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※注意 ・『ゲスゆ矯正物語』の番外編です ・俺設定あります ・ネタ被りあったらごめんなさい やぁ、ボクはボランティアお兄さんだよ。 街の恵まれない野良ゆっくりたち相手に慈善活動をしているんだ。 ボクの活動内容は、野良ゆっくりの更正をサポートすること……だったと思う。 まぁ、そんなことはさておき実は今日はゲストをお招きしているんだ。 ケースEX 性根を入れ替える♪ 「むっきゅりしちぇいっちぇね!」 ソフトボール大の白い饅頭にモッサリとした紫色の毛がこびり付いたナマモノ……もとい生き物。 そう、今回はこの子ぱちゅりーがお相手だ。 ボクは窓際で子ぱちゅりーを前にクッションを敷いて腰を下ろした。 さて、楽しいお喋りを始めようか。 「やぁ、ぱちゅりー。ゆっくりしてるかい?」 「むきゅ! ぱちぇはけんじゃなのよ! とうじぇんよ!」 「ははは♪ やっぱりぱちゅりーは可愛いなぁ♪」 いいねぇ、ぱちゅりー種。 ぱちゅりー種は総じて体が弱くストレス耐性も低いとされる。 ゆえに、ぱちゅりー種の野良というのは以前は滅多にお目に掛かれなかったのだが、 最近では別段そうでもないらしい。 街を歩けば薄汚れたぱちゅりーがベンチの下や側溝などでゆっくりしている姿をよく見かける。 ぱちゅりー種もまた世代を重ねるにつれ神経を図太くすることで 種としての存続を図ったとか何とかテレビでどっかの大学の偉い先生が言ってたっけ? まぁ、そんな小難しいことは放っておくとして……。 「ぱちゅりーは賢者なんだね? 賢者は街でどうやってごはんを調達してるのかな?」 「むきゅん! かんたんよ! けんじゃはたべられりゅおやしゃいしゃんがわかりゅのよ!」 ……ふむふむ。 「食べられる野菜が判る? 街中には野菜なんてあんまり生えてないと思うんだけど?」 「むきゃきゃ! やっぱりにんげんはおろかね! しょんなこともわからないなんて!」 ビク!ビク! クッションが心地よい振動を伝えて来る。 良いねぇ、この機能。 「ごめんね、お兄さんは頭が悪いんだ。賢者さまに詳しく教えて欲しいなぁ♪」 「むきゅきゅ♪ いいわ、とくべつにおしえてあげりゅわ! 」 子ぱちゅりーが偉そうに踏ん反り返る。 そして紫色の髪の房の一つをビシっと窓の外に向けた。 「しょこをみなしゃい! しょこのぷれいしゅには、たべられりゅおやしゃいしゃんがはえちぇたわ!」 子ぱちゅりーは髪の房の先には俺の家の庭…… 正確には庭に置いていた自家製プチトマトの植木鉢を指し示している。 もっと正確にいうのなら割れた鉢の残骸というべきか。 「ふむふむ…………」 「こういうぷれいしゅではよくみかけりゅのよ! ぱちぇのけんじゃなみゃみゃのじきでんよ!」 ビクビクビクン! クッションの振動が気持ちいい。 「そっかぁ……そうやって暮らしてるんだぁ♪」 「ぱちぇたちがけんじゃだからこしょね!」 子ぱちゅりーの様子はまさに有頂天だ。 そして、その語り振りからは自分の親を心から信頼し尊敬していることが窺い知れる。 「お野菜さんは美味しかったかい?」 「むきゅきゅ、なかなかけんじゃなおあじだったわ!」 ビックンビックン!……ギュム! 今にも跳ね回りそうなクッションに体重を掛ける。 「そっかー♪ でもね、ぱちゅりー。君たちの食べたお野菜さんはボクのものなんだよ」 「むきゅ? なにいってりゅのかしら? ありぇはぱちぇたちがみつけたのよ!」 「もう一つ言うとね、ここはお兄さんのゆっくりプレイスなんだけどね」 「むきゅ!? ここはぱちぇとみゃみゃのゆっくりぷれいしゅよ!」 「そう言うと思ってたよ。君は悪い子だね、ぱちゅりー」 「むきゅ!! ぱちぇたちのおうちをよこどりすりゅきにぇ!?」 何のことはない、よくある野良ゆっくりによる狼藉である。 こういう場合、この子ぱちゅりーを捻り潰すのが一般的な対応というものだろう。 だが、そこはこのボクである。 可愛いそうな野良を真っ当な道に導くのがボクの務めなのだ。 ちゃんと更正の機会を与えてあげなくては。 「悪い子にはちゃんと言って聞かせないといけないな♪ じゃあ、こうしよう。これからボクがゆっくりが街で生きる為の3つのルールを説明するよ。 それを完璧に覚えられたなら全部ぱちゅりーの言う通りにしよう。 勝手に野菜を食べたことも咎めないし、このおウチも好きにしていいよ。 逆に覚えられなければボクの言う通りにして貰う。 さぁ、どうかな? ぱちゅりー?……賢者ならボクの挑戦に乗ってくれるよね?」 「むきゅ!? そのてにはのりゃないわ! てきとうなこといってぱちぇをけむにまくきにぇ!」 「んん? どうしたのかな、ぱちゅりー? ぱちゅりーは賢者なんだろう? 賢者なら当然できるよねぇ? それとも自信がないのかな?」 「むきゅ!! なにをいっちぇるの!? ぱちぇはしょうしんしょうめいのけんじゃなの!! いいわ。そのちょうせん、うけてあげりゅ!!」 そうしてボクとぱちゅりーの勝負は始まった。 そして十分後、そこには(言い訳や捨て台詞を吐くも)一応敗北を認めつつ、 しかしながら意地でもこの家に居座ろうとする子ぱちゅりーの姿があった。 さて、何度言っても聞かないし、ここはとりあえず敗者としての条件を呑んで貰うとしようか。 「ところでぱちゅりー。ぱちゅりーは文字は読めるかい?」 「むきゅ! ぱちぇはけんじゃなのよ! とうじぇんよ!」 「そっか、そっか♪ それじゃあ、忘れないようにここに書き込んでおうこうね♪」 ボクはハンダゴテを手に取ると、さっきからブルブル小刻みに震えている純白のクッションを抑え付けた。 そして、ハンダゴテでクッションに先ほどの3つのルールを刻み込んでいく。 ジュウ~……ビクビクビクビクビク!! クッションの振動が痙攣に変わる。 だが、文字が焼き付け辛いのでシッカリ抑え込んでから、一文字ずつ深くクッキリ刻み付けていく。 一、 ゆっくりはにんげんにきがいをくわえてはならない 二、 ゆっくりはにんげんのめいれいにしたがうこと 三、 ゆっくりはみのほどをしるべし よし、完成だ。 クッションはまるで耳なし芳一のようになってしまったが、まぁいいだろう。 「よーし、できたぞぉ、ぱちゅりー♪」 「むっきゅり、けんじゃだわ!」 うんうん、子ぱちゅりーも喜んでくれてるなぁ♪ 「ボクの要求はこのゆっくり三原則をしっかり覚えてもらうことだよ。 もちろんこれに従ってぱちゅりーにはボクのゆっくりプレイスから出て行って貰う。 お野菜さんの件は……まぁ食べてしまったものは仕方ない。 ぱちゅりーが反省するなら今回は大目に見てあげよう♪」 「むきゅ、しょうがないわねぇ……しょういえば、みゃみゃはどきょかしら? しゃっきから、みゃみゃのしゅがたがみあたらないわ!」 「ああ、ぱちゅりーのママねぇ。そうだなぁ、そろそろ種明かししようか……えいっ♪」 ボクはポケットからクシャクシャになった布切れのようなものを取り出すと、 痙攣を続けるクッションにパサッと被せてやった。 ついでにクッションを横に半回転させてやると、薄汚い液体を垂れ流す二つの小穴が姿を現す。 小穴……つぶらな瞳は子ぱちゅりーに向けられていた。 「………っ!! ………っ!!」 クッションは何か言いたそうだけど、その溶着された唇だと何も言えやしないよねぇ。 丸坊主にした挙句、口もしーしー穴もあにゃるも全部焼いて塞いじゃったから、 お得意の他界逃げも出来やしない。 一方、目を丸くしてクッションを見つめていた子ぱちゅりーはあんぐりと大口を開けている。 おっと……耳塞いでおこうっと♪ 「…………………ば、ば、ば、ばじぇのけんじゃなみゃみゃがぁ~~~~~~~~~~~~~!!!」 その後は、会話と節食行動を封じたクッション……もとい親ぱちゅりーともども、 子ぱちゅりーを家の前で解放してあげることにした。 親ぱちゅりーは捕獲時の言動から確信犯的に子ぱちゅりーにゲス教育を施していたことが判明している。 だからこそ、子ぱちゅりーには今後は摩れたゲスの口伝に頼ることなく、 親の背中(に刻まれたゆっくり三原則)を見て健やかに育って欲しいと願う今日この頃だ。 翌朝、家から十歩ほど離れたところで大小二つの汚濁した水溜りが広がっているのを発見した。 酔っ払いの吐瀉物だろうか。 何台もの車が踏み去っていったのか……濃い灰褐色のタール状になったソレを見ながら ぱちゅりー親子の行く末に想いを馳せた初夏の一コマであった。 今までに書いたもの anko253 相棒 anko314 夏の終わりに anko339 来訪者 anko455 中身をブチ撒けろ anko459 ゲスゆ矯正物語~威嚇癖を直そう anko465 ゲスゆ矯正物語~悲劇の芽を摘み取ろう anko475 ゲスゆ矯正物語~性根を入れ替える
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『プッツン』 6KB 虐待 小ネタ 現代 マイルド 2作目です 注意 SS書き初心者です 小ネタです ちょっとHENTAI?具体的な行為の描写はありませんが…… 過去作 anko4470 ハロウィンの夜に ↑お読みくださったらお進みください↓ 『プッツン』 今日も今日とて、紅茶がうまい。 俺は家の縁側に腰掛け、加工所謹製セイユンティー(ひまわり風味)を茶請けの菓子と共にちびちび飲んでいる。 高濃度に凝縮された原液をお湯と1:2の割合で混ぜて飲むこの一品。 その甘酸っぱくもどことなく切ない味は、世を忍ぶ紳士たちに大評判であるらしい。 友人の薦めで飲んでみた俺も、すっかりこの味の虜になってしまった。 今では彼に頼って定期的に買い付けてもらっている。 あ、お菓子がなくなっt「ゆっくりしていってね!!」…… と。 一人きりのティータイムを愉しむ俺の耳に、なにかが聞こえた。 「ゆっくりしていってね!!」「いってね!!」 見れば、俺の視線の先にゆっくりれいむ・まりさのコンビがいた。 ナマクビどもは腹の底から滲み出るような邪悪な笑みを浮かべ、俺を見ていた。 「「ゆっくり!して!いってね!!」」 一音一音、その音を出すのが至上のゆっくりであるかのようにナマクビどもは叫んだ。 まったく、騒々しい。なんだってこいつらは俺にとっかかるんだ。 ロクに紅茶も飲めねえじゃねえか……。 額に青筋の立つのを感じつつも、俺は努めて冷静に応対しようとした。 「はいはい、わあったから黙れ」 反応が返ってきて饅頭どもは一瞬目を「キョトン」とさせた。 が、すぐに口元のうすら笑いをさらに醜悪にし、醜いアヒルの子を見るような目で俺を見た。 「ゆぷぷ、ようやくっ、ぷぷっ、へんじをしたね、へんたいさん!!」 「れいむたちにかまわず、ぷぷぷっ、つづけていいのよ?」 俺は茫然とした。 何がおかしくて出会いがしらに不思議饅頭どもからHENTAI認定されねばならんのだ。 はやる気持ちを右手に携えたセイユンティーで抑えつつ、とりあえず話を続けることにした。 「はあ?何言ってんだお前ら」 「ゆぷぷ……ふう。じぶんがやっていることもわからないんだね!」 「まりさ、きっとこのにんげんはへんたいのみちにみいられたあわれなおとこなんだよ! だかられいむたちでゆっくりみまもってあげようね!!」 「そうだねれいむ、そのほうがゆっくりできるのぜ!」 「「ねえぇ~~~!!」」 わけがわからない。 ええい、面倒くさい。さっさとお帰り願おう。 いつもなら俺の鋼の両腕でボコボコにしてやるんだが……。 今、俺はこのとてつもなくゆっくりした庭でゆっくりしたいんだ。 平常心を保て、俺。こいつらごときに俺の時間を乱されはしない。 「……なんだ?あまあまか?」 「ゆ!あまあま!?ほしいのぜ!!」 「へんたいのにんげんはさっさとれいむたちにあまあまをよこしてね!めがっもりでいいよ!!!」 勢いで言ってみたが、そういえば固形の菓子は食いきったんだっけ。 たしか残りが戸棚に……。 とりあえず俺は手近のあまあま、さっきまで飲んでいたセイユンティーを、 お菓子を入れていた皿に注ぎナマクビどもに差しだした。 「ほら、これでも飲んで待ってろ」 すると二体の饅頭はあからさまに嫌そうな顔をしだした。 「ゆゆ!!まりさにそういうしゅみはないのぜ!」 「なにやってんのおおこのくそじじいいいいいい!!!! それはあまあまじゃないでしょおおおおおおおお!!!??」 二体は後ずさりした。 「ハア?お前らこれは立派なあまあまだぞ。うめえぞ」 俺はそう言ってやった。 饅頭どもは、少しの間硬直し、途端にかわいそうなものでも見る目で俺を見つめ、それから大きな声で笑いはじめた。 「……ゆ、ゆっひゃっひゃひゃひゃひゃ!!!くそじじいのみかくはえいえんにゆっくりしてしまったのぜ!! あわれすぎてことばもでねえのぜ!! ひゃひゃっひゃっひゃひゃ!!!」 「ゆひーっゆひーっ!!くそじじいのつうっれつっ!なぎゃぐには、 さすがのれいむもほうっふくっぜっとうっ!!だよ!!!」 「れいむ、わ、わらいすぎてもいけないのぜ!! じじいは、もしかしたら、もしかしたら! し、しらないだけかもしれないのぜ!!」 「ええーっ!?し、しらないのぉー!!?? だって、おちびちゃんでもわかることなのに!!?? ゆっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!!!」 俺はふつふつと心の奥から滾る何かを懸命に抑えていた。 おちつけ、おちつくんだ俺。 こんなおしゃべりクソ袋の戯言で怒るようじゃ、せっかくのティータイムが台無しになっちまう。 俺はこいつら如きに調子を乱したりはしないんだ。 絶対、絶対に……。 「まりさあ、それはないよお!!だって……」 「これがゆうかのしーしーだって、きづかないほうがおかしいよ!!!」 ……い、今、なんて? せ、セイユンティーが……、「ゆうかのしーしー」……? ・ ・・ ・・・ ――プッツン 「れいむ、さすがにいいすg「おどりゃあああああああああああああ!!!!!」 瞬間、俺は稲妻のごとく饅頭どもに駆けよる。 そして胸糞悪い帽子つき饅頭捕捉。その胴体を蹴り飛ばす。 力をつま先に集中。 当てるは鼻先。 狙うは生け垣。 俺の右足は、すこぶる調子が良かった。 「ぶべええええっまりさおぞらばびゃ」 ベッシャアアアアン、と植物の壁にぶち当たり、無数の葉や枝がその衝撃に拮抗。 結果、まりさの身体はバラバラに砕け、帽子のみが生け垣の手前に落ちた。 れいむは、ゆっくりにしてはめずらしく即座にまりさの惨状を認識したのか、すっと顔色が悪くなる。 「ゆ、ゆわわわあああああああまでぃざああああああああああ!!!」 まりさのもとに駆け付けようと、俺に背を向けぱすんぱすんと跳ねる。 俺はすぐにれいむの前方に回り込む。 「ゆゆあああ、じ、じじいいいい!!そこをd「俺はなあああ!!!!」 「ゆひいいいいっ!!!!」 突然の怒号にれいむは立ちすくんだ。 下部から液体がこぼれ出ている。 「俺はあ!!すっかり、忘れてたぜえええ!!!!」 頭から角が生えるんじゃないかというくらい顔面を歪ませ、憤怒の表情でれいむに拳を与えていく。 「数多の!!鬼意惨たちがッ!!」 ガスッ ガスッ 一撃、一撃。 その感触を味わい、その拳に確かに伝わる餡子の血潮を感じ、俺はまだまだ猛攻をやめない。 「その手に!!餡子を染めてきた!!先達たちがッッ!!」 「ぶべっ!!ばっ!!!がっ!!!ぎゃべ!!!!」 「俺にい!!教えてくれたことをおおおおお!!!」 バスン!!! 利き手である右手をれいむの左頬から振り抜いた。 俺の一番のフィニッシュブローだった。 その暴力はれいむに停止を許さない。 れいむもまた、先ほどのまりさと同じく、庭の生け垣目がけて一直線に飛んで行った。 「おぞばああああああがべえっっ!!!!!」 そして、これまたまりさと同じように鋭利な葉や武骨な枝によってその身が散開することとなった。 俺はフィニッシュを決めたフォームからしばらく動くことができなかった。 両手にはクソ饅頭どもの残骸。 体中から噴き出る汗。 視線の先には二つの餡子の花。 この庭には似つかわしくない。 そして、ふっと、緊張が解けたかのような感覚が全身を回る。 俺は、ゆっくりと、ゆっくりと右手を天に掲げる。 「ゆっくりを一目見たならばッ!!その時すでに行動は終わっているんだッ!」 その言葉は、俺の友人であり師匠である男の格言だった。 「……てか、このクッソきたねえ紅茶はあいつからの紹介だったな」 今度あのドHENTAI男に一撃くらわしてやろう。 俺は汚物を容れていた皿とティーカップを拾い上げ、即座にゴミ箱へ投げ捨てた。 蛇足 「ド直球」「スタンダード」「黄金の水」から着想を得て書きました 拙い文章ですが、読んで下さった皆様、ありがとうございます 真の紳士はセイユンティーを原液で飲むんですって、まあHENTAI 数多の先達の鬼意惨たちには頭の下がる思いです 良くも悪くも、何かコメント頂けたら幸いです
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『疾風ゆっくリーガー』 ○○あき 作 BGM任せで勢いだけで書きました。深く考えないで読んで頂けると幸いです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー スタジアムを埋める観衆、声を枯らさんが如く声援を上げ盛り上がっている。 この競技場で開かれているものそれは・・・・ ゆっくりーグ ゆっくリーグとは、人間が監督となってゆっくりを戦わせるスポーツ。 競技内容は多種存在し、その種目を多く制したチームが優勝となる。 ここに弱小チームが存在した、創設以来全敗で未だ勝利を知らない。 チームの監督は金城たけし。 彼の名前からチーム名を「マネーキャッスル」と言う。 所属のゆっくりは1匹を除いてれいむ種ばかりで、バランスとか力量とか以前の弱小チームである。 『きょうこそは、でいぶたちはゆっくりかつよ!』 『おー』×3 『じゃおぉぉぉぉぉん!』 円陣を組み気合を注入! 紅い炎を後に引き熱気吹き出しやってくる。 負けてたまるかと、食いしばる歯が火花を散らす。 そしてグランドへと駆けて行く、4匹のれいむ達と1匹のめいりん。 本日の競技はゆっくりサッカー ルールは人間とほぼ同じだが、ゆっくりには手足は無いのでハンド等の反則は存在しない。 したがってただ球を転がし点をとるだけの競技なのだが、口やおさげ等の使用は許されている。 試合は1チーム5匹のゆっくりで戦う。 対戦チームとセンターフィールドで、睨み合う10匹のゆっくり。 今日は田久玉子穣率いる「ダークエッグ」が相手である。 マネーキャッスルオーダー 1番 でいぶ 2番 れいむ 3番 れいみゅ 4番 めいりん 5番 どれいむ ダークエッグオーダー 1番 れみりあ 2番 ふらん 3番 きめいまる 4番 やまめ 5番 れいぱーありす 『でいぶはまけないよ!』 チームのトップを務めるでいぶは、れみりあに勝利宣言する。 『まけゆふぜいがおぜうさまにかつ?ねごとはゆっくりしていうんだどぉ』 戦う前から火花を散らす両者 ピィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーー! 試合開始のホイッスルが鳴り、マネーキャッスルのボールからスタート。 『ゆん!ゆん!ゆん!ゆん!』 でいぶは自慢の怪力で、ボールをグイグイと押すようにピッチを進んで行く。 身体が大きいのでスピードは無いが、力と防御力には自信がある。 『おぜうさまをなめるんじゃないんだどぉ!』 れみりあはボールを狙う事なく、迷わずにでいぶに噛みつく。 でいぶはたまらず悲鳴を上げる。 『いだいぃぃぃぃぃぃぃ!はなじでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』 怯んだでいぶからあっさりとボールを奪う。 しかしこの行為はを見ても審判は、れみりあを反則には取らない。 使える部位は口しか無いのだから、ここを反則に入れると競技にならないからである。 ゆっくリーグに反則は存在しない、あるのは最終結果だけ。 奪われたボールは、きめいまるへ渡される。 『おぉぼーる!ともだち!ともだち!』 きめいまるは抜群のスピードで、ピッチを駆け抜けて行く。 追いつけるゆっくりは存在しない。 3匹をごぼう抜きすると、キーパーを務めるめいりんの所まで辿り着く。 『おぉ!しゅーと!しゅーと!』 身体を回転させての強烈なスピンで、ボールに体当たりしてゴールへと吹き飛ばす。 『じゃあおぉぉぉぉぉぉぉぉん!』 めいりんは左隅を狙ったボールに喰いつくように飛びつく、だが目の前をボールは通り過ぎる。 ザシャァァァァァァァァァァ! 「ゴーーーーーーーーーーーール!!」 ボールはゴールネットに突き刺さった、ダークエッグが先制点をもぎ取る。 『おぉ!ごーる!ごーる!』 きめいまるは仲間に、先制点ゲットのアピールをしようと振り返る。 しかしそこにあったのは・・・・・ 『いだぃよぉ!いだいいだい・・』 チームメイトによるマネーキャッスルへの暴行が行われていた。 『どぼじでごんなごとするのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』 まだれみりあに噛まれているでいぶ。 『ぐずなゆっくりはしんでね!』 ふらんに蹴飛ばされるれいみゅ。 『すっきりぃぃぃぃぃぃぃぃ』 れいぱーありすにすっきりされるどれいむ。(この後赤ゆは、スタッフが責任もって美味しくいただきました。) あらん限りの暴行が横行している。 こんなラフプレーをしなくても、ダークエッグがマネーキャッスルに負ける事なんてありえない。 そしてきめいまるが、チームメイトに信用されていない訳でもない。 ただこの暴行は、ゆっくリーグの日常的な風景、むしろこっちがメインとも言える。 試合は30対0のダークエッグの圧勝で終わった、しかしきめいまるの心は何かすっきりしない。 マネーキャッスルで生き残ったゆっくりは、でいぶとめいりんの2匹。 『ゆゅ・・・・またまけちゃったよぉ・・・』 落ち込むでいぶを励ます監督。 「いいや!負けてない!勝ったのは誰だ?いったい誰だ?・・・・・・・俺だw 俺はお前達のおかげでこんなに儲かったぞ!」 監督は今日のYUYUクジで得た賞金を見せて、これ以上ない位の満面の笑みを見せる。 『なにじでるのぉぉぉぉ!てきさんにかけちゃだめでしょぉぉぉぉ!!』 でいぶは監督に抗議する。 「ちっちっち!でいぶ・・・・お前はこの凄さを全然分かっていない・・・」 指を横に振りながら顔を振る監督。 『ゆゅ?かんとくのすごさ?』 これには自分の知らない何か、大きな事実が隠されているのでは?とでいぶは思った。 「そうだ!お前らはダークエッグの倍率を知っているか?1.1倍だぞ!1.1倍! それで10万儲けようとしたら、どれだけ大金を賭けなければいけないか!」 札束をでいぶに見せて胸を張る監督。 『・・・・・・・・・でいぶたちにもかけた?』 監督は声高らかに答える。 「はっはっは!お前らに賭ける金は一銭もない!」 その顔はいかにも言ってやったと言わんばかりの、自信溢れる表情であった。 『かんとくがそれじゃだめでしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』 ダークエッグのクラブハウスから1匹のゆっくりが出てきた。 それは先程の試合で得点を決めた、エースストライカーのきめいまる。 今日でダークエッグを退団したのである。 ラフプレーを主体とするチームに嫌気がさしての退団・・・・・・と言う訳では無い。 ゆっくリーグを観戦にくる客は皆、ラフプレーを楽しみにきている。 スポーツだとは初めから思ってはいない、これはあくまでゆっくり同士の殺し合いを試合形式にしただけの娯楽。 それを勘違いし得点を入れる事に熱を入れたきめいまるは、趣旨を理解しない邪魔者でしかなく。 早い話が解雇されたのだ。 昨今の不景気で、きめいまるの様な正統派の選手を入れてくれるクラブは無い。 どこのチームも、残虐なラフプレーで客を魅了出来るゆっくりばかりを必要としている。 『おぉむねんむねん・・・』 プレイスタイルを変える事が出来ないきまいまるは、スポーツ選手として雇ってくれるチームを探すしかない。 きめいまるは肩(?)を落として、クラブハウスを後にするのであった。 『どこへいくんだどぉ?』 れみりあが、去っていこうとするきめいまるに声をかける。 きめいまるは振向く事なく答えた。 『おぉみていみてい・・』 今後どうするのかはまだ、きめいまるにも分からない。 『おぜうさまをおいていくのかだどぉ・・・つれていってほしいんだどぉ・・』 れみりあは、解雇されたきめいまるについて行こうとする。 しかしそれは許されない、れみりあはダークエッグの選手なのだから。 『おぉだめだめ!』 きめいまるもそれは理解していた、どれほどの苦労をする事になるか分からない放浪の旅。 かつてのチームメイトを、巻き込む事はしたく無い。 『うぅ~どうしてそんなこというんだどぉ~きめいまるなんかきらいなんだどぉ~』 泣きながらクラブハウスへと戻って行く、きめいまるはその姿を寂しそうに見ながら去ろうとする。 だがその直後にれみりあが、凄まじい勢いで蹴り出されてきた。 2匹の様子を監督の田久玉子嬢が見ていたのだ、友を思いやる優しいゆっくりはチームに必要無い。 ついでにれみりあも解雇されてしまった。 れみりあの顔には監督の履いていた、ヒールがめり込んで後頭部まで貫く。 女性でありながらJリーグを目指し、オリンピックにまで出場しただけあり凄まじい脚力である。 男性に生まれていれば、Wカップにも出場できたかも知れない。 『も・・・・も・・・どゆっぐりじだがった・・・んだどぉ・・・』 瞬殺と言うありがたい退職金を貰い、れみりあはこの世を去ってしまう。 残されたきめいまるは、慌ててその場を去る。 『おぉ・・くわばらくわばら』 しかし大地を響く足音がそれを許さない、怒り収まらぬ玉子穣がきめいまる向かって駆けてくる。 その形相は、通りかかっただけの野良まりさが必死に謝りだすほど。 『ゆぅぅぅぅ?なんだかしらないけどごべんなさいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?』 「うっせぇ!謝るくらいなら死ねぇぇぇぇ!国電パァーーーーーーーンチ!!」 うなる!うなる!古い昭和ネタの必殺技がうなる! 玉子嬢の婚期は、こうして伸びていくのかも知れない・・・・・・ パンチと叫びながらも蹴り飛ばされるまりさ、それは饅頭の弾丸と化す。 一直線にきめいまるへと飛んでくる糞饅銃弾。 『おぉ・・の~びの~び』 きめいまるは身体を伸ばすと大きく反らし、イナバウアーの形をとってまりさをかわす。 華麗に決まったと、きめいまるは内心ほそくえむ。 しかし現実は甘くはない。 『どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・』 そもそも目標が身体を伸ばしただけで、面積は減るどころか逆に増えたのだから回避しようがない。 ものの見事に直撃を喰らい、吹っ飛ぶきめいまる。 『おぉ、いたいぃいたいぃ・・・・おぉ?』 起き上がって痛みを堪えるきめいまる、そこで見たものは大きなタイヤだった。 パァァァァァァァァァーーーーーーーーーーンンン!! 大型ダンプカーのクラクションが響き渡り、遠くへと通り過ぎて行く。 弾丸によって道路へと吹っ飛んだきまいまるは、車に轢き潰されて最後を遂げた。 道路に染みを残して全て形を失う。 「ふん!汚い花火だよ・・・・」 顔を顰めながら呟くと、玉子嬢はクラブハウスへと消えていった。 きまいまるの最後を哀れんでか、雨はポツリポツリと降り始める。 雨はきめいまるの名残を洗い流す、明日には綺麗に消えているだろう。 選手と言う名を借りていても世界の底辺を生きる者、彼女達に自己選択の余地は残されていない。 あるのは使命をまっとうする事だけ・・・・・・・ 明日もゆっくり達は戦い続ける。鬼威山達を愉しませる為に・・・・・・・ おわり ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書いた当人が言うのも何だけど・・・・・・・・・・何だこれ? ストレスで大変だった時に書きかけていた物を完成させたのですが、もろに聴いていたBGMの影響をうけてます。 ネタはかなり古いと思われるので気にしないで下さい。 ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板 http //jbbs.livedoor.jp/otaku/13854/ ○○あきのSS感想はこちらへ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1275503703/ 誤字・脱字等あれば勘弁して下さい これまで書いた物 anko1218 ゆ虐ツアー anko1232 ゆ虐ツアー お宅訪問編 anko1243 ゆヤンワーク anko1495 ゆ虐にも補助金を anko1785 ゆうかにゃんはアイドル anko1237 デスラッチ01 雪原のまりさ anko1250 デスラッチ02 まりさの思い出 anko1274 デスラッチ03 まりさとつむり anko1282 デスラッチ04 まりさとおにいさん anko1314 デスラッチ05 まりさとおちびちゃん anko1337 デスラッチ06 まりさとリボン anko1341 デスラッチ07 まりさと春 anko1711 デスラッチ08 まりさの子ぱちゅりー anko1296 デスラッチ外伝01 まりさとまま anko1505 デスラッチ外伝02 まりさとめぐりあい anko1276 ゆっくり種 anko1278 ゆっくり種2 anko1291 ゆっくり種3 anko1310 ゆっくり種4 anko1331 ゆっくり種5 anko1350 ゆっくり種6 anko1391 ゆっくり種7 anko1482 ゆっくり種8(終) anko1362 ケーキ anko1527 極上 anko1612 砂の世界 anko1768 永遠の命 anko1779 塗りゆ anko1863 れみりあが愛したおちびちゃん _☆)キラン ↓
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Neko3_ ニックネーム 子猫 ねこ 枠 PVP勢 トロール 説明 結構な古参で、最近は参加頻度が少ないが実はPVPが上手い。APEXやValorantなどのゲームでは上位レベル
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『ドスを狩ってみた』 15KB 虐待 制裁 自業自得 戦闘 駆除 群れ ドスまりさ 現代 狩猟もの 教授あきの作品です。 勧善懲餡ものです。恐らく全てのゆっくりが不幸になるか死にます。 物語の展開が早いです。 以上の点に危機感を覚えた方はページを閉じてください。 その日、俺は学校が休みだったこともあり、ドライブとして山道を走っていた。 すると、急に車のスピードが落ちてきた。 徐々に遅くなり、とうとう完全に止まってしまう。 「……うげっ」 理由はすぐに分かった。ガソリンがなかったのだ。 「しまった……JAFを呼ぶか?」 そう思ってふと外を見ると、すぐ近くに村が見えた。 ドスを狩ってみた 「すいませーん! どなたかいらっしゃいませんかー」 一番近くにあった民家で、そこの住人を呼んでみる。 車があったのでガソリンを買わせてもらおうと思ったのだ。 農村だから、もしかしたら留守かもしれないと思ったが、返事があった。 「はいはい、どなたでしょうか?」 出てきたのは結構な年のお爺さんだった。 手ぬぐいを頭に巻いた、まさに農家の人という風体だった。 「すいません、実はガソリンが切れてしまいて……」 「あぁ、それは災難でしたね。ちょっと待っててください」 事情を察してくれたようで、道具を取りに家の中に戻っていった。 「ふぅ。にしても、綺麗なところだな。まさに農村だ」 周りを見渡すと田畑ばかりで、所々に民家があるという、よくある農家だ。 そして、そこでぽよんぽよんと跳ねている謎饅頭もよくある光景なのだろう。 「ゆ、ゆ、ゆ!」 「おちょーしゃん、はやいよ!」 「ゆゆ! ごめんね、オチビちゃん」 「まりさはゆっくりしてるね!」 超スタンダードなれいむとまりさ、そしてれいみゅの一家だ。 「ゆ? みなれないにんげんがいるよ! ゆっくりしていってね!」 俺に気がついたらしく、いきなり話しかけてくる。警戒心の薄い田舎のゆっくりならではの行動だ。 “にんげん”と呼び捨てにしてきたが、この時点では善良かゲスかの判断はつかないし、仮にゲスだとしても一部の農村ではゆっくりと共存していることもある。 下手に殺してガソリンがもらえないなんてことになれば一大事だ。 「れいむたちのゆっくりしたおやさいさんをみてゆっくりしていってね!」 「へぇ、お前らが作ったのか」 どうやら後者の方だったらしい。 “食べて”ではなく“見て”なのは、まだ食べ時でないだけなんだろう。 「あぁ、またゆっくりか……」 振り返ると、そこにはお爺さんが沈んだ顔で立っていた。 …………どうやら違ったらしい。 「えっと、一応聞いておきますけど、この村ってゆっくりと共存してるとかじゃなくて?」 「まさか」 お爺さんに一蹴される。 「じゃあ潰さないんですか? 色々大変でしょう」 「それが出来れば……苦労はせんよ」 お爺さん――この村の村長さんの話は非常によくある話だった。 最近近所に住み着いたゆっくりの群れの長が3メートル級のドスまりさで、協定という名の不平等条約を交わすことになったらしい。 もちろん、割を食うのは人間側だ。 内容としては『人間はゆっくりをゆっくりさせる』『ゆっくりをゆっくりさせなかった人間をドスに引き渡す』の二点。 結果、農村であるこの村は大打撃を受ける事になった。 “ゆっくりさせなければならない”ということは、野菜などの食料を差し出せということに繋がるからだ。 無論人間側も反抗しようとしたらしいが、ドススパークで民家の1つを破壊され、年寄りが多い村人が萎縮してしまったそうな。 加工所や警察にも被害届を出したが、山奥にあることや、金銭的な問題で無理だったらしい。 民家ひとつ破壊されたのに動かないのは、大方ゆっくりんピースなどの擁護派のせいだろう。 場所をお爺さんの家の居間に移して、大体の事情を教えてもらった。 「もう、老い先も短いというのに……」 悲壮な顔のお爺さんに、俺は一言。 「んー、それってドスを潰せば解決する話ですよね」 村が強く出れないのは一重にドスまりさの存在、そしてドススパークという兵器の存在があるからだ。 つまりドスさえいなくなれば、人間がゆっくり如きに遠慮する必要はなくなる。 「無理じゃよ。ほれ、あそこを見なさい」 そう言ってお爺さんが指さした先には瓦解した建物の跡があった。 「さっき言っていた民家じゃ。都会の人間は“ドススパークなんてほとんど無害”と言っているらしいが、なにが無害だ!」 「あー、確かにただの光であんなふうになる訳ないですもんねぇ」 素直に感心する。 「ちなみに、すぐ撃って来ました?」 「撃って……ああ、ドススパークか。直ぐじゃよ、直ぐ。拒否した途端に撃ちおったわい」 「会話はしたんですよね?」 「したとも。私と二言三言会話してすぐにじゃ」 「二発目は?」 「いや、あれ一発だけじゃ。ただ、あれを見たら誰でも卒倒するわいな」 そりゃそうだ。 ここまでの話から考えるに、それなりに賢いドスだ。 「でも殺すのは簡単ですよ」 俺の言葉に、村長が絶句した。 「な、なにを馬鹿な!」 「だってそうでしょう? たかがドス、たかがゆっくりですよ?」 そう言うが、聞いていた村長は信じられんとばかりに首を横に振った。 「あれを見ただじゃろう。あれだけの力を持つドスに叶う訳がない」 お爺さんの言葉もわからなくはない。 「じゃあ俺が殺します」 「なんじゃと?」 「ドスとてゆっくり。ぶっちゃけ、やり方次第では普通のゆっくり以上に簡単に殺せますよ」 ドスは山の麓にある広場を中心に生活していた。 「では、行ってきます」 道案内として近くまでついて来てくれた、不安そうな顔の村長さんに挨拶をする。 「本当に大丈夫なんじゃろうな? もし君が失敗でもしたら……」 村長さんの言いたいことも分かる。もし失敗すれば、最悪ドスはこの村の人間を皆殺しにするだろう。 だが、 「大丈夫です。必要なものは貸してもらいましたから」 行ってきます、と何も持っていない片手をヒラヒラさせて群れへと足を進めた。 そのドスは他のゆっくりと一緒にいた。 確かにゆっくりしていて、そのふてぶてしい顔をだらけさせていた。 俺は隠れたりせず、堂々と道を歩いてきたので、直ぐに見つかった。 「ゆっ? はじめてみるにんげんだよ!」 開口一番、無礼な発言を受ける。 ゆっくり如きに“にんげん”などと呼び捨てにされるのは、非常に腹のたつ話だ。 「ここはドスのゆっくりプレイスだよ! ここでゆっくりしたかったらあまあまをもってきてね!」 お決まりの恐喝をするドスまりさ。 ドスになれば餡子量が増えて賢くなるという話を聞いたことがあるが、どうやら間違いらしい。中身はゆっくりのままだ。 「きいてるの? ばかなの? しぬの?」 「しかたがないよドス。しょせんゆっくりしてないにんげんだもん」 「ゆふふ。そんなこといっちゃかわいそうだよ、れいむ」 周りのゆっくり達も俺の事を馬鹿にする。 これまた腹のたつ話だが、俺の目標はただひとつ。 普通に歩きながら借りてきた道具を握り直し、いつでも飛びかかれる体勢をつくる。 「もういいかげんにしてね! ドスもおこるんだよ!」 ドスの言葉を無視して、一歩、また一歩と歩を進め射程に捉えた。 「ドス、もうやっちゃおうよ!」 「ゆふぅ、しかたがな……」 ドスが俺に向かってドススパークを撃とうとし……その前に俺がドスの目に鍬を叩きこんだ。 「ゆ、ゆ………………ゆ゛ん゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 聞く人によってはどんな音楽よりもゆっくりできる程の悲鳴が山に響き渡る。 一度も聞いたことのないであろうドスの悲鳴に、群れのゆっくりは大混乱に陥った。 「ど、どすうううううううううううううううう?!」 「わからないよおおおお! どおしてこんなことするのおおおおおおお!」 「れいむたちはゆっくりしてただけなのにいいいいいいいいいいい!」 生き物の少なくない弱点の中で一番わかり易いのは“目”だ。 視覚を司り、普段はまぶたで保護されているため衝撃には弱い器官。 それはゆっくりも同じであり、ドスであろうと違いはない。 いくら面の皮が文字通り厚くとも、眼球に直接攻撃を加えれば確実に悶絶する。 そもそも寒天で出来ているのだ。土を耕す為に作られた鍬の前には無力だ。 「そ、そうよおさ! ドススパークを撃つのよっ!」 いかにももりけん()のぱちゅりーがドスに指示を出した。 「そうだぜ! にんげんのおうちをいっしゅんでこわしたドススパークなら、こんなくそじじいなんていちっげきなんだぜ!」 「ゆぅぅぅぅぅ……そ、そうだね! ドスうっかりしてたよ」 眼球破壊のダメージからなんとか抜けだしたドスが自身の帽子に隠していたキノコを取り出し、口の中に放り込む。 このままではドススパークを撃たせることになってしまう。 「むーしゃむーしゃ……」 片目を失って怒り状態になったドスは、生理的に苛々する顔をして俺を見下ろしている。 無論、阻止できる方法があるのに、そのまま撃たせる馬鹿はいない。 パアァンッ! 山に乾いた、とても大きな音が鳴り響く。 『ゆんやああああああああああああああ!?』 拳銃の発砲音にも似たその音に、すべてのゆっくりがダメージを食らう。 当然、ドスもだ。 そのドスの口からは収縮しそこねたドススパークが狼煙のように出てきた。 人間には味覚・視覚・触覚・聴覚・嗅覚の五感と呼ばれる感覚機能がある。 ゆっくりにも同様の感覚機能があるが、人間とは少し違う。 五感のうち視覚は目、味覚は舌という人間と同じ器官があるが、残りの3機能については特にどこが司っている訳ではない。 例えば眼球にダメージを与えれば視覚は奪われるが、皮を剥いでも触られた事を理解し、声を判別し、臭いを嗅ぎ分ける事が出来る。 つまり、それらを防ぐ術がないという訳だ。 鼻を摘んだり、耳を塞いだり出来ない以上、悪臭や大きな音をそのまま受けることになる。 今、俺が使ったのは新聞紙で作った紙鉄砲だ。 銃の本場アメリカで使えば、お巡りさんが飛んできかねないという代物を、ドスの超至近距離から使えばどうなるか。 結果は見ての通りだ。 この隙に出来る事をやっておく。 まずは一番扱いが面倒なおさげを掴み、根元から引き抜く。 少し抜きづらかったので、鍬で何度かダメージを与えると『ブチブチィ!』という音と共に部位破壊に成功。 「ゆがああああああああああああ! ドスのゆっくりしたおさげさんがあああああああああああああ!」 次に移動能力を奪うため足元を狙う。 ゴルフのスイングの要領でドスの足元に鍬の歯を叩きこむ。 無論、一度で破壊しきれるものではないので、場所を変え狙いを変え、何度も鍬を振り下ろす。 「いだっ、いだああああ! やべでっ! ドスのあんよさんいじめないでええええええっ!」 数十回も叩きこめばドスの移動能力が低下するには十分だ。 そこから飽きてくるまで、ひたすら鍬を叩きこめば、一生涯歩くことが出来なくなるレベルのダメージになる。 ついでにドスになると使い道のないまむまむも破壊しておいた。 そして最後に、口を大きく開けて泣きわめいているドスの口内にポケットに入れていたペットボトルの中身をぶちまける。 量は少ないが、その中身とは俺がもともと村長さんにもらおうとした車の原動力――ガソリンだ。 「いだあああああ! このおみずさんピリピリしてくさいうえににがいいいいいいいいいい!」 ガソリンそのものがゆっくりにとって毒となりうる液体だ。 俺は飲んだことがないが、苦く、ひどくピリピリとするものらしい。 そして当然ガソリンをぶちまけるだけで終わるはずはない。 相変わらず大口を開けているドスの口に、今度はライターで火を点けた新聞紙を放り込む。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 口の中が文字通り火事になったドスは、目を破壊された時以上の悲鳴をあげる。 砂糖水の唾液が充満しているので、山の木々に飛び火することはないが、ドスの口を破壊するには十分過ぎる。 「さて、と。こんなところだろう」 見るも無残な姿となったドスに、群れのゆっくりは騒ぐこともなく、ただ呆然としていた。 「そ、そんな……ドスがにんげんごときにまけるなんて……」 「わからないよ……わからないよ……」 「ぱ、ぱぱぱっぴぷっぺぽおおおおおおお!」 中には精神崩壊しているゆっくりもいたが、それくらいの衝撃があってしかるべきだ。 何せこいつらがゆっくりしてこれたのは、全てドスのおかげだからだ。 「む、むきゅきゅぅ! さすがにんげんさんね! このもりのけんじゃのぱちぇがつかえるにふさわしいわ!」 一番最初に寝返ろうとしたのはぱちゅりーだった。 先程ドスに指示を出していたのを見るに、恐らく副長なのだろう。 「ど、ドスはゆっくりしてなかったんだねー! これからはにんげんさんにおさになってほしいんだねー!」 「し、しかたがないわね。でもつよいにんげんさんならあんっしんできるわ!」 ぱちゅりーを皮切りに、次々にゆっくりが俺を慕い始めた。 いや、寄生し始めたというのがただしい。 こいつらはドスの威を借りてきたゆっくりたちだ。 ドスがこのような状態となって、このままではゆっくり出来ない事を悟ったのだ。 ドスを打ち倒した俺に媚び入ろうとするのも、ある意味自然とも言える。 俺は少しだけ考えて、いいことを思いついた。 彼らを伴って例の広場につくと、ゆっくり達はまだそこにいた。 「おさぁ、ゆっくりしすぎだよぉ」 「みょん? うしろのにんげんたちはどうしたみょん?」 その“うしろのにんげんたち”は目の前の光景に度肝を抜かれていた。 「な、なんと……本当にドスを倒してしまうとは……」 俺の隣りにいた村長さんが、信じられないとばかりに目を丸くする。 その後ろの総勢50人程の村人さん達も同様だ。 あれから俺は、こいつらにここで動かずに待っているように伝えて、討伐終了を伝えに一度村に戻った。 すると、俺の応援をしようとしてくれていたらしい村人さん達がいた。 もともと村長さんだけを連れていこうと思っていたが、丁度村の皆さんが集まっていたので、そのままついてきてもらったのだ。 「なんと……なんとお礼を言ったらよろしいか……」 感動に咽び泣く村長さんに、ゆっくり達が騒ぎ出した。 「さすがおさね! さっそくどれいをしょうっあくしたわ!」 「これからもゆっくりのためにはたらくんだよっ!」 「つかえなくてもかんっだいなまりささまはゆるしてやるのぜ!」 どうやら俺が村長さん達に奴隷宣言をしたと勘違いしているらしい。 どこまでもめでたい奴らだ。 「さて皆さん。ゆっくりに対する恨みは十分だと思いますんで、後はお任せしようと思います」 俺の言葉を皮切りに、呆然としていた村人さん達がゆっくりに近づき始めた。 どの顔も「本当にいいの? やっていいの?」という気持ちを物語っている。 「ええ。思う存分。ただ何匹か捕まえておくと長く虐待できるんでおすすめです」 なので、できるかぎりの笑顔で、彼らの背中を押してやる。 そして喜劇の幕はあがった。 「どぼじでええええええええええ!」 「どれいのくせにいいいいいいい!」 「うるせぇ! お前らにへりくだるのもこれまでだ! 今までの恨み、全部はらさせてもらうぞ!」 「ゆべっ! あばっ! うぼぁっ!」 「どうだ、どうだ、どうだ!」 ある男はゆっくりを鷲掴みにして木に叩きつけていた。 「やべええええええええええええ! れいむのおちびちゃんをつぶさないでえええええええええええ!」 「黙れ! 俺達が丹精込めてつくった野菜を駄目にしたくせに!」 違う男は植物型妊娠をしたれいむを捕まえると、その茎に生えた実ゆっくりを一匹ずつ丁寧に潰していった。 「よくこうしてくれたよなぁ? ええ?」 「あやばりまずうううううううう! おねがいしますからあんよさんをどけてくださいいいいいいいい!」 奴隷扱いを受けていたときに受けた事を、そのままゆっくりに返していた男もいた。 「ありすのとかいはなぺにぺにがああああああ! もうあかちゃんうめないいいいいいいいいい!」 「なにがぺにぺにだ! ウチの旦那に比べたら、こんなの爪楊枝以下だよっ!」 ありすを捕まえては強制的に発情させ、露出したぺにぺにをもぎ取る女性もいた。 「ど…………どぼじで………………」 「そりゃお前、お前らが調子乗ってたからだよ」 俺はその光景を、ボロボロになったドスと共に見ていた。 残った片目に映るのは、自分を慕っていたゆっくり達の末路。ゆっくり達の地獄だ。 「もうやべて……ドスをいじめたんだから、もうじゅうぶんでしょ……?」 「お前、さっき盛大に掌返し食らったのに、よくそんな事言えるな。 俺がいなかった間に制裁食らってたんだろ?」 村人さん達を連れてきたとき、ゆっくりが体当たりをしたり、頬をふくらませるぷくーをしていた。 中にはしーしーをかける子まりちゃもいた。 「あれみたら、同情したくなる気持ちもないことはないんだよなぁ」 「だったら……」 「けど駄目。お前らがやらかした事だ。お前らが責任を取って苦しんで死ね」 その日、夜が更けてもゆっくりの悲鳴が途切れる事はなかったという。 あとがき 前から思っていたドスとの戦闘方法を中心に書いてみました。 本文中に入れるところがなかったのですが、ドススパークの威力はもともと弱いです。 家一軒破壊できたのは単純に貯めていたからで、村長さんと会話してる間は舌でドススパークが出るのを防いでいました。 舌がなくなっても喋る事ができるゆっくりならではですね。 愛でを書こうと思ってたのに、どうしてこうなった。 教授あきの過去作品 http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/3754.html 教授あきの感想掲示板 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1314547340/l50
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『こわいよ……』 10KB いじめ 虐待 制裁 番い 野良ゆ 赤ゆ ゲス 都会 現代 虐待人間 拷問?いや尋問?いや洗脳?いや… 妙に賢いゆっくりが出ます。気に入らない方は、戻るボタンを押してください。 人間に対する精神的拷問手法をゆっくりに行っています。 もしかしたら自分のことのように思って取り返しのつかなくなる危険もありますので、自己責任にてお読みください。 by こうもんあき ----------------- 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 「おわーびっくりしたあ」 仕事からの帰り道、とぼとぼと道を歩いていると、急に大声で呼び止められた。 何かと思えば、ゆっくりである。 まりさとれいむのスタンダードなつがいだ。 二匹の間に出来たらしい赤ゆを何匹か連れている。 最近のゆっくりどもは口を開けばやれゆっくりさせろだの、あまあまを寄越せだの、はては美ゆっくりを連れてこいだとか、 人間に要求するばかりでまったく人をくつろがせようという気が感じられないゆっくりもどきばかりであったが、 こいつらは開口一番で人をくつろがせようとする辺り、今時珍しい純粋なゆっくりなのかもしれない。 しかし、こいつらの薄汚れた風貌…… どう贔屓目に見ても野良だ。 紛う方無き野良だ。 びっくりするくらい、野良だ。 残念だが、期待はできないな。 都市でのゆっくりの過酷な生存競争を聞いたことはあるが、そんな厳しい環境の中、 よくぞゲス化ゆっくりもどきにならないでおれたな、と思うと目頭が熱くなったり、ならなかったりする。 ごめん、嘘。 全然ならない。 そんな事を考えていると、赤ゆらしきものが声をあげた。 「あいしゃちゅにおへんじしにゃいにゃんて、げしゅなくじゅにんげんだにぇ!」 はい、アウト。 残念ー、こいつらは純粋なゆっくりなんかではなく、ゲスゆっくりでした。 なるほどねえ。 最初から「おい、どれい」だの「くそじじい」だのと言っていれば、会った瞬間に潰されると小賢しく理解したゆっくりでしたか。 第一声から人間を罵倒して潰されるのがゆっくり。 第一声は「ゆっくりしていってね」から入り、小賢しく人間を騙そうとするが浅知恵を見抜かれ潰されるのが、よく訓練されたゆっくりだ。 ワハハ、戦場はゆ獄だぜー。 本ゆん達はすでにゲスを見破られたのに気づいていないようだ。 それどころか、ヒソヒソ声(?)で相談を始めた。 あのー、バカでかい声で相談してるから、全部聞こえてますよ? 「しーっ、おちびちゃん。」 「いまからクズにんげんにめいれいして、あまあまをもってこさせるから、すこしだまるんだぜ」 「さいしょはしたてにでると、ばかでおろかなカスにんげんはすぐにだまされて、れいむたちにあまあまをもってくるからね。」 「ゆぴゅぴゅぴゅ。おお、おりょかおりょか。れいみゅ、かしこくっちぇごみぇんにぇーー!!」 「こうきなまりしゃのうんうんと、くずにんげんのあまあまをこうかんしてやりゅんだじぇ。まりしゃのうんうんにさわれることをありがちゃくおもうんだじぇ!」 「そんなこちょいっちゃらかわいしょうじゃよ。くじゅどりぇいはあちゃまがよわいんだきゃら、おれいをいう『ちのう』もないんじゃよ。」 OK。 即潰。 いいゆっくりも居るなどと思った俺が馬鹿だった。 やはりゆっくりは全てゲス。 死んだゆっくりだけが、いいゆっくりだ! 素早く足を振り上げ、まず赤ゆ共を潰す。 「れいむたちをみてゆっくりできたら、あまあまもってきてね!」 グチャッ、と薄汚い野良ゆっくりにふさわしい、なんとも汚い音がして、アスファルトに餡子の花が咲いた。 「きこえてるのじj…どぼぢでおぢびぢゃんだぢがづぶれでるのおおおおおおおおお!!!!」 「おぢびぢゃんがああああ!!!じじいいいいいい!!なにしやがるのぜええええええ!!!」 「いいか、よく聞け。野良のゲスゆっくりなんぞに産まれても、生涯いいことなんか何も無いぞ。 むしろさっさと潰してやって、次に生まれるときはゲスゆっくりより少しでも価値のあるものに生まれることを願ってやるのが、『ぜんこー』ってもんだ。」 「なにいってるのぜえええええ!!おちびちゃんにはかがやかしいみらいがあったのぜええええ!!!」 「いや、無いよ。」 「そのぜんせかいのちょうてんにたつべくして『えらばれた』おちびちゃんをころしたゲスにんげんは、しぬんだぜえええっ!!」 「だから無いって。」 グチャ 「ぶべらっ!」 そんな誇大妄想的妄言を吐き、こちらに飛び掛ってくるまりさを踏みつけ、潰す。 なぜかまりさの中では先程潰れた赤ゆっくり達は、全世界の頂点に立つ選ばれしゆっくりになっていたようだ。 これまた野良にふさわしい、汚らしい餡子を吐き出したまりさは、中枢餡を踏み抜かれたのか、一瞬の後にはおとなしくなっていた。 「あーあ、マジどうでもいいことを野良ゆっくりに説教して、俺何やってるんだろう。むなしいな。さて、最後お前を潰して終わりか。後片付けがめんどくせーなー。」 このセリフを聞いた親れいむは、これから自分が潰されることを自覚したのか、表情がこわばり、若干青ざめているかのように見える。 大事な大事なおちびちゃんを潰した許しがたいクソ人間が目の前に居るのだが、そのクソ人間に、つがいであるカッコよくて誰にも負けないと思っていたまりさが 瞬殺された現場を目撃したのだ。 「んじゃーね。次はまともな生き物に生まれろよ」 足を振り上げた。 普通のゆっくりであれば戦力の差を理解せず、赤ゆが潰されたことに対して文句を言いながら人間に突っかかってきたであろう。 しかしこの親れいむは人間に対して「最初は下手に出る作戦」を思いつくくらい、(ゆっくりの中では)頭が良かった。 「でいぶじにだぐないいいいいいい!」 「ん?今更命乞い?ダメダメ。野良ゲスがいたら街(俺)の環境(精神)衛生上よくないでしょ」 「のらもゲスもやめまずがらあああああああああ!!」 「超低確率でゲスはやめれるかもしれんが、野良をやめるってどうやって?人間の手を借りないで森に帰れるの?まさかお前みたいな汚い野良ゲスが飼いゆっくりになれると思ってる?」 「でいぶじにだぐない、じにだぐないいいいいいい!!! ころさないでくれるならなんでもします!!ごろざないで!じにだぐないいいいいいいいい!!」 ダバダバとモミアゲを振り乱す、とても醜い姿を晒しやがる。 しかし、あまりにも「死にたくない」を連呼されるので、逆に、少し興味がわいてしまった。 そんなに「死にたくない」なら、死への恐怖を煽るだけ煽ってみよう、と。 「ふーむ、死にたくないってのは、痛いからか?」 「ゆ?」 「死ぬ前の痛みが嫌なのか?じゃあ、痛みすら感じる前に中枢餡を一瞬で潰して殺してやるよ。優しくってごめんね!」 「なにいってるのおおおおおお!!!いたいのもやだけど、しぬのがいやっていってるでしょおおおおお!!」 「じゃあ、お前が言う『死ぬ』ってどういうことだ?」 「!?もうむーしゃむーしゃもすーやすーやもすっきりーもできないことにきまってるでしょおおおおおお!! そんなこともわからないの?ばかなのしぬのおおお!?むしろ、しね!でいぶをゆっくりさせないぐぞにんげんば、じねっ!」 (オイィ!自分は死にたくないって言っておいて、他人には「死ね」かよ。) 「お前は俺に絡んだ時点で、もう二度とそれらは出来ないと運命づけられている。 お前、俺に絡んだ時死んだのか?じゃあお前は、今死んだゆっくりでFAなんだな?」 「みでわがらないのおおおお!?でいぶはいぎでるでじょおおおお!」 「おいおい、お前が言い出したことだろ。まあいい。 じゃあ、殺さないよ。 殺すんじゃなく、永遠に傷めつけてやる。」 「じじいははなしきいてたのおおおおお!? いたいのもいやだっていってるだろうがあああ!! じじいはずのうがまぬけじゃないのおおおお!!?」 「わかっている。 もちろん、俺は無慈悲じゃないから、虐待の前の最期のすーやすーやの時に、餡子を入れ替えて、記憶とゆん格を消してやろう。 お前に分かりやすく言えば、「かわいいおちびちゃんやかっこいいまりさの思い出さん」も「俺にされたゆっくりできない事」も全部頭から消して、 「れいむはれいむだよ」っていうその考える力も取り除いてやるってことだ。 すーやすーやから起きたお前は、自分が誰なのかもわからない。 そして加えられる虐待。 「どぼじで!?でいぶはだれ?ここはどこ?なんでいたいいたいされてるのおおおおお!?」ってなるわけだ。 でも、良かったな。お前は虐待を受けないぞ。 だって、その時のお前はもう今の「れいむ」じゃないんだ。 記憶もゆん格も別ゆんなんだからな。 これさえ聞けば、「現在」、お前はゆっくりできるだろう、れいむ。 お前はお前である限り死なないし、これっぽっちも痛くもない。 お前はただすーやすーやするだけだ。 その後は、今のお前、「れいむ」にとっては、「無」だよ。 何も感じられない。考えられない。考えられないってことすら、考えられないよ。 でも痛くはないし、死にもしないぜ。」 「…ぞ、ぞれって……でいぶは、すーやすーやしたら、もういないってごどじゃ…?」 「はっはっは、お前、よくわかったな。 ゆっくりにしては超賢い。うん?天才ってやつか? まあいいや。 とにかく、すーやすーやしたら、お前は精神的に死ぬってことだよ。 さーて、ゆっくりがすーやすーやせずにいられるのはいつまでかなあ。」 れいむのモミアゲをつかんで、家に持って帰る。 このれいむはどんな醜態をみせてくれるだろうか。 ゲスゆっくりにふさわしい姿を見せつけてくれよ。 「ゆぎゃあああああ!!だずげでねっ、だずけt…いやだあああああ!!じにだぐないいい!!こわいいいいいい!!はなしてええええええ!!」 ……… ここは家族を潰した憎いクソじじいの家。 ウトウトしかけては、死の恐怖に苛まれ、ハッと目覚める。 もう丸3日すーやすーやしていない。 髪はボサボサ、肌は荒れ荒れ。 目は餡走って頬はこけている。 しかし、ここで睡魔に負けてすーやすーやしたら、肉体は生きていたとしても、精神は死ぬ。 ……精神の死というのは、すーやすーやもむーしゃむーしゃもできない肉体の苦しみよりも辛いことというのか。 れいむにはそれがわからぬまま、ただ「すーやすーやしたら、死ぬ」という餡子の囁きに、とんでもなくゆっくりできない恐怖と絶望を味あわされるのであった。 怖い。 死ぬのは、れいむがれいむでなくなるのは、ただひたすら怖い。 こんな苦しみを感じてなお、れいむの「生」には意味があったというのか。 そもそも、何も考えずいつも普通に行っていたすーやすーや。 すーやすーやで一旦れいむの意識は途絶えるが、起きた後、別ゆんになっていないという保証は? こんなこと、じじいに絡むまで考えたこともなかった。 じじいの家に連れてこられたこの三日間、れいむはむーしゃむーしゃもすーやすーやもすっきりーも、勿論出来ていない。 こんなの、れいむは生きているって言えるの?? !!? …だからって、むーしゃむーしゃやすーやすーややすっきりーが好きなだけできてれば、生きてるって言える? ああ、誰か教えて…… どうせいつか永遠にゆっくりしてしまうのに、ゆっくりが生きる意味って、何? れいむが今までしてきたことって、何の意味もない事だったの!? ……… そこまで考えて、ついにれいむは限界を迎えた。 れいむの最期の叫びはこうであった。 「ぐるじいいいいい!! けどずーやずーやじだぐないいいい!! …じぬのっで、ごれよりぐるじいの? もう、らぐになりだいよ…… でも、じにだぐないよ……こわいよ…こわいよ……じにだぐ…ない… ゆっぐり、じで、いっ…で……n…こわいy…すーや、すーゃ…」 いやー、すごい。 ゆっくりって睡眠を3日も我慢できるんだな。 宣言通り、耐えきれずにすーやすーやしたから、餡子の入れ替えを行ってやろう。 しかし、その後は宣言と違う。 記憶とゆん格が新しくなったれいむには、虐待を加えるのではなく、前のれいむと同じことをささやいてやる。 すなわち、 「虐待を受ける前の最期のすーやすーやをして、起きたら、餡子を入れ替えちゃうから、記憶もないし、お前はいないよ。まあ、『お前は』虐待されないで、良かったね。」、と。 ----------------- 新作10個 anko1952 ゆイアン・メイデン anko1966 剥製れいむ anko1974 森の賢者は論理がわかる anko2025 うみのいえ anko2033 蜂起 anko2034 蜂起 Side 人間 anko2052 博物館 anko2128 ゆっくりさまさま anko2176 ゆー気清浄機 anko2201 ゆーゴマ
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『超合金さなえ.TXT』 8KB 愛で パロディ 小ネタ 日常模様 戦闘 飼いゆ 希少種 現代 愛護人間 独自設定 13作目 ※このSSは、コーチという単語にトキメキを感じる人、ロボットで組み体操をしたい人、中学生のときを思い出すと枕に頭を埋めて、足をばたばたさせてしまう人向けです。 『超合金さなえ』 「ががーん。ばひゅーん。アパムーアパムー!」 さなえがクリスマスプレゼントの『超合金ロボット・シャイニングカナコ』で楽しそうに遊んでいる。 ちなみに俺のクリスマスプレゼントは無かった。 枕元に手紙が置いてあって ……サンタを信じてない奴がプレゼント貰えるとおもったの? 父…… と書いてあった。 そういう問題なのか? 「儚き人間には信仰を。忌むべき敵には神罰を。戦場を穿つ神の稲妻を受けよ。シャイニングオンバシラァアァ!」 さなえがとっても楽しそうだ。うらやましい。 なんとなくさなえを観察していると、さなえは遊ぶのを止め、俺に質問をしてきた。 「おにいさん。なんでさなえは奇跡を起こせないのでしょう?」 ああ…毒されている。 日曜朝8時半からやっているテレビアニメ『信仰戦記ゴットカナコ』は、主役のゆっくりさなえが、ロボットに乗り奇跡を起こして敵を倒す王道アニメだ。 ただ対象が飼いゆっくりの為か、内容がキ○ガイじみている。 敵の虐待おにいさんが、無抵抗主義者のぱちゅりーを人質にとってロボットを渡すよう迫ったときなどは、 「ここで要求を呑めば、敵に人質が有効であるという前例を与えてしまい、かえって民間人を危険に晒してしまいます」 と言いながら人質ごと必殺技で吹き飛ばした。また、別の虐待おにいさんがさなえを追い詰め、止めを刺そうとした瞬間、さなえの奇跡によりあっさり心臓発作で死んだときは、番組スタッフに苦情を入れようか考えた。 他にも、敵の基地に農薬を散布したり、敵の協力者を拉致監禁し拷問にかけたりとやりたい放題である。 しかし、さなえはそのアニメに夢中なのだ。 つまり主役のさなえに憧れて、自分も奇跡を使いたいと思ったのだろう。 俺は面倒なので 「頑張ってりゃそのうち使えるようになるんじゃねーの。アニメじゃ、ライバルのれいむが努力と根性でアストロンができるようになっていただろ」 と適当に答える。 アストロンとは体を鋼鉄に変える技らしい。 アニメでは、穴に埋められ、上からコンクリートを流し込まれて倒された。 俺がそう答えると、さなえは 「頑張ります」 と目を輝かせて言った。 こいつらはホント前向きでうらやましい。 俺は家にいてもすることが無いので、さなえを連れて散歩に出かけることにした。 とりあえずゆっくり用公園へ行く。金かかんないしね。 そして公園に着くと、結構な数のゆっくりが遊んでいた。 れいむとれみりゃが鬼ごっこしていたり、ゆうかにゃんがれいぽぅされていたり、なかなか賑やかである。 「さなえ、何して遊ぼうか」 「遊具のネジ緩めたり、砂場に落とし穴ほりたいです」 「やめろ馬鹿」 なんてこと考えやがる。 まあ、遊具のネジは特殊だから悪戯できないけど。 さなえは、ぽいんぽいん跳ねながら砂場へ行く。 砂場を見ると、小さな女の子が一人だけで遊んでいる。 なぜか他のゆっくりが、そこだけ近づかない。 その疑問は、さなえが砂場に入るとすぐに分かった。 「ここはゆうぎの砂場だよ。遊びたかったらゆうぎと勝負だよ!」 小さい女の子は、額から生えた一本角が特徴の胴付きゆうぎだった。 胸元に銀バッチが光っている。 ゆうぎはゆっくりのなかでは、1,2を争うほど力が強い。それがさらに胴つきである。 これでは他のゆっくりが近づかないはずだ。 「昼間っから酔っ払ってんですか? このアル中。上等です」 さなえが答える。 とりあえず喧嘩になりそうだから止めようかな。 「おいおい、喧嘩はよせ。ゆうぎちゃん、みんなで仲良く遊ぼうな」 「えっ、うん。い……」 「おにいさんは、黙っていてください!これはゆっくりの問題です」 ゆうぎが何か言いかけたが、さなえがそれを遮り怒鳴る。 ゆうぎとさなえがにらみ合う。どうしよう。 「さなえ。止めなさい。勝てるわけ無いだろう。相手は胴つきだぞ。仲良く遊べよ」 俺は説得する。 「勝ち負けなんて考えません。戦うべきときには戦うだけです。戦うべきときに戦わず、怒るべきときに怒らず、しょうがないと我慢していたら卑屈になるだけです」 さなえはそう言うと、ゆうぎに向かって行った。 さなえ…砂場争いの喧嘩じゃなかったらかっこよかったのにな。 喧嘩は一方的だった。 いくらさなえが飛び掛っていても、ゆうぎに軽く跳ね返されてしまう。 しかし、さなえは諦めずに向かっていく。 ゆうぎは、それとなく手加減しているのだろう。 さなえもたまには、痛い目を見るのもいいかもしれない。 まださなえは、諦めない。 ゆうぎに、殴られ、蹴られ、つねらね、デコピンされ、ドリブルされ、リフティングされ、髪を三つ編みにされてしまう。 それでもさなえの心は折れないのか、ぽいんぽいんとゆうぎに体当たりをする。 俺はさすがに止めようと思い 「さなえ十分戦った。もうやめろ。奇跡でも起きない限り胴付きに勝てるわけがないんだよ。」 と説得する。 さなえは、ぼろぼろの体を大きく張り、 「奇跡は起きます。起こしてみせます!」 と燃えるような瞳で言った。 俺は想像した。もし目の前にアフリカ象のような大男がいたとする。そいつと喧嘩できるか。負けるが勝ち?結果が見えていたら悔しくても我慢するのが大人?自分を抑えれないのは子供? 正解は解らない。だけど、今だけはさなえが正しく思えた。 さなえは、ゆうぎに立ち向かう。 ゆうぎは、さなえの諦めの悪さにいらだっているようだった。 「ゆうぅ!いい加減にしろ!」 ゆうぎが、勢いよくさなえを蹴った。 あ、ちょっとやばいかも。 ぼぐう! と鈍い音がする。 さなえが2メートルぐらい蹴り飛ばされた。が、ゆうぎが唸り声を上げてしゃがみこむ。 「あ、あんよが痛い。か、硬くなった?」 ゆうぎが呟く。 さなえを見ると、髪や肌の質感が金属のようになっており、日の光を受け、キラキラと光っている。 「アストロンできました!」 思い込みの力ってすげぇ! しかし、話に聞いていたのとは違うな。鋼じゃない。なんだろあれ? そうだ、さなえが遊んでいた超合金ロボットと同じ金属光沢だ。 さなえはずりずりと、ゆうぎに近づいていく。どうやって動いているのだろう? 「正義の心も、諦めない心も一つ一つは小さな火です。しかし合わされば炎となります。炎となったさなえは無敵です!」 さなえが叫びゆうぎに飛び掛る。 「さなえホォムラァアン!」 さなえの長い髪がゆうぎの向こう脛を打ち飛ばす。 「さばえビィィム!」 その辺に落ちている石をお下げで拾って投げつける。 「さなえコレダァァァ!」 ただの噛み付きである。電流が流れたりはしない。 「あれをつかいます!」 さなえがぽいーんと高く跳ねた。 「さなえイ・ナ・ズ・マ・キィィィック!」 さなえのあんよがゆうぎの顔面を捉えた。 ガキィ! と何かが砕ける音がした。 「ゆわぁあぁん!痛いー!いたいよー!」 ゆうぎが顔面を押さえてのた打ち回る。 よく見ると、額の角が折れてしまっている。 まずい。 俺は急いで、ゆっくり用公園に備えられているオレンジジュース販売機でジュースを買う。 ゆうぎの顔にオレンジジュースを掛けて治療しようとするが、ゆうぎが暴れて上手くかけることができない。 「さなえ!お前も手伝え!」 「分かりました!」 俺とさなえがゆうぎを押さえつける。 不意に声がした。 「あなた達、うちのゆうぎに何をしているの!」 30過ぎぐらいの女の人が怯えた顔で見ている。 まずい。誤解されている。 デジャヴュが俺を襲う。 「さぁ、おにいさん!今のうちに思いを遂げてください!」 さなえ、わざと言っていないか? 落ち着け。俺。 前回のような失敗はしない。同じ人間だ、話せば分かる。 俺は女性に向かって言った。 「俺はゆうぎの顔に、ぶっかけようとしていただけです!」(オレンジジュース的な意味で) ゆうぎの飼い主のおねえさんには事情を話し理解してもらえた。 ゆうぎの怪我もオレンジジュースで綺麗に治った。 そして、ゆうぎになぜ皆にいじわるをしたのか尋ねると 本当はみんなで遊びたかった だけど上手く仲間に入れず、ついいじわるなことをしてしまった ということを話した。 色々と不器用な子なのかもしれない。 「めんどくさい奴です。そんなんだから友達が出来ないんです。ごちゃごちゃ考えずに一緒に遊ぼうでいいんです。なにかさなえに言うことはありますか?」 さなえが優しい顔でゆうぎに話しかける。 ゆうぎは、照れながら 「意地悪してごめんな。一緒にあそぼう」 と答えた。 「い・や・で・すぅ。さなえと遊びたかったら、あんよを舐めなさい」 「台無しだ。馬鹿野郎!」 「う…ひっく……ぐす……ペロペロ」 「ちょっ、ゆうぎちゃんこの馬鹿の言うことを真に受けちゃ駄目だ!その一線を越えちゃいけない!」 なんだかんだでこの日、さなえに新しい友達ができたのだった。 おしまい ※れいむにアストロンがあるなら、さなえにも何かあっていいんじゃないか?と考えて書きました。 しばらくss書かずにROMろうと思います。 それでは、皆さん良いお年を……。 ■作品 anko2679 野良のゆうかにゃん anko2681 夜の悩み anko2683 逆噴射てんこ anko2688 邪悪なさなえ anko2691 清く正しいなんとかです。 anko2693 さなえリターンズ anko2694 にとり相撲 anko2696 件名:こいしの躾について anko2702 継ぎ接ぎ帽子のまりさ anko2708 3年YU組けーね先生 anko2715 行動と責任 anko2719 双葉マンション 挿絵:
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道路に黒い物がある。 薄っすらと何かが水に溶け出している。 これはまりさと言うゆっくりが雨に溶けた物だろう。 雨上がりには定番の物である。 基本的にゆっくりは水に弱い。 雨の日には巣に篭っているのが普通だ。 突然の雨にやられたのかもしれないが、昨日は小雨程度だった。 用心深いゆっくりは少しでも雨が降っていれば外には出ないが、 まりさ種は帽子をかぶっているため、少しの雨なら外に出歩くものがいる。 実際、少量の雨ならば問題ない様だが、肝心のあんよが地面に触れている。 ぬれた地面を歩いている内に、あんよが溶け出し動けなくなる。 そしてこういった屍が出来上がるのだ。 よく見てみると、崩れかかった帽子らしき物が微かに動いている。 私は靴でそれを少し動かしてみると、中から崩れかかった小さなまりさ種と思われるものが顔を出した。 「ぶぇ…びゅ…びょぼ……びび…ぶえ…」 小刻みに震えながら、何かを呟いているその物体。 親まりさの帽子のおかげで辛うじて生き残ったのだろう。 帽子のような物は見当たらないが、溶けかかった体に残る金色の髪がわずかに残っている。 片方の目は完全に流れ出ており、残った目で私の方を見ながら崩れかけの口を必死に動かす。 「ばび…じゃ…だずべ……びゅぐじ…ざべべ…ぶ…ぶじょ…」 何を言いたいのか解らないが、どうせ助けてとかゆっくりさせてと呟いているのだろう。 だが、こんな状態のゆっくりを救えるとも思えない。 救えたとしても、野良ゆっくりを助けるほど私はゆっくり好きではない。 このまま放って置いてもこのまま死ぬと思い、私はその場を後にした。 「どびょ…じべ……びゅっぐ…じ…」 それはしばらく何かを呟いていた。 二つの盛り上がった大きな塊が歩道に落ちている。 赤いリボンの様な切れ端がついている事から、この塊はおそらくれいむ種だったものだと思われる。 よく見ると目と目の間が凹んでいて、そこから二つに割れている。 おそらく自転車に轢かれたのだろう。 最近はこうやって自転車で野良ゆっくりを轢き殺す人が増えているそうだ。 もちろんただの事故もあるそうだが、踏み潰すのは嫌だけど轢き殺すのは良いと言う人も居る。 おそらくこのれいむは、中枢餡を一気に踏み砕かれて、自分に何が起こったのか解らずに死んでいった事だろう。 最近よく見かける残骸だ。 時々半端に轢かれて苦しんでいるゆっくりもいる。 ゆっくりにとって、街はどんどん住み難くなっている。 公園に蟻に集られている、茎のはえた黒ずんだ物がある。 それは何のゆっくりなのかは解らないが、おそらくれいぱーにすっきりされたゆっくりだろう。 沢山の萎びた茎には、小さく黒ずんだ物が幾つか付いている。 その中で一つだけ、まだ黒ずんでいなかった物があった。 何のゆっくりになるのかは解らないが、それは必死に生きようとしていた。 とは言っても、それも風前の灯。 苦しそうな表情で揺れているその実は、枯れ果てた親からなけなしの栄養を吸い取って生きている。 だがそれも、ほんの一時しか持たないだろう。 その上蟻が実の上まで這い上がり始めていた。 むず痒そうに身を震わせる実ゆっくり。 この実ゆっくりも母体と同じく、蟻にかじられて身を減らしていくのだろう。 枯れるのが先か、食われるのが先か知らないがどの道苦しんで死んでいくのだろう。 小さな松の木の葉の上に、数匹の赤ゆっくりが乗っている。 どれも松の葉が体に刺さり、苦悶の表情を浮かべて死んでいる。 おそらく、子供が赤ゆっくりをここに投げて遊んでいたのだろう。 松の葉が刺さった場所からは餡が流れ出ていた。 ふと足元を見ると、子ゆっくりが二匹。 れいむとまりさの様だ。 二匹とも体中に松の葉を刺されて、小刻みに震えている。 生きてはいるようだが、二匹とも両目に大量に松の葉が刺さっている。 これでは仮に助かったとしても、野良として生活していくには困難だろう。 近くに親が見当たらないのは、子を諦めて何処かに行ってしまったか、 赤ゆと子ゆをこの状態にした者が持って帰って行ったのだろう。 ゆっくりは沢山増える分だけ外敵も多い。 アスファルトの上でカチカチに干乾びたゆっくりがある。 夏の風物詩になりつつある風景だ。 アスファルトやマンホールの上で、干乾びているゆっくり達。 うっかりなのか、学習してないのか、減る事はない。 中には死に掛けの物もある。 必死に身を震わせている物。 少しずつではあるが日陰を目指して進んでいる物。 通行人に哀願する物。 だが、人々はそれらを気にする事もない。 助ける者が居るとすれば、暇な愛護団体くらいのものだろう。 こいつ等が居る限り、蟻は餌に困る事はないだろう。 ゴミ捨て場の前に鎮座するボロボロの塊。 これはカラスに食べられたゆっくりの死体だ。 都会のカラスは最近はゴミを漁るのが少なくなったそうだ。 替わりにゴミを漁りにきたゆっくりを主食としているらしい。 総長に捨てられるゴミを目当てにするゆっくり。 それを目当てにするカラス。 ゴミ捨て場以外にも、公園の噴水等は格好のゆっくり狩場らしい。 水を求めてやってきたゆっくり達を同種の捕食種や、カラス等の鳥が待ち受ける。 都会で見られる食物連鎖だ。 場所によっては、ゆっくりのせいでカラスやネズミが殖えているところもあるそうだ。 都会のゆっくり問題はこれからも増えていく事だろう。 徒然あき
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・人間が怪我をする描写があります。その中で不快だと感じる表現があるかもしれません。 ・本作品ではゆっくりを「生き物」としてとらえています。 ・善良なゆっくりが出てきます。 ・虐待成分は含まれていません。 ・人間を中心にしてストーリーが進みます。 以上の注意点を踏まえてご覧下さい 『生きる』 ~冬山の登山はとても危険~ 何度も聞いたことのある言葉だが、 今になって心に響いてくる。 正月に登山をしようなどと考えてしまったのがそもそもの間違いだった。 本来ならばいつもと変わらない寝正月を過ごす予定だったのだ。 元旦を迎えたときも朝からお酒を飲んでグータラしていた。 おせち料理、こたつ、テレビ番組、お酒、睡眠。 人間は快楽に堕ちていこうと思えばどこまでも堕ちていけるらしい。 ほとんど動かずに、一日の大半をこたつの中で過ごす。 ふと、正月太りの話題を思い出したので、洗面所にある体重計に乗ってみる。 「・・・・・なんと、3kg増えてる」 多忙な年末、忘年会シーズン、そして正月。 それだけのことが重なれば、逆に太らないほうがおかしい。 少しあせりを感じ、こたつの外で筋トレを始める。 筋トレで汗をかきはじめたころに、テレビでお酒のCMが流れる。 「一富士 二鷹 三なすび やっぱり富士が一番!!! 日本の銘酒 富士山(※実在の商品とは全く関係ありません)」 富士山かぁ。 その直後に駅伝のCMが流れる。 みんな、しんどそうな顔をして走っている。 ゴールした爽やかな顔が画面いっぱいに映る。 俺は家の中でこんなにゆっくりしてていいのか? そんなことをふと思った。 そしてとどめが来た 「あなたは今、生きていますか?日々の忙しさに追われ、疲れていませんか? 最初の1週間だけでもやってみましょう!! 体づくりはみなみやまスポーツジムへ(※実在の施設とは全く関係ありません)」 CMを見て何か奮い立つようなものがこみ上げ、無意識に支度を始めた。 朝4時に目覚ましをセットし、その日は早く寝る。 翌日、朝4時に起床する。意外と目覚めは心地よく、てきぱきと動くことができた。 登山に必要な荷物を車に積め込み、お気に入りの曲を聴きながらドライブする。 本当は富士山に行きたかったのだが、 ここから富士山までは距離があり、辿りつくだけで半日以上かかってしまう。 代わりに、車で一時間ほどの場所にある近場の山に向かう。 近場といっても標高は1千m近くあり、 油断できない難所がいくつか待ち構えている。 冬山は危険なので、入山禁止となっている場所もあるようだが、 この山はそういった規制が無いらしい。 そういったことも、油断を生む原因となってしまったのだろう。 正月の朝はとても寒く、車の中で吐く息が白い。 防寒具を何重にも着ているから寒さ対策はバッチリ。 リュックサックにはカイロがたくさん入っている。 朝5時過ぎ、山の登山口にたどりついた。 標高1千mを越えるといっても、1千mそのまま登る訳ではない。 だいたいどんな山でも、登山口までは車で登れるようになっているのだ。 さっそく車から降りてストレッチを始める。 体が温まってきたところでトランクの荷物を降ろす。 首にタオルを巻き、背にリュックサックを背負い、手にステッキを持つ。 普通の人は登山用のステッキなど持っていない。 学生時代、暇があればよく山に登っていたので、自分用のステッキを購入した。 仕事をするようになってからは暇がなく、もう何年も山に登っていない。 登山は本当に久しぶりだ。 さて、この山は以前にも何度か登ったことがある。 山頂までのルートや避難場所も把握しているし、コンパス、地図、携帯電話も所持している。 周りの景色がまだ暗いので、懐中電灯の明かりを照らしながら山頂への道のりを一歩踏み出す。 二歩、三歩と歩いていくと爽やかな充実感があふれてきた。 歩き始めたら、あとは頂上まで頑張って歩き続けるだけだ。 1時間歩いた。日ごろ運動していないので足が疲れてきたが、それでもまだまだ歩けそうだ。 この辺りから積もった雪が見られ始める。 まだ周囲は暗いので、雪に足を滑らさないよう注意して歩く。 山頂まではあと30分ほど。 山頂にたどりつくころには、天気も良いので日の出も見られるだろう。 初日の出を寝坊して見逃してしまったので、今日はその代わりだ。 太陽の昇る情景を思い浮かべ、黙々と歩き続ける。 何度目かの危険箇所にたどりついた。 ここはそれほど勾配はないのだが、山の斜面がとても急で、一歩踏み外せば数十m下まで転落してしまう。 この山で遭難者が出たという話は聞いたことが無いが、 いつ遭難者が出てもおかしくない場所である。 雪に足を滑らさないよう慎重に進む。 何とか進めたと一安心したその時、雪を突いていたステッキが深く埋まった。 このあたりは雪が深いと分かったのだが、少し油断してしまった。 前に出した足を地面につけた瞬間、足場の雪がズブっと埋まる。 重心がズレたことでバランスを崩し、体がフラフラし始めた。 体制を立て直そうと足を踏み出すが、その足場もズブっと落ち込む。 まるで田んぼの土を踏んでいるようだ。 手をバタバタとさせ、何かにつかまろうとしたが遅かった。 急な斜面に体が転倒し、そのままゴロゴロと転げ落ち始めた。 周りの薄暗い景色がグルグルと回り、体全体が痛み始める。 声をあげるが、ドスドスと何度も斜面にぶつかり、断片的にしか声が出ない。 どこまで転がるのだろう・・・・ 転落している間、これは死ぬかもしれないと何故か冷静に判断している自分がいた。 一方で声をあげる自分は冷静ではなく、うっ、うぉ、と可能な限り声を出している。 転がり続ける体がやっと止まった。 止まった後の静けさがやけに怖い。 転落した際に受けたダメージを確認する。 頭部: 腕で頭をガードしていたので無傷だった。 首、胸部、背部、腕、手: 打撲による痛みがあるが、無事に動く。 腹部、腰部、臀部: 外傷が少しあるが、体の内部が傷ついている感じは無い。大丈夫だ。 大腿部、膝部、足首: これがやばい ねんざしたように足首がジンジンと痛む。 膝がグワングワンと痛む。 両足大腿部がキリキリと痛む。 左足大腿部は大きな裂傷ができているようだ。ジクジクとした痛みがある。 腓腹部、いわゆるふくらはぎは筋肉が厚いので、あまりダメージを受けていないようだが、 両足全体がほとんど動かない。まだ分からないが、折れている可能性もある。 両足に激痛を伴うが、しかし命の危険にさらされるほどの怪我ではないことが分かった。 それは不幸中の幸いであったと思う。 とりあえず今、生きている。 暗かった空に太陽が登り始める。 本来なら山頂で日の出を見る予定だったが、こんなところで見ることになろうとは・・・ でも太陽が見られることは幸いだ。 明るいうちに誰かがここを通って、自分を発見してくれるかもしれない。 電話を使えたら良いのだが、携帯電話は圏外で通じない。 GPSは機能しているかもしれないが、自分の居場所が分かるだけだ。 ほかに使い方があるのかもしれないが、あまり良く分からない。もう少し調べておけばよかったな。 そして、自分が登山するということを周りの誰にも告げていない。 登山口付近に停車してある車に誰か違和感を抱いてくれればいいのだが・・・ のろし・・・はあげられる訳がないな。 まだこんな冗談が考えられるうちは良い。 冷静な判断ができる今のうちに、何とか助かる方法を考えよう。 低い位置にあった太陽が真上まで登って来た。未だ登山客は現れない。 転落してすぐの痛みは耐えがたいものだったが、なんとか耐えられるほどになっている。 だが、両足はやはり動かない。 転落してきた坂を腕だけで這い上がるという選択もあるが、 斜面が急なので、再び滑って転落する恐れがある。 自力で這いながら下山しようとするより、体力を温存して助けを待った方がよさそうだ。 上半身を使って風が当たらない場所に移動する。 一応、目立つ場所に赤いステッキの残骸を置いておいたので、 斜面の上から見えにくい場所に自分がいたとしても、通りすがった誰かがステッキに気づいてくれるだろう。 とにかく今は、体力を温存することを最優先にする。 そして幸い、リュックサックの中身は無事だったようで、 リュックに入っている飲料水と食料で体を満たす。 昼間といえど、冬の山なので非常に寒い。 足の痛みが慣れてきたのは寒さのおかげかもしれない。 だが寒さは人間の体力を奪い、命の灯をじわじわと弱めていく。 寒さもあまり良いものではないようだ。 使い捨てカイロがリュックにたくさん入っているので、それを取り出して使う。 必要以上にカイロを持ってきて良かったと、今になって思う。 荷物は必要最低限に、と言われるが、 必要以上の荷物が役に立つ場合もあるんだな。 いろいろなことを考えながら、登山客が近くを通るのをひたすら待ち続ける。 夕方になり、周りは再び暗くなってくる。今日はもう登山客は現れないだろう。 正月ということがここでマイナスに働く。 こんな寒い時期に登山する人はそうそういないだろう。 それに4日まで正月休みが続くので、捜索願いが出るのも当分先のことだ。 行き先も告げていないので、この山を捜索するのはもっと後になりそうだ。 でも大丈夫大丈夫、登山客は明日来るさ。 明日でなくても、明後日には来るさ。 明後日がダメでも一週間、一週間経てば絶対に誰かが助けてくれるさ。 それでも助けが来なければ、なんでもない人間が一人死ぬだけだ。 大好きな山でゆっくり死ねるんだから、それが本望かもしれない。 人間いざという時は、なるようにしかならないさ。 どんと構えるくらいじゃなくてどうする!! そう、心を強く持とうとする。 本心は体の奥底に押し込んでいる。 表面に出てこようとしても強引にねじ込んでねじ込んで、 その感覚が麻痺するようになるまで押さえ込んでやる ・・・・・・・・生きたい 夜を迎えた。 辺りは急に冷え、体が震え始める。 周りの落ち葉や枯れ草をまとい、必死に寒さをしのぐ。 救出まで長くて一週間と概算したが、どうやら一週間もは体が持たない。 もって3日だ。それまでに登山客が近くを通ってくれなければ・・・ いや、きっと来る。俺のような人が登山にくるはずだ。 もしかして元旦に見たテレビのCMは、登山客を増やすよう意図的に流されていたんじゃないか? なら登山客はきっとくる!きっとだ!! ・・・・・・??なんだ??? 普段はもっと冷静に物事を考えるんだが ・・・・もしかしたら、先はそう長くないかもしれない 遭難2日目の朝、運良く空は晴れている。 登ってきた太陽が体を温めてくれる。 昔から太陽は、信仰対象として世界中で人間に崇められてきたが、 その理由が今なら良く分かる気がする。 夜に奪われた体温が、太陽の熱によって補充されるような感覚だ。 いつまでも太陽にはお世話になりたいなぁ。これからもずっと・・・・ 昼になった。リュックの中の食料は底を尽きた。 周りの植物に水滴がついているので、水分だけはなんとか補えそうだ。 ただ、周りに薄っすらと積もっている雪だけは食べないようにする。 一見、雪を食べると水分補給ができ、食欲も満たされるだろうと思うが、 雪を食べてしまうと、冷たい雪が人間の内部から体温を奪う。後から徐々に効いてくる毒のようなものだ。 そんなもの、絶対に食べてたまるか。 雪は悪だ。決して近寄ってはいけない。 ひたすら登山客が来るのを待つが、誰一人やってくる気配はない。 静かな山奥に、風の吹く音と自分の呼吸音だけが聞こえてくる。 怪我の痛み、寒さ、空腹は耐えられないことはないが、 苦痛を感じ続けているのは確かだ。 早く楽になりたい。 もう、さすがに登山客が来てもいいだろう。 家にこもっている連中は何をぬくぬくとやっているんだ? 正月という休みにこそ、体を使う登山などするべきなんじゃないか? 最近、メタボ体型に困っている人が多いと言われてるが、 それは運動量が全然足りてないからじゃないか? 意識的に動こうと思えば、いくらでも体は動かせるはずだ。 それもせず、摂食して痩せようだとか、薬で痩せようだとか、 終いには脂肪吸引をするだとか。 過去の自分も含めてそういう連中は、はっきり言って自分に甘えてないだろうか? 俺がここから生きて帰れたら、必ず毎日運動をするだろう。 率先して力仕事を引き受けるだろう。 面倒な部屋の片付けもするし、時間があまり無くても、目新しいことを見つけるために毎晩、散歩をするだろう。 生きていれば、いくらでもそういうことはできるはずだ。 できない言い訳をしてはいけない。 言い訳は自分を甘やかす材料になるだけだ。 自分のためになると思うことをただ素直にやろうじゃないか。 それが・・・・・生きるってことじゃないのか? ・・・・やっぱりおかしい。 普段ならこんなこと考えもしないんだがな。 ・・・・・・・・・・やはり死ぬのか 夜になった。夜は格段に冷える。 まだカイロはたっぷりあるので、惜しみなく使う。 足の痛みはだんだん麻痺してきた。 もしかしたら、足はダメになってきてるのかもしれない。 それでもかまわない。足が無くても生きてる人はたくさんいる。 ただ生きてさえいれば。 生きてさえいれば・・・・・・・・ 遭難して3日目の朝。目を覚ましたにも関わらず、意識は朦朧としている。 もう既に肉体の限界に達しているようだ。 せめてなにか食料があれば・・・ 使えない足を食べるか?いやそれはまだ早い。もう少ししてからだ。 何か、神様からの試練を受けているようだ。 「誰か・・・・食べ物をくれ!!!」 無意味に叫んでみたが、誰も聞いている訳がない。 叫ぶと余計に腹が減ってきた。 何か食べればあと2日は持つかもしれない。いや持ちこたえてみせる。 何か食べ物がないだろうか、何か助かる方法がないだろうかと、できる限り意識を集中させる。 それから20分ほど経った。 何か声が聞こえた。 「!!!!!!!助けてくれ~~~!!!!!俺はここだ~~~!!!!誰かっ、ゴホっ、ゴホっ・・だれか!!」 力いっぱいの声をあげる。 出し惜しみはしない。 ここで素通りされたら、チャンスはもうあまり無い。 あるとすれば、同じ人が下山する時にもう一度近くを通るくらいだが、 そう長く待てる体力も残っていない。 一生懸命に叫ぶ。むせるが、死ぬ気で叫ぶ。 だが返事はない。 そして声はピタッと止んで、全く聞こえなくなってしまった。 「なんでだよ!!!なんでだよ!!!なんで・・・・なんで気がつかないんだよ!!バカヤロ~~~~~~!!!!」 「ゆ?どうしたのおにいさん?おにいさんはゆっくりできるにんげんさん?」 突然近くで声が聞こえた。だが、それは人間の声ではなかった。 ゆっくりの声だ。 愕然(がくぜん)とした。さっき聞こえた声と音質が似ている。 おそらく、さっきのもゆっくりの声だったのだろう。 「いいかげんにしろよ、人が生きるか死ぬかという瀬戸際で。」 「ゆ?おにいさんはゆっくりしてないの?」 「こんな状況でゆっくりできるわけないだろう。バカか。」 気のせいか、ゆっくりと話すことで少し不安が和らいできたようだ。 そのかわりゆっくりに対する怒りがこみ上げてくる。 「ゆ、ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!!ゆっくりして・・・」 「少し黙れよ、殺すぞ。」 「ゆ?どぼぢでぞんな゛ごどい゛う゛のぉおおおおおおお!!れいむはおにいさんのことをしんぱいしてるんだよぉおおおお!!!」 「ゆっくりに心配されるくらいなら、死んだ方がましだ。」 「ゆ!しんじゃだめだよ!!ゆっくりしていってね!!!」 「誰が死ぬって言った。」 「ゆゆ!よかったよ!おにいさんはゆっくりしていってね!!!」 「はいはい・・・」 この時は全く気がつかなかった。 ゆっくりに遭遇したのは本当に偶然だったってことを。 何故なら寒いこの時期に、ゆっくりが巣穴から出てくることなど皆無に等しいのだから。 「にんげんさんのこえがしたから、おうちからとびだしてきたんだよ!! でもいりぐちにくささんをがんじょうにつめてたから、なかなかおそとにでられなかったんだよ!!!」 「そんなの知るか。お前が勝手に巣から出てきただけじゃないか。」 「ゆ!いりぐちにくささんをつめるのはたいへんなんだよ!!! れいむはくささんをつめるのにとってもくろうしたんだよ!!!」 「だから何だよ。同情して欲しいのか?同情して欲しいのは俺のほうだよ。あぁ、怒鳴ったら腹減った」 「ゆ?おにいさんはおなかがすいてるの?」 「そうだ、腹が減っている。だからお前を食べて・・・」 「れいむがえささんをわけてあげるよ!!!そこでゆっくりしていってね!!」 「餌って、ゆっくりの餌が食えるわけ・・・おい待てよ。」 れいむはその場を離れる。 俺は歩けないので、その後を追うことはできない。 10分くらい経っただろうか、れいむが戻ってきた。口には何かくわえている。 それが地面に落ちる。 良く見ると、それは一匹のコオロギだった。 とても昆虫など食える訳がない。 「ゆう、れいむのゆっくりできるえささんをもってきたよ!!ゆっくりたべてね!!!」 「だから、ゆっくりの餌が食べられるわけ無いって、さっき言おうとしたんだよ。人の話は最後まで聞けよ。」 「ゆ!そんなことないよ!!おにいさんもれいむのえささんをたべたらゆっくりできるよ!!!」 「人間は昆虫を食べないんだ。それはお前のものなんだからお前が食えよ。」 「ゆゆ、ならおにいさんはなにをたべるの?」 「別になんでもいいだろ・・・だがあえていうなら、そうだな。 野菜やら穀物やら、この辺にありそうなもので言ったら木の実だな。 まぁどうせないだろうから、俺のことはもう気にするな。うるさいから早く巣穴に閉じこもってろ。」 「ゆゆ!きのみさんならあるよ!!ゆっくりもってくるよ!!!」 「いやそれもお前のだから・・・・って、だから人の話を聞けよ。」 本当にゆっくりはバカだ。 俺に餌を与えたってなんのメリットも無いだろうに。 10分後、口に木の実をくわえたれいむが戻ってきた。 「きのみさんだよ!!これでおにいさんはゆっくりできるんだよ!!!」 「それはお前が食べろよ、冬が越せなくなるぞ。」 「これはおにいさんにたべてもらうんだよ!!じゃないとれいむはゆっくりできないんだよ!!!」 「どういうことだよ、ったく・・・・!?」 れいむの体が震えている。当然だ、この寒い中走り回っているのだから。 ゆっくりはあまり寒さに強くないらしい。 冬を越すための温かい巣穴がなければ、野生のゆっくりは生き残れないのだ。 「お前寒いだろ。早く巣穴に帰れよ。」 「ゆう、さむいけどおにいさんにえささんをたべてもらうまでかえらないんだよ!!」 「なんでそこまで俺にこだわるんだ?人間はゆっくりを殺すんだぞ。」 「でもおにいさんはれいむをころさないんだよ。だからおにいさんはゆっくりできるにんげんさんなんだよ。 そんなおにいさんはゆっくりしないとだめなんだよ!!」 「なんだよ、弱いくせに頑固だな。まぁいいや、これを持ってとっとと帰れ。」 れいむの前に使いかけのカイロを放ってやる。 「ゆ?なんなのこれ。ゆゆ!とてもあったかさんなんだよ!!れいむはとてもゆっくりできるよ!!」 「そうか、それを持って巣に帰れ。温かく無くなったら効き目はそれで終わりだ。枕にするなり捨てるなり好きにするといい。」 「ゆゆっ、おにいさんありがとう!!!かわりにおにいさんにはえささんをたべてほしいんだよ!!!ぶつぶつこうかんなんだよ!!」 「物々交換か・・・よし分かった。カイロと交換でその木の実をもらうことにする。」 「ゆ!これでれいむはゆっくりできるよ!!おにいさんゆっくりしていってね!!!」 れいむの心意気を買うことにした。 れいむが持ってきた、何か分からない木の実を口に入れる。 れいむからもらった木の実は甘酸っぱく、わずかに渋みがある。 特別、美味いというわけではない。これならさくらんぼのほうがはるかにおいしいだろう。 小さな木の実がたった2粒しかないので、腹が満たされることはない。 だが口の中で木の実が溶けていくと、不思議と元気が沸いてきた。 別に特別な木の実というわけでもない。 それに、腹いっぱい食べたというわけでもない。 なのに・・・・ 涙が出てきた 「ゆ?おにいさんどうしたの?どこかいたいいたいなの??」 「ん、ああ。足が動かないんだ。だからここから動けないんだよ。」 「ゆう!おにいさんのあんよをれいむがなおしてあげるよ!!!」 「そんなことできる訳ないだろ・・・この足は病院に行かないと治らないんだ。」 「ゆっふん!ゆっくりたちはいたいいたいがあるところをペーロペーロするとなおるんだよ!!れいむにまかせるんだよ!!!」 そんなことで動かない足が治るはずがない。 折れてるとしたら、物理的につなげあわせないと絶対に治らないのだ。 出血はおさまっているが、傷口は消毒して縫合しないとダメだ。 だがれいむは俺の左足に近づき、服が破けて露出した傷口をペロペロと舐め始める。 傷口は化膿して膨れあがっている。中で細菌が悪さをしているようだ。 大怪我を負っているから痛むはずなのだが、足の痛みが薄れてきている。 そして、膝より下の感覚が無くなっている。 残念だが、足の感覚や痛みが無くなるのはあまり良くない兆候だ。 「そんなことで足が治るんなら、俺はこんなところにいないよ。」 「やってみないとわからないんだよ!おにいさんにもきくかもしれないんだよ!!」 絶対に効く訳がない。 効果が無いといくら言っても話を聞かず、れいむはペロペロと傷口を舐め続ける。 もうやめろと、れいむの体をつかんで足から離そうとするが、 れいむは抵抗し、それでも必死にペロペロ舐め続ける。 れいむの表情が少し歪んでいる。 舌をヒーヒー言わせているから、もしかしたら傷口が苦いのかもしれない。 甘いものが好きなゆっくりにとって、人間の血液などとても舐められないのだろう。 しかしそれでもれいむは舌を止めない。 本当、無駄に頑固なやつだ・・・ 「もう・・やめろよ・・・・・無駄なんだからもうやるなよ。それよりも巣穴に戻ってゆっくりしてろ。」 舐めるのをやめさせようとれいむを少し強く引っ張るが、れいむはあきらめない。 目をギュっとつぶり、体を左右に振って抵抗する。 傷口に舌が届かなくなっても、ひたすらペロペロと舌を動かしている。 もう・・・・やめてくれよ・・・・・・・ 涙が止まらなくなるじゃないか・・・・・・・・・ 引っ張る力をゆるめると、れいむはほっとした顔で傷口を再び舐め始める。 必死に傷口を舐めるれいむに、後ろから温かいカイロをあててやった。 しばらくすると何故か安堵感が沸いてきて、れいむの体にカイロをあてたまま、俺はその場で眠ってしまった。 夕方になって目が覚めた。そのまま永眠してなくて本当に良かったと思う。 カイロはすでに冷たくなっている。 れいむは、カイロと俺の左足の間でスヤスヤと眠っている。傷口を舐め続けて疲れたんだろう。 別のカイロを取り出し、なるべく手でこすって温めた後でれいむにあててやる。 れいむが目を覚ましたらとっとと巣に帰るように言わないと、逆にれいむが死んでしまう。 歩いてれいむを巣へ返そうにも、足は動かない。そして足の痛みが強く出てきたようだ。両足がズキズキする。 腹も減っている。 最初れいむに会ったとき、俺はれいむを食べようと考えていた。 ゆっくりは中身が饅頭らしいので、成体ゆっくりの大きさなら何日もの食料になるだろう。 だが俺はれいむを食べなかった。いろいろとあり、れいむのことを大事に思うようになったからだ。 そしてこれからも、れいむを食べようとは思わない。 たとえ、俺が餓死することになったとしても。 ふと、れいむが寝言を言った。 「ゆぅ・・・おたべなさい・・・・ゆぴぃ・・・おにいさんは・・ゆっくりしないと・・・ゆぅ・・」 突然目がかすんできた。空腹が限界にきてるのだろう。 必死に視覚を保とうとするが、まぶたに力が入らなくなってきた。 何故だろう、無意識のうちに左手がれいむに近づいていく。そしてれいむの頬をつかみ、自分の口元に寄せる。 何だ?俺は何をしようとしてるんだ? れいむを・・・食べる? 俺の本心はそれを望んでいるのか? 「ゆぅ、ゆ、ゆゆ?おにいさんどうしたの?」 腹が減った れいむ、腹が減った。俺はお前を食べる 俺をゆるしてくれ 「おにいさんおなかがすいたんだね。れいむをたべるといいんだよ!!」 ・・・・・・れいむ だめだ、お前は生きろ・・・・・ 内容は覚えていないが、長い夢を見ていたようだ 気がつくと真っ白な世界にいた。 目が慣れていないのだろう、周りは白くぼやけている。 そして、刺激的な赤色が鮮やかに目に映る。 赤って、こんな色をしてたのか。 赤と言えば、れいむが赤いリボンをつけてたな。 ここは山の中・・・?? いや、だが寒さを全く感じない。やけにあたたかい。 ということは、俺はれいむと一緒に死んでしまったのか・・・・ そう考えていると赤色がパッと消え、今度は肌色が見えてきた。 「・・・・・・か・・・・・・・・き・・・つ・・・か・?」 なにか聞こえてくる。 天使の声か?それとも鬼の声か? 「気がついたか?なぁ、聞こえるか?気がついたなら返事をしてくれ。」 その声には聞き覚えがある。会社の同僚の声だ。何故そんな声が・・・? まさか、あいつも死んでしまったのか? なかなか良い奴だったのに、あいつはまだ死んではいけない奴だよ。 「お前も死んだのか・・・・」 「何言ってるんだよ!!俺は死んでないし、お前も死んでないんだよ!!」 「俺は死んでない・・・・???生きてるのか???」 「そうだ!!気をしっかり持て!!!」 意識がはっきりしてきた。目には天井と同僚の顔が映っている。 点滴類が見えるから、どうやらここは病院のベッドのようだ。 「ん・・・確か俺は山で遭難して、助けを待っていたはずだが・・・」 「だから助かったんだよ!!登山者がお前を発見してくれて、救助隊に救助されたんだよ!!」 「救助・・・ああ、俺は生きて帰ってきたのか!?・・・・・近くにれいむがいなかったか??」 「れいむ??まさかれいむという人と一緒に登山してたのか!?だが、れいむという人は現場で発見されていない。それが本当なら大変なことに・・・」 「いや違う、れいむは・・・」 「おや気がついたようですね。」 担当のお医者さんが様子を見に来てくれたようだ。 「あなたは救助されてから2日ほど眠り続けていました。」 「2日・・・今日は何日ですか?」 「今日は1月7日です。」 「1月7日・・・ということは気を失った次の日に助けられたのか。」 「ところで、あなたは医学に関しての知識をお持ちですか?」 「ええ、かじる程度ですが。」 「わかりました。容態について簡単にご説明します。 あなたが病院に運び込まれてきた際、意識不明の状態に陥っていましたが、 各検査を行った結果、命を落とす危険性は低いことが分かりました。 診察したところ左足大腿部に裂傷が見られ、出血はおさまっていたのですが患部の化膿が目立ちました。 ですが組織はまだ壊死しておらず、幸い足を切断せずに傷口の消毒、抗生剤の投与、傷口の縫合をするだけで済みました。 そして両足大腿骨に骨折が見られました。折れた骨が両足の腓骨神経を圧迫していましたが、 骨折箇所を手術して修復し、神経への圧迫も取り除かれ、両足の大腿骨と腓骨神経については問題ありません。 ですが退院してからも、機能が回復するまでリハビリを続けてください。 そのほかに左足首関節と膝蓋骨の脱臼、その他の箇所に打撲や擦過傷、凍傷が見られましたが、 既に処置を施しましたのでご心配はいりません。とりあえず今は絶対安静にしててくださいね。」 「分かりました。命を救っていただいて本当にありがとうございました。」 「いえいえ。」 左足大腿部・・・れいむが舐めてくれてた所か お医者さんが部屋を出てから同僚のほうを向きなおす。 「わざわざ付き添ってくれてありがとうな。」 「いやいや困ったときはお互い様だ。すでに会社の方には俺が連絡しておいたよ。絶対安静にしてろって社長がおっしゃってたぞ。」 「そうか分かった。多くの人に迷惑をかけて、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。」 「まぁ今は取りあえず安静にしとけよ。それより、さっき言ってたれいむって・・・」 「ああ、れいむは俺に付き添ってくれたゆっくりだ。あいつのおかげでいろいろと励まされたよ。」 「なんだ、ゆっくりのことだったのか。救助隊から聞いた話をしよう。 そばを通りかかった登山者がゆっくりの声を聞いて、それでお前の存在に気づき、すぐに救助を呼んでくれたそうだ。 救助隊が到着した時、お前の近くに一匹のゆっくりがいて、必死にカイロをあてていたそうだ。 そのゆっくり自身も、体に怪我を負っていたらしい。 隊員がゆっくりに対して「この人の飼いゆっくりか?」と聞いたけど、 違うと答えて、ゆっくりはそのまま去っていったそうだ。 それと、発見されたお前の口の周りには餡子がついていたそうだ。」 れいむが俺を助けてくれた!?それにれいむは生きてるのか・・・!? 2か月後、まだ完全には治っていないが、 足は何とか歩けるまでに回復していた。 山の雪も溶けて、登山も比較的安全にできるようになったので、 れいむと出合った場所へ向かった。 2時間くらいかけて安全な道を歩き、ようやく現場にたどりついた。 どこかこの近くにれいむの巣穴があるはずだ。 落ち葉をかきわけて巣穴を探す。 するとすぐに、ゆっくりの巣穴らしきものを発見した。 入り口には枯れ草が敷き詰められている。 さっと草を取り除き、巣穴の中に声をかける。 「ゆっくりしていってね!!!」 返事はない。 何度か声をかけるが返事は返ってこない。 寒気を覚えながら、巣穴の中に手を入れる。何かやわらかいものが手に触れた。 それを巣穴の外に取り出す。 中からゆっくりれいむが出てきた。お飾りのリボンに見覚えがある。 間違いない、俺を助けてくれたゆっくりれいむだ。 だが様子がおかしい。 外に取り出しても動く気配が全然ないのだ。 寝息もたててないように感じる。 そして、体が冷たい 「おい、れいむ起きろ。春が来たんだぞ。 れいむのおかげで助かった人間が戻ってきたぞ。・・・・返事をしろ!!!!」 れいむは動かない。目はつぶったままだ。 軽く頬をつねるが、全く反応しない。 再び巣穴の中に手を入れてみる。 すると中から使い捨てカイロが一つ出てきた。 同時に、ゆっくりの餌らしき物がたくさん出てきた。 餌が尽きた訳ではないようだ。ならば、深い冬眠についているだけなのか? 「何で目を覚まさないんだ!!早く起きろよ!!!」 何を言っても、いくら触れても、れいむは動かない。 恐らく冬眠などではない。生の気配が全く感じられないのだ。 実際に人が死んで間もないとき、 例え息をしていなくても、冷たくなっていても、 自分が何かすれば息を吹き返すんじゃないか、と錯覚してしまうことがある。 心臓マッサージを施しても動かない。 人工呼吸をしても、吹き込んだ息がシュハーと出てくるだけ。 自発的に動く気配を全然見せない。 そこで初めて、その人が死んだということを理解できる。 だが理解はできるが、納得はできない。 しばらくの間は、その人の死を納得できないだろう。 そう、俺はまだれいむの死を理解してないし、納得もしていない。 そもそも、まだれいむが死んだと決まった訳ではないのだ。 れいむを抱える手が震える。声が震える。心が震える。 斜面を転落している時に感じた不思議な冷静さとは全く異なる、 鋭利な動揺が出てきた。 れいむにも何か蘇生の可能性があることをしてやれないだろうか? いざという時のために用意しておいたオレンジジュースをリュックから取り出す。 ゆっくりはオレンジジュースを浴びることで、さまざまな状態から回復するそうだ。 オレンジジュースを遠慮無しにれいむにかけてやる。 口からもオレンジジュースを流し込んでやる。 「れいむ死ぬなよ!今度は、今度は俺がお前を助ける番だ。それでおあいこだ。 もしお前が死んだら俺がゆっくりできなくなるだろ。だから絶対に死ぬなよ!!!!!!」 れいむの体は動かない。 体にかけたオレンジジュースがれいむの頬を伝い、乾いた地面に浸透していく。 口に流し込んだオレンジジュースが、口からあふれて出てくる。 その光景を見て耐え切れなくなり、目から涙があふれてきた。 あふれた涙がこぼれ落ち、れいむの口の中に入っていく。 れいむが生きていれば、しおからい~~!!だとか、どこかいたいいたいなの?とか言ってくるだろう。 だがれいむは何もしゃべらない そこで初めて俺は理解した れいむは死んでしまった・・・・と 死因はよく分からない。 餌もまだたくさん残っていたし、 入り口もちゃんと閉じられていた。 瀕死の俺に自らの餡子を食べさせてくれたのだろうが、 そのせいで自分の餡子が不足したというわけでもないようだ。 傷口も無いし、体の大きさも正常だ。 れいむの死は理解したが、れいむの死は納得できなかった。 れいむはもしかすると、俺の左足の化膿した傷口を舐めたことで 細菌に感染して死んでしまったのではないだろうか。 だがそう考えると余計に、れいむの死が納得できなくなった。 れいむが死んでしまった以上、亡骸を無茶苦茶にするのは可哀想だ。 れいむの体を綺麗にしてやることにする。 れいむの顔についたオレンジジュースをタオルで拭いてやる。 れいむの髪についたほこりをとってやる。 れいむの、 れいむのあんよの汚れを丁寧にふいてやる。 俺にはこんなことしかできない。 れいむは れいむはゆっくりなのだ 最後くらいはゆっくりさせてやりたい 巣穴の中にれいむの亡骸を安置する。 線香代わりに、とってもあったかさんなカイロをれいむの足元に敷いてやった その場で天を仰ぐ。 今はれいむの死が納得できない。 一生懸命に俺を助けようとしていたれいむの顔が思い浮かび、涙がにじんでくる。 れいむに命を助けてもらったのに、俺はれいむの命を助けてやれなかった。 遭難したときは足が痛かったが、 今はひたすら胸が痛い。耐え切れないほど、心が痛い。 様々な痛みを感じる中で一つ、はっきりと分かったことがある。 死んだれいむは一生 俺の心の中で生き続ける 鉄籠あき 過去の作品 anko1922 鉄籠 anko1941 野良まりさたちの行く末 anko1951 ゆっくりの住む牧場 anko1968 正義感 anko1973 あんころ草 anko1993 50% anko2013 カウンセリング anko2024 カレーの作り方 anko2047 露店のゆっくり anko2059 ゆっくりおばさんの船旅 anko2085 赤ゆ合戦 anko2107 たこつぼ anko2120 線香台