約 374,336 件
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/697.html
431 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage五日目・昼:乱入] 投稿日: 2007/04/26(木) 04 53 00 常に最悪のケースを想定しろ、奴は必ずその少し斜め上を行く 冨樫義博「レベルE」 広瀬康一は巻き込まれた人間であるが、巻き込まれたその事件に立ち向かう勇気を持っている人間でもあった。 故に、早期の解決を求めて街を探索することもしたし、時に敵とも戦って、生き残ってきた。 そしてその日の昼。 だが、テレビに映った、徹底的に破壊されたビル街を見つけた瞬間、唐突に予感が走った。 「――あ」 テストの解答が一つずつずれている事に、終了5秒前に気付いたような表情をしていた。 彼と契約したサーヴァントは、現地の知識を交えてこう提案した。 「大切な人を巻き込まないためにも、この戦いの終了までは友人達との連絡は出来るだけ断つべきです」 その提案は、その前に聞かされたこの世界における魔術の大原則「神秘の隠匿」と照らし合わせて考えれば当然のように思えたから、あっさりと提案を受け入れた。 だがその映像を見た瞬間、あの人の事を思い出してしまったのだ。 岸部露伴。 あの人は、絶対に何かを巻き起こす。 「キャスターくん、お願いがあるんだけど」 その言葉に、霊体状態で隠れていたキャスターが実体化する。 「なんですか?」 「この人を探してきてくれるかな? 出来るだけ急いで」 机の上に置かれた写真を手に取り、その中の一人を指差す。 集合写真の中、一人だけ肩を組んだりもせずにポーズを付けた人物で、協調性はあまりなさそうだと言うのが第一印象だった。 「この人物がなにか?」 「うーん、言っちゃって言い物かどうなのか……トラブルメーカーなんだよね、それもこういう事件には首を突っ込むタイプの」 困ったように笑う。 そしてかつて自分が体験した話で、彼が関わった件をまとめて話す。 聞いている途中で目を見開いたり頭を掻いたり眉間を揉んだりと、一つ一つに動揺が見て取れた。 「……成る程、それは危険ですね、いろんな意味で」 聞き終えると、既にカード状の彼の武器――S2Uを展開し、窓を開けていた。 「見つけたら念話で知らせます、それまでは家に」 言い終えると同時、その姿が掻き消え、一陣の風が吹いた。 上空に飛び上がり、まず最も可能性が高いと考えられるビル街に向けて進路を取りながら、街全体に向けて探索用のスフィアを放つ。 目標を発見したときのみ連絡するタイプに術式を組み替え、逆探知されないようにしつつ探索範囲をS市全域に広げる。 視界を強化し、周辺の人物をチェックしていく。 「だとすれば……目標は自宅か?」 それならば気にすることはない、漫画家として仕事に没頭している限りに於いては何の問題も―― そこまで考えて、S2Uが反応する。 「言ってる側からこれか――仕方ない」 反応は僅かで、位置しか分かりはしないが、向かうにはそれで十分 予め確認しておいた地図によれば、反応場所は郊外の田畑が多く残る郊外、建造物だとすれば廃工場、ないし牧場の厩舎の辺り。 「詳細な情報を取得、残りの探索スフィアは休止モードへ」 連続で術式を組み上げ、当該スフィアの情報収集能力を底上げする。 「位置は廃工場、人物は一人……いや、二人? あれはサーヴァント……いや、人間なのか?」 一人は目標である岸部露伴に間違いはない。 だが、もう一人はまるで靄がかかったように実態を掴めない。 実体はあるようだが、酷く霊的だ。 「武器は拳銃、この世界の近代……いや、これは確実に現代の物だ」 厚みのある紺色のベストは間違いなく対トカレフを想定した防弾ベスト、防弾盾はジュラルミンとFRPの複合素材の物で、目にしたことがある。 紛れもなく日本警察の装備品だ。 「くっ! 始まってしまった!」 銃弾による初撃は弾けたようだが、このままでは間に合わない。 「このままでは間に合わない……」 未だ距離が遠く、また標的と護衛対象との距離は近い。 故にそこまでの決断は一瞬で済んだ。 「仕方ない……!」 スフィア情報を元にした間接照準射撃。 建造物を破壊して視界を奪い、同時に防御フィールドを展開する荒っぽく、だがこの距離から取り得る最速の、そして恐らく最良の手段。 数秒で術式を編み上げ、展開を開始する。 そして、スフィアが撃ち抜かれる岸部露伴を捉えた。 だが、それでも死んではいない。 崩れゆく瓦礫を蹴散らしながら、キャスター、クロノ・ハラオウンは突撃した。 432 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage五日目・昼:岸部露伴の矜持] 投稿日: 2007/04/26(木) 04 54 08 この乱入で、恐らく標的はこちらに移ったはずだ。 突入の寸前の念話で、既に位置情報はマスターに連絡したから遠からず彼も到達するはずだ。 だからここから離脱して貰えば、彼を探し、保護するという目的は達成できる。 そこまで考えていたから、『だが断る』なんて言われる事など考えもしなかった。 相対していた『敵』もこの言葉は予想外だったようで、いつの間にか装着されていた防弾ヘルメットの奥の瞳が見開かれている。 「命が惜しくないのですか! 死んだらなんにもならないでしょう!」 敵から視線を外さぬままに怒りをぶつける。 「この岸部露伴が命惜しさにこんな面白そうなネタを見逃すと思っているのかァ―――ッ!!」 一喝する。 「ぼくは『読んでもらうため』にマンガを描いている! 『読んでもらうため』ただそれだけのためだ!」 震える手で鉛筆を握り、スケッチを始めている。 自分自身のことで気になるのは、血糊がページ上に落ちることだけ。 命の危険だとか、怪我をしているとか、そんなことは気にすることではない。 「僕は今! 一つの『傑作』の種を手にしようとしているんだぞッ! そんなことを気にしていられるかッ!」 この言葉で、完全に説得を諦めた。 正直な所、彼という人間を見誤っていたのだと考えざるをえなかった。 マスターである彼から聞いた話は殆どが主観から来る思い込み、その類だと思っていたのだ。 だが、全くもって話の通りの人物であったことには素直に驚いた。 本来命を賭けることから縁遠いはずのこの国で、命を賭けている人物なのだと、尊敬の念すら抱いた。 タンネンベルグ:「命の保証は、できませんからね」それだけ言って、意識から彼の存在を消した。 プノンマライ:「……そっちはただの一般人だったか」ぽつりと男が呟いた。 投票結果 タンネンベルグ:5 決定 プノンマライ:4
https://w.atwiki.jp/minasava/pages/195.html
どうも、クリスマスに三作品投下した者ですが、新作が完成したので投下させていただきます。 あらかじめ言っておきますが、今回の話は読む人をかなり選ぶかもしれません。 この話は以下の注意点があります。 この話は皆で考える聖杯戦争の三次創作に近いです。 話の都合上、歴史設定が変更されています。 マスターの中に約一名だけ、著しく設定が違う人物(死徒)がいます。 本作品にはエロ成分が含まれます。 登場するサーヴァントには皆鯖だけでなく、原作の者もいます。 それでもよい方はどうぞお読みください。 最後にこの話は皆鯖集合絵の作者様が女鯖集合図を投下した事がきっかけで、 こうして形にすることができました。 ほんとうにありがとうございました。 平行世界、選択肢により分岐し、今の世界と並行して存在する別の可能性の世界。 もしこうだったら、あの時ああしていたら、その「もし」の数だけ世界は存在する。 つまり、現在の世界が歩んできた歴史とは違う、 何かがきっかけとなり、別の歴史を歩んだ世界もありえるという事だ。 これはそんな別の可能性の歴史を歩んだ日本のとある地方都市で、 万能の願望機『聖杯』を巡って繰り広げられる聖杯戦争の話である。 ――日独ホットラインで行われた会話の一部を抜粋。 『これが……ベルリンもとい欧州連合政府によるものでないという、 証拠がいるのです。失敗すれば最悪の場合、 水佐波市が地図の上から消えてなくなるだけでなく、 彼等 がもたらす物により、新たな冷戦構造、 いや、世界大戦が始まるでしょう……』 ――同時刻、日本領海に侵入中の潜水空母『シンファクシ』艦内 「閣下、まもなく日本近海です」 「そうか…これで完全に後戻りは出来なくなったな。 この戦争で勝利を掴まない限り、我々は祖国に遅かれ早かれ 反逆者として抹殺される。後悔は……していないか?」 「今更ですよ。私の全ては閣下の為にあります。それに私達の姉妹も、 この艦のクルーも、水佐波市に潜伏している同志達も、 皆とっくの昔に覚悟はついています」 「すまないな、ヒルデ。私とした事が弱気になっていたようだ。 フッ……こんな心構えでは戦う前から負けてしまうところだったな。 ありがとう。…さあ、気を改めて始めようじゃないか。神代の戦争を」 「はい、閣下。……セイバー、お前にもしっかりと働いてもらうぞ」 「心得た。マイマスター」 ――季節は夏。 場所は変わって衛宮邸。 「……ただいま……」 蝉の声がよりイライラを増させる暑さの中、一人の女の子が帰ってきた。 顔が俯いているせいでどんな表情か不明だが、ご機嫌でないのは確かである。 その長い髪は黄金、瞳は赤き宝石、容姿は一流彫刻家が作りあげたかのような 美しさで、その魅力は汗まみれな姿でも損なわれてはいない。 出る所は出て、引き締まる所は引き締まっている見事なプロポーションは、 今着ている露出の激しい服が汗で濡れて肌に張りついているせいで、 すみずみまでくっきり、はっきりとわかる。 そんな彼女の名はマザー・ハーロット。 かつて今から半年前、冬木の聖杯戦争において衛宮士郎をマスターとして、 ライダーのクラスで召喚され、見事生き残ったサーヴァントである。 聖杯戦争終了後、生き残った一部のサーヴァント達は受肉を果たしており、 彼女、ハーロットもその一人であり、現世における第二の生を謳歌していた。 誰も出迎える者がいない中、ハーロットは玄関で黙々と靴を脱いで屋内に入る。 一直線に向かう先は、台所。 そしてあろう事か、歩きながら汗に濡れてる服を脱ぎだしたのだ。 ハーロットが歩を進める度にパサリ、パサリと衣服が床に落ちていく。 しかしどういう訳か脱ぎ捨てられた下着の存在だけは確認する事ができなかった。 生まれた姿で台所に到着したハーロットがまずやった事は、冷蔵庫の前に立つ事。 次に扉を開けて中から新品のボトルを取り出しキャップを開けた次の瞬間、 中に入っている水を一気に自分の頭へとぶちまけた。 水も滴るいい女とはまさに今、気持ちよさげに水を浴びてる彼女を指すのだろう。 ボトルの水が三分の一を切った時点で水を浴びるのをやめると、 今度は残った水を一気に飲み干そうとラッパ飲みを始めた。 喉を鳴らして水を飲む姿はその艶かしい表情も相俟って、非常に色っぽい。 たちまち飲み干した空ボトルを流しに置き、ハーロットは一息ついて 「暑い」 そう一言呟くと、全裸のまま、隣の居間の床に大の字になって寝転がる。 どうやら先程の行為でも、この暑さを払拭するのは敵わなかったようだ。 美しい金の長い髪は床に広がり、豊かな胸は重力に逆らいツンと上を向いている。 「暑い暑い暑い~~!!!」 あまりの暑さに手足をジタバタするが、余計暑くなるばかり。 その時手の一部が床に転がっているリモコンのスイッチに当たりテレビが点く。 液晶画面に移るは……一面に広がる大海原。 この時ハーロットの頭に一つの閃きが走った。 一方衛宮邸内道場、士郎は柱を使って身長を測っていた。 聖杯戦争終了直後、士郎の背は急速に伸びてきており、 定期的な身長測定を行うのが今では士郎の密かな楽しみの一つになっていた。 「やった…。また身長が伸びて「士郎ーー!!」なんだ?」 己の身長が順調に伸びている事に喜びを噛み締めている真っ只中、 セックスフレンド関係の同居人の大声に合わせ、ドドドと駆け足が近づいてくる。 黄金の髪を振り乱して走ってきた全裸の美少女は、そのまま士郎を押し倒すと、 息を荒げながら彼にじっと熱い視線を送る。 「ハ、ハーロット?気持ちはわかるが俺にも心の準備ってものが」 「セックスの催促じゃないわよ!海、海行きましょ!」 「いきなりなんでさー!って言うか落ち着け!」 思い立ったら即行動がハーロットのポリシー。 次の日、水佐波市沖合の無人島。 その島の砂浜に建てられている大きなコテージに一行はいた。 「へえ~~、すごく綺麗じゃないか」 「桜と小次郎、イリヤとアルトリアは遅れて来るって連絡が来たわ」 「しかたありませんよ凛。彼女達にも色々と予定があるのですから」 「ま……いきなり海に泊りがけで海に行こうなんて誘われても準備とかあるしね」 「しかし、この小島一つ丸ごと貸しきりなんて、思い切った事したな」 「貯めたお金はこういう時にこそ使わないとね♪さ、泳ぎましょ♪」 ハーロットはそう言うや否や、身に着けていた服を脱ぎ捨てていく。 たちまち露わになっていく、桜より大きい形のよい乳房、引き締まったクビレ、 安産型のお尻と、産まれたままの姿となった彼女は、海へと一目散に走り出し、 思いっきり水柱を立てて飛び込んだ。数十秒後、水面から思いっきり飛び出す。 「しょっぱ~い。でも、これこそ本物の海よね~」 ブンブンと首を振って水滴を弾き飛ばすと同時に、 輝くゴールドロングヘアーと、豊満なおっぱいが意思を主張するかのように ブルンブルンと揺れる姿は、並みの男全てを前屈みにさせるには十分だろう。 そんな彼女を苦笑いで見つめる3人の男女。 「まったく……相変わらず我が道を突き進むわねえ。衛宮君のサーヴァントは」 「もう慣れたよ。召喚した時いきなり貞操を奪われたからな。 全裸でいるのもいくら言っても止めてくれなかったし。 そもそも戦闘着が僅かな布と宝石しか身につけてない全裸同然の姿で、 家の中じゃ完全な全裸で生活、外出時に服着てる時も下着は着けてないんだぞ」 「私も初対面の時は、痴女が衛宮君を逆レイプしてるとしか見えなかったわ」 「その時彼女の胸を見てずいぶんと落ち込んでましたよね?凛」 「ギャラハッド……後で話があるから、コテージの裏に来なさい」 ――そして彼等を監視する影。 「こちらアイン、目標はこの島を拠点に滞在する予定」 『ご苦労だった、一旦戻ってくれ。 冬木の聖杯戦争の勝者達を招待する必要はなかったな。 まさかあちらから来てくれるとは。さて……準備は整った。 戦争の、はじまりだ』 こうして、冬木の聖杯戦争以上に苛烈で過酷な聖杯戦争が、 今まさに始まろうとしていた。 「……ハァ~~」 「どうしたんだマスター?」 「誤算でした……。こっちじゃ故郷と違って死体が火葬なのを忘れてたんです。 これで戦力としての死体を調達するのが難しくなりましたよ。 だからって殺しはリスクが高すぎますし……しかたありません。 管理者に連絡して死体置場のある病院がないか聞いてみましょう」 「ほう……意外だな」 「何がです?ランサー」 「死体を操るネクロマンサーであり、父と兄を殺して屍人形にした事から、 てっきりバレなければ幾らでも人を殺めてもかまわない外道の類だと 思っていたのだが、ちゃんと人間の心も持ち合わせている事にだよ」 「貴方は私を何だと思っていたんですか……。確かに父と兄を殺したのは事実です。 ですが彼等も魔を極めんとする家に生まれた以上、覚悟していたはずです。 しかし一般人達は私達とは無縁の存在、ゆえに彼らを巻き込む等、 誇り高きムイード家当主して絶対に認められません!まあ、死体は別ですが」 「なるほど。サーヴァントは基本的にマスターに似た者が選ばれるというが、 その点じゃ確かにお前は俺のマスターに相応しいな。安心しろマスター。 そんな事なんかしなくたっていい。全て俺に任せておけば大丈夫だ。 なんと言ったって俺は、トロイア戦争の大英雄、アキレスなんだからな」 「踵射られてあっけなく死んだ大英雄にそんな事言われても…」 「うっ……」 「でもその意気です。期待していますよ。一応ですが」 「一応かよ……」 死体に縁があるという共通点を持つマスターとサーヴァントの関係は良好のようだ。 「……a…aa………」 闇夜に佇む影は、別の平行世界の冬木市において繰り広げられた第四次聖杯戦争で、 その強すぎる力ゆえ、マスターが自滅する形で退場することになった、黒き騎士。 「ふむ。これがバーサーカー使役による負担か? この程度とは、いささか拍子抜けだな」 しかしこの世界では規格外のマスター、無道に召喚され、見事に制御されている。 「ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。 裏切りの騎士であり、円卓最強クラスの泉の騎士、か」 「……アーサー……」 「さて、狂戦士を召喚したのが裏目に出なければよいが。 あまりにも強すぎるせいで試練にならなかったなど、話にならんからな」 最狂のサーヴァントと、最凶のマスターのコンビが誕生した瞬間であった。 「私が協力すれば……本当に、彼を助けてくれるんですね?」 ――水佐波総合病院、会議室。 志那都みことは決断を迫られていた。 恋人の為に神社で祈祷を行い、その際にキャスターを召喚してしまった次の日、 黒服の外国人達が彼女を訪ねてきたのが全ての始まりだった。 『恋人を救う方法がある』という言葉に釣られて病院までついてきた後、 彼女は驚きの光景を目にすることになった。 それは植物人間状態の恋人の容態がかなり回復しているという事と、 それを可能にしたのがなんと魔術であるという事実だった。 このまま治療魔術を続ければ恋人は全快すると知らされ喜んだのもつかの間、 今度は彼を完治させる条件として、我々の指揮下に入りキャスターを使役し、 聖杯戦争勝利に向けて協力してほしいという取引を持ち込んできたのだ。 「ああ。断った場合だが、残念だが、どうなるかはわかっているね? だが協力してくれれば、君の愛する彼が助かる事は我々が保障しよう」 「……わかりました。キャスター、彼らの指示に従ってください」 彼女は決めた。恋人を守る為に連中の尖兵となる覚悟を……。 「くそっ、奴らめ。マスターが魔術の知識がないことをいい事に、 恋人の怪我を利用して都合よく言い包めおって……。 だいたい怪我の症状次第では私の魔術でも治療可能かもしれんというのに」 「無様だなファフニール」 「シグルドか……。貴様にそんなことを言われるとは心外だな。 お前の末路はマスターの持っていた本で知ったよ。 痴情の縺れの果てに暗殺されるとは、笑わせてくれるなあ?」 「……あの時のようにグラムの錆にされたいか?」 「仮にも同盟を組んだ輩を殺す気か?大英雄ならこの程度の皮肉は流せ。 しかし、よりにもよってお前と手を組むことになるとはな……」 「ふん、それはこっちの台詞だ」 それは生前殺し合った二人、セイバーとキャスターが手を組む事を意味していた。 「……え?死体置場のある病院はないかって?ある事にはありますが……。 わかりました。明日には正確な情報を送らせてもらいます。ええ、ではこれで」 「マスター、戦の準備か?」 「いんや、協会から派遣されてきたマスターの地理案内要求の電話。 ああ~めんどくせえなあ。あ、アサシン戦いを挑んだらダメだからな」 「……わかった」 「折角まだ見ぬ大英雄達との死闘を楽しめるチャンスだというのに、 マスターときたら「メンドクサイから嫌だ」とはな……」 「我が息子の判断に不満のようじゃのう。アサシン」 「お主は?それに背後にいるのは、サーヴァントか……」 「いかにも。お主と同じアサシンのクラスじゃよ。 本来召喚されるアサシン、それがこのハサンなのじゃ。 ところでお主、戦いたいのじゃろ?その願い、叶えてやってもいいぞ」 「…………」 偽の暗殺者と真の暗殺者との邂逅、そしてマスターとの不仲がもたらすものは? 「ふんだ。兄さんのバカ……」 「それだけ夏海ちゃんの事が心配なんだと思うよ」 「だからって、アーチャーを見捨てることなんて出来ないよ」 「でも夏海ちゃん、ほんとにいいの?」 「何が?」 「聖杯戦争に参加するの。死ぬかもしれないのは、嫌ってほどわかったでしょ?」 「うん、それでもほっとけないんだ。あたしね、昔から幽霊が見えるの。 でもおばあちゃんは「霊を助けようとしてはならない」って言うんだよ。 目の前にいるのに何もしてあげられない、それが歯がゆくってしょうがなかった。 そんな時、アーチャーと出会った。驚いたよ。幽霊みたいな存在なのに、 意思の疎通がちゃんとできて、ご飯まで食べられるんだから。 だからあたしは、アーチャーの願いを可能な限り叶えてあげたいんだ」 兄と喧嘩別れした少女は英霊の願いを叶える為、聖杯戦争に赴く事を決意する。 「これまでの情報収集で各サーヴァントの情報はこれだけ判明しています。 まずこちらが水佐波市で召喚されたサーヴァントのデータです」 セイバー:シグルド 筋力A 耐久B 敏捷A 魔力A 幸運E 宝具A++ ランサー 筋力B 耐久B 敏捷A+ 魔力D 幸運E 宝具A アーチャー 筋力C 耐久D 敏捷A 魔力E 幸運D 宝具C ライダー:ベレロフォン 筋力D 耐久D 敏捷B 魔力D 幸運C 宝具A アサシン 筋力C 耐久D 敏捷A 魔力E 幸運B 宝具D バーサーカー 筋力A 耐久A 敏捷A+ 魔力C 幸運B 宝具A キャスター:ファフニール 筋力B 耐久B 敏捷C 魔力A+ 幸運E 宝具A++ 「こちらが冬木の受肉サーヴァント達の能力値の一覧となっています」 ギャラハッド 筋力A 耐久A 敏捷A 魔力B 幸運A 宝具A++ マザー・ハーロット 筋力D 耐久D 敏捷D 魔力A+ 幸運A 宝具EX 佐々木小次郎 筋力C 耐久D 敏捷A+ 魔力D 幸運B 宝具? アルトリア 筋力A 耐久B 敏捷B 魔力A 幸運A 宝具A++ 「まったく、冬木のサーヴァントは化け物揃いもいいところだな……。 まあそうでなければあの戦争を生き延びる事など不可能だが。 さあ、見せてもらおうか。受肉したサーヴァント達の強さというものを」 「こちらノイマン、現在ハーロットと交戦、対象はワインを自由自在に操り 攻撃・防御してくる。また現在戦闘ヘリを操縦してアーチャーと交戦中の ライダーも別のサーヴァントの襲撃を受けている。 このままではジリ貧の可能性高し、一時撤退を提案する」 『ここで戦力を減らす事は得策ではない。至急帰還せよ』 「了解、これより総員撤退に移る」 自分のサーヴァントと分断され、吸血鬼兵部隊の奇襲を受ける夏海。 彼女を助けてくれたのは、美しい全裸の肢体をまるで誇示するかのように、 無数の宝石と僅かな布で飾りつけた金の髪と赤の瞳の美少女だった。 「行ったわね……。あらあら、擦り傷だらけじゃない。大丈夫?」 「あ、ありがとうございます//////」 「なに?どうしたの?顔を真っ赤になんかして」 「だ、だってそんな綺麗なお姉さんが裸でいたら思わず見とれちゃいますよ!」 「あら、褒めてくれてありがとう♪でもちょっと混乱してない?」 (たぶんワインのせいだろうな…) 「貴女と私には何か通じるものがあるわね」 (((露出繋がりね、だな、ですね))) 「な、何をいきなり!?貴女みたいな痴女と一緒にしないでください!!」 (((自分もハーロット程とはいかなくても、似たような格好してるくせに))) 「おーいマスター。今戦っているの忘れてるよな。 後白騎士。お前も頼むから俺との戦いに集中してくれよ」 戦争は限定的なものから、次第に総力戦へと移行していく。 『潜水空母シンファクシ、無人機発艦準備完了』 『同じく散弾ミサイルの発射準備も完了』 『第一波はライダー指揮下の無人機群による空爆。 続いて第二波の散弾ミサイル攻撃により島を完全に焦土とせよ』 『了解』 突如士郎達が泊まっている島を襲う空爆。 「じょ、冗談じゃないわ! 何考えてるのよ連中は! こんなおおっぴらに近代兵器を使ってくるなんて……!」 「凛、下がっててください!第二波が来ます!」 「大丈夫か」 「あ、あんたは……」 「ただのコックさ」 「「「「嘘だーーー!!」」」」 突如現れた自称ただのコックの瀬賀有瑠によって間一髪の所を脱した士郎一行は、 蔵馬鉄人のいる隠れ家の一つへと案内される。 そして彼、蔵馬鉄人の口から明かされるこの聖杯戦争の驚愕の真実。 「ドイツ第三帝国秘密神秘機関グラズヘイムの一勢力が暴走ですって!?」 「俺と瀬賀有瑠は日本政府に所属するの神秘関連担当の諜報員でな、 この地の聖杯戦争を調査していたんだ。その聖杯戦争を裏で操っているのが ヴィーダー・ベレーブング、グラズヘイムの幹部、今では元が付くがな」 「ここまできたら軍の仕事……とはいかないのかしら?」 「我々が動くという事は本来あってはならない事なんだ」 「まずあの潜水空母の艦載機をなんとかしないと…」 「その点に関しては君達に見せたい物がある」 一行はヘリに乗せられ水佐波市近海に待機している日本海軍の空母へと案内される。 「これって……」 「ああ、国外ではフランカーのコードネームで有名な、我が軍の誇る戦闘機。 正式名称37式戦闘機『晨風』艦上機バージョン」 それは、科学の力で作られた空飛ぶ翼、いや兵器。 「俺達が君達に出来る事はこれぐらいだ」 ――水佐波市上空。 近代兵器を操るサーヴァント達により、苛烈な空中戦が繰り広げられていた。 ぶつかり合う陣営は、 片や海上の空母から発艦したたった二機の戦闘機と、 片や海中の潜水空母から放たれた無数の無人機群。 素人目から見ても、無人機群の勝利は間違いないはずだった。 しかし無人機は、ギャラハッドとハーロットの操縦する戦闘機の 絶妙なコンビネーションで一機、また一機を撃墜されていく。 そうして戦局が徐々に二機のほうに有利になろうとしたところで、 とんでもない番狂わせが乱入してくるのに気付く者は誰もいなかった。 「よし、これでライダー指揮下の無人機をまた一機撃墜(ドン!)!?」 ギャラハッドが機体後部を振り向いた先にいた影は……黒い騎士、バーサーカー。 次の瞬間、バーサーカーの振るった拳はキャノピーを突き破り、内部の操縦席に いるギャラハッドの体を鷲掴みにし、無理矢理晨風の機外、大空へと放り投げた。 「くそっ!!」 「ギャラハッド!?」 たちまち海面へと自由落下してゆくギャラハッドを、ハーロットの晨風が回収する。 「大丈夫?」 「ありがとうございますハーロット。しかしあの鎧……まさか父さんが?」 「話は後、乗っ取られた晨風が来るわよ!私の機体を使って!」 一方地上も地上で混乱状態だった。 ほぼ全てのマスターとサーヴァントが一箇所に集まり、乱戦となっていたのだ。 戦局は戦力面からヒルデガルト、シグルド、巨大な竜と化したファフニールに、 カール率いる吸血鬼兵部隊の面々が優勢を保ちつつ他を圧倒していた。 反面もっとも劣勢なのは士郎達である。 ただでさえ主力であるサーヴァントが二人とも遥か空の彼方にいるのだから。 だが心配する必要はない。何故なら士郎達の下へと、 頼りになるマスターとサーヴァントが二組、駆けつけて来てくれた。 「先輩!姉さん!小次郎さん、お願いします!」 「ふっ、任せておけ」 「シロウ、助けに来たよー」 「シロウ!今加勢します!」 しかしここで決着をつけることは叶わず、戦いは次回へと持ち越しになった。 かくて役者は全て揃い、舞台は最終決戦へと向けて急激に動き出していく。 父と子の戦い 「アアア……アー、サー……」 「父さん、そんなにも貴方は王の事が……。 王よ……ここは私が引き受けます。貴女は先に行って下さい」 「ギャラハッド!しかし!」 「菅代玄耶にもヴィーダー・ベレーブングにも聖杯を渡してはいけません! さあ、行ってください!ここは私が喰い止めますから!」 「……すまない!」 「行きましたか。父さん……これで終わりにしましょう」 「■■■■■■ーーーーーッ!!!!!!!!」 巌流島の再現 「シャアアアァァッッッ!!」 「フッ!」 シャキーン! 「楽しい、実に楽しいぞ佐々木小次郎! お主と斬り合う度に、拙者の剣は極意に近づきつつあるようだ」 「それは同感だな。いつまでも斬り合っていたい気分だ」 「だがどんな楽しい祭りも終わりが来る。そろそろ、終わりにしないか?」 「そうだな。互いに最高の一撃で終わりにしよう」 「いざっ!二天一流(にてんいちりゅう)!小次郎、敗れたりぃーー!!!」 「なんのっ!秘剣!燕返し!」 最強の幻想種同士の激突 「俺達の相手はやっぱりこいつか!」 「最強の幻想種である竜に変身できるなんてね……。士郎、あれを使うわよ」 「ああ、それしかなさそうだな」 「手加減して勝てる相手じゃないのは士郎も承知の通り。 幸いここは人がいない場所だしね。後始末は管理者に任せましょ」 「…わかった。ただし俺も支援するからな。無限の剣製の中にはグラムもある」 「さあ、思う存分暴れなさい。黙示録の獣(アポカリプティック・ビースト)!!」 竜殺しの大英雄と、竜の血を継ぐ王の決闘 「文字通り、この戦いが世界の行く末を決める事になりそうだな」 「アーサー王、ここまで来たら、何も言うことはあるまい」 「愚問だ。ここから先は剣で語るのみ」 「竜に連なる者を、再びこの手で倒す事になろうとはな……」 「私を最初に倒した竜と同じと考えないほうが身の為だぞ」 「違いない。ここにいるのはどこぞの金欲にまみれた竜などとは比べ物にならん」 「では始めようか……。シグルド」 「ああ、アーサー王。いや、アルトリア・ペンドラゴン」 果たして、生き残るのは誰か――――? 水佐波市聖杯戦争参戦組(霊体化及び令呪使用可能) セイバー:シグルド ヒルデガルト・フォン・ノイエスフィール ランサー:アキレス ファーティマ・アブド・アル・ムイード アーチャー:アタランテ 高波 夏海 ライダー:ベレロフォン カール・ノイマン(死徒兵部隊長) 偽アサシン:宮本武蔵 管代 優介 バーサーカー:ランスロット 破壊僧無道 キャスター:ファフニール 志那都 みこと 真アサシン:ラシード・ウッディーン・スィナーン 菅代 玄耶 冬木市第五次聖杯戦争生存組(受肉状態、霊体化及び令呪使用不可能) ギャラハッド 遠坂 凛 マザー・ハーロット 衛宮 士郎 佐々木小次郎 間桐 桜 アルトリア イリヤスフィール・フォン・アインツベルン ――――解説、チョメチョメ劇場♪ 士郎(以下士)「し、士郎と」 ハーロット(以下ハ)「ハーロットの♪」 士ハ「「解説、チョメチョメ劇場~♪」」 士「ああ、恥ずかしかった…。さてこの劇場は」 ハ「お話の中での疑問点を私と士郎が答えていくコーナーよ」 士「ところで……その姿に意味はあるのか?」 (現在のハーロットの着てる衣装 ttp //homepage3.nifty.com/carb/orenoe/yu-femia1.png ttp //homepage3.nifty.com/carb/orenoe/yu-femia2.png) ハ「読者サービスに決まってるでしょ?どう?似合うでしょ?」 士「いや、似合うことは似合ってるんだけど//////」 ハ「乳首や股間のピーーーは隠してるんだから前よりましだと思わない?」 士「……どっちにしろエロなのは変わらないよな」 ハ「私としてはこの予告編でもいつも着てるこのお気に入りの衣装や、 ttp //members2.jcom.home.ne.jp/dokutorumu/megaten/mother.jpg 前スレ672で職人さんが書いてくれた絵で着てる ttp //www1.axfc.net/uploader/Img/so/32568 ttp //onishibata.ddo.jp/20/download.php?id=04709 のも捨てがたいんだけどね」 士「ここに来たのは猥談をするためじゃないだろ…?みんなの質問に答えないと」 ハ「はいはい。そんなに急かさないでよ。じゃ、質問タイム開始~」 Q「話の内容からこの世界は史実とは違う歴史を歩んだのですか?」 士「この話を読むに当たっての最大の注意点になるが、この話は作者が もっと近代兵器を聖杯戦争で活躍させたいと思って考えたものなんだ。 その為にこの話の舞台である世界の歴史は、fate本編の史実とは別の歴史を 歩んだ平行世界であるという設定にしてある。ちなみに作者は原作だと切嗣と ランスロットが、皆鯖だとギャラハッドとベレロフォンが大好きなんだ。 きっかけはFail/Rebirth WARでベレロフォンがあっさりと敗退したのを見て 大ショックを受けたからだそうだ。それから話の構想を練っていたんだが、 皆鯖集合絵2が投下されたのをきっかけに、執筆に踏み切った。」 ハ「こっちの平行世界だと第二次世界大戦は枢軸国に有利な形で終わったわ。 ドイツは完全制圧したヨーロッパに自国を盟主とした欧州連合を設立、 日本もアジア連合の盟主に収まったの。その後日独米の三極冷戦時代を 経て現代に至るの。ナチス残党組織グラズヘイムもこの世界では、 国家直属の秘密神秘機関として存在しているわ。日本の退魔機関と時計塔が 融合した感じかしら。魔術協会・時計塔はナチスドイツが英本土を占領した のをきっかけとして、グラズヘイムの力が大きくなるにつれ、 反比例的に弱体化していったの。でもその力は依然健在で、 今でもグラズヘイムと水面下で苛烈な攻防を繰り広げているわね。 そんな中、ナチス将校の魔女が戦中の第三次冬木聖杯戦争を研究に再現 しようとしたんだけど、魔術協会の妨害工作を懸念した彼女の所属する機関、 グラズヘイムの思惑によって、その候補地に日本の水佐波市が選ばれたのよ。 後は原作と同じように聖杯戦争の基盤作りと、それを開催する場所の開発が 始まってそらから70年後に、聖杯戦争の準備は整ったというわけ。 ところがその70年の間にドイツもナチスもグラズヘイムも大きく変わったわ。 冷戦が終わり、融和の時代の流れの中、魔術協会や聖堂教会との連帯を 優先すべきと考える協調派が、冬木市の聖杯戦争の被害の酷さ(特に第四次) を見て、水佐波市の聖杯戦争を解体すべき、という意見を出してきたのよ。 彼ら曰く、もし聖杯戦争が最悪な形、開催地の壊滅などで終われば、 日独関係になんらかの悪影響が及ぼすのはは必至であろうって。 これはFail/Rebirth WARの米軍の動きから見てありえない話じゃないわ。 そういう背景もあってか会議は徐々に協調派に傾いていったんだけど、 それを受け入れられなかったグラズヘイム幹部ヴィーダー・ベレーブングは 賛同者を引き連れて海軍の潜水空母シンファクシで日本へ独断出発。 こうして半ば強制的に聖杯戦争は開催される事になったの」 士「登場兵器に関してだが、この平行世界だとソ連はドイツに敗北してる設定だ。 代わりに日本が一部のロシア系の兵器を開発して実戦配備している。 これは作者がfate zeroでF-15が活躍するシーンを読んで、今度はロシア機の フランカーを活躍させたいと思ったからだそうだ。しかし、皆聖でそれを やるのはかなり無理がある。日本の自衛隊制度も近代兵器を活躍させるのには 邪魔っぽい。黒幕であるナチスも、もっと強大な組織して強力な兵器を 使わせたい。ここでこれらの条件を満たす方法として、時代背景を 原作世界とは違う歴史(あくまで表世界限定)を歩んだ平行世界に してしまえという結論に至ったわけだ。平行世界関連は第二魔法の ゼルレッチがいるから大丈夫だと思ったらしい」 ハ「そういう事だから歴史背景以外、キャラ設定に関してはある一人以外基本的に 原案に忠実だから安心してね♪あとファーティマの性格に関しては、 天才だけどどこか抜けている感じにしたって作者が言ってたわ」 Q「ハーロットは下着を身に着けていないんですか?」 ハ「基本的に下着は着けない主義だし、勝負下着以外の下着は持ってないわ」 士「頼むから普通の下着も買って着てくれって。あと家での全裸もやめてくれ」 ハ「だが断る♪」 Q「士郎が背が伸びた事に大喜びしていました」 ハ「士郎、やっぱり私より背が低い事気にしてたみたいね」 士「……ほっといてくれ。聖杯戦争が終わってからまた伸び始めたんだよ」 ハ「今は私より大きくなってるし問題ないじゃない。ほら元気出して次行きましょ」 Q「旅費や島を丸ごと貸し切る際の資金はどこから持ってきたんですか?」 士「これは全部ハーロットのポケットマネーだな。 彼女はその豊富な資金力で遠坂の宝石魔術のパトロンもやってるんだ」 ハ「凛には「私のサーヴァントにならない?」って誘われた事があったんだけど、 あれは本気と書いてマジの目だったわ」 Q「サーヴァントのステータスが本来の物と違っていました」 ハ「この話に出てくるサーヴァントは、Fate/Another Servant HeavensFeel 2 のサーヴァント達と同じく、マスター補正よりステが若干変化しているの」 士「ステに変化のないサーヴァントは ランサー:アキレス バーサーカー:ランスロット アサシン:宮本武蔵 真アサシン:ラシード 前セイバー:ギャラハッド ステが変化したサーヴァントは セイバー:シグルド(魔力1ランクUP) キャスター:ファフニール(筋力1ランクUP) 前ライダー:マザー・ハーロット(魔力1ランクUP) 前アサシン:佐々木小次郎(耐久・魔力1ランクUP、幸運1ランクDOWN) アーチャー:アタランテ(敏捷1ランクDOWN、幸運1ランクUP) ライダー:ベレロフォン(耐久・幸運1ランクDOWN) 前エクストラ:アルトリア(幸運1ランクDOWN) の以上だな」 ハ「ステが変動したマスターについては私が説明するわ。 シグルドは最高の厳しい選定と試練を超えて選び抜かれたエリート中の エリート、ヒルデガルトがマスターだからさらに魔力がUP。 竜血鋼鱗で燃費が悪い面があるから、魔力ストックUPは戦いの幅が広がるわね。 ファフニールはマスターのみことちゃんがFake/hand in handで魔力量底なし? っていう書き込みがあったからその贅沢な魔力のおかげ筋力がUPって設定なの。 魔術の鍛錬もしないで状態で平均ステを上回るなんて……もし仮に彼女が 正規の魔術師だったら、あと1ランクくらいステが上がっててそうで怖いわね。 私の場合はEX宝具等の燃費の良さ、性交での魔力補給との相性の良さの他に、 聖杯戦争で士郎が無限の剣製に目覚めた後、凛の下で効率的な魔術の修行 をする事で魔力供給量が増えたおかげらしいけど。 小次郎は桜ちゃんがマスターだから幸運が下がってるけど、代わり彼女の 豊富な魔力のおかげで耐久と魔力が上がっているわ。近接ステは武蔵と 互角になったけど、戦ったらどっちが勝つのかしら? アタランテはマスターの夏海ちゃんが魔術回路を閉じた状態だから、 彼女の宝具を使う時に一番重要な敏捷が下がっているのが痛いわね。 でも夏海ちゃん人柄のおかげか幸運が上がってるからプラマイゼロね。 一番ステの低下が激しいベレロフォンだけど、これはカールが単に 死徒の肉体を持っているだけで、魔術の類は一切使用できないのが大きいわね。 アルトリアだけどステは凛と同じで幸運だけ1ランク下がってるわ。 これはマスターのイリヤの運が凛より悪いって事になるのかしら?」 士「結構辛い人生送ってたもんな……イリヤ」 Q「ハーロットが吸血鬼兵部隊を撃退しましたが」 士「全サーヴァント中、近接ステが一番低いけど、それでもサーヴァントだからな」 ハ「ワインを活用して夏海ちゃんを守り抜いたわ」 士「でもワインの匂いに当てられてちょっとハイになってたぞ」 ハ「アハハハ、それは言わないでちょうだい…」 Q「カール・ノイマンが吸血鬼兵としてナチスの指揮下に入ってます」 ハ「この世界のカール・ノイマンだけど、原案の彼と違って自らの意志で 死徒化の被検体に志願したらしいわ」 士「実験の結果は見事に成功、初の死徒兵として世界各地を転戦、 終戦後はグラズヘイム直属の特殊部隊(全員死徒兵)の隊長に就任したらしい」 ハ「ちなみに死徒兵の外見はヘルシングに登場するミレニアム兵そのものよ。 日の出てる時は対紫外線装備である特殊ガスマスクを装着してるの。 主武装はサーベル、ラインメタルMG3、バーレットXM109、手榴弾等で、 いずれの兵器も概念武装処置が施されてあるわ」 士「作者が死徒の兵隊と聞いて、どうしてもナチスの兵隊として、 マスターの中で設定を変更させてでも登場させたかったらしい。」 Q「この話での蔵馬鉄人の立ち位置は?」 ハ「表向きは寂れた古書店の主だけどその実態は日本政府の諜報員、 現在同職である瀬賀有瑠とコンビを組んで聖杯戦争の調査中って設定よ」 士「ちなみに不老であることや夏海との関係とかは一切変わってないぞ。 あと夏海とは聖杯戦争に参加するしないで大喧嘩してたな」 Q「ギャラハッドとアルトリアはクラスダブってるんじゃ?」 士「この話だとアルトリアはエクストラクラスで召喚されたという事になってる」 ハ「ちなみにどんなクラスなのかは自由に想像してくださいって」 Q「ナチスの水佐波市における戦力はどのくらいですか?」 士「潜水空母シンファクシに搭載された各ミサイルと艦載機数十機。 ダミー会社経由で持ち込んだ戦闘ヘリに装甲車、各種重火器。 サーヴァント以外の戦闘員としては、ヒルデガルドの姉妹のノイエシリーズに、 カール・ノイマンが隊長の死徒兵一個小隊(総員50名)」 ハ「サーヴァント抜きで水佐波市を壊滅させられるわね……」 Q「潜水空母シンファクシとは?」 ハ「元ネタはナムコのエースコ○バット5に登場する潜水空母よ。 この艦がヴィーダー・ベレーブング一派の移動拠点ってわけ」 士「全長300mもある巨大な艦なんだが、ここに小さいがアイコン画がある。 ttp //sky.geocities.jp/ngbsc419/iconkai.htm オハイオ級とアクラ級のアイコンもあるからその大きさを比較してみてくれ。 あとシンファクシの艦載機もこのアイコン集の中からモデルにしてる」 Q「この平行世界だとフランカーが航空母艦の艦載機ですがそのイメージは?」 ハ「こんな感じね。 ttp //www.from-the-sq.com/model84.html pixivにもっとイメージに近いのがあるから気になったらログインしてみてね。 ttp //www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium illust_id=1943685」 士「やっぱり、思いっきり作者の好みが入ってるなあ」 Q「菅代玄耶が真アサシン、ラシードを召喚できた理由は?」 士「この爺さん、水佐波市の聖杯戦争のシステムについてかなり詳しいっていう、 独自設定があるんだ。息子にわざとハサン以外のアサシンを召喚させる事で、 本来ハサンしか召喚されないはずのアサシンのクラスに矛盾を生じさせ、 偽アサシンと真アサシンによるクラスの重複を可能にさせたわけだ。 ラシードはそれを利用して召喚したハサンである真アサシンなんだ」 ハ「ステはマスターとしての優秀さは並なのもあって特に変化はないわ。 筋力D 耐久E 敏捷B 魔力C 幸運B 宝具C でも一番恐ろしいのはこのハサンの存在に誰も気づかれていない事ね。 だってアサシンのクラスは表向き宮本武蔵で埋まっているもの。 まさか同じクラスのサーヴァントが二人いるなんて誰も考えない。 現にヴィーダー・ベレーブング一派も気づけなかった。 マスターも雲隠れしているから、暗躍するに最高の条件が揃っているのよ」 Q「ランスロットがこの聖杯戦争でのバーサーカーなら、 冬木市第四次聖杯戦争のバーサーカーは誰でしたか?」 ハ「モードレッドよ」 士「皆鯖作成時にバーサーカー案があったのでそれでいかせてもらったってさ」 Q「この話は正式に連載化されますか?」 士「読者の反応と執筆に必要な時間がとれるかが鍵だなって言ってたぞ」 ハ「連載は短編を書くよりかなり消耗するとも言ってたわね」 士「さて、これで質問は全部終わりだな」 ハ「結構疲れたわね。じゃ帰りましょうか」 士「その前にここまで読んでくれた人に別れの挨拶をしなきゃいけないだろ」 ハ「そうね。じゃあ最後はチョメチョメ劇場の題名に相応しく、 私と士郎の愛の営みを見てもらいながら、さよーならー」 士「よくなーい! 最後くらい真面目に」 ハ「溢れる邪淫(ルクスリア・チャリス)!!」 士「あ…………■■■■■■ーーーーーッ!!」 士郎が発情したところでこの物語はひとまず終わりです。 この話のコンプセントは国家を巻き込んだ大規模な聖杯戦争です。 話の冒頭はメタルギアとか、近代兵器が必要以上に暴れ回るとか、 ドラゴンと黙示録の獣がガチバトルするとかやりたい放題です。 下手すれば水佐波市が地図の上から消えかねないのは確かですね……。 冬木の聖杯戦争は、原作のと皆鯖のサーヴァントがごっちゃに(マスターもバラバラ) 召喚されており、結果的に約半数が生き残り受肉する結末で終わりました。 参戦人数は7クラス+真アサシン(ハサン)+英雄王=合計9人です。 真名が判明していないクラスでなにが召喚されたのかは読者様の想像にお任せします。 冬木の受肉サーヴァント達は全員に単独行動A+のスキルがあると思ってください。 凛はこの世界では見事に最優のセイバーを引き当てました。 ギャラハッドですがランスロットとぜひ戦わせたいサーヴァントでした。 他にも戦わせたい組み合わせではシグルドとアルトリア、小次郎と武蔵、 ファフとハーロットの怪獣大決戦があります。 ハーロットですが今回投下されたイラストから見ても、 痴女で露出狂なのはほぼ確定なようですね。 他に冬木鯖が真名で呼ばれているのはクラス名で呼ぶとダブってしまうからです。 ではこれにて作品投下を終了させていただきます。 どうもこのような駄作を最後まで読んでくださりありがとうございました。
https://w.atwiki.jp/matesaihai/
名都聖杯戦争 このサイトは「最強の名前トーナメント」の派生サイトです。 情報 マスター サーヴァント
https://w.atwiki.jp/for_orpheus/pages/72.html
(1/4) 暗闇の中で幽鬼(ユウキ)は目を覚ました。 (2/4) 「……ん?」 瞼を開けてもいっこうに明るくならない視界に、幽鬼は仰向けのまま首を傾げた。 「……んー?」 なにかがおかしいと、逆方向に首を傾げる。 ただ暗いというのであれば、こうはならない。幽鬼は夜型人間で、暗闇でのゲームの経験もあるのだから、それ用に夜目が利くよう訓練してある。 視力の著しく落ちた右目も、既にものの判別ができないほど濁っているが、明暗ぐらいの区別はつけられる。 しかしこれはおかしい。電柱や深夜営業のコンビニの電灯も、月明かりですら感じられない、深い森の中に入ったも同然の完全な暗闇だ。 少なくとも目を覚ます前の記憶ではまだ左目は健常だった筈だ。両目の機能不全の原因に、まったく心当たりがない。 よもやとうとう右目の機能が停止し、それに引きずられて無事な方の視力も無くなってしまったのか……。 薬の効果がまだ残って寝ぼけたままの愚鈍な思考が良からぬ想像をし出した辺りで、顔にある違和感にやっと気付いた。 「あ、目隠しか」 それも目の部位だけを隠すアイパッチなどではなく、どうやら布を巻きつけて固定して視界の一切を遮断する本格的なタイプだ。 一度気づけば、みるみるうちに身体は覚醒する。幽鬼はベッドから上半身を起こし両手を後頭部に回して、布を留めてる為にあるだろうフックを探す。 自分で付けた憶えがないので、どこに留め具があるか、どうやれば外せるかまでの全部が手探り作業の中、どうにかこうにかフックらしき突起を見つけ、拘束を外す事に成功した。 そうして両腕を前に戻して目隠しを取ろうとする寸前に、六十二回の経験が鍛え上げた第六感が待ったをかけた。 ───まさか、目隠しのままでいるのがルールなんて事は、ないよな? 回した手を停止させたまま、考察する。 ……何らかの条件、アイテムの所持が勝利条件になっているゲームは確かに多い。 ただ過度に行動を制限する条件や拘束はプレイヤーの動きを硬直化させ、結果的にゲームの盛り上がりを欠けさせてしまうだろう。 させるにしても事前にルール説明を施している筈。初手で目隠しを外して自滅するプレイヤーを続出させるなんて、興を削がれること請け合いだ。 少女達が必死に命を懸けて生存を目指し時に他者を蹴落とす、一般的なやり取りが大多数となる観客のご要望にお応えする為、一部の特殊な嗜好をお持ちの少数派には、運営も涙を呑んで切り捨てている事だろう。 ……企画側の心理に立った分析だが、概ね間違ってるとは思わない。 後々になってこれが必要になってくる場面を用意してる可能性はあるが、少なくとも今外してどうこうなるかは考えづらい。 改めて、止めていた腕を前に出して───目を焼き潰すような白の視界を開いた。 「っ……」 パチパチと瞬きして目に入る光量を調節し、少しずつ鳴らしていく。 暗所での訓練と同様、暗所から急に強烈な発光で目を晦ます攻撃にも予測と対処をつけている。 細めで僅かに取得した情報から、幽鬼が今いる場所が個室であるのは把握した。 一人暮らしには十分足りる程度のワンルーム。幽鬼の住宅とそう変わらない(清潔さは考慮しない)。 その中に動くもの───幽鬼めがけて突っ込んでくるような物体が見えないところまで確認して、安全と判断。 焦らずゆっくりと回復に努め、やがて元の、右側が曇りガラスから見る夜の風景みたいになった視界に戻る。 手に持った、外した眼帯を見る。 黒地のベルトっぽくて、目の保護を目的とした肌触りの良さより、見えなくする事自体を目的にしたような造りだ。 先程の幽鬼を見れば、黒いマジックペンで目にラインを引いて隠した、テレビで報道される未成年の犯罪者の写真みたいだったろう。 ルール通知が来るまではじっとしていよう。 ゲームのセオリー通り待機しつつ、少しでもゲームのテーマを予想するべく部屋を見渡そうとして……突如として幽鬼の頭に鈍重な衝撃が走った。 「う……っ?」 咄嗟の反射で手で庇う動作を取るが、痛みの出どころは外からではなかった。 頭蓋の内側、空洞に収まった幽鬼の脳味噌が、突如として湧いた文字の羅列に混乱して生じた痛みだった。 「何だこれ……聖杯、戦争……?」 次々と入ってくる……いや、始めから知っていた事であるとでもいうように浮かび上がってくる謎の説明書き。 学校のテストで答えの法則が分からないまま、勝手に答えの解き方を強制的に理解させられる、そんな矛盾の並行。 冥界。死霊。聖杯。葬者。マスター。魔術師。英霊。サーヴァント。令呪。領域。 どれだけ混乱していても入っていた言葉に脳は理路整然としたと説明を受け入れているのも、また気持ち悪い。 まさかいよいよ運営はプレイヤーの脳に直接情報を植え付ける技術を導入したというのか。 最初の【防腐処理】から改造人間ばりに身体の隅々を弄られても気に留めなかった幽鬼だが、唯一手つかずの生の自分だった部位まで侵されたというのには、少なからず思うところがあるらしい。 自暴自棄の世捨て人同然にこの業界に入っておきながら、なんだかんだで自分の体に愛着があったのか。 現実逃避的なノスタルジーに浸りそうになった時、今度こそ現実で自分に近づく黒い影に気づいた。 「マスター、目が覚めた?」 「マ……?」 迎撃反応を取らなかったのは、殺気がなかったから。 幾ら一瞬しか見れなかった暗闇でも、生き物の存在を見落としたりはしない。 右目の不利をフォローするべく他の感覚も鋭敏に開くよう調整している。 なのに幽鬼は、そこに立つ人物を今の今まで認識できなかった。 そして現在は、別の理由で認識を忘れた。 「─────────────────」 芸術が、置かれていた。 銀を融かして液体にしてから、一本一本までを頭髪に変えた色。 肌は正に陶器そのもの。毛穴もしみも見当たらない、なのに柔らかさを備えた奇跡の素材。 その肌で覆われた肢体は天上の楽園の果実。見るだけで舌が甘くなる、五感を突き抜ける禁忌の劇薬。 ……ゲームの趣旨上、参加するプレイヤーはみんな可愛い 美人、ロリータ、カッコいいの属性、嗜好(フェティッシュ)の違いはあれど、殆どが整った容姿をしている。 中にはかなり特殊な属性持ちをねじ込んだり、権力者を骨まで蕩かせる傾国レベルの美女もいた。ちなみにどちらも同一人物だ。 『彼女』はその子とは同一にして対極。 職人がパーツの一点一点細部に至るまでを精魂を絞り尽くす気で綿密に製造し、それらを一部の隙間もなく組み合わせて出来上がった、珠玉の工芸品とでもいうべきか。 ここまで来ると『美人』を外れて『芸術』 のカテゴリに入ってしまってる。ジャンルが変わっているのだ。 「……マスター?」 「えっ? ぁあ私か。うん、そうだよね多分……」 返事がこないのを不審に思っての再度の呼びかけに、初対面の人と会話し慣れてない陰気な子みたいに、ごにょごにょとしてしまう。 顔立ちからして日本人じゃない。流石に運営も外人を勧誘すると国際問題に発展してしまうのか、ゲームで見たプレイヤーは日本人ばかりだ。 直視した顔には、さっきまでの幽鬼と同じ形状のアイマスクが巻かれている。 目を隠された美人というのはそれだけで倒錯的な魅力を与えるが、そこ抜きでも絶世の美形である。 スリットが深く太腿部位の露出は高いが華美のない、喪服の印象を与える衣装。 視線が隠され引き締められた表情が、麗人の雰囲気を強めている。 サーヴァントという、このゲームでの自分の相棒は、胸の前で左腕を構え、軍人よろしく機敏に敬礼をした。 「召喚に応じ参上した。 サーヴァント、アルターエゴ。登録真名、ヨルハ2号B型。 これよりあなたの指揮下に入る」 (3/) プレイヤーネーム、幽鬼。本名、反町友樹。 職業は殺人ゲームの参加者。普段は夜間学校に通っている。 ゲームとは一種のショージビジネスで、「観客」の要望に応えての生きるか死ぬかのデスゲームを行う。 生存すれば運営から賞金が貰える。プレイヤーの参加目的は概ねこれ。 運営の正体は謎。少なくとも日本国内であればこういった非合法のゲームを何年も回していけるだけの強いバックがいる。 運営について詮索する者やゲームの存続自体を危うくする者は、当然排除される。ゲーム外部であっても例外ではない。 プレイヤーは運営側から事前に説明を受け参加するかを決める。強制ではなく拒否権がある。 選定基準は主にふたつ。女性であることと、美人であること。 年齢制限は特に設けられてないが、条件と生存率の問題から十代前後であるのが殆ど。 ゲーム内容は千差万別。とはいえある程度のルール、セオリーは共通している。 エリア内を一定時間まで生き延びる生存型。制限時間内にエリア外へ出る脱出型。個人もしくはチームを組んで直接殺し合う対戦型。 大まかにこのみっつに分類されるが、特殊なルールや複数組み合わせた種目になる場合もある。 ゲームエリアには無数のトラップが設置され、殺し合う必要性がなくても犠牲者が出る。 一度のゲームの参加人数は、十人以下から数百名までバラつきがある。 プレイヤーはゲームのテーマに合わせたコスプレ衣装を着用する。一般的な学生服からタオル一枚の変態間際までジャンルは様々。 難易度は調整され、死亡率はそう高くない。初心者でも運と実力次第で生き残れる目がある。 ただし観客を飽きさせない為、完全なゼロにはならない。必ず一人は脱落するようになる仕掛けがある。平均的な生存率は7割程度。 プレイヤーには〈防腐処理〉が施される。人が死ぬのは見たくても、あまりに生々しかったりスプラッタなシーンは好まない観客に向けた配慮だ。 出血は白いフェルト状の何かに変わり止血される。全身をバラバラに切り刻まれても肉や内臓が露出する事はない。 死体が時間経過で腐ったりもしないし、体臭も消されてる。人死にを奨励しながらクリーンな職場を約束している。 ゲーム中の負傷は無料で治療してもらえる。運営の医療技術は一般より傑出している。手足の切断ぐらいなら傷跡も残さず元に戻してくれる。 パーツの紛失やデリケートな部位は適用外だが、腕の良い「職人」から本物と大差ない精巧な義肢を提供してくれる。 幽鬼のプレイスタイルは「利他」。徹底した生存を目的にしたスタイル。 複数人が参加するゲームでは他者の協力を必要とする場面が多く、生存者を増やす事をクリア条件の緩和に繋がる。 ゲーム中の素行は生存者から伝わるので、有効的に接して評判を高めておけば、以後のゲームでも協力を取り付けやすくなる。 幽鬼がゲームに参加する動機は、記録の為。 前人未到の九十九連勝。特に景品が賞与が与えられるという話は聞かない。 師匠が目指し、自分が勝手に引き継ぐ形で、誰も届いた事のない記録に辿り着く事を人生の目標にしている。 現在幽鬼のスコアは六十ニ連勝。様々な負傷を抱えつつも継続的に更新中。 (4/4) 「……まあ、こんなとこかな」 サーヴァントに対して幽鬼の最初のアクションは、自分の来歴を明かす事だった。 なにはともあれ自己紹介は大事だ。 生死のかかった状況では、武器や能力よりも仲間の信頼関係がものをいう。 名前や経験を晒してカードを開示する行為は、情報という安心を相手に与える。 ただこの場合、安心を得たいのは幽鬼の方だった。 「……もう一度聞くけど、ゲームや運営についてとかは、本当に知らないんだな?」 「知らない。ここは死後の世界で、これは聖杯戦争。 私はサーヴァントとして召喚され、マスターであるあなたと共に戦う。知識にあるのはそれだけ」 「まじか……」 信じたくないことに、幽鬼が今置かれた状況は、ゲームとは無関係の拉致であるというのだ。 しかも勝手に死亡判定を下され、地獄だか天国だかに連行されて、だ。意味不明にもほどがある。プレイヤーネームが幽鬼だからって本当に幽霊にするやつがあるか。 「それであなたは……西暦1万年越えの未来からやってきた、人類を襲うエイリアンと戦うアンドロイドだと」 「そう。この私はその時代の機体そのものではなく霊基……記録されたパーソナルデータを再現した機体だけど、ヨルハにはバックアップ機能があるから、その意味では私は私のままであるとも言える」 なにやら哲学的な答えを出すのは、幽鬼に充てがわれたサーヴァントだ。 英雄というなら歴史の授業で習った武将でも出てくるかと思いきや、なんと彼女は二十二世紀どころではない遥か未来のロボットだという。 モデル体型のゴシックな服を着た美女に機械っぽい部品は一分も見当たらず、偏執的な思想を感じさせる。一万年も機械を弄ってれば、ネコ型ロボットでは物足りなくなるということか。 ちなみに今の幽鬼も、彼女に近い趣向の服を着ている。 聞けば部隊の正式なユニフォームらしく、幽鬼の世界のゲームのルールに合わせた形だ。明らかに配慮の出力を間違えてる。 『補足:正確には西暦11945年。エイリアンの繰り出す機械生命体相手に人類は月面に避難。 人類はアンドロイドにより構成された人類軍を発足。人類軍直属の最新機体として2B及びヨルハ機体は開発された』 いやに渋く重厚な機械音声が、宙に浮いた物体から流れ出す。 人間型のアンドロイドと対称的に、小箱の下にアームを取り付けた、いかにもロボットといった風体だ。 「人型ロボットの後に浮いた箱が喋ってもあんま驚かないんだよな……」 「当機は箱ではない。随行支援ユニット・ポッド042。ヨルハ機体に随行し任務の支援を行うユニット。 サーヴァント・2Bの保有する装備(スキル)として2Bと共に召喚された。 推奨:マスター・幽鬼の聖杯戦争に関する知識の反芻」 「ポッド……マスターに失礼。彼女は人間。私達が守らなければならない存在」 機械である彼女にとって自分は創造主……神様の一族にでも映っているのだろうか。 自分を守る事を義務か責務であるかの語るのを見て、幽鬼は質問した。 「ヨルハはさ、何を願うんだ?」 普段はクラス名で呼ぶか、真名の略称の2Bの名で呼んで欲しいとの事だが、アルターエゴだなんてのは語呂が悪いし、2Bも記号的すぎてしっくり来ない。 幽鬼の中で一番しっくり来る、ヨルハという名で呼ぶ事にした。 夜葉。もしくは寄葉か。プレイヤーネームらしくていい名だと思う。 「私はサーヴァント。人間でありマスターであるあなたに従い、守るのが任務」 「それはヨルハって機体の役目でしょ。あなたにはあなたで叶えたいのがあるんじゃないの? サーヴァントにある知識って、そうあるんだけど」 ありがたい助言通り、記録にある文言を引き合いに出して逃げ道を塞ぐ。 横目に見たポッドはアームの作動音だけ鳴らして黙っている。都合のいい時だけ機械っぽくしやがって。 「従うっていうのなら、ちゃんと聞かせてよ。 何が目的なのか分からない相手に背中を預けるなんて、出来ないでしょ?」 卑怯な言い方をしてる自覚はあるけど、言葉自体は本音だ。 ヨルハは目隠しをしていても分かるぐらいに葛藤している。平時は無表情でいるだけに、僅かな変化で感情の機微が見えてしまう。 機械相手の戦いでは、腹芸を使ったりしないんだろうか。 幽鬼が言えた口ではないが、対人関係が少し気になった。 ヨルハは黙り、幽鬼も黙る。ポッドの稼働音も心なしか止まっている。 妙な間が空いてしまい、こうなるとひとり立ち去るか話題を変えたりしたいが、こちらが持ちかけた手前そうもいかない。 観念して答えが出るまで根比べの気持ちでヨルハに視線を戻す。 まだ、彼女の瞳を見られていない。 戦う兵器にこんなにも美しい造形を施した変態共だ。眼球にだって妥協を許さず、最上級の宝石を丸ごと嵌め込んでいてもおかしくない。 全貌が露わになった日には、物質精神の両面で発光を放って、こちらを失明させてきやしないだろうか。 秘められたものを暴きたい欲求がぞくぞくと背筋を掻いている中で、やがてヨルハが艶黒子を乗せた唇を薄く開いた。 「…………会いたい……ヒトが、いる」 親に内緒で予定していた逢引きを白状する女の子みたいに。恥じ入るように、そう告げる。 「そっか」 毒気が抜かれる、とはこの事か。 信頼がどうだと警戒していたのが馬鹿らしくなってきた。 なんだ。全然人らしいじゃないか、こいつ。 任務も使命もないのに好き好んで殺人ゲームをやってる自分なんかよりも。 「願い……願いか……」 ゲームから生還して運営から送られる賞金は一度につき数百万円程度。 数をこなして賭けの額が上がったり、お気に入りのスポンサーがついて色をつけたりしてくれるが、だいたいこの当たりが相場。 未成年の少女が数日で手に入れるには破格の額だが、こんなゲームに金目的で参加するのは、それっぽっちでは足りないだけの負債を抱えているようなのばかりなのが実情。 幽鬼のようにゲームの勝利数を目的にしている変わり種や、いつかの伽羅のような殺人鬼の隔離所兼狩り場として使うヤバい枠もいるわけだが。 まあ要するに、目的を達成するには一発のギャンブルよりも地道にクリアしていくしかない、人生逆転ゲームを期待するには少々夢のない世界なのである。 「願いねえ……」 その点今回のゲームはハイリスクハイリターンだ。 生還枠を極限まで絞り、その分配当は何倍にも跳ね上がる。 億万長者。世界征服。ベタすぎる野望も聖杯とやらの力なら、可能だという。 運営の技術力も大概だが、科学の域を越えた神秘の起こす奇跡は、現実の延長でしかない殺人ゲームなんて及びもつかない。 幽鬼の場合であれば───未だ空席の九十九連勝、その位置に容易に送り込ませてくれるのだろう。 あるいは、独力でそこまで達成出来るよう、超人的な身体能力を幽鬼に与えてもいい。 あるいは、あるいは─────────。 悪趣味な見世物にされる可哀想な境遇の少女達に、人並みの幸福を供給してあげたりも。 幽鬼が殺した誰かを、幽鬼に関わらず死んだ誰かを、犠牲になった全ての参加者を、家族友人の元に帰してあげたりも。 こんな不幸のそもそもの原因である運営組織自体を、地上から痕跡ごと消し去ったりも。 聖杯なら、可能なのだ。 世の不幸を、減らせるのだ。 誰だって殺したくて殺してるわけじゃない。そんな希少種はキャラメル頭の集団だけで十分だ。 力試し? 社会に馴染めないはぐれ者の収容所? それが死亡遊戯である必要がどこにある。 プレイヤーの大半は、世知辛い事情から運営の誘いに乗ってる。 そんな子達の手を汚さず怪我させず、平和な社会で生かしてあげられるのだ。誰がどう見たって人道的で皆が救われる方法だ。文句を言われる筋合いがどこにある。 「ふざけんな……」 「え?」 大ありだよクソ馬鹿が。 そりゃあ、過去の幽鬼の生活は一般社会からしたら亡霊だ。 いわゆる不幸な家庭の事情で学校も行かず、昼夜は逆転、ゲームに参加して帰っては休んで、次のゲームに備えるの繰り返し。 他人から見れば碌な人生じゃない。引き留めようと人情を売ってくる外部の大人もいた。 あの頃は体が生きてるだけで、自分は死人も同然だった。 けれど幽鬼は生き方を決めた。目標を持った。物語を手に入れた。 他人に何を言われようと、これが自分の選んだ道だって堂々と宣言してやれる誇りが胸に宿ったのだ。 知識を得る為に定時制だが学校にも行ってる。アパートの家賃もきっちり払ってる。これ以上の義務が必要か? ないだろ? それなのに、こっちの許可もなく連れてきて死人扱いして。 挙げ句やらされるのは、これまでのゲームとは規模も難易度と桁違いの殺し合い。 幽鬼がやってきた試練が、難関が、苦悩が、取るに足らない児戯だと虚仮にされてる気がして、例えようもないぐらい腹が立ってきた。 この試合は幽鬼のみならず、過去全てのプレイヤーに中指を突き立てる挑発だ。 (上等だ。受けてやるよ) 腹を決めた後の決断は早い。幽鬼の長所のひとつだ。 聖杯なんかに幽鬼の戦歴を汚されたくない。九十九連勝記録は幽鬼だけで成し遂げる。 よってこの戦いは「無かったこと」にする。 戦って、勝って、優勝して、それらをまるっと忘れて元の世界に戻り、何喰わぬ顔でゲームを続ける。 「マスター……?」 「ああ、ごめん。何でもない。うん、今度は私の番だよね」 さりとて、気分だけで悠々と勝ち抜けると思うほど頭は怒りに支配されてはいない。 蓄積した経験を総動員するだろうし、何よりヨルハの協力は不可欠だ。 このゲームの最重要要素、お互いに連携するべく密に取り合う必要がある。 恐らく無傷とはいかない。首尾よく勝っても、死ぬような怪我を負ってるかもしれない。 最低、負傷の全快は聖杯に叶えさせてもらおう。そしてどうせ万能だというのなら、ついでに治して欲しい部位がある。 「右目の視力さ、過去のゲームで負傷して以来、どんどん落ちちゃってんだよね。今じゃもう明るさぐらいしか分からない。こればかりは運営もお手上げでさ。 何でも願いが叶うんでしょ? ならこの目、元に戻してもらおうかなって」 「……それだけ?」 「うん、それだけ」 予定外の強制イベントに巻き込んでくれたツケに、治療代を請求する。 皆が垂涎の的になる聖杯を、小娘一人の目玉一個で台無しにする。 それが幽鬼にとって最大の意趣返しだ。やけくそとも言えるが、どうせ得るものもないのだから気分だけは良くして帰りたい。 『不可解 マスター・幽鬼の生体情報には他にも負傷が見られる。 聖杯によって得られるリソースとは消費がまったく釣り合っていない』 「いいんだよこれで。きっかり同量・同質の重さだ」 顔を見合わせて不可解そうに首を傾げる(ポッドは全身を傾けてる)二人。 こんなところは機械っぽいなあ。ベタといえばベタな反応が微笑ましい。 さて、方針は決まった。後は行動だ。 基本は従来の〈利他〉で行く。協力者を集め、人を増やし、最大効率の生存手段を模索する。 詰め込まれた知識の検証。領域や冥界といった地の調査。有効的なマスターとの接触。戦闘時の符丁合わせ。やる事は多い。 血なまぐさい目標を果たすため。 血なまぐさい日常に戻るため。 いつか、この身が朽ちて通り名と同じになる日まで。 私は今日から、聖杯戦争で飯を食う。 【CLASS】 アルターエゴ 【真名】 ヨルハ2号B型@NieR Automata 【ステータス】 筋力B 耐久B 敏捷B 魔力E 幸運C 宝具B 【属性】 秩序・中庸 【クラススキル】 騎乗:B 単独行動:B 【保有スキル】 ヨルハ機体:A 地球上に展開されたエイリアンの機械生命体を駆逐するべく投入された、人類会議直属の最新アンドロイド部隊。 対機械、対異星存在に対する特攻・特防効果を得る。 異世界の技術が流用されてるとはいえ量産された機械の為神秘としてのランクは低い。 しかし西暦10000年を越えた先の技術は、単純な威力であれば並大抵の神秘を凌駕する。 ポッド042:B+ 随行支援ユニット、ポッド042による支援行動。 情報収集、作戦の助言、機体の牽引、射撃・プログラムによる攻撃と多方面でサポートを行う。たまには撫でて労ってあげよう。 最大で3機まで同時に随行可能。 処刑装置:B 2Bはセイバーの本当の名前ではない。 正式名称はヨルハ2号E型───executor、裏切り者のアンドロイドの処刑モデル。 中度の真名隠匿効果があり、これが突破された場合は、機械・人型属性への攻撃力が上昇する代わりに、精神的に不安定になる。 人類に栄光あれ:─ これは、呪いか。それとも、罰か。 ヨルハ部隊の(表向きの)存在意義。その表明と宣誓。 人類を守護するために造られたアンドロイドは、人を攻撃する事に強い忌避感を持つ。 それがたとえ、既に存在しない創造主だとしても。 人類に対する殺傷の禁止、及び人属性のサーヴァントには攻撃力が低下する。逆に人を守る行為においてはプラス判定。 つまり自分と敵のマスター、双方が天秤にかけられた場合には───。 【宝具】 『寄葉計画(プロジェクト・ヨルハ)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:10000人 衛星軌道上に置かれた前線基地「バンカー」の仮想設置。 それによるヨルハ部隊のオペレーションが宝具となったもの。 具体的には英霊の座にアクセスする事による高度な情報検索、武器や飛行ユニット等の支給、他のヨルハ部隊員を簡易召喚しての援護行動が挙げられる。 予め霊基データのバックアップを取り、自身が消滅してからの再召喚すら可能だが、必要な魔力の関係上令呪での支援が現実的(それでも再召喚としてはかなりの低コスト)。 さらに魔力や土地の条件が重なれば、バンカー自体を召喚し無数のヨルハ部隊の展開も行える。本企画では基本的に使用されない。 『壊レタ世界ノ歌(ザ・エンド・オブ・ヨルハ)』 ランク:E 種別:対機宝具 レンジ:― 最大捕捉:1人 宝具『寄葉計画』の破棄、あるいは2Bが機能停止したのを条件にして発動する。 随行支援ユニット、ポッド042に高位の単独行動スキルを付与。 データサルベージによる2Bの復活、その間にヨルハ機体9S、もしくは脱走した旧ヨルハ機体A2を代替召喚する。 これは2B個人の宝具ではなく、ヨルハ部隊全機に備わった機能でもなく、ポッド042にのみ備わった奇跡。 敵の殲滅能力はない。世界を変革する力もない。未来を自らの手で獲得する小さな宝具。 使用回数は1回のみ。 【weapon】 NFCS(近距離攻撃管理システム)。小剣、大剣、槍、手甲のうち二種を携行して戦闘を行う。 【人物背景】 異星人の来襲により地球を追われ、月に逃れた人類の栄光を取り戻すべく戦うアンドロイド、その最新鋭モデル。 遥か過去に絶滅した人類と、道具である機械生命体に滅ぼされたエイリアンによる、指し手のいない代理戦争の駒にされ、命もないのに殺し合う。 【サーヴァントとしての願い】 もう一度、9Sと……。 【マスターへの態度】 マスターである以上に初めて目の当たりにした生きた人類なので、最重要護衛対象として扱う。 人類のモデルと見做すには大分普遍性から外れている幽鬼個人については、若干困惑気味。 【マスター】 幽鬼@死亡遊戯で飯を食う 【マスターとしての願い】 さしあたっては、目の視力の治療。それ以上を望むのはフェアプレー精神に欠けると思っている。 【能力・技能】 六十回以上の殺人ゲームをクリアした経験と知識。ひと通りの武器を扱え、その場の環境を利用する機転にも富んでいる。 クリア効率や他のプレイヤーと協力を結びやすい点から「利他」のスタンスを取っているが、いざという時の損切りする切り替えは非常に早い。 ゲームのプレイヤーには「防腐処理」という処置が施されている。 ゲームを円滑に進める、観客への配慮のためのこの処置により、体臭は消え、出血は白いフェルト状の綿になってすぐに止血される。 ゲーム運営の医療技術は極めて優れており、手足を切断しても跡も残さず復元する事が可能。ただし切除部位が激しく損壊する等で回収不可能になった場合は精巧な義肢が用意される。また眼球といった精巧な部位も再生は不可能で、代替も造れない。 幽鬼は過去のゲームの負傷で左手の中指小指を失い義肢を付け、右目の視力が低下している。このハンデを補うため反響定位、エコーロケーションを訓練中。 【人物背景】 本名、反町友樹。 命を賭けた生き残りゲームで賞金を得る裏営業に天職を見出し……それ以外に生き甲斐を見出だせず、師の目標だった前人未踏のゲーム九十九連勝を引き継ぎ死亡遊戯で飯を食っている。 4巻「ロワイヤルパレス」終了直後、初めての弟子を手にかけ車で帰路につく途中から。 【方針】 基本はやはり利他・生存のスタンス。情報収集に専念しながら攻略法を探っていく。どうしようもないと判断すれば優勝に切り替え。 【サーヴァントへの態度】 めっちゃ美人。 今回のゲームの最大の要素である以上コミュニケーションは必須であると捉えている。 ポッドは小うるさい奴だと思っている。
https://w.atwiki.jp/grailwar/pages/21.html
サーヴァントと契約し聖杯戦争に参加する者。 マスターは、サーヴァントに対する絶対命令権である令呪を与えられている。 マスターのキャラシートは以下の手順に従って作成する。 職業の受理 名前の決定 パラメータの決定 最大HPの決定 容姿の作成 願い事の作成 バッドエンドの作成 グッドエンドの作成 以上でマスターは作成完了。 マスター(PL)はマスターのキャラシートを監督役(GM)に提出する。 その他の設定は任意で作成して良い。 尚、ステータスを考慮した設定を作成する事が望ましい、TRPGなのだから。 マスター作成例 名前 ジョン・マクレーン 職業 魔術師 HP 3 / 3 令呪 3 / 3 現在地 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 E E E E E スキル 使い魔 自分以外のマスター(PL)の遭遇フェイズや戦闘フェイズを観戦出来る 容姿 タフな雰囲気を身に纏った禿頭の中年男 願い事 聖杯戦争なんて馬鹿騒ぎを止めて首謀者を一発殴りたい その他 最も不運なタイミングで最も不運な場所に居合わせる最も不運な男本来魔術師ではないが偶々聖杯戦争に巻き込まれた バッドエンド 省略 グッドエンド 省略
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/565.html
291 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日:2006/11/27(月) 04 24 04 「ふむ……掃討には失敗したようだが、だが大凡……半数以上は撃破か……」 思考する。 情報、即ち己の切り札を知られたのは危険だし、痛手ではある。 しかし未だに切り札を使わぬサーヴァントが多数存在していることを考えれば、下手な襲撃はもう無いと考えるべきだろう。 防衛とは適切な攻勢があってこそ生きる。 今夜の戦闘で下手な攻勢は身の破滅を招くと身をもって思い知ったはずだ。 で、あるが故に、下手な追撃をして兵力を消耗する必要はない。 去る者は狙撃のみで攻撃し、深追いはしない、ジェネラルはそう決断し、兵を撤退させ、吹雪も停止させ始める。 だが勿論、偵察は続行する。 可能ならばこの襲撃者の正体を掴めるかもしれない。 「ジェネラル……」 彼の元へとルヴィアが歩み寄ってくる。 その所作は、どことなく緊張しているように見えた。 「ん? どうしたね?」 「貴方が現れたときから、予感はしていましたし、私の尊敬する『救国の英雄』だと。しかし、こうして事実だと分かってしまうと……」 「……唯の人で幻滅したかね?」 そう言って笑いかける。 「いいえ、そんなことは、むしろ人間であったことに安心しています、同じ人間であったと、それ故に、貴方は英雄なのです」 そう、英雄は人間だ。 例え人を超える力を持とうと、病に冒されようと、心が歪もうと、異星からの来訪者や人外の怪物では決してない。 どこまでも人間を辞めなかったからこそ、心が人間であったからこその英雄であるのだ。 「これからもよろしくお願いしますわ、マンネルヘイム……いえ、ジェネラル」 「ああ、これからも微力を尽くすとしよう」 握手が交わされる。 「ん? ……あの機体は?」 止みつつある吹雪の先、ジェネラルは空を飛ぶ航空機を見た。 炎上し煙で線を引きながら、その機体は結界に弾かれ炎上し、衛宮邸の庭へ落下する。 その爆音に驚いたのか、外にいた二人も走って庭へ戻ってきた。 「くっ……! 大丈夫か?」 咄嗟に庇ったルヴィアを確認する。 「ええ、私は大丈夫です、それよりも……あの機体は?」 ジェネラルは炎上している機体を注視する。 見ればコクピット無いに座席がない。 射出座席 イジェクションシート という概念は当時なかったが、パイロットが脱出していると言うことは分かる。 『恐らく一撃でエンジンを撃ち抜かれて炎上したのだろう』と予想をつけた。 だが今の彼の役割は予想することではない、分析することだ。 「さてな……分からないが少なくとも私の時代の機体ではないな……レシプロではなくジェット戦闘機だ、現代戦闘機なら君達の方が詳し いのではないかな?」 「そうでもありません、機体を見て双発か単発か……その程度しか分かりませんもの」 「そうか、国家同士の戦争が遠ざかればそうもなる、か……平和の証だな」 「この方角……S市の方角から飛んできたようですが?」 ライダーが言う。 「だとすれば……S市上空、ないしその先の海上で空戦、と言うことか」 音速、ないし亜音速で飛行すれば冬木からS市までの距離などゼロも同然だ。 「……陸上戦は一応のカタがついた、上空の戦い、君達はどうするべきだと思うね?」 積極的介入:「戦っているならば、そして可能ならば双方に損害を与えるべきよ」 情報の収集:「せめて情報だけでも集められれば良いんだけど……」 モンロー主義:「潰しあってくれるなら文句はないんじゃないかしら?」 意見交換:「士郎達が戻ってきたわね、意見を聞いてみましょうか」
https://w.atwiki.jp/kakiteseihai/pages/35.html
【マスター】 零に還りし人間 セイヴァー(◆l3N27G/bJU)@二次キャラ聖杯戦争 【マスターとしての願い】 ジョーカー。初代二次聖杯を終わらせた者として書き手聖杯戦争を加速させることに尽くす。 【容姿及び口調】 “ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア” 【weapon】 槍王イルバーン 転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン) どちらも二次聖杯におけるルルーシュと切っても切れない武器。 コードキャスト『hadron(R2)』や決着術式展開の補助としても用いる。 【能力・技能】 二次聖杯における“ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア”としての権能。 魔人にして魔王。二人の“ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア”を書ききったことによるルルーシュとしての能力。 ルルーシュの戦略と魔王ゼロとしての個の力を併せ持つだけでも脅威だが、真骨頂はやはり初代二次聖杯ならではの“ハドロン砲”及び“ザ・ギアス”である。 そのギアスを応用し、活用し、魔力を純粋な破壊力として撃ち出す。 前者は両眼から純粋な魔力を赤い破壊の雷として発射するコードキャストであり、ダメージ+スタンの効果を持つ。 後者は森羅万象に命じるワイアードギアスである。 どちらも初代二次聖杯オリジナルなため、元ネタであるルルーシュ及び魔王ゼロを知っている書き手に対しても完全な奇襲となる。 ただしエデンバイタル由来の能力の大半はバーサーカーへの魔力供給に割いているため大きく制限されており、あくまでもマスターである。 【人物背景】 二次キャラ聖杯戦争を完結させた書き手。 中盤からの参加であるが二次聖杯ならではのコンビやチーム入り乱れての描写を得意としており物語を大きく動かしていった。 その手腕は大規模バトルのみに振るわれたものではなく、残存する5組のマーダーによる作戦会議という陰謀面でも発揮された。 熱い最終決戦からなる感動の最終回を書く傍ら、踏んだり蹴ったりだった羽瀬川小鳩に住民たちの予想を上回る末路を与えたのも氏である。 最初から最後まで規模の大小を問わず印象に残る物語を書く書き手であった。 【方針】 初代二次聖杯の書き手らしく彼もまた殴り合いを好み、実にアクティブである。 書き手聖杯戦争でも積極的に活動していく予定。 とにかくロワを加速させることを優先しているため、片っ端から殺していくつもりだが、そこは完結書き手、力押し以外も心得ている。 時には後の大決戦の布石として対主催やマーダー同士の連合を組ませるなど裏方に徹することも。 ただしバーサーカーが裏方向きではなく、その維持に膨大な魔力を消費しており長持ちしないと踏んでいるため、あまり悠長に構えるつもりはない。 書き手聖杯戦争自体どうなるか分からないため二次聖杯でのデビュー作並に自重しないで攻めていくつもりである。 バーサーカーが対書き手に特化したサーヴァントなら、彼は聖杯戦争に最も特化したマスターであり、その経験こそが最大の武器である。 ※初代二次聖杯では魔王ゼロは主催者でありながらステータス表もあるサーヴァントのようなものでしたが、今回はあくまでもマスターです。 零に還りし人間 セイヴァーはかつての二次聖杯の書き手紹介に沿った名前であり、クラス名ではありません。 ▲上へ戻る
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/580.html
726 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage interlude「二人のアサシン」] 投稿日: 2006/12/19(火) 03 00 11 interlude―― S市・住宅街 二人の対峙はそう長いものではなかった。 「失礼、貴君、何者か」 ただ座っているだけの姿に、ただそれだけの姿に驚異を感じ取り、声を掛けた。 「私か? アサシンさ、歴史の影で生きたという意味では、似合っていると思うがね」 石垣に座ったまま、ワイングラスを傾けて男が言った。 「ほう、奇遇な事だ、実は私も、歴史の影に生きたアサシンなのだよ」 雅な和服に身を包んだ男が言った。 「……それは予想外だ、その姿に長尺刀、表の世界に生きる者、それもセイバーと思っていたよ」 「なに、些か厄介な身の上でな、この身は剣の英霊となれぬ外道に過ぎぬ……」 「なるほど、外道か、それにしては……な」 その姿は典雅に過ぎた。 「応よ、四季折々の花鳥風月を愛で、研鑽したこの身、典雅でなければ話にならぬだろう……それが例え偽りであろうとな、立ちたまえ同士 アサシン 」 彼からすれば無粋この上ない戦闘機も空を去り、月が地上を照らしている。 典雅な着物姿は月下に映えた。 「……お互い主には秘密な行脚だろう、勝ちも負けも手早く終えようぞ、同士 アサシン 」 「そうだな……そうしよう」 その言葉と共に、座ったままの姿勢で跳躍した。 「大道芸か……驚くがそれだけよ」 呆れたような思考のまま首を狙い刀を一閃する。 敵となったアサシンは素手。 対する長尺刀の射程は比べるのもばからしいほどだ。 その一閃は、二本の指で受け止められる。 受け止めきれぬ衝撃が、僅かに皮膚を割くが、ダメージはそこまでだ。 「当然そう考えるだろう、だが、それは予想がついたよ」 続いたのは耳に響く呼吸音。 まるで声を発するように声帯を震わせるその独特の呼吸は、まるで光を放っているように見えた。 「銀色の波紋疾走 メタルシルバーオーバードライブ !」 ――interlude out 727 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:音速を超えて] 投稿日: 2006/12/19(火) 03 02 36 かくして舞台は教会へ移る。 目前で誰かが死ぬ。 そう"感じた"刹那、両手首のフラップを解除する。 射出される二丁拳銃はこれ以上ないほど手に馴染んでいる。 この銃こそ彼の生涯を象徴する武術の為の武装である。 格闘拳銃の感触を"感じる直前"、少女めがけて白い閃光が振るわれるであろう距離まで接近するまでコンマ5秒。 その軌道は単純な突きの一撃。 音速に迫る、あるいは凌駕するであろうその動きも、確率統計弾道解析の前に晒されればその動きは明瞭。 しかしその動きは極めて速い、彼の格闘拳銃、その"峰"と呼ばれる部分を持ってしても支えきることはできない。 それ故に拳銃を持って挟み込み、軌道と垂直に力を加えることで一撃を逸らす。 そう『計算』し、計算通りの動きを持って少女の安全を確保した。 この刹那の計算こそ彼の生涯を証明する武術『ガン=カタ』の一端である。 突き出された白刃。 走馬燈が見える中、遠坂凛はそれが何かによって逸らされるのを見た。 「ほう……やるではないか」 少し遠くから聞こえるその声は、実に楽しそうである。 背後でヒステリックに喚くシャルロット マスター とは一線を画する冷徹さ、そして相手の存在を見透かすような冷徹な瞳を持った男である。 プレストンはそう判断した。 「な、何故私を……?」 地面に崩れそうになるほどの驚きを押し殺し、凛が問うた。 「役目を果たせ、と言うことだ」 それ以上は語らず、感情を殺した表情のまま、敵を見据える。 その返答は簡潔で、それでありながら多くの意味を含んでいた。 「貴方は最強だと私が確信したの! 確信した以上貴方は最強でなければならないの! さっさと奴を殺しなさいよ! セイバー!」 ヒステリックに叫び、命令するシャルロット。 「やれやれ……難儀な人だ、想像を逞しくしすぎれば家名どころか命が滅びるぞ、マスター」 「五月蠅い! さっさと殺しなさいと、滅ぼしなさいと言っているでしょう!」 口元に笑みを浮かべて、セイバーが目標を男へと変え、再び音速で迫る。 頭脳が演算処理を再開し、プレストンの意識の外で戦闘における最適解を導く。 初手は接近する際の速度を利用した突き、先程のように左腕で軌道を逸らす。 逸らして引きつけ、続く動作で右の拳銃を腹部に突きつける。 だが拳銃の発砲はしない、当然こうなれば相手の最適解として勢いに任せて内臓破裂を狙う蹴りが来る。 耐久力、速度、その他全ての身体能力としては敵が確実に上、腹部内臓を撃ち抜こうと、その後の蹴りを回避できず、続く一撃で敗北する。 故にその蹴りを回避し、その突き出た無防備な足を左の拳銃で撃ち抜き、戦闘初期の優位性を確保する。 一対一の対人戦に於いてここまでの計算、判断で許されるのは0.04秒。 これを超過するようならその時点でクラリックとしては破門の対象となる。 計算の中で思考を打ち消し、プレストンはコンマ三秒後の戦闘開始を待ち受ける。 言われた言葉の意味、それを咀嚼し、反芻する。 彼が言う『遠坂凛の役目』とは何かを思考する。 見るに、彼の、プレストンと名乗った男の戦闘能力は途方もなく高い、何しろ音速に迫る動きのセイバーと互角に渡り合っている。 名乗りはしないが、サーヴァントであろうことは予想がつく、真名こそ不明だが、拳銃を使う以上、近代の英霊に他ならない。 つまり、召喚時のクラス特性として設定された最低限以上の対魔力はないのだろう。 ならばこの場における役割とは、敵マスターの排除にあるのだろう。 二人の激突する戦場を迂回し―― 魔術戦:ガントで攻撃する 格闘戦:魔術を使わせないため、近接戦を挑む 投票結果 魔術戦:2 格闘戦:5 決定
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/585.html
822 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:音速爆砕] 投稿日: 2006/12/27(水) 03 26 59 ブーストした魔力を刻印の中で待機させたまま、連射可能なように威力を抑制した魔力をガンドとして放つ。 音速で迫る相手にダメージなど期待出来ないだろうが、真正面に炸裂したガンドは視界を遮り、回避運動を誘発するだろう。 元より回避など狙って出来る速度ではない。 これで駄目なら回避も出来ず真正面から攻撃を受けて彼女は死ぬ。 そんな、一か八かの賭け。 一か八かの賭けは、五分に終わる。 シャルロットは思わず目を瞑り、自らの魔術の制御に失敗し、炎すら撒き散らせず軌道の制御を失う。 その軌道は凛へと激突し、そのまま空中へ飛び去る。 見ることなどできなかったが、その様は吹き飛ぶといった方が正しいほど無様な物だった。 凛の表情が苦悶に満ちる。 咄嗟に左腕で衝撃を逃がし、骨や内臓へのダメージは殆ど無かったが、代償として腕はバラバラになりそうなほどの衝撃を受けて関節が外れ、身体は吹き飛ばされた後落下し地面に転がる。 もう一方のシャルロットも似たような状態で空中を転がる。 転がりながら、ある詩人の言葉を思い出す。 「ひとりの囚人は壁を見た、もうひとりの囚人は 鉄格子からのぞく星をみていた……私は一生の間、絶対に星を見続けてやる!」 そう、遠坂凛は第二魔法という高みを目指している。 高みを目指し続けなければ、現状の維持すらできないとも考えている。 高みを目指し続けているのだから、このような場所で死という沼にはまりこむわけにはいかない。 『かつての魔法』という血統が所有する財産にしがみつく彼女などに、負けるわけにはいかないのだ。 吹き飛び、転がった勢いは花壇の積み石に全身をぶつけて止まる。 意図した物ではないが、とにかく勢いは止まった。 「あいつは……!」 失せそうになる意識と視界を振り絞り空中を見渡すと、空中でふらふらと無防備を晒しながらも、必死で制御を取り戻そうとしている姿を見つけた。 対応するかのように転がったままの姿、伏せ撃ちの体勢を取り狙いをつける。 外れた肩を無理矢理戻し、魔力を込めると左腕全体にこれ以上ないほどの激痛が走る。 激痛で悶えそうになるのを右腕で左腕を掴んで補助する。 それでも震えの止まらぬ腕の制御を、腕力と魔力で無理矢理行う。 歯を食いしばり、全身に走る激痛に耐え、それでも敵を見据え、完全に『指差し』 「――取った!」 極大のガンドが超高速で放たれた。 直後に制御を取り戻したシャルロットが音速に向かい加速を始め―― シャルロットの背後に命中し、今度こそ完全に制御を失ったシャルロットが音速のまま空中に投げ出される。 その姿は、瞬間を見たわけではないのに、空中で爆散する航空機を凛に連想させた。 823 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:音速停止] 投稿日: 2006/12/27(水) 03 27 58 音速で迫るセイバーの突きの連打はプレストンに追い切れる物ではない。 繰り出されるレイピアの一撃は、それだけでプレストンの守りを呆気なく崩し、殺すはずであった。 突きは剣術の中で最も点に近い領域を侵犯する。 だがプレストンは拮抗する。 サーヴァントで最速であるというランサーをも凌駕するであろう音速の連打を、防御一辺倒とはいえ凌いでいる。 振るう腕も、その速度を生み出す足をも全てを捉えきることが出来ていない。 それを防ぎきるのは、己の『ガン=カタ』に全てを委ねたからに他ならない。 確かに全貌は見えぬ。 だがその姿の一部は見える。 踏み込む足先、突く寸前に一瞬溜めを作る瞬間の肘先、この僅かな距離をも遅れてやってくる足音。 そこより最も理想的な敵の全身像、その各部位の現在位置を計算し、そこより振るわれる一撃に対する最適解を導き出し、それに対する 最適解を導き出し、対応する。 音速をも超える突き、その虚手には目もくれず、己を抉る一撃のみ峰で弾き、次の手に備える。 セイバーも、弾かれる殺意に速度や重さが乗る前に戻し、次の一手を繰り出す。 どちらかが一手でも応じ損なえばそこで勝負は終わるであろう。 片方は貫かれ、あるいは片方は頭を撃ち抜かれて。 かつてのリブリアでの戦いですらこれほどの速度、これほどの効率を持って体術を駆使した経験はない。 第一級クラリックであった彼をして脳内での演算内容とその結果を理解することは出来ていない。 ただひたすらに演算の高速化に努めた彼の脳内は感情の存在を拒絶した。 全ての感情に付随した想いは消え去っていた。 常に心の中にあったはずのメアリーやパートリッジへの贖罪の想いも、感情を取り戻すための戦いは正しかったのかという苦悶も、全て消え去り、ただひたすらにその手に握る双銃に万事を委ね、投げ渡す。 それは、皮肉なことにかつてセイバーが最期に相対した男の最期と同じ物であった。 それを分かってしまったが故に、セイバーはプレストンの存在を許すことが出来ぬ。 両者の戦いは、音速を超えたまま停止した。 伏せ撃ち体勢のまま、凛は空中へ投げ出されたシャルロットが教会の壁の向こうに墜落する様を見届けた。 このまま頭を地面に突っ伏して倒れてしまいたいところだが、それは出来ない、まだ為すべき役割は残っている。 そう考え、危険な状態になっているであろう左腕を庇い、火傷を負っている両足には魔術を施して立ち上がる。 無事な右手でポケットを探り、使い捨ての宝石を幾つか握りしめ―― 襲撃:シャルロットを倒すべく教会の壁の向こうに歩き出す 方針転換:プレストンの援護に向かう 警戒:行動を起こす前に全身に魔力を巡らせる 投票結果 襲撃:3 方針転換:1 警戒:5 決定
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/639.html
300 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:猫のような少女] 投稿日: 2007/02/04(日) 03 44 34 巻き込まれた被害者。 その少女はすぐに見つかった。 瓦礫に潰されかけていたが、奇跡的なバランスで別の瓦礫と支え合うことで少女は潰されることなく存在していた。 気絶しているのか、ぴくりとも動かない。 駆け寄り、様子を確かめる。 「生き……てる?」 規則正しく呼吸する音が聞こえた。 月明かりに照らされた少女は服こそボロボロだったが、外傷は見る限り無い。 猫のように、体を丸めて、眠るように気絶しているだけだ。 鮮やかなブルネットは闇に眩しく、それは戦場跡を思わせるこの場所では異様にさえ映った。 気絶した少女を抱きかかえようとして、その眼が士郎を見つめていることに気付いた。 丸まったまま、少女が問うた。 「……誰?」 警戒しているわけではない、ただ純粋な疑問の声で問うた。 とりあえず、名前を答えた。 「衛宮士郎、怪しい人じゃないよ、一応ね」 警戒させないように、出来るだけ優しく言う。 「しろう……士郎……?」 「ああ、士郎だ」 軽く笑みを見せる。 それは安堵から。 何人もの人を救えたわけじゃなかった。 だけど、誰も救えなかったわけじゃない。 犠牲を容認したわけじゃない、だけど、意味がなかったわけじゃない。 それは、この戦いの中では極めて僅かな救いでしかないのかもしれない。 それでも、救われた人に「無意味だった」と突きつける事なんてできない。 だから極自然に笑みを見せた。 ふ、と。 少女は極自然に抱きついていた。 「え?」 疑問に思うと同時、破砕音が聞こえて。 少女を抱きかかえてその場から飛び退く。 間一髪の差で瓦礫のバランスが崩れ、押し潰した。 「あつつつ……大丈夫か?」 「うん、平気……ありがとう士郎、優しいね」 そう言うと少女は抱きついたまま胸に顔を埋めた。 「と、とりあえずここは危険だから行こうか」 「うん!」 周囲を見れば、ビルはボロボロで、それこそいつ崩れてもおかしくなさそうだった。 「はあ……なるほど」 先生が簡単な治療を受けながら呆けている。 それはそうだろう。 なにしろ少女の懐き方が尋常でない。 一言で言えば刷り込みを思わせる程の懐き方だ。 他の人間は警戒したまま、抱きついている。 まるで信じられるのは彼だけだというような懐き方だった。 「は、わかりました、では……君達はこれから教会に来て貰うが、構わんな?」 通信機を切り、隊長らしい人が話しかけている。 「ええ、構いません」 「よし、決まりだな」 隊長らしき人物が手を振ると、その先から車両……HMMWV ハンヴィー が数台向かってきた。 民生用のハマーではなく明らかな軍用のそれは、きっちりと武装が取り付けられている。 映画や紛争地帯のニュースなどで見たことはあったが、実際に見るのは当然始めてであった。 「あんな物をよくもまあ……」 「さあ、乗りたまえ」 隊長の言葉は、高圧的ではないが少しだけ威圧感があった。 301 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:記憶喪失の少女] 投稿日: 2007/02/04(日) 03 45 35 教会に辿り着くと、遠坂とキャスターが明らかな疑いの眼差しを向けてきた。 先に到着して治療を受けていたなのはとフェイトも、どういう顔をして良いのやら、戸惑っているようだ。 それはそうだろう、別行動して少女を拾ってきた、しかもこの懐き具合。 ……バゼットは、どうやら教会には居ないようだ。 単独行動をして分かれたきり、彼女はどこかへ行ってしまった。 少しだけ不安だった。 「……その子、何?」 「あ、ああ、この子は、巻き込まれた子で、助けたら懐かれちゃって」 「とても信じられないわね」 ぴしゃりと一刀両断、容赦無しだ。 「そ、そうは言われてもだな、まず俺はこの子の名前も知らないぞ?」 「……小児誘拐?」 キャスターが言ってきた。 「いや違うから」 さすがに即答する。 更に色々と疑いの言葉を即答して切り返していると。 「……ノイン」 少女が後ろでポツリと言った。 「ノイン……名前、で良いのか?」 「うん、ノインは、ノインだよ……覚えているのは、それだけ」 声が沈む。 ……そうだとすればあの懐きようも少しは分かる。 そして、その理由も分かる。 あれだけの無惨な死体を見せられて、平気なはずがない。 全てを忘れてしまったのなら、そう自覚してしまったのなら、精神状態は生まれたばかりの小鳥とそう変わらないだろうと思う。 助けてくれた人、生かしてくれた人だけを頼りにするだろう。 衛宮士郎が切嗣に憧れたように。 「……ふむ」 成り行きを見守っていた神父が近づいてくる。 手元に書かれたファイルには、犠牲者の名前などの情報が書かれている。 「荷物を持っている様子も無し、真実記憶喪失ならば教会で引き取る、というのも難しいだろう、なにしろ、親代わりが目の前にいるのに引き離す、と言うことになるからな」 何を言い出すのかこの神父様は。 予想は付くが…… 「どうかね? 君も参加者である以上負担はあるだろうが、この少女を暫く君の住居で預かる、というのは」 その言葉に、最初は反発を。 「いや、危険があるでしょう」 「危険があるのは教会も同じだ、みたまえ、君や、ハンヴィーで治療を受けている男性に比べれば随分と軽傷だが、彼女たちも負傷した……教会が襲われたのだよ、ジョン達のおかげで撃退は出来たがね」 一度言葉を切る。 その言葉が事実ならば、確かに教会よりも、複数のサーヴァントが居る衛宮邸の方が安全かも知れない。 「我々教会側も戦力を保有してはいるが、自ら事態を解決できるとは自惚れておらん、身を守ることは出来ようとな」 全員が神父の話を聞いていた。 「引き受けて貰えるならば……幾つかの状況も提供しよう、リスクと引き替えと言うことだ、どうするね? 少年」 傷だらけの帰還:少女を衛宮家に連れて帰る 少女の涙:少女は教会に置いていく 放浪:その前にバゼットを探しに行くというのはどうか? 投票結果 傷だらけの帰還 5 決定 少女の涙 0 放浪 0