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sirokitori
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第一回放送までの本編SS 【オープニング】 No. タイトル 登場人物 作者 000 オープニング 阿良々木暦、戦場ヶ原ひたぎ、影谷蛇之、水倉りすか、水倉神檎、真庭蝙蝠、真庭人鳥 ◆rOyShl5gtc 【深夜】 No. タイトル 登場人物 作者 001 しかつもんだい編(前編)しかつもんだい編(後編) 供犠創貴、無桐伊織 ◆rOyShl5gtc 002 2話 阿良々木暦、神原駿河、哀川潤 ◆T7dkcxUtJw 003 3話 傍系の病院坂迷路、兎吊木垓輔、式岸軋騎、串中弔士 名無しさん 004 めいろマイマイ 八九寺真宵、病院坂迷路 ◆iaNM/KCMCs 005 5話 零崎人識、玖渚友 ◆iTZECfXJ4g 007 ボルトキープの再開 零崎曲識 ◆rOyShl5gtc 008 たかしフォックス 時宮時刻、西東天、羽川翼 名無しさん 009 試験開始 西条玉藻、紫木一姫、零崎双識 ◆iTZECfXJ4g 010 不運の結果(風雲の経過) 匂宮出夢、櫃内夜月、千石撫子 ◆wUZst.K6uE 011 11話 真庭人鳥、誰でもない彼女 ◆kCGp90my/U 012 死闘(四闘) 闇口憑依、ツナギ/繋場いたち、真庭鳳凰、千賀てる子、鑢七実 名無しさん 014 世界の終わり、正しくは始まり(前編)世界の終わり、正しくは始まり(中編)世界の終わり、正しくは始まり(後編) 戯言遣い、戦場ヶ原ひたぎ ◆wUZst.K6uE 013 13話 闇口濡衣、左右田右衛門左衛門 ◆kCGp90my/U 015 15話 想影真心 ◆kCGp90my/U 016 16話 櫃内様刻 ◆T7dkcxUtJw 017 17話 鑢七実、奇策士とがめ、否定姫 ◆kCGp90my/U 018 血の枷(智の加勢) 水倉りすか、病院坂黒猫 ◆iTZECfXJ4g 019 虚刀『鑢』対人類最終『橙なる種』 鑢七花、想影真心、真庭狂犬 名無しさん 020 ≪自殺志願≫の捜索 零崎双識 ◆kCGp90my/U 022 開戦時刻 羽川翼、西東天 ◆wUZst.K6uE 030 30話 病院坂迷路、八九寺真宵、零崎曲識 ◆T7dkcxUtJw 031 死者一人(小さき鳥) 真庭人鳥、誰でもない彼女 ◆T7dkcxUtJw 【黎明】 No. タイトル 登場人物 作者 006 錯綜思考(策創試行) 奇野頼知、萩原子荻、石凪萌太 ◆wUZst.K6uE 023 過去の彼方(仮虚の刀) 鑢七花、想影真心、四季崎記紀 ◆kCGp90my/U 024 誰事(戯言) 戯言遣い、戦場ヶ原ひたぎ、左右田右衛門左衛門 ◆kCGp90my/U 025 真庭忍軍最古vs相生忍軍最後 真庭狂犬、左右田右衛門左衛門 ◆kCGp90my/U 【早朝】 No. タイトル 登場人物 作者 021 偽装観(疑想感)《前編》偽装観(疑想感)《後編》 奇野頼知、萩原子荻、石凪萌太 ◆wUZst.K6uE 026 逢魔が時(大凶刻)《前編》逢魔が時(大凶刻)《後編》 鑢七実、奇策士とがめ、否定姫、時宮時刻 ◆wUZst.K6uE 027 停まらない害悪(染まらない帷幄) 兎吊木垓輔 ◆iTZECfXJ4g 028 不殺の刀と不生の刀《前編》不殺の刀と不生の刀《後編》 鑢七花、想影真心、四季崎記紀左右田右衛門左衛門、零崎人識、玖渚友 名無しさん 029 神はあまり役に立たない? 真庭鳳凰 ◆kCGp90my/U 032 メイドが行く!(冥土に逝く?) 千賀てる子 ◆kCGp90my/U 033 末路(順)《前編》末路(順)《後編》 奇野頼知、萩原子荻、石凪萌太、羽川翼、西東天 ◆wUZst.K6uE
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開戦時刻 「……ふん、まさか、こんな場所にまた来ることになるとはね」 エリアH-8。西東診療所。 時計の針が、零時半を少し回った頃。 畳敷きの待合室の中、狐面の男は周囲をぐるりと見回した後、大して感慨深くもない様子で言った。 「二度と来る機会はないと思っていたが――しかし、見知らぬ場所に見知った場所があるってのは、どうにもつまらないものがあるな。こと二度も捨てた場所ともなるとな――まるで堂々巡りでもさせられているかのような気分になる。この世で何が無駄かと言って、同じ無意味を繰り返すことほど無駄なことはねえからな……同じ失敗を繰り返すほうが、まだ有意義ってもんさ」 「……お茶どうぞ」 木目調の卓袱台の上に、紅茶の入ったカップが静かに置かれる。 羽川翼は、自分の分のカップを置きながら狐面の男にちらりと目線を向ける。 当然のこと表情は窺えない。ただ相手もこちらを見ているのは分かったので、何となく目線を切り、卓袱台をはさんで狐面の男と向かい合う形で腰を下ろす。 狐面の男は、自分の前に置かれたカップに一瞥をくれることもなく、虫でも観察するかのような視線をじっと羽川のほうに向けてくる。いや、仮面をつけているため、視線を向けているのかどうかは正確には分からないのだけれど。 「ふん、なかなか似合うな」ややあって、狐面の男が口を開く。「意外な程にな」 「……どうも」 「その眼鏡と、実によく調和している」 「はあ……」 羽川の、今現在の服装。 パジャマ姿での参戦という嫌がらせに近い仕打ちを受けていた羽川だったが、この西東診療所において、既に別の服装へと着替えを終えていた。 巫女装束に。 狐面の男の持つデイパックになぜか収納されていた、見た目麗しい巫女装束の姿に。 「………………」 似合ってはいる。 確かに、似合ってはいるのだ。 しかしこの格好、パジャマ姿とはまた別の意味において、相当恥ずかしいものがある。 基本的に目立ちすぎる。 まるでコスプレでもしているかのようだ。 そもそも、似合っているからどうというような話でもない。 それに、なにより、それ以前に。今の羽川がどういう服装をしていたところで―― 「まあ、どんな格好をしていたところで」狐面の男が言う。「猫耳のせいで、ふざけているようにしか見えんがな」 「……………………」 あまり触れてほしくない所に触れられた。 自分はもっと不自然な物を顔面に付けている癖に。 ちなみに羽川の髪型は三つ編みでなく、結われても纏められてもいない。纏めようにも、ヘアゴムの代わりになるようなものは何もないのだが。 「腕は平気か」 「え?」 「さっきコイツが強引に組み伏せていたようだからな。骨でも痛めてねえかと思ったんだが」 狐面の男が指さした先には、着物を身に纏い、和風の装いをした女性が――いや、女性の風貌を象った人形が、部屋の隅で静かに佇んでいた。 両目は閉じられ、眠ったようにぴくりとも動かない。 「いえ、私は全然――あの、それより」 ぺこりと、丁寧な仕草で頭を下げる羽川。 「先程は、その、すいませんでした。いきなり刀を向けるような真似をして」 「『刀を向けるような真似を』。ふん、真似というより、実際に斬り殺されかけたようだったがな。避けるのがあと一瞬遅れていたら、首が胴体とさようならだったぜ――まあ、あくまで俺の主観で判断した限りでは、だが」 「…………」 嫌な言い方をする。 それを言うなら、羽川の主観では避けたというより、ただ転んだだけだったように見えたが。 「――まあ、いきなり斬りかかってきたことに関しちゃあ、別に気にしてはいねぇよ。殺されかけるのには大分慣れてるからな……それよか、むしろあれで仕留めきれなかった己の甘さを反省するこったな。刀を向けた挙句やり損じて、しかもその相手に謝るなんてダセェ真似はするな。あの時死にかけたのは、俺でなくむしろお前のほうだったのだからな、羽川翼。骨を痛める程度だったら、随分すぎるくらいにいい方だったぜ」 「…………」 「刀を使って、しかも不意打ちまでかけて、俺みたいな戦闘能力皆無の相手に一太刀も浴びせられねえなんざ論外だぜ? 武闘派はまず状況と闘ってこそ武闘派なんだよ。いみじくもプロのプレイヤーなら、状況に呑まれるような醜態は晒すな」 …………ん? あれ? 言っていることが何かおかしい……? 羽川は首を傾げた。 「どうも俺の回りには、そういう奴ばっかが集まってくる傾向があるんだよなあ…………優秀なわりに、むら気が多いというか、使える割に扱いに困るというか。匂宮兄妹といい絵本園樹といい……まあ、切れ過ぎる刃ほど手に余るというのは世の常ではあるんだが――」 愚痴るように、ぶつぶつとひとりごちる狐面の男。視線は既に羽川のほうを向いていない。 「あ――あの、」 羽川は、念のために言っておくことにした。 「あん?」 「いきなり斬りかかったりしたから誤解されたかもしれませんけど、私別に、危ない人――とかじゃないですよ?」 「…………?」 数秒の沈黙。そして、 「……お嬢ちゃん。今までに、刀を使ったことはあるのか」 「ありません」 「人を斬ったことは」 「ありません」 「人を殺したことは」 「ありませんってば」 「……………………」 「……………………」 おいおいおい、と、たちの悪い冗談を聞かされたような仕草で頭をかく狐面の男。 「何の躊躇もなく斬り込んできたもんだから、てっきり『殺し名』あたりの人間とでも――ああ、姓は羽川だっけな……どちらにせよ、そういう領域に所属する住人かと思っていたんだが……初対面の人間にあんだけ容赦なく斬り込んでおいて、ただの一般人はねえだろ――」 狐面の男の言葉を聞きながら、羽川は数十分前の自分の行動を思い返していた。 確かに、あの時自分がおかしかったことは、漠然とではあるが覚えている。 いや、今この時点でも、その違和感は継続しているのだ。動もすればまたさっきのように自我を見失ってしまいそうな不安定さが、絶え間なくまとわりついている。 自分を遠くに見ているような。 自分が遠くから見られているような。 そんな、どっちつかずの不安定さ。 「…………」 羽川の座っているそのすぐ脇。そこに、一本の刀が携えられている。 斬刀・『鈍』。まさしく、今までの話の中で何度も言及されてきた、羽川が振りかざしたという例の刀。 狐面の男と出会い、この場所に移動してくるまでの間に、羽川はほとんど正常な精神状態を取り戻していた。しかしその間、羽川はずっと、この刀を肌身離さず携え続けていた。 どうしても、側から離しておくことができない。 いつでも斬りかかることができる体勢。 いつでも斬り殺すことができる体勢。 どうしてか、そうしておきたいと思ってしまう。 しかし『普通でない』というのなら、目の前でぶつくさと何かを呟いているこの男こそそうなんじゃないかと、羽川は思っていた。 初対面の人間に突然殺されかけたにも関わらず、それがさも当然であるかのように――殺しかけた本人である羽川のことを、『そういう人間であることが当然』とでもいうような扱い方を、この人はしていた。 今の状況に、全く動じている様子がない。 普通じゃない。今の羽川と同じく。 「あの…………ところで、」 「ちょっと待った」 質問の台詞を遮り、おもむろに立ち上がる狐面の男。卓袱台を迂回し、つかつかと羽川の前まで歩み寄ってくる。 正座している状態の羽川を見下ろす姿勢で、自分の着流しの袖を軽く捲りあげる。きょとんと見上げる視線を全く意に解さない様子で、両手を羽川の頭の上へと伸ばしてくる。 「え? あ、あの――」 「少しじっとしていろ」 そう言うといきなり、羽川の頭に生えたふたつの可愛らしい猫耳を、両手でがしりと掴んだ。 「ひゃうっ!?」 「ふん。確かに頭皮と一体化してやがる……縫いつけた跡なんかもねえな。こりゃマジに天然か……? 手触りも人間のそれとほとんど同じ、か」 「ち、ちょっと……!」 身をよじる羽川に構うことなく、両手で猫耳を隅々まで弄り回す狐面の男。 指先で、また手のひらで。 外側を、内側を、 先端部を、付け根の部分を。 さわさわと、なでなでと、ぐりぐりと、こしょこしょと。 優しく、柔らかく、しかし執拗に。 奥の奥まで調べ尽くすような手付きで。 「あっ、やっ、やだ……っ! あん……だ、だめ……あっ……やぁ……っ! も、もう、やめ、やめてくださ……あんっ!」 「ふむ……どうやらマジに本物のようだな、こりゃ。ふん、成程、こりゃあなかなかに興味深い――」 二、三度、納得したようにうなずいて猫耳から手を放し、そのままさっさと自分の座布団へと戻る。狐の面を自然な動作で外し、まだ湯気の立っている紅茶をすする。ふう、と軽く息を吐き、言葉通りに一息ついたような表情を浮かべた。 「で、何だ」 「……………………」 実際のところ、たったいま卓袱台の上に置かれた狐の面について質問しようと思っていたのだが、盛大に出鼻をくじかれた上に、質問の中心である仮面をあっさりと外されてしまったため、思いきり質問し辛い状況になってしまっていた。 羽川は顔を真っ赤にして、仮面を外した男の顔を睨みつけた。しかし睨まれている本人が瓢々とした顔で茶をすすり続けているのを見て、無駄だと諦める。 仮面を外した男の素顔は、思っていたよりも普通だった。 声の調子からそれほど若い年齢ではないことは分かっていたが、それでも予想していたよりはずっと若く、精悍な顔付きをしている。 白い着流しがよく似合う、日本的な顔立ち。 特徴的と言えるくらいに目付きが悪い。 「…………」 羽川は何となく、その顔に見入ってしまっていた。 「――ん、どうした。沈黙されても、俺には質問を先回りできるほど気の利いた能力は所有しちゃいないんだが」 「……セクハラですよ、今の」 「ん?」さも意外な事を言われたでもいうような表情。「何のことだ」 「他人の耳を勝手に触らないでください」 「猫耳を触るというのは、セクハラ行為にあたるものなのか」 「本人の同意なしに不必要な身体接触を行なった場合は大抵セクハラです。猫耳でもなんでも同じことです」 「『猫耳でもなんでも同じことです』。ふん、そりゃ悪かったな。だが――」 しれっと、狐面の男は言う。 「俺はその猫耳が、まさかお前の耳だとは思っていなかったんだよ。何しろ俺の目の前にいるのは人間で、俺が触れたのは猫耳なわけだからな。猫耳とは、猫の耳と書いて猫耳と呼ぶ。つまり本来は猫が所有して然るべき物体であるわけだ。お前の耳だと先に言ってくれりゃあ、俺もそう無神経に触るような真似はしなかったんだが」 「…………」 それって、「まさかこんな事がセクハラになるとは思いませんでした」的な言い訳なのでは。 屁理屈というか、白々しいにも程がある。 この男、見掛けによらずたちの悪い種類の人間なのかもしれない。羽川は、目の前の男に対する警戒レベルを少しだけ引き上げた。 「で、さっきしかけた質問はもういいのか」 言いながら狐面の男は、卓袱台に置いてあった仮面を被りなおした。 反省の意識ゼロである。 「……えっと」羽川は少し考え、せっかくまた被りなおしたのだからと(ある程度、意趣返しの意味もこめて)結局聞いてみることにした。「その怪しげなお面は、いったい何なのかと思いまして」 「狐だ」 「…………」 説明されてしまった。 「狐というのはイヌ科キツネ属の哺乳類だ」 「知ってます」 「知ってたのか」 「知ってます」 「そうか」 結局、空振りのような会話に終わった。 空振りというか、空回りというか。 「広義においてはキツネ族のオオミミギツネ属、ハイイロギツネ属、イヌ族のカニクイキツネ属、フォークランドキツネ属、クルペオキツネ属まで含める場合もあるのだがな」 「知ってます」 そして誰もそんな詳しい所まで聞いていない。 そんなに「知りません」と言わせたいのだろうか。 ともあれ。 今までのやりとりで、羽川はこの男の人となりをある程度理解していた。 適当で、場当たり的で、他人に合わせるということをしない。まるで何かに流されるような、何かを受け流すような話し方。 真正面から向き合っても、どこか別のところから見られているような感じ。 違う次元にいるような。 違う世界にいるような。 そんな、掴みどころのない人間性。 ――実は俺、何も考えてないんだよ――。 あの言葉も、あながち嘘ではないのかもしれない。 「そういやお前」またも唐突に口を開く。前置きの仕草すらも無しだ。「道中、その猫耳に関して俺が尋ねた時、『怪異』がどうとか言っていたな。そのことについて、ちょっと詳しく聞かせてみろ」 「……はい」 詳しく――と言われても、詳しく話せるだけの情報を今の羽川は持ち合わせてはいない。自分が怪異に見舞われたときの記憶は、そのほとんどが失われたままなのだから。 残っている記憶といえば、春休み、阿良々木暦が吸血鬼という怪異に襲われた時の記憶。だがそれに関しては、羽川は口をつぐんだ。結局説明したのは、かろうじて記憶に残っている自身の体験に自己解釈を加えたもので、とても説明と呼べるようなものではなかった。 しかし。 「面白いなあ」 狐面の男は話を聴き終えると、しばしの沈黙の後そう言った。 「面白い……ですか」 「面白い。徹底徹尾掛け値無しに面白い。なるほど、『怪異』ね……そういうものが存在するから、そういうものに遭遇することがあるからこそ、世界ってのは――運命ってのは面白い。しかし、『この世界』の中で動くことにどれほどの意味があるのか、今の時点では 計りかねるがな……まあ、だからこそ面白いっていうのもあるが」 さっきから思っていたことだが、この人の話はすぐに独り語りのような調子になる。内容も自己完結的になってしまうのだから、聞いている側としては対処に困る。 どういう意味ですか、と羽川は訊いた。 「この世界はどうも、本来の筋から外れたところにある――というのが、今の俺の印象だ」 本来の……筋? 「確かに、変な所に連れてこられたとは思いますけど」 そう言う羽川に狐面の男は、そういうことじゃないんだよ、と首をゆるりと振った。 「ここは『外側』に近い場所だってことさ。元の世界を物語の本編と喩えるならば、この世界は番外編――といった所か」 「番外編……」 「ボーナストラック、あるいは二次創作か。あくまで喩えでしかないが。どこまでも不条理でありながら、それが許されてしまう世界。むしろその不条理でこそ成り立ってしまっている世界。……ふん、不条理で話が成り立つたあ、条理が聞いて呆れるね。まあ要するに、ここは本来の世界とは少々ずれた場所にある世界だってことだ。物理的にも観念的にもな。この物語は別世界での出来事です、本編とは全く関係ございません――ってか」 「…………」 「俺は既に、因果から追放を受けた身だからな――――本来、こうして俺に役割らしい役割が与えられていること自体が、そもそもおかしいのさ。絶対不変の因果とは無関係の所で進められているイレギュラーの物語、というのが、この世界に対する俺の見解だ」 「……よく、分からないですけど」 「分からんでもいいさ。どのみち仮説でしかないのだからな。合っていようがいまいが、そんなことは同じことだ」 ここまで喋っておいて「そんなことは同じこと」と締めるこの神経。やはり掴みどころが見えない。 「最後まで生き残れば、どんな願いも叶える――と言ってましたよね」 「ああ、言っていたな」 「あなたには、何か決まった願い事があるんですか?」 「『何か決まった願い事が』。ふん、願い事ねえ。まあ、あるといえば数えきれない程にあるが――」 狐面の男は、何か遠くものを見るように、顔を少し上げる。 「まずはこの、ふざけた遊びを企画したっていう、水倉神檎とかいう人間――そいつに御目見え願いたい」 「…………」 真剣、に感じた。 声も、恐らくは狐面の下の表情も。 「番外とはいえ、こんな愉快な催し物を実行しちまうようなイカレた存在がいると知って、それをむざむざ放っておく手はねえ。俺は神様なんざ毫ほども信じちゃあいないが、それに限りなく近い存在くらいならあってもいいと考えている。ある意味、俺がそうなろうと しているようなものだからな……ひょっとしたら、その水倉神檎こそがまさにそれなのかもしれん。可能性のひとつとして想像してはいたが、物語の外側に立つために最も手っ取り早いのは、世界の内部に働きかけることよりも、直接外側にアプローチをかけることだ。『既に外側に立っている人間に手引きをしてもらうこと』――くっくっく、馬鹿臭え程に単純だが、これほど確実で楽な方法も他に無え。これぞまさしく、裏技ってわけだ」 独り言のような、胡乱な言葉の漏出。 というか、後半は完全に独り言のように聞こえた。 不審がる羽川に気をとめる様子もなく、意味の分からない――意味の通じない言葉を、仮面の裏から発し続ける。 まるで、狂人のように。 「…………っ!」 じりじりじりじりじり。 雑音。意識の壁を叩く雑音。 また――あの感覚が来る。 「……ん、どうした」 「あ、いえ――つまりあなたは」羽川は言う。「あなたは、この闘いに乗る、ということですね」 「ん? ああ、まあそういうことになるな。生き残らなければ、願い事もへったくれもねえからな。それが最低条件だ」 殺し合いですよ、という羽川の言葉に対し、殺し合いだな、と淡白に返す狐面の男。 何を今更、とでも言いたげな口調で。 「どうした、怖気づいたか」 じりじりじりじりじり。 羽川は、視界が暗転しそうになるのを寸前で堪えた。 「さっきも言ったが、ここでそういう甘さはお前の寿命を縮める以外に何の役にも立たんぜ。こりゃあ、今のお前に言っても詮無きことだろうが――」 仮面越しにでも分かるくらいの重圧が、まっすぐに羽川を捕える。 「俺の見る限り、お前はそれなりに面白い。素質がある、資質がある、天稟がある。『怪異』の話とはまた別の、世界と関わりを持つに足る素質をな。ただお前には少々、その自覚が足りなさすぎる。今のお前は精々、一般人の尺度からしてしか特殊性を認めることができない程度だ。この世界でその程度の才能は、容易く喰われる」 「………………こ、」 「その素質の活かし方を――お前自身の使い方を、俺がサポートしてやる。強制する気はねえが、俺と一緒にいる限り、お前の身の安全はある程度保証してやるぜ。言っておくが、今のお前が一人で生き残れると思うな。戦闘能力云々の問題じゃねえ。お前に必要なのは、言うなれば――」 びくん。 と、弾かれたように立ち上がる羽川。 「――――殺せば」 じりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじり。 雑音が脳を侵食していく。 精神を支配される感覚。 魂を操られる感覚。 「殺せばいいんですね」 「……あん?」 「殺せば、それでいいんですね?」 羽川の豹変に、狐面の男は一瞬訝んだ様子を見せたが、すぐに「ああ、そうだ」と返した。 「ここでは、それが正しい。それこそが正答であり、正当だ」 「わかりました」こくり、と虚ろにうなずく羽川。「それでいいなら、そうします」 それでいいなら、そうします。 羽川はしばらくその言葉だけをぶつぶつと繰り返していたが、ふいに糸の切れた人形のように、ぺたりと座りこむ。 黒色の袴が、畳の上にふわりと広がった。 「……阿良々木くんが」 「うん?」 「阿良々木くんが――どこかに」 「阿良々木……ああ、お前の知り合いか。そいつもここに来てるんだな?」 無言で頷く羽川。 「やれやれ……甘さは命取りっつってる側から身内の心配か。まあいい、仲間が増えるに越したこたないからな。そいつもついでに探すか。……ああそうだ、羽川翼。お前、これを使え」 部屋の隅、指さした先で眠ったように佇んでいる和装の人形。 「刀を扱ったことがないというなら、その日本刀は無闇に使わんほうがいい。むしろこっちの――なんつったかな……ああ、微刀『釵』だかの方が、お前には合っているはずだ」 狐面の男が指示を出すと、人形――微刀『釵』は、ゆっくりとした歩調で羽川の前まで歩いてきた。 「当面のお前の役割は、そいつを使って俺と、お前自身を守ることだ。繰り返し言うが、あらゆる手段を行使することを迷うな。ここで通用するような常識はないと考えろ。非常識に染まることを覚えろ」 お前にはその素質がある。 そう言って立ち上がり、襖を大きく開け放つ。 「行くぞ。いつまでもここで寛いでいるわけにはいかん。番外編は短期決戦と、相場は決まっているからな」 草履を履き、正面玄関に向けて歩き出す狐面の男を、羽川が静かに追っていく。 虚ろな表情で。 定まらぬ足取りで。 さながら、人形のように。 「阿良々木……くん…………」 右手に携えられた日本刀が、かちりと鍔鳴りの音を立てる。 時計の針が、ちょうど一の時刻を示していた。 【1日目 深夜 西東診療所 F-8】 【西東天@戯言シリーズ】 [状態]健康 [装備] なし [道具]支給品一式、ランダム支給品1 [思考] 基本 遊ぶ 1 十三階段再結成 2 闘いに勝ち抜き、水倉神檎に会う 3 羽川の使いようを模索する。 【羽川翼@物語シリーズ】 [状態]健康 精神的に不安定(時宮時刻の想操術により半自我喪失状態) [装備] 斬刀『鈍』@刀語シリーズ、微刀『釵』@刀語シリーズ、巫女装束@刀語シリーズ [道具]支給品一式、ランダム支給品1~2 [思考] 基本 阿良々木君を助ける 1 西東天についていく 2 西東天の言う通りに動く ※微刀『釵』は所有者の命令通りに動きます。 ※操想術による影響は受けていますが、まだ完全に発動しているわけではない様子です。 ※羽川はまだ猫耳しか出てませんが、何かのきっかけで完全にブラック羽川になるかもしれません。 021← 022 →023 ← 追跡表 → ― 羽川翼 ― ― 西東天 ―
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【名前】水倉りすか 【出展】新本格魔法少女りすか 【種族】魔法使い 【性別】女 【声優】 【年齢】 【外見】 【性格】 【口調】 一人称: 二人称: 【呼称】 [[]]→ [[]]→ 【特異能力】 【備考】
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死闘(四闘) ここは『絶望の果て』である。 この表現は殺し合い——バトルロワイアル——が行われているからでなく、この場所が『絶望の果て』ということである。 本来ならこの赤神イリアの屋敷は鴉の濡れ羽島にあるべきものであるが、現在は地図のH-4に建っている。 鴉の濡れ羽島とはロシア語で《絶望の果て》という意味である。 そこに建つ建物というものは、いったいなんであろうか。 絶望の上に建つ建物とは。 どれだけの恐怖を、破壊を、混乱を、そして絶望を生み出したのであろうか。 そして今生まれているのは、死闘。 ◆ ◆ 命を懸けた戦いで最も恐怖すべきであるのは、 体に口——にしては、凶暴さを滲み出している——を生やしている一人の少女である。 闘う姿はまるで妖怪ものであった。 その力は主催者と同じ『魔法』の一種であり、彼女はその力をあの男——水倉神檎——に与えられたのであった。 『魔法』といっても様々なものがあり、魔法使いそれぞれの個性がある。 あの真っ赤な、安全ピンの様な、ジャケットの男は『属性』が『光』、『種類』が『物体操作』の魔法使いであったが、 対する少女は『属性』が『肉』、種類が『分解』の魔法使いである。 体に口を持つ少女の攻撃は、人ならざる攻撃であった。 しかし、身体性能の差であろうか、他の者との戦闘センスの差であろうか。 その絶大なる力をもってしても闘いに終わりを告げることは出来ていない。 そうして額の口が、不機嫌そうに、歯軋りをした。 『ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ』 最も破壊している者は——周りの豪華絢爛な装飾などを構いもせずに、 いやわざと壊すことにより戦いを有利にしているのかもしれないが——最も素早い動きで手に持つ拳銃を使う者である。 彼は最初に殺された忍者集団と同じような装束をしていた。 確かにその動きはただならないものではあった。 彼は殺人を厭わない忍者集団のなかの、 12人の頭領——口から刃物を出すものと同等の者たち——の中でも抜きん出た実力を持つ者であった。 さらに、その左手は彼のものとは思えない形ではあるが、 彼が彼の時代とは形が全く違う拳銃を使えているのは——忍法記録辿り——そのおかげであるのだ。 「忍法断罪円!!」 最も混乱を生んでいるのはそれらあらゆるものをかわし続ける女である。 彼女は艶やかな若草色の和装であり、それに似合う和風美人である。 そして、全ての攻撃をかわし続けるだけではなく、着物の裾すら、乱さずに攻撃を避けている。 誰もがその技術——空蝉——を見破れず、困惑しているようだ。 一方彼女は余裕の表情で、その様子は明らかに相手の疲れを待ち反撃の機会を伺っているようだ。 「若い・・・・・・」 そして最も絶望を生み出しているのはメイド服の彼女であった。 彼女はこの屋敷のお嬢様——赤神イリア——の警護担当として戦闘訓練を受けた戦闘メイドであった。 しかし、本来ならばこのような化物たちのなかでは彼女も霞んでしまう存在であったかもしれなかった。 では、なぜ彼女が絶望を生み出せているのだろうか。 それはこの屋敷をくまなく知りえているからではない。 確かにそれも原因の一つかもしれないが主なものではない。 主な原因とは彼女の胸に刺さっている一つの刀である。 それを刀とよんでいいのかは、悩むところだが——明らかに苦無の形をしている——つくった本人が 刀だというのだから間違いはないのだろう。 その刀、悪刀『鐚』は『活性力』に主眼が置かれた、 所有者の疲弊も死も許さず人体を無理矢理に生かし続ける凶悪な刀である。 そんな刀を接近戦のエキスパートが使えばどうなるだろうか。 どれだけ動きを高めるだろうか。 どれだけタフになるだろうか。 そういった理由からして彼女は絶望を生むにいたっているのである。 「埒があきません こんなスリリングな削り合いかわし合いなどに——全く意味はありません。そうは思いませんか?皆さん。 あなた達は一度死んで見ませんか?」 しかし誰も決定打を打つことが出来ないままであった。 ◆ ◆ その四人からなる死闘——四闘——を・・・・・・ じいっ、と。 まるっ、と。 ぎょろり、と。 ぐるり、と。 まじまじ、と。 しっとり、と 女は——眼を凝らすようにして、死闘と、それをする者たちに——眼を向ける。 時には全体に。 時には個々に。 時には口に削られた残骸に。 時には所々にある銃創に。 時にはあらゆるものをかわし続ける者が次にかわす技に、方向に。 時には服の上からでは分りにくいが、——推測ではあるが——自分が以前使っていた刀に 眼を。 その——両のまなこで。 見る——視る——観る——診る——看る。 全て——総て——凡て——観察するように——舐めるように診察する。 「・・・・・・ふうん。なるほど、理解したわ」 やがて、屋敷のそとから覗く彼女はそう呟く。 「個々の基礎体力、技術、経験、特殊能力、道具、見取れるものすべてを。そしてこの死闘の先もね」 ◆ ◆ 彼女が持つ特異性それは、 天才性の発露——見稽古。 それは『天才』が持つものにしては、行き過ぎたもので、 まるで『天災』といった人にはわからざるものと同じカテゴリーに含まれるものである。 見た技をそのまま自分のものとして習得できる戦闘技術。 また、その『眼』の力は、他人の戦闘技術を習得するだけにとどまらない——ありとあらゆるものを看破する、そんな眼である。 どんな技も、どんな動きも。 どんな弱点も。 ひとつ残らず見通せる——鑢七実の見稽古 いったい彼女はなにを見取ったのであろうか。 ◆ ◆ 「もう、見取れるものは見取ったし、この死闘がこのまま終わるのは、 わたしにとって良いことは一つもないわね。草は、草が如くむしってやりましょう」 彼女が手にするはRPG-7。 本来ならこのような広い場所で、このような者たちに効果覿面な道具ではないが、 使うのが死闘の結果すらも見通す『眼』を持つ彼女である。 「いつまでも、綺麗に立ち回れると思わないことね」 発射と同時に、ふぅー。と、よく似合うため息をつくのだった。 ◆ ◆ 一方、屋敷内は悲惨な事態になっていた。 屋 敷の装飾はもとの絢爛さのみる影もなく、屋敷内は台風でも通ったあとかのようだった。 そこにあるのは残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、 残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、草、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、 残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸であった。 その草は所々赤い、若草色であった。少しづつ、少しづつ、赤く染まっていくそれはよく見れば和装であった。 『天災』である『天才』はその様子を見ながら踏みつける。 まだ息があるのだろうか。 闇口である彼女は——売りが主人以外の誰からも攻撃を受けたことも、 触れられたことも無いということもあり——未だ息をしていた。 彼女は自分を死に至らせただろう者の足をつかむ。 実際のところ、意識はなかったかもしれないが。 鑢七実は深く、深くため息ををつき。 そして——眼を細め、非常に冷酷な死線を彼女に向け。 「何を勝手に、わたしの肌に触っているのですか——この、草が。」 つかまれたのと反対の足で——女の頭を踏みつけた。 繰り返し。繰り返し。繰り返し。 相手の反応などまるで構わず——踏みつける。 「草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。 草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。 草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。」 程なく——女の頭部は失われた。 跡形もなく——ただの血だまりに、肉だまりと化した。 それでも若者の手は女の足首をつかんだまま放さなかったが——女は無情にも、足首を軽く振るだけで、その指を払った。 【闇口 憑依@零崎一賊シリーズ 死亡】 ◆ ◆ 「はぁ、はぁ、なんなのよ。魔法も使っている様子もないのに、化物かあいつら」 身体に口を生やした少女ツナギは走っていた。 その様子には闘いの最中の威圧感はなく、今は心なしか焦っているようにみえる。 彼女は主催者である水倉神檎によって「魔法」使いにされた少女である。 そして彼に殺されることをも同時に願っている。 彼女は体に512の口をもち、2000年以上生きている「魔法」使いではあるが、 そんな彼女からしても先ほどの死闘を繰り広げた者たちは、埒外に感じたのである。 「まずはあのコーヒーショップに向かうか」 いくら戦闘に自信がある彼女でも不安に感じたのであろう。 仲間がいるかもしれない場所に魔女は向かった。 【1日目 深夜 H-4】 【ツナギ/繋場いたち@新本格魔法少女りすか】 [状態]身体中にかすり傷、疲労(中)、口の出現により服が所々破れています [装備]なし [道具]支給品一式、ランダム支給品(1〜3) [思考] 基本 「水倉りすか」「供犠創貴」 を探す 1 コーヒーショップに向かう 館からは離れたところに忍者はいた。 流石忍者とでもいうべきか、戦線から離脱する早さは誰よりも早いものであった。 「あの爆発に直接巻き込まれてしまっては、我でも危なかったであろうな」 忍者集団の頭領の中の頭領、真庭鳳凰は偶然にも爆風から逃れることが出来たのだ。 「しかし、この忌々しい首輪のせいで、頭領のうち残っているのは我を含めて三人か。 もし生き残り、もとの世界に戻っても我一人ではどうしようもないな。狙うは優勝して願いを叶えてもらうことか」 しかしそれを本当に信じてよいのだろうか。 まずは生き残った頭領たちとあうことをめざすか。 そのために目指すのは真庭の里であろうな。 此処からは遠いみたいだが、地図の果てがどうなっているかも気になるな。 【1日目 深夜 H-5】 【真庭鳳凰@刀語シリーズ】 [状態]身体中にかすり傷、疲労(小) [装備]ジェリコ941 [道具]支給品一式、ジェリコ941の予備銃弾(残り60パーセント)、ランダム支給品(1〜2) [思考] 基本 真庭頭領を探す 1 地図の果てを確かめる。 2 主催者が本当に願いを叶えるだろうか・・・? フラフラと歩く姿は、メイド服でありながらも、メイド服は破れ、焦げボロボロである。 しかし、余計にその姿が本来このような場には相応しくないメイドであることと相反して、奇妙な威圧感を生み出している。 何も考えていないように見えるその姿。 しかし、彼女には確固たる意思、目的がある。 「あらゆることはお嬢様のために」 【1日目 深夜 H-4】 【千賀てる子@戯言シリーズ】 [状態]軽い火傷、疲労(小)、悪刀『鐚』により回復が早いです [装備] 悪刀『鐚』 [道具]支給品一式、ランダム支給品(1〜2) [思考] 基本 すべてはお嬢様のために 1 お嬢様を探しだし、いない場合優勝を目指す。 ※悪刀『鐚』の力により体の「活性力」が高められています。 程度はどれぐらいであるかは後の書き手さんに任せます。 ◆ ◆ 「ふふ、でも面白いわね。これ」 すでに肉塊となった者の支給品を見ながら呟く。 見ているものは、ある心臓である。 なぜかその心臓は切り離されているというのに、バクバクと脈を打っている。 その心臓は、五百年の時を生きる最強クラスの怪異、 自称「鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼」キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードのものである。と、説明書きと一緒にあったものだ。 そして他にもパーツが支給品としてあると。 この心臓は本来、吸血鬼とその知り合いにとってしか意味を成さないものであった。 しかし、手に入れたのは『眼』を持つ彼女であった。 彼女の『眼』にも『健康』までは見取れない。 しかし吸血鬼の『再生力』は? 凍空一族の筋力による怪力ではない、能力的である『怪力』を見取れた彼女にはそれは不可能だろうか。 否 可能であった。 しかしあくまでも『吸血鬼』の一部であるものからは、一部の『再生力』しか見取れなかった。 しかし『再生力』に特化した吸血鬼の、それも心臓である。 一部といえども、その『再生力』は並み知れないものであった。 最強の『再生力』を見取った彼女は、礫の山を歩きながら再度呟く。 「この『再生力』があればわたしでも本気をだせるかもしれない…… 出してみたい。わたしの本気を。あの子にも見せてやりたい。わたしの本気を」 ふふっ、天才は笑う。 「この後はどうしようかしら。 いくあてもないし、地図にある不承島にでもいってみるかな。 もしかしたら、あの子もいるかもしれないしね」 そして、血に染まった草鞋を気にする風もなく、何事もなかったかのように——歩みを再開させた。 【鑢七実@刀語シリーズ】 [状態]健康 [装備] なし [道具]支給品一式、ランダム支給品(1〜2)、キスショットの心臓 闇口憑依の支給品(確認済み) [思考] 基本 不承島にいってみる 1 七花とあってみたい 2 完璧な『再生力』を見取るために吸血鬼のパーツを集める 3 『再生力』を見取り自分の本気を出してみたい 011← 012 →013 ← 追跡表 → ― 闇口憑依 ― ― ツナギ/繋場いたち ― ― 真庭鳳凰 ― ― 千賀てる子 ― ― 鑢七実 017
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【名前】八九寺真宵 【出展】物語シリーズ 【種族】幽霊(迷い牛) 【性別】女 【声優】 【年齢】 【外見】 【性格】 【口調】 一人称: 二人称: 【呼称】 [[]]→ [[]]→ 【特異能力】 【備考】
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不殺の刀と不生の刀《後編》 同時刻、七花が右衛門左衛門に対してした評価通りのことをやってのけていた。 「これでようやく一人か、全く幸先の悪い始まりかただ」 と、駆ける速度を緩めることなくさっきの戦いで受けた斬り傷をなでる。 もうすでに止血はすんでいるが、胸から腹にかけて袈裟懸けにばっさり切られている。 よく致命傷にならなかったものだと、今になって思う。 あの時はそんなことを考える余裕が無かった。それほどに手強い、手強すぎる敵だった。 今でも先ほどの戦いをまじまじと思い出せるほどの熾烈な戦いだった。 白みかけた空の下、金属どうしがぶつかり合う音が響く。 二人に人間によって、片や、長刀を手にした仮面の男、片や顔面に刺青を入れ短い、だが禍々しい形状の刃を手にした少年、傍目からみれば異形きわまる二人の人間が、常軌を逸した速度で切り結んでいる。 だが、その戦いは一方的だった。一方的に仮面の男右衛門左衛門が押している。 それは当然のことだろう。 刺青の少年、人識の持つ得物と右衛門左衛門の刀では長さに違いがありすぎる。 人識が武器を振っても右衛門左衛門の体には届かない。 間合いの違いは絶対的な攻防の差を生み出す。 にも関わらず。 決定的な一撃が与えられない。 大上段から振り下ろせば、避けられ。 横薙ぎに払えば、いなされ。 袈裟懸けに払っても受けられる。 さっきからそれの繰り返しだった。どれほど激しく攻め立てても、その全てが防がれる。 このままでは拉致があかない。 そう判断した右衛門左衛門は体をねじるようにして反動をかけ、長刀でなぎ払いをかける。 長さを活かしたその斬撃は遠心力により、たとえ斬られずとも受けとめれば凄まじい衝撃が襲うはずである。 それならば、どのように防ごうとあの体躯では衝撃には耐え切れない! はずが その攻撃を 人識は刃が触れる瞬間に自分の得物の角度を変え、その斬撃を軽く受け流す。 「な…」 こうされてしまえば、付けた衝撃が逆にあだとなる。 振り切った反動を殺しきれず体勢が崩れたところに間髪入れず、人識に懐に飛び込まれる。 (まずい…!) これほどに距離を詰められれば、長刀の利点である長さも役には立たない。 どころか、この距離は人識の持つ刃物の領域だった。 「じゃあな、雑魚キャラ」 その言葉を死の宣告とするかのように、手にした刃物を構える。 振り戻しは、間に合わない。 「…なめるな!」 間に合わないならば、戻しはしない! 右衛門左衛門はあえて、反動を殺すことをやめ、逆に反動にのせて体を回転させながら回し蹴りを放つ。 「うお!」 さすがに予想外だったのか、人識は攻撃の構えを解き、腕を交差させ蹴りを受ける。 今度は勢いを殺しきれずに後ろに吹っ飛ばされ、それでも倒れることなく再び構える。 「へえ、なかなかいい動きじゃねえか、驚いたぜ」 「それはこちらも同じだ。これほどまでにやるとはな」 口ではそう言いながらも驚いた様子など微塵も見せず右衛門左衛門も体勢を戻す。 「お前ごとき相生剣法だけで、十分かと思ったが、不行、そう上手くも行かんか」 「あいおい?なんだそりゃ?」 「不知、知る必要は無い、どうせお前はここで」 死ぬのだから、と締めくくり再び動 「ちょい、タンマ」 こうとしたところで、いきなり人識の後ろで事態を静観していた玖渚が静止をかける。 出鼻をくじかれた形になりながらも、一応右衛門左衛門はそちらに顔を向ける。 「なんだ?」 「う~んとね、ちょっと聞きたいんだけど、しのばず君だっけ?」 「…この仮面に書いてあるのは、名前ではない」 「そうなんだ、じゃあ名前教えてよ」 「…左右田右衛門左衛門だ」 答えるかどうか、一瞬迷ったようだが、これぐらいなら答えても支障は無いと思ったか、それともしのばずなどと馬鹿馬鹿しい名前で呼ばれるのを嫌ったか、そう言う。 「変な名前だね~偽名?」 「いくら変でもこれが私の名前だ」 「そうなんだ?しーちゃん聞いたことある?」 「はあ?知らねえよ?なんだその全てを肯定しそうな愉快な名字?」 「だよね、僕様ちゃんも結構色んな人と会ったけど、こんな名字の人は知らないし…じゃあさ右衛門左衛門さん、逆に聞くんだけど零崎って知ってるかな?」 「零崎?知らぬな?何かしらの有名な家系か?」 「じゃあさ、玖渚機関は?」 「なんの呪いだ?一体何を言っている?」 次々と飛び出す単語に混乱したかのような右衛門左衛門は逆に聞く。 「ならば、こちらも質問させてもらおう、お前」 「あん?」 「お前の持つその刀、形状からして四季崎記紀の変体刀の一本のようだが、もしや尾張幕府の手のものか?」 その問いかけに人識は気持ち悪そうに顔をしかめる。 「おい、コイツ頭イカれてんじゃねえのか?誰だよ四季崎記紀って?尾張幕府ってどこよ?ってか変態党ってなんだその気持ち悪い集まりは、そして、これが刀に見えんのか?ナイフ以外の何物でもねえだろ? 電波系でキャラ作ってるつもりならやめてくれ、気持ち悪いから、マジで」 普通に聞いたら、精神的にかなりヘコむであろう言葉をズバズバと吐く人識だったが、右衛門左衛門はそのような言葉に反応するよりも別のことに驚く。 「お前たち…まさか、尾張幕府を…知らないのか、日本の人間ではないのか?」 信じがたい、と言う様子の右衛門左衛門とは対照的に裏も表も、戸惑いも驚きも感じさせない笑顔で玖渚はさらりと答える 「うに、僕様ちゃん達、れっきとした日本人だけど、そんな場所全く知らないよ」 どういうことだ…、右衛門左衛門は戸惑う。 尾張幕府の将軍が殺されたとはいえ、未だ権威は健在のはずだ。 日本の人間ならば、知らないはずはない。 罠か、もしかしたら自分の混乱を誘い…いや、この二人が嘘をついてるようには見えない。 一体… 「まあいい」 その思考を中断し、再び消しかけていた殺気を放つ。 「お前たちが誰で何者であろうと、そんなことはどうでもいい、ただ私にとって、いやお前たちにとっても大切なことは一つ、どう勝ち残るか…だろう?」 「は!確かにな、頭がヤバイ以外は筋が通ってるみてえじゃねえか、ああ、そうだ細かい戯言は終わりにしようぜ? もう聞きたいことはねえだろ?」 「う~ん、もうちょっとあるけど、仕方ないみたいだね」 さすがにこれ以上聞いても無駄だと悟ったか、人識の問いにそう玖渚はうなずく。 そして、それを合図とするかのように同時に再び二人は動いていた。 一度、懐に潜り込まれているからか、右衛門左衛門の動きに大振りなものがなくなり、その代わりに、元々速かった斬撃が更に加速する。最早、何度振るっているのかわからないほどに。 が、 その斬撃を人識はやすやすと捌く、四方八方、東西南北、完全無欠に防ぎきる。 連続する金属音、きらめく鈍い光、 それは完璧なまで均衡がとれていて、ともすれば無限に続くかとも思われた。 その均衡を、人識が先に破った。 無数の斬撃の一つ、なんのことは無いその一つを、受け止めた。 今まで受け流すことしかしなかった刃で、刀に比べれば脆弱にしか見えないその刃で、 そして、強引に押し戻し、弾き飛ばす。 「く…」 体躯、得物、筋力、その全てでは有り得ない行動に再び体勢を崩される。 そして、まるでさっきの繰り返しのように人識が懐に飛び込む。 だがさっきとは決定的に状況が違う、今度は右衛門左衛門の体に反動がついていない。 つまり、先ほどのように人識を押しのけられない。 さらに、人識は先ほどよりさらに速く構え、その鋭い切っ先を右衛門左衛門の心臓目掛けて突き出していた。 避けようは無い。完全に王手、決着が付く はずだった。相手が普通の人間ならば 「背弄拳」 確実に右衛門左衛門を捕らえたはずの攻撃は虚しく空を切る。 「あ?」 理解不能の事態に戸惑うのとほぼ同時に、 「人識君!後ろ!!」 と、叫ぶ玖渚の声がするとともに凄まじい殺気がほとばしり、背中に熱湯をかけられたかのような痛みが走った。 「不禁、全く驚きを禁じえないな」 と、背後から右衛門左衛門は言う。 人識の背後で、刀を振り下した格好で、 「今の攻撃、確実に命を断てるものだったのだがな、今の声に反応したか?」 そう今の一撃で確実に人識の体を両断出来ていたはずだった。 だが、寸前のところで人識は前進していた。 それにより、刀の間合いにはわずかに届かず、背中を切り裂く程度にとどまってしまった。 (やはり、二人相手ではやりずらいな) 今玖渚がよけいな声さえかけなければ、決まっていただろう。 いかに戦力とならずとも、やはり戦いを見られては鬱陶しいものだ。 (この娘を先に殺すか?) 今ちょうど、右衛門左衛門は人識と玖渚の間に割って入っている形となっている。 今なら人識の邪魔が入ることは無い、ほんの一瞬で、事足りる。 だが、懸念すべきこともまたあった。 (この男、声がした瞬間に動いていた) 確かに声に反応してはいたが、後ろと言われる前に回避行動をとっていた。 背弄拳について知っていたとは考えづらい、これはとっくの昔に滅びた忍法だし、 見せた相手はほとんど確実に殺してきた。 ならば信じがたいが、反射神経だけでかわしたということだ。 もしもそうなら、こんな相手に背を向けるなど危険すぎる。 (やはり、まずこちらからだな) 致命傷を避けたとは言え、あの傷は決して浅いものではない。 現に、肩から腰に向けての切り傷からは血があふれ出している。 これならば、次で決められる。 そんなことを考えてた矢先、 「かっはっはっは!!傑作だ!本当に傑作だぜこりゃ!」 突然人識が笑い出す。 狂気を感じさせるような笑いで、恐怖を感じさせるような笑いで、 笑う、右衛門左衛門に背を向けたままで、血を流し続けながら。 「仮面で、頭がヤバいなんてただのぶっ飛んだ奴かと思ったが、中々どうして、おもしれえな」 ようやく笑うのをやめ、それでもやはりこちらに背を向けたままそう言う。 「不判、わからんな、自分の置かれている状況がわかっているのか?もう理解していると思うが、私はお前の背後に回りこむことができる。もうお前の前に姿を現すことはない、そしてお前のその武器では背後の私を攻撃できないと思うが」 「だから!だから面白いんじゃねえか」 まるで頭の悪い人間に言い聞かせるように人識は言う。 「今まで、俺は背後を取られることなんて数えるほどもねえんだよ、それがこんなにあっさりなんて、傑作以外の何物でもねえだろ」 背を向けたまま人識はしゃべり続ける。今にも自分が殺されそうなことなどまるで気にしていないように、 「つまりだな、俺は生まれて初めて、背中にいる奴に対して攻撃されることになるわけだ、初めてってな何事も痛いって相場が決まってるもんだが、中々どうして痛いもんだぜ」 「何を、何を言っている」 「あん、だからそんなん決まってるだろ?」 その瞬間、右衛門左衛門は心臓を鷲づかみにされるかのような感触に襲われる。 (な、なんだ、この殺気は!) 仮面では隠しきれないほどの動揺が走る。 そんな様子を全く見ようともしないで、しかし見えているかのように人識は言う。 「戯言だってんだよ、ばぁか」 その言葉と同時に振り向く動きを見せる。 間髪いれず、再び右衛門左衛門は背弄拳を発動し背後に回りこむ。 たとえ、どれほどの化け物であろうとも、背後にさえ回られてしまえば、どうすることもできないはずなのだから、そうどんな人間でも背中に目は無いのだから、 そう自分に向かってくる背中を見ながら思う。 …向かってくる? 「なあ!?」 咄嗟のことに声にならない叫びを上げる右衛門左衛門に、人識は背中を向けたままぶつかる。そして、体勢を立て直す暇も与えず。体を回転させ、 「今度は外さねえぜ」 右衛門左衛門を斬り上げる。 咄嗟に、よろめいた動きを利用して、後ろに下がるが間に合わない。 まるでさっき斬りつけたのをそのまま逆にしたように、腹から胸にかけて斬られる。 「おのれ…」 なんとか致命傷をさけはしたが、浅い傷ではない、そう人識と同じように。 「おいおい、もう俺の前に出てこねえんじゃなかったのか?」 嫌味たっぷりに人識は挑発するが、右衛門左衛門にすればそれどころではなかった。 ようするに人識は右衛門左衛門の動きを予期し後ろに回りこませ、それと同時に後ろに跳躍したのだ。 言葉にすれば簡単だが、それは尋常のことではない、 それほど素早い行動をするには振り向いて後ろを確認している暇など無かったはずだ。そんなことをすれば、その隙をつけたはずなのだから。 つまるところ、本当に信じがたいが、 何も確認せずに後ろに跳んだのだろう。 (あ、ありえん!後ろを確認もせずに躊躇なく跳ぶなど!) もしも、もしも、右衛門左衛門が刀を水平に構えていれば、串刺しになっていたかもしれない。 それぐらいのこと、考えればわかりそうなものなのに、 (こいつには恐怖が…ないと、言うのか) その瞬間右衛門左衛門は確信する。 コイツは正真正銘、比喩などではなく、化け物だ、と。 「ん?」 右衛門左衛門の動きに人識は眉をひそめる。 右衛門左衛門は刀を鞘に戻し、腰へと戻してしまっていた。 「なんだ、まさか戦意でも無くしたのかよ?」 「不案、案じずともそういうことではないよ」 そう人識の言葉を否定して、ゆっくりと手を手刀に構える。 「だが、そろそろ決着をつけようと思ってな、どうやら私は勘違いをしていた。私の目的は戦うことでは無い、殺すことだ、これ以上ダラダラとやっているわけにはいかん」 「へえ、まだなんかあんのかよ」 「ああ、これが私の最後の攻撃だ、お前も、全力で来い」 「へえ、いいね、あんた中々気にいったぜ、悪かったよ雑魚とか言って、ま、その代わりにきっちり殺してやるよ」 「殺す…か」 感慨深そうにそう呟き、突然質問する。 「お前にとって、殺すとはどういうことだ?」 「あん?」 「お前にとって殺しとはどんな意味を持つか、と聞いた」 「んなもん、得に理由はねえよ、全てにおいて気分だ、人間は息を意識してしてるか?」 「なるほどな…わかりやすいよ、お前は」 そう言って、構える。 思えば、その質問は右衛門左衛門がこれから行おうとしていることに対しての、せめてもの贖罪だったのかもしれない、 だが、人識はそんなことを気にも留めずに構える。 「まあいいさ、決着ってんならな、来いよこれでお開きとしようぜ」 「ああ、では、左右田右衛門左衛門」 「零崎人識、いざ尋常に、一生懸命」 言葉とともに、二人とも申し合わせたように、足に力を込め。 「果たしてお前は何といって」 「殺して解して並べて揃えて」 片やは手刀を水平に構え、片やは得物を強く握り、 「死ぬのかな」 「晒してやんよ!!」 同時に飛び出した。 そうそれこそ、とんでもない間違いだった。 もしも人識が右衛門左衛門の素性を知っていて、忍者という物がどんなものか理解していれば、右衛門左衛門の言葉になど乗らなかっただろう。 そう人識は理解していなかった。 こちらが二人いて、向こうは一人、そして人識は右衛門左衛門を殺そうとするのに対し、右衛門左衛門は殺すのはどちらでもよかったということを全く理解していなかった。 だからこれは当然結果だった。 人識は勢いをそのままに走り抜け、そして止まりゆっくりと振り返る。 そこには血が飛び散っている。 だが、右衛門左衛門は無傷で立っている。 そう、それは右衛門左衛門の血ではない、そもそも右衛門左衛門の狙いは決着をつけることなどではなかった。 狙いはいかにして、人識に隙をつくらずに人識を通り抜けるかにあったのだ。 そしてその狙いはまんまと成功し、そこに結果が、 全身を切り刻まれ、血を撒き散らした玖渚が倒れていた。 「汚い…と思うか」 黙ってこちらを見ながら右衛門左衛門は言う。 「だが、私は誰かを殺さねばならないのでな、ならば簡単なほうを殺すのが当然…だろう?」 それでも人識は黙っている。黙って、その景色を見ている。怒りも憎しみも感じないように、 そして、唐突に口を開く、 「ふざけんなよ…」 「まあ、それが当然の反応だろうな、この女はお前の何かだったようだからな」 「はあ?ふざけてんじゃねえよ!」 突然に怒りをむき出し、怒鳴る。 「てめえ、つまり何か!?あの決着なんていったときからこれを狙ってたってことか?俺なんぞ眼中にも入れてなかったってのか!!後少しで、あと少しで何かがどうにかなっちまいそうだって思ってたのに!!」 「不解、怒っている意味がわかりづらいが、まあ、そうなるな、お前を殺すのは骨が折れそうだったのでな」 「だったら骨を折ってでも俺を殺せ!!何くだらねえことしてんだ!!」 「悪いが」 ゆっくりと右衛門左衛門はあとずさる、あくまで人識に背を向けることなく、ゆっくりと、 「一応目的は達したのでな、これ以上続ける気はない、一人殺せれば今は上々だ。一応すまなかったとわびを入れておこう。まあ、こちらも多少情けをかけたがな」 「何?」 「その女はまだ生きている、もう助かりはしないだろうがな、それでもしばらくは持つだろう」 そう言って、今度は視線を足元の玖渚に向ける。 「わかってると思うが一応言っておくぞ、私はいっくんとやらは殺していない」 「うに…わかってたよ、…これでも僕様…は嘘を見…抜くの得意なんだ」 「なるほど、ならば一応言ってやる、奴を見かけたのはE-5辺りだ、奴らの移動速度からするにまだこの辺りにいるのではないか?」 「てめえ、何言って」 「お前なら、この女が命尽きる前にいっくんとやらを見つけ出せるのではないか?まあ、強制はせんがな」 そう言うと、少し足を止めて、そして言う。無感情に言葉を放つ。 「これが私にとっての殺すということだ。大切な人間を生き残らせること、それが私の殺す意味だ。そのためならば、どんな相手であろうと容赦しない」 その言葉を言い終えると同時に、ボウガンを取り出し、放つ。 二人の距離からすれば、ほぼ回避不能の速さだが人識はやすやすと弾き飛ばす。 が、その弾き飛ばす一瞬を見計らい、右衛門左衛門はクルリと背を向け、脱兎のごとく駆け出し、 その姿はあっという間に見えなくなった。 それはあっけないほどの幕切れだった。 「おい、大丈夫か?」 「うに…なんとかね…ほんとあの人すごいよ…僕様ちゃんみたいなひ弱な体を…本当に……ギリギリの所で生かしてる」 それでもやはり苦しいのだろう、玖渚の喋る言葉が切れ切れとなっている。 まるで一言話すごとに命を削るように、 「ごめんね、僕様ちゃんがいたばっかり…に、勝負が曖昧になっちゃたね」 そんな状況でも、とぼけるようにそんなことを言う。 「まあ、構わねえよ、この殺し合い続けてりゃ、またバトるだろうしな、んなことより、お前どうすんの?」 「さっきの右衛門左衛門って人の言葉を信じて……E-5の近くに…いるみたいだから、……恐らく骨董アパートに向かってるはずだし、行ってみるよ」 血だまりの中で、それでも玖渚はなんとか体を起こし、そう言う。 「その体で、かよ」 「うに…どうせ僕様ちゃんの体っていっつもこんな感じだもん、あんまり変わんないよ、それに人識君に殺されんなら、ちゃんと、いーちゃんに伝えてくれるだろうけど、あの人は信用できないし」 少しは話しやすくなってきたのか、そう笑いながら言う。 だが、人識にはわかる。 もう長くはない。 これではたどり着くまでにのたれ死ぬであろうことは確実だった。 「それにしても、すごい人だったね、人識君」 「あ?ああ、あいつ、戦い方から逃げ方まで完璧だったよ、プロのレイヤーってとこか、おまけになんだあの技、あんなもん見たことねえぞ」 「それに変わったことも、言ってたし、尾張幕府とか四季崎とか」 「ありゃ、ちょっとおかしかっただけじゃねえのか?」 「そんな人には見えなかった…けどな、さっきのまにわ君といい、ひょっとしたらこのゲームは僕様ちゃんが思ってる以上に複雑な事情があるのかもしれない」 そこまで話すと、一息つきふいに人識の方を向き言った。 「ありがと、しーちゃん、もういいよ、ここまでで」 「何?」 「これじゃ、しーちゃんの邪魔以外の何者でもないし、もう、ここまででいい、それで、もしいーちゃんを見つけたら僕様ちゃんの、こと伝えてくれると…うれしいな」 笑いながらもその目は真剣だった。真剣に願っていた。 人識はその目をじっと見る。 殺人鬼に真剣に願う少女と、それを聞いている殺人鬼。 「傑作だな」 そう言うと、立ち上がる。 玖渚を背負って。 「うに?」 「てめえはさっきから十分邪魔者だよ、今頃どうってことねえ」 そう言って、歩き出す。 消えかけた命を背負う殺人鬼、まったく、まったくもって、 「傑作だぜ」 「本当にね、しーちゃん」 「しーちゃん言うな」 こうして再び殺人鬼は歩き出す。 さらなる狂乱へさらなる戦いへと、青い少女を背負って、進んで行く。血で全身を濡らしながら。 「しかし、まさかあんな強敵がいようとは…」 全くの予想外だった、と右衛門左衛門は思う。 せいぜい注意すべき敵など虚刀流と真庭忍軍、そして鑢七実くらいのものだと思っていたが、甘かった。 まさか、自分があそこまで手こずるなどとは夢にも思わなかった。 「それにしても、奴ら何者だ…」 あの刺青の少年は異常だった。 あの妙な小刀の卓越した使い方は、まだいい、あれぐらいなら驚くには値しない。 だが、全く恐怖を感じないようなあの戦い方、そしてあの全てを呑み込むような眼。 なにより、あの少年には底が見えなかった。 それはこちらを圧倒するかのようなものでなく、どちらかといえば沼のようなものだった。 この程度かと思っていた矢先に急に深くなる底なし沼のように、 正直、あのまま続けていたとしても負ける気はしなかった。 背弄拳を破ったと言っても、あんなめちゃくちゃな方法二度も通じさせはしない。 それに距離をとってボウガンを打ち続けてもよかった。 いや、極端な話、あの不生不殺で人識を狙っていれば、それで終わっていたはずである。 だが、それでも絶対の勝利を確信できない、何か更なる手を隠し持ってる、そう感じさせる相手だった。 故に引いた。 「それにあの女…」 あの青髪の女もおかしなことを言っていた。 「尾張幕府を、知らないだと」 確かに将軍は没落しただろうが、それでも後釜は座っていて、未だに日本を牛耳っているはずである。 (そして、玖渚機関、零崎、闇口、そしてあの喋る箱、この立ち並ぶ建物) どれもこれも見覚えも聞き覚えもないものばかりである。 (一体ここは、どこだ、一体奴らは何者だ、不理解、理解できん) 一瞬思考の泥沼にはまりそうになるが、すぐにそんな考えを振り払う。 今の自分に大事なことは、そんなことではない。 (全ては、姫様のため) そう自分は、否定姫の懐刀、それだけでいい、そのために誰であろうと殺すだけ、刀に意志は必要ない。 「恐らく、あの女は今日の夜までは持たんだろうが、一応他にも殺しておかねばな」 そう呟き、駆け続ける。 あの少年のこともある、ひょっとしたらあれに匹敵する者が他にもいるかもしれない、休んでいる暇はない。 白みがかった空の下、その刀は駆け続ける。 新たなる敵を求めて。 【1日目 明朝 F-6】 【零崎人識@零崎一賊シリーズ】 [状態] 負傷(肩から腰にかけて斬られた) [装備] グリフォン・ハードカスタム@戯言シリーズ [道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3) [思考] 基本 無桐伊織を探す。気が向いたら誰か殺すかもしれない 1 あの仮面の男を次にあったら殺す 2 一応、玖渚が生きてる間は欠陥製品を捜してやる。 【玖渚友@戯言シリーズ】 [状態] 致命傷(右衛門左衛門曰く長くは持たない) [装備] なし [道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3) [思考] 基本 死んじゃう前にいーちゃんに会って、自分のことを伝えたい 1 今は人識君と行動 2 この島で起きてることの、方法と理由が知りたい 3 とりあえず、変わった人がいっぱいいるな 4 ちょっとヤバイかも ※参加者に関して色々おかしな人間がいることに気づきました。 【1日目 明朝 F-6から移動中】 【左右田右衛門左衛門@刀語シリーズ】 [状態] 負傷(腹から胸にかけて切り裂かれた) [装備]ボウガン(矢付き)@戯言シリーズ 刀(大小の大の方)@刀語シリーズ 手裏剣×3@刀語シリーズ 永劫鞭×1@刀語シリーズ [道具]支給品一式、ランダム支給品(1?3) [思考] 基本 姫を探しつつ、見つけた姫以外の人間は殺す。 1 姫を見つけたら、以後は姫の指示に従う。 2 姫を闇口濡衣が何らかの方法でも守っていたら闇口濡衣と手を組む。 3 姫が参加していなかった場合は、闇口濡衣と手を組む。 4 人識に関しては警戒せねば 5 他にもあんな者がいるのか ※少しゲームに疑いを持ちました。 028← 028 →029 ← 追跡表 → ― 左右田右衛門左衛門 ― ― 零崎人識 ― ― 玖渚友 ―
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三河安城の求人情報/海:東海道新幹線/みかわあんじょう 安城の求人情報/海:東海道本線/あんじょう 北安城の求人情報/名鉄西尾線/きたあんじょう 桜井の求人情報/名鉄西尾線/さくらい 碧海古井の求人情報/名鉄西尾線/へきかいふるい 堀内公園の求人情報/名鉄西尾線/ほりうちこうえん 南安城の求人情報/名鉄西尾線/みなみあんじょう 南桜井の求人情報/名鉄西尾線/みなみさくらい 新安城の求人情報/名鉄名古屋本線/しんあんじょう
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行事(定期練習など) 各行事の掲示板に、出欠を記入してください。 不明な場合は「検討中」でも構いません(前日までに出欠連絡をしてください)。 定期練習 2009/9/26(土) 前向きに検討中です。 -- 07卒 西尾 (2009-09-08 22 04 02) 不参加です… -- 07卒 西尾 (2009-09-23 23 40 38) 名前 コメント 定期練習 2009/10/10(土) 不参加です… -- 07卒 西尾 (2009-09-24 00 01 10) 名前 コメント 定期練習 2009/10/24(土) 不参加です… -- 07卒 西尾 (2009-09-24 00 01 29) 名前 コメント 定期練習 2009/11/7(土) 名前 コメント 定期練習 2009/11/14(土) 参加予定です。 -- 07卒 西尾 (2009-10-02 16 31 11) 参加できなくなりました。 -- 07卒 西尾 (2009-10-29 17 29 38) 名前 コメント 定期練習 2009/11/21(土) 不参加です。 -- 07卒 西尾 (2009-10-02 16 30 49) 名前 コメント