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桐乃 「ねぇ~、もう格闘ゲームばっかで飽きたー! 折角ゲーセン来たんだから何か他のもやろうよぉ」 黒猫 「飽きた、って……。 自分でやり始めたくせに、勝てない相手が出てきた途端私にプレイを押し付けた人が何を言っているの。 ……私はあなたのお助けキャラでは無いのよ?」 桐乃 「それは、その……あ、あんたの数少ない特技を生かしてあげようっていう、このアタシの心遣いだって!」 黒猫 「大きなお世話よ、まったく。……それで? 次は何をやりたいのよ」 桐乃 「んー、あ、コレやろ、コレ!」 黒猫 「コレ、って……、か、カップル専用プリクラですって……? ……あなたまさか、この私にそんな劣情を……」 桐乃 「ち、違うって! ここのフレームが可愛いんだってば!」 黒猫 「……大体、カップル専用と銘打っているものを女の子二人で使っていいものなのかしら……」 桐乃 「別にいいんじゃん? 何か言われたら『あたしたちカップルです!』って言えばいいし」 黒猫 「……お、おぞましいことを言わないで頂戴」 桐乃 「えー、そんなこと言って、あんただって同人誌で百合とか描いてるくせにィ?」 黒猫 「二次元と三次元を一緒にしないで、ってあなたがいつも言ってる台詞でしょう……っ」 桐乃 「まぁいいじゃん。ささ、入った入った~」 黒猫 「これは……、撮った写真に文字が書き込めるのね」 桐乃 「あんたこういうの初めて? まぁそうだろうねぇ~、にやにや」 黒猫 「う、うるさいわね。私は“組織”に追われる身なのだから、やたらに記録を残すような真似が出来ないのよ」 桐乃 「ハイハイ、いつもの乙。そんじゃ、あたしが書いてあげる。……邪鬼眼、厨二病、っと」 黒猫 「っな……クッ……この、何を好き勝手に書いているの……っ。貸しなさい……っ」 桐乃 「ちょっ、何よブラコンって! アタシはそんなんじゃないし! アイツと一緒にすんなっての!」 黒猫 「あら、そうだったかしら? ……それなら、額に『兄専用』とでも書いてあげましょう」 桐乃 「んなっ、ちょ、マジで書く気!? わ、分かった、もうコレでいい! 決定ッ、決定ボタンっ!」 ピローン 黒猫 「はぁはぁはぁ……、何故プリクラ一つでこんなに疲れないといけないのよ……」 桐乃 「こ、こっちの台詞だってのっ! ――ハイ、これ半分、アンタの分。……それ、アイツに見せたら殺すからね?」 黒猫 「フッ……、まぁいいでしょう。……人目に付かない様、しっかり“封印”しておいてあげるわ」
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通常任務(難易度7~8) ミッション概要 一覧難易度7 難易度8 メモ ミッション概要 単体...討伐対象が、1体のみのミッション。 (討伐対象以外の敵が出ることもある) 同時...討伐対象が、複数のアラガミのミッション。全ての討伐対象が最初から出現している。 連続...最初から出現している討伐対象を倒すと、次の対象が出現するミッション。 増援...一定条件を満たすか、出現した敵を全滅させれば次の討伐対象が出現するミッション。 時限...一定時間経過でクリア条件を満たすミッション。 特殊...その他特殊なクリア条件のミッション。 下線がついているのは討伐対象のアラガミ(全て倒せばミッションクリア)を示す。 討伐系統が連続及び増援の場合は、上から書いてある順に出現する。 一覧 難易度7 制限時間40分、スタングレネード持込数8個 種別 ミッション名 フィールド アラガミ 報酬 討伐系統 備考 通常任務難易度6「全てをひとつに」クリア後 STORY74 樹氷花園 黎明の亡都 プリティヴィ・マータオウガテイル堕天x2コクーンメイデン堕天(氷)x2 女王骨女王氷鎧3850fc 同時 いずれかのアラガミを1体倒すとコクーンメイデン堕天(氷)2体目出現 「樹氷花園」クリア後 FREE ディープ・レッド 煉獄の地下街 セクメトコクーンメイデンx2ボルグ・カムラン堕天(火)クアドリガ 戦王重装甲禁鳥翼節7700fc 連続 セクメトを倒すとボルグ・カムラン堕天(火)出現その1分後にクアドリガ出現 STORY ロトン・ブレイド 鎮魂の廃寺 暴走神機兵・大剣型ヤクシャx2ザイゴートx2(+1) 夜叉瓦虚兵脚甲7700fc 同時 いずれかのアラガミを1体倒すとザイゴート3体目出現 STORY75 孤島の実験場 エイジス コンゴウシユウ 鳥神大翼猿神骨5775fc 連続 初回の同行者は一部固定(ソーマ+0~2名)クリア後ソーマのキャラエピソード開放 「孤島の実験場」クリア後 STORY76 気紛れな皇女 鉄塔の森 ハガンコンゴウ×2ニュクス・アルヴァ 禁猿大骨聖母大翼7700fc 増援 30秒後に非討伐対象のニュクス・アルヴァ出現倒してクリアすればトロフィーを獲得できる3分後にハガンコンゴウ2体目出現 FREE 地火帝国の魔女 煉獄の地下街 サリエル堕天グボロ・グボロドレッドパイクx2 龍種大鱗魔女翼5775fc 同時 FREE ブラック・ナイト 愚者の空母 スサノオナイトホロウx2コクーンメイデン堕天(雷)x2 神蝕皇ノ鎧神蝕皇ノ刃3850fc 単体 2分後にナイトホロウ、コクーンメイデン堕天(雷)出現 FREE 野獣の饗宴 贖罪の街 シユウ堕天コンゴウ堕天グボロ・グボロ堕天(火)ウコンバサラ 餓爬裂牙龍種大鱗9625fc 同時 「気紛れな皇女」クリア後 STORY77 歪なる複眼 嘆きの平原 ウロヴォロス堕天 混沌神糸堕天鋼鎧3850fc 単体 FREE トワイライト・ブルー 愚者の空母 クアドリガ堕天ザイゴート堕天(火)x2ザイゴート堕天(氷)x2ラーヴァナ 戦王装甲焔獣硬殻5775fc 増援 2分後にラーヴァナ出現 FREE 奈落の火竜 煉獄の地下街 ハンニバルセクメトシユウ 鳥神大翼真竜兜7700fc 増援 1分後にセクメト、シユウ出現 FREE グレイブヤード 贖罪の街 コンゴウ堕天コンゴウヴァジュラテイル(火)x無限 猿神骨猿神太鼓5775fc 同時 キャラエピソード用ミッション(難易度7) キャラクターエピソードでのみ受けられる特別なミッション。 初回はアリサとの2人で挑むことになる。 1度クリアすると自由なメンバーでカウンターから何度でも受けられるようになる。 制限時間40分、スタングレネード持込数8個 種別 ミッション名 フィールド アラガミ 報酬 討伐系統 備考 STORY クイーンズ・ガンビット 蒼氷の峡谷 デミウルゴスオウガテイル堕天x2ザイゴートx2 闇神ノ鎧闇神ノ双角3850fc 単体 アリサEpisode6いずれかのアラガミを1体倒すとザイゴート2体目出現 難易度8 制限時間40分、スタングレネード持込数8個 種別 ミッション名 フィールド アラガミ 報酬 討伐系統 備考 通常任務難易度7「歪なる複眼」クリア後 STORY78 破壊者の庭 黎明の亡都 ヤクシャ・ラージャドレッドパイクx3テスカトリポカ 夜叉連瓦禁王紋装甲6600fc 増援 ヤクシャ・ラージャかドレッドパイク1体を倒すと1分後以降にテスカトリポカ出現 FREE 雷帝 創痕の防壁 ディアウス・ピターオウガテイル堕天ヴァジュラテイル(火)ヴァジュラテイル(雷) 帝王黒毛帝王大翼4400fc 単体 FREE 黒き因徒 神機兵保管庫 ウロヴォロス 混沌神苔混沌鋼鎧4400fc 単体 FREE ファニー・インダストリ 鉄塔の森 ボルグ・カムラン堕天(雷)セクメト 騎士鉄尾片禁鳥翼節6600fc 同時 FREE 黒焔臥龍 嘆きの平原 グボロ・グボロ堕天(氷)x2ハガンコンゴウx2ハンニバル侵喰種 龍種大鱗禁猿大骨13200fc 連続 グボロ・グボロ堕天(氷)、ハガンコンゴウ全滅でハンニバル侵喰種出現 「破壊者の庭」クリア後 STORY79 踊躍歓喜 創痕の防壁 ハンニバルオウガテイルx2カバラ・カバラ 祭祀袖鎧真竜兜6600fc 増援 1分後にカバラ・カバラ出現 FREE 死麗蝶 鉄塔の森 サリエルザイゴートx2イェン・ツィーチョウワンx無限 女神翼女神華羽衣4400fc 同時 1分後に非討伐対象のイェン・ツィー出現 FREE ドライ・リッター 愚者の空母 ボルグ・カムランボルグ・カムラン堕天(火)ボルグ・カムラン堕天(雷) 騎士鉄尾片騎士上鎧8800fc 増援 3分後にボルグ・カムラン堕天(火)出現5分後にボルグ・カムラン堕天(雷)出現(同時出現数は2体まで) FREE 雷氷瀑布 蒼氷の峡谷 ヴァジュラデミウルゴス 獣神雷毛獣神雷翼6600fc 同時 「踊躍歓喜」クリア後 STORY80 ムーン・ソング 嘆きの平原 ツクヨミザイゴート堕天(雷)x2コクーンメイデン堕天(雷)x2 雷砲体妖精長棘4400fc 同時 FREE 虚像 嘆きの平原 零號神機兵コクーンメイデンx3 虚神強靭維虚神魔装4400fc 単体 FREE 黄昏の機兵 愚者の空母 暴走神機兵・大剣型暴走神機兵・長刀型グボロ・グボロ黄金コクーンメイデン堕天(火)コクーンメイデン堕天(氷) 虚兵脚甲虚兵兜6600fc 同時 FREE 影狼 黎明の亡都 シユウ堕天シユウガルムザイゴート堕天(氷)x4 鳥神大翼魔狼筋装甲8800fc 増援 1分後にガルム出現シユウ堕天、シユウを倒すとそれぞれザイゴート堕天(氷)x2出現 「ムーン・ソング」クリア後 STORY81 白面金狐 黎明の亡都 キュウビ 天狐ノ羽衣天狐ノ刀髪4400fc 単体 初回の同行者は完全固定(リンドウ+アリサ+ソーマ)クリア後リンドウのキャラエピソード開放 メモ ここは質問・交流用コメント欄ではありません。編集に関する話題以外は禁止します。 難易度7、孤島の実験場はSTORYのはずです間違いなのであればどなたか編集をお願いします - 名無しさん 2013-11-22 00 19 24 孤島の実験場wo - 名無しさん 2013-11-23 23 04 45 難易度8のドライリッター、雷氷瀑布は破壊者の庭の後に解放されているはずですよ。 - 名無しさん 2013-11-24 17 19 44 難易度7の灼々たる弾雨はRBの方なのでは?GE2で何度確認しても見当たりません。ver.は1.41です - 名無しさん 2015-03-19 11 32 55 名前
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三人は時間が過ぎるのも忘れて街を見て回った。 ダイは主従と過ごす正体を明かすまでの一時を楽しむことに決めた。 自らの存在を捨てる覚悟で守り抜いた世界は徐々に大戦の傷を癒しつつある。 これから先どんな敵が現れても、平和を守るためならば彼は幾度でも激戦に身を投じるだろう。 人々の笑顔が胸の内に火を灯したかのように、ダイも微笑を浮かべた。 イルミナは嬉しそうな少年を興味深げに見つめている。 彼女も今は地上観光を楽しむことにしたらしい。商店などにももちろん関心を示しているが、一番心を惹かれるのは太陽と太陽が照らす世界の姿のようだ。 ダイにつられたかのように満足気に笑っている。 夜になり、酒場に入った彼女は酒を注文し、運ばれて来るやいなや素晴らしい勢いで飲みはじめた。 「お酒、強いんだね」 「遺伝らしい」 ほろ酔い気分の彼女は嬉しそうに短く答えた。 周囲で飲んでいる客を観察し、酒で勢いをつけたかのように声をかける。 「世界を救った勇者が行方不明だと聞いたが、まだ見つかっていないのか?」 「ちょっと、いきなり何言って……!」 その勇者本人であるとは言えず、ダイは口をぱくぱく開閉させた。変装しているためばれてはいないが、簡単なものだからいつ露見するかわからない。 自分が話している相手が勇者だと知らない彼女は低い声で囁き返した。 「父は言っていた。苦しい時は力ある者にすがり、平和になれば掌を返すのが人間だと」 勇者が失踪した現在の状況で人々の本心を聞こうとしているらしい。 中性的な声の持ち主に視線を向けた男は嘆息を漏らした。 「ああ。ボウズくらいの年齢だってのに不憫だよな。早く帰ってきてほしいぜ」 ダイがきまり悪そうに視線を彷徨わせ、頬をかく。心配をかけて申し訳ない気持ちと、気遣ってもらえて嬉しい気持ちがまじりあい、どうにもくすぐったい。 「どうして戻ってこないんだろうな?」 疑問に答えたのは別の男だった。 「オレは……正直怖えよ。大魔王を倒したんだろ?」 気弱そうな男の視線は頼りなく彷徨い、おどおどしている。 もしその力が自分たちに向けられれば、抵抗など紙屑のようにあっけなく消し飛んでしまう。 「人間じゃないって聞いたし、このまま――」 近くにいる青年も言葉を濁している。 そこから先は聞かなくてもわかる。 ダイは唇を噛んでうつむいた。 世界が平和になれば勇者は用済みになるのか。愛する世界に居場所はなくなるのだろうか。 イルミナが予想通りと言いたげに鼻を鳴らした。誰のために戦ったかも忘れ、都合のいいことを言う人間を軽蔑している。 彼女にとって勇者は敵だが、大魔王をも超える強さを持っていることに関しては敬意を抱いていた。 少年の胸に立ち込めた暗雲をはらったのは別の声だった。 「オレたちのために命をかけて戦ったのに、何て言い草だよ」 擁護に賛同の声が上がった。 「怖いからって大事なことを忘れる人間の方がよっぽど恐ろしいぜ」 同調するように若い女が幾度も頷く。興奮に目を輝かせている。 「救世主の役割背負って、見事に果たしたのよ? あの子が味わわないで誰が平和を味わうって言うの?」 「もしまた世界が危機にさらされても――頼らなくていいようにオレたちが踏ん張らないとな」 戦士らしき風体の男はぐっと腕を曲げ、力こぶを作った。決意を秘めた眼差しで剣に触れる。 「自分は何もしないで理想押し付けて、勝ったら“信じてた”、負けたら“だまされた”なんて態度変える連中にはなりたくねえよ」 自分たちの住まう世界は、自分たちの手で守る。未来は自ら掴み取る。 そんな思いが伝わってくる。 イルミナは意外そうに彼らの姿を眺め、呟きを漏らした。 「……人間にも様々な考えの持ち主がいるようだ」 「いい人もいればいやなやつもいるよ。たぶん、人間も魔族も」 明るい笑みを浮かべたダイに向かって魔族は深く頷いた。 「かもしれん。何をもって“いいやつ”とするかは異なってくるだろうがな」 シャドーはそう語る彼女を心配そうに見つめていた。 やがてシャドーが宿泊の手続きを済ませたため彼らは宿に入った。 世をしのぶ貴族のような長身の人物とその従者と思われる男、そしてまだ幼い少年という珍しい組み合わせに主人は目を丸くした。 商売根性によって間に立ち直り、にこやかに尋ねる。 「兄さん、ご家族と旅行ですか?」 「私は女だ」 「そ、それはっ!? 大変失礼いたしました!」 目が飛び出そうな驚愕とともに平謝りする主人に対して彼女は怒らなかった。それどころか、慌てた顔を面白いと思ったらしく笑っている。 部屋へ向かう背を見送った主人は顎に手をかけ、首をかしげた。 「あの少年、どこかで見たような?」 見覚えがあると思われていることも知らず、ダイは難しい顔をしていた。 いつまでも正体を隠しているわけにはいかない。 どのように話を切り出すべきか。戦いを避けることはできないか。 考えても考えても結論は出てこない。 浮かぶのは頼もしい仲間たちの顔だ。 (こんなとき、ポップやアバン先生なら――) 明日、彼らの元へ行って全てを話そう。 自分一人で正しい答えが出せなくても、皆と一緒に考えれば望ましい形が見えてくるかもしれない。 そう結論づけて早々と寝床にもぐりこんだダイを眺め、イルミナは持ち込んだ酒瓶の栓を開けた。寝息が聞こえてきたため声量を抑えて口を開く。 「鬼眼が使えないのは、相応しくないからだろうか」 黒い布に触れる彼女の顔は暗い。 鬼眼を持つ者は他の魔族に比べると魔力が高い。だが、彼女の場合、鬼眼の力が解放されていないためか一般の魔族とそう変わらない。 火炎呪文が得意だが、大魔王のように他者と圧倒的な差をつけているわけではない。 「なぜ私はこの眼をもって生まれてきた……? この力は何のためにある」 シャドーは返答に窮している。 鬼眼の力が発揮できないのも、絶大な力を手にしていないのも、時機が訪れていないだけという印象を抱いているが、悩んでいる本人に言うのはためらわれる。 魔族たちが部下になるのを選ばなかったのも、まだ若く未熟だからだ。 鍛錬を重ね、経験を積み、成長すれば違うだろうが、少々素質に恵まれている程度ではどうにもならない壁がある。 「……思い悩む前に力をつけるべきだな」 ひとまず結論を出した彼女は拳を握り締めた。 尊敬する存在の大きさゆえに苦しむ気持ちはわかるだけに、シャドーは別の言葉を返すしかなかった。 「太陽をもたらすには地上を消滅させねばなりません。しかし、あなた様は――」 「知りもしないで偉そうなことを言っていた」 当初は偉大な父が掲げた理想だから、という意識が強かった。 伴う重さを自覚しておらず、地上や人間のことを何も知らないまま口にしていた。 人間とは、神々の力によって守られていることを知りもせずきれいごとを唱える口先だけの連中、異なる存在は疎み排除しようとする狭量な輩ばかりだと思い込んでいた。 すべて消し飛ぼうと心は痛まない、と。 だが、異なる世界と住人は彼女が思い描いていた姿とはだいぶ隔たっていた。 最大の目的は変わらないが、もっとよく知る必要がある。彼女はそう思い始めている。 甘いと言えるが、シャドーは非難しなかった。 「その小僧を気に入ったのですか?」 彼女は小さく頷いた。 「種族が違うというだけで疎むつもりはない。立派な強者になるだろうからな」 強者には敬意を払うのが大魔王の信条だった。 彼女もそうありたいと思っている。 「あなた様がそうおっしゃるのならば、こ奴の名を知りたいものです。ミスト様は尊敬する者の名を決して忘れませんでしたから」 「明日改めて聞けばよかろう。わざわざ起こさずともよい」 そう呟き、少年を眺めた彼女の顔は穏やかだ。 「不思議だ。なぜか父と似た空気を感じる……」 求めていた答えを知る鍵となる――そんな予感がする。 口元にわずかに笑みが浮かんでいることに本人も気づいていなかった。 やがてイルミナも眠りに落ち、シャドーは警護のため目を光らせていた。すでに人間を解放し、本体の姿に戻っている。 静かに佇んでいる影に声が響いた。 『……シャドーよ』 「ミ、ミスト様!?」 声は、影が忠誠を誓った相手――ミストバーンのものによく似ている。 声に誘われるようにして部屋から出、宿の外に赴いた影の前に黒眼の男が現れた。 しかも、二人。ほとんど同じ顔だ。 片方は混じりけのない黒髪だが、もう一人はところどころ金が混じっている。 「貴様は……!」 「てめえらが第三勢力って呼んでるヤツさ」 黒い髪の男に続いて金髪の方が口を開いた。 「俺はその分身体。よろしくな」 シャドーはすぐさま戦おうとしたが、現在器になりそうな人間が近くに見当たらない。男に直接向かって行っても攻撃されるだろう。 警戒を解きほぐすように第三勢力と分身体は両手を上げ、歯を輝かせながら笑いかけた。 「そう怒りなさんな。てめえを誘いにきたんだぜ。俺の部下になれって」 「ふざけるなッ!」 激高したシャドーから黒い霧が立ち上る。 「私の主はミスト様とイルミナ様だけだ!」 「ミスト? ……ああ、見上げた奴隷根性持ってる奴のことか」 「尻尾振る犬みてえだよな。なんで負けっぱなしの奴なんざ尊敬してたのかね」 分身体の言葉は火に油を注ぐ結果となった。 「ミスト様を侮辱するな! あの御方の忠誠心を――敬意を――貴様らごときが卑下する資格はない!」 叫びを聞いた分身体が鼻で笑い、第三勢力が頭をぼりぼりとかいた。黒い髪をかきまわしながら口元をゆがめる。 「忠誠心? 敬意? キレエなモン抱いてりゃ自分(てめえ)は醜くないって勘違いしたんじゃねーの? 汚え存在ってこたあ変わりゃしねえのによ」 「半端な奴が寄生虫を擁護すんのか。ピッタリだな」 あまりの怒りに言葉も出ないシャドーは第三勢力へ飛びかかった。迎撃を食らう覚悟で乗っ取ろうとしたのだ。 だが、相手に黒い手が触れた瞬間、動きが止まった。 「貴様の、正体は――」 「感謝しろや。死んだ奴の言いつけでお守役やらされてるてめえを解放してやるんだからよォ」 刹那、漆黒の波動が迸り影の身体を呑みこんだ。 翌朝、シャドーの姿が見えないことに気づいて二人は周辺を捜索した。 しかし地面にでも吸い込まれたかのように姿を現さない。 「何があった……!?」 イルミナは動揺も露に唇を噛み締めている。今まで自分を支えてきた、唯一の部下が行方不明になったのだ。大魔王ほど非情ではないため身を案じるのも無理はない。 ダイはしばしためらい、言葉を発した。 「仲間に言ってみる」 「仲間?」 天涯孤独の身だと思っていた彼女は意外そうに聞き返した。力を借りる相手がいたとは初耳である。 ダイはイルミナの手をとり、呪文を唱えた。 魔法を行使したことにイルミナは驚いている。ダイも、今まで紋章が出せず不調を覚えていただけに、無事呪文を使えたことに息を吐いた。 どこへ行けば仲間に会えるか、直感に近い嗅覚が告げている。 変装を解きながら懐かしい気配のもとへ行くと、ダイの剣の前に立っている者達がいた。彼らは皆物思いに耽り、背後の気配に気づかない。 「あのカールの人はアバン先生。女の子はレオナで、バンダナを巻いているのはポップ」 声を聞き、振り向いた彼らは少年の姿に目を見開いた。 待ち望んでいた瞬間の到来に、空気が一変した。 ポップの目にみるみるうちに涙が盛り上がる。彼は大きく口を開け、心から叫んだ。 親友の名を。 「ダイ!」 イルミナが凍りついたように歩み寄る動きを止めた。 年齢に似合わぬ落ち着きや身のこなしから覚えていた、拭いきれない違和感の正体がわかった。 すべてがつながっていく。沸騰する感情とともに。 「よかった、戻ってきたんだな! おまえが生命をかけて守った地上に!」 駆け寄り、ダイに抱きついて髪をわしゃわしゃとかき回した彼は傍らの人物に目をとめて素朴な疑問を口にした。 「その人が連れ帰ってくれたのか?」 礼を言いかけたポップの顔から血の気がさっと引いた。 アバンが目を光らせ、レオナが口元に手を当てる。 フードを取った顔を見たためだ。 ローブを勢いよく脱ぎ捨てた彼女は睨み殺しそうな眼光でダイを射る。 「貴様が……竜の騎士、ダイ」 喉の奥から声が絞り出された。 激情が炎となって燃え上がっているかのような、壮絶な鬼気が迸っている。 「貴様が――貴様が父を殺したのか」
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私ではなく、オレが殺す ◆/D9m1nBjFU 「以上が貴方が気絶している間に起こった出来事だ。 黒衣のバーサーカーはこちらに来ていないところを見ると別の目的地に向かったのだろうよ」 「……そうか。よく凌いでくれた、アーチャー」 日の落ちかけた夕刻。 多少休息を挟んだ今、切嗣はジョンス・リーとの戦闘で気絶してからこれまで起こった出来事を自分のサーヴァントに説明させていた。 「まさか、この序盤から反則的な再生力を持つサーヴァント二騎と続けて交戦する羽目になるとは思わなかったよ。 やはり二十八、合計五十六ものマスターとサーヴァントがいては余分な戦闘を避けるにも限度があるらしい」 「…確かにな、この序盤からここまでの消耗を負うことまでは想定できていなかった。 犬も歩けば棒に当たるとはまさにこのことだな」 元々楽観的に考えていたわけではなかったが、それでも細心の注意を払っていればそうそう戦闘に陥ることはないと思っていた。 だがその考えは間違っていた。(切嗣から見て)イレギュラーな参加者の多いこの戦争ではこれまでの切嗣の思考様式が通用しない。 わかっていたことだが敵を殺し尽くすよりも前に、この聖杯戦争に上手く適応できなければ生き残れないだろう。 とすると、今までは不要だと思っていたが他のマスターが抱く価値観を知るためにもそろそろ対外交渉も視野に入れるべきなのだろうか。 「まあいい。アーチャー、そろそろB-4に何らかの動きがある頃だろう。 適切な場所に陣取って偵察しろ。ただし絶対にこちらからは仕掛けるな。 漁夫の利を狙うにも消耗した今の僕らではリスクが大きすぎる」 「了解した。マスターはもうしばらく身体を休めておくといい」 だが今は目の前にある課題を一つずつこなすのが先決だろう。 まず一つはルーラーの通達にあったB-4の情勢を確認すること。 多くの陣営の思惑が入り乱れるこの状況下では少しでも多くの情報が欲しい。 同じ理由で暗示をかけたNPCからの成果報告も早めに受け取りたい。 が、そちらは自分の体調をもう少し回復させてからの方が良い。 街を歩けば何時敵マスターに出くわさないとも限らないのだから。 ◆ ◆ ◆ エミヤはB-4を監視するため新都エリアを越えB-6へと進入していた。 鷹の目を持つエミヤでも戦場になるかもしれないエリアを仔細に偵察しようと思えば新都からでは遠すぎる。 無論切嗣から大きく離れることになるがサーヴァントの脚力を以ってすればそう時間をかけずに戻ることは可能だ。 それに切嗣ならそうすぐに発見されるようなヘマはすまいという信頼もあった。 「さて、一口にB-4と言っても狭くはない範囲だが……」 手頃な高層ビルに飛び移り、偵察を始めようとした時、その異変は起こった。 B-4から発せられる、二つ分離れたエリアからでも知覚できる巨大な魔力。 マンションを突き破り、崩壊させながら現れる巨大なサーヴァント。 一目見ただけでわかる。あれこそは魔を総べる王、大魔王バーンの秘中の秘、最後の姿たる鬼眼王―――! 「これはまた、凄まじい大物が潜んでいたものだな」 通達にあった違反を犯した者とは間違いなくあの大魔王バーンだろう。 大魔王ほどの超級サーヴァントを支えようと思えば違反を犯してでも魔力を集めるしかあるまい。 自分達があれと関わらずに済んだのは間違いなく幸運なことだ。 とはいえいつまでも感嘆してばかりでもいられない。 あのマンション付近には確認できるだけで数体のサーヴァントが存在している。 鬼眼王との戦となればまず間違いなく手の内を隠したままではいられないだろう。 つまり、多くのサーヴァントの真名を知るまたとない絶好の機会だ。 さて、バーンを除けば現在確認できるサーヴァントの数は五。 どこかエミヤの知る「彼女」に近い雰囲気を持つ旗を持った少女。 つい先ほど交戦したばかりの黒衣のバーサーカー。 遠目からでもわかるほど存在の薄くなっている赤黒い忍装束の男。 今朝方一戦交えた竜の尾を持つランサーの少女。 そして刀を背負い銃を持った赤黒の全身タイツのサーヴァント。 マスター、ないしそれらしき人間は四人。 旗を持つサーヴァントの傍らにいる修道女らしき少女。 吹っ飛ばされたところを全身タイツのサーヴァントに助けられた黒髪の青年。 今朝方的確な判断を見せた学生服の少年。 そして少年に抱えられた――――――ツインテールの幼い少女。 (…………まさか) その容貌と意志の強さを感じさせる眼差しに覚えがありすぎるほどあった。 エミヤシロウが衛宮士郎だった頃の恩人であり魔術の師、遠坂凛。 まさか、あの幼い少女があの凛だというのか。 有り得ない、などと断言することはできない。何故ならエミヤのマスターは全盛期の衛宮切嗣だ。 であればエミヤが知るよりも幼い時代の遠坂凛がいたとして何の不思議があろうか。 狼狽しかけた自身を自覚し、すぐに戒めた。 あれが遠坂凛だとしても、エミヤがやるべき事は何も変わらない。 衛宮切嗣のサーヴァント、アーチャーとして為すべき事を為さなければ。 遠目からも目視できるほどの膨大な魔力を放つバーンが戦闘態勢に入りかけた時、旗を持った少女が制止をかけた。 その場の全員に対して何かを説き、バーンも何もせず成り行きを見守っている。 あの様子からすると旗を持った少女がルーラーで、修道女が監督役というところか。 「なるほど、この聖杯戦争のルーラーはそういうスタンスか」 宝具を行使しただけであれほどの破壊を撒き散らすバーンだ。ルーラーのスタンス次第ではそれだけで排除されてもおかしくはない。 しかしそうしないということは、あのルーラーは聖杯戦争への介入を必要最小限に留めようとしているということだ。 期せずしてルーラー陣営の方針を一方的に知ることができた事実は小さくない。 ルーラーが篭手を外し紋様が刻まれた素肌を翳して見せた。 間違いない、あれこそサーヴァントを律する令呪。 しかしサーヴァントにしか効果を発揮しない令呪のみでは裁定者としては片手落ち。 とすればルーラーもしくは監督役はマスターへも何らかの直接的なペナルティを与える手段を有していると考えられる。 安直に想像するならマスターから強制的に令呪を強奪する術だろうか。 やがて黒衣のバーサーカーはその場を離脱し、残る全員が臨戦態勢に入る。 直後にルーラーの腕から輝きが放たれ、膨大な魔力がバーンとバーサーカー以外の全サーヴァントを包み込んだ。 その場に集ったサーヴァントへのブーストを以ってバーンへの間接的なペナルティとするつもりか。 それから始まった戦いは、予想通り熾烈を極めた。 何せ相手は疑似的な神霊にまで存在を昇華させた鬼眼王。その暴威は筆舌に尽くし難い。 忍装束のサーヴァントやタイツのサーヴァントの手裏剣をものともせず体表のみで攻撃を弾き返す。 唯一、竜のランサーの強力な魔声らしき攻撃のみが有効な手立てとなっているようだった。 「………」 いくつか腑に落ちない点がある。 忍装束のサーヴァントの存在が絶えず弱まり続けている。マスターを失っているようだ。 マスター不在でありながらあれほど動けるとは本来の地力の高さが窺い知れるというものだが、それなら何故逃げない。 それにもう一つ、凛がランサーのマスターの手を握ったままサーヴァントへ指示する様子を一切見せない。 サーヴァントを失っているのならすぐに消去されているはずだ。そうならないということは何らかの方法でルールの穴を突いたのか? それにしても、自分には関係ないとわかっていてもああしてランサーのマスターと仲睦まじい様子を見ていると正体のわからない感情がこみ上げてくる。 戦況は次第にバーン有利へと傾いていく。 タイツのサーヴァントが踏みつぶされ忍装束のサーヴァントの体術もまるで意味を為さない。 唯一有効な攻撃手段を持つランサーが狙われた直後、復活したタイツのサーヴァントがバーンを攻撃し事なきを得た。 タイツのサーヴァントは何やら格闘ゲームの体力バーのようなものを持ち出しバーンに猛攻を仕掛けたがやはりさしたる効果はない。 この状況はやはり手詰まりか。「彼女」なら聖剣の一撃でバーンを薙ぎ払うこともできたかもしれないが。 いよいよ弱体化を極めた忍装束のサーヴァントは戦力外と見做されたかタイツのサーヴァントとランサーが主軸となって戦いを進めていく。 ややあって忍装束のサーヴァントが凛と距離を詰め何事か会話した後頭を下げた。 そしてしばらく後、再契約が行われたのか忍装束のサーヴァントの存在濃度が一気に回復した。 その際エミヤは凛の唇の動きを見逃さなかった。忍装束のサーヴァントは恐らくアサシンだ。 あの状況で自らの象徴たる剣や槍などを具現化させないところや軽業に秀でた動きも併せればほぼ確定といって良い。 高い適性を持つマスターを得たことでアサシンの力は飛躍的に増した。 さらに宝具を開帳したか魔力の質も変化した。アサシンの宝具はステータス向上に関わるものだったのだろう。 宝具を解放したアサシンの体術は対人宝具に近しいレベルの威力があるらしい。 バーンへ与えるダメージが目に見えて増大しているのがわかる。 さらに全身タイツのサーヴァントが仕掛けた爆弾が爆ぜバーンの巨体を支えていた地面が崩落した。 今こそ好機、と言わんばかりにアサシンと全身タイツのサーヴァントの一斉射撃でバーンの右腕を削っていく。 業を煮やしたバーンがガードを上げた次の瞬間、アサシンがより強力な手裏剣を投じるが振り下ろした拳であっさりと掻き消された。 当たり前だ、疑似神霊ともいえるバーンと強力とはいえ宝具ですらない手裏剣とでは存在の位階が違いすぎる。 反撃の蹴りを受けそうになったアサシンだが全身タイツのサーヴァントが投げたゲージのようなものが先に命中し吹き飛ばされた。 これによりバーンの狙いは外れ、その顔はエミヤにも見て取れるほど紅潮していっている。 明らかにアサシンと全身タイツのサーヴァントの目論見に乗せられている。 数えきれないほどの攻撃を浴び脆くなった一点目掛けランサーが疾風のように飛び込む。 それと全く同時に放たれたランサーのマスターの令呪によってランサーは更なるブーストを得た。 まさかこれほどサーヴァントと息を合わせられるマスターが存在するとは。 再び解放されたランサーの魔声。槍はサブウェポンなのだろうか。 装甲の内側、体内に届く振動波をまともに受けたバーンが苦悶の絶叫を上げた。 好機と見たかアサシンが力を溜め弱ったバーンへ突撃を仕掛けようとしていた。 だが、バーンの底力はこの程度で尽きることはなく敢えて左腕で右腕を切り落としこれ以上のダメージを防いだ。 切り落とした右腕はランサーと全身タイツのサーヴァント目掛けて蹴り、二人を諸共に吹き飛ばした。 そして盤石の態勢で飛び蹴りを仕掛けたアサシンを拳で返り討ちにした。 アサシンは凛とランサーのマスターの下へ吹き飛ばされた。 吹き飛び方とぐったりとした様子から意識を飛ばされたらしい。 さらに主力であったランサーは魔力を消耗したか膝をつき、全身タイツのサーヴァント単騎では最初からバーンの相手にはならない。 万策尽きたか、と思えたその時アサシンが不意に凛の首筋に手を伸ばした。 その動きにエミヤは対処が遅れた。アサシンのあらゆる挙動が彼の予想を裏切っていたからだ。 明らかに意識を失っていたはずにも関わらず、目の前のバーンではなく凛に矛先を向けたことも。 首筋を掴んだだけで急激に魔力を収奪していることも、再契約から十分と経たずに現界の楔たるマスターを裏切ったことも。 エミヤの虚を突き初動を遅れさせるには十分すぎた。 「………!!」 偵察を第一としていたエミヤは無手の状態で戦況を見守っていた。 ここから戦場へ一矢を撃ち込むにはまず弓と矢を投影し、狙いを定め引き絞る所作が必要だ。 それに対しアサシン、ナラクの魂喰いは極めて迅速だった。そもそもが銃を持つデッドプールがすぐ近くにいたにも関わらず阻止できなかったのだ。 アーチャーとはいえエリア二つ分も離れた場所にいるエミヤが割り込める隙など存在するはずがなかった。 もっとも割り込めた場合、遠距離から一方的に攻撃を撃ち込む介入者として多くのチームに敵視されていただろうが。 弓と矢を出現させた時点で既に事は終わり、遠坂凛は魔力の粒子となり消え去っていた。 それから始まったのはアサシンの独壇場だった。 先ほどよりも尚強大な魔力を漲らせ独力でバーンに挑んだ。 信じがたいことに放たれる手裏剣は黒い炎に包まれバーンの分厚い皮膚を破った。 さらに怒り狂ったバーンの反撃を悉く躱し痛撃を加えていく。まるで別人のような動きだ。 バーンの拳を受けても先ほど以上の頑強さがあるのか耐え抜き、赤黒い鎖をバーンの身体に突き刺し自身も一気にそこに取りついた。 魔力で鋭利な刃のついた指輪を形成すると瞬時に百近い拳を繰り出しバーンの表皮を削っていく。 たまらずバーンが掌を叩きつけようとするも紙一重で躱され再び射出した鎖がバーンの体内から一人の人間を引きずり出した。 アサシンはバーンのマスターである可能性が高い男を抱え、ランサーと全身タイツのサーヴァントを利用しバーンから距離を取る。 しばらくしてバーンがアサシンに追いついた瞬間、赤い光が走りバーンの巨体が停止した。 対照的にアサシンはますます力が漲っているように見えた。 令呪で契約サーヴァントを変更させたのだろう。ここに勝敗は決した。 決まりきった結果を敢えて語る必要は無い。 マスターをも失った大魔王はアサシンの手によって屈辱的な消滅を迎えた。 アサシンは消耗したランサーと全身タイツのサーヴァントにも襲い掛かろうとしたが、何故か途中で思い止まったらしく新たなマスターを連れて闇へ消えて行った。 それを見届けたエミヤはマスターである切嗣と念話を繋いだ。 『マスター、やはりB #65293;4で大きな戦闘があった。 通達で警告されていたと思われるサーヴァントの脱落を確認した他、かなりの情報を得られたよ』 『そうか。ならこちらに合流しつつ、詳細を話してくれ。 やるべき事は多く、時間の余裕はあまりないからな』 『了解した』 ◆ ◆ ◆ 「…報告は以上だ、マスター」 「わかった、ひとまずは情報を整理しよう。まずはルーラー陣営についてだ」 切嗣のいるビルに戻ってくるまでの間にエミヤはB-4の戦闘の結果の多くを話していた。 そして最後の顛末までを話し終えた今必要なのは得た情報を整理し次に繋げることだった。 何しろ今後の方針に影響しかねない要素がいくつもある。 「ルーラーが持つ特権の一つが令呪であることが確実なものとなった。 また、ルーラーは極力自らが聖杯戦争に手を出すことを避ける主義なのだろう。 鬼眼王バーンが齎す破壊を承知しながら戦闘を許したことがその証左だ」 「つまり、ルーラーは当初考えていたほど厳罰主義者ではない、ということか」 「その認識で間違いあるまい。だが裁定者ならサーヴァントだけでなくマスターにもペナルティを与える何らかの方法は持っているだろう。 ルール違反を犯すなら細心の注意を払っておくに越したことはない」 既に一画令呪を使ってしまった切嗣にとってルーラーの令呪はいっそう脅威となった。 やはり目をつけられるような真似は慎まねばなるまい。 万一自害命令など出されてはもはや抵抗することもできないのだから。 「次にB-4に集まったサーヴァントについてだ。 黒衣のバーサーカーはすぐにその場を立ち去ったのでひとまず置いておこう。 全身を赤黒いタイツで覆った銃や爆薬を使うサーヴァントは武器の特徴から近現代の英霊と考えられる。 また妙な形状の棒を武器にする他高い再生能力も備えているようだ」 「こうも再生能力の高いサーヴァントばかり参戦するとはな」 「案ずるなマスター。既に対抗策はいくつか考えてある。 自然ならざる再生力を武器とするならそれを封じてしまえば良い。 幸い私はそういった不死殺しに向いた武器をいくつか持ち合わせている」 英霊エミヤの固有結界「無限の剣製」には千を超える武具が貯蔵されている。 彼の剣の丘には強力な概念武装も当然存在しており、不死性を持つ者に有効なものもある。 事前に能力さえわかっていればそういった武器を取り出して対処することができる。 というより、エミヤはそうしなければ勝ち残れないサーヴァントなのだ。 「次に今朝にも戦った竜のランサー。こちらは声、音波を武器として攻撃する手段を有しているようだ。 外見と併せて判断すると竜の血ないし因子の恩恵によるものと考えるのが妥当だ」 「だとすれば、有効なのは竜殺しの概念武装か。アーチャー、持っているか?」 「無論だ。しかしマスターの方の戦術眼と判断力は脅威だ。 貴方ならそう遅れは取らないだろうが十分に注意しておいた方が良い。万が一も有り得る」 「お前がそこまで言うほどか。わかった、大いに警戒しておこう」 ランサー自身に関する情報は大分出揃ったが厄介なのはマスターの少年だ。 こちらの思いもよらぬ一手を指し込む可能性は否定できるものではない。 「そういえば、途中でアサシンと契約し裏切られて脱落したマスターがいるという話だったな。どう見る?」 「…………あの少女のマスターは竜のランサーと何らかの形で契約を結んでいたのかもしれん。 あの状況で自分のサーヴァントを呼ばぬ理由がないし、サーヴァントが脱落していて生き残れるならそれぐらいしか方法はないだろうな」 「なるほどな。方舟の定めたルールにも穴はあるというわけか。まあそれは後で考えれば良いことだ。 現状僕らにとって最大の問題は裏切りを行ったアサシンの方だ」 そう、今の切嗣とエミヤにとって最も巨大な障害がアサシン(ニンジャスレイヤー)だった。 本来直接的な戦闘を苦手とするアサシンでありながら規格外の戦闘能力を誇っている。 地力の低さを戦術・戦略でカバーする彼らにとっては天敵にも等しい。 「ああ、好条件が重なったとはいえ鬼眼王を討ち取る実力に恐らく単独行動のスキルも持ち合わせている。 何より強力なマスターに乗り換えるための裏切りに何の躊躇も持たず、裏切りを達成するための演技力もあると見える」 切嗣とエミヤは得られた情報からニンジャスレイヤーが置かれていた状況を以下のように推察した。 まず前提としてB-4での戦闘が始まる以前の時点でマスターを最低一人以上失っており、単独行動状態にあった。 また、大魔王バーンとそのマスターについて知っており、元々再契約を狙っていた。事前にランサー主従らを抱き込んでいたことも考えられる。 しかし鬼眼王に予想以上に苦戦したためバーンのマスター(足立)に乗り換えるまでの繋ぎとして少女のマスター(凛)と一時再契約した。 その後「再契約した直後の戦闘中に裏切るはずがない」という心理を巧みに利用し抵抗を許さず魔力を絞り取り少女のマスター(凛)を殺害。 この手際の良さを鑑みると気絶したかに見えたのも、断定はできないが演技であった可能性がある。 そして奥の手と思われる宝具を解放するとバーンのマスターを攫い再契約しバーンを排除した。 切嗣をして戦慄を覚えるほどの手段の選ばなさ、狡猾さと拙速さである。 「わかっているとは思うがマスター、奴を利用できるなどとは考えていないだろうな?」 「まさか。確かに僕は組むなら手段を選ばず合理性を持った者の方が良いと思っている。 だが限度というものがある。話に聞く限りアサシンはあまりにも裏切りに対して躊躇がなさすぎる。 同盟を組もうにも最低限の信用さえ置けないサーヴァントなんて論外だ」 「ならば良い。あのアサシンは反骨の相のスキルを持っている可能性もあるからな。 それでも雑魚なら泳がせておく手もあるのだろうが、奴はあまりにも強力で有能に過ぎる」 「そのようだな。ここは一度方針を転換してアサシンの排除を最優先にする。 それから、向こうがお前の監視に気づいたということは?」 「それはあるまい。何しろ全員の意識が鬼眼王に向いていたからな。 予め監視を予想することはできても私の姿を確認することは不可能だ」 切嗣は自身が暗殺者であるからこそ地力の高さを備えた同位の存在が如何に脅威的かが理解できる。 音もなく近づきサーヴァントの守護すら圧殺するアサシンなど悪夢でしかない。 死徒かもしれないサーヴァントを超えて優先するべきターゲットだ。 「最大の問題は奴の単独行動能力だ。あのアサシンに対してはマスター殺しが有効な攻撃ではあっても決定打になり得ない。 無論マスターを捜索しておくに越したことはないが、最終的にはアサシン自身を確実に葬る必要がある」 「アーチャー、お前はあのアサシンに勝てるか?」 「残念ながら私一人では厳しいな。奴をマスター不在の状態に追い込んでようやく互角かそれ以下というところだろうよ。 狙撃できる状況ならその限りではないが相手がアサシンとあっては探し出すことさえ困難だ。 こうなると、打つ手は非常に限られる」 エミヤが何を言わんとしているかは切嗣にもわかる。 ニンジャスレイヤーを確実に葬るためには他のマスターを巻き込んでの包囲戦を仕掛けるしかない。 幸いにも「次々とマスターを乗り換える強力なアサシンの排除」という他のマスターも無視できない大義名分がある。 この情報を拡散するだけでもアサシンを孤立させる可能性が上がるのだからむしろやらない理由がない。 それにB #65293;4の情報を入手したのがまさか自分達だけということはあるまい。他の陣営も何らかの手段で戦場を覗き見た可能性は極めて高い。 つまり「アサシン(ニンジャスレイヤー)が脅威である」という認識は他の多くのマスターと共有できるということだ。 「やはり、同盟ないし休戦協定を結ぶしかないか。 だが今はまずNPCからの成果報告を受けておこう。予定より遅くなったが急げば間に合うだろう」 「承知した、確かに情報が十分に揃わないまま動くのは危険すぎる。 だが気をつけてくれ、夜になれば好戦的なマスターも活発に動き出すことは間違いない」 (アサシン、貴様は勝つために、少なくとも戦術的には正しい行動を取った。 凛を殺したのだとしても切嗣のサーヴァントであるオレにそれを咎める資格はない。 だが、お前はたった一つだけ大きなミスを犯した) エミヤはアサシンの行動が合理的な判断の下行われたものであることを悟っていた。 凛がルールの穴を突いてサーヴァント不在でも生き残れる状況下にあるのならいずれ使い捨てにされるという懸念を抱いたとしてもおかしいことは何もない。 そうなる前に魔力を奪うだけ奪い殺すのは一見して完璧で無駄のない戦略に思える。 が、一つだけ大きな穴がある。 (それは衆目の目が集まりやすいあの場、あの瞬間に裏切りを働き大魔王を手ずから討ち取ったことだ。 そんなサーヴァントが第三者の目にどう映るかなど自明の理。 不特定多数の人間に恐れられ、信用されず、目の敵にされることが聖杯戦争でどれだけ命取りになるか理解できているか? 我道、理不尽を良しとし傍若無人に振る舞う輩は必ず大衆の定めた道理によって裁かれるんだよ) それはかつて正義の味方になることを夢見たとある愚か者が辿った末路でもある。 人の道から外れた行為を周りの目も憚らずに行うのはそれだけ潜在的なリスクが高いのだ。 マスターの鞍替えは決して禁じられた行為ではないが、奨励されてもいないのだ。 (恨むなら自らの拙速さを恨むが良い。お前が作った瑕疵は遠慮なく突かせてもらう) 顔には決して出さぬよう内心でのみアサシンへの罵倒を吐き捨てる。 元よりエミヤに遠坂凛を救う手立てなどなかった。何故なら彼は衛宮切嗣のサーヴァントだからだ。 半ば偶然に凛と再契約しただけのアサシンに恨みをぶつけるのは筋違いだと了解しているし納得もしている。 しかしそれを理解していてなお、無力な自分自身への怒りだけは収めるのに今しばらくの時間が必要だった。 【C-8(北)/ビル応接室/一日目 夜間】 【衛宮切嗣@Fate/Zero】 [状態]毛細血管断裂(中)、腹部にダメージ(中)、魔力消費(小) [令呪]残り二角 [装備]キャリコ、コンテンダー、起源弾 [道具]地図(借り物) [所持金]豊富、ただし今所持しているのは資材調達に必要な分+α [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を勝ち取り、恒久的な平和の実現を 1.暗示をかけたNPCに連絡を取り、報告を受ける。 2.アサシン(ニンジャスレイヤー)打倒に向け他のマスターに同盟、休戦を打診する。またこの際アサシン(ニンジャスレイヤー)の悪評を広めておく。 3. 使えそうなNPC、および資材の確保のため街を探索する。 4.好戦的なマスター、サーヴァントには注意を払っておく [備考] ※この街のNPCの幾人かは既に洗脳済みであり、特に学園には多くいると判断しています。 ※NPCを操り戦闘に参加させた場合、逆にNPCを操った側にペナルティが課せられるのではないかと考えています。 ※この聖杯戦争での役割は『休暇中のフリーランスの傭兵』となっています。 ※搬入業者3人に暗示をかけ月海原学園に向かわせました。昼食を学園でとりつつ、情報収集を行うでしょう。暗示を受けた3人は遠坂時臣という名を聞くと催眠状態になり質問に正直に答えます。 ※今まで得た情報を基に、アサシン(吉良)とランサー(エリザ)について図書館で調べました。しかし真名まではたどり着いていません。 ※アーチャー(エミヤシロウ)については候補となる英霊をかなり絞り込みました。その中には無銘(の基になった人)も居ます。 ※アーチャー(アーカード)のパラメーターを確認しました。 ※アーカードを死徒ではないかと推測しています。 そして、そのことにより本人すら気づいていない小さな焦りを感じています。 今のところはニンジャスレイヤーへの危機感で鎮静化しているようです。 【アーチャー(エミヤシロウ)@Fate/Stay night】 [状態]身体の右から左に掛けて裂傷(大)、右腕負傷(小)、右肩負傷(小)、左足と脇腹に銃創(小)、疲労(中)、魔力消費(中) [装備]実体化した時のための普段着(家主から失敬してきた) [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:切嗣の方針に従い、聖杯が汚れていた場合破壊を 1.切嗣に従いアサシン(ニンジャスレイヤー)を確実に倒す。 2.出来れば切嗣とエミヤシロウの関係を知られたくない。 [備考] ※岸波白野、ランサー(エリザ)を視認しました。 ※エリザについては竜の血が入っているのではないか、と推測しました。B-4での戦闘を見てその考えを強めました。 ※『殺意の女王(キラークイーン)』が触れて爆弾化したものを解析すればそうと判別できます。ただしアーチャーが直接触れなければわかりません。 ※身体の裂傷以外は霊体化して魔力供給を受けていれば比較的早く完治します ※バーサーカー(黒崎一護)の仮面の奥を一瞬目撃しました。 ※B-4での戦闘(鬼眼王バーン出現以降)とその顛末を目撃しました。 ※アサシン(ニンジャスレイヤー)について単独行動、反骨の相のスキルを持っているのではないかと推測しています。 またマスターの殺害が決定打にはならないと認識しています。 [共通備考] ※C-7にある民家を拠点にしました。 ※家主であるNPCには、親戚として居候していると暗示をかけています。 ※吉良吉影の姿と宝具『殺意の女王(キラークイーン)』の外観のみ確認しました。宝具は触れたものを爆弾にする効果で、恐らくアサシンだろうと推察していますが、吉良がマスターでキラークイーンがサーヴァントだと勘違い。ただし吉良の振る舞いには強い疑念をもっています。 ※黒崎一護を『仮面をつけた』『黒刀の斬魄刀を所持する』『死神』と認識しました。 ※ルリ、キリコ、美遊についての認識については後続の書き手にお任せします。 ※レンタカーは図書館付近の駐車場に停車してあります。 BACK NEXT 138 フー・キルド・ニンジャスレイヤー? 投下順 140 Fly into the night 138 フー・キルド・ニンジャスレイヤー? 時系列順 140 Fly into the night BACK 登場キャラ:追跡表 NEXT 110 標的を斬る 衛宮切嗣&アーチャー
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李逵・・・二挺板斧→断截板斧→鉄牛板斧→黒旋風 一:二挺板斧、二:断截板斧、三:黒旋風、四:※黒煞天神 ※凶神の一。北帝の四将の一角とされる 能力値・・・攻撃力高い、防御力低い、ジャンプ力低い 通常攻撃・・・左右の斧を振り回す、攻撃速度普通、範囲は広い、間合いは普通。 チャージ・・・その場で無茶苦茶に斧を振り回したり、突進→薙ぎ払いなど。間合いや範囲や攻撃速度は様々 無双乱舞・・・両手の斧を無茶苦茶に振り回して突進する。当たった敵は上空に吹き飛ぶ。 移動速度はそんなに速くないので向きを調整しやすい。セリフは「鉄牛様のお通りだーー!」 奥義・・・一定時間、攻撃速度が速くなり、敵の攻撃で仰け反らなくなる。 得意属性・・・殺 人物登場条件 宋江で“宋江救出戦”までたどりつく チャージモーション C1:リーチが伸びた斧を無茶苦茶に振り回す C2:上段を挟む様に斧を交差させる C3:突進しながら振り下ろし→左右払いを計六回 C4:左斧で斬り付けながら突進→右斧で後方から正面を薙ぐ C5:上方に斧を放り上げ、追撃で空中で斧を取り真直ぐ地に落下する(無条件で追加入力可) C6:両斧を正面で何度も旋回させながら突進する C7:血のような衝撃波を両斧から周囲全方向に飛ばす(斬効果あり) JC:縦回転しながら、前方の地に急降下する(縦回転中は多段ヒット) 人物間友好度 良:宋江、戴宗、燕青、鮑旭、李袞、項充、焦挺、湯隆、柴進 第四武器(燧人鉄)入手法 ※→李逵の無双モードにて、方臘征伐戦AからMまでの味方救出イベントを一度も“起こさずに”無双モードクリア (難易度は易しい以外なら可) ●原作での紹介 家は住す沂州翠嶺の東 人を殺し火を放ち行兇を恣にす 煤墨を塗らざれども渾身黒く 硃砂を着くるに似て両眼紅し 閑(ひま)に渓辺に向て巨斧を磨ぎ 悶し来れば巌畔に喬松を斫る 力は牛の如く猛く堅きこと鉄の如し 地を揺すぶり天を揺るがす黒旋風 歩兵頭領四人組 黒旋風は双に板斧を持ち、喪門神は単に竜泉に仗る。項充・李袞は傍辺に在り、手に団牌を舞わして体健やかなり。虎を斬るは須く大穴に投ずべく、竜を誅つは必ず深淵においてす。三軍の威勢は青天に振るい、悪鬼眼前に活現す。
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簡単に全キャラ出すための下準備 オプションでアーケードの試合本数を1本に設定する サンデーキャラ使用条件 赤石 薫 最初から使用可能 綾崎 ハヤテ 最初から使用可能 墨村 良守 最初から使用可能 白浜 兼一 最初から使用可能 高槻 涼 最初から使用可能 犬夜叉 最初から使用可能 植木 耕助 アーケードで倒すと使用可能(出現はランダム) 蒼月 潮 アーケードで倒すと使用可能(出現はランダム) 花菱 烈火 アーケードで倒すと使用可能(出現はランダム) 風林寺美羽 アーケードで倒すと使用可能(出現はランダム) 雪村 時音 アーケードで倒すと使用可能(出現はランダム) 滝沢 昇 クエストでサンデーチケットを5枚集めると挑戦者として出現。倒せば使用可能になる R・田中 一郎 クエストでサンデーチケットを5枚集めると挑戦者として出現。倒せば使用可能になる 鉄刃 アーケードをある一定人数クリアして規定の人数の最後に出てくる(15回ぐらい) マガジンキャラ使用条件 幕之内 一歩 最初から使用可能 美堂 蛮 最初から使用可能 ナツ・ドラグニル 最初から使用可能 ルーシィ・ハートフィリア 最初から使用可能 ネギ・スプリングフィールド 最初から使用可能 南 樹 最初から使用可能 クロワッサン仮面 アーケードで倒すと使用可能(出現はランダム) メカ沢新一 アーケードで倒すと使用可能(出現はランダム) 新堂 功太郎 アーケードで倒すと使用可能(出現はランダム) 鬼眼の狂 アーケードで倒すと使用可能(出現はランダム) 鷹村 守 アーケードで倒すと使用可能(出現はランダム) タイガーマスク クエストでマガジンチケットを5枚集めると挑戦者として出現。倒せば使用可能になる 矢吹 丈 クエストでマガジンチケットを5枚集めると挑戦者として出現。倒せば使用可能になる デビルマン クエストでマガジンチケットを5枚集めると挑戦者として出現。倒せば使用可能になる 島村 ジョー アーケードをクリア20回目で登場。倒せば手に入る ボス使用条件 クエストですべてのステージのボスを倒すと新たにボス(このキャラ)が出現 倒すと使用可能になる サポートキャラ解放条件 クエストで敵を倒すとたまに出現する宝箱に接触するとアイテム(中身はランダム)をゲットできる ステージクリア時の入手アイテム一覧の中のサポート解放の数の分だけ新サポートをゲット 宝箱の中身はチケット等の場合もあるので必ずサポートが解放されるわけではない
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デュエル・マスターズオリジナルエキスパンション第四弾、伝説編第2弾。 (2010年9月18日完成) 全60種類。 テーマは引き続き伝説の超獣。 古代の進化獣を滅ぼした伝説の超獣が今度は現存するクリーチャーを攻撃。 現存するクリーチャーの諸刃の抵抗と伝説の超獣の追撃を描く。 (いい読み方を募集) (詳しい背景ストーリーはこちら→背景ストーリー) パッケージイラストは「星界の神皇アウザ・リディス」、「五大封印」。 収録カード スーパーレア 5種類 星界の神皇アウザ・リディス 黒神龍ザーク・オブ・アトランダス 五色魔方陣・滅之型 恵みの戦斧(グローリー・アックス) 逆転の自然神アウラウス ベリーレア 5種類 星界の神秘ルバ・オリオン 守衛官ジェネラル・ホーシュール 赤龍騎士レディエント・ドラゴン 五大封印 冥府の影アビス・ウィザード レア 15種類 星の聖霊エルウァリス 神風兵長 グングニル 神獣海レウロス 天地涯世 熱風岩獣ヒプシロフォドン 星界の神鬼ルアド・スバル 星界の神鳥ハルパ・アルタイル 星界の神姫メル・エリアス 剛撃戦攻ドゥルガー インフェルノ・サンクチュアリ 冥府の楔 無我怪人ダオー 餓鬼滅裂 大勇者「破壊の剛牙」 蒼神龍プロム・サテライト アンコモン 15種類 対価増加 春神-サクラノフブキ 夏神-ウミノサザナミ 秋神-モミジノソヨカゼ 冬神-ユキノオオブリ ジャッジメント・エナジー アクア・モロロス 三冠の王者ドンガドババラドゴン 突撃勇者ラング コバルト・ルピア 髑髏の死軍アルドーラ 髑髏の歩兵キバート God・of・Evolution 髑髏の下僕ディティール 殲滅の使徒ジェノン コモン 20種類 ブラッド・アリッサム ピポポル 炎の術者フレス 光の術者シェイン 影の術者ゴース 水の術者アクア・リー 森の術者フォレスン ビット・クライ 星の使徒フレバキスト 玉砕男 変則の自然リーフィン 青銅の刃脚 激動の自然ガラドーラ 髑髏の騎馬兵フォールド 星の機兵アーリウロイド 偽死復帰 星の忍ギーギキギーギ 流砂の影スピリンダー ディフェンシス・サラダ 禁断の魔獣ゼルギス BEFORE DM--2 伝説編 NEXT DM--4 伝説編 第3弾 伝説終焉
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登録日:2010/06/12 Sat 11 25 41 更新日:2022/10/31 Mon 09 12 36NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 DT DUEL_TERMINAL バウンス ミスト・バレー 不遇 遊戯王 遊戯王OCG 遊戯王OCGデッキテーマ項目 霞の谷 風属性 DUEL TERMINALにて登場したカード群。 漢字では霞の谷。 ここでは主にストーリーに関して記す。 主体は『バウンス』。 風の力で吹き飛ばすイメージだろう。 属性は風、種族は鳥獣と雷が主。 ストーリー上ではX−セイバー、氷結界、フレムベルらとともにA・ O・Jの開発を行っていた原住種族の一つ。 姿は主に鳥やハーピィのような鳥人型のもので構成されている。 【RISE OF DESTINY】 《霞(かすみ)の谷(たに)の大怪鳥》 星6/風属性/鳥獣族/攻2400/守1400 このカードが手札から墓地に送られた時、このカードをデッキに加えてシャッフルする。 ミスト・バレーに生息している巨大怪鳥。幼怪鳥や見張り番のイラストに姿が確認できる。 ハンデス・手札コスト使用へ反応して、己を墓地からデッキに戻す効果自体は大変ミスト・バレーっぽいのだが、こいつがデッキに戻ってもそれをほとんど生かしようがないのがあまりに厳しい。 さらにDTでのミスト・バレーカテゴリ化以前の登場のため、名前が霞の谷(ミスト・バレー)ではなく霞(かすみ)の谷(たに)となってしまっており、カテゴリサポートを受けられない点もかなりきつい。 《王神鳥シムルグ》でデッキから引っ張り出すこともできるのだが、特殊召喚の競合対象が《風帝ライザー》《トラファスフィア》《神禽王アレクトール》などと多すぎるので、使うなら《スワローズ・ネスト》のリクルート対象を絶やさないためのピンポイント起用でワンチャンといったところか。 以下DUEL TERMINALでの活動。 【第一弾】 《霞の谷の雷鳥》 星3/風属性/雷族/攻1100/守 700 フィールド上に表側表示で存在するこのカードが手札に戻った時、 このカードを自分フィールド上に特殊召喚する。 この効果で特殊召喚したターン、このカードは攻撃できない。 フィールドからバウンスされると即座に特殊召喚し直される、という変わったモンスター。 この段階で悪用できような気配が漂うが、実際後述する巨神鳥との無限ループパーミッションコンボが非常に強力。 《霞の谷の祈祷師》 チューナー(効果モンスター) 星3/風属性/鳥獣族/攻1200/守1200 1ターンに1度、このカード以外の自分フィールド上のモンスター1体を手札に戻して発動できる。 このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで500ポイントアップする。 自陣の1体バウンスを対価に攻撃力を上げる効果を持つ。 上げてようやく1700程度では流石に不安が残り、かつターンを跨ぐと打点が戻ってしまうので起動コストでバウンスできる部分に意義を見出したい。 《霞の谷の戦士》 チューナー(効果モンスター) 星4/風属性/鳥獣族/攻1700/守 300 このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、 このカードとの戦闘で破壊されなかった相手モンスターを ダメージステップ終了時に持ち主の手札に戻す。 交戦時に相手が戦闘破壊されないままならバウンスできる。素の打点が1700とそこそこなのも大きい。 《ミスト・ウォーム》 シンクロ・効果モンスター 星9/風属性/雷族/攻2500/守1500 チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上 (1):このカードがS召喚に成功した場合、 相手フィールドのカードを3枚まで対象として発動する。その相手のカードを持ち主の手札に戻す。 ミスト・バレーの深い霧を徘徊する巨大怪生物。巨神鳥をも凌ぐ同地域内での最大兵威とされるが、しかしワーム・魔轟神との相次ぐ戦乱で大半が犠牲になったという。 古参シンクロモンスターの1体であり、効果は今でも通れば強力だが……いかんせん比較対象があまりにも悪すぎた。 《A・O・J クラウソラス》 通常モンスター 星6/闇属性/機械族/攻2300/守1200 霞の谷に生息するモンスター、クラウソラスをモチーフに開発された対外敵用戦闘兵器。 上空からの奇襲で敵を翻弄する。 A・O・Jのバニラ機械鳥。原型となった「クラウソラス」に関しては後述。 ストーリーは特になし。 【第二弾】 《霞の谷の見張り番》 通常モンスター 星4/風属性/魔法使い族/攻1500/守1900 霞の谷を代々見張り続ける、見張り番一族の末裔。 谷で起こる出来事は、どんな些細な事も見逃さない。 リクルーターラインかつ守備高めのバニラ。鳥獣族ではないことも相まって、どちらかといえばガスタあたりにいてもおかしくない感じのモンスター。というかガスタが地域としてミスト・バレーに含まれている。 レベル4・風属性・魔法使い族という組み合わせはこいつ以外存在しないのでその点では希少。 《霞の谷の風使い》 チューナー(効果モンスター) 星2/風属性/鳥獣族/攻 400/守 800 1ターンに1度、お互いの手札が5枚以上の場合に発動できる。 お互いのプレイヤーは手札が4枚になるように手札を墓地へ送る。 限定条件下で相互ハンデスを執行できるが、条件の「お互いに手札5枚以上」はどちからがメタポでも使わないと正直狙いにくい。 この効果を使って、かつ大怪鳥でもうまく捨てれば実に美しい流れではあるのだが……。 《ミスト・コンドル》 効果モンスター 星4/風属性/鳥獣族/攻1400/守 400 このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する 「ミスト・バレー」と名のついたモンスター1体を持ち主の手札に戻し、手札から特殊召喚できる。 この方法で特殊召喚したこのカードの攻撃力は1700になる。 ミスト・バレーに生息しているらしい野良コンドル。 競合相手が多く採用の旨味を見出しにくいポジションだが、雷鳥と組んで《超雷龍-サンダー・ドラゴン》を無理なく出せる点はこいつならではの利点。 ワームが侵攻してきたため警備を強化した模様。 もしくは偵察・斥候が原住種族におけるミスト・バレーの役割か? 【第三弾】 《霞の谷の幼怪鳥》 チューナー・効果モンスター 星2/風属性/鳥獣族/攻 400/守 600 (1):このカードが手札から墓地へ送られた時に発動できる。 このカードを特殊召喚する。 「大怪鳥」の雛。しかし効果は圧倒的にこちらの方が強い 一見面白そうな動きが可能っぽいが、実際に発動できるのが「手札から墓地へ送られた時」なのでタイミングを逃がす危険があり、思ったより対応カードが少ない。 《霞の谷の執行者》 星5/風属性/雷族/攻2100/守1600 このカードが召喚に成功した時、 フィールド上に表側表示で存在する魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す。 ミスト・バレー戦士団No.2。団長ことNo.1は雷神鬼さんの方であり、よく似たこいつとは別人らしい。 効果は全体魔法・罠バウンスとまあまあ強いが表側表示限定。どちらかと言えばセルフバウンス向けのカード。リビデでリリース確保してアドバンス召喚したりすると無駄がない。 タイトルが反撃のジャスティスとあるように原住種族は攻勢に出た模様。 ミスト・バレーも執行者と物々しいカードが登場。 【第四弾】 《霞の谷のファルコン》 星4/風属性/鳥獣族/攻2000/守1200 このカードは、このカード以外の自分フィールド上のカード1枚を 手札に戻さなければ攻撃宣言できない。 デメリットアタッカーの皮を被ったメリット効果を持つミスト・バレーの主力。個別項目参照。 《霞の谷の巨神鳥》 星7/風属性/鳥獣族/攻2700/守2000 このカードの効果は同一チェーン上では1度しか発動できない。 (1):魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、 自分フィールドの「ミスト・バレー」カード1枚を対象として発動できる。 その自分の「ミスト・バレー」カードを持ち主の手札に戻し、その発動を無効にし破壊する。 成長した雷鳥と思われる存在。ライダー同様のチェーン内発動制限こそあるが、極めて高い制圧力を有するミスト・バレーの切り札。 《ユニオン・キャリアー》が存命していた頃は、デッキから雷鳥を引っ張り出してこいつでバウンスする連携が猛威を振るっていたという……。 《霞の谷の雷神鬼》 シンクロ・効果モンスター 星7/風属性/雷族/攻2600/守2400 チューナー+チューナー以外の「ミスト・バレー」と名のついたモンスター1体以上 1ターンに1度、このカード以外の自分フィールド上のカード1枚を選択して発動できる。 選択した自分のカードを持ち主の手札に戻し、 このカードの攻撃力をエンドフェイズ時まで500ポイントアップする。 この効果は相手ターンでも発動できる。 ミスト・バレー戦士団No.1。しかし穏健派であるが故の疑念を魔轟神レイヴンに突かれ、結果ミスト・バレー全体の離反へ繋がってしまったという。 疑念の根幹となるのはA・O・Jのジェネクス運用に関してだが、そもそものジェネクス自体が謎の多い種族であり未だ不鮮明な点は多い。 バウンス能力は大変便利で破壊されそうなカードを退避させる、あるいは《安全地帯》《ビッグバン・シュート》などを相手を対象にした上で戻す変則除去にも使える。 魔轟神復活に対してなのか強力なカードが登場。 もしかしたら復活した魔轟神と最も近い所にいたのかもしれない。 【第五弾】 新規カードなし 今回以降ミスト・バレーはDTから姿を消す。 インフォメーションによると原住種族間で裏切りがあったらしい。 後にMG3にてミスト・バレーがA・O・Jの敵を捕らえ利用するやり方に異を唱え離反したと判明した。 精神汚染のイラストから、この裏切りには魔轟神が関与している可能性もある。 原住種族においての役割等については登場したカードもすくなく、復活もしていないのでよくわかっていない。 後に霞の谷のピンチに同じ霞の谷にあると言われる竜の渓谷よりドラグニティが現れる。 【STORM OF RAGNAROK】 《霞の谷の神風》 フィールド魔法 自分フィールド上に表側表示で存在する風属性モンスターが手札に戻った場合、 自分のデッキからレベル4以下の風属性モンスター1体を特殊召喚する事ができる。 この効果は1ターンに1度しか使用できない。 風属性のバウンスに反応して、下級風属性のリクルートを行うフィールド魔法。設定的には創星神の嘆きが戦乱に呼応して発生する現象らしい。 こいつ単体では便利ではあってもそこまでではなかったが、他力本願鰻やボム・フェネクスに悪用されたことで一時期規制を喰らう。 【ORDER OF CHAOS】 《霞の谷の祭壇》 フィールド魔法 風属性モンスターがカードの効果によって破壊され自分の墓地へ送られた時、 自分の手札・デッキから風属性・レベル3以下のモンスター1体を特殊召喚できる。 この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。 この効果は1ターンに1度しか使用できない。 第二のミスト・バレーと名がつくフィールド魔法。神風が暴れたせいからか効果そのものは控えめ。 イラストをよーく見るとウィンダが祈りを捧げているのが見える。 設定面ではDT世界の第二次最終決戦に関わる重要地点。トレミスとウロボロスがここで死闘を演じ、そして創星神の角と宝玉がそこには見える。 【JUDGEMENT OF THE LIGHT】 《霞鳥クラウソラス》 シンクロ・効果モンスター 星3/風属性/鳥獣族/攻 0/守2300 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上 1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在する モンスター1体を選択して発動できる。 ターン終了時まで選択したモンスターの攻撃力を0にし、その効果を無効にする。 《A・O・J クラウソラス》の原型になったと思われる鳥。 【関連勢力】 『ドラグニティ』 ミスト・バレーモンスターに入れ替わりで霞の谷に現れた。 こちらも風属性で統一されている。 細マッチョや爽やか系の多かったミスト・バレーと比べるとずいぶん逞しい連中。 『ガスタ』 地続きのミストバレー湿地帯に古くから住む種族。 やはり風属性で統一されている。 ガスタの鳥と共に戦う戦闘術は、ミスト・バレーから受け継いだものであると公式で紹介されている。 環境において 統一テーマとしての【ミスト・バレー】としての力はさほどではなく、個別の優良カードが他のデッキに出張するということのほうが多かった。 特に《霧の谷の戦士》はレベル4で扱いやすいチューナーが長い間登場しなかったので、出張要員として様々なデッキに投入されていた。 ほかは《霧の谷のファルコン》が【セルフ・バウンス】に投入されていたなどがある。 総じて、縁の下の力持ち的な役割に努めてきたのだが、ペンデュラム召喚の登場と扱いやすいスケール8Pカードの出現で一変することとなった。 《霧の谷の巨神鳥》 レベル7 ATK/2700 DEF/2000 魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時に発動することができる。 自分フィールドに表側表示で存在する「ミスト・バレー」と名のついたカード1枚を手札に戻し、その発動を無効にし破壊する。 以前からも【忍者】に出張し活躍していたカードである。高い攻撃力と、自身も含む「ミスト・バレー」をバウンスしてあらゆるカード発動を無効化できる強力な効果を持っている。 ただし、最上級モンスターゆえに重く、【忍者】においても無効化は単発になりがちと、環境トップに食い込むほどのパワーはなかった。 しかしペンデュラム召喚と組み合わせれば、自身をバウンスしても簡単に展開しなおすことができ、しかも相手のフィールドに関わらずに、複数体をまとめて出すことさえ可能となった。 言い換えれば、《神の宣告》を内蔵したモンスターをノーコストで展開できるということである。これの強力さは語るまでもなく、単品価格は高騰を辿っている。 新マスタールール以降はペンデュラム召喚が下火になってしまったものの、《王神鳥シムルグ》や「ふわんだりぃず」このカードを出しやすいカードやテーマが増加し、環境常連の立場は揺らいでいない。 更に《ユニオン・キャリアー》が禁止になる前は、あちらの効果により《霞の谷の雷鳥》共々立たせて無限にカウンターすることが容易になっていた。 環境の変化でマイナーなカードが一躍トップレアに上り詰めることもあるという、OCGのおもしろさを語る一枚であると言えるだろう。 1ターンに一度、アニヲタ上にいるwiki籠り一人を社会に戻し、この項目を追記・修正することができる △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 雷神鬼はAOJの味方(同じフィールド)に居たからカタストルを効果でバウンスしたのが雷神鬼のイラストの真相だとか。因みに魔轟神から負の念を増大されただけで不信感は霞の谷全体にあったとか。 -- 名無しさん (2014-01-03 09 19 45) ガッチャ!楽しいデュエルでしたね… -- 名無しさん (2014-01-03 09 30 38) 戦ったら雷神鬼が死ぬほど強い…リビデとデモチェ安全地獄にピリカ経由のスフィアードとか凄く硬くてヤバかった -- 名無しさん (2014-03-24 16 35 04) まさか投売りされていた巨神鳥がここまで環境上位に来るとは誰が予想しただろうか -- 名無しさん (2015-06-21 15 49 48) 元々はカタストルと同じ攻撃力でバウンスしたから500高い設定なのかもね -- 名無しさん (2018-04-22 03 36 21) ユニオン・キャリアーと王神鳥シムルグ登場でクッソ強くなったよなあ -- 名無しさん (2020-09-15 13 37 28) 名前 コメント
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selector infected N.A.R.A.K.U ◆fhD3y9RNl2 散開しろ、と岸波白野が叫んだ。 サーヴァント達は各々マスターを抱え跳躍する。その場に留まる者はいない。 直後、大岩の如き巨大な脚が天より降り注いだ。 「うっ……わああぁぁっ!」 「っとぉ!」 神の雷かと思わせる巨大なキックは地盤を砕き、アースクエイク・シコめいた局所的な地震を引き起こす。 物理現象として発生した衝撃波でウェイバーが吹っ飛び、デッドプールが受け止めた。 「冗談でしょ、アレ……キャスターだわ……!」 凛は白野が抱え、その白野をしっぽで確保し、エリザが槍を地面に突き立てて震動をやり過ごす。 天高く舞い、そして着地した。ただそれだけで宝具に匹敵する巨大な破壊を引き起こした。 大魔王――否。鬼眼王バーン。 見上げるほどに巨大な魔獣と化したキャスターの姿がそこにあった。 「ランサーは消えたか。さもあらんな、余をここまで追い込んだのだから。 余も長くは持つまい。貴様らには黄泉路への道連れになってもらおうか……!」 巨人が仄暗いオーラをまとう。可視化するほど膨大な魔力の放散現象だ。 これだけの巨体にこれだけの魔力が漲っているならば、その四肢の一撃は生半な宝具など軽く凌駕する威力。 誰もが絶望的な闘いを――否、虐殺を予感した、その時。 「待ちなさい、キャスター。ルーラーの名において、停戦を命じます」 荘厳な旗を手に、ルーラーが立ち塞がった。 「ルーラー……聖杯戦争の裁定者、か。ならば余のこの姿も知っていような。貴様も諸共に砕いてくれようか」 「私達はあなたに自害を命じる事も出来ます。お忘れなきよう」 聖処女を踏み潰そうと脚を振り上げたバーンだが、その宣告はさすがに無視できない。 ルーラーの腕に輝く令呪はサーヴァントにとって絶対の強制力を持つ。 「忌々しい聖女よ。余の最期の戦にすら水を差そうというか」 「それは貴方次第です、キャスター。 貴方が我々裁定者にまで牙を剥くというのなら、私は私に与えられた役割に従って貴方を排除します。 ですが……貴方にまだ、聖杯戦争を続行する心算があるのなら、私は干渉致しません」 「な、何言ってるんだ。ルーラーがアイツを放っておくっていうのか?」 ルーラーの感情を排した声に噛み付いたのはウェイバー・ベルベット。 おそらくこの場で最も常識的な感性を持った魔術師だ。 「これだけ派手に暴れておいてペナルティを科さないってのはおかしいだろ!」 「キャスターにはまだ闘う意志がある。常軌を逸しているとはいえ、あの状態はあくまでキャスターが自らの宝具を使用した結果に過ぎません。 であるならば、聖杯戦争の裁定者として、私はその意志を否定する事は出来ない」 噛み付いてきたウェイバーに一瞥すら向けず、ルーラーはバーンのみを見据えていた。 ジャンヌ・ダルクとカレン・オルテンシアは、もちろんバーンが使用した宝具の正体を理解している。 『究極の超魔・鬼眼王(アルティメット・ボディ・オブ・バーン)』。己の肉体を魔獣と化す、使えば二度と元には戻れぬ禁断の宝具。 大魔王バーンと言えども、クー・フーリンとの戦闘によって深手を負った今ならば、あれだけの巨体を維持する魔力をそう長くは生成できないこともわかっている。 遠からずバーンは消滅する。それはもう決定づけられているのだ。 「キャスターの消滅はもはや不可避でしょう。 ですが、既に未来が潰えているとしても、まだ存在しているサーヴァントの敗北を私が確定させてはならないのです。 それでは『処罰』ではなく『処刑』となってしまう」 ルーラーとは、あくまで聖杯戦争を阻害する不確定要素を是正する装置でしかない。 特定のサーヴァントを意図的に脱落させることは、その領分を逸脱した行為になる。 今のバーンはマンションを崩壊させたという過失はあれど、突き詰めてみれば『己の宝具を開放しただけ』に過ぎない。 ルーラーが即刻自害を強制するほどのイレギュラーには該当しないのだ。 「それに、まだキャスターの敗北は決まった訳じゃない」 誰にも聞こえないほど小さな声で、カレンが小さく付け加える。 大魔王バーンは、確かに遠からず消滅する。だがそれはまだ『確定した』結果ではない。 可能不可能は置くとして、仮にバーンがこの場にいる裁定者二名以外を全て打ち破り、己のマスター同様に自身に取り込めばどうなるだろうか。 岸波白野、ウェイバー・ベルベット、そして十にも満たない幼子とはいえ、隔絶した才と血統を有する遠坂凛。 いずれ劣らぬ強者たる三騎のサーヴァント。彼らとマスターを繋ぐ純粋魔力結晶たる令呪。 これら全てを魔力に変換して己が糧とすれば、バーンは莫大な魔力を保有することになる。 クー・フーリンが消滅した今なら魔槍の呪いはなく、破壊された心臓の再生が可能かもしれない。 そして更に、足立透を解放して令呪を使わせ、自らの誇りの象徴たる宝具をバーン自身の意志で破棄すれば。 あるいはバーンは、醜き魔獣の姿を捨て去り自身本来の肉体に回帰することも可能――かも、しれない。 「ま、仮定の話だけれどね」 通常、英雄の振るう宝具を外部の力で破壊することは困難である。 神秘性を帯びないただの鉄柱とて、擬似的な宝具属性を与えられれば、星に鍛えられた神造兵装と打ち合うことすら可能となるほどだ。 が、宝具の主が自らの意志で宝具を破壊しようとした時は別。 宝具が『英霊そのもの』ではなく『英霊の所有物』である以上、所有権を放棄すれば破壊が可能となるのは道理である。 もちろん、これは『宝具の破壊が可能である』、というだけだ。 バーンのようにほぼ一体化した状態で無理に宝具を破壊すれば、そのまま自壊したって何らおかしくはない。 命を投げ出すには分の悪い賭けだ。だが、今のバーンにとっては紛れもなく死中の活。 そしてバーンにまだ一縷の希望が残されている以上、ルーラーがその芽を摘み取ることは許されない。 「では、聖女よ。余がそこにいるマスターとサーヴァント達だけを狙うのなら、手出しはせぬのだな」 「誓いましょう」 バーンにとっても、このルーラーの通告は無視できるものではなかった。 全てを破壊すると決意しても、サーヴァントである以上抗えないのがルーラーの持つ令呪だ。 作成した陣地の機能が完全に停止させられた事から考えても、ルーラーの令呪には絶対的な強制力があるのは明らか。 自害を命じられればバーンの意志とは関係なく実行してしまうだろう。 そうなれば大魔王の矜持など、どこにも残せはしない。無駄死という他ない無為な結末だ。 ルーラーと直接対峙する愚は、魔獣と化した今となっても避けるべきである。 唯一対抗可能であるのは同じ令呪だが、その令呪を宿すマスターたる足立は鬼眼王の内部に取り込んでいる。 そしてバーンは足立に自由を許す気はない。足立は一度バーンの意に反し令呪を使用している。 生存を度外視して魔力を吸い上げている今、令呪を使わせれば間違いなくバーンの仇になる行動をするからだ。 「よかろう、ならば退がって見届けるがいい。この大魔王の最後の戦を!」 「いいえ、まだですキャスター。我々は貴方を黙認するという訳ではありません。 マンションを倒壊させ、NPCの生活を著しく混乱させた以上、貴方には何らかの処分を下さなければならない」 「ほう、ではどうする。こうしているだけで死に近づく余からさらに魔力を、時間を簒奪するか?」 これが難しいところだった。 今のバーンにペナルティを課すといっても、既に致命的と言える損傷を負い、魔力も刻一刻と減り続けるという瀬戸際の状態。 どのような命令であれ、それが最後の一押しとなってバーンの敗北を決定づけては意味が無い。 ならば。ルーラーが令呪を行使するべき対象は、バーンではなく。 「ランサー、バーサーカー、アサシン……そして、もう一騎のバーサーカーに通告します」 エリザベート、デッドプール、ニンジャスレイヤー――そして、規格外の魔力を察知し戦場に留まっていた黒崎一護。 彼ら四騎に、ルーラーが篭手を外し令呪の刻まれた素肌を翳す。 「あなた達にキャスターと闘う意志があるのなら、ルーラー――ジャンヌ・ダルクの名において、令呪の加護を与えます」 バーンと干戈を交えるサーヴァント達に、令呪で失った魔力を補填する。 万全の状態になった複数のサーヴァントが、絶命寸前の大魔王を迎え撃つ――これでようやく公平に近くなる。 もちろん、通告を受けたサーヴァント達に従う義理などない。放っておけばバーンは自滅するのだから。 もはや闘う必要などない、逃げ回ればいい。それで勝手にバーンは死ぬ。 が――。 それには、誰かの犠牲が不可欠となる。ただでさえエリザベートやニンジャスレイヤーは多大に消耗した状態だ。 散開して撤退を図っても、バーンが誰か一人に狙いを絞り攻撃してきたら、凌ぎ切れるものではない。 機動性に秀でたライダーならば振り切ることも可能だろう。だが、ここには移動用の宝具を持つサーヴァントはいない。 必然、凛達が選べる選択肢は一つ――バーンの魔力が尽きて消滅するまで耐え忍ぶしかないのだ。 「了承する。令呪を使うがよい、ルーラー=サン」 真っ先に承諾したのはアサシン、ニンジャスレイヤー。 彼の行動原理は全てのニンジャを殺すこと。 わけても野原しんのすけ殺害の元凶である大魔王バーンを許す道理は、ニンジャスレイヤーの中には存在しない。 彼が望むのは自らの手でバーンを爆発四散させ、インガオホーの真理を刻みつける事だ。 魔力切れで眠るように消え去るなど許せはしない。 「――――――――」 次に動いたのは、仮面をかぶった白いバーサーカー。 バーサーカーは突如このエリアに現れ、最初に接触した凛達には見向きもせずキャスターの陣地に突入していった。 狂った英霊が目的を語るはずもない。凛達は彼が何のためにここに来たのかは知らず、またクー・フーリンが彼によって討たれたこともわからない。 戦場からやや離れビルの屋上で、バーサーカーはしばしの間、魔獣となったバーンと令呪を示すルーラーを見つめていた。 だが、凛達が何らかのアクションを起こす前に彼は身を翻す。 ルーラーの提案に乗る価値はないと本能で判断したか、あるいはマスターの指示によるものか。 いずれにせよバーサーカーは戦場からの離脱を選択し、実行した。その姿は瞬く間に夜闇に消え去る。 「アサシンは同意し、バーサーカーは拒絶した。あなた達はどうするのかしら?」 「どうって言われても……」 カレンに水を向けらたウェイバー、だが即答はできなかった。 ここに集った面々の中で、ある意味最も戦う理由がないのが彼とデッドプールだ。 ニンジャスレイヤーのようにマスターを殺された訳ではなく、凛のようにサーヴァントを殺された訳でもなく、白野とエリザベートのように仲間がいる訳でもない。 極論、彼とデッドプールはここで撤退したって構わない。いや、勝ち残る事を第一とするなら迷わずそうすべきなのだ。 どうせバーンは放っておけば死ぬし、ニンジャスレイヤーや凛が彼を迎え撃って相打ちとなるならそれこそ漁師がカチグミ。 その――はずなのだ。 「やるっきゃないんじゃねーの、ウェイバーちゃん。 俺ちゃん達だけ逃げるっつっても、足止めするのがマスターのいないニンジャとズタボロのアイドルじゃあすぐに蹴散らされちまうよ」 「バーサーカー……やれるのか?」 「どうかなぁ。ビームブッパ担当がいないのが厳しい話だが……多分あいつ、逃がしちゃくれないぜ。 ま、一発殴って99秒耐えたら勝ちってルールなら初めてじゃないしな。何とかなるんじゃない?」 「なんでそんな適当なんだ……ああ、もう、わかったよ! ルーラー、こっちも同意だ!」 ウェイバーがヤケクソ気味に承諾し、残るはランサー、エリザベート・バートリー。 竜の娘は敬愛するマスターに視線で問い掛ける。打てば響くように青年は頷いた。 岸波白野。この場の誰よりも戦闘経験豊富なマスターは、撤退が困難であると判断していた。 ここにいるのはいずれ劣らぬ強力なサーヴァント達であるが、対する鬼眼王バーンはさらに規格外だ。 それこそ五体のサーヴァントが同時にかかりでもしない限り――それでも、敗北の可能性のほうが大きいかもしれない。 味方がバラバラの状態では一騎ずつ鏖殺されるだけだ。ならばルーラーの後押しを得て、一つの集団となって数十秒か数分かを耐え凌ぎ、バーンの魔力切れによる消滅を狙うしかない。 その時、バーンがこれ以上待てぬと拳を振り上げた。 ――ルーラー、令呪を! 「受諾しました。では……ルーラー、ジャンヌ・ダルクの名において、この場に集う全サーヴァントに命じます! かつてキャスターであった魔獣を打倒せよ!」 この命令が、会戦の狼煙となった。 ▲ ▼ ▲ それはとても戦闘とは呼べなかった。 大自然の暴虐に逃げ惑う無力な生物。 鬼眼王とサーヴァント達の間にはそれだけの溝があったのだ。 「イヤーッ!」 「イヤーッ!」 赤黒のニンジャがカラテ・シャウトと共にスリケンを投げる! 赤黒のヒーロー?がカラテ・シャウトを真似して手裏剣を投げる! 射線が交差するよう放たれた攻撃は、しかし巨大な魔獣には蚊に刺されたに等しい。 防御すら必要とせず、カンカンと体表面で刃が弾かれる。 「うへぇ。フェイズシフト装甲ってやつ? いいなあ、VPS装甲装備すれば俺ちゃん2Pカラーに変更できちゃう?」 「訳わかんない事言ってないでどきなさいよ! 邪魔よ!」 ニンジャとヒーローが稼いだ時間で、竜の娘は宝具開放の準備を終えていた。 槍をマイクに見立て、エリザのジャイアニックな――個性的な――超音波で対象を破壊する宝具、『竜鳴雷声(キレンツ・サカーニィ)』。 『Ah───────────ッッッッ!!!』 先ほど、老バーンを相手にも使った宝具だ。 しかし今度は威力が違う。ルーラーによって補填された魔力を存分に注ぎ込む。 大気が振るえ、地面がめくれ上がるほどに強力な破壊振動波が鬼眼王の巨体を包み込む! 「これで……!」 見守る凛が白野の手を握る。クー・フーリンを失った彼女にできる事は少ない。 せいぜい、エリザに魔力を供給する白野をサポートする事――要は使わない魔力を融通するだけだ。 白野一人では成し得ない莫大な魔力を燃料として放たれたエリザの宝具は、通常時の倍の出力にも達しただろう。 それが直撃したのだ、さすがに痛手くらいは――と期待した白野だが。 「……なるほど、理解した。今この場で余を傷つけ得るのはランサー、お前一人という事だな」 鬼眼王、健在である。 破壊振動が伝播しやすい硬度の高い皮膚には幾筋も亀裂が走っているが、どれも表皮だけに留まっている。 『究極の超魔・鬼眼王(アルティメット・ボディ・オブ・バーン)』の種別は対神宝具。すなわち自身を擬似的に神の領域にまで押し上げる宝具。 皮は斬れても肉と骨まで達していない。対人宝具である『竜鳴雷声(キレンツ・サカーニィ)』には、それが限界であった。 「ならば、お前を殺せば余の勝利は動かぬという訳だ!」 バーンが再び動き出す。白野が慌ててエリザに退避を命じ、ウェイバーもデッドプールにそのサポートを命じた。 デッドプールは強力な再生能力があるが、火力に劣る。対人戦なら問題ないが、バーンのような大物が相手では純粋に力不足だ。 エリザが所有するもう一つの宝具、『鮮血魔嬢(バートリ・エルジェーベト)』。 『監禁城チェイテ』を召喚、巨大なアンプとして使うこの宝具は、宝具使用の直前に自身が受けたダメージを呪いとして相手に返す能力がある。 エリザが大きなダメージを受け、その呪いをバーンに返せば勝機はある――のだが、白野は考えるまでもなくこの案を捨てていた。 今のバーンから一撃もらうだけでも致命傷なのは疑いなく、宝具を使うどころではない。 つまりは『竜鳴雷声(キレンツ・サカーニィ)』こそが唯一有効なカードであり、エリザこそがこのチームの生命線だと敵味方の誰もが認識していた。 「っ、やばっ……!」 ニンジャスレイヤーとデッドプールが嵐のように攻撃を加えるが、バーンには通じない。 それをわかっているからこそバーンは彼らの存在を無視し、執拗にエリザを追って攻撃を加える。 「ここは俺に任せてお前は先に行け!」 あわや踏み潰されかけたエリザ、しかし飛び込んできたデッドプールが彼女を突き飛ばす。 「ちょっとあんた!?」 「実は俺、戦争が終わったらお前にプロポーズを申し込もうと……花束も買ってあr」 デッドプールは台詞の途中で踏み潰された。 足元で感触の消えたデッドプールに関心を失くし、バーンは次なる獲物を品定めする。 「まず、一つ……」 「バーサーカー=サン!」」 デッドプールを踏み付けた脚を駆け上がり、ニンジャスレイヤーがバーンの本体へジャンプキック! しかしそのスピードはライク・ア・ギューホ! バーンが振り上げた腕に容易く撃墜された! 「グワーッ!」 「愚か者め。マスターのおらぬ貴様など相手にならんわ!」 ニンジャスレイヤーが大地に叩き付けられ血反吐を吐く。 これこそ、この混成チーム最大の弱点。ニンジャスレイヤーが戦力として機能していないのだ。 単独行動スキルによって消滅は免れても、魔力を供給されないままでは戦力は極端に落ちる。 ニンジャスレイヤーのカラテは今、通常時の半分にまで落ち込んでいた。 ルーラーから貰い受けた令呪を以ってしてなお、このディスアドバンテージは払拭しきれない。 (((グググ……情けない! フジキド、儂に換わるのだ! このままでは死んだら終わりぞ!))) (((黙れナラク! これは俺のイクサだ!))) 不甲斐ないフジキドをニューロンの同居人、ナラクが叱責する。 実際フジキドはこのイクサで囮以上の意味を果たせていなかった。 全身全霊を込めたスリケンはバーンの皮膚にも1mmも食い込む事叶わず、アワレな弱敵として半ば無視されている。 全身の魔力をかき集めれば、数十秒は本来の能力を発揮できるだろう。 しかし、その短い時間でバーンを倒しきれなければ、爆発四散するのはニンジャスレイヤーである! このままではジリー・プアー(徐々に不利)! しかしニンジャスレイヤーには、フジキドにはただ闘う以外の選択肢なし! 「死ねい、ランサー!」 「ドーモ、キガンオー=サン。デッドプールです!」 ブザマに這いつくばるニンジャスレイヤーを無視し、バーンはエリザへとケリ・キックを放つ。 その巨人の足首を襲う衝撃! それをもたらしたのは――ブッダ! 死んだはずのデッドプール! 再生を終え、アイサツ直後のアンブッシュ! 実際有効である。 「貴様は……!」 「ふう、死ぬかと思ったぜ。死亡確認するまでがデュエルの鉄則だって集英社のお友達から聞かなかったのか?」 「オゴーッ!」 そのときマスターであるウェイバーは瞬間的に魔力を搾り取られたために激しく嘔吐していたが、誰も気遣う余裕はない。 デッドプールは両手になんか固い棒っぽいものを掴み、嵐のように殴る! 決してダメージは通っていない。が、片足立ちの軸足のバランスを崩すには十分だ。エリザを襲う蹴りも狙いが逸れた。 「ヌゥーッ!?」 巨体が傾ぐ。両手を地面に叩きつけ、受け身を取る。それだけで地震が起こる。 その隙にエリザは退避、鬼眼王から距離を取った。 鬼眼王のあまりの強度に折れ曲がった二本のゲージを放り捨て、デッドプールも続く。 「デタラメすぎるわ、こんなのどうすればいいのよ!」 「こんな時こそ『こんな事もあろうかと』って言ってもいいんだぜ、ウェイバーちゃん」 「……ハッ、ハァーッ……! こ、のバカ……!」 エリザが毒づく。呼吸すら辛そうなウェイバーを含め、その問いに答える者はいない。 否、唯一サーヴァントを持たない凛だけが、答えを知っていた。 絶望的といえる戦況を打開する一手。それは確かに、この手の中にある。 しかしその選択は凛に取ってやすやすと受け入れていいものではない。 何故ならそれは―― ――凛。 「白野?」 凛と繋がる白野にはわかる。凛が何を考えているのか。 欠けているピースを埋める。足りない戦力を整える。 ランサーに――クー・フーリンに代わるサーヴァントを、用意する。 「……アサシン」 今この場には、サーヴァントと契約していないマスターが一人いる。それが遠坂凜。 今この場には、マスターと契約していないサーヴァントが一騎いる。それがニンジャスレイヤー。 アサシンがマスターを失ったというのは、ウェイバーから聞いた。その復讐のためにバーンを付け狙っているというのも。 凛とニンジャスレイヤーの双方が望めば、契約は問題なく結ばれるだろう。 「あんな、奴と……!」 だが、しかし。凛に取ってニンジャスレイヤーとは、ただのサーヴァントではない。 相棒であるランサー、クー・フーリンの死の遠因となった、云わば仇の一人。 あの時ニンジャスレイヤーさえ襲ってこなければ、クー・フーリンは命を落とさずに済んだかもしれない。 その怒りが、最善の手段とわかっていてなお凛の決断を押し留める。 ここで簡単にニンジャスレイヤーを受け入れるのは、クー・フーリンに対する裏切りではないか。 合理性を重視する魔術師らしからぬ感情論だ。しかし今の未熟な遠坂凛では、父・時臣のように内心と行動を切り離す事はまだできない。 白野はそれを察しているからこそ、凛に強制はできない。 選択は、己の意志でなさなければならないのだ。 「スゥーッ! ハァーッ!」 「おいニンジャ、お前邪魔だから引っ込んでろよ」 「グワーッ!?」 チャドー呼吸を使用しようやく立ち上がったニンジャスレイヤー、しかしデッドプールが放ったケリが再度彼を打ち倒した。 デッドプールからすれば手を抜きに抜いたケリ。しかしニンジャスレイヤーは避けられなかった。 「バーサーカー=サン!?」 驚きの声を無視し、デッドプールはバーンに向かい走って行く。 エリザもまた、デッドプールの行動を何ら咎める事なくニンジャスレイヤーの横をすり抜けていく。 それは事実上の戦力外通告。ニンジャスレイヤーがいても邪魔になるだけだと判断されたのだ。 (((何たる……何たるブザマ! あのような道化に良いようにあしらわれるとは!))) ニューロンの中でがなり立てるナラクに反論する気さえ起きなかった。 今のニンジャスレイヤーは、弱い。このザマでどのような顔をしてニンジャ殺すべしなどと言えるのか。 ニンジャスレイヤーとてわかってはいるのだ、どうすればこの事態を打開できるのか。 瞳を巡らし、遠坂凛を見る。向こうもニンジャスレイヤーを見ていた。 遠坂凛と契約し、魔力供給を受ける。そうすればニンジャスレイヤーは全力を発揮できる。 これこそがただ一つの最適解だ。 (((だが……言える訳がない。ランサー=サンは俺が殺したも同然。仇が手を借すなどと、どの面を下げて……!))) しかし、二人の間には溝がある。ランサーという埋められない溝が。 この溝を飛び越える事など、ネオサイタマの死神といえども―― 「腹から声出せよ、ニンジャ。いつまでも腑抜けてんじゃねえっての!」 バーンと闘いながら、デッドプールが叫んだ。それは叱咤だった。 かつて己が受けた絶望を他人に与えた、その矛盾と向き合わなければいけない恐怖に囚われるニンジャスレイヤーを、叱りつけていた。 (((フジキドよ、奴の言っている事は間違っておらん))) (((ナラク……!?))) ニンジャスレイヤーは驚愕した。 全ニンジャ殺害を標榜するこの呪われたニンジャが、他のニンジャを肯定した……!? (((闘うべき敵を誤るでない。今、成すべきはキャスター=サンをスレイする事。内なる怯懦に囚われ正しき選択を成さぬなど愚の骨頂!))) (((俺が、恐れているというのか! ナラク!))) (((違うと言えるのか? あの無力な小娘の瞳に怯え、闘いに逃げたお前が!))) (((……う、ウヌーッ!))) (((闘えぬというなら代われ、フジキド! 儂がお前に代わってあの娘と契約し、キャスター=サンをスレイしてやろう!))) デッドプールだけでなく、ナラクでさえもフジキドの弱さを糾弾する。 そう、これは弱さだ。マルノウチ・スゴイタカイビルで捨て去ったはずの、ただのサラリマンだったフジキド・ケンジの弱い心。 全てのニンジャを殺すと決めた。そのためには、己の弱さすらもスレイしなければならない――! 「Wasshoi!」 ニンジャスレイヤーは跳んだ。 鬼眼王バーンは狂った傭兵が押し留めると信じて。 着地した先は、遠坂凛の眼前。 「アサシンッ……!」 「ランサー=サンのマスターよ。私と契約せよ」 言葉少なに、目的を告げる。凛の視線は当然、怒りと憎悪を込めらたれたもの。 ニンジャスレイヤーはその視線を受け止める。目を逸らさない。 トチノキ、しんのすけとさほど齢の変わらない幼子。 しかしその瞳には覚悟がある。闘う覚悟が。 並々ならぬ敵――その敵を、フジキドは主とせねばならない。 「……随分都合のいい話ね。自分のマスターが死んだから私に鞍替えしようっていうの?」 「その通りだ。私は何としてもあのキャスター=サンを殺さねばならん。しかし今の私にその力はない。故にオヌシの力を借りたいのだ」 ナラクは沈黙している。常のナラクならば他人を頼るフジキドを激しく責めただろう。 しかし今はこうするしか道がないのだと、フジキド以上に理解しているのだ。 「オヌシが私を憎んでいる事は理解している。私もオヌシに許されようとは思っておらん。 だが……今は、そこを曲げて、頼む。私に力を貸してくれ」 ニンジャスレイヤーはオジギした。 十歳にもならない幼女相手に頭を下げる――それはどれだけの覚悟を必要としただろうか。まして、相手はニンジャスレイヤーを憎んでいるのだから。 「あなた……」 クー・フーリンとの別れを経て、凛は彼らサーヴァントにも確かな心があると理解していた。 だからこそ、ニンジャスレイヤーにも譲れぬ思いがあり、その思いを果たすために凛との契約を必要としているのだとわかる。 そんな彼を従えられるのならば、確かな凛の力となるだろう。 「……そうね。私だってここで死ぬ訳にはいかない」 凛はランサーを、クー・フーリンを最強の槍だと認めた。 ならば自分も、その槍に見合うべき最強のマスターたらねばならない。 一時の感情によって勝機を逸するような愚を、犯してはならない――! 「白野」 見上げた青年は微笑み、頷く。 その選択を肯定する、というように。 心は決まった。後は、行動するだけだ。 「アサシン。この私、遠坂凛の剣となるべき意志はある? あるのなら、あなたの真名を以て私に誓いなさい」 「……感謝する。私の名はニンジャスレイヤー。全てのニンジャを殺す者なり!」 マスターとサーヴァント、両者の同意により契約は滞り無く為される。 その様を見届けたルーラーは目を細める。また一つ、勝利を目指す意志が形となり、新たな可能性が生まれた。 ニンジャスレイヤーの身体に燃料となる魔力が吹き込まれていく。乾ききった砂に水が染み込むように肉体隅々まで行き渡る。 主なきサーヴァントが課される強烈な魔力負担も消えて、ついにニンジャスレイヤーはあらゆる枷から解き放たれた。 「ヌウゥゥゥ……!」 ニンジャスレイヤーは今、かつてない力を感じている。 しんのすけとは比較にならない潤沢な魔力。活力とともに一抹の寂しさを覚え――しかし感傷を振り切る。 成すべきは一つ。キャスター=サンをスレイするのみ。 (((フジキドよ、活路は一つ! ランサーの小娘を利用すべし!))) (((利用? どうやってだナラク!))) (((あの娘のジツはコッポ・ニンジャのコッポ・ドーに近い! 振動波を送り込んで体内から敵を破壊するジツの前には鎧など意味を成さぬ!))) (((……承知!))) ナラクとの交信。今やフジキド・ケンジとナラク・ニンジャはかつてないほどシンクロしている。 ナラクが何を言いたいのかもすぐに察した。勝利の糸口を掴んだニンジャスレイヤーは、マスターとなった凛に念話を繋ぐ。 (トオサカ=サン、ランサー=サンのマスターに伝えよ。私が奴に傷を穿つ。その弱点目掛け宝具を使え……と!) (どういう……いえ、わかった。信じるわ) この状況で伝えるからには余程勝算があるか、あるいはもはやそれ以外に手がないかの二択だ。 そして凛はアサシンにヤバレカバレ・アトモスフィアはないと判断! 信ずるに足る策なのだと、信じると決めた。 遅滞なくランサーのマスターに策が伝わる。よほど機転が利くのか、青年は委細承知とばかりに軽く頷いて了承の意を返してきた。 デッドプールは今も好き勝手に暴れている。破壊と再生を繰り返す度ウェイバーが倒れたり吐いたりしているものの、まだ余力は残っていそうだ。 (((フジキド! 儂の力を使え!))) (((断る、ナラク! 貴様と代わる気はない!))) (((そうではない、フジキド! 儂の力をお前が使うのだ!))) (((何……!?))) (((このカラテなら我らが宝具……すなわち儂の力を存分に振るえよう! 奴をスレイせよ、フジキド!))) (((私の邪魔をする気はないのだな?))) (((知れたこと! 全てのニンジャをスレイするが儂の悲願! 今ならば手強きあのキャスター=サンをも屠れよう!))) (((……よかろう! 力を貸せ、ナラク!))) ナラクの意志を確認したニンジャスレイヤーは、凛の前に屈みこんだ。 少女と目線を合わせ、問う。 「トオサカ=サン、宝具を開放する許可を」 「許可するわ、アサシン。キャスターを倒して」 「承知……!」 立ち上がったニンジャスレイヤーは連続バック転を決め、バーンから距離を取る。 それが何らかの攻撃の予備動作と見たバーンは、エリザを視界に収めつつ片腕をニンジャスレイヤーに向けた。 「スゥーッ! ハァーッ! スゥーッ! ハァーッ! スゥーッ! ハァーッ!」 チャドー呼吸。血中カラテ濃度が急上昇する。 チャドー。フーリンカザン。チャドー。フーリンカザン。 (((征くぞ、ナラク!))) (((任せよ、フジキド!))) フジキドは固く瞳を閉じ――開く! 「「覚悟するがいい、キャスター=サン!」」 一人にして二人。 ニンジャスレイヤーとナラクの声が、重なって冬木市の夜空に響く! ナラクの力を引き出したニンジャスレイヤーのその目は、片方が黒く片方がセンコめいた赤い光を放つ! 「それが貴様の宝具か、アサシン!」 外見上の変化は瞳孔が収縮した瞳と、黒い炎をまとっているに過ぎない。しかし――圧倒的なプレッシャーを感じる。 タイプとしてはバーンの真の肉体のようなものだ。ニンジャスレイヤーの内に潜む真の姿が、すなわちこれなのだ。 「なるほど……余に比肩しうる魔をその影に潜ませていたか!」 「もはや語る舌なし。キャスター=サン、オヌシを殺す!」 一陣の風と化し、ニンジャスレイヤーが駆ける。 影すら残さない、先ほどまでとは段違いのスピード。 長い助走を得て――跳ぶ。 「イヤーッ!」 ドラゴンニンジャ・クランに継承される伝説の暗黒カラテ技、ドラゴン・トビゲリ! ドラゴン! 天翔ける竜の如き飛び蹴り! バーンはとっさに腕を上げてガード! ゴウランガ! 鬼眼王の巨体が揺れた! 鍛え上げたカラテ・キックは、宝具の一撃にすら見劣りしない! 「ムウーッ!」 「ええい、小賢しいわ!」 未だ空中にあるニンジャスレイヤーへ、バーンのもう片方の腕が叩き付けられる! 「足元がお留守だぜ」 その時! ちょろちょろと動き回っていたデッドプールが爆弾の設置を終えていた! 一斉に起爆された爆弾は、鬼眼王の超重量を支え悲鳴を上げていた地面を崩落させる! 「む、おおッ!?」 「ドーモ、バーサーカー=サン」 態勢を立て直したニンジャスレイヤーが着地する。 バーンは逆に姿勢を崩され、瞬時に動くことは不可能。 今こそ、勝機! ――インストラクション・ワン! 思い出すのは、師たるドラゴン・ゲンドーソー。 そのインストラクション。 ――百発のスリケンで倒せぬ相手だからといって、一発の力に頼ってはならぬ!一千発のスリケンを投げるのだ! (((ハイ、センセイ!))) ドラゴン・ゲンドーソーの眼差しを今一度思い出す。 インストラクションの一つ一つがニンジャスレイヤーの血肉となっている。 「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」 投げる。投げる。投げる。投げる。 目にも留まらぬスピードで、ニンジャスレイヤーはスリケンを投げ放ち続ける! 狙いは一点、鬼眼王の右腕。 先ほど『竜鳴雷声(キレンツ・サカーニィ)』をガードし、最も甚大な損傷を与えられた部分。 「ははあ、なるほど。じゃあ俺ちゃんも乗るしかない、このビッグウェーブに」 ニンジャスレイヤーの狙いを察したデッドプールも、どこからか取り出したマシンガンの火線を集中させた。 数十、数百――数千に達する刃と銃弾が少しずつバーンの表皮を削り取る! 「小賢しい……!」 業を煮やしたバーンがガードを上げ、拳を握る。 いくら受けようとこの程度、ダメージにはならないと判断したのだ。 その油断――慢心こそ、フジキドが待っていたもの! 「イイイイヤアアアァァーーーッ!」 アフリカ投げ槍戦士のごとく上体を捻った中腰姿勢。ここから放たれるスリケンは通常のスリケンとは段違いの威力を誇る。 チャドーの大技――ツヨイ・スリケン! あらわになったバーンの本体目掛け、一直線に向かっていく! だが、しかし! 天より打ち下ろされるバーンの拳! いかにツヨイ・スリケンといえども質量が違いすぎる。燃え尽きた炭のようにスリケンが砕かれた! ガードを上げたのはバーンの誘いだ! 全霊を込めた一撃を防がれたニンジャスレイヤーは隙だらけ! 「死ねい、アサシン!」 バーンのキャノンボール・ケリ! 当たればニンジャスレイヤーは間違いなく爆発四散! デッドプールが持っていたゲージをニンジャスレイヤーに投げつけた! 「グワーッ!?」 吹っ飛ぶニンジャスレイヤー! 直後、その場所を踏み砕くバーンのビッグフット! 一命は取り留めたものの、硬くて重いゲージの直撃は実際痛い! 「一発だけなら誤射かもしれない。まあなんだ、怒るなよな?」 「ええい、バーサーカー! 貴様は邪魔ばかりしおって!」 「そりゃあ、ほら。俺ちゃん勇者じゃないけどこれでも正義のヒーロー()だからね」 怒れるバーンの四肢がデッドプールを襲う。転がり回って回避。 前転を繰り返し態勢を立て直したニンジャスレイヤーが、デッドプールに向けてスリケンを投擲! デッドプールが吹き飛ぶ。あわやバーンの脚を回避! 「イヤーッ!」 「グワーッ!」 シャウトを上げておきながら、デッドプールにスリケンは直撃していない。 わざとゲージに当たるように投げたニンジャスレイヤーの奥ゆかしさ! 「遊んでおるのか貴様らッ!」 そのじゃれあいのようなやりとりに憤慨したのはバーンだ。 大魔王最後の戦というのに、このようなふざけた輩が相手などと! 激甚な怒りに身を任せ、バーンが狂乱した! 「急ぐと死ぬ。ミヤモト・マサシの言葉だぜ!」 そろそろ底を尽きかけている魔力と、破壊衝動を抑えられなくなるバッドステータス【凶暴化】の影響で、バーンはこの時、エリザの存在を忘却した。 わざとバーンを挑発するように動いたニンジャスレイヤーとデッドプールの目論見は、見事成功した。 「グオオォォォーーーーーッ!」 振り上げた拳。 『竜鳴雷声(キレンツ・サカーニィ)』、無数のスリケンと銃弾を浴びた小さく、しかし確かな亀裂。 その僅かな隙間目掛け――エリザベート・バートリー、竜の娘が疾風のように飛び込んだ。 ――令呪を以って命じる! ランサー、キャスターを倒せ! 岸波白野の戦術眼により、ここぞとばかりに放たれた令呪がその突撃をさらに加速させる。 我を失ったバーンの本能に任せた攻撃など、容易くその軌道を読み取れる。 寸分の狂いなく、バーンの傷に潜り込むエリザの槍の穂先。 「任せなさい、子ブタ!」 全ての条件はクリアされた。 エリザの保有するありったけの魔力、令呪によるブースト効果、戦友クー・フーリンから託された思い――その全てを一つにして放つ! 『Ah─────────────────────ッッッッ!!!』 雷雲を呼ぶ竜の吐息。解き放たれる破壊振動の波。 本来その威力を削ぐべき鬼眼王の装甲は、既に槍の外にある。 かつて大魔王バーンは勇者との決戦である逸話を残した。 それは、勇者の剣に心臓を貫かれ、そこに直接雷撃を落とす事による体内殲滅効果。 つい数分前にランサーから受けた心臓破壊の槍もこれだ。 いかに強固な皮膚を誇ろうとも、体内で炸裂する攻撃には大魔王といえども大きなダメージを受ける! 「■■■■■■■■■■――――ッッ!! 言葉にならない、獣と化した大魔王の咆哮。 しかしそれは紛れもなく苦悶の叫び。効いているのだ! 「やったか!?」 その時! デッドプールが言ってはいけない一言を漏らす。 「いやでも、ここは言わないとダメだろ? ほら、様式美とかあるじゃん?」 「何を言っているのかわからぬ、バーサーカー=サン。しかし……好機!」 エリザの全力全開の宝具を受け、バーンはかつてないほどのダメージを受けている。スレイするならば今しかない! 「スゥーッ! ハァーッ! スゥーッ! ハァーッ! ……Wasshoi!」 短くチャドー呼吸。体内のカラテを練り上げる。 繰り出すは二度目のドラゴン・トビゲリ! ドラゴン! かつて竜の騎士によって葬られた大魔王は、此度もやはり竜の娘と竜の蹴りによって、打ち破られる! 「…………オオオォォォォアアアアァァァァーーーーーーーーッ!」 しかし! その時! 大魔王バーンは左腕を高く掲げ、自らの右肩の付け根に振り下ろした! アブナイ! ヤバレカバレのスーサイド!? 否! 否! 本能に呑み込まれたとはいえ、仮にも大魔王を名乗る者! 死地にありて活路を見出すのは、正義に生きる者の特権ではない! 巨獣の爪が自らの腕を切り落とす! その腕にはエリザが槍を突き刺していた。バーンは自らの腕を捨てる事で、超音波による蹂躙を遮断したのだ! そしてバーンは斬り落とした腕を蹴り飛ばす。デッドプールのいる場所へ。 「Ah――――ぁッ!?」 「あー、やっぱこれって俺ちゃんのせい? ですよね」 エリザも巻き込まれ、デッドプール諸共に吹き飛ばされていく。 残ったのはバーンに向かってくる、飛び蹴りのモーションに入りもはや中断の効かないニンジャスレイヤー! 鬼眼王のカウンター・パンチ! 「グワーーーッ!?」 ニンジャスレイヤーが凛と白野の元へ吹き飛ばされてきた。 ドラゴン・トビゲリで威力を削いでなお、ニンジャスレイヤーは爆発四散寸前まで追い込まれる! ウカツにも反撃を予想していなかったニンジャスレイヤーの意識はニューロンの奥底へ沈められた! 血塗れになって転がるニンジャスレイヤー。 極度の魔力放出により膝を突くエリザ。 立ち上がったが代わりにウェイバーが這いつくばったデッドプール。 掴みかけた勝利は、一瞬にして幻と消えた。 「……嘘」 凛が呆然と呟く。 恐るべきは三騎のサーヴァント、最良の戦術を以ってしても倒しきれない大魔王の底力か。 ――まだ、終わってない。令呪を使うんだ。 手を繋ぐ白野に促され、凛は令呪の存在を意識する。 あと二画の令呪。一画は使う余裕がある。 ニンジャスレイヤーに駆け寄り、意識の有無を確かめた。 「アサシン、令呪を使うわ。もう一度今の作戦を」 凛の言葉は、ニンジャスレイヤーによって遮られた。 仰向けになり、ゆっくりと目を開いたその眼光は――センコめいた光を放つ、煮え滾るマグマ! 「情けなや、フジキド……この上は儂自ら手を下すしかあるまいな……!」 ニンジャスレイヤーの喉から漏れる声。 それは、先程までのニンジャスレイヤーの声とは決定的に違う。 確執を乗り越えともに戦うと決意させた、フジキド・ケンジではない――全てのニンジャ殺戮を望む、ナラク・ニンジャ! 「小娘よ、冥土の土産に覚えておくがよい。理不尽は道理を殺すのだ」 伸ばされる腕。黒い血が滴り、破れた装束を再形成していく。 (令呪を――ダメ、声が――出ない――) 喉首を締め上げられ、凛の意識は瞬時に遠くなる。 異変を察した白野が駆け寄ってくる。しかし凛は視線で彼を制した。 持っていたアゾット剣に一瞬、己の魔力を通し――彼に投げ渡した。 「これぞ、インガオホー也……!」 「忍」「殺」のメンポの奥から硫黄の蒸気が漏れる。 凛はその姿に、大きく口を開けた野獣の姿を――否。どこまでも深く底のない、深淵の奈落を幻視した。 (――ラン、サー――) 闘うと決めたのに。 ランサーに恥じないマスターになると誓ったのに。 岸波白野と闘うと約束したのに。 負けて、しまった。 (――悔しい) 闇が、全てを呑み込んだ。 ▲ ▼ ▲ 岸波白野の目前で、一体何が起きたのか。 頭で理解していても、事実を納得するまでには至らない。 遠坂凛の小さな身体が消えて、五色に輝く魔力の光となって、立ち上がった赤黒のニンジャの、硫黄の煙立ち昇る鋼鉄のメンポに吸い込まれた。 それは一体――何を意味するのか。 「ググ……グ……ようやく……だ。ようやく……儂の……時が来た!」 殺戮者のエントリーだ! 感慨深げに呟くはニンジャスレイヤー――否、ナラク・ニンジャ。 バーンの攻撃によって意識をニューロンの海に拡散させたフジキド・ケンジに代わり、肉体を支配したのだ。 ナラクはそのまま遠坂凛との契約を破棄――しかし魂を食らった事により莫大な魔力を得て、遂にナラク・ニンジャは自由を得た。 「忍」「殺」の二文字を象るメンポから地獄の蒸気が溢れ出す。 血に濡れたニンジャ装束が燃え上がる。一瞬の後、ニンジャスレイヤーの全身の傷は強引に焼き塞がれていた。 「ドーモ、キャスター=サン……」 目を見開く。そこにあるのはセンコのごとく赤く小さい両の瞳! それを見たウェイバーが、ヒッと魂の奥底より湧き上がってきた恐怖に身を竦める。 「……ナラク・ニンジャです」 「貴様、一体……?」 「イイイイヤアアアァァーーーーッ!」 突如、底知れぬ暗黒の気を放ち始めたアサシンを前に、さしもの大魔王も怪訝そうな表情を見せる。 そこにすかさず飛来する、黒い炎にコーティングされたスリケン! バーンはとっさにガードを上げる! 「む……これは!」 「サツバツ!」 防いだとはいえ、そのスリケンの威力は先程までとは比べ物にならなかった。 スリケンは刀身半ばまで鬼眼王の皮膚に食い込ませていた。その傷口を黒い炎が焼く。鬼眼王は怒りに吠えた。 「Oh……ニンジャの血は、きっと鉄と硫黄で出来ていた……」 もはやナラクの目にはバーンしか、バーンの目にはナラクしか映らない。 突如戦闘から放り出されたデッドプールは、ウェイバーの肩を叩き恐怖を和らげてやりながら独りごちた。 形としては突如力を増したニンジャスレイヤーに救われた彼だが、感謝など述べる余裕がない。 共に戦っていたエリザは呆然としている白野を支えていた。 「あいつ、何なの……?」 「やればできるじゃねーか……ってもんじゃねえな。本当にやっちまったのか、ニンジャ」 デッドプールは他人事のように――実際他人事であるが――静かに呟く。 奴は選択した。それが奴自身の意志であれなんであれ、もう戻れはしない。 今だとばかりにウェイバーから魔力を拝借し、傷の修復にかかる。 何せ――敵が一人増えたのだ。万全にしておいて損はない。 「グオオオォォォォーーーーーッ!」 「グググ……足りぬ、足りぬ……!」 大地を割り、海を破り、空を裂く。 バーンが繰り出す攻撃はどれもが一撃必殺の威力。 しかしナラクはそのことごとくを避ける。避ける。避ける! 「どれだけ力があろうと……どれだけ巨体であろうと……!」 砲弾のような爪先をブリッジして躱す。 大地を背にしてバランスを確保し、寝そべった態勢から背筋で飛び起きる。 その反動を利用し、頭上を通り過ぎていった鬼眼王の膝裏へスリケンを連射! 「グワーッ!?」 「カラテが足りぬ! 奥ゆかしさが足りぬ!」 今のバーンは全身から魔力を放出し続けているに等しい。 ソウルを感知する力を持つナラクにとって、その攻撃の予備動作を読み取る事などベイビー・サブミッション! また、バーンは肉体の圧倒的スペックと膨大な魔力を誇るが故に、純粋なカラテを練り上げていない。 ナラクは、多種多様なジツを操るニンジャ達を、己の肉体と不浄の炎のみでスレイし続けてきた。 ただ肉体の強度のみを頼りに何の技巧もなく振るわれるカラテなど、目を瞑っていても避けられる。 「ぐっ……しかし、貴様もマスターを失っているはず! それだけの力、いつまでも発揮できるものか!」 そう、ニンジャスレイヤーはマスターたる遠坂凛を自ら殺害した。 再びはぐれサーヴァントになったニンジャスレイヤーもまた、魔力の供給源を失いタイムリミットが設けられたたも同然。 凛の魂を喰って膨大な魔力を得たとて、マスター不在とナラク自身の二重消費によって瞬く間に使い尽くしてしまうだろう。 「ググ……吠えるでないわこわっぱが。当然わかっておる……故にこうするのだ!」 ナラクがバーンへと跳びかかった。 バーンは反射的に、正面から来る打球を打ち返す。 巨大な拳がナラクを襲う。ナラクは身を捻る。しかし躱しきれない! 「グワーッ! グググ……ウカツ! かかりおったわ!」 ニンジャスレイヤーは、ナラク・ニンジャを開放する事によってステータスとスキルが変動する。 アサシンとして特性たる気配遮断が弱体化する代わり、戦闘者として有用なスキルである戦闘続行が上昇するのだ。 そしてここで、戦闘続行のスキルが仕事をした。 バーンの一撃を喰らいながらもナラクの動きは鈍らず、一撃を放った直後で硬直した鬼眼王の隙を突くのだ。 「イヤーッ!」 ニンジャ装束の袖口からまっすぐ伸びる赤黒い線。それは自身の血液から生成した鎖! 先端は鋭いスリケンが付いている。鬼眼王に突き刺さる。バーンはそれを防げない。 鎖はバーンの表皮に突き刺さる! そしてナラクはその鎖を強く引いて跳び、一瞬でバーンの身体へと取り付いた! 「グワーッ! き、貴様まさか……!」 「グググ……貴様のマスターは……頂いてゆく!」 ナラクは数度の交錯を経て、バーンのソウルを念入りに検分した。 そして発見したのだ。巨大な鬼眼王のボディの内、一点だけ、色の違うソウルが発されている場所を。 それはすなわち――マスターたる足立=サン! 「イイイイヤアアアァァーーーーッ!」 足立が囚われている箇所に肉薄したナラクは、身体から滴る赤黒い血を両手で拭い取る。 その手は瞬く間に轟々と燃える黒い炎に包まれ、水が冷えて氷になるように、炎が一つの形を得る。 ブラスナックルめいた黒鉄の指輪、その先端には幾つもの鋭利な刃が生えている。アブナイ! そして――右ストレート! 左ストレート! 右! 左! 右! 左! 右! 左! 右! 左! 秒間百発にも達しようという流星の如き拳がバーンのボディに突き刺さる! 「グワーッ!」 エッジを生やしたブラスナックルがバーンの表皮を削る、削る! たまらずバーンがナラクに掌を叩き付ける! しかしナラクは瞬時にジャンプ。間一髪で掌を回避! 「グググ……もう遅いわ!」 宙に舞いながらナラクは再び鎖を射出。 ブラスナックルによって剥き出しにされたバーンの肉体に鎖が潜り込み――ブッダ! 引き抜かれた時には足立が鎖に巻き取られていた! 足立を手中に収めたナラク・ニンジャは、バーンの肩を蹴って即座に離脱した。 「貴様ーッ! 逃さぬぞーッ!」 「ググググ……オロカなり、キャスター=サン。もはや勝敗は決したのだ」 バーンは狂乱の勢いのままに追いかけてくる。 が、ナラクは巧みに鎖を操って、自分とバーンの間にエリザベートとデッドプールを置くように跳んだ。 バーンの目にはそれがナラクの独断だとは理解できない。 故にバーンは、ナラクへの道を阻む二騎のサーヴァントに攻撃を仕掛ける。 「おいおい、こっち来んなよ。MPKかっつーの」 「邪魔だ!」 バーンの足が振り下ろされる。デッドプールは慌てて横転。エリザも何とか回避する。 しかしナラクの目論見通り、バーンの足は一瞬止まってしまった。 その一瞬の間に、ナラクは残るカラテを両足に注ぎ、かなりの距離を稼いでいた。 弾丸のように疾駆しながら、ナラクは足立の顔を掴んで無理やり視線を合わさせる。 「足立=サンよ。令呪を使い、キャスター=サンとの契約を破棄せよ。さもなくば貴様は死ぬ」 「あ……う……」 極度の魔力消耗で朦朧としている足立が、間近にあるナラク・ニンジャの溶鉱炉の如き眼光に震え上がる。 笑っているのか泣き出しそうなのか。ニンジャリアリティショック罹患者特有の、一見しただけでは判別しがたいそのアワレな表情は実際失禁寸前。 「儂が手を下すのではないぞ。このままでは貴様はキャスター=サンにカラテを吸い尽くされて死ぬ。 助かりたいのなら方法は一つ。キャスター=サンを切り捨て、この儂と新たに契約を結ぶのだ!」 これこそが、ニンジャスレイヤー――否、ナラク・ニンジャの計略。 遠坂凛はマスターとして優秀ではあれど、彼女のランサーを殺す遠因となったニンジャスレイヤーに決して心を許さないであろう。 彼女は岸波白野と仮契約した身。サーヴァントを失っても消滅を免れるのなら、それは実質サーヴァントをレッサーヤクザめいた鉄砲玉として使えるという事に他ならない。 仮にエリザベートとニンジャスレイヤーの二騎が最後まで残った場合、凛は躊躇いなくニンジャスレイヤーに自害を命じるはずだ。 マスターが二人とサーヴァントが一人残る。それでもサーヴァントが一騎しかいない以上、聖杯は彼らの手に落ちる。 ニンジャスレイヤーにとっては負い目のあるマスターであっても、ナラクにとっては殺すべき敵に過ぎなかった。 仮にフジキドがキャスターをスレイできていたとしても、いずれナラクは凛に牙を剥いていただろう。 「オヌシを救える者はもはや儂以外にはおらぬ。 キャスター=サンはオヌシをジョルリ人形めいたカラテ・ジェネレーターとして利用するのみ。 オヌシらと敵対していたこわっぱ共は当然オヌシを生かしておく気はなかろう。ルーラーの小娘に頼ったとて救われるはずもない」 故に、ナラクは凛ではなく足立に目をつけた。 足立はバーンの他に仲間と呼べる者がおらず、ニンジャスレイヤーによって徹底的に恐怖と痛みを刷り込まれた。 もはや一人で歩くこともままならず、四面楚歌の状況。キャスターですらもはや味方ではない。 足立の命運はまさにロウソク・ビフォア・ザ・ウィンド。 「このまま枯死するまでキャスター=サンにカラテを吸われ続けるか、それとも儂と契約し生き長らえるか。さあ、選べ!」 ここまで足立を傷めつけたニンジャスレイヤーに従う事は、屈辱である。 しかし、足立には――戦士でもなく魔術師でもない、『力を持ったただの人間』である足立には――命を捨ててでも貫き通す信念など、ない。 身動き一つ言葉一つ発せないバーンの支配下から脱したと思ったら、今度はニンジャスレイヤーだ。 しかし一つ確実な事もある。それは、今もこの身を苛む盛大な魔力の流出を止められるという事だ。 数分後に訪れる確実な死か、屈辱を呑んで得る負け犬の生か。 奈落の底のようなナラクの瞳に覗き込まれ、足立の心はついに折れた。 「わ……わかった。お前と契約……する……!」 「足立ィィ――!」 足を止めたナラクに追いつくバーン。 しかし、ナラクの言通り。勝敗は既に決していたのだった。 単に足立というマスターを確保するだけならばバーンを自害させれば良い。 しかし、ナラクは云わばニンジャスレイヤーの始祖――己の手でニンジャを惨殺する事に愉悦を覚える狂人である。 ニンジャは必ず手ずから殺す。事にこのキャスターはアーチ・ニンジャ級、いやそれ以上の力を持つ大物である。 故にナラクは契約の解除に留める。絶望に堕ちたバーンを、自らの手で屠り去るために。 「れ、令呪を以って命じる……キャスター、お前との契約を破棄する……! そ、そして……アサシン、お前と契約する……!」 方向性を与えられた令呪はすぐさま発動、契約を履行する。 その時――足立からバーンに供給されていた魔力が、今度こそ途絶えた。 そしてマスターを持たぬサーヴァントとなったバーンは、巨体を維持するための魔力も全て自分で賄わなくてはならなくなった。 スイッチを落とされたように巨人の進撃が止まる。 「ガ……!」 「ググググ……苦しかろうな、キャスタ=サン。案ずるでない、儂がカイシャクしてやろう」 足を踏み出す力さえ失ったバーンの前に、ナラクが立つ。 単独行動スキルを持たないバーンには、マスター不在の上に鬼眼王状態を維持する負担は想像を絶するものだ。 対するナラクは対照的に、新たな魔力供給先を得て全身に力が漲っている。 遠坂凛の魂を食って得た魔力は既に半分ほど消費してしまったものの、まだまだ尽きてはいない。 ここに、形成は逆転した。 「イヤーッ!」 「グワーッ!」 ナラクが身を捻り、二本のスリケンを投げ放つ! 先ほどまでは表皮で弾けていたそのスリケンは、今度はやすやすとに突き立つ! バーンの剥き出しの上半身目掛け、ナラクが跳んだ! 溢れ出る血液が不浄の炎となって燃え盛り、ナラクの全身に宿る! ナラクがバーンの頭上少し上に刺さったスリケンを掴む! その姿はまさに垂直の壁に張り付くニンジャの如し! 「あ……アサシン……!」 「ヌウウウゥゥゥー!」 ナラクが両足に黒い炎を集める! 両腕でスリケンをがっちりとホールドし、両足を空中に振り上げた! バーンは背後に位置するナラクが何をしようとしているか理解した。が、反撃の手立てがない! 腕一本動かす魔力すら、今のバーンにはもうないのだ! 「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」 「グワーッ! グワーッ! グワーッ! グワーッ! グワーッ! グワーッ! グワーッ!」 ゴウランガ! 機関砲のように繰り出される無慈悲なるストンピング重点! 黒炎まとう豪脚がバーンの後頭部から背中、脊髄にかけて何度も何度も何度も何度も蹴り降ろされる! 「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」 「グワーッ! グワーッ! グワーッ! ……余が……こ、この大魔王が……グワーッ!」 ニンジャ殺すべし! ニンジャ殺すべし! 絶対の殺意をガソリンに繰り出されるナラクの足刀は、バーンの残り一つとなった心臓に容赦無い負荷を与え続ける! 魔力切れでの消滅など許さない。この身、この意志でニンジャを殺す。 砕き、引き裂き、八つ裂きにする。それがナラク――全てのニンジャを殺す者! 「サツバツ!」 骨という骨、内臓という内臓をミンチにし終え、頃合と見たナラクがバーンの背中を足場に跳んだ。 身を捻り縦方向に宙返り、高速で回転する。不浄の炎をまき散らす黒い竜巻となる! 「イイイイイイイヤアァァァァァァーーーッ!」 「グワアアアアアアァァーーーーーーーッ!」 ナラクは全身のカラテと遠心力、さらに不浄の炎を足先に集約し、ギロチンのように振り下ろした! これこそは暗黒ジュー・ジツのヒサツ・ワザ! バーニング・カカト・フォール! 灼熱を帯びた強烈なかかと落としがバーンの脳天に叩き込まれた! 武器ではなく、宝具でもなく。ただ己の五体を以って凶器と成すカラテの真髄! オリハルコンの武器さえ受け止める大魔王の肉体が砕ける! さらにナラクはありったけのカラテを不浄の炎へと変換し、バーンの体内で炸裂させた! 魔力とも暗黒闘気とも違う不浄の炎がバーンのボディを駆け巡り灼き尽くす! 「負ける……この……余が……!?」 「ニンジャ! 殺すべし!」 ナラクが、跳んだ。着地する赤黒のニンジャ。 その孤影を際立たせるように――そびえ立つ魔獣の巨躯が、弾ける! 「ヌウウウウアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」 猛烈な爆発が、黒く染まり始めた空を朱に照らす――大魔王バーン、爆発四散! 不浄の炎はバーンの四肢を灰と変え、ついに最後の心臓をも焼却させた! 本体を失った鬼眼王の巨体は霞と消えていく。 ぼとり、と何かが落ちてきた。それは苦悶に顔を歪め、屈辱に呑み込まれた大魔王の頭部。 終末をもたらす巨人は――奈落の底から湧き出た劫火に灼き尽くされた。 静まり返った戦場にナラクの哄笑が響き渡る。それは血に酔い、殺戮を愉しむ狂人の笑みだった。 「キャス、ター……」 「ググググ……フジキドよ、喜ぶが良い。仇は討ってやったぞ」 裏切られ自らも裏切ったバーンの無惨な最期を目の当たりにし、足立が呆然と呟く。 ナラクはそんな彼を一顧だにせず、足を踏み出した。 その先にいるのは満身創痍のエリザベート、デッドプール。そして彼らが護る岸波白野、ウェイバー・ベルベット。 「キャスター=サンの次は貴様らよ、道化と小娘」 ナラク・ニンジャは、フジキド・ケンジとは違う。 一時共闘したとはいえ彼らに気を許す訳はなく、バーンを打倒した以上次に牙を剥くのは当然、残っていた彼らとなる。 「うーん、俺ちゃんそろそろポケモンセンター行って寝たいんだけど。ダメ?」 「あんた、一体何がしたいのよ! キャスターと戦ったと思ったら凛を……殺して、結局キャスターを殺して! 今度は私達って訳!?」 ナラクは答える代わりにスリケンを生成した。 エリザもデッドプールも、ルーラーに与えられた令呪の魔力はバーンとの戦いでほぼ使いきっていた。 凛という最上級の霊媒を喰ったナラクこそが今この場で最も多くの魔力を保有している。 キャスター撃破で消費した分を差し引いてもなお、まだナラクが勝る。 「ニンジャ殺すべし。例外はない。ニンジャ殺すべし!」 不浄の炎をまとったスリケンが乱射される。 エリザとデッドプールがそれぞれのマスターを庇った。その一瞬の隙でナラクには十分。 瞬時にワン・インチ距離にまで踏み込んだナラク、その伸ばされた指先は実際刃のように鋭い。 ブッダ! ヌキテがエリザの心臓を貫く! 「ウヌッ!? これは……貴様か、フジキド!」 しかし! エリザをスレイせしめるはずのナラクの手刀は、ナラクのもう片方の拳が叩き付けられた事によって軌道を変えた! よく見れば、燃え盛っていた黒き炎も消えている。 (((やめろ、ナラク!))) ニューロンの奥からフジキド・ケンジの意志がナラクを打った! 凛の魂を横取りして肉体の主導権を得たナラク。 だが、バーン撃破のためにその魔力を大量に消費した事によって、フジキドの肉体への支配力が弱まったのだ! 覚醒したフジキドは、肉体をナラクが動かしている事を知り、すぐさま反撃を開始したのだ。 (((フジキドよ、なぜ邪魔をする!?))) ナラクは一旦距離を取りつつ、精神チャノマへと意識をダイブさせた。 そこにはフートンの上にアグラを組んでチャドー呼吸を繰り返すフジキド・ケンジの姿があった! (((ナラク! 何故……何故、あの娘を殺した! あの娘は俺を信じてくれたのだぞ!))) {(((何を言うか、フジキド! あの娘がお前を受け入れたとでも思っているのか!? 否、否! 我らの命はあの娘に握られたも同然! キャスター=サンを排除すれば次は我らがスレイされるのは明らかだった! 故に儂がその裏を掻いたのだ!)))} (((だとしても! ならば何故、それを俺に伝えなかった!? 契約を破棄すれば、殺す必要はなかったはずだ!))) {(((グググ……血迷ったか、フジキド! 全てのニンジャを殺さねば聖杯は手に入らぬ! あの小娘は他のマスターと通じていた! であればいずれあの娘はお前を切り捨てただろう! その前に殺さねばならなかったのだ! 足立なるサンシタの方が、あの小娘よりどれほど扱いやすいかわからぬのか!)))} ニューロンの奥底で、肉体の支配権を賭けた壮絶な綱引きが行われる。 その様を好機と見たエリザが槍を突き込もうとするが、デッドプールによって止められた。 「ちょっと、なんで止めるのよ!」 「もうちょい待ちなって。多分、今のアイツには……下手に手出ししない方がいい」 狂気に侵された者、デッドプール。 だからこそわかる。今、ニンジャスレイヤーの肉体の中で、理性と狂気が激しくせめぎ合っていることを。 横槍を入れればその均衡が一気に崩れ、完全に狂気に呑み込まれるかもしれない。それを危惧しているのだ。 (((忘れたかフジキド! ニンジャによって殺された妻子の恨み……そして、お前の弱さ故に救えなかったあの無力なマスターを!))) (((忘れるものか! 忘れられるものか! 憎い……ニンジャが憎い! しんのすけを殺したキャスター=サンと、アサシン=サンが憎い!))) {(((ならばフジキド、儂に従え! 敵を殺し味方を殺し、滅尽滅相あらゆる敵を殺し尽くすのだ! 聖杯を手に入れればオヌシの死したマスターも、あるいは救えるかもしれんのだぞ!)))} (((……! しんのすけを……!?))) {(((そうだ! 小癪なニンジャの仕組んだ偽りではない、本物の家族の元へあの小僧を帰してやることさえ可能なのだ! だというのにフジキド、お前は本来のマスターではない小娘に心を許したか!? オロカにもほどがある!))) (((ナラク……!))) {(((いい加減に理解せよフジキド! 真の意味でお前の仲間と言えるのは、この儂だけだということを! いずれ殺すべき者を信用するな! ニンジャを殺せ! 人間性など捨てよ! 憎悪を、殺意を思い出せ!)))} (((ヌ……ヌウゥゥゥ……!))) ナラクがやった事――それを果たして責められるのだろうか? フジキドがこの場で凛と契約を結んだのは、バーンをスレイするために必要だったからだ。 決して、凛を護るためではない。ランサーを失ったからとて、フジキドが代わりに彼女を護る道理などない。 そう――ニンジャスレイヤーのマスターは、野原しんのすけただ一人。 しんのすけが最期に抱いたその無念、その絶望を、決して忘れてはならない。 誰よりもその痛みを知るニンジャスレイヤーだけは――我が子を亡くした父親であるフジキド・ケンジだけは、絶対に。 しんのすけはフジキドのように望んで修羅道に堕ちた訳ではない。選択の余地すらなくこの地獄に落とされたのだ。 こんなマッポーの世で死ぬべき存在ではない――絶対に! ならばニンジャスレイヤーが、フジキド・ケンジが成すべきは全ニンジャの殺害と聖杯の獲得であり。 遠坂凜を護る事では、ない。 (((道を誤るなフジキド! お前が闘う理由は何だ!?))) (((それは……しんのすけの無念を晴らす事……いや……しんのすけを、家族の元へ……!))) {(((ならば! ならば! ニンジャを殺せ、フジキド・ケンジ! 敵も味方も全てを殺せ! 殺して殺して殺し殺し殺し殺し殺し殺し殺し尽くした先にしか、あの小僧の魂に安息は訪れんのだ!)))} (((……ナラクッ! 俺は……ッ!!))) フラッシュバック――フユコ。トチノキ。無残に命を散らす罪無き人々。 フラッシュバック――しんのすけ。愛する父親に裏切られ、絶望に顔を歪める五歳児。 フラッシュバック――無力を呪うサラリマン。力を求める弱者。 フラッシュバック――ニンジャ殺戮を叫ぶ呪われたソウル。求めた強き力。 フラッシュバック。 ――――オラ、知ってるゾ! おじさん、忍者でしょ!? ――――ニンジャだぞー!ニンジャだぞー! フジキド・ケンジのニューロンの奥底で、二つの声が重なって響く。 『ニンジャスレイヤー』は固く目を閉じた。 「…………スゥーッ! ハァーッ! スゥーッ! ハァーッ! スゥーッ! ハァーッ! スゥーッ! ハァーッ! スゥーッ! ハァーッ! 」 全身全霊を込めたチャドー呼吸! ナラクによって支配されたフジキド・ケンジの肉体の支配権が、徐々に揺らぐ! (((やめい! フジキド! 何故儂を拒む!? 敵が、ニンジャが、目の前にいるのだぞ!))) (((フーリンカザン、チャドー、フーリンカザン、チャドー……!))) (((狂ったか、フジキド!))) (((ナラクよ、俺はお前の操り人形ではない! 俺が殺すべき敵は俺が決める! 俺の意志で殺すのだ!))) そして、『ニンジャスレイヤー』の目が見開かれる。 その目にはもはやセンコめいた炎はなく……鋭く引き絞られた、フジキド・ケンジの眼差し! オスモウカップ・イン・ニューロンに勝利したフジキドが、肉体の支配権を取り戻したのだ! 「……イヤーッ!」 ニンジャスレイヤーはスリケンを構え――放つ! しかしその矛先はエリザでもデッドプールでもない。命尽き果て、消滅しかけている大魔王の頭部! スリケンが突き立つ。大魔王の残滓が粉微塵に砕け散る。 その瞬間――かつて世界を手中に収め、神々すらも凌駕すると謳われた暗黒の大魔王は、完全にこの世界から消滅した。サヨナラ! ニンジャスレイヤーのインガオホーはここに果たされた! 「Wasshoi!」 そしてニンジャスレイヤーは跳んだ。 対峙する敵、見届けた裁定者、打ち破った怨敵。 その全てを放り出し、しかし新たなマスターとなった男だけは捕まえて。 明日をも見えぬ黒の帳の中へ、赤黒のニンジャ装束は瞬く間に消えていく。 残された者達はそれを呆然と眺めている事しかできなかった。 「退いた……?」 「らしいな。難儀なやつだなぁ、あいつも」 デッドプールが腰を下ろす。(外見上)元気なのは彼だけだ。 ウェイバーはデッドプールが再生するために持っていった魔力の消耗が激しく、四つん這いになって肩を激しく上下に動く。ほとんど瀕死状態。 エリザにもさしたるダメージはないが、宝具を繰り返し使用したため顔色は青い。 そして何より―― 「子ブタ……」 岸波白野は、黙して立ち尽くしていた。 盟友、遠坂凛が数分前までは確かにそこにいたという証。 彼女が残したたった一つの形見――アゾット剣を握り締めて。 背後からゆっくりと二つの足音が近づいてくる。白野が振り向くと、そこにはルーラーとカレンがいた。 「終わったようね。どうするのルーラー、『元』キャスターのマスターを追って令呪を剥奪する?」 「……いえ、止めておきます。今となってはキャスターとマスター、どちらが主導で魂喰いを行ったかは不明です。 この上まだ彼とアサシンがルール違反を行うようなら、その時改めて出向きましょう」 ルーラーの表情からは感情が読み取れず、内心どう思っているかは白野にはわからない。 マスターを殺したアサシンの行いを咎めていない以上、あれはルール違反ではないのだ。 戦争においては裏切りなど珍しくもない。白野が経験した月の聖杯戦争とは違うのだ。 「そう。じゃあもうここに用はないし、引き上げましょうか」 カレンは懐から透明な水晶を取り出した。 それは白野も知っている。アリーナから校舎に戻るための道具、リターンクリスタルだ。 ここでの役目は果たしたと、裁定者達は引き上げようとしている。 待て、ダメだ。まだ、あなた達には聞きたいことがある。そう声を上げようとするが、手の中のアゾット剣の重さがどうしても情動と判断能力を鈍らせる。 遠坂凛は死んだ。呆気なく、希望もなく。春先の雪のように消えてしまった。 絆を育み、いつかその前に立ち塞がると約束した、戦友。彼女はもういない。もう――出会う事はない。 ランサーから託されたものを、護る事は出来なかった。 喪失感はあまり感じない。それは衝撃の大きさに心が麻痺しているだけなのだと冷静に考える自分がいる。 おそらくこのしばし後、精神の痛みは現実の物となって襲ってくるのだろう。 それを思うと膝が震え、逃げ出してしまいたくなる。 それでも――それでも、まだ。 ――敗北を、認められない。 ―――――――――――――――― ・ルーラー達を見送る ・ルーラー達を呼び止める ―――――――――――――――― 白野は顔を上げて、選択した。 ▲ ▼ ▲ 戦場より数十キロは離れたビルの上で、ニンジャスレイヤーは停止した。 ここは周辺で最も高いビルの屋上、その奥まった一画だ。 気温は高いとは言えないが、空調や通信設備などの建造物が立ち並んでいるため風は遮られる。 何より外からの見通しが悪い。この時間なら、ここに潜伏していればまず発見されることはあるまい。 抱えていた足立を放り出す。 強引な魔力供給、そしてサーヴァント変更という死地を潜った足立の顔色は泥人形めいて土気色だ。 しかしニンジャスレイヤーは、新たなマスターの体調を一切考慮せず要件のみを切り出した。 「足立=サン、一つ忠告しておく。令呪で私を縛れるとは思わぬことだ」 「な、何……?」 「オヌシも見たであろう。私の中には『私でない者』が棲んでいる。 仮に令呪で私に服従を強制したとて、私は縛れても『私でない者』までは縛れない。 令呪が複数あるなら話は別だが、今のオヌシにあるのは一画だけだ。 もし令呪を使えば、今度こそ我らはオヌシを殺す。およそ考えつく最も惨たらしい方法で苦しめ抜いた後にな」 ニンジャスレイヤーの内に潜むもう一人の存在――ナラク。 足立には詳しく話してはいないが、先ほどの顛末を見た後では足立もさすがに察していた。 このアサシンはおそらく二重人格者だ。言うなればペルソナが意志を持ち宿主に干渉しているようなもの。 残る一画の令呪でニンジャスレイヤーとその影に潜む者を一度に支配するのは不可能であると、このサーヴァントは言っているのだ。 無論、その言葉が正しいとは限らない。ニンジャスレイヤーは信用ならない足立に脅しをかけているだけかもしれない。 だが真偽を確かめるには、足立は自らの命を天秤にかけねばならない。容易く判断できる事ではなかった。 「オヌシはただ隠れているだけでよい。私は私で独自に動く。オヌシの仕事は私に魔力を供給する事、ただそれだけだ」 「へ……なんだよ、結局お前もキャスターと同じ事させる訳?」 「致し方あるまい。キャスター=サンは実際強敵であった。奴が敗れたのはオヌシが足を引っ張ったからだ。 奇っ怪なジツを使うようだが、私はキャスター=サンの轍は踏まん。オヌシには何も期待せぬ」 ニンジャスレイヤーが足立と結ぶ絆は『信頼』ではなかった。 生きていたいなら協力しろという、脅迫にも近いそれは『利害の一致』でしかない。 屈辱と思いつつも、足立にはそれを受け入れるしかなかった。もはや足立にはこの狂人しか味方はいないのだ。 キャスターは既に亡く、上司である堂島はNPCに過ぎない。ランサーとバーサーカーのマスターには仲間の仇として付け狙われるだろう。 頼れるのは、自分の脚を完膚なきまでに破壊したこの憎き――そして恐ろしきニンジャだけ。 「ほんっと……世の中クソだな。夢も希望もありゃしない」 「そう思うのなら今すぐセプクするが良い。カイシャクはしてやろう。 尤も、命惜しさにキャスター=サンを裏切ったオヌシにそれほどの気概があるとは思えぬがな」 ニンジャスレイヤーはどこまでも酷薄だ。足立は護るべきマスターではなく、生きた魔力供給炉でしかない。 詰まる所はキャスターと同じ。道具として扱うのみ。 足立の両膝関節は完全に粉砕してある。ペルソナ・ジツを使おうとも、このビルを降りる事すら困難であろう。 これでは人質と大差ない。が、逆らえばすぐさまニンジャスレイヤーは自分を始末するだろうとも、足立は理解していた。 単独行動スキルを持つこのアサシンならマスター不在でも短時間なら存在していられる。 もし不興を買えば、あの幼女と同じように魂を貪られて死ぬだけだ。 どうにもならない状況にむしろ馬鹿馬鹿しさを覚え、足立は笑った。 悲惨としか言い表せない己の境遇を受け入れ――立ち向かうのではない――開き直った者の笑みだった。 ――いいさ、せいぜい利用するといい。僕だってお前を利用するだけだからな。 少なくとも、ニンジャスレイヤーが自分を必要としている内は殺される事はない。 もし彼が全てのサーヴァントをスレイできれば、自分も自動的に優勝するのだ。命があっただけでも僥倖だと思うしかない。 キャスターの大規模なルール違反により、足立もルーラーに目をつけられたはずだ。 しばらくの間は、ニンジャスレイヤーの言う通りにするしかないだろう。 「はいはい、わかりましたよ。大人しくしてればいいんだろ……くしゅっ! って言ってもさあ、ここにずっといろってのは無理だろ。寒いし、腹減ったし、何より足が痛いんだよ」 「食料、防寒具などの物資を集めてくる。ここより潜伏しやすそうな場所も探しておく。しばらくはおとなしくしておれ」 「でも仕事はどうすんだよ。僕、一応刑事なんだけど」 「この際、表の身分は気にせずとも良かろう。 キャスター=サンがマンションを破壊したおかげで、オヌシは死体も残らず粉砕されたものとして扱われるはずだ。 あの場にいたマスター達には知られたかもしれぬが、どうせその足では満足に動けぬ。どうでも変わらん」 赤黒装束のニンジャは立ち上がり、ウェイバーから貸与された携帯電話を握り潰した。 どうせこの電話はもう使われる事はないのだ。敵と繋がる要素などもう必要ない。 鉄くずを放り捨てたと同時、ニンジャスレイヤーは屋上から身を躍らせた。 (((…………))) ニューロンの奥に引っ込んだナラクは何も言わない。 が――消えた訳ではない。今後も隙あらばフジキドの精神を乗っ取り、暴れ回ろうとするだろう。 だがそうはさせない。殺すのは己の意志でだ。 必要なのはナラクの力、知恵、経験だ。ナラクの意志は求めていない。 「ウェイバー=サン、バーサーカー=サン、ランサー=サン、ランサー=サンのマスター=サン……」 ニンジャスレイヤーは選択した。 ナラクが指し示す通り――しかし己の意志で、全ニンジャを殺戮し尽くす事を。 自らの意志ではなく、しかし自らの手で命を落とした遠坂凛の瞳を思い出し――しかし記憶の底に封じ込める。 一時背中を預けた相手といえど例外はない。 そして、彼らよりも何よりも、ニンジャスレイヤーが自らの手でスレイせねばならない敵もいる。 「アサシン=サン。キャスター=サンは死んだ……次は、オヌシだ」 バーンは葬った。が、これはフジキドがインガオホーを果たしたとするには半分足りない。 アサシンは、フジキド・ケンジがフジキド・ケンジの意志のままスレイせねば、本当に復讐が成ったとは言えないのだ。 「ニンジャ殺すべし。アサシン=サン殺すべし……!」 故にアサシン――ベルク・カッツェだけは、必ずこの手で縊り殺す。そう誓う。 殺意を呪詛のように振り撒きながら、ニンジャスレイヤーは闇を切り裂いて駆ける。 其は黒よりも暗い影。ネオサイタマの死神に安息の時間など訪れない。 走れ! ニンジャスレイヤー! 走れ! ▲ ▼ ▲ これにて、大魔王バーンを中心とした一連のイクサは終了となる。 神々の時代を終わらせ、魔の時代をもたらした絶対強者でさえも生き残れない。 ここは神も悪魔も降り立たぬ荒野。 強き者だけが真実となり、語り継がれる者となる。 【キャスター(大魔王バーン)@DRAGON QUEST -ダイの大冒険- 死亡】 【遠坂凛@Fate/Zero 死亡】 【B-4/高層マンション跡地/一日目/夜】 【ルーラー(ジャンヌ・ダルク)@Fate/Apocrypha】 [状態]:健康 [装備]:聖旗 [道具]:??? [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行。 0. …………。 [備考] ※カレンと同様にリターンクリスタルを持っているかは不明。 ※Apocryphaと違い誰かの身体に憑依しているわけではないため、霊体化などに関する制約はありません。 ※カッツェに対するペナルティとして令呪の剥奪を決定しました。後に何らかの形でれんげに対して執行します。 ※バーンに対するペナルティとして令呪を使いました。足立へのペナルティは一旦保留としました。 ※バーンに対するペナルティとして、エリザ・デッドプール・ニンジャスレイヤーに一画ずつ令呪を使用し回復させました。 【カレン・オルテンシア@Fate/hollow ataraxia】 [状態]:健康 [令呪]:不明 [装備]:マグダラの聖骸布 [道具]:リターンクリスタル(無駄遣いしても問題ない程度の個数、もしくは使用回数)、??? [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行時々趣味。 1. ルーラーの裁定者としての仮面を剥がしてみたい。 [備考] ※聖杯が望むのは偽りの聖杯戦争、繰り返す四日間ではないようです。 そのため、時間遡行に関する能力には制限がかかり、万一に備えてその状況を解決しうるカレンが監督役に選ばれたようです。他に理由があるのかは不明。 【岸波白野@Fate/EXTRA CCC】 [状態]:健康、強い喪失感 [令呪]:残り二画 [装備]:アゾット剣 [道具]:携帯端末機 [所持金] 普通の学生程度 [思考・状況] 基本行動方針:「 」(CCC本編での自分のサーヴァント)の記憶を取り戻したい。 1. 護れなかった……。 2. ルーラーたちにアークセルの事を――? 3. 狙撃とライダー(鏡子)を警戒。 4. 聖杯戦争を見極める。 5. 自分は、あのアーチャーを知っている───? [備考] ※遠坂凛と同盟を結びました。 ※エリザベートとある程度まで、遠坂凛と最後までいたしました。その事に罪悪感に似た感情を懐いています。 ※遠坂凛とパスを通し、魔力の融通が可能となりました。またそれにより、遠坂凛の記憶の一部と同調しました。 ※クー・フーリン、ジャンヌ・ダルクのパラメーターを確認済み。クー・フーリンの宝具、スキルを確認済み。 ※アーチャー(エミヤ)の遠距離狙撃による攻撃を受けましたが、姿は確認できませんでした。 ※アーチャー(エミヤ)が行った「剣を矢として放つ攻撃」、およびランサーから聞いたアーチャーの特徴に、どこか既視感を感じています。 しかしこれにより「 」がアーチャー(無銘)だと決まったわけではありません。 ※足立透と大魔王バーンの人相と住所を聞きました。 【ランサー(エリザベート・バートリー)@Fate/EXTRA CCC】 [状態]:ダメージ(中)、魔力消費(中) [装備]:監獄城チェイテ [道具]:なし [思考・状況] 基本行動方針:岸波白野に協力し、少しでも贖罪を。 0. 元気出しなさいよ、子ブタ。 1.アサシン(ニンジャスレイヤー)は許さない。 [備考] ※岸波白野、遠坂凛と、ある程度までいたしました。そのため、遠坂凛と仮契約が結ばれました。 ※アーチャー(エミヤ)の遠距離狙撃による襲撃を受けましたが、姿は確認できませんでした。 ※カフェテラスのサンドイッチを食したことにより、インスピレーションが湧きました。彼女の手料理に何か変化がある……かもしれません。 【ウェイバー・ベルベット@Fate/zero】 [状態]魔力消費(極大)、心労(大)、嘔吐 [令呪]残り二画 [装備]デッドプール手作りバット [道具]仕事道具 [所持金]通勤に困らない程度 [思考・状況] 基本行動方針:現状把握を優先したい 0.オゴーッ!オゴゴーッ! ……え? 終わったの? 1.バーサーカーの対応を最優先でどうにかするが、これ以上、令呪を使用するのは…… 2.バーサーカーはやっぱり理解できない 3.アサシン(ニンジャスレイヤー)に不信感 [備考] ※勤務先の英会話教室は月海原学園の近くにあります。 ※シャア・アズナブルの名前はTVか新聞のどちらかで知っていたようです。 ※バーサーカー(デッドプール)の情報により、シャアがマスターだと聞かされましたが半信半疑です。 ※午前の授業を欠勤しました。他のNPCが代わりに授業を行いました。 ※野原しんのすけ組について把握しました。 ※アサシンからキャスター(大魔王バーン)とそのマスター(足立)、あくまのめだま・きめんどうし・オーク・マドハンド・うごくせきぞうの外見・能力を聞きました(じんめんちょうについては知りません) また、B-4倉庫の一件がきめんどうしをニンジャが倒したときの話だと理解しました。 ※キャスター(大魔王バーン)の『陣地構成』を『魔力を元に使い魔(モンスター)の量産を行う場所を生成する』であると推察しています。 また、『時間が経てば経つほど陣地が強固になる』というキャスターの性質上、時間経過によってさらに強靭なモンスターが生み出されるのではとも考えています。 結果としてキャスター(大魔王バーン)を『できる限り早いうちに倒す・陣地を崩す必要がある存在』と認識しました。 ※アサシン(ベルク・カッツェ)の外見と能力をニンジャスレイヤーから聞きました。 ※ランサー(クーフーリン)が。令呪で「日が変わるまでにキャスター、足立透を殺さなければ自害」という命令がされていることを知りました ※足立透とキャスターの陣地の住所を聞きました。 ※バーサーカーから『モンスターを倒せば魔力が回復する』と聞きましたが半信半疑です。 ※放送を聞き逃しました 【バーサーカー(デッドプール)@X-MEN】 [状態]魔力消費(中)、再生中 [装備]ライフゲージとスパコンゲージ(曲がった) [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針: 一応優勝狙いなんだけどウェイバーたんがなぁー 0.汚いなさすがニンジャきたない 1.吐いてるウェイバーちゃんもカワイイな! [備考] ※真玉橋孝一組、シャア・アズナブル組、野原しんのすけ組を把握しました。 ※『機動戦士ガンダム』のファンらしいですが、真相は不明です。嘘の可能性も。 ※『クレヨンしんちゃん』を知っているようです。 ※モンスターを倒したので魔力が回復しました。本人が気づいているかどうかは不明です。 ※悪魔の目玉はその場のノリ(地の文を読んだ結果)話しかけてからブチ殺しました。 しかし宝具の性質と彼の性格上話しかけた理由を後々の話で覚えてない可能性は高いです。 ※作中特定の人物を示唆するような発言をしましたが実際に知っているかどうかは不明です。 ※放送を聞き逃しました。 【C-5 /ビルの屋上/1日目 夜】 【足立透@ペルソナ4 THE ANIMATION】 [状態]魔力消費(絶大)、両膝破壊、身体の至る所に裂傷 [令呪]残り一画 [装備]なし [道具]なし [所持金]刑事としての給金(総額は不明) [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を手に入れる。死にたくない。 0.世の中クソにもほどがあるだろ……もうどうにでもなれ [備考] ※アサシン(ニンジャスレイヤー)と再契約しました。 【アサシン(ニンジャスレイヤー)@ニンジャスレイヤー】 [状態]魔力消耗(大)、ダメージ(中) [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:しんのすけを弔うためにアサシン=サン(ベルク・カッツェ)殺すべし。聖杯の力でしんのすけを……? 0.アサシン=サン(ベルク・カッツェ)殺すべし! 1.足立の生存に必要な物資を手に入れる。 2.足立をもっと安全な場所に移す。 3.バーサーカー=サン(デッドプール)、ランサー=サン(エリザベート)……彼らもスレイするのみ。 [備考] ※放送を聞き逃しています。 ※ウェイバーから借りていたNPCの携帯電話を破壊しました。 ※足立透と再契約しました。 【B-6/市街地/1日目 夜】 【バーサーカー(黒崎一護)@BLEACH】 [状態]疲労(中)、魔力消費(大) [装備]斬魄刀 [道具]不明 [所持金]無し [思考・状況] 基本行動方針:美遊を守る 1.速やかに美遊の元へ戻る [備考] ※エミヤの霊圧を認識しました ※ランサーを殺害したため、令呪の強制力は消えました。 ※ルーラーの提案を拒否したため、令呪による回復を受けていません。 BACK NEXT 120 勇者よ―― 投下順 122 『主はまたつむじ風の中からヨブに答えられた』 127 籠を出た鳥の行方は? 時系列順 123 現実なのに夢のよう BACK 登場キャラ:追跡表 NEXT 116-b 凛として散る戦士の如く バーサーカー(黒崎一護) 128 少女時代「Not Alone」 遠坂凜 GAME OVER 岸波白野&ランサー(エリザベート・バートリー) 140 Fly into the night ウェイバー・ベルベット&バーサーカー(デッドプール) 140 Fly into the night アサシン(ニンジャスレイヤー) 138 フー・キルド・ニンジャスレイヤー? 足立透 138 フー・キルド・ニンジャスレイヤー? キャスター(大魔王バーン) GAME OVER ルーラー(ジャンヌ・ダルク) 140 Fly into the night カレン・オルテンシア 140 Fly into the night ▲上へ
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昨日 - 今日 - 合計 - カテゴリ 『半妖の夜叉姫』 アニメオリジナル 犬夜叉からの登場人物 50音順 個別項目は設けない。 【十六夜】(いざよい)(『犬夜叉』における犬夜叉の母(いぬやしゃのはは)) 劇場版第三作と同じ設定で続投しており、原作漫画『犬夜叉』における彼女の設定は踏襲されていない。名前も劇場版と同じく十六夜になっている他、彼女の屋敷は鎌倉にあったとSNSで説明されている。現在の神奈川県であり、地理的には武蔵の国の隣国、つまり彼女の出身は東国という事になる。 『犬夜叉 TVアニメ』のオリジナルストーリーに登場した彼女の口紅が続投しており、それを用いる事でもろはは犬の大将の血が呼び覚まされ、「国崩しの紅夜叉」へと変化する。また、宝仙鬼が黒真珠を作る100年の歳月を彼女の紅の力で短縮したともされており、もろはが所有しているものとはまた別の紅が出現した。『犬夜叉 TVアニメ』オリジナルストーリー中での彼女の口紅は犬夜叉が桔梗に渡し、その後、奈落によって破壊されているため、この作品の口紅は全て別物という事になる。つまり、「自分の母親の口紅をいくつも所有しており、様々な人に渡しまくる犬夜叉」、という極めて奇妙な設定という事になる。コミカライズ版の椎名高志は、さすがに看過できない設定であるとして、もろはが用いる紅を「不知夜の紅」という似て非なる全く別のアイテムに置き換えたと発表している。 【犬の大将】(いぬのたいしょう)(『犬夜叉』における犬夜叉の父(いぬやしゃのちち)) アニメオリジナル作品『半妖の夜叉姫』は劇場版第三作と同じ、隅沢克之が原作と脚本を担当している。その為か、原作漫画『犬夜叉』ではなく劇場版第三作の設定が優先されている。劇場版第三作の設定が基準になっているため、実質的にはアニメオリジナルキャラクターと言える。 本作では、「犬の大将」という名前になっている。原作のように友人から犬の大将と呼ばれているという事ではなく、「犬の大将という名」という設定である。そのため、友人だけでなく、敵も味方も第三者も、あらゆる人々が彼を犬の大将と呼んでいる。原作では「お館様」と呼んでいる冥加からは「御大将」と呼ばれるようになっている。 麒麟丸と並び称される獣王の一人であり、戦闘力では麒麟丸をはるかに上回る。最大の宿敵として竜骨精がいる。 『半妖の夜叉姫』では犬夜叉の母と殺生丸の母がどちらも東国出身という設定になっており、彼が活動していた場所も基本的に東国という設定になっている。 500年前に妖霊星を破壊するのに鉄砕牙による冥道残月破を使用している。アニメ版でも鉄砕牙は犬夜叉の母のために作ったと冥加が発言している。よって、500年前から鉄砕牙を使用している犬夜叉の父の描写は、犬夜叉の母が200年前の人物としていた劇場版第三作の設定とも矛盾している。 戦闘描写 相手 勝敗 決まり手 『半妖の夜叉姫』(600年前) 麒麟丸 勝利 犬夜叉の父の鉄砕牙 『半妖の夜叉姫』(500年前) 死神鬼 勝利 不明 『半妖の夜叉姫』(500年前・麒麟丸と共闘) 妖霊星の欠片 勝利 犬夜叉の父の冥道残月破、麒麟丸の爆砕槍破 『半妖の夜叉姫』(200年前) 死神鬼 勝利 不明 【犬夜叉】(いぬやしゃ) かごめとの娘としてもろはがいる。また、犬夜叉が誕生した犬夜叉の母の屋敷が東国という設定になっているため、犬夜叉の出身地も東国に変更された事になる。奈落が四魂の玉を完成させた伝説の妖とされており、犬夜叉はその奈落を倒した人物として妖怪の世界では恐れられている。同時にもろはも、奈落を倒した人物の娘という理由で妖怪から恐れられる立場にある。本作でも最強の立ち位置を保持しており、彼とかごめが手を組めば、殺生丸が手も足も出なかった麒麟丸と是露さえも容易に倒せると評されている。それ故に、りんと命が繋がっている是露を倒されまいとした殺生丸の騙し討ちにより、かごめ共々黒真珠へ封印されてしまった。 紆余曲折の末に妖怪の墓場から脱出を果たした犬夜叉はかごめともろはと共に麒麟丸と激闘を繰り広げる。単身でも麒麟丸と拮抗した戦いを繰り広げる犬夜叉。さらにかごめともろはの加勢もあり麒麟丸は3人を相手取る時間がない事もあり撤退を決める。その後、かごめと共に楓と再会するが、彼は楓に声をかける事はなかった。 十六夜の説明で述べているように母の紅をいくつも所有している他、無傷にも関わらず飛刃血爪を放つ姿が描かれるなど、過去の設定と矛盾する描写が特に多い。 担当声優の山口は本作の設定に懐疑的であり、「犬夜叉の子供は息子のイメージ。」「終盤になっても親子としての積み重ねが描かれないから実感が湧かないのが正直なところ。」とコメントしている。ただし、「娘がいるなら留美子先生がデザインしたもろはのイメージ」としており、『犬夜叉』最終回の平和な世界にもろはが入ってきて欲しいとも述べている。 【金烏】(きんう)(『犬夜叉』における弥勒と珊瑚の娘(みろくとさんごのむすめ)) 弥勒と珊瑚の娘。金烏という名前が付けられている。弥勒の跡を継いで尼僧をしている。剃髪を行っておらず、正式な尼僧としての修行は受けていない様子である。 漆黒の飛来骨に法力を込めたのは彼女であり、弥勒をはるかに超越する法力の持ち主。 玉兎と共に翡翠を馬鹿にしており、珊瑚に翡翠が褒められると不服そうな表情を向けるなど性格が悪い。 CVは胡麻鶴彩 【玉兎】(ぎょくと)(『犬夜叉』における弥勒と珊瑚の娘(みろくとさんごのむすめ)) 弥勒と珊瑚の娘。玉兎という名前が付けられている。珊瑚の跡を継いで妖怪退治屋の道具職人をしている。 漆黒の飛来骨の材料は彼女が手に入れた者である。ただし、材料がなんなのかは言及されていない。 金烏と共に翡翠を馬鹿にしており、珊瑚に翡翠が褒められると不服そうな表情を向けるなど性格が悪い。 CVは上田瞳 【鋼牙】(こうが) 妖狼族・東の洞穴を率いる頭。アニメオリジナル設定に引き続き、菖蒲の夫でもある。犬夜叉とかごめから阿波の八衛門狸を通じてもろはを預けられていた。もろはを預けられた張本人という非常に重要な役回りのはずだが、一度も登場しないという衝撃的な扱いとなっている。言語道断の甲斐性無しで、もろはの面倒は一切見ず凱旋という女妖狼族に預け放置。結果としてもろはは身売りされ天涯孤独に生きる事になってしまっており、もろはの身の上という意味では最も愚かしい元凶の一人。 【蠱毒】(こどく) 16話「もろはの刃」に登場。蠱毒を生み出す坩堝(るつぼ)が登場し、もろはが師匠である凱旋に坩堝に入れられ蠱毒と戦う展開となる。物語の展開が『犬夜叉』の完全な焼き増しであり、蠱毒の姿まで『犬夜叉』に登場した個体と全く同じになっている。蠱毒の項目で述べられている通り、全く同じ姿の蠱毒は絶対に存在しない。故に全く同じ姿の蠱毒の登場は明確な設定ミスの一つとなる。 【琥珀】(こはく) 妖怪退治屋の頭となり、成長した姿で登場。アゴが長い。年齢は30代となる。放送前はメインキャラクターとして紹介されていたが、メインを張る事なく脇役のまま終了した。とわとせつなを放置した殺生丸には昔から何を考えているかわからなかったと懐疑的。甥である翡翠を退治屋の道へ誘った張本人でもある。初陣にして父や仲間、姉を傷つける事となった過去を考えれば、彼が甥を退治屋へ誘うのは並大抵の心持ではないはずだが、特に掘り下げられる事はなかった。 CVは木村良平 【珊瑚】(さんご) 壱の章では、たびたび言及されるが、本人はほとんど登場しない。作者からは「無限の可能性がある」と評された子供の人数も、残念ながら一人も増えなかった。退治屋を引退し、道具職人になったとされている。 弐の章では、一線を退いているものの、所縁の断ち切りを得たせつなに匹敵する実力と言われている。これが事実であれば珊瑚は殺生丸を超越する攻撃力を持っている事になる。過大評価にも感じられる評価だったが、弐の章20話では漆黒の飛来骨を用いる事で数万匹の妖怪を一撃で粉砕する実力を発揮。実際に殺生丸が及びもつかない圧倒的な攻撃力を見せつけた。 『犬夜叉』では弥勒からの告白以降、ボディタッチを許容するようになっていたが、今作では関係が悪化しているのか、弥勒のボディタッチを拒絶し顔を引っぱたくという衝撃的な場面が描かれた。最終回以降は子供に恵まれなかったという本作の設定を考慮すると、実際に二人の関係が冷え切っている可能性もあるが、単に脚本家によるシナリオミスという可能性も考えられる。 声優の桑島は「『犬夜叉』の珊瑚ではないので、それがにじみ出るようにしたい。」「年齢は40代だが外見は一切変わっていない設定であると聞かされている。」とコメントしている。 【紫織】(しおり) 大人になった姿で登場している。母の紫津は亡くなった設定になっている他、なぜか未だに生贄の衣装を着用したままである。人間の姿も登場しており、日食によって妖力を失うという設定になっており、その日を作中では蝕の日と呼称している。 皆既日食は数百年に一度起こるかどうかであり、部分日食すら数十年に一度あるかないかである。日食はその時間もわずか数分、長くても十数分しか起こり得ない。よって、この作品における紫織は数百年に一度、数分間だけ人間になる半妖という事になってしまう。蝕の日という名称こそ朔の日に寄せているが、一ヶ月に一度妖力を失うという原作における半妖の設定からは極めて解離のある設定である。 【死神鬼】(ししんき) 直接登場しないが、作中で名前が言及される。この作品では500年前に犬夜叉の父が冥道残月破を使っている事から、死神鬼が敗れたのは500年以上前という事になる。その一方で、200年前の時点でも死神鬼が犬夜叉の父に敗れたと渾沌が言及している。単純に考えると、一度は冥道残月破を奪われて隠居した死神鬼が、もう一度犬夜叉の父と戦って敗北、二度目の隠居に入ったという事になる。しかし、原作は元より、アニメオリジナル設定を含めて考慮しても、500年前というのは鉄砕牙がまだ存在していない時系列である。よって、死神鬼が犬夜叉の父に敗れたのは500年以上前であるというのは設定ミスである可能性が高いが、現段階での詳細は不明。 【七宝】(しっぽう) 犬夜叉とかごめが失踪した事は知っており情報収集はしていたようだが、それほど気にはしていなかったらしく、特に行動は起こさず自由気ままな生活を謳歌していた。「天下の暇人」を自称しており、現在は特別な目標もなく一時的に妖狐書院の講師をしている。担当は狐妖術昇級試験の集中講座。 外見は24年前から一切変わっていないため、生徒に威厳を示すために老狐の姿に変化して授業している。また、女性の前では青年の姿に変化して格好をつける事もある。 一転して全く才能に乏しい設定になってしまっており、わずか4年で第19位階に達した七宝が、その後20年かけて一切昇級できなかったという衝撃的な設定になっている。本人は正七位上で頭打ちと考えており、これ以上昇級する可能性はない様子である。原作では才能豊かとされていただけに惝怳は免れない設定と言える。 【紫津】(しづ) 紫織の母。犬夜叉達と別れた後、あっけなく病で亡くなってしまったという設定にされている。弥勒は紫織から彼女の死を知らされたが、「人とはそういうものです。」と淡泊な反応しか示さなかった。犬夜叉一行が紫織母子の今後について希望的な言及をしていただけに、悲劇的な設定である。 【殺生丸】(せっしょうまる) りんとの間に子供がいる設定であり、日暮 とわとせつなの双子の娘がいる。ただし、剛臆の試しと称して子育ては放棄している。りんと結ばれた設定になっているが、壱の章の監督である佐藤照雄は、「殺生丸とりんが結ばれる関係は高橋先生が提示したものではない」とアニメ限定のオリジナル設定である事をアニメージュ2021年3月号において明言している。声優の成田からは「別の世界に降り立った殺生丸」「殺生丸に子供はいらんだろ」「殺生丸とりんは恋愛関係ではない」と本作の設定を全面的に否定されている。 無口で意思疎通が困難な偏物となっている。娘たちの活躍に重点が置かれているためか、何かと行動が裏目に出るばかりで、周囲の足を引っ張る人物として描写される。りんを第一に考えている素振りも見せるが、24話ではりんもろとも是露を殺害しようとするなど、支離滅裂な奇行が目立つ。過去の出来事を覚えていない節があり、天生牙を所有している殺生丸は火の国の門を通れるため、犬夜叉たちをいつでも救出可能なはずである。しかし、本作の殺生丸は黒真珠以外に妖怪の墓場へ到達する手段を知らないかのような言動を取り続けている。命への重みを理解した設定も消滅し、本人はおろか娘たちにまで天生牙を乱用させて良しとしている。 実力では麒麟丸に及ばないとされており、インフレに呑まれ気味な爆砕牙も含めて弱体化が目立つ他、パワーバランスが原作とは異なる。犬夜叉とかごめは麒麟丸を問題なく倒せるとされており、犬夜叉の父も麒麟丸に圧勝している。しかし、殺生丸は麒麟丸の巨大妖火球に敗北している。 14年前、剛臆の試しと称して森に生まれたばかりのとわとせつなを放置する。その後、是露とりんの命が繋げられてしまったため、麒麟丸と是露に手も足も出せなくなり、犬夜叉とかごめが是露を倒してしまう事を危惧して黒真珠に封印する。犬夜叉とかごめの封印に麒麟丸の力を借りており、表向き協力関係となるが、麒麟丸に阿久留探しを命じられるなど、実質的には麒麟丸に従属する立場にある。その後は娘たちを見守るようなそぶりも見せていたが、せつなが麒麟丸に殺害されるのを食い止められず、折れた天生牙をとわに渡して傍観する。復活したせつなが所縁の断ち切りを使いこなすのに時間がかかっているのを見て、りんの寿命を削り苦しめる事でせつなに急いで成長するよう促す。娘たちと是露の最終決戦が行われ、りんから娘たちを助けるよう懇願された事でその場から急いでもろはの元へ向かい黒真珠を渡す。なぜ娘達を放置してもろはの元へ急いだのかは不明。りんの元へ戻ると同時に偶然りんが救出されたため、彼女を抱きしめる。その後、りんが救出された事で麒麟丸に戦いを挑み巨大妖火球をあえて素手で受けとめて麒麟丸に誇ってみせる。しかし、巨大妖火球には魄を失わせる付随効果が存在しており、麒麟丸に敗北する。自ら敵の技を素手で受け止めた結果、敗北するというお粗末な決着となってしまった。その後は麒麟丸がりんと邪見共々、殺生丸を見逃した上、天生牙の力に巻き込まれ戦線離脱。生き延びた殺生丸はりんに守られながら復活を待つ。ようやく復活した時点で既に最終決戦を迎えており、麒麟丸と対決して優勢となるが麒麟丸が妖霊蝶の内部へ転送された為、決着は付かなかった。後に邪見から麒麟丸に勝てた筈だと指摘されるが、娘達のためにあえて決着を付けなかったと回答した。 戦闘描写 相手 勝敗 決まり手 『半妖の夜叉姫』第24話 是露 引き分け なし(麒麟丸による仲裁) 『半妖の夜叉姫』第24話 麒麟丸 中断 なし(麒麟丸の仲裁を受け入れる。) 『半妖の夜叉姫』第38話 麒麟丸 敗北 麒麟丸の巨大妖火球 『半妖の夜叉姫』第47話 麒麟丸 中断 麒麟丸が妖霊蝶の内部へ転送される。 【殺生丸の母】(せっしょうまるのはは) 東国の妖怪とされており、設定上は東国を支配する麒麟丸の支配下という事になるが、麒麟丸の支配体系が不明瞭である事から実態は不明である。麒麟丸も彼女に敬意を払っているようだが、「御母堂」という本来は非礼とされる様を付けない呼称をされており、公式のキャラ解説・夜叉姫豆談義でも「御母堂」にされてしまっている。 冥道石の力を使って冥道丸という冥界に住むオネエ妖怪を眺めるのが好きという、奇妙な趣味を持っている設定になっている。 【叢雲牙】(そううんが) 犬の大将が所有している姿が描かれている。この作品では殺生丸の爆砕牙を超える麒麟丸の爆星剣、爆星剣にも打ち勝つ鉄砕牙という力関係になっている。劇場版の設定が健在であれば、その鉄砕牙よりも格上の叢雲牙という事になるため、叢雲牙こそがあらゆる妖刀を凌ぐ最強の剣という事になる。 『半妖の夜叉姫』は『犬夜叉 劇場版』第三作の設定を引き継いでおり、犬夜叉の父が少なくとも600年前(現代から1100年前)の時点から既に叢雲牙を所持している。犬夜叉の父の実力は凄まじく、麒麟丸との戦いですら叢雲牙よりも格下である鉄砕牙で戦い勝利している為、叢雲牙を使って戦った事はほとんど無かった様子である。叢雲牙の出所などが明かされる期待もあったが、特に言及される事無く作品は終了した。 【刀々斎】(とうとうさい) 目つきが悪く、性格や思想、理念などが『犬夜叉』に登場する刀々斎とは、全くの別人と言えるほどに異なる。外見通り非常に気性が荒い性格になっており、わずかにでも気に食わない事を言われると大槌で殴りかかるなど、極めて凶暴である。(*1)。『犬夜叉』では、七宝の上から目線の発言にも耳を貸し、反抗的な態度を取る犬夜叉にすら手を出した事が一度もない刀々斎であるだけに、非常に衝撃的な改変である。 人格を認めた相手にしか武器を作らないという設定もなくなっているらしく、特に人となりを吟味する事なく、せつなに新たな薙刀「所縁の断ち切り」を作って与えている。「相応の得物を持たずに戦うなんざ、馬鹿がする事だ。」と発言するなど、本人の修練と精神力を重要視していたかつての刀々斎とは正反対の考えを表明している。 とわの菊十文字に対しても、「人間が拵えた得物」と呼んで軽んじるなど、人間が生み出した奪鬼や飛来骨に一目置いている刀々斎らしからぬ発言も見られる。 CVは龍田直樹 【奈落】(ならく) 名前が言及される。四魂の玉を完成させた伝説の妖怪として歴史に名を刻んでいる。奈落に関連して犬夜叉も「あの奈落を倒した人物」として恐れられ、犬夜叉の娘・もろはも奈落を倒した人物の娘として有名になっている。麒麟丸の名前を知らなかったもろはも、奈落については知っていた。 【翡翠】(ひすい)(『犬夜叉』における弥勒と珊瑚の息子(みろくとさんごのむすこ)) 弥勒と珊瑚の息子。翡翠という名前が付けられている。青年に成長した姿で登場する。キャラクターデザインは菱沼義仁、キャラクター設定は隅沢克之による物であり、実質的にはアニメオリジナルキャラクターである。 翡翠という名前が付けられている。琥珀が率いる妖怪退治屋に所属しており、珊瑚の武器である飛来骨は彼に受け継がれている。作中ではかませ犬的な役割を担っており、実力的にも精神的にもまだまだ未熟で、彼個人が妖怪退治で活躍する事はほとんどない。あらゆる登場人物が正常な親子関係が築けていない本作の例に漏れず、彼もまた父の弥勒とは性格的にそりが合わない。風穴を失って以降、一線を退いた弥勒を臆病者として強く軽蔑しており、親子関係は険悪である。四凶の一人、饕餮との戦いを経て関係はある程度は改善された。 CVは浦尾岳大 【朴仙翁】(ぼくせんおう) 弐の章3話「銀鱗の呪い」に登場。吸妖魂の根がある産霊山の情報を知っているため、彼の居場所を捜索するエピソードが作られた。嫌みかつ皮肉屋な性格になっており、人間や半妖、四半妖を強く見下しているなど、性格も口調も『犬夜叉』に登場した朴仙翁とはまるで異なっている。半妖であるもろは達に高飛車な態度を取り情報を隠そうとするが、もろはにおだてられて産霊山の情報をほとんど教えてしまうなど、まぬけな妖怪として描かれている。その後も、もろは達が立ち去ってから産霊山の結界については教えていないことを思い出し、もろは達が結界に苦労する事を想像して喜ぶなど、相当な小物と化している。この作品では、四凶や麒麟丸をはじめとする紀元前から生きている妖怪が多数登場し、最高齢の妖怪ではなくなってしまった。彼らは少なく見積もっても2200歳を超えており、最高齢の妖怪であるはずの朴仙翁の2000歳を大きく上回っている。この作品では、犬夜叉の父も麒麟丸たちと同じ紀元前に誕生している設定になっており、生前は朴仙翁よりも年上だった。 CVは土師孝也 【耳千里】(みみせんり) 『犬夜叉』では森の中にある耳千里の沼に住んでいたが、この作品では羅漢像に囲まれた洞窟内に住んでいる。聞こえた声を羅漢像を通して流す事ができるらしく、聞こえた声を直接理玖に聞かせている。理玖とは既知の仲であるらしいが、その後は一度も登場しない為、特に重要な設定ではなかった様子である。 ビジュアルも変更されている。目が退化しておらず、まぶたがはっきりと描かれており、単に目を閉じているだけの描写になっている。作画ミスなのか、意図的なデザイン変更なのかは明らかではない。 CVは麻生智久 【冥加】(みょうが) もろはの従者として登場。序盤はもろはに同行し、犬夜叉の父関連の情報や、麒麟丸と四凶の情報を夜叉姫たちに教える。麒麟丸を立派な獣王として尊敬する素振りを見せていたが、突如登場しなくなり、その後どこで何をしているかもわからぬまま一度も登場せず作品は終了した。 【弥勒】(みろく) 壱の章から登場。犬夜叉一行の中では最も序盤から動向に触れられている人物であり、風穴を失った事により法力が弱体化している設定になっている。ある強力な妖怪との戦いで実力不足を痛感したため、千日修行により神力を得ようとしており、家族とはあまり接触していない様子である。息子からは、戦いから逃げ出した臆病者と見下されており、親子関係は良好とは言い難い。設定的には風穴の消失と法力弱体化に因果関係はないと思われるが、作中では特に説明はされていない。仏教に身を置く弥勒が神の力に頼るという不可思議な設定である。神力を信仰する者は僧侶ではなく、巫女や神官である。 弐の章では過去に戦ったある強力な妖怪が麒麟丸である事が明らかになった。しかし、麒麟丸は弥勒に一度も言及せず、戦いの理由や経緯などは明らかにされなかった。 CVは保村真 【竜骨精】(りゅうこつせい) 東国をナワバリに犬の大将と勢力争いを行っていた大妖怪。犬の大将にとって最大の宿敵とされる白銀の竜。本作では犬の大将に重傷を負わせた妖怪として渾沌から名前が言及される。麒麟丸との立場や力関係は不明だが、攻撃力では麒麟丸を明確に上回る描写が成されている。