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世界の中心で愛を叫んだモノ ◆5iKodMGu52 福路美穂子はひたすら走る。 消失した政庁。 そこへ向かったはずの平沢唯。 受け入れられない想像。考えたくも無い予想。 かぶりを振る。悪夢を必死に振り払う。 暖かな春の陽光のように、可憐な平沢唯の笑顔。 (あの笑顔は、唯ちゃんは絶対に失ないたくない!私は唯ちゃんと■■■るのだから!) 彼女の心にあるのは欲望に過ぎない。 純粋に研ぎ澄まされたパッション。 だがそれは、新たに生まれ変わった彼女の潜在能力を遺憾なく発揮させた。 住宅街を超え、平野が広がる。 常ならば襲撃を警戒して隠れながら、慎重に歩を進める所だが、今の美穂子にそのような余裕はない。 よって全力で駆け抜ける。 一心不乱に駆け続け、ふと周りを見渡すと、何時の間にやら橋を渡っていたらしい。橋はボロボロになり、いつ倒壊してもおかしくない。 よく渡りきれたものだ、と思い、視線をやや上げる。 その視線の先には、地平に落ちゆく大きな大きな夕陽。 こんなにも夕陽は美しかったのかと、美穂子は思う。 それは多分、その陽の光に平沢唯を重ねているからなのだろう。 名残惜しむかのようにジリジリと沈む夕陽を見送りながら、また、ひたすらに政庁があった方向へと走る。 ◆ 衛宮士郎と白井黒子は政庁からやや離れた住宅の中にいた。 二階建ての、およそ政庁付近には似つかわしくない、一般住宅然としたそこには犬小屋と車庫、そして自転車があった。 何故このような場所に入ったのかといえば、ここならば身を隠すには十分であったからである。 廃村においてやってのけたように黒子はテレポートで容易に住宅内に入り込み、士郎を招き入れた。 しかし見れば見るほど一般的な一軒家。玄関横には空の車庫があり、庭先には芝生があり犬小屋がある。 休みの日となれば父親が庭先にホースで水をまき、子どもが大きな犬と戯れ、母親が洗濯物を物干し竿に干す。 そんな日常風景を幻視するほどに、この家はつい先程まで日常を支え続けていたかのように見える。 「まるで人だけがいなくなったみたいだな」 士郎がなんとはなしにそう呟く。 黒子もそれを感じていた。そして、勝手に人様の家に上がることに対して多少の罪悪感を感じていた。 廃屋の時とは生活感の生々しさが段違いなのだ。 これでも風紀委員(ジャッジメント)である。信じてはもらえないだろうが、モラルに関してはそれなり以上に厳格だった。 気もそぞろ、とはこの事を言うのだろう。あからさまにそわそわした様子で、ごめんくださいませ、と靴を脱いで玄関に上がる。 キョロキョロと所在なさげに左右を見渡していると、士郎もあとに続いて靴を脱いでズカズカと廊下を歩く。 さほど躊躇もなく台所に着いた士郎は冷蔵庫を開けて1リットルの牛乳パックを取り出すと、頓着せずにごくごくとそのまま口をつけて飲みだした。 そしてぷはーっと口を離してややキョトン顔で黒子を見ると、飲みたいの?とでも言いたげに見つめ、飲み掛けの牛乳パックを差し出す。 「?!」 手渡された牛乳パックを危うく落としかけながらも、手中に収めた黒子は、その飲み口、つまり先程まで士郎が口を付けていた部分を凝視した。 心臓が高鳴る。顔が紅潮する。汗が吹き出る。 緊張を必死に抑え、うるさいほどに鼓動を繰り返す心臓に耳を背け、唇を牛乳パックに近づける。 恐ろしく時間をかけて彼我の距離を詰め寄ったそこへ。 「あ、わりぃ。そうだよな。女の子に対して配慮が足りなかった」 思わずビクン!と背筋を伸ばした黒子に向かって士郎は笑顔で食器棚からコップを取り出して差し出す。 「口付けたパック差し出すなんてどうかしてたよ。はい、コップ」 悪気の無い、屈託の無い笑顔を絵に描いたらこうなるのだろう。 キッチンに乾いた音が鳴り響いた。 「士郎さんったら本当にデリカシーの欠片もないですの!」 そのまま黒子はドコドコと階段を上がっていく。 あとに残されたのは台所に立つ、曰くデリカシーの無い男一人。 「なんでさ」 それは誰にも分からない。 ◇ 沈黙。 ゼクス達の居る車庫の中はまさにそんな文字で覆い尽くされていた。 快活だったユフィも死者の眠る丘で断末魔サービスを受けて以降、口数もめっきり減っていた。 代わりになにやら書き留めているようだが。 「なにを書いているのかな?」 何の気無しにゼクスが尋ねる。 まだ互いの情報は交換しきれていない。円滑なコミュニケーションを図るため、ゼクスは沈黙よりも雄弁を選んだ。 「いえ、大したものでは。ただちょっと、放送設備のあるところへ着いた時に話そうと思っていた内容を書き留めているんです」 それにしてはあまり実の入ってない様子だったが、とゼクスは思ったが、それについて追求する気はない。 この場合は考え事の片手間に気を紛らわせる為にやっていることなのだろうと、判断した。 アーニャと言う少女のことなのか、それともその少女が発したギアスという単語についてなのか、それとも先程気にしていた首輪についてなのか。 それともそれら全て。 そこまで考えてふとユフィの方を見ると、当のユフィは訝しげにゼクスを見つめていた。 「どうかされました?眉間にシワが寄ってますよ」 心配しているつもりが心配されてしまったゼクスは、取り繕うとして、やはり辞めた。 そして素直に聞くべきかと思い、口を開こうとしたその時。 第三回放送が始まった。 ◇ 黒子はやや大きすぎるベッドに身を沈めながら、ふわふわ枕に顔をうずめていた。 ベッドのふかふかと枕のふわふわが黒子の混乱した頭を整理した。 きっと自分は士郎が不法侵入をさして気にせずに行い、さらには他人様の冷蔵庫を無造作に開けた事。 あまつさえ中身を勝手に拝借した無神経さに腹立っているのだ。 きっとそう。 決して間接キスの機会を潰されたからではない。きっと。 二つあった枕の一つをギュッと抱きしめてゴロンと寝転がる。 白塗りの天井と照明が目に入る。 どうやらこの家には電気自体は入っているようだ。 なら冷蔵庫の中身、特に牛乳が腐っている事はないだろう。 (でしたら士郎さんのお腹が壊れてピーピー言うことはありませんわね) ちょっとほっとする。 そして先程まであれほど苛立っていた士郎相手になんでこんな心配をしているのだろうと思う。 御坂美琴、白井黒子の大切なお姉さま。 彼女に近づくために黒子は様々な、実に様々な手段に打って出ていた。 かなり強引な手を使って同居人に居座ったこともある。浴場でお互い全裸のところを襲いかかったこともある。 間接キスくらい、どうってこともなくやってみせた。むしろそれを見せつけすらした。 それら全てを士郎に置き換えて想像してみる。 「?!」 抱きしめていた枕が両断されかねないほどに、両腕に力が入る。 「は、破廉恥!破廉恥ですわあああああああああああああああああああ!」 ゴロゴロとベッドの上を転がり続ける。 ひとしきり暴れたのち、ゼーゼーと息をあげながらふと思う。 なぜこうも違うのだろうか、と。 自分が惹かれている度合いは衛宮士郎も御坂美琴も同じ。 それはもう認めてしまってもいいだろう。 ならなぜ。 「黒子ー、入るぞ?」 開いたままのドアをこんこんとノックをして盆を両手で持って士郎が部屋に入ってきたのはそんな時だ。 盆にはタコスが盛り付けられていた。 ■ 「いやぁ冷蔵庫の中身探って味噌汁でも作ろうと思ったんだけどさ。 牛乳の他はトルティーヤとサルサソース、フィリングにキャベツとトマトしかなくってさぁ」 などといいながら、黒子の小柄な身体にはやや大きすぎるベッドに腰掛けて、脇にお盆を置く。 黒子も匍匐前進のような態勢で、お盆に近づくと、ヒョイっと器用に身を起こした。 「ほんと、タコスしか作りようがなくってさ。この家ってタコスしか食べてないんじゃないかな」 先程の気まずい空気を何とかしようと雄弁に語る士郎。モサモサと食べる黒子は未だに士郎をちゃんと見ようとはしない。 「トウモロコシの粉末を入れたものをハードトルティーヤっていうんだけど、これはそいつが入ってないソフトトルティーヤ。 トルティーヤもフィリングもサルサソースも作るのにそれなりに手間がかかるんだけど、作りおき出来るのが嬉しいところだね」 士郎の熱弁に耳も貸さず、黒子は黙々とはむはむと食べ続ける。 タコスは美味しい。 トマトのジューシーさ、キャベツのフレッシュさにちょっと辛いソース、フィリングの絶妙なさじ加減は職人芸だろう。 最もそれらを作ったのはこの家の住人だが。 美味しいものを食べていると心が豊かになるというのは、まぁ確かなことだ。 衣食足りて礼節を知るともいう事だし、何時までもこの雰囲気を引きずるのは、流石に士郎に悪いだろうと思い始めたとき、黒子ははたと現実の状況に気がついた。 一つの大きなベッドに二つの枕。 そう、これはWベッド。夫婦の夜の営みの舞台。 気づいたときにはもう遅い。 黒子は顔面を真っ赤にして枕を放り投げた。照れ隠しである。 突然の奇襲に、ベッドの上でやらなくてもいい受身をとる士郎は何がなにやら分からない。 (なにか気にさわることでも俺は言ったのか?もしかしてタコスはハードトルティーヤと決めていたのか?!) 思考の混乱は無茶苦茶な仮定を呼び出し、さらなる混乱を士郎にもたらす。 「士郎さんのバカ!H!破廉恥!スケコマシ!!レディをベッドに連れ込んで、なにをするつもりですの!不純異性交遊、反対ですわ!」 残った片方の枕でポコポコと顔を真赤にしてはたく。 「うおっちょ、ちょっと待て!話せば分かる!多分!だから黒子、落ち着け!」 「落ち着いてなんていられませんわ!優しい言葉をかけて、押し倒して、今度はベッドの上でだなんて! せめてもうちょっと段階をおいてからにしてくださいまし!」 その時、である。ハウリングの音が響いた。 「ちょ、ちょっと待て黒子!」 士郎は慌てて枕を両手で奪い取り、黒子を真っ直ぐ見据える。 「第三回放送が始まる!」 ◇ 政庁に到達した美穂子の目の前にあったのは、瓦礫の山。 そして倒したはずの巨人の亡骸であった。 ならば、巨人は伊達政宗の一撃で倒されていなかったということだ。 そして自分はそんな事も知らず、巨人にトドメを刺すこともせず放置して、伊達政宗をただ見殺しにするために薬局へ連れていったと言うことだ。 美穂子は自分の行ったあまりに愚かな間違いに気がつき、頭を両手でかきむしった。 指はその勢いのまま下にずれ、爪が頬に食い込み、血がにじむ。 さらに、と美穂子は続けなくてもいい、辛いだけの考察を続ける。 巨人の死体がここにある、ということは。 自分が身勝手な願いを叶えるためだけに伊達政宗を犠牲にしたその時。 唯は自分が見逃したバーサーカーによって危機に直面していた、ということではないのか。 「うあぁぁぁ!」 さらに爪が押し下げられ、頬から血が迸る。 朱と蒼の瞳が毒々しく鈍く輝き、透明な液体がこぼれ落ちる。 血と涙が足元に落ち、しゅうしゅうと音を立てて瓦礫の一つを溶かす。 これはただの夢だ。 昼と夜の狭間で揺らぎ、現れては消える、夢だ。 夢に違いない。夢だ。夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ、夢だ! しかしこれは紛れもない現実。それが証拠にバーサーカーの死体は半ば芸術的なオブジェとなってここにある。 ふらふらと、ふらふらと美穂子は歩を進め、バーサーカーの亡骸に近付く。 「うあぁ…」 (ザー) 心の中で雑音が響く。そのたびに、何かが失われて行く。 なにか大切な事が。分からない。それすら思い出せない。 (ザー) 夢は醒めたら消える。 ならばこの悪夢そのものの巨人など、この世から消え去ってしまえばいいのだ。 バーサーカーの巨大な顔を両手でつかむ。 「うあああああああああああああ!!」 首筋に美穂子の歯が食い込む。バリバリと音を立てて頚動脈を噛み切り空を仰ぐ。 巨人の上半身のみとなった身体から、噴水のように赤黒い液体が吹き出す。 全身を赤く染めた美穂子はなおも巨人に襲いかかり、ひたすらに貪る。 美穂子の涙と唾液と汗と血がバーサーカーの偉容を溶かし、すすり、取り込む。 どのくらいの時が経ったのだろう。そこには黒いロングドレスに身を包んだ美穂子の姿があった。 ヘタリと座り込み、力なく腕を垂らし、その瞳には光すら映らない。 周囲にはなにも存在しない。 全てが溶けて落ちて食いつくされて消えていった。 丸くくりぬかれたかのように消えて失せた瓦礫のその中心で、佇み虚空を見上げた福路美穂子の耳に 第三回放送が響いた。 ■ 空虚とは今の美穂子の様子のようなことを言うのだろう。 それでもトレーズ、ヴァン、政宗の名が死者としてあげられる度、美穂子の身体が僅かに反応はしていた。 自責の念と悔恨。 湧き上がる悲しみと苦しみは生まれてはすぐ消え、発狂は免れてはいた。 だが絶望と喪失感で心は空っぽになっていく。 今の美穂子は見た目は既に人間のそれではない。 紅と蒼の瞳はらんらんと輝き、左腕は恐るべき瘴気に包まれた巨大な獣のそれとなり、血と汗と涙は触れるものを全て溶かす。 化け物だ。 元は人を救いたい一心での悪魔との契約であったはず。 だがいつしかそれは変質して執着となり、正しきれない歪みとなった。 心身の歪みは今、ギシギシと彼女の根幹をきしませ、しかも発狂と言う逃げ道をすら自らの手で封じてしまった。 それでも彼女にはひとつの希望があった。 他のすべてを戯れに壊されたが、たった一つ残った宝物があった。 それがあればまだ自分は人間であると、その思いだけが彼女を立たせていた。 『平沢唯』 そして希望は全て失われる。 ■ その瞬間、政庁を中心として絶叫が轟いた。 ◆ 福路美穂子にとって平沢唯とはどのような人物であったのか。 結論から言うと、単なる精神安定剤であろう。 いきなり自分の大切な人間を立て続けに失った末に、一旦崩壊した精神は、なんらかの拠り所を求めていた。 藁をもすがる気持ちで手にした一葉が平沢唯だ。 その後の福路美穂子が平沢唯を第一としたのは、単にその直後に手に入れたレイニーデビルによって思考が硬直化しただけのこと。 聖杯の泥によって、己が塗り替えられ、新たな自分となった今。平沢唯を求める必要は全く無い。 思いなどというブレしかもたらさない要素を捨て去り、『純粋』な生命体への変貌を、彼女は遂げたのだ。 「そんなところだろうな」 言峰は美穂子の姿を確認しながら呟いた。 己が導いた者、教え子が巣立ちを果たす。 聖職者として、これ以上の喜びはない。 「しかし、これは少々予想外ではある」 おそらくバーサーカーは福路美穂子によって《食われた》のだ。 泥の毒性を活かして死体を溶かし、それを飲み込んだのだ。 あの黒い装束は溶かした泥で形成されたものだろう。 美穂子からバーサーカーを引き剥がすのは容易なことではない。 不純物は多少混ざるが、いっそ福路美穂子ごと放り込んでしまうのもいいだろう。 とはいえ、不確定要素が入り込むのはあまりいい事ではない。 出来ることであれば、『容れ物』として邪魔な精神を排除しておきたいところだ。 そしてわざわざ介入する必要も無く、福路美穂子の精神が漂白されていっているのは見て取れる。 「このまま放置しておくのも手ではある、か」 もとより参加者への介入は止められている。向こう側から直接監視者がやってきている以上、迂闊な手出しは控えるべきでもある。 さらに言えば自分は他にも結界の修復という仕事を与えられている。 サーヴァントの回収自体も今急いで行うことではない。まだ全てが《成った》わけでもないからだ。 「だが。教え子の成長を肌で感じるのも、また一興ではあろう」 政庁に向かうべく教会の《門》より出でて礼拝堂を抜ける。 振り向きざまに飾られた大十字架を見上げる。 「福路美穂子に祝福を」 教会の扉が開かれ、漆黒の闇を招き入れ、そして閉ざされた。 ◆ 黒子も士郎もメモを取る手に力が入り、手に汗を書くのを感じた。 決定的とも思えるが、明智光秀はまだ生きているかも知れない。 深手を負って、澪に援軍を要請したのかも知れないのだ。 逆に澪がすでに死亡している可能性もある。 そして死者リストが発表された。 黒子はがっくりと肩を落とした。 奇跡は起きなかった。 光秀は案の定というべきか、死亡してしまっていたのだ。 澪が言っていた部活仲間、平沢唯は死んでしまった。 澪が知ったら膝から落ちてしまうかもしれない。 田井中律の名前を出しただけであそこまで怯えていた彼女のことだ。 精神的打撃は計り知れないだろう。 澪の知り合いも残すところあと一人、平沢憂だけということになる。 そしてほっとするべきだろうか、澪はまだ生きている。 やはりバーサーカーとの戦いに生き抜いて、船でここから脱出したのだ。 それにしても海原という名前。 どこかで聞き覚えがあるような、無いような。 そんなふうに想いを馳せて、ふと隣を見ると士郎がやや震えているように見える。 「どうしたんですの?」 「あぁなんでもない。なんでもないんだ」 明らかに何でも無いということはない状態ではあるが、黒子はそれ以上聞かなかった。 否。聞こうとしても、その機会が無かった。 女性の絶叫が場を支配したからである。 ■ 「っ!?何だ今の悲鳴は!」 「政庁の方からですの!」 そう言って黒子は窓から政庁の方向を眺める。 放送の前の時点ではそこは瓦礫の山だったはずだが、今は中心部分が浅くすり鉢状に穿かれている。 目を凝らせばそのすり鉢の底に、人影のようなものが見えた。 士郎も黒子の頭の上から政庁の方向を見る。 どうやら周りには底にいる一人以外誰もいない。 悲鳴を上げたのは彼女なのか。 次の瞬間、士郎は部屋からダッシュで飛び出していた。 「ちょ、ちょっと士郎さん?!どうしたんですの!」 士郎はそのままダダダダっと階段を降り、玄関を飛び出す。 黒子は慌てて玄関へとテレポートした。 「一体如何なさいましたの?そこまで慌てて助けに良く必要ってあるんですの?」 「女の子が一人でいるんだぞ!それ以上の理由があるか!」 よくあんな小さい人影を見て女の子と分かったものだ。 相も変わらずの士郎の無鉄砲な行動と、意外な観察力と視力に黒子は呆れてみせた。 それでも、と黒子は思う。 あのような場所に女の子が一人でいるのはどう考えても異様だ。 しかも政庁の瓦礫がすべて消えて失せているのも異常だ。 あの人間こそが、その異変を起こした張本人と考えるのが妥当ではないのか。 黒子は士郎の前に向かい合う形で転移し両手を広げて制止した。 「あの場に独りでいると言うことは、彼女は単独行動出来る強さを持っていると言うことですわ! もし危険にあったとしても、わたくしたちが助けに行かなくても、彼女なら独りで対処出来ますの! それに向こう見ずな行動は私のために控えてくださると、士郎さんは仰ったのではないんですの?!」 士郎はすぐさま答えてみせた。 「そんな事は分かっている!でもあの叫び声を聞いただろ?! あの子は助けを求めている。今すぐにでも助けてくれと叫んでいるんだ! そんな人間を見捨てるだなんて、俺にはそんなこと出来ない!」 士郎にとって危険も異常も承知の上だった。 だが、それでも曲げられない人間性や信条、道徳というものはある。 それを曲げてしまうと言うことは、バトルロワイヤルと言う異常な状況下に屈したと言うことになる。 それが危険なことだと言うことを、かつての間桐慎二の歪みを見て、経験則として士郎は理解していた。 「…やっぱり士郎さんは甘やかしーですの」 顔を俯け、静止した両腕をおろした黒子は士郎に聞こえぬよう、そう呟いた。 士郎は誰に対してもこのように優しいのだろう。 自分があのような状況におかれていたとしても、全く変わらない態度で助けに行くのだろうか。 そう考えて頭を振る。 思いが多少なりとも届いていると思って、少し傲慢になりすぎだ。 そんな優しい士郎だからこそ惹かれたんじゃなかったのかと、黒子は自分に言い聞かせた。 うつむき心細く見える黒子の肩に手をおき、士郎は語りかける。 「大丈夫だ。危なくなったら、すぐに逃げるよ。心配かけてわりぃ、黒子」 そういってサムズアップをして庭に置いてある自転車に駆け寄る。 乗ってきたママチャリではなく、この家に元から置いてあったMTBである。 やたらとサドルが低いが立ちこぎする分には問題ない。 厄介な鍵もかかってなく、チェーンは打刀の一閃であっけなく破壊された。 やおらMTBにまたがり立ちこぎで疾走して門を出る。 黒子もママチャリに乗ってあとを追う。 二人で居れば自分の不安も士郎の危険も分かち合える。そう思って。 ◇ トレーズ・クシュリナーダ。 ゼクスのかつての盟友、いや袂を分かった今をもっても親友と言い切れる。 陣営は違えども求める理想は同じ。まさに同志ともいえる。 そんな人間の、死。 ゲームはいまだ混沌として終局は見えない。 それを打破すべき一手はいまだ盤上に打たれてはいなかった。 ゼクスはその一手をトレーズに期待していた事に、今ようやく気がついた。 一方通行が指摘してみせたゼクス自身の先見性のなさも、トレーズに無自覚の依存をしていた為であるかもしれない。 混迷のゲームに終局をもたらせる盟友は舞台を去った。 ならば自分が打って見せようではないか。 チェス盤をひっくり返す、一手を。 幸いにも傍らには、いささか問題はあるが、希望を託すに足る"キング"が居る。 リーダーとしての台頭を期待した伊達政宗も去った今、彼女こそが自分の切り札だ。 そう思い、黙祷を捧げているユフィを見る。 「如何した」 「人が死ぬのは悲痛なことです。それがこのような馬鹿げたものによってならば尚更に」 (優しい人だ) ゼクスは素直にそう思う。 やはり彼女には綺麗なものだけを見せてやりたい。 修羅道ならば自分が歩こう。血河ならば自分が渡ろう。 彼女を守り、呪いから彼女を解放し、そして彼女を旗頭として主催者に対して立ち上がるためにも。 まずはこの場を乗り越えねばなかろう。 未だ衛宮士郎と白井黒子は政庁付近に陣取っている。 彼らがいる間は表に出ることはユフィのためにも彼らのためにも避けたい。 しかしどんな目的であろうと、もはや瓦礫しか無い政庁跡に用は無いはず。 ならば放送を確認する、そのためだけに留まっている可能性は高い。 で、あるならばあと数分の我慢だ。 ゼクスのそんな目論見は一つの絶叫によって破られることになる。 ■ 「女性の悲鳴?」 「悲鳴と言うより絶叫だな、これは」 「―日本人かもしれません」 やおらユフィは車庫の出口へと走り抜けようとするが、ゼクスはその腕を取って制止した。 見れば目が赤く染まっている。 「落ち着いてくれ。今外に出ても、何らかの脅威が待ち受けているかもしれない。 いや、なにも出て行かないと決めたわけではない。下調べをしてからでも遅くはない、と言っているのだ」 矢継ぎ早になだめすかせる。そうでもなければこの状態のユフィを止めることは出来ないだろう。 ユフィの腕を掴みながら器用にディバックからラジコンヘリを取り出してみせる。 そこでようやくユフィの動きが止まった。 「私、なにを」 きょとんとするユフィの瞳は元の色に戻っていた。 「これからこのラジコンへリで政庁周辺を探る。なにやら異変が起こったらしい」 スッとヘリが飛び上がりきわめて順調にヘリは政庁中心上空に達した。 眼下にはすり鉢上に広がる大地が見えた。 あのような地形は先ほど偵察した時には感知できなかった。 ならば車庫に戻って放送を聴き終えた、あの短い時間であのような異様を為したというのか。 そしてその異変をもたらしたと思しき人物が中心地点に佇んでいた。 驚くべきことに、と言うべきか。 それは女性だった。 ただパースを間違えたかのように巨大で真っ黒な獣毛に包まれた左腕が、ゼクスを不安にさせた。 まさに異形である。 まだ少女といて差し支えないほどだが、あれほどの異常を、あれほどの短時間でやってのける人物だ。 接触は避けるべきだろう。 ふと、自分たちの行動を縛っていた士郎達の行方が気になり、彼らが向かった先を探る。 すると士郎達が政庁跡へと向かっているのではないか! 「っ!全く正義感の塊だな、彼は」 士郎達の姿がモニターに映ったその時である。 ユフィは車庫の出口に向かって走り出していた。 後ろからモニターを覗き込まれていたことに、ゼクスは気がつかなかった。 いわんや、ユフィが駆け出そうとしていることにも。 モニターに映った彼も彼女も、日本人然とした姿形であったことにも。 リモコン操縦の恐ろしい所はこれである。 主観と操縦者が離れた所にある為、意識が実機に行ってしまい、操縦者の周囲での異常に反応が遅れてしまうのだ。 それは世界有数のパイロットであるゼクスにとっても同じだった。 それでも瞬発的にユフィの行動に反応してみせたのは流石と言うべきである。 だが一手遅かった。 駆け去るユフィの腕を掴もうととっさに手を伸ばすが僅かな差で取り逃がす。 ゼクスが再び顔を上げたとき、ユフィは車庫から飛び出してしまった後だった。 手元に残ったのはリモコンのみ。 ここでリモコンから手を離し、ヘリの操縦をやめればユフィを取り押さえることはまだ可能だ。 だが引き換えにヘリは墜落するだろう。それは確実な偵察手段を一つ失うということだ。 しかし守ると決めたユフィを失うかもしれない可能性と天秤にかけたら、ヘリなどは問題ではなかった。 ゼクスはリモコンを放り捨て、彼もまた車庫を飛び出した。 深き暗闇の世界へと。 【D-5/政庁跡地/一日目/夜】 【福路美穂子@咲-Saki-】 [状態]:前向きな狂気、恐怖心・悲しみ・苦しみの欠如、すべてに絶望、常時開眼、アンリ・マユと契約、黒化(精神汚染:大) [服装]:黒いロングドレス(備考参照) [装備]:レイニーデビル(左腕)、聖杯の泥@Fate/stay night [道具]:支給品一式*2、六爪、伊達政宗の首輪、伊達政宗の眼帯、包帯×5巻、999万ペリカ [思考] 基本:???(衝動に対する抵抗は希薄) 0:誰か…助けて… [備考] 登場時期は最終回の合宿の後。 ※ライダーの名前は知りません。 ※トレーズがゼロの仮面を持っている事は知っていますが、ゼロの存在とその放送については知りません ※名簿のカタカナ表記名前のみ記載または不可解な名前の参加者を警戒しています ※浅上藤乃・織田信長の外見情報を得ました ※死者蘇生はレイニーデビルやアンリ・マユを用いた物だと考えています。 ※アンリマユと契約、黒化しました。 ※アンリマユとレイニーデビルの両方が体から離れた場合、死に至ります。 ※バーサーカーと政庁の瓦礫、竹井久とヴァンを体内に飲み込みました。 【聖杯の泥@Fate/stay night】 触れたもの全てを瞬時に溶かす瘴気の塊。 現在福路美穂子の体液全てがこれに切り替えられている。 通常ならばこれによって美穂子が融解することはない。 黒いロングドレスは、これを瘴気によってコーティングして形成した、まさに血と汗と涙の結晶。 任意で瘴気を解いてドレスに触れたものを溶かす事も可能。 【レイニーデビル@化物語】 魂と引き替えに三つの願いを叶える低級悪魔。 福路美穂子の願い 表1:平沢唯を守る 裏1:主催者を殺す 表2:悲しみや苦しみを取り払う 裏2:悲しみや苦しみをもたらす存在の排除 ※裏2の対象者については後の書き手にお任せします。 【D-5/政庁周辺/一日目/夜】 【衛宮士郎@Fate/stay night】 [状態]: 健康、魔力消費(中)、額に軽い怪我(処置済み) [服装]: 穂村原学園制服 [装備]: カリバーン@Fate/stay night、片岡優希のマウンテンバイク@咲-Saki- 日本刀(打刀)@現実、日本刀(打刀)@投影(消滅間近) [道具]: 基本支給品一式、特上寿司×20人前@現実、 基本支給品外の薬数種類@現地調達 、ペリカード(残金5100万) [思考] 基本:主催者へ反抗する。黒子と共に生きてこの世界から出る。 0:政庁跡に居る少女を助ける。危険であれば逃げるが、ギリギリまで踏みとどまりたい。 1:秋山澪と合流する。 2:秋山らと合流後、象の像へ向かいグラハム、天江衣、ゼクスと合流する。秋山との合流を優先する。 3:首輪の情報を技術者へ伝え、解除の方法を探す。 4:黒子を守る。しかし黒子が誰かを殺すなら全力で止める 5:女の子を戦わせない。出来るだけ自分で何とかする 6:黒い魔術師(荒耶宗蓮)への警戒心 7:一方通行、ライダーを警戒 8:そう言えば他のマスター達はどうなっているんだろうか? 10:知らず知らず黒子の事が気になっている事に気付く。 [備考] ※参戦時期は第12話『空を裂く』の直後です ※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました ※エスポワール会議に参加しました ※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。 そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。 ※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。 上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。 ※ゼクスの手紙を読みました。 ※ユーフェミアの外見的特長を把握しました。 ※原村和が主催者に協力している可能性を知りました。 ※『黒子の仮説』を聞きました。 ※『ペリカの投影』には『通常の投影』より多大な魔力を消費します。よって『ペリカの投影』は今後は控える方向性です。 ※白井黒子の能力について把握しました。 ※自身の歪みについて気が付きました。 ※「剣」属性に特化した投影魔術を使用可能。 今後、投影した武器の本来の持ち主の技を模倣できるようになりました。 ※投影魔術で「約束された勝利の剣」の投影に成功(真名開放可能かは不明。仮に出来たとして膨大な魔力が必要) 【白井黒子@とある魔術の禁書目録】 [状態]:健康、 [服装]:常盤台中学校制服、両手に包帯 [装備]:スタンガン付き警棒@とある魔術の禁書目録、衛宮邸の自転車(二号) [道具]:基本支給品一式、ペーパーナイフ×6@現実 [思考] 基本:士郎さんと共に生きてこの世界から出る。 0:士郎さんは本当に… 1:士郎さんと秋山澪の所まで向かい、合流する。 2:士郎さんが解析した首輪の情報を技術者へ伝え、解除の方法を探す 3:お姉さまを生き返らせるチャンスがあるなら……? 4:士郎さんが勝手に行ってしまわないようにする 5:士郎さんが心配、意識している事を自覚 6:士郎さんはすぐに人を甘やかす 7:一方通行、ライダー、言峰綺礼を警戒 8:少しは士郎さんを頼る 9:イリヤって士郎さんとどういった関係なのでしょう? [備考] ※本編14話『最強VS最弱』以降の参加です ※空間転移の制限 ・距離に反比例して精度にブレが出るようです。 ・ちなみに白井黒子の限界値は飛距離が最大81.5M、質量が130.7kg。 ・その他制限については不明。 ※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。 ※エスポワール会議に参加しました。 ※美琴の死を受け止めはじめています。 ※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。 そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。 ※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。 上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。 ※ユーフェミアの外見的特長を把握しました。 ※原村和が主催者に協力している可能性を知りました。 ※バトルロワイアルの目的について仮説を立てました。 ※衛宮士郎の能力について把握しました。 【D-5中央 車庫出口/一日目/夜】 【ゼクス・マーキス@新機動戦記ガンダムW】 [状態]:健康、真・新たな決意 [服装]:軍服 [装備]:H K MARK23 ソーコムピストル(自動拳銃/弾数12/12発/予備12x1発)@現実、ラブ・デラックス@ガン×ソード [道具]:基本支給品一式 、ペリカの札束 、3499万ペリカ、おもちゃの双眼鏡@現地調達 真田幸村の槍×2、H K MP5K(SMG/40/40発/予備40x3発)@現実 その他デパートで得た使えそうな物@現地調達、ピザ×10@現実 Draganflyer X6(残りバッテリー・10分ほど)@現実、Draganflyer X6の予備バッテリー×4@現実、利根川幸雄の首輪 [思考] 基本:ユーフェミアを対主催のリーダーとする。 0:ユーフェミアを追う 1:ユーフェミアの洗脳を解く方法を探す。 日本人以外との接触が望ましいが…… 2:【宇宙開発局 タワー】に向かうかを検討中。 3:ユーフェミアと『枢木スザク』と会わせる。スザクならユーフェミアの洗脳を解けられる? 4:衛宮士郎が解析した首輪の情報を技術者、またはガンダム・パイロットへ伝える。 5:新たな協力者を探す。どんな相手でも(襲ってこないのなら)あえてこちらの情報開示を行う。 6:第三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、一度信頼出来る人間同士で集まる。 ただ現時点では向かう気はない。 7:衛宮士郎、白井黒子との接触は避けたい。接触する場合はユーフェミアを遠ざける。 7:集団の上に立つのに相応しい人物を探す。 8:【敵のアジト】へ向かった2人組が気になる。 9:『ギアス』とは……? [備考] ※学園都市、および能力者について情報を得ました。 ※MSが支給されている可能性を考えています。 ※主催者が飛行船を飛ばしていることを知りました。 ※知り合いに関する情報を政宗、神原、プリシラと交換済み。 ※悪人が集まる可能性も承知の上で情報開示を続けるようです。 ※サーシェスには特に深い関心をしめしていません(リリーナの死で平静を保とうと集中していたため)。 ※ライダーと黒服の少女(藤乃)をゲーム乗った特殊な能力者で、なおかつ手を組んでいると推測しています。 ※ギャンブル船で会議が開かれ、参加者を探索していることを知りました。 ※グラハムから以下の考察を聞きました。 ・帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいる。そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があった。 ※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。 上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。 ※ユーフェミアと情報交換をしましたが、船組のことは伝えていません。 ※ユーフェミアは魔術・超能力その他の手段で思考を歪められてる可能性に思い当たりました。 ※海原光貴(加治木ゆみ)、荒耶宗蓮(蒼崎橙子)の容姿は確認できていません。 ※アーニャの最期の言葉を聴き、『ギアス』の単語を知りました。 ※Draganflyer X6のリモコンを放り捨てました。現在Draganflyer X6は操作されていません。 【D-5中央 車庫の外/一日目/夜】 【ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュR2】 [状態]:ギアス発動中、健康 自身への疑念 [服装]:さわ子のスーツ@けいおん! [装備]: [道具]:基本支給品×4、豪華なドレス、アゾット剣@Fate/stay night、神原のブルマ@化物語、 ティーセット@けいおん!、特上寿司×20@現実 、空のワインボトル×4@現実、ピザ×10@現実 ルイスの薬剤@機動戦士ガンダムOO、 シャトー・シュヴァル・ブラン 1947 (1500ml)×26@現実 紬のキーボード@けいおん! ペリカード(3000万ペリカ)@その他、3449万ペリカ@その他、シグザウアーP226(16/15+1/予備弾倉×3)@現実 レイのレシーバー@ガン×ソード、脇差@現実、即席の槍(モップの柄にガムテープで包丁を取りつけた物) [思考] 基本:他の参加者と力を合わせ、この悪夢から脱出する。自分にできる事をする 特殊:日本人らしき人間を発見し、日本人である確証が取れた場合、その相手を殺害する 0:政庁跡に向かっている彼(衛宮士郎)を殺す 1:通信施設を探し、偽ゼロの存在を全参加者に知らせる 2:【宇宙開発局 タワー】に向かうかを検討中。 3:殺し合いには絶対に乗らない 4: ゼクスさんは兄様っぽい 5:方法があるなら、盗聴されていた内容を確かめる [備考] ※一期22話「血染めのユフィ」の虐殺開始前から参戦。 ※ギアス『日本人を殺せ』継続中。特殊条件を満たした場合、ユフィ自身の価値観・記憶をねじ曲げ発動する。 現在は弱体化しているため、ある程度の意識レベルで抵抗すれば解除可能。 今後も発動中に他の発動しているギアスと接近すれば弱体化、あるいは相殺されます。時間経過により回復。 会場において外部で掛けられたギアスの厳密な効果・持続期間に影響が出ているかは不明。 ※ギアスの作用により、ヒイロのことは忘れています。 ※ゼクスと情報交換をしましたが、船組のことは伝えられていません。 ※ギアス発動時の記憶の欠落を認識しました。発動時の記憶、ギアスそのものには気付いていません。 ※アーニャの最期の言葉を聴き、『ギアス』の単語を知りました。 【C-5南部/一日目/夜】 【言峰綺礼@Fate stay/night】 [状態]:健康 [服装]:神父服、外套 [装備]:??? [道具]:??? [思考] 基本:??? 0:福路美穂子と接触する 1:サーヴァントの死体(魂)を回収する。 2:荒耶宗蓮に陰ながら協力する。 3:この立場でバトルロワイアルを楽しむ。 4:結界の修復を手伝う。ただし1を優先する。 時系列順で読む Back とある傭兵の超連射砲<ガトリングガン> Next 会合、魔人二人 投下順で読む Back とある傭兵の超連射砲<ガトリングガン> Next 会合、魔人二人 216 巡り合いは残酷すぎて 福路美穂子 243 開け、細き一条の血路(前編) 227 それぞれの願い ユーフェミア・リ・ブリタニア 243 開け、細き一条の血路(前編) 227 それぞれの願い ゼクス・マーキス 243 開け、細き一条の血路(前編) 227 それぞれの願い 衛宮士郎 243 開け、細き一条の血路(前編) 227 それぞれの願い 白井黒子 243 開け、細き一条の血路(前編) 229 第三回定時放送~世界の外から眺めたるもの~ 言峰綺礼 243 開け、細き一条の血路(前編)
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登録日:2020/02/25 (Tue) 18 24 03 更新日:2023/04/26 Wed 14 29 38NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 じゅんちゃん たしぎ のだじゅん ケッケコーポレーション ジョシュア・ラングレン ナレーター ハリハム・ハリー フリー声優 ブイモン 声優 声優項目 大阪市 大阪府 星彩 星野桃子 本堂瑛祐 歌手 藤原ざくろ 衛宮士郎 野田順子 陽ノ下光 青二プロダクション 野田順子は日本の女性声優である。 1971年6月29日生まれ。大阪府大阪市出身。血液型はA型。 フリー声優。 【概要】 高校時代から声優を目指しており、そのことを当時の担任に相談した際に青二塾のパンフレットを貰い、青二塾大阪校に入学した。 実はこの時の教諭は以前、2年先輩である置鮎龍太郎の副担任をしていた人物で、パンフレットもその後置鮎が挨拶に来た際に置いていったものであった。 その後、青二プロダクションに所属。 2008年4月にフリーとなり、2012年12月からTABプロダクションと業務提携を行っていたが、2015年1月よりケッケコーポレーションに所属(預かり)。その後、再びフリーとなっている。 ボーイッシュな少女や少年もといショタなど中性的な役柄を演じる機会が多い。 この他にも出身から関西弁キャラを演じることもある。 同一作品内で複数の役を演じ分けることもある。 代表作の『ときめきメモリアル2』の陽ノ下光役で、一躍脚光を浴びることになる。 現在では声優業だけではなく、ナレーターや歌手としても活躍しており、自身の楽曲を中心としたライブ活動も積極的に行っている。 また、声優の専門学校「ドワンゴクリエイティブスクール(現SAY YOU LAB)」で講師も務めている。 愛称は「のだじゅん」、「じゅんちゃん」など。 役柄に比例してか、ファッションはスカート類よりもパンツスタイルを好んでいるなど本人もかなりクールで、「男に生まれたかった」と冗談交じりに語ったこともあるとかなんとか。 ポリシーとして、ファンに対するサインや握手は設定された会場以外では一切しないと決めている。 『ときめきメモリアル2』で共演した松岡由貴や前田ちあきなどと仲が良い。 また、高校の先輩である置鮎龍太郎のほか、岡村明美やくまいもとこらとの共演機会も多い。 好きな歌手に森川美穂を挙げており、同じ大阪出身で出身中学も同じ(*1)といった縁で作詞依頼をした時すぐに知り合い、運命的な出会いだったと語っている。 【主な出演作品】 アウラ・シュリフォン(異世界の聖機師物語) オペレーター(ヱヴァンゲリヲン新劇場版シリーズ) 手紙の女の子(きかんしゃトーマス) ジョシュア・ラングレン(ガン×ソード GUN SWORD) 加藤祭(*2)(高機動幻想ガンパレード・マーチ) ジャクリーン・マッスル(キン肉マンⅡ世) 大形京(黒魔女さんが通る!!) 金城奈々穂(極上生徒会) カララ(ケロロ軍曹) 緋織(コワイシャシン ~心霊写真奇譚~) 赤阪郁乃(咲-Saki- 全国編) 相沢雅(GTO) 忘田多郎(地獄先生ぬ~べ~) もっくん(少年陰陽師) 能面ライダー(侵略!イカ娘) 麻比奈百合奈(スーパーリアル麻雀P7) 瀬賀太郎(セガガガ) ミーラ・ナイグス(ソウルイーター) ブイモン(デジモンアドベンチャー02) マグナモン(DIGITAL MONSTER X-evolution) チャット、セルシウス(テイルズ オブ エターニア) 原川玉子(電脳コイル) 藤原ざくろ(東京ミュウミュウ) 陽ノ下光(ときめきメモリアル2 少年期の則巻千兵衛(ドクタースランプ) 菊池久彦(ののちゃん) レキ(灰羽連盟) ハリハム・ハリー(*3)(HUGっと!プリキュア) 蛍塚音子、幼少期の衛宮士郎(Fateシリーズ) 有沢たつき(BLEACH) 星彩(無双シリーズ) 茂野(星野)桃子(MAJOR) メアリー、マリーナ(名犬ラッシー) 本堂瑛祐(名探偵コナン) 生方澄(モンキーターン) ディーオ・エラクレア(LAST EXILE) 紺野みつね(ラブひな) 崩(*4)、命(*5)(烈火の炎) アイスマン、色綾まどい(ロックマンエグゼシリーズ) ルミネ(ロックマンX8 -PARADISE LOST-) ルチアーナ(ロミオの青い空) たしぎ、カッパ、幼少期のフランキー、ハルタ(ONE PIECE) 追記・修正よろしくお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 作成乙。GTOとカレカノで知ったからキツい女の子を演じる人というイメージが個人的にはあるわ。 -- 名無しさん (2020-02-26 01 31 19) 可愛い歌を仁王立ちで歌うお方 -- 名無しさん (2020-02-26 10 32 27) ミュウミュウでは、ざくろさん以外でもマシャをやっていた。 -- 名無しさん (2020-03-01 18 18 45) この人もクレジットで名前見る度驚く声優の内の一人 -- 名無しさん (2023-04-26 14 29 38) 名前 コメント
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Fate/Another Servant HeavensFeel 2 第七、八話ミニ劇場 ~ヘイドレクの人生相談室~ ヘイドレ「よし次の相談者入れ」 遠坂 「聖杯戦争に勝ち抜きたいのだがどうすればいい?」 ヘイドレ「邪魔する連中を全てぶち殺して手に入れればいい、以上だ。さっさと帰れ。次入れ」 遠坂 「………」 雨生 「意気のいい人間どこかにいない?」 ヘイドレ「町中に腐るほど居るじゃねえか!くだらねえこと聞きに来んじゃねえぞ死ね!次!」 間桐桜 「失礼します。あの……わたし好きな人がいるのですけどどうすれば…」 ヘイドレ「奪えばいい。それかライバルを全て殺して蹴落とせば残ったお前の独り占めだ」 黒桜 「ですよねー?ふ、ふふふ姉さん先輩…待っててくださいね?」 ヘイドレ「あれが俗に言うヤンデレってやつか……怖ぇなぁ。 うちのティルフィングと同レベルの危なさじゃねーか。…じゃ次!」 ローラン「ぶっちゃけオードとえっちなことしたい!」 ヘイドレ「二人きりになった時に押し倒せ。その女にてめえの男らしさを見せてやれb」 ローラン「よっしゃぁぁあ!!行ってくるぜ!おいアンタ……礼を言うb」 ヘイドレ「フン、さっさと失せな童貞小僧b」 衛宮士郎「あー今日と明日の夕飯のメニューとか……やっぱ駄目?」 ヘイドレ「おいガキ。貴様の家の冷蔵庫には新鮮な鱈があるな?あと白菜も。なら今日は鱈鍋だ。 明日の晩はその残り汁に卵と他の具材を加えて卵雑炊にすりゃいい。今の寒い季節にはうってつけだ」 衛宮士郎「サンキュ!よっし今日は鱈鍋明日は雑炊だ!待ってろよセイバー」 遠坂凛 「家にお金が足りないんだけど何とかならない?」 ヘイドレ「金持ちから奪え。他国を侵略してもいいな。力さえあればそれが一番手っ取り早いぜ?おら次!」 遠坂凛 「ルヴィア首洗って待ってないよーーー!」 ヘイドレ「おら次の相談者さっさと入れ!」 トマスタ「もっ────」 ヘイドレ「お前如きじゃ活躍は無理だ、時間の無駄だからさっさと失せろ」 トマスタ「まだ二文字しか喋ってないのに当てられた上に即答された………orz」 ヘイドレ「俺は事実しか言ねえよ。俺の叡智がお前じゃ無理だと言ってる」 トマスタ「そこを何とか……」 ヘイドレ「しょうがねえ糞だ。あまりにも哀れみを誘うから慈悲をくれてやる」 トマスタ「ほ、本当か!!?」 ヘイドレ「ああ!てめぇの様な糞でもこのティルフィングを装備すればたちどころに最狂戦士だ!」 ティル 「クケケケケケ。オトコ♪オトコ♪げっげっげ!」 トマスタ「………剣が喋ってるぞ……」 ティル 「ヘイドレク?まさかあんたアタシを捨てる気じゃない──ヨネ?ヨネェェエエエ!!?」 トマスタ「ヒィィ!!?いきなりキレた!?」 ヘイドレ「これがこれから流行する(予定)というヤンギレ(病ん切れ)というものだ。 こいつとは長ぇ付き合いだがさっきの女に負けず劣らず怖ぇぞ?」 ティル 「でも逃ガサナイわ。貴方はアタシのモノだもの」 ヘイドレ「あーウゼェウゼェ。わったからじゃれ付くなこのキ○ガイめ」 ティル 「ふふ、うふふ。ヘイドレク♪ヘイドレク♪モット殺そコロソ?一杯コロシテ全て手に入れナサイ」 ヘイドレ「言われなくてもそうするぜ。全てのサーヴァントとマスターをぶっ殺して俺が狂戦士達の栄光を証明する」 ティル 「アタシがチカラかしてあげる。ダカラもっと喘いで?苦しんで?ネェヘイドレク?無視しなイデヨォ!!!」 ヘイドレ「おい糞その1。遠慮はいらねえよ持っていけ。そしたらテメェたちまちヒーローだぜ?」 トマスタ「すいません遠慮しますでは!」 ヘイドレ「チッ!根性無しのイン○野郎が!」 ティル 「ヘイドレクゥゥウウ!!アタシ訊いてんの!!!?」 ヘイドレ「じゃかましいわ!タイトルコール言うからちょっと黙れボケ!!うおっほん! ────戦いは三日目へと突入した。 圧倒的な強さを見せつけたバーサーカー。 激しい傷に苦しむファイター。雨生に襲われる人々。 ついに設置されるライダーの宝具。ついに動き出すキャスター。 互いを絡め取ろうとする彼らの知略と知略がぶつかり合う──! FateAS第七話、第八話『偽りの同盟』。 目ん玉かっぽじって部屋を明るくして寒くないようにココアを用意して見やがれよ?」 ティル 「ヘェェイドレクゥウウ!!アタシ訊いてるムシスルナ!!!」 ヘイドレ「ウルセェェエー!!叩き折るぞ糞剣がァァァアア!!!」 ティル 「ヘイドレクアタシに怒った……ふ、ふふ。くけけけけ!! さっきの男がワルイのネ?ソウヨネ?あいつ殺してイインダヨネ?ヘイドレクアタシのモノ…殺す」 ヘイドレ「なぁところで誰かこれトレードしねえか?」 AS一同「断るっ!!!!」 ヘイドレ「チッ!!」
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【種別】 エロゲ、ノベルゲーム 【正式名称】 Fate/Stay night 【略称】 笛、Fate 【解説】 18禁ゲームメーカー、TYPE-MOONの商業ソフト第一作。 エロゲ史上、過去類を見ないほどの売り上げを記録したヒットソフト。 内容は魔術師達が7人の『サーヴァント』と呼称される英霊を率いて互いに殺し合い 生き残ればあらゆる願望を叶う事の出来る魔術の礼装『聖杯』を勝ち取る、というもの。 エロゲだが、中身としてはエロよりもストーリー、設定面に比重を置いた伝奇活劇物として名高い。 その他、一般向け版や格闘ゲーム、アニメ、公式スピンオフ作品の「Fate/Zero」などが展開し、話題を呼んでいる。 【主な登場人物】 衛宮士郎:主人公。家事が得意でガラクタいじりが趣味の高校生。偶然、セイバーを召喚させてしまい…。 セイバー:ヒロイン1。「剣士」のクラスである士郎のサーヴァント。真面目で騎士道精神を重んじる女性。 遠坂凛:ヒロイン2。士郎の同級生。聖杯を手に入れるため、戦争に挑む女性魔術師。 間桐桜:ヒロイン3。士郎の後輩。いつも衛宮家を訪れて、家事の手伝いを行なっている。 アーチャー:「弓兵」のクラスである凛のサーヴァント。赤い外套を纏った浅黒い肌の男性。 ランサー:「槍使い」のクラスであるサーヴァント。生意気だが勇敢な戦士である。 イリヤ:謎の外国人少女。何の関係も無い士郎に対し、接近してくるが…。 バーサーカー:「狂戦士」のクラスであるイリヤのサーヴァント。屈強で巨体な様相を見せる。 言峰綺礼:聖堂教会の神父。聖杯戦争の監督者で、凛とは兄弟子に当たる魔術師。 衛宮切嗣:士郎の義父。大災害時に士郎を助けて養子とした。士郎が高校生の時は既に他界している。 【コメント】 ◆文章に癖があるといわれているが禁書を読んでいて気にならないなら問題ないと思われる ◆同一世界の月姫や空の境界も含み、魔術側の世界観が似てるため禁書と絡ませやすい作品群の一つ ◆……なのだが、似ているが故に微妙に相容れない部分もあったりして拘る人は頭を悩ませる事になる、罪作りな作品群でもある ◆魔術協会、聖堂教会といった魔術・魔術師を総括する組織が存在する。 【関連項目】 無限の旗製(アンリミテッドフラグワークス)/ニート王
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【1日目の脱落者】 時間 脱落者 加害者 場所 退場作品 死因 凶器 午前 麦野沈利 アカメ B-1/街路 013 暗殺の牙 呪殺 一斬必殺・村雨 レミリア・スカーレット ハサン・サッバーハ 心臓破壊 妄想心音 アンガ・ファンダージ ハサン・サッバーハ C-2/廃校 018 狂乱する戦場(前編)019 狂乱する戦場(後編) 刺殺 ダーク 直樹美紀 零崎軋識 撲殺 愚神礼賛 アンジェリカ ウォルフガング・シュライバー D-3/破壊された街 026 獣たちの哭く頃に 轢殺 暴嵐纏う機械獣 針目縫 頭部粉砕 足 午後 No.101 S・H・Ark Knight スカルマン B-3/路地裏 023 嘘つき勇者と壊れた■■ 刺殺 スカルスピア 如月 結城友奈 縊殺 素手 ベルンカステル 壇狩摩 B-1/孤児院 029 死、幕間から声がする(前編)030 死、幕間から声がする(後編) 消滅 軍法持用・金烏玉兎釈迦ノ掌 坂凪綾名 古手梨花 ベルンカステル 失血死 一斬必殺・村雨(投影) 壇狩摩 呪殺 夕方 式岸軋騎 玖渚友 C-3/高級マンション 044 深蒼/真相 消滅 機能停止 玖渚友 エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグ 消滅 極大火砲・狩猟の魔王 みなと アカメ B-3/街中 045 あの日見た星の下で -what a shining stars-046 かつて神だった獣たち -what a brave worriors-047 いつかあの花が咲いたなら -what a beautiful hopes-048 星に願いを -Lost wish- 衝撃死・全身断割 一斬必殺・村雨 東郷美森 衛宮士郎 失血死 偽・螺旋剣Ⅱ アカメ 藤井蓮 消滅 死想清浄・諧謔 ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン 藤井蓮 斬殺 戦雷の聖剣 衛宮士郎 藤井蓮 腹部粉砕 赤原猟犬 夜 『幸福』 アーサー・ペンドラゴン B-3/鶴岡八幡宮 059 迷いの園060 亡霊は夢に囁く061 葬列は再び来る062 狂気は咒を叫ぶ063 幸福は死を運ぶ064 咎人は夜に哭く065 そして終わらぬエピローグ 消滅 約束された勝利の剣 佐倉慈 ドンキホーテ・ドフラミンゴ 斬首 糸 辰宮百合香 ハサン・サッバーハ 心臓破壊 妄想心音 如月(二回目) アイ・アスティン 両断 銀のショベル 禍時 スカルマン ハサン・サッバーハ A-3/六国見山周辺 077 きっと誰もが運命の敗残者 心臓破壊 妄想心音 丈槍由紀 叢 斬首 包丁 ハサン・サッバーハ 星屑 捕食 牙 エミリー・レッドハンズ ウォルフガング・シュライバー D-3/市街地 079 デンジャラスゲーム 粉砕 素手 アストルフォ 東郷美森 D-3/市街地 080 雲の彼方の空遠く(前編)081 雲の彼方の空遠く(中編)082 雲の彼方の空遠く(後編) 失血死 シロガネ 笹目ヤヤ ローズレッド・ストラウス 消滅 構成思念の崩壊 東郷美森(二回目) ドンキホーテ・ドフラミンゴ D-2/廃植物園 084 嘘の世界であなたと二人(前編)085 嘘の世界であなたと二人(後編) 消滅 魂喰い ドンキホーテ・ドフラミンゴ 結城友奈 粉砕 勇者パンチ 針目縫(二回目) 藤井蓮 B-2/源氏山公園 087 陰陽流転 焼殺 戦雷の聖剣 アティ・クストス ローズレッド・ストラウス B-2/源氏山麓 089 おままごとの戦場 消滅 構成思念の崩壊 浅野學峯 浅野學峯 C-3/鎌倉市街跡地 頸部裂傷 思い出のネクタイピン エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグ アーサー・ペンドラゴン C-3/鎌倉市街跡地 090 流れよ我が涙、と魔女は言った 斬殺 約束された勝利の剣 トワイス・H・ピースマン 甘粕正彦 E-2/相模湾沖 093 地獄とは神の不在なり(前編)094 地獄とは神の不在なり(後編) 粉砕 ロッズ・フロム・ゴッド 甘粕正彦 ローズレッド・ストラウス 霊核破壊による強制退去 漆黒の魔力剣 ローズレッド・ストラウス 甘粕正彦 消滅 魔力枯渇 叢 ウォルフガング・シュライバー C-3/小規模特異点 096 黄雷のヴァナルガンド097 紫影のゴグ・マゴグ098 白光のスター・スクレイパー099 漆黒のサオシャント100 赫炎のシューニャター101 夜空の呪いに色はない 圧殺 血と臓物の濁流 乱藤四郎 ウォルフガング・シュライバー 呪殺 凶念 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン ウォルフガング・シュライバー 心臓破壊 素手 結城友奈 藤井蓮 消滅 死想清浄・諧謔 ウォルフガング・シュライバー 藤井蓮 消滅 死想清浄・諧謔 藤井蓮 藤井蓮 消滅 死想清浄・諧謔 レミリア・スカーレット(二回目) ウォルフガング・シュライバー 肉体崩壊 運命操作の過負荷 ギルガメッシュ アーサー・ペンドラゴン C-3/荒野 103 そして終わりのプロローグ/半分の月が嗤う夜(前編)104 そして終わりのプロローグ/半分の月が嗤う夜(後編) 消滅 約束された勝利の剣 最期の台詞 名前 台詞 麦野沈利 (な……ん、で…だ………) レミリア・スカーレット 「ア、ガハッ………!!」 アンガ・ファンダージ 「■■■■■■■■■■――!!」 直樹美紀 ───私は、まだ、ここにいるのに…… アンジェリカ 「セイバー、私ごと安全地帯まで離脱しろ!」 針目縫 「ぐ、ガァ……」 No.101 S・H・Ark Knight 「―――!」 如月 嘘つき ベルンカステル 「ニンゲンは過去を向きながら後ろ向きに未来を歩む哀れな生き物、だから簡単な落とし穴に気付けず無残に無様に転落する! 百年を歩んですら何も学ばないあの小娘のように! 見ててあげるわ……あんたらが絶望に喘ぎ、惨めにのた打ち回るザマをねぇッ!」 坂凪綾名 「ごめんなさい……」 古手梨花 (にがて、なのよ) 壇狩摩 「最後に笑うんは俺に決まっとろうがのう! この壇狩摩の裏ァ取れる奴なんぞ何処にもおらんわい! うは、うははははははははははははははは!!」 式岸軋騎 「――――」 玖渚友 「───ね、いーちゃん?」 みなと 「僕は確かにあの世界に……君の隣にいたんだ」 東郷美森 ありがとう アカメ (士郎……にげ……) ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン 「俺の名を呼んでくれ、戦友。それによって、俺も確固たる真実を取り戻し……この忌まわしい世界から解放されると信じている」 衛宮士郎 ───ああ。なんて、きれいな…… 『幸福』 『……わたしは……』 佐倉慈 「大好きだよ……ゆき、ちゃん……」 辰宮百合香 「……生憎ですが、わたくし自身に思い残すことなど何もないのですよ……それほど、価値のある人生ではなかったので……」 如月(二回目) 『ァ、ガ、ガァ、ギィイイイィィイイィイイ……!!』 スカルマン 「──────」 丈槍由紀 「おかえり、みん ハサン・サッバーハ 「ぬ───ぐ、オォ、おおおおおぉぉぉぉおぉぉおおおおぉおぉぉおおおおおおおぉぉぉぉ……ッ!」 エミリー・レッドハンズ 「みんな……みんな、苦しめ……!」 アストルフォ 「ヤヤ。死者(ぼくら)の分まで、どうか幸せにね」 笹目ヤヤ ───けれど。もしもこの身が夢ならば 東郷美森(二回目) 「だから……」 ドンキホーテ・ドフラミンゴ 「糞餓鬼共が───調子に乗るんじゃないえええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」 針目縫(二回目) ボクは一体、なんだったというの…… アティ・クストス ───あたしは、アティ・クストスでは、ない。 浅野學峯 「私の命運は、私が決める」 エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグ 「世界を救え。貴様らにできるのは、所詮その程度なのだから」 トワイス・H・ピースマン 「すべての想いに巡り来る祝福を。そしてそれこそが、この都市の真実である」 甘粕正彦 「そして安心するがいい。お前たちの希望は確かに俺が受け取った! その意思を無駄にはすまい───喝采せよ! 喝采せよ! これこそ、我が愛の終焉である!」 ローズレッド・ストラウス 「この選択が、辛さばかりを運ぶわけではないと、信じている」 叢 「……悪くない」 乱藤四郎 「あ……」 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 「でもせめて笑って逝くわ。私は確かに、私の物語を生きた」 結城友奈 「一緒に逝こう。私があなたを抱きしめるから」 ウォルフガング・シュライバー 「あいされたかった、だけなのに……」 藤井蓮 「一緒にいてくれ。俺が消える、その瞬間まで」 レミリア・スカーレット(二回目) 「だからいきなさい。その善良さを失わずに、その気高さも優しさもそのままに。謂れなき悪意に負けることなく。私の為せた全ての事は、あなたのそうした強さが導いたのだから」 ギルガメッシュ 「故に、当世においては貴様らこそが───この我に代わり世界を救う者なのだ」
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喪失-黒き虚の中で少女は ◆Z9iNYeY9a2 私は間桐桜。穂村原学園に通う高校一年生です。 普通、というには特殊な家庭で暮らしてますが、今は説明を省略します。 私がこの殺し合いに呼ばれてからのことを話そうと思います。 殺し合いに呼ばれ、夜中に一人、教会らしき場所に放置されていました。 電灯もまともに点かない廃屋のような建物の中、不安に押しつぶされそうになる心を必死に支えながらランプを照らして名簿を見た私は、その中にあった先輩の名を見た時、心が悲鳴をあげそうになりました。 姉さんの名前やイリヤさん、セイバーさんの名前があったことも忘れそうになるくらいには、です。 姉さんだったらきっと大丈夫です。こんな状況でも、天才の姉さんらしく打開策を探しつつうまくやって、きっとここから出られる手段を見つけることができるでしょう。 だけど、先輩は。 あの人の危なさは私がよく知っています。 もしかしたら私の知らない場所で、自分の命を顧みずに人を守ろうとするんじゃないかと。そうして命を落としてしまうんじゃないかと。 そう思ったら居ても立ってもいられなくなりました。 胸の内から、先輩を失う恐怖が溢れ出しそうでした。 だけど今の私は何の力もない。 間桐の後継者として育てられてきたこの体にあるのは、多くの蟲に侵されたボロボロの肉体のみ。 魔術の一つを扱うこともできないこの身で、先輩のために何ができるんでしょう。 そんな時でした。 あのベルトを見つけたのは。 デルタギアという名前のそれをつければすごい力を手にすることができる。 きっとこの力があれば先輩を守れる。 そう思って説明書通りに使って。 その瞬間、私は私じゃなくなりました。 心の奥に抑えていた衝動が溢れ、何かを壊してしまいたいという感情を抑えきれなくなり。 気がつけば二人の人間を殺し。 姉さんが死んでいることに気付き。 またもう一人を殺し。 だけど藤村先生に会った時、ほんの僅かに"私"に戻った気がしました。 もしかするとナナリーちゃん達に会った時にまだ私でいられたのはそのおかげだったのかもしれません。 そして、きっとこの時まではまだ私は逃げていたんだと思います。 もう既に3人の人を殺したという事実から。 だけどあの時、藤村先生を殺した瞬間に、もう逃げることはできなくなりました。 血に塗れてしまったこの手はもう取り返しのつかないところにまできていることを自覚して、私は悪い人間だと認識して。 だから先輩に殺されることを望みました。 姉さんによく似た人もナナリーちゃんも、巴マミさんも皆殺して、殺して、殺して。 悪の限りを尽くした化物は正義の味方に殺されるんです。 自分で死を選ぶこともできない私は、それだけを心の支えにして生きてきました。 なのに。 何で。 『衛宮士郎』 先輩の名前が、呼ばれたんですか? ◇ 放送が終わった数瞬の後、ある市街地一角を深い影が覆い尽くした。 それは魔力の残滓を僅かに残して収まったが、もしここに生あるものがいれば、たちまち影に飲み込まれて消滅したかもしれない。 もし幸運があったとすれば、この場に誰もいなかったことで誰もその餌食にならなかったことだろう。 ◇ 岩と土砂に覆われた山岳地帯。 そんな場所に人工的な照明など接地されているはずもなく。僅かに顔を残した陽の光が僅かな明かりを残しているのみ。それもじきに消え、辺りを闇が包んでいくだろう。 しかし、多少の闇などオルフェノクにとっては恐れるものではない。 人間より遥かに優れた感覚は、薄暗い中でも動くものを明確に捉えられ、微かな物音でも聞き取ることは可能だ。 だからこそ、そんな薄暗い空間でも冷静に放送に耳を傾け、明かりをつけずとも名簿に印をつけていくことができた。 「…あまりよろしくない状況ですね」 そして改めて名簿に目を落とした村上は、思わず顔を顰めた。 「北崎さん、まさかあなたまでもが命を落とされるとは」 ラッキークローバーの一人にして、オルフェノクとしての能力であればラッキークローバー内でも随一。間違いなく上の上と言える者の一人だった。 無論、この場には自分の力を以ってしても抑えるのがやっとであったゼロのような存在がいる。 もし彼や、彼に匹敵する者に会えば如何に北崎とはいえ敗北を喫することもあるだろう。 理屈としては分かっていても、北崎の名が呼ばれたという事実はやはり村上にとっても衝撃ではあった。 そしてもう一人。 長田結花。木場勇治の仲間のオルフェノクではあるが、以前からラッキークローバーの候補としては目にかけていた少女だ。 能力はオリジナルのオルフェノクとして申し分ない。闇を抱え人間を人知れず襲う彼女の心は、きっかけさえあればオルフェノクとして完成できるだろうと期待もかけていたものだ。 木場勇治がこちら側についた今では彼女も説得次第で味方につけられるのではないかとも考えていた。乾巧のように。 そんな彼女の死はあまり好ましいものではなかった。 「ラッキークローバーの半数が命を落とし、候補の方までもがこうだとは。乾巧を引き入れられたとしても、もう一人足りませんね…」 少なくとも現状この場にいるオルフェノクには、ラッキークローバー候補となり得る能力を持ったものを村上は認知していない。 こうなれば元の世界に帰った後改めて候補を見直す必要があるだろう。 最も、この場で新たにラッキークローバー足り得るオルフェノクが誕生していれば楽ではあるが。 「まずは乾巧、彼を改めて探す必要がありそうですね」 欠けた四葉の一枚の候補である乾巧。もし未だに迷っているのであれば、こちらから導く必要がある。 Nの城に置いてきた二人は一旦保留。ラッキークローバーのメンバー、そして候補が欠けた以上今はこちらの方が優先だ。 園田真理も命を落とした今、まだ迷い続けるのであればあと一歩で引き込めるだろう。 問題はどこに向かうかだが。 「市街地に向かいましょうか。ここより北、ということはないでしょうし」 少なくともこの山にいることはないだろう。彼と最後にあった場所からすればあまりにも北上しすぎた位置だ。 北崎までが命を落とした今、未だ生き残っている者はそれだけの実力者か、それとも立ち回りのうまかった切れ者か、運に恵まれた幸運者か。 少なくともNの城の二人は実力者と幸運者に該当するだろう。 いずれにしても他者に会わねば話にならない。協力か利用か、あるいは選別か。 僅かに期待しつつ、村上は市街地へと足を進めた。 ◇ 市街地に入った村上は、得体のしれない感覚に包まれるのを感じていた。 街灯に照らされた街並み。風景はしばらく前に見た、あの崩壊したスマートブレイン社周辺の様子に比べれば綺麗なものだ。 薄暗がりの道路は、感受性豊かな学生辺りが見ればその暗い闇に恐怖を覚える者もいるだろう。 そこにいるはずのない何かがいるのではないかという想像が、いないはずの何かに対する恐れを抱かせる。 だが、村上が感じているのはそういうものとは異なるもの。 肌にねっとりとどす黒い何かが貼り付いてくるような感覚。 何かを恐れているわけではない。しかし生理的な恐怖にも近い感覚が体を包む気配を振り払うことができない。 「…何かがいるのですか?」 少なくともこの様子は尋常ではない。 精神的に影響を与えてくる何かがこの近くにいる、もしくはあると考えるのが自然。 警戒しつつ一歩足を踏み出した時、背後に何者かの気配を感じ。 振り返ると同時にオルフェノクへと姿を変えた。 目に映ったのは、地面を這うようにこちらに迫る、漆黒の刃。 手に纏わせた薔薇の花弁で払い、その軌道を逸らす。 ふと地を見ると、そこにはコンクリートの地面を覆うように、絵の具を垂らしたかのように真っ黒な闇が包んでおり。 その先、村上から見て10メートルほど先の辺りに、真っ白な髪をした少女が立っていた。 顔は髪に隠れて見えないが、ボロボロの衣服の下に地面を覆う影と同色の長い服にも見える何かを纏っているのが特徴的だった。 動きは非常にゆったりとしており、もし自分のような異端の者に対する認識がない者が見れば幽鬼か何かだと思っただろう。 目の前の存在は無論幽霊などではない。オルフェノクの五感は確かに目の前の少女の呼吸音を、足音を、心臓の鼓動を確かめている、 この心に直接揺さぶりかけてくるような感覚の大元は、おそらくこの影だと推測する。 (体はともかく心が万全の状態では戦えない…、ここは、少なくとも今は可能な限り戦闘は避けなければなりませんね) 恐怖から逃げるという道を選ばなけれなならないことに若干の屈辱を感じつつ、背を向けることなく足を後ろに引こうとした、その時だった。 「あなたは……怪物ですか…?」 それは言葉を発した。 「あなたは、悪い人ですか…?」 掠れて消えてしまいそうな声で、こちらに呼びかけてくる。 その声は震えている。まるでついさっきまで泣きじゃくっていた子供のようだった。 それを聞いた瞬間、村上の中でその得体のしれない何かだったものは、異形の力を持った少女へと認識が移った。 「怪物…、悪い人…、なるほど、確かに人間からはそう見えるものかもしれませんね。 ですが幾つか訂正させていただきましょう。 私はオルフェノク。人間の進化系にしてより高みへと至った存在。 そして私は常により良き人類のため、と願って行動している。悪、と断じられるのも些か心外です」 「……衛宮、士郎という人を、知らないですか?」 問いかけに対してあくまで冷静に、嘘を交えることもなく答えた村上に対し、脈絡もなく別のことを問いかけてくる少女。 その名を呟く時の声が震えているのを村上は聴き逃してはいない。おそらく彼女が情緒不安定なことにも関係しているのだろう。 村上は問われた者の名は知らない。せいぜい先の放送で呼ばれたということを認識しているくらいだ。 だがそれでも地を這う影は脅威だ。 ここは慎重に、彼女を刺激しない方向で、しかし御すことができるような答えをすべきだろう。 「衛宮士郎…、確か私が情報交換した者がその人についてを語っていたように思いますね」 嘘ではあるがある程度誤魔化しの効く範囲の情報にすることで相手の気を引く。 もしそこから話し合いまで持ち込むことができれば、こちらのペースに引き込める。 少女は顔を上げた。 虚ろな瞳は、じっとこちらを見ている。 「少し話しませんか?こちらは危害を加えるつもりはありません」 「………」 品定めをするように見つめる瞳。 それを見ながら、同時に足元の影の動きを可能な限り注視する村上。 すると、やがて影は潮を引くように少女の元へと引いていき、後には街灯に照らされた建物や自分たちの影だけを残した。 「私は村上峡児と言います。あなたは?」 「間桐…桜…です」 「間桐さんですね」 村上は記憶を掘り起こす。 確か、暁美ほむらとアリスが言っていた黒い影を操る少女、その名が桜という名だと聞いていた。 なるほど、あの年齢の割に場慣れしているように見えた二人が強く警戒していただけのことはある。 「…時に、あなたは私のようなオルフェノクと会ったことはありますか?」 ともあれ、話を進められる前に先んじて情報を求める村上。 もし後からこちらの情報を出した際に情報の食い違いから嘘だとバレることがあってはことだ。 自然な流れで、最低限の情報を引き出しておくことでこちらの嘘をなるべく隠せる状況を作る必要がある。 「…鳥のような人と、大きな牙みたいなのを顔に付けた人に会っただけです」 「なるほど」 鳥、そして大きな牙。 村上の知る中では、この場で該当するのは長田結花、そして海堂直也の二人だろう。 「教えてください、先輩…衛宮士郎のこと、なんでもいいんです。ちょっとのことでも、お願いします」 「いいでしょう」 そうして情報交換のために通りの一軒家の中に村上は虚構と脚色によって ◇ 村上が答えた、衛宮士郎のことを知っていると言った人物。 その名は、乾巧と答えておいた。 理由は消去法によるもの。 少女が出会った人物全てを先に聞くことなどできない。流れで出会ったオルフェノクのことを聞き出すことが限界だった。 その中で彼女が出会っていないオルフェノク。 乾巧、木場勇治、北崎。 しかしここで死亡した北崎の名を出しては話が終わってしまう。最悪その瞬間先のように間桐桜が暴走しないとも限らない。 かと言って、木場勇治の名を出すのも憚られる。彼は貴重な人材だ。 無論乾巧とて貴重な人材であることは同じ。しかしまだ彼は迷いを持っている可能性がある。 言わば保険だ。もし覚悟を決めているのであれば、その時にこの少女の対処を決めればいい。 幸運にも、乾巧の動向自体は彼女も把握はしていないとのことだった。 (しかし、デルタギアを使っていたとは…。精神状態がよろしくないのはその影響でしょうか) この少女の精神の不安定さは、おそらくデルタギアのデモンスレートも影響しているのだろう。 だが今は彼女は持っていないとのこと。どうも園田真理が持ち出していったらしいが、その彼女も既に名前を呼ばれている。 現状どこにあるのかは検討もつかない状態だ。可能な限り手元に押さえておきたい村上としてはあまり喜ばしくない。 彼女の能力についてもう少し聞き出してみようかとも思ったが、刺激を避けて慎重に質問をした結果、あまり聞き出すことはできなかった。 更に、間桐桜は今後どうしたいかという部分についても曖昧ではっきりとしない。 この状態の少女が実力で生き残ったとも、上手な立ち回りで生き残ったとも思えない。 運がよかったというところだろうか。 それとも――― (あの力で、出会った相手を殺して生き残ってきたのか。だとしたら警戒が必要ですが…) あれは危険だと何かが直感している。 あの力を使われるわけにはいかない。 そう思ったところでふと村上は自分の中にある感情を意識した。 (…私は恐れているのですか?先程のこの娘の力を?) あの時、間桐桜が言葉を発した際に恐怖は振り払ったと、そう思っていた。 ならば何故、自分はこうもこの娘が力を使うことを避けようとしているのか。 厄介なだけならば振り払えるほどの力を持っていると自負している。 だというのに、一体何を恐れているのか。 「あなたの話は分かりました。ではどうでしょう、私と行動しませんか? どうしたらいいか分からないというのであれば、この私があなたのことを導くこともできると思いますが」 あの影の正体を暴くことでオルフェノクへの力とすることが理由の一つ。 だが、村上の無自覚な想いはもう一つの理由に重きを置いていた。 すなわち、この少女を離すことが自分の安全に繋がるのではないか。つまりこの少女のことを恐れているということ。それを認められないという感情。 そのために間桐桜を利用し、味方に引き入れることを何より優先していた。 コクリ、と頷く桜。 話は終わり、立ち上がった村上。 その時だった。 空が夕焼けのごとく赤く染まったのは。 「あれは…」 染まった場所は空の一角のみ。 空を赤い粒子のようなものが、渦を巻くかのように覆っている。 ここより南の辺りに位置する市街地がその中心のようだ。 そして村上はその赤い光が何なのかを知っている。 フォトンブラッド、その中でもあの赤はファイズの体を構成しているエネルギーの色だ。 加えて村上の知るファイズのものはあれほど大出力のエネルギーを発したりはしない。 つまりあの場にはファイズがいる。 それも、通常のファイズを遥かに凌駕するほどのエネルギーを操ることができる者――乾巧か、あるいはまだ知らぬオルフェノクの何者かがあそこで戦っているということ。 (乾巧であれば、探す手間が省けますね。やはりい運がいい) 「間桐桜さん、もしかするとあの場所にあなたの探している人がいるかもしれません。 よろしければ、向かいませんか?」 桜はコクリ、と再び頷く。 それを見た村上は、桜に合わせる歩幅で、ゆっくりと歩みを進め始めた。 村上の後ろを歩く桜の瞳は、虚ろなままだった。 ◇ 桜は村上の言っていることが出まかせであることは薄々と感じ取っていた。 いや、桜自身がそう思おうとしただけとも言えるかもしれないが。 確証のない情報。こちらを見る村上が、明らかに"間桐桜"としてではなく何か異質なものを慎重に扱おうとしている様子。 そこから、桜は村上の与えた情報が嘘であろうと自身に思い込ませていた。 だって、桜の最後の希望は失われたのだから。 姉・遠坂凛はとうに命を落とし、それでも心の支えにしていた衛宮士郎もいなくなった。 悪に成り切ったところで、もう裁きにくるものはいない。ならば何故自分は生きているのだろう。 いっそ、自分も周りの全ても殺して壊して無くしてしまえれば楽だっただろう。 あるいは、彼らの後を追って命を断つことができれば楽だっただろう。 だが、悲しむ心を持った桜はそうなることを最後の一歩のところで耐えた。 心に蓋をして感情を殺して。 完全な化物になる一歩前のところで踏み止まった。 故に桜の力の暴走を抑えている最後の支え、衛宮士郎を知っている者の事実にも嘘と自分に言い聞かせることで感情の暴走、それによって引き起こされる能力の発露を抑えていた。 一方で、士郎のことを知りたいという欲もまた本心だった。 知りたいという思いと知らないままでいなければならないという矛盾、そのバランスの上に桜の心は均衡を保っていた。 桜は知らない。 赤い閃光の渦の中心にいる乾巧が、村上自身が出まかせで口にした衛宮士郎を知っているという情報。 それを知っている人物であるということに。 そしてその事実に加えて、村上は気づいていない。 桜の心がどれほど危ういバランスの上で留まっているのか、それが決壊した時に何が降りかかるのか。 その大きなリスクに。 【C-2北部/一日目 夜】 【間桐桜@Fate/stay night】 [状態]:黒化、右腕欠損、全身の骨に罅・回復中、行動に支障無し、魔力消耗(中) [装備]:マグマ団幹部・カガリの服(ボロボロ)@ポケットモンスター(ゲーム) [道具]:基本支給品×2、呪術式探知機(バッテリー残量5割以上)、自分の右腕 [思考・状況] 基本:??????? [備考] ※アンリマユと同調し、黒化が進行しました。魔力が補充されていくごとにさらに黒化も進行していくでしょう。 ※心、感情に蓋をすることで平常を保っています。しかし僅かなきっかけがあれば決壊するほどに危うい状態です。 【村上峡児@仮面ライダー555】 [状態]:疲労(小)、人間態 [装備]:なし [道具]:基本支給品×3、拡声器@現実、不明ランダム支給品0~2(確認済み)、バスタードソード@現実、C.C.細胞抑制剤中和剤(2回分)@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー [思考・状況] 基本:オルフェノクという種の繁栄。その為にオルフェノクにする人間を選別する 1:赤い閃光が見えた辺りに向かい、乾巧を探す。 2:間桐桜を利用する。 3:選別を終えたら、使徒再生を行いオルフェノクになる機会を与える 4:出来れば元の世界にポケモンをいくらか持ち込み、研究させたい 5:魔王ゼロ、夜神月、ゼロを名乗る男はいずれ殺す。 6:間桐桜の力を心のどこかで恐れている? 140 パラダイス・ロスト 投下順に読む 142 一歩先へ(前編) 時系列順に読む 130 魔法少女は絶望と戦いの果てに 間桐桜 146 杯-世界の色彩 133 神のいない世界の中で 村上峡児
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試練~ETERNAL PROMISE~(後編) ◆hqt46RawAo 会議が終わって数分後。 俺――衛宮士郎は一人でギャンブル船の甲板に立っていた。 他の皆は会議室で仮眠を取っている。 出発の時間まで交代で一人が甲板から見張りつつ、休息に努める事になったのだ。 グラハムさんは先の会議で象の像にゲームに乗った人間が現れる可能性を危惧していた。 向かう場所が戦場かもしれない以上、なるべく万全の体調で望みたい。 見張りはグラハムさんが名乗り出たけど、俺が無理やり志願した。 子供の天江は論外だし、白井は乗り物酔いで疲労している。 グラハムさんにはここまで運転をまかせっきりだったんだから、 ここまで、ほとんど座ってるだけの俺が、見張りをやるのは妥当な事だろう。 甲板にはカイジさんの遺体が横たわっている。 死体は見慣れていたが、何も感じなくなる事は絶対にない。 このゲームが開始されてから、一体何人の人が命を奪われたのだろう。 知人が殺され、傷ついた人間のたくさん居るはずだ。 俺はさっき、それを実際に見たばかりだ。 こんな馬鹿げた殺し合いは一刻も早く止めなくちゃいけない。 なのに俺はまだ誰一人救えていなくて。 歯がゆい思いとともに、カイジさんの遺体から目を逸らそうとした時だった。 なにかが……俺の視界の端に引っかかる。 なんだろう?カイジさんの右手。 力が抜けきっていて指の一本だけに血を着けた左手とは対照的に、硬く握られた右手の拳。 いったい何を握っているのだろうか。 近づいて、よく見てみる。 それは、ただ一枚のペリカ紙幣だった。 いったい彼は最後に何を思ってコレを握っていたのだろうか……。 そんな疑問が頭を過ぎったが、きっともう俺には一生わからない事だろう。 それにしても、ペリカか。 コレがたくさんあれば状況は大きく変わったんだろうな。 ペリカさえ有れば、ギャンブル船で安全に象の像に行けるだろうし、 位置情報を購入すれば秋山たちの状況も図る事が出来るのに……。 ペリカさえ有れば。 ペリカさえ―――――あ。 ふと、俺の頭に電流が走り抜ける。一つの名案が思い浮かぶ。 自分の思い付きに強張った俺の体に、軽く潮風が吹き付けた。 海の匂いが仄かに香る。 ――さて、そろそろ皆は眠っただろうか。 俺が今思いつき、やろうとしてる事を知れば、多分みんなは止めようとするだろう。 なんたって、完全な単独行動を始めようとしているのだから。 今の俺たちにはペリカが無い。 だから、車も買えず、船も動かせない。 徒歩で象の像に向かうしかない。 これは間違いだ。 車も買える、船も動かせる。 ペリカが無いなら、作り出せばいい。 俺には、それが出来る。 投影。 強化、変化の上位にあたる、この分野における最高難易度の特殊魔術。 単純な強化魔術すら満足に扱いきれていなかった俺が、何故か容易く使用できたもう一つの魔術。 昔、じいさんに使うなと釘を刺されて以来ほとんど扱ってこなかったけど、 白井が水をこぼした際に咄嗟に思いついて、久しぶりに使用してみた。 正直使いどころなど無いだろうと思っていたんだが、意外と役に立つものだと思ったものだ。 で、その後にあの会議だ。 あれだけ皆や自分自身が、ペリカがあれば、ペリカがあれば、と繰り返せば流石に思いつくだろう。 「投影、開始――(トレース・オン)」 突き出された右手から弾ける光。 イメージしろ、札束。イメージしろ。 カイジさんが積み上げていた、あの札束を思い出す。 彼が握っていた一枚のペリカから、その情報を引き出していく。 創造理念――鑑定 基本骨子――想定 構成材質――複製 製作技術――模倣 憑依経験――共感 蓄積年月――再現 ――――全て成功。 収束する光。 そして、俺の目の前には高々と詰まれたペリカ紙幣の山が出現していた。 「……くっ……けど流石に……そんな簡単にはいかないか……」 瞬間、ごっそりと魔力を持っていかれたのを感じる。 俺は紙を一枚一枚を投影したのでは無く、まとめて一山を一つとして投影した。 ペリカ紙幣の山とは言え、基本的に紙が積み重なっただけの単純な構造。そこまで魔力は消費しないはず。 しかし俺は今、以前にタオルを投影したときとは段違いな大量の魔力を消費していた。 主催連中は俺がこうする可能性を見越していたのか。 どうやら、ペリカ紙幣を投影する行為には、他の物を投影する時よりも遥かに多大な魔力が消費されるようだ。 これが制限の影響なのか、ペリカの方に仕掛けがあるのか、はっきりとは分からない。 しかし、何にせよ今後はペリカの投影は控えたほうがいいだろう。 こんな消耗を繰り返していては、俺の魔力は速攻で枯渇する。 いざとなった時に、何も出来なくなることだけは避けなくてはならない。 けれどまあ、とりあえずこれだけ有れば余裕で船を動かす事もできるだろう。 象の像までは距離がある。 徒歩よりも車、車よりも船、陸路よりも海路の方が安全なのは明白だ。 このペリカをグラハムさん達に渡せば、すぐさま船で移動することに決定するはずだ。 けれど俺自身は、今すぐ象の像にむかうつもりは無かった。 投影した札束の内、半分程をデイパックに仕舞う。 そして、俺は甲板を離れ、二階へと降りていく。 やはり秋山達が気がかりだった。 持ってきたペリカを使い、ギャンブルルームにて秋山澪と明智光秀の参加者位置情報を購入。 俺はこれに従って秋山達と合流し、俺たちが象の像に向かうことになったことを伝えるつもりだ。 デバイスによると秋山は今、円形闘技場に居るらしい。 明智さんもそこに居るようだが、どうもおかしい。 あまりにもその場から動かない。 放送を聞いているのなら、そろそろこちらに向かって移動を開始してもいい筈だ。 それが一向に動かないという事は、何かが動けない事情があるとしか思えない。 何かあったのか。 それとも、現在進行形で秋山たちの身に何か起こっているのか。 そして、気になる事はもう一つ。 先程の会議での白井の『仮説』について。 もし、本当にこのゲームが聖杯戦争ならば、あの男が関わっていないはずが無い。 言峰綺礼。 第五次聖杯戦争の監督者であり、第四次聖杯戦争の参加者だった男。 あの男がこの島に居るとして真っ先に浮かぶ場所は、やはり『神様に祈る場所』。 恐らく教会であろう場所だ。 安直な考えだが、闘技場までの通り道にそれは在る。 寄ってみるのもいいだろう。 万が一、奴に接触できれば聖杯の位置、即ち主催者の位置も判るかもしれない。 もちろん、これらは俺の勝手な考え、勝手な行動だ。 当然の如く、三人は止めるだろうし、 秋山の位置情報について話せば、逆に着いて来かねない。 それはいけない、俺の勝手な行動に三人を巻き込む訳にはいかない。 三人には一刻も早く象の像まで無事にたどり着いて、首輪の情報を技術者に伝えて貰わないといけないのだから。 白井に関しても、グラハムさんと一緒に船で象の像へと向かった方がよっぽど安全だ。 だから、ここから先は俺一人で行動しよう。 俺はここでギャンブル船を降りる。 そして、三人には『ギャンブル船出航サービス』で象の像にむかってもらう事にした。 会議室に置き手紙を残した後、サービスを購入。 三人に無断で船を出航させる。 そして、数分間の出航準備の間に、俺は一人きりで船を降りた。 □ 『ぼーっ』という感じの独特な音によって、私は目を覚ます。 会議室の光景が視界に広がっていく。 「んっ……何ですの?」 音は未だに鳴り続いている。 壁に預けていた体を起こした時、グラハムさんの声が聞こえた。 「起きたか、白井黒子」 目の前には壁を背に立つ、グラハムさんの姿。 その足元では、天江さんが毛布を被って健やかな寝息を吐いてる。 「見たまえ」 そうしてグラハムさんは私に一枚のメモ用紙を手渡した。 私は目をこすりながら用紙に目を通す。 「な……ええ……!?」 それを見た瞬間、私の眠気など一瞬で吹き飛んでしまう程。 メモの内容は実にふざけた代物だった。 『ギャンブル船は出航させた。グラハムさん達はそのまま船で船着場から、象の像に行っててくれ。 どうやら、秋山達に何かあったらしいんだ。 俺は秋山達と合流してから象の像にむかうから、そっちが先に着いたら技術者に首輪の情報を知らせて欲しい。 それから、甲板にペリカを置いといたから有効に使ってくれ』 会議室の窓から外を見る。 確かにギャンブル船は徐々に陸から離れ、エリアF-3へと移動を開始していた。 先程から聴こえる音は出港合図の汽笛の音だったようだ。 「衛宮少年の正義感……というか、無鉄砲さは私の予想以上だったな。 船で移動すれば、秋山澪と明智光秀を助けに行けない。かといって全員で助けに向かえば我々に大きな負担が掛かる。 だから、彼は一人で行った……か。 しかし、どうやって船を動かしたのやら。ペリカを使ったとすると、隠し持っていたのか。」 冷静に分析するグラハムさんの言葉も、ほとんど耳に入らない。 ふつふつと怒りがこみ上げてくる。 借りを返そうとか、少しは頼ろうとか思った矢先に何だコレは? だいたい彼は私に『守る』とか言っておきながら、勝手にどこかに行きまくりではないか。 でも、これはきっと私や天江さん、そして秋山さんの安全を最優先した決断なのは分かっていて……。 やはり、彼が自身の身の安全などまったく考えていない事が、少しだけ悲しかった。 落ち着こう、普段の私ならこんな時どうする? 彼の独断専行を許すだろうか? 彼の意を汲んで、このままおとなしく船で象の像へとむかうだろうか? 決まっている。 「衛宮さんは本当に……!」 彼を追わないはずが無い。 自らの安全よりも、人を守るジャッジメントの本分に従うはずだ。 「本当に馬鹿ですわ!」 そうして、私はメモ用紙を床に叩きつけ、甲板へとテレポートする。 なぜだろう。 一人で陸に残ろうとしているのは彼の方なのに。 私は今、おいて行かれるような錯覚に囚われていた。 □ ギャンブル船は出航を開始した。 俺一人を港に残し、船は遠ざかっていく。 甲板に小さく白井の姿が見える。 俺の残した置手紙か、船が動いた事によって気がついたのだろう。 こちらに向かって何事かを叫んでいるが、もうはっきりとは聴こえない距離だった。 手持ちの武器はカリバーンのみ。 デイパックの中には余ったペリカと薬品と寿司ぐらいしか入っていない。 一人で戦うには少し無茶かもしれないが、やらなければならないだろう。 これが、誰にも負担の掛からない最良の行動なのだから。 仲間との再会を願いつつ、遠ざかっていくギャンブル船に背を向ける。 そして、ギャンブル船で購入してきたママチャリに跨り。 俺は走り出した。 『神様に祈る場所』、そして『円形闘技場』を目指して。 … …… ……… ………… ん? しかし、この自転車。 少しペダルが重たくないか? まるで後ろの荷台に、人を一人くらい乗っけて走っているような……。 「風が気持ちいいですわねー」 「……なんでさ」 何故、後ろから白井の声がするんだ? 俺は自転車を止め、後ろを振り返る。 予感的中。 ママチャリの荷台には、俺に背を向けて座る白井の姿があった。 こいつまさか、あの距離からテレポートしてきたのか? 「別に……わたくしも秋山さんの事が気がかりでしたので。 ジャッジメントとして一度保護した人物ですし、死なれては目覚めが悪すぎますわ。 秋山さん達に何かあったとわかると言う事は、位置情報を購入なさったんでしょう? わたくしも、衛宮さんについていく行く事にしましたの」 「それで、こっちに来たのか!?危険なんだぞ馬鹿! 今すぐ船に戻れ、白井は象の像で待っていればいいんだ! 俺が秋山達を連れていくから!」 俺は自転車を止め、船に帰るよう説得を試みる。 「それは無理ですわよ。テレポートしようにも、もう船から離れすぎてますもの。 船自体が動いている事、制限による誤差を考えると、少々危険ですわね」 しかし、白井は飄々とそう言った。 なんてこった、完全に予定が狂ってきている。 そして、髪を掻き毟りながら嘆息する俺に、白井は――。 「そういうわけで、行きましょうか衛宮さん。 わたくしを守ってくださるのでしょう?少しは頼りにしていますわよ」 どこか寂しげな表情で、確かな怒気を含んだ声を投げかけるのだった。 【B-6/中央部/一日目/午後】 【衛宮士郎@Fate/stay night】 [状態]: 健康、魔力消費(中)、額に軽い怪我(処置済み)、左頬が腫れる(軽傷) [服装]: 穂村原学園制服 [装備]: カリバーン@Fate/stay night 、衛宮邸の自転車(二号) [道具]: 基本支給品一式、特上寿司×20人前@現実、 基本支給品外の薬数種類@現地調達 、ペリカの札束(投影品、二時間後に消滅)、参加者位置情報3時間(秋山澪、明智光秀) [思考] 基本:主催者へ反抗する 1:『神様に祈る場所』を調査する。 2:『円形闘技場』で秋山澪と明智光秀と合流する。 3:首輪の情報を技術者へ伝え、解除の方法を探す。 4:黒子を守る。しかし黒子が誰かを殺すなら全力で止める 5:女の子を戦わせない。出来るだけ自分で何とかする 6:一方通行、ライダー、バーサーカーを警戒 [備考] ※参戦時期は第12話『空を裂く』の直後です ※残り令呪:なし ※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました ※エスポワール会議に参加しました ※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。 そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。 ※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。 上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。 ※投影魔術自体は使用可能です。しかし能力を正確に把握していません。 ※ゼクスの手紙を読みました。 ※ユーフェミアの外見的特長を把握しました。 ※原村和が主催者に協力している可能性を知りました。 ※『黒子の仮説』を聞きました。 ※このゲームに言峰綺麗が関わっている可能性を考えています。 ※『ペリカの投影』には『通常の投影』より多大な魔力を消費します。 よって『ペリカの投影』は今後は控える方向性です。 ※黒子の仮説について 参加者を最後の一人まで殺しあわせるのは、聖杯を使用するための儀式ではないか? 異世界からの人物転送や、参加者の能力を制限する為の魔力源も聖杯ではないか? という考察。 当然の如く、正しいかどうかは後続の書き手さん次第。 【白井黒子@とある魔術の禁書目録】 [状態]:健康、精神疲労(中)、空虚感、士郎に対する苛立ち [服装]:常盤台中学校制服、両手に包帯 [装備]:スタンガン付き警棒@とある魔術の禁書目録、タオル(投影品、1時間後に消滅) [道具]:基本支給品一式 [思考] 基本:なるべく普段通りに振舞う(スタンスは決めあぐねている) 1:衛宮さんと秋山澪の所までむかい、合流する。 2:衛宮さんが解析した首輪の情報を技術者へ伝え、解除の方法を探す。 3:お姉さまを生き返らせるチャンスがあるなら……? 4:衛宮さんが勝手に行ってしまわないようにする 5:衛宮さんが心配 6:衛宮さんはすぐに人を甘やかす 7:一方通行、ライダー、バーサーカーを警戒 8:少しは衛宮さんを頼る 9:衛宮さんの言う『正義の味方』とは……? [備考] ※本編14話『最強VS最弱』以降の参加です ※空間転移の制限 距離に反比例して精度にブレが出るようです。 ちなみに白井黒子の限界値は飛距離が最大81.5M、質量が130.7kg。 その他制限については不明。 ※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました ※エスポワール会議に参加しました ※美琴の死により常に空虚感があります ※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。 そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。 ※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。 上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。 ※ユーフェミアの外見的特長を把握しました。 ※原村和が主催者に協力している可能性を知りました。 ※バトルロワイアルの目的について仮説を立てました。 □ 「無事を祈るしか無い……か」 黒子を追って甲板に上がってきたグラハムは、小さくなっていく士郎と黒子の姿を見つめていた。 勝手な行動をとった少年と、グラハムの制止の声も聞かずにそれ追った少女。 彼らはグラハムにとって保護すべき対象とはいえ、士郎はもう自立している年でもある。 ここまで自分の意を示されれば、グラハムとてもう何も言わなかった。 そして、それ以前にグラハムは天江衣との約束を守らねばならない。 未だ会議室で眠る衣がいる以上、グラハムはここを離れて、士郎達を追うわけにはいかないのだ。 グラハムは主催者の思惑を砕く事を誓ったが、優先順位的には天江衣の安全の確保が先である。 当面のグラハムの行動は衣を脱出させる事につきる。 彼女を抱えたまま、主催者達と正面から戦えるとは思えなかったからだ。 衣を逃がし、背後の憂いを絶って主催の思惑を潰す。 それが、グラハムの行動方針である。 「とすれば、考えなければならないのは、コレの使い道かな……」 そして、遂に見えなくなった士郎達の方向から視線を切り、 グラハムは積み上げられたペリカの山へと視線を移した。 【B-6/北部の海上(ギャンブル船 甲板)/一日目/午後】 【グラハム・エーカー@機動戦士ガンダムOO】 [状態] 健康 [服装] ユニオンの制服 [装備] コルト・パイソン@現実 6/6、コルトパイソンの予備弾丸×30 [道具] 基本支給品一式、五飛の青龍刀@新機動戦記ガンダムW 、ゼクスの手紙、ペリカの山(投影品、二時間後に消滅) [思考] 基本:殺し合いには乗らない。断固辞退。 0:士郎が残したペリカの使い道を考える。 1:天江衣をゲームから脱出させる。 2:衛宮士郎が解析した首輪の情報を技術者へ伝え、解除の方法を探す。 3:ギャンブル船が『船着場』に着き次第、『象の像』を目指す。 4:ゼクスからガンダムについて詳しく聞きたい。 5:張五飛と接触したい。 6:主催者の思惑を潰す。 7:ガンダムのパイロット(刹那)と再びモビルスーツで決着をつける。 ※刹那の名を知らない為、相手が既に死んでいることを知りません。 8:地図が本当に正確なものかどうかを確かめるために名所を調べて回る。 9:衣の友達づくりを手伝う。 【備考】 ※参戦時期は1stシーズン25話「刹那」内でエクシアとの最終決戦直後です ※バトル・ロワイアルの舞台そのものに何か秘密が隠されているのではないかと考えています ※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました ※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました ※エスポワール会議に参加しました ※張五飛がガンダムのパイロット、少なくともソレスタルビーイングのメンバーであると知れないと考えています ※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。 そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。 ※ゼクスから駅周辺で戦闘が行われていることを聞きました。 ※第三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、参加者同士で集まるというプランをゼクスから聞きました。 ※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。 上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。 ※ユーフェミアの外見的特長を把握しました。 ※『黒子の仮説』を聞きました。 ※原村和が主催者に協力している可能性を知りました。 【B-6/北部の海上(ギャンブル船 3F 会議室)/一日目/午後】 【天江衣@咲-saki-】 [状態] 健康 [服装] いつもの私服 [装備] チーズくんのぬいぐるみ@コードギアス反逆のルルーシュR2 [道具] 麻雀牌セット、レイのレシーバー@ガン×ソード [思考] 基本:殺し合いには乗らない、麻雀を通して友達を作る。 0:zzz 1:グラハムを信じる。 2:《はらむらののか》と《清澄の嶺上使い》を救い出したい! 3:ギャンブルではない麻雀をして友達をつくる。 4:グラハムに麻雀を教える。 5:チーズくんを持ち主である『しーしー』(C.C.)に届けて、原村ののかのように友達になる。 [備考] ※参戦時期は19話「友達」終了後です。 ※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました。 ※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。 ※エスポワール会議に参加しました。 ※第2回放送を聞き逃しました。 ※ユーフェミアの外見的特長を把握しました。 ※『黒子の仮説』を聞きました。 時系列順で読む Back 試練~ETERNAL PROMISE~(前編) Next 受け継がれる想い/あるいは霊長の抑止力 投下順で読む Back 試練~ETERNAL PROMISE~(前編) Next 受け継がれる想い/あるいは霊長の抑止力 196 試練~ETERNAL PROMISE~(前編) 天江衣 211 建物語 196 試練~ETERNAL PROMISE~(前編) グラハム・エーカー 211 建物語 196 試練~ETERNAL PROMISE~(前編) 衛宮士郎 201 セイギノミカタ 196 試練~ETERNAL PROMISE~(前編) 白井黒子 201 セイギノミカタ
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【オープニング】 No. タイトル 位置 登場人物 000 選ばれし者たち ? ドラえもん、佐天涙子、タケシ 【深夜】 No. タイトル 位置 登場人物 001 お嬢様2人 D-6 水瀬伊織、遠坂凛 002 非日常の2 E-6 相生祐子、コックカワサキ 003 あもりにもひきょう過ぎる C-2,C-3 汚い忍者、千地清正 004 ニャース水鳥拳 D-1 レイ、ニャース 005 図書館の謎 C-6 御坂美琴、星、青鬼 006 バトルロワイアルを侵略してみた E-6 イカ娘 007 Unconnected G-3,G-4 暁美ほむら、バーサーカー 008 修きゅーぶ! B-5 永塚紗季、松岡修造 009 災いをもたらす者 F-4,F-5 ショボーン、美樹さやか、ジャギ 010 王女と不良のナイト F-6 シーダ、ブロントさん 011 自由への逃走 C-3,C-4 長谷川昴、論者 012 血の運送 E-1 五十嵐丸太、ルガール・バーンシュタイン 013 とある少女の真帆目録 E-5 三沢真帆、シスター、ルカリオ 014 sink night G-5 上条当麻、セイバー 015 阿部がやって来る アッー!アッー!アッー! D-6,D-7 阿部高和、袴田ひなた、佐倉杏子 016 ネクロマンサーの英霊 B-5 衛宮士郎、ユークリウッド・ヘルサイズ 017 デュエリスト・ロード C-3 海馬瀬人 018 夜の病院でもなんくるないさー D-5 我那覇響、ナバール 019 善か悪か? C-4 東雲なの、ケンシロウ 020 Joker D-7 一方通行 021 サナエさん C-5 長月早苗、フグ田マスオ 022 桃色銀色 F-6 坂田銀時、湊智花、カービィ 023 狩り C-7 鷹見水名月、モララー 024 単騎、武器縛り E-4 マルス、田中椋輔 025 ブーンが女子中学生と行動するようです E-2 佐天涙子、内藤ホライゾン 【黎明】 No. タイトル 位置 登場人物 026 円環の理 ―光― F-2 香椎愛莉、巴マミ 027 旅立ちの夜に D-3 平野秋子、長野原みお 028 Tonight Knight F-7 相川歩、バルバトス・ゲーティア 029 ハイリスクローリターン D-2 DragonClaw 030 Baresayaka F-5 上条当麻、セイバー、美樹さやか 031 ディフェンス C-3 汚い忍者、長谷川昴 032 論者と美琴が交差するとき C-4 東雲なの、ケンシロウ、論者、御坂美琴 033 守る者、守られる者 F-6 湊智花、カービィ、坂田銀時、シーダ、ブロントさん 034 そっと戦ってサッと終わるAA G-4 ショボーン、バーサーカー 035 We re unripe fighter… E-4 三沢真帆、田中椋輔 036 ルガール式入社試験 E-1,E-2 レイ、ニャース、五十嵐丸太、ルガール・バーンシュタイン 037 不思議な邸宅にみんな集まる D-6 水瀬伊織、遠坂凛、コックカワサキ、阿部高和 038 迷走Mind D-5 我那覇響、ナバール 039 お前のようなシスターがいるか E-5 シスター、ルカリオ 040 もっと強くなりたいあなたに B-5 永塚紗季、松岡修造、衛宮士郎、ユークリウッド・ヘルサイズ 041 泥棒少女ほむら☆マギカ G-2 暁美ほむら 042 フードコートでレバニラ炒め食う奴wwww E-3 佐天涙子、内藤ホライゾン 043 謎の黄色い布の正体とは!? C-6 袴田ひなた、佐倉杏子 044 攻略のススメ☆ C-5 長月早苗、フグ田マスオ 045 戦慄のブルーベリー・巨人 C-4 千地清正、海馬瀬人、青鬼 046 意思持ち支給品はとっても、イナフじゃなイカ? E-6 相生祐子、イカ娘 【早朝】 No. タイトル 位置 登場人物 047 One Reason E-1 五十嵐丸太、ルガール・バーンシュタイン 048 役割理論理 C-3 論者、マルス 049 才能は勝利をもたらすが、チームワークと知性は絆をもたらす C-3 汚い忍者、長谷川昴 050 あおいあくま D-6 水瀬伊織、遠坂凛、コックカワサキ、阿部高和 051 Our Innocence C-6 鷹見水名月、佐倉杏子、袴田ひなた、青鬼、一方通行 052 正義の味方 F-5 美樹さやか、セイバー 053 魔弾の舞踏 F-2,E-2 香椎愛莉、巴マミ、ジャギ、暁美ほむら 054 幻想御手聴いたんだけど質問ある? F-3 佐天涙子、内藤ホライゾン、バーサーカー 055 タイプ:ワイルド/前向きロケット団 C-3 千地清正、青鬼、ニャース 056 傭兵(シスター) E-4 上条当麻、シスター 057 動きのないアニメなんて、もはや落書きじゃん! D-3 長野原みお、平野秋子 058 さすがにサムライは格が違ったケンカの横槍は危険 E-6、E-7、F-6、F-7 湊智花、カービィ、バルバトス・ゲーティア、ブロントさん、坂田銀時、相川歩、シーダ、イカ娘 059 SILENT SURVIVOR D-3、E-1 ドラゴンクロウ、ケンシロウ 【第一回放送】 No. タイトル 位置 登場人物 060 第一回放送 ? ドラえもん、玉木常長
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――二日目、朝 自宅―― 体調は悪くない。 昨日は魔術を行使したと言っても、小規模のもの。 それに、もともと強化の魔術は私の得意とするところ。負担は皆無。 それでも、寝覚めは良くはなかった。 「随分と遅いのだな」 これでも一応は女だ。 自分の召喚した英霊だと、頭では理解している。 それでも起き抜けに自分の部屋に男がいるという状況は、あまり心落ち着くものじゃない。 暴漢に襲われる心配はしていないし、返り討ちにする自信だってあるけれど、これはそういうのとはまた別のものだ。 「…窓の外を見ていたの?」 出来るだけ心模様を声に乗せず、淡々と尋ねる。 それでもアサシンは、お見通しだとでもいうように、此方を見て意地の悪い笑みを浮かべた。 「少し前までは、マスターの寝顔を見ていたさ」 「…趣味、悪」 いやはや昨日の冷血無比っぷりが嘘のようだ無垢つけき表情やはり魔術師といえども愛でるべき花には相違ない、云々。 ここぞとばかりに饒舌になるサーヴァント。 悪いけど、こちらは昨日四六時中話しかけられて、軽口にも慣れてしまった。 その程度にいちいち反応していては、こっちの身が持たない。 馬鹿にする調子の口説き文句を聞き流して、カーテンを開ける。 反応しないのが気に入らないのか、アサシンは眉を八の字に下げて肩を竦めた。 「日の出から、既に三刻ほど経過している。些か寝坊気味だな」 「…現代では、これが普通。むしろ私は健全な方よ」 「日の出とともに目覚める、というのが普通の暮らしだと思っていたのだが」 「昔とは時間の流れが違うからね」 指を鳴らして合図、アサシンを霊化させた。 女の身で男の英霊を呼ぶのには、些か問題が伴う。 とはいっても実用に際したものじゃないし、遠坂凛辺りならまるで気にしなさそうだけど。 もちろん霊化した所で向こうには見えているし、そもそも向こうだって自分の主人に手を出したりはしないだろう、けど。 それでも同じ空間に男がいるというだけで、精神的に感じるものは大きく違う。 前触れも無しに霊化させられたアサシンが、恨み言のようにボソリと洩らした。 (…なんと、風情が無い) 「それは現代人の生活に対して言ったのよね?」 アサシンの姿が消えていることを確認して、寝巻きを脱ぎ捨てる。 今日も平日、学校に足を運ばなければ。 ――二日目、朝 学校―― 登校がてら、現段階で得た情報を整理する。 昨日の時点で判明した二枠分のサーヴァント、それに一人のマスター。 予想も期待も信頼もしていなかったような奴に、まんまと裏切られたような形だったけれど。 ああ、でも、それだけでも腹が立つ。 …いや、話がずれてしまった。 不安要素の御三家。三人いる穂群原学園の在校生のうち、誰一人情報が確定していない。 だからこそ今日もこうして、少しでも情報が得られればと足繁く学校に通うワケだ。 「…よう、おはよう」 教室に入るなり、衛宮士郎を睨み据える。 目が合ったというだけで、特に親しくもないのに挨拶を交わす。 この人畜無害な化けの皮で、どれだけの人が騙されてきたのだろうか。 (近くに昨日のサーヴァントは居らぬな) 霊化したアサシンが、此方の意を組んで伝えてくる。 (不用心なマスターだ。昼間とはいえ、護衛も付けずにのこのこと) いや、油断は出来ない。 どこか別の場所で待機させている可能性もある。 これまで魔術師であることを隠して、周囲を欺き続けてきた狡猾な男だ。 「……?」 私の視線に、衛宮は首を傾げる。 まさか、ただ睨まれていると思っているワケじゃないだろう。 こちとら、一応ながらも正規の手続きを経てこの地に定住する魔術師だ。 知っていて惚けているのなら、とんだ役者。知らないのなら、大した魔術師ではないということ。 私は挨拶を返さずに、そのまま自分の席へと足を運んだ。 と、 「よお、文月」 「……」 粘っこい声で、後ろから声を掛けられる。 「随分衛宮と見つめあってたじゃん」 「…おはよう、間桐君」 ややパーマがかった青髪の気障な男子が、まとわりつくようにして話しかけてくる。 昨日は休んでいた間桐慎二、今日は登校していたのか。 今は絶えた魔術の家系、間桐の嫡男にあたるらしい。 魔術回路を持たないため、マスターになる可能性はほとんどない。 それでも油断は禁物。相手は間桐、聖杯戦争を作りあげた家系の一つ。 魔術師としての知識があるというだけでも、少なくともその他一般人よりは注意を払う相手だ。 が、 それはあくまで、聖杯戦争での排除すべき相手として。 「何の取り柄もないアイツと、お前みたいなガサツな女で、まさかとは思うけど…出来てんの?」 衛宮士郎が憎むべき偽善者なのであれば、間桐慎二はただの小物。 正直、興味が無い。嘲笑されて少しも心が荒まないのも、ひとえにそれに尽きる。 会話をシャットアウトして、一限の準備を進めた。 他のクラスの女子が、どうしてこんなのにキャーキャーと嬌声を上げているのかわからない。 「…チ、なんだよ、つまんねぇ」 この手合いは無視して相手にしないのが一番だ。 間桐慎二は一言二言暴言を吐いて、いつもの仲間の所に戻っていった。 ――二日目、昼 学校―― 弁当を片手に、女子トイレに向かう。 あまり使われていない、特殊教室等のトイレだ。 屋上には、昨日と変わらず遠坂凛が陣取っていた。 何かの嫌がらせだろうか。 一度弁当箱を抱えて教室を出てしまったため、再び戻っていくというのも居心地が悪い。 かといって、余計な人目のない場所なんて、この穂群原学園にはほとんど存在しない。 そういうわけで、 文月夏奈、十七歳。男の幽霊と一緒に、女子トイレで昼飯。 泣きたい。 別に、便所飯に抵抗がある方ではない。 むしろ一人に慣れる落ち付ける空間としては好きな方だ、だけど。 トイレなんてそもそも食事を取るために作られた空間じゃない。 ああ、私にもっと、独りで食事をする空間を見つけられるほどの慧眼があれば。 そう嘆きながら女子トイレの扉を引いて、 洗面台で談笑していたらしきグループが、鏡越しに映った私の方を一斉に見た。 「……」 「……」 沈黙する双方。 女子のグループは、おそらくあまり素行の良い方ではないのだろう、化粧の途中だったようだ。 金髪、ピアス穴、付け爪。その他にも私の知らないような薬瓶が、洗面台に所狭しと並べられている。 その瞳が私を見て、それから手に抱えているパンの袋を見た。 こっちが退く道理はない。 私は黙って、洋式の便座のある個室に入り、鍵をかけた。 途端に、扉の向こうから忍び笑いが聞こえる。 「ね、アレ、今のって二年の文月?…ww」 「便所飯とかwwwボッチwww」 「ちょ、聞こえるって…ww」 いや、何も聞こえない。 聞こえないし、だから悔しくも、辛くもない。全然、これっぽっちも。 (…不憫な) (うるさい) 冬木の町は、狭い。 高校に進学すれば、クラスに一人は見知った顔に出会う。 同じ中学に通っていた生徒から、噂なんて簡単に広まる。 学生なんて、根拠も無しに遊び半分で、悪意という名の尾鰭を付ける。 文月夏奈は中学生の頃、上級生から拷問紛いの虐めを受けていた。 ある日突然ブチ切れて、復讐に目覚める。 無差別に人間を殴り倒し、学級閉鎖が起こるほどまでに入院者を出した。 卒業してからお礼参りに来た上級生たちも、全員返り討ち。社会復帰が困難になるほどのダメージを受けた人間もいる。 だから、あの女は人の皮を被った鬼だ。 これが、穂群原学園で噂されている『文月夏奈』の物語。 本物の私がどうだとか、本当は何があったとか、誰も気にしない。 こうあってほしい、そうだったに違いない。 よりドラマチックに、コミカルに、悲劇的に、物語は脚色されていく。 私自身じゃなく、私の皮を被った悲劇のヒロインにして復讐に燃える悪鬼、その創作話のタイトルこそが『文月夏奈』。 その話の主人公の気持ちなんて、考えもしないで。 今も昔も、人間なんてそういう無責任な生き物だ。 (…ごめん、アサシン) 悔しくなどない。そんなことを考えるような心を、『文月夏奈』は持ち合わせていない。 目を見開いたまま、私は彼に詫びた。 (英霊の貴方には、女子トイレに閉じ込められるなんて、屈辱の極みかもしれないけど、) (何、私の時代では公衆の厠は男女共同だった。この程度、瑣末の極みだ) いつも通りの飄々とした口調で、アサシンは笑う。 (いつになくしおらしいな、マスター。露に濡れた花も、それはそれで美しいが) (……貴方の軽口は、いつも通りね) 気を遣われた方が辛い。同情や憐みが痛い時だってある。 アサシンは、それをよくわかってくれている。 昨日の戦闘観戦中といい、彼には支えられっぱなしだ。 もう少し、ここにいよう。 ――二日目、放課後 商店街―― 吐きだすと、すっきりする。 溜めこんでいた不平不満、忍んでいた涙、はては飲みすぎた後の嘔吐まで、それは同じ。 何より弱みを見せたことで、少しだけ楽になった気がした。 気持ちの切り替えは昔から早い方だったけれど、これで聖杯戦争にも身が入るというものだ。 「兵糧が必要ね」 兵糧、つまりは食糧。付け加えるなら、それに準ずる日用品。 いざ長期戦になった時のことを考えて、早い段階で揃えておくべきだろう。 (…立ち直ったか。つまらん) 落ち込んでいるところを励ましたかと思えば、立ち直ったことを嘆く。 このサーヴァント、ホントなんなんだ。 下校がてら、マウント深山商店街に足を運ぶ。 冗談みたいな名前の割に仕入れは普通で、学校帰りによく学生が立ち寄ったりもするとか。 食材を大量に仕入れるなら、私もここを活用するべきだろう。 とはいっても、自炊の経験はあまりない。つまり料理方法の難しい食材は選べない。 簡単に調理出来て、尚且つ保存の利く、それでいて栄養価の高いものが良い。 夜になれば、この通りとて戦場と化す。 日のあるうちに、拠点に戻らなければ。 と、霊体化したアサシンを連れて食料品店を冷やかしていた、その時だった。 「…だから、江戸前屋は今日はダメだって!」 戦争の気配など微塵も感じさせない、日常の象徴のような声と言葉。 だからこそ、私は怖気立った。 例えて言うなら、戦場の中に平然と立つ聖人君子を見たような、そんな気持ち悪さ。 あいつ、こんな場所で何をして…? 「何故だ!? 皇帝である余が、食べたいと申しておるのだぞ!」 聞こえると同時に、その方向から身を隠した。 顔を見ずとも、声の主はわかる。なにせ、昨日嫌というほど聞いた声。 七軒ほど先の店に、衛宮士郎と―― (…アサシン) (何だ) (あの左のは…昨日のセイバーよね?) 豪華絢爛の赤のドレス、じゃない。 現代風の洋服に身を窶した、金髪の少女がそこにいた。 聖杯戦争の知識が無ければ、いや、昨日の戦闘を見ていなければ、見逃していたかもしれない。 商店街の道行く人々も、日本語の流暢な外国人として見ているようだ。 (ふむ、なるほどな。ああしてこの時代の衣服を身につければ、好きに出歩ける訳か) (断じて許さないからね) それにしても、サーヴァントを実体化させて街を歩くなんて、何を考えているのか。 教会からマスターの権限を剥奪されても文句は言えない行為だ。 けれど、この偶然は好奇。 向こうはまだ、私たちに気が付いていない。 それどころか衛宮士郎は、私がマスターであることすら知らない。 倒すなら、今。 アサシンを霊体化させたまま、物陰から飛び出す。 息を切らし、何かに追われているように後ろを振り返りつつ、足をもつれさせて走る。 「…あれ、文月?」 釣れた。 衛宮の顔を確認し、躊躇する素振りを見せてから、耳元に口を寄せる。 「助けて…!」 可能な限りの悲痛な声。 演技力に自身は無かったけれど、それだけで彼の顔色が変わった。 相手のサーヴァントに気取られる前に、そのまま路地裏へと走り去る。 「あ、おい! 文月!?」 「ん? どうしたのだ、奏者よ」 後ろで走り出した二人分の足音を聞き、成功を確信する。 向かう先は港前の倉庫群。 あそこなら人の目はほとんどなく、日が沈むのを待たずとも戦闘が可能だ。 脚力強化の魔術をかけて、グンと引き離す。 「…やはりお主は風情に欠けるな」 「うるさい。勝ち方にこだわっているほど、余裕はないのよ」 騙し討ちに待ち伏せ。褒められた策ではない。 けれども、これも兵法。暗殺者の英霊にとっては真骨頂のはずだ。 不服そうにしていたアサシンも、太刀の鞘を払った。 ただでさえ、相手は最優のサーヴァントとされるセイバーを引き当てている。 …昨日の戦闘では、こちらの不安要素は微塵も感じられなかったけれど。 それに、あの偽善者が相手ならば、躊躇なく拳を振るうことが出来る。 魔力を重ねて掛け、拳を強化。弓をしならせるようにして、利き腕を引く。 足幅を大きく構えたスタンスは、一撃を穿つためだけに特化したもの。格闘技のような理に敵った戦闘姿勢からは遠いものだ。 腕を引いて、溜めて、溜めて、溜める。 この体は、拳という弾を打ちだすための強弓。 目を閉じて、耳だけを澄ます。 曲がり角の奥から近づいてくる足音で、リズムを取る。 たん、たん、たん、たん。 徐々に近づいてくる気配。直線で横切ってくるものにカウンターを合わせるなど容易いこと。 「おい、文つ――」 ――今!! 放つ、拳の弾丸。 風の唸る音とともに、現れた二人分の人影。 予想外の事態に数瞬遅れる反応。庇うように差し出された腕。 それでもダメージなど度外視して、腕の上から拳を叩きつけた。 「が――はッ!!」 「きゃあっ!」 一歩分後ろを走っていたセイバーごと、体を吹き飛ばす。 吹き飛んだ体はアクション映画のように宙を舞い、向かいのコンテナに叩きつけられた。 「……流石に、一撃では無理か」 手応えが、想定していたものよりも軽い。 殴られる寸前、走っていたせいで衛宮の体は浮いていた。衝撃を分散させてしまったのだ。 加えてあのセイバーが、コンテナに叩きつけられる瞬間に自らをクッションにして、マスターの体を支えていた。 意識ぐらいは奪えると思っていたのだけど。 「…なん、で…」 「ええい、何事だ、奏者よ!」 迅速に立ちあがったセイバーとは対照的に、衛宮は膝を屈している。 どのみち、半人前のマスターだ。 意識があったところで、此方の邪魔をすることなど出来ないだろう。 「…わざわざ助けに来てくれてありがとう、衛宮君」 「っ…文月、お前…」 「聖杯戦争のマスターよ。貴方と同じ、ね」 腕の令呪を示すと、彼の目にもようやく炎が灯った。 騙されて殴られたのに、ここでようやくか。随分鈍い男。 それにしても、まるで此方が悪者とでも言いたげな、その目は何だ。 気に食わない。 「アサシン、二人掛かりでセイバーを狙うわ」 「御意のままに」 自然体のまま、抜き身の刀の剣先を揺らめかせるアサシン。 牽制の左拳を前にして、斜に構える私。 左右から挟みこまれる形となって、セイバーは眉をしかめる。 昨日のように離脱する隙なんて、与えてなどやらない。 「セイバー…!」 「何、心配するな」 それでも優雅さを損なわないその気位は、流石といったところか。 虚空から大剣を取り出して、それを構える。 剣先が向くのは、最も背を向けてはならない暗殺者の英霊。必然、その背中は私に向ける形となる。 まあ、常道だろう。 注意を払うべきは魔術の行使に時間のかかる魔術師よりも、一撃で命を奪う攻撃力を持つ英霊の方だ。 アサシンというクラスを相手にするならば、それは尚更。 私が彼女の立場でも同じ選択をした、けれど。 たかがマスターと、ナメられたものだ。 「――『前進を許さず』(ノックバック、オン)」 魔術刻印を持たない私は、規模の大きな魔術を実戦で使うことが出来ない。 詠唱は最小限。 だから、その対価として一瞬だけ意識を手放す。 この身体の奥底に眠る、私自身の異常に触れるため。 脳髄から両腕に向けて走るのは、数本の特殊な魔術回路。 脈打つ灼熱のような魔力を、そこに流し込む。ドクン、ドクン、ドクン、と、鼓動に重ねて三度。 滾る神経は、蒸気機関。熱を徐々に掌の中へと押し上げていく。 魔力に魔力を重ね、歪ませた空間を更に魔力で覆い、掌握。 これは、力の濃縮。 握りしめた拳は紫電の光を走らせて、この世にあらざるモノと化す。 生身にて概念武装の域に辿り着く、神秘を宿した両の拳。 「なん、っ…!?」 傍観する衛宮士郎、振り返ったセイバー、そしてアサシンですらも、息をのむ。 濃く深く凝縮された魔力は、魔術を知るものならば目で見るだけでその異常を感じられるほど。 魔の字も知らなかった我が家から、偶発的に生まれたこの異常体のみが宿す神秘。 邁進する相手の歩を、圧倒的な火力で以て干渉し、力尽くで退き下がらせる。 『前進を許さず』。 それは、文月夏奈の起源の体現に他ならない。 ――さあ、退け 「…行きます」 踏み込む。 足に施した強化は有効、わずか二歩で敵との距離を詰める。 回避不可能と判断したか、大剣の刃を盾に身構えるセイバー。 しかし、 「ぐっ、うぁっ!!」 ガドン、と、音が咆える。 それは殴打の域を超えた攻撃、むしろ衝突と呼ぶ方が相応しい。 単純な腕力ではなく、接触の際に弾ける圧倒的な量の魔力。 ワンツーの要領で拳を放てば、打ち負けたセイバーが衝撃を殺せずに後ずさった。 ただの二撃で、開いた距離は三間半。 「…サーヴァント要らずだな」 「仕事しなさい、魔力泥棒」 やれやれ、と、体勢を崩したセイバーの背後から、すかさずアサシンが切りかかる。 長身痩躯、優雅に振りあげられた大上段が、これほど似合う武士もいないだろう。 ヒュ、と、風を切る。 音もなく振り下ろされる長刀。だが、寸でのところで防がれる。 更にカバーを入れるように、私がセイバーの死角へ。大剣を翳せば、その隙に今度はアサシンが背後に回る。 即席ながら前衛同士、なかなかの相性。 二人を相手に、雲行きを怪しくしたセイバーが距離を取った。 「くっ…二対一、分が悪いか」 零しながらも、セイバーは剣を構える姿勢を崩さない。 私からは大きく距離を取り、アサシンとの撃ち合いに喰らい付き、それでも自分のマスターからは意識を逸らさない。 アーチャー戦でも感じたが、彼女は護身が上手い。 二人掛かりといえど、守りに回った彼女を打ち崩すのは容易ではないだろう。 どうにも攻めあぐねていた印象が強いせいか、強力な英霊ではないだろうと判断していた。 その油断を、拭い去る。 彼女は昨日とて、あてもなく防御を重ねるだけの消耗戦に甘んじていたわけではない。 優勢だからと油断してはいけない。 まだ一度も、彼女は自分の手の内を晒していないのだから。 あるいは両刃の剣になりえるような強力すぎる宝具か、特定の条件下でのみ使用できるスキルか。 何にせよサーヴァントである以上は、切り札を隠しているはずだ。 隠しているのなら、使わせる前に仕留めるだけのこと。 「…アサシン。アレを使用しよう」 「心得た。一芸、披露仕る」 この両拳によって、セイバーは私にも注意を払わねばならない。 今や、どちらか片方に背を向けるなど、彼女にとっては愚行に等しい。 私とアサシンは対等、だからこそ。 摺り足で後ずさるアサシンを見て、彼女がそちらに攻め込むのは妥当な判断だった。 セイバーは大剣を構えなおす。 おそらく、これを好機と読んだのだろう。不動のアサシンに向け、振りかぶる。 「やぁあっ!!」 正面からの突進、大ぶりもいいところだ。 予想通り、攻め慣れてはいない。 攻めに転じている姿勢が一番無防備だとは、どこの勝負の世界でも常識。 剣一振りに生死を賭ける時代に生きた武士が、その隙を見逃す道理はない。 「――秘剣」 柄を隠すように背を向け、構えは穿刺。 特定の型を持たないはずのアサシンの剣術が、初めて構えを見せる。 それは佐々木小次郎を英霊たらしめる、必殺の対人魔剣。 魔術師ならざる身にして魔法に辿り着いた、彼のみが為し得る剣技。 最初話を聞いた時、私も開いた口が塞がらなかった。 彼――佐々木小次郎は宝具を持たない。 それだけでもサーヴァントとしては悪い意味では規格外だったが、 『ああ、宝具は持たぬ――が、魔法の剣はあるさ』 けっして、比喩ではない。 始まりは、暇つぶし。 飛ぶ燕を切り落とそうとして、ことごとく避けられ、躍起になった剣士がいた。 あろうことか、彼はその一撃を馬鹿みたいに磨き続け、やがて答えを得る。 一度に一つの斬撃しか放てぬから、燕雀如きに避けられるのだ、と。 多重次元屈折現象。 宝石翁の異名を取る、現存する魔法使いが至った第二魔法の極地に、彼もまた別の道から辿り着いた。 「燕返し」 「あ――なっ…!?」 三つの剣閃が、覆うようにセイバーに襲いかかる。 立ち止まって、咄嗟に足を引くも、尚遅い。 どれほど守りに長けていようが、防げる道理はない。 神速さえ越えた、同時の斬撃。 一瞬の決着。 断末魔を上げる暇すらないほどに、突然の終焉。 分身した刃は、為す術のないセイバーの体を、赤く切り裂いていた。 「……セイ、バー…?」 勝負は決した。 セイバーは剣を取り落とし、崩れ落ちる。 信じられない、信じたくない。まだ消えたくなかった。 彼女の瞳は、そう言っていた。 声に出さなかったのは、英霊としてのせめてもの矜持だろう。 「……すまない、シロウ…そなたは、」 「セイバー…!」 消えてゆく体。 現界も不可能となった彼女、その体を構成していた魔力が、聖杯に帰っていく。 最後に何かを告げかけて、その別れの言葉すらも許さずに。 響いた慟哭は、衛宮士郎のものだった。 二人の間には信頼が、絆があったのだろう。それが絶望で断ち切られる瞬間。見るだに辛い。 けれど、手を下したのは私だ。同情する権利なんてない。 私はあくまで、勝者として奮わねばならない。 「なんで、お前が…」 吹き飛ばされた場所から一歩も動かず、士郎は膝をついていた。 刀を納めずに待機するアサシン。 額に汗を浮かばせる衛宮士郎。 さすがに、相方ではなく自身の死を気遣わねばならない状況と気付いたようだ。 自分の状況をよく理解させて、そこで初めて私は魔術を解いた。 ふ、と軽くなる両の拳。 アサシンも倣い、刀を鞘に納める。 「…教会で、保護して貰うといいわ」 今回の戦闘で確信した。 衛宮士郎は、魔術師としては未熟者でしかない。 「貴方の残りの令呪を、聖杯戦争の参加権限を…殺してでも欲しがる輩はいるから」 勝者として、敗者への最低限の提言。 これ以上は言うこともない。彼を助ける道理も。 まだ何かを言いたそうな瞳に背を向けて、私はその場を立ち去った。 「…よかったのか」 生かしておいても、ということだろう。 令呪を以て聖杯戦争の参加を認められたマスターは、サーヴァントを失ったからと言って権利まで失う訳じゃない。 機会さえあれば、他のサーヴァントと契約を結び、いつでも戦争に戻って来られるのだ。 戦闘の後とは思えないほどに、アサシンは落ち着いていた。 切った切られたが当然のように横行していた時代の人間だ、騒ぐことでもないのだろう。 「…死体の処理は面倒なのよ。管理人を頼れない今は、余計に」 「随分とあの少年に執心しているように見えたが、私の気のせいだったか」 「やめて。考えるだけで怖気がする」 水平線の向こうに太陽が沈み、どんどん深くなる空の群青。 夜が来る。 正真正銘、殺し合いのための時間。 勝負が一瞬だった上に、アサシンの特性ゆえ、今日は魔力をほとんど消費していない。 一度拠点に戻り、そのまま冬木市を探索に出かけようか。 運がよければ、昨日の夜のように他のサーヴァントの情報を得られるかもしれない。