約 78,306 件
https://w.atwiki.jp/shinmanga/pages/189.html
この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(中) ◆JvezCBil8U 《 Midvalley The Hornfreak -音界の覇者- 》 数十メートルで行われていた、訳の分からない取り引きを見届ける。 先刻出会った子供が何やら説明していた気もするが、理解しようとする気など起きはしない。 ケイタイとやらの端末を互いに渡し合い、至極詰まらない会話を交わし、 端末の挙動を確認し、そのまま互いに背中を向け、静かに離れて――、 その終わりは、実にあっさりとしたものだった。 終わったのは取引じゃない。 全部だ。 全部、全部、全部……、そう、全部だ。 「……おい、嘘だろ」 ダブルファングの呆然とした声。 それに俺も、似たような感情を得る。 崩壊は、常に一瞬だ。 絶望という親友は、俺を見放すことなくいつもいつも親切に面倒を見てくれる。 全く、嫌になるほど素晴らしいセッションだ。 ああくそ、そうだ。俺はよく知っていたはずじゃあないか。 これが、これこそが運命だ。 鋼鉄の処女にも劣る最低で最悪な、絶対に逃れる事の出来ない首枷だ。 彼奴の名前を、俺の口は勝手に紡ぐ。 「レガート・ブルーサマーズ……」 悠然と、泰然と、轟然と。 誰もが気付かないうちにそこにいたにもかかわらず、圧倒的な存在感を持つ男。 誰が見間違うものか、自分を殺した男を。 相も変わらず凄惨なほどに狂った笑み。闇よりもなお黒く燃える炎を押し込めたその瞳。 俺に諦念を刻み込んだ時の姿のまま――、いや、その時よりもなお禍々しくさえ感じる風貌だ。 どういう仕掛けか、まともに動かないはずの体を強く強くただ強く暴力の気配を纏わせて、あの男はひた動かしている。 トラックの中心に向けて、ただ歩く。 俺をGUNG-HO-GUNSにブチ込むきっかけとなったこの耳が、皮肉にもヤツの言葉を逐一俺にプレゼントしてくれていた。 その言葉は直接俺に向けられたものではないというのに、いとも簡単に俺の心をまた折った。 「果たして――君達は僕のこの忠誠を示すに値する強者だろうか。 そうである事を僕は欲するし、そうでないなら汚い肉と血と化すべきだ。 ……踊ってくれ、僕の手で。僕の力で」 ――もう何もかもがどうでもいい。 結局俺は、くそったれの神様に汚物のような愛を注がれているのだろう。 「そんな、馬鹿な。襲撃は12時ちょうどのはずじゃ……」 上擦った囀りがとてもやかましかった。 よくもまあ悪夢そのものを目の前にして、こうまで五月蠅くいられるものだ。 「く……! 雪輝君の無事が保証されてるからと、襲撃者の正体を楽観視していました。 そもそも襲撃者の情報が我妻さんから伝えられてなかったのが致命的すぎる! 雪輝君はどうにかして助かるにしても、これでは歩さんが……!」 首を振り、今はそれどころじゃないと口にする子供を――、俺は養鶏場の鶏を見る目で見下ろしている。 「リヴィオさん、彼らの救出を――!」 「分かってるッ、くそ、最悪の相手だ!」 駆けだしていくダブルファングのその先を向くまでもない。 筋肉の異常な軋みが告げている。餓鬼どもはとうにあの男の支配下だ。 発射音が届く。 奴の杭打機から飛翔する特大の弾頭は、甘い事に脚狙い。 ……よほど温い世界に浸ってしまったか、ダブルファング。 殺す気であったならば、一糸くらいは報い得たかもしれんのに。 「……ダブルファング。よもやここで出会うとはね。 だが――、」 グルリと人形めいた動きで首を回したブルーサマーズは、一歩動いただけで奇襲の一撃を避けきった。 だからこれで、唯一の勝機は潰える。 たとえ殺す気であったとしても――、そんなものがあったかは定かでないが。 魔人は、正門の陰から駆けだしたかつての手駒に顔色一つ変えず対処する。 あたかもそれは、水溜りを避けて進む手間と同じ程度の面倒臭さだと言わんばかりに。 「トリップオブデスならいざ知らず、貴様では力不足だというのが分からないかい? 背信者には芥も残さず消えてもらうとしよう。 あのお方に牙を剥くなど、屈服のあまりにただ逃げようとする愚者より救い難い」 ……そしてまた、一人。 「逃げろ、あんた……!」 「く、ぅぅぅううぅぅ……っ! 一体何が起こってるんだよぉっ!」 餓鬼どもが喚く最中、虫が一匹蜘蛛の糸に絡め取られていく。 棒立ちになったダブルファングは、でかい図体のおかげで実に見事な案山子となった。 「……どうして……ッ、俺は、くそぉ……ッ」 「リヴィオ、さん――ッ!」 分かりきった寸劇だ、予定調和にも程がある。 これを演じるというならば、逆に金を払ってさえ見物客はつくまい。 笑いのネタとして見るならばそれなりかもしれないが。 如何にダブルファングがヒトを超えた力を持っていても、あの男の技には逆らえない。 それは、タンパク質で構成された肉体を持つ存在ならば避けえないことだ。 あのプラントさえ制御し得るそれの前では、俺達はただ蹂躙されるのみ。 そうだ。 もう、どうにもなりはしない。 たとえ今この俺の手の中に、ようやく取り戻した愛用のサックスがあるのだとしても。 こいつと引き換えにする代わりに、杭打機と仕組みも分からない妙な棒きれを手放した。 そんな小さな事で少しだけ落ち着きを取り戻していた自分があまりにも矮小で惨めに思えて仕方ない。 ……だから。 「そうか、そういう事か。我妻さんか……っ!」 この子供が何に思い至ったのか、それだってどうでもいい事だ。 どうせ、俺がこいつらに同行したのは消極的な理由によるものでしかない。 ダブルファングとの交戦を避けるためと、俺自身の情報を流布されないため。 要するに、面倒事を避けるためだけだった。 その程度の理由なぞ、無慈悲なだけの現実の前では塵の如く霞む。 結局――、俺のする事など最初からこれしかなかったのだ。 せめて何を理解する事もなく逝け、少年。 唇をマウスピースに触れさせれば――、 「……か、ッ!!」 最後の声さえ打ち消され、探偵を名乗る子供は地面に眠る。 本当に、実にあっけないフィナーレだ。 ……やれやれだ。つまらない小細工ばかりしてくれたな。 だが、今度こそ――終わりだ。もう兎の逃げる道はない。 あの時のように、頼みの綱のダブルファングの助けも入る事はない。 これもまた運命だろう。 お前達と俺が出会った時点で決定された、避けえない結果。 俺の枷にならんとして同道を申し出るなど、思い上がりに過ぎなかったわけだ。 恨むなよ、少年。その矛先を向けるべきは自らの慢心なのだから。 あるいは――、襲撃者がレガート・ブルーサマーズであったその運命こそが、真に唾棄すべき事実だったかもしれない。 「ホォォォォンフリィィィィイィクゥゥッ!」 少し遠くから聞こえるのは、悔しさと怒りの入り混じったダブルファングの咆声。 ……音は相殺可能であろうと、俺は視覚まで自在にすること能わない。 だからそれが紛れもない失策だった事を悟るのは、既に手遅れとなった後だった。 ぞくりと体が芯から震える。 凍てつくような悪寒の正体は考えるまでもない。 気持ちの悪い汗が滝のように流れる最中、俺はただ自嘲の笑みを浮かべるのみ。 狂信者の昏い眼が、嘗めつけるように俺を串刺しにしていた。 否が応でも悟らされる。 俺は永遠に被食者なのだ、と。 ゆっくりと、絶望が唇を動かしていた。 こ・ん・ど・は・か・し・づ・く・だ・ろ・う・? 音界の覇者――、と付け足して、その口元がニィ……、と歪んだ。 自分の意思とは無関係に、俺の脚は気付かぬうちに背後に歩を進めている。 睨まれれば、ただ逃げる事しか思い浮かばない。 ……惨めだった。 そして気付く。 〝制限”のおかげか、あの男の支配がここまで及んではいない事に。 だからその場にへたり込み、地面に尻を吐いて――動けなくなってしまった。 それは安堵であり、どうしようもない敗北主義の負け犬根性からくる代物で。 「く、くく……はは、ははは……。 はは、はははははははっ! ははははははははは! 無様だなあ、ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク!」 ――泣きたくなるほどに滑稽な、道化者の末路がそこにあった。 俯き地面を向いて、ただ自分を笑う。 笑って、嗤って、哂って、嘲って――、どれだけ経ったろう。 おそらく数十秒だったろうが、それは無限に等しい自傷の時間だった。 死んだ魚の目のままに顔を上げる。 そしてそこに、俺は、全く信じられない光景を見た。 笑う事さえできない、完全な静止。 何故、どうして。 あの少女は――、 「あはっ♪」 ――ブルーサマーズの支配圏にも拘らず、自らの意思で動いている……!? 愕然とした顔で、ブルーサマーズはその少女を見つめている。 絶対の信を預ける自らの技が通じない異常中の異常に、目を大きく開いている。 そんな、一度たりとも他人に許した事のないはずのブルーサマーズの表情すら意識に留まらない。 俺はただその光景に打ちのめされるだけだった。 少女はひらひらと舞い踊るように、整い過ぎて怖気のするステップを踏み続けている。 この耳が、そこで何が起こっているかを教えてくれた。 あの少女は直感と異常なほどの察知能力だけで、ブルーサマーズの糸を全て掻い潜っている――! 「待っててねユッキー。私はずっと、この時を待ってたんだよ」 極めつけのイレギュラー。現実の光景とは思えない狂気の剣舞。 その在り様は醜悪なまでに歪で、それ故に奇妙な美しさを見るものに感じさせていた。 「だって――、」 慈愛に満ちた聖母の笑みを浮かべ、ブルーサマーズに勝るとも劣らない異形の精神がトン、と大地を蹴る。 「全員の動きが一斉に止まるこの時こそ、あいつを始末するチャンスなんだから」 上半身を下げた低い疾走体勢を維持したまま、ひたすらに糸を回避し続ける。 ブルーサマーズの事など一切眼に入っておらず、ただ愚直なまでに自分の意志を成し遂げんとする。 「雪輝日記を取り返す、絶好のチャンスなんだから――!」 彼女の言動を聞き入れたその瞬間、訳の分からない恐怖が湧き起こる。 胸が、苦しい。 どうしてかと思ったら、息をしていなかった。 体が完全にそれを忘れていた。 ……この、少女は。 “あの”ブルーサマーズが乱入する事を知って、逃げるのでもなく利用すらした……とでもいう、のか? あんな……小さな端末の為だけに、こんな狂気を平然と行ったとでもいうのか!? それを成し遂げるとするならば、それは最早人間の所業ではない。 魔人の範疇ですらない。 ……怪物だ。 壊れた笑みを崩さぬままに、怪物は疾駆する。 大刀を振り上げて、突き進む。 あまりに無力なたった一人の少年の下へと。 ピアスをしたただの少年は、覚悟でもしたかのようにぎゅう、と瞳を閉ざす。 その顔は戦場でこそ見覚えのあるものだ。 故に、確信した。 間違いない。 あの少年は死ぬ。 あの少女に殺される。 心音から分かる。 あの少年は、この事態を――少女が己に殺意を向ける事を、想定していたはずだ。 どういう推論からかは分からないが、襲撃者さえ利用して己を消そうとする事を、理解していたはずだ。 だが、そこに一つ誤算があったのだ。 それこそ即ち、襲撃者がレガート・ブルーサマーズであったこと。 襲撃者があの男でさえなければ、切り抜ける手筈が整っていたのだろう。 その為の策をいくつも用意しておいたのだろう。 されど、指一つ動かせないという未知の暴力が故に――、全ての備えが意味が為さなくなった。 ――運命が、少年の死を望んでいる。 俺にはそうとしか思えない。 それでも、きっ、と眼を見開いた少年の顔には、足掻けるだけ足掻く人間の表情が刻まれていた。 目前の死を認めながらも、ただ仕方ないと甘んじて受け入れるのではない――泥に塗れた者しかできない眼。 だが、音は全てを語る。 心理、感情、身体能力、行動意図。 少女の実力と少年の状況を考えるならば、不可避の死こそ自明の理。 どれだけ少年が生の為に尽力しようとも、この運命は覆せない。 『その人は、自分を信じているわけでもなく、ただ負けてたまるかと意地を張ってるだけです。 でも、決して諦めることなく、人の手ではどうしようも無い運命に立ち向かっています』 何故か――、この場で初めて声を交わした、あの女の言葉が脳裏に響いた。 そら見た事か、どれだけ諦めなくとも全ては無為だ。 『その人はあらゆる絶望を与えられて、なおうつむかない覚悟をしているんです。 これは怖いですよ。そんな人、いったいどうすれば倒せるんですかね』 簡単だ、暴力で蹂躙すればいい。 それだけの話だ。 「駄目だ、由乃――!」 痛みに顔を引き攣らせていたもう一人の少年が、悲痛な叫びを上げる。 だがもう遅い。動き出した流れは止まらない。 少年の運命は死に収束する。 どれだけ立ち向かっても、再演は始まらない。 始まるはずが、ない。 その時だった。 白き鷹が、眼前を掠めて翔けたのは。 * 《 Griffith -落日の国の白き鷹- 》 機は熟した。 オレの求める力が、あの場にこそ集っている。 遥かな空から視線を向ける先は一人の少年。 彼を救う事こそが、更なる高みに繋がる道。 だからオレは邁進しよう。 愛しき仲間たちと共に、戦場を駆け抜けた時のように――、 風となって、飛んだ。 青の世界から茶の世界へと、身を浸す。 霞み、滲む景色と身を切る大気に快を得る。 この手に未来を抱き抱える為に。 ――事態の全ては、鳴海歩の予測通りに進んでいた。 空から睥睨する限りではそのように見える。 あの少年は、このオレでさえ脱帽するほどに頭が切れる。 ……素晴らしい。手に入れたいと、ただそう思う。 鳴海歩が我妻由乃の意図を看過したのは、彼女と電話で最後の交渉をした時だ。 『襲撃によって12時ちょうどに雪輝が死亡する』と我妻由乃は告げていた。 それはあたかも12時ちょうどに襲撃があるかのような言い回しで、敢えて意識しなければ誰もそれを疑わないだろう。 おそらく我妻由乃は嘘はついてはいなかったろう、天野雪輝に不信感を持たれない為にも。 しかし、実際に襲撃があったのは今現在――11 50だ。 要するに、襲撃があってから本来雪輝が死ぬまでの時間のタイムラグを利用し、鳴海歩を嵌めようとしていたのだ。 最初から我妻由乃が雪輝日記を取り戻す為に行動する事を前提で考えていたからこそ、鳴海歩はその可能性に思い至る事が出来た。 ……本来ならば、協力者と聞く秋瀬或とやらにこの事を伝えるべきだったのだろう。 だがそれをしなかったのは、最悪の可能性として秋瀬或達が襲撃者そのものであるケースを疑っていた為だ。 取引の時間を知っているのは鳴海歩とオレ、天野雪輝と我妻由乃、そして第三者である秋瀬或たちだけであり、 偶然危険人物が介入をしてくるのでないとしたら、間違いなく秋瀬或の手引きが背後に存在すると推測できる。 実際の襲撃者が秋瀬或と繋がりがあるか否かは現時点では不明確であり、検証の必要があるだろう。 ……そして鳴海歩は、本来の10分前という一方的な時間変更を呑んだことで、向こうの計略を看過した事を気付かれないようにする。 全く以って頭の回転が速く、加えて底意地も悪い。 なぜならあの僅かな交渉時間で、鳴海歩は罠を仕掛けてさえいたのだから。 未来日記とやらの性質上、交渉を10分前にするのを了承した事で未来が書き変わったはずだ。 この時『オレが天野雪輝の味方であり、いざという時にその命を襲撃者から助ける』という事態を想定に組み込んでおく事で、 予知の記述上ではオレの存在がアピールされると鳴海歩は推測した。 本来の未来では襲撃者の手で天野雪輝の命が消されている以上、その事態を防ぐキーとして、彼らはオレを受け入れざるを得ない。 そして秋瀬或曰く、未来日記は主観情報を反映するという。 ……つまり。オレが鳴海歩の仲間であるという情報は、口を滑らせない限り決して伝わらない。 鳴海歩は交渉の時点で既に警戒されている為、オレが天野雪輝たちに仲間として入り込む――、それが鳴海歩の罠だった。 つまり、命を救った恩によって天野雪輝たちと強い協力関係を作る駒。 鳴海歩はそうオレを盤上に配置した訳だ。 主導権を握られるのはいささか不満だったが、確かにこれは全員にメリットのある策ではあった。 ……鳴海歩を守るものがおらず、身一つの彼が命を危険に曝すこと以外は、だったが。 自らの生を張った策に反対する理由もなく、オレは彼に乗る事にした。 鳴海歩がどうやって我妻由乃と襲撃者から身を守るのかは聞いていない。 ただ、それについてもいくつも手は打っているのだろう。 それにしてもリスクが高すぎるのは事実であり、だからこそ強い興味が彼自身に湧く。 だからかもしれない。 オレは先刻、彼に一つ問いを投げかけた。 内容は、何故――、 『何故君はオレの助けすら振り解き、自らの命を投げ出そうとする? オレには自己犠牲に酔っているとしか思えないんだがな。 ……偽善の果てに掴めるものなど、そこにつけこむ浅ましい豚の視線だけだ。 己の為に生きてこその命だろう。少なくともオレは、オレ自身の夢の為に前へと進む。 遥かな高みに手を届かせられると信じてな』 『……さあ、何故だろうな。 一つ言えるのは、俺は聖人でもなんでもないってことさ。 御大層な悟りを開いた訳じゃない、見栄っ張りなだけの常人だ。 ――だから、現に。あんたを見てると、眩しくてしょうがないよ。 本当に……、苦しくて堪らないくらいにな』 『なら、何故未来を掴もうとしない?』 『俺なんかに希望を託す連中がいる。望まれたのなら、答えてやらなくちゃあな』 『それこそ聖人の所業だろう。そうまでしても君の得るものは何もない。 むしろ彼らは、君に寄り掛かって何もかもを毟り尽くそうとしているんだ。 気に障ったら申し訳ないが、結果的に見ればそれは明らかだ。 君の言葉には、論理はあっても動機がない。完全に破綻しているぞ』 『……つまりは、俺のその動機が知りたいのか』 『その通りだ。君の動機さえ掌握すれば、それを下賜してやることもできる。 つまり君自身を手に入れる事に等しい訳だ』 『本当に真っ直ぐに、壁さえ壊して欲しいものを掴むんだな、あんたは』 『オレが掴むんじゃない。掴むからこそ、オレなんだ』 『……凄いな、あんたは。……けれどそれは、企業秘密――教える事は出来ないな。 俺自身、認めたくない動機なのさ』 ふっ、と柔らかな笑みを浮かべてさえ、あの少年はただ口にした。 その勢いは強くもなく弱くもなく、まさしくそれが当然なのだと言わんばかりの自然体で。 この少年を手に入れたい――その想いは更に強くなる。 そして、この少年すら危険視する二人の予知能力者を手中に収めたのなら、オレの国にはどれだけの豊穣がもたらされるだろうか。 オレは今、まるで初めてあの城を見上げた時のように――子供のようにワクワクする心を抑える事が出来ない。 そしてその城の門は、今まさに目の前に迫ってきているのだ。 石畳のすぐ向こうに、駆けて数秒の距離にあるのだ。 天野雪輝――彼こそが完全予知を実現する要。 我妻由乃を抑え、オレと彼らを繋ぐ光。 さあ、オレの国の礎となれ。オレが栄光を見せてやる。 天を庭とする一羽の鷹となり、オレは輝く星へと手を伸ばす。 掻き抱く。 そしてそのまま、遥かな高みへと昇り詰め、何処までも何処までも高く飛ぼう。 世界の全てが、このオレの背に吹く風となる。 祝福と賛美がオレを包む。 その美声は確かに、こう告げていた。 「ちょろいっ」 ザザ、と、二台の携帯電話からノイズが走るのがいやにはっきりと聞こえた。 空を飛ぶよりなお強い浮遊感が訪れた。 両腿から下を、吐き気すら感じる喪失感が襲った。 天野雪輝の体に引っ張られて、体が勝手に思い切り前傾姿勢を取った。 衝撃で倒れた天野雪輝が、この手から零れ落ちていくのを感じた。 赤い雫が、どこからかオレの頬を濡らしていた。 自分の息さえ跳ね返ってきそうな距離に、土の壁があった。 地面に顔がめり込んだ。 鼻が潰れる感触がした。 顔の肉がこそげ落とされる様を自覚した。 制動を期待して伸ばした左手から、ごきりと嫌な音がした。 左眼と小枝か何かがキスをした。 ずるずると、引き回される罪人のように体が地面を擦った。 天と地が何度も何度も回転して、二桁を超えてしばらくした所でようやく止まった。 最後の最後にようやく――激痛がオレを満たしていく。 両足と、左腕と、顔面と。 猛烈な吐き気と共に、腹の奥から何かがせり上がってくる。 堪える間もなく口から漏れた。 血と吐瀉物の入り混じった、正視に耐えないカタマリだった。 すっぽりと――、思考する、という行為が俺から完全に抜け落ちた。 目の前のモノを認識して対応する事は出来ても、何故そうするのか、その意味だけが受け止められなかった。 他人の脈絡のない悪夢を覗いているようで、心と体が完全に乖離していた。 まだ動く右腕を、震えながらどうにか右の膝へと伸ばす。 そこには、何もない。 続いて、まるで機械仕掛けの人形のように、左の膝を確認する。 そこにも、何もない。 妙な方向に曲がった首を、激痛を押し殺してゆっくりと上げていく。 左の視界がやけに暗く、そこから流れ出ていく何かが気持ち悪い。 だから、右眼にだけ、その光景が刻みつけられた。 ――自分の体からだいぶ向こう側に、ついさっきまでオレの一部だった右脚と左脚が転がっている様を。 ようやく精神と肉体がカチリと填まる。 「……ァ?」 オレは、 「ア、……ア、」 オレは、 「アアぁ、ああ、ぅああ……」 ……オレは、 「うぁああぁぁああああぁぁぁあぁあぁああぁぁぁぁッ!」 足下――高みへと続く階段が、崩れ落ちる音をただ呆然と聞いていた。 背中にあったはずの翼が羽一枚残さず毟られた事を、抗いも納得もする暇もなく――ただ、理解させられていた。 自由に駆けられたはずの空は奈落の底に続く闇で。 優雅な飛翔と思っていた行為は、その実無様に突き落とされている最中でしかなかったのだ――、と。 誰の言葉だったか。どこかで聞いた気もするし、“オレは”聞いていない気もする。 『信じるもの、奪えないものを持っていると思う者は無敵だ。 だが逆を言えばそれを失えばおしまいだ』 この世の全ての闇を押し固めた黒の中で、オレは絶望を初めて理解する。 オレの翼は、今この時に奪われる為だけに与えられたのだ、と。 誰にも奪えないと思っていたオレの夢を、オレをオレたらしめる夢を。 ――最も悲惨な形で奪う為だけに。 涙する余地すら残らないほど、オレの中も外も黒いモノで満ち満たされていた。 そして、オレの五感は深淵に呑み込まれる。 意識が紐を切るようにぷつりと途切れていく。 * 《 ???? ?????? -The Watcher- 》 間に合わなかったと呟いて、突撃の対象をグリフィスへと切り替えた少女を観察しつつ思案する。 彼女の言葉は、グリフィスの介入前に鳴海歩を始末しきれなかった――という意味であろう。 ――端的に言えば。 鳴海歩の誤算は一つではなかった、という事だ。 レガート・ブルーサマーズの魔技という誤算は、確かに彼の策の全てを砕き尽くした。 故に彼の死は、最初に書き換わった未来――交渉の開始時間を10分前に変更した時点の未来では決定づけられていた。 だが、それを超える更なるイレギュラーこそが我妻由乃。 鳴海歩は彼女の天野雪輝への想いの在り様を、秋瀬或から聞かされてなお完全な把握に至らなかったのだ。 そもそもが、彼女を理解できるものなど存在しないのかもしれないが。 皮肉なものだとは思わないかね? レガート・ブルーサマーズという誤算さえ存在しなければ、ただ彼の策をぶち壊しにするだけの我妻由乃の暴走が――、 誤算が二つ重なったことで、彼の命を一時でも永らえさせる結果をもたらしたとは。 彼女は雪輝日記を鳴海歩の手から切り離す事よりも、天野雪輝を連れ去られないようにする事を選んだのだ。 たとえそれが天野雪輝の命を救う存在であったとしても、天野雪輝を守るのは自分だけいい、と。 結果、我妻由乃の攻撃対象は鳴海歩から、天野雪輝を懐柔せんとするグリフィスへと転じた。 仮に鳴海歩が自身を助けて逃走してほしいとグリフィスに頼んでいたのならば、彼らは重ね切りで纏めて両断されていたろう。 見方を変えるならば。 グリフィスの手すら振り解き、孤独の中で笑うという意思が――、 あの場に集う全員の思惑を超えて鳴海歩を生かした。 そのように未来を書き変えたのだと言う事が出来るかもしれぬな。 そして、見据えるべきはもう一人。 クク……。 一度は私を殺したのだ、この程度はやってもらわねば私の面子が立たぬ。 やはり鍵は貴様か? 我妻由乃。 未来は少しずつ変わりつつあるぞ。 ……さて、観察に戻るとしよう。 今の私はしがない“ウォッチャー”。見届け観察する事しか許されぬ身。 直接介入は“ハンター”や“セイバー”に任せるべき事案なのだから。 * 《 Livio The Double Fang / Razlo The Tri-Punisher of Death -Chapel s Brother- 》 有り得ないはずの異常に呆気に取られ、立ち尽くしていた俺の耳に耳障りな音が突き刺さる。 ――唐突な、レガートの哄笑だった。 「面白い……。面白い! 君が、君こそがこの僕の技の真価を問うべき存在なのか? 僕の忠誠を計るべき存在なのか!?」 おそらくは、ナイブズですら聞いた事がないだろう壊れた笑いが響き渡ってる。 目頭を押さえながら背を思い切り反らすその姿に、ゾッ……、とする。 これが、人間に出せる声だとでも言うんだろうか。 そしてもう一つのとびっきりの異常の塊は、レガートとは正逆の態度だった。 「忠誠とか技とか、あんたの事情なんてどうでもいい。 私はただユッキーが好きなだけ。 ユッキーを傷つけ、私の愛を邪魔するというなら――、切り捨てるだけよ」 魔人の極北たるあのレガートに向かって、由乃という少女は面倒臭そうに言い捨てる。 その扱いはまるで、積もった生ゴミが臭くて邪魔だとでも言わんばかりだ。 ……狂ってる。 どちらも俺の理解を超えている。 「いいだろう。 ならば、君のその愛と僕の忠誠、どちらが強いか試させてもらうよ。 僕はこの体を使わず、ただ技だけで君を凌駕する――」 「あっそ」 レガートの口元がおぞましい三日月の形を取った瞬間、少女の舞いが再開した。 その動きは先刻とは比べ物にならないほどに、時として鋭く、時として緩やかで、規則性が存在しない。 あたかもそれは観劇者の心をとても不安定にさせる、邪教の儀式のようだった。 肉と肉との交わりのようにも思えて、ただひたすらに不気味な挙動だった。 存分に膨れ上がった究極と至高の狂人のぶつかり合いは、何もかもを贄として呑み込みそうだ。 ――肉体の行使では間違いなくレガートに分があるはずだ。 だが、奴はそれを行わない。 結末の分かりきったジャンルで勝利を収めても、彼の歪んだこころは満たされないんだろう。 だから――糸で彼女の動きを意のままにするために、磨き抜いた技を試そうとしているんだ。 それは不幸中の幸いと呼ぶべき時間の猶予を与えてくれたが、しかしこのままではジリ貧だ。 由乃が右手の大刀を、棒切れでも振るかのように一振りする。 同時、レガートの哄笑が完全に狂笑へと変化した。 おそらく、あの金属糸をひとつ断ち切ったんだろう。 忠誠と愛。 表面上は美しく聞こえるその二つの言葉がこれだけどす黒く凄惨な代物だなんて、俺は全く知らなかった。 ……くそ! なあ、リヴィオ。俺は、何のためにここにいる!? 目を凝らし、背後を振り向く。 ホーンフリークの姿はとうに消え失せていて、そこにはピクリとも動かない――或が転がっているだけだった。 ぎり、と歯を噛み締める。目を強く強く瞑る。 そうしなければ、何かがそこから零れて落ちてしまいそうだった。 『僕と共に、“神”とのゲームに臨んでいただけますか?』 小さな友人とのあまりにも短い時間が、何度も脳内で繰り返される。 僕は――、守れなかった。 あの人のようになりたいと思ったのに、守るべきはまた掌をすり抜けていってしまった。 外道に落ちた身じゃあ、そんな綺麗事は許されないのか? 俺の手はただ、血に浸す為にしか存在しないのか!? ……畜生。 畜生、畜生、畜生、畜生! なんて俺は、無力なんだ……ッ! 握り締めた手の皮が破け、赤い雫が滴り落ちていく。 ……地面に打ち付ける音は、聞こえなかった。 哀れな自分に酔ってボサっとしてんじゃねえよ、チンカス君よォ。 テメェの自問なんざ、とっくに答えを出した人間がいるだろーが。 ……え? 暢気に突っ立ってないで、こんな時にあの男ならどうするかでも考えてろ。 お前はアレか、こんなことにも気づいてねーのか? テメー、その拳を握り締められるってどういう事か、足りない頭でも分かるよな。 え? あ……、あ、あ……! あの変態ホモ野郎が小娘に浮気してるから、テメーら全員の拘束はとっくに解けてんだよ。 野郎、全ての糸を小娘に集中させてやがる。 それでもまだ捉えきれない小娘も大概だがな。 ラ、ズロ……。どうしてお前が、こんな? ……馬鹿が。言ってたのはテメェだろうがよ。 あの人みたいになりてぇんだ、ってガキみたいによ。 だったら、俺を押し込めてる分くらいは果たしてみやがれ。 甘ちゃんなりに出来ることだってあるだろうさ。 でも、どうやって。俺なんかが近付いても、また糸に囚われるだけじゃ……。 ……ヒントはあそこの乳臭そうな小娘が十分実践してるだろが。 少しはテメェで考えろ。 出来るのか? ……俺に。 だからチンカス君なんだよ、ったく。 しゃあねぇ、俺がやる……と言いてーがな。 …………? 制限とやらがキイてるのか、俺が表に出るのはキツいっぽいぜ、くそったれが。 ……だからよ、リヴィオ。 「お、」 俺が見る。 その代わりお前は――、死ぬ気で凌げ。 「おぉ、ぉあああああぁぁぁああぁぁああああぁぁぁあぁああ……ッ!」 ラズロの声に背中を押されるように――、俺は走りだしていた。 レガートの頬のこけた形相が、お楽しみを邪魔されたとばかりに胡乱にこちらを捉えてくる。 その場所へ向かって一歩踏み込む度に、気違い染みた殺気が叩きつけられる。 ヴァッシュさんはこんな代物をずっとその身に浴びていたのか。 いかにも面倒くさそうにレガートが片手を動かす。 それが、合図だった。 世界の流れが急激に遅滞する。 全てが蝸牛よりゆっくりと動き、皮膚に当たる風は物体の動きを雄弁に語る。 感覚機器は鋭敏過ぎて痛いほどで――、まるで自分を取り巻く環境そのものが己の体になったかのようだった。 モノクロームの世界の中で、レガートの“糸”が静かに、確かに俺に近づいてきたのを感じる。 ……ラズロの能力なのか、制限のおかげなのか。 その存在感は明確に認識できるくらいに強く――、 姿勢を低くし大地を思い切り蹴る事で、矛先を十分に回避する事が出来た。 「……!?」 レガートの驚く顔に、ざまあみろ、と漏らす。 しかし優位は一瞬。 レガートは少女に回していた糸の一本を新たに追加し、俺を木偶にしようとしてくる。 駄目だ、この姿勢ではもう避けきれない。 ……察知能力に加えて常軌を逸した直感まで備えたあの少女とは違って、俺はここまでが限界だった。 ……だから、俺は俺たちにしかないものを活かす。 レガートの糸が俺の腕に絡みついた、その瞬間。 「……ぐ、……らああぁぁっ!」 電流が流される直前に、“その部分の肉ごと”糸を毟り取った。 ぐじゅ、と嫌な音がして黄色い汁が一瞬滲み、血が噴水のように吹き出てくる。 「……はは。いってえ、なあ……」 再生がいつもより遥かに遅い事に舌打ちする。 だが、――いずれにせよ十分だ。 だってもう、俺の拳は見事にレガートの顎をブチ抜き、砕いているんだから。 「ご、あ……」 アッパーカットで宙に浮くレガートに、続けざまに追撃を。 片足をばねに、丸太を突き込むように足刀を抉り込む。 吹っ飛ぶ。 校舎に叩きつけられ、レガートはずるりと崩れ――なかった。 頭から血を流しながら薄ら笑いを浮かべ、幽鬼の如く立ち上がる。 「……この程度じゃあ、やっぱ倒れてくれないか」 けれど、いける。 俺は、戦える。 いや――、俺たちが、戦えるんだ。 なあ、ラズロ。 あん? 情けないよな、俺……。 カッコつけた事ばかり言っておきながら、結局はいつもいつもお前を頼ってばかりで。 それが悔しくてたまらないんだ。 ハッ、ようやく自分の弱さに気づいたかよ。 だが先は――まだ長ェぞ? そう簡単には追い付かせてやらねぇ。 ああ、だから駆け上がろう――二人で。 ラズロの物言いに苦笑しながら、背後を意識。 そこには三人の少年少女がいるはずだ。 先刻まで一緒にいた大人びた少年を思い浮かべながら。 守れなかった後悔を胸に、それでも足掻くと心に誓う。 「――逃げろ! こいつは僕が引き受けた! 或の友達を、みすみすこんな所で死なせてたまるものか……!」 張り上げた声への返答は、三者三様異なるもの。 「あ、ありっ、ありがとうございますっ! 由乃……っ!」 「……秋瀬或の差し金? 感謝なんてしないわよ」 手と手を取り合い立ち去る音と、 「……すまない、必ず、必ず応援を呼んでくる。 その時まで俺を守ってくれ。 そしてそれまで、持ち堪えていてくれ……!」 たった一人の駆け出す音が、確かにここから離れていった。 「……なるほど、確かに僕に一矢報える力はあるようだ。 だが――、特例を許されたとはいえ一介のGUNG-HO-GUNSが僕に敵うと思っているのか? 今この場で背信者として処刑を行おう。 悲しいよ、わざわざナイブズ様が手塩にかけて集めた人員をこの手で消さねばならないなんてね」 砕けた顎にもかかわらず、無理矢理己の力で言葉を捻り出す狂人。 その在り様に唾を飲み込みながらも、もう僕は自分を疑わない。逃げ出さない。 片手には杭打機、もう片手には握り拳。 血みどろになりながらも蜘蛛の糸の全てを薙ぎ払い、俺はここに誰かを守れることを証明する。 構える事ぁねぇ。 ……証明するぜ、チンカス。俺の最強を――、俺達の、お前の最強を! 「ああ――、行こう、ラズロ」 時系列順で読む Back この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(上) Next この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(下) 投下順で読む Back この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(上) Next この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(下) 118 それぞれの妥協点 秋瀬或 122 この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(下) 122 この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(上) 天野雪輝 122 この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(下) 122 この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(上) 我妻由乃 122 この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(下) 122 この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(上) グリフィス 122 この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(下) 122 この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(上) 鳴海歩 122 この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(下) 118 それぞれの妥協点 ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク 122 この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(下) 118 それぞれの妥協点 リヴィオ・ザ・ダブルファング 122 この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(下) 102 The Destinies mend rifts in time as Man etches fate anew レガート・ブルーサマーズ 122 この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(下)
https://w.atwiki.jp/aspurand1106/pages/240.html
52話 からっぽな空の下で リゾート街にて仲間二人の命と引き換えに、参加者の首輪を手に入れた保土原真耶。 その後仲間二人と襲撃者の装備を回収し、山を迂回して田園地帯に辿り着く。 そこで彼女は空に立ち上る黒煙を発見する。 「あれは?」 焚き火かとも思ったがそれにしては煙の規模が大き過ぎるし、 何よりこの殺し合いの最中に焚き火をしている者が居るとも思えない。 万一に備え右手に大型リボルバータウルスレイジングブルを握り、黒煙の元と思われる場所へ真耶は歩いて向かう。 「何これ……何があったって言うの?」 そこで見付けたのは、全壊し燃え上がっている民家だった。 門柱に「松林」と言う表札が掲げられたその民家は母屋と納屋に分かれていたようだが、 母屋が完全に倒壊し黒煙を上げて炎上していたのだ。 周囲には母屋の物と思しき破片が散らばっており、どうやら爆発したらしかった。 「そう言えばさっき歩いてる時、爆発音みたいなのが聞こえたけど、 ここのだったのかな……多分そうだよね。何が有ったんだろ」 いくら殺し合いの最中とは言え家一軒が爆発するなど余程の事であろう。 爆発物を支給された参加者が、松林家を襲撃したりでもしたのだろうか。 炎上する瓦礫の下には、犠牲者の死体が埋まっている可能性もあった。 「あんま想像したくないや……何も無さそうだし行こう」 いつまでもここにいても仕方無いと、真耶は松林家を後にした。 【午前/D-4・E-4境界線付近/松林家】 【保土原真耶】 [状態]右脇腹に擦過銃創 [装備]タウルスレイジングブル.500S Wマグナムモデル(4/5) [持物]基本支給品一式、.500S Wマグナム弾(10)、スパタ、十八年式村田銃(1/1)、11.15mm×60R弾(7)、 コルト ジュニア(6/6)、コルト ジュニアの弾倉(3)、コンラートの首輪 [思考]1:殺し合いをする気は無い。 2:首輪を解析したい。 [備考]※特に無し。 前:炎上路線 目次順 次:手探りでくわえ込む自己欺瞞 前:潤う頃枯れた一時の楽園 保土原真耶 次:行き着く果てまで色の無い枯れた未来に水をあげよう
https://w.atwiki.jp/giseisya2/
たとえ塵になっても の説明wikiです キャラロスト有りの村ですので注意してください R18H基本禁止となっております。 Chapter select +第1章 第1章 金か命か コロシアイゲーム開始! 襲撃者を殺すか 殺されるか! はたまた全員脱出するのか!! 見せしめに殺されたオッサンを筆頭に 殺し合う参加者たち。 愛咲と鬼灯が相打ちになり死亡する。 猫屋敷たちの活躍で脱出のパスワードが蛇遣い座だと断定しロックの解除に成功する。 +第2章 第2章 限りなく悪魔に近い天使 生物室で瑠璃と鈴音が見つけたのは全員分の死体 そして円城寺と木下が見つけた辺獄の本 ここは一体どこなのだろうか? そこで突然流れたアナウンスは 【1~2人の死者を出せ】 全員で脱出を願う彼らはどのように窮地を脱するのか 木下は室重が悪魔と契約し『ホログラム』の所持者だと知る。 しかし、木下を襲撃した翁川との戦闘の末、木下を庇う形で烏城が死亡する +第3章 第3章 点Pは廻る、ぐるぐるぐるり 次の問題は点Pの正体を暴くことだが 翁川が青葉、猫屋敷兄弟を急襲する 瑠璃と萃が新辺獄プログラムを見つけ 棗と木下は物理室で制御盤を見つけるのだった 青葉は地下部屋を発見する。 また猫屋敷兄弟と翁川の戦闘が勃発 混沌の最中三ノ宮と柘榴が解読コードを入力した しかし、飯田や一などの乱戦がまだ途絶えない そして茨薔薇が死亡する +第4章 第4章 屍の先の未来に少女は微笑む Azoth そして Celestia 対立する二つの組織と裏切り者木下 第4章の課題は 木下の死亡 木下を殺すか守るか、柘榴、林檎、飯田の戦闘 円城寺が殺害される 止まらない殺し合いと天使の言葉 そして木下の自殺で第4幕は幕を閉じる +第5章 第5章 人死処の天使 室重耕一が黒幕であると猫屋敷兄弟は睨む そして清算室の扉を開くのだった +第6章 第6章 さよなら殺人学園 真の黒幕 東条西奈の通告 転生すれば金が手に入る 強制終了を選べば全員無事に脱出できるが金は0 ただし、ルールがある 全員が強制終了した場合 強制終了になる 1人でも転生を選んだら 強制終了を選んだ人間がまとめて死ぬ 全員転生を選んだら 全員が死ぬ まぁとどのつまり 『参加者全員で答えを出してね』 +無題
https://w.atwiki.jp/animesongs/pages/3500.html
IS インフィニット・ストラトス TVアニメ『IS〈インフィニット・ストラトス〉』オリジナル・サウンドトラック IS〈インフィニット・ストラトス〉オリジナル・サウンドトラック(Amazon) 発売元・販売元 発売元:株式会社ランティス 販売元:バンダイビジュアル株式会社 発売日 2011.03.23 価格 2857円(税抜き) 内容 DISC1 The Battle of IS IS学園 篠ノ之箒 セシリア・オルコット 鳳鈴音 シャルル・デュノア ラウラ・ボーデヴィッヒ 織斑一夏 女子高ノリってやつか 好奇の目 女尊男卑 オペレーション IS Are you all set? 白式 ISの謎 ファースト幼なじみ セカンド幼なじみ イギリスより愛を込めて 一夏は天然? 明るい学園生活 なんでこんなことに… IS実習 二人の食卓 特別な気持ち シャルの過去 フランスより愛を込めて hostility VTシステム 暴走 ドイツより愛を込めて 楽しい特訓 臨海学校 急接近 一夏争奪戦! 一夏の決心 unknown special mission 襲撃者 傷心 DISC2 雪片弐型 白騎士 雪羅 対峙 紅椿 福音 零落白夜 戦う理由 STRAIGHT JET INSTRUMENTAL(TV ver.) SUPER∞STREAM(#1 ver.) 歌:篠ノ之箒(日笠陽子) SUPER∞STREAM(#2、3 ver.) 歌:篠ノ之箒(日笠陽子)/セシリア・コルコット(ゆかな) SUPER∞STREAM(#4、5 ver.) 歌:篠ノ之箒(日笠陽子)/セシリア・コルコット(ゆかな)/凰鈴音(下田麻美) SUPER∞STREAM(#6、7 ver.) 歌:篠ノ之箒(日笠陽子)/セシリア・コルコット(ゆかな)/凰鈴音(下田麻美)/シャルル・デュノア(花澤香菜) SUPER∞STREAM(#8〜 ver.) 歌:篠ノ之箒(日笠陽子)/セシリア・コルコット(ゆかな)/凰鈴音(下田麻美)/シャルル・デュノア(花澤香菜)/ラウラ・ボーデヴィッヒ(井上麻里奈) 備考 収録ミスにより回収:4月6日発売 TVアニメ『IS インフィニット・ストラトス 』オリジナルサウンドトラックをご購入いただいたお客様へ
https://w.atwiki.jp/souku/pages/3435.html
《公開済》SSP001978 シナリオガイド 公式掲示板 葦原島に迫る“大陸級”の危機!?操られた「姫」と「花嫁」から宝刀を守り抜け! 担当マスター 泉 楽 主たる舞台 葦原島 ジャンル 冒険 募集スケジュール 参加者募集開始日 参加者募集締切日 アクション締切日 2012-09-21 2012-09-23 2012-09-27 リアクション公開予定日 募集時公開予定日 アクション締切後 リアクション公開日 2012-10-10 2012-10-12 2012-10-10 サンプルアクション (シナリオ参加者の方にお願い、サンプルアクションの具体的な内容を補完していただけないでしょうか)(サンプルアクション名の下の四角をクリックするとでてくる「部分編集」をクリックすると登録できます)(もしくはサンプルアクション登録用掲示板へお願いします。) 風靡を護る! +... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 皆の役に立ちたい ▼キャラクターの目的 風靡を護る! ▼キャラクターの動機 砦一階の護りにつくよ! ▼キャラクターの手段 砦一階の護りにつきます。 侵入してきた襲撃者を、あらかじめ仕掛けておいた罠に追い込むですよ! 【罠設置アクション】 畳の一部が回転するようにして、捕縛用の落とし穴を作っておきます。 ユリンを倒す! +... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 強敵に勝ちたい! ▼キャラクターの目的 ユリンを倒す! ▼キャラクターの動機 強敵とあらば、勝つ! ▼キャラクターの手段 堂々と正面突破を仕掛けてくるとは良い度胸だ。 思いっきりぶつかって、ぶっ倒してやるぜ! パートナーを助ける! +... [部分編集] ▼プレイヤーの意図 操られている機晶姫や剣の花嫁を助けたい ▼キャラクターの目的 パートナーを助ける! ▼キャラクターの動機 本当に、戦わなければならないのか……? ▼キャラクターの手段 失踪していたパートナーと戦います。 なんとか元に戻す方法が見つかれば良いのだけど……。 その他補足等 [部分編集] 【タグ:SSP 冒険 正常公開済 泉 楽 葦原島】
https://w.atwiki.jp/yaruomura/pages/189.html
. , -. __ _,.. -‐/ー- 、/ `・ , '´ / /` 、 / ヽ / / / ,.イ | ヽ } | / ,/ルメ、| , ムト、|,イ | ∧ ‐ ─.| { |7´ ∩|/|/∩Yl|| ─ヘ/ ' , /`ーw─'^ー ─ - | l |、 り . り 〈,ハ | ∨ | 、 ヽ _ "从|/ . ', ヽ__> __,.. イ|ノ . ヽハ/,. く \_「`l\ / \ム_,/ .\ ,. ' ノ_ハト、 .\ . ,レ' ̄/ ¨>‐- 、 / ̄ ̄ヽ、 / |  ̄| ! 、ン^く \ 基本情報 陣営 村人 役職系統 霊能系 実装バージョン Ver. 1.4.0 β20~ 特徴 生と死の狭間に触れた者を感知できる役職。 前日の人狼系・暗殺能力者に狙われて生き残った人と 蘇生に失敗した人が分かる。 生き残った人がいた場合は、霊能結果に「~さんは命を狙われたようです」と表示される。 生き残っていれば理由は問わない (以下、生存例)。 ・狩人の護衛 ・銀狼などの人狼同士の襲撃 ・人形遣い・妖狐・鬼などの耐性持ちだった ・襲撃者が雛狼だった ・暗殺者が人狼に殺された ・暗殺反射 ・死の宣告など、即死しない能力だった ・鬼の確率などによる人攫い失敗 死亡した直後に蘇生した場合でも「生き残った」と判定される。 蘇生失敗メッセージは閻魔と同様、画面の下に表示される (霊界で見えるものと同じ)。 どう動くか 基本的に「~さんは命を狙われたようです」の専用メッセージが出たときにCOすればいい。 鬼がいるときには浚い位置による真証明がしやすいので早めのCOも有効 ほとんどの場合は狐噛み・GJ・死の宣告・鬼の浚い失敗で結果が出るので それを軸にして噛み先や死因を推理しよう 忘れがちな能力として蘇生失敗メッセージがある。「無残~」と同じ場所に出るので 見落として蘇生と対立しないように注意。 どう騙るか 狼の時、噛んだ相手が死ななかった時に騙ることで一種の狐告発が可能。 FO時に結果なしでCOすることもできるが 鬼や蘇生、狩人等と対立する可能性はある。 参考ログ タイトル モード 備考 ログ 【雛92】やる夫達で超闇鍋村 ~希望など真っ二つだ~ 蟲姫のレアケ発動満載 プレイログ
https://w.atwiki.jp/tancolle/pages/259.html
8章第5話より。 仙台湾のゾイドテロ現場。 仙台に向かう謎の襲撃者――ウォディックとハンマーヘッドの集団を索敵した国連軍第3艦隊は、 これを阻止するために海上防衛艦隊と共に仙台湾に展開していた。 ウォディックに搭載された長距離ビームキャノンによる“艦砲射撃”によって、 すでに湾岸の港湾施設に被害が出ており、これを持って敵性行動だという確信がもたらされており、 追撃を阻止するために、石巻軍港から“カットイン”した形であったが、 しかし“敵”の戦闘能力は予想以上に強大なものだった。 1機1機の攻撃力は、メーサーショックカノンを搭載したアーク級戦艦などと比べれば弱いものだが、 海上保安庁の警備艇と大差ないサイズでしかも高い機動性を持っており、 それでいて中型ミサイル艇と同等かそれ以上の火力を持つ相手は、やりにくい存在だったに違いない。 東京湾の防衛艦隊が、シンカーに翻弄されたのと状況は良く似ている。 ゾイドは“妨害”する防衛艦隊や国連艦隊にも反撃しており、既に何隻か被弾して戦線離脱していた。 更に国連艦隊旗艦ナガトの艦橋では、別の“騒動”が勃発していた。 「――海に降りるって!? この弾が飛び交う真っ只中でか、何を考えてるんだ!?」 『私達は艦娘デス、海で戦うために生まれたんデス!』 『お願いします有賀艦長、豊田司令、行かせてください、機動力ならあの敵艦隊に負けません!』 金剛を中心とした艦娘たちが、“洋上支援作戦”を志願したのである。 寝泊りしている戦艦フィラデルフィアの通信機越しに、少女たちの切実な声が響いてくる。 だが有賀や豊田には、それは余りにも無謀な提案に思えた。 ミッドウェイ海域で初めて遭遇した際に、彼女たちが自力で洋上作戦を展開する能力を持つことは、 有賀たちもある程度は分かっていたが、見た目はセーラー服や和装の少女たちなのだ。 そんな彼女らを、砲弾やビームが飛び交う“戦場”に放つことは、 有賀たちの軍事的な常識から言う限り、文字通り「正気の沙汰ではなかった」のである。 『この国を守るために、オレ達艦娘は生まれたんだ……相手は深海棲艦じゃないが、 突然現れて攻撃を仕掛けてきているじゃないか……深海棲艦と同じだ、絶対に阻止しなきゃダメだ!!』 金剛や榛名に混じって、鬼気迫る表情で訴えかけるのは木曾だ。 彼女に限らず、艦娘は多かれ少なかれ、“祖国”の荒廃を目の当たりにしてきた経験や記憶がある。 加賀や瑞鶴も石巻を離れる前、「まだ戦火で荒廃していない祖国」に複雑な感情を吐露していた。 その“異世界の祖国”が敵性勢力の攻撃を受けているのを、黙って見過ごすことは出来なかったのである。 『豊田司令……石巻に上陸した時、この事態を解決するタメに、一緒に頑張ろうって言ったじゃないデスか。 だったラ、私達にもこの戦いに参加スル権利、与えて欲しいデス!』 金剛の目尻にうっすらと光るものがある……普段の陽気な彼女からは信じられないほど真剣な表情だ。 豊田は眉間に深いシワを寄せ、目を閉じて黙り込んだ。 彼女らが普通の人間ではないことは知っているつもりだが……まさに前例のない提案であり、 極めて難しい判断を迫られている……常識が通じない非常事態でも、人はしばしば常識に縛られるものだ。 「だが……キミらの指揮官は今、東京にいる……無断で戦闘行為を行うことを、彼女らが許すのか?」 『加賀や瑞鶴がココにいたナラ……出撃指令を下すはずデス!』 だが金剛は、異論を発した有賀の目を真正面から見据えてそう言い切った。 更に付け加えて言う。 『それに瑞鶴は(ここを発つ前に)言いました。万一の時は、全力で協力せよ、と。正に今がその、万一の時デス!』 ここまで情熱と誠意を見せられると、有賀も顎を引いて再考せざるを得ない。それにこの状況で、彼女達がいい加減な事を言う筈も無い。 だが…と、まだ迷いがあった。 と、その時、有賀の横で黙っていた豊田が、再び口を開いた。 「金剛さん」 『はい!』 「やれるかね?」 『やれます!』 金剛は即答した。 少し目を伏せて沈黙した豊田を、金剛達は固唾を呑んで見守る。 2秒後、豊田は決断の眼を上げた。 「……分かった、参戦を許可する」 『――本当ですカ!?』 「ただし……くれぐれも無謀な行動には出ないように。君達は“元の世界に戻る任務”があるはずだ。 我々もそんな君たちの任務を支援するために、こうして同じ空気を吸っているんだ、良いね? 海に出たら我が艦隊のミサイル艇が君達を誘導する……極力、そこから外れぬよう行動して欲しい」 『――了解!』 通信機の向こう――フィラデルフィアの副艦橋で、金剛たちが敬礼をした。 「司令……本当に、大丈夫ですかね?」 「信じるしかないな……こちらも今回の襲撃者に対して優勢とは言い難い、彼女らの主張は確かに1理ある。 ミサイル艇と同等以上の戦力を本当に彼女らが持つなら、賭けてみる手はある」
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2381.html
「後は私に任せて、君は避難するといい。 ただ食堂の方はダメだ。さっき火の手が上がっているのが見えた。 別の塔がいい。そこで事態が収まるまで待つんだ、いいね?」 肩に手を当てた騎士の言葉に何度も何度もギーシュは頷く。 考える事を放棄し何の疑いもなく彼は指示に従った。 冷静さを欠いている自分よりも冷静な他人の言葉の方が信じられる。 そう判断してギーシュは騎士に頭を下げてその場を立ち去った。 何の疑いを持てなかった彼は気付かなかった。 その騎士の正体も、肩に付けられた血によく似た赤い塗料にも。 遠ざかっていくギーシュの背中を見ながら騎士は呟いた。 「君には生きて証言してもらわないと困るんですよ」 ギーシュが来た方向、イザベラたちがいる場所へと騎士は駆け出す。 遠ざかっていく二人を確認し、襲撃者はギーシュの後を追った。 走るギーシュより僅かに足取りは速く一歩ずつその距離を縮めていく。 彼の背中に追いついた襲撃者が懐の刃を取り出す。 しかし、その凶刃は振り下ろされる事はなかった。 ギーシュの肩に付いた目印、それを目にして彼は刃を納めた。 襲撃者が立ち去ろうとした瞬間、不意に誰かの大声が響いた。 「そこのアンタ!」 びくりと身体を震わせながらギーシュが視線を移す。 そこにいたのは見慣れぬ格好をした黒い髪の平民。 それがルイズの使い魔だと思い出して彼は安堵の溜息を漏らした。 しかし、こんな状況で魔法も使えない平民がよく無事でいられたものだ。 才人の強運に驚きながらも自分も似たようなものかとギーシュは苦笑いを浮かべる。 「君はミス・ヴァリエールの使い魔の……」 「ルイズを見かけなかったか!」 ギーシュの言葉を押し退けて才人は叫んだ。 平民らしからぬ態度にむっと眉を吊り上げるも、 彼の必死な表情にギーシュは黙って答えた。 何かただならぬ事態に発展している、そんな気がしたのだ。 「いや、僕は見ていないよ。彼女と逸れたのかい?」 「クソッ! どこ行っちまったんだアイツ!」 ギーシュの質問に答えず、才人は一人悪態をついた。 がむしゃらに学院内を走り回り、ようやく誰かに会えたっていうのに。 悔しげに奥歯を噛み締めながら再び走り出そうとする才人に、 慌ててギーシュはその背中を呼び止めた。 「待ちたまえ! まさかこの霧の中を探しに行くのか? 貴族である僕でさえ危ないのに、そんなの自殺行為じゃないか!」 「じゃあ黙って指咥えて待ってろってのかよ! ルイズが無事に帰ってくるって保障がどこにあるんだよ!」 ギーシュの忠告を才人の苛立った声が打ち消した。 背中を向けた彼の顔を、ギーシュは窺う事ができなかった。 ただ彼の背中が震えている事だけはハッキリと分かった。 怖くないわけがない。それでも才人は蛮勇を奮って立つ。 自分とは違う。平民と貴族だからでもない。 「何でそこまでして彼女を守ろうとするんだい? 君の主人だから、彼女の使い魔だからかい?」 「……違う。そんな理由なんかじゃねえ」 いきなり日本から異世界に呼び出されて使い魔になれなんて、 そんな事を言われたって納得できるはずがない。 エアコンもない部屋に、冷たくて固い石床に藁を敷いただけの寝床。 食事はパン一切れに野菜くずの浮いたスープ。 朝は早起きして指が切れそうな冷水で下着の洗濯。 何不自由ない生活から一転して、何もない生活を強いられている。 なのに、御主人様を敬えなんて笑い話もいい所だ。 「だけどアイツは女の子なんだよ。だから守ってやんなきゃ……」 そこまで言って才人は口を閉ざした。 胸の内にある気持ちに気付いてしまった今、 そんな言葉で誤魔化してしまうのは卑怯に思えた。 “ああ、畜生!”と髪を荒々しく掻き乱して、 きょとんとした表情のギーシュに才人は力強く答えた。 「一目惚れだよ! 悪いか! 初めて目が合った時から好きになっちまったんだ!」 都会では決して見ることのできない突き抜けた青空。 その下には陽を浴びて光り輝く桃みがかった綺麗な髪。 抱き締めたら壊れてしまうのではないかという繊細な体。 丸くて大きな彼女の澄んだ瞳に俺の姿が映り込む。 可愛かった。美しいとさえ思った。 世の中にはこんな素敵な女の子もいるのかと思った。 彼女を目にした瞬間、俺の世界は変わった。 ……まあ実際、世界は変わってたし世の中も俺の知ってる物じゃなかったけど。 平賀才人はルイズ・ド・ラ・ヴァリエールに心を奪われている。 召喚だか契約だか知らないけれど、そんなチャチな物とは違う恋の魔法。 病気と言い換えてしまっても良いかも知れないが、 それでも今の平賀才人にとって一番大事なのはルイズだった。 臆面もなく言い放って、ようやく才人は我に返った。 次第に赤面していく自分の頬を照れくさそうに掻く。 その彼をギーシュは呆れとも感心ともつかない表情で見つめていた。 そこには多少なりとも羨望も混じっていたのかもしれない。 好きな女性の事をここまで強く想い行動できる才人に対して。 「じゃ……じゃあ俺もう行かないと」 「待ちたまえ!」 再び走り出そうとする才人をギーシュは呼び止める。 戸惑う彼の顔を眺めながら自身の造花の杖を取り出す。 “君、相当なバカだろ”という言葉は飲み込んで、 代わりにギーシュの口から紡ぎ出されるのは錬金の魔法。 地面に落ちた一片の花弁が大地から一本の剣を生み出す。 それを引き抜いてギーシュは才人に手渡した。 「急拵えだから大した物じゃないけれど無いよりはマシさ。 素手じゃ彼女どころか自分の身も守れないだろう?」 「あ……ありがとう。えっと……」 「ギーシュ。ギーシュ・ド・グラモン。名前を訊かれるのは今日で三度目だよ」 それも男ばかりに、と付け加えてギーシュは笑った。 つられて剣を手にした才人も笑いを浮かべる。 張り詰めていた彼等の態度は若干ではあるが余裕を取り戻していた。 手を振って去っていく才人を見送りながらギーシュも造花の杖を掲げる。 彼に付いていく勇気も理由もギーシュには無かった。 戦場で芽生えた小さな友情、それが潰えない事を始祖に祈るしかできなかった。 願わくば自分の剣が彼の命を救う一助とならん事を。 「それにしてもミス・ヴァリエールにあそこまで入れ込むなんて」 確かに外見だけなら、かなり良い線をいっているとは思うけど。 しかし、それを補って余りある性格の問題はどうにもならない。 ああ、そういえばついさっきまで一緒にいた少女も同様か。 それを知らない訳はないだろうに彼女を追いかける。 彼の事を竜に立ち向かう勇者というべきか、 それとも崖に向かって突撃していく愚か者というべきか。 少なくとも自分には決して真似はできない。 僕が付き合うなら、たとえば……。 ギーシュの顔色が瞬時に蒼褪めていく。 そこまで思い至ってようやく彼は思い出した。 今までは自分の身を守るのが精一杯で考えもしなかった。 だが才人との会話で余裕ができたギーシュの脳裏に二人の少女の姿が浮かぶ。 「モンモランシー! ケティ!」 彼女たちの名前を叫びながら才人の後を追うように彼も走り出す。 無事でいてくれと強く願いながら大声で彼女たちの名を呼ぶ。 才人が感じていた言いようのない不安がギーシュの胸を掻き乱す。 白い闇の中、少女たちの名を呼ぶ声だけが虚しく木霊していた。 その頃、学院を囲う外壁の端で2人の少女が身を寄せ合って座り込んでいた。 一人はルイズ達と同じマントを、もう一人は下級生を示す茶色のマントを羽織っていた。 時折響く悲鳴や魔法が生み出す轟音に身を震わせながら彼女たちは助けが来るまで互いの身の上話を交わす。 それは恐怖を誤魔化す為のものだったのかもしれない。 しかし、そこは女性同士。恋人の話題に触れると盛り上がった。 「格好いいんですけど少し頼りない所があると言うんでしょうか、 これは私がしっかりしないといけないなって思いまして」 「ええ、よく分かるわ。男って誰もが格好つけたがるもの……特にアイツの場合」 ふっ、と少し乾いた笑みを浮かべて先輩の女性が彼氏の姿を思い浮かべる。 その様子が面白かったのか、後輩の少女が楽しげにくすくす笑う。 そんな事を話しながら彼女たちはきっと同じ事を考えているのだろうなと察した。 少女趣味と思われるかもしれないけれど、きっと恋人が助けに来てくれると信じているのだ。 「貴女の彼氏が来てくれるといいわね、ケティ」 「はい、モンモランシー先輩も」 花開くような笑顔で交わされる言葉。 互いの彼氏の姿を想像しながら彼女たちは待ち人が来るのを願う。 よもや二人の待ち人が同一人物だとは思いもせずに。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2296.html
苦虫を噛み潰したようなイザベラの表情。 騎士の報告を耳にした彼女の眉が釣り上がっていく。 頼りの東薔薇花壇警護騎士団は総力を挙げシャルロットの行方を探している。 だけど、そこにはイザベラの名前など出てこない。 彼女を守ろうとする動きを見せていない。 その場に跪く騎士がカステルモールの弁護をする。 「……恐れながら。これは決してイザベラ様の御身を軽んじてのものでは」 「どうだかね。案外いなくなった方が好都合だと思ってるんじゃない」 青く長い髪を振り回しイザベラは視線を外した。 カステルモールの判断は間違っていない。 わたしが狙いだとしたら、わざわざ警備が厳重な日を選んだりはしない。 平日の夜中にでも学院に忍び込めば殺すのも捕らえるのも容易だ。 それをこんな騒ぎを引き起こしてまで強行したとなると狙いは別にある。 だからこそ危険はないと踏んでシャルロットの安否を優先した。 感情を抜きにすれば納得できない内容ではない。 しかし彼女の心には大きなわだかまりが残っていた。 それはシャルロットに対する嫉妬だったのかもしれない。 あるいは自分を蔑ろにする花壇騎士たちへの苛立ちか。 彼女の表情の変化を察した騎士が弁明の言葉を重ねる。 「そのような事はございません。 我等はシャルロット姫と変わらぬ忠誠をイザベラ様に誓っております」 「口ではいくらでも言えるさ。 “わたしの為なら命を捨てられる”って言うなら、 その証拠を見せてもらおうじゃないか」 イザベラの吐き捨てるような言葉にギーシュは息を呑んだ。 彼女は遠回しに“自害して見せろ”と言ったのだ。 平然とそんな言葉を口にできるイザベラに、 ギーシュは襲撃者たちのものとは別の恐怖を感じた。 戯れで人の命を奪えるような残忍な性質。 見た目麗しい少女の内には、そんな怪物じみた狂気が潜んでいる。 ただ脅かすだけのイザベラの命令を騎士は黙って受け止める。 そして、しばしの沈黙の後に重々しく彼は口を開いた。 「今は御身をお守りする事が使命なればご容赦を。 無事リュティスに戻った暁には従者に命じて我が首を届けさせましょう」 「……冗談を本気に取らないでよね。 あんたが死んだところで、わたしが得する事なんて何一つ無いじゃないか」 言葉に篭められた騎士の本気を察したイザベラが命令を覆す。 何故そう簡単に命を捨てる事が出来るのか、 命よりも主命を是とする騎士の誇りを大事としたのか、 その理由がイザベラには分からない。 だから、騎士が返した言葉も何一つ理解できなかった。 「存じております。イザベラ様は心根の優しい御方ですので」 「は?」 「へ?」 間抜けな声を上げたのはイザベラとギーシュ。 二人は唖然とした顔で真面目に語る騎士の顔を覗く。 確信に満ちた面持ちを崩さない彼に、ギーシュは困惑を隠せない。 冷静に彼の言葉を反芻して答えを導き出す。 たとえば、今ここにいる彼女以外にイザベラって人がいるとか、 心根の優しいというのは口汚いスラングの一種で実は真逆の意味とか、 ガリア王国では王族の前では嘘しか言っちゃいけない決まりがあるとか、 とりあえず考えられる事を列挙して彼の言葉を全力でギーシュは否定する。 「ちょ、ちょっと待ちな。誰が優しいだって?」 「イザベラ様はシャルロット様を常にお気遣いなされておいでで。 今も自身の安否を差し置き、姫殿下の無事を確かめようと……」 「ただ現状を聞いただけじゃないか!」 必死に否定するイザベラに騎士は思い出に浸りながら続ける。 語るのはかつて彼女が起こした問題の数々。 しかし彼にとってはどれもがイザベラの美談。 「それに幼少の折には自室に篭りがちなシャルロット様を、 花壇騎士団の風竜を盗んでまで外に連れ出そうと」 「あれはあいつを脅かそうとしただけ! 高い所連れて行けば少しはびびるかと思ったんだよ!」 実際に怯えていたのはイザベラだけ。 ぎゃあぎゃあと喚く彼女の隣でシャルロットは自室と変わらず本を読み耽っていた。 完全に制御不能となった風竜に花壇騎士が決死の覚悟で飛び移り、 何とか無事に二人を地上に連れ戻す事に成功したのだ。 この一件以来、イザベラは騎士団の厩舎に近づく事を禁止された。 「苦しむ領民の為にミノタウロス退治に乗り出した時など心が打ち震えました」 「ただの冒険ごっこじゃないか!」 ついでに今度こそシャルロットを恐怖のどん底に叩き落そうと画策していた。 だが洞窟まで辿り着いてもシャルロットは一向に怖がる様子がなかった。 逆にイザベラの方が薄暗い洞窟が醸し出す言いようのない空気に飲み込まれていた。 極上の餌の匂いに釣られたミノタウロスが塒から出てくるのと 彼女たちを追う花壇騎士団が到着したのは全くの同時だった。 激しい戦いの末、東薔薇花壇騎士団はミノタウロスを討ち取り、 村人たちの歓声を背に受けながら捕獲したイザベラを連れ首都リュティスの帰路に着いた。 尚、当時の領主は管理不行き届きとして、この件の責任を取らされて領地を没収された。 この事件以降、イザベラが各々の領内に入る時には関所から警戒の狼煙が上がるようになったという。 「さらには向学のため、難関といわれる魔法学院に入学し、 今度はトリステインとの親交を温めようと留学なさる。 そのような大器の持ち主であらせられるイザベラ様を、 どうして我々花壇騎士団が軽んじることなどできましょうか」 (ダメだ。まるで話が噛み合わってない) 感極まって今にも涙を流しそうな騎士を前に、 イザベラは諦めたように溜息をついた。 ひどく迷惑そうな顔を浮かべながらイザベラはようやく騎士の真意を理解した。 つまり、こいつは本気で私を根っからの善人と勘違いしているのだ。 だからこそ命を捨てるよりも自分が信じてもらえない方が辛く思えたのか。 見る目がないにも程がある。まあ、わたしの器の大きさを見抜いただけでもマシか。 人を信じず、人に信じられなかったイザベラには騎士の姿が奇異としか映らない。 彼女の周りにいたのは自分を利用する者と無視する者だけ。 だから、この時イザベラは騎士にかける言葉が見つからなかった。 信用はできても信頼できる誰かなど彼女の傍らにはいなかったのだから。 「まあ、勝手に解釈すればいいさ。 それよりもシャルロットを見つけたらすぐに知らせな。 絶対に安全な避難場所がある。わたしもそこに隠れるつもりさ」 自分の使い魔の能力を思い出しイザベラが騎士に告げる。 あの幽霊屋敷の中に隠れてしまえば決して見つかることはない。 今すぐにでもそうしたいのだが、あいにくとあの幽霊はここにはいない。 とりあえず見つけたら一発殴っておこうと心に決めるイザベラに、 騎士は首を傾げながらイザベラに問い返す。 「安全な場所? それは一体……」 「マジックアイテムの一種みたいなものだよ。 最近手に入れたばかりでね、面白いんでしばらくは遊び倒すつもりさ」 くっくと楽しげに笑みを漏らすイザベラに、 騎士は疑問を深めるも久方ぶりに見た彼女の笑顔にそれを忘れた。 あどけない笑みを浮かべる彼女は年相応の普通の少女のようだった。 その彼の傍で、不穏な笑みを見せるイザベラの姿に、 ギーシュは底知れぬ戦慄を覚えていた。 「……………」 不意に騎士の顔が険しいものへと変わった。 跪いた姿勢から立ち上がり何もない霧の中へと視線を移す。 その尋常でない様子にイザベラが問いかける。 「どうしたんだい?」 「……囲まれました。二、三人といったところでしょうが、 等間隔を置いて距離を詰めてきています。かなり手馴れた連中です。 御安心を。イザベラ様は一命に代えてもお守りします」 騎士の返答にギーシュの顔色は蒼白に変わった。 今度こそ本当に襲撃者がやってくるのだ、それも三人も。 さらに言うなら騎士は彼女を守るとは言ったが、 自分も守ってくれるとは一言も言っていない。 見捨てられる可能性だってあるし、 イザベラの考え方からすれば囮や盾に使われるかもしれない。 あたふたと慌てふためくギーシュの隣で、 イザベラは口元を釣り上がらせながら騎士に言った。 「さっそく機会が来たじゃないか」 「何のことでしょうか?」 「さっきの言葉、わたしに信じてもらいたいなら証明してみせな」 くいっと霧の向こう側を顎で彼女は指し示す。 そこにはこちらを伺っているであろう襲撃者たちがいる。 「わたしに楯突くバカな連中を蹴散らしてだ」 「は! 仰せのままに!」 快い返事と共に騎士は杖を構える。 杖の先を眺めながら騎士は自分に言い聞かせる。 この杖は自分の杖ではない。 そして命でさえ自分のものではない。 杖も命も仕えるべき御方に預けた者が騎士となるのだ。 だからこそ騎士は決して倒れない。 主の許可なくして死ぬことは許されない。 勝てと言われれば相手が千の軍勢であろうと必ず勝つ。 ―――それが騎士の誇りであり自分の誇りなのだと。
https://w.atwiki.jp/mw5m/pages/135.html
困ってる人 Pt.1 傭兵部隊評価:3レベル 場所:ライラ共和国内 BENFLED 雇用主:ライラ反乱軍(インディペンデント扱い) 敵対勢力:シュタイナー家 ミッションタイプ:襲撃 難易度:20 トン数制限:160 ライラ反乱軍 「こんにちは、司令官。我々の事はスカイアの独立民と呼んでくれ。我々は、現在クリタ家に対する最前線に配属されているシュタイナー家に雇われた数多くの部隊を代表している。 3023年、シュタイナー家は何世代ぶりかの新型メック「ハチェットマン」を開発し、全中心領域に衝撃を与えた。執政官はこの新型メックが我が国のメック連隊に新系統のメックを提供し、その強化に貢献するとしていた。 しかし、実際にはこのメックはほとんど執政官と恒星連邦の温情主義者たちに配給された。私たちスカイア民には何の役にも立っていない。ドラコ連合からの襲撃者によって日々ゆっくりと削られているのだ。 我々は執政官とディファイアンス・インダストリーが第19アークトゥラン警備隊に新型ハチェットマンの全中隊分を納入したと聞いた。 これは新しいメックで部隊を再整備する正当な理由のように聞こえるかもしれないが、そうではないと私は断言する。崩壊から数十年、第19部隊はライラ共和国軍に入隊した連邦の富裕層の甘やかされた息子や娘たちの捨て駒と化している。第19部隊が持つ輝かしい過去の遺産を利用して、自分たちの社会的地位をさらに高めながら、隊そのものを国が支援する場と化しているのだ。 一世紀以上ぶりに設計された新型メックとしてハチェットマンは、最前線で実際の敵と戦うために新しい装備を切望している我々への支援よりも、富裕層の親を宥める為の、ガキどもを喜ばせる駄目の餌となったのだ! もっといい方法があればいいのだが、これ以上の選択枝が無い。君たちの部隊で出来るだけ多くのハチェットマンを無力化し、我々が手に入れることが出来るようにしてほしい。 あからさまに同胞に手を出すことはできな?いが、クリタの侵略から身を守るためにあのメックがどうしても必要なのだ。 そこで、ハチェットマンを捕獲・入手し、真に必要とする人々へ渡るようあなた達の協力をお願いしたい。 どうか私たちを助けてくれないか?」 一連のストーリー達成報酬 星系地図