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日が傾きつつある第七学区の喫茶店に上条と神裂は向かい合って座っていた。 「で、話っていうのは?」 「ええ、それを今からお話しようと思ったのですが……」 神裂は辺りの席や喫茶店の外を自席から見渡す。誰かに聞かれちゃマズい事なのか、 と上条は適当に考えたが、店員以外誰もかった事に逆にがっくりしているように見えた。 「誰か待ってんの?」 「……ええ、実は土御門も一緒に来るはずだったのですが「用があるから遅れるにゃー」とか、 ふざけた言葉を残してどっかに行ってしまったのですよ。そろそろ来てもおかしく無い時間なのですが……」 余談だが、さきほど上条が神裂の胸にダイブした件については「急いでいるので謝らなくて結構です」と、 許しているのか怒っているのか解らない返答を頂いた。 だが、逆に言うとそれほど重大な話という事で、十中八九それに上条も巻き込まれるという事を意味している。 (……不幸だ) 上条が久々にお決まりの言葉を吐いた時、カランコロンという音と共に、 金髪アロハシャツな噂のあいつが喫茶店に入ってきた。 「遅れてすまんにゃー、ねーちん。おっと、かみやんはすでに着席済か」 「遅いですよ土御門。あなたが居ないと話が始められないんです」 「おし。じゃぁ、三人揃った所で、お話をさせて貰うとするかにゃー」 「にゃーにゃー言うのはやめなさい。耳障りです」 上条はそれからしばらく話を聞いた。相変わらず訳の分からない専門用語が満載の 暗号トークだったが、上条は辛うじて、次の事を理解した。 一つは上条に同行を願いたい仕事があるということ。 一つはあまり危険な事は無い仕事だと思うのであまり心配しなくて良いということ。 一つはその仕事は『とある超能力者』に接触する目的があるということ。 一つは、これはあまり聞きたくなかった事だが、仕事はイギリスで行うということ。 一つは『最大司教(アークビショップ)』とよばれるイギリス清教のトップからの 直々の指令(つまりはイギリス清教側の仕事)だということ。 そして、最後の一つは、 その『とある超能力者』は『原石』の人間だということ。 「……以上だ。どうだかみやん、理解できたか?」 「まぁ、大体。それで、原石ってなんだっけ?宝石か?」 土御門が、うわこいつありえねーという顔をして、となりの完全魔術側の神裂にさえ 呆れた目で見られた上条は少し俯いて、「……分からないので、説明お願いします」と 小さな声でお願いした。 「『原石』っていうのは、学園都市の『外』で自然に生まれた能力者のことだ。つまりは かみやんみたいな『生まれつき』や、『外』で成長していくうちに勝手に『力』が発現した能力者の ことを『原石』と言うんだ。どうだかみやん、理解できたか?」 「……う~ん、つまりは、俺はその『原石』の能力者に会いにイギリスまで行かなきゃならんと。そういう訳か」 「つまりは、そういう訳だな。物分かりが良くて(?)助かったにゃー」 「一つ聞きたいんだが、なんで能力者に会いに行くのに魔術サイドが動くんだ? 普通は科学サイドがする仕事だろそれ」 「いえ、実はそうゆう訳にもいかないんですよ」 神裂の言葉に「?」が二,三個浮かんだ上条に対し、神裂はさらに言葉を続ける。 「その『能力者』はイギリスに居る、というのも理由の一つですが……」 神裂は一度息を止めてから、 「主点の『とある能力者』には、超能力と同時に魔術を使うことができる、という興味深い噂があるのですよ」 在り得ないことを口にした。 「超能力と魔術を同時に……?」 上条は突拍子のない話に目を丸くした。 超能力者に魔術は使えない。使ったとしても三沢塾の時の様に体中に傷を負って、 下手をすれば死んでしまうかもしれない。上条にとっても常識になりつつある事を 神裂は一文でぶっ壊した。 「ええ。どこから流れた噂かは分かりませんが、調べる必要があると清教のトップが判断しました。 まぁ、実質我々イギリス清教と学園都市の共同作業……ということでしょう」 調査する対象が『超能力者』という事で,どうやら学園都市も手伝うらしいが、 上条には一つだけ、決定的に引っ掛かることがある。 「……で、なんで俺がついていくの?」 「……それについては私も『最大司教』に問い合わせました。あなたを連れて行くよう 指令したのも彼女ですから。そしたら電話に出ない上にFAXで、 『女には人には言えない秘密が一つはありけるのよ。おほほほ』 ……という思わず抜刀したくなるような迷惑FAXを送ってきてそれから全く連絡が着きません。 ……えっと、それほど危険な仕事では無いと思うので付いてきてくれますか?」 そんな憤慨エピソードを聞かされた後に「ごめんなさい行きません」とか絶対言えない お人良し上条であったが、またしても問題が浮かんでくる。 「インデックスはどうするんだ?一緒に連れて行く…って訳にもいかないし」 「あぁ、彼女に関しては多分……多分ですが、大丈夫です」 「え、ちょ、こもえ!?」 「はいはーい、ちょっとお邪魔させてもらいますよー」 割と散らかっている部屋に月詠小萌がどしどし上がってきた。 「え、あの、まだ食べかすが……」 インデックスが自分で食い荒らした食料を頬を赤らめながら、光速で掃除していく。 「で、なんで、こもえがいきなりとうまの家に押し入ってきたの?とうまならまだ帰ってないけど」 「う~ん、よく分かんないですけど「かみやんは一週間ほど家に帰らないと思うから小萌せんせーが インデックスのとこにいってあげたほうが良いんじゃないですか?」とか、久々に真面目な顔した土御門ちゃんに言われましてねー。とりあえず来てみました。一応寮監の許可は取ってますから大丈夫です」 当然、完璧幼児体型の月詠小萌が寮の許可など取れるはずが無いため、無断で寮の部屋に入ってきた上条担任であったが。 「!? ということは、またとうまは私を置いて危険な事件に首突っ込んでいるんだね!? 今回という今回は絶対に絶対にして許さないんだから!!」 鋭い歯を丸出しにして野獣のように吠えるインデックスに対して月詠は落ち着いた表情で、 「帰らないといってもお友達の家で一週間缶詰勉強会らしいですよ?」 え、とインデックスの歯が若干丸みを帯びる。冬休みも近いし、まあ在り得ないことでは無いのだが、少女の顔はなんと言うか交際相手にフラれた時に見せるような絶望感溢れる脱力系の表情に変わっている。 どっちにしたって自分に言わずにどっかに行ってしまうことには変わりは無い。 「………いいもん。どうせとうまにとって私なんか…………」 アックア戦あたりに見せた極スネモードに突入した哀れな少女に、月詠小萌は持ってきた 紙袋から悦の表情で最終兵器を繰り出す。 「ちなみに今ここには、デパ地下特製もう食わずにはいられない最強無敵の百戦錬磨、 グルメリポーター独占のロールケーキがあるのですが……まぁその様子ですと、 『あなたは』残念ながら食べらないようですね。先生はとても残念です。はい。」 ニヤニヤしながらロールケイク(発音注意)にフォークをブッさそうとする月詠の手に、 空腹少女の手が添えられる。 「……それとこれとは別なんだよ」 次の瞬間には元の欲望丸出しのシスターさんに戻ったインデックスが凄まじい勢いで ロールケーキを口にもりもり頬張っていた。 月詠小萌は心の中で小さくガッツポーズをする。 作戦成功、と。 どっちにしたって、本当は上条がイギリスに行くことなど月詠は知らない訳だが。 「……なるほど。土御門は小萌先生を騙してインデックスの相手をさせているから 大丈夫……と、そう言いたい訳か」 「ま、そうゆうことだ。じゃあ早速、第二三学区に停めてある七〇〇〇キロオーバーの 内臓圧迫飛行機に乗ってイギリスへ……」 「行かねーよ。そんなんで納得できるか」 疲れた顔で席を外そうとする上条に土御門が追加説明を施す。 「まぁ、実際『接触』じゃなくて、『護衛』なんだけどにゃー」 上条の動きが若干鈍る。『護衛』ということはその『超能力者』はだれかに狙われている事を 意味するのではないか? なんというか、上条が黙ってスルーできない事を的確に突いている気がする。 土御門の声が少し低くなる。 「超能力と魔術が同時に使えるってのは相当美味しい話らしくてな。『外』にいる 『研究者気取り』の奴らが、その『能力者』を狙っているらしい。で、『安全のため』に 俺らが先に接触した方がいい……ってのが『上の報告』だ」 その『研究者気取り』を知っている者なら、 それを『スターゲート計画の残党』と呼ぶだろう。 当然、上条には理解できないが、要するに狙われているから助けましょうという事だけは解った。 正義感溢れる上条としてはなんとなく行く気になってきたが、自分が手伝されるのはやっぱり 納得がいかない。特に理由が分からない辺りが。 悩む上条にトドメの一言が突き刺さる。 「かみやんのいない状態での『仕事』は上層部から禁止されてるからにゃー。 もし、かみやんが行きたくないって言っちゃったら、ぶっちゃけ『その能力者』死んじゃうかもよ? 例の『研究者気取り』さんは結構乱暴だから」 やっぱり自分のせいで人が死ぬのは忍びないですよね、と神裂が棒読みで言ったのを 合図に上条の心は折れ、同行を許可してしまった。 不幸だー、という上条の声は一陣の風ともに消えて無くなった。
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「つっちーご愁傷様…。」 「白雪さんはどれくらいの力を持ってますの?」 「んー確かLV3あるかないかぐらいやったと思うけど?」 「うそおっしゃい!!あれほどの吹雪をどうやってLV3が使えますの!?」 ㊟実際レベル4くらいの吹雪が出ていた。吹雪を起こす能力者はそこまで多くないのでおそらくこの時の白雪は 凍結系能力者最高位 になっている。 「うちはそういうふうにしか聞いてないんや!!」 「っていた!!なんか雪がひょうになってますわよ!?」 「しかもどんどんおおきくなってる!!このままいくと氷の剣でも出せるんとちゃう!?」 「まさか…、ありえますわね、それ…。」 「このままいくとうちらも巻き添え食らうで!!」 「そんなバカな、今400メートルぐらい離れてますのよっと!?」 いきなりでかい氷が降ってきた…。 「シャレになりませんな…。」 「ですわね…。」 二人は顔を合わせて…、 「「逃げろおおおおおおおおおおお!!」」 月夜の吹雪から必死で逃げまとう土御門、青ピ、黒子の様子を安全圏から観察している結標と海原。 「全くはた迷惑なカップルね」 「元はといえば貴女が原因じゃないですか。ショタコンは都合の悪いことは全て忘れる人種なんですおぶっ!」 「うるさい黙れ。次はあんたの鼻へし折るわよ。……ってこっちにまで氷が! 海原、何とかしなさいよ!」 「分かってますよ!(本当に自分勝手な人種ですね、ショタコンは)」 月夜の能力の余波が自分達の方まで来たことで喧嘩していた二人はすぐさま協力体制を取る。 本当なら結標に皮肉の一つや二つ言いたかった海原だが、殴られたくないので黙ってトラティスカルパンテクウトリの槍で月夜の氷を分解する。 結標は海原に指摘されたようにこの件に関しては自分に非があることを認めると、めんどくさそうではあるが行動に出た。 「土御門みたいなやつでも私たち『グループ』のリーダーだから死なれるのは困るのよね。まあ上手くいくかは分からないけど」 「何か策でもあるんですか! あるなら早くして下さい! だんだん氷の量が増えてきて捌き切れなくなりそうなんですから!」 「はいはい、分かったわよ」 結標はそう言うと、『座標移動』で土御門を月夜の前に、しかも正確に二人の唇が重なるように転移させた。 土御門にキスされたことで月夜の怒りもようやく収まり、それと同時に吹雪もキレイサッパリ収まるのだった。 遠目から見ても分かるくらい真っ赤にしている土御門と月夜の二人を見ながら海原が結標に尋ねる。 「よくあんな手で止まるなんて思いましたね。あれで更に彼女が暴走するとは思わなかったんですか?」 「思ったわよ。でもあの二人もバカップルなんだから止まる可能性のが高いとは思ってたけど」 「はぁ、そうゆうものですか……はっ、忘れるところでした! 御坂さんと上条当麻の二人の監視を続けなければ! あわよくば上条当麻抹殺の方向で!」 またしても暴走しそうな海原を呆れ顔で見ながら、結標はある人物にメールを送った後で海原に死刑宣告をする。 「ねえ海原。もしも今日のあんたの行動、嘘偽りなくある女にメールで報告したらどうなると思う?」 「ちょ、ちょっと待ってください! もしかしなくても送ってますよね! しかも送った相手は……」 「私だ。全くしょうがないなエツァリお兄ちゃん」 海原の後ろには殺気全開で仁王立ちしているショチトルの姿があった。 同時刻、映画館付近。 「また土御門のやつ、白雪さん怒らせたな。」「…結標が言ってたとけど怒るとすごいのねあの人。」 「私でも超面倒です。寒さは超防げませんから。」「…その格好じゃあな。」 「浜面、超殺してもいいですか超良いですね浜面超殺す!!」「きぬはた、ここで人殺しはまずい。」 「くぅー!!ありがとうよ滝壺!!」感謝する浜面。 だが、 「こんなやつでも殺したら絹旗の経歴に傷がつく。」「うぉい!!暗部組織にいる時点で経歴真っ暗だろ!!」 「さわがしィ野郎だなァ。おッ、収まったぞォ。土御門のかき氷でもできたかァ?」 しかし直後。 吹雪が収まったすぐ近くのビルの屋上で爆発が起こった。 原因はショチトル。 どういう状況かというと……、 「いつまでも女のことでいじいじしてるんじゃない…。」 「ショ…ショチトル…?」 ショチトルは魔術バリバリ使える位までに回復していた。 「ってなんで僕のトラウィスカルパンテクウトリの槍をショチトルが持ってるんですか!?」 簡単なことだ。結標が協力しただけである。 「さて、貴様のその根性たたきなおしてくれるわ!!」 「ええ!!これが最近流行の…不幸だあああああああああああああ!!」 「今の爆発何?」「さあ、なんか怒りがこもっている一撃のような気がする…。」 「(今の…海原かァ?なんかが違う気がすンだけどよォ…。)」「ねえねえ、映画見ないなら遊園地再開しよってミサカはミサカは誘ってみる。」 「分かった分かったァ。」「それじゃあしゅっぱーつ!!ってミサカはミサカは張り切ってみたり!!」 「じゃあ私達も♪」「だな♪」 「私達超どうします?」「はまづら、あのどちらかのカップルを付けてみたい。」「確かに気になるよな~」ニヤリ 浜面たちはとりあえず上琴をつけることにした。 「じゃあ私たちはどうしよっか? やっぱり御坂さん達を追いかける?」 「そうですねー、私としては二手に分かれ……あっ、ちょっと待ってて下さい」 初春と佐天も行動を起こそうとしたその時、初春の携帯が鳴ったことで中断してしまった。 メールの相手は美鈴で、いつの間に自分のアドレスを知ったのかという疑問が湧いたが、今はメールの内容を確認することが先決なので後回しにした。 初春はメールの内容を確認すると、申し訳なさそうに佐天に告げる。 「すみません佐天さん。私、御坂さんのお母さんに呼び出されて明日のパーティーの打ち合わせに行かないといけなくなりました」 「まあそのパーティーの元々の切っ掛けが初春だから仕方ないんじゃない? こっちは大丈夫だからあんたは明日のパーティーの為に頑張りなさい!」 佐天に送り出されて初春が美鈴の所へ向かうと思われたが、初春は何も言わずに取り出したボイスレコーダーを佐天に渡す。 「……初春、これは?」 「ボイスレコーダーですよ、ボイスレコーダー。これで御坂さん達の馴れ初めとか日常をさり気なく盗ちょ……愛のメモリーとして刻んで下さい」 「いやいやいや! 愛のメモリーの前に盗聴って言おうとしてたよね! ダメだって! ジャッジメントがあだだだだだっ!!!」 普段は悪事とか一切しない(当たり前だけど)初春に盗聴を要求されたので慌てて断ろうとする佐天。 しかしそんなことは許さないとばかりに初春は佐天の肩に手を置いて、握り潰す勢いで締め上げた。 「やだなー佐天さん、盗聴じゃないですよー。愛のメモリーを形として残したいだけですよ? 断ったらスカートめくりする度に顔面に膝入れますから♪」 「そ、そうだよねー。愛のメモリーを残すだけだから盗聴じゃないよねー。ま、任せといて(不幸だーーーーーっ!)」 「良かった。やっぱり持つべきものは頼れる親友ですね。じゃあ私はこれで。あ、後ろの方達は佐天さん達のフォローをお願いします」 初めて見せる初春の一面に、佐天はなす術も無く初春のお願いを聞くことにした。 なお、初春の恋愛方面の幸せ成就における脅威の行動力が学園中に知れ渡るのはまだ先の話である。 去り際にアイテム一行にも協力を要請したが、異を唱えたのは絹旗だった。 「なんで私達がジャッジメントの、しかも超面倒臭そうなことに協力しなくちゃいけないんですか? そんなの超お断りです」 「きぬはた、わたしはやってもいいよ。あの二人、なんだか参考になりそう」 「滝壺が賛成なら俺も賛成だ。絹旗、一人だけ駄々こねるなんてお前は本当にガキだブボッ!!!」 「しょうがないですね、滝壺さんが賛成なら私も超賛成です」 滝壺がやりたいということで絹旗も初春のお願いを聞き入れることにした、何故か浜面をブン殴って。 初春は協力者達に頭を下げた後で今度こそ、美鈴と詩菜の所へと走っていった。 取り残された4名はどうやって上琴から話を聞きだすかを相談し始めた。 「俺らあんまり親しいわけじゃないしなあ…」「はまづら、諦めるの速い。」 「だから超浜面なんです。えーっと超佐天さんでしたよね。レールガンとは超お知り合いなんですか?」 「ええ、まあ…レベル0ですけど。」 「それなら心配いらねえよ。上条だってレベル0だ。」 「えええっ!?御坂さんの彼氏ってレベル0なんですか!?」 「聞いたときは私たちも超驚きましたけどね。んじゃ超とりあえず聞き出すのは佐天さんに超任せて、私らは援護に超回りまわりましょう。」 「援護って何すんだ?」 すると絹旗は学園都市最強を指さす。 「あいつが超妨害しないように超見張るんです。」 「ほっといても大丈夫だろ?まあいいか。んじゃその方向で」 「わっかりましたー♪えーっとこのボタンで録音開始ね…フムフム……」 そのころ4人の5メートルほど先を行く上琴&一打はというと……
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とある2人の春休み 2 春休み3日目。 上条はここ2日間役目を果たさなかった目覚ましの健闘ぶりに目を覚まし、体を起こす。 と言っても左半身の機能が骨折により動かないので、右足からベットの下に下ろし、そこから右腕を使って起き上がる。 昨日は美琴が起きる前に既にいて起きるのを手伝ってくれたので、骨折翌日同様につらい目覚めとまった。「…はぁ、美琴様様じゃねぇかよ」 上条はトイレを済ませ、冷蔵庫を開く。そこには綺麗にラップしてある昨日の夕食の残りがあった。 確か美琴が朝の為にって残ってるのをラップしていたような。 ガス台を見ると鍋があり、その中には白菜の味噌汁が入っていた。 これも美琴が昨日のうちに用意してくれたものだろう。 上条はこんな美琴が天使に思えた。もう色々感謝感激で言葉にならなかった。『こいつは彼氏じゃなくて、私の旦那様なの♪』 昨日美琴が言っていた言葉を思い出す。昨夜も色々と美琴に迷惑をかけてしまったが、美琴は小言一つ言わず『旦那の世話をするのは妻として当たり前なの。だから気にしないで』 とか言ってたのも思い出す。 上条は深く溜息をした。美琴の抑えの効かない行動になどではなく、自分に向けて。「俺あいつになにもしてやれてねぇじゃん…。この辺で何かお礼しないとな、でも何したらいいのか分からない…」 上条はうーんと唸りながら味噌汁やおかずを温め、朝食を取った。 そしてその時上条は閃いた。今日も夕方には美琴がここに来る。ならば今日だけでも美琴の好きなようにさせてあげようと。 もちろんベット+ティシュ+シャワー的な事は出来ないが(理性があるうちは)それ以外なら望む事をしてあげたい。 こんなにも自分を想ってくれているのだ。ならばこちらもそれ相応の事を返してあげなければいけない。 そんな事を考えて、上条は車椅子を組み立て部屋を後にした。 この時上条は気付いていなかったが、この2日間で上条にとって美琴はいなくてはならない存在になりつつあった。 怪我をしているから助けてほしいとか、そんな考えでは無く。女性として美琴を心から愛し始めたのだと。「すみませんね、土御門さん。上条さんの為に車椅子押していただいて」「うんにゃ気にするな、カミやん。困った時はお互い様なんだぜい」 学校の補習が終わると、上条はデルタフォースと共に帰り、青ピと別れると寮まで土御門が車椅子を押してくれていた。 小萌先生にやらた心配され、家事が大変ならインデックスを帰そうかと言われたが、上条は断固拒否した。 この状態で飯を強請られると色々ダメになりそうだ。 それに部屋には美琴がいるしと思って小萌の申し出を断った。「それにしてもカミやん。そんな状態でよく今まで生活できたにゃ。一人で大変だったろ? あのシスターがいないんじゃにゃー」「そ、そうか? べ、べべべ別に普通に生きて来れましたよ?」 上条は土御門の当たり前の言葉に動揺を隠せなかった。 もちろん美琴が毎日来てくれてるので全然生活には困らなかったが、それを知られたらもう数箇所骨折する可能性がある。 土御門はそんな上条の挙動不審に疑問を持ち、車椅子を押す手を止めた。「…? つち、みかど……?」「まさかとは思うがカミやん。いるのか? お前の部屋に?」「な、なななななんのことでせう」「とぼけるな! 舞夏がカミやんの世話してるのかと聞いてるんだぜぃ!」「―――――――――は、い? ………舞、夏…さん?」「なんだ違うのか。だったら何でもいいぜい。舞夏に手を出してなけりゃにゃー」「し、親友の土御門さんが愛する舞夏様に手を出すなど…お、おお恐れ多くてとてもとても!」「そうだぜカミやん。もし手を出そうものなら」「……ものなら?」「御使堕としで使った風水魔力を使いカミやんの部屋もろともカミやんを消すぜぃ。幻想殺しだけを残して」「…」「実は既に四方に配置されて…」「…」「俺の魔法名はFallere825。その意味は背中刺す刃で…」「わかった! もういいから! 冗談でも冗談に聞こえないから!」「はは。カミやんは面白いな。冗談なんかじゃないぜぃ」「……」「それにしてもカミやん。そんなんじゃ色々と不便だろ? 彼女の一人でも作ってそいつに色々やって貰った方がいいんじゃねぇのかにゃ?」「……ま、まぁ…そうだな。で、でも彼女なんか…いない、し」「カミやんが頼めば誰でもお世話してくれると思うぜよ。でもそんなカミやんみたら、ぶん殴ってクラス中に言いふらし、集団リンチかけるけどにゃ」「…」「そういうわけでカミやん。これから抜き打ちお部屋チェックぜよ」「は、はいぃぃぃぃぃ!? な、なななななんで!?」「もちろん女を部屋に連れ込んでないか検査するのにゃ」「ぶぅぅ!! そ、そんな事しなくても誰もいないですって! (…多分)」「じゃあいいじゃないかにゃ。今日は舞夏が遅くなるっていうから暇だったんだぜぃ。久しぶりに笑いのトークでもしようぜぃ」「そ、そう…ですネ」 そう言って上条は速攻で美琴にメールを送った。 自分の生活を守る為に。自分の命を永らえる為に。Time 10/03/25 16 22To 御坂美琴Sub―――――――――――――――――突然ですが、今どちらにいらっしゃいます? メールはすぐに帰ってきた。Time 10/03/25 16 24From 御坂美琴Sub Re ―――――――――――――――――今はまだ初春さん達と一緒よ。なーに?会いたくなっちゃったの?もうしょうがないなー。ちゃっちゃと買い物して帰るからもう少し我慢しててね♪ そんな美琴に上条もすぐ返す。Time 10/03/25 16 27To 御坂美琴Sub Re2 ―――――――――――――――――いやいやいや!そんな悪いですよ!久しぶりに友達と遊んでるんだから、もう少しゆっくりしてろって。俺も少し遅くなるからさ。 上条はそれだけ送ると「完璧だ…」と小声で言う。土御門には聞こえていない。 その後寮に着くまでに携帯がメールを受信したが上条は見なかった。 上条は部屋まで行くと土御門に支えられ部屋に入る。 上条は気付いていないが、皆さんなら既にお分かりだろう。 まず上条当麻が不幸だと言う事。 そして先程のメールの内容からして今美琴はどこにいるのかと言う事。 さらにはピンクのフリルエプロンの事。 その現実を目の前に上条当麻と土御門元春は言葉を失った。 そこには、上条当麻の部屋には、ピンクの可愛らしいエプロンだけを着ている御坂美琴が玄関に立っており上条を(正確には2人を、だが)迎えていた。「おかえり! ご飯にする? お風呂にする? そ、それとも…わ・た・し?」「……………」「……………」「あ」「……………カミジョウトウマクン?」「……………ナ、ナンデセウカ。ツチミカドモトハルクン」「キミハイッタヨネ? カノジョナンカヘヤニイナイ。フツウニイキテイケテルッテ」「イ、イイマシタ…ガ、コ、コココレニハフカイワケガゴザイマシテ」「ちょっと! そこの金髪! 人を勝手に彼女にすんな!」「―――へ? 何だ違うのかにゃ。そんな格好してるからてっきりカミやんの彼女かと思ったぜぃ。いやぁ、久しぶりにビビったにゃー」 上条も安堵の息を漏らす。…が、その後思い出した。昨日の事。昨日美琴が同じような事を聞かれた反応を。「ま、待て! み―――」「私は彼女じゃなくて、そいつの妻なの! だからこれから先は私がお世話するわ! ここまで旦那を連れてきてくれてありがとう」「―――こと」「つ…ま? カミやん? 嘘だろ? お前はフラグを立てるのが仕事で回収なんかしない奴だよな? そうだよな?」「…」「嘘なんかじゃないわよ! ほら。いいから渡して! これから愛を育むんだから!」「か、カミ…やん――――」「つ、土御門…」「土御門? あぁ。ひょっとして舞夏のお兄さん? はじめまして、御坂美琴です」「御坂…美琴だと? 常盤台の超電磁砲か。カミやん…おまえ……」「ま、待ってくれ土御門! お、俺を! 今俺を1人にしないでくれ!!」「はぁ!? なに言ってくれちゃってるのよアンタは! 2人きりじゃないと恥ずかしいじゃない!」「そ、そんな格好のおまえがそんな台詞吐くか!!」「もう……エプロンの下を見せるのは、アンタだけがいいって言ってるの。気付いてよ、バカ…」「ぶっはぁぁぁ!! みみみみみ美琴ぉぉぉぉっ、そ、そそそそそそんな事ををををををを」「…離せや、カミやん」「え?」「だ、大丈夫だぜぃ? こ、この事は絶対誰にも言わないからにゃぁ…」「う、嘘つけ! おまえがどもる時はロクな事を考えてねぇ! な? お、俺達は…デルタフォースは固い結束で結ばれているんだよな?」「……今日限りでデルタフォースは解散だぜぇ、カミや…上条くん」「な、なにを? 君が何を言ってるのか分からないよ…元春くん」「自分の胸に聞くんだにゃーーーーーっ!!」「ぶっはぁぁ!?」「ちょっ! あ、アンタねぇ! 人の旦那なんだと思ってるの! 怪我人なんだから優しく扱って!! 私を愛してくれないじゃない!」「……うぅ…うわあああああああああん!!! ま、舞夏ーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」「つ、土御門ッ! 待ってくれ!!」「うるせぇにゃーーっ! 精々残り少ない余生をいちゃつく事にゃーーーっ!!!」「ふ、不幸だ…」 上条はその後改めて美琴を見た。マジでエプロン以外何もつけてねぇ…と思ったが、短パンだけは穿いているらしい。 上条は安堵する。まだ彼女が恥じらいを持っていてくれた事に。 そして美琴に支えらながらベットに腰かける。 もうそれだけで美琴の柔らかさを感じ、口から心臓がこんちにはしそうになった。 美琴は上条の隣に座ろうとしたが、上条はそれを許さない。精一杯の理性を駆使し、美琴を目の前に正座させた。 美琴は頬を膨らませながらも上条の言う通りに目の前に正座した。 上条当麻の理性説教vs御坂美琴の愛の9裸エプロンの戦いの火蓋はこのようにして切って落とされたのだ。 ちなみに上条当麻の理性の壁は、現在94%崩壊している。「おい、御坂美琴」「なによ」「君は何故そんな格好をしてこの部屋にいるのかな? お友達と遊んでたはずだよね?」「アンタが帰ってきて欲しそうだったから…急いで帰ってきたんじゃない」「まぁ、そっちの話はいいんだよ? 問題はその格好」「これがどうかしたの?」「なんで裸エプロンという格好なんでせう? 仮にも嫁入り前ですよね? 土御門にもその格好を見られましたよ?」「だって舞夏が男を落とすならコレ! って言うから…それにエプロン大きいの買ったから前からじゃ全然見えないし」「舞夏…だと?」 そんな話をしていると隣の部屋から「ま、舞夏ぁぁぁぁぁぁ! そ、その格好は何だにゃあああああああ!!!」と聞こえてきた。 土御門にとってその出来事は、記憶を上書きする程の事であり、後日も土御門は上条に対して普通だった。「…」「あ、舞夏もお兄さんにやってるみたいね」「…あのですね。美琴さん」「ん?」「おまえはまだ中学生じゃないか。そんな格好しなくてもおまえはおまえのいい部分があるんだから、そんなに急ぐこ――」「………う、うぅ…」「え? お、おい…みこ――」「せ、せっかく…折角アンタが喜ぶと思って買ってきたのに…恥を忍んで着たっていうのにぃ…う、うぅ……」「あ、あぁ…あ、す、すまん美琴。お、おまえがそこまで考えてるとは思ってなくて…てっきりまたふざけてるんだと…」「ふざけてこんな格好するわけないでしょぉ…うぅ、こんな格好見てもアンタは文句ばっかりで何にも言ってくれないし…」「あ…」 上条は朝の事を思い出す。自分の決めた事を。 今日だけでも美琴の好きなようにさせてあげようと。 だって美琴はやり方はぶっ飛んでいるが、中身は可愛い恋する乙女なのだ。好きな人に喜んでもらいたいと思うのは当たり前だろう。 上条も朝それで悩んでいたのだから。「ご、ごめんな。俺…ちょっとキツくいい過ぎたよ。お、お詫びに今日は美琴の好きなようにしていいから」「………なんでも?」「まぁ…一線越えないくらいなら」「…知ってるよ。前夜まで取っておくんでしょ?」「ま、まぁ…そ、それ以外なら何でもいいからさ!」「じゃ、じゃあ私が何を言ってもその通りにしてくれる…?」「そ、そんな風に言われるとイエスと言いづらくなるんですが…」「…う、うぅ…やっぱりダメだよね…こんなぺったんこな体で迫られてもアンタは全然うれしくないもんね…」「い、いや…美琴さんの体は十分魅力だと思いますよ? た、ただ恥ずかしすぎて……」「うぅ…」「だああああ! もう分かったよ! 何でも聞いてやるから何でも言えや、もう!」「…本当に? 後でやっぱ無しとか言わない?」「男上条舐めんな! どんな事を要求されようと即座に実施してやっけんのぉぉおおおお!!!」「あ、そう? はー、やっとその台詞聞けたわ。つっかれたー泣きまねすんの。アンタ早く折れなさいよね、全く…」「―――――――なん、…だと?」「さてと。じゃあまずは何をして貰おうかしらねぇ…あ、もちろん今日は泊まるからね? これ絶対。拒否不可」「み、みこ…と?」 さっきまでの泣き顔はどこへやら。美琴はゲコ太の台詞の様にケロッと表情を変え、上条へ何をしてもらうか考える乙女の顔になった。 上条は本気で泣いてるんだと思ったから、無理な要求でも呑んで美琴を泣き止ませようとしたのだが、美琴はその上条を狙い打った。 ここは美琴の勝ちだろう。彼女は上条の事を詳しくしっていたし、上条は彼女の事を知らなすぎた。「じゃあまず抱っこ。抱っこして?」「えっと…美琴さん? 上条さんは見ての通り骨折してるんですが、その痛みに耐えて抱っこしろと?」「アンタはそのままベットに腰掛けてればいいわ。私が勝手に乗っかるから」「なんですと? って、うぉ――」「えへへー」 美琴は上条の上に跨ってきた。2人の顔は急接近し、唇が時々当たるくらい近かった。 そんな状態の上条は顔を真っ赤にし、少し背を仰け反った。しかし美琴はそれを許さない。 上条の首に腕を絡めて、顔をまた自分の目の前に持ってきてホールドする。 美琴は上半身はエプロンだけだったので肌を直接触る事になる上条の右手は、行き場を無くしバタバタしていた。「手は肩に」「は、はいぃぃぃ!? そ、それはさすがに…」「即実施」「そ、そうでしたネ」「…んっ」「へ、変な声出すなよ…」「だっ、だって…そんな優しく触るからぁ…」「……ぁ、は」 上条は、上条は、上条は、もうどうしたのか? どうしたものか? ちなみに言っておくと理性の壁はとっくの大昔に全壊され、本能と書かれた覆面部隊が脳内の操縦室に攻め込んできている。 壁をなくした理性部隊は迎撃するが、数が圧倒的で間違いなく占拠されるのは時間の問題だった。 上条はそんな自分から湧き出る欲望に耐えてるのか、上を向いてぷるぷると震えていた。 しかし――「…ん。…っちゅ、れろ…」「…!? お、おまえ…なにをっ……んっ」 美琴は上条の首筋にキスをすると優しく舐めた。 上条はその行為に大変驚き美琴に目を向ける。しかしそこには唇が待ち構えており、上条はそれを奪われた。 その瞬間、本能の覆面兵士が、冠を被った理性覆面の偉そうな奴をぶっ飛ばして、 「上条」と表札が掛けられていた脳のドアを蹴破り、上条当麻コントロールルームに入っていった。「…はぁ、えへ……ん?」「コォォォォォォォォォォォォ……」「ど、どう…したの?」「み、みことォォォ……」「な、なに…?」「責任は、取らせていただきます」「はぇ?――――」 上条当麻の理性の壁、3日目の夜に完全崩壊。 夕方に部屋に戻った上条だが、その日の夕食を取る事は無かった。 あ。いや、まぁその…夕食は取った。 春休み5日目。 上条当麻は目を覚ました。目覚まし時計の音で。 何故なら今日は補習がある。とても面倒臭いが春休みに2日だけの補習で済んだ上条だったので、今日行けばもう終わりだ。 上条は頑張って体を起こし朝食を取って部屋を後にした。 ちなみに朝美琴は部屋にいない。 今日は3日目の夜無断外泊したので、ルームメイトの白井黒子のご機嫌取りをしないといけないらしく、夕方にならないと来れないらしい。 学校では土御門、青ピと共に補習を受けたが、いつもと変わらない光景に上条は安堵した。 そんなこんなで上条は土御門に連れられ部屋に帰ってきた。まだ美琴は来ていないようだ。 上条は玄関まででいいと土御門を帰すと松葉杖を使ってベットまで行くとそのまま倒れ込んだ。 学校で補習があったからか、または普段の疲れが溜まっていたのか、上条はそのまま寝入ってしまった。 そして暫くすると玄関のドアが開く音が聞こえて上条は目を覚ます。 部屋に入ってきたのはスーパーの袋を持った御坂美琴だった。「たっだいまー」「……ん? おぉ、美琴…おかえり……」「あれ、寝てたの? そのまま寝ててよかったのに。寝顔拝見したかったし」「あー、うん。でも悪いし…米くらい洗うよ」「だめよ。立ってるのもつらいんだから。そのまま寝てて」「……お世話かけます。美琴さん」 上条のその言葉を聞くと、美琴は上条の前に歩み寄って来て、顔をまじまじと見た。 突然の事で上条は少し驚いたが、何か言う前に美琴が笑って上条の頬に手を置いた。「うん、もう大丈夫みたいね」「なにが…」「なにって…昨日アンタやばかったわよ? さすがにあの状態のアンタは手を焼いたわ」「う…そ、それはもう忘れてください……マジで黒歴史なので」「あはは。まぁそれだけ私と離れたく無かったって事だしね」「うぅ…」 昨日というのは4日目。つまりは上条当麻の理性が崩壊した翌日にあたる日なのだが。 4日目の朝、上条はいい匂いで目を覚ます。 隣を見ると誰もいないが、台所で美琴が料理をしているようだ。 可愛いエプロンをつけて鼻歌を奏でて。「ん…おはよう、美琴ぉ…今日は早いんだな」 上条の声に美琴はビクッとして上条を見る。 その顔は瞬く間に真っ赤になり、小さくおはようと言うと俯いてしまう。 上条はそんな美琴を見て首を傾げたが、特に気にする事もなくベットから出ようとした。 右足、右手を駆使し起き上がる…が、そこで何やら違和感を覚える。「…あれ? 俺何も着てない……?」 上条は裸だった。何やらおかしい。足にはギブスを包帯で巻かれているので、簡単には脱げないはずだ。 では何故裸か? 答えは簡単で、自分が気付かないうちに自分が脱いだのだろう。 この部屋には帰って来たら鍵を掛けたし、中には自分と美琴しかいないはずだ。 さすがに美琴が自分に気付かれずに全てを脱がすのは不可能だろう。 では何故脱いだか? 着替える途中で力尽きたとか? うーん… そんな事を考えていると、上条は部屋の異変に気付く。 やたらと丸めてあるティッシュが散乱している。上条や美琴だけでこんなに鼻をかんだのか? 上条はちゃんとゴミ箱に捨てろよと思っていると、ベランダに何かが干されているのでそれに目をやった。「短…パン? こんなの俺持ってない…し、誰の……短パン…短、パン?」 上条は床に置いてあったトランクスを穿くと、シャツも拾って着た。 そこに美琴がご飯を持ってきてくれて、上条はテーブルにつく。 美琴の格好は昨日と同じエプロン姿だが、他に着ているようには見えなかった。 上条はまだその格好してるのかよと溜息を吐いたが、美琴が台所に戻る後ろ姿を見ると昨日とは何かが違った。「………ない」 美琴は正に純正裸エプロン姿だった。ベランダのアレは美琴ののようだ。 上条はその後ろ姿に呆気に取られていると、昨日の事を思い出すように頭に手を置いた。 そして、全てをフラッシュバックさせる。 フラッシュバックと言っても記憶が無いので、昨日の最後の記憶なのだが。 その記憶とは、確か自分の手で…美琴の着ていたエプロンを、引き剥がし―――「だああああああああああああああああああああっ!!!!!」 上条は吼えた。もう大声で。近所の迷惑など考えずに。 その咆哮に美琴は驚愕し、上条の前に走って来た。「ちょ、ちょっと! ど、どうしたのよアンタ!? 何があったの!?」「み、美琴…」「ど、どうしたの…?」「み…美琴、正直に答えてくれ。嘘なんかいらない。回りくどい言い方もいらない」「う、うん…」 上条は美琴の両肩に手を置き、真剣に向き合った。左腕の痛みなど忘れて。 そして上条は深呼吸を一回大きくすると美琴に言い放った。「俺、美琴に手を出したのか?」 その言葉に美琴は頭から湯気を出すほど赤くなって俯いてしまったが、小さく「うん…」と言って頷いた。「そ、その…どこまで手を出した? 俺の記憶が正しければ、おまえのその可愛いエプロンを引ん剥いたところまでなんですが…」「……どこまでって…、その、さ……最後、まで…」「……………最後、だと」 上条は美琴の肩に置いてあった手を下ろした。 美琴は真っ赤になって俯きながらも、上条の方を上目使いでチラチラと見ながら更なる事を言い出した。「わ、私はちゃんと止めたんだよ? 前夜まで取っておくんじゃないの、って。で、でもアンタは『もう我慢できません』だとか」「…」「『美琴ちゃんは俺の事嫌いなの?』とか」「…」「『おまえの全てが欲しい』…と、とか言うから……」「…あは、」 上条はもう笑うしかなかった。そしてとりあえず美琴に服を着せると彼女の前で土下座した。 足なんか、骨折なんか痛くなかった。「本当に申し訳ありませんでした」「い、いいわよ。…そ、その…嬉しかったし……えへへ」「こうなった以上は、この上条当麻、一生を掛けて御坂美琴さんを守り抜いて行くと誓―――」「そんなんじゃ、嫌」「は、はい? い、嫌…とは?」「そ、その……し、しちゃったから一緒にいるとか、そんなのじゃ嫌」「そ、そんな軽い気持ちではないです! 上条さんは美琴さんをこれ以上ないくらいに!」「じゃあ…ちゃんとプロポーズしてよ」「わ、わかった…」 そして上条は今自分が考えられる精一杯の好意を持って、美琴にプロポーズした。 美琴は上条のプロポーズに満面の笑みを浮かべ、泣きながら誓いのキスをした。 その後美琴は上条に泣き止むまで胸を借りていたが、やがて笑いながら言った。「恋人の告白の前に結婚のプロポーズだなんて、アンタほんとにバカなんだから」 そんな事があって取った朝食。 美琴はいつものように上条の右手を取って自分で食べさせているが、今日は上条の方が違った。 今朝は上条から美琴の手を握り、食べさせてほしいを言い出したので。 美琴は上条の変わり様に少し戸惑ったが、嬉しい事だったので否定しなかった。 しかし、今日この後の上条を考えると、ここで少し間を取った方がよかったのかもしれない。 それは何故か。つまり上条は完全なる美琴の虜になり一生を誓ったために、離れたくない精神が特化されすぎたのだ。「み、美琴? ど、どこ行くんだ?」「どこって…醤油切れたから新しいの入れてくるだけよ」「ま、待って! お、俺も一緒に…」「はぁ!? あ、アンタね! すぐそこの台所だっつの! そんなんでいちいち動かなくていいわよ!」「そ、そんな…俺を…俺を置いて醤油の所に行くってのか! 俺より醤油が大切なのか!」「な、なななななに言ってるのよ!? あ、アンタ大丈夫? ホントにすぐ帰ってくるからここにいなさいよ」「ほ、ほんとすぐだぞ! 待ってるからな!」「はいはい、ったく…」 というやり取りを事あるごとに繰り返し、美琴の春休み4日目は相当に疲れた。 だから夜、今日は帰らなくちゃと言った途端に上条が泣いて引き止めた時には溜息まで吐いた。 でもさすがに2日連続無断外泊はまずいと言ったが上条は引き下がらない。 そんな上条に明日から来れなくなっちゃうかもと言ったら、上条は泣きやんで帰してくれたのだ。 そんな4日目の出来事を美琴は上条に話していた。「も、もうその辺りで勘弁してください。昨日は周りが見えてなかったというか、何というか…」「離したくないっていうのは嬉しいけど、正直アレは勘弁してほしいわね。もっと普通にお願い」「か、かしこまりました」「じゃあ責任取るって言ったんだから、ちゃんと言えるわよね? …はい」「…? カエルの携帯、これ…おまえのじゃないか。どうするんだよ、これ」「画面見てみて」「?」 そう言われて上条は美琴の携帯の待ち受けを見る。 …とそこには「Phone Call」と書かれており、その下に「父」と名前が出ていた。「ぶぅぅぅぅ!! み、美琴さんんんんん!!???? こ、これはいきなりハードル高すぎやしませんかね!? ま、まずは美鈴さん辺りが妥当と言うか!」「いつかは言うんだからいいじゃない♪ ちゃんと言ってよね♪」「は、初めて会話する上に娘さんを下さいなんて…と、とても上条さんのガラスの心では言え――」『―――ブッ、…もしもし? 美琴か? 珍しいな、何かあったのか?』「あ…」 上条当麻と御坂美琴の春休み。5日目終了。上条はこの日だけで一生分の大半を占める冷や汗をかいたそうだ。
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そんなドタバレンタインデーも終わった4月の始業式の日。 ホームルーム それは普通の高校ならどこにでもある朝の行事。 (まれに挨拶がすべて「ごきげんよう」だったりする事はあるが)。 「にしてもクラス一緒って変じゃね?」ただしこの一点が上条のところでは普通ではなかった 「ああ、それはだな。」 情報屋が仕入れてきた情報を開陳する。 「このクラスひとくせもふたくせもあり過ぎて他のクラスと混ぜたら他のクラスまで影響食らうってのと、 小萌先生くらいしか統制できないかららしい。」 「…反論の余地なしね。ん?ってことは担任はまた小萌先生なの?」吹寄が聞く。 「そうらしい」情報屋が言うと。 「「「「「「いやっほーい!!」」」」」」男子(特に青ピ)の歓声が。 しかし長くは続かない。 「でも副担はゴリラらしい。」 直後、絶叫が窓をふるわせた。 また ホームルームとは 特別な連絡や小さいイベントがなされる場。 むろん 上条たちのいる高校とて例外ではない。 そして 今日はそういうイベントがある日。 そういう日は 朝の教室はどっかの耳が早い奴が噂を聞きつけてざわめくところから始まる。 「それと転校生が来たらしいぞ。なんかスゲー奴らしい。」 ただし、上条のクラスでこの手の噂を持ってくる耳の早い奴は 「ホントか情報屋!?」 情報屋こと紫木 友であることが常なのだが。 さらに言うと情報屋はかならず吹寄の所へ行って報告をするのがいつの間にかデフォに成りつつある。この意味するところは……まだ、だれも知らない。 いや、想像すらできなかった……。そんな4月の朝であった。 ついでに言っておくと 「すごい奴ってどういう意味だ??」上条が至極もっともな疑問を述べれば 「今度こそ貧乳ウサギばんざいだにゃー!」土御門がばかなことを言って 「土御門…………頭冷やせやこの浮気者!!」カチン!と月夜に凍らされ 「何をバカなことっ!」「そげふっ」吹寄が何故か上条に渾身の回し蹴りを決め 「わてもそろそろロリっ子がこのクラスに来てもええ思うんや」「「「「「「「お前にはあのジャッジメントがいるだろうが!!!」」」」」」」青ピがクラスの男子にフルボッコされる。 と、いうのはもはやお約束に近い。 「はっ、くだらねェ。ロリだの何だの関係ねェだろォがよォ」「「「「「「貴様にだけは言われたくない!!!!!」」」」」」これまたほぼお約束。 「おまえら平和だなあ…」「お前もそう思うか浜面…」「はまづら、はまづらもだんだん平和ボケしてきてると思う」「半蔵様も。その体勢では不意打ちに抵抗できませんよ?」 「「そうかなー…って二人ともクラス違うよね!?」」 この二人は毎度呆れて見るポジションでありながら突っ込みもこなしている。意外とすごいお二人である。 そんなこんなしているうちにホームルームが始まる。 「はーい、ホームルームを始めるのですよー………って、なんで青ピちゃんは顔がはれてるんですかー?」「何もないでセンセ」 嘘つけっ! とクラス全員が心の中で突っ込むがさすがの小萌とて生徒の心の声まで聞きとることはできない。 「ならいいのですよー。では転校生のご紹介ですー。今度の子は男の子なのですよー。おめでとう子猫ちゃん残念でした野郎どもー。」 ああああーという男子の声が響く。 ついでに「男子ですごい奴って?」「一方通行より凄いのはいる訳ないよね?」「にゃー。別の意味でかもしれないぜい」「ん?土御門いつ氷から脱出した??」と言うささやきも聞こえる。実際土御門の予想は当たっていたのだが。 そして 「入ってくださいー。」 その瞬間、すべての生徒が『すごい奴』の意味を知った。 「「「「「「「「「「小学生!?」」」」」」」」」」「いえ、ちゃんと16ですが?」 このやり取りに慣れているらしく転校生は嫌そうな顔もせずニコニコと笑って答える。 「では、自己紹介よろしくなのですー。」 「はい、この度転校してまいりました月詠 翔太です。よろしくお願いいたします。」 どう聞いても小学生の転校のあいさつ という感じの声である。 小学生にしてははっきりと、よどみなく言うところがかろうじて16『かもしれない』くらいである。 クラスがざわめく。 「きゃーっ、かわいいー♪」「ホント小学生みたい♪」というのは女子生徒。 「月詠?」「小萌センセと同じやがな」「名字もだけど小学生に見えるってのも共通だよ」「うん、兄弟と言われても信じられる」「そういえば二人、似てるような……」冷静な生徒たち(男子の全員と吹寄、姫神以下数人だけの女子)はささやく。 これらのざわめきの幕引きはほかならぬ小萌によってなされる 「翔太君は私の甥っこなのですよー。」 するとざわめきは一瞬にして静まり、 「「「「「「「「「「なるほどー」」」」」」」」」」 普通担任の親せきであることが分かると大抵ざわめくが……。 上条たちのクラスは逆に納得してしまった。 「ん?ってことは小萌センセの親せきはみんな見ため小学生なんか?」青ピの目が輝く。 「んー?どうでしょう?」小萌が言う。 「つーか青ピ、てめえ『小萌先生の親戚の女の子は全員ロリっ子かも』って喜んでたろ?」 「ばれた?」 「「「「「「「「バレバレじゃボケぇええええ!!!!!」」」」」」」」」 ちなみにこのドタバタを翔太は若干、いや かなり引き気味に眺めていた(当然です。) しかし彼らは知らない。 この子供…ではなかった高校生には彼女がいて。 しかもそいつがに転校してくるとは。 土御門ですら知らなかった「同僚」の転校は悲劇を引き起こすのか喜劇を引き起こすのか、この時点ではまだ誰も知らない。 空気を代えようと浜面は思い、情報屋にある話題をふきかける。 「そう言えば情報屋、今年の一年はレベル高いって言ってたけど、明日来る一年はどうなの?」 「……名簿のコピーがあるが、その情報はかなり高額だぞ?」 「金を取るのか?」 「違う、それなりの情報をよこせってことだ」 情報屋のこの情報は法に触れるため、それなりの情報が無かったらただ損するだけだ。 浜面はうーんと考えると最近噂になっていることを思い出す。 「上条が引っ越した先は学舎の園前」 「すでに持っている」 「常盤台の大半は上条に惚れてる」 「解りきったこと」 「……一方通行は最近あの打ち止めと唇でキスしてた。俺がこの目で見た」 「持ってけ泥棒!!」 また後ろからギャーギャー言って一方通行を襲ってるが、一方通行は『反射』の代わりに、『スルー』と言う能力を使う。 これは反射の次に簡単な演算で、どんなものでも受け流す。これなら周りに被害が減るため、クラスメイトに教われたときはこれを使っているのだ。 だがこの光景を翔太は見馴れていないため、開いた口が塞がらない。 「翔太ちゃん、これがこのクラスの日常なのです」 「……いや、おばさん。あの白い人大丈夫なの!?集団リンチうけてるよ!?」 「一方通行ちゃんは学園都市最強なので大丈夫なのです」 「ええっ!?僕そんなの聞いてないよ!?」 「まあ、その内なれるのです」 慣れるのかな……?と、翔太は首を傾げたのだった。 すると、いきなり浜面が椅子から転げ落ち、 「な、なんじゃこりゃー!?」 叫んだ。 「どうした浜面!!」 「れ、レベルが、学歴が」 「何があった!?」 上条が名簿を見る、すると上条は目を丸くし、 「女子が全員常盤台だと……?」 そう呟いた。 「「「「「「「「「「「「何だとッ!?」」」」」」」」」」」」 男達の首がクルッと、上条の方に向き、ドタドタと上条の持ってる名簿を奪い取る。 「本当だ!!何故に常盤台のお嬢様がこんな高校に!?」「おいおい、男子もレベル4しかいないぞ!?」 「ぎゃー!!女子の中に常盤台のレベル5、心理掌握がいる!!」 「先輩としてのメンズが立たない!!」 「しかし、常盤台のお嬢様が後輩って悪い気しないな」 そんな騒いでるなか、情報屋はへらへらしながらその疑問らに答える。 「常盤台のお嬢様は上条、一方通行、浜面に惚れて来た。男子はこの三人を倒して学園都市最強の称号を手に入れる。と、俺は聞いている」 「「「「「「「「「「「「殺せェェェええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」」」」」」」」」」」」 男達が怒りのあまり、学園都市最強の三人組に襲いかかろうとしたが、 「いい加減に授業始めますよ!!」 それ以上に怒っている小さい先生に止められたのだった。 しかし教師の説明なくして納得できないおでこがここに。 「先生!これはいったいどういう事ですか!?」 吹寄が聞く。ついでに上条をにらみながら。 「先生もこの間見て気絶しかけたのですよー。」 「そうじゃなくて何でこんなことになったんです!?」 すると小萌は上条と一方通行のほうを見て言う。 「上条ちゃんと一方通行ちゃんのせいなのですよー。」 「……でしょうね。具体的には??」 「調べたところこういうわけなのですー『今度中3になるわが常盤台のエースにすごい彼氏がいるらしいんですの。』 『私も聞きましたわ、その方学園都市最強を2度も倒したそうですの』『私は5回と聞きましたの』『しかも今では学園都市最強と机を並べるご学友だそうですわ』 『何ですって!?昨日の敵は今日の友 ですか?』『それでそのお二人はどんな学校に通われてるんですの??』」 小萌は見事にお嬢様口調を真似てやって見せた。 「と、言うわけで常盤台のお嬢様が大挙してうちを受験して全員合格してしまったのですよー。」 むろんその分普通の学力レベルの人が普通の学校を受けたのに落ちた!と絶句しているのだが。 「ちょっと待てェ!5回もやられた覚えはねェぞ上条!」周りは あー、倒されたことは否定しないんだ…と思った。 「俺に怒んな!噂に尾ひれがついたんだろうよ。」 「確かに学園都市最強とそれを倒した人間。……ある意味うちの学校は最強なのでは?」 「吹寄ちゃん、確かにそうかもしれませんが学力の面ではまだまだなのですー。 と、言うわけで今年からは学力でも最高になれるように全校生徒の夏季補修を長くする予定なのですよー。」 ええええええええ!!!!!! クラスが震えた。 「上条当麻……貴様のせいでっ!」吹寄が怒る。 むろんクラスのみんな同じようなもんで…… 「「ふ、不幸だッ!!」」 学園都市最強とそれを倒した男がレベル0~2のクラスメイトに追いかけられるという 不可思議な状態がここに現出することに。 「ううっ、僕、こんなクラスでやっていけるのかな……」 「そんな心配する必要は無いぜよ。確かにこのクラスは変わり者が多いが根はいい奴が殆どだぜい」 「えっと、君は?」 「俺は土御門元春、このクラスの唯一の良心と呼ばれてる男ぜよ♪」 弱気になっている翔太に声をかけた土御門だが、自分の名前を出した途端に考え込んでしまったのを見て不思議に思う。 土御門は知らない、翔太と結標が恋人同士で時々ではあるが結標から土御門に対する愚痴を言っているのを。 「月詠くん、元春の言うことは話半分で聞いた方がいいよ。こいつ、私の恋人だけどさらっと嘘吐くから♪」 「月夜ー、そいつは酷い言い草ぜよ……。あ、こいつは白雪月夜、俺の恋人なんだにゃー♪ 可愛いやつだがやきもち焼きなのが玉にゲフッ!」 「気にしないでねー♪ 今のは元春の戯言だから。ごめんね、ちょっと席外すね。今から元春にお仕置きしなくちゃいけないから♪」 席を外すと言いながら月夜は翔太から見える位置で土御門を『氷のグローブ・スパイク付き』でボコボコにしていた。 既にカオスと化した教室でさすがの小萌も手が付けられない状態の中、騒ぎを簡単に治められる赤音が立ち上がる。 赤音は真夜、真昼、小萌、翔太、姫神、半蔵の静かにしていた面々に特注耳栓を付けるように促して、 「うるっさーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいっ!!!!!!」 【鼓膜破砕(ボイスシャット)】の大声で騒いでるクラスメートを大人しく、否、無理矢理黙らせた。 当麻は右手の使用が遅れ、一方通行は『反射』してなかったので他のクラスメート同様に赤音の大声に目を回していた。 ようやく静かになった教室で赤音は耳栓をしてる人達にオッケーサインを出して特注耳栓を外すように促す。 「毎度毎度感謝するですー♪ 赤音ちゃんの大声はクラスを大人しくさせるのに一番ですねー」 「いえいえ、それほどでも。初めまして月詠君、私は茜川赤音。この真夜君とは恋人同士なんだ、よろしくね♪」 「赤音さん、その紹介は恥ずかしいんだけど……。俺は井ノ原真夜、よろしく月詠」 「よ、よろしく……(良かった、この二人はまともそうだ)」 翔太は赤音と真夜にようやく常識人に出会えた喜びを感じていたが、次の真昼の自己紹介で大きく覆される。 「俺は井ノ原真昼、こう見えても立派な女だぜ。ちなみに真夜は双子の弟で世界一愛してる恋人だ」 「……えっ? だって井ノ原くんは茜川さんの恋人って……。こ、小萌おばさん、どうゆうこと?」 「えーっとですね、その三人は本人達も了承済みの恋人なんですよー。深く考えない方がいいですよ、付き合い自体は他のカップルよりも健全ですから」 初めて見たポリアモリーなカップルの混乱状態の翔太、そこに更なる混乱の種が舞い込む。 「真夜、いいのかよ、あんなこと言われて。さり気なく小萌先生、お前らのこと変わり者カップルって言ってんだぞ」 「まあ変だってのは自覚してるから気にしてないよ。でも半蔵だって人のこと言えないと思うぞ。恋人の郭さんに様付けで呼ばせてるだろ?」 「あ、あれはあいつが勝手にだな……!」 (恋人に様付けで呼ばせてるってことはアブノーマル? どこを見ても変人だらけだよ、このクラス……) この高校に転入して後悔し始めていた翔太、しかし姫神によって彼がクラスの騒ぎの中心になってしまう事態に。 「はじめまして翔太くん。私は姫神秋沙。小萌先生とは。居候させてもらった仲。というわけで私と付き合って。キャラが立つには。これしかないから」 「(ま、また変な人が、しかも告白されたよ! でも僕には淡希がいるから……)ごめんなさい! ぼ、僕、付き合ってる女性がいるから」 そして常盤台では…… 「お姉様……」 「どしたの黒子。なんかやつれてない?」 御坂美琴と、疲れきった白井黒子が話をしている。 「ま!お姉様!!まさか『あのこと』を知らないのですか!!? あ、そうですわね。お姉さまはいつも上条様のことを考えていて気づかれなかったのでしょうに」 「し、失礼よ!否定はしないけども!!」 そこは常盤台のエースのメンツとして否定してくださいの、という言葉を飲み込み。 「常盤台の3年生の大半が、進学先を○○様がいる□□高校なんですの」 青ピがいる高校、必然的に自分の当麻がいる高校であると理解し、 「ちょい待ち。ってことは何?□□にお嬢様が大集合?……原因はもちろん」 「それだけではありません。上条当麻、一方通行、浜面仕上に惚れてしまわれた生徒に、 その3人を倒そうと、数々のレベル4の男子が□□に。偏差値がいきなり30ほど上がったと寮監が騒いでおりました」 さすがにここまでくると、怒ると言うよりただ呆れるしかない。 「ああ……。○○様がよからぬ生徒に誘惑されないか黒子は心配で胸が爆発しそうです」 「あの変態趣向を好きになるのは珍しいんじゃない?あとさりげなく最近胸が大きくなったの自慢しないで」 もろもろのことがあったりなかったりで白井の胸は成長している。といっても元々育ち盛りの中学生、美琴のも同じぐらい成長している。――5センチほど 「大丈夫かしら。入学初日に入院なんてしたら私あの高校、廃墟にしたくなっちゃう」 「……リアルすぎる冗談は欲しいですわ」 少しだけ静かになった学舎の園。何人かの教師が□□に教師指導のため移動していたためだ。 学園都市に震撼を及ぼしているあの学校は大覇星祭で長点上機学園を抜いて1位になるのはそう遠くない話だろう。 そしてその高校の一室では、転校生の衝撃発言に絶叫していた。 「「「「「「「「「「「「な、何ですとォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」」」」」」」」」 世界共通、転校生に彼女、それは話題になるだろう。そしてそれはこのクラスにも当てはまる事だった。 「どんな!!どんな女!?」 「えっと……」 「胸は!!巨乳!?貧乳!?」 「巨乳です」 「「「「「巨乳キタァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」」」」」 「「「「「「貧乳じゃないのかちくしょォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」」 ここだけは男共の趣味が女子にバレるのだが、今の男共にそんなもの関係なのだ。 土御門は最後の希望にかけ、もう一つ質問をする。 「あ、相手の年はやっぱり十歳くらいかにゃー?」 「何でそうなるんですか!?」 「いや、見た目的にだにゃー……」 「ちゃんと年上です!!」 「「「「「「お姉さんキャラキタァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」」」」」」 「「「「「「妹キャラはいずこにィィィいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」」」」」」 どっちかと言うと年下キャラが好きな男達は崩れ落ち、再起不能に陥る。 そんな崩れ落ちてる男達に、優しい翔太は声をかけてみる。 「お、女の子は胸でもないし、年は関係ないんじゃないでしょうか?」 今、火種はまかれた。 「何を言っているぅ!!巨乳何て邪道だ!!あんなデカイモノなど捨ててしまえ!!」 「何を!?貧乳など、包容力が無いんだよ!!包容力が!!愛と夢なんて詰めることができないだろ!?」 「何を言っている!?貧乳こそ神に与えられた究極の美っ!!それを侮辱するやつは人間などではないっ!!」 「貧乳が神だと?ふざけるな!!あんな固いもののどこがいい!?母性の塊は男を包んでこそ本領発揮できるのだっ!!」 男達は自分の信念のため、『胸対立戦争』のまく上げだった(ただのとっくみあいと能力の使用)。 「……赤音ちゃん、もう一度お願いします」 「……さっきからやってますが無理です。あっちが大きすぎです」 「ううっ、赤音ちゃんでも無理ですか……。なら翔太ちゃん、お願いします」 「えっ!?おばさん!!僕には無理だよ!!範囲が絞れなくて皆に当たっちゃうよ!!」 「大丈夫なのです。翔太ちゃんのデータはちゃーんと把握してますから。おもいっきりやっちゃってください」 「おばさん、僕はどうなっても知らないからね……」 次の瞬間、男達が物理的に燃えた。 「「「「「「「「「「「「アチイィィィいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」 追記しておくが、燃えなかった男は上条、一方通行、上条を利用した土御門と浜面である。 そんな物理的に燃えている男子はほっといて、小萌先生は教壇で翔太の能力解説をする。 「えー、翔太ちゃんの能力はただの発火能力(パイロキネシス)とは違いまして、 空気中の元素をプラズマ化し、あらゆるものを焼き尽くす能力なのですよ」 「それめちゃくちゃ便利な能力じゃないですか!!」 上条がすかさず突っ込むが、翔太はあまりよくない顔をし、 「攻撃にはいい能力ですけど、対象が絞れなくて全部焼き付くしちゃうんです」 事実上、現在進行形で物理的に燃えてる男達の炎を消してる上条と一方通行、後白雪である。 転校の理由の一つは、小萌に能力の制御の仕方を教えてもらうためである。 「……コイツラ全員病院行きだな、まァあのカエル医者なら1日で直せるだろォけどな」 「ううっ……ごめんなさい」 「別に翔太が悪い訳じゃないだろ?こんなことで言い争ってるコイツラが悪いんだ。 コイツラは一度痛い目にあわなきゃ反省もしないだろ」 上条の言葉に翔太は少しだけ励まされるが、上条に対する女子の視線が何故かキツかった。 「カミやん、それはお前も同じぜよ」 「「「「「「「「「「「そーだそーだ!!」」」」」」」」」」」 「何で女子からも非難をうけてるんでせう!?不幸だー!!」 女子が言いたいのはフラグを立て続ける事に怒っているのだが、上条は一生気付くことは無いのであった。 燃えなかったのは男子は当麻達以外にも居た、最初から『胸対立戦争』に参加していなかった真夜もその一人。 貧乳の真昼、巨乳の赤音の二人を恋人にしてる彼にとっては対立すべき理由も無く、それ以前に真昼と赤音以外の女性観で論ずる思考など持ち合わせていない。 まあ、仮に燃えたとしても【瞬間超人(リーンフォースセレクション)】を使えば火傷程度はあっという間に治ってしまうのだが。 (ふぅん、月詠か。自主練すれば能力の制御も出来るようになるかもな。試しに今度誘ってみるか♪) 真夜は思った、目の前の少年も自分達の自主練に参加してもらって強くなって欲しいと。 その一方で自分を盾にした土御門と浜面を責める当麻の姿があった。 「てめぇらさっきはよくも人を火避け代わりに使いやがったな! たまには自分達で切り抜けろ!」 「無茶言うなカミやん。カミやんはこうゆう時にこそ存在して輝くもんぜよ♪」 「土御門の言う通りだ上条。俺らに災害から自力で助かる力は無い! だからこそ親友を頼るってのが筋ってもんだろ!」 (親友なら半蔵のことは少しくらいは気にかけるもんだろ……) それぞれの自論を掲げる土御門と浜面に呆れた当麻、特に火傷した半蔵に気付いていない浜面に対して。 焼いてしまった男子を申し訳なさそうに見ている翔太を見て、真昼はバレンタインに見かけたあるものを思い出していた。 「やっぱりアレって月詠だったのか……? だとすると相手の女は……」 「どうした井ノ原姉? ははぁ、さては貧乳どころか無乳のことを嘆いゲフッ!」 「黙れバカ面、じゃなかった浜面。ただバレンタインの時に月詠らしい奴がすっげー露出してる茶髪の女と抱き合ってたのを見たような気がしただけだ」 真昼の発言を受けて嫌な予感を立てたしまった土御門と一方通行。 ちなみに真昼はセクハラ発言をした浜面を半蔵仕込の実戦テクニックを利用した膝蹴りを彼の顔面に叩き込んでいたりする。 「なあアクセラ。もしかしなくても翔太の恋人って」 「言うな。アイツの名前を口にしたら隣のクラスに転入してきたってふざけた展開になりかねねェ……」 その頃、三年の教室では結標が自己紹介していた。 ……………………………………もちろんさらしで。 「霧ヶ丘女学院から来ました、結標淡希ですよろしくお願いします」 ただただ、欲情期まっさかりの男達はその胸の谷間が見えないかと踏ん張っている。 そして女子たちはその男子たちに冷たい視線。 男達は現在進行形で何かささやきあっていた。 「俺のクラスにとうとう巨乳がッ!!」 「しかもさらしだぞ!?今年は俺の時代が来たのか!?」 「二年の郭と吹寄もいいが、あれはあれでたまらないィィィいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」 「おい落ち着け!!転校生に聞こえるぞ?」 もう全部聞こえてるんだけど……、と突っ込みたいのは我慢していい案を思いつく。 「ちなみに私、彼氏いるから」
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「ははっ…これは流石に驚いたよ、 レベル5決定だな…」 「「「「「「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」」」」」」」」 全員文句無しッ!!今夜は宴が決定付けられた。 「…えー、本当ですか…?」 「にゃーに言ってんだにゃー!!レベル5だぜい?八人目だぜい?すっごいにゃー!!」 「そうだよ白雪さん!!私なんか自分がレベル5になった時と同じ気持ちだよ!?」 「そうですわよ!!お姉様と同等の能力を持っているんですよ!?」 「…実感無いよー…面白かったけど」 「にゃー月夜が放心状態だにゃー。」 「当麻に知らせよっと」 そう言って美琴は当麻に連絡した。 『美琴、いきなり何でせうか?』 「白雪さんのレベルが判明したから連絡したの」 『そうなのか。結果はどうだったんでせうか?』 「8人目のレベル5になったんだよ」 『まじですか! スゲー!』 「あ、あとこれみんなに教えといてね」 『分かった……と言いたいけど今はムリです』 「どうして?」 『美琴は分かっていると思うけど、今アクセラと一緒にクラスのみんなを制裁している所なんで』 「そうだったね。じゃあアクセラだけにも言っといて」 『分かった。じゃあな美琴』 そう言って美琴は電話を切った。 「さてと、ってあれ?」 美琴は電話が終わって周りを見ると土御門と黒子も電話していた。 少し経つと、土御門と黒子は電話をするのを止めた。 「みんな、誰に電話してたの?」 「オレは浜面に電話してたにゃー」 「わたくしは○○様に電話していましたの」 どうやら2人とも白雪がレベル5になったことを知らせていたのだ。 そのころ、電話を切った後の上条は… 「アクセラ、白雪がレベル5になったらしいぞ」 「まじかよォ!!あの雪女がかァ、で何位なンだァ?」 「そこまで分からない。多分4位から5位の間じゃねーか」 「その辺りだよなァ。だって瞬時に凍らせるンだろォ?下手するとオメーの彼女より強いかもしれねェぞォ!!」 「そうかもしれないな。そんなことよりアクセラ、こんなアホなことは止めて白雪の為に宴を開かないか?」 「賛成だなァ。じゃあクソガキ達にも連絡しておくかァ」 上条とアクセラは制裁を止め、白雪の宴をすることになった。 またアクセラは、打ち止め達に連絡するのだった。 プル 「もしもし?てミサカはミサカは電話に出てみる」 「はェーなオイ。ンで、元気にしてるかァ?」 「もちろんだよ。遊んでもらってたしってミサカはミサカは報告してみる」 「そーか。ところで、あの白雪っているだろォ?そいつが無事Level5に昇格したんだとよォ」 「おお!てミサカはミサカは素で驚いてみる」 「ンで、そのお祝いをやるそうなのだが・・・」 「いくいくー!てミサカはミサカは大声出してみる!」 「バカッ耳が痛ェだろォーがァ!」 「それじゃ、後で行くねーってミサカはミサカは電話を切ろうとしてみたり」 「場所とかは分かンのかァ?」 「忘れたの?あなたと私は電波(赤い糸)でつながってるんだよ?場所くらい分かるよ」 「それじゃァあとでなァ」 プチ 切り終わったと同時に土御門からメールが・・・ 『みなしゃん!マイハニー月夜の順位がだいたい決まったにゃー 先生方の予想では6位だって言ってるにゃー でも実際、垣根と麦野の分が繰り上がって 実質的な4位だそうだにゃー』 「だとよォ」 「考えてみればすげぇな 俺らの周りだけで・・・ level5・・・3人 level4・・・滝壺も含めて2人 level2~level3一万人を動かせるガキ・・・1人 幻想殺し・・・オレ level5を倒したlevel0・・・1人 大陰陽師・・・1人 守備範囲の広いただの男・・・1人 もいるんだぜ?」 「そうだなァ。このメンバーなら小せェ国ひとつ壊せるぞォ?」 「だな」 冗談半分の世間話?をしながら歩いていると前から・・・ 「ハァ、ハァ、こ、ここまで来れば……ゲッ、上条に一方通行!」 そこに現れたのは当麻と一方通行から逃げていた情報屋こと紫木友で実は彼、当麻をシメる会の最後の生き残りなのだ。 (ま、まずい! ここで下手な動きをしたら確実に死ぬ! どうする? どうやってこの危機的状況を……) 「な、なあ情報屋。別に俺達もう怒ってねえからさ、そんなに警戒しなくても大丈夫だぞ」 「(俺は別に怒ってもいねェンだけどなァ)オラ、もう行けよ。俺はともかく上条の気が変わらねェうちによォ」 当麻と一方通行の二人に見逃してもらえることになった情報屋は自分の幸運っぷりを神に感謝した。 しかし当麻達の後ろから歩いてくる二人を見るや否や、謝罪の言葉を並べまくりながら猛ダッシュで逃げて行ってしまう。 「……アクセラ、お前何かしたのか?」 「いや、何もしてねェぞ」 「当麻お兄ちゃーん、一方通行さーん。こんにちはー♪」 (*1) 情報屋が逃げた理由、それは前日に彼の心に恐怖を刻み付けた初春と神裂の姿を確認したからだ。 当麻と一方通行はその事情を当然知らないが、最近の初春を知っているので何となく納得してしまった。 「こうして会うのはクリスマス以来ですね。お久しぶりです二人とも。それにしても今日は災難でしたね」 「災難って……もしかして二人とも、俺のピンチを知ってたのか?」 「はい。滝壺さんから連絡をもらって力になって欲しいと。今頃は最愛さんも頑張ってると思います。こっちも火織お姉ちゃんがお仕置きしてくれました」 「安心して下さい上条当麻。七閃は使いましたが、加減はしておいたので斬ってはいません。飾利にもきつく言われましたから」 当麻は神裂の七閃の脅威を身を以って味わってるだけに、彼女の言葉にやや不安を感じているがそれ以上に二人のお互いの呼び名が気になっていた。 それは一方通行も同じなのだが、初春がすっかり苦手になった彼にはそれを指摘する勇気など無かった。 「ああ、そういやあ白雪のやつがさシステムスキャンの結果、8人目のレベル5になったんだ」 「本当ですか? それって凄いことじゃないですか!」 「土御門の恋人ですね。なるほど、それは心強いです。これで土御門も少しは大人しくなってくれるでしょう」 「それでさ、今日の夕方から白雪レベル5記念パーティーを開こうって思うんだけど二人もどうだ? 最愛や涙子、それに他の天草式メンバーも一緒に」 月夜のレベル5到達に初春は純粋に喜び、神裂は土御門の抑止力がさらに強くなったことを喜んだ。 当麻はこの二人もパーティーに誘ったのだが、返って来たのは意外な返答だった。 「ごめんなさい。今日、こっちも大事な約束があってその時間に行けそうにないんです。私と火織お姉ちゃん、それに天草式学園都市支部の皆さんは」 「約束があるんならしょうがないな。じゃあさ、そっちの用件が終わってからでも来てくれよ。白雪も喜ぶからさ」 「分かりました。こちらの用件はすぐに片付くでしょうから必ず伺います。魔術の存在を探り当てた者との会談ですが、話が分かる方のようですから揉め事も無く終わるでしょう」 「なァ、そいつってもしかして木山って女じゃねェだろうな?」 初春達の約束の相手を学校でのシステムスキャンで接触してきた時のことを思い返し、予想を立てた一方通行。 それにわずかに驚いて見せた初春の反応は一方通行の予想が正しいことを示していた。 「さすが一方通行さん、その通りです。木山先生、凄いんですよ。自分の力だけで魔術の存在を嗅ぎつけたんですから。今日は木山先生とこれからのことを話し合うんです」 「おいアクセラ。木山先生ってあの脱ぎ癖のある木山先生か? あの人ってそんなに凄いのか?」 「観察眼に関しちゃかなりのモンだ。雪女の能力の強さの振り幅の原因も土御門だって見抜いてたしな。俺達の事情にも何となくだが察しがついてたみてェだぞ」 当麻と一方通行、それに神裂は知らないが木山は過去に『幻想御手』を使って一万人を昏睡状態に陥らせ、アンチスキルと美琴相手に戦闘を仕掛けた過去の持ち主。 魔術のことも学園都市の暗部のことも手段を選ばないモットーのもと、木山が独自のルートで探り当てた賜物に他ならないのだ。 時計を見た初春は名残惜しそうに当麻と一方通行に別れの挨拶をする。 「ではお二人とも、私達はこれからジャッジメントのお仕事がありますからこれで。涙子さんと最愛さんが第一七七支部で待ってますから」 「いや、飾利は分かるんだが神裂もか?」 「私は飾利のお姉ちゃんとしてこの子の仕事ぶりを見学しようと思っているだけです。ついでにジャッジメントの仕事も体験するつもりですが」 (オイオイこの女がジャッジメントになっちまったらとンでもねェことになるぞ……) 一方通行の予想通り、神裂という最強のジャッジメントが誕生するのは先の話だが実はある男がアンチスキルの研修を受けることだけは決定済みだ。 最後に初春は月夜の為のパーティーについて気になったことを当麻ではなく、一方通行に尋ねる。 「そういえば一方通行さん、パーティーのことってアホ毛ちゃんにも教えましたか?」 「ああ、まあな。でもそれがどうかしたってのか?」 「じゃあ食事に関しての準備は万端にした方がいいですよ。だってアホ毛ちゃん、今日はインデックスさん、それにステイルさんと行動してますから」 初春に言われた一方通行は打ち止めの安全を考え、目の前の少女の提案を受け入れステイルとインデックスのいる教会に打ち止めを預けていたことを思い出す。 それを横で聞いていた当麻も顔を青くして、パーティーの食糧危機を予感せざるを得なかった。 「……滝壺さんとステイルさんがいるから大丈夫だと思いますよ? じゃあ私達はこれで。行きましょうか火織お姉ちゃん」 「ええ飾利。迷子にならないように手を繋ぎましょう♪」 別れ際に爆弾発言を投下した初春は神裂と手を繋ぐのを恥ずかしがりながらもギュッと手を握ると、本当の姉妹のような雰囲気を出したまま去って行った。 残された当麻はインデックスのことを考え、憂鬱になったがそれを一方通行がフォローした。 「大丈夫だろ、多分。初春のやつも言ってただろうが。あの暴食シスターを抑えられる滝壺と赤髪も来るンなら、大ピンチにはならねェだろ」 「た、確かにステイルはまだ日が浅いけど、滝壺のインデックスマイスターの力は信頼出来る……けど、対策は立てようぜ」 「ああ、そうだな……。念には念を入れねェとなァ。土御門辺りに連絡入れるとすっか」 実は滝壺、正月の上琴新居での一件以来、インデックスマイスターの名誉ある(?)称号を仲間達から与えられていた(本人は知らない)。 しかしインデックスの食に対する脅威を考え、当麻と一方通行は念の為に土御門に相談することにした。 話は少し遡り、一方通行との電話のやり取りを終えた打ち止めは一緒に行動していたインデックスとステイルにパーティーのことを伝えていた。 「へえ、土御門の彼女がレベル5になったのかい。」 「それってそんなにすごいことなの?」 「そこで疑問形になるあなたにミサカはミサカは驚愕してみたり!!だって学園都市に今のところ8人生存確実なのは6人しかいないんだよ!!ってミサカはミサカはあの人の事を思い出してみたり。」 「生存確実って…ネセサリウスなみに不穏な言葉が出たな。」 「そういえばみことは3番目だよね?」 「そうそう、ただし生存確実な人だけで行くと2番目だよってミサカはミサカは教えてみたり。」 「ところでパーティーと言っていたけどどこでするんだい?この子の食慾は半端じゃないよ。」 「ステイル忘れたの?この街には『喰わせ殺し』があるんだよ。」 「おおっ!!それは良いアイディアかもってミサカはミサカはあの人に電話してみたり!!!」 プルル 『なンだ打ち止め?』 「ふふふっあなたに勝ったってミサカはミサカは電話を取る早さを自負してみたり。」 『切るぞ。』 「ちょっと待って!!インデックスが来るからパーティーを『喰わせ殺し』でやったらどう?ってミサカはミサカはあわてて用件を伝えたりする!!!」 『おっ、それいいなあ。ンじゃ他のやつと相談するわ。決まったらまた電話する。』 「それじゃーねーってミサ」 ブチッ 「最後のあいさつも聞かずに切りやがったってミサカはミサカは膨れてみたり。」 打ち止めとの会話を一方的に終えた一方通行は、当麻に打ち止めの考えを伝える。 しかし当麻は浮かない顔である一つの可能性を示唆する。 「なあアクセラ、『喰わせ殺し』があったのは神奈川でしかも学園都市にオープンするって店長が宣言したのって正月だぞ。いくら何でも間に合わないだろ……」 「……そういやァそうだよな。たかだか一週間程度でオープンなんて出来るわけねェか」 当麻の考えに納得した一方通行は、かねてより考えていた土御門への相談をする為に電話をかける。 『おおアクセラ。実は禁書目録対策のすっげー耳寄りニュースをゲットしたぜよ♪』 「それってまさか『喰わせ殺し』が学園都市にオープンしたとかって話じゃねェよな?」 『ありゃりゃ、知ってたのか。その通りぜよ。しかも今日オープンで場所は第七学区のオレ達の寮からそんなに離れてないというオマケ付きですたい!』 「……普通なら第四学区に店を出すだろ、学園都市の常識からいってよォ」 土御門がゲットした情報は実は木山が昨日街をウロウロした時に、むやみに豪快な男(店長)から貰ったチラシを彼に見せたから。 これには土御門も驚くしかなかったが、インデックスの存在を危惧していただけにこの展開はまさに天の助けとも呼ぶべきものだった。 そのことはその場にいた美琴、黒子、月夜にも伝え、さらには他のパーティー参加者にもその旨を伝え終えていた所なのだ。 『てなわけでアクセラは打ち止め達に『喰わせ殺し』の場所を伝えてくれ。パーティー開始までは自由時間で夕方の5時になったら禁書目録たちの教会に集合も忘れずにな』 「ああ、了解だ」 そう言って、アクセラは電話を切ると当麻に土御門からの情報を伝える。 それを聞いた当麻は一旦寮に戻ることを一方通行に伝え、その場を後にした。 「今は……げっ、もう午後1時か。昼飯まだだったな、仕方ねェがクソガキ達と合流してメシにすっか」 一方通行は打ち止め達と合流し、昼ご飯を食べるついでにパーティーのことを伝えようと考え、打ち止めと落ち合う為に連絡を入れる。 その頃、美琴と黒子も時間が余ったので一度寮に戻ることにする(黒子はこの後でジャッジメントの仕事有り)。 しかし彼女達は知らない、天草式学園都市支部の対馬と浦上が出迎えようなどとは。 初春と神裂が一七七支部に行く途中に白井に会った。 「あら?初春と神裂さんじゃありませんの?」 「あっ、白井さん!!」 「こんにちは」 「そうそう、聞きましたか!?白雪さんがレベル5になったって話!!」 「ええ、知っていますわよ。なんせ、直接この目で見たんですのよ?」 「さ、さすが白井さん!!で、どんな事を白雪さんはしていたんですか!?」 「さすがレベル5と言ったところでしょうか?雪の竜巻なんて作っておりましたわ、しかも3つも!!あれはとても幻想てきでしたわ…」 「見たいです!!すごく見たいです!!」 「まあパーティーをやるようですし、その時に色々見せて貰えるんじゃありませんの?」 「わー!!それは感激です!!」 いつの間にか上下関係が元に戻っていた。 第一七七支部のジャッジメント、固法美偉は頭を悩ませていた。 理由は目の前でお喋りしてる佐天と絹旗にある。 「本来なら私はジャッジメントに超しょっぴかれる側なのにここにいることが不思議です。これも超飾利効果というやつでしょうか」 「そういえば最愛って学校にも行ってないんだよね? 普段は何してるの?」 「フッフッフッ、知ってますか涙子。女は秘密を持てば持つほど超いい女なんですよ。いくら義理とはいえ姉妹にもそれは超秘密です!」 佐天は「おー♪」とはしゃぎ、絹旗も得意気にしているが問題はそこではない。 彼女達二人は固法のムサシノ牛乳を遠慮を知らずにガンガン飲んでいるのだ。 「佐天さんとそこのあなた! 勝手に私の牛乳を飲まないで! 飲むとしてももうちょっと遠慮しなさい!」 「涙子、この人は超何者です? 眼鏡に委員長属性に巨乳、いかにも超あざといこの人は?」 「最愛、否定はしないけど本人の前で言うのはダメだよ。こちらが飾利や白井さんの先輩ジャッジメントの固法美偉さん。固法先輩、この子は親友兼義理の姉妹の絹旗最愛です」 「そうでしたか。飾利の先輩ということは私の超先輩でもありますね。はじめまして固法先輩、飾利と涙子の超親友にして義理の姉妹の絹旗最愛です。職業は超秘密です」 丁寧に挨拶された固法だが、二人の所々の遠慮ない発言に切れそうになりながらも何とか怒りを抑えて冷静に対処した。 「はじめまして絹旗さん。……ところで、あなたはもう少し礼儀を覚えた方がいいわよ。そんなんじゃ将来困るでしょ?」 「それは超心配無用です。私なら超大丈夫ですから、色々と。それよりもその超けしからん巨乳の秘密はこの牛乳ですか?」 「け、けしからんって……! す、好きで大きくなったんじゃないわよ! 佐天さんからもこの子にもう少し言葉を選ぶように注意しなさいよ!」 「まあまあ固法先輩。最愛は基本こんな感じですから。そんなに怒ってると身が持ちませんよ」 佐天がまったく当てにならないことに肩を落とした固法は、早く黒子と初春が来ることを心から祈った。 その祈りが通じたのか初春と黒子、そして神裂が第一七七支部に到着した。 「あら、佐天さんに絹旗さんじゃありませんの」 「こんにちは白井さん」 「久しぶりですね超変態ジャッジメントの白井さん」 「だ、誰に向かって言ってますの? このチンチクリンが……っ」 出会って早々、火花を散らせる黒子と絹旗に胃が開きそうな思いを抱く固法。 初春と佐天が止める気が無いので仕方ないとばかりに神裂が止めに入る。 「二人とも喧嘩は止めなさい。ここでは人の迷惑になりますし、何より飾利が怒ってしまいます」 「う、初春が……そ、それでは仕方ありませんわね。命拾いしましたね、怪力チンチクリン」 「神裂さんがそう言うなら超従うしかありません。飾利に迷惑は超かけたく無いですし」 「あの、喧嘩を止めてくれてありがとうございま……初春さんのお母さんですか?」 黒子と絹旗の喧嘩を止めてくれた神裂に固法はお礼を言うが、その後の不用意な発言に神裂がショックを受けて拗ねてしまう。 「ちょっと固法先輩! 神裂さんに何てこと言うんですか! 確かに教師してますけどれっきとした18歳なんですよ!」 「そうなんですの! わたくしもてっきり20代前半くらいとばかり……」 「まったく超ひどい人ですね。いくら老けて見えるっていっても飾利のお母さんというのは超あんまりです」 フォローに回る3人だが、その発言でさらに拗ねてしまう神裂を初春が宥めていた。 「飾利、みんなが私のことを、私のことを……」 「大丈夫ですよ火織お姉ちゃん。火織お姉ちゃんは立派な18歳ですし、ちゃんと可愛い所もありますから」 「分かってくれるのは飾利だけです!!」 「よーしよーし」 「(初春さんの方がお姉さんに見えるのは私だけかしら…?)」 「「(そんな事(超)ありません…)」」 二人は素直に同意した。 そしてその近くの食堂では… 「おーい、建宮!!今日は帰っていいぞ!!」 「分かりました!!お先に失礼しますのよね!!」 パパッと着替えて巡回。怪しい術式や魔術師のチェックの為だ。そして… (うわっ!!思いっきりいたのよね!!あれは黒曜石のナイフ…?神の右席候補ではなさそうだが一応天草式、他の魔術師に連絡!!あとは人払いなのよね!!) そしてこんな声が聞こえた。 「上条当麻…殺す…!!御坂さんは自分が守る…!!」 「(うわー思いっきりイッちまってるのよね。あっ対馬?怪しい魔術師を見つけたのよね!!天草式、また他の魔術師に連絡なのよね!!)」
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qx*装備アイテム 概要 アイテム名順一覧 入手方法別一覧Normal / Cup / Duel / Maze 能力値別一覧体力 / 霊力 / 霊集 / 攻撃 / 命中 / 回避 / 速度 概要 ガチャに装備させることで能力値をアップさせるアイテム。 1つのガチャに対して1つだけ装備できる。 装備アイテムの入手方法は以下の4通り。 ボーナスカードから入手 大会の優勝賞品 探索で発見 デュエルボードから入手 アイテム名順一覧 +展開 アイテム名 体力 霊力 霊集 攻撃 命中 回避 速度 備考 Pフィルム 250 5 6 魔法の森 PフィルムS 400 82 中有の道 T2アンテナ 280 Ex アイボリーコーン 20 125 S アサシンチップ 54 100 12 隙間, Luボード アミュレット 240 60 D アメノミハシラ 560 50 S アンプリファイア 5 10 E ヴァルキリーチップ 860 100 隙間, Luボード ウィザードチップ 32 10 Lu, Luボード エクスカリバー 75 75 75 Lu, Luボード エメラルドリング 30 5 C オーブ 9 E オリジンコア 300 12 12 Ph, Phボード オリハルコン 350 25 6 隙間, Phボード カタナ 60 D クイックキット 8 100 A クリスタルボール 10 C グングニル 500 80 65 隙間, Phボード シャイニングハート 38 15 Ph, Phボード シルバーナイフ 20 16 E センサー 100 24 F ナイトチップ 600 90 60 Lu, Luボード ニーベルング 800 130 Ph, Phボード バランスキット 45 45 45 大図書館 パワーキット 75 A パワーソース 10 45 B ヒヒイロカネ 140 20 土御門の結界 ブースター 40 2 E マガタマ 6 180 中有の道 マジカルスタッフ 15 10 S ミニ八卦炉 92 迷いの竹林 メガブースター 10 B メビウスの輪 15 15 60 隙間, Luボード ルビー 24 F レヴァンティン 10 105 隙間, Phボード アイテム名 体力 霊力 霊集 攻撃 命中 回避 速度 備考 天の瓊矛 20 50 Lu, Luボード 韋駄天駆 16 Ex 隕鉄 260 15 中有の道 延寿の水 300 15 B 御守 120 4 D 陰陽鬼神玉 20 42 42 土御門の結界 陰陽玉 66 66 S 神楽鈴 32 A 鴉天狗の印 120 120 隙間, Phボード 黒魔術儀式 140 40 土御門の結界 玄火八卦炉 150 土御門の結界 賢者の石 30 68 Ph, Phボード 高性能照準器 124 S 高性能センサー 60 10 大図書館 甲羅の盾 1000 25 Ex 試作型永久機関 30 隙間, Luボード 注連縄 440 6 C 十字架 10 20 D 修羅の酒 50 60 C 照準器 24 F 聖杯 1000 10 Lu, Luボード 千年桜 60 Lu, Luボード 竹葉の朝露 25 60 Ex 天上の仙桃 600 40 大図書館 七色クリスタル 10 5 A 涙のしずく 15 60 Ph, Phボード 破魔矢 25 12 S 封印された禁書 20 65 中有の道 古い時計 140 10 Ph, Phボード 魔王の小槌 10 80 Ex 魔女のほうき 6 42 B 真澄の鏡 150 Ex 幽霊人形 75 72 A 夜明球 95 迷いの竹林 上へ 入手方法別一覧 Normal -展開 ランク アイテム名 体力 霊力 霊集 攻撃 命中 回避 速度 F センサー 100 24 ルビー 24 照準器 24 E アンプリファイア 5 10 オーブ 9 シルバーナイフ 20 16 ブースター 40 2 D アミュレット 240 60 カタナ 60 御守 120 4 十字架 10 20 C エメラルドリング 30 5 クリスタルボール 10 注連縄 440 6 修羅の酒 50 60 B パワーソース 10 45 メガブースター 10 延寿の水 300 15 魔女のほうき 6 42 A クイックキット 8 100 パワーキット 75 神楽鈴 32 七色クリスタル 10 5 幽霊人形 75 72 S アイボリーコーン 20 125 アメノミハシラ 560 50 マジカルスタッフ 15 10 陰陽玉 66 66 高性能照準器 124 破魔矢 25 12 Ex T2アンテナ 280 韋駄天駆 16 甲羅の盾 1000 25 竹葉の朝露 25 60 魔王の小槌 10 80 真澄の鏡 150 Ph オリジンコア 300 12 12 シャイニングハート 38 15 ニーベルング 800 130 賢者の石 30 68 涙のしずく 15 60 古い時計 140 10 Lu ウィザードチップ 32 10 エクスカリバー 75 75 75 ナイトチップ 600 90 60 天の瓊矛 20 50 聖杯 1000 10 千年桜 60 上へ Cup -展開 カップ アイテム名 体力 霊力 霊集 攻撃 命中 回避 速度 蓬莱カップ パワーソース 10 45 ミニ八卦炉 92 メガブースター 10 延寿の水 300 15 魔女のほうき 6 42 夜明球 95 夢幻カップ PフィルムS 400 82 アイボリーコーン 20 125 アメノミハシラ 560 50 マガタマ 6 180 マジカルスタッフ 15 10 破魔矢 25 12 神主カップ オリジンコア 300 12 12 グングニル 500 80 65 シャイニングハート 38 15 レヴァンティン 10 105 鴉天狗の印 120 120 涙のしずく 15 60 暗黒カップ エクスカリバー 75 75 75 試作型永久機関 30 聖杯 1000 10 上へ Duel -展開 デュエル ランク アイテム名 体力 霊力 霊集 攻撃 命中 回避 速度 ランダムデュエル Ph オリジンコア 300 12 12 オリハルコン 350 25 6 グングニル 500 80 65 シャイニングハート 38 15 ニーベルング 800 130 レヴァンティン 10 105 鴉天狗の印 120 120 賢者の石 30 68 涙のしずく 15 60 古い時計 140 10 ランダムデュエル Lu アサシンチップ 54 100 12 ヴァルキリーチップ 860 100 ウィザードチップ 32 10 エクスカリバー 75 75 75 ナイトチップ 600 90 60 メビウスの輪 15 15 60 天の瓊矛 20 50 試作型永久機関 30 聖杯 1000 10 千年桜 60 上へ Maze ※落ちているアイテムではなく、戦闘で手に入るアイテムの一覧です。 -展開 迷宮 ランク アイテム名 体力 霊力 霊集 攻撃 命中 回避 速度 迷いの竹林 B パワーソース 10 45 ミニ八卦炉 92 延寿の水 300 15 夜明珠 95 魔法の森 A Pフィルム 250 5 6 クイックキット 8 100 パワーキット 75 神楽鈴 32 紅魔館大図書館 A バランスキット 45 45 45 高性能センサー 60 10 天上の仙桃 600 40 七色クリスタル 10 5 幽霊人形 75 72 中有の道 S PフィルムS 400 82 アイボリーコーン 20 125 マガタマ 6 180 隕鉄 260 15 陰陽玉 66 66 封印された禁書 20 65 霧の湖土御門の結界 Ex ヒヒイロカネ 140 20 陰陽鬼神玉 20 42 42 黒魔術儀式 140 40 玄火八卦炉 150 魔王の小槌 10 80 真澄の鏡 150 スキマ Lu アサシンチップ 54 100 12 ヴァルキリーチップ 860 100 オリハルコン 350 25 6 グングニル 500 80 65 メビウスの輪 15 15 60 レヴァンティン 10 105 鴉天狗の印 120 120 試作型永久機関 30 上へ 能力値別一覧 体力 -展開 アイテム名 体力 霊力 霊集 攻撃 命中 回避 速度 甲羅の盾 1000 25 聖杯 1000 10 ヴァルキリーチップ 860 100 ニーベルング 800 130 ナイトチップ 600 90 60 天上の仙桃 600 40 アメノミハシラ 560 50 グングニル 500 80 65 注連縄 440 6 PフィルムS 400 82 オリハルコン 350 25 6 オリジンコア 300 12 12 延寿の水 300 15 隕鉄 260 15 Pフィルム 250 5 6 アミュレット 240 60 ヒヒイロカネ 140 20 黒魔術儀式 140 40 御守 120 4 センサー 100 24 上へ 霊力 -展開 アイテム名 体力 霊力 霊集 攻撃 命中 回避 速度 千年桜 60 黒魔術儀式 140 40 ウィザードチップ 32 10 神楽鈴 32 賢者の石 30 68 オリハルコン 350 25 6 竹葉の朝露 25 60 アイボリーコーン 20 125 陰陽鬼神玉 20 42 42 封印された禁書 20 65 マジカルスタッフ 15 10 メビウスの輪 15 15 60 延寿の水 300 15 オリジンコア 300 12 12 十字架 10 20 オーブ 9 注連縄 440 6 Pフィルム 250 5 6 上へ 霊集 -展開 アイテム名 体力 霊力 霊集 攻撃 命中 回避 速度 試作型永久機関 30 ヒヒイロカネ 140 20 天の瓊矛 20 50 メビウスの輪 15 15 60 涙のしずく 15 60 隕鉄 260 15 オリジンコア 300 12 12 クリスタルボール 10 パワーソース 10 45 マジカルスタッフ 15 10 レヴァンティン 10 105 聖杯 1000 10 七色クリスタル 10 5 魔王の小槌 10 80 クイックキット 8 100 マガタマ 6 180 魔女のほうき 6 42 アンプリファイア 5 10 上へ 攻撃 -展開 アイテム名 体力 霊力 霊集 攻撃 命中 回避 速度 玄火八卦炉 150 レヴァンティン 10 105 ヴァルキリーチップ 860 100 ミニ八卦炉 92 ナイトチップ 600 90 60 グングニル 500 80 65 魔王の小槌 10 80 エクスカリバー 75 75 75 パワーキット 75 陰陽玉 66 66 封印された禁書 20 65 カタナ 60 アサシンチップ 54 100 12 アメノミハシラ 560 50 修羅の酒 50 60 バランスキット 45 45 45 陰陽鬼神玉 20 42 42 シャイニングハート 38 15 破魔矢 25 12 ルビー 24 シルバーナイフ 20 16 アンプリファイア 5 10 上へ 命中 -展開 アイテム名 体力 霊力 霊集 攻撃 命中 回避 速度 真澄の鏡 150 高性能照準器 124 鴉天狗の印 120 120 夜明球 95 PフィルムS 400 82 エクスカリバー 75 75 75 幽霊人形 75 72 賢者の石 30 68 陰陽玉 66 66 メビウスの輪 15 15 60 竹葉の朝露 25 60 涙のしずく 15 60 天の瓊矛 20 50 バランスキット 45 45 45 陰陽鬼神玉 20 42 42 魔女のほうき 6 42 天上の仙桃 600 40 エメラルドリング 30 5 照準器 24 十字架 10 20 シルバーナイフ 20 16 上へ 回避 -展開 アイテム名 体力 霊力 霊集 攻撃 命中 回避 速度 T2アンテナ 280 マガタマ 6 180 古い時計 140 10 ニーベルング 800 130 アイボリーコーン 20 125 鴉天狗の印 120 120 アサシンチップ 54 100 12 クイックキット 8 100 エクスカリバー 75 75 75 幽霊人形 75 72 グングニル 500 80 65 ナイトチップ 600 90 60 アミュレット 240 60 高性能センサー 60 10 修羅の酒 50 60 バランスキット 45 45 45 パワーソース 10 45 ブースター 40 2 甲羅の盾 1000 25 センサー 100 24 上へ 速度 -展開 アイテム名 体力 霊力 霊集 攻撃 命中 回避 速度 韋駄天駆 16 シャイニングハート 38 15 アサシンチップ 54 100 12 破魔矢 25 12 ウィザードチップ 32 10 メガブースター 10 古い時計 140 10 高性能センサー 60 10 オリハルコン 350 25 6 Pフィルム 250 5 6 エメラルドリング 30 5 七色クリスタル 10 5 御守 120 4 ブースター 40 2 上へ
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最近土御門が強い気がしてきた。サポはねーちんで理想完遂は最終信号。折り紙×4→寝ていろ→黒ノ式→ユニゾン→ODで一方は即死だったはず -- (アクセロリータ) 2011-03-20 00 49 56
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安倍 泰政(?-?) 豊臣秀吉に仕えたとされる陰陽師。安倍晴明の子孫。土御門家というか安倍有世は何をやったんだ。 江戸時代に入り、全国行脚をした。 片朱神社に手記の写本が残されていた。
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生徒名簿 因果:堕(工事必須) ※はページ未作成 名前 学年 ✞黒羽アダム✞ 3年 通天閣マドカ 3年 天道ミノル 3年 花山院トウカ 2年 八社イトハ 2年 久世トウシロウ 1年 黒瀬ルナ-ルナシス・ムーン=サリバン- 1年 黒野ミツギ 1年 土御門コトハ 1年 [[]] 年
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常盤台学生寮 自室―― 美琴「絶対成功させるんだから……今度こそ」ブツブツ 黒子「お姉様?」 美琴「まずはアイツを探して…」ブツブツ 黒子「悩み事ですの?」 美琴「……速攻で告白するんだから」ブツブツ 黒子「告白!? 告白ってなんですの!?」 美琴「誰にも邪魔はさせない…」ブツブツ 黒子「ま、まさか、あの殿方に!? 答えて下さいまし!!」ガクガク 美琴「ん? 黒子どうかした?」 黒子「どうかしてるのはお姉様ですの!あの類人猿に告白するなんて、あのような馬の骨にぃぃぃぃぃ!!!」 美琴「はあ?」 黒子「とぼけないでくださいまし! 黒子はばっちり聞きましたの!」 美琴「アイツは馬の骨なんかじゃないわよ!!」 黒子「へ?」 美琴「私を守ってくれる、最高のヒーローなんだから!!」 黒子「」フラフラ 美琴「いくら黒子でもアイツを悪く言うのは許さないわ」 黒子「……おかしいですわお姉様。素直すぎますの」 美琴「意地を張ってもしょうがないでしょ」 美琴「アイツだけは誰にも譲れないもん。だから絶対に振り向かせてみせる!」 黒子「そこまでの決意を……」 美琴「黒子?」 黒子「分かりました。わたくしはお姉様の恋を応援しますの」 美琴「!?」 黒子「お姉様の素直な気持ちを伝えれば、上条さんはきっと応えてくれますの」 美琴「応援してくれるのは嬉しいけど、急にどうしたの?」 黒子「わたくしはお姉様のパートナーです。お姉様の幸せを願うのは当然ですの」 美琴「そっか、ありがとね、黒子…」ギュッ 黒子「お姉様…」ギュッ 美琴「よーし、いってきます!」 黒子「いってらっしゃいませ。お姉様、御武運を」 美琴「まずはアイツを探さないとね」 美琴「とりあえず、何時もの公園に行ってみるか」タッタッタ 例の自販機のある公園―― 美琴「いないわね、此処じゃないのかしら?」キョロキョロ 佐天「御坂さーん!」タッタッタ 美琴「あら、佐天さんじゃない」 佐天「どうしたんですか? 何か探してるみたいですけど」 美琴「えーっとね、人を探してるの」 佐天「風紀委員のお手伝いですか?」 美琴「違う違う、個人的なことだから」 佐天「そうなんですか。あたし暇ですから一緒にさがしますよ」 美琴「ええっ!? だ、大丈夫よ、そんな大した用事でもないし……」ゴニョゴニョ 佐天「……」キュピーン 佐天「はっはーん」ニヤニヤ 美琴「な、なに佐天さん?」 佐天「御坂さんが探してるのって男の人でしょ」ニヤニヤ 美琴「……はぁ、正解よ」 佐天「え? 御坂さんが素直? まさか偽者!?」ガクガク 美琴「何言ってるの、私は本物よ」ヤレヤレ 美琴「素直になるって決めたの」 佐天「なにがはじまるんです?」コンラン 事情を説明中 佐天「なるほど! 上条さんに告白するんですね!!」ダイコーフン 美琴「そ、そうだけど」 佐天「何て告白するか決めてるんですか?」 美琴「…決めてない」ズーン 佐天「それは不味いですね」 美琴「ぶっつけ本番はやっぱり不味いかしら?」オロオロ 佐天「そりゃそうですよ」 美琴「でもどうすれば…」オロオロ 佐天「はいはい! あたしに良い作戦があります!」キラキラ 美琴「えー」フアン 美琴「まあ聞くだけ聞いてみようかな」 作戦説明中 美琴「そっ、そそそんなことッ、ほほ本当にするの!?」マッカ 佐天「当然です」 美琴「でっでもでも、いきなりしちゃったら嫌われない…?」オズオズ 佐天「大丈夫ですって。御坂さんにされて嫌がる人なんていませんよ」 美琴「本当に大丈夫かな。何かおかしい気がするんだけど」 佐天「任せて下さい! 行動派の御坂さんにピッタリな作戦ですって」 佐天「いくら上条さんが鈍感でも、絶対伝わりますよ!」 美琴「そうよね、……言葉より行動よ!」 美琴「ありがとう! 上手くいったらすぐに教えるから!!」タッタッタ 佐天「頑張って、御坂さん!!」ブンブン 夕暮れの河川敷―― 上条「~~~~~♪」ハナウタ 美琴「見つけた! おーい!」タッタッタ 上条「~~~~♪」ウタウ 美琴「ちょろっとー」 上条「~~~~~♪」ハナウタ 美琴「このっ、スルーしてんじゃな…」ハッ 美琴(いけない! ここでビリビリしちゃいつもの繰り返しだ) 美琴(黒子たちが応援してくれたんだもの。冷静にいかないとね) 美琴(ここは佐天さんの作戦通りにいくしかない!) 美琴「それっ!」ダキツク 上条「うおあっ、だ、誰だ!!??」チラリ 上条「みみ御坂さん!? とうして抱きついてるんでせう!?」 美琴「(恥ずかしいぃぃぃ)えーっとね、大切な用事があるんだけど今いいかな?///」ウワメ 上条「わわわ分かったからそんな目でみないで! あと離してくれぇぇぇ!!」ヤワラケエ 美琴「うん///」ドキドキ 美琴(作戦の第一段階はクリア! 流石佐天さんね) 上条「それで用事ってなんだ?」 美琴「えっと、その、アンタに聞きたいことがあるんだけど」 上条「え? 勝負とかじゃないのか?」 美琴「そんなんじゃ……って、そうよね、普段からアンタに迷惑かけてるもんね」 美琴「ごめん。でも今日は…」ペコ 上条「いいって! 変に疑って悪かった。だから頭下げなくていいから」オロオロ 美琴「うん、ありがと」 上条「ロシアの時は世話になったからな。何でも聞いてくれ」キリッ 美琴「う、うん///」ドキッ 美琴(緊張するぅぅぅ!! でもやるしかない、一気に畳み掛けるわよ!) 美琴「アンタ今、恋人いる?」ドキドキ 上条「はあ? そんなのいる分けねえだろ」 美琴「本当!?」ドキドキ 上条「嘘吐いてどうすんだよ。不幸な上条さんに彼女なんてできるはずがねえ」 上条「……自分で言ってて悲しくなるなぁ。あれ? 目から汗が」ホロリ 美琴「彼女欲しいの?」ドキドキ 上条「欲しいにきまってんだろ。俺だって健全な男子高校生だからな」 美琴「欲しいなら///」ドッキンドッキン 上条「どうした?」 美琴「そんなに欲しいならあげるから///」マッカ 美琴「しっかり受け取れやコラァァァァァァァァァァーーーッ!!!!!」ガバッ 上条「なっ、ンン!!!???」chu 美琴「んっ///」chuuu 美琴(きききききキスぅぅ!! あああアイツとキスっ、幸せすぎておかしくなるぅ///)ビリビリバチバチ 上条美琴「んんーーーーーーーーーーーっ!!??」ピシャーーーーン 上条美琴「…………」プスプスプス 美琴「……」グッタリ 上条「……」グッタリ 美琴「…うぅ、痛ってー、何なんだよ何が起きた…」ヨロヨロ 美琴「確か御坂にいきなりキスされて/// ッ!? そうだ御坂は!?」キョロキョロ 上条「……」グッタリ 美琴「」ボーゼン 美琴「俺が…いる?」 上条「…………あれ?」キョロキョロ 美琴「おい、どうした?」 上条「ん? あんたは……シスターズか」 美琴「違う。お前こそ誰なんだ?」 上条「私は御坂美琴だけど」 美琴「」ジブンノカラダミル 上条「どういうこと?」 美琴「」ユビサス 上条「私? 私がどうかし……た」ジブンノカラダミル 上条「なに……これ……」ガクガク 上条「もしかしてアンタ…」ハッ 美琴「…上条当麻だ」ガクガク 上条美琴「……」ブルブル 上条美琴「なんじゃこりゃああああああああああああああーーーっ!!!???」 美琴「とっとにかく介抱しないと」アセアセ 美琴「おいっ! 大丈夫か?」ユサユサ 上条「……大丈夫だ。問題ない」ムクリ 美琴「良かった、気がついたか」 上条「……良かった? そうだな、まさに僥倖だ」ボー 美琴「早速で悪いけど、お前誰だ?」 美琴「まずは落ち着こう」スーハー 上条「これが落ち着いてられるかっ!」コンラン 上条「アンタは何でそんなに冷静なのよ!」 美琴「異常事態には慣れてるからな…慣れたくなかったけど」シクシク 上条「慣れるって、どんだけ愉快な人生送ってんのよ」ウワー 美琴「言わないで!? 鬱になるから!」フルフル 上条「分かったから、状況確認からね」 美琴「…納得いかねえ。それと俺の姿でその喋りかたはキモイぞ」ハア 上条「私とアンタの体が入れ替わったのよね」 美琴「スルーされた!?」ガーン 上条「はいはい、次は能力ね」 美琴「ん? 幻想殺しがあるのに入れ替わってる?」 上条「幻想殺し? …異能の力なら神の奇跡さえ打ち消す能力…ね」 美琴「!?」 上条「効果範囲は右手のみ……ふーん」ニギニギ 美琴「なんで知ってんだよ!?」 上条「なんかね、知りたいって思ったら頭に浮かんできたのよ」 美琴「マジかよ!? つーことは…」ビリビリ 美琴「うおっ! すげー帯電してる!」ビリビリ 上条「落ち着きなさい」パキーン 美琴「あれ? ビリビリできない……もしかして幻想殺し?」 上条「ええ、どうやら知識と手続記憶は体が覚えてるみたいね」 美琴「でもどーするよ。幻想殺しで触れて戻らないってことは」 上条「入れ替わりは通常の法則で起きたんでしょ」 美琴「原因を見つけねーと…」 美琴「不味いな、これからどう…なにしてるんでせう?」 上条「アンタの体凄いわね! 体中から力が漲ってくる!!」シュッシュッ 上条「肉体強化の能力者もびっくりな身体能力じゃない!」ピョーン 美琴「……上条さんは何時の間に神裂みたいなトンデモ人間になっちまったんだ?」ガクガク 上条「これだけの能力なら一方通行に勝てたのも納得だわ」ブオーン 美琴「違うからね!? 幻想殺し以外は一般人だから上条さんは!」ギャース 上条「アンタ何も考えずに体を振り回してるんじゃない?」 美琴「???」 上条「だから、論理的に動かせば凄いポテンシャルが引き出せるってこと」ピョーーーーン 上条「異常なまでの頑丈さも体の動きに耐えるためにあるんじゃないの?」ドスン 美琴「……ありえねぇ」 上条「少しは頭使いなさいよ」ヤレヤレ 美琴「中学生に馬鹿にされた……」ガクリ 上条「今はアンタが中学生じゃない」 美琴「うだー! 遊んでる場合じゃねえだろうが!」 ???「おーい、カミやーん!」 上条「ん?」 美琴「あれは…」 上条「土御門さんであってる?」 美琴「ああ」 上条「……入れ替わったことは秘密ね」 美琴「なんで?」 上条「アンタは学園都市の暗部に狙われてる。ロシアの時に教えたでしょ」 美琴「そうだったな。隙を見せるなってことか」 上条「誰も巻き込みたくないしね」 美琴「分かった。迂闊なことはしない」 上条「お願いね……」 土御門「カミやん呼んでるのに無視とか酷いにゃー」タッタッタ 上条「すまん、話に夢中で気づかなかったんだ」 土御門「まあいいぜよ。そっちは常盤台の超電磁砲かにゃー?」 美琴「は、はい。か…御坂美琴です」アタフタ 土御門「オレは土御門元春、よろしくにゃー」 上条「それより慌ててたけど、どうしたんだ?」 土御門「そうだった、急で悪いがカミやんと禁書目録にはイギリスに行ってもらうぜい」 美琴「!!! 何で!?」 土御門「部外者には話せないにゃー」 上条「…イギリス?」 土御門「おーっと時間がない。カミやん詳しい話は移動中にするにゃー」ガシッ 上条「え?え?」オロオロ 美琴「ま、待て!」 上条「ちゃんと説明し…」 土御門「悪いにゃー。ちょっとカミやんは借りてくぜよ」シュー 上条「」パタリ 美琴「なにしてんだよ!?」 土御門「大丈夫、ただの催眠スプレーだにゃー」ブロロロロ 土御門「迎えの車も来たし、失礼するぜい」ガチャ 美琴「待てよ! そいつはッ」ブロロロ 美琴「くそっ! 車が行っちまう……そうだ!」ビリビリ 美琴「行かせるかぁぁぁぁーーーッ」バチバチ 黒子「駄目ですの!!」シュン 美琴「!?」 美琴「…行っちまった」ガクリ 黒子「お姉様! こんな所で雷撃の槍を使うなんて、どういうつもりですの!!」プンスカ 黒子「常盤台のエースとしての自覚をもっと」クドクド 美琴(御坂を巻き込んじまった……どうしよう) 黒子「聞いてますの!?」ガシッ 美琴「! ……な、何だ?」ビクッ 黒子「上条さんに告白しに出かけたはずでしたのに」プンプン 美琴「告白? 誰が?」 黒子「お姉様に決まってますの!」 美琴「マジか!?」ガビーン 黒子「マジですの」 美琴(だからあんなこと聞いてきたのか……) 黒子「お姉様、さっきから変ですの」 黒子「今日は寮にお戻りになって休んで下さい」 黒子「黒子は心配でたまりませんの…」スン 美琴(不安だらけだが、土御門たちもいるし知識も問題ない) 美琴(御坂が危険な目に……あっても大丈夫だな。……神裂みたいだったし)ガクガク 美琴(これからのこと考えねーとな、なにより) 美琴(こいつに心配かけるのは違うよな) 美琴「分かった。心配かけてごめんな」ナデナデ 黒子「理解していただければ構いませんの///」ドキドキ 常盤台学生寮―― 黒子「到着ですの」シュン 美琴「テレポート凄いな! あっという間に着いたぞ」ワクワク 黒子「?? 何を仰ってるんですの。いつものことですのに」 美琴「そそそーだな。疲れてるのかもな。あはは」タラリ 黒子「いけませんわ! 早くお休みになりませんと」 美琴「そうだな。部屋に行くかーって、うわあああ!!」ステーン! 黒子「お姉様!?」ギョ 美琴「痛ッ、なんでこんなとこに空き缶があんだよ…ん?」シセン? 寮生達「……」ポカーン 黒子「……」ボーゼン 美琴「……」 美琴「あは、あはははは…失礼しましたぁぁぁーーーっ!!」ダダダダ 黒子「……ハッ!?」キョロキョロ 黒子「」イナイ 黒子「お姉様ぁぁぁーーー!!」ダダダダ 常盤台学生寮 自室―― 黒子「お、お姉様? 本当に大丈夫ですの?」オズオズ 美琴「あはは…」ボロボロ 美琴「もしもし御坂か!」pi 上条『当たり前じゃない、アンタの携帯からかけてんだから』 美琴「お前無事だったのか。土御門に拉致られた時はマジで焦ったぞ」 上条『いやー、気がついたらロンドンに着いてたからね。私もビビったわ』 美琴「もうロンドン!? あれから二時間位しかたってないのに!?」 上条『超音速旅客機っていうの? なんか一時間ちょいでついたみたいよ』 美琴「あれか……お前運がいいなぁ。トラウマになる乗り心地だった」アレ? 上条『インデックスが潰れちゃってるけどね』 美琴「インデックス……他は誰がいる?」 上条『神裂さんとステイルの二人ね。今ちょっと離れてるけど』 美琴(部屋につくまでに転ぶこと三回、晩飯は美味かったけど、いつも通り不幸だ)アレ? 美琴(まてよ。今は幻想殺しが無いから幸運は打ち消されないはずだ) 美琴(なのに不幸が止まらない。御坂も不幸体質なのか?)ゲコッゲコッゲコ 美琴(電話か、誰だ? 当麻…って俺!? いや御坂からか!) 美琴「ちょっとトイレ行ってくる!」タッタッタ 黒子「はい?」ポカーン 美琴「神裂たちがいるなら安心だ。不安に思うことないからな」 上条『はあ? なんで不安? 面白そうじゃない!』 美琴「……何が?」ピク 上条『聞いてよ! 私たち遺跡調査に同行するの! 遺跡調査よ! これは冒険の予感がするわ』 美琴「」カタカタ 上条『心配しなくても大丈夫だってば。インデックスは護るし。遺跡の謎も解き明かしてみせるわ!』 美琴「」ガクガク 上条『面倒くさがらずに優しく接すること』 上条『あと黒子を邪険にしないこと。スキンシップも少しくらい認めること』 美琴「ぜ、善処します」 上条『駄目政治家みたいなこと言うな、この馬鹿!』 美琴「だって俺、女の子と遊んだ経験とか殆どないんだぞ!?」 美琴「スキンシップなんて……上条さんは男なんだよ! 狼なんだよ!」 上条『平気だって。そうねぇ、アンタ今すぐエロいこと想像しなさい』 美琴「ぶーーーーーーーーッ!!!」 上条『ちょっと! 私の携帯汚さないでよ』 美琴「なに言っちゃってんですか御坂さん! 変態だ変態だよ変態なんです三段活用!」 美琴「くそっ、どうしてこうなった!?」ダイコンラン 上条『落ち着きなさい』 美琴「落ち着けるかあああああああ!!!」 上条『煩いっつーの。もう結論から言うわ』 上条『アンタは女の子に劣情を催さない』 美琴「」ピタ 上条『精神が肉体との整合性をとろうとしてる』 上条『今アンタは女の子なのよ。だから同性に反応しない。本当よ』 上条『嘘だってんなんら試してみたら?』 美琴「…………………………………………………………………………嘘だ」プルプル 上条『ほ~らね。私の推察通りじゃない』 美琴「嘘だぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!」 上条『知ってる? 私は上条当麻に心底惚れてんのよ。他の男なんか眼中にないほど』 上条『だからね、上条当麻にしか反応しないはずよ。あっははははは』 美琴「自分に欲情!? セルフファッカー!? なにそれ!? なにそれぇぇぇぇ!!」 上条『理解したかしら? 黒子たちの安全は約束されてるの』 美琴「悪魔めぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!!!」 上条『怒らない♪ 怒らない♪』 上条『とある冒険家の幻想殺し、みたいな小説が書けるくらい満喫するから』 美琴(駄目だこいつ……早くなんとかしないと…)プルプル 上条『アンタ聞いてんの?』 美琴「へ? ああっ聞いてるさ」ビクッ 上条『アンタも確りしてよ。冬休みだから学校はないけど、友達付き合いがあるから』 美琴「友達……白井、佐天に初春の三人か」 美琴「帰ったら覚えとけ! 久々にキレちまった」 上条『毎日お風呂に入るのよ。清潔にしないと許さないからね』 美琴「またスルーしやがったな!」 美琴「いいぜぇ。お前の体、どうなっても知らねーからなっ!」 上条『……』 美琴「あ~んなことや、こ~んなこと試してやる!」 上条『……』 美琴「フフン、怖くなったのかぁ」 上条『……』 美琴「まあ上条さんも鬼じゃねえ。御坂が謝るなら……」 上条『いいぜ』 美琴「!?」ドキ 上条『アンタにそんな酷いことができると本気で思っているのなら』 上条『まずは、その幻想をぶち壊す!!』 美琴「――ッ!?」ドキドキ 上条『ねえ、どんな感じ?』 上条『自分のアイデンティティを他でもない、アンタ自身から叩きつけられた感想は?』 美琴「ち、違う! お前は御坂だ! 俺じゃ……ない」ドキドキ 上条『どうかしら。私があんなこと言われたらどうなるか……分かるでしょ?』 美琴「分からねえ! わっかんねえよ!!」ドキドキ 上条『嘘ね』 美琴「嘘じゃねえよ! なあ、一体どうしちまったんだ? お前ちょっとおかしいぞ!」 上条『あははっ、さっき教えたじゃない。精神が肉体に適応してるって』 上条『だから今、アンタがどんな状態か手に取るように分かっちゃうのよ』 美琴「それは…っ!? ならお前はどうなんだよ!?」アセアセ 上条『どうって?』 美琴「お前だって上条当麻の体に適応しはじめてんだろっ!?」 上条『お前だって? 認めるんだぁ』 美琴「はぐらかすんじゃねえ!!」 上条『怒んないでよ。私にも影響出てるわ』 美琴「なら何でこんな、俺を惑わすこと言うんだよ」 美琴「俺と似た考え方するなら、協力して問題を解決しようとするハズだろ!?」 上条『そうね、確かにそんな気持ちもあるわ』 美琴「!……それじゃあ」パアー 上条『あるけど微々たるもんよ?』 美琴「え?」 上条『フフ、これはチャンスなのよ』 美琴「御坂?」 上条『今の状況をうまく利用すれば、私の願いが叶う……』 美琴「……願い?」 上条『先に謝っとくわ。これからアンタをいっぱい傷つけるから』 上条『でもアンタも悪いのよ? アンタが八方美人なせいで私だって傷ついてたんだからさ』 美琴「お、俺はただ…」オロオロ 上条『だからもう遠慮しない! 躊躇も! モラルなんか知ったことか!!』 美琴「ッ!?」ビクッ 上条『宣言するわ。上条当麻を私のものにする』 上条『戻ったらたっぷり可愛がってやるからな』 上条『楽しみに待ってろ 美 琴 』ガチャ 美琴「///」ポケー 美琴「…………ッ!?」 美琴「な、なんで///」フルフル 美琴「…そんな分けない///」フルフル 美琴「俺が上条当麻でアイツが御坂美琴だ///」ガクガク 美琴「ありえない…こんなのおかしい///」ブルブル 美琴「……さっき確かに私はッ!?」ポー 美琴「違う!! 俺は俺だ!!」ブンブン 美琴「御坂の様子も変だったし……どうなってんだよ」 美琴「もう寝よう。本当におかしくなっちまう…」フラフラ 美琴「……」フラフラ 黒子「あ、あの、お姉様」 黒子「随分大きな声で話されてましたけど…」オズオズ 美琴「……あー、うるさかったか…ごめんな」 黒子「違いますの!」 美琴「へ?」 黒子「無作法は承知で伺います」 黒子「告白は……うまくいきましたの?」 美琴「!?」 美琴(そうだった。御坂に告白されたんだった) 美琴(異常な状況だったから何も考えてねえ) 美琴(俺は御坂のこと、どう思ってんだ?)ウーン 美琴(いっつもツンツンしてて負けず嫌いで、一人で背負い込む悪癖がある年下の女の子。あの実験のッ!!??)ズキッ (――絶望の底から救い出してくれた私のヒーロー――) (――夏の日に聞いた、あの力強い約束の言葉――) (――大切な後輩を命懸けで助けてくれた、あの頼もしい背中――) (――ボロボロに傷ついても、記憶を失っても揺るがない強固な信念――) (――自分だけの現実を根底から揺るがせるほど大切で、大好きなひと――) (――安心以上に不安、焦燥、嫉妬、悲しみを私にくれる酷いひと――) 美琴「……」ボー 美琴「うまくいったわ。とーぜんでしょ」キッパリ 黒子「そう…ですか」ウツムク 黒子「おめでとうございます、お姉様」ニコ 美琴「ありがとーね、黒子」 黒子「初春と佐天さんにも知らせなくてはいけませんわね」メルメル 美琴「そ、そうね」 黒子「明日は三人で根掘り葉掘り聞くので、お覚悟あそばせ」ニタア 美琴「…お手柔らかに頼むわ」 美琴「疲れたから、もう寝るね」トコトコ 黒子「はい、お休みなさいませ」 美琴「おやすみー」ゴソゴソ 美琴「……」 美琴「……ハッ!?」ビクッ 美琴(何だ! 何が起こった! 何て言った!?) 美琴(告白が成功したって、上条当麻が御坂美琴を受け入れたって) 美琴(確かに言った……はっきり迷い無く) 美琴(けどそれは結果だ。問題はその前、俺が御坂をどう想ってるか考えてた時だ) 美琴(途中までは何ともなかった) 美琴(でも絶対能力進化を、あの鉄橋で御坂の絶望をぶち壊す覚悟を決めた時の感情) 美琴(それを思い出してたら……流れ込んできやがった) 美琴(御坂の上条当麻を想う馬鹿デカい感情が……) 美琴(白井と無自覚に話してたのは、処理しきれない感情が暴走したからか?)ウーン 美琴(駄目だ。御坂みたいに分析できねえ)ガクリ 美琴(分かってんのは俺と御坂の想いが完全に混ざっちまったことか……もう好きってレベルじゃねーな///)テレテレ 美琴(御坂の俺も悪いって言葉、理解できるなあ。期待させるだけさせて放置とか、サド野郎が)イライラ 美琴(……御坂に謝ろう。まずはそこから始めるんだ) 美琴(許してくれっかなー、にしてもさ) 美琴(こんな卵が先か鶏が先かみたいな恋愛とか……) 美琴(マジでついてねーよ) 美琴(御坂と普通の恋愛してーのに……困ったな)ウトウト 美琴(もう……アイツに逆らえる気がしない)スヤスヤ 学園都市第七学区 窓のないビル―― 土御門「こんな朝早くに何の用だ」 アレイ☆「君に一仕事頼みたい」 土御門「こちらに拒否権は無い。さっさと話せ」 アレイ☆「分かった。簡潔に伝えよう」 アレイ☆「超電磁砲の身柄の確保、手段は君に一任する」 土御門「どういうつもりだ!?」 アレイ☆「プランに致命的な狂いが生じた。それを修正する為の措置だ」 土御門「そんなことをすれば、上条当麻が黙ってないぞ」 土御門「上条当麻と超電磁砲を慕ってる連中も同じハズだ」 土御門「どれ程の混乱が起きるか予測できんぞ!」 アレイ☆「そのような些事、今はどうでもいい」 土御門「なっ!?」 アレイ☆「早急に幻想殺しを奪還する必要がある。その為の超電磁砲だ」 土御門「上条当麻なら一週間以内に帰還する。そう決めていただろう!」 土御門「余計なことをする必要は無い!」 アレイ☆「上条当麻は学園都市にいる」 土御門「は?」 アレイ☆「幻想殺しは既に上条当麻の手を離れているのだよ」 アレイ☆「あれは世界を揺るがすほどに危険な存在だ。だから手綱が必要になる」 アレイ☆「その役目は超電磁砲以外には務まらない」 土御門「な、何を言っている?」 アレイ☆「君がこれ以上知る必要はない」 アレイ☆「君にできないなら他を差し向けるだけだ」 暗部組織『グループ』偽装車両内―― 海原「クソっ! 何故御坂さんを!」 結標「確かに妙ね……理事長は何考えてるのかしら」 土御門「オレにもさっぱり分からん」 土御門「上条当麻は間違いなくイギリスにいる」 土御門「だがアレイスターは学園都市にいると言った」 土御門「つまり今、上条当麻が二人いることになる。……アステカは」 海原「それはないでしょう。リスクばかりでリターンが見込めません」 土御門「こちらも同じだ」 土御門「実質のトップを失ったローマと戦後処理に忙しいロシアも同様だろう」 結標「統括理事会のマッチポンプの可能性は?」 土御門「あり得んな。アレイスターは本気で超電磁砲を捕らえるつもりだ」 土御門「焦ってるようだったしな」 結標「あのクソッタレが? いい気味じゃない」 海原「いい気味じゃないですよ!? こうなったら自分が御坂さんを…」 土御門「焦るな。お前の妹はどうする?」 海原「ショチトルは妹では……すみません、少し熱くなりすぎました」 土御門「一方通行を欠いて戦力が低下してるんだ。無茶はできん」 結標「そうね。まったくどこにいるのやら」 海原「そう簡単に彼が死ぬとは思えません。アレイスターに反抗する機を窺っているのでは?」 土御門「……さあな。とにかく鍵は超電磁砲が握ってる」 土御門「上条当麻がイギリスに発つ直前に会っていたし、オレたちに無い情報をもっている可能性が高い」 海原「自分らが接触するわけにはいきませんよ?」 結標「あの恐い電撃女には近づきたくないわ」 土御門「安心しろ。助っ人を手配してある」 海原「助っ人……ですか」 土御門「超電磁砲と同じ女子中学生だ。大能力者だから戦力も申し分ない」 土御門「そいつを護衛も兼ねて超電磁砲に接触させる。グループとは無関係にな」 結標「信用できるの?」 土御門「ああ、成功報酬だからな。必死にやってくれるさ」 土御門「連絡事項は以上だ。歯がゆいだろうが自重してくれよ」 海原「ええ……」 常盤台学生寮 自室―― 美琴「……んあ?」パチ 美琴「……」キョロキョロ 美琴「やっぱ夢でしたってわけねーよな」ハア 美琴「んーっと、時間は…朝飯まで結構あるな」ノビー 美琴「よし! 風呂に入ろう。昨日はそれどころじゃなかったし」 黒子「…おねえさま」ボソ 美琴「あ、ごめん。起こしちまっ…ん?」 黒子「」スースー 美琴「何だ寝言かよ」フフッ 黒子「ぐふふ、お姉様の純潔はわたくしのものですの。類人猿なんかに……」ジュルリ 美琴「……御坂も大変だな。さっさと風呂に行こう」トコトコ 常盤台学生寮 大浴場―― 美琴「おー! すげー広い! 流石お嬢様学校、モノが違うぜ」カポーン 美琴「先ずは体を洗って……オイマテ」ゴシゴシ 美琴「何気に脱いで、何気に女子風呂入って御坂の体洗ってる……なのに」プルプル 美琴「何も反応しねえ。そもそもナニがねえ」ガクリ 美琴「なんつー喪失感だよ……イギリスに出張中の上条さんの息子は…///」マッカ 美琴「///」フルフル 美琴「……自分のナニを思い出して興奮する日がくるなんて///」ドキドキ 美琴「御坂の言った通りだ。ハハ、セルフファッカー一直線ですかぁ///」モジモジ 美琴「とか言ってるうちに、慎ましい胸の先っちょがおっきしてる!?///」ピクン 美琴「くっそ、どうすりゃ落ち着くんだ!? 抜けばいいのか!?」アタフタ 美琴「でも倫理的に不味い気がする……ッええい!!」ダイコンラン 美琴「間違ってるのは俺じゃないッ、御坂のエロボディのほうだ!!」キリッ 美琴「いざ!無毛の割れ目に///……」ソー 寮生A「誰か入ってるんですか?」カラカラ 美琴「!!!???」ギクッ 寮生A「御坂様?」テクテク 美琴「」ガタガタ 寮生A「こんな早くにいらっしゃるなんて驚きましたわ」トナリスワル 美琴「そそそそうか!?」ビクビク 寮生A「ええ。いつもは朝食の少し前くらいだったと記憶していますわ」 美琴「い、いやー今日は早く目が覚めちゃってね」 寮生A「そうでしたか」 美琴「あはは、朝風呂はキモチイイナー」カタカタ 寮生A「うふふ、そうですね」 美琴「……ナンカノボセテキチャッター」カタカタ 寮生A「え?」 美琴「オレモウアガルネ」ピューーーー 寮生A「??」オレ? 常盤台学生寮 庭―― 美琴「ハアハア……」 美琴「あっぶねー。おっぱじめる前で助かった~」ダラダラ 美琴「朝っぱらから何やってんだよ俺は……いや昼も夜も駄目だろ」ブンブン 美琴「御坂痴女疑惑なんて笑えねーからな」 美琴「まあ慌ててる間に妙な興奮も収まってるし結果オーライ?」 美琴「もっと自重しねーと……女体の神秘は上条さんには荷が勝ちすぎてます」ハア 美琴「……でも俺は御坂の信じる上条当麻(ヒーロー)じゃねえか」 美琴「こんな情けないことしてる場合かよ……」 美琴「何か泣きたくなったけど、気のせいだよな! うん」 美琴「あー、御坂に会いてーなぁ……」ポケー 美琴「早く謝りたいけど向こうは真夜中だしな……」ゲコッゲコッゲコ 美琴「……もしもし」pi 上条『おーっす。元気してる?』 美琴「え、御坂?」ドキッ 上条『そうだけど。アンタ寝てたの?』 美琴「ち、違っ…」アタフタ 上条『規則正しく生活すんのよ? まったく』 美琴「早寝早起きしてるよ!」 上条『ん、よろしい』 美琴「くそ、子供扱いすんな!」プンスカ 上条『あはは……少しは元気でた?』 美琴「へ?」 上条『今朝、いやそっちは昨日か』 上条『これでもか!ってくらい、アンタを追い詰めちゃったじゃない』 上条『今更だけど心配になってさ……ごめんね』 美琴「……」ジワ 美琴「……ごめんなさい」グスッ 上条『ど、どうしたの!?』 美琴「お、俺のほ、ほうがッ、悪いのッ、に」ヒックヒック 美琴「ごめッ、ごめんなさいぃ……」ポロポロ 上条『アンタ、泣いてるの?』 美琴「な、泣いてないッ」ポロポロ 上条『強がっちゃって、可愛いなぁ~もう』 美琴「ううううううううっ///」グスグス 上条『今はちゃんと私のこと想ってくれてる?』 美琴「うん……俺が泣いたんじゃねえよ。御坂ボディが泣いたんだ」スンスン 上条『はいはい』 美琴「……御坂、本当にごめん」 上条『だからもういいってば。お互い様じゃない』 美琴「でも、お前が割に合わないじゃねーか」 美琴「だから俺に挽回のチャンスをくれよ」 上条『確かにそうね。私の乙女心を散々踏みにじってくれたしねぇ……例えば』 上条『携帯のペア契約なんてあからさまなアプローチを無視したり』 美琴「ぐっ」 上条『あまつさえ妹にプレゼントをやる始末だし』 美琴「むぐぐ…」 上条『お前なに勘違いしてんの?って言われたみたいで悲しかったなぁ~』 美琴「すみませんっしたぁぁぁぁ!!」ドゲザ 上条『それじゃあ誠意をみせてもらおうかしら』 美琴「ど、どうすればいいんでせう?」ビクビク 上条『今朝から気になってたんだけど、アンタ男言葉で生活してない?』 美琴「そうだけど、不味かったか?」 上条『不味いに決まってんでしょうが! 一応お嬢様なのよ!』 美琴「で、でも…」オロオロ 上条『言い訳しない! いいわ、アンタ女言葉で生活しなさい』 美琴「待って! それは無理だって!」イヤイヤ 上条『はあ!?』 美琴「思考が女になってんだぞ! 行動まで女っぽくしたら戻れなくなっちまう!?」アセアセ 上条『…ちっ』 美琴「舌打ち!? 何で舌打ちすんの!?」ガーン 上条『じゃあ難易度を下げるか』 美琴「本当!? ありがとうございます御坂様! 犯罪以外なら頑張ります!」 上条『男言葉で話していいけど、私を名前で呼んで』 美琴「えっと、美琴?」オズオズ 上条『違うわ。私は今、上条当麻よ』 美琴「じゃあ、と、当麻?」 上条『いいぜ。俺もお前のこと美琴って呼ぶからな』 美琴「まあ、この程度ならなんとか……ってなにその口調?」 上条『あのなあ、入れ替わったことは内緒だろうが』 上条『なのに俺が女言葉で話してたら周りはどう思う?』 美琴「……気が狂ったのかと」ガクガク 上条『分かってんじゃねーか。だからイギリスに来てからずっとこんな感じだ』 美琴「……凄い適応力ですね御坂さん」 上条『こんくらい当然だろ? あと当麻!』 美琴「自分の名前呼ぶって変な感じなんですけど……」ウーン 上条『それが嫌なら女こ…』 美琴「やだなー当麻さん! 冗談ですことよ!?」アセアセ 上条『ったく、あとは美琴が男言葉で話す理由か』 美琴「……別に理由なんていらねえだろ。本物もがさつだし」ボソ 上条『ああん!?』 美琴「ひっ!?」ビクッ 美琴(ガラ悪っ! こんなの上条さんじゃねーよ) 上条『一々茶々いれんのは美琴の悪い癖だな』 美琴(もっと優しくできねーのかよ) 上条『あー理由だけどな、適当でいいから』 美琴「投げやりだー」 上条『美琴は超能力者だからな。能力開発の一環ってことで済まされるだろ』 美琴「さっきと言ってること違うんじゃ……」アレ? 上条『佐天さんと初春さんはそんな細かいことをとやかく言わないと思うし』 美琴「またスルー!?」ガーン 上条『黒子は口煩いけど……すぐ慣れるさ』 美琴「そんな適当でいいんかよ。元に戻ったとき困るのはお前だぞ?」 上条『別に構わねーよ。…………戻らねーし…』 美琴「何だ? よく聞こえない」 上条『それより美琴に言いたいことがあるんだけど、いいか?』 美琴「なんだよ改まって」 上条『俺はお前が好きだ』 美琴「……好き……って、ええええええええ!?///」マッカッカ 上条『結局ちゃんと告白できてなかったからな。きっちりしたかったんだ』 美琴「そそそ、その、おお俺もッ///」 美琴「すすす好ッ――!? ――――ッ!?」ガチン! 上条『美琴、落ち着け』 美琴「……ひたひ」カンダ… 上条『返事は俺が学園都市に帰ってからでいいよ』 美琴「ふえ? れ、れも…」オロオロ 上条『答えなんて分かりきってるしな』 美琴「にゃ、にゃにゃに///」プルプル 上条『明日も朝早いし寝ますかね。おやすみ美琴』pi 美琴「///」テレテレ 美琴「///」ポー 美琴「……好き、か///」ポケー 美琴「知ってたけど……うれしいなぁ///」ギュ 美琴「なんて返事すればいいんだろ///」フルフル 美琴「恋愛経験なんてねーし、変なこと言っちまいそうだ♪」 美琴「あはは、調子がいいな俺」 美琴「ちょっとアイツに優しくされただけなのに、不安なんか吹っ飛んじまった」 美琴「困ってたら颯爽と助けてくれるなんて…」 美琴「……アイツ、ヒーローみたいだ///」 黒子「お姉様ぁぁぁーーっ!」シュン!ガバッ 美琴「な、何だ!?」ビクッ 黒子「グヘヘ、最っ高の抱き心地ですの!」スリスリ 美琴「黒子!? はっ離れッ…」 美琴(そうだ。スキンシップとれって、アイツが言ってたっけ) 黒子「離しませんわ! まだまだお姉様分が足りませんの」ギューー 美琴「……ったく、少しだけだぞ」ギュ 黒子「え?」ピタ 美琴「ん? どうした?」 黒子「それはこっちの台詞ですの。いつもなら電撃がくるはずですのに……」 美琴「電撃って……そんなことしねーよ」 黒子「……マジですの?」ジュルリ 美琴「うん、マジですの」 黒子「ふ…ふふふふふふふふふふふふふうふ」ギラギラ 美琴「く、黒子さん?」カタカタ 黒子「言質はとりましたのおおおおォォォォォーーーーッ!!!」ガバチョ 美琴「ひっ!?」 たっぷり三十分後―― 黒子「ふぅ…」ツヤツヤ 美琴「……酷い目にあった」ヨロヨロ 黒子「堪能しましたわ~」 美琴「もうやんねーからな!」 黒子「あらあら、そんなこと仰るなら…」ワキワキ 美琴「や、やだ…」アトズサル 黒子「」ゾクゾク 美琴「く、黒子?」 黒子「ハッ! もう少しで新たな嗜好に目覚めるとこでしたの」オシイ 美琴「こんなに変態だったなんて……不幸だ」ガクリ 黒子「少しばかり、ねちっこく抱きついただけですのに大袈裟ですわ」 美琴「あれの何処が少しなんだよ!」 黒子「あの程度で騒ぐようでは上条さんを満足させられないかも、ですわ」ヤレヤレ 美琴「あ、ああアイツを満足って、そんなの///」テレテレ 黒子「冗談ですの」シレ 美琴「!? 何なんですかぁ! 御坂さんをいじめてそんなに楽しいんですかぁ!?」 黒子「そろそろ待ち合わせの時間ですの」 美琴「え? お前もスルーするの!?」 黒子「初春たちを待たせないよう急ぎましょう、お姉様」 ファミレス Joseph s―― 初春「白井さんたち遅いですね」 佐天「そうだねー。なんかあったのかな」ウーン 初春「それなら連絡が…」 黒子「お待たせして申し訳ありませんの」トコトコ 初春「あ! 白井さん遅いですよ」 佐天「……あの、なんで御坂さんそんなにボロボロなんですか?」チラリ 美琴「あはは…」ボロボロ 初春「うわっ、コート破けてますよ!」 美琴「ちょっと不幸なことが…」 黒子「道端で転倒すること三回、スキルアウトに絡まれること二回、極めつけに…」タンタン 美琴「ぎゃああああ!! 言わないで! お願いします黒子さん!」ドゲザ 黒子「添い寝を要求しますわ」 美琴「それは過剰請求なのでは……」 黒子「妥当ですの!」 美琴「原告の変態性は常軌を逸してるので要求は却下します。以上!」 初春佐天「……」ボーゼン 黒子「先程お姉様は犬に追い回されて半べそ掻いてましたの」シレ 美琴「ちょ!?」 初春「!? ……」パソコン、ソウサ 佐天「……あっはっは! 白井さ~ん、いくらなんでもそれ無理がありますって」 佐天「御坂さんは超能力者の第三位ですよ?」 佐天「犬に泣かされるなんてあり得ないですよ」ヤレヤレ 美琴「そ、そうなんだよ。あり得ねーっつーの!」 初春「佐天さん! これ見てください!!」 監視カメラの映像―― 犬「Bowwwwoww!!!」タッタッタ 美琴「ぎゃああああ!! 追いかけてくんなぁぁぁーーーっ!!」タッタッタ 美琴「尻尾踏んだの謝るからッ!!??」ステーン! 犬「Guuuuu……」ニジリヨル 美琴「痛たた…ひぃ!?」シリモチ 犬「Bowwwwoww!!!」イカク 美琴「こ、こっちくんなぁ…」ナミダメ 犬「Gaaaaa!!」 黒子「お姉様!」シュン! 美琴「!?」シュン! 初春「……」ゾクゾク 佐天「……あれが犬!? 怪獣じゃなくて!?」 美琴「……」ガクガク 黒子「ご覧の通りですの」 美琴「早速ばれるなんて……不幸だ」ガクリ 初春「怯えてる御坂さん……かわいい」ボソ 美琴佐天「え?」 初春「はい? どうかしました?」 美琴佐天「な、なんでもないよ!」フルフル 黒子「初春はよく分かってますの」 初春「当然じゃないですか」 美琴佐天「……」カタカタ 初春「なんか御坂さん雰囲気変わりましたね」 黒子「ええ。隙だらけになったというか…」 初春「…いじめるとかわいい?」 黒子「そうですの! グッとくる反応をしますの!」 美琴「おい!」 佐天「……そう言われてみれば」チラ 美琴「へ?」 初春「素晴らしいですけど、何かあったんですか御坂さん?」 黒子「恋人ができましたの」 美琴「ちょっ!?」 初春佐天「彼氏!?」 黒子「ええ、今日二人を呼んだのはそのことを伝えるためですの」 佐天「それより相手は上条さんですよね!」 黒子「はいですの。お姉様の変化には上条さんが関係してると睨んでますわ」 美琴「なあ…」 佐天「確かに御坂さん、昨日とは別人みたいですよ」 美琴「おい…」 黒子「凛々しいお姉さまも素敵ですが…」 美琴「あのな…」 初春「今の御坂さん最高ですよ! ……泣かせてみたいなぁ」ワクワク 美琴「…無視すんなぁぁぁ…」グス 黒子初春佐天「……」ゾクゾク 美琴「みんなして俺を無視しやがって」プンスカ 初春「ごめんなさい。でも御坂さんを見てるとつい…」 美琴「つい…じゃないんだよ!」 佐天「まあまあ、それよりも御坂さん、言葉遣いが荒くないですか?」 黒子「そうですの。そんなことでは殿方に愛想つかされますわよ」 美琴「んなことねーよ。アイツに認めてもらったし」 佐天「へー、寛容なんですね」 初春「やっぱり上条さんって優しいんですか?」 美琴「う、うん」 佐天「例えば!?」 美琴「ええっとな、(鈍感な性格を)激しく責められて、わけ分かんなくなって、ずっと泣きそうだったんだ」 美琴「でも一晩明けたら優しく慰めてくれて、そのまま(告白)してくれたんだ///」テレテレ 黒子初春佐天「え?」 美琴「思い出すだけで幸せだなぁ///」ポー 初春「…泣くほど激しい責め? しかも一晩中?///」イヤンイヤン 佐天「上条さんって鬼畜だったんだ……」サイテー 黒子「今朝起きたらお姉様がいなかった……まさか…まさか」プルプル 黒子「お姉様!!」 美琴「な、なんだ?」ビクッ 黒子「調教されたんですの!? 既に調教済みなんですの!?」 美琴「調教って……もうアイツに逆らえないし、そうなのかな///」テレテレ 黒子「あんの腐れ類人猿がああああああああああ!!!」 初春「白井さん落ち着いてください!」 黒子「落ち着けるわけねーですのぉぉぉ!」 初春「上条さんが調教したおかげで、私たちは御坂さんを弄れるんですよ?」 黒子「!!??」 初春「だから上条さんGJが正解なんです!」 黒子「た、確かにそうですの。今日のお姉様は何をしても反撃してきませんの」 初春「きっと泣いちゃうくらい厳しく躾けられたんですよ!」ダイコーフン 佐天「…初春」マワリノシセンガ 初春「やっぱり上条さんの功績は計り知れないです」pipipipipi 初春「あ、メールが…! 白井さん、風紀委員の緊急招集です!」 黒子「了解ですの!」シュン! 佐天「えっ!? ちょっ、……いっちゃった」 佐天「切り替え速いのは頼りになるけど…」キョロキョロ 客A「調教って…」ヒソヒソ 客B「風紀委員に通報…」ヒソヒソ 客C「あの子、常盤台の制服…」ヒソヒソ 客D「御坂って言ってたし、超電磁砲じゃない…」ヒソヒソ 佐天「こんな状況で置き去りにするなぁぁぁーーーーッ!!!」 美琴「!?」ビクッ 第七学区 ゲームセンター―― 佐天「初春の…馬鹿野郎ォォォーーー!!!」バコーン! 美琴「…95点って、凄いな」 佐天「自己ベストですね。初春たちへの怒りを込めたからな~」 美琴「あはは……」 佐天「次は御坂さんの番ですよ」 美琴「よしっ、いっちょやってみますか」 美琴(以前は180点くらいだったっけ?) 美琴「おおおおぉぉらぁッ!!」パコン! 佐天「…70点、やった! あたしの勝ちです」キャッキャッ 美琴「本気で殴ったのに…」ズーン 佐天「御坂さ~ん、もう降参ですかぁ?」ニヤリ 美琴「まだだ! 御坂さんの力はこんなモンじゃねえ!」 佐天「じゃー次はアレで勝負だ!」ビシッ 美琴「はっ、吠え面かくんじゃねーぞ!」 佐天「完・全・勝・利!」 美琴「完敗……だと……」ホエヅラ… 美琴「パンチングマシーン、エアホッケー、ガンシュー、格ゲー、音ゲー……」 美琴「全滅だ……何をやっても佐天さんに勝てねえ」 佐天「素敵な吠え面ありがとうございました」 美琴「うぐ…」 佐天「弱すぎて期待はずれだなあ~」 美琴「うぐぐ」 佐天「御坂さんの実力はこんなモンですかぁ」 美琴「…いいぜ」 佐天「んー?」 美琴「俺の実力がこの程度だと、佐天さんに勝てないって言うのなら」 美琴「まずは、そのふざけた幻想をぶちこ…」ゲコッゲコッゲコ 佐天「電話鳴ってますよ?」 美琴「……もしもし」pi 黒子『お姉様、今よろしいですか?』 美琴「よろしくねえ! スルーだけじゃなくカットまでするとか御坂さんに恨みでもあるんですかあ!!」 黒子『な、何にお怒りなんですの!?』 美琴「てめえにだよ黒子さん」 黒子『まあ、それはいいとして』 美琴「全然よくねえ!」 黒子『風紀委員の仕事が長引きそうなので、帰宅は夜遅くになりますの』 美琴「言ったそばからスルー!?」ガク 黒子『ですから先にお休みになってください。それでは』pi 美琴「……」プルプル 佐天「御坂さん?」 美琴「……俺の話聞けよぅ」グス 佐天「」ゾク 美琴「絶対わざと無視してんだ…」ジワ 佐天「」ウズウズ 美琴「佐天さんは……違うよな?」ウワメ 佐天「もももちろんですよ!!」ウズウズ 美琴「……本当?」オズオズ 佐天「はい、あたしは御坂さんの味方です!」ウズウズ 美琴「…そっか」ニコ 佐天「ああもう無理!!」ガバチョ 美琴「わぷっ」 佐天「御坂さんかわいい~~~」ギュ 美琴「んう~」スリスリ 佐天「ほっぺすりすり!? も~~~っ、どんだけキュンキュンさせるんですか!?」キュンキュン 美琴「ん、あったかい…」ホッコリ 佐天「もって帰ったら駄目かな……」シンケン 第七学区 とある公園―― 佐天「っていう感じで三十分くらいかな? 御坂さん、幼児退行してたんですよ」 美琴「……不幸だ」ガクリ 佐天「ここまで連れてくの大変だったんですから」 美琴「ごめんな、迷惑かけちまってさ。けど幼児退行はねーよ…」 佐天「大丈夫ですよ!」 美琴「…なにが?」 佐天「御坂さん、すっごく可愛かったんですから!!」キッパリ 美琴「は?」 佐天「ゲーセンにいた人達も絶賛で、いーーーーーっぱい写メってましたもん♪」 美琴「もん♪、じゃねぇぇぇーーーーっ!!!」 美琴「いっぱいって何人くらいに撮られたんだよ!?」アタフタ 佐天「さあ?」 美琴「だいたいでいいんだよ!」 佐天「御坂さんは通りを歩く人を、いちいち数えてますか?」ヤレヤレ 美琴「……」ガクガク 佐天「そんなことより、ほらっ! 可愛く撮れてるでしょ!!」ケイタイ 美琴「不幸だああああぁぁぁぁぁーーーーーーッ!!!」 佐天「はいっクレープ。機嫌なおしてくださいよ~」サシダス 美琴「…機嫌が悪いんじゃねー、不幸を嘆いてるんだ」ウケトル 佐天「不幸って…確かに今日の御坂さんついてないですね」 美琴(もしかして俺の不幸に幻想殺しは関係ない?)モグモグ 美琴(いやそんなまさか……)モグモグ 佐天「でも能力を使えば犬?だろーがスキルアウトだろーが、御坂さんの敵じゃないのに」 佐天「どうして使わなかったんですか?」 美琴「え? ああ……能力ね」 美琴「使う必要がなかったから、かな」 佐天「??」 美琴「犬に追いかけられたのは尻尾を踏んだ俺が悪いし」 美琴「スキルアウトだって怪我させていいわけじゃないだろ」 美琴「だから能力を使う必要がねーんだよ」 美琴(使い方は分かるけど、人に向けていい能力じゃないしな) 佐天「理屈は分かりますけど…でも御坂さんが危ない目にあったら意味ないですよ」 美琴「あはは、そうかもしんねーけどさ、もう決めちまったからな」 佐天「まったく、御坂さんは頑固だなぁ」 美琴「まあ怪我しないように気をつけるから、それで勘弁してくれ」 佐天「しょーがない。それで納得してあげます」 美琴佐天「ごちそーさま」 美琴「佐天さん、クレープの包み紙くれ。捨ててくるからさ」 佐天「お願いしまーす」ポロッ 美琴「ん? 何か落とし―ッ!?」ピタ 佐天「ああ、それですか。さっきクレープ屋で貰ったんですよ」ヒョイ 美琴「…アヒルのマスコット」ジー 佐天「ただのマスコットじゃないです。ここを押すと…」ポチットナ アヒル「おはようございます。初期設定をはじめます」 美琴「!?」 佐天「もう一回押すと」ポチ アヒル「……」シーン 佐天「たしか…AI搭載型多目的サポートツール、だったかな」 美琴「……」ジー 佐天「新商品のデータ収集のために配ってるみたいですよ」 美琴「可愛い…」 佐天「そーかなぁ。なんかムカつく顔してません?」 美琴「そんなことねえよ! 愛嬌あるじゃん!」 佐天「あたしには分かんないなあ」 美琴「こんなに可愛いのに…」 佐天「そんなに気に入ったんならあげますよ」 美琴「マジで!?」 佐天「マジです」ハイ 美琴「いいモン貰った! さんきゅーな佐天さん!」ウケトル 佐天「いえいえ。じゃあ初期設定しちゃいましょう」ペラペラ 美琴「説明書?」 佐天「そうです。なになに…まず所有者の登録…次に名前をつける…最後に…」ペラペラ 美琴(名前か、どんなのがいいかな?) 美琴(愛嬌のある顔……ん? どっかで見たことあるような…) 美琴(ムカつきはしないが、ちょっと偉そうな…) 美琴(そうだ! こいつフィアンマに似てる! よし、名前はフィアンマにしよう) 佐天「御坂さん、アヒルのお腹を押してください」 美琴「おう、ここか?」ポチットナ アヒル「おはようございます。初期設定をはじめます」 アヒル「所有者の名前を教えて下さい」 美琴「み、御坂美琴」 アヒル「御坂美琴でよろしいですか?」 美琴「はい」 アヒル「私の名前を決めてください」 美琴「お前の名前はフィアンマだ」 アヒル「フィアンマでよろしいですか?」 美琴「はい」 アヒル「最後にあなたは私にとって、どんな存在ですか?」 美琴「え?」 美琴(存在? 家族とか友達とかそういうのか?) 美琴(ん~、普通に友達でいいか) 美琴「えっと、友だ…」 青ピ「奴隷!! ボクは小萌センセの奴隷になりたいわ~」 土御門「義妹こそ至高なんだにゃー。バイトも終わったし舞夏に会いにいくかにゃー」 アヒル「初期設定を完了しました」 美琴「へ? 確認は?」 佐天「…奴隷って」ヘンタイ? アヒル「登録情報をもとに最適化します。しばらくお待ち下さい」 美琴「ま、まあ登録し直せば大丈夫だろ」 佐天「……これ一度登録したら変更できないっぽいんですけど」ペラペラ 美琴「マジ!? ど、どうすんだよ!?」アタフタ 佐天「大丈夫ですって。所詮、無料配布のおもちゃですよ?」 美琴「そうだけど……嫌な予感がする…」 アヒル「最適化を完了しました。これよりフィアンマは起動します」 美琴佐天「……」ドキドキ フィ「おい貴様、俺様が直々にサポートしてやるんだ。光栄に思え」フフン 美琴「」プルプル 佐天「…なにこれ」アゼン フィ「奴隷の分際で俺様を無視するとは、いい度胸だ」 美琴「だ、誰が奴隷なんだよ!」プンスカ フィ「貴様だ」 美琴「てめえ、おもちゃのくせに…?」オレサマ? 美琴「…お前フィアンマなのか!?」 フィ「そうだ。……なるほど、マニュアルを正しく把握してないな?」 美琴「??」 フィ「しかたない。貴様に理解できるよう説明してやる」 フィ「俺様はオリジナルのフィアンマではない」 美琴「見た目ただのアヒルだしな」 フィ「貴様の記憶を読み取り、フィアンマなる人物の人格を擬似的に再現しているだけだ」 美琴「記憶を読むって、なんだよそれ!」 フィ「読心能力の応用だ。要するに俺様は貴様がイメージするフィアンマということだ」 美琴「無駄に高性能だ…」 フィ「普通は家族、友達、恋人の名前をつけるようだが、俺様を選ぶとは」 フィ「貴様、目が高いな」 美琴「……」チラリ 佐天「あ、本当だ。それっぽいこと書いてる」ペラペラ 美琴「佐ぁぁぁぁ天さぁぁぁぁぁん!! 今頃なに言っちゃてるんですかあ!?」 佐天「…てへ♪」ペロ 美琴「可愛く誤魔化しても駄目だからね!?」 フィ「煩い黙れ。まだ説明が終わっていない」 佐天「人の話はちゃんと聞かないと」 美琴「…その通りなんだけど、納得いかねぇ」 フィ「俺様の機能については適時教えてやる。…それより」 フィ「いつまで俺様を鷲掴みにしているつもりだ。無礼だろう」 美琴「はあ?」 佐天「えーっと…御坂さん、そのアヒルを…」ペラペラ フィ「アヒルではないフィアンマだ」 佐天「はいはい、フィアンマを肩に置いてください」 美琴「肩に…うわっ、くっついた!」ピタ フィ「ふむ、これでいい」 佐天「あっはは、似合ってますよ」 美琴「…嬉しくねー」 フィ「俺様を肩に乗せられるんだ。奴隷には身に余る贅沢だろう」 美琴「奴隷じゃねーし」 美琴「くっそ、こういうのは浜面のポジションのはずなのに…」 佐天「浜面? 誰ですか?」 美琴「イギリスにいる知り合いだよ。少し前まで学園都市に住んでたけどな」 佐天「へえー、その浜面さんも奴隷扱いを?」 美琴「うん、麦野さん…まあ女王さまみたいなひとに毎日顎で使われてる」 美琴「あいつの場合は望んでそうなった、って言うと思うけどなー」 フィ「俺様も負けていられないな」 美琴「変なとこで張り合わなくていいから!」 佐天「そんなこと言って、実は満更でもないのでは~」ニヤニヤ 美琴「んなわけあるか!……もうつっこみ疲れたんですけど」グッタリ 佐天「午前中から弄られっぱなしですもんね」 美琴「…俺は先輩なんだぞ…偉いんだぞ」 佐天「全然先輩って感じしませんけど、親しみやすくていいと思うな」 美琴「そ、そうか?」 佐天「はい。だから安心して弄られてください」 美琴「…え?」 佐天「日も落ちてきたんで帰りますね。御坂さんの写真、初春たちに送らなきゃ♪」スタコラサッサ 美琴「……フィアンマさん」 美琴「後輩たちが俺をいじめて遊ぶんですが、どうすればいいですか?」 フィ「ドMになればいいだろう」 美琴「変態は嫌だ! まじめに答えろよ!」 フィ「割とまじめなんだが? 受け入れれば楽になれる」 美琴「受け入れたくねー。…アイツに相談するか」 美琴「もう日も暮れたし帰ろう」トコトコ 第七学区 常盤台学生寮への帰り道―― 美琴「さみー。コートが破けてるせいで風を防げねえ」ブルブル フィ「情けない声をだすな。俺様は裸だというのに」 美琴「お前寒さとか感じねーだろうが」 フィ「感じるぞ」 美琴「はあ?」 フィ「俺様には各種センサーが搭載されているからな」 フィ「寒さも暑さもわかる」 美琴「どんだけハイスペックだよ…誰が造ったんだ?」 フィ「知らんな。そんなことより貴様、尾行されているぞ」 美琴「へ?」 フィ「後方十メートル、小柄で髪の短い女だ」 美琴「なんで尾行されてるって分かるんだよ!?」 フィ「公園にいた時から貴様の半径十メートル以内から離れない」 フィ「気づけ馬鹿が」 美琴「馬鹿って言うほうが馬鹿なんですぅ…あれか」チラ ??「……」 美琴「…お前、レーダーついてる?」 フィ「ここは撒くよりも接触したほうがいいだろう」 美琴「てめえもスルーしやがりますか」 美琴「つーか尾行される心当たりなんて……結構あるな」 美琴「用心してかかるか…」ゴクリ フィ「不意打ちを仕掛けて確実に仕留めろ」 美琴「なに物騒なこと言ってんだよ!?」 フィ「ではどうする?」 美琴「……普通に話しかける」 フィ「考えなしか。無能め」 美琴「無能!? …もういい。お前は喋るな。絶対だぞ」 フィ「分かった」 美琴「おい、ちょっといいか?」 ??「私ですか?」 美琴「単刀直入に言うが、何で俺をつけた?」 ??「えっと、勘違いじゃないですか」 美琴「公園にいた時から監視されてたのは知ってんだよ」 ??「意味がわからないんですけど…」 美琴「惚けても無駄だ。ネタはあがって…」キリッ フィ「俺様が教えてやらねば尾行されていた事すら気づかなかったくせに偉そうにするな」 美琴「おまっ、ばらすなよ! あと喋んなって言ったよね!?」アタフタ ??「……」ポカーン フィ「貴様が俺様の功績を横取りするからだ」 美琴「そんなつもりねーよ!」 フィ「どうだろうな」 美琴「なんてムカつく野郎だ。佐天さんの言う通りだったぜ」 ??「……」ポカーン 美琴「見ろ! お前のせいで呆れられてるぞ」 フィ「どうだろうな」 美琴「…この野郎」 ??「あ、あの…」オズオズ 美琴「ん? ああ、ごめん。こっちが話しかけたのに無視しちまってさ」 ??「…そんなことより、あなた…超電磁砲ですよね?」 美琴「あ、ああ」 ??「聞いてた話と全然違います…」 美琴「何か言った?」 ??「いえ、なにも」 美琴「まあ尾行うんぬんは置いといて、何かあるなら手貸すけど?」 ??「……え?」 美琴「お前、何か困ってる事あるんだろ? 経験則から御坂さんはお見通しですのことよ」 ??「はぁ…」ヤレヤレ 美琴「えっ? もしかしなくても勘違い!?」ハズイ ??「いいえ、超電磁砲が超お人好しだと分かって安心しただけです」ニコ 美琴「そんな、それほどでも…」テレテレ フィ「馬鹿にされているんだがな。残念な奴だ」 ??「早速ですけど、超電磁砲に教えて欲しいことがあるんです」 美琴「いいけど、話は寮で聞いてもいいか? マジで寒くなってきたし」ブルブル ??「私は構いませんけど…」 フィ「危機管理って知ってるか?」 美琴「知らねーよ。さっさと帰るぞ」 常盤台学生寮 自室―― 美琴「あったけー、常時空調がきいてるとか最高じゃないかー」 フィ「気を抜きすぎだ」 美琴「はいはいわかりましたよっと。んじゃ自己紹介すっか。俺は御坂美琴、お前は?」 ??「私は絹旗最愛、絹旗でいいです」 美琴「よろしくな絹旗。あとこれはフィアンマっつームカつくアヒルだ」 絹旗「…アヒルのマスコット? さっきから超喋ってますけど」 フィ「俺様は超高性能だからな。あとアヒルじゃないフィアンマだ。訂正しろ小学生」 絹旗「なっ!? 超失礼ですねこのアヒル! 私は中学生です!」ムカッ フィ「どちらにせよお前がちんちくりんな事に変わり無いだろう」フフン 絹旗「…真剣にムカつきました。御坂、これぶっ壊してもいいですか?」 美琴「喧嘩すんな。はら絹旗、話を聞かせてくれ」ヤレヤレ 絹旗「そうでした。…御坂は上条当麻さんと親しいんですか?」 美琴「は?」 美琴(何で俺の名前が出てくるんだ!? 絹旗とは初対面のはず……絹旗? そーいやどっかで…)ウーン 絹旗「御坂、どうかしました?」 美琴「なんでもない、と、当麻ね。うん、友達だけど…それで?」 絹旗「私に上条さんを紹介してほしいんです」 美琴「はぁ?」イラッ 絹旗「み、御坂? どうしたんですか」ビクッ 美琴「あ……ごめん」 美琴(俺、何でこんなにイラついてんだ?)イライラ 美琴「紹介するのは構わないけど、今は無理」 絹旗「何でですか?」 美琴「海外に行ってんのよ。その内帰ってくるけどさ」 絹旗「そうですか……」 美琴「…当麻に会ってどうするの?」イライラ 絹旗「相談したいことがあるんです」ン? 美琴「…私も相談に乗るくらいできると思うけど」イライラ 絹旗「上条さんじゃないと駄目なんですよ」キッパリ 美琴「…ッ!?」ズキッ 絹旗「…なるほど」ピーン 美琴(なんだよ…なんなんだよ。助けが必要なら誰にだって手を貸してきたじゃねえか…)ズキズキ 美琴(なのに、なんで……)ズキズキ 絹旗「……御坂には全部話しちゃいますけど、私には会いたい人達……いえ、友達がいるんです」 絹旗「ずっと探してようやく上条さんに、その友達と接点があるって分かったんですよ」 美琴「…え?」 絹旗「だから私は上条さんに渡りをつけてほしいだけです。……御坂が超心配するようなことはありませんから」ニコ 美琴「し、しし心配!? なにが!?」アタフタ 絹旗「御坂は上条さんのことが超好きってことです」シレ 美琴「好きって、あの、その……うん///」テレテレ 絹旗「御坂の反応が超乙女です。…同じ超能力者でも麦野とはえらい違いですね」 美琴「乙女とかいうなぁ/// ……むぎの?」 絹旗「はい、御坂は戦ったことがあるはずです」 絹旗「第四位、原子崩しの麦野沈利、容赦のない鬼ババアです……リーダーのくせに」ウツムク 美琴「ババアって……」 絹旗「あんなヒステリックで超後先考えない女、ババアで十分です」ドンヨリ 美琴「そーかなぁ、結構優しいと思うけど……あー、浜面には容赦ないわね、うん」 絹旗「!!?? 浜面を知ってるんですか!?」 美琴「知ってるけど…ああそっか」ピコーン 絹旗「何ですか!? どんなことでもいいから教えてください!」コーフン 絹旗「お願いします! 浜面たちを探してるんです!!」 美琴「落ち着いて。浜面と滝壺、それに麦野さんはイギリスにいるわ」 絹旗「イギリス…そんな、遠すぎます…」ガクリ 美琴「絹旗の名前に聞き覚えがあるわけよ。麦野さんが絹旗のこと心配してたからね」 絹旗「え……麦野が?」 美琴「一人だけ学園都市の糞溜めに置き去りにしてしまった。何とかこっちに連れて来れないか、とか」 美琴「謝りたい、とかね」 絹旗「う、嘘です! 麦野に限って……そんなことあるはず…ないです」 美琴「嘘じゃないわ。浜面と滝壺も心配してたけど、麦野さんが一番絹旗のこと気にかけてたもの」 美琴「妹を心配するお姉さんって感じだったわ」 絹旗「……フレンダが、死んで…浜面が裏切って…麦野は、アイテムを、捨てた…はず、なのに」グス 絹旗「もう…私の居場所なんて、ないって…死ぬまで一人だって、我慢…してたのにッ」 絹旗「そんな…私のこと、気にかけて、くれっ、て、た…」ヒックヒック 絹旗「…会い、たい。会いたいよぅ、むぎのぉ…」ポロポロ 美琴「大丈夫だから。絶対会わせてあげるから」ギュッ 絹旗「本当…ですか?」 美琴「ええ、御坂さんにまかせなさい! コネだけは充実してるんだから」ニコ 絹旗「うぐっ、うぅ…」 美琴「だから、もう悲しいこと我慢しなくていいから…」ナデナデ 絹旗「…二回もっ、置き去りになるっ、の、いやだっ」ヒックヒック 絹旗「ひとり、ぼっちはッ、嫌、です…うぁぁぁぁぁあああ」ポロポロ 美琴「……」ナデナデ 絹旗「……」スースー 美琴「泣き疲れて寝ちゃった…」 フィ「張り詰めていたものが切れたんだろうな」 美琴「…ったく、本当に救いようがないわね、学園都市は」 フィ「思いもよらぬ展開になったな」 美琴「そうね。でも決めたから」 美琴「絶対に絹旗をイギリスまで、麦野さんたちの所へ連れていってみせる」 フィ「……」 美琴「まずは当麻と話さないとね」 フィ「……」 美琴「それから…? どうかした?」 フィ「俺様は貴様の思考、記憶、イメージを基に構築された人格だ」 美琴「??」 フィ「だから貴様の精神が上条当麻だと知っている」 美琴「読心能力を応用してるんでしょ。なら知ってて当然だけど…」 フィ「自身の変化に気づかないのか?」 美琴「ん? なんか変わったかしら…?」 フィ「……口調だ」 美琴「…!!??」 美琴「わたッ…俺は、いつから…?」 フィ「そこで寝ている小学生が上条当麻に会いたいと貴様に頼んだときからだ」 美琴「…よく覚えてる。滅茶苦茶イラついてたんだ」 美琴「当麻と絹旗が仲良くしてるとこを想像して、それで…」 フィ「深く考えるな。今の上条当麻にとって御坂美琴の想いは猛毒だ」 美琴「どういうことだよ」イラッ フィ「貴様が上条当麻のことを想う度に、貴様本来の人格は侵食されていく」 フィ「女に嫉妬したりすると爆発的に侵食が進むんだ」 美琴「侵食ってなんだよ。このままだと、どうなっちまうんだ」 フィ「どうもならんさ。ただ…」 美琴「…ただ?」 フィ「現状を受け入れてしまうだけだ」 フィ「そうなれば貴様が上条当麻に戻ることは不可能になるだろう」 美琴「そんな…完全に御坂になっちまうのか?」 フィ「そうじゃない。似て非なるものだ」 フィ「上条当麻と御坂美琴、それぞれが理想とする相手になると推察できる」 美琴「…つまり俺は、俺にとって理想の御坂美琴になるのか?」 フィ「そうだ」 美琴「冗談じゃねえ! 俺は上条当麻だ。絶対もとに戻ってやる!」 フィ「強く自己を意識できるうちは大丈夫だろう」 フィ「バイタルもメンタルもモニターしているからな。異常を検知したら教えてやる」 美琴「…マジで万能だな」 美琴「そうだ! アイツにも教えてやんねーと…」pipi 美琴「……だめだ、でねえ」オカケニナッタデンワハ… フィ「イギリスとの時差は約九時間だ。明日の早朝にするほうがいい」 美琴「そうだな。ちーっとばっか早いけど寝るか……って!?」 絹旗「……」スヤスヤ 美琴「俺のベッド…絹旗が寝てるんだった」 フィ「広いベッドだ。二人で寝ても十分じゃないか」 美琴「…そうだ、今の俺は人畜無害な御坂さんだ。女の子と一緒に寝てもなんともないぜ」ゴソゴソ フィ「俺様もシャットダウンするか…電池は大切にしないとな」 美琴「え!? お前電池で動いてたの!?」 フィ「……」シーン 美琴「無視か……ムカつくけど、お前がいてくれて助かったよ。さんきゅーな、フィアンマ」 美琴「明日は忙しくなりそうだな。……おやすみ」スヤスヤ next