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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1379605327/ 京太郎「そうだったのか……。気が付かなかったぞ」 咲「中学生の時にお姉ちゃんに人生相談したら気持ち悪がられてね」 京太郎「もしかしてそれが別居の理由?」 咲「……うん。私と居ると身の危険を感じるんだって」 京太郎「咲が何かするとか思えねーんだけどな」 咲「私も一生懸命、弁解したよ。でも、何か同じ空間に居るのが嫌みたいで」 京太郎「まぁ…仕方ねぇよ」 咲「…そうだね。私が女の子好きなのは身内の恥だと思ってるだろうし」 京太郎「うーん。なんで俺にカミングアウトしたんだ?」 咲「京ちゃんも私と同じって思ったから」 京太郎「……俺は巨乳好きの女好きだよ」 咲「嘘だ!私、見たもん!京ちゃんが嬉しそうな顔して男の人の車に乗るの」 京太郎「チッ…」 咲「あんな顔、私達の前では見せなかった!和ちゃんの胸を見てる時より目がキラキラしてたよ」 京太郎「しゃーねな。咲もカミングアウトしてくれたんだ……。俺も…」 京太郎「今、付き合ってる彼氏とデートしてたよ」 咲「彼氏!?やっぱり、京ちゃんは……」 咲「京ちゃんはホモ?」 京太郎「そうなるな。今、好きな人は男の人だ」 咲「私も……好きな人は女の人」 京太郎「咲は付き合ってないのか。片思いか?」 咲「う、うん。最近その人の事を考えると夜も眠れないの」 京太郎「……完全に恋する乙女モードだな」 咲「毎日毎日の部活が楽しくて…、楽しくて…。 こんな日がずっと続けばいいのにって思う反面、もっと違う関係になれたらとも思う」 京太郎「なぁ、咲の好きな人当てていいか?」 咲「え?部活には四人も居るよ。当てれるの?」 京太郎「麻雀は下手くそな俺だが、これだけは当てる自信がある。99%当てれる」 咲「最低でも25%だよ!?い、言ってみてよ。一回で当てたらレディースランチ奢ってあげる」 京太郎「その言葉、忘れるなよー」 咲「当てれなかったら、京ちゃんが私にレディースランチ奢ってよ?」 京太郎「へいへいその条件のった」 咲(私がかなり有利だよね。三人もハズレが居るわけだし) 咲(やっぱりこう言う賭けはフェアじゃないと駄目だよね) 咲「ヒント出した方がいい?四択ってよく考えたら難しいよね」 京太郎「いらねぇ。むしろ全国含めても良かったくらい」 咲「ホント!?私、ずっと普通の女の子演じてたはずだよ!普通、ノーマル。バレてるわけがないよ!」 京太郎「いやー……、もしかすると部長も気付いてると思うぞ」 咲「嘘だ嘘だウソだ!そんなのバレてたら、もう私学校に来れないよぉ……」シュン 京太郎「部長と話した事はないんだけどな。何となくそう思うだけだよ」 咲「……で誰だと思うの?」 京太郎「和」 咲「~~~~~ッッ!?!??!??!」ビクッ 京太郎「レディースランチご馳走さん」 咲「う、うん///当たってるよ」 京太郎「咲は和に恋愛感情を持ってたのか……。友情にしては…こう…、少し異質な物を感じてた」 咲「同じ部活仲間に恋愛感情を持つっておかしいよね?私、頭おかしい子だよね?」グスン 京太郎「そうだな。頭がおかしいのかもしれない」 京太郎「部活仲間と恋愛はよく聞く話だ。俺と咲なら何の問題もなく付き合ってるだろうな」 京太郎「けどさ……。俺もホモだからわかるけど、好きになっちまったもんは仕方ないって思うんだよな」 咲「うっうっ…、和ちゃんってなんで女の子なんだろう…。 もし男の子に生まれてくれてたら、私も告白して玉砕出来るのに」ポロポロ 京太郎「和は女だからなぁ……。こればっかりはどうにも」 京太郎「後、二年以上あるぞ。ずっと秘密にするのか?」 咲「墓まで持って行こうと思う。和ちゃんとはずっと親友で居たいから……」 京太郎「それがいいかもなぁ……。和がレズならワンチャンあるけどさ」 咲「絶対ないよ!和ちゃん、真面目だもん」 京太郎「俺も真面目なつもりなんだが……」 咲「嘘だー。宿題もロクにやってこないのに?」 京太郎「宿題は……咲の写せばいいからな」 咲「そんな事だから嫁さん言われるんだよ。わ・た・し・が」 京太郎「ごめんな。カモフラージュにはちょうどいいって思ってるぜ」 咲「京ちゃん恋人居るんでしょ?私が嫁扱いされて、怒ったりしないの?」 京太郎「あの人は大人だからなぁ……。嫉妬なんかしないんじゃねぇかな」 咲「大人の人と付き合ってるんだ」ドキドキ 京太郎「おおぅ、大人はいいぞー。奢ってくれるし、帰りは送ってくれるし」 咲「そっかー。いつの間にか京ちゃんは大人の階段登ってたんだね……」 京太郎「まぁな」ドヤッ 咲「ど、どんなデートしてるの?」 京太郎「気になるの?」 咲「もちろん」コクコク 京太郎「咲は俺の秘密を知る数少ない友人だから、話してやるか」 咲「うんうん」コクコク 京太郎「彼氏は俺と違って働いてるから、ホモバレは絶対避けたいはずなんだ」 咲「だよねぇ」 京太郎「だから室内デートが多いよ」 京太郎「咲が見たのは……、多分、俺達映画を見に行ってたかな」 咲「映画かー。いいなぁ……。私も和ちゃんと映画行けたら……」 京太郎「映画くらい行けるだろ?誘えよ」 咲「優希ちゃんがセットで着いて来るから……。私が行きたいのは映画デートで、映画見に行くんじゃないもん!」 京太郎「和って映画のラブシーンで表情変えたりするのかな?」 咲「わかんない。意外にアタフタするかもしれないし、シレッとしてるかもしれない」 京太郎「和は精密機械みたいな印象あるからな。やっぱり何もなかったかのようにポップコーンを食べ……」 咲「恋人さんはどうだったの!?」 京太郎「男同士だからアクション見てたよ。もちろん手を繋ぐ事もなく」 咲「きゃーーーーー!きゃああああああ!!!!!」 咲「こうやって手を重ねるとかないの?」ピトッ 京太郎「ねぇよ。男同士が、手を重ねてたら気持ち悪いだろうが」 京太郎「ってか、俺に触るな!」ババッ 咲「ご、ごめん。つい」 京太郎「女に触られると蕁麻疹が出るんだよ」スリスリ 咲「ごめん、気をつけるよ」ペッコリン 京太郎「手を繋ぐで思い出した。咲、お前和の布団に入りこんだらしいぞ」 咲「うそッ!?」 京太郎「ホントホント。全国大会個人戦の夜な」 咲「あの日かな……。お姉ちゃんに会いに行って叩かれて、トイレで泣いた日」 京太郎「トイレで泣いてたの?花子さんかよ」 咲「みんなの前では泣かないようにって……。でもさ……」 咲『ごめん。今日は一人させ……』 和『咲さん。ウサギさんみたいに目が真っ赤ですよ』 優希『そうだじぇ!ほっとけないじぇ』 咲『ううっ…うぐっ…、えぐっ…な、な、な泣いて…なんか……』ポロポロ 和『咲さん』ダキッ 優希『さーきーちゃーん』ダイブ 和『何があったか聞きません。知りたくもありません』 優希『泣きたいのに我慢しちゃ駄目だじぇ。私なんか試合が終わってからすぐ大泣きしてたじぇ』 咲『わたわわわわたし、昔から変な子で!お姉ちゃんにいっぱい迷惑かけて!ぐすっ…えぐっ…、それで…、それで!』ポロポロ 和『咲さん、今日は私と優希がずっと側に居ますから……』ギュウゥゥゥ 優希『私達、ズットモだじぇ!』ビシッ 咲『うん!うんうん。和ちゃんと優希と友達になれて良かった』ポロポロ 咲「で、三人で仲良くガールズトークしながら寝たの」 京太郎「その後。その後だ、話は。和が言うにはなぁ~」 モゾモゾモゾ…… 和『なんだか寝苦しいです』 咲『くーかー』スピー 和(咲さん!?) 咲『お姉ちゃん…今までごめん。そしてありが…と…う…。変われなくてごめんなさい』ムニムニ 和『んっ…くぅ…、咲さん咲さん、私はお姉さんではありませんよ』小声 咲『最後に…これで最後だから…、昔みたいに…』ポロポロ 和『……咲さん』 咲『甘えさせて下さい』モミモミ 和(今夜だけですよ?寝苦しい夜になりそうですね) 京太郎「ってわけよ。おかげで和には目のクマがばっちりと」 咲「あーーーーーーーー!あの日の翌朝、和ちゃんが眠そうにしてたのは私のせいなんだ」 京太郎「安心しろ。本人的には青春の一ページの思い出として話してた。レズビアン特有の行動とは思ってないはずだ」 咲「ううっーーー恥ずかしい///私、何やってるの……」ドヨーン 京太郎「このままだといずれボロが出るかもしれないぞ」 咲「ごめん。気をつける」 京太郎「俺に謝られてもなぁ……。咲は和に触れたいのか?」 咲「そりゃ…少しは…、思ってるよ…」 京太郎「咲にも性欲があるのか。お兄さんびっくりだ」 咲「むっ!?性欲なんかじゃないもん!もっとこうピュアな感情だよ」 京太郎「性欲でも肉欲でもいいよ。咲は、和の体に触れたいんだろ?」 咲「……」コクン 京太郎「レズならバレずに触れ。優希にもベタベタしつつ、和ともベタベタすればいい」 咲「う~ん、難しいなぁ」 京太郎「女はまだマシだぞ。ベタベタしてても、同性愛とは疑われにくい」 咲「そうだね。私も優希がこっち側の人間かと思ってたけど」 京太郎「アイツは違う」 京太郎「男同士なんか人目がある所でイチャイチャ出来ないんだぞ!?この辛さがお前にはわかるのか?」 咲「でも京ちゃん、恋人居るし……。私よりずっとずっと、幸せだよ!」 咲「いや…私も十分に幸せなはずかな。とても仲のいい友達が居る、好きな人が同じ部活に居る」ブツブツ 咲「和ちゃんの横顔を眺めている時間は私にとって、とても…とても…幸せな時間のはず」ブツブツ 京太郎「そうそう。今以上の幸せを望むなら、失う覚悟もしないとな」 咲「それって和ちゃんとの信頼関係って事?」 京太郎「そうだ。俺がホモだとバレたら、きっと俺はクラスで孤立するだろう」 咲「……うん。私もバレたら、優希ちゃんも余所余所しくなるかもしれないね」 京太郎「和はもっとひどいかもしれん」 和『咲さんってレズビアンの方ですか?すいません、私はそっちの気はないので……、その…とても…困ります』ビクビク 咲「うわあああああああああ!!!!!!!!!!」 京太郎「落ち着け!それはまだマシなパターンだ!もっと最悪なパターンもある」 咲「どうしよ…どうしよ…」カタカタ 京太郎「今のままの付き合い方だとバレる可能性があると思う。部長が勘付いてるくらいだし」 咲「うっう…、私が和ちゃんを嫌いになればいいの!?無理、無理ムリムリ!嫌いになんかなれるわけない」ポロポロ 京太郎「恋心を隠して上手く付き合って行くしかないんじゃないか?」 京太郎「レズなら少しくらいベタベタしても大丈夫だからさ」 咲「……うん」 京太郎「元気出せよ。帰りにマグロナルド奢ってやるから」 咲「京ちゃん優しいね。男の人にもモテるわけだよ」 咲「そーいえばさー」モグモグ 京太郎「ん?」 咲「京ちゃんの彼氏ってどんな人?写真ある?優しい人?」チューチュー 京太郎「優しいよ。咲の知ってる人だよ」 咲「誰だろ……。全くわかんないなぁ」パクパク 京太郎「ハギヨシさん///」 終わり
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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388925097/ 清澄に入学して一週間が過ぎました まだ名前も知らない彼は、たまに通学路で背中を見たり、廊下を歩いているのを教室から見かける程度 追いかけて、声をかければ届く距離 それにも関わらず、私は彼に話しかける勇気を持ち合わせていませんでした クラスこそは知っているものの、彼の名前は知らないまま 私と彼の問題で面倒をかけるのは気が進まないので、ゆーきに彼に話しかけてきてくれるように頼む、ということはできず 彼と同じ中学校に通っていた同級生の方と仲良くはなりましたが、 彼女から彼について聞き出すことも気恥ずかしく、とてもできるようなことではありませんでした ,.ー-‐.、 ヽ、 ヽ __ /,..-ニ‐- '"_,..) / ̄\ _,.‐-、 ' ´/ , _ 、´ / ヽ ' 、 .ノ _ _ ,. ''" ,. -‐/ _  ̄\ / _| r ヽ i'´ ` ! , ',. -一' ./..'/ .} / <_ ,..-、 ! l i ヾ、_ / ,. '′ ,..,. ,/ ./ `ー-イ \ / ヽ ! ! し , iヽ、i / / { \ヽ i' _,/ ,.イ ̄`'´ /! ゙、 l ! / ヾ | ー'´ `´\ ヽヽ ! / ̄ // / / | └! .i! .!┘ ヽ r'´ ,.'⌒ `,. l ! 〈 \| | | | l !l .! ヽ ! ! ゝ-‐'´ /l .! ヽ r/ ヽ/ | l .l ! l i ゙、 \ / } .}ー"ヽ ヽ ヽ__// _ r、__, ,、 __,ノ l .! l .! | ト、゙、 `ヽヽ j ノ`ー-、 } ./ / | | ≧、__|  ̄ ____r' 」 l、゙、_ノ」__ン____________゙、`' /__ ヽ/_/ ./ | |________  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ } ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄"'´ ̄ ̄ ゙、. | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ヽノ ヽ、ノ 『第二話 踏み出した足』 和「こんなことで大丈夫なのでしょうか……」 優希「朝から元気無いぞ!のどちゃん!」 和「今日は早いんですね」 優希「エトペンの目覚ましより三十分も早く起きられたんだじぇ!」 和「私があげた甲斐があったというものですね、偉いですよ、ゆーき」 優希「ふははーもっと褒めて遣わすじぇ」 和「それは逆の立場で言う言葉ですよ」 和「早く起きた分は何をしていたんですか?」 優希「えーっとねー……」 優希「40分くらい二度寝してたじぇ」 和「プラスマイナスゼロどころか寧ろマイナスではないですか!」 優希「目覚ましに勝ったことに変わりはない!」 和「どうしてそう胸が張れるんですか……」 優希「のどちゃんは垂れやすそうだじぇ」 和「慣用句ですよ、余計なお世話です」 優希「見てると半分くらい分けて欲しくなるじゅるり……」 和「そういう語尾にもできるんですね」 優希「そーだ、のどちゃん、今日の放課後は暇?」 和「暇じゃないですよ、忘れたんですか?」 優希「じょ?」 和「今日麻雀部に突撃しようって言っていましたよ」 優希「じぇじぇじぇ!?」 和「入学式へ行くときにゆーきが言ったんですが」 優希「んー…………」 優希「そう言えばそんな気がするじぇ」 和「ゆーきが忘れていてどうするんですか」 優希「てへっ☆」 和「てへっ☆じゃないですよ、しっかりしてください」 優希「今の可愛かった!もう一回頼むじぇ!」 和「やったところでどうする気なんですか」 優希「携帯で撮って全世界に発信!」 和「脅迫に使う文句の一例ですよね!?」 優希「のどちゃんのその可愛さはもっと有効活用するべきだと思うじぇ」 優希「グラビア撮影の依頼とか来ないの?」 和「来ませんよ、されてもしません」 優希「そう言うと思って去年の夏に撮っておいたのどちゃんのスクール水着と麻雀部プールに」 優希「遊びに行った時の水着写真を奥っておいたじぇ!」 和「何を勝手にしくさってですかあああああっ!」ガシッ 和「どこに!どこに送ったんですか!」ガシガシッ 優希「うぷっ……ラーメンタコスをリバースしそうだじょ……」 和「朝からどんなものを食べているんですか……」 優希「ラーメンの残り汁にタコスを漬けて食べるんだじぇ」 和「…………シチュータコスよりはマシみたいですが、食文化が違いすぎます」 優希「タコスであれば何でもいけるじぇ!」 和「わかってましたが凄い雑食ですね」 優希「それほどでもないじぇ~」 和「まったく褒めてません」 優希「送ったって言うのは冗談だじょ」 和「そういう冗談ばかり言っていると友人が減りますよ」 優希「のどちゃんがずっと友達でいてくれるから気にしないじぇ」 和「褒めても昼食のタコスしか出ませんよ」 優希「やった!のどちゃん太っ胸!」 和「意味が分かりません」 優希「こう、器が大きい、みたいな?」 和「納得してしまったのが悔しいです」 和「それは太っ腹、というのですよ」 優希「のどちゃん太っ腹!」 和「最近気にしてるんですからやめてください!」 優希「どう言えばいいのかわかんないじょ!?」 優希「閑話休題、須賀京太郎とはどうなったの?」 和「須賀……京太郎?」 優希「例の金髪だじぇ」 和「須賀君、というのですか?」 優希「知らなかった?」 和「……はい、お恥ずかしながら」 優希「クラスは1-B、のどちゃんからのクラスだと少し遠いくらいだじぇ」 和「そんなことを調べてくれたんですか?」 優希「のどちゃんの恩人は私の恩人でもあるからな!」 和「そうですか……ありがとうございます」 優希「いくら教えたところでのどちゃんがヘタレのままじゃ意味ないんだけどね!」 和「うっ…………ゆーきの言う通りです」 優希「そーこーでー!」 優希「今日須賀京太郎を麻雀部に誘ってみるじぇ!」 和「今日ですか!?」 優希「今日だ!」 和「今日なんですか!?」 優希「今日だじぇ!」 和「そ、それは些か急というか……」 優希「今の内に先制攻撃しておかないと、他の部活に入っちゃうじぇ?」 和「ですが、彼と話すのは……っ」 優希「やる前から諦めていたら、何もできない」 優希「恥ずかしい、恐い――――そうやって諦めていたら、須賀京太郎はもっと遠くに離れちゃう」 優希「一回勇気を出すだけ、もう少しだけ精一杯」 優希「のどちゃんなら、多分……ううん、絶対大丈夫だじぇ」 和「優希……」 優希「頑張れ!のどちゃん!」 和「わかりました!私、頑張ります!」 和「今日話しかけて、須賀君を誘います!」 私の隣にいる子は正真正銘ゆーきなのか 学校に着くまでタコスの話を飽くことなく延々と続けるゆーきを見ていると、そんな疑念はいつの間にか消沈していました クラスの下駄箱へ歩く間にB組の方の下駄箱を一瞥して、早速気にしてるじぇ、というゆーきのからかいを一蹴 今度こそはと決意を握りしめて、私の今日は始まりました ところが、彼の身にあんなことが起こっていようなどと この時の私は、知る由もありませんでした―――― ――翌日 「須賀君なら今日風邪で休みだよ」 和「ぇ――――――――――――っ」 和「せっかく……せっかく勇気を出したのに……」 優希「何て言うか、まーそんなこともあるじぇ」 和「はぁ……」 優希「麻雀部に無事入部できて、部長たちもいい先輩で良かったからプラスマイナスゼロってことでいいんじゃないか?」 和「そうですね……」 優希「須賀京太郎の住所も調べたけど、行く?」 和「ちょっとアグレッシブすぎやしませんか」 優希「隣の席の子が同じクラスだったらしいので教えてもらったんだじぇ」 和「よくそこまで聞き出せましたね」 優希「今朝言ったのどちゃんの水着写真二枚あげたら大喜びで働いてくれたじぇ」 和「冗談だと言っていたではないですか!何しているんですか貴方はぁっ!」ガシッ 和「去年もその写真を男子に一枚二千円で売っていましたよね!そろそろ懲りましょうよ!」ガシガシッ 優希「ううっ、揺れる空がデジャブだじょ……」 和「そろそろ腕が痛くなってきました」 優希「のどちゃん太りがちだからいい運動になるじぇ」 和「気にしなくて結構ですよ!」 ――翌日、昼休み 「須賀君なら、他の教室に行ったみたいだけど?」 和「アッハイ」 ――また翌日、昼休み 「今日は須賀君いるよ、呼んでこようか?」 和「え………………」 和「あ………………………………」 和「う………………………………………………」 和「ふ、腹痛が痛いので今日はやめておきます……」 ――そのまた翌日、昼休み 和「行って来ます!」 優希「頑張れのどちゃん!草葉の陰から見守ってるじぇ!」 和「物陰から見守っていてください」 和「……すぅー」 和「はぁー……」 和「…………」 和「はぁー…………」 和「はぁー……………………」 京太郎「よっ、原村さん」 和「!?」 和「ごほっ、げほっ、えほっ、げぼぉっ!」 京太郎「女の子らしからぬ声!?原村さん大丈夫!?」 和「……はぁっ、はい、大丈夫です、至って問題ありません」 京太郎「そっか、病気かと思ってヒヤヒヤしたぜ」 和「……あの、どうして私のことを……」 京太郎「ほら原村さん有名人だし、昨日俺に用があったんでしょ?」 和「あ……はい」 京太郎「立ち話も難だ、学食行こうぜ」 和「お昼ご飯でしたら私が払います」 京太郎「ははっ、そんなのいいよ」 京太郎「女の子に払ってもらうなんて真似させられないもんな」 和「いえ、お礼をさせてください!」 京太郎「お礼……って、そんなん寧ろ……」 京太郎「…………!」ピコーン 京太郎「じゃあ一つ頼みごと、いいかな?」 和「はい!」 和「レディースランチです」 京太郎「ありがと!原村さんは頼まなかったの?」 和「私はお弁当がありますので」 京太郎「もしかして自作?」 和「……はい」 京太郎「すっげー!やっぱ原村さんって何でもできるんだな!」 和「そんなことありませんよ」 京太郎「いやいや、だってすごく美味そうだぜそのお弁当」 京太郎「可愛い、スタイルいい、お弁当もおいしそう、勉強できる、運動もできる、麻雀が強い!完っ璧だろ?」 和「いえ、その……可愛いなんて…………」カァァ 須賀君はまるで、昔からの友人であるかのように、私と話してくれました 私がどもっても話し出すのを待ってくれて、しっかりと応答してくれて、とても楽しそうに私との会話を続けてくれる 会話の内容は、お互いの自己紹介に始まり、中学校のことや、あの日のこと 彼と和やかな雰囲気で過ごす昼休みは至福に感じられました ゆーきや他の生徒の視線も忘れて、彼との会話を楽しみました 京太郎「原村さんに消しゴム渡した後、照れくさくなっちゃったんだよ」 京太郎「ほら、原村さん可愛いから」 京太郎「テレビにも出てるの知ってて、テスト中に気付いた」 京太郎「それから休み時間に原村さんの隣にいるのがなんか恥ずかしくて」 和「ああ、通りで……」 京太郎「気分悪かったよな、ごめん」 和「全く全然これっぽっちも……少し不思議でしたが」 京太郎「でっすよねー」 京太郎「原村さん五限何?」 和「数Ⅰですね」 京太郎「そっか、俺は化学で別棟だからさよならだ」 京太郎「トレー下げてくるよ、じゃあね」 和「あっ…………す、須賀君!」 背中を向けた彼に、声を 教室の前で話しかけるのに、勇気は不必要でした 彼との会話に、恐怖は感じませんでした 羞恥も感じませんでした 彼の先回りが私から臆することを忘れさせてくれたのです けれど、これからの私の発言は彼が知りもしないこと 彼の先回りのしようのないこと つまり、私自身で勇気を出して、恐怖も羞恥も取り払わなければならないこと 「一回勇気を出すだけ、もう少しだけ精一杯」 一歩だけ、足を踏み出そう 振り向いた彼に、声を 和「入試の日!本当にありがとうございました!」 和「感謝しきれないほど、ありがとうございました!」 和「あ、あと!話は変わりますが……」 和「私と……私と、麻雀部に入ってくれませんか?」 京太郎「うん、いいよ」 和「二つ返事!?」 続く
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洋榎「アカン。道に迷うてもうた……」キョロキョロ 京太郎「えーと部長に頼まれたバナナは買ったし、タコスの材料もあるよな……ん、アレは?」 洋榎「このままじゃ主将としての威厳が」 京太郎「あの~、どうかしたんですか?」 洋榎「ん?誰や。ナンパならお断りやで、今そんな場合とちゃうねん」 京太郎「いや、俺は清す」 洋榎「あ~、わかったわかった。じぶんアレやろ?ウチのファンやろ」 洋榎「いや~有名人は辛いわ。ま、あと引っ掛けの洋榎ゆうたらちょっとしたもんやからな」 京太郎「偶然って言ってましたよね?」 洋榎「おぉ!?なんや試合見てたんかいなぁ」 京太郎「いや、見てたというか対戦相手の清す」 洋榎「それにしても珍しいこともあるもんやな。どいつもこいつ絹、絹いいよるからな」 京太郎「たしかに妹さんも美人ですけどお姉さんも愛嬌があっていいと思いますよ」 洋榎「せやろ~?東京もんのくせに見る目あるやないか」 京太郎「東京というか長野……」 洋榎「長野!?」 洋榎「長野ゆうたら清澄やんけ!」 京太郎「だからさっきからなんども言ってるじゃないですか」 洋榎「なんや、じぶん清澄の関係者かいな!アカンでウチから姫松の弱点聞き出そうとしても」 京太郎「別にそんなつもりじゃないですが」 洋榎「ほんまか?」 京太郎「ええ。ところで俺から見ると姫松に弱点なんてないように見えるんですが本当に弱点なんかあるんですか」 洋榎「そらいろいろあるんやで。例えば漫の不発ばっかりやったり……って、なに言わすんや!」 京太郎「すみません、つい」 洋榎「ほんま、東京もんは油断ならんわ」 京太郎「だから長野から」 洋榎「長野ゆうたら清澄やんけ!」 京太郎「ちょっとパターンはいりかけてますよ」 洋榎「繰り返しはギャグの基本やで!」ニッコリ 京太郎「はあ……」 洋榎「それでなんのようや?そもそも清澄に男子部員なんておったんか?」 京太郎「これでも一巻の頃は出番も多かったんですよ」 洋榎「じぶんも大変なんやなぁ。せやけどウチかてコンシンのギャグかましたっても『うるさい』だの言われてんねんで」 洋榎「あ、今のは渾身と懇親のダブルミーミングやで!」ドヤッ 京太郎「ウザ」ボソッ 洋榎「ひどい」 京太郎「そんなことよりキョロキョロしてましたけど道にでも迷ったんですか?」 洋榎「なっ!そないなわけあるかいな。ウチは後引っかけの愛宕洋榎やで!」 京太郎「それが今なにか関係あるんですか?そもそも呼ばれてませんよね」 洋榎「うっ……。そないなことより自分こそなにしてんねん?」 京太郎「俺は買い出しですよ。所詮付き添いの身分ですからこれくらいはしないと、ね」 洋榎「付き添いてじぶんも出場者じゃないんか?」 京太郎「いや、俺は麻雀下手なんで予選負けです」 洋榎「そうやったんか」 京太郎「ほんとなにやってんだろ、俺。何の取り柄もないと思ってた咲とはずいぶん差をつけられちゃったし」 京太郎「あんな強かったら男のファンも……」ボソッ 洋榎「?なんかゆうたか?」 京太郎「あ、いや、なんでもないです。それより迷子なんだったら送りましょうか?」 洋榎「だれが迷子やねん。ま、まあどうしても言うなら送られてやらんこともないで」 京太郎「じゃあ『どうしても』です」ニッコリ ――姫松宿舎前 洋榎「……世話になってもうたな」 京太郎「気にしないでください。姫松の主将がいなくて不戦勝じゃ部長も残念がるだろうし。今度はぶっちぎるって言ってましたよ」 洋榎「ははん!そないなもん返り討ちや、言うといてや」 京太郎「わかりました。それじゃあ」ペッコリン&スタスタ 洋榎「……ちょっと待ちぃ!えーと、名前も知らんおにいやん」 京太郎「須賀京太郎ですよ」 洋榎「さよか。ほんなら京太郎!貸しをつくったまんまや愛宕家末代までの恥や」 洋榎「せやからウチが麻雀の指導してやったってもええで!なんや知らんが弱いの気にしてたみたいやからな」 京太郎「でも大会中でしょう?他校の、それも次の相手校の生徒と。まずいんじゃないですか」 洋榎「なにいうてんねん。相手校いうたかて京太郎がでるわけやなし。大会本部かてそないケツの穴の小さいこと言わんて」 京太郎「そうですか」 京太郎(愛宕さんってあの姫松の主将で全国でも上位の力を持ってるって話だよな) 京太郎(この人に教われば咲に追いつけるとは言わないけど少しくらい近づくことができるんじゃないか……) 洋榎「黙りこくってどないしたんや。強くなりたいかどうか、簡単なことやろ!」 京太郎「……お願いします。強くなりたいんです」 洋榎「ほんまか」ニパァ 京太郎「はい」 洋榎「……ハッ!先に言うとくけどウチの特訓は鳴尾浜での練習なんかより何倍も過酷やで!」 京太郎(鳴尾浜?) 洋榎「返事は!?」 京太郎「はい!よろしくお願いします」 ――清澄宿舎 久「ずいぶん遅かったわね、須賀くん」 優希「どうせそのへんでサボってたんだじぇ」 咲「そんなことないよね、京ちゃん」 京太郎「え?ああ、うん」 ――姫松宿舎 絹恵「お姉ちゃん、どうしたんやろ。散歩行くって言ったまま帰ってこおへん……まさかなにかあったんとちゃうか」 ドアガチャー 洋榎「いやあ、東京はやっぱり魔境やなあ。迷子になってもうたわ」ホクホク 末原「そのわりには妙に嬉しそうというか楽しそうというか」 絹恵「ほんまや。なにかあったんか?お姉ちゃん」 洋榎「なぁ!?な、な、な、なにもないわ。散歩行ったくらいでなにがあるっちゅうねん」 絹恵「逆に怪しいで」 洋榎「お姉ちゃんがウソ言うてるいうんか?」ジトッ 絹恵「せやで。どない言うたかてお姉ちゃんのことは私が一番知ってるんやもん。嘘かどうかくらいわかるわ」 洋榎「なんと言われたってなんもなかったんや!清澄の部員とも会うてへんし、また会う約束なんか勿論してへん!」 末原「主将?」ゴゴゴゴ 洋榎「な、なに怖い顔してんねん。ちょ、来るな。寄らんといて!」 ――― 末原「つまり、その須賀とかいう人に麻雀のレクチャーをするという話なんですね」 洋榎「うう……。もうお嫁に行けへん」 末原「主将!」 洋榎「あ、はい。そうです」 絹恵「せやけど、須賀川紅葉なんて部員が清澄におったんやなあ」 洋榎「須賀京太郎や!」 絹恵「どっちでもええやん」 洋榎「よくない」 絹恵「なんやムキになって。まさかお姉ちゃん、杉下右京とかいうのに惚れたんとちゃうか?」 洋榎「せやから須賀京太郎て言うとるやろ!」 絹恵「どうなん?」 洋榎「はぁ……、アホかいな。ちょろっと道教えて貰ったくらいで惚れるわけないやないか。」 絹恵「ほんならええけど」 洋榎「ただの恩返しや。恩返し」 洋榎「鶴かて受けた恩を返すんやから、ウチが恩返しせんかったら愛宕家の品格が疑われるっちゅうもんやで」 洋榎「京太郎?」 洋榎「……絹となにしてん?」 洋榎「そりゃ、見りゃわかるけど……なんで……?」 洋榎「ウチの事好きやったんちゃうんか……?」 洋榎「確かにウチは絹ほど可愛くもないし、おっぱいも大きゅうない」 洋榎「ぎゃあぎゃあ喧しい女でお淑やかさなんてひとっつも無い」 洋榎「けど……それでも京太郎は……好きって言ったやん……」 洋榎「……嘘?」 洋榎「あの言葉は……嘘やったんか?」 洋榎「そうじゃない? なら今スグ絹から離れろ」 洋榎「好きやろ? ウチのこと好きやろ? な? な?」 洋榎「ちょこっと魔が差しただけやろ? ウチがお預けし過ぎたから絹にちょっかい出しちゃったんやろ?」 洋榎「ごめんなぁ。 悪かったなぁ。 我慢させちゃったなぁ」 洋榎「お詫びにホラ、ウチの事スキにしてええから」 洋榎「絹恵から…………離れろ」
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94 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/02(水) 21 46 28.22 ID WkIFPeFoo [2/6] 優希「犬!遅い!!」 京太郎「集合時間には間に合ってるだろ!?」 ホテルの奥。 宮永さんと共に出てくる彼。 ぽりぽりと頭を掻く姿が何処か抜けてもいるような、そんな顔。 私は小さく微笑み、口を開く。 それは優希を窘めるような、周囲に優しく響くだろう私の声だ。 久「はいはい、優希ー。約束した時間には間に合ってるんだから気にしない」 優希「じぇ~……」 京太郎「ぶ、部長ぉ……!」 優希が何か言いたげな、そして須賀君が希望を持った瞳で私を見る。 くすり。 私は笑う。 それを須賀君にうっすらと見えるような笑みで返し、私は腰に手を当てて目を瞑る。 ただし。 そう、少し悪戯めいた声色で私は釘を刺すことを忘れない。 久「で・も、確かに一番遅かったのは須賀君ね」 須賀「うぐっ!?」 久「そうね……そうだ、後で雑用を手伝って貰うわ。いいかしら?」 須賀「りょ、了解っす…」 久「ん、よろしい!」 95 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/02(水) 21 47 59.69 ID WkIFPeFoo [3/6] 私が大仰に頷く。 それに優希が「がんばれよー」と笑い、まこが「何時も迷惑かけるの」と苦笑している。 咲も和も、困ったように顔を見合わせ、微笑みあうだけだ。 この光景で、誰も困る人はいない。 須賀君も、まこも、優希も、和も、咲も。 そして、私も。 最高の幸せだ。 この関係が崩れないということ。 私の夢を叶える、誰も不幸にならない。 そうして今、全国の舞台に立つことが出来ている。 それも全て私の仲間たち。 彼女たち……そして、彼だ。 県大会に参加できるようにしてくれた須賀君。 本気の文句も言わず私たちのために汗を流してくれる須賀君。 私たちの現在を支えてくれる須賀君。 須賀君との出会いを私は思い出す。 京太郎『カモ連れてきたぞー』 そう言って最後のメンバーになった咲を連れてきた彼。 当初、何処までも初心者であるあの子に麻雀を教えていたのは私。 彼の人となりに身近に接する機会が多かったのは、咲に続いて私だ。 咲には及ばないけど、彼を一番に知るのは私だ。 ふふん、と笑いたくなるのは少し抑える。 地下鉄を利用し、会場へ。 抽選会のため、他の県代表の部長たちと共に並んで待機する。 ふと、目があった。 須賀君が観客席に座っているのが見える。 京太郎「行けー!清澄ー!!」 と、そんな声。 周りの部長が私をちらりと見た。 96 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/02(水) 21 48 48.27 ID WkIFPeFoo [4/6] 『女子大会なのに男子部員?』 そんな視線だ。 思わず、吹き出す。 ああまったく、やっぱり彼は良い。 退屈しない子だ。 そうして、抽選会が終わる。 私は皆と合流して、口を開いた。 久「じゃ、明日はよろしく!須賀君、朝の通りお仕事よー」 京太郎「うーっす……」 がっくりと肩を落とす須賀君。 私はからからと笑い、彼の腕を引く。 びくり。 そう反応したのが、すぐにも分かった。 私が笑う。 須賀君は少しだけ顔を赤くして、私に手を引かれるままになっている。 だけど、彼は男の子。 こういったのはやっぱり恥ずかしいんだろう。 でもこうした部分が、可愛いんだけれど。 久「さて、須賀君。命令があるのだけれど」 京太郎「へへぇ、何でごぜぇましょうかお代官様」 へへー。 そんな芝居がかったような返事。 諦めた様子というより、私に対する意識の変え方。 咲や優希ならば軽く、からかうように。 和やまこには真正面からしっかりと受け答えるように。 私には、こうして少しのジョークを交えた芝居がかった対応で。 私だけの特別。 フレンドリーに付き合える、そう思ってくれてるからこそだ。 だから、私はその距離を縮めるつもり。 彼を困らせるように腕を組み、微笑みかけた。 この時間。 それを奪われることは不愉快だと、今は気づかぬ思考を奥底に抱えながら。 【※魔性型は一線越え、または他女子とのレベル3が存在した時……】 105 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/02(水) 22 23 21.83 ID WkIFPeFoo [5/6] ――――部長と合流して向かうスーパー。 俺が買い物籠を持ち、部長に続いて増えつつある買い物を見る。 ペン、紙、テープ、携帯保存食料。 部費じゃなくて部長の実費での買い物だから、個人的な用品だろう。 意外とずっしり。 男の俺でも結構重いと感じるくらいだ。 なるほど、今日の雑用依頼というのは必須だ。 でもこれくらいなら、言ってくれれば普通に手伝えるのに。 そう部長に言ってみよう、そう思ったが、ふと気づく。 部長の髪型。 何時もの流した髪型じゃない、部長が試合の時にしかしないおさげ髪。 こうして見ると新鮮なものだと俺は思う。 白いうなじ。 良く、親父が『女は後ろ姿が良い子がいい』とか言っては母さんに殴られてたが、それが少し分かる気がする。 新鮮さもあるけど、なんというか。 色気、という奴だろうか。 エロじゃなくてエロスというか、もっと高尚なものだ。 そんなことをだらしない顔で考えているとふにょんとぶつかる。 固まって、視線を下に。 こちらを見上げる部長の姿が、俺の前にあった。 わぁい、やわらかーい。 久「須~賀~君~?」 京太郎「」 笑顔の部長。 “ふにょん”で怒ってるんですか?あ、はいそうですか。 久「須賀君、私の胸の柔らかさに対して自分で雑用増量ね」 京太郎「はい……」 ………許してくれるレベルって、どんくらい仕事するべきなんだろうか? 112 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/02(水) 22 40 44.58 ID WkIFPeFoo [6/6] 久「さ、入ってー」 そんなことをうんうんと悩みつつ、ホテルへ。 そのまま俺は部長の部屋へ。 勿論だが、荷物を運ぶためだけだ。 ……別に、本当の部長の家じゃない。 レンタルであるホテルの一室なのになんでこうドキドキとするんだろうか? やっぱりあの“ふにょん”が印象強く残ってるせいか? いやいや、俺だってそんな単純な男じゃ……。 久「あー疲れた!」 京太郎「ブッ!?」 ベッドに飛び込む部長。 ベッドのスプリングでポン、と体が少し浮いた。 仰向けで、片足を曲げてこちらを見る。 そのアングルが、どうにもやばい。 何がどうとかじゃなく、やばいのだ。 久「んー?どうしたのかしら、須賀君?」 こちらを寝転んだまま見上げる部長。 何処か眠たげな声が俺の耳に届く。 えーと…… えーと、うーんと。 思わず無言の空間。 何を言うべきか、と考える。 腕を組みたいけど組めない。 俺と部長の視線が揃ってる間、この空気をどうにか晴らすべき案を考える。 個室、部長、おさげ、制服、ふにょん、おさげ、おさげ、おさげ、おさげ、パンツ。 ………パンツ? 視線は足へと向かう。 そして少し視線は上に、タイツの下に見える三角の……。 京太郎「………」 久「あら、なんで目を覆うのかしら?」 足を組み替え、そんな声。 ……なんでそんなに挑発的なんですか、部長。 思わずそう嘆くが答えてくれる相手はいない。 言うしかない。 言って、さっさと帰ろう。 そうしようったらそうしよう。 京太郎「部長、見えてます……」 久「ん?」 とぼけた声。 いやもう、本気で勘弁してください…。 久「あ、もしかして見たの?」 京太郎「えーと、その」 久「見たのね?」 京太郎「………はい」 久「へぇ……?それは何を?」 にやり。 そんな風に笑う部長に俺は泣きたくなる。 いじめるのを楽しんでるとしか思えない。 もうこれ逆セクハラなんじゃねーかな。 そんな諦めすら混じった声。 俺が短く、口を開いた。 京太郎「……部長のパンツっす」 久「ふぅ~ん」 京太郎「言ったんだから少しは恥じて隠してくださいよ!?」 久「だるいのと、動きたくないのよ」 疲れたー! そう言ってベッドで転がる。 子供かあんた。 そんな乱暴な物言いになる俺は悪くない。 そう思っていると、差し出される。 何を? 足を。 足を組んだ部長がタイツを穿いた足を、俺に差し出していた。 久「ねぇ、脱がせてくれないかしら?」 京太郎「自分で着替えて下さい!?」 もう俺この人が分からねぇ!! 【8月13日終了→8月14日(朝)に続く】 170 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/04(金) 00 49 53.07 ID Hyu07NMLo [6/6] 【8月14日:朝】 一夜明け、天気はからりと晴れ。 東京の夏本番という熱さが肌を焼く。 俺は手に持ったパンフレットを片手に小さく汗を拭い、息を吐く。 今日から大会開始。 その予定は実に単純なものだ。 14~24日:団体戦 25~27日:個人戦 という、約2週間の長丁場。 清澄……俺の高校も、個人戦に咲と和が参加する。 あの二人が呆気なく終わる、なんてことは想像できるものじゃない。 多分、28日まで大会は続いていくだろう。 京太郎「しっかし部長には参った参った……」 あんなご褒美……じゃなくて尋問。 遊ばれてるのか、楽しげだったあの人にはかなり困ったものだ。 まぁ、昨日のことは昨日のこと。 俺は待機部屋から出ていき、優希のタコスを初めとした買出しへと行く。 前もってここらの地理は把握しているし、もう成れたもんである。 そんなことを思って歩いていると、ふと視線が移動していった。 あれは、制服だろう。 手には赤ペンとファイルを持った女生徒がモニターに集中しているのが目に入った。 片方が巻いたような、特徴的な髪型をしている。 試合を見ていることから選手なんだろうけど……。 やえ「っと」 京太郎「あ」 その時だった。 彼女が持っていた書類が零れ落ちる。 ふわりと、俺の足元へ。 拾い集めている彼女に渡そうと、俺はおれを拾う。 そこにあるのは、個人戦の名簿だ。 京太郎「あの、落としましたよ」 やえ「す、すまないな」 京太郎「いえいえ。……個人戦の選手なんですか?」 少し慌てたように、ほんのりと羞恥からか紅葉した頬。 俺はそれに気づかないように、少し話の方向性を変える。 それに目の前の女性は「ああ」と、大仰に答えた。 194 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/04(金) 10 47 00.38 ID HFUoB/OUo [2/5] やえ「奈良、晩成高校3年。個人の小走やえだ、よろしく」 京太郎「俺は須賀京太郎です。一年で、麻雀部のお手伝いみたいな立ち位置でやってます」 やえ「やはり選手ではない、か。まぁ、女子大会だから当然だったな」 そう苦笑して書類を払う。 なんというか、かっこいい人だ。 自信に満ちているというか、なんというか。 言うならば王者の風格とでも言うべきだろうか。 実力に裏打ちされた自信が、彼女の根底を成している。 例えるなら、派手すぎない龍門渕高校の龍門渕透華さんという感じだろうか。 そんなことを思い出すと、俺は「あっ」と声を漏らす。 京太郎「や、やっべ!?買い物の途中だった!失礼します!!」 やえ「あっ、お、おい!」 慌てて走り出す俺。 小走さんの声が聞こえたような気がしたけど、そんな場合じゃねぇ! やえ「ふむ……須賀君、か……」 【8月14日:昼】 優希「遅いー!タコスは!?」 京太郎「ぜぇ、はぁ……!!」 まこ「ほれ、水でいいかの?」 息荒く俺が帰還。 返ってきたのは優希のタコスをせがむ声と心配そうに水を差し出す染谷先輩。 優希にこんにゃろう、とも思いつつ例を言って水を受け取る。 ああ、美味い。 東京って正直暑すぎるだろ…… 久「ナンパでもしてたのかしら?」 京太郎「ブッフゥ!?」 優希「じぇぇぇぇえ!?」 昼、接触対象を指定してください↓2 258 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/04(金) 23 09 11.74 ID mKgbOrn8o [2/3] 全国大会。 その試合は野球の甲子園と同じで、一つの雀卓によって行われる。 俺たち清澄が所属するBブロック第一回戦。 それはこの大会における一発目の爆弾だ。 中堅での他校飛ばしての勝利。 優希も、染谷先輩も、その3人が全員大爆発した結果だ。 これだけで、今三つのチームが全国から消える。 俺はその様子を清澄の待機室で見ながら、小さく声を漏らしていた。 京太郎「はぁー……緊張した…!」 和「どうして須賀君が緊張するんですか?」 咲「あはは、京ちゃん落ち着かなかったね」 そうは言うけど、部屋の空気は随分と柔らかいものだ。 そう思っていると、足音が聞こえる。 扉が開けば、薄い笑みを顔に貼り付けた部長がそこに居た。 久「先ずは一勝、もぎ取ってきたわ。さ、今日の試合はここまでだから帰るわよー」 まこ「随分と急ぎ足じゃの」 久「帰って他の勝ち抜き校の牌譜チェックしたいのよ」 和「ですね」 咲「あ、じゃあ先にちょっとお手洗い行ってきます!」 京太郎「あ、ちょ待て咲……もういねぇ!」 慌てて走り出す咲。 俺の脳裏に甦るのは何時もの迷子状態だ。 ただトイレに行く女の子を男が追うというのもひじょーにアレであって……。 気づけば、咲が部屋を出てもう10分も過ぎていた。 京太郎「………すいません、ちょっと探してきます」 和「私も手伝います」 優希「私も行くじぇ!」 まこ「ワシも行くかの」 久「じゃ、私はここで咲が帰ってくるか一応待ってるわね」 全員が揃って立ち上がる。 なんとも締まらないものだ。 そんなことで皆が苦笑。 さてさて、さっさと見つけてやろうか。 259 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/04(金) 23 10 19.54 ID mKgbOrn8o [3/3] ―――だけど探すとは言っても、実は簡単だったりする。 あいつは迷子になると右に左にと、角を曲がっていく。 典型的な迷子の原因なのだが、無意識でやってるのが性質悪いものだ。 俺は女子トイレ近くから道をざっと見る。 人ごみは多い。 となると、きっと流されるようにこっちに行ってるはずだ。 京太郎「………見つけた」 発見。 意外とあっさりすぎるものだ。 手を組み、うろうろとしている背中。 笑うのを堪えて、俺は咲の肩を叩いた。 京太郎「見つけたぞ。ったく、またか」 咲「きょ、京ちゃぁ~ん……!」 半泣き状態の咲。 俺は携帯を取り出し、部長に繋げる。 部長から皆にメール送信してくれるそうだ。 俺はそれを受けたら咲へと向き直った。 咲「あ、あああのね京ちゃん。私、また迷子になったんじゃ」 京太郎「“また”って自分で言ってるじゃねーか」 咲「あう」 ぽこん。 軽く小突くと頭を摩る咲。 それに俺は小さく息を吐くと、咲の手を引く。 全く、このポンコツ魔王さんはどうしてこうなんだろうか……。 そう思う俺の手を、咲が少し強く握ったのに、俺は気づかなかった。 【8月14日:夜】 夜。 夕食が終われば自由が出来る。 基本的にミーティングと練習。 それだけなのでやることが無い俺は静かなものだ。 今も部屋では和、優希、染谷先輩、部長が卓を囲んでいる。 俺と咲は静かにその様子を見守っていた。 しかし、熱い。 狭い部屋に6人も集まっているというのもあるだろう。 しかし、冷房を強くすると寒い。 俺は冷蔵庫を開き、飲み物でも出そうかと探ってみたが何もない。 どうせついでだ。 皆の分の飲み物でも買ってくるか。 京太郎「お茶買ってきますけど、注文は?」 久「あ、私りんごジュースで」 まこ「ワシは緑茶がいいのう」 優希「あたしはコーラでいいじょ」 和「紅茶でお願いします」 咲「じゃあ私は―――」 京太郎「お前は俺を手伝え」 咲「ひどっ!?」 俺が何を言ってるんだという顔をする。 それにショックを受けたような、そんな顔をする咲。 というか当たり前だろうが。 手が空いてるのは俺とお前だけ。 むしろこれで休めると思うほうが間違っているというものである。 274 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/05(土) 00 27 54.24 ID TPglUBpoo [2/8] 咲と並んでホテルの廊下を歩く。 会話は無いまま自販機についた。 俺はコインを取り出し、それぞれの注文を買う。 咲に振り返って、俺は尋ねた。 京太郎「咲、お前はどうするんだ?」 咲「あ、うん。お水でいいよ、京ちゃん」 京太郎「水でいいんだな、じゃあこれか」 水を購入し、咲に手渡す。 咲はそれを両手で抱えるように持ち、ふと俺を見た。 なんというか、困ったような、そんな顔だ。 咲「………ありがとね、京ちゃん」 京太郎「ん?何がだ?」 咲「今日、私を見つけてくれて」 京太郎「ああ、そのことか。気にすんなって、もう中学時代で慣れたし」 咲「うん……」 いや、そこでうんと言われても逆に困るんだけどなぁ。 俺は小さく息を吐く。 さっさと戻るぞー。 そう声をかけて。 咲は小さく微笑んで、俺を見た。 うん。 そう答えた、裏側の声。 俺の耳には届かない。 咲「そう……京ちゃんは、私を一人にしない……よね……?」 281 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/05(土) 00 52 37.99 ID TPglUBpoo [4/8] 【8月15日:朝】 ふと視線を動かせば目に入る。 そんな経験は無いだろうか? よくTVで見るCMであったり、広告であったり。 多種多様の注意を引く物が人それぞれにはある。 俺が今日、ホテルの食堂に向かう足で目についたのは片方のドリル。 その俺の視線と、ふとそのドリル髪の持ち主である小走さんと目が合ったのは偶然だった。 やえ「ああ、須賀君だった…か?」 京太郎「どうも、小走さん。小走さんもこのホテルに泊まってたんですね」 やえ「ほどよく、会場に近いからね」 席、失礼しても? そう問いかけると、構わないよ、と返される。 俺はその言葉を受けるとそのまま小走さんの対面に座る。 何を話そうか? そう思ったのだが、やっぱりこういう時の会話は麻雀が一番だろう。 別に話さなくてもいい、とかもあるがそれはそれでアレだ。 間が持たないだろう。 会話の切り出しは俺。 少なくとも、静かすぎるよりは十分マシ。 それくらいには会話が出た。 奈良の代表。 そこも清澄と同じように5人ぎりぎりだとか、今日一回戦があるだとか。 やっぱり、そういうどきどきというものは何処も同じだ。 京太郎「まぁ、ウチも負けませんよ」 やえ「それは楽しみだな、須賀君」 341 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/05(土) 20 49 43.05 ID gmHgiAquo [1/3] 【8月15日:昼】 昼、ホテルに戻った俺が部屋でネット麻雀をしていた時。 部屋をノックする音が聞こえた。 なんだ、と思いつつ俺はドアを開く。 見れば、そこには見覚えある姿があった。 そうだ、今日の試合は見所だけはもう見て、先に帰った……… 久「あ、ごめんねー須賀君」 京太郎「ぶ、部長ぉ!?」 そこには、片手に小さい鞄を持った部長の姿。 時間的に昼、昼食の誘いだろうか? そう俺は思っていると、部長は「あっはっはー」と、何処か困ったように笑っていた。 久「ごめんねー須賀君、ちょっとお風呂貸してくれないかしら?」 京太郎「……はい?」 俺の隣は部長の部屋。 何があったと聞けば、ちょっと来てと言われてしまった。 ドアを開き、見る。 そこには一面、紙、紙、紙、紙。 壁や床に張られ、置かれた紙……牌譜の数々。 うわぁ。 そう俺が思わず声に出すほど、何処か狂気的な光景だ。 見れば、部屋の隅。 そこに水のボトルと人が座っていたような小さな空間がある。 失礼して、俺は浴室を見る。 ………そこにも、無数の牌譜。 俺の頬が引きつくのが分かった。 振り返れば、後ろ手で部屋の扉を閉じる部長の姿。 にこりと、微笑んだ。 ゙l ゙l ゙l ゙l ゙l ゙l ゙l ゙l ゙l ; ゙l ゙l ゙l i ゙l ゙| ゙l `、 イ i ゙l l| ゙| ヽ. ,,、 / ゙l lll ゙l `、ヽ、 / ヽ | || ト `、 `ヽ、 / `、 | |ト | `、 `-、 / `、 | | | `、 ヽ、 `ヽ、..._ ,, 爪 ヽ | / ` 、_  ゙̄`'ー‐‐---------ゥ-‐'' / / ;/, ;;;;;;`、;;ノノ `、 `ー--、......____,,,....,、、‐'' ,/ / / /二,,,、、_z `、 ,,,/ ク // ゙l |ト ハ `、 ,,,// ;" ;;/ / 人 ハ `、 ヽ ,,,,,,,, ∠ニニ=== _ク/ Y \ `、 `ヽ、,,,,,,,, ,,,,,,/ / ハ / 375 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/01/06(日) 00 14 20.72 ID iBHONMC3o [1/19] 京太郎「何をどーしたらこうなるんですかぁぁぁぁぁ!?」 久「いやー、昨日から熱入っちゃってねー」 部屋の惨状に俺が悲鳴を上げる。 この人、天井にまで張ってるよ! その労力と見合うだけの見易さはないよこれ! こうやってするんだったらファイリングした方がマシだよ本当に! 俺は真っ先に風呂場に突入。 散らばっている牌譜をかき集める。 見れば見るほど、色々な名前が多い。 って、これは……。 京太郎「あ、これって……小走さんの…?」 書いてある雀士の名前は小走やえ。 奈良県個人一位、と記されている。 他のも見れば、多くが県代表選手や、代表校のものだ。 咲と和の個人戦にもすでに目を向けているからこそのこのデータ量。 確かに、団体なら多くても20校くらいのデータで済むだろうけど、個人はそれじゃきかない。 部長なりの応援の準備、という奴なのかもしれない。 久「――――ふぅん、知り合いなの?その小走さんと」 京太郎「――――ッ!」 びくり、と体が震える。 後ろから肩に手を置かれ、俺の横に顔を出す。 横を向けば、部長の頬がある。 体勢で言えば抱きつかれてるような、そんな形。 ここがシャワールームという密室であるからこそ妙に色香が香ってくる。 京太郎「………」 ごくり。 そんな、俺の生唾を飲む音が妙に木霊した。 久「………須賀君」 若いのは勢いで。 そんなことを無責任に言う教育者が居た、ような気がする。 今だけは、それに納得しよう。 俺は背中に抱きついたまま、俺の手を握っている。 えてして、俺の手の牌譜を持っているようにも、後ろから抱きしめてるだけにも見える。 そんな光景。 それが俺が置かれた光景だ。 ふわふわとした柔らかさと、部長から漂う女の子の香り。 嫌でも、俺が男であるというのを再確認するだけの空間。 それだけの力を持つ空気が、ここにはあった。 京太郎「牌譜、片付けませんと……」 久「ん、よろしくね」 そっと、部長が離れる。 それに安堵の息を俺は漏らし、牌譜を拾う。 ああ、ドキドキした。 こんなの一生に何度あるかわかりもしないぞ、きっと。 俺はそんなことを思いつつ、ため息をつく。 いやま、部長のことだ。 どうせからかってるだけに違いないけど、俺だって若い。 こういうのはこれっきりにして欲しいくらいだ。 俺が息を吐いて、意識をクリアに。 そうすることで今まで妨害されてたような情報もはっきりと認識できるようになる。 そう。 例えば。 後ろで聞こえる、衣擦れ音とか。 バチンッ、という甲高い音とか。 一瞬で暗くなる俺の意識。 それがスタンガンであるというのに気づかぬまま、俺は長い夜を迎える。 目覚めた時、もう、何も言い逃れできないという刷り込みをなされて。 【END――秘密共有】
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菫「いつも雑用係を押し付けて済まないな須賀」 京太郎「いえ、俺に出来るのはこれくらい何で」 菫「そう自分を卑下するな。私達はとても助かっている」ナデナデ 京太郎「あの……高1にもなって頭を撫でられるのは恥ずかしいんですけど」 菫「嫌だったか、なら止めるが?」ナデナデ 京太郎「…………嫌じゃないっす」 京太郎「というわけで竜華さん、膝枕オナシャス!!」 竜華「拒否。 唐突過ぎるし頼み方腹立つわ」 京太郎「男だって甘えたくなる時があるんです!!! わかるでしょう!?」 竜華「知るか!! ウチの膝は怜専用や! 須賀なんかにゼッタイやらん!!」 京太郎「そこをなんとか!!先っぽ! 先っぽだけでいいですから!!」 竜華「ささ、ささささ、先っぽおお!? な、何言うとんのや!! ……つか、どこのことや!!!」 京太郎「おかーさん!!!!」 竜華「やかましいいい!!!」 京太郎「……とまぁ散々でした」 怜「そりゃあ残念やったねぇ。ウチの膝枕で堪忍なぁ~」ナデナデ 京太郎「それに比べて怜さんときたら、もう女神ですよ女神。 最高ッス」 怜「そうかぁ? 嬉しいこと言うなぁ京太郎はぁ。 もっと撫でたるなぁ~」ナデナデ 京太郎「あぁぁぁぁ……ええわぁ……」 竜華「うぇえええええええええ!? と、怜いいいいいいい!!!??」 京太郎「ということでなでなでしてください!」 智紀「…………」スタスタ 京太郎「無視された!」 衣「どうした、きょうたろー。」 京太郎「今俺はモーレツにお姉さんになでなでしてもらいたいんです!」 衣「何だそんなことか、それなら衣が……」 京太郎「あ、国広さーん! なでなでしてくださーい!」 一「何を言ってるの君は?」 衣「だから衣が……」 京太郎「国広さんみたいなお姉さんになでなでしてもらいたいんですよ。」 一「あぁ……僕忙しいからパス、他の人にしてもらいなよ。」 京太郎「そんなー。」 衣「なんだきょうたろー、だめだったのか。」 京太郎「失敗でしたよ、でもなでなでしてもらうまではメゲない、諦めない!」 衣「あー、なんか衣はなでなでしたくなってきたなー。」チラッ 京太郎「こうなったら透華さんに頼み込んで……」 衣「今なら膝枕もつけちゃいそうな気分だぞー?」チラッチラッ 玄「えへへへ~。京太郎く~ん」ナデナデナデ 京太郎「うおう、玄さん。 今日もご機嫌っすね」 玄「京太郎くんを撫でる今があってこそだよ!う~りうりうりうりうり~」ナデナデナデナデ 京太郎「うおうおうおう」 玄「えへへへぇ~」ナデナデナデナデ 京太郎「玄さんにも参ったもんだなぁ……合う度頭撫でられてたら俺の理性が保たないぜやっほい」 宥「あ……す、須賀くん……」 京太郎「お、宥さん。 こんにちは。 何か用ですか?」 宥「あ……う……そ、そのぉ……」 京太郎「?」 宥「……わ……私も…………あたま……」 宥「なで……………なで…………」 宥「…………~~~~~ッ!」 宥「や、やっぱりなんでもないですぅ~!!」ダッ 京太郎「……?」 京太郎「……」ナデナデ シロ「……」 京太郎「……」ナデナデ シロ「……」 京太郎「あの、シロさん」ナデナデ シロ「?」 京太郎「歳的にシロさんが俺を撫でるのが普通だと思うんスけど」ナデナデ シロ「ん……まぁ……」 シロ「……」 シロ「……京太郎は……嫌?」 京太郎「嫌だったらこんなことしませんよ」ナデナデ シロ「……」 シロ「ん……」スッ ギュッ 京太郎「美穂子さーん」 美穂子「あら京太郎君。どうしたの?」 京太郎「さっきの卓で俺1位とったんですよ1位!」 美穂子「まぁ!やったじゃない京太郎君!日ごろの努力が実を結んだようで私までうれしくなっちゃう」 京太郎「というわけでご褒美がほしいです」 美穂子「もぉ、現金なんだから……いいわ。私にできることなら何でも言ってね?」ニコ 京太郎「なんでも……」ゴクリ 京太郎(それはもしかしてその突き立った双子山を自由にしていいということだろうか……揉みしだいていいということだろうか……) 京太郎(いやいや考え直せ須賀京太郎15歳!ここで美穂子さんの信頼を裏切ってどうする) 京太郎(美穂子さんは俺が決して外道なことを信じたうえでこんな迂闊なことを言ってるんだ) 京太郎(その信頼に報いることができなくて何が雀士だ!) 京太郎(しかし少しでも美穂子さんの母性に甘えたいと思うのは悪いことだろうか……) 京太郎(……いや悪くない) 京太郎(ここは……) 京太郎「頭なでてほしいです!美穂子さん」 美穂子「まぁそんなことでいいの?」 京太郎「はい!お願いします!」 美穂子「ふふふ。京太郎君は無欲ね。分かったわ、心行くまでなでてあげるわね?」 美穂子「なでなで」 京太郎(ふぉおおおおおおおおおおおお) 京太郎(まるで夢見心地。このまま脳髄がとろけて行きそうだ!) 美穂子「京太郎君、気持ちいい?」ナデナデ 京太郎「みほこさ~ん。もっとぉ」ゴロゴロ 美穂子「まったく……甘えん坊さんなんだから」ナデナデ
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特別編 side白糸台 ※京太郎は昔から照と知り合いという設定です。日記発見から中身拝見までの流れは省略します ×月○日 少し前から、尭深さんの影響かお茶に凝っている ここ最近は、尭深さんと闘茶、まぁ、利き茶ともいうけど、とにかくそれをしている 負けた方が帰りにお茶に合うお菓子を奢るという条件でやっていて、お互いに結構真剣だ ここ最近は負けっぱなしで、お菓子を奢るついでに買い物の荷物持ちに付き合わされたり、料理の試食をしたり、いいところがない 今日なんかは部活が終わってから1日付き合うことになり、尭深さんの部屋であれこれやることになった 明日こそ負けないぜ!! 誠子「尭深、料理の試食ってそんなに料理下手じゃないだろ?」 淡「うん!こないだもらった卵焼きとかすっごく美味しかったよ?」 菫「お前、さらっと部屋にまで連れ込んで……」 照「尭深?ちょっと打とっか?」 尭深「何もしてませんよ?お茶飲んで、一緒にゆっくり過ごしただけですよ?」 尭深「……少し胸の露出度が多かったかもしれませんけど」タユン 照「麻雀を楽しもうか」ギュルルルル 菫「ちょっと来い尭深。今のは挑戦と受け取った」
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―― 例えば世界から疎まれた存在となって ―― 誰にも認識されなくなって ―― 一人ただ狂っていくだけなのだとしたら ―― はたしてそれは『生きている』と言えるのだろうか? 桃子「…きょーさん」 京太郎「あぁ、モモか…」 桃子「今日はどうでした?」 京太郎「ダメだったよ、やっぱり今日も話しかけられなかった」 桃子「そうっすか…」 京太郎「…やっぱりそうなのか?」 京太郎「俺も…モモみたいになっていってるって言うのは…本当の事なのか?」 桃子「…おそらく」 京太郎「…そっか」 京太郎「…辛いなコレ」 京太郎「前に…モモに分かる…なんて下らない事言ったけど…」 京太郎「今は本当に分かるよ、モモの辛さも…加治木さんにアレだけ依存した訳も」 桃子「……きょーさん」 京太郎「俺は…どうしたら良い?」 京太郎「いや…誰にも話しかけられない俺は…これからどうなっていくんだ…?」 桃子「…これからもっともっと…酷くなっていくと思うっす」 桃子「今は話しかけられないだけで済むかもしれないですけど…」 桃子「きょーさんのステルスっぷりは日に日に酷くなっていってるっすから…」 桃子「何時か視界に入っても気づかれないくらいひどくなる可能性もあるっす」 京太郎「……そう…か」 桃子「きょーさん…あの…元気だして下さいっす」 京太郎「元気…?そうだな…麻雀部の皆にろくに話しかけられなくなって…」 京太郎「クラスでも仲の良い友だちから無視されるようになって」 京太郎「それでも俺は元気を出すべきなんだな」 桃子「…ごめん…なさい」 京太郎「いや…俺の方こそ…悪かった」 京太郎「…八つ当たりして…ごめん」 京太郎「でも、俺…本当にどうしたら良いのか分かんないんだ…」 桃子「…きょーさん…」 桃子「それなら…コレを期に何かを始めてみたらどうっすか?」 京太郎「…何かを?」 桃子「きょーさんが私に言ったじゃないっすか」 桃子「誰にも気づかれないステルスをメリットとして使える私が凄いって」 桃子「…アレは嘘だったんっすか?」 京太郎「嘘じゃない。本心からのもんだ」 桃子「…じゃあ、きょーさんも凄くなるっすよ」 京太郎「……なれるのかな?」 桃子「勿論っす。だって…きょーさんは元から凄っすから」グッ 京太郎「はは。なんだよそれ」 桃子「だって、先輩以外で私の事一発で見つけられたのってきょーさんだけっすよ?」 京太郎「それはおも…」 桃子「おも?」 京太郎「い、いや、なんでもない」 京太郎「でも…そう…だな」 京太郎「…少しは前向きになってみるか」 桃子「そ、そうっすよ。それに…私もいます…し」モニョモニョ 京太郎「ん?モモが?」 桃子「あ、えっと…あの…その…」 桃子「わ、私がステルスの先輩として出来るだけサポートするっすから!!」 桃子「だから、大丈夫って事っす!!」ググッ 京太郎「お、おう…そうか」 桃子「そうっす!」 桃子「……うぅ…私のヘタレ…」 京太郎「…???」 ……… …… … A田「ふんふふーん」 京太郎「あ、A田ちょっと良いか?」 A田「うぉあわ!?って須賀か…」 京太郎「悪い。驚かせたか?」 A田「あぁ…でも、お前そんなところに居たのか?まったく気づかなかったぞ…」 京太郎「…最初からいたんだ」 京太郎「まぁ、良い。それよりA田、お前…バスケ部だったよな?」 A田「あぁ、今から部活だけど…どうしたんだ?」 京太郎「…頼む。俺をバスケ部に入れてくれないか?」 A田「え?」 ダムダム A田「圧力かけろ!潰していけ!!」 「くっ…」 京太郎「…」スゥ 「んな…!」 京太郎「頂き…ぃ!」パァン 「出たー!清澄のPG須賀選手!!」 「今試合連続24回目のスティールです!!」 「スティールが上手い選手というのは居ますが…彼のそれはレベルが違いますね」 「攻守共にチームの歯車となっています。昨年は三回戦負け清澄がインターハイまで来れたのも」 「間違いなく彼の活躍によるものでしょう」 京太郎「(俺に出来る事…!)」 京太郎「(それは…一年間ミッチリやったスティールとパスだけ…!)」 京太郎「(だけど…それだけでチームは回る…!)」 京太郎「(俺でも…皆の役に立てる…!)」 京太郎「(誰にも気づかれないというデメリット…)」 京太郎「(それを活かす事が出来る…!)」 京太郎「(嬉しい…楽しい…)」 京太郎「(もっと…これを楽しみたい)」 京太郎「(もっと…これを教えてくれた人の役に立ちたい…)」 京太郎「(だからこそ…俺は…!!)」 ピッピー 「試合…終了!!」 「インターハイ優勝は…清澄高校です!!」 京太郎「…はぁ……はぁ…」 A田「須賀!何処だ!?」 京太郎「…ここだよ」スッ A田「はは…!やったな…!こいつぅ!」ガシッ 京太郎「うわ…っ!やめろよこら!」 A田「ばーか。インターハイ優勝の立役者を離すかよ!」 A田「おら、皆で胴上げだ!!」 「……あの、きょーさん、今時間良いっすか?」 「悪い。今日はバスケの練習試合でさ」 「京ちゃん、あの…映画館行かない?実はチケット…」 「すまねぇ。合宿で忙しいから…誰か別のやつと行ってきてくれ」 「…きょーさん、たまにはで、でで…デートとかどうっすかね?」 「…悪い。疲れてるんだ。また今度な」 「京ちゃん、あの…私、告白されちゃったんだけど…」 「ん…嫌じゃないなら請ければ良いじゃないか」 「…きょーさん、最近、バスケばっかりで…」 「…俺なりに頑張ってるんだ。ほっといてくれ」 「…え?俺がアメリカに…ですか?」 「…はい!勿論です!ありがとうございます!」 「精一杯頑張ります!!」 【N(なんか)S(すげー)B(バスケの大会)決勝戦】 京太郎「…はぁ…はぁ…」 京太郎「(…嘘…だろ…)」 京太郎「(ここまで順調だった…アメリカでも…俺の能力は通用した…)」 京太郎「(チームメイトは実力も相性も最高で…)」 京太郎「(全米トップの決勝戦まで来る事が出来た…なのに…)」 京太郎「(今俺たちの歩みは…ここで遮られようとしている)」 京太郎「(…対戦相手は去年は下位チームだった)」 京太郎「(中堅どころか…下から数えた方が早いようなチーム)」 京太郎「(いや…今だってチームとしては…間違いなく下位だ)」 京太郎「(そんなチームがここまで来たのは…ひとえに…)」 エトー「…」ゴゴゴ 京太郎「(…この化け物の所為だ)」 京太郎「(身長210cm…長身の多いバスケ選手の中でもさらに飛び抜けてデカイ巨人だ)」 京太郎「(手足も長く、こいつが中央で両手を広げているだけでかなりの威圧感がある)」 京太郎「(何より最悪なのは…こいつが人並み外れた反射神経を持っているという事)」 京太郎「(神速のインパルス…そんな風にも名付けられる人間の限界速度)」 京太郎「(それに到達したこいつは…パスを見てから反応できる)」 京太郎「(お陰で…俺のスティールも…ステルスパスもまったく通じない…)」 京太郎「(その上身体能力も飛び抜けてて…他の皆でも手が出ないとなってる…)」 京太郎「(ドリブルだけで数人突破とか…このレベルの大会じゃまずありえないはずなのに)」 京太郎「(まるでそれを遊びのようにやってのけるんだから)」 京太郎「(…でも、負けたく…ない)」 京太郎「(勝ちたい…この皆と…)」 京太郎「(未だに…消える事くらいしか取り柄のない俺を…受け入れてくれた皆と…優勝したい)」 京太郎「(…こんな何もかも輝いて…存在感に溢れるような奴には…負けたくない…!)」 京太郎「(もっとだ…もっと薄く…)」スゥ 京太郎「(ボールを持ってる時すら…気付かれないように…薄く)」 京太郎「(まるで幽霊のように…人の気を引かず…映らず…)」 京太郎「(そして……)」ユラァ 「…」パッ 京太郎「(…もらった!)」 エトー「っ!」 京太郎「(反応した…だけど…)」スゥ エトー「…え?」 京太郎「(俺は…空気だ)」 京太郎「(見えない…映らない…)」 京太郎「(見えなきゃ…ボールは取れない…)」 京太郎「(下手に取ろうとしちゃ…ファウルになるからな…!)」 京太郎「(それに…俺が見えなきゃ…)」 京太郎「(折角の反応速度だって…完璧に使いこなせないだろ…!)」スッ エトー「…くっ!」 京太郎「(躊躇した…!その間にっ!)」スッ 京太郎「(頼む…!マイケル気づいてくれ…!)」シュッ マイケル「(…スガ、ユーが何処にいるのかミーは知らない)」パシッ マイケル「(だけど…ユーがやりたがってる事は分かるネー)」 マイケル「(ユーがアメリカに来てから何度もやってきたフォーメーションの練習)」 マイケル「(ミーが提案したそれを…何度も反復したヨー)」 マイケル「(そして…ナウなこの布陣)」 マイケル「(それを試すのはうってつけ…ネ)」 マイケル「(ビコーズ…ミーは信じるね)」 マイケル「(ユーがこのタイミングで何を信じるか)」 マイケル「(ユーの親友だったミーだけは…それを信じる)」 マイケル「(何時も自信がなくて…誰よりも遅くまで練習していたユーなら…)」 マイケル「(ラストに信じるのは…自分のトレーニングだった…と)」シュッ 京太郎「(…最高だマイケル)」 京太郎「(そうだ…その位置だ)」 京太郎「(あの化け物の射程にも入らない…ギリギリの距離)」 京太郎「(その角度の…ゴールへのパス)」 京太郎「(それなら…追いつける…俺が…入れられる…!)」 京太郎「(渾身のアリウープ…決まってくれ…!)」ズドン ピッピー 「試合終了…!!」 「逆転!まさかの逆転です!」 「VTRを確認…やはりMrスガです!」 「Mrスガのアリウープ連発!」 マイケル「何処だ!?スガ…!?」 京太郎「……マイケル?」 マイケル「スガー!?」 京太郎「おい、俺はここにいるぞ」 マイケル「何処に行った…?」 京太郎「ここにいる…!俺は…ここにいるんだ…!」 マイケル「スガ…嘘だろ…」 マイケル「VTR…VTRは何処だ!?」 マイケル「おいテレビ局!スガはここにいるのか!?」 「い、います…カメラには…映っています…」 「ま、マイケル選手の隣で…何かを必死に伝えようと…」 マイケル「…なんだ?何が言いたいんだ?」 マイケル「スガ…聞こえない…」 マイケル「何も…聞こえないんだ…」 京太郎「………ありがとう」 ―― 例えば世界から疎まれた存在となって ―― 誰にも認識されなくなって ―― 一人ただ狂っていくだけなのだとしたら ―― はたしてそれは『生きている』と言えるのだろうか? 俺の答えはノーだ。 誰も知られない…認識されない。 ビデオカメラに映って…ようやく存在が確認される程度。 そんな俺が…生きているはずがない。 …チームの契約も打ち切られた。 そもそもロビーの人間にさえ俺は見えないのだから。 そんな気味が悪い存在を何時迄もチームに置いておくはずがない。 契約の打ち切りにともなってかなりの違約金が払われたけれど…正直それは何の慰めにもならなかった。 寧ろ…金を払うからもっとあのチームでやらせて欲しい。 声がかれるほど叫んだそれでさえ…ロビーの人間には届かなかった。 ―― 結果、俺はアメリカにある自分の部屋で鬱屈とした日々を過ごしている。 夢破れたとは言え、日本に帰る気にはなれなかった。 なにせ俺は夢の為に多くのものを犠牲にしてきたのだから。 俺の事を最後まで案じてくれた…同じ能力を持ってたモモ。 それに…朧げながら見える俺を探し続けた咲。 俺は彼女たちにろくに相談する事なく日本を飛び出した。 …それなのに今更、どんな顔をして帰れるだろうか。 日本で俺のことをどう報じられているかすら知るのが恐ろしいと言うのに。 ―― 幸い生きていくのに十分な金はある。 だが…あくまでそれだけだった。 見えない俺ではろくに買い物も出来ない。 そもそもあの決勝戦から会話すらロクにしたことがなかった。 誰も俺の事が見えないし、声も聞こえないのだから当然だろう。 ―― それでも宅配サービスにより食料は運ばれてくるから問題はない。 これで生きていくのが不可能になっていれば俺もまだ完全に絶望出来ただろう。 だが、高度に発達した現代社会は認識すら出来ない人間を活かす事も可能だ。 結果、俺は自分で自分を殺す事も出来ず、起きて寝るだけの日々を過ごしている。 ―― では…俺は何の為に生きている? それに応える言葉は俺の中にはなかった。 強いて言うなら…死ぬのが怖いから生きている程度。 そんな後ろ向きな動機しか…俺の中には残されていなかった。 夢も実現される道はなく…ただただ朽ちるだけしか…俺には残されていないのである。 ―― いや…そもそも俺はここに『いる』のか? 誰にも認識されない俺は…ただそう思い込んでいるだけではないのだろうか? 今の俺は生きていると思い込んでいるだけの幽霊ではないのだろうか? 本当の俺は…あの決勝戦で死んでしまったのではないだろうか? 京太郎「あ…あぁ…ぁ…」 それに時折、気が狂いそうになる。 自分で自分の実在すら信じられない。 生きている実感すらなく、ただ朽ちるだけの未来。 死にたい。でも、生きたい。 そんな感情に挟まれて…身体が震える。 京太郎「ああああああああああああああああああ!!!!!」 誰か声をかけて欲しい。 俺が生きているのだと言って欲しい。 ここにいるのだと教えて欲しい。 …だけど、その声は勿論、届かない。 誰にも、何処にも…届くはずがない。 幼馴染にも…同じ思いを共有した仲間も。 全て俺は…夢の為に捨ててきてしまったのだから。 京太郎「はぁ…はぁ…」 そんな発作も喉が枯れるほど叫べば少しは収まる。 相変わらず気が狂いそうなのは変わらないが、それでもほんのすこしだけ心が落ち着いた。 しかし、それは今だけの事でしかない。 日に日に発作の間隔が短くなっている事を思えば、何時かは本当に気が狂ってしまうだろう。 いや…もしかしたらもう俺は狂っているのかもしれない。 京太郎「…助けてくれ…誰か…」 もし、俺があのまま日本にいたらどうなっていただろうか。 多分、日本でプロになったらしい咲やモモと仲良くやれていただろう。 もしかしたら二人のどちらかと付き合っていた未来もあったかもしれない。 だけど、それはあくまでもしもの話だ。 でも…俺にはもうそんなものしか縋るものがない。 未来を閉ざされた俺にはもう過去しか思いを馳せられるものがないのだ。 京太郎「…あぁ…」 だが、それすらも俺にとっては苦痛でしかない。 そうやってもしもを思う度に、過去を思う度に。 取りこぼしてきた物の大事さに気づくだけなのだから。 どうしてあの時、もっと優しくしてやれなかったのか。 どうしてあの時、もっと気にしてやれなかったのか。 そんな言葉が胸を突き、吐き気となって俺を襲う。 ピンポーン 京太郎「……」 瞬間、部屋に響くインターフォン。 俺はそれに応えるつもりはまったくなかった。 なにせ、俺の姿は誰にも見えないのだから。 応答する為に出たとしても無意味でしかない。 今日は食料の注文もしていないし、わざわざ身体を動かす理由はないのだ。 ピンポーン しかし、そうやって居留守を続けてもインターフォンは鳴り続ける。 五分、十分と経っても…変わらずに。 まるで俺が家にいる事を知っているようなその諦めの悪さに思わずため息を吐いた。 幾ら無気力な俺でもこうも続けば苛立ちも覚える。 宗教の勧誘だかなんだか知らないが…適当に驚かせて帰してやろう。 ガチャ 照「……あ、京ちゃん」 ―― そう思って扉を開いた俺の目の前にいたのは…日本でトッププロとして活躍するもう一人の幼馴染だった
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第十五章【古典的!? あったか~い最強ボディタッチン】 アフター 医者「これは依存性だね」 宥「依存性?」 医者「何が拠り所になったかは分からないが、今の君の体は須賀君の股間に強い執着心を抱いている」 宥「そ、そんな……」 京太郎「えええっ!? 俺のチン●にですか?!」 医者「例えば、長時間彼女を放置すると」 数十分後 宥「寒いよぉぉぉぉ!」ガタガタガタ 医者「こうなる。ここで、ポルノ男優の股間を見せると」サッ ポルノ男優「ぼっくらが生まれてくーるー! ずっとずっと前にはもうー♪」ビンビン 宥「……寒い」ガタガタガタガタ 医者「反応無し。だが、ここで須賀君のズボン越しの股間を見せただけで」 京太郎「つっても俺の姿を見せただけですけど」 宥「あったかぁぁぁいっ!!」ボムッ 京太郎「」 医者「ね? 簡単だろう?」 宥「あったかい……おちんちん」ワキワキ 京太郎「あの、これはこれで問題だと思うんですが」 医者「男冥利につきるだろう。まぁ、まだ治療法が確立されていない病気なのでね」 京太郎「それまでは俺が股間を見せ続けないといけないんですか?」 医者「いや、チン写メを送るくらいで最初は大丈夫だろう」 京太郎「……」チラッ ___ x≦´ `≧x / `ヾ // /{ ‘. ∨ ‘. .'/ / / | { ! ‘. ∨ ‘. . ' ! { ! | { | _!_‘. ∨ ‘ !| | ! .| i| !、 |、{`ヽ{ヽ ! ‘ |ヽ !ヽ{!/}| ,x芹笊、 ! ! | \{,ィ笊芹 ゝ ’ ' | { ‘. { ゝゝ ’ 、 ハ !|、 ‘. ! ∧ _ , /-} !|‘. } | {ヽ _ x≦三! .' i! ‘. .! }、 ヽ三三三三三ニ // !、 ‘. .イ ∧ \、 ∨三三三 三 /' / ∧ ヽ / / /三ヽ ` `ヽ三_三三 / /三 | \ / / /` <_‘. !三三三.' /三>'、 `ヽ ` .、 ,. ´ / / | ! } !` i rァi i i} |/´ , ∨ ‘. ヽヽ /イ /}/レ{ | . ´ }/ |i イ/¨!、 i { ヽ{, !∨}/`ヽ !`ヽ |',/三.ハ ヽ.!/ ノ// i / { i iヽ ‘. ∨ !\ 宥「……私なら、大丈夫だから」 京太郎「……何言ってるんですか。これくらい、お安いご用ですよ」ジィー ボロン 宥「!!」 京太郎「俺が……必ず宥さんを助けてみせます!」 宥「ありがとう。えへへ、須賀君のその気持ちが――」ギュッ 京太郎「!?」ドキッ 宥「すごぉく、あったかぁ~い♪」ギュゥゥ チンッッッッッ!!!!
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灼「……ごめん京太郎、荷物持たせちゃったね」トコトコ 京太郎「気にしないでくださいよ、元から荷物持ちのために着いてきたようなもんだし……夕飯の買い物くらいならいつでも付き合いますよ」スタスタ 灼「そ、そう……あ、ありがとう」テレッ 京太郎(そういえば……灼さんの出かけ用の私服ってなんか新鮮だなぁ……) 京太郎「灼さんの私服って自分で買ってるんですか?」 灼「……服はお母さんやお祖母ちゃんが勝手に買ってくるから、これもお母さんが選んだやつ」クルッ←漫画2巻参照 京太郎「へぇ……そうだったんだ、自分で服とか買わないんですか?」 灼「最近は全然……服とか着れればなんでもいいし……」 京太郎(……とか言ってるわりにはけっこー気にしてそうだな…………あっ)ピタッ 京太郎「灼さん、あの店に寄ってもらってもいいですか?」スッ 灼「……洋服店?」 京太郎「服の話してたら、なんだか新しいの買いたくなってきちゃって……灼さんも新しい服買いませんか?」 灼「え?」 京太郎「たまには自分の服とか選ぶのも楽しいですしね!行きましょうよ!」 灼「う、うん……」コクッ 灼(……気を使わせちゃったのかな) 灼(……でも自分の服を選ぶのとか久しぶり………) 灼(………ちょっと楽しくなってきた)ドキドキ 店員「……ありがとうございましたー!」 京太郎「……ふぅ、なかなかいい買い物した気がするぜ……!」 京太郎「ここって洋服だけじゃなくて色々な服とか置いてるんだなー、種類も豊富だなぁ」キョロキョロ 京太郎(ここなら灼さんが気に入る服とか見つかりそうだし……来てよかったかな) 京太郎(……あれ、そういえば灼さんは?) 灼「…………」ジーッ 京太郎「あ、いた……灼さん、なんかいい服でも見つかりましたか?」 灼「京太郎……うん、見つかったんだけど……どっちにしようか迷っちゃって」 京太郎「あーそういう事ありますねー、どんな服ですか?」ニコッ 灼「これなんだけど」 京太郎「」 京太郎(…………え?) 灼「最初のやつの方が良いと思うんだけど……こっちのシャツも捨てがたい」ムムム… 京太郎「…………え?」 灼「……ねぇ、京太郎はどっちが良いと思う?」 京太郎「」 京太郎(ヤバイ……!俺と灼さんでは存在する次元が違いすぎる!!!まさかここまでダサ……いや、奇抜だったとは……!)ブルブル 京太郎「ち、ちなみに灼さん……?それってもちろん部屋着とかっすよね?」 灼「え?普通に外でも来てくけど?」ポカーン 京太郎(ギャグじゃない……だとっ!?)ゾクッ 京太郎(いかん……、灼さんを止めないといけない……、あんなシャツ来てる人の隣歩きたくねー!!存在が疑われるわ!!)ビクビク 京太郎「あ、灼さん!」 灼「な、なに?」 京太郎(今の俺にできることはせいぜい矛先を変えるだけ……せめて焼肉よりはマシなTシャツを!!!!) 京太郎「………な、753Tシャツはいかが?」ビシッ シーン 灼「…………………京太郎」 京太郎「……は、はい」 灼「……京太郎って服のセンスあるんだね……!」キラキラ 京太郎「…………え」 灼「分かった、京太郎が選んでくれたの買う」スタスタ 京太郎「……ってちょっと待った灼さん!!今のはほんの出来心っていうか!!?」アタフタ 灼「…………京太郎、……あ、ありがとう」///タッタッタ 京太郎「」 ……俺のした事が果たして本当に正しかったかどうかは分からない ………だけど、一つだけ変わったことがある それは…… 灼「き、京太郎………」 京太郎「灼さん?どうかしたんですか?」 灼「あの……こ、今度の休みに………」ボソッ 京太郎(………あぁ) 灼「……ま、また一緒に服買いにいかない………?」/// 京太郎(……………またですか………)ハァ… 灼さんと一緒に洋服屋に行く回数が増えました……… 灼「ねぇ京太郎、このらいおんシャツどっちが良いと思う?」バッ 京太郎「……どっちも似合いますよ、灼さん」ニコッ カン!
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http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1343292209/ 京太郎「嶺上ツモ。16000オールだ…」 京太郎100000 咲-30000 和-30000 タコス-40000 咲「つ…強すぎる…」 和「こんなオカルト…ありえません…」 タコス「犬がこんな強いとは…知らなかったじぇ…」 京太郎「俺なんか別に強かねえよ。今日は偶然運がよかっただけだ」 久「…ふ~ん。偶然ねぇ。私にはまだ実力の20%も出してないように見えたけど?」 京太郎「部長まで何を言い出すんですか。俺みたいな素人を買いかぶりすぎですって」 京太郎「それにみんなも知っての通り、俺の麻雀ランクは"F-"だぜ?」 京太郎「Aランクの皆に勝てたのは偶然に決まってるじゃないか」 咲「そっかぁ~。でも、今日の京ちゃん・・・ちょっとかっこよかったかも・・・///」ポッ 和「(須賀君、多分実力を隠していますね・・・凄い・・・///)」 ワカメ「・・・」ニヤニヤ 京太郎「(・・・ったく、こうなるから隠しておきたかったんだ・・・)」 京太郎「(ワカメの野郎にまさかランク"SSS+"の通知書が見られるとは・・・迂闊だったぜ)」 放課後、部室 京太郎「これでいいんですよね?約束はちゃんと守ってもらいますよ?」 ワカメ「分かっとる分かっとる。あんたの麻雀ランクについては誰にも言わんでおく」 ワカメ「それにしても・・・まさかお前さんが世界に一人しかいないと言われてるランク"SSS+"の雀聖だったとはのぅ」 京太郎「ちょっと染谷先輩、あまりそういう事を口外しないで下さい。ここではランク"F-"って事になってるんですから」 京太郎「誰が聞いてるかわかりませんからね」 久「(・・・須賀君がランク"SSS+"ッ!?)」ゾクゾクゾク 久「(マコと須賀君がコソコソ怪しかったから隠れてたけど・・・凄い事を聞いてしまった・・・・///)」ドキドキ 帰り道 京太郎「今日は厄介な事になっちまったな…」 タコス「お~~い!バカ犬~!」 京太郎「…なんだタコスか。俺になんか用か?」 タコス「何だもタコスもないじぇ!この資料はどういう事だじぇ!」バンッ! 京太郎「…俺の事、調べたのか?」 タコス「今日の犬の打ち筋があまりにも凄かったから気になって調べたけど…」 タコス「この資料…嘘だらけだじぇ!」 タコス「出身地も出身中学も趣味も特技も何もかも全部デタラメだじぇ!」 タコス「そして何より!バカ犬が麻雀ランクF-って資料が何処にも見当たらないじぇ!」 タコス「お前…何者だじぇ…」ドキドキ 京太郎「(人の個人情報を他人に渡すとか…まずいだろ清澄…個人情報保護法的に考えて…)」 京太郎「(にしてもめんどくさい事になったな…)」 照「京ちゃん…こんにちは…///」 京太郎「ちょっ!照!お前なんでこんな所に!?今日は例の日じゃないだろ!」 タコス「てる…?その人は誰だじぇ?」 照「突然来てしまってごめんなさい。京ちゃんに一日でも多く麻雀を教えt」 京太郎「照!ちょっとこっち!」グィッ! 照「京ちゃん…大胆…///」ポッ タコス「あ、こら!バカ犬!逃げるなぁ~!!」 タコス「クソ~逃げられたじぇ…」 タコス「それにしてもさっきの人…なんだか咲ちゃんに似ていたような…」 タコス「バカ犬…きょ…京太郎とどんな関係なのか気になるじぇ…」 白糸台 京太郎「結局なんだかんだで白糸台まで着てしまった…」 照「私達の為に…ありがとう…京ちゃん…///」 淡「須賀く~ん!!来てくれたんだね~!///」 菫「須賀…その…なんだ…今日もその…よかったら特訓を頼む…///」ドキドキ 京太郎「しょうがねぇ…じゃあ早速打とうか。向こうでは実力を隠してるから腕が訛っちまってるかもな」 菫「そういえば清澄の方では須賀の実力を知っている者はいないんだったな」タン 淡「須賀君の凄さが分からないなんて!清澄の人達の目は節穴です!!」タン! 照「…淡、良い事言った」タン 京太郎「いや、それが実は昨日バレちまった。なんとか誤魔化したが十中八九バレてると思う」チャ 京太郎「よし、ツモ。8000オール」パタパタパタ 淡「それにしても須賀君に買出し行かせたりタコス作らせたり荷物持ちさせるなんて」 淡「私本当に清澄の人が許せません!今度の大会でボコボコにしちゃいますよ!」タンッ! 京太郎「まぁ淡、そう言うなって。向こうじゃ実力隠してる俺が悪いんだし・・・」ドンッ! 京太郎「それに俺だって清澄の一員だぞ?」 照「白糸台に転校すればいいのに・・・」タン 菫「須賀・・・ちょっと待て」 京太郎「ん・・・?どうした菫?」 菫「須賀、そのリストバンド、外してみろ」 京太郎「ん?これの事か?」パッ ズドーンッ!! 照「このリストバンド・・・200㎏はある・・・」 菫「須賀、私達の前では素のお前でいてもいいんだぞ?」 京太郎「わり。癖になってんだ。力抑えるの」 東1局2本場 京太郎「じゃ、久々に能力使うか・・・」 照「京ちゃんの能力見るの久しぶり・・・///」ドキドキ 菫「ようやく須賀の本気を見れるのか・・・」 菫「ではまずは出鼻挫きの先制リーチだ!」 京太郎「ふ、ならばおっかけリーチだ!」 淡「あ~・・・こりゃ~岩手の姉帯さんの"オリジナル"かな?」 京太郎「ツモ!4000オール!」 照「やっぱり本物は凄い・・・///」 淡「姉帯さんじゃなくて私にこの能力を教えてほしかったなぁ~・・・///」 菫「卓上に夢を描きつつ追っかけリーチか。本当に恐ろしい奴だ・・・///」ゾクゾク 東1局3本場 京太郎「(じゃ、軽く12巡先でも見てみるか)」キュイィィィン! 京太郎「(11巡目で菫がツモるか・・・随分早いな。ならば・・・)」 京太郎「(その未来を"消し飛ばす"!)」ゴゴゴゴゴ 照「!?!?」ゾクゾク! 菫「ッ!?」ビクッ! 淡「・・・?」 菫「(今大切な"何か"が変わった気がした・・・)」 照「(まさか京ちゃん・・・"未来"を変えた・・・ッ!?)」 11巡目 京太郎「ツモ。タンヤオのみ。1000点だ」 照「さすが京ちゃん…///」 菫「物凄く良い手配なのに和了れなかった…」 淡「須賀君凄すぎる…///」 京太郎「なぁ。」 菫「?」 照「ん?」 淡「どしたの?」 京太郎「そろそろ"目を開けて"打っていいか?」 みんな「!?」 京太郎「それと学ランの上着も脱がせてもらうぜ」ズドーンッ! 菫「…まだ力を抑えてたのか」 京太郎「わりぃな。子供の頃から色々抑えてて。家庭の事情でね」 京太郎「ま、これで70%ってとこか?教える分には丁度いいだろ」 照「…京ちゃんがそういうなら…///」 淡「……ワイシャツ姿の須賀君…かっこいい///」ポッ 菫「す…須賀…///もし私が須賀に勝ったら…そ…その…一緒に喫茶店にでも付き合ってくれんか?///」 淡「あっ~!菫ちゃん!抜け駆けは禁止~!」 照「京ちゃん…私も…///」 京太郎「わり、俺珈琲とか苦手なんだ。それに…」 京太郎「俺に勝つなんて無理だろ?」ニコッ 照菫淡「(…かっこいい///)」 東1局4本場 京太郎「……」シュバババ 菫「(は…速いッ!今理牌を何秒で終わらせたッ!?)」 菫「(二秒…いや…一秒!?いや、もしかしたらそれ以下か!?フェイントも5回以上は入れてたな…はは…考えられん…)」 京太郎「俺のターンだ」シュバババ 照「(…す…凄い…。さっきとはスピードが段違い…。今1ターンで2回…いや、3回はツモったか?)」ハッ! 照「そうかッ!!京ちゃんの河を確認すれば…ッ!?」 京太郎の河 1ピン 9ソウ 北 南 中 照「(ご…5回…だ…と…?)」ガクガク 京太郎「わりぃ、ちったぁ力抑えた方がいいか?」シュバババ 菫「い…いや!結構だ。70%の須賀の実力を見ておきたい…///」 照「風圧で目が見えない…ッ!!今まで京ちゃんはこんな状態で打っていたの!?」ポロッ 京太郎「…わりぃな、それ、ロンだ」パタパタパタ 照「くっ!」 照ライフ8000→6100 淡「(か…辛うじて見えた…ッ!!ドラの表示牌とてるてるのロン牌が入れ替わっているッ!な…なんてスピードッ!!」 京太郎「まだまだ行くぜ…?」 京太郎「倍プッシュだ」ニヤッ 一時間後… 京太郎「みんな、お疲れさん」 京太郎100000照-20000菫-40000淡-30000 照「……///」ピクピク 淡「……///」ジョワァァ 菫「……///」ジュワァァ 京太郎「…あちゃ~みんな気絶しちまってる…」 京太郎「こりゃやっぱ次からは力抑えないとダメだなぁ」 京太郎「反省反省」 京太郎「ま、みんなも倒れてるし、龍門渕にでも遊びに行くか。ハギヨシさんもいるし」 龍門渕高校麻雀部 透華「あら、あなたは確か清澄の雑用係じゃありませんこと?」 京太郎「あ、その節はどうも。清澄の須賀京太郎と言います。ハギヨシさんいますか?」 透華「生憎今ハギヨシはいませんわね…」 透華「ところであなた、京太郎さんと言いましたっけ?あなた麻雀は出来ますの?」 京太郎「…麻雀ですか、一応出来る事は出来ますけど…」 透華「ナイスですわ!」 透華「今丁度麻雀が出来る人間が3人しかいなくて…ハギヨシが戻るまで入ってもらってもいいですわね?」 京太郎「はぁ…。(ま、ハギヨシさんが戻るまでくらいならいっか…)」 衣「お~、と~か。新しい友達か?」 一「む…男の人…」イラッ 透華「どうやらハギヨシのお友達のようですわね」 京太郎「始めまして、須賀京太郎と申します」 一「透華が男の人を連れてくるなんて珍しいね」イライラ 透華「一は何をイライラしてますの?それより京太郎さんは麻雀が出来るようなので早速打ちますわよ~!」 衣「お~、きょーたろーも麻雀が出来るのか。強いのか?楽しみだなぁ~」ニコニコ 京太郎「いや~俺なんて全然弱いですよ…はは…」 京太郎「(ふ~ん。この子、麻雀ランクA+はあるな。やるじゃん)」 東3局目1本場 親 透華 透華36000 衣35000 一28000 京太郎1000 透華「ふふ、きましたわ!リーチですわ!!」 京太郎「いや~これは困ったなぁ~…ははは」 衣「今日のと~かは強いなぁ~」 一「ちょっと透華~?初心者の京太郎君もいるんだし、もう少し手抜いてあげたら?」 透華「初心者とは言え手を抜くのは失礼ですわ!!ふふ、覚悟なさい!京太郎さん!」 京太郎「はは、透華さんは手厳しいなぁ~(う~ん、ちょっと手抜きすぎたかな?)」ニコニコ 今の京太郎のハンデ 200㎏のリストバンド×4、1tの上着、利き腕縛り、視力縛り、全能力縛り、聴牌縛り 京太郎「(ま、ここで飛ばされて終わらせるってのもありっちゃありだな~)」 一「ごめんね~京太郎君。透華ってば大人気なくて~」 京太郎「いえいえ、俺の方こそ相手にならないくらい弱くてごめんね~…はは」 衣「………なぁ」 衣「いつまで"人の土俵"立っているつもりだ?」 一「…?衣?それってどういう…」 京太郎「…あ~、やっぱA+レベルにはわかっちゃうか~…」 透華「???」 衣「お前も"こっち側"の人間であろう?」 衣「有象無象の化け物め!!」 一「衣…?私には衣が何を言ってるのかさっぱり…」 衣「そやつの腕を持ってみればわかる」 一「腕…?ちょっと失礼…」グッ 一「ッ!?重ッ!!な…何なんだこれぇ~!?」 透華「ど…どういう事ですの!?まさか手を抜いてらしたんですの!?」 京太郎「ん~、ま、A+がいるしバレるわなそりゃ」パッ ズドーン! 京太郎「ごめんごめん。ちょっと俺、力抑えんの癖になってて」ニコッ 透華「な…なんて重さ…」ガクガク 一「ぜ…全然気がつかなかった…」ブルブル 京太郎「まぁでも、今呪霊錠は解いたから、能力だけは開放させて貰うぜ?」 京太郎「さすがにこのまま飛ばされて終わりってのはつまんないからな」ニヤッ 今の京太郎のハンデ 1tの上着、足技縛り、利き腕縛り、聴牌縛り 東3局1本場 透華「よ…よくもまぁ騙してくれましたわね!」 透華「しかし、私が先ほど掛けたリーチでツモ和了りすればあなたのトビは確定しますわ!」 京太郎「ま、そうなりますね。"ツモれれば"の話ですけど」 京太郎「(とりあえず15巡先まで見ておくか…)」キュイィィィィン 京太郎「(あ~、こりゃ6巡目で和了るなぁ~)」 京太郎「(だがその"未来"は…)」 京太郎「(俺が"消し飛ばす!")」ゴゴゴゴ 衣一透華「ッ!?」ビクッ!! 東3局1本場30巡目 透華「ぜ…全然和了れませんわ…」 一「(この感じ…衣の場の支配と同じようでまるで違う…)」ガクガク 衣「(ハイテイすら和了れる気がしない…)」ガクガク 京太郎「ふぅ、流局だな。でも俺の河を見て欲しい」 透華「…ッ!?ま…まさか!!」 京太郎「………そう」 京太郎「"流し満貫"だ…」フッ 一「(こ…この人…一体何者…!?///)」ドキドキ 衣「(……きょ…きょーたろー…かっこいい…///)」ポッ 透華「(京太郎さん…素敵ですわ…///)」キュンッ 一時間後… 結果 京太郎1192296 衣794 一-999999 透華-300ペリカ 京太郎「あちゃ~やっぱA+を飛ばすのは無理だったかぁ~」 衣「振り込まない様に逃げ回るだけで精一杯だったぞ…///」 衣「なぁきょ~たろ~…?///きょ~たろ~にトバされなかったご褒美に…今度衣を遊園地にだな…その…///」 一「衣~!抜け駆けは禁止だよ!京太郎君!」 一「もしよかったら今度僕のマジックショーを見に来てくれないかな?一番前の特等席を用意するよ!///」 透華「ちょっとお待ちなさい!京太郎さんはわたくしと龍門渕専用リゾートで遊びになりますのよ!///」 衣「いや衣と!」 一「いいや私と!」 透華「わたくしと!」 京太郎「(あちゃ~めんどくさい事になってきちまったなぁ…)」ヤレヤレ バーン! 咲「京ちゃん!やっと見つけた!」 透華「清澄の!?どうしてここに!?」 タコス「おい犬~!私と結婚するじぇ!」 淡「清澄の人なんかに須賀君は渡さないよ!須賀君もしよかったら私と…」 衣「白糸台!?」 照「いいや、私と」 久「須賀君、私と…」 和「部長、さすがにこればかりは譲れません」 菫「須賀、私と…」 衣「きょ~たろ~…衣と…」 みんな「私と」 みんな「結婚して下さい!」 京太郎「…まぁ能力もバレちまったし。しゃあねぇか」 京太郎「みんな俺の嫁にしてやるよ」フッ おわり