約 19,733 件
https://w.atwiki.jp/imaska/pages/317.html
■浅間級巡洋戦艦(続・天海提督の決断)概要 艦歴 (妄想)性能諸元 参考文献 ■浅間級巡洋戦艦(続・天海提督の決断) 概要 対独戦に伴い建造された新型巡洋戦艦。物語中『金剛』型以来の巡洋戦艦である。米海軍『アラスカ』型大型巡洋艦の船体に帝国海軍の装備を艤装した「富嶽」と並ぶ共同開発兵器。35.6cm主砲を12門持ち、3万トンを越える船体で最高速度40ノットという驚異的な速力を誇る『金剛』型の後継といえる高速戦艦。 「浅間」の艦名で有名なのは横山信義氏著『激浪の太平洋 巡洋戦艦「浅間」』であるが、同作の「浅間」は、独『シャルンホルスト』型戦艦に日本製の主砲を始めとした火器を載せたものであり、直接のモデルはおそらく『アラスカ』型大型巡洋艦と同時期の計画のみで開発されなかった『超甲巡』と思われる(当初『超甲巡』は35.6cm砲を積む計画があった) 同型艦として旗艦「浅間」以下「阿蘇」「吾妻」「伊吹」があり、4隻とも新設された第九支援艦隊に所属する。 艦歴 +浅間 1943年12月 第9支援艦隊に所属、同艦隊旗艦となる 1944年1月13日 シチリア沖海戦に参加 5月16日 ジブラルタル沖海戦にて中破、ジブラルタルにて修理を受ける 10月14日 遣欧第2機動艦隊所属 10月 シェトランド沖海戦に参加 1945年3月10日 バルト海海戦に参加 +阿蘇 1943年12月 第9支援艦隊に所属 1944年1月13日 シチリア沖海戦に参加 5月16日 ジブラルタル沖海戦に参加 10月14日 遣欧第2機動艦隊所属 10月 シェトランド沖海戦に参加 1945年3月10日 バルト海海戦に参加 +吾妻 1943年12月 第9支援艦隊に所属 1944年1月13日 シチリア沖海戦に参加 5月16日 ジブラルタル沖海戦に参加 10月14日 遣欧第2機動艦隊所属 10月 シェトランド沖海戦に参加 1945年3月10日 バルト海海戦に参加 +伊吹 1943年12月 第9支援艦隊に所属 1944年1月13日 シチリア沖海戦に参加 5月16日 ジブラルタル沖海戦に参加 10月14日 遣欧第2機動艦隊所属 10月 シェトランド沖海戦に参加 1945年3月10日 バルト海海戦に参加 (妄想)性能諸元 排水量 35000トン 全長 246.4m、水線長:241.25m 全幅 27.7m 吃水 9.2m~9.72m 機関 ロ号艦本式缶8基、艦本式タービン4基4軸 165,000馬力 速力 40ノット 航続距離 15ノット/12,000海里(計画時) 燃料 3,710トン 乗員 1,800名 兵装35.6cm45口径3連装砲4基 15.5cm50口径連装砲10基 40口径12.7cm連装高角砲6基、25mm3連装機銃30基、13mm連装機銃15基 装甲 舷側:229mm(主装甲部、10度傾斜) 203mm(水線面下部) 甲板:90mm(主甲板) 25mm(断片防御甲板) 主砲塔:325mm(前盾) 133~152mm(側盾) 150mm(天蓋) 副砲廊 150mm 両用砲:25mm(前盾) 19mm(側盾) 19mm(後盾) 19mm(天蓋) バーベット部:279~330mm 司令塔:269mm(側盾) 127mm(天蓋) 航空機 4機(カタパルト2基) +... 装甲はアラスカ級大型巡洋艦の船体をベースに金剛レベルまで強化したもの(日本の戦艦が対応防御持たないとは考えられないため)だが、武装と同じくこの通りかどうかは不明 参考文献 Wikipedia アラスカ級大型巡洋艦 天海提督の決断 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2909.html
現在構想中のモノです。 未だ脳内構成が甘い段階ですので、御見苦しい点が多数存在します。 御都合主義が多いかもしれないです。 基本一人称視点で進めていこうかと言う、野心的なものです。 視点変更時・時間移動の時に、 ――ナナリー視点―― ――数分前―― を入れていきます。 頭が足りない作者ですので、皆様の構想や推察も積極的に取り入れていきたいと思います。 また残虐な描写も使用する事があります。 アニメの視聴もだいぶ前ですので、大分変っていると思われます。 キャラ贔屓もあります。 ご注意ください。 主要資料 ルート説明 ttp //www18.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2491.html ギアス機体関連 ttp //ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%AE%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%81%AE%E6%A9%9F%E5%8B%95%E5%85%B5%E5%99%A8%E4%B8%80%E8%A6%A7 影響を受ける人:バージョン 亡国ルート 試作品。 仮タイトル <提督の憂鬱×コードギアス 亡国の反撃> ――ナナリー視点―― お母様が殺されてから、私の世界は暗い闇に閉ざされました。 御医者様がおっしゃるには、 「目の機能に異常は見られないですね。」 「ではなぜ、ナナリーの目は開かないのでしょうか?」 「精神的なストレス・・・おそらくトラウマが原因です。 目の前で母親が殺されたショックで、「現実を見たくない」と言う心理が働いていると思われます。」 「そう、ですか・・・」 「トラウマに関しては、時間が必要です。 長い時間をかけて心を癒し、気持ちに整理をつけなければ目を、もう一度開くことは出来ないと思われます。」 「・・・・・・わかりました。」 お兄様との会話を横で聞いていた私は、あれが夢ではなかった事に嘆きました。 大好きだったお母様が死んでしまった。 しかしその嘆きは長く続きません。お父様から日本に行くように言われたからです。 お兄様は何か言いたそうでしたけど、何も言いませんでした。 思えばこの時から、私は接触している人間の心理をある程度は読める様になっていたのかもしれません。 後から理由を知った今では呆れかえるか、便利なものを貰った程度に考えるようになったのですけども・・・ ともかく! 私とお兄様は日本に渡りました。お見送りも無い寂しい出発・・・ 機内でも私たちはあまり話しませんでした。 ただ、お兄様が「大丈夫だ。自分がついているから。」と、私を励ましてくれたのが嬉しかった。 不安な気持ちで到着し、日本で待っていたのは嶋田繁太郎様でした。 海軍の軍人さんで、元航空母艦の艦長さん。 当初は首相である枢木玄武様に預けられる予定だったのそうですが、近衛文麿様がこれに反対。 「確かに留学ならば首相宅に預け入れるのはよいでしょう。」 「ならば問題あるまい?」 「しかしながら、相はブリタニア対し、強硬的な態度でおられる。 御子息も、最近差別発言が多い手お聞きしますが?」 「ぬぐ・・・ では、どうするのだ?」 「私の考えでよろしければ・・・ 島田繁太郎中将に預けてみてはいかがでしょう。 彼は中立的な立場ですし、陛下の覚えもめでたい。 ブリタニアには知人もいると聞きます。」 (何が中立だ。お前達の派閥の人間だろうに・・・ しかし、下手に息子と喧嘩をして開戦理由となるのは避けたい。 そんなくだらない事を起こすぐらいなら、こいつらの派閥で問題を起こし、勢力をそぐほうがいいか。) 「ふむ。彼ならば、私も反論は無い。」 結果から言えばとてもよい判断で助かりました。 私たちは嶋田様に…いえ、御家族の方に暖かく迎え入れられました。 当初は警戒していたお兄様でしたけど、嶋田一繁様・・・一成さんとちょっとしたことで喧嘩してからは仲良くなり、私もいろんな機材をもらって目の不自由さを克服する訓練を解します。 学校というのには通えませんでしたけど、私塾を開いている嶋田様のご友人の好意でいろいろ教えていただきました。 それで分かったのは見方の違い。 人・文化・歴史。 これらから見られるものにより構成される民族性。 それは新鮮なもので、ブリタニアで習ったものとは大きく違うものでした。 このとき習ったことは、後々になっても忘れられない大切なもの。 後変わったことは、よくご近所の子達と遊びに出かけたことぐらいですね。 そうそう、紅月カレンさんとの出会いも有りました。 お兄様・一繁さんと共に三人で、近所の駄菓子屋に行ったときに知り合ったのです。 どれを買おうか悩んでいたそうで、赤い髪に引かれて話しかけたのがきっかけ。 最初は男の子と間違えたとか・・・(お兄様、いくらなんでも・・・) 女の子か本当かどうか、胸を揉んで確かめて、殴られて喧嘩して、二人共打ち倒してしまったのが印象に残りましたね。 今思い出しても、笑ってしまいます。 私達は四人となり、いつでも一緒でした。 半年たったある日、嶋田さんが知り合いの御医者さんに連れて行っていただきました。 そこでは、まだ珍しかった針ツボ治療を行う場所だったのです。 最初はなんだか分かりませんでしたけど、そこで診ていただいたら・・・ 「ちょっと失礼するよ。」 「あいた!」 いきなりの痛みに思わず叫び、お兄様が乱入してきて非難轟々でした。 でも“足のほうから痛み”がやってきたのです。 それについて質問すると・・・ 「やられたのは神経だけだということだ、筋肉に異常は無い。」 「じゃぁ・・・ナナリーは歩けるようになるんですね!」 「うむ。これなら訓練すれば歩けるようになるね。 ただし・・・今まで使っていない神経を酷使して、鍛えるわけだから苦痛が酷い事になる。 それでもやるかい?」 「どのくらいで歩けるようになりなりますか?」 「そうだな・・・個人差はあるが、一年以上はかかると思ってほしい。」 「そんな!」 最初は喜んでいたお兄様でしたが、苦痛を伴うと聞いて絶望したそうです。 唯一残った肉親。 数少ない拠り所。 それゆえにお兄様は過保護になっていました。 私も不自由な生活ゆえに、負担を減らそうと“お兄様が願う妹”になろうと思っていたのです。 お兄様はあきらめるように言いました。 歩けなくても別に良い。自分が足になるからと・・・ ですが私はリハビリを受け入れました。 やっぱり自分で歩けるようになりたい。 走り回りたい! なによりも、お荷物になる理由を一つでも減らしたかった・・・・・・ それからは勉強とリハビリの生活が始まりました。 リハビリは大変で、何度もくじけそうになり・・・ それでも挫けないで、歯を食いしばって耐えました。 何よりもカレンさんの応援が、一繁さんの優しさが嬉しかった。 嶋田御夫婦もなるべく助け、しかし“自分で出来る様になった事”に関しては自分でやるよう厳しくしていただきました。 お兄様も私の姿を見て、ちやほやするだけでは駄目だと悟って勉学に励みだしたそうです。 ほとんど車椅子生活だったけど、日本から離れる前に10mもの距離を自力で歩けるようになりました。 まだ足が痺れる様に痛かったけど、あれも忘れられない思い出。 カレンさんのお母様が作ってくれた、お赤飯の御握りがおいしく感じられた。 あ、そう言えば。私達のことはユフィ御姉様に御手紙で報告し続けていたんでしたっけ。 嶋田様のご提案でしたけど、意外と宮殿内の事が書かれていたりするので馬鹿に出来ません。 今にして思えば、私たちがブリタニアとの繋がりを途切れさせないものだったのでしょう。 それでも子供心としては、かけがえの無い遣り取りでした。 ですが、それも途絶えます。 皇暦2010年8月10日 ブリタニア宣戦布告 寝耳に水の出来事。 言われ無き宣戦布告を受けた日本、私達はすぐさま移動を開始しました。 最初は何がなんだかわからなかった。 でも話を聞くうちに血の気が引いていくのが分かります。 お父様は、私たちを切り捨てた。 戦争の理由にされたことを理解した私達は、見せしめに殺されるものだとばかり思っていたのです。 その為の移動だと。 あの暖かな場所から離れ、殺されてしまうのだと。 「俺達を、どうするんだ?」 「どうもしない。おそらく日本は・・・いや、絶対に日本はブリタニアに勝てん。」 お兄様の問いに嶋田様は、今まで感じたことの無い声で返答しました。 冷たくて、とっても普段の温厚そうな人物とはかけ離れた、軍人としての嶋田繁太郎がそこにいたのです。 「勝てないならどうするんだ?」 「時間稼ぎをしつつ、脱出だな。行き先は中華連邦になる。 君達には付いて来てもらう。悪いとは思う・・・ しかし、君らを帰すことは出来ない。理由は分かるかね?」 「戦争の理由が、俺とナナリーが死んだことだから・・・ですね?」 「その通りだ。敵はブリタニアだけではないが。」 後に知ったのですが、この時枢木ゲンブ首相から暗殺部隊が送り込まれていたそうです。 私達は間一髪のところでかわし、脱出できたのです。 遅滞戦闘を繰り返し、民間人の被害を最小限にとどめつつ、殆どの戦力を脱出させることに成功した嶋田様が所属する派閥の方々・・・ 「近衛さん。後はお任せします。」 「ああ。戦争を回避することは出来なかったのが痛恨の極みだな・・・」 「仕方がありません。生まれた時期も、後ろ盾も無いこの状況下でここまで中枢に食い込めただけでも儲け物でしょう。」 「辻さんの嫌味を聞かなくて言いというのは、少し嬉しいかな?」 「そんなこと言わないでくださいよ、嶋田さん。そちらも大変なのですから。」 「しかし・・・四聖剣と藤堂鏡志朗を連れて行ってもよろしいので?」 「この世界では、厳島の奇跡はおきませんでした。一介の軍人に出来ることは無いでしょう。 むしろ連れて行ってもらい、訓練してほしいとも思っています。」 「四聖剣はバラバラにした方がいいな。」 「杉山さんの意見に賛成です。片瀬帯刀(かたせ たてわき)、草壁徐水(くさかべ じょすい)両名が捕まるとは思ってみませんでしたが。 まあ、邪魔にならなくていいと思うようにしよう。」 「しかし澤崎敦(さわさき あつし)が使える人物だとは思わなかったな。」 「意外と交渉も出来るし。現実主義というのも驚いたな。 宦官・・・高亥との繋がりを持っていたというのも切り札になり得るかもしれん」 「中華に関わりすぎるのはごめんだがな・・・」 海を渡り、カレンさん御家族との別れをも言えず。私達は海を渡りました。 この先待っているのは何か、この時の私達には知りようもありません。 ただこの胸に去来していたのは不安と、ブリタニアに対する怒りでした。 そして何よりも。お父様に対する怒りが最も強かった。 これでもし「世界を平和にする為」とかぬかしたら、あの頭をハゲに剃って、全裸にしてブリタニア中を引き回してやります。 「うっふふふふふ・・・・・・」 「か、一繁。ナナリーが恐ろしい笑顔に・・・」 「最初の頃の可愛いあの子はどこに・・・」 嫌ですわ。 お二人とも酷い言い様ですね。 お兄様もお忘れですけど、私・・・結構お転婆なのですよ? 以上導入部分でした。 まだ中編ネタの方が終わっていないので、続編はありません。 原作と違うのは、 枢木スザクとは幼馴染ではない。 玄武を殺したのはスザクだが、共に脱出している。(変更有) 紅月カレンが幼馴染になり、ナオトとも知り合いである。(脱出させるかは未定。) 扇グループになるメンバー数名とも知り合いである。(誰にするかは決めていない) 厳島の奇跡が起きていない。 対KMF戦闘を想定した防御陣地なので、ブリタニアの損害が原作よりも30%増し。(変更有) この時点でグラスゴーを何体か確保している。 日本解放戦線の中枢を、夢幻会が掌握している。 ルルーシュとナナリーが日本にいない。(アシュフォードとは接触させる予定) ナナリーの足が動けるくらいに回復。(原作開始までには通常歩行・走行が可能になる予定) くらいですね。後は亡国ルートを参考にしています。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3138.html
413 :影響を受ける人:2014/12/28(日) 21 50 35 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第四十二話 ―墜ちる空Ⅳ― 「でも、なんで話す気になったんですか?」 グシャグシャになった髪の毛を直しつつ、美緒は隣でタバコを吸う先輩に問いかけた。 「そうだな・・・・・・これからの任務について聞いたんだろ?」 「はい・・・・・・・・・」 問いかけたのに問い返された。 それはともかくとして、自分自身でも「見方を見捨てても帰還しろ」と言う命令は、どうしても納得できないでいる。 今まで肩を並べて戦ってきた味方を、そんなに軽々しく見捨てられない。 苦悩する美緒の心に賛同するように、ミチルも煙をゆっくり吐きながら頷いた。 「私も納得していない。」 「そうなんですか?」 ちょっと意外だった。 以前から「隊長陣の指示にしたがえ」と、口酸っぱく言っていた本人とは思えない。 そんな驚きを感じ取ったのか苦笑する。 「流石に私でも、今回の命令は思う所があった。 隊長に私が指名された事。 学兵のみで編成された事。 理不尽な命令もだな・・・ 納得できないから食って掛かったが、総隊長とけんかしてしまったよ。」 「ええ!? だ、大丈夫なんですか?!」 朗らかに苦笑するミチルに、呆れつつも驚く。 「結局言い負かされて、ここで気持ちを落ち着けていたのさ。」 豪胆な行動を聞いて、今まで抱いていたイメージが吹き飛んでしまった。 よくよく考えれば仕方がないのかもしれない。 話す事と言えば作戦の事や整備の事ばかり、プライベートな話なんて殆どしていないのだ。 「それで、最初に戻るが・・・いいか?」 「あっはい。」 「まぁ。教訓程度に聞いてくれればいい。」 そう言って短くなったタバコを消し、新しく一本取り出して火をつけ、一息吸った。 ――― ―――――― ――――――――― 私は最初の学兵徴集で大陸の戦場に出た。 お前達よりかは、それなりに長い期間で訓練してな。 元々私は海軍に行きたかった丁度良かった。少しでも軍の空気になれれば・・・ 今思えば、浅はかな考えだ。 戦場はそんなに甘い物じゃなかったよ。 だけど私が配属していた部隊、飯井オトメさんは優秀な人だった。 かなり豪快な人だったけど、面倒見が良くて、皆から慕われていたよ。 他の隊員も良い人ばかりだった。 一緒に配属された学兵とは最初はギクシャクしていたけれど、仲を取り持ってくれたりもした。 家族・・・そんな部隊だった。 戦場の辛さも。苦しい時も。そんな隊長がいたから乗り越えられた。 私も技量を高められた。 幸い私は同期に比べると腕前が良い方だった。 飯井隊長にも「筋が良い」って褒めたれたなぁ・・・ だから・・・私は驕っていたのかもしれない。 414 :影響を受ける人:2014/12/28(日) 21 51 20 いや。事実、驕っていたんだろうな。 戦場に出れば連戦連勝だった私達、皆が自分達を見れば士気を上げた。 自分達は負けない。 絶対に落とされない。 そんな風に思っていたんだろうと思う。根拠なんかないのにな・・・ あの日は曇りだった。 その日も敵の攻撃が激しくて、それでも皆何時もの通り戦っていた。 だけど・・・ 『くそ! サッサと落ちろ!!』 『早良、一体にかまい過ぎるな!』 『でも、隊長。』 『一体くらい放っておいてもいい。深入りだけはするな。』 『わかりました・・・』 私は初めて隊長に反感を覚えたんだ。 もう少しで落とせたのに・・・って。 『どうしたのよ。なんか不機嫌みたいだけど?』 『なんでも無い・・・ それより銃をくれ。』 『そう。でも銃は今、簡易的な整備中で『これでいい』あ、ちょっと!』 よく確認もせずに、銃を奪い取るように持って行って。 『よし、いける!』 『早良、まt〔Giiiiiii!!〕ちっ、まとわりつくな! 早良ァァァ!』 私は深入りして敵に囲まれた。 まだ“スズメバチ”が確認されていない時期。敵の殆どは“クマバチ”。 囲まれたのは驚いたけど、最初までは順調に撃墜出来て良かった。 だけど、連戦の影響が徐々に出てきていた。 弾薬が尽きつつあった。更に言えば銃器も、もう耐久力が無くなりつつあって。 そして私の銃は・・・壊れた。 一発も撃てなくなった銃。 弾薬が尽きつつあった事に焦っていた私は、その事実に混乱状態になっていた。 ストライカーに被弾して、出力が低下したのも拍車をかけた。 情けない話だけど、本当に何も考えられなかったんだ。 自分を殺しにかかってくる敵から必死に逃げた。 接近戦の為の刀もあったけど、振るうなんて余裕もなかった。 何時しか防御用の術符も尽きて、私は死にたくない一心で逃げ続けていた。 そんな時だった、隊長が助けに来てくれたのは。 『早良、無事か!?』 『た、隊長・・・』 『無事なら良い。とにかく切り抜けるぞ!』 何とか助かったけど状況は変わらなかった。 自分に引っ張られるように、敵陣深く進んでいたんだ。 味方も交代の為にいないというタイミング、敵がいないから周りのネウロイが群がってきていて・・・最悪な状況が出来ていた。 囲みを突破しようとみんな必死になって攻撃したよ。 『早良、銃をやるから刀を貸せ。』 『それじゃ、隊長が。』 『かまわん。お前達を・・・学兵を何としてもこんな場所から連れ帰ってみせる!』 私も隊長から銃を手渡されて反撃した。 隊長達が先頭になって斬り込んで、私達学兵が銃撃で押し広げる。 でも、敵の囲いは厚過ぎた。 死にもの狂いに攻撃したよ。それでも敵が減った気がしなかった。 突破できた時には、隊長と副隊長しかいなくて、学兵も一人死んだ。 『逃げろ。逃げるんだ!』 『ハァ…ハァ…『アユ、回避しろぉ!』え、ガフゥ!?』 『いやぁぁぁぁ!』 『・・・・・・くっ!』 415 :影響を受ける人:2014/12/28(日) 21 51 50 更にひとり仲間が腹を打ち抜かれて落とされて、隊長と副隊長は向かってきた敵に向き直った。 最初はわからなかった。なんでそんな事をするのかが。 『良いか、振り返らず逃げるんだぞ。』 『隊長達は、どうするんですか!?』 『時間を稼ぐ。副隊長行くぞ!!』 『隊長! たいちょぉぉぉぉぉぉ!!!』 隊長隊はもうその時に覚悟を決めていたんだと思う。 自分達を逃がすために囮になる事を・・・ 私は隊長達を追いかけようと思った。でも仲間がそれをさせてくれなかった。 いくら出力を高めようとしても、壊れかけのストライカーは聞き届けてはくれない。 隊長達は大部分を引き留めたけど、それでもあぶれたのが私達に襲い掛かってきた。 もう銃に弾丸は無くて、低空飛行で回避行動するしかなかった。 魔力も消耗していて、足手まといだった私は・・・仲間に庇われて墜落。 その後の事は良く覚えていない。 ただわかっているのは、墜落した私達にネウロイは興味を抱かなかった事。 隊長達は戦死した事。 遺体は回収できなかった事。 御咎めがほとんどなかった事。 私が・・・私の行動で部隊が壊滅した事だけだった。 ――――――――― ―――――― ――― 「このタバコは隊長がよく吸っていた銘柄で、あの人も縁起担ぎに吸っていたんだ。」 「・・・・・・そうだったんですか。」 北郷章香から大まかには聞いていた。 しかし、本人から聞くのとは重さが違う。 話している間に吸い終わったタバコを灰皿に捨てて、俯く美緒の横でミチルは空を見上げた。 「まぁ・・・言いたい事は「人の話を引け」「よく確認をしろ」「勝手な行動をするな」だな。 軍隊には必須で、当たり前の行動原理だ。」 「はい。」 「隊長としては頼りないかもしれないが、私の指示には従ってくれ。 それが理不尽であると思うならば、私を恨むと言い。」 「え?」 困惑して顔を上げてミチルを見ると、彼女は立ち上がっていた。 「お前はかなり気にするみたいだから、そう言う事があれば私に責任を押し付ければいい。」 「そ、そんなこと出来ません!」 慌てて椅子から離れて去ろうとするミチルの背中を見る。 少しだけ振り返ったミチルは小さく笑っていて、 「お前はそれをしてもいいんだ。」 そう言って立ち去った。 美緒はどうしていいかわからず・・・その場にたたずんでいるだけ・・・ 以上です。 今回初めて一人称を使ってみた。 意外と難しい・・・ 「た」終りがおおくて、どうしようかと・・・ 大晦日はどうしようか。ネタが浮かばない(汗
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2365.html
490 :Monolith兵:2014/02/05(水) 00 52 13 ※艦娘のキャラが(憂鬱世界準拠の為)崩壊している可能性があります。ご注意ください。 ネタSS「辻正信が鎮守府に着任したようです」 その2 辻政信が艦これ世界の鎮守府に提督として着任してから約半年、彼は次々と艦娘を建造・発見しては最適と思われるローテンションを組ませて彼女たちに経験を積ませて艦隊の増強に余念が無かった。その甲斐あってか、沖ノ鳥海域の攻略を成功していた。 そしてキス島撤退作戦に従事していたある日、出撃していた艦隊が帰還して辻に報告を行っていた時にその事件は起きた。 「第1艦隊ただいま帰還しました。」 「ご苦労様でした。負傷した艦もいるようですので、入渠してください。報告書はそれ以降でかまいませんから。」 辻は帰還した艦娘たちに労いの言葉をかけた。最初こそ辻正信が提督という事に反発をする艦娘もいたが、辻が艦娘を大事にして、資源運用を上手にこなして順調に戦力と補給の増強をこなしている姿を見て、殆どの艦娘は辻の事を見直していた。赤貧に喘いだ日々は、そして戦後の大軍縮は日本の為に必要な事であり、自分たちは退役したり解体されたりしたが、確かに日本の発展の為に活躍できたのだという自信を取り戻していた。 「今回の出撃ですが、新たな艦娘を保護しました。」 「ほう。それは嬉しいですね。」 辻は心の中で、ニーソックスの似合う艦娘だと嬉しいですね、と心の中で呟いた。そんな辻の心の声を知ってか知らずか、第1艦隊旗艦の阿賀野は新たな艦娘を紹介した。 「阿賀野型軽巡洋艦酒匂です・・・って!辻政信ぅ!?」 「・・・その反応ももう慣れましたよ・・・。」 流石に毎回のように魔王やら辻ーんやらと驚かれていたら慣れるというものだ。 「あっあっ・・・、な、何でもしますから、私の姉妹たちはもうう、売らないで下さい。解体しないで下さい。お願いします!」 酒匂は衆目の中土下座をして懇願した。流石の辻もこの反応は想定外で顎が外れんばかりに口を開いてしまった。 「え、ええと、どういうことですか・・・?」 そんな疑問を口にした瞬間、辻は前世で生き残った阿賀野型をイギリスに売り払ったりした事を思い出した。姉妹の殆どが沈んだ上に日本を裏切ったイギリスに売られたという経歴は、戦後海上保安庁で巡視船として活躍した酒匂にとって辻に複雑な感情を持たせるには十分であった。 その予想は間違っていないようだった。 「酒匂ちゃん、大丈夫だよー。辻提督はそこまで非道じゃないよー。」 そこで助け舟を出したのは、酒匂の姉であり阿賀野型軽巡のネームシップである阿賀野だった。彼女は第二次世界大戦中に戦没したために妹たちが戦後どのような運命にあったかは直接は知らなかったが、それでも辻の事は責められなかった。 なにより、裏切り者のイギリスに売られたとしても、結果としてそれは日本の為になったのだ。 「お、お姉ちゃん・・・?」 酒匂は信じられないようなものを見たかのようにうろたえていた。 「だ、だったら、売られもしないし、解体もされないし、身包みはがされたりもしないの?」 「・・・大丈夫よ、多分。」 阿賀野は妹の身包みはがされるという発言に軽く辻を睨んだが、再び妹を宥めにかかった。それに安心したのか、酒匂は見事な敬礼をして姉と共に執務室から出て行った。これで、彼女とも解り合うことは出来るだろう。 「・・・私って、そんなに非道に見えますか?」 毎回見られる光景とはいえ、流石の辻も堪えたのか、傍らに立つ大鳳に尋ねた。ちなみに今日の秘書艦は先程出て行った阿賀野だったのだが、妹に会えて嬉しい気持ちもわかるので、辻は今回の職務放棄は不問にする事にしようと思った。ただ、その代わりにこれからは妹ともども黒ニーソを履かせようと心に決めた。 「ご自分の胸に聞かれてはいかがでしょうか?」 辻の大盤振る舞いによって建造された大鳳といっても、同僚達の心の内を考えれば無条件で辻を擁護する事はできなかった。それほど、海軍内での辻に対する評価は厳しいものだったのだ。 「何で私がこんな目に・・・。トホホ・・。」 辻は胃の辺りを摩りながら弱音を吐いた。大鳳はそんな辻を尻目に書類仕事を手伝うのであった。 491 :Monolith兵:2014/02/05(水) 00 52 54 おまけ「今日の嶋田鎮守府」 艦これ世界に来た嶋田は、乗組み経験のある艦娘とそうで無い艦娘との間に挟まれて胃を痛める日々を送っていた。 だが、大和が嶋田鎮守府にやってきてからはそれも緩和されつつあった。彼女はそこにあるだけで凄まじい威圧感を放ってはいたが、寡黙で心優しかった。故に、嶋田の事を考えて二派の間に立って、その仲立ちをしてくれるようになっていた。その結果、確かにしこりこそ残っているものの、以前とは比べ物にならないほど意に優しい鎮守府に生まれ変わっていたのだ。 嶋田はそんな大和に感謝し、色々と便宜を図っていたのだったがそれが彼女の策略とは気がついていなかった。彼女もまた、嶋田を慕う一人なのである。 それはともかく、そんな嶋田鎮守府にあって嶋田の受けるストレスはやはり大きなものだった。いくら大和がストレス源を小さくしたといっても、通常業務だけでも激務なのだ。もっとも、それも大和を始めとする艦娘たちが提督業務の補佐を買ってくれている為に、徐々に小さなことになっていた。 それゆえに、嶋田は日に一度は散歩をする事ができるほどになっていた。 これは、そんなある日の出来事である。 「今日もいい天気だな。」 嶋田は昼食後の腹ごなしに鎮守府の周りを軽く散歩をしていた。ここ数日晴天が続き、出撃や遠征も予定通りこなせていた。 軍港では妖精さんたちが艦娘の本体である艦体を駆け巡って整備を行い、一部の艦娘は日光浴をしていた。 その時、嶋田は声を掛けられた。 「ヘーイ、提督ぅ。こんな所で会うとは奇遇ネー。」 「金剛か。どうしたんだ、その荷物は?」 嶋田に声をかけたのは金剛だった。彼女はこの鎮守府で数少ない常識派であり、大和が来る以前の嶋田争奪戦には参加せずに愚痴を聞いてくれたりしてくれていた。もっとも、流石に派閥抗争の仲立ちなどできる力は無かったが、それでも嶋田は金剛の存在をありがたく思っていた。争奪戦に参加しないというだけでこの鎮守府ではとても貴重な存在なのだ。 「ワタシは、ペットたちの世話しにいくのデス。良かったら提督もどうデスカ?」 「それはいいな。」 金剛がペットを飼っているというのは始めて聞いたが、動物と触れ合って癒されようと思い金剛に付き合うことにした。暫く歩き、鎮守府の外れに柵があり、そこに金剛はペットを飼っていた。 「ペットって・・・これが?」 「そうデース。可愛いでショウ?」 「へー、確かにかわいいな。」 嶋田と金剛の視線の先には柵の中にいる2頭の白くてメェーと鳴く動物、ヤギがいた。そう、金剛のペットとはヤギだったのだ。 「この2頭は番で、その内数が増えるヨ。そうしたらミルクも取れるカラ、提督におすそ分けも出切るネー。」 「あ、ああ。」 金剛の言葉に嶋田は生返事で答えた。金剛はそんな嶋田に気がつかず、柵の中に入ってヤギの世話を始めた。 そんな金剛を見ながら、嶋田は先程考えてしまった事を必死に頭から追い出そうと躍起になっていた。 (いくら金剛がイギリス生まれだからといって、ヤギなんて・・・。いやいや、これはただの偶然だ。) 「提督もこっちに来たらイイヨ。実際に肌を合わせたほうがこの子達もも喜ぶネー。って、もう駄目デショ。」 金剛が喋っていると、ヤギがじゃれ付き始めた。更には、スカートを口で引っ張る始末だ。 (は、肌を合わせるだと!やっぱり金剛は・・・。) それを見て嶋田は更に疑惑を深めていった。 「え、ええと、金剛は何でヤギを飼い始めたんだ?」 「え?それはその・・・。(提督の癒しになったらイイなぁトカ、一緒に世話をしたいなぁトカ言うのは恥ずかしいデース。)」 急にもじもじし始めた金剛を見て嶋田は疑惑を確信に変えていた。やはり、金剛はそういう目的でヤギを飼っていたのか!? これまで数少ない常識人として見ていただけに、この出来事は嶋田にとって衝撃だった。 (例え、生粋のイギリス人では無いとしても変態紳士の国の習慣は染み付いてしまうというのか!?) 「提督?」 「あ・・・、すまん!お前の趣味は否定しないが、俺には無理だ!?」 気付けば嶋田は一歩後ずさっていた。それに気付いた金剛は声をかけるが、嶋田はそう言ってその場を走り去っていった。金剛はその後姿を見て何があったのか解らずただ呆然と立ち尽くすだけだった。 それ以降、嶋田は露骨に金剛を避けるようになった。それは、金剛が泣き付いた大和が嶋田と話し合いの席を作るまで続くのであった。 おわり 492 :Monolith兵:2014/02/05(水) 01 02 35 辻ーんは海軍からかなり嫌われていると思います。そして艦娘も。 ただ、流石に艦娘たちも日本の境遇を考えると、大規模な軍縮を進めた辻ーんの行いは理解しているので、反発はしても反抗はしないと思います。 旧式艦や戦時急造艦は、戦後装備を身包みはがされて売り飛ばされるか退役させられたので、複雑な感情を持っているのではと思います。でも、初対面だとこういうこともあるよね。 そして、嶋田さんが金剛の事を誤解していくお話。イギリス海軍が日本海軍に軍艦引き渡す時に、ヤギもついでに乗っけていたという話は有名ですが、それが巡洋戦艦金剛でもあったらしいという話があります。 というわけで、金剛にはヤギを飼ってもらいました。別にそれ用じゃないよ?ただのペットだよ?癒されたいだけなんだよ? 後、艦娘はアルペジオ方式で行きました。艦娘の本体の艦があり、艦娘はそれのインターフェースという位置づけです。艦娘自体が戦闘するのは色々嫌だし。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3085.html
265 :影響を受ける人:2014/06/01(日) 22 10 24 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第十二話 ―大人達の奮闘― 東京の、秘密の会議室に、何時ものメンバーが集まっていた。 「とうとう出やがったか・・・」 「ああ、前線を襲撃されて現場は大混乱・・・」 「突破されるかと思っていたが、戦力集中で何とかだな。」 「だが、失われた兵力は痛すぎる。後方の予備戦力を回すと、撤退の計画に支障が出来ますが?」 1人の疑問に東条英機が手を上げる。 「それには心配ご無用です。」 「む? どういうことだ?」 「リベリオンの義勇軍、および欧州から応援が来てくれました。 その戦力を当てます。」 「「「「「おお!」」」」」 この報告は嬉しい。 原作では無かった戦力派遣だけに、嬉しさもひとしおだ。 だが、海軍にいる一人が溜息をつく。 「うれしいですが、即戦力として頼りになりますか?」 彼は今回初めての転生者だ。 前も自衛隊に所属していたせいで軍隊に入っている。 だからこそ、不安に思っているのだろう。 「さすがに激戦区だとわかっているから、十分訓練をしたウィッチが派遣される予定だ。 欧州は各国少数でばらばらなのだが、アドルフィーネ・ガランド大尉を総司令官に添える予定だ。」 「そうでしたか。失礼しました・・・」 安心したのを見て東条もホッとする。 すると今度は栗田が手を上げた。 「カールスラント国の援軍は、現在太平洋で訓練中の軽空母【ペーター・シュトラッサー】の乗員か?」 「いえ。彼女等まだまだ訓練が必要です。別の部隊が派遣されました。」 「そうか・・・いきなり質問して悪かった。」 カールスラントの軽空母は【翔鳳】の三番艦である。 売りに出された軽空母であるが、その前に天城級空母三番艦を【グラーフ・ツェペリン】として発注していた。 しかし、カールスラント帝国が満足するモノにするために作業が遅れており。 その前に完成した【ペーター・シュトラッサー】を用いて訓練している最中だ。 通常戦闘機、ウィッチ双方を運用しているが、将来において軽空母の方はウィッチ専門になる予定なのだとか。 手短にある戦力であるが、外国の軍であるし。 アドルフィーネ大尉が何度か視察しているが、まだまだ訓練が必要と判断されている。 「【翔鳳】【瑞鳳】の改装は順調か?」 「はい。すでに航空母艦による、ウィッチ運用のノウハウがありますので。」 「【赤城】【天城】は通常戦闘機を乗せて護衛か・・・」 「小型あたりならば、彼等でも十分掃討可能です。」 未だ上層部を掌握しきれていない海軍としては、心苦しい台所事情だがそれでも新型の引き込み式戦闘機開発は済んでいるので、ドッコイドッコイだろう。 将来を据えた報告に、辻政信が大きく頷いて先を進める。 「予算が前より潤沢とはいえ、無駄はよろしくありませんからね。 開発も順調で、未来は明るいですかな?」 「それはわからんよ。それよりもだ!」 266 :影響を受ける人:2014/06/01(日) 22 11 05 隣の山本五十六が声を荒げていう。 「例の中型ネウロイ・・・【アホウドリ】だったか? あれの対処はどうなっている? 報告書を見る限り、正直言ってそう何度も食らいたくはないぞ!?」 それは皆が思う事だ。 漫画で出てきた【アホウドリ】は、それほど描写もなかったので現実味が薄かった。 しかし実際に被害を受けると、メンバーの顔を蒼褪めさせるには十分なインパクトがあった。 「同時襲撃で三体確認・・・その上前線が二ヶ所、基地が三ヶ所喰われた。」 「陸戦ウィッチのシールドを、あっさり貫通だからなぁ・・・」 「【スズメバチ】がかわいく見える。」 解析したデーターは酷いものだ。 どうあがいてもコイツを撃墜できるとは思えない。 20㎜を連続して叩き込めば勝機はあるかもしれないが、速力差がありすぎて付いていけないのではお話にならない。 前から接近しての一撃離脱しかないのだ。 ふと一人が思い出したように、さっきから黙って聞いている九曜の方を向いた。 「もっちゃんの魔眼はどうなっているんだ?」 「魔眼殺しのメガネを上げてあります。史実より制御はうまくなっているはずです。」 「だが・・・」 「一応魔眼については、導術士学校の授業に盛り込んであります。 忠実戦で使いこなせるかは・・・彼女次第でしょう。」 「原作同様にはいかないか・・・」 栗田が溜息をつくと、東條もつられて息を吐いた。 「原作は宛になりませんよ。 半年ずれているんです。自分達で対処するしかありません。」 「だな・・・」 暗い雰囲気の中、辻はメガネをキランとさせてクイッと上げて直す。 「ロケット・・・墳進式兵器の開発は済んでいます。」 「たしか・・・対戦車兵器として開発が進められていたんでしったけ?」 「ええ。バズーカは既に開発済み。あとは量産です。」 補足で東条が思い出したように「先行生産分は既に前線に送ってあります。」と言うと感心したようなどよめきが流れた。 射程距離は短いが火力は折り紙つきの兵器に、期待するものは多い。 ちょっと考えていた九曜が顔をあげた。 「そういえば、術符の前線輸送はどうなっていますか?」 「お前さんが量産した奴の事か?」 「そうです倉崎翁。」 「安心しろ。帳尻併せて送ってある。辻が苦労していたがな。」 「嶋田さん・・・有り難いのではありますが、こういうのは事前に言っておいてほしいのですが?」 関係者を黙らせるのが大変だったと愚痴をこぼしたので、慌ててお礼を言う。 一応満足した辻は、更に言う。 「あの刀剣をごまかすのは大変でしたよ。」 「いえ、本当にすみません・・・」 ひたすら謝る彼女を見て、悪戯心が浮かんだ辻はニヤリと笑う。 「そうですね・・・お詫びとしてセーラー服姿になって下さいよ。」 「・・・へ?」 キョトンとする九曜。 彼女が理解する前にその場にいたヲタク共が沸いた。 「おおそれは良いな!」 「癒しが目の前にある!!」 「流石辻! 俺達に考えられない事を平然とやるぜ!」 「そこに痺れる!」 「憧れるゥゥゥゥ!!!」 「ヒャッホォォォォ!」 267 :影響を受ける人:2014/06/01(日) 22 12 52 最近忙しくて潤いが無かった面々が、暴走して盛り上がる。 「えっ? えっ? えっ?」 その勢いについてけず目を白黒させているのを見て、親友はただヒッソリと合掌した。 ――――― 大洋を進む一隻の軽空母と、カールスラントの駆逐艦四隻が訓練に励んでいた。 今日はウィッチの離着艦訓練を実施している。 今は着艦訓練中で、その様子を艦橋から見ていた艦長は、声をかけられるまでその人物に気が付かなかった。 「訓練は順調かい。艦長?」 「む? おお、アドルフィーネ大尉でしたか。」 アドルフィーネ・ガランド大尉。 観戦武官として扶桑国に来ていた人物だが、いつの間にやら、欧州義勇軍の司令官に収まってしまった。不幸(?)な人物だ。 隣に立って着艦の様子を見る。 下ではワイヤーにつかまり損ねた少女が、そのまま先にある保護ネットに突っ込んで止まる光景が見えた。 隣をチラリとみると、顔に手を当てている艦長が見える。 「進捗状況は良くないのは本当みたいだな。」 「ええ・・・今まで大事故が起きていないのが不思議です。」 「一応扶桑国からノウハウを貰っているからかな?」 「そうですね・・・もともとこの空母が、ウィッチの運用を前提とした装備をしているのもありますな。」 「そうか・・・」 頷くとまた一人降りてきた。 少々危なそうに見えたが、しっかりワイヤーにつかまって制動をかけて止まった。 すぐさま兵が駆け寄って彼女を回収していく。 素早く行動して、次のウィッチの為に空けるのも仕事だ。 「今度、大陸に行く。」 「・・・」 艦長は何も言わない。 自分が口を出す事ではない。そう思って言わないのだろう。 苦笑して空を見上げて呟く。 「義勇軍の司令官だなんて、ガラじゃないんだがなぁ・・・」 ちょっと情けない気持ちは、隣の人物以外、誰にも聞かれずに消えた。 以上、久しぶりの大人たちの会話、アドルフィーネ大尉の登場でした。 うん、政治の話は難しいよ。 才能の無さが出てきて泣ける・・・ 次回は【アホウドリ】をしとめるもっちゃんに期待してください。 後、空母の名前募集に参加して頂き有難うございます。 ココはストレートに決めました。 他にも候補を出していただいた方々にも感謝を・・・
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3154.html
419 :影響を受ける人:2015/03/22(日) 22 15 31 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第五十四話 ―引っ張る 押し出す― 大型ネウロイ“オニグモ”の襲撃より4日目。敵は再び強襲を敢行。 前戦線は早期発見により少しばかりの被害で免れる事が出来たが、物資集積地にしていた都市の壊滅は免れなかった。 ただ民間人の避難は完了しており、軍人のみの被害である。 物資もある程度分散配置し、結界士などの防御手段をとって軽減している。 前回の教訓を生かせたとはいえ、一時的とはいえ反撃できなかった最前線の圧力は凄まじく、少なからず被害を受けている。 唯一の慰めて言っていいのか、“オニグモ”は都市部を襲ったら一目散に帰還していったので、反撃は気にしなくていいということぐらい。 反撃できないとも、いうのだが・・・ この戦闘には欧州義勇軍・リベリオン義勇軍も参加して反撃に出た。 半ば町を囮にしての集中攻撃だったが、成果はいまひとつ。 最終的に爆撃部隊が触発信管の、爆弾の雨を降らせて撃退の一手を打ったことぐらいか。 完全な円柱の形状を持つ“オニグモ”の表面を爆弾は滑り落ち、地上で炸裂する爆弾にウィッチ達は落胆しつつも墳進砲で打撃を与えた・・・が。 自転し急加速による前進能力を持つ“オニグモ”に有効打を与えることは出来なかった “オニグモ”事態も猛烈な反撃をしており、爆撃部隊は12%の損害を受け。 最も突っ込んだ襲撃機部隊も23%もの損害を出した。 ウィッチ部隊の方は戦死者が出なかったが、置いて行かれていた“スズメバチ”“アホウドリ”“ウシアブ”が合流して大乱戦が行われたという。 前線で踏ん張っていた通常戦闘機部隊が、慌てて少数とはいえ部隊を急行させなかったら危なかっただろう。 もっとも、“オニグモ”は自分の任務を終えると、周りで奮闘する味方を無視して後退していくだが・・・ 悠々と去るその姿を見て、アドルフィーネ・ガランドと、エリス・グリンフィールドは強大な敵に不安を抱かずにはいられなかった。 しかし二度の襲撃により“オニグモ”の習性がある程度確定できた。 1:前線にある程度留まるが、都市部に向けての侵攻を優先する。 2:優先迎撃目標がある。 上部:ウィッチ>通常戦闘機>爆撃機 下部:固定砲台等>戦車等の車両>ウィッチ 3:有効打となり得る攻撃には、急加速で弱点からずらして被害を軽減させようとしている。 4:決まった方角から侵攻してくる。帰還も同様。 5:味方との連携をしてこない。 6:一体のみで行動する。 以上が解析された習性だ。懸念はある。 1番は大規模な基地があれば、そちらに向かうかもしれない可能性があり。 2番は最初の迎撃戦であるから、また測定すれば変わる可能性がある。 4番に関しては確定していない。 取りあえず前回同様の進路をとっている、という予測でしかないからだ。 3番の仮説は有効視されている。一度加速すると連続しての加速は出来ないようで、タイムラグがある事がわかっている。 5番と6番も予測でしかないが、護衛の“アホウドリ”が慌てて迎撃に来るなどがあり。 これも確定として見ている。 これらの解析を踏まえ。大本営にて会議が行われた。 ――――― 扶桑本土。 横須賀鎮守府近くにある料亭で、堀井一派が集会を開いていた。 といっても、ほぼ愚痴ばかりの不平不満言い合いに近いのだが・・・ 「くそ! 陸の空狸め!」 「田中の小娘が!」 「水瀬の奴も頭に乗りおって!」 420 :影響を受ける人:2015/03/22(日) 22 16 07 高官達の愚痴が、さして広くない宴会場に響き渡る。 それに同意する声を受け、悦に浸るが意味は無い。 それを横目に見ている者がいる。 長門を旗艦とする第二打撃艦隊司令官【堀川 吉郎(ほりかわ よしろう)】は、愚痴を言いあう同僚や仲間を冷ややかに見つめていた。 彼も以前は軍属ウィッチに対し、あまり良い感情を抱いていなかった。 古来からウィッチ・・・魔力を扱う者達の徴用は活発に行われているのは知っている。 しかし、やはり戦場は男が前に出るべき場所。 女性、それも少女と呼べる年齢の者達を戦場に連れて行くのには抵抗があった。 海軍を目指したのは広大な領地を守るというよりも、海洋国家である扶桑を守りたいからと言う若い考えからだ。 現代兵器の進化に一時は取り残され、後方任務が主となったウィッチ。 しかしネウロイの活発化がそれを妨げた。 ストライカーが開発され、最前線に出ていく少女達。 小型はともかく中型大型に対抗できない自分達。 いろいろ思う事はあるが、最近の堀井大将の発言はどうかと思う。 確かに水瀬セセリ大佐・田中ウメ大佐両名の言い分は少々腹が立つ部分がある。 しかしだからと言って協力しないのはいかがなものか。 御猪口の酒を一飲みし、新たに酒を注ぐ。 以前は協力的だった九鬼大将は今や敵と言っていい。 新たに現れた派閥は大きく、政界や陸軍にすら通じているという。 一部の新兵器は、彼等が生み出しているとも聞いている。 「・・・・・・」 視線を堀井大将に向けてみるが、彼は静かに酒を飲んでいるだけだ。 ただ周りが好き勝手に騒いでいるだけ。 彼はこの事態をどう切り抜けるのだろうか? 「堀川よ。どうしたのだ?」 「いや・・・ 今後の建造計画について考えていた。」 いきなり話しかけられ、驚いたがすぐに答える。 「っち・・・ あれは思い出したくない。」 相手はこちらの動揺に気が付かなかったようで、苦虫を潰したような顔で舌打ちをする。 「だが、今後の事を憂えているならば関心はしておかなければ。」 「そうだな。」 取りあえず話題を振ったので話しかけ続けてみるが、相手はよほど思い出したくないのかこちらを見ようともしない。 内心で溜息を吐くと、反対側の人物がこちらに気が付いた。 「あの建造計画か。あれは痛かったな。」 「ああ、あいつらの横槍のせいで新型戦艦を四隻作る予定が二隻に抑えられてしまった。」 計画名〔A140-F6〕。 次世代の戦艦建造であり、世界に扶桑の技術力を知らしめるいい機会だと彼等は思っていた。 原作では「第一号艦」「第二号艦」「第三号艦」「第四号艦」を作り上げる予定であった。 しかしそれは夢幻会と、台頭してきた航空屋の介入により頓挫する。 広大な海域を守るのに必要なのは機動力。そして長距離攻撃能力だ。 それを満たしているのが航空機であり航空母艦だ。 無論戦艦も無碍にするつもりは、夢幻会には無い ネウロイがいる以上戦艦の火力を無視できないのだ。 凄まじい装甲を持つネウロイは空さえ飛びあがる。 通常兵器が役に立たないと言われているが、大口径の大砲により過剰攻撃は有効だ。 それは理解しているが・・・ 九曜葛葉が行った技術的な促進が、計画を更に肥大化させていたのだ。 史実大和型戦艦:八隻。 連装砲塔にした同口径砲を搭載した高速戦艦:八隻。 史実翔鶴型航空母艦:六隻。 史実大鳳型航空母艦:四隻。 421 :影響を受ける人:2015/03/22(日) 22 16 53 補助艦艇まで含めると更に膨大な数となる。 代替えもあるのだろうが、いくら何でも無茶だ。 危機感を覚えた夢幻会と九曜は、計画を無に帰すために行動した。 結果原作よりも大人しめの建造計画となっている。 紀伊型戦艦に取り付けた新型砲により、今までの砲が余っているのは事実だった だが、計画を妨害された事がどうしても許せなかった。 それに最近台頭してきたウィッチ派との対立もある。 しかし・・・やはり違うと思う。 今までに無い強敵に、ウィッチ・陸軍・海軍が総力をあげねばならない。 「・・・」 堀川の脳裏に浮かぶのは病院でリハビリをする少女の姿。 木製義肢の腕を取り付け、魔力による念力を応用した動きを必死に学んでいた。 別の場所では両足とも義足の女性もいた。 皆ウィッチだったが、もう最前線には立てない。 それを部下の見舞いで来ていた彼は見てしまった。 だからこそ思う。 堀井大将から離れた方がいいのではないかと・・・ 結局余剰の大砲は供与が決まっている。 自分の助言により、新型榴弾の試験運用も同時に行う予定。 他の奴らは、自らの力を示すために使おうと思っているようだ。 それでもいい。 彼女等の、最前線で戦う兵士の負担が小さくなるのであれば・・・ 決意を胸に秘め、紀伊型戦艦を指揮する司令官を思い浮かべる。 アイツみたいに馬鹿になれればいいのだが・・・ 以上です。 今回は堀井大将一派に焦点を当ててみました。 後、艦長さんの名前を付けました。 あんまり進んでいないな・・・
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/504.html
18 :辺境人:2008/07/28(月) 19 50 26 <提督たちの憂鬱異伝「太閤殿下の憂鬱」> 天正12年(1584年) 尾張国、小牧 激しい爆発音と悲鳴、馬のいななきが遠くから響いてきた。それは鉄砲の一斉射撃とは一線を画す轟音であった。 「なにごとか!」 徳川左近衛中将家康は床机から立ち上がり、家臣に問う。その声は東海一の弓取りと呼ばれるに相応しい威圧感を持っていた。 しばしの後、じりじりとした思いで報告を待つ家康のもとに使い番の騎馬が陣に乗り込み、動揺を隠せない、だがしっかりと聞こえるよう大声で報告した。 「先鋒、お味方総崩れにございます!」 「馬鹿な、万千代(井伊直政)はどうした!」 家康の問いに使い番は泣きそうな顔と声で答えた。 「井伊様は先陣をきって敵の先陣、羽柴秀次の陣に突入されましたが敵は前列のすぐ後ろに大筒を隠しており、数十もの大筒が放たれ、見たことも聞いたこともない轟音と共に先鋒隊は吹き飛びましてございます! あれでは井伊様も……」 「なんと……」 愕然とした家康はしばらく呆然としていた。かの武田信玄に三方ヶ原の戦いで一方的に叩きのめされた時でもここまで一方的ではなかった。今度は敵と槍をまじえる前に一方的に部隊が壊滅したのだ。 「殿……! なにとぞお引きを!」 側近の声がどこか遠くからのように聞こえる。家康は退き支度をしつつ何故こうなったのかと考え続けた。全面攻勢に出た敵軍の追撃がすぐ背後に迫り銃撃をその身に受けたその時まで。 天正12年、後世、小牧の戦いと呼ばれる戦は羽柴軍の勝利に終わり、この戦いは世界初の砲撃の集中攻撃という火力攻撃のみによって歩兵部隊が全滅した例として戦史に名を残すこととなる。これは日本の歴史が大きく変わった変動の第一歩であった。 19 :辺境人:2008/07/28(月) 19 52 27 慶長5年(1600年) 大阪城。 「では会議を始める」 大阪城内にしつらえた土蔵の中。四方が石壁でつくられ忍びだろうと近侍の武士だろうと会話が聞こえないように密談をするためだけに作られた通称<密丸(ひそかまる)>の中、秀頼の言葉に同志たちは頷いた。 まだ7歳の秀頼が議長をつとめる姿は事情を知らない者が見ればシュールというか滑稽な光景であったがここにいる同志たちの間では今更なので誰も気にしていない。20世紀のように電話などの通信網や電車などの交通網が存在しないこともあって今回の会合に参加できない者も多く、それでも豊臣秀次、小早川秀秋、毛利輝元、宇喜多秀家、片桐且元、山内一豊、京極高次、織田信雄、堀秀治、大友義統、大野治長、塙団右衛門、渡辺糺といった近年では最大数のメンバーが集っていた。いずれも前世で夢幻会のメンバーだった面子であり、秀頼が生まれる前より転生していたことである程度の史実はすでに変えられているため関ヶ原の戦いすら起きていない。 「ついに1600年……史実の関ヶ原の戦いの年になったわけだが、徳川の動きはどうだ? さすがにこの状態で関ヶ原なんざ起こせないだろうが、だからといって天下を諦めるようなタマじゃないだろうし」 秀頼の発言に、豊臣秀次が口を開く。史実では殺生関白などと呼ばれ秀吉により切腹させられた人物だが、この世界では秀頼の後見役として辣腕をふるっていた。秀吉の後継者として関白に就任していたが秀頼の前に誕生した(残念ながら夭折したが)鶴松が誕生するや即座に関白を辞任し、秀吉の弟である豊臣秀長の養子となるなど晩年になって猜疑心が強くなってきていた秀吉への処世術もそつなくこなしていた。 「兵を鍛錬しつつ色々と東国の大名に水面下で声をかけてるようだな。城下町の建設もスローペースだし、やっぱり軍事優先でやってるみたいだからかなり経済状況は厳しいと見ていいだろう。史実と違って250万石の大大名ではなく60万石程度にすぎないからな」 徳川家康はこの世界では上野半分と下野を領有する大名であった。 小牧の戦いにおいてまだ豊臣姓を名乗る前だった羽柴軍は秀次が指揮する砲兵隊の活躍によって野戦において徳川勢を壊走させた。当時の道では普請工事をしなければ大重量の大砲の輸送は難しいという悪条件の中、ならば軽い木砲で良いと木製のため威力や射程も金属製の砲より大幅に劣るとはいえ大砲を使い捨てにするという金持ちにしかできない逆転の発想により、おそらく世界初の野戦における集中砲撃(しかも幕末期レベルの球形爆裂弾)によって徳川が誇る<赤備え>こと井伊直政率いる先鋒部隊を壊滅させ、追撃戦により本多忠勝、酒井忠次など多くの重臣も討ち取られ家康も追撃により重傷を負うなど三方ヶ原以上と言われる大敗北を徳川にもたらした。さらに九鬼水軍を中核とした豊臣水軍が尾張と三河の国境で対峙していた両軍を尻目に徳川水軍を撃破して遠江に上陸、浜松城を占領され後方を遮断されることとなった徳川家は窮地に陥り、和睦をする他なかった。 講和条件は当然厳しく、甲斐、信濃、駿河を没収され三河、遠江のニカ国で55万石に押し込められることとなったのである。後に北条攻めにより東海道という交通の要衝を徳川に渡す気はなかった秀吉により上野半国と下野の二カ国に転封され65万石に加増されたが海の無い土地に移されたのは当然ながら徳川を再起させる気はないという豊臣家の意思であった。 北条攻めに際しても長期包囲戦などと悠長なことをせず、軍船と高台に築いた砲台からの集中砲撃により一ヶ月で難攻不落の名城と呼ばれた小田原城も灰燼に帰した。落城に間に合わなかった大名は容赦なく減封の対象となり、稚拙な対応をした大名は取り潰しとなった。信長ほど極端ではないにせよ、既存の勢力は可能な限り取り潰して中央集権体制を確立すべく比較的厳しくされたものの、自治権を取り上げただけで家臣団などは積極的に登用したため、牢人問題などは史実ほど問題とはなっていなかった(豊臣家の支配体制やその官僚組織に馴染めない、もしくは反発する者が主家を退転する例もそれなりに多かったが)。 20 :辺境人:2008/07/28(月) 19 53 11 「こっちの経済状況は?」 秀頼の問いに片桐且元が答えた。史実では秀頼の傅役として1万石程度の所領しか持たない立場であったが、この世界では石田三成などの吏僚派たちのリーダー的立場となり、貸借対照表などの帳簿のつけ方から書類の書式統一、一部の女性に事務仕事をさせてみるなど革新的すぎて批判も多いのだが批判すらも実績で跳ね返す能吏であった(配属された女性官吏や大奥の警備役の女性に仕事のしやすい服装をと理由をつけて作らせた逆行者たちにとってどこかで見たような袴姿(馬○道や明治風ハイカラさんスタイル)やポニーテールの推奨などファッション方面での奇行も多いが)。 「新貨幣<円>の鋳造も順調で永楽銭や南蛮人の金貨などとの交換比率も調整したし、茶や生糸、石鹸や黄燐マッチ、蝦夷の毛皮やフカヒレなどの俵物、天下統一で余った刀槍や鉄砲などとにかく売れそうな物を積極的に輸出してるから史実と違って金銀の流出も相当抑えられてるし海外貿易はなんとか黒字だ。ただ、街道整備やら港湾整備やらのインフラ関係で現地の大名に負担させてるとはいえ豊臣家の支出も相当あるからな。大規模な軍事行動はまだ勘弁して欲しいというのが正直なところだ」 「……阿片の生産に成功したと聞いたが?」 「大量生産にはまだほど遠いから商品としては有望とは言えん。とりあえず麻酔薬に使う用途以外は明と南蛮人には煙草として売りつけてるが」 あっさりとダークな発言をする且元に微妙な空気が流れたが、前世でも似たような行動をとっていたためかツッコミが入ることはなかった。朝鮮出兵がないためまだ滅亡しそうにない明やアジア最大の西洋勢力であるスペインに阿片禍を起こす気満々な且元から全員、微妙に視線をそらしていたが。 「……あー、軍の方はどうなってる? 軍事行動を起こさないにしても装備の更新や訓練なんかはしてるんだろ?」 微妙な空気を振り払うべく話題を転換する京極高次の問いに大野治長が答える。彼は秀頼の側近として兵器や商品などの技術開発全般を受け持っていた。大阪の郊外に建設された皇国大学院という研究機関及び教育機関を統合した大学の学院長でもあり、そこでは反射炉や転炉の設計、石炭の乾留、原始的な蒸気機関からアルコール蒸留や食品開発などその受け持ち分野は広範囲に及ぶ。石高は淡路と近江一郡で国友村を支配している5万石程度の小大名ではあるが秀頼の許可を得て豊臣家の財源を使えるため、無尽蔵ともいえる開発資金を得て、かなり好き勝手していた。 「陸軍は38式歩兵銃を参考に射撃時に肩に固定しやすい銃床(ストック)にした鉄砲をメインに生産中だ。日本産の火打石だとフリントロック式の銃は難しいから雷管式が実現するまでは火縄銃でいくしかないが、着脱式の銃剣も開発しといたから乱戦に持ち込まれても一方的にやられることはないので総合戦力は上がったと思う。宝蔵院など槍術の大家を集めて銃剣術を新しく作るように言ってるしな。マスターできれば仕官できるかもってんで武者修行者が一生懸命マスターしようとしてるらしい。まぁ鉄砲は高価だから浪人が持ってるのは鉄砲の形をした木に槍の穂先をつけたようなものらしいが」 「宮本武蔵が銃剣使いになってたら笑えるな。剣豪小説が西部劇みたいな撃ち合いになったりして」 「まぁそれはないだろ。普通なら手っ取り早く剣の腕を磨いて新撰組に志願するだろうしな。まぁ吉岡一門もすでに新撰組に吸収されてるから一条下がり松みたいなことは起きないだろうが……」 京都および大阪の治安維持を目的に創設された武装警察は火消しや町奉行など治安組織を束ねる山内一豊の指揮下で軍とは別個に設立しており、夢幻会メンバーの趣味によって組織名を新撰組としていた。腕さえ確かならば流派や身分を問わずに入隊でき、史実のものほど厳しくはないが不祥事を起こしたら死罪となる局中法度により鉄の規律を持った部隊として浅葱色でダンダラ模様の隊服は頼もしくも恐れられている存在であった(一般市民相手の治安維持が主任務のため幕末の新撰組のように無法者を問答無用で切り捨てるわけではないが、戦国の気風がまだ残る時代だけに武芸者相手の捕り物も多かった) 21 :辺境人:2008/07/28(月) 19 54 43 「話を続けるぞ。大砲だが、複数の種類を別途に生産している。軍艦や城に搭載する重砲、野戦で使う軽量な野砲、城攻戦に使う臼砲、番外として花火の打ち上げ方式で発射する迫撃砲がある。筑前と陸奥の天領に作った高炉と転炉ががやっとこせ稼動したから質の言い鋼鉄の大量生産と鋳造がある程度可能になったから現在生産されてる大砲は全て鋳造砲になってる。問題は輸送力の関係で鉄鉱石や石炭の鉱山の近くに製鉄所を作らんとならんことだが……まぁ筑豊炭田のある筑前は秀秋の領地だし、鉄鉱石の豊富な陸奥の釜石は秀治、蝦夷は秀久が代官だし防衛戦力もそれなりに駐屯してるから大丈夫だとは思うが」 「秀秋と秀治はともかく蝦夷開拓の責任者にされた秀久はここ数年、蝦夷から帰ってこれてないけどね」 蝦夷の話が出ると堀秀治が溜息をつきながら話を継ぐ。蝦夷代官の一人として総責任者の仙石秀久を補佐する役割であり、普段は東北で蝦夷への物資補給や釜石製鉄所など多忙な人間であるが数年ぶりに大阪に帰ってこれた身であった。 「まぁ確かに蝦夷は大自然の脅威が主敵だから苦労は多いけどね。それでも寒いけど鮭とか蟹とかウニとか食い放題だし冬は暖房の効いた部屋でコタツに入ってぬくぬくするくらいの楽しみも一応ある。今のところアイヌの統治はまだ反乱が起きるところまではいってないしな」 蝦夷開拓は豊臣家の主導により大規模に行われていた。日本本土に近い南洋は近い分だけ利害関係が複雑であり、いまだ植民地にされていないアメリカやオーストラリアなどは遠すぎるため、最も手近なフロンティアである蝦夷の開拓は地道に、だが大々的に行われていた。安東家や蠣崎家といったそれまで蝦夷を支配していた大名は存続は認められたものの蝦夷が豊臣家の直轄地となったことで開拓責任者である蝦夷代官に任じられた仙石秀久と堀秀治の家臣として遇されることとなり、東北や関東の大名にも賦役として開拓に人手を供出させることで開拓を進めていた。当初は夏のみ工事を行いながら港を作り、道を作り、ロシアのペチカを参考とした暖房設備を整えた建物を築き、カンジキや竹で作ったスキーや毛皮の外套などの野外装備を整え、昆布の養殖やジャガイモの栽培を指導し、羊の放牧を行い、鉱山を掘る……一つの国を一から築き上げるほど大量の事業を同時に行うその開拓規模は日本史上最大の公共事業ともいうべきものとなっていた。 「また話が脱線してるぞ。装備は分かったが軍の状況はどうだ?」 「騎兵部隊はモンゴル馬やアラブ馬を牧場を作って増やしつつ去勢やら蹄鉄やらができる職人も馬と平行して養成してるような状況だからまだ偵察に使える程度しか数がないが、それでも豊臣家の直属軍である七手衆(7個旅団)4万2千は装備の改変も完了して部隊編成も近代軍制に近い軍の階級や小隊編成などで訓練中だ。旅団長も高次、団右衛門、糺、と半分近くが夢幻会のメンバーで構成されてるし残りの旅団長も真田信繁、立花宗茂、戸田重政、大谷吉継と史実でも忠誠度の高そうな面子で構成してるから謀反を起こされる心配は低いだろう。吉継あたりは若いうちから温泉療法をすすめてるせいか病は悪化してないけどいいかげん年だから引退してもおかしくない年だけどな」 「豊臣本家以外では?」 「東国の抑えをしている秀次のところの5個旅団3万が大体同程度の編成だ。あとは秀秋の豊臣水軍が陸とは編成が違うがすでに水兵も入れて2万4千程度だな」 豊臣家は石高から見ると常備軍は比較的少なめだった。史実の関ヶ原の戦いにおける徳川家が250万石で6万近い兵を有していたのに比べると400万石以上の石高を持つ豊臣家が常備軍4万2千というのは明らかに少なめといえたが、それは鉄砲や大砲といった高価な兵器の装備比率が増えたこと、武士が官僚を兼ねる従来の体制を段階的に改革して武官と文官を分けたこと、そして公共事業による空前の好景気により働き手がいくらあっても足りないことにより牢人すら労働力として吸収したことが理由の一端であった。 とはいえ、徳川や伊達など反乱勢力予備軍の多い東国の抑えとして武蔵、相模、伊豆、下総で約100万石を有する豊臣秀次や、同様に西国の抑えとして筑前、筑後、豊後で同じく約100万石を有する小早川秀秋など豊臣家の直轄地を預かる代官に任じられた大名家もそれなりに存在するため、豊臣一族だけでも10万程度の兵を動かすことができた。 22 :辺境人:2008/07/28(月) 19 55 41 「軍船の方はどうだ?」 これには小早川秀秋が返答する。西国の抑えとして100万石を保有する大大名であり、領地内に豊臣家の天領扱いではあるが博多という日本最大の海外交易拠点の代官を兼任しているため海外交易の責任者として豊かな資金源をもって豊臣水軍の総大将となっていた。秀秋の顔は日に焼けたいかにも海の男といった風情で熱心に海軍を育てようとしているのがその顔を見ただけで分かる。前世でも海軍軍人として働いた男なだけに、現在の風任せの船乗り生活を楽しんでいるらしかった。 「ガレオン船を参考にした砲艦を8隻、史実のスクーナー船に近い帆船がすでに20隻が完成してる。スクーナー船は砲門数はガレオン船よりは少ないがこっちの方が高速で積載量も多いからガレオン船は沿岸防衛用として外洋艦隊はスクーナー船が主力になるだろうな。両方とも石炭をコークスにする乾留処理の際に取り出したタールを防腐剤として使っているからさながら黒船といったところだな」 「入れ物だけ立派でも意味がないだろう。中身はどうなんだ?」 「海軍伝習所を建てて教範を作ったりして見て盗む方式を可能な限り排除してるので少しはマシではあるが……なにせ西洋式の帆船ともなればこれまでのガレー船主体の船乗りたちにとっても未経験だからな。まぁ現状ではまだ外洋海軍まであと一歩のところまできている沿岸海軍みたいなものだと思ってくれ」 「海外に出せるのは何割くらいだ?」 「琉球やルソン程度なら先導があれば7割はいけるだろう。特に六文儀を開発して前世の海軍兵学校で仕込まれた航法技術を叩き込んでるから航海技術だけならダントツで世界一だしな。脚気や壊血病の対策の仕方も分かってるから天候に恵まれれば太平洋横断だって十分に可能だ。ただ、知っての通りこの時代の軍艦は商船との区別があまり無い。商船も武装してるのが当たり前だし、ちょっと重武装で戦闘訓練を受けてるのが軍艦、程度の違いしかない。うちの船も訓練を兼ねてルソンや蝦夷を行き来しているわけだが……それは当然のことながら普段は艦隊としては集中しておらず、分散配備が通常常態だってことだ。だから連合艦隊が戦時でないと編成されなかったのと同じで事前に計画して最低でも2ヶ月程度は準備期間が無いと艦隊として集中運用するのは難しいと思ってくれ」 「とりあえず南蛮船とも正面からやりあえる程度の質と量はあるわけか……徳川もこの状況で天下取りは難しいし傷の後遺症もあるみたいだから家康も史実ほど長生きはせんだろう。この10年はひたすら日本国内のインフラ整備やら技術開発やらで土台固めに励んできたわけだが……そろそろ海外に目を向けはじめても良い頃じゃないか?」 秀次の発言に一同は沈黙する。わざと最後にまわされていた議題はそれだけ重要なものだったのである。 ことの発端は九州に漂着したオランダ船の存在から始まった。史実でリーフデ号事件と呼ばれる船の乗員には日本に初めて来たイギリス人、ウィリアム・アダムスなど重要人物もいたがそれは現在は問題ではない。重要なのはそれがオランダ船であることであった。 「まさか朝鮮出兵が行われない影響がこんな形で出てくるとは思わんかったからなぁ……」 溜息をつく秀秋に、誰もが頷く。 23 :辺境人:2008/07/28(月) 19 56 13 朝鮮出兵がなかった影響で史実より疲弊していない明国は台湾を占領するオランダと武力衝突を起こし(裏にポルトガルの扇動があったことが後に明らかとなる)、台湾におけるオランダの拠点である安平(台南)が陥落したことでオランダの残党が近くの琉球へと落ちのびてきており、すでに明との貿易の抜け穴とするべく琉球を占領していた豊臣家と接触することとなったのである。 幸いにも海外貿易の拠点として蝦夷ほどではないにしろ大規模なインフラ整備がされつつあった琉球の最高責任者として夢幻会のメンバーである龍造寺政家が那覇に在住していたため、史実の大まかな流れを知っていたこともあって武力衝突を起こさないよう武器を取り上げたりせずに歓待するという姿勢を示したことで敗戦により気が立っていたオランダ人たちもなんとか落ち着き、比較的友好的な関係を築くことに成功する。 だが、そうなるとオランダ人たちも今後の先行きを考えはじめ、当然の流れのように豊臣家に対して台湾の奪還の援助を要請してきたのである。政家としては他国との同盟政策ともなれば自分の権限を越えた問題だとみなし、大阪へと出向くことを勧め、同時にしばらくの間、オランダ艦隊とその商人などを保護下におくことを条件に、使者を大阪に派遣するということとなったのである。 その使者をのせた船が中途半端な立場からの焦りもあって季節を待たずに出航し、史実通り台風のために九州に漂着したのは歴史の修正力だったのかもしれない。 そして政家からの便りを受けた豊臣家、というか夢幻会内部でも当然ながら意見は中々まとまらなかった。 「史実より早く台湾を失ったとはいえオランダが没落するのは史実ではまだ数十年は先のはずだ。ポルトガルの香辛料貿易を奪ったことで黄金時代を築くのがたしか17世紀のはずだが……同時にこの時期は停戦期間を挟みつつスペインと戦争を繰り返してる時期なわけで、ここでオランダと組んでスペインのアジア植民地に手を出すというのも確かに選択肢としては有りだな……グァム島を取れればルソン経由でなくても南洋、特に植民地にされる前のオーストラリアやニューギニアにも進出しやすいし。まぁマラリアなどの伝染病もあるからそううまく植民できるとは限らんけど」 「でもなぁ……琉球を隠れ蓑にした明国との貿易の利益は想像以上にでかいんだ。ここでオランダと手を組めば自動的に明を敵にまわしかねん。中華思想もあるし明とスペインが同盟を正式に結ぶとは思えんが明が没落するまではできる限り明とはうまく付き合いたいんだよね。一応、明の滅亡に備えて景徳鎮とか万暦赤絵などの美術品や貴重な文物を少しずつ日本に運び込んではいるけど、朝鮮出兵が無い影響がどうなるか読みにくいし」 「満州の女真族相手に馬や羊の代金として鉄砲や刀槍とか天下統一で余りまくった武器を積極的に売り込んでる時点で明を敵にしたくないというのも今更ではあるがな。あっちも武器輸出の影響か朝鮮出兵で遼東半島の明軍の抑えがあるのに史実並の早さで満州を統一して今じゃ下手すれば史実より早く遼東半島を落としかねない勢いだし、そのうち朝鮮半島やシベリアを経由せずに旅順あたりで直接交易できるようになるかもな」 「それでも形式的だけにしろ民間人である商人が個人として行うのと国が直接乗り出してくるのじゃレベルが違う。それにオランダと手を組んだとしても台湾がオランダ領になるのも面白くない」 「ポルトガル、というかイエズス会との関係も結構緊張状態だしな……まぁ日本人の奴隷売買を禁止するってのは当たり前だしポルトガル王が承諾してもそれにイエズス会が従わないんじゃ意味ないっつーか」 「キリシタン弾圧までいってないのが不幸中の幸いではあるが……日本を植民地にしたがってる連中は宣教師の中にも多いからな。まぁ世俗的な欲望で信仰心をドーピングして布教のためにはるばるアジアまで来たとなれば、俗物としてもかなり強烈な連中だから別に不思議な話じゃないが」 豊臣政権は日本国内において信長が行った政教分離の方針の下、宗教権力の武力保有と宗教の強制を禁じていた。キリスト教の宣教師も日本国内の布教活動は認めるが日本にいる限りは日本の法に従うことを宣誓させ、人身販売など犯罪行為を犯した者は宣教師であろうと関係なく日本国内の法に従い処罰された。 代わりに税制を若干、優遇するなどの措置をとっているものの商船が武装するのが当たり前な当時の世相としては宣教師側の反感も大きく、キリスト教の布教活動による不安定化工作の対処として問答の得意な僧侶と宣教師を討論させたり(十字軍や異端審問、魔女狩りなどあれこれ知恵を授けたことは言うまでもない)民衆の間に異人に捕まって売り飛ばされるという風説を流すなどしているため、豊臣政権と宣教師たちとの関係はあまり安定しているとは言いがたかった。 24 :辺境人:2008/07/28(月) 19 57 30 「まずまとめよう。長期的に見れば17世紀のアジアにおける勝ち組は清、そしてオランダ、イギリスなわけだ。となれば最終的には明を切り捨てるのは同意するな?」 秀次の言葉に、熱意の差はあれ一同はうなずく。 「しかし、明は地方反乱も頻発してる末期的な世情とはいえ、まだ滅亡までは時間がかかる。それに大陸に軍を派遣してもろくなことは無いのは日中戦争の経験からも明白。今の日本の人口からしてもせいぜいが台湾を奪うのが限界だし、大陸に人をやるくらいならアメリカかオーストラリアに植民した方がまだ将来性はある」 この時点で戸籍制度を導入したことにより不完全ながらも国全体の人口を把握していた夢幻会は約2千万という集計結果を見て人口増加を国策としていた。清潔な環境での出産など原始的ながら産婦人科分野の医療体制を整えた国営病院や孤児院(豊臣家のためなら命も捨てる将来の親衛隊候補や忍者などの供給源としての側面もあった)などを設立することでいまだ高かった乳幼児死亡率を低下させるなどの手を打っていた。 後世、計算されたことだが日本の国土では平野を全て耕作地にしたとしても精々が7千万程度の人口しか養えない。実際は全てを耕作地にするなど不可能なので4千万がいいところであり、史実でも江戸時代の人口は3千万未満で飢饉の度に餓死者が万単位で出たことを考えると、2千万という数は妥当な数かもしれないが、富国強兵を目指す夢幻会としてはせめて昭和初期程度の7千万は必要と考え、ジャガイモやサツマイモなどの食糧増産と合わせて新たな耕作地帯を必要としていたのである。蝦夷地も候補の一つであったが、史実での北海道開拓の犠牲者を考えるとコスト的に厳しく、必然的に二毛作や三毛作が可能な温暖な土地が求められていた。 「やはり目指すべきは南洋か……スペイン相手の戦争ともなれば敵の武装やテルシオなどの戦術、そして現地の地理情報なども徹底的に調べておかねばな」 「焦ることはない。こちらから喧嘩を売るつもりなら準備に費やす時間は十分に取れる」 結論として、豊臣家の海外政策は以下のようなものとなった。 明国とは少しずつ距離をおき、満州の女真族との関係を深める。女真族とは当面は羊や馬などの取引をメインにして武器輸出の経済関係にとどめるが将来的に清国となった際に朝貢国ではない対等の外交関係を結べるように時間をかけて関係を深めるべく外交交渉を行う。 琉球に居座るオランダ勢力には武器や弾薬、食糧などを売りつつ非公式に友好条約を結ぶが兵を出すなどの軍事オプションはまだ取らない。どうせ明も地方反乱の頻発で台湾はともかく琉球まで手をまわす余裕などないだろうし、むしろ両者の間を仲介する形で利益を得るべく働きかける。将来的にはオランダが台湾を奪還する手助けをする代わりにアジアにおける対スペイン戦の軍事同盟の密約(明への建前から日本とオランダは無関係とする)を結べればベスト。 宣教師は将来的にプロテスタント、つまりオランダやイギリスの新教徒を優遇するためスペイン系のイエズス会とは距離を取るが、欧州の宗教戦争を日本に持ち込ませないためイエズス会への露骨な宗教弾圧は控える(向こうが暴発するのを待って追放することも選択肢に入れておく)。 3年後を目処として出兵の準備を行う。出兵先は未定ではあるがとりあえずは補給線の問題から戦術的勝利が可能なスペインを仮想敵とし、南洋にあらかじめ商人たちにまぎれて忍びなどの現地に派遣している諜報者を増強、海外への派兵用の輸送船と船乗りの増強も合わせて行う。 蝦夷開拓と合わせてハワイやアメリカ西海岸へ探検隊を送る。将来、婚姻関係を結んだり植民を行う布石として貢物などを送り当面の友好関係を築くことを優先する。 25 :辺境人:2008/07/28(月) 19 58 22 壮大と言っていい戦略計画であった。20世紀の政治や戦争を当事者として経験した者達にとってはこれですら精緻に立案される国家戦略の叩き台でしかないと知れば徳川家康や伊達政宗といった乱世の梟雄たちですら驚愕したであろう。 「あ、そこもう焼けたぞ」 「うむ、おたふくソースが無いのはやはり厳しい……醤油と味噌をベースにしてるとはいえやはり熟成が大事か」 木炭で炙られた鉄板の上でヘラを使って小麦粉を水に溶いたものが焼かれている。豚肉、イカ、天カス、キャベツなどが混ぜられている。それは紛れも無くお好み焼きであった。 「つくづく明治や大正時代はまだマシだったんだと思うよなぁ……この時代じゃ醤油ですらまだ味噌から作ったたまり醤油しかないから一から作らせなきゃいかんし。食材にしても豚は人間の食べるもんじゃないとか悪魔の食い物扱いだしキャベツやジャガイモ、砂糖なんかも輸入して栽培するとこから始めないと駄目だっつーんだから。隠居して料理研究に余生を費やしてる今川家の氏真爺さんのところにもっと予算と人材を投入せんといかんな」 「まったくだ。漫画もない、テレビもない、せめてうまいもんでも食わなきゃやってられん」 たとえ戦国時代に飛ばされようと夢幻会の面々の中身は変わっていなかった。豚玉やイカ玉を焼きながら日本の将来に関わる重要案件はこうして方針が決まっていくことを知る者は幸いにもこの天下には存在しなかったのである。 <完>
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3158.html
692 :影響を受ける人:2015/04/26(日) 22 35 18 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第五十八話 ―黒雲来たりてⅢ― “オニグモ”の進撃は止まらない。護衛が剥がされてもなお突進する。 彼に連携と言う言葉は無いのだろうか? それでも敵戦力は、 “アホウドリ”×2 “ウシアブ”×6 “スズメバチ”×23 と激減している。 危険な“アホウドリ”は早々に始末し、最も厄介な“スズメバチ”を掃討し終わればどうにかなりそうだ。 それを知ってなのか、前線に適増援が続々と到着しているという情報が入ってくる。 大陸方面軍司令部としては各個撃破の要領で“オニグモ”を仕留めたい。 「頑張ってほしい。なんとしても前線を押しとどめ、時間を稼いでくれ!」 激励と共に下された命令を受け取り、本命を生かすべく、前線はさらに激しい戦闘に入っていった。 その上空を義勇飛行隊が飛んでいく。 ――――― 「よし、見えたな。」 アドルフィーネ・ガランドはそのまま通信機に手を添えると命令を下す。 「ドライ・フィア両隊は左翼を援護しろ。 フュンフ隊は地上援護に徹するように。 アインツ・ツヴァイ両隊は私に続け!」 『『『『『了解!!』』』』』 編隊が次々にブレイクしていく。 中央に向かって突進していくガランドは銃を構え、下から駆け上がる“ウシアブ”に狙いを定める。 登場当初こそ強敵と思えた“ウシアブ”であったが、あまり旋回もしないので“スズメバチ”よりは組みやすいと認識されている。 攻撃方法もアップダウンのみ。鼻先に向かって射撃をすれば比較的倒しやすい。 「良い的だぞ。貴様。」 最近読んだ扶桑の漫画(夢幻会製)から気にいたセリフを言いつつ射撃を叩き込む。 銃弾は狙い通り敵に命中したが、直前で身を捻られてしまい翼に当たっただけ。 それでも体勢を崩す事には成功し、斧を背負ったウィッチが目ざとく見つけて叩き割る。 「おっと。」 つい見とれてしまったが、上空から襲い掛かってきた“スズメバチ”の攻撃をシールド防御で逸らし、反撃を叩き込む。 しかしめくら撃ちに近いせいで全弾外れてしまった。敵はそのまま降下しつつ右に旋回する。 追撃しようと思ったが、とりあえず部隊指揮に集中せねばならない。 少々惜しい気持ちを押し殺しつつ中央部に斬り込んだ。 その途中で今回全部隊に配布されたマフラーを少しだけ見やる。 「さて、このマフラーの力・・・試させてもらおうか。」 扶桑で作られた特別な織り方の生地。その効果を聞いた時は眉唾物。 しかし戦場で実際に使っている場面を見て考えを改めた そして今回、初めて使う。 やり方は簡単、魔力をこのマフラーに流す様にすればいい 693 :影響を受ける人:2015/04/26(日) 22 35 53 「お・・・これは・・・」 ほんの僅か流しただけだというのに、ストライカーがさらに勢いよく回り出すのが感じられ。 魔法で強化している体にさらに充足感が満ち溢れる。 ためしに魔眼を起動すると、 「は、はははははは!」 おもわず笑いが出るほどに良く“視える”。 銃を構えて射撃をすると先程よりも弾速が早くなり、当たったネウロイが数発で砕け散る。 「すごい・・・すごいぞこれは!」 扶桑が高額で取引する理由がよくわかる。 これだけ強化してくれるなら、どんなにお金を払ってでも手に入れたい。 惜しむらくは長時間運用が出来ないという点だろうか。 既にマフラーは、端の方から魔力光独得の蒼い光と共に燃え始めている。 この蒼い火は人体に全く影響はない。 『うわぁ・・・シールドが今まで以上に頑丈だ。』 『あははははは! ほんの数発で“スズメバチ”が砕ける!』 『魔力の消費が少ない・・・これは本国に言わないと!』 通信から部下の声が聞こえてくるが、思いは一緒だ。 しかし敵はまだいる。 「各部隊、気を抜くな! マフラーもそう長くは持たん。 予備があるとはいえ、それほどあるわけでもない。気を引き締めろ!」 『了解です!』 『この状態なら負けない!!』 『スコアを稼いで、少しでも印象を良くしないと!』 ――――― ガランドが左翼側を守るように動いたため、自然と右翼側を守ることになったエリス率いるリベリオン義勇飛行隊は、呪歌使いのウィッチを護衛する事も含めて動く事となった。 魔導マフラーの御蔭で暴れまわる中央部を横目で見つつ、エリス達は連携で敵を圧倒する。 「スペード隊は右から攻めて!」 『了解!』 「ハート隊は突き上げてくる“ウシアブ”を左に!」 『了解しました。』 「クローバー・ダイア両隊、“スズメバチ”が前に出てくるから弾幕を!」 『『了解です!』』 誘導を主にし、敵の進路を限定してクロスファイヤーポイントに誘い込んで一掃する。 言葉にすれば簡単だが早々上手く出来ない。 しかし質が足りなかったリベリオン義勇飛行隊は、連携を重視して訓練と実戦に明け暮れた。 その御蔭もあり、突出した面は無いがどこに投入しても安心できる戦力として見られている。 あらかた“スズメバチ”を片付け、旋回している“アホウドリ”の方を向いて飛翔する。 高火力・高速力・高防御力。 三拍子入った強敵の一種。 本国でも「本当にこんな奴が出たのか?」と懐疑的だった。 しかし観戦武官や、エリスの詳しい報告を受けてようやく信用してくれた。 そして同時に本国の武装強化も入ったという。 まず最初にあげられたのは、通常戦力でも小型ネウロイくらいなら問題なく勝てるという事。 しかしその為には鈍重であってはならず。更に高火力でなければならない。 急降下も出来ないといけないから機体は頑丈にしなければならない。 これらを基にすると、F3Fなんてもっての外。 次に採用予定だったF2A【バッファロー】ですら役にちそうにない。 そうなると開発中のF4Fが期待できそうだ。が、今度は旋回能力が足らない。 となると史実の様なF6Fを待たないといけなくなるため。開発が急ピッチで進められているという。 他にも対抗できそうな機体が無いか、開発を急がせてはいる。 しかしまだ戦禍にまみれていないので、その開発速度はかなり遅い。 唯一ブローニング社が儲けているくらいだ。 694 :影響を受ける人:2015/04/26(日) 22 36 25 地上戦力としても、今の戦車ではすぐに役に立たなくなる。 M3中戦車は後に駆逐戦車に改造させられて国外販売。 M4中戦車をとりあえず採用、中繋ぎにしてさらなる重戦車開発に乗り出す予定だ。 他にもあるのだが・・・話を戻す。 「次の獲物はアイツよ。」 『うぇ・・・“アホウドリ”ですか?』 「そうよ。 今回は魔眼使いのあの子はいないから、手探りで倒さないといけないけどね。」 『それは・・・きついですね。』 「いままでが贅沢なのよ。 本国に戻って、また派兵されるなら慣れておかないとね。」 部下の泣き言に陽気に答えつつ弾倉を取り換えておく。 レバーを引いて銃弾を装填すると、通信機に向かって指示を下す。 「全部隊に告ぐ! スペードは左翼、ハートは右翼、ダイアは上から攻めて銃座を潰しなさい。 クローバーと私達ジョーカーは三部隊の護衛よ。 さあ。お仕事、お仕事!」 『『『『『了解!!』』』』』 エリス達は一糸乱れぬ編隊飛行で“アホウドリ”を包み込むように責め立てる。 けして油断せず。堅実に攻める様子は他部隊から見ると一つの生き物の様に見えた。 交流会で見せた実力はいかんなく発揮されている。 地上から見上げていた兵士が、 「空を見上げてみたら、“アホウドリ” を中心にウィッチが規則正しく舞っている様に見えた。」 と言う証言を残した。 二つの義勇飛行隊の活躍により、最前線の崩壊は無く。 敵の足止めと、増援部隊の殲滅は完遂されたという事を書いておく。 以上です。 両部隊が活躍する場面が圧倒的に少ないと感じまして・・・ つぎはもっちゃん達だ!
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3098.html
624 :影響を受ける人:2014/07/20(日) 12 55 50 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第二十話 ―乙女の休日Ⅲ― 呉に存在するある料亭。 主に海軍関係者が使用し、機密を守れる場所でもある。 そんな場所に山本五十六は来ていた。 彼もよく利用する料亭で、前世とは名前が違うが、よく利用していた場所に有ったので迷わない。 しかし、今日はいつもの夢幻会メンバーによる話し合いではない。 今の立場は連合艦隊司令長官であり、以前永野修身が退役させられて、大慌てで山本を海に出した。 史実同様になった事に苦笑する旧夢幻会一同だったが、この世界では協力者が少ないから仕方がない。 地道に頑張るしかなく、以前より動けないのでイラつく時も多々あったりするが・・・ 現在行っている撤退戦、そして将来の海上戦闘を想定して動いている時に呼び出されたのだ。 信長公に仕えた九鬼 嘉隆(くき よしたか)の子孫、九鬼嘉明(くき よしあき)大将海軍軍令部総長に。 永野を退役に追い込んだ一人だ。 緊張しない方がおかしい。 長い間海軍の家系として人材を輩出し、ウィッチも生み出している。 由緒正しい・・・ストライクウィッチーズ世界の最古参だ。 夢幻会からしたら、本当は一人で来るなんて自殺行為に見られる。 だが、軍とは縦社会。 繋がりが薄いとはいえ、呼ばれたら行くしかないのだ。 案件が…夢幻会…に関する事ならば・・・ 「山本五十六様が、御着きになられました。」 「うむ、中に入れてくれ。」 女将に案内され、奥の離れにやってきた山本は開かれた障子の奥で、すでに一杯飲んでいる九鬼大将を見つける。 「申し訳ありません。遅れましたか?」 「いや、早めに来ていただけだ。」 そう言って九鬼は山本に座るように促す。 一度は前世で海相になった男、どっかりと座って腰を据える。 その様子を見て少しだけ笑う。 「なんでしょう?」 「いや、ずいぶん根性があるなと思ってな。」 あの動乱を、昭和世界を駆け抜けた度胸は今でも健在だ。 時に賭博的になるのは性分ではあるが・・・ 「酒はどうだ?」 「申し訳ありません。自分は下戸なので・・・」 「そうか・・・」 無言が続きしばらくすると料理が運び込まれ、食事をとり始めた。 その際に人払いをし、完全な密室とするのを忘れずに・・・ そして唐突に話しかけてきた。 「時に山本。お前はどこの派閥だ? 堀井の一派ではあるまい、佐島の一派か?」 「自分はどこの派閥でもありません。」 「ふむ。堀井の主流派、佐島の保守派とは違うと・・・お前の所属する派閥は。」 「・・・」 625 :影響を受ける人:2014/07/20(日) 12 56 31 どこまで知っているのだろうか、この御仁は? 夢幻会は、この世界でも秘密組織の様な扱いだ。 アニメ世界に来たので、より暴走を抑えるための調整機関として存在はしている。 あとは山本五十六のような、“初め転生”を経験した者の保護もある。 「そう睨むな。」 「・・・申し訳ありません。」 九鬼は御猪口の酒を一気に飲み干し、一息つく。 「当初、ワシはお前たちがこの国にとって、どういう存在となるかわからなかった。 だからこそ探りを入れてみたが、まるで分らん。 かなり大きいくせに、組織自体は新しい。 かなりの分野に散らばっていて、技術力もある。 怪しいにも程がある。だからこそ・・・儂は警戒したのだ。」 腕を組み、鋭い眼光を向ける。 「だが・・・堀井に接触したのは失敗だった。 あいつのやり方は酷過ぎる。確かにアイツの主張はわからんでもない。 だからと言って、戦犯紛いの事を・・・ あいつのやり方では、陸軍との間にヒビが入り、修復不可能になってしまう。 それを何とか収めようとしたお前達を見て、考えを変えた。 今回はその謝りをしたかったのだ。」 視線を和らげると、姿勢正して深く頭を下げた。 これには山本が焦った。 「く、九鬼大将! 顔を上げて下さい!」 「本当は頭を下げるだけでは物足らんのだが・・・」 顔を上げた茎の顔は本当に後悔しているのか、かなり暗い。 「すまんな。最近では陛下を軽んずるような発言も多くなっている。 今はこの国の未曽有の危機。何とかせねばならん・・・」 「では・・・?」 「お主らに協力しよう。儂の子飼いも何人か紹介する。」 ――――― 山本は思わぬ収穫に驚きつつも受け入れる。(もっとも内心では警戒しっぱなしだった。) 食事を終えると、すぐに夢幻会に報告するべく料亭を去っていった。 その後ろ姿を見送り、しばし酒を楽しんでいた。 「・・・どうぞ。」 「失礼します。」 彼以外居ない離れに、一人の女性が訪ねてきた。 白い九尾の女性、九曜葛葉だ。 今回の会談、彼女がお願いして実現したもの。 「まさか九曜様が直にやってくるとは。この九鬼嘉明、感無量です。」 幼い頃、数度しか逢ったことの無い伝説に再びあえて、本当にうれしそうな顔をする。 対面に座り御酌をする九曜に、大慌てで御猪口を出す。 「今回のお願い、申し訳ありません。 本当は・・・干渉しないつもりだったのですが・・・」 「いえ、いえ・・・堀井の蛮行には頭を悩ませていたのは事実です。」 注ぐのをやめると、徳利を置いてお辞儀をする。 また慌てる九鬼大将。 「大陸戦線の状況を知ると、楽観はできません。 佐島は「ウィッチさえ入ればんとかなる」と申していますが、 それほど数がいない彼女等に押し付けるのはいかがかと思っています。」 「いかに昔から対策をしていても、ウィッチとして活動できる期間延長は難しい・・・」 「ええ、それに最近では妙な一派もいると聞きます。」 「〔ウィッチ不要論〕ですね。」 「はい。誰が唱えたのか・・・まったくわかりません。 ですが、支援者はかなり少ないようです。」 「私の方でも、分体を用いて探してみます。それで、海軍の方なのですが・・・」 「お任せください。信長公より続く九鬼家当主として、もしもの時はこの首をお掛け致します。」 「・・・・・・本当に、宜しくお願い致します。こちらもなるべく補助します。」 626 :影響を受ける人:2014/07/20(日) 12 57 01 無茶をするなとは言わない。無茶をしなければならない時もあるのだ。 夢幻会をフォローする九曜の暗躍は続く。 ――大陸戦線―― 北郷隊是認がうれしそうにトラックに乗っていく。 先日、北郷章香が願い出ていた申請が通り、久しぶりに街へと向かうのだ。 彼女等の周りには狐狸部隊メンバーもいる。 「お酒買ってきて~」 「コーヒーの豆をお願い。切れちゃって・・・」 「なんか面白そうなのが有ったら、買ってきてね。」 「おやつの御菓子が切れた。お金は後で払う。」 「「「「「「・・・・・・(なんか、パシリにされているような?)」」」」」」 北郷隊学兵達は複雑な思いで、お願いを聞いていた。 「久々の休暇だから、羽を伸ばしてきてね。」 「ああ、そうするよ。」 声をかけてきた江藤敏子に、北郷章香は軽く手を上げる。 荷台に乗った美緒達は、それぞれ少しだけ私物・・・着替え持参でいる。 街に着いたら貸切の旅館に泊まり、温泉につかり、美味しい物を食べて英気を養うのだ。 特に今回、以前の美緒の活躍もあってか通常は一泊二日のだが、特別に二泊三日になった。 なので、皆は美緒に感謝しきりだ。 「それじゃぁ行くか。出してくれ。」 「了解しました。」 ここに運んできてくれた運転手が答えると、車両は走り出す。 背後から「「「お願いね~」」」という物欲共の声がかかったので、ヒラヒラとみんな手を振って去っていった。 その姿を見ながら穴吹智子は、隊員の一人がいない事に気が付いた。 「ミチルの奴・・・また整備かしら?」 「いえ、今日は銃撃だと思う。さっき銃を持っていたし。」 加東圭子がそういうと、グシャグシャと頭を掻く。 「まったくあの子は・・・」 「しかたないでしょ? 当事者が納得しない限り、って・・・」 圭子の話を無視して、ずかずかと歩きながら智子は射撃訓練場に向かった。 それを溜息と共に見送る。 そして圭子の周りに加藤武子と黒江綾香が、解散していく他の隊員の目を気にしながら集まる。 「まだ引きずっているのか?」 「ええ、そうみたい。」 「無理もない・・・だが、何時までもあのままでは・・・死ぬぞ?」 「わかってる。わかってるけど・・・」 苦悩する圭子を見て、武子と綾香も悩んでしまう。 残された者達の悩みは解けない。 以上です。 今回は風呂回だと言ったな? ごめんなさい・・・(土下座 急に書きたいもの書いたら長くなった。オリジナルキャラですけど、夢幻会の代わりに責任をとって、やめてくれる人を出しました。 登場は数回程度だけだと思いますが、どうぞ良しなに・・・ 次回こそ・・・次回こそ、風呂に入るんじゃぁぁァァァ!!! そしてアイツが登場!!
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3703.html
741 :ひゅうが:2016/08/23(火) 16 33 17 艦こ○ 神崎島ネタSS――「第二次上海事変」その8 ――同 (非公式)日本租界境界 「だそうな。」 「いやですねぇ。街道上の怪物よろしく敵を防ぎ、その先では装甲車を先頭に避難民を守りつつ撤退戦を行うとは。まるでスターリングラードだ。」 「いやいや、私たち、ドイツアバター。」 「細かいことはいいんです。バウアー中尉。」 自分たちが乗っているのもアメリカ戦車ですし。という副官相手に、バウアーは苦笑した。 妖精さんという生き物は、基本的に無個性だ。 しかし史実やどこかの平行世界から得た記憶や情報…SF的にいえばクオリァを手にすることでまるで人間のように振る舞うことになる。 実際、生物学的には人間そのものなのだ。 神崎島の住人は、そのようにして今も増えている。 「それより、間に合うと思いますか?」 「間に合わないだろうねー。」 正常性バイアスというものがある。 なまじ安定した社会に住んでしまえば、異変への対応は遅れてしまうのだ。 誰かが逃げるまで逃げない。 これは津波や増水した川における多くの悲劇を生んでいる。 戦争もこれらと基本的には同じなのだ。 「お・・・あきつ丸さんの護衛でやってきた駆逐艦が黄浦江へ突入するらしいですよ。」 「ありゃ。よくやるねー。誰?」 艦名は、とは聞かない。 「第6駆逐隊です。『暁』『響』『雷』『電』。」 「よりによってあの四人か…。大丈夫なの? うちの艦娘たちって対人戦は。」 艦娘は基本的に心優しく善良な種族である。 しかも凄惨な戦争の記憶を持っている。対人戦闘に供して悪意をぶつけられるのに慣れているのか? とバウアーはいった。 まかり間違って深海墜ちしてしまったら色々とまずい。 色々と過保護である神崎提督が、日本側の強化に乗り出したのはそうした心配もあった。 「ま、大丈夫でしょう。」 あの子たちが嫌っているのは、無意味な使いつぶしの果てに守るべき対象から石もて追われることですからね。 そう副官はいった。 「そうでなければ大楠公みたいに何度も生まれ変わって提督のもとにやってきますよ。」 「おおこわいこわい。提督は逃げられないじゃない。」 「何を今更。艦娘という存在に捧げられた生贄でもあるのが提督という職業ですよ。 むしろ神崎の大将はうまくやっている方でしょ。」 「共依存になりそうでならないからね。」 742 :ひゅうが:2016/08/23(火) 16 33 59 『隊長。こちらサトウ。』 無電が入った。 斥候に出ていた佐藤曹長だ。 『提督の悪口もいいですが、それより朗報です。 「梨屋」からの伝言です。』 「梨屋?…あの梨屋か!?」 「隊長。キャラ崩れてます。」 「うるさい。それで?」 『バンドへ向けて租界民を脱出させる手筈を整えたとのこと。さすがですな。』 「それを聞いて安心したわ。それでルートは?」 『エドワード7世通りです。爆撃を受けたところがかえって安全だそうで。』 梨屋、すなわち果物店の丁稚から身を起こした上海の顔役であり銀行経営者の杜月笙。 彼は義に篤く、いわゆる「大人(ターレン)」という中華的な大人物でもあった。 だがその裏の顔は、隋の煬帝の時代の大運河建設の労働者にその源流を持つ秘密結社のボスにして、上海の夜の支配者である。 当然ながら、租界各地で白人にやとわれる人々は彼と繋がっており、その情報網はあらゆる場所を網羅している。 「了解。まだ5万人もいるけど、とりあえず米軍上陸までそこを死守しなければいけないわけね。 上特(上海特別陸戦隊)には連絡した?」 『これからです。』 「なら早急に。徒歩(かち)では間に合わないから用意ができた車から順次発進。復唱不要。」 『了解しました。途中で中村を拾っていきます。オワリ。』 裏社会の悪党のような顔をした佐藤の顔が無線越しにも歪むのが分かり、バウアーもつられて笑った。 「というわけで、第1小隊はエドワード7世通りに布陣。上特には歩兵携行対戦車火器は…もう渡っているよね。なら陣地構築を急がせて。」 「さすがに集中しなくともいいのでは?」 「いや、避難民の群れよ?」 「ああ…それごと撃ってきますね。間違いなく。」 「まさか細い路地に戦車ってことはないでしょ。」 「あ。フラグがたった。」 「…一応、予備兵力は用意しとこうか。」 バウアーのアバターは、そうしたフラグをよくたてることで有名だった。 743 :ひゅうが:2016/08/23(火) 16 36 00 【あとがき】――作中に登場した御仁は実在します。