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走る人たち 此処に2人の青年がいる。仮面の剣士ジューダスと氷の剣士ヴェイグである。 彼らは橋の惨劇をその眼で見て己の感傷に1つの節目を打ち、 南下を始めた。昼より間断無く歩を進め、日が傾いてもうすぐ夜の帳が落ちようかという 時分には既に、E6の北西部にまで辿り着いていた。 「大分南下したはずだが…此処に来るまで1人も遭遇しないとはな。」 そう言ってジューダスは歩みを止め、そして同時に橋を出発して以来初めて声を発した。 足を止めた理由はもうすぐ放送の時間であると同時に、隣の禁止エリアに対して の進路再設定を行うためである。 ジューダスはここまでの誰一人にも会わなかったことを少々不思議に思っていた。 確かに南東のエリアはC3から一番遠くあの声の影響が少ないはずだ。 北上する人間が少ないのも分かる。 しかも自分達は一度橋まで行ってから南下したのだから放送を聴いてすぐに南下した 人と出会う可能性が少ないのも分かる。 「それでもここまで人間がいないとは…わざわざG5を封鎖するのだから 少なくとも朝までそこには人間がいたはずだ。この周囲の者がほぼ全滅したか、 あるいはリスクを覚悟して橋を渡って西へ?旨みがある選択肢とも思えんが。」 そこまでの思考を終えて、ふと南西の空を見上げる。見上げた先に細々と 上るのは黒い煙。 (G5からか?かなり細いが距離を考えるとそれなりに大きな火災が発生したようだが。) 焼き討ちか、或いは自ら焼いたのか、何にしても今後の行動を改める必要がある。 「ヴェイグ、少し話が…」 この一件に対し打ち合わせをしようと思い、現在の同道者に声をかけた。 しかし声をかけられたヴェイグは何やら大層難しい面持ちで 何かを考え込んでいるような節である。 (もっとも、いつも小難しい顔だと言われればそれまでであるが。) 「ヴェイグ、何を考えている?もうすぐ放送の時間だが。」 その真剣さに同調したのか、ジューダスも重々しく尋ねる。 「ああ、済まない。1つ気になっていることがあってな。 …あまりにも根拠の無い、想像のような話と捕らえて構わない。」 そう言って前置きをするヴェイグ。辺りの空気が重くなる。 「何だ、勿体付けずに言ってみろ。」 と言うジューダスの了承を得、ヴェイグはその口を開く。 「そのお前が会おうとしている人物はどんな風体なんだ?」 「一口に言うのは難しいが…まず小柄な少女だ。そして赤、どちらかと言えば赤紫の髪を している。服装は…」 「赤と薄緑、紫基調の服か?」 「貴様、何故知っている?」 ジューダスは眼を細める。確かに4人で行動していた際に 同士討ちの危険を回避するため互いの仲間の顔と名前を名簿で確認した。 唯1人、リオン=マグナスのことと 自分とルーティの関係だけはどうにも伝えることが出来なかったが。 兎も角、その際名簿でハロルドの顔は見せた、 しかし奴はその時点で奴は会ったと言わなかったし会った素振りも見せていない。 そもそも目指す人物の服装についてなどはまだ一言も言っていない。 ジューダスは警戒して半信半疑でヴェイグを見る。 「いや、いるとしたらあんな風体なのかと思ってな。」 そういってヴェイグは南方を指差す。 ジューダスはその方角に顔を向け眼を凝らす。なるほど、ヴェイグが どうやってハロルドを知ったかは別にして奴の認識は間違いなさそうだ。 ドドドドドドドドドドド 残り100m 「確かにそんな感じだ。だからそいつをどうやって… ドドドドドドドドドドド 残り50m 探すか…今から… ドドドドドドドドドドド 残り25m 話をしようと、と言うか… ダダダダダダダダダダダ 残り10m ハロルドッ!!??」 「げえっ、ジューダス!?」 残り0m 「おい、いったい…」 ドドドドドドドドドドド 残り-10m 「マーダーだからあんたに構っているわけにいかないの!! あんたらどっちから来たの?人いた?!」 ドドドドドドドドドドド 残り-20m 「北からだ!人はいなかった!お前がマーダーだと!?と言うか人の話を聞け!!」 ドドドドドドドドドドド 残り-50m 「あーりーがーとー!!じゃーねー!!」 西に方向転換、直線距離で残り-65m 「何時から気付いていた?」 「お前が南西を向いた辺りからだ。」 「どうして言わなかった?」 「砂煙を揚げながら全力疾走する奴が探し人とは思わん。」 ジューダスの体が小刻みに震え、感情が爆発した。 「~~~クソ!!追うぞヴェイグ!ともかく話を聞かないと埒が開かん!!」 「ああ、所で奴の持つあの剣…」 「話は奴を確保してからだ!!」 ジューダス、ヴェイグ追跡開始。残り-150m (やっぱ追ってくるか…唯のマーダーならジューダスを 囮に使うけど流石に相手が相手だしあいつ使うわけにはいかないわ。 むしろ出逢ったら何おっぱじめるか少し見てみたいけど我慢!! とにかく能力なり道具なり奴がこちらを捕捉する術があるとすれば 人のいない場所では逆にすぐに見つかる。ならば少しでも人気の多い場所で 相手を混乱させて乱戦に持ち込んで一気に離脱するしかない!! あんだけ景気良く村を燃やしたんだから 生き残りの瀕死マーダー位いてよ、お願いだから!!) そう思考して先頭を走るのはハロルド(&ディムロス)。 (何故逃げる必要がある!!しかも人がいない北を避けて!? 南で何があったというんだ…推測だけではファジーすぎる! ともかく捕まえないとこの首輪もどうにか出来ん!!) などと考えながら走る2番手はジューダス。 (あの剣があればまともに戦えるかも知れん、欲しい所だ。 しかし何故俺は警戒もせずにあの少女の突進を見ていたのだろうか… 俺も未だこのゲームの狂気に意識を狂わされているなのか、クレア…) と思いながら走る3番手はヴェイグ。 そして、4番手はレーダーを携え南から猛追をかけている。 向かう先のゴールには何があるのか。 【ジューダス:生存確認】 状態:健康 少々混乱 所持品:アイスコフィン、忍刀桔梗、(上記2つ二刀流可)、エリクシール、首輪 基本行動方針:ミクトランを倒す 第一行動方針:ハロルドを捕まえて首輪解除の方法を模索する 第二行動方針:協力してくれる仲間を探す(特に首輪の解除ができる人物を優先) 第三行動方針:ヴェイグと行動 現在位置:E6から西へ 【ヴェイグ 生存確認】 状態:右肩に裂傷 強い決意 所持品:スティレット チンクエデア グミセット(パイン、ミラクル)首輪 基本行動方針:生き残る 第一行動方針:ジューダスと行動 、ハロルドを捕まえる 第二行動方針:ルーティのための償いをする。 第三行動方針:可能ならハロルドの剣(=ディムロス)を手に入れる 現在位置:E6から西へ 【ハロルド 生存確認】 状態:冷徹な復讐心 所持品:短剣 実験サンプル(燃える草微量以外詳細不明) ソーディアン・ディムロス 基本行動方針:迂闊なことは言わない 単独行動(たとえ仲間に出会ってもマーダーの振りをして追い払う) 第一行動方針:リオンの追跡からの完全離脱、ジューダスをリオンから遠ざける 第二行動方針:首輪のことを調べる 第三行動方針:C3地点の動向を探る 第四行動方針:マーダー(マグニスたち)の始末 現在位置:E6から西へ 前 次
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手持ちモンスター/朱羽 ドスファンゴ _____ ィi〔=->─=ァニニ=- __ ィi〔- - - - - - - ァニ __ /-===イ ---=ァ- - - - - - -<- - - - - - - -/^Vニニ└‐=ァ  ̄==-/ r‐‐ _- - - - - - - - - - - - - - /丶 - Vニニニ└‐‐  ̄ィ_/=} \///ヽ- - - / ̄ ̄ヽ- - - - - /- - -\-∨ニニニV/「ィ〔=-/ ヽ///\- - - {{ {⊂⊃} }∧ __ /- - - - - 〉-∨ニニアニ=-/-/ 、____ V///∧___/乂 ___ノ - - - - - ィi〔  ̄ ̄{- - 〉ニニ{ニ=-/////////} /∨///∧ rく- - - - - - - - r<- - - - - - V-/¨¨¨ >-=ァ/////////7 /=-∨///∧ V - - - - - - - /- - - - - - - - / /i i i i///////////{ |ニ=- V'///∧ ハ _________/---. . ¨¨  ̄ ̄ ¨ 〕iト .,/i i i i /乂////////ノ L___=-∨///∧ {////「i 〕iト.,///ア. /. . . . . . . . . . 丶i iィi〔⌒ヽ〕iト--<ニニ〕iト ., __ /=-∨///∧___乂//∧i i i i i i i ∨. . ' . . . . . . i 、. . . . . \i\. . .Ⅵ-=ニニニニ=-\ Vニニ=-∨///∧ニニニニ=ァ\i i i i ア . i. . . {. . . 斗-\. . 丶 . \i\rく-=ニニ{ ̄ ̄ 、=∧ }ニニ=-∨///∧ニニニ=- ニ ´. 〉i i, . . {. . i乂. Ⅳ ィぅ笊丶. . .\. ノ-=ニニrくV/////∧∧ .'ニニニ=-∨///∧ニニニニア. . /i i/. . 人. 八. 乂 vツ }Ⅵ<⌒il{-=ニニニ|ニ〈//////∧∧ /-=ニニニ=-∨///∧ニニニ/. .rくi i /. / . {´ィぅて ヽ{⌒ }从 乂i八\-=ニニ|ニ∨/////∧ニ〕iト/-=ニ=- ---=-∨///∧二/. . ., .\/. イ {. 乂{{ vツ 、 /. . .介i i i/. . 〕iト -|ニニ∨/  ̄ アニ=-Vニ=-/i i /⌒ -=V////}/. . . /. . . ⌒}八. . .`ト ,... ¬ /ィ. . /. ⌒^.. . . . . ..{ニニ乂r<ニニニ=-/-=ニ/i i/-=ニニニ}////|. . . . ./. . . ィi〔⌒)八 込⌒ ゝ ノ {/ . ∧. / . . 丶. . . Vニニニ{ニニニニニ「 -=ニニi i i {-=ニニニ|////{. . . /. . /^V /. . .ノ 〕iト __ ィ. . /个V. / . . .\ . Vニニ「ニニニニニ]-=ニニ{i i i V-=ニニ∨//∧. . ./. ./ V/. ./ rく'/ | 、 {. . ,⌒\∨. . . . . \. VニV へ-=ニ<-=ニ=-Vi i i V-=ニニ∨//∧. . /. .{ /. イヽ }// ∧{ '| . { }〕iト . _. . 丶. . 、V/ニニニ 、-=ニⅥ-=ニVi i i V-=ニニニV///. .'. . ∧ '. /^ヽ rく'/ ィ⌒ハ 八. .| |/ ヽ. \. /-=ニニニ=-Ⅵ -=Ⅵ-=ニVi i ∧-=ニニニV//. . ./ ', {. { Ⅵ└'/{ } '个. 「〕ト _} }. . . V-=ニニニ=-Ⅵ-<-=ニニ〕iトi iV-=ニニ∨/. . ' .、 八. .、 Ⅵ///} i / {. 八 { , '. . {⌒V-=ニニニ=-Ⅵニ=-<i i i i i i i i i ∨-=ニニ∨. . .{ ⌒¨¨\ \ Ⅶ//7 У ̄⌒ヽ \ 乂y /_. 八 Vニアニニハ/=-/i i i ィi〔ニ〕iトi i i\-=ニニ. .八 丶. ⅥV'∧ {、 }. .}‐┴===彡'7. . \ ゝ{{( )ノ=-, i i i i /-=ニニニ=-\iヽ-=ニ. . . 丶 V. 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┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【メインプロセススキル】 ≪通常攻撃(射)≫(☆)【単体】【短】【コスト-】 └対象に射突攻撃を行う。 ≪ためる≫(☆)【自身】【―】【コスト―】 └自身の【テンション】を+1する ≪キル・ジョーカー≫(☆)【単体】【短】【コスト16】【種族スキル】【特技】 └対象に【通常攻撃】を行う。この時の対象が【???系】の場合、与えるダメージを1.5倍にする。 ≪螺旋穿ち≫(5/5)【単体】【短】【コスト40】【系統スキル】【特技】 └対象に【射突攻撃】を行う。この時のダメージは+SL*4される。 また、この攻撃が命中した場合、更に同じ対象に追加で【射突攻撃】を4回行う。 この攻撃のダメージは(最初に与えたダメージ)/3の貫通ダメージとなる。【戦/1】 ≪ハンドレッドスピア≫(1/10)【全体】【―】【コスト80】【固有スキル】 【特技】 └ 対象に【射突攻撃】を行う。この時のダメージは+SL*4される。 この攻撃が命中した場合、低確率で同じ攻撃を行う。 ≪ニーベルゲン≫(☆)【単体】【長】【コスト10】【種族スキル】【特技】 └対象に【射突攻撃】を行う。この攻撃が命中した場合、回避を一段階下げる。 ≪インフェルノ・ストライク≫(☆)【単体】【短】【コスト15】【固有スキル】【特技】 └このスキルは自身が≪セルフバーニング≫の効果を適用している場合のみ使用できる。 対象に【射突攻撃】を行う。この時のダメージは【メラ属性】が追加される。 また命中した場合、ダメージに関わらず命中した相手を【後列】に移動させる。 40%で【BS:灼熱】を付与する。 ≪黒死の狂女≫(☆)【全体】【―】【コストT*3】【固有スキル】 【特技】 └自身が≪はいくいっく≫を使用しているときのみ使用できる。範囲内の対象にランダムで【射突攻撃】を4回攻撃を行なう この攻撃後、≪はいくいっく≫は強制的に解除される。 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【セットアップスキル】 ≪はいくいっくⅡ≫(☆)【自身】【―】【コスト50】【血統スキル】【強化】 └このR中【すばやさ】を+60する。 『オーバーチャージ』:追加でテンション+2とMP20を消費する。≪はいくいっくⅡ≫の効果は戦闘終了時まで継続する。 ≪桜花幻影≫(☆)【自身】【―】【コスト25】【系統スキル】【強化】 └自身を【隠密状態】にする。この時、自身が【騎乗状態】の場合、【騎獣】も隠密状態にする。 ≪質量を持った残像≫(1/3)【自身】【―】【コスト50】【固有スキル】 【強化】 └このスキルは【騎乗状態】ではなく、かつ自身のテンションが5以上の場合、使用できる。 自身のHPを40%消費する。自身の【影従】をSL体設置する。 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【パッシブスキル】 ≪射突マスタリー≫(10/10)【自身】【―】【コスト―】 └自身の【射突威力】に+SL×3 ≪灼炎纏いて≫(5/5)【自身】【―】【コスト―】【固有スキル】 └自身が行う【メラ属性】のダメージに+SL×4する。その攻撃が【複合属性】の場合、更に追加でダメージに+SL*3する。 ≪槍術士≫(10/10)【自身】【―】【コスト―】【系統スキル】 └【物理命中】にSL×3 ダメージにSL×2 全ての攻撃を【射突攻撃】として扱う。 ≪偽りし者≫(☆)【自身】【―】【コスト―】【血統スキル】 └自身に対しての【解析】を無効にする。 ≪メンター≫(☆)【自身】【―】【コスト―】【系統スキル】 └指導者、助言者、師匠など上に立つ者としての素質に優れている。 現在は本来の目的のために使用している。カウンセリング機能付き ≪読心術≫(4/5)【自身】【―】【コスト―】【固有スキル】 └自身が行う【命中】【回避】【会心】【確率判定】にSL*3する。 ≪戦騎≫(☆)【自身】【―】【コスト―】【血統スキル】 └自身が【騎乗状態】の場合、回避判定に+1Dし、命中判定に+10する。 ≪IS:飛行ユニット≫(☆)【自身】【―】【コスト―】【種族スキル】 └戦闘開始時に【飛行状態】になることができる。 ≪失われし世界の主≫(☆)【自身】【―】【コスト―】【固有スキル】 └自身の全ての【能力値】に+20する。 ≪内なる復讐の火種≫(☆)【自身】【―】【コスト―】【固有スキル】【耐性】 └自身が受ける【メラ属性】のダメージを0にして、受ける予定だったダメージの1/4をMP回復する。 ≪双剣≫(☆)【自身】【―】【コスト―】【種族スキル】 └戦闘開始時に、自身が指定していない【イクイップスキル】を一つ選択する。その【イクイップスキル】を指定している扱いにする。 この効果で指定したイクイップは効果を無効化される。 【耐性スキル】 ≪弱点属性【ドルマ/デイン】≫(☆)【自身】【―】【コスト】【耐性】 └ 自身が受ける【ドルマ/デイン】のダメージに+30%する。 ≪半減属性【イオ/ギラ】≫(☆)【自身】【―】【コスト】【耐性】 └ 自身が受ける【イオ/ギラ属性】のダメージを半減にする。 ≪無効属性【ヒャド】≫(☆)【自身】【―】【コスト】【耐性】 └ 自身が受ける【ヒャド属性】のダメージを無効にする。 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【クリンナップスキル】 ≪ナイトメア・ブリッジ≫(☆)【自身】【―】【コスト―】【固有スキル】【回復】 └このR中で自身が与えたダメージの半分のMPを回復する。【戦/1】 ≪暴虐の悪鬼≫(☆)【自身】【―】【コスト10】【固有スキル】【強化】【弱体化】 └このスキルは2R目からしか使用できない。 自身の【物理攻撃力】【命中】【回避】を1段階上げ、【物理防御】【魔法防御】を1段階下げる。 このスキルの効果は重複する。 ≪スキルフェイカー≫(☆)【自身】【―】【コスト―】【固有スキル】 └スキルクリエイトしたスキルを使用する。 消費するMPは使用するスキルの二倍消費する。 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【イニシアチブスキル】 ≪イグニッションブレイク≫(5/5)【自身】【―】【コスト35】【種族スキル】【強化】 └次に自身が与える攻撃のダメージに+SL×10。【戦/1】 ≪イマジネーションランス≫ (5/5)【自身】【―】【コスト10】 【固有スキル】【強化】 └自身が与える【物理攻撃】のダメージに+SL×4。この効果はラウンド中継続する。【戦/3】 ≪リンクエイド≫(☆)【単体】【―】【コストHP10%】【系統スキル】【回復】 └対象の【戦闘不能】を解除し、HPを1にする。 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【チェインスキル】 ≪ファントムスラスト≫(☆)【後衛を対象に≪ニーベルゲン≫使用時】【制限―】【コスト21】【固有スキル】 └そのモンスターの【隊列】を【前列】に変更する。 ≪鬼神狩り≫(☆)【自身が≪キル・ジョーカー≫使用時】【―】【コスト25】【種族スキル】 └その攻撃によるダメージ発生後、追加で【物理攻撃】を行う。この時のダメージは最もダメージの高い物理攻撃力で計算する。 このとき、対象が【メガサイズ】または【ギガサイズ】の場合、与えるダメージは1.5倍になる。 ≪クレセントサイダー≫(☆)【≪桜花幻影≫使用時】【コスト30】【固有スキル】 └このR中【攻撃】は【射程】と【対象】に関係なく【前衛】になる。 ≪影走り≫(☆)【メインプロセス終了時】【制限戦/3】【コスト10】【固有スキル】 └自身が【飛行状態】ではないときに使用できる。自身を【隠密状態】にする。 ≪不動なる狩人≫(☆)【≪メインプロセス≫の進行開始時】【―】【コスト10】【系統スキル】 └自身の行動を最遅行動にする。 自身のメインプロセスまで【回避】【物理防御】【魔法防御】を1段階上げる。 ≪セルフバーニング≫(☆)【自身の≪ためる≫使用時】【制限―】【コスト テンション1】【種族スキル】 【カウンター】 └自身が【射程:中】までの物理攻撃ダメージを受けた場合、その攻撃を行ったモンスターに【最大HP】の20%分の 【HPロス】を一度だけ与える。この効果が発動したとき、自身が未行動の場合、【行動済み】になる ≪レフトハンドソード≫(☆)【攻撃直後】【制限戦1】【コスト自身のテンションすべて】【固有スキル】 └≪双剣≫で『月下美人』を指定しており、戦闘に自身一人時のみ使用できる。 その攻撃に+すばやさをダメージとして与え、【メラ属性】を追加する。 テンション5以上消費した場合、【リアクション不能】を追加する。 ≪スキルクリエイト≫(☆)【≪不動なる狩人≫使用時】【コスト―】【固有スキル】 └【メインプロセス】を破棄する。メインプロセスを破棄した際、単体を対象として、対象のパッシブを除くスキルを一つ 複製し、そのラウンドの【クリンナッププロセス】時にタイミングを無視して使用する。 なお、複製したものがチェインスキルの場合に限り、使用タイミングは複製元と同一で、任意かつ一度だけ使用できる。【戦/1】 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【イクイップスキル】 『アナトの柳葉包丁』/【物理攻撃力】+10。攻撃時、MPを20消費してその攻撃のダメージを【貫通】に変更する。【戦/1】 『月下美刃』/以下のスキルを取得する。自身のテンションが3以上の場合≪抜刀ツバメ返し:細雪≫を追加する。 ≪抜刀ツバメ返し≫(☆)【単体】【―】【コスト5】【固有スキル】 └対象に【斬撃攻撃】を与え、攻撃が命中したとき、対象が装備している【イクイップ】を解除する。【戦/1】 ≪抜刀ツバメ返し:細雪≫(☆)【抜刀ツバメ返し時】【制限戦/1】【コスト―】【固有スキル】 └対象に与える物理ダメージを貫通攻撃のMPダメージにする。 この攻撃が命中した場合、対象は次のメインプロセスまでの間スキル、アイテム等によってMP回復ができない。 ≪風炎裂傷刃≫(☆)【≪インフェルノ・ストライク≫による攻撃の命中後】【―】【コスト30】【固有スキル】 └対象に【斬撃攻撃】を行う。この時、【メラ属性】と【バギ属性】が追加される。 この攻撃が命中した場合、対象に【BS:裂傷】を付与する。 このスキルによる攻撃後セルフバーニングは解除される。 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 【影従】:使用者が【射突攻撃】を行うたびに同じ対象に設置数分【射突攻撃】を行う。 また、使用者に【物理攻撃】によるダメージが発生した場合、そのダメージを無効にして、【影従】を一つ削る。
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艶かしき安息、躊躇いに微笑み◆S33wK..9RQ Shadows and Regrets(3)に戻る 『ではなぜ今になって己の姿を晒す?隠れ、孤独に、卑怯に、生きてきたお前がっ!?本心はなんだっ!?』 咲夜の言葉と同時に先ほどアシュナードが言った言葉が頭をグルグルと駆け巡った。なぜアシュナードが自分の事を『漆黒の騎士』だと気付き、尚、『印付き』だと知っていることがわかったのが疑問だが……言及はしない。 なぜならここは異世界、異界の地であり、戦法も魔法も大系も何もかも違う。それに異界のラグズなどもいるし、自分の知らぬ武器もある。 きっと支給品に参加者情報あたりがアシュナードに支給されたのだろう。もしかたら逆に『自分の正体を知っているアシュナード』なのかもしれない。だから深く追求することは無意味だと悟った。 そうだ。自分は何年も体を隠し、生きてきた。なのに今は体を隠そうともせずに戦闘を繰り返す。 だから印付きなのか。なぜ印付きなのか。という疑問もぐるぐると頭を駆け巡り始める。 そして最終的にたどり着いたのはあの言葉。自分の好敵手であり、恩人であり、そして倒すべき相手の言葉。 その言葉のせいで、自分は強者との戦いにとらわれているのだろうか。 否、違う。自分は自分の意思で戦いを望んでいるのだ。 だからこれからも自分は、戦い続ける。人殺しではない、騎士として。 しかし、自分の本心はなんなんだろうか。 本当に自分は優勝賞品の『願いを叶える』事を目的にしているのではないだろうか。 自分は無意識のうちに大事な鎧を棄てているのではないのだろうか。 あの時のディープスロート殿の攻撃も避けれたかもしれない。凹んだ兜を棄てた本当の理由があるかもしれない。 そして、私が願っていることが――――なのかも、しれない。 本当は知っていることだが、それが確かな願いなのかを知りたい。 ――――くだらん戯言だ。なにを考えているのだ私は。強者との戦いが全て。それが存在意義なのだ。 自分は戦わなければならないのだ。全てを打ち倒すのだ。参加者も、主催者も、全て。 『みんな聞いてくれ! 瀬多総司は殺し合いに乗ってる! 口八丁で誤魔化そうとしてくるけど、絶対に信じちゃ駄目だ! レミリアや幽香、悪魔や妖怪も従えて、あたし達だけちゃ手が出せない! 特にアドレーヌは要注意だ! 分身みたいな技を使ってくる! みんな騙されるな!! あいつらは悪魔だ。いや、それ以下だ! 絶対に惑わされちゃ駄目だ!! みんなで生きて帰ろう。あんな奴らに負けちゃいけない! 全員で、ここから脱出するんだ!!』 少女の声が聞こえる。瀬多総司。たしかアシュナードが口走っていた名前じゃないか。それに、悪魔や妖怪。気になるフレーズじゃないか。 全てと戦おう。だが、今は声が聞こえた方へ向かう気にはなれなった。休息をしてから向かうことにしよう。 【E-3/ バンクル遊園地観覧車近く/朝】 【漆黒の騎士@ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡】 [状態]:疲労大、四肢に貫通傷(スキルで治癒中) [装備]:神剣エタルド [道具]:基本支給品一式、神剣エタルド@ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡 [思考] 基本方針:強者と戦いたい 0:本当に、自分は優勝賞品を狙っているのか?(実は答えは知っている) 1:休む場所を探す。 2:休んだら声が聞こえた方へ向かい、妖怪や悪魔と戦いたい 3:アシュナードは打ち倒す ※名簿確認しました。 ※参戦時期はナドゥス城の戦い後です。 ※サイボーグ忍者(グレイ・フォックス)の正式名称は知りません。 またリボルバー・オセロットの名前をソリッド・スネークだと思ってます。 ※アシュナードが口走った瀬多が気になります。 ※魔理沙の拡声器による呼びかけを聞きました。 ☆ ☆ ☆ 「……少し、取り乱してしまった。思えばあれは予想範囲内だった」 眼球に釘が刺さってる状態で呟く。釘は完全に埋まっており、引き抜くことは不可能だ。 普通なら眼球を突き抜けて脳に達して死に至るのだが、メダリオンを使用した状態のアシュナードを死に至らせるには及ばなかった。精々痛いだけ。 釘は板に打ち付けたように、鉄の頭の部分がでていた。もう痛覚はない。だが視覚という戦いに重要な物を失ったのは痛手だ。 「ククク……それにしてもこの殺し合い、やはり退屈はしない。あの女、どうやって瞬間的に移動したのか気になるところだ」 自分を驚かせる戦法、そして道具、魔法。面白い、だから戦は止められないのだ。 『みんな聞いてくれ!』 そのときだった。ノイズ交じりに少女の声が聞こえる。その内容はアシュナードをかなり楽しませる内容だった。 「……む?……これは面白いことになってるじゃないか。瀬多よ。これからどう動くが見物だな」 自分も向かいたいが、今の状態で向かっては戦を存分に楽しめないだろう。 「……さて、あいつはやはり忠誠なんか誓っていなかったか。それ以前に、奴の正体がやはりゼルギウスだとは誰も思わなかっただろうな」 自分の部下の事を思い出す。その証拠にやはり自分に刃を向けてきたのだ。あいつは死刑。それ以前に部下ではなかったが…… 過去の英雄になんていつまでも取り付かれては前には進めないのに、奴はいつまでもわからないのだ。 まぁ、それを指摘する義理は自分にはない。今は休んで、次の戦の為の準備をしよう。 【D-3/ バンクル遊園地 真裏/朝】 【アシュナード@ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡】 [状態]メダリオン使用状態 疲労(大) 全身に切り傷、頬に貫通傷(全て回復中) 左目眼球に釘(回復不能) [装備]ヴァーグ・カティ@ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡 [道具]支給品一式 書店で取った本を何冊か [思考]基本方針:戦を楽しむ 1:寝る 2. 幽香を妃にする 3. 瀬多を軍師として起用し、鎧の二人(セシルとカイン)も部下にする 4. 上記二つを叶えるため、脱出方法も一応考える。しかしほとんど瀬多頼り 5. 弱者は滅する 6.ゼルギウスは殺す 7. イゴールを見つけたら殺す ※参戦時期は最終章でメダリオンを使用した直後。 ※メダリオン使用していますが制限が掛かっています。 ※鎧は爆発の影響でボロボロの状態です ※マルクが自分の考えに賛同してると思ってます。 ※瀬多達との戦いでの傷は全て回復しました。 ※漆黒の騎士の正体を知りました。また漆黒の騎士の過去や詳しい情報を得ました。 ※魔理沙の拡声器による呼びかけを聞きました。 ☆ ☆ ☆ 「.……げほ。げほ、」 「カイン!?大丈夫か!?」 カインはセシルの問いに答えることができなかった。吐き気、腹痛、そして傷口が痛む。 きっとベトベトンのもうどくのせいだろう。だが運がいいことにセシルはどくけしをもっていた。 「はぁ、はぁ、セシル、ありがとう」 「いいんだ。困ったときはお互い様だ」 吐き気が収まったカインはセシルに例をいう。この光景はやはり赤き翼の正しい姿であり、ずっと続いてきた。 「……セシル、お前は辛くないのか?ゴルベーザと戦うことを、」 「……カイン。君はもう僕の本心を知っているだろう」 カインはセシルとゴルベーザとの戦いで話していた事を全て聞いていた。 「ああ。俺はセシルがゴルベーザに自分の道を進んでほしいことを願っていることを知っている。だが、セシル、お前も自分の願いは絶対に譲らないことも知っている」 「……カイン」 「俺はいつまでもお前の味方だ。それを一緒に願ってやる」 ――――二人は知らない。それは歪んだ愛だということを。 『みんな聞いてくれ!』 そこに魔理沙の悲痛な拡声器からのが流れる。 「……内部に離反者でもいたのかな?」 「これを言ってる奴は勘違いしてるのに間違いないが、俺達には好都合だ」 カインがそういうと横になる。 「今の戦いで酷く疲労が溜まった。セシル、悪いが俺は寝る。交代に休んで、見張りを頼む」 そういうとカインはすぐに寝てしまった。 「……ゴルベーザ」 自分の愛しい敵の名を呟く。こんなに悲しいことはない。自分の道を進んで欲しいのに、なぜゴルベーザは自身の事ではなく自分のことばかり考えるのだろうか。 「わからないな」 思えばこれは矛盾している意見だ。なのにカインは自分の事を思い、気使ってくれる。その優しさが針の様に痛かった。 【D-3/ バンクル遊園地 近く/朝】 【チーム 赤き翼】 【セシル・ハーヴィ@ファイナルファンタジーⅣ】 [状態]疲労(大) 暗黒騎士 、全身に裂傷 [装備]銀の大剣@ファイアーエムブレム 蒼炎の奇跡、キラーボウ [道具]支給品一式×4 キラーボウ(13/15) 不明支給品1~2 [思考]基本方針:カインを優勝させ、ローザを含む全ての参加者を救済する 0:見張る 1. カインと共に参加者を一掃する。特に瀬多は優先して殺す 2. ゴルベーザには、自分の道を…… 3 少女の放送は保留 ※魔理沙の拡声器による呼びかけを聞きました。 【カイン・ハイウィンド@ファイナルファンタジーⅣ】 [状態]疲労(極大) 胸に軽度の火傷 、全身に裂傷 [装備]グングニル@ファイナルファンタジーⅣ [道具]支給品一式 [思考]基本方針:優勝し、ローザを含む全ての参加者を救済する 0:休む 1:セシルとの約束を果たし、この殺し合いを共に勝ち進む 2 少女の放送は保留 ※魔理沙の拡声器による呼びかけを聞きました。 ☆ ☆ ☆ 「なによこれ」 咲夜が戻ってきて、それを見た時、唖然とした。 誰だかわからない焼死体が転がっており、そして、先ほどまで生きていたはずの黒髪の子、かなり安らかな寝顔で『天城雪子』が息絶えていた。 そして近くに転がっているのはオタコン。指の爪を全て剥がされている。 なにがあったのだ。疑問しか浮かばない。この短時間でこんなことになっているとは、どうなっている。 「ねぇ、オタコン!」 まだ息があり、事情を一番知ってそうな奴を起こす。が、中々起きない。蹴飛ばしてやろうか。 「……あれ?」 そのときだった。視界が歪む。そして自分も倒れた。この感覚はあれだ。漆黒の騎士に文鎮を突っ込まれる前の感覚。 「おえっ」 倒れながら胃に入ってたものを吐き出す。だが自分はなにも食べていないのでどす黒い液体がでてきただけだった。どうやら能力を使いすぎたみたいだ。 確か胃潰瘍って血を吐く病気らしいけど、その血は胃酸で溶かされて真っ黒なんだっけ……? あー、意識が遠のく…… 咲夜のデイパックからモンスターボールが転がりおちた。 そして壁に追突。その衝撃でモンスターボールが開き、ピカチュウが現れる。 もはや咲夜の物ではあったが、これは最終兵器として使おうととっておいたのだ。もっとも咲夜は存在を忘れてただけかもしれないが。 「……ピカ?」 ピカチュウは唖然とした、なんだこれは。 「ピカピ?」 咲夜は黒い物を吐いて気絶しているし、千枝もなんだか具合が悪そう。オタコンは爪がない。 それで、多分同じポケモンだろと思われるピンク玉も切り傷だらけ。 セキチクジムで戦った見知ったキョウがいるけど、キョウは黒い涙を流してる。 「ピカ……」 それを見た瞬間、なんだか怖くなった。なにこれ。 「ピカアアアアアアア!」 大変だ。助けをよばないと…… 誰か来てよ……みんなが死にそうだよ….… 「ピカ!」(あ!ベトベトン!) 「ベトベトン~!」(ん?あんたどっかでみたことがあるな) 僕の願いが通じたのか、どこかで見たことのあるベトベトンがこちらに向かって這いながら移動してきた。 「ピカピカピカ!」(助けて!大変なことになってるよ!) 「ベトベトン~」(俺には無理だが、俺の主ならなんとかできる筈さ。……ん?そこにいるのは俺の元持ち主じゃねえか) 事情を説明するとすると返事が来た。どうやらキョウが持ち主らしい。もっとも今は違う。僕の事をいまレッドが所持していないように。 そういうとベトベトンを追うように鎧の男がこちらに向かってきた。 「………」 その鎧の男がよくわからない液体をみんなの口に入れていく。不思議なことにその場にいた全員の傷が癒えていった。 「ベトベトン~」(どうやら行くみたいだ。キョウには宜しくいっといてくれ) 「ピカピカ!」(ありがとう!ベトベトンと鎧の人!) ベトベトンがモンスターボールの光に吸い込まれていく。 そしてその男はゆっくりと歩き、やがて見えなくなった。誰だか知らないけど、とても優しい人なんだろうな。 『みんな聞いてくれ!』 「ピカピ?」 鎧の男が立ち去って数分後。女の子の大きな声が自分の耳をつつく。 その放送に耳をよく傾け、話の粗筋を頭に詰め込んだ。きっと大事な内容だから。……でも咲夜や他のみんなにそれを伝える術なんか自分にはないからどうしよう。 みんなよく寝ている。だけど、そこに黒こげの死体や女の人の死体。なんてこんなところでみんな寝ているのだろうか。 この状態で敵に、足立の様な奴に襲われたらひとたまりも無い。だけどみんな疲れているだろうし、自分が守ってやらなければならない。 ふと、自分の持ち主について思う。レッドがもし死んでいたら?それが堪らなく怖い。でも頭はいいんだ。だからずっと負けることは無かったんだと思う。 だから、どうか、レッドも、みんなも、生きていて。 【E-3/ バンクル遊園地 ジェットコースター乗り場前/朝】 【ピカチュウ】 [状態]PP消費、精神的不安 [思考] 0 みんなを守る 1 レッドに会いたい 2 ベトベトンの事をキョウに伝えておく ※レッドのピカチュウです。覚えてる技は「かみなり」「十万ボルト」「ボルテッカー」とあと一つです ※レッドと同じ時期につれてこられてます ※魔理沙の拡声器による呼びかけを聞きました。 【ハル・エメリッヒ@メタルギアシリーズ】 [状態]:気絶中、疲労(小)、両手の爪全て欠損 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、携帯型ゲーム機 確認済み支給品0~2 (武器はある) [思考] 基本方針:マルクの見極めと計画の阻止 0 ??? ※MGS2エンディング後、MGS4本編開始前からの参戦 ※ゲームを2面をクリアしました。また選択肢は保留中 ※疲労感と小さな傷ははラストエリクサーにより回復しました 【里中千枝@ペルソナ4】 [状態]:気絶中、疲労(小)、SP消費(小)、腹部に痣 [装備]:アメリカ製のライター [道具]:基本支給品一式、万能薬×2@ファイナルファンタジー4 [思考] 基本方針:この事件を解決する 0:??? ※真ENDルート、イザナミと出会う前からの参戦です。 ※ペルソナはトモエです。 ※疲労感とSPはラストエリクサーにより回復しました 【十六夜咲夜@東方project】 [状態]疲労(小)、胸骨にヒビ、鼻の骨の陥没(治療済み、衝撃を与えるとまた陥没する恐れあり)、腹部に痣、下 着 を つ け て い な い [装備]和服、釘打ち機 [道具]支給品一式(食糧はなし)、ピカチュウ@ポケモンシリーズ、自分の衣服(濡れている)、凹んだ防弾チョッキ、下着、釘打ち機、メガポーション@FF4 [思考・状況]基本方針;ピエロを倒して異変解決。油断はしない。幻想郷の常識は捨てる。 0 ??? ※漆黒の騎士の名前を聞きました。 ※FE世界の事を聞きましたが、信じてません。 ※疲労感はラストエリクサーにより回復しました 【カービィ@星のカービィ】 [状態]ソードカービィ、気絶中、疲労(小)、強い決意 [装備]虹の剣 [道具]虹の剣@星のカービィ [思考]基本方針:ゲームには乗らない。困った人は助けたい 0:??? ※名簿、支給品は確認済みです ※銀河に願いをクリア~の時期での参戦です ※アリス、キョウ、雪子と少しだけ情報交換しました。 ※セシルが殺し合いに乗っていることを知りました。 ※まだオタコンたちと情報交換をしていません。 ※疲労感と小さな傷はラストエリクサーにより回復しました 【キョウ@ポケットモンスターシリーズ】 [状態] 疲労(小)、全身に裂傷、左手の指ほぼ欠損、右目損傷 [装備] 神剣ラグネル [道具] 基本支給品一式、 アドレーヌの絵描き道具一式@星のカービィ、 コイキング@ポケモン 、神剣ラグネル@FE蒼炎 [思考] 基本方針 マルクに天誅。 0:??? ※アリス、雪子、カービィと少しだけ情報交換しました。 ※まだオタコンたちと情報交換をしていません。 ※疲労感と小さな傷はラストエリクサーにより回復しました ☆ ☆ ☆ 「…………セシル。やはり悪の道へ進んだか」 召喚士リディアは死んだ。彼らの仲間だ。 それに自分の部下、バルバリシアも。 これで遂にセシルを思うものは自分だけになってしまった。 この会場によばれていないセシルの仲間たちが今のセシルを見たらどう思うのだろうか。きっと悲しみ嘆くだろう。 しかし、セシルの願い。『自分の道を選んで欲しい』だと? お前は何を言っているんだ。これは最初から決まった運命だ。お前は聖なる道を進み、私は闇の道へ進むのだ。 なのに今頃になって立場を交換だと?馬鹿馬鹿しい願いだ。聖なる光への道を自らやめる者がどこにいるのだ。 ああ、なんて悲劇だ。これは悲劇だ。そして私にとって喜劇だ。笑える。 兄弟揃って殺し合いなど、なんて悲しいことだ。こんな悲しいことがあってたまるか。ゼムスに洗脳された私をお前は哀れんだ。 哀れんだからこそ、私を打ち倒し、救ったというのに、お前は哀れんでもないのに、闇の道へ進み、私の期待を裏切った。 いいだろう。それでは私も裏切ろう。お前は兄さんを私を呼んでくれた。それは堪らなく嬉しいことだ。 だが私はお前を弟とは言わないことにする。もはやお前は敵だ。ゼムスから私を救ってくれた恩を、私はお前を打ち倒す事でその恩を仇で返すことにしよう。 闇の道に進むのは私だけ充分だ。そうだろう、セシル。 【E-3/ バンクル遊園地のどこか/朝】 【ゴルベーザ@ファイナルファンタジー4】 [状態]:疲労(大)、鎧に少し焦げ目、鎧に傷、魔力消費(極大) [装備]:ベトベトン [道具]:基本支給品一式、ベトベトン@ポケモン、不明支給品(0~1) [思考] 基本方針:殺し合いにあえて乗り、殺し合いに抗う者たちの結束を固める 1:殺し合いに抗う者たちと戦う。 2:殺し合いに乗っている者達も抗う者達に有利になるように力を削ぐ 3:セシルに引導を渡す ※エンディング後からの参戦です ※ベトベトンはキョウが持ち主です 【アリス・マーガトロイド@東方project 死亡】 【天城雪子@ペルソナ4 死亡】 【リボルバー・オセロット@メタルギアシリーズ 死亡】 【残り24人】 ※ステルス迷彩は焼けて壊れました ※天城雪子の死体の手にシングル・アクション・アーミー(5/6)@メタルギアシリーズが握られています ※観覧車の真下にゴンドラが落ちており、そこにアリス・マーガトロイドの死体があります。 ※遊園地は誰かが電源を入れたわけではなく、会場のギミックです。8 00~21 00の間だけアトラクションが稼動します ※遊園地エントランス前に軽トラックが放置されています ☆ ☆ ☆ 会場のどこか。どかどかと廊下を歩く音が聞こえる。そしてドアをおもいっきり開ける音が彼の耳に響いた。 「……どういうことよ?」 「ああ、君達のゲーム機のプログラムのことかい?」 「知ってたのね。私達がアレを支給品に仕込んだことを」 「大丈夫、アイツには言ってない。言う気もない。それにどちらかと言えば俺は君達寄りのポジションさ」 ガソリンスタンドの男、イザナミはニヤニヤしながら彼女の言葉を聞く。 「ふざけないで。一番この惨事を楽しんでるのは貴方じゃないのよっ!!」 「えーりん!落ち着くのサ!」 「ふふ、俺は楽しい方向に進ませてるだけ。でもこれ以上やったら俺の命も危ない」 「……自分自身の命もどうでもいいと思ってる癖に、」 「大丈夫、これ以上梃入れはやらないように努力はする」 「あの選択の回答を知ったって参加者には殆ど無意味の情報よ。貴方のせいでゲームが進まなくなった」 「早く首輪を解かれても困るんだ。だからああいうプログラムを仕組んだ。でもあの『ハル・エメリッヒ』がプレイしてる事もあるし、すぐに無意味な選択だと気付かれるかもしれないから、難易度も上げておいた」 「っく!貴方って人はっ!?」 歯軋りをして、くってかかろうとする。だがその光景を見たマルクはすぐに永琳を押さえつける。 「えーりん!僕らがこいつに勝てる訳ないのサ!」 「おおう、怖い怖い、月の頭脳を怒らせたらどうなるか見物だねぇ。じゃ、俺は忙しいから早く出てって」 イザナミはもう興味は無い、と言いたげそうに回転イスを何かを映す画面に方向を戻した。こうなっては完全に自分を相手にしてくれないだろう。その部屋をあとにするしか二人にはできなかった。 「……はぁ」 「…………えーりん。」 「……大丈夫。まだ負けた訳じゃない。でもアイツのせいで運否天賦の賭けになった」 小さな声でマルクに言う、この廊下にも盗聴器があるのでこうやって話すしかなかった。 「……神に祈るしかないのサ」 「祈ったって意味は無いのよマルク。だからもっと決定的で、アイツにもばれない作戦を考えなければいけない」 泣き言を言うマルクに自分なりに励ました。 そうだ、神は居るには居る。それも沢山。だが祈ったって神は自分達の事に興味はもたない。精々私達の愚痴を宴会の肴にするだけだ。 だが、ゲーム機以上にいい作戦が思い浮かぶことは在りえない事だと自分でも分かっている。だから今は、神に祈る訳ではない。ただ運に頼るしかないのだ。 ハル・エメリッヒがその質問を意味の無い事に気付き、そしてイザナミが上げたという難易度が所謂『鬼畜』ではないことを祈るしかない。 私の裏をかいてきたイザナミの裏をかいてきた私の裏を……。正直、今はいたちごっこの状態だ。 最初からいたちごっこにならないような作戦、例えば、一撃必殺の様な攻撃を。 全てが終わるまで、私は考え続けなければならない。全てを救う為に。 時系列順で読む Back Shadows and Regrets(1) Next 銀河に集う星たち(前編) 投下順で読む Back Shadows and Regrets(1) Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back Shadows and Regrets(1) アシュナード Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back Shadows and Regrets(1) セシル・ハーヴィ Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back Shadows and Regrets(1) カイン・ハイウィンド Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back Shadows and Regrets(1) ゴルベーザ Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back Shadows and Regrets(1) 漆黒の騎士 Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back Shadows and Regrets(1) リボルバー・オセロット GAME OVER Back Shadows and Regrets(1) アリス・マーガトロイド GAME OVER Back Shadows and Regrets(1) 天城雪子 GAME OVER Back Shadows and Regrets(1) キョウ Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back Shadows and Regrets(1) カービィ Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back Shadows and Regrets(1) 十六夜咲夜 Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back Shadows and Regrets(1) ハル・エメリッヒ Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back Shadows and Regrets(1) 里中千枝 Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back Shadows and Regrets(1) ピカチュウ Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back Shadows and Regrets(1) ベトベトン Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back Shadows and Regrets(1) コイキング Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back Shadows and Regrets(1) イザナミ Next アフターダーク Back 第一回放送 八意永琳 Next アフターダーク Back 第一回放送 マルク Next アフターダーク
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Beautifull Dreamer ~Smile Again ◆DNdG5hiFT6 気付いたら私は草原にいた。 視界いっぱいに広がる鮮やかな緑色の絨毯とどこまでも続く透き通るような青空。 草原を走る風が爽やかな匂いを届けて、ぽかぽかした陽気が体を暖めてくれる。 そんな心地いい世界で、私は草原に背を預けごろんと寝転がっていた。 ふと隣に気配を感じて、首を横に向けるとそこには私と同じように寝転がる“お姉ちゃん”の姿があった。 といっても年の離れた実の姉のゆいお姉ちゃんじゃなくて、私にとってのもう一人の“お姉ちゃん”。 血縁的に言えば従姉で、今は一つ屋根の下で暮らすこなたお姉ちゃんだった。 「やっほー、ゆーちゃん元気ー?」 いつも通りの声で私に笑いかけるお姉ちゃん。 「うん、元気だよ、こなたお姉ちゃん」 信じられないほどに体の調子がいい。 やはり空気のいいところにいると体の調子もいいものなのかな? 「うんうん、そりゃ何よりだよ」 そう言うお姉ちゃんは言葉とは裏腹にニヤニヤと笑みを浮かべている。 こういう場合は大抵かがみおねえちゃんをからかっている時なのでちょっと不安だ。 「それにしてもゆーちゃんがいい人とめぐり合えたみたいで私は安心したよ」 そう言われて脳裏に浮かぶのは顔の左側に大きな傷を負った男の人。 徒でさえ強面で――時々ほんとうに怖い顔になるけれど、私は知っている。 自殺しようとしていた自分を落ち着かせてくれて、行動を一緒にしてくれている優しい人だ。 「うん、Dボゥイさんはいい人だよ」 「そうだね、結構カッコイイし。 でもちょっとそこは意外かな? ゆーちゃんのタイプって純朴そうなのかと思ってたからさー。 まさか男ツンデレを攻略するとは……ゆーちゃん、GJ!」 えええええええええええ! い、“いい人”ってそういう意味!? そ、そうじゃない! Dボゥイさんはそういう相手じゃないよおねーちゃん! 確かに抱きしめられてドキドキしたりもしたけど! その時にちょっと「男の人の匂いってこんな感じなんだ……」とか思ったりもしたけど! 「……まさかゆーちゃんがそこまで進んでたなんて……ショックだよ……」 だから違うよ! 『ホントにショック受けた』って顔で言わないでよ! お、お姉ちゃんこそどうなの! 男の人の影がないって言ってたじゃない! でも、私がそう返すとお姉ちゃんはちょっと困ったような表情で。 「んー、私もいい人たちと出会えたかな。 ただちょっと……リアルLUCが足りなかったみたいでさ、そこで運が尽きちゃったみたい。 もしかしてレバ剣拾ったときに使い果たしちゃったかなー?」 その人たちとケンカでもしたのだろうか? そう訊くとお姉ちゃんは首を横に振った。 「ううん、ケンカはしなかったな。 でも、ここで“終わり”だと思うと残念かなって」 そう言って私を見る目はどこまでも穏やかで、不安になる。 だってなんでそんな――『遠く』から私を見るのだろう? 「な、に……言ってるの?」 お姉ちゃんの言うことが理解できない。 ねえ、“終わり”ってどういうこと? 「ははは……現実は非情なのにさ、こういうところは漫画みたいなんだね。 もしかしたらあっちには神様もいるかも……できれば綺麗な女神サマがいいんだけどね~」 そんな空っぽな笑い方、らしくないよ。 こなたお姉ちゃんはもっと明るい笑顔が似合ってるよ。 「ん……ありがとね、ゆーちゃん。 ……さてと、そろそろ行かなきゃ。 つかさも待ってるだろうし……もしかしたらお母さんにも会えるかもしれないしね」 体が動かない。声が出ない。何で? どうして? 言いたいことがあるのに。聞かなきゃいけないことがあるのに。 「あ、そうそう。お父さんに伝えといて。“『俺より先にいくな』って約束守れなくてごめん”って」 自分で伝えればいいよ。じゃないと叔父さんも悲しむよ。 「あはは、うん、でもね私、ここでバッドエンドみたいなんだ。 いやーセーブ&ロードが使えないってユーザーフレンドリーじゃないよね。 一昔前ならともかく今ならクソゲー呼ばわりだよ」 言ってることはいつも通りなのに私の中の不安は消えない。 それどころか不安がどんどん膨れ上がっていって体ごと破裂してしまいそう。 「でも大丈夫! ゆーちゃんならノーコンテニューで最後までいけるって!」 そう言いきった姿はいつも通り、自信満々なお姉ちゃんの姿。 でも、何処か寂しげで。その理由を訊こうとした瞬間、 「こなたー!」 「おーい、そろそろ時間だってよー」 声のした方に目を向けるとそこには中学生ぐらいの男の子とさっき会ったお姉さんと同じ服を着た眼鏡のおじさんがいた。 その時、私には何故か見覚えの無いその二人がお姉ちゃんを連れて行っちゃう存在に見えて、 失礼にも程があるのに『あの人たちについてっちゃだめ』と言いかける。 でも声が出ない。指も動かせない。動かなきゃいけないのに体の境界線が滲んでしまったみたいにあやふやで動かせない。 そんな感覚に戸惑う私の体を暖かさが包み込む。 そして――理解する。 ああ、抱きしめられてるんだ、私。 「春にゆーちゃんがうちに来てから色々会ったよね。 夏祭りも行ったし、文化祭で踊ったの楽しかったね」 うん、楽しかった。だからもう一度――ううん、何度でもやろうよ、こなたお姉ちゃん。 「今はつらいけど、未来には楽しいことが色々待ってるから、挫けちゃダメだよ。 みなみちゃんやひよりん、パティ達とも仲良くね」 そこにはお姉ちゃんもいなきゃダメだよ。かがみおねえちゃんやつかさおねえちゃん、高良先輩たちもいっしょじゃなきゃヤダよ。 「私、一人っ子だったから、ゆい姉さんとゆーちゃんがホントの姉妹みたいで嬉しかったよ」 私だってそうだよ。お姉ちゃんが二人もいるなんて幸せだよ。 「もっと沢山話したかったよ。もっと色々遊びたかったよ。もっとずっと一緒にいたかったよ。 でもさ……私はここまでっぽいや」 耳元から聞こえる声は、優しくて、暖かくて。 なのに――なんで涙が溢れて止まらないんだろう。 「ゆーちゃん、泣かないで。いつもみたいに可愛い笑顔を見せてよ」 頬にやわらかい感触。お姉ちゃんの指が涙を拭き取ってるんだ。 「私が思うにゆーちゃんの笑顔はいわゆる一つの萌え要素ってやつでさ、きっと色々な人に癒しと幸せを運ぶと思うんだ。 これからさ、辛いことや悲しいことが沢山あると思うし、泣きたいときは泣いてもいい。 でもさ、笑うことだけは忘れないで。私には出来なかったけど、ゆーちゃんなら出来るよ」 笑うから、きっと笑うから。だから――いかないで。 「じゃあね、ばいばいゆーちゃん。 ホントに……ホントのホントに大好きだよ。私の……自慢の従妹で、素敵な友達で、かわいい妹だったよ」 どんどん意識がぼやけていく。 気を失うのとは違う、夢から覚めてしまうような感覚。 ああ――そうか、これは夢なんだ。 覚めないでと願っても、夢だと気付いた瞬間にどんどん指からすり抜けてしまう幻みたいな記憶。 だから願いとは裏腹に温もりが、大好きなこなたお姉ちゃんの温もりが消えていく。 「もう……いいのか?」 「……うん、言い出したらきりが無いし。それにゆーちゃんはああ見えて強い子だから大丈夫だよ」 「こなたが言うならそうなんだろうね。僕も応援するよ」 「ああ、俺たちにできるのはもうそのくらいしかないしな。スバルの奴もきっと大丈夫だろうよ」 「そうそう、だってスバルもゆーちゃんも“萌え要素”の塊だもん」 「“モエ要素”?」 「んー、あっちに行ったらアル君たちにも教えてあげるよ。 “萌え”の真髄ってやつをさ――」 そう言いながら二人と一緒に歩いていくお姉ちゃんの背中を最後に、私の意識は光の中に落ちた。 「……たか……ゆたか!」 ゆたかの瞳に映るのは自分を心配そうに見つめる二つの瞳。 顔の左側に大きな傷――ああ、そうだ私はこの人を知っている。 「D……ボゥイ……さん……?」 Dボゥイは心配そうに自分の顔を覗き込んでいる。 「大丈夫か、ゆたか」 「え……何が……」 そう言われて頬を伝う冷たい感触に気付く。 そういえば、何かとても悲しい夢を見た気がする。 でも指の間から水が零れていくみたいに、夢の記憶が無くなっていく。 大切なことだったのに――思い出せない。 「――本当に大丈夫か?」 より深くゆたかの顔を覗き込むDボゥイ。 その距離はゆたかにしてみれば密着状態といっても過言ではない距離で 男性に免疫の無いゆたかは顔に血が上ってしまい、顔を背けてしまう。 そこで気付く。周りの光景が先程までいた公園ではないと。 「あれ……ここはどこですか?」 「地図でいうD-6の端……総合病院の裏側から少し離れたところだ」 Dボゥイも最初はゆたかが目覚めるまで自然公園に留まっているつもりだった。 だがゆたかが気絶してから1時間ぐらいたった頃だろうか。 北の方から連続した銃声と建物が倒壊する音が連続して聞こえてきたのだ。 しかも音の元はこちらに近づいてきている。 ――今、戦闘に巻き込まれるわけにはいかない そう考えたDボゥイはその視界から消えるため、ゆたかを抱えたまま移動するという分の悪い賭けに出た。 周囲を警戒しつつ、喧騒から逃げるように南下。 そして物陰に隠れながら慎重を期しつつ、E-5から回り込むようにして 直線距離で言うとたったの1キロを1時間以上かけて移動した。 そして幸運なことに誰にも会わずに病院に辿り着いたのだが―― 「あの……何で病院に入らないんですか?」 目的地が目の前にある以上、それは当然の疑問と言えた。 その疑問に対してDボゥイは僅かに迷った後に、その理由を端的に答える。 「病院には……危険なやつがいる」 その原因を説明するには、時間を約1時間ほどさかのぼることになる。 Dボゥイがゆたかを抱えて病院近くに到着したのは午前9時前のことだった。 そして見通しのいい道を避け、裏口から入ろうとしていたDボゥイを押し止めたのは、 内部から響いた何かが割れる音とその直後に病院から出てきた中年男性の姿だった。 男は身を隠したDボゥイたちに気付く余裕もないようで、全身がボロボロの状態で北に向かって行き、 その直後、またもや病院から――明らかに人間を超えた速度――二人組の男が中年が逃げた方向に走っていった。 その態度にただならぬものを感じたDボゥイが建物の影に隠れるようにその後の様子を伺っていると、 『ぎゃああああああああああああ!?!?』 そこには右腕を切り落とされ、さらに全身を何らかの電撃で焼かれ絶命する中年男の姿があった。 それは遠目に見ても圧倒的な実力差で、“嬲り殺し”という表現が一番しっくり来るように思えた。 その光景を見てDボゥイは自分の迂闊さを呪う。 病院ならば治療器具がある……そう考えるのは怪我したものだけではない。 そう考えた手負いの者を狙って動く殺戮者も存在するのだ。 恐らくはあの全身が青い男と東洋風の格好をした男もそうなのだろう。 男を殺した二人組が男の死体に何かをしている隙に病院から離れたが、これからの予定は白紙に戻ってしまった。 ――せめてあいつらがいれば。 Dボゥイの脳裏に浮かぶのはアキやノアルを初めとしたスペースナイツの仲間達。 信頼できる彼らがいれば、この少女を彼らに預けてあの危険人物たちと戦えるのだが―― だが、そこまで考えてDボゥイは己の思考をあざ笑う。 (まともな“人間”なら、まずこの殺し合いの戦場に彼らの名が無くて良かったことを喜ぶべきだろう。 ……所詮俺もあの悪魔達と同類なのか) その証拠に今もしもシンヤと……エビルと会ってしまえば、自分はきっとゆたかを見捨てて殺しあうだろう。 そんなネガティブな思考を止めたのは自分の手を握る小さい手の感触だった。 すでにかつての仲間を殺した、血塗られたこの手を包み込む少女の柔らかな両手。 「Dボゥイさん……怖い顔してます。 その……辛いときこそ笑いましょう。きっと……大丈夫だって思えるはずですから……」 ――これが先程まで知り合いの死を嘆いていた少女の姿だろうか。 絶望の中で笑顔を作るのは難しい。それはDボゥイが誰よりも知っている。 だからこそ、この笑顔には確かな力がある。 儚げで、今にも消えてしまいそうだがそれでも咲き続ける一輪の花のような笑み。 その笑顔を見て、感じていたネガティブな思考が霞のように消えていく。 「ああ……そうだな。ありがとう、ゆたか」 ゆたかの笑顔に応えるように、Dボゥイは唇の端を持ち上げる。 それは微かであまりにも不器用だったが、彼がこの戦場に連れてこられてから初めて見せる笑顔だった。 【D-6/総合病院から少し離れたところ/昼】 【Dボゥイ@宇宙の騎士テッカマンブレード】 [状態]:左肩から背中の中心まで大きな裂傷(出血は治癒、裂傷に伴う痛みは若干残っている)、吹き飛ばされたときに全身に打撲、中度の貧血 [装備]:テッカマンアックスのテックランサー(斧) @宇宙の騎士テッカマンブレード [道具]:支給品一式、月の石のかけら(2個)@金色のガッシュベル!! [思考] 1:しばらく潜伏した後、何処に向かうかを決める 2:テッカマンエビル、相羽シンヤを殺す 3:2を果たすためなら、下記の思考を度外視する可能性あり 4:兎に角、ゆたかと自分が休める場所(ある程度安全でベッドや布団のある場所)を探す 5:ゆたかを知り合いか信頼できる人物にゆだねる、つもりだったが迷い中。 6:仲間を探すべきか? だがこの戦場で本当に信用できる人間がいるのか? 7:ゲームに乗っている人間を殺す [備考] :殺し合いに乗っているものはラダムと同じだと結論しました :テッカマンアックス撃破後、身体が蝕まれる前ぐらいを意識しました :ヒィッツカラルドの簡単に埋葬された死体の上にフィーロの帽子@バッカーノ! が置かれています。 :六課メンバー、クロ達、リザの仲間達の情報を入手。 :紙の詰まったトランクケースはD-7に放置されたまま。 :青い男(ランサー)、及び東洋風の服装の男(戴宗)を危険人物として認識しました 【小早川ゆたか@らき☆すた】 [状態]:肉体的疲労小、精神的疲労中 [装備]:COLT M16A1/M203@現実(20/20)(0/1)、コアドリル@天元突破グレンラガン [道具]:支給品一式、鴇羽舞衣のマフラー@舞-HiME、糸色望の旅立ちセット@さよなら絶望先生[遺書用の封筒が欠損] M16 アサルトライフル用予備弾x20(5.56mm NATO弾)、M203 グレネードランチャー用予備弾(榴弾x6、WP発煙弾x2、照明弾x2、催涙弾x2) [思考] 1:辛くても笑わなきゃいけない気がする 2:なんで私泣いてたんだろう……? [備考] :コアドリルがただのアクセサリーではないということに気がつきました。 :夢の内容は今のところぼんやりとしか覚えていません 時系列順で読む Back 野蛮召喚塔 Next 『真偽』と『真意』~危うい■■(前編) 投下順で読む Back 野蛮召喚塔 Next 金ぴかと本と熱血格闘家とあたし 106 悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 Dボゥイ 106 悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 小早川ゆたか
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Ace Combat -No Hero in Starry Heavens- 咽び泣くような啜る彼女の声に、あるはずのない肉感的な疼きをディムロスは覚えた。 本来ならソーディアンである自分たちには有り得ない、しかし決して不快ではないそれを掬いとって眺めるように楽しむ。 壊れているのは、自分も彼女も同じなのかもしれないなと思った―――――“奴”の言うとおり。 (!! しまっ―――――――) ディムロスの意識が戦闘用に組み替えられていくが、アトワイトの方に完全に注力していたそれが戻るのに数瞬のラグが生じる。 彼女の方だけを見つめていたからこそ、ディムロスは彼女の手を取ることが出来た。 『…………ミトス!?』 「アブソリュート――――――――絶対零度」 だからこそ――――――――ミトスがこのタイミングで動くのは至極当然のことと言えた。 アトワイトの声につられて真上を見上げるディムロス。そこには、転移の光の粒子を撒き散らしながら、両の手を添えるようにして抱えられた氷塊があった。 八割組み上げられた意識でディムロスは理解する。あの時ミトスはアトワイトを落したのではなく“手放した”のだ。 ディムロスの意識が戦闘から完全に乖離するこの一点の為の布石としてか。 その真意は別にしても、その推測は現実に符合していた。アトワイトの驚きがそれを裏付けている。 カイルの後頭部を目掛けて完全に分子運動を止めた氷塊が落ちるように飛ぶが、彼らの応対は一歩間に合わない。 『カイ―――――――』 「落ちろ、浄化の炎ッ!」 そう、たった一人を除いて。 無意味な警告が言い終わるよりも早く、ディムロスの身体が引っ張られた。 捩じるように振り向かされて、ミトスの方へと刀身が向けられる。 彼の核たるレンズが一層に輝くが、ディムロスの自覚的なものではなかった。 何事か、と理解するよりも早くディムロスは体感する。間に合ったのかと。 「『エンシェント、ノヴァ!!』」 剣二本を右手に収めて空いているカイルの左手に赤白い炎熱が集い放たれる。 自分の非力を剣の借力にて補って放たれるは、彼女の炎。 古代の焔と銘打たれていながらもディムロスのそれに比べて稚拙で、研鑽は無く、足りないものが多かった。 だが、それを補って余りある若さと熱気が風を巻き込んで爆ぜる。 アトワイト無きミトスの氷とディムロスを持つカイルの焔は互角の様相を見せ、一気に水蒸気が巻き上がった。 冷気と熱気が怨嗟の如く渦を巻いて、風を促す。 『この風、そうか、これがミトスの単独飛行……いや、単独遊泳の仕掛けか!?』 白い雲粒の流動をその眼に写しながら、ディムロスは現象の意味を掴んだ。 氷と炎―――――冷気と熱気。真逆の属性が、急激な温度差を生み、その温度差は気圧差を生む。 そして気圧の落差は気流を――――――――即ち、風を生む。 アトワイトとディムロス程の能力が条件を揃えてぶつかれば、台風と呼べるレベルにまで到達するであろう。 ミトスは空を飛んでいたのではない。人さえも吹き飛ばせるほどの風をその羽根に受けて、流れていただけなのだ。 『気象操作? だが、イクティノス無しでか? 間接制御だけでそこまでやれるのか!?』 『それが、出来るのよ…………ミトスは、唯の魔法剣士じゃない……』 ディムロスの驚きに、アトワイトが苦悶するように応じた。 この風の中でも聞こえるのか、耳聡いミトスの声が雲煙の向こうから響く。 周波数の微細な増加が、接敵していることを伝えていた。 「技術的にしかマナを捉えられないソーディアンには、理解が出来ないだろうけどね。 シルフ無しで制御なんて何百年ぶりかも忘れるくらい久し振りだったから、ここまで調伏するのに時間がかかった、よ!!」 風が威を弱め、雲が晴れた先からファフニールを持って迫りくるミトスの姿が映る。 それは魔術と剣技を操る魔法剣士でもなく、時間と空間を操る時空剣士としてでもなく、 自然現象の概念集合たる精霊との対話を為し得た、万世を統べる召喚士として風に乗っていた。 退くべきだと、太陽の傾斜を確認したディムロスの理性が当然の意見を口にする。 アトワイトは彼らの掌中にあり、厳しいとはいえ全力を出せる今なら“未だ”間に合う。 だが、ディムロスはそれを言わなかった。 「ァァァァぁぁあああああああああ!!!!!!!!!」 左手にアトワイトを移したカイルの剣が、ミトスの剣とぶつかる。互いの顔のブレが目に判るほどに痺れ合った。 両者の威力が反転し、二人が後方に弾き飛ばされる。 数メートル飛ばされたあたりで、カイルはブレーキをしたように急激に止まり、ミトスは微細な旋回で勢いを殺すように止まった。 前を向こうとしたミトスの眼前に何かが飛来し、それをミトスは危なげなく睫毛がそれに触る位置で掴んだ。 「…………何の真似だ?」 険悪そうに眉を顰めるミトスの目の前には、その手に握られたアトワイトがあった。 「真逆、騎士道を気取ってる訳じゃないんだろうな?」 「そんなんじゃない。返せるうちに、借りを返したかっただけだ」 指をアトワイトの刃に滑らせながら威圧を効かせて放たれるミトスの言葉を、カイルは真っ向から受けた。 「借り? 奪いこそすれ、貸したものは無かったと思うけど」 「アトワイトさんのことを、待っててくれた」 カイルの言葉に、諧謔的に綴ろうとしたミトスの唇が少しだけ硬く窄めて歪んだ。 その言が正鵠を射て驚いたというよりは、それを口にしたのがカイルであるということに不快を示すような態度だった。 『ミとス…………貴方…………』 動揺を顕わにしてアトワイトはミトスの方を向いた。彼女自身、考えてもいなかった発想だった。 アトワイトの方を一瞥することもなく、努めて賤しそうにミトスは彼女へと言葉を返す。 「勘違いするなよ。僕が待っていたのはあっちの生煮えの方だ。 ……熱が通るまで待ってみたけど、火が回っても不味そうとなると、本当に始末に負えないな」 意図的な背伸びが目につくその振る舞いに、アトワイトは見逃さなかった。 目尻が完全に泳いで、口がどうしようもなく釣り上ったその顔は、求めていたものがそこにあると云わんばかりの子供のそれであることを。 『…………だっタら、捨てるしかなインじゃない? フリーずドライにして粉ゴナあタりに』 嘆息を小さくついたアトワイトの言い返しに、ミトスは少しだけ驚きを浮かべた。 無言ではあるが、それでいいのかという疑問が目に映している。 『もウ私は何も言わないわ。本当にスきにしテイいわよ。……それでも、あノ人は一緒にいてクレるって、知ってルカら』 アトワイトもディムロスと同じことに気づいていた。それでも彼らはこうすることを選んだのだ。 ならば、もう自分が韜晦すべきことはない。彼らは一切の柵もなくこの場所に立っているのだと理解できた。 それが彼らに必要だというのならば、これほど上等な命の使い道も無い。 『……でも、アレは……出来れバ止めた方がいいと思うんダケど……無理、ヨね……』 「人の術力あれだけ使っておいて言うセリフじゃないよ。なあに、慣れれば結構楽にいける」 一種の清々しささえあったアトワイトの声が萎むように小さくなる。 そんなアトワイトの声を無視するようにして、ミトスは首に巻いて風に煽られているスカーフに手をかけた。 顎の辺りからぐいとに引っ張ったかつての魔王の外套、その下より現れたのは赤く染まった無数の生傷だった。 出血が薄い分目を凝らせば皮膚から肉に至る断面が鑢で念入りに濾されたようにぐずぐずになった処までがくっきり見えそうな傷。 自分の首にそんなものが付いているということなど意を解することなく、ミトスは右手に持ったファフニールを首筋に宛がった。 「魔界の眷属が一、強欲たる竜よ。汝が牙にて我が黄金の血を啜り慾渇を満たせしば、其の陽気を供物と我に捧げろ―――“メンタルサプライ”」 儀式めいた狂言が終わるや否や、ミトスの首に邪剣ファフニールが穿たれた。 飢えに餓えたと云わんばかりに、ミトスの皮膚の内側でその短い刀身がのた打ち回る。 まるで剣自らが意志をもっているかのように、いや、事実として存在するであろう本能が自らの歪んだ刃に少しでも血を塗りたくろうと蠢く。 この島に存在してから誰一人とし命を啜れていなかったその剣は例えそれが歪んだ命であろうと嬉しそうに心底嬉しそうに舐めた。 砂漠を彷徨う人間がオアシスに対して想うような感情が、魔力となってその剣に――――――――“蓄えられなかった”。 剣先から伝う命の通貨が、鍔を通り魔力となって、柄を握るミトスへと循環する。 外部に流出するはずの命を心の力と化して体内に回帰させるEXスキル・メンタルサプライ。 吸精の魔具を媒介として循環効率を高められたミトスの中で発動していた。 『…………せめて、治療は……無理なんデシょうね…………』 生理的な嫌悪感を隠すこともなく、アトワイトは諦めきれずに呟いた。 術力が不足しているから、代わりに生命力を削ってそれを充填するなど正気の沙汰ではない。 人間に比べて生体という概念から超越している無機生命体であり、魂喰いに食わせた命を逆に奪い取ることで変換率を増幅させているとは言え、 十分の一というこの世界の回復効率とは比べ物にならない。考え付いても誰もしなくて当たり前の、子供の発想だ。 だが、それをミトスは行った。それはつまり生きる力より戦う力が欲しかったからに、 死の淵に向かおうが為さなければならないことがあったからに他なからなかった。 やっぱり子供の考えることは、特に男の子の考えることはよく分からないと、向こう側の剣を見ながらアトワイトはそう思った。 ミトスの異常な行動を見て、ディムロスもまた気づく。 生呼精吸。信じたくない話ではあるが、それ以外にミトスの術力回復を説明する術がなかった。 体力を失ったこと、それをミトスが不利になったとは考えない。 ソーディアン・ディムロスの特性上、体力を後生大事に抱えて回復に徹してくれた方が読みが楽だからだ。 だが、ミトスは打って出ることをその体で示した。となればこの後に待つ戦いの形は決まっている。 遂に空中での自由を確保したミトスとの遠中近全ての距離で繰り広げられる、一〇〇〇〇発の砲弾を十数分で射耗し尽くすような最悪の総力戦だ。 カイルが以前ミトスと戦った時は痛み分けだったと聞いたが、今回はそれでは済まされない。 下手を打てば痕跡さえ残るまい。両陣に自分たちが居るが故に。 『カイル。俺は果報者だ。人ならざる選択を強いてきた剣には過分に過ぎるほどの、人としてのものを得た。 最早一切に後悔はない。俺にも、アトワイトにも』 そう云いながら、ディムロスは箒の状態を確認する。目には見えぬ、しかし全体として隠しきれない疲弊が蓄積されていた。 ソーディアンの全力を受けてこの箒を運用できるのは、もうあと数分もないだろう。 『だからカイル。後はお前だけだ。お前が選べ。自分の意志で、何を為すかを。俺は、その全てに力を貸そう』 答えを聞きたかったわけでは無かった。もし此処でカイルが退くつもりだったのなら、アトワイトを手放さなかっただろう。 ディムロスが彼女と交わした約束を無碍にするはずがないと知るからこそ、故に彼は自らが認めた3代目に忠義を示した。 「俺、少しだけ分ったんだ。ううん。思い出した」 ごそごそとポシェットより何かをとりだしてカイルはそれを握りしめる。 「俺は、未だ全然なんだって。未熟で、半人前で、ガキで。何にも分かってないんだって」 輝くそのエクスフィアは、カイルに生きることの意味を教えてくれた人の記憶だ。 「あの人が俺に生きろって言ってくれたから、今俺はこうして生きてる。 あの人や、父さんのように誰かを守れるような、誰かのために生きられるような、そんな人に」 自分の命を此岸に繋いでくれたその絆を、カイルは強く握りしめた。 軋らせた奥歯と同じように、ともすれば割れてしまいかねないほどに。 「俺は、生きるんだ。だから――――――生きるためにはまず“俺”が必要だったんだ」 カイルがディムロスを背負う。その小さな背中には不似合いなほどの剣だった。少なくとも今はまだ。 少年の氷は未だ解けていない。あの洞窟から、最後の最後の針が動いていない。 「俺は、ここに逃げに来たんじゃない。誰かを守りに来た訳じゃない。 何が正しいかを見つけに来たんでもない――――――――――――俺は、俺を勝ち取りに来たんだ」 カイルの双眼がミトスを射抜く。目指すべき一点、越えるべき壁がそこに屹立している。 「付き合ってくれる? ディムロス」 ディムロスは分かっていた。此処で退かなければ、もうあの村には帰れない。 箒の全スペックか、時間のどちらか。それがここからあの村に戻るための最低条件だ。 そして、今からカイルがやろうとしていることはその両方を使わなければ為せないことだった。 だが、それはディムロスにとって今更すぎる話だった。使う奴が軒並み碌でもないのだから仕方がない。 『反対する理由ならば山ほどあるが、マスターの頼みとあっては是非もないな。付き合うさ』 「ありがとう、俺、お前に会えて良かった」 肩を竦めるようなディムロスの返事に、カイルはありったけの気持ちを詰めた笑顔で応じた。 燃えた草木の灰が巻き上がった風に煽られて乱れる。 少しずつ夕の赤が夜の黒に滲み始めた空に浮かぶそれは雪か桜の舞い散るように世界を幻惑している。 その空に立つ二つの影。一人は堕ちた勇者で、一人は英雄を辞めた男。 世界は遂に閉ざされた。勝利は無く、名誉も無く、敗北さえも無い。唯、浮かび始めた星々だけが在った。 「戦う理由は見つかったか?」 全ての意味が死に封鎖された輝ける星空の下、 英雄<Hero>になれなかった英雄<Ace>達の、語られない最後の戦いが今その火蓋を切った。 「お前をぶっ倒す理由くらいは、ある。そこから先はその間に見つけるよ」 【カイル=デュナミス 生存確認】 状態:HP25% TP20% 両足粉砕骨折(処置済み) 両睾丸破裂(男性機能喪失) 右腕裂傷 左足甲刺傷(術により処置済み)背部鈍痛 覚悟+ 所持品:S・ディムロス フォースリング 忍刀血桜 クラトスの輝石 料理大全 ミスティブルーム 首輪 レアガントレット(左手甲に穴)セレスティマント ロリポップ クローナシンボル ガーネット 魔玩ビシャスコア アビシオン人形 漆黒の翼のバッジ ペルシャブーツ エメラルドリング 基本行動方針:それを決めろ 第一行動方針:ミトスをとの決着をつける 第二行動方針:ヴェイグのことはその後 SD基本行動方針:(結果がどうであれ)デアトワイトと共に在る 現在位置:B3・大草原 【ミトス=ユグドラシル@ミトス 生存確認】 状態:HP15% TP60% とてつもなく高揚 左頬に軽度火傷 右頬に小裂傷 首に傷多数 所持品(サック未所持):S・アトワイト ミスティシンボル ダオスのマント 地図(鏡の位置が記述済み)邪剣ファフニール 基本行動方針:??? 第一行動方針:カイルを殺す SA基本行動方針:(結果がどうであれ)ディムロスと共に在る 現在位置:B3・大草原 前 次
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武器 アサルトライフル エナジーウェポン サブマシンガン ショットガン スナイパーライフル ナックル ハンドガン ブラントウェポン ブレイドウェポン ヘビーウェポン爆発物グレネード ロケットランチャー アサルトライフル 名称 ダメージ 弾薬 容量 範囲 重量 価値 クリティカル倍率 弾詰まり率 アーマー貫通 発射AP単発/バースト リロードAP 弾詰まり解消AP 消費弾薬単発/バースト M1 7-12 5.56mm 8 20 6 $70 1.5 2% 2 4/- 5 5 1/- ラストバケット 9-14 5.56mm 20 22 7 $135 1.7 3% 2 4/- 5 6 1/- M4カービン 19-27 5.56mm 30 20 8 $310 1.5 3% 3 5/7 5 6 1/2 FAMAS 17-30 5.56mm 25 24 8 $370 1.7 3% 3 4/6 5 6 1/2 HK33 25-35 5.56mm 20 22 6 $530 1.6 2% 4 4/6 5 6 1/2 M16 45-59 5.56mm 30 20 7 $635 1.6 2% 4 5/7 6 5 1/2 エナジーウェポン 名称 ダメージ 弾薬 容量 範囲 重量 価値 アーマーダメージ倍率導電/絶縁 発射AP単発/バースト リロードAP 消費弾薬単発/バースト 特殊効果 ハービサイド 9-16 エナジーセル 8 14 6 $157 2.5/0.4 5/6 6 1/2 レーザーカービン 8-12 エナジーセル 20 17 5 $375 2.4/0.6 -/6 6 -/3 ファイナル・アセスメント 11-17 エナジーセル 12 10 6 $335 2.3/0.5 3/- 4 1/- レーザーピストル 9-15 エナジーセル 10 11 3 $325 2.3/0.5 3/- 4 1/- パルスライフル 18-23 エナジーセル 10 12 7 $540 2.2/0.6 4/6 5 1/3 キセノンキャノン 32-42 エナジーセル 5 20 12 $780 2.2/0.4 6/- 6 1/- 100%でレーザー火傷 WOPRブラスター 41-52 エナジーセル 10 20 5 $980 2.3/0.4 4/- 4 1/- サブマシンガン 名称 ダメージ 弾薬 容量 範囲 重量 価値 クリティカル倍率 弾詰まり率 アーマー貫通 発射AP単発/バースト リロードAP 弾詰まり解消AP 消費弾薬単発/バースト PP-81 13-16 .38口径 35 11 5 $380 1.7 2 2 6/- 5 6 4/- ウージー 15-18 9mm 30 10 6 $415 1.5 2 3 5/7 4 7 4/7 ショットガン 名称 ダメージ 弾薬 容量 範囲 重量 価値 クリティカル倍率 弾詰まり率 コーン角度 アーマー貫通 発射AP単発/バースト リロードAP 弾詰まり解消AP 消費弾薬単発/バースト ソードオフショットガン 13-19 12ゲージ 2 9 4 $160 1.5 2% 40度 1 5/7 5 6 1/2 コーチガン 20-24 12ゲージ 2 12 5 $325 2.0 2% 20度 3 5/- 3 6 1/- レッド・ライダー・アゲイン 38-43 12ゲージ 1 14 6 $350 2.0 2% 15度 3 5/- 2 4 1/- レバーアクションショットガン 33-40 12ゲージ 5 10 6 $390 2.0 2% 30度 2 6/- 5 6 1/- M-37ポンプアクション 41-48 12ゲージ 6 12 7 $540 1.6 2% 30度 3 6/- 6 7 1/- スナイパーライフル 名称 ダメージ 弾薬 容量 範囲 重量 価値 クリティカル倍率 弾詰まり率 アーマー貫通 発射AP リロードAP 弾詰まり解消AP ハンティングライフル 13-18 .30-06口径 5 28 8 $150 1.5 2% 3 6 5 7 M40 16-20 .30-06口径 7 32 8 $140 1.7 2% 3 6 5 7 G43-W 28-32 .30-06口径 5 30 9 $325 1.5 3% 4 6 6 7 ブルバップ・スナイパーライフル 44-58 .30-06口径 6 27 9 $400 1.9 3% 5 6 6 7 ナックル 名称 ダメージ 重量 価値 クリティカル倍率 アーマー貫通 使用AP 特殊効果 (拳) 1-3 0 $0 2.1 3 0 サップグローブ 3-5 3 $130 1.5 0 2 ブラスナックル 10-12 5 $320 1.6 1 3 鉄筋ナックル 17-22 2 $520 3.1 3 3 レクスカニウムのバイオニックアーム 18-24 5 $5 2.1 3 3 レクスカニウムが所持、ナックル+2、20%で脳震盪 ハンドガン 名称 ダメージ 弾薬 容量 範囲 重量 価値 クリティカル倍率 弾詰まり率 アーマー貫通 発射AP単発/バースト リロードAP 弾詰まり解消AP 消費弾薬単発/バースト VP91Z 5-8 .38口径 8 12 2 $70 1.5 4 1 3/- 3 5 1/- .38セミオートマチック 7-9 .38口径 6 13 2 $135 2.0 3 1 3/- 3 5 1/- マラコフ 10-15 .38口径 8 12 3 $325 1.8 3 2 3/- 4 5 1/- .38口径リボルバー 19-24 .38口径 6 10 2 $545 1.6 3 3 3/- 4 5 1/- FFSベネット 36-42 9mm 12 14 2 $650 1.5 4 3 4/- 5 6 1/- ブラントウェポン 名称 ダメージ 重量 価値 クリティカル倍率 アーマー貫通 使用AP 特殊効果 パイプ 17-27 5 $325 3.1 4 4 精密攻撃 木の杖 29-41 7 $380 2.1 4 5 精密攻撃 バール 31-45 6 $535 2.7 5 4 精密攻撃 ブレイドウェポン 名称 ダメージ 重量 価値 クリティカル倍率 アーマー貫通 使用AP 特殊効果など ナイフ 6-9 2 $80 1.8 2 3 シュ・モデルのコンバットナイフ 7-11 4 $130 1.8 2 3 70%で裂傷 鎌 11-14 4 $150 1.8 2 4 即席クリーバー 13-16 6 $315 1.6 3 3 精密攻撃 つるはし 22-27 4 $370 2.1 3 4 精密攻撃 コンバットナイフ 20-28 4 $520 1.9 4 3 ポケットナイフ 1-3 1 $160 2.1 1 3 クエストアイテム ヘビーウェポン 名称 ダメージ 弾薬 容量 範囲 重量 価値 クリティカル倍率 弾詰まり率 アーマー貫通 発射AP リロードAP 弾詰まり解消AP 消費弾薬 特殊効果 ブレン 11-15 5.56mm 36 20 17 $325 1.8 2 3 6 6 7 7 -0.4戦闘速度 バー 17-23 5.56mm 24 22 18 $575 1.5 2 4 6 6 7 7 -0.5戦闘速度 ビッグ・ベティ 29-34 7.62mm 100 24 18 $875 1.6 0 5 6 6 7 6 -0.5戦闘速度、3%で脳震盪 爆発物 分類上は「ヘビーウェポン」となっているが、スキルとは関係ない。 グレネード 名称 ダメージ 範囲 重量 価値 半径 アーマー貫通 使用AP 特殊効果 TNT 25 18 1 $50 3 10 6 パイプ爆弾 50 18 2 $150 3 10 6 グレネード 100 18 1 $300 4 10 6 ロケットランチャー 名称 ダメージ 範囲 重量 価値 半径 アーマー貫通 使用AP 特殊効果 LAWロケット 200 25 15 $500 6 9 7 -0.8戦闘速度
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Calling ◆.WX8NmkbZ6 場に縁が現れた直後。 空飛ぶホウキで戦線を離脱したレナは、他の参加者の姿を探していた。 ――助けを呼ばなきゃ。 ――ヴァンさんは怪我をしてるんだから、私が何とかしなきゃ。 これまでにレナが出会った参加者は、真紅、後藤、ヴァン、C.C.、ミハエル、東條、縁の七人。 この会場にいる参加者の全てが殺し合いに加わっているわけではない事を、レナは知っている。 同時に殺し合いに加わっている人間が少なくない事も、知っている。 それでも仲間の命が掛かった今、レナは真紅やヴァン、C.C.のような参加者との出会いを信じた。 迷いはあった。 危険人物と遭遇する可能性があったから、ではない。 もし味方になってくれる参加者を発見出来たとしても、本当に助けを求めていいのかを迷っていた。 助けを求めるという事は、戦いに巻き込むという事。 殺し合いが行われている、まず自分の命を守る事を第一としなければならない状況で、それは正しいのか。 仲間を失いたくないという自分の感情一つの為に、他の参加者を危険に晒していいのか。 それでも戦う術を持たないレナには、ホウキを走らせる事しか出来なかった。 無我夢中に進んだ先で出会った蒼嶋と千草は、事情を説明すると二つ返事で応えてくれた。 移動している間に行った情報交換も信じて貰えた。 二人はレナの期待した通りの相手だったと言える。 「逃げろと言ったのに……」 「はぅ~……ごめんなさい……」 C.C.の腹に穿たれた傷は出血が止まっており、服に空いた穴よりも少し小さい。 先のC.C.の説明にあったように再生しているのだろう。 いつもはもっと早く復帰するのにとC.C.は違和感を口にするが、レナにしてみれば死ななかったというだけで安堵に足る。 今は二人で戦いの場から離れる事の方が重要だった。 そして。 レナの思いがもたらした『結果』が、眼前に広がる。 「ちぃちゃぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!」 C.C.に肩を貸した姿勢のまま。 蒼嶋の叫びを聞きながら。 千草の姿を目に焼き付けながら。 レナは立ち尽くした。 ▽ 千草は手からブラフマーストラを落とし、膝を着く。 ――悔しいなあ……。 ――せめて一発、あいつを殴りたかったのに。 もう死ぬ。 一度死んだ経験があるせいか、千草は自分の終わりを悟っていた。 ――ろくでもないなあ。 ――あたし、まだ十五年しか生きてないのに。 何の為に生きていたのか分からないし、何の為に生き返ったのか分からない。 狭くなり始めた視界に、蒼嶋の顔が映る。 わざわざ自分の為に、シャドームーンの攻撃をかいくぐって駆けつけてくれた――そう思うと申し訳なくなる。 「ねぇ、シュン。 あたし、さ……」 ――ねぇシュン……ぶっ飛ばしちゃってよ。 ――銀色の奴も、東條も、ブイツーも、こんな下らない事してる連中、みんなみんな。 ――あたしの事はもう、いいからさ。 一度あんな死に方をしたのにまた殺し合いに連れて来られて、最悪だと思っていた。 それでも一つだけなら、いい事があった。 「シュン……と……」 その言葉の先が紡がれる事はなかった。 ただ霞む視界の中で、蒼嶋がずっと手を離さなかった事だけははっきり覚えている。 少なくとも、独りぼっちで死ぬわけではない。 最初に死んだ時と同じで、最後に一緒にいてくれる誰かがいる。 ――それがシュンで、よかった。 蒼嶋が気に入らない連中を一人残らずぶっ飛ばして「皆で焼き肉に行こうぜ!」なんて叫んでいる、そんな光景を夢に見る。 夢じゃない、蒼嶋はきっと夢で終わらせない。 そう信じて千草は目を閉じた。 【千草貴子@バトルロワイアル 死亡】 ▽ 「冗談よせよ、目を開けろよ、ちぃちゃん……ちぃちゃん……!!」 無防備な姿を晒す蒼嶋を、東條は黙って眺める。 「英雄なんかじゃない」と、否定された。 これからどうすればいいのか、教えてくれる人はどこにもいない。 その混乱の中で、東條の思考に「英雄を倒せば英雄になれるのではないか」という考えがよぎった。 「強い相手に一歩も引かない」から英雄なら、その英雄に「一歩も引かな」ければ英雄。 その歪んだ思想の下に、東條は蒼嶋へと腕を振り下ろす。 蒼嶋の頭を叩き割るはずだったその手を掴んで止めたのは、シャドームーンだった。 それまで善戦していたヴァンも白髪の男も、既に倒れ伏している。 「……」 シャドームーンは無言で、その銀色の仮面の上からでは表情を読み取れない。 東條は既にシャドームーンの強さと恐ろしさを見ている。 その上で間近に、思う所の知れないシャドームーンを目にするのは恐怖そのものだった。 だが東條は怯まない。 仲村、香川、沙都子、ミハエル、そして「ちぃちゃん」と呼ばれた女を手に掛けた。 強さを手に入れて英雄に近付いた、その自信があるのだ。 裏返せば。 これでもし、強くなっていないのなら。 英雄に近付いていないのなら。 ただの『弱虫』の『卑怯者』なのだとしたら。 これからどうすればいいのか、分からない。 掴まれていない方の手で握ったデストバイザーでシャドームーンを斬り付ける。 しかしシャドームーンはそれをサタンサーベルで容易に止めた。 そして東條の腹に蹴りを入れる。 特に力の籠められていないただの蹴りだが、ライダースーツの上からでもその衝撃は殺されなかった。 シャドームーンがその蹴りの瞬間に東條の手を離すと、東條は十メートル以上吹き飛ばされる。 「ガッ……っぁ……」 差は縮まらなかった。 それを余りに呆気なく、一瞬で思い知らされてしまった。 それでも東條は再び立ち上がる。 (皆、僕の心の中で生きている。 僕が頑張って、会場の皆を救って……英雄に――) パキパキ、と音がした。 見れば腰のVバックルに装填したデッキにひび割れが出来ている。 今のシャドームーンの一撃によるものである事は明らかだ。 「あ、ああああ、あ、」 手で押さえて破損を止めようとする。 これまでに『救った』者の顔を思い出しながら。 これから『救う』者の顔を思い浮かべながら。 しかし努力虚しくデッキは砕け散り、変身が解除された。 デストワイルダーの様子が急変する。 「助けて、助けて仲村君……佐野君――」 追い掛けてくるデストワイルダーに、東條は大切な人達の名前を呼びながら逃げ惑う。 助けてくれる人が、いない。 レナとC.C.が気を失った面々を連れて逃げる背中が見えた。 シャドームーンも最早、こちらへの興味を完全に失ったようだった。 「助けて沙都子、ミハエル君、助けて――」 一歩でもその場から離れようとするが、縁とシャドームーンの攻撃を受けた体は思うように動かない。 大した距離も稼げないうちに、デストワイルダーが東條に追い付く。 「助けて……助けて、助けて下さい、」 腕を掴まれ、引き倒される。 神崎士郎からデッキを受け取って以降ずっと共に戦ってきたデストワイルダーの顔が、すぐ目の前まで迫っていた。 「香川先生――……」 【東條悟@仮面ライダー龍騎 死亡】 ▽ シャドームーンの注意が東條へ逸れてすぐ、C.C.とレナは行動を起こしていた。 C.C.は放置されていた東條のデイパックからフライングボードを出す。 「ヴァン、向こう岸へ逃げるぞ!」 倒れたヴァンのもとへ着くと、その体を背負う形で乗せてボードを浮き上がらせる。 レナもホウキにまたがり、放心している蒼嶋へ手を差し伸べた。 「蒼嶋さん、逃げましょう!」 「けどよ……ちぃちゃんが……」 「早く!!」 蒼嶋はレナの手と千草の亡骸を交互に見比べ、表情を歪ませる。 そして――レナの手を取った。 空飛ぶホウキとフライングボードに二人ずつ乗って、西の海へ去って行く。 その背へシャドームーンがシャドービームを撃つとボードは海へ打ち落とせたが、ホウキは空中で忽然と姿を消した。 気にはなったものの、シャドームーンは追撃や捜索はしない。 死んでいればそれまで、死んでいないならば次に改めて殺すだけだ。 ヴァン、縁、蒼嶋の三人に負わされた傷に触れる。 時間を置けば回復するもので、深くはない。 しかし放送前の戦闘と違うのは、三人が生身の人間だった事だ。 ただの人間達が支給品の効果ではなく己の身一つ、剣一本で世紀王に立ち向かい手傷を負わせた。 それもサタンサーベルを持った状態のシャドームーンに、だ。 その事実にシャドームーンは少なからぬ感銘を覚えていた。 シャドームーンの背後で、最後に残った縁が立ち上がる。 全身に走っていた管はもう見えない。 出血も疲労も一目で限界と分かるものだが、苦しげに息を吐きながらも縁は退く気配を見せなかった。 「ここは見逃してやろう。 消えろ」 シャドームーン自身、何故そんなつもりになったのかは分からない。 少なくとも油断によるものでないのは確かだ。 この殺し合いに、新しい可能性を見出したせいかも知れない。 その声が聞こえていたのかいなかったのか、縁はシャドームーンを相手に一人刀を構えた。 「蹴 撃 ――」 縁が言い終わるよりも早くシャドームーンは縁の眼前に立つ。 拳を一撃腹へ叩き込むと、縁はその場に踏み留まる事は叶わず紙のように吹き飛ばされた。 「次はない。 せいぜいそれまで、残り短い生を謳歌しろ」 世紀王には到底届かない、しかし有象無象と切り捨てられぬ敵。 シャドームーンは亀山薫との交戦から、この会場にいる参加者達をそう評価した。 だがブラックサンやシャドームーンを倒す「万一の可能性」は、起こり得る。 油断と慢心を捨てたからこそ、シャドームーンはそれを認めた。 前の戦闘で、シャドームーンはカードデッキを使って変身する二人を目撃した。 そこからカードデッキは参加者を「一定の強さに変える」、もしくは参加者を「強化する」為の支給品であるという仮説を立てた。 シャドームーンは更に推測を広げる。 もしもシャドームーンに生身で立ち向かったあの三人のような人間があのデッキを用いたら、どうなるだろうか。 前者の「一定の強さに変える」であれば、問題はない。 つまりは引き上げる強さに上限があるという事で、余裕を以て対処出来る事は既に証明されている。 だが後者の「強化する」であれば、楽観視は出来ない。 人間離れした力が更に強化されるなら――ブラックサンやシャドームーンに匹敵しかねないのだ。 故にシャドームーンはこの殺し合いへの警戒を更に強める。 しかし例え創世王の目的が何であろうと、次期創世王はこの自分。 だからこそヴァン達が今後デッキを手にする危険性を鑑みながらも、この場では止めを刺さない。 全て真正面から打ち破って見せる――それは、シャドームーンの世紀王としてのプライドだった。 そしてこの会場でいかなる敵が現れようと、王座を争う相手はあくまで南光太郎だ。 シャドームーンはこのバトルロワイアルへの思いを変化させながらも、宿敵への執念を薄れさせはしなかった。 【一日目午前/F-1】 【シャドームーン@仮面ライダーBLACK(実写)】 [装備] サタンサーベル@仮面ライダーBLACK [支給品] 支給品一式、不明支給品1~3(確認済み) [状態] 疲労(中)、胸とシャドーチャージャーに傷(回復中) [思考・行動] 1:殺し合いに優勝する。 2:元の世界に帰り、創世王を殺す。 3:かなみは絶望させてから殺す。 4:死ななかった五人(ヴァン、C.C.、レナ、蒼嶋、縁)は次に会ったら殺す。 【備考】 ※本編50話途中からの参戦です。 ※殺し合いの主催者の裏に、創世王が居ると考えています。 ※折れたブリッツスタッフ@ヴィオラートのアトリエ、折れた逆刃刀@るろうに剣心、レイ・ラングレンの銃(60/100)@ガン×ソード、菊一文字則宗@るろうに剣心が放置されています。 ※デストワイルダーの行方は、後続の書き手氏にお任せします。 ▽ シャドービームで撃ち落とされたC.C.とヴァンは大きな波飛沫を上げて海へ落下した。 直撃を受けたボードは砕け、最早本来の役割は果たせそうにない。 ビームの余波で気を失いそうになりながら、C.C.は海中でデイパックに手を入れる。 取り出したのは水中呼吸を可能にするエアドロップ。 とっさの事で一粒しか見付けられなかったが、不死のC.C.には不要の物だ。 思うように身動きが取れない中、ヴァンに向かって手を伸ばす。 ヴァンは連戦で負傷して体力を失っている状態で海中に放り込まれたのだ、このままでは死ぬ。 (起きろ、ヴァン!!) 気絶したままのヴァンの腕を掴んで手繰り寄せ、その口にドロップを押し込む。 (ヴァン、死ぬな!!! お前まで……お前まで私を一人に……!!) ヴァンの手を引き、レナ達を追って西へ泳ごうとする。 しかしC.C.もまた傷の回復が済んでおらず、息が保たない。 ゴボ、と肺に残った空気を吐き出すと、全身の筋肉が弛緩するのを感じた。 (ヴァン――) ▽ (抜刀斎が死んだ……?) シャドームーンが去る足音も聴いていない。 たった今まで続いていた戦いの中、縁の眼にはヴァンも、東條も、蒼嶋も、シャドームーンさえも映っていなかった。 目の前に広がるのはただ、縁の髪が白く染め上がったあの雪の日の光景と―― ――……がみ ――緋村剣心 ――平賀才…… ショックイメージの中で再生された放送。 そして初めに連れてこられた空間。 抜刀斎が、死んだ。 放送を聞いた瞬間に蓋をした、目を逸らした可能性。 姉が殺されたその日から呪い続けた男の、死。 それを信じられずに刀を振るっている間は逃避出来ていた。 しかしそれが終わってしまえば、目を向ける事になる。 (殺し合い…… そんなもので命を落とすような男から、俺は姉さんを守れ、なかった) 殺し合いで死ぬ、殺される。 縁はそんな弱い男からすら姉を守れなかった、最低以下の男になってしまったのだ。 (姉さん……教えてくれ、姉さん……俺は……) 縁の前に現れた巴の幻影は目を伏せたまま、微笑む事はなかった。 【一日目午前/F-1】 【雪代縁@るろうに剣心】 [装備]:逆刃刀・真打@るろうに剣心 [所持品]:無し [状態]:左肩に刺し傷、両拳に軽症、全身打撲、各部に裂傷、疲労(大) [思考・行動] 1:????? [備考] ※殺し合いを認識しました。 ※『緋村剣心』以外の死者の名前、及び禁止エリアの放送を聞き逃しました。 ▽ 千草が死んだ。 蒼嶋はそれが信じられなかった――と思おうとしているだけで、本当は分かっている。 蒼嶋は既に千草の死を理解し、受け入れていた。 そしてそんな冷酷とも言える自分の一面に、嫌気が差す。 「はは……女一人守れない上にこれだもんな……」 涙一つ出ない。 いっそパニックでも起こしていれば、幾らでも悲観に暮れて不幸に酔う事が出来たのに。 弱い自分や殺し合いに参加している者、殺し合いを仕組んだ者への怒りも、沸点を振り切れて逆に冷え切ってしまったようだった。 爪が掌に食い込むまで拳を握るが、その拳を振り下ろす場所を見付けられずに力なく解いた。 「ちぃちゃんが死んだんだぜ……? これじゃホントに、化物みてえじゃねえか……」 挙げ句、千草の遺体を保身の為に見捨てた。 学校が魔界に堕ちた時もそうだった。 人が死んでいるのに――自分が生き残る為なら幾らでも冷静でいられるのだ。 その証拠が手の中にあるデイパックとブラフマーストラ。 千草の亡骸の傍に落ちていた物だ。 「戦うのに邪魔になるから」と事前に千草に預けていた蒼嶋のデイパックもその中に入っている。 あの状況下でもアイテムは見落とさない。 蒼嶋は自嘲し、ますます自暴自棄になった。 「蒼嶋さん……ごめんなさい」 声を掛けられ、そちらへ顔を向ける。 レナの目は濡れて、今にも涙をこぼしそうだった。 「私が見た時はあの銀色の怪物はいなかったけど……それでも分かってたんです。 ……あそこが危ないって。 なのにヴァンさんとC.C.さんを、私の知ってる人達を助けたいって、そればっかりで……蒼嶋さん達を……」 「……巻き込んだ、ってか。 いいよ、もう。 俺も……ちぃちゃんも、危ないの承知でレナについてったんだから」 それを聞いたレナは俯いた。 蒼嶋はレナがそのまま自身を責めて泣き続けるのだと思い、冷めた目で見る。 自分の失敗による犠牲の大きさに、人の死という重さに耐えられる中学生がどこにいるだろう。 しかしレナは制服の袖で目元を拭うと、グッと顔を上げて蒼嶋の目を見据えた。 「……移動、しましょう。 C.C.さん達はまだ来てませんけど……こっち側には後藤っていうバケモノがいるんです。 私達を見付けたらきっと襲ってくるから、隠れないと」 (……おいおい) 「C.C.さん達は、何かあったのかも知れませんけど……絶対来ますから。 それまで、出来る事を考えましょう。 ……千草さんも多分、そうして欲しいと思ってるんじゃないかな……かな」 (おかしいだろ、それ) 「圭一君って、すっごく頼りになる男の子がいるんです。 きっと圭一君も、何とかしようとして頑張ってるから……」 (お前中坊だろ。親のスネかじって、友達と暢気に遊んで、人生バラ色ハッピーな歳じゃねぇか。 俺だって、人の事は言えねえけどさ) 「だから、私達も頑張りましょう」 レナは恐らくただ嘆く、ただ泣く事の不毛さを知っているのだろう。 思い返せば最初に出会った時から、レナの目には涙を擦った痕があった。 この会場で出会った友達を亡くしたと言った。 放送で親しい友達を三人も亡くしたと言った。 その四人の為に泣いて、泣いて――今のレナは、凛と立っている。 (どうして俺の会う中坊はどいつもこいつも、俺より強いんだかな……) 足下をふらつかせた蒼嶋は、レナに支えられながら歩いて行く。 疲れ切って、冷め切って、握り拳一つつくれないまま。 【一日目午前/ F-10 遊園地付近】 【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に(ゲーム)】 [装備]:無し [所持品]:支給品一式、インスタントカメラ(数枚消費)@現実、空飛ぶホウキ@ヴィオラートのアトリエ、真紅の下半身@ローゼンメイデン [状態]:疲労(小)、悲しみ [思考・行動] 1:圭一、詩音、C.C.、ヴァンと合流する。 2:蒼嶋と同行する。 3:翠星石と蒼星石も探す。 4:水銀燈、後藤、シャドームーン、縁を警戒。 [備考] ※この会場の西端と東端、北端と南端は繋がっています。 どこかの端からエリア外に出ると、逆の端の対応する位置へとワープします。 ※ギアス、コードについて一定の理解を得ました。 【蒼嶋駿朔(男主人公)@真女神転生if…】 [装備] ブラフマーストラ@真女神転生if… [支給品] 支給品一式×3、どんと来い超常現象全巻セット(なぜベストを尽くさないのか付)@TRICK、スイカ(残り4玉)@スクライド、 庭師の鋏@ローゼンメイデン、鉈@ひぐらしのなく頃に、織田のバイオリン@バトルロワイアル、未確認支給品(0~1) [状態] 各部に裂傷、疲労(大)、全身打撲 [思考・行動] 基本 ブイツーだかなんだか知らんがムカつく野郎はぶっ飛ばす。 0 ちぃちゃん……。 1 狭間は相変わらずの様子ならもう一回ぶっ飛ばす、つーか刺す。 2 一緒にブイツーだかをぶっ飛ばす仲間を集める。 [備考] ※千草が小病院でアイテムを調達しました。内容は後続の書き手氏にお任せします。 ▽ C.C.が目を開けると、眼前には青い空が広がっていた。 まだ水中にいるのかと訝るが、身体は砂浜に横たえられている。 「ゲホ、ゴホ、……」 飲んだ海水を吐きながら上体を起こす。 視線を落とせば腹部の傷が小さくなっており、時間が少し経過している事に気付く。 服はまだ濡れているものの乾き始めていた。 水中にいたはずが地上に寝かされていたという事は、運ばれたのだろう。 そこまで考えたところで、すぐ傍にいた男の事を思い出す。 「ヴァン!」 見回すとすぐ横に、だらしなく大の字になって寝ている男がいた。 「生きてるか?」 「んん……」 声を掛けるとヴァンはうっすらと瞼を上げる。 普段通りの寝呆けた眼。 ショックイメージで起こした錯乱も、今は落ち着いているようだった。 「あの状態で人一人を抱えてここまで来るとは、大した奴だな。 今回ばかりは労わってやろう」 言って辺りを見回す。 戦闘になったF-1から西へ向かえばワープしてマップの東端に着き、遊園地が見えるはずだ。 そして近くにレナ達もいる。 その確信の下に三百六十度周囲を見たのだが、遊園地のシンボルたる観覧車の姿は見えない。 代わりに、どこか見覚えのある風景がある。 障害物の少ない荒涼とした土地に、離れた場所で細く黒煙を上げる何か――恐らく車だろう。 C.C.とヴァンの現在位置はH-1。 潮に流された後、ヴァンが適当に近くの浜を目指した結果だった。 「……」 シャドームーンから逃げる為に会場のワープを利用しようとしたというのに、マップの西端に戻って来てしまっては意味がない。 しかもレナ達とはぐれてしまった。 シャドームーンが付近にいないのがせめてもの幸いだが―― 「……私は『向こう岸へ逃げる』と言っただろう! お前はまともな方向感覚もないのか、このバカ!!」 「……すみません」 それを言った時、ヴァンは気絶していたのだから責めても仕方がない。 そう承知してはいても、C.C.はその場でヴァンを罵倒せずにはいられなかった。 【一日目午前/H-1 砂浜】 【ヴァン@ガン×ソード】 [装備]:薄刃乃太刀@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- [所持品]:支給品一式、調味料一式@ガン×ソード [状態]:疲労(大)、右肩に銃創、右上腕部に刀傷、各部に裂傷、全身打撲 [思考・行動] 0:カギ爪の男に復讐を果たすためさっさと脱出する。 1:レイが気にならない事もない。 [備考] ※23話「みんなのうた」のミハエル戦終了後より参戦。 ※ヴァンはまだC.C.、竜宮レナの名前を覚えていません。 【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ R2】 [装備]:無し [所持品]:支給品一式×4、エアドロップ×2@ヴィオラートのアトリエ、ピザ@コードギアス 反逆のルルーシュ R2、ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎 ファサリナの三節棍@ガン×ソード、カギ爪@ガン×ソード、レイ・ラングレンの銃の予備弾倉(60/60)@ガン×ソード、確認済み支給品(0~2) [状態]:疲労(大)、腹部に傷(回復中) [思考・行動] 1:レナ達と合流する。 2:利用出来る者は利用するが、積極的に殺し合いに乗るつもりはない。 3:後でピザを食べる……つもりだったが、今はそんな気分ではない。 4:後藤、シャドームーン、縁は警戒する。 [備考] ※TURN11「想いの力」終了後、日本に戻る前から参戦。 ※不死でなくなっていることに気付いていませんが、回復が遅い事に違和感を覚えています。 ※フライングボード@ヴィオラートのアトリエは破壊されました。 【チーズケーキ@ヴィオラートのアトリエ】 シャリオチーズを材料に使ったとても美味しいケーキ。 体力・精神力・生命力が結構回復する。 時系列順で読む Back 英雄 Next 遊星よりの物体X 投下順で読む Back 英雄 Next 夢の終わり(前編) 104 英雄 シャドームーン 120 二心同体(前編) 雪代縁 121 彼と彼女の事情 ヴァン C.C. 竜宮レナ 112 Dear you 蒼嶋駿朔 千草貴子 GAME OVER 東條悟
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この病は死に至らず ◆JvezCBil8U 座り込んでいることさえできなかった。 力が入らず、勢いよく上半身が地面に倒れ込む。 エドワードの体から抜け出ていくのは、きっと、目に見えるものだけではない。 薄れていく意識の中で、安藤が何かを言いながら駆け寄ってくるのが見えた。 心配するな、と言おうとして、胃の奥からこみ上げてきた血がごぼりと口から洩れる。 「やべぇな……、死ぬかも」 そんな呟きすら、溢れる血は許さなかった。 体そのものが冷えていく。 痛みさえいつの間にか消えていた。 色々なものが眼前をよぎっていく。 昔の記憶、今の記憶。 ずっと隣を歩いていた弟。 取り戻したかった母。如何とも形容しがたい、父。 師匠からの虐待の日々や、旅の中で出会った人々。 敵として戦った人も、人でなくとも人らしかったものも、己の中にしっかりといる。 遡る時間の中には、特に忘れがたい思い出が焼き付いている。 禁忌の日。燃え盛る家。決意の朝。 踏み出した足と手は鋼に包まれていた。 虚ろな目で、視線を動かす。 ……ああ、そうだ。 この足と手で、ずっとこの道を歩んできた。 この足と手が、ずっとこの背を支えてくれた。 金色の髪が、目の前でなびいた気がした。 その笑顔を救わなければならない。 終わる訳にはいかないと、酩酊する頭でそれだけを形を確かにする。 けれどこのままでは助かるまい。 きっとこの体の死は免れ得まい。 さあ、どうするエドワード・エルリック。 損傷した肉体というハードが、まともな思考を許してくれない。 ……だが、それがどうした? 答えは既に己の内にある。 この島は、ありとあらゆる物質的なモノと数多の魂で編み上げられた巨大な錬成陣だ。 安藤はそこに、三次元の座標という新たな視点を組み込んでくれた。 ……だが、本当にこの錬成陣はそれだけか? 形あるものに、囚われ過ぎていたのではないか? 錬成陣の本質とは、情報の配置だ。 何処に何があるか、それを以って意味を形作る事でこの世の真理を教え説いているものだ。 ……ならば。 形など、物質的な場所など、それに代わる媒体があれば、意味をなさないのではないか。 覚束ない手で、ゆっくりと懐に手を入れ、取り出す。 大丈夫だ。 幸いこれは、壊れていない。 携帯電話を手にエドワードは、咳き込まぬようゆっくりと息を吐く。 思い当って然るべきだった。 情報だけで構築された、情報の為のネットワーク。 ……それは、物質を描いて作った錬成陣などよりも遥かに純度も密度も高い錬成陣となりえるのではないか。 参加者達の使用する掲示板やら何やらは全てカモフラージュだ。 本当に必要なのは、高密度の情報体そのもの。 インターネットこそ、この島の文字通りのライフライン。 アルフォンスは血を媒介にした錬成陣で魂を鉄の鎧に定着させることで、現世に居続けることが出来た。 携帯電話、そしてパソコン。自らの知らない鉄の技術。 それを応用して、この島のネットワークに魂を定着させることはできるだろうか? ……代価として、“扉”を開ける。 肉体など、いくら持っていかれてもかまわない。 元々首輪を外す手段として試みるつもりでいたのだ。 これを機に試してみるのは――悪くない、と思う。 それに、仮に、の話ではあるが。 もし誰かが錬金術を行使してくれれば、またこの体を持って戻ってくることが出来るかもしれない。 のろのろと両手を動かし、パン、と打ち鳴らす。 鋼の手と肉の手、二つが一つになり、ゆっくりと離れて行った。 そのまま両手は、携帯電話に。 ――押し当てる。 光に融けていくのが、最後の感覚だった。 【エドワード・エルリック@鋼の錬金術師 消息不明】 ***** 現場検証を始めてすぐ、鳴海歩はそれに気付く。 「……これは」 東郷の死体のすぐ傍に転がっていた、もう一つの死体。 年端もいかない少年のそれは、見覚えのあるものを握っていた。 「コピー日記……。なんで、これが?」 我妻由乃との邂逅で失ったはずのコピー日記。 それを、この少年が持っているのは、どうしてか。 「……やられた、か?」 無論、あの時学校に置いてきたのをたまたまこの少年が回収したのだろうと考えることもできる。 勿論そんな偶然を信じるつもりはない。 何故なら、コピー日記は一見単なる携帯電話にしか見えない。 当然、この道具の真の価値を知っている者だからこそ、あのどさくさに紛れて持って行ったと考えるべきか。 そうなると、だ。 「こいつが秋瀬或……か」 あの場にいたはずの関係者で、雪輝でも由乃でもないなら、それしか考えられないだろう。 放送の情報があてにならないというのは、掲示板にも書かれている。 あるいは何らかの手段で自分達を誤魔化して、死んだことにしたのかもしれない。 いずれにせよ、この少年はずっとこそこそ裏で動いていたのだ、きっと。 電話越しのやり取りを思い出す。 ……警戒すべき相手だし、実際に言葉という矛を交えたこともある。 だが――嫌いにはなれなかった。 「…………」 黙祷を捧げる。 今できるのは、後はこの少年の遺志を継ぐこと。それくらいだ。 そして、東郷。 この男もまた、最後まで実直に在り続けたのだろう。 ……まさか死ぬなどとは思えなかった。 理性ではなく感情の面で、想像が出来なかったのだ。 「……あんたが死ぬなんて、一体何があったんだ?」 目を閉じ、やはり同じようにする。 目的のために手段を選ばない男だった。 善でもなく、悪でもなく、ただ自分であろうとする存在。 ……ある意味、自分が見てきた中で一番完成された人間だったのかもしれない。 だからこそその力を頼り、危険性を封じる為に、安藤と同行させたのだが。 ……そう、安藤だ。安藤が、ここにはいない。 そのことにうすら寒いものを感じる。 彼の安否はどうなったか。それとも、彼自身がこれを引き起こしたのか。 物言わぬ躯と語らうことで、その片鱗でも拾えればいいのだが。 東郷の死体を見やる。 あんまりにも綺麗に、脳天が撃ち抜かれている。 だが、状況があまりに不自然だ。抵抗の様子が全く見られない。 この狭い部屋の中で、この男が何もできずこうまで圧倒された? ……有り得ない。これほど用心深い偉丈夫が、室内戦で後れを取るはずがない。 何らかの理由で全く抵抗が出来なかったと考える方が妥当だ。 ……そう。 例えば、相手の意識を完全に奪う異能の様な。 しかし、しかしだ。 東郷の死因は、間違いなくこの銃痕だ。 そして自分の知る限り、あの能力はこの口径の銃と同時に扱う事は不可能なはずだ。 と、なると――最低でも一人、共犯者がいることになる。 思い当るのは、やはり先刻の狙撃手だ。 「…………」 知人を疑う自分に、嫌気がさす。 だが、思考を止めることはしない。 それが自分に出来ることだと知っている。 たったひとつの冴えたやりかた、などと、何かを妄信するつもりはない。 ありとあらゆる可能性を試し、足掻き、藻掻き、進んで退いてを繰り返し。 この道の先を知らぬ人間でも、それでもいつか、どこかに手が届くのだ、と。 ――それが鳴海歩なのだから。 頭を振り、検証を続ける。 まだ、あの少年が犯人だと決まった訳ではない。 ……しかしだ。 やはりこの室内は綺麗すぎる。 秋瀬或と、東郷。最低二人はいたはずなのに、どちらか一方すら犯人と争った形跡がないのはやはり妙だ。 「…………?」 視線の先に、弾痕が止まる。 壁にぽっかと開いたそれは、一見流れ弾による産物のようにも見える。 が。 「……血液の飛び散り方と、射線軸が一致するな」 ――壁越しに攻撃した、とでもいうのか? 馬鹿な、と自分の考えを否定する。 完全な盲射ではないか、と。 謎の狙撃手の仕業だとしても馬鹿馬鹿しい。 ……だが、もしそうなら東郷さえ手も足も出なかった理由に説明がつく。 流石に壁越しに正確な攻撃を脳天に食らう、などというのは想像すらできないだろう。 異能による意識の喪失と、壁越しの奇襲。 これらが同時に発生したならば、流石の東郷でもどうにもなるまい。 ……もし、壁越しに攻撃したとして。 予めそこに撃ち込めばこの結果がもたらされると確信していたが如く、 こうも正確に脳天を撃ち抜く――その手段はなんだ? 「…………」 結論ありきで考えている。それは分かっている。 ――誰かに意識を誘導されているのかもしれない。 踊るのは慣れている。……この感覚は、身に染みている。 だが、それでも。自分にはこれしかないのだ。 大きく、ゆっくりと、時間をかけて溜息を。 酸素を取り込み、掻き乱された頭を整調する。 時間が惜しい。 一つの疑問点にかかずらってはいられない。 東郷の躯から、秋瀬或と思しき死体にまた視線を戻す。 「ん……?」 よくよく見ると、握っているモノはコピー日記だけではない。 もう片方の手には、メモ帳が握られていた。 それもわざわざ、自分の血に濡れないように。 「これは……」 ――感嘆する。 そこには数々の、秋瀬或の得た情報や、そこから導いた考察が詰まっていた。 特に最後の方には、錬金術とその視点から見たこの島について詳しく書かれている。 エドワード・エルリックより聴取、と、小さく脇に記されていた。 几帳面なことに、この情報を聞いた時刻までしっかりと。 「エドワード・エルリック……か」 ……この男は、何処にいる? 記された時間からして、まだ遠くには行っていないはずだ。 この惨劇が発生してからの時間は、きっと思うより遅くない。 おそらくは東郷や、安藤とも共にいたはず。 「探してみる価値は……あるな」 書かれている内容は錬金術を不完全とはいえ齧った自分には興味深いものばかりだが、 後で読み返すことにして一旦置いておく。 ……自分の兄の名前が記されていたことも、今は保留だ。 懐に手帳をしまい、次に手を伸ばしたのはコピー日記だ。 これもまた、血に濡れないように気遣われていた。 「……懇切丁寧だな」 苦笑する。 ……この男は、そういう男だ。 僅かなやり取りではあったが、十分に理解させられた。 もしかしたら最初から自分に遺すつもりでこうしていたのかもしれない。 神社で合流というのは、おそらく東郷達から聞いていたのだろうから。 「……っと」 ひらりと、二つ折りのコピー日記の隙間から紙が零れ落ちる。 「なんだ……?」 畳まれたそれを開いてみる。 ――名簿だった。 一部の名前が赤に染まった、名簿。 「……っ!」 不自然なことではない。名簿に記された死人の名前は、赤く染まる。 だが、その中で一つだけ。 染まった方法が、明らかに違うものがあった。 「安藤……!?」 その名前が、真っ赤に染まっている。 この名簿の機能ではない、秋瀬或自身の、血によって。 ――秋瀬或は、探偵だ。 こんな名簿をわざわざ、コピー日記に挟んでおいた、その意図は。 歩の中で、何かがカチリと填まる。 そう、コピー日記だ。 あの秋瀬或が、単に自分が秋瀬或だと自分に伝える為だけに、こんな回りくどいことをした? 否だ。 待て。 待て、待て。自分は先ほど何と考えた? 『予めそこに撃ち込めばこの結果がもたらされると確信していたが如く、 こうも正確に脳天を撃ち抜く――その手段はなんだ?』 ――そうか、と歩はしっかりと、秋瀬或のバトンを受け取った。 「未来日記。……安藤、お前は」 【ゴルゴ13@ゴルゴ13 死亡】 【秋瀬或@未来日記 死亡】 【F-5/神社/1日目/夜中】 【鳴海歩@スパイラル~推理の絆~】 [状態]:疲労(中)、腹部裂傷(小)、貧血、左肩に深い刺創(応急手当済み)、両腕に複数の裂傷 [服装]:上半身裸 [装備]:秋瀬或のメモ帳、小型キルリアン振動機“チェシャキャット”(バッテリー残量100%)@うしおととら、コピー日記@未来日記、風火輪@封神演義 [道具]:支給品一式×3、医療棟カードキー、破魔矢×1、社務所の売り物(詳細不明)×0~3、錬丹術関連の書籍、 手錠@現実×2、警棒@現実×2、警察車両のキー 、詳細不明調達品(警察署)×0~2(治癒効果はない)、 No.11ラズロのコイン@トライガン・マキシマム、居合番長の刀@金剛番長、月臣学園男子制服(濡れ+血染め)、雪輝日記@未来日記 [思考] 基本:主催者と戦い、殺し合いを止める。 0:未来日記を得た安藤と狙撃手の協調への強い疑い。 1:放送の内容やネット情報、秋瀬或のメモについて考察したい。 2:競技場に向かい、趙公明の動向を探る。並行してエドワード・エルリックの捜索。 3:結崎ひよのに連絡を取り、今後の相談をしたい。 4:島内ネットを用いて情報収集。 5:首輪を外す手段を探しつつ、殺し合いに乗っていない仲間を集める。 6:カノン・ヒルベルトの動向には警戒。 7:『砂漠の星の兄弟(姉妹?)』に留意。 8:『うしおととら』と、彼らへの言伝について考える。 9:神社の本殿の封印が気になる。 [備考] ※第66話終了後からの参戦です。自分が清隆のクローンであるという仮説に至っています。 また時系列上、結崎ひよのが清隆の最後の一手である可能性にも思い至っています。 ※主催者側に鳴海清隆がいる確信を得ました。 また、主催者側にアイズ・ラザフォードがいる可能性に気付きました。 ※会場内での言語疎通の謎についての知識を得ました。 ※錬金術や鋼の錬金術師及びONE PIECEの世界についての概要を聞きましたが、情報源となった人物については情報を得られていません。 ※錬丹術(及び錬金術)についてある程度の知識を得ました。 ※安藤の交友関係について知識を得ました。また、腹話術について正確な能力を把握しました。 ※未来日記について、11人+1組の所有者同士で殺し合いが行われた事、未来日記が主観情報を反映する事、 未来日記の破壊が死に繋がる事、未来日記に示される未来が可変である事を知りました。 ※考察に関しては、第91話【盤上の駒】を参照。 ※秋瀬或のメモ帳には、或が収集した情報とエドワードの錬金術についての知見、それらに基づく考察が記されています。 ※神社の石段手前に中型トラックが停められています。 ※ゴルゴ13の死体はブラックジャックのメス(8/10)@ブラックジャック、ジャスタウェイ(4/5)@銀魂、携帯電話(白)を身につけています。 ※秋瀬或の死体はクリマ・タクト@ONE PIECE、ニューナンブM60(4/5)@現実を身につけています。 ※ゴルゴ13の死体の傍にデイパック(支給品一式、賢者の石@鋼の錬金術師、包丁、不明支給品×1(武器ではない)、熱湯入りの魔法瓶×2、ロープ 携帯電話(黒)、安物の折り畳み式双眼鏡、腕時計、ライターなどの小物、キンブリーの電話番号が書かれたメモ用紙)が落ちています。 ※秋瀬或の死体の傍にデイパック(支給品一式、各種医療品、 天野雪輝と我妻由乃の思い出の写真、ニューナンブM60(5/5)@現実、.38スペシャル弾@現実×20、 警棒@現実×2、手錠@現実×2、携帯電話、A3サイズの偽杜綱モンタージュポスター×10、A3サイズのレガートモンタージュポスター×10 永久指針(エターナルポース)@ONE PIECE)が落ちています。 ***** 目の前で、エドワードが撃たれた。 たったそれだけで、安藤は混乱の極みに陥った。 何故? どうして? 誰が? 何処から? 今すぐここから逃げる、という選択肢さえ、考える余裕はなかった。 こんな筈ではない。 こんなの予定にない。 妄信は依存を生み、依存は安寧を育てる。 然らば、依存を失った安寧は淪落するが道理というものだ。 「そんなっ! なんで……!? 駄目だ、こんなの駄目だ! エド、エド!」 半狂乱。 かろうじて理性がアトラスのように自我を支えているだけで、安藤は己の体調をも顧みずエドワードに縋りつく。 捨て去ったと思っていた罪悪感はちっともそんなことなく整然と心に積み上げられていて、あたかも図書館の本棚の如く自分の周りに聳え立っている。 ……ただ整理をつけて、動き回るのに支障はないようにしただけ。 どこまで行っても安藤は、その心は、どこにでもいる普通の人のものなのだから。 「エド、駄目だ! あんなこと言っといて死ぬなよ! お前……っ、ウィンリィさんを守るんだろ! 救うんだろ!? 俺とおんなじで、弟がいなくなって、辛いんだろ? だったら駄目だ! ちゃんと最後まで生き抜いて、あいつを――死んだあいつらを救わなきゃ!」 喚き散らす。 涙と鼻水と血が顔面をぐちゃぐちゃに汚し、ついた膝は泥塗れ。 尊厳とか誇りとか、そんなものとはこの世で一番程遠い姿である。 実に惨めったらしい。 けれど、エドワードはそんなことはお構いなしで。 目の前でごそごそ何かを取り出すと。 「……エ、ド?」 呼び掛けは虚空へ。 エドワードは自分を見てなどいないのだと、脳漿に氷柱をぶっ刺されたように急速に理解した。 これ以上一人相撲を続けることはできず、けれどこのまま黙って何もしない訳にもいかず。 硬直した僅かな間のその隙に、安藤の出来ることは全て終わっていた。 唐突にまばゆい光が目の前で起こり、焼かれないよう一瞬目を閉じる。 とっさに掲げた腕がその動きを止める頃には、事態はとっくに終わっていたのが間抜けな光景ではある。 ちかちかとする視界を無理にこじ開け、目を眇めながらすぐ先のエドワードを確かめる。 「エド?」 返事はない。 急に辺りが冷え込んだように、感じた。 「……え、あ?」 そこに動く影は、もはや安藤一つしか存在しなかった。 エドワードがいた場所には、首輪と、服と、彼の荷物が転がっている。ただそれだけ。 どういうしかけか、機械鎧はそこにはない。 ベージュとハートの携帯電話が、やけに月明かりに輝いていた。 「え……、何、が」 理解できない。 銃で撃たれた、それだけなら理解はできる。 たとえ取り乱してもちゃんと筋道立てて考えられる。 ……もう、安藤の頭は飽和状態だ。故に完全な思考停止に陥る。 倒れた。光った。消えた。 安藤に分かるのはそれだけ、因果も何も見えては来ない。 何も分からず、何もできず、ただそこに立ち尽くしていた。 たった一人で。 ……一人? いや、違う。 ざり、という音が、安藤のすぐ傍から届く。 はっとして顔を挙げる。 佇む影が、静かににじり寄っていた。 まるで幽鬼のように音もなく、しかし、おぞましいほどの笑みをその顔に浮かべて。 「電話をかけてみて正解だったね。 どっちが僕に連絡を入れてきたのか分からなかったから、試しただけなんだけど。 こんなに簡単に君を特定できるとは思わなかったよ」 言葉が出ない。 ああ、神様。それとも悪魔? この出会いで、何を自分に求めているのです? 「やあ……」 たった今殺戮を行ったばかりのその手を柔らかに伸ばし、人好きのする表情で。 それは、告げた。 「初めまして、僕はカノン。カノン・ヒルベルトだ」 【D-4/川辺/1日目/夜中】 【カノン・ヒルベルト@スパイラル~推理の絆~】 [状態]:疲労(小)、全身にかすり傷、手首に青痣と創傷、掌に火傷、“スイッチ”ON [服装]:月臣学園男子制服 [装備]:M16A2(12/30)@ゴルゴ13、理緒手製麻酔銃@スパイラル~推理の絆~、麻酔弾×15、携帯電話(シルバー) [道具]:支給品一式×4、M16の予備弾装@ゴルゴ13×3、パールの盾@ONE PIECE、 大量の森あいの眼鏡@うえきの法則、研究所の研究棟のカードキー、 五光石@封神演義、マシン番長の部品、秋葉流のモンタージュ 不明支給品×1 [思考] 基本:全人類抹殺 1:鳴海歩と合流は保留。通信ネットワークの存在下における最適な殲滅方法を再定義。 2:安藤(兄)への興味。 3:十分なアドバンテージを確保した状態であれば、狙撃による人類の排除。 [備考] ※アイズ・ラザフォードを刺してから彼が目覚める前のどこかからの参戦です。 ※剛力番長から死者蘇生の話を聞きました。内容自体には半信半疑です。 ※みねねのトラップフィールドの存在を把握しました。(竹内理緒によるものと推測、根拠はなし) 戦術を考慮する際に利用する可能性があります。 ※森あいの友好関係と、キンブリーの危険性を把握しました。 【安藤(兄)@魔王 JUVENILE REMIX】 [状態]:全身打ち身(中)、頭部裂傷(小)、腹話術の副作用(大)、魔王覚醒、風邪気味 [服装]:飼育員用のツナギ [装備]:殺人日記@未来日記(機能解放) [道具]:イルカさんウエストポーチ、菓子数個、筆記用具(以上全て土産物)、土産品数個(詳細不明) 水族館パンフレットの島の地図ページ、携帯電話(古い機種) [思考] 基本:脱出の糸口を探す。主催者と戦う。危険人物は可能な限り利用した上で同士討ちを狙う。 0:エドワードの消滅とカノン・ヒルベルトの意図に混乱。 1:首輪を外す手段と脱出、潤也の蘇生の手掛かりを探る。 2:闘技場に向かい、C・公明の企みに介入する。可能ならば病院で治療も。 3:殺し合いに乗っていない仲間を集める。利用できるなら殺し合いに乗っていても使う。 4:歩本人へ強い劣等感。黒幕の一味との疑い。 5:エドの機械鎧に対し、恐怖。本人に対して劣等感。 6:リンからの敵意に不快感と怯え。 7:関口伊万里にやりどころのない苛立ち(逆恨みと自覚済み)。 8:今後の体調が不安。『時間』がないかもしれない。 [備考] ※第12話にて、蝉との戦いで気絶した直後からの参戦です。 ※鳴海歩から、スパイラルの世界や人物について彼が確証を持つ情報をかなり細かく聞きました。 ※会場内での言語疎通の謎についての知識を得ました。 ※錬金術や鋼の錬金術師及びONE PIECEの世界についての概要を聞きましたが、情報源となった人物については 情報を得られていません。 ※我妻由乃の声とプロファイル、天野雪輝、秋瀬或のプロファイルを確認しました。由乃を警戒しています。 ※未来日記の世界と道具「未来日記」の特徴についての情報を聞きました。 ※探偵日記のアドレスと、記された情報を得ました。 ※【鳴海歩の考察】の、1、3、4について聞いています。 詳細は鳴海歩の状態表を参照。 ※掲示板の情報により、ゆのを一級危険人物として認識しました。 ※腹話術の副作用が発生。能力制限で、原作よりもハイスピードで病状が悪化しています。 ※九兵衛の手記を把握しました。 ※月食が"何か"を引き起こしかねないという考察をエドに聞いています。 ※秋瀬或から彼自身の考察や鳴海清隆についての話をある程度聞いています。 ※エドワードと秋瀬或の交渉の中で、エドワードの考察をある程度聞いています。 ※キンブリーと趙公明の繋がりを把握しています。 ※携帯電話(ベージュ+ハート)、エドワードの首輪、エドワードのコートと服、バロンのナイフ@うえきの法則、 デイパック(支給品一式(二食消費)、かどまツリー@ひだまりスケッチ、柳生九兵衛の手記、食糧1人半分、割れた鏡一枚、土産品数個(詳細不明))が安藤の目の前に落ちています。 時系列順で読む Back ギャシュリークラムのちびっ子たち Next 狂い咲く人間の証明 投下順で読む Back ギャシュリークラムのちびっ子たち Next 狂い咲く人間の証明 170 ギャシュリークラムのちびっ子たち 秋瀬或 GAME OVER 170 ギャシュリークラムのちびっ子たち 安藤(兄) [[]] 170 ギャシュリークラムのちびっ子たち エドワード・エルリック [[]] 170 ギャシュリークラムのちびっ子たち カノン・ヒルベルト [[]] 170 ギャシュリークラムのちびっ子たち ゴルゴ13 GAME OVER 170 ギャシュリークラムのちびっ子たち 鳴海歩 [[]]
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Deus ex machina ◆oRFbZD5WiQ 蛇を相手にしているようだ。 弁髪の老人と交戦し数分、Dボゥイはそのような感想を抱いた。 「く――おおおお!」 体が軋み、思考はどこか霞んだように不明瞭となっている。 それでも、退くワケにはいかぬ。その思考が意識を繋ぎ止め、両の腕が剣を振るう力を生み出す。 「ぬるいわぁ!」 されど、相手は蛇。ぬるりと枝を這うように剣の軌道から外れ、拳を振るう。 そして――衝撃。 がは、と肺の空気を吐き出し、ゴム鞠のように後方に吹き跳ぶ。その勢いで廃墟と化した家屋に突き刺さる。 常人なら既に十は死んでいるであろう暴虐。されど、皮肉な事に、彼が憎むラダムの力が命をつなぎとめていた。 「ぎ――ぐ、」 されど、それにも限界は存在する。 コンクリートとて、長い年月の間、水滴を受け続ければ抉れる。それがドリルであれば尚更だ。 そして、あの老人の力はドリルほど生易しいモノではない。 東方不敗――マスターアジア。 その名で呼ばれる老人の拳は、下手なモビルファイター相手ならば十分渡り合える代物だ。それを幾重も受けて、無事で済むはずがない。 その上、Dボゥイは万全ではなかった。貧血、打撲、裂傷――それらが、元々薄かった勝ち目を致命的なまでに遠ざけていた。 「ふん、宇宙人と言うからにはもう少し歯ごたえがあると思ったが――これでは、あの馬鹿弟子の方がまだ見込みがある」 黙れ。 そう呟く気力もない。 聖剣を杖にし、ゆらりと立ち上がる。それは幽鬼のような動き、もはや戦闘に堪えうるのは不可能であるのは、誰の目にも明らかだ。 けれども、意志は肉体を凌駕する。まだ立てる、その思考が体に喝を入れる。 精神論と嘲る事なかれ。強い精神は肉体を超越するという事実は、プラシーボという形で医学にも用いられている。 「――ふむ、その根性だけは認めてやろう。だが、実力が伴っておらぬようだな。 宇宙人よ、Dボゥイよ。貴様には『体』はあっても『技』がない。 身体能力があろうとも、それを生かす技術が存在しない」 確かに、と思う。 自分はテッカマンになれる。テックランサーやボルテッカ、そして、圧倒的な推進力で突貫するクラッシュイントルードなどといった力を振るう事が出来る。 しかし、確かに訓練はしたものの、それは、テッカマンのポテンシャルに頼り切ったモノ。 元来の肉体には、アキのような体術もなければ、ノアルのような銃技もない。 「その肉体だけで勝てると思っておったか、愚か者めが」 迎え撃とうとするが――致命的なまでに遅い。腹部に膝が食い込み、きりもみしながら吹き飛ぶ。窓を窓枠ごと突き破り、ガラスまみれの状態でアスファルトに転がった。 「人には牙がない。爪がない。それ故に、武器を作った、体を鍛え上げた――技を磨いた。 知るがよい、遥か遠方から訪れた来訪者。これが人が生み出した牙、格闘技だ。 流派東方不敗、その身に刻み、そして逝け!」 更にもう一度、一撃を加えられた、ような、気がする。 だが、どこか感覚が曖昧だった。 意識が徐々に遠のいていく感覚。それは甘美な誘惑。苦しみから解き放ってやろうという――死神の誘い。 ――ふざけるな。 そちらに傾きかけた心に喝を入れ、立ち上がる。 瞬間、顔面に拳が突き刺さった。 「ァ――――が!」 それはまるで、なけなしの気力を砕くように。 砕けたアスファルトの上を滑るように吹き飛ぶ。がりがり、という音。石が服を食い破り、皮を切り刻み、肉を食む音。 立ち止まった頃には、リムジンから伸びているような赤いカーペットが敷かれていた。 その上を、あの老人が悠々と歩いている。 全く以って似合わないな、と。酷く場違いな思考が過ぎる。 ――まずいな。 笑みが漏れてきた。今の自分の状態も、目の前の老人も、可笑しくてたまらない。 脳内麻薬でも分泌されだしたのか、痛みも薄く、むしろ快感な気さえする。 その快楽に身を委ねれば、きっと楽に死ねる。この胸の奥底を炙る復讐の炎から解放される。 だが、それを受け入れるワケにはいかなかった。 それは復讐のためであり、そして――あのか弱い少女のためである。 だから、Dボゥイは立つ。背中を真紅に染めながらも。 その姿を、酷くつまらなそうに見やる老人を睨みながら、無意識でも手放さなかった剣を握る。 「――ねえ」 そんな中、いつの間にか隣にいた少女が口を開いた。 ◆ ◆ ◆ その情景は、悲惨を通り越して滑稽なものだった。 絞りカスで戦っているようなDボゥイと、ほぼ万全な状態の東方不敗。 天秤がどちらに傾くかなど、火を見るより明らか。いや、火を見て明らかというべきか。 数回の攻撃で力を使いきったのか、Dボゥイは反撃どころか防御すらマトモに出来ていない。ただただ、ゆらりと立ち上がるだけ。 その姿は、ゾンビ映画を連想させる。 然り。その姿は死体のようで、いつ崩れてもおかしくない泡沫のようで―― 「ァ――――が!」 顔面に拳が突き刺さる。受身を取る事すら許されず、背中を砕けたコンクリート片が散らばる地面に擦りつけながら、こちらに飛んでくる。 地面が赤い。流血と皮、肉、服の破片。それらが散らばる絨毯を、老人は悠々と歩く。 もはや追い詰める必要はない、そう言うように。 然り。ここまでの暴虐を受けて、なぜ抗うというのか。 これ以上、どう抗おうとも侵略めいた拳によって蹂躙されるだけではないか。 (……なんで?) それでも、彼は立ち上がった。 十中八九殺されるこの状況で。座して死を待った方が楽であろう、この状況下で。 分からない。なぜ、彼が立つのか。 そうだ、分からないといえば、自分を殺さなかった事も分からない。分からない事だらけだ。 「――ねえ」 だからだろうか。無意識の内に口が開いていた。 「どうして、そんな風に立っていられるの?」 ああ、と思う。 それはたぶん、似ているからだ。 彼は言っていた。許せないと。不幸を理由にして殺し合いに乗っていることが、俺には許せないのだと。 あの言葉を聞いた時に、なにか、感じ取るモノがあった。 それは――どこか同類めいた何か。 その男が立つ理由、それが、どうしても気になったのだ。 「――これ以上」 噛み締めるように、Dボゥイが口を開く。 それは、舞衣の問いに答えたと言うよりは、自分自身に言い聞かせているようだった。そう、まるで折れかかった心を支えるように。 「これ以上、こぼさない、ためだ」 剣を構える。だが、力が入っていないのか、その重さで前に倒れかけ―― 「失ったモノは取り戻せない。だから、俺は復讐の道に足を踏み入れた。だが――」 ――その寸前で踏ん張る。 その姿は、壊れかけたロボットがダンスを踊っているよう。不安定で、醜く、滑稽で―― 「――それでも、これ以上、大切なモノをこぼしたくないからだ」 ――けれど、心のどこかに訴えるモノがあった。 ◆ ◆ ◆ そうだ、これ以上、何かを失いたくはない。 自分が死ねば、シンヤは用済みとなったゆたかを殺すだろう。 そう、彼女には随分と助けられた。 もっとも、本人は否定するだろう。助けられたのはわたしですよ、と。 ああ、確かに。確かに、肉体的な面で自分は彼女を何度か救った。 けれど、それ以上に、彼女はDボゥイの精神面を救ってくれた。 だから――Dボゥイは老人を睨みつける。 それは、徹底的に抗うという決意。 それは、この命を貴様に渡すワケにはいかぬ、という宣言。 「オ――」 吼える。喉を震わせ、全細胞に告げる。 なにを腑抜けている、血が足りない? 傷が開いた? 疲労が酷い? その程度で眠っているのか貴様らは! どうせ、ここで抗わねば死ぬのだ。なら――全ての力を引き出してみせろ。 そう、徹底的にAngriff! Angriff! Angriff! 剣を以って活路を開くのだ! 「――オォォォオオォォオッ!」 駆ける――否、その速度は普段の歩みよりもなお遅い。 杖をついた老人よりは速いだろうか? その程度の速度でしかない。 「ふん、諦めの悪い。いいだろう、この一撃で――む?」 それは、純粋な疑問だった。 Dボゥイと目を合わせた東方不敗は、ありえない何かを見るような目で瞳を見開いた。 ――なんだ? まるで、『Dボゥイの目が、別の何かに取って代わった』とでも言いたげな瞳。 「貴様、それは一体――」 知った事か。 心中で吐き棄て、剣を振るった。 風を切る音はしない。ゆっくりと振り下ろされていくそれは、スローモーションでも見ているのではないかと思わせる。 しかし、 (なんだ――?) なぜだろう。 今なら、たとえこの速度だとしても威力を発揮できる。そんな気がしたのだ。 誰が言ったわけでもない。強いて言えば、剣の鼓動から感じ取ったというべきか。 つい先程まで感じなかった力の唸りが、他ならぬ自分から注ぎ込まれている――そんな気がしたのだ。 「勝利すべき(カリ)――」 知らず、呟く。 流れ込んでくる名を。檻に囚われた獣を、解放するように。 先程まではなかった感覚に困惑しつつも剣を力強く握るDボゥイ。 その瞳は――確かに螺旋を描いていた。 「――黄金の剣(バーン)!」 そして、光が溢れた。 ◆ ◆ ◆ 突如視界を覆った光は、現れた時と同じように唐突に消えた。 そっと、瞳を開く。 「なに、これ」 舞衣の瞳に飛び込んできたのは、大地に穿たれた巨大なクレーターだった。 見渡すと、辺りはもうもうとした土煙で覆われていた。近くは見えるのだが、遠くは全く見えない。 事実、舞衣が向いている方角――即ち、北で遠く見えていた学校も、今は輪郭すら掴めない。 大きさは、大体一般家屋一つ分。恐らくは、先程まであの二人がいた場所。 なら、あの二人は? 「あ――」 視線を彷徨わせると、すぐ近くで倒れているのが見て取れた。 恐らくは、この衝撃で吹き飛ばされたのだろう。 恐る恐る、彼に近づく。 幸いな事に、生きてはいるようだ。打撲こそ多いものの、裂傷が少ないのが幸いした。止血さえすれば、命を取り留める事はできるだろう。 そこまで考えて、ハッとした。 「なんで助ける事を前提に考えてるのかな……」 それは――たぶん、憧れめいたモノを抱いたから。 あの背中は、自分と同じでありながら、けれども決定的に違うモノがあった。 それを、知りたい。 同類めいた自分たちが、けれども別の道を進んだワケ。その答えが欲しい。 それさえあれば、この揺らぐ心も収まるのではないか、そう思ったのだ。 そっと抱きかかえようと屈み込み、 「中々の威力。少々肝を冷やしたわ」 しわがれた声に体を硬直させた。 ありえない、だって、あんな威力の破壊を受けて、生きているはずがない。 だというのに、 「なん、で」 あろう事か、その老人は傷一つ負ってはいなかった。 「馬鹿者が。どれほど威力があろうとも、直撃さえ受けなければ傷付かん。 ましてや、振り下ろすだけで精一杯といった風体の者が放つ衝撃波など、見ずとも避けられるわ」 Dボゥイの『変化』に気づき、それがなんであるのか悩んでいる最中、彼が剣を振り下ろそうとした。 しかし、その剣が先程とは違う『気』めいた何かを纏っている事に気づき、剣の直線状から退避。すると、濁流の如く全てを押し流す衝撃波が、脇をすり抜けていった。 つまりは、ただそれだけの事。 本人すら気づかなかった螺旋力の覚醒。しかし、それも見当違いの方面に発揮されただけに終わったのだ。 必殺の一撃が外れた今、その効果はゼロどころかマイナスだ。 螺旋の力で増大した体力と力。だが、その力は魔力の代用品として聖剣に注ぎ込まれ枯渇、そして訪れたのは気絶という眠りだ。 これならば、まだ覚醒しない方が望みがあっただろう。 「失望したぞ、娘。よもや、ここに至って男を救おうとするとはな。 悲しみのままに罪無き子供を殺し、しかし数刻で心変わりするとはな。 外道を行い、けれど人を救う。その矛盾、真に人間らしい」 だが、と吐き棄てるように呟き。 「だからこそ、醜い」 え? と声を出す暇もない。 瞬時に間合いを詰めた東方不敗は、撫でるような滑らかな動きで拳を放つ。腹部にめり込む、破壊の鉄槌。 「ぐ――げ、ぇ」 カエルが潰れたような声と共に、血の混ざった胃液を吐き出す。 吹き飛ばなかったのは、きっと手加減されたからだろう。でも、なぜ? 「気が変わった。先に貴様から殺してくれよう」 髪の毛を乱暴に捕まれ、持ち上げられる。 ああ、そうか。手加減されたのは、ダメージを与えて動きを止め、かつ、遠くに吹き飛ばさないため。 動きが止まった自分を、確実に殺すため。 ああ、殺される。 恐らく、生身の自分では、ものの一撃で消し飛ぶだろう。 (でも、それもいいのかも) 死後の世界。 もし、そんなモノがあれば、きっとそこはこんな世界よりも幸せな場所に違いない。 だって、ここには辛い事しかない。 けれど、死後の世界に行けば、弟がいる、シモンがいる、なつきがいる。 自分が亡くしたモノ、その全てが、在る。 ならば、それでもいいじゃないか。 そう思って、舞衣は瞳を閉じた。 訪れる死を受け入れるために。 ◆ ◆ ◆ 機械仕掛けの神、デウス・エクス・マキナ。 物語が解決困難な局面に陥った時、脈絡もなく絶大な力を持った『神』が現れ、それを解決する演劇の手法である。 だが、それは好まれぬ手法でもある。 伏線もなしに登場するそれは、超展開と揶揄される事も少なくない。 ――しかし、である。 物語の登場人物にとって、そのようなモノは関係ない。 たとえ、神にも似た解決策に伏線があろうとも、登場人物がそれを自覚していなければ、彼にとってそれはデウス・エクス・マキナとなるのではないか? そして、鴇羽舞衣は、東方不敗マスターアジアは知らない。 ロイ・マスタングという男がDG細胞に侵されている事も、 彼がスバル・ナカジマの仲間を殺戮した事実も、 デパートで彼と彼女の戦いが起こっている現実も、 ――――スバル・ナカジマという少女が、己の力と宝具の力を最大限に用い、爆発的な閃光と共に付近を薙ぎ払った現実も。 全ては二人には知りえない事であり、脈絡のない神の光臨であった。 ◆ ◆ ◆ 瞬間、黒い視界が白に塗りたくられた。 閉じた目蓋の中ですら、「眩しい」と知覚できる暴力じみた閃光。 だが、彼女は幸いに瞳を閉じ、その上、デパートの方面――即ち、光源から背を向けていた。 しかし、東方不敗は違った。 光源の方角に体を向け、目を開いている状態。あの爆発的な光を、直視してしまったのだ。 「ぬぐォおおおおおおおおおおォ! ぐ、目が、目がァァあああ!?」 もし、彼に制限が加えられてなければ、いち早くそれに気づき、瞳を閉じる事もできたかもしれない。 だが、現実は非情であり、死を運ぶはずであった老人は、瞳を押さえ、苦しみ悶えている。 (……なによこれ。まるで) まるで、死後の世界の誰かが、自分に対して『生きろ』と背中を押しているようではないか。 そう、これ以上ない、という程の隙。これを逃せば、自分は殺されるだけだ。 だが、決心がつかない。心の中ある死の誘惑が足を縛る。 しかし、ふと思い出す。 足元で倒れる彼、Dボゥイ。 彼の話を聞きたい、そう思ったのではないか? そこまで考えて、舞衣は彼を背負い、ゆるやかに移動を始めた。 けれど、その速度は致命的なまでに鈍い。 振り向けば、背後で悶え苦しむ老人の姿は、未だ近距離と言っても差し支えのない距離だ。 「はや――くっ」 叱咤するように呟き、足を進める。 だが、いかにHiMEの彼女とて、生身の能力は一般女子高生と大差はない。 そんな彼女が、筋肉質な男を背負い、かつあの老人が回復する前に逃げ去る事は出来るか? ――不可能だ。 そもそも、彼女の疲労は既に限界であり、自分だけ走って逃げるという選択肢も危うい状態だ。 せめて――せめてエレメントが使えれば。 あれがあれば飛べる。走るよりずっと速く移動が出来る。 けれど……あの力は、今は使えない。 歯を食いしばる。結局、自分はなにもできない。奪われるのを待つしかできない――! ――轟、と。 聞きなれた音が、確かな温かみが、両の腕に宿った。 「え……?」 両腕の腕輪。彼女の力、エレメントの姿がそこにあった。 失ったのではないのか、使えなくなったのではないのか。 だが、考えている暇はない。腕に巻かれたそれに力を込める。すると、彼女に答えるように腕輪は炎を纏いながら高速回転し――彼女を動かした。 本来は飛べるのだが、今はなぜだか能力も低下しており、その上、男一人分の重量を背負っている。この速度で移動できるだけマシと考えるべきか。 風を切って移動しながら、舞衣は炎を用いてDボゥイの背中を、傷口を軽く炙る。 医者に見せたら怒られそうな処置ではあるが、治療道具も治療する暇もない今、それも致し方がない事だ。 もっとも、いずれは薬品などで消毒などをしなくてはならないだろうが。 だが、病院は駄目だ。あちらは、あの閃光が吹き出した方向。下手にそちらに向かって戦闘に巻き込まれれば、今度こそ助からない。 なら――学校だ。 あそこには保健室がある。もちろん、設備は病院などとは比べるまでもないが――贅沢は言えない。 「でも」 自分と彼との違い、それを聞いて、一体どうなるのか。 ……分からない。少なくとも、今は。 そうこうしている内に、学校はすぐそばまで近づいてきていた。 ◆ ◆ ◆ ――――HiMEの能力は、 大切なモノ(者、物)を媒介にし、自らの意志でエレメントやチャイルドを具体化することが出来る力だ。 故に、彼女が心を閉ざした為に、大切なモノという機動キーが鍵穴に差し込まれなかった。 鍵穴をちょうど悲しみのガラスで覆ってしまった、そのような形で。 だが――Dの青年との会話によって、僅かながらに心を開いたのだ。 ……そう、開かれた。 明けぬ夜はないように、閉ざされたままの心もまた、存在しないのだ。 けれども、それはあくまで僅かにだ。 彼女が心を完全に開くか、再びガラスで覆ってしまうかは――彼女の背で眠る、Dの青年の行方次第だ。 彼のDが彼女にとって、Dreamなのか、Deadなのか、Dangerousなのかは――まだ、誰も知らない。 そう、それは機械仕掛けの神とて同じ。 物語は進んだ、解決不能な命題はとある少女の最期の光で取り払われた。 これ以降は、彼の神が介入する余地はない。 二人の影は、未だ筋書きの定まらぬ物語を、ただひたすらに突き進んでいた。 【B-6/学校校門前/一日目/夕方】 【鴇羽舞衣@舞-HiME】 [状態]:疲労(大)、全身各所に擦り傷と切り傷、腹部にダメージ、罪悪感 [装備]:なし [道具]:支給品一式 [思考]: 1:Dボゥイの治療 2:1の後、彼の話を聞きたい 3:その後、自分の在り方を定める [備考] ※カグツチが呼び出せないことに気づきましたが、それが螺旋王による制限だとまでは気づいていません。 ※静留にHiMEの疑いを持っています。 ※チェスを殺したものと思っています。 ※一時的にエレメントが使えるようになりました。今後、恒常的に使えるようになるかは分かりません。 【Dボゥイ@宇宙の騎士テッカマンブレード】 [状態]:左肩から背中の中心までに裂傷(開いた後、火で炙って止血)、右肩に刺し傷(応急処置済み) 全身打撲(大)、貧血(大)、腹部にダメージ、 背中一面に深い擦り傷(火で軽く炙り失血は停止)、気絶 [装備]:なし [道具]:デイバック、支給品一式、月の石のかけら(2個)@金色のガッシュベル!! [思考] 基本:テッカマンエビル(相羽シンヤ)を殺し、小早川ゆたかを保護する 1:………… 2:ゆたかと合流する 3:テッククリスタルをなんとしても手に入れる 4:極力戦闘は避けたいが、襲い掛かってくる人間に対しては容赦しない 5:再びシンヤとテッカマンの状態で闘い、殺害する [備考] ※殺し合いに乗っている連中はラダム同然だと考えています ※情報交換によって、機動六課、クロ達、リザの仲間達の情報を得ました ※青い男(ランサー)と東洋人(戴宗)を、子供の遺体を集めている極悪な殺人鬼と認識しています ※シンヤが本当にゆたかを殺すと思っているため、生への執着が高まりました。 ※恐らくテッククリスタルはどちらを使ってもテックセットが可能です。またその事を認識しています ※ペガスが支給品として支給されているのではと思っています。 ※螺旋力に目覚めた事実に気づいていません。 【Dボゥイ@宇宙の騎士テッカマンブレード】 ――螺旋力覚醒。 ◆ ◆ ◆ 「ぬかったわ。まさか、あのような事が起こるとは」 瞳の焼ける痛みも治まり、辺りを見渡すが、当然の如く辺りに人影はなかった。 光が飛び込んできた方角に視線を向けると、先程までは見えていたデパートが消滅している。 「……モビルファイターでも支給されたか、はたまた宇宙人の能力の類か」 どちらにしろ、対人には過ぎた威力だ。 それが如何なる状況で行われたモノか、興味があるが――それ以上に、 「Dボゥイ、奴の瞳は確かに……」 ――ドリルの先端のような模様を持った瞳。別の表現をするならば、螺旋の瞳。 それが、気になった。 螺旋王ロージェノムが最初に言った、螺旋遺伝子の選定という言葉。 まさかとは思うが、あれが奴の言う螺旋遺伝子とやらなのだろうか。 しかし、分からない。 たとえ、推測が正しかったにしろ、なぜあのような状況下で力を使いだしたか。 奴に力を出し惜しみする余裕など、カケラもなかったはずだ。 「……なんらかの要因が引き金となり、その力が表に出てくる――それが妥当か」 もっとも、その『なんらかの要因』については皆目見当も付かないのだが。 ふむ、と小さく息を吐き、地面に落ちた剣を握る。 やはり、剣は光らない。 それが当然だ、というように鈍い光沢を放つそれをデイバックに仕舞いながら、最強の老人は呟いた。 螺旋遺伝子に目覚めた――と思われる――Dボゥイが使ったとき、この剣は莫大な力を発揮した。自分が握っても無反応だというのに、だ。 即ち、これは螺旋遺伝子とやらの力を伝達する、言わば砲身のようなモノだろうと当たりをつけた。 もし、その仮説が正しければ、螺旋遺伝子を発現させた者はこれを扱えるという事になる。 これを扱える者に出会えば、螺旋遺伝子の解明も進み、螺旋王とやらの思惑も理解できるかもしれない。 そのために、Dボゥイで実験をしたいところだったが――追撃をかけようにも完全に見失っている。 ふむ、と小さく息を吐き、遥か遠方に視線を向ける。 そう、自分の目を焼いた光の元へ。 「デパートに行くとしよう」 あの状態だ、病院に行っているとも考えられなくもないが、そのような分かりやすい場所には逃げ込まないだろう。 ならば、少なくとも場所は確定している光の元を目指すのが利口だ。 そうと決まればここに留まる道理はない。地面を蹴り、跳躍。原型を保っていた家屋に足をのせ、リズミカルに跳んで行った。 【C-6中央部/市街地跡/一日目/夕方】 【東方不敗@機動武闘伝Gガンダム】 [状態]:全身、特に腹にダメージ、螺旋力増大? [装備]:マスタークロス@機動武闘伝Gガンダム [道具]:支給品一式、カリバーン@Fate/stay night [思考]: 基本方針:ゲームに乗り、優勝する。 1:E-6に向かい、光の原因を探る。 2:情報と考察を聞き出したうえで殺す。 3:ロージェノムと接触し、その力を見極める。 4:いずれ衝撃のアルベルトと決着をつける。 5:できればドモンを殺したくない。 ※137話「くずれゆく……」以後の行動は、騒動に集まった参加者たちの観察でした。 ※137話「くずれゆく……」中のキャラの行動と会話をどこまで把握しているかは不明です ※173話「REASON(前・後編)」の会話は把握しています。 ※螺旋王は宇宙人で、このフィールドに集められているのは異なる星々の人間という仮説を立てました。 本人も半信半疑です。 ※Dボゥイのパワーアップを螺旋遺伝子によるものだと結論付けました。 ※螺旋遺伝子とは、『なんらかの要因』で覚醒する力だと思っています。 ※ですが、『なんらかの要因』については未だ知りません。 ※視力については問題ないようです。 時系列順で読む Back 刑事と婦人と不死の少年は三人の奇人を前に沈黙する(後編) Next 螺旋の力に目覚めた少女 投下順で読む Back シャドウ・ラン Next 螺旋の力に目覚めた少女 184 こころの迷宮 Dボゥイ 218 夢‐‐。涙…… 184 こころの迷宮 鴇羽舞衣 218 夢‐‐。涙…… 184 こころの迷宮 東方不敗 205 爆心地のすぐ傍で
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魔法少女リリカルなのは Strikers May Cry 第二話 「邂逅」 星明りと月光に照らされた森を青い魔力光により作られた翼の道ウイングロードが木々の間を縫うように走り、その上を少女スバル・ナカジマはローラーブレードを彷彿とさせるデバイス、マッハ・キャリバーにより風のような速さで駆け抜けていた。 「こちらロングアーチ、状況は?」 「こちらスターズ03、報告どうり凄い数のガジェットです、でも目視できるガジェットは全て破壊されてます。」 「こっちのエリアサーチでも敵影はゼロだけど気を緩めないでね。」 通信を切ると同時にスバルは眼下に広がる光景に再び目を奪われる、そこにはガジェットと呼ばれる無数の戦闘機械の残骸が地面が見えないほどに埋め尽くされていた、破壊されたガジェットを見るのは何も初めてではないがこれほど見事な倒し方は見たことが無かった。 破壊されたガジェットは全て切断されており、鏡面のようなその切り口はこの薄明かりの中で顔を映すほどであり、荒事を苦手とスバルにさえ美しいと思わせるほどであった。 森を進むにつれ破壊されたガジェットが増えていき、スバルはその中心地へとたどり着く。眠るように倒れ伏した一人の男が彼女の目に映る。 「こちらスターズ03、要救助者と思われる人を発見しました、大至急!救護班をお願いします!」 スバルは愛機マッハキャリバーにより最大の加速で近づく。彼は輝く銀髪に青いコート、そして手には鞘に身を隠した長大な日本刀を持って大地に横たわっていた。 「だ…大丈夫ですか!?」 あまりに安らかな顔に、生死を疑い大きく声をかける。恐る恐る頚部の脈を測りその温かさと脈動に胸を撫で下ろす。 「よかった~生きてるよ。」 「それにしても…」 彼は寝顔こそ安らかだがその全身は汚れ多くの裂傷が覗いている。 「やっぱりこの人がここで戦ってたのかな?でもこの剣ってデバイスじゃなさそうだし…」 近づいてくるヘリの音にスバルの疑問の声はかき消されていった。 夢を見ていた。吐き気を覚えるほどに見続けてきた悪夢。全ての終わり全ての始まりの夢。 幼い頃から俺達兄弟に歌ってきた歌を口ずさむ母に俺と弟が静にそして平和に暮らしていた。この頃の自分を何度呪っただろうか?この頃の俺は自分の身体に流れる悪魔の血の危険性も、戦う術も知らないただの子供だった。 全てを失い絶望するなんて一瞬だ、突然現れた無数の悪魔が俺達兄弟を殺そうと迫り、母が逃げろと叫んだ。 この声が俺が聞いた母の最後の声だった。 俺は並び立つ墓石の間を迫り来る悪魔どもから必死で逃げていた、しかし逃げ切ることはできずついには悪魔どもの持った槍や剣にその身を刺し貫かれる。普通の人間ならば瞬く間に死に至る傷だったがそれにより俺の中の悪魔の血は目覚めた。 悪魔どものを切り伏せたとて全ては遅すぎた、母はとうに殺され弟のダンテの姿もなかった。 俺の手には禍々しい悪魔の力と父母の形見のアミュレットだけが残った。 目を覚まして最初に感じたのは天井のライトの明るさと鼻につく消毒液の匂いだった。俺の上半身からは衣類が脱がされ何箇所かに包帯が巻かれ傷に処置が施されていた。 目に付く場所に置かれていたので自分の服とブーツを身につけベッドから出た、驚いたことにボロボロだったそれらは見事に修繕されていたそれほどの時を寝てはいない筈なのだがな…。 だがそれよりその時に俺の思考を占めていたのはそれらの荷物の中から最も大事な物が無くなっていた事だった。 「あ!もう目が覚めたんですか?」 自動ドアが開く音と共に白衣の金髪の女が俺のいた部屋へと入ってきた。 「まだ横になっていた方がいいですよ、軽い消耗じゃないんですから…」 女の気遣う言葉も聞き終わらぬうちに、俺はその女の首へと手をかけた。 「がっっ! な 何を…」 首を絞められた女が苦しそうに呻くが、その時の俺は普段では考えられないほどに激情に駆られていた。人間が死なない程度に加減はしていたので構わずに女に問いをかける。 「傷の処置には感謝しよう、しかしアミュレット…俺の持っていた物とはまた別の話だ。」 「な…あれがいったい?」 女が苦しそうに呻く。人間にしては高い魔力を感じたので例え自分が優勢だとしても一切油断はしない。 「いいから答えろ、アミュレット…俺のペンダントに刀は何処だ?」 「くっ ここにはありません、今ブリーフィングルームに…」 「では案内してもらおう。」 女が場所を知っているようなので手を離し。身体が自由になり膝をつき激しく咳き込む女に俺は言った。 時空管理局機動六課ブリーフィングルームにて部隊長 八神はやてを中心に昨日のガジェットの大量発生とその破壊、そしてレリックに似たロストロギアの反応が感知された事件に対する会議が行われていた。 「それではこれを見てください。」 メガネをかけた女性、六課通信主任 シャリオ・フィニーノが映像を出す。 それは鬱蒼とした森の中に大量のガジェットの残骸が広がる航空写真であった。 「マジかよ。」 「改めて見るとスゴイですね~。」 「見事だな。」 「いったいどれだけの数が…」 スターズ分隊副隊長・フォワード、ライトニング分隊副隊長・フォワードの各人がそれぞれにつぶやく。 「昨日のガジェット発生事件ですが今のところ確認されている破壊されたガジェットの総数は287体、あの男性以外に死傷者は発見されていません。」 「ちょっ ちょっと待てよこれだけの戦闘で怪我人が一人保護されただけって…」 スターズ副長ヴィータが堪らずに声をあげる。 「そこであの人に話がいくわけや。」 六課部隊長 八神はやてが口を開く はやては目の前に大きな刀とペンダントを置く。 「まずこのペンダント、これからはレリックに似た魔力波動が感知されたんよ多分ガジェットはこれに引き寄せられたんやね、おまけに空間干渉系統のロストロギアに近い特徴がみられとる」 「それって、ジュエルシードみたいな?」 金髪の執務官 フェイト・T・ハラオウンが複雑な顔で尋ねる、彼女の過去を知る者はこの表情に込められた意味を自然と察する。 「それはないわ、安定しとるし暴走する危険性は皆無や、とりあえず簡易的な封印処置もしたし心配わいらへんよ。」 フェイトの表情に安堵が広がる。 「いいからガジェットをぶっ壊したヤツの事を教えてくれよ。」 早く答えを知りたくてヴィータがシビレを切らす。 「それでこの刀が出てくるんよ。」 「刀~それデバイスじゃないんだろ?ってか何であいつそんな物持ってんだよコスプレか?」 一見すれば冗談に聞こえる言葉にもはやては表情を変えずに静かに答える。 「この刀の表面にガジェットの塗装に使われてる塗料がついとったんよ…」 その言葉と共に場の空気の温度が下がる。 「じゃ…何かあの男はそのボロイ刀で300体近いガジェットを倒したのかよ?」 「切り口の形状とかも考えたらそうなるんかな、こんなこと上には報告でそうもあらへんな。」 「ほんとかよ、それじゃまるで…」 ヴィータの言葉は最後まで言い切れず。 「まるで悪魔か?」 聞き覚えの無い声にさえぎられ、全員の視線がドアに釘付けになる。 続く。 前へ 目次へ 次へ