約 40,744 件
https://w.atwiki.jp/homuhomu_tabetai/pages/2104.html
作者:hg1M/kvmo 第1部・『アンアン』と呼ばれた仔その1 その2 その3 第2部・蛇足、あるいはとある公園職員の独白 ジャンル:あんさや群れ ほむまど群れ ゲス稀少種 仲間割れ 共食い 実験 箱庭 誤認 食物連鎖 感想 すべてのコメントを見る ここにある中で一番つまんない
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3917.html
『野良れいむはゆっくりしたい』 66KB 思いやり 不運 自業自得 日常模様 駆除 番い 群れ 野良ゆ 加工場 現代 独自設定 なんか迷走気味。 気ままあき 「ゆっ……ゆぅぅぅ……」 公園をずりずりと這っている汚い成体れいむがいる。 髪の毛や肌は言うに及ばずお飾りに至るまですべてがボロボロの野良れいむだ。 れいむは思う。なんでこのゆっくりはこんなにもゆっくりしていないのだろうか?と。 れいむは思う。なんでこの世のあらゆるものはゆっくりをゆっくりさせてくれないのだろうか?と。 れいむは思う。なんで人間さんはゆっくりに対してこんなに酷いことをするの? れいむはもっとゆっくりしたいよ。 誰でもいいかられいむをゆっくりさせてよ…… このれいむに親はいない。 気がついたら両親はれいむを残していなくなっていた。 唯一妹のまりちゃがいたが、幼い姉妹には食べる物も住むところもなかった。 親を探しにいこうとしたがすぐ疲れて歩けなくなった。 れいむは仕方なく人間に助けを求めた。 「ごはんさんをちょうだいね!あまあまでいいよ!」 「かわいそうなれいみゅにおうちをちょうだいね!ごうていっでいいよ!」 自分がそう言った時の人間の目は今でも忘れられない。 底冷えするような冷たい目。まるで汚物を見るかのような嫌悪の視線。 そして無関心。無視。幼いれいむのささやかな希望をかなえてくれる人間は1人もいなかった。 当然餓えた。ひもじかった。寒かった。心細かった。 そうこうしている内に妹のまりちゃが衰弱して死んだ。 幼いれいむは仕方なく死んだまりちゃの死骸を食べてその命を繋いだ。 まりちゃは確かにあまあまで美味しかった。 が……だがれいむの腹はふくれたが心には満足感なんて欠片もなかった。 同族喰いはゆっくりできないという本能ゆえだろうか? れいむはますますゆっくりできなくなり確実に弱っていった。 まだ自分は全然ゆっくりしていない。いやゆっくりさせてもらっていない。 それなのにもう死ぬのか?ここでなんの意味もなく野たれ死ぬのか? 嫌だ!もっとゆっくりしたい!もっともっともっと!……しかし意識はだんだん薄れていく。 もうれいむがここまでかと思った時… 「ゆっ?こんなところによわっているおちびがいるのぜ!」 「まりさ!このこをむれまではこんでちょうだい!」 「わかったのぜ!」 ……れいむは狩りにきていた公園の野良ゆっくりにその命を救われる。 れいむはただちに公園の群れに連れて行かれそこで治療を受け、ごはんさんを食べさせてもらいようやく元気になった。 そして身寄りのないれいむは公園の群れに入れてもらいそこで生きていくことになったのだ。 だがこの時れいむは周囲の大人たちがまだ幼い自分をゆっくりさせてくれると漠然と考えていた。 かすかに記憶にある両親が自分をゆっくりさせてくれたように、 群れの大人たちもかわいいれいむをゆっくりさせてくれるはずだと思っていた。だが…… 「きゃわいいれいみゅをゆっちちゃちぇてにぇえ!」 「ゆっ?なにいってるのぜこのおちびは?まりさたちがおまえをゆっくりさせるわけないのぜ」 「ど、どぼじてぞんなごというにょぉぉぉっ?れいみゅはまだきゃわいいあかちゃんなんりゃよ? ゆっくちしゃせてあげにゃいとだめでしょぉぉぉっ!?」 「あなたはありすのおちびちゃんじゃないもの。ゆっくりさせてあげるぎりなんてないわ」 「ゆぅぅっ!?」 「それよりれいむ。むれのいちいんになったいじょう、あなたもきちんとはたらいてもらうわ。むきゅ」 「むれにしょぞくしているいじょう、みんななにかしらのおしごとをしてるんだからとうぜんだみょん!」 「あ、あかちゃんのれいみゅにおしごとなんでむりにぎまっでるでしょぉぉぉぉっ!?」 「ちゃんとおちびにできるしごとをまわすからだいじょうぶなのぜ」 「おしごとをしないと、むれのおきてでせいさいっされるからさぼっちゃだめよ?」 「むれにでいぶをやしなうよゆうはないんだよー。ゆっくりしないでそくざにわかってねー!」 「ゆんやああああああっ!どぼじて?どぼじてだれもれいみゅをゆっくちちゃちぇてくれにゃいにょぉぉぉっ? ゆっくち!ゆっくちぃぃぃぃっ!みんにゃれいみゅをゆっくちちゃちぇてよぉぉぉぉぉっ!」 その日かられいむの群れでの日々が始まった。 ゆっくりできない群れでの強制労働……それはただ柔らかい芝生の雑草とりをしたり、 群れの一員として長ぱちゅりーから群れの掟や生き抜く為の知恵を勉強するだけのものであったが まだ赤ゆっくりであったれいむには耐えがたいほどにゆっくりできない事だらけであった。 なんでまだ赤ちゃんのれいむがこんな目に? もっと思う存分すーやすーやして思う存分お寝坊やお昼寝をしたい。 もっと美味しいものをたくさんむーしゃむーしゃしたい。 もっと遊びたい。おうたを歌ってゆっくりしたい。もっとゆっくりしたい。もっともっと…… だがこの群れは親がいない新参者にそんな自堕落なゆっくりなど許してくれなかった。 れいむの不満は日ごとにつのり……れいむが赤ゆっくりから子ゆっくりへと成長した頃、 いっそこんな群れなど出て行ってやろうかとれいむは本気で思って準備したことがあった。 群れの大人たちはそんなれいむの胸中を察したのだろうか、 ある日、群れ一番の狩りの名手と名高い野良まりさがれいむを狩りに同行させたことがあった。 「やべてえええええっ!」 「でいぶのなわばりをあらすなんて、とんだげすゆっくりどもだよ!」 「まりちゃはげすじゃにゃいもんんんんっ!ごはんしゃんをとりにきちゃだ……ゆぴぃ!」 「ゆんやあああっ!ありずのおじびちゃんがぁぁぁっ!どぼじてぇぇぇっ? ありすはなにもわるいごとじでないでしょぉぉぉ!」 「このごみすてばはおさでいぶのむれがしきっているかりばなんだねー!」 「ここのごはんさんをよこどりするやつはむれにけんかをうるげすなのぜぇっ!」 「ゆっくりりかいしたら、ゆっくりしないでしんでね!すぐでいいよ!」 「いやだぁぁぁぁっぞんないながものなしにがたじだぐないぃぃぃっ!ば、!ばりざぁぁぁっ!おちびじゃぁぁぁぁんっ! だれでもいいがらとかいばなありずをたずげてよぉぉぉぉっ!」 野良まりさに連れられたれいむは物陰からその様子を見た。いや野良まりさに見させられた。 食べられる物を手に入れようと路地裏のゴミ捨て場にちょっかいを出したが為に、 ゴミ捨て場をテリトリーとしている野良ゆっくりの群れに制裁される野良ありすの親子の……その末路を。 ほんの少し。ほんの少し生ゴミを頂戴しただけで片目を潰され、髪の毛は抜かれ、お飾りを没収され、 子供のまりちゃは潰されるというあまりにも残酷で容赦のない狂気の制裁を。 野良ありすがこれでもかと苦しみを与えられた末に殺された現場をれいむは見てしまった。 制裁の現場を初めて見たれいむはあまりの恐ろしさになにもしゃべることができなかった。 なんだこれは?同じゆっくりなのになんであのでいぶたちはあんなに楽しそうにこんな酷い仕打ちができるのだ? 分からない。いや分かりたくない。ただただ理解不能としか言いようがない光景だった。 れいむはおそろしーしーを盛大に漏らしながらガタガタ震えるしかなかった。 そこへ野良まりさが冷めた目でゴミ捨て場の制裁を見ながら、れいむに語りかけてきた。 「……みるがいいのぜ。あれがむれにはいっていないのらのまつろなのぜ」 「ど、どぼじて……?どぼじてご、ごんなごとをずるのぉぉぉっ……?」 「むれにとってかりばはせいめいせんっなのぜ。そこをあらすやつはそくざにせいさいっされるのぜ」 「だ、だからってこ、こんなひどい……」 「のらのせかいはきびしいからしかたないのぜ。だけど……れいむはべつなのぜ。 まちがってほかのむれのごみすてばにはいりこんだくらいならば、 よほどうんがわるくないかぎりまずせいさいっはされないとおもうのぜ」 「ゆっ?な、なんで…」 「れいむがこうえんさんのむれにしょぞくしているから、だぜ」 「……?」 「ほかのむれのゆっくりをかってにせいさいっしたら、むれどうしのぜんめんこうそうっにはってんしかねないのぜ だからそのばあいはこうえんのむれにくじょうをいいにきて、ごはんさんをちょろまかしたのなら そのぶんをべんしょうさせるぐらいでてうちしておわるのがふつうなんだぜ」 「ゆ、ゆう……」 「……うしろだてってやつなのぜ。むれというちからをはいけいにもったゆっくりにはてはだしずらいものなのぜ でもあそこのありすたちのようにむれという、うしろだてがないとかるくみられて……」 「……そ、そくざにせいさいっされる?」 「そうだぜ。それもたくさんのゆっくりでよってたかって……のらゆっくりだからいーらいーらもそうとうたまってるのぜ」 「……」 れいむはそんな群れ同士の関係など初めて聞いた。 野良ゆっくりの社会がそんな風に成り立っていたとは…… だがこれは別に群れ同士で協力しあったりとかしているわけではない。 街という野良が生きるには過酷な状況、そして過去に起きた様々な問題や悲劇から 野良ゆっくり達が痛い目にあいながらも少しづつ学んで自然と現在の状態に落ち着いたというだけのものだ。 「……れいむはむれがきらいかだぜ?」 「ゆっ!?そ、そんなこと……」 「かおにでてるんだぜ。むれのおしごとはぜんぜんゆっくりできないって。 でもれいむはむれのおしごとをしてるからこそ、そのむれにまもられてもいるのぜ?」 「……ゆう。まりさにはぜんぶおみとおし、なんだね」 「べつにたいしたことはないのぜ。そのていどのことならなんとなくふんいきでわかるものだぜ」 「たしかにむれのおしごとはゆっくりできないよ……れいむはもっとゆっくりしたいよ……」 「ゆっくりしててごはんさんやおうちさんがてにはいるなら、いくらでもゆっくりしていればいいのぜ。 でもげんじつにそんなことありえないんだぜ」 「……」 「まあそれでもむれがきらいならむりじいはしないのぜ? れいむがひとりでもいきぬくつよさがあるとおもうのならいつでもでていっていいのぜ」 それだけ言うと野良まりさはくるりと背を向けて公園へと帰っていく。 元々野良まりさは本当は狩りにきたわけではなく、れいむにこの野良の現実を教える為に公園の外にまで出てきたのだ。 もう用は済んだ。あとはこの野良ゆの現実をれいむが受け入れるかどうかであり、れいむ自身の問題である。 そのれいむは割り箸で身体中を串刺しにされた野良ありすの亡骸を、目に焼き付けるように悲しげに見ると…… 野良まりさの後を追って公園へと跳ねていったのだった。 そして結局れいむは公園の群れに残った。 あんなものを見せられた後では自分ひとりの力でゆっくりする自信など、とてもおこらなかったからだ。 れいむは公園で雑草とりや花壇の水やり等の仕事をしていく日々を選んだのである。 毎日の仕事さえきっちりやれば思う存分……とまではいかなくてもそこそこのゆっくりはできる。 それで満足するべきかもしれない。れいむは段々そう思い始めてきた……が。 そんなれいむの前に思う存分ゆっくりを享受している(ように見える)異質の存在が現れた。 ときどき公園に飼い主とともに遊びにくる飼いゆっくり達である。 「まりさー、ちぇんー、あまり遠くへいっちゃ駄目よー」 「わかってるよおねえさん!」 「ひさしぶりのこうえんさんなんだよー!おもうぞんぶんかけっこするんだねー!」 飼い主のお姉さんに連れられて公園に遊びにきた金バッジのまりさとちぇん。 れいむが生まれてはじめて見る飼いゆっくりは何から何まですべてがゆっくりしていた。 汚れなど何一つないもちもちの肌、綺麗な金髪に黒髪、お飾りに至るまで綺麗で輝いていて とにかくなにもかも。すべてがゆっくりしていた。 「ゆわぁぁぁっ……すごぉぉぉくゆっくりしているよぉぉぉぉっ……」 「なにをみてるのれいむ?」 「なにってありす、あのまりさたちみてよ!すごいよ……ふたりとも、ものすごいびゆっくりだよぉぉぉぉっ! それにそれにものすごぉぉぉぉくゆっくりしているよぉぉぉぉっ!」 「……だから?」 「だ、だから……?れいむもあんなふうにゆっくりしたいよ!どうすればああいうふうになれるの?ゆっくりおしえてね!」 「ふう~……れいむ?あれはありすたちにはてがとどかないせかいにすんでいるゆっくりよ。 そんなものにあこがれてはいけないわ」 「ゆっ?なにいってるの?おなじゆっくりでしょ?あのまりさたちがゆっくりできてるんだから れいむだっておなじようにゆっくりできるはずだよ!」 「……」 そうだ同じゆっくりじゃないか。れいむと何が違うというのだ? 住む世界が違う?なんだそれ?何を言っているのか分からない。 所詮野良ゆっくりであるありすじゃ聞いても埒があかない。そうだあのゆっくりとしたまりさ達に直接聞いてこよう。 どうすればれいむもまりさやちぇんのようにゆっくりできるのかを! そう思うなりれいむは飼いゆっくり達の元へと跳ねていった。 後方でありすが飼いゆっくりに関わってはいけない!行くな!と制止する声が聞こえたような気がするが、 れいむのようやくゆっくりできるかもしれないという逸る気持ちに打ち消された。 「ゆっくりしていってね!」 「……ゆっ?」 「なんなのーこのれいむー……?」 れいむはかけっこをして遊んでいる飼いゆっくりの二匹に渾身の挨拶をした。 が、金バッジをお飾りにつけたまりさとちぇんはどこか困惑気味だ。 まあ薄汚い野良れいむにいきなり話し掛けられたら誰だって迷惑そうな顔をするだろうが。 だが当のれいむはそんなことおかまいなしに飼いゆっくりの二匹に話しかけた。 「ねえ!まりさとちぇんはどうしてそんなにゆっくりしているの?れいむもゆっくりさせてね!すぐでいいよ!」 「ゆうっ?なんでまりさがれいむをゆっくりさせてあげないといけないの?」 「ゆっくりのひとりじめはいけないんだよ!ゆっくりはみんなでわけあわなきゃいけないんだよっ!」 「そんなこと、ちぇんたちにいわれてもこまるんだねー」 「まりさたちだって、おねえさんにおねがいしてようやくこうえんさんにゆっくりしにこれたのに……」 「ゆっ?おねえさん……?」 「あそこのべんちさんでごほんをよんでるにんげんさんのことだよー」 「まりさたちはあのおねえさんのかいゆっくりなんだよ」 「ゆっ!か、かいゆっくり!?かいゆっくりってごうていっなおうちにすんでいて、 まいにちあまあまたべほうだいっで、びゆっくりとすっきりーしほうだいで、にんげんをどれいにして、 かいってきにまいにちをおもうぞんぶんゆっくりしているあのかいゆっくり!?す、すごいよ! れいむもかいゆっくりにしてねっ!いますぐかいゆっくりにしてねっっ!はやくしてねぇぇぇぇっ!?」 飼いゆっくりと聞いてれいむは野良ゆっくりにありがちな理想(妄想)の飼いゆっくり像をぶちまけた。 人間を奴隷にして思う存分ゆっくりする。それは恐らくほとんどのゆっくりがもつ思考であり願望であろう。 だがそんなれいむの願望を聞かされた飼いゆっくりである当のまりさとちぇんはいきなり激高した。 「「ふ、ふ、ふ、ふざけないでねぇぇぇぇぇぇぇっっ!!」」 「ゆゆゆっ!?」 「な、なにがにんげんさんをどれいになのぉぉぉぉっ!?ばかなこといわないでねぇぇぇぇぇっ! まりさとおねえさんはかぞくどうぜんっなんだよぉ!」 「あまあまたべほうだい?すっきりーしほうだい?ねごとはねてからいうんだねー!」 「ど、どぼじてふたりともいきなりおこってるのぉ!?ばかなのっ?しぬのぉぉぉっ?」 「ばかなのはれいむのほうでしょぉぉぉっ!かいゆっくりをなめているのはれいむのほうでしょぉぉぉぉっ!?」 「れ、れいむはなめてなんか……」 「かいゆっくりはたしかにのらよりおいしいものをたべてるよー!でもそれはちぇんたちが おしごとをしているからだよー!」 「お、おしごと!?かいゆっくりにもおしごとがあるの!?」 「そうだよ!かいぬしであるおねえさんをゆっくりさせているから、まりさたちもゆっくりさせてもらえるんだよ!」 「おねえさんにゆっくりしてもらうのはむずかしいんだねー!かいゆっくりもらくじゃないんだよー!」 「にんげんをゆっくりさせる……?ゆんっ!そんなのかんたんだよ!ぜんぜんむずかしくないよ!」 「……なにがどうむずかしくないっていうの?」 「だってゆっくりしているれいむをみれば、にんげんはとたんにめろめろになってゆっくりするはずだものっ! しゅっけつだいさーびすっでれいむのゆっくりしたおうたをきかせてあげればもうかんっぺきっだよ!」 「……」 「……」 自慢げにゆふんっとふんぞり返るれいむ。 そんなれいむに心底呆れ、冷めた視線でれいむをじとーっと見る金バッジまりさとちぇん。 これまた野良ゆっくりにありがちな短絡思考である。 何に対してゆっくりを感じるかは人間とゆっくりでそれぞれ違うというのに…… 人間とゆっくりの価値観の違いなど野良ゆっくりであるれいむには理解できないのだ。 「……れいむをみてもおねえさんはたぶんゆっくりしないよ」 「ゆっ?そんなわけないよ!れいむをみればぜったいにゆっくりするはずだよ!ゆぷぷっまりさはみぐるしいね! いくられいむがゆっくりしてるからってしっとしないでね!」 「じゃあきくけど、れいむをみてゆっくりできたよーっていったにんげんさんがいままでにひとりでもいたのー?」 「ゆうっ!?」 「そんなにれいむをみてゆっくりできるのなら、れいむはのらなんてやってないはずだよ」 「れいむがとくいなおうただって、おねえさんからみたらたんなるざつおんなんだよー。 そんなのじゃ、にんげんさんはだれもゆっくりなんてしてくれないんだよー。ゆっくりわかってねー」 「ど、どぼじてぞんなごというのぉぉぉぉぉっ!?」 だが確かにそうだ。 れいむを見てゆっくりできるという人間がいれば、れいむはとっくの昔に飼いゆっくりになれてたはずだ。 それどころか……ここでれいむはハッと昔を思い出した。 赤ゆっくりだった頃のれいむ……路上で妹まりちゃと餓えていたあの頃…… いくらゆっくりさせてね!とれいむが言っても人間達はれいむなど相手にもしなかった。 それどころか軽蔑するような冷たい目をされた。汚物を見てしまったとでも言いたそうな露骨な無視をされた。 今思えばあれらの目は揃いも揃ってこうれいむに言っていた気がする。 れいむ、お前は全然ゆっくりできない……と。 「ち……ちがうっ!ちがうぅぅぅぅっ!れいぶはゆっぐり!ゆっぐりでぎるんだぁぁぁぁっ!ゆんやあああああああっ!?」 「そのばそのばのくうきをよんで、おねえさんにゆっくりしてもらえるようにふるまうのはほんとうにたいへんなんだよ!」 「れいむがいうやりかたじゃ、おねえさんはうっとおしがってふゆかいにかんじるだけなんだよー! とてもくあないけどゆっくりなんてしてくれないんだねー!」 「そうだよ!おともだちなんてかいゆっくりどうしじゃないとだめだし!」 「すっきりー!なんてごんごどうだんっなんだねー!」 「あまあま?したがこえるからよほどとくべつなひじゃないかぎり、たべさせてなんてもらえないよ!」 「ぞ、ぞんなぁぁぁっ!?なにぞれぇぇぇぇっ!はなしがちがうでしょぉぉぉぉぉっ!?」 「はなしがちがう?まりさはれいむがいうような、おとぎばなしじみたもうっそうっをはなしたおぼえはないよ!」 「かってにひとりでそうだとおもいこんでいただけだよー。それをちぇんたちのせいにするなんてわからないよー!」 「だ、だって……かいゆっぐりはゆっぐりでぎるはずなのにぃぃぃぃぃっ……」 「それはれいむがこうだったらいいなっておもいこんでいるだけの、れいむにだけつごうがいいかいゆっくりでしょ!」 「にんげんさんにゆっくりさせてもらうじゃないんだねー!ちぇんたちががんばって にんげんさんにゆっくりしてもらって、そのあとにちぇんたちもごほうびとしてゆっくりさせてもらうんだよー」 「そうだよ!れいむがいってることはじゅんじょがぎゃくだよ!」 「ぎゃ、ぎゃく……?」 「まりさとちぇんはかいぬしのおねえさんとはかぞくどうぜんだよ!でもかぞくでもじょれつというものはあるんだよ!」 「ちぇんたちをかってくれているおねえさんがうえ!ちぇんたちがした!なんだねー」 「やしなってもらっているおちびちゃんがおやよりえらいなんてありえないのとおんなじだよ!」 「それなのに……ちぇんたちをかってくれるおねえさんがどれいなんてとんでもないんだねー!」 「ゆ、ゆうぅぅぅぅぅ………」 「それにいくらかぞくでも、これだけはやっちゃだめっていうのがどうしてもあるよ! それはゆっくりのかぞくもにんげんさんのかぞくもおなじことだよ!」 「かってにのらをつれこんで、おちびちゃんをつくるとかねー!もしそんなことをしたらどうなるかしってるー?」 「ゆっ……?お、おちびちゃんはかわいくてゆっぐりできるんだがら、うまれたおちびちゃんもとうぜん…」 「かってなんかくれないよー!それどころかおやこともどもすぐにすてられちゃうんだねー!」 「ゆ、ゆううううううううっ!?な、なにぞれぇぇぇぇぇぇっ!?」 公園の群れに掟というルールがあるように、飼いゆっくりには飼いゆっくりのルールがある。 金バッジまりさ達からそのルールの数々を聞かされたれいむは驚きと愕然の連続だった。 こんなにゆっくりしている(ように見える)飼いゆっくりの生活がこんなにゆっくりできないものだったとは! 飼いゆっくりはれいむが毎日やらされているゆっくりできないお仕事とは無縁の存在だと思ってたのに。 れいむは次第に裏切られたような気分になっていった。 「かいゆっくりのざはあんたいっじゃないんだよ!かいぬしさんのきぶんしだいであっというまに のらのなかまいりをしちゃうことだってあるんだよ!」 「かいゆっくりはのらゆっくりとつねにとなりあわせなんだねー!ちぇんたちはそのぷれっしゃーさんにたえながら まいにちまいにち、けんめいにおねえさんをゆっくりさせようとどりょくしてるんだよー!」 「まりさたちがほんとうにゆっくりできるのは、きょうみたいにごほうびでこうえんさんに あそびにつれてってもらうことくらいだよ!」 「かいゆっくりはれいむがおもってるほどらくしょうなそんざいじゃないんだねー。わかってねー!」 「ゆっ……ゆゆゆっ……」 「ゆんっもういいよ!ちぇん、あっちのすなばさんのほうにあそびにいこう!こんなれいむにつきあっていたら まりさたちがゆっくりあそぶじかんがなくなるよ!」 「そうだねー!じゃあねれいむー。かいゆっくりになればゆっくりできるなんてばかなゆめはもうみないでねー!」 そう言って砂場の方へ去っていく金バッジまりさとちぇん。 れいむはふたりに言われたことがあまりにもショックで追いかけることも、その場を動くこともできなかった。 飼いゆっくりは野良と違い衣食住が保証されているとはいえ、それは未来永劫続く保証ではない。 飼い主の気分、飼いゆっくりの態度次第であっというまにすべてを失いかねない砂上の楼閣なのだ。 そのことを充分自覚しながら飼いゆっくりは飼い主をゆっくりさせる為に努力しなければならない。 そう飼いゆっくりには野良ゆっくりとは別の苦労や悩みがあるのだ。 れいむはそれらの事情を知らなかった。そして知ってしまった。 一見この上なくゆっくりしているように見える飼いゆっくりですら毎日やらなきゃいけないお仕事があり、 そして人間を奴隷にして思う存分ゆっくりするなど到底できないという現実に。 こうしていつか自分も飼いゆっくりに……と密かに思っていたれいむの願望は粉々に砕け散ってしまったのだった。 「れいむ!まりさとずっといっしょにゆっくりするのぜ!」 「ゆゆ~ん!れいむ、まりさとずっといっしょにゆっくりするよ!」 飼いゆっくりとの出会いと別れからまたしばらく時間がたって…… 野良ゆっくりにしては珍しく成体にまで成長したれいむは群れの若いまりさと番になった。 そう……れいむは遂に現実に妥協したのだ。 野良の厳しさを知った今のれいむには、群れを出て思う存分ゆっくりできる理想のゆっくりプレイスを ひとりで探しに行く覚悟や力、自信はなかった。 さらに飼いゆっくりの現実と実態を知ってしまった以上、 自分のゆっくりを犠牲にして他者をゆっくりさせることに血道を上げる飼いゆっくりになりたいとも思わなくなった。 まあ、それ以前に野良が飼いゆっくりになるなどまず不可能なことなのだが。 だったらこの群れでそこそこのゆっくりを享受して生きていくしかないのではないか? れいむは成体になるまで現実と妥協して生きる選択を選ぶことをためらっていた。 だが遂にれいむは決断した。野良ゆっくりとして僅かなゆっくりを糧にこの群れで生きていくことを。 「じゃあれいむ……さっそくすっきりー!をしておちびちゃんをつくるのぜ?」 「ゆゆ~ん♪まりさったらせっかちすぎだよぉ~~♪」 「ゆふんっゆっゆっゆっ……」 「ゆゆんっゆゆっ……ゆっゆっ……」 「む、むほぉぉぉっ!むほほほぉぉぉっ!いいのぜれいむぅ!れいむのまむまむはごくじょうっなのぜぇぇぇぇっ!」 「ゆほぉ!ゆほぉ!ゆほぉぉぉっ!ぎ、ぎてえばりさぁぁぁ!ゆほほおぉぉぉぉっ!?」 「「すっきり―――――っ!」」 ……とまあ、こうして番になったその日の夜に見てて気持ちが悪くなるすっきりー!に及んだれいむとまりさ。 すっきりー!が終わった直後にたちまちの内にれいむの額に茎が伸び…… れいむはれいみゅ2まりちゃ1、計3体の赤ゆっくりを授かったのだった。 「それじゃあきょうのおしごとにいってくるのぜ!」 「ゆっくりいってらっしゃいまりさ!ごはんさんをたくさんとってきてね!」 「まりさにまかせるのぜっ!」 妊娠したれいむは動けなくなる為、群れの仕事を一時的に免除される。 代わりに番のまりさがれいむの分まで群れの仕事に従事することになるのだ。 そして今れいむはこれ以上ないくらいに幸せだった。 なぜならこの群れに来てからはじめてと言っていい程のゆっくりを思う存分味わっているからだ。 ゆっくりできないお仕事をせずに一日中おうちでのんびりしてていいだなんて夢のようだ。 しかも目の前にはこの上なくゆっくりできる自分のおちびちゃんが茎から垂れ下がっている。 おちびちゃんの安らかな寝顔を見ているだけでれいむはさらにさらにゆっくりできた。 おちびちゃんを作れない飼いゆっくりなんか問題にならない。 今この時こそが本当のゆっくりだとれいむは確信した。 これでこのゆっくりとしたおちびちゃん達が生まれたら、れいむはさらにゆっくりできるだろう。 おちびちゃんたちが産まれた時のことを考えるとれいむは今から笑いが止まらない。 そしてれいむが妊娠してから数日がすぎ……いよいよおちびちゃんが生まれる日が来た。 「ゆゆっ!そろそろおちびちゃんがくきさんからはなれそうだよ!まりさはおちびちゃんをうけとめてあげてね!」 「くきさんのしたにまりさのおぼうしをゆっくりおくのぜ!」 「ゆゆ~ん♪これでじゅんびっばんたんっだよ!おちびちゃんたち、ゆっくりうまれていってね!」 れいむの頭の茎にぶら下がった赤ゆっくり達がゆらゆらを揺れている。 茎から赤ゆっくりが落ちる前兆だ。 れいむとまりさが期待に満ちた顔でしばらく見守っていると……ぷちっと音がして茎の一番先にあるれいみゅが落ちた。 「きゃわいいれいみゅがゆっくちうまれりゅよ!………ゆぴっ!」 「お、おちび!?だいじょうぶなのかぜぇぇぇぇっ!」 「ゆっ、ゆぅぅぅぅ……ゆっ!(キリッ)ゆっくりしていっちぇにぇえ!」 「ゆゆ~~ん!とっ~~てもゆっくりとしたおちびちゃんだよぉぉぉぉっ!」 「おちび!まりさはまりさなのぜ!りりしいおちびのおとうさんなのぜ!」」 「れいむはれいむだよ!ゆっくりしているおちびちゃんの、ゆっくりしているおかあさんだよぉぉぉ!」 「ゆんっ!おとうしゃん……おかあしゃん!」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 れいむはもう最初のれいみゅ一号が産まれただけでかなりの浮かれ気味だったが、 まりさが次のおちびちゃんも生まれそうなことに気が付いたこともあって残り二匹もなんとか無事に産み落とした。 そして出産の後に待っているのは多忙な子育ての日々。 だがれいむにとって、ゆっくりできない重労働であるはずの子育ては苦痛ではなかった。 むしろかけがえのない宝物を大事に育てているという思いに身も心もこの上なくゆっくりできたのである。 頼りがいのある番のまりさ。かわいいおちびちゃん達。それらに囲まれてこれ以上ないほどにれいむは幸せであった。 「むーちゃむーちゃ!ちあわちぇぇぇぇっ!」 「ゆっ!おなかぽんぽんになったら、うんうんをちたくなったのじぇ!」 「ゆゆ~ん!しゅっきりー!」 「ゆーん!おちびちゃんたち、と~ってもゆっくりしているよぉ~♪おちびちゃんのためにも おかあさんはこそだてさんをがんばるよぉぉぉっ!」 そしてさらに少しの時が流れて……れいむの子供が赤ゆっくりから子ゆっくりに成長しつつあったとある日。 その日れいむ一家はその日のお仕事を終えた後、公園をみんなで散歩することになった。 ちょうどよく晴れたうららかな陽射しの散歩日和だったので、れいむの子供たちは大喜びである。 れいむとまりさは木陰でのんびりうたた寝をし、子供達はおいかけっこ等をして遊んでいるそんな穏やかな時間…… そんなゆっくりとした時間は唐突に終わりを告げた。 「ゆんやああああっ!ゆんやああああああっ!」 「……ゆ、ゆゆっ!?」 「お、おちびちゃんのこえがきこえたよ!いったいどこから………ゆああああああああっ!?」 我が子の悲鳴にれいむとまりさは夢の世界から現実の世界へと呼び戻された。 寝ぼけまなこで慌てて我が子を探し……そしてあまりの光景に思わず叫んだ。 なぜなら人間の子供がれいむのおちびちゃんたちを足蹴にしているという身の毛もよだつ光景だったからである。 「やめちぇぇぇぇっ!れいみゅにいたいこちょちないでよぉぉぉぉぉっ!」 「いもうちょにひどいことしゅるくそにんげんはまりちゃがぷくーでせいさいっちてや……ゆべぇ!?」 「やべちぇよぉぉぉっ!まりちゃをけりゃないでよぉぉぉっ!どぼじでこんにゃひどいこちょしゅるにょぉぉぉぉっ!?」 「何故って……お前らが俺の焼き芋をよこせなんて言うからだろ。 俺は嫌だって断わったのにいつまでもつきまとってさ……終いにはあまあまよこさないゲスは制裁するよ!とか言って お前らの方から俺の足に体当たりかましてきたじゃないか。だから俺もやり返しただけだ文句あっか?」 そう事実はすべてこの少年の言うとおりであった。 屋台で石焼き芋を買った少年が公園のベンチに座って食べようとしたら 赤れいみゅたちが焼き芋の匂いにつられてのこのこやってきて 「そのあみゃあみゃしゃんをちょうりゃいね!」と言ってきたのだ。 ただでさえなけなしの小遣いで買った焼き芋だ、野良に餌付けする趣味がない少年は当然「嫌だよ」と断わった。 そしてぎゃーぎゃ騒ぎ立てる赤れいみゅ達を無視して焼き芋を黙々と食べ始めたのだ。 普通は拒否された時点で諦めるものだが……そこは諦めが悪い上に逆恨みが得意なゆっくり。 いつの間にかれいみゅ達の頭の中で少年は「れいみゅのあまあまを横取りするゲス人間」になっていた。 そして逆切れによる制裁が開始される。少年の足に体当たりを始めるれいみゅたち。 黙々と食べていた少年は赤れいみゅたちの言動行動にだんだん腹がたってきた。 せっかくいい陽気だから奮発して美味しそうな焼き芋を買って 公園で食べながら久しぶりにのんびりしようと思っていたのに、 なんでこんな野良ゆっくりに罵詈雑言を浴びせられた上に暴力を受けなければならないのだ? 野良ゆっくりが邪魔でうるさくて、せっかくの焼き芋が全然美味しく感じない。 お前らいい加減にしろ!……という経緯で現在に至るわけである。 「あ、ああ……に、にんげんさんにばりざの……ばりざのおちびだちがいじめられでるぅぅぅぅっ!?」 「や、やべろぉぉぉぉっ!それいじょうれいぶのがわいいおちびじゃんたちをいじべるなぁぁぁぁぁっ! ばりざぁぁぁぁっ!あれっ!あれをかせえっ!いますぐがぜえぇぇぇぇぇっ!」 「ゆっ!れ、れいぶ!?ぞ、ぞれはだめなんだぜっ!ぞれはぁぁぁっ!」 「ゆがあああああああああああっっ!」 「れ、れいぶぅぅぅっ!」 だがそんな事情など木陰で昼寝ぶっこいていたれいむとまりさが知るはずがない。 知っていればれいむもまりさも公園の群れに所属している野良ゆっくり、 人間の怖さは嫌というくらいに知り尽くしているから、ただひたすら少年に平身低頭して謝ってすませたかもしれない。 だがれいむとまりさ……特にれいむは寝ぼけて混乱していた。最愛の子供の危機に気が動転していた。 「ゆぴぃ……も、もうやらぁぁぁっ……」 「お、おうち…おうちかえりゅぅぅぅぅ………!」 「……はあ、もういいや。いいかお前らこのくらいで勘弁してやる。これで懲りたら二度と人間に食い物をねだるんじゃ…」 「れいぶのおちびじゃんをいじべるくぞにんげんはゆっぐじじないでじねぇぇぇぇっっ!」 「え…」 まりさの帽子の中には以前公園で拾ったという所々錆びている果物ナイフが忍ばせてあった。 このナイフはまりさといえどよほどの事がない限り使わない、まさに切り札中の切り札である。 我が子の危機に逆上したれいむはまりさの帽子の中のナイフを強奪すると、 ナイフを口にくわえて少年目掛けて突進したのである! れいむのゆん生最大最後の火事場の馬鹿力+後ろから突進してくるれいむに気付かない少年……その結果は? 「ゆ、ゆぐおおおおおおおおおっ!ゆんぎゅおおおおおおおおおおっっっ!!」 「痛っ……!?な、なんだよこれ……痛てええええええっ!?」 れいむの果物ナイフは運良く……いや運悪く少年のズボンとスニーカーの間の隙間、すなわち靴下に直接突き刺さった。 突き刺しただけでは飽き足らず、れいむは渾身の力で少しでもナイフを深く刺そうと踏ん張る。 そして逆上したれいむの火事場の馬鹿力によって果物ナイフは少年の足になんと1cm強も刺さった。 少年はいきなり足を刺されたことによる激痛で遂にうずくまってしまう。 れいむに刺された足の靴下は血でまっ赤なっていく…… まさか少年も野良ゆっくりごときにこんな怪我を負わせられるとは思ってもいなかっただろう。 「ゆふぅー!ゆふぅぅぅー!ゆふぅぅぅぅぅ―――っ…………!」 「ゆえーん!おきゃあしゃぁぁぁぁんっ!」 「まりちゃこわかったのじぇぇぇぇぇっ!」 「れいみゅもきょわかっちぇよぉぉぉぉっ!」 「ゆふぅぅぅぅー……ゆふぅぅー……お、おちびじゃんだち……も、もうだいじょうぶ……だよ……ゆっ!」 そして力を使い果たしたのか、れいむは果物ナイフを口から離した。 とたんにれいむの口からナイフを齧ってた部分の前歯と下歯が砕けたものがボロボロと地面に落ちる。 歯が砕けるのもかまわずに果物ナイフを噛み締めていたのだ。 なんとも無駄にご立派な母性パワーである。 「い、いてぇぇぇぇ……!いてえぇぇぇ!なんだよこれ……っ!な、なんで俺がこんな目にぃ!」 「ゆわぁぁぁい!れいみゅのあみゃあみゃをよこどりちた、げすにんげんがくるしがっちゃるよぉぉぉぉっ!」 「ちゅよーいおきゃーしゃんにしぇいしゃいされて、いいきみなのじぇぇっ!」 「にぇえくやちい?ねえいみゃどんなきもちぃ?ねえねえどんなきもちぃ~~~~?」 「ち、ちくしょう……おまえら……!おまえらぁぁぁっ!」 「「「おおっきょわいきょわいっ!げしゅにんげんはゆっくちくるしんでいっちぇにぇぇぇっ!げらげらげらぁぁぁっ!」」」 「ゆふぅぅぅー、ゆふぅぅー、ゆふふぅぅぅー………ゆっ!?ゆっ……ゆゆゆゆゆゆゆっ!?」 傷ついて動けなくなった少年の姿を見たとたん、いい気になって勝ち誇るれいむの子供たち。 足を刺された痛みにうずくまって涙目で悔しがる少年。 そして放心状態で息を整えていたれいむは……はっと我に返った。 人間を傷つけたという自分がしでかした事の重大さに愕然となる。 重大さを自覚したとたん、れいむの身体がガタガタと震えだしてきた。 れいむはあまりにも無我夢中で全然気がつかなかったのだ……人間に手を出すという事の恐ろしさを。 さらに人間を傷つけるのは確か群れの掟で禁止されていた。もし破ったら制裁…… と、そこへようやく番のまりさが駆けつけてきた。 「れいぶぅぅぅっ!」 「ま、まりざぁぁぁぁっ!?」 「はやぐにげるのぜぇぇぇっ!おちびたちっ!おとうさんのおぼうしのなかにはいるのぜっ!」 「ゆっ?にゃにいっちぇるにょ?こりぇからこのげすにんげんをれいみゅがゆっくちしぇいしゃい……」 「ゆがああああっ!いいからはやくなかにはいるのぜえぇぇぇっ!」 「ゆっ?ゆゆゆっ?」 「れいみゅ、おしゅらとんでるみちゃい!」 「ゆわーい!まりちゃ、おとうしゃんのあたまのうえでこーりょこーりょしゅるのじぇえ!」 「ついてくるのぜれいむ!ゆっくりしないではやくにげるのぜぇぇぇぇぇっ!」 「わ、わがっだよぉぉぉっ!」 まりさは調子に乗って少年を制裁しようとするおちびどもを強引に三つ編みで掴んで帽子の中に放り込むと、 少年が地面に落とした焼き芋も抜け目なく拾って一目散におうちへ向かって逃げ出した。 れいむも慌ててまりさの後を追って跳ねていく。 少年から一刻も早く離れんが為に。この場から一秒でも早く逃げ出すために。 幼少の頃から人間の強さ恐ろしさをよく知っているれいむとまりさは人間に勝てるなんて欠片も思わなかった。 だからとにかくひたすら死ぬ思いで逃げていった。 「ちくしょう……ちくしょうっ……!い、痛っ……足が、足がいたいよぉぉぉぉっ……!」 「おい君……どうした?」 「え?あ、足が…足がちょ、ちょっと痛くて……」 「足……?た、大変だ!君こんなに血が出ているじゃないか!まってなさいっ!いま携帯で救急車を呼ぶから!」 「す、すいません…」 「それにしてもどうしたんだいこんな酷い刺し傷……通り魔にでもやられたのか?」 「え?えっと……」 れいむに足を刺された少年は、運良く公園に犬の散歩に来ていた初老の男性によってすぐに助けられた。 刺し傷の経緯を聞かれて一瞬沈黙する少年……正直に言っていいものかどうかと。 しかし考えるうちにその脳裏にあのゆっくりどもの姿が思い浮かんでくる…… 自分の足を錆びた果物ナイフで刺した、あの薄汚れて目が血走った野良れいむ。 苦しんでいる自分をムカつく顔であざ笑った赤ゆっくり達。 食い物を強請られ、逆切れされ、軽く痛めつけて追い返そうとしただけなのに、刺されて怪我を負い、 苦しんでいるのに追い討ちとばかりにバカにされ、おまけに焼き芋も奪われた。 ……まったく思い出すだけで腹がたってくる。あんな野良どもにかける慈悲などないっ! 少年はためらうことなく今起きた事実をありのまま初老の男に伝えたのだった。 「……………ここに住んでいるらしい野良ゆっくりにやられました」 この瞬間。数年に渡って人間に迷惑をかけず賢明に暮らしていた公園の群れ……その命運は尽きた。 「むーちゃむーちゃ!ち、ちあわちぇぇぇぇぇっ!」 「くしょにんげんきゃらとりかえちた、あみゃあみゃのあじはかくべつっなんだじぇぇぇぇっ!」 「やきいもさんはとてもゆっくちできりゅにぇえ!むーちゃむーちゃぁぁぁぁっ!」 公園の片隅……群れのおうちが並ぶ場所にある、 とある横倒しのダンボール箱の中から赤ゆっくり達の歓喜の声が聞こえる。 言うまでもなくここはれいむとまりさのおうちである。 少年から無事に逃げ切ったれいむ達は、腹がへったとぐずるおちびちゃん達にとりあえず焼き芋を与えた。 れいむのおちびちゃん達は生まれて初めて食べるほくほくの焼き芋の味に幸せいっぱいだったが、 れいむとまりさの顔は晴れなかった……普段ならおちびちゃんの喜ぶ姿を目を細めて喜ぶはずなのに。 「ゆう……れいむ。やってしまったものはもうしょうがないのぜ」 「で、でもまりさぁ……このことがむれのみんなにしられたらせいさいっされるよぉぉぉ……?」 「たぶん……だいじょうぶなのぜ」 「ゆっ?」 「まりさはれいむのところへいくまえにしゅういをみわたしてみたのぜ。 群れからはなれたばしょだったせいか、まわりにむれのゆっくりはだれもいなかったのぜ」 「じゃあ……れいむたちがだまっていれば……」 「そうだぜ。だれにもばれないのぜ……ばれなければとうぜん、せいさいっもされないのぜ」 「そう…うまくいくかな?」 「だいじょうぶなのぜ!それに……ゆっくりのこうげきなんてにんげんさんにしたらかすりきずにもならないのぜ。 だからあのにんげんさんもたいしたけがじゃないはずなのぜ!おおごとになんてなるわけないのぜ! れいむがしんぱいすることはなにもないのぜ!」 「…・…ゆん。そうだね……そうだよね!」 れいむとまりさは自分の心の平穏を取り戻す為に、「たいした事じゃない。大丈夫」だと必死に自分に言い聞かす。 確かに幸運にもれいむが少年を襲った現場を目撃した群れのゆっくりはいなかった。 人間にとって野良ゆっくりの攻撃など普通ならば命に関わるものではないはず。 ならば大丈夫……大丈夫のはずだ。あと不安材料があるとするならばそれは…… 「ゆげーぷっ!くっちゃ!くっちゃ!なのじぇ~~っ♪」 「ゆー♪れいみゅおにゃかぽんぽんだよぉ~♪」 「ゆっくちー!にぇえにぇえおきゃあしゃん!」 「……ゆっ?な、なあにおちびちゃん?」 「やきいもしゃんはとてもゆっくちできりゃよ!れいみゅまたやきいもしゃんをたべちゃいよ!」 「そ、それはよかったね!やきいもさんはれいむおかあさんがいつかまた…」 「おきゃあしゃん!またあみゃあみゃをひとりじめにちゅるげしゅにんげんをしゃいしぇいちてね! そちたらまたやきいもしゃんをれいみゅにけんじょうっしゃせちぇね!」 「ゆゆゆっ!?」 「……まずいのぜこれは……」 これだ。れいむのおちびちゃん達はいま「強いお母さんがゲス人間を制裁した」と思い込んで調子にのっている。 無理もない、圧倒的な力で少年に虐められていた(と思い込んでいる)赤れいみゅ達にとって 少年を痛がらせて自分達を救ったれいむはヒーローであり英ゆんなのだ。 もしれいむとまりさもバカでゲスだったら、赤れいみゅ達と同じ考え方をしていい気になったはずである。 そして人間を奴隷にするとか息巻いた挙句、人間に挑んで潰されるか虐待されるかして終わっただろう。 が、あいにく二匹ともゲス気質は多少あるもののバカではなかった。 バカだったら街という過酷な状況にあって、野良の分際で成体になるまで生き延びられるわけはない。 人間の子供を傷つけたとはいえ幼少の頃よりさんざん思い知らされている人間の恐ろしさと強さ、 掟破りの重大さはよくよく理解しているのだ。 しかし事態は重大だ。 かつてのれいむがそうであったように、このおちびちゃん達は野良社会のしがらみや現実などまだ知らないのだ。 当然悪いことをした、大変な事をしてしまったという自覚も教養もない。 その上ゆっくりはすぐに自慢したがるナマモノだ。 このままでは赤れいみゅ達の口から人間を傷つけた事が群れ中に広まって、 やがてれいむ一家は掟破りの名の元に群れから制裁されるに違いない。 だから赤れいみゅ達に口止めをしなくてはならないのだ。それもいますぐ! 「お、おちびちゃんたち……?きょうのことはだれにもいっちゃだめだよ?これはかぞくだけのひみつっだからね!」 「ゆゆっ?どうちておきゃあしゃんのぶゆうでんっをはなしちゃいけにゃいの?」 「おきゃあしゃんはえいゆんっなのじぇ!むれでししそんそんかたりつがれるべき、れじぇんどっなのじぇえ!」 「れいみゅ、おともだちにおきゃあしゃんのゆうしをじまんちたいよ!せんぼうっのまなざしでみられちゃいよ! にゃにょにどうしていっちゃだめなんていうにょ?ばきゃなの?ち…」 「ないしょにしないとゆっくりできなくなるよっっ!」 「ゆぴぃ!?」 「ゆ……ゆっくち……できにゃくにゃるのじぇ?」 「ど、どぼじてぞんなごというにょぉぉ………?」 「いまのおちびたちにはむずかしい、おとなのはなしなのぜ。でもいつかかならずそのりゆうをせつめいしてあげるのぜ」 「だからだれにもいわないでね!みんなゆっくりできなくなるのはいやでしょ?」 「う、うん……わかっちゃ…」 「まりちゃ、ゆっくちできなくにゃるのはいやなのじぇ……」 「ゆぅぅぅ……れいみゅ、みんなにじまんちたいにょにぃぃぃ…!」 れいむの一喝でおちびちゃん達はそれぞれ不満たらたらではあったが今日の一件を内緒にする事には同意した。 とりあえずほっと一安心するれいむとまりさだが……ゆっくりは都合の悪い記憶ほどすぐ忘れるものだ。 このままではいつか緘口令を忘れたれいみゅ達の口から一家の秘密が群れに漏洩するだろう。 そうならないように手間はかかるが、こうなったら毎日毎日おちびちゃん達に言い聞かせるしかない。 と、これからの事を考えると少し憂鬱になるれいむとまりさであった。 ……が、結果から言うとその心配は杞憂に終わった。 何故なられいむのおちびちゃん達が口を滑らすよりも早く、群れの破滅がやってきたからである。 そして……れいむが少年の足を刺した日から3日後。 その日は朝からなにか妙であった。いつもと違う朝……そんな違和感がずっとしていた。 はじめにその違和感に気付いたのは群れのありすであった。 「ゆっ……?へんね……こうえんさんに、にんげんさんがひとりもいないわ……? いつもならこのじかん、にんげんさんたちがさんぽやじょぎんぐにくるはずなのに……」 そして午前9時きっかりになると30人ほどの人間が一勢に公園に足を踏み入れた。 群れのゆっくり達はいつもと違う人間達のその様子になんだろうと首をかしげるばかりだ。 野良たちが不思議がってる間にも人間は群れのおうちがある場所へとやってくる。 と、そこへ人なつっこくて公園に遊びにくる子供達の人気者だったちぇんが、挨拶しようと人間達の前に笑顔で出てきた。 「ゆーっ!にんげんさんたちゆっくりしていて」 グシャッ! ……その瞬間、群れの野良ゆっくり達の時間が止まった。 男が挨拶しようとしたちぇんを踏み潰したのだ。あっさりと……なんの警告もなく無言で。 そしてちぇんの死骸から足をどけると男たちは全員一勢に帽子を被った。 よく見ると人間達はみんな手にゴミ袋やトングをもっている。それを見た野良ゆっくり達に戦慄が走るっ! すべての野良がこの手の種類の人間をよーく知っているからだ。そうこの人間たちは…… 「か、か、か、か……かこうじょだぁぁぁぁぁぁっ!?」 「い、いっせいくじょよぉぉぉぉぉぉっ!?」 「どぼじでええええええっ!?れいぶたちなにもわるいごとじでないでしょぉぉぉぉぉっ!?」 「ゆんやぁぁぁぁっ!?くじょはいやだぁぁぁっ!かこうじょはゆっくりできないぃぃぃぃぃっ!」 そう加工所による一勢駆除の始まりである。 瞬く間に公園に住んでいる野良ゆっくり達は、加工所駆除班によって残らず潰されてゴミ袋に死骸を放り込まれていく。 おうちは壊され、溜め込んだごはんなどはゴミ袋に詰められてゴミ収集車に放り込まれる。 野良ゆっくりが加工所職員に抗議したり命乞いをしても無駄だ。 駆除班の面々は野良の言葉になど一切耳を貸さず、ただ黙々と作業を遂行するだけである。 野良ゆっくり達は揃いも揃って理解したくないのに全員ゆっくり理解してしまった。 この人間たちは一切の容赦なく自分達を皆殺しにしようとしている、と。 こうなってはもう野良ゆっくりにできる手段はただひとつしかない。 とにかく一勢駆除から逃げるという手段しか。 「ゆんやああああっ!じにだくないっ!ばりざまだじにたくないよぉぉぉぉっ!」 「にげるよぉっ!でいぶはゆっぐりじないでこうえんざんがらにげるよぉぉぉっ!」 「もうすぐでぐちだみょん!ここをでれば……ゆゆゆっ!?」 数ヶ所ある公園の出入り口にはすべて前もってバリケードが設置されていた。 たかが1mほどの板が公園の出入り口すべてに立てかけられているだけのものだがこれで充分。 ゆっくりのジャンプ力でこの板は決して飛び越えられないし、体当たりして突き崩すことも不可能だからだ。 公園の周囲はコンクリートの壁や、植え込みで完全に囲まれている。 出入り口さえ封鎖しておけばこの公園から野良ゆっくりが逃げ出す事は完全にできないというわけだ。 「ゆっ!ゆっ!いたさんはゆっくりどいでね!でないとでいぶがかこうじょにつかまっちゃうでしょぉぉぉぉっ!」 「ごのっ!ごのっ!ありずのとかいはなたいあたりでたおれなさい!ごのいながものっ!いながものぉぉぉぉっ!」 「ちぇんたちがこれだけたいあたりしてもびくともじないよぉー!わがらないよぉぉぉっ!?」 「ゆ、ゆんやああああ!かごうじょのにんげんざんはごっちごないでね!ごっちごないでねぇぇぇぇっ!?」 「どぼじでごっちぐるのぉぉぉ……ゆっ!?でいぶおそらをとんでいるみた……や、やだぁぁぁぁっ! ぞのふぐろざんはいやだぁぁぁっ!ふぐろざんにいれないでぇぇっ!なんがゆっぐじでぎないにおいがずるぅぅぅっ!」 完全に脱出不可能となった公園を逃げ回る野良ゆっくり達。 だが加工所職員たちは別段慌てることもなく順調に野良ゆっくり達を始末していく。 もう群れの全滅は時間の問題と言えた。 そして群れが壊滅していく様子をただ一匹、呆然と見ている者がいた……この群れの長をやっているぱちゅりーである。 「ど、どぼいうごとなの……?なんでぱちゅのじまんのむれが……いきなりこんな……」 吐きたい気持ちを懸命に抑えつつ唖然と群れの崩壊を傍観する長ぱちゅりー。 今のぱちゅりーには潰されていく群れのゆっくり達を助けようという気はまったく起きなかった。 いや助けようにもあまりに恐ろしい光景にあんよがすくんで身動きがとれないと言う方が正しいか。 なんだこの非日常的な光景は? 加工所による一勢駆除? なんで?駆除対象にならないよう、ぱちゅりーは毎日必死に群れを治めてきたはずだ。 群れのみんなも毎日毎日、人間さんに課せられたゆっくりできないお仕事を頑張ったはずだ。 公園を訪れる人間さん達の評判も上々だったはずだ。 なのになぜ?なぜ?なぜ……… 「……おい。お前がこの群れの長をやっているぱちゅりーだな?」 「………」 「おいっ!」 「……むきゅきゅっ!?に、にんげんさん!?ど、どぼじてごんなっ!?み、みんなをはやっ!はやぐたすげっ!」 「助けるも何も、もうほとんど終わったよ」 「……むきゅ?」 長ぱちゅりーが我に返ると、確かに群れの駆除そのほとんどは終了していた。 群れのゆっくりのほとんどは潰されてゴミ袋に詰められ、おうちであるダンボール等も残らず徹去されている。 この公園にかつて野良ゆっくりの群れがあったという痕跡、そのすべてが加工所職員によって跡形もなく消されていた。 なんの前触れもなくやってきた加工所駆除班による、あまりといえばあまりに酷いこの仕打ち…… 長ぱちゅりーは吐きそうになるのを堪えつつ、自分に話し掛けてきた職員に聞かざるをえなかった。 「な、なんで……?どぼじてごんなごと……ずるの……?」 「残念だよ。俺たち加工所としてもこの群れの駆除はできればやりたくなかったのだが……」 「む、むきゅ……?ざ、ざんねんって…」 「別にこのままなんも説明せずに全部駆除してもいいんだが、ここは長い間人間の言うことをよく聞く 都合のいい……いや優秀な群れでい続けたからな。最後に長であるお前にだけは教えてやるよ。 なぜこの公園の群れが一勢駆除の対象になったのかを」 「ど、どういうごと……?」 「お前知ってるか?3日前……この公園で人間の子供が野良ゆっくりに足を刃物で刺されるという事件が起きた事を」 「し、しらないわ!そんなおはなし、はつみみよぉぉぉっ!」 「その子供の話によるとな。この公園に住んでいる野良ゆっくりに刺されたらしいとのことだ。 犯人はまりさとれいむの番で、なんでもれいむの方に果物ナイフでグサッとやられたんだと。 あとその番にはガキが2~3匹いたって話だが、それについても何か心当たりはないか?」 「む、むきゅ……まりさとれいむのつがいはむれにもたくさんいるから……それだけじゃわからない、わ」 「……そうか。それでな足を刺された子供の両親がひどく怒ってな……運良く子供の足に障害は残らなかったらしいが なんであんな危険な野良の群れを公園に放置しとくんだって、自治体や保健所に抗議しまくってな」 「で、でぼっ!でぼそのにんげんさんをさしだのは、ぱちゅのむれのこじゃないのがもじれないわ! にんげんさんだって……にんげんざんだっでこのむれのごとはっ!」 「ああ。よ~く知ってるよ。この群れの連中が安易にそんなバカなことするはずがないってな」 「だ、だっだら…」 「だがな本当に残念な事に……お前達は運が悪すぎた」 「む、むきゅっ?」 「運悪く事件をマスコミが嗅ぎ付けてなぁ。テレビのニュースでこの事件が全国放送されちまったんだよ」 「ど、どういうごとなの……?」 「多くの人間が『この公園の野良ゆっくりに子供が刺された』という事件を知ってしまったってことだ。 そしてとてつもない世論が巻き起こった。公園の群れを今すぐ駆除しろっていう世論がな。 あの群れに限ってそんな事あるはずがないって反論しても、とても世間が聞き入れてくれるような状況じゃなかった。 ニュース放送後、加工所には24時間ひっきりなしに駆除要請の電話がきたんだわ」 「………」 「すまん。一勢駆除を中止するよう俺たちも努力したんだが結局、上司の鶴の一声で公園の駆除が決定しちまった」 「……」 「残念だなあ……この群れは2年半も続いた奇跡的な群れだったのに」 「…」 「長……?おい俺の話を聞いているのか?おーい」 長ぱちゅりーはもう何も聞きたくなかった。考えたくもなかった。 子供を刺した野良ゆっくり親子がこの群れの子であろうとなかろうと 事件がこの公園で起きた以上、この群れの滅びは必然だという事を理解してしまったからだ。 現実感がなかった。長年さんざんゆっくりしないで積み上げてきた群れがこうも簡単にあっさりと崩れるというのか? 今まで自分の、そして群れのみんなの苦労はなんだったのだろう? みんなでゆっくりできる群れを作っていこうと懸命に頑張ってきたというのに…… ……長ぱちゅりーの家系は代々この群れの長をしてきた。 ぱちゅりーのお母さんもそのまたお母さんも、そのまたまたお母さんも……みんなこの群れの長をしてきた。 代々の長ぱちゅりーはひたすらに自分はゆっくりなどせず群れの存続に全力を傾けてきた。 そんな先代の長である母に幼いぱちゅりーはある日聞いたことがある。 「むきゅっ!どうしておかあさんはもっとゆっくりしないのかしら?もっとゆっくりしたらいいのに……」 「おかあさんはおちびちゃんたちがゆっくりしているのをみているだけで、とてもゆっくりできるわ! つぎも、そのつぎも、ずーっとおちびちゃんたちがゆっくりしていけるむれをつくることが おかあさんにとってのゆっくりなのよ!むきゅっ」 「……?」 その時は先代の母ぱちゅりーが何を言っているのかさっぱり分からなかった……が、 自分が長となり群れを仕切るようになって、ようやく死んだ母の言葉が理解できるようになった。 ただ自分だけがのんべんだらりとゆっくりするよりも、 群れのみんながゆっくりできる群れの維持に努める方が何倍もゆっくりできるという事に。 長という仕事に対するやりがい……とでも言うのであろうか?生きがいといってもいいのかもしれない。 しかしそれにしても人間の街における野良ゆっくりの地位は非常に低い。 生存権を人間に公認してもらうどころか黙認してもらうことすら野良にとっては大変なことだ。 何代にも渡って人間に認めてもらおうと努力をし、時には蹴られ殺されながらも話し合い、一生懸命みんなで頑張って、 その困難な問題点を少しづつ、少しづつ解決していく達成感は長として何事にも替え難い喜びであった。 すべては群れのおちびちゃん達の為に。 おちびちゃん達のおちびちゃんの為に。 まだ見ぬずっと未来のおちびちゃん達の為に。 群れという財産を先代たちから引継ぎ、今を犠牲にしてぱちゅりー以下、 群れの全員は代々ゆっくりできないお仕事に従事してきた。群れを未来に引き継ぐ為に。 そしてようやく人間さんに認められつつあったのに……すべては水泡に帰した。 この日唐突にぱちゅりーは全部失った。群れも。仲間も。公園と言うゆっくりプレイスも。過去も未来も現在もすべて。 長ぱちゅりーにはもう自分の命しか残ってない。だが仮に命だけ助かって何になるというのか。だから 「む、むきゅ……むきゅきゅきゅきゅ……っ!え、エレエレエレエレ……!」 「……長ぱちゅりー。今までご苦労様」 「エレエレエレ……!い……いまま…・・ありが……ど……に、にんげ……さ………………」 長ぱちゅりーは致死量の生クリームを吐き出すと、そのまま静かに息を引き取った。 絶望の中で自ら選んだ自殺だというのに、なぜかその死に顔は安らかなものに見える。 長の最後を看取った職員は溜め息をつきながら群れとその長の死を悼んだ。 「死ぬ間際の断末魔がもっとゆっくりしたかった…じゃなくて今までありがとう、か。 本当にお前は群れのことを誰よりも考えていたんだな……ぱちゅりー……」 こうして公園の群れは加工所による一勢駆除によって跡形もなく滅んだ……が、 そういえばあのれいむとその家族はどうなったのであろうか? 群れの仲間たちと共に駆除されたのであろうか? 実はれいむ一家はまだ揃いも揃ってピンピンしていた。 ちょうどこの日、れいむ一家に割り当てられたお仕事は公園の周囲のゴミ拾いだった。 そのお仕事にれいむがおちびちゃん達の社会見学もかねて一家総出でお仕事に行くことを提案、 まりさがその提案を受け入れ一家全ゆんが公園の外に出ていたのだ。 「ゆんっ!ゆっくりこうえんさんにかえってきたんだぜ!」 「おしごとするつもりがついあそんじゃったね!」 「でみょ、こうえんしゃんのそとをいっぱいみれちぇ、れいみゅはたのちかっちゃよ!」 「またおそとをみんなでぼうけんっするのじぇ!」 「しょろしょろおうちかえりょうにぇえ!れいみゅおうちでゆっくちちたいよ!」 要するに当初、公園の周囲のゴミ拾いをするはずだったのだが おちびちゃんどもにせがまれて持ち場を離れ、公園から少し離れた所まで遊びにいってしまったという訳だ。 だがそのせいで一勢駆除をまぬがれたのだから無駄に運がいいと言えよう。 もっとも……その悪運も本日この時までなのだが。 「……ゆっ?こうえんさんのいりぐちにだれかいるのぜ?」 「にんげんさんがおおぜいいるねまりさ。でもあのにんげんさんのかっこうはどこかで…………ゆぁぁぁぁぁっ!?」 「あ、あ、あれはか、かこうじょなんだぜぇぇぇぇぇっ!?」 「な、なんでぇぇぇ?なんでこうえんざんにかごうじょのにんげんがあるのぉぉぉぉぉっ!?」 「ん?なんだあの野良……もしかして公園の生き残りか?」 「れいむとまりさの番だぞ。ガキもいる……もしかしたら!」 「ああっ!こいつらは絶対駆除しないとっ」 驚愕したれいむとまりさの大声でれいむ一家の存在に気付いた加工所の職員たち。 れいむ達を駆除しようと道具を手に近付いてくる。 なんで?どうして?公園に加工所が?いやだ!加工所はゆっくりできない! 野良にとって最大の恐怖対象である加工所職員との遭遇にパニくるれいむ達であったが、 命の危険が迫っている以上いつまでも錯乱していられない。 「れ、れいぶぅぅぅっ!おちびをつれでにげるんだぜぇぇぇぇっ!」 「ゆっ!?わ、わがっだよまりざぁぁぁっ!お、おちびちゃんだちはれいぶのあたまにしっかりつかまっででね!」 「お、おちょうしゃんもおかあしゃんもいったいどうしたんだじぇ?」 「あんなくちょにんげんどもにゃんきゃ、このあいだみたいにゆっくちしぇいしゃいしゅれば……」 「ゆああああああっ!にげるよぉぉぉぉっ!」 人間を制裁?この期に及んでなにを言っているんだこの糞ちびどもは! 冗談じゃない!人間になんか勝てるわけがない!この間のアレはまぐれもいいとこだ! 人間の強さを知らない無知で恐れを知らない子供はこれだから嫌なんだ! ともあれ今はとにかく逃げなければならない。 加工所の人間がなぜ公園にいるのかという疑問はどうでもいい、とにかく逃げ切ることだ! 逃げなければ駆除されてしまう! 「ゆんっ!ゆんっ!ゆ……ばりざおそらとんでいるみだ……ゆああああああああっ!は、はなぜぇ!はなぜぇぇぇぇっ!」 「どぼじておちょうしゃんがつかまっちぇるのじぇぇぇぇっ!?」 「ゆ、ゆぅっ!?」」 お帽子の中に次女まりちゃを入れて、れいむの後ろを懸命に跳ねていたまりさが加工所職員に捕まった。 逃げられないように両手で持ち上げられている。 まりさはじたばたと足掻くがとても人間の手からはとても逃れられそうになかった。 そしてまりさ達の悲鳴を聞いて二匹が捕まったと知ったれいむは思わず逃げるのをやめて振り返ろうとしたが…… 「おきゃあしゃぁぁぁんっ!きゃわいいまりちゃをゆっくちたしゅけ」 「れいむぅぅぅっ!ばりざだちにかまわずいくのぜぇぇぇぇっ!ばりざたちはもうだめなのぜっ! だからっ!だがらせめてれいむたちだけでもにげきるのぜぇぇぇっ!」 「ば、ばりざぁぁぁっ!?」 「にゃ、にゃにいっちぇるのじぇおとうしゃんんんんっ!?きゃわいいまりちゃをおいてっちゃらだめなのじぇぇぇぇ? きゃわいいまりちゃはゆっくちたすけなきゃだめでしょぉぉぉぉぉっ!」 「うるざいっこのちびぃぃぃっ!じょうきょうみてものをかんがえろぉ!ばりざだちはもうだめなんだぁぁぁっ!」 「どぼちてしょんなきょちょいうのじぇぇぇぇっ!?」 「いげぇっ!いげぇぇぇぇっ!れいぶぅぅぅぅぅっ!!」 「……っ!」 一瞬躊躇したれいむだったが、捕まった自分達を切り捨てて逃げろというまりさの叫びが届いたのか、 れいむはまりさ達に背を向けて再び逃げ出した。 まりさと次女まりちゃを置いて逃げるのはれいむにとってもまさに断腸の思いである。 頭の上のれいみゅ達はそれでもぎゃーぎゃー言ってたが、逃げるのに必死なれいむには聞いてる暇はなかった。 さらに運もれいむに味方した。 れいむは無我夢中で人間が入りづらい細い路地から細い路地へと逃げ回り追手を振り切る事に成功。 番のまりさと子供のまりちゃを見殺しにするという手痛い犠牲を払いつつも一勢駆除から逃げ切ったのであった。 「おでがいじますぅぅぅぅっ!かわいぞうなれいぶのおちびちゃんをたすけてくだざいぃぃぃぃぃっ!」 「ゆっ……ゆっ……ゆっくち……ゆっくちぃぃ……」 数日後。とある路上でれいむが通行人に対して泣きながら物乞いをしていた。 加工所からはどうにか逃げ切ったれいむ達だったが、公園というおうちを失ったため当然のごとく貧窮した。 れいむは最初、どこか別の群れに入れてもらおうと思ったのだが…… だがれいむは幼少の頃、群れのまりさに見せられた別の群れによる凄惨な制裁の光景がトラウマとなっていた。 よその群れに接触する勇気がどうしてももてなかったのだ。 よって必然的に残された家族だけで他の野良ゆっくりが住んでいない薄汚い路地裏等で暮らすこととなる。 家族だけで野良暮らしをするという事はこれからは自分達だけで食料を調達しなければならいという事だ。 が、野良ゆっくりができる食料の調達方法など限られている。 その中でもゴミ捨て場を荒らせばどうなるのか……はれいむは嫌というほどに知っているので、 れいむ一家の食事はそこいらから抜いてきた苦い雑草がほとんどになった。 当然ゆっくりできない日々が続く。 れいむはおうたを歌ったりしておちびちゃん達を少しでもゆっくりさせようとするが、 れいみゅ達は次第に衰弱していった。そして…… 「おにゃか……すいちゃ……やきいもしゃん……たべちゃいぃぃ………ゆっくちぃぃ……」 「おちびじゃぁぁぁんっ!じっがりぃ!じっがりじでよぉぉぉぉっ!」 「お……おきゃーしゃぁぁぁん……」 「ゆっ!お、おかあさんはここだよ!おちびちゃんはなしたいことがあるのなら、ゆっくりおかあさんにはなしてね!」 「おきゃーしゃん……どぼじて……どぼじてれいみゅをゆっくちちゃちぇて……くれにゃいにょ……?」 「ゆ……ゆぅぅぅっ!?」 「あみゃあみゃ……たべちゃいよ……くしょにんげんを……しぇいしゃいちて……れいみゅにあみゃあみゃ……」 「ご、ごべんねっ!ごべんねぇぇぇっ!にんげんをせいさいっするなんでおかあさんにはむりだよぉぉぉっ!」 「しょん……にゃあ……も、もっと……ゆっくち……」 「お、おちびじゃぁぁぁぁぁんっ!」 一番上の子供。れいむが初めて産んだ長女れいみゅはこうして餓死した。 お母さんは強い、いざとなったら糞人間を制裁してあまあまを持ってきてくれるはずとれいみゅは無邪気に信じていた。 その思い込みが当の母親であるれいむに否定された時、心の支えを失った長女れいみゅの心は折れた。 心が死を受け入れた。死を拒絶できる体力はもうれいみゅにはなかったのだ。 「お、おちびじゃん……れいむのおちびちゃんがぁぁぁぁっ!」 「ゆっ……ゆぅぅぅっ……」 「ゆうっ!?」 だが悲しみに暮れる暇はなかった。何故なら三女れいみゅもまた飢餓によって死に瀕していたからだ。 それも危篤状態でありすぐに姉の後を追いかねない。 もうこうなっては苦手だのなんだのと言ってられなくなった。 れいむに思いつく我が子を助ける手段はもうただひとつしかなかった。 その手段とは……人間に泣きつくことである。 「おねがいじまずっ!えいえんにゆっくりしそうな、れいぶのがわいいあがちゃんをたずげてぐださいっ! おびじちゃんはおなかがすいてしにそうなんです!がわいぞうなんですっ! あばあばじゃなぐてもいいです!にんげんざんのたべものならなんでもいいんでずっ! ぜいだくいいまぜんっ!だがらなにかたべるものをれいむにっ!かわいぞうなおちびじゃんにめぐんでぐだざいっ! おちびちゃんがしんじゃっだられいむはゆっくじでぎまぜんっ!だがらおねがいじまず!おでがいじまずぅぅぅぅっ!」 れいむは泣きながら必死に叫ぶ。 道行く通行人たちに我が子の救済を訴える。咽が潰れてもかまわないくらいの勢いで大声を絞り出して。 だが人間は誰一人として振り向かない。誰もれいむ親子を見ようともしない。完全なる無関心。露骨なまでの無視。 こんなにおちびちゃんが苦しんでいるというのに。れいむが平身低頭して頼んでいるというのに。 なんで人間はこんなにも冷たくて不人情なんだ。 れいむはすでに大泣きしているくせに泣きたくなってきた。 そしてれいむは物乞いしているうちに思い出す。今のこの状況はあの時とまったく同じだと。 あの時……赤ゆっくり時代の自分。妹のまりちゃと凍えながら道行く人間に助けを求めた。 しかし人間は汚物を見たとでも言いたげな不快な目をするだけで一向にれいむと妹を助けようとはしなかった。 なぜ人間はこうまでれいむ達に対して冷淡だったのか?その理由は今ならわかる。 野良ゆっくりが人間にこれ以上ないほどに嫌われているという現実を知った今の自分ならば。 じゃあやはり駄目なのか? 野良であるれいむのおちびちゃんなど人間は助けてくれないのか? (そ、そんなのいやだよ!だっておちびちゃんがいなくなったら、れいむはひとりぼっちになっちゃうんだよ!?) (ひとりぼっちはゆっくりできないよ!でもおちびちゃんがひとりでもいれば!れいむはゆっくりできるよ!) (だかられいむのためにおちびちゃんをたすけてね!れいむがゆっくりするためにおちびちゃんをしなせないでね!) ゆっくりというのは根が正直にできている。 いくら心の中で思ってるだけでも言葉尻にそれとなく本心が現れてしまうものなのだ。 もともと野良の子など助ける気がない通行人だが、 れいむの言葉の端々に独りよがりなゲスっ気を感じるとさらに無視するようになっていった。 人間は野良ゆっくりの何が嫌って、こういう自分のゆっくりの事しか考えてない所が一番嫌いなのだ。 「ゆっ…・・ゆっ……も、もっちょ……ゆ………」 「おでがいじまずっ!れいむをゆっぐじざぜで!おちびじゃんをたずげてれいぶをゆっぐじざぜてぇぇぇぇっ! ゆんやあああああっ!どぼじでだれもれいぶをゆっぐじさぜでくれないのぉぉぉぉぉっ!?」 「…………」 ゆっくりしたい。ゆっくりさせてとただひたすらに人間に懇願し泣き喚くれいむ。 そうしてる間にれいむの隣りでは三女れいみゅが静かに息を引き取ったのだが…… おちびちゃんの為と言いながらもその実、自分のゆっくりの事に夢中なれいむはまったく気がつかなかった。 れいむが三女れいみゅの死に気付いたのは30分もたった後のことである。 「ゆっ……ゆぅぅっ……ゆぅぅぅぅ………」 さらに数日後……れいむはまだかろうじて生きていた。 子供達が永遠にゆっくりした後どこをどう彷徨ったのだろうか…… 肌は蹴られたと思われる打撲痕がいくつもあり髪の毛も荒れ果て、もみあげは片方なくなっている。 左眼の視力も失っていてお飾りである紅白リボンもボロボロだ。もう生きているのが不思議なくらいの姿である。 「ゆっくりしだい……ゆっくり……ゆっくりぃぃぃぃぃ……っ!」 れいむは彷徨ううちにいつの間にか公園へと舞い戻っていた。 無意識にれいむがそのゆん生でもっともゆっくりできた場所である公園へとあんよが向いたのであろうか。 しかしれいむには故郷に戻ってきた感傷などなにもなかった。 ただひたすらゆっくりしたい、ゆっくりしたいという思いばかりが頭の中をぐるぐる回っていた。 「……ゆっ?」 そんなれいむがふと顔を上げると、公園のベンチで男が焼き芋を食べている。 ベンチに楽に腰掛けて美味しいものを食べてゆっくりしている人間の姿を見てるとれいむの目に涙がどんどん溢れてきた。 普通こいういう場合、嫉妬した野良ゆっくりが人間に対して食べ物を恐喝するものだが 今のれいむは少し違っていた。ただ悲しかった。どうしてこうも世界はゆっくりにだけ厳しいのだ。理不尽すぎる。 れいむはよれよれとその男の前にいくと、不審な顔をする男に対して問いかけてきた。 「どうじて……?どうじてにんげんさんばかり……いつもおいしいものたべているの……? いいおうちにすんでいつもゆっぐりじているの?なんでれいぶにはゆっくりできるものがなにもないの……? のらだがら……?れいむがのらゆっぐりだからみんなじていじわるずるの……? でものらでもれいぶこんなにがんばっだよ……なのにもうれいぶにはもうなにもないよ。 ばりざもおちびちゃんもなにもないよ……れいぶはただゆっぐりじだがっただけなのに…… れいぶ……れいぶゆっぐりじだい……ゆっぐり……ゆっぐりぃぃぃぃ……」 「お前……まさか……?」 男に対して弱々しく抗議するれいむ。 ゆっくりさせてくれ。とにかく自分をゆっくりさせてくれとひたすら繰り返す。 突然現れたれいむに男は少し驚いたふうだったが…… れいむが投げかけた疑問に男はしばらく考えこむとやがてれいむに話しかけてきた。 「れいむ……人間だって最初はお前達ゆっくりと同じだったんだ」 「……ゆっ?」 「人間も大昔は洞穴に住んでいて毎日ド貧乏だったのさ。そして毎日生きるか死ぬかの狩りをして 必死に生きていたんだよ」 「う、うぞだよ……にんげんざんはおおきなおうちをいくつももっでるよ……あまあまだって……」 「それは昔の人間達が頑張ったからさ。自分はゆっくりしないで子供や家族、群れ、村、国の為に代々必死に頑張った。 だから子孫である俺たちが現在快適なおうちに住んだり、美味しいものを食べたりできるようになったんだ」 「じ、じぶんは……ゆっぐりじながったの……?ぞ、ぞんなの……」 「……ゆっくりできないって?」 「ぞ、ぞうだよ……ばかだよぞんなの……じぶんがゆっぐりでぎながっだらいみないよ……」 「……だからお前はゆっくりできないんだよ」 「ゆっ!?」 「自分は他者をゆっくりさせようとはしないのに、自分だけ一方的にゆっくりさせてもらおうなんて……ないだろ」 「ぞ、ぞんないいがたっで……」 「お前さ。一度でも誰かを本気でゆっくりさせてあげようと思ったこと、ある?」 「ゆっ!?」 ……なかった。考えてみればれいむは誰かにゆっくりさせてもらおうという事ばかり考えていて、 誰かをゆっくりさせてあげようなんて本気で考えたことなど一度もなかった。 群れの共同作業は苦痛でしかなかった。自ら進んで他ゆんのお仕事を手伝ったことなどただの一度もない。 いつも自分の分のお仕事が終わればさっさとおうちに帰ってゆっくりしていた。 番のまりさはれいむが妊娠中や子育てで忙しい時に、二匹分のお仕事を頑張ってたくさんごはんをもってきてくれた。 れいむはまりさの献身に見合うだけのゆっくりをさせてあげただろうか? おちびちゃんに至っては単に自分やまりさに似ててかわいくてゆっくりできるから産んだだけのことだ。 子供のお世話を頑張ったのも、れいむが自分は良妻賢母だね!と自画自賛してゆっくりする為だ。 「ゆ、ゆゆゆゆゆぅぅぅ……っ!」 「図星か……どうやら思い当たる節は山ほどあるみたいだな」 「ち、ちがうぅぅぅぅ……!れ、れいぶは……れいぶはぁぁぁぁっ!」 「なあ。もう一つ聞くがれいむは親や大人のゆっくり達からなにか受け継いだものがあるか?」 「ど、どおいうごとぉ……?」 「れいむの親はれいむに命を授けたわけだよな。でも命だけだ。命以外に親から受け継いだものはあるのか? 人間は色々なものを親や先祖から受け継いでいるぞ。歴史、文化、技術、知識、住居、インフラ…… 数え上げればきりがない財産を受け継いでいる。だから現在人間はゆっくりできるんだ」 「ゆっ?ゆゆ……っ?」 「じゃあゆっくりはどうだ?ほとんどの野良ゆっくりが残したのは ゆっくりが人間にこれ以上ないというくらい嫌われている、ゆっくりが暮らしにくい世界だけじゃないのか?」 「……っ!?」 「自らなにも生み出そうとせず、真におちびちゃんの将来のことなど考えず、その日暮しに甘んじて、 ただその時だけ自分がゆっくりできればいい……そうやってひたすら自分のゆっくりばかり考えてきたんだろうよ。 そしてれいむ、お前もそうだ。お前も自分のゆっくりしか考えてこなかったんだ」 「ぞ、ぞんなっ……!ぞんなごとないっ!」 「じゃあお前は自分のおちびちゃんに何か与えたのか?命以外の何かを?」 「ゆ、ゆううううっ」 「おちびちゃんが安心して暮らしていける環境をれいむは作ろうとしたのか?おちびの未来を本当に思っていたのなら…」 「や、やべて……っぞれいじょういわないでぇぇぇぇ……っ!」 ゆっくりしたい。ゆっくりさせて。 れいむが赤ゆっくりの頃から今までずーっと求めてきたのはただそれだけだった。 自分のことだけ。自分のゆっくりだけを追い求めてきた。 男の言うとおり真の意味でおちびちゃんの将来などこれっぽっちも考えてこなかった。 「自分のことしか考えられない奴はいずれすべてを失うんだよ」 「れいぶは……れいぶはぁぁぁ……!」 「だからな。れいむは自分のゆっくりしか考えなかったから、ゆっくりできるものはなにも残らなかったんだ」 「あ……あああ………っ!」 れいむは何故か思い出した。あの時のことを…… そうだあの時……あの少年の足ににナイフを突き刺したあの時。 あの時れいむは本当におちびちゃんのことを思って少年を攻撃したのだろうか? いや、おそらくは違う……れいむはただおちびちゃんという「ゆっくり」を失うことに怯えただけだ。 今までさんざんゆっくりできなかったれいむ。 そしてようやく手に入れた「おちびちゃん」というゆっくり。 ゆっくりできるおちびちゃんを失うかもしれないと思ったとたん、れいむは冷静に物を考えられなくなったのだ。 「でも一口に野良ゆっくりと言っても前にここにあった公園の群れ、あれだけは他の野良と違ってたなあ」 「………ゆっ?」 「この間一勢駆除されちまったけど、ここの公園の群れは自分のゆっくりを我慢して人間社会に適応しようと 懸命に努力してたっけ……ああいう群れこそ生き残るべきだったのにな」 「こ、こうえんさんのむれが……いっせいくじょ!?な、なんで?ど、どぼじてぞんな……っ!」 「あーなんでもこの公園で、野良ゆっくりの親子が人間の子供の足を刺した事件が起きたらしくてな……」 「……ゆっ!?」 「群れはそのとばっちりを受けて駆除されちまったんだと。俺もたまに公園で群れの連中に会ったけど、 愛想がよくて野良にしておくには惜しいほど気のいい野良ゆっくりどもだったのにな……それだけに残念だ」 「ゆっ……ゆぁぁぁぁぁ………っ!」 れいむはその説明だけですべてをゆっくり理解した。 人間の子供に危害を加えたのは間違いなくれいむだ。 れいむのせいで群れのみんなが駆除された!? れいむが自分のゆっくりだけを守ることばかり考えて、その他の事は一切考えようとしなかったせいで…… 『自分のことしか考えられない奴はいずれすべてを失うんだよ』 「ゆっゆっゆっ……・…ゆべろおえぇぇぇぇぇぇっ!?」 「う、うわっ?どうしたお前いきなり餡子吐き出してっ!」 「ゆげろぼえぉぉぉぉぉっ!ゆべぇぇぇぇっ!ゆぶぅぅぅぅぅぅっ!」 止まらない。 止まらない吐き気。 自分のゆっくりどころか、群れのみんなのゆっくりを奪った原因が他ならぬれいむ本人だという罪悪感。 その圧倒的ストレスに今の衰弱したれいむの心と身体は耐え切れなかった。 吐く。吐く。ただひたすら餡子を口から吐き続けるれいむ。 気がつけばれいむはもう体内の餡子の大部分を吐き出し終えていた。 ほとんど皮だけの状態でピクピクするばかりである。 「……べん…・・なざ……」 「ん?どうしたれいむ?お前何か言いたいのか……?」 「ごべ……んなざ……い……ごべん……なざい……れ、れいぶ……じぶんの……ゆっ……ゆっぐりじか…… か、かんが…えで……まぜんでじだ……ば…ばりざぁ……おじびちゃ……み、みんなぁぁぁ…… ごべんな……ざい……ごべんなざい……れいぶをゆるじで……ゆるじ…………も……もっど……ゆっぐり………」 れいむは息を引き取る最後の瞬間まで謝り続けていた。 番のまりさに。おちびちゃん達に。そして群れの仲間たちに。 死の淵で悔恨と罪悪感と失意と絶望に包まれて……れいむはゆっくりと永遠にゆっくりした。 その最後を男は見届けた。そしてれいむが動かなくなると小さな溜め息をした。 そして死んだれいむに近付き、紅白リボンの裏を確認すると寂しげに呟く。 「まさか……俺がこいつの最後を見届ける羽目になるとはな」 実はこの男はれいむのことを以前から知っていた。 このれいむは昔、男の家でおうち宣言して殺された一家の最後の生き残りなのだ。 男は親と子ゆっくりは潰したが、まだ赤ゆっくりであったれいむとその妹のまりちゃの命だけは助けた。 生きられるものなら生き抜いてみろという気持ちから出た、ただのきまぐれであったが…… 「ここでお前を偶然見かけたときは正直目を疑ったぞ?ゆっくり違いかと思ったが本ゆんに間違いなかった。 何故ならリボンの裏の目立たない所に、れいむ自身も気がついてない小さな染み汚れがあったからな」 男はその後、暇ができると時々公園へ足を運んでれいむの様子をそれとなく観察していた。 観察はただの好奇心だが……かすかに期待もあった。 「いい群れに拾われたのをきっかけに、お前が親や姉妹とは別の生き方をするんじゃないかと期待してたんだ。 親の罪を背負って厳しい現実に翻弄されつつも、善良なゆっくりになって全うに生きていくのではないかとな…… ま、結局ゲスにはならなかったものの自分本位である所は変わらなかったな」 そう言うと男はゴミ箱に備え付けられている箒とちりとりを持ってくると、 れいむが吐き出した餡子をきれいに箒で集めてチリトリに入れてゴミ箱に捨てた。 最後に皮だけになったれいむの亡骸を摘み上げると… 「まったく……親がバカだと子も浮かばれないよな」 なんの躊躇いもなく男はゴミ箱にれいむの死骸を放り捨てた。 そして男は餞別だとばかりに食い残しの焼き芋もゴミ箱に投げ込むとそのまま公園を去っていったのだった。 終生自分のゆっくりのみを追いかけ続けたれいむの死に顔は、 安らかだとはとてもいえない醜く歪んだ苦悶に満ちたものであったという…… あとがき 前作の勝手な再投稿は正直すまんかった…… そしてなんか書いてるうちに気がついたらanko3379の続きっぽい内容に。 無駄に長く書く癖がつきそうなので次回はもっと短く書きたいです。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/21197.html
登録日:2010/08/01(日) 16 59 07 更新日:2021/03/31 Wed 18 26 28 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 ファン倶楽部 七星 北斗七星 大群 屍 屍姫 性 ←さが せいなんて読むなよ! 擬似家族 病のように現れ 霧のように殺す群れ 我等こそが「七星」 屍姫に登場する屍の群れ。 七星北斗を頂点にそれに集った屍の集団。七名の極めて狂暴で強力な屍で構成されていて、全員が体の一部に北斗七星の徴を刻んでいる。 一年半前に星村家を滅ぼし、星村マキナの全てを奪った仇敵。 屍の群れの中でも突出した存在。殺戮だけを目的としている風でもなく、しかし明確な結果を求めて動いているわけでもない。「病のように現れ殺し、霧のように消える群れ」と言われている。 屍に信奉者を持つ数少ない群れの一つで、その強い妄執に引き寄せられ多くの屍が群れに入りたがる。 「七星」の存在理由は北斗の広告。未練を超えた「性」を持つ屍の頂点、北斗という理想を知らしめる為に存在しており、「七星」とは北斗という至高の存在を知らしめる為に周りを明滅する星(あかり)にして北斗を標として集う屍。北斗を見い出した狭間が、北斗の宿縁の相手を見つける為に集めた屍の群れである。 北斗を除く全員が北斗の性に魅せられて引き寄せられており、自らの命よりも欲を優先させる性と北斗への執着心を持っている。 「七星」の加入条件として己の「性」に生きることと「性」に死ぬことまでを含んでいる。また流儀には個々の性はいついかなる時も全てにおいて優先される、と言うものもある。が、決して刹那的な思考ではなく、知と理も兼ね備えてある。 現在は大群に組み込まれている。 【メンバー】 第七星【北斗(ホクト)】 CV藤村知可(テレビアニメ)、高垣彩陽(ドラマCD) 「七星」の頂点。みんなのアイドル。巫女装束の少女の姿をしている。「七星」最強にしてヤンデレ。おにぎりをダメにされると半泣きになる。 徴は左頬。 第六星【頭屋(トーヤ)】 CV諸星すみれ 首から上が五つの風船になっており、その一つに北斗七星の星の部分を目と口に変えて描かれて顔になっている。飄々とした態度で掴み所がない。 徴は顔。 アニメだと幼女。原作でも幼女。 第五星【重無(エナ)】 CV新野美知 眼鏡をかけた男の娘。自称「天才美少女口寄せ師」。独自の美意識を持っている。巨大な鈴と生者の怨霊(生魑魅)を操る。またそれを応用して「ヒトガタ」と呼ばれるものを作り、忌土地の仕上げに使用した。 徴は腹部。薔薇をあしらってある。 第四星【雷輪(イズワ)】 フード付きのコートを着た男。「ひそひそ様」という都市伝説を作り人間を虐殺していった。 一番最初に登場した「七星」であり、最初に殺された。影が薄く、七巻のおまけ漫画でネタにされた。 更にアニメではクビになり、代わりに【湖惑(コワク)】(CV早志勇紀)が登場している。 徴は舌。 第三星【忌逆(イサカ)】 CV土師孝也 コートを着た、初老の男。屍として破格の「陣地」を作製出来る。北斗を永遠の刺激として崇めている。 徴は左の掌。 第二星【歪質(ヒズチ)】 CV鈴木達央 モミアゲを編み込んだ青年。気性が荒く喧嘩っ早い。体の一部を獣の腕にすることが出来、完全体になると爬虫類と鯨を足したような頭に獣のような手足を着けた姿になる。 徴は人間時は不明。獣の姿の時には額。 第一星【狭間(ハザマ)】 CV大川透(テレビアニメ)、石塚運昇(ドラマCD) 「七星」の頭目にして創始者。口髭を生やした和服の男。蟲の屍を操る。人の屍ではなく蟲の屍の集合体。「七星」の行動指針は基本的に彼が決めており、他の「七星」もそれに従っている。北斗の保護者的立場。最近娘がどこの馬の骨と分からヤツに熱上げている事にご立腹中。 徴は顎から首にかけてある。 病のように現れ追記し 霧のように修正する群れ 我等こそが「wiki籠り」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 狭間さん 最早完全にお父さん -- 松永さん (2013-11-16 00 58 18) 狭間に関しては北斗が人間な時から入れ込んでるからな~ -- 名無しさん (2014-06-30 19 20 36) 本当に家族だったね。 頭屋と狭間の絡みとか最後まで北斗に拘る所とか敵ながら凄く魅力的に描かれてた。 個人的にはダイ大のハドラー親衛隊並に好きな敵軍団だった。 -- 名無しさん (2014-12-15 15 08 48) 4星が雑魚だったから噛ませ軍団かと思ったら他のメンバーはガッツリ活躍してたな、城作るおじいさんはちょっと微妙だったけど派手だったし -- 名無しさん (2016-11-24 13 58 10) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/681.html
*後半のゆっくりの会話は読みやすくするために翻訳しているものと思ってください。 ここはある農村。 人間たちが閉め切った一室に集まってなにやら相談していた。 それは畑を荒らす害ゆっくりに関するものだった。 この議題自体はありふれたものだったが、そこに二つの異なる要素が絡んでおり、問題をややこしくしていた。 まずひとつは、特定の害ゆっくりを退治することを命ぜられたということ。 村の有力者に縁ある人物が、自分の畑を荒らされて激怒しているのだ。 ただ荒らされただけではなく、捕まえようとしたところを取り逃し、捨て台詞を吐かれたらしい。 「あのゲスでいぶを殺せ! いや、生け捕りにしてこい! 俺の手で八つ裂きにしてやらなければ気がすまん! ゆっくりごときに舐められたのだぞ! こんな、こんな屈辱はありえない! あってはならない!」 村民たちは彼の一族にいろいろな借りがあるので従わなければならない。 ゆっくりの特定個体を広大な山から見つけ出すという無理難題はある理由で解決の見込みがあるのだが、 それが同時にもうひとつの頭痛の種にもなっていた。 ドスまりさの存在である。 もう解説するまでもないと思うが、ドスまりさは巨大なゆっくりであり、口からドススパークなる破壊光線を吐くことができる規格外の存在だ。 他のゆっくりを統率して群れを作る習性がある。 その畑荒らしのゆっくりはどうやらそのドスの群れに属しているらしい。畑荒らしのゆっくり自身が去り際にそう言ったのだという。 そのドスの群れへ行けば、問題のゆっくりが見つかる……というわけではない。 ゆっくりの個体の識別など到底不可能だ。そもそも畑荒らしのゆん相も大雑把にしか伝えられていない。被害者自身、相手の姿をよく見ていないのだ。 じゃあ何をしにいくかというと、適当なそれっぽい(ゲスっぽい)ゆっくりを何匹かドスに引き渡してもらうのだ。 そうすれば有力者も怒りを静めてくれるだろう。ドスを謝らせたという事実がほしいのだ。本物がその中に入っている可能性もあることだし。ゆっくりにしてみれば完全なとばっちりだが人間様の知ったことではない。 だが問題はドスにある。 畑荒らしが属していると思われるドスは普通のドスではなかった。 村と協定を結んでいないのだ。 いや、正確には結んでいる。 いかなる協定もしないという協定を。 そのドスはあるときふらりと村に現れ、「こちらは干渉しない。だからそちらも干渉するな」ただそれだけを告げて去っていった。 人間は、ドスにゆっくりを統率することを望んでいるため、このドスの態度は好ましからざるものだった。 「貢物を寄越せ」といわれるよりはましだが。 畑荒らしを引き渡せと要求したとして、あのドスがどうでるのかわからなかった。 「やつら殺そうぜ! いい機会だから皆殺しにすればいい! あいつらはゴミでしかないんだからな!」 村人の一人がずっとまくしたてていた。彼はゆっくりを見下しており、弱腰な意見に傾く村人たちを歯がゆく思っているようだった。 「あっちにはドスがいることを忘れるな。ドスを怒らせていいことはなにもない」 ドスは強い。ゆっくりを潰すようにドスを殺すことはできない。ドスは危険だ。ドスを怒らせてスパークを乱射されでもしたらひとたまりもない。 一農村にある装備でドスを最小の被害で確実にしとめるのは困難だ。政府もドス対策には腰が重く、支援は期待できない。 「協定ごっこにつきあってやってなんとかしのいでくれ」というのが本音なのだ。 「そこら辺でゆん相の悪いゆっくりを捕まえて、犯人ということにすればどうだろうか? ゆっくりは否定するだろうが、誰も信じはしまい」 「最終的にはそういう手も使うかもしれないが、まずはドスに会いに行かねばなるまい。 それを怠れば我々がおぼっちゃんの不興を買うことになるかもしれない」 「いい機会というのはある程度あたっているかもしれんな。あのドスの姿勢を知ることができるかもしれない」 「ともかく、ドスの群れに行かなければならないようだな……」 「俺はドスがふざけた態度に出たら黙っていられないぜ」 「ドスを刺激することは許さん。村全体が迷惑することになる」 意見はまとまり、人間たちは準備を整えると、山野の分け入りドスの群れへと赴いた。 「やあドス。ドスの群れでゆっくりさせていってね」 「……」 群れにたどり着いた人間たちは、まずはドスの顔を立ててゆっくり流の挨拶をした。 だが、ドスは返事をしなかった。ゆっくり嫌いの村人は表情をいっそう険しくさせた。 ドスの周りにはやはりゆっくりたちが集まっていた。人間を見てゆんゆん騒いでいる。 早くもぷくーと膨れて威嚇しているものもいる。あまあま寄越せとわめいているものもいる。 「ドスよ。あんたの群れゆっくりの中に、我々の畑を荒らしたものがいる。そのゆっくりを引き渡して欲しい」 村人たちのリーダー格が単刀直入に切り出した。よくないことが起きる前に仕事を済ませたかったのだ。 だが、ドスの返事は期待していたものではなかった。 「ドスの群れなんかないよ」 そう言い放ったのだ。 「群れがないって……ゆっくりたちが集まっているじゃないか!」 詭弁にしても酷いものだった。このドスは極めつけに愚かなゲスなのだろうか? 「この子たちは勝手に集まってるだけだよ。ドスの群れゆっくりじゃないよ。集まることを禁止していないだけ」 どうやらこのドスは放任タイプのようだった。 たまにいるゆっくりに味方しない方針のドスだ。ゆっくりを匿うことはなく、それどころか積極的に人間に売り渡すのだ。 人間の側についた方がいいと判断したのだろう。ゆっくりは愚かで弱くて役に立たず、引き換え人間はとても強い。 人間の敵に回るのはドスにとっても有益ではない。ならばいっそのことゆっくりを売ってでも人間に取り入る……という選択もあったのだ。 とはいえそれも浅知恵でしかない。ゆっくりを統率しないドスは結局のところ人間にとって無価値な存在だ。 しかも、破壊光線を吐き散らす危険な怪獣であることに代わりはない。こういった放任ドスは最終的に騙し打ちされてしまうことが多かった。 ドスにとっては理不尽な話である。「自分は人間に迷惑かけていないのに」だが、恐怖心の虜である人間はそれだけでは生存を許可してくれないのだ。 ゆっくりを統率することはドスにとって身の安全を計る効果があった。畑荒らしを抑えている限りはドスには価値がある。 「それじゃあ、ここにいるゆっくりを連れて行ってもかまわないな!」 「ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ゆっくりさっさとはなせくそじいい!!!」 ゆっくり嫌いの村人が手近にいたれいむを掴み上げた。このれいむが選ばれたのは器量が悪く、人間への態度も本来あるべきへりくだったものではなかったからだろう。 「その子を離しなさい」 静かだが力強い口調でドスはそういった。 「おい待てよ。こいつはおまえのゆっくりじゃないんだろ? なんでそんな指図してくるんだ? それともやっぱりおまえらお得意の下手な嘘なのか?」 れいむを掴んだ村人は今にも山刀を抜きかねない勢いだ。彼はゆっくり全般を軽蔑していた。 ドスの危険性を頭では理解していたが、心では独活の大木にすぎないと侮っていた。 「この子たちはドスのゆっくりではない。けれども、ドスはあなたたち人間の手先になったつもりもない。 ドスは言ったはず。干渉しない、だから干渉するな、って。ドスの前で勝手な行動は許さない。 あなたたちが手前勝手な事情で小さなゆっくりをスケープゴートにするのはドスの知ったことではないわ。 でも、ドスの前では許さない。ドスの見えないところで勝手にやりなさい。そして、ドスの名を勝手に使うことも許さない。 ドスはゆっくりを売るつもりはないし、あなたたちのしがらみに縛られるつもりもないのだから」 村人たちは唖然とした。このような態度に出たドスは前代未聞だったからだ。 このドスはゲスなのだろうか? ゲスだったとしてもこれまでにないタイプだった。放任タイプとも違う。 とはいえ困ったことになった。有力者をなだめるにはドスから引き渡されたゲスゆっくりという名目が必要だったからだ。 だが、ドスはそういった名義貸しを拒絶した。 「ふざけんじゃねえぞこのドゲス! 滅茶苦茶な屁理屈並べ立てて人間様を煙に巻こうってのか? ああん!? なんだかんだいっててめえはゲスでいぶを庇ってるじゃねえか! 下手に出てやりゃ付け上がりやがって! もう許さねえ! ゆっくりごときが人間様をコケにしてんじゃねえぞコラァ!」 ゆっくり嫌いの村人は山刀を抜き放ち、ドスへと突進していった。片手にはれいむを持ったままだ。 離さなかったのは人質として使えると計算したためだろう。彼の視点ではこのドスはゲスを庇いかわいがるゲスドスなのだから、躊躇させられると考えるのは自然なことだった。 ちょうどしんぐるまざーでいぶがどんなにゲスでも自分の子ゆっくりはかわいがるように。 「ドスは誰にも味方しない。でも敵になりたいというのなら、戦う覚悟はいつでもできている!」 ドスの口から閃光が放たれた。 視界が晴れると、あのれいむは消滅していた。 そして、れいむを掴んでいた村人も。 「うわあああああああ!!」 「おちつけ! みんなおちつけ! 刀を納めろ! ドスと戦ってはいかん!」 リーダーの叱咤によって村人たちはなんとか落ち着きを取り戻した。だが、仲間を殺された怒りが瞳の奥で燃え盛っていた。 一方、ドスの側に集まっていたゆっくりたちは蜘蛛の子を散らしたように四方八方森の中へと逃げ去っていった。 「ゆわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ドスがれいむをころしちゃったよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆっくりできないよ! ゆっくりできないゲスドスだよ!」 「だじゅげぢぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!! ごろじゃりぇりゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」 群れ長にならないと明言されても、本能と習性でドスの周りに集まっていたゆっくりたちだったが、ゆっくりを殺したとなれば話は別だった。 それもドスの象徴たるドススパークでだ。ドススパークは人間への抵抗、ゆっくり守護のシンボルであった。 ドスは群れゆっくりを制裁するときでもなるべくスパークは使わない。ゆっくり相手にスパークを使うとしたら大規模な反逆をされたときだけだ。 何を言われるよりも雄弁な絶縁状だった。このドスは本当に群れ長ではないということをゆっくりたちは心でゆっくり理解した。 「ドス! 今の非礼を謝る。我々は戦いを望まない!」 「戦いを望まないなら、ゆっくりさっさとドスの側から離れてね。ドスは干渉しない。ただ身を守るためには戦う。 あなたたちも干渉しないで。ドスと戦いたくないのなら」 「なぜなんですか! 仲間が殺されたんですよ! 人間を殺したんですよ!」 「あいつは危険なドスだ! いや危険なんてもんじゃない。人間の敵だってことがはっきりしている! とんでもないゲスだ!」 「おまえたちの言い分もわかる。だがドスと戦えば大きな被害が出る。ことに今ここでいきなり戦いを始めるのは下策そのものだ。 我々は軽装だからドスに手傷を負わせるに留まるだろう。ドスは勢いで村にまで下りてくるかもしれない。 村にはおまえの女房も子供もいるのだぞ? 優先順位を間違えるな。村の安全が最優先だ。 あのドスを放置しておけないのは言うまでもない。だが今はそのときではない……」 村人たちは何の目的も果たせず、それどころか仲間を一人失って下山した。 彼の家族に報告することを考えると気が重い。 ゆっくりに殺されたなんてどう説明すればいいのだろうか……。 「やはりこうなってしまったね……」 群れ(ではないのだが)のゆっくりたちはすべて逃げてしまった。 ただ一匹のぱちゅりーだけがドスの側に残っていた。 ドスの側近……というわけではない。ここは群れではないのだから。ただの友ゆであった。 「あの人間たちはドスを殺しにくるでしょう。今すぐでなくとも、彼らにとってあなたは敵とみなされました。 人間の復讐心はとても強いです。このまま無事に済むことはありえません」 「わかっているよ。でもドスは逃げるつもりはないよ。逃げれば他所に迷惑がかかるからね。 ……人間はなぜドスをそっとしておいてくれないのだろう」 このドスは徹底的に人間に干渉しないことを選んだ。それはこのドスの性向にあっていたが、このぱちゅりーとの付き合いから考え付いたことだった。 このぱちゅりーは人間に関してとても詳しかった。ドスは人間との関わりを避けられない以上、人間のことを知っておくべきだと、このぱちゅりーから教えを乞うたのだ。 そうして知った意外なことは、人間が不幸であるということだった。 人間の世界というのは実のところとてつもないゆっくり地獄なのだ。そこでは一切ゆっくりすることができないのだという。 人間の群れはドスの群れなど問題にならぬほどの複雑で厳格な掟に支配されており、ひっきりなしに互いにゲス呼ばわりしては制裁しあっているのだという。 ドスの群れでは希少種が優遇され、通常種が冷遇される傾向があるが、人間の群れではそんなものでは済まず、実に多くの格差があるのだという。 あるものはたいして働かずとも毎日おいしいごはんをむーしゃーむーしゃーできるのに、一方では毎日大量の人間が飢えて死んでいるのだという。 ごはんはもとより、宝物を奪い合う争いも凄まじい。他人は無論のこと家族同士で騙しあい殺しあうことも珍しくないそうだ。 おうち宣言のようなことも盛んに行われている。しかもゆっくりのものとは規模が桁違いだ。おうち宣言をするたびにおびただしい数の人間が殺されるのだという。 ゆっくりにもゆん口爆発はあるが、人間は慢性的にその状態にあり、たくさんのちびちゃんを産みすぎたせいで、たくさんのおうちが必要なのだという。 人間たちが狂ったように山さんや森さんを次々に壊してはおうちを建てているのはそのためなのかもしれない。畑荒らしどころの騒ぎではない。 だがそのしわ寄せは人間たち自身にも返ってきており、大地のお母さんを苦しめたせいで次々に新しい病気が生み出され、それを治そうとしてより多くの苦しみを味わっている。 人間はゆっくりを透明な箱に閉じ込めて虐待するが、当の人間たちは自然から切り離されて灰色の箱に閉じ込められているという。 その中で頭がおかしくなってしまって完全なゲスになった人間も多くいるのだという。 しんぐるまざーでいぶなど歯牙にもかけぬとてつもない狂気に犯された人間が深い理由もなしに出会った人たちをたくさん殺してしまうこともあるのだという。 想像を絶する多種多様な苦しみが蔓延している様は、えーきが言うところのゆっくり地獄そのものだ。ゆっくり地獄はこの世にあるのだ。 では、人間たちは罪を犯したのだろうか? そうかもしれない。少なくとも自分自身で自分の苦しみの種を撒いたという点においては。 そもそも人間とは奇妙な、矛盾した連中だ。ゆっくりをゲスだゲスだと罵っておいて、自分たちは加工所を立ててゆっくりに凄惨な拷問をくわえている。 恐ろしく巧妙な装置を作ってはゆっくりの親子を意図的に殺し合わせて、その上で子殺しと非難するのだ。 それも、ただあまあまがほしいという理由だけでだ。 どの口があまあま寄越せとわめくゆっくりをゲス呼ばわりできるのだろうか。 だが、これらのことはゆっくりにとってもまったくの他人事ではない。 ぱちゅりーが言うには、ゆっくりもこの地獄に近づくことがあるという。 それはドスまりさ、ドスの群れだった。 前述したような種族格差や、掟に従わせるために凄惨さをましていく制裁。 ちびちゃんを虐待してしまうお母さん。飢えるゆっくりがいる一方、過食によって病気になるゆっくり。 これらは人間たちのゆっくり地獄に似ているのだという。 本来ゆっくりは家族単位でバラバラに気ままにゆっくり暮らしているのだが、ドスを中心に群れを形成すると、このような兆候が現れてくるのだ。 ぱちゅりーは富めるゆっくりと貧しいゆっくりがいて、貧しいゆっくりは毎日餌を集め続け、でも自分ではそれを食べることができず、富めるゆっくりに差し出さなければならない群れを見たことがあるという。 まったくもって理不尽な話だが、そこのドスの掟では正しいことなのだという。 そんなゆっくりは遠からず人間の畑に手を出すことになるだろう。そしてゲスとして制裁されるのだ。 ゆっくり同士で差別しあい、ゆっくりがゆっくりを支配する世界。そんな悪夢のようなゆっくり地獄が生み出されようとしているのだ。 それらのことを知ったこのドスは、群れを作らず、だが人間の走狗にもならない道を選択した。 ゆっくりも人間もドスに群れを作ることを望んでいる。強要しているといってもいい。 ドスはゆっくりたちにそれほどの義務感は持っていない。事実、身を守るためにれいむを吹き飛ばした。 だが、多くのゆっくりをゆっくり地獄へ導くとなると話は別だ。そんな恐ろしいことはできない。 ゆっくりを従えないだけでなく、人間にも従わないのは、人間のゆっくり地獄に組み込まれてしまう恐れがあったからだ。 人間はドスにすら自分たちの掟を適用して支配して奴隷にしてしまうことがあるのだという。そんなことになるなら死んだ方がましだ。 そうだ、死んだ方がましだ。なぜならゆっくり地獄はあの世にはないのだから。死すれば善良もゲスも等しく救われるのだ。人間が狭い了見で当てはめた善悪が何ほどのものか。 「こうなったのもぱちゅりーのせいですね。ドスには申し訳ないことをしました」 「ぱちゅりーのせいではないよ。ドスが自分で選んだ道だからね。 ……ドスはこれから人間たちに殺されるのだろうけど、憎いと思うよりなんだか可哀想になってきたよ。 人間たちはプライドを保つために生贄が欲しかったんだよね。そんなことで無意味に争うことになるなんてね。 人間にもたくさんの被害が出るというのにね。ドスには理解できないよ。 さて、ぱちゅりーはもうここから離れた方がいいよ。人間たちはドスだけでなく側にいるゆっくり全部を殺すだろうから。 みんなが逃げていったのは不幸中の幸いだったね。人間が襲ってくる前に戻ってこなければいいんだけど」 「ドスを焚きつけてしまったぱちゅだけが逃げるのは心苦しいですが、お暇させていただきます。 ぱちゅには語り合わなければならない次のドスがいます。ゆっくりの世界を根底から変えてしまうかもしれない種が」
https://w.atwiki.jp/fishingstrike/pages/26.html
ワールドツアーどう進めればいい? 釣った魚は売って良い? 攻略に詰まったらどうすれば良い? 周回するのはどこでも良い? 魚の群れレジェンドフィッシュの群れって何? [部分編集] ワールドツアー どう進めればいい? ワールドツアーは、他のゲームで言うところのノーマルクエスト、ノーマルミッションにあたる物です。 フロリダ、長江、珊瑚海、アマゾン川、モザンビーク海峡、北海の6マップからなり、世界中の名所を巡ります。 各マップには生態系に則った合計400種以上の魚が生息しこれらを釣り上げる事で様々なアングラーライセンスを入手可能です。 攻略中のマップをすべてクリアする事で新しいマップが解放され、マップ内の各ツアースポットで指定されたすべての魚を釣ると次のツアースポットが解放されます。 各ツアースポットにはレアやコモンの魚をはじめ 絶滅した古代種など希少なレジェンダリーや、さらに希少な二つ名持ちのネームドの魚たちがアングラーを待っています。 希少なほど程見つかり難く、釣りにくいかわりによりレアリティの高い報酬ボックスをドロップします。 各ツアースポットにおいてレジェンダリーやネームドはクリア条件に含まれませんので安心してください。 しかしながら、コモンの中には異常に警戒心が強くタックルに食いつかない隠しレアとも言えるような魚が居ます。 複数のプレイヤーが同じ魚に手こずっている報告が多く、中には一匹のコモンのために数十回も周回を強いられたアングラーも居ます。 タックルの動きなどにも関連性があるのかも知れませんが、検証は困難です。 うまみの少ないスポットでドハマリしない様アングラー達に幸あらん事を願うばかりです。 ポート・モレスビーの悲劇 釣った魚は売って良い? 基本的にほとんど売却して構いません。 ただしサイズがSSSの魚はレア度にかかわらず残す事がオススメです。 ネームドなどはSサイズでも十分に貴重です。 これは観賞用として価値があったり、アクアポイントなどの水槽関連ランキング報酬にもつながるからです。 また、アクアリウムで一括売却を選択すると売却した際に自動で報酬ボックスが開封されますので、個別に魚をクリックして報酬を受け取る必要はありません。 攻略に詰まったらどうすれば良い? フィッシングで勝てなくなる大きな理由の一つが魚とのレベル差です。 体感では魚にレベルを5以上離されると逃げられる確率がかなり高くなります。 順調に攻略が進み過ぎた時ほどこのパターンが多いので、その場合は2つ以上前のツアースポットを周回する事がオススメです。 なぜ2つ以上かと言うと、詰まった一個手前ではオートリールでの釣りが安定しない事が多いからです。 さすがに釣が楽しいとは言っても、絶対に負けない格下ツアースポットの周回は少し疲れますよね。 また攻略の手助けとして、攻略ガイドがありますので参考にしてください。 周回するのはどこでも良い? マップごとに入手できるアングラーが違うので、それを狙った周回がオススメです。 例えば、フロリダでリアン、珊瑚海でリックなど強いアングラーを狙うのも手です。 オススメのアングラーはアングラーから確認が出来ます。 ただし、プレイヤーのレベルを上げるために必要なEXP(経験値)は攻略が進むほど増えていきます。 また魚から獲得できるゴールドも同様に後半に行くにつれ多くなります。 ですので、あまり初期のマップばかり周回するのはオススメしません。 またアングラーの解放はマップごと固有ですが、解放したマップのアングラーはその先のマップに生息する魚からも入手可能です。 入手確率は低くなりますが、極短に確率が低くなる事はなく、確率は半分弱程度で入手することが出来ます。 ですので、アングラーのレベル上げはそこそこにして、プレイヤーレベルが上がったらマップ解放を優先していきましょう。 確率表は多岐に渡るため掲載しませんが、公式アナウンスの一番古い物から2番目の記事で確認できます。 魚の群れ レジェンドフィッシュの群れって何? 魚の群れはワールドツアーのどこかに特定の魚群が出現するゲリライベントの事です。 本来は発生時間はおろか発生するかもわからないゲリライベントですが、現在イベントで長江か珊瑚海にレジェンドフィッシュが毎日1回出現します。 魚の群れが出現すると残りの魚数と時間が表示されます。 つまり数も時間も限定のユーザー間での争奪イベントなんです。 4/23は19 00頃に開催された際は、ものの10分で狩りつくされてしまいました。 レジェンドフィッシュの群れでは、5回の釣りで3回レジェンドフィッシュに出会え、内2回が食いつく感覚でした。 しかしながら一瞬で終わってしまうので、フィッシングチケットを使用して時間短縮を試みるのも良いでしょう。 フィッシングチケットでもレジェンドが釣れる事は確認済みです。 4/24の19 00頃は開催が確認できず、時間に法則性はありそうなものの、現状は会えたらいいなと思う程度に留めるといいと思います。
https://w.atwiki.jp/edfir/pages/207.html
DLC-05:螺旋の咆哮 ≪ 前 │ DLC-06:死を呼ぶ大追跡 | 次 ≫ DLC-07:過去との決別 ミッション概要 レーダーが森林エリアにて巨大生物の群れを検知しました。 近隣エリアのデータ、及び行動パターンから推測するに ジャイアントデスストーカーが率いる群れである可能性が高いと思われます。 ブラスト小隊は現地へ向かい、巨大生物の群れを殲滅してください。 もちろん、ジャイアントデスストーカーも殲滅の対象に含まれます。 難易度 クリア報酬 EASYNORMAL HARD PL-アクションヒーローⅡ HARDEST AM-斬鬼剣 DISASTER マップ 出現する味方 出現数 備考 第一波 出現する敵 出現数 備考 第一波 第二波 第三波 第四波 ミッション全体コメント 視界の悪い夜の森林でのジャイアントデスストーカー再び。 今回も留めは刺せないが、一定以上ダメージを与えると撤退した後、再び出現する。 3回目の撤退で完全にどこかへ行くので、あとは取り巻きの掃除だけ。 高難易度では開幕突進の速度がとんでもなく速く、オンディザスターともなると開始数秒で何人かお陀仏というパターンもありうる。 即座に逃げる準備をしておこう。 全兵科共通 トルーパー ジェットリフター ヘビーストライカー プロールライダー
https://w.atwiki.jp/n4908bv/pages/237.html
召喚呪文 周囲にいる魔物を呼び寄せ誘導する呪文。 対象は既に戦っているか識別出来ている魔物である必要がある。 周囲に魔物がいなくてもレベル上げするのに重宝する。 群れの一部を呼び寄せる場合、かなりの高確率で群れそのものを呼び寄せるので注意を要する。 範囲は非常に広い。消費MPは小。
https://w.atwiki.jp/reiyonrakisutazuki/pages/217.html
和名:ウキワアミムシ 重さ1/2 誕生6 ウキカワムシ科 胴の一部を膨らまして川に浮いている小さなアリの様な生物。主に群れで固まっている。ピクミンが水に入ると群れで攻撃して捕食する。 膨らんだ部分にピクミンを投げつけるとすぐにしぼんで水底に落ちる。そうなると攻撃力は激減するのでピクミンで囲んで倒せる。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/1395.html
微調整しただけです。 ちょっとだけ以前自分の書いた作品『やってみよう何でも実験』と繋がっています。 群れは生き残ります。この群れはドスの概念がありません。 この作品のドスには特殊能力が無いドスがいます。 ゆっくりのジャンプできる高さは自分の身長の5倍と換算されています。 ドススパーク(ドスパーク)は一回放つと15時間は撃てない、というグラビトォーン!(大鉄人17)な設定になっております。 キノコの無いドス ある山の上の平原に平和なゆっくりプレイスがあった。天敵もなければ(たまに鷹や鷲に持っていかれることはあるが)自然災害もあまりこない、実にのんべんだらりとできる場所だった。 普通こんな場所で暮らせばさぞかしゆっくりしている(悪い意味で)ゆっくりが産まれるであろうが、このゆっくり達、ゆっくりにしてはいい意味で向上心あふれるゆっくりだった。 ゆっくり達は巣穴を作り、水が巣に流れるのを防ぐために居留地をすり鉢上に削ったり、と自分達が『末永く』ゆっくり暮らせるように努力を重ねた。 「きょうよりはあすもっとゆっくりすることがだいじなんだよ!」といったれいむもいたとか。 一度『ゆっくりの形をした大災害』で群れの数は半減したが哀しみを胸に結束を強めさらにこの群れは発展を続けていった。 そんなある日のことである。 あるまりさの巣穴から声がする。 「た……たすけてぇ~!」 「ゆゆっ、まりさどうしたの!?」 「か、からだがうごかないぃぃぃぃぃぃ!」 「と、とりあえずどあをあけて……ゆぁぁぁぁぁぁぁ!?」 れいむは驚いた。巣にみっちりとゆっくりの体が詰まっている状況を驚かないゆっくりがあるだろうか、いやない。 それはさておき、このままでは巨大になったまりさの命が危ない。主に圧縮された息苦しさでだが。 「た、たいへんだよ!これじゃあおうちをこわすしかまりさをだせないよ!みんなをよんでくるからまっててね!」 「わ、わかったよ!」 巣穴はまた掘ればいいが、ゆっくりの命は戻ってこない。餡子脳とバカにされているとは思えない的確な判断だ。 「「「ゆぅえす、ゆぅえす!!」」」 掘り始めて2,3時間たったころだろうか。やっと、巣穴からまりさが出てこれた。 「ゆ、ゆぅぅぅ……たすかったよぉ。ゆ?みんなちいさくなっちゃったね?」 息苦しさから開放されたためかまりさはほっとしていた。 「ま、まりさはかなりおおきくなったね……」 「ゆ? な、なにこれぇぇぇぇ!?」 気づいていなかったようである。そんな中群れの長である老ぱちゅりぃがやってきた。 「まりさ……あなたはどすになったのよ!」 「どす?」 「ゆっくりをもっとゆっくりさせることができるでんせつのゆっくりになったのよ!」 それからぱちゅりぃは自分の知る限りのドスの伝説を語った。 やれ熱線を放つことができる、やれキノコを使いいろいろなことができる、など。 「ゆゆっ!? でもまりさはきのこさんなんてたべたことはないよ!」 「むきゅ、そうなのよねぇ……、なんでどすになったのかしら」 「でも、どすになってもまりさはまりさだよ!」 「むきゅ、それもそうね!」 気にしない方針らしい。そもそもキノコがなければドスの能力などないも同然である。無いのなら大きくなったゆっくりと認識した方が楽だ。 幸いドス化しても食べる食料の量は変わらなかったことだし。 ドス化してもまりさの生活はいつもと変わらなく過ぎていった。 大きくなった分、通常のゆっくりより速く移動でき、食べ物を運ぶ際にも多く運べるようになったことが変わったところであろうか。 一度変な人間が来たこともあったがまりさを見るなり 『なかなかおもしろいねぇ、群れには迷惑をかけないから遠くから観察してもいいかい?お礼はしますから』と聞かれた。 別に見られるぐらいどうでもないので了承した。男は大量の果物(この辺りでとれるものばかりだったが秋頃だったのでありがたかった)を渡し、飼っているのであろうちぇんと一緒に遠くでしばらく群れを観察してから帰っていった。 大きいゆっくりであることから皆からも慕われ、春になったころにはまりさもドスらしさ(知性的な意味)が少しずつ出てきた。 ここからドスまりさは会話文に漢字を使うようになります ただ、攻撃用の新しい力はとんと得られなかった。 そんな平和な群れにある日また災厄が襲った。 別のゆっくりの群れが進攻してきたのである。そしてそちらの群れにもドスがいた。 ドスは熱線を放ち、こちらを脅してきた。 「おとなしく、このゆっくりぷれいすをこっちによこすんだぜ!そうしないとどすのどすぱーくがひをふくんだぜ!」 たちまち群れは混乱に陥った。降伏するべきだ、という意見とここ以外知らないから戦うべきだ、という二つの意見に。 先の冬にドスを知っていたりした賢いぱちゅりぃはもうあの世に行ってしまった為、纏め役はキノコの無いドスに託されていた。 「まりさ、どうするの?あっちはまりさがつかえないどすぱーくとかいうのをうってくるよ!」 「撃てないものを嘆いてもしょうがないよ………、あるものでどうにかしよう!」 「こうふくすればたすかるかもしれないよ!」 「降伏したら助かってもこのお家には住めなくなるよ!あいつらを追い払うしかないよ!!」 どう見ても人の意見を聞きそうに無い相手への対応はコレで十分だ、とぱちゅりぃが言ってたそうな。 そして、この群れは相手を迎え撃つ準備を始めた。 一方、やってきた無法ゆっくり共の群れ。 「どすぅ、あいつらなんかやってるんだぜ!」 「ゆゆゆ……、いつもならどすぱーくでほいほいでてったのになまいきなんだぜ……」 このドス…ドゲスの群れは別のゆっくり達のゆっくりプレイスを奪って生きてきた。 食料が無くなったら次の場所、また無くなったら次の場所、と移動していったのである。ある日、れみりゃなどもこない、という平和なゆっくりプレイスの存在を聞いた。 そのゆっくりプレイスは自分達にこそふさわしい、ドゲス達はそう信じていた。 「よぉし、こうなったらみなごろしにしてでもあのゆっくりぷれいすをうばうんだぜ!さいしょはせんけんたいがいくんだぜ!」 相手が動かないならそれでいい、皆殺しにしてあのゆっくりプレイスにほんとうにふさわしいのが誰かを教えてやる。 ゲスゆっくりの先遣隊がまず出ていった。 「ゆへっへっへ、てごろな美ゆっくりをみつけたらすっきりしてやるんだぜ!」 自分勝手な言葉をのたまいつつ、草むらを跳ねて行きどんどん距離を詰めていく。ふと一匹のまりさが違和感に気づく。 「ゆ?こんなにかずがすくなかったっけ?」 最初に飛び出した時点では15匹はいた先遣隊がいまや5匹。 「どういうことなんだゆひゅうっ!?」 また一匹声が途切れた。 そして気づけば一匹だけになった先遣隊のれいむはさけぶ。 「ど、どぉゆぅことなのぉ!?」 こーゆーことだよぉ、わかるねぇ? 次の瞬間、れいむは足元を弾かれ、草むらに沈んだ。 草むらには三匹のちぇんがいる。その向こうにはすでに事切れた仲間達の遺骸も。 「いっぴきじゃかてないからねぇ」「わるいけどたたかいなんだよぉ、わかるねぇ」「ふいうちじょうとうなんだね、わかるよぉ」 叫びを上げようとして れいむはちぇん達に引き裂かれて果てた。 「なかまごろしはいけないけれど」 「いまのおうちにちぇんたちがずっとすんでいたからね」 「よこどりはいけないよ、わかるねぇ」 こうして先遣隊はあっけなく全滅した。先遣隊の連絡が来ないことに業を煮やしたドゲスは総攻撃を宣言した。 ドゲスの群れが先住のゆっくりより数が多かったからだ。ドゲスは楽に勝てる戦いだ、とふんでいた。 しかし――― キノコのないドスの存在が戦局を大きく変えた。 基本、ドスのやる仕事は群れの統率・備蓄計画・巣の拡張である。基本、インドアの仕事が多く、元から強力な自分の力を伸ばすことなどそうない。 結果、与えられた力が弱体化することが多い。さらにドゲスの場合は怠惰なくっちゃね生活を送っていたためにその状態が顕著に現れていた。 自分にはドスパークという凄い力があるのだ、体が鈍くとも問題はない、とドゲスは思っていた。 しかし、キノコの無いドスは違う。ドスには新たに付与されるはずの攻撃は持っていない。また、少し前までは群れの統率は基本ぱちゅりぃが行っていた。 だから、自分はただ皆より大きいだけのゆっくりだ、と認識して同じ仕事に従事していた。 その結果、ただでさえゆっくりにしては高い能力値がさらに上昇していた。 5メートルを超える巨ゆっくりが長距離を跳ね回り、高高度から押しつぶしてくる。多分人間でも恐い。 キノコの無いドスの獅子奮迅の活躍・そして草むらからの奇襲攻撃にドゲス達は翻弄され、ドゲスの群れを完全に包囲してしまった。 「ゆぐぐ………」 頼みのドスパークもさっきの威嚇射撃で使ってしまい、チャージはできていないため、使えない。 「降参して元のお家に帰ってね!」 「わ、わがっだんだぜ……」 ドゲスはその降参を求める発言を聞き入れた。今は勝ち目が薄い。次はもう少し入念に準備してから挑むべきだ。主に人質とか。 だからここは一旦退いても問題は無い、と自己正当化しつつ撤退を開始しようとした。 「あ、その前に」 「ゆべっ!?」 声が聞こえると同時にドゲスはキノコの無いドスから体当たりをくらった。 余りの衝撃に口に含んでいたキノコを落とすドゲス。 「これは置いていってね!」 「ど、どずのぎのごがえぜぇぇぇぇ!」 大事なキノコを取られてはドゲスはろくに闘えない。慌てて、ドスに飛び掛る。 だが頑強なドスにまた弾かれてしまう。 「またあの熱線を撃たれたら困るからね! 判ったらゆっくり帰ってね!」 「ゆぅぅぅぅぅぅ……」 こうまで言われては仕方ない。ドゲスたちはすごすご帰っていった。(口内に胞子は残ってるだろうから数ヶ月すれば戻りそうだが) 「ところでまりさ、そのキノコはどうするの?」 「ゆ?これはこうしちゃうよ!」 そう言いながらまりさはキノコを噛み砕き上空にドスパークを放った。ドゲスの放ったそれより大きく力強い光。 「すごぉい!」 周りのゆっくりはびっくりするわ大はしゃぎだわ。 「ゆへぇ……あのドスがこんな熱いのを撃とうと思ったのかまりさはさっぱり判らないよ」 こうしてキノコの無いドスまりさは最初で最後のドススパークを使った。 怪我をしたゆっくりや死んでしまったゆっくりもいるが、このプレイスを守ることができたことに彼等は満足していた。 明日からまたこの地は平和なゆっくりプレイスに戻るだろう。 その頃ドゲス達は山を慌てて駆け下りていた。キノコまで奪われては勝ち目がない。 「まったく、よわいどすのせいでひどいめにあったよ!」 「にげかえるなんてとかいはじゃないわ!!」 と口々にドゲスをののしりながら移動していた。 「ゆべ!?」 前のれいむとまりさが何かにぶつかった。狭い一本道に見えない壁がある。知らずに下り道を駆け下りてくる後続のゆっくり達。 「と、とまるんだぜ!みえないかべがあるんだべヴぅ!?」 先に壁にぶつかったゆっくり達は後ろに押されどんどん潰れていった。一番後ろを走っていたドゲスを含む一握りのゆっくり達だけが生き残った。 「ど、どういうことなんだぜぇぇぇぇ!?」 「こういうことですが何か?」 壁の向こうには白衣の青年と同じく白衣で長髪の女が立っていた。 「主任、恐慌状態のゆっくり暴動対策に作った透明な壁、結構効きましたね!」 「ドゲスのほうが転がり落ちてきたからなぁ、あっちのドスだったらゆっくり移動してきただろうから効果薄かっただろうしなぁ」 「とりあえず、この結果を纏めて後はコイツら持ってちゃいましょう」 「そうだなぁ」 「も、もってくってど、どこに?まりさにもわかるようにおしえるんだぜ!」 「聞いたことありません?加工所って言葉」 同時に籠に詰め込まれていくゆっくり達。 「がががががごうじょぉぉぉぉ!?」「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆっぐじでぎないぃぃぃぃぃぃ!!」 「どずぅぅぅぅぅ、だぢゅげでぇぇぇぇぇ!!」 「ど、どずはゆっぐりにげるんだじゃががががが!」 「逃がしゃしねぇっつぅの」 主任と呼ばれていた女性が何か筒のようなものをドスの口内に撃ち込んでいた。一瞬辛いものかと思ったが辛くは無い、だが体がピクリとも動かなくなってしまった。 「が、がらだがうごがなぃぃぃぃぃぃ!どぼじでぇぇぇぇぇぇ!?」 「今主任が撃ったのは圧縮液体窒素弾っていってね?君の体の中の餡子は凍ってしまったんだよ、そりゃ動けるわけが無いね!」 とイヤににこやかに解説するお兄さん。 「し・か・も!これで凍った餡子は溶けた後もグズグズになっちゃうからもう二度と君は動けませぇん! 下手に動くとそのまんまグシャッ!!て未熟な赤ゆっくりみたいに潰れちゃうんだよ!ところで主任、この凍らせたドスどうするんですか?」 「まぁ、今ドスなんぞ持ってっても加工所じゃ大して役にたたねぇしなぁ、 あっちのドスならいい研究対象だったから五体無事に捕まえたろうがコイツはいらんわ」 「じゃぁ僕の研究……というか新商品の実験に使っていいですかね?」 「こないだは上の群れにれみりゃをぶつけてみただったっけか?今度はどんな実験思いついたんだ?」 「この凍らせたドスの餡子を溶かして生きたまま小豆アイスにしてみようかと」 「………小豆バーじゃなくてか?」 「はい、バニラアイスとかをありすやぱちゅりぃでまず作らなくちゃいけないし、 それからドスの頭を開いてバニラを入れながらかき混ぜてまた凍らせて……いやぁ楽しみだなぁぁぁぁ!」 「ゆぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」 白衣の男がうっとりしながら語る実験計画を聞いてドゲスは失神した。 「相変わらずえげつないなぁお前………んじゃお前等も加工所に行こうか。なぁに、お前等は食われたりはせんよ」 「ほ、ほんとに?」 「あぁ、だってお前らゆっくり用ハリセンや加工所製すぃーの試用テスト用だもの。どのくらいの強さで叩いたら死ぬか、とか、どのくらいの速度で壊れるか、とか………。 あと一応最大威力で殴ればどうなるかとかのテスト用もあったな。 だからその日が来るまでは死なんよ、つぅか死なせん」 「「「ゆっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」 「主任も負けず劣らずのエグさじゃないですか……」 「そうか?でも、自分をドスとして扱わないゆっくりかぁ……研究してみたかったなぁ」 「やるにしてもまた別の日にしてください。第一さっきのドススパークを見たでしょう?生半可なゆっくりじゃないですよ、きっと」 「ちっ……今日はお前のおごりで呑みにいくぞ、あ、あとこの籠お前が背負えよ」 「ドスの下に車輪つけても重いんですよコレ……」 「女に荷物持たせんのか?」 「はぁ……」 「だぢでぇぇぇぇ!」 「もうやだ!おうぢがえる!!」 「どぼぢでごんなごどずるのぉぉぉ!?」 ゆっくりの悲鳴と男のため息をBGMに加工所職員達は山を下っていった。 数週間後、人里では「さっぱりした甘さの」小豆アイスが発売された。 ドスの餡子といういままでの加工所でタブー視されていたものを使用したこのアイス、カロリー控え目・珍しい餡子の使用という売り文句にしたところ売れに売れたらしい。 「ははは、売れたらしいからもっと増産らしいよ、ドスまりさ!!さぁ、どんどん食べてねぇ!餡子増えたらまたアイス入れてあげるから!」 「ぼ、ぼうごろじでぇぇぇぇぇぇ……」 後書き。 キノコがなくて別に無闇にゆっくりしない群れだったら理想としてこんなドスができるんだろか、と書いてみた。 これが過剰にゆっくりする群れだったらドゲスとまで行かずもダメなドスになってたでしょうね。 オチは蛇足ですが因果応報が好きだったのでついやってしまった。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2980.html
微調整しただけです。 ちょっとだけ以前自分の書いた作品『やってみよう何でも実験』と繋がっています。 群れは生き残ります。この群れはドスの概念がありません。 この作品のドスには特殊能力が無いドスがいます。 ゆっくりのジャンプできる高さは自分の身長の5倍と換算されています。 ドススパーク(ドスパーク)は一回放つと15時間は撃てない、というグラビトォーン!(大鉄人17)な設定になっております。 キノコの無いドス ある山の上の平原に平和なゆっくりプレイスがあった。天敵もなければ(たまに鷹や鷲に持っていかれることはあるが)自然災害もあまりこない、実にのんべんだらりとできる場所だった。 普通こんな場所で暮らせばさぞかしゆっくりしている(悪い意味で)ゆっくりが産まれるであろうが、このゆっくり達、ゆっくりにしてはいい意味で向上心あふれるゆっくりだった。 ゆっくり達は巣穴を作り、水が巣に流れるのを防ぐために居留地をすり鉢上に削ったり、と自分達が『末永く』ゆっくり暮らせるように努力を重ねた。 「きょうよりはあすもっとゆっくりすることがだいじなんだよ!」といったれいむもいたとか。 一度『ゆっくりの形をした大災害』で群れの数は半減したが哀しみを胸に結束を強めさらにこの群れは発展を続けていった。 そんなある日のことである。 あるまりさの巣穴から声がする。 「た……たすけてぇ~!」 「ゆゆっ、まりさどうしたの!?」 「か、からだがうごかないぃぃぃぃぃぃ!」 「と、とりあえずどあをあけて……ゆぁぁぁぁぁぁぁ!?」 れいむは驚いた。巣にみっちりとゆっくりの体が詰まっている状況を驚かないゆっくりがあるだろうか、いやない。 それはさておき、このままでは巨大になったまりさの命が危ない。主に圧縮された息苦しさでだが。 「た、たいへんだよ!これじゃあおうちをこわすしかまりさをだせないよ!みんなをよんでくるからまっててね!」 「わ、わかったよ!」 巣穴はまた掘ればいいが、ゆっくりの命は戻ってこない。餡子脳とバカにされているとは思えない的確な判断だ。 「「「ゆぅえす、ゆぅえす!!」」」 掘り始めて2,3時間たったころだろうか。やっと、巣穴からまりさが出てこれた。 「ゆ、ゆぅぅぅ……たすかったよぉ。ゆ?みんなちいさくなっちゃったね?」 息苦しさから開放されたためかまりさはほっとしていた。 「ま、まりさはかなりおおきくなったね……」 「ゆ? な、なにこれぇぇぇぇ!?」 気づいていなかったようである。そんな中群れの長である老ぱちゅりぃがやってきた。 「まりさ……あなたはどすになったのよ!」 「どす?」 「ゆっくりをもっとゆっくりさせることができるでんせつのゆっくりになったのよ!」 それからぱちゅりぃは自分の知る限りのドスの伝説を語った。 やれ熱線を放つことができる、やれキノコを使いいろいろなことができる、など。 「ゆゆっ!? でもまりさはきのこさんなんてたべたことはないよ!」 「むきゅ、そうなのよねぇ……、なんでどすになったのかしら」 「でも、どすになってもまりさはまりさだよ!」 「むきゅ、それもそうね!」 気にしない方針らしい。そもそもキノコがなければドスの能力などないも同然である。無いのなら大きくなったゆっくりと認識した方が楽だ。 幸いドス化しても食べる食料の量は変わらなかったことだし。 ドス化してもまりさの生活はいつもと変わらなく過ぎていった。 大きくなった分、通常のゆっくりより速く移動でき、食べ物を運ぶ際にも多く運べるようになったことが変わったところであろうか。 一度変な人間が来たこともあったがまりさを見るなり 『なかなかおもしろいねぇ、群れには迷惑をかけないから遠くから観察してもいいかい?お礼はしますから』と聞かれた。 別に見られるぐらいどうでもないので了承した。男は大量の果物(この辺りでとれるものばかりだったが秋頃だったのでありがたかった)を渡し、飼っているのであろうちぇんと一緒に遠くでしばらく群れを観察してから帰っていった。 大きいゆっくりであることから皆からも慕われ、春になったころにはまりさもドスらしさ(知性的な意味)が少しずつ出てきた。 ここからドスまりさは会話文に漢字を使うようになります ただ、攻撃用の新しい力はとんと得られなかった。 そんな平和な群れにある日また災厄が襲った。 別のゆっくりの群れが進攻してきたのである。そしてそちらの群れにもドスがいた。 ドスは熱線を放ち、こちらを脅してきた。 「おとなしく、このゆっくりぷれいすをこっちによこすんだぜ!そうしないとどすのどすぱーくがひをふくんだぜ!」 たちまち群れは混乱に陥った。降伏するべきだ、という意見とここ以外知らないから戦うべきだ、という二つの意見に。 先の冬にドスを知っていたりした賢いぱちゅりぃはもうあの世に行ってしまった為、纏め役はキノコの無いドスに託されていた。 「まりさ、どうするの?あっちはまりさがつかえないどすぱーくとかいうのをうってくるよ!」 「撃てないものを嘆いてもしょうがないよ………、あるものでどうにかしよう!」 「こうふくすればたすかるかもしれないよ!」 「降伏したら助かってもこのお家には住めなくなるよ!あいつらを追い払うしかないよ!!」 どう見ても人の意見を聞きそうに無い相手への対応はコレで十分だ、とぱちゅりぃが言ってたそうな。 そして、この群れは相手を迎え撃つ準備を始めた。 一方、やってきた無法ゆっくり共の群れ。 「どすぅ、あいつらなんかやってるんだぜ!」 「ゆゆゆ……、いつもならどすぱーくでほいほいでてったのになまいきなんだぜ……」 このドス…ドゲスの群れは別のゆっくり達のゆっくりプレイスを奪って生きてきた。 食料が無くなったら次の場所、また無くなったら次の場所、と移動していったのである。ある日、れみりゃなどもこない、という平和なゆっくりプレイスの存在を聞いた。 そのゆっくりプレイスは自分達にこそふさわしい、ドゲス達はそう信じていた。 「よぉし、こうなったらみなごろしにしてでもあのゆっくりぷれいすをうばうんだぜ!さいしょはせんけんたいがいくんだぜ!」 相手が動かないならそれでいい、皆殺しにしてあのゆっくりプレイスにほんとうにふさわしいのが誰かを教えてやる。 ゲスゆっくりの先遣隊がまず出ていった。 「ゆへっへっへ、てごろな美ゆっくりをみつけたらすっきりしてやるんだぜ!」 自分勝手な言葉をのたまいつつ、草むらを跳ねて行きどんどん距離を詰めていく。ふと一匹のまりさが違和感に気づく。 「ゆ?こんなにかずがすくなかったっけ?」 最初に飛び出した時点では15匹はいた先遣隊がいまや5匹。 「どういうことなんだゆひゅうっ!?」 また一匹声が途切れた。 そして気づけば一匹だけになった先遣隊のれいむはさけぶ。 「ど、どぉゆぅことなのぉ!?」 こーゆーことだよぉ、わかるねぇ? 次の瞬間、れいむは足元を弾かれ、草むらに沈んだ。 草むらには三匹のちぇんがいる。その向こうにはすでに事切れた仲間達の遺骸も。 「いっぴきじゃかてないからねぇ」「わるいけどたたかいなんだよぉ、わかるねぇ」「ふいうちじょうとうなんだね、わかるよぉ」 叫びを上げようとして れいむはちぇん達に引き裂かれて果てた。 「なかまごろしはいけないけれど」 「いまのおうちにちぇんたちがずっとすんでいたからね」 「よこどりはいけないよ、わかるねぇ」 こうして先遣隊はあっけなく全滅した。先遣隊の連絡が来ないことに業を煮やしたドゲスは総攻撃を宣言した。 ドゲスの群れが先住のゆっくりより数が多かったからだ。ドゲスは楽に勝てる戦いだ、とふんでいた。 しかし――― キノコのないドスの存在が戦局を大きく変えた。 基本、ドスのやる仕事は群れの統率・備蓄計画・巣の拡張である。基本、インドアの仕事が多く、元から強力な自分の力を伸ばすことなどそうない。 結果、与えられた力が弱体化することが多い。さらにドゲスの場合は怠惰なくっちゃね生活を送っていたためにその状態が顕著に現れていた。 自分にはドスパークという凄い力があるのだ、体が鈍くとも問題はない、とドゲスは思っていた。 しかし、キノコの無いドスは違う。ドスには新たに付与されるはずの攻撃は持っていない。また、少し前までは群れの統率は基本ぱちゅりぃが行っていた。 だから、自分はただ皆より大きいだけのゆっくりだ、と認識して同じ仕事に従事していた。 その結果、ただでさえゆっくりにしては高い能力値がさらに上昇していた。 5メートルを超える巨ゆっくりが長距離を跳ね回り、高高度から押しつぶしてくる。多分人間でも恐い。 キノコの無いドスの獅子奮迅の活躍・そして草むらからの奇襲攻撃にドゲス達は翻弄され、ドゲスの群れを完全に包囲してしまった。 「ゆぐぐ………」 頼みのドスパークもさっきの威嚇射撃で使ってしまい、チャージはできていないため、使えない。 「降参して元のお家に帰ってね!」 「わ、わがっだんだぜ……」 ドゲスはその降参を求める発言を聞き入れた。今は勝ち目が薄い。次はもう少し入念に準備してから挑むべきだ。主に人質とか。 だからここは一旦退いても問題は無い、と自己正当化しつつ撤退を開始しようとした。 「あ、その前に」 「ゆべっ!?」 声が聞こえると同時にドゲスはキノコの無いドスから体当たりをくらった。 余りの衝撃に口に含んでいたキノコを落とすドゲス。 「これは置いていってね!」 「ど、どずのぎのごがえぜぇぇぇぇ!」 大事なキノコを取られてはドゲスはろくに闘えない。慌てて、ドスに飛び掛る。 だが頑強なドスにまた弾かれてしまう。 「またあの熱線を撃たれたら困るからね! 判ったらゆっくり帰ってね!」 「ゆぅぅぅぅぅぅ……」 こうまで言われては仕方ない。ドゲスたちはすごすご帰っていった。(口内に胞子は残ってるだろうから数ヶ月すれば戻りそうだが) 「ところでまりさ、そのキノコはどうするの?」 「ゆ?これはこうしちゃうよ!」 そう言いながらまりさはキノコを噛み砕き上空にドスパークを放った。ドゲスの放ったそれより大きく力強い光。 「すごぉい!」 周りのゆっくりはびっくりするわ大はしゃぎだわ。 「ゆへぇ……あのドスがこんな熱いのを撃とうと思ったのかまりさはさっぱり判らないよ」 こうしてキノコの無いドスまりさは最初で最後のドススパークを使った。 怪我をしたゆっくりや死んでしまったゆっくりもいるが、このプレイスを守ることができたことに彼等は満足していた。 明日からまたこの地は平和なゆっくりプレイスに戻るだろう。 その頃ドゲス達は山を慌てて駆け下りていた。キノコまで奪われては勝ち目がない。 「まったく、よわいどすのせいでひどいめにあったよ!」 「にげかえるなんてとかいはじゃないわ!!」 と口々にドゲスをののしりながら移動していた。 「ゆべ!?」 前のれいむとまりさが何かにぶつかった。狭い一本道に見えない壁がある。知らずに下り道を駆け下りてくる後続のゆっくり達。 「と、とまるんだぜ!みえないかべがあるんだべヴぅ!?」 先に壁にぶつかったゆっくり達は後ろに押されどんどん潰れていった。一番後ろを走っていたドゲスを含む一握りのゆっくり達だけが生き残った。 「ど、どういうことなんだぜぇぇぇぇ!?」 「こういうことですが何か?」 壁の向こうには白衣の青年と同じく白衣で長髪の女が立っていた。 「主任、恐慌状態のゆっくり暴動対策に作った透明な壁、結構効きましたね!」 「ドゲスのほうが転がり落ちてきたからなぁ、あっちのドスだったらゆっくり移動してきただろうから効果薄かっただろうしなぁ」 「とりあえず、この結果を纏めて後はコイツら持ってちゃいましょう」 「そうだなぁ」 「も、もってくってど、どこに?まりさにもわかるようにおしえるんだぜ!」 「聞いたことありません?加工所って言葉」 同時に籠に詰め込まれていくゆっくり達。 「がががががごうじょぉぉぉぉ!?」「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆっぐじでぎないぃぃぃぃぃぃ!!」 「どずぅぅぅぅぅ、だぢゅげでぇぇぇぇぇ!!」 「ど、どずはゆっぐりにげるんだじゃががががが!」 「逃がしゃしねぇっつぅの」 主任と呼ばれていた女性が何か筒のようなものをドスの口内に撃ち込んでいた。一瞬辛いものかと思ったが辛くは無い、だが体がピクリとも動かなくなってしまった。 「が、がらだがうごがなぃぃぃぃぃぃ!どぼじでぇぇぇぇぇぇ!?」 「今主任が撃ったのは圧縮液体窒素弾っていってね?君の体の中の餡子は凍ってしまったんだよ、そりゃ動けるわけが無いね!」 とイヤににこやかに解説するお兄さん。 「し・か・も!これで凍った餡子は溶けた後もグズグズになっちゃうからもう二度と君は動けませぇん! 下手に動くとそのまんまグシャッ!!て未熟な赤ゆっくりみたいに潰れちゃうんだよ!ところで主任、この凍らせたドスどうするんですか?」 「まぁ、今ドスなんぞ持ってっても加工所じゃ大して役にたたねぇしなぁ、 あっちのドスならいい研究対象だったから五体無事に捕まえたろうがコイツはいらんわ」 「じゃぁ僕の研究……というか新商品の実験に使っていいですかね?」 「こないだは上の群れにれみりゃをぶつけてみただったっけか?今度はどんな実験思いついたんだ?」 「この凍らせたドスの餡子を溶かして生きたまま小豆アイスにしてみようかと」 「………小豆バーじゃなくてか?」 「はい、バニラアイスとかをありすやぱちゅりぃでまず作らなくちゃいけないし、 それからドスの頭を開いてバニラを入れながらかき混ぜてまた凍らせて……いやぁ楽しみだなぁぁぁぁ!」 「ゆぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」 白衣の男がうっとりしながら語る実験計画を聞いてドゲスは失神した。 「相変わらずえげつないなぁお前………んじゃお前等も加工所に行こうか。なぁに、お前等は食われたりはせんよ」 「ほ、ほんとに?」 「あぁ、だってお前らゆっくり用ハリセンや加工所製すぃーの試用テスト用だもの。どのくらいの強さで叩いたら死ぬか、とか、どのくらいの速度で壊れるか、とか………。 あと一応最大威力で殴ればどうなるかとかのテスト用もあったな。 だからその日が来るまでは死なんよ、つぅか死なせん」 「「「ゆっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」 「主任も負けず劣らずのエグさじゃないですか……」 「そうか?でも、自分をドスとして扱わないゆっくりかぁ……研究してみたかったなぁ」 「やるにしてもまた別の日にしてください。第一さっきのドススパークを見たでしょう?生半可なゆっくりじゃないですよ、きっと」 「ちっ……今日はお前のおごりで呑みにいくぞ、あ、あとこの籠お前が背負えよ」 「ドスの下に車輪つけても重いんですよコレ……」 「女に荷物持たせんのか?」 「はぁ……」 「だぢでぇぇぇぇ!」 「もうやだ!おうぢがえる!!」 「どぼぢでごんなごどずるのぉぉぉ!?」 ゆっくりの悲鳴と男のため息をBGMに加工所職員達は山を下っていった。 数週間後、人里では「さっぱりした甘さの」小豆アイスが発売された。 ドスの餡子といういままでの加工所でタブー視されていたものを使用したこのアイス、カロリー控え目・珍しい餡子の使用という売り文句にしたところ売れに売れたらしい。 「ははは、売れたらしいからもっと増産らしいよ、ドスまりさ!!さぁ、どんどん食べてねぇ!餡子増えたらまたアイス入れてあげるから!」 「ぼ、ぼうごろじでぇぇぇぇぇぇ……」 後書き。 キノコがなくて別に無闇にゆっくりしない群れだったら理想としてこんなドスができるんだろか、と書いてみた。 これが過剰にゆっくりする群れだったらドゲスとまで行かずもダメなドスになってたでしょうね。 オチは蛇足ですが因果応報が好きだったのでついやってしまった。 このSSに感想を付ける