約 1,243 件
https://w.atwiki.jp/hangeimu/pages/13.html
スタイル、テクニック他 戦闘用語 † [編集] スタイル (Style) : 5HIT以上のコンボ、空中に浮かした敵への攻撃、敵に2人以上の同時攻撃により上がる。 コンボ (○○ Hit Combo!) : 連続攻撃。一定時間以内に続けてどこかに攻撃を入れればいい。防がれても時間内に攻撃を入れればコンボは続く エアリアル (Aerial) : 空中に浮かせて攻撃。(エリアル) ダブルアタック (Double Attack) : 同時攻撃。爆弾などでも可。 ダブル(Double) : 2人による同時攻撃 トリプル(Triple) : 3人による同時攻撃 クアドラプル(Quadruple) : 4人による同時攻撃 テクニック (Technic) : バックアタック、オーバーキル、カウンターをすることにより上がる。 カウンター (Counter) : 攻撃モーションの敵を攻撃。石投げてるとことか簡単。 バックアタック (Back Attack) : 背面から攻撃。 オーバーキル (Over Kill) : 最大HPの1/3以上のダメージ与えて倒す。 ※スタイルとテクニックの稼ぎ方については初心者ガイドを参考にしてください。 クリティカル (Critical) : 通常の1.5倍のダメージ。 ↑スキル攻撃力・防御力について † [編集] ■防御力とダメージとの関係 防御力は100につきダメージ10程度の軽減効果(一概にこの値が全てとはいえない) 防御力は相手とのレベル差、力・知能さらに体力・精神力の大小によって変化する 同じ防御力でも相手が高レベルであれば受けるダメージが増加し、相手が低ければ減少する。 体力とダメージの関係 体力1につきダメージを2程度の減少効果(一概にこの値が全てとは言えない) 属性防御とダメージの関係 火属性抵抗値15につき火属性ダメージを10%減少させる 水属性抵抗値15につき水属性ダメージを10%減少させる 光属性抵抗値15につき光属性ダメージを10%減少させる 闇属性抵抗値15につき闇属性ダメージを10%減少させる 属性抵抗値を150にすれば、その属性攻撃で受けるダメージはすべて1になる 鬼剣士は最初から光抵抗が-20なので、初期値だと光攻撃は約13%、 格闘家は闇抵抗が-20なので、初期値だと闇攻撃は約13%多く受ける。 ■ステータスの攻撃力・魔法攻撃力と力・知能との関係 物理攻撃力(魔法攻撃力)=武器攻撃力+武器攻撃力*力(知能)*0.004 力(知能)が高ければ高いほど攻撃力が高くなり、武器攻撃力が高いほど力(知能)1で上昇する攻撃力も高くなる。 上記式はスキル攻撃力にも適用される。 故に、固定攻撃力依存型スキルは力(知能)が上がるほどダメージが上がる。 ↑疲労度 † [編集] 疲労度とはその名の通りキャラクターの疲労度(基本は1日疲労度156まで)を示す。 疲労度は基本的にダンジョンで未開のフロアへ1つ進むごとに1づつ減ります。 1回入ったフロアに戻る場合は、疲労度は減りません。 (なお、ダンジョンに入ったときも同様に1減ります) アイテムインベトリ画面が開くアイコンの左にある中央アイコンにより残り疲労度を確認できます。 疲労度が0になるとそのキャラでダンジョンに入ることができなくなります。 ダンジョン内部で疲労度が0になっても、ダンジョンから出るまではフロアを進めます。 (つまり、1でもあればダンジョンに行けます) 毎日AM6 00を迎えるとキャラクターの疲労度は1日MAXの156まで回復します。 コンティニューコイン(1日1個支給)と同時。 上位メンバとなることで、回復することができます。 メンバーシステム参照。 ↑ダンジョンクリア時のスコア(ランク) † [編集] スタイルやテクニックや被ダメージ回数によりクリアのランクが変動。 ランクS以上を取ると経験値ボーナスがもらえる。 経験値ボーナスの割合は F(0~34点),E(35~39点),D(40~44点),C(45~54点) +0% B(55~69点) +5% A(70~84点) +10% S(85~94点) +15% SS(95~104点) +20% SSS(105~140点) +30% 「ランク○以上でクリア」というクエストも数多い。 最後に貰える金額もランクで変動。 ↑コンティニューコイン † [編集] 戦闘不能時に使用するとキャラクターが復活、HP、MPが全回復し、周りの敵を吹き飛ばす。(レベルアップ時と同じ動作) 復活してから3秒間ほどHP&MPを消費しなくなり無敵になる。 また、スコアのHit(被弾回数)が0に戻る 戦闘不能になった味方にもコインを使うことが出来る。 正式サービスの現在、AM6:00にコインが支給される。 支給されるコインはサーバーによって違う。 ・ディレジエ 2枚 ・カイン 1枚 (ハンコインでの購入分コインは別途計算される) 購入する場合は初期コインを使い切っておかないと支給コインはもらえない ↑ダンジョン † [編集] 一部クエスト等での制限がありますが、通常はランクに関わらず、 ダンジョンの推奨レベル下限の3レベル下からMAPに登場します。 推奨Lv ダンジョン(ボス) ―――――――――――――――――――――――――――――― ● エルブンガード (入場制限なし) 01~02 ロリエン (Lv2 ゴブリン投擲兵) 02~03 ロリエン深部(Lv4 タウアーミー) ―――――――――――――――――――――――――――――― ● グランプロリス (入場制限:ロリエン深部クリア) 03~05 マークウッド (Lv7 タウビースト) 04~07 マークウッド深部 (Lv9 クロガル) 07~10 サンダーランド (Lv11 電撃のキノル) 09~12 フロストマークウッド (Lv12 氷結のケラハ) ※要エピック 09~12 ポイズンサンダーランド (Lv13 フェンリル) 11~14 グラックカラック (Lv16 タウキングシャウタ) 13~16 燃え盛るグラックカラック(Lv17 火炎のビノーシュ) 17~20 闇のサンダーランド (Lv20 グールグウィシ) ※要エピック ―――――――――――――――――――――――――――――― ● 天城 (入場制限:Lv11~) 14~17 アモン下層 (Lv18 レッドセリマリオン) 16~19 アモン上層 (Lv19 マスタードグリ) 18~21 セパロタ下層 (Lv22 ヘブンエクスペラー) 21~24 セパロタ上層 (Lv25 ラキウス) 23~26 ミドルオーシャン浅海(Lv26 ゴールドプラタニ) 25~28 浮遊城 (Lv29 イーブルアイ) ※要エピック 26~29 ミドルオーシャン深海(Lv30 光の城主ジグハルト) ―――――――――――――――――――――――――――――― ● ベヒーモス (入場制限:Lv25~) 28~31 神殿外郭 (Lv32 GBL教大司教、GBL教大司祭) 29~32 デンドロイドのジャングル(Lv33 ロディンクロー) 30~33 煉獄 (Lv34 マスターハンター) 31~34 白夜 (Lv35 ドルニアEX) 33~36 第1脊髄 (Lv37 グレートテンタクル) 35~38 第2脊髄 (Lv39 長足のロータス) 37~45 血獄 (Lv39 審判者マセラス) ―――――――――――――――――――――――――――――― ● ストームパス (入場制限:Lv33~) 36~39 冷たい心臓の子 (Lv38 チャーリー) 43~46 稜線 (Lv47 氷牙シャバンテ,Lv48 ビーストマスタールーガー) ―――――――――――――――――――――――――――――― ● アルフライラ駐屯所 (入場制限:Lv35~、第2脊髄ノーマルクリア) 38~40 シャローキープ(Lv42 メリス・モーガン) 41~43 蜘蛛の巣窟 (Lv45 アラクロッソ) 42~45 黒妖精の墓地(Lv47 死竜スピラッジの頭) 44~47 マグマケーブ(Lv49 アトラス、タイタン、ゴリアット) 48~51 王の遺跡 (Lv53 ハンマー王ボロディーン) ※要エピック ―――――――――――――――――――――――――――――― ● エルブンガード (入場制限:Lv47~) 50~53 ビルマルク帝国実験場(Lv55 ハイパーメカタウ) ※要エピック ―――――――――――――――――――――――――――――― ● ノースマイア(入場制限:Lv47~) 50~53 堕落した盗賊(Lv52 犬屋のミョジン) 50~53 誘惑の街ハーメルン(Lv52 ピーター・ザ・パイパー) ※要エピック ―――――――――――――――――――――――――――――― ■高ランク入場権限 EXPART'S ROAD:ノーマルダンジョンをクリア MASTER'S ROAD:エキスパートダンジョンをランクB以上でクリア KING'S ROAD :マスターダンジョンをランクS以上でクリア ↑敵のHP表示 † [編集] 高ランクダンジョンでは特にHPが多くなるが 赤→橙→緑→青→紫の順で増加、以降繰り返し。 (例えば、HPが7枚目まである場合、2周目の橙=オレンジから表示される) ダンジョンのレベルによってHPゲージが圧縮されている ボスだけに言える事だが全員が倒れてカウントが始まるとき異常な速度でHPを回復する ↑状態変化 † [編集] 拘束と睡眠を除いた行動不能系状態異常はボタン連打と方向キー左右連打で行動不能時間を短縮可能。 ボタンに連打機能を付けるとすぐに解除できる。 状態異常は相手がアーマーやガードやスタックしてもかかる。 名称 効果 感電 キャラから電気を発する。 被弾時に光属性防御無視追加ダメージを受ける。 感電攻撃力は感電スキルや効果に依存し、感電発動者の知能によって威力が向上する。 防御無視のため知能が高いと相手の防御がマイナス化し、結果的にさらに威力が増加する 出血 キャラが赤く点滅。 秒間固定ダメージを受ける。行動すると受けるダメージが1.5倍上昇。 ただしMobは上昇しない。 出血ダメージは、出血を与えるキャラクターの知能に影響する。 知能が増えれば増えるほどダメージが増す。 出血ダメージはあらゆる防御を無視する。 出血ダメージ=スキル出血ダメージ*(1+(知能*0.004)) 火傷 火属性の秒間固定ダメージを受ける。 また数秒ごとに周囲にいるキャラ(敵味方無関係)も火属性ダメージを受ける。 中毒 キャラが紫に点滅。 秒間固定ダメージを受ける。 防御力無視ダメージだが、中毒抵抗値によってダメージが軽減される。 暗黒 キャラ頭上を黒い物体が回る。 視界が制限され、自分の周囲1キャラ分程度しか見えなくなる。 気絶 キャラ頭上で星が回る。 行動不能。浮かされてる時やダウン中になると起き上がった後から解除が始まる。 石化 キャラの下半身が石化する。 行動不能。浮かない。ダウンしない。一定時間内に解除しないとダメージが入る。 凍結 キャラ全身が氷で覆われる。 行動不能。浮かない。ダウンしない。火属性攻撃を受けると即解除される。 睡眠 キャラがその場で倒れて眠る。 ダウン状態で行動不能になる。攻撃を受けると即解除される。 混乱 キャラ頭上に!?マークがでる。 移動方向が上下左右逆になる。(コマンド入力には影響しない) 拘束 移動、ジャンプ不可。攻撃可能。バックステップでは浮くが少しのため無意味。 ハイパーアーマー キャラが赤く発光する。 一定時間敵の攻撃などによる、ノックバック、ダウンが発生しなくなる。 カウンター攻撃を受けるとノックバック、ダウンが発生する。 加速 移動速度と攻撃速度が○%上がる。スキルレベルで効果が変化。 鈍化 キャラ足元に渦のようなものが出る。 移動速度と攻撃速度が○%下がる。スキルレベルで効果が変化。 祝福 キャラの周りに羽根のようなエフェクト。 ACT3で仕様変更を受け、効果が固定値に。設定された固定値分だけ全ての能力値が向上する。 呪い キャラの周りに黒いプツプツのエフェクト。 全てのステータスが呪いに設定された分だけ低下する。 透明 キャラが半透明になる。 攻撃を一切受けなくなる。(ただしDoT系にかかった場合そのダメージは食らう) 防御破壊 キャラの防御力が0になる。 一部の装備でのみ発生。(クロクタの犬歯でも発生確認) 武器破壊 キャラの攻撃力が0になる。 一部の装備でのみ発生。(クロクタの犬歯でも発生確認) ↑攻撃特性について † [編集] 武器種別、スキルによって攻撃ダメージに差が出ることなどから 武器、スキルには攻撃特性が設定されている。 攻撃特性には、近接、遠隔を表す攻撃形態、 殴打、斬突などのダメージの性質を表す特性の2種類があり、 すべての攻撃にはこの2つのパラメータが設定されている。 これらの組み合わせから、攻撃の種別は4つに分類される。 以下のとおり。 種別 形態 特性 該当する武器 特徴 打撃 近接 殴打 鈍器 ナックル・トンファー・ガントレット・拳闘グローブ スタッフ・ロッド・棒 十字架・数珠・トーテム・斧 近接タイプの攻撃が属し、打撃タイプのダメージを与える、 多くの武器が属する、打撃による攻撃特性。 ゴーレム系の一部には打撃以外の耐性があり、それらに対する有効打になりうる。 テンタクル系にはダメージを軽減される。 斬撃 近接 斬突 刀・小剣・大剣・光剣 クロー 槍 鎌 近接タイプの攻撃が属し、切るタイプのダメージを与える、 鬼剣士が主に使用する、斬撃による攻撃特性。 ストーンゴーレム系にはダメージを軽減され、ノックバックも大幅に減少する。 グランプロリスの草、ミドルオーシャンの海草を切ることができる。 斬撃に反応して自爆する敵(クレイジーイヴァン)も存在する。 射撃 遠隔 斬突 マスケット・自動拳銃・リボルバー・ボウガン 遠隔攻撃タイプの攻撃が属し、切るタイプのダメージを与える、 ガンナーのほとんどの武器が属する攻撃特性。 この特性は斬撃の特徴をすべて持ち、加えて以下の特徴を持つ。 遠隔攻撃によって攻撃した場合一部の敵がアーマー化する 該当する敵(一例) 一部ゴーレム類、エックスエクスペラー、バントゥ族の戦士等 斬撃の特性を引き継いでいるためクレイジーイヴァンは自爆モードになる 爆風 遠隔 殴打 ハンドキャノン 遠隔タイプの攻撃が属し、打撃タイプのダメージを与える、 ハンドキャノンのみが属する、爆風による攻撃特性。 打撃のすべての特性を持ち、遠隔攻撃としての特性を併せ持つ。 そのため、草や海草は切れず、テンタクル系にはダメージを軽減される。 射撃の特徴の一部を受け継ぐため、一部敵が攻撃に反応しアーマー化する。 該当する敵(一例) 一部ゴーレム類、エックスエクスペラー、バントゥ族の戦士等 無特性 - - 一部スキルのみ 武器にはない特性。 すべての相手の特殊防御などを無視してダメージを与えることができる。 基本的にスタックなどもない。 鬼神の波動、毒霧、感電効果、出血効果、中毒効果によるダメージはこれに分類される 表中の用語の意味 (※)殴打:鈍器等の鈍い一撃を与えるタイプの攻撃 (※)斬突:刃物や銃器などの鋭利な攻撃の性質を持つ攻撃 (※)近接:至近距離による直接攻撃を意味する (※)遠隔:離れた位置への攻撃を意味する スキルの攻撃特性一覧はこちら ↑MP自然回復量について † [編集] LV1時の自然回復量は各職業共に1分に付き60です。 レベルが上がるごとに自然回復量は増加します。 レベルアップ時のMP自然回復上昇量は各職業によって違い、 基本的にはクロースマスタリーがある職業ほど元々の自然回復量 が大きい傾向にあります。 例)メイジ系列、ソウルブリンガー、ネンマスター、メカニック 退魔士 ↑属性抵抗力 † [編集] キャラクターのステータス画面の下部にある属性抵抗力は、 その数値が15でその属性ダメージを10%軽減する。 逆に-15だとその属性ダメージが10%上昇する。 例えばソウルブリンガーで闇抵抗を150にすると、 闇属性攻撃(闇属性武器・鬼切り・トームストーン・ストーカーの攻撃等)が被ダメージが1となり決闘場でもダメージが1になる。 マイナス値を増やしてしまうと、その分だけダメージが大きくなってしまう危険であるのでバランスを考えた装備をするのが一番である。 光属性の敵には、闇属性攻撃が効果が高く、光属性攻撃は威力が減少します。 闇属性の敵には、光属性攻撃が効果が高く、闇属性攻撃は威力が減少します。 火属性の敵には、水属性攻撃が効果が高く、火属性攻撃は威力が減少します。 水属性の敵には、火属性攻撃が効果が高く、水属性攻撃は威力が減少します。 ↑入手経験値 † [編集] ダンジョン内でモンスターを倒した際に得られる経験値は、 自分のレベル・モンスターのレベル・モンスターの階級・ダンジョン難易度によって増減する。 自分のレベルが変わらないとき、同じレベルのモンスターなら種類・出現場所などが違っても入手経験値は変わらない。 例)サンダーランド ゴブリン隊長Lv9 ゴブリン投擲隊長Lv9 フロストマークウッド フラグシーガブLv9 いずれも、自分のレベルが同じ状態で倒した時入手経験値は同じ。 (モンスターのレベル-自分のレベル)の値によって入手経験値は変化する。 +5のとき最も多く、そこから離れるにつれ少しずつ減少していく。-4および+9から大きく減少していく。 モンスターの階級によって、入手経験値に倍率がかかる。 『燃え盛る~』『ひんやりした~』などの冠詞がつくチャンピオンモンスターは同レベルモンスターの2倍、 ダンジョンの最後に出現するボスモンスターは同レベルモンスターの4倍となる。 ダンジョン難易度(Expart's Road、King's Roadなど)によっても入手経験値に倍率がかかる。 同レベルのモンスターを倒した時、通常時に比べ Expart'sでは1.4倍、 同様に Master'sでは1.8倍、 King'sでは2.2倍となる。 ダンジョンクリア時の経験値報酬は ボスを倒すまでに得たモンスター撃破経験値の合計が基準となって決められる模様。 また、パーティー時はクリア時点で生存していないと経験値報酬が減少する模様。 クリアボーナスに加算される各種条件によるボーナスは以下のようなものがある。 ランク…クリアランクによるボーナス。ランクB以上で発生し、Bで5%、Aで10%、Sで15%、SSで20%、SSSで30%が加算される。 パーティー…2人以上のパーティーによるダンジョンクリアボーナス。詳細は未調査。 アバター…スタイリッシュアイテム装備によるボーナス。スタイリッシュアイテム着用時、ソロで2%、パーティーで5%が加算される。 ネットカフェ…ハンゲーム公認ネットカフェでのプレイによるボーナス。詳細不明。 イベント…特定期間の経験値アップイベントなどによるボーナス。 メンバー…メンバーシステム登録によるボーナス。上位メンバーがいる場合、クリアボーナスの10%が、メンバー経験値として加算される。 チャンネル…ダンジョンの属する地域と対応したチャンネルでのプレイによるボーナス。2%が加算される。 例)エルブンガード(ロリエン・ロリエン深部)ならch01でプレイ グランプロリス(マークウッド~闇のサンダーランド)ならch10~ch12でプレイ ダンジョン難易度とクリアランクによる経験値倍率表(やっつけ+α) N E M K C↓ 1.00 1.40 1.80 2.20 B 1.05 1.47 1.89 2.31 A 1.10 1.54 1.98 2.42 S 1.15 1.61 2.07 2.53 SS 1.20 1.68 2.16 2.64 SSS 1.30 1.82 2.34 2.86 ↑EXPテーブル † [編集] Act.3版(平成19年8月6日更新) Lv Next EXP Total EXP Lv Next EXP Total EXP Lv Next EXP Total EXP 1 450 - 21 205,824 1,123,028 41 3,953,368 23,801,948 2 1,014 1,464 22 240,789 1,363,817 42 4,388,407 28,190,355 3 2,046 3,510 23 280,150 1,643,967 43 4,857,901 33,048,256 4 3,486 6,996 24 318,319 1,962,286 44 5,318,965 38,367,221 5 5,366 12,362 25 355,185 2,317,471 45 5,852,818 44,220,039 6 7,718 20,080 26 412,062 2,729,533 46 6,371,193 50,591,232 7 10,574 30,654 27 469,513 3,199,046 47 6,974,574 57,565,806 8 13,966 44,620 28 532,999 3,732,045 48 7,620,211 65,186,017 9 17,926 62,546 29 593,079 4,325,124 49 8,238,729 73,424,746 10 22,486 85,032 30 668,036 4,993,160 50 8,962,686 82,387,432 11 30,028 115,060 31 879,085 5,872,245 51 14,809,915 97,197,347 12 36,739 151,799 32 990,868 6,863,113 52 16,175,505 113,372,852 13 44,286 196,085 33 1,113,237 7,976,350 53 17,631,362 131,004,214 14 52,721 248,806 34 1,230,530 9,206,880 54 19,057,749 150,061,963 15 62,089 310,895 35 1,372,901 10,579,781 55 ※20,680,257 170,742,220 16 83,080 393,975 36 1,508,090 12,087,871 - - 17 100,194 494,169 37 1,672,417 13,760,288 - - 18 119,883 614,052 38 1,850,285 15,610,573 - - 19 139,195 753,247 39 2,017,411 17,627,984 - - 20 163,957 917,204 40 2,220,596 19,848,580 - - ※lv55以上はレベルキャップ開放まで経験値をためることができない。 ↑SP早見表 † [編集] レベル 獲得 累積 レベル 獲得 累積 レベル 獲得 累積 1 - - 21 49 790 41 69 1980 2 30 30 22 50 840 42 70 2050 3 31 61 23 51 891 43 71 2121 4 32 93 24 52 943 44 72 2193 5 33 126 25 53 996 45 73 2266 6 34 160 26 54 1050 46 74 2340 7 35 195 27 55 1105 47 75 2415 8 36 231 28 56 1161 48 76 2491 9 37 268 29 57 1218 49 77 2568 10 38 306 30 58 1276 50 78 2646 11 39 345 31 59 1335 51 79 2725 12 40 385 32 60 1395 52 80 2805 13 41 426 33 61 1456 53 81 2886 14 42 468 34 62 1518 54 82 2968 15 43 511 35 63 1581 55 83 3051 16 44 555 36 64 1645 17 45 600 37 65 1710 18 46 646 38 66 1776 19 47 693 39 67 1843 20 48 741 40 68 1911 計算式 nレベル時の累計SP = {(n+58)(n-1)}/2 2007月8月2日現在、韓国のレベルキャップはLv60。 ↑画面の切り替え † [編集] ダンジョン内にいる時に[Tab]Keyを押すと、画面の表示を3段階に切り替えられる。 またチャット状態のときに[Tab]Keyを押すと通常からPT、メンバに替えられる。 同じくダンジョン内で[End]Keyを押すことでダンジョン進行状況表示のON/OFFが可能。 チャットウインドウで「//window」と入力するとウインドウ画面になる。 チャットウインドウで「//normal」と入力するとウインドウ画面になる。 チャットウインドウで「//full」と入力するとフルスクリーン画面になる。 ↑所持金上限額テーブル † [編集] ■レベル毎に所持できるお金の上限額一覧 現在、複数の報告から実際の数値と違っている可能性が高いと思われます。 正確な値を知っている方は下の米欄に報告お願いします。 レベル 所持限度額 レベル 所持限度額 レベル 所持限度額 1 100,000 21 11,400,000 41 2 200,000 22 12,600,000 42 3 300,000 23 14,200,000 43 110,500,000 4 500,000 24 15,800,000 44 132,700,000 5 700,000 25 17,500,000 45 157,XXX,XXX 6 1,000,000 26 19,200,000 46 7 1,200,000 27 20,900,000 47 300,000,000 8 1,500,000 28 22,700,000 48 9 1,800,000 29 24,600,000 49 300,000,000 10 2,200,000 30 27,700,000 50 300,000,000 11 2,700,000 31 51 300,000,000 12 3,100,000 32 32,800,000 52 300,000,000 13 3,800,000 33 35,600,000 53 300,000,000 14 4,400,000 34 38,900,000 54 300,000,000 15 5,100,000 35 42,300,000 55 16 6,000,000 36 17 6,900,000 37 50,000,000 18 7,800,000 38 19 8,900,000 39 59,200,000 20 10,010,000 40 64,900,000 ↑コメント欄 † 最新の10件を表示しています。 コメントページを参照 属性防御の欄、数値が一桁増やされてます。つきとめてきます -- 2008-02-08 (金) 13 49 25 LvUP時 上昇能力値の所で今現在は上昇能力値の統一化は行われてるんでしょうか?覚醒の場合とかも -- 2008-02-13 (水) 11 51 41 所持金 lv47 3oku -- 2008-02-25 (月) 13 47 28 えっと、天城のダンジョン名が変更されてます。 変更お願いします。 -- 2008-03-31 (月) 03 22 38 lv45 157,XXX,XXX の修正お願い申し上げる -- 2008-04-02 (水) 11 04 00 56Lv経験値:22.253.979 編集お願いします -- 2008-04-06 (日) 03 38 49 lv.41 76m 上限みたいです -- 2008-05-17 (土) 08 08 11 改定されたのかな? LV54 所持金額 260Mが上限のようです。 -- 2008-05-20 (火) 18 45 05 ↑LV51で271M持てているのでそれはないかと -- 2008-05-21 (水) 12 12 36 ↑BANどんまいです -- 2008-05-24 (土) 14 57 52 お名前
https://w.atwiki.jp/ifheta2ch/pages/456.html
30 / 401-500 404 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 03 43 55 ID ??? 懐ネタ 209 名前:鎖国人類0号 投稿日:2005/10/23(日) 18 36 11 ID JapanOTK どうでもいい話ですが、昨日久し振りにアジアの皆さんと食事をしたんです。 で、TV見てたら韓国さんが不意に思い出したように 「そうある、日本に聞こうと思ってた事があったんだぜ」とか言って、 「日本『のまねこ』って知ってるんだせ?」と。 えぇもちろん知ってますと答えたら、 「今ニュースで大変なんだぜ、著作権がどうとか(云々) でも『のまねこ』の元の絵を描いた人って誰だかはわからないみたいなんだぜ。 ・・・ねえ、もしかして日本のことなんだぜ? 前同じような絵パソコンで描いてたんだぜ」 うわぁ・・・('∀`) 違う違うを笑って答えても韓国さんはまだ怪訝そうでした。 ふっと見たら、韓国さんの手のひらに「のまねこ」と書かれていました。 きっとニュース見て、すわ隣国の一大事だと思って勉強したんでしょうね。 そして中国さんとかにのまねこの事聞いて回ったんだろうな。 中国さんの微妙な顔がうかびました。 405 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 07 34 17 ID ??? のまねこ騒動なつかしいw フラッシュ見れるとこ探しに行っちゃったよwww 407 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 08 22 51 ID ??? 唐突に天国だよ注意 926 :小鳥案名無い人:05/03/09 02 47 49 ID ??? 天国には「アヒルを踏んではならない」という決まりがあり、 その女はアヒルを踏まぬよう細心の注意を払って暮らしていた。 数年が経ったある日、彼女は意中の兄と鎖で繋がれることになった。 「嬉しいわ!兄さん兄さん兄さん!これはしばらくアヒルを踏まなかったご褒美に違いないわ…!」 「僕がアヒルを踏んだんだよ…」 408 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 09 42 27 ID ??? 110:スコーン名無しさん:2009/07/02(英) 17 48 55 ID ??? 会議の休憩中、隣の席でスーツの上着を脱ぐアメリカを何気なく見たら ベルトの上に腹の肉が乗っかっていた 「お前、その年で隠れメタボかよ…」と思わず呟いたら 「失礼だな、俺は全然太ってないぞ!君の基準が厳しすぎるんだよ! あの食事じゃ体格が貧相になるのも仕方がないけどね!XDDDD」って返された 「じゃあ他の奴にも聞いてみろよ!」 「OK!日本に聞いてみるよ!」 どうせならドイツかフランスあたりの方が率直な意見が聞けるのに… 日本だと『そんなことないですよ。全然太ってないですよ』とか言いそうだ そう思いながら、少し離れた席に座る日本の所に向かうアメリカについていった 「聞いてくれよ日本!イギリスが俺の事『隠れメタボ』って言うんだよ!」 突然話を振られた日本は、小首をかしげながら 「そんなことないですよ?」と言う ほらね!という顔でこちらを振り返るアメリカ。更に日本はこう続けた 「全然隠れてないです」 411 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 10 37 31 ID ??? 847 名前:親分さん@トマトいっぱい。:2009/05/17(西) 16 59 54 . 190 俺も似たような経験があるで 最初は普通に無言電話だったんやけど、俺が切らずに様子を窺っていると突然 相手「俺のパンツの色教えてやろうか?」 俺「なんでやねん」 ガチャ それから相手が一言ネタを言って俺がそれにツッコミを入れるっていうのが何回も続いたのち、 相手「ネタ切れだぜ!相方!!」 という台詞を最後に二度とかかってこなくなってん イタ電野郎相手に初めて友達になりたいと思ったわぁ 412 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 12 42 37 ID ??? 257 :ムーミン谷のの名無しさん:2009/07/03 12 14 33 オリンピックには射撃やクレー射撃はあるのに狙撃がないのは何故ですか? 何も実弾使えって言ってるわけじゃないのに… 413 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 13 07 24 ID ??? . 412 フィンランドがチートだからだよ 423 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 17 15 26 ID ??? 豆腐ハンバーグ 36 :おしお名無しさん 投稿日: 2007/07/22(日) 21 09 38 あれ、豆腐が背伸びしてるようにか見えません。 豆腐ハンバーグ自体は不味いとは思いませんが、豆腐は普通に豆腐の状態のまま食べたいです。 まぁ豆腐も、「見て見て!俺、ハンバーグにだってなれるんだヨ!」みたいな アピールしたかったんでしょうけど、そんな背伸びしてまですることじゃないと思うんですよ。 そもそも豆腐なんて和食物なんですから、洋食物のハンバーグなんてものに憧れるのは やめて豆腐は豆腐の道を突き進めばいいと思います。 なのになんなの?豆腐ハンバーグって。 牛肉ハンバーグよりヘルシーとかんなもの必要ありません。 ヘルシー求めるんならそのまま普通に冷やっこ食べます。 あれです、あなたみてるとなんか最近の日本の女子高生思い出します。 豆腐「っていうかー、豆腐とかもう世界的に見て時代遅れだしー、 なんかちょっと冒険してハンバーグになっちゃおうみたいなー」 知るかボケ 430 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 17 39 04 ID ??? 714 名無し音楽家@演奏中? 2009/07/01(水) 19 14 17 当時、嫁と地方都市郊外の築150年の広いお屋敷に住んでました。 天井裏にネコが住み着きまして、ガリガリ、ドドド、にゃあなどと上から音がします。 嫁「かわいそうだから追い出さないであげて下さいね」 私「いや、私もネコは好きですがが天井裏は困ります。…どこからそんなところに」 という会話をしていると、数日後、天井裏からミイミイと子ネコの声が。 私「子供が産まれましたね。どうしましょうか…」 嫁「ごめんなさい、こうなるとは… 連休になったら天井裏にもぐってみますね。そんなとこで粗相でもされたら困りますし」 ところが、次の日のこと。天井裏ではなく、壁の中から子ネコの声が。 嫁「大変です!。子ネコが壁の隙間に落ちちゃったみたいです!」 子ネコは助けを求めて必死で鳴いています。すると、ガサリゴソリと壁の中を降りてくる音。 私「あ、親ネコが助けに来たみたいです」 ゴソゴソゴソ!ふぎゃぎゃあああー。 私「もっと大変です。親ネコが壁の中にはさまってしまいました」 嫁「あぁああん、どいつもこいつもー!」 私「どうしましょう」 嫁「ノミとハンマーとノコギリもってきて下さい。家ぶち壊して助け出します!」 私(お下品ですが…仕方ありませんね) というわけで、我が家の夫婦部屋の壁には、大きな穴が4箇所開きました。 2箇所でよかったのですが、鳴き声で場所の見当つけて穴開けたら全然違ったりして、何度も開けなおしたのです。 大工さんは連休明けまで来てくれないので、当分、穴あき屋敷の生活です。 壁からつかみ出される際に興奮した親ネコに噛まれ引っ掻かれて大流血した嫁は病院送りになりました。 保護された親子ネコはテラスのダンボールで寝てます。 病院から帰ってきた嫁に「ごめんなさい、浅はかでした。痛かったでしょう、せめて私が助け出すべきでした。」と謝ると 「ネコは助かったし、家壊すのは面白かったからいいんですよ!音楽家の手に傷つけられませんからね」と笑ってました。 こだわらない性格の、優しい嫁が大好きです。 431 :1/2:2009/07/03(金) 17 39 47 ID ??? 36 :本当にやった怖い南下:1995/07/03(露) 16 06 55 ID KrkRkrKR 怖い話っていうのかなぁ。 何年か前…十何年前かな?それまで、僕んちの飛び地に建ってたお城があったんだ。 そこは戦争で半分壊れちゃってたから、いっそって爆破することになったんだよ。 それで、結構あの頃にしては立派なビルを建てたんだ。 僕たちはその飛び地が香港君ちみたいな感じで発展することを望んでたんだけど、 結局それも上手くいかなくなっちゃって、 余所からは「暗黒街」なんて呼ばれる始末。 折角建てたビルも、何故か全然人がよりつかない。 どうしてかって調査したらさ、その爆破したお城の地下にお墓があったらしいんだ。 地下にお墓の為に穴を掘ってたから、地盤が緩くて人が住めるようなものじゃなかったんだって。 怪奇現象があったのかどうかは聞いてないけど、 街がこんなになっちゃったのもお墓のせいだったりするのかなぁ。 今からでもお墓撤去しちゃった方がいいのかな? 37 :本当に生えた怖い眉毛:1995/07/03(英) 16 07 26 ID YoSeIsaN 墓動かすのだけはやめとけ つーかそれ、城爆破した呪いもかかってるんじゃないのか? 38 :本当に割れた怖い腹筋:1995/07/03(独) 16 25 42 ID MuKIJagA 兄がPCを見ていたと思ったら 突然ソファで毛布に包まって泣き出しながら 「フリードリヒ、ヴィルヘルム、フリードリヒ、ヴィルヘルム、ヴィルヘルム…」と 歴代の兄の家の上司の名を呼び始めた。ちなみに全員別の上司だ。 怖かったので書き込みに来たが 36で合点がいった。 とりあえず 36、そこにうちの領事館を作らせろ。 39 :本当にやった怖い南下:1995/07/03(露) 16 26 02 ID KrkRkrKR . 38 やだ 598 :本当にやった怖い南下:2005/11/24(露) 16 26 02 ID KrkRkrKR このスレの最初の方でお城の話した 36だけど、 とうとうその街にドイツ領事館できちゃった… 10年以上もやだって言い続けたのに… 599 :本当に漏れた怖い餡子:2005/11/24(日) 16 32 18 ID SoLtsOlT 10年以上ねばった 38さん乙です お兄さん元気出して下さるといいですね 433 :1/2:2009/07/03(金) 17 43 36 ID ??? 691塩鮭のある生活2009/05/09(土) 11 59 51.91 ID jp/SiooTa ラーメン道には整然とした決まりごとがございます。 「はい、お待ち」などといって目の前に熱々のラーメンが運ばれてきます。 当然のことですがカウンターに座るのは決まっています、 間違ってもテーブル席などに座る事のなきよう。 カウンターが埋まっている場合は出直します。 さて、運ばれたラーメンを鑑賞します、スープの色、麺とスープの 微妙な対比、表面に若干見える麺からスープの中に隠れる麺への移行は 天山山脈を抱くタクラマカン砂漠の稜線のごとくたおやかでなければ行けません。 そしてトッピング、昨今は色々訳の解らないものを載せたがる店が 多い中メンマとチャーシューだけは外せませんし外している店に 出くわしたら速攻金をたたきつけて退店するはラーメン道の本懐。 まず香りを味わいます、個々の店の腕の見せ所ですから、いきなり 蓮華などを持つのは決まりごとに反します、店の自慢のスープの香を 堪能します、そしておもむろに蓮華を持ち一掬い、蓮華へのこだわりも あります、ラーメン道を極めた者はマイ蓮華マイ象牙箸は必携、鼻の先で 改めてスープの香りを味わい蓮華を縦90度に運びユルリと口に運びます。 口中に広がる自慢のスープを舌で転がしスープ材を聞きます、 (スープにですぞ、店員にではありません) その時点で自分の経験値から不合格を感じたら金をたたきつけ退店します。 合格ラインに入っているなら喉を通してみます。 口の中のスープの残り具合、これは油っぽいということではなく良質の スープなら残りません、残り香の堪能も含めて味わうべし。 いよいよ麺に取り掛かりますが、箸で挟んで持ち上げてみて麺への スープの絡み具合を観察します、麺に沿って流れ落ちるスープは まさに黄河の如くたおやかでなければいけません、そして 柳に降る春雨の如く色気がなければいけません 傘のしずくの様な素っ気無い流れ落ち方なら代金たたきつけ物です。 麺を口に運び茹で具合、口中での太さのバランスを味わいますが、 この時点では失格物でも吐き出すことはラーメン道に反するので あえて飲み込みます、そして蓮華象牙箸を終い、ここまでこなければ 見抜けなかった己のラーメン道の未熟さに頭を垂れて引き下がりましょう、 合格ラインに到達していれば後はわき目も振らず一心に平らげましょう。 スープも残らず飲み干すのが合格者への礼儀です。 蓮華象牙箸を終いながら賛辞を贈りましょう、勝者への礼儀です。 445 :1/2:2009/07/03(金) 19 35 24 ID ??? ケンカを一言で止めたやつが優勝 53 名前: 以下、名無しにかわりまして普憫がお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 13 53 25.37 ID prussia 洪「いいわよ、続けて。今度の新刊のネタにさせて貰うから」 76 名前: 以下、名無しにかわりまして親分がお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 14 30 10.01 ID espana フランス「よし、こうなったらとことん腹割って話そう!お兄さんも付き合うよ。じゃあまずは裸の付き合いから…」 96 名前: 以下、名無しにかわりましてフツメンがお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 15 12 44.23 ID lietuva 露「どうせ皆ロシアになるんだから下らない事で喧嘩しないでよ^J^」 110 名前: 以下、名無しにかわりましてメタボがお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 15 45 42.06 ID america 英「お前ら腹減ってるからそんなにカリカリしてるんだ、待ってろ今スコーン焼いてるから」 なにが恐ろしいって体験談なんだぞ 111 名前: 以下、名無しにかわりまして全裸でお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 15 49 40.89 ID france . 110 優勝 112 名前: 以下、名無しにかわりましてムキムキがお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 15 51 05.73 ID deutschland . 110 優勝 113 名前: 以下、名無しにかわりまして二次オタがお送りします [sage] 投稿日: 2009/07/03(金) 15 53 50.89 ID japan . 110 これは勝てませんね… 114 名前: 以下、名無しにかわりましてシスコンがお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 15 54 36.51 ID helvetia こうして世界は平和になったのである… ―完― 115 名前: 以下、名無しにかわりましてメシマズがお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 15 54 37.59 ID unitedkingdom やっぱりうまいモン食えばイライラも治まるよな! 116 名前: 以下、名無しにかわりまして誰?がお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 15 55 18.40 ID ???????? . 115 えっ 117 名前: 以下、名無しにかわりましてヘタレがお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 16 00 40.84 ID italia . 115 ヴぇっ 118 名前: 以下、名無しにかわりましてヒマワリがお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 16 02 54.69 ID Россия . 115 . 115 . 115 119 名前: 以下、名無しにかわりましてDAI語でお送りします 投稿日: 2009/07/03(金) 16 07 08.68 ID hongkong . 115 なにそれスキュアリー 450 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 20 08 38 ID ??? 国の発生の謎スレ 102 名前:にしん名無しさん[sage] 投稿日:2009/07/01(一) 19 12 47 ID ippann 知人から国誕生の瞬間の話を聞いたんだがこれって新説かな。 19世紀、ある学者がある国で見かけた光景だ。 満月の夜に国民が100人ほど集まって殴り合いを始めた。 一晩かけた殴り合いが終わる頃には人々の数は101人になっていた。 殴り合いに参加した国民たちにも誰が増えたのかわからない。 この時の増えた一人がゆっくり自我を形成して国になっていったそうだ。 ちなみにそのある学者は、この光景を見て寝込んだそうで学説として発表には至らなかったそうだ。 103 名前:すずき名無しさん[sage] 投稿日:2009/07/01(般) 19 22 50 ID itipann 怪しすぎるぞw都市伝説だろwww …うちの国だったら縄文人の殴り合いかな? 104 名前:かれい名無しさん[sage] 投稿日:2009/07/01(人) 19 25 02 ID ninnin 関東人と関西人だろ 105 名前:いわし名無しさん[sage] 投稿日:2009/07/01(達) 19 31 17 ID zinzin 弥生人と縄文人と関東人と関西人が混ざって殴り合ったんだろwJKwww 106 名前:韓韓名無しさん[sage] 投稿日:2009/07/01(韓) 19 38 22 ID kankokku 醜い争いはやめるんだぜ! 日本は俺がコブシを痛めて生んだ子なんだぜ!! 107 名前:日日名無しさん[sage] 投稿日:2009/07/01(日) 19 45 47 ID nihho-n . 106 こんにちは。 アメリカさんとロシアさんの殴り合いで生まれた方。 453 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 20 32 05 ID ??? ◆マイケル・ジャクソンのライブチケット払い戻し開始へ… 払い戻し放棄の場合、特別デザインのチケットを入手可能 185 名無しさん@米国です 2009/07/02(木) 15 18 33 ID WeL0VePOp 払い戻しなんてしない いつかわからないけど俺があっちに行った時に、チケット無くて公演みれなかったら困るんだぞXDDDD 455 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 20 51 15 ID ??? 昔を振り返るスレ 210:以下、名無しに変わりましてカンフーがお送りします 投稿日:2009/05/27(中) 13 20 14.22 ID Aruuuuuu0 うーん、四千年も前あるからうろ覚えある。 気が付いたころから戦ってた気がするある……はあ… 221:以下、名無しに変わりまして塩がお送りします 投稿日:2009/05/27(日) 13 25 10.66 ID nihonjpn0 私が国なのだと気付いたのは紀元前660年頃ですが、縄文時代の記憶がうっすらあります 粘土をこねこねして土器作って「わーい土器できたよー」なんて言ってました あと土器を飾り付けたくなって、余った粘土を土器にはっつけて「わーい模様ついたー」とか言いながらわいわいやってましたね 今思えばあの頃がある意味一番平和だったように思います 230:以下、名無しに変わりましてパスタがお送りします 投稿日:2009/05/27(伊) 13 31 53.02 ID 4wa8suta0 ヴェー、振り返ってみたけどあんまりいい思い出ないや… 238:以下、名無しに変わりましてゲルマンがお送りします 投稿日:2009/05/27(ゲ) 13 34 44.82 ID GeRU/manO 大移動きつい 458 :1/2:2009/07/03(金) 20 58 24 ID ??? フランス時間つか、一部お下品ネタ 思わず吹きだす世界史用語 3 名前: フランセーズ@名無史さん投稿日: 2009/01/30(仏) 13 05 00 0 金玉均 きんた(ry 7 名前: ドイチュラント@名無史さん投稿日: 2009/01/30(独) 13 43 33 0 マジマジ蜂起 23 名前: ユナイテッド・ステイツ@名無史さん投稿日: 2009/01/30(米) 13 46 58 O ニョロ王国 82 名前: ポルスカ@名無史さん投稿日: 2009/01/30(波) 14 06 50 0 マンコ・カパック え、何笑ってんの 歴史用語だし。クスコの王様だし 210 名前: ミスル@名無史さん投稿日: 2009/01/30(埃) 16 25 14 0 チョイバルサン 538 名前:ニホン@名無史さん投稿日: 2009/01/30(日) 16 27 10 0 『アメリカ合衆国皇帝にしてメキシコの守護者』 今の俺に触れるな!見えぬのか…邪気眼を持たぬ者には… 772 名前: イングランド@名無史さん 投稿日: 2009/01/31(英) 01 24 08 0 無敵艦隊 773 名前: エスパーニャ@名無史さん投稿日: 2009/01/31(西) 12 59 38 0 . 772 ちょっと話したいことがあんねん 後で来てくれる? 998 名前: ヂョングオ@名無史さん投稿日: 2009/01/31(中) 13 10 35 O 宇宙大将軍以外ありえねーある 1000 名前: シァンガン@名無史さん 投稿日: 2009/02/01(香) 08 31 11 0 1だけど、何こんなクソスレ1000まで伸ばしてんスか マジパネェ 466 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 21 31 24 ID ??? WW2中にアメリカがパソコン使ってたし 185 名前:以下、名無しにかわりましてメシマズがお送りします[sage] 投稿日:2009/07/02(英) 05 18 40.60 ID h0@ta/uk 以前弟がパソコン使ってるとき近く行ったら焦って消してたから何かと思って検索履歴見たら 独立の仕方とか検索してあった俺涙目ww 188 名前:以下、名無しにかわりまして普憫がお送りします[] 投稿日:2009/07/02(普) 05 24 49.37 ID pr0i1000 . 185 同じシチュに遭遇したもんで後でからかってやろうと思って履歴調べたら 「兄 プレゼント 嬉しい」でググっててちょっと泣いた 474 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 21 57 27 ID ??? 【どこで】国家の成人式【やった?】 1 :名無しさん@HOME :2009/07/03(金) 20 31 14 ID eros/0230 お前らどこで成人した?お兄さん昔過ぎて覚えてないけど若い国なら覚えてるだろ? 2 :名無しさん@HOME :2009/07/03(金) 20 42 36 ID usa/ice/0 育ての兄との独立戦争に辛勝した瞬間、戦場でだったんだぞ 雨は降ってるわ決着は付いたもののまだ互いの軍がマスケット構えてるわ 辛気臭くて辛気臭くて仕方なかったよ! 3 :名無しさん@HOME :2009/07/03(金) 20 53 41 ID dit/Muki0 ヴェルサイユ宮殿だったな そろそろ成人式だという話をしていたら兄貴が張り切って貸し切りにしたんだ オプションで戴冠式まで付いてきて、さすがにやり過ぎだと思ったが、今となってはいい思い出だ 4 :名無しさん@HOME :2009/07/03(金) 21 09 58 ID eros/0230 あー、特定したかも お兄さんそれどっちも参加してるわ というか 3、 い つ か お ぼ え て ろ よ 475 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 21 58 38 ID ??? 47 名前 二次嫁募集中。。。 投稿日 2009/07/01(日) 12 19 21.11 0 1000円の日なんで仕事さぼってエヴァ見に行ったら上司とばったり出会った 「こんな時どんな顔すれば良いか分からないの」って言ったら「笑えば良いと思うよ」て返された もう少しこの人が上司で良いと思った 479 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 22 33 51 ID ??? 344 名前:([∂]ω[∂]) [] 投稿日:2009/07/02(木) 16 48 20 0 アメリカの逆襲!「セクシーメイド・フィギュア」を日本に売るでゲイツ! メイド好きの日本に買わせるんだぞXDDDDDDDDDDDDDD http //www.null-box.com/cgi-bin/so/No_20916.jpg http //www.null-box.com/cgi-bin/so/No_20917.jpg 345 名前:cレ甘_甘)[] 投稿日:2009/07/02(木) 16 48 20 0 遺憾の意 489 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 23 18 07 ID ??? 194 名前:海上要塞名無しさん 投稿日:2007/06/18(海) 09 15 55 ID Sea-kun0 世界会議の打ち上げでカナダと話してたパパが 「俺もフィンもEU加盟は95年だなぃ」て言ったら、 その隣で飲んでたイギリスのやろーが 「95年とかつい最近じゃねーか、ひくっつーんだよ!」 とか叫びやがって場の空気が少し悪くなったですよ。 すると、向かい側にいたポーランドが 「95年でこんな空気なるんだったら2004年加盟の俺はどうなるんだしー」 って立ち上がったです。 さらにラトビアの隣にいた真面目そうなエストニアが 「かくいう僕も2004年加盟でしてね(メガネクイッ」 と立ち上がり、みんな大爆笑。 続いて、明らかに仮面つけてにやにやしたトルコが 「未加盟国の俺からすりゃ、お前らなんかまだまだよ!」 と立ち上がり、会場は大盛り上がり。 みんなは「未加盟キター!!」 2004年加盟の二人も 「未加盟は卑怯だし~」 「そうですよ~。僕なんかただでさえ2004年加盟国多くて埋もれがちなのに」 と続いて三人の独断場でした。 イギリスのやろーも最初は 「未加盟国と後発加盟国がなに勝手に盛り上がってんだよ?」なんて ブツブツ言ってたけど、最後には何も喋らなくなっていたですよー。 シーくんなんか未承認国だから、ちょっとスッキリしました。 494 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 23 29 36 ID ??? 74 ブルスト名無しさん 2007/04/10(火) 18 26 11 ID iMo/mUki 国家の大事な式典の間中、 フラワーロックンロールがスピーチに合わせてウネウネしていた。 隣の兄貴も揺れていた。頭の上の小鳥も一緒だった。 皆、笑いを堪えるのに必死だった。 76 エスカルゴ名無しさん 2007/04/10(火) 19 26 01 ID o23/Rose . 74 しまっとけよそんなもんw 501 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 23 46 36 ID ??? しまっとけって、兄貴までか? それとも小鳥もか? 502 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 23 51 21 ID ??? しまっちゃう兄さん 503 :マロン名無しさん:2009/07/03(金) 23 56 20 ID ??? しまった!兄さんが…! 30スレ目次 次
https://w.atwiki.jp/kakis/pages/10593.html
最上位標目 資料集 上位標目 新生アルカ資料集 同位標目 新生アルカ言語資料 新生アルカフォント資料 新生アルカ辞書資料 新生アルカ方言資料 新生アルカ文学資料 光景追憶資料 新生アルカ絵画資料 新生アルカその他資料 地図資料 新生アルカ音声資料 新生アルカ動画資料 下位標目 古期絵画資料 90年代ごろの古い絵画資料は古期絵画資料を参照 絵画varde ik sord 紫苑シリーズ 夢織シリーズ ねこの郵便屋さん 人工言語アルカ板 『アリスのアトリエ』luka t'arkatis 漫画ねこにっき登場人物 本編 紫苑の書 写真 絵画 セレン=アルバザード "pilp.jpg" 人工言語アルカ 08/02/24 ※人工言語憩いの場に出現した荒らしをからかったもの。 セレン=アルバザード "mel_lis.jpg" 人工言語アルカ 資料室 2008/07/08 13 21 GMT セレン=アルバザード "mel_keetoia.jpg" 人工言語アルカ axlei495 2008/07/15 10 11 GMT セレン=アルバザード "meltaso.png" 人工言語アルカ すっかりセレンとリディアに騙されてたのを知ったときの思春期メルたそ 2008/11/04 14 09 GMT セレン=アルバザード "mitora.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ 661レス 2008/11/28 0 13 ※mitora想像図 セレン=アルバザード "sanlxia.gif" 人工言語アルカ axlei697 2009/02/02 (月) 18 16 49 ※シア。したがき。 セレン=アルバザード "balmas.jpg" 人工言語アルカ アルカとは 2009/02/21 9 50 ※アルカの世界観を紹介するコラージュ作品、kakis, nias, mel, ridiaなどの作品が含まれる。 セレン=アルバザード "jikkenxia.jpg" 人工言語アルカ axlei747 2009/03/24 (火) 15 10 31 ※ミトラまたはxia arbazard セレン=アルバザード "xiaretoro.jpg" 人工言語アルカ axlei747 2009/03/24 (火) 15 10 31 ※ミトラまたはxia arbazard。線画に色をつける。 セレン=アルバザード "dasdaのコピー.jpg" 人工言語アルカ axlei747 2009/03/24 (火) 15 10 31 ※色をつけた線画。 セレン=アルバザード "しあけーぷ.jpg" 人工言語アルカ axlei748 2009/03/25 (水) 19 35 38 ※しあけーぷ セレン=アルバザード "lals.jpg" 人工言語アルカ axlei748 2009/03/25 (水) 19 36 33 ※しあけーぷの小型版 セレン=アルバザード "しあけーぷ3.jpg" 人工言語アルカ axlei748-2 2009/03/25 (水) 21 14 47 ※しあけーぷ。デジタル水彩 セレン=アルバザード "nekoxia.jpg" 人工言語アルカ kn2 2009/03/28 (土) 10 19 55 ※ねことしあ nias "luni sou.jpg" 人工言語アルカ板 録霊徒然草スレ2 28 2009/08/27(木) 01 07 00 撮影日 2009/08/27 0 49 ※ルニ=・д・= 擬人化 セレン=アルバザード "ridia_lutia_fian.jpg" 人工言語アルカ 芸術資料 2009/10/17 10 38 ※リディアの7歳前後の唯一の写真をもとに。 鉛筆画。18年ごろ。 ※正確には2007年9月23日に書いたと思われるmoitoiims.jpg 2007年9月24日 (月)の顔部分のアップであり、本来この絵はルシア=アルバザードが七歳の時の姿を想像して書いたものである(娘ルシアの肖像画と少女リディア)。 セレン=アルバザード "mel_keetoia_mana.jpg" 人工言語アルカ 芸術資料 2009/10/17 10 38 ※2007/07/16 03 03に公開されたpilmel.jpgの顔部分のアップと思われる(メル=ケートイア)。 セレン=アルバザード "yun_liiza_lutia.jpg" 人工言語アルカ 芸術資料 2009/10/17 10 38 ※リーザ先生。先生を元に。 鉛筆画。18年ごろ。 ※正確には2007年9月29日から30日に書かれたmanaxia.jpgの顔部分のアップであり、本来はルシア=アルバザード18歳の想像図である(lamka はじめての場所)。 varde ik sord セレン=アルバザード "varde1.jpg" 人工言語アルカ axlei498 2008/07/18 14 36 GMT セレン=アルバザード "varde_rein.jpg" 人工言語アルカ axlei500 2008/07/20 2 03 GMT セレン=アルバザード "vers1.jpg" 人工言語アルカ axlei500-2 2008/07/20 7 58 GMT セレン=アルバザード "vers2.jpg" 人工言語アルカ axlei500-2 2008/07/20 7 58 GMT セレン=アルバザード "varde.jpg" 人工言語アルカ axlei502 2008/07/22 9 45 GMT 紫苑シリーズ はじめてのアルカについては言語資料はじめてのアルカを参照。 nias "lein.png" 人工言語@BB arka アルカ An overview of Arka's structure translated into English 44 アルカの位相 2008/1/23 02 14 lein@アルカ改定中 セレン=アルバザード "unilein.jpg" 人工言語アルカ 08/02/02 ※レイン(猫) リディア=ルティア "genga.jpg" 人工言語アルカ 08/02/02 ※レイン(猫)の原画。リディア氏の自画像 セレン=アルバザード "ridiamizki.jpg" 人工言語アルカ axlei520 2008/08/09 22 07 ※水月リディア(幼女) セレン=アルバザード "manaxion.jpg" 人工言語アルカ らくがき帳 制服紫苑 2008/08/10 (日) 22 23 33 nias "xion_tati.RIF" 人工言語アルカ板 雑談スレ 545レス 2008/10/17 15 18 GMT ※紫苑の立ち絵。Corel Painterで起動。 nias "eletvetr.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ 545レス 2008/10/17 15 18 GMT ※紫苑の立ち絵(サンプル) セレン=アルバザード "xion_yuuyu.jpg" 人工言語アルカ板 雑談スレ 548レス 2008/10/17 16 54 GMT ※紫苑の立ち絵 nias "xion_tati.psd" 人工言語アルカ板 雑談スレ 549レス 2008/10/18 1 16 GMT ※紫苑の立ち絵。GIMPなどで遊べる模様 セレン=アルバザード "elet.gif" 人工言語アルカ板 雑談スレ 550レス 2008/10/18 4 50 GMT ※表情案 セレン=アルバザード "lein_ji.png" 人工言語アルカ レイン 2008/11/27 (木) 12 04 58 ※レイン nias "lein_tati.RIF" 人工言語アルカ板 雑談スレ 676レス 2008/12/01 14 53 ※レインの立ち絵(Corel Painterで開く) nias "lein_tati_vetr.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ 676レス 2008/12/01 14 53 ※レインの立ち絵。サンプル セレン=アルバザード "lein_lenas.jpg" 人工言語アルカ板 雑談スレ 677レス 2008/12/01 17 09 ※レインの立ち絵。nias氏の絵を組み合わせたもの。 セレン=アルバザード "lein_uniuni.jpg" 人工言語アルカ板 雑談スレ 678レス 2008/12/01 17 24 ※レインの立ち絵。nias氏の絵を組み合わせたもの。 nias "lein_tati_090127.RIF" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 377 2009/01/26 17 42 GMT ※レインの立ち絵。半目など追加 nias "xion_tati_090127.RIF" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 377 2009/01/26 17 41 GMT ※紫苑の立ち絵。半目など追加 nias "xien.png" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 409 2009/02/02 22 31 ※紫苑支援 nias "alisin.jpg" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 597 2009/03/28 4 56 ※紫苑の書の表紙『きんもくせいのさく頃に』 nias "lei e xion.psd" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 597 2009/03/28 4 59 ※紫苑の書の表紙。photoshopで開く。 nias "lei e xion_sink.jpg" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 659 2009/04/06 16 39 GMT ※紫苑の書 表紙 セレン=アルバザード "xion_kitleis.jpg" 人工言語アルカ axlei761 2009/04/07 (火) 14 21 41 ※羽月紫苑(口絵) セレン=アルバザード "lein_kitleis.jpg" 人工言語アルカ axlei761 2009/04/07 (火) 14 21 41 ※レイン=ユティア(口絵) nias "lei e xion_sink2.jpg" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 659 2009/04/07 16 59 GMT ※紫苑の書 表紙 ロゴ追加 nias "lei e xion_sink3.jpg" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 659 2009/04/07 16 59 GMT ※紫苑の書 表紙 文字を小さくして目立たなくし、40%薄くしたもの。 nias "lei e xion2.psd" 人工言語アルカ板 人工言語アルカ総合 659 2009/04/07 16 59 GMT ※紫苑の書 表紙 セレン=アルバザード "lei e xion3.jpg" 人工言語アルカ axlei762 2009/04/08 (水) 07 24 11 ※nias氏の作った表紙のロゴ色変更(青、元の色) セレン=アルバザード "lei e xion4.jpg" 人工言語アルカ axlei762 2009/04/08 (水) 07 24 11 ※nias氏の作った表紙のロゴ色変更(うぐいす色) セレン=アルバザード "lei e xion5.jpg" 人工言語アルカ axlei762 2009/04/08 (水) 07 24 11 ※nias氏の作った表紙のロゴ色変更(紫) セレン=アルバザード "aliaのコピー.jpg" 人工言語アルカ axlei762-2 2009/04/08 (水) 19 27 17 ※新キャラ(ペインターによる) セレン=アルバザード "alia3のコピー.jpg" 人工言語アルカ axlei762-2 2009/04/08 (水) 19 27 17 ※新キャラ(線画スキャン→デジタル水彩) セレン=アルバザード "lein763_zomk.jpg" 人工言語アルカ axlei763 2009/04/09 (木) 18 13 06 ※レイン。下絵 セレン=アルバザード "lein763_nim.jpg" 人工言語アルカ axlei763 2009/04/09 (木) 18 13 06 ※レイン。ブラシ:アクリル細密(稜線は10%程度で濃い色を。それ以外は20%以上)、ブレンド丸筆、紙目水筆、ぼかし セレン=アルバザード "lein763_nim.jpg" 人工言語アルカ axlei763 2009/04/09 (木) 18 17 59 ※上の小サイズ nias "3D_lein.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 18 2009/04/12 8 23 GMT ※カスタム美少女をつかったレイン nias "3D_xion.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 18 2009/04/12 8 23 GMT ※カスタム美少女をつかった紫苑 nias "xion.tdcgsav.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 21 2009/04/12 11 32 GMT ※カスタム美少女をつかった紫苑 nias "lein.tdcgsav.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 21 2009/04/12 11 32 GMT ※カスタム美少女をつかったレイン セレン=アルバザード "arxe_kitleis_lis.jpg" 人工言語アルカ板 録霊徒然草スレ 728 2009/04/28 13 10 GMT ※アルシェ 下絵 小 夢織シリーズ nias "axte.png" Honeydew rain out of the blue apsleis 2008/08/06 (水) 11 54 06 nias "flea2.png" Honeydew rain out of the blue apsleis 2008/08/06 (水) 11 54 06 nias "flea4.png" Honeydew rain out of the blue apsleis 2008/08/06 (水) 11 54 06 nias "gimel.png" Honeydew rain out of the blue apsleis 2008/08/06 (水) 11 54 06 nias "gimelhaiz.png" Honeydew rain out of the blue apsleis 2008/08/06 (水) 11 54 06 セレン=アルバザード "sae.jpg" 人工言語アルカ axlei517 2008/08/06 23 49 セレン=アルバザード "gimel.jpg" 人工言語アルカ らくがき帳 死神ギメル 2008/08/10 (日) 22 24 13 セレン=アルバザード "saelax.jpg" 人工言語アルカ板 雑談スレ 239レス 2008/08/20 10 15 GMT ※セルティアを欲しがる紗枝 nias "axte_wem_q.png" 人工言語アルカ板 夢織の最終話をコラボするスレ 34 2008/12/22(月) 20 08 08 2008/12/22 11 08 GMT ※『夢織 春』の紗枝が死神の目をアシュテに授けるところ nias "eria.png" Honeydew rain out of the blue pulleis 2009/02/18 (水) 21 25 42 より前 ※エリア=イネアート nias "fialent.png" Honeydew rain out of the blue pulleis 2009/02/19 (木) 02 58 34 ※悠姫と詩姫 nias "estel.png" Honeydew rain out of the blue pulleis 2009/02/19 (木) 23 41 22 ※エステル=ナオン セレン=アルバザード "xiervaik.gif" 人工言語アルカ 小説の1シーン 2009/02/21 10 02 ※『夢織 冬』の1シーン。挿絵はnias氏のestel.png セレン=アルバザード "sae_fels.jpg" 人工言語アルカ axlei752-2 2009/03/29 (日) 19 55 01 ※紗枝、制服 セレン=アルバザード "sae_leina.jpg" 人工言語アルカ axlei752-2 2009/03/29 19 54 ※紗枝、レイナ nias "4627887.png" pixiv 「xiki del diaset」 / 「nias」のイラスト[pixiv] http //www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=4627887 2009年06月08日 02 42 ※詩姫 nias "xiki_nim_alt.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 215 2009/06/08(月) 18 35 18 2009/06/08 18 33 ※詩姫 色違い nias "yuuk_nim.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 219 2009/06/09(火) 02 19 52 2009/06/09 2 19追加 2009/06/09 2 26更新 ※悠姫 nias "yuuk_nim2.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 222 2009/06/10(水) 02 37 52 2009/06/10 2 36 ※悠姫2 nias "gimel_nim.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 222 2009/06/10(水) 02 37 52 2009/06/10 2 36 ※ギメル nias "xiki.psd" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 226 2009/06/11(木) 05 57 08 2009/06/11 5 54 ※詩姫(PSDファイル) nias "yuuki.psd" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 226 2009/06/11(木) 05 57 08 2009/06/11 5 55 ※悠姫(PSDファイル) nias "gimel.psd" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 226 2009/06/11(木) 05 57 08 2009/06/11 5 55 ※ギメル(PSDファイル) nias "lanvem_nim.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 229 2009/06/12(金) 02 54 13 2009/06/12 2 53 ※青鴉 nias "sae_leina.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 239 2009/06/13(土) 11 00 15 2009/06/13 10 58 ※紗枝(レイナ着用)と青鴉 nias "sae.psd" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 239 2009/06/13(土) 11 00 15 2009/06/13 10 58 2009/06/13 10 59 ※紗枝(PSDファイル) セレン=アルバザード "melidia_alis.jpg" 人工言語アルカ 文学資料 2009/07/13 (月) 09 29 02 ※『夢織 秋』の表紙。nias氏のsae_leina.pngを加工したもの nias "yuuki2.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ2 372 2009/09/09(水) 06 43 42 2009/09/09 6 40 ※悠姫2 ねこの郵便屋さん セレン=アルバザード "luni1.jpg" 人工言語アルカ しあとルニの出会い 2008/09/10 21 49 45 ※しあとルニの出会い セレン=アルバザード "luni2.jpg" 人工言語アルカ ねこの郵便屋さん 2008/09/10 21 50 36 ※ねこの郵便屋さん セレン=アルバザード "luni3.jpg" 人工言語アルカ いってらっしゃい 2008/09/10 21 51 32 ※いってらっしゃい 人工言語アルカ板 Kakis Erl Sax slez_t_arka.jpg 人工言語アルカ板 2008/07/22 11 35 ※人工言語アルカ板の最初のヘッダー画像。絵はarka01ににあるunilei5による。使用フォントは明朝lutiaなど Kakis Erl Sax slez_t_arka2.jpg 人工言語アルカ板 2008/07/22 21 59 ※人工言語アルカ板の背景に使おうとしたが結局使わなかった。使用フォントは明朝lutia Kakis Erl Sax slez_t_arka3.jpg 人工言語アルカ板 2008/11/27 20 15 ※人工言語アルカ板の二代目のヘッダー画像。絵はlein_ji.png。使用フォントは明朝hailen, 恋文ペン字、明朝taphacである。 Kakis Erl Sax slez_t_arka4.jpg 人工言語アルカ板 2008年11月28日、18 21 20 ※人工言語アルカ板の三代目のヘッダー画像。明朝hailenの修正に伴い直した。 Kakis Erl Sax slez_t_arka5.jpg 人工言語アルカ板 2008年11月28日、20 41 56 ※人工言語アルカ板のヘッダー画像。実際には用いられることはなかった。元画像はmitora.png。フォントは明朝manahac、富士POPなど Kakis Erl Sax slez_t_arka6.jpg 人工言語アルカ板 2008年12月1日、22 27 00 ※人工言語アルカ板の四代目ヘッダー画像。元画像はlein_uniuni.jpg。フォントは明朝manahac、富士POP、明朝taphacなど 『アリスのアトリエ』 セレン=アルバザード "alis_pul.jpg" 人工言語アルカ axlei851 2009/07/06 (月) 06 26 36 ※アリス=アンシャル (白黒) セレン=アルバザード "alis_asp1.jpg" 人工言語アルカ axlei851-2 2009/07/06 (月) 10 52 24 ※アリス=アンシャル セレン=アルバザード "alis_asp2.jpg" 人工言語アルカ axlei851-3 2009/07/06 (月) 12 53 06 ※アリス=アンシャル セレン=アルバザード "alis_arzon11_lis.jpg" 人工言語アルカ axlei853 2009/07/08 (水) 19 44 12 ※『アリスのアトリエ』の表紙絵 セレン=アルバザード "alis_arzon12_lis.jpg" 人工言語アルカ axlei853 2009/07/06 (月) 12 53 06 ※『アリスのアトリエ』の表紙絵 luka t'arkatis Kakis Erl Sax "k-ixm0912091.gif 録霊徒然草 なんとなくお絵かきだよ。 2009/12/10 16 07 作成 ※"luka t'arkatis"イメージイラスト 1 Kakis Erl Sax "k-ixm0912092.gif 録霊徒然草 なんとなくお絵かきだよ。 2009/12/10 16 10 作成 ※"luka t'arkatis"イメージイラスト 2 Kakis Erl Sax "k-ixm0912093.gif 録霊徒然草 なんとなくお絵かきだよ。 2009/12/10 16 16 作成 ※"luka t'arkatis"イメージイラスト 3 漫画 ねこにっき 登場人物 セレン=アルバザード "xia.jpg" 人工言語アルカ しあ 2008/09/28 19 21 27 ※しあ(ねこにっき) セレン=アルバザード "miifa.jpg" 人工言語アルカ みーふぁ 2008/09/28 19 33 43 ※みーふぁ(ねこにっき) セレン=アルバザード "yuule.jpg" 人工言語アルカ ゆーれ 2008/09/28 19 40 50 ※ゆーれ(ねこにっき) セレン=アルバザード "feel.jpg" 人工言語アルカ ふぇーる 2008/09/28 19 49 20 ※ふぇーる(ねこにっき) セレン=アルバザード "liiza.jpg" 人工言語アルカ りーざ先生 2008/09/28 20 01 11 ※りーざ先生(ねこにっき) セレン=アルバザード "palue.jpg" 人工言語アルカ ひだまり 2008/09/28 20 06 08 ※ひだまり(ねこにっき) 本編 セレン=アルバザード "unilei1.jpg" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/09/20 8 46 GMT ※『ねこにっき』 「おぼえてるよ」 セレン=アルバザード "unilei2zomk.jpg" 人工言語アルカ axlei563 2008/09/21 8 14 GMT ※ねこにっき2の下書き セレン=アルバザード "unilei02.jpg" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/09/21 8 11 GMT ※『ねこにっき』 「転校しなくちゃ!」 セレン=アルバザード "unilei1.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/09/28 8 45 GMT ※『ねこにっき』1 「おぼえてるよ」 セレン=アルバザード "unilei02.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/09/28 8 45 GMT ※『ねこにっき』2 「転校しなくちゃ!」 セレン=アルバザード "unilei3.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/09/28 8 45 GMT ※『ねこにっき』3 「魔法少女ユーレちゃん」 セレン=アルバザード "unilei04.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/10/05 2 42 GMT ※『ねこにっき』4 「現実織」 セレン=アルバザード "unilei05.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/10/12 6 28 GMT ※『ねこにっき』5 「19.5cm」 セレン=アルバザード "unilei06.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/10/19 6 25 GMT ※『ねこにっき』6 「ひだまり」 セレン=アルバザード "unilei07.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/10/26 1 20 GMT ※『ねこにっき』7 「よく受かったね」 セレン=アルバザード "unilei8.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/11/02 10 44 GMT ※『ねこにっき』8 「いやちょっと引き算しようかとorz」 セレン=アルバザード "unilei9.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/11/09 0 12 GMT ※『ねこにっき』9 「♪大人の事情~ 」 セレン=アルバザード "unilei10.png" 人工言語アルカ ねこにっき 2008/11/16 9 12 GMT ※『ねこにっき』10 「牛乳に相談だ 」 紫苑の書 nias "xalexion.png" 人工言語アルカ板 雑談スレ 424レス 2008/09/20 20 14 GMT ※Comic Studioの体験版使用の『紫苑の書』の漫画。"lein! lein!"のシーン。 写真 光景追憶については光景追憶資料を参照 セレン=アルバザード "nalta.jpg" 人工言語アルカ axlei768 2009/04/14 (火) 14 45 08 ※naltaの語源になった道 最上位標目 資料集 上位標目 新生アルカ資料集 同位標目 新生アルカ言語資料 新生アルカフォント資料 新生アルカ辞書資料 新生アルカ方言資料 新生アルカ文学資料 光景追憶資料 新生アルカ絵画資料 新生アルカその他資料 地図資料 新生アルカ音声資料 新生アルカ動画資料 下位標目 古期絵画資料
https://w.atwiki.jp/atohone/pages/46.html
高位北国人+名パイロット+黒い舞踏子+ブリザードパイロット 高位北国人+名パイロット+黒い舞踏子+ブリザードパイロット設定文あるいは後ほねっこにおける日常の一幕 おまけの3コマ漫画+衣装デザイン+特別画像3つ 一般性能開示チェック用URL 設定文あるいは後ほねっこにおける日常の一幕 六つ斑飛行場の近く、稼業を終えたパイロットや整備士たちが集まる店がある。 ネオンと言うには慎ましい看板が点滅し、アスファルトをピンクや青に染めている。 「えっと、ここで良いのかな?」 たらすじは軽トラックの荷台から降りると、ローブのフードを跳ね上げる。 ぶんぶんと頭を振って灰色がかった白い髪を整える。 空色をした瞳が何となく不安げにその店をのぞき込んだ。 「航路さーん、歓迎会の集合場所……。ですよね、ここ」 答えるように軽トラックがばうんとはね、ぷしゅうと排気を漏らした。 そして、ドアが開きごろごろと転がりだしてくる有象無象。 「ぎゅむー、シートに乗ってたのに荷台のジャガイモみたいな心持ちですよう」 海の色の瞳、人の良さそうな魔法使いが立ち上がって土埃を払う。いも子である。 「む、く。飛行場の備品予算、そんなにけちってないのになぁ」 黒みがかった銀色の髪から埃を落としくしゃみを一つ。これはヤサト。 「ご、ごめん。車がまさかこんなにひどいとは」 運転席から降りてきたのは、2人とは異なるイエロージャンパー姿の航路。 航空用腕時計を見やると予定時刻の3分前、ギリギリセーフと言ったところ。 「書記官さんがいってたのは、このゲームセンターだと思うけど……」 そう言って4人は店に足を踏み入れた。 真っ先に気がつくのは、雑多な喧噪、耳を聾する電子音である。 どうやら間違いはないようで店の中には幾人も略帽やイエロージャンパー姿のパイロット達がいる。 壁際にピンボールが4つ、奥には三面連結モニタの大型筐体にレースゲームが並んでいる。 クレーンゲームやコインゲーム、プリクラなどは一切ない。 ついでに言うなら、色っけもにぎやかさもない。 世にはアミューズメント・センターなどの言葉もあるというのに、真っ向昔懐かし、ちょっといかがわしのゲームセンター。 いわゆるゲーセンだった。 「あ、『式神の城III』が稼働してるー」、「へー50円台なんてあるんだ」 置いてあるゲームの年代は幅広く、20年前のゲームすら現役稼働だった。 シューティング、アクションが多く対戦格闘は少なめ。 見れば壁には各ゲームのハイスコアが記されている。どうも月間で集計しているらしい。 眺めているうち航路はあることに気がつく。ランカーの名前に見覚えがあった。というか、これはコールサインである? 「ASIAって亜細亜ちゃんだよね?」「じゃあ、この最上位を独占しているFBKって、吹雪先生?」 「正確には、吹雪先生の奥さんだがな」 疑問に答えたのは、ほねっこの古強者Millbackだ。日に焼けた肌でにやりと笑う。 「あの車で無事たどり着けたか、おみごと」 と、ちょうど店の奥、パイロット連中がたむろっている一角で歓声が上がる。 どうやらケリがついたな……。 そう呟くとMillbackはたらすじ、航路、いも子をぐいぐいと引っ張ってゆく。 奥にあるのは、シートのついた大型筐体だった。 2台並んでおり、壁の大型スクリーンに画面が映し出されている。 到着した仲間を認め、藩王火足水極はにっかと笑って手を振った。 「よーう! 間に合ったな。これなら、歓迎会の前にランキング作れそうだ」 どーんと爆発音がして、大型筐体がゆれ、中からユーラが放り出されてくる。 ご丁寧だかなんだか、とんがり帽子をかぶせられ首からは“脳みそ半分飛びましたー”とカードがぶら下がっている。 「は、藩王。これ、実戦よりも難しくないですかっ!」 「ふふふ、星鋼京のI=D博物館で試作されてるの借りてきた特別製だからな。 筐体は実機のコクピットをそのまま利用し、描画エンジンや感覚フィードバックはシミュレータに手を入れた究極のゲームマシン! 子供の頃の夢今ここに、大人の力で復活! これが本当の大人買いってヤツだっ!!」 返答に困る航路、たらすじ、いも子。だからどーしろと? 「というわけで、歓迎会の前に各人の腕前を披露してもらおうっ! ふふふ何人生き延びることができるかなぁッ。規定点数に届かなかったヤツは航空基地で一週間の集中訓練をプレゼント!」 「「えええええ~~~ッ!」」 「そ、そんな。よりによって12ターン対応でパイロット外しているときにこんなことやんなくたってッ!」 だがしかし、藩王の命令は絶対。 こうして強制訓練にかり出されるか否かのデスゲームが始まった! 「ぎゃぼー」ヤサト、3面のほねっこ攻防戦にて撃墜。 「うぎゃー」たらすじ、3面の対白オーマ戦にて撃墜。 「わーん」いも子、同じく白のボラー戦にて撃墜。 「どうしたどうした! 根源力即死がないんだぞう、良いとこ見せてみろ!」 当時ボラーを見ただけで撤退した藩王が言えた台詞ではないのだけど調子に乗った馬鹿は止まらない。 まして、アーケードゲームのシューティング・ゲーム、3面以降は難易度が上がるのである。 「くっ、さすがにこれはッ!」航路、4面ダンジョンでダンボール無双中にエネルギー切れ。撃墜。 「っと、ケントなんて久しぶりだ」Millback、5面宇宙戦にて撃墜。 「ははは、どうしたどうした? だらしないぞみんな!」 自分が勝ったわけでもないのに勝ち誇る藩王、三下悪役ムーヴが板についてしまっている。 設定国民に見られたなら、それだけで国民流出が始まりそうな勢いである。 『……駄目だこいつ、早くなんとかしないと』 誰もがそう思った時、バンと店の扉が開いた。 その数は3人。 色鮮やかなイエロー・ジャンパーに濃紺の宇宙軍制服。 しかし、カスタムにカスタムを重ねた制服はもはや、本来の目的。画一化された威圧的なシルエットを備えていない。 裾の各所にレースをあしらい、上着と言うよりもビスチェというのがふさわしい。 しなやかな肢体がえがく美しい稜線、それを鋭角に彩る装いはあくまで挑発的。 「これ以上馬鹿な振る舞いは、たとえ藩王と言えど許しません」 短く切りそろえたプラチナブロンドに白磁の如き肌、その下から覗く頭環は高位北国人の証。 ショートパンツのボーイッシュな姿は凛々しく可憐。 「くーるしゅーたー、深夜。見参」 「しばらく秘書官業務で留守にしてたら……さぁ、どうしてくれましょうか?」 ウェーヴした髪を掻き上げ、ぎらりと目を光らせる。黒ストはデキる女の証。 「ひーとぶらすたー、南天。推参」 「え、えっと、無理を言うのは良くないんじゃないかと」 あふれる黒髪にちょこんと略帽を乗せ、かなり恥ずかしそうにもじもじしながら登場したのはニーソックスの後藤亜細亜。 問答無用、後ほねっこ男爵領のヒロインである。だが、何か言いかけて、口ごもる。 「ほら、亜細亜。教えたでしょう? 決める時に決めるのがヒロインってものよ! いいからやってあげなさい。ここは紳士の社交場、ルールを守って楽しくゲーム……」 うしろから、声を掛けるのはほねっこ最強の存在、吹雪先生の奥さんである。 「く、くいっくさんだー、亜細亜。参上」 そう言って真っ赤になる亜細亜。 そして後ろで満足げにうなずく吹雪先生の奥さんは、びしいっ、と火足水極を指さし言った。 「コイン一枚の前には地位も名誉も関係ないっ。 国王相手だからといって、弾のスピードが落ちる? 自機のボムが増える? 残り時間が増えたりする? しないわ、それが紳士の社交場ゲームセンターの掟。 そこにパワハラを持ち込むなんて、たとえ天が許しても私が許さないッ!」 「ああっ、あれは!」 「み、ミセス・ブリザードッ!」 「この間、50円三枚で3時間粘ってハイスコア全部書き換えていった!」 「ショットボタンが連射に耐えきれず砕けたって言うぜ」 「定規つかって連射してたヤツがフルボッコにされたって」 「やり過ぎてほねっこ城市のゲーセンすべて出禁になったんだろ」 「だから、こんな地の果てまで」 「かわいそ「ぐべらっ……!」 丁寧に紹介してくれたパイロット達、最後の言葉が不明瞭だったのは投げられた椅子を顔面でキャッチする羽目になったからだ。 『だれか吹雪先生に言いつけたほうがいいのでは』 摂政ユーラは言葉を飲み込む。その思慮が彼をここまで命長らえさせてきた。 だが、摂政という外付け良心の沈黙が馬鹿の増長を導く。 「ほほう、奥さんといえども藩王に向かってそのもの言いは無視できませんな? これはパワハラではありませんよ。そう、いうならば友愛のためのテストです、テスト。 いかがですかな? 一勝負」 「だ、だめだ。みんなっ…!」 航路が叫ぶ。 「このゲーム、普通のゲームじゃあ、ない! 途中から、敵の量がッ」 吹雪先生の奥さんはフンと鼻を鳴らす。 「その程度の勝負、あたしが出るまでもない。 あたしの弟子達“ブリザード・パイロット”なら、あのおとなしい亜細亜だって勝てるわ」 (注:ブリザード・パイロットは奥さんからの派生ではありません) 「えええええっ! そ、そんな?」 驚く亜細亜。 「いえ、亜細亜ちゃんが出るまでもないわ。 あの馬鹿藩王には少しばかり熱いお灸を据えてやる必要があるわね」と南天。 「南天さん、この責任まずは留守を預かっていた僕たちに任せてください」 すっくと立った深夜が筐体の前に立つ。 ちーん、音を立てて弾いたコインが、すっぽりと投入口に吸い込まれ「Player 1」と表示が出る。 「勝負です、藩王!」 「む、地上面であえて機体はケントを選ぶ?」 「高速一撃離脱機体で市街戦をクリアする気か?」 一面は地上戦、高速機体の取り回しは困難。そのはずだった。しかし、 「な、なんて精密な操作なんだッ!」 「あの猛攻に全然ひるむ様子がないぞ?」 「まるで精密機械だ」 「つ、冷たい。機体の動きに迷いもためらいもないっ?」 「いや、でも」たらすじが呟く。 「ここから、地獄が……!」 「「こ、これはっ!」」 お前らパイロットやめて解説で飯を食えとツッコまれそうなくらい息のあった掛け合いを続けていたギャラリーが息を呑む。 弾が六分、敵が三分、でたらめといっていい画面である。無理だ、誰もが思った。 「できるわ、ブリザード・パイロットなら」 にやりと笑う吹雪先生の奥さん。そのときギャラリーは信じられないモノを見た。 「ああっ、深夜が逆立ちしているッ!」 「なんであんな無理のある体勢で?」 「待って、あのジョイスティック捌きは」 「そうか、体重移動だ? 全身の体重移動がスムーズな機体操作を可能にしているッ!」 一つ、二つ、三つ。着実に敵を落としてゆく。 深夜、ブリザード・パイロットの面目躍如といったところである。 だがしかし、火足水極は蛇のように笑う。 そして高指向性スピーカーで深夜の耳にだけ届く言葉をささやく。 『ヤガミとは一体何があったのかな?』 「な!?」 瞬間、掌に溢れ出す汗。精妙なコントロールと体勢維持、それを崩すには十分な汗。 爆発音と共に、深夜が放り出される。三角帽で首には“マヌケここに眠る”のボード。 「おやおや、口ほどにもないようですなぁ」 けきょけきょとわらう藩王。突然の不調にはギャラリーは誰も気づかない。 しかし、ブリザード・パイロット達の顔には緊張が走る。 「く、ごめん。みんな!」悔しがる深夜。 その肩を叩いて、南天がステージに上る。 「大丈夫。仇は討つ」 選んだ機体はフェイクトモエリバー。宰相府でも扱った南天の愛機である。 ステージは空中迎撃。高空の覇者を駆って、破滅の炎をまき散らす。 大空の暴君のゆくところ敵は四散し、崩れ落ちる。 まさに破壊、蹂躙、大打撃。玉砕、粉砕、大喝采。といった有様。 「まるで、業火が機体の姿を取っているみたいだ……」呟くのはヤサト。 が、爆炎の中から敵機が一つ。高速機体の出現によりドッグ・ファイトに突入する。 そのとき、南天の目がぎらりと光り額の第三の目が覚醒した(ように見えた)。 風に気がついたのはいも子だった。『空気が、集まっている!?』 その感じ方は正しい。室内にもかかわらず、渺々と吹き付ける風がステージに向かって、いや、南天の筐体に向かって集まってゆく。 「こ、これは一体?」ここぞというタイミングで疑問を口にするたらすじ。 待ち構えていたように解説に入るのはMillbackである。 「上昇気流だ。南天の高速スティック捌きが熱を発し、上昇気流を生み出しているんだ!」 見よ、筐体の上には陽炎がたなびき、風が南天の周りを渦巻いてゆく。 カッと目を見開いた時、南天の体は上昇気流に乗って羽のように舞い上がる! 「な、なんて早いレバー入力!」 「そうか、空中浮揚によってレバー操作にかかる荷重を軽減してるんだ」 「羽毛が触れても動きを拾うほどに鋭敏なレバー操作だ!」 「なんて離れ業なんだ」 「み、見える。羽のように舞うフェイクトモエが!」 敵機を翻弄するフェイクトモエ。 その挙動はまさしく帝國が誇る翼にふさわしい。 だが、その操縦者の耳にまたも悪魔のささやきがきこえてきた。 『なぁ、南天さあ。さすがに現役女子高校生とならんでへそ出しって、年齢考えるとイタくないか?』 大ゴケした。 どっかーん、これは画面で機体が爆発する音。 べちゃ、これは南天が顔から筐体に落下した音。 それこそ、どっかのコントかなにかのように南天は見事なコケを披露し顔からスティックに突っ込んだ。 さすがの大惨事に、強者揃いのパイロット達も一瞬沈黙である。 ああ、アレはイタい。顔も、指摘も何もかも。 哀れ南天、三角帽で放り出される、首のカードには「ぽんぽん冷やしちゃいけません」 まるっきり子供扱いの恥辱である。 「ふふふ、口ほどにもないな南天。あとで、毛糸の腹巻きを医療費として予算計上しておいてやる」 得意絶頂、カリスマウナギ下がり。新国民歓迎の意味が全くなくなっている。 「こ、このままでは藩国の恥部がッ」焦るユーラ。 「大人げない、いろんな意味で大人げないッ!」ため息をつくMillback。 そして藩王は、唇を噛む吹雪先生の奥さんに語りかける。 「ブリザードパイロット。残るは亜細亜ちゃんのみか? どうです、そろそろ伝説のFBKが出ないと話にならないのでは?」 サンダルのまま前に出て、エプロンからがま口を取り出す吹雪先生の奥さん。 ギャラリーにざわめきが走る。 「つ、ついにFBKがッ!」 「どんな技を見せるんだ?」 ――だが、そのとき。 「……亜細亜?」 「やります」 一念発起。きりりと唇を引き締め、亜細亜はコインを弾いた。 「私が今まで遊んできた、このゲーム。絶対に負けない! ゲームでの戦いは、退かない!」 “Player 1 Entry!” 合成音声が弾幕舞踊の始まりを告げた。 「選択機体は、ダンボールか」航路が呟く。 シールドの量が多く、若干の被弾も許される。 何よりも低スピードで扱い易い。初心者向けの機体だ。 クリア重視の自機選択である。 ボムのじょり丸ファイアーも他の機体にくらべて一発多い。 「で、でも。あのゲームにおいてダンボはあくまで操作の習熟に使う機体じゃ」 たらすじが初心者騎士団での経験をもとに指摘。 「そ、そうだよ。銃砲は他に負けちゃいますよ」これはいも子。 その通り、火砲の充実性と機動性では他の機体に一歩劣る。ボス戦までの道中をパターン化していないと、辛い。 「フ、そうね。確かにみんなそう考えるわ」 不敵に笑う吹雪先生の奥さん。 「でも、このゲームでのダンボールの価値は火砲によらないわ」 「白兵戦?」ユーラが弾かれたように顔を上げる。 「たしかにこのゲーム、ダンボの白兵戦は強化されてます。けどっ!?」 「確かに、ダンボは白兵戦で性能を示した。 けれどアレは、陣地形成ができてたり、戦う場所を選べたからだ」 かつてダンボ無双を成し遂げたMillbackが冷静に指摘する。 「まず間合いに入らなければならない。弾幕を避けて敵の懐に入るなんて、そう簡単にはできない」 「どうかしら?」 「中ボス撃破!」 「一面ボスが来た」 「うわああ、すごい極太レーザーだ」 「避ける隙間がないぞっ」 「ああっ、亜細亜ちゃんが飛んだ!」 驚くギャラリー。 そう、確かに亜細亜はいま筐体の前で高く飛んだ。 そして、上空で両の手の甲をクロスし、一気に振るう。 電流火花がスパークし、ダンボールの動きが加速する。 「な、なんだ! あの動きは」 「ダンボールが、敵のレーザーをすり抜けている!?」 「いや、瞬間移動しているッ!」 「ダンボールが稲妻のようだ!」 「そう、あれこそがブリザード・パイロット奥義の一つ、ライトニングサンダー!」 「静電気干渉でゲームの基盤に直接干渉、自機のあたり判定を一瞬消失させるという荒技ですっ!」 拳を握り、三角帽子のまま解説する南天と深夜。 「……それってやっぱりチートなnごぺらばっ」 吹雪先生の奥さんの裏拳がヤサトの指摘に強制介入する。 というか、定規連射で人をボコにした人間があの技にはOKってどうなのよ。 「馬鹿ね、道具を使っていない以上、アレは技なのよっ」は、すみません。 亜細亜のダンボールは敵ボスに肉薄、スコップの打ち込みが唸り高速撃破する! ギャラリーの興奮は極大に達した。 「くぅ、このままではいかん」 二面、三面も着実に撃破されてゆき、スコアの伸びも順調。 まさか亜細亜がここまでやると思っていなかった藩王火足水極、亜細亜の弱みなど抑えてはいなかった! 「こうなったなら……!」火足水極は、もう一つの筐体に乗り込み、レバーでコマンドを入力する。 「↑↑↓↓←→←→BABAっと、エクストラステージ、後ほねっこ宮殿!」 ヴィーッ、ヴィーッ、ヴィーッと警報ブザーが鳴り、画面には”Caution!! Gate Open!”の文字。 「ええっ、一体何が?」とまどう亜細亜。 すると画面がぐにゃりと曲がり、ダンボールがそのゆがみに吸い込まれていく。 「こ、これは?」 「ゲートが開いた?」 「この場所は……」 「王城だ!」 その通り。 スクリーンに描かれたのは新王城、なじみ深い後ほねっこ男爵領の町並みである。 粉雪舞う王宮、その真正面に立つのは異形の大型I=D。 ハリネズミのように火砲を備えたそれは、禍々しい砲塔を亜細亜の駆るダンボールに向ける。 「ここまでやるとは、さすがといってやろう。しかし、この私に勝てるかな?」 雪の中から出てくる敵、敵、敵。 大型I=Dの援護射撃を受け、あまたの敵機がダンボールに集中する。 「ふははは! どうだ、怖かろう!!」 あっという間に、緊急回避にボムが費やされ、シールドが減ってゆく。 まがりなりにもクリアを前提に構成されているステージとは異なり、このエクストラ・ステージは藩王の思うがまま。 バランスなど知らぬとばかりに大口径レーザーと誘導ミサイル、浮遊機雷がばらまかれる。 「だ、駄目だ!?」 「残機ゼロ!」 のこるは、画面上一機のみ。 「か、勝てないの?」 呆然とスクリーンを見る亜細亜、そのとき吹雪先生の奥さんが叫んだ! 「亜細亜、忘れちゃ駄目。あなたは1人で戦ってるんじゃない! 確かに筐体の前では1人よ、でもその後ろにあなたの後ろに何人もの仲間がいるの! それを思い出して!」 「くっ」亜細亜は飛んだ、腕をこすり静電気干渉を起こす。 「ふはは、ライトニングサンダーで操作できるのはせいぜい一つの基盤! 二つの基盤に効果を及ぼす電気を腕の振りだけで起こせるモノか! そうれ、後一捻りッ!」 そのとき、ごうと風が吹いた。 「ああッ、あれは!」 「筐体の上に黒雲が?」 「雷雲だッ! なんでこんな所に?」 「深夜の『冷気』と南天の『炎』その強烈な温度差がさっき風を呼んだ。 けれど、亜細亜のオーラがさらにその風を局地的な低気圧とし、積乱雲を作り上げた!」 状況を分析するMillback。 「なんてこった、こんなことが可能だなんて!」 「聞いたことがあります」ユーラが続ける。 「かつて、夏の同人誌即売会中、参加者の熱気が建物の中に雲を作ったことがあるとか」 「今この場の熱気があれば、それくらいのことは可能よ」三角帽子のまま南天が言葉を裏付ける。 ――そう、1人じゃない。 亜細亜の瞳に星が映った。その輝きは、仲間達の信頼の輝き。ゲームに賭けた青春の輝き。 「今よ! 亜細亜、あなたならできる。あのわざを!」 空気がイオン化し、雷鳴がとどろく。 亜細亜の作り出した静電気が二つの筐体に雷撃の道筋を開く。 そして、迅雷の閃光が荒れ狂った! 「ライトニングサンダー……スパークノヴァ!!」 静電干渉場は局地的落雷を呼び、その落雷は火足水極の筐体をも撃った。 「見ろ、ダンボールのスコップが!」 「稲妻を受けて長く伸びてるッ!」 「まるで稲妻の大剣だ」 「く、いかん。まさかここまでの大出力とはッ」離脱をはかる大型I=D。 が、火足水極の操作が一切受け付けられない。 「ま、まさか? 静電気干渉でこちらの操作を奪うなんてッ」悲鳴を上げる火足水極。 「いきますッ!」 神速の踏み込みでダンボールが大型I=Dを捕らえる。 残像を残し、まるで数体ものダンボールがスコップを振るっているかのようだ。 その道筋に触れた敵機はそれだけで爆発し花道を飾った。 棒立ちになった大型I=Dのシールドが瞬くうちに削られた。 そして、轟音。 ”Enemy Defeated!” 静電干渉は筐体の射出システムにも及んだのか。 数倍の強さで放り出された藩王はゆっくりと宙を舞った。 「あれ、おかしいな。負けたのか。ここまでやって……」床に激突するまでの数瞬を火足水極は呆然と眺めた。 眼下で沸き立つパイロット達、藩国民達。そして、やはり空中にいる一足先に着陸する亜細亜。 愚王は見た、亜細亜の絶対領域、ニーソックスとスカートの間が作り出す聖域が、 今まさにこのアングルからのみ鉄壁の守りを崩そうとしているのを。 吹き飛ばされたこの角度、この位置、この高度からのみ、宙返り中の亜細亜の絶対領域のその上のあのロマンが ええと良いのかこれうわ見える見えるもう少しもう少し神様お願いあと数秒です風よ吹け嵐よ起これ後一吹きで ちらっとぴらっと見えそでみえない桃源郷が青春の1ページが甘酸っぱい記憶が…」どべちゃ」 この設定文がピンクの設定文として没になる直前、世界の善意が藩王の意識を刈り取った。 火足水極はゲーセンの屋根に頭を突っ込んで奇怪なオブジェのようにぶら下がった。 “Mission Complete!“、“Extra Stage Clear!“ 後ほねっこ男爵領、新着用アイドレス。 “高位北国人+黒い舞踏子+ブリザードパイロット+名パイロット”の華々しいデビューはこうして幕を閉じた。 その後のどたばたはみらのが連れてきた吹雪先生によって収拾された。 これにより藩王は一週間ほど首にギブスを巻くだけで済んだ。 吹雪先生が間に入らなかったら、12Tの外交団参加も危うかったろう。 危ういと言えば、ブリパの格好をしようとした奥さんに 「へそ出しする年じゃ……云々」を口にした誰かが藩王に隣に同じようにぶら下がったり、 みらのが亜細亜にゲーム勝負を挑んだりしたけどそれはまた別の物語。 たぶん、今日も後ほねっこ男爵領は平和である。 おまけの3コマ漫画+衣装デザイン+特別画像3つ 【文:火足水極 絵:南天 衣装デザイン:いも子 ページデザイン:ユーラ】 一般性能開示 L:ブリザードパイロット = { t:名称 = ブリザードパイロット(職業) t:要点 = 星の瞳,逆立ち,見えそうで見えない下着 t:周辺環境 = ゲームセンター t:評価 = 体格3,筋力3,耐久力3,外見2,敏捷3,器用2,感覚2,知識2,幸運1 t:特殊 = { *ブリザードパイロットの職業カテゴリ = ,,派生職業アイドレス。 *ブリザードパイロットの位置づけ = ,,パイロット系。 *ブリザードパイロットのパイロット資格 = ,,搭乗可能({戦車,I=D,航空機,RB,宇宙艦船,水上艦船})。 *ブリザードパイロットの搭乗戦闘補正 = 搭乗,条件発動,(乗り物に搭乗して、戦闘する場合での)全判定、評価+2。 } t:→次のアイドレス = ブリザードアイ(職業),雪の魔女(職業),牧原輝春(ACE),ブリザードマシンの開発(イベント) } /*/ L:黒い舞踏子 = { t:名称 = 黒い舞踏子(職業) t:要点 = 細い手足,宇宙軍制服,黒い肌 t:周辺環境 = 船内 t:評価 = 体格2,筋力2,耐久力3,外見4,敏捷3,器用2,感覚2,知識1,幸運2 t:特殊 = { *黒い舞踏子の職業カテゴリ = ,,派生職業アイドレス。 *黒い舞踏子の位置づけ = ,,{パイロット系,コパイロット系,舞踏子系,義体系}。 *黒い舞踏子の性別制限 = ,,着用制限(性別:女性)。 *黒い舞踏子のパイロット資格 = ,,搭乗可能(I=D)。 *黒い舞踏子のコパイロット資格 = ,,搭乗可能(すべて)。 *黒い舞踏子の搭乗補正 = 搭乗,条件発動,(I=Dに搭乗している場合での)全判定、評価+3。 } t:→次のアイドレス = ジジとその飼い主(ACE),超大型I=Dの開発(イベント),ウイングオブアジア(ACE),ヤバイ医薬品(アイテム) } /*/ L:名パイロット = { t:名称 = 名パイロット(職業) t:要点 = 略帽,イエロージャンパー,航空用腕時計 t:周辺環境 = コクピット t:評価 = 体格-1,筋力0,耐久力0,外見1,敏捷0,器用1,感覚1,知識1,幸運-1 t:特殊 = { *名パイロットの職業カテゴリ = ,,派生職業アイドレス。 *名パイロットの位置づけ = ,,パイロット系。 *名パイロットのパイロット資格 = ,,搭乗可能({I=D,RB,航空機,水上艦船,宇宙艦船})。 *名パイロットの搭乗戦闘補正 = 搭乗,条件発動,({I=D,RB,航空機}に搭乗して、戦闘する場合での)全判定、評価+1。 } t:→次のアイドレス = 小さい舞踏子(職業),金髪舞踏子(職業),ホープ(職業),エリザベス・リアティ(ACE) } /*/ L:高位北国人 = { t:名称 = 高位北国人(人) t:要点 = 涼しげな服装,白い肌で美しい人材,白い髪,頭環 t:周辺環境 = 雪の中の王宮 t:評価 = 体格2,筋力2,耐久力0,外見2,敏捷0,器用0,感覚1,知識1,幸運0 t:特殊 = { *高位北国人の人カテゴリ = ,,高位人アイドレス。 *高位北国人の根源力制限 = ,,着用制限(根源力:25001以上)。 *高位北国人のイベント時食料消費 = ,条件発動,(一般行為判定を伴うイベントに参加するごとに)食料-1万t。 } t:→次のアイドレス = 呪術師(職業),吟遊詩人(職業),船乗り(職業),藩王(特別職業) } チェック用URL HQボーナスと適用範囲 SHQ 感覚+2
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6692.html
前ページ次ページゼロの黒魔道士 ピコン ATE ~とどかぬ想い~ 「――以上のように、建造物の破損、倒壊はかなりの件数にのぼりますが、住民の被害は軽微と言ってよろしいかと」 ラ・ロシェールの火災は、王宮から派遣された水メイジの手により沈静化していた。 その筆頭に立ったのは“波濤”という二つ名がして知られるモット伯であり、今報告を行ったのも彼だ。 艦隊が煉獄の炎を伴い落ちてきたことによる家々の崩落と火災は、駆け付けたトリステイン王軍の士気を著しく下げたが、 蓋を開けてみれば、突然の発光、爆発(この件については未だ情報が錯綜しており、正体不明となっている)によるアルビオン軍の壊滅、 及び住民の避難がほぼ完了していたことによる人的被害の軽減、 何より見目麗しくも勇ましいアンリエッタ姫殿下自身による鼓舞により、 主に残務処理となった軍の行動は着々と進んでいた。 「――軽微とはいえ、死んだ方が出たのですね……」 「おそれながら、アンリエッタ様。それが戦争かと」 と答えるものの、マザリーニ枢機卿は安堵していた。 軍人の被害は、当初の式典に参加していた者達の内に限られ、 民間人の死者は式典を危険な屋根の上や崖の傍で観覧していた無謀な輩のみだった。 数で言えば、軍・民間合わせ200人に満たない。 これはこの規模の戦闘行為から考えれば軽すぎる、とも言える。 軍人ではないマザリーニにしても、被害がここまで抑えられたことに驚嘆するしかなかった。 それは被害状況を視察に来た閣僚達も同様であった。 「被害に遭われた方、ならびにそのご遺族には国庫より何らかの保護を」 「そうなりますと今期の予算が――」 デムリ財務卿が苦言を挟む。 とはいえ、彼自身も予期していた軍事費を削れたことに胸をなでおろしていたはずだが、 それでも秋小麦収穫前の思わぬ出費は時期的に頭を悩ませることになっていた。 「我々のお給金を削るなり、必要無い予算を削ればよろしいでしょう」 「――確かに、この際ついでに不明瞭な予算を見直すのも手ですな」 「そ、そうですな。アルビオン軍が出てくることはもはや考えにくいですし――」 アンリエッタの言葉に、マザリーニが含んだ視線をリッシュモン高等法院長に向ける。 ここ数年のリッシュモンの散財ぶりが収入に合わないとする噂は耳に入っている。 流石に、高等法院長ということで易々と調査できないことから機会あればと常々狙っているのだ。 「――ところで、この街を守られた勇猛な方はどちらに?」 ・ ・ ・ ラ・ロシェールの玄関口であるビッグブリッヂ付近、そこに勇敢なる者達がいた。 「ひ、姫殿下!またご尊顔をたまわることは光栄の極みでして――」 跪く所作こそ貴族らしい優雅なものではあったが、ギーシュの身だしなみは酷いものだった。 メイジの象徴たるマントはズタズタに破け、フリルつきの特注のシャツは血と汗で汚れている。 自慢であろうハニーブロンドの髪もグシャグシャである。 しかし、それら全てが戦いを終えたという男の持つ独特の雰囲気とあいまって、戦士たる者であったことを主張していた。 「あぁ、よいよい、面をあげよ。ふむ、君だったのか。グラモン家の」 「はっ!不肖の四男坊、ギーシュ・ド・グラモンと申します!」 威風堂々とまではいかずとも、立ち上がって名乗る。 しかし、その膝は流石に疲れていたのか、笑いが止まらない様子であった。 「ふむ、そなたの活躍によりラ・ロシェールの民が守られたわけだ。いや実に素晴らしい――」 軍人であるド・ゼッサールがその髭面に似つかわしい豪胆な笑いでこの若き勇者を称える。 彼にとって、有望な若人は常に大いなる刺激であり、また期待を寄せる存在なのだ。 「あ、あの、そのことなのですが――実は私めよりもこの方が――」 「こ、こらっ、ギーシュ!?引っ張るなっ!?」 フラフラになった足取りで少年が橋の欄干の影より連れだしたのは、鎧に身をまとった妙齢の女性であった。 彼女もまた、ギーシュと同じく血と汗にまみれた良い姿になっている。 「――む、君は?」 「――アニエス、その後には何もつきませんよ」 不満たっぷりといった様子でその女は名乗った。 単純で明快な名前のみで苗字が無い。ハルケギニアにおいてその事実が示すこととは―― 「なんと、ミスタ・グラモン!?君は、君よりもこの平民の女性が活躍したとでも!?」 「えぇ、私めなどひよっ子もいいところです!しかし、アニエス先生の活躍はまさしく八面六臂! 敵をちぎっては投げちぎっては投げの大活劇!まるで紙の兵隊を相手にするような――」 まるで自分のことのように、まるで物語の英雄譚を思い出しながら語る子供のような表情で、 ギーシュがアニエスの活躍を語る表情は晴れ晴れとしており、そこには曇りは一点たりとも無かった。 「ギーシュ、やめろ。そう宣伝される武勲でも無い。第一、お前が来なければわたしは死んでいた」 頬をかき、苦い笑顔をつくりこれを聞くアニエス。なるほど、求道の武人らしく誇張を嫌う性質なのだろう。 ゼッサールは彼女が気に入り始めていた。武人の性さえあれば、男女の区別なしに気に入る彼もまた武人である。 「――ぬぬ、しかし、平民の活躍譚とあっては確かに喧伝するのは対外的に――」 これとは反対に、渋い顔をするのがド・ポワチエである。 彼は武人としてはそれなりの実力はあるのだが、身分や階級というものに固執するきらいがあり、 今回の若き者達の活躍譚も、素直に快く受け入れるだけの度量というものが無かった。 「あぁ、構いませんよ。わたしはただの平民です。以前、貴公方の警護役を務めましたが勝手にやめた無責任さですし」 アニエスの語ったことは真実である。 彼女が密かに抱いている目標のために、一時期“王宮警護官見習”という低い職を得たとはいえ、 剣士にあるまじき醜態を衆目に晒した負い目から自分探しの旅に出る際、 一言「一身上の都合で辞める」とだけ書いた封書を王宮に送りつけていた。 「――ならば、もう1度登用し、貴族の称号でも与えれば、対外的な言い訳も立ちますわね?」 「アンリエッタ様!?」 ここまでの話を、目を瞑りじっと聞いていたアンリエッタ姫がおもむろに口を開いた。 「アニエス、とおっしゃいましたわね。――此度の一連の出来事から、私どもも王宮銃士隊というものの結成を考えております。 主に、私の手足となっていただく部隊ですが――その初代隊長の任をおまかせしてもよろしいでしょうか?」 この発言は、メイジとしての地位がより重要視されるトリステインにおいては異例中の異例、前代未聞、空前絶後であった。 何より、いつも傍にいてアンリエッタのことを知るマザリーニにしても、このような計画は初耳であった。 「――身に余る光栄ですが、何か裏でも?平民の下衆な勘ぐりで申し訳ないですが」 アニエスの右目が猜疑の色に見開かれる。左目は今回の戦闘で血が少し入り、今は開けにくい状況だからだ。 「フフ、流石ですね。――貴女と同様、メイジもメイジを信用できなくなりつつあるのです」 アンリエッタの語ったことは真実である。 魔法衛士隊はグリフォン隊の隊長職であったワルド子爵の裏切り、 閣僚会議の情報が外部に流出しているらしいという伝聞、 トリステインの貴族社会は、今までに無いほど腐敗しているといっていいだろう。 ならばこそ、平民を登用し、腐った貴族達の牽制とする―― アンリエッタの狙いは施政者として的を射たものであった。 「――なるほどな。お受けするのは結構だが、大人しく飼われはせんぞ?」 そのしたたかな狙いを感じ取ったアニエスが不敵に笑う。 その狙いの意味するところは、彼女の密かな目標と合致するものではあるが、 貴族という存在を嫌う彼女としてはただの尻尾をふるだけの飼い犬になる気はサラサラ無かった。 「――貴様、先ほどから不敬にも程があるぞっ!!貴様のような平民が――」 ポワチエが吼える。もちろん、不敬であることを咎めるわけではない。 彼は危機感を抱いたのだ。平民を登用し、自分と同等以上の地位に上げられてしまうという事実に。 しかし、彼の咆哮はアンリエッタ自身の手により制止されてしまった。 「結構でしょう。フフ、貴女のような方と共にいれば、私も強く見えますかしらね?」 「――いえ、噂よりお強い姫様にはわたしなど不要でしょう」 「貴女ほどではありませんわ」 力強い笑みを浮かべる二人の若き女性の姿に、今は亡き前王の姿を重ね、 あの幼き娘が立派になられたと、マザリーニは1人歓喜の涙を心で流していた。 「ギーシュっ!!」 「やぁ、愛しのモンモン、無事だったグホブァっ!?」 それは、ただのパンチというには、あまりにも重い一撃であった。 走りながらの前傾姿勢、そこから生まれるダウンフォースは、重力というものを味方につける。 沈んだ体から放たれた右手は、自然のままにひねりが加えられていた。 そう、彼女の髪の毛と同じく、螺旋の軌道を描いて定めた目的点に到達した。 定められた到達点、そこはギーシュの肋骨の稜線の合わさる地点、 東方医学においては水月、すなわち鳩尾と言われる部分であった。 全てが本能のままに、自然に。 それは古に生きる肉食獣、虎をも戮すとされた拳、 “タイガーブレイク”とも呼ばれた技であることを、殴った本人すらも意識していなかった。 まさに天賦の才。ナチュラル・ボーン・ファイターとはこのようなことを言うのだろうか。 ゼッサールはそれを見逃さず、小さく「ほぅ」と感嘆の声をもらした。 「バカバカバカバカバカっ!!何勝手に突っ込んでるのよっ!!」 「あ、あの場で逃げてはカッコ悪いじゃないクベラッ!?」 その生来生まれついた格闘センスでもってひたすら殴り続けられるギーシュ。 だが、なおもそれに耐えているところを鑑みるに、彼もまた驚くべきタフネスぶりだ。 ゼッサールは将来の見込みのある戦士達が育っていること嬉しく思いながら、無骨な優しい瞳で見つめていた。 「だっからあんたは大馬鹿なのよっ!!あのねぇ、ほんとねぇ、私が、私が、どれだけ心配したか――」 「モンモランシー……」 「ギーシュ!」 だが、涙ながらに抱き会う若いカップルを凝視し続けるほど無粋では無いので、 すぐに視線を明後日の方向へとそらすのであった。 「――あの、ミスタ・グラモン?」 その傍から見て微笑ましくも鬱陶しい抱擁を破ったぬったのは、素朴な魅力のある女性の声だった。 「ん?あ、あぁ、シエスタ、ルイズ、キュルケ君も!みんないたのか?」 「さっきからいたわよ!も~見せつけてくれるわねぇ!妬けるわぁ~」 赤髪の少女がニヤニヤとする。これでまたからかうネタが出来たと手ごたえを感じていた。 「ギーシュ、ビビは!?ビビは、どこにっ!?」 周囲の笑顔を破る声は、桃色の髪の少女、ルイズから発せられた。 白き大爆発の後、あまりにも多大な精神力を消費し、眠りこけたのを友達に発見され、 目が覚めまず心配したのは自身の使い魔のこと。 彼の無事が、とにかく心配だった。 愛すべき使い魔であり、友であり、自身の進むべき道を示した大事なビビのことが。 「ビビ君――そうだ!?ビビ君はっ!?ビビ君は無事なのかっ!?」 「あんたと一緒じゃなかったの!?」 「ビビ君は敵の旗艦に1人立ち向かって――」 「ルイズ、何事ですか?」 彼女を支えた者達の慌てように、アンリエッタが眉をしかめる。 「姫殿下!!私のビビ、いえ使い魔が――」 ・ ・ ・ 「――敵の脱出船は粗方拿捕いたしました。しかし、お探しの少年は――」 即席の司令部がラ・ロシェールに作られていた。 といっても、近場で唯一焼け残った酒場を利用したものであるが。 そのため、あちこちに割れた酒瓶やマグが散らばっている。 帳面に敵方の捕虜の詳細な情報を急ぎ集め、献上するはめになった書記官の疲れた表情がそこにはあった。 「そんなっ!?それじゃ、まさか脱出が遅れて――」 「『レキシントン号』より脱出した捕虜の証言によりますと、船が謎の光に包まれて爆破した前後、 “お客”と戦闘をし腕を失ったとの情報も――」 書記官は表情を変えない。彼はあくまでも文官で事務的に物事を処理する性質だった。 そんな彼が、わずかに首を横にふる。それは、彼なりの精一杯の“ご同情申し上げます”という仕草だった。 「そんな――そんな――」 「まさか、ビビちゃん――」 「墜落した船群は破損が激しく、全てを調査しきってはおりませんが生存者がいる可能性は――」 書記官は、淡々と事実を述べていく。そこには嘘や冗談といったものの存在を許さない確固たる意志が存在していた。 「ビビさんが、そんな――」 「ビビ君――」 「ビビが――ビビ――ビビぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 少女の悲痛なまでの叫び声が、ラ・ロシェールの岩場に反響し、 遠く、高く、淡い黄昏色に染まる空に弾けて、やがて風になった。 目覚めた朝は、いつも喜びを願うんだ。 今日もいい日でありますようにって…… ……その日の目覚めは、深い水の底から上がってくるみたいに、 やっと光が見えたって感じのするものだったんだ。 「ル……イズ……おねえちゃ……ん……?」 寝ぼけた目で、辺りをキョロキョロと見渡したけど、ルイズおねえちゃんの姿は無い。 確かに、ルイズおねえちゃんの声を聞いたような気がしたんだけど…… 「……?ここ、どこ……??」 見慣れない壁、見慣れない天井、でも、窓の外の木漏れ日は、どこも変わらない優しいものだったんだ。 ゼロの黒魔道士 ~第四十一幕~ 忘却の森 ウエストウッド村 しばらく、ボーっとしていた。 なんか光を見るのが久しぶりって感じがして、目がショボショボした。 何十回目かの瞬きの後、軽い音がして、水の入ったマグを持った女の子がその部屋に入ってきたんだ。 「あ、気づいたんですか?よかった~!3日3晩寝てたんですよ?」 「……あ、えーと、君は……」 小鳥のさえずるような声。蜂蜜をこぼしたような髪の毛。 ニッコリ笑うその子は、とっても優しそうな女の子だった。 「ビビちゃん、ですよね?私はティファニアと言います。どうぞ、テファって呼んでね?」 「あ、う、うん……え、っていうか、どうしてボクの名前……それに、ここは……」 跳ねるようにしゃべるその子は、何故かボクの名前を知っていたんだ。 「ここはアルビオンのウエストウッド村というところです。あなたの名前は、あなたを助けた人から聞いたの」 「ボクを……助けた人?」 記憶がちょっとずつ戻ってきた。 ラ・ロシェールの上空で飛空挺同士の戦いがはじまって、 ギーシュと分かれて、一番大きな飛空挺の上までチョコボで駆け上がったら、 ワルドがいて、ワルドにやられて、光に包まれて、とりみだしたワルドに左腕を砕かれて…… 「そう、クジャさんって言う人なんだけど――」 「クジャ!?あいつが、やっぱりあいつがいるのっ!?」 記憶の最後に見た光景は、夢や幻では無かったみたいだった。 ボク達の世界で酷いことをしたあいつが、まだ生きてこっちの世界にいたんだ! いてもたってもいられなくなって、跳ね起きた。 「キャッ!?」 「……あ、ご、ゴメンなさい……」 そしたら、テファにぶつかっちゃった。 水が入ったマグがバランスを崩して、中の水が全部テファにかかってしまった。 「大丈夫ですよ、よくあることだし――やっぱり、クジャさんとお知り合いなの?」 「知り合い……そんなもんじゃ……」 テファが、この優しそうな子が、クジャをさん付けで呼ぶことにものすごく違和感があった。 それに、もっと違和感があったのは、テファが最初に言ったこと。 クジャが、ボクを助けた?右手で左腕の付け根をおさえる。 違和感も痛みも無く、つなぎ目すらも見当たらない。 左腕がちぎれたって記憶すら嘘に思えてしまう。 なんで、クジャがボクを?頭がグルグルしてきた。 「いい人ですよね、クジャさん。優しいですし」 「そんなわけっ……」 「?どうかされました?」 「う、ううん……なんでも、無い……」 そう言って途中で言い淀んでしまった。 ボク達の世界での、クジャの最後を思い出したからだ。 あのとき、自棄にんったクジャは、みんなを巻き添えにしようとして、ボク達に倒されて、その後は…… ジタンが、助けに行った。そこからのクジャを、ボクは知らない。 あのクジャが、そう変わるとは思えない。ボクがクジャを憎む思いも、そう変えられそうにない。 でも、クジャはボクを助けた。あのときも……あのときも? うまく言葉にはできない、モヤモヤとしたもので頭が一杯になって、ものすごく気分が悪くなった。 「あ、そうそう、ビビちゃんにクジャさんから伝言があったんでした!」 「クジャから?」 「えーっと、ちょっと待ってくださいね、長いのでメモが――あぁ、あったあった」 テファが、胸元の辺りから、小さい紙を取り出した。 さっきマグをひっくり返したときに、水がかかったからちょっとグシャグシャになっている。 ちょっぴり申し訳ない気持ちになっちゃったんだ。 「“二度目のお目ざめ、いかがかな?お久しぶりだね、ビビ君! 虹も出さずに戦乱に終止符を打った君達は、まさに最高だ! だがね、まだ第二部だ。終幕の音は近い。覚悟したまえ。 追伸。指輪に注意したまえ”――」 間違いなく、この言葉遣いはクジャだった。 何が終止符だ。何が最高だ。あいつは、あいつがやった酷いことは、あいつは…… 嫌な気持ちが、どんどんとボクを満たしていったんだ。 「あ、まだ続きがありますね。“さらに追伸。 許してもらえるとは思わないが、すまなかった”」 最後の追伸の意味が分からなかった。 すまなかった?許してもらえるとは思わないが? 誰に、謝っているの?なんで、何を、謝っているの? いや、それよりも、あのクジャが……謝った? こんがらがったグチャグチャが、声にならない喉元の辺りでうずまいてる感じがして、クラクラした。 「――色々、あったんですね?」 「……うん……」 色々、あった。本当にそれしか言いようが無さそうだった。 「とりあえず、起きれます?朝ごはんには遅いですけど、用意してますから」 「うん……」 ……ここにいたクジャって、この間ボクが見たクジャって、今までボクが知っていたクジャとは違うの? 頭はみっちりと、そういうわけわかんない考えで一杯だったけど、お腹は空っぽだったから、テファについていったんだ。 ・ ・ ・ ウエストウッド村って、静かな木漏れ日の中に細い道があって、どことなく、黒魔道士の村に似ている。 だから、村の中を歩いているだけで、なんとなくホッとして落ち着く。 「あ、テファ、ゴーレムのチェックレポートだけど――ゲ、チビ助!?」 「な、なんでフーケもがあふぁふぁ!?」 小道を抜けて、ちょっと大きめの家にたどりつくと、見知った顔があったんだ。 土くれのフーケ。ボク達を2度も襲った泥棒だ。 会ったと思ったら、いきなり口をフーケに塞がれてしまった。 「わ、わたしもこの村出身なのよ、オホホホ。いや、奇遇ね~、ビビちゃん?」 口を塞いでくる手が汗でじっとり湿ってきている。 ……テファに、フーケってことを秘密にしているのかなぁ? 「あら、マチルダねえさんもビビちゃんとお知り合いなの?」 「そ、そうさね。ちょっと、色々と、外でね。うん。」 どうも、テファはフーケをマチルダねえさんって呼んでいるらしい。 ……“フーケ・マチルダ”とかそういう名前だったのかなぁ? 「いいなぁ~!私も、色んな人と出会いに外に行きたいな!」 木漏れ日の間から、空を見上げるテファの顔に、黒魔道士24号さんの面影を見た気がするんだ。 いっつも、村の入口近くにいて、木の間から光を見ていたっけ。 みんな、もっと命が続けば色々見たかったって言ってたなぁ、とちょっぴりしみじみしちゃった。 「――いいかい、チビ助、私はあんた達に何するつもりも無いから、ここじゃマチルダかロングビルで頼む」 そんなテファを、チラチラ見ながら、ボクにだけ聞こえるような小声でフーケが言う。 テファを見る目が、子供を見守るお母さんのように優しいもので、 そんな目をするのがボク達を襲ったフーケであることに、なんか違和感があった。 「う、うん……」 「あ、ほら、ビビちゃん!ご飯、あっためなおしますから、早くっ!」 「ほら、じゃぁ行くよ、チビ助っ!」 「うん……」 ・ ・ ・ 「相棒ぉぉぉぉぉ!!無事で良かったわ!いやおれっちマジで心配しててよーっ!!しかしあれだな――」 デルフと再会して、遅めの朝ごはんを食べている間、ずっと考えていたんだ。 ……今まで会った悪い人たちって、本当に悪い人たちだったのかなって。 ピコン ATE ~渇いた望み~ タルブからほどほどに離れた林の奥、人立ち入らぬ泉の傍に2つの影があった。 「ちっくしょ…… ちくしょう……ちくしょう…… ちくしょう ちくしょう ちくしょう ちくしょう ちくしょう ちくしょう ちく ちく ちく ちく ちく ちく ちく ちく ちく ちく ちっっっっくしょーー!!」 2度までも主の命を救ったグリフォンと、2度までも命を救われた男である。 「この俺がっ!!2度までもっ!!」 男は、グリフォンの労をねぎらいもせず、呪詛を唱え続けていた。 「あいつらさえ、あいつらさえいなければっ!!」 あの糞ったれのガキがいなければ、思い通りにならない元婚約者さえいなければ、 仮定の文章をいくら重ねたところで、事実は覆らない。 それは重々承知していたが、言わずにはおれなかった。 そして、一通り吐きだし切った後、身の振りを考える。 アルビオンに、レコン・キスタに戻る?答えはノーだ。 今回の戦は、必勝たるべく立てられた作戦であった。 であるからこそ、惜しげもなく戦艦を出陣し、奇襲を敢行したのだ。 だが、結果といえば、多くの残骸を作り、散り散りに燃え尽いただけ、 しかもトリステイン本軍はほぼ無傷の状態である。レコン・キスタは遅かれ早かれ瓦解するだろう。 しかも、である。最後の目を覆わんばかりの白い光は、恐らく“虚無”であろうと、ワルドは見当をつけた。 あれは魔法以外の何物でもなく、スクウェアたる自分をはるかに凌駕する威力を示した。 クロムウェルが見せた“虚無”などとは違う、圧倒的な力の存在。 思い当たる節は1人しかいなかった。思うが儘にならぬと切り捨てた少女の桃色の髪が浮かぶ。 あの力を見てしまえば、クロムウェルの“虚無”の力など羽虫もいいところだ。 そして、理想ではなく力のためだけにレコン・キスタに与していたワルドにとって、 力無き組織に戻ることなど、選択肢に入るわけが無かった。 では、トリステインに戻るか?それも論外だ。 今さらどうやって戻る?二重間者であったとでも言い張るか? 幼児の頭でも鼻で笑う稚拙な策だ。第一、ウェールズを始末したところは伝えられているだろう。 恋人を殺した男を、あの姫様が許すとは到底思えない。 帰るべき場所を失い、ワルドは落胆した。 力を求めれば、高みに登りさえすれば、全てが叶うと思っていたのに、 今や何もかもを失い、地に伏している。 だから、もう一度、苦渋の思いを吐きだすかのように「畜生っ!!」と叫んだ。 「ようよう、吠えてるな大将」 ガサリ、と茂みから音がして堂々たる体躯の男が、ワルドに近寄った。 左半身を覆う醜き火傷の痕さえ無ければ、獣と思ったことだろう。 事実、この男は人ではない野獣も同然の臭いがする。 「――メンヌヴィル、貴様も、嘲笑いに来たか!!」 メンヌヴィル、年齢で言えば、ワルドよりもずっと年上の歴戦の兵であるが、 その評判と言えば、畏怖こそされ尊敬はされず、軽蔑の声が多いという散々たるものである。 理由は、敵味方の区別無く、邪魔という理由で、否、“燃やしたい”という理由で相手を灰に変えてしまう残虐さにある。 その残虐さがゆえに、かつて上官を殺そうとし、反対に両目を焼かれ、正規軍を放逐されたという噂を聞いた。 今やかつての栄光をも凌ぐ非劣なやり口の傭兵として成り上がり、レコン・キスタにおいても相応の地位を築いている。 何を隠そう、ワルドをレコン・キスタに誘ったのもこの男だ。 「なぁに、お前さんの熱を確認しに来ただけだよ。まだ消し炭にはなってないようだな」 腐ったミルク色の両眼でギロリと見られても、既に粉々に砕かれていたワルドの心には何も影響が無かった。 「言っていろ!くそ、ちくしょう、ちくしょう――」 ただ、地面を見、呪いの台詞をつぶやくだけの人形と成り下がっていた。 「もっと、“力”が欲しいってか?」 それを見透かすのは焼け焦げた2つの目。 「貴様に、何が分かるっ!薄汚い傭兵風情にっ!!」 「もう同じ穴のなんとやら、だろ?いいから、答えろよ!“力”が欲しいか?」 煙で燻されたような、品の無い笑いと共に、メンヌヴィルが質問を繰り返す。 「――あぁ、欲しいとも!全てを蹂躙しつくす力が!万物を睥睨する力が!」 ワルドは、大声で答えた。 そうだ、地面にはいつくばり続けることに、誰が納得するというのだ? 力が、欲しかった。再び高みへと這い上がり、己を虚仮にしてきた連中を踏みつぶすだけの力が。 「――いい熱さだ。じゃぁお前さんも案内してやろう」 にやりと笑みを浮かべるメンヌヴィル。黄色い歯が鈍く光る。 「どこへ?」 「本当の“スポンサー様”のところへだ」 「スポンサー、だと?」 怪訝な表情を浮かべるワルド。とすると、この男はレコン・キスタに雇われたわけでは無かったというのか。 「あぁ!更なる“力”を、更なる“熱”をお与えくださるぜ!こんな風に、なっ!!」 軽く、拳に力をこめた。少なくとも、ワルドにはそれだけに見えた。 杖は手に持っていない。それだけなのに、である。 紅から紫色に揺らめく禍々しい炎が、メンヌヴィルの両の手から沸き起こり、 意志を持つかのようにのたうちまわってダンスをしている。 火力といい、速度といい、火は専門外であるとはいえ、ワルドとしては魅惑的な力が、その妖炎には煌めいていた。 「――ほぅ」 「どうだ?」 「――断る、とでも?」 力への渇望は、最早戻れないところまで来ている。 無詠唱による魔法の発動、それだけでも御の字のつく力だ。 あるいは、そのスポンサーとやらがさらなる力を与えてくれるヒントになるかもしれない。 ここまで来てしまえば、ワルドは悪魔にすら魂を売り渡すつもりであった。 「フハハハハハハハ!更なる地獄の業火へようこそ兄弟よっ!」 「ふん、貴様と兄弟になった覚えはない」 そう言いながら、立ち上がるワルドの顔には、悪魔よりも邪なる笑みが浮かんでいた。 前ページ次ページゼロの黒魔道士
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/702.html
*警告* 幻想郷ものです。 名無しの妖怪がゆっくりをゆっくりできなくします。 ゆっくりは何も悪いことをしていませんが、ゆっくりできません。 ↓以下本文 妖怪の山の裾野の森を、籠を背負い、釣り竿を担いだ少女が歩いている。人里離れた場 所で太平楽な顔をしている段階で、賢明なる読者諸氏にはその少女が妖怪であるというこ とはお察し頂けるだろう。その証拠に、諸般の事情で造形を説明することはできないが、 かの女は名状し難い帽子を頭に乗せていた。 少女はたまに立ち止まっては何かを探すように耳を澄ましていたが、やがて大きな茂み の前で声をあげた。 「ゆっくりしていってね」 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 頷くと、少女は茂みをかきわける。その先には、彼女の期待通りの光景が広がっていた。 黒白のとんがり帽子をかぶった膝丈ほどのゆっくりが一匹と、その子供らしい拳大のもの が七匹、親子でゆっくりしていた。木漏れ日の差し込む森の中、柔らかい草をはむはむと 食んだり、丈の低い花を食べたり、下生えを這う虫を頬張ったり。とってもゆっくりした 可愛い子まりさたちに囲まれ、親まりさはあんこの底からゆっくりしていた。どの子もと てもゆっくりした、まりさの自慢の子だった。 「ここはまりさのゆっくりぷれいすなのぜ! おねえさんはゆっくりできるひとぜ?」 「釣りをしに来たのよ」 「つりってゆっくりできのぜ?」 「うーん、ゆっくりしないと釣れないわねえ」 「いっしょにゆっくりするよ!」 つりはゆっくりできる。ゆっくりブレインでそこだけゆっくり理解したゆっくり一家は、 少女を取り囲むように、足元でぽいんぽいんと跳ね回りはじめた。 「つりさん! つりさん! ゆっくりしていってね!」 「おねーちゃんまってね! ゆっくりおいかけるよ!」 追いかけっこをするもの、少女の足にじゃれつくもの、その場でぽむぽむ跳ねるもの。 幸せそうな声をあげて転がる子まりさたちに、少女は目を細める。 「じゃあ、手伝ってもらうね」 「ゆっ! おそらをとんでるみたい!」 「ずるいよ! まりさもとびたいよ!」 裾を払い、膝で潰してしまわないように気をつけてしゃがむと、少女は足元の子まりさ を次々につまみあげて小さな籠にひょいひょい放り込み始めた。二、三匹を取り上げられ たあたりで家族を襲った緊急事態にやっと気付き、親まりさは、ぷっくー、と頬をいっぱ いに膨らませて少女を威嚇する。まりさが頑張って膨れている間にも、少女は一切構わず 子まりさを残さず籠に運び終えていた。 「あらあら、そんなに膨れちゃって」 「まりさのだいじなちびちゃんたちをゆっくりかえすのぜ!」 まりさの渾身の威嚇に、少女は自分では一番怖いと思っている薄ら笑いで応えて見せた。 人間に見せたときには、あまり満足してもらえなかったようだけれど。そして、軽く振り かぶる。まりさの丸々と膨れた下膨れの中心に、思い切り拳がめり込んだ。柔らかく、程 良い質感と反発の皮と中身は、少女の拳骨を最高の感触で歓迎した。その殴り心地はまさ に幻想、夢心地。 「ゆ゙ぶっ!」 少女が手を引いても、まりさの造形は*の形に凹んだまま。ぴくりとも動かなければ、 中身のあんこを吐くこともない。あんこを吐けるお口は皮ごと内側にめりこんでしまって いるのだから。しばらく待てば、ぽこん、と間抜けな音をたてて元通りになることだろう。 凹んだ顔の奥で、ゆっゆっとくぐもった声をあげて痙攣し始めたまりさのお帽子をその 辺に適当に投げ捨てると、少女は腰を下ろした。不要なお帽子さえなければ、高さといい 座面の反発といい、まりさの座り心地は申し分なく、少女のおしりを包み支えるに相応し い、理想のアウトドアチェアであった。 「おぉ、おー、ちょうどいいわ。あなた今日から椅子として生きなさい」 「ゆ゙っ! おねえさんおもいのぜ! ゆっくりおりるのぜ!」 しばらくぶるぶる震えたあと、ぼこんっ、と音を立てて凹みの戻ったまりさが、少女の おしりの下で叫んだ。妖怪の膂力で破裂しない程度に思い切り殴られたため、顔の中心は まだ赤くなったまま。ずきずき痛むお顔に、まりさは涙声を上げる。こんなに痛かったこ とは、この山で生まれてゆっくり育って、一度もないことだった。ゆっくりしていただけ なのにちびちゃんを泥棒され、とっても痛いことをされるなんて。ゆっくりまりさには何 もかもが理解できなかった。 「そんなこと言わないで、今素敵なものを見せてあげるから」 「ゆえーん! ゆえーん! おかーしゃーん!」 「おねえさん! まりさのちびちゃんをゆっくりはなすのぜ!」 突然親から引き離され、籠の中でゆーゆーと泣き叫んでいる子まりさを一匹取り出すと、 少女は掌に乗せてにっこり微笑んだ。その笑顔に泣き顔の子まりさも釣られてにっこり。 笑顔をそのままに、少女の指が子まんじゅうにぐいぐい食い込んでいく。もぞもぞもが いていた子まりさは、食い込む指で中身のあんこが指の隙間へと圧迫され、ゆっくりして いた顔が歪に歪んでいく。指の隙間から見える小さな目玉を飛びだしそうなほどひん剥い て、子まりさは濁った悲鳴をあげはじめる。 「い゙や゙ああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 「ゆっくりいそいでやめるのぜ! ちびちゃんがゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「いいから黙って見てなさい。これからがすごいんだから」 「ゆ゙ぎゅ……ぐるぢ……ゆ゙ぎ、ゆ゙ぎぎ……!」 押し出されそうになるあんこの噴出を、小さな頬をいっぱいに膨らませ、目とお口を力 一杯つむって子まりさは必死に耐え続けていた。手の中で身悶える感触に笑みを深め、少 女は嬉しそうにきりきりと締め上げていく。絞り出されたまんじゅうの皮は圧迫されたあ んこでぱんぱんに張り、おもちゃのカラーボールのように膨れていく。おもちゃという点 では同じでも、違いは食べられるかどうか、それと素材の強度。主に後者がカラーボール と子まりさの命運を分かった。子まりさを何とかして助けようと、尻の下でもにもに抵抗 するまりさに腰を落として黙らせ、少女はその手をぐっ、と握りしめた。 「ゆ゙ぼん゙!」 あんこ圧に押されて小さな目玉が飛び出し、ぱんぱんに膨れた頬が、もぞもぞ震えるお つむが、柔らかいあんよが裂け、親まりさの眼前で、内圧に耐えきれなくなった皮が爆ぜ 飛んだ。ぼとぼとと黒い塊が下生えに飛び散る。今はもう永遠にゆっくりしている、まり さのすてきなれいむといっしょにゆっくりした証。だいじなかわいいちびちゃんは、見ず 知らずの妖怪の、ほんの一握りで物言わぬあんこの塊となった。 「ばでぃざのぢびぢゃん゙ん゙ん゙!」 「おでえぢゃんがあ゙あ゙!」 傍らの籠から、尻の下から聞こえる愉快な声に目を細め、少女は丸めた帽子を芯に、あ んこと皮を混ぜておはぎのようにまとめていく。 「んー、これ手が汚れちゃうなあ……ん。おいし」 釣り針にあんこ玉をつけると、少女は指についたあんこを舐めとった。ゆっくり育って きたのに突然握り潰され、理不尽な暴力で永遠にゆっくりした子まりさのあんこは、十二 分に甘く味も深みを増していた。 「じゃ、これから一匹残らず餌になってもらうから、みんなゆっくり理解してね」 「ゆ゙っぐり゙でぎな゙い゙い゙い゙い゙!」 「どぼじでこん゙な゙ひどいことする゙の゙お゙!」 「どうしてって……ゆっくり釣りやってみたかったのよ。それだけ」 「や゙ぢゃあ゙あ゙あ゙あ゙!」 「ゆ゙っぐり゙ざぜでえ゙え゙え゙!」 「すこし黙ってねー」 あんこ玉を目の前で揺らして黙らせ、少女は茂みの向こうに、ひょいと釣り針を放った。 ゆっくりは自身が甘味でありながら、甘い物に目がない。「ゆっくりしていってね」と呼 ばわれば「ゆっくりしていってね!」と帰ってくる返事をもとに捕らえた、その辺の子 ゆっくりを潰せば餌は無料で手に入る。親ゆっくりがいれば腰掛けいらず。ゆっくり釣り は、好事家の間では珍しくもないレクリエーションである。 糸を垂らすことしばし。 「むーしゃ! むーしゃ! うっめ! これめっちゃうっめ!」 ウキがなくてもアタリが声でわかるのが、ゆっくり釣りの人気の一つ。少女は竿を引き、 慎重に糸を巻きはじめる。 「しあわせー! ゆ゙っ? ゆっくりひっぱられるよ!」 手応えはあまり大きくない。獲物が枝葉や糸でちぎれてしまわないよう、糸を繰ってそ ろそろと寄せていく。当然、獲物も跳ねて逃げようとするが、飲み込んだ釣り針が許さな い。少女は竿を巧みに操り、逃れようとするゆっくりを茂みの前から離さない。 「ゆ゙っ、ゆ゙っ?! いたいよ! どぼぢでにげられないのお!」 ゆっくりは唇を貫く釣り針から逃れようと、必死に跳ねては糸に引き戻される。糸を切 らないよう、少女は引いては緩め、ゆっくりの体力を消耗させていく。頃合いを見計らい、 大きく竿を振ると、ガサガサと葉っぱを散らしてあがってきたのは一匹のゆっくりれいむ。 一番多く見かける、縁起の良い紅白のおまんじゅうである。 「ゆ゙~、とれないよ! れいむをゆっくりおろしてね!」 「はいはいゆっくりしていってね」 竿を地面に立てると、少女はれいむを抱えてお口に手を突っ込んだ。あんこをごそごそ 掻きまわして針を外す。暴れるのも気にせず大きな方の籠に放り込むと、風呂敷を掛ける。 釣りはまだ始まったばかり。取り出した次の子まりさの邪魔な帽子を摘んで頬張ると、 怯えわななく可愛らしい小さなお口に、少女は白い人差し指を押しつけた。 「んゆぅ~」 突然親ゆっくりから引き離され、怖くてゆっくりできないおねえさんにぶにぶにされて いる。子まりさは恐怖に目をぎゅっと瞑り、掴まれて身動きもできない全身を捻り、少し でも逃れようと身悶える。その柔らかくくすぐったい抵抗に目を細め、少女は子まりさの お口を指先で塞ぐ。 「ん゙ゔぅ゙ゔ!」 鈍い音がして、細く煙が立ち上る。子まりさはお口を貫く激痛に目を見開き、絶叫をあ げ……ることができなかった。悲鳴を上げるべきそこは灼き潰され、まるで焼きゴテで焼 き付けられたような、濃いめの焦げ目だけが残されていた。 ゆっくりした愛情に包まれて育った子まりさは、生まれてこの方感じたこともない未知 の苦痛に小さな目玉をいっぱいに見開き、砂糖水の涙を垂れ流す。 お口が開けば、おかあさんの助けを呼べるのに。おねえさんにゆるして、たすけて、と 言えるのに。 「おねえさんやめるのぜ! いやがってるのぜ!」 もちろん何を言おうと少女は助けるつもりはなく、親まりさに助ける術はない。あんこ たっぷり生地の、生八ツ橋の美味しいお帽子を噛みながら、手の中でじたじた暴れる子ま りさをそっと撫でる。少女がその金色の髪に指をそっと宛うと、すぐにぶすぶすと細い煙 が立ち上り、子まりさの髪の毛が根元から焼け落ちはじめた。おつむを灼く激痛に手の中 でじたじた暴れる、指の腹の幅にハゲのできた子まりさを握る角度を変え、少女は不要な 髪を焼き捨てていく。一通り撫で終えると、天面にはすっかり美味しそうな焼き色がつい ており、髪の毛は一すじも残されていなかった。目をひん剥いてびくびく痙攣する焼きま んじゅうを裏返し、動けないようにあんよにも焼き色をつけて完成です。 「おいしく焼けましたー」 「ゔわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙?!」 「ばでぃざのぢびぢゃんがはげまんじゅうにいい?!」 少女の見せる、おいしそうな焼き色のついた焼きまんじゅうに、親まりさも子まりさた ちも一斉に悲鳴をあげる。どれもこれも目の幅に涙を流し、歯を剥いてガタガタ痙攣して いた。その反応に満足げに小さく鼻を鳴らすと、髪の毛のかわりに焦げ目のついた後部か ら釣り針を刺し、茂みの向こうに放る。釣り針がぶっすりしても、子まりさのお口は開か ず悲鳴も出ない。 あんこ玉と違って、焼きまんじゅう作りは手が汚れることはあんまりない。少女は地面 に竿を突き立てると、小さい籠から次の子まりさを取り出した。 「ゆ゙あーん゙! おでえぢゃんがあ゙! ゆっぐりぢでね! ゆっぐり゙ぢでね!」 「ええ、ゆっくりしていってね」 泣き叫ぶ子まりさを手に乗せ、少女はにっこり微笑む。微塵も邪気のない、まさにゆっ くりした表情に、子まりさも釣られて泣き笑い。 「ゆ゙ぐっ、ゆ゙あ゙……ゆ゙っぐり、していってね……?」 「あむっ」 「ゆ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 食いちぎられたお帽子が、少女の尻に敷かれて動けない親まりさの前に、はらりと落ち た。親まりさは目をまん丸に見開いて見上げる。その目と、子まりさの片方しか残されて いない目が無言で見つめ合う。親まりさは言葉もない。子まりさにはお口がもうない。突 然姉妹を焼きまんじゅうにされ、絶望と恐怖を満喫したことで、子まりさは野生でゆっく り育ったとは思えない豊かな甘みを備えていた。美味しいゆっくりまんじゅうに舌鼓を打 ちながら、少女は震える親まりさに座り直す。 「む゙ー! む゙ー!」 あんよがいたくて、ぴょんぴょんできない。まりさはおねえちゃんよりはやいのに。 おくちがいたくて、うごかない。おくちがあかないと、ゆっくりしていってね、もでき ないし、むーしゃむーしゃもできない。 はげまんじゅうのまりさは、もうゆっくりできない。まりさのすてきなかみのけさんは とってもゆっくりしてたのに。 じくじく痛むあんよから地面に打ちつけられ、子まりさは苦痛に呻き、打ち震えていた。 どれほどの苦痛を味わったところで、二度と開くことのないお口からあんこが漏れ出るこ とはない。不意に、砂糖水の涙で歪んだ視界に、一匹のゆっくりの姿が映った。 「む゙……む゙む゙……」 「ゆゆっ! ゆっくりできそうなあまあまさんがあるよ! ゆっくりたべるよ!」 子まりさは開かないお口を必死に動かす。ゆっくりやめてね、ゆっくりしてね、と。ど れほど声を張り上げようとしても、焼け焦げて癒着したお口から、声が漏れ出る事はない。 焼きまんじゅうの美味しそうな焼き色に、通りすがりのゆっくりれいむは喜色満面、ぽい んぽいんといっさんに跳ねてゆく。その一跳ね一跳ねで、子まりさに望まぬ、逃れ得ぬ永 遠のゆっくりが近づいてくる。 「ばでぃざのぢびぢゃんはあばあばざんじゃないよ! ゆっぐぢや゙べでね゙!」 「おまんじゅうさんはまりさじゃないよ? ゆっくりできないこといわないでね!」 このままでは大事なちびちゃんが、食べられて永遠にゆっくりしてしまう。茂みの向こ うから聞こえる、れいむの嬉しそうな声に親まりさは大慌て。少女のおしりの下で、親ま りさは柔らかくもっちりしたおまんじゅうボディをたわめ、あんよを踏んばり、飛びだそ うと必死の形相で新作の創作ダンスを披露する。しかし今の親まりさは、少女のアウトド アチェアである。茂みの向こうで、見ず知らずのれいむに子まりさを美味しく頂かれるの を、ただ聞いていることしかできない。しかし、たとえ動くことが叶わなくても、お口は まだ動く。 「そのこはばでぃざのだいじなぢびぢゃん゙なの゙ぜ! おねがいじまず! しらないでいぶ は! ばでぃざのぢびぢゃん゙といっしょにゆっぐり゙に゙げてほしいのぜ!」 「ゆゆっ、ちいさいまりさなんてどこにもいないよ? れいむもうがまんできないよ!」 逃げることも叫ぶこともできない子まりさには、茂みの向こうから叫ぶ親まりさが、迫 るれいむにむーしゃむーしゃを諦めるよう説き伏せてくれることだけが、唯一の生き延び る可能性である。しかし、見ず知らずのはらぺこれいむに、地面に転がっている焼きまん じゅうを子まりさである、と理解させることなどできようはずもなかった。降って湧いた ゆっくりできるあまあまさんに、嬉しそうな顔でれいむは子まりさに近づいていく。もう おかあさんは助けに来てくれない。むーしゃむーしゃされて、永遠にゆっくりするしかな いのだ。ゆっくりした顔で大口をあけて近づいてくるれいむをただただ眺め、見つめ、絶 望に子まりさは泣き腫らした目を瞑った。ねっとり柔らかい感触のあと、やわらかおまん じゅうボディに歯が食い込み、押し潰す。くりっとした寒天の目玉がぶづりと潰れ、子ま りさの苦痛に歪む視界は完全に失われた。噛み合わされる歯から逃れようと転がることも、 焼き潰されたあんよでは果たせない。ついに皮が裂け、れいむがむーしゃむーしゃするた びに、子まりさの大事なあんこが溢れ出していく。そして、中身の絞り出される喪失感の 中、子まりさは永遠にゆっくりした。 「や゙べでね゙! ゆ゙っぐり゙ぢでね゙!」 「ゆ゙っ……」 「むーしゃ! むーしゃ! しあわせー!」 茂みの向こうから必死に叫ぶ親まりさの言葉など、とろけるような極上のあまあまに夢 中のれいむには、何の意味もなかった。地面で震える焼きまんじゅうを舌ですくいあげ、 砂糖菓子の歯が子まりさを咀嚼し、あんこの塊へと変えていく。お口いっぱいに広がる極 上の甘みに滂沱の涙を流し、れいむは歓喜の声をあげる。少女の尻の下、親まりさもまた、 ぼろぼろ涙をこぼす事しかできなかった。 「おっと」 「ゆっ! なんだかゆっくりできないよ!」 ぴん、と糸が張る。せっかくの餌を食い逃げされてはかなわない。少女は顔が半分も 残っていない、食べかけの子まりさを放りだして両手で竿を握る。すっかり小さくなった 食べかけのおまんじゅうは、ボトリと音を立てて親まりさの目の前に転がった。もはやぴ くりとも動かない虚ろな目をしたつぶあんのおまんじゅうを、親まりさは呆然と見つめる。 お帽子がなくても、1/3ほどに欠けていても、大事な大事な可愛い子供がわからないは ずがない。いつも元気で、かけっこが一番得意なちびちゃんは、食べられて永遠にゆっく りしてしまった。ぺーろぺーろしても、二度と動くことはない。もう一緒にゆっくりでき ないのだ。 「ぺーろ……ぺーろ……」 それでもまりさは舌をいっぱいに伸ばし、木漏れ日に黒々と輝く子まりさのつぶあんを 露わにした断面を舐めざるを得なかった。優しいお母さんとゆっくりしていただけなのに、 目の前で姉妹を潰されてあんこ玉にされるのを、ゆっくりできない焼きまんじゅうにるの を見せつけられ、そして自らはおやつにされた子まりさは、あまりにも美味しかった。舌 を貫く、いままで一度も口にしたことのない程のゆっくりした甘さに、親まりさは目を見 開いて稲妻に撃たれたかのようにその身を震わせる。 「うっ、う……っめ……これ、めっちゃ……う……め……」 その言葉が迸らないよう、親まりさは必死に歯を食いしばる。ゆっくりの本能に突き動 かされてあんこを舐め取ろうとする舌を身を切る思いで子まりさから離し、目をぎゅっと 瞑ってまりさは堪える。大事な子供なのに、しあわせーな味に、むーしゃむーしゃしてし まいそうだったから。 「おかーしゃん! おねーしゃんがいたいいたいだよ! ぺーろぺーろしてあげてね!」 「ぺーろぺーろすればゆっくりできるよね? いっしょにゆっくりできるよね?」 籠の中から、生き残りの子まりさが叫ぶ。しかし、親まりさは舌を伸ばすことができな かった。もう一舐めでもしてしまったら、可愛い子供なのに、むーしゃむーしゃを我慢で きなくなってしまうから。 「あ、それ食べていいよ」 糸を引っ張って跳ねていこうとするれいむの重さに、大きくしなる竿を引き絞り、少女 は親まりさの頬を両足でしっかと挟んで腰を落とす。おしりの下で震えている親まりさを 一顧だにせず、少女は大物との格闘を楽しんでいた。 「ぷっくー! おねーしゃん! ひどいこといわないでね!」 「そうだよ! まりしゃはたべものじゃないよ!」 「あははっ、何言ってるの? ゆっくりは美味しいおまんじゅうよ、っと、重い、わね」 小さな籠の中、小さな頬をいっぱいに膨らませて不満を表明する子まりさたち。親まり さはほろほろ涙をこぼしながら、ゆっくりブレインを必死に回転させて言葉を紡ぐ。 「ちびちゃんたち、よくきくのぜ! このこはこわいおねえさんにたべられて、えいえん にゆっくりしちゃったのぜ! ぺーろぺーろしても、もうゆっくりできないのぜ!」 「ゆ゙わ゙あ゙あ゙あ゙!」 「どぼぢでえ゙え゙え゙!」 一拍遅れてゆっくり理解すると、火が点いたように一斉に泣き叫び始める子まりさ。ぶ るぶる震えて砂糖水の涙を落とす親まりさは、悲しみの中でも、せめて残りの子まりさだ けでもゆっくりさせようと続ける。 「だから、このこのぶんまでゆっぐ!」 「どっせーい!」 「ゆ゙~っ! おそらをとんでるみたい! じめんさんゆっくりしべぼっ!」 少女が一気に竿を振り抜いた。台詞の途中で踏ん張る少女のおしりを頭にめり込ませ、 親まりさは呻く。そして、まりさは見た。少女の釣りあげた、丸々膨れた大きなれいむを。 一瞬の浮遊感にきらきら笑顔を輝かせ、そのまま勢いよく地面に叩きつけられるれいむを。 そして、その下敷きになった大事な子まりさを。 「ゆ゙ぎぃ゙……」 「ゆ゙……ゆ゙あ゙……ばでぃざのぢびぢゃ……」 「ふぅ、大物ねー」 椅子まりさとほとんど同じ大きさのれいむは、目をぐるぐる模様にして痙攣していた。 れいむの半開きの口から針を取り外し、籠に放り込もうとして、少女はれいむの頬にべっ とりこびりついたあんこを不思議そうに見つめる。 「あれ、なんでこれ汚れてるのかしら……汚いなあ」 「ゆっくりしてね! ゆっくりしていってよー!」 拭きとるのも面倒と、頬の汚れたれいむを籠に放り込んで風呂敷をかけ直すと、少女は 満足げに手拭いで汗を拭う。もにんもにん暴れるまりさに座り直すと、餌籠からゆんゆん 泣き叫ぶ子まりさを掴み出すと、鼻歌混じりで釣り餌へと作り替えていく。 「ゆ゙っ! ゆ゙ぴっ! ゆ゙げぇ゙」 「おでえざんっ! おでがいじばず! ばでぃざはどうなっでもいいでずう! だがら! ぢびぢゃんだぢを! だずげであげでぐだざい゙い゙!」 自身のゆっくりに代えても大事な子を守ろうと、親まりさは身も世もなく濁った絶叫を 上げた。こんなにゆっくりできないことは、今までに一度もないことだった。お口が張り 裂けんばかりの叫びも、砂糖水の涙とよだれでぐしょぐしょの悲痛な顔も、少女の心を動 かすことはなかった。 暢気そうに小首を傾げ、少女は泣きわめく子まりさに指を触れる。うるさいお口を焼い て潰して、邪魔な髪の毛を焼き捨ててハゲまんじゅうにしたら、逃げないようにあんよを 焼いて一丁あがり。 「む゙……! む゙……!」 「ばり゙ざのいぼお゙どがあ゙あ゙あ゙!」 「ん゙む゙! む゙む゙……!!」 「あれ、出ちゃった」 深く刺しすぎて寒天の目玉を貫通した釣り針が露出しないように引き戻すと、目玉は鋭 い返しで刻まれて光を失った。お口を、髪を、あんよを焼かれた上で片目の機能も失い、 理解不能の激痛にびくびく痙攣する子まりさを茂みの向こうへ放ると、少女は親まりさに 深く腰を下ろし、大きく伸びをした。構造上背もたれがないのが少々難ありではあるが、 ゆっくりの座り心地はそれを補って余りある。 そして、この日の釣果は上々であった。 「なんだかとかいはな すいーつ さんね! ひぎぃ!」 狩りのお手伝いもできる子まりさで作った餌でありすを釣り上げ、 「むきゅっ! あれはおまんじゅうさんだわ! む゙っぎゅゔぅ゙ぅ゙!」 妹思いの優しい子まりさで作った餌でぱちゅりーを釣り上げ、 「おまんじゅうざんゆっぐりぢでだのに! わ゙がら゙な゙い゙よ゙お゙お゙!」 一番下の可愛いがられてきた子まりさで作った餌でちぇんを釣り上げた。 「大漁大漁」 やがて夕陽が山の稜線と仲良くなる頃、手拭いで額やうなじの汗を拭きながら、少女は 心地よい疲労感に目を細めた。糸を巻いて釣り竿を籠にくくりつけ、釣果でずっしり重い 籠を背負うと、中からゆっくりゆっくり賑やかな声が上がる。 「も゙っと……ゆ゙っぐり゙……ぢだがっだよ゙……」 「ん?」 大事にゆっくり育てた可愛い子たちと、今日も明日もずっと一緒にゆっくりするはずだ ったのに。椅子としての慣れない長時間勤務でおつむをおしりの形に窪ませた親まりさは、 少女を見上げることしかできなかった。夕陽の中、少女は最初に見せたときと同じ顔をし て微笑んでいた。 小さく地面を蹴り、少女は夕闇の迫る空へと身を躍らせた。妖怪が空を飛ぶことは珍し くもないが、ゆっくりまりさにお空は遠すぎた。まりさは少女の姿が見えなくなっても、 寒天の目玉が灼けつきそうなほどの夕焼け空を見上げていた。 「ぢびぢゃんは……ま゙た……つくれ゙ば……いい゙……よ゙……」 少女の投げ捨てたまりさのお帽子は、森の下生えで静かに主を待っていた。まりさはお 帽子のつばを咥えておつむに乗せた。まりさのすてきなお帽子は、昨日までと同じように、 とってもゆっくりしていた。でも、ひとりぼっちのまりさはちっともゆっくりできない。 あんなにみんなゆっくりしてたのに。ついさっきまでは一緒にゆっくりしていた、今は もうみんな永遠にゆっくりした子まりさの分まで、ゆっくりしなくてはいけないのに。 「ばでぃざ……ゆ゙っぐり゙……じだがった、だけなのに……」 さっきまでは親だったまりさは、潰れた子まりさのあんこの痕に、力なく舌を這わせる。 この上なくゆっくりできる味なのに、ちっともゆっくりできない。お目々から、お口から、 砂糖水を垂らし、ぼいんぼいんと跳ねながら、まりさは森の奥へと消えていった。森の奥 では、ひとりぼっちの巣穴がまりさを待っている。 「ただいまのぜ……ゆっくりかえったよ……」 「うー!」 「ゔわ゙あ゙あ゙あ゙! れみりゃだあああああ!」 なんと嬉しいサプライズ。ひとりぼっちでも、おうちで待っていてくれる誰かがいたな んて。まりさは死ぬほど歓迎されました。めでたしめでたし。 森に魚を求める とか書きました。 09/07/20 書き直し このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/ffdqbr3rd/pages/538.html
第470話:THE GRAVITY OF DARK SIDE 完全に地の利を味方につけたサックスはそれでも追跡を気にしながら慎重に村から離れていた。 結果としてここが浮遊大陸であることが彼を助けたわけである。 けれど慎重を期した代償である些細なはずの時間経過が彼に次の不運を呼び込むのだ。 同じ場所を北へ、少し前に通過していったルカたちとの時間差はほんの30分程度でしかない。 しかしその時間のうちにカズスの入り口である北の峡谷部はゲストの到着を許していた。 勇者アルス。黒騎士レオンハルト。 悪の巣へと向けて歩みを進める彼らにはいまや戦いの緊張感と決意がみなぎっている。 そうして、南北から峡谷を抜けようとした彼らは出会った。 時間が欲しかった。たとえ答えが出なくても、迷いが深まるだけでももう少し一人でいたかった。 なのにフリオニールを振り切り村を離れられたと思ったらまた別の人達だ。 カイン達に騙されてカズスへ誘導されている人達だろうか。 ともかく、誰かと顔をあわせるということは会話するにせよ戦闘するにせよ決断せねばならないということ。 確かに勝利者になる決意はした。けれど、何の関係もない人を殺してしまう覚悟はまだぼやけたまま。 遭遇を回避するため岩陰に身を隠しつつサックスは切にギルダーへの問いを反復していた。 「隠れてないで出て来てくれ。そちらに悪意が無ければ害意を加える気なんてない」 夜の暗さにさらに濃淡を付ける岩陰、そこに感じた気配にアルスは呼びかける。 聞いた話が本当ならばカズスは来訪者を殺す罠、或いは殺人者達の砦。 だから、油断はしない。だから、身に付けた武装の端まで整った闘志が満ちている。 「僕はアリアハンのアルス。もう一度言う。…静かに、姿を現してくれ」 アルス? 聞こえた名乗り、名乗られた名前は彼女が仲間だと語っていたそれ。 平時のサックスであれば「信頼した仲間の仲間」というだけで心を許していたろう。 けれどゼル達に見放され、ルカ達に見放されて膨れ上がった孤独。 殺し合いの中で1人生き残る事を彼に唆すほどにまで育った孤独は今また恐怖を彼に囁く。 彼らが僕のことを悪し様に聞いていない保証はない。 それに嘘をつかずに自分の身の上、カズスでの出来事を説明して信じてもらえる自信もない。 いや、その前にフルートの死に責任がある自分を彼が許してくれるなんてなぜ簡単に思える? 彼女は確かに信頼した仲間だ、でも彼は僕にとって「初対面の他人」じゃないか。 もはやサックスの思考はネガティブな方向から逃れることができない。 そして揺らいだ精神が場に漂う緊張に堪えられなくなるまでほとんど時間は要さない。 逡巡の後、彼はこの場から逃れ去ることを決断した。 苦労してようやく抜け出してきたカズスへの後退を。 もしサックスが使い慣れた剣を手にしていたならば二人は暫し誰もいなくなった岩陰を警戒し続けていたかもしれない。 けれど、現実に彼の手にある不慣れな槍の長柄はそれを担ぐサックスの頭上から二人に微かな反射光を投げる。 それは些細な違和感を与える程度でしかないが満ちた緊張を行動させるには十分で。 「何だ、動くもの………!! 見張りだったか!? レオンハルトっ」 「わかっている。追うぞ!」 背後に追跡の気配を受けながらサックスは冷静さを乱しつつ走っていた。 地の利とマテリア:スピードの力で客観的に見れば追いつかれる道理はないのだがサックスには余裕がない。 どうする、二人と戦うのか? それともどこかに隠れて今度こそ何とかやり過ごそうか? 無意識に狭めた選択肢が彼の心理の姿を示している。 何の答えも出せぬまま急き立てられるように村の外れまで戻って来たところで立ち止まった。 いや、その先にある足を踏み入れたくない領域に押し留められたのだった。 「…気が付いたらサックスの姿が見えなくなっていたという訳か?」 「そうなるな」 「お前は何をやっていたんだ!?」 「迂闊だったと思っている」 「お前のミスだろうが!」 「はっ、カインよ、自分なら何のヘマもしないとでも言いたいのか?」 「もういい黙れ。……くそっ!」 ルカ、ハッサンに逃げられ、今またサックスまでもがカズスから姿を消した。 合流したフリオニールに彼の不在を問い詰め、その事実をカインは認識する。 サックスは殺されたのかもしれないとも思ったが、それを問うことをカインはしなかった。たいした差は無い。 ともかく苛立たしいやり取りの後、少し離れて立っているフリオニールとは口をきいていない。 どうすれば良いのか? 待ち合わせの時間:タイムリミットが迫っている。なのにシナリオは壊れきった。 二度三度にわたる弥縫策のもともとの原因もそれをさらに突き崩したのも、すべて隣の男のせいだ。 フリオニール。引き込んだ駒がこれほどマイナス要因になるとは考えていなかった。 期待しているスミスの帰還もまだだ。飛行と言う最良の移動手段を使えるスミスがこれほど遅れるのは、 どこかでトラブルに巻き込まれているか、…裏切られたか。 何もかもが上手くいっていない。何もかもが思惑を外れてしまっている。 計画はすべて放棄するべきかもしれない。そう、馬鹿の役立たずに全てを擦り付けて。 仕方ないがいいさ、もとより一人で戦い抜くつもりだったのだから。 どうしてやろうか? あからさまに不快感を示したカインとの決裂はもう取り返しはつかないだろう。 サックスを手駒とするのに失敗したのは痛いが自分にはエッジから奪い取った武器がある。 ザックの中に眠る大型の機械。ひとたび火を吹けば豪雨のように全てを抉る武器。 大型マシンガン。カインには教えてもいない。奴とてこれを浴びればひとたまりも無いはずの威力。 必要なのは設置して撃つ、そのための隙を作ること。 このゲームに勝者は一人、それは貴様も分かりきったことだろう? 目の前にはカズスの廃墟、後方からは追跡者。 思考は混乱し、なんら行動できないまま徒にサックスはタイムリミットを迎える。 「武器を捨てろ。それから両手を上げて振り向け」 アルスの声。追いつかれた。もう戦うしかないのか? ビーナスゴスペルを持つ手に緊張が走る。2対1だ。僕は死ぬのだろうか。 振り返ると共に槍で薙ぎ払おうとした動きはしかしレオンハルトにより阻まれる。 抵抗を察し一気に肉迫した彼の剣はサックスの手元に近い部分で槍を押さえ、容易にその動きを止めたのだ。 サックスを包んだ驚愕が晴れたとき、彼はその手から槍を奪われ取り押さえられていた。 「その顔はサックス、か」 「………」 「イクサスを殺したんだってな? お前もカインやフリオニールと組んでいると言うわけか」 「違う! …違うんだ」 「何が違う? 殺人者」 見上げたアルスの顔は紛れも無く正義を信じる者の冷たい顔で。視界の端には刃がギラリと映る。 死ぬのだと思った。自分は彼らに断罪されて死ぬのだと。 けれど、カインやフリオニールの同類だと言われたままなのは我慢がならない。 信じなくてもいい、聞いてくれ。サックスはそう静かに呟きこの世界で自分の見てきたものを語り始めた。 鉱山でのこと。ロランの事、イクサスの事、ギルダーの事、フルートの事、ゼル達への想い。 カインに襲われたこと。ルカ達に助けられた事。 カズスの村で見た面々のこと。マッシュとスコールの事。その後のこと。 そして、どうにか自分はそこから逃げ出してきたのだと言うこと。 「そして、君達に出会った。その後はこの通り。わざわざ言わなくてもいいだろう? ああ……結局、僕は何も護れなかった、な」 不思議と後悔はない。語りたいことはすべて語ったから。 アルスは先程と同じ表情のままでサックスを見下ろしているまま。けれどその視界から彼の命を奪う予定だった刃がスッと引かれて消えた。 「レオンハルト!」 「アルス。城で出会った二人の言葉を覚えているか。 『心を入れ替えて、生き直そうとしてるヤツでも殺すのか?』だ」 「覚えているさ」 「では貴様がそれになんと答えたかは?」 「…覚えている」 「『遺された人が悲しむ事を知っていて、なお他人を殺せる様な奴ならば』だったな。 この男はどうだ? そうでないように、見えるか?」 「………」 「悪を絶つ、その覚悟は立派なものだ。 だが手にした正義の光の前に目を閉ざしてはいけない、盲いてはいけない。 本当は彼をどうしたいか。貴様もわかってはいるのだろう? 見誤るな」 組み伏せられているサックスの上、沈黙が場を支配する。 アルスは黙してただ何かを考えている。レオンハルトは黙してただ彼の答えを待っている。 「嘘で無いならこの村に残っているのはカインとフリオニールだけか。 …サックス。君の罪は消えたわけじゃない。だが今は君よりその二人を討つほうが先決だ」 「アルス」 「レオンハルト。彼の身柄は君に預ける。どうするかの判断も任せよう」 捻り上げられていた腕を解かれ、地面とアルスの間からサックスが解放される。 肩透かしになった死の覚悟をぶら下げたままきょとんとするサックスを睨み、アルスは言い加える。 「サックス。僕はまだ君のことをそれほど信用しているわけじゃない。 でも大事なのは…。そう、大事なのは『これからの事をどう思っているのか』だ。 もう一度、その後で話を聞く。行こう、レオンハルト」 カズスの村の奥へと強い視線を移し、アルスは遮蔽物を利しつつその中心へと近づくべく離れていく。 その背中をじっと見つめたまま目で追うサックス。 「…贖罪の為に戦う。それならばサックス、貴様と俺は大して変わりはしない」 「え……」 「この生は俺にとって二度目の生。一度目は力に溺れた果ての終幕だった。 ほら、受け取れ」 ビーナスゴスペル。先程サックスの手から奪ったそれを、レオンハルトは差し出している。 「貴様も共に来い。 たった今、貴様は一度死んだのだ。ならば俺と共に贖罪の戦いへ身を投じないか?」 レオンハルトの言葉が熱く胸を打つ。二度と得られることは無いと思っていた信頼の言葉。 少なくとも目の前にいるこの人は僕を信じ、同道を許してくれる。こんな、僕を。 そっと伸ばされた手がしっかりと槍を掴み、サックスは立ち上がる。 視界を滲ませる熱いものを感じ、サックスは奮い立たせるようにそれを片手でぬぐう。 「ありが…ありが、とう、レオンハルト。僕は……僕は、本当は一人で、生き延びようと」 「言うな。言わなくていい。孤独、不安、絶望、それらは人の心を捻じ曲げてしまう。 人が堕ちるのは容易いものだ。だが、這い上がってくればいい、絶望の荒野に果てる前に。 さて。ではあまりアルスに一人で先行させるわけにもいくまい。我々も行くぞ」 「……あ………はい! はい、もう……もう大丈夫です、行けます! 行きましょう!」 「良し! 標的はフリオニール、奴の捕獲を第一目的とする。 サックス、ここで死ぬな。すべて為してこその贖罪、それはまだ続くのだぞ」 「はい!」 隙を突いて先手をとって動こうというつもりなのだろう。 明らかに解るであろう不快感をぶつけておいたため可能性もあると読んでいた通り、 うつむき加減で考えていたカインの視界の端からフリオニールの姿が消える。それを追って地を蹴ったカインは夜空へ舞い上がった。 この時点で二人の決別は確定した。 むしろ好都合、それならば、ラムザやユフィに語ったことを真実にしてしまえばいい。 爆発の後もまだ立体を保つ脆い足場へと軽やかに着地し、カインは影を追って跳ぶ。 要はマシンガンの発射準備までたどり着けるか、その前に死ぬかだ。 爆発になめされた村の中ではまだ遮蔽物が多く残る方向へと駆けるフリオニール。 無論、カインはしつこく追ってくるだろうからこちらはそれを退けねばならない。 まるでノミのように地面、柱、屋根と細かく素早く飛び跳ねながら追ってくる相手を認識して考える。 ならばどうしようか。走りながら、思いついた魔法を唱えるべく魔力を集める。 フリオニールにとっての嬉しい誤算、カインにとっての悪い誤算はその時に起こった。 幾度目かの飛翔の一瞬、全身を走り抜ける悪い予感にカインは咄嗟に跳ぶ角度を変え、地面へ向かう。 天を舞台とする優れた竜騎士なら荒天の日に感じることができる落雷の予感。だが、あまりに不自然ではないか。 訝しさは夜空より降ってきた一条の雷が吹き飛ばす。 「竜騎士カイン! 失われた命、貴様が奪った命に代わり僕がお前を討つ!!」 通電のショックに顔をしかめながらヒーロー気取りの名乗りの方を目で確認。 攻撃を挨拶代わりに現れた第三者の出現、事態は予想以上に悪い。 よりによってフリオニールとの共同戦線が崩壊したこのタイミングで現れるとは。 「フリオニール、どこだ」と叫ぶ聞き覚えある声がさらにカインに追い討ちする。 あれはレオンハルト。なるほど、奴が引き連れてきたという訳か。 偶然にしてはできすぎたタイミング、おそらくは自分達が蒔いたカズスへの誘引策を聞きつけたのだろう。 それが裏目に出たというわけだ。 リュカ達かゼル達かは知らんが接触による情報の広がりを考えるとかなり不味いことになっているのかも知れない。 苛立ちが募る思考は迫り来るドラゴンテイルにリセットされ、カインはギリギリでその爪を逃れる。 「フリオニール、どこだ! どこにいる!!」 全員を殺すつもりなのだから特定の相手にこういうのは可笑しいが、殺したい相手の声を聞いてフリオニールは哂っていた。 サンダーかサンダラか知らないが同じ雷の魔法を考えてカインを攻撃した奴がいる。恐らくレオンハルトの仲間だろう。 たなぼたで転がってきたノーマークの時間、フリオニールは捜索の時間から目を付けていた四方の壁が残る屋根のない廃屋へ。 速やかに死を運ぶ鉄塊を取り出し、鋼鉄の死神を組み立てる。 かつての崩壊前の姿、そして廃墟と化した現在の姿。 二つのカズスを脳内で重ね合わせながらサックスはレオンハルトに付き従う。 形ながらも遮蔽物として残っている壁や柱の影をおさえながらフリオニールの居所を絞っていく。 誰よりもこの地に精通しているサックスの助力を得て彼らは的確に動き、程なく一箇所に目星を付けた。 周囲から少しだけ孤立した位置に、バリケードのように壁だけが残っている廃屋。 「そこにいるのだろう、フリオニールよ! 姿を現せ! 剣を抜け! 尋常に、勝負せよ!」 返事は奇妙に澄んだ鋼鉄の死神の咆哮。廃屋の壁の一方を突き崩して飛び出し、爆発を生き残っていた壁を粉砕する。 同種の攻撃に晒された事のあるレオンハルトの即断に従い、二人は転がるように遮蔽物の裏へ。 大体でこちらの方向を把握したのか、それとも残った廃墟全てをあの攻撃で粉砕するつもりか、 断続的に続く機械の歌声と共に壁が、柱が、瓦礫の山までもが銃弾の雨に苦悶の合唱をあげる。 「あの狂人と同じ類の武器? なるほど、これが一網打尽の罠の本質か。 しかし…いつまでも誰もが驚愕すると思うな。すべて使うは人の手、限界は易々とは超えぬわ。サックス」 「はい」 「辛い役だが囮を頼む。奴の注意をこちらに釘付けのままにして欲しい。 攻撃は俺が近づいて止める。あの破壊の雨が止んだら一気に飛び込んで来い」 「はい、え、でも、どうやって……あっ」 疑問を差し挟むより早く取り出した何かの粉末を浴び、レオンハルトの姿がかき消えてゆく。 『フリオニールは必ず止める。だから…信じろ』 誰もいない空間から聞こえた声に、サックスは大きく、力強く頷いた。 それ程距離の離れていない規則的で耳障りな音が二人のBGM。 帯電したような自分の肉体が、周囲の空気が落雷の雰囲気をカインに予告している。 だが、その源は空に浮かぶ雲ではない。 悪を滅するいかづちの根源は正面で鞭を振るうアルスと名乗った青年。 そして、カインは今焦燥の極みにあった。 槍の穂先は青年をキッと指し、竜の尾は地面からカインを見上げる。 だが何よりもカインを焦燥せしめているのは自らの手で血を流す小さな引っ掻き傷である。 (この指輪…力がっ、失われているッッ!!?) 確かにかつて他人の指に見た際の妖しく紅い輝きはそこにない。 鋭き槍を止め、スミスのプレスからさえ持ち主を守ったその力は今カインを守ってはくれないのだ。 悪くなる状況の中でもカインを一段上の心理的な優位に置いていた要素が彼を見限っているのだ。 (何故、何故だ。馬鹿なあッ!) 焦燥は加速して、思考は減速していく。 思考時間を求め停滞を願う頭脳を笑うように青年の腕から柔らかに加速される鞭は判断の鈍ったカインに回避を許さず、槍と小手で受けることを強いる。 それは、再び彼の指に傷をつけ、単調な、繰り返しの、二度目のプロセス。 だから、再び動揺する。読みが甘くなる。程度を甘く見る。差異を見逃す。 アルスの姿が消えたのではない。見ていなかったのはカインのせい。 眼前に現れた青年から盾を放り捨て速度の乗った拳が顔面へと叩きつけられる。 久方ぶりの衝撃、ダメージ、痛みがカインの中を走りぬけ、かえってそれが温んだ脳漿を冷却する。 殴り飛ばされ地面に倒れたカインに冷酷に落ちる竜の尾撃を身をひねってかわす。 為すべき事は何か? 再起動した思考は短い言葉を連ねて提示してくる。奴は強い、だから、逃げろ。 響き続く、機械音。 「フリオニール! 僕だ、サックスだ。あなたからまんまと逃げおおせたサックスだ! 聞こえています? もう、止めませんか。戦いあっても仕方ないでしょう?」 打ち続く、機械音。 「魔女が、あんなに冷たく笑える魔女が救いを与えてくれるなんて本当に思っているんですか!?」 叩き続く、機械音。自分の声の残響が、心を撫でていく。 「勝利の果てで染み付いた罪まで誰かが赦してくれるなんて思っているんですか!?」 降り続く、機械音。必死の叫び、紡ぎだす言葉は己の身体へも潜り込む。 「汚れた手を大切な誰かに差し伸べるんですか!?」 引き続く、機械音。サックスの叫びはまるで自分の影へ呼びかけるようで。 「違うでしょう! 自分が不幸だからって人の命を奪っていいなんて!」 ただ続く、機械音。ここで出会った自分の形をした影に向けて必死に呼びかけているようで。 「気付いているんでしょう! 自分が間違っているって!」 ―――音が、止んだ。 自分を裏切り、のこのこと戻ってきた小僧の声に苛立ちつつフリオニールは引き金を引き続ける。 立場を逆転されて貶められただ足元で、心の底でざわめいていた影がわずかに起き上がってくる。 だが、抵抗もそこまでで押さえつけられたそれは哀しそうに揺らぐだけしかできない。 虚ろだったフリオニールの身体を満たした自分の影はもはやフリオニールそのもの。 例えそれが以前とどれほど違おうと、彼こそが現在のフリオニールであることは違いないのだ。 だから、レオンハルトのようなことを言うガキを憎んだ。むかついた。死を願った、この機械の牙で。 だが規則的に続いていた音の終わりは唐突に、横合いからの乱暴な衝撃がフリオニールを襲う。 『聞いたか、あの説得を? だが貴様は、相変わらず愚考に取り付かれたままか?』 奇妙に澄んだ残響がゆっくり倒れていくでくのぼうから抜け落ち、黒い空気へ霧消する。 痛覚より何が起こっているのか分からない驚愕が勝った状態でフリオニールはさらに見えない打撃を浴びる。 カインの方向にはしっかりと注意を割り振っていたはずだが、一体何が? 『もう逃がさんぞ。目を覚ませ、フリオニール』 「ッッ、レオンハルト!? レオンハルトか! 何をした? 姿を現せ!」 『誘いを断ったのは貴様の方だろうに。いまさらお願いか?』 激昂に乗って抜き放たれたラグナロクが何の手ごたえも無く空間を薙ぐ。 「どこにいる! 出て来い!」 「レオンハルトさん!」 聞こえた呼び声、近づいてくる足音、宙に浮かぶ半透明のロングソード。 像が構えを取る。時間切れの消え去り草の効力に合わせ少しずつ少しずつ人の形が浮かび上がる。 「さて…改めて話し合おうか。フリオニールよ」 「戯れ言を…。ふざけるなよ、兄弟!」 閃光の一合。気圧したレオンハルトの剣が武器の力を超え、フリオニールを下がらせる。 そして――――そこに、死が訪れた。 なお続く機械の音と誰かの叫び声を背景に二つの氷の意思が渡り合う。 はっきりとした視認が不可能な速度で舞い襲う鞭相手の殺陣、槍よりもさらに広い間合いを制圧できる相手にカインは攻撃を当てられないのがやっと。 だが、小手先の策はないわけじゃあない。 ぼろぼろでふらふらだった男が自分の攻撃を受けたときどのようにそれを脱したのだったか。 ツーアクション。 不意打ちでアルスめがけて投げつけられた暗赤色の指輪。 カチリとスイッチが入る隠し持っていた機械。 勇者が攻撃の合間に拾っておいた自身のドラゴンシールドで些細な反撃を止め、 反撃を再開する前にカインは彼が制している空間から逃れ去ることに成功していた。 あとは、再度鞭の間合いに飲まれる前に常人が持ち得ない跳躍力を持って宙空へ逃れるのみ。 彼の足が地を離れた瞬間、示し合わせたように耳障りな音が消えた。 眼下に捉えるは三方を壁に囲まれた中で呆けたようなフリオニール。 吹き上がるは憎悪、思考の努力を投げるほどの感情の炎。 アルスという青年にレオンハルト。この二人を相手にしてフリオニールに勝算があるとは思えない。 けれど、計算よりも損得よりも、カインに強く芽生えた憎悪はその手で奴に引導を渡すように唆す。 ワンクッション、降りた地面にかつてなく力をかけて一本の槍と化し天へ舞う竜騎士。 切り札にして自身最大の攻撃。一撃集中一点狙撃、軌道修正不能の高空からのジャンプ・アタック。 夜空から落ちる竜星は―――そこに、死を導く。 サックスは火が出るような二つの剣の激突を見、そして、流星を見た。 訳が、わからない。 剣を手にしたレオンハルトの勇姿が見えた、そう思ったはずなのに 彼の眼は串刺し刑のように一本の槍で縫い止められた彼の姿を見ていた。 声が、出ない。 激突の反発か、槍と共に流星はいずこかへ跳ね去り、そしてフリオニールの剣が黒騎士を肩口から裂く。 全てが、受け付けられない。 視界の端にアルスの姿が見える。遠さと暗さは彼の表情を読ませてはくれない。 けれど、その視線に非難、不信、憤怒が乗せられている気がしてサックスの心は震え上がる。 僕は、また。 黒い空へ飛翔し消えるカインがいた。近づいてくるアルスの姿がいた。 抱いた希望が反転した絶望はサックスがここに居続ける事を拒絶する。 ここにはいられない。僕はまた、一人で、やらなくちゃ。 駆け出していた。 前ではない方向へ。ここではないどこかへ。足のみが知る行き先へ。 血と鉄の臭気、夜と返り血のコントラスト。 望んだ勝利は望まぬ勝利、己が剣にあまりに呆気なく身を裂かれた親友。 砂のような虚ろな感触に漂い、落ちてきた憎悪が残した目を無感情に受け止める。 最も闇に近しい男は新鮮な肉塊と化した友を一瞥し、その名前だけを闇に閉じ込める。 それから、雷撃の勇者の声に気付いてフリオニールは顔を上げた。 その強さは昼間身をもって体験している。 素早く蹴倒されていた大型マシンガンをザックへと詰め込んで正面切って彼とぶつかることを避け、 フリオニールは廃墟の闇へと溶け込んでいった。 不吉をかきたてていた音の方角へと消えたカインを追って荒廃した建物の間をアルスは走り抜ける。 そして、 地に突き立ち跳ねる流星の如き一条の筋を見、 不自然に踵を返すサックスの姿を見、 廃墟の間へ揺れ隠れ消える憎むべき背中を見、 温かさを残したままに靴で凌辱された戦友の無残な骸を見た。 裁つべき悪は空へ逃し放してしまった。悔恨を信じた友は裏切られてしまった。 そして僕は、傲慢なままにただ立ち尽くす――― 影は纏い付くスモッグのようにアルスの心の目を覆い閉ざす。 揺れる枝に木の葉ずれの音を立てて降りる。 カインは一度だけ粉々に破砕された策謀の舞台を見返し、その後樹を蹴って跳ねた。 何の力か突然に姿を現し軌道に割り込んだ誰かがいなければカインの槍はフリオニールを捉えていたろう。 歯噛みするような失敗は自分の槍の下で誰が死んだのかさえ気に留めさせない。 けれど、戻るという愚行を犯さない程度の冷静さもまたカインには残されている。 これから、何をするか、どこへ向かうか。 逃れることを優先しなりゆきで向かう先は南西。暗く横たわる稜線が近い。 竜騎士たる自分の能力を持ってすれば常人では険しい山岳地帯もさほど労せず越えることができるだろう。 (南西……カナーンか。ラムザらの目的地でもあったな) 午後は本当に災難だったと今にして思う。利なく、意味なく、損と悪名ばかりがかさんだ。 明日は――、と考えかけてカインは自分の愚考をあざ笑った。 招待客の諸君にも一方的な通告は心苦しいが今宵のディナーの待ち合わせは破棄させてもらう。 スミス、貴様はどこで油を売っているか知らんがスミスよ、こんな事情だ、理解しろ。 暫くはそれぞれ独力で生き延びるとしよう。怨むなよ? 【アルス(MP3/5程度) 所持品:ドラゴンテイル、ドラゴンシールド、番傘、ロングソード、官能小説1冊 第一行動方針:フリオニールを追う 第二行動方針:倒すべき悪(アーヴァイン、スコール、マッシュ、フリオニール、カイン、サックス)を殺し、PKを減らす 最終行動方針:すべての悪を消す】 【現在位置:カズスの村】 【カイン(HP2/3程度、疲労) 所持品:ランスオブカイン、ミスリルの小手、この世界(FF3)の歴史書数冊、加速装置、 草薙の剣、ドラゴンオーブ、レオの顔写真の紙切れ 第一行動方針:カナーン方面への転進 最終行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】 【現在地:カズスの南西 高山との境界付近】 【フリオニール(HP1/3程度、MP1/2) 所持品:ラグナロク、三脚付大型マシンガン(残弾5/10) 第一行動方針:来敵へのゲリラ戦での勝利を目指す 最終行動方針:ゲームに勝ち、仲間を取り戻す】 【現在地:カズスの村 廃墟の奥】 【サックス (負傷、軽度の毒状態、左肩負傷、心理的疲労) 所持品:水鏡の盾、スノーマフラー、ビーナスゴスペル+マテリア(スピード) 第一行動方針:この場から逃走する(無意識にウル方面へ) 最終行動方針:出来ればこの現実を無かった事にしたい】 【現在地:カズスの村を出てウルの村へ】 【レオンハルト 死亡】 【残り 56名】
https://w.atwiki.jp/sousakurobo/pages/1296.html
第十四話 東京の休日 五月上旬、小笠原父島。 亜熱帯気候の太陽は既に夏めいており、湿度も80パーセント近い。ここを拠点にするセラン諸惑星連合の将兵は空調の効いた設備で暮らす宇宙生活者のため、湿度と焦熱にあてられて体調を崩す者が続出していた。 それでも海洋調査に船体の修理と、野外活動の機会は多い。ユリウス・パトリキオス艦長も急遽しつらえた半袖の三種軍装を着用してはいるが、それでは頬のやつれまでは隠せない。 1ヶ月前にダイガストの巨砲で穿たれたディアマンテの修理が問題だった。装甲と電路の修理だけでも頭の痛い問題であるのに、艦載機格納庫まで吹き飛ばされたものだから、工具を筆頭に様々な整備用の設備まで失われていた。 既存品の注文になるが、なにしろ地球は銀河帝国文明圏にとっては辺境である。機材の到着は遅れに遅れ、日本国との三度目の限定攻勢を間近に控えるにもかかわらず、万全の修理状態とは言い難い。 しかもこれらの再建に関して一々ちょっかいをかけてくるのが、統制官と呼ばれる資源庁から出向している文民達で、これに納得させるための資料作りがパトリキオスの神経を更に苛むのだった。 『民主主義を掲げた星間貿易国家であるセラン諸惑星連合にとって、スペースレーン(航宙交通路)の確保は安定した貿易を続ける上でも重要な要素である。この崇高な使命を監督する統制官は文民統制の象徴であり、野蛮な王政や開発独裁を掲げた他の列強とは一線を画すうんぬんかんぬん。』 …どこの頭でっかちが言ったのだか知らないが、お陰で現場に実務者以外の意見が罷り通って大迷惑だ。 あわや報告書の文面にそう書き出しそうになり、パトリキオスは慌てて携帯端末の内容を訂正する。木陰で浜風を浴びながら、書類の入っていないファイル程度に見える携帯端末をいじっている姿は、侵略者が優雅な午後を愉しんでいる様に見えるだろうが、内実はISO関連書類や役所への届出に四苦八苦する中間管理職みたいなものだ。 そんな事を考えている折に副官が近づいてきたものだから、パトリキオスは露骨に顔をしかめるのだった。 「なんだい、また統制官殿が新しい報告書を御所望なのかい?」 「いえ…」 副官の眉間の皺は深く、それなりの厄介事であるとは察することが出来た。しかしながら彼が差し出した情報ボードの画像は、パトリキオスの予測の斜め上を1パーセクで飛び去る類のものだった。 それは北海道でルドガーハウゼン大剣卿を唸らせた、あの旭日の光を帯びた宇宙船と同じものだ。 パトリキオスは盛大に溜息を一つ吐くと、それから何かに憑かれた様に猛烈に報告書の整理を再開する。いつもなら皮肉の一つでも言ってサボろうとする艦長の豹変に、副官は思わずたじろいでいた。 「あー、艦長?」 「やって来るのは銀河帝国の近衛艦隊だ。誰が乗ってるにしたって、しばらくは我々『下々』はご機嫌伺いで戦闘行為も自重しなければならないだろう。だったら、今のうちに艦の修理を徹底的に行う。改装も含めてだ。工期の問題で後回しになっていたプランを持ってきてくれ。もう一度練り直す」 「諒解しました!」 副官はやる気の艦長に軽い感動を覚えつつ、背筋の通った敬礼を見せる。 「他に必要な物はありますでしょうか?」 「ふむ…」 パトリキオスは一寸考えて、それからひどく汗をかいている事を思い出し、 「飲み物も頼むよ。缶コーヒー、甘いやつ」 彼もまた日本に馴染み過ぎたガイジンの一人であった。 地球全土で列強の五月前半攻勢が突如延期となり、原因の判らない地球人達を困惑させた。 進駐した兵士達が元気なのは確認されているので、H・G・ウェルズのSF作品の様に微生物に負ける宇宙人という大どんでん返しは期待できなかった。 例えば北海道に潜入中である防衛省の情報本部や警視庁公安部の方々、また、小笠原沖の海底で息を潜める潜水艦乗組員達の地道な観測によって、ツルギスタンやセランの航宙船から頻繁に内火艇が空へと駆け上がって行く事例が報告されていたが、宇宙空間にまで追跡の目は向けられないため、最終的な行き先までは掴めなかった。 緊張の持続というのは難しいもので、異星人との茶番戦争を目前に控えていた国々の将官達は、隷下の兵達の士気に頭を抱えた。うっかり休みを与えて羽を伸ばして来いと言おうものなら、ここを先途と脱走をする輩が出そうな国もあり、そういったお国柄の基地では戦闘前よりも基地の警備が物々しくなるという有様だ。 風見鷹介は脱走――彼の知っている言葉では脱冊――という言葉とは無縁ではあるが、降って沸いた休みには戸惑う類の社会不適合者であった。とりあえず休みの過ごし方に思い付く事が無かったのだが、パイロット過程を落第してからこっち、大江戸研に殆ど拉致同然に詰めていたので、ふと東京の実家に帰ろうかと思い立つ。 そうなると幼馴染――設定を忘れがちであるが――である透もじゃあ一緒に、とか言い出そうとするのだが、遠近法を無視して伸びてきた大江戸博士の手が彼女の頭をぐわしと掴むや、 「君はそろそろ卒論の骨子を提出してくれないかね。調度時間も出来た事だし」 「いーやー!?」 ここのところ実体の無い女子大生だった透は、大江戸博士のデスクの隣に蜜柑箱を机にして、書いてゆく先から添削される超濃縮卒論の荒行に連行された。 一度だけ合掌した鷹介は、そんなわけで久方ぶりの里帰りを果たすのだが、実家というのがこれがまた居場所が無い。航空学生になって家を飛び出したっきり、その道からも転げ落ちて、今では細々と小型機を飛ばしていると親兄弟に伝えている秘密の身分であるからして、針のむしろでジュリアナダンスを踊るようなものだ。 父に収入を気にされ、母に健康を気にされ、弟はなんか反抗期で、妹も二次性徴期の始まりでむつかしいお年頃とくれば、難易度は最上級である。 気の休まらぬままに父の晩酌に付き合った後(いつもは発泡酒なのにプレミアムモルツだった)、ようやく自室で一息吐くと、家を出た時のままで保存されていた部屋が目に入ってまた痛々しい。本棚の航空雑誌とか、やけに気合を入れて作ったF-15Jのプラモデルとか、当時の意気揚々とした自分を思い出すと、思わず窓から投げ捨てたくなる。 しかしコンビニ等に逃避するのも鬼門だ。同級生にランダムエンカウントしたら目もあてられない。そうなったら同級生達に身分を偽るのが嫌というより、もう隔世観みたいなものだった。華の学生や、社会人のルーキーをやっているであろう同級生の輝かしさと比べたら、硝煙ならぬ航空燃料の臭いが身に染み付いた自分はどうだ。昔と変わらない自室の学習机に備え付けの椅子よりも、あの硬いコクピットシートの方が馴染んでいる自分はどうだ。 ならば『飛行適正ナシ』と判断されるのをひたすら恐れた、あの訓練の日々こそが真実なのだろうか。 いや、それも無い。めくるめく濃密な日々を耐え抜いた仲間達も、じきに速成でF-2のコクピットにおさまって飛び発つのだ。その時、自分は異星の技術で固められた分厚い装甲に守られて、あの仲間達の足下を這いずり回っているに違いない。 鷹介は自罰的な焦燥感に身を焼かれて煩悶する。誰に責められている訳でも無いだろうに、自分がひどい卑怯者に思えた。それは若さゆえの潔癖であったが、鷹介がその事に自ら気付ける道理は無く、また同年代の同性のような打ち解けられる者がいない職場であるため、必要の無い罪悪感は彼の目に見えぬ芯の部分をぐずぐずと蝕んでゆくのだった。 野郎がベッドにうつ伏せになってのたうつと云う誰得映像を披露した後、鷹介は整理し切れない『私』の部分に目を背け、駄目人間の見本のように『公』の方に逃避する。 将来家庭を持ったら減点パパになるタイプである。 ともかく何かから逃れるように、研究所の技術者連中に『東京土産なにが良いですか』とメールをうつと、『レシートがあれば実費精算するよん』と軽い口調で、やけに重い目録が送られてくる。その殆どは家電製品やゲームにDVDで、娯楽が限られる研究所生活が偲ばれた。 もうAmaz○nで注文しろよとも思うが、よく考えれば研究所の入口で警備員が配達業者を止めて積荷をチェックする光景は日常茶飯事だった。それで軍艦の酒保開けの合図じゃあるまいが、注文の品を受け取るために列を作る異星の技術者というのもお馴染みの光景だ。 並べば目的は達せられると理解しているのだから、まったく日本によく慣らされた異星人達である。本当に彼等は故郷奪還の折には凱旋が出来るのだろうか。 「そんなわけで秋葉原にやってきたのだ、と」 ウホ、いいオタクの街、と誰が言ったかは知らないが、日が変わって平日の秋葉原に降り立った鷹介は家電やDVDや玩具の宅配の手配に没頭する。 「えぇと…アオモリズ・ブートキャンプに、ダーウィンが来たの海洋惑星特集、モンスターアーツのドラグリヲ、ロボット魂イグザクセン、スーパーロボット超合金リベジオン、figmaティマ、エクセレントモデルCORE一条遥…もう電化製品ですら無いな」 近年ではすっかり趣味に生きる高等遊民の街となり、メインストリートに二次元美少女のイラストやメイド喫茶のチラシ配りであるアルバイト・メイドが溢れ返れば、それを物見遊山するカタギの人々までやってきて、駅前を小奇麗に再開発するというプロジェクトまで立ち上がる始末。電気コードとハロゲンランプのうらぶれたイメージは、既に表通りからは駆逐されつつあった。 今しもメインストリートに面したアニメショップの店先では、現行放映中の美少女がロボットで戦うアニメのPVが垂れ流されていた。 『シンブレイカーにマーラが顕現します!』 『なに召喚しとるんじゃ、あんたらはー!!』 一見して好況のようではあるが、しかしながら銀河列強諸国の来寇を受けて加工国にも野火の如く広がる戦火は、エレクトロニクス部品の供給にも影響を与え始め、パソコンショップ等の店頭には品切れや値段高騰のポップが踊っていた。降伏間近と言われている台湾の影響が最も顕著であり、各国のパソコンや液晶ディスプレイの部品供給が滞っているのだ。 太平洋のフタのひとつである台湾の地政学的重要性は言うを待たないが、エレクトロニクス産業においても掛け替えの無い一部門を担っている。この辺り、中華人民共和国のような加工国と違い、研究・開発能力をもった企業を持つ国の混乱というのは、非常に重たい意味を持っていた。 単純な加工国でも、その生産能力に大いに頼っていた企業は大打撃を被っていた。中華人民共和国産の100円ショップ商品や、半島産のハードディスクがそれだ。 本邦でもツルギスタンの本州上陸からこちら、東北地方の工場が疎開を始めた事により、車のエレクトロニクス部品の供給に混乱が生じ、各車会社は生産調整を強いられている。 別の視点としては、違法星間商人の介入と思われるアデン湾の海賊騒ぎが北アフリカからシナイ半島へと延焼し、いくつかの国で独裁政権の打倒を掲げた内戦を惹起させていた。これにより海賊対策を嘲笑うかのごとく原油価格は高騰し、日本でも燃料代が不安定になってきている。 目に見えぬところで、人々は戦争の影響を肌で感じる様になっていた。 そういう国際情勢が原因でもなかろうが、人がまばらなのはむしろ平日だからという理由の方が大きいだろう。表通りから一本も路地を入れば休日の盛況が嘘のように閑散となる。それゆえに、その椿事は目立っていた。 ありていに言えば一人の白人女性が、三人の黒服に囲まれていた。 なんだ、これ?曲がり角の向こうで出会い頭に広がっていた光景に、鷹介が最初に抱いたのはそんな疑問だった。 黒服は揃いも揃ってミラーシェードで表情が読めないが、どいつも屈強な体躯をしていた。頭髪に金髪の者が混じっていて、どうにも日本でお目にかかる光景では無さそうだった。 さらに凄いのはもう一方の白人女性で、淡い水色のワンピースに薄手で短いカーディガン。それもワンピースは最近のデザインでなく、ふわっと広がる長くてレトロなやつだ。それに編んだ銀髪を後頭部でクルクルと巻いてシニヨンにした、ハッと目を引く美人の貌が乗っているとなれば、どこの絵に書いたお嬢様ですかという話である。いや、ここは秋葉原なので、どこの二次元から彷徨い出たのですか、か。 それが何やら鷹介に理解できない言語で言い争っているとくれば、怪しさもひとしおだった。 と、不期遭遇の衝撃に面食らっている鷹介の姿を認めるや、女性は動き辛そうな格好と裏腹に存外な速さでもって彼に駆け寄って、その背に隠れるように回り込み、 「悪いヤツに追われておるのじゃ。助けてたも」 何とも古体な口ぶりで窮状を伝えると、鷹介越しに黒服達に『あかんべー』をしてみせた。 いかにも可愛らしい訣別の意思表示をされた黒服達は、いささか狼狽した風で鷹介に歩み寄り、 「君、我々は怪しい者ではない。その方をこちらに返してくれないか」 自分で怪しくないと言っていれば世話は無いが、それよりも今の一瞬のやり取りが流暢な日本語である事の方が、鷹介を警戒させる。どう見ても日本人でないのに日本語を口にし、そのくせお嬢様と黒服なんて世間じゃ有り得ない光景を現出させる。 そういうのには覚えがあった。鷹介は苛立ちをおぼえつつ、 「どこの御家騒動か知らないが、そういうのは地球に持ち込まないでくれよ…」 皮肉のつもりだったが、それが拙かった。 反射的に黒服達から張り詰めたものが発せられる。後ろの二人がポケットから警棒のようなロッドを取り出し、音も無く伸張させた。御丁寧に金属の打撃部には青白い電流まで確認できる。 「そこまで知っているのなら、タダで返すわけには行かない!」 「常識でモノを言え、この侵略者ども。見た目がコーカソイドの集団が皆して流暢に日本語を喋るか?電磁警棒なんて日本じゃアニメの産物だぞ?」 鷹介の突っ込みに黒服は若干たじろぐ。宇宙ヤクザの時とは違う反応に、意外にまともな連中なのかも、と共感のようなものを覚えたが、しかし彼もダイガストのパイロットという――今のところは――秘密の身分であるため、こんな所で明らかな列強の関係者にお世話になるわけにも行かない。例え原因が自分の軽口であっても。 鷹介は僅かに腰を落とし、どの様な事態にも動けるように身構える。口じゃどう言おうが、彼の体は荒事に慣れ切っていた。 そして彼の身体の重心移動を、渦中の人であるお嬢様は興味深げに観察している。鷹介の背中越しに聞こえる声には、どこか状況を愉しんでいるような弾んだ節すらあった。 「あの悪いヤツらは腕が立つぞ。そなた、歯が立つのかえ?」 「判らない。だから君は、隙を見て逃げればいい」 「それでは流石にそなたに『目』が無い。そなた、剣は使えるか?」 「剣?…まぁ、真剣じゃない程度なら」 鷹介は高校と航空学生とで続けていた剣道の事を思い出す。二段には手が及ばなかったが、初段は取っていた。 「つかわす。存分に振るうが良い」 そう言って左の脇から差し出されたのは、鈍い輝きを放つ金属製の剣の柄だ。鍔や護拳は無く、柄頭には精緻な彫刻がされている。 受け取り、深く考えずに以前の習いで腰間から抜くようにして正眼に執ると、柄が伸張して拳二つ半に形を変え、更に鍔元からは眩い白銀の奔流が噴き出した。ほんの一瞬、それは液体のように振舞ったかと思うと、見る間に形を変えて二尺五寸(約75センチ)ほどのゆったりとした反りを持つ刃に固まる。 要は刀だ。おそらく鷹介のイメージを汲み取って、そのような形になったのだろう。何しろ長さに反して重量配分は絶妙で、刃が自分の腕の延長にあるようだ。借り物でこんな事は有り得ないだろうし、ダイガストの制御に組み込まれた思考を汲んで機体を制御する技術が、銀河列強のゲーム機から取り外した代物である事を思えば、そう考えたほうが不思議は無い。 鷹介は手の内の握りを確かめる間こそあれ、こちらが出した刀に何らかの躊躇いを見せる黒服へと、先手必勝で打って出る。スニーカーと素足では勝手が違うから、ともかく短期決戦だった。上段へと刀を振りかぶって正面の黒服に殺到し、敵が身構えた瞬間にはその脇をあっさりと駆け抜けて、後ろの二人へと向かう。 矢面の一人を無視した不意打ちに、黒服が躊躇いから狼狽へと変わったのを見逃さず、上段からの小手打ちというフェイントを交えて警棒を狙うと、刃は恐るべき切れ味で警棒を断ち切って青白いスパークを弾けさせた。 続け様にいま一人へと左足で踏み出し、体ごと向きを変えて刃を跳ね上げるや、こちらも過たず警棒が寸断される。 そこから出足を軸に体の上下動無く半回転し、振り返りざまに刃を突き出すと、最初に素通りした黒服の喉元へと剣先が突きつけられた。 う、と黒服が呻くのが聞こえた。 鷹介は騙し手が上手い具合に嵌った事に内心でひどく緊張していた。『思いっきり本身じゃねーか!?』とか切れ味に驚嘆したのもあるが、所詮は相手が白刃に驚いた所に付け入った奇策だ。それが判っているから、優位を突きつけている内に顎をしゃくって黒服達にお帰りを促す。 黒服達は後ろ歩きで距離を取ると、未だ未練たらたらの様子だったもので、鷹介が再び刀を振り上げて脅かして、初めて算を乱して逃亡に入った。 ふぅと一息つき、緊張の糸が切れると、銀の柄へと刃が引き戻る。矢張り使用者の意図を汲む類のメカニズムなのだろう、その出来に感心していると、 「見事!誉めて遣わす」 ご満悦のお嬢様がお褒めの言葉をかける。そういう態度に慣れているのか、たいそう大様であったが、鷹介は悪い気はしなかった。というか一寸言葉を失った。 彼女が柳のような腰に手を当て、僅かに背を反らせば、たわわな二つの盛り上がりが自己主張をしていた。アップにした髪型から覗くうなじとか、スカートから出た足とか、眩いくらいに白い。年の頃は自分より少し下だろうか。貌からは幼さが抜け切らないが、切れ長の目の中には強い意志を感じる瞳が据わり、長いまつ毛がそれを飾っていた。よく整った顔貌からはお嬢様じみた出で立ちも含め、『やんごとなき』という言葉が思い起こされる。 要は鷹介が我知らず見惚れていた訳だが、彼女はその不躾な視線を気に止めるでもなく、 「礼を言うぞ、悪い奴ばらは去った。妾はセシリアンダ。親しい者はセシルと呼ぶ。訳あって家名は明かせぬが、そなたもセシルと呼ぶことを許そう。そなた、名は?」 流れるように仰々しい台詞を吐いた。 家名などと言うからには銀河列強の上流階級なのだろう。しかし明らかに上からの物言いのわりに、彼女の立ち居振る舞いは実に自然で反感が沸かない。人を従わせるのに慣れている、というよりは人に愛される事に慣れている、というべきだろうか。そう素直に思ってしまうのは癪であり、鷹介は美人とは得なもんだ、と捻ねた事を考えながらセシルの問いに答えるのだった。 「風見鷹介」 「ヨースケ!そなたはこの国の戦士の家柄であろか?見事な剣ばたらきじゃ。その剣は褒美に取らすぞ」 貴人が手持ちの剣を褒美にくれるのはよくある話で、それ用に手放しても惜しくない量産品の脇差を持ち歩いた天下人の話なんてのもある。だから鷹介は、ああ普及品なんだな、と納得して白銀の柄をジーンズのポケットに落とし込んだ。 「有り難き幸せ、とか跪いて言うべきなのかな」 「気にするでない、妾の臣民であるわけで無し。それともそなた、銀河共産主義などと標榜する、貴き者の義務を否定する輩かや?」 そういうのは何処にでもいるんだなぁ、とか鷹介は妙な事に感心しつつ、セシルの口調がはきはきとしていたもので、それに乗って――大江戸博士の受け売りだが――悪ふざけをしてみた。 「暴君であれば貴き者という前提は成り立たず、圧政が無ければ革命家は迷惑な扇動屋に過ぎないな」 「…その心は?」 「正義は個人にしか宿らない」 「君主は常に孤独であれ、か。帝王学じゃな…出先で教えられるとは思わなんだが」 そう呟いたセシルの表情はひどく真面目で、状況を面白がっているような雰囲気は消え去っていた。それは妙齢の乙女が自発的に得る様なものでなく、何か余人には理解し得ない重責の存在を感じさせるのだった。 こりゃ透とは大違いだ。鷹介があのお気楽極楽な――と極力思っている――幼馴染を思い浮かべたのは、このやんごとなきお嬢様の醸し出すものに呑みこまれ、その信奉者になって仕舞わない様にする自己防衛だ。もちろん鷹介本人は意識していないが、だからセシルが再び、あのいかにも人に愛される笑顔を見せた時には、何とは無しの高揚感を憶える始末だった。 「のぅ、ヨースケ」 更に追い討ちとばかりに、セシルはいかにも抗い難い上目遣いで彼に要求する。 「礼ついでにな、妾をウエノにまで案内(あない)してくれぬか?」 もちろん鷹介は百戦錬磨のジゴロであるまいし、まして鉄の意志力を持つ訳でもない。いい様に巻き込まれるままに、自らの女性免疫の無さに呆れながら、彼女を上野までエスコートする事が決まっていた。 そして彼は最後まで気付かなかった。二人の遣り取りを、ビルの陰に潜むようにして監視する、別の黒服がいた事に。 山手線秋葉原駅の利用は追い散らした黒服と再遭遇する恐れがあるため、鷹介はタクシーを探す事にした。しかし前述の通りガソリン価格の不安定化に伴って、昼の裏路地界隈にまでやってくる奇特なタクシーはおらず、結局、徒歩で秋葉原を離れ、神田の外れから上野に向かうと言う地方在住者に優しくない経路を執る羽目になった。 オフィス街のビルの合間を縫って歩くと、頭上の空は遥か遠くに感じる。梅雨を間近に控えた5月の空は抜けるように青く、目に染み入るようだ。 「ヨースケ、この辺りは人影も少ないようじゃな。これも戦争の影響かえ?」 セシルは人気の少ない昼のオフィス街をキョロキョロと見回している。ただでさえ美貌の白人女性で目立つのだから、挙動不審な行動は謹んでほしいと願う鷹介の眉間には、自然と深い皺が寄っていた。 「今は就業時間。サラリーマンはオフィスでお仕事中だ」 「残務処理かの?殿軍を買って出るとは見上げたものじゃな」 「何でまた『しんがり』の話に?」 「トウキョウのオガサワラはセラン諸惑星連合に奪われているのじゃろう?奴ばらが雪崩を打って攻め込んでくる前に、企業は疎開をしているのではないか?」 「あ”ー…」 鷹介は濁点交じりの納得の唸りをあげる。小笠原は離島であるが、確かに日本国の首都の一部が敵国に切り取られている認識に間違いは無い。だからと言って今更東京に集中した政治経済のシステムを一気呵成に関西にでも退避というのは、どだい無理な話だった。用地買収と周辺インフラの整備だけで何年かかるだろうか。 それに国場総理は政府が引く姿勢を見せる事によって、国民へと劣勢が印象付けられるのを恐れていた。 議員の中には国会さえ終われば一刻も早く東日本から離れたいと考えている者もいるようで、東京堅守派との角逐突き合わせる睨み合いが始まっている。東日本からの逃亡派には野党民権主体党の超大物――東北地方が選挙地――の名も挙がっており、冷笑の種となっていた。 とまぁ、ここまでは政府中枢の疎開に関する話であるが、なら民間はと言えば、市街地に地上げ獣が出たところで災害時の避難プログラムが精々というのが現状である。 戦時にどこまで国民が協力するのか?これは九十年代にも問題になったが、例によって斜民強酸といった野党の反対と、マスコミの神学論争で沙汰止みとなっていた。溺者の救出には時に殴りつけても大人しくさせる必要があると言うが、非常時の取り決めすらも難色を示すのがポピュリズムの恐ろしさである。 なお、今上天皇は宮内庁内でも度々上がる京都御所への避難を断り、東京で公務を続けていた。この辺りの判断根拠も国場総理のものに近い。 総じて言える事は、大多数の日本人は差し迫った危機が目に見えない限り、今の生活を墨守する習性があるという事だろう。 鷹介はその辺を掻い摘んでセシルに言って聞かす。 「はぁ、何ともまぁ健気な人々じゃの。列強の市民とか言う奴ばらに、爪の垢でも煎じて飲ましてやるが良いわ」 セシルは苦笑交じりにそう言った。 「…近頃の列強諸国は野放図な拡張と、鼻につく善意の押し付けばかりじゃ。それが通じぬと口を揃えて野蛮、野蛮と。知っておるか?今やこの星は文明を受け入れぬ暗黒の星扱いぞ」 その急先鋒な鷹介であるからして、そう言われると心の奥底の悪餓鬼の様な部分が、何ともこそばゆい。本来なら言われの無いヘイトなのだから、そんな事を思っていては駄目なのだろうが、鷹介も基本は 日本の現代っ子なので、相手の自省のような雰囲気には弱い。だから、思わず出た台詞ときたら、 「でも、君みたいに思っている人も居るわけだろう?」 「ヨースケ…正義の独立性を妾に説いた者が、その言い草はどうなんじゃ?」 「む…」 セシルの指摘に鷹介はぐぅの根も出ない。喉に何か詰まったみたいな顔になる彼に、セシルは優しげな笑みを浮かべるのだった。 「よいよい、そなたは優しい人間のようじゃ。されど今の時代、それだけを頼りにしておっては、国敗れて何とやらじゃの。まさに国と国で対峙するなら、そこに正義はあるまい。詰るところ、力無きは悪じゃ」 悲しい事じゃの。セシルの笑みが寂しげに変わった。 それは為政者に近しいであろう人物のあくまで個人的感情であり、国というシステムに反映される事はない。鷹介とセシルが見解の一致を見たとて、それは個人の正義の合致に過ぎないのわけだ。 「こうやって各々の思考を交える事はできても、文字通りの相互の理解にしか過ぎぬ。国へ、集団へ帰れば、相互いの意見なぞ大海へ投じられた砂糖の如くじゃ。幾ら言葉を交わそうとも、海は甘くはならぬ」 「どちらかと言えば、君はその砂糖を大量に持っている人に見えるけど」 「然りじゃな。そこいらの今更のように植民地獲得競争に腕まくりして参加を始めたような慮外者よりは、妾の掌(たなごころ)は大きいじゃろう。されど、民衆を家畜と呼ばうようなGBCの経営者連中と比ぶれば、妾の握りこんだ物は童子の砂糖菓子みたいなものじゃ」 そう言ってセシルは小さな手を軟らかく握りこんで鷹介に突き出す。 「それよりもじゃ、ヨースケ。この手の中に有るであろう砂糖菓子を欲するのなら、淑女に払うべき相応の礼が要ると思わぬか?勲(いさお)しをたてた武人の箔か、はたまた典礼に長じた識者の知恵か、大身貴族のパトロンとなるような商人の力か。妾も未婚の乙女ゆえな、この指を取って解くのならば、よほど気を許さねば、な」 「他人様の助力を得るには、自分自身の力を認めてもらう必要もあるわけか」 「全面的な庇護下に置くというのであれば、列強の植民地と変わらぬであろ。最低限、自分の身は守れることを証明せねばな。国と国の間に正義が無くとも、益があるならば信にも代わろう。ただの紙を通貨となす担保じゃな。それしきの威勢も技術もハッタリも無いならば、国としての交流に益を求めるのも無理な話じゃ」 「世知辛いな」 「見返りもあろう。太陽系の経済は閉塞状態にあるようじゃが、そこに新たな外貨の獲得先を設けられる。例えばツルギスタンやセランと敵対的な国ならばどうじゃ?敵の敵は目先の話なら味方となろう」 「それって率先して銀河列強同士のパワーゲ-ムにコミットしろって事かい?」 「まだ、そのメはあると言う事じゃ、生き残るためにの。しかし負ければ選ぶことすら出来なくなる」 世知辛い。鷹介は今度は心の中でそう呟く。 彼は知る由も無いが、国場政権は列強からの亡命者から銀河帝国文明圏のパワーバランスを聴取し、彼等の細い伝を手繰って交戦国の後背を衝く手段『も』模索していた。 それに鷹介自身が所属する大江戸先進科学研究所も幾つかの省庁の財団法人としての顔を持っており、宇宙の非交戦国と物々交換に近い直接貿易を細々と行っている。不況によって荒廃した地球の市場で磨り潰される資源と考えれば、多少のレートの不利も計算の内だった。 実に消極的ではあるが、負けぬ戦のために様々な手が打たれていた。だが、いずれの行動も明確な休戦への筋道が無い以上、ただの悪足掻きに過ぎないのかも知れない。政治の季節は、未だ濃い戦争の霧の向こうだ。 道筋が見えない点に関しては、もっと根本的な疑問もあった。 結局のところ銀河列強諸国は何がしたいのか、である。 GBCの言う未開惑星を舞台にした陣取りゲームや、列強の根底にある膨張主義という説明を鵜呑みにするのなら、地球がリングである限り地球の各国は今後も防衛を強いられ続ける。しかし防戦に地球の資源を濫費させる事が、列強の植民地政策の意図であるのか。それならば彼等は戦時協定に星を傷つける戦略兵器の使用の禁止する、との謳い文句をわざわざ付けまい。 「君達は、この地球で何がしたいんだ?」 鷹介がそんなマクロな疑問を抱いたわけではない。何のかんの言っても行動による解決を是とする、いわゆる脳筋の類であるからして。だが彼の漠然とした問いかけを、セシルは深い洞察が内包されている様に感じた。…いや、本当にありはしないのだけれど。 「諸戦争を終わらせる戦争…」 言い置いて、セシルはすぐさま付け加える。 「世迷言じゃ。銀河帝国の不徳に端を発し、未だにしぼむ気配も無い。列強は皆が皆、次なる銀河帝国にならんと欲しておる。されど往時の威勢を失ったりとはいえ、老いた帝国は未だに一大勢力じゃ。列強が一国で相手取るには、ちと荷が重い。しかもガップリと四つに組もうものなら、途端に別の列強に後背を討たれるじゃろう」 そう言って彼女は指鉄砲を撃つ仕草を見せると、何やら人の悪い微笑を見せた。 「群れ固まって攻めて来れば話は違おうが、事を成したあかつきには群れの親玉争いが始まるな。すりゃ、いまの列強の拡大方針は、猿山の親玉を決める代理戦争となるわけじゃ。それも次の戦争の下準備の、じゃ」 「とばっちりじゃないか、それじゃ」 鷹介はむしろ呆れて言った。 「だいたい、君らにとって地球はどの程度の価値があるって言うんだ?」 「これまで後回しにされておった辺境じゃな。他の宙域での睨み合いに業を煮やした列強が、次なる版図を描くために見つけた真っ新な画布。そんなところじゃな」 「矢っ張りとばっちりじゃねぇか!」 『まぁ、それだけではないのじゃがな』 セシルはある可能性を思い浮かべたが、口には出さなかった。 そうこうしている内に外神田のオフィス街を抜けて御徒町に入り、またも人通りが増えてくる。年末の風物詩でお馴染みな、アメヤ横丁の買い物客だ。狭い通りに人が溢れかえるのが容易に想像できるが、逆に衆人の目の中ならセシルにちょっかいを掛けるのも難しいだろう。いわゆる人遁の術だ。 幸いアメ横は上野まで続いている。人ごみと言っても休日でもなし、早足で抜けられるだろう。 「セシル、ここを通れば直ぐに上野だ」 鷹介は至極常識的な未開惑星の現実を突きつけられて腐した気持ちを切り替え、ウナギの寝床のような狭い路地に詰め掛けた人ごみを指差す。さすがのセシルもこれには面食らったようで、 「ハハハ、こやつめ。冗談にしては笑えぬの」 と、笑い話で流そうとする。ところが鷹介も右から左に流す気は毛頭無く、 「大丈夫だ。テルモピュライの隘路を300人で塞ぐ程度の話だ」 「大丈夫じゃないからな、それ最後全滅するからな」 「詳しいじゃないか」 「メタな処に突っ込むでない!大体、こんな人混みに連れ込もうなど、妾を何と心得る!?」 「家名不明のセシリアンダさん」 「ふかーっ!」 不毛な遣り取りをひとしきり繰り返して奇声を発したところで、彼女もようやく落ち着いてきた。はぁ、とか細く溜息をつくと、なにやら諦念の色を顔に出して、 「…野戦病院を慰問した時にすら、このような絶望的な光景には遭わなんだが」 「その点、アメ横の買い物客は自分の用事を済ませに来ただけで、君にお目に掛ろうとして来ているわけじゃない」 「妾もまた後ろ盾なくば、この人々と変わらぬわけじゃな。ヨースケ、そなたは恐ろしい事を口にするな。銀河に冠たる権威を、衆人の中にあれば無意味と説く。いや、それもまた真じゃ」 え、そうなの?セシルの心の琴線に触れたらしき反応に、鷹介の方がむしろ戸惑う。勿論、そんな意図で口にした訳もなく、今も彼女が何処の誰様であるか知る訳でもない。 だがセシルは鷹介に――何割かの勘違いを含めて――先ほど列挙した箔か、知恵か、権力かを見出したようで、その白魚のような手を彼に伸ばすのだった。 「特別に許す。ヨースケ、妾の手を取り、ウエノ公園に行くのじゃ」 「仰せのままに」 と気の効いた風な台詞を吐いた鷹介だったが、貴人の手を取る作法を知らなければ、美人と手を繋ぐ経験も無い。差し出された手をおっかなびっくり取り、ずいぶん昔に透の手を引いた要領で彼女の指を掌に包み込むと、押し潰してしまいそうに細くて、そしてひんやりとしている事に驚いた。 意識すれば、子供染みた気恥ずかしさに頬が熱を帯びてくる。鷹介は瞑想でも始めるつもりで人だかりの中に飛び込んだ。 失敗だった。上背のある身ごなしの鋭い若者と、それに手を引かれた外人の令嬢とくれば、まるで騎士とお姫様のようで、人々の好奇の目を曳く事しきりだ。しかもセシルときたら鷹介の羞恥に沸騰しそうな頭の事など露知らず、露店の品揃えにいちいち目をキラキラと輝かす。蟹に鮪の切り身、乾物に果物。露天商が『よっ、そこの美人の外人さん』とか言おうものなら、何事かと視線が集まってくるのは自明の理。 コクピットにあっては練磨の戦士である鷹介も、こうなっては駄目である。きっとハニートラップなんぞは彼にとって恐ろしい威力を発揮する事だろう。 ともかく鷹介は妻の手を引いて冥府の出口を目指したオルフェウスか、根の国で亡妻の手勢に追われた伊邪那岐の神か、アメ横の人ごみをただ一文字に駆け抜けるのだった。 梅雨を目前にした上野公園の桜並木は若葉の時期を終え、目も冴えるような緑のトンネルになっていた。 その木陰がたまらなく心地好いのは、強行軍による筋肉の発熱だけでなく、頬の火照りも含まれる。こういうのは駄目だ、俺のキャラじゃない。鷹介はひどく安上がりな心臓の早鐘が収まるのを、仏頂面で待っていた。 対してセシルは此処までの言の通り、衆目の視線など何処吹く風だ。男の早足につき合わされた事だけが動悸を早めたのだろう、わずかに上気した美貌に悩ましげな微苦笑を浮かべ、 「此度のエスコートは落第点じゃ。これよりは武張ってばかりでなく、紳士の振る舞いも学ぶが良い」 と、辛口の採点をするも、口調は穏やかなもので、むしろ鷹介の朴訥さをやんわりと揶揄しているようだ。 「それにしても大した活気であったな。あのおかしな家電の街も、最前の市場も。人々はまるで戦時と思っていないようじゃ」 実際思っていないのだろう。そう口にしないくらいの分別は鷹介にもある。 国場政権は戦時内閣への組み替えを行っていないが、戦時体制への急速な移行は、日本国内での混乱が大きすぎて断行できないという判断に基づいている。戦火の混乱を最低限に統制すべき戦時体制であるが、産業界、ひいては国民生活への影響を懸念して、強権を振るえないと言うのも本末転倒だった。 しかし『軍靴の音が聞こえる』の新聞ではないが、戦時内閣というだけで拒否反応を示す人々もいるだろう。敵の軍靴はとっくに本州にまで足を掛けているのであるが。 いわんや、鷹介の前に立つ何処かの列強の令嬢らしきセシルをや。しかも首都東京の上野恩賜公園で。 流されるままに、この1時間半ほどをセシルと過ごした鷹介であったが、思いなおしてみれば彼女の振る舞いは追われる者にしては余裕綽々に過ぎる。都合、お家騒動なんて言葉を使って荒事になってしまった訳だが、未だ独立を保つ日本こそ銀河列強人にとっては敵地ではあるまいか。 「…それで、君はここで何をするつもりなんだ?」 疑惑のフィルターをかけた目をセシルに向ける鷹介であったが、彼女は相も変わらず気にした風も無く、思案顔で周囲を見渡す。 「うむ、ウエノで待ち合わせておるのじゃが…」 セシルがそう口にしたのを待っていたように、葉桜の陰からまさに影から沸くが如く、ダークスーツの人物が現れた。鷹介が知る由も無いが、そいつは秋葉原で彼に最後まで気付かれる事の無かった黒服であり、順当に考えるのならば、上野公園までそれは継続していた事になる。 鷹介はとっさにセシルを背中に庇い、黒服の前に立って、そこで初めて黒服の線が細い事に気づいた。 ミラーシェードで表情は隠れているが、アップにした長いブルネットの髪や、唇を朱に彩るリップクリームは、紛れもなく黒服が女性である事を物語っていた。それに背広では隠し切れない極めてメリハリの付いた身体の稜線も。 しかし鷹介はこれまでに感じたことの無い威圧感に、嫌な強張りを覚えるのだった。それはモンタルチーノ商会の宇宙ヤクザとも、民間軍事会社の教官とも違う、ピンと張り詰めた、しかし其処に在るのは当然という、不可解な不自然さだった。 平日という事もあるが、桜並木に不思議と人通りは無い。その事実に遅まきながら気づいて鷹介は戦慄する。 人払いをした上で、途轍もない手練れが送り込まれたのだ。 そう理解するや否や、黒服の女は無造作に踏み出した。腰の上下動の無い、人間が知覚し辛い動きだ。気付いた時には『ぬるり』と指呼の距離に入り込んでくる。倒れる足を前に出すという生物として当然の動きを行いながら、害意のない筈のその踏み足は、即座に突き出される右腕へと大地の反動を伝え、凶器へと変えた。 路面を靴が撃つ心地好い音が、遅れて鷹介の耳に届く。女の拳が反射的に身を反らした目の前を行きすぎてゆく。親指と中指を柔らかく握りこんで、第二関節を立てているのが確認できた。人体の急所に容赦なく捻り込んでくる型だろう。 そんな判断が出来るのは余裕ではなく、ただの隙であり、次の瞬間には鷹介の顔は苦痛に歪んだ。途切れることなく繰り出された左のフックが、彼の視界の外縁から襲い来て、脇腹を突き刺したのだ。続け様にフックによって前に出た左足に代わって後方に下がった女の右足が、鷹介の懐に開いた僅かな間隙を縫って跳ね上がる。 鷹介の視界が強制的に上向き、口に中に金属の臭いが溢れた。後ろに倒れこむのに任せるのと、ズボンのポケットの中の存在を意識したのは、ひとえに、荒事慣れした暴力への耐性だった。 片膝立ちに堪え、セシルから貰った銀の棒を横に振り抜く。 履物が舗装をこする擦過音が耳についた。 血の華が咲くやと見紛う会合の後、次の瞬間には両者の距離は開いていた。鷹介は膝立ちに液体金属の太刀を抜き付けた姿で、女はその抜き打ちをかわして跳び退った姿で。 「やめよ!」 たまらずセシルが語気を強めた制止の声をかける。すると最前までの威圧感も嘘の様に雲散霧消し、黒服の女は拳を解いてセシルへ歩み寄っていった。 何だって言うんだ、全く。膝を伸ばして、悪態のひとつも吐こうとした鷹介だったが、頬の内側だろうか、じりじりとした焦熱と通電したような嫌な痛みを感じて言葉を飲み込んだ。 蹴り上げられた際に歯で頬の内側を切り裂いてしまったのだろう、想像だにしたくないが、口の中に出血と思われるヌルつきが広がってくる。例え傷が塞がっても口内炎は併発するだろう事に思い至れば、なんとも情けない気分になってきた。 と、そこへセシルがつかつかと寄って来て、 「許せ、ヨースケ。しかし、こっぴどくやられたモノじゃな。カナイは妾の筆頭警護女官ゆえな、腕前は帝国でも指折りじゃ。そなたが自信をなくす必要は無いぞ?」 僅かに愁眉を寄せている辺り、侘びるような節は感じ取れた。そもそも鷹介にしてみれば、なんで襲われたのかが判らない。ナンデ?と口を開きかけると、それを制するようにカナイと呼ばれたあの黒服女がズイと前に出てきて、なにやらチューブから軟膏らしきものを指先に塗り、容赦なく彼の口に突っ込んできた。 傷口に指先が触れる刺激が脳天にまで駆け抜けていった。 鷹介は目を白黒させ、それでも喉の奥で呻きを押し殺し、開いたままの口から変な悲鳴になってこぼれ出るのを堪える。そういう『男の子』な反応を好ましく思ったものか、セシルに筆頭警護女官と呼ばれた女は口元を僅かにほころばせて言った。 「細胞賦活ジェルを塗りました。傷口は明日には塞がるでしょうが、急激な細胞分裂で発熱する可能性があります。辛い様なら市販の解熱剤でも服用してください」 落ち着いた、大人の女性の声だった。それに嗅ぎ慣れぬが、不思議と心地好いエスニックな芳香がした。思わぬ接近遭遇は最前の立会いよりも鷹介の思考を圧迫する。 どぎまぎする内にはカナイは体を離し、セシルに向かって居住まいを正して報告を始める。 「殿下、お迎えに上がりました」 「まことにご苦労。しかし、もそっと待てはせなんだか?」 「限界までお待ちして、且つ、小職の任務を遂行した結果、このような仕儀と相成りました」 「是非もなしじゃな」 「なおトラクタービーム到着まで30秒です」 「よく出来た女官殿じゃ」 セシルが最後についた言葉は皮肉であろう。 蚊帳の外の鷹介にもそれは判った。それに、何が何だか判らないうちに、この邂逅が終わろうとしている事も。だから鷹介は一寸考えて、結局、出てきたのは気の効いた台詞ではなく、 「悪漢に追われている女の子はいなかった…そういう事で良いんだよな?」 「それで構わぬ。安心せよ。お陰で良い視察になった」 「…君はツルギスタンやセランの人間なのか?」 セシルは不敵な笑みを浮かべて何か答えた。しかし、その時には暖色の光が天から差し込み、声が聞こえるより早く二人の女性を空へと引き上げていった。 後に残されたのは呆けた顔の鷹介だけ。 非現実的な出会いは、これまた非現実的な終わりを迎えたわけだ。 彼女は何者で、何を視察していたと言うのか。或いは…鷹介は刹那浮かんだ自意識過剰な推測を、苦笑でもって笑い飛ばした。口の端を曲げると、まだ中の傷が痛んだ。 「或いは、感付いたやも知れぬな」 トラクタービームで収容された白亜の小部屋でセシルは唐突に呟いた。 「何がでありましょう?」 後ろに侍るカナイが即座に問うてくる。彼女の培ってきた直感は、それが主の独り言ではない事を感じ取っていた。 「妾が何を視察に出向いたのか、その本人が、じゃ」 「非時(ときじく)の歯車と、それを廻す者ですか」 「ダイガストとやら…それを理解して使っているとは思えぬが」 「操縦者に徹するのであれば、それは意味を成さない事かと」 「然るべき時に、然るべき者が知っておれば良いわけか…」 その時なぜか大江戸先進科学研究所や国会議事堂で盛大なくしゃみをした人物がいた訳だが、それは当事者達にも故が判らぬお話。 会話を続けながらカナイはミラーシェードを外した。隠す必要の無くなった容貌は、凛と引き締まった美女といって差し支えないが、筆頭警護女官なるお堅い役割のためか喜怒哀楽を感じさせない。 能面じみた美女はネクタイを解き、更にダークスーツまで脱ぎ捨てる。シャツの下にあったのは女性らしい下着ではなく、ウェットスーツのような全身を覆うインナーだった。肢体にピッタリと張り付くようなデザインだが、悩ましげな稜線に目を奪われるうちには、下半身を覆うスカートがインナーの腰からスルスルと伸びてきたり、襟元や袖口を思わせる部品が出てきたりして、衣服の体裁を整える。そこに何処から取り出したのか、フリルの付いたヘアバンドを頭に乗せれば、なるほど、侍女であった。 続けて彼女は『失礼いたします』とセシルに断りをいれるが早いか、そのお仕着せの示す如くに、彼女の衣服を流れるような早さで脱がせ始める。セシルも衣服の着替えまで人任せである事が当然なのだろう、時折肩を上げたり、腕を引いたりして脱衣に協力しているが、基本的にはされるがままだ。 「それで、筆頭女官殿の御目がねには適ったのであろか」 脱ぎかけのワンピースからまろび出た肩は、矢張りぴっちりとしたインナーに包まれていた。 「ダイガストの操者はの?」 「小職が女であろうと、勝てないのなら武器を手に取った、あの思い切りは評価できます。このままツルギスタンと小競り合いを続ければ優秀な戦士になりましょう。しかし殿下の剣を下賜するには、些か現状認識が甘いように見受けます」 「然り。不特定の悪意を相手取るには、善良ですらあるな」 「ならば飼い馴らしませ。大義を与え、誇りを安堵し、帝国の剣として存分に奮わせましょう」 「それで満足するほどに、あの国は未だ窮しておらぬ。帝政ツルギスタンもセラン諸惑星連合も、歩兵を擁するような本格の戦はしておらぬからな。ゆえに目に見える被害は少なく、街は平穏を保っておる。そして、おそらくはあの国の為政者も、それを維持する事に腐心しておる。まだ、その時ではないのじゃ」 セシルの時節を窺う発言にカナイは声にならない程度の溜息をついてから、主の肩に薄衣をかける。暖色で向こうが透けて見えそうな薄絹だが、不思議と袖を通してもセシルの肢体が垣間見えることはない。それを三枚も重ねてカナイが飾布で腰に留め、最後に陣羽織にも見える長衣を着せる。 「では殿下は今しばらく宮廷動物園の狐狸の御相手を続けねばなりませんね」 カナイの言葉は警護官として常に付き従う自分にも言えることであり、最前の溜息とはつまりは主従の難儀な前途に吐いたものであった。 常日頃から鉄面皮である優秀な警護女官殿のやや疲れた様子に、セシルは微笑を浮かべて問うた。 「なれば、此度の視察の供廻りは気晴らしになったであろ?」 「お戯れを」 一言のもとに切り捨てたカナイは、これまた何処から取り出したものか、勲章の類を取り出してセシルの上衣の左胸に取り付けてゆく。彼女が最後に羽織った陣羽織のような衣服の肩口には、金糸の線が幾本も曳かれており、そうやって勲章の類を添えてゆくと軍装なのだと理解できた。 それからカナイは主のメイクが崩れていないか点検し、鷹介に連れ廻されてほつれた編み込みに微かに目尻を動かしてから、金の髪止めを挿してそこを糊塗した。何しろ多忙な主が、スケジュールの合間を縫って強行した視察であるからして、身支度の時間がなかった。 「出来上がりで御座います」 言外に『不本意ですが』と注釈がつきそうな具合で告げると、セシルもカナイのように音にならない程度の溜息を吐いた。しかし次に顔を上げた時には、それをおくびにも見せぬ貴人の仮面を着けている。 「ご苦労。さて地球に関する介入であるが、今しばらくは戦況を見定める。妄想狂のフィクシオン連合王国や、人を人とも思わぬルドヴィコ人民発展委員会どもに深宇宙への橋頭保をくれてやるのは業腹ではあるが、あくまで我等は人類領域の護持が命題じゃ。これが危ぶまれるまでは、第五惑星近傍で好機を見図ろう」 「御意」 「それとな」 続ける言葉にセシルの頬がにわかに緩んだことをカナイは見逃さない。 「ダイガストの操者な、あれを、カナイが暇な時で良いから鍛えてやってたも」 「筆頭警護女官が暇な時という前提に疑問を感じますが、承りました。殿下に剣を下賜される事がどういう意味か、しっかりと解らせておきます」 「怖や怖や」 その時、地球では鷹介が唐突な寒気に襲われていたのだが、これも当事者には与り知らぬお話。 手短かに今後の方針を定めた主従は、今度こそ居住まいを正して壁の前に立った。そうすると白亜の壁に四角く切れ込みが入り、音もなく上方へとスライドして道が開く。 と、小部屋がつながった先から眩い灯りが差し込んできた。ホールを照らす照明の輝きだ。そこでは様々な恰好をした老若男女が談笑をしていた。その出で立ちが一目に高級である事と、笑顔と言っても目までは笑っていない者が多い事が共通項か。 山海の珍味がよそわれたテーブルが居並び、その間をカナイと同じお仕着せに身を包んだ侍女が行き来して、客からの飲み物やら何やらの要求に応えていた。ホールの隅には楽団が控え、地球で言うところのバロック調の楽曲を奏でていたが、こういう席なので音は控えめだった。 詰めかけた客達は地球に押し寄せた銀河列強の高官達である。彼らはある一人の人物のご機嫌伺いに、彼らの戦争計画を止めてまで訪れている。それはカナイがよく通る声で大音声に告げた貴人の事であり、 「銀河帝国近衛艦隊提督、セシリアンダ・アウロラ・プラエトリオ・ガラクシア皇女殿下である」 銀河に広がる汎人類種による文化圏の中芯たる斜陽の帝国。その末に連なる美姫は、外行きの微笑を浮かべると、形ばかりの恭順を示す旧領よりの使者の輪の中へ歩を進めるのだった。 午後の訓練を終えた柘植隼人准尉は、駐機場までF-2戦闘機を何とかタキシングすると、機付きの整備士に引っ張って貰い、這う這うの体でコクピットから出てきた。 まだまだ半人前なパイロットが狭い操縦席に収まり、極度の緊張下でもって教官に追いまくられるのだから堪ったものではない。耐Gスーツの中は汗で蒸れに蒸れ、頭から湯気が立ち上りそうだ。装具やヘルメットを投げ捨てて、その場に崩れ落ちたい程の疲労を感じていたが、すぐにデブリーフィングという駄目出しが待っている。寝転がるような贅沢は出来なかった。 速成の決まった隼人達教育隊への訓練は、必然、苛烈なものになった。連日のように空に上がり、クタクタになるまで飛行訓練を続けると、着陸次第の駄目出し。これを午前と午後で繰り返し、日によっては夜間飛行も行われる。各基地の航空隊でもフライトになれば日に三度、四度と飛んで訓練に明け暮れるが、地上勤務やアラート待機の日だってある事を考えれば、隼人達は限界まで締め上げられ、鍛え上げられているわけだ。 それでも圧倒的に足りない飛行時間を補うため、F-2複座型の後部座席からはシートや計器が取り外され、『大江戸研』との怪しげなプレートのついた黒いボックスが収まっている。黒箱の中身は列強の航宙機にも使われる電子機器が詰まっているそうで、F-2内のセントラルコンピューターに増設――どちらが主体かは、この際問題ではない――され、離着陸や航法、火器管制のサポートはおろか、データリンク機能まで付与されていた。 至れり尽くせりだが、そんな便利な物も後部座席を占拠するサイズであり、まして複座型として機首を延長して機材を積み込んだ分の重量増加がチャラになるわけではない。むしろ単座のF-15やF-2に積めるサイズでは無いので、隼人達のような若鷲の手を引くために用意されたようなものだ。 そこまで御膳立てされて、果たして自分達の出番は何時になるのか。 夜毎に実戦への恐怖に押し潰されそうで眠れない、なんて繊細な悩みはない。幸いにして毎日のシゴキのお陰で疲れ果て、布団に入れば泥のように眠るだけだ。 だが漠然とした不安はある。自分は戦闘機パイロットとして役に立てるのか。それとも過酷な訓練の甲斐もなく、いつかくる初陣で何の戦果もなく撃墜されるのか。 死という曖昧なものより、ここまでの自分の全てが無為に終る事の方が堪えられなかった。 それなのに空に上がれば、今日も教官に苦も無く捻じり伏せられる。挙句、上官に付けられたTACネーム(空自パイロット間での愛称)がブービー…最下位の意味だが、この場合はドンケツあたりが的確か――だ。現に僚翼達の中で教官に追い回されてしごかれる時間は、どう考えても自分が一番長い。 これでは不安は募り、自信は消えてゆくばかりだ。 倦んだ思考に陥りがちな若人の目に、格納庫に横付けしたトラックからコンテナが下ろされているのが見えた。そろそろ四発の対艦ミサイルに増槽を付けたフル装備での飛行訓練をやるとか聞いていたので、訓練用の模擬弾だろう。 望む望むまいに関わらず、訓練は進んでゆく。あの後部座席に居座る物言わぬコンピューターは、自分達に落伍する選択すら与えない。 イカレタ宇宙人達に対抗する術が有るだけマシじゃないかと言われそうだが、当事者にとっての悩みはまた別だ。 だから、結局は、やるしかない。 隼人は日に幾度も思いつく科白を自分に言い聞かせ、疲労で重さが割り増し感の装具を引きずりながら、ブリーフィングルームを目指して足を進める。 次々と格納庫に積まれてゆく機材が、後に自分達にどのような厄介事となって降り掛かるか、露と知らないままに。 それはASM-2…93式空対艦誘導弾の模擬弾などではなく、宮城県松島基地へと送られるはずの無人電子戦機だった。前回セラン小惑星連合に一泡吹かせた、誘導弾の弾頭をジャミング装置に置き換えた物だ。 もはや直接の原因は解らない。青森の占領と共に三沢基地から松島基地へと後退したF-2の飛行隊に届けられる筈の物が、本来松島で訓練を受ける筈だった隼人達に届いてしまった。 悪いことに、東北各地の自衛隊の基地では北海道と青森からの後退組の受け入れと業務割り振りで混乱が発生し、日々、意味の有るのか無いのか解らない書類が乱発されていた。教育隊の整備士達も実戦部隊の、それも外部から持ち込まれた急増の装備にまで知識がある訳もなく、コンテナの中の数が合っているのを確認すると、後は格納庫のオブジェとなってしまった。 それはまるで時限爆弾のように不気味な沈黙の中に潜み、時が来るのを待つのだった。 つづく
https://w.atwiki.jp/takeei/pages/14.html
1990 [1990-Ar-39] 亜高山帯の自然地理とその歴史的背景.植生史研究 6 15-23 [1990-A-40] 市川健夫・小泉武栄.リマン海流文化.地理 35 68-70 [1990-A] 日本における高山風衝地植物群落の生態地理学的研究.(東京大学理学部)、1990. [1990-B-11] 鈴木由告著,小泉武栄・秋山好則・福田達男・清水長正・池田明彦編 「鈴木由告植物生態学論文選集」鈴木由告氏の論文集を出版する会 [1990-B-12] 「角川日本地名大辞典20長野県」角川書店(分担執筆) [1990-O-16] Development of alpine plant communities in the Japanese Alps, in relation to slope development since the Last Glacial Age. Abstracts of the V International Congress of Ecology. p.86. [1990-O-17] 多摩丘陵におけるカンアオイ類の分布と地形.日本生態学会関東地区会講演要旨 26(伯田絵里と共同発表) [1990-CA-36] 地質がきめる高山植生の分布.日本の生物4(5) 58-63 [1990-CA-37] 白馬岳の高山植生.日本の生物4(8) 66-71 [1990-CA-38] 中央アルプスの高山植生.日本の生物4(10) 54-59 [1990-BR-10] 堀田満ほか編:世界有用植物事典.地理 35(1) 150 [1990-BR-11] 森下郁子:淙々たる大河-ニジェール,ユーコン,ボルガー.地理 35(2) 121 [1990-BR-12] 三浦昇:江戸湾物語.地理 35(2) 122 [1990-BR-13] ガスカール:探検博物学者フンボルト.地理 35(3) 119 [1990-BR-14] 高橋裕ほか:国づくりのあゆみ.地理 35(4) 124 [1990-BR-15] 荒牧重雄ほか編:空からみる日本の火山.地理 35(5) 16 [1990-BR-16] 小川豊:災害と植物地名.地理 35(6) 120 [1990-BR-17] 大島襄二ほか編:文化地理学.地理 35(6) 122 [1990-BR-18] 林一六:植生地理学.地理 35(7) 120 [1990-BR-19] 千葉徳爾:千葉徳爾著作選集.地理 35(7) 121 [1990-BR-20] NHK取材班編:秘境 大興安嶺をゆく.地理 35(8) 122 [1990-BR-21] ジョーダン:ヨーロッパ文化.地理 35(9) 121 [1990-BR-22] 黒坂三和子編:日本の人と環境とのつながり.地理 35(10) 134 [1990-M-10] 青蔵高原山峰図・中国山峰一覧図.地図情報 10(1) 33 [1990-M-11] 鈴木由告先生とカタクリ研究.日本の生物 4(3) 48-52 [1990-M-12] 由告先生の2,3の思い出.カタクリ研究 7 4-7 [1990-M-13] 田無にはなぜ縄文遺跡がないか.貫井だより 5 1-2 [1990-M-14] 田無における遺跡の立地と石神井川の変遷.たなし市史研究「たなしの歴史」 2 62-72 [1990-M-15] アラスカの永久凍土と人間生活との関わり.地学雑誌 102(1) 口絵と解説 [1990-M-16] 世界の氷河地形.教室の窓-中学社会 新しい社会 342 6-7 1991 [1991-A-41] 有井仁美・小泉武栄.千葉県清澄山におけるヒメコマツの分布とその存続条件.学芸地理45 39-50 [1991-B-13] 市川健夫編「日本の風土と文化」古今書院 [1991-O-18] 小泉武栄・関 秀明.白馬岳高山帯における4つの岩屑生産期と植生遷移.日本地理学会予稿集 39 26-27 [1991-CA-42] 南アルプスの高山植生.日本の生物5(1) 58-63 [1991-BR-23] 浅海重夫編:土壌地理学-その基本概念と応用-.地理学評論64A 415-417 [1991-BR-24] 小林国夫教授論文集刊行会:小林国夫教授論文選集.第四紀研究30 49-50 [1991-BR-25] 内田芳明ほか:都市の意味するもの.地理 36(1) 103 [1991-BR-26] 柳原修一:北アルプス山小屋物語.地理 36(2) 98 [1991-BR-27] 中西弘樹:海流の贈りもの.地理 36(2) 99 [1991-BR-28] 池田博:英国の人と自然.地理 36(3) 97 [1991-BR-29] 野村倉一:根尾谷断層.地理 36(3) 98 [1991-BR-30] 岡島成行:アメリカの環境保護運動.地理 36(4) 110 [1991-BR-31] 平朝彦:日本列島の誕生.地理 36(5) 108 [1991-BR-32] ブリッジズ:世界の土壌.地理 36(6) 113 [1991-BR-33] 金子史朗:レバノン杉のたどった道.地理 36(7) 108 [1991-BR-34] 千葉徳爾:増補改定 はげ山の研究.地理 36(8) 115 [1991-BR-35] 鈴木秀夫:気候の変化が言葉を変えた.地理 36(9) 110 [1991-M-17] 田無における都市水害.たなし市史研究「たなしの歴史」3 51-60 1992 [1992-Ar-43] 日本における周氷河性平滑斜面の研究.地理学評論65A 132-142 [1992-Ar-44] 小泉武栄・関 秀明.風化被膜から推定した木曽駒ヶ岳の化石周氷河斜面の形成期.季刊地理学44 245-251 [1992-Ar-45] 地形学と生態学の接点.地形13 333-339 [1992-A-46] カタクリを用いた自然誌教育の試み.野外教育(東京学芸大学附属野外教育実習施設)3 13-21 [1992-A-47] 自然地理学者から人文地理学者へ.東京学芸大学紀要第三部門社会科学43 103-115 [1992-B-14] 小泉武栄・清水長正編著「山の自然学入門」古今書院 [1992-B-15] 田淵 洋編「自然環境の生い立ち新版」朝倉書店 [1992-M-18] 三頭山の自然と台風禍-自然地理学からみた「都民の森」問題.月刊東京113 1-5 [1992-L-1] 世界の中の日本のブナ林.ブナ林を語る会 1993 [1993-Ar-48] 小泉武栄・青柳章一.風化皮膜から推定した北アルプス薬師岳高山帯における岩屑の供給期.地理学評論66A 269-286 [1993-Ar-49] 「自然」の学としての地生態学.地理学評論66A 778-797 [1993-B-16] 「日本の山はなぜ美しい」古今書院 [1993-O-19] 山の自然保護を考える.日本山岳会自然保護委員会シンポジウム「山の自然保護を考える」4-5. [1993-O-20] 地生態学の立場から.日本地理学会シンポジウム「自然地理学の存在理由」講演要旨.地理学評論 66A 177 [1993-R-14] 自然・生活文化体験ガイドマップ15「国分寺崖線と野川」.東京学芸大学野外教育実習施設事業報告「野外における環境教育」 7 80- 85. [1993-BR-36] 海洋出版編:地質学と地震-松田時彦教授退官記念号-.地理学評論66 338-339 [1993-M-19] 1万年後までに,地球はふたたび氷期に突入する?.ニュートン13(1) 64-65 [1993-M-20] 森へのいざない-森林活動をサポートする.36.森林の立地にも注目しよう.林業技術 614 32-35 [1993-M-21] 座談会「自然の新しい意味づけを考える」-生物レッドデータから地形レッドデータへ.(中井達郎・清水善和).地理 38(3) 18- 33 [1993-M-22] 「日本の地形レッドデータブック」の作成にむけて.地理 38(3) 37-42 1994 [1994-A-50] 内藤大輔・小泉武栄.山梨県櫛形山における遺存植物ヒメザセンソウの生育環境とその存続条件.山梨植物研究7 18-35 [1994-B-17] 野上道男・守屋以智雄・平川一臣・小泉武栄・海津正倫・加藤内蔵進「日本の自然地域編4中部」岩波書店 [1994-B-18] 我が国の自然.岡島成行編「自然との共生をめざして」ぎょうせい 3-15 [1994-O-21] 氷河時代と森林.日本学術会議森林工学研究連絡委員会主催シンポジウム「地球環境史の中の森林」 11-18 [1994-R-15] 日本の地形レッドデーテブック作成委員会.日本の地形レッドデータブック 第1集 [1994-R-16] Ⅰ地形・地質.八丈島自然公園内環境調査基礎調査報告書(国立公園協会) 1-28 [1994-R-17] リマン海流地域の植生と海藻.科研費報告書「リマン海流文化の生態地理学的研究」 15-20 [1994-R-18] 三頭山における集中豪雨被害の緊急調査と森林の成立条件の再検討.とうきゅう環境浄化財団研究助成no.164 [1994-M-23] 自然保護と「山の自然学」.自然保護 380 10 [1994-M-24] 寒冷地形の特性とは-特定地理等保護林の事例を交えて .森林航測 172 11-15 [1994-M-25] 山の植生図-分布図をつくる楽しみ-.地図情報 14(1) 20-22 [1994-M-26] 自然観察ポスター「川のつながり」解説書.日本自然保護協会 [1994-M-27] 植物と山の自然史1 滑るカンアオイ.UP 255 31 [1994-M-28] 植物と山の自然史2 小氷期のレリック 三頭山のブナ林. UP 256 31 [1994-M-29] 植物と山の自然史3 北斜面に生える東京のカタクリ.UP 257 33, [1994-M-30] 植物と山の自然史4 寸づまり現象の謎 清澄山のヒメコマツ.UP 258 63 [1994-M-31] 植物と山の自然史5 海辺の高山植物 礼文島. UP 259 31 [1994-M-32] 植物と山の自然史6 永久凍土と植物群落 大雪山小泉岳. UP 260 39 [1994-M-33] 植物と山の自然史7 馬づらのコマクサ 地質が決める高山植物の分布.UP 261 39 [1994-M-34] 植物と山の自然史8 断層-イワスゲ-タカネヒカゲ 北アルプス南岳 UP 262 31 [1994-M-35] 植物と山の自然史9 砂礫地のエーデルワイス 中央アルプス UP 263 31 [1994-M-36] 植物と山の自然史10 日本の森林限界は低すぎる 北アルプス蝶ヶ岳 UP 264 31 [1994-M-37] 植物と山の自然史11 洪水がないと困る 多摩川のカワラノギク.UP 265 31 [1994-M-38] 植物と山の自然史12 地形の保護と自然保護.UP 266 30 [1994-M-39] 川にみる自然のつながり-地理学からみた川-.ジャパンランドスケープ32 43 [1994-M-40] 世界の垂直分布帯.「新版・空撮登山ガイド4尾瀬・日光・那須」山と渓谷社:29 [1994-M-41] 乾燥化する戦場ヶ原.「新版・空撮登山ガイド4尾瀬・日光・那須」 52 [1994-M-42] 至仏山の高山植物-蛇紋岩と岩塊斜面-.「新版・空撮登山ガイド4尾瀬・日光・那須」 65 [1994-M-43] 尾瀬ヶ原と自然保護.「新版・空撮登山ガイド4尾瀬・日光・那須」 77 [1994-M-44] 大菩薩嶺付近の岩塊斜面とネズコ.「新版・空撮登山ガイド5東京周辺の山々」 23 [1994-M-45] 枯れる丹沢山のブナ.「新版・空撮登山ガイド5東京周辺の山々」 39 [1994-M-46] 新火山・富士山の植物.「新版・空撮登山ガイド5東京周辺の山々」 56 [1994-M-47] 奇岩怪石と尖峰の山 妙義山.「新版・空撮登山ガイド5東京周辺の山々」 69 [1994-M-48] 涸沢カールの崖錐.「新版・空撮登山ガイド9槍・穂高・常念岳」 33 [1994-M-49] 蝶ヶ岳の明瞭な森林限界とハイマツ帯.「新版・空撮登山ガイド9槍・穂高・常念岳」 61 [1994-M-50] 上高地の森林と梓川.「新版・空撮登山ガイド9槍・穂高・常念岳」 77 [1994-M-51] 岩石の割れ目が決める砂礫地とお花畑の分布.「新版・空撮登山ガイド10中央アルプスと八ヶ岳」 32 [1994-M-52] 北八ヶ岳の縞枯れ現象.「新版・空撮登山ガイド10中央アルプスと八ヶ岳」 54 [1994-M-53] ジェット気流が作りだした珍しい風食ノッチ.「新版・空撮登山ガイド10中央アルプスと八ヶ岳」 78 [1994-M-54] 地蔵のオベリスク.「新版・空撮登山ガイド11南アルプス」 26 [1994-M-55] 南アルプスのお花畑.「新版・空撮登山ガイド11南アルプス」 46 [1994-M-56] 光岳の地形と植物.「新版・空撮登山ガイド11南アルプス」 62 [1994-M-57] 仙水峠の岩塊斜面.「新版・空撮登山ガイド11南アルプス」 70 1995 [1995-Ar-51] 白馬岳高山帯「節理岩」における植生遷移と斜面発達.地学雑誌104 503-514 [1995-A-52] 人文地理学者はいま何を期待されているか(1) 研究方法の改善について(上).地理40(10) 66-74 [1995-A-53] 人文地理学者はいま何を期待されているか(2) 研究方法の改善について(下).地理40(11) 66-71 [1995-A-54] 司馬遼太郎の地理学-司馬史観の魅力の根源を探る-.東京学芸大学紀要第三部門46 277-292 [1995-B-19] 「日本の自然をまもる-美しい風景と地形」岩崎書店 [1995-B-20] 田無市史 第三巻 通史編 第一編「自然のすがた」田無市市史編さん室 [1995-B-55] 黄河源流-チべット高原に舞うカモメ.岩田修二・小疇尚・小野有五編「世界の山やま アジア・アフリカ・オセアニア編」55-56.古今書院 [1995-B-56] 北極のオアシス-エルズミア島.岩田修二・小疇尚・小野有五編「世界の山やま ヨーロッパ・アメリカ・両極編」137-138.古今書院 [1995-B-57] 北極・南極とその周辺の植物.岩田修二・小疇尚・小野有五編「世界の山やま ヨーロッパ・アメリカ・両極編」141-142.古今書院 [1995-O-22] 地すべりが決める日本海側多雪山地ブナ林内の群集分布.第42回日本生態学会講演集 157 [1995-O-23] 多摩地域における地形の改変と谷津田の消滅.(山田 修と共同発表).環境科学会1995年会. [1995-O-24] カナダ北極圏エルズミア島の植生に関する地生態学的研究.第18回極域生物シンポジウム.国立極地研究所 [1995-R-19] 押本絵里・小泉武栄.多摩丘陵西部七国峠付近におけるタマノカンアオイの地形分布と分布拡大様式.とうきゅう環境浄化財団(一般)研究助成 no. 86 3-53 [1995-R-20] 牧野智子・小泉武栄.地下茎の形態変化からみたタマノカンアオイの分布様式と地表変動.とうきゅう環境浄化財団(一般)研究助成no.86 57-109 [1995-R-21] 日本の地形レッドデータブックの作成.第3期プロナトゥーラ・ファンド助成成果報告書(日本自然保護協会) 125-127 [1995-BR-37] 太田 勇:国語を使わない国.地理学評論 68A 191-192 [1995-BR-38] 横山秀司:景観生態学.地理 40(9) 126-127 [1995-M-58] 断層がつくり出した稜線の凹地.「新版・空撮登山ガイド7白馬・鹿島槍・針ノ木岳」 34 [1995-M-59] 氷河時代と白馬大雪渓.「新版・空撮登山ガイド7白馬・鹿島槍・針ノ木岳」 41 [1995-M-60] 不安定な表土にこそ育まれる生命-コマクサ.「新版・空撮登山ガイド7白馬・鹿島槍・針ノ木岳」 53 [1995-M-61] 素晴らしい山の景観を守るために.「新版・空撮登山ガイド8立山・剣・雲の平」 15 [1995-M-62] 世界一厳しい冬の剣岳.「新版・空撮登山ガイド8立山・剣・雲の平」 50 [1995-M-63] 天然記念物になった氷河地形.「新版・空撮登山ガイド8立山・剣・雲の平」 85 [1995-M-64] 植物の宝庫・鈴鹿山脈.「新版・空撮登山ガイド北陸・近畿・中国の山々」 17 [1995-M-65] 大山のブナ林の成り立ち.「新版・空撮登山ガイド北陸・近畿・中国の山々」 45 [1995-M-66] 自然が描く地表の造形-白山の構造土.「新版・空撮登山ガイド北陸・近畿・中国の山々」 79 [1995-M-67] 端正だが規模の小さい日高のカール.「新版・空撮登山ガイド1北海道の山々」 29 [1995-M-68] 北の離島礼文島の特異な植生.「新版・空撮登山ガイド1北海道の山々」 55 [1995-M-69] 棚田の石垣を保存しよう.地域文化 31 1 [1995-M-70] 日本の高原・世界の高原.こんにちは さくら銀行です.1995盛夏号 4-5 [1995-M-71] RED DATA 地形も危ない!! 氷河時代の自然が失われる.生活と自治(生活クラブ生協連合会)313 33 [1995-M] 山の自然学の試み.連載エッセー:自然と私.遺伝,49-1,4-5,1995. [1995-L-2] 日本における氷河地形研究史.山の自然学講座 [1995-L-3] 熱帯高山・温帯高山・極地の自然.山の自然学講座 1996 [1996-Ar-58] Recent progress of geoecology in Japan. Geographical Review Japan 69B 160-169 [1996-Ar-59] わが国における地生態学の最近の進歩.生物科学48 113-122 [1996-A-61] 人文地理学者はいま何を期待されているか(3)社会への貢献.地理1(1) 80-88 [1996-B-21] 山岳域の景相生態.沼田 眞編「景相生態学 ランドスケープエコロジー入門」朝倉書店 [1996-B-22] 「日本地名大百科-ランドジャポニカ」小学館 (分担執筆) [1996-B-23] 「新版地学事典」平凡社(分担執筆) [1996-O-62] 平田 煕・小泉武栄・山田 修・久野勝治・矢口久美子・近藤治美・鈴木俊也・高田秀重・熊田英峯・佐藤 太・山口友加・小倉紀雄・加藤哲郎・細見正明・一ノ瀬俊明.首都圏における多様な人間活動インパクトとその制御.環境科学会誌 9 109-122 [1996-O-60] 自然地理教育の再生をめざして(講演).新地理 44(3) 40-48 [1996-O-25] 東京・田無市における遺跡の立地と石神井川の変環.日本地理学会予稿集 50 200-201 [1996-R-22] 生物地理学からみた最終氷期最盛期頃の乾燥化と完新世の湿潤化.科研費報告書「最終氷期の日本列島の乾燥化に関する第四紀学的研究」 85-90. [1996-R-23] 妙音沢斜面林とその周辺の地理.「妙音沢斜面林の自然-新座市栄一丁目緑地等植生調査業務報告書」新座市公園緑地課・日本自然保護協会 3-10.(初見祐一と共著) [1996-R-24] 妙音沢斜面林の地形・地質・土壌.「妙音沢斜面林の自然-新座市栄一丁目緑地等植生調査業務報告書」57-72. [1996-R-25] 辻村千尋・小泉武栄.妙音沢斜面林の気候条件と光条件.「妙音沢斜面林の自然-新座市栄一丁目緑地等植生調査業務報告書」73-90 [1996-R-26] 妙音沢斜面林のすがた-植物の分布にみる自然のつながり-.「妙音沢斜面林の自然-新座市栄一丁目緑地等植生調査業務報告書」137-140. [1996-BR-39] 小池一之・坂上寛一・佐瀬 隆・高野武男・細野 衛:地表環境の地学-地形と土壌.地理学評論69A 51 [1996-BR-40] F.ピアス・平澤正夫訳:ダムはムダ-水と人間の歴史-.地理学評論69A 770-771 [1996-BR-41] 日本弁護士連合会公害対策・環境保全委員会編:川と開発を考える-ダム建設の時代は終わったか.地理学評論 69A 771-773 [1996-BR-42] 平井幸弘:湖の環境学.地理学評論 69A 909-910 [1996-BR-43] 市川健夫:風土発見の旅.信濃毎日新聞. [1996-M-72] 武蔵野の丘陵から三頭山へ-身近な自然を見直してみよう.岳人 1996(2) 27-29 [1996-M-73] コアエリアは歩く人だけに限定.岳人1996(5) 92 [1996-M-74] 国土の「自然」を読む-自然地理学から見た日本の自然と国土利用.BIO City 8 47-51 [1996-M-75] 地滑りと森林.「新版・空撮登山ガイド2東北北部の山々」 15 [1996-M-76] カンラン岩地における森林限界の低下.「新版・空撮登山ガイド2東北北部の山々」 33 [1996-M-77] コマクサと樹林と湿原と.「新版・空撮登山ガイド2東北北部の山々」 66 [1996-M-78] 残雪と万年雪の山 月山.「新版・空撮登山ガイド3東北南部の山々」 24 [1996-M-79] 残雪と植生.「新版・空撮登山ガイド3東北南部の山々」 42 [1996-M-80] 偽高山帯の成立過程 日本海側多雪山地.「新版・空撮登山ガイド3東北南部の山々」 84 [1996-M-81] 赤石山系・銅山越のツガザクラ.「新版・空撮登山ガイド13四国・九州の山々」 31 [1996-M-82] 亜高山帯を欠く山 屋久島・宮之浦岳.「新版・空撮登山ガイド13四国・九州の山々」 71 [1996-M-83] 数万年後,氷河期がくると気候や植生がかわり,列島がつながる.ニュートン 16(8) 50-51 [1996-M-84] 小泉武栄・目代邦康.自然観察に出る前に.多摩のあゆみ 83 8-9 [1996-M-85] 秋留台地の湧水と集落立地.多摩のあゆみ 83 17-20 [1996-M-86] 縄文遺跡のない田無の不思議.多摩のあゆみ 83 21-23 [1996-M-87] 武蔵野のオアシス-新座市妙音沢斜面林のカタクリ-.多摩のあゆみ 83 38-39 [1996-M-88] 日の出町・東光院の珍しいモミ林.多摩のあゆみ 83 40-41 [1996-M-89] 八高線多摩川鉄橋下の「牛群地形」.多摩のあゆみ 83 56-57 1997 [1997-Ar-63] 原田経子・小泉武栄.三国山脈・平標山におけるパッチ状裸地の形成プロセスと侵食速度.季刊地理学49 1-14 [1997-A-66] 地すべり地の土地利用と植生に関する従来の研究.学芸地理52 25-34 [1997-B-24] 太田 勇著,渡辺満久・小泉武栄・太田陽子編「地域の姿が見える研究を」古今書院 [1997-B-25] 日本海の島嶼と半島の植物相.市川健夫編「青潮文化-日本海をめぐる新文化論」古今書院 144-162 [1997-O-26] 小泉武栄・辻村千尋・目代邦康・酒井 啓.羽後朝日岳山頂部における階段状地形の成因とその生態学的意義.日本地理学会発表要旨集 51 56-57 [1997-CA-90] 自然が人を教育する.BIO CITY 10 54-59 [1997-CA-64] 地球温暖化の中の極地植生-カナダ北極圏の"極地オアシス"をめぐって-.科学67 850-861 [1997-CA-65] 氷河時代と森林.水利科学41(5) 1-12 1998 [1998-B-26] 「山の自然学」岩波書店 [1998-B-27] 「山歩きの自然学-日本の山50座の謎を解く」山と渓谷社 [1998-B-28] レッドデータブック(RDB)(2)-生物のハビタットとしての地形・地質-.「自然保護ハンドブック」朝倉書店 114-125 [1998-B-29] 「山名・用語事典」山と渓谷社(分担執筆) [1998-B] 高山域の自然保護.沼田眞編「自然保護ハンドブック」,583‐589.朝倉書店,1998. [1998-O-27] 福井幸太郎・小泉武栄.木曾駒ヶ岳の山頂付近の風衝斜面におけるパッチ状裸地.日本地理学会発表要旨集 53 98-99 [1998-O-28] 目代邦康・小泉武栄.雑誌「史蹟名勝天然紀念物」からみた昭和初期の日本の自然保護思想.日本地理学会発表要旨集 54 222-223 [1998-CA-67] 氷河時代と現在.駒澤大学高等学校研究紀要20 11-15 [1998-CA-68] 川と日本人の歴史.地理 43 30-37 [1998-CA-92] 日本の自然の豊かさとは.THE地球人(長野県地球人会議) 1 8-16 [1998-BR-44] 貝塚爽平:世界の地形.地理学評論 71 848-850 [1998-M-91] 高山の地形学.山と渓谷 1998(8) 64-67 [1998-M] 東北地方における山地植生の成立環境.日本生態学会東北地区会会報、58,1-6、1998. [1998-M] なぜ高山植物は貴重なのか.岳人,1998年9月号,145-146,1998. 1999 [1999-A-69] 日本海側多雪山地における地すべり起源の植物群落.東京学芸大学紀要第3部門社会科学50 49-59 [1999-R-27] 小泉武栄・辻村千尋・目代邦康・酒井 啓.羽後朝日岳山頂部における階段状地形の成因とその生態学的意義.和賀山塊自然学術調査会「和賀山塊の自然」 81-86 [1999-R-28] 目代邦康・酒井 啓・小泉武栄・辻村千尋.羽後朝日岳とその周辺の地形.和賀山塊自然学術調査会「和賀山塊の自然」 77-80 [1999-R-29] 建設省国土地理院.日本の典型地形 都道府県別一覧」国土地理院技術資料 D・1-No.357 [1999-BR-45] 「松井 健先生の思い出を語る」記念誌刊行会編:松井 健先生の思い出を語る―ペドロジーへの道.第四紀研究 38 420 [1999-M] 氷河がつくった岩の殿堂-槍・穂高の自然.『槍・穂高-岩橋崇至写真集-』,106-107,山と渓谷社,1999. [1999-M] 木をみて森をみて山をみよう.森林インストラクター会報,No.29,1,1999. [1999-M] 尾瀬の地形のなりたち.自然保護,440,35,1999. [1999-M] 知的登山のすすめ.保険展望,46-4,14-1.簡易保険加入者協会,1999. [1999-M] 高層湿原の話.みずのわ,113,14-17.前澤工業株式会社“みずのわ”発行委員会,1999. [1999-M] 丘陵地で生きるカンアオイ-地表変動と乾燥の狭で-.多摩のあゆみ,96,38-51,たましん地域文化財団,1999.
https://w.atwiki.jp/yukimi0/pages/175.html
10月末にもなると日が昇るのがずいぶん遅い。 時計ではもう午前5時を回っているはずなのだが、夜が明ける気配はない。 真っ暗な夜空に無数の星々が瞬いている。 今日は新月なので、一欠けらの明かりもなかった。 大地も山々の稜線も全て暗闇の中に溶け込んで、星々切れ目だけ僅かにそれが天と地の境目だという事を教えてくれる。 その真っ暗な早朝の荒野に、三機のモビルスーツが歩いていた。 シグナスと呼ばれる、リヴァイブの主力モビルスーツだ。 その彼らは普段の武装の他に、それぞれ巨大な円筒形の筒をいくつか持っている。 それをある程度歩いてその辺に突き刺す。 すると円筒形の筒は地面に潜っていった。 彼らはその作業を場所を変えつつ何度も繰り返していた。 『ローゼンクロイツの部隊は上手くやってくれるでしょうか?』 中尉の声が大尉のコクピットに流れる。 「……こればっかりはあちらさんを信用するしかないな。俺達は俺達の仕事をするしかない」 『それは、そうですが』 「不安か?」 モニターに覗く中尉の表情はいつもと変わらない。 だが僅かに漂う気配から、彼が多少の不安を抱えているのが大尉にはすぐにわかった。 だてに長年付き合っているわけではない。 「なにせこの三機だけで、アリーの街に攻撃を仕掛けるんだからな。正直、俺も怖いさ。だがここまで来たら開き直るしかないだろうよ」 『確かにそうですね。すでに賽は投げられたわけですし』 「そういう事だ」 フッと笑みを交わす二人。 この辺の阿吽の呼吸は今も健在だ。 するとその時、もう一つのモニターに軽薄そうな男が映る。 少尉だ。 『こっちは大体埋め終わったぜ。取りあえず準備はバッチリだ』 中尉と違って、少尉はむしろ楽しそうに見える。 この男なりには不安なのだろうが、少尉はそれをおくびにも出さない。 性格の差、といえばそうだが中尉が不安がるからこそ、少尉も脳天気でいられるのだろうと大尉は思う。 『貴方はなんでそう、脳天気なんですか?もう少し真剣に考えて下さい』 『んな事言ってもよぉ、今更考えても仕方ねーじゃん』 このような会話が出来るのはお互いの信頼関係に寄るものだろう。 「おい、もうそろそろ行くぞ。気合いを入れろよ」 大尉はうっそりと二人に言うと、遥か遠くに見えるアリーの街の明かりを確認する。 このコーカサス州の中では有数の大きな街の筈なのに、街灯の光は満足に見えなかった。 辛うじて、今にも消えそうな微かなともし火が、いくつか見えるだけだ。 単に占領されただけでそうなってるわけではない事は、大尉にも分かっていた。 コーカサス州全体がそうであるように、ここも飢えと貧しさとは無縁ではないのだ、と。 大尉は時計を確認すると、もうすぐ午前6時になろうとしてた。 まもなく夜が明けるだろう。 一日の始まりとともに、たった三機の無謀な喧嘩が始まろうとしていた。 荒野の中をサイドカー付きのバイクが砂塵を上げて走る。 シンとコニールだ。 コニールは砂に足を取られぬように、慎重に運転している。 サイドカーの席上ではシンが、目を閉じて黙り込んでいる。 これからの作戦のために、少しでも力を残しておきたいのだ。 ふと、コニールが口を開く。 「ねえ。あんた、ソラの事どう思ってるの?」 「何だって?」 「ソラよ。あの子の事をどう思ってんのって聞いてるの!」 そこにAIレイが口を挟む。 《この朴念仁にそういう質問は限りなく無意味に等しいぞ》 「お前、こんなにダストと離れていてもまだ通話出来るのか?」 《そうでもない。もうそろ……通話が出来な……る距離だ》 通信にノイズが走り始める。 電波が途切れそうになっている証拠だ。 「……シン、あのさ」 「コニール、今は作戦の事だけに集中しろ」 「……わかったわ……」 もうそれ以上、シンは何も言わなかった。 ただ無機質なバイクの走行音だけが二人の間に流れていく。 シンがこんな問いに答えないだろう事はコニールにも分かっている。 この男にはそういう話は無意味なのだと。 しかしそれでもコニールは確かめたかった。 つい聞いてしまった出撃前のシンとソラの会話。 そこでコニールは、ソラの気持ちが少しずつシンに向かっている事に気づいてしまったから。 かすかだが言いようの無い不安が彼女の中で頭をもたげる。 戦場で感じるそれとは全く異質なもの。 それが何なんか今のコニールには全く分からなかった。 (ダメだ。シンの言う通り今は作戦に集中しなきゃ) 雑念を振り払うように彼女は遠くを見やる。 「あ!見えてきたわよ!」 視線の先に目標物があった。 アリーの街より数キロの地点にある観光名所でもある遺跡『バルアミー鍾乳洞』。 そこが、シンとコニールの目的地だった。 「むぅっ……」 徴用した官舎の中に用意させた仮眠室で、アデルは大きく伸びをして体をほぐす。 昨日は結局、一睡もできなかった。 積年の恨みが果たせるという興奮からか、眠気が全く起きなかったのだ。 「クックックッ。イカンな、これではまるで初年兵のようではないか」 収まらぬ自分の気持ちの高ぶりに、アデルはたまらず苦笑する。 (昨日の内に来る、と思っていたんだがな。……ならば、今夜か?) 戦力が大幅に劣るリヴァイブが取れる選択肢は少ない。 相手の戦力が低い場合、守備側が気をつける事は『奇襲』だ。 戦力が戦力として機能しないタイミングを狙う、それは勝負の鉄則である。 新月で月明かりも期待できない昨夜であれば、それは絶好のタイミングであっただろう。 それ故、アデルは夜襲で来ると判断し、そのための布陣を敷いた。 だが実際には彼らはいつまで経っても来なかった。 そこでアデルは部隊を二部隊に分け、半数をそのまま警戒に、残りを休ませた。 設営した司令部に入ると、アデルは夜通し働いた兵達を労わりつつ、現状を聞く。 「どうだ?」 「いえ、未だ異常はありません」 「……そうか。あと30分したら、交代をよこす。お前達も少し寝て来い。意外に長丁場になるかもしれんぞ」 「はっ!」 ぼけた頭を覚まそうとアデルは当番兵にコーヒーを持ってくる様に言う。 するとその時、レーダーを監視していた士官が興奮した叫び声を上げる。 「ア、アデル大尉!アリーの街より九時方向、モビルスーツを三機確認!識別は“シグナス”、リヴァイブです!!」 「な、何!?」 よもやの来襲に一瞬アデルも慌てるが、直ぐに頭を切り換えて怒鳴りかえす。 「確かなのか!?この朝っぱらにか!?」 「間違いありません!!映像センサーでも確認されました!」 「どういう事だ?奴ら兵法も知らんのか!?」 「敵モビルスーツ、移動開始!真っ直ぐ街に向かってきます!」 しかしチャンスには違いない。 アデルの口元に思わず笑みが浮かぶ。 「よぉし!全モビルスーツ隊機動!敵モビルスーツを迎撃せよ!俺はムラマサで出る!!」 すぐにアデルはムラマサの格納庫へ向かう。 あの三機が出てきている、という事は例のガンダムタイプも居るはずだからだ。 アデルは勝利を確信していた。 兵法も知らぬ馬鹿を相手に負けるはずがない、と。 この時、その『馬鹿』に負け続けたという事実は、アデルの頭の中から完全に抜け落ちていた。 ルタンドの機動は早い。 とにかく現場からの声を聞いて作り上げられたモビルスーツだけに、機動シークエンスなどの手順は驚くほど簡略化が成されていた。 “搭乗者に優しい”という謎めいたキャッチフレーズ通り簡略化をコンセプトに作られたこの機体は、各機体の中でも真っ先に立ち上がる。 次いでゼクゥ。 バクゥの後続機種として作られた四脚モビルスーツで、よりスマートなシルエットをしている。 こちらも素早く機動していく。 両機とも迎撃用モビルスーツとしての特性を十分に兼ね備えていた。 そして最後に大型連装砲門を持つザウートゆっくりと動き出す。 砲撃戦には未だ威力を見せる地上戦用モビルスーツだが、こちらは旧式だけに少々手間取っているようだ。 ルタンドとゼクゥの混成部隊が街の中から出撃してくる。 それらの動きは、当然大尉達のシグナスのモニタでも捕らえていた。 『前方、敵モビルスーツ確認!ザウート3、ゼクゥ5、ルタンド5!』 中尉が叫ぶ。 三機のシグナスは緩やかに蛇行しながら、街目指して荒野をまっしぐらに走り抜ける。 すると彼らに向かって幾重ものビームが放たれた。 いくつもの光弾が横を通り抜ける。 遠くに見えるアリーの街の前で立ちはだかる、政府軍のモビルスーツ部隊が撃ってきたのだ。 まだ有効射程外だというのに。 「来るぞ!気合いを入れな!」 『了解!』 『おっしゃあ!』 あの可変モビルスーツ、マサムネの姿はまだ見えない。 第一次攻撃はマサムネが動き出すまでだ。 とにかくそれまでの間に、ある程度のダメージを与えておきたい。 大尉は決断する。 「ライトニング=フォーメーション!Act.アルファ!!」 大尉がそう言った直後、シグナス達の動きが一変する。 今まで蛇行していたその動きが一変する。 大尉と少尉が左右に分かれ、さらにスピードを上げて突撃してきた。 しかもその動きは一層鋭角的に大きな軌道を描くようになったのだ。 それに合わせるかのように、政府軍のモビルスーツ隊も左右に分かれた両機に次々と砲火を浴びせる。 ザウートの砲火が轟き、少尉機の直ぐ側で爆炎が上がる。 「んな、ヘナチョコ弾に当たるか!」 こんな程度で萎縮する少尉ではない。 ますます大胆にシグナスを駆る。 前衛のルタンドとゼクゥにビーム突撃銃を乱射する。 当たる当たらないではない、とにかく牽制だ。 同じように大尉機も乱射する。 大きく左右に動き回るシグナス二機と、街を背に陣形を取る政府軍モビルスーツ隊。 両陣営から放たれた無数のビームがいくつも交差し、宙を焦がす。 だがどちらにも致命打は与えられない。 やや戦線が膠着の様相を見せたその時、一条のビームが後列にいた後列に居たルタンドの頭部を破壊した。 「やったぜ!」 少尉が叫ぶ。 中尉のスナイパーライフルだ。 まるで針の穴を通すかのような見事な狙撃で、敵陣に穴の開ける。 中尉は大尉達が敵の攻撃を霍乱しているさなか、一旦下がったように見せかけ、その実後方から狙っていたのだ。 これが大尉達が編み出した戦術「ライトニング=フォーメーション」である。 三機一体で織りなす戦術の数々の中核であり、ここから数々の基本戦術が生み出されている。 そのうちの一つがAct.アルファと呼ばれるもので、少尉と大尉が敵を引きつけ、中尉が攻撃するというコンセプトのフォーメーションだ。 少尉と大尉が左右に大きくジグザグ動いて、敵の注意を引きつける。 一旦下がったように見せかけた中尉から敵の目を目をそらしつつ、スナイパーライフルで相手を狙撃。 すかさず離脱し体勢を立て直すという、所謂一撃離脱用のフォーメーションである。 勿論、中尉は一番後列から狙撃するので、撃った弾が少尉や大尉に当たる恐れはあるが、これまでも中尉は誤射をした事は無い。おそらくはこれからも。 陣形に穴を空けられ、一瞬政府軍モビルスーツ隊の間に動揺が走る。 「よし!マサムネが来る前に逃げるぞ!ライトニング=フォーメーションAct.ブラボー!!」 大尉がすぐさま指示を飛ばす。 『了解!』 『あいよっ!そこらじゅうに”目くらまし”をばら撒いてやるぜ!』 すぐさま少尉が前面にチャフの混ぜられたスモーク弾を発射する。 大尉達のシグナス隊と政府軍モビルスーツ隊の間に、真っ白い煙の壁が立ちはだかった。 Act.ブラボーは『撤退戦用の陣形』なのだ。 後詰め、いわゆる殿(しんがり)に少尉が当たり、大尉が指揮、中尉が支援砲火を行う陣形である。 チャフが混入したスモークの前ではセンサーも役に立たない。 視界を封じられた政府軍モビルスーツ隊、ゼクゥとルタンドの部隊が一気に突撃してきた。 その様子にコックピットの中で大尉はニヤリと笑う。 三機のシグナスはゼクゥ、ルタンド隊を引きつけながら撤退を図っていく。 かねてからの作戦通りに。 一方、リヴァイブ基地。 ローエングリン砲要塞を再利用したこの基地には、今人がほとんどいなかった。 基地の人員は戦闘のためにほとんど出払っていて、今残っているのはごくわずかな非戦闘員しかいない。 その中には指揮官たるロマもいた。 前線指揮は大尉に任せ、今回の彼の役目はリヴァイブとローゼンクロイツとの協調を取るための、前線に必要な情報や指示を送る事だった。 そのためにはすぐに情報が集められ、かつローゼンクロイツの上層部にもすぐに連絡が取れる基地の方が、何かと好都合だったのだ。 刻々と新しい情報が入ってくる。 ロマの見たところ、状況は今のところ順調のようだった。 「“釣り野伏せ”?」 耳慣れない言葉にソラはきょとんとする。 初めて聞く言葉なのだろう。 よく分からないみたいだ。 「大尉曰く“古き良き伝統”の戦い方、だそうだよ」 食堂で休憩に入れたコーヒーを飲みながら、ロマはそう言った。 彼の傍らには、いつでも対応できるように通信機が置いてある。 ロマが休憩に食堂を訪れると丁度そこではソラが、夕食の仕込みのためにジャガイモの皮むきをしている所だった。 すると作戦の状況が気になったのか、ロマの姿を見るや否や状況がどうなっているのか聞いてくる。 それはもうしつこいぐらいに。 出撃したシン達を心配しているのだろう。そこである意味やむなくロマはソラに状況を教えてやる事にしたのだった。 持っていた地図の上にチェスの駒を置いていく。 駒は大尉達と相手方のモビルスーツ隊の動きを表していた。 「大尉達は、まず敵部隊に一撃を加えて、そのまま攻め込むとみせかけて全力で離脱する。敵を引きつけながら、ね」 チェスの駒を動かしならが、ロマは説明を続ける。 戦略などソラには縁遠い内容の話だが、なんとなく言いたい事はわかった。 「敵を引きつけて罠にかける、という事ですか?」 ソラは歴史が好きだったから、軍記物なども良く読んでいた。 その中には撤退戦を仕掛け、相手を罠にかけるシーンが何度と無くある。 「それだけじゃあ無いんだよね、大尉の考えたシナリオは。あの人が味方で、本当に良かったよ」 「……はぁ」 “釣り野伏せ”とは数ある撤退戦術の中でも有名な戦法だ。 日本の戦国時代では島津義久が得意とした戦術であり、当時の天下人、豊臣秀吉に対しても一矢報いた程の有力な戦術である。 この戦術が成立する条件は二つ。 ①まず接触した部隊が、退却しつつ攻勢を加えていく。 ②①に呼応するように別働隊が敵側面を突く。 「これだけ見れば簡単そうなんだけどね。でもね、これが結構難しいんだ」 そういうとロマはまたチェスの駒を動かしていく。 「この作戦の重要なところは、実行には撤退をする部隊が敵を引きつけなければならない所にあるんだ。でも損害を与えすぎてはいけないし、損害を受けすぎてもいけない。損害を与えすぎると敵が追撃を諦めてしまって、戦力の分散ができなくなるし、逆にこちらの損害が大きすぎると、撤退すらできなくなる。微妙な匙加減が必要なんだよ」 「そ、それって凄く難しいんじゃありません?シンさん達だけでなんとかなるんですか?」 「そういう事。勿論、これだけじゃあ勝てない。なにせ今回の敵はとにかく数が多いからね」 ロマの説明にソラも頷く。 それぐらいは素人の彼女にも解る。 何故ならこちらの戦力だけでは①はともかく②をクリア出来ないからだ。 そんなソラの顔を見ながら、ロマは満足げに笑った。 「そこで僕が用意した『奇策』が生きてくるのさ」 シンとコニールはバルアミー鍾乳洞に着くやいなや、バイクでそのまま乗り込み、鍾乳洞内を走っていた。 「もっとマシな道は無かったのかよ!」 シンが叫ぶがコニールは意に介さない。 「仕方が無いでしょ!?こういう道しかないんだから!」 「これは『道』なんて言わない!大体、お前が教えてくれる『道』で良い事があった試しがあるのか!?」 バイクが大岩を飛び越え、その向こうの小道に着地する。 その横には断崖があり、一歩間違えばそこに落ちてしまうタイトロープのような有様だ。 (また鍾乳洞の中を行くハメになるとは思わなかったぜ……) ふとザフト時代の記憶が甦る。 当時シンはローエングリン砲台を陥落させるためにコアスプレンダーで飛んだ。 あの時もかなり肝を冷やしたが今度はバイクだ。 (アリーの街に着くまで、俺は生きて居るんだろうか……?) 今更愚痴を言っても仕方が無い。 仕方なくシンはシートに深くふて寝する事にする。 「……着いたら、起こしてくれ」 隣のコニールのやけに楽しそうな横顔を見ながら、シンは胃がキリリと痛むのを感じていた。 敵の三機のシグナスは牽制しつつ、撤退していく。 一方こちらは、ルタンドの一機が頭部を吹き飛ばされて行動不能になった他は、味方のゼクゥ・ルタンド隊が順調に敵を追い詰めていた。 この後さらにマサムネ隊が支援に加わる予定だ。 上空のムラマサから戦況を観察していたアデルは、テロリスト達が何を考えているのか推測していた。 (……罠、か。この戦力差ではそれしかないが) テロリスト達の狙いは、言うまでもなくアリーの街の奪還だとアデルは睨んでいた。 そのためにはアデル達政府軍を退けさせなければならない。 そう考えていくと、今のシグナス達の動きは『こちらを罠にかけるために動いている』と見るのが妥当だと、アデルは考えていた。 かといってアデルに兵を引かせる考えは無い。 アデル達の目的はアリーの街を守る事では無く『アリーを利用して、出てきたテログループを殲滅する』のが目的なのだから。 ならば多少の罠であろうと打ち破るつもりでいた。 それ故、アデルは敵の思惑が丸見えの撤退戦に付き合う事にした。 万が一の時はこのムラマサで支援してもいい。 戦力にはまだ余裕がある。 それが今のアデルに戦況をゆっくりと観察するゆとりをもたらしていた。 しかし、同時に彼は思考の隅に引っかかるものも感じていた。 (……戦力比を考えても奴らの方が劣勢なのは明らかだ。ならば同じ罠を仕掛けるにしても、夜襲で使うなり、奇襲を狙うなり、もっとこちらの隙をうかがう攻め方があったはず。なのに何故テロリスト共はそうせず、あえて白昼堂々攻めてきたのだ?) 今現在戦っているのはリヴァイブのモビルスーツ、シグナス三機のみ。 それが逆にアデルを不安にさせる。 (こっちのモビルスーツ隊を街から離させた後に、歩兵部隊でアリーの街を奪還するつもりか?いや、だとしても街に駐屯するこちらの部隊の方が数は圧倒的だ。それが分からん連中でもあるまい。一体どういう事だ……?) ゲリラは隠密行動に徹するから利があるのだ。 そこに罠を張るから、効果も上がる。 それすらもかなぐり捨てたリヴァイブの戦略に、アデルは不可解なものを感じていた。 (罠を仕掛けているのは間違いないだろう……?しかし一体どうやって?奴らの戦力にはもう余裕はないはずだ。それともまだこっちが掴んでいない隠れた戦力でもあるというのか?) 思考が答えの見えない疑問の迷宮に嵌る 疑心暗鬼。 これこそが、大尉の考えていた戦術の効果である。 中途半端に相手の戦力を知っているだけに、逆に一度疑いが生じるとどこまでもキリが無くなるのだ。 さらに彼を疑心暗鬼に陥れるのが……。 (しかも例の”ガンダムもどき”はまだ見えないと来ている。奴は何処だ!?何処から来るつもりだ!) この時アデルは自覚していなかったが、彼は焦っていた。 アデルの本当の目的は”ガンダムもどき”――すなわちダストの撃墜だった。 一機とはいえダストの戦闘力は既に証明されているように、十分な脅威といえる。 しかもその相手に二度も苦渋を飲まされているのだ。 (奴だけは俺が倒す……!) ダスト打倒への執念がアデル自身をシグナス隊追撃に向かわせず、ここに留まっていた強力な動機となっていた。 もちろん戦況が不利になれば、その限りでは無かったが。 だがそれはある意味、大尉の戦術が予想以上に成功していた事を意味していたとは、当のアデルは気づくよしもなかった。 この時ゼクゥ、ルタンド隊に続いてアデルがムラマサ隊までを戦線に投入していれば、シグナス達は捌き切れなかったかも知れない。 数が違う上に、空と地上からの二面攻撃を受けては、さすがの大尉達ももたなかっただろう。 だが逆にアデルはザウート隊とルタンド隊を街に戻した。 既に一機が中破していたし、追撃させるにはルタンドはゼクゥの機動力に付いていけず連携が難しかった。 現に前を行くゼクゥとルタンドの間はかなり距離が離れていた。 更に都市防衛の面で歩兵部隊だけでは如何にも不安があったからだ。 そして何より未だ姿の見えぬダストの存在が、アデルにそういう判断を余儀なくしていた。 (ゼクゥの支援はマサムネ隊に任せるから、まあ大丈夫だろう。あとは、奴だけだ……!) アデルはムラマサのコックピットの中でどこかに潜んでいるであろう、ダストの気配に神経を尖らせていた。 かくて大尉のシナリオ通り敵部隊は攻撃部隊にゼクゥ及びマサムネ隊、防衛部隊にルタンド、ザウートと分断された。 戦術とは、効果的に兵を配置し、運用する事だ。 その点に置いて大尉は『敢えて兵を見せない』事で敵戦力を分断させ、『時間単位における戦力差』を減算させる事に成功しつつあった。 つまり、敵に遊兵(この場合は戦闘に参加しない兵)を作らせる事に成功したのである。 “兵は欺道なり(戦争とは敵を欺く行為である)”とは、この事だろう。 結果的に政府軍の戦力は二分され、大尉達を追撃する戦力も減った事になるが、では彼らが楽になったかというと、そうでもなかった。 『でー!!ルタンドが居なくなってからの方が、ゼクゥが生き生きしてやがる!』 『そりゃそうでしょう。あっちの方が明らかに足が速いんですから!』 少尉と中尉が悲鳴を上げる。 砂塵渦巻く荒野の中で、四つ足のモビルスーツに追い立てられた三機のシグナスは、まさに四苦八苦の様相を呈していた。 ゼクゥはバクゥの後続機種である。 地上での機動力、速力は他の追随を許さず、ここにおいてもその威力を遺憾なく彼らに見せ付けていた。 「ルタンドがいなくなったら、こいつら急にスピードを上げやがった!!」 大尉機がビーム突撃銃を乱射する。 だがゼクゥは難なくそれをかわし、逆に背部にある連装ビーム砲を撃ち返してきた。 「くそぉ!」 なんとかかわす。 だが別のゼクゥが横に回り込む。 大尉機の死角だ。 「チッ!」 後ろを取られたか、大尉がそう覚悟をした瞬間、スナイパーライフルが数発がゼクゥをかすめいった。 すると形勢が不利と見たのか、そのゼクゥはあっと言う間に後方に下がっていく。 『大尉!大丈夫ですかか?』 「スマン、中尉!」 大尉達は機動性の高いゼクゥ隊を捌くのに、必死にならねばならなかった。 シグナスとて足は速いが、流石に平地ではゼクゥの速力に敵うものでは無い。 幸い撤退したタイミングがかなり早かったので、包囲される事はなかったが、ゼクゥ隊は隊列を整え、ジリジリと三機のシグナスを追い詰めてくる。 さらに。 『!?……二時方向、マサムネ来ます!』 ――新手が来れば、また問題は別だ。 「中尉、対空散弾!!」 大尉が言葉少なに指示を出す。 中尉は直ぐに動いた。 『了解。フォロー願います!』 少尉と大尉のシグナスが、ゼクゥ隊と中尉機の間を塞ぐように移動する。 精密射撃をする時はどうしても足は止まるか、そうでなくとも単調な動きになる。 この状況下で足を止める事がどれ程危険な事かは、言うまでも無い。 『散れっ!手前……ラァッ!!』 少尉が温存していたミサイルポッドを全弾発射する。 同じように大尉もミサイルを射出する。 弾幕に視界を遮られ一端距離を取るゼクゥ隊。 ――そして数瞬出来た隙に中尉は対空散弾の狙いをマサムネに定め、撃つ。 かろうじてマサムネはそれを回避する。 外れた散弾は地上のゼクゥに雨の様に降り注ぐ。 しかし散弾はゼクゥの装甲に少しの焦げを作っただけで、ダメージと言えるほどのものは与えられなかった。 「……焦らせやがって!そんなオモチャじゃ何発喰らっても効かないぜ!!」 マサムネのパイロットが吼える。 彼は散弾の弾幕は脅威足りえないと判断し、攻撃を仕掛けてきた。 それこそ中尉達の狙いだとも知らずに。 中尉は再び狙いを定め対空散弾を放つ。 が、威力を見切ったマサムネはかわそうともせず距離を詰めてくる。 そしてそのまま散弾の弾幕の中に飛び込んだ。 「な、何!?」 マサムネのパイロットは驚愕する。 突然、コックピット内に警告ブザーが鳴り響き、機体がコントロールを失ったのだ。 咳き込んだような音を立て、エンジンが止まる。 マサムネは機体に一体何が起きたのか理解する前に、地上に墜落していった。 それを見た残り二機はあわてて上空へ退避する。 『いよっしゃぁ!』 まんまと嵌った敵の姿に少尉は、中指を立てカッツポーズを見せた。 中尉の射出した対空散弾とは俗称で、正式に配備されている弾頭では無い。 レジスタンスが開発した“対戦闘機用のエリア攻撃兵器”という代物だ。 ある一定距離を進んだ後に爆発し、かなりの広域に散弾を散布する。 その散弾一つ一つは鋼鉄ではなく強化プラスチックに溶液を浸した様なもので、とても戦闘機を撃墜できる威力は無い。 だが、この武器が効果を発揮するのは『その弾が一つでも戦闘機のエアインテークに吸入されてから』なのだ。 強化プラスチック内の溶液は気圏戦闘機に使われる航空燃料と良く反応し、小規模ながら爆発を起こす。 それが一つでも内部で爆発してくれれば、たちまち内部機構が破壊され、機体は動作不能に陥るのである。 マサムネ隊は見かけの威力に騙され、回避を怠った為、見事引っかかったのだ。 一機撃墜。 しかし喜んでいる場合ではない。 大尉が叫ぶ。 「馬鹿、喜んでる場合か!避けろ!」 一機のゼクゥが肉薄し、口に構えたビームサーベルが少尉を襲う。 間合いが近すぎて大尉達もフォローができない。 『……なろおっ!!』 少尉は無理に避けようとせず、そのままゼクゥに体当たりをかける。 ビームサーベルがシグナスの左腕を切り裂きそのままボディを切り裂こうかという寸前、シグナスはゼクゥをかち上げた。バランスを崩し、ゼクゥの体が宙に吹き飛ぶ。 思い切りのいい少尉で無かったら死んでいただろう。 「油断するな、少尉!」 『す、すんません大尉!』 すぐさま大尉が少尉のフォローに入り、再び三機のシグナスは撤退戦を続行する。 彼らは待っていたのだ。 戦局が変わる瞬間――ロマが提案した『奇策』が実行される時を。