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219: 名前:浅葱☆11/29(月) 20 28 50 文弥君が驚いた顔をしていた。 当たり前だ。 此処は他校、入ってきて大丈夫なのか。 それ以前に自分の学校はどうした。 っていうかこの人たちはどうして足音を立てずに近付いてくるんだ。 突っ込みたいことは山ほどあったが、その言葉を呑み込んだ。 「あーあ、フミヤ、ほっぺ真っ赤」 笑いながら、でも優しい表情を文弥君に向けた。 「イイ男が台無しだね」と小馬鹿にした声で。 すると髪をひらりと靡かせ、こっちを振り返った。 「チアキごめんね」 今まで聞いたことのない声だった。 「優奈、いっつもチアキに我が儘ばっかり言ってて、チアキの気持ちも考えないで、困らせてばっかりだった。 でも、信じて。優奈はチアキのことが本当に好きだった。それは今でもはっきり言える。 有難うね、チアキ。ごめんね、皆。優奈の我が儘の所為で、皆に迷惑かけちゃったね」 淡々とした口調で、そう言う優奈ちゃん。 だけど優奈ちゃんの気持ちが、空気で伝わってくるみたいに私には確かに届いた。 「でも、優奈、フミヤが好きだ」 ……これは、優奈ちゃんの素直な気持ち、素直な言葉だと思った。 『優奈を愛してるけど…あっちは、どうなんだろうな』 そう言った、文弥君の寂しそうな顔。 今でも忘れない。 なんだ、そんなことないじゃん。 優奈ちゃんはこんなにも貴方を愛してるよ。 そう分かったら、急に嬉しさが込み上げた。 文弥君が優奈ちゃんの手を引き、無理矢理座らせて、そして抱きしめた。 「あぁ、俺も大好きだ」 今まで見たことも無い、文弥君の笑顔がそこにあった。 良かった。 本当にそう思った。 空を見上げると、眩しいくらいの太陽が輝いていた。 私たちの気持ちとは裏腹に、雲が早く、早く流れて行った。 222: 名前:浅葱☆12/08(水) 19 47 07 それから月日は流れ、季節は雪が深々と降る、冬。 あれからの私たちは、何事も無い日々を過ごした。 “平和”その言葉が一番相応しいだろう。 「行ってきます」と言って、玄関を出ると、そこには私を待つ愛おしい人が立っていた。 名前を呼び、待たせたことを詫びる。 だけどこの人は、そんなことなど気にせず、私の手を引き、学校へ歩を進めた。 私の温かい掌とは正反対の冷たくなった彼の掌。 もう一度「ごめんね」というと、先を歩いていた彼が立ち止まり、私の頭を小突いた。 「謝んなっての」 そう言うと、再び歩き始めた。 声を出そうと口を開くと、白い息が宙に浮かんで、消えた。 「津田、冬は迎えに来なくても良いんだよ? 寒いだろうし」 「憂は、俺と一緒に居たくないの? 俺は憂と一緒に居たいからこうやって迎えに来てるんだけど」 ……この人はどうしてこう言うセリフを恥ずかしげも無く言えるのだろう。 私の体温が一気に上がった気がした。 ギュッと、彼の手を握り返した。 「私、も……だよ」 私の言葉に、彼は何も言わなかった。 だけど頬が赤い。 幸せだなぁ、と思った。 平和な、平凡な日々。 だけどかつての私とは確かに違う。 ――この幸せが何時までも続いて欲しいと何度も願った。 壊れないように。 ただ、今を大切に。 225: 名前:浅葱☆12/10(金) 19 36 06 『……であって、つまり……』 あー長い。 っていうか眠い。 何故朝から朝会なのだ。 そして何故、そのたび校長なる人はこんなに長話をするのだ。 長話をすることが校長の仕事だとでもいうのか? そうなのか!? ……と、考えているうちに何時しか校長の長話が終わっていた。 やっと朝会が終わる、と思ったら、突然『それでは、えー、新任の先生を紹介します』なんてことを言い始めた。 一人の男性がステージに上がって行くのが見えた。 あれ? どっかで見たことあるような、無いような……。 『えー、産休に入られた越前先生の代わりに来られた、津田先生です。では津田先生、どうぞ』 ……津田、先生? 『初めまして、津田直昭と申します。このたび、皆さんに数学を教えることになりました。どうぞ宜しくお願いします』 や、やっぱり! 津田のお兄さんだ!! 先生だったんだ、知らなかった。 『えーっと、それから一年の津田千昭は私の弟ですので、仲良くしてあげてくださいね』 出た、営業スマイル。 女子の甲高い声が体育館に響く。 『静かに!』という先生の声など耳に入っていないだろう。 はぁ、と溜息を吐く。 なんか大変なことにならないと良いんだけど……。 「えーっと、じゃあこの問題を……」 さっきから眩しい笑顔で授業を進める男――津田直昭先生。 殆どの女子は授業など耳に入っていないようで、目をハートにして彼を見つめている。 いやいやいや、皆さん、その見かけに騙されないでっ その人、会って数分で女子高生を襲おうとした人ですよっ! ……と叫びだしたかった。 頬杖をつき、うんざりした顔の私にまでも愛想笑いを投げかけてくる。 何度見ても津田に似ている。 まぁ、目の前の彼よりも津田の方が何倍も格好良いと思うが。 ……自分で言って、恥ずかしくなり、顔を赤らめる。 そんな私を、微笑いながら見ていた人がいたことに私は気付けなかった。 226: 名前:浅葱☆12/10(金) 19 53 36 「全く、うちの学校に来るなら連絡ぐらいしろっての、馬鹿兄貴」 目の前に居る津田がさっきから愚痴を零す。 どうやら、兄から何も聞かされていなかったようで、それに怒っているようだ。 それにどうリアクションしたら良いのか分からず、ただただ苦笑いすることしか出来ない。 「でもすっごい人気だよ。うちのクラスの女子、目がハートだったもん」 「あーそれ、こっちもだった」 やっぱり? と言って、笑い合う。 「ま、まぁ、でも、津田の方が何倍も格好良いけどね」 意を決して言った言葉に、再び顔を赤らめた。 だがそれは私だけではなく、目の前の彼も同じだったようだ。 「ばっ、おま、な……っ」 馬鹿、お前、何言ってんだ! ……だろうか? 恥ずかしいけど、事実。 私の正直な気持ちだ。 「津田先生も格好良いけど、私は津田が好きだから。津田の方が格好良いって思ってるからね」 お互い真っ赤な顔で見つめ合う。 照れくさいけど、どうしてだろう、幸せ――だと思った。 「……俺も、憂だけが好きだよ」 津田の顔が迫ってくる。 どんな表情をしてるのかは窺えない。 唇と唇が触れ合った。 目を閉じ、この幸せの余韻に浸る。 ずっとこのままなら良いのに。 ――なんて、到底叶わない願いをただひたすらに祈った。 「憂ちゃんっ」 語尾にハートマークが付きそうな声。 文弥君、と思ったが微妙に声が違う。 振り向くと、そこに背の高い男性が立っていた。 見上げながら名を呼ぶ。 「津田先生」 「やだなぁ、津田先生なんて。直昭先生って呼んでよ」 「そこまで親しくないでしょう」 「良いじゃん、一度ヤりかけた仲でしょ」 「……そう言うことを学校で、まして教師が軽々しく言うもんじゃないと思いますが」 冷静な私の言葉に先生が目を丸くした。 「ふーん」という声を漏らし、頷く。 「千昭と上手くいってんだね」 今の会話からどうしてそんな結論が出たのだろう。 っていうかこの人、弟と話したりしないのか。 「そうですが、それが何か?」 「いーや?」 ニヤニヤした顔でそう言う先生。 ……何か企んでる顔だ。 これ以上関わりたくなくて、「じゃあ」と言って逃げてきた。 本当に、何も起こらなきゃいいんだけど。 230: 名前:浅葱☆12/30(木) 15 11 24 すっかり錆びてしまっている鉄の扉を開く。 その瞬間、冷たい風が私の横を通り、伸びた髪を靡かせた。 息を十分に吸うと、冬の新鮮な空気が全身に廻って来た。 それをそのまま吐き出すと、白い息が空気に溶けて消えた。 雪はかろうじて降っていなかった。 空を見上げると重たい雲が私の直ぐ近くにあって、今にも雪が降りそうだった。 早く帰らなきゃ、と心に決め、だけど動く気配のない足を、そのままそこに留めておいた。 未だ良いよね。 もう少しだけ此処に居たいという欲が勝り、一歩足を踏み出した。 ズ、という音と共に靴が少し雪に埋まる。 一面の雪景色に心が弾むのを抑え、更に歩を進めた。 だんだんと冷たくなってきた指先を擦り合わせ、ハーッと息をかける。 それでも温かくならない手を、そのままポケットへと移動させた。 「風邪引いちゃうよ?」 その声にすぐさま反応し、扉の方を振り向いた。 「……なんでこんなとこに居るんですか」 若干棘のある声で先制攻撃。 凭れかかるように立っていたのは、津田のお兄さん――津田直昭先生だった。 「んー、憂ちゃんに呼ばれた気がし「ふざけてるんなら帰ります」 先生の言った言葉を途切れさせ、出口に向かって歩き出す。 先生のすぐ横を通ろうとした瞬間、ぱしっと腕を掴まれた。 思わず先生を睨む。 「……なんですか」 私の睨みなど効かないかのように華麗にかわし、「酷いなぁ」と微笑った。 この人、やっぱり先生なだけあって馬鹿じゃない。 食えない人だと思った。 231: 名前:浅葱☆12/30(木) 15 29 50 「もっとお話ししたいなぁと思ったから」 作ったような顔で私を見てくる。 教師が言う言葉じゃないだろう。 「先程も仰った筈ですが、一教師がそんな言葉を軽々しく言うものじゃないと思います」 私の冷やかな言葉に、先生が真顔になった。 どうやら驚いたらしい。 「……じゃあ、憂ちゃんは、一教師とそう言う関係になってもおかしくないって思ってるんだ?」 先生の反撃の言葉に、一瞬にして顔が赤くなった。 そういうわけじゃない、そういうわけじゃないけど、どうしようもなく恥ずかしかった。 私が何も言わないでいると、先生が畳みかけるように口を開いた。 「だってそうでしょ? 俺に一々注意するってことは、怖いんじゃないの?」 私の指の間にするっと指を滑り込ませて、絡ませる。 抵抗しようにも出来なかった。 「俺に呑まれそうになる自分とか、」 絡ませた指を口元に持って行かれる。 ちゅ、と唇が触れた気がした。 「……千昭を忘れそうになる自分、とか?」 その言葉が私の耳に入ってきた瞬間、頭に血が上ったように、怒りが込み上げてきた。 乱暴に手を離し、先程よりも怒りを露わにした顔で睨みつけた。 「最低」 言いたいことは沢山あったが、それだけを告げ、その場を走り去った。 兎に角、もうそこに居たくなかった。 232: 名前:浅葱☆12/30(木) 15 49 31 悔しかった。 相手は大人だって分かってる。 だからこそ、あんな風に一方的に言われ負けた自分にどうしようもなく腹が立った。 溢れそうになる涙をせき止め、階段にしゃがみ込む。 悔しい、悔しい、悔しい。 津田のことが好きなのに、何も言い返せなかった。 津田のことが好きなのに、私は何も出来なかった。 あんな風に言われた自分が、本当に情けなかった。 「憂?」 声で分かる。 愛おしい貴方の声。 「津田……」 津田に顔を向けたとき、私の顔がもう酷い顔になっていて。 そりゃあもう悲惨な顔だったと思う。 「ど、どうした?」 焦った声でそう問う。 答えられず、津田の腕にしがみつくように擦り寄った。 何も言わない私を見て何かを察したのか、津田もまた何も言わなかった。 ただ何も言わず、私を抱き締めた。 帰り道、私たちに会話は無かった。 だけど繋がった手が温かくて、津田の優しさが温かくて。 私が泣いていた理由を無理強いしないその優しさに、どうしようもなく救われた。 236: 名前:浅葱☆01/02(日) 23 04 01 「はぁ……」 大げさなほどの溜息を吐き、今日は少し迎えに来るのが遅い津田を家の前で待つ。 周りは一面の雪景色。 雲行きが怪しくなり、もうそろそろ雪が降ってきそうだ。 吐く息が白い。 それでもなお、抑えられない溜息を何度も吐く。 学校に、行きたくない。 あの人に、会いたくなかった。 『怖いんじゃないの? 俺に呑まれそうになる自分とか、千昭を忘れそうになる自分、とか』 ふと先生の言葉を思い出し、頭を抱える。 もう何も、考えたくないのに。 振り回されたくなどないのに。 頭にこびり付いて離れない、昨日の先生の表情。 口角を上げ、楽しそうに嗤う。 ……ムカつく。 会いたくない。 会いたくない。 「それでも会っちゃうんだけどなぁ」 そう呟き、もう何度目か分からない溜息をまたひとつ。 「なに一人で喋ってんの」 直ぐ近くで聞こえた声。 全然気配が感じられなかった。 なんでこの人はいつも気配を絶って近付いてくるのだ。 ていうか似たもの兄弟め。 「もう大丈夫?」 優しい口調だった。 一瞬考えて、本当は全然大丈夫なんてものではなかったが、「ん、大丈夫!」と、嘘を吐いた。 散々津田に迷惑を掛けてきたのだ。 此処で我が儘も言ってられない。 「…………そっか、なら良い」 今の数秒の間が気になったものの、気にしない振りをした。 237: 名前:浅葱☆01/02(日) 23 34 00 「憂っ」 学校に到着し、教室に入ると直ぐに朋榎が突進するかのように私に向かって走ってきた。 朋榎とは、以前よりも打ち解けられたように感じる。 私が一方的に作っていた見えない壁など取り壊され、今では本当に私の一番の親友だと、自信を持って言える。 あの一件があったからこそ、今の私たちはあるのだと思う。 きっとそう感じているのは私だけではないだろう。 「憂ってば、ちょっと」 考え事をしていた私に、ムスッとした顔を向ける。 「ごめんごめん」と謝ると、一瞬にして顔に笑顔が表れた。 笑顔、ということは愚痴ではないことは見て取れた。 ……ってことは、また惚気か。 朋榎に、新しい彼氏が出来た。 津田のこともあり、少し、心配もしていたのだが、無駄だったようだ。 顔は見たことが無いが、朋榎曰く某芸能人似の爽やか青年、らしい。 一応、「どうしたの、朋榎」と訊いてみる。 すると、「あのね」と口を開き、私の予想通り朋榎の惚気が始まり、それは数分間炸裂した。 その間、朋榎が時折見せる可愛らしい笑顔。 まさに恋する乙女、だと思った。 たまたま朋榎の話が途切れた時に、ふと、津田先生のことを思い出した。 正直、思い出したくも無かったが、なんとなく朋榎に相談してみようと思った。 相談、というわけでもないが、もしもの話をしてみようと思い、「ねぇ、朋榎」と話を切り出してみた。 「もし、さぁ。自分に言い寄ってくる年上の男性が居たとして、 その人が急に自分を物凄い馬鹿にしたようなこと言ってきたら、どう思う?」 うーん、いきなり意味分かんない話だったかな。 そう思ったが、朋榎には大体伝わったようだった。 「えー、あたしだったら? あたしだったらー……多分キレるかな」 あはは、と笑いながら言う朋榎。 うん、朋榎ならそう言うと思いましたよ。 「あ、でもイケメンだったら許しちゃうかも」 うん、そう言うとも思いましたよ。 「でも、なに? 憂、誰かにそんなことされたの?」 うん、そう聞くとも思いましたよ。 素直に頷くことも出来ず、取り敢えず言葉を濁してみる。 朋榎はそんな私を察したようで、「まぁ、なんかあったらいつでも言うんだよ」と言ってくれた。 「憂と千昭君には、幸せになって欲しいからね」 そう言って朋榎が見せた笑顔が、言葉が、私の心を温かくしてくれた。 私も自然と笑顔になる。 「私だって朋榎には幸せになって欲しいって思ってるよ」 言おうと思った言葉が、不思議と声になって出てこなかった。 やっぱり私はまだまだ弱い人間なのだと、改めて思い知った。 241: 名前:浅葱☆01/04(火) 20 08 23 早歩きになる、私の足。 さて、どうしてでしょう? 答え:津田先生が追いかけてくるから。 「ちょっと、待ってって、憂ちゃん」 昼休み、津田のところへ行こうと思ったら、ばったり会ってしまったのだ。 そのまま向きを変えて、反対方向へ歩き出した私を、今、津田先生が追いかけている状況。 いやいや、なんで追いかけてくるんですか。 「憂ちゃんってば、聞こえてるでしょ、なんで無視するかな」 ええ、聞こえてますよ、聞こえてますから。 そんな大きな声で言うのは止めてください。 生徒がね、見てますから! 「……~待てって!」 ぱしっ、という音。 腕を掴まれている感触。 先生の手の力強さによって私は前に進めなくなり、仕方なくその場に立ち止まった。 後ろは振り向かず、視線だけを下に向け、じっと先生が口を開くのを待つ。 「なんで逃げんの?」 静寂の中で、茶化した声では決してない先生の声が響いた。 「……別に。どうでもいいでしょう」 私が逃げようが、避けようが、貴方には関係ない。 これは私の正直な気持ちだった。 私を乱さないで欲しい。 私を巻き込まないで欲しい。 私を放っておいて欲しい。 「どうでもいい、ね。俺はどうでも良くないんだけどなぁ」 「どうしてですか。関わる必要も無いでしょう」 「俺が、憂ちゃんと話したいからかな」 今度は少し茶化したような声だった。 それにほんの少しだけイラッとした自分が居て、頭に浮かんだ言葉を、考えることも無く口にした。 「最低な人とは、話したくありません」 242: 名前:浅葱☆01/04(火) 20 25 47 私がそう言った瞬間、驚いたのだろう、先生の腕を掴む手の力が弱まった。 刹那、力が一気に強まり、そのまま腕を引っ張られて壁側に寄せられた。 頭の両脇に手をつかれた状態になり、逃げ場がない。 人の居ない廊下、かろうじて人目につかない場所にホッとしたが、これから何をされるのか分からない不安の波が押し寄せていた。 「俺、今まで人に拒絶されたことないんだよね」 口角は上がっているものの、目が笑っていない。 この人は怒っている。 「あーぁ、生徒には優しくするつもりだったのになぁ」 独り言のようなその言葉を聞いた瞬間、背筋がぞわ、と逆立った。 反射的に、逃げなきゃと思った。 身体を捩って、脱出を試みる。 が、腕を掴まれ、「逃がさないよ?」と釘を刺されてしまった。 挙句の果てには両腕をがっちりと掴まれ、縛り付けられているような体勢になってしまった。 これでは尚、逃げられはしない。 「千昭の彼女だって言うから尚のこと優しくしようと思ったのに、なー」 目を合わせないように視線を逸らす。 「憂ちゃんの所為だからね」 その言葉と同時に、先生の顔が迫っているような気がして視線を戻す。 目の前に、というか直ぐ近くに先生の顔。 抵抗する間もなく、二人の唇が繋がった。 世界が止まった、ような気がした。 驚きで瞬きさえも忘れる。 唇を割られ、生温かい舌の感触。 不快感によって我に返った。 顔を背け、抵抗するものの、案の定、逆効果。 先生の舌は私の口内で暴れまわる。 そして漸く唇が離れ、先生は一言、口にした。 「キス、しちゃったね」 からかうように、嘲笑うように。 そして続ける。 「千昭が知ったら、どうするかな」と。 245: 名前:浅葱☆01/05(水) 20 16 13 「憂、憂!?」 津田の声が聞こえる。 あれ、私はどうしてこんなところに居るんだろう。 「憂、どうした? 探したんだぞ!」 津田が、叫んでる。 心配そうな顔で、少し息切れしながらこっちを見て、私の顔を覗く。 声を出そうとしても、声が出ない。 どうしたんだろう、私。 「憂……憂?」 私の様子が変だと思ったのか、先ほどよりも心配そうな顔をこちらに向ける。 「……つ、だ」 掠れた声。 それでも、なんとか出せた声だった。 記憶を巻き戻して、考える。 嗚呼、そうか、私、津田先生に、キス、されて――…… 視界が滲む、涙が溢れて、頬を伝う。 私が突然泣くものだから驚いたのだろう。 「憂!?」と、津田がもう一度私の名前を呼んだ。 その声で、せき止めていた想いが涙と共に一気に溢れてきた。 「津田、津田、どうしよう、津田……」 闇雲に津田の名を呼ぶ。 目の前に津田は居る筈なのに、まるでそこに居ないみたいで。 真っ暗な場所に、私一人だけが置き去りにされたようで。 怖かった。 「津田、どうしよう、どうしよう」 どうしよう、と何度も言う私。 きっと津田には何の事だか分らなかっただろう。 それでも、何も言わずに抱き締める津田がどうしようもなく愛おしくて、離したくなくて。 どうしよう、私、津田が居なくなったら。 津田に嫌われてしまったら、私はどうすればいいの? 生きていけない、きっと。 246: 名前:浅葱☆01/05(水) 20 36 51 「落ち着いたか?」 私を気遣っていることが、声で分かった。 散々泣いた所為で喉がガラガラだ。 仕方がないので首を縦に振り、大丈夫だということを伝えた。 なんとなく、窓の外を見る。 空がオレンジ色に染まっていて、放課後だということを私たちに告げていた。 そして「そっか」と言った津田の顔を見た。 私にどうしたのか聞くべきか、悩んでいるような表情。 知りたいけど、聞いていいのだろうか。 そんな顔。 「……つ、だ、先生」 私の口から出た言葉は、酷く掠れていて、津田は聞き取れただろうかと不安になった。 だが、津田にははっきりと聞き取れていたようで、「あいつが、どうかしたのか?」と聞き返して来た。 何と言えばいいのだろう。 それ以前に、言っていいのだろうか? なんて? 津田先生がキスしてきた? 津田先生にキスされた? 津田先生とキスした? どれが一番良い言い方なの? どれが正しくて、どれが間違い? どう言ったら、津田は私を嫌わない? “言わない”が一番良い選択肢なの? 「憂?」 優しく私の名前を呼ぶ。 また、涙が溢れそうになってしまう。 「憂……「キス、された」 249: 名前:浅葱☆01/08(土) 23 13 40 私が発した言葉に津田が「は?」と明らかに驚いた顔を見せた。 そこから頭の中で理解するのに数秒。 そして言った。 「嘘だろ」と。 下唇を噛みながら首を横に振る。 嘘じゃない、嘘じゃないの。 心臓がどくんどくんと高鳴っていた。 津田はどう思っただろうか。 軽蔑した? もしかしたら私のことなど嫌いになってしまっただろうか。 怖かった、津田の次の言葉が。 この、痛いくらいの静けさが。 「……は、はは、あははははっ」 先程のシリアスな雰囲気とは打って変わり、静かな廊下に津田の笑い声が響き渡った。 驚き、目が点になる。 「つ、津田?」 「あっははは、ははっ」 一体何が壺に嵌ったのか知らないが、津田は狂ったように笑う。 おかしい。 津田が明らかにおかしい。 すると突然立ち上がり、何も告げずに走りだした。 「津田……!?」 津田の理解不能な言動に軽くパニックを起こしながらも、私も慌てて立ち上がり津田の後を追った。 253: 名前:浅葱☆01/17(月) 19 59 47 津田が向かった先は、屋上だった。 だんっ、だんっ、と過剰な足音を立てる津田に追い付くために全力で走った所為で、私はもうヘロヘロだった。 階段を一段一段ゆっくり、だけど足早に進む。 津田が古い鉄の扉を力任せに開けると、そこには津田先生が煙草を吸った姿でフェンスに凭れかかるように立っていた。 此方を見て、「よっ」と能天気な声を出す津田先生に怒りが湧きあがったものの、今はそんなことよりも、津田だ。 先程から何か不穏なオーラが出ていて、気になって仕方がない。 取り敢えず、名前を呼んでみたが、返答はない。 今まで入り口で立ち止まっていた津田が、先生の方へ歩き出した。 津田の異様な雰囲気に気付いている筈なのだが、 先生は「おー、どうした千昭」などと、またしても能天気な声で私たちを翻弄しようとしていた。 ……ていうか、あれ? なんかデジャヴ。 “それ”は何時だった? 津田が、先生の胸倉を掴んだ瞬間に、頭の中にある電球が突然点ったように私は思い出した。 そうだ、これは、津田が文弥君を殴った時と同じ――……。 「……っ、津田!!」 私が気付き、突発的に叫ぶものの、時既に遅し。 バキッという音と共に、先生は倒れた。 吹き飛ばされた、と言ったら大げさだが私の所からは本当に飛ばされたように見えた。 「ちょ、津田っ……」 私が制止しようと走り出すともう一度先ほどと同じ効果音が鳴り響いた。 再び先生が倒れ込む。 津田が殴ったのだ。 「待って、待って津田!!」 先生に駆け寄って、津田と先生の間に入り、壁となる。 そのときに見た津田の顔は、背筋が凍りつきそうなほど怖い顔をしていた。 ――そう、こんなことが前にもあった。 254: 名前:浅葱☆01/17(月) 20 24 43 「……憂、退いて」 「やだ」 威圧的な顔と声。 厭だと抵抗してみたものの、本当は怖くて逃げ出してしまいたかった。 「お願い、退いて。そいつだけは殴んないと気が済まない」 「……やだ」 お互い退かない状況。 でも、駄目だ。 私が折れたらきっと津田先生は―― 「あー痛ぇな」 またしても場に合わない能天気な声を出す津田先生。 いやいや、状況考えて。 「良いよ、憂ちゃん。憂ちゃんまで巻き込んじゃったら俺泣くわー」 「そんな、だって」 津田に暴力事件なんて起こさせるわけにはいかない。 やっぱり引けないよ。 「……なんで、憂に手ぇ出した」 そう言った津田の声は先程よりは穏やかになっていた。 だけど、何処か強張っている。 怒りを抑えつけようとしているのがなんとなく分かった。 「んー、じゃあお前はなんて言って欲しいの?」 質問に質問返し。 教師にあるまじきことだろう。 津田先生はさらに続けた。 「なんとなくキスしました、なんて言ったら怒るだろ。まぁそんな理由じゃないけどね」 驚いた。 気分、とかなんとなく、だと思っていた。 気紛れで生徒に手を出したのかと思っていたから……。 でも、え? じゃあどうして? なんで私に、キス、なんか――……。 「憂ちゃんが好きだから、とか言ったら、怒る?」 255: 名前:浅葱☆01/17(月) 20 43 55 淡々とした口調でそう言った津田先生の言葉に、私と津田は二人同時に目を見開いた。 「な、なに、言って」 一番にその言葉が出てきた。 ――津田先生が、私を、好き? ちょっと、待って、思考が、追い付かない。 え、もしかして夢? じゃあ何処から何処までが? 「夢とかじゃないからね憂ちゃん」 私の頭の中を読んだかのようにそう告げた津田先生。 夢、じゃない。 じゃあ嘘だ。 「嘘でもないよ」 またしても私の頭の中を読まれた。 なんだこの人。 ていうかやっぱり兄弟だなぁ……って、そんなこと考えてる場合じゃない。 さっきからずっとだんまりの津田を横目で見た。 津田は真顔だった。 笑うわけでもない、からかうわけでもない、怒るわけでもない。 何を考えているのか、その表情からは読み取れなかった。 「っていうか、私たち生徒と教師ですよ!? 常識的に考えて……「だから何?」 だ、だから何って、開き直られても……。 「と、とととにかく。私は先生のことそういう風には見れませんから。私は津田が」 言葉が、中途半端に途切れる。 目の前に津田の顔があって、そこで漸く今の状況を理解した。 私が、津田にキスされているということに。 「……渡さねぇよ?」 不敵に笑う津田。 私を引き寄せてそう言った津田にドキと胸が高鳴った。 「憂は俺のもんだから。あんたなんかには渡さねぇよ」 さっきから胸がドキドキして仕方がない。 前にも校内放送で言われたけど、あの時とは違う。 「ふぅん」と、余裕な笑みを浮かべている津田先生を背に、私たちは屋上を後にした。 leave 続き10
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151: 名前:マロン☆11/02(月) 私とユキちゃんは見つめあったままだった 何もしゃべらず静まり返っていた時ユキちゃんがしゃべりだした 《ユキチャント貴方ハ同ジダネ? 貴方モ未那ッテ子ガ憎インデショウ? 殺シタインデショウ? ユキチャンハネ、クラスノ皆ニ虐メラレテイタノ》 なんで私に話すのよ? 私とユキちゃんは違うもん!! 私は、ユキちゃんと違っていじめられてなんかいないし 祐梨亜に仲間って思われているもん!! 「わ…私は…貴方とは違う!! 私はあなたと違うわッ!!貴方と一緒にしないで!!」 私はユキちゃんに向かって叫んだ だけど、内心少しだけユキちゃんを信じてみようとどこか心の端っこで考えていた 私の言葉を聞いたユキちゃんは私を少し悲しげな眼で見つめると 《違ワナイヨ…ユキチャント優奈チャンハ同ジダモン》 そういうとユキちゃんは私のほうへと歩み寄ってきた 153: 名前:マロン☆11/05(木) 22 33 20 ユキちゃん目線 優奈チャントユキチャンハ違ワナイヨ… ユキチャンハ、優奈チャンノコト思ッテ言ッテイルノニ… 優奈チャンハ、ユキチャント同ジダヨ 優奈チャンモ虐メラレテイルヨネ? 『未那』ッテ言ウ女ノ子ニ… 祐梨亜チャンモ優奈チャンノこコトナンカ心配シテナイヨ? 皆、優奈チャンノコト嫌ッテイルンダヨ? ナンデワカルカッテ? ダッテ…優奈チャンハ ユキチャンノ生マレ変ワリダカラ… ユキチャンノ家ハネ? 必ズ、胸元ニ黒イ竜ノアザガアルノ ユキチャンニモアルヨ? ア…デモ、彫刻等デ八ツ裂キニサレタカラ 残ッテイナイヤ 名前:マロン☆11/07(土) 11 58 31 新井優奈目線 「こっち来ないでよ…なんでこっちくんのよ?!」 ユキちゃんは確実に一歩一歩私のもとへと歩み寄ってくる 私は逃げようとしても足がセメントに埋められたのかのように動かない 「嫌ァ!!来ないでェェ!!来ないでよォ!!」 私は、必死に抵抗した 私が抵抗している間にユキちゃんは私の目の前に来ていた そして、私の服のブラウスのボタンをブチッと女の子の力とは思えない 男の子以上かもしれない力ですべてのボタンをちぎり取った そしてそのボタンを廊下に投げると私の胸元にあるアザを見て怪しげに笑い 《フフ…ヤッパリアッタ…黒イ竜ノアザ》 と不気味に言った。ブラウスのボタンをちぎられ一瞬何が起こったのかわからない私はしばらく放心状態だったのかもしれない ユキちゃんの不気味な声でハッと我に返った私はやっと今の状態が分かった ユキちゃんが見ていたあざは、私が生まれた時からお母さんもおばあちゃんも先祖からずっと受け継がれているらしい …って今はそういう場合じゃない!! 私は、その場を走って逃げだす 右手でボタンをちぎられた所をぎゅっと握りしめながら 見られたくなかった… 誰にもこの胸元のあざを見られたくなかったのに この胸元のあざは私のコンプレックス的なもの このあざが嫌いで私は、昔ここを包丁で刺したことがある まあ、そんなグッサリとじゃなくてプスッぐらい 包丁で刺した場所が治ってもこのあざの一部が消えることはなかった それより、刺してもまた浮きあがってくる… 私は昔からこのあざを嫌って自虐を続けていた 162: 名前:マロン☆11/08(日) 21 23 18 ―10年くらい前― 私の年齢は今、14なんだ この話は10年も前の話になる 私が4歳のときに幼稚園であったプール遊びでのこと この時ってあんまり、男のからだとか女のからだとか気にしたりしない頃じゃん?(男子は下はいてたけど) だから、みんな裸になって夢中でプールで遊んでいた時のことだった 突然私の初恋相手の進藤歩(シンドウ アユム)が私の右の胸元を見て言った 「お前、その右のそれどうした?」本来はこんなにうまくしゃべれてなかったんだけど それを言われた私はその時になって思った 私の右の胸元にできているあざはどうにかならないのかって 誰が広げたのかわからないけどそれから幼稚園で私は虐められるようになった 私が幼稚園へ行くと皆必ず声をそろえてこういう 『うわァッ!!!こっち来るんじゃねーよ!!お前の体腐ってんだからさ』 私はその言葉を言われるたびに胸が苦しめられた 私だって好きでこんなあざ作っているわけじゃないし ―私の体は腐ってなんかいない!!!― しばらくは我慢できた私だったけど年長になったあの日だけは許せなかった 私は年長になって、幼稚園へ来た時のことだった 一人ずつ与えられているロッカーの中に鞄をしまおうとした時だった ロッカーを開けると猫の死体が入っていた 幼稚園で猫の死体ってお前らドラマに影響されすぎだっつーの!!今思えばこう思える 私はその猫を幼稚園のグラウンドの端っこにお墓を作って上げた 私は教室に入り、友達も誰もいない私だから静かに家から持ってきた本を読んでいた 年長にもなれば本は読める わからない感じのところはお母さんに振り仮名を振ってもらったし それに、この本は私の今はいないおばあちゃんが私に買ってくれた最後の本だし すると、誰かに本を取り上げられた その相手は、そう私の初恋相手進藤歩だった 「何?この本?意味わかんねーし!!こんなの捨てちゃおうぜ!!」 進藤歩は私が呼んでいた本を少し読むとすぐにつまらなそうな顔をして私の本を床に投げつけた 私は驚いて立ち上がる 歩は男友達がすごく多いので歩が床に投げつけた本をその仲間たちが拾ってどこかへ持ち去って行った 私は、クラスでもすごく足が速かったので男子にすぐに追いついた 私が男子たちの後ろの襟をつかんだ すると、驚いたのか男子たちは、私を押して外へと逃げ出した 私は、尻もちをついて転んだがすぐに立ち上がり男子たちの後を追った 167: 名前:マロン☆11/09(月) 21 27 09 先生たちが口々に「先生たちが行くからここで待ってなさい」と言っていたけど私は先生たちの言葉を無視した 幼稚園の外に出た私は辺りを見回す 見つけた!!男子たちが向かっている方面は、川のほう 私は直感的に嫌な予感がした 私は急いで男子たちの後を追う それから数分後。男子たちの走るペースが落ちている 私は全力疾走で男子の本を持っているやつを追い詰める そいつは、川がもう真後ろに来ているところまで逃げ切ったけど その先は、川だったし正面からは私が追い詰めているから逃げれなかった 私は、男子に少し震えた声で言った 「私さ…あんた達になんか悪いことした!!?あんた達に憎まれてもしょうがないようなことした!!? なんであたしばっかり虐められなきゃいけないわけ!!?」 私は怒りと悲しみを交えたような声で男子に怒った そう、何故私ばかり虐められるのか その瞬間だった。私の怒りに驚いたのかそれとも、私をいじめるためにやったのか今考えてもわからないが 私が追い詰めた男子が川に本を投げたのだ 川に本を投げた男子は少し驚いた顔をして、しばらく放心状態だった 私は放心状態になっていた男子を押しのけた川の中へと潜って行った 綺麗な川だったのが幸いだった。 もぐって、目を開ければ遠くのほうまで見えるほどきれいだった ただ、川の深さは小さい時の私で壁に手が着かないととても浮かんでいられる状態じゃなかった それで、やっとおばあちゃんが買ったくれた本を見つけることができた ビニールのブックカバーを付けていたし、川に入って直後に取れたからなのかあまりぬれてはいなかった 私は、その本を陸に置くと少し深呼吸をした だけど、近くにいた男子は面白半分に本をけってまた川へと落とした。 すごい勢いで蹴ったので遠くに飛ばされた 私は男子を睨むと本が落ちた場所へと泳いで向かった しかし、運悪くその場所は先ほど私が浮かぶために手についていたような壁もないし、先ほどの所よりも深かった 私は、大きく息を吸うと川の中へと潜った やばい…全然本が見つからない… おばあちゃんが買ってくれた大事な本なのに…!! ごめんね…ごめんねおばあちゃん!!必ず本見つけるから許してね 私は心の中で何度も何度もおばあちゃんに謝りながら本を探した だけど、本は見つからなくてもう諦めようと思って水面に上がろうとした時だった 足にとてつもない痛みを感じた そう、足がつってしまったのだ 足がつった私は、何とか水面に顔を出そうとしたけど足が痛くてたまらない 呼吸もできないし…苦しい… 私このまま死ぬのかなぁ? なんで私が死ななければならないのですか?神様 悪いのは幼稚園のみんななのに すべて私が悪いことになるのですか?神様 神様は私の味方じゃなくてあいつらの味方なんだ… 不公平…すぎる… 心の声とともに私の意識は遠くなっていった 174: 名前:マロン☆11/16(月) 12 13 27 目を覚ました私が最初に見たものは白い天井だった 目を覚ました私は、周りを見渡した そうか…ここ病院なんだ… 私助かったの…? 私は、横になっていた体を半分起こした 「私は…助かったの?それとも…死…んで…いるの?」 私は、震えていた。もし、自分が死んでいたらどうしようかとここが夢の世界で実際に私は川でおぼれ死んじゃったって その時、病室のドアが開いた 入ってきたのはお母さんだった お母さんは私が起きているのを見て目から大粒の涙をこぼしていた 「優奈ァ…生きててくれてありがとう…生きててくれて本当に…あり…がとォ……」 お母さんは私に涙を流しながら抱きついた これは、夢?それとも、現実? 「お母さん…私は…生きて……るの?」 私は、恐る恐る聞いてみた 本当は聞きたくないことだったけど 勇気を出して聞いてみた お母さんは私をさらに力強く抱きしめて 「優奈は生きてるよ……ちゃんと生きている」 お母さんは私を抱きしめながら優しい声で言った お母さんの言葉を聞いた私は今までずっと我慢していた感情があふれ出した 「う…うぁぁぁぁぁッ!!!」 大声で泣いた。声がかれるんじゃないかってくらい 最終的には声は枯れたんだけどね… お母さんからの話によると 私が全然水面に上がってこないから怖くなった男子たちが幼稚園の先生に言いに行ったらしいんだよね それで、先生たちは救急車とレスキュー隊?みたいな人を呼んだらしい 先生達は誰一人おぼれている私を助けようとしなかったんだと思うと怒りが込み上げてきたがそれは何とか抑えつけた それで、レスキューの人たちが川に潜って、おぼれている私を助けてくれたのはいいんだけど その時は、大量に水を飲んでいて危険な状態だったらしく すぐに病院に連れて行ったんだって お母さんが病院に着いたころには私は病室で寝ていたんだけど そのまま7日も眠り続けていたらしい お母さんの話を聞いた気がついた おばあちゃんが買ってくれた本は…!!? 「お母さん!!本はッ!!?おばあちゃんが買ってくれた本はッ!!?」 私は少し興奮気味にお母さんに聞いた お母さんは黙ってうつむいたまま答えない そっか…本は見つからなかったんだね… あはは…そっか…おばあちゃんが買ってれた…本は… 私は声を出さずにただただ、涙をこぼして泣いていた するとその時心の中の誰かが私に言った 全部幼稚園ノ皆ガ悪インダヨ 皆ガ優奈ト仲良クシテイレバコンナコトニハナラナカッタノニ… スベテ幼稚園ノ皆ガ悪インダヨ そうだ…すべてあいつらが悪いんだ 「殺してやる…」 呪いの鬼ごっこ-助かる確率1%-
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182: 名前:サスライ☆09/06(日) 19 01 59 私は太子と呼ばれた男をジィと見てた。黒髪のオールバックでタレ目、そして貴族特有の白布に金を散りばめた中華服を手本の様に着ている。 私とは遠く離れた存在であり助ける理由等、天文学的数字が関与する程あり得ない。明日は水虫に侵された火星人が侵略してきてもおかしくは無いだろう。 「何で助けたのさ?」 「コイツが税を不当に懐に入れていて罰を与えようと探していたら偶然貴様が殴られそうだったからだ」 彼は冷たく淡々と、私を掴んでいた役人をカカトで踏みながら答える。グリグリと…。 彼は役人を片手で担いで私に背を向ける。役人は都に戻され、新しい役人が都から来るのだろう。 「と ころで、何で殴ったのさ」 「…?」 「殴らなくても一声かければ良かったじゃないのさ」 問いかけに彼は歩くのを止めた。彼は上を向いて担いでいない方の手でアゴに手を当てた。 そして数秒して、彼は役人を地面に落とし、肩や手やらの動きから推測するに懐から何やら取り出して書き始めた。 すると私に振り向いて紙を渡す。字が書いてあるが勿論学の無い私にそんな物は読めない。 「これを、役所まで持っていって『神封太子の命令だ』と言って来い…。 マトモな飯くらいなら喰える」 そう言って彼こと神封は、また役人を担いで去って行った。 突然過ぎて呆然として、結局答えを聞いていない事に気付く。 184: 名前:サスライ☆09/06(日) 20 40 50 183 そうですか。そりゃ嬉しい♪ならば、少し頑張りましょう † † † 役所に例の紙切れを手渡すと、手渡された側は猜疑(サイギ)の表情を私に向けた。私は学が無い分そういう感情を読むことには自信がある。勿論役人を殴った時の神封の感情も。 あれは『焦燥(ショウソウ)』。則ち焦りだ。 ワキガに侵された木星人が近々攻めてくる予定で、それに焦ってるのかも知れないといったのが私程度の予想だが、学の無い私だから恐らく違うだろう。 無駄な事を考えている内に何やら部屋に案内された。向こうは、はじめと打って変わって敬語を私に垂れる程に頭が低い。猜疑は残っているが。 「こちらにございます。お嬢様」 「…凄い」 私はアゴの骨が外れるかと思う位に呆然とした。 何やら柔らかそうな布団と敷物に、ヒノキの机に棚。棚には沢山の本がある。そして埃らしい物は見当たらない。 「これ、タダで使って良いの?」 「ハイ。太子の命令で御座います」 何か泣けてきた。恵まれた事はあっても、ここまで恵まれた事は無い…。 掌を顔に当てて膝を付く。自分の感情がよく解らなくなってきた。 その時、後ろから神封と同じく私より少し歳上っぽい男の陽気な声がする。 「たっだいま~。って、俺の部屋で何してるの~?」 私はバカだから、神封の感情は解っても考えは解らない。てか、何と無くだけど頭が良くても解らない気がするよ…。 187: 名前:サスライ☆09/07(月) 13 38 41 俺の名は千鳥 笑(チドリ シャオ)。15の若さだがこの地方の警備兵の師範をしている。 何でそんな奴がそんな役職かは、俺が代々王族が使う千鳥流武術の長男だからであり、何でこんな田舎にいるかは、千鳥流の長男は、若い内は独りで修業する義務があるからだ。 とは言え、腐り切った事に定評のある都に居るよりはずっと気楽だ。田舎の山で一週間程修業して、役所に用意された余り使わない部屋に帰ってくる。 で、帰ってきたら知らない奴が俺の部屋で泣き崩れていた訳なんだが、どう解釈してくれようか。 困り顔の俺に役人が何やら「太子が、コレを師範に」と、紙を渡して来た。 あのインテリ野郎の封が俺に? 見たときは目が開きすぎて血の涙が出ると思った。デカイ熊に出会った時より驚きだ。そこに書いてあるのは、要約するとこんなトコである。 「笑 か。お前の部屋をコイツに譲れ、お前に選択肢は無い。太子命令だからな。 どうせ使わないだろうから俺の部屋じゃ無くて、お前の部屋にした。 お前は仲良く大自然でパンダとでも一緒に寝床を探せ」 破りてぇ…。 その時、俺の中で何かが弾けそうだったが、泣き崩れていた奴の顔が目に入る。 「やっぱ、ダメ…?」 兎、小鳥、猫、色々と比喩出来るがそんな弱々しい表情で俺に語りかける。 封のヤロウ…、俺がこういう表情は弱いって知った上でやってやがるだろ。 くれてやるよチクショウめ。 188: 名前:サスライ☆09/07(月) 15 10 37 千鳥師範はその後、客間で寝ていて、何故か頻繁に私に会いに来てくれる。因みに神封太子に出会うとよく殴り合いになるが挨拶の様なモノらしい。 偉い人は何を考えているか本当に解らない。 ココに来て三ヶ月が経つ。こう時間が経つと御伽の国の様な感覚にも慣れてくる。未だに不満を感じて、ジロジロ見てくる役人が居るが千鳥師範や神封太子曰く、「俺等も似た様な扱いだから気にするな」の事。 ところで、私に名前が出来た。銀世界になった田んぼの油絵を見てたら、何か勝手に『銀田一 雪』と命名された。照れ臭いが気に入っている。 さて、三ヶ月とは意外に長いモノで、ここの環境に慣れてきて自然に『神封太子』、『千鳥師範』と呼ぶようになったり、敬語になったり、メイド服になったりしている。 千鳥師範と神封太子に着せられて、その後二人はメイド服の好みについて二時間程熱く議論した挙げ句に殴り合いになった。 偉い人は何を考えているか本当に解らない。 そう言えば、ある日の事だ。私が神封太子に本を教わっている最中こんな話になった。 「神封太子なんて止めてくれ」 「……え?」 「そ うだな。神封・兄、繋げてシェンフォニーとでも呼んでくれ」 「そんな!?恐れ多いです神封太子!」 「太子命令だ」 「あう~」 神封太子改めシェンフォニー様は、その呼び方を偉く気に入っていたが千鳥師範がそれを呼ぶと殴り合いになる。うわぁ、ミンチより酷ぇ(建物が壊れる的な意味で)。 偉い人は何を考えているか本当に解らない。 190: 名前:サスライ☆09/09(水) 14 42 38 「フッフッフ、甘いね♪ギャグが小説で小説がギャグ。小説とギャグは表裏一体にして宇宙の神秘なのだよ!」 「いきなり何を電波に目覚めとるんスか、馬鹿主!」 過去を説明途中に、レスに返信とか言った感じの電波に目覚めたシェンフォニー様に対して私はチョップした。 彼が痛そうに頭をさする状況、兎に角話を続けなければグダグダになるといった危機感を感じた。昔、毒キノコで死にそうになったのがフラッシュバックする。 「…と、言う訳で私がシェンフォニー様に拾われた後です。 シェンフォニー様に学問を教わり、笑師範は相変わらず修行三昧で、たまに帰って来ては貴方と殴り合いになりました。そんな日常は幸せでした」 シェンフォニー様は指を絡めて下を向き、頷く。まるで懺悔する様に。 「ああ、大体思い出して来たよ。笑とは良く下らない事で喧嘩したっけな…。 懐かしい」 シェンフォニー様は下を向いている上に髪で隠れて表情が見えない。只、泣いてる様にも見える。【今は亡き】笑師範の事を、思い出したのだろう。 あの後の戦争の悪化。そこでシェンフォニー様は彼を守れなかった。救えたけど、守れなかった。それを思い出しているのだろう。 私は黙って紅茶を注ぐ。 191: 名前:サスライ☆09/10(木) 21 09 50 HOST a2P2WiEOwpslpqha_softbank.co.jp 私と千鳥師範とシェンフォニー様で部屋で話していて、シェンフォニー様が輸入品の紅茶を飲んでいた時だ。千鳥師範が言った。 「トコロで、封がシェンフォニーなら俺は下の名前で読んでくれよ♪」 「分 かりました笑師範。」 「あっるぇ、なんか封よりスムーズだよ~」 「お前は下の名前で呼ぶ事に違和感が無いからな」 身長的な問題と背を曲げてるか立ててるかの違いで千鳥師範改め笑師範が見上げる形になる。シェンフォニー様は相変わらず優雅に紅茶を啜っていた。 「アッ ハッハ。自分が上だってのかコノヤロー」 「そこまで理解するなんて。明日の天気は空から大量の胸毛でも降ってくるかな」 「よし表に出やがれコノヤロー」 「あ、雪。紅茶は処分してくれて構わない」 笑師範が親指で示した先に向かう時にシェンフォニー様は私に言い残し、直後殴り合いの音がする。ワッショイワッショイ的な。 一人部屋に残され紅茶を飲みながら窓を見た。以前居た村が見下ろせる。色々幸福に変わった。 しかしこのままで良いのだろうか。何時からか生きる為、私の中には誇りが刻まれていた。【私は自分の力で生きている。だから偉い】と。 今の自分はどうだろう。まるで私らしく無いと思う。しかし紅茶を飲み干した。 「このままで良い訳ないなあ…」 一人ごこちる。 196: 名前:サスライ☆09/12(土) 17 17 49 私は向日葵 社。 早速だが、ひまわり研究所には貴族が来る事は無い。有るとしたら前上司の神封太子が友人をからかう為に商品を購入する位だ。 しかし今日は別の貴族が来ていた。小太りの貴族は部屋見て、機材見て、眉間にシワを寄せて散々文句垂れた後にやっと嫌々席に付く。 「態々都からお疲れ様です」 「ああ。だが私は忙しいのでね、直ぐに都に帰らねばならない」 つまり都にサッさと帰りたいって事だろうに。素直に言わない所がまた頭に来る。 さて、貴族本人が来たと言う事は最近の戦争の押され気味に拍車が掛かった件だろう。技術者として私を求めているのか。 だが私の都に帰る気は0どころかマイナスだ。しかしこの陰湿な貴族は私の心を動かす。 「単刀直入に言おう。君のカラクリを全て譲渡したまえ。で、無ければ都に来たまえ」 つまり『全て渡せ』。 そういう事か。コイツ、井時が私の弱味と知っている!もし、断って都に行かなくても普通に井時を兵士として使う気だ。 貴族のほくそ笑みがシャクに触る。私は冷や汗を垂らす。汚い手で心臓を握られた気分だ。 197: 名前:サスライ☆09/12(土) 18 21 08 満月を眺めるボクは井時 晶。社と一緒に住んで暫く、一つ解ったのは社は意外と面白い。からかいながらも親しみを。そんな毎日は充実だ。 これから月光浴にでも行こうかと考えたその時、社の声がして振り向くと、彼は大きな旅行鞄を担いでいて突然口走る。 「…これには札束がギッシリ入っている」 「銀行強盗でも、した…?」 ボクは冗談を吹っ掛けるが無反応。これは解る、覚悟した人間だ。 そして今日の朝に起こった事を社は言うと心に衝撃を受けた。何時かそうなるのでは無いか頭ではあったが、心が認めたく無かったのだ。 ボクは此処に来て始めて顔を焦らせる。対称に腹をククっているのか社は冷静だ。 社は旅行鞄を押し付けると指を裏口に向ける。 「表口だと見られる可能性があるからな」 「そ、そんな…」 「喧しいぞ井時 晶!私をまた逃げる臆病者にする気か!」 社の目には独特の真っ直ぐな光がこもっていた。人間だった時に見てきた。テコでも動かない、武人の目。そんなボクに出来るのは一言を浴びせる位だ。 「死ぬなよ…?」 裏口の扉を開いて、ボクは駆ける。夜風が染みて月光は遠ざかる。その時、聞こえる筈の無い社の声がした。 「幸せに、なれ…」 198: 名前:サスライ☆09/13(日) 18 40 17 私は都に行かない事を告げた。すると貴族は面白い位に顔を真っ赤にして机を叩く。おお、脂肪まみれなクセに強そうだ。サンプルを取ってみたいね。 「人形は何処かね!?私は『全て』のカラクリと言ったんだ。帝国直々に渡された人形が有る筈だろう」 いや、偶然の産物で帝国のモンじゃ無くね?何なのそのジャイアン理論。そういやコイツ、ジャイアンみたいな顔してるな。やはり歌で窓を割れるのだろうか。 兎も角。これで無いと言えば反乱とでも見なされ最悪極刑だ、でもそんなつもり等はサラサラに無い。この貴族のカリスマ程も無い。極刑になりたくないのは兵士時代の生への執着か、はたまた井時の一言か… 私は逃げる臆病者にはならない。研究者には研究者なりの戦い方がある。研究者はアイデアの世界、私もそれに習おうか。 貴族の濁った目を見て、うわ、マジで汚い目付きしてんなコイツ。まあ、汚物を見ながら告げる。 「人形は実験に使った結果、壊れてしまいました」 「何だと!?どうしてくれるのかね」 臭ぇ息吐くなぁ。コイツ生物兵器かなんかじゃね? 「まあ、お陰で人形と同等の物を作る方法を見つけました」 懐から取り出した資料を渡す。この交換条件にて、輪帝国は人形兵の投入によりエピソード共和国に対し、一時的に勝利を納めるのである。 199: 名前:サスライ☆09/14(月) 21 10 49 ひまわり研究所に日光が差し込む。照明無しでも物が見える太陽の偉大さを感じると同時に、自分の小ささを思う。 取り敢えず一段落ついて今、突然に思ったんだ。もしかして私はマゾではないのかと。 これを聞いても引かない勇者諸君に理由をお聞かせしよう。取り敢えず私は椅子に腰を掛けて足を組んだ。前方机にあるコーヒーに手を掛けて砂糖を入れようとする時に慌てて砂糖の容器の中身を舐めて砂糖と分かる。 あれは井時が来て間もない頃だ、コーヒーを飲もうとして砂糖を入れたら実は井時によって塩にすり替えられていた。そして次の日、また塩にすり替えられていた。また次の日、流石に三度目は無いなと思いつつも砂糖を舐めたら、味の素だった…。 と、言う訳で確認が武道家が朝起きて正拳突きを練習するような領域にまでなったのである。 しかしこう何も無くては退屈だ。何か面白いモノでもないか。 ボゥとしていると扉を叩く音がした。また銀田一か。私は嬉し半分で扉に向かった。 200: 名前:サスライ☆09/14(月) 21 30 51 【200レス記念番外編】 と、言う訳で200レス行きました~!皆様のお陰です♪ 司会は私、辰凪館のメイド長にしてシェンフォニー様のブレーキ役、銀田一 雪でお送りします。 「アッ ハッハ、何を言っている?それではまるで俺にブレーキが無いみたいじゃないか」 いや、その通りですからね!?シェンフォニー様、貴方の悪行の数々はバッファローマンもビックリですよ、砂糖の容器の中身を砕いたデンプンと入れ替えたり。 「バッファローマンとは、作者が産まれる前の懐かしいネタだね。 あ~、そうそう。井時に話を聞いたら対抗心が燃えてきてさ」 いや、んなコトに対抗心燃やさなくて良いですから!どこの二番煎じ連載漫画ですか!?打ち切りの臭いがプンプンしますよ。 「うん。流石に俺も飽きてきた、そこで編み出したのが必殺技、『シェンフォニーウェーブ』だ」 何ですか、その荒ぶる鷹の構えは…、そして何ですか、その中二病丸出しの名前は… 「先 ず、雪の紅茶と緑茶を入れ替えて…」 いやいやいや、そりゃ流石に無理がありますって! 「大丈夫。ソ連の編み出した色料は緑茶を紅茶に見せれる」 この世界にソ連無いでしょ、てかソ連スゲェ。 「最後に一つ。実は俺にブレーキは付いてるが雪の反応が面白くて、ついアクセルを踏んでしまう」 突拍子無いけど、取り敢えずはハリセンで殴らせて頂きます。 201: 名前:サスライ☆09/15(火) 16 18 52 「何故、私の助手なんぞになりたがる?所謂日陰者の助手なんぞに。だ」 「だからです。貴方程の人が敢えて日陰者にあるから日陰者だった私はそれを選ぶのです」 上のやり取りを社さんとして、銀田一 雪、ひまわり研究所の助手に就職成功。このニュースはシェンフォニー様と笑師範の間を稲妻の、もしくはダオスレーザー(初期ティルズのボスの技。トラウマ並の破壊力を誇る)の如く駆けたらしい。 直後彼らは呆然としつつ、お互いがお互いの頬をつねり、殴り合ってやっと夢で無いと理解したそうな。 偉い人は本当に何を考えているか解らない。 初期格闘ゲームの様に痛々しい青アザを顔に付けた二人は口々に言う。異常な顔と常識的な台詞のギャップに吹き出しそうになった。 しかし何とかこらえる事に成功した、ミラクルメイドパワーで。 「助手っつーとヤッパ薬を作ったり、ネジを締めたりすんの?」 「いや、正統な授業な訳では無いから雑用だろう。資料の整理やデータ作り、他には掃除だな」 やはり、こういう事はシェンフォニー様の方が一枚上手らしい。因みに、太子権限で私を正統な学士にする事も出来るが、私が自立したい気持ちを組んでか一度もその話題にはならなかった。 204: 名前:サスライ☆09/15(火) 20 34 23 私が社博士の助手になって暫く、植物データの採集に山に来た訳で山に来て早速見たのが、笑師範の立ちションだったので思わず悲鳴を上げて後頭部にハイキックを喰らわし顔面を木に打ち付けさせて気絶させてしまった。 気絶している笑師範はその内起きるから良いとして、私も随分乙女になったモノだと思う。博士に「思ったよりマトモだ…」と言われた事を思い出した。 数分後、笑師範が起きると記憶が飛んでるらしく、必死に誤魔化そうと世間話を挿入した。どんな流れかこんな話題になる。 「笑師範って修行で山に居るんですよね?」 「違ってたら仙人か、山マニアか、なんかだな」 「何故、笑師範は修行するのですか。義務だからですか?」 「話 聞けよ…。まあいい、ほら、アレを見ろ」 指の差す方を見るとそこは村が上から見れた。山だからだ。田畑が微笑ましい田舎だと思う。 「地 図なんか紙に書かれた物よりも、俺にとっての世界とは俺の認めたモノだ。そしてあれも俺の世界…」 正拳、回し蹴り、裏拳、正拳。笑師範は舞う様に技を空間に放つ。暖かい風が私達を、否、世界を包む。 「この美しい世界を守りたいんだ」 「笑師範…」 貴方に「美しい」は流石に似合いません。と、言おうとしたがKYな気がするので止めておいた。 207: 名前:サスライ☆09/17(木) 14 33 46 シェンフォニー様(ついでに笑師範)の所には本が兎に角沢山あったがこの研究所は量より質と言った勢いで珍しい本が沢山ある。 資料整理をしている最中についつい魅入っていたら後ろから都からの手紙で作ったハリセンで叩かれるくらいだ。 今回見つけた、そんな仕事をサボるきっかけになる本がこの『未確認生物集』である。歴史的に考えると確実に居る筈だが発見例が皆無な生物をまとめた物らしい。 開くとこれまた素敵なゲテモノをスケッチした皆様、しかしたまにマトモな生物もいる。見た目ならヒトと変わらない生物も居た。 「未確認生物、【オーガ】。興奮すると角が生えて強靭な力を…」 へぇ。【鬼】って実在したんだなぁ。驚いていると廊下を駆ける音がした。え、まさか監視カメラでもついてんの!? 扉をバンと開ける音がする。心臓が跳ね上がるというのは、もしくは喉から手が出るとはこんな感じか。いや、後半違うけど取り敢えずは驚いて背中に本を隠した。 「銀田一!…」 何だろうか酷く焦った声。イヤな予感がして後ろを見ると、目を見開き息を枯らす予想以上に焦った博士が居た。 「… エピソード共和国が攻めてきた!ここらは戦場になるぞ!」 私は凍り付き、本が床に落ちる音はヤケに乾いていた。 208: 名前:サスライ☆09/17(木) 16 06 48 俺、神封は不快だった。朝からヤケに倦怠感がある癖に仕事をしなければいけないからだ。嫌な事とは続くモノで、今日は笑が山から帰ってくる日で、その笑は今私の部屋でゴロゴロしてる。不快な余り気に入りの万年筆を指でへし折ってしまった。 「封~、暇~。なんか面白い話して~」 「鏡を見ろ。私と話をするなんかより、ずっと面白いぞ」 「あ゛~、 んだとコンニャロ表出やがれ~」 「よし。更に面白い顔に…ん?」 殴れば少しはスッキリするか。楽しみを目の前に嫌なニュースが立ち塞がる。 俺が今やっている仕事とは軍に用いる鉄兵(人形兵には劣るが活躍する量産品)の承認と、外交に関する報告書に対する意見なのだが、何か引っ掛かる。取り敢えず軍の師範をしている笑に聞く。 「…なあ笑よ。人形兵が配備されたのは何時辺りだったか」 「んあ。確か2年位前だったんじゃね?」 「……そうか」 人形兵配置位置、他国からの情報、都の内部情勢。それ等から今の敵の動向を推測する。 ここは田舎でロクに人形兵が居ない。居ても鉄兵程度だ。 エピソード共和国は人形兵、鉄兵に苦戦してから引くが調子に乗った都は追い討ちをかけている。 「ヤバい!至急偵察部隊をこれから言う位置に配備しろ、人形兵開発者の社博士と太子である俺を狙ったエピソード共和国が攻めてくるかもしれん」 嫌な事とは続けて起こるものだな。 銀田一 雪さんとシェンフォニー様と後、なんかの話 続き9
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37: 名前:みるみる☆03/23(月) 09 25 43 35流華様 はい! やっぱり読んでくれる人がいないと、やる気なんて出ませんから(私の場合);; のわっΣそれは私にとっては最上級の褒め言葉ですよ! ありがとうございます! 碧ちゃんは……どうなんでしょう← まだ先のお話とか、ぼんやりとしか決まってないので; 黒ちゃんですか! 私もお気に入りです(おい こんなキャラをもっと虐めたくなってしまうという…… でも最後は抱きしめてあげたいです♪ 36なお様 引き込まれてくれたんですか? こんな小説に← 書籍化は絶対無理ですw もし売られたとしても、業者さんにクレームがたくさん来て、その日のうちに販売中止ですねっ★ 読んでくださってありがとうございます! ◆ 「あ、おかえりなさい」 「おー。遅かったな」 私達が住処に戻ると、黒と赤が迎えてくれた。 黒を見て、また胸がちくんと痛んだ。 「うん。ちょっと店長の息子さんと話し込んじゃってね」 「ん、それって黒の彼氏じゃねえの?」 ぼっ、と音がするくらいの勢いで、黒が頬を染めた。 「そんな、大声で言わないでください……」 「いーじゃん、碧も知ってるんだろ?」 「うん」 黒は顔を手で覆って、しゃがみこんでしまった。 どうやら相当恥ずかしいらしい。 私には、彼氏がいたことがないので分からないけど。 「そうそう、琥珀くん、見習いになってたよ」 「ふーん、出世したじゃねぇか。会える日も近いんじゃねーの? おい、黒」 「はい……」 2人のやりとりを見ていて、笑いそうになってしまった。 こんな正反対の2人で、よく何年も暮らせたものだ。 「ずっと会ってないの?」 「はい……もうかれこれ5年ほど……」 「5年!?」 じゃあ今、黒は17歳か。 「琥珀くんも一途だよねぇ。思春期なんだから心移りしてもおかしくはないのに」 だから青、そんなことを黒の前で言わないで。 全く、デリカシーがないのか、天然なのか。 「あ、そうだ」 今思い出した。 青の話を聞いてから、やろうと思っていたこと。 「突然だけど、今からみんなに名前を付けるよ!」 38: 名前:みるみる☆03/23(月) 14 21 36 「名前、ですか?」 「はぁ?」 「わあ、それは楽しみだね」 三者三様の返答だった。 赤があんまり乗り気じゃなさそう。 でも私は気にしない。 「覚えやすいように、色にちなんだ名前がいいよね。えーっと、赤、赤……」 「ちょっと待てよ。何で今更名前とか付けようとするんだ? 面倒くせえ」 赤は本当につまらなさそうに言う。 「だって、名前が無いなんて可哀想じゃない!」 「可哀想? もう慣れてるんだよ。それにさ、名前なんてのは、記号だろ?」 その言葉に、私は頭に血が上ってしまった。 赤は、何かを諦めているような気がする。 人として生きていくこととか。 差別をなくすこととか。 「違うよ、赤。名前には、それを名付けた人の愛情がこもってるんだよ!」 だから、可哀想なあんた達のために、名前を付けてあげる。 私からの、精一杯の愛を込めて。 人間であることを忘れないで。 人は、大量生産されたロボットじゃない。 ましてや、不良品なんて無い。 みんながそれぞれ、幸せに生きていく権利が、ある。 「まず、赤! 赤音!」 「あかね?」 「そうよ! なんか文句ある?」 「いや、無いっす……」 「次、青! 40: 名前:みるみる☆03/23(月) 14 49 20 ぎゃああ! ぽちっと押してしまいました…… つづきです…… ◆ 「青だから、蒼太!」 「うん、良い響きだね」 「次、黒! は……えっと」 今気付いたけど、黒の名前って無いかも! そうだよね、ダークな感じだもんね。 うわ、どうしよう。 「『チェルナ』とかは?」 青が唐突に提案してきた。 「ちぇるな?」 「うん、どっかの国の『黒』の女性形だったような気がする」 「なんか、1人だけ浮いてねぇ?」 「浮くのは嫌です……」 うーん、黒ねぇ。 黒い目。 黒い髪。 黒い髪――! 「『小町』だ!」 「こまち?」 「うん、艶があって黒い髪! まさに小町の名にふさわしいかも!」 名前に色は入ってないけど、細かいことはどうだっていい。 大事なのは愛だもの! そんなわけで、カラフル軍団は、私好みに和風な名前になった。 45: 名前:みるみる☆03/24(火) 08 31 06 43ゆみ様 ごめんなさい;あともう少ししたら出ると思いますので← なかなかそこまでたどり着かないです……。 44なお様 そういって下さると嬉しいです! でも流石に少なすぎだ……。今日は更新頑張ろうかな。 お褒めの言葉ありがとうございます! ◆ ここに来て、初めての朝が来た。 私が布団から顔だけ出すと、みんなはもう起きていた。 いきなり寝坊しちゃったよ。 携帯の時計を見ると、まだ5時半だった。 「早っ……」 そんなに早く起きてすることなんてあるの? 私は、わしゃわしゃと髪を掻いて、大きなあくびをして、それからゆっくりと起き上がった。 本当、昨日はいろんな事が起こったな。 24時間前、まだ私は、元の世界ですやすやと眠っていたはずだ。 だけど私には、随分昔のことのように感じられた。 「おはよ」 顔を洗って髪をとかした後、外(薄暗い路地)に出ると、赤音さんに声をかけられた。 「あ、おはよう。みんな早いんだね」 「今日は特別早いな。黒、いや、小町のやつがよー、朝超早く起きたもんだから、どうしてそんなに早いのかって聞いたら、『碧ちゃんの初めての朝ご飯だから』だってよ」 うわ、なんか素直に嬉しいかも。 でも赤音さん、それは違うと思う。 「それ多分、琥珀くんの事が気になって眠れなかったんじゃないかな」 「あ、それビンゴかも。じゃあさ、今日お前小町も買い物連れてってやれよ。絶対喜ぶからさ」 「ビンゴじゃありませんっ」 頬を染めた小町が間に入ってきた。 手にはフライパンが握られていた。 ほう、今日はスクランブルエッグか。 「くだらない妄想は止めにして、朝ご飯にしましょう」 「くだらない? じゃあ小町、今日は買い物行かなくてもいいのか?」 「…………」 「顔に出てるぞ、お前。『本当は会いたくってたまんない。いやーん、超るんるんっ!』って」 「……行きます、買い物」 赤音さん、ちょっと虐めすぎ。 朝のメニューは、トーストに焼きベーコン、スクランブルエッグ、コーヒーだった。 予想してたのより、かなり豪華だった。 あと、小町はやっぱり料理が上手だった。 スクランブルエッグという、卵をぐちゃぐちゃにしただけの料理にも、才能がにじみ出ていた。 「蒼太くん、これ、どこで手に入れたの?」 私はベーコン達を指さしながら聞いた。 「あれ、見てなかったの? 琥珀くんにもらう紙袋には、生活に必要なもの諸々が入ってるんだよ」 「あ、そうだったの?」 てっきりパンだけかと思っていた。 「それと、もうやり方は分かったと思うから、今日から僕、ついていかなくていいよね?」 「うん。小町ちゃん、一緒にいこうねっ」 「はい!」 「ほら、るんるん気分じゃんか」 「赤音さん、虐めすぎ……」 46: 名前:みるみる☆03/24(火) 08 48 30 ◆ 「いらっしゃいませ」 昨日も感じた、明るい店内の雰囲気は、変わっていなかった。 「こんにちは、琥珀さん。今日はスペシャルゲスト付きなんだよっ」 そう言って私は、さっきから私の背後にぴったりとくっついていた小町を引きずり出した。 「お、お久しぶりです……」 俯いて、耳まで赤くして、やっとそれだけ、小町は呟いた。 「その声……」 「はい、えっと、名前は私が付けたんだけど、小町ちゃんです! あなたの恋人!」 琥珀さんは、しばらく呆然と小町ちゃんを見つめていた。 信じられない、と今にも言いそうだった。 「小町……」 「はい、小町です」 「会いたかった……」 白く長い指がのびてきて、琥珀さんは、ぎゅっと小町ちゃんを抱きしめた。 小町ちゃんは、固まって動けなくなってしまった。 見てるだけで全身が痒くなるほどの純愛だった。 なんか、私邪魔者みたい。 「じゃあ、私先に帰ってますんで!」 私は紙袋を手に持つと、さっさと店を後にした。 47: 名前:みるみる☆03/24(火) 08 55 01 すみません……「小町」だったり「小町ちゃん」だったり、書き方がばらばらになってしまっていました。 「小町ちゃん」で統一したいと思います。 最近ミスばっかり……そろそろ呆けてきたのかな← 49: 名前:みるみる☆03/24(火) 12 57 36 48高坂 陽様 読みやすいですか!?うわぁ、嬉しいです♪ 私が今まで書いていた小説では「読みにくい」ってコメントがあったので、読みやすくするのが今回の目標ですw 改行の加減が分かんないんですよね; あげありがとうございます! ◆ 「はぁ? 置いてきたの?」 「うん。何か、らぶい雰囲気だったから」 「そりゃ居づらいね」 「でしょ?」 帰ってきて、赤音さんと蒼太くんに事情を話した。 蒼太くんは笑顔でうんうんと頷いていたが、赤音さんは何か浮かれない顔をしていた。 「ん、赤音さん、どうしたの?」 「んにゃ、何でもない」 「赤音、恋人がいないから嫉妬してるんだね」 「してねぇよ!」 赤音さんは蒼太くんを睨み付けた。 ああ、成る程、そういうことか。 その美貌ならすぐに恋人ぐらいできそうだけど。 「まぁ、今日は帰ってこないだろうな」 「え?」 「蜜夜だねぇ」 「だから笑顔でそんなこと言わないで!」 そうかぁ、5年ぶりだもんな。 でもちょっと想像できない。 2人とも優しくてふわっとしてるもん。 「で、晩ご飯は碧ちゃんが作ってくれるのかな?」 「あ」 50: 名前:みるみる☆03/24(火) 16 17 15 ◆ しばらくの間、私は琥珀くんの腕の中にいた。 肩から伝わってくる温かさが、5年という歳月をゆっくりと溶かすようだった。 「あの、恥ずかしいです」 「あ、ごめん」 腕がほどけ、幸せな束縛から、私は解放された。 「ちょっと、父さん! 今日は店番休むから!」 店の奥の方に彼が声を掛けると、「おう」と低い声が帰ってきた。 「ちょっとあがっていけよ」 「あ、いいんですか?」 「いいに決まってるだろ」 琥珀くんに付いていって、一旦店の外に出て、すぐ隣にある家に私達は入った。 彼の家だ。 「あの――」 「大丈夫だよ、母さんはいないから」 良かった。 あの人がいたら、私はどうなってしまうことだろうか。 もう一生、彼に会えなくなるかもしれない。 どうして家にいないのかは聞きそびれたが、そんなこと、私は知ろうとも思わなかった。 2人で、大きなソファーに腰掛けた。 私は、大きくて重いコートを脱いだ。 少しだけ、彼がどう反応するのか、怖かった。 「……本当に、真っ黒になったんだね」 そう呟く彼を、私は改めてまじまじと見た。 5年前と、全然違う。 声も、体も、すっかり大人になってしまったようだ。 でも、優しそうな瞳と、「茶色」は変わらない。 私と違って。 「何か、もう『女の子』じゃなくなったね」 「琥珀くんこそ、別人みたいです」 「それ、褒めてる?」 「秘密です」 「えぇ、何それ」 拗ねた顔の彼を見て、思わず笑ってしまった。 彼も、つられて笑顔になった。 17歳の彼の笑顔。 それは5年前と全く変わっていなくて。 懐かしいような、悲しくて嬉しいような、複雑に絡みあう思いを止めることが出来なくて。 それは涙になって溢れた。 笑顔から急に泣き出したので、彼は驚いたようだった。 しかし、それさえもぼやけた視界の中では見ることが出来なかった。拭っても拭っても、溢れる思いは止まらなかった。 代わりに、さっきのように抱きしめられたのが分かった。 「ずっと、ずっと……会いたかったんですっ……」 「うん」 「寂しかった、んです……」 「うん」 「今、死にそうなくらい、嬉しいんですよっ……」 さっき、恥ずかしくて言えなかったことが、次から次へと言葉になって、こぼれ落ちる。 「うん、僕もだよ」 「っ――!」 声は漏らさないようにして、静かに私は号泣した。 52: 名前:みるみる☆03/24(火) 19 10 24 51流華様 大量更新してみました;新生活で、4月からは忙しくなりそうなので、今のうちに更新です♪ 幸せシーンを書き慣れてないので、見ていて不快になられるかと思います。本当、書いてて全身の肌が粟立っちゃいます。 私に文才を分けてください。本気で← 今からちょっとずつ慣れていきたいです♪ 赤音は多分、ただ羨ましかっただけでしょうねw 57: 名前:みるみる☆03/25(水) 16 45 29 53a様 すみません……だんだんらぶくなってきてるので、もうすぐかと…… 54流華様 おお、ではいろんなことが起こっても大丈夫だと言うことですね! 新生活って言ってもそんな大したことじゃないですw 更新ペースは遅くなると思いますが、放置はしませんので! 56なお様 ま、毎日ですか!? それは嬉しいです♪ 文才はありません、妄想力だけですねw← お褒めの言葉ありがとうございます! はい、頑張ります∀ ◆ 「ぇおぅっ……」 「うん、なかなか個性的な味だね」 「小町ちゃん、帰ってきて……」 只今、私達3人は夕ご飯の最中です。 赤音さんは、ひとくちスープを啜っただけで、食べるのをやめた。 蒼太くんは、にこにこと笑いながら、スープを飲み干した。 「お前、味覚死んでるんじゃねぇの?」 「まあまあ赤音、臥薪嘗胆だよ」 「別に、苦労してまで手に入れたいものなんて無ぇよ!」 2人の漫才みたいな会話を遠くに聞きながら、私は、改めてお母さんのありがたさを感じていた。 ああ、ちょっと帰りたくなってきちゃったかも。 「そういえばさ」 食事をやめたことで手持ち無沙汰になった赤音さんが、唐突に切り出した。 「小町、泊まるんなら、琥珀んところだよな」 「うん、まあそうだろうね」 「大丈夫なのか? あの母ちゃん」 何のことだろう。 「お母さん? 琥珀さんのお母さんが、どうかしたの?」 「言ってなかったっけな。琥珀の母ちゃん、差別に敏感なんだよ。だから小町、酷い目に遭ってないかなぁって思ってさ」 「赤音、友達思いだね。いいことだよ、うん」 「うっせぇ!」 そうなんだ。 あの温厚な性格の琥珀さんに、そんなお母さんがいたなんて。 もしかして、ここに逃げてきたのも、その人の影響があったんだろうか。 黒い髪の毛が生えたとき、小町ちゃんはどう思ったんだろう。 自分から、あの場所を離れたんだろうか。 「まあ、琥珀くんがいるなら大丈夫じゃないかな? 彼も、もう子どもじゃないし」 「そだな」 ◆ 「落ち着いた?」 「はい、ありがとうございます」 泣きやんだ私に、彼はホットココアを持ってきてくれた。 一口飲むと、みぞおちのところに温かい膜が広がっていくような感じがして、心地よかった。 「美味しいです。でも……」 「でも?」 「見られてると恥ずかしいです」 「あ、ごめん」 恥ずかしげに頬を染めて、彼は向こうを向いてくれた。 彼の背中を見ながら、私はもう一口、ココアを飲んだ。 大きい背中。 本当に、大人になったんだな。 悲しさは、すっかり涙になってこぼれ落ちてしまって、今私の中にあるのは、もういちど会えたという喜びだけだった。 だからちょっとハイになっていたのかもしれない。 普段の私なら絶対にしないだろう。 本当に、自分でも驚くぐらい突発的に、それは起こった。 58: 名前:みるみる☆03/25(水) 17 02 59 「本当に美味しいです」 「それはどうも」 「琥珀くんも飲みますか?」 「あぁ、うん――」 彼がカップを受け取ろうとして、こっちを向いた。 私は、その整った形をした唇の端に―― キスを、した。 「っ……」 彼がカップを持っていたなら、それは落とされて割れていたかも知れない。 びっくりしたまま、人形のように動かなくなってしまった。 端整な顔立ちだから、本当に人形みたいだ。 「甘かったですか?」 そんな彼に向かって、私はべぇっと舌を出した。 自分でも、信じられない。 本当に、こんなことをしたのは初めてだ。 まるで、酒にでも酔ってしまったかのよう。 「……ああ、もう」 ところが彼は、怒ったように私を睨み付けた。 からかったのが、いけなかっただろうか。 悪戯が、過ぎただろうか。 高揚した気分が、一瞬で冷えた。 「我慢しようと思ってたのに、さぁ」 「え――」 あまりに突然だったので、目を閉じる暇もなかった。 ソファーに背中が着いたのと、唇が塞がれたのは同時だった。 持っていたカップが、派手な音を立てて床に落ちた。 59: 名前:みるみる☆03/25(水) 22 17 36 彼の口が角度をずらして、舌は奥に入ってきた。 どうしよう、私、キスの仕方も知らない。 と言うか、これ、口が完全に塞がれてる。 「――っ、――っ!」 やめて、と言いたいのに、これじゃあ伝わらない。 足をばたばたさせても、それは同じだった。 慌てて、舌を押し返そうと頑張ってみたけど、かえって舌を絡める結果になってしまった。 やっと彼が離してくれた時、私は息も絶え絶えだった。 「だ、大丈夫?」 「息がっ、肺が、限界、です」 「息、してなかったの?」 「え? そんなこと、でき、るんですか?」 「鼻を使えよ」 「すみません……何も知らなくて」 ああ、本当に死ぬかと思った。 無知は本当に恐ろしい。 息が正常になるまで、彼は待っていてくれた。 「……ゆっくり、覚えていけばいいよ」 「はい」 て言うか、お前がいろいろ知ってたら嫌だなぁ、と彼は呟いた。 61: 名前:みるみる☆03/26(木) 08 56 25 60ピータン様 ぎゃー! 嬉しいです、最高の褒め言葉です! まだまだしょぼいですが、たまに見に来てくれると嬉しいです♪ あと、これからは何度も書き方(視点)が変わっちゃうと思います。読みにくかったら言ってください; どうしよう、濡れ場書けない← ◆ 今度はゆっくり、深くキスをした。 落ち着いてみれば、ちゃんと息をすることが出来る。 私も一応、ちろちろと舌を動かしてみたけど、うまくいかなかった。 「……んっ……」 歯茎をなぞられると、くすぐったいような変な気持ちになり、くぐもった声が出た。 「ココア味だ」 唇を離した彼が、そう言った。 「そうですか?」 「ちょっと甘すぎたかな」 彼は照れたように笑って、またキスをした。 手が、お腹を伝って入ってくるのが分かった。 「あの、すみません」 「ん、何?」 「無いんです、胸」 「最初から分かってたよ」 「胸ばっかり見てたんですか? 変態です」 「そんな訳ないだろ」 「冗談ですよ」 怒った顔の彼に、私はそう言った。 「服、上にあげてて」 まくし上げられた服を、私は噛んだ。 普段、外気に触れるところのない部位なので、ひやりとした。 指が這う。 パン屋というだけあって、決して柔らかではない指が動くだけで、私にはかなりの刺激になった。 でも、声を出すことは恥ずかしかったので、服をさらに強く噛んで、それに耐えた。 口でされるまでは。 「! ひゃっ……」 いきなりの刺激だったので、その拍子に服が口から離れてしまった。 指とは全然違う、舌の感覚。 愛撫された後も、そこはひやりとして、それだけで私は混乱してしまいそうだった。 「声、我慢しなくていいよ」 「だって、っ……」 恥ずかしい、とまでは言えなかった。 下の方に、冷たい指を感じたから。 「ちょっと……!」 展開が早くて、ついて行けなさそうになる。 「ごめん、余裕無い」 そんなこと言われたって、私の脳の回転も、そろそろオーバーヒート気味だ。 62: 名前:みるみる☆03/26(木) 11 53 11 誰にも触らせたことなんて無かった。 自分でも、罪悪感からか、することが出来なかった。 だから、肌着の中に入ってきた手に驚くと同時に、羞恥で顔に血が上った。 「っ!」 反射的に足を閉じようとしてしまう。 指はうごめいて、小さな突起に辿り着いた。 「――んんっ!」 腰が引けてしまうくらいの、強い刺激だった。 ああ、もうそろそろ駄目かもしれない。 理性とか、自制心とか、羞恥とか―― そんなものは、どこかに飛んでいってしまうかもしれない。 彼は、なおも執拗にそこを責め立ててくる。 「ぁあっ、そこっ、嫌……っ」 「嫌?」 「やめて、くださっ、何か、変ですっ」 快感の波に、溺れそうになる。 必死に、彼の肩を掴んだ。 「何か、来るっ……」 足が、自然と突っ張る。 膝が、笑っている。 「小町、」 彼の声しか聞こえない。 彼の瞳しか見えない。 もう、もう―― 「ん、――――っ!」 精一杯我慢した声が、これだった。 一気に、力が抜けた。 体が、もの凄い勢いで酸素を求めている。 鼓動の音が、耳でうるさく響いた。 彼が、やっと手の動きを止めてくれた。 「止めてって、言ったじゃないですか……」 「ごめん、なんか、可愛かったからさ」 可愛いなんて、とんでもない。 見られたくないものを、見られてしまった。 「恥ずかしくて死にそうです……」 「そんなところで悪いんだけどさ、続けさせてもらって良い?」 「えっ!?」 僕も、もういっぱいいっぱいなんだ、と彼は言って、さっき私を責め立てていた右手を、私に見えるようにした。 それを見た私は、どんな顔をしていただろう。 「こっちも、大丈夫そうだし」 「!!」 いつの間に、こんな事になっていたんだろう。 彼の指の間には、細く糸を引く透明な液が付いていた。 「そんなもの、見せないでください!」 ひょっとしなくても、あなた完全にSですね、と私は吐き捨てたけど、彼は気にも留めていないようだった。 代わりに、私の中に指が入ってきた。 「!」 「うわ、濡れてるけど、きついな……」 異物感。 確かに、濡れていたから割とすんなり入ったと思うけど。 「力抜かないと、痛いよ」 そんなことを言われても、無意識に、指を押し出そうとしてしまう。 指はしばらく、深くなったり浅くなったり、色々な動きをしていた。 「……っ、ん、」 「痛い?」 「痛いというか、何か……。? ん、ふぁっ!?」 指がある一点に触れたところで、一気に下腹部が熱くなった。 「あ、ここか」 彼が何か意味の分からないことを言っている。 また鼓動が早くなる。 部屋に、水音が響く。 それが、耳さえも熱くさせる。 「小町、指、いま何本入ってると思う?」 「っ、え? に、2本……?」 その答えを聞くと、彼は満足したように指を抜いた。 「入れるよ」 「……はい」 思わず、身構えてしまった。 力抜いてて、と彼に言われてしまった。 「っ ――!」 入ってくる。 指なんて生やさしいものだった。 異物感どころではない。 内蔵が壊れてしまいそうな気分だった。 有色人種。続き2
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165: 名前:みるみる☆06/14(日) 20 56 57 163限様 私の記憶を舐めて貰っちゃあ困りますw コメントを下さった方はみんな覚えてます(多分←) そのくらい大切にしたいんです。うふw← あげありがとうございます! 164せいな様 えひゃああああ← ありがとうございます! 「すき」って平仮名で表記すると良いですよね。平仮名好きです。 言われるともっと嬉しいですよ! 感謝します! ◆ 「いやっ、離してよっ!」 まるで人間を相手にしていないようだ。 ぞく、と背筋が震える。 もたもたするんじゃなかった。 早く、ここから逃げれば良かった。 まさに後悔先に立たず。 どうしよう、蒼太君は小町ちゃんを抱えているし、となると赤音さんしか―― ああ、もう誰でもいいから。 たすけて。 「!」 私の願いが通じたのか、私の足を掴む琥珀さんの手は、青白い手によって引き剥がされた。 青白い手。 小町ちゃんだった。 目の前の、半分狂人になったような琥珀さんでさえ、私と同じ表情をしていたと思う。 動けないはずじゃなかったのか。 小町ちゃんは、ゆっくり琥珀さんの方に向かいなおった。 表情は分からない。 掴んだ手を、優しく包むように握っているのが見えるだけだ。 「琥珀くん」 細いけれど、良く通る声。 「私の方こそ、あなたを縛っていたのかもしれない。ここ数日、あなたを見ていて思ったんです。あなたは、私以外の世界を知らなすぎる。愛情に対して、あまりにも幼稚すぎるんですよ」 誰も、何も喋らない。 小町ちゃんの周りだけ、時間が動いているようだ。 「私が諦めていればそれで良かったのに、私はここから逃げておきながら、あなたを忘れることができなかった。そのときから、あなたは何も変わっていない。もうそろそろ、成長しなくてはならないんです」 だから、と言ってから、小町ちゃんは少し間をおいた。 深く息を吸ってから、また言葉を紡ぎ出す。 「あなたを束縛から解いてあげます。自由になって下さい。そして、世界に溢れるたくさんの愛を、知ってください」 私にだって分かる。 それがどういう意味なのか。 「琥珀くん ――」 できることなら、言わないで欲しい。 今すぐにでも止めたい。 でも、私に止める権利はない。 「きらい」 ずる、と琥珀さんの手首が床に落ちた。 170: 名前:みるみる☆06/24(水) 00 08 33 169夜様 ありがとうございます! 忙しいのに、本当に毎回コメント下さって;; 只今、期末考査からの逃避を謀っております← 書いたら勉強しますから。本当ですよ!? とか言いながら爆睡……。 ◆ 石畳の道を、4つのコートが歩いていく。 見ようによっては可愛くも見えるが、頭までフードをすっぽろかぶっているので、怪しい宗教団体にしか見えないだろう。 「いやいや、無事奪還って感じで」 赤音さんが最近見せなかった心から愉快そうな表情を浮かべている。 多分小町ちゃんが戻ってきたのが嬉しいんだろう。 感情と表情が癒着しているかのような現れようだった。 「それにしても、頑張ったねぇ、小町。詳しいことは、まだ分かんないけどさ」 蒼太くんが、自分と同じ色の、朝の晴れやかな空を仰ぎながら言った。 「すっきりしました」 小町ちゃんも、吹っ切れたようで、笑顔でそれに応えた。 そんな表情の小町ちゃんを見て、蒼太君は何を思ったか、両手を前に差し出すポーズを取る。 「?」 「おいで」 言われるままにする小町ちゃん。 「ぎゅう」 抱きしめられた。 「っう、ぇえ!?」 腕の中で猫のようにじたばたする小町ちゃんを腕力で押さえつけて、肩をぽんぽんとたたく。 「よしよし、頑張った頑張った」 何か、愛情表現がアメリカンっていうか……。 「あー! あーあーあー、それはあたしんだ! 返せよ!」 小町ちゃんを引き剥がして自分も抱きしめようとする赤音さん。 おもちゃの取り合いか。 172: 名前:みるみる☆06/28(日) 20 30 02 171夜様 ありがとうございます! また明日からテストです……。4日間の地獄っ;; ◆ その後、蒼太君は小町ちゃんを抱っこして、「あんまり無理すると倒れちゃうよ」と言った。 そう言えば、小町ちゃんはまともに起き上がることもできなかったはずだ。 琥珀さんとの出来事ですっかり忘れていたが、相当無理をしていたようだ。 そんなことを考えながら、お姫様抱っこをしている蒼太君の背中をついていく。 しかし、お姫様抱っこって実はもの凄く腕に負担がかかってるよな……。 小町ちゃんは軽そうだけど。 それからしばらく歩いて、やっといつもの路地に着いた。 なんだか、長い間ここに帰っていなかったような気がする。 ほんの1時間前くらいには、まだここにいたはずなのに。 小町ちゃんは深く眠っていた。 そんな小町ちゃんをゆっくりと寝かせて、私は脱脂粉乳でホットミルクを作ってあげた。 目が覚めたら、飲ませてあげるつもりだ。 赤音さんは、大きなたらいを調達してきた。 「何に使うの? それ」 「へっへっへ、風呂に入ろうぜ、風呂」 そう言って自慢げに笑う赤音さん。 一瞬、どうやって使うのか分からなかった。 「つまりだな、このたらいにお湯はって女3人温泉ごっこするんだよ! うわ、あたしって超冴えてる!」 ええ……。 この浅さで、この狭さで? 175: 名前:みるみる☆07/05(日) 15 12 40 173夜様 テスト終わりました! 長らく更新してなくて申し訳ないです。テストの結果は悲惨でしたが、まあ気にしません← 174容子様 夏休みですか、良いですねー! 7月からってかなり長めですよね。アメリカとかは2ヶ月あるって聞きましたけど。 私は8月から18日間あります。何をしようかなーw 176: 名前:みるみる☆07/05(日) 15 28 11 ◆ 「このたらいは、流石にないと思う」 「たらいかぁ、洗濯物みたいだね」 蒼太君までもが、赤音さんに突っ込みを入れた。 自信とお手柄自慢に満ちあふれていた赤音さんの表情が引き攣る。 さあ、どうする。 「ふ、ふん」 強がっている。 「じゃあさ、お前等ならどうするんだよ、あん? 風呂に入りたい、だけどバスタブがない、この状況をどう打破するってぇんだい、あ?」 精一杯威張っている。 そんな様子を見ていた蒼太君は、「ふう」と仕方なさそうに溜息をついた。 「普通の思考回路なら、たらいよりも先にドラム缶を思い浮かべそうなものだけどなぁ」 「はっ、ドラム缶じゃ3人いっぺんには入れねーだろうが」 「いや、たらいでも無理だと思う」 思わず突っ込みを入れてしまった。 て言うか、本気で3人いっぺんに入ろうと思っていたのだろうか。 窮地に追い込められた赤音さんは、今度は蒼太君に詰め寄った。 「じゃあ、お前はドラム缶3つ調達できるって言うんだな? 言ったな、おい。仕方無ぇから楽しみに待っといてやんよ。ほら、さっさと行ってきな」 なんだか滅茶苦茶偉そうだった。 そこまでして風呂に入る意味って、なんだろう。 179: 名前:みるみる☆07/16(木) 22 28 40 177高坂 陽様 ありがとうございます! 最近忙しくて、私の文才のなさが露見してますね。いや、最初からですけど; すみません、もっと頑張ります! 178夜様 ありがとうございます! 本当に更新できなくてすみません……。 ◆ 今日の出来事をただ見守っていた、ある意味残酷な日の光も、世界を赤く染め上げながら沈んでいった。 壁によって四角く切り取られた空がすっかり蒼闇色になったのを見て、蒼太くんは立ち上がった。 「よし、行こうか」 その言葉を聞いて、赤音さんと私、そして寝ぼけなまこの小町ちゃんもよろよろと立ち上がった。 向かうのは、すぐ近くにある廃棄所。 だって、この路地に3つのドラム缶を運び込むのは流石に無理だから。 羽織った分厚いコートの中に、なぜか高揚した気分がぽこぽこと弾けるようだ。 このコートも、そこに着けば脱ぐことができる。 人目につかない。 夜を選んだのは、そのせいだ。 186: 名前:みるみる☆07/25(土) 16 13 10 185夜様 ありがとうございます。焦らず頑張ります^^ ◆ 着いたのはそれはそれは荒れ果てた廃棄所だった。 鉄屑、自動車、冷蔵庫、ボートまで、いろんなものが無造作に積み上げられていて、この街の雰囲気とはかけ離れていた。 「まるで世界のゴミ箱ね」 私がそう呟くと、視界の端で赤い髪が揺れた。 「うん、あれもゴミ、これもゴミ。廃棄物同士、仲良くやろうぜ」 そう言って、赤音さんは転がっていた電子レンジを乱暴に蹴った。 横に転がり、コードやら何やら、人間で言えば内臓をさらけ出した状態のそれに、とどめを刺すように赤いハイヒールが振り下ろされる。 「そんな事してないで手伝ってよ」 少し離れたところで蒼太君が呼ぶ。 ドラム缶の3つ目を立てているところだった。 力仕事はできないので、小町ちゃんと2人で石を焼いた。 正確に言うと石は焼けないので、火をおこして石を熱した。 それを、水を張ったドラム缶に投げ入れる。 じゅわじゅわと、花火をバケツに入れる時のような音がして、少しずつ水が温まっていく。 肩が疲れてきた頃になって、ようやく水はお湯に変わった。 赤音さんも満足げだ。 「お疲れ蒼太。あんたはもう帰って良いよ」 「え、僕入れないの?」 「入れるとでも思ってたの?」 うわあ……。 蒼太君におおいに同情した。 まあ、入浴するから仕方ないとも思うけど。 空には一番星が出ている。 192: 名前:みるみる☆08/02(日) 15 03 58 ◆ 青く寂しそうな背中が去っていくのを見て、私達はコートを脱いだ。 今まで外でコートを脱いだことはなかったので、何だか新鮮。 「ひゃっほう!」 赤音さんが早速ドラム缶にダイブ。 エナメル地のような赤い服は脱がなかった。 「赤音さん、服は?」 「脱ぐわけ無いだろ! みんなも入って入って!」 私は自分の服を見た。 制服なんだけどなぁ……。 プリーツとか、もう結構とれかけなのに完璧駄目になっちゃうじゃん。 そんなことを考えているうちに、小町ちゃんは赤音さんとは対照的に、非常に女性らしい動きで「とぷん」とお湯に浸かった。 「なあ、気持ちいいだろ?」 「はい、服の汚れも取れます」 ああ、そういう考えもあってのことだったのか。 もういいや、制服なんて改造しまくって原型あんまりとどめてなかったし。 ドラム缶に足をつけると、少しぬるめのお湯が私を包み込んだ。 「ぅああー……」 「うわ、碧おっさんみてー」 気分が良いのでここは言い返さなかった。 197: 名前:みるみる☆08/05(水) 13 35 06 気付かないうちに、空には満天の星が輝いていた。 あの四角く切り取られた黒い闇とは別のもののように思われた。 そう言えば、自分の住んでいる街に比べると、ここは極端に車の数が少ない。 この空気の透明度はそのせいかもしれなかった。 「お湯、見て」 赤音さんが言ったので水面を見ると、金箔を散らしたように星がゆらゆら揺れていた。 夜空に自分が包まれている錯覚に陥る。 「う、わぁ……」 「綺麗ですね」 小町ちゃんの声が震えていたので、心配になって横を見た。 水面に、ぽたぽたと涙が散っていた。 「ぎょっ」と効果音が出るほど私は驚いて、狼狽した。 どうしよう。泣いてる人の慰めかたってどうしたらいいの? 自分だったら放っておいて欲しいけど、小町ちゃんがそうとは限らないし。かといって下手に慰めても逆効果かもしれない。 それに、この涙は「お化けが怖い」とか、そんなに安いものじゃないはずだ。 結局どうすることもできずに、私はドラム缶の中で洗濯機のようにぐるぐる回った。 情けない。 「ん?どうかしたのお前、おい、小町」 ぴたり。 洗濯機、一時停止。 なに直球聞いちゃってんの赤音さん! 198: 名前:みるみる☆08/07(金) 「え、何がですか?」 小町ちゃんがとぼけてみせる。 しかし赤音さんには通じない。 「お前、泣いてる?」 「泣いてないです」 「嘘つけ、ぜってー泣いてる」 「泣いてないですってば」 「この夜空に感動したってか。あーやだやだ、この子って本当に純粋なのねぇ。ぴゅあぴゅあの真っ白しろじゃないの。おねーさんは背筋が凍るくらい感激するわよ、企画したあたしに感謝しなさい?」 なにその言葉遣い……。 しかし、指を唇に当てているだけなのに、どうしてそんなに妖艶なんだろう。 爪が赤いのが手伝っているのだろうか。 「違います。ちょっと自分が情けなくなったんです」 小町ちゃんが薄い桜色の唇を尖らせて言った。 泣いたのを間接的に認めてしまっている。 「情けない?」 その問いかけに応えるまで、いくらかかかった。 「自分の我が儘が、あのひとを駄目にしたんです」 そんなことを、小町ちゃんは今朝も言っていた。 小町ちゃんが我が儘なんて、私の我が儘に比べたら零に等しい。 私は、傲慢なお姫様気取りってところだろうか。 「信じて貰えないかもしれませんが、彼は本当はいい人なんですよ? 一途で真っ直ぐで、曲がったことが大嫌い。そんな彼にさよならも言わないで逃げたのは私です。彼は、何年も私を待っていた」 帰ってくると信じて。 他のものなど、目に入らなくて。 自分を、過去に留めたまま。 「私が帰ってきて、どうしていいか分からなかったんだと思います。彼は大事なものを大切にすることさえ分からなかったんです。自分のやっていることが正しいかどうかさえ、彼は分からなかった」 水面の星が、波紋で揺れている。 「私が逃げなかったら、事態は変わっていたかもしれない。さよならを言っていたら、彼の時間は止まらなかったかもしれない。私の体が、こんな風にならなかったら――」 磁器のような白い指が、漆黒の髪の毛をむしり取るかのように引っ張っていた。 202: 名前:みるみる☆08/12(水) 01 01 59 199夜様 もう本当に何回もありがとうございます; 早く夏休みが終わって欲しいです。夏休みの方がきついです……。 200manaka様 200おめでとうございます! 私の中で200は初めてかな? 皆さんのおかげです。冗談じゃなく。 ◆ 「気にすることないと思うよー?」 突然、この3人では絶対に出せない低い声が響いたかと思うと、小町ちゃんの肩に青い爪の指が巻き付いた。 「っ……!?」 3人とも目を見開いて、絶句した。 嘘、いつからここに? 赤音さんの服を脱がない方針がこんな事で役に立つなんて! 「あのねぇ、小町はちょっと考えすぎ。背負い込みすぎ。そんなことばっかり考えてたら、この髪全部白髪になっちゃうよ? 小町が諦めて琥珀くんと別れたとしても、あいつなら絶対未練たらたらだったと思うし、成長がないのはあいつのせいじゃん」 いきなり説教。 しかし、登場の仕方はともかく、蒼太くんは私の考えていることを見事に言葉に変換してくれた。 語彙って大事。 「あのさぁ、格好良いこと言いたいのは分かるけど、お前の登場に対する突っ込みのタイミング逃しちまったぞ。お前あっち行ってたんじゃないのか、ずっとここにいたのか、ったく、男子禁制なのに」 呆れたように赤音さんが言う。 それに対して蒼太くんは「そこはスルーで」と笑った。 小町ちゃんの涙は、びっくりした拍子に止まったようだ。 それよりも、濡れた服の上に巻き付く腕を、むずがゆそうにしていた。 207: 名前:みるみる☆08/20(木) 00 15 29 204夜様 あげありがとうございます! 読み返してみると何だか文字の羅列で、もう二度と読み返したくはない感じです← ああ、誰か文才を分けてください…… しばらく来られない間にちょっと荒れちゃったみたいですけど、気にせず行きましょう! ◆ 「っぐしゅっ!」 変なくしゃみが出た。 少し風邪気味かもしれない。 というのも、あの後、びしょびしょの服のまま路地に帰ったのだ。 赤音さんはタオルを忘れるという初歩的にして決定的なミスを犯してしまった。 気付かなかった私も悪いのだろうけど、もうちょっと考えて欲しい。 恨めしい目線を赤音さんに送ってみたが、本人は全く気付かない様子で、食料の入っている箱をまさぐっていた。 ばりばりと、プラスチックがこすれる音がする。 「あ、やべえ」 音が止むと共に、赤音さんの少し強ばった声。 「どうしたの?」 「食料がない。パンがない。何もない」 「あー。調達しようかと思ったけど、琥珀くんの家には行けなくなっちゃったからねー。どうしよっかなぁ、ん、んんん」 のんびりした口調だけど、言っていることはとても深刻だ。 そうか。 忘れていたけど、琥珀さんの家以外に、私達を受け入れてくれるお店って、あるのだろうか。 213: 名前:みるみる☆08/26(水) 23 48 51 思い立ったらすぐ行動。 但しやる気がある時のみ。 「そんな私、結構好き」 がば、と隣の赤音さんと小町ちゃんを起こさないように、それでも素早く起き上がった私は、朝の冷たい空気に自賛の言葉を浮かべた。 昨日寝る時から、赤音さんの言っていたことが気になって仕方がなかったのだ。 パンがなければケーキを食べればいいのに。 そんないつぞやのお姫様が言ったことを頭に思い浮かべ、世界は本当に不公平だと思った。 「赤音さん、私行ってくるね」 と、髪を手ぐしで解きながらコートに手を掛けた。 自分も、この人達の為に何かしてあげたい。 赤音さんみたいに大人じゃないし、小町ちゃんのように賢くもないし、蒼太君みたいに力があるわけでもない。 それでも、私ができることならなんだってやる。 「職を探して、三千里」 自分で言って、少しだけ笑った。 216: 名前:みるみる☆08/31(月) 20 21 35 214夜様 まとめますね。何度もあげありがとうございます! ◆ 朝の街というのは、静かなのにそわそわしていて、自然と自分も早歩きをしてしまう。 夜の間に星空に冷やされた空気は頬をぴんと張らせる。 そんな私を悠然と眺めるように、朝焼けはレンガ道を照らすのだ。 「さて」 頭の中に何となく詩的な言葉を連ねたが、そう長く現実逃避してはいられない。 なにせ、こちとら4人の胃袋がかかっているのだから。 有色人種。続き6
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73: 名前:乃愛☆12/28(月) 18 28 04 でぃあ*玖羅さま 評価ありがとうございましたッ!! キュンキュンしちゃってますかぁ~えへへ((← 結夏ちゃんは結構のほほ~んてしますんで、 書いている乃愛自身も癒されちゃってますw 庵蓮くんは、はい…もう…ねぇ((は/ あ-、雄輔くん派ですかぁ♪ 可愛い系が好きだなんて…うふ❤((キモ/ はいッ、更新頑張ります!! ---------------------------------------------------- 啓斗Side 本当はだるくなんかなかった。 ただ……結夏と距離を置いておきたかっただけ。 あんなことを言う結夏のそばにいたくないんだ。 “あたしと庵蓮くんはただの席が隣ってだけだよ!!” この結夏の言葉だけが、俺の頭の中を支配している。 「 どしたん?啓斗 」 俺の顔を覗く相川の顔。 こいつ…何で俺のこと呼び捨てにしてんだよ。 つか、何どさくさに紛れて腕絡めてるんだよ。 「 ……別に 」 俺はどうでもいいような顔を浮かべて ふいっとすぐに目を逸らした。 「 きゃッ!! 」 相川の小さな叫び声と共に 絡めていた手の方がグンッと下に引っ張られた。 「 !? 」 俺は声にならない驚きを隠しつつ床に座ってしまった。 隣には何故か涙目の相川の姿。 はぁ……何かめんどくせぇ。 俺は1人になりたかったのに、何でこいつが来るわけ? 俺は相川の方を見ずに深い溜息をした。 「 ねぇ……啓斗 」 「 あ? 」 嫌々振り向くと、頬には冷たい手の感触。 相川は俺の頬を触りながら近づいてくる。 「 あたし…あたしね、啓斗のことね…好きなの 」 はぁ!? こいつの言っていることが理解できねぇ。 「 何言って…「 黙って… 」 相川は俺の気も知らずに唇を近づけてくる。 俺は結夏がっ……。 ガタッ 「「 !? 」」 俺と相川は音のするほうを見る。 そこにはゴミ箱を動かしてしまった結夏の姿。 「 あ……何だ、そっかぁ…… 」 「 結夏? 」 「 あたし1人だったんだね……… あたし1人で舞い上がって、勘違いしてたんだね…… 」 結夏の大きな瞳からは大粒の涙。 下唇を強くかみ締めて拳にも力が入っている。 「 違っ……!!誤解だよ、結「 言い訳なんていらない!! 」 結夏は耳を塞いで左右に何度も首を振っている。 「 もういいよっ!!庵蓮くんなんか大ッッッ嫌い!!! 」 74: 名前:乃愛☆12/29(火) 08 29 24 啓斗Side 結夏は溢れる涙を拭かずに走っていってしまった。 今すぐ涙を拭いてあげたい……。 でも……足が床にくっついたみたいに離れない。 これは、俺の意思なのか…? 「 可愛いなぁ、あんなに転ぶぐらい走っちゃって 」 さっきまで何も言わなかった相川がクスクスと笑って結夏を見送っている。 「 お前ッ……… 」 お前のせいで、結夏とまた…… 俺は相川を睨むと近くにあった保健室に入った。 保健室には誰もいなく、俺はすぐにベットに入った。 疲れていたのか、見えていた天井が見えなくなっていった―……。 「 庵蓮くんは蕾さんのこと好きだったんだね…… 」 「 違うよ、結夏… 」 結夏は俺の前でまたぼろぼろと泣いている。 今度こそ……俺の手は結夏の頬へと近づいていく。 「 なぁに、キス? 」 目の前にはにっこりと微笑む相川の姿。 「 なッ……何でお前ッ……… 」 「 また………あたしを裏切るんだね 」 相川の後ろから悲しそうな顔をしている結夏の姿。 冷たい―… 結夏……お前今泣いてるのか? 「 結夏ッ!! 」 俺は、ハッと我に返って目を覚ます。 見えるはずの天井は見えない……。 代わりににっこりと微笑んでいる………相川の姿。 「 相川……… 」 「 飲みます? 」 涙だと思っていたものは缶ジュースからのしずく。 「 ……いらねぇ 」 むすっとしている俺の顔を見てクスクスと笑う相川。 そのクスクス笑い……気に入らねぇ。 77: 名前:乃愛☆12/29(火) 16 51 41 でぃあ*藍華さま はじめから読んでいただけるなんて嬉しいデスbb* お……面白い!?∑、 まぢでアリ(●´・ω・)(●´_ _)ガト♪ はい、更新頑張りまぁすw でぃあ*まひろさま はじめから読んでいただけるなんて嬉しいッ☆ 超ついちゃいますか!?えへへWW 更新頑張ります⇒ ---------------------------------------------------- 結夏Side 庵蓮くんと蕾さんがキスしようとしているところを見てから少し経って…… あたしは、授業を受ける気にもならなくて帰ることにした。 鞄を休み時間の間にこそっと取りに行き昇降口まで小走りで向かった。 自分の靴箱を見ると何か紙が入っていた。 何……? 紙を見ると、内容はこうだった。 ----------------------- to 今村 結夏様 はじめまして。 今日、体育館の裏庭で待ってます。 時間はいつでもいいです。 あなたに会いたいです―… ------------------------- ………何、これ。 もしかして…… もしかして…… 裏庭に呼び出されていじめ!? や、やだ……。行かないほうがいいよね? ……行かないほうがいい、んだよ…ね? でもでもッ!こうゆうのって行かないとヒドいことされないかな? 相手の人は待ってるんだし… 行ったほうがいいね! ちょっと怖いけど…、一応学校内だし叫べば大丈夫だよね。 あたしは心の中で結論を出すと、 さっそく靴を履いて裏庭に向かった。 「 今村さん? 」 裏庭に着くと後ろからいきなり名前を呼ばれた。 恐る恐る振り返るとそこには……チャラ男。 「 あ、はい…… 」 あたしはにっこりと作り笑いを見せた。 すると相手の人はにっこりと可愛く微笑んだ。 「 良かったぁ!手紙、見てくれたんだ!! あ、俺…竹林隆司。知ってる? 」 あたしは何も言わずに首を左右に振る。 男…隆司は“そっか”と少し残念そうな顔を見せると、 すぐにまたにっこりと可愛らしい笑みを見せてきた。 「 ね、俺…今村さんのこと好きなんだけど… どう?良かったら付き合わない? 」 「 え!?あたし? 」 あたしの大きな声にびくともせずに隆司はこくこくと頭を上下に振る。 つ……付き合うとか。 マジ有り得ない…。 「 あ、あたし……その、隆司さんのことよく知らないし…。 だから、あの…ごめんなさいッ! 」 「 ……チッ… 」 え……? あたしの言葉の後になった舌打ちの音。 隆司さんを見ると何故かニヤニヤしている。 「 あの、じゃあ…あたし帰ります! 」 あたしは嫌な予感がしたので、お辞儀をして 小走りでその場から去ろうとした。 「 待てよ!! 」 「 きゃっ! 」 右手をグイッと強く引っ張られ、あたしは学校の壁に追い詰められた。 隆司さんはあたしの体をジロジロと見てくる。 「 なぁ……俺の女になれよ 」 「 はッ!?だからそれはお断…んッ…ふ… 」 言葉をさえぎられるようにあたしの唇は隆司さんに奪われた。 まとわりつくようなキス。 口を開けてはいけない……。 「 んん~…あッ!!ん…ふぁあ… 」 あたしの胸元に違和感を感じ見てみると制服の中にすでに手が入っていた。 思わず口を開けてしまいその瞬間を待っていました、とでも言いそうな顔をしている隆司さんに舌を入れられてしまった。 長い長いキスの後―… あたしは肩で息をしながら、隆司さんを睨みつけた。 隆司さんはくすっと悪魔のような笑みを浮かべた。 「 お-、可愛い子の睨みはいいねぇ。 すっげぇ、そそられる…… 」 「 くっ…!! 」 78: 名前:乃愛☆12/29(火) 17 09 02 「 こんなことしていいと思ってンの!? 思いっきり大きい声で叫びますよ!! 」 すると隆司さんはくっと微笑むと、 あたしの体を見て、 「 別に叫べばいいじゃん。 その格好…みんなに見られるけどな 」 気づけばあたしの上半身は裸。 ブラも制服もすべて、隆司さんの後ろに捨ててあった。 「 やだっ…!! 」 あたしは腕で胸元を隠し、また隆司さんを睨みつけた。 「 隠すなよ…どうせ、これからヤるんだし? 」 「 何言ってんの!?…あんっ! 」 隆司さんはあたしの睨みを気にせずに乳首を強くつまんできた。 「 へ~え…結構可愛い声出すんだな 」 そういいながら隆司さんの手はすばやく動き出す。 右手はあたしの右胸をいじって、 左手はすでにあたしのあそこを探り始めてる。 マズい……このままじゃやられる!! あたしは今更自分の身の危険に気づき始めた。 今、隆司さんはあたしの体に夢中なんだし…チャンス!? 手を動かそうと後ろに回っていた腕を動かそうとした。 「 いっ…!! 」 気づけば、あたしの腕は結ばれていた。 「 ふふっ…もっと暴れろよ 」 笑っているけど目は笑っていない。 「 あっ…あんっ!…やめっ… 」 「 止めて?体は止めて欲しく無さそうだけど? 」 いつの間にかあたしのあそこに顔を埋めている隆司さん。 あたしのクリトリスだけどいじり続けて反応を楽しんでいる。 「 …そろそろだな 」 隆司さんはボソッと何か呟くとズボンのベルトを外し始めた。 まさか……!! 体中の血が引いていくような感じがする。 隆司さんのモノを見て、さらに恐怖は上回った。 「 やだっ…止めて、許してっ… 」 あたしの目からはたくさんの涙。 首を左右に何度も振りながら泣く。 「 今更?無理無理、だって俺の…あんたのに入りたいって言ってるし 」 そう言いながらあたしを壁にくっつけて、 バックから入れようとしている隆司さん。 ズブブブ…… 「 あああああッ 」 体をそらして叫ぶあたし。 そんなあたしの髪を掴んでパンパンと腰を動かす隆司さん。 いつしか望んでないような声が出るようになった。 「 あっあっあっ…あんっ… 」 83: 名前:乃愛☆12/30(水) 18 22 57 でぃあ*藍華さま 初めから読んでいただけて嬉しいです! て、天才ですか!?!?そんなことないですよおv 本当ですか!?も-、是非って感じでs…((殴/ 結「 大丈夫じゃないですよお~、助けてください! 」 でぃあ*苺さま お久しぶりです^^ はい、も~大変ですよッ。 でぃあ*亜蝶さま 続き気になりますか? これから更新しますね! でぃあ*まひろさま はい、も~結夏ちゃんモテ子なんで大変なんですよ? 続き気になりますか? 有難うございます、頑張ります^^ ---------------------------------------------------- 「 言っとくけど、謝んないから俺 」 肩で息をして倒れているあたしに向かって放った言葉。 何も言わないあたしを見てふっと鼻で笑うと、隆司さんは歩いて何処かへ行ってしまった。 ………何だったんだろう。 あたしは全裸のまま立ち上がり、投げ捨てられた あたしの制服と下着を身に着けて鞄を持ち学校を後にした。 「 ただいま…… 」 誰もいない家に向かって声をかける。 机の上に紙があるのを横目でみると、鞄を足元に置き手をのばした。 ----------------------- to 結夏へ 今日はママが親戚の家に行って、 パパが出張です。 お留守番宜しくね。 ------------------------- お留守番…か。 何かいいな、懐かしい。 あたしはクスッと微笑むと紙を元の位置に置き 鞄を持って階段をのぼり、自分の部屋に入った。 部屋に入ったとたんに体の力が抜けて、 制服のまま、ベットに寝転がった。 そして、目からは大粒の涙。 あたし……レイプされたんだ。 初めてでもないし、体は痛くはないけど… 心が痛い…心が痛いよ、庵蓮くん……。 はッ!違う、庵蓮くんのこと何か考えてない。 あたし……庵蓮くんにも裏切られたんだから。 信じれる人が……誰もいない。 「 ふえ…庵蓮くぅん…ヒック 」 自然と出てくる庵蓮くんの名前。 認めたいのに認められない。 どうしたらいいの? どうしたら………。 ♪~♪~♪~ タイミングよくあたしの携帯が鳴った。 あたしは涙を制服の裾で拭くと、鞄から携帯を取った。 「 はい… 」 《 結夏!?やぁ~っと出たよ 》 電話の先には安心したかのような声を出している、優莉。 何で……優莉があたしに電話を? 《 聞いた…聞いたよ、庵蓮くんから 》 何も言わないあたしを心配したのか、 溜息混じりに優莉は言った。 「 ふッ……ふええ…ゆ、優…莉ぃ… 」 《 えッ?ちょ、結夏!? 》 優莉の声を聞いて安心したのかあたしは電話越しに泣き始めた。 《 何があったの? 》 「 ひっ…う… 」 言えない… 言えないよ… あたしは何も言わないでただ泣いていた。 そんなあたしに優莉は優しく声をかけてくれた。 《 電話じゃ言えないこと? 言えないんだったらいいよ…? あたしは無理に聞こうとは思ってないから…。 》 優莉……。 「 あッ…あした…ヒック…明日、話すッ…ね 」 《 うん、じゃあね 》 電話を切ると、あたしは枕を顔に押し付けて、 声を殺して泣いた。 - ピチチ…チチ… 「 ん… 」 可愛らしい小鳥の囀り。 カーテンの隙間から明るい日差しが覗いてきた。 「 朝!? 」 あのまま寝ちゃったんだ…。 制服を見ると、ちょっとしわが出来てる。 学校…行きたくないな。 でも、行かなくちゃ……。 行って…優莉に話を聞いてもらおう。 あたしは、少ししわが出来た制服を手でのばすと 全身が見える鏡を見た。 目…赤いし、腫れてる。 そりゃあ…あんなに泣いたらこうなるよね。 あたしは溜息をつくと1階におりた。 リビングには誰もいない……。 そうだ、お父さんもお母さんもいないんだ。 あたしは朝食も取らずに家を出た。 84: 名前:乃愛☆12/30(水) 18 32 38 啓斗Side 朝。 俺は目が早く覚めたので家を出た。 昨日は、相川のせいで結夏に誤解されちまった。 今日会ったらすぐに誤解を解こう。 俺、相川とは何もないよ―… 俺、結夏が一番好きだよ―… …って言わなきゃ。 色々と考えているうちに目の前に同じ格好をした女の子。 間違えるはずがない…。 あれは、結夏だ!! 俺はダッと走ると、結夏と思われる女の子の肩を叩いた。 女の子はゆっくりとこちらを向く。 ふわっ…。 その子の周りだけに桜が舞っているように見えた。 ドキッ…… 「 あ…庵蓮くん? 」 やっぱり。 俺の予想は見事的中。 「 うん 」 結夏は俺を見て驚いている。 たけど…俺と目を合わせようとしない。 何……その態度。 俺は結夏の右腕をぎゅっと掴み引っ張った。 結夏はそれでも目を合わせようとしないで、顔を背けた。 でも…俺には見えてしまった。 俺以外がつけた首筋のキスマークと、 無理やり犯しただろうと思われる手形。 「 …!?これッ… 」 「 はなしてッ!! 」 結夏は俺から避けるように掴んでいた手を振り払った。 結夏の目からは溢れるばかりの涙。 「 俺だけのプリンセス 」 続き5
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1: 名前:モネカ☆09/14(火) 21 07 17 ども~! 3作品目の{ひみつのトビラ} を書かせてもらうモネカです! ぜひみてください! スタート! 今日も放課後の教室から聞こえる…… 「1枚2枚3枚4枚…あと28枚足りな~い!」 CAST 野々村陽菜 〔ののむらひな) 内緒で漫画家をやっている。 自分を見立てた漫画を描いている。 黒川瞬希 〔くろかわしゅんき) イケメンツインズの一人。 じゃまた今度 2: 名前:モネカ☆09/15(水) 17 22 37 陽菜からの目線 「どーしよどーしよどーしよぉ!?」 あたし陽菜! 新人漫画家です! だけど恋に輝く乙女でもあるのです! でも明後日〆切りなのに28ページも書いてないんです! 「や、やばいぞ。これは史上最強にやばいぞ!」 「だれか居るのか?あけるぞ。」 3: 名前:モネカ☆09/15(水) 17 52 04 「あっ!待ってください!」 急いでかたずけなきゃ! 「どうぞ。」 「入るぞ。」 ビ、ビックリした~。 「お前今何か隠しただろ?」 「そ、そんなことありませんよぉ?」 「じゃあ手出してみ?」 「わかりました。ほら!」 ドサドサッ あ……落ちちゃった。 どうしよう。 「ほーら。なになに?」 見られちゃったぁ! 「お前漫画家ごっこしてんのか?漫画家には絶対なれないのに。」 「あ、あたしは正真正銘漫画家です! 言っちゃった……。 「マ、マジで!?」 「はい……?」 な、なんだろう? 「俺、一回だけでいいから漫画家に会いたかったんだ。」 「そ、そうなんですか……」 こんなカッコイイ人に「会いたかったんだ」なんて言われると好きになっちゃうよ~! 「握手してくれ!」「その前にこのこと絶対に誰にも言わないでください。」 「わかったから。な?」 ギュッ 暖かい……。 この気持ちは何?好きになったの? …… すきになったんだ! 「名前はなんていうのですか……?」 「あぁ。俺は黒川瞬希だ。」 瞬希くんか。 4: 名前:モネカ☆09/15(水) 17 54 08 瞬希くんのためにも頑張ろう。 続く 6: 名前:モネカ☆09/16(木) 18 30 55 ドール!>>マジで!?実はあたしも今めちゃくちゃ漫画家になりたい!頑張って! 続き ー瞬希からの目線ー 初めて会ったんだよな~。漫画家。 あいつを見てるとますます漫画家になりたくなるな。 俺はそう思っていた。 「よし!そうと思えばまず行動だ!」 俺は急いで着替え、しん●くにいった。 「あった!まずこれから買わなきゃ。」 漫画家になるための参考本を手にとってかごに入れた。 ウイーン 自動ドアをスッと通り抜けて家まで走る。 「ついたー。」 目の前には大きな平屋の家が建っていた。 その家には陽菜が住んでいる。 ピーンポーン 「は~いどちら様ですか?」 この声は確かに陽菜だった。 「俺です!黒川です!」 「く、黒川君!?何で家知ってんの?」 「まあまあそこはいいから。」 俺は決心をきめ、言った 「明日土曜日ですので原稿の手伝いさせてください!」 「お、お願いします!手伝ってくれるなら!」 やった~!俺!明日手伝えるぞ! 「じゃ、じゃあな」 照れくさいけど手伝えるならそれでいい。 続く 7: 名前:モネカ☆09/17(金) 19 50 46 続き 陽菜の目線 「今日は瞬希くんが来る日だよね……。」 わたしは緊張しまくっていた ピ~んぽ~ん 「俺だよ~!」 「……!は~い!」 ちょっとびっくりした! まず開けて上がらせるんだよね。 「上がって!」 「うん!」ギュッ 「ひゃっ!」 そんなに握られるとドキドキ感が伝わっちゃうじゃん 「ご、ごめん」 「だいじょうぶだから。」 今から原稿書くのに集中だ……! 続く 9: 名前:モネカ☆09/18(土) 09 39 31 だよね~! 迷ってんだよね~!小説家になるか漫画家になるか! っま!いいか! 続き カリカリカリッ サッサッサッ 陽菜の部屋から丸ペンの音と筆の音がまじりあう。 「つか、これどっかで見たことある女の子じゃね?」 「ギク……!」 その絵は陽菜そっくりの女の子の絵だった。」 「うーンどっかで見たことあるんだけどなー。」 「さあ?まあ私の絵ですから……」 〔どうしよう!?話をそらせなきゃっ!〕 「そんなことより原稿に集中集中!」 「そうだな!」 危なかった~! 「3枚目終了!」 「ですね~!瞬希君!」 ビビった陽菜であった……。 12: 名前:モネカ☆09/18(土) 11 10 44 「瞬希くん27枚目突入したよ~~!?」 「やったな!」 陽菜と瞬希は喜んだ。 だが2人は気付かなかった。このあと災難が起きることに… ―――――――――――― こんにちは! もう一人登場人物がふえます! 村井甜羅 〔むらいてんら〕 この子も漫画家で瞬希の幼馴染だった。 陽菜の向かいの家に住んでる。 甜羅もだれにも漫画家ってことは話していない 美少女だ 続き ピ~んぽ~ん 「はーい!」 陽菜が勢いよく開けると 村井さんがいた。 「こんにちは!さっきお母様が出って言ったから 1人かな?って思ってきたんだけど…。」 ドアの向こうに村井さんがいた。 瞬希が部屋から出てきた 「陽菜さんだ……れ?って甜羅!?」 「瞬希!?」 「瞬希さん知ってるんですかぁ!? 続く 14: 名前:モネカ☆09/19(日) 12 08 02 続き 甜羅からの目線 やっぱり……瞬希さま 15: 名前:モネカ☆09/19(日) 12 14 59 瞬希様が来ていたのね! でもあたしたちの間に邪魔ものが入りやがった! そうだ!陽菜からみて瞬希様を悪者っぽくすれば 陽菜は離れるでしょーね! あったまいい~! 「いたの!?瞬希!」 「お、おう!」 「村井さん!瞬希君のこと知ってるんですか!?」 「マ、まあ、幼馴染だからね!」 「あ、あがってください!」 「ひつれいします!」 さああたしの出番よ! 続く 16: 名前:モネカ☆09/19(日) 14 36 24 続き 甜羅からの目線 「い、今漫画を描いていたところで……。」 「気にしないでね!そういえばトランプしない?」 「うん!2階にあるから取りに行ってくるね。」 今から作戦に入んないと! がたっ ガシャン 「こ、こぼれちゃった~!どうしよう!」 かけね。さあ瞬希様はなんて言うでしょう! 「だ、大丈夫か?俺が何とかするから。」 やっぱり。私の思うとおりだわ! 「持ってきたよーってどうしたの!?インクがこぼれてるよ!?」 「俺がこぼしたんだ。」 フン!どうよ!嫌うでしょ! 「大ジョーブ!気にしないで!」 はあ!?インクがこぼれたのよ!?怒んないの!? 「じゃあ拭いたらやろっか。」 ―――――…… 「じゃあまたね~!」 これで二人っきり。 「明日瞬希くん宅行っていい?」 「おう!いいぞ!」 やった!これであなたは私のもの! 続く 20: 名前:モネカ☆09/20(月) 12 31 24 やっほ=>w< 佑香>> 来てくれたの~!? うれしー♪ これからもがんばって友でいよー! ドールもいそがしんじゃないの? なな様>> きたの!?まじ!?しかも2回!? うちすっごく嬉しいよ~!(泣) なな様が書いた作品には負けたよ^^ でも今度あたしが追い越してみせる!<<(蹴) がんばって! 続き 瞬希からの目線 今日は甜羅がくるな~ 最悪。断わっておけばよかった……。 しゅーんきくん!てーんらだよ! 来た……。うぜ~……。 「おう!あがれ!」 21: 名前:モネカ☆09/20(月) 12 43 57 「ひつれいしまーす!」 ―……… 「あのねぇ。あたしねぇ瞬希さまにぃ お話があるのぉ。聞いてくれるぅ?」 実はこいつ、おれの前だけぶリっこ口調なんだ。 うざったるい。 でも普通に返さないとやばいから…… 「いいぞ!何でも聞いてやる!」 「あたしねぇ瞬希様とぉやってみたいなぁ~。」 は?こいつ何言っちゃってんの? 俺は当然 「ごめんな!無理だよ~!ごめんな!」 こうやって断んないとやっばいことがあるんだよな~。 続く 22: 名前:モネカ☆09/23(木) 09 40 22 瞬希からの目線 「もう帰れ!」 「なんでぇ~?」 「用事が出来たんだ。」 「じゃあまたね♪」 ガチャ あぶねー。断わっといてよかった。 今度から俺の家には上がらせねー。 「バイバイ!瞬希くん!」 うぜー。 「おう!じゃ、またな」 甜羅からの目線 「バイバイ!瞬希くん!」 どうしてなの?私の気持ちなんかちっとも分かってくれない……。 「ただいまー」 「おかえりなさい。甜羅。」 お母さんは何も言えないさえない母。 「ただいま。お母さん。」 帰ってきちゃった。 いいお父さんぶリしてるうざい父。 「たっだいまー!わぁ!いい匂い!」 かわいこぶってる姉。 みんなみんな大っ嫌い!うざいのよ! 「甜羅!かえってたの!?いってよー!」 「甜羅ー!綾羅ー!手を洗って夜ごはん食べるわよー」 「甜羅。お父さんは先に風呂入ってるからな。」 みんなあたしのこと嫌いなくせにあたしに気を使ってるし。 分かりやすいんだよ!?あたしのこと嫌いって。 みんなみんな消えれば瞬希様はわたしのもの……なのに。 続く 24: 名前:モネカ☆09/24(金) 20 34 10 甜羅の目線 ――――朝―――― 「おはよう!陽菜ちゃん。」 きゃ!びっくりした~。 「おはようございます!甜羅さん。」 「あのね。いい話を持ってきたんだけど……。」 「なんですか?」 なんだろう? 「あのね。あなた瞬希君スキでしょ?」 え……?何で知ってんの? 「そ、そんなことないですよ~!」 「本当のこと言ってみ?」 いおうかな……?言わないかな……? 「もういいます!好きです!」 あーもう後戻りできん! 「やっぱりね~今度家来なよ。」 「わ、わかりました。」 陽菜はそう約束して走って行った。 その陰で瞬希がみていた。 「アイツやベー。今度着いてみよ。」 続く 25: 名前:モネカ☆09/24(金) 21 00 46 続き 甜羅からの目線 翌日…… 「こんにちは!甜羅さん。おじゃましますね。」 「あがってあがって!」 ここから始まるわ! 「ちょっとジュースを取りに行ってくるね。」 私の計画はジュースを取りに行くときに机に包丁を出す。 そして次にわざと陽菜の服にこぼして付近を取りに行く。 ついでに包丁も、持っていってあわてている陽菜の後ろから刺す。 これで完璧♪残るは実行。 「はい。ブドウジュースだけど大丈夫?」 「大丈夫です。ありがとうございます。」 ガタッ バシャッ 「うわ!ごめんなさい!陽菜ちゃん大丈夫?」 「家々大丈夫ですよ。布巾を持ってくれば……。」 思い通り思い通り! 「そうだね取ってくるわ。」 実行開始。 カタンッ ドキッ 「あーどうしようお母さんに怒られ……?」 後ろを向いてたのにいきなりこっちを向いてしまった。 「どうしたですか?包丁持って……。」 くそ~!予定外だ!でも…… 「なんでだと思う?それはねあんたがうざいから……」 「ちょ、ちょっと待ってください!なんなんですか?」 甜羅は陽菜に包丁を向ける。 「あたしもね、漫画家なの。だけどあんたが入ってきて 売れなくなったの。しかも瞬希も取られて最悪なの! あんたがいるから幸せが逃げたのよ!」 これからどうなるんだか…… 続く 27: 名前:モネカ☆09/29(水) 18 10 02 なな>> み、みごたえっすか!? うれし~いん!>w<更新ガンバ! ーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ごめん。陽菜ちゃん。恨まないで」 「いや、ちょっと待ってください!いやだ!いやぁぁぁぁぁ!」 甜羅が包丁を向けた。 バンッ! 「陽菜!」 「瞬希君!」 いきなり瞬希がでてきた。 「……!」 「お前バカか!こうなったらお前逮捕されるんだぞ!?」 「だって……。」 甜羅はその場にしゃがみこむ。 「お前を信じた俺がバカだった。」 「いや!離れないで!私から離れないでよぉぉぉぉ!」 甜羅は瞬希にすがりついた。 「瞬希君。甜羅さん。もういいです!甜羅さんがもうこんなことしないんだったら。」 「陽菜ちゃん……許してくれるの?」 甜羅は陽菜に聞く。 「許しませんよー!?ホントに怖かったんだから!…… でももうこんなことしなんでくださいよ~!」 「分かったわ!だから許して!」 「分かりました許します。」 陽菜はにっこりした。すると甜羅もにっこり 「ちょ、ちょっと俺のこと忘れてねーか?」 「「わすれてた!」」 「はあ!ひどいよ!」 そんなこんなで一件落着ですかね……? 28: 名前:モネカ☆09/29(水) 18 52 31 ~追加CAST~ 古松由莉 〔こまつゆり〕 陽菜と同じ光山保育園という一般の保育園より2ランク上の保育園育ちで親友。だが漫画家ということは知らない。 なのに陽菜田のの(野々村陽菜のペンネーム)先生が大大好き! 平多里久 〔ひらたりく〕 瞬希の幼なじみで親友。 由莉に思いを寄せている。 また明日! 29: 名前:モネカ☆10/01(金) 18 46 52 由莉からの目線 「陽菜~~!」 「あ、由莉だ。」 今日は土曜日!陽菜と119行く約束したのにちょっと遅れちゃった。 「待たせたでしょ?ごめんね。」 「全然!あたしも来たばっかだし。」 「そっか!じゃあ行こ!」 「うん!」 じつはこの前の帰りに陽菜が言ってきたんだ :回送中: 「ねえ由莉~」 「なに?」 「あたしねぇ好きな人できたんだ~。」 「え~~~~~~~っ!だれだれだれ~?」 「実は……瞬希君が好きなんだよね」 「ふ~ん。でどうしたの?」 「今度の土曜日あいてる?」 「あいてるよ!でもなんで?」 「瞬希君の誕生日が来週だからプレゼントを買おっかなーなんて」 「わかった!」 :回送終了: ウィーン 「わぁ!涼しー」 「たしかにー」 何買うのかな?陽菜の恋も応援しなきゃ! ―…… ウィーン 「やっぱ外はあちーねぇ」 「ほんとホント!」 ほんとにあちー。外出たくなかった。 ―…… この二人は恋の波乱が訪れていることは知らなかった…… 続く ひみつのトビラ 続き
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301: 名前:乃愛☆07/30(金) 14 19 24 でぃあ*留奈 さっそく、留奈って呼ばせて頂きました♡ 啓斗に惚れちゃったんですか-? 啓「 さんきゅ、留奈! お前みたいな可愛い子に惚れられるのは、嬉しいぜ!! 」 …だそうですv 勿論、仲良くしましょうね(+● 艸`*bq)⌒+Pq*§ でぃあ*少数さま 質問ですか?喜んで、答えさせて頂きます♡ Q1*千葉県です♡ Q2*14歳の中2ですよッ♡ Q3*女の仔です♡ Q4*ん-...6くらいでしょうか?v Q5*蟹座ですv´ω`v (←蟹のつもりv) Q6*1996年7月13日生まれです♡ でぃあ*まやさま あげ、有難う御座いますッ♡ ♡♥皆様へ♥♡ な、何と…300まで行っちゃいましたぁ!Σ 自分に吃驚なんですけど…((笑´ω`ヶラ ここまでこれたのも、皆様のお陰だと思っています。 これからも、「 俺だけのプリンセス 」をお願いします♡ ---------------------------------------------------- 啓斗Side 風呂から上がり、ふらふらとなった結夏を持ち上げて 自室へと俺は戻る。 結夏は、頬を赤く染めて 人形のように黙って俺に抱かれていた。 ―バタンッ。 部屋に入り、ベットに結夏をおろす。 …と言うより、寝かせた。 「 啓斗くん…? んんっ…! 」 首を傾げて、寝ている結夏にキスをする。 閉じている唇を舌で開こうとする。 「 やめっ…んっ! 」 一瞬の隙を狙い、俺は結夏の口の中に舌を入れる。 最初は抵抗していた、結夏だが、次第に力が緩まっていく。 「 んふぅ……ん……っ 」 潤んだ大きな瞳。 さらさらの綺麗な髪。 透けるように白い肌。 潤っているピンク色の唇。 無駄のない綺麗な体。 全部、全部… 俺のものにしたい。 「 んぁ……んっ… 」 ベットの上で全裸の結夏。 こいつは自分の姿を分かっているのだろうか。 俺は、結夏の体を優しく撫で回しながら 濃厚なキスをした。 「 んぅ!…はぁ……はぁ… 」 唇を離すと、2人の間には銀色の愛し合った糸。 結夏は、目をとろん…とさせて肩で息をしている。 「 はぅん! 」 俺は黙っている結夏の乳首をいじりながら、 また、ぬるぬるとしてきた、あそこに指を沈めた。 「 にゃあっ…やらぁっ! 」 猫のような喘ぎ声を出しつつも、 結夏は俺の手を掴み、阻止しようとした。 だが、結夏の中に入った指を動かしているのは結夏だった。 自分で、腰をくいっ…と動かしている。 「 淫乱な女の子だな… 」 俺はくす、と不敵な笑みを浮べた。 そして、露になっていた自分のものを結夏に近づけた。 「 ~~っ! 駄目っ! 」 結夏は、ガバッと体を起して ベットの角に向かって、逃げるように後退りした。 「 な、んで……? 」 そう俺が問いかけると、結夏は頬を赤く染めた。 「 その…、何回もえっちしてたら、 えっちの大切さが分からなくなっちゃう… 」 結夏は、シーツで自分の顔を隠しながら呟いた。 俺は、ふう…と溜息をついて、再び結夏を押し倒した。 「 啓斗くっ…!? 」 「 分かってるって 」 俺はそう言って、結夏の口を塞ぐように 触れるだけのキスをした。 302: 名前:乃愛☆07/30(金) 14 39 36 結夏Side 「 要するに、結夏の中に… 俺のもんを入れなければいいってことだろう? 」 あたしは、こくこく…と小さく頷いた。 すると、啓斗くんの顔が一気に悪魔に変わった。 「 だったら…、結夏だけを苛めるのは有りだろ? 」 そう言って、啓斗くんは あたしのあそこに顔を埋めた。 「 なぁっ…!? 」 あたしの抵抗も虚しく、 啓斗くんは、あたしのあそこをぐいっ…と広げた。 「 俺と何回もヤッてるのに、 何でこんなに綺麗なんだ…? 」 「 やっ…! 」 そんなに、広げて見ないでっ…! …って言うか、そんなところで喋らないでよぉ。 ―つんっ。 「 やあっ! 」 いきなり、全身に電流が走ったような感覚があたしを襲う。 啓斗くんは、あたしのクリを舌で刺激していた。 「 ちょっと触れただけなのに、もう愛液出てる… 」 啓斗くんは、あたしの愛液を確認すると 中にまで舌を進入させた。 「 あぁんっ!…んっ、はぁ…!…やめっ…! 」 イきそうっ…! ―ピタ。 「 え…? 」 一気に啓斗くんの行為が止まった。 啓斗くんはにっこりと微笑み、 「 “止めて”って言うから、止めたんだけど 」 …と言った。 あそこが…もぞもぞする……。 イきたいっ…。 でも、言うのは恥ずかしいよぉ。 「 “イかせて下さい、啓斗様っ”って言ってみ? 」 「 ほえ…? 」 啓斗くんの発言に、自分の耳を疑う。 い…“イかせて下さい、啓斗様っ”!? 「 言えよ 」 あたしは首を左右に何度も振る。 「 イきたくねえの? 」 あたしの割れ目をつつー…となぞった啓斗くん。 「 ひゃあっ…! 」 「 ここ、ぴくぴくしてるけど? 」 あたしのあそこを指差して、くすくすと笑う啓斗くんは 本当に悪魔のように見える。 「 イ…かせて、下さい…… 」 「 聞こえなぁい 」 は、恥ずかしいよぉ……。 「 イかせて下さい、啓斗様っ! 」 あたしは両目をぎゅ、と瞑り 手に力を込めて言った。 「 了解 」 啓斗くんは、舌をぺろ…と出して、 また悪魔のような笑みを浮かべた。 「 ひゃあぅんっ!…あっ、んはぁっ! 」 啓斗くんは、人差し指と中指をあたしの中に入れて、 親指で、あたしのクリを刺激した。 「 いやらしい…いや、エロい顔だなぁ… 」 そう呟いた啓斗くんは、 手の動きを早めた。 「 ひゃああぁああ! 」 ビクンッ、と体を大きく揺らして あたしは絶頂に達した。 305: 名前:乃愛☆08/01(日) 14 50 04 でぃあ*大阪っ娘。さま キュン02してくれて、嬉しいですっ♡ 最高じゃないっすよ-(ノ)ω*)$!、 あげ、有難う御座います-+(●0ω0*)ノ でぃあ*留奈 タメ語で話すねω. 駄目-、啓斗は結夏のもの-♥ ドSでドエロな男を求める、留奈はドMだねえv 啓「 俺が欲しいの? クス...、素直な奴は好きだぜ 」 はい、調子に乗るな変態野郎((殴、 啓「 ...ってえ! 留奈と乃愛は大違いだな! 」 ええ、大違いですとも。 留奈は乃愛と違って可愛いですからね-ω. タメOKだょbb* うん、またコメしてね? ---------------------------------------------------- 啓斗Side 「 はぁ……っ…はぁ… 」 俺のベットのシーツを掴み、 肩で息をする結夏。 俺は、結夏にそっと手をのばす。 「 やっ…! 」 結夏は、俺の手から逃げるように 上半身を起して、後ろに下がった。 「 結…「 も、もう無理だからねっ! 」 ―へ…? 無理って何がだ? 「 何のこ…「 もう、疲れたのっ! 」 ああ…、 何だ、そんなことかよ。 「 アレだけで、もう疲れたの? 」 「 んえ? 」 俺の言葉を頭の中で繰り返すようにして、 何かをブツブツと呟いた結夏。 そして、目を見開くと 何かが思いついたような顔をした。 「 け、啓斗くんは他の女の人と もっと激しいことを…!? 」 顔を青く染めて、頬に両手を添えた結夏。 「 馬鹿 」 俺はそう言うと、結夏の頭を自分に引き寄せた。 そして、ピンク色の綺麗な唇に触れた―…。 「 俺が好きなのは、お前だけだし 」 結夏の唇を親指でなぞりながら、 俺は少し下を見てそう言った。 「 っ…うん… 」 結夏は、顔を赤く染めて頷き、 俺の手を離して、自分の唇を俺に押し当ててきた。 「 … 」 一瞬、戸惑った。 結夏が自ら、キスしてくるなんて。 「 …んんっ! 」 結夏の頭をグイッ、と自分の方に押し 口をこじ開けて、舌を絡める俺。 「 ん……ふ…んぁ…… 」 時々、とろん…とした瞳で俺を見る。 その顔が愛らしくて、俺は何度も唇を重ねた。 「 ふ……んぅ…んっ…… 」 結夏の唇は、いつキスしても潤っている。 俺は、結夏の小さく漏らす声に酔いながら、行為を続けた。 「 んっ……啓っ…とぉ……… 」 その声に、俺は思わず口を離した。 「 …? 」 結夏は首を傾げて、自分の唇に触れている。 まるで、自分は何も知らないかのように―…。 「 今…、“啓斗”て呼び捨てだったよな? 」 「 えっ!? 」 どんどん赤く染まっていく結夏の顔。 「 言った、…よな? 」 俺は結夏の露になっていた、 乳首を指で優しく転がしながら、そう問いかけた。 「 …んはぁ!い…言いました 」 やべっ…、すっげえ嬉しい。 308: 名前:乃愛☆08/03(火) 19 09 18 でぃあ*縷々さま 結「 えっ...、あ...あれはその... 思わず言ってしまったものでっ.../// 」 アゲてくれて有難う御座いますッ☮*/. これから更新していきますね(%+ `艸*◆)⌒゚ ---------------------------------------------------- 結夏Side 今の啓斗くんの顔―… 子犬みたいで可愛いっ。 呼び捨てで呼んじゃったのは、 たまたまだけど……。 啓斗くんがこんなに喜ぶんだったら、 これからも呼び捨ての方がいいのかな? 「 駄目 」 「 えっ…!? 」 あたしの心を読むように、タイミング良く発言した啓斗くん。 だ、駄目なの……? …って言うか、何であたしの心の考えが分かったの? 不安そうな顔をした結夏を そっと両手で包み込む啓斗。 「 ふぁ… 」 思わず、あたしは気の緩んだような声を出した。 「 俺と2人きりのときだけな… 」 耳元でそう囁く啓斗くん。 耳元で話されると、そこに神経が集中する…。 「 え…? 」 あたしは、目をとろん…とさせながら 小さく首を傾げて問いかけた。 「 俺と2人でいるときだけ、 “啓斗”って呼び捨てにして…? 」 ―どきんっ。 少し寂しそうで、心細そうな声に 何故かあたしはどきっ…とした。 「 うん…、啓斗…… 」 あたしは小さく啓斗くんの名前を呼ぶと、 彼の顎にちゅっ…と音を立ててキスをした。 ― 「 体、辛くないか? 」 「 う…ん、大丈夫 」 着替えをしていると、啓斗くんは あたしを覗き込むように声をかけてきた。 啓斗くんを心配させたくなくて、 あたしはへらっ、と笑う。 本当は、ちょっと……体が重い。 でも、これは…愛された証だよね? 《 プルルルッ…プルル… 》 下の方から、***がする。 309: 名前:乃愛☆08/03(火) 19 09 36 「 ちょ、行ってくるわ 」 啓斗くんはそう言うと、 バタバタ…と足音を立てて階段を降りていった。 ―ふう。 思わず、深い溜息が出る。 何か……、今までより啓斗くんが近くなった気がする。 “啓斗”―…。 呼び捨てにするだけで、 こんなに距離が縮まるものなのかな? 「 はぁ!? 」 下の方から、啓斗くんの驚きの声が聞こえる。 一体、相手は誰なんだろう…? 開いている扉から、顔だけをひょっこりと出し あたしは啓斗くんのいる下の方を見た。 「 か、母さん本気かよ! 」 母さん…? あ、お母様…。 お仕事場から***かな? 「 あー、分かったよ!じゃあな! 」 そう言って、受話器を乱暴に戻す啓斗くん。 階段を上がってくる音。 あたしは慌てて、扉を閉めてベットの上に座った。 「 だ、誰っ? 」 何事も知らなかったように、 あたしは髪をいじりながら、問いかけた。 「 ……母さん 」 「 お、お母様かぁ! いっ…一体どうしたの? 」 むすっ、とした表情の啓斗くんに 内心ビビりながら、啓斗くんにあたしは近づいた。 「 んー…、残業だから 仕事場の友達の家に泊まるって 」 「 ええっ!? 」 啓斗くんはあたしを抱き上げて 胡坐をした間に座らせた。 「 ……なぁ、お前…泊まるか? 」 「 へっ!? 」 突然の言葉に驚き、 あたしは勢いよく振り返る。 お姉ちゃんの言ってることが的中している―…。 「 え、えっと…… 」 言葉に詰まるあたしを包み込む手に ぎゅっ…と力を込める啓斗くん。 「 俺は……… 」 ―ぴくんっ。 あたしの弱い、啓斗くんの囁き。 一気に顔が赤く、熱くなっているのが分かるよ。 「 結夏と…一晩、過ごしたい……な 」 313: 名前:乃愛☆08/05(木) 10 32 54 啓斗Side 「 あ……たし…も、一緒にいたい…… 」 俺の首に透き通るような白く細長い腕を 絡めて、耳元で囁いてきた結夏。 やば……、理性が………。 「 勿論、結夏に触って良いんだよな? 」 俺は、結夏の耳をぺろっ…と舐めて問いかけた。 みるみるうちに結夏の顔や耳は赤くなる。 おー、すっげえ反応…。 まぁ、結夏のことだから否定するだろうな。 「 い…いいよ? 」 自分の耳を疑うよな結夏の答え。 い、今…“いいよ”っつったのか? 一体どうしたんだ…? どっちにしても、俺にとっては好都合だけどな。 「 結夏…… 」 俺は、結夏の頬にキスをしながら、 シャツの中に手を忍ばせた―…。 「 あっ… 」 俺の人差し指が、結夏の突起物に触れた途端。 結夏の体は大きく反応した。 「 もう、かたいな… 結夏はえっちな女の子だな 」 少し触れただけなのに、結夏の乳首は ぴん…と突起している。 「 やぁ……、言わないっ…んっ……で… 」 俺は、結夏の背中にまわり後ろから 乳首を指で転がすように遊びながら、 結夏のあそこへと手をのばした。 ショートパンツの中に手を忍ばせて、 下着の上から探るように割れ目をなぞる。 「 ひゃうっ!…んぅ……あっ…! 」 やがて、下着越しでも分かるくらい濡れてきた 結夏のあそこは、触る度に水音がした。 「 最近、俺が触る度に 結夏のここ……濡れるようになったよな 」 そう言いながら、俺は結夏のショートパンツと 下着を優しく脱がせた。 結夏は俺にもたれながら、可愛らしい喘ぎ声を出す。 その姿が何とも言えないが、愛らしかった。 「 そんなことなっ…あぁん…! 」 否定をする結夏を遮るように、俺は 結夏の中に中指をゆっくりと入れた。 ぬぷ…、と音を立てて 俺の指は吸い込まれるように楽に入った。 「 はぅん……、恥ずかしい… 」 右手の中指で結夏の中を探るように掻き混ぜながら 左手で結夏の乳首を弄ぶ。 「 やらっ…!あっ…掻き混ぜちゃっ…! 変になっちゃうよぉっ…あんっ! 」 俺の服の裾を皺になるくらい、ぎゅ…と掴み 体を反らしている結夏。 「 変に?…なれよ、可笑しくなれよ 」 俺は、結夏の中に入れていた指をぎりぎりまで 抜くと、一気に奥に入れた。 そして、乳首を中指と人差し指で挟み、弄ぶ。 「 ひゃあぁああっ! 」 体を弓のように反らした、結夏は 色っぽい顔をして、絶頂に達した。 俺は、この瞬間の結夏にいつも欲情している。 315: 名前:乃愛☆08/05(木) 19 04 02 でぃあ*沙理さま 更新しちゃいました♫*/. 今からまた、更新しますよぉ! ---------------------------------------------------- 結夏Side 啓斗くんが、いつもよりえっち……。 愛されてる証拠っていうのは、分かるけど… あたしの体、持つかなぁ…? 「 あ…、結夏 」 「 ん…? 」 後ろからあたしの中にまだ指を入れながら 啓斗くんは耳元であたしの名前を囁いた。 「 家に…***しなくていいのか? 」 あっ…、ヤバい! すっかり忘れてた…。 「 する!***…借りてもいい? 」 「 いいよ、親には何て言うの? 」 首を傾げて、少し心配そうな顔をしている啓斗くん。 やっぱり、そうゆうのは啓斗くんでも心配になるよね? 「 お姉ちゃんが、出てくれるから… 」 すると、啓斗くんの顔はふっ…と緩む。 やっぱり…、変に緊張させちゃった。 「 じゃあ、行って来るね 」 あたしがそう言うと、啓斗くんは にこ…と微笑み、手を振ってきた。 ―ぱたん。 扉を閉じて、あたしは自分の姿に気づく。 あ…、あたし…全裸だっ…! ど、どうしよう…。 でも、***は姿が見えるわけでもないし。 大丈夫だよね、お母様も来ないし…。 あたしは、溜息をつきながら 受話器に手をかけた。 えーっと…、***番号は…… 《 プルルル…プルルッ…はい、今村です 》 お姉ちゃんの声。 約束通り出てくれたんだぁ…。 「 お、お姉ちゃん?結夏だけど… 」 《 ああ、結夏。やっぱり、お泊り? 》 受話器の奥から聞こえる、鼻で笑ったような声。 うう…、お姉ちゃんにはお見通しだぁ。 「 う、うん…お母さんには…… 」 《 上手く言っておくよ 》 あたしが言葉に詰まると、お姉ちゃんは 優しい声でそう言ってくれた。 “有難う”―… あたしは、***越しにお姉ちゃんに囁くように言うと 受話器を元に戻し、啓斗くんの部屋へと戻った。 ―かちゃ…。 「 大丈夫だったか? 」 扉を開く音で、啓斗くんはあたしの方を向く。 あたしは、何も言わずににっこりと微笑む。 「 じゃあ、するか 」 そう言って、啓斗くんはベットにあたしを押し倒した。 そして、あたしの足を大きく広げて、舐めるようにまじまじと見つめた。 「 綺麗……だな 」 そうぽつり…と呟いた啓斗くんの言葉に あたしのあそこはぴくっ…と反応した。 ぬぷ…、と音を立てて、 あたしの中に2本の指が入った。 「 ひゃあっ!…ん…はぅん… 」 奥まで入った、啓斗くんの指。 2本も簡単に飲み込んじゃうなんて… あたし、えっちなんだ……。 色々と考えていると、 あたしの中に入った2本の啓斗くんの指が ばらばらに動き始めた。 「 ひゃあぁん!…あっ、んふぅっ…! 」 声を我慢するように、あたしは下唇を噛み締めた。 あたしのえっちな声…、恥ずかしいから聞かせたくないっ。 すると、啓斗くんの指があたしの唇に近づいた。 「 駄目…、可愛い声……もっと聞かせて? 」 ―きゅんっ。 その言葉にあたしの恥じらいは無くなり、 同時にあたしのあそこがきゅっ…と引き締まった。 「 あぁああっ!イッちゃ…イッちゃうぅ! 」 ―ぴた。 啓斗くんの指の動きが、ぴたりと止まる。 思わず、あたしは目を丸くした。 な、んで……止めちゃうの? 「 まだ、イッちゃ駄目。 イクのは、俺のものにしない? 」 318: 名前:乃愛☆08/06(金) 09 51 00 でぃあ*沙理さま 啓「 沙理さんみたいに 可愛い子に言われるのは嬉しいです 」 乃愛は天才じゃないですよ!?Σ 何方かと間違ってると思いますぅ((笑 でぃあ*ありささま お久し振りです(ノ)ω*)$!、 啓「 有難う、ありささんは可愛いですよ。 ありささんが、Mだなんて嬉しいな 」 あ-、ありささんがMとか言うから 啓斗のドSスイッチが少し入っちゃったじゃないですかぁv ---------------------------------------------------- 啓斗Side 口元に手を当てて、潤んだ瞳で俺を見つめながら 結夏は少し照れ気味に小さく頷いた。 俺は、結夏の了承を得てから 自分のものをゆっくりと挿入した。 「 ああぁああ… 」 結夏の中に俺のものがゆっくりと……入っていく。 奥に入れば入る程、結夏の声は大きくなり、 体は弓のように反っていく。 「 大きいよぉ……啓斗くんの… 」 俺のものがすべて、結夏の中に包み込まれたとき 結夏は頬を真っ赤にさせながら呟いた。 「 啓斗って呼べよ 」 俺は少し、頬を膨らませながら 結夏の中に入れた自分のものをぎりぎりまで抜いた。 「 はぅ………、け…啓斗…… 」 小さく声を漏らしてから、息を整えて 小声で俺の名前を囁いた結夏。 俺は、それを聞いてから自分のものを 結夏の奥に向かって、一気に突いた。 「 ひゃあぁんっ! 」 俺のものが、結夏の子宮まで一気にたどり着いた。 先が、こつん…と何かとぶつかる振動。 結夏は、自分のお腹辺りに手を置き 可愛らしい喘ぎ声を出した。 俺は、満足気な顔をすると 腰を激しく動かし始めた。 「 あっ、あっ…!んはぁっ…あんっ! 」 俺が腰を動かす度、結夏の大きく綺麗な胸が ゆさゆさ…と揺れる。 俺は、腰を動かしながら、 結夏の乳首を指で弄んだ。 「 らめぇっ…!両方はぁ…あんっ、あっ! 」 途端に反応した結夏の体。 どうやら、結夏は両方攻めが弱いらしい。 神経を中の方に集中すると、不意打ちをかけるように 乳首が弄ばれる。 逆のことを考えると、また…攻められる。 「 あっ、やぁ!イッちゃ…、イッちゃうよぉ! 」 今にもイキそうな、艶やかで色っぽい顔をした結夏。 眉間に皺を寄せて苦しい顔をしている表情が何とも言えない。 「 早いな…、やっぱり結夏はえろいなぁ! 」 言葉を言い終わると同時に俺は、 腰の動きを更に早めて、結夏の顔を見つめた。 「 あぁんっ!あっ、駄目っ…イクッ!イ、イッちゃあぁあああっ! 」 仕舞いには、自分でくりをきゅうっ…と摘み 中をきゅっ…と引き締めて、絶頂に達した結夏。 とうとう、自分の手も使うようになったのか…。 結夏の中が、きゅっ…と引き締まったことによって 俺は、ぎりぎりまで抜くことが出来ずに 慌てて、自分のものを無理やり外に出した。 「 俺だけのプリンセス 」 続き17
https://w.atwiki.jp/pikopedia/pages/22.html
提供:pon(OMANKO/6GA)、HOYA クンコ(????年?月?日-)はピコ森、またチャット界のスーパースターである。 カリスマ性があり、その強烈な個性から敵対勢力も少なくない。 かねてから、ピコ森内の未成年者にふさわしくない コンテンツに対して適切な処置を取るように管理人に強烈な 抗議行動を起こしており、また、ピコ森内でクンコスペシャルと呼ばれる独自の スクリプトを使用した警告活動などを行っていたが、 これに手を焼いた管理人はクンコのアクセス制限などでは対処しきれず、 なんとクンコの名前そのものをNGワードにしてしまった。 (全角文字でカタカナのクンコは禁止ワードに設定されている) 個人の名前そのものがNGワードに設定されるなどは前代未聞 の出来事であり、これこそがまたクンコの偉大さを象徴する 出来事であったと言えるだろう。 過去に住人を脅迫し、通報されたが通報された側は何の対処もしなかった。 いや、出来なかったのだろう。 クンコという人物がどういう者だか分っていたから──… その他 人並み以上にエロイ側面も持ち合わせており、エロイ投稿も数多く 見受けられるが、エロこそがクンコのパワーの 源泉であるという見方もできるであろう。 またクンコ独自の掲示板の設立、クンコ独自の用語もある。 第1子誕生を掲示板で暴露したことがあるが定かではない。
https://w.atwiki.jp/poki10/pages/38.html
217: 名前:みるみる☆09/01(火) 00 47 31 気合いを入れるだけじゃ、何も起こらない。 具体的な行動を起こさなければならない。 私はお世辞にも性能が良いとは言えない脳をフルに稼働させる。 体力を使う仕事なら、多分やれる。 人が嫌がるような、臭くて汚いような仕事だってやれる。 但し、この髪。 『colored』を受け入れてくれる人が、いったいどのくらいいるのだろう。 「雇ってくれるかなぁ……」 はりきって家を出たものの、見切り発車だったようだ。 接客業は絶対に駄目だ。コートなんて着ていられないし、自分の素性がばれるに決まっている。 なるべく人目につかない職業、それでいて資格が要らないもの。 悶々と考え込んでいると、目の前をえらくレトロな自転車に乗った少年が横切った。 慌ててそれをかわすと、少年はそれを気にも留めない風で、家々の郵便受けに紙の束をつっこみながら走り去っていった。 「新聞配達!」 文句を言おうとした口が、ひらめきによって笑顔の形を作った。 そうだ、なんですぐに思いつかなかった! 224: 名前:みるみる☆09/07(月) 23 58 59 223高坂陽様 いつの間にこんな事に……。救ってくださってありがとうございます; ◆ 自転車の少年を、フードが脱げないようにしっかりと握りしめて全力で追いかけた。 「待ってよー!」 少年は聞いているのかいないのか、こちらには振り返らずにペダルをこぎ続けている。 自転車の後ろに付いている籠には、まだ朝刊が2,3部入っていた。 「もー! 話、聞きなさいよ! 少年よっ、先輩を、敬えっ!」 叫ぶと息が切れる。 最後の朝刊をすとんと郵便受けに入れたところで、少年は自転車を止めた。 「何?」 無愛想な声だった。 「何よ、聞こえてたんじゃない」 ぜえぜえと息を切らしながら、必死で言葉を紡ぐ。 コートを着ているせいか、随分と体が重かった。 「仕事、探してるのよ」 「あっそ。でも新聞配達とか人手は足りてるから、要らないっす」 「いや、そこを何とか」 「嫌だ、これ以上給料減ったらどうするんだよ」 そこで少年はハンドルを切り、自転車を発進させた。 あ、と声を漏らしたが、追いかける気にはなれなかった。 そんな余力はどこにもない。 230: 名前:みるみる☆09/16(水) 23 56 26 225伊月葵様 おお、これはもしや一般の方にもコメントを下さった方では! まちがっていたらごめんなさい。 更新がなかなかできなくて困っています。 陸上をやってるので、家に帰ったら課題やってくたばるだけなんですよね← 226夜様 ありがとうございます! 名前は…ちょっと洒落た名前にしたいと思いつつ、面倒くさいのでこのままにしていますw 229犀様 漢字、これで合ってますか? 自信ないです…。 嬉しすぎでハナヂが(え 最高って、高いがMAXってことですよね← そんな言葉は華やかすぎて貰えませんw そうなんです、地毛は確か… ◆ 「…… ああ、もう」 歩道と車道の間、ちょうど段差になっているところに、私はどすんと腰を下ろした。 衝撃が直に響いて、虚しく痛むお尻が情けない。 早朝だから車はあまり通らない。 地面がレンガ敷きなので、コートさえなければお洒落な風景になっただろう。 「どうしよう」 とうとうというか、早速行き詰まってしまった。 無意識のうちに、自分の頭は新聞配達をしようと決め込んでいたらしい。 だから、この先のことは何も考えていない。 困ったなあ。 いっそ盗みを―― 否、否。そんなことは断じて許されない。 段々、自分がいつかの現代文で習った羅生門の下で雨止みを待つ下人のように思われてきた。 目線をこのあたりで一番高い建物、少し遠くにある時計台に移した。 あの上には死体がたくさん転がっていて、老婆が死人髪の毛を抜いているんだろうか。 「そりゃないわ」 だってここはこんなにお洒落で豊かで幸せな街だもの。 236: 名前:みるみる☆09/27(日) 12 25 52 ◆ 段々と日差しが明るくなってきて、、通りも賑やかになってきた。 世界が目覚めて、動き出すのを緑色の瞳に映して、私は何度目かの溜息をついた。 座るというのも長時間になると疲れるものだ。 もうお尻が痺れたように痛い。 「あぁ、もう!」 両手を広げ、ばたぁん、と大きな音を響かせて、自分の背中を地面に激突させてみる。 割と痛かった。 「いったー!」 通りを歩いていた何人かがこちらを見下ろしてきたが、すぐに視線を他へ移して歩いていった。 その背中を思いっきり睨み付けて、それから正面を向いた。 目の前に大きな空が広がる。 ああもう、何やってるんだろう、私。 「仕事くださぁーい!」 大声に、何人かがびくっと方を振るわせた。 構わない。 自棄になっているのが、自分でも分かる。 この苛々を、声にして吐きだしているだけだ。 「何でもしますからぁー! トイレだって掃除しますからー! おむつだって替えますからぁ!」 寝たまま叫ぶのも相当疲れる。 はぁはぁ息を切らしていると、耳元でかつんと足音が響いた。 「きみ、仕事探してるの?」 若い男の声だった。 人を雇うような年齢の声ではない。 雇えない癖に、声を掛けないでよ。 「そうですよー?」 私が腹立だしげにそう答えると、男の笑ったような呼吸音が聞こえた。 何がそんなにおかしい。 「なんですか。雇ってくれないなら、構わないでくださいよ」 「雇わないなんて言ってないじゃないか。君を雇ってあげるよ」 「え、ほんと!?」 その言葉に、私は跳ね起きた。 ああ、この言葉を待っていた! でも、起き上がった拍子に、フードが半分、取れかかった。 前髪が露出する形になる。 「う、わ」 慌てて両手でフードを引っ張る。 体中から一斉に冷や汗が出る。 まずい。 ばれた……? ちらりとその男の方を見ると、男はまだ笑っていた。 「うん、好都合だ」 240: 名前:みるみる☆10/02(金) 14 50 54 ◆ からん、と氷が溶けてグラスが音を立てた。 その氷で少し薄くなったであろうアイスコーヒーを飲むべきか迷いながら、私を朝っぱらから喫茶店に連れてきた目の前にいる男に目をやった。 やはり茶色い瞳をした男である。 お洒落なのか何なのか、黒いハットを被っていて、部屋の中でも脱がない。 指輪のような形のピアスが左耳に付いていて、朝の光を反射している。 軽そうな男だ、と思った。 怪しむ私の視線を感じ取ったのか、男は口角を上げた。 「そんなにじろじろ見ないでくれない? 俺、そんなに怪しい奴じゃないから」 「……雇ってくれることには感謝します。でも、私未成年だし、夜のお仕事とかはちょっと……」 「きみさ、」 私の言葉を完全にスルーして、男は話す。 「『colored』だよね? さっき見ちゃった」 さっと全身に緊張が走る。 やっぱり、ばれていた。 いまにでも、ここを抜け出したい気持ちになる。 幸い、早朝の喫茶店、他に客はいない。 従業員は厨房にいるようで、今の話は聞かれていなかったようだ。 「今、逃げようとか考えてた?」 「っ……」 「大丈夫だって。俺はそんなに古い考え持ってないから、そんな酷い目に遭わせたりしないって」 ああそうだ、仕事の話になるけど、と男は指を顎に当てて話し出す。 「日給制ね。働きたくなったらここに来ればいい。俺多分ここにいるし。そんで、俺に指定されたところに派遣される。やれっていわれたことをこなす。仕事はそれだけ。OK?」 「……はい」 なんだか、随分適当な感じだった。 派遣社員、か。 さすがに安定は望めそうにもないけど。 でも、私がお金を集めて、みんなのお腹をいっぱいにするんだ。 そんな使命感に燃えた。 242: 名前:みるみる☆10/04(日) 14 18 24 241蓉子様 あげありがとうございます! テスト期間中なのに何やってるんだろう私 ← ◆ 「んじゃあ、今日は取り敢えず電車に乗ってここまで行ってくれる?」 そう言って男はポケットの中から携帯電話を取りだした。 多分この世界に来て初めて携帯電話を見ると思うが、その画面に片仮名の地名が表示されていた。 「駅はその辺にあると思うから、最初に来る電車ね。始発になると思うけど」 始発って、そんなに遅いんだろうか。 のんびりした街だこと。 終わったらここに戻ってくることを約束して、切符代と、依頼主に分かりやすいようにとペンダントを貰った。 「それ、ずっとつけておいてね。目印だから」 男がウインクしたが、それを無視するように「いってきます」と言って、結局アイスコーヒーには手をつけずに店を出た。 外はすっかり明るくなって、通りにいる人の数も増えていた。 幸いなことに、少し辺りを見渡すと駅らしい物が見えた。 人が次々と入口へ吸い込まれていく。 「よっし、頑張っちゃうもん!」 フードが脱げないように右手で押さえてから、私は駅へと走っていった。 246: 名前:みるみる☆10/18(日) 13 50 10 243夜様 張り切ってますねw 私も張り切らねば! 244棗様 ありがとうございました。本当にこれでいいのか迷っていたので助かりました! 245ruki様 ありがとうございます。すみません;時間がなくて更新停滞中です……。 ◆ 駅の構内は、人いきれでむっとした。 きっとこれからそれぞれの仕事場所へ向かうのだろう。 そして、私も自分の仕事のためにこの駅にいる。 ここでは誰も自分の正体に気付かない。 自分のことで精一杯、あるいは大勢の中の一人には目がいかないのだろう。 『孤独な群衆』――そんな、またも社会の授業で習った知識を引っ張り出しながら、構内の券売所で切符を買った。 どうやら通勤ラッシュのようなので、列車の発着時間など調べる必要もなさそうだった。 ただ、人の波に乗って列車に乗ればいい。 方向さえ間違えなければ、きちんと目的地に着くはずだ。 ベルが構内に鳴り響いて、黒い車体がレールを軋ませながらやってくる。 ドアが開き、列車からたくさんの人がはき出されるように出てきて、私は人に揉まれながら狭い車内へと入った。 女性客が少ないのが少しだけ不安だった。 私の後にもたくさんの人が列車に乗り込み、あっという間に私は車両の隅へ押し流された。 「っ苦し……」 ぎゅうぎゅうと押しくらまんじゅうされているように周りの客と密着して、ともすると足が浮いてしまうんじゃないかと思うほどだ。 隣の人の息が耳にかかる。 はっきり言って不快だ。 列車が重たそうな体をゆっくりと前進させ始めた。 251: 名前:みるみる☆11/26(木) 00 07 33 247奈央様 わわわ…更新遅くなって申し訳ないです(スライディング土下座 本当に放置としか思えないですよね、すみません。 最近1日を乗り切るので精一杯で、なかなか書く時間が見つかりません……。 248みお様 ありがとうございます! て言うか褒めすぎです; お待たせして申し訳ないです。これからもこんな感じの更新になると思いますが、たまに上がってるのを見つけたら生暖かいくらいの目で見守ってくだされば幸いです←日本語おかしいですね; 249夜様 本当に何回も上げてくださってるのにお待たせして申し訳ないです。情けない(号泣 時間を見つけて更新したいです! 250とーよ様 下がりまくったスレを見つけてくださって感謝感謝です! 一ヶ月も更新してませんでした……。 もう、私の馬鹿っ(びんた ◆ 慣性の法則に従って、中の乗客がぐっと体を傾かせる。 「ぐえ」 車両の端にいる私は、隣の客と壁でサンドウィッチにされてしまった。 もう、隣の身長の高いこの客(多分男だろう)とは半身がぴったり密着していて、だけど逃れるスペースはなかった。 女の人だったら、こんなに嫌じゃないのに。 この男の人が悪いわけではないのに、わざとしかめっ面をした。 そんなときだった。 ちゃり、と軽く金属音がして、首にかけていたネックレスが動いた。 私が動いたからではない。 電車が揺れたわけではない。 その、まさに私に密着している男が、鎖を握っていた。 どうしたんですか、と言おうとしたが、その前に男が呟いた。 「君で、あってるよね?」 列車の走行音に紛れそうなくらい小さく、そしてじっとりとくらい響きの声だった。 253: 名前:みるみる☆12/02(水) 15 13 57 252容子様 気付いてくださってなんて……!おぅ(卒倒 あげありがとうございます! ◆ 「えっ……」 嫌に煙草臭いその囁きに、私は何と言っていいかわからなかった。 もしかして、自分の雇い主だろうか。 そうだとしたら、なぜこの人も同じ列車に乗っているのだろう。自分が向かう必要なんて無いじゃないか。 私が何も応えないのを肯定の返事と受け取ったのか、男は鎖を持つ手を離した。 その手は、私の太腿へ移動した。 「な、えっ……?」 これじゃあまるで痴漢だ。 相手の顔を確認しようとするが、狭くて首さえも動かない。 「静かにしててね。金払ってるんだから、言うこと聞けるよね?」 じゃあ、よろしく。と、その男は笑った。 その手から逃れることなんて、出来そうもなかった。 ただ、体を強ばらせることが、ただ一つの防御。 冷たい指が太腿を這って、ただ、不快感に肌が粟立った。 嫌だ。 見ず知らずの男に、金を貰って公共の面前でこんなことをされている自分。 分厚いコートの中をうごめく指が、下着の上をなぞった。 「っ!」 気持ち悪い。 何か、得体の知れない生き物――ミミズのような感触。 本当は、今すぐ叫び声を上げて、この男を蹴り倒してやりたい。 それが出来ないのが、歯痒かった。状況的にも、立場的にも―― そう、ここで『仕事』をこなさなかったら、自分はそのうち飢え死にをしてしまう身なのだ。自分だけではない、3人の大切な人を巻き添えにして。 綺麗事なんて言える存在じゃない。 お前には、それがぴったりだよ。 さあ、頭を空っぽにして全てを流れに委ねればいいじゃないか。 相手が望むなら靴だって舐めてやればいい。 そしてその口で食べ物が食えるなら、それで良いじゃないか。 どこか遠くで、誰かが囁いているような気がした。 だから、私は心を、体から切り離すことにした。 255: 名前:みるみる☆01/05(火) 17 29 13 254とーよ様 更新遅くなって本当に申し訳ないです。 碧視点はなんだか書きづらいです……。あああ← ◆ それからどれくらい経っただろう。 ぷしゅう、と気の抜けた音を立てて鉄の扉が開いた。 人が雪崩れるようにして外へ吐き出されていく。 駅に着いたのだ。 ふらりとその流れを追うように扉へ向かった。 手は、それ以上追っては来なかった。 構内の喧噪も頭の中でぼんやりと響く。地に足が付いているのかさえ、はっきりとはわからない。 それでも迷わず真っ直ぐと公衆トイレへ向かった。 トイレ内に誰もいないのを確認してから、洋式トイレの個室に入った。 はっきり言って綺麗なトイレではない。 「うっ……」 私は便器に手をついて、胃の中にあるものを全て排出しようとした。 気持ち悪い。 気持ち悪い。 さっきのあの手の感触がまだ体に残っている。 体をミミズが這うような、あの感触。 吐いても吐いても、出るものは胃液ばかりだった。 当たり前だ。あまり満足な食事も取っていない。 でも嘔吐きだけは止まらない。 それが苦しいのか、辛いのか、それとも哀しいのか、だとしたら何が哀しいのか、わからない。 瞳の裏が猛烈に熱くなって、それ以上何も考えることが出来なくなった。 256: 名前:みるみる☆01/13(水) 17 41 09 しばらくして、ようやくトイレから出て、私は線路沿いを歩いて戻ることにした。これならば迷うことなく元の場所につける。 私の雇い主は相変わらず喫茶店で携帯電話をいじりながら待っていた。 「よぉ、ねーちゃん。お勤めどうだった?」 私が黙っていると、「はい、給料ね」と紙幣を何枚か渡された。 男によると、このお金で切り詰めれば1週間は暮らせるらしい。 「4人なら」 「ん?」 「4人なら、何日分ですか?」 「うーん、3日くらいじゃないの、知らないけど」 耳のピアスをいじりながら、男は答えた。 軽くお礼を言って、外に出た。 頭の中はぼうっとして、何を考えているのか、何も考えていないのか、自分でもわからなかった。 でも、確かに言えることは、瞳だけは目線の先をあちこちに移動させながら――探しながら歩いていた。 そして見つけた。 この古い洋風な町並みにはおおよそ不釣り合いなコンクリートの明るい建物。 ドラッグストア。 ドラッグとは言っても名ばかりで、その商品の多くは食料品、文房具、雑貨、生活必需品が占める。 店に入り、かごを手にとって、手当たり次第栄養になりそうなものを取っていく。 パン、卵、スープの素、それから野菜まで売っているとは意外だった。 そして最後にやって来たのは、化粧品が並ぶコーナー。 一応、一応なんだよ、と自分に言い聞かせて手に取ったのは――除光液と染髪剤。 当たり前といえば当たり前だが、染髪剤といっても売り場には白髪染め用のブラウンしか置いていなかった。 構わない。 一応、だから。 257: 名前:みるみる☆01/21(木) 23 05 58 「ただいま」 昼でも薄暗い路地に、自分の声が響いた。 赤音さんの、ピンヒールなのかよく分からないデザインの靴音が近づいてきた。特徴的な音だ。それも、かなり速く、強く。 少しだけ嫌な予感がする。 「てめえ、」 ほら、的中。 赤々と燃える様な瞳がきっと自分を見つめると、身が竦みそうなくらい迫力がある。 「朝起きたらなんで居ねぇんだよ、こら。小町のやつ、『どうしましょう、家出なんかしてたら』って半泣きで、もう空気しょっぱくなるんじゃねーかって思ったんだけど」 258: 名前:みるみる☆01/23(土) 00 42 59 圧倒的なその迫力にじりじりと後ずさりしながらも、私は答える。 「置き手紙とか、するべきだったって思うよ。ごめん、でもここ、ペンとか紙とか無いじゃん」 「あたしを起こせばいーんだよ。何しに行ってた?」 「ちょっと、働きに」 表情から少し険の抜けた赤音さんに、私はドラッグストアで買った食材の入っているビニール袋を差し出した。 もちろん、除光液と染髪剤は箱から抜き出して制服のスカートにあるポケットに入れた。 ほんの少しふくらんでいるようだが、見た目に問題ないだろう。 例によって笑顔の蒼太くんが間に割って入ってきた。 「わー、偉いね碧ちゃん。赤音が食料がないって言ってたの聞いて、気を利かせたんでしょ? 優しいね。うん、これだけあれば3日は大丈夫なんじゃないかな」 有色人種。続き7