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ジョーラとは ドンキホーテファミリーの一員でトレーボル軍に属す。 アトアトの実の芸術(アート)人間
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トリステインの外交の間に、あわてた青年の声がむなしく響く。 「よ、よって、わが国は、かっ開戦いたします。その、トリステイン王国に……」 蒼白な顔で、開戦通告書なる文書を読みあげるその青年に対し、マザリーニは比較 的開戦の事実を冷静に受け止めることができた。 『メルカトール』からの伝書鳩による定期通信がない事。 それと、この非公式の大使の狼狽振り。 何かトラブルがあったことは容易に想像できる。 しかし、とマザリーニは考える。 まさか、開戦とは。 くそっ。 彼は聖職にあるまじき暴言を内心毒づいた。 このタイミングでの開戦では、トリステインの防衛は危うい。 考えられることは二つ。 ひとつは、アルビオンのやつらが確信的に戦争を仕掛けてきている事。 もうひとつは、あのラ・ラメーが、本当に『レキシントン』に向かって実弾をぶっ 放したことだ。 幸いながら、あの小僧はアルビオン貴族派を毛嫌いしていた。 その可能性は、ごくごくわずかながら、ありうる。 だが、それは希望的観測に過ぎない。 第一、それにしてはアルビオン艦隊の手際が良すぎる。 ならば。 と、マザリーニは、ここで、トリステインが最悪の事態に陥った事を自覚した。 とまれ、できる限りの手を打つべきだ。 最悪の場合。 つまり、アルビオンがトリステインの征服を望んでいる場合。 彼らの意図をくじかなくてはなるまい。 それには戦力を至急集めなくてはなるまい。 もし緒戦で、彼らの戦いの意思をくじくことができたのならば。 彼らに、『引く』ための大義名分はそろっている。 ひょっとしたら、『双方の誤解』ということで、やつらは侵攻は諦めるかもしれん。 だが、とマザリーニは藁にもすがる心地で思う。 もし、このたびの事件が偶発的なものであるのであれば。 ラ・ラメーの馬鹿が独走した、という筋書きで、彼にすべての責任をとらせる方向 で調整を進めねばなるまい。 そのためには、アルビオン帝国の、親トリステイン派の貴族に早急に渡りをつけね ばなるまい。 そこまで考え、マザリーニは愕然とした。 親トリステイン派の貴族は、すべて処刑されてしまっていることに。 生きていたとしても、王党派として、トリステイン国内に亡命している。 ここに至って、マザリーニはようやく確信した。 これは明らかに、計画的な侵略だ! マザリーニは、使者の話を聞いてからここまでの結論に至るまでわずか十秒の沈黙 しか必要としなかった。 「大使殿」 今にも卒倒しそうなアルビオンの青年に話しかける。 「こちらとしても、貴国との交戦は本位ではない。どうにかして本国に、そう伝え てはもらえないだろうか?」 はい、と大きくうなずく青年をみつつ、マザリーニは絶望感を濃くしていた。 おそらく、この青年は『侵攻計画』を知らされていないのだろう。 アレだけ取り乱しているのだから。 ならば、彼の手で和平が結ばれる可能性は極めて低い。 で、あるならばと、近くに控えた近習に言い渡した。 「念のため、ゲルマニアに援軍の要請を」 念のため、といったのは、アルビオンの青年がいる手前である。 本音は、是非にでもほしい援軍であった。 マザリーニのこの思いは、近習に正しく伝わった。 「わかりました。至急、最も早い竜に使わせます」 よし、とうなずいた彼は、使者を帰らせるとともに、アンリエッタ王女に諸侯を招 集する許可をもらうべく、彼女の私室へと駆けはじめた。 畜生。こんなことなら、もっと痩せておくべきだった。 彼は域も絶え絶えになりながらも、自分の体形について、そんなことを考えていた。 アルビオンの大使が開戦を布告してから、約一日。 トリステイン王国は、ようやく諸侯を集めての会議をはじめていた。 だが、一行に結論は出ない。 アルビオンの意図が、明白な侵略なのか、自衛のための威嚇攻撃なのか。 貴族たちの意見は真っ二つに割れていた。 マザリーニからすれば、アルビオンが侵略を主目的にしていることは明白なのだ。 だが、彼がそういったところで、貴族たちは誰も信じないだろう。 半分平民の血が混じっているということは、ここトリステインでは、貴族の信頼を 得にくい。 トリステインの伝統の弊害が、このような形でも生じていた。 貴族たちの会議は踊る。 それは、ゲルマニアからの援軍が三週間後になる、との報告が入ってから激しくな った。 それまでは、明白な侵略と主張していた派閥がやや優勢だったのだが、その報を聞 いて以来、アルビオン融和派と自称する一派が勢いづいたのだ。 人間は本来弱い。 トリステインが、現在単独で集めることのできる兵力では、アルビオンの派遣して くる戦列艦に対抗できる見込みはない。 であるならば、彼らは、勝ち目のない戦をするよりは、わずかな希望にすがって戦 争を回避しようとしているのだ。 たとえそれが、国土を一部喪失することになろうとも。 会議が『アルビオン融和派』に有利な雰囲気になり始めたとき、その伝令はやって きた。 その男は域も絶え絶えに、マザリーニの元に歩み寄り、かすれた大声で、そのこと を伝えた。 「アルビオン軍、タルブ村近くの平原に降下、タルブ村を制圧しました」 それを聞いた貴族たちが色めき立つ。 「やはりあやつらはトリステインを蹂躙するつもりだ!」 「いやいや、制圧したのが戦略的価値のあるラ・ロシェールではなく、片田舎のタ ルブ村であるあたり、やはり、アルビオンには侵略の意図はないのでは?」 「マザリーニ」 はっ。貴族たちの喧騒を尻目に、マザリーニ枢機卿は王女の前に進み出た。 「威力偵察の可能性はありますか?」 要するに、『彼らは本気か?』と、我等の王女陛下は御下問奉られたのだ。 「おそらく違うでしょう。きゃつらはこの度の攻撃でわが国土に橋頭堡を気づくつ もりですな」 マザリーニは貴族たちに聞こえぬように、声を低くして返答した。 王女は固い表情のままそれを受けた。わかりました、と。 「ノーブレス・オブリージュ」 凛とした声が堂内を駆け巡った。声の響きは『貴族の義務』を意味する。 同時に、静寂が辺りを包む。 アンリエッタその人の声である。 「わたくしたちが、わたくしたちである理由。これについて、何か反論があるもの はおりませぬか?」 言えるはずもなかった――我々は民を守るためにある。 彼ら、ハルケギニアの貴族たちは、平時においても、何代にも渡ってこの御旗の元 に平民から税を搾り取り、贅沢の限りを尽くしてきたのだ。 しかれども、並み居る貴族たちの反応はない。 否、反応できなかった。 「ならば、私たちは言葉ではなく態度でそれを口にしなければなりません。 タルブの村人に対しても。無論それは私とて例外ではない。マザリーニ、準備を」 そういいすて、彼女は平然と玉座の間から退室していく。 「姫様! 婚前のお体に触ります!」 マザリーニ枢機卿の絶叫が響き渡ったが、王女は気にすることもなく、歩きをやめ ない。 「ゲルマニアの帝は、国土を失った王女とも婚姻をするほど寛容なのでしょうや?」 否応もなかった。 「落ち着きなさい。日食になれば『手』はあります」 彼女には『手』があった。 文字通り、有力な『手』が。 だが、それにもかかわらず、彼女の内心は揺れていた。 あるいは、この場で一番落ち着いていなかったのが彼女であるかもしれなかった。 アンリエッタは自分に言い聞かせるように、自分の圧に続く貴族共に言い放つ。 「落ち着くのです。そうすれば、始祖ブリミルの加護がありましょうや」 そして、心の中で付け加える。 ルイズ、そしてルイズの使い魔たち。 どうか、私の心の支えになってくださいまし。 この、トリステイン一番の危機の中。 王女の脳裏に浮かんだものは、始祖でもなく、皇后である母でもなく。 たったひとりの友人と、ただの奇妙な平民たちであった。 ラロシェールについたアンリエッタは、早速、ユグドシラルの船着場で、トリステ イン艦隊の本国艦隊残余と合流し、集まった将軍たちと会議を持った。 「マザリーニ、状況を」 「は、敵はすでにタルブの村を占拠。村の領主であるアストン伯はすでに戦死した模様」 マザリーにはすでに、アルビオン軍に対し、『敵軍』の呼称を用いていた。 ことここにいたって、和平の道は破られた。完全に。 ならば。そうであるならば。 「はい、タルブ村に落着した部隊は、まもなく敵本国の補給を必要とします」 斥候の働きにより、地上に降りたアルビオン軍は、三千と判明している。 それほどまでの口を養うには、タルブ村はあまりにも小さすぎた。 「ですから、我々は、アルビオン大陸とトリステイン大陸をつなぐ玄関口である、 ラ・ロシェールに陣を置き、敵先遣隊の補給を断つと同時に、敵本国からの増援 を警戒すべきと進言いたします」 「タルブの村の人々を救わないのですか?!」 そう叫ぶアンリエッタにたいし、あくまでマザリーには弁解するように応じた。 「ですが、今から向かったとて、タルブの村に着く前に彼らの軍勢と鉢合わせにな ると存じ上げます」 王女の放った斥候の情報では、彼らの背後に大掛かりな補給線は見当たらなかった。 ならば、早晩移動を始めなければ、アルビオンの先遣部隊の作戦能力は失われてし まう。徴発とは、同じ村に何度やっても、最初のときにしか食料は出ないのです。 マザリーニは王女にそう説明した。 「ですから、彼らは自らの食い扶持を求め、遠からずラ・ロシェールの町を襲うで しょう。ならばここにとどまり、防備を入念に施し、敵の襲撃を撃退すべきです」 「彼らが徴発を行うためにほかの町を襲うというの?」 「はい。傭兵というものはそういったものです。まともな将軍ならば、兵をそのよ うに動かすべきです」 「それは傭兵の論理でしょう。わたくしたちは、貴族らしく、そうあるべき道のも とで戦います」 アンリエッタのその一言で、将軍たちは、タルブ村への進軍を決定した。 マザリーニはこの時期、少しだけ、自分がトリステイン王国に肩入れしすぎたこと を後悔していた。 そうあれかし、など叫んでいれば解決する、というのは僧職の世界の出来事であって 国を、国民を守る騎士が言ってよい台詞ではない。 貴族にとって、自らは盾、国の剣であるべきだった。 そうあるべき姿を己の脳裏に刻み、喜び勇んで戦場にはせ参じる。 しかし、小国とはいえ、さすがは始祖が創りし国。 『勇魔』の伝統は、騎士の伝統は、なおもトリステイン貴族の心の内に灯っていた。 あの会議から一日半。ラ・ロシェール近郊に陣を構えたトリステイン軍は、急増な がらも、兵力二千を数えることができていた。 そのうち、平民などの傭兵は皆無。 ほぼすべてがメイジであった。 だが、それは、トリステイン王国の主だったメイジすべてをかき集めたことを意味した。 すなわち。 この戦で負けることがあろうものなら。 戦死したり。捕虜に取られたりしようものなら。 たとえ大量に傭兵を雇いいれても、下士官となるべきメイジがいなくなる。 トリステインの継戦能力は皆無になる。 この陣容での敗戦は、即トリステイン王国の滅亡となる。 マザリーニは、心のそこから始祖ブリミルの加護を祈った。 まったくの政治的打算の心なしで祈るのは、彼がこの世に生まれ落ちて初めてのことであった。 「できたぞ!」 「できましたぞ!」 ブチャラティはこの日、朝っぱらから大人二人に起こされた。 「いったいどうしたんだ。俺の部屋まで来て」 「『がそりん』ができたのです!!!」 「ああ、硫黄と窒素成分がちと大きめそうなのが気になるが、まあ、アレは何とか 飛べるだろう」 「アレ?」 「おいおい、忘れてもらっちゃ困るよ君!『零戦』だよ!」 「ああ、そうか」 ブチャラティは寝起きの頭を振りながら立ち上がり、部屋にある窓から中庭を見下 ろした。 そこには、シエスタの『竜の羽衣』零戦があった。 「みてくれ、これが僕たちが開発した精油樽だ!」 「これで、あの竜の血が継続的に生産できるのです! オロロ~ン!!」 コルベールが感極まったように泣き始めた。 窓にかかった、白いカーテンをハンカチ代わりにして涙を拭いている。 露伴は露伴で、ブチゃラティの都合も聞かず、彼を外へと連れ出すのであった。 ブチャラティは部屋着のまま、中庭にあるコルベールの特設施設につれまわされた。 「俺にはなにがなんだかさっぱりだな……」 その施設は、中庭の一角を完全に占領していた。 建材が赤レンガのあたり、コルベールは半永久的に実験を行うつもりらしい。 一行はその建物にすえつけられた鉄製の扉をくぐり、中に入った。 ムワッとした熱が彼らを襲う。 部屋は、蒸気を伴った熱気に包まれていた。 「じゃあ説明するぞ。まず、あそこにあるレンガの反射炉で、薪を燃やす」 露伴が入り口に一番近い設備を指差し、言った。 ブチャラティは、近くに詰まれていた薪を触り、 「ちょっとまて、露伴。この薪、ちょっと湿ってないか……」 驚いた。 だが、コルベールたち二人は動じた様子を見せない。 「そう。ここはあえて不完全燃焼を行うんだ。で、次は君だ。コルベール」 「ええ。私が開発した『錬金』の魔法で、石炭を気化させるんです!!!」 コルベールは自信たっぷりの様子だ。 しらけたようすのブチャラティとは大違い。 「……で?」 「ああ、ミスタ・ブチャラティ。あなたが感動するのはこの話の後ですな。それで、 気体となった『石炭』と、薪が燃えた『蒸気』、そして不完全に燃焼した場合にの み発生する『特殊な燃素』を、次の『鉄製のタンク』で混ぜ合わせるんです!」 コルベールは、炉と連結された、巨大な鉄のタンクを指差した。 そのタンクからは何本か管が通っていて、そのうちの一本が外に出ている。 コルベールによると、外では冷たい流水が管を洗い流し、中身を冷やしているとの事。 ブチャラティは、それよりも、『鉄製』のタンクが気になった。 「このタンク、『赤い』ぞ……」 「ああ。熱した鉄だからな。これも『固定化』の魔法のなせるワザだな」 露伴が平然と答える。 「それでですな、ブチャラティさん!! この後ちょっとしたコツがありましてですね……」 自分の世界に入ってしまったコルベール。 とりあえず、彼を無視することにしたブチャラティは、話が通じそうな露伴に、本題 を聞くことにした。 「で、露伴。この装置でガソリンは作れたのか?」 「ああ。かなり高純度のやつが作れたぞ。しかも、量産が可能ときた。この程度の大 きさの装置じゃあタカが知れているが。大規模にやったらものすごいな」 「この大きさで『この程度』なのか……」 「そうだよ? この露伴とコルベールのコンビをなめてもらっちゃあ困る」 「その意気ですぞ、ミスタ露伴。このまま、『竜の血』が量産される暁には、平民も 簡単に暖が取れる時代に! おおお! わが学院工房の技術は世界一ィィィィイィ!!!」 「しかし……こんな施設、よくも学院長が許可したもんだ」 「それは、ア・タ・シのおかげよ」 部屋の外から明るい女性の声がした。 ブチャラティはその方向を垣間見る。だが、屋外の人影は朝の日光にさえぎられ、 よく見えない。 だが、ブチャラティはその声に聞き覚えがあった。 キュルケだ。 「ミス・ツェルプストー。あなたも御覧になりますか?」 コルベールが自分の世界から帰ってきたようだ。 「いえ、別にあまり興味はないけれど。あの可愛いシエスタの頼みだし、とくに言 うこともないかと思ってたけど、まず完成したのなら、協力者の私にも声をかけ るべきじゃないかしら?」 「おお、そうですな。うっかりしてましたぞ。まことに申し訳ない」 「キュルケ、君も協力したのか?」 そのブチャラティの疑問は、露伴が晴らした。 「ああ、彼女は、オスマンと交渉して、ツェルプストー家の『家宝』と引き換えに この施設の建設を許してもらったのさ」 さらりと重要なことを言う露伴に、ブチャラティは目をむいた。 「おい、キュルケ。家宝なんて、そんな大事なもの。間単に放り出してしまってよ かったのか?」 「ええ、私にとってはそんなにたいした物には見えなかったし。露伴によると、実 際たいしたものではないみたいね」 キュルケはそういって、鮮やかな笑顔を浮かべながら施設の中に入ってきた。 「それにね。私、シエスタのこと、なぜだか気になるの」 「タバサのことが気になるのとはまったく違うけど。あの子、タバサは、取っ付き 難くて人を寄せ付けない、心を要塞のようにしてしまっている。シエスタは、あ まりにも他人を信用しすぎてバカを見るタイプね。ウフフ、私ったら、結構なお せっかいさんね。ゲルマニアの学院にいたころは、ううん、この学院に入って来 たころは、私はものすごい我侭娘だったのにね」 しかし、熱いわね、とこぼすキュルケは、ブラウスの第二ボタンを外し始めた。 胸の上部があらわになる。 コルベールの顔が赤いのは、この施設内の熱気のせいではないだろう。 「キュルケ、私の使い魔達に何をしているの!」 ようやく零戦に燃料を入れ終わったとき、ルイズがやってきた。 後ろにはなぜかタバサもいる。 「やれやれ、うるさいガキがお出ましだ」 「聞こえたわよ! ロハン! あんた、私の使い魔の癖に!」 「まあ、落ちつけルイズ。露伴のあの性格は今に始まったことじゃない」 「ブチャラティもブチャラティよ! 私に内緒でこんなことまで来て…… 私に一言、言ってくれてもいいじゃない」 「ああ、そいつはすまなかったな」 ブチャラティはそういって、ルイズの頭をなでた。 「ちょ、ちょと…………こ、子供扱いしないでよね!」 「別にそういうつもりじゃないんだが……」 「あらあら、ルイズったら、ダーリンと見せ付けてくれちゃって」 「そ、そんなんじゃないったら! キュルケのバカぁ!」 そのような喧騒を完全に無視し、タバサは露伴に歩み寄った。 「こんにちは」 「ああ、こんにちは……って、もう昼か。ずいぶん給油に時間がかかってしまったな」 「飛べるようになった? メイドのこれ」 「ああ、もう飛べるぞ。君の風竜よりも早く飛べるな。もっとも、これを操縦できる のはブチャラティかシエスタくらいだが」 タバサはしばらく考え込んだ後、小さく首をかしげ、その後、露伴を見上げた。 「あなた。私と一緒に風竜にのるのと、メイドと一緒にこの竜にのるの。どっちがすき?」 「どっちっていわれてもな……」 タバサは諦めない。顔を、露伴にますます近づけた。 「どっち?」 露伴に詰め寄るタバサ。 だが、彼女の望む露伴の回答は得られなかった。 なぜなら、その場にシエスタがかけて来たからだ。 「露伴さん!零戦飛べますか?!」 シエスタが、息せき切ってかけてきているのは誰の目にも明らかだ。 「それが必要なんです! アルビオンが私の村に攻め込んだんです!」 「なんですと!」 「それで、この零戦で、私の村を、家族を守りたいんです!」 「な、だめです。そんなこと。いくらなんでも」 反対するのはコルベールただ一人。 彼は完全に浮き足立っている。 その彼に、使い魔の二人が険しい顔で話しかけた。 「いいじゃないか、コルベール。彼女には『技術』がある」 「それに、俺も同行しよう。コルベール、それで異存はないな?」 「良いんですか?ブチャラティさん」 「ああ。幸い、この飛行機は復座式だからな。操縦はシエスタがやるのか?」 「だめです! 戦場なんですよ!」 「だがな、コルベール。君も歴史を知る教育者なら知っているだろう? 徴発を受 けた村人がどんな目にあうのか。彼女は自分の村を、家族を守ろうとしている。 彼女には戦う理由がある」 「……わかりました。ですが、ですが!必ず生きて帰ってきてください!」 「わかった。できるだけ努力しよう」 コルベールの魔法の下、機体に向かい風が吹き付けられる。 「ブチャラティ。こいつを持っていきな」 露伴が手渡すのは、デルフリンガー。 「ありがとうよ、露伴。俺がもしものときは、ルイズを頼む」 「わかった」 ゼロ戦の定速プロペラが回り始める。 「タバサさん……露伴さんを頼みます……」 そういいながら、シエスタはブチャラティとともに、飛び立っていった。 タバサは一瞬だけ、呆然とした。 ――なんてやつ。このままだと、私が勝ち逃げしたみたい。 タバサははじかれたように、自分の竜を呼び出した。 「どうした、タバサ?」 「追いかける」 「私も同行しましょう」とコルベール。 「ところで、ルイズはどこに行った?」 「まさか、ゼロ戦にのりこんだんじゃあ……」 「と、するなら。ルイズを負かされた僕も、タバサの竜に乗り込まなくてはいけな いんじゃないか?」 キュルケと露伴は、参ったという風に空を仰ぎ見る。 そこには、昼過ぎの日光に照らされ、西の空へと駆け去っていく鉄の竜の姿があった。
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食事は脂っこいものが多々あったのでそれらを避けるようにして食べた。 どうも脂っこいのは苦手だ。 苦いサラダを食べたりパンを食べたりシチューを飲んだりとそこらへんの食べ物に集中する。 そして食べ終わった。 そしてみんなが食事を終え、各自が部屋に戻るときなってようやくマリコルヌが帰ってきた。 物凄い汗だくだ。息も荒い。まあここからだとデルフのある場所は結構遠いからな。 しかしそうは言ってもこれほどに疲れるということは無いだろう。 そうか。こいつ太ってるからか。それにあまり体を動かさないのだろう。食ってばかりで動かないから太るという典型的なタイプだとみた。 「こ、これハァハァだよハァハァね?」 「ああこれだ」 間違いなくデルフだった。ここでは抜かないが。 「早く帰るわよ」 「今行く」 少し先に行っていたルイズに答え私は歩き出した。 「あれ?僕のご飯は?なんでもうないんだ?」 「どこ行ってたんだマリコルヌ。もうみんな食い終わったぞ?」 「そんなああああああああああ!」 後ろでそんな会話が聞こえて来たが無視した。 そしてルイズの部屋へと帰っていった。 別に部屋の中に何かあるわけでもない。夕食までとてつもなく暇だ。 いい機会だ。デルフでも振ってくるとするか。だれも外に出ないしな。 椅子から立ち上がりデルフを手に取る。 そしてドアを開ける。 「どこ行くの?」 するとベッドに突っ伏していたルイズが顔を上げ聞いてくる。 「剣の鍛錬だ。眠っている間に腕が鈍っているかもしれない」 「部屋から出たらいけないのよ」 「平民や使い魔はそんなことを言われてない。それとも私が弱くなってもいいっていうのか?お前の護衛が弱くなるんだぞ?」 「わ、わかったわよ!勝手に行ってくればいいでしょ!」 ルイズを言いくるめなんざちょろいもんだ。私に口で勝てれると思ったのだろうか? そんなことを思いながら外へ向かっていった。 普段から剣を振っている場所にたどり着く。 いつものこの時間帯なら人はそれなりにいる。しかし早朝や晩はいない。そしてこの日は部屋に居るはずだから誰も来るはずがない。 デルフを抜く。 「もう無責任なことは言いません。ごめんなさい」 抜いた瞬間デルフが物凄い速さで謝ってきた。 「あ、ああ。それでいいんだ」 下手に慰めると調子に乗るからな。こっちも心配したけど。 もはや当然のようにそれを表には出さない。 「お、練習すんのか」 「腕が鈍ってるといけないからな」 「相棒はド素人だからそんなもん気にしなくてもいいじゃねえか」 「最近少しは様になってきたと思っていたけどな」 「あの程度じゃまだまだ素人だぜ」 「そうか」 デルフとの会話を楽しみながら、上の服を脱ぎ帽子と手袋をとる。 そしてデルフを振りはじめた。 いつもと同じように勢いを殺さず速く鋭く力強くを心がけて振るう。 どうせだから夕食まで続けよう。そう思ったのが間違いだった。 デルフを抜き身のままもちルイズの部屋に戻る。服はもう着てある。 「ちょ、ちょっとどうしたのよ!?」 デルフを鞘に収めると同時に体中の疲労が一気に襲ってきた。 調子に乗りすぎた。前にもこんなことがあったが前回の比じゃない。デルフの調子のいい言葉に乗せられてやりまくってしまった。 ガンダールヴの効果が発動しているときにクタクタになるまでやるなんてバカな真似はもうしない。 夕食も口に入らん。毛布の上に寝転ぶ。 「ねえ!どうしたのよ!?」 ルイズが倒れた私をゆすってくる。 「練習のし過ぎで疲れたんだ。寝かせてくれ。食事はいらない」 「そ、そうなの」 ルイズが納得した様子で相槌をうった。 「ねえヨシカゲ」 しかしルイズはなにか話しかけてくる。 寝かせてくれって言っただろう。本当に邪魔な奴だな…… 「いつまでも、床ってのはあんまりよね。だから、その」 いい加減だまれ。 「ベッドで寝てもいいわ」 だから黙れって……え? ベッドで寝てもいい?だれが言った?ルイズだ。 誰に言った?私にだ。 あやしい。本気で怪しい。でもそう思うのも疲れたな。ベッドで寝ていいなら寝かせてもらおう。 私は考えることを放棄してルイズのベッドにたどりつく。そしてそのまま眠りについた。
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反省する使い魔! 第十一話「アヌビス◇ビート」 時は既に夕方。夕日で照らされた城下町。 多くの人々がにぎわうなか、 夕日のように赤い綺麗な髪をしたキュルケと 赤とはまた対称的な青い髪をしたタバサが 城下町を歩いていた。いや、探索していた言ったほうが この場合は正しいのかもしれない。 「………いないわ、どこに行ったのかしら」 「……………あの二人が乗ってきた馬は まだ街に置いてあるからいるのは確実 もしも馬で学院に戻ろうとしたら見張らしてる シルフィードが教えてくれる」 「そう……よね……、さっきの仕立て屋の話から 推測するとまだこの近くに居るはずだし……… もう、一体どこ行ったのよルイズたち…………」 キュルケは苛立ちと不安を顔に表しながら、 出店をやっている街人に聞き込みをしながら ルイズと音石を追っていたが、 いつの間にか同じところをぐるぐる回っていることに 気付き現在に至る。 「………………」 タバサは何か言いたそうな目でキュルケを見ていたが 親友であるタバサの視線の意味をキュルケは ちゃんと理解していた。 「タバサ、貴方が言いたいことはわかるわ 『学院に戻ってあの二人の帰りを持つのも1つの手』 って言いたいんでしょ?でもそれじゃだめなのよ…… 一刻も早く彼に会って直接言わなきゃ私の気がすまないのよ ごめんなさいタバサ、こんなことに貴方を付き合わせて……」 「別にいい」 「……ホントにありがとうタバサ」 【ガシャーーーーーンッ】 「「!?」」 突然、どこかのガラスが割れるような音が鳴り響いた。 いや、ガラスだけじゃない。ガラスの音に続いて ガラガラっと木材が崩れ落ちるような音が二人の耳に入った。 「タ、タバサ。今の何!?」 キュルケとタバサは周囲を見渡した。 そして気付いたことがある。 見渡す限りどうやら自分たち以外、 さっきのガラスや木材の音に気付いている者はいないらしい。 つまり…………、 「こっち…………」 タバサが指差した先、それは二人の丁度背後にある 路地裏に入る入り組んだ道だった。 つまり、音の発信源は路地裏の先から鳴り響いたようだが キュルケとタバサのいる位置で丁度音が 街の賑わいでかき消されてしまったのだろう。 「なにかあったのかしら?」 「……………」 キュルケは最初、ゴロツキとかの喧嘩かと推定したが 考えているうちにあることに気付いた。 「そういえば………この路地調べてなかったわね……」 キュルケの言葉にタバサもコクリと頷き 手に持っていた本を懐にしまった。 「嫌の予感がするわ………。タバサ、行ってみましょ!」 キュルケとタバサはそのまま路地裏に駆けて入っていった。 その先には恐ろしい敵がいるとも知らずに………。 そしてその音の発信源。夕焼けに照らされた路地裏。 発信源は音石が武器屋の出入り口の扉を突き破った音だった。 わざと突き破ったわけじゃない。 何気ない街巡りに突然現れた敵によって弾き飛ばされたのだ。 「いってぇぇ……、レッド・ホット・チリ・ペッパーで 咄嗟に防御してなかったら首が飛んでたぜ………」 「ひ、ひィィィ!?」 音石が吹っ飛ばされた勢いで一緒に吹っ飛ばされた店主は 頭を抱えながら震え上がっていた。 「ふっふっふっふ、惜しい…… やっぱりそう簡単にはいかないわね…… でもまあ、そうでなくちゃ面白くない……」 突き破った扉の奥の店の中から剣を持ったルイズが 不気味な笑みを浮かべながら近づいてきた。 「………ルイズじゃねぇな、どうなってやがる?」 「ひィィィッ!!なんてこった!! よりによって『あの剣』を抜いちまうなんてっ!! もうだめだァ……おしまいだァ………」 音石の後ろで震え上がっている店主が まるでこの世の終わりのように絶望していた。 「おいじじィ!『あの剣』って言ったな!! どうゆうことだ、説明しろ!!あの剣が原因なのか!? あの剣は何だってんだっ!!?あれも魔法なのか!?」 音石はゆっくりと接近するルイズに警戒しながら 店主の胸倉を掴み上げ問いただした。 「ひィッ!?あ、あの剣は今朝入荷された代物で、 見ての通り美しい刀身が目立った値打ちモノなんですが 出荷先が言うにはなんでも道端に落ちてあったらしんですわ! そ、それどころかその時、あの剣を拾った仕事仲間が 突然、その場所に居合わせた仲間連中に襲い掛かったそうなんです」 店主の説明に音石は眉を潜ませたが、 聞いていくうちにあることを理解した。 「剣を拾った瞬間襲い掛かったッ!? つまりあの剣に操られたってことか!? 今のルイズみてぇによぉ!!」 「そ、そうなんです!! で、でもその時は運よく仕事仲間が連れていた馬が驚いて、 その操られた仕事仲間の剣を偶然蹴り飛ばしたんですぜっ!! そしたら操られていた仕事仲間も正気に戻って 事無きを得たそうなんですわ!!」 「なんでそんなやべぇ剣をこんな店に置いてんだッ!!?」 「厄介払いされたんですわ!! 入荷された時、あっしもその事を説明されて……… さ、最初は断ったんですぜ!? 『そんなあぶなっかしい剣をウチに置けるか!!』って…… で、でも出荷先の連中に……… 『見た目は上等なんだ、うまく扱えれば高値で売れる』って そそのかされて………ついつい受け取ってしまったんですわ!!」 「結局てめぇのせいでもあるんじゃねーかコラァッ!!?」 音石が店主の胸倉を掴む力がより一層強くなった。 「う……く、くるじィ………勘弁してくだせぇ……… あ、あっしだって処分するつもりだったんです…… 『思い返してみればこんなモノを 誰かに売っ払う自体が間違ってる』って……… あっしにだって……げほっ…商人としての誇りがありやす 客は騙しても、危険な目に遭わすことなんて絶対にしやしません!! さっきだって、どう処分するか店奥で考えていたところを あんた等が来て………そしたらあの貴族様が勝手に……… なにも……あっしにだけ全責任があるわけでもありませんぜ……」 「………チッ!」 忌々しいがコイツの言うとおりだ。 そう判断した音石は店主の胸倉を掴む手を解き 店主はその場で尻餅をついた。 「げほっ……げほっ……」 「おいオヤジ、最後にひとつだけ教えろ。 あの剣から手を離せば元にもどるんだな?」 「う……げほっ、へ、へい!少なくとも あっしはそう聞いています………」 「……わかった、とっととどっかに避難してろ ガラじゃねぇが、俺がどうにかしなくちゃいけねぇようだ」 音石の言葉に店主は安堵の息を吐き、 その場からすたこらさっさと走り去っていった。 (さて…と、あのおっさんが助けを呼んで 大勢人だかりが出来たり、この街の衛兵が来たりすると いろいろめんどくせぇからな…………。 とっととルイズ助けてこの場からバイバイしたいんだが………) 「そろそろいいかしら?」 店主を見送った音石の背後から ドスのきいたルイズの声が耳に入り込む。 (……いやな気分だ、『簡単にはいかない』。なぜかそう思っちまう) ゆっくりと首を後ろに向けると5メートル程離れた位置で 店の扉の瓦礫の上に乗っている剣を持ったルイズが 自分を見下していた。 「ああ……、わざわざ待ってくれて………」 首だけを後ろにしていた音石は ゆっくりと体も前に向けようとする………次の瞬間!! 「ありがとよっ!!!」 体を半分のところまでゆっくりと振り向かせていたところ 音石はそこから一気に素早くルイズのいる前方に向き直った。 しかしただ向き直ったわけじゃない! 体の回転の軸を利用し足元の瓦礫をルイズ目掛けて蹴り飛ばしたのだ!! 「っ!?小癪な真似をッ!!?」 蹴り飛ばしたことによって大量に飛散した瓦礫の山。 操られているルイズは予想外の攻撃に対抗手段もなく 手に持つ元凶である剣で体をガードした。 「もらったァッ!!」 ガードしたことによって隙が出来た瞬間を音石は見逃さず すかさずレッド・ホット・チリ・ペッパーを発現し ガードしているルイズの手に持つ剣を 力尽くで叩き落すつもりで手刀を振り下ろした。 「このタイミングならその剣での反撃もできねぇぜ!!」 「甘いわァッ!!」 「なにィッ!!?」 勝利を確信していた音石は驚きの声を上げた。 なんとルイズは身を低くして後ろにステップすることによって レッド・ホット・チリ・ペッパーの攻撃を回避したのだ! 「ば、ばかなっ!?ありえねぇ!! 俺のレッド・ホット・チリ・ペッパーの攻撃をかわすなんて……」 音石は驚異的なスピードを誇る自分のスタンドの攻撃を かわされたことによって驚きを隠せないでいた。 強力なスタンド使いならともかく、相手はあのルイズだ。 あんな温室育ちの子供に回避されるなんて普通では考えられない。 「お前がここぞって時に詰めが甘い奴で助かったぜ……」 「んだとぉ……!?」 身を低くしていた体勢を立て直し、 操られているルイズは醜悪な笑みを浮かべて自分を見ていた。 音石はそんなルイズを睨む。 「たしかに今の攻撃はオレを正確に捉えていた…… だがご親切にお前はオレに教えてくれていたんだよ…… 『今から攻撃するぞ』ってなァッ!!!」 「………チッ!!なるほど。そういうわけか……」 音石は理解した。そして頭に数十秒前の自分の行動を回想する。 『もらったァッ!!』というあの掛け声。 あの発言は攻撃する前に発したため それに反応されてしまったせいでレッド・ホット・チリ・ペッパーが 攻撃するよりもさきにあのルイズは回避行動に移すことが出来たのだ。 「今度はこっちの番だな、ハアァッ!!」 今度は操られているルイズが音石に飛び掛り 剣による連続斬り攻撃を仕掛けてきた。 (ルイズが小柄なだけあってちょいと素早いな……だが!!) しかしその剣による攻撃もむなしく レッド・ホット・チリ・ペッパーが全てをガードした。 しかもなんとそのガードというのが両腕の指一本だけという 並のスタンドとは桁外れな実力あってのものだった。 操られているルイズはその防御法に 肝を抜かれたのか眉を深くひそめ、音石と距離をとった。 「………驚いたな。承太郎のスタープラチナでさえ 両コブシを使ってガードしたというのに……… それを指でガードするとは、大したスタンドだ……」 その操られたルイズの言葉に今度は音石が眉をひそめた。 「承太郎………だと!?それにスタンドって………まさかお前!?」 「ふんっ、今更気づいたのか? ああ、だがまあ、自己紹介もしてなかったな、くっくっく そう!俺は冥界の神『アヌビス』のカードを暗示としているスタンド!! よぉ~~~~~~~~~~~~~くっ!!覚えておくんだなァッ!!」 ウッシャアッ!!っと雄叫びを上げ、 操られているルイズもといアヌビスが剣を横に薙ぎ払ってきたッ! 「ぬおぉッ!?」【ガキィンッ】 ルイズを操っている正体がスタンドだったということに 驚いた音石は反応が遅れてしまい、咄嗟に腕でガードしたものの 勢い良く弾き飛ばされてしまった。 「くそっ!」 このまま地面に倒れたりでもしたら確実に追撃してくる! そこで音石はレッド・ホット・チリ・ペッパーの両腕を おもいっきり地面に叩きつけうまいこと体勢を立て直した。 「しかもどうやら貴様も承太郎のことを知っているようだな。 そこらあたりには驚いたぜ、一体どういう因縁だこれは?」 「そんなもん俺が聞きたいな」 「ふん、まあそんなもんはどうでもいい おれはより強い相手と戦ってさらなる高みを目指すだけだァ!! うっしゃァッ!!!」 咆哮と共に操られているルイズ曰くアヌビスが その手に持つ剣で勢い良く横に薙ぎ払ってきた! しかしその時の音石にはフッと薄ら笑みが浮かび、 手に持つギターをビイィィィンっと鳴らした。 「てめぇなめてんじゃねーぞ! そんなすっトロイ攻撃が何度も俺に通用すると思ってんのかァ~? この音石明さまによぉ~~~~~~~~ッ!!!」 こんな薙ぎ払い、刀身を手刀でルイズの手から弾き飛ばしてやる! そうすりゃあルイズも元に戻るだろ~よ~~! レッド・ホット・チリ・ペッパーの素早く強力な手刀が アヌビスの刀身目掛けて振り下ろされた。 捕らえた!!そう音石は確信した。 だが音石は知らない。アヌビスの真の恐ろしさを……… 真の凶暴さを彼はまだ知らないのだ! 「なっ!!?」 音石は目を疑った。 さっき弾き飛ばされたとき、実は頭を打ったのではとも思った。 そう思ったほうが気が楽だからだ。 それほどまでに、自分の目に入った光景を受け入りたくないのだ。 薙ぎ払いのスピードが一気に上がったのだ!!! 「なぁにいいいいいィィィィィィッ!!!??」 「間抜けめっ!! 貴様の動きはもうほとんど『憶えた』わァ!!! 死ねぇぇぇ!!!」 その瞬間、すべてがスローモーションに 動いているような錯覚を音石はその身に味わった。 (このタイミング…。だめだ、間に合わない! なんてこった。こんな隠し玉を持っていたなんて…… くそったれが、俺の判断ミスだ。 もっと……慎重にやるべきだったんだ。 相手の能力もまだ完全にわかってもねぇのに…… ちくしょう、いてぇんだろーなァ…、 腹切られるのって…………………) その瞬間、音石は死を覚悟した。 あーあ、あの世に行ったら 形兆にボゴボゴにされるだろーなー…… 「ファイヤーボール!!」 「「!?」」【ドゴォォォンッ】 その時だ! 音石とアヌビス、二人の間に火球が突っ込んで 地面に当たって爆発した! 煙が立ち上がり、その中から音石とアヌビスが それぞれ反対側の方向に、対峙した状態で 飛び出してきた。 「チッ、邪魔が入ったか…」 アヌビスのルイズの口からそんな言葉が漏れる。 音石は危うく死を迎えかけたことに冷や汗をかきながら 火球が飛び出した方向を見た。 「…………………………キュルケ?それにタバサまで……」 「……はァい、昨日ぶりねオトイシ」 「……………」 そう、入り組んだ路地裏の一角から現れたのは 杖を構えているキュルケとタバサだった。 「わけは……さっきそこですれ違った 武器屋の店主から聞いたわ…… ヴァリエールが操られているらしいじゃない」 「………正直、半信半疑だった。剣が人を操るなんて…… でもこの状況で確信に変わった」 キュルケの言葉にタバサが続けてしゃべる。 そんな二人をアヌビスに操られているルイズが睨む。 殺気の篭った形相。今のルイズの顔をうまく言い表すなら これが適任だろう。 「あ~ら、キュルケに………タバサじゃない。 奇遇ねぇ。それとも私を追ってきたの? もしそうならこんな嬉しいことはないわ………。 わざわざ私に殺されに来てくれるなんてね!!」 アヌビスが宿主であるルイズの記憶から キュルケとタバサに異様な威圧感を纏った声を投げ掛ける。 そしてそのまま剣を振り上げ、二人のほうへ駆け出した。 音石はアヌビスが自分からキュルケたちに 標的を変えたことを理解すると同時に咄嗟に叫んだ。 「ルイズの手から剣を離させるんだ! そうすりゃあルイズは元に戻る!!」 音石が咄嗟に敵の情報を簡単に教えると キュルケが不適に微笑んだ。 「魔法は既に完成してるわ! ルイズ!聞こえてるかわからないけど 火傷したって文句言わないでよね! できる限りは手加減してあげるから! ファイヤー・ボール!!」 キュルケがアヌビスに杖を向けると 杖からバスケットボール並の火球が現れ ルイズの剣目掛けて襲い掛かった。 それに続いてタバサもなにかを発動しようする………が! 「だめだキュルケ!そいつに同じ技は通用しねぇ!!」 「えっ!!?」 【ピクッ!】 音石の言葉にキュルケの口から疑問の声をあげ、 タバサはその声に反応し咄嗟に魔法の発動を止めた。 そして次にキュルケの口からは疑問から驚愕の声が出る! 「うっしゃあァッ!!!」【ぶぅわっ】 「嘘!?私のファイヤー・ボールが掻き消された!?」 アヌビスは、剣を大きく振り下ろすと キュルケの放った火球をスイカ割りのように 真っ二つにし掻き消したのだ! キュルケが驚いたのと同様に タバサも音石もその光景に肝を冷やした。 (なんてスタンドだ。 さっき一回見ただけなのに もうほとんど『憶えて』やがる!!) 音石がアヌビスの真の恐ろしさを実感するも その間にアヌビスはキュルケの元に辿り着いていた。 「あっ……」 「死ねぇぇッ!!!」 キュルケは自分のファイヤー・ボールが あっさりと掻き消されたことの驚きの衝撃からか 猛スピードで迫りくるアヌビスが もう自分の目の前まで接近してきていることを 認識するのがひどく遅れてしまっていた。 認識したときにはもう振り上げていた最中で 死の恐怖に対する悲鳴を上げる暇すらも失っていた。 だが幸運はまだ彼女を見放してはいなかった。 【ドンッ!】「えっ!?」 【シュンッ!】「チィッ!!」 アヌビスから空気を斬る音が鳴る。空振ったのだ! 横にいたタバサがキュルケの体に体当たりし タバサ自身もその勢いで回避に成功したことによって! 「あ、ありがとうタバサ!」 「後で。今は距離を取らないと………」 「逃がさん!!」 「「!!?」」 突き飛ばしたことで地面に倒れこんでいる二人を アヌビスが体勢を整えられる前に斬ってかかってきた! (間に合わない………!) タバサは魔法の詠唱を始める しかし距離があまりにも近すぎる! どんな凄腕のメイジだろうと間に合わない距離を 既にアヌビスは見切っていたのだ!! 「もらった!二人まとめて!!」 「させるかよッ!!」 「ぬぅッ!!?」 アヌビスは気づいていなかった。 いつの間にか音石も自分に接近していたことに。 レッド・ホット・チリ・ペッパーのラッシュが アヌビス目掛けて襲い掛かる。 「ほう、この小娘の体なのにも 関わらず本気で攻撃する気か?」 「情けねぇが、てめぇが手加減して 勝てる相手じゃないって実感したんでなァ!! ルイズには悪いが全力でやってやる!!!」 「くっはっはっ!おもしろい!! だが忘れたか!?貴様の攻撃は完全に『憶えて』いるんだぞ!!」 【ガンッガンッガンッギンガンッガンッ】 レッド・ホット・チリ・ペッパーの拳と アヌビスの剣での攻防が炸裂する。 「・・・・すごい」 キュルケかタバサ、どちらの口から漏れたのかわからない しかしスタンド同士の目にも留まらぬ攻防が 二人を呆然とさせた。 (くそ、やべえぞ。さらに『憶えて』やがる! 最初は俺のほうが攻めてたのに………、 徐々に防御に追いやられてるっ!!!) 【ガァッッンッ!!】「うおぉっ!!?」 とうとう、レッド・ホット・チリ・ペッパーの攻撃が はじき返され、ボディがガラ空きの状態になってしまう。 「はっーーーーはっはっはっ、勝ったッ!!」 「いや、そいつはまだ速いんじゃねーのか?」 「!?」 「そらよ!!」【シュバババババッ!】 「なっ!?貴様いつの間にこれだけ無数のナイフを!!」 「てめぇがキュルケたちに気を取られてた間に こっそり武器屋から拝借させてもらったぜっ!」 なんと音石はアヌビスの死角にナイフを隠し持っていたのだ。 アヌビスがナイフに驚き、反応が遅れたおかげで すぐさまレッド・ホット・チリ・ペッパーの素早い動きで 無数のナイフをアヌビス目掛けて飛来させた。 「おのれ、くだらん小細工ぅ!!」【ガキィンガキガキィン】 アヌビスはナイフを剣であい程度防御し サイドステップで見事にナイフを回避した。 すぐ傍で見ていたキュルケは驚愕した。 なんて事!これも通用しないなんて!! 「なるほどな。なんとなくわかってきたぜ。 お前の憶える仕組みが…………。」 「なにィ?」 「え!?」 「……………………」 音石の言葉にそれぞれが反応を示した。 一体どういうこと!? キュルケの頭にそんな疑問が浮かび上がると それに答えるかのように音石が解説を始めた。 「アヌビス。どうやらお前、 俺のスタンド攻撃を完全に『憶えて』対処しても、 『それとはまったく違う攻撃』には憶えるまで 対処が遅れるようだな。違うかァ、ええおい?」 「……………!?」 アヌビスを通して、ルイズの顔の眉が潜まる。 「お前は俺のレッド・ホット・チリ・ペッパーを 上回るスピードを持っているのにも関わらず さっきのナイフをわざわざ横に避けてまで回避した。 レッド・ホット・チリ・ペッパーのスピードを 上回ってる状態なら、あのまま一気に 俺に斬りかかる事なんて簡単の事だろ? だがお前は『避けた』。なぜだ?簡単だ。 俺のナイフの攻撃はお前が『憶えた攻撃』とはまったく違う 『憶えていない攻撃』だからだ。 互いに『剣』を持った戦士同士の戦いで 片方が突然途中で『槍』に持ち変えることによって、 今まで対剣による戦闘スタイルが変わるようにな………。 う~ん、自分で言ったのになんだが……… ど~もなんかこの例えいまいちだなァ~……」 ビィィィィィィンっとギターの弦を指で弾く。 今、音石の顔には焦りが消えていた。 いや、消えただけじゃない! その顔はむしろ勝利への確信! 余裕の笑みをその顔に浮かべていた!! しかしそれと対照的に、 アヌビスを通してのルイズの顔は 音石の余裕に対しての怒りからなのか 形相と殺気がさらに濃くなっていた。 「確かに鋭いやつだ。褒めてやる。 だが今更気付いたところでもう遅い!! 貴様のスタンドもナイフも完璧に憶えたのだ!! もう俺には通用しない! 絶っ~~~~~~~~~~~~~対に負けんのだァ!!! さらにそれだけじゃねぇ! これから俺がやるとっておきのダメ押しに 貴様は絶望することになる!!」 するとアヌビスはルイズの懐から『なにか』を取り出し 空中に放り投げ、落ちてくるところをキャッチした。 そしてアヌビスの剣と、落ちてきた『モノ』……、 『杖』をクロスさせポーズをとった!! 「『ルイズの魔法』プラス『アヌビス神』 二刀流!!!!!」 この行動に音石の余裕の笑みは消えた。 「操ってる宿主の能力も扱えるのか!?」 「その通り!!この小娘の魔法はどうやら ちょいと特殊なようだが、扱えないことはない!! 俺は貴様を完璧に超越している!!!」 「………かかってきな」 「…………………何?」 「かかってきなって言ったんだぜアヌビス。 さっきからよぉ~、ギャーギャーうるせぇんだよぉ~ そんなに自信があるならさっさとかかってこいよ。 それともあれか?弱い奴ほど良く吠えるって奴か? はっはっはっ、お似合いかもなァ~。 他人操らなきゃなーんにもできねぇような なまくら野郎にはよぉ~~………」 「……………………………」 音石の言葉にアヌビスは物凄い形相で黙り込んだ。 キュルケは音石の妙な自信が理解できなかった。 何か策だあるのだろうか? そんなものがあの剣に通用するのか? キュルケは不安に惑わされた。 彼女自身、自分の自慢の魔法がハエをつぶすかのように あっさりと掻き消されたからであろう。 隣にいるタバサも押し黙った状態で 音石の考えを考えているようだ。 キュルケの不安が渦巻くなか、 音石のアヌビスの間の空間に爆発が起こった!! (これはルイズの魔法!?いつも失敗してる爆発!!) いつも授業で散々な目にあってきた この失敗魔法が今これほどまでに 恐ろしいと思ったことはなかった。 (このままじゃオトイシは…… この爆発で舞い上がった煙にまぎれたあいつに!) そう思った瞬間。キュルケが手に持つ杖に力が入った。 正直に言うと怖い。足がすくんで仕方がない。 アレほどまでに凶暴で凶悪な相手に自分に何ができるのか? ありとあらゆる不安が彼女の中で渦巻いた。 でも助けなければ!まだ自分は彼に昨日の償いをしていない。 このまま彼とお別れするかもしれないなんて……… そんなの絶対に嫌だ! 気が付けば、キュルケのすくんでいた足は いつの間にか立ち上がっていた。 そして彼女は、隣で自分を制止していた 友人タバサを振りほどき、煙の中に入っていった! 音石は余裕の表情をとっていたとは裏腹に 内心ではかなり焦っていた。 (やべぇな…、『アレ』さえ成功すれば勝算はあったが ルイズの魔法を使える上に、爆発で視界を遮るとは 予想外だったぜぇ~~~……。 だがもう覚悟を決めなくちゃいけねぇ…… ここが正念場だぜ。さあどうくる?後ろか?) 音石は後ずさりながら周囲を警戒していると 背中になにかがぶつかった。 目を後ろに向けて見ると、そこにあったのは建物の壁だった。 これ以上の後退はできないということを物語っていた。 しかしまさにこの時! 音石の脳裏に実に奇妙な発想の物語が出来上がった! ギャァァァン!!ギャァァァァァァァァァァァァンッ!!! (!………この音、彼の楽器の………) 煙の外にいるタバサの耳には 音石のギターの音が届く。 煙の外にいるタバサに聞こえたのだ。 当然この音は煙の中のキュルケやアヌビスにも届いている。 (これは…………位置を教えている?) (後ろは壁だ。だがこれは追い詰められてるんじゃねぇ。 逆だ!後ろに壁があることによって 本来警戒するべき範囲が半分にも減らすことができた!! きやがれアヌビス。てめぇをおびき寄せるための 『エサ』は撒いてやったぜ!!) 【…………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………… …………………………………………………………ザッ】 「そこか!!」 音が聞こえたのは音石の位置にして右側のほうだった。 しかしそこにいたのは………。 「ま、待ってオトイシ、わたしよ!」 煙が少し晴れてくる。 そこにいたのは間違いなくキュルケだった。 「てめぇ……、なんで煙の中に入ってきやがった!?」 「説教なら後でいくらでも聞かせてもらうわ! でもあなたの役に立ちたいの! わたしは昨日、あなたに失礼なことをしたわ。 あなたに言われるまで気付かなかった! わたしはあなたの言う通り、 無意識のうちに男を暇つぶしの道具に扱っていた。 だから償いたいの!貴族として!一人の女として!!」 「……………お前」 その時キュルケは気付いた! 音石の前に影があったのだ。 しかしその影の上には誰も立っていない。 ………………つまり! 「オトイシ、上よ!!」 「なにィ!?」 音石とキュルケはバッ!と上を見上げた。 そしてキュルケの言う通り、 奴は思いっきりジャンプしていた! なにかを踏み台にしたのか、 アヌビスは上空7メートル程の高さで 落下する勢いで剣を振り下ろそうとしていた!! 「気付いたかァッ!!!だがもう遅い!! 貴様らに避ける暇はぬぅあァいッ!!!」 「いいえ!誰も避けたりはしないわ!! 逆よ!この場でアンタを迎え撃つ! ルイズも助ける!オトイシも助ける!! くらいなさい!『ファイヤー・ボール』!!!」 キュルケの手に持つ杖から 先程よりもさらに強大な火の玉が発射された! 「間抜けがッ!!忘れたか!!? その魔法は完璧に『憶え』たのだっ!! 例え空中だろうと、俺には通用しない!!」 「ええ、誰もあんたに同じ技が通用するとは思ってないわ。 でもわたしが狙ったのはあんたじゃない! 私たちが今こうして背にしてるこの壁よ!!」 【ドグォッン!】 「な、なんだとぉ!!?」 キュルケの火球は壁に衝突し、 その時飛び散った壁の『残骸』がアヌビスに襲い掛かったのだ。 その衝撃で煙は一気に晴れ、アヌビスは攻撃を中断し ガードしたものの、音石たちとは少しズレた位置に撃ち落された。 「今よオトイシ!あなたにどんな『策』があるのか私は知らない。 でも私は信じてる!あなたがルイズを救うことができる男だって!」 キュルケの言葉を合図に、音石は一気に駆け出した。 狙うルイズの手に持つ邪悪な剣、アヌビス神!! 「見直したぜぇ~キュルケ。 まったくお前は……、俺には勿体ねぇほどのいい女だよぉ!! いけェ!レッド・ホット・チリ・ペッパー!!!」 レッド・ホット・チリ・ペッパーが手刀を振り下ろす。 「なめるなァ!!『憶えて』いない壁の残骸ならまだしも、 完璧に『憶えた』貴様のスタンドには! 絶~~~~~~~~~~~~~~~~~対に負けんのだァッ!!」 怒りの雄叫びとともに、 アヌビスは剣を横に向けて防御体勢をとる。 (この手刀を受け止めて一気に反撃して切り刻んでやるっ!!) 「アヌビス、剣のお前に教えてやるぜ。 そういうのを世間様じゃあァ~『墓穴を掘る』って言うんだよ。 それがてめぇの敗因よぉ~~。」 「『敗因』?『敗因』だとぉ~~~~~!?」 「てめぇは俺のスタンドにしか警戒していない! それがお前の敗因だぜ!そしてもうひとつ! 俺が武器屋からくすねてきたのがナイフだけだと思ったかァ~~?」 その時、アヌビスは宿主であるルイズの目を疑った。 なんと、音石の持つギターのカゲから剣が現れたのだ! 「な!?その剣は………」 「ルイズの記憶から知ってんだろぉ~~? 実はギターを持ってると見せかけてずっと隠し持っていたんだよぉ こいつを……インテリジェンスソード……」 「デルフリンガー様をよぉ!!」 音石の後に、デルフリンガーが続けて叫ぶ。 そしてそのまま一気に鞘から引き抜き、 左手のルーンを光らせ、音石はデルフリンガーを 力一杯振り上げた。 【キーーーーーー…………ン】 ルイズの手に持っていた凶剣が、宙を舞う。 「まさか……スタンドではなく、 本体が、この俺を弾き飛ばすとは……… なるほど。恐ろしいのは奴のスタンドではなく……… あの男そのものだったのか…………ぬかったわ……」 アヌビスの剣はそのまま地面に突き刺さった。 アヌビスの呪縛から解放され、 倒れこもうとしたルイズを音石が支えた。 体中あちこちを戦いの影響で擦りむいているが どうやら気を失っているだけのようだ。 「キュルケ、悪いがルイズを見てやってくれ。タバサも」 キュルケとタバサはそれぞれ頷き、ルイズの元に駆け寄った。 手に持つデルフリンガーを地面に置き、 音石はアヌビスの元に向かった。 「おいアヌビス。 スタンドなんだから剣の状態でも話せんだろ? てめぇに聞きてぇことがある」 音石はこの時、その剣の後ろにうっすらと 犬の頭をした体が人間の怪物が見えていた。 おそらくこれがアヌビス本来のビジョンなのだろう。 「……ふん、敗れてしまっては仕方がない。 しかし予想は付くぞ。どうやってこの世界に来たのか…。 貴様はそれが聞きたいんだろう?」 「……………何か知ってるのか?」 「生憎となにも知らんな。 承太郎に敗れ、ナイル河に沈み、絶望していた時 いつの間にかこの世界にいたんだ」 「ちっ、使えねぇな」 ペッ!と音石は地面に唾を吐き捨てた。 すると今度はアヌビスのほうから話しかけた。 「さあ、これで十分だろ?………やれ」 「ああン?」 「俺は貴様に敗れたのだ。もう未練はない 俺を貴様のスタンドで破壊しろ 最後に貴様のような強者と闘えてよかった。 さあ、破壊しろ。もともと俺はスタンドだ 死など存在せん。ただ無に還るだけよ………」 「……………わかった。レッド・ホット・チリ・ペッパー」 音石がスタンドを発現させる。 そして手で触れるのは危険と判断し、 剣を足で大きく蹴り上げる。 そして落ちてきたところにラッシュをぶち込んだ。 【バゴバゴバゴバゴバゴバゴバゴバッキーーンッ】 「……………………………あれ? なんで俺まだ生きてんだ?」 「まだ刀身がちょっぴり残ってるからだろ?」 「ん?おお、ホントだ!!………………って ちょっと待てぇぇぇぇぇぇッ!!!!?? なんでこんなちょぴっと残してんの!?? 俺めっちゃかっこ良く腹くくってたのに これじゃ台無しじゃねぇーーか!!」 「はァ?おまえ剣の分際で人様に こんなシンドイ思いさせといて楽に死ねると思ってんのか?」 「え?ちょっと待て。まさかこの展開は……………」 「おらいくぞ…………、シューーーーーートォォォォッ!!!!」 「やっぱりいいィィィィィィィィィィィィ!!!?」 音石のレッド・ホット・チリ・ペッパーが アヌビスをうまく破壊しないようなテクニカルな蹴りで 遥か彼方へと、蹴り飛ばしていった。 「キュルケ、タバサ。急いでここを離れようぜ ややっこしいことが起こらないうちによぉ~~……」 音石がそういうと、デルフリンガーを拾い上げ鞘に納めた。 二人もその意見に賛成した。 「そうね、さすがにそろそろ野次馬が 湧いてくるかもしれないし、急いで離れましょう」 「………ついてきて、私の使い魔で脱出する」 タバサが口笛を吹くと、 街の空からタバサの使い魔、シルフィードが現れ 音石、ルイズ、キュルケ、タバサの4人を背負い 街から速やかに脱出した。 この時、竜に乗っての空の飛行に音石はちょっと興奮した。 ついでにアヌビスはというと…………、 【ヒューーーーーーーーン】 「ヒィィィィィィィィー、またこんな扱いかァーー!! 誰か今度こそ止めてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!! あっ!屋根だ!!ラッキーッ。おっとだが落ち着け! エジプトでの二の舞は御免だ、透過能力解除!! おっけぇ!これでばっちしィィィィ!!」 【カーンッ】 「よぅし!屋根に当たったァ!!」 【スルスルスルスル】 「おお、屋根の斜面を滑る滑るぅ!!」 【ヒュー】 「おっほほーい。落ちる落ちる!」 【ボチャン】 「…………………………へ?」 【プーーーーンッ】 「お、おい。なんだこの桶の中の泥は? なんでハエがこんなに集ってる? はっ!ひょっとしてここって………… ぎゃああああああああああああッ!!!! よりによって牧場の屋根にぶつかって! 肥溜めに落ちちまったァァァ!!!うげぇ!!バッチィ!!! ぬぅああ!!どんどん沈んでいくぅ!! だ、だれかァーーーーー、助けてくれぇぇぇぇぇぇ!! 不潔だよーーーーーーーーーーーーーっ、うぷっ……………」 この肥溜めを肥料として撒き散らされた畑には 時々、変なうめき声が聞こえるという奇怪現象が起こったという……
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キホールサーバーのギルド 例 ギルド名:*** ギルドマスター名:*** ギルド石の場所:*** 自由欄:*** ギルド名:vipkimolity ギルドマスター名 AL730 ギルド石の場所 ダンバMGの上のほうリンゴの木の近く 自由欄:石叩くときは赤クマに気をつけろよ r.、‐、 |ミl ゙ l| ,;ト ゙-イ、 ところで俺のKRSWを見てくれ / , ヽ lヽ、 こいつをどう思う? ニ(_つ Y /ニニニii ニニl ! レ ~`iニニii 遅かったじゃないか・・・ -- 名無しさん (2009-08-25 00 53 09) さっきまで間違ってたのはノーカウントだ -- 名無しさん (2009-09-28 22 22 57) 当店はHで、素敵なセレブ達が多数在籍しております。+.(・∀・).+ http //sns.l7i7.com -- 恵里 (2012-10-09 18 48 14) 名前 コメント ギルド名:KUKLOS ギルドマスター名:KOTOKO666 ギルド石の場所:当ギルドは予約制となってます!メモくれ!簡単に石が見つかると思うなよ!バーカ! 自由欄: みなさんこんにちは、あなたのやる夫の時間です 人には人生のマビノギというべき時があります つい最近そのマビノギに足を踏み入れたような気がしないでもない気がする そんな感じのやる夫の今日この頃、みなさんいかがお過ごしですか? まずはお便りから 世田谷区にお住まいのニューソクデやる夫さんからいただきました。 「ノラPTで久々のダンジョンが終わったあと、知人に無理やりまたダンジョンに誘われたんです。 祭壇に入ると、どうみても聞いた話とは違う人数がたむろってました。 抗うのは無駄だYOと諭されたりもしましたが私は元気です。 ところでこれはどういうフラグなんでしょう」 ・・・・・・ 入会フラグだお^q^ 名前 コメント
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使い魔ドール LoV3の使い魔ドールについてはこちら 概要入手法 新システム「親密度」 使い魔ドールのカスタマイズ画面 使い魔ドール一覧(別ページ「セリフ一覧」に移動) 概要 使い魔ドールとは、「使い魔の3Dモデル」のカスタマイズアイテムです。 所持している使い魔ドールをプレイヤーにセットすると、ゲーム中プレイヤーの周囲を動き回るようになります。 アバターやバトルのステータス等には影響しません。 また後述する親密度に応じて、ゲーム中にセットしている使い魔ドールのボイスが流れるようになります。 入手法 アイテム錬成にて入手できます。 アイテム錬成については下記ページをご参照ください。 カスタマイズアイテム アイテム錬成の他にも、イベント・キャンペーン・グッズ・雑誌付録などで、限定の使い魔ドールを入手できることがあります。 新システム「親密度」 使い魔ドールをセットして各ゲームモードをプレイすると、セットした使い魔の「親密度Lv」が上昇していきます。 親密度Lvには3段階あり、「開始」「勝利」「敗北」演出中に、使い魔ドールが段階ごとに異なるセリフを話すようになります。 次のLvまでに必要な試合数については、カスタマイズの使い魔ドール画面にて確認できます。 ※前作LoV3における、使い魔ドールの重複入手による経験値の獲得とレベルアップは廃止となりました。 レベル 必要な試合数 Lv1→Lv2 30戦 Lv2→Lv3 70戦(計100戦) 使い魔ドールのカスタマイズ画面 使い魔ドールをセットするには、ゲーム開始後にカスタマイズ画面へ移動し、使い魔ドールのカスタマイズ画面へ移動します。 使い魔ドールのカスタマイズ画面では、下記のタブボタンがあります。 「LoV4」と「LoV3」の使い魔ドール一覧を切り替えるタブボタン 種族を切り替えるタブボタン レアリティを切り替えるタブボタン 一覧にある使い魔の名前を選択すると、セットが完了になります。 解除する場合は左下に表示される「セットを外す」を選択します。 または「元に戻す」を押すことでゲーム開始前までにセットしていた使い魔ドールに戻ります。 使い魔ドール選択中は、画面右側に使い魔ドールをセットしたプレイヤーが表示されます。 表示切り替えを選択すると、使い魔ドールの全身アップ表示に切り替わります。 また、左右へフリックすると回転し、軽くタッチすると「停止」「歩行」のモーション切り替えが可能です。 画面下部にはセットしている使い魔ドールの下記情報が表示されます。 現在の親密度 次のLvまでに必要な試合数の情報 「開始」「勝利」「敗北」というボタン※選択することでボイス視聴が可能※視聴できるボイスは現在の親密度で発せられるボイスのみ コメント *編集が苦手な方はこちらへ情報提供お願いします 名前 コメント すべてのコメントを見る
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ホーテンス 名前:Hortense デビュー:『ドナルドの駅長さん』(1937年) 概要 ドナルドダックが駅長を務める駅に届いていたダチョウ。ドナルドを気に入りつきまとう。 エピソード ドナルドの駅長さん 駅長のドナルドダックはホームに出て荷物を受け取りに来たところ、おかしな箱が届いていた。その箱の中にはなんとダチョウが入っていたのだ。ドナルドを気に入ったダチョウのホーテンスはしつこくつきまとう。ドナルドを吹っ飛ばしたホーテンスはその隙に風船やラジオを食べ、暴走を始める。 登場作品 1930年代 1937年 ドナルドの駅長さん 声 ピント・コルヴィグ(1937年)
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一つ前のページにもどる このページを編集する 検索 トラスティアでのみ(?)使える使い魔達 詳しくはトラスティアで ※ちなみに、10/13以降で新たに使い魔登録した方はその時点でアトラス学園入学になります。そして学生証と使い魔カードが付与されます。 使い魔作成(以下から必要事項を選択) ※【名前】 ※【使役者】 【大きさ】SS S M L LLより選択。Mが人間サイズになります。 【種族】 【属性】 【アイテム】 【技能】 【備考】 使い魔名簿はこちらから あ-お(使い魔)編集 か-こ(使い魔)編集 さ-そ(使い魔)編集 た-と(使い魔)編集 な-の(使い魔)編集 は-ほ(使い魔)編集 ま-も(使い魔)編集 や-よ(使い魔)編集 ら-ろ(使い魔)編集 わ-ん(使い魔)編集 使い魔一覧はこちらから アルテミス オニ カイン カベイリス クルースニク 燭陰 スノゥ ティアマト ダグダ ニュクス ハヌマーン ビャッコ ザ・ヒーホー フライングスパゲティーモンスター モー・ショボー ラグナソル
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・・・ あったかい。 ルイズは他人の背中の上で目を覚ました。 久しぶりの感覚だ。 最後におんぶされたのはもう何年前のことだろう。 確かあの時も泣き疲れて、そして、あの人は後ろを振り向いて 「目ェさめたか?」 目の前にあったのはッ!いかつい顔ッ!! ルイズは韻竜も裸足で逃げ出すような速さでその顔にビンタを喰らわした。 使い魔の兄貴(姉貴)!!~夜が来る!(前編)~ 「イッテェェェェ!!!な、な、何をするだぁーーーー!! 「い、いいいいきなり変な顔見せんじゃないわよ!!」 「変だとォ!?テメェ、感謝の言葉ならまだしもそんな事言うか、ええ、オイ!?」 「あんたに何感謝しろって言うのよ!変態!痴漢!バカッ!バカッ!!早くおろし、て・・・」 「イテェ、イテェ!!やめろっ、てェ・・・」 ルイズは抗議するようにエルメェスの頭を両手で叩いた。 エルメェスは思わず両手で頭を守った。 ということは、 「ええぇぇぇぇえええぇぇ!!!??」 支えを失ったルイズの体は引力に従い、ゆっくりと落ちていく。 「だあぁぁあ!!『キッス』!!」 ルイズの体は突然、宙に浮いた。 答え、③、③!③!!③!!! (何?今の電波。) それよりもいまのルイズにはもっと気になる事がある。 なんで自分の体は浮いてるのだろう。 使い魔である彼が受け止めたワケではない。 空中で何かに支えられている。 支えられている、という実感はあるがそれが何なのかはわからない。 ゆっくりと彼のほうを見ると両膝を地面について、頭を抱え込み後悔のポーズをとっていた。 「これ、あんたがやったの?」 そう聞くと彼は力なくうなずいた。 「とりあえず契約は成功してるようだし、簡単な自己紹介と、さっき何をしたのかをサクッと話して頂戴。」 ルイズは自分のベッドに座り、そしてエルメェスを椅子に座らせた状態でそう切り出した。 (隠そうと思ってたんだがな・・・) 事故になりそうだったとはいえ、スタンドを使うのは軽率だったかもしれない。 いかつい顔をもっといかつくし、エルメェスは今の事態について考える。 ここが学校ということは危険な状況に立つことはそんなにないだろう。 キュルケの手助けを借りれば多少危険な状況でも回避できる。 計算通りに運べていればあと三ヶ月は隠しとおせるはずだった。 「ねぇ、聞いてるの!?自己紹介よ!自己紹介!!」 せかすようにルイズが言うが、その言葉はエルメェスの耳には届かない。 (いや、逆に考えてみよう。こいつを落として傷つけていたとしたら、今度は間違いなくキュルケの魔法を喰らっていただろうな。) 「ちょっと、自己紹介だってば!」 言葉が通じていないのか、もしかして難聴者なのか、一切返事が返ってこないことにルイズは戸惑っていた。 エルメェスとしては無視している感覚はない。深く考えすぎていて周りが見えていないだけ、ただそれだけである。 「ねぇ!?・・・ねぇ、ってば・・・聞こえてる?」 一向に反応を見せないエルメェスに、心細くなったのだろうか、ルイズが少しずつ少しずつ近づいて行く。 (そう考えると、スタンドは出して正解だった。でも、この場はごまかせるのか?) 二人の距離はだんだんと近くなっていき、そして最後にはルイズがエルメェスの顔を横から覗き込む形になった。 「・・・」 「・・・」 朝から騒々しく動き回っていた二人の間に今日最初の静かな時間が流れる。 ルイズは初めて自分の召喚したエルメェスの顔を直視した。 気絶している横顔ならば見たが、こうやって活動をしている顔を見るとまた違った雰囲気が見られる。 自分やほかの学生たちよりも少し荒々しい顔の創りや、この辺りでは見たことのない珍しい化粧もはっきりと見えた。 鼻がやや高く、その鼻の上部、深めの彫りの中にある目はひざの上で組んでいる手をずっと見続けている。 額とあごには妙な黒い線が入っている、きっと化粧の一種だ。何のためのものかはわからないがきっと最初の予想通り旅芸人としての、もしくは民族的なものなのだろう。 唇にも化粧は施してあり、黄緑色に近い色の口紅が塗ってある。緑という人間の顔につけるには程遠いおかしな色なのに不思議と違和感は感じられない。 頭には変な石。これも黄緑色で結いこまれた髪の黒によく映えている。 服も特徴のあるものを着ている。相当黄緑が好きなのだろう、上に羽織っている服も黄緑色と来ている。内側の服は材質はわからないが暖かそうだが、袖は無く生地は脇までで止まっている。首もとの生地は丸まっていてやはり保温性には優れていそうだ。 上着はいいとして、内側の服は何を目的として作られた服なのかまったく見当がつかない。暖を取るための服にも見えるが、下の方を見るとふくよかな膨らみの下、へそは上着の下でしっかりと露出されている。 「ッて、胸?」 もう一度確認してみるが確かに胸がある、しかも自分よりも数段大きい。ためしにつついてみるが、やはり本物の胸の感触だ。 何故男の胸がこうも豊かに膨らんでいるのか、そういう種類の人間なのか。 よくわからないが気に食わないのはその胸のサイズだ。主人である自分がそこそこ、まぁ良く言えばスレンダーな体型なのにこれはないだろう。 偽物かもしれない、いや偽物のはずだ。きっと何か詰め物をしているはず。 偽るということは良くないことだ、ルイズは自分の誇りを貫き通すため、真実を確かめるためにエルメェスの胸をそっと揉んでみた。 それはいつも無理やり押し当てられるキュルケのそれとよく似ていた。 勘違いかもしれない、と一心不乱に揉み続けるルイズ。 今後のことを考え続け、そんなことにも気づかないエルメェス。 エルメェスがルイズの奇怪な行動に気づいたのはそれからしばらくたってからだった。 「ヘイ、テメェ。あたしの胸でいったい何をしてんだ。」 とりあえず今後のことについて主人であるルイズと話そうと思い、顔を上げたエルメェス。 そんな彼女が最初に見たものは、涙目になりながら自分の胸を揉みしだくルイズだった。 いくら男勝りとはいえ、エルメェスも所謂普通の女の子である。そんなことをされればどうなるかは考え付くところだろう。 しかしルイズはというと、『一心不乱』を体現するように我を忘れてエルメェスの胸を揉み続けている。 前記されている通り、エルメェスは常人よりも少しだけ沸点が低い。ゆっくりと拳を握り、ルイズの頭の上にもっていく。 結果は当然、 「人の話を聞けェェ!!!」 鉄拳制裁である。 「痛ッ―――――!!あにすんのよ!!!」 「それはこっちの台詞だ!つーかなんで人の胸ずっと揉んでんだよ!!」 「なんでって胸、やっぱりこれ胸なの!?詰め物とか牛の油とかじゃなくて。でも何で男に胸が必要なのよ!!」 「オイ誰が男だ、誰が。」 ああいえばこういう、その言葉がよく似合う光景が展開されていく。 「どっからどう見ても男のくせに、何よ、私を馬鹿にしてるの!?」 「男だァー!?ざけんなコンチクショー、どっからどう見ても、ただの艶やかなお姉さんだろうが」 「誰が艶やかだ、誰が!」「あたしだ、あ・た・し!!」 「ルイズー、エルメェスー?何かあったのー?」 『すっこんでろ!!!』 ひとしきり騒いだあと、二人はまた元の位置につく。 そのころにはもう、二人とも体力も残り少なくなり、肩で息をしていた。 「で・・・あんた、名前は?」 「エルメェス。エルメェス・コステロだ。」 TO BE CONTINUED・・・
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ント小ネタ あれは何なんだろう? 爆発の煙が晴れてようやく見えてきたのは、赤くてウサギの耳みたいなのがついたちっちゃいゴーレムみたいなもの。 というより、動くのこれ? 私、錬金使えないのよ!? 「おい、ルイズが変なゴーレム召喚したぞ」 「どうせ動かせないんだから意味ないじゃん」 黙れ外野! ……落ち着くのよルイズ。今は外野に構っている時間はないわ。とりあえず、現状を確認すると 1・召喚には成功した。 2・でも動かない。 3・生物じゃない=使い魔として機能しない。 ……うん。現状確認終了。次にやることは決まっているわね。 「ミスタ・コル――」 「契約しなさい」 即答!? ……いえ、諦めては駄目よルイズ。一生がかかっているんだから。 つまりはもう一度、サモン・サーヴァントを行えるように説得すればいいのよね。この使い魔(仮)はゴーレム。つまり、生きていない。 「……あのー」 新しい使い魔を召喚するためには前の使い魔が死ななきゃいけないけど、これはそもそも生きてないわ。 「……すいません」 ならば、これは単なる失敗。サモン・サーヴァントは失敗したのよ。つまり、もう一度サモン・サーヴァントを行えるって事よね! よし、これで行くわよ! 「お、お願いします。気付いて下さい~」 「さっきからうるさいわよ! 一体なんなの……よ?」 あれ? 気がつくと回りのみんなが下がって杖を構えている。青い髪の娘なんかは後ろに氷の槍まで待機させてるし。 「いったい、どうしたのかしら?」 「そ、それが僕にも分からなくて……」 「「うーん……」」 とここで気付いた。今、私は誰と話しているのだろう? 声はすぐ隣からしているのだが、確か全員、私から離れている筈だ。 「…………」 なるべく驚かないように恐る恐る、隣を見てみると、そこには先ほどの赤いゴーレム。右手を顎(?)に当てて、何でだろう? という感じで首(?)を傾げている。 うん、ぶっちゃけ動いてた。 そして、そんな私の視線に気付いたのか、赤いゴーレムは、慌てて頭をこちらに下げてきた。 「あ、おはようございます。僕はロボまるっていいます!」 それからが大変だった。ロボまるに敵意が無いと分かるやいなや、ミスタ・ツルッパゲがロボまるを解体しようとするわ、青い髪の娘――タバサがロボまるを気に入りさりげなく奪おうとするわ、ロボまるの人気(主に女子からの)に嫉妬したギーシュが「僕のゴーレムの方が強い」とか言いながらいきなり決闘を申し込むわ、返り討ちにあうわ、ロボまるの最も効率の良い食事が「竜の血」と呼ばれる物だという事が判明し、またハゲが暴走するわ、フーケのゴーレムを倒すわ、ワルド倒すわ、レコンキスタを一緒に倒すわ、進化するわ……。 とにかく、いろいろな事があった。今では私も魔法を使えるようになった。私の使い魔 のロボまるも今やカスタまるとなり、伝説のガンダルーヴとして使い魔達の憧れの的になっているそうだ。 最近はロボまるの任務が多くて離ればなれになる事が多いけど、いつも心は一つ。 「ロボまる! 私の詠晶の時間を稼いで!」 「うん、分かったよルイズ!」 ファイアナックル!! 完 -「ロボットポンコッツ」のロボまるを召喚 小ネタ