約 592,779 件
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/459.html
庭にわ二羽ニワトリが… じゃなかった、庭には3匹のゆっくりがいる。 つい先日、町で俺に物乞いをしてきたゆっくりだ。 俺は哀れに思って、そいつ等の面倒を見る事にした。 「ゆーんしょ!ゆーんしょ!……ゆぅぅぅ…だめだよ、やっぱりうごけないよ」 「ゆびぇぇぇぇん!おかーしゃん!まりちゃ、もうやじゃー!」 「れーみゅも…もうこんなゆっくりできにゃいのは、いやだよ…」 庭においてある浅めの木箱の中で必死に体を動かすゆっくり親子。 親まりさに子まりさ、子れいむの3匹だ。 どうしてしんぐるまざー(?)になったのかは知らないが、人間に対しての警戒心が無い。 親まりさの話では飼いゆっくりだったものが、子供を作って捨てられた様な内容を話した。 「ゆぅぅぅ…おかーしゃん、おなかすいしゃのじぇー!」 「れーみゅも…おなかが……ゆぅぅぅ…」 「ごめんねおちびちゃん、おかーさんがにんげんさんに、たよらなければ……だめなおかーさんでごめんね」 箱の中で身を寄せ合う親子。 最近はようやく春らしくなってきたとはいえ、まだ風は冷たい。 冬に越冬(笑)をするゆっくりにとっては、十分にゆっくり出来ないものであった。 俺がこのゆっくり親子を拾ってきたのは昨日の事。 人間に飼いゆっくりにしてくれだの、食べ物をくれだのと、町のゴミ捨て場で見つけたものを連れて帰ったのだ。 3匹は飼いゆっくりになれると、目を輝かせて喜んだ。 「ゆーわい!にんげんさんありがとう!まりさはかいゆっくりだったことがあるから、おといれもちゃんとできるよ!!」 「ゆわーい!これでゆっくちできるのじぇー!」 「れーみゅはしあわしぇものだよ!えらばれたんだよ!」 薄汚い3匹は目を輝かせて俺の後をついて来た。 で、家について早速この親子のあんよを布テープでぐるぐる巻きにして、 庭に放置してあった木箱に突っ込んで一晩放置したのだ。 幸い近所には民家が少ないため、こいつ等がいくら叫んでも苦情は来ない。 夜の寒さに身を振るわせながら、れみりゃに襲われる恐怖と戦いながら一晩を過ごしてもらった。 「ゆっ…ゆぅ……!…に、にんげんさん!どうしてこんなことするのぉぉぉ?まりさたちはさむいさむいだったよ! こわいこわいだったよ!それにおなかもすいたよ!かいゆっくりに、してくれたのならなら、おうちにいれてね!」 「にんげんしゃん!どーしちぇこんなことしゅるのじぇ?!まりちゃがかわいくないのじぇ?」 「れーみゅたちはえらばれたんじゃないの?どうしてこんなことしゅるの?ばきゃなの?しぬにょ?」 庭に現れた俺に気がついたゆっくり親子が一斉に抗議の声をあげる。 その表情は寒さや恐怖、疲労等でとてもゆっくり出来ないいい顔をしていた。 「何言ってるんだ?飼いゆっくりだからと言っても、家の中で飼われる訳じゃないだろう? それにれいむよ…お前たちは俺に選ばれたからこうなったんだぞ?ゆっくりりかいしろ!」 「「「ゆゆうぅぅぅ?!」」」 困惑の表情を浮かべるゆっくり親子。 だが、このまま放置して飢え死にされても面白くない。 俺は昨晩作っておいた特製のエサを取りに家に戻る。 冷凍庫からそれを取り出し、ついでにカッターナイフを持つと、腹をすかせた親子の元に向かった。 「ほーら、今から餌をやるぞ!ゆっくり感謝しろよ!」 「ゆゆ?!それほんちょー?ゆわーい!にんげんしゃん、だいしゅきなのじぇー!」 「ゆわーい!さしゅがれーみゅはえらばれたゆっくりだよ!にんげんしゃんもわかってたんだにぇ!」 「にんげんさん、ありがとうございます!ありがとうございます!これでゆっくりできます!」 餌を貰えると分かった途端、喜び騒ぎ出す親子。 一晩野ざらしにされた事などもう忘れてしまったようだ。 「じゃあ、まずは選ばれたれいむからな…」 「ゆわーい!ゆゆ?!きわしゅくさわらな………ゆわーい!おそりゃをとんでりゅー!」 俺に持ち上げられ、お決まりの台詞を吐く子れいむ。 それを羨ましそうに眺める子まりさと、嬉しそうに見守る親まりさ。 俺は嬉しそうにピコピコと揉み上げを動かす子れいむの額にカッターの刃を押し当てる。 「ゆん?これにゃーに?きらきらしちぇるよ?」 そしてそこからゆっくりとカッターの刃を推し進めていく。 「ゆゆゆゆ??………ゆっぎゃぁぁぁぁ!いちゃいよぉぉぉぉ!ゆんやぁぁぁぁぁ!!」 「ゆっぴぃぃぃ?!にんげんしゃん、なにしちぇるのじぇぇぇぇ?!」 「ゆわぁぁぁぁ!おちびちゃんがぁぁぁぁ!!」 カッターの刃を目で追いながら泣き叫ぶ子れいむ。 子れいむの異常に気がついた二匹も騒ぎ出す。 俺は頭に半分ほど切り込みを入れると、どこから手で切り口を開いていく。 「ゆがががが…!やべでぇぇぇぇ!どぼしちぇこんなとちょしゅるのぉぉぉぉぉ?!」 「ゆんやぁぁぁ!きょわいのじぇぇぇぇ!ゆっくちできにゃいぃぃぃぃぃ!」 「おちびちゃんたち!ゆっくり!ゆっくりしてねぇぇぇぇ!!」 痛みに身を捩る子れいむ、丁度切られた頭が蓋のようになる。 俺は切り口から姿を見せた餡の中に持ってきた餌を押し込む。 「ゆっぎぃ?!ぎががが…やべろぉぉぉ!ゆっぎぃ!ごっぎぃ!!ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅめちゃいぃぃぃぃ?!」 異物を餡の中に押し込められる苦痛に奇声を上げるれいむ。 ようやく用意した餌が収まった所で、今度は冷たさに気がつき騒ぎ出す。 「どうだ?特製オレンジジュース玉は美味しいか?」 「いだいぃぃぃ!ちゅめちゃいぃぃぃ!もうやだぁぁぁ!おうちきゃえるぅぅぅぅ!!」 「ゆわぁぁん!れーみゅー!ゆびゃぁぁぁぁぁ!」 「にんげんさん、やめてね!どうしてこんなことするのぉぉぉぉ?! まりさたちは、なにもわるいことはしてないでしょぉぉぉぉ?!」 五月蝿く喚き散らすゆっくり親子。 俺は更に追加でもう一つオレンジジュースの氷玉を子れいむの中に押し込んでいく。 「やべでぇぇぇ!ゆぎっ!いがががが!ぎぎぎぎ…げべっ!ゆぎっ!ゆっ!ゆゆ…ゆ…ゆ…」 痛みと冷たさに耐え切れなくなったのか、白目を剥いて痙攣するだけになった子れいむ。 開いた頭を元に戻して木箱に戻しておく、後はオレンジジュースが溶ければ勝手に治るだろう。 「れーみゅ!れーみゅー!ゆっくちしちぇぇぇぇ!」 「おちびちゃん!いまペーろ、ぺーろしてあげるからねぇぇぇ!」 変わり果てた子れいむに必死に呼びかける子まりさ。 親まりさは必死に舌を伸ばすがギリギリの所で届かない。 俺は子まりさを持ち上げると、子れいむと同じように額にカッターを押し当てる。 「ゆびゃぁぁぁん!きょわいのじぇぇぇぇ!!………ゆんやぁぁぁ!やめちぇぇぇぇ!おきゃーしゃん、たしゅけちぇぇぇ!!」 「ゆがぁぁぁぁ?!おちびちゃんがぁぁ!いまたすけるよ!のーび………のーーび… …ゆわぁぁ?!どうしてとどかないのぉぉぉ?!」 必死にあんよをブリブリ振りながら、助けを求めて泣き叫ぶ子まりさ。 親まりさは必死に体を伸ばすが、当然そんな事をしても救出できるわけが無い。 無力なゆっくりの無駄な抵抗ほど面白いものは無い。 俺はわざと親まりさに見せ付けるように、子まりさの額をカッターで切り進めていった。 「ゆっびぎぃぃぃぃ?!いだいのじぇぇぇぇ!!おきゃーしゃん、どぼしちぇたすけちぇくれないのじぇぇぇぇぇ!!」 「ゆわぁぁぁぁ?!おちびちゃん!ゆっくり!ゆっくりしてねぇぇぇぇ!!」 半分ほど切り進めた所で、子れいむと同じでは面白くないと思い、そのまま一気に子まりさの頭を切断した。 カッターの刃が駆け抜けた瞬間、ビクッと体を大きく痙攣させる子まりさ。 髪の毛も少し切れたようで、キラキラと光りながら箱の中に舞い落ちていく。 親まりさと俺はそれを目で追う。 「ゆ…あ…ああ……おちびちゃんのかみのけさんが………」 髪の毛に気をとられている親まりさと、痛みに泣き震える子まりさ。 俺は二匹に見せびらかす様に、子まりさから切り取った帽子つきの頭を見せてあげた。 「ゆ?!………ゆわわ…わ…まりしゃのおぼうししゃん?………まりしゃのきんぱつしゃん?………あ、あたまが……」 「お、おちびちゃんのあたまが………おぼうしが………」 「「ゆっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」 美しき親子の悲鳴二重奏。 子まりさは自分の頭上と切り落とされた頭を見比べながらの絶叫。 親まりさは子まりさと帽子つき頭部を見比べながらの絶叫。 流石親子と言った感じの絶妙のコンビネーション。 だが、ここで満足してはいけない。 お腹をすかせた子まりさにもオレンジアイスボールを食べさせてやる。 当然頭からだけど。 「ゆっぴぎぃぃ?!やべででで!ぎびぇぇぇ!ゆぎょぶぅぅ?!げべぇ!ゆぎぃ!ごばぁ!」 「ゆがぁぁぁぁ?!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくりぃぃぃ?!」 子まりさはもはや何を叫んでいるのか分からない、ただ涎と涙を撒き散らせながら痛みと冷たさに身を震わせていた。 親まりさも何もせずにただ「ゆっくり!」と連呼するだけだった。 オレンジ玉を3個ほど子まりさに食べさせてやると、頭を逆向きにつけてゆぎぎと唸っている子れいむの隣にそっと置いてやる。 二匹仲良く歯を食いしばり、唸る姿を泣きながら見つめる親まりさ。 俺はそんな親まりさの額にカッターの刃を突き刺した。 「おちびちゃ…おちびちゃん…おちびっぎぃぃ?!ゆがぁぁぁぁ!いだいよぉぉぉぉぉ!!ゆぎゃぁぁぁぁ!!」 俺はそのまま刃を進め、額の皮を横長の長方形になるよう切り取った。 そしてむき出しになった餡子にオレンジ玉を並べて詰め込んでいった。 「ゆぎぃ!げべぇ?!ゆぎゃ!やべでぇ!いぎゃ!ぎぎぎ…げべぇ?!」 オレンジ玉を詰め終わると、切り取った皮をかぶせてそのまま放置する。 今日は仕事なのでこのまま出勤する。 隠しカメラと盗聴器も仕込んであるので、俺が出かけている間の様子もバッチリ観察できる様になっている。 俺はニヤニヤしつつ会社に向かう、今からすでに帰ってるのが楽しみで仕方ない。 「ゆぎぎ…いちゃいのじぇ…しゃむいのじぇ…おかーしゃ…どぼしちぇゆっくちしゃせてくれないのじぇ?」 「ゆびぎぃ!ちゃむい!ぎぎべべ…いだい…ゆっくちでぎない………ゆぐぐ…」 「ゆがが…お、おちびちゃんたち…ゆびぃ!…ゆっくり…ゆっくりしてね……どぼして…こんなことに…」 大分陽射しは暖かくなってきたとはいえ、それでもまだまだ気温は低い。 そんな寒空の下に野晒しにされている上、体内には氷の玉が数個も入れられている。 寒さが苦手なゆっくりにとって、この仕打ちはとても耐えられるものではなかった。 体力を消費して死んでしまう所であろうが、栄養剤や砂糖が混ぜられたオレンジジュースの氷玉が、 太陽熱で溶け出しているおかげで、死にたくても死ねない状況にあった。 いっそのこと雨でも降ってくれれば溶けて死ぬことが出来るのだが、天気予報では今日から一週間は晴れるそうだ。 「おかーしゃ…どぼじでにんげんしゃんに………ゆっくちできるんじゃなかったのじぇ?………おかーしゃ…うそちゅき…」 「れーみゅたちはえらばれたゆっくりじゃ……ぎぎ…ゆげぎ……これじゃゆっくちできにゃ……がぎぎぃ……」 「おちびちゃ………ごめんね…ゆぎ…こんなはずじゃ………どぼじで………」 人間に飼われればゆっくり出来ると思っていた親子。 それが人間に飼われた結果がこれだ。 いつまで続くとも知れないこの地獄で、お互いに触れる事も出来ずただ寒さと痛みに身を振るわせる親子であった。 完 個人的に最高の苦痛は死にたくても死ねない事だと思っています。 徒然あき
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/196.html
「ゆっくりメダル」 [参考:ゆっくり虐待スレ3 341] ゲームセンターによくある、メダルをタイミングよく投入すると迫り出す板によって端のメダルが 押し出されて落ちるやつ。ありますよね。 あれをゆっくり達でやってみようと思います。 メダルと違って、ゆっくりを投入するタイミングはあまり問題になりません。 適当なタイミングで投入すると、投入されたゆっくりは板の上を埋め尽くすゆっくりたちの上に転 がり落ちる。そして、板が移動して隙間ができたところで、自ら転がってその隙間に落ちていきます。 つまり、メダルだとタイミングよく投入しないと隙間にメダルを落とせないのに、ゆっくりの場合 は勝手に移動してくれるわけですね。 「ゆっくりー!れいむもここでゆっくりするよ!!」 さて、もともとスペースにゆとりがなかったところに、一匹ゆっくりが増えたわけですから… 次に板が迫り出したとき、最低一匹のゆっくりが落ちることになります。 「落ちたくないよ!!ゆっくりできないよ!!」 「れいむは落ちないよ!!まりさが落ちればいいよ!!」 「ゆっくり落ちていってね!!」 端のゆっくりたちが押し合います。どうやら落ちたくないようです。 当然のことです。落ちてしまったら、もう“ゆっくりできない”のですから。 落ちた先で待ち受けるのは、ふたが開いた透明な箱。 大きさは、ちょうどゆっくり一匹分… みんな、そこに落ちたらどうなるか知っているのです。 周囲は電流が流れる鉄板で囲まれているので、逃げ場はありません。 板が迫り出して、どんどんスペースが狭くなっていきます。 それに従って、ゆっくりたちの争いも激化します。 「ゆっくりしたいよ!ここでゆっくりざぜでえ゛え゛!!!」 「ここでゆっくりするのはまりさだよ!!れいむはゆっくり落ちていってね!!」 そんな醜い争いの中、ゆっくりれいむとゆっくりまりさの2匹が落とされました。 急な斜面を、2匹は必死に登ろうとします。 お互いを蹴落としながら、生まれながらの粘着力で何とか上に戻ろうと… でもぎりぎり登れない角度に設計されているので、結局2匹は箱の中に落ちていきます。 箱の大きさは、さっきも説明したとおり一匹分です。 しかし、2匹は無理やり箱に押し込められ、ふたが閉じられてしまいました。 「ぐるじい゛い゛い゛い゛い゛!!ごごがらだじでえ゛え゛え゛!!」 「ゆっぐりざぜでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 箱の中でも居場所をめぐって押し合う2匹。この期に及んでまだゆっくりしたいようです。 通常の半分に圧縮されたゆっくり2匹は、ベルトコンベアで運ばれていきます。 そしてほかのゆっくりたちによく見える位置に移動すると… 「びゃあ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛!!やめ゛でえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「どおじてぞんなごどずるの゛お゛お゛お゛!!??」 「しんじゃう!!しんじゃうよぼお゛あ゛お゛お゛お゛!!!」 箱の容積はどんどん小さくなり、中のゆっくりが押しつぶされていきます。 「れいむがゆっくりできないよ!!ゆっくりたすけてあげてね!!」 「ま゛り゛さ゛あ゛あ゛あ゛!!ゆ゛っくり゛してよお゛お゛お゛お゛!!!」 「お゛にいさん!!ゆ゛っくり゛してない゛でたすけてあげてえ゛え゛え゛!!」 見ているゆっくりたちがわめきます。 さっきまで醜い争いを繰り広げていたゆっくりたち。 あの2匹が落ちた原因が自分達であることも忘れて、2匹を助けるよう懇願します。 箱の圧力が高くなっていくと、ゆっくりの皮が破れて中の餡子が丸見えになってしまいます。 行き場の無くなった餡子は、下の穴から漏れ出していき… 「あ………ばっ……ゆ゛っ……っぐり…!」 「ゆ゛っ……ゆ゛ゆ゛っ……ゆ゛ーーーーあぼろっれべげばへおばおあえrkごえ!!!」 目から口から裂け目から、至るとこから餡子を出して、苦しみと絶望の中でゆっくりは息絶えます。 それを見ていたほかのゆっくりたちも、次は自分がこうなるかもしれないという恐怖の中、 ゆっくりできる場所を求めて争い続けるのです。 あ、ちなみに2匹のゆっくりを落としたので、2匹の別のゆっくりが排出口から戻ってきます。 この2匹には、ガラスの向こうにいるたくさんのゆっくりがどんな目にあっているのか、わかっていないようです。 「ゆっくりしていってね!!みんなもゆっくりしていってね!!」 「みんな楽しそう!!れいむもあそこでゆっくりさせてね!!」 プレイに飽きたら、持ち帰って虐待するもよし、食すもよし、加工場に売るもよし。 楽しみ方は無限大!! 「ゆっくりメダル」でたくさんゆっくりしていってね!! 選択肢 投票 しあわせー! (2) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (3) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/155.html
人里から遠く離れた小さな山に、多くのゆっくりが暮らす森がある。 日当たりの良い広場があり、きれいな川が流れ、木の実を付ける広葉樹で構成されており、 小鳥は囀り、げっ歯類以上の大きさの哺乳類はおらず、妖怪も人間も足を踏み入れないというそこは、ゆっくり達の理想郷であった。 そんな美しい森に、とても生存本能の強いゆっくりぱちゅりーが居た。 他のゆっくりぱちゅりーは自らの運命…先天的に病弱で、長生きする事は叶わない自らの体質を受け入れている。 だが流石にこのゆっちゅりーは格が違った。自らの運命を自らの手で(ゆっくりなので手は無いが)変えようと強く思っていた。 ある日ゆちゅりーが短時間の散歩を楽しんでいると、木の洞に詰まって身動きが取れなくなっているゆっくりまりさがいた。 ふと、ゆちゅりーの拙い思考回路があるアイデアを生み出した。 まりさ種はゆっくり達の中でも殊に活動的だ。その点では、ゆちゅりーの理想と言ってもいい。 そのゆまりさの健康で活動的な肉体を得れば、自分もああなれるのではないか。 無論、肉体を手に入れると言っても脳を移植する訳ではない。元よりゆっくりにそのような知識は無い。 あるのは本能だけ。故に、他者の肉体を得る方法はただ一つ。―――食べる事だけだ。 ゆちゅりーは虚ろな表情で、ゆっくりとゆまりさににじり寄る。 「ゆっ!たすけてくれるの!!?ゆっくりひっぱってね!!!」 「…………」 ゆちゅりーは答えない。というか、聞こえていない。今のゆちゅりーにあるのは強烈なまでの食欲だけだ。 「ど、どうしたの!!?さっさとたすけてね!!!」 「…………」 偶然にも周囲にゆっくりの姿は無い。まるでゆっくりの神があるいは悪魔がセッティングしたかのような状況である。 もうゆまりさの体温すら感じられる程に肉薄している。耳障りな雑音も聞こえない。 ぶよぶよと震える皮は美味そうとしか考えられない。 普段は友愛を喚起させられる体臭も今では食欲をそそる香りだ。 肌身離さずかぶっている帽子や、美しい金色の髪に至るまでが御馳走に見える。 そして、 「ゆ゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!や゛め゛で!!!や゛め゛でよ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 思い切り良く頬に食らいついた。その瞬間、口の中をかつて無いほどの至福が駆け抜けた。 ―――すごい。こんなにまりさがおいしいなんて。ゆめみたい。 全身が四散しそうな程衝撃的な味は、ゆちゅりーを虜にした。 一心不乱にゆまりさを喰らう。否、このゆちゅりーはゆまりさをただ食っているのではない。愛しているのだ。 今のゆちゅりーの最大限の愛情表現こそがこの共食いという最も恐るべき行為だった。 「う゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!どうじで!どうじでごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 一口齧る毎に、一声絶叫される毎に、ゆちゅりーは心身共に活力に満ちて行くのを実感していた。 このような感覚は生まれて初めてだった。母の蔓に生まれ、目を覚ました時ですらここまでの爽快感は無かった。 「ぐがが……お゛ぼぉ゛……ゆ゛……ゆ゛ぐぐ……ゆ゛っぐり゛ざぜでね゛!!!!!」 それがこのゆまりさの最期の叫びだった。後はただゆまりさの残骸を余さず食う音だけが響いていた。 「むきゅぅーん……」 ゆちゅりーは涙した。一時の激欲に身を任せて友を食べてしまった自責の念で。 もう二度と自分の知らない場所にまで連れて行ってくれた相手と会えない悲しみで。 そして、身も心もかつてない程のゆっくりに満ち溢れている喜びで。 もっと。もっとこのエネルギーが欲しい。友を喪うのは悲しいけれど、それを遥かに上回る喜びが得られるのなら。 「だから……!(福山潤の声で)」 翌日の朝、ゆちゅりーは森の中を全速力で駆け回っていた。恐らくゆっくりまりさと同等の速度だろう。 ゆちゅりーは感動している。速く走れるとはこんなに素晴らしいことなのか。それもこれもまりさと一つになったお陰だ。 もっとだ。もっと食べれば、もっと生きていられる。もっとゆっくりできる。そう、食えば食う程―――強くなる。 ……新たな餌を、発見した。 数年後、そこにはかつての貧弱さなど微塵も感じさせない力強いゆっちゅりーが居た。 体躯は通常のゆっくりより一回りも二回りも大きく、その眼力に他のゆっくりはただ畏れるしかなかった。 今やゆっくりれみりゃさえもゆっちゅりーには近付かない。 ぱちゅりー種でありながら餌を横取りされたゆっくりれみりゃの群れ十匹を返り討ちにするような怪物に逆らう程、ゆっくりも馬鹿ではないのだ。 そう。今やこのゆっちゅりーはこの森に住まうゆっくり達の王なのである。 好きな時に好きなゆっくりと共にゆっくりし、好きな時に好きなゆっくりを食べる。それが王の在り方だった。 だが、王はこの生活にも飽きてきた。以前とは比較にならない位強大な生命力を得た王にとって、通常のゆっくりでは物足りないのだ。 もっと。もっと大きくて栄養のある餌が欲しい。際限無い欲望を持つという点では、人間の王とゆっくりの王は大差無かった。 決意するのに、そう時間はかからなかった。王はこの楽園を捨て、新天地へ向かう事を決意した。 大丈夫。今の自分は強い。ゆっくりれみりゃやゆっくりフランでさえ自分を恐れて近付かない程に。 どんな敵が現れようと打ち倒し、食べるだけだ。 そうして王は向かった。幻想郷の中心部にある人間の里へ。 森を出て三時間、里の外れの外れにある小さな集落を発見した。 地面にしゃがみ込み何かをしている人間が居る。第一村人発見である。王はこいつが記念すべき最初の人間だと決定した。 射程距離まで音を立てず慎重に移動する。まだだ。あと十ym(ゆっくりメートル)。あと八ym、六ym、よし今だ―――! その瞬間、人間がこちらに気付いた。だが構うものか。後は飛び掛り、組み伏せ、食い尽くすだけなのだから。だが…… 王は知らなかった。ゆっくりと人間など、同じような物だと慢心しきっていた。 世界で最も強かったのはゆっくりフランで、自分はそれ以上の生物なのだと勘違いしきっていたのだ。 そう、つまり―――ゆっくり内での序列がどうあれ、ゆっくりである限り人間の食料に過ぎない事をまるでワカっていなかった。 「ごらー!おらの畑で何しとるだァー!!」 食い物である筈の人間はそう叫ぶと、手に持った棒切れを振りかざし、王の頭に振り下ろした。 ぐしゃり。 決定的な音を、王は確かに聞いた。懐かしい感覚。自分の意識から立ち昇る死の匂い。 嫌だ。せっかく生きられるようになったんだ。こんな絶望から逃げる為に同胞まで食ったんだ。 助けて、助けて、助けてまりさ。れいむ。ありす。にとり。うどんげ。にいと。あやや。てんこ。ちぇん。さくぽ。れみりゃ。フラン。 助けろ!私は、私はお前らの王なんだぞ……!! と、ありえない光景を見た。森に居た多くの仲間達が自分を見ている。ああ、やっぱり助けに来てくれた……皆! 「たすけろ、だってさ」 「おお、いやだいやだ」 大勢の仲間が、嫌な笑顔でこちらを見ていた。 どうしてこんな顔を向けられるんだろう。 どうしてこんな事になってしまったんだろう。 わたしはただ、みんなとゆっくりしたかっただけなのに…… 「おーい母ちゃん。こんなもんが畑を荒らしとったぞー」 「あんらーお前さんそりゃ『ゆっくり』だよぉ。それを里に持っていくと高く売れるんだわー」 「へぇそうかい。そいじゃちょっくら売ってくらぁ。おぅ、種蒔きは代わりにやっといてくれよ」 「そんな事言ってまた遊んでくるんじゃないんだろうね!いやだよこの間みたいに土産とか言ってエロ同人誌五十冊も買って来るのは」 「へっへっへ、もうあんな事はしねえよぉ。んじゃ行って来る」 「全く。気を付けて行って来てなあ!最近は妖怪が出るとか言うけんねー!」 「おおう!妖怪なんざ俺のコブラツイストでボッコボコにしちゃるけん!」 「調子いい事言うんだから。妖怪になんて勝てる訳……おや、何だいこりゃあ」 彼女の足元には文字が刻まれていた。そこはかつての王が息絶えた場所だ。そこにはこう書かれていた。 「ゆっくりしていってね!!!」 DEAD END 選択肢 投票 しあわせー! (3) それなりー (4) つぎにきたいするよ! (18) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/594.html
「ゆっくりしていってね!」 俺は家へ帰る途中に突然飛び出してきたゆっくりまりさを避けた結果、俺は自転車もろともお空へダイブした。 キラキラと太陽の光を受けて輝く自転車と川を見て世界全てがこんな風にキラキラしてたらきっと素敵だと俺は思った。 「わ~おそらをとんでる~♪」 こちらを見上げてそんなことをほざいてるゆっくりまりさに心中でやかましいわと悪態を突きつつ 俺は自転車から離脱して受身を取った、この間約2秒。 「ぐぅっ、は、速鷹号おおおおおお!!!」 俺は無傷だったものの我が愛機は突然増水した川に落ちてポロロッカしていった。 「ゆ~おにいさんよかったね!」 「な、何故にホワイ!?」 人の愛機が河童の川流れされたというのにこのド饅頭は何をほざいていらっしゃるのだろうかと俺は驚愕した。 「あんなゆっくりできないのりものにのってたらゆっくりできなくなるところだったよ! これからはゆっくりしていってね!」 俺はかなり豪快なスピードで堪忍袋の尾が切れた。 後悔させてやる。 お前は全てのこよなくスピードを愛する自転車乗り達を敵に回したのだ。 とりあえず俺はゆっくりまりさをマイハウスへと導いたのだった。 「ゆ♪まりさをおにいさんのおうちにつれてきてくれてありがとう! おれいにずーっといっしょにゆっくりしいってあげるね♪」 ゆっくりまりさは俺の家に入るや否や満開のスマイルでお礼を述べた。 この笑顔がこれから苦痛に歪むと思うとドキドキして愉快でたまらない。 「ああ、ゆっくりしていってくれ…できるものならな!」 そう言うと俺はゆっくりまりさの目の前でシババババっと高速で反復横とびを開始した。 「ゆ?!おにいさんゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 俺の余りに素早い挙動にゆっくりまりさは目を白黒させている。 ゆっくりすることを信条とする貴様にはゆっくりしているどころか 全開ギリギリのスピードで動き続ける俺の姿を見るのはさぞかし苦痛だろう。 「ゆぅ~!ゆっくりできないおにいさんとはいっしょにいられないよ! もうおうちかえる!」 そう言うとゆっくりまりさは俺に背を向けて外へ出ようとした。 「おっとそうはイカのコンコンチキ!」 俺はシュッパーンとゆっくりまりさの前に回り込むと今度はゆっくりまりさを中心に体はゆっくりまりさに向けながらぐるぐると回転を始めた。 「ゆぅぅぅぅぅうぅぅぅ~!?やべでよおおおおお!おうちかえしてええええええ!!」 さて、こんな感じで10分ほどまわっていたが自転車で鍛えた俺の足腰も流石にきつくなってきた。 限界をオーバーしてしまうのも時間の問題だろう。 「ゆ?ちょっとゆっくりしてきて…」 「記憶を失え!」 そう言って俺はゆっくりまりさの背後に回り後頭部に水平チョップをかますとゆっくりまりさは気絶した。 「ふぅ…」 俺は脚や疲れた箇所をアイシングしスポーツドリンクを一本のみストレッチを済ませた。 そろそろゆっくりまりさが起きそうになり、俺はまたその目の前で反復横とびをはじめた。 「ゆゅ~……ゆ!?どうしておにいさんがゆっくりしてないの!?」 ゆっくりまりさがぽやぽやとまぶたを上げて目を覚ました。 「くくく…やっとおきたか、俺の余りにもゆっくりしてなさに気絶してしまったお前は気付いて無いだろうが お前が寝てる間ずっとこうやってゆっくりしてないところを見せ続けてたんだぜ…?」 俺はにやりと笑いながら寝起きのゆっくりまりさに言い放った。 「ひぃ!?いやあああああああ!ゆっぐりでぎなよおおおお!おうぢがえる!おうぢがえるうううう!!!」 余りのゆっくりしていない事態にゆっくりまりさは悲鳴を上げた。 「ほう、もうおうちに帰るのかい?随分とゆっくりしてないじゃないか こりゃ俺のゆっくりしてなさがまりさに移ってきたようだな」 「!?まりさはゆっくりしてるよ!ゆっくりしていってね!」 ヒステリーを起こすゆっくりまりさにさらなる追い討ちをかけるとゆっくりまりさはガクガクと震えながらゆっくりを主張し始めた。 「その焦りっぷりがゆっくりしてないのさ!」 俺はさらに反復横とびのスピードを加速した。 「ゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛い゛いいいいいいいい!?」 ゆっくりまりさは遂に耐え切れなくなり餡子を口からぶくぶくと吐いて果てた。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/459.html
「奇形ゆっくり2」 ※奇形はあまりメインじゃないです。 ここのところ晴れの日が続き、草原の雪は完全に融けきっていた。 本格的な春の訪れに心を躍らすのは、何も人間だけではない。 今までまばらだったゆっくりの数も、最近になって増え始めた。 待ち望んでいた春を味わおうと、巣から一斉に出てきたのだろう。 「ゆっくりしていってね!!」 僕の耳に入るのは、“ゆっくり”と呼ばれる饅頭生物の本能に刻まれた、定番の台詞である。 「あたたかいね!!みんなでゆっくりしようね!!」 「わかるよー!!ゆっくりするよー!!」 「せっかくだから、とくべつにゆっくりしてあげてもいいよ!!」 「私は別に強さをアッピルなどしてはいない私を強いと感じてしまっているやつは以下略」 「ダリナンダ!オデノジャバヲズルノバ!」 たまにゆっくりっぽくない声も聞こえるが、この草原には僕を除けばゆっくりしかいない。 それにしても、ゆっくりって…こんなにたくさんの種類があるんだな。 ポ○ケモン図鑑みたいに、ゆっくり図鑑とか作ってみたら面白いかもしれない。 「おにーさんもゆっくりしていってね!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり(笑)」 と、出会うゆっくりはみな僕に話しかけてくるので、適当に返しておく。 そんなことをしばらく続けながら草原を歩き回り、10分ぐらい経っただろうか… 突然、周りのゆっくりがざわめき始めた。 「ゆ!!あのことはゆっくりできないよ!!ゆっくりどっかいってね!!」 「こっちにこないでね!!きたないのがうつるからこないでね!!」 「そんなきもちわるいれいむとはゆっくりできないよ!!」 よく聞いていると、どうやらゆっくりたちにとって“ゆっくりできない”ゆっくりがいるらしい。 それはれいむ種で、『きたない』とか『きもちわるい』とか、そういう言葉で罵倒されていた。 僕はそいつがどこにいるのか探してみたのだが… 「…ゆぅ!……ゆぅ!!」 こちらに向かって弾んでくる、一匹のゆっくり。おそらくこいつだ。 周りのゆっくりが離れていくので、必然的にそいつが一匹ぽつんと取り残されることになるから見つけやす かった。 …見たところ、そいつは普通のゆっくりれいむである。 大きさからすると成体でリボンもちゃんとついているから、そういった点では至って普通だった。 ただ、他のゆっくりから攻撃を受けたのか、破れた皮が塞がった後が多数残っている。 しかし、普通ではない点は…他にあったのである。 「ゆ!いまだしてあげるからまっててね!」 ぺっ、とれいむが吐き出したのは、2匹の子ゆっくり。子れいむと子まりさだった。 子ゆっくりと言えば、『ゆっくりちていってね!』などと声を上げながら跳ね回るのが普通なのだが、この 二匹の子ゆっくりは…口から吐き出された衝撃でぼよんぼよん震えたと思ったら、それ以上何の動きも示さ なかった。 「ゆ!ゆ!ゆっくりうごいてね!!ゆっくりはねてね!!」 母れいむが心配そうな顔をして、後ろからぐいぐいと子ゆっくりを押している。 それでも、子ゆっくりたちはコロコロ転がるだけで…自力で跳ねようとはしなかった。 「ゆぎゅ!!やっぱりだめだよ!うごけないよ!」 「うううぅぅぅぅ…!どうして!?どうしてまりさはうごけないの!? みんなといっしょにゆっくりしたいよ!!!」 そう、こいつらは自力ではまったく動くことができないのだ。 どうやら…この2匹の子ゆっくりは、“奇形ゆっくり”らしい。 人間でも同じことが起こる様に、ゆっくりの場合も妊娠中に有害な物質を多量に摂取することで、奇形児が 生まれる確率が上がるらしい。 そんな話を、加工所の図書室で読んだことがある。 「ゆゆゆ…!!どうして!!どうしてうごかないのおおおおお!?」 母れいむもどうしていいのか分からず、喚き散らすだけだ。 この後何が起こるのか気になって、木の陰に隠れて様子を見ることにする。 「ゆゅゅ……………!!」 母れいむは、視線を下に向けて何か考えているらしい。 餡子脳で何を考えられるというのだろうか? そして、パッとひらめいた様な顔をすると… 「ゆぎゅう!!!こんなのれいむのこどもじゃないよ!!ゆっくりしね!!」 不安は消し飛び、いつものゆっくりらしい笑顔で2匹の子供を押しつぶし始めた。 「ゆぎゃあああああああああ!!おがーぢゃんやめでよおおおおおおおお!!!」 「まりざをごろざないでえええええええ!!ゆっぐりざぜでええええええ!!!」 なんて酷い親だ。こいつ…自分の子供を殺そうとしてるぞ…! 「こんなぶきみなこどもとはゆっくりできないよ!!ゆっくりあのよにいってね!!」 「れいむもゆっぐりずるがらああああああ!!おがーじゃんといっじょにゆっぐりいいいいぃぃぃ!!!」 「いっじょにゆっぐりじようよおおおおおおおおお!!??」 母れいむは自分の子供を下敷きにしたまま、何度も何度も跳ね続けた。 落下してくる母れいむに踏み潰され、何度も何度も口から餡子を吐き出す子ゆっくりたち。 逃げたくても、生まれつき動けないためどんなに頑張っても逃げることは出来ない。 自力で出来ることなど何一つない子ゆっくり達にとって、母がすべてなのだというのに… 生れ落ちたとき、動けずに泣き喚いている自分を励ましてくれた母ゆっくり。 自分では何も出来ないから、取ってきた餌を口移しで食べさせてくれる母ゆっくり。 そんな。そんな母ゆっくりによって。殺されようとしている。 今、唯一のよりどころであった母親によって、殺されようとしているのだ。 「いだいよおおおおおお!!ゆっぐりじだいよおおおおおおおおー!!!」 「もうやめでえええええ!!じにだぐないよおおおおおおおお!!!?ぶぎゅえ!!??」 皮の裂け目からも、餡子が漏れ出した。 どすんどすん、テンポよく餡子を吹き出す子ゆっくり2匹。 そして…2匹の悲鳴が聞こえなくなると、母れいむは跳びはねるのを止めた。 「これでやっとみんなとゆっくりできるよ!!」 迫害の原因となっていた子供を殺すことによって、自分だけでもゆっくりしようってか。 ゆっくりのこととはいえ、なんだか腹が立ってきたぞ。 「みんなー!!いっしょにゆっくりしようね!!」 「ちょっと待った!」 去っていった他のゆっくりのところへ行こうとする“元”母れいむ。 僕が目の前に立ちはだかると、先ほどの陰気くさい顔はどこへやら。 満面の笑みで、例の台詞。 「おにーさんも、ゆっくりしていってね!!」 「はいはいっと。それよりもれいむ、あれはなんだい?」 そう言って、僕は子ゆっくりだったモノを指差す。 途端、不機嫌そうな顔に早変わり。不満を口にし始めた。 「しらないよ!!あんなかわいくないばっちぃのしらないよ!!」 「でも見てたんだよね、お兄さん。君が自分の子供を潰してたの」 「ゆ!?だってばっちぃあかちゃんがいるとゆっくりできないんだもん!! でも、あかちゃんがしねばれいむはゆっくりできるよ!!おにーさんもゆっくりしていってね!!」 などとへらへら笑いながら言うものだから、僕の怒りが有頂天になった。 「へぇ~そうかそうか。自分がゆっくりするために、赤ちゃんを殺しちゃうんだぁ」 「そうだよ!!あのこたちのせいで、いままでぜんぜんゆっくりできなかったよ!!」 ぷんぷん、と怒ってみせるれいむ。 僕はハンドボール大のそいつを掴みあげると、皮が破れない程度に強く締め付け始めた。 「ゆぎゃあああああああああああああ!!!はなぢでええええええええええええええ!!」 顔がひょうたんみたいに歪んでいる。 ちょっと和んだが、まだまだ僕の怒りはおさまることを知らない。 少しばかり締め付けを緩めてやると… 「ゆ゛っ!おにーさんとはゆっくりできないよ!!れいむをゆっくりはなしてね゛っぎゅあああああ!?」 「え?なんか言った?」 聞こえないフリをして、再び締め上げる。 「や゛っめ゛っ…!!…ゆっぐりでぎなび…ゆッぐりざぜでよおおおおおおおおお!!!!」 「そういった赤ちゃんに、お前はなんて答えたの?」 「ゆ゛っ!!??」 信じられないほど小さい記憶容量を誇る餡子脳。 それでも、数分前の出来事…数分前の自分の発言ぐらいは、覚えているはずである。 「ねぇ?なんて答えたの?『ゆっくりさせて!』って叫ぶ赤ちゃんに、お前はなんて言ったの?」 「ゆぐっ!!!」 一瞬強く締め付けると、れいむは痛みに声を漏らした。 瀕死の赤ちゃんに、嬉々としてぶつけた言葉。忘れるわけがないよな? 嬉しかったんだよなぁ?忌々しい奇形ゆっくりとさよならできたことが。 だったら忘れるわけないよな。ゆっくりの餡子脳は、楽しいことはしっかり覚えてるんだから。 「ねぇ?『しにたくない!』って叫んでた赤ちゃんに、お前はなんて言ったっけ?」 「ゆ…“ゆっくりしね”…?」 「うんうん!!他には!?」 と言いながら、締め上げる力を強くしていく。 “言わなければ死ぬ”という脅迫めいたものを感じたれいむは、素直に記憶をたどる。 「早く教えてよー!『いっしょにゆっくりしよう!』って言った赤ちゃんに、お前さまは何とおっしゃった のですか?」 「ゆ…“ゆっくりあのよにいってね”…うわあああああ゛あ゛あ゛あ゛!!」 「そうでーす!正解でーす!だからそっくりそのままお返ししまーす!!」 徐々に締め上げる力を加えていく。 まだ、皮が破れて餡子が漏れるには至らない。 「やめでえええええ゛え゛え゛え゛!!じにだくないよおおおお゛お゛お゛お゛!!!」 「えー!?こんな不気味なゆっくりとはゆっくり出来ないよ!!ゆっくりしね!!」 「ぶぎみじゃないいいいいいい!!!れいむはがわいいのおおおおおおおおおおおお゛お゛お゛!!!」 命の危険が迫ってるのに、まずそこを否定するのか。餡子脳の神秘を垣間見たよ。 「こんなの可愛いゆっくりじゃないよ!!ゆっくりあの世に逝ってね!!」 「いやだああああああ゛あ゛あ゛!!!だじげでえええええ゛え゛え゛え゛!!!」 「え?死にたくないの?しょうがないなあ。じゃあ、何でも言うこと聞くなら助けてあげる」 「ぎぐ!!ぎぎまず!!だがらだずげで!!ごろざないでえええ゛え゛え゛え゛!!」 「ほいっと!!」 締め付ける力を一気に緩めると、れいむはぶるんと震えてそのまま地面に落ちた。 涙を流しながら僕のほうを見て頭(体)を下げて謝っている。 「ごめ゛んなざい!!もういいま゛ぜんがらゆずじでぐだじゃい゛!!」 「はいはい、許す許す(笑)…ただしさっきも言ったとおり、言うことを聞いたら、だけど」 恐る恐る、僕の表情を窺うれいむ。 僕がれいむに要求したのは… 「そのリボンかわいいね。僕がそれを貰うよ」 その瞬間、れいむは最高に笑える表情をしてくれた。 (終) ゆっくりいじめ系206 奇形ゆっくり3~ゆっくりバッジ~ あとがき 『奇形ゆっくり』の続きってことにしてくれてもいいし、別物ってことでもいいです。 最初奇形ゆっくりに対する迫害を書こうとしてたら、いつの間にかIKEMENのお兄さんが言葉攻めしてた!! 不思議だね!! 前作より短くまとまったね!!よかったね!! 最後に、いつの日か聞かれそうな質問に前もって答えておきます。 Q.どうしてゆっくりっぽい変な口調で言葉攻めをするのですか? A.趣味。 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/211.html
数時間団欒させた後、俺は再び部屋に踏み込んだ。 「ゆっ!!」 親れいむ共が例によって罵声を浴びせてくる。 「ちかづかないでね!!おちびちゃんたちにちかづかないでね!! くそじじいはゆっくりしないであっちにいってねぇ!!」 いまだに屈伏しきれないのは、ひとえに子を守りたいがゆえか。 「今日はお前らに用があるんだ」 俺はそう言うと、親れいむ共を一匹ずつ取りだした。 「ゆゆっ!?」 今まで何十日も、赤ゆっくりだけを取り上げられ、なぶり殺されてきた。 しかし今日に限っては、自分たちが取り出された。 ということは。 親れいむ共がぶるぶる震えだした。 「たっぷり付き合っていってくれよ」 「ゆっゆっゆっゆっ、お、おに、おにいさ」 震えながらも、子れいむが気丈に問いかけてきた。 「あ、あか、あかちゃんはたす、たすけてね?」 「れいむが、れいむがいじめられるから、あかちゃんは、あかちゃんはゆっくりさせてね!」 れいむ共が揃って懇願している。 その目元には安堵さえ浮かんでいた。 ようやく子供たちを死なせずに助けられる。 そして死ねる。そんな安堵だろう。 あの体験を経た今、 子供に死なれて呪われるよりも、自分が殺されたほうがましだ。 そういう思考にたどり着いたようだ。 「ああ。お前たちががんばれば、赤ちゃんたちは一匹も傷つけない。 お前たちさえがんばってくれればね」 「ゆっくりがんばるよ!!」 「れいむがゆっくりがんばっていじめられるよ!!」 「あかちゃんはたすけてね!!ごみくずでもやくそくはまもるよね!!」 俺に対する態度はだいぶ卑屈になってきたと思うのだが、 どうも、なにかの拍子にゴミクズ発言が飛び出す。 意外とれいむ種が一番タフなのかもしれない。 そんな失言は聞き流してやり、俺は早速れいむ共をカートに詰め込んだ。 別室に入ると、そこには大掛かりな機械が並んでいた。 どれも一見見たところでは用途がわからないが、わからないなりにれいむ共はがたがた震えている。 テーブルの上にれいむ共を並べ、使用人に見張らせたあと、 俺は先ほどの部屋に戻って赤ゆっくり共をカートに乗せ、連れてきた。 「ゆぅー!しゅーりしゅーりちちゃあい!!」 「おきゃあしゃん!にゃにちちぇるにょ!?」 「まりしゃとあしょんでよ!ゆえーん!」 「ゆっ!?おしょらをちょんでるみちゃい~♪」 カートの籠で喚いている赤ゆっくり共を取り出してれいむ共の傍に並べる。 「なにじでるのおおおおおおおお!?」 「ぐぞじじいいい!!あがぢゃんをばなぜええええええ!!」 「やぐぞぐう!!やぐぞぐまもれええええごみぐずうううう!!」 「何もしないさ。みんな、自分のお母さんのところに集まってね」 歯をむき出して飛びかかってくるれいむ共の方に、赤ゆっくり共を追いやる。 自然と、それぞれが自分の生みの親のところに集まっていった。 「おぢびぢゃんにはざわらないでねええ!!」 叫び続けるれいむ共。 まず、一匹の子れいむを取り上げた。 こいつの子は、赤れいむ二匹と赤まりさが一匹だ。 子れいむと三匹の赤ゆっくりを、部屋の一角に連れていく。 そこは仕切りで20cm四方余りに区切られていて、赤ゆっくりではそこから出ることはできない。 その仕切りの中に赤ゆっくりを三匹とも投げ込んだ。 「ゆべっ!」 「いちゃあい!ゆわぁぁん!!」 「ぐぞじじいいいいいいざわるなあああああああ!!」 暴れる子れいむを持ち上げ、上を向かせる。 赤ゆっくりが閉じ込められた仕切りの真上には、天井から縄がぶら下がっていた。 その縄を見せつけ、俺は言った。 「噛め」 「ゆゆっ!?なわさんはゆっくりできないよ!あまあまをゆっくりちょうだいね!!」 「噛まないなら子供の上に落とすぞ」 「ゆっ!」 ここから落とされては、真下にいる子供がすべて自分の体に押しつぶされてしまう。 慌てて開かれたれいむの口に縄を近づけ、噛ませてやる。 手を離すと、歯だけで自重を支える形になった。 「ゆぅぅ!!おきゃーしゃん!?」 「おりちぇきちぇにぇ!!しゅーりしゅーりしちぇにぇ!!」 状況がわかっていない赤ゆっくり共は、 飛び跳ねながら真上の母親の顎に呼びかけていた。 上の子れいむはぶるぶる震え、答えることもできない。 口を開けばどうなるかぐらいはわかるようだ。 そこで俺はれいむに鉄板を見せてやった。 鉄板は幅3cmとぶ厚く、およそ20cm四方の正方形をしている。 鉄板の片側の中心には紐を通す穴があり、縄が結ばれていた。 「これをこいつらの上に落としたらどうなると思う?」 「ゆぐぅううううううう!?」 「約束通り、俺はこいつらには何もしない」 鉄板の縄を子れいむの口の中に突っ込み、噛ませる。 「じゃ、頑張ってくれ」 「ううううううううぐううううううううううう!!!」 必死に首を振る子れいむの体から、俺は手を離す。 天井の縄と鉄板の縄を噛み、子れいむはくぐもった呻きを漏らしながら耐えていた。 どちらを放しても下の我が子はお陀仏だ。 この鉄板の重量は5キロ。 成体ゆっくりにとってはそれほどの重みではないだろうが、赤ゆっくりを潰すには十分だ。 そしてこの子れいむの顎には、鉄板に加えて自身の体重がすべてかかっている。 下の赤ゆっくり共は、鉄板がつり下げられるのを見て、 ようやく状況が掴めたようだ。 それでもどこか他人事のような気楽さで、母親に向かって命令した。 「ゆっ!おとちゃにゃいでにぇ!きゃわいいれいみゅたちがゆっきゅりできにゃいよ!!」 「おきゃーしゃんはゆっきゅりちにゃいでがんばっちぇにぇ!!」 「ゆうううううぐううううういいいいいいいいいーーーーーー」 子れいむの表皮からは、早くも脂汗のようなものがじっとりとにじみ出してきた。 どれだけ耐えられるだろうか。 他のゆっくりれいむで実験したところ、一時間もたなかった。 しかしその場合は、ゆっくりれいむの真下に置いてあったのは剣山だ。 自分自身ではなく我が子の命が危険にさらされたこのれいむが、 どれだけ記録を伸ばしてくれるか楽しみだ。 次の子れいむに手を伸ばす。 こいつの子は、赤れいむと赤まりさのセットだ。 「やべでえええええあがぢゃあああああんんん!!!」 二匹の赤ゆっくりを、透明なガラスケースの中に入れる。 ガラスケースの前方と後方は強化ガラスで、内部が見通せるようになっているが、 左右両脇はぶ厚くなめらかな鉄板になっていた。 鉄板はきちんと壁の役割を果たし、ガラスケースとは隙間なく接している。 鉄板の外側には、ばね仕掛けのような装置がついていた。 「おきゃあしゃん?これにゃに?」 「ゆっきゅりできりゅの?」 「おちびちゃん!!にげて!!にげてえええええ!!」 装置のスイッチを押す。 すると、ゆっくりと鉄板がケースの内側に向かってスライドしはじめた。 「ゆゆっ!?」 「かべさんこっちこにゃいでにぇ!!」 慌ててケースの中心部に集まる赤ゆっくり共。 二個の饅頭に向かって、鉄板は無情にじりじりと近づいていく。 「最終的には、あの鉄板はぴったりくっついてあの子たちを押しつぶす」 「ゆううううあああああ!!おにいざん!!あがぢゃんだずげでええええ!!!」 「いや、助けるのはお前さ」 そう言ってやり、子れいむを別の装置に設置する。 今度の装置は、一言でいえばハムスター用の車輪だ。 大きな車輪は、片側が機械に取り付けられており、 車輪内部は空洞になっている。 車輪のもう片側は丸く開かれ、ゆっくりが入れるようになっていた。 その中に子れいむを入れてやる。 「走ってみてくれ」 「ゆゆぅ!?おにいざん!?ぞんなごどよりあがぢゃっ」 「走れ。子供が死ぬぞ」 「ばじりまずうううう!!!」 言う事を聞かなければ子供を殺す、という脅しだととらえた子れいむは、一心不乱に駆けはじめた。 必死にぴょんぴょん飛び跳ねる子れいむに向かって、俺は先ほどのケースを指し示してやった。 「あれを見ろ」 「ゆはっ、ゆはっ、ゆはっ……ゆっ?」 見ると、赤ゆっくり両脇の鉄板が止まっている。 「ゆゆっ!あかちゃんゆっくりしていってねゆゆぅ!?」 「ゆあぁぁかべさんゆっきゅりしちぇよおぉぉ!!」 「おきゃあしゃあああんはしっちぇえええええ!!!」 安堵して走るのをやめた途端に、鉄板が再び赤ゆっくりに向かって動きはじめた。 慌てて走るのを再開すると、鉄板の動きが少しずつ遅くなっていき、 全速力で走ることでようやく止まった。 この二つの装置は連動していた。 「お前が走ってその車輪を動かしていれば、あの壁は動かない。 だが、走るのをやめたりゆっくり走ったりすれば、赤ゆっくりは潰れてしまうぞ」 「ゆぅうううううううううーーーーーっ!!!!」 説明を理解したらしく、必死に全速力で走り続ける子れいむ。 向かい合った鉄板の距離は、今のところ30cm足らずぐらいか。 「ゆはっ、ゆはっ、ゆはっ、ゆはっ、ゆはっ、ゆはっ、ゆっぐりでぎないいいいいいい!! おにいいざあああああんゆるじでえええええええーーーーーーーーっ」 叫ぶとそのぶん体力を消耗するのではないか。 しかし、饅頭はそのあたり人間と違うのかもしれない。 ゆっくりは声を出すことでも疲れるのかどうか、それはこれから確かめてみよう。 次の子れいむも、似たような装置に設置する。 こいつの子は、赤れいむが一匹だけだった。 今度は、まず子れいむから処置した。 子れいむを、小さな箱に入れる。 その箱は透明だが、防音に優れた特殊なガラスを使っており、 密閉すれば外側の音は入ってこないようになっている。 そして、長方形の箱の内部は、ガラス壁によって真ん中で区切られていた。 片側の空間に子れいむを入れる。ちょうどぴったりだ。 そしてもう片側に赤れいむを入れるのだが、 こちら側には機械が据え付けられてある。 機械の中心部に赤れいむをセットし、針金で縛りつける。 「ゆびぃい!いちゃいいぃ!うごきぇにゃああい!! ゆっきゅりしちゃいよぉおおお!!」 早くも泣きながら抵抗を始めた。 ガラス壁に遮られ、その声は母親の元には届かないのだが、 その様子を目の当たりにして母親は涙にくれる。 「ゆっくりさせてあげてねええぇぇ!!ゆっくりさせてねぇぇぇ!!」 箱の蓋を閉める前に、装置のスイッチを入れた。 「ゆびゃっ!?」 びぐん、と赤れいむが跳ねた。 針金に縛りつけられたまま、びぐびぐびぐと痙攣しはじめる。 「ゆぎゃっ!!びゅっ、びぃいっ!!いぢゃいぢゃいぢゃいいいいい!!!」 「あああああああおぢびじゃあああああんん!!?」 説明してやる。 「電流が流れてるんだよ。全然ゆっくりできないものだ」 「ゆびゃびゃびゃああああ!!!いぢゃいぢゃ、ゆぎゅ、ゆっぎゅり、でぎぢゃあああいいいいびゃあああっ」 言葉が発せられるのだからまだまだ余裕がある。二十ボルトに足りない程度だ。 「今はまだ弱いけど、どんどん強くなって、そのうち永遠にゆっくりすることになる」 「いやあああああ!!!でいぶのあがぢゃんをだずげでねええええええ!!!」 「大丈夫、歌えばいい」 「ゆっ?」 「歌え!!」 怒鳴りつけてやると、れいむはおどおどと歌いはじめた。 「……ゆ、ゆーゆーゆー、ゆっゆっゆっゆゆゆ~♪」 すると、子れいむの痙攣のペースが見る間に落ちてきた。 「ゆびぃ……ゆびぃ……ゆびゅ!……びぃ……」 「お前が歌っているかぎり、電流がゆっくりしてくれる。 大きな声で歌えば歌うほど、赤ちゃんはゆっくりできるぞ。 毎日やってることだからできるだろう」 「ゆゆっ!!おうたをうたうのはとくいだよ!!」 「頑張ってくれ。ほら、また流れだしたぞ」 「ゆうぅぅ!?ゆっゆっゆ~!!ゆゆゆゆゆ~~!!」 子れいむの入っているスペースには、マイクが備え付けられていた。 このマイクと子れいむの機械はやはり連動しており、 マイクに向かって声をあげれば、声量に応じて電流が弱まる仕掛けになっていた。 実際のところ歌でなくてもいいのだが。 これで箱を密閉すれば、外から音が入ってくることもなく、 この親れいむは自分の声だけで電流を抑えなければならない。 「ゆっゆっゆっくり~♪ゆゆゆゆ~~ゆっくりしていってねぇぇ~~♪」 歌っているうちに自分もゆっくりできるのか、この子れいむはどこか余裕のある表情だった。 最後に親れいむ。 親れいむの赤ゆっくりは三匹だった。珍しく三匹ともまりさ種だ。 その三匹を、やはり透明なケースの中に入れる。 ケースは小さく、20cm四方の立方体といったところだ。 この装置は単純なものだった。 密閉されたケースの上部に、内部につながるホースが固定されている。 そのホースから、水がちょろちょろと流れ出し始めていた。 「ゆゆっ!?おみじゅしゃんはゆっきゅりできにゃいよ!!」 「おみじゅしゃんはいっちぇこにゃいでにぇ!!」 しかし、見るまに水は床一面に広がっていく。 「おちびちゃんたち!!ゆっくりしないでおぼうしさんにのってね!!」 箱の外側から母親が指示する。 慌てて帽子を下に敷き、赤まりさ共は水に浮かびはじめた。 「浮かんでいれば今のところは大丈夫だろう。 だが、そのうち水でいっぱいになるぞ」 密閉されたケースは、やがて水で満たされるだろう。 そうなれば、帽子に浮かんでいようが関係なしに全身が水没することになる。 「あがぢゃあああああんん!!ゆっぐりざぜでえええええええ!!!」 「飲んでやればいい」 箱の上方には、水を注入するホースとは別に、 ちょうど親れいむの口の高さにストローが突き出ていた。 ストローの下端はケースの床面に届いている。 「お前が水を飲めば、いつまでもケースが水でいっぱいになることはない。 赤ちゃんたちもゆっくりできるぞ」 「ゆっくりおみずさんをのむよ!!!ごーく、ごーく!!」 たちまちストローに食いつき、水を飲み始める親れいむ。 赤まりさ共が親に声援を送っている。 「ゆっきゅりしにゃいではやきゅのんでにぇ!!」 「ゆっゆっゆ~♪ぷかぷかきみょちいい~♪」 そこで親れいむの口をガムテープで塞いだ。 「ゆびゅっ!?」 ストロー以外の部分が綺麗に閉じられた。 これで、口の端から水を吐き出すというようなことはできない。 親れいむはますます必死になって飲みはじめた。 れいむ共の踏ん張りは想像以上だった。 それはそのまま、子への愛、そして子を死なせることへの恐怖をも表していた。 すでに開始から二時間が経っている。 どのれいむも、子を殺すまいと必死になっていた。 「ぅうううぅうううぐぐぐぐぐぎぎぎぎぎぎいいいいいいがががががが」 天井からぶら下がっている子れいむは、 がたがた震え全身から粘液をぼたぼた滴らせながら、気丈に顎を噛み合わせつづけていた。 ぎりぎり絞められている口元からは、餡子の混じった涎がひっきりなしに滴っている。 歯茎から餡子、つまり血が出ているようだ。 精神的に限界を超えているらしく、 両目は涙を流しながらぐるぐると高速で回転ている。 下顎からはしーしーが漏れ出していた。 「ゆぴぃ……ゆぴぃ……」 下の赤ゆっくり共は、最初のほうこそ親を応援していたが、 いまではそれにも飽き、呑気に身を寄せ合って眠りこけていた。 「ゆぎゅううううううう!!ゆっぎゅ、ゆっぎゅぢじだあああああいいいいい!!!」 「ゆぶぶぶぶぶぶぶぶうううううぶぎゅぎゅぎゅ」 「かひゅうー…………ゆひゅうー…………ゆぅううううううう!!!」 車輪の中の子れいむは、いまだに必死に走り続けていたが、 最初のほうのペースは見る影もなく、うつろな目でぼてぼてと飛び跳ねているだけだ。 少量の餡子を断続的にはき散らしているが、 すでに体液は汗(のようなもの)にして流しつくしたらしく、かさかさに乾いている。 甘やかされた飼いゆっくりなら、十分走っただけでもぜいぜい息切れする。 それがもう二時間だから大したものだが、肉体的にはとっくの昔に限界を超えている。 それでも精神力だけで必死に体を鞭打っているが、 大きくペースの落ちた走りは、鉄板の移動を多少遅らせこそすれ、止めることはできなかった。 今では二匹の赤ゆっくりは、鉄板に両側から押しつぶされ、 恨めしげに親を睨みながらくぐもった悲鳴を漏らしつづけている。 もはや数分もたないだろう。 「ゆぎゃぎゃぎゃびゃびゃびゃびゃびゃばばばばばばばばびびびびびびび」 「ゆ゛ー!ゆ゛ぅー!ゆ゛ううぅう!がはっ、かっ、げほっ、はっ………ゆ゛ぅうううううううううぅぅぅ!」 ひっきりなしに電流を流され続け、子れいむはもはや虫の息だ。 ぎりぎり生きてはいるようだが、すぐに死ぬだろう。 電流だけでは、ゆっくりはなかなか死なない。 前述のように餡子がなくならない限りは死なないわけで、 沸騰した餡子が体外に流れ出すか、 あるいは黒こげに燃えて破れた皮から餡子がこぼれ出すまで待つ必要がある。 流れている電流はすでに一万ボルト近くなっていた。 すでに沸騰しはじめているだろう。 マイクに向かって、母親の子れいむは必死に歌い続けている。 しかし、その声はすでにがらがらで、もともとひどい音程もリズムももはや完全になくなり、 ただマイクに向かってがなり立てるばかりだ。 それでも声量が相当落ちているのは、赤れいむに流れている電流を見ればわかる。 「ごーく……ごーく……ゆげぇ……ゆげぇぶ………ごーくぅ……」 「おみじゅしゃんはいっちぇきちゃだみぇえええ!!!」 「のみぇええ!!!ゆっきゅりしにゃいでもっちょにょみぇええええ!!!」 「ゆぁああああああしにたきゅにゃいいいいいいいいい!!!」 親れいむの姿は面白いことになっていた。 もともと大きかった50cm大の体が、水をためこんでだぶだぶに膨らんでいる。 身長はそう変わらないが、横幅は1メートル以上になってたっぷりテーブルの上に広がっていた。 三十分を超えたところで、ひっきりなしにしーしーをしはじめた。 飲んだはしから排出するようになったので、しーしー道をガムテープで塞いでやった。 そうしたら水っぽいうんうんをするようになり、半透明の液状の餡子があちこちにピーピーまき散らされた。 面白いのでしばらく見ていたが、結局あにゃるも塞いでおいた。 そうして今、親れいむはひたすら膨れているのだが、 すでに限界らしく、ねばつく全身を苦しげに上下させている。 さっきからずっとごぼごぼせき込んでおり、 飛び出さんばかりの眼の淵からひっきりなしに流れつづけている水は涙ばかりではないだろう。 ケースの中の赤まりさ共は、すでに水かさに押されて天井に頭を押し付けている。 帽子の中に水が入りはじめており、躍起になって親を叱咤していた。 「ゆぎゃあああああああおみじゅしゃんやべぢぇええええええええごぼごぼがぼ!!」 ついに一匹が、帽子ごとひっくり返って水の中に沈んでいった。 ごぼごぼと沈んでいく我が子を前に目を見開き、親れいむはさらに必死になって飲み始めた。 初めに死んだのは、電流を流されていた赤れいむだった。 沸騰した餡子が口と眼窩から飛び出し、ぽんっという音をたてて眼球が飛び、ケースの天井に当たった。 発火する前に電流を切ったのだが、死体からは焦げくさい煙が立ち上っていた。 次に、二匹の赤ゆっくりが鉄の板に押しつぶされて事切れた。 「もっぢょゆっぎゅっ」が断末魔だった。 死骸を飲み込んで隙間なくぴったり合わさった鉄板にも気付かず、 子れいむはそれからしばらくの間のろのろと跳ねていた。 それは歩くよりも、這いずるよりも遅い走りだった。 三番目に、親れいむが水を吐き出した。 ガムテープでふさがれた口は水を逃がさず、唯一の出口であるストローから盛大に水を逆流させた。 餡子の混じった水がガラスケースの中に大量に流し込まれ、 残っていた二匹の赤まりさは、たちまちのうちに水没した。 親れいむは涙を流しながら長いこと吐き続け、 流し込まれる水の勢いでケースの中の水が循環し、 二匹の赤まりさは餡子が溶け出すまで一個の死骸とともにぐるぐると攪拌された。 以外にも、一番最初の子れいむが最後まで残っていた。 涙やら涎やらに濡れそぼったその形相は仁王だか不動明王を思わせる迫力があり、 その体の激しい震えで、縄がぶらぶら揺れていた。 しかしやがて限界は訪れ、 ついには天井側の縄を離し、体ごと我が子の元に落ちていった。 記録は二時間四十三分。 驚いたことに、このれいむは縄を離したのではなく、噛んでいた部分の歯が根本から抜けおちていたのだった。 自らと鉄板の下に我が子を敷き、子れいむは泣きながらかすかに笑っていたようだった。 その笑いは決して幸福感からのものではあるまい。 「残念だったな」 れいむ共は元の自室、大きなガラス箱のある部屋に戻っていた。 体力を使いきってぐったりと横たわるれいむ共に、俺は声をかけてやる。 「でも、お前たちは精いっぱい頑張った。 あの子たちも許してくれるだろう。 お前たちは母親として胸を張っていいぞ。あの子たちは感謝しているはずだ」 れいむ共の答えはなかった。 俺は背を向け、部屋から出ていった。 「しねぇぇぇ……」 背後からかすかな呟きが聞こえてきた。 その夜、れいむ共が眠っているときにそれは起こった。 「づぶれびゅ!!づぶれびゅうううううう!!!」 真っ暗な部屋の中にあの声が轟いていた。 車輪の中で走り続けていたあの子れいむが飛びあがり、甲高い悲鳴をあげた。 「ゆあぎゃああああああああああああ!!!」 「のみぇ!!ゆっきゅりしにゃいでのみぇえええええーーーーっ」 「ががががああああばばばばばばばばうばばばばばびびびびびび」 「ゆっぎゅりでぎじゃいいいいいいいいいぃぃ!!!」 「ゆびぃいいいいいいいいいいいいいいいい!!?」 れいむ共全員が、恐怖に身をひきつらせて叫んだ。 昼間の、あの赤ゆっくり共の絶叫と断末魔が部屋中に轟いていた。 そして、あれ以来すっかり聞いていなかった絶叫。 「のりょいごろじでやりゅがらにゃあああああああああああああああああ!!!!」 今、暗い部屋の中で、かすかな照明に照らされ、 れいむ共の視界に浮かび上がっているそれは、赤ゆっくりのデスマスクだった。 あの日、母親を呪い続けながら溶けていった赤れいむと赤まりさ。 それだけではなかった。 鉄板に押しつぶされてぐしゃぐしゃになった赤ゆっくり共。 電流を流されて焼け焦げた赤れいむ。 水没してどろどろに溶けた三匹の赤まりさ。 昼間死んでいった九匹が新たに加わり、 十一匹のデスマスクが、ガラスケースの四方かられいむ共を睨みつけていた。 「なんじぇあじゅげだ!!なんじぇあじゅげだあああああああああああーーーーーーーーーーっ」 「ゆぎゃっ!!びゅっ、びぃいっ!!いぢゃいぢゃいぢゃいいいいい!!!」 「ゆぶぶぶぶぶぶぶぶうううううぶぎゅぎゅぎゅ」 「じぇっだいにじぇっだいにのりょいごろじでやりゅううううーーーーーーっ!!! じにぇ!!じにぇ!!じにぇ!!ぐりゅじんでじにぇええええええええええええ!!!」 「ゆぎゃびいいいいいいいいいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」 恐怖に目を見開き、れいむ共は絶叫しながらガラス箱の真ん中に身を寄せあってがたがたと震えた。 餡子を吐き出すのはすぐだった。 監視室で確認してからすぐに部屋に飛び込み、 すさまじい勢いでえずいているれいむ共の口をガムテープで塞ぐと、言ってやった。 「一体なにをそんなに怖がってるんだ?」 「ゆぅぐううううう!!むぐうううううううううぅぅぅ!!」 涙を流しながら必死に訴えてくるれいむ共に向かって、俺は空とぼけてみせた。 「俺には何も見えないし、何も聞こえないな。 怖い夢でも見たんじゃないか?じゃあな」 そのまま、吐けなくなったれいむ共を放置して俺は部屋を出ていった。 その晩、れいむ共は暗闇の中に取り残され、 デスマスクに囲まれて子供たちの絶叫を聞き続けていた。 以上に述べた方法で、 その日からは毎日、れいむ共自身に自らの手で子供を殺させた。 子供が生まれ、装置に設置されるたびにれいむ共は必死に耐えたが、 時間制限がないのだからいずれは死なせるしかなかった。 そして、赤ゆっくりが死ぬたびにその断末魔と死骸を保存し、 夜が訪れるたびにデスマスクと断末魔のコレクションは増えていった。 いまでは、れいむ共は毎晩ガムテープを口に張られて死ぬこともできず、 子供たちに囲まれながら、人間ならたやすく発狂しているであろう恐怖を味わい続けていた。 れいむ種に施した処置は、現在のところは以上だ。 続く 選択肢 投票 しあわせー! (1) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (0) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1695.html
広いんだか狭いんだかわからない世界のとある神社。 そこには素敵な巫女さんと、巫女さんにそっくりのおまんじゅうが住んで居ました。 「れいむはおまんじゅうじゃないよ!おまんじゅうっぽいだけだよ!」 失礼、巫女さんにそっくりな『ゆっくりれいむ』と言うおまんじゅうが住んで居ました。 Σ「あんまかわってない!?」 神社にはお客さんがあまり来ませんが、巫女さんの友達はしょっちゅう遊びに来ます。 巫女さんは「友達とかそういうのじゃない」と言いますが、 れいむは巫女さんがツンデレなのを誰よりも理解していたので、影でニヤニヤ… 「だいたいツン8 デレ2くらいだよ、攻略するときはきをつけて ゆっくり選択肢をえらんでね!」ニヤニヤ れいむはその友達を「ゆっくりしていってね!」とお出迎えするのが楽しみでした。 友達は巫女さんがおでかけする度に増えていき、 それにしたがい、れいむも色んな人に「ゆっくりしていってね!」をして… いつの間にか、れいむは皆から『ゆっくり』と呼ばれるようになったのでした。 「安直きわまりない!」 そんな日が続いていき、 れいむは自分も誰かに「ゆっくりしていってね!」をしてもらいたいと思うようになりました。 「どうせならおなじゆっくりだとはずれがないね!」 しかし神社でお留守番をしていても… 巫女さんのおでかけについていっても… れいむが他のゆっくりに出会うことはありませんでした。 協力してくれた天狗さんからの話も『見つからない』がずっと続くばかり… 「ならしかたないね!」 ですが、いつも通りのほほんとした調子でれいむは縁側へ昼寝をしに向かいます。 ・ 別に同じゆっくりがいなくても困らない たまにご飯よりおうどんが食べたくなる事もあっても 夕飯がおもいっきりご飯なのもよくある事。 だから期待してた分、ちょっとガッカリするのも仕方ないね。 それでも食べるご飯はちゃんとおいしいし、毎日楽しい。おんなじ事だよ! 「なんくるないさー♪」 そう思いながら縁側につくもれいむは眠気がせず、ぼーっと庭中の落書きをみていました。 全部れいむが今まで書いた巫女さんや友達の似顔絵。 最初はそのつもりで描いていた落書き。 「ゆっくりしていってね!」 でも、れいむが自分への「ゆっくりしていってね!」を願うようになった頃から、 落書き達はれいむがいつか会えると想像していた仲間達の絵になっていました。 こんなに仲間がいたら、きっと「ゆっくりしていってね!」だけで日が暮れちゃうね! こんなに仲間がいたら、ご飯もいっぱいなくちゃだめだからみんなで宴会だね! こんなに仲間がいたら、きっと毎日ゆっくりゆっくりしてられないよ! でもこの世界にはほかのゆっくりなんていないよ―「ゆっくりした結果がこれだよ」 れいむはこの時、初めて思いました『ゆっくりしたくない』と ―――― 居間へ行くと巫女さんはすやすや眠っている。 起こさないように、音をたてないように れいむは巫女さんがお菓子をのせるお盆に乗ります。 『おまんじゅうに変身する術』 なんのためにつかうかわからなかったけど、きっとこのためだったんだとれいむは思いました。 (起きたらおいしいおまんじゅうがあるから、それでゆっくりしてね!) 「さあ、おたべなさい!」パカッ れいむがそう唱えると、その場所には二つのおまんじゅうだけが ちょこん、と残っているのでした… ■■■■■■■■ 「…ゆ?」 …しかし、れいむはまだれいむでした。 おまんじゅうになったはずなのに…。れいむが不思議に思っていると、 隣のおまんじゅうが突然もぞもぞと動きはじめました。 「ゆゆ??」 やがておまんじゅうはぷくぷく膨らみ、れいむと同じ大きさにまでなって、 最後にてっぺんが『ぽんっ!』と弾け、おまんじゅうがまっ黒帽子をかぶりました。 「ゆっ!」 「ゆゆゆ?!」 振り替えったまっ黒帽子の姿は、れいむが書いた『だぜ』の絵そっくり。 『れいむはおまんじゅうになったのに、れいむはれいむで、 なのにれいむのはんぶんがだぜで、でもこのだぜはれいむの絵だったけど、いまのだぜは…』 れいむにはとにかくわけがわかりません。 でも一つわかる事があります『待ちに待った仲間ができた!』する事は一つ。 「ゆっくりして…」 「さあおたべなさい!」パカッ 「ええええ!!」 せっかく出会えた仲間は光の速さでおまんじゅうになってしまい、 れいむは予測外のショックをうけました。 しかし、しばらくすると… 「たべないと…」「「ふえちゃうぞ!!」」 今度は『だぜ』のほかに『お人形のおねーさん』も増えました。 今度こそ… 「ゆっくりしていっ「「さあおたべなさい!!」」パカッ 「またぁ!?」 そしてまた今度も 「「たべないと…」」「「「「ふえちゃうぞ!!」」」」 天狗さん、お花のおねーさん、おぜうさま、メイドさん… 増えても増えても「おたべなさい!」は続き、そのたびに新しいゆっくりが生まれて… ゆっくり達の声は妙に楽しげなリズムにのって、れいむもそれに自然と続きました… さあおたべなさい!たべないと…ふえちゃうぞ! さあおたべなさい!たべないと…ふえちゃうぞ! さあおたべなさい!たべないと…ふえちゃうぞ! さあおたべなさい!たべないと…ふえちゃうぞ!・・・・ ――――――― 狭いんだか広いんだかわからない世界、 そこには様々な住人と、住人達にそっくりなおまんじゅう達が居りました。 「おまんじゅうじゃないよ!れいむたちはおまんじゅうっぽいだけだよ」 失礼、ゆっくりというおまんじゅうっぽい住人達がたくさん居りました。 「うー、いぇす!」 相変わらず巫女さんの神社にはお客さんがこないので、今日もれいむは遊びにでかけます。 れいむにもたくさんの友達ができました。 本人は「ひとづきあいってめどいよ!」とか言ってますが、 巫女さんは自分の事もあってか苦笑しながら「はいはい…」と流すのが定番でした。 れいむはその友達をお出迎えしたり、こうして遊びにいってお出迎えされたりするのが楽しみでした。 「ゆっくりしね♪」「ゆっくりなのかー」「はるですよー!」 たまに思ってたのとだいぶ違うのもいるけど… 「ゆっ、ゆっ」 思ったより大した感動もなかったけど… 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ!ゆっくりしていってね!」 れいむは毎日にちょびっとの達成感をてにいれたのでした。 ゆっくり、ゆっくり… おまけ ・ ・ ・ 「こあ、ぱちゅりーさま?これ、ほんとのおはなしなんですか?」「こぁ?」 「むきゅ、どうかしら?ただのお伽噺なのか…ほんとうの事なのか…」 「ぱちゅりーさまでもわからないんですか?」「ですかー?」 「わたしがいた頃はもうたくさんゆっくりがいたもの…わたしの中の事実はそれだけよ」 「ほんとはじぶんのなかにこそある、ですか」「かー?」 「そういうものね。さ、これを棚にもどしてきて」 「こあ!」「ぁぃぁぃこぁー!」 おしまい。 by.とりあえずパフェ あとがき じつは自分のなかでここ最近秋のおたべなさいSP、みたいなくくりで書いたりしてました。 不思議な籠はゆっくり達が自分を「おたべなさい」 らんの焼き芋はゆっくり達が食べる「おたべなさい」 そして今回が「おたべなさい」→「ふえちゃうぞ!」のコンボでお送りしました では、今度こそ失礼します… この短編、地味に名作だと思う。 -- 名無しさん (2009-12-10 14 06 10) かわいいストーリーですね^^ -- kanndou (2011-07-28 12 11 39) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2681.html
饅頭に人の顔が貼り付いてるだけの物体、ゆっくり。 この謎生物がここ、幻想郷に突然現れてから久しく経つ。 最初の頃こそ、「ゆっくりしていってね!」→「ちょうきめえ!」のコンボで駆除されるだけだったが、 徐々に研究が進み、人間にとって様々な形で役立つものだという認識が広まってきた。 ゆっくりが今では生活物資の中でも重要な位置づけになりつつある。 ゆっくりの一番よく知られた用途はやはり食用。 何せ饅頭なので、少し汚れを落とすだけでそのまま食べられる。 幻想郷は甘味料を精製できる作物があまりよく育たないため、 これは本当にありがたいものであった。 次に力仕事。 ゆっくりは個体差が激しく、中には牛や馬以上に大きく力強く育つ傾向を持つ種がいるのだ。 これらの系統を幼体の頃から調教することで、家畜同様の存在として利用。 知能も比較的高いため、農作業や運送業の負担は大きく軽減された。 そして愛玩用。 見た目はそれなりに愛嬌があり、人語を解することもあってペットとしてもよく飼育されている。 中には徹底的な教育を施し、ゆっくりに秘書のような役割を担わせている人もいるくらいだ。 しかし、これらの用途に充てられるゆっくりは一握りの良質なゆっくりでおおむね足りる。 残りの、箸にも棒にもかからないようなゆっくりたちにはどのような使い道があるのか。 それを今から見て行こうと思う。 _______________________________ 昼が一年で最も長い時期、 幻想郷の森の中は大勢の人間たちで珍しく賑わっていた。 誰もがかごを担いでおり、手には長い菜ばしが握られている。 見た目にはゴミ拾いか山菜取りに来たようにしか見えない。 しかし、今の彼らの目的はそんなものではなく、ゆっくりだ。 彼らは木の根元を主に探り、それらの居場所を見つけようとしていた。 「あ、いたいた 相変わらずきめぇ外見だなあ」 ゆっくりを生け捕りに来た一人である青年が、大木の根元に空いた穴を覗き込むなり、苦笑しながらつぶやく。 もし何も知らない現代人がこれを見たら卒倒しているだろう。 穴の中には人間の生首のような物体がいくつも鎮座していた。これがゆっくりだ。 ゆっくりたちはまだこちらに危険性に気づいてない様子だ。 ゆっくりしていってね、と無邪気にこちらへ話しかけてくる。 しかし青年はそれに答えることなく、菜ばしで手早くゆっくりたちを背中のかごへ詰めていく。 さすがにゆっくりたちも騒ぎ始めるが、力の差が有りすぎて抵抗らしいことは一切出来ない。 数分もしないうちに、かごの中はゆっくりで満たされた。 傍目からは、巨大な白キノコがかごにたくさん収まっているようにも見える。 うーん大漁大漁、と彼は満足げだ。かごの中からは声が幾重にも聞こえてくる。 ふと周囲を見回すと、青年の仲間達がやはりゆっくりたちを満載したかごを背負っていた。 もう充分かね、と皆に呼びかけると、肯定だけが返事として来る。 この日のゆっくり捕りはこれで完了だ。 人里へ戻った青年たちは、休むよりも先に、とある作業場を訪れた。 里の人々からは一般にかぎ屋、たま屋と呼ばれ親しまれているところだ。 やあおつかれさん、と作業場の入り口で番をしていた壮年の男性が、ねぎらいの言葉を彼らへかける。 準備はできてるから、と続けて言われ、会釈した青年たちは作業場の奥へと進む。 一分ほど歩くと、周囲に比べてひときわ大きな建物が見えてきた。 彼らはそこへ重い扉を開いて入る。内部は上にも横にも意外なほど広く、遮蔽物も特に見当たらない。 せいぜい作業用の小道具が散らばっている程度だ。ただ大広間があるだけ。大勢が作業するための構造。 あらよっと、と青年たちはかごの中身を床にぶちまける。そこでようやく一息つく者も多い。 広間に放り出されたゆっくりたちは人間達に悪口を浴びせる。 しかし彼らはその言葉に反応せず、ただゆっくりたちの様子を眺めているだけ。 今は特にこれ以上何もされないようだとわかると、この建物を自分達のゆっくりプレイスだと宣言し、 ゆっくりたちは広間を好きに跳ね回り始める。割りと楽しそうだ。 これがゆっくりたちにとって最後の自由時間。 10分ほどそんな光景が続いていたのだが、眺めていた青年がふと口を開く。 「こいつらの中で他に回せそうなのいないな。全部こっちで使うわ」 彼らはゆっくりたちを選別していたのだ。 ゆっくりたちに好きにさせ、どんな行動をとるかを見れば、 他の役に立つかどうかはだいたい判断がついてしまう。 青年たちの捕ってきたゆっくりたちは自らの心配をまるでせず、ただ目の前の状況を自分勝手に楽しむだけ。 どんな運命が待っているか考えようともしない。 家族間のつながりも弱いらしく、他のゆっくりを心配するとかそういったそぶりもなかった。 野生育ちだけあって皮は丈夫なようだが、それだけだ。おおよそ最低品質のゆっくり。 こうしてこのゆっくりたちの運命は決まった。 彼らが一斉に動く。 飛び跳ねていたゆっくりたちは再び捕まえられ、かごの中に詰めなおされる。 また悪口が飛んでくるが、蝉の鳴き声程度にしか青年たちは感じていない。 そして作業が始まった。 手に持ったゆっくりに対して、男たちが小刀を当てる。 ゆっくりたちもおびえ、ゆっくりやめてね、などと命乞いの言葉を投げかけるが、やはり反応はない。 よし、と彼らは軽く気合を入れると、ジャガイモ剥きの要領でゆっくりたちの頭髪を剃っていく。 皮には傷をつけないよう、慎重かつ素早く行う。一匹剃り終われば、次のゆっくりをつかみ出す。 髪を剃られているゆっくりたちの悲鳴は一際大きくなるが、それは人間には無視され、 かごの中のゆっくりたちをさらに怯えさせるだけで終わる。 30分も経たずに、ゆっくりたちは全て頭髪を失い、ただの人面饅頭と成り果てる。 床に整然と並べられたそれらはいよいよもって不気味だ。 逃げ出さないような処置がなされているわけではないが、 ショックが大きいらしくどれも白目を剥いた放心状態。そんなことはおきないだろう。 ここからが難しい局面となる。 青年たちはまず手のひらサイズのゆっくりから取り掛かることにした。 ゆっくりを床に押し当て、静かに転がす。 その場で何度も回しているうちに、人面饅頭の形状が真球に近くなっていく。 何度も顔面を床へ押し付けられ、ゆっくりたちはまたくぐもった悲鳴をあげる。 彼らはお互いに手元のゆっくりの形状を確認しあい、できるだけ真球の精度を高めていった。 だいたい満足のいく程度に形状が整ったところで、催眠ガスを人面ボールに吹きつけ、仮死状態にする。 そうしてゆっくりたちはまた別の木箱に詰めなおされていく。 こうして一定の処理をなされたゆっくりたちとは別に、建物の一角ではもう一つ、別の工程が進んでいた。 こちらもゆっくりたちを用いることには変わらないが、扱いがだいぶ手荒い。 ゆっくりの中身である餡子を手で取り除き、集めているのだ。 餡子を全て失えばゆっくりたちは絶命する。やめてえ、などと悲鳴が常に絶えない。 からっぽの皮は、床へ無造作に捨てられ、頃合を見計らってゴミとして片付けられる。 まさにゆっくりたちの処刑場だ。 集められた餡子は黒色火薬などの様々な薬品と配合される。 混合された餡子は一般に和剤と呼ばれ、この作業場で製造されている製品、花火玉の部材となるのだ。 さらに混合餡子、和剤は花火玉の炸裂に用いる割薬用と爆発炎の色合いを調節する「星」用へ分けられ、 それぞれ水や糊とさらに混ぜ合わせた上で、鉄釜の中に用意されたモミ殻や砂粒へまぶされていく。 それらは少しずつまとまった形となっていき、次第に丸みを帯びる。 最終的には、火薬でできた親指サイズの玉がいくつも釜の中に鎮座することになった。 花火の核となる「星」だ。これが爆発することで夜空に花が咲く。 野生のゆっくりの多くは食べられなくはないが、無機物さえ食べる雑食のため、不純物が餡子に多く含まれており、あまり美味しくない。 一部の豊かな餌場を持つゆっくりや養殖されているものだけが食用になっている。 しかし、食用以外の用途においても、ゆっくりたちの餡子は大変便利な性質を持つ。 野生で暮らすうちにゆっくりの体内へ蓄積される様々な不純物は、集めれば化学薬品として使える濃度にまで達しているのだ。 餡子そのものも変質しているらしく、それらの薬品を安定させる基材として働いている。 幻想郷で火薬の原材料というと、厠で得られる焔硝くらいしかまとまった量が取れなかったものだが、 野生のゆっくりの餡子に含まれる薬品を使って「星」を作れば、バリエーションに富む爆発炎を持つ花火が作れるのだ。 薬品以外の不純物も、爆発炎の色に個性を与えてくれる。 そのため、安全に作業を行うという意味でも、基材である餡子ごと配合してしまうのが今の主流だ。 基材を何重にも用いて安定させているとはいえ火薬。 慎重に箱へ詰められ、作業場の庭で天日干しされる。 前述の、真球状に整えられた仮死状態のゆっくりたちも白目を剥いたまま並べられている。 正直、かなり不気味だ。 「星」は一度乾燥させれば完成というわけではない。 予定される爆発炎の大きさに合わせ、何度も和剤を塗りつけて大きさを増す必要がある。 塗りつける度に乾燥させる必要が有り、とても手間がかかるが、この手間を惜しめばあのきれいな花火は見られないのだ。 今回はあらかじめ作っておいた「星」で花火玉の製作を行うので、 真球状のゆっくりたちの乾燥を待てばいい。 このゆっくりたちは「星」を包み込む玉皮として集められたのだ。 野生のゆっくりの中でも、そこそこの強度の皮を持つ種類がこの工程に回される。 少し手を加えただけで理想的な玉皮として働いてくれるあたり、無駄が少ない物体だ。 乾燥し、皮がだいたい固まったゆっくりたちは、作業場の中へ再び戻される。 まな板の上へ無造作にあけられると、仮死状態だったゆっくりたちが意識を取り戻す。 意識を取り戻さないほうが幸せなのだが。 皮が固まっているため、ゆっくりたちはあまり口を動かせず、 それらの出す声はくぐもっていてよく理解できない。文句でも言っているのか。 青年たちが包丁を取り出すと、ゆっくりたちの玉が微動する。逃げようとしているのだろう。 だが皮が固まり動けない今、そんなことは出来るわけもない。 そして人間で言う耳のラインで、ゆっくりたちは縦へ一気に両断される。 ゆ゛ぎっ゛などと小さく悲鳴があがり、ゆっくりたちの一部はここで絶命してしまう。 野生のゆっくりは生命力が強く、餡子が完全に失われない限り、落命することはあまりないと一般に言われるが、 短時間で大量の餡子を失えばやはり死ぬ確率は高い。 仮死状態から覚めたばかりで、皮も固まり感覚が鈍っていても、この激痛は堪える。 残りの多くも口から軽く泡を吹いてだいたい気絶した。 半分に割られたゆっくりたちは、中の餡子を掻き出されていく。 そうするとゆっくりは意識を取り戻し、ゆ゛っゆ゛っと不安定な声が漏れる。 「星」が中に詰められる程度まで餡子を減らしても、大半のゆっくりたちは息があるようだ。 そして後頭部の方には、花火玉の起爆において、導火線の役割を果たす「親導」という棒が差し込まれる。 これが発射の際に外皮から引火し、中心部まで到達すれば爆発するのだ。 餡子を接着剤代わりにして、ゆっくりの中に「星」が隙間なく埋められていく。 中心部にはさらに割薬が詰め込まれる。これを和紙で固定すれば中身は大体完成だ。 こうして、二つに割られたゆっくりは再び貼り合わされ、外からも和紙が丁寧に貼られる。 顔の部分だけは和紙を貼らずに露出させたままにしておく。 生首のミイラのような物体が、無数に作成され、ゆっくり花火玉の製作はこれで一段落。 あとは出荷を待つのみだ。息のあるゆっくりたちは泣き言らしき声を延々と垂れ流している。 餡子が残ってさえいれば、何も食べなくてもゆっくりはしばらく生きていられるのだ。 今回製作された分は再び仮死状態にされ、翌週には納入されていった。 花火大会の夜。 人里の傍らを流れる大きな川の中州に、打ち上げ用の大筒がいくつも立てられていた。 周囲には打ち上げの職人達が大勢で待機し、世間話に花が咲く。 やがて箱詰めされた花火玉が到着すると、彼らは打ち上げ作業に取り掛かる。 箱の蓋を開けると、中にはゆっくり花火玉たちが、顔をこちらに向ける形で収まっていた。まだ生きている。 ゆっくりたちは仮死状態から覚め、こちらに気づくと、ゆっくりしていってね、と言葉を放つ。 今日の花火玉は元気がいいな、と打ち上げ職人達も感心した様子だ。 「今年のゆっくり花火玉はイキがいいやつばかりですからね。皆さんにはとびきりの悲鳴を聞かせられそうですよ」 花火職人である青年たちは、自信ありげに答えた。 花火玉のうちの一つを慎重に掴む。 自由にしてもらえると思ったのか、掴まれたゆっくりの顔の表情が明るいものになる。 だがそんなゆっくりを無視して彼らは大筒の中にそれを装填した。 大筒の奥からゆっくりの不思議がるような声が聞こえる。 職人達はきちんと玉が収まっているか確認し、さて、とつぶやいた後、大声を出した。 「発射いくぞーーーー!」 点火。 「ゆゆ!?」 ゆっくりたちも異変に気づく。 炒られた豆が弾けるような音が大筒の引火した導火線から聞こえてくる。 ゆっくり出してね!とゆっくりも逃げ出そうとするが、どうにもならない。 射出。 「ゆぴゅっ!?……あじゅいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……」 高速で打ち出されたゆっくり花火玉は、太い白色の尾を引いて上昇。一般に昇銀竜と呼ばれる花火玉だ。 「ゆっ!?すごい!おそらがちかいよ!」 打ち出されたゆっくりは、数瞬後の自分の運命も知らず、のんきに最後の思考を行う。 発射された際に親導へ引火した火が、ゆっくり花火玉の中心部に到達した。 ゆっくりの目や口を押しのけて爆圧が開放される。 「っぶぇ!」 炸裂。 ゆっくりは爆炎の中に消えた。 夜空に一輪の花が咲く。 無数の金の火塵が尾を引いて散華し、その過程で様々に変色していった。 菊先と言われる、定番の花火だ。 おお、と川岸の観客たちから歓声があがる。その中には花火玉の製作を行った青年達もいた。 花火の出来に満足げだ。 だがゆっくりたちはそれどころではない。 仲間が打ち上げられ爆発するところを間近で見て、恐慌状態に陥っている。 発射場の周辺に漂う、爆発煙の匂いもそれを煽った。 ゆっくり花火玉の入った箱が軽く振動しはじめる。 ゆっくりたちが泣き喚いたり、逃げ出そうと体をよじっているからだ。 さすがにこれは危ないので、耐火服を着込んだ者が箱を押さえつける。 箱の中のゆっくりたちは一様に絶望の表情で染まり、悲鳴を上げ続けた。 だが、これこそ花火師たちの狙いだ。 次の花火の発射準備が進む。 いやだあ、などと掴み上げられたゆっくりたちが叫ぶが、誰も相手にしない。 そうして、次の花火が淡々と打ち上げられる。 「…………ひぎゃぁぁぁぁぁぁあああああああああ!?!」「っぷゅ!」 空にゆっくり花火玉たちの悲鳴が響き渡る。直後、爆炎が空に花開く。 夏の夜においては、これも風流の一つだ。 通常の花火玉でも、打ち上げられると独特の風切り音が聞こえるが、 ゆっくりの悲鳴はその何倍も大きい。発射場からだいぶ離れた博麗神社でも聞こえるくらいだ。 恐怖の悲鳴と、華麗な爆炎の併せ技。耳と目で楽しむ、これがゆっくり花火玉の醍醐味だ。 「おがぁざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああん!」「あがっ!」 「もういやだぁああ!……ぱびゃぁぁぁぁぁぁああああああっ!」「ぱじゅっ!」 「……わきゃらなぃょぉぉぉぉぉぉおおお?!」「わぎゅっ!?」 「……ちぃんぽぽぽぽっぽぽぽほっ!」「ぽりゅっぷ!」 ゆっくりたちの悲鳴が爆炎に消えるたび、たまや、かぎやなどと明るい歓声が立ち上がる。 花火大会は滞りなく進み、ゆっくり花火玉の残りもほとんどなくなった。 そこへ、大会主催者、と書かれた札を胸につけた人物が現れる。 「あ!これはこれは 鬼意山ではないですか」 鬼意山、と呼ばれた彼は、打ち上げ職人達にに軽く会釈すると、 そろそろ時間なのでラストにふさわしいやつお願いしますよ、と不敵に笑う。 「ゆぶぶ……」 鬼意山のリクエストを受け、打ち上げ職人達がリヤカーに乗せて持ち出したのは、 ドスゆっくりを原材料にした、特大の花火玉だ。 現代日本の花火玉の規格で言うと、30号の花火玉のさらに数倍はある。 当のドスゆっくりは子供のゆっくりたちが目の前で次々と星になったため、すっかり生気を失っていた。 巨大なドスゆっくり花火玉を打ち上げるには、 それに用いる筒も巨大なものとなる。もはや戦争で使われる大砲にしか見えない。 ドスゆっくりは十数人がかりで荷揚げされ、縄や台車を使われて筒のの中に収まる。 ゆっくりしね、と周囲の人間に当り散らすが、返事は一切返ってこない。 もう彼らにとっては、ゆっくりの言うことは動物の鳴き声程度にしか思えないのだ。 カエルや蝉の鳴き声に耳をすますことはあっても、返事をすることなどない。 悲鳴などあげてやるものか。それがドスゆっくりの最後の意地だった。 だが、筒に収まると同時に、大筒の周囲から職人達が退避していく。 そして、数字を数える大声が響き始める。 今までの発射過程とは違う様子に、ドス花火玉も戸惑う。 やがて、大声が0を告げると、筒の下から爆炎と轟音が飛び出す。 「ゆがぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!?!!!!?」 他の花火玉とは比較にならない高速度で、大筒ごとドスゆっくりは飛翔。 決してあげるものかと誓った悲鳴も夜空にあっさり響き渡る。 爆発の恐怖と、ゆっくりの許容限度を超えた超高速に、ドスゆっくりの精神は崩壊寸前だ。 発射煙を引きながら上昇する大筒。 やがて、大筒に封入された燃料が尽き、夜空の頂点に届いたところで、 ドスゆっくりの中心部の爆薬に火が達した。 一秒を百分割しても足りない刹那の中で、 内部からの膨大な爆圧に、ドスゆっくりの真球状の体は醜く歪み、膨張する。 その両目や歯、舌がまず吹き飛び、ほぼ同時に餡子が玉皮を突き破り飛び出す。 「げぶっ!」 その醜く歪んだ姿も、一瞬でまばゆい光の中に消えた。 花火大会最後の大花火は、昼と見まごう程の輝きと轟音を放ち、消えていく。 あまりの大音響に、窓硝子にヒビが入る家屋も出た。 だがそのことに不満を持つ者はいない。 これが今の幻想郷で生きる普通の人間達にできる、最大最強の芸術作品なのだ。 花火大会が終わり、帰路に着く人々の顔は一様に明るい表情。 その様子を眺める鬼意山と職人達も実に満足そうだ。 ゆっくりたちの破片が散らばる発射場で、 次はもっと残虐にやりたいですね!と、彼らは早くも次回大会に意欲を見せていた。 超重量の物体を打ち上げるには、通常の爆薬では無理! そう考えた職人達は、妖怪たちと協力して新しい打ち上げ方法と専用爆薬を開発した。 これは現代世界の歴史においても、ロケット打ち上げ用に使われたことがあるものだ。 そして打ち上げの必要量を用意するのに、数千、数万のゆっくりが潰されたという。 これだけの手間暇をかけてこそ、花火というものは人の心を打つひとときを提供してくれる。 クソの役にも立たないゆっくりたちであっても、このように工業製品の原材料として活躍してくれるのだ。 人間がゆっくりを真の意味で使いこなすのも、そう遠くは無いだろう。 ゆっくり花火 おしまい あとがき ここまで読んでくれた方ありがとうございます。 物語風の文章を書くのは小学生以来なので、 「へー、俺こんな文章書くんだ……」と妙に客観的な視点からの作業になりました。 もっとゆっくりをじっくり痛めつけたかったのですが、 花火が一瞬で散るものである上、花火玉の製作過程へゆっくりをどうやって組み込むかに夢中で、 そこまでなかなか気が回らないという結果に。 もっとゆっくり同士のやりとりがあったほうが、虐待にも熱が入って印象的なものになるので、 もし次があればそこを重視した話を作ってみたいです。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1583.html
このSSは「ゆっくりいじめ系1222 ゆっくり繁殖させるよ!」の設定を 勝手に流用して書いたものです。 http //www26.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2112.html 「養殖ゆっくり」 ゆっくりが幻想郷に現れるようになって、はや数年が経った。 ゆっくりが現れた当初から、ゆっくりによる民家襲撃や農作物窃盗が相次ぎ、 人間とゆっくりの間では争いが絶えなかった。 人間は、まず人里に近づいたゆっくりを見つけ次第叩き潰すことでゆっくりによる害を減らそうとした。 しかし、ゆっくりはすぐに増えるため、あまり効果がなかった。 潰しても、数日もすると別のゆっくりが人里への侵入を試みた。 そこで、ゆっくりの巣を探し出し、片っ端から一家を全滅させることで増えないようにしようとした。 ゆっくりの一家や番は、例えるならゆっくり製造機みたいなものである。 こいつらを一家まるごと殺してしまえば、ゆっくりの増えるペースは減ると考えられたからだ。 このやり方では、たしかに一定の効果があったが、それにも限界があった。 ゆっくりは、すぐに増えてしまうからだった。 ゆっくりは一回の生殖で、植物型妊娠・動物型妊娠問わず、最低でも3匹から5匹は子供を作る。 この時点で、すでにゆっくりは確実に増加する傾向にあることが分かるだろう。 さらに、ゆっくりは、その生活形態も様々だ。 個別に独立して暮らすものもいれば、群れを作って共同生活するものもいる。 群れの場合、一度潰せばゆっくりの害は大幅に減るが、ドスがいるような群れはやっかいだった。 逆に、独立して生活している家族や番の場合、散らばって生活しているので個々の一家は潰しやすいが、その分効果が薄く、巣を探すの手間取った。 加えて、人里から一定以上離れた場所にいるゆっくり達には殆ど手を出せなかった。 離れた場所に住むゆっくりを殺す為だけに里の外で夜を明かすのは危険だし、何より自分の畑から何日も離れるわけにはいかなかったからだ。 農耕で生活している以上、里に住む人々の大半は、畑仕事に一番時間を割かねばならなかった。 こうしてゆっくり対策に行き詰まりを感じ始めた里に人たちは、ゆっくりに詳しい者達に力を借りることを決めた。 依頼を受けたゆっくりの加工場の職員や研究者達は、効率的にゆっくりを駆除する方法を考え始めたのだった。 問題点は、以下の2つに絞られた。 どうやって人里から離れた場所(森の奥)にいるゆっくり達も駆除するか? (人里周辺のゆっくりだけを駆除しても、他所から他のゆっくりがやってきてしまう) どうやって数が多いゆっくりを一度に駆除するのか? (ちまちま殺していたら、繁殖力の高いゆっくりの数は減らない) そこで加工場の関係者達は、人工的に養殖させた「非常識なゆっくり」を大量に自然界に放流する方法を思いついた。 勿論、こんなことを春や夏や秋にやれば大変なことになるが、餌が殆ど無い冬直前にやったどうなるだろうか。 こんな計画が持ち上がったのも、研究者達の観察や実験結果により次のようなことが分かってきたからだ。 実は、ゆっくりの最大の天敵は、小動物でも人間でも妖怪でもなく、ゆっくり自身だったのだ。 たしかに、小動物・人間・妖怪はゆっくりにとって脅威となる存在だ。 本気で狙われたら、まず間違いなく殺される(or 喰われる)。 だがそれは、あくまで「狙われたら」という話であり、そんなことはあまり起こらない。 起きたとしても、ゆっくりの数を大幅に減らすほどの影響はない。 ゆっくりと生活圏がかぶっている小動物は、必ずしもゆっくりを襲うわけではない。 草食系の小動物は、まずゆっくりには手を出すことはないし、肉食系の小動物も、基本的には他の動物を狙うので、ゆっくりがターゲットになることはあまりない。 そして、人間は自分達の生活圏の外にいるゆっくりには手出しできない。 妖怪達は、食料としてゆっくりを食すことは珍しくないが、それでもゆっくりの数に殆ど影響を与えていない。 だが、他のゆっくりは違う。 生活スタイル(食べ物・居住環境・生活圏)が同じであるが故に、仲間同士であると同時に生活の糧を奪い合うライバル同士でもあるのだ。 加えて、ゆっくりという生物(食べ物か?)は基本的に自己中心的で頭が悪く、イザコザが耐えない。さらに、ゆっくりの中には「ゲス」と呼ばれる、 ゆっくりを襲うことで生活しているものや、「レイパー」と呼ばれる強姦魔もいるという。 こうした研究結果を踏まえて、ゆっくりにはゆっくりで対処する方が良いと考えられ、今回のゆっくりを養殖する実験計画が立てられたのである。 ちなみに、この方法がダメなら別の手を考える予定である。 この計画の最大の目的は、春になるまでに出来るだけ野生のゆっくりの数を減らすことだった。 とにかく、出来る限り個体数を減らし、農家にかかる負担を軽くしなければならない。 今回、ゆっくりを養殖させるにあたって、雑草や昆虫が大量に集められた。 野生にない食材を与えると、野生のゆっくりが採った餌を受け付けなくなるからだ。 それでは養殖されたゆっくりが、野生のゆっくりの餌を略奪してくれない。 さらに、養殖されたゆっくり達を「教育」する動画も製作された。 野生のゆっくり達に受け継がれている生き抜く方法とは真逆の教育を施す為だ。 他の関係者から、「もし非常識なゆっくりが越冬に成功したらどうなるのか?」という問題点も指摘された。 だが、計画を立案した研究者は自信を持って次のように答えた。 養殖場で生まれ育ったゆっくりは、自然界ではまず生き残れない。 冬以外の季節なら、自力で餌を採る方法を覚えたり、他のゆっくりと暮らし始めて生き残れるかもしれない。 仮に野生のゆっくりと暮らし始めても、自力で餌を採る大変さを理解していないから、すぐに仲違いするだろうが。 しかし、真冬ならどうだろうか。まず餌は手に入らない。人里は我々が完全に守っているから、進入することも出来ない。 おまけに、食料を食べたいだけ食べることが良いことだと教育するので、野生のゆっくりの巣を見つけ出して略奪を行っても食料はすぐに尽きるし、 最終的には共食いしつつ餓死することになる。だから、養殖ゆっくりは春までには全滅するはずだと答えた。 ゆっくりによる被害を受けていた里は、今回の実験を初めて聞いたときは随分驚いていたが、 一切お金を取らないことや、家屋に万全のゆっくり対策を施すことで了承してもらった。 ゆっくりを養殖する施設は、群れから少し離れた開けた場所につくられた。 また、養殖していることを野生のゆっくりに悟られないようにする為、 養殖場の周りを、植物で偽装した高い壁でグルリと囲んだ。そして、鍵を持った職員しか入れないようになっている。 ここで養殖して一斉に放すことになる。 本来は加工上で育てる予定だったが、ゆっくりの群れが住んでいる場所の近辺まで、大量の成長しきった養殖ゆっくりを運ぶ方法が見つからなかったので変更された。 我々は、加工所の中で育てられているゆっくり達に強制的に子供を作らせた。 そして、植物方妊娠をしている親を眠らせ、その子供を採取して隔離した。 こうすることで、他のゆっくりから教育を受けていない、何の記憶も技術も持たない赤ゆっくり(れいむ種とまりさ種)が手に入った。 全部で10匹だ。 採取した赤ゆっくり達を眠らせた状態で養殖場の中に放置した。 養殖場の中は、まだガラ~ンとしている。 バスケットボールぐらいの大きさのゆっくりを、500匹近く収容できるように作ってあるので、仕方が無いといえば仕方が無い。 とにかく、冬直前までに相当数のゆっくりを育て上げなければならない。 ゆっくりの教育は、毎日決まった時間に映像を流す形で行われた。 朝7時になると明かりがつき、モニターに電源が入り、スピーカーから挨拶が聞こえてきた。 「やあみんな、おはよう!ゆっくりしていってね!!!」」 それを聞いた10匹のゆっくり達は一斉に、 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 と、返事を返した。 「さあみんな、ごはんだよ!ゆっくりたべていってね!!!」 そうアナウンスされると、天井に付けられた機械が、天井を所狭しと動き回りながら餌を養殖場全体にバラバラと落とした。 いずれは、養殖場いっぱいにゆっくりがひしめき合うのだから、広範囲に餌を撒かないと、餌にありつけないゆっくりが出てきてしまうからだ。 献立は毎回一緒で、甘味料と冷凍雑草と冷凍昆虫を混ぜ合わせたものだった。 基本的に、自然界で容易に手に入る、草と虫以外のものを食べさせることは許されてはいなかった。 「ゆっ!おさらさん、ゆっくりれいむのところにえさを落としてね!」「すごくゆっくりできるえささんだね」「うんめ、めっちゃうんめ!」 「くささん、むしさん、ゆっくりたべられてね!」「きかいさん、ありがとうね!」 「「「「「「むーちゃ、むーちゃ、しあわせ~!!!!」」」」」 養殖場の様々な場所に、栄養素を溶け込ませた水を出す蛇口を取り付けてあるので、 食事を終えたゆっくり達は、思う存分水分を取っていく。 「「「「「「が~ぶ、が~ぶ、しあわせ~!!!!」」」」」」 食事が終わると、今度はお勉強の時間だ。 といっても、研究所と加工場が製作した教育映像を繰り返し流し続けるだけだったが。 『腹が減ったら、他のゆっくりの巣に勝手に入って食べればいい。他のゆっくりに餌を分けない奴はゆっくり出来ない奴だ。』 「ゆっ!すってなあに!」「でもゆっくりできそうなばしょだね!」「れいむもあんなばしょがほしいよ!」 「まりさにたべものをくれないなんて、ゆっくりできないね!ぷんぷん!」 『初めて会ったゆっくりをすっきりさせてあげるのはゆっくりできること。すぐにすっきりさせてあげよう。』 「すっきりってなあに?」「なんだかすごくゆっくりできそうだよ!」 『パチュリーはずる賢い悪いゆっくりだ。ゆっくりできないから、見つけたらすぐ潰そう。』 悪そうな顔をしたパチュリーを踏み潰すイラストを流した。 「ゆっ!ゆっくりできそうにないかおだね!」「あんなのみつけたら、まりさがぎったんぎったんにしてやるんだぜ!」 『ドスは、ゆっくりしすぎで太ってる。減らしてあげれば喜ぶから、すぐに喰いつこう。』 でっぷりした大きなゆっくりを噛みちぎるイラストを流した。喰いちぎられたゆっくりはニコニコしている。 「どすはゆっくりしすぎだよ。」「だいえっとをてつだってあげなきゃね!」 『れみりゃやふらんは敵。見つけたら全力で襲い掛かろう。弱いくせに偉そうにしている。ゆっくり出来ていない。』 「へんなかおだね!」「ぜんぜんつよくなさそうだね!あんなのかんたんにつぶせるよ!」 ゆっくりを捕食する捕食種「れみりゃ」と「ふらん」。 実は、単純に力という点だけを見れば、こうした捕食種は他のゆっくりより圧倒的に上回っているわけではない。 耐久力にしても、捕食種は中華まんだ。饅頭と対して耐久力に違いはない。 基本的に、ゆっくりが捕食種に勝てない理由には、手足の有無や体格差以外にも「絶対に勝てない」という思い込みもある。 バスケットボールぐらいの大きさのゆっくりが、複数で物怖じせずに胴付き捕食種と全力で闘えば、勝算があることは加工所の実験で証明済みだ。 捕食種というのは、頭部だけの状態なら圧倒的に飛行スピードがあるの、まず他のゆっくりに負けることは無い。 しかし、胴体付きに進化すると、手足が使える反面、スピードという利点が無くなってしまううえに、動きが鈍臭くなる。 加えて、まさか他のゆっくりが襲ってくるとは思わないだろうから、隙だらけになる。 ちなみに、フランが捕食種の中でも最強なのは、「狂気」が最大の理由として考えられている。 体格や筋力が同じでも、イカれた人間と普通の人間が喧嘩をすれば、なかなか普通の人間は勝てないのと同じ理屈だ。 養殖場のゆっくり達には、複数のゆっくりがれみりゃに体当たりして容易に転ばせたうえ、踏み潰すという映像を見せた。 映像の中では、れみりゃを殺したゆっくり達が、「む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~!」とれみりゃを食べていた。 他にも、 『ゆっくりの巣は、木の根元や洞窟にあるぞ!』 『草や石が固まっているところが怪しいぞ!』 といった、野生のゆっくりの巣の探し方も教えた。 とにかく、こうした身勝手な行動こそが「ゆっくりできること」だと徹底的に教え込んだ。 まあ、こういうことが本来の「ゆっくりできること」なのかもしれない。野生のゆっくりは、厳しい自然環境の中で随分妥協しているけれど。 月日が経つにつれ、次第に養殖場のゆっくりの数は増えていった。 どんなに「すっきりー!」をしても。餌はすぐに降ってくるし、いつでも栄養素が溶け込んだ水を飲めたので、 ゆっくり達は思う存分子作りが出来たのである。 最初は恥ずかしがっていたゆっくり達も、養殖場の中にプライバシーなんぞ無いことを理解すると、 どこでも、子供の前でも、平気で「すっきりー!」するようになっていった。 村では、作物の収穫やゆっくり対策がほぼ終わっていた。 我々が行ったのは、強化ガラスとの交換に始まり、建物の補修、河童の少女と協力して開発したゆっくり撃退装置の設置などの各種ゆっくり対策グッズの設置だ。 ゆっくりの群れの方でも、ほとんどの家庭で餌の貯蔵が終わっていた。後は、本格的に冬が始まったら巣を塞ぐことぐらいだ。 さて、後はこいつらを放すだけか。 俺は、養殖場内のゆっくり達を睡眠ガスで眠らせると、 外に運び出した。 「よいしょっ!・・・と。結構いますね。どれぐらい増やしたんですか?」 「大体600匹ぐらいだな。まだ実験だし、そんなもんさ。けど、もうちょっと増えたらやばかったな。500匹ぐらいを想定してたから、 これ以上増えると、養殖場が維持できなくなっちまう。そうなると、俺達の仕事に『養殖ゆっくりの間引き』なんていう面倒くさい仕事が出来ちまう。」 「じゃあ、よかったすね。」 職員達はコンテナに詰められた養殖ゆっくり達を外に運び出すと、養殖場の撤去作業も開始した。 とても「ゆっくりした」ゆっくり達が一斉に開放された・・・ 群れから少し外れた場所で、一匹のゆっくりれいむが移動していた。 もうすぐ巣穴を塞ぐのだ。来年まで外に出ることは出来ない。 だから、冬篭りの前までに少しでも外の様子を見ておきたかった。 そんな時、れいむは一匹のまりさから声をかけられた。 「ゆっ!れいむ!ゆっくりしていってね!」 「ゆっ!まりさ!ゆっくりしていってね!」 養殖場でゆっくり育てられた養殖ゆっくりは、野生ゆっくりから見て美人に見えるらしい。 すっかり気をよくしたれいむをよそに、まりさの後ろからぞろぞろと養殖ゆっくりが現れる。 「ゆぅ、なんだかさむいよ。はやくゆっくりできるところをさがそうね」 「ぽんぽんさんがすいてきたのぜ。むーしゃむーしゃしたいのぜ。」 れいむの表情は凍りついていた。 こうして養殖ゆっくり達は次々に野生のゆっくりの群れの中心に入り込んでいった。 群れに住む野生のゆっくりたちは何事かと巣から飛び出した。 この時期に大量のゆっくりがやってくるということは、どう考えても食料や住処の略奪としか考えられなかったからだ。 だが、略奪目的にしては、やってきたゆっくりたちの顔色や肌ツヤは非常に良かった。 また、随分友好的でゆっくりとしたな態度をとっていた。 群れのゆっくりたちは次第に、 「これはもしかしたら、別の目的で群れにやってきたのかも」 とか、 「きっと冬篭り前の挨拶に来たのではないか」 と噂を始めた。ドスの元にも報告が行っていた。 そして、徐々に歓迎ムードになっていた。 だが、それから数分後、ある養殖ゆっくりの一言で状況は一変した。 「ゆっ。れいむおなかすいたよ。たべものちょうだいね。」 それを皮切りに、他のゆっくりからも食料を求める声が徐々に上がり始めた。 群れのゆっくり達は驚いた。そして、 「自分達には、あなたがたに分け与えられるような余分な食料はないこと」 と伝えたり、 「そんなに血色が良いのに、あなたたちはどうしてたべものをもっていないのか」 と質問をした。 だが、養殖ゆっくり達には、野生ゆっくりの言うことが理解できなかった。 「食べ物をくれるのはあたりまえ」「季節なんて存在しない」という環境の中で育てられた為、 「どうして食べ物をくれないのか?」「冬篭り?何それ?美味しいの?」という有様だった。 10分も経つと、群れで大騒ぎになっていた。 群れの規模は100匹前後。 しかし、やってきた養殖ゆっくりの数は100匹を優に超えていた。 群れのゆっくりは必死で養殖ゆっくりを押しとどめようとした。 ある養殖れいむが言う。 「おなかがすいたよ。たべものをゆっくりちょうだいね」 さらに養殖まりさが言う。 「たべものをださないなんてゆっくりできないね。」 「かってにもらっていくよ。」 「どいてね!はいれないよ!」 番の野生まりさと野生ありすは家の前で必死に応戦する。 「ゆ~~~!やめてね。勝手にまりさのおうちに入らないでね!でていいってね!」 「それは冬を越すのに必要な食料よ!いまたべるなんてとかいはじゃないわ!このいなかもの」 いくら押しとどめようとしたり、突き飛ばしても、次々と巣に近づく養殖ゆっくりの数にはかなわなかった。 勝手に貯蔵庫の食料に手を付ける養殖ゆっくり達。 「むーしゃむーしゃ・・・う”っべべぇ”ぇ”ぇ”ぇ”! まずっ!げろまずっ!ぺっ!ぺっ!!」 生まれて初めて甘味料のない食料を口にした野生ゆっくり達は吐き出した。 「こんなのたべものじゃないよ!あまあまじゃないよ!ほんとのたべものをかくさないでさっさとだしてね!」 甘い食料など持っていないし食べたことのない野生ゆっくり達は、自慢の保存食料をゴミのように扱われ、ショックを受けた。 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおお?」 群れで一番頭のいいパチュリー種の住む巣にも養殖ゆっくり達は押し寄せた。 「ゆっ!パチュリーがいるよ!ゆっくりしんでいってね!!」「ゆっくりできないゆっくりはしんでね!」 「むぎゅう”う”!わたしがなにをしたっていうのよおあああ!」 こうして、ゆっくりが自然界で生き抜く方法を知っている重要なぱちゅりー種は息絶えた。 ドスのいる洞穴にも養殖ゆっくりが入り込んだ。 養殖ゆっくりたちは、笑顔で挨拶する。 「ドスがいるよ!ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」「ゆっくりしていってね!!!」「ゆっくりしていってね!!!」 ドスは最初は驚くが、笑顔で挨拶を返した。 「みんな、ゆっくりしていってね!!!」 外で起きていることはまだ報告が入っていないらしい。 ぞろぞろとやってくる養殖ゆっくり達の中のある一匹が突然どすに食らいついた。 がぶ・・・ 「むーしゃむーしゃ それなりーー!」 分厚い小麦粉皮を喰いちぎって頬張る養殖ゆっくり。 一瞬何が起こったのか分からないどすの代わりに、どすの付き人をしている野生ゆっくりが叫んだ。 「どぼぢでどすのおがおだべるのおおおおお!!!どずはゆっっぐりしてるんだよおおお?ばがなの?じぬの??」 その言葉で我に返ったドスは体を壁にぶつけてそいつを潰し殺した。 「馬鹿なゆっくりはさっさと死んでいってね!」 「どぼぢでよろごんでぐれないのおおおお?ダイエッドにきょーりょくしてるでしょおお!」 理不尽な攻撃を受けていると感じた養殖ゆっくり達は、怒りに燃えてドスに攻撃した。 どすは洞窟の中で暴れようとしたが、広さも高さも足りず、ただただ噛み付き攻撃や這いずり攻撃を繰り返した。 しかし、真正面からドスの口に飛び込むものはおらず、養殖ゆっくり達は全方位から喰らいついた。 ドスは徐々にスタミナを消耗し、まるで蟻に集られる饅頭のように体の体積を減らしていった。 「もっどゆっぐりしたかったよ・・・」 こうして、群一つを潰した養殖ゆっくりによる傍若無人な振る舞いと理不尽な暴力は森の各地に住む野生ゆっくり達に広がっていった。 例えば、とある群れに属さないゆっくり一家は、苛烈な尋問の果てに皆殺しにされた。 養殖ゆっくりの集団が、けっかいで偽装された巣を見つけ、中にいた一家を強引に外に叩きだしたのである。 一家があまあまな食べ物を隠し持っているに違いないと疑ったそのグループは、執拗に尋問を行い始めた。 「あまあまさんなんてしらないよ。ゆっくりかえっていってね!」 「うそをつくななのぜ!すのなかにかくしてるのはわかってるのぜ!!!」 集団は「こーでぃねいと」された巣の中を荒らし回った。 教育であまあまの存在を信じこまされていた養殖ゆっくりの集団は、貯蔵庫の食料を掻き出し、枯葉のカーペットをひっくり返し、一夏の「おもいでのしな」をバラ撒きながら「あまあま」を探し続けた。 しかし、いくら探せどそんなものはない。 最終的に痺れを切らした集団は、一家を踏みつけ突き飛ばし餡庫のシミに変えた。 また、ある子なしの番は強引に集団でスッキリーをさせられ、茎だらけになって永遠にゆっくりした。 勿論、巣の中を滅茶苦茶に荒らされるおまけつきで。 こうして野生のゆっくり達が餡庫に変えられていくなか、空腹に耐え切れず潰れた野生ゆっくりの餡庫を貪るものも出始めた。 「うっめ!めっちゃうっめ!」 極度の空腹に襲われていた養殖ゆっくり達は、同族の餡庫を貪ることにも抵抗を示さなくなっていた。 「野生のゆっくり達は、餡庫ではないあまあまを体の中に隠し持っていた」と強引に思い込み、「共喰いをしている訳ではない」と自分達を納得させたのである。 甘い食料に舌が慣れきった養殖ゆっくりは、日が経つに連れて各地の巣を血眼になって探し続けた。 執念深く巣を見つけては、中にいた種族を問わずゆっくりを引きずり出し尋問し、巣を荒らして餡庫を貪った。 とはいえ、野生ゆっくりの数が減るに連れて徐々に巣の発見率も下がり、最後の手段である同族の餡庫すら手に入りにくくなっていった。 すると、捕食種も襲撃の対象になりはじめ、洞窟に巣を作っていたれみりゃの一家も巣も襲撃を受けた。 「おぜうさまにゆっくりたべられていくんだど~♪」 養殖ゆっくり達に無防備に近づいて手を伸ばそうとしたれみりゃは、後ろから脚にタックルを喰らい、転倒した。 「おお、おそいおそい」 「おお、よわいよわい」 集団で飛び乗り喰いちぎり貪っていく。 「うっめ!めっちゃうっめ!」 「ざぐや”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!!」 「ま”んま”ま”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”」 れみりゃの子供たちも母親と同じ運命を辿った。 その後、養殖ゆっくりによる巣の襲撃は続いたが、滅多に巣を見つけられなくなった。 巣を襲撃できない養殖ゆっくり達も次第に個体数を減らしていった。 養殖ゆっくり同士で共喰いを始めるものも現れた。 すっきりーをして子供を持ったものもいたが、動きが鈍くなるため共食の対象にされた。 対象にされなくとも、これから冬を迎える季節で育てられる可能性は不可能だろう。 それに間違った知識を教えこまれているため、子供への教育もできないので子孫を残せない。 1代限りの存在を許された養殖ゆっくり達は、共食と餓死を繰り返し、 雪が積もり始める頃には姿を消したのだった。 冬も終わり春がやってきた。 月日が経ってもゆっくりによる被害は報告されず、ゆ害は皆無になっていた。 この試み因る効果は数年続くことも分かり、安い初期投資で高い効果が得られることから他の地域でも導入されることになった。 こうして、毎年冬が近づくと野生のゆっくりと養殖のゆっくりによる殺し合いが森の各地で行われることになったのである。 完- かれこれ何年ぶりの投稿でしょうか。 何年か前に途中まで書いた作品を、今日終わりまで書き足して投稿しました。 witten by 御湯栗 過去の作品 http //www26.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4035.html#id_dd2fb33a
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2161.html
※ゆっくりを野生動物として扱われるのを不快に感じる方 ※捕食種設定を不快に感じる方 ※ゆっくりの戦闘シーンを不快に感じる方 ※酷い目に遭ってしまうゆっくりがいるのを不快に感じる方 ※素晴らしい小説を求めている方 は、この小説に合いません。 申し訳ありませんが、ゆっくりお引き返しください。 それでも良ければどうぞ 戦いと呼ぶにはあまりにも一方的だった。 ふらんはミリィの全身の体当たりを受け、大木にその体をぶつける。 しかし、体勢を立て直すことも許されない。 その次の瞬間、ふらんはミリィの右手によって地面に叩き落とされる。 「ゆへぇっ!」 たまらず悲鳴と餡子が口から出る。 「ゆゆゆ…」 一瞬ふらんは気絶しそうになる。 しかし、その戦闘本能のおかげか、ふらんの瞳は無意識のままに敵の位置を探す。 「ゆ…」 ふらんが上空を見上げる。 そしてあまりの驚きで固まってしまった。 そこには…釣り上がった目、むき出しになった牙、燃え盛るような深紅の瞳があった。 憤怒の表情をしたミリィだった。 ミリィのゆっくり冒険記 第五話 ミリィはふらんをその深紅の瞳で見据えたまま、高度を下げる。 地面に着陸するや否や、ミリィは右手を空中に掲げる。 ミリィの右手が紅く光る。 その直後、その手には1メートル以上の長さもある紅い槍が握られていた。 そして、槍を振り回しながら墜落したふらん目掛けて真っ直ぐ走る! ふらんは慌てて空中に飛ぼうと翼を広げる。 しかし、間に合わない。 ふらんの右の翼と紅い槍が重なった。 餡子が飛び散る。 「ゆぎゃあああああああああああああ!!!!!!」 ふらんの咆哮と共に虹色の翼が千切れる。 ふらんは咄嗟に左に飛ぼうとしたものの、右の翼が根元から槍に巻き込まれてしまった。 ふらんの生命力ならば一日でも経てばこの翼も治るだろうが、それまでは飛ぶこともできないだろう。 そして、飛ぶことが出来ないふらんの機動力はゆっくりまりさ等と変わらない。 勝負は決したのだ。 ふらんの翼が千切れるのと同時に、餡子がミリィの顔に飛び散った。 それと同時に、ミリィの顔に変化が生じる。 「ん…?ミリィはなにをしているのぉ…?」 先ほどまでの釣り上がった目が、むき出しになった牙が、燃え盛るような深紅の瞳が、徐々に元の汚れを知らないような顔に戻っていく。 「うぁ…ふりゃん…?」 ミリィの視界に、片方の翼が千切れたふらんの姿が映る。 ミリィは右手に違和感を感じた。 自分の右手を見る。 紅い槍はまだ消えていない。 それを見た時、ミリィの顔が一気に青ざめた。 「うぁ…?ミリィが…ふりゃんを…?…」 ミリィが震えだした。 冷や汗が止まらない。 震えはどんどん大きくなっていく。 「うあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」 ミリィは叫び声を挙げると同時に、そのまま倒れてしまった。 普段のミリィは臆病な性格だ。 我に返ったミリィにとって、目の前の現実は精神的に耐えきれるものではなかったのだ。 ふらんには何が起きたのかわからない。 目の前の姉にそのまま止めを刺されると思っていたら、その姉が突然倒れたのだ。 その光景に一瞬混乱してしまう。 しかし、さすが捕食種と言うべきなのか、これは逃げるチャンスだという判断を素早く下し、ぽよんとぽよんと跳ねながら逃走する。 後には茫然としたままの子まりさ、そしてうつ伏せに倒れたままのミリィが残された。 ミリィが目を覚ました時、すでに辺りは夕暮れになっていた。 「うぁ…?」 ミリィは上体を起こし周りを見回す。 少し離れた場所に何かがいる。 それは先ほど自分がふらんから庇った子まりさだった。 「う~♪」 それを見てミリィは子まりさが健在であることに安心する。 この子まりさがここいるということは、自分はこの子をふらんから守れたということだ! ミリィの中で達成感が溢れてくる。 どのように守ったのかは全く覚えていなかったが。 ミリィの本能は記憶の忘却を選んだ。 先程の戦闘はの記憶は非常に重い負担となると、本能は判断した。 あの紅い槍はミリィにとってとてもゆっくり出来ないものだったから。 子まりさは、ミリィが起きた事に気がついたようだ。 ミリィのいる方に近づいてくる。 下を向いているので表情は読み取れないが、震えているようだった。 ミリィはそのような子まりさに何かあったのか、と心配になってしまう。 「う~?どこかいたいのぉ…?」 ミリィが心配そうに声を掛けると同時に、子まりさが顔を上げた。 輝くような笑顔だった。 「かっこうよかったんだぜ!!ふらんをやっつけちゃったんだぜ!!」 「う?うぁ?」 子まりさの予想外な反応にミリィは戸惑うことしかできなかった。 ミリィは困っていた。 「まりさもあんなやりさんをだしてふらんをやっつけたいんだぜ!」 この子まりさが何を言っているのかよくわからなかったからだ。 ミリィは先程の出来事を全く覚えていない。 ミリィは子まりさが派手に餡子を出しながら吹っ飛ばされるとこまでは…と思い出したところで、慌てて子まりさに問いかける。 「あ、あんこさんはだいじょーぶだったのぉ?」 その問いに、子まりさは笑いながら返事をする。 「ゆっ!だいじょうぶだぜ!くささんがくっしょんになってくれたんだぜ!」 ゆっくりは元が饅頭の為、非常に痛みに弱いのだが、再生能力は非常に高い。 れみりゃ種やふらん種には劣るが、基本種の再生能力も人間とは比べようもないほどだ。 少々の傷ならば短時間で治る。 ミリィが子まりさを手にとって一通り体(顔?)を見てみる。 「きゃ~、はずかしいんだぜ~♪」 子まりさが顔を赤くしながら何かを言っているが気にしない。 外傷は所々残ってはいるもののもう餡子は出ていないようだった。 この子まりさが言うように、思っていたより軽症だったようだ。 「う~…よかったぞぉ…」 それを見て、ミリィは安心したように溜息をつく。 ぐるるるるぅぅぅぅぅ そしてそれに合わせるかのようにミリィのお腹が鳴き声をあげた。 「「む~しゃむ~しゃ、しあわせなんだぞぉ~(だぜ~)」」 2匹は仲良く食事にすることにした。 あまあまの木の実さんにあまあまの花の蜜さんは2匹にとってとてもゆっくり出来るものだった。 お腹一杯になり、手を合わせて 「ごちそうさまなんだぞぉ~♪」 をすると同時にミリィは地面に寝転がる。 一方、子まりさは空を見上げていた。 しばしの間、2匹ともそのままの状態でいたが、やがて子まりさが口を開いた。 「ゆっ…おとーさん…おかーさん…」 ミリィは仰向けに寝ている為、子まりさの顔は見えない。 だが、声からも子まりさが泣いているということはわかった。 子まりさも両親が食べられてしまったという現実を忘れたかった。 しかし、そうなると自分の隣に両親がいないという現実と矛盾してしまう。 故に、子まりさはその現実を忘れることが出来ずにいた。 ミリィはやるせない気持ちになる。 子まりさの両親を食べたれみりゃの近くには自分もいたのだ。 何故止められなかったか。 いや、胴なしれみりゃの言っていたあまあまというものが何なのか何故わからなかったのか。 今更どうしようもないことだが、それでもミリィは悔いていた。 自分のせいで子まりさがゆっくり出来なくなってしまった、そう思っていた。 自分はこの子まりさをどうすればゆっくりさせられるかわからない。 しかし、この子まりさを放っておくことは出来なかった。 だから起き上がり、子まりさの顔を正面に見据えて言った。 「う~…ミリィはこーまかんにすんでるんだぞぉ~♪そこはちゅんりーもぉ♪さくやもぉ♪おねーさんもぉ♪た~くさんた~くさんいてたくさんゆっくりできるんだぞぉ~♪いっしょにこないこない~?」 その言葉は子まりさには衝撃的だった。 今回のお出掛けの目的であった狩りのやり方も両親から教わることが出来なかった。 狩りのやり方がわからない子まりさ一匹では生きていくことなど不可能であろう。 さらに、この子まりさはまだ親に依存している年頃の自立出来ていないゆっくりだ。 子供のゆっくりが一匹で生きていける程この世界は甘くないということは子まりさにもわかる。 先程のふらんの出来事の件で痛いほど痛感させられたのだ。 そして、目の前のれみりゃはゆっくり出来るれみりゃだ。 二回も助けてもらった子まりさはミリィに完全な信頼を寄せていた。 だから、子まりさもミリィの目を見据えて言った。 「こーまかんでゆっくりしていくんだぜ!」 その返事にミリィも顔を綻ばせて 「う~♪う~♪ゆっくりしていくんだぞぉ~♪」 ここに、ミリィに新しい友達が出来た。 「うぁ♪そうだぞぉ~♪まりさにもおなまえをつけるんだぞぉ~♪」 子まりさはミリィが何を言っているのかわからなかった。 自分の名前はまりさではないのだろうか。 「ゆっ…?まりさはまりさだぜ?まりさがおなまえさんなんだぜ?」 「う~…ミリィにもむずかしいことはよくわかんないけど…」 自信なさげなミリィだが、思い出すようにゆっくりと語り出した。 「ミリィのミリィっておなまえはおねーさんがつけてくれたんだぞぉ~。ミリィはミリィっておなまえがないとさくややおねーさんはミリィとまんまぁのことをよびにくくなるらしいぞぉ~…」 「ゆっ…?れみりゃはれみりゃだぜ?」 子まりさにはますますわからない。 「う~…ミリィもまんまぁもれみりゃだぞぉ~…。でもミリィたちにはわかっても、さくややおねーさんにはわからないらしいぞぉ~…それに…」 ミリィは笑いながら 「おなまえっていうのはとってもゆっくりできるぞぉ~♪」 と続けた。 子まりさにはミリィの説明は良くわからなかったが、名前と言うのがゆっくりできるというのはよくわかった。 ゆっくりにとって、『ゆっくり出来るから』という理由は最大の説得力を持つ。 ゆっくりにとっては、ゆっくりすることが生きて行く上で最大の目的となるのだから。 「ゆっ!まりさもゆっくりしたいんだぜ!まりさもおなまえさんがほしいんだぜ!」 子まりさはその言葉だけで納得をしてしまった。 勿論、目の前のれみりゃが信用できる…という前提だろうが。 「う~…まりさまりさまりさ…う~…うぁ♪」 ミリィはしばらく考え込んでいたが、何か思いついたようだ。 「マーサ♪がいいぞぉ~♪とってもゆっくりできるぞぉ~♪」 「ゆっ!マーサ!?とってもゆっくりできるおなまえさんなんだぜ!」 非常に嬉しそうな2匹。 安直な名前だとかそういう事はどうでも良いようだ。 「きょうからまりさはマーサなんだぜ!よろしくなんだぜ!」 「う~♪う~♪ミリィはミリィだぞぉ~♪よろしくなんだぞぉ~♪」 改めて挨拶を交わす2匹。 そして締めは、 「「ゆっくりしていくんだぞぉ~♪(いくんだぜ!)」 友達となった2匹は歩きだす。 森の出口がどこにあるかもわからないまま。 後書き ミリィの説明の下手さはデフォです。 また、安直な名前だということも気にしないで頂けたら幸いです。 名前 コメント