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執事勉強会-理想の給仕- 執事 カドクラ つまり、給仕の際に最も求められるのは如何に己の存在を消すかです、お分かりですか? からくりメイド 分かりマス、私居るとお話しの邪魔、でも私、食卓の様子見ないト、お仕事不可 執事 カドクラ そうです、万事滞りのない食事を進行するにあたり、食卓や主人の動向から目は離せません 執事 カドクラ ですが、そのように目を光らせている状況で食事をお楽しみ頂くのは困難です 執事 カドクラ 理想の給仕とはそこに居るはずであるが、居ないと言う相反する状況を作り出せる者です 執事 カドクラ そこに至るまでに修得すべき技能は三つに大別され……おや、どうされましたか? (プレイヤー) カドクラさんの勉強会があるらしいと聞いて様子が気になったのですが、お邪魔ですか? 執事 カドクラ いえ、何の支障もございません 執事 カドクラ ですが、少々詰め込み過ぎていますね、ここで休憩と致しましょう からくりメイド からくりメイド (プレイヤー) 源内さんのからくりはどうでしょう、本物に迫ってますかね? 執事 カドクラ 見た目も一般的なメイドとして申し分無く、これが人工物だとはにわかに信じ難いです 執事 カドクラ この様な存在を認めてしまえば私の中の何かが崩壊してしまいそうですね (プレイヤー) からくり姫さんの例もありますし、源内さんの技術はもう妖術の領域ですからね 執事 カドクラ ですが、物覚えも良く理解も早い、この調子では半年もあれば立派なメイドとなれるでしょう からくりメイド 半年頑張りマス、私は立派なメイドになりマス、よろしくお願いしマス 執事 カドクラ ご覧頂けましたか?この意識の高さ、私カドクラも初心を思い出す心地にございます (プレイヤー) 彼女が育てば源内さんも喜んでくれるでしょうし、よろしくお願いしますね 次へ 一覧に戻る
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/ i | ヽ ゝ イ i ハ ヾ | \ ハ | \ | | l ! / \ ヾ | | i 1 リ | i ゝ __ | | | l ハ|_ ヾ | ヽィ j/=、| | 7 / i | ____ \ ´⌒ヽ | ハ V | イ⌒゙`\ i リ \|ノ 弋_フノ / / / |i " )_,,, _ l ゝ .\ i〃⌒゙ヽ 〃⌒゙ヾ // ) | ハ | た や |i ヽ | ト/人7} 〃〃 〃〃´ ∠イr ちノ | ふ 家 え っ |i / ・ i イ リ | 、 | rイ | え 族 ち た |i t / i ハ r‐--ー、 /ハi! | る が ゃ ね |i 〃 ● ハ \ .イ_ _,,ツ イ/ / . < よ ん |i r一 ヽ ) /i ハi i >,, ___ _,, ´ /,,ハ/|/ ii | !! ! |i | i ∀" "  ̄ ̄ ト、 //ヽ  ̄" ̄ | |i | i ノi ノ r j ア` …‐ | |i ニ| |二二◎ __,.. | / / | |i i i ヽ __,, ´ t/ / | li } ,_ ´ { ,,___ / ,,/i \____ |i | /j\ _ ヘ ニヽ,,,/_,, , / j j __ / / ⌒`)⌒) i ヽ `r‐ ___ ` ヽ ,, _,,_,,/ ノ"ノシ 〃 ,ノ フr フ メ / ノ ゝ ゝ- 、 ヽ | ソ / ./
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小牧長久手の戦い(理想の章) 小牧長久手の戦い(理想の章) あらすじ ステージ情報 武将データ 戦局展開・イベント ミッション 推奨技能 特別会話相互 個別 その他 攻略アドバイス 無双演武(4-II)・理想の章一覧 あらすじ 石田三成、加藤清正、福島正則。 若き子飼いの将は、賤ヶ岳の戦いで躍動した 勝家を倒した秀吉は、 信長の後継者であることを、天下に知らしめる 信長の子・信雄は、秀吉の勢力拡大を止めるべく、 徳川家康と組み、秀吉に対して挙兵した 秀吉は優秀な子飼いたちを引き連れ、 家康・信雄連合軍と対峙した この戦で天下が決まる。 子飼いたちはそれぞれの決意を胸に、決戦に臨んだ ステージ情報 冒頭解説 秀吉と家康、小牧長久手の地で激突!己の理想のため、奮起せよ! 出現条件 賤ヶ岳の戦い(理想の章)クリア 操作可能武将 石田三成・加藤清正・福島正則・島左近・羽柴秀吉・ねね・黒田官兵衛・藤堂高虎 難易度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆ 制限時間 60分 勝利条件 徳川家康と織田信雄の撃破 敗北条件 羽柴秀吉と羽柴秀長と石田三成と大谷吉継いずれかの敗走↓羽柴秀吉と羽柴秀長と石田三成いずれかの敗走、または徳川家康の退却地点到達 武将データ 羽柴軍 備考 徳川軍 獲得 備考 羽柴秀吉 総大将 徳川家康 不定 総大将イベントで一時撤退 羽柴秀長 敗北条件 織田信雄 武器 勝利条件ミッションNo.4の阻止対象 大谷吉継 敗北条件選択禁止 本多忠勝 武器 イベントで一時撤退ミッションNo.5の阻止対象 石田三成 敗北条件 稲姫 巻物 ミッションNo.9の撃破対象 選択武将・甲 下記参照 酒井忠次 不定 ミッションNo.6の撃破対象 加藤清正 大須賀康高 巻物 ミッションNo.1の撃破対象 選択武将・乙 下記参照 榊原康政 不定 島左近 ミッションNo.8の必要武将 板倉勝重 不定 選択武将・丙 下記参照 奥平信昌 不定 選択武将・丁 石川数正 不定 ミッションNo.6の撃破対象 羽柴秀次 ミッションNo.3の成功条件 大久保忠世 不定 ミッションNo.2の撃破対象 堀秀政 丹羽氏重 不定 ミッションNo.3の撃破対象 池田恒興 渡辺守綱 金銭 ミッションNo.2の撃破対象 森長可 鳥居元忠 金銭 ミッションNo.3の撃破対象 稲葉一鉄 安藤直次 不定 蒲生氏郷 佐々成政 不定 ミッションNo.3の撃破対象 山内一豊 岡部長盛 不定 丹羽長秀 伊奈忠次 不定 野呂助左衛門 鵜殿氏長 不定 滝川一益 内藤清成 不定 小西行長 増援イベントで敗走 青山忠成 不定 ミッションNo.3の撃破対象 蜂須賀小六 菅沼貞盈 不定 増援1ミッションNo.2の撃破対象 牧野康成 不定 服部半蔵 武器 増援2ミッションNo.7の撃破対象 井伊直虎 巻物 増援3ミッションNo.8の撃破対象 井伊直政 武器 本多正信 金銭 増援4ミッションNo.5の阻止対象 本多重次 不定 伊丹康直 不定 増援4 平岩親吉 不定 武将選択 名称 備考 藤堂高虎 選択武将・甲 福島正則 選択武将・乙 ねね 選択武将・丙 黒田官兵衛 選択武将・丁 無双演武では、選択武将によって登場する武将が変化する藤堂高虎と福島正則に優先代理出撃あり 模擬演武では登場しない 戦局展開・イベント 開始直後、ミッションNo.1が発生。 ミッションNo.1達成後、南東砦が閉門。別働隊が孤立。大谷吉継が奮起。ミッションNo.2が発生。 ミッションNo.2発生後、中央砦北門と中央砦西門が開門。 ミッションNo.2の対象武将2人を撃破後、小牧北砦が開門。敵増援1の菅沼貞盈と牧野康成が出現。小牧北砦に侵入後、ミッションNo.6が発生。 ミッションNo.6達成後、敵増援2の服部半蔵が出現。半蔵の奇襲により羽柴軍本隊が進軍停止。羽柴秀吉が苦戦。 服部半蔵に接近後、ミッションNo.7が発生。 ミッションNo.2達成後、中央砦が開門。ミッションNo.3が発生。 ミッションNo.3発生後、徳川家康と本多忠勝が一時撤退。ミッションNo.7達成後、敵増援3の井伊直虎と井伊直政が出現。 プレイヤー武将が島左近の場合、敵増援3に接近後、ミッションNo.8が発生。 ミッションNo.3達成後、小幡城が開門。織田信雄が小牧山城へ移動開始。ミッションNo.4が発生。 ミッションNo.4発生後、小牧山城と小牧南東砦が開門。 ミッションNo.4終了後、徳川家康が再出現。敵増援4が出現。自軍増援の蜂須賀小六と小西行長が出現。 敵増援4出現後、本多忠勝が再出現。蜂須賀小六と小西行長が敗走。楽田南砦が開門。ミッションNo.5が発生。稲姫に接近後、ミッションNo.9が発生。 ミッションNo.5達成後、南東砦が開門。徳川家康が退却地点へ移動開始。敗北条件変更。 ミッション 番号 名称 内容 備考 No.1 進軍準備 大須賀康高と榊原康政と板倉勝重を撃破せよ! No.2 別働隊を救え! 中央砦を突破するため、渡辺守綱らを撃破せよ! 撃破対象は渡辺守綱、大久保忠世、菅沼貞盈、牧野康成の4人。 No.3 別働隊の反撃 別働隊の羽柴秀次と堀秀政と協力し、丹羽氏重らを撃破せよ! 撃破対象は丹羽氏重、青山忠成、佐々成政、鳥居元忠の4人。 No.4 信雄撤退阻止 織田信雄の小牧山城到達を阻止せよ! No.5 本陣急襲 本多忠勝らの楽田城侵入を阻止せよ! 撃破対象は本多忠勝、本多正信、本多重次の3人。レア武器ミッション:新武将(双剣)(模擬演武) No.6 ☆砦奪取 石川数正と酒井忠次を撃破せよ! 制限時間:1分 No.7 ☆影の奇襲 服部半蔵を撃破せよ! No.8 ☆井伊家の誇り 井伊直虎と井伊直政を撃破せよ! 必要武将:島左近 No.9 ☆戦国最強の娘 稲姫を撃破せよ! ☆はボーナスミッション 推奨技能 名称 備考 鼓舞 損害を受けた大谷吉継の救援用。 特別会話 相互 対象武将 内容 話者 発言 石田三成 島左近 石田三成 お前は賤ヶ岳のときにいた…この戦にも来ていたとはな 島左近 雇われ軍師の身の上、呼ばれて参上、です。ま、気になってる御仁もいるんでね 大谷吉継 石田三成 吉継、無事か! 俺も合流しよう 大谷吉継 また無茶をさせてしまったか… 島左近 友のため危険を顧みず突っ走る…。なるほど、冷たく見せて熱い御仁だ… 個別 使用武将 対象武将 内容 話者 発言 石田三成 井伊直政 石田三成 見ない顔だな…徳川の新入りか? 井伊直政 家中の者ならいざ知らず、他家の者にまで新入りと呼ばれる筋合いはない! 徳川家康 石田三成 秀吉様の脅威…今、ここで除く! 徳川家康 秀吉殿への忠義立てあっぱれ。なれど、最善が見えておらぬな その他 発生条件 話者 発言 加藤清正操作時にミッション2達成 加藤清正 これで別働隊への攻撃が緩めばいいが… 福島正則操作時にミッション2達成 福島正則 さあ、俺たちゃ小牧山城を目指して進もうぜ! 加藤清正操作時に半蔵出現 加藤清正 秀吉様が襲われている…!まずいな、味方が動揺しているぞ 福島正則操作時に半蔵出現 福島正則 こうしちゃいらんねえ!早く助けに行こーぜ! 攻略アドバイス 基本的には羽柴秀吉率いる本隊と大谷吉継ら別働隊を救援する部隊とに分けての展開となる。 井伊義母子との固有ミッションのある左近は本人の言の通りに本隊に向かわせること。 大谷救援後は、別働隊救援部隊の方は羽柴秀長の護衛に充てると最後の奇襲部隊に対応させやすい。 無双演武(4-II)・理想の章一覧 第一話 第二話 第三話 第四話 第五話 賤ヶ岳の戦い(理想の章) 小牧長久手の戦い(理想の章) 九州征伐(理想の章) 三成襲撃事件 関ヶ原の戦い(理想の章)
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タタタタタッ タンッ タンッ ゲゼルシャフト第2基地にて、サイボーグ3人が走っている。隙あらば銃撃も加えている。 理由は単純明快、進入者を捕らえるためである。状況によっては射殺許可も出ている。 銃撃を避ける為、進入者が曲がり角を曲がって行く。 見失う訳にはいかない。そのまま追撃する。攻撃される危険を無視し 曲がり角から飛び出す。通常であれば僅かに顔を出し、何処にいるか確認するべきである。 が、こちらはサイボーグ。先ほどから進入者が発砲しているベレッタM92ごときでは傷一つつかない体だ。 「追いかけっこもここでお終いだ」 しかし、曲がり角を飛び出た3人が最後に見た光景は、白い光だけであった。 自身が死んだと認識する暇もなく、3人はこの世から消え去った。 ACT.05 「理想と現実 ~それぞれの決着~」 「ふむ・・・どこの世界でも鍛錬以外で力を持てば、慢心するものだな」 サイボーグ兵が居た場所を見て、一人呟く。その場に残っているものは、足が6本… その後方の壁面には大人5人は優に通れる穴まで空いている。 わずか一発でこの威力、このまま火力重視で押し切りたいところだ。 今しがた使用した兵器は、我輩が自分用に開発した銃である。 開発No.61番、名称「XERD_003SS」無理矢理大別するなら携行式簡易人機融合型となる。 本来の用途は環境修復装置(Environmenral Repair Device)として、他生物にエネルギーを 分け与えることを目的としているが現在のところ砂粒状のナノマシンから構築される、 携行式の光学兵器としての機能が主である。故に、頭文字にXがついている。 使用するエネルギーはグリップからナノマシンを通じ、自分のATPを使う。 簡単に言えば、20番台(肉体変異型)と50番台(多人数機械融合型)の合作である。 二つのいいとこ取りをできれば強力な兵器なのだが、世の中そんなに甘くはなく とんでもない欠陥がある。 グゥ~ 戦場に不似合いな腹の虫が鳴り響く。おまけに、100mを全力疾走した疲労感まで出てきた。 自分のATPを使うため、この銃を使う度に疲労感が出てくるのだ。 一発撃っただけでここまで消耗するとは、出力を大きくしすぎたとも思ったが サイボーグを3人まとめて葬ったから、良しとしよう。 今いる場所はゲゼルシャフト第2基地、地下第8ブロック・・・奇しくも以前仲間と別れた場所だ。 ここまでは爬虫類として能力を使い進入できた。 (ダクトから無理矢理進入して来ました) 途中、何度かサイボーグ兵を背後から襲い眠らせてきた。 奴らは確かに視力・聴覚・防御力など人間とは比較にならない程、優れているが それに頼りすぎる。訓練を繰り返せば別だが、まだ警戒認識が極めて低い状態だ。 そこを最大限利用してきたが、ここで見つかったのは大きな痛手だ。 銃を仕舞いながら、この先どのように進入するかを考える。 またダクトを通るべきか、いや進入しているのはばれている、サーモセンサー装備もいるだろう それなら・・・ カツッ カツッ カツッ とりとめもなく考えていると、足音と共に忘れられない声が聞こえてきた。 「あら?進入者が来たと報告を受けたけれど、貴方だったの…約一日ぶりね。」 ああ、忘れられない声だ…忘れてなるものか。 「レディに顔を覚えて戴けるとは…光栄ですな。して何用ですかな?『お嬢さん』」 "お嬢さん"に、特別アクセントを込めて煽ってみる。が特に気にした様子もなく答えてくる。 「ええ、昨日あなたたちを迎撃した手際の良さを評価されて、お客さんにサイボーグ達を納品したところなの そのおかげで、今この基地の警備は手薄になってるから、私まで駆り出されたのだけど… その様子だと、知らないみたいね」 ???――――警備が少ないと良い情報を教えられたが、おかしなことを聞いてくる。 身を守るため、遮蔽物になりそうな柱へ近づきつつ、聞いてみる。 「どういうことだ?…いや、待て。なぜ昨日の今日だと言うのに、納品できるのだ…」 考え、思い至る…兵士にとって最悪のシナリオが浮かんできた。 ――基地破壊が目的なのに、航空兵器による支援が一切ない… ――勇気と無謀を履き違えた、本部からの妄信的な突撃指示… ――そして、目の前の女が言っていた、捕虜への必要以上の拷問… つまり、我輩達の部隊は、 「そうよ。あの戦いは私達が開発した"商品"のデモンストレーションなの。 色々な軍、PMC(民間軍事会社)のお偉方が集まっていたわ。 当然、貴方達AMSの人もね…まあ、わかりやすく言うと、売られたのよ、貴方達は… 見返りは商品の優先販売だけど…部隊全員の命を天秤にかけてでも、欲しいようね」 それを聞いた瞬間、脳が沸騰する。許せない…その感情のみが支配する。 後のことを考えずXERD_003SSを取り出し、引鉄を引く。 辺りに無音のまま閃光が満ちる。破壊の閃光が通る後に、残るものは何もなかった。 撃ち終わった後、一瞬意識を失いかけるが… 「撃った後が無防備ね…新兵からやり直したらどうかしら?」 背後から腕を取られ、倒される。倒れた衝撃で意識は覚醒したが、 またしてもこの女に拘束されるハメになるとは。 「キ…サマ、どう…やって、あの攻撃を…避けた…?」 息も絶え絶えで、聞く。 XERD_003SSは光学兵器のため、撃った弾丸は文字通り、光の矢である。 見てから避けるなど、不可能であるが女は至極当然といった面持ちである。 「私の魂《ゴースト》が囁くのよ…あなたには理解できないでしょうね、頭の中で 友人の声が忠告してくるなんて…」 コイツ、もしやホモ戦車と同じか?いや、そもそもサイボーグだったな。 …ならば、倒す手段はある。あるにはあるが… この拘束を抜けなければ話にならない。 しかし体に力を込めようとも、入る場所が見当たらない。ATPを使用しすぎたか… 「あら、今日はおとなしいわね…フフフ、いい子ね、このまま一思いに殺してあげるわ… あなた以外にもペットはいるから、あなたはいらないわ…」 銀色に光るナイフを取り出し、首元に当ててきた。 畜生、まずい…体が言うことさえ聞けば… 後はナイフを引くだけで終わってしまう。 いやここまでか、後先考えず激情に走った結果がこれとは…妹に叱られるな。 覚悟を決めるしかないな…さすがに自分の血が噴き出す所は見たくないから、眼を瞑ろう。 ――――――― ――――――― ―――――――……… ―――――――??? どういうことだ? いつまで待っても、ナイフが動く様子はなく、あまつさえ、拘束まで緩んできた。 眼を開け首を捻り女を見てみると、不可思議な光景が写った。 片手で自身の目を覆い隠し、なにやら独り言を呟いている。 理由は分からないし、検証する時間もない。生き残るためにもまずは行動だ。 まだ女を投げれるほど回復していないため、抜け出す方法を取る。 腰に馬乗りされているが、こちとら爬虫類、4足移動は得意技である。 こちらが、脱出しようとするとさすがに気づいてきたが…その言動はまともではなかった。 「ああッ!どこに行コウとするノッ!バトーもトグサも、ドコニ…」 誰のことだ?と考えるが、それどころではない。あともう少しで脱出できる…が 女と眼が合う。正気を保っている眼ではないが、敵とは認識されているようだ。 合金とチタンでできた拳を振り上げ、我輩の頭に目掛け全力で振り下ろされた。 その先にあるものは頭…ではなくコンクリートの床であった。 なんとか身をよじり、脱出が間に合った。我輩の頭があった場所は、爆音と共に陥没している。 「アハハハハハッ!ドウシタノ?どうされた?…お前ハッ?!何をシタァァァァ!!」 奇声を上げながら、女がこちらに突進してくる。しかしそれは力も技も速さも全て ちぐはくな動きである。ただ一直線、不器用に我輩に向かってくる。 複数の意識が一つの体を動かしているように見えるが、あちらの事情は分からない。 できることは、楽にしてやることだけだ。 懐から緑の薬を取り出し、アンプル銃にセットする。女が突進してくるが、横にいなし 足を引っ掛け転倒させる。女はすぐに起き上がれず手足をジタバタさせるだけ… 反撃される危険性は低いと判断し、首元に注射する。 程なくして、奇異な表情のまま女の機能は停止する。 注入した薬品はただのオイル分解剤である。 全身を流れる、血液の代替品を分解されたのだ。サイボーグに死の概念を適用するかどうか 難しいところだが、死んだと表現するべきだろう。 機能停止を確認し、腰を下ろす。まず必要なのは最低限の体力回復だ。 バックパックの中から、飲料水を取り出し、口に含む。 ふぅ、ようやく一息つける。ここまで休息なしの強行軍だったからな。 ふと、今まで命のやり取りをしていた女を見る。 何故、精神が壊れたのか…いや違うな、壊れるのは不思議ではない。 推測だが、一つの脳に、複数の人格を詰め込んだ結果と思われる。いつ壊れてもおかしくない代物だ。 問題は、タイミングが良すぎる…という点だ。無論、日頃の行いが良かったから などと言うつもりはない。だとすれば…だめだ、判断材料が少なすぎる。 釈然としないが、今後の方針の方が大事だ。今までの彼女の言動から、彼女はこの基地でも 相応の立場にいると考えられる。おそらくは、警備関係のまとめ役だろう。 だとすれば、戦闘前に言っていたことも信憑性は高い。このチャンスを逃す訳にはいかない。 手を握っては開き、体調を確認する。疲労感は消えないが、体に力は入るようになってきた。 そろそろ、大丈夫だろう。移動する準備を始めよう。 そう考え、バックパックの中に荷物を詰めていると、中から一発の弾丸が出てきた。 「これは…」 結城大尉からもらった弾丸だ…ふむお守り代わりにポケットに入れておくか。 そう言えばAMSでクーデターが起こっていたが、大尉は無事だろうか… 心配だが、大尉ならどんな状況でも生き残るだろう。 我輩も先程のように、感情的にならないよう心を落ち着かせよう ―――手は綺麗に、心は熱く、頭は冷静に――― 疲れきった体にムチを打ち、立ち上がる。目指すは最奥部、 メインエンジンのある部屋だ。 タッタッタッタッタッタ ようやくここまで来れた。メインエンジンのある区画の前である。 ここまでの道中、幸いにも敵と会う事はなかった。彼女の言ったことは本当だったようだ。 区画の扉を開ける。縦横20mほど、高さは5mくらいの部屋の中を伺うと… 部屋中央のメインエンジンの前に、見慣れた馬鹿野郎の姿が確認できた。 こちらからは背中しか見えず、何か作業をしているようだ。 あ奴がいるなら、この部屋は安全なのだろう。部屋に入るとするか。 「なにをしているんだ?25は」 弟に近づき、声をかける。我輩がいることに気づいていたのだろう。 驚いた様子もなく、2メートルの巨体が振り返る。 「おお、兄者か…と、やけに傷だらけではあ~りませんか?なんだなんだ?俺様を差し置いて 楽しいドンパチでもやってたの?」 言われて気づく。25の服は新品と同じように綺麗なままだ。 「まあいいや…そんなことより、コレが正常かチェックをしていたのだが、 俺様では詳しい事はさっぱりわからん、訳ワカメだ、ということで兄者がやってくれんか?」 思わずハァ…と溜息をついてしまった。戦闘専門の25がここまで無事に進入できて 頭脳労働担当の我輩がドンパチをしていたとは…人生とはかくもままならんものだ。 「やれやれ、よもや壊してないだろうな…退いてくれ」 そう言うと、25はおとなしく後ろに下がった。 コンソールを叩き、自己診断プログラムを起動させる。程なくして、結果がディスプレイに 表示されるが…妙だな? 全てにおいて問題なしの表示が出ている。 宇宙船の墜落で、何かしら故障していると予想していたが… 後ろに居る25に聞いてみようと思い、振り向こうとしたが何故か胸に灼熱感が出てくる。 首を下に曲げてみると…自分の胸からナニカ生えている…いや、これは…刃物…だ ここに居るのは二人きり。犯人は一人しかいない。なんとか振り返ろうとするが それよりも速く、抉られながら体から刃物を抜かれた。足に力が入らず、倒れてしまう。 不味い…血が…止まらない。 「25…お前…何を?している…」 まったく理由が分からない。なんとか首を動かし、25を見上げる。奴の腕が刃物へと変異している。 そしてその眼は、ドブネズミでも見る様な眼で、我輩を見ている。 「何とは…自分の腕で、貴様を刺しただけだが…なにが不思議なのかね?」 多少、狂っていた今までと違い、口調が安定している。どういうことだ? 「お前…何故…我輩を刺した?…」 直接的に尋ねる。その言葉を聴くと、25は待ってましたと言わんばかりに笑みを浮かべる。 「貴様…いや、貴様たちに対する復讐だよ。私をこんな体で生み出したお礼…といったところだよ」 なるほど…と納得する。が 「その復讐は…正当だと思うが…お前…何故理性が…ある?」 そこが分からない。肉体変異型は自身の肉体を変形させるため、その度に激痛が走る。 そのため発狂しないよう、このタイプは理性と思考が低いよう設定されている。 それでも暴走するような危険性があるが。 25についてもそうだ。かつてここまで会話が噛み合ったことなどなかった。 「ふむ、理性か…話は変わるが、貴様はNo.16のことを覚えているかな? そう、貴様の妹だった女だ」 忘れるはずがない。今の我輩があるのは、妹のおかげだ。何を今更聞いてくるんだ? 「貴様は彼女の死に目には立ち会っていなかったな。たしかその頃には軍に従軍しており… No.16が死んだとは人から聞いた話…そうだな?」 ああ、その通りだ… そこまで尋ねると、25の笑みが下卑たものになっていた。 頭のドコカで、これ以上奴の話は聞くなと、警鐘を鳴らす。 しかし奴の口を塞ぐことも、自身の聴覚を潰す手段もない。 「彼女はな…わたしが喰ったのだよ。あの研究所に残った奴らが実験と称してな。 私の体にあるナノマシンで彼女の脳形成を取り込んだのだよ。 その結果は…今貴様の目の前にある通りだ。」 ――――――――……… 「かくして、私は理性と知能を手に入れ、貴様に復讐を誓ったわけだよ」 ――――――――……… 「とは言っても、今までコンビを組んできた相棒である。さすがに理性があると… なかなか決心がつかないものでね。貴様に選択肢を与えよう…」 ――――――――……… 「刺殺、銃殺、絞殺、撲殺、斬殺、圧殺、完殺、全殺、惨殺、狂殺… どれでも選べ。どれかを選べ。」 ――――――――……… ――――――――……… まだ話を続けようとしているが無視し、 自身の体のことを考えず行動する。アンプル銃を取り出し、震える手で狙いを定める。 セットされているのは青い薬…引き金を引こうとした瞬間 「やめたまえ、人の話は黙って聞くものだろう?」 25の腕が伸びてきて、銃をはじき飛ばす。コンッと壁際のほうで音がする。 「あきらめの悪いことだ。貴様の腰にあるその銃も奪っておくとするか」 と、ホルスターにあるXERD_003SSも捨てられる。 「これで貴様の武器は何一つないな…さぁ、どんな死に方がお望みかな?」 もう…眼も霞んできた。すでに体力は限界を超え、血も流しすぎた。ここで…終りか… 「もはや答える気力もないか…ここであきらめるとは、所詮貴様はその程度だ、 生命を弄び私達のような者を生み出してきた貴様に、生命の価値なぞ生涯わからんのだろうな」 その言葉を聴いた瞬間に、魂に火が燈る。 確かにお前には我輩に復讐する権利がある。その罪も認め、罰も受けよう。 だがな、生命の価値がわからんだと…そこだけは認められない。 深呼吸し、覚悟を決める。が、熱くなりすぎないよう もう一度戒めを確認する… ―――手は綺麗に… 自身の手を汚すことに躊躇いはないか――― ―――心は熱く… 我が根源、魂に火は着いた――― ―――頭は冷静に… 奴を殺すために、あらゆる手段を考えろ――― 懐から最後のアンプル、赤い薬を取り出す。それを迷うことなく自分に注射する… さあ最後の…二人っきりの戦争を…始めよう… もはや13に武器は残されていないと信じていたため、25はその動きに反応できなかった。 仮に何かしら武器があったとしても、対処できると高をくくっていたのも原因である。 まして、攻撃されるならまだしも、自分に注射を打つ…という行動だ。動けなくても無理はない。 ―この状況で打つ薬だ…考えられる薬は、強心剤の類だろう。ならば、効き目が現れる前に確実に殺す― 25はそう考え、両腕を刃物に変異させ13に近づく。がその選択が間違いだと気づいたのは 13に殴り飛ばされ、壁に打ち付けられてからであった。 ドォォン ―バカな、瀕死のくせに何故こんな力を出せる?― 25のダメージは軽くない。殴られた腹は肋骨が8本折れ、受身も取れず壁にめり込んでいる。 しかし、それを表情に出さず、めり込んだ壁から出てくる。それもそのはず 体中のナノマシンが損傷箇所を即座に修復している。 13を見てみると、すでに面影はなくなっていた。服と着ぐるみは破れ 体長は3メートルほどになっており、体格も25より二周りほど大きくなっている。 ―過去の遺物を使ったか― 13が打った薬は超人計画最初期の、薬品によって超人を生み出すものだろう。 ならば、話は簡単だ。逃げ回れば、肉体の強化についていけず、勝手に自滅する。 そう考えた25は激しい自己嫌悪に陥る。 ―逃げ回る?復讐する相手から…ふざけるなッ!!― 13は自分の手で殺してこそ、意味があるのだッ!!今この瞬間、理性は…必要ないッ!! 25は変異型としての能力をフルに使う。 右腕はカタナに…左腕は銃に…骨を弾丸に…足に加速装置を…燃料は血であり…背中に翼を生やす 動きに耐えうるよう、全身をチタンへと変貌させる。 25の変貌を見てとった13は、させまいとして、一気に距離を詰める。 その勢いのまま、25の胴の倍ほどある豪腕を繰りだす。が空転し、背後の壁を壊すのみだ。 拳が壁にめり込み、動きが止まる。背中に二門、両足に合計4門のブースターを装備した 25は人間サイズとして、ありえない速度と幾何学的な動きで、背後に回り込み銃撃を加える。 グォォォォォ 13から雄叫びが上がる。痛みはあるようだが…弾丸は貫通しておらず、鱗によって止められている。 ―大したバケモノだな、オイ― だがな… 「お前は力を得た。 俺より遥かに強いと思っている。 返り討ちにする気で満ちて居る。 そんなお前を、底無しの絶望に叩き落とす ――――これこそが、俺が同属を喰ったが故に選んだ復讐だッ!!」 自分の心情を声に出し、叫ぶ。辺りには赤い霧が出てきてる。 25のブースターの燃料は自らの血液…それを燃焼させ驚異的な機動力を得ている。 長期戦はできない。自身の最大火力を考え、左腕を電磁加速砲(レールガン)へと変異させようとする。 が、複雑な機構であればあるほど、変異に時間がかかる。 その間に13がまたしても、向かってくる。 ―そんな速さでは、俺を捕らえる事はできんぞ― 事実、13の攻撃はあっさり避けられ、急激に体長が変わったためだろう、その勢いのまま転倒した。 ―このまま、距離を取ったままレールガンの一撃で決める― そう決め、レールガンの変異を急ぐが…13の転んだ位置を見て青ざめる…あの位置は… 計6門のブースターが咆哮し、13へと肉薄する。 ―奴は俺への攻撃が目的ではなかった…武器を取りに行くのが目的だったッ!― 今、13がいる位置には、25がはじき飛ばしたXERD_003SSが落ちている。 13はそれを拾い、向かってくる25に狙いを定める。 右腕のカタナで斬りかかるが…わずかに13の方が早い。XERD_003SSから、光が発射される。 音もなく光の奔流が辺りを包む。当然、後に残るものは何もない… 「貴様がもっと戦闘訓練を積んでいれば、俺は今の攻撃で死んでいたな…」 上空から声がする。そのまま、13の頭を目掛けて斬り下ろす。 発射される直前に、上方へ移動し、天井を蹴っての一撃だ。 13は首を捻り避けようとするが反応が遅れ、片目に斬撃を喰らう。 ―このまま心臓を一突きして、終わらせる― 着地し、全速で心臓へ一直線に距離をつめる。だがそこで13が声を発した。 「シェイプシフトッ!!」 その瞬間、25の想像を超えた光景が展開される。 13の手にしていた銃が変形し、剣になっている。マズイ、リーチは奴の方が大きい…このままでは しかし、6門のブースターによる全速力は止めることもできず、腰を一刀両断され 上半身と下半身に別れた。その勢いで上半身は部屋中央部に、下半身は入り口付近に飛んでいった。 ―まさか…銃が変形するとは― 25は驚嘆していたが、ひとまず自分がすべきことを思い出す。まず、腹の出血を止めて、 それから、背面のブースターを使い移動し、下半身を癒着させる。 この状態になってもまだ、俺の方が速い…治療は十分に間に合う… だが、いつまで待っても腹の出血は止まらず、血を噴き出し続けたままである。 今しがた攻撃された兵器を彼は知らない。「XERD_003SS」は ―XERDは環境修復装置、その攻撃を受けた物は有機・無機を問わずあるべき姿に修復される― ―003SSは3番目に作られた姿形を自在に変えられる者、シェイプシフターを意味する― ―何故だッ?なぜ、血が止まらない― 理由がわからないため、恐怖が出てくる。このままでは、せめて奴を殺さねば… だが、どうする?血が止まらないため、ブースターは使えない…レールガンを使うしかないが、 何故か弾丸が生成できない…つまりあれか、あの武器にはナノマシンの動きを阻害する効果があるということか… そこに思い至り、自身の力を頼らず、13を攻撃する方法を考える。 辺りを見渡すと、都合の良い物が落ちていた。 なぜこんなところに落ちているのかは分からないが、「ソレ」を拾い、左腕にセットする。 攻撃前に左腕の変異は終わっている。電力として、自身のATPを燃やし電圧を上げる。 肉の焦げる匂いが辺りに充満し、13がこちらを見る。気づかれたが奴が取れる手段はもうない。 ドンッ 乾いた音が鳴り響き、13は仰向けに倒れる。彼の身を貫いた弾丸は、 この星の友との友情の証であった。 Lizard Story is dead END ? そして、彼が今際の際に思った事は… 生きねば、生きねば、生きねば、生きねば生きねば生きねば 生きねば生きねば生きねば生きねば生きねば生きねば生きねば生きねば生きねば生き ねば生きねば生きねば生きねば生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生生―― 「何の、ためにだ?」 ――ええ、おい。 「何の、ために生きろと言う?」 それは、もちろん。 1.妹との約束のため → 「どこかの誰かの未来のために」ルート 2.自身の贖罪のため → 「どこかで誰かの戦争のために」ルート
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《理想の革命マスティア》 VR 光文明 (5) クリーチャー:エンジェル・コマンド 5000 ■このクリーチャーは出たターン相手プレイヤーに攻撃できる。 ■このクリーチャーが出た時、自分のシールドを好きな枚数手札に加えてもよい。そうしたら加えた枚数、自分の山札の上からカードをシールド化する。この時手札に加えたシールドにコスト7以下の進化クリーチャーがあったなら、そのクリーチャーを1体コストを支払わずに召喚してもよい。 ■このクリーチャーが場を離れた時、相手のクリーチャーを1体シールド化してもよい。 作者:リース族 フレーバーテキスト 託された力は革命と覚醒の力だった。その力は進化したスカーレットゼロに対抗することも可能だと思えるほど、溢れるばかりの光のパワーで満ちていた 収録 DMXU-03 「伝説の復活編 第3弾 激突!!次元超獣最終決戦」 評価 名前 コメント
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678 名前:通常の名無しさんの3倍 :2010/07/18(日) 08 29 34 ID ??? アレンビー「ドモン、ファイトしよー!」 ドモン「よし!行くぞアレンビー!!」 レイン「ちょっと待ってドモン、今日はゴッドガンダムのメンテナンスが」 ドモン「うっ、そうか…… じゃあ素手でトレーニングをするか」 アレンビー「それでもいいよ♪」 レイン「ちょっとドモン!」 刹那脳 レイン:ガンダム アレンビー:ガンダム 刹那「理想的な関係だ……」 レイン「なんですって?」 679 名前:通常の名無しさんの3倍 :2010/07/18(日) 08 53 48 ID ??? 678 医者の資格もってて、ワンオフの競技用MSをたった一人で完璧に整備、維持、 いざという時にはライジング・ガンダムを乗りこなしすらする才媛が、ガンダムではないと? イアン「おまけに美人だ…イタイイタイ」 マリナ「刹那って理想が高いのねぇ」
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理想を掲げる少女メイラン(リソウをカカげるショウジョ~) p e 属性 水 コスト 26 ランク A 最終進化 S レベル HP 攻撃 合成exp 1 549 528 ? 50 1,277 1,356 ? 最大必要exp 19,564 No. 0588 シリーズ メイラン Aスキル コールドヒール++ 水属性の味方のHPを中回復(7%) Sスキル せせらぎの声 水属性の味方を蘇生する(?turn) 売却価格 12,000 進化費用 390,000 進化元 希望に燃える少女メイラン(A) 進化先 夢を叶えた少女メイラン(A+) 進化素材 ド2(A+) キ2(B+) キ2(B+) タ2(B+) ロ2(B) フ1(C+) タ1(C+) - 入手方法 進化 備考
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松岡正海をお気に入りに追加 松岡正海の情報をまとめています。リンク先には学生・未成年の方には不適切な表現内容が含まれる場合があります。またリンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。 松岡正海 <保存課> 使い方 サイト名 URL 松岡正海 <情報1課> #bf 松岡正海 <情報2課> #blogsearch2 松岡正海 <情報3課> #technorati 松岡正海 <報道課> 【中日新聞杯想定騎手】アドマイヤビルゴは武豊騎手、ボッケリーニは浜中俊騎手(netkeiba.com) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース JRA「謎の暴走」→「落馬」に疑問の声続々!? 10歳馬が20馬身以上の大逃げも、最後は力尽きるように……鞍上には今年未勝利騎手 - Business Journal どん底からはい上がってきた松岡正海騎手の第2章に注目 - スポーツ報知 【メイクデビュー東京6Rレース後コメント】サクセスローレル亀田温心騎手ら - netkeiba.com JRA武豊「赤っ恥」の制御不能でお手上げ!? 東京スポーツ杯2歳S(G2)大器アルナシーム「暴走」のまま惨敗…… - Business Journal 【杉本清の夢の一頭】清のささやき…マイルチャンピオンシップ(GI) 東京スポーツ杯2歳ステークス(GII) 霜月ステークス他(関西テレビ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース JRA「馬よりも人が心配」高田潤、松岡正海の勝利にファンは大喜び、大怪我から復帰した人気者に祝福の嵐 - Business Journal 【福島2歳S】ウインマーベル 松岡正海が復帰後初勝利「勝てる感じがした」 - auone.jp JRA「馬券当たったはずなのに」デイリー杯2歳S(G2)単勝万馬券カワキタレブリー激走も悲鳴続々!? 会心の的中のはずが天国から地獄……「幻の複勝16.2倍」とは - Business Journal JRA松岡正海、復帰早々に相変わらずの松岡節!? 関東の“異端児”の復帰と、もうひとつの夢とは…… - Business Journal 【福島2歳S】松岡騎手復帰後初勝利!ウインマーベルがV - サンケイスポーツ 【福島記念出走馬・騎手確定】ステイフーリッシュ&坂井瑠星騎手、アラタ&大野拓弥騎手など16頭(netkeiba.com) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【福島記念想定騎手】ステイフーリッシュは坂井瑠星騎手、アラタは大野拓弥騎手(netkeiba.com) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【ウマ娘】トーセンジョーダンはリアルでもネイルを気にしていた。コミュ力が高い理由など、ゲームの元ネタと現役時代の活躍を紹介(ファミ通.com) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【ファンタジーS】ソダシに続く姉妹重賞Vへ好ムードのママコチャ - サンケイスポーツ 松岡正海騎手が11カ月ぶり今週から復帰~初週は6鞍 - サンケイスポーツ 【土湯温泉特別】一発狙う未勝利馬ウエスタンエポナ/馬三郎のつぶやき | 競馬ニュース - netkeiba.com - netkeiba.com 蛯名正義調教師 実は骨折してしまいました | みんなの投稿競馬ニュース - netkeiba.com - netkeiba.com 藤沢和師が「海外遠征」を語る! 天皇賞・秋の結果速報も - サンケイスポーツ 【カシオペアS結果】2番人気ファルコニアが内から抜け出してオープン初勝利 - netkeiba.com JRAスワンS(G2)岩田康誠「謎」のジェットスキーで大敗……「いい位置を取って競馬ができれば」調教師の声も届かず終始ケンカ三昧 - Business Journal 【天皇賞・秋】エフフォーリアいつもの良い雰囲気 - サンケイスポーツ 【東京3R・2歳未勝利】カラヴァッジオ産駒のアグリがJRA産駒初勝利 セレクトセール1億500万円 - スポーツ報知 【菊花賞】ステラヴェローチェはCWコースで落ち着き十分 陣営「ひと夏を越した成長を感じる」 - スポーツ報知 松岡 11月復帰へ「だいぶ良くなりました」 20年2月に大腿骨骨折 - SPREAD 笑顔の松岡騎手/馬三郎のつぶやき - netkeiba.com 「ちょっと一生懸命になりすぎてしまったところが反省点」 大怪我から復帰し2戦目で勝利した伊藤工真騎手(netkeiba.com) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース JRA 武豊「話題のディープインパクト産駒」まさかのタイムオーバー最下位デビューに呆然……ドキュメンタリー「連載」は厳しいスタートに - Business Journal 土曜東京の注目新馬16日5R・芝1800メートル - スポーツ報知 パッシングスルーが引退 19年紫苑Sなど13戦3勝 - スポーツ報知 【注目馬動向】ダノンスマッシュは香港スプリントを視野 - スポーツ報知 【注目馬動向】中山で新馬勝ちのブルーグロットは嶋田騎手とのコンビ継続でアイビーSへ - スポーツ報知 JRA C.ルメール、武豊と「立場逆転」で踏んだり蹴ったり!? 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1 2 → 次へ お題 窓 開催期間 2004/07/27~2004/08/09 参加作品数 18 審査員 5人 本スレ 11の571-620? 議論スレ 8の459-607 【チャンプ】 祈り(GON):11点 【準チャンプ】 おじいちゃんの額縁(わに):8点 作品一覧 No. タイトル 作者 点数 572 祈り GON 11 573 家の窓の外 - - 576-579 本当の言葉 - - 580-581 ずぼらズボン - 1 582 冬の朝 てるあき 1 583-584 fiction ame 2 585 サイレントボーイ - 1 586 おじいちゃんの額縁 わに 8 587 windows - - 588 カップの取っ手はどちら側 - 1 589 猥褻画像 - 4 590 窓を隔てて - - 591 一言 言わせろ - 3 592 小テスト - 2 593-594 まどべのぼくちゃん - - 595 受け取って…… - 1 596 海岸通りの窓辺より - - 597 深海のソ・ラー - 2 【審査員】 MUJINA ◆iXws.WGCLY わに ◆Wani6uvhK. むこうの317 ◆317..n/Ke6 ななほし ◆lYiSp4aok. 大木人 ◆KMcEIGIRgE 【採点レス】 606 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [catwalk7@nifty.co.jp] 投稿日:04/08/06 00 41 ID TmbhpbcA [3点]>572 祈り [2点]>586 おじいちゃんの額縁 [1点]>589 猥褻画像 609 名前:わに ◆Wani6uvhK. [sage] 投稿日:04/08/06 23 03 ID ZzULRQi0 >584-585[fiction] 私から1点差し上げます。 585 私から1点差し上げます。 572 2点差し上げます。 611 名前:むこうの317 ◆317..n/Ke6 [sage] 投稿日:04/08/07 13 58 ID J3j0W7Dc 3点 586 おじいちゃんの額縁 2点 572 祈り 589 猥褻画像 1点 582 冬の朝 588 カップの取っ手はどちら側 592 小テスト 595 受け取って…… 613 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:04/08/08 12 06 ID JyblbE9s 3点 591 :「一言 言わせろ」 :04/08/01 22 37 ID xfJgFa1t 2点 572 :祈り :04/07/27 13 06 ID 0dfDIIkx 2点 597 :深海のソ・ラー :04/08/03 23 18 ID wevIb51j 616 名前:大木人 ◆KMcEIGIRgE [] 投稿日:04/08/08 21 20 ID QCfteDcZ ◎3点 586 おじいちゃんの額縁 ○2点 572 祈り 583-584 [fiction] △1点 589 猥褻画像 580 ずぼらズボン 592 小テスト 作品 ■▲▼ 祈り 鶴を折った指も 折られた鶴も テーブルの上から飛び立つことはなかった 握り締められ鶴の傍らで蹲った指 祈りだけが 一度身震いして飛び去った 午後の窓外は晴れている ヘリの音が空気を揺らす 空のひびのような梢を少女は見上げた そしてここにはいない鳥のことを思った 572 名前:祈り[] 投稿日:04/07/27 13 06 ID 0dfDIIkx 【コメント】 601 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [catwalk7@nifty.co.jp] 投稿日:04/08/04 01 13 ID MSjjLSdv 572 祈り 一読してグッときた。引き込まれた。いい詩だな、ってみんな思ってるんじゃあないかい。 感想・雑談スレの反響も早かったし。 ポイントは2点。第3連の「ヘリ」と、第4連の「ここにはいない鳥」だろう。 まずは、「ヘリ」から。あえてこの詩にケチをつける人は、ここだろう。アンバランスや 唐突さ。必然性の問題。BUT。私は全然問題ない、むしろ、この「ヘリ」が飛んで きてくれて、よかった、アリガト、と思う。 理由その一。 第1、2、4連の最後の「った」という脚韻から転調していて、「揺らす」と現在形で 書かれていることで、よいアクセントになっていると思う。このような破調があるから、 脚韻は生きる。 理由その二。 紙の折り鶴と金属のヘリとの対比。これは材質による対比ばかりでなく、ヘリを持ち出す ことで思わぬ効果を生んでいる。それは、少女の祈り(その背後にある苦しみ、痛み)が 第1,2,4連の印象では、ややもすると物語や過去形で表記したことで、遠い過去の の卑小な世界に後退してしまうところを、救っている。つまり、現在形でヘリが飛翔する 情景をカットインすることで、(作者の意図はどうであれ)これは、現代の、私たち が生きるこの世界の現実に根ざすものという実感を呼び覚まし、「いま・ここ」と繋が ってくる。 次に第4連の「ここにはいない鳥」について。 これは何かのメタファーとして作者は描いたのかもしれない(おそらく、そうだろう)。 だけど、たとえば、自分の理想像(病弱の自分に対して、健康になった自分)、あるいは 少女の恋人などの隠喩と読むのは読者の自由だが、私はあえてイメージを限定しない ほうが、かえってこの詩の持ち味が生きる、と思う。 ともあれ、何となく書いたさりげない詩のようでいて、実は意識的にかはともかく、 細部にまで計算し尽くされた詩、内容はもちろん、技術的にも優れた詩と感嘆しました。 606 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [catwalk7@nifty.co.jp] 投稿日:04/08/06 00 41 ID TmbhpbcA [3点]>572 祈り 短いながらもよくまとまった、完成された作品でした。ちょっとブルッときた。 609 名前:わに ◆Wani6uvhK. [sage] 投稿日:04/08/06 23 03 ID ZzULRQi0 572祈りは本当に完成された詩だなあ。くやしい。表現もきれいだし。 しかもお題出されて3時間で仕上げてます。職人ですね。 才能に嫉妬しつつ2点差し上げます。 613 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:04/08/08 12 06 ID JyblbE9s 2点 572 :祈り :04/07/27 13 06 ID 0dfDIIkx すっきりまとまっていて、広がりがあり、よくイメーシが浮かんでくる。 616 名前:大木人 ◆KMcEIGIRgE [] 投稿日:04/08/08 21 20 ID QCfteDcZ ○2点 572 祈り これを読んで真っ先に想起した言葉が「ヒロシマ」でした。 この時期ですし、サダコ像修復のニュースを聞いた後なので…。 もしかしたら「ここにはいない鳥」とは平和の暗喩? だとすると個人的な「祈り」ではないのかもしれません。 459 名前:むこうの317 ◆317..n/Ke6 [sage] 投稿日:04/08/07(土) 13 56 ID J3j0W7Dc 本スレ572 祈り 昨日が広島原爆の日で、そのテレビを見たせいか、被爆後、白血病になった少女が 千羽の鶴を折ると治る、という事を信じて死ぬ間際まで鶴を折り続けたという話を連想しました。 620 名前:GON ◆rOo2fYBBKk [] 投稿日:04/08/10 11 22 ID SnmnmtFN 次のお題は、直球で、『生・生きること』 期限は8/17いっぱい 501 名前:名前はいらない [sage] 投稿日:04/08/10(火) 23 39 ID r0N1yAFl チャンプおめでとう。GONさん、創作秘話など、何か一言、聞かせてくださいな。 502 名前:GON ◆rOo2fYBBKk [] 投稿日:04/08/11(水) 00 10 ID CrT5tRYy 初参戦で右も左も分からない感じです。 内心へどもどしてる 審査員、集計人の方々乙でした。 秘話みたいなものはないですが、テーマから 「室―窓―空」みたいな関係が浮かんで、そこから 「閉塞・悲しみ―開放・希望」という対比をイメージして書きました。 悲しみの背景や、希望の具体的な隠喩は、おっしゃるとおり読む方次第だと思います。 次のお題を『生』にさせてもらいましたが、 まっすぐなのとか後ろ向きなのとか、ほかの方々の、自分なりの『生』の捉え方を教えてもらえたらな、と思ってます。 審査形式はお任せします。【チャンプ強制審査】になっても、私は今回の審査からでも参戦可能です。 【得点】 11点 MUJINA ◆iXws.WGCLY:3点 わに ◆Wani6uvhK.:2点 むこうの317 ◆317..n/Ke6:2点 ななほし ◆lYiSp4aok.:2点 大木人 ◆KMcEIGIRgE:2点 ■▲▼ 家の窓の外 家の窓から外をうかがう 相変わらず良い天気だ 風はなびく程度らしい 草がさらさらと揺れている 僕達が今、立っていたり歩いていたり座ってたり そのいつも下にある地球だが なんと60億の人間が地球の上にいるらしい ある人間はせっせと働き ある人間は床に寝そべり ある人間は鉄の弾で人を殺す 573 名前:家の窓の外[sage] 投稿日:04/07/28 18 57 ID uk0gEcIQ 【コメント】 459 名前:むこうの317 ◆317..n/Ke6 [sage] 投稿日:04/08/07(土) 13 56 ID J3j0W7Dc 本スレ573 家の窓の外 窓の外への視点が地球全体に及んでいる詩をさらりと書いてるけど、秘めたものは重いと思う。 ■▲▼ 本当の言葉 あなたは聞こえなかったのかい 春楡の梢の上で さっきから山鳩がしきりに鳴いているのを ズッポウ ズッポウ グルグル ズッポウ もうずいぶんと前から鳴いているのに 気がつかなかったのかい 無理もない あなたの周りには余計な音が多すぎる 車や工場や物売りの いわゆる生産過剰性というやつで 不況を起こす音 会社に学校に病院に 肉屋に魚屋に八百屋に質屋に銀行に 彼氏の家に彼女の家に 借金しに行ったり 返しに行ったり 愛を語りに行ったり 離婚届の判を押しに行ったり 誕生祝いの贈り物を買いに行ったり 香典袋を買いに行ったり たいした用もないのに せわしく行ったり来たりする足音 そうした雑音が 窓の外から のべつ聞こえてくる 窓を閉めても 部屋の中には テレビの音や電話の音 壁にかかった時計の音 冷蔵庫や空調機の低周波音 その他もろもろ 耳障りな音が (それに君の心臓の音もだ) 黴臭い空気とともに充満している そんな物音 無聊を埋める草草の物音でわたしたちの生活は囲まれていて わたしたちは それらの音に気を取られすぎていて わたしたちにとって 本当に大切なその音に 誰ひとり気がついていない わたしたちにとってどうでもいい それらの無用な音を ひとつずつ 薄皮を剥がすように丁寧に 取り除いていってごらん そうして 呼吸をとめて 静かに 臨終のひとがするように 目を閉じて 耳を澄ましてごらん そうすれば 聞こえてくるよ しっかり雨戸を閉めても 聞こえてくるよ 遠くの春楡の枝から 電話の受話器から テレビからラジオから 耳もとで 遠くから近くから 至るところから 山鳩のゴロゴロ鳴る喉が 低く確かな声で歌う ズッポウ ズッポウ グルグル ズッポウ その鳴き声が 本当の言葉となって あなたに語りかける いいんだよ いいんだよ すべてを認める すべてを許す すべてがそのままの形で充足していて ほころびなど何ひとつない きみは世界の円弧の中で 心地よくすべてを委ねていればいいんだよ わたしも あなたも みな頷きながら いま 見ているものを見 いま 聞こえているものを聞き いま 感じる思いをそのままに受け止めて 自分が世界のすべてから 祝福された存在であることを知らされる 576 名前:本当の言葉 壱[] 投稿日:04/07/29 00 12 ID ON8LU1Um 577 名前:本当の言葉 弐[] 投稿日:04/07/29 00 19 ID ON8LU1Um 578 名前:本当の言葉 参[] 投稿日:04/07/29 00 27 ID ON8LU1Um 579 名前:本当の言葉 完[] 投稿日:04/07/29 00 32 ID ON8LU1Um 【コメント】 459 名前:むこうの317 ◆317..n/Ke6 [sage] 投稿日:04/08/07(土) 13 56 ID J3j0W7Dc 本スレ576-579 本当の言葉 日常の雑多に塗れて何か大切なものを見失っているであろう自分自身。思い当たる節もあり チョット考えさせられました。 ■▲▼ ずぼらズボン 男のチャックは社会の窓 女のチャックは理科の窓 引き摺り下ろして突っ込みたい 深くて浅い大人の窓 580 名前:すぼらズボン[] 投稿日:04/07/29 02 12 ID U21p/2TG 581 名前:名前はいらない[] 投稿日:04/07/29 02 13 ID U21p/2TG 【コメント】 602 名前:NAJIMU[] 投稿日:04/08/04 18 16 ID J3ezld6N とりあえずは、1編だけ寸評させてもらいます。いざ。 やっぱ、いの一番は、これでしょう。 580 ずぼらズボン 一読してグッときた。引き込まれた。いい詩だな、ってみんな思ってるんじゃあないかい。 感想・雑談スレの反響も早かったし。 ポイントは2点。第3連の「突っ込みたい」と、第4連の「深くて浅い」だろう。 まずは、「突っ込みたい 」から。あえてこの詩にケチをつける人は、ここだろう。アンバランスや 唐突さ。必然性の問題。BUT。私は全然問題ない、むしろ、この「突っ込みたい 」が突っ込んで きてくれて、よかった、アリガト、と思う。 理由その一。 第1、2、4連の最後の「窓」という脚韻から転調していて、「突っ込みたい」と現在形で 書かれていることで、よいアクセントになっていると思う。このような破調があるから、 脚韻は生きる。 理由その二。 布の窓と欲の穴との対比。これは材質による対比ばかりでなく「突っ込みたい」を持ち出す ことで思わぬ効果を生んでいる。それは、大人の願望(その背後にある苦しみ、痛み)が 第1,2,4連の印象では、ややもすると物語や過去形で表記したことで、遠い過去の の卑小な世界に後退してしまうところを、救っている。つまり、現在形で「突っ込みたい」 情景をカットインすることで、(作者の意図はどうであれ)これは、現代の、私たち が生きるこの世界の現実に根ざすものという実感を呼び覚まし、「いま・ここ」と繋が ってくる。 次に第4連の「深くて浅い」について。 これは何かのメタファーとして作者は描いたのかもしれない(おそらく、そうだろう)。 だけど、たとえば、自分の理想像(病弱の自分に対して、健康になった自分)、あるいは 少女の恋人などの隠喩と読むのは読者の自由だが、私はあえてイメージを限定しない ほうが、かえってこの詩の持ち味が生きる、と思う。 ともあれ、何となく書いたさりげない詩のようでいて、実は意識的にかはともかく、 細部にまで計算し尽くされた詩、内容はもちろん、技術的にも優れた詩と感嘆しました。 616 名前:大木人 ◆KMcEIGIRgE [] 投稿日:04/08/08 21 20 ID QCfteDcZ 580 ずぼらズボン こういうスプリンターも好きです。ちゃんと詩になっていますし。 少し前に見た相田誠の現代芸術を思い出しました。 459 名前:むこうの317 ◆317..n/Ke6 [sage] 投稿日:04/08/07(土) 13 56 ID J3j0W7Dc 本スレ580 ずぼらズボン 読んだ時のリズムはいいと思うんだが、もうチョト何かそのものズバリ逝ってしまうか、思いっきり 笑いを取る方に専念しないと(悪いけど笑えなかった)欲望を書いてるだけにしかならないような、、 【得点】 1点 大木人 ◆KMcEIGIRgE:1点 ■▲▼ 冬の朝 明らかに昨日とは違う 昨日よりも部屋が寒い カーテンとあけると窓は真っ白 手で必死に窓をこすると そこはもう銀世界 町中がかき氷に埋もれている 窓を開けると白い息 いつもよりも濃い 誰かが大福を重ねて レーズンの目をつけている 空にはわたがしが浮かんでいて まだかき氷は落ちてくる 壁がビスケットの家から出てきた小人は 雪合戦を始めたのだ 窓の外の雪をつかむと 手が真っ赤になった 582 名前:冬の朝[] 投稿日:04/07/29 07 27 ID sOKqRsUP 【コメント】 459 名前:むこうの317 ◆317..n/Ke6 [sage] 投稿日:04/08/07(土) 13 56 ID J3j0W7Dc 本スレ582 冬の朝 冬の窓と連想すると、ありがちなパターンになっちゃうけど、4連目の飛躍が印象的。 とても可愛らしい。 496 名前:てるあき ◆DDfwggPC.. [] 投稿日:04/08/10(火) 13 21 ID o3awOHI4 今回は冬の朝を書かせていただきました 初めての得点だったので大変驚きました 早速お題が出てますね 【得点】 1点 むこうの317 ◆317..n/Ke6:1点 ■▲▼ fiction 電気のつかない夕暮れ時の逆さまな空 名詞の数だけ開かれた窓の向こうに 鉛筆を転がして進んでは後戻りする 形容された全ての柔らかい眠たさを 放り投げてもう一度ドアを閉じるその部屋で 彼らが昔々の物語を気づかないまま挟んで 繋げては切り取って粉々にしてはしゃがみこむ ─目を閉ざされた水たまりをよけて 映りながら笑う彼らの魂なんてなかったから 顔なんて最初からなかったらもっと楽だろう─ レンズだけいくつも重ねて散乱した単語たち ばらばらに並べて読み返す気持ちから無視される 勝手に突き詰められた空想はついでに消されて 記号と記号の間にしきつめられた白い繊維に願い事を 作り出された次の物語を勝手に組み込まれた あなたの手書きの封筒 ─誰かが誰かを絵描きのふりをして福笑いの代わりにする 全ての方向から見えないものが支配する陰謀を 気にして推理することの正しさを誰が確かめたらいいんだろう─ 名前をつけられた名前のない子供たちが今日も空に浮かんでは 向こうの誰かを呼んでいると叫んでは一直線に行進している 電気のつかない夕暮れ時の逆さまな空 名詞の数だけ開かれた窓の向こうに 鉛筆を転がして進んでは後戻りするだけ ただ適当に新しいと言ってしまえば誰も気にしないから みんなが目をつぶって振りかえって何も見ないままでいる そんな空を映すのが好きでしたと笑っては そういう窓だけ開けては閉じて そういう窓だけ開けては閉じて 583 名前:[fiction] 1/2[sage] 投稿日:04/07/29 21 22 ID yXRDiQlG 584 名前:[fiction] 2/2[sage] 投稿日:04/07/29 21 23 ID yXRDiQlG 【コメント】 606 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [catwalk7@nifty.co.jp] 投稿日:04/08/06 00 41 ID TmbhpbcA 584-585 [fiction] 最初の1行からしてわからない。 「電気のつかない夕暮れ時の逆さまな空」のイメージがわかない。 電気がつくのが当たり前の夕暮れ時。逆さまな空などあるわけない。 してみると、シュールか。あとのほうで「名前をつけられた名前のない子供たち」 とあるから、やはり意図的に意味を壊している? 「鉛筆を転がして進んでは後戻りするだけ」のイメージもいまひとつ来ない。 どこか一箇所カチンと当たれば、芋ヅル式に見えてくるんだろうけれど…。 何かとてもすごい詩の予感もするんだけれど、いまのところ私の限界です。すいません。 609 名前:わに ◆Wani6uvhK. [sage] 投稿日:04/08/06 23 03 ID ZzULRQi0 >584-585[fiction]はまさにそのセンスがいいというような気がします。 確かにばらばらにしたら何かわからないようなものでもまとめたら形づいてくる 繰り返し使う言葉の配置とかでも雰囲気が出てます。表現もセンスのよさが伺えます 私から1点差し上げます。ちなみにMUJINAさんの読まなきゃ私も気付かなかったです・・・・ 616 名前:大木人 ◆KMcEIGIRgE [] 投稿日:04/08/08 21 20 ID QCfteDcZ 583-584 [fiction] 傍観者的立場と取り留めの無さが気持ちよい作品です。 私にとっての「窓」のイメージも、やはり夕暮れです。夕暮れには「ドア」よりも「窓」のスタンスが相応しい。 外と内とを繋ぐ装置ではあるけれども、自分の居る場所はあくまで内であるという感じでしょうか。 この作品における作者は「眺める者」であり、語られる物事は外の事象です。 問題は窓を開けるか閉じるか、それだけなのでしょう。 459 名前:むこうの317 ◆317..n/Ke6 [sage] 投稿日:04/08/07(土) 13 56 ID J3j0W7Dc 本スレ583-584 [fiction] 俺には難しいなぁ、、、何か、ウマ凄いんだろうってのは感じるんだけど、、 お答え頂かなくてもいいんですが、これは、もの凄い勢いで脳に閃いてくるんですか? 607 名前:ame ◆yUHAxrOw2c [sage] 投稿日:04/08/19(木) 00 08 ID Up2Vpyqs 流れ切ってごめんなさい。第72回の補完UPしましたので、報告でした。 あと、前回の[fiction]は自分でした。 採点感想批評いただきありがとうございます。 それから。 459 317さん 基本的に、骨格部分はひらめきというかぱっと決めてしまいまして、 そこからはわりと慎重に「組み立てる」感じで書いていきます。 もの凄い勢いで、というほどではないです(^_^; 以前誰かに批評で言われた「レゴブロックの構築」ってのはかなり当てられてるなぁ、と思いました。 ちょっと最近の流れを読んでないので、ログ読みつつルール改正?の話には後ほどついていきたいと思います。 それでは。 【得点】 2点 大木人 ◆KMcEIGIRgE:2点 ■▲▼ サイレントボーイ その少年は黙っている そして静かにみつめている 暗い部屋の中でふたつの瞳を光らせながら 鏡のような窓に映る自分の姿を蔑みながら その少年は黙っている そして静かに涙を流す その部屋の窓から見える世界を愛でながら その部屋のテレビから見える世界を羨みながら 部屋にひとり 孤独を愛し 世界にひとり 孤独を憎む その少年は何も知らない 何も知らないことを知らない サイレントボーイ 彼はひとりか サイレントボーイ 世界にひとりか 585 名前:サイレントボーイ[sage] 投稿日:04/07/30 17 21 ID mv4uJGlv 【コメント】 609 名前:わに ◆Wani6uvhK. [sage] 投稿日:04/08/06 23 03 ID ZzULRQi0 585サイレントボーイは短い中にすっきりとまとめられているけどもなんだかとても奥が深い。 その少年の心の世界なんだろうか。解釈によってはいろいろな方向性が見えるような気がします。 私から1点差し上げます。行間が想像できる実に私好みの詩です。 460 名前:むこうの317 ◆317..n/Ke6 [sage] 投稿日:04/08/07(土) 13 56 ID J3j0W7Dc 本スレ585 サイレントボーイ 現代、こういう子、多そうだなぁ、、"何も知らないことを知らない"、、うむ、、、 ていうか、"自分が知っている事が全て"であるパターンも多そうですね。 【得点】 1点 わに ◆Wani6uvhK.:1点 ■▲▼ おじいちゃんの額縁 白と黒の縁に彩られて おじいちゃんは困った顔をしている ママはお客さん相手にばたばたしてるし パパはおじさんとコップ酒片手にむずかしいお話している 主役のおじいちゃんはただただ困った顔をしているだけ 動けなくなってからも おじいちゃんとはいろんなお話してた たまにこっそりお小遣い貰ったりもしてた リビングと一続きになってた おじいちゃんの寝てた部屋は リビングの声がよく聞こえてた だからパパとママの口論も きっと全部聞いてたんだね 動けなくてつらくてもじっと聞いていたんだね おじいちゃんが何を考えていたのか知りたくて そのベッドに横になってみた 窓からは切り取った小さな空と もくれんが日差しに透けて金色で まぶたの上を優しくなでてくれる お葬式 僕はおじいちゃんの気持ちになってお昼寝をした 写真の中のおじいちゃんは あいかわらず困ったような笑顔を見せてくれている 586 名前:おじいちゃんの額縁[sage] 投稿日:04/07/30 18 36 ID 3lHW3EUD 【コメント】 605 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [catwalk7@nifty.co.jp] 投稿日:04/08/05 00 52 ID oI9CJ6cu 586 おじいちゃんの額縁 つらく、悲しい、おじいちゃんの思い出。 寝たきりになったあとのおじいちゃんの気持ちにもっと肉迫して書きィーや、 とどこかのおっさんが言いそうだが、まあまあ、押さえて、押さえてとおっさんのゲンコツ をグッと押し返す。「困ったような笑顔」とサラリと描写しているところが謙虚に真実を 衝いている。だって、おじいちゃんにしてみれば、それは辛い経験だったはずで、それを 本人以外が言葉にすると全部うそになってしまう。 第3連の「もくれんが日差しに透けて金色で/まぶたの上を優しくなでてくれる」 というところがいいね。これで、おじいちゃんも、いくらか救われる。こういう さりげない描写に作者のいたわりが感じられる。 606 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY [catwalk7@nifty.co.jp] 投稿日:04/08/06 00 41 ID TmbhpbcA [2点]>586 おじいちゃんの額縁 作者の暖かい眼差しが漂っています。 616 名前:大木人 ◆KMcEIGIRgE [] 投稿日:04/08/08 21 20 ID QCfteDcZ ◎3点 586 おじいちゃんの額縁 あ、あざとい!(誉め言葉) むっちゃ好きですよ、こういう正攻法。 物言わぬ故人の言葉を拾う子供の視点はまさに詩人のそれですね。 460 名前:むこうの317 ◆317..n/Ke6 [sage] 投稿日:04/08/07(土) 13 56 ID J3j0W7Dc 本スレ586 おじいちゃんの額縁 あー、、いいテーマだ。祖父の死を前に呑気にも冷静にも見える孫の視点。死をまだ受け止められて ないのかな、、?主題としてではなく、アクセントに窓を使ってて、いい効果が出てるかも。 508 名前:わに ◆Wani6uvhK. [sageますよ。] 投稿日:04/08/11(水) 21 41 ID fZArq0VP GONさんチャンプおめでとうございます。 ホントに嫉妬してしまうくらいの作品でした。 初めての参加でこんな作品書けるなんてすごい 次回の作品も期待しています 504-506さんお疲れ様でした。 皆さんの意見をわかりやすくまとめていただけてありがたいです。 これの投票方法は以前書いたようにメール欄に書き込むんですか? どちらの方法であっても梁山泊が賑わえばいいなぁ・・・ 今回は「おじいちゃんの額縁」を書きました 準チャンプ・・・・うれしい・・・・すごくうれしいです・・・・ うれしくてないてしまった。涙腺ゆるいんで。 点を入れていただいたMUJINAさん、むこうの317さん、大木人さん 本当~~にありがとうございました。 【得点】 8点 MUJINA ◆iXws.WGCLY:2点 むこうの317 ◆317..n/Ke6:3点 大木人 ◆KMcEIGIRgE:3点 ■▲▼ windows 画面越しに国境を越え、 自らの手で広げていける世界。 まさに「虎穴に入らずんば虎子を得ず」 机に据え置かれた鉄の塊。 スイッチ入れなきゃ漬け物石より性質が悪い。 さて、どこの世界に虎の穴に素手で飛び込む馬鹿が居るというのだろう? 使い方次第では自らの首を絞めかねないよ 587 名前:windows[sage] 投稿日:04/07/30 19 30 ID vhw8u7GB 【コメント】 460 名前:むこうの317 ◆317..n/Ke6 [sage] 投稿日:04/08/07(土) 13 56 ID J3j0W7Dc 本スレ587 windows はははは。利用は正に自己責任。転んでも泣かない精神で行動しなくてはねぇ、、(自戒 1 2 → 次へ ページ先頭へ トップページ
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サンタクロースをいつまで信じていたか? なんてことはたわいもない世間 話にも―― 周りの生徒は恐らく、新たな場所での出会いや学校の規則などに不安と期待 を抱いている中、俺はそんな何ともどうでもいい事を考えながら、入学式に出 る為に北高校へと向けて足を動かしていた。 それは、これから先に待つであろう平凡な日常に対して、過度な変化を期待 しない様に予防線を引いていただけでなく……そうだな、ほんのちょっとだが 期待してたんだ。高校に入れば何かが変わるんじゃないかってな。 それは当たらないとわかっていても買ってしまう宝くじみたいなもんで、結 果当たらなくても別にそれはそれでよかった望みだったんだが……神様って奴 は余程捻くれているらしく、俺の願いは斜め上後方くらいにずれた意味合いで 叶ってしまい――今に至る。 「はい。どうぞ」 そんな、今更振り返ってもどうしようもない過去の事を思い出していた俺を、 涼やかな声が現実へと呼び戻してくれた。 声の主である朝比奈さんは俺の隣で微笑み、思わず俺も微笑を返してしまう。 さて、今俺が微笑みを交わしている相手は実は未来人である等と言って、そ れを信じるような奴はいるだろうか? ……居ないよなぁ。 しかし、それはどうやら事実な様で、そしてまた朝比奈さんの淹れてくれた お茶が美味であるのも事実であるわけで、二つの事実の内で俺にとって重要な の後者であった為、俺は深い考えも持たず目の前に置かれた湯飲みを手に取り その中に入った液体を心行くまで楽しませてもらった。 「ご馳走様です。美味しかったですよ」 俺の謝辞に嬉しそうに目を細める朝比奈さん。 今日はまだ部室に朝比奈さんしか来ていないから、もっと凝った言葉で感謝 を伝えてもいいんだがそれはやっぱり俺のキャラじゃない気がする。 そんな普段と変わらない日常を過ごしていた俺に、 「あの……キョン君は、サンタクロースって信じてますか?」 朝比奈さんは可愛らしいお声で、そんな事を聞いてきたのだった。 「サンタクロース……ですか?」 「はい」 その質問に深い意味があるとも思えず、 「信じていません」 俺は素直にそう答えた。 その返事を聞いて、朝比奈さんは残念そうに顔を伏せてしまう。 「でも、朝比奈さんが信じて欲しいのならすぐさま信じますよ」 背後にあるハンガーに掛けられたあの赤い衣装をまた着て頂ければ、それは 確信に変わります。 以前拝見した聖・朝比奈さんの姿を脳裏に描いていると 「……キョン君。実はあの、お願いがあるんです」 朝比奈さんは申し訳無さそうに呟き、俺の顔を見つめてくるのだった。 放課後、SOS団としての活動を終え、一旦は部室を後にした俺はそのまま 家には帰らずまた部室に戻ってきていた。 部屋の中に居たのは、 「キョン君」 何やら落ち着かない様子の朝比奈さんだけ。 静かに扉を閉めた俺を、彼女はじっと見つめている。 ……朝比奈さんがみんなには何も言わず、俺にだけ伝える用事って事は…… やっぱり、 「あの、またわたしと過去に行ってもらえないでしょうか」 ですよね。 これで何回目かは忘れましたが、何回目であろうが俺の返事は変わりません。 「いいですよ。お供します」 あの強烈なブラックアウトを再び体験する事で、朝比奈さんの顔が笑顔にな るのなら悪い取引きじゃありません。 「本当ですか! ありがとうございます!」 いえいえ、お気になさらず。 すでに手順が解っていた俺は、朝比奈さんに言われる前に椅子に座って目を 閉じて肩の力を抜く。 そんな俺の姿を見て、 「あ、ちょっとそのまま待っててね」 俺の背後で、何かを準備する朝比奈さんの気配が続く。 さて、彼女は何をしているのか? と疑問を持ち始めた頃、俺の体に何か上 着がかけられてきた。 思わず目を開けてみると、見慣れた自分のコートが体にかけられている。 「寒い所に行くので、風邪を引いちゃうといけないから」 優しくそう言った彼女自身も、コートを着込み何故か手には赤いサンタ帽子 を持っていた。 普通のコートにサンタ帽子か。 朝比奈さんが着ているのがフードが無いコートだからそれを被ろうと思った のかもしれないが、朝比奈さんならどんな組み合わせであったとしても可愛い 事は間違いないので問題は無い。 俺なら変だろうけどな。 「はい、これ」 そして、何故か俺にそのサンタ帽子を手渡してくる。 「あれ? これは朝比奈さんが被るんじゃないんですか?」 世界中の男子がそれを望んでいますよ? 出来ればサンタ服もお願いしたい 所です。 「はい。あの……何も聞かずに、これを被ってもらえませんか?」 首を横に振る朝比奈さんは、ここは譲れないとばかりに俺に帽子を押し付け るのだった。 まあ……あなたにそう言われれば被りますが。 大人しく言われるまま帽子を被りながらも、俺は嫌な予感を感じていた。 朝比奈さんは、俺に何をさせようとしているんだろう? 形にならない不安に俺が身構えると、背中から抱きしめるように伸びてきた 朝比奈さんの腕に――俺はあっさりと不安を忘れた。 誰か今の状況を写真に撮ってくれ! 朝比奈さんを中心に! 背中に微かに感じる柔らかな感触に、今だけコートを脱いでいいですか? と聞こうかと本気で迷っていると、 「では……行きますね?」 しまった! 油断していた俺は、目を開けたまま時間遡行の波に飲まれていった。 世界が歪み、自分が何処かに投げ出されるような感覚。 そろそろ慣れてもいいはずなのに、一向に慣れる気配がない不安定な時間を 耐えること十数秒。 「着きました。もう、目を開けてもいいですよ」 天使の様な朝比奈さんの声に、目を開けた俺が見たのは……えっと。 そこは見覚えの無い教室の中で、どうやら今は深夜らしく真っ暗で誰の姿も 見当たらない。 やけに寒いと思ったら、窓の外では白い雪がちらちらと舞っている。 なるほど、これはコートが必要だ。 「朝比奈さん。今は何時で、ここは何処なんですか?」 コートを羽織りなおしながら聞いてみると、 「今は3年前の12月24日で、ここは涼宮さんの通っている中学校です」 朝比奈さんははっきりとそう教えてくれた。 ハルヒの通ってた中学って事は……。 俺達が居る教室は一階だったので、窓の外には白く色付いたグランドが見え る。という事は、半月程前に俺はこのグランドにあの文字を書いたって訳か。 「それで、今度は何をすればいいんですか?」 また、ハルヒを見つけに行くんですか? 「えっと……詳しい事はわたしも聞かされていないんですが、キョン君にはこ の後―― ――朝比奈さんの為なら、例え火の中水の中。文字通りの意味で俺はそう思 っている。 しかし……これはきついな。 その場で足踏みを繰り返しながら、俺は何故かグランドの中央に立っていた。 別に何かをしている訳じゃないんだ。 ただ、立っているだけ。 聞く分には楽そうな今回のお願いだったが、冬の寒空の下においてはそれは かなり厳しい内容だったりする。 「こんな事を頼んでしまって本当にごめんなさいっ! わたしも一緒に外に居 ますから」 依頼を告げた後、朝比奈さんはそう提案してくれたが俺は丁重にお断りした。 そりゃあ朝比奈さんと2人でならどんな寒空でも我慢できるだろうが、朝比 奈さんが寒そうにしているのを見続けるってのは拷問だ。 俺は教室から視線を向ける朝比奈さんに手を振りながら、その場で足踏みを 繰り返す作業に戻った。 頑張れ俺、これが終わったら朝比奈さんから何かご褒美があるかもしれんぞ。 別にそんな約束はしていないが、あのお優しい朝比奈さんの事だ。目的を達 成したらはい、解散って事は無いだろう。 朝比奈さんのご褒美の内容を妄想して、何とか俺が寒さを耐えていた時の事 だった。 しんしんと降り積もる雪の中、誰かの足音が混じって聞こえてくる。 朝比奈さんが居る校舎の方を見ていた俺は、ゆっくりと近づいてくるその足 音の方へ体を向けようとした途端、 「サンタクロース見ーつけたー!!」 聞き覚えのある声が辺りに響いたと同時、俺は本能的にしゃがんでいた。 同時に俺の頭部があった辺りを飛びぬけていく誰かの体、 「かわした!?」 着地も見事にグランドに立っていたのは……まあ……そうだとは思ったよ。 そこに居たのは、白い袋を担いだ中学時代のハルヒの姿だった。 「あ、あんたもしかして……」 俺の顔を見たハルヒは、目を丸くして近寄ってくる。 そして、帽子の下にある顔を確認すると 「ジョン!?」 「よう、久しぶりだな」 ハルヒの驚いた顔は、すぐに笑顔に変わった。 「なんで? なんであんたがここに居るのよ?! いつから居たのよ! 世界 を大いに盛り上げるってなんなの? っていうかその頭に被ってるのは何? あんたがサンタだったの?!」 いくらなんでも一度に聞き過ぎだ。 っていうか朝比奈さん、俺はこの後何をすればいいんですか? この場所に立っていて欲しいとしか、俺は朝比奈さんから聞いていない。 ここでハルヒと話していればいいのか? そう聞きたい所だが、生憎と朝比奈さんは100m程離れた校舎の中だ。 以心伝心で意思疎通をするにはちょっと距離がありすぎる。 「……ちょっと、目の前で喋ってるあたしを無視して何を見てるのよ」 ん、ああすまん。 「ところでハルヒ、お前こそ何をしてたんだ」 こんな雪の夜に学校に来るってのは、また何かするつもりだったのか? 俺の質問に、ハルヒはまた笑顔を浮かべて 「サンタ狩りの帰りよ」 「そっか……。ってちょっと待て!! 何だそのサンタ狩りってのは?!」 「読んで字の如くの意味じゃない」 そう言いながらハルヒは担いでいた袋を下ろし、その中に入っている物を俺 に見せるのだった。 白い袋の中は真っ赤で、一瞬猟奇的な何かを想像してしまった俺だったが 「じゃんじゃじゃ~ん。街中の偽サンタからかき集めてきたの!」 そこに入っていたのは、大量のサンタ帽子だった。 しかし……よくもまあこれだけ集めたもんだな。 得意げにその袋を見せるハルヒは、 「ねえ……ジョン。あんた本当にサンタじゃないのよね?」 何故か真剣な顔でそう聞いてくるのだった。 んな訳あるかよ。 「俺がサンタならここにはトナカイもソリもあるはずだろ? そして、人から 物を盗るような奴の所にサンタは来ない」 「別に来なくてもいいわよ。呼ぶだけだから」 俺の忠告にハルヒは謎の言葉を残し、 「じゃ、これもらっていくね!」 俺の頭にあったサンタ帽子を奪って校舎の方へと駆け出していくのだった。 あ、おい待てよ! ……っていうか呼ぶって何だ? あの帽子と関係あるのか? そして俺はこ の後どうすればいいんだ? 帽子を失い、頭部まで冷え始めた俺に残された選択肢は……ええいくそうっ! 「待てよハルヒ!」 ハルヒを追って、校舎に行く事しか残されていなかった。 俺が鍵を開けたままにしていた扉から侵入したらしいハルヒだったが、その 追跡は意外に簡単だった。 すでに足音1つ聞こえないが、土足のまま侵入したらしいハルヒの足跡を追 っていくだけでよかったからな。 朝比奈さんに一度話を聞きに行こうとも思ったんだが、まずは放っておくと 何をするか解らないハルヒを追いかける事にした。 ……頼むから面倒な事をしないでいてくれよ? そう祈るような気持ちで足跡を追っていた俺が見たのは、 「遅いわよ。早く手伝いなさい」 派手に音を立てながら、教室から机を運び出しているハルヒの姿だった。 ……想像以上だな、おい。 「ほら、早く!」 ハルヒは当たり前の様に俺の腕を引っ張るのだが、 「何で俺が、こんな深夜にお前の犯罪まがいのいたずらの手伝いをしなくては ならんのだ?」 「こんな深夜に学校に忍び込んできておいてよく言うわよ。いいからさっさと 手伝いなさい」 無駄に笑顔で自信たっぷりに言うハルヒに……多分、朝比奈さんは俺にこう させる事が目的だったんだろうなと諦めつつ、ハルヒの待つ教室に入った。 「机と椅子を全部外廊下に出すの。あたしの机も混じってるんだから丁寧に扱 いなさい」 へいへい。 相変わらず口煩い奴だ。っていうか3年後のこいつはもっと口煩いんだから 改善を期待するほうが間違っているのかもしれない……って待てよ? 椅子を逆さに載せた机を1つ廊下に出した所で、 「って事はハルヒ、ここはお前の教室なのか」 「当たり前でしょ? 人のクラスでこんな無茶な事はしないわよ」 普通は自分のクラスでもやらねーよ。 とは言うものの、ここがハルヒの中学時代の教室だと思うと多少の興味はあ る。机を運びながら教室の中を見回していると……ああ、やっぱりか。 壁に貼られた掲示物の中、習字の表彰の中で一人だけ勢いで溢れすぎな字が 混じっている。お題は自由だったのか、様々な字が並ぶ中でハルヒの作品には 『退屈』の2文字が書かれていた。 ……何ていうか、気持ちはわからんでもないが……習字の時間にそれを書く のはどうなんだ? 浮かんできた笑いを何とかかみ殺していると、 「何笑ってんの? さっさとやらないと夜が明けるわよ」 ハルヒは不思議そうな顔で俺を見るのだった。 ――そして、ようやく教室がただの広い空間になり、代わりに廊下が殆ど通 行不能になった時。 「じゃ、始めるわ。特別にジョンにも見せてあげるから、あたしに感謝しなが らその辺の床に大人しく座ってなさい」 廊下から戻ってきたハルヒの手には、一冊のノートがあった。 へいへい。 どうせなら椅子を1つ持ってくればよかったな。 床の冷たさにそう考える中、ハルヒはまず例の袋に入っていた帽子を教室の 中央辺りに振り撒いた。 そして帽子を掴んでは投げ、教室の床に帽子で何かを描いていく。 ノートを見ながらのその作業は暫く続き、やがて教室の中にはサンタの帽子 で描かれた……なんだこれ。 「見てわからないの?」 「わからん」 大きな円と、その中央にシダ植物が好き勝手に繁茂したようなこの模様を人 は……なんだよこれ。 「サンタを召還する魔方陣よ!」 保育園児が砂山を指差し「お城が出来た!」とでも言うような無邪気な笑顔 で、ハルヒはその自称魔方陣を指差した。 そうか、魔方陣か。 どっちが上かとか、そもそも方向といった概念を見つけられないその帽子の 列を前に、 「何よ、その薄い反応は……まあいいわ、今から実際にサンタを呼び出して驚 かせてあげるから!」 ハルヒは自信満々にノートを取り出すと、魔方陣とやらの端に立って片手を 上げ何やらぶつぶつと呟き始めた。 目を閉じ、俺が物音を立てないように思わず気を使ってしまう程の真剣さで ハルヒは何かに取り組んでいる。 それが何を意味しているのか――まあ、ハルヒとしてはサンタを呼び出そう としているらしいんだが――俺には欠片も理解できなかったんだが……。 10分程過ぎた頃だったろうか、 「――…………なんでよ、何でサンタは来ないのよ!」 ノートを床に叩きつけながらハルヒは突然叫び、痛い程の沈黙が教室に戻っ てきた。 現実ってのは……ま、そうだよな。 ハルヒが願ったくらいでサンタが来るはずはない。 何故なら……古泉によればだが、それはハルヒが認めていないからなんだと 言う。願望を実現する力があっても、そんなの居るはずが無いと心で思ってい る事は叶わない。存在しろという願いが、存在するなという願いで相殺される のかもしれん。 「……何で……なのよ……」 ハルヒの肩は小さく震えていた。 それが怒りのせいなのか、悲しみのせいなのかは……俺にはわからない。 これが現実って奴だ。ハルヒ。 この状況を言い切ってしまうなら、俺の言葉はそれでいい。 ハルヒに1つ、現実って奴を教える事が出来たら……それはどんなに有意義 な事だろうよ。 でも……それは違うんだ。 「惜しかったな」 そう呼びかけても、ハルヒは俺の方を振り向こうとしなかった。 でもまあ、多分聞いてるだろうから続けようか。 「サンタもお前の所に来たかったんだが、今日はもう予約で一杯だとよ」 「……何よ……それ」 力の無いハルヒの返事に、何故か胸が苦しくなる。 その痛みで俺は気づいたんだ……今のは、俺に向かって言っている言葉なん だって。 もう、動いてもいいだろう。 ハルヒの傍に行くついでに、床に転がったままのノートを拾ってみるとそこ には読みにくいが無駄に元気のある字で煙突の魔方陣と書かれていた。 ……ふむ、意外に面白い内容じゃないか。 それは現代におけるサンタの不在を証明する根拠の1つ、煙突が存在しない 事への対策について書き記されていた。過去にサンタの実在報告が多いのに、 現代においてその報告が出ないのは何故か? それは現代には煙突が殆ど無い からである。 サンタの進入経路である煙突を準備する事でその問題を解決すれば、現代に サンタを呼び込むことが出来る。 「……そしてその煙突を作るには、実物の煙突を作る事が出来ない場合はアイ スランドにおける煙突の紋章をサンタの所有物、もしくはそれに類似する何か で模り……」 「返しなさい!」 俺の手からノートを奪い取ったハルヒの目に浮かんでいた物を、俺は見ない 振りをした。 「笑いなさいよ。笑えばいいでしょ! こんなのどうせ、あたしの妄想だって あんたもそう言いたいんでしょ?! 言えばいいじゃない、お前が馬鹿なんだ って! サンタクロースなんて居ないんだって!!」 「居るさ」 涙声で怒鳴っていたハルヒが、割り込むようにして言った俺の言葉を聞いて 急に黙り込み、真剣な目で俺を見ている。 「え……?」 そうさ俺はあの時、きっとお前と同じこの目で聞いたんだ。 『サンタさんは本当に居るの?』ってな。 幼稚園の先生は夢見がちだった俺に「ごめんね? サンタは居ないの」優し くそう教えてくれた。 それは間違ってなんかいない。 空想上の英雄に憧れて、中々回りの子供に溶け込まなかった俺への教育のつ もりだったのかもしれない。 結果として『俺は最初からサンタなんて信じていなかった』なんて言ってし まう現実的で捻くれたガキに育ったよ。 でもな……だからこそ俺はお前に教えてやる。 「居るぜ、サンタは」 それは嘘なんかじゃない。 誤魔化しでもない。 サンタってのは、居ない事を確かめもせずに大人の言葉で解った振りをして いい存在じゃないんだよ。 はっきりと断言した俺の言葉を聞いて 「あ……当たり前よ!」 ――それまで涙目だったハルヒの悲しい顔に、輝くような笑顔が戻った。 「はい……本当にすみませんでした。二度とこんな事をしない様によく言い聞 かせておきますんで……――ふう」 下げたままになっている頭の前から、数人の大人が去っていく気配に俺は顔 を上げた。 やれやれ、もう少しで終わりだな。 「ねえ、ジョン。何であんたも頭を下げるのよ。あたしが悪いんだから、あた し一人が謝ればいいじゃない」 俺の後ろで、一緒に謝っていたハルヒはふくれっつらだ。 確かに俺が謝る理由は特に無いんだが、相手も子供一人に謝られるよりは俺 みたいなのでも一緒に謝った方が納得し易いだろうしな。 「いいから早く済ませるぞ、サンタは今日が一番忙しいんだ」 ――俺達は今、ハルヒが奪ってきたサンタ帽子を返して回っている最中だ。 サンタを呼ぶという目的は失敗したのなら、もうこの帽子に用は無い。 だったら、来年来てもらう為にもこれは返した方がいい。 そんな打算的な事を考える子供を、果たしてサンタは良い子に分類している のかは解らないが、 「じゃあ次、二丁目の商店街の電気屋」 ハルヒは意外にも、帽子を返して回る事を受け入れたのだった。 何人かには本気で怒られたが――当たり前だ、この日しか使わない帽子をよ りにもよって当日に盗られたんだからな――それでも、子供がやった事という 事で何とか納得してもらう事が出来た。 そして盗んだ最後の帽子を返し終え、俺達はまた学校へと戻ってきていた。 いよいよ雪は大降りになってきて、この分だと明日の朝までには積もりそう な感じだな。 「ハルヒ、一人で家に帰れるか?」 心配でそう聞いてみたんだが、 「子ども扱いしないで!」 殆ど条件反射で返って来る怒鳴り声。 よし、それでいい。 それでこそハルヒだ。 思わずにやける俺の顔を、 「何よその顔」 ハルヒは面白くなさそうに睨んでいた。 結局……過去に来たってのに、俺がやった事はハルヒの後始末ってのはどう なんだろうな? これじゃ、普段と余りに変わりが無さ過ぎるだろう。 当たり前の様に職員用の傘を持ち出したハルヒは、何故かそのまま帰ろうと もせずに俺の前に立っている。 何か言いたそうで……言えないその顔に、 「ハルヒ。お前にクリスマスプレゼントをやるよ」 クリスマスにサンタ帽子を被っていたせいなのかは知らないが、俺はそんな 事を言い出していた。 本当、何を考えてたんだろうな。 「は?」 「ま、サンタみたいに何でもとはいかないが、俺に出来る事だったら叶えてや る。何が出来るんだと聞かれると困るが……まあ、とりあえず言ってみろ」 突然の俺の提案に、 「まっ……ちょっと待ってなさい! すぐに考えるから」 ハルヒは後ろを向いて、何やら考え始めた。 さて……どんな無茶な願いが飛び出すのかね? その姿を暫く見守っていると、 「決まったわ」 振り向いたハルヒの顔は……年齢は違うはずなのに、いつも部室で見ている あの暴君そっくりに見えたのは何故だろう? 「あたしね、面白い事は待っててもダメ、自分で探さなきゃって思ってるの。 だから今日もサンタを呼ぼうとした。結果は失敗だったけど……諦めてなんか いないわ」 自信に満ちた目が、俺の顔に穴でも開けるような視線を送っている。 見慣れたその視線に落ち着くものを感じていると、 「だから……また、あたしが何か面白い事をする時は……全部じゃなくてもい い、たまにでもいいからあんたも来なさい。そしたら、あんたにも楽しい思い を分けてあげるわ。どう? この取引き」 ……願いを叶えてやるって言ったら、取引きを持ちかけてくるとはね。 まるで俺の返事は解っているとでも言いたげな顔で、ハルヒは俺を見ている。 さて、この取引きに俺はどう答えるべきか? YES? それともNO? 日常と非日常を分けるかもしれないその選択肢に、俺は―― ラッセル車でもこうはいかないという勢いで、グランドに直線の足跡を付け ていくハルヒを見送っていると、 「ありがとう」 校舎の中から朝比奈さんがやってきた。 俺の隣に立ち、同じ様にハルヒの後ろ姿を眺めている朝比奈さんは……さて、 理由はわからないが何か思い悩んでいる様に見える。 「……あの、まだ何かあるんですか?」 そう聞いてみた俺に、 「あ、いえ。これでおしまいです。後は元の時代に帰るだけです」 朝比奈さんは慌ててそう言うのだが……やはり元気が無いようだ。 校舎の中が寒かったとかだろうか? いくら屋内とはいえ、冬の夜に暖房も無しじゃ厳しいだろうし。用がないの なら早く元の時代に戻った方がいい。 そう、俺としても思うのだが……何故か朝比奈さんはそこから動こうとしない。 じっと俯いていた朝比奈さんは、やがて 「……その……涼宮さんが、羨ましいなって……ちょっと思って」 恥ずかしそうな声で、彼女はそう呟いた。 ハルヒが羨ましい……か。 俺の知る限り、今日のハルヒは羨ましがられる様には見えなかったんだが。 何故か落ち込んでいる朝比奈さんに俺が出来る事は……まあ、多分殆ど何も 無いんだろうけど――でも、 「朝比奈さん。何かお願いを1つ言ってみてください」 調子にのった俺の発言に、 「え?」 朝比奈さんは目を丸くしている。 「ほら、ここは過去だけどクリスマスなんでしょう? 俺に出来る事なんて殆 ど無いですけど、まあ駄目で元々って事で」 ハルヒにしたのと同じ様に提案した俺に、 「……えっと……あの、じゃあ! 凄く叶えて欲しいお願いがあるから……こ れから来年のクリスマスまで良い子にしてますから……その時にまた、お願い を聞いてもらえませんか?」 朝比奈さんはそのまま天国に行けそうな笑顔で、俺に尋ねるのだった。 なるほど、サンタの気持ちが今なら解る。 こんな笑顔を向けられたらプレゼントを配らないではいられないぜ。 「はい、解りました」 肯く俺に朝比奈さんは微笑み――さて、来年のクリスマスはいったいどんな 願い事をされるのだろか? 正直楽しみで仕方が無い。 「それじゃあ、帰りましょうか」 そう言って手を差し出された朝比奈さんの小さな手を握り、目を閉じた俺の 意識は再び途切れた。 この時代のハルヒと交わした、約束を守る為に。 ――俺達がこの時代を去った瞬間、俺とハルヒが去った後の教室の床の上。 何も無いはずのその場所で、煌々と光り輝いていた魔方陣が消え去った事を 知る者は無かった。 想像上の赤服じーさん ~終わり~ その他の作品