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勇者の故郷等の噂を全てひっくり返したような性格 高圧的な態度をとりながらも、ものすごい勢いで世話を焼く 死ぬほど家庭的で、休日や勇者一行が来訪する日には必ず3食とおやつまで出す もてなしを頑張りすぎた結果、家計が火の車 姫とはメル友。故郷では魔王にさらわれたことになっているが、実際は姫が家出しただけ 何故かデザイナーズマンションのようなところに住んでいる。 最近になって勇者が対抗心を燃やし始め、毎年事あるごとにもてなし合戦が繰り広げられる 流石の魔王も、勇者がイベリコ豚のハムを送ってきたときは戦慄した(神官・談) ポテチ食った手でコントローラー触る事はいやなようだ だからといって「カーペットで拭くでない!」 幼女の様な姿はとらない 桃鉄はが好き 桃鉄は99年でしか遊ばない 部下の悪魔神官と共に割烹着を着ている -- 名無しさん (2008-10-16 22 20 36) 名前 コメント - 今日のアクセス数を表示します - いままでのアクセス数を表示します - 昨日のアクセス数を表示します
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魔王「お嫁にしてくださいっ!」 1 :創る名無しに見る名無し:2009/07/31(金) 21 18 08 ID b+/IBlRu 騎士「……はぁ」 魔王「聞いてました? 私の一世一代の大告白!」 騎士「え、ええ。まあ……」 魔王「お答えは!?」 騎士「あの……順当、かどうかはともかくとして、普通魔王の相手は勇者では?」 魔王「そうですね! でも、勇者さんって良い噂聞かないじゃないですか。だから、騎士道精神溢れる高潔なお方にお願いしようと思ったのです!」 騎士「は、はぁ……」 騎士(私は女なんだけどな……) … ⇒ 続きは現行スレにGO! ⇒ … 現行スレ 魔王「お嫁にしてくださいっ!」 http //yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1292329144/ 前スレ 魔王「お嫁にしてくださいっ!」 http //yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1249042688/ ページ最上部へ
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第二十八章-第三幕- 事前のガス抜き 第二十八章-第二幕- 第二十九章-第一幕- 勇者軍、魔神軍、そして各ナインサークルロードとそれらの率いる軍で 全種族同盟『生命連合』を発足し、魔王城にて一致団結が始まった。 作戦内容は活路を見出すまでの徹底篭城戦。 天の時、地の利、そして人の和を総結集して挑む戦いになる。 そんな中、疲労回復中のため、荷物運びにも参加せず、 何故か座布団など敷いて茶をすするマリーに、一人の男が目を付けた。 「OH……なかなかナイスな佇まいでいやがるZE!」 そして話しかけて来るアフロの男。暑苦しく、チャラい。 「なんだ、貴様は? 新手のナンパか?」 「そうツンケンしなくてもいいじゃねぇかYO。 俺は魔神軍メインメンバー、ラケル=エフォート。 今は仲間だ、よろしくやろうZE!」 変なポーズを取りつつ、握手を求めてくるラケル。 その手をべしっと手で打ち払い、無言で無視する。 「OHOOOO! つれない嬢ちゃんだねー。 名高い勇者軍メインメンバーの割に器が小っちゃいYO!」 また変なポーズである。 「人とまともに会話がしたいのなら、 そのふざけた髪型をきちんと整髪してからにしてもらおう」 「NO! これは天然パーマだYO! もし切っても、伸びたら元に戻るZE! 学生でも天パは違反にならねんだZE! ざんねーん!」 何故か両方の人差し指で自分のやたらデカいアフロを指差すラケル。 「……黙れ。憩いのひと時を煩わすなら、今ここでねじ伏せるぞ」 三節棍を持ち出し、ラケルを威嚇する。 「HAHAHAHA! 上等じゃねぇの! エキシビジョンマッチだ。ここに集まった奴等に、 俺達魔神軍と勇者軍が共闘する意味、そして実力てのを 存分に見せ付けてやろうじゃん、AHA!?」 「ふん……では十分後、ここへもう一度来い。 必要は無いかもしれんが、準備時間ぐらいはくれてやる」 優雅に座っていた座布団から立ち上がり、 愛馬ステファンに騎乗するマリー。 「OK! HERE WE GO! YAHOOOOO!!」 何かふざけたテンポを取りながら一度離れるラケル。 どうやら素直に準備をしに行くようだった。 「で、何故こんなにギャラリーが集まっておるのだ?」 十分後、草地に再び現れたマリーと愛馬ステファンは、 異様なギャラリーの数を警戒していた。 「言ったろ。エキシビジョン・マッチだって。 みんなここに来てから働き詰めなんだZE? ちっとぐらい凄いの、面白いの見たって罰は当たらんYO!」 「ジーニアス家の力は見世物ではないが、いいだろう。 今一度、勇者軍と魔神軍の重みの差を現実にして、 見せつけてくれる……ジーニアスの誇りにかけて!」 ハンデだ、とばかりに愛馬を降りる。 「ステファン、いい子だからちょっと待っていろ」 「HA! ハンディキャップのつもりかYO!?」 「違う。馬上ではこの武器が使いにくいだけだ」 そう言うと、マリーは三節棍を自由自在に振り回す。 映画顔負けの動きで、実に見事だった。 「はいっ、それじゃあ始めましょう! ラケルさん、マリーさん、いいっスか?」 何故かレフェリー役になっているレオナ。 「いいZE!」 「いつでも……って貴様が審判か!?」 いきなりノリツッコミを返す間にレオナが手を振り下ろす。 「……っファイトぉ!!」 「HA!」 マリーが余所見をかましている間にラケルが急接近する。 「早い!?」 退避を諦め、マリーはステップで距離だけ調整し、 すぐに応戦体勢に入る。ラケルの拳の一撃が届こうとする。 「ふんっ!」 マリーが三節棍で応対するが、両方の勢いは相殺された。 「疾風!」 「HAHAHAHAHA! 流石だZE!」 凄まじい三節棍と拳の応酬がまったく互角の戦いを繰り広げる。 一撃がぶつかり合う度に衝撃波が飛び、小型の生き物を吹き飛ばす。 油断していると人間まで吹き飛びそうである。 「ちいっ、こいつ、只者ではない……スピードで私を上回る、だと!?」 「くっ、なんてPOWERなんだ……化けモンだNE!」 互いに相手の方が勝る部分を見つけ、素直に驚愕する。 両者の技能がほぼ互角なら、相手に劣る部分を 的確に突かれた方が負ける。そんな戦いになってきた。 「ぬううううう!」 「HAHAHA!」 マリーの一撃は重く、ヒットした箇所にダメージを大きく与えるが、 ラケルの身のこなしが軽く、思った以上に当たらない。 ラケルの一撃は巧みで、マリーより多くの箇所にダメージを与えるが、 パワーが足りず、決定打になるような攻撃が入らない。 そうなるように狙った攻撃に限って、マリーは確実にガードしている。 「ちいっ!」 マリーは一度大きく距離を置くが、ラケルは即座に追撃をかける。 「一瞬の隙をやるのが時間の無駄だZE! ブレイクスピナー!」 ラケルはブレイクスピンをかけつつ、何故か一気に前進してくる。 衝撃でつむじ風が起こっている。 「力押しなら決して負けぬ! トルネードジャンパー!」 マリーが竜巻を呼び出し、ラケルのつむじ風とぶつかり合う。 「げぇっ、なんでこったい!」 初めて動揺らしきものを見せるラケルだが、 それほど動じている風でもなく、すぐに手を地面につける。 「JUCK KNIFE!!」 手の動きだけで跳躍し、そのまま竜巻の中に突貫。 マリーに蹴りを叩き込みに来た。 「ジーニアスの名を軽く見るなぁぁぁぁッ!」 竜巻の中に入ったならこっちのもの、とマリーも負けじと跳躍、 そのまま三節棍の一撃を叩き込もうとした。 ガゴンッ! 空中で鈍い音を立て、双方の技が不発にとどまり、 両方とも手で着地する羽目になってしまったが、 即座に起き上がり、再攻撃態勢を整え、すぐ動く。 「つぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!」 「ヒィィィハァァァァァァ!!」 片方は怒号を、片方は奇声をあげての突撃。 「そこまで!」 だが、その両者の間に割って入る者が二人。 勇者軍からはロバート、魔神軍からはイノが止めに入った。 「ガス抜きにしてはやり過ぎになる。止めやがれ、マリー」 「ラケル、あなたもよ。これ以上は怪我の元になる」 その一瞬の早技に戸惑いつつ、二人は武器を納めた。 「……ふ、見事にやってくれたものだ、アフロ」 「ラケルだYO!」 抗議するラケル。 「とはいえ、確かにな。正直重みってモンも分かったZE! 改めてよろしく頼むZE! マリーさんYO!」 やたらと暑苦しく握手を求めてくるが、 今度はマリーも拒絶せず、しっかりと握り返した。 「いいだろう。元々勇者軍のカウンターとして機能する貴様等だ。 こうして共闘する機会は二度と無いかもしれん。 その間だけなら、よろしくしてやらんこともない。 ……いや、すまない。言い方が悪いようだ。 ラケル、それから魔神軍。よければ今は力を貸してやってくれ」 「HO! 勿論だYO! 絶対に勝つZE!」 わあああああああああああああ! 歓声と賞賛の声が周囲のギャラリーより巻き起こる。 世に名高い勇者軍の実力を間近で、しかも味方として 見られた幸運もさながら、それに追従以上の戦いを見せる 魔神軍をも、新時代の猛者として受け入れる賞賛の声だった。 それは確かにガス抜き以上の意味を持っており、 たとえイグジスター相手でもこの力があれば、という ささやかな希望を味方に見せるだけに相応しいものである。 「通信施設より連絡……? 何でしょうかねー?」 魔王城の通信施設より緊急連絡が突然入り、 いつの間にかこっちに来ていたノーラが応答する。 「はい、こちら魔神軍ノーラ=アドミラブル」 「我……勇者軍……ホムラ=クロカゲ…… ナインサークル……味方……遠近問わず 離島に集結……続々と拠点を建造中…… 発信源……亜人王タイタン……!」 「了解でっす!」 元気良く応対し、通信を切る。 「だそうですよ、ゲイルさん」 「うむ、続々と対応が出来つつある。至極結構にござる」 相変わらず間違ったサムライ語を展開するゲイル=ウィッシュ。 勿論同様の内容を勇者軍も聞いており、 いよいよ決戦ムードが魔王城を擁する無人島群を包み、 否が応にも周囲のテンションは上がるしかなかった。 「ようし、ガンシップ、エリミノイド、戦艦、順次リリース!」 そして兵器工場から、怪物王の声と共に、 随時無人兵器群が出発していく。 これらの活躍を待つ、という新たな戦いが始まったのであった。 <第二十九章-第一幕- へ続く>
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第二十九章-第二幕- 民政部の真意(前編) 第二十九章-第一幕- 第二十九章-第三幕- 勇者軍主力部隊は、アンノウン・ベビーの説得に 半分成功しかけたものの、アンノウン・ベビーの知能の問題で 惜しくも逃走されてしまう。そこに民政部兵士の報告を受けた ヴェルファイア首相以下、民政部幹部六名が登場した。 「さて、それでは先陣を切らせてもらうか、突撃だ、行け」 ヴェルファイア首相は、自ら先陣を切る。 愛竜コモドが唸りをあげ、またしても突撃してくる。 「来るか! 騎兵と動物は退けーッ!」 ヴァジェスの指示で一部の味方を退却させようとしたが、 そうはいかない、とばかりに次はレオンハルトと、 その愛馬であるエルトリオンが動く。 「悪いが多対一を大人しくやるつもりもないのだよ。 乱戦に付き合ってもらうぞ、勇者軍!!」 エルトリオンが退いた騎兵部隊へ向かって突っ込む。 それを合図に、残り四名も一斉に動き出した。 「ちぃっ、最初から乱戦に持ち込む腹か!」 コンラッドがミミックマンの攻撃を捌きながら愚痴を垂れる。 ミミックマンはコンラッドを模倣しきっている。 「乱戦が自分達だけの得意技と思うんじゃねぇ!」 相変わらずの見事なモノマネである。挙動まで同じだ。 「気持ち悪いんだよ、その技ッ!」 「ならば、こういうのはどうだっ!」 ミミックマンは瞬時にリゼルへと化けてみせる。 「姿はモノマネですが、 こういうオリジナルもあります! ロスト・マジック! バスターキャノン!」 「何ぃっ!?」 バスターキャノン。失われし魔法の一つ。 無属性魔法同士を掛け合わせる事で、 より柔軟性に長けた魔法として放つ術である。 バスターは単体低威力魔法。キャノンは単体中威力魔法。 つまりバスターキャノンとは、中威力のまま、 低威力魔法並みに牽制と乱射が出来てしまう魔法なのだ。 それ故に魔力の消耗も激しいはずだが、彼の得意技のようでもある。 「コンラッドさん、退いて!」 そこにフローベールとバスクが乱入する。 「騎兵のモノマネは出来ないはず!」 「そこがお前の弱点なのは分かってる!」 コンラッドが別の方面へ攻撃対象を切り替え、 二人同時に仕掛けようとしたが、ミミックマンは動じない。 「サウザンドビジョン!」 ミミックマンが猛烈に分身し、その全てが別個のモノマネをする。 驚異的という他無い魔技であった。しかも騎兵が混じっている。 前回の弱点は払拭されていたようだ。 「えっ、何!?」 「分身! 実体があるのか!?」 実体は無かったようだが、分身の群れから本物が躍り出る。 どうやったのか知らないが、ペガサスまでモノマネ済みだ。 「一身是槍・雀蜂の舞!」 「一身是槍・雀蜂の舞!」 フローベール、ミミックマン、本物と偽者の同じ技が 真正面からぶつかり合う。スピードが速すぎて常人には理解不能だ。 「あうッ!」 「そこだ!」 続いてバスクに化けてそのままフローベールを追撃にかかる。 「俺のデータにはお前の技も入っている。通用しない!」 バスクの口調で騎乗したまま襲い掛かるミミックマン。 「そうはいくか! 今こそ俺の技の真価の発揮される時!」 バスクは棒を握り、下馬して縦方向へ回転しながら突撃した。 「何っ!?」 ミミックマンはその鮮やかな動きに見惚れた。 あわよくば自分のものにしようと欲をかいたのだ。 それが、間違いである。 どががッ! 数発ほど縦回転の攻撃が決まり、そのまま着地することなく、 バスクは棒を垂直に突き立て、そのまま横回転を始めた。 ずがががッ! 反動と勢いで棒を回転しながら昇って行くバスク。 頂点に達したところで棒を引っこ抜き、 そのまま大きく横になぎ払いで叩きつける。 「究極! 縦横無尽撃!」 ずがんッ! 「がっは!」 ミミックマンは大きく吹き飛び、起き上がれなくなった。 「凄い……」 フローベールも驚いたが、これが地下で学んだ技なのだろう。 それを納得し、すぐさま次の戦いへ動こうとする。 だが、バスクは騎乗するなり、いきなり横転する。 「バスク!?」 フローベールが手を貸そうとすると、ベアトリスも横転した。 「ブービートラップ!?」 ギースが察知し、すぐに罠の解除に向かう。 「ゼクウ、ギースの援護を!」 セシリアの指示でゼクウが援護に向かう。 だが、そのゼクウに手斧が飛んできた。 「愚!」 ゼクウはその斧を素手で白刃取りしてみせる。 手裏剣を叩き込むと、そこからフィアナ=マーベルが出てきた。 迷彩の得意な女幹部である。随分と久しぶりだ。 だが、フィアナは更に迷彩をかけて動いてくる。 肉眼ではほとんど確認不能なレベルなのは相変わらずだ。 「はははは、インビジブル・トラップを食らいなよ!」 ゼクウが激して動こうとした瞬間、転倒する。 いつの間にか、新たな罠が仕掛けられているのだ。 どうやら迷彩のまま動いて、気付かれぬ間に罠を仕掛けている。 それに引っ掛かり次第、得意の手斧が飛んでくるという技だ。 見れば、シエルなど他数名も引っ掛かっている。 「地上からでは埒が明きません。ヴァジェスさん!」 イシターがヴァジェスを呼ぶ。 「ドラグーン化を解くんだな、分かったぜ!」 ヴァジェスはワイバーン形態に戻る。 すると、イシターがひょいとその上に乗っかってきた。 「おい、ドラゴンナイト気取りか!?」 「いい策を思いついたんです。説明は後! 上へ!!」 「お、おう!」 ヴァジェスはイシターを乗せて飛翔。 空中に踊り出ると、イシターの指示が飛ぶ。 「合図で、レーザー・ブレスを! 今!!」 「がぁぁぁぁッ!」 ヴァジェスのレーザー・ブレスと同時に、 イシターはミスト・ブレスを吐く。 猛烈な霧が周囲にたちこめ、それをレーザーが加熱。 ずどがぁぁぁぁぁぁぁぁん! フィアナがいると思しき周辺で大規模な水蒸気爆発。 「いました、そこです! ヴァジェスさん!」 「おうよ!」 意図がようやく読めたヴァジェスはそのまま突貫。 槍から棒へ持ち替えたイシターが騎乗したまま殴打。 フィアナはようやく戦闘不能に陥ってくれた。 その頃にはようやく、罠から味方が脱出をし始めていた。 「ふう、ようやく片付いたか」 一息ついたヴァジェスとイシターだったが、そこに ミサイルが叩き込まれ、まともに被弾するヴァジェス。 「ぬぐぁッ!?」 「ヴァジェスさん!? 一旦下がりましょう、このままでは!」 「分かってる、くそっ!」 仕掛けてきたのは『ホークマンEXエディション』に搭乗している メロウ=クミンだ。ミサイルも機体からのものである。 「二名、離脱。次のターゲットはどこ?」 冷静に次の目標を探すメロウ。目に付いたのは 懸命にシエルを救助中のジークと、ライナス、リュミエルの三名だ。 「仕掛ける」 それだけ言うと、メロウは機体の高度を下げ、 一気にライナスへと襲い掛かる。ヒートランスだ。 「カオスリキッド、発動!」 ライナスはすぐに反撃態勢に入り、ヒートランスを一刀両断。 「やる」 すぐに距離を取り、メロウはアサルトライフルを 三点バースト射撃にしてライナスを狙い撃ちにする。 「くっ、こう距離を取られてちゃどうしようもないわ!」 リュミエルも反撃の術を持たない。 「支援に入るわ!」 ルシアが弓での応射を行う。だがメロウはすぐに背中の バックパックから何らかの武器を取り出した。 「ワンバウンドミサイル、投擲」 ホークマンEXの腕がミサイルを地面に叩きつける。 バウンドした直後、点火してミサイルが襲い来る。 それまでの軌道が無茶苦茶で、撃ち落とすのは無理だった。 「させない!」 リュミエルが必死に防御結界で防護。 ルシアにかろうじて反撃の隙を作らせてやった。 だが、ワンバウンドミサイルが次々と叩き込まれる。 リュミエルの防御結界も限界に近い。 「疾風剣!」 が、ライナスが前に出てワンバウンドミサイルを切り刻む。 これにより、リュミエルの負担が大きく軽減された。 「今だ!」 「今よ!」 二人の声援を受け、ルシアはボイルドアーチを準備。 すぐさま狙いを絞り、精密射撃で叩き込む。 「ボイルドアーチ!」 動力ケーブルらしきものを正確に撃ち抜いたのか、 ホークマンEXエディションはパワーが無くなり、墜落。 「敗北ね」 あくまでも冷静なまま、メロウは速やかに脱出した。 これで、メロウも戦闘不能になったに等しい。 敵は残り三名、しかし勇者軍も多数の負傷者を出している。 乱戦は多大なる混乱を生み出しつつ、推移する―― <第二十九章-第三幕-へ続く>
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そこは、深い、深い、人里離れた森の奥。その場所を知る人間はその場所を「聖なる森」と呼んでいた。百年前に魔王を倒した勇者が使っていた聖剣が安置されているという事実が、その場所が聖なる森と称されるゆえんだった。 その森の最深部、聖剣の元に俺がたどり着いたのは、獣道のような道を藪を掻き分けながら丸2日経った頃だった。 「ん……あったあった、あれかー、聖剣」 石の台座に突き刺さっている聖剣が姿を現した。誰が手入れしているわけでもないのに台座の付近には大きな植物が茂ることも無く、かつ聖剣の刃にサビのひとつもうかがえない。自分の腰に帯びている剣も名剣のはずだったが、その剣を見た瞬間にかすんでしまうほど聖剣は神々しかった。 「よし……」 この聖剣を手に入れ俺は魔王を倒すんだ。と意気込んで台座の正面へ歩み、俺は聖剣の柄をぐっと握り締めた。手の中に妙なぬくもりのある聖剣。光っているわけではないのだがどこか眩しい、そんな不思議な感覚。 「っ……」 腰に力を入れて、一息に剣を台座から抜き放った。鉄と石の擦れる音は一瞬で、抵抗もなく抜けた剣を俺はしげしげと眺めた。これがあれば魔王も倒せる。今までの相棒だった腰の剣に手を伸ばし、ご苦労様と外したところですぐ左に妙な気配を感じて顔を上げた。 「つぎの勇者はおまえか?」 「あぁ」 突然そこに現れたのは、妙に高価そうな金色の繊維で編まれたローブに身を包んだ少年だった。年の頃は俺と同じぐらいだろう。筋骨隆々とまでは言わないが大柄なそいつは、めんどくさそうに頭をぼりぼりと掻いていた。俺は生返事だけを返しておく。 「じゃ、また魔王退治? しっかし人間も魔族も飽きないな~」 少年は眠そうにあくびをひとつしてローブのフードを脱いで、たった今聖剣を腰に帯びた俺をじろじろと見てきた。 そこでふと、聖剣には守護精霊が居るという話を思い出した。聖剣の行く末を見守る守護精霊、名前からしてその辺に居る小型精霊の類かと思っていたがまさか人間サイズとは予想外だった。 「えっと、聖剣の守護精霊……だよな?」 「そう。俺、聖剣の守護精霊」 「は、はぁ……」 俺はなんとなく妙なおまけがついてきた聖剣を再度眺めて、少し気の抜けた返事を返した。するとおもむろに近づいてきた守護精霊は俺の背中を少し強めに叩き、正面に回りこんで言った。 「はいはいしゃんとする! どうせやることは魔王を倒すだけなんだ」 「魔王を倒すだけって……あんた簡単に言ってくれるなよ!?」 俺の使命、天命とも呼べる目的を“だけ”と言われ、頭に血が上りそうになる。守護精霊といったってたいしたことが出来るわけじゃないだろう、と荒げた声のまま言葉をぶつけた。 「簡単簡単。ちょいちょいーっと経験積んで魔王城行って魔王倒してはい。しゅーりょー」 俺の怒りのこもった声を聞いても悪びれることなく軽いふうに守護精霊は言った。 「ってことで、早く森を出るぞ」 「ちょ……待て、お前、そんな簡単な問題じゃな――」 いきなり俺と肩を組み、そのまま守護精霊は森を出ようと俺を急かした。なんなんだこいつは。あの残虐非道、強靭強大な魔王を打ち倒すのは並大抵のことじゃないんだぞ。そう思った瞬間、妙な感覚に襲われた。 一瞬視界がぼやけ、妙に動悸が激しくなったかと思えば、どこか思考がぼやけるが、すぐにそれも収まった。 「――いんだぞ大体、お前は魔王の恐ろしさを知らないからそんなことが言えるんだっ!」 俺の心の中をその甲高い声が代弁してくれた。と思ったら自分の口からその甲高い声は出ていた。 何なんだコレは、幻術の類か。 それになぜだか息苦しくなり、着ている甲冑が倍の重さのように感じた。まさか敵が!?と、回りを見渡しても誰も……。 「あ」 すぐ隣から聞こえた声。間の抜けたその声は守護精霊の声だ。表情も間の抜けたものになっている。 「まさか……お前、童貞?」 「あ、ああ……そうだけど」 そんな無礼なことを聞いてくるのを聞いて、頭にきながらも正直に返事をするあたり自分は律儀だった。そしてその返事をした声は女の声だった。 もう間違いない。俺は女の声、いや、女になっていた。 「……このヘタレ野郎」 「待てよ、俺、何で女になってるんだ!?」 ヘタレと言われたことについては反論する気も起きず、ただ現状俺より詳しそうな目の前の守護精霊に問うだけだった。 「実はこの世界、15歳のとき童貞の男は…女になるんだ」 「15……って、で、でもそんなことがあるはずが……俺はそんなことになった奴を見たことはおろか聞いたこともないぞ!」 あまりに荒唐無稽な話だった。だが守護精霊は声を荒らげる俺を気にもとめず説明を続けた。 「それは簡単。お前さんの先祖に聞いたが、この世界の人間は13歳までには大抵妻を娶るんだってな。若い盛りに夫婦生活が無いなんて、ありえないだろ?」 「だ、だからって……」 それは、勇者の家計に代々伝わるある掟を、今までの勇者が破っていたという証明だった。ショックのあまり頭を落とす。 「大体、お前勇者の癖になんで童貞なんだよ」 「家の掟に『勇者は魔王を倒すまで無垢であれ』というのがあるんだ……俺は、それを守っていた」 「嘘だろ……お前の家の勇者達、先代も先々代もそれ以上前もどっかのお姫様や、宿屋の娘やパーティーの僧侶とか、よろしくやりまくってたぞ……聖剣を手に入れてからだけでも」 先代たちがそんなに掟を破ってふしだらな行為に及んでいたなんて、と俺は衝撃を受けた。勇者という自分の使命を疑いたくなったが、そこを疑ってしまっては俺の人生は一体なんだったのだろうかと虚しくなってしまうだけなので無視する。 そして、俺はある重大な事実に気づいた。 「このままじゃ、魔王なんて倒せないぞ……」 とある鍛冶屋街で手に入れた自慢の黒鎧が重すぎて動けないのだ。筋力が落ちたどころの騒ぎではない。試しに一歩踏み出そうと足を 上げようとした瞬間のことだった。 「ぅわ!」 「おっと」 バランスを崩し転びそうになったところを守護精霊に支えられ助けられた。なんだか癪に障る。 とりあえず防具を肩当から外していき、簡素な布の服のみになると、改めて自分が女になったことがわかる。 頭ひとつ分は低くなった身長、妙に細くなった腕や腰回り、柔らかくなった足に、胸にある圧倒的な脂肪……乳房。それと顔を覆う長髪、鼻につく匂いまでどこからどう見ても女だった。 そこまで確認して、守護精霊を睨みつけて俺は言ってやった。 「ありがとう。で、さっきお前何て言った? 『ちょいちょいーっと経験積んで魔王城行って魔王倒してはい終了』……だっけか」 「あ、あー。こりゃ、時間掛かりそうだなぁ」 ばつの悪そうな顔をして頭を掻く守護精霊を横目で見ながら先ほどまで腰に帯びていた聖剣も一度外し、再び持ち直してみるとずしりと重く、とても扱えそうにない。構えようと切っ先をあげると腕が震える。こんなことでは、ゴブリンとも渡り合えそうに無い。 「聖剣、重くて構えることすらできないし、剣も無理、防具も無理、魔法も……」 呟いていて気づいた。肉体は弱体化してしまったが、魔法は使えるはずだ。取り合えず思いつくままに呪文を唱えてみる。 「ラ○デイン」 俺の言葉に呼応するように突如雷雲が轟き曇天になり、天から一筋の光が目の前の木に降り注いだ直後、爆音が俺の耳を打った。俺は事前に耳を塞いでいたが、静まってみると隣に居た守護精霊はひっくり返っていた。 「わーお、すごい威力。前はギ○モみたいな小さい雷雲しか呼び寄せれなかったのに」 「……やってくれるな」 若干声を震わせながら彼は起き上がった。意外とタフだ。きっと守護精霊だから人間と同じようにはいかないのだろう。 「でも、魔法だけじゃ……魔王を倒すことはできない」 威力の上がった魔法。しかし俺は絶望していた。剣ひとつ満足に振れない体で魔王と渡り合えるか? そんなことは言うまでもなかった。 「おっと、忘れてもらっちゃ困る。今手に入れた聖剣があれば魔王なんて楽しょ――」 「聖剣を扱えない勇者に価値なんてないっ!!」 俺はその場に崩れ落ちた。こんなどこぞの姫様のような細腕でどうにか出来る魔王なぞ存在しない。もう俺は存在価値も無いのだ。やれることは一刻も早く次の子孫を産み、育て上げることだけだった。地面に叩きつけた拳、ひ弱な皮膚は裂け血がにじむ。鈍いその痛みは罪の償いにもならないだろう。噛み締めた唇から血の味がした。 「お、おい……落ち着けよ!」 「うるさい!」 気遣うように近づいてきた守護精霊を片腕で振り払うように押しのける。すると地面に転がる聖剣が目に入り、さらに後悔に駆られた。 「お前、そんな簡単に諦めるな。勇者だろ! 聖剣は、持ち主に応じて姿を変える!」 守護精霊がそう俺に告げた時だった。聖剣のあった場所にはいつの間にか、細身のマシェットが転がっていた。マシェットは茂みなどを歩くときに使う木払いの刃物。長さも60cmほどで少々心もとない。 だが、それでも。それを拾い上げ握ってみると先ほどと同じ、聖剣を握った感覚があった。 「これ……は?」 「これがお前の聖剣だな……確かに聖剣には見えない貧相さだけど、女でも扱える」 その剣は、こぢんまりとしていたものの、やはり聖剣なのか威厳はあった。軽く振ってみると、先程とは違い剣にいなされることもなく綺麗に振ることができた。 「はは……憧れの聖剣がこんなナイフもどき……残念だ」 そう言いつつも。嬉しかった。先程の喪失感もどこ吹く風と消えていく。 「贅沢いうなよー。使えるだけでよかったと思ってくれ」 守護精霊は自慢げにそう言った。その頭を小突いてやる。 「いてっ! なにするんだよ!」 「うるさいバカ、こんな機能があるなら最初から言えよバカ」 「バカって言うな、普通抜いた瞬間変わるんだよ!」 「じゃあ自慢げに言うなバカ!」 そんな小突き合いをしばらくして、俺はまた気づいた。 「待て、これじゃ、勇者が居なくなってしまわないか」 「はぁ?」 「よく考えてみろ。女になっただなんて誰が信じると思う? きっと魔物の仕業だとされて俺は良くて牢屋行き、悪ければ火あぶりの刑だ」 と、自分で言っていて恐ろしくなりつつも、ふと俺は閃いた。 「いやまてよ、そうだ……こんなところにいい勇者様がいるじゃないか」 俺は守護精霊を眺めつつ、近くに転がっている防具も見て。 「よし、そのローブ俺によこせ。代わりにお前はその鎧着ろ」 「おい、待て、俺が勇者!? そんなの無理に決まって……」 慌てる守護精霊のローブを引っ張りながら俺は説明を続けた。 「どうせもう大都市を回るわけでもない。その辺の村やましてや魔族の領土に入ったら人間に会うかも怪しい。勇者がどんな顔してようがバレない」 「わかった、わかったから! 自分で脱ぐからちょっと待て!」 守護精霊は俺の目を見て観念したのかそう言って、おもむろに金のローブを脱いだ。その下からは金の腰巻だけになった少年の体が出てくる。俺はあまり気にせず、渡された金のローブを受け取る。すると絹をも超えるような滑らかさの布地に舌を巻いた。 「うお、なんだこのローブ。めちゃくちゃさらさらじゃねぇか、お前これを渡したくなかったんだな!?」 「どこの精霊が好き好んで人間の鎧なんか着たがるかよ」 ぶちぶちと不満そうに文句を垂れる守護精霊を横目に俺は先程からうっとおしい自分の髪と格闘していた。とりあえず聖剣で散髪するのは気が引けたので道具袋の中の、へんな塔で拾った使いみちの分からない糸で髪を後ろでひとまとめにする。だぼだぼになった元のぬののふくを適当に紐で縛ってサイズを調整してから、金のローブを纏った。ついでに拳の傷を薬草とボロ布で巻いておく。 「ほら着たぞ。こんなので勇者に見えるのか?」 「見える見える、ほら剣も持って、これで立派な勇者だ」 「そ、そうか? しっかし、長年守護精霊やってるがこんな役割は初めてだな」 まんざらでもなさそうな守護精霊を適当に調子に乗せておく。どこからどう見ても勇者その人だ。悔しいがやはり守護精霊だけあって品格がただよってやがる。とりあえず俺は聖剣を腰に差し、道具袋を掴んで持ち上げようとして、持ち上がらなかった。 「よし“勇者様”この道具袋持って」 「はぁ? なんで俺がそんなこと……」 守護精霊がまた文句を垂れるので、袋から財布だけ抜き取りながら手短に説明する。 「重くて持てないからだよ。それに今からそっちが勇者、俺が守護精霊だ。そんなもの持って労働している姿なんてイメージに合わないだろう?」 「単に楽したいだけじゃないのか?」 「いいから、少しでも早く魔王を退治してお役御免になりたいんだろうお前?」 「はぁ……しょうがないなぁ」 しぶしぶ守護精霊は荷物を担いだ、それを見てから俺はもと来た道の方へ歩きながら今更ながらの自己紹介をする。 「俺はリアン。勇敢かつ誠実な勇者だ」 と、自分が自己紹介をしてからまだ守護精霊の名前を聞いていないことに気づいた。 「守護精霊、お前には名前はないのか?」 そう聞くと、守護精霊は少し悩むように首をかしげてから言った。 「んー、名前なんてないんだ。歴代の勇者は普通に『精霊』とか呼んでたから」 「そっか。まあこれからは俺の名前を使ってくれよ。勇者リアン様」 「俺がリアンになるのはいいが、そっちはどうするんだ?」 「ナイラでいいよ。普通に綴りの逆読みだからひねりが無いかもしれないけど」 そういうことで、俺は新たなる名前を得た。故郷にいる両親には、魔王を倒してももう会うことはできないだろう。俺は一抹の寂しさを感じながら守護精霊改め、リアンに話しかけた。 「とりあえず、この森を抜けて近くの村へ行こう。聖剣があるとはいえ、このまま魔王城を目指したところでどうにもならないだろうし。策を練らないと……」 「わかった。それはそうとして、この道具袋重すぎないか?」 「気のせいだろ、たいしたものは入ってないよ」 嘘だった。実はこの道具袋王様の支給品の中では最も役立つもので、何でも大量に入る魔法の道具袋。しかし重さは減らしてくれないので、俺の性格もたたってかものすごい重量になっているのだが、それを捨てていくワケにもいかない。俺はとぼけることにして。先を急いだ。 「それよりナイラ……ナイラ?」 「あ、あぁ。何だ?」 「口調、直さないと後々不便じゃないか?」 「えぇ……いいだろべつに」 「良くない。せっかく女になったんなら最悪女の武器を駆使することも考えろ。俺にこんなことさせておいて自分だけ楽するのは無しだぞ」 背後の荷物を指し示しながら恨みげにリアンは俺をジト目で見てくる。その気迫に押されて俺はしょうがなく、応じておくことにした。 「……ちっ、しょうがねぇなぁ」 「言い直し」 「……わかったよ。しょうがないね」 「よろしい」 かくして俺たちはひとまずの目標として近隣の村を目指すこととなった。魔王を倒すにはまだまだ遠い道のりであるが、その道のりを確実に一歩、俺たちは踏み出したのだった。 <つづく>
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第十二章-第一幕- 解決する疑問、新出した疑問 第十一章-第三幕- 第十二章-第二幕- 新たにフローベール、バスク、 そして天馬ベアトリスと馬のヴィッセルを加えて、 勇者軍主力部隊は重要拠点のひとつである バイオレット・ヴィレッジへと向かった。 この拠点が重要拠点に指定される理由はいくつかある。 ジャパニーズ・チルドレンと呼ばれる旧時代の 『日本』という国の国民の直系の子孫達が残るという、 旧文明のわずかな残滓が残っている事による。 分かりやすく言えば文化遺産だとか 天然記念物だとかそういう扱いなのだ。 更に加えて、エドウィン=ストレンジャー総帥の時代に 勇者軍に加わったバイオレット・ヴィレッジ村長、 バイオレット=アーリア及び その子孫が住む村という事になるのも理由の一つ。 加えて言えばアーリア家は、かの有名な 『十三英雄』の家系の一つであり、 『十三英雄』自体も勇者軍とは協力・同盟関係にあったことからも、 決して無視していい土地ではないと言える。 そうした文化的な諸々をさておいても、 ここにはフレイデッド・タワーという 観光名所兼訓練施設があり、歴代村長の考えるユニークな仕掛けは 勇者軍予備役や、サブメンバー昇格したての人間の訓練に 著しく好影響を与えているという実利的な意味合いも含まれている。 ただの一つの村に過ぎなかったバイオレット・ヴィレッジの 地位をここまで向上させたのも、それによって狙われるのも…… そう、良くも悪くも勇者軍と関わったことによると言っていい。 そして、そのバイオレット・ヴィレッジを統括するのが バイオレット=アーリアの息子、ワイマール=アーリアなのだが、 もちろん彼は村長職が忙しいので、出撃は不可能。 しかし彼には息子の名義で育てている一人の男がいる。 そんな情報がここ最近、勇者軍の間で有名になっていたのだ。 ゼクウ=ユウキ少佐。現在19歳で男性。 バイオレット=アーリア前村長の補佐官にして夫、ラング=ユウキが 第二子を儲けられなかった事により、彼の意思で、 彼のクローン体として生まれた人間である。 もちろん今更ラングの息子というわけにもいかなかったので、 戸籍上はワイマールの甥で、 かつ養子という扱いにされているようである。 ……という情報とにらめっこしているジルベルトだったが、 彼にはもう一つの思案もあった。 (レイリアさんとエイリアさんと、猫達に共通点――あるのかなあ?) どうしてもそれが気になってしょうがなかった。 「なあに? ジルベルト君。お悩み?」 と、ソニア。 『レイリアさん達と猫が同列視されてる理由が分からないのー』 ジルベルトの問いには、いきなりバスクが身を乗り出した。 「うーん、推論でしかないですけど、あれじゃないですかね。 レイリアさんとエイリアさんって人は会った事無いですけど、 猫は遺伝子調整動物だからって狙われたんだったら、 敵は遺伝子工学を敵視してるんじゃないでしょうか」 この推論に、全員ぴたりと足を止める。 「……猫達はそれで説明がつくとしても、 レイリアさんとエイリアさんは 別に遺伝子調整を受けて生まれたわけじゃないわよ?」 「それに彼女達の扱うナノ・マシンは医療工学技術であって、 遺伝子調整技術とは何の関係も無いのでは……?」 と、ルシアとメイベルがとりあえずツッコミを入れておく。 「……いえ、そうとも言えないですよ。ナノ・マシンはそれ自体が 遺伝子調整を可能とする可能性を持っています。 要するに遺伝子の配列の直接操作ですね。 もし敵がそれも嫌っているとしたら、納得はいきます」 すると、キョウカも頷く。 「そう言えば勇者軍もDNAクローン体の培養を 認可していますし、惑星アース国際平和機構も、 遺伝子操作技術を否定はしていません。 国際法で明文化しない限り、 それは肯定しているのと同じですから」 なるほど、と全員が頷く。そしてそれにフローベールが続く。 「だったらアーム城と惑星アース国際平和機構は攻めておいて、 妖精の森に特定の相手へのピンポイント攻撃を 行ったという理由も分かります。陽動部隊はともかく、 レイリアさん達だけが狙いなら、いないと分かれば、 無理に妖精王の城を狙う必要もありませんし」 「どうやら間違いないようだな」 ふんっ、と得意げに鼻を鳴らすバスク。 急に不安げに飼い猫のあんみつを抱き寄せるメイベル。 「どうしましょう……せっかく早産を乗り越えて一匹、 生き残ったのに、そうやって寄ってたかって 殺されてしまいそうだなんて……可哀想……」 ソニアが思案して、名案を思いついた。 「名案と呼べるかどうかは分からないけど、 いちいち守るのも厳しいから、キョウカ王妃に 預かってもらいましょう。キョウカ王妃と同位置の 一箇所にまとめておけば、守る際の手間は激減するはず。 理論上は生存率がこれでかなり上昇するはずよ」 「あ、そうですね!」 メイベルが喜ぶ。 「ふふ、それにこの六人がいるのなら、 そう負けたりしないのでしょう? なぜなら勇者軍はそれ自体の個が一騎当千なのですから。 六人いるのなら、六騎当六千ですよね」 どこか頼もしげにしょうもない事をのたまうキョウカ王妃。 「六騎当六千って……また随分と大きく出ましたね」 半ば呆れてフローベールがツッコむ。 「これは私のセリフではございませんわ。ジル君。 あなたのお母上が、昔、似たような事を言っていました」 (ふーん) 自分の知らない母の一面を垣間見て、 ジルベルトは神妙な面持ちになる。 そんな顔を見て、キョウカはまた笑うのだった。 そしてまた進軍は再開するが、しばらく歩いていると、 明らかにキョウカ王妃の息が荒くなってくる。 どうやら相当に疲労が溜まっているようだ。 「……キョウカ王妃、大丈夫ですか?」 「す、すみません……少々……SPに持たされた荷物が重くて……」 キョウカはこの旅が始まる前に、SPに荷物を持たされていた。 本来彼女が持つべき専用品であり、彼女を守る盾―― アースシールド。惑星アースの名を冠する最高峰の盾である。 惑星アース以外にも各惑星の最高責任者を守るための防具が 各惑星に点在しているのだが、 アースシールドはそのうちの一つである。 彼女が脱出に成功したのも、このアースシールドがあればこそだった。 だが、盾としては破格の防御力の代償に、かなりの重量があり、 旧時代の人間と同じ程度の体力しか無いキョウカの膂力では、 持ち上げて運ぶだけでも恐ろしいほどの重労働だった。 本来は自分が使わなきゃならない防具だからと、頑張る姿を見て、 勇者軍メンバーも敢えて持つのを止めるようには言わずにいたが、 あまりにしんどそうで見ている方が辛い。 というより放置していたら、あと数十分もあれば昏倒するであろう。 「メイベル、持ってあげなさい」 「はい。貸して下さい、キョウカ様」 ルシアの指示で、アースシールドを受け取るメイベル。 流石はアースシールドより遥かに重い重量の鎧を 軽々と着こなすメイベルである。 さっさと持ち上げると、通常の盾同様に 前に構えて見せた。見事である。 「ふぅ~……文字通り肩の荷が降りましたわ」 キョウカはめいっぱい伸びをして、解放感に身を任せる。 「メイベルさん、やっぱりそれはあなたに預けます。 イザという時は、それでみんなを守って下さいね。 いっそその方が、私自身も安全でしょうから」 「はい」 メイベルの鉄壁の防御が更に厚くなった。真紅の雌鹿は 鉄壁を超越して、今ここに絶壁と化したのである。 「色が気に入らないですね……」 と、メイベルはどこから取り出したのか、ラッカースプレーで 勝手に元々青いアースシールドを着色し始めるが、 どうも着色料は一切固着しないらしく、 塗料を無駄遣いしただけに終わったのは余談である。 足取りも軽くなった中、勇者軍は更に バイオレット・ヴィレッジを目指し北上を続けた。 と、いきなりその目の前に黒装束…… 否、忍者装束の人物が姿を現した。 発見から接近まで、コンマ約6秒。ジルベルトの眼前に出てきた。 そして鎌を取り出してやはり即座にジルベルトに斬りかかる。 「!」 ジルベルトは前回の戦いの後、結局まだ捨てていなかった、 効力の切れたプラズマブラスターの書を 瞬時に盾にするために放り投げ、身を引く。 さくっ。 プラズマブラスターの書に鎌がさっくりと刺さった。 命拾いをしたようだ。最後の最後まで役に立つ魔道書である。 無言で臨戦態勢に入るジルベルト。剣を抜いた。 次いでフローベール、ソニア、ルシア、 バスク、メイベルの順に構える。 だが、敵かもしれないニンジャは 特にそれ以上攻撃は加えなかった。 「良」 とだけ言い残し、勝手にニンジャはその場から立ち去った。 どうやら様子見ついでにからかわれたのだと、 今更に気付くジルベルト。 『強かった~……』 「ジル君、お知り合いですか?」 と、びっくりした状態から やっと正気を取り戻したキョウカ王妃が尋ねる。 『知らない。けど敵意は感じなかった。 良くかわした、見事だ、って思ってたみたい』 と、メールでジルベルト。 「なるほど、だから『良』なのね。 さっぱり意味分からなかったけど」 「フローベール、俺達は遊ばれているのか?」 「知らない。試されたのかもしれないけどね」 謎のニンジャは引き上げたが、 とりあえずバイオレット・ヴィレッジはもうすぐ。 これ以上足を留めるわけにもいかなかった。 いよいよゼクウ=ユウキとの対面が待ち構えているのだから。 勇者軍は急がなければならない。来たるべき敵の襲来に備えて―― <第十二章-第二幕-へと続く>
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「鷲尾須美は勇者である」登場キャラクターについて考察するページ。 鷲尾須美 乃木園子 三ノ輪銀 バーテックス 三ノ輪銀の弟 先生 須美の両親 園子の両親 岡本さん 松井さん 増渕くん、野島くん、椿さん 神社の猫 鷲尾須美 Vita版及び特典PCゲームでのCVは三森すずこ。 東郷美森と同一人物。東郷姓での考察は結城友奈は勇者であるを参照。 武器は弓。遠距離タイプ。 モチーフの花は菊。花言葉は「ろうたけたる思い」→結城友奈は勇者である 第二話 ろうたけたる思い 虫が苦手。(G・第三話/蝉・第六話) 銀が言うには胸はクラスで一番大きい。(第三話) 将来の夢(職につくとしたら何がいいか)は古代史の学者。(第五話) 乃木園子 武器は槍。中距離タイプ。 モチーフの花は(青い)バラ。花言葉は「神の祝福」→結城友奈は勇者である 第八話 神の祝福 Vita版、結城友奈は勇者である、特典PCゲームでのCVは花澤香菜。 乃木家は鷲尾家、三ノ輪家より格が高い。(第三話) 格の高さもありあまり友達がいなかった。 将来の夢(職につくとしたら何がいいか)は小説家。(第五話) 三ノ輪銀 武器は斧。近距離タイプ。 モチーフの花は牡丹。花言葉は「風格ある振る舞い」→結城友奈は勇者である 第三話 風格ある振る舞い Vita版でのCVは花守ゆみり。 接近戦仕様だけあって、勇者としての防御力が二人より高い。(第四話) 将来の夢(職につくとしたら何がいいか)は家庭を持つ、お嫁さん。(第五話) 男子の中には、快活な彼女に想いを寄せていた者もいたようだ。(第五話) バーテックス バーテックスの行動様式(第一話) 人を襲う 人以外は襲わない 通常の兵器は、ほぼ効果なし 神の力を宿す勇者なら対抗できる 敵の目標は神樹。破壊を狙っている。 バーテックスは単体行動が基本と聞いていた。(第四話) 三ノ輪銀の弟 産まれたばかり。(第二話) 三ノ輪家には使用人がいないため銀が面倒を見ていた(第二話)が、勇者としてのお役目が始まってからは家にお手伝いさんがいっぱい来て弟の世話を任せられるようになった。(第三話) 先生 二十代半ばの凜とした女性(第一話) 先生としてだけでなく勇者としてのサポートも行っていることから大赦の人間と思われる。 須美の見た神託を解釈している。(第七話) 須美の両親 洋食派だったが、須美の朝食作りにより和食派へなりつつある。(第一話) 須美が預けた金魚の世話をしたり、須美の他人行儀を気にしていたりする。(第六話) 人身御供を知って涙を流す。(第六話) 母は朝からガツガツ行きたい派。フランクな態度で接してくれる母と厳格な父の組み合わせ(第七話) 園子の両親 ぼーっとしている園子が心配で、ある日いたずらでわざと幼い娘の前で苦しんで倒れて見せた。 そのときの園子の対応を見てからは何も言わなくなった。(第一話) 祖父もおり、園子に光るものがあると評している。(第一話) 人身御供を知って涙を流す。(第六話/勇者御記) 岡本さん クラスメイト。履いてる靴とか持ってる小物とか可愛くてオサレ。(第三話) 松井さん 銀の友達。休み時間に時々サッカーなどをして遊んでいる女の子。銀からの愛称は「まっつん」(第四話) 増渕くん、野島くん、椿さん 級友。須美たちが夏祭りで見かけている。(第六話) 神社の猫 毎朝のお参りしている神社に住んでいる猫。(第一話/第六話) 須美は勝手に「次郎丸」「三郎丸」と名づけている。(第六話)
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第十四章-第一幕- 生じる不和 第十三章-第三幕- 第十四章-第二幕- エリックやエナ達が新たな決意を固めつつある頃、 難を逃れ、ひとしきり魔神王教団での生活に慣れつつも、 どこか馴染めないままのロバートは、 今日も施設の入り口近くでイグジスターが来ないか、 見張りをひたすら続ける日が続いていた。 「ふぁぁ……眠ぃ……」 相変わらず剣を寄越してもらえないのも不満だったが、 一体どれだけ僻地にあるのか、この施設にはロクに人が来ない。 教団と言っても、幹部しか見たことがないのも 彼の不満に拍車をかけていた。 一般の信者というものは幹部とは隔絶されてでもいるのか、 あるいは彼が単にまだ候補生だからなのか…… それすら分からないままに無為に時を過ごしていた。 「駄目よ、寝ては。仕事は真面目に、ね」 静かにイノが現れ、釘を刺す。 「分かってる……だが、しかし、こうも退屈だとな…… 本当にここにイグジスターが来る可能性、あんのか?」 「何を言っているの。ザン共和王国領土内、 しかも地続きで内陸地なのよ。離島ってわけでもないのに 何故、イグジスターが来ないと断言出来るの?」 「……まあ確かにな」 少なくとも今のロバートには貴重な情報であった。 その気になれば、いっそ今すぐにでも脱走出来るかもしれない。 そう思うと、ロバートの焦燥はより一層強くなる。 「駄目よ、ロバート」 心の声を見透かされたようで、ロバートの身体がびくりと動く。 「まだ、あなたの『機』は来ていない。 それに考えてもみて。あなたを連れ去る時、 可能な限り穏やかな手段で連れてきたわ。それで一回。 それに、あなたを一度助けたでしょ。で、二回。 一回焦った分は、一回貸しを返してもらった事にする。 だからあと一回分の焦りは、最低限我慢してもらうわ」 「……分かったよ」 不貞腐れるロバート。 すると、その後ろからゲイリー=ダーンが現れた。 「何か不穏な事を考えてやしねぇだろうな? おお?」 「別に」 しらばっくれるロバートをゲイリーが殴る。 「散々殴ってくれたお返しがまだだったからな、オラ!」 ごがん! 「がふっ!」 床に叩きつけられるロバート。 不満と脱走の意思が露骨に表に出る。 どう我慢しても直情的なロバートの心情は隠れなかった。 「ロバート! 二回目!」 「分かってらぁ!! だが、こいつはどうする!」 ゲイリーを指差して抗弁するロバート。 「ゲイリー、やめて! また彼に怪我をさせたいの!?」 「こいつが無駄に抵抗したから先に俺が怪我をしたんだよ! お前は、古株の俺よりこいつのが大事なのか!?」 「そういう問題でもないでしょ! 教皇の指示も無いのに何をしてるのと言ってるの!」 「教育の悪い獣には躾なんだよ、躾! 二度と先輩に逆らわないように教えてやらねぇとな!」 「ゲイリー……待ってて、ロバート! 今助けを呼ぶ!」 イノは速やかに人を呼びに行った。 「邪魔者はいなくなったな!? じゃあ、やろうや!」 更に蹴り倒そうとするゲイリーの攻撃を回避するロバート。 「調子に乗るなよ、ゲイリー……! イノに言われてたから我慢したが、これ以上は怒るぜ!」 「へ! 俺の命令は駄目でもイノならいいのかよ! 天下の勇者様とやらでも、女には弱いか!?」 「手加減してもらった恩と、助けてもらった恩を それぞれ返してもらっただけなんだとよ! 貴様より、イノの方が律儀だってだけの事だ!」 「ぬかせ!」 ゲイリーは例の弭槍を持ち出してロバートに斬りかかる。 「俺が何故、絶対反逆の勇者と呼ばれるか知らねぇらしいな…… だったらもう一度、その身体に叩き込んでやるぁ!!」 ロバートは弭槍で為すがままに斬られているように見えた。 だが、紙一重のところで全てかすり傷に留め、 抜群の動体視力で、銃の照準を合わせる。 ばぎん! がぎん! 弓の先端に付いた、槍だけを正確に撃つ。 「のっ! がっ!」 露骨に体重バランスを崩されてゲイリーがふらつく。 「おらぁッ!」 ロバートの鉄拳がゲイリーの内腿を正確に叩く! 「がぁッ!? 何故内腿だぁッ!?」 痛みに耐えかねて、思わず間抜けな叫びをあげるゲイリー。 そこが人体にとってとてつもない激痛ポイントである事を、 何故か、しっかりとロバートは知っていた。 凶暴さの上に狡猾さを秘め、自らの意に添わない者には 断固として従おうとしない。その姿勢こそが、 彼を絶対反逆たらしめている最大の所以である事を、 ゲイリーは身をもって思い知る事になってしまった。 「おらぁッ!」 更に容赦無くロバートはもう片方の内腿を殴り、 それから更に肋骨の隙間やこめかみ、脛やくるぶしなど、 絶妙に痛いポイントだけをしっかり押さえて、 もはや戦闘の意思を失っているゲイリーに対して、 執拗に苦痛を与え続ける所業に出た。 「がぁぁぁぁあああああああああ!」 「ひゃはははははははぁ! そうだな! イノがいちゃあこうはいかねぇモンな、ゲイリー!?」 その狂気をゲイリー一人に向けつつ、 ロバートはストレスを豪快かつ残虐に発散していた。 「そこまでだ!」 「何をしている!」 ソル=ハイドとターレット=チャック。それにイノだ。 彼女が連れてきたのは他の幹部二名だった。 「止めるんじゃねぇ! まだこれからよ!」 「正当防衛なのは分かったけど、やめなさい!」 イノが必死に止めようとするが、それより早くターレットが動く。 「悪いが、そこまでにしてもらうぜっと!」 ばしゅん! ターレットの義手がリールを通して飛び出る。 「何ッ!?」 そのままロバートを絡め取り、確実に拘束した。 「ひでぇな、おい。青痣だらけだな……生きてるか、ゲイリー?」 ソルが呼びかけるがゲイリーは気を失っている。 「ロバート。ここまでやる事はないだろう。 純血者だったらここまでやる前に死んでるぞ」 「弭槍とか言うので斬りかかってきたそいつに言いやがれ! これは正当防衛だ! それ以外の何だって言いやがる!!」 「だとしても、これは行き過ぎだろう。 悪いが、少し大人しくしてもらうぞ。 お前は対イグジスター用の大事な駒だからな。 ターレット。彼を取り押さえる。サポートしろ」 「あいよ!」 するとターレットはリールを締めつけた。 「ぐあぁッ!」 ロバートの苦悶の声が漏れる。 「懲罰を受けろ、ロバート」 今度はソルから一方的に数発殴られる。 ロバートとは対極的に速やかに気を失えるように、 可能な限り考慮された、無駄の一切無い打撃だ。 彼の得意分野ではないらしいが、見事の一言に尽きる。 ロバートはあっけなく気を失った。 「ターレット、引きずっていけ。独房に叩き込むんだ」 「へいへい」 面倒臭そうにロバートを連れて行くターレット。 すると、そこにエッセ教皇自らが現れた。 「どうやら、トラブルのようですね?」 「教皇! 非は私の不徳の致すところ! 彼に必要であれば、私が証言をしても!! 独房での監視だって、私がします! だから、これ以上事を荒立てないで下さい! 私は、これ以上誰にも怪我して欲しくありません!」 「いいだろう。好きにしなさい」 「はい!」 慌ててイノは、ロバートを追っていく。 ソルはゲイリーを抱えて、治療室へ向かった。 「あのイノが我が意を聞かず、勝手に動き始める、か。 どうやら、危険な兆候かもしれんな……ゲイリーの件もある。 やはりあの男は飼い慣らせんのかもしれん。 ソルの言いたい事、やりたい事も分かるが危険過ぎるな。 あるいは、やはり大地の贄にするのが、元より無難か……」 熟考しながら、エッセ教皇はまた闇へと戻った。 彼女は、イグジスターよりもロバートが危険だと判断したのだ。 その判断は正しい。まったく正しい。 それを彼女もまた、身をもっていずれ思い知る事になる。 惜しむらくは、その決断が遅すぎた事と、 ソルの横槍が入った事だったとは、誰も知りえないが―― <第十四章-第二幕-へ続く>
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「家に帰ったら何しようか、東郷さん」 「やりたいことはいろいろあるけど、まずは勉強よ、友奈ちゃん。明日提出の宿題、まだ終わってないでしょ」 「あー、ばれてたか。もう少しなんだけど、わからないところがあってね。手伝ってくれる? 東郷さん」 「もちろんよ」 神世紀300年秋。授業が終わった友奈と東郷は二人で自宅への帰路についていた。 東郷は車椅子で生活しているので、登下校には福祉サービスの車を利用することが認められている。 だが、最近は友奈の慣れもあり、坂道を登る登校時はともかく、下校時は二人だけで帰ることが多くなっていた。 なにしろ二人は帰宅部。特にこれといってやることがないのだ。 そう、帰宅部。 昨年度末まで二人は勇者部という部に所属していた。 一年先輩の犬吠埼風が創設したその部は、勇ましい名前とは裏腹にいってみれば地元に密着したボランティア活動を主とした部活だった。 勇者部ですごした時間は充実していた。 しかし、その時間も風の突然の転校で幕を下ろした。 引越し間際、最後に風と会ったときのことを二人はよく覚えている。 突然の転校にを謝っていた。だけど、その時の風の表情をどう表現すればよいのか、二人は今でも図りかねていた 喜び、決意、戸惑い、不安。それらが綯い交ぜになったあの顔が忘れられなかった。 『勇者部のこと、ごめんね。二人には一年間、ううん、三年間無駄にさせちゃったかもね』 そんなことをいう風の顔は、なぜか少し嬉しさが混ざっていたように今では思える。 『そんなことありません。この一年間のこと、私は忘れません。来年も勇者部は存続させます』 『そうですよ、私も楽しかったです。お元気で。またどこかで会いましょう。風先輩』 東郷と友奈の言葉に笑顔で応えた風だったが、凄惨とも言える何かの決意を帯びた笑いだった。 東郷にはあの笑顔が、死地に赴く者のそれのように思えてならなかった。 一度だけ、友奈とこのことについて話そうとしたことがある。 でも、できなかった。話を向けようとしたときに、友奈にとめられたのだ。 『その話はやめよう、東郷さん。風先輩とは必ずまた会えるよ』 友奈にはいつもの笑顔がなく、東郷は友奈も自分と同じ思いであることを悟った。 新年度が始まり、二人は部の勧誘活動したのだが、新入部員は入らなかった。 讃州中学では部活動は部員が三人以上であることが原則であり、勇者部は廃部が決定した。 廃部が決定し、実は二人はほっとしていた。 風の最後の表情を思い出しながら、勇者部の活動を続けることに心のどこかで気まずさを感じていたのだ。 あの部活には何か思いもよらない秘密があったのかもしれない。そう思えた。 帰宅途中の二人は 八百屋の前を通りがかる。 買い物途中の主婦が集まって井戸端会議をしていた。 会話が聞こえてくる。どうやら、またどこかで山火事があったらしい。 ずいぶん広範囲に渡って起こった山火事は、あろうことか、神樹様の近くで起こったらしい。 思わず二人とも眉をひそめる。 今年の春から、こういった火災や事故などが頻発している。 神世紀300年、という区切りのよい年だからだろうか、末法思想、というのが初夏に流行した。 旧世紀に存在した宗教と関連付けられるそれは瞬く間に四国全土に広がり、そしてあっという間に沈静化した。 今ではそれを語る人はいない。書籍もない。ネット上でも情報が完全に消されていた。 興味がわいた東郷は調べようとしたが、友奈が全力で止めた。 怖いから、やめよう、東郷さん。怯えた友奈の表情は真剣そのもので、東郷は友奈に絶対やらないと誓ったのだ。 友奈と東郷が二人だけの時間を少しでも多く持とうとしているのは、この不穏な空気が原因かもしれなかった。 やがて友奈と東郷は自分達の家に着いた。 二人は家は隣同士。昔のつきあいではなく、中学に上がる時に東郷が引っ越してきたのだ。 二人だけではなく、両親同士も仲がよい。よいご近所づきあいだ。 だが、両家とも最近大人が家を空けることが多い。それだけが少し気がかりだ。 今日も家に誰もいない予定で、二人は東郷家で過ごそうとあらかじめ決めていた。 二人が門をくぐろうとしたちょうどそのとき、二人の端末から同時に警報が鳴った。 先ほど聞いた山火事のような事故が近くであったのだろうか。慌てて端末を取り出そうとする二人。 端末をほぼ同時に取り出す。最近新しくなったそれは親からプレゼントされた物だ。 御揃いのデザインの端末はやはり同時に警報を出していた。 端末の画面を見た二人は驚いた。 『樹海化警報』 液晶に大きく映ったそれは、二人には意味の分からない言葉だった。 どう操作しても警報は鳴り止まない。 周囲を見渡した二人は二度目の驚きに見舞われた。 総てのものが静止していた。 空を飛ぶ鳥も、風に舞う葉も、写真に写っているかのように動きを止めている。 愕然とした二人を更なる驚きが襲った。 海の向こう、神樹様の作り出した壁を越えて、虹色の何かが進入してきていた。 友奈は慌てながらも門の扉を閉め、東郷を連れて玄関を開け、中に入る。 この行動が正解なのかはわからない。だが、友奈の本能は『あれ』がよくないものだと告げていた。 「友奈ちゃん、なんなの、あれ、私、怖い」 「大丈夫。東郷さんは私が絶対守るから」 そういって友奈は東郷を抱え込むように抱きしめる。 東郷も友奈をすがりつくように抱きしめた。 強い決意の言葉とは裏腹に友奈の体は震えていた 怯える二人は同時に何者かの声を聞いた。 『目覚めなさい、勇者よ』 その声を東郷は以前何処かで聞いたことがあるような気がした。 家の中にいても感じる、全てを塗りつぶすような光が周囲全てを白色に変え、二人が気がついたときには世界は一変してた。 見慣れた風景も、何もかもが変わっていた。 極彩色に彩られた木の根のような何が這い回る世界。 根自体が発光しているからだろうか、周囲は明るかったが、空は黒一色で固められ、太陽も星もなかった。 友奈と東郷はこの日この時、自分達の日常が終わったことを知った。 <結城友奈は勇者であるハードモード 第一話 Aパート 完>
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一生に一度の旅。だからこそ、いい所に行きたい。 旅人たちはそう思い、観光雑誌を買い漁り、必死に目を通す。 …しかし、精神的に未熟なものは、行った先々で横暴な振る舞いを行う。 ある場所では村を火で包んで焼け野原にし、またある場所では遺跡に傷を付け、時には破壊する。 そのような者の噂は聞いている。一体誰だ、そんな奴は! …どうも、他の旅人の噂では、君たちが大きく疑われているようだが…?? ―旅人たちよ、この刹那こそが重要だ。後は野となれ山となれ。 悲劇と荒廃は連鎖する。旅人たちよ、混沌への道を拓け。 以下竜人用です。反転して読んでください。 竜人は黒竜、アーテイファクトは短剣あるいは鏡にしましょう。化身は文中の「精神的に未熟なもの」とします。 これは悲劇と荒廃の物語。それ以外を望むことなく、ひたすらに竜人は場を荒らすことを考えてよいでしょう。 ただし、竜人と旅人たちはお互い近くにいる存在。旅人たちにばれないように行動してください。 上手く進めば、最後にはあなたは旅人たちと敵対します。それが貴方の運命です。 PC全員に気付かれたその時、あなたはLPを消費しきって死ぬか、あるいは旅人たちの元から速やかに去ってください。 それにより、このシナリオが終了します。 名前 コメント すべてのコメントを見る