」 どうやら脱走の指揮を執っているのは、ぱちゅりーのようだ。 馬鹿な饅頭たちだ。 俺と鬼意は捕獲に取り掛かった。 「「「「「「「「「「なんでにんげんさんがここにいるのー」」」」」」」」」」 ゆっくりが気づいたようだ。 逃げるゆっくりがものすごい振動を起こす。 中には振動でレイパーになったアリスが周りのゆっくりを犯している。 ゲスが他のゆっくりを潰してまで逃げている。 だが前方には他の職員達が待機している。 俺と鬼意はどんどん睡眠剤を撒く。 「ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!にんげんさんにつかまっちゃうよぉぉぉぉ!!!」 「ばかなにんげんさんなんてまりさのぷくーでいちころだよ!」 ゆうかん(笑)なゆっくりもいるもんだ。 前でもゆっくり用睡眠剤を撒いている。 ゆっくりの動きが鈍くなった。 「ゆぅぅなんだかねむくなったよーすーやすーや」 「みんなーねちゃだめー!!!」 ぱちゅりーが必死にみんなを起こす だがこの睡眠剤はとても強力だ寝たら12時間は起きない。 ぱちゅりーを透明な箱に入れ、他のゆっくりを回収していく。 「ふう、何とか回収できたぞ。」 「このゆっくり達はどうするんだ?」 「ぱちゅりーを尋問してから全部加工する。」 「ふーん、何匹かもらえないか?」 「また虐待か?」 「まぁな」 「こんなにいるから何匹か持って行ってもばれないだろう」 鬼意はれいむとまりさをお持ち帰りした。 ~12時間後~ 「むきゅ!ここはどこ?」 「起きたな。よし、はじめろ!」 スーツを着た男が行った。 「むきゅ!ぱちぇはもりのけんじゃなのよ! それがわかったらそこにいるばかなにんげんさんはさっさとここからぱちぇをだしなない!」 「うるさい。」ドン 男は透明な箱を叩いた。 男は続ける。 「なぜ脱走なんてした」 「ぱちぇたちはだっそうなんてしてないわ!ゆっくりぷれいすにいこうとしただけだわ」 「まあいい。お前には罰としてお前の仲間が加工されるのを見届けてもらう」 透明な箱の前にモニターが現れた。 そこには脱走したゆっくりが映っていた。 「ゆんやぁぁ!あんよさんがあちゅいよぉぉぉ!」 「たしゅけてぇぇ!」 「こんなのとかいはじゃないわぁぁ!」 「わからないよー」 「ちーんぽ」 モニターには鉄板上で叫ぶゆっくり達が映っていた。 「やめて!ぱちぇたちのなかまはわるくないわ!おねがいだからやめてあげて!」 「だまれ!」ドン 次に映ったのは潰されるゆっくりだった。 「かべさんこないでね!れいむつぶされちゃうよ!やめてね!やめてn」ブチュ 「どおじでごんなごどじゅるのぉぉぉ!」 ぱちゅりーは叫ぶ。 男は行った。 「お前が脱走を企てて、他のやつらを脱走させたからだよ。 お前がみんなを殺した。お前のせいなんだよ全部。」 「ぱ、ぱちぇがみんなをころしtエレエレエレエレ ぱちゅりーはクリームを吐いた。 だがオレンジジュースがかけられ意識が戻った。 「お前には仲間全員が死ぬまで死なせない。」 ぱちゅりーの口にテープが張られた。 これでクリームを吐いて死ねなくなる。 「むぅー!むぅー!」 何かを訴えている。 また足焼きもしているので動けない。 「まあ全員が死ぬまでゆっくりしていってね」 男はそう告げると部屋を出て行った。 ~1時間後~ 男は部屋に戻って来た。 「どうだ、お前の仲間が次々殺されるのをみるのは?」 ぱちゅりーは何も話さない。 男は赤い液体が入った注射器を取り出すと、ぱちゅりーに刺した。 ぱちゅりーは狂ったかのように身体をグネングネン動かすと、電池が切れたみたいに動かなくなった。 「処理完了」 男はそういうと部屋から出て行った。 by加工所職員
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アルルなんだけど見えないw将来ぷよのマンガ家になりたい・・・w -- ぱちゅりー (2010-04-16 14 13 09) 見えますよ!!トーン上手です^^がんばって夢かなえましょう! -- 若草 (2010-04-16 16 02 31) 漫画風だね^^ぱちゅりーちゃんならきっとできるっ!!! -- ルナ (2010-04-16 16 26 40) わぁ☆温かいコメントありがとう^^二人ともタメ口&呼び捨ていいからね~♪私頑張ります!(*´・∀・)ノ -- ぱちゅりー (2010-04-17 07 34 29) 名前 コメント
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『カヌチ 白き翼の章』イズサミ? -- 2009-01-20 20 24 31 ○ 「俺がオマエを守る」主人公の親友役? -- 2009-01-20 20 24 59 ○ DS ラストバレット? -- 2009-03-27 21 31 14 蒼天の彼方? -- 2009-04-14 01 41 54○ グレンラガン劇場版には出た? -- 2009-04-27 13 27 13
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