約 592,791 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/251.html
ゆっくりるーみあ 「なのかー」 夕闇の空のなかゆっくりるーみあが空を飛んでいた。 美しい金髪、紅く燃える瞳、ゆっくり種の中でも段違いに白く美しい肌。 ゆっくりるーみあは肉食種であるが、基本的にのんびりとしていて実にゆっくりらしい性格である。 「わはー」 笑顔ではねるゆっくりるーみあ。 宵闇ゆっくりとも言われるゆっくりるーみあにとって夕闇の時間帯は一番心躍る時間帯であるのだ。 これから来る楽しくて心地の良い夜。 西の空を眺めながら完全な日没を心待ちにしている。 地面にうつるゆっくりるーみあの影が徐々に長くなっていく。 辺りは暗さを増し、徐々に徐々にと闇が支配していった。 今夜は雲一つ無い美しい夜である。 月の蒼い光に美しい肌と金髪が生える。 さほどお腹が空いていなかったため原っぱでゆっくりと月光浴をすることにしたゆっくりるーみあ。 「きょうは満月なのかー」 紅い瞳が楽しそうに気持ち良さそうに笑う。 ゆっくりるーみあにとってここまで心地の良い夜も久しぶりだった。 ゆっくりるーみあが時を忘れ月光浴を楽しんでいると、月に黒いシルエットが横切る。 一つ、二つ、三つ、四つ。 「とりなのかー」 ゆっくりるーみあは小型の鳥も食べる。 もし捕食できるサイズだったら晩飯でもいいなと思いながらゆっくりと眺めていると、 影がこちらへと近づいてきた。 宵闇ゆっくりであるゆっくりるーみあは夜目が利く。 長く伸びた牙、奇妙な形の翼。 近づいてくるそれらがゆっくりフランであることに気づく。 「危険なのかー」 ゆっくりるーみあも肉食種であるが、同じ肉食種の、れみりゃ、フランに比べると段違いにゆっくりるーみあは弱い。 下手をすればゆっくり霊夢の群れに負ける程である。 慌てて逃げ始めるゆっくりるーみあ。 相手は肉食種最強の四匹のゆっくりフランである。 当然るーみあに勝ち目は無い。 飛び出すものの、その速度は実にゆっくりで、高スピード、高攻撃力が売りのアサルトゆっくりの異名をもつゆっくりフランから逃げ切れるはずは無い。 「ゆっくりしね!!」 上の方から叩きつけられ、錐揉み回転しながら落ちていくゆっくりるーみあ。 「やーーー、なっ!!」 鈍い音をだして叩きつけられるゆっくりるーみあ。 他のゆっくりよりも頑丈なため一命は取り留めるもののダメージは大きい。 「もうだめなのかー」 ゆっくりるーみあはもう諦めていた。 この四匹のゆっくりフラン達に食い裂かれるのだ。 ゆっくりフラン達が近づいてくる。 「うー、うー」 それぞれ楽しそうに声を上げるゆっくりフラン。 「いだぁあ!!」 ゆっくりフランがゆっくりるーみあの背中に噛み付き引きずっていく。 「うー、うー」 刺すような痛みの中捕食される恐怖に震えるるーみあ。 四匹のゆっくりフランがゆっくりるーみあを取り囲む。 ゆっくりるーみあにとっては本当に恐怖である。 「うー、うー」 首狩族のようにゆっくりるーみあの周りで声を上げながら反応を楽しむゆっくりフラン。 ゆっくりフラン、その性格が残虐と言われるのは、獲物を捕食前に甚振るのが所以である。 嗜虐心を煽るゆっくりるーみあのその様子はゆっくりフランにとって何よりのご馳走だった。 突然、ゆっくりるーみあの体に衝撃が走る。 「飛ばされるのかー」 そのまま地面に落ちころころと転がる。 「うー」 ゆっくりフランが転がってきたゆっくりるーみあに体当たりを加える。 「また飛ばされるのかー」 再び宙に舞うゆっくりるーみあ。 蹴鞠のように弄ばれるゆっくりるーみあ。 「うー、うー」 「ゆっくり死ね、ゆっくり死ね」 歓喜の声をあげるゆっくりフランとは対照に擦り傷を増やし、声をか細くしていくるーみあ。 「やめてー」 もういっその事一思いに食べて欲しかった。 残酷なゆっくりフランの仕打ちに心身ともに甚振られていく。 残酷な蹴鞠はしばらく続き、もうゆっくりるーみあは傷だらけで偶に声をあげる程になっていた。 これで仕上げとばかりに大木に向かって一匹のゆっくりフランが大木に当たるよう目一杯体当たりをする。 「ゆっくりしね!!」 渾身の体当たりを受け飛んでいくゆっくりるーみあ。 薄れ行く景色のしかしの中で迫ってくる大木が見えた。 「も、もうだめなのかー」 その様子を楽しげに見守るゆっくりフランたち。 そのとき、突然突風が吹いた。 ゆっくりるーみあは突風にその進路を変えられ、木の枝に一度引っかかったあと墜落した。 仕損じた。 その様子を見て、落下地点へと駆け寄るフランたち。 どうやら茂みに落ちたらしいが、直ぐに場所の見当が付いた。 ゆっくりるーみあがつけていたと思われる真っ赤なリボンが茂みに引っかかっていたからである。 「うー、うー」 それを見つけ仲間達を呼び寄せる。 もう、逃げる体力はあるまい、そう踏んで余裕たっぷりに茂みに集まる四匹のゆっくりフラン。 みな、にやにやしながらこれからの残酷な宴の想像をしていた。 突然茂みから黒い影が猛スピードで飛び出す。 「うーーーーーーー!!」 ゆっくりフランのうちの一匹が大きな悲鳴を上げた。 仲間達が悲鳴の先を見ると、リボンが外れたゆっくりるーみあがフランに喰らい付いている。 「がっ、がっ」 何故弱小種であるはずのゆっくりるーみあが仲間を? 三匹のゆっくりフラン達が呆然としている間に、ゆっくりるーみあがゆっくりフランの頬を噛み切った。 「うーーーーーっ!!」 今まで外敵に攻撃など受けたことの無いゆっくりフランである。 大きな混乱に包まれていた。 口の端から餡子を漏らしながら美味しそうに咀嚼するるーみあ。 仲間が固まっているうちに、震えるばかりのゆっくりフランに噛み付いては、引きちぎり、噛み付いては引きちぎり。 もうゆっくりフランは見る影も無く、皮と餡子の塊に成れ果てていた。 「ゆっくりしてくのかー」 先ほどとは別ゆっくりのような様子のゆっくりるーみあに突進していく一匹のゆっくりフラン。 このゆっくりフランはゆっくりるーみあに同胞が負けたのは奇襲のせいだと踏んだのだ。 遺されたフランたちは判断を誤った。 「うーーー」 一直線にゆっくりるーみあに向かっていくゆっくりフラン。 衝突すると思った次の瞬間。 「うっ!!」 ゆっくりるーみあは消え冷たい土の感触。 「うっ!? うっ!?」 混乱しながら辺りを見回すゆっくりフラン。 そのとき上に気配を感じた。 「う?」 上を見上げたときにはもう遅い。 上空から自重と重力を利用して突っ込んでくるゆっくりるーみあ。 「ぶべぇ!!」 二匹目のゆっくりフランも醜く餡子を漏らし潰れた。 一瞬で最強種といっても過言ではないゆっくりフランを絶命させたゆっくりるーみあ。 「あわわわわわわ」 目を見開き、口を広げ震える二匹のフランに向き直るゆっくりるーみあ。 真っ赤に燃える瞳は地獄のよう。 普通のゆっくりるーみあとはもはや別種と言っていいほど、雰囲気が変わっていた。 ゆっくりるーみあには震えながら羽を広げる姿が十字架のように見えた。 「フランは磔にされました?」 そう笑い声を上げるゆっくりるーみあ。 ゆっくりフランが別々の方向へと逃げ出した。 「ううーー、うー」 そのゆっくりフランは全速力で夜の闇を飛んでいた。 理解できなかった。 なぜ弱小種であるるーみあにここまでフランたちが圧倒されたのか。 そのときゆっくりフランは初めて恐怖という感情を覚えた。 いままで、自分達に追い詰められた獲物は成す術も無く甚振られ死んでいった。 反撃を試みてくる種もいたが、全て一蹴にした。 なのになぜ、あいつは、あいつは。 「うーっ!!」 遠くから、同種のものと思われる悲鳴が聞こえた。 どうやら自分はターゲットにされなかったようだと、安堵のため息をつくゆっくりフラン。 自分は助かった。 当分は湖周辺に篭ろう。 そうだ、ゆっくりれみりゃたちを苛めて楽しく過ごせばいいのだ、 「なんで、逃げるの」 突然後ろから声がした。 忘れもしないあのゆっくりるーみあの残酷でよく通る冷たい声。 緊張で再びピーンと羽を広げるフラン。 くすくす、という笑い声の後 「フランは磔にされました」 それがゆっくりフランが聞いた最後の音であった。 ゆっくり大辞典:ゆっくりるーみあ 夜行性かつ肉食だが大概のるみーあ種はのんびりとした性格で ゆっくりを捕食するよりも小型動物や昆虫を食し、月夜の晩にゆっくりとしていることが多い。 しかし、頭部のリボンが外れた場合、運動能力が増し上位肉食種と拮抗して戦闘する事例も報告されている その日も綺麗な満月だった。 リボンをつけていないゆっくりるーみあは月光を浴びながら、原っぱで気持ち良さそうにゆっくりとしていた。 written by TAKATA
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/752.html
ゆっくり専用動物病院「ゆっくりにっく」 助手を募集しています。 資格も不要で、経験は問いません。 可愛いゆっくり達と楽しくお仕事をしませんか? 俺が手に取ったチラシにそんな文句が踊っていた。 近所で何か建物を作っていると思っていたが、ゆっくり専用の病院だったとは。 ゆっくりといえば、その姿を見ただけで踏み潰す人間もいる一方、その可愛さに惚れ込みペットにする輩もいるという。 近頃では、傍若無人なゆっくりをペット用に躾けるブリーダー、通称ゆっくりブリーダーなるものもいるらしい。 「時給もなかなか良さげだしなあ・・・」 ふと、目が隣の部屋に続く扉に向く。 あの部屋には20匹近くのゆっくり霊夢が閉じ込められている。 気が向いたときに、いつでも潰して遊べるようにしているのだが、いかんせん維持費が高くつく。 親の遺産でまったり生活しているニートの俺には痛い出費だ。 そう、俺にとってはゆっくりなど、ただ潰して遊ぶためだけの道具だ。 患畜である「しあわせー」なゆっくりなんて見たら思わず殺してしまいそうだ。 やめとくか、そう思っていると飼っている猫が擦り寄ってきた。 それと同時に気が付く。 「そういえばお前、お医者さん嫌いだもんなあ。注射は痛いだろうけど、あれはお前のためなんだよ」 「にゃー」 そう、飼い主にとっては善意でも、実際に注射されたり腹を割かれるのはペットなのだ。 ゆっくりの知能など、猫とたいして変わらないはずだ。 きっと、なぜ痛い思いをさせられているのか理解できないだろう。 幸せいっぱいで育ったゆっくりへの「虐待」が見られる場所なのかもしれない。 俺はゆっくりにっくの住所を確認し、家を出た。 「さっそくだけど、これからいいかな?人手が不足しててね」 面接を終えると、そんなことを言われた。 「はい。よろしくお願いします」 ゆっくりのお医者さんは、ごく普通の白衣を着たごく普通の男性だった。 面接をした事務室から出て、受付に移動する。 「まだ受付も雇ってなくてね。これだけ記入してもらって、診療室まで来てもらってくれ。」 渡されたのは、簡易カルテ。 10分前までごく一般的な虐待お兄さんだった俺にいきなり仕事を任せるなんて、本当に人手が足りていない病院だと思う。 簡易カルテを見ると、いくつか記入してもらう項目がある。 飼い主の名前、住所、ゆっくりの種類と年齢など、本当に簡単なものだ。 病院に来た理由を書く欄はなかったので、診療室で最初から話を聞くのだろう。 お客さん(患者)が1人もいなかったので、俺は受付に乗ったゆっくり魔理沙の人形をつついて遊んでいた。 カランコロン。 喫茶店に入ったときのような音が鳴り、扉が開いた。 「こんにちは。初めてなんですけど」 「ゆっくりしていってね!!!」 現れたのは身なりの良い、着物がよく似合ったご婦人。 胸の前で抱えていたのはゆっくり霊夢だ。 ソフトボールより一回り小さいので、おそらく今年生まれた子供だろう。 「では、こちらにご記入いただけますか?」 受付カウンター越しに、簡易カルテと鉛筆を渡す。 「ゆゆっ?これはゆっくりできるもの?」 興味津々に、子れいむは簡易カルテを見ている。 ぷっくりとした体。 瞳は綺麗で、髪の毛のツヤも申し分ない。 リボンの手入れもきちんとされているようで、鮮やかな赤が美しい。 潰しがいがありそうだ、無意識に拳が固くなっていた。 「――っと」 俺は今、助手なのだからそんなことをしてはダメだ。 固くなっていた拳を緩め、子れいむに微笑んだ。 「ゆっくりしようね!!」 ああ、殺したい。 「書き終わりました」 女性が簡易カルテと鉛筆を受付カウンターに置く。 生後3ヶ月。 子れいむは予想したとおり、今年生まれたゆっくりであった。 記載漏れがないことを確認し、俺は女性を診療室へと導いた。 「・・・・というわけで、ウチのれいむにワクチンをお願いしたいんです」 「ははぁ、なるほど」 先生と対面した女性は、退屈していた子れいむを撫でている。 俺は先生の横で話を聞いていた。 女性は、予防接種のために来院したのだ。 最近、この子れいむに野生のゆっくり魔理沙の友達ができたため、感染症を心配したとのこと。 それに夏も近くなり、フィラリアのことも心配だったらしい。 「接種はしますが、あまり野生のゆっくりと遊ばせるのはお薦めできませんね」 「そうですか?」 「遊んでいるつもりでも、ケガをすることもありますし。ケガの箇所を舐めることで感染することがよくあるんですよ」 「でも接種をすれば予防できるのでしょう?」 「いえ、予防接種と言っても全てが予防できるワケではないんですよ。いわゆる、ゆっくりエイズなんかは予防できません」 「まあ」 「他にもいくつか予防できないものがありますので、室内飼いをしたほうがれいむちゃんのためです」 なんだか講座めいたことをやっているが、そんなことはどうでもいい。 注射ではあまり苦しまないではないか。 もっと、拷問のような治療をやって欲しいものだ。 「では、注射をしますか。鬼井君、ちょっとこちらのれいむちゃんを押さえててもらえますか」 「あ、はい」 妄想の中で子れいむを潰していたので、いきなり名前を呼ばれてびっくりした。 俺は女性に差し出された子れいむを、台の上に乗せ、押さえつけた。 「ゆ?おにいさんなにをするの?ゆっくりはなしてね!」 「ちょっと痛いけどゆっくり我慢してね!」 ついついテンションが上がってしまう。 うっかり出てしまったゆっくり口調を、少し反省する。 「ゆゆう!おかあさんたすけて!!ゆっくりできないよ!!」 子れいむが女性に助けを求める。 しかし、これは子れいむの為の処置だ。止めるはずがない。 それにしても、おかあさん、と呼ばれているということは産まれたてを貰ったのだろうか。 「れいむ、我慢してね。そしたら美味しいお刺身を食べさせてあげるから」 その子れいむに、先生の握った注射器が子れいむの額に刺さった。 刺さった細い針は、皮を乗り越え餡子まで進んでいく。 「ゆぎぃいいいっ!!!いぢゃいよぉぉおおおっ!!!!ゆっぐじできないおおおおお!!!!」 手に、逃げようとする子れいむの力を感じた。 それに負けじと俺も力を込める。 「ゆっぎ!!ゆぎいいぃいぃい!!!」 いつの間にか、女性は部屋の隅で耳を押さえていた。 可愛がっている子れいむの叫びは聞きたくないらしい。 こんなに可愛い声で鳴いているのに、酷い飼い主だな。 子れいむを押さえている手には、ぬるぬるとした不気味な体液が溢れている。 涙が台に流れ、まるでおしっこを漏らしたようだ。 「ゆっびひぃ!!!いだいいいい!!!!」 それにしても、たった一本、それもこんな細い針でここまで痛がるなんて、弱いゆっくりとしか思えない。 俺が幽閉しているゆっくり霊夢だったら、こんな針じゃここまで鳴いてくれない。 野生のゆっくりでもここまで騒ぐかは疑問だ。 先生が注射器の後部を押し、ワクチンの注入を始めるとさらに子れいむは声を荒げた。 「ゆっぎゅああっぁあぁ!!!!いぢゃいのおおおっ!!!!おがああざんん!!!だずげでええ!!!」 ワクチンの増加分を吐き出すように、涙をこぼしている。 「れいむごめんね・・・!ごめんね・・!ちょっとだけ我慢してね・・・!」 部屋の隅で女性がぶつぶつ呟いていた。 「おがあああざああああん!!!!どうぢでえええ!?!?!どうぢでれいむをおぉおおお!!!??」 信頼していたお母さん。 目の前にいるのに助けてくれないお母さん。 子れいむは何も理解できなかった。 「はい、終わりだよ」 先生が注射器を抜くと、子れいむはグッタリと仰向けに倒れた。 額を見ていると穴はすぐにふさがった。 こんな小さな穴は特に治療しなくても、すぐ再生できるようだ。 「ごめんね、れいむ。大丈夫だった?」 女性がぐったりとした子れいむを手に取る。 「ゆ・・・・どうじで・・・?どうじで・・・?」 子れいむの中には、自分を助けてくれなかった女性への不信感が蠢いていた。 「このあと、たっぷり可愛がってあげてください。すぐ忘れますよ」 慣れているのか、先生のフォローが入る。 女性はそれに納得し、その場で料金を支払い帰っていった。 「鬼井君、はじめての助手体験はどうだったかい?」 俺が手についた子れいむの体液を洗っていると、先生が話しかけてきた。 「あのれいむ凄い、悲鳴でしたね。結構びっくりでしたよ」 「ペットのゆっくりはあまり痛い思いをしないからね」 「ですよね。野生のだったらあそこまでは騒ぎませんよ」 一瞬、先生の眼が鋭くなったのを感じた。 虐待お兄さんということがバレたのかと不安になる。 「あの叫び声に嫌になる人も多いからね。人が不足して困るよ」 確かに、ゆっくり好きならこの職場は地獄だろう。 可愛いゆっくり達が次々に泣き叫ぶのだ。 「ちょうどいいから、次の手術を手伝ってもらおうかな。ゆっくりには麻酔が効かないから・・・悲鳴を覚悟してね」 俺の返事もまたずに、先生は奥の部屋へと消えた。 手術。 なんて心躍る単語だろう。 覚悟どころか、俺は興奮して震え始めていた。 「ゆ!はやくここから出してね!!おにいさんのおウチに帰してね!!」 ケージに入れられて運ばれてきたのは、バレーボールサイズのゆっくり魔理沙。 成体といえる大きさだ。 黒光りする帽子、やわらかそうな皮に、しなやかな金髪。 非常にゆっくりしたゆっくり魔理沙だ。 実に美しい。 「これは今朝連れてこられたゆっくり魔理沙だよ。一人じゃ苦労するからね。本当助かるよ」 成まりさをケージから出した先生が言う。 鉄製の皿のようなものに粘着質のある液を流し込むと、先生はそれを成まりさの底部に貼り付けた 動けなくするための道具だろう。 「ゆ!?動けないよ!!ゆっくりできない!!!」 なんとか逃げようとしているが、完全に固定されて成まりさは動けない。 「先生、何の手術をするんですか?」 素人目だが、この成まりさは病気をしているようには見えない。 声も大きいし、体もしっかりしている。 「避妊手術だよ」 なるほど。 ポン、と手を打った。 「虚勢手術ではないから、どちらかと言えば楽だよ」 「交尾はできるけど、妊娠できないようにするんですか?」 やりチンまりさにするのだろうか。 「まさにその通りだよ」 「でも、それなら虚勢手術もしちゃえばいいのでは?なぜ避妊手術だけを?」 子供がいらないなら、両方処置しておけばいいのに。 「ゆっくりは母体をすると危険だろ?」 「そうですね。若かったり、体力が落ちてたら死にますよね」 一時期、無理矢理交尾させて殺すことがマイブームになったのでよく知っていた。 この成まりさくらい大きければ耐えられるが、あまり一度に回数をこなすと栄養失調なのか、黒ずんで朽ち果ててしまう。 「だから野生のゆっくりに襲われたときに備えて、避妊手術するんだ」 「はい」 「でも、飼い主さんの中には可愛がってるゆっくりの赤ちゃんが見たい人もいるわけだ」 「そうでしょうね」 「そんなときは、適当な母体を捕まえて自分のゆっくりと交尾させるんだよ。母体にはなれないけど、交尾はできるから」 「ああ、なるほど」 飼い主のエゴにも思えるが、所詮ゆっくりなので同情もしない。 殺されるにしろ、可愛がられるにしろ、人間を喜ばせるだけの道具なのだから。 「ゆ!まりさに何をする気なの!?」 交わされる会話から恐怖を感じたのだろう。 動けない成まりさが顔を青くしている。 先生はそんな成まりさの目の前に、箱を置いた。 「これが、手術器具だよ」 箱から出てきたのは、先端が尖った鉄の棒。 長さは30センチメートルほどしかないが、太さは小学生の腕ほどもある。 俺は思わず唾を飲み込んだ。 「では、さっそく始めようか」 「はい、先生」 つづく。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/147.html
近頃巷で流行ってるゆっくりなる生物 こいつらは人の畑を荒らし、おまけに堂々と自分の家だとか抜かしやがる。そのため農民たちに嫌われていた。 もちろん、俺もこいつらは大嫌いだが感謝もしている。 理由は簡単。こいつらのお蔭で俺は生計を立てているからだ。 こいつらが大量発生する前俺はただの農民だった。少し外れに住んでいたが妖怪が襲いに来るわけでもなく、日々の糧を農業によって得ていた。 しかし、去年の秋ゆっくりどもが大量発生したとき真っ先に被害にあったのは森に近い俺の畑だった。 秋の収穫も目前のある日、俺は作物の様子を確認するために畑へ向かった。ちなみに俺が育てていたのはさつまいも今年は天候も良く豊作だと思っていた。 しかし、畑で俺を待っていたのは食い荒らされた芋とそこでぴょんぴょん跳ねるゆっくり達だった。 呆然としながら近付くとこっちに気がついたのか赤いリボンをしたゆっくりが「ゆっくりしていってね!!」と言ってくる。それにつられて周りの黒いのや「ちーんぽ!」とか抜かすゆっくり達が俺に向かって「ゆっくりしていってね!!」と言ってくる。 しばらく呆気にとられた俺だが冷静になるとさっそく目の前の赤いリボンをしたのを持っていたスコップで叩き潰す。「ゆ”っぐヴぇ!」と気持ち悪い声をあげて潰れるゆっくり 直ちに周りのゆっくりが抗議の声を上げる「ひどい!ゆっくりさせてね!」「ゆっくりあやまってね!!」 煩い 黙れゴミ ただただムカついた こんな饅頭共に俺が丹精こめてつくった芋を食われたのかと、俺はこの冬どう過ごせばいいのかと そのまま近くにいた銀髪のゆっくりを叩き潰す「ぢーんっぶぇ!!」さすがにゆっくりも危険だと気がついたらしい「ゆっくり逃げてね!!」と黒い奴の号令で一斉に逃げだした。 そのまま追いかけて何匹かつぶすが首謀者のようだった黒い奴をはじめとして何匹かには逃げられてしまった。 俺は殺したゆっくりを処分すると、そのまま情報通の友人である霖之助のもとへと向かった。 「それは災難だったね。」お茶を出しながら霖之助が言う。 「ああ、まったくもって腹立たしい。で、霖之助あれはいったいなんなんだ?」霖之助も詳しいことは知らないようだったが概要を説明してくれた。あれが突然発生したということ。一番多いのはさっきの赤いリボンのと黒い奴でそれぞれ霊夢種と魔理沙種らしいがその他にもいろいろな種類がいるらしいこと。そして、雑食性のためあちこちで被害が出ていることも。 「そうか…俺のところだけじゃないのか…」あんな奴らが人間に迷惑をかけてるのかと考えるとイライラした。 「妖怪の間でも被害にあう子が増えてるらしいよ。そのたび駆除してるけどあまりにも繁殖が早く何回も来るとか」 「どうにかできないのか?」 「僕だけじゃね…あ、でも君これからの冬仕事がいるんだろ?」 「ああ、あの糞饅頭のせいでな」 「だったらピッタリのものがある!少し待っててくれ。」というと奥の倉庫に行ってしまった。 このゆっくりの話と冬の仕事と何がつながるのだろうか?と考えていると霖之助が何やら銃のようなものを取り出してきた。 「ちょうどよかった。君確かパチンコとか得意だったよな?」 「ずいぶんと昔のことを持ち出すな。まあ、確かにお前も含めてあのころ遊んだ仲間の中では一番だったな。」 「ならちょうどいい。この銃は繚乱の対弩と言って外の世界ではモンスターを狩るために使うらしい。」 「モンスター?」 「妖怪のようなものだろう。それにこれは、虫退治とかにも使うらしい。そのうえ弾は自然の草とか魚からできているからゆっくりを処分したあとそのまま畑に埋めれば肥料になるんだ。」 「で、これと俺の仕事の話は?」 「だから、君がこれを使ってゆっくりを処分してけばいいんだよ。これからどんどんゆっくりがらみの問題は増えるだろうし新しい職業になるかもしれないぞ。」 確かにそれはいい考えだと思った。ストレス解消にもなるしみんなにも感謝される最高の仕事だ。しかし… 「でも、俺は今そんなものを買うほどの余裕はないんだが…」この銃はどう見ても高そうである。しかも珍しい物好きの霖之助のことだそんなに安くはしてくれないだろう。 「一昔前ならそうだろうけどね。なぜか今年の3月の終わりから大量にこんな銃が流れ込んできたんだ。」 「外から?何かあったのか?」 「僕のお店の常連の妖怪さんは何でも「ああ、そういえば新発売ね。ボウガンは強化できないのよねー。」とか言ってたが」 「よく意味がわからんな。」 「僕もだよ。でもそのおかげで僕の倉庫は似たようなのでいっぱいなんだ。友達のよしみもあるし、とりあえず出世払いでいいよ。」 持つべきものは良い友達だ。そのまま霖之助に使い方を教えてもらい一通りの弾を貰うと、俺は早速村の中心に行き集会所に「ゆっくり退治お任せください。詳細は○○まで」と看板を立てて置いた。 2日後早速依頼が舞い込んだ。はじめに潰したとき何でも黒大福(魔理沙種とか言ったか?)を逃がしてしまったらしくそいつが仲間を引き連れて何回か襲撃に来たらしい。 「報酬は今年の収穫の十分の一でよろしいでしょうか?」裕福そうな依頼人だ。事実ここらでは一番の地主らしい。 「はい十分です。ゆっくりが来るのはこの畑ですか?」 「はい。何箇所か畑を持っているのでこの畑にばかり構ってられないのです。」 「了解しました。では、今日はこのままここに張り込ませてもらいます。大丈夫だと思いますが巻き込まれないように近寄らないようにお願いします」 ゆっくりが来るのは夜明けらしいのでそのまま張り込む。ゆっくりは動いてないものを認識しづらいらしくこのまま動かずに来たら狙撃するのが一番効率がいいと判断したからだ。 そして、そのままそこで仮眠をとり空が少し白み始める頃、あの耳障りな声が耳に響いた。 「今日もゆっくり食べようね!!」「朝ならあの人間もいないもんね!」「ここは霊夢たちのゆっくりポイントなのにね!!」「「「「ねー!!」」」 どうやら今日の標的は3匹らしい。魔理沙種と霊夢種とパチュリー種のようだ。 俺は息をひそめて銃弾をリロードする。とりあえず今回用意してみたのは散弾と徹甲榴弾である。そしてゆっくりが範囲内に入る。そしてどう仕留めるか考える。何回かの襲撃で知恵を少しはつけたらしく人間の気配を感じたらあっという間に逃げてしまうらしい。そこで俺はとりあえず固まってる霊夢とパチュリーを散弾の連射で仕留め魔理沙を徹甲榴弾で仕留めることにした。 スコープを覗き狙いをつける。と同時に徹甲榴弾のリロードの準備を整える。 3…まだ早い2…もう少しだ1…狙いを定める 「ゆ”ぐぐぐぐっぐ?!」「む”ぎゅぐげぐぐ!」散弾の連射を急に浴びた二匹のゆっくりまだ息はあるようだがもう動けまい。と同時に、「ゆっくり死んでてね!」と薄情な言葉を吐き黒大福が一目散に逃げ出す。 俺は徹甲榴弾をリロードすると同時にただちに黒大福を追いかける。 「ゆ”ぐっり”ざぜでえ”えええ”!」「ゆっっぐりじだっがだっよお!」後ろから二匹の声が聞こえるが無視する。 「ゆっくりしていってね!!」黒大福も意外と早く距離はなかなか縮まらない。だが徹甲榴弾は距離を関係としない威力をもつ。俺は森に逃げ込む直前の黒大福に向け徹甲榴弾を撃った。命中! 「ゆ?」徹甲榴弾は当たった時には大したダメージはない。「ゆっくりしていってね!!」人を小馬鹿にしたように森へ逃げ込むゆっくり。その時の顔はまさに勝ち誇った顔であった。おそらく森の中では逃げ切れると思ったのだろう。 確かに、その推測は正しい。森に逃げ込まれたらボウガンで仕留めるのは難しい。しかし、もうすでにやることは終わっている。 もう一回黒大福が満面の笑みで飛び跳ねる。だが、それと同時に発せられたはずのお決まりの文句は最後まで言い切られることはなかった。 「ゆっくりしてっぶっ!」次の瞬間ゆっくりの体が弾け飛ぶ。徹甲榴弾は命中した後爆発する弾である。見事真ん中に命中しやわらかい餡子の真ん中で止まった弾は爆発しゆっくりの体を四散させたというわけである。 こうして、ゆっくりを仕留めた俺は畑に戻り息も絶え絶えの二匹のゆっくりを生かしたまま畑に埋める。「ゆ”っゆ”っゆ”」「む”ぐむ”ぐぐぐ」とか最早意味のわからない言葉をあげていたが畑に埋めると声がしなくなった。 「ありがとうございました。あの黒大福がリーダーで引き連れてくるらしく狙っていたのですが警戒心が強くなかなか仕留められなかったのです。」 「いえ、私もこの仕事のおかげで冬を過ごせそうです。後、なにかゆっくりで困ってる人がいたら是非私のことを紹介してください」 「ええ、もちろんですとも。集会所で広めておきましょう。」 こうして、俺の仕事はウナギ登りに増えていった。そのうちゆっくり加工所から希少種の捕獲を頼まれることも多くなった。 そして今日も俺はボウガンを片手にゆっくりを狩る。最近では俺のまねごとを始めるを始める奴も増え始め、集会所は依頼を取りまとめる場所になっている。 そして、いつしか人は俺のことをこう呼び始めた「ゆっくりハンター」と。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ あとがきのようなもの ここまでお付き合いいただきありがとうございました。 元ネタは見ての通りモンスターハンターからです。今度は捕獲クエストで一本書こうと思っています
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1371.html
「ホホホホ....よくぞいらっしゃいました。さて今日はどんなご用件で?ああ?猟ゆっくりをご覧になりたいと承知しました。ではこちらへ」 私はある興味深い話を聞いて里にほど近い廃農場を改築してできたゆっくりの養成所に来ていた。 「ここ最近ゆっくりの駆除数は多くなってますが、ゆっくり全体で見れば統計上減るどころかむしろ増えてるのが現状です なにしろあれはゴキb・・・失礼雑草のようなものですからねホホホホ...それはともかく減らないのは駆除の仕方に問題があるからなのです。 臭いものは元から断つのが一番。巣を見つけてコロニーごと叩きつぶすのが最も効果的と言うわけですなホホホホ.... しかし人間では隠れたゆっくりの巣を見つけるのは難しい。そこでわたくしめはゆっくりにやらせてみればと思いついたのです つまりはコペルニクス的思考転換と・・・オホン、まぁ毒を以て毒を制すと言う訳ですな」 歩きながらの男の説明終わったあたりでガラスの向こうに厩舎らしき場所にいくつもの鉄柵の囲いがいくつもある場所にきた 「ここは未来の生まれたばかりの猟ゆっくりの卵たちを育てる場所でございます。猟ゆっくりというのは若いうちから育てないといけません。 ま、当然ですな…躯が大きくなると態度も大きくなって育てるのも難しいですからなホホホホ....」 一つ囲いの中には大体5~6匹のちびゆっくり達が居る。まだビー玉大から野球ボール程の大きさの様々の子ゆっくりが飼育されている 「ゆっ!」 「ゆ~ゆゆ~♪」 まだまだ子供なのでどれも元気に跳ねまわったり、歌ったり、仲間同士で追いかけっこっしたり藁の上で飛び跳ねたりして遊んでいる。 「猟ゆっくりと言うのは全てのゆっくりがなれるものでは有りません。ここは適性があるかどうかを調べる場でもあるのです。おや… そろそろ時間の様ですな」 案内をしている男がそう言うと厩舎内のベルが鳴り始めた。すると周囲のゆっくり達が急に騒ぎ始めゆっくり達の大合唱が始まった 「ゆ!ゴハン~!」 「おなかしゅいたよ!はやくれいむにごはんをちょうだいね!」 白衣を着た男達がバケツを抱えてやってきた。男たちは囲いの前に立つと餌をエサ入れに流し込む。よく観察してみると小さいゆっくりの 囲いには大量の餌を入れているが、比較的育っている子ゆっくりの方にはその半分かそれ以下しか入れていない。明らかに囲いの中の ゆっくり達の十分の量なエサではない。どういう訳か尋ねてみる 「ホホホ...よくぞお気づきになられました。これも適性を図るプロセスの一つなのです。まぁこちらをご覧ください」 私は案内役に促され今白衣の男が給餌している一つの囲いを覗く。中では3匹の子ゆっくりれいむと2匹のゆっくりまりさ達がエサ台の前に集まっていた。 「ゆ!きょうはきのうよりごはんがすくないよ!おじさんごはんもっとちょうだい!」 一匹の子れいむが声を上げる。しかし白衣の男は次の囲いの給餌に行って既に居ない 5匹はゆーゆーと不満の声を上げていたが 「だいじょうぶだよ。わければみんなたべれるよ」 と5匹の中で2番目に大きいれいむが提案する 「みんなでいっちょでたべればおいちいよ!」 「そうだね!」 と嬉しそうに飛び跳ねながら口々に声を上げる3匹のれいむとまりさ 「そんなのぜったいやだよ!おっきなまりさはわけたらまんぞくできないよ。」 一番大きいまりさが異を唱えた 「ねんちょうしゃのいうことはぜったいだよ!」 それに3番目に大きいれいむが一番大きいまりさの横で援護する。こいつはどうも一番大きい奴の側らしい 「でもみんなでわけないとゆっくりできないよ!」 「そうだよ!」 口ぐちと非難をあげる3匹 「ちっちゃいくせなまいきだよ!まりさをうやまわないれいむはしね!」 そう言うとガキ大将は他の3匹を跳ね飛ばす。 「ゆぎゃっ!」 「い゛た゛い゛よぉぉぉ!!」 「ゆ゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅ」 3匹と言えど体格差ではまりさには足元に及ばず成す術もない 「おねえちゃんのいうこときけないけっかがそれだよ!」 と言ってガキ大将の側についてた腰ぎんちゃくのれいむが跳ね飛ばされて動けないゆっくり達の傍で芥悪態を付く 結局餌はガキ大将まりさが総取りし、そのおこぼれを腰ぎんちゃくのれいむが食べていた 「ハフッハフッ!めっちゃうめ!」 「しあわせ~♪」 「おなかすいたよぉ~…」 「ずるいよぉ~…」 「ゅぅ…」 残る3匹はおこぼれすら貰えずその様子を見て愚痴ることしかできなかった。しかし空腹に耐えられず敷いてある稲藁を力なく 食み始めた 「さてお客様ここで一つクイズです。この5匹の中猟ゆっくりの適性があるのはどれだと思いますか?」 私はおそらく一番大きいゆっくりまりさでないかと答えた 「なるほど…ホホホ、それでは選別を行いますのでしばしお待ちください」 案内役はジェスチャーで指示を出すと、一人の白衣の男が今みていたゆっくり達の囲いにやってきた。 「ゆ?おじさんこんどはでざーと?はやくだしてね!」 ガキ大将まりさは開口一番生意気な口を叩く。白衣の男は何かを取り出す 「じらさないでまりさのためにはやくちょうだいね!」 白衣の男は表情一つ変えず何かをまりさの口に素早く突き出す そばで大きな口を開けて餌をねだる口には餌の代わりに尖った鋭い棒が刺さる 「げぶぁッ!」 後頭部に突如風穴を開けられるガキ大将まりさ 「どぉぼでぃでぇぎょんぼどずるのぉ...」 ガキ大将まりさにさした棒を引き抜き何度も突くのが繰り返される 「ゆ゛…ふ゛り…たか…よ」 何かを言い残し息絶えるガキ大将まりさ 「ざまぁだね!」 「いじわるなまりさしんでね!」 それを見たガキ大将に跳ね飛ばされてた3匹のゆっくりは嬉々として飛び跳ねる 「ホホホホ....お客様残念ですが不正解です。あのゆっくりまりさは体格や強さなどは申し分ありませんが、猟ゆっくりに求められるのは、 他の猟ゆっくりとの協調性と主人への忠誠心。 ゆっくり狩りというのはゆっくりの集団を追い込み仕留めるのを目的しております。 単独では難しいので普通はチームを組むのが基本です、お山の大将など必要ありません。強さなどは二の次…そんなものは訓練次第でどうでもなります。無論同族食いする様なのはNGですぞ。例えば10匹の群れを追うのに1匹に食いついて9匹を逃すようなのを猟ゆっくりとは言えませんからねホホホホ....。 それと人を小馬鹿にするようなことを堂々と言うゆっくりが主人の言う事など聞くはずありませんからねぇ。当然ダメ おっと何時までもここで時間を取ってたら昼になってしまいますな。それでは次に参りましょう、ホホホホ....」 案内役は私を次の部屋へ案内する。次は猟ゆっくりに選ばれた奴らが野生のゆっくりの巣の追跡や集団を追い込む 訓練が見れるらしい このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1619.html
餡動戦士ゆんだむⅣ 逆襲のゆっくり 22KB 虐待-凄惨 悲劇 理不尽 現代 虐待人間 人間さんのうんしー注意 ゆんだむ、第4部であります。 ほんとはここで終わらすつもりだったのに、また途中が長くなりすぎ、 つづくことになってしまった…。でも、次こそ最終回です。 という訳で、4部になっても、まだゆんだむは出て来ません…。 でも、虐待は結構やってるので、むっきゅり許してね! はじめ、誰一人としてぱちゅりーの言っている事が、さっぱり分からなかった。 ぱちゅりーは尚も、重大な事態に瀕した群れの長として、 重大な決断を下したことの余韻に浸るかのように、深刻な顔で夜空を見上げたまま、 動かず、それ以上言葉を継ごうとも、しなかった。 他の皆はと言えば、怪訝な表情をして、ぱちゅりーを見つめていることしか、できない。 そのうち、群れの間に、沈黙と共に、妙な空気が流れ始める。 その気まずい沈黙に耐え切れなくなった一匹のれいむが、口を開こうとした。 が、同時にありすが、ハッと気が付いた。最初にぱちゅりーと同行していた、 あのありすである。 「まっ、まさか…おさ!アレをつかうの……?」 「ゆゆ?ありす、なにかしってるの…?しってるなら、ゆっくりしないで さっさとれいむにおしえてね!」 にわかに、皆の注目を浴びるありす。 群れのゆっくり達は、尚ももったいぶる様子のぱちゅりーに痺れを切らし、 ありすに詰め寄ろうとする。 しかし、その時いよいよ、皆に全てを明かすべく、ぱちゅりーが前へ進み出た。 「むきゅっ!みんな、むっきゅりきいてね!…そうよ、ありす、そのとおりなのよ。 ぱちゅりーたちは、『きみつぶんしょ』をつかって『ゆんだむ』をつくり、そして…」 その後にぱちゅりーの口から発せられた言葉は、群れの全員を、一匹残らず驚愕させるに、 十分だった。 「にんげんさんたちを…たおすのよ……!」 ざわ… ざわ… ざわ… 「ゆゆうっ!?にんげんさんたちを、たおす…!?」 たちまち、しわぶき一つない沈黙に支配されていた会議場は、 騒然となり、ゆっくり達はてんでに、勝手に取沙汰を始め、となりの者と、 「おさのいってることはほんとうなの?」「そんなばかな…」などと、 がやがやしゃべり始めた。 「むきゅっ!みんなしずかに!おちついて!むっきゅりきいてね!」 ぱちゅりーは両おさげを上げて、皆を制した。てんでな取沙汰がやみ、 再び場が静かになったとみて、また話し始めた。 「みんな、すぐにはしんじられないのは、わかるわ。だけどね、これからぱちゅがはなすことは、 まぎれもない、むっきゅりしんじつなのよ」 「ぱちゅたちは、このあいだのおしごとでなんでもやまにいったとき、この『きみつぶんしょ』を、 みつけたのよ」 そう言うと、ぱちゅりーは帽子の中から取り出した絵本を、皆に見えるように、掲げて持った。 「これは、ほんらいとてもむっきゅりできない、おそろしいものだから、みんなには ないしょにしてたんだけど…。」 「こうなってしまっては、もうこのちからをつかうしかない…。 あるいは、これをつかうことで、ぱちゅりーたちは、みんなえいえんにむっきゅりすることに、 なってしまうかもしれない。だけど、にんげんさんをたおしてむっきゅりむらをもとどおりの とてもむっきゅりしたむっきゅりぷれいすにもどすには、もう、これしかないのよ…!」 そこまで聞いても、実際の所、全員に目に見えるような、かんばしい反応があった、 という訳ではなかった。むしろ、いきなりぱちゅりー種以外にはあまり馴染みも、興味も無い 『きみつぶんしょ』と称する本を見せられても、一体そんな物でなにがどうなって 人間さんを倒せるのか、全く分からなかったのである。 「おさ…。いったい、なにをいってるのぜ?ばかなのぜ?しぬのぜ? そんなものでなぐったって、にんげんさんをたおせるわけが、ないにきまってるのぜ?」 皆が当然思っているであろうことを、ぱちゅりーの近くにいたまりさが、口に出した。 「むきゅ…それは、もちろんそうね。だって、これは、ごほんであって、ぶきではないんだもの。 ただ、このごほんにかいてあるとおりに、つくれば…そのときこそ、 にんげんさんだってたおすことのできる、ぶきがむっきゅりかんっせいするのよ…!」 再び、ゆっくり達が騒然となる。ぱちゅりーの言わんとする所は伝わったようだが、 それでも皆が口々に言い立てる言葉は、まだどれも、懐疑的なものばかりだった。 そんな中で、先ほどありすに諌められてから、ずっとむっつりと黙っているままだった 棟梁まりさが、ずい、と一歩前に出た。皆思わずしゃべるのをやめ、そちらを注目する。 棟梁まりさが顔を上げ、口を開いた。その目には、何かの決意の光のようなものが見えた。 「まりささまは、えどっこだから……おさのいうむずかしいはなしは、まりささまには、 よくわからないんでぇい……。 だけど、ほんとうに……ほんとうに、そのおさのいうぶきってやろうをつくれば、 にんげんさんを…けったくそわりぃにんげんさんやろうどもを、ぶったおすことができるんでぇい……?」 「ええ…そのとおりよ、とうりょう。そしてそのためには、どうしても、 とうりょうのむっきゅりしたちからが、ひつようだわ。 いつもぱちゅたちの、むっきゅりしたおうちをつくってくれたように…。 とうりょうのちからがあれば、にんげんさんをたおすぶきを、つくることがむっきゅりできるわ」 「………」 棟梁まりさは、無言で、帽子から金槌を取り出し、握り締めた。 その感触が、人間に受けた痛みを、潰された子供の無念を、あらためて甦らせるかのように、 まりさには感じられた。 「もし…ほんとうに、そのぶきで、にんげんさんをたおすことができて、 そのために、まりささまのちからがいる、ってえんなら…。 まりささまは、たとええいえんにゆっくりすることになっちまっても、 そいつをかんっせいさせてみせるんでぇい…!ぜってぇに………!」 そう言って、一時は止まっていた悔し涙を再び流しながら、棟梁まりさは金槌を掲げた。 棟梁のその姿が、最後の決め手となったか。 「そうだね…どっちにしろ、おやまにもいけない、むらにいてもにんげんさんがくる… それならもう、おさのいうぶきにかけるしか、ないもんね…」 「ゆゆっ!それなら、まりさはおさにさんっせいするのぜ!」 「れいむもだよ!」 「ちぇんもわかったんだねーわかるよー」 「ちちちちちちーんぽ!」 ついに、群れの取るべき道は、決まった。 皆、僅かながらも新たな希望を得て、にわかに沸き立ち、口々に勇ましい言葉や仕草で、 互いを鼓舞し始めた。 ぱちゅりーは、満足げな笑顔を浮かべ、皆のその様子を、眺め回した。 しかし、すぐに厳しい表情に戻り、また声を張った。 「むきゅっ!みんな、ゆんはいそげ、よ!とにかくもう、じかんがないわ。 はやく、こうどうにうつらないと…。まずは、そうね…」 しかし、皆が希望に沸き立っている中でも、例のありすだけは、浮かない顔をしていた。 幾分心配性であるらしく、ありすは思いついた心配事を、たまらずぱちゅりーに話していた。 「で、でも、おさ…。そんなにすごいものつくるには、すごくじかんがかかるんじゃないの? あしたにんげんさんがくるまでに、かんっせいできるの…?」 「むきゅう…そうね…。さすがにひとばんでは、むずかしいかもしれないわね。 ぱちゅたちはゆっくりであって、じぇばんにではないんだし…。 だけど、もうこれしかほうほうはないのよ、ありす。ゆんだむがかんっせいするまでは、 どこかにかくしておいて……それまでは、なんとかたえるしか、ないわ……」 「ゆ、ゆうぅ…そうね…。またぎせいがでちゃうかもしれないのは、ゆっくりできないけど…。 ありすたちには、もうそれしかないのよね……。」 ありすを元気づけるように、その頭をぽんぽんと叩くと、ぱちゅりーは皆に向き直り、指示を飛ばした。 「さあ、まずは、ゆんだむをかくしておく『かくのうこ』さんをつくるのと、 ゆんだむをつくる『ぶっし』さんを、たくっさんあつめなくちゃならないわ! れいむとみょんたちは、むらからすこしはなれたところに、ざっそうさんをとりのぞいて、 『かくのうこ』さんをつくってね!にんげんさんにみつからないように、つうろさんでつないじゃだめよ! ちぇんとまりさたちは、これからなんでもやまにいって、つかえそうなものを、かたっぱしから あつめてきてね!だんぼーるさん、てつのぶひんさん、なんでもいいわ。 もうくらいけど、よるでもよくみえる、ちぇんたちをせんとうにたてれば、むっきゅりだいじょうぶよ。 それじゃ、みんないそいでね!ぱちゅたちのめいうんは、じかんとのしょうぶよ…!むっきゅりしていかないでね!!!」 ――翌日。 昨日話していた通り、磯野と中島は、学校が終わり、家へ帰るとすぐ、 各々の準備をして、ゆっくり達がいるこの雑草空き地へ、再びやって来たのだった。 「うわっ…中島、なんだよそれ!すげー大荷物じゃんか」 磯野が驚いた通り、中島はその背に、アルプス山脈でも縦断せんばかりの大きなバックパックを 背負い、しかも中には何やら、パンパンに荷物を詰め込んで来ていた。 「そーゆーお前は、バットだけか磯野?ゆ虐をナメるなよ!!ゆ虐ってのはな、こう、 様々な器具を用いて、厳かに行うもんなんだぜ?」 「いや、知らんけど……」 二人はうきうきと、楽しげにそんなことを言い交わしながら、 深い雑草をかき分けて進んだ。広大な草の森とはいえ、道に迷う程ではない。 昨日で大体当たりをつけておいた方へ向かうと、容易く再び、 ゆっくり達の村へ出る事が出来た。 「あれ…」 村の様子を見回し、磯野は少々間の抜けた声を出した。 そこには、期待していたゆっくり達の姿が、一匹も見えなかったからである。 「いねーじゃん、あいつら…。やっぱ、どっか逃げちまったんじゃ?」 もしそうだったなら、せっかくの楽しみが、水の泡になる。 磯野は、不満そうに口をとがらせた。 「はっは、磯野、安心しろって…。ほれ、見えねぇのか? そこらじゅうにあるだろ、連中の、『ゆっくりしたおうち』が…。 大方、そん中に閉じ篭って、ぶるぶる震えてやがんだろーさ」 言われて見てみれば、村のそこかしこに、シートや毛布を被ったダンボールが 鎮座している。 「なるほど、そーゆーことか…。でも、ほんとにこん中に入ってやがんのかなぁ。 ちょっと見てみていいか?中島」 「ははは、なんでいちいち俺に許可取るんだよ?好きにしろって、磯野」 中島は笑いながら言うと、背負ってきたリュックをよっこらせと降ろし、 中をゴソゴソやり始めた。既にゆ虐上級者の中島は、 まずはどの玩具で楽しんでやろうかと、至福の妄想に浸りつつ、 物色しようというのだろう。 磯野は、手近にあったダンボールに近づくと、かけられてあったブルーシートを がばっとめくり上げ、中を覗いてみた。そして、あまりにも容易く、 目的の『モノ』を見出した。 「ゆあああああああああああ!!!!」 「きたああああああ!にんげんさんだあああああ!」 「きょわいよおぉぉぉ!!」 「ゆっくちできにゃぃぃぃぃ!ゆっくちしたいぃぃ!ゆっくちさせちぇぇぇぇぇ!!」 すかさず、まるで磯野を大歓迎するかのような、大騒ぎが始まる。 狭いダンボールの箱の中で、一瞬で確認出来たこの一家の家族構成は、 れいむとまりさの成体の両親に、これまたれいむとまりさが一匹ずつの小さな子供、 という、ゆっくりの一家としてごくごくポピュラーな、ありふれたパターンであった。 一晩を経て再び見たゆっくりというナマモノは、思った以上に滑稽で、哀れで、また、 なんとも言えないイラツキとムカツキを誘うシロモノだった。 磯野は思わず箱の中へ手を伸ばすと、少しでも奥へ、奥へと逃げ込もうとする ゆっくりどもの恐怖の叫びを尻目に、まず両親のおさげともみあげをむんずと掴まえ、 箱の中から外へと引きずり出した。 「いだだだだだだだだだだ!!!」 「はなぜええええええ!でいぶのかわいいもみあげさんがぁぁぁぁぁ!!」 そして、そのまま地面の上へ投げ転がす。二匹の成体ゆっくりは、無様な悲鳴を上げながら、 ぼいん、ぼいん、とゴムボールのように跳ねながら、転がった。 「おきゃあしゃあああん!おちょおしゃあああん!!ゆっくちぃ!ゆっくちいぃぃぃ!!」 「どぼぢでじょんなごちょじゅるにょおおお!?」 その様子を見て、絶望的な悲鳴を上げる赤ゆっくり達。 磯野はそれを背中で聞き流しながら、まずは、中島に教えられた挨拶を試してみることにした。 「ゆっくりしていってね」 「ゆ…ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 即座に同じ挨拶を返しておきながら、すぐに泣き喚きながら抗議して来た。 「ゆううう!?おまえみたいなクソジジイと、ゆっくりできるわけないでしょおおお!? なにいっでるのおおお!!??」 「ゆううう!だ、だめだよれいむ!おさから、なるべくにんげんさんをしげきしたり、 ちょうはつしたりするようなことはいっちゃだめだって、いわれてるでしょおお…!?」 磯野にしろ、昨日で虐待は経験したものの、ゆっくりにあしざまに罵られるのは、 これが初めてである。こんな無力で下等な存在にけなされた事に、 慣れているはずもない磯野は、すぐに心が怒りと暴力衝動に満たされ、ビキィと音を立てるのを聞いた。 「ああ~ん?おめー今何つったんだ?コラ」 衝動的にれいむのもみ上げを掴み、持ち上げた。れいむの全餡重がもみあげの付け根にかかり、 するどい痛みに襲われ、れいむは掴まれていない方のもみ上げをピッコピッコと振り立て、 喚き散らした。 「いだいいいい!!れいむのかわいいもみあげさんちぎれぢゃううううう!!! はなぜええ!はなじでえええ!!」 「かわいいもみあげさん、ねえ……」 磯野は、もう一方のもみ上げも掴んだ。両方のもみ上げで支える形になり、痛みは多少和らいだものの、 相変わらず煩く喚く事をやめようとはしない。 「こんなうざったいもみ上げさんは…こうだな!」 そして、ふん!とばかりに、磯野は両手に掴んだもみ上げを、左右に同時に引っ張った。 ブチブチブチィッ!!! 「ゆっ…ゆぎゃあああああああああああああああああああ!!!!」 あえなく、れいむのもみ上げは、片方根元から引き千切れ、握った磯野の手から、だらりと垂れ下がった。 「ゆ゛っ…ゆ゛っ…」 再び片もみでぶら下げられるれいむだったが、今度は喚き散らすこともなく、 白目を剥き、泡を吹いて「ゆ゛っ…ゆ゛っ…」と細く鳴くだけになった。 磯野はそんなれいむを地面に放り出した。もみ上げの千切れ口から餡子を撒き散らしながら ごろごろと転がり、仰向けになって倒れた。 「れいむううううう!ゆっくりいいい!なおってね!れいむのもみあげさんゆっくりはえてきてね! かってにはえてきていいよ!!」 まりさが間抜けな事をほざきながられいむに駆け寄り、れいむの傷口をぺーろぺーろと舐め立てていた。 「…」 その姿に、すっきり発散したはずの、ビキィ感情がたちまち甦る。磯野は片足を振り被った。 ドゴオォ!!!! 「ぶぐっ…」 磯野の全力タイガーショットがれいむの横腹を抉り、れいむは大量の餡子を吐き出し、 それは放物線を描きながら、雑草の壁を遥かに越え、彼方へと吹き飛ばされていった。 「れいむうう!!れいむうううううううううう!!!」 「おがあぢゃああああああああ!!」 「ゆんやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 残された3匹の家族はそれを為す術もなく、ただ見送るしかなく、れいむが吹き飛ばされていった 方向へ向かって、涙を流し、小便を漏らして、いつまでも泣き叫んでいる事しか出来なかった。 「ありゃっ、ちょっと力入りすぎちゃった…もうちょっと遊びたかったのに… 飛ばしすぎちまったなあ…………。ま、いいか。いちいち探しに行くのもめんどくせーし」 そして今度こそすっきりすると、まりさ達がぎゃーぎゃーとうるさいのに眉をしかめながら、 周りを見回した。 「あれ?中島どこ行ったのかな…」 中島が背負ってきた巨大なリュックはそこにあったが、持ち主の姿が見えなかった。 「ゆぶぅ!!」 磯野は戯れに、泣き喚いていたまりさを蹴飛ばすと、ぶらぶらとゆっくり村を散策しながら 中島の姿を探し始めた。 とはいえ、人間にとっては大して広くもない、ゆっくりの村である。 中島はすぐに見つかった。中島は手に何かを持ち、しきりとゆっくりハウスのブルーシートを めくり上げて中を覗いて、中のゆっくり達に悲鳴を上げさせては、またシートを下げ、 別のハウスで同じようにシートをめくる、ということを繰り返していた。 「中島ー、なにやってんだー?遊ばねーのかー?」 「おー、磯野ー。いやー、なかなか、条件に合うのがみっかんなくてよぉ…」 見れば中島は、右手に錐のような物を持ち、尻ポケットにチャッカマンを差し込んでいた。 「どれどれ、今度はどうかな…おっ!」 中島の表情が輝いた。磯野も釣られて、ダンボールの中を覗き込む。 「ゆううううううううう!!やべでええええええ!ごっぢごないでねええええ!」 「ぷっくうううう…!」 中にいたのは、相も変わらず芸の無い、れいむとまりさの番である。 しかし少々特殊だったのは、れいむの額のあたりからは、植物の茎のようなものが生え出し、 その茎には、これまた植物が付ける実のように、小さなゆっくりが実り、ぶら下がっていたのである。 その実ゆっくり達は、どうやら生まれる寸前まで成長しているらしく、 しきりに自分から体を揺らして動きながら、恐慌をきたしている親達をよそに、 何の不安も警戒も感じていない、ただ希望と、これから始まる自分達の最高にゆっくりした人生への 期待だけが輝く、つぶらな瞳を二人の初めて見る人間に向け、 「ゆっ?おにいしゃんだあれ?」「ゆっくちできりゅ?」「ゆっくちちちぇっちぇにぇ!」 などと、か細い声をかけてくるのだった。 「うわっ…気持ち悪っ。なんだよこれ!?」 「ま、ゆっくりの妊娠状態の一種、ってとこかな…2体のゆっくりが、交尾… ま、ゆっくり用語だと、『すっきりー』っていうんだけどな。それやると、 デコからこんな風に、子供が生えてくんだよ。ま、繁殖方法は、もうひとつあるんだけどな… 俺のお目当ては、こっちってことで」 中島は簡単に説明すると、尻ポッケからチャッカマンを抜き出して点火し、 手に持っていた錐の先端を、炎で炙り始めた。 「なるほど…その熱した錐で、この実みてーなちびゆっくりどもを、 たっぷり喜ばせてやろうっていう趣向かね?」 「まーな…この虐待には、古来からの歴史と伝統があってなぁ。ゆ虐四天神の一柱が考案したと言われる、 伝説のゆ虐技なんだぜ!!」 「はァ…いや、それは知らんけどな…」 「よし…こんなもんかな?」 程よく熱くなったとみて、中島は、細く煙を立てる錐の先端を、実ゆっくりへ近づけていった。 「ゆっ!ゆっくちちちぇっちぇね!」 お友達が来たとでも思ったのか、まだ世界で何一つ学習してはいない餡子脳を持つ実ゆっくりは、 見慣れない不吉で鋭利な金属を見ても、きゃっきゃっと騒ぎながらはしゃぐだけである。 「ゆううう!?お、おちびちゃんたち!あれは、なんだかへんだよ!ゆっくりできないよ! なかよくしちゃだめえええ!!」 頭から子供の茎を生やしたれいむは、間近に迫った人間の恐怖に震えつつも、 必死に警告を伝える。父まりさは少しでも人間をビビらせよう、追い払おうと、 体をぷくーと膨らませて健気に威嚇を試みていたが、効果など皆無なのは言わずもがな、 しかし近づいてくるいかにもゆっくり出来ない物体にあえて飛び掛ったり、 子供達の身代わりになろうという気にはなれないらしく、泣きながら膨らみ続けているだけであった。 錐の先端が、同じく茎の先端になっていた実ゆのすぐ目の前まで達した。 実ゆは、じゃれ合いでもしようとしたのか、あるいは美味しそうな食べ物にでも見えたのか、 全く無警戒に、無邪気に、目の前の煙を立てる金属に、ぱくり、とかみついてしまった。 ジュッ… 「ゆ゛っ…!?」 たちまち、実ゆっくりの、脆く柔らかい唇が、熱された金属に焼き付き、張り付いた。 かと思うと、唇はすぐにどろりと溶けだし、実ゆっくりの、生えかけの白い小さい歯を露出させた。 「っ…!!!っ…!!!」 全く、予想などしていようはずもなかった激甚な痛みと苦しみに襲い掛かられ、 実ゆの未熟な精神は混乱に支配され、ただ反射的に痛みから逃れようと、体を錐から離そうとした。 ベリィッ…と、実ゆの口は錐の先端から剥がれたが、それで更なる激しい痛みが、 実ゆの小さく未成熟な餡子脳を切り刻むように苛み、実ゆは先程の希望に満ちた、 愛らしくもあった表情を、グロテスクな苦悶の表情にひき歪め、苦しみにのた打ち回った。 のた打ち回ったと言っても、頭頂部を茎に繋がれた、実ゆっくりである。 地面を転げ回って痛みを紛らわす事も出来ず、ただ不恰好で滑稽な振り子のように、 上を繋がれたまま、ぷるんぷるんと右に左に揺れていただけだったのだが。 やがて、その運動が茎と頭の繋ぎ目を徐々に傷つけ、脆くしてゆき、 実ゆっくりはぺちゃっ、と下に落ち、餡子を飛び散らせて絶命した。 「おちびちゃああああああん!!ゆっくりしてええ!!ゆっくりいいいいい!! ゆあああああああああ!!!れいむのゆっくりしたおちびぢゃんがあああああああ!!!!」 当然の如く、親れいむの悲痛な絶叫が響いたが、これまた当然の如く、中島は容赦などしなかった。 さすがに、目の前で起きた惨劇、さらに茎を通じて姉妹の恐怖と苦しみが伝達したか、 「えぴぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」「ぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」などと、 別の実ゆ達も、恐怖の涙と小便を漏らしながら騒ぎ始めたが、 中島はその様子を満足げに眺めながらも、再び錐を繰り出し、実ゆの小さな目玉をアマギり、 その脆い皮に幾度となく尖った熱い先端を突き刺し、えぐった。 「ゆふっ…ゆふふふふ…おちびちゃん…れいむのかわいいおちびちゃん……ゆっくりしていってね…………」 数分後。 そこには、最愛の、もうすぐ生まれてきて一緒にゆっくりした時間を過ごすはずだった おちびちゃん達への、度重なる殺戮を見せ付けられ、 精神を崩壊させ、現実から逃避して幻想の子供達にぶつぶつと話しかけるだけになったれいむと、 既にぷくーすることもやめ、全ての希望も活力も喪ってしまったかのように、 帽子に顔を隠すようにうなだれ、何も言わず、全く動かなくなってしまったまりさ、そして、 穴だらけの、小さな饅頭の残骸が、転がっているだけだった。 「なるほど…そーゆー遊び方も、あるって訳か~。勉強になるよ、中島~」 「ふっ、まあ、これくらいは、基本中の基本ってとこだけどな。 ゆ虐はイマジネーションの世界だぜ、磯野。自らのイメージを増大出来る者だけが、 真に楽しむことができるのさ」 そして、少年達はその言葉通りに、中島が持ち込んだ様々な器具、道具も用い、 工夫と趣向を凝らして、ゆっくり達への虐待を楽しんだ。 足をガスバーナーで焼き、動けなくしたゆっくりに小便をぶちまけた。 成体まりさの大きな帽子の中に、持ち主のまりさの目の前で、うんこをした。 (これをしたのは中島だったが、その時はさすがに磯野も引いた) 胎生出産間近のゆっくりを見つければ、一人がそのゆっくりを固定し、もう一人が バットを構え、勢い良く産まれ出てきた赤ゆっくりを盛大にジャストミートして餡子の花火を散らせた。 エアガンのアサルトライフルで、逃げ回るゆっくりの群れを撃ちまくり、蜂の巣にして殺した。 飾りを奪い、燃やし、髪の毛を全て引き抜き、ハゲ饅頭と化したゆっくりを大いに嘲笑った。 家ごと燃やし、一家を丸ごと焼き殺した。 「は~、今日も殺ったな~。殺った殺った。大満足♪」 前日の宴が終わった後と同じように、満ち足りた仕草で伸びをする中島。 「でもちょっと、殺りすぎちまったかもな?半分くらいまで減っちまったんじゃね?こいつら」 そう言いながら、辺りに散乱する、様々な死因のゆっくりどもの死骸を眺め回す磯野。 「いやいや、そんなには逝ってないって。せいぜい、3分の1ってとこだろ。 まだ、手ぇつけてない家も沢山あるしな…。それにどーせ、ちょっと減りすぎちまったら、 2,3ヶ月ほっときゃいーんだ。こいつら、結構簡単に増えるからな。 そんくらい経ちゃ、すっかり元通りさ」 「そうなのか。う~ん、便利なやつら」 「さ~て、んじゃ、今日はそろそろ帰っかぁ。俺は明日も来るけど、磯野はどうする?」 「ああ、来る来る」 「クックック、お前もすっかり目覚めちまったな。まあ、無理もねーけど」 「あれ?中島、荷物は?」 「ああ、置いてくわー。どーせこんなとこゆっくりしかいねーし、いちいち持って帰んのめんどいし」 辺りは、またとっぷりと日が暮れかかり、薄暗くなり始めていた。 人間達が、どうやら完全にいなくなった、とみるや、無事に生き残った家々のゆっくり達が、 恐る恐る、のそのそと這い出て来る。 そして、目の前に広がる惨劇の現場に息を呑み、そのまま立ち尽くした。 あらゆる手段で痛めつけられ、虐殺された、仲間達の死体、死体、死体…。 こんな状況にぶつかってのゆっくりの反応など、ぎゃーぎゃーとうるさく泣き喚いて、 辺りを駆け回るのが相場と決まっているが、さすがにこの光景はあまりにもショッキング過ぎたのか、 喚き声などは聞こえず、弱々しい、すすり泣くようなうめき声に混じって、時々 「ゆっくりできないぃ…」と、小さく情けない声が聞こえてくるだけだった。 長ぱちゅりーは、全く傷を負う事もなく、生きていた。 しかしその顔には、大勢の仲間を苦しめられ、失った痛みと、群れそのものへの存亡に対する 焦慮の色が濃く、到底むっきゅりするどころではなかった。 (もう、じかんがないわ…。あしたまでに…あしたまでに、なんとかゆんだむをかんっせいさせないと、 ぱちゅたちは…) しかし、群れのゆっくり達は、怒りと悲しみを復讐心に変え、人間さんを倒す武器を作る前に、 もっと陰鬱で、残酷な作業を、こなさねばならなかった。即ち、殺された仲間達… それに、お飾りや髪の毛などを失い、ゆっくりできないゆっくりになってしまった仲間達をも、 心を鬼にして、処分しなければならないのである。 それが、いくらのんきな饅頭生物といえど、群れを存続させて行く為に果たされねばならない 義務であり、その責は、長であるぱちゅりーにあった。 ぱちゅりーは、目を閉じた。そして、ゆっくりにしては驚くべき決断力と切り替えの早さでもって、 決然とした表情で声を張り、群れ全体へ、激を飛ばした。 (にんげんさんたち…むっきゅり…むっきゅりおぼえててね…! あした、ゆんだむがかんっせいしたら…そしたら…………!) つづく トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ゆんだむマダー?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン -- 2011-07-28 23 34 51
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1613.html
※虐め成分はかなり薄くなってしまいました、人間のおっさんメインです ゆっくり和三盆 数年前、ここ幻想郷にゆっくりなるしゃべる饅頭のようなものが現れた。 動物か植物か、あるいは生物かすら怪しいそんな奇妙な存在。 人間はそんな彼女達を最初は疑問に、あるいは恐怖に感じていたが今ではそんなこともなくなってしまった。 あるものは農業や日々の作業を手伝い、人間と友好的な関係を築いた。 あるものは人間の家や田畑を襲撃し、そのため人間に駆逐されるような敵対関係を築いた。 あるものは食料や労働力を目的とし捕獲され、一方的な搾取を行われる支配関係を築いた。 その形は様々であるがゆっくり達は人間社会に浸透してゆき、その結果人々の生活は概ね豊かになっていった。 これは、そんな彼らと正面から向き合うある真摯な1人の男の物語である・・・ 「実録、ゆっくりにみる! ~ある伝統工芸者の挑戦~」 砂糖職人の朝は早い・・・ まだ日も上がらぬ暗いうちから男は床を立つ。 彼は砂糖職人「鬼井 三郎さん」54歳である。 砂糖職人とはその名の通り、日々砂糖を作ることを生業にしている。 だが勘違いしないで欲しい。砂糖を作ると言ってもその仕事は多種多様で実に複雑である。 中でもこの鬼井さんは特に技術を必要とされる和菓子専用の高級砂糖、「和三盆」の作り手なのだ。 それでは実際にその作業を見ていこう。 「おはよう、ゆっくりしていってね!」 「ゆゆ!ここからゆっくりだしてね!」 「はやくださないとひどいんだぜ!いまならゆるしてやるんだぜ!」 作業場に着いた鬼井さんは籠に閉じ込められているゆっくり達に挨拶をする。 籠に入れられているゆっくりはれいむ種とまりさ種、この2種の餡子が砂糖の精製に最も適しているらしい。 「まずは朝の挨拶からはじめるんです、これでゆっくり達の健康状態を確認するんです。」 「素材のゆっくりが元気でないと、砂糖も元気になりませんからね。」 そう言って鬼井さんは微笑む。 そうして次に数匹のゆっくり掴み出し、おもむろに彼女達の装飾品を外し始めた。 「ゆぅ!? れいむのおりぼんとらないでね!??」 「じじぃ!! まりさのぼうしとっととかえすんだぜぇぇぇ!!!」 この際ゆっくり達から容赦なく暴言が降りかかる。だが鬼井さんは涼しい顔で作業を進める。 「いつ何時も平常心、心の乱れは砂糖にも現れますか。」 そう語る鬼井さんの顔はにこやかだ、だがその目は鋭く研ぎ澄まされさながら業物の日本刀の様である。 そうして飾りを外したゆっくりを片手で固定しつつ、開いた手にナイフのようなものを用意する。 その外観はやや肉厚な剃刀と言ったところか、長い付き合いなのか年季を感じるがその刃は美しく輝いている。 「こいつが気になりますか? 私達はナガタって呼んでます。長い付き合いですから、道具というより腕の一部ですね。」 そう語ると静かにゆっくりの頭にナガタを走らせる。 音も無く刃が過ぎるたびにゆっくりが不思議そうな顔をする。 そして、鬼井さんが手を止めナガタの柄で軽くゆっくりをこずく。 「ゆ”!?」 その瞬間、さながら滝の様にゆっくりの頭から髪の毛が流れ落ちた。 剃られたまりさは目を見開き固まってしまっている、だがそれも仕方無いだろう。 何せ取材陣ですらその光景が理解出来なかったのだ。 そして、もしその光景を一言で述べるなら只美しいとしか言えない。 流れ落ちる髪は、さながらイチョウ舞う晩秋の滝と言ったところか。 穢れを知らない清流を、美しくイチョウが飾りそして滝壺へと還っていく。そんな情景を思い浮かべて欲しい。 飾りを取られた他のゆっくり達も静まり帰っている。無論恐怖からではなく純粋に魅入っているのだ。 鬼井さんに頼んで剃られたまりさを見せて頂いたところ、毛はもちろん毛根まで溶かし尽くしたような美しさであった。 撫でてみたところ、まるでもとから何も無いような、もちもち且つスベスベな肌触りであった。 その後、残りのゆっくりも全て髪を剃り落としたところで作業は次の工程に入る。 髪の無くなったハゲゆっくり、それらを詰めた籠を持って来たのは大きな水槽である。 そして、数匹ずつハゲゆっくりを麻袋に詰め込みそれをおもむろに水に沈めた。 「ゆぎぃぃぃ!! つめたいいぃぃぃ!!!」 「あぶぶぶ、とけぢゃうぅぅぅ!!?」 袋からは叫びが聞こえていたが完全に水に漬かるとそれも無くなった。 「ここでゆっくりに水を含ませ、糖分を分離させやすくするんですね。」 「この水は山から引いた湧水です。手間はかかりましたが良い水を使わないと雑味が入りますから。」 そういって水を一杯差し出した。コレを頂いてみたところ、まるで山が体に広がってゆくような感覚を覚えた。 「飲んでもおいしいでしょ? 私も作業の傍ら飲むんです。これがこの仕事の楽しみの1つでもありますね。」 「それに湧水は年間通して温度が一定なんです。夏は冷たく冬暖かく、これも砂糖作りの秘訣ですかね。」 このゆっくり達は午後の休憩明けまで漬からせておくらしい。 その間別の作業を行うというので、私達はつかの間の休憩を終え移動を開始した。 そうして来たのは何やら重石の積み重なる部屋であった。 そこで鬼井さんが重石をどかすと、そこから麻袋が現れた。 そして袋に手を突っ込んで何やら黒いものを取り出した。 「これが2日目のものです。」 2日目? 何のことかと私達が疑問を顔にすると 「ああすいません、実はこれゆっくりなんですよ。」 と鬼井さんは笑いながら説明してくれた。 作業工程が前後してしまうから解りにくくて申し訳ないが・・・そう鬼井さんは話はじめた。 「水に漬けたゆっくりに、これから行う作業をするとこのようになるんですよ。」 そういいながらその黒いゆっくり流水に晒す。 そうするとベロベロに伸びきったゆっくりが顔を現した。 そしてこれを盆と呼ばれる大きな台座に乗せておもむろにこねはじめたのだ。 「これがいわゆる『こね』と呼ばれる作業です、これを3度盆の上で行うことから和三盆の名が来ているんですよ。」 いいながら鬼井さんは全身の体重をかけて、ゆっくりをほぐしてゆく。 「中の餡子が均等になるよう丁寧にこねます、ただこの時皮が破れないよう注意が必要です。」 ゆっくりの皮はとても破れやすい、私達がコツは何かと訪ねたところ『こればかりは経験です』ど笑っていた。 そんな作業を見つめる中、私達はあることに気付いた。 なんとゆっくりが生きているのだ!! これだけこねられて潰されても生きている!! 一体どういうことなのだ!? 「ゆっくりは餡子が無くならない限り死なないですからね、上手く扱ってやればこれくらいは平気です。」 「それにゆっくりの餡子は恐怖や痛みを感じるほどに旨さがますんです、よって最後の仕上げまでは心も体も殺しません。」 何でも無い事と鬼井さんは語るが、そこには熟練した神業が伺える。 私達がこれを行うならものの数秒でダメにしてしまうだろう、これが匠の技なのか。 よくよく注意してみると全てのゆっくりが微かに震え、また声を発しているのがわかる。 「やべ・・・・で・・・・」 「ころ・・・・・せ・・・」 どうやら精神においても正気を保っているようだ、流石としか言いようがない。 全てをこね終えた鬼井さんはこれを麻袋へ戻す。 そしてこれを来た時と同じように台座にセットし、その上に重石を乗せた。 「ゆべぇっ・・・」 微かに声が聞こえた。 それを聞いた鬼井さんは満足そうだ。 「こうしてこの作業を5回、つまり5日かけて行うんです。」 「本来トウキビから作る場合は3度でも充分ですが、何分ゆっくりは餡子ですから雑味が多くてね。」 そして鬼井さんは昔の話をしてくれた・・・ 私もゆっくりが現れる数年前までは、トウキビから砂糖を作っていたんですよ。 だがゆっくりが現れた翌年、トウキビ畑がゆっくりの襲撃を受けてしまいまして大不作になってしまったんですよ。 あの時は砂糖が作れなくなって本当に困ってしまいましたよ、ええ。 何が困ったって私の生活もそうですが、皆が菓子を食べられなくなってしまったんです。 私はこの仕事に誇りを持っています、皆が嬉しそうにお菓子を食べている顔を見るのが堪らなく好きなのです。 そこで、わたしはゆっくりを用いた砂糖づくりの研究を重ねたのです。 そして半年後、試行錯誤を繰り返し今の形に至ったわけです。 もっとも、その時は落ち着いたらゆっくりからトウキビでの砂糖作りに戻るつもりでしたがね。 ゆっくりの出現によって甘味が増えたため、トウキビを作る農家さんが減っちゃってね。今ではこっちがメインですよ。 あっはっはと豪快に笑う鬼井さん。 ゆっくりは恨んでいません、むしろ感謝していますよ、彼らのおかげで高価だった甘味が庶民的なものになりましたから。 多くの人々が喜んでくれる、それだけで私は幸せですよ。自分で言ってなんですが、臭い話ですけどね。 私は加工所が出来た頃、この砂糖の精製方を持ち込んだんです。これでより多くの人が手に入れやすくなると。 ただ、加工所ほど大きなところでは作業効率を重視されており、機械化されている部分も多いんです。 それは決して悪いことではありません、しかし和菓子に使うような繊細な砂糖はどうしても出来なかったんですよ。 そこで私は三度、和三盆作りに戻ることになったんですね。 砂糖について語る鬼井さんは実に生き生きとしている。 作業中の鋭い目も、この時ばかりは夢を語る無邪気な少年のようだ。 そうして加工所における上白糖や三温糖、私達のような小規模な工房での専門糖作りに分類されるシステムが出来上がったんです。 おや、長々と話してしまいましたね。年を取るとどうもね。いやいやすみません。 苦笑しながら謝罪する鬼井さんに、こちらこそ貴重な話を有難うございますと営業抜きの純粋な笑みを返した。 ここで、いい時間ですからと一旦昼休憩を取ることにした。 昼休憩の後、作業は再開された。 まずは朝漬け込んだゆっくりに「こね」を行ってゆく。朝見た2日目のものより元気があり、また形もゆっくりらしい。 それが終わると3~4日後のものまで、同じ工程を繰り返した。 3日目のものに取り掛かる際あることに気付き鬼井さんに尋ねてみる。 「いいところに気付きましたね、ゆっくり達が白くなっているでしょう?」 そうなのだ、心なしかゆっくりが白くなっているのだ。 「さっき重石をかけた時、袋が黒くなっていたのを覚えてますか?」 「餡子を均等に伸ばした後、重石をかける事により雑味を含んだ余分な糖分を搾り出すんです。」 なるほど、そのためゆっくり達が白くなっているのか。 ちなみに絞られた糖蜜(黒い汁)は、飼料用として加工所が回収に来るらしい。実に無駄のないことである。 作業を繰り返すこと数時間、今日の仕事もついに最終工程へと入った。 最後に手をつけるのは5日目のゆっくり、最終日とあってその肌はかなり白い。 このゆっくりを濯いだあと盆にのせる。ここまでは変わりないのだが、盆に上げてから何やら今までと違うのだ。 こねてはいるのだが此処までの工程と若干手つきが違う。 今までは均等に餡子を伸ばしていたのだが、今回はまるで中央に集めているような・・・。 そんなことを考えていると、鬼井さんは突如ゆっくりを掴みあげ傍らの器にゆっくりを向けたではないか。 「せいやっ!!」 「ゆかっ!?」 そして鬼井さんはゆっくりの背を人差し指と中指で押した。 すると次の瞬間ゆっくりは口から何やら吐き出し、完全に動かなくなってしまった。 ここにおいてようやく絶命したらしい。 「・・・ふぅ、これで完成です。」 器の中を見せてもらうと、中には少量の雪のように白い粉が入っていた。 「これが『ゆっくり和三盆』です、よろしければ味見してみますか?」 私達は鬼井さんの行為に甘えさせていただき、ゆっくり和三盆を口にした。 それはもはや砂糖ではなかった。口に入れてすぐは、正直甘さを感じず物足りないとさえ思った。 だが次の瞬間、舌の上から突如として和三盆が消えたのだ! 溶けたのではなく消えた、生まれて始めての経験であった。 そして同時に口内全体に広がる優しく暖かな甘み。何とも淡く上品である。 それは口から鼻、喉、腹へとサァーっと広がってゆき、そしてスゥっと消えていった。 言われなければとても砂糖だと気付かないだろう。 「和三盆は癖がなく甘さも控えめなので、そのままでも充分食べられるでしょう?」 ふと鬼井さんの声で我に帰る、思わず放心してしまったらしい。 「和三盆は粉末での販売もしていますが、型に入れて押し固めた固形の物も作っているんです。いわゆる落雁(らくがん)ですね。」 いかんいかんと気を取り直す。しかし驚いた、まさか砂糖で放心する日が来るとは思っていなかったのだ。 それほどまでに和三盆の味は衝撃的であった。 そうして、ひとしきり説明してくれた鬼井さんは残りのゆっくりから和三盆を取り出していった。 「これで今日の仕事は終いです、出来上がった和三盆や糖蜜、残った皮なんかは5時ごろに業者が取りにくるんですよ。」 そう言う傍から業者がやってきた、どうやら大型のちぇん種を用いた『ゆっくり車』により運搬を行っているようだ。 「さて、一日の仕事を見ていただいていかがだったでしょうか。記事になるに値すればいいんですがね。」 私達は心からのお礼を述べた。 「ははは、有難うございます。そう言って頂けると疲労も報われます。」 「何せ私も年ですから、結構きついんですよ。」 笑う鬼井さんの姿は疲れなど感じさせないが、体力を使う仕事のため実際いつまで続けられるものか難しいのだろう。 「私には2人せがれがおりまして、1人は菓子職人を、もう1人は加工所職員をやっているんです。」 「家内が早くに亡くなりましてね、男手一つで育てのは良かったんですが、どうも多少ひねくれたようでして。」 鬼井さんはやや自傷気味に笑う。私が何と答えようか言葉を選んでいると 「だが最近は私の仕事に興味を持ち始めてくれましてね、加工所の方のせがれが近々帰ってくることになったんですよ。」 「菓子屋のほうのも、流通や経営、あるいは現場の声なんかを聞かせてくれるんでかなり助けられています。」 一転して笑顔を見せてくれた。 私達も思わず笑顔が溢れた、この一家がいる限りこれからも砂糖業界は安泰だろう。 「最後にいいですか?もしこの記事をみて砂糖に興味を持たれた方が居ましたら内へいらしてください。」 「どんなに些細なことでも構いません、修行をしたいという方も歓迎します。」 「砂糖は身近な物ですし、甘いものが嫌いな方も多いでしょう。ですがこの機会に深く考えてみてください。」 鬼井さんはそれを伝えると頷いた、そして私も頷き返した。 私は改めて鬼井さんと握手した、だが今度は温もりだけでなく、職人としての力強さも感じとれた。 鬼井さんは今日も暗いうちから床を出て砂糖作りに励む。 目的は多くの人に甘味の幸せを感じ、ゆっくりして欲しいから。 砂糖職人の朝は早い。 終われ 作・ムクドリの人 これまでのSS ゆっくりディグダグ ゆっくりディグダグⅡ みかん キャベツ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/169.html
引っ越し その1 - のどかな草原をゆっくり霊夢の大家族が行進していた。 二組のゆっくり家族が行動を共にしていて母ゆっくりは二匹いた。 他は中くらいのゆっくりが8匹、小さいゆっくりが10匹とかなりの大所帯だ。 これだけゆっくりがいれば食料の確保が大変だ。 今まで暮らしていたゆっくりポイントの周囲は雑草すら無くなり荒地と化してしまったのだ。 なのでゆっくり大家族は食料のために次のゆっくりポイントを探しに移動していた。 これだけゆっくりが多いと、その行進はとても賑やかなものになる。 「ゆっゆっゆっ」 と先頭を行く母ゆっくり。雑草を踏みつぶして道を作りながら他のゆっくりを導く。 「そっちにいったらゆっくりできないよ! 戻ってきてね!!」 これは中ゆっくり。お姉さんらしく隊列を離れようとする小ゆっくりを引き戻す。 「虫さんゆっくり待ってね!!」「お母さんお腹すいたよ!!」「疲れたから乗っけてね!!」 他にも思い思いに行動する小ゆっくり達を隊列中央の母ゆっくりと中ゆっくりが相手しながらゆっくり行進していた。 傍目に見てもとても微笑ましい光景で、実際ゆっくり達はとっても幸せだった。 しばらく進んだところで先頭の母ゆっくりが大木の幹にぽっかりと穴があいているのを見つけた。 「ゆっ! 様子を見てくるね!!」 母ゆっくりは他のゆっくりに待機を促すと大木へと向かっていく。 中を見るとゆっくり魔理沙とゆっくりパチェリー、そしてたくさんの食料が蓄えられていた。 「ゆっくりしていってね!」 「むきゅ、ゆっくりしていってね」 母ゆっくりを確認すると二匹は反射的に挨拶してきた。 「ゆっくりしていくね!!」 母ゆっくりも挨拶を返す。しかしこれはただの挨拶ではない。 少し離れたところでゆっくりしていた他の家族を呼ぶ言葉でもあった。 「ここが次のゆっくりできる場所?」「うわぁ、食べ物いっぱいあるよ!!」「ゆっくり入るね!!」 ゆっくり霊夢の群れがゾロゾロと大木の穴へ、ゆっくり魔理沙とゆっくりパチュリーの家へと入っていく。 ここにきてゆっくり魔理沙が食料の危機を感じた。 こんなたくさんのゆっくり達とゆっくりしたら三日もせずに食料が尽きてゆっくり出来なくなってしまう。 「悪いけどゆっくり出てってね! こんなにいっぱいじゃゆっくり出来ないよ!」 「むきゅー出てって!」 特にゆっくりパチュリーは本気で嫌がっていた。ついさっきまで大好きなゆっくり魔理沙と二人でゆっくりしていたのに邪魔されたのだから。 しかしゆっくり霊夢の群れは、 「ゆっ、他のゆっくりがいるよ!!」「いっしょにゆっくりする?」「ここはれいむたちのおうちだよ!! いいでしょ!!」 ようやく元々住んでいた二匹に気づくゆっくり霊夢たち。 それだけでも失礼だというのに、あろうことか自分たちのおうちだと主張し始める。 「ここはもともと魔理沙のおうちだよ!! ゆっくり出て行ってね!!」 ゆっくり魔理沙も負けじと主張し返す。 「ゆゆっ! ちがうよゆっくりれいむたちのおうちだよ!!」「ゆっくり出来ないゆっくりは仲間に入れてあげないよ!!」「はやく出ていってね!!」 数の暴力(言葉Ver)だ。複数のゆっくり霊夢が一度にゆっくり魔理沙を言葉攻めにする。 ゆっくり魔理沙は気圧されて思わず涙汲んでしまう。 とっても怖かったがせっかく見つけたゆっくり出来る場所を譲るわけにはいかなかった。 貯蔵した食料だって体の弱いゆっくりパチュリーの分までがんばって集めたのだ。 「だめなのぉぉ!! でてってったらでてって~~!!」「むぎゅむぎゅ~~ん!!」 ゆっくり魔理沙は泣き喚きながらゆっくり霊夢の群れに体当たりする。 動きの鈍いゆっくりパチュリーも魔理沙に続いて体当たりする。 だが、その全力の体当たりも母ゆっくりによって逆に弾かれてしまった。 二匹は弾かれた勢いで壁にぶつかってしまう。 「ゆっくり出来ない二匹にはおしおきだね!!」「やっちゃえお母さん!!」 壁にぶつかってフラフラする二匹に母ゆっくりが迫る。 「や、やめてね!! ゆっくりやめてね!!」「む・・・きゅ・・・」 母ゆっくりはその大きな体で二匹を壁に押し付ける。 「むぎゅ・・・ぐるじぃぃぃぃ」 体の弱いゆっくりパチュリーは早くもやばそうだ。 「や”め”で~~~!!! ゆ”っぐりじでただけなのに~~!!」 ゆっくり魔理沙も苦しそうだ。 「「ゆっくり潰れてね!!!」」 母ゆっくりたちはさらに強く二匹を押し付ける。 その圧力にゆっくりパチュリーは潰されてしまう。 「むぎゅ~!!」 ぱちゅんと勢いよく餡子が壁と床に飛び散る。 「あ”あ”あ”~~!!? おあちゅりーー!!」 隣で親友のゆっくりパチュリーが潰されて叫ぶゆっくり魔理沙。しかし悪夢はまだ続いた。 潰されたゆっくりパチュリーが、つぶした母ゆっくりに食べられていた。目の前で。 他の子ゆっくりたちも一緒にゆっくりパチュリーを食べ始めた。 「うっめ! めっちゃうっめ!!」 他のゆっくりを食べるのに慣れているのだろう。 なんの躊躇もなくゆっくりパチュリーだったものを食べていく。 ゆっくり魔理沙はもう見たくなかった。体の力を抜いてつぶされようと思った。 「おかあさん、はやく潰してね!!」 その言葉を聞いた直後ゆっくり魔理沙は餡子と化した。 結局、ゆっくり魔理沙とゆっくりパチュリーのおうちはゆっくり霊夢たちのおうちになった。 しかしそれも長く続かなかった。 「おかあさんお腹すいたよ!!」「次のおうち探そうよ!!」 ゆっくり大家族はものの一週間でおうちにあった食料も、周囲の草花も食べつくしてしまっていた。 こうなればここもすでにゆっくり出来ない場所だ。 「今度はもっと広くて食べ物がいっぱいあるところにいこうね!!」 母ゆっくりはそう言うと先頭に立って歩き始めた。 こうしてゆっくり大家族は再び引っ越しを始めた。 引っ越し その2 - ゆっくり大家族が次に見つけたのは大きな洞窟だった。 四角い形をしていて、入口も四角い穴だった。 いつものように先頭を行く母ゆっくりが洞窟の様子を見る。 中は思ったとおり広く、さらに嬉しいことに以前のゆっくりポイントよりずっとたくさんの食料がそこにはあった。 「ゆゆゆっくりできるよ!!!」 興奮気味な母ゆっくりの声を聞くと待機していたゆっくりはぞろぞろと洞窟へ入っていく。 そこはまさに楽園だった。 果物や野菜といった豪華な食料が洞窟の至る所に並べてあったのだ。 「すごいね!!」「いっぱいゆっくりできるよ!!「ゆっくり~~!」 ゆっくり達はぴょんぴょん飛び跳ねて喜びを表現する。 その中の一匹が野菜の山に飛び込んで食事を始めると、ゆっくり達の大宴会が始まった。 引っ越しの旅でお腹を空かせたゆっくり達は「うっめ!!めっちゃうっめ!!」と感激しながら食事を行う。 そしてお腹いっぱいになるとそのまま眠りについた。 明日起きたらあっちの食べ物を食べよう。その後はゆっくり皆と遊ぼう。 まさに幸せの限りであった。 翌朝 洞窟の入口から漏れる朝の光で目が覚めるとそこは野菜の上だった。 やっぱり昨日のは夢じゃなかったんだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 朝の挨拶を済ますと目の前の野菜にかぶりつく。 おいしかった。 「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりねむってたよ!!!」 他のゆっくりたちも徐々に起きだす。 「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」 全員起きたところでみんなで挨拶だ。いつもより気持ちのいい挨拶だ。 その時だった。 突然洞窟の入口から漏れる朝の光が遮られた。 何匹かのゆっくりが洞窟の入口に目を向けると見知らぬ生き物がいた。 少なくともゆっくりではないようだ。 「ゆっ?? だれ?ゆっくり出来る人??」 「ゆっくりしていってね!!」 ゆっくり達は特に警戒するでもなくその生き物に挨拶する。 しかしその生き物は答えない。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりあいさつしてね!!」 「ゆっくりできないなら出ていってね!!」 挨拶を返さないことが不満なのか言葉に棘が混じる。 ここでその生き物が声を発した。 「なんだよ・・・これは・・・」 「ゆっ?」 ゆっくり達は訳が分からない。 その生き物は言葉を続ける。 「なんてことをするんだお前たちは。ここは村の食料庫なんだぞ」 口調は冷静だが声は震えていた。 それは怒りだったが鈍感なゆっくり達は気付かない。 むしろその生き物が自分たちのおうちを自分のもののように言ったことに反応した。 「ここはれいむたちのおうちだよ!!」 「勝手にとっちゃだめだよ!!」 「はやく出ていってね!!」 その生き物は少し考えるとその場から去って行った。 ゆっくり達はその様子を見て勝ち誇った。 「もう二度と来ないでね!!」 そして邪魔ものがいなくなったので朝ごはんの続きを食べ始めた。 「むーしゃ」 「むーしゃ」 「「「しあわせー」」」 ご満悦である。 朝ごはんを終えてそろそろ洞窟の外で遊ぼうと思っていた時だった。 ゆっくり達のおうちに何かが飛び込んできた。 それと同時に洞窟の入口が閉じる。 「ゆっ?」「ゆゆゆ??」 ほとんどのゆっくりは何が起きたのか把握できない。せいぜい暗くなったということだ。 ただ、二匹の母ゆっくりだけが閉じ込められたということを理解していた。 出口に向かうと扉に向かって体当たり。しかしビクともしない。 「ゆっくりやめてね!!」 「ゆっくり開けていってね!!」 母ゆっくりたちは外に向かって声を上げる。 しかし反応がない。 代わりに後方、子ゆっくり達のいた方から声が聞こえた。 「ゆ”・・」「う”べべば」 苦しそうな声。 母ゆっくりたちが振り返るとそこには苦しそうにする子供たちの姿があった。 中ゆっくりたちはまだ大丈夫そうだが小ゆっくりたちは泡を吹き白目を向いていた。 「お、があざんん・・・ゆ”っぐりできないよ”・・・どうじで~!!」 中ゆっくりが母ゆっくりに向けて疑問をぶつける。 しかし母ゆっくりも訳が分からなかった。 原因は洞窟が閉じられる前に投げ入れられた物だ。 ゆっくり達は気付いていないが無煙無臭の毒物がそこから噴出していた。 ゆっくり達は徐々に毒に侵されていく。 小ゆっくりはピクピクと動くばかりで声すら出せないようだ。 「ゆっくりなおってね!!」 「いっぱい食べて元気になってね!」 などと言いながら食料を口移ししようとするが、反応はない。 それでも母ゆっくりは食料を与えれば治ると思っているのかそれを続ける。 中ゆっくりはと言うと他のゆっくりに構う余裕はなく、それぞれ苦しんでいた。 毒ガスの発生源から近いゆっくりほど早く泡を吹き、白目を向いて倒れていく。 毒の効果なのだろう。断末魔のうるさいことで定評のあるゆっくり達は静かに死んでいく。 母ゆっくりも大きな体のおかげでしばらく子ゆっくりを看病できたがとうとう倒れて泡を吹き始めた。 「あばばばばば」 「ゆぐっりぶあぁ」 泡を吹き、声らしい声も出ない状態で母ゆっくりは考えた。 なんでこんな目にあったのだろう。 今まで怖い目に逢うこともなくゆっくりと生きてこれたのに。 子ゆっくりが生まれてからはゆっくり出来ないこともあったけど騒がしくて楽しかった。 他のゆっくり家族と行動を共にしてからはもっと楽しかった。 色んな場所へ旅に出たし、色んなゆっくりポイントを見つけた。 そしてこの洞窟は最良の場所だった。ここなら長く住んでも食料は持っただろう。 ああ、これは夢だ。きっと目が覚めたらゆっくりできるだろう。 そう思ったのを最後に母ゆっくりの意識は途絶えた。 一時間が過ぎた。 「そろそろか?」 「あの兎が言うにはそろそろのはずだ」 たくさんのゆっくり霊夢に村の貯蔵庫に荒らされた。 村の一人の青年が今朝そう報告してきた。 棒やら包丁やら武器を用意していたところ一羽の兎が現れた。 「これを使うといいウサ」 そして、 扉を開けるとそこにはゆっくり達が泡を吹いて死んでいた。 貯蔵庫の中央にいたゆっくりも、部屋の隅でうずくまっていたものも・・・すべてだ。 「すごいな・・・」 「さすがえーりん様の薬だ」 「まったくいい気味だべ」 えーりん印の殺ゆっくり剤。ゆっくりだけを静かに殺す毒ガスだった。 さらに優秀なことにこの毒で死んだゆっくりは食しても無害なのだ。 一方この殺ゆっくり剤を村人に渡した兎はというと、貯蔵庫の様子を見に行って 人のいなくなった家から好物のニンジンを集めていた。 彼女は嘘つき兎として有名な因幡てゐ。 今日も人を騙そうとこの村へ寄ったのだがちょうどこの事件が起きていた。 そこでたまたま永遠亭から無断で持ち出していた殺ゆっくり剤を渡したのだ。 「んー、いいことをしたわ」 盗んだニンジンにかじり付きながらそう言う。 本当はゆっくりをいじめて楽しむつもりために持ち出した毒だったのだが、 大量のニンジンを手にすることが出来たのだ。 (そうだ。ニンジンが無くなったことに人間が気づいたらゆっくりのせいにしてやろう) 悪戯兎としてはゆっくりが増えた方が何かと都合よかった。 いじめられるうえに食に関するいたずらは全部ゆっくりのせいにできるからだ。 今度はゆっくり家族を騙して村の食料を食べさせよう。 そしてそれを人間に教えて、ゆっくりをどう処理するのかを観察して楽しむのだ。そしておこぼれをもらう。 ゆっくりは…最高のおもちゃだ。 終
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/402.html
短いけど書いてみた。 「ゆっくり相撲」 最近里の子供達の間ではやっている遊びがある。 「ゆっくっゆぎゅれいむゆっくりおちていってね!」 「ゆぶっゅべっゆっぶっまりさこそゆっくりおちていってね!」 里の寺子屋、裏返したタライの上で二匹のゆっくりが互いを押し合っている。 といっても別に発情しているわけではない。 虫の代わりにゆっくりを使った「ゆっくり相撲」をしているのだ。 周りを里の子供達が取り囲み「つぶせっ」だの「おしだせ!」だのと囃し立てている。 ゆっくり相撲とは、種類の違うゆっくりを捕まえて来て取っ組み合いをさせる遊びだ。 「ゆっくりできる場所を教えてあげる」「美味しい食べ物をあげる」等といえば殆どのゆっくりは疑いもせずついて来る。 その後タライに乗せ「押し合いをして、勝った方には特別なご馳走をあげる」と言えば、割と簡単に押し合いを始める。 時々、言う事を聞かずご馳走だけを強請って五月蝿いゆっくり達もいるが、全員で蹴り飛ばしながら脅せば大概言う事を聞くのである。 今日捕まえてきた二匹はどうやら親友同士らしく 連れてくる途中「ゆっくりたのしみだねー」「どんなところでゆっくりできるんだろうねー」と声を掛け合っていた。 だが、子供達はゆっくりさせる気もなければご馳走をあげる気もない。 負けた方のゆっくりを勝ったゆっくりに特別なご馳走として無理やり食べさせるのである。 この間は姉妹同士のゆっくりを争わせた。 勝ってご馳走が食べれるとはしゃぐ姉、ずるいずるいと騒ぐ妹。 ご馳走をあげると言い、互いを向き合わせ、目の前で妹を踏み潰してやった。 目の前で潰され、息絶えた妹ゆっくりを見て半狂乱になる姉ゆっくりを見て大笑いをしながら、潰れた妹を無理やり食わせる。 「い”も”う”と”を”か”え”し”て”ぇ”ぇ”ぇ”」「ゆ”っ”く”り”で”き”な”い”ぃ”ぃ”」だのと喚き散していたくせに、口の中に捻じ込むととたんに「うっめ、メッチャうめ!」「しあわせー」と喜ぶゆっくりを指差して腹を抱えて笑った。 あの後、日が暮れるまで残った姉を皆で蹴り回して、適当な木の枝に刺して帰った。 次の日に鞠代わりに蹴り飛ばして遊ぼうと木を見たら木の根元に少量の餡子とリボンが落ちていた。ゆっくりれみりゃにでも食べられたのだろうと皆で残念がった。 「ゆゅっゆっおちちゃうよっゆっくりおちちゃうよっ」 「ゆっくりおちてね!ゆっくりおちてね!」 もうすぐ勝負がつく。ご馳走にありつくゆっくりも決まりそうだ。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2995.html
ゆっくりの逃避行 丙 比較的ゲスなゆっくり 比較的善良なゆっくり 微ぺにまむ注意 原作キャラ一部登場 賢いゆっくりは漢字を使います そしておそらく俺設定 どこまで広がるとも知れない広大な森があった。 その広大な森に棲むゆっくりの数は数知れないが、とある群れは森の中でも飛びぬけて規模が大きかった。 規模は大きすぎて正確な数字は分からない、だが少なく見積もっても千近くはいるだろう。 れいむやまりさといった一般種から肉食種や雑食種、被迫害対象とされる種を除くあらゆるゆっくりが所属していた。 この群れも元々は二つの家族から始まった。 一つの家族はれいむとありすのつがい、そしてもう一つはまりさとぱちゅりーのつがいであった。 片方は多くの子供を産み比較的大きな家族であったが、もう片方は体の弱いぱちゅりーを気遣ったまりさの計らいで子供は一匹しか産まなかった。 二つの家族は巣が近かったこともあり、家族ぐるみの付き合いであった。 やがて周辺のゆっくり達もその家族のまわりに集まり始めて、小さな群れを形成していた。 群れを形成した時点でまず問題になるのが、誰がリーダーとなるかである。 一部の自己主張の強い者は我こそはと名乗りを上げたが、群れの大半は二つの家族のどちらかと決めていた。 当の家族たちは互いに遠慮して譲り合う、群れのゆっくり達は是非リーダーにと推す。 仕方なく二つの家族のそれぞれ二匹ずつがリーダーとなる、四匹による共同統治体制を確立した。 リーダーが決まり群れが再び安定すると再び群れの規模は大きくなって遂に今の規模となった。 森には食料が豊富にあったが、森の近くには人間の暮らす村があった。 群れのゆっくり達の多くの者は森で採れる草や木の実、キノコや虫を食べて満足していたが、中には人間の育てた野菜の味を覚えてしまった者もいる。 そういう者達は森の食べ物に飽きると徒党を組んで夜の内にこっそりと盗んで来ることもしばしばあった。 初めはうまく行った。人間もゆっくりのことなどよく知らず、被害も恐らく獣のせいだろうと踏んで、ゆっくりには合わない大きさの罠を仕掛けていたからだ。 だが、次第にエスカレートしたゆっくり達は人間の家に上がり込み、「おうち宣言」をする者が現れた。 こうなると人間もただでは帰してくれない。仲間が死んだり、己も五体満足では帰ってくることのできない者が続出していたのだ。 だが舌の肥えたゆっくりたちは人間の食べ物が忘れられず、また里に降りて人間と衝突する。 帰ってきた者はまたその味を群れに広めてしまう。この悪循環は遂に人間が森に入ってくるという事態を招いた。 元々森に入る人間はいたが、炭や薪のために木を切る者、キノコや山菜を採る者等がいた。 だがその関係は極めて良好だった。ゆっくりが好奇心で近づいても、人間は傷つけたりせず、一緒に遊んでやったり餌をやったりする者も少なくなかった。 しかし、今回のそれは今までとは勝手が違った。まず人間が武器や松明を持っていたこと。 明らかな敵意が窺える。そしてゆっくりが「ゆっくりしていってね!!」とあいさつしても、返すことなくそれを嬲り殺した。 「ゆっぐ・・?」 「ゆゆっ!?おじさん、れいむたちにひどいことゆぎゃあ!!!」 「しね!ゆっくりをいぢめるわるいにんげんはさっsゆぎぃぇ!!」 「ゆっくりにげるよ!」 「も゛っどゆっぐりじだがっだよお゛お゛お゛・・・!」 多くのゆっくり達の悲鳴が森中に響いた。 そして多くのゆっくりが殺された。 だがまた多くのゆっくりが生き延びた。人間が殺すにはあまりにも数が多すぎたのだ。 ゆっくり達は人間を恐れるようになった。 以前と比べれば人間の里に入る者も数が減ったが、それでも人間の食べ物を求めるゆっくりは後を絶たなかった。 そのゆっくりがまた人間の山狩りを招いた。 こんなことが何回も続いた森のゆっくり達の群れが今回の舞台である。 「にんげんはぜんぜんゆっくりしてないよ!!」 「そうよ!こんなにかわいいわたしたちをへいきでころすなんていなかものすぎるわ!!」 れいむとありすのつがいは憤る。 「むきゅ、それは違うわ・・・きっとこうなったことにも原因があるはずよ!」 ぱちゅりーは反論する。人間が襲ってくることには何か理由があると考えたからだ。 「ゆ!そんなことしらないよ!れいむたちはなんにもわるいことしてないんだよ!!」 「きっととかいはなわたしたちにしっとしてるのよ!!」 自分たちに非はないと主張するれいむ・ありすのつがい。 この二匹に限ったことではないが、人間の畑を荒らすことを悪いことだと認識しているゆっくりはごく少数だった。 その少数というのも一度畑を荒らしてたが、辛くも逃げのび、これに懲りたゆっくりだ。 種にもよるが、ここまでゆっくりが学習するというのは自然界では相当珍しい。恐らく相当のトラウマが伴ったのだろう。 それでも懲りずに何度も畑を荒らしたり人家に侵入することをやめないゆっくりがいるあたり個体差の大きさを物語っている。 「むきゅ・・・」 ぱちゅりーは言い返せなかった。ぱちゅりー自身も畑を荒らしたことがないため、この行為の善悪が分からないのだ。 「まぁまぁ、ふたりともゆっくりおちつくんだぜ!」 ぱちゅりーのつがいであるまりさが二匹をなだめる。 このまりさは体の弱いぱちゅりーを思いやる優しいゆっくりであり、狩りも上手く群れでも中心的な存在だったが、如何せん頭がイマイチだった。 そのため、頭を使うことに関してはぱちゅりーに依存していることは否めなかった。 だが、この温厚な性格と頭の弱さは、まりさ種には多いと呼ばれる悪知恵によって増長したゲス種と呼ばれる物とは、このまりさを疎遠なものにしていた。 「まりさはどうおもってるの?」 「そうよ!ゆっくりしてるひまなんてないのよ!?」 「ゆゆっ・・・まりさはぱちゅりーのいうとおりだとおもうんだぜ・・・」 カカア天下でも恐妻家というわけでもないが、その意思もぱちゅりーと同じだった。 ぱちゅりーの意見が絶対であると信じて疑わなかっただけである。 今までも自分の考えと違えても、結果としてぱちゅりーの意見が正しいことが殆どだった。 そのためまりさは自分の意見もぱちゅりーに委ねるようになった。 「「まりさのいけんなんてあてにならないんだよ!!」」 結局解決の糸口が掴めぬまま、紛糾してしまった。 元々この家族は仲はよかった。 だが、群れが大きくなるにつれて、群れの方針に関して衝突することが起き始めた。 例えば、すっきりすることを制限すべきか、あるいは餌の配給制の導入等、ぱちゅりーが提案したものが多い。 しかし、押しの強いれいむとありすは自分達の気に入らないものは改定させることが多かった。 ましてやすっきりの制限などはありすにとって認められる筈もなく、実現しなかった。 そのために今の大きさまで群れが拡大した原因といってもいい。 餌の配給に関しても本来は越冬のために提案したものが、一部のゆっくりが独占するものに形を変えてしまった。 やがて群れのためによかれと思って提案してきた案が都合よく改定されることにぱちゅりーは不満を抱いた。 それを指摘すると二匹に糾弾され、結局群れのリーダーは二派に分裂してしまった。 分裂したといっても、群れの多くはれいむとありすのつがいを支持した。 多くのゆっくりにとってぱちゅりーの考えは堅苦しくてゆっくりできないものだという認識を持っていた。 確かに群れの知恵袋として信頼もされていたが、直接自分たちの利害が絡むとれいむやありすの方が共感が持てた。 まりさは確かに信頼されているゆっくりだが、リーダーとしては引っ込み思案で、陰が薄い。 そのため群れの大勢はれいむとありすの考えに同調していた。 勿論、一部のゆっくりはぱちゅりーの考えを支持する者もいた。 少しばかりの思慮分別のあるゆっくりや、人里に降りて畑荒らしに懲りたゆっくり達がこれに当たる。 といっても基本的にゆっくりは自分たちと相容れない者を排斥する傾向があるので、 これらのゆっくり達の群れの中での地位は比較的低い者が多かった。 ある時、ぱちゅりーは人里へ降りることを決意した。 解決しない問題の答えは人里にあるのではと考えたのだ。 畑を荒らしたはいいが人間にこっぴどい目に遭わされたゆっくりの話を聞き、人間の話を聞いてみたいと考えたのだ。 やがてぱちゅりーはまりさと数匹のゆっくりを伴って人里へ降りて行った。 人里が見えてきて、ぱちゅりー達は木の陰から村の様子を窺った。 見たところは危ない人間はいなさそうであると判断し、近くで畑を耕していた初老の男性に声をかけた。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 ここでゆっくり達のお馴染みの挨拶である。 もしこの男が虐待趣味があれば間違いなく一行は餡子の塊になっていただろう。 だが幸いにもこの男に虐待趣味はなかったようで、 「なんだ、ゆっくりか・・・」と顔をしかめて返しただけであった。 男の畑は森に近く、ゆっくりによく畑を荒らされていたためか、よい感情は抱いていないようだったが、ぱちゅりーはなんとか会話を試みた。 「むきゅ、おじさん、ちょっとお時間頂いてもいいかしら。」 「なんだってんだ、餌を寄越せってんならまた叩き潰すぞ?」 非常に不機嫌そうだ、嗜虐嗜好がないにしてもやはりゆっくりは嫌っているのか。 「そんなことは言わないわ。一つだけ村の人に尋ねたいことがあるの。」 「俺だって暇じゃねぇんだ。手短に済ませよ。」 「むきゅ、どうして人間は今まではゆっくりを殺さなかったのに、殺すようになったの?」 ぱちゅりーは思い切って尋ねた。後ろに並ぶ数匹のゆっくり達も緊張した面持ちだ。 「どうしてって・・・畑や家の食い物荒らされて黙ってるわけにゃいかねーだろうが・・・ こさえた野菜が食われちまったら俺たち農家は飢え死にするしかないんだよ。」 この発言にゆっくり達は首を傾げる。そして後ろにいたある一匹が、 「ゆ?でもおやさいさんはかってにはえてくる・・・」 言うや否や男は待ってましたとばかりにこう返した。 「勝手に生えてくるようにお前らには見えるんだろうなァ、でも勝手に生えてくるんなら畑なんて必要ないだろう。 俺たちは食ってくために畑に水やって雑草抜いて野菜を育ててるんだ。それを横から掠め取られたら誰だって腹が立つだろう?」 男の言うことに理解が追い付かない者もいたが、ぱちゅりーには十分理解できた。 「むきゅ、人間さんは私たちがお野菜を盗らなかったら、森に入って私たちを殺すことをやめてくれるのかしら?」 「ああ?少なくとも村総出で山狩りなんてのはしないさ。一部の若い衆はどうか知らんが・・・」 ぱちゅりーは男の言葉に一縷の望みを見出した。 そうか、人間の畑を荒らさなければいいのか! この時点ではまだぱちゅりーも楽観視していた。その場にいたゆっくりは比較的温厚かつ、利口な部類に入るゆっくり達で、 人間の畑を荒らした者も少なかったのだ。 「分かったわ!群れのみんなに人間さんの畑からお野菜を盗むのをやめさせるわ。」 「そうしてくれるとありがたいんだがな。だが次に畑を荒らすようなことがあればまた山狩りだ。よーく覚えておけよ?」 そう言うと男は去って行った。 早速、ぱちゅりー達は群れに帰り、れいむとありすに人間の畑で野菜を盗むことを群れで禁止することを提案をした。 しかし、二匹は野菜は勝手に生えてくるだの、悪い人間がひとりじめしているだのと旧来の主張を変えない。 仕方なく群れのゆっくり達に賛否を問うことにした。 説得すれば分かってもらえると信じていたのだ。 だが、群れの1000匹近い全てのゆっくりを集め、この提案の賛否を問うと、 「おいしいおやさいはみんなでたべないとだめだよ!」 「にんげんがおやさいをひとりじめしてるんだぜ!!」 「わからないよー!おやさいはかってにはえてくるんだよー!」 「とかいはじゃないぱちゅりーはゆっくりできないわ!」 と二匹と全く変わらない答えが返ってきた。 ぱちゅりーの期待は脆くも崩れ去った。 群れのゆっくりは予想以上の数が畑荒らしで野菜の味を覚えてしまっていたのだ。 だが、人間ともう畑荒らしをしないと約束してしまった。 このままではまた人間がゆっくりを殺しに来てしまう。 しばらく説得を続けた。このままでは人間がまた森に来る、きっと後悔する・・・ だが群れの大多数の意見は変わりそうにない。 ならばどうする? ぱちゅりーは躊躇いながらも最終手段に出た。 「むきゅ!私の意見に賛成のゆっくりはこっち(左)に集まって! そして、私の意見に反対のゆっくりはあっち(右)に集まってね!!」 多くのゆっくりはぞろぞろと右側に集まった。 だが大凡70匹程度のゆっくりは左に移動した。 ぱちゅりーは左側に集まったゆっくり達にこう言った。 「あなた達はこの群れを離れて私についてきてくれるかしら? もしついてくるならそこにいて、群れを離れたくなかったらあっちに行ってちょうだい。」 一部のゆっくりは流石に群れを出る気はないのか右側に移動した。 結局左側に残ったゆっくりは大凡60匹ほどだった。 数百匹という巨大な群れから見れば60〜70匹など大した数ではないが、通常ならば十分群れを営んでいける数である。 ぱちゅりーは自分を支持するゆっくりと群れを離れ独立することを決めたのだ。 「早々に群れを離れるけどいいわね?」 ぱちゅりーは左側に集まったゆっくり達に尋ねた。 「あぶないならいそいだほうがいいよー!!」 「にんげんさんがくるまえにはやくはなれるんだぜ!!」 異論はないようだった。 「それじゃあれいむ、ありす、今まで世話になったわ、本当に今までありがとう・・・」 れいむとありすに別れの挨拶をした。 「ゆっ!いくならさっさとどっかいってね!!とろいやつはきらわれるよ!!」 「ふん!べつにさみしくなんかないからね!!」 そもそも煙たく思っていたためさっさと出て行くように急かした。 「そ、それじゃ二人ともこれでおわかれなんだぜ・・・」 まりさも二匹に別れを告げる。 「むきゅ、最後にもう一度だけ忠告してくけど、人間さんにはくれぐれも気をつけてね。」 そういうと60匹のゆっくり達を伴ってぱちゅりーは群れを離れて行った。 逃亡開始一日目 勢いよく飛び出してきたはいいが、やはり60匹という数は多かった。 小規模な群れが移動しているのと同じである。通常ゆっくりは定住する場所を決めたら群れでそこを離れることはない。 移動を考える事態に陥ってしまうと、食べ物が尽き、移動する前に群れが餓えてしまうからだ。 多少の食べ物を持ってきたとはいえ、長くは持つまい、早く新しいゆっくりぷれいすを見つけなければとぱちゅりーは焦った。 とにかく夜になる前に洞穴を見つけ、そこに宿をとることにした。 運がよかったのだろう、逃亡開始一日目は誰一人欠けることなく夜を明かすことができた。 逃亡開始二日目 太陽が昇ってまだ間もない時間帯にゆっくり達は目覚めた。 ぱちゅりーはできるだけ早く遠くまで移動したかったため、朝食も早々に済ませ移動を開始した。 「まだねむいよー・・・」 「じぇんじぇんゆっくちちてにゃいよ・・・」 ゆっくり達も不満そうだがしぶしぶ付いてくる。 天気はやや曇り気味で湿気もやや高い。天候と疲れがゆっくり達の士気を容赦なく下げる。 だがゆっくりが二日歩いた程度では人間の行動範囲内から逃れることは叶わない。 ぱちゅりーはゆっくり達を必死に励ましながら強行軍を続ける。 「みんながんばるんだぜ!いまがんばったらあとでもっとゆっくりできるんだぜ!!」 つがいのまりさも必死に励ましてくれる。 その日は結局いい寝床が見つからず野宿だった。 だがまだ誰も欠けていない、このまま上手くいくようにとぱちゅりーは願った。 逃亡開始三日目 その日はやや小雨の降るゆっくりにとっては好ましくない天気であった。 体が溶けるほどではないが、早く雨を凌げる場所に移動しなければ危ない。 ぱちゅりーは目覚めるとすぐに離れるよう指示をした。ゆっくり達は慌ただしく雨を凌げる場所を求めて移動を始めた。 しばらくすると大きな木が見えてみてそこの木陰で休息を取ることにした。 雨脚は幸いにも先程より弱まっていたが、しばらくはここに留まり休息することにした。 「ゆぅ・・・ぱちゅりー、なにかわるいよかんがするよ・・・」 つがいのまりさがぱちゅりーに弱々しく呟いた。 悪い予感、群れの狩人の代表格であったゆっくりの感である。れみりゃかふらんが近付いているのだろうか? 「むきゅ・・・悪い予感ってなに?それはもう近付いているのかしら?」 とにかく尋ねることにしたぱちゅりーであったが、そこまでは分からないとしか返ってこない。 早くここを離れるべきだろうか、考えている内に雨が上がっていた。 危機が迫っているなら早く離れた方が得策だと判断したぱちゅりーは、群れを先導し移動を開始した。 移動を開始してしばらくして、後ろから悲鳴が聞こえてきた。 「・・いぱー・りすだ・・ぁぁぁあああ・・あ・・・!!」 「んっほお・・・ぉぉ・!・か・いぃ・・・ぁぁぁ!!」 60匹の大行列である。最前列から最後尾までは結構な距離があった。そのため後ろの様子はよく分からなかった。 だがただ事でないことだけは分かる。 とにかく何事か確かめるために数匹のゆっくりとまりさを伴って最後尾へ向かった。 「んっほおおおおおお!!!すっきりいいいいいいいいいいい!!!」 「だずげでえええええええええええ!!ぼうずっぎりじだぐないいいいいいいい!?」 「つんでれなれいむもかわいいいわあああああああああ!!!」 「・・ぼっどゆっぐじ・・・じだがったよ・・・」 そこはまさしく地獄のような光景が広がっていた。 数匹のレイパーありすとそれに襲われ黒ずんだゆっくり達、そしてそれから逃れようと将棋倒しになり動けなくなったゆっくり達。 既に数匹のゆっくりが消し炭のようになっており、間もなく更に多くのゆっくりが同じ運命を辿ることになるだろう。 だがレイパーありす達はぱちゅりーとまりさ達を見ると、 「れいむとありすがいってたとってもすっきりさせてくれるぱちゅりーとまりさだわ!!」 「あのまりさはわたしのものよおおおおおおおお!!!」 と襲っていたゆっくりを放り出してぱちゅりー達のいる方へ向かってきた。 れいむとありす、つまりともに群れを治めていたあのつがいである。 何を思ったか二匹はぱちゅりーとまりさが群れを離れた後に、禍の種は絶っておこうと刺客を送り込んできたのだ。 それがレイパーありすだということはついてきたゆっくり諸共、消すつもりなのだろう。 これだけのことを頭のクリームで処理している内に、レイパーありす達は今にも飛び掛からんという所まで近づいていた。 レイパーありす達が飛び掛かろうとした瞬間、まりさがありす達に体当たりを仕掛けた。 ありす達は跳ね飛ばされたが、何匹かは体勢を崩すに留まった。 「まりさったらおませさんねええええええ!!」 「はげしいあいもきらいじゃないわよおおおおおお!!!」 まりさは体を膨らませて威嚇しているが全く効果がない。 そうしてる間にありす達はまりさを取り囲みぺにぺにを突き立てはじめた。 「ま、まりさはここでありすをくいとめるよ!ぱちゅりーはみんなをつれてはやくにげてね!!」 つまりは囮になるということである。勿論ぱちゅりーにそんなことができるわけがない。 「むきゅ!?そんなことできるわけないわ!!」 「いいからはやくにげてねっ!!!このままじゃみんなゆっくりできなくなるよ!!」 まりさは語気を強めるが、ぱちゅりーは動こうとしない。 だが、ぱちゅりーについて来てこの惨劇に立ち会ったれいむ(当然群れリーダーとは別)とちぇんがぱちゅりーを連れてその場を逃げ出した。 「むきゅ!?二人とも放してね!!??このままじゃまりさがありすに殺されちゃうわ!!!」 だが二匹は放さず、一層足を速めた。まりさの意を汲んでの行動でもあったが、自己保身であったことも否めない。 「あそこはまりさにまかせないとみんなゆっくりできないんだよ!!」 「つらいのはわかるよー!でもいまふたりがしんじゃったらそれこそみんなおしまいだよー!!」 「ばりざあああああああああああああああああああ!!!・・・ゴホっ、エレエレ・・・」 やがて叫びすぎたぱちゅりーは中身を吐いて気を失った。 ぱちゅりー達が離れていくのを見届けると、まりさは体を大きく膨らませてぱちゅりー達が逃げた反対方向にいたありすに体当たりを仕掛け、包囲を脱した。 そしてまむまむをありすたちに見せ、ありす達を完全に自分に釘付けにした。 「ゆっ!いなかもののありすたちはさっさとしんでね!くやしかったらまりさをつかまえてね!!」 まりさはありす達を挑発するとぱちゅりー達と反対方向に走り出した。 「ありずはいながものなんかじゃないわああああああああああ!!!」 「いなかもののまりさはありすのとかいはのてくにっくですっきりさせてあげるわあああああ!!!」 「ゆっくりしてないでさっさとつかまりなさいね!!!」 しばらく間追いかけっこが続いたが、やがてまりさが力尽きありす達に追い付かれてしまった。 「・・・・・・・・・・・・!!!」 「「「・・っき・いぃーー・・・ー!・・・・」」」 れいむとちぇんはぱちゅりーを抱えながら遥か後方から聞こえてくる断末魔とレイパー達の雄たけびを聞くしかなかった。 結局この騒動でありすに襲われたり、群れからはぐれたゆっくりが20匹近く、 そしてぱちゅりーの最愛のパートナーであるまりさを失った。 その晩、気がついたぱちゅりーはただ泣くことしかできず、他のゆっくり達もありすの襲撃を恐れて満足に眠ることもできなかった。 人里の集会所 その晩、人間達は集会所でゆっくり対策について意見を出し合っていた。 「・・・それでは、明日の早朝実行ということでよろしいかな?」 「異議なし、やはりゆっくりの約束など空約束でしたね、向こうから言っておいて次の日畑を荒らすとは呆れて物も言えませんな。」 「同感です。今度こそ徹底的に成敗してやりましょう!」 どうやら山狩りの打ち合わせのようだ。そこにはぱちゅりーが交渉した例の男もいた。 「やはりゆっくりはゆっくりと言うことか・・・期待した俺が馬鹿だった。」 「何、アンタが気を落とすことでもないさ、どうせ明日になりゃ全て片付くんだからな。」 「しかしなァ・・・上白沢様に御意見も伺わずに決めてよかったのかね・・・」 一人の男がある人物の名前を出して躊躇った。 「仕方ないさ、上白沢様は今里を留守にしてらっしゃる、帰ってこられるまで待ってたらそれこそ畑を食い尽されちまうかもしれん!」 「いや、だがしかし・・・」 その後も喧々諤々と話し合いは続いたが、結局は当初の計画の通りまとまった。 「それでは皆さん、明日はお願いします、解散!」 続く 過去作品 男と一家 きめぇ丸の恩返し 丙・丁 ゆっくりハザード 永遠亭の怪 楽園の終焉 感染拡大 内から侵食 by同志ゆっくり小町
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/110.html
ゆっくり教 3KB 注意 ※地方によって著しく生態が違うゆっくり(場所によっては何も食わなくても平気で生きられるゆっくりが居る事もある)が居る世界の話です 19××年。 ゆっくりが何処からともなく世界に現れ、人々を困惑させた時期。 「これで金儲けできるんじゃね?」 一人の若者がそう考え、その考えを実行に移した。 『ゆっくりは神の御使いであり、ゆっくりが目で見た物、耳で聞いた事の全てが神に伝わっています』 ゆっくり教なる新興宗教が日本の何処かで出来上がった。 聖書をパク……若者なりの解釈をして、ゆっくりを混ぜ込んだ奇怪極まる宗教。 そのパク……引用して作り上げられた、ゆっくり教の有名な言葉を一つ挙げよう。 『ゆっくりに見せるために、ゆっくりに善行をするよう気をつけなさい。そうでないと、天に居られる我等が神から、報いが受けられません』 ゆっくりをゆっくりさせれば死後に天国に行ける、との因果関係が不可解な教え。 だがこれが流行した?何故か? まだ世間によく知られていない摩訶不思議なゆっくりの生態に加え、日本に終末論が流行っていた事もあったのか? 熱病に冒されたように、ゆっくり教は信徒を増やした。 …………………… 何処かの街にある一つの建物。 ゆっくり教団が構えている教会の一つである。 外から見える部分は簡素で、中から見える所も簡素、取り柄と言えば大きさだけな建物。 中では一人の男性信者が数匹のゆっくりに供物捧げていた。 「そろそろ時間ですね、ゆっくり様。お受け取りください」 「むーしゃむーしゃ、しあわせ~」 男性信者のゆっくりに対する供物は、ゆっくり教が教える基本的な善行の一つだ。 供物を与えられ、笑顔で食べるゆっくりと、それを笑顔で見る信者。 そこに…… 「ゆはぁゆはぁ…ここがゆっくりきょうかいだね」 「ゆへぇゆへぇ…ここならゆっくりできそうだよ!」 れいむとまりさが現れた。 ゆっくりにしては辛い長旅だったのだろう。息を荒げて疲労困憊の様子である。 ゆっくり教を聞いてやって来たゆっくりなのだろう。 荒げていた息を落ち着けると、信者の目の前にぽよんぽよん跳ねて来た。 「これはこれは…ゆっくり様、遠くからお出で頂……!?」 にこやかに対応しようとした信者の顔が凍り付いた。 原因はまりさの帽子から現れた子ゆっくり達である。 「れいみゅおにゃかすいちゃよ」「おにいしゃんのおうちにもどらにゃいの?」 「いまからあまあまをもらうからなかないでね」 あまあまをもらうと聞いて、表情を更に険しくする信者。 それに気付かぬ母れいむは、愚図る子ゆっくりに優しく語り掛ける。 父まりさは安心させるように子ゆっくりの顔を舐めようとして――― 「なかないでねおぢ!!!???」 信者に踏まれた。 強烈なストンピングに内容物の半分が噴出。床に盛大に餡子を散らしながら絶命。 突然のあんまりにもあんまりな攻撃に、母れいむが絶叫しようとした所を。 「悪魔め!この世から去れ!」 激した信者の言葉と共に踏まれ、父まりさの後を追う事となった。 「ぴゃぴゅ!?」「れいみゅぴゃ!!?」 最後に何かいえた子ゆっくりも親と一緒に床の餡子になった。 「ゆっくり達を真似た悪魔め!地獄で永劫の苦しみを味わえ!」 床に転がる餡子の残骸に吐き捨てると、信者はモップとバケツを取りに行くためその場を去った。 …………………… 来るゆっくりは全て拒まず受け入れる。 それがゆっくり教会だが、例外もあり…… ゆっくり教では、子を産むゆっくりの存在を認めていない。 ゆっくり教の教えでは、神が遣わしたゆっくり達は単体で完結しており、増える事が無ければ減る事も無い。 それに、人間の行いを見て聞くだけのゆっくりは、人間に向かって何かを要求する事も無いのだ。 それから外れたゆっくり達は、ゆっくり教の中では悪魔として定められている。 「ゆっくりを騙り人間を堕落させる存在」 あのゆっくり親子は、その例外だったのだ。 ―――――――― 信者はゆっくりが売られているペットショップを、世界中に悪魔をばら撒いてる所だと認識。 ペットショップにペンキをぶちまける過激派もいるそうな。 前作 『ふたば系ゆっくりいじめ 84 暇人二人の旅行』 『ふたば系ゆっくりいじめ 79 暇人二人のゆっくりいじめ』 『ふたば系ゆっくりいじめ 64 酷い暇潰し』 【ふたば系ゆっくりいじめ 58 ドスまりさがぶっ殺される話】 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 原始ゆっくりが居るのか!? だったら崇拝者がいるのも分かるなww -- 2018-01-24 14 17 14 なかなかイイ新興宗教だww -- 2014-03-18 18 28 25 こいつら迷惑な集団だな -- 2012-12-12 21 44 55 ある意味すげぇwwwww -- 2011-12-23 10 13 46 すごい世界だな -- 2011-05-28 15 13 59