約 3,555,170 件
https://w.atwiki.jp/aspurand1106/pages/374.html
92話 ほら足元を見てごらん、これが貴方の歩む道 MURは気が付くと、夜の自宅前道路に倒れていた。 起き上がり、とても懐かしい感覚のする我が家の玄関を開けると、驚いた顔の両親と妹、飼い猫が出迎えてくれた。 全員がMURの帰りを喜び、涙を流した。 居間に移動し父親がMURに話し掛ける。 「心配したんだゾ……! 政府の人から、お前や野獣君達が居なくなっていたって聞いて」 「? どう言う事だゾ? トッチャマ」 父親の話した中の「政府の人」と言う言葉が気になり聞き返すMUR。 そして父親がMURに説明したのは、MURのクラスが「BR法」対象クラスに選ばれた事、 修学旅行に向かうバスの中で会場に連行する為クラスの全員が眠らされたがその時にMURや野獣達一部のクラスメイトが消えていた事。 手掛かりも無く脱走の可能性も低いと言う特異な事態だった為やむなく消失した生徒以外でBR法の競技を行った事。 皮肉な事に平野のバトルロワイアルに巻き込まれた結果MURは命拾いをした形になったのだ。 「そうだったのか……野獣達だけじゃなくてクラスの皆はもう」 「一体何が有ったの? 教えて欲しいゾ」 母親がMURに真相を尋ねる。 MURは信じて貰えるかどうか分からなかったが有りのままの事を全て話した。 自分や自分以外の消えたクラスメイトは、平野源五郎と言う男の催した別の殺し合いに巻き込まれた事。 クラスメイト以外にも大勢の人間――人間以外も居たが敢えて人間とする――がその殺し合いに巻き込まれ、もがき、非情にも命を落として行った事。 最終的に52人も居た参加者の内、自分含め3人しか生き残らなかった事。 最初は半信半疑だった家族も次第にMURの言う事を信じるようになった。 「そーなのかー……兄ちゃん、生きて帰ってきて本当に良かった」 妹がMURに抱き付いた。 「ただいまだゾ……」 妹の頭を撫でながら、MURは涙を流した。 その後、MUR一家は人知れず引っ越す事になった。 BR法によるバトルロワイアル直前に行方不明になった一人であるMURが帰還した事が広く知られれば、 間違い無く政府の調査やマスコミの追求を受ける事になる。 拉致され別のバトルロワイアルに巻き込まれていたなどと話した所で信用されまい。 下手すれば逮捕されてしまう危険性も有った。 出発の日。深夜に最低限の荷物を乗せたトラックがMURの家を出発した。 荷台に隠れるようにMURは乗っていた。 これから先、殺し合いと同じ位辛い現実が待ち構えているかもしれない。 だが、MURは絶対に挫けたりしないと誓った。 あの殺し合いで協力し合い、そして死んでいった友人達、仲間達の事を思いながら。 共に生き残った、別世界の人間、北沢樹里と原小宮巴の事を思いながら。 (俺は頑張るゾ……何が有ろうと、死んでいった野獣達や、仲間達の分も生きるゾ) 固い決意を胸に、MURは慣れ親しんだ町を家族と共に後にした。 【俺得バトルロワイアル7th MUR END】 前:明日は来るのか(後編) 目次順 次:狂乱祭(IFルート) 前:明日は来るのか(後編) MUR 次:[[]]
https://w.atwiki.jp/hachimanjinja/pages/1642.html
「校庭の方は片付いたか、では、我々も出発するとしよう。」 「あいあいさー♡」 オルトロスの面々が学校の中にいたゾンビをほとんど殲滅してくれたお陰で行動しやすくなっている、高校を奪還するなら今しかない。 校門の前にはゾンビが多い、だが・・・。 「ゲルトルート、片づけるぞ。」 「って、あれ?」 ゲルトルートが居ない。 「どこに行ったんだ?」 「ガアッ!」 後ろでゾンビの叫び声が聞こえた。 「!?」 「グアッ!!」 今度は右だ。 「ガッ!」 真後ろ。 「ゴアッ!」 左。 「一体何が起こっている?」 目を凝らすと何者かが殆ど視認不可能な速度で移動しているようだ。 「くっ・・・誰だ?」 見る見るうちにゾンビが倒れて行く。 「まあいい、とりあえず校門を閉めるとするか。」 重い扉をゆっくりと閉めて行く。 その間にも誰かがゾンビを倒しているようだ。 「誰だか知らんが・・・助かった。」 校門を完全に閉め終えるとため息をつく。 「これでゾンビは入ってこないだろう、これでガーランド達がゾンビを倒してくれれば・・・。」 「高校は奪還できる、ってことね。」 ゲルトルートが急に目の前に現れた。 それも奇妙な刀を持って。 「さっきまでゾンビを倒していたのは・・・もしかしてお前か?」 「ええ、そうよ、便利でしょ?私って。」 ゲルトルートが持っていた刀を見せた。 「「トゥルーデ」、これは武器の名前でもあり私の名前でもある、もう私の体の一部みたいなものね。」 「これは・・・刀のような・・・鋸のような・・・何だこれは?」 刀身のところに美容師が使うような櫛のように小さい刃が並んでいるいる。 「私も知らないわ、そういう武器らしいから。」 ゲルトルートは刀を鞘に入れた。 「さあ、理科室に戻りましょう、ちょっと見せたいものがあるのよ。」 「見せたい物?何なんだそれは?」 「ウフフ、帰ってからの、お・楽・し・み♡」 ゲルトルートは寒気のするウインクをした。 戻る
https://w.atwiki.jp/hengokurowa/pages/263.html
赤い月の光で照らされた平安京の中に一人の金髪の青年がいた。 その青年はほとんど裸に近い状態であった。 彼が身に着けているものは下半身を隠す下着、それがただ一枚のみであった。 そんな姿をしたその青年は空に浮かぶ赤い月を見てこんなことを考えていた。 『なんか、魔物(おもちゃ)が蘇り(補充され)そうな夜だなあ』と。 彼が知っている赤い月は、死んだ魔物が蘇る時に出現するものであった。 今見えている月にそんな効果は無いことはルール用紙を確認すればすぐに分かる。 あくまで彼の世界で起こる現象に照らし合わせただけの感想だ。 それとは別に、本当に魔物たちが無限に湧き続ける環境で殺し合いをするのも面白そうだなとは思っていた。 ◇ かつてハイラルという国にリンクという英傑がいた。 彼は100年前にガノンという厄災との戦いにより傷つき回生の祠という場所でその傷を癒していた。 100年の時を経て目を覚ましたリンクは再びハイラルを救うべく動き出した。 そのハイラルを救う方法というものは、必ずしも一つだけではなかった。 目が覚め、右も左も分からない状態で、様々な人の助けを借りて冒険を進めることができた。 ハイラル全土を隅々まで旅することもできた。 そして、仲間の力を借りて共にガノンを相手に戦うことができた。 それとは反対に、目が覚めたらすぐに一人で倒しに行くこともできた。 これを発展させ、どれだけ早くガノンを倒すことができるのかなんてことに挑戦することもできた。 リンクの旅はその過程をどのようなものにするのか、自分の意思で自由にできた。 そんな『旅の仕方』ごとに様々な可能性の世界のリンク達がいた。 だが、自分ができることを探求するあまり道を外れるリンクもいた。 魔物を一方的に虐殺するならまだいいほうだ。 人に向かって大量の爆弾矢を浴びせてみたり、魔物を人が暮らす村の中に連れてくるなんてこともあった。 女性に対するセクハラや自然環境の破壊なども躊躇なく行えてしまう。 ガーディアンやライネルといった強敵も彼にとっては自分の欲望を満たすための道具に過ぎない。 あちこちに連れまわしてみたり、強力な魔物同士で戦わせてみたり。 魔物の殺し方を凝るようなこともあった。 このように、様々なことをやりたい放題好き放題に暴れ回ったリンクがいた。 それはまさしく暴力、悪知恵、蛮勇のトライフォースを兼ねそろえた者とも言えるだろう。 彼のように、やってみたいと思ったことのためならどんな苦労でも、どんな非道でもやってみせる英傑らしからぬリンクのことを人々はこう呼んだ。 『厄災リンク』と。 ◇ この殺し合いの場に連れてこられたのは、その厄災リンクであった。 彼は、自分を巻き込んだこの殺し合いをとことん楽しみつくすつもりでいた。 彼が下着一枚だけの姿になっているのは自分の意思によるものだ。 たまたま脱いでいた時に連れてこられてきたわけではない。 元々身に着けていたものは全てデイバックの中に収納済みだ。 もちろん彼は殺し合いでほとんどの素肌を晒すことの危険性について理解している。 身を守るものを身に着けていなければちょっとしたことで大怪我を負うことくらい言われなくても分かっている。 しかし彼は今、生まれたままの状態に近いこの姿を、自分の戦いにおける正装としていた。 何故ならば、その方が面白いと思うからだ。 怪我をしたくなければ攻撃を全て避けたり防いだりすればいいだけのことだ。 だから彼にとって、今の自分の状態はさほど問題あることだとは思っていない。 「フッ、フフッ」 リンクの口から、思わず笑い声が漏れ出る。 これから自分はこの殺し合いでどんな奴等と出会うのか、そいつらと一体どんなことができるのか。 そういったことへの期待が高まることで出てくる声であった。 たとえ殺し合いを強要されていても彼の好奇心は止まらない。 厄災と呼ばれたこの男にとって、全ては遊ぶための玩具となるのだ。 その全ての中には彼自身も含まれている。 【厄災リンク@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド】 [状態]:健康、パンツ一丁 [装備]: [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~3、英傑の服@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド、ハイリアのズボン@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド [思考・状況]基本行動方針:遊ぶ。 1:思いついた楽しそうなことは何でも試してみる 2:他の参加者をどうするかは見つけてから考える [備考] 神獣や記憶は全て解放済みです。 名簿にはリンクと記載されます。 【英傑の服@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド】 リンクが装備できる服の一つ。 ゲームでは装備すると敵の体力を数値で確認できるようになる効果がある。 元から身に着けていたもののため支給品ではない。 【ハイリアのズボン@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド】 ハイラルで広く親しまれている一般的なズボン。 元から身に着けていたもののため支給品ではない。
https://w.atwiki.jp/harvestmoon/pages/146.html
台風、そして手紙と香水 夏(台風の翌日) 時間帯制限なし 海岸 台風の次の日に海岸に行くと発生。時間の幅は決まっていないが、 起床後、ダッシュで海岸で発生を確認。夜は何時までか未検証。 海岸に手紙入りの瓶が流れ着いており、主人公がそれを発見。 カイが海岸にやってきて、この町にずっといるのか、いつか出ていくのか話しかけてくる。 「ずっとここにいる」 手紙入りの瓶をカイに渡し、代わりに香水を入手。香水の効果は、ボーイ版:プレゼントすると恋愛度を一段階上昇させる。 ガール版:おしゃれ箱に入れることができる(おしゃれ度上昇) 「いつか出ていくかも」 カイとの友好度(ラブラブ度)上昇。手紙入りの瓶を入手。 ガール版では恋愛イベントの一環なので、台風を一度は受けないといけないのがツラい。 夏の間に台風は一度は自然に来るだろうが、場合によってはセーブ&ロードで天候操作が必要になる。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/25438/pages/3237.html
1 ※スマートフォンなどでテキストが読みにくい場合は、こちらをお試してください。 [PDF版] 梓「これがお別れなら、きみは憂」.pdf [JPEG版] 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 唯と梓と憂 2014/09/18 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/14921/1410986508/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る 色々と謎の多い作品だ。 -- (名無しさん) 2014-10-05 16 11 34 う~んキツネにつままれたような… テーマは? -- (名無しさん) 2014-09-24 01 52 39 文の構成は、左が唯で右が憂のセリフ。 下手に内容を考えても無駄かも。 -- (名無しさん) 2014-09-23 02 17 02 梓が平沢姉妹に翻弄されてるのか、姉妹は梓の想像上では一体で裏と表のようなものなのか。 色々考えさせられます。 変わり種の作品ですね。 -- (名無しさん) 2014-09-21 23 41 37 実験的で面白い。 もっとじっくり読んでみます。 -- (名無しさん) 2014-09-21 20 42 06
https://w.atwiki.jp/crackingeffect/pages/156.html
「改めて話をしよう、藤井蓮」 「構わないぞ、アーサー・ペンドラゴン」 開口一番に互いの真名を突きつけて、二人の剣士は静かに顔を突き合わせていた。 バツの悪いような雰囲気はどこにもない。二人のどちらもが、相手が自分の名を知っていることは想像の範疇だったと言わんばかりに、当然の顔をして話を続けていた。 アーサーが蓮の名を特定できたのは、事前の知識があったればのことであった。 エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグ、黒円卓の魔操砲兵。その名を告げた際の反応と、彼の持つ雷剣の真名とを結び付ければ話は単純である。 スルーズ・ワルキューレはザクセン選帝侯の所有下にあった宝物として有名だが、それはあくまで宝物、兵器として運用された逸話は存在しない。 第二次大戦下において流出したその剣を実戦にて用いた者は歴史上に一人だけ。聖槍十三騎士団黒円卓第五位、ベアトリス・キルヒアイゼンは、しかし眼前の男とは性別も人種も噛み合わない。 黒円卓関係者の日系人と言えば第二位トバルカインの櫻井武蔵だが、彼の得物は巨大な槍。ならば残る可能性は、ベアトリスと同じく黒円卓に反旗を翻した副首領の代替品を置いて他にない。 蓮のほうは更に単純だ。アーサーの用いた宝具「エクスカリバー」は多くの贋作や姉妹剣があるものの、星そのものの燐光たる黄金を解き放つものなど一つしかない。 すなわち真なるエクスカリバー、その輝きだ。ならばかの聖剣を携えるは騎士たちの王以外になく、真名の特定は容易である。 「本戦が始まって以降、事態の推移が著しく早まっている。本来なら日常の非日常の狭間で行われる戦いが、最早日常と化してそこかしこで振るわれている」 「戦いが激化すれば当然脱落者も倍増する。戦場の移り変わりが激しい以上、情報の更新は最優先か」 なるほど、と頷く。聖杯戦争は究極的には個人戦だが、バトルロワイアルの形を取っている以上は徒党を組むのが常套手段。特に序盤、仮想敵が多い時ほどその有用性は増大する。 しかしこの状況を見れば、聖杯戦争は既に山場を越えている。今までは複数人で行動していたがために身動きが取れなかった者らが、個人へと戻りその活動を活発化させていてもおかしくはない。 故に対処の手は早ければ早いほど理想的で。 そして何より、終盤に同盟の手を切る利得は「聖杯を求める主従」にしか存在しないために。 「情報交換をしようか。きっと、まだ先は長い」 二人は互いを睥睨し、どちらからともなく話し始めた。 ────────────────────────。 「丈倉由紀に骸骨面のアサシンか。すまないが覚えがないな」 「そうか」 壁に背を預けペンを持つ蓮は、紙面に目を落としながら短く答えた。 「僕たちのいた孤児院を襲ったサーヴァントの中にもアサシンはいた。しかしあれは骸骨面……ハサンの系譜に連なる英霊ではないだろう。それに」 「ああ。そのアサシンは俺が殺した。マスターの特徴も酷似しているから間違いない」 顎を押さえ、何かを思案するかのようにアーサーが頷く。 「だがそれよりも、聞き捨てならないのは赤のアーチャーだな。そいつの真名は、本当にエレオノーレで間違いないんだよな?」 「直接面通ししたわけではないが、彼女のマスターからそう聞いている。 身体的な特徴に戦闘スタイルから鑑みても疑いの余地はないだろう」 「……そうか。 だとすれば、かなり頭の痛いことになっちまうな」 「それは?」 「俺のほうでも大隊長に遭遇してる。黒騎士、ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲンだ」 蓮のその言葉に、アーサーは驚きの念を隠すことができなかった。 ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン。黒騎士マキナ。 その名はアーサーの遭遇した赤騎士と同じく、魔人集う黒円卓において尚超越者として列席された三騎士の一角だ。 その拳は現存する遍く全てを打ち貫き、万物の歴史すら終焉させるという幕引きの一撃。 アーサーの持つエクスカリバーとはあらゆる面で最悪の相性を持つ宝具だ。仮にアーサーの遭遇した者が赤騎士ではなく彼であったなら、果たしてその命があったかどうか。 「心配しなくても、そいつは俺が殺したよ。でも問題はそこじゃない」 「……確かにそうだ。黒化と赤化が揃ってしまった以上、玉体たる黄化と産道の翠化は除外しても、まず間違いなく白化もこの街に喚ばれている」 不死創造───黄金錬成。 その核となる五つの要素のうち、黒・赤・白の三つは極めて深い繋がりを持つ。 死なずのエインフェリア、すなわち黄金獣の眷属。彼らは一個人としての肉体と自我を持ち合わせているが、その本質は黒円卓首領ラインハルト・ハイドリヒを構成する爪牙の一部に過ぎない。その意味で言えば、彼らは存在を同じくする同一人物と言ってもいいのかもしれない。 聖杯戦争において、その強すぎる縁は「連鎖召喚」として機能する。 つまり。 「白化、ウォルフガング・シュライバー。考え得る限り最低最悪の戦争狂だ。 とにかく殺すことしか頭にない気狂いだからな。交渉の余地だとか戦闘回避だとか、そういうことは考えないほうがいい。考えるべきじゃない」 伝聞ではない実感として、蓮は心底の忌避がこもった口調で呟いた。 彼の言にはアーサーも全面的に同意するしかない。たった一人で18万もの人民を殺戮し尽くした、血に狂った殺人レコードホルダー。まず話の通じる手合いではない。 それに何より。 「仮に白騎士が召喚されているとしたら……まずいな、僕とは酷く相性が悪い。 ある意味では黒騎士以上だ。マスターを狙う以外に対処法が思い浮かばない」 白騎士ウォルフガング・シュライバーの持つ創造は「絶対回避」「絶対先制」。アーサーの手持ちの攻撃手段ではそれらを突破する道がない。 無論ただでやられる気など毛頭ないが、それでも圧倒的に不利なのは事実。なんとか打開策を見出したいところではあるのだが。 「それなら心配するな。俺が何とかする」 「……やれるのか?」 「まあ、アンタよりは勝算があるよ。それより、もしも同時に赤騎士が出てきたら、その時は」 「ああ。彼女は僕が受け持とう。尤も、彼女のマスターは既に脱落しているわけだが」 「未来は常に最悪を想定しろってな。それにマスターが死んだ程度でアレを倒せるなら、俺は生前苦労しちゃいないよ」 赤騎士のクラスはアーチャー。マスター不在でも活動できる単独行動のスキルにより生き残っている可能性は決して否定できない。 新たなマスターを獲得しているとしたら、彼女もまた難敵となって立ち塞がるだろう。願わくば、百合香の遺した令呪がこちらの有利に働けばよいのだが。 「ともあれ、俺達の情報を照合すると本戦以降の陣営はこうなるわけだ」 そう言うと、蓮は今まで書き綴っていたメモ帳からペンを離し、アーサーにも見えやすいよう手元に置く。 アーサーは書かれた内容に目を落とし、納得するように頷いた。 自陣営 キーア───セイバー アイ・アスティン───セイバー すばる───無手のランサー(霊基変動?) 健在 エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグ(アーチャー) ???───元村組のライダー 丈倉由紀───歴代ハサンのいずれか(アサシン) ???───ウォルフガング・シュライバー ???───戦艦のサーヴァント 脱落 すばるのアーチャー 無手のランサーのマスター 辰宮百合香(赤騎士のマスター) みなと───ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン(ライダー) 古手梨花───壇狩摩(キャスター) ???───幸福(キャスター) ???───キャスター(壇狩摩により双方消滅) 少女(名称不明)───異形のバーサーカー 錬鉄のマスター───アサシン 不確定 黒の矢と黄金の剣を放つサーヴァント(単騎ではなく複数?) 浅野學峯鎌倉市長 「確認が取れたのは俺達を含めて15陣営。内7騎は脱落済み、未確認の連中が全員生き残ってると仮定しても残りは俺達を除いて最大13陣営。 実際には俺達の知らないところでも戦火が広がってる以上結構な数が脱落してはいるんだろうが、そこらへんは未知数だな」 「幸いと言えるのは、未確認の主従でも協調の意思がある者たちがいるかもしれないという可能性が残っていることか。 キーアもアイもすばるも、そのいずれも参戦意思の確認なく強制的に連れてこられた。だとすれば聖杯戦争に反発する者がいてもおかしくはない」 「健在の奴らでそういう連中が見当たらないのは、そもそも脱出派はできるだけ目立つ真似をしたくないから……だったら良いんだけどな。あくまでいたら儲けもの程度に考えておくべきだな。 確認済みの連中で協調できそうな奴はなし。せいぜいがハサンくらいだが望み薄、そして未確定が8陣営」 「目下接触すべきなのは黒の矢と黄金の剣を持つサーヴァントかな。僕たちを手助けした理由が打算に基づいたものであったとしても、少なくとも利点があれば協力できる可能性がある」 「まあ、そうなるよな」 仮に自分たちが大隊長と戦うのだとして、現状では戦力があまりにも心もとない。 理想はその前に脱出手段を確保することであるが、どちらにせよ他陣営との接触は急務である。 「俺としちゃ、キャスターがほぼ確実に全滅してるってのが気になるな。幸福ともう一人はともかく、壇狩摩の消滅は惜しい。 奴の逸話を鑑みれば聖杯の解体なり地脈の接続なりができたかもしれないけど、後の祭りだな」 「……済まない。彼の脱落は僕の落ち度だ」 「いや、責めるつもりはないよ。言いたいのはキャスターの代わる魔術師か、それに詳しい人間を確保しなきゃいけないってこと」 アーサーの瞳が蓮を映す。 確認し合うようにお互い頷くと、蓮は言葉を続けた。 「ルーラーも監督役も姿を見せない以上、参加者間で事を解決するしか方法はない。 探すべき相手も見定まった。反撃はここからだ」 ▼ ▼ ▼ 閉じた視界に光が差す。 瞼の裏に映る暗闇、そこに佇む四人の人影が、徐々に遠のいていった。 友奈には、それが誰なのか分かった。 あれはかつての自分たち、幼い日に見た大切な友人たちの姿だ。 不思議だったのは、それが"五人"ではなく"四人"だったこと。 そこにいるべき自分が、独りだけ離れていたということ。 追いつこうと駆け出して、けれど足が動かない。 石のように固まって、友奈はただ見ているしかできなくて。 手を引かれる感触がした。 背後を振り返るとかつての自分と同じように、満面の笑みを張り付けた少女がいた。 手に持っているのは古びたハサミ。 友奈は何かを言おうとして、 けれど耳を劈く悲鳴に掻き消された。 視界の黒が赤に染まる。 少女の笑顔と手に持つハサミが赤に染まる。 張り裂ける絶叫が、胸に刃を突き立てられた自分のものだと分かった瞬間。 友奈はただ、懇願にも似た謝罪を心の中で繰り返した。 ごめんなさい。 ごめんなさい。 ごめんなさい。 心の中で百度も千度も許しを乞うて。 けれどもそれは、一度も口から出ることはなく。 鮮血に煙り笑う少女のその向こうで、憐れむ誰かの声が木霊する。 「…………。 懺悔ってのは免罪符じゃないんだよ、友奈。今更言っても遅いけどね」 ▼ ▼ ▼ 少女が涙を流していた。 すばるはどうしてか。 その少女が深く深く悲しんでいるのと同じに、どうしようもないほど自罰しているのだと察することができた。 「彼女は、とても優しい人」 隣にしゃがむ、キーアという名の少女。 キーアは嫋やかに手を差し伸べて、涙流す少女の頬に触れる。 「誰かを思いやれる人。自分以外の、助けを求める誰かの手を掴むことができる人。 とても優しい、暖かな人」 零れ落ちる雫を拭う指、柔らかに滑らせて。 「そうじゃなければ、こんなに自分を追い込んで、涙流すなんて。 きっとできないもの。涙、こんなにも溢れさせて」 キーアは悲しげに、その瞳を伏せた。 その目は眼前の少女ではなく、どこか遠くへ。 ここではないどこかへ向けられていた。悲しげな表情の向こうに何を見ているのか。 何を想起させているのか。 すばるには分からない。 尋ねることもできない。 けれど。 「だとしたら……」 思いを馳せることはできた。 優しい少女。涙を流す少女。 真名は分からず、そのクラスさえ茫洋と判別がつかず。 その優しさ故に地に堕ちたというならば。 それは、きっと。 「悲しいね……とっても」 ロストマン。喪失者のクラス。 言葉交わさずとも伝わるその悲しみ。 その優しさが本物ならば、きっと彼女は失ってしまったのだ。 助け求める誰かを。自分以外の、大切な誰かを。 すばると同じように。 あるいは、キーアと同じように。 失ってしまって、だからこんな風になってしまって。 声持たぬ彼女の悲しみを、何故理解できたのか。その理由が分かった気がした。 「ねえ。あなたの願いは、なんだったの?」 ───願い。 尊く輝くもの。 手を伸ばせば、きっと誰もが掴めるはずのもの。 「わたし……あなたがいてくれたっていうそれだけで、これ以上ないくらい救われたんだけどな」 自分でも判別のつかない感情を滲ませて。 すばるは、囁くように声を漏らし。 「───……あ」 ふらり、 と、一瞬気が遠くなって。 我知らず後ろへ倒れてしまおうとしたところに、 ぽん、と肩を抱かれ、すばるは誰かの腕に受け止められた。 「大丈夫ですか、すばるさん?」 「……アイちゃん」 肩から振り向けば、そこには少女の小さな顔。 エメラルドのような翠色の瞳が、心配そうな気配を湛えてこちらを見つめている。 「すばるさん、やっぱり疲れが溜まってるんですよ。今日は色んなことがありましたから…… 少し休んでください。まだ時間はありますし、こんな調子じゃいつ倒れてもおかしくありません」 「でも、まだみんなが……」 「大丈夫です。セイバーさんたちが戻ってきたら、私達も少し眠りますから」 「うん……」 肯定されて、途端に瞼が重くなったのをすばるは自覚した。 緊張の糸がほぐれたのか、疲れのことを認識してしまったからか。 分からないが、今まで鳴りを潜めていた睡魔が、一気に頭へ圧し掛かる。 「……じゃあ、ちょっとだけ……アイちゃんと、キーアちゃんたちも……」 「はい。きっと無理はしませんから、ご安心ください」 「……うん」 か細く返事をして、あれ、と思った時には鉛のように重い瞼を閉じていた。 夜空の藍色と杉林の黒が混じったかと思うと、頭の中がその色に染まる。 不思議と早く眠りに落ちたすばるは、そのまま静かに寝息を漏らす。 意識を失う最後まで、そうと気付かないままだった感情で胸を満たしながら。 胸に満ちる暖かなもの。 ───安心感、だった。 ………。 ……。 …。 ────────────────────────。 項垂れる友奈の隣にちょこんと座り、 アイとキーアは隣り合って、共に夜空の星を見上げていた。 街の喧騒は遠く、声は小さなものでも残らず空に吸い込まれていくようだった。 「ユリカさんとは、私も一度お会いしてみたかったです」 アイは、その視線を空に固定したまま、そんなことを言った。 辰宮百合香のことを、二人は既に知っている。その人となりは元より、彼女の顛末すらも。 戦場より戻ってきたアーサー・ペンドラゴンの口から、仔細の全てを聞かされた。 「色々役立つ情報が聞けたかも、というのもありますが。 それ以上に、もしかしたら助けてあげることができたのかもしれないなって、 思い上がりかもしれないけど、そう思うんです」 「……アイは、誰かを助けたいの?」 アイの横顔を覗きこむキーアが尋ねる。 その口調は不思議そうにというよりは、何かの確認のようでもあって。 「そうですね。私はみんなを助けたいと思ってます」 「みんな?」 「ええ。みんなです」 「聖杯戦争に集められた人たち、みんな?」 「それだけじゃありません。私は世界を救いたいんです」 ああ、やはり、と。 口に出すことなく、心の中だけで思って。 「雲を掴むみたいなお話ね」 「ええ、その通りだと私も思います」 「それでもあなたはみんなを助けたいの?」 「ええ、それが私の夢ですから」 「……もう、死んでしまってる人もいるのに?」 「それは確かに私の不徳ですね。所詮私はちっぽけな存在ですから、助けられない人も出てしまうのかもしれません。 ユリカさんのように、アーチャーさんのように。 でも」 でも、 と言うアイの言葉は、強い意思が込められて。 「それでも、私は私の手が届くみんなのことを、 絶対に諦めません。例え何があろうとも、助ける意志だけは燃やし続けます」 そのあまりにもひたむき過ぎる心を、キーアは見飽きるほどにずっと傍で見てきたから。 「勿論、あなたのこともきっと助けてみせますよ、キーアさん。 セイバーさんたちほどじゃありませんが、私もこう見えて結構強いんです。 ですから、ええ。ゾンビくらいからなら守り切ってあげますよ」 「ありがとう。頼りにしてるわアイ、それは本当よ」 「え、えへへ……初めて頼りにされちゃったかもしれません。 新鮮な気持ちというか、これはかなり嬉しいかも……」 「でもね、アイ」 だから。 だから、キーアは問いかけるのだ。 目に映る全ての人間を助けようとして、 手の届く全ての人間を死なせまいとして、 自分以外の誰かを救わんとするあなたは─── 「あなたはみんなを助けようとして、 その"みんな"には、アイもいるの?」 空を見上げていたアイの顔が、こちらを向いた。 ゆっくりと、柔らかく。それはまるで子供に言い聞かせるため振り向いたかのように。 あるいは、親へ何かを自慢するため振り向いたかのように。 アイは、その顔いっぱいに満面の笑みを張り付けて。 「───いいえ?」 そんなことを、至極当たり前であるかのように言った。 「……」 「あ、セイバーさんたちがこっちに来るみたいです。 ちょっと迎えに行ってきますね、キーアさん」 「……アイ、あなたは」 声をかける暇もなくアイは向こうへ駆けて行って。 伸ばしかけた手を中途半端に宙へと漂わせるキーアだけが、眠る二人と共にその場に取り残されてしまって。 「……」 言葉なく、キーアは記憶の中の彼を思う。 ギー。魔法使いのお医者様。滅私で他者を救い続ける気狂いの巡回医師。 「アイ、あなたもギーと一緒で……」 キーアはずっと見つめてきた。 キーアはずっとその姿を見てきた。 我を殺し、取りこぼす無数の命たちを見つめ、失ったものが何であるか確かめるように歩き続ける彼らを。 キーアは、ずっと見つめてきたから。 「ずっと、泣き続けているのね」 その瞳は、何を─── ………。 ……。 …。 ────────────────────────。 ▼ ▼ ▼ 「そういうわけで、ちゃちゃっと魔力を吸ってください」 「は?」 少女たちのもとへ戻ろうとして、駆けてくるアイを拾って幾ばくか。 話があるというアイの言葉にアーサーを先に戻した蓮は、思いがけぬ言葉に疑問符を打った。 「いきなり何言ってんだお前」 「何言ってるんだはこっちの台詞です」 言い訳は聞かないぞと言わんばかりに、アイは「ふん」と胸を張って指差す。 「その傷のこと」 後ろに隠すようにしていた蓮の右半身を、アイは指差す。 袖から出ている肌は、ガラスか何かのように罅割れていた。 「誤魔化せると思ったら大間違いですよ」 「……別に、誤魔化そうってつもりはないぞ。けどこんなの時間が経てば」 「治るって前にも言って、でも全然治ってないじゃないですか」 図星を指されたと言わんばかりに、蓮は苦虫を噛み潰したように顔を顰めた。 アイの指摘は尤もだった。諧謔で刻まれた亀裂は完治する様子を見せず、事実として先の戦闘では一気にその傷を深いものとしていた。 治癒が遅い、というのは聞いている。そこはいい。全くもって良くないけど、理屈としては納得している。 アイが怒っているのは、アイから蓮に流れていくはずの魔力が、明らかに少ないということなのだ。 「セイバーさん。私が負担するはずの魔力を、あなたは自分でやりくりしてますね」 「……」 「気付かないと、思ってましたか?」 「……」 「私は、そんなに、頼りないですか……?」 アイの言葉は、最後のほうには端々が震えていた。 お前は役に立たないんだと突きつけられているような、そんな気さえした。 「……別に、そういうわけじゃない。俺だって必要になればその分貰うよ。けど」 「けどなんですか。言っておきますけど、私だって私なりに覚悟はしてるんです。 魔力が足りないなら血肉を、血肉が足りないなら魂を、削り取っても構いません。 それがあなたを召喚した私の責任なのですから」 それを言った瞬間、蓮の顔が凶相に染まった。 一瞬アイはたじろんだが、気落とされまいと必死に表情を取り繕って言葉を続ける。 「ですから、必要な分だけ吸ってください」 「……」 「今がその時なんです。諦めてください」 「……分かったよ」 諦めたように蓮が言った瞬間、アイの総身を急激な苦痛が襲った。 体中を走ったのは激痛と、活力そのものを根こそぎ奪われるかのような虚脱感だった。三半規管を揺さぶられる不快感に重い吐き気を覚え、立っていられず倒れるように膝をついた。腰が崩れ、両手を地面につく。胃の内容物がせり上がり、熱いものが食道にこみ上げたかと思うと喉から大量の吐瀉物をぶちまける。 滲む涙で視界がぼやけ、思考は靄がかかったように鈍重だった。上手く物を考えることができず、ただ目の前の不快感に身を委ねて言葉にならないうめき声だけを上げ続けた。むせ返る喉は大量の酸素を必要とし、自然と息が荒くなる。脳がある程度の余裕を取り戻した頃には、アイは全身にびっしりと脂汗を張り付けていた。 「……う、うぅ」 「だから言っただろ。魔力の欠乏は場合によっちゃ命に係わることだってあるんだ。そう簡単に……」 「うぅうううう……」 「……おい、一体どうした」 四つんばいになって顔を俯かせるアイの呻きは、いつしか苦痛によるそれから嗚咽にも似た響きへと変わっていた。 蓮はそんなアイに声をかけるべきか迷ったが、少しだけ悩んで声をかけることにした。肩を揺すり、大丈夫かと覗き込む。 「うぅ……セイバーさん、ごめんなさい……ごめんなさい……」 「なんで謝ってんだよ」 「だって、私、たったこれだけしかセイバーさんの代わりになってあげられなくて……」 アイは、口の端から血さえ滲ませながら、そんなことを言った。 蓮は一瞬虚を突かれたような表情になって、次いで呆れたような、あるいは何とも形容しがたい表情で。 「何馬鹿なこと言ってんだよ」 「うぅ~~~~~……」 「落ち着け。変な心配すんなって」 そのままアイが落ち着くまで、ずっと背をさすりながら傍にいた。 呻きながら、嗚咽しながら、生理的な反応で涙を滲ませながら。それでも本当の意味で泣くことがないまま、アイはされるがままに苦痛に耐えていた。 数分が経過して。 痛みや不快感が収まりつつあったアイは、蓮の隣に座り込み、小さく膝を抱えていた。 「落ち着いたか?」 「……はい」 「それで、なんでいきなりこんなことしようって思ったんだ」 アイが彼女自身以外の誰かを過剰に慮るというのは、何も珍しいことではない。 けれど、それを加味しても尚、今のはあまりに唐突でいきなりな出来事だった。 疑問を呈する蓮の顔を見て、溜息をつくかのように吐息を一つ。アイは次に頭を上げて空を見上げた。 「……私、実は結構たくさん、後悔してることがあるんですよ」 故郷の空とも荒野の空とも違う、都市の空。 それを見上げてアイは語る。 話題が変わったように思えたのは、きっと迂遠な話をするためなのだろう。蓮はそう解釈すると、口をはさむことなく先を促した。 「その一つに、ヒコさんっていう快楽殺人鬼たちのことがあるんです」 自分の父、キヅナ・アスティンを狙った殺人鬼のことを、アイは思い出していた。 「私は彼らを叩きのめして、お父様を助けました。そして彼らはスカーさん……他の墓守に埋葬されました」 今でもよく覚えている。 すぐに生き返るはずだったのに、ずっと白いままの父の肌。アルビノの肌より尚白い、死者の肌色のうすら寒さ。 その時の自分はそれらに絶望するのに夢中で、その横で悪漢どもを埋めるスカーを見逃した。 いや、そうでなくとも、きっとあの時の自分なら、それは当然だとスルーしただろう。 この街に来た当初、自分たちを襲ったランサーを斬り捨てた時のように。 当然であると、仕方ないのだと、見捨てたのだろう。 「でも、きっと、私はあの人たちを見捨てちゃ、いけなかったんですよね」 それは例えば、すばるを狙っていた顔も名前も知らないマスターも。 蓮が死想の渇望で消滅させたアサシンも。 同じことなのだ。彼らみんなを、アイは見捨ててはいけなかった。 すばるや自分の命と天秤にかけてとか、それ以前の問題として。 秤にかけなければならない事態にしてはいけなかったというのに。 「私が、本当にみんなを救うなら、どんな人も見捨てちゃ、いけないはずなんです」 アイは、ぎゅっと膝を抱えて、足の骨の硬い感触を頬で感じた。 「私が決めちゃ、いけなかったんです。私にできるのは、提案することだけだったんです。考える手助けや、手を貸すことしか、できなかったんです」 アイは視線を横に向ける。 そこには自分の助けを拒む、古ぼけた死体があった。 「だから、私はあなたの死を止められません。死にたいと言っている人を……助かりたくない人を助けることは、私にはできません」 そうか、と死者が答える。 「でも、その上でお願いします」 アイは膝をついて、だらりと下がった死者の手を取り。 「どうか、消えないでください」 「……」 「私は、あなたに、消えてほしくありません」 泣かない。それは卑怯だから。 アイはただ、死者の手を握って、自分の体温が相手を温めるのを感じた。 そうやって自分の気持ちが、少しでも伝わればいいのにと思った。 「……俺が消えると思ったのか」 「違いませんか?」 「まあ、まるっきり的外れってわけでもないけど」 魔力の欠乏、あるいは致命的な損傷によってサーヴァントはその身を消してしまう。 活力なくして生きられぬのは生者も死者も同じことで。 アイはただ、蓮に消えてほしくなかっただけだった。 「言われなくても、お前が帰るまで俺は消えないよ」 「その後もです」 「……そこで死に損なったら、俺はきっと地獄を見る」 「どこまでもお付き合いしますよ」 そうか。と死者は沈黙した。 表面上は何も変わらない。しかしその、生きているようにしか見えない瑞々しい肌の裏で、確かに死者は揺れていた。 そして、それでも。 「ごめん」 彼は、自分の夢を諦めなかった。 「……そうですか」 アイはそれ以外、何も言えなかった。 「さっきも言ったけど、お前を無事に帰すまで消えるつもりはないから、心配すんな」 「……はい」 「だからそれまで」 「ええ……それまでは」 アイは我知らず、ぎゅっと蓮の手を握りしめた。 強く強く握りしめて、この感触がずっと残り続ければいいのにと思った。 『B-2/源氏山公園/一日目・夜』 【すばる@放課後のプレアデス】 [令呪] 三画 [状態] 深い悲しみ [装備] ドライブシャフト [道具] 折り紙の星 [所持金] 子どものお小遣い程度。 [思考・状況] 基本行動方針: 聖杯戦争から脱出し、みんなと“彼”のところへ帰る……そのつもりだった。 1:生きることを諦めない。 [備考] C-2/廃校の校庭で起こった戦闘をほとんど確認できていません。 D-2/廃植物園の存在を確認しました。 ドライブシャフトによる変身衣装が黒に変化しました。 ロストマン(結城友奈)と再契約しました。 【ロストマン(結城友奈)@結城友奈は勇者である】 [状態]魔力消費(超々極大・枯渇寸前)、疲労(極大)、精神疲労(超々極大)、精神崩壊寸前、呆然自失、神性消失、霊基変動。 [装備] [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:……。 1:……。 [備考] 神性消失に伴いサーヴァントとしての戦闘力の一切を失い、また霊基が変動しました。 クラススキル、固有スキル、宝具を消失した代わりに「無力の殻:A」のスキルを取得しました。現在サーヴァントとしての気配を発していません。現在のステータスは以下の通りです。 筋力:E(常人並み) 耐久:E(常人並み) 敏捷:E(常人並み) 魔力:- 幸運:- 宝具:- すばると再契約しました。 【アイ・アスティン@神さまのいない日曜日】 [令呪] 三画 [状態] 疲労(中)、吐き気、魔力消費(大) [装備] 銀製ショベル [道具] 現代服(収納済み) [所持金] 寂しい(他主従から奪った分はほとんど使用済み) [思考・状況] 基本行動方針:脱出の方法を探りつつ、できれば他の人たちも助けたい。 1:"みんな"を助けたかった。多分、そういうことなんだと思う。 2:ゆきの捜索をしたいところだが…… 3:生き残り、絶対に夢を叶える。 例え誰を埋めようと。 4:ゆきを"救い"たい。彼女を欺瞞に包まれたかつての自分のようにはしない。 5:ゆき、すばる、キーアとは仲良くしたい。アーチャー(東郷美森)とは、仲良くなれたのだろうか……? [備考] キーア&セイバー(アーサー・ペンドラゴン)と邂逅しました。 【セイバー(藤井蓮)@Dies Irae】 [状態] 右半身を中心に諧謔による身体破壊(中・修復中)、疲労(大)、魔力消費(中) [装備] 戦雷の聖剣 [道具] なし [所持金] マスターに同じく [思考・状況] 基本行動方針:アイを"救う"。世界を救う化け物になど、させない。 1:聖杯を手にする以外で世界を脱する方法があるなら探りたい。 2:悪戯に殺す趣味はないが、襲ってくるなら容赦はしない。 3:ゆきの使役するアサシンを強く警戒。 4:市街地と海岸で起きた爆発にはなるべく近寄らない。 5:ヤクザ連中とその元締めのサーヴァントへの対処。ランサーは……? [備考] バーサーカー(アンガ・ファンダージ)、バーサーカー(式岸軋騎)を確認しました。 すばる&アーチャー(東郷美森)、キーア&セイバー(アーサー・ペンドラゴン)とコンタクトを取りました。 アサシン(ハサン・サッバーハ)と一時交戦しました。その正体についてはある程度の予測はついてますが確信には至っていません。 C-3とD-1で起きた破壊音を遠方より確認しました。 ライダー(ドンキホーテ・ドフラミンゴ)を無差別殺人を繰り返すヤクザと関係があると推測しています。 ライダー(ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン)及びアサシン(アカメ)と交戦しました。 ランサー(結城友奈)の変質を確認しました。 セイバー(アーサー・ペンドラゴン)と情報を共有しました。 【キーア@赫炎のインガノック-What a beautiful people-】 [令呪]三画 [状態]魔力消費(中)、決意 [装備]なし [道具]なし [所持金]子供のお小遣い程度 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争からの脱出。 1:もう迷わない。止まることもしない。 [備考] 【セイバー(アーサー・ペンドラゴン)@Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ】 [状態]魔力消費(大)、全身にダメージ、疲労(大) [装備]風王結界 [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:キーアを聖杯戦争より脱出させる。 1:キャスターの言を信じ成すべきことを成す。 2:赤髪のアーチャー(エレオノーレ)には最大限の警戒。 [備考] 衛宮士郎、アサシン(アカメ)を確認。その能力を大凡知りました。 キャスター(壇狩摩)から何かを聞きました。 傾城反魂香にはかかっていません。 セイバー(藤井蓮)と情報を共有しました。
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1071.html
6話メガネ、熱血男、そして 「銀さーんいますかー?…はぁ」 B-2のスーパーで人を探しているのは志村新八である 「まったく…いったい何なんだ…?」 「なあ、そこのあんた」 「!?」 「そんなおどろかないでくれ」 「そうだ名前を言い忘れてたな」 「俺の名前は青木林だ」 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 二人の支給品を確認したころ 「とりあえず二人とも探している人がいるんだね」 「よし、じゃあ探しに行くか」 といったところに バンッ! 「え…?」 反応したのは志村新八だ 彼は撃たれたのだ 「志村さん!」 彼が駆け寄ると バンッ! 「あ…」 「すまねぇ…友、百合、先生…」 そう言って息絶えた ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 「やってしまった…」 そう言っているのは骨川スネ夫だ 「でも仕方ない…ドラえもんを探してどうにかしなきゃいけない」 「こいつらにドラえもんが殺されるかもしれないのに…」 「早くドラえもんを探そう…」 【一日目/朝/B-2スーパー】 【骨川 スネ夫@ドラえもん】 [状態]健康 精神不安定? [装備]ワルサーPPK(5/6)予備弾18発 [所持品]基本支給品×3 不明支給品2~8 [思考・行動] 基本:ドラえもん達と帰るために邪魔な奴を倒す 1:友人たちとあう ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ああ、すいません銀さん どうにかして生き残ってください… こんな従業員ですいません… 【青木 林@オリキャラ 死亡】 【志村 新八@銀魂 死亡】 ≪オリキャラ紹介≫ 【名前】青木 林(あおき りん) 【年齢】14 【性別】男 【職業】中学生 【性格】熱血漢 【身体的特徴】黒い短い髪 【服装】制服 とある三人の友情結束 時系列順 バカと妖怪ととある少女 とある三人の友情結束 投下順 バカと妖怪ととある少女 ゲーム開始 骨川スネ夫 骨川スネ夫の間違い ゲーム開始 青木林 死亡 始動-start- 志村新八 死亡
https://w.atwiki.jp/saigonotubasa/pages/89.html
「戦車押してたら俺が死んでしまうやろうが!!」 (いいですね。誰もが思っていることをズバッと言ってのけるこの開き直りっぷり) 「体重80kg以上になった人間は死ね」 (世のピザ全てを敵に回すこの発言) 「○○○○○は人類の底辺、ゴミくず以下。FPSが少しできるだけ」 (有名プレイヤーに対してこの暴言である) 「○○○○○の攻めは時代遅れ。お前は化石かアホ」 (同じく別の有名プレイヤーに対してこの暴言である) 「デブじゃしょうがない諦めていい」 (喜ぶべきか悲しむべきか。非常に受け答えに困る発言) 「生かしとく理由がわからん、居たら邪魔になるからな。」 (唯我独尊) 「また俺の名を刻んでやっても構わんのだが?」 (かっこいいけど、よく考えるとやっぱり単に口が悪いだけである) すなけ「AVAランク 77-56 もう敵はいない」 祭「俺が・・・」 祭「俺たちが!」 祭「AVAランカーだ!!」 (お前らはやくランキング押す作業に戻れ) スカイフィッシュ「マクドのふにゃふにゃポテトが好き」 祭「もはや大阪語、日本語しゃべれボケが」 (だからマックの小さいッはどこからきてんだよ。マクドこそ世界標準語) SONAR「まつりさんなんでぬけたの」 祭「試しにボタン押してみた」 (試しに押したままにするあたりがやばい) スカイフィッシュ「マクドのふにゃふにゃポテトが好き」 祭「もはや大阪語、日本語しゃべれボケが」 (少し食べ物の話をしただけでこの暴言である) maturi「くそじゅいは嘘、適当ばっかり言う、さらに何言ってるかわからん で信用ならん」 (もうそれ人間として扱ってないよね) maturi「今まさにmaturiの季節」 (ちょっと意味わかんないですね) maturi「名言追加していいよ」 (はい) のまね「AWMきたら本気出す」 祭「何をするにしても言い訳ばっかりで・・・はじまらねーよそんなことじゃ・・・」 (たまに良いこと言うよね。お前が言うなとも思うけど。)
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/2427.html
乗り換えた糖武日洸線が思いの外空いていて座席に座る事ができたため、こなたはようやく人心地つくことができた。 秋葉腹の聖夜は他とは決定的に違った趣があるとはいえ、街を包むこの日独特の空気に変わりはなかった。 ジングルベル ジングルベル メリークリスマス メリークリスマス 今日の佳き日を祝う呪文に満ちた街は、ややもすると息苦しい。キリスト教的ではないと喝破した(出来たかどうかは別問題として)クリスマスだが、まるで別の宗教の祈りの言葉のようである。これを「日本教」と呼んだ人もいたが、それもなんだかいまいちピンとこない。 ジングルベル ジングルベル メリークリスマス メリークリスマス…… ……日本を席捲したこの呪文も、さすがに電車の中にまでは進出しておらず、クリスマスを感じさせるものは吊広告と時折車窓から見えるデコレートされた民家くらいなものであり、そこに雪はない。 年に三回も雪が降れば、「今年はやけに降るな」と訝る土地柄である。関東平野も北寄りとなれば、1月から2月に南岸沿いに雪を降らせる台湾気団の影響も限定的で、三国峠が健在なおかげでシベリアの元粉雪(日本海を渡る際にぼた雪になる)もあまり降らない。 だから思うのだ。ホワイトクリスマスとは、自分の隣が空白という意味ではなかろうか、と。 そのホワイトクリスマスな男たちを前にしての歌のステージ。赤服で訥々と、雪を思わせる声でクリスマス・ソングを奏でる長門店員のバックで、温厚なつかささえ辟易とさせたテンションが炸裂した。それでも乱れることなく歌い終えた長門店員と共に一礼した時、客の誰かの呟きが耳に入ってきた。 聖夜のイカれたお姫様……。 ……この疲労感は虚脱感にも恍惚感にも似て、神と向き合うにはちょうど良いと思う。 帰ったらそうじろうに渡すつもりのプレゼントを押し退け、鞄から辞書のような装丁の本を取り出し、膝の上で開く。表紙、扉、目次を飛ばし、幕を開けた始まりの物語に身を投じる。原作を読んで、神と向き合う。 ……奇跡は聖夜の起きるのだろうか? ……それとも、聖夜が奇跡を起こすのだろうか? 不意に、こなたの横の空白が埋まった。 座席の隣の場所に他の乗客が座っただけなのであるが、その人の様子がおかしい。他にも空きはあるのにわざわざこなたの横に座り、その青年は何やらしきりに、隣に座った小さな女の子を気にしているようだった。 ……あるいはそれとも? 「ア、アノ……」 半分期待し、半分警戒しながらページをめくろうとした時、果たせるかな。隣の青年が、たどたどしくも声にかけてきたのだ。 「はい……?」 その青年は髪こそ黒いが、日本人よりも深い彫りというか、奥行きがあるというか、あるいは鼻が長いともいうべき顔……がそこにあった。 「ソレ……」 青年はこなたが膝に広げていた本を指差し、もどかしげに問う。 「Bible……デスカ?」 気になったのは聖書の方だったようである。 ベタな展開である。こなたの頭に、ゴライアストリバネアゲハ(世界最大の蝶)でも止まっていれば、さぞかし前代未聞だったろうに……。 こなたは答える。 「原作です」 「ゲン……サク?」 青年はなおも聞きたそうにしていたが、やがて下車駅についてしまったようで、名残惜しげに降りていった。入れ替わりに、妙に既視感のある浅黒い肌の三人組が乗り込んできた。確証はないが、一日五回メッカの方向に祈りを捧げていたら、さぞ絵になりそうな感じの三人組である。 既視感の正体はすぐに判明した。この三人組、「ひ●っこりひょ●たん島」のオッサン、タクサン、ケッサンにそっくりだったのだ。たしか金を貯めて世界旅行を夢見ていた三人組である。……その最中なのだろうか? 「ぷぷ……」 吹き出しそうになる顔を聖書で隠す。 こなたは大して長くもない乗車時間中に聖書世界に戻る事ができたのだが、三人組もどうやらこなたを気にしているようだった。 聖夜。 こなたは神の言葉と共に在った。 ……のだが。 つづく コメントフォーム 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/emp3037/pages/88.html
J-076 そして時代は流れる J-076 C [[イベント]] [[戦闘潮流]] ○ 自分リネージのカードを好きな順番に並べ替える。 出典:JC6巻 39(38-39) 一見有用だが、そもそもこれを使うぐらいなら、最初から理想のリネージの並びを作れる様にデッキを組むべきである。 それでも、序盤の引きが悪く、理想とは離れた並びを余儀なくされる場合もあるので、保険として持っておくのも悪くは無い。 もし今後、相手リネージの並びを変更する様な能力が出てきたら、必須カードとなるだろう。 6弾以降登場した風所属のキャラは、総じてコストが重く、カードごとに特有の 並びを要求されたりもするので(特に各種ジョルノに顕著である)、登場を補助する選択肢として検討の余地がないではない。 ジョセフで毎ターン使い回せば、波紋戦士たちの無色コストの位置に「柱」を、柱の男たちの無色コストの位置に「波/友」を移動させることで、波紋戦士と柱の男が共存する2部単デッキを組めたりもする。 なお、登場タイトルが戦闘潮流になっているが、イラストはファントムブラッドである。 「ファントムブラッドから戦闘潮流へ」を表しているならあながち間違いでもないが。