約 50,302 件
https://w.atwiki.jp/sibuyanoking/pages/121.html
8月2日(前編) 8月2日、渋谷のキング復活祭と高らかに宣言したぶさまんであったが、その責任から来る重圧と暗黒キッズの妨害工作によりツイッターを削除し完全に消息を絶った。 そして、前回ゴブリンニュースでお伝えしたが、その日最前線で戦う予定であったリア充斉藤氏はツイッターで「ゴブリン討伐からは戦線を離脱する宣言」を出し、前田友はハーブによる体と脳のダメージが思った以上に深刻で自宅に強制送還となりゴブリン討伐協会は壊滅寸前であった。 そんな主催者を失い開催が危ぶまれた当日の朝、ニコニコ生放送で大人気の茨城が生んだスーパースターの「よっさん」が東越谷公園を偵察しに行くと宣言したのだ。 あの超大物が自ら戦いの先陣を切ってくれるというありがたい状況に沸く温泉民達。 よっさんが現地につくと、そこには渋谷のキング復活祭を祝う住民達で溢れかえっていた。 正確に言うと地元東越谷のお祭りと渋谷のキング復活祭との日程が偶然重なるという奇跡が起きたのだ。 よっさんは「渋谷のキングは愛されているな」と明らかに勘違いしているつぶやきを残し無事に偵察を終えるのであった。 よっさんにアンチが多いことは周知の事実だが、もし本当に追い込まれることがある時、ゴブリン討伐協会の有志達が微力ながら彼の力になることであろう。この祭りに便乗してくれてありがとう!
https://w.atwiki.jp/hachinai_nanj/pages/2507.html
燃ゆる真夏の天王山 前編 最終更新日時 2023/08/12 23 35 08 このページを編集 開催期間 【恒常化】2022/03/01(火) 12 00 ~ 【ボーナス期間】2022/03/01(火) 12 00 ~ 2022/03/16(水) 12 59 2022/05/16(月) 17 00 ~ 2022/05/31(火) 12 59 2022/08/16(火) 12 00 ~ 2022/08/31(水) 12 59 2023/08/09(水) 00 00 ~ 2023/08/31(木) 12 59 チャプターの時期 2年生編 7月下旬 チャプター開放条件 『?』 メイン報酬 画像 アイテム名 備考 おこづかい 【恒常】累積報酬で3000獲得できる【期間限定】累積報酬で7000獲得できるおこづかいがどんなアイテムかについては「部費・おこづかい」を参照。 球春祭コイン【2022前半】 【2022年3月開催時のみ】累積報酬で400枚獲得できる購買部で各種アイテムに変換できる 絆の記憶(極) 【期間限定】累積報酬で3個獲得できる絆の結晶(極)の交換には15個必要 初心者の方の優先度 【難易度】C5~B5(恒常ステージ)、D1~D5(期間限定ステージ) 【オススメ度】オススメ ボーナス期間中はおこづかいを大量に獲得するチャンス イベント概要 本イベントのStage1~Stage8と累積報酬(~140万pt)は恒常開催。 Bonus1~Bonus3と累積報酬(150万pt~400万pt)は開催期間が限られている。 + 球春祭コイン【2022前半】について(現在は入手不可) 球春祭コイン【2022前半】について(現在は入手不可) ①本イベントを含む以下のイベントにて球春祭コイン【2022前半】:を入手 期間 入手方法 獲得枚数 3/1~3/16 イベントマッチ『球春祭コイン【2022前半】獲得イベント』 1240枚+ドロップ 3/1~3/16 イベントマッチ『狙えホームラン!球春祭チャレンジ前半』 ドロップ 3/1~3/16 メインマッチ『燃ゆる真夏の天王山 前編』(本イベント) 400枚 3/1~3/9 球春祭ミッション第1弾 1000枚 3/9~3/24 メインマッチ『燃ゆる真夏の天王山 後編』 400枚 3/9~3/16 球春祭ミッション第2弾 1000枚 ②球春祭コイン【2022前半】:を集めて「球春祭チャレンジミッション前半」のミッションをクリアする 主なクリア報酬は以下の通り。ミッション挑戦期限は3/16(水) 12 59まで 画像 アイテム名 累積枚数 絆の結晶(極) ×1 10,000 ココロのカギ(大) ×1 8,000 SSR確定チケット ×1 6,000 絆の結晶(極) ×1 4,000 シンデレラチケット ×200 2,000 ③球春祭コイン【2022前半】:を購買部でアイテムに変換 交換期限は4/7(木) 23 59まで 主な交換アイテム 画像 アイテム名 必要数 交換上限 挑戦状【球春祭チャレンジイベント】 ×1 200 ∞ 絆の結晶(極) ×1 890 2回 絆の結晶(超) ×1 100 5回 シンデレラチケット ×10 100 10回 + その他の交換アイテム その他の交換アイテム 画像 アイテム名 必要数 交換上限 元気ドリンク ×1 100 2回 結束のしおり ×1 50 30回 努力のしおり ×1 50 30回 思い出のしおり ×2 5 100回 ココロの自由【アオ】 ×1 50 5回 ココロの自由【ハル】 ×1 50 5回 ココロのカギ(中) ×1 15 15回 ココロのカギ(小) ×1 1 100回 絆の結晶(大) ×1 15 ∞ 絆の結晶(中) ×1 3 ∞ 絆の結晶(小) ×1 1 ∞ ソウルストーン(花) ×1 8 ∞ ソウルストーン(芽) ×1 1 ∞ ソウルストーン(種) ×2 1 ∞ ココロのつばさ【各属性】 ×1 6 ∞ ココロの芽生え【各属性】 ×1 3 ∞ ココロの欠片【各属性】 ×1 1 ∞ ベアマックス(大)【各属性】 ×1 8 ∞ ④コインと交換で手に入れた挑戦状【球春祭チャレンジイベント】:を使って『目指せ頂点 球春祭チャレンジイベント』に挑戦しよう イベント構成 恒常部分 ステージ名 相手評価 初回報酬 消費元気 対戦ボーナス ドロップアイテム Stage1 C5 ×4 7 +***.0% × × × × × × × × Stage2 C5 ×4 10 +***.0% × × × × × × × × Stage3 B1 ×4 +***.0% × × × × × × × × Stage4 B2 ×4 +***.0% × × × × × × × × Stage5 B3 ×4 +***.0% × × × × × × × × Stage6 B4 ×4 +***.0% × × × × × × × × × × × × Stage7 B5 ×4 +***.0% × × × × × × × × Stage8 B5 ×4 +***.0% × × × × × × × × × × × × 期間限定部分(3/16まで) ステージ名 相手評価 初回報酬 消費元気 対戦ボーナス ドロップアイテム Bonus1 D1 ×1 7 +500.0% × × ×3 × Bonus2 D3 ×1 +500.0% × × ×2 × × × × × × × × × Bonus3 D5 ×1 +500.0% × × × × ×3 × × × 獲得評価pt計算式 試合内容(恒常ステージ・ボーナスステージ) 評価pt 単打 二塁打 三塁打 HR 四球 盗塁 打点 猛打賞 奪三振 失点 三振 エラー 被安打 被HR 勝利 引き分け 敗北 50 100 150 300 10 50 300 300 50 -500 -25 -100 -50 -300 7000 6000 5000 (評価pt)=(試合内容の合計)×(1+対戦相手ボーナス) Q.彡(゚)(゚)「んで、どのステージがおすすめなんや?」 A.(´・ω・`)「 BonusステージがあるうちはBonusステージの8割程度は勝てるステージを繰り返し挑戦すると良いよ。 」 累積報酬 画像 名前 恒常時個数 Bonus個数 おこづかい 3000 7000 球春祭コイン【2022前半】 400→0 ベアマックス(大)【花】 0→5 ベアマックス(大)【蝶】 0→5 ベアマックス(大)【風】 0→5 ベアマックス(大)【月】 0→5 絆の記憶(極) 3 コメント 名前
https://w.atwiki.jp/flere210/pages/205.html
セッション名:瑞珠学院文化祭(前編) 開催日時:2009年5月29日 GM:雅戌 PL:睦月、影法師、氷月、樹 以下、アフタープレイ作業 ①ダメージ回復 全員のHP、MPは全回復。 ②コネクション消去 ハンドアウト、及びセッション中のコネクションは消滅。 ただし、今後氷月がGMを行う場合、許可を得られれば再使用が可能。 ③[[アイテム]]回復 常備化アイテムは全て回復。 ④アイテム消去 常備化していないアイテムは消滅。 ⑤経験点配布 ・セッションに最後まで参加した 全員に1点 ・クエストを達成した 氷月に850点の配布 影法師に900点の配布 睦月に900点の配布 樹に900点の配布 ・倒した敵の経験点 【瑞珠学院生徒Aタイプ L30×4】=120 【瑞主学院生徒Bタイプ L30×4】=120 【瑞珠学院生徒Cタイプ L33×4】=132 【瑞珠学院生徒Dタイプ L25×4】=100 【アドラメレク L50(加護8)】=58 【合計】530 530÷【PC数4】=132.5=133 全員に133点の配布 ・よいロールプレイをした 全員に1点 ・他のプレイヤーを助ける言動をした 全員に1点 ・セッションの進行を助けた 全員に1点 ・場所の手配、提供を行った 影法師に1点 ・登場シーン÷3 省略(全員7シーン以上登場とする) ・合計 影法師 1041点 氷月 990点 睦月 1040点 樹 1040点 ・GM経験点 【全PL合計】÷【4】=1370 雅戌 1370点
https://w.atwiki.jp/12212000/pages/75.html
同盟軍はアムリッツァ星域に集結し、帝国軍への 最後の反撃を試みる。圧倒的な戦力差を前に 果たして勝機は・・・・・・? 11-1 遅すぎた命令 各艦隊の惨状がイゼルローンの司令部に もたらされる中、ロボス元帥はようやく命令を 下すが・・・・・・。 行動:-7 資金:+68 獲得経験値:+14 大成功条件:グリーンヒル(リーダー) 報酬品:ロボス 11-2 その希望を叶えてやろうではないか・・・ 同盟軍の動きは帝国軍にも伝えたられた。 ようやく動き出した同盟軍に対し、 ラインハルトは最後の一撃を加えるべく 進撃を命じるのだった。 行動:-7 資金:+68 獲得経験値:+14 大成功条件:ロボス(リーダー) 報酬品:アップルトン 11-3 帰らぬ者 なんとかキルヒアイス艦隊を振り切り、 ビュコックの艦隊と合流するヤン。 帝国軍との戦いを前に老提督と 話をかわすが・・・・・。 行動:-8 資金:+80 獲得経験値:+18 大成功条件:ビュコック(リーダー) 報酬品:アル・サレム 11-4 幕開け このままなす術なく引き返すことはできないと、 総司令部のロボス元帥はアムリッツァに 艦隊を終結させた。後に言う 「アムリッツァの会戦」の始まりであった。 行動:-8 資金:+82 獲得経験値:+18 大成功条件:ヒューベリオン(サポート) 報酬品:標準型空母/同盟 11-5 ヤンの策 アムリッツァ恒星近くで戦端が開かれる。 ヤンは攻勢をかける帝国軍を前に 「とある策」を実行するように命じた。 行動:-8 資金:+84 獲得経験値:+18 大成功条件:ミサイル艦/同盟(サポート) 報酬品:標準型戦艦/同盟 11-6 アムリッツァ星域会戦(前編) 恒星にミサイルを撃ち込むという奇策により、 帝国軍の陣営に動揺が走る。ヤンは 隊列を乱した敵艦隊に対し攻撃を 命じるが・・・・・・。 クエスト内容:帝国艦隊との戦い キークエスト属性:艦船 行動:-33 資金:+338 獲得経験値:+76 大成功条件:ヤン・ウェンリー(リーダー) 追加シナリオ 11-1 遅すぎた命令 各艦隊の惨状がイゼルローンの司令部に もたらされる中、ロボス元帥はようやく命令を 下すが・・・・・・。 行動:-10 資金:+96 獲得経験値:+20 大成功条件:グリーンヒル(リーダー) 報酬品:ロボス 11-2 その希望を叶えてやろうではないか・・・ 同盟軍の動きは帝国軍にも伝えたられた。 ようやく動き出した同盟軍に対し、 ラインハルトは最後の一撃を加えるべく 進撃を命じるのだった。 行動:-10 資金:+98 獲得経験値:+22 大成功条件:ロボス(リーダー) 報酬品:アップルトン 11-3 戦場は不健康 ケンプ艦隊の襲撃からキルヒアイス艦隊の 追撃、アムリッツァへと集合とろくに休みも 取らず指揮を続けるヤンにフレデリカは ・・・・・・。 行動:-11 資金:+110 獲得経験値:+24 大成功条件:フレデリカ(キャラクター) 報酬品: 11-4 幕開け このままなす術なく引き返すことはできないと、 総司令部のロボス元帥はアムリッツァに 艦隊を終結させた。後に言う 「アムリッツァの会戦」の始まりであった。 行動:-11 資金:+112 獲得経験値:+24 大成功条件:ヒューベリオン(サポート) 報酬品:標準型空母/同盟 11-5 ヤンの策 アムリッツァ恒星近くで戦端が開かれる。 ヤンは攻勢をかける帝国軍を前に 「とある策」を実行するように命じた。 行動:-11 資金:+114 獲得経験値:+26 大成功条件:ミサイル艦/同盟(サポート) 報酬品:標準型戦艦/同盟 11-6 アムリッツァ星域会戦(前編) 恒星にミサイルを撃ち込むという奇策により、 帝国軍の陣営に動揺が走る。ヤンは 隊列を乱した敵艦隊に対し攻撃を 命じるが・・・・・・。 クエスト内容:帝国艦隊との戦い キークエスト属性:艦船 行動:-44 資金:+450 獲得経験値:+102 大成功条件:ヤン・ウェンリー(リーダー) 10 アムリッツァ前哨戦 12 アムリッツアの会戦(後編)
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/3466.html
ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島 前編/後編 【ふぁみこんむかしばなし しん・おにがしま ぜんぺん/こうへん】 ジャンル アドベンチャー 対応機種 ファミリーコンピュータ ディスクシステム 発売元 任天堂 開発元 パックスソフトニカ任天堂情報開発部 発売日 前編:1987年9月4日後編:1987年9月30日 書換開始日 共通:1987年9月30日 定価 前編:2,600円後編:2,500円 プレイ人数 1人 レーティング CERO A(全年齢対象)(*1) 配信 バーチャルコンソール(前後編同時収録)【Wii】2007年6月19日/600Wiiポイント※2019年1月31日に配信終了【3DS】2013年6月5日/500円【WiiU】2013年9月18日/500円※2023年3月28日に配信終了 備考 【GBA】『ファミコンミニシリーズ』第3弾2004年8月10日発売 判定 良作 ポイント 昔話の寄せ鍋死と背中合わせの冒険絵巻ほのぼのタッチのキャラが演じる深いドラマ ふぁみこんむかし話シリーズ新・鬼ヶ島 / 遊遊記 / 平成 新・鬼ヶ島 概要 ストーリー 特徴 評価点 問題点 総評 関係する昔話一覧 移植版 余談 その後の展開 概要 アクションゲームの制作がメインというイメージが強かった任天堂初となる、ディスクシステム向けのアドベンチャーゲーム。 2枚組ディスクという手法は、当時メガロムの登場によりロムカセットに対して不利になった容量を補うべく用いられた。 それまでのアドベンチャーものに推理ものやSF的な世界観の物語が多かったのとは一線を画し、日本の昔話をモチーフにした牧歌的でほのぼのとした作風が幅広い層に受け入れられ、任天堂初のアドベンチャーゲームとして大きな人気を集めた。 ストーリー 昔々、ながくし村というところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。 子供のいなかった2人は毎日神様に子供を授けてくれるようお祈りしていました。 そんなあるとき、山に芝刈りに出かけたおじいさんは竹やぶで竹から生まれた女の子を、 川に洗濯に出てきたおばあさんは拾った不思議なおわんから生まれた男の子をそれぞれ授かります。 2人は子供たちを喜んで育てることにします。 時が過ぎ子供たちが8歳の誕生日を迎えた頃。 西の都で鬼が暴れ、人々の魂を奪って廻っているという噂がながくし村にも届いてきます。 そしてながくし村にも鬼の魔の手が伸び、おじいさんとおばあさんは魂を奪われてしまうのでした。 悲しみを乗り越え、2人はおじいさんとおばあさんを救うべく、冒険に旅立つのでした。 特徴 シナリオは日本昔話の世界をベースにしているので、メッセージ・コマンドはすべてが縦書きのひらがな表記。 「ひとかえる」コマンドによるザッピングシステムの搭載。 プレイヤーの視点を主人公の男の子、女の子の双方に切り替えながらフラグ立てを進めていくことで進行する。 ゲーム進行上、取る必要のない行動を自由に取れるなど、選択肢が幅広い。が、その分ゲームオーバーを誘うトラップも多い。 主人公のデフォルトの名前は、男の子が「どんべ」、女の子が「ひかり」、犬が「りんご」、猿が「まつのすけ」、雉が「おはな」となっている。 名前を変えられるのは主人公の2人のみで、名前つけイベントの時にコントローラーのスタートボタンを押すと、前につけられた名前が自動でつけられる(*2)。 初プレイの場合だと上記の自動で入力される名前は公式の「どんべ」「ひかり」となる(*3)。 評価点 昔懐かしい日本昔話の世界が独特な切り口で融合され、ほのぼのとした温かみのある世界観を作っている。 シナリオ周りも、何かを調査したときの反応や仲間との会話での反応のメッセージ、演出などに思わず笑ってしまうようなユーモアとギャグがちりばめられている。 物語が後半に差し掛かると一転してギャグ要素は少なくなり、最終局面に向かうにつれてシリアスさが徐々に増してくる。前編のほのぼのとした雰囲気から打って変わったドラマチックな展開には引き込まれるものがある。 テキストとコマンドはすべて縦書きで、『日本昔話』の雰囲気を強調している。 テキストは掛け軸型、コマンドは巻物型のウィンドウに表示される。 日本の昔話という点を考慮してか、使われている文字はひらがなのみ。 当時としては恒例の「使用文字を制限して容量節約」という意図もあるのだろうが全体的に和テイストで統一されていることもあって違和感も緩和されている。 「サングラスをかけ英語を話す金太郎」など、昔話のキャラクターにこのゲームならではのコミカルな味付けがなされており、より個性的なキャラに仕上がっている。 BGMのほとんどは、日本民謡的なリズムと音感に終始しており、コミカルで、時にシリアスで哀愁漂う秀逸なメロディラインは一級品。 作曲はマリオシリーズでおなじみの近藤浩治。ファミコン20周年記念で発売された食玩CD内のブックレットによると、プログラムを圧縮しやすいように作曲したといい、職人芸が垣間見える。 ゲームオーバーを誘う選択肢も数多いのだが、基本的にはベースとなった昔話を知っていれば結果が予測できるものが多い。 とはいえ、あえてやってみたくやるようなものが多いのでついついやってしまうことも。もちろん、間違った選択に対するペナルティは「ゲームオーバー」という容赦のないもの。 また、一部、原典の昔話の内容を逆手に取ったフラグ展開も用意されており、一筋縄ではいかない。 ゲームオーバーの内容そのものは、正真正銘の死に直結してしまうシビアな内容のものが多いが、純粋なネタとして面白いものもある。 基本、ノーヒント。ただ、片割れや連れ歩いているお供に話しかけると、何かしら進展するコマンドが出てきたりする。 主人公を切り替えて、NPCやもう1人の主人公に話しかければ違う台詞が聞けたりと、それなりにテキスト周りが細かい。 女の子、男の子の役割分担がある程度決まっている。 特に前編では、荷物の運搬と敵との戦いは男の子担当、文字を読むなどの頭脳労働は女の子担当といった具合に明確に分かれている。 後編では男の子が戦うことが多く、女の子はバックアップのような位置付けといった感じで主役が男の子に寄ったストーリー展開になるが、それでもお互い食い合わず最後まで見せ場がある。 ザッピングシステム これにより、各主人公の個性をテキスト面で上手く表現している。 隠れキャラなどのお遊び要素も豊富。 有名なところでは「金太郎ロケット」や、最終章で天狗に何度も話しかけることで移行する「てんちゃんのなぞなぞこーなー(*4)」がある。 問題点 コマンドを決定・キャンセルするたびに画面下部の巻物型コマンドウィンドウが開閉する演出が入るが、アニメーション速度が遅めなので若干テンポが悪い。 物語を読むことより謎解きに重点が置かれていて難易度が高い。 黎明期のアドベンチャーによく見られた「謎解きのロジック」を重視した作風となっているため、フラグ立てが非常に複雑。進行させるために同じコマンドを2回以上繰り返して選択しなければならない場所が多かったり、「やってはいけない」とテキスト上でほのめかしつつ実はゲーム進行に必要な行動があるなどのひっかけもある。ゲームオーバー要因も多いうえに上述の通りノーヒントで意地の悪いひっかけも存在していたりするため、自力での初見クリアは難しい。終盤には、一定時間内に特定のコマンドを選択しないとゲームオーバーになる局面まで存在する。 グラフィックウィンドウの左右上下に東西南北が割り当てられて移動の際の選択肢の東西南北に対応しており、グラフィック自体が1つのマップ状になっている。移動の際はこのことを意識する必要があるのだが、中盤から後半にかけてフラグ立てが複雑になってくるのに合わせてマップ構成も複雑になるため、現在位置からどのようにマップが繋がるかをメモしておかないと移動の際に迷い易い。 ゲームオーバーになった場合の再開地点が「セーブした地点から」か「プレイ中の章の冒頭から」の2択のみで、ゲームオーバー直前のシーンからやりなおすことができない。 総評 話の大筋は桃太郎だが、他の物語の道具や人物の絡め方に違和感があまりない。 男の子と女の子の性格、台詞周り、それぞれのキャラで話しかけたときの反応の違いなど、テキスト周りが充実しており、くすっと笑ってしまうような改変が多く、飽きが来ない。コミカルなパロディを織り込みつつもシリアスなテーマが根底に敷かされたストーリーも光っている。 難易度の高さを十分に補う魅力を持つ作品と言えよう。 関係する昔話一覧 + ... 桃太郎(男主人公・犬・猿・雉・鬼 物語の大筋) かぐや姫(女主人公) 鶴の恩返し(おつうさん・反物) 金太郎(金太郎・熊) 傘地蔵 雪女 おむすびころりん(ねずみ)(*5) 河童 UFO(アダムスキー型円盤) 天狗の隠れ蓑(天狗・隠れ蓑の灰) 花咲か爺さん(花を咲かせる灰) かちかち山(木の船とウサキ・泥の船とタヌキ) 一寸法師(打出の小槌) 牛若丸(弁慶) 番町皿屋敷(お菊さん) きつねとぶどう(これ自体はイソップ物語が原点) ききみみずきん 舌切り雀(子スズメ・スズメのお宿) こぶとり爺さん(こぶを取られる前のおじいさん) 浦島太郎(玉手箱・乙姫様) 龍神伝説(龍) 一休さん(いったいさん)(*6) 移植版 『ふぁみこん昔話 新・鬼ヶ島 前後編』(GBA) GBA向けの『ファミコンミニシリーズ』第3弾『ディスクシステムセレクション』の1作として、前後編を同時収録している。 機種変による音質とグラフィックの多少の変質はあるが、ストーリーや台詞などに変更はない。一定時間コマンド選択をせずに待つ必要のある場面での待ち時間が短縮されテンポが良くなった。 『ふぁみこん昔話 新鬼ヶ島 前後編』(配信日:2007年6月19日 600Wiiポイント ※配信終了につき現在はDL不可) GBA版同様、前後編をひとまとめにしたものがダウンロードできる。 こちらはテキストのゲーム進行に関わる部分に変更点が存在する。 『平成新・鬼ヶ島前後編』(SFC) ゲーム中に一定条件を満たすことで前編、後編のクリア後にディスク版が追加される。章ごとに幕間の小芝居デモが挿入される、BGMがSFC音源でアレンジしなおされ音声もステレオ化されている、グラフィックの若干の劣化、テキストの一部修正(*7)、スタッフクレジットに一部変更点があるなどの変更点が加えられている他はオリジナルを踏襲している。 余談 本作のCMは「昔話の寄せ鍋」と称し昔話の登場人物たちが巨大な鍋の中に次々と飛び込むというユニークなもの。 任天堂のテキストアドベンチャーは第2弾として同年12月『アイドルホットライン 中山美穂のトキメキハイスクール』が発売されている。 ディスクファクスイベントを絡めた展開で話題になった。 ロムカセットに対しての容量的な不利を補うべく用いられた「2枚組ディスクアドベンチャー」というスタイルは翌1988年『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』に引き継がれている(*8)。 この作品も本作には及ばないものの前後編ともスマッシュヒット級の売上を記録した。 昔話をベースとしたファミコンゲームとしてはハドソンの桃太郎シリーズが有名だが、本作はその第1作『桃太郎伝説』(同年10月26日発売)よりも先んじている。 ソフト発売から少し後に徳間書店のわんぱっくコミックス『必勝テクニック完ペキ版(*9)』の30(前編・昭和62年11月20日初版)・31(後編・昭和63年1月20日初版)として漫画化もされた。 作者は同シリーズでおなじみのみなづき由宇氏(*10)。本書では男の子は「太郎」、女の子は「姫子」という名前が使われており、この名前を愛好して使うファンも多い(*11)。 物語の要点がまとめられており作者の画風も世界観と見事に調和しているので、ゲームそのものを知らなかったりゲーム攻略という観点を抜きにしても非常に楽しめる内容になっている。 前編には「番外編」というおまけの漫画がついており『メトロイド』や『リンクの冒険』のパロディ(*12)も織り交ぜた鬼退治の内容になっており、これも攻略漫画本編とは違った面白さがあるので一見の価値ありと言える。 『必勝テクニック完ペキ版』シリーズとしては、これが最後となった。この後に発売されたわんぱっくコミックスの単行本ではゲームを扱った作品は2月に『リップルアイランド』(作:もりけん)1巻、3月に『リンクの冒険』(作:乱丸)2巻、5月に『スーパーマリオブラザーズ2』(作:沢田ユキオ)3巻の3冊のみで、他はゲームと無関係な『無茶の猫丸』(作:田森庸介)、『キョンちゃん』(作:ぜんきよし)、『ど根性ガエル』(作:吉沢やすみ)をもって1989年1月、その歴史に幕を閉じた。 上記のコミックスと同時期に双葉社からゲームブックも刊行された。 ゲームブックでは女の子は「ひかり」と公式名と同じだが、男の子の方は「太郎」になっている。 鬼や龍との戦いという大筋は共通するが、その展開はだいぶ変わっている。オリジナルな展開が非常に多いので、ゲーム本編を知っていても楽しめる。 またゲーム本編とは異なり成長前の男の子のキャラクターがゲーム本編と異なっている。 ゲーム本編で登場するキャラも、登場するポイントやその役回りが違う点が多々ある。 本作での隠しバッドエンド、目的を遂げないままながくし村に帰ってしまうバッドエンドもある。 ただ、こちらも現在では非常に入手困難なのが残念なところ。 頸文社発行の攻略本では、前編の表紙イラストに後編のものが使われており、後編の方はオリジナルのもの、しかも公式のパッケージデザインより高頭身になっている。 こちらでも男の子は「たろう」と、女の子は「はなこ」となっている(*13)。 上記の通り公式名自体が触れる機会が少なかったためか大多数の書籍では使われていなかったが、実業之日本社の攻略本ではそれが使われていた。 本書も、本編を踏襲したギャグ漫画がついていたり、表紙裏にはスゴロクゲーム(*14)があったりとゲーム攻略を抜きにしても楽しめる内容になっている。 もちろん、これも現在では非常に入手困難。 ファミマガ恒例のウソテクのネタにも使われていた。 第一章の川のシーンでIIコンのマイクに「桃から生まれた桃太郎~!」と叫ぶと川上から桃が流れてくるというウソテクでは恒例のIIコンマイクネタ(*15)(1987年18号)。 2枚組ディスクという販売形式は前例がなかったため「後編を遊ぶためには前編のディスクが必要です」と説明書やTVCMで明示されていたにもかかわらず、前編のディスクを後編に書き換えてしまったため再び「前編のディスク買いなおし」 「前編クリアしなおし」になったという悲劇が多々あった。 上記の意味を「前編をクリアした場合、そのカードを後編に書き換えてもらえる」と勘違いした人もいたようだ(*16)。ちなみに、ハナから後編を入れると「前編ディスクからロードしてください」というメッセージが出る。 これは『遊遊記』『タイムツイスト』も同様。『ファミコン探偵倶楽部』シリーズや『探偵 神宮寺三郎 危険な二人』はエラーが出る。 後編はパッケージ版発売と同日に書換開始だったこともそれが多発した一因と思われる。 ハドソンのRPG『天外魔境 ZIRIA』に「名作昔話 じらいあ」というミニコントが始まる裏技がある。 名称やコントの演出、グラフィックなどどことなく本作を意識していると思われる節がある。 『大乱闘スマッシュブラザーズDX』に「どんべ ひかり」のフィギュアが登場。 裏スマブラこと『キャプテン★レインボー』に、女の子のひかりがメインヒロインとして参戦した。 ただし、キャラデザはかなり強いアレンジがなされているうえ、一部『遊遊記』のヒロイン、ちゃおの設定を含んでいる(*17)。 どんべとひかりが『スーパーマリオメーカー』のキャラマリオとして登場している。 2024年7月4日に『ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online』で本作が配信された。 その後の展開 2枚組アドベンチャーとしてだけではなく『ふぁみこんむかし話』そのものも後にシリーズ化されることになる。 2年後の1989年後期に正式なシリーズ続編として西遊記を原作とするシリーズ第2弾『ふぁみこんむかし話 遊遊記』が同じく前後編ディスクソフトで発売され、本作のキャラが一部ゲスト出演している。 ディスク末期の発売であったため、ソフト売上本数では任天堂ソフトとしてはかなり低く、本作に比べるとマイナーではあるが、奇抜でユニークな内容のCMで知られている。 1996年9~10月、SFC向けの衛星データ放送受信用周辺機器「サテラビュー」にて『BS新鬼ヶ島』が「サウンドリンクゲーム」として配信された。これは本作の主人公たちの前世とお供の動物たちの過去を明らかにした外伝作品である。 ちなみに、サウンドリンクゲームとは、あらかじめ決められた1時間にゲームデータとラジオ音声を同時に配信し、制限時間内に謎解きしてゲームを進めたり、スコア稼ぎを競うというもの。『ゼルダの伝説』や『ファミコン探偵倶楽部』などの過去の名作がBS向けに制作され、配信されていた。 しかし、サテラビューは存在自体こそTVCMで知られていても当時さほど普及していなかった衛星放送の環境が必要なことなどから利用者は極端に少なかった。 1997年12月には、SFCの書き換えサービス「ニンテンドウパワー」にて『平成 新・鬼ヶ島』前編/後編が発売(*18)、1998年5月にはパッケージ版も発売された。これは上記『BS新鬼ヶ島』のリメイク版(*19)で、物語自体も細部で多少の改変がなされている。 音源などに多少の違いはあれど、ディスク版も収録されている。平成版本編をクリア後にプレイ可能となる。 ただ、これも後継機たる64がすでに発売後に加えて当時はPS全盛期だったため注目度が低かった。そのため、ゲーム誌でもあまり掲載されず、さらにニンテンドウパワーは基本ローソンのLoppiのみによるサービス提供だった。 ゆえにあまり広く知れ渡ることはなく、あまり認知されなかった。存在自体は認知していた層でも、価格面で割高(*20)だったことが災いし積極的に利用する者は少なかった(*21)。
https://w.atwiki.jp/fjoui/pages/24.html
243 :名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 20 04 33.56 ID zQjyGCkL ―――――― 「私と付き合ってください!」 携帯が普及してきた今でさえなお一般的なラブレターという方法で呼び出されたのがちょうど9時。 指定されたとおり学校に行ってみると、実はドッキリでしたなんてこともなく16年の人生で初めてとなる告白を受けた。 何故夏休みに入って久しい今日という日を選んだのか疑問におもったが、その相手を見るとそんなことはどうでもよくなった。 神宮咲(じんぐう さき)、彼女が何故俺に? それが一番不思議だったからだ。 「…えっ……あっ……えっと……」 「駄目ですか……?」 やはりこういうことは経験がモノをいうからか、余計なことを考えているからか、答えは決まっていてもなかなか返事を返すことが出来ずに戸惑ってしまう。 何故俺に?なんて無粋なことを尋ねる勇気はないが、それでも気になってしまう。 彼女に好かれる様な事をした覚えもなければ、特別に何かをした覚えもない。 接点といえばせいぜい、学校生活と多勢で遊びに行くときに幾度か顔を合わせるくらいのものだった。 「好きな人がいるんです、ごめんなさい……。」 「…そうですか……。」 少し気まずい空気が流れて、しばし互いに黙り込む。 彼女ほど美人で人柄の良い人ならば、ほとんど誰に告白しても成功しただろうに。 かくいう俺だって想い人が居なければ、是非こちらから頭を下げてお付き合いしていただいていただろう。 それをこんな道端に生える雑草並みに何の変哲もない一般生徒が振るなんてことが、非常に申し訳ない。 そう思うと更に言葉がでてこず、黙り込んでしまう。 次に口を開いたのは彼女だった。 「……わかりました。お時間を取らせてすいませんでした。」 やはり彼女は偉いと思う。 もし自分がフラれたとしたらこんなに冷静では居られないだろうし、礼儀なんて無視して泣きながら去っていってしまうだろう。 後者は若干ながら冗談にしても、人を振るだけでここまで狼狽えるような男がこれほどまともな会話は出来まい。 もっとも現在では告白はおろかまともに会話することさえままならない状態なのだが。 失礼します、そう言って去っていく彼女を追いかければ良いのか、はたまたなんと声をかけてよいのか検討もつかず、ただただ佇んでその背中を見送っていた。 244 :名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 20 23 17.28 ID zQjyGCkL 自宅に帰ってしばらくすると、今度は携帯電話の着信音がなった。 サブディズプレイの表示は駒井先輩。 この人が電話をかけてくる時はまず間違いなく何かが起こる時だ。 ……良くも悪くもだが。 イベントは重なるものだな、なんて思う間も無く時間は過ぎていく。 あんなことがあった後なので流石に今日はご勘弁願いたいが、 無視をすると厄介なことになりそうなので切れる前に出ておこう。 「……はい。」 「どーしたの!やけにテンション低いじゃないの!」 「午前中に色々あったもので。それで、今日は何をやらかしたんですか?」 念の為に行っておくが駒井先輩は男性である。 どこぞのゲームじゃないんだから、普通に学校生活を送っていれば異性の先輩との面識なんてある訳ないじゃないか。 「人を疫病神みたいに言うんじゃありません!今日はお前の為を思って電話してやったんだよ。」 「そうですか……ありがとうございます。ではおやすみなさい。」 「待て待て!本当にお前の為になることなんだって。お前、この前向阪のこと好きって言ってただろ?」 言ってません、彼女の姿が目に入って思わず名前を呟いたのをあなたが盗み聞きして、 そこから先輩権限で根堀歯堀尋問したんでしょう。 俺なんか妹の日記を一ページ覗いただけで変態呼ばわりされてんですから、 ここまで他人のプライベートを侵害したらぺドフィリアとか呼ばれてもおかしくないんじゃないでしょうか。 そういえば先輩ロリコンだったし、ちょうどいいじゃないか。 「それでだな……この俺がお前と向阪の仲を取り持ってやろうと、まあ、こういう訳だ。」 「ありがとうございますお父さん、僕たちの仲を許してくれるんですね。では僕たちを見守って居てください。後はもう何もしないでください。 そう、そのままの笑顔で見守ってくれるだけでいいんです。それが一番の協力なんです。……ありがとうございます。それでは、おやすみなさい。」 「おい、何勝手に終わろうとしてんの!まあ最後まで話を聞けって。」 くそっ、逃げ切れなかったか。 245 :名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 20 27 58.27 ID zQjyGCkL この先輩がまともな提案をしてくるとは思えない。 良くてその場で告白しろ、悪くて酒の勢いで押し倒せ。 そうさ、たぶんそんな感じで人生のバッドエンドへ直行すんだよ、ちくしょー。 恋愛経験の無い人がいったいどうして恋愛のアドバイスができると言うんだね。 せめて先輩に彼女でも居てくれたら話も聞く意義があるだろうに。 「俺の彼女がね、ちょうど向阪の先輩で親しいらしんだけど、そのコネを利用してなんとかお前も連れてどこかへ遊びにいけないかと……。」 「……え?先輩今なんて言いました?」 「だからお前も連れてどこかに遊びに行けないかと……。」 「その前です!」 「俺の彼女がちょうど向阪の……」 「ゲームですか?夢ですか?……それともダッチですか?」 「ひどいね、お前……。俺にも彼女くらいいるさ。」 「事件ですか?事故ですか?……それともお金ですか?」 「どんだけ信じたくないんだよ!全部違う!恋愛だ!よく考えてみろ、恋愛経験の無い人がいったいどうして恋愛のアドバイスができると言うんだね。」 悔しい……。 自分のモノローグで言った言葉をそっくりそのまま返されたこととか、色んな意味で負けてることとかその他諸々全部ひっくるめてとにかく悔しい。 しかしそれならばこれは期待できるんじゃないだろうか。 スポーツでもなんでも経験者と未経験者では能力に雲泥の差があるのは当然だ。 いける、いけるぞ! 「こ、駒井先輩ぃ……!」 「はっはっは、可愛い後輩のためさ!」 ちょっとだけ見直しました先輩。 ただのトラブルメーカーかと思ってたらとんでもないエースパイロットだったんですね。 ありがとうございます。 246 :名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 20 44 08.55 ID zQjyGCkL 「でも俺は向阪さんとクラスぐらいしか接点ありませんよ?不自然すぎじゃありませんか?」 「そこは偶然を装うんだよ。向阪と彼女が二人で出かけてる時に出会うとか。」 「まず男が二人で出かけてる時点で不自然な気がするんですけど。」 「そこはほら、最初は一人だったけどパシリとして召喚されたお前が颯爽と現れた……みたいな。」 「いやもうそれ全然颯爽としてないんですけど。むしろ上下関係思いっきりドロドロしてんですけど。」 「そんなこと言われてもな、もう呼んじゃったから。」 一瞬見直したのが間違いだった、爆弾だよこの人。 エースパイロットはエースパイロットでも敵側のエースパイロットだったんだ。 ほぼ間違いなく俺撃墜フラグが立った。 「……え?」 「だからもう向阪呼んじゃったって、彼女が。」 「いや無理無理無理、無理ですよ!いきなりほぼ二人きりとかハードル高すぎてっ!それにちょっと俺今日はそういう気分じゃっ……!」 「とりあえず後の作戦は俺の彼女の家で考えよう。じゃあ二丁目の交差点まで迎えに行くから。早く来いよ~。」 「いやっ、ちょっ、待っ、無っ……」 言葉にならない言葉を電話に向かって叫ぶも、既に通話は切れており完全に無駄に終わる。 先輩から逃げて向坂三に変なことを吹き込まれたらコトだ。 と、なれば一分一秒でも多く作戦を考えねばならない。 幸いなことに朝帰ってから着っぱなしだった外着で、慌てて外に出たのだった。 247 :名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 20 46 46.68 ID zQjyGCkL 自転車を必死に飛ばして数十秒で先輩指定の場所へとついた。 しかし辺りを見回しても誰もいない。 住宅地のど真ん中ゆえ、人が居すぎて発見できないなんてこともない。 担がれたのか?やっぱり先輩に彼女がいることになってる時点でおかしいもんな、なんてことを思って電話をかけようとすると、頭上から声が聞こえた。 「おーい、ここ、ここ。」 ここは何度か訪ねたことのある見慣れた先輩の家ではない。 となると彼女の家……か? 「な、なんだってーー。」 「鍵は開いてますので、どうぞ入ってきてください。」 先輩の彼女らしき人の姿がちらっと見えたが、とても美人な人だった。 信じられない。 どうやって騙したんだろうか。 そういえば、彼女さん、誰かに少し似ている様な……。 「どうしたんだ?早く入ってこいよ。」 「はい、今行きます。」 玄関前に立ち、その家の表札を見るとそれが誰だったのか一瞬にして思い出した。 表札に書かれていた名前は……神宮。 「Noooooooooooooooooo!」 と叫んでは見たものの、ことここにまで及んだ以上、このままはいさようならと帰る訳にもいかず。 結局は玄関の扉を開いたのだった。 「お邪魔します……。」 とてつもなく気分が重い。 もし咲さんにで出会ったら昨日の今日どころではない、今朝の今だ。 一体どんな顔をしてなんと言えば良いのか。 ただそうならないことを祈るばかりである。 もう全部どうでもいいからすごく帰りたい。 ものすごく平和な家が恋しい。 「こっちだ、こっち。」 声に釣られて二階へ上がってから、ぱっと見ただけで4つある部屋の内、扉の空いている部屋へと向かった。 足取りと気分はこの上無く重い。 「いらっしゃい。」 それにしても似ている。 電話の内容から考えて咲さんのお姉さんだろうか 248 :名無しさん@ピンキー:2011/08/15(月) 20 48 55.90 ID zQjyGCkL 「あ、あの、ごめんなさい…。」 「急にどうしたんだ?……まあいいや、座れよ。」 自分の家じゃあ無いのになんて図々しさだろうか。 とりあえず彼女さんの方を見ると頷いてくれたので床に座る。 「それで先輩何か良い策はあるんですか?」 「まあこれでも飲んで落ち着け。」 小さい机の上に置いてあったコップを一つ手渡され、再び彼女さんの方を確認。 再び頷いてくれたので、一気に飲み干す。 「それで先輩、考えは……!」 「まあ落ち着け、人生そんなに慌ててもいいことはひとつもないぞ。もっとゆとりをだな……」 「無いんですね。」 「……うん。」 そこから無言になってしばらくの時間が過ぎた。 こちらとしても何か考えが有るわけではないため厳しく追求もできず、またその時間もないためだった。 そうとなればさっさと切り替えて自分で考えよう。 頭をひねれば何かいいシナリオがひとつくらいは出てくるはずだ。 「そんなに焦るなよ。もっとリラックス、リラックス。」 先輩の言葉を完全に無視して更に思考。 しかし、ここで何かがおかしいと思い始めた。 その勘は見事に当たり、5分たち、10分たち、15分たちしても彼女は来ない。 そしてついに30分程がたったころ、彼女に変わって酷い睡魔が襲ってきた。 「すいません…先輩……ちょっと眠いので…帰ります……。」 「眠いならそこのベッド貸してもらって寝ればいいじゃないか。」 「…すいません……。」 まともに会話すらできなくなるほどのひどい睡魔だった。 立ち上がって歩き出そうとするも先輩に腕をつかまれる。 「やめて下さっ……!」 食べ物の恨みは怖いというが、睡眠のそれもなかなかである。 あの酷く眠い時特有の不機嫌さで、結構本気で抵抗したはずなのに、簡単に引き戻されてベッドの方へと押された。 あっ、と気づいたときにはもう遅く、倒れるや否や睡眠欲に負けて意識を失っていたのだった。
https://w.atwiki.jp/dameosistdabun/pages/15.html
1素人と玄人 「なんでかなぁ」 15歳くらいの少年が樹齢100年をゆうに越えているだろう木が生い茂る森の中を進みながらもはや何度目かの同じ呟きをもらす。 スラリと伸びた足、それを覆うのは機能的なジーンズ。鍛えられているとわかる長身の体にはシャツとポケットが幾つかついた茶色い革のジャンパー。腰にはXの字に交錯する黒塗りの鞘。柄の部分が普通と違って斜めに傾いていて、リボルバー拳銃のようなフィンガーガードと弾奏が確認できる。木漏れ日の僅かな陽光を反射して輝くきめ細やかな金色の髪。そして、それより艶やかに光る黒い瞳。10人の女性が見れば間違いなく10人が振り向く美男子だ。 女性とも間違えられそうだが 「なんで、なんでと五月蝿いぞ」 と、彼の同行者 彼と同じくらいのボディバランスに、金髪に劣らぬ黒い髪と黒瞳。こちらも10人の女性が見れば間違いなく10人が振り向く。こちらは黒のジーンズに地肌の上に黒の半袖のジャンパーとラフな格好だ。 「聞いてくれても良いだろ?」 「聞かなくてもわかる。同じような不平を何度も聞かされる身にもなってもらいたい。俺の心の広さにも限度と言うものがある」 「広さねぇ」 金髪の彼が首をひねり、背骨を気持ち後ろにそらして、相手の背中を覗き込む 「狭っ!!」 「何処を見て言っている。怠け者を乗せる広さなど、それ位でちょうど良い」 「心の広いやつの台詞じゃないな」 「事実の確認と、俺の精神の寛容さとは何の関係もない」 「こういう時だけ・・・」 普段は無口なくせにとか、時間を戻して今度はもっと素直で優しい性格にとか、ぶつぶつと呟いた。毎度の事の様で相手はいちいち突っ込んでこない。 心が広いとも言えなくない 時間はお昼少し過ぎ。太陽がその熱を最も強め、容赦なく照りつける。森の中とはいえ暑い。単調な景色が続く森の中を歩くということはそれだけでストレスが溜まっていく。何の変化もなく、同じ行動が続くと言う事はストレスのやり場になってくれない。放っておくとストレスで体と精神をどんどん消耗していく。 どうやら金髪の彼はストレスを溜め込まない方法を良く心得ているようだ。移動中なら本を見るなり、瞑想するなり、することがないなら寝るのも良い。他人が聞けば喧嘩としか聞き取れない今の会話などは格好の発散手段だろう 「にしても、クソッタレな仕事だ」 「ああ」 黒い髪の彼が頷いた 「まだ言うか。て顔だな」 「いや、そうではない。俺もあの件に関しては少々ムカッ腹が立っている」 「ほー」 「・・・・・・なんだ?」 期せずしてでる感嘆の溜息 「何か変な事を言ったか?」 「いやいやいや」 我が意を得たり。と金髪の彼がポンポンと肩を叩く 「お前も中々正しい世論がわかってきたじゃないか」 「間違っているとは一言も言ってない」 「そういや、そうだな」 「あんな論理性の欠片もないような相手と話すのは不快極まりない」 「まぁな」 今回の仕事を請けるに当たって、彼らは不快な思いをした。手付けに半金、依頼達成後にもう半金を貰うという条件のものだ。それを見た目がガキだという理由で渋ってきたのだ。 彼にこの依頼が来たのは偶然の産物だ。二人はまだ冒険者としての登録書を宿に出したばかりで駆け出しといっても過言はない。だが、この業界では年数と実力は比例しない。 比例する場合の方が比較的多いが、そうでない場合も多いのだ。 冒険者という職業の人間の予定は大変流動的だ。契約をする時にも、宿の店主・セツナがその旨を何度も依頼主に伝えている。それでも実力のある特定人物にしてくれと言う場合はある程度割高の料金となるのが常識だ。 彼の父親はかなり名の知れ渡った冒険者である。だから・・・というのは理由にならないが、彼も年に似合わない実力を持っているし、この業界の常識やルールにも精通しているといって良い。とはいえ、駆け出しの名も売れていない新人と言う評価が下る事は否めない。 ただ、依頼をした事もない素人は素人であるが故にその辺の理解が浅い。腕の良い者を雇う事が多い奴ほどたいした心配事も起きないため安全だった。何もなかった。と誤解されやすい。 「あんの白髪デブ。ほんと、ざけんなってんだよ」 彼の心境のまま言うのなら白髪の混じった、したり顔で小太りのアホ垂れ。イチャモン付けてきたのはその男だ。当初、依頼人は別段文句なく依頼を成立させようとしていた。そこに姿を現したのが自称保護者の“白髪の混じった、したり顔で小太りのアホ垂れ”だ。 『何か問題でも?』 来るなりジロジロと注がれた視線が、もう気に食わないことこの上ない。彼の値踏みをした挙句、たかがガキと侮ったのか、口調は慇懃無礼のまま、明らかに態度が大きくなる。 誰も頼んでなどいないのに一方的に代理人風をふかし、費用をまけさせるべくああだこうだと屁理屈をこね回した。 「どの程度のものがいるか検討するから登録リストを見せろ。だって?は!俺たちゃガキの使いかっての」 「まったくだ」 「お」 「大体無関係な人間が何故あの場にしゃしゃり出てこなければならない?アリエスはともかく、セツナ殿や俺がどれほど綿密に戦闘力やヴァイタリティを考慮し、人選を決定したか知らないあの男がだ」 「おい・・・」 「あの男は一度一人で冒険者として仕事をしてみるべきだろう。隣村まで辿り着けるかどうかさえ怪しいものだ。まずは日程表を作らせるところから始めるんだな」 金髪の彼・アリエスは呆然とした。どんな時でも冷静沈着を崩さない彼がここまで言うのは珍しいを通り越してありえない事態といっていい。こと彼にいたってはポーカーフェイスを地で行くため、付き合いの長い者以外では感情変化はまず読み取れない。 今は誰が見ても一目瞭然。激怒、だ。 「もっと簡単に言えよ」 「例えば?」 「サシで勝負しろ」 「次はそうしよう」 「次なんてあいたくもないね」 彼はダラリと肩を下げ、全身で脱力した。 「だが立派なところもあった」 「おぉ?」 「情動的臨界点が高いお前でも今回は爆発するだろうと思ったが、きちんと交渉して任されたところは素晴らしいと思う」 「あのなぁ、カルマ。俺まで情動のまま動いてたら誰があいつを止めるんだよ?」 「確かにそうだ」 一瞬、二人の頭が茶色の髪に蒼い目をした少年で占められる。 どちらの彼も笑っていた 正直、流石のアリエスも何度かキレかけていた。それをぐっとこらえ、粘り強く交渉を続けれたのは、理由はどうあれ彼の克己心の賜物だろう。予想以上に押さえが利く。そう、自己認識を改める事ができたのは、数少ない大きな収穫だ。 「あんなん相手じゃ剣なんて何の役にも立ちそうにないな」 「わからずやは何処にでも居るさ」 「まぁな」 どうでも良いように答える 「たださ」 躊躇いがちに口が開かれる 「どうした?」 うながされ 「いや、まだまだ駆け出しっていうのは認めないとな。あの親父に言わせりゃ、何処にでも居る“ガキ”なわけだし」 客の無理解以上に、アリエスの憂鬱はそこにある。確かに駆け出しのペーペーかもしれないが“白髪の混じった、したり顔で小太りのアホ垂れ”からすれば、それにもかかっていないようだった。 「悲観しすぎだ」 「そうか?でもこれがシリュウさんとか、俺の父さんとかだったらどうだよ?」 大陸最強と称されている“神狼”と、その相棒であり、親友の“詐欺師”。冒険者であれ、そうでなかれ、知らない者はいないほど有名だ。 「あの二人もかなり苦労しているだろうな」 「そうかな?」 「頻繁に“安全な日常”から出る機会があるならともかく、そうでない人間からすればお前達のような人種とは縁が出来る事はない。そういう連中にとっては“神狼”もアリエスのことも、知らないまま終えることの方が普通だ」 「そりゃそうだ」 「それと、これは個人的な意見だが、お前は駆け出しとはいえ実力は中堅をしのいでいるといっても過言ではない。もっと自信を持て。あの人もお前の剣の腕を認めていた。何よりお前の父親である“詐欺師”が太鼓判を押したんだ」 「・・・」 アリエスはどこかくすぐったいような苦笑を浮かべながらそれを聞く 「少しは気が治まったか?」 「気を使わせて悪かったな。カルマ」 「気にするな。15年近くも傍で見てきたんだ。お前がどんな気分かなんて手に取る様にわかる。沈んだまま隣を歩かれたくなかっただけだ」 「そういうことにしておくよ」 アリエスは笑いながら空を見上げた 初めての仕事でいろいろあったせいか、変わらぬ色合いが何時もより暖かくアリエスには感じられた。 なに下向いてんだよ。下向きたいのはこっちだぜ?俺なんて1年中赤か青の色だけなんだぞ?たまには意表突いて紫とかいう色になってみたいよ。それでも毎日こうしてあるんだ。だから笑った顔を見せろや。 「さて」 先ほど以上に力のある声で、力強い足取りでアリエスは歩き出した。 とりあえずは、これで結果を出そう。それであの“白髪の混じった、したり顔で小太りのアホ垂れ”にたいして、どうだ?この野郎。と嫌味たっぷりに笑ってやる。あの嫌味親父がどんな顔で悔しがるか今から楽しみだ。 とりあえず、それでいいや。そうアリエスは思った。 いろいろグチグチ言ってやるのももちろん忘れる気は無い
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1631.html
久しぶりに妹のつかさと二人きりで昼食をとることになった、その日の放課後。 教室を出て、靴箱の前まで降りてきたところで、つかさがおずおずと口を開いた。 「あの、ゆきちゃん、お姉ちゃん……ごめん、おトイレ行ってきていい……?」 駄目って言ったら家まで我慢するのだろうか。 なんてことを思いつつ、私は本日何度目になるか分からない溜め息を吐く。 「もう……先に済ませときなさいよね」 「あ、あの。すみません、私も……」 すると同行していた友人の高良みゆきまで恥ずかしそうに手を挙げた。 生じた少しの気まずさを誤魔化すために、私は肩をすくめる。 「はいはい。行ってらっしゃい」 「すみません」 「ご、ごめんなさい。じゃあ、すぐ戻ってくるから、待っててね。……先に帰ったり、しないでね?」 「はあ?」 何を言い出すんだ、この子は。 「そんなことするわけないでしょ。さっさと行きなさい」 「う、うん。ごめん。――行こ、ゆきちゃん」 「はい。――ではかがみさん、失礼します」 そうして二人は来た道を引き返していった。 まったく。私が一人で先に帰るなんて、どっからそんな発想が出てきたのよ。 こなたじゃあるまいし。 ……ああ、そうか。こなたのことがあるからか。 つかさのクラスメイトであるもう一人の友人、泉こなたは今、ここにはいない。 先ほど私が三年B組を訪れたときには既にいなかった。 なんでも、同じ学校の一年生で従妹でもある小早川ゆたかちゃんに急用があるとかで、 HRが終わるとすぐ教室を出て行ってしまったらしい。 その事実が、昼休みにも姿を消していたこととも合わさって、つかさを不安にさせている。 そして私を苛立たせている。 まったく、どういうつもりなのだろう。 つかさの言うとおり、本当に仕返ししているつもりなのだろうか。 だとして、何がどう「仕返し」だっていうの? 自分が寂しいから私も寂しがらせてやろうって? 自分がいなくなることで? バカじゃないの? いや、バカなのか。 そうね。あんなバカのことなんか考えても仕方がないわ。 それよりも、もっと考えないといけないことが今はある。 さっきみゆきに言われたこと――岩崎みなみさんのことだ。 みゆきの向かいの家に住む幼馴染で、ゆたかちゃんと仲の良いクラスメイト。 背が高く、綺麗な顔立ちをした、真面目で大人しい感じの子だ。 昨日、九月十二日はその岩崎さんの誕生日だったらしい。 彼女はそのことを友人にも誰にも話さず、当日を家族だけで過ごしたのだという。 分からないではない。高校生にもなって「お友達を呼んでお誕生会」もないだろうとは思う。 だが、周りに教えてすらいないというのはどうなのか。 そこでみゆきが昼休みに、これまた岩崎さんのクラスメイトである田村ひよりさんに相談したところ、 今度の日曜日にパーティーを開いてはどうかということになったそうだ。 告白の件といい、今日のみゆきはずいぶんと忙しい昼休みを過ごしていたらしい。 一人でだらしなく学食の扇風機に当たっていた誰かさんとはえらい違いだわ。 ま、それはそれとして。 みゆきからそんな話を聞かされ、私もつかさも二つ返事で参加と協力を引き受けたんだけど…… 参加はともかく協力って、何をすればいいのだろう。 つかさにはパーティー料理という具体的な課題があるけど、私は? とりあえず、プレゼントを買うこと。そして当日に準備や後片付けを手伝うこと。 それぐらいしか思い付かない。 「だよなー」 え? 「うんうん。あんなにすごく臭くなるものなんだね」 「ああ。あの臭さは他ではちょっとお目にかかれんな」 「目じゃなくて鼻ですがね」 「うっせぇな」 男子の声が廊下の向こうから、なんだかよく分からない会話を繰り広げながら近づいてきている。 下校時刻の靴箱前だ。人も通るだろう。 彼らは、私のいる三年C組に割り当てられた棚の裏側に入ったようだ。B組かA組の人たちか。 顔は最初から死角になっていたので分からない。声に聞き覚えは……あるようなないような。 少なくとも委員会仲間は混じっていなさそう。 ……自分の、男子との接点の少なさに悲しくなってくるわね。 「すごいと言えばさ、すごかったよね昼休み」 「お前って急に話変えるよな。何がだよ」 「柊ツインズのことですよね」 え? 「そう、それ。柊さんとそのお姉さん」 「ああ、アレな」 「君も興味津々だったじゃないですか」 「いやそりゃ……あんだけ騒がれたら誰だって見るだろ」 ……そっか。 つかさが――私もか。昼休みに泣いたり叫んだりしちゃったんだっけ。 そりゃ噂話のネタにもなるわよね。 「確かに。あれはなかなかの見ものでした」 「やっぱ男の取り合いでもしてたのかねえ?」 待て。 だからってそんな根も葉もないことを言われる憶えはないぞ。 修羅場がどうとか囀ってたのはお前か。 「そんなわけないでしょう。後半の、お姉さんのあの優しさを見てなかったのですか?」 お。よし偉いぞ丁寧語。 って何言ってるのよ私は。こんなの盗み聞きじゃない。 でも離れようにも下手に動いて見つかったらもっと気まずいし…… ああ、もう。 いいわ。知ったこっちゃない。 当事者がいるかも知れないところでこんな話してる彼らのほうが悪いのよ。 「じゃあなんなんだよ」 「知りませんよ。話の中身までは聞こえませんでしたしね」 あ、そうなんだ。ちょっと安心。 いや別に聞かれて困るような話はしてないけど。 「でもあの人、あんな優しい顔するんだねえ。もっと怖い人かと思ってたよ」 「あー、それは同感」 悪かったわね。 どうせ私は凶暴よ。 「惚れましたか?」 ……。 ……え? 「そっ――そんなんじゃねぇよ!」 「そうだよ! 何言い出すんだよっ!」 ちょ……ちょっと。 ちょっとちょっとちょっとちょっとちょっと! 待ってよ。何よその図星刺されましたと言わんばかりの反応は! ほ――惚れって……え、えぇぇえ!? 「何と言われましても。一般論です。それまで特に意識もしていなかったクラスメイトの意外な一面を 見て、急に気になりだす――よくある話ですよね」 うわ。 なんかコイツむかつく。 言ってることに筋が通ってるだけに余計にむかつく。 けど……言ってることに、筋は通ってる。 彼らの正体――顔や名前がさっきまでよりも気になっている私が、確かにいる。 どうしよう。顔、熱い。 「クラスメイトじゃないだろ」 「そこが今、重要ですか? 下らない揚げ足取りばかり上手ですね君は」 「なんだとコラ!」 きゃっ!? ――っと、あぶないあぶない。もうちょっとで声が出るところだったわ。 ここで見つかったら気まずいどころじゃすまない。 まったく、男子はすぐ力に走ろうとするんだから。 「や、やめなよ二人とも」 あ、でもこの子はいい感じかも。 ちょっと頼りない気もするけど、優しそう。 「これは失礼」 「この野郎……。そういうお前はどうなんだよ」 まだ引っ張る気か! しかも何よその振り方は。この手の展開でその手の質問は地雷だって知らないの? てゆーかそもそもいつまで立ち話してんのよ。さっさと靴履き替えて帰りなさいよ。 「僕ですか? とうに諦めてます」 え? 「彼女にはとてもじゃないですが、手は届きませんよ」 ……ふ、ふぅん。なかなか殊勝な心掛けじゃないの。 「珍しいこと言うじゃないか。なんでまた」 「だって泉さんがいますからね」 ……。 ……。 ……は? 「なんつった?」 「泉さんですよ。泉こなたさん。柊姉には彼女がいますからね。我々には手は出せません」 「ああ、そっか。そうだね」 いやいやいやいや。 「そっかじゃねえよ。納得してんじゃねえよ。女同士だろうがどっちも」 そうよ。 そうよ。 あんた気が合うわね。もっと言ってやって。 「では、君はあの二人の間に割って入れると?」 「む……」 なんで黙るのよ! 「いや、つか、あいつらってやっぱ付き合ってるのか?」 そんなわけないでしょ! やっぱりって何よやっぱりって! 「さあ?」 「さあってなお前」 「知らないものは知りません。――ただ、『理想的な関係』の一つではあると思いますよ。 信頼し合っていて、必要とし合っていて、それでいてどちらも依存はしていない。 女性同士だからこそ成立する関係なのかも知れません。どちらにしても、今のところあの二人は 彼氏などは必要としていないように見えますね。お互いさえいれば」 ……何よ、それ。 「あれ? 柊さん――えっと、妹さんの方は放ったらかし? あと高良さんも。四人揃ってる方が キレイだと思うんだけど」 「ああ、まあ一種の名物だよな」 「どうでしょうね。確かに四人揃っている方がより美しいですし、見てる分にも楽しめます。 本人たちも二人よりも四人を望むでしょうね、特に柊妹は。ただ、それも泉さんと柊姉の 関係があってのことだと思いますよ」 ……。 「そういうものかなあ」 「分からんではないが……。でもここんとこ四人じゃないこと多いよな。今日もツインズだけだったし」 「ま、そんな日もあるでしょう。そもそもほとん憶測ですし、実は四人とも仲が悪いのかも知れません」 「お前な」 「そっか。付き合うにしても、四人一緒じゃないと残った人がかわいそうだよね」 「……」 「……」 「え? なに?」 「君は、たまに大胆なことを言いますね」 「できるもんならやってみろ。殺してやるから」 「ええっ!? そ、そんなつもりじゃ――」 「じゃあどんなつもりだってんだ」 「それは、ええと――」 「やれやれ――」 「――」 「――」 ……そんな風に、見られてたんだ。 「――お姉ちゃーん」 「お待たせしました、かがみさん」 「お待たせ……どうしたの? お姉ちゃん」 「かがみさん?」 「…………なんでもないわ。行きましょ」 「う、うん……?」 ☆ 翌日の夜。 私は自室のベッドに寝転んで、蛍光灯の灯りを見るともなく眺めている。 イライラする。 今朝は、つかさを置いて一人で先に家を出て、日下部と峰岸の二人と登校した。 三人でお昼を食べて、三人で下校した。 何度か機嫌の悪さを指摘されたけど、寝不足ということであっさり誤魔化せた。 実際夕べは寝付けなかったし。 でも、日下部はともかく峰岸まで簡単に納得したのは少し以外だったわね。察してくれたのかしら。 きっとそうね。日下部がしつこくしてこなかったのも、今にして思えばあの子が細かくフォローして くれてたおかげな気がする。良い友達を持ったもんだわ。 あの子が「怒ったら怖い」なんて、本当なのかしら。 私は「普段から怖い」らしいけどね。 “――もっと怖い人かと思ってたよ” あああああ思い出してしまった。 たぶん元から寄っていた眉をさらに寄せ。目をぎゅっと閉じる。顔をしかめる。 あの三人の会話が頭から離れない。 “――だって泉さんがいますからね” “――あいつらってやっぱ付き合ってるのか?” イライラする。 本当に、イライラする。 無責任なことをベラベラベラベラ並べやがって。なんで顔も名前も知らない人にまでそんなことを 言われなきゃいけないのよ。 別に誹謗中傷をされたわけではない。それは分かる。 最初はショックが大きかったけど、丸一日以上が過ぎた今ではそう判断できる。 彼らの言っていたことは、「私とこなたはすごく仲が良い」と、要約すればそれだけだ。 褒め言葉と取れないこともない。 いやむしろ普通なら褒め言葉だろう。 だけど、だからって「お互いがいれば恋人など必要ない」とはなんだ。どうしてそうなる。 確かに現時点で私に恋人はいないけど、必要ないなんて思ってない。 一人でいるのは……まず、付き合いたいと思うほどの相手に出会ってないからだ。 いや、中学のときになら気になってた男の子もいた。 いたけど、まあ、勇気がなかったり、その人には他に好きな子がいるらしいって話を聞いたり。 あと……そう。つかさがいたから。 あの子が一人になってしまうと思ったのが大きい。 そうよ。そうね。 私に恋人ができないのはつかさのせい……じゃなくて、私に妹離れができていないせいだ。 こなたは関係ない。 それに、そう。 こなたと最初に仲良くなったのはつかさだし、みゆきと一番よく話すのもつかさ。 私がB組に顔を出すのだってあの子がいるからだ。 そういう意味では、私たち四人の中心はつかさであって、私とこなたなどではない。 なんだ。何もかも間違いだらけじゃない、彼らの言ってたことなんて。 そういえばそもそも勝手な憶測だとも言ってたし。気にすることなんかなかったんだ。 それなのに丸一日以上グダグダと悩んじゃって、バカみたい。 「はぁっ」 ため息をついて、起き上がる。 ようやくすっきり…… 「……」 できてない。 まだ胸の辺りにモヤモヤガ残っている。 「なんでよ。答えは出たじゃない」 頭をガリガリと掻きむしる。 ボリボリと脳に響く音が妙に不愉快だ。髪の毛の指ざわりも少しベタついた感じ。 「……お風呂、入ろ」 そうしよう。 今日もまだまだ暑かった。汗を流せばもう少しすっきりできるだろう。 「あの……お姉ちゃん?」 お風呂から上がって、洗面所で髪を乾かしていると、横合いからそんな声がかけられた。 ドライヤーのスイッチを切り、振り返る。 「あ、帰ってたんだ、つかさ。――なに?」 「う、うん。部屋まで行ったんだけど、いなかったから……」 何かをためらっているのか、もじもじと煮え切らない態度で言うつかさ。 そんな態度にまた少しイラっとくる。 シャワーを浴びて体の方はさっぱりできたけど、胸のモヤモヤまでは洗い流せなかったらしい。 しかし、だからといってこの子に八つ当たりをするわけにはいかない。 気を静めて、私はなるべく硬くない声で続きを促す。 「うん。なに?」 「あ、その……ちょっと、相談っていうのかな……あって」 「いいわよ。終わったら行くから、あんたの部屋で待ってて」 「う、うん。ありがとうお姉ちゃん」 するとつかさは、花の咲くような笑顔でうなずいた。 ああ、冷たくしないでよかった。 やっぱりこの子には、苛立ちをぶつけるより、笑ってもらう方が何倍も癒しになる。 ノックして部屋に入ると、つかさは飲み物を用意して待っていてくれた。 「あら、ありがと」 部屋の中央に置かれたミニテーブル、二つのグラスが置かれたそれの、 つかさの向かいに腰を下ろし、早速手を伸ばす。アイスティーかな。 「……」 麦茶だった。 いや、いいんだけどね。 「で、なに?」 「えっと……たぶん、すっごくヘンなこと訊くと思うんだけど……」 尋ねると、つかさは、自分で用意したグラスに手をつける様子もなく、 返事とも言えない返事をうつむきがちに返してくる。 こういうことは今までにも何度かあったから、辛抱強く待つのがセオリーだと知ってはいる。 けど、今の私はそんなに長持ちしそうにないのだ。 「あの……あのね?」 そんな気配を感じ取ったのか、つかさは思ったより早く、意を決したように顔を上げた。 そして口を開く。 「女の子同士って、やっぱりヘンなのかな……?」 ……。 ……。 ……はい? 「ごめん、なんて言った?」 「ぅ……だ、だから……男の子相手じゃなくて、女の子同士が、その……」 遠慮も何もあったもんじゃない私の問いかけに、つかさがますます萎縮する。 ダメだ。落ちつけ。昨日に続いてまた泣かせる気か。 いやでもいきなりそんなこと言われたら…… “――女同士じゃねえか” ああもううるさい! 出てくるな! 関係ないでしょ! 気にし過ぎだ。つかさはあの場にいなかったし、もし仮に連中の話を聞いていたとしても、 それでこんなことを言って私をからかってくるような子じゃない。 何か事情があるんだ。だから落ち着いて、まず聞こう。 「ええと、つかさ?」 顔が上がる。不安そうな顔。 やっぱりこの子本人の、そしてどうやら真面目な悩みだ。ならば聞かないと。 私が聞いてあげないと。 「まず、ね? なんでそんな風に思ったのか、そこから教えてくれる?」 「あ……うん」 うなずいて、つかさはその表情を幾分ゆるませた。 そして意外な名前を口にする。 「パティちゃんが、ね」 「パティ? ……って、パトリシアさん? 留学生の?」 「うん。そのパティちゃん」 パトリシア=マーティンさん。 うちの学校の一年の、アメリカからの交換留学生。 こなたとバイト先が同じで仲が良く、三年生のクラスがある廊下にやってくることも多いため、 そんな立場ながらも私やつかさとも多少ながら交流がある。 だからといって何故ここでその名前がと思ったのだけど、続くつかさの話を聞いて合点が行った。 今日、この子が行きつけの食材店で買い物をしていたところ、鉢合わせをしたのだそうだ。 なるほど。学校から近く、輸入品も多く取り揃えているあの店でなら外国人の彼女と出くわしても 不思議はない。 そしてそのパトリシアさんが、一人暮らしなのに自炊をほとんどしないで冷凍やレトルトの食品に 頼りきりだと聞いたつかさは、ならばごはんを作ってあげよう、簡単なレシピを教えてあげようと 申し出て、彼女のアパートに招かれたのだという。 お父さんから「今日はつかさは友だちの家で食べてくる」と聞いてはいたけど、 まさかそんな事情だったとはね。 てっきりみゆきのところにでも行ってるものと思ってたわ。 「――それで、その……どうしてそうなっちゃったかは未だによく分からないんだけど…………」 「なに?」 「ええと……」 と、つかさが再び言いよどむ。 上の話だけでもつっかえつっかえで三十分以上かかってたのに、今度は促しても進まなくなってしまった。 かすかに頬を染め、もじもじと恥ずかしそうに肩を揺すっている。 まったくもう。 「……それで、なんだか知らないけど女同士がどうのって会話になったってわけね」 「へっ?」 きょとん。 「そんな怖がらなくても、もう変な目でみたりなんかしないわよ。最初に聞いたんだし」 「え? あ――う、うんっ。そうなの」 ため息を吐くと、驚いたように安心したように、つかさはこくこくとうなずく。 なんだか、どこか微妙に不自然な気がしたけど、面倒なので追求はやめておいた。 「えと……『女同士はイヤですか』って、言われちゃって」 イヤですかて、なんでそんな押し倒しながらみたいな言い方だ。 ま、どうせこなたみたく変なアニメかゲームから引っ張ってきたネタなんだろうけど。 「それで、私……『そんなことない』って言っちゃって……」 そう言うとつかさは表情に困惑を滲ませた。 「あとで考えてみてもホントにぜんぜんイヤだとかキモチワルイとか思えなくて。理屈だと普通じゃ ないっていうか、男の子相手なのが普通なんだって分かるんだけど――」 そして縋るような目で、私を見上げてくる。 「――ねえ、お姉ちゃん。私、おかしいのかな……?」 ああ、もう。 どうしろってのよ。 コメントフォーム 名前 コメント かがみの内心に冷や冷やしますww -- 名無しさん (2008-11-21 01 50 19) 嗚呼、素晴らしき百合WORLDがここにある -- 名無しさん (2008-01-29 13 52 18)
https://w.atwiki.jp/zillollparody/pages/161.html
暴虐の王から解放された町、テラネにある一軒の宿屋―― ここに無限のソウルを持つ者をリーダーとした冒険者の一行が泊まっていた。 男女別々に部屋を取り、各々が身体を休めていた時の事であった。 「悪ぃなイーシャ。急に呼び出しちまって」 「別に構わないけど……何か私に用事? ヴァン」 同じパーティのメンバーであるヴァンと、彼の親友であるナッジに呼ばれたイーシャ。 用事があるのなら早くそれを済ませ、引き続き旅で疲れた身体を癒したかった。 「僕から説明するよ。……実はカイルの事なんだ」 「カイルの事……?」 自分も気に掛けていた青年の名を出され、イーシャは顔を顰めた。 カイル――無限のソウルを持つ者であり、パーティのリーダー。 ――そして人の手によって作られた人造人間の名前だった。 「うん。魔道の塔のシャロームから自分の事を聞いてからさ、元気が無い気がするんだ」 「まあ俺達の考え過ぎかもしれねえけどさ、ますます無口に磨きが掛かったっつーか……」 イーシャが顔を少し俯かせた。実際彼女も彼の変化は感じ取っていたのだ。 仲間達と淡々と話し、ギルドの依頼を達成した時も表情を変えず、ただ黙って報酬を受け取る。 モンスターや夜盗と対峙した時も無表情、無言のままそれ等を容赦無く斬り捨てていく。 (また前の頃に……戻ってしまったのよね) 今の状態はイーシャが初めて彼と出会い、最初に彼とパーティを組んだ時期と同じだった。 シャロームから真実を聞く前は、その状態は徐々に改善され、表情の変化も出ていたのに―― 「あいつ仮にもリーダーだし、俺達の大事な仲間だろ? だから少しは元気づけてやれる事はねえかなぁって……」 「そうね。……だけどこれはカイル1人が向き合い、乗り越える問題よ。私達が迂闊に手を出して良い物じゃないわ」 「冷たい事を言うなよ! せめて少しは笑える切っ掛けぐらい作ってやりてえじゃねえかよ……」 俯き、深く落ち込む様子を見せるヴァン。 そんな彼を見て、イーシャは少し言い過ぎたかと内心反省した。 だがそんな彼女の気持ちを読み取ったかのようにナッジが言う。 「実は昨日ヴァンがカイルを笑わせようとしてさ、思い付く限りのダジャレを沢山言ったんだ。けど……」 「効果は全くと言って良いほどに無かったわけね」 ナッジが苦笑しながら頷いた。 「カイルの冷たい視線と無言の圧力が物凄かったよ。流石のヴァンもその時は不貞寝しちゃって……」 なるほど、ヴァンが急にこんな事を言い出した理由も頷ける。 大方付き合いが比較的長い自分から、彼が笑いそうな事でも聞き出そうと言う魂胆なのだろう。 先程の反省を少しだけ撤回、イーシャが呆れたように溜め息を吐いた。 「とにかく今は見守っていくしかないと私は思うわ。下手な優しさは余計に彼を傷付けるだけよ」 「…………分かったよ。ナッジ、俺達はいつものようにカイルの傍に居てやろうぜ。仲間として」 「うん。勿論だよ」 そんな2人の様子を見た後、イーシャはゆっくりと部屋を出て行った。 そして自室に足を進めようとした時、カイルと通路でバタリと出会った。 「カイル……何処に行っていたの?」 「外だ。少し歩き回っていた」 相変わらずの受け答えだった。 表情を変えず、淡々としている。 「そう言うお前は何をしていたんだ?」 「ヴァンとナッジに呼ばれてね、他愛も無い事を話してたの」 「そうか」 そう言い終わると、カイルはナッジとヴァンの居る部屋に向けて歩き始めた。 イーシャの横をサッと通り過ぎ、彼は何も言わぬままドアノブに手を掛ける。 そんな彼の何気ない行動にも、イーシャは得体の知れない不安に駆られた。 「――カイル!」 そして唐突に彼の名を呼んでいた。彼女自身自分の行動に驚いていた。 カイルのドアノブを回す動作がピタリと、機械のように止まる。 「……何だ?」 「あ、あの……その……今日少し話せる?」 「今か?」 「う、ううん。今じゃなくて、夜にでも……」 「……問題は無い」 「そ、そう。なら外で待ってるから、夜になったら来てちょうだい」 カイルが無言のまま頷いた後、部屋へと入って行く。 思わず約束を取り付けたイーシャは、ドッと壁にもたれ掛かった。 今の自分の迂闊過ぎる行動を内心で激しく攻めていたのだ。 (自分からヴァンに言っておきながら……何をやっているのかしら) 今日二度目となる溜め息を、イーシャが吐いた。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1448.html
キルケの初バトル・前編 「そう言えば礼奈、キルケにはバトルさせるのか?」 「うーん・・・考えてなかったな。キルケはどう?バトル興味ある?」 「はい、やってみたいです。実はこんな日が来た時のために訓練はしていたので」 キルケは少し嬉しそうな顔で、ストラーフにしては丁寧な口調で答えた。 「いつの間に・・・ま、いいや。センター行こ!兄さん、一緒に行こうよ!」 「あぁ、わかった。ただし俺とタマはバトルしないぞ。キルケと違って、タマはバトルが好きじゃないからな。」 「もったいないなぁ、武装神姫なのにバトルしないなんて」 「何も戦うだけが武装神姫じゃないんだ。な、タマ」 「うん!」 とりあえずセンターには同行する。わりと近所にあるので、通いやすい。 「さぁ、着いたぞ」 「わーい!」 中は広く、たくさんの神姫のオーナーがいた。 「みんな神姫持ってる!すごーい!」 「そりゃ神姫センターなんだから当たり前だろ」 「シュミレーションバトルの申し込みをしないと」 礼奈は辺りを見回した。すると、受付らしきものを見つけた。 「あ、多分あれだ!」 「よし、行こう」 「いらっしゃいませ。どのようなご用件でしょうか?」 「シュミレーションバトルをやりたいんですけど・・・」 「初心者の方ですね?それなら、こちらでユーザー登録をお願いします」 その後礼奈のユーザー登録などを済ませ、いよいよ対戦相手を決めることになった。 「まだバトルの経験は浅いからな・・・相手も初心者がいいだろ」 と和章が言ったので今戦えるユーザーから初心者を検索。ちょうど一人いた。 「じゃあこの人で」 相手はエウクランテのマスターらしい。 ストラーフの基本装備は機動性に欠けるから、飛行できるエウクランテには不利だが、同じレベルの相手が一人しかいない今、変える訳にもいかない。 「気をつけろ、相手は空を飛べる。ストラーフの基本装備じゃちょっとキツイぞ」 「わかった。気をつけるよ。」 「何ならタマの装備一応持ってるから貸してやろうか?」 「いいの?じゃ、お願い」 こうして出来た装備は、脚にGA2サバーカレッグパーツ、背中にDTリアユニットplus+GA4アーム、胴体にマオチャオタイプのアーマーと腕だが、腕の先はサブアームの代えの手パーツになっている。 見事に忠告を無視した装備となった。 その代わりに武器はシュラム・リボルビンググレネードランチャーやモデルPHCハンドガン・ヴズルイフと遠距離用にしてある。これなら起動性が悪くても攻撃できるが、正直キツイと思う。 「準備できたよ!じゃ、行って来るね!」 「頑張れよ。」 「がんばってねー!」 後編につづく 第一話に戻る ネコのマスターの奮闘日記