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. 竜華「ご、ごめん、待った?」 京太郎「全然ですよ、今来たとこです」 竜華「そうなんか、良かったぁ。ほな行こか」 京太郎「おっとまずはその前に……」 竜華「?」 チュッ 京太郎「さ、行きましょうか」 竜華「///」 竜華「なあなあ、今日はどこ行くん?」 京太郎「えっと……まずは映画ですね」 竜華「ええやん、はよ行こ!」グイッ ギュッ 京太郎「うわっ、いきなり掴まないでくださいよ!」 竜華「こうせえへんと迷子になるやろ?」 京太郎「なりませんよ!子どもじゃないんだから」 京太郎「……あ」 竜華「?どうかしたん?」 京太郎「ちょっと……トイレに」 竜華「……」カァァ 竜華「ほなウチ、待ってるから」カァァ 京太郎(かわいい) 京太郎「未だに子どもが何人欲しいかーって聞いても顔真っ赤にするんだよな」 京太郎「清純なのか、むっつりなのか……」 京太郎「まあかわいいからいいけど」 「ギョギョギョギョギョ!」ササッ 京太郎「ん?」 「ギョギョ!」 「科学ノ進歩、発展ニ犠牲ハツキモノデース」 ビビビビビビビビビビッ! 「ギョギョギョギョ!」ササッ 京太郎(竜華)「あれ、今ウチ……」チラッ ポロン 京太郎(竜華)「……え」 竜華(京太郎)「ふぅ……」 竜華(京太郎)「ん?なんか全然出ないような……」チラッ ポヨン 竜華(京太郎)「……は?」 ドタドタドタ 京太郎「え!?」 竜華「なっ!?」 京太郎「ウチ!?」 竜華「俺!?」 京太郎「ウ、ウチがおる……」ワナワナ 竜華「えっと、目の前に俺がいて、竜華さんの関西弁を喋ってるってことは……」 竜華「俺と竜華さんが、入れ替わった?」 京太郎「い、いや、そんなんありえへんやろ」 竜華「でもこの状況はどう考えても……あ、トイレ行きたくなってきたんで行ってきます」 京太郎「やめてぇぇぇえぇぇえええ!」ガシッ 竜華「ぐえっ、力強っ!」 竜華「早くしないと漏れちゃいますよ!」 京太郎「そ、それは……嫌や」 竜華「じゃあ行ってきますね」 京太郎「いやぁあぁああああ!」 竜華「ぅぐっ!」 竜華「わかりました!わかりましたから!こうしましょう!」 【トイレ】 京太郎「は、早くしてーな」 竜華「わかってますよ」ヌギヌギ 京太郎「やっぱりウチが脱がす!」 竜華「えっ!?」 京太郎「京くんは目ぇ瞑っとって!」 竜華「は、はい」 竜華(なんだろうこの状況) 竜華(俺と竜華さんが入れ替わって、俺の身体の竜華さんが竜華さんを脱がそうとしてる、しかもトイレの中で……) 竜華(おかしいだろ) 京太郎「お、終わったで」 竜華「じゃあ出しますね」 竜華(ここは男と同じ感じでいいのかな?)シャァァァ 京太郎(何やろこれ……何か変な感じする……)モゾモゾ 竜華「よし、次は竜華さんですね」 京太郎「へっ?」 竜華「入れ替わったの出す前でしたからね、我慢してたんでしょう?」 京太郎「ぅ……せやけど」 竜華「自分が漏らすとこなんて見たくないんで、早くやっちゃってください」 京太郎「でもぉ……」ジワッ 竜華「」ゾクッ 竜華「失礼しますね」 竜華(つっても俺の身体なんだけど) 京太郎「京くん!?」 ポロン 京太郎「きゃあっ!」 竜華(なんで勃ってんだよ……) 竜華「竜華さん、なんか興奮してました?」 京太郎「興奮……?」 竜華「興奮するとここ大きくなるんですよ」 京太郎「そうなん?お父さんそんなことなっとらんかったけど……あっ、小っちゃい頃に一緒にお風呂入っとったときの話やで!」アセアセ 竜華「まあそれはこの際置いておきます」 京太郎「こ、これどうやって出せばええの?」 竜華「押し出す感じで、ちゃんと便器の中を狙ってくださいよ」 京太郎「う、うん……」ジョロロロ 竜華(映画見て今年用の水着とか買いに行くつもりだったんだけど、これじゃあ無理だな) 京太郎「さっ、はよ映画館行こっ!」 竜華「あーもう待ってくださいよ!」 怜「竜華、何しとるん?」 京太郎「と、怜!?」 セーラ「オレもおるで!」 竜華「セーラさんまで!」 怜「ああ、そういえば今日が初デートやったっけ」 竜華(これはめんどくさいことになる予感……!) 竜華「せ、せやで、ほな京くんはよ行こ!」グイッ 京太郎「またなー怜ーセーラー」フリフリ 竜華「はぁ……はぁ……なんでいるんだあの二人……」 京太郎「もっと話したかったなぁ」 竜華「バレたらどうするんですか!完全にオカシイ人になりますよ!」 京太郎「うっ、それは嫌やな……」 竜華「まあ多分もう誰にも会わないと思うんで、さっさと行きましょう」 咏「お、京太郎じゃーん」 照「竜華もいる」 京竜((言ったそばから!?)) 京太郎「はぁ……ぜぇ……」 竜華「はぁ……はぁ……」 竜華「なんでどこにでもいんだよあいつら……」 竜華「道にも映画館にも店にも、レストランにも……」 京太郎「なんか……疲れた」 竜華「じゃあ膝枕でもしましょうか」 京太郎「ふふっ、いつもとは逆なんやな」 竜華「はい、どうぞ」ポンポン 京太郎「おおきに」ポスン 竜華「気持ちいですよね、竜華さんの太もも」ナデナデ 京太郎「せやな、こんなん初めてや」 竜華「……俺たち、いつ元に戻るんでしょうね」 京太郎「……わからん」 竜華「……あ」 京太郎「どうしたん?」 竜華「竜華さん、俺にキズしてください」 京太郎「へっ?」 竜華「ほらあれですよ、おとぎ話の法則、王子様がキスすると魔法が解けるっていう」 京太郎「ほんまに……?」 竜華「ほら早くしてください王子様」 京太郎「ふふっ、自分のこと王子様って言うんやな」スクッ 竜華「竜華さんにとってはそうなんでしょう?」 京太郎「……せやで」 京太郎「ウチを、ウチが抱えとった重みをわかってくれて、救ってくれたんやから」 京太郎「京くんは、ウチの王子様や」 竜華「その言葉、竜華さんの口から聞きたかったです」 京太郎「何回も言うたるわ、いつでも、どこでも」 チュッ 竜華「ずっと、一緒やで」 京太郎「あ」 竜華「あ」 京太郎「戻り……ました、ね」 竜華「せ、せやな……」カァァ 竜華「……はずい、はずいわ……」 京太郎「そんなこと、ないですよ」 京太郎「ずっと、一緒です」ギュッ 竜華「……うん」カァァ 京太郎(かわいい) .
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209 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/04(日) 22 04 49.63 ID UtP8wYyTo [1/15] 【前回までのあらすじ】 清澄高校麻雀部による京太郎への童貞コール それは彼女達なりの愛情の裏返しであったが、恐ろしく鈍感な彼にその愛情は伝わらない 彼は誓った 童貞であることを恥じ、生まれ変わることを 童帝になり、世界を手に入れると 京太郎「我が名は(経験)ゼロ! 非童貞への反逆者である!」 一太「ゼロ!」 嫁田「ゼロ!!」 ハギヨシ「ゼロ! ゼロ!!」 京太郎「俺は手に入れた。この力――好感度を操るギアスを」 これを使い、俺は童貞を捨てる そして可愛い彼女と猿のようにヤりまくってやるんだ! 京太郎「うぉおおおおおおおお!! ヤるぞぉぉお!」 ハギヨシ「須賀君」 京太郎「はい」 ハギヨシ「……頑張りましょう」 京太郎「……はい」 212 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/04(日) 22 11 22.23 ID UtP8wYyTo [2/15] 【エロの騎士団 本部】 京太郎「ようこそ、天江衣さん」 衣「……なんだここは?」キョロキョロ 京太郎「ここは我々のアジトですよ」 衣「アジト? そのアジトでなぜハギヨシが横たわっている?」 ハギヨシ「」ビクンビクン 京太郎「……そんなことより、私とお話でもしませんか?」 衣「断る。奇妙奇天烈な仮面を被った男め」じりっ 京太郎「これは失礼。しかし、正体を知られるわけにはいかないのでね」 衣「仮面の男、貴様は一体何者だ?」 京太郎「我が名はゼロ。童貞への反逆者である」 衣「どーてい?」 やはり童貞を知らないか 純粋無垢な少女を汚すのは気が引けるが…… 京太郎「天江衣さん、私はアナタを頂戴する 衣「は?」 京太郎「須賀京太郎が命じる……」 衣「お前きょうたろーか。清澄の」 京太郎「あ、やべ」 衣「どういうつもりだ? なぜハギヨシを!」 京太郎「ええい! とにかくこれでもくらえ!」キィィィン 衣「!!」 京太郎「俺とエッチしてください!!」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29耳かき 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60原付 61防寒具 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72壁 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 ありったけのーゆーめをーかきあーつめー 224 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/04(日) 22 18 38.73 ID UtP8wYyTo [3/15] 81 初恋の人 ぼふんっ 京太郎「……」 衣「えっち?」 京太郎「ダメだ、やれない」がくっ 衣「!」 京太郎「すみませんでした天江さん。俺はわけあって貴方を誘拐しました」 衣「わけ? 何があったのだ清澄の雑用よ」 京太郎「それは……」 言えない 貴方が、俺の初恋の人だなんて 俺に、童貞の俺にそんな資格は無いんだ 京太郎「嫁田!」 ざっ 嫁田「どうしたんだゼロ!!」 京太郎「天江さんを家までお送りしろ」 嫁田「え? いいのかよ?」 京太郎「やはりこんなことは間違っている。彼女では脱童貞は無理だ」 嫁田「俺はいいけど、副会長がなんて言うか」 京太郎「いいんだ。全て、もう」 衣「???」 京太郎「すみません天江さん」 衣「目を見れば分かる。お前は悪い奴じゃない」 京太郎「天江さん!」 衣「いつでも呼べば話してやろう。こんなかたちでなくても」 京太郎「……はい」 そうだ 童貞だって、こんな風に一歩ずつ進んでいけば きっといつか―― 嫁田「副会長のロリコンがうるさいぜ?」 京太郎「いいんだよ。ロリコンなんて、みんな死ねばいい」 衣「ロリコン?」 京太郎「ロリコンは敵なんですよ。特に天江さんは、ロリコンを皆殺しにすべきですね」キィィィィィン シパァァァァン 衣「……ロリコン、皆殺し」ブツブツブツブツ 231 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/04(日) 22 22 46.84 ID UtP8wYyTo [4/15] 京太郎「じゃあ俺は次のターゲットを選ぶか」 嫁田「俺は送ってくるぜー」 衣「……ロリコン」 ダダダッ 一太「ひゃっほぉぉぉ! ころたんだぁぁぁ!!」 ハギヨシ「待ちなさい! 衣様に手出しはさせません!」 一太「うるせぇ! ロリコンを舐めるなイケメン!!」 衣「! ロリコン!!」ジャキンッ 一太「ころたーん!」 衣「死ね! 灰燼と化し輪廻の果てでも滅ぶがいい!!」グサッ 一太「おぐぇっ!?」ブシャァァァ 衣「あああああああ!」グサグサグサグサグサグサ 一太「」 ハギヨシ「ふぅ、これで解決ですね」 京太郎「遊んでないで次行きますよー」 さて、今度は誰にお願いしようかな ↓2 ちーさなーころにはー たーからのちずーがー 237 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/04(日) 22 29 29.30 ID UtP8wYyTo [5/15] 数日後 【エロの騎士団 本部】 お菓子の山「」ごっちゃあああああ 京太郎「……なんだこれは?」 嫁田「ゼロ! 実は例のターゲットを連れてきたんだが……」 京太郎「なるほど。そういうことか」 ___ / . . . . . . . . . . .\ / . . . / . . . . . . . . . . .∧. / . l . /| | . .| . . . l . .l . . . | / .| .|/ 从Ν\l| .リ . . . | └┤| ┃ ┃l/ ) . . .| |人 -( ..ィ´ . . .八 |八{≧=┐{\|/l/ /{\「/∠ ∧ 〈_「ヽ襾/} }-┤ ├}.. }=/ { i┬| |/................`|| 照「むぐむぐ」 京太郎「(久しぶりに会ったけど、変わらないな)」 照「むぐ?」 京太郎「お会いできて光栄ですよ、宮永照さん」 照「京ちゃん?」 京太郎「ほわぁっ!?」 照「声で分かる」 京太郎「ぐっ……違う。我が名はゼロ!」 照「童貞なの?」 京太郎「ほわぁぁっ!?」 照「別に気にしないよ。むしろ好感」もぐもぐ なんだ、何を言っている!? この人は一体何が目的なんだ!? 照「お菓子食べる?」 京太郎「照さん、俺はもう子供じゃない。皮だって向けてる、ズルズルなんだ」 照「像さん?」 京太郎「毛だってボーボーで、アナタとお風呂に入っていた頃の俺じゃない」 照「京ちゃんの像さん可愛かったのに」 京太郎「今では立派なマンモスですよ」 239 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/04(日) 22 37 00.87 ID UtP8wYyTo [6/15] 照「京ちゃんは何がしたいの?」 京太郎「俺はただ変わりたいだけですよ。以前までの惨めな俺から」 照「違う。京ちゃんは惨めなんかじゃない」 京太郎「!」 照「麻雀だって弱い。運動神経と顔くらいしか取り柄は無いけど」 京太郎「」 照「私は好きだよ」 京太郎「……黙れ」 照「咲も私も、京ちゃんのことを大切に……」 京太郎「黙れ! このお菓子ジャンキーが!!」 照「!」 京太郎「綺麗事で童貞が捨てられるのか!? 俺はハメハメ出来るのか!?」 照「それは……」 京太郎「例え貴方が認めても、世界は変わらない! 俺が童貞である限り!!」 照「……」 京太郎「俺は童貞を捨てる! どんなことをしても!!」スッ 照「……ごめんね、京ちゃん」 京太郎「須賀京太郎が命じる」 照「私達がもっと」 京太郎「俺を脱童貞させろ!! 全力で!!」キィィィィン 照「京ちゃんに目を向けていれば――」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29耳かき 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60原付 61防寒具 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72壁 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 みらいだけしんじてるー だれかがわらってもかまわない 250 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/04(日) 22 42 43.30 ID UtP8wYyTo [7/15] 01 他人 ぼふんっ 照「……は?」 京太郎「え?」 照「アナタ誰?」 京太郎「あ、えっと」 照「初対面の人にそういうことを言うなんて」 京太郎「それは、えっと」 照「警察呼ぶよ?」 京太郎「すみませんでした! それだけは勘弁してください!」土下座 照「……気持ち悪い」 京太郎「っ!」 照「これだから童貞は……」ブツブツ プルルル 照「はいもしもし?」 菫『照か? ずっと探してるんだぞ?』 照「あ、ごめん。なんかキモイ童貞に捕まっちゃって」 菫『なんだと!? 早くそこから逃げろ! 童貞は見境が無いんだ!』 照「私もそう思う。じゃあ、また後でね」 ブツッ 京太郎「……」 照「……」 ,. .  ̄ ̄ ̄ . . .、 ,. ´ ` . 、 / \ .' \ \ \ / , , \ \ \ \ . .' / / ヽ ヽ ヽ ∨ ∧ / 〃 | | |、 |、_ | | . , ' | | { | \イ l´\ | , | . / | | | _,∧ | { \},.ィtr‐、 /}/ | ′ | { { ´「´ | 从 {\ \ ィ雹(_心 イ /⌒Y | | ' 从 ∧ { 从{ \` ー` 乂こソ | / ) } | / . イ \ { ,イ¨雹芯 /' ,..-_ノ | | ,' / | 从\ . 乂zリ / | | | | ー ´ | ∧ ' ム | | | | , | { ∧ _ , イ | | | |l | Ⅵ | | 个 .. < | | | 从 ! ∨ ∨ | { ≧=-r ´ /⌒| / / Ⅵ \ \} \ ヽ / ∧ _,/ /'/ ,.く \ } \> ,.イ /⌒\/ ,.- / /、 \ \ // ,' / / /イ- 、 \ ∧ /,イ / / //´ \ \∧ 照「童貞って可哀想だね」ぼそっ 京太郎「……」 257 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/04(日) 22 48 25.35 ID UtP8wYyTo [8/15] 数日後 【清澄高校】 京太郎「……」 咲「あ、京ちゃん!」 京太郎「……」フラフラ 和「須賀君!」 京太郎「俺は、俺は……」 まこ「京太郎!」 京太郎「……童貞」 久「須賀君! いいロッカーが入ったんだけど!」 京太郎「俺は戦う」 優希「京太郎! ほれ! ぱんちら!」ぺろっ 京太郎「童貞を捨てるんだ……何をしても」ぶつぶつ 咲「京ちゃん……」 久「一体何があったのかしら?」 優希「分からないじぇ」 まこ「お前らのせいじゃろ」 和「全くです!! 須賀君に謝ってください!!」 京太郎「ふははははははははっ!! 俺は童貞だ!! 経験ゼロだ!!!」げらげらげら ↓2 きーみっのてっでー きーりさいってー! 262 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/04(日) 22 57 08.33 ID UtP8wYyTo [9/15] 【公園のベンチ 雨】 ザァァァァ 京太郎「……」 バシャッ バシャバシャバシャ ?「……風邪を引きますよ」 京太郎「……?」 和「……ここにいたんですね」 京太郎「和か」 和「捜しましたよ」 京太郎「ハッ、こんな童貞をか?」 和「違います」 京太郎「?」 和「……童貞ではなく友達を、仲間を捜しに来たんです」 京太郎「……何の為に?」 和「それは、元気づけようと」 京太郎「元気づける? 俺をか?」 和「はい、そうです」 京太郎「……」 和「お願いです須賀君。元気を出してください、そして部活に」 京太郎「……」 和「須賀君?」 京太郎「俺は童貞だ。その事実は変わらない、俺が、童貞である限り……俺は童貞だ」 和「どうしてですか!? アナタは須賀京太郎! 私達の仲間じゃないですか!!」 京太郎「違う!! 俺は童貞だ! 練習もまともにさせてもらえない! ただの! 童貞だ!!」 和「っ!」 京太郎「俺を慰めると言ったな?」 和「は、はい」 京太郎「女なら出来ることがあるだろ?」ぐいっ 和「いやっ!!」パシッ 京太郎「っ」ジンジン 和「あっ……」 京太郎「くっ、クク……そうだよ。それでいい、和」 優しさなんか見せるな 優しさで童貞は捨てられない 同情で女は抱かれたりはしないのだから 267 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/04(日) 23 03 31.47 ID UtP8wYyTo [10/15] 和「須賀君、これは!」 京太郎「もういい。俺はもう限界なんだ」ビンビンッ 和「ひっ!?」 雨に濡れて透けて制服 和の透けパイを間近で見せつけられて、我慢できる童貞がいるものか 京太郎「これで俺も悪魔になれる」 お前に使わせてもらう 悪の力を 俺を孤独にする王の力を 京太郎「須賀京太郎が命じる……」 好きだったよ和 お前のこと 和「待ってください須賀君! 他にきっと方法が!」 京太郎「俺と汗だくセックスをしろ! 激しく!」キィィィン 和「!!」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29耳かき 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60原付 61防寒具 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72壁 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 むーちゅうでー はーやくー かーけーぬけてきーたー 283 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/04(日) 23 13 52.90 ID UtP8wYyTo [11/15] 99 牝奴隷 ぼふんっ 京太郎「……」 和「あぅっ」どくんっ 京太郎「どうした和? 聞こえなかったのか?」 和「あぁ、はぁんぅっ」もじもじ 京太郎「俺とヤれ。お前の身体を俺が使ってやる」 和「は、はぃ」フラフラ ぎゅっ 和「須賀君……ハァッハァ」ギュゥゥ 京太郎「顔を向けろ」 和「はい……んむぐっ」 京太郎「んっ……」 和「んぁっんぐぅ、んんちゅ……ちゅっれろぉ」 京太郎「お前は俺のモノだ」 和「はぅっ」ドクン 京太郎「俺の下僕、俺の奴隷、俺の女だ」 和「はいっ。ゼロぉ……和はアナタのものです……」トロォーン 京太郎「和、ごめんな」ぎゅっ 和「須賀くぅん……京太郎さまぁ……ぜろぉ……」スリスリ 俺は手に入れた 恐らく、俺が望む中で最も欲したものを 悪魔の力を用いて 全てを 手に入れたんだ 京太郎「俺の部屋に行くぞ。そこで一日中……お前を抱く」グニュッ 和「んひぃっ」ゾクゾク 京太郎「意識を失っても、体が動かなくなっても、魂でお前を貪る」 和「あ、あぁ……あ、あっ」 京太郎「愛してるよ、和」 和「私も、ゼロ……」 ――お前の体を 289 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/04(日) 23 24 06.23 ID UtP8wYyTo [12/15] 【五年後 世界大会 会場】 ガヤガヤガヤ 京太郎「……」 健夜「はぁ、はぁっ……これで」タンッ 京太郎「チェックメイト」バラッ 白白白白 発発発発 中中中中 東東東東 南 京太郎「大三元四槓子字一色四暗刻単騎待ち」 健夜「う、そ……」ガクッ 京太郎「……では点棒を」 健夜「無いよ。もう残ってない」 京太郎「ああ、そうでしたね。すみません」 健夜「あはは、初めて……負けちゃった」 恒子「し、試合しゅーりょー!! 勝利したのは無名の新人! 須賀京太郎だぁぁぁ!!」 京太郎「……」 恒子「では勝利者インタビューを! 日本人初の世界チャンピオンの須賀選手!」 京太郎「はい」 恒子「ズバリ! 勝利の秘訣は!?」 京太郎「さぁ、あえて言うなら――」 タタタッ マホ「京太郎さーん!」 京太郎「可愛い妻、ですかね」 マホ「優勝おめでとう!」だきっ 京太郎「ありがとうマホ。お前の為に頑張ったんだ」 マホ「えへへ」 恒子「おぉー! 見せつけてくれますねー! これ全国中継ですよ!」 京太郎「あはは、すみません」 健夜「ぐぎぎぎぎぎ」 292 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/04(日) 23 29 41.64 ID UtP8wYyTo [13/15] 京太郎「じゃあ帰ろうかマホ」 マホ「はい!」 京太郎「結婚してもう一年か」 マホ「ふふ、色んなことがありましたね」 京太郎「ああ。色んなことが、な」 童貞だった俺は、童貞を捨て、女を得て、変わった 今まので弱さが嘘のように消え去り 俺はプロになり 初めての大会で優勝し、世界大会に出場出来るレベルになった 可愛い妻も出来た 全てが順調 なにもかもが トテトテトテ ドッ 京太郎「おっと、大丈夫かい?」 和「あ、すみません須賀君」 京太郎「和じゃないか。子供を抱えて走ったら危ないぞ」 和「すみません。急いでいて……」 和太郎「あぶあぶぅー」きゃっきゃ マホ「わぁ、大きくなったね」よしよし 京太郎「無事に育ってるな」 和「ええ。最近は夜泣きも収まって」 京太郎「そうか……じゃあ近いうちに遊びに行こうかな」 和「はい。是非来てください、この子も……喜びますから」 マホ「もう、私のことも忘れないでくださいー」ぎゅっ 京太郎「悪い、悪い」 和「ふふっ」 297 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/04(日) 23 44 23.31 ID UtP8wYyTo [14/15] 【数日後 長野のホテル】 和「……んぅっ、はぁんっ」 京太郎「全く、月に一度だけって約束しただろう」 和「ごめんなさい……でも、欲しくてぇ」ちゅっ 京太郎「欲しがりな豚だ。ん? ここをどうして欲しい?」グリッ 和「ふぁっ……もっとぉ くださいぃ」 京太郎「おねだりなんて百年早いよ和。お前はただの道具なんだからな」 パシィン 和「んぎぃぃぃっ」ガクガクガク 京太郎「……」 俺と和は不倫している というよりは、俺が和を使って性処理をしていると言った方が正しいが 京太郎「二人目が欲しいと言ったな? あ?」 和「はぁ、はぁっ」 京太郎「俺言ったよな? 一人目も嫌だって」 和「でもぉ、須賀君の子供欲しいんですぅ」 京太郎「全く、とんだ女だよお前は」 マホは何も知らない 俺に抱かれている時も、愛を囁かれている時も 俺はマホのことを想ってなどいないことを 和「ふふっ、あの子にこんなことが出来ますか?」グポォォオ 京太郎「ぐっ……」 和「んぶぅうっ……んぅずぅるるるるる」 俺にとって可愛い妻も 雀士としての名声も、偽りの幸せでしかない 俺はこの道具―― 道具にしてしまった女だけを愛している 例えそれが間違った方法で得た結果だとしても 京太郎「和……愛してる」 和「須賀くん……私も」 世界を 自分さえも変えてしまえそうな瞬間はいつもすぐそこにある 隠せない苛立ちと、立ち尽くす自分を見つめて 迷いながら 悩みながら 悔みながら 決めればいい 君がくれた言葉ひとつで 戸惑いは消え去り 空っぽだった 俺の心に光が差した 京太郎「(ありがとな咲、部長、優希。お前達のおかげで俺は真実に気づけた」 童貞であることは罪 俺は童貞を捨てて変わった 俺は――俺の名は 京太郎「我が名は(経験)サウザウンド!! 童帝だ!」 五週目 童貞のキョウタロー しゅーりょー 348 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/05(月) 00 27 22.23 ID GocQnh7fo [4/20] 彼は清澄高校の麻雀部の雑用を任されていた その為、控え室に篭らずに会場中を駆け回ることが多い 当然、他の選手とすれ違うことも多く この大会において、彼の姿を目撃しなかった参加選手は一人とていない そう、それが一つ目の奇跡 そして二つ目の奇跡 それは―― 京太郎「部長も人使い荒いよなー」テクテク 穏乃「み、見て! 凄いかっこいい人いるよ!」 憧「え? どこど……かっこいい!!」 玄「すっごくタイプなのです!」 灼「は、ハルちゃんの次くらいにはいいかな」もじもじ 宥「あったかああああああああああああああああい!!」 洋榎「イケメンや!! イケメンがおるで!!」 豊音「ちょータイプだよー!」 菫「し、信じられん!」 淡「めっちゃイケてんじゃん!!」 怜「どくんや竜華! うちが声かける!!!」 竜華「うちや!! うちがあの人を誘ったる!!!」 姫子「こげなタイプな男、初めてみるばい!!」 哩「連れて帰りたかー」 煌「すばら!!」 由暉子「なんて神々しい方なのでしょうか」 爽「いいねーあの子。アイドルにしたいねー」 智葉「……」ぽっ ハオ「サトハ。どうにかアレを手に入れたい」 明華「心を鷲掴みされたようです」ぽわー 二つ目の奇跡 それは、全国大会に出場した全雀士の好みの男性のタイプがたまたま 京太郎「なんか視線感じるなぁ」 この須賀京太郎とピッタリ一致したのである 352 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/05(月) 00 33 15.78 ID GocQnh7fo [5/20] 誰もが彼の正体を知りたがった 須賀京太郎、彼を手に入れたいと願った だが、現実は非情である 久「遅い!! 何してるの須賀君!!」 京太郎「す、すみません!!」 優希「この駄犬!!」 まこ「はようせんか」 和「急いでください」 咲「早く私をトイレに連れてってよ!!!!」 京太郎「あ、ああ」 彼は清澄高校のお手つき 誰もが諦めた 小蒔「あぁ、こんなにもお慕いしてるのに」 霞「口惜しいわ」ぎりっ 彼を手に入れたい 全国大会出場の女性雀士達が一斉にそう願った時 三つ目の奇跡が起きた 京太郎「ふー」 スタッフ「あ、あぶなーい!!」 京太郎「え?」 ドグシャッ 京太郎「」 久「え? 須賀君?」 まこ「なってこった!!」 優希「京太郎が殺されちゃった!」 咲「この人でなし!!!」 和「やってる場合ですか!!」 スタッフ「すみませんねー事故です」 須賀京太郎は嫉妬したスタッフが起こした事故によって昏睡状態 病院に運ばれた そして 京太郎「……ここはどこ? 俺は誰?」 彼は記憶を失ったのだ 356 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/05(月) 00 41 12.46 ID GocQnh7fo [6/20] 【須賀クリニック 診察室】 京太郎「……須賀京太郎? それが俺の名前ですか?」 医者「はい、そうですよ」 京太郎「そう、ですか」 医者「何も思い出せないんですね?」 京太郎「はい。何一つ。だから早く家に帰って家族に会いたいんです」 医者「それは困りました。このままではアナタは孤独だ」 京太郎「え?」 医者「親御さんは今、カナダに旅行中なんですよ」 京太郎「え? そんな! じゃあ俺は!」 医者「そして不幸にも、アナタには友達が一人もいませんでした」 京太郎「」 医者「困りましたね。頼る人が一人もいません。しばらくここで入院してもらいましょう」 京太郎「……」 医者「でも大丈夫です。あなたにこれを差し上げますから」 京太郎「これは? なんですかこの機械?」 医者「これはアナタの記憶を呼び起こす道具ですよ」 京太郎「記憶を?」 医者「ええ、これを使えばアナタは記憶を取り戻せます」 京太郎「ありがとうございます」 医者「これを病室に置いておきますから、女性が訪ねてきたら押してください」 京太郎「女性? 男じゃダメなんですか?」 医者「別に構いませんけど、オススメしません」 京太郎「?」 医者「いえ、では……私は次の診察があるので」 ナース「尭太郎せんせー! 急患です!」 医者「分かりました。では須賀さん、お大事に」 京太郎「は、はい」 359 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/05(月) 00 46 39.02 ID GocQnh7fo [7/20] 【京太郎の病室】 京太郎「……一人部屋か。寂しいな」 俺はどうすればいいんだろう このまま家族にも会えず、入院してるしかないなんて 京太郎「……」ぎゅっ 頼れるのはこの機械だけど 一体これをどう使えばいいんだろうか 京太郎「……」 【廊下】 医者2「俺は反対です。こんなことしてなんになるんですか?」 医者「お前には分からないさ。でもこれであの人の全てが明かされるんだ」 医者2「……」 医者「怒らないでください和太郎先生。さぁ、後は経過をみましょう」 須賀京太郎 彼は知らない 自分が持つスイッチの意味を そして、これから彼が記憶を失ったことを吉とし 我が物にしようとする者が現れることを 361 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/05(月) 00 54 33.80 ID GocQnh7fo [8/20] 京太郎「……」 コンコン 京太郎「はい?」 久「失礼するわ」 京太郎「あ、えっと」 久「何も覚えていないんですってね」 京太郎「すみません。アナタみたいな美人を」 久「ふふ、嬉しいことを言ってくれるわ」 京太郎「……?」 久「なんでもないわ。ここ、座るわよ」ギシッ 京太郎「あの、アナタは一体俺のなんなんですか?」 久「私は……」 ピコーンピコーン 京太郎「!」 久「あら? その機械は……」 京太郎「これが何か知ってるんですか?」 久「さぁ? でも、押せと言わんばかりね」 京太郎「これが記憶を取り戻す鍵になるらしいです」 久「なら押すべきよ」 京太郎「……」 いいのか? この機械を押してしまって 久「……」 京太郎「では、押します」 これが俺の記憶を取り戻す鍵になるなら 俺は…… 京太郎「いきます!! ポチッとなぁぁ!!」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29耳かき 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60原付 61防寒具 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72壁 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 けしてぇぇぇぇぇ! リライトしてぇぇぇぇぇ!!! 367 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/05(月) 00 59 58.43 ID GocQnh7fo [9/20] 43 追跡者 ぼふんっ 京太郎「お、思い出した……アナタは!!」ガタッ 久「ええ、そうよ。私はアナタを追ってここまで来た」ジャキッ 京太郎「俺を、殺すつもりですか?」 久「いいえ。顔を見に来ただけよ。今のアナタには追いかける価値が無いもの」 京太郎「……」 久「逃げられるようになったらまた追ってあげるわ」 京太郎「どうして、どうして俺を見逃すんだ!!?」 久「……それは私がアナタを」 京太郎「え?」 久「……また会いましょう須賀君。貴方が全てを取り戻した時、私は再び貴方の前に」 ガラガラバタン 京太郎「……竹井久、一体何者なんだ?」 俺のなくした記憶と何か関係が? いや、それとも―― コンコン ガラガラ まこ「なんじゃ部長の奴、妙に悪い顔で帰りおって」 京太郎「!」 まこ「おう京太郎。元気そうじゃな」 京太郎「アナタは?」 まこ「わしか? わしは染谷まこじゃ」 京太郎「染谷まこ……うっ」ずきん ぴこーんぴこーん まこ「なんじゃその機械は?」 京太郎「そうだ。押さなきゃ。スイッチを」ふらふら 369 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/05(月) 01 01 51.44 ID GocQnh7fo [10/20] まこ「大丈夫か? 今医者を呼ぶけぇ」 京太郎「貴方が何者なのか、この機械で確かめる」 それで記憶が戻るんだ 全てが、元に!! まこ「やめんか! 何を!!」 京太郎「うあああああああああ!! ポチッとなぁぁぁ!!」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29耳かき 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60原付 61防寒具 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72壁 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 くたばってばっかいんなー ふんばってこーじゃなーい 374 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/05(月) 01 06 57.28 ID GocQnh7fo [11/20] 21 姉 ぼふんっ まこ「わしはお前の姉じゃ!」 京太郎「あ、そうだ。まこ姉さん!」 まこ「やっと思い出しおったか」 京太郎「ごめん。気が動転していて」 まこ「いいんじゃ。それよりも、記憶喪失だなんて」 京太郎「でも具合はいいんだ。記憶だって、すぐにもどるよ」 まこ「そうか。ならええんじゃが」 京太郎「……」ズキズキ まこ「何か飲み物でも買ってくるけぇ。おとなしくしとるんじゃぞ」 京太郎「わかったよ姉さん」 まこ「じゃあな」 ガラガラバタン 京太郎「……姉さん? 俺に姉がいた? 本当に?」 何か嫌な予感がする 何か……大きな陰謀が渦巻いているような ヤッタゾ! ワシハアネヲヒイタンジャ!! ズルイジェ!! ワタシハドウナルノカナ?! ワタシナンテナゾノツイセキシャヨ! 京太郎「外が騒がしいな。姉さん無事だといいけど」 ガラガラ 京太郎「ん?」 優希「じゃじゃーん! 優希様だじぇー!」 京太郎「はい?」 優希「おい犬!! 次こそが本番だ!!」 京太郎「あの、病室を間違えてませんか?」 優希「いいから! ほれ! 機械を出すんだじょ!!」 ぴこーんぴこーん 京太郎「また反応してる」 377 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/05(月) 01 09 39.34 ID GocQnh7fo [12/20] 京太郎「あの、君は一体?」 優希「押せ!! 押せ!!」ぐいぐい 京太郎「やめてくれ! やめろ、うわ!」 優希「これを押せば全て終わるんだじぇ!」 京太郎「一体何を言ってるんだ!!」 優希「やれえええ!!」 京太郎「うわぁぁぁぁ!! ポチッとなぁぁぁぁ!!」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29耳かき 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60原付 61防寒具 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72壁 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 みあーげたよぞーらの ほしーたちーのひかーり 387 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/05(月) 01 16 29.64 ID GocQnh7fo [13/20] 99 牝奴隷 ぼふんっ 優希「私は……お前の牝奴隷だじぇ……」トロォン 京太郎「な、何を言って」ズキッ 優希「京太郎ぉ……触ってぇ」 京太郎「そう、だ。俺は今までに何度もこの子と……うぅっ」ズキズキ 優希「もう我慢できなぁい ねぇ、シて欲しいじぇ」 京太郎「や、やめてくれ!! 今の俺は君の知る俺じゃない!!」どんっ 優希「きゃっ!」 京太郎「出てってくれ!!!」 優希「京太郎……私に飽きたのか?」しゅん 京太郎「違う、そういうことじゃなくて!!」 優希「……じゃあキスして」 京太郎「え?」 優希「一回でいいからぁ」 京太郎「そんなの! むぐっ!?」 優希「んちゅっ ちゅぅるう……んふっ じゅずぅるる」 京太郎「ぷはっ! やめてくれ!!」 優希「んふふ、また来るじぇ。そのときはいっぱいいっぱい可愛がって欲しいじょ」クスクス ガラガラ バタン 京太郎「はぁっはぁっ……なんだったんだ」 俺の奴隷? 馬鹿げてる でも、確かに記憶にある 以前の俺は一体なんだったんだ!! くそ!! くそぉ!!! コンコン 京太郎「またか!?」 ガラッ 和「失礼します」 京太郎「あ、アナタは!?」ドキッ 和「原村和です。お元気そうでよかった」 京太郎「えと、その、君は俺とどういう関係?」 和「さぁ、どうでしょうか」クスッ 京太郎「!」ドキイーン 390 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/05(月) 01 22 08.74 ID GocQnh7fo [14/20] 京太郎「……」 なんて美人だ それにスタイルも 本当にこんな人と知り合いなのか? 和「ふふっ」 京太郎「!」 和「今何を想像しているか、顔を見ればわかりますよ」 京太郎「あ、いや! その!」 和「さて、私は一体何者でしょうか?」 京太郎「うっ」ズキッ ぴこーんぴこーん 和「押しますか?」 京太郎「!」 和「そのスイッチを押せば、きっと思い出せますよ」 京太郎「そうだ。押せば分かる……きっと」 和「押してください。それで楽になれます」 京太郎「ポチッと、な」 和「ふふふふ」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29耳かき 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60原付 61防寒具 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72壁 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 いえっない いたみ かっなーしみできずっついたーきーみをー 396 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/05(月) 01 29 21.54 ID GocQnh7fo [15/20] 56 中二病 ぼふんっ 京太郎「?」 和「思い出しましたか?」 京太郎「いや、何も」 和「そうですか。やはりリベラルシュタイナー機関のせいで」 京太郎「は?」 和「大丈夫です。私がすぐにエンジェリックパワーで直してあげますから」 京太郎「えんじぇりっく?」 和「覚えていないでしょうが、私と須賀君はあるチームの仲間でした」 京太郎「チーム?」 和「私はラグナロクハルピュイアの使徒であり、電子天使の称号を得たノドカエル」 京太郎「のどかえる?」 和「そしてアナタは漆黒の仮面の騎士、ナイトオブサウザウンドの称号を持つスガウェイン」 京太郎「すがうぇいん?」 和「ああぁ! 忘れてしまうなんて!」 京太郎「お、おう?」 和「でも安心してください。私の愛のエンジェリックパワーですぐに貴方のエターナルソウルを!」 ガラガラ まこ「何しとるんじゃ和?」 和「染谷先輩! 私は和ではありません! ノドカエルです!!」 まこ「あ、そういう結果になったんじゃな」 和「……残念ながら」 まこ「同情するぞ」 和「なら乗ってください」 まこ「ああ、そうじゃな」 京太郎「?」 まこ「いいからほれ、付いてこい」 和「ああそんな! スガウェイン!! スガウェイーン!!」ずるずる ガラガラ バタン 京太郎「……?」 399 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/05(月) 01 36 13.65 ID GocQnh7fo [16/20] 京太郎「なんだったんだ今の中二病の人」 姉さんと知り合いだったのかな 京太郎「それにしても……」ズキズキ だんだんと頭痛が酷くなる 悪化していないか? これは――なんなんだ? ガラガラ 咲「あの」 京太郎「……君は?」 咲「よかった。起きてたんだね」 京太郎「……」ズキズキ 咲「私は宮永咲だよ。覚えてない?」 京太郎「……ごめん」 咲「そっか、そうだよね。ごめん」 ぴこーんぴこーん 京太郎「またか」 咲「あのね、京ちゃん」 京太郎「え?」 咲「私、ずっと言いたかったことあるんだ」 京太郎「??」 咲「このスイッチの力を使えば、言えるかな?」スッ 京太郎「お、おい君! やめろ! そのスイッチは押しちゃいけない!」 咲「卑怯でごめんね。こんな時にしか、言えないの」 スッ 咲「好きだよ、京ちゃん」 京太郎「!!」 咲「ポチッとな」 01他人 02苦手 03顔見知り 04友達 05親友 06幼馴染 07婚約者 08恋人 09セフレ 10元恋人 11親の仇 12先輩 13後輩 14同級生 15麻雀の師匠 16浮気相手 17探偵 18犯人 19記者 20従兄妹 21姉or妹 22ストーカー 23娘 24母親 25ペット 26ライバル 27空気 28ご主人様 29耳かき 30漫画家 31生霊 32女騎士 33殺人鬼 34恋敵 35オナペット 36お嬢様 37お姫様 38同僚 39メイド 40アラフォー 41侵略者 42ペロリスト 43追跡者 44捕食者 45芸人 46巫女 47ナース 48寄生虫 49不良 50トラウマ 51抱き枕 52椅子 53ボディガード 54強姦魔 55変態 56中二病 57お色気要員 58上司 59部下 60原付 61防寒具 62妖怪 63人質 64電波 65忍者 66メンヘラ 67ロッカー 68腐女子 69レズ 70博士 71馬 72壁 73携帯 74風呂用スポンジ 75孫の手 76露出狂 77淫魔 78ぷんすこ 79ツンデレ 80クーデレ 81初恋の人 82命の恩人 83ジュリエット 84傭兵 85歌手仲間 86ヤンデレ 87信者 88女王様 89カモ 90天使 91先生 92生徒 93ヒーロー 94アイドル 95神様 96ファン 97片想われ 98アベック 99牝奴隷 00妻 ↓2 だからー かれーなーいでー いちりんのはなー 407 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/05(月) 01 43 26.62 ID GocQnh7fo [17/20] 94 アイドル ぼふんっ 京太郎「思い出した」 咲「え?」どきっ 京太郎「あのテレビに出ていた人ですよね!」 咲「テレビ?」 京太郎「アイドルの宮永咲ちゃん! うわ! 凄いなぁ!」 咲「……」ブルブル 京太郎「実物も可愛い! サインもらえますか?」 咲「う、うん」カキカキ 京太郎「やった! 宝物にします」 咲「よかったね」 京太郎「あれ? でもなんでアイドルの咲ちゃんがここに?」 咲「……さようなら」じわっ 京太郎「あれ? なんで泣いて」 咲「っ!!」 ダダッ! ガラガラバタン! 京太郎「咲ちゃーん! これからも応援してますからー!!」 うわー凄いなー 本物の咲ちゃんに会っちまったよ へへ、儲けたぜ 京太郎「……」ズキズキ アイドル、か でもなんでだろう あの子はもっと身近にいたような気がする 俺のすぐ傍に 京太郎「……さようなら、か」 俺は―― 411 名前: ◆T4KM.qYCbQ[saga] 投稿日:2015/01/05(月) 01 53 20.73 ID GocQnh7fo [18/20] 須賀京太郎が記憶喪失になったことは全国の女性雀士に知らされた 彼が入院し、一人部屋にいること ある科学装置の実験体となっていること そしてその装置の実験に、女性雀士のみが参加出来る 見返りは一人の少年との関係性 彼はその装置により、女性との関係をランダムに信じ込んでしまう 実験は単純 女性がその装置を用いて、少年と関係を築く 非人道的な実験 しかし、誰もこの実験に異論を唱える者はいなかった なぜなら彼女達は全員―― 京太郎「……病院の外に長蛇の列が出来てるな」 ナース「またお見舞いですよーぅ」 京太郎「またですか?」 ナース「人気者ですねー」 彼を狙っているのだから 未完
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注意 安価、コンマスレのまとめなので話が途中でわからなくなることがあります 詳しくは下記の元スレを参照 本まとめはセリフのあるレスのみを抜粋しました(だいたい) 変なところで区切れていますがご了承ください(時間があれば、また修正します) この物語はループものです | | は 安価です、修正がめんどくさいので…時間があれば修正します だいたい1時間で適当にまとめました、ミス多々あります 始めに 京太郎「ヤンデレ……?」0 本編 京太郎「ヤンデレ……?」1 京太郎「ヤンデレ……?」2 京太郎「ヤンデレ……?」3 京太郎「ヤンデレ……?」4 京太郎「ヤンデレ……?」5 京太郎「ヤンデレ……?」6 京太郎「ヤンデレ……?」7 京太郎「ヤンデレ……?」8 京太郎「ヤンデレ……?」9 京太郎「ヤンデレ……?」10 京太郎「ヤンデレ……?」11 京太郎「ヤンデレ……?」12 京太郎「ヤンデレ……?」13 京太郎「ヤンデレ……?」14 京太郎「ヤンデレ……?」15 京太郎「ヤンデレ……?」16 京太郎「ヤンデレ……?」17 京太郎「ヤンデレ……?」18 京太郎「ヤンデレ……?」19 京太郎「ヤンデレ……?」20 京太郎「ヤンデレ……?」21 京太郎「ヤンデレ……?」22 京太郎「ヤンデレ……?」23 京太郎「ヤンデレ……?」24(終) 京太郎「ヤンデレ……?」座談会 元スレ -京太郎「ヤンデレ……?」【安価】 京太郎「ヤンデレ……?」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1398960866/ 京太郎「ヤンデレ……?」照「その2……」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399179751/ 京太郎「ヤンデレ……?」霞「その3ね」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399656717/ 京太郎「ヤンデレ……?」白望「その4……だるっ」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1400606625/ 京太郎「ヤンデレ……?」ゆみ「その5だな」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401001615/ 京太郎「ヤンデレ……?」洋榎「その6やでー」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401377079/ 京太郎「ヤンデレ……?」煌「その7……すばらな数字です」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1402751995/ 京太郎「ヤンデレ……?」怜「その8や」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1403445335/ 京太郎「ヤンデレ……?」衣「その9だ!」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1404540082/ 京太郎「ヤンデレ……?」小蒔「その11……復讐……ですか?」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1406217308/(10スレ目) 京太郎「ヤンデレ……?」淡「その130……なんてねっ」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407660402/(11スレ目)
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京太郎「もう麻雀部にいても俺の存在意義は無いよな……」 京太郎「なんだかんだで和目当てで入っただけだし、ここらが辞め時かな」 京太郎「ちわーっす」ガチャ 咲「あっ、京ちゃん」 優希「おおー犬!ちゃんと今日は来たな、えらいじょ!」 京太郎「ちゃんと毎日来てるだろ……」 久「こんにちは須賀君」 京太郎「あ…どうも……部長」 久「来てもらって早速で悪いけど、あなたに買い出し頼んでもらっていいかしら?」 久「えっとねぇ……今日はクリーナーと何か甘い物を」 京太郎「無理ですよ部長。今日は無理なんです」 久「無理?えー、どうして?ひょっとして今日は体調が悪かったりする?」 京太郎「俺、今日限りで麻雀部辞めるんで」 久「ほうほう、麻雀部を辞めると……それはそれは」 咲 久 優希「!?」 京太郎「これ、退部届です」スッ 京太郎「ハンドボールで全国を目指すからです」 久「ハンド……ボール?」 まこ「はて?なんで急にハンドボールなんぞに目覚めたんじゃ」 咲「……京ちゃんはこう見えて、中学の時ハンドボールで県大会決勝まで行ってるんです」 まこ「ほぉ!それはすごいの」 優希「初耳だじぇ」 和「わ、私もです」 京太郎「はは……一応、清澄に入る前に色んな所からスカウトは来てたんだ。全部断ったけど」 久「どうして?清澄に来たってハンドボールなんて有名じゃないのに」 京太郎「それは、やっぱり咲をほっとけなくて…」チラッ 咲「えぇっ?!わ、私?」 京太郎「でも、もう俺が居なくても大丈夫そうだし、俺もあいつみたいに自分に合った人生を歩もうかなって思って」 京太郎「だから麻雀は今日で終わりにします」 咲「京ちゃん……」 京太郎「部長。退部届受け取ってくれますよね?」 久「………」 久「あなたの人生よ、好きにしなさい」 京太郎「ありがとうございます……お世話になりました」 咲「ぶ、部長!」 優希「どうして引き止めないじょ!?」 久「私には須賀くんを引き止める権利なんてない」 久「それに、本人もそれは望んでないみたいだし」 和「……あの、須賀くん」 京太郎「和にも色々世話になったな。麻雀教えてくれてありがとな」 和「いえそれはいいんですが…本当に辞めてしまうんですか?麻雀部」 京太郎「ああ」 和「私が入って、優希も入って、それからあなたが入って……ずっと盛り立ててきた麻雀部を」 京太郎「そうだよ」 和「……分かりました。なら、もう私は何も言いません」 優希「わ、私は絶対認めないじょ犬!飼い主を捨てて遠くへ行くなんて許さないからな!」 久「遠くって大袈裟ね優希は。清澄にいるんだからいつでも会えるでしょ?ねぇ、須賀くん」 京太郎「………」 久「……まさかあなた」 京太郎「実は」 京太郎「体育推薦転入で白糸台へ行くことになってます」 優希「ぎゃぽ!?」 咲「そんな……嘘でしょ?だって、そんなこと昨日まで一言も!」 京太郎「ウソじゃない。もう手続きも全て済ませて、東京に行く準備も済ませてある」 まこ「ちゅーことはずいぶん前から麻雀部だけじゃなく清澄も辞める気やったってことじゃな」 久「……私が麻雀部を辞めるのダメって言ってたらどうしたのかしらね?」 優希「ふざけるな!!そんな話聞いてないぞ!」ガシッ 京太郎「うわっ!」 優希「京太郎は清澄だじぇ!白糸台なんかに行かせたりしないじょ!」 京太郎「お、おい!足に引っ付くなって!靴とかの汚れがついちまうぞ」 優希「首を縦に振るまで離れないからなー!」ギュウウ まこ「まるで駄々っ子じゃの」 和「ゆーき……」 京太郎「……困ったな」 咲「……」 京太郎「ああ、咲。ちょうど良かった、お前からも何か言ってやってくれ」 咲「一つさ、ルール追加してもいいかな?」 京太郎「何だよ」 咲「京ちゃん達三人は十万点持ちのスタートで私は0点からのスタートってことで」 優希「じぇ!?」 咲「それ以外はいつもと同じルールだよ」 和「さ……咲さん、いくらあならでもそれは無茶ですよ」 久「随分イカれたルールね。で、何の為にそんなルールを作ったの?」 咲「特に理由は何もありませんよ」 京太郎「清澄に留まってもらう、とか言うんじゃないだろうな?」 京太郎「そんな賭けに乗るつもりは無いぞ馬鹿馬鹿しい」 咲「もう、本当に何もないってば!」 京太郎(持ち点が0点なんて何企んでんだ咲は) 京太郎(俺だけじゃともかく優希も和もいるってのに、一回でも和了されたら終わりじゃねーか) ――――― ―――― 和「………」 和(誰も振り込まない……) 優希「………」 優希(誰も和了しないじぇ……) 咲「あ、またみんな聴牌で流局だよー」 咲「これじゃ中々終われないね」ニコッ 久(驚いた…これ支配なんてそんなレベルじゃないわ……) まこ(全員が全員聴牌するものの誰も和了できないとは。天江衣の一向聴地獄みたいじゃのう) 京太郎「咲……そろそろ」 咲「え?」 京太郎「もう俺の負けでいいからさ、やめにしないか?」 咲「何言ってるの京ちゃん」 咲「この一局が終わるまでは清澄に居てくれる約束だよね?」 京太郎「そ、そうだけどさ……」 咲「ならこの一局が永遠に続けばずっと清澄に居られるよね」 京太郎(い……いや流石に冗談だろ……冗談だよな?) 京太郎(しかし、俺はいいとしても……) 和「………」フー 優希「うう…頭がクラクラしてきたじぇ」 京太郎「咲、二人とももう限界だ。やめよう」 咲「ダメだよ。そしたら京ちゃんがいなくなっちゃう」 京太郎「そんなこと言ってる場合かよ!」 京太郎「和も優希もお前の大事な友達だろ!」 咲「早く終わらせたいんだったら和了すればいいじゃん」 京太郎「お前……」 京太郎「本当に咲か?」 咲「あはは、何言ってるの」 咲「私は京ちゃんがよく知ってる、読書が趣味の地味でドジな宮永咲だよ」 京太郎「っ」ゾクッ 京太郎(咲は……こんな奴じゃ無かった) 京太郎(ドジで地味だけど、一緒に居るとすげー安心できる女子だったけど……いまはただただ怖い) 咲「あ、また聴牌で流局だよー!」 京太郎(……いや、咲を麻雀部に連れてきたのは俺だ) 京太郎(くだらない理由で連れてきて咲を変えてしまったのは俺のせいじゃないか) 咲「本当に………麻雀って楽しいよね!」 カン
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~インハイ会場~ 優希「おー…ここがインハイ会場かー!」 和「長野のモノとはやはり規模が違いますね」 久「まぁ、日本中の高校生が集まる訳だしね」 まこ「高校生だけじゃなくてマスコミまでやってきとる訳じゃしのぅ」 咲「うぅ…なんだか緊張してきた…」ブル 京太郎「…先にトイレでも行っておくか?」 咲「こ、これは武者震いだよ!!」カァァ 京太郎「じゃあ、案内はいらない?」 咲「…………後でお願いします」メソラシ 優希「ホント、咲ちゃんはポンコツだじぇ」 咲「ぽ、ポンコツじゃないよ」 咲「ちょっと緊張するとトイレに行きたくなって、たまに方向が分からなくなるだけだから」 まこ「それが方向音痴と言うんじゃと思うがなぁ…」 久「さて、それじゃあ、派手に乗り込みましょうか」 優希「ヒャッハー!」 まこ「長野の品性が疑われるような真似だけはしてくれるなよ」 和「大丈夫ですよ…………多分」 咲「その多分に不信感がにじみ出てるよ、和ちゃん…」 優希「ま、今日の私は大人しくしてるじぇ」 優希「どの道、一回戦からは否応なく目立つ訳だからな!!」ドヤァ 京太郎「あぁ、あの赤マントでか」 優希「麻雀の腕で!だじぇ!!」 久「…そうね」 久「私達は地方予選からさらに強くなった」 久「今なら全国の強豪達にもそうそう負けたりしないはずよ」 久「だから…リラックスして目にもの見せてあげましょう」 咲「はい」 和「えぇ。頑張りましょう」 まこ「(…ふふ。自分がいっちゃん、緊張しちょる癖に)」 久「…で、京太郎君は…」 京太郎「あぁ。俺は適当に会場の中をぶらついてますよ」 京太郎「いざと言う時、迷子になった咲を見つけてやらないといけませんし」 咲「そ、そんなに簡単に迷子になったりしないよぉ」 和「…私が咲さんと知り合ってから今までの間に五回は迷子になってたと思うんですが」 咲「少ないよね?」キョトン 優希「…いや、普通は一回でも多い方だと思うじぇ」 咲「うぅぅぅ…何処もかしこも道が複雑なのが悪いんだよ…」 京太郎「幾ら複雑だからってバックヤードに紛れ込んだりしないと思うがなぁ…」 久「まぁ、京太郎君はそんな咲発見のエキスパートだからね」 京太郎「何を隠そう、俺は迷子探しの達人だ」キリッ 優希「キャー!」 久「最悪の事態は彼に任せて、私達は行きましょうか」 優希「京太郎、ステイ!ステイだじぇ!!」 京太郎「犬じゃねぇっての」 京太郎「…ま、開会式だから何かあるとは思わないけど…皆、気をつけてな」 咲「…京ちゃんの方もね」 京太郎「(…さーって…ではどうするかなぁ)」 京太郎「(一人だと色々と手持ち無沙汰だ)」 京太郎「(まぁ、スマホは持ってきたから時間潰すの事態は楽なんだけどさ)」 京太郎「(でも、折角、インハイ会場まで来てるのにスマホ使うのもなんか勿体無いし…)」 京太郎「(ここはやっぱり探検だな!!)」 京太郎「(まぁ、所詮、インターハイの会場だからそんなに見るものもないだろうけれど)」 京太郎「(でも、やっぱり新しい場所って言うのは冒険心が疼くもんだ)」 京太郎「(いざいかん神秘を求めて…なーんて)」 尭深「…あの」 京太郎「え?」クルッ 京太郎「(…こ、これは…なんて素敵なおっぱいなんだ…!)」 京太郎「(流石に和には負けるが…制服をここまで持ち上げるのは…!)」 京太郎「(おっぱいマイスターである俺としては是非B級おっぱいの称号を差し上げたい…!)」 尭深「…その、不躾で申し訳ありません」 尭深「私と同じ制服を着た金髪ロングの女の子を見ませんでしたか…?」 京太郎「え…いや、ごめんなさい。見てないです」 尭深「そうですか…もう。何処に行っちゃったんだろう…」 京太郎「…もしかして迷子ですか?」 尭深「はい。ここに来るまでは一緒にいたんですけれど…」 尭深「ちょっと目を離した隙にいなくなってしまって」 尭深「まぁ…方向音痴と言う訳ではないので何時か帰ってくるとは思うのですが…」 京太郎「あー…もうすぐ開会式ですもんね」 尭深「はい。流石にそろそろ帰ってきてくれないとまずいなと…」 京太郎「では、俺も手伝いましょうか?」 尭深「…良いんですか?」 京太郎「えぇ。丁度、俺も暇していますし」 京太郎「それに何を隠そう。俺は迷子探しの達人なので!」ドヤァ 尭深「……え?」 京太郎「…………すみません。滑っちゃいましたか」 尭深「あ、いえ…その、ごめんなさい」 尭深「ちょっとびっくりしちゃって反応が…」 尭深「…あの…達人さんなんですか?」 京太郎「…まぁ、達人と呼べるほど大したものじゃないですけど」 京太郎「でも、日常的に迷子になる幼馴染がいるんで、迷子探しには慣れてます」 尭深「…そっちもですか」 京太郎「そっちも?」 尭深「…はい。その…身内の恥を晒すようで恥ずかしいのですが」 尭深「こっちにも一人、迷子の常習犯がいまして…」 尭深「その人は何とか全員で監視して迷子にならずに済んだのですが…」 尭深「結果、もう一人の監視が薄くなってしまって」 京太郎「あぁ、なるほど」 京太郎「それで白糸台としてもそっちの監視が必要であんまり人員を裂けないって感じですか」 尭深「…ご存知だったんですか?」 京太郎「この会場にいる奴で、白糸台の制服を知らない奴はモグリですよ」 京太郎「ついでに貴女の事も知っていますよ」 京太郎「そのおっぱいは渋谷尭深さん…ですよね」キリ 尭深「…おっぱい?」 京太郎「(…は、しまった…!?)」 京太郎「(あ、あんまりにも素晴らしいおっぱいだったんだ口が!口が素直に!!)」 京太郎「…ごめんなさい。口を滑らせてしまいました」 尭深「…ふふ。ユニークな方なんですね」クス 尭深「よろしければ、貴方のお名前を聞かせてもらって良いですか?」 京太郎「あ、清澄一年の須賀京太郎です」 尭深「清澄…?」 尭深「(…照さんと同じ名字の子が大将で…特に気にしてたあの…)」 京太郎「まぁ、清澄なんて言われても分かんないですよね」ハッハッハ 尭深「ううん。知ってますよ」 京太郎「マジっすか」 京太郎「やっべぇ。初出場だからあんまりマークされてないと思ったのに…」 京太郎「流石ですね、渋谷さん…!」 尭深「まぁ、地方予選に出てくる学校の数なんて知れてますから」 尭深「それにあの魔境・長野を勝ち抜いてきた学校となれば当然、チェックもしてます」 京太郎「あ、やっぱ外でも魔境扱いなんですか」 尭深「うん。…と言うか、地方予選決勝、すごかったですよね」 尭深「去年より強くなってた龍門渕と言い、ダークホースの鶴賀と言い、名門の風越と言い…」 尭深「何処が勝ち上がってきてもおかしくなかったと思います」 京太郎「そう言って貰えると有り難いっす」 京太郎「清澄が勝ち上がったことで長野が弱くなった…なんて事言う人もいますし」フゥ 京太郎「あ、いや、まぁ…敵である白糸台さんには油断しててもらった方が嬉しいんですけど」ワタワタ 尭深「…ふふ」 尭深「やっぱり須賀くんって面白い人ですね」 尭深「ううん、ただ面白いだけじゃなくて、とても学校思いで良い人」クス 京太郎「あー…ぅ」カァァ 尭深「…もしかして照れてます?」 京太郎「そりゃ面と向かって言われたら照れますよ」 尭深「…可愛い」 京太郎「うーあー…!」カァァァ 京太郎「そ、それよりもアレっすよ、アレ!」 尭深「アレ?」 京太郎「俺の方が年下なんて敬語とかいらないっす」 京太郎「気軽に京ちゃんって読んでくれても良いんですよ?」 尭深「…うん。じゃあ、京ちゃん」ニコ 京太郎「ごふ」 尭深「ど、どうかしたの?」ビックリ 京太郎「…いや、何処ぞの貧乳幼馴染と違って、破壊力が凄いな、と」 尭深「…そんなにおっぱいが好きなの?」 京太郎「大好きです」キリリ 尭深「そうなんだ…変わってるね」 京太郎「…変わってますか?」 尭深「うん。男でおっぱい好きなんてあんまり聞いたことないよ」 尭深「まぁ…私自身、あんまり男の人と面識ないけど」 京太郎「あー…白糸台って女子校ですもんね」 尭深「うん。まぁ…麻雀は好きだから白糸台に進んだことは後悔してないけど…」 尭深「…たまーに自分の灰色の青春が気になる事も…」ズーン 京太郎「(…そうか。女子校って事は、俺の感覚で言えば、男子校みたいなもんだし…)」 京太郎「(周り皆が男の中、青春を終えるって思ったら、そりゃ凹むよな)」 京太郎「…でも、ほら、俺とこうして友達になれたじゃないですか」 尭深「…え?」 京太郎「あ、馴れ馴れしすぎました」 尭深「う、ううん。そんな事ないけど…良いの?」 京太郎「昔の偉い人も、一度会ったら友達で毎日会ったら兄弟だって言ってますしね」 尭深「…それNHKじゃなかった?」 京太郎「細かい事は良いんです。大事なのは自分が感銘を受けたかどうかって事ですし」キリ 京太郎「それにまぁ、おっぱい大きい渋谷さんとならこっちの方がお友達になってほしいくらいですし!」 尭深「…もう。そんなにおっぱい好きなんだ」クス 尭深「…………じゃあ、触ってみる?」 京太郎「え?」 尭深「あ、勿論、服の上からだよ?」 尭深「直接、触られるのは流石に恥ずかしいし」 京太郎「い、いや…ふ、服の上からって…)」 京太郎「(って、それでも十分ヤバイんですけど!?)」 京太郎「(つーか、どうなってんの!?これホント、どうなってんのよ!?)」 京太郎「(おっぱい好き公言してたら、初対面の美少女に触っていいって言われるとかホントマジそれどんなエロゲ!?)」 京太郎「ほ、本当に良いんですか…!?」 尭深「うん。別に減るものじゃないし」 京太郎「(な、なんという痴女…!!)」 京太郎「(おとなしそうな顔してコレとかもうヤバイっすわ)」 京太郎「(股間にギュンギュンくる…って言うか…正直、辛抱堪らん…!!)」 京太郎「(正直、何も考えずパイタッチしてしまいたい…!)」 尭深「(…触ってくれるかな?)」 尭深「(正直、こんなに大きく育ったおっぱいとか…あんまり良いものじゃないと思うんだけど)」 尭深「(でも、これだけフェチ公言してるなら…きっと触ってくれるはず)」 尭深「(…と言うか、触ってくれないとちょっと凹むかも)」 尭深「(おっぱいフェチの美男子とか…絶滅危惧種に近いくらいだし)」 尭深「(正直…結構、触れてもらえるのに期待しちゃってる私がいたりして…)」ドキドキ 京太郎「じゃ、じゃあ…ちょっとだけ…」プニ 尭深「ん…♪」ピクン 京太郎「(うぉおお!うぉおおおおお!!)」 京太郎「(分かる!分かるぞ…!!)」 京太郎「(服とブラ越しだが…はっきりと分かる!!)」 京太郎「(この柔らかさ…!おっぱいだ!!)」 京太郎「(俺の探し求めていたおっぱいがここにある…!!)」 尭深「(…京ちゃん、凄い顔しておっぱい突いてる…)」 尭深「(本当にこの子おっぱいフェチなんだ…)」 尭深「(すっごい可愛い…出来ればこのままお持ち帰りしたいくらい…)」 プルルル 尭深「」ビクッ 京太郎「あ…っと」ハッ 尭深「(…もう。良いところだったのに…)」 尭深「…はい。もしもし」 尭深「…え?淡ちゃん見つかった?」 尭深「うん…うん…」 尭深「…あぁ、そうなんだ」 尭深「暇になって抜けだした…と…」 尭深「淡ちゃんらしいね」クス 京太郎「(…くぅぅ…良いところだったのに!)」 京太郎「(我が世の春がそこにあったはずなのにいいいい!!!)」 京太郎「(…まぁ、でも、おかげで少し冷静になれた)」 京太郎「(実際触っても、特に表情、エロいって感じじゃなかったし)」 京太郎「(多分、女の子にとっておっぱいは以前ほど大事なセックスアピールじゃないんだろう)」 京太郎「(つーか、その価値観が大分、男に近くなってる事を考えれば…)」 京太郎「(男で言う筋肉とか…そういう感じなのかもしれない)」 京太郎「(実際、初対面なのにあっさり触らせてもらえたしな)」 京太郎「(だから…)」 京太郎「(…その気になれば、その辺の女の子の胸も触らせて貰えるんじゃないか?)」 京太郎「(いや、仲良くなっていけば、触るだけじゃなくて揉ませて貰う事だって…)」ゴクッ 京太郎「(って…お、俺は何を考えてるんだよ…!)」 京太郎「(この世界は俺の所為でおかしくなってるんだぞ…!)」 京太郎「(そんな世界で役得を味わおうなんざゲスにもほどがある…!)」 京太郎「(今の事は忘れてしまおう…うん、忘れろ忘れろ)」 京太郎「(…………まぁ、でも、今の感触で一回くらいオナニーしても…)」 尭深「…京ちゃん」 京太郎「ひゃいっ」ビクッ 尭深「…どうしたの?」 京太郎「あ、いや、何でもないっす。本当に」シドロモドロ 尭深「…そう?なら良いけど…」 尭深「後、ごめんなさい。探してる子が見つかったから私もそろそろ戻らないと」 京太郎「あ、そうですか」 京太郎「俺は何もしてないですけど、見つかったようで何よりです」 尭深「うん。ありがとう」ニコリ 尭深「…それで…ね」 尭深「あの…おっぱい触ったからって訳じゃないけど…その…」モジモジ 京太郎「…えっと、連絡先、交換します?」 尭深「っ、い、良いの!?」 京太郎「良いも悪いも、俺も渋谷さんと交換したかったですし」 京太郎「渋谷さんさえ良ければ、またお話もしたいですから」 尭深「…私もだよ」 尭深「私も…京ちゃんともっともっとな…仲良くなりたいし…」カァァ 京太郎「はは。じゃあ、お揃いですね」 尭深「ぅん…」コクン 京太郎「じゃあ、もっと仲良くなる為にさっさと交換しましょうか」 京太郎「あんまり待たせちゃうと渋谷さんの方が迷子扱いされちゃうかもしれませんし」 尭深「…流石にそれは嫌だなぁ」 尭深「だから…うん。交換お願いします」スッ 京太郎「喜んで」スッ 咏「はぁー…」 咏「(まったく…何も開会式からプロが出なくても良いと思うんだけどねぃ)」 咏「(解説の本番は明日からなんだし、打ち合わせとかも当日で良いじゃん)」 咏「(なのに見栄の為にもう出勤させられるとか…ホントわっかねー)」 咏「(…まぁ、一応、ギャラは発生するからちゃんとお仕事するけどさー)」トテトテ 尭深「ん…♪」 京太郎「おぉぉぉ…」 咏「(…ってなんだよ、あのカップル)」 咏「(こんなところで胸なんか触らせてさー)」 咏「(こっちは万年貧乳かつ喪女だってのに…魅せつけるなんて)」 京太郎「…」ゴクッ 咏「(…ってか、男の方、結構、格好良いよなぁ)」 咏「(まぁ、流石に夏場だって言っても、第二ボタンまで開けてるのはちょっと恥じらいがなさすぎるけど)」 咏「(でも、愛の無いお付き合いをするには悪くない相手かもねぃ)」 咏「(…ま、こっちは処女だけどさ!!)」 咏「(でもさ、一応、腕力としてはこっちの方が強い訳だし)」 咏「(無理矢理、手錠でもハメて、驚いてるところを唇奪って…)」 咏「(そのまま顔中ベタベタにする勢いでなめまわしながら、服の中にてぇ突っ込んで…)」 咏「(乳首とか色々と触りながら前戯して、勃起したら即座に合体)」 咏「(そのまま処女穴で射精するまで何度も何度も生レイプ…)」 咏「(…うん。良いね、すっごく良い)」 咏「(あんなに大きな身体の男が私の下で泣きじゃくりながらよがり狂うの想像しただけで…)」 咏「(子宮からドロドロっとしたのが漏れでて来ちゃうくらい…)」 咏「(…………ってあれ?)」 咏「(なんであの二人、連絡先交換してんの?)」 咏「(…え、もしかして私、援交現場とか見ちゃってる?)」 咏「(なんて羨ま…い、いや、違う。そうじゃない)」 咏「(…とりあえず観察して……)」 咏「(ふーん…なるほど)」 咏「(…あの二人、まだ出会ったばっかりなんだ)」 咏「(あの男も…出会ったばっかりなのに…あんな事するような淫乱なんだ…)」キュン 咏「(だったら…)」ゴクッ 尭深「…じゃあ、京ちゃん、またね」 京太郎「えぇ、また」 京太郎「(ふっふっふ…やったぜ、俺)」 京太郎「(これで俺の持つ巨乳連絡先が一つ増えたぞ!!)」 京太郎「(…まぁ、増えたところでどうこうなる訳じゃないんだけどさ)」 京太郎「(まだ友達にはなったばかりでお互いに恋愛感情はない訳だし)」 京太郎「(だが、巨乳の連絡先と言うだけで、俺にとっては黄金に値するほど尊い…!!)」 京太郎「(これを縁に仲良くなって、今度はあのおっぱいを直接触ったり…)」グヘヘ 咏「見ちゃったぞー」 京太郎「うぇ?!」ビクッ 京太郎「ってみ、三尋木プロ!?」 咏「って、私の事知ってるんだ」 京太郎「そりゃ当然じゃないですか」 京太郎「日本でもトップクラスの女子プロとなれば、顔と名前くらい覚えてますよ」 咏「そっかそっかー」 咏「若いのに関心だねぃ君」ケラケラ 咏「(…こりゃ思いの外、簡単に食べられちゃうかもねぃ)」ペロ 咏「ところで君はどうしてここに?」 咏「今日は女子の開会式だぜ?」 京太郎「あ、俺は付き添いです」 京太郎「俺の通ってる学校…えっと、清澄って言うんですけど」 京太郎「そこが今日の開会式に出るんで」 咏「清澄清澄……あぁ、長野の?」 京太郎「えぇ。そうです」 京太郎「ご存知なんですか?」 咏「まぁ、これでもプロだからねぃ」 咏「わっかんねー事は沢山あるけど、調べ物は欠かさないぜ」 京太郎「すげー…っ」キラキラ 咏「(…なんて純真な目)」 咏「(淫乱そうな見た目とは裏腹に、割りと清純派なのか?)」 咏「(…まぁ、どっちにしろ…超そそる)」ゾク 咏「(こんな子を穢すと思っただけで…もう今日は眠れなくなっちゃいそうだよ…)」 咏「しかし、清澄の男子は…」 京太郎「あぁ。俺は初戦敗退でインハイには来れなかったッス」 京太郎「まぁ、初めて数ヶ月ですし仕方ないんですけどね」 京太郎「でも、来年は必ず自分の足でここにやってきてみせますよ」 咏「(これは…チャンス…!)」キュピーン 咏「ほうほう。最近の男子にしちゃ随分とやる気に満ちてるねぃ」 咏「気に入ったよ、それだけやる気があるなら私が直接指導してあげる」 京太郎「ま、マジっすか!?」 咏「うんうん。まぁ、私も解説の仕事とか色々とあるけれど…」 咏「インハイが終わるまではあっちこっち飛び回ったりはしないからねぃ」 咏「君一人の指導くらいはしてあげられるよ」 京太郎「で、でも…ほ、本当に日本のトッププロが俺なんかの為に…」 咏「後進の育成もプロの務めだよ」 咏「それにわっかんねーけど、君には見どころがありそうだしねぃ」 京太郎「ほ、本当ですか!?」パァァ 咏「(…うん。まぁ、精液奴隷としての見どころだけどねぃ)」 咏「(麻雀の腕?そんなの本気でわっかんねー)」 咏「(一喜一憂するこの子をどう穢すかで頭が一杯で、麻雀の実力なんかまったくこれっぽっちもわっかんねー)」 咏「で、良ければ私とも連絡先を交換しない?」 咏「こっちの都合が良い時になるけれど、指導してあげるぜぃ」 京太郎「お、お願いします!」ペコ 咏「(…掛かった…!)」 咏「(ふふ…これでこの子は半分、堕ちたも同然…)」 咏「(まぁ、今日はこのままお仕事だから、そのままパクリって訳にはいかないけどさ)」 咏「(でも、さっき私が言った通り…時間をつくる事は可能なんだから)」 咏「(今日は肉が熟成するのを楽しみに待ちながら…)」 咏「(思いっきり部屋でオナニーでもしよう)」ジュン 京太郎「ふんふふんふんふーん」スキップ 京太郎「(やべー。今日マジやっべー)」 京太郎「(東京に来て一日目でおっぱい美少女のおっぱい触った上、知り合いになって…)」 京太郎「(さらには日本のトッププロから直接指導を受けられるようになったなんて…!)」 京太郎「(東京ってすげぇよ…マジチャンスの宝庫だよ…!)」 京太郎「(やっぱり若い内は無理をしてでも東京出てチャンスをつかむべきなんだな…!)」ルンルン ツル 京太郎「っ!?」 京太郎「(って、しまっ!?)」 京太郎「(床すべ…ワックス…!?)」 京太郎「(ダメ、止まれな…)」 由暉子「…ん?」 京太郎「(前…人…!?逃げ……!!)」 由暉子「ひあ…!?」ガツン 京太郎「ぬぉあ…!!」ドシン 京太郎「い…ててて…」 京太郎「(…くっそ…ワックスか何かが残ってたのか…)」 京太郎「(アソコだけやけに滑って…人にぶつかってしまったじゃねぇか)」 京太郎「(…まぁ、何とか反応間に合って俺の方が下になれたけれど…)」 由暉子「………」ウマノリ 京太郎「(って口で愚痴ってる場合じゃないよな)」 京太郎「(ほぼ曲がり角での事故だったとは言え、俺が巻き込んだのは事実なんだし)」 京太郎「(まずこの子にお詫びしないと…)」 京太郎「あ、ごめんなさい」 由暉子「あ、いえ、こちらこそごめんなさい」ペコ 京太郎「え…?」 由暉子「…この態勢…所謂、ToLoveってしまったと言う奴です」 京太郎「(…あー…まぁ、確かに服さえなければ騎乗位っぽい態勢になってるけど)」 由暉子「なので、私は責任をとらなければいけません」 京太郎「はいぃ!?」 京太郎「(責任!?一体、何の!?)」 由暉子「大丈夫です。安心して下さい」 由暉子「不慮の事故とは言え、私は責任逃れするつもりはありませんから」 由暉子「この子と一緒に強く生きていきましょう、アナタ」サスサス 京太郎「ちょ、ま!?待って!待ってください!!」 由暉子「…?」クビカシゲ 京太郎「あ、可愛い」 由暉子「…いきなりそんな事言われると恥ずかしいです」 由暉子「出来れば、そういうのはベッドの中で…」モジ 京太郎「あ、う、動かないで!そ、そこ真上だから!!」 京太郎「って言うか、その早くどいてくれると嬉しいんですが…!!」 由暉子「……そうですね」 京太郎「(何故、今、一瞬の躊躇があったのかは聞かないでおこう)」 由暉子「…まずは役所に婚姻届を出しに行かなければいけません」 京太郎「どうしてそう飛躍するんですか…!」 由暉子「幸せな未来に羽ばたかなければいけないので」 京太郎「誰が上手いこと言えと…!!」 由暉子「上手い事…?」キョトン 京太郎「しかも、素かよ!くっそ可愛いなぁ、マジで!!」 由暉子「…」テレテレ 京太郎「…まぁ、それはさておきですね」 由暉子「はい」 京太郎「そろそろ本気でどいてください」 由暉子「…このままじゃダメですか?」 京太郎「ダメです」 由暉子「…そうですか。残念です」 京太郎「(…ふぅ。渋々って感じだけどのいてくれたか…)」 京太郎「で、まずお聞きしたいんですが」 由暉子「あ、私は有珠山の一年、真屋由暉子といいます」ペコリ 京太郎「これはご丁寧に」 京太郎「俺は清澄の一年、須賀京太郎です」ペコリ 由暉子「…なるほど。同い年なんですね」 由暉子「安心しました」 由暉子「これで二人一緒に大往生を迎えられる可能性がグっと上がりましたし」 京太郎「とりあえず結婚から離れて下さい」 由暉子「…でも、私が押し倒してしまった訳ですし」 由暉子「現実は少女漫画のように甘くはないのですからちゃんと責任をとるべきだと思います」 京太郎「その責任感の強さは魅力的ですが、今は発揮しなくて大丈夫です」 由暉子「…魅力的ですか」テレテレ 京太郎「はい。ですが、個人的には後ろの方をより注目してくれると嬉しかったです」 由暉子「ちなみに須賀くんは男の子と女の子はどれだけ欲しいですか?」 京太郎「男1女1が理想だと思ってますが、結婚の話題からそろそろ離れて下さいお願いします」 由暉子「そうですか。私も同じです」 由暉子「やっぱり私達、相性が良いですね」 京太郎「はい。真屋さんほどの美少女と相性が良いのは俺も嬉しいですが、とりあえず話を先に進めましょう」 由暉子「あ、私は由暉子で結構ですよ。後、敬語も必要ありません」 京太郎「いえ、お願いですから敬語でいかせてください」 由暉子「……須賀くんは意地悪です」 京太郎「寧ろ、俺は今、人生で最も寛容だと言っても良いと思います」 京太郎「後、押し倒したとかそういうの気にしなくて良いですよ」 京太郎「つーか、ぶつかったのはこっちの方なんですから」 京太郎「真屋さんは被害者です」 由暉子「…そう言えばそうでしたね」 京太郎「(普通に忘れてたのか、この人)」 由暉子「男の人を押し倒してしまったって事で頭が一杯でした」 京太郎「あー…その、ホント、ごめんなさい」ペコ 由暉子「謝らなくても大丈夫です」 由暉子「…と言うか、須賀くんの方こそ大丈夫でしたか?」 由暉子「私の下敷きになって重かったのでは…」 京太郎「いや、重いなんて事はなかったですよ」 京太郎「買い出しの荷物の方がよっぽど重かったくらいです」 由暉子「……そうですか」テレ 京太郎「(…女と男の価値観なんかが逆になってる感じだけど…)」 京太郎「(やっぱり今でも女の子はこの辺、気になるもんなんだな)」 京太郎「(ただ、真屋さんは本当に軽かったし、気にするほどでもないと思うんだけど)」 京太郎「(…つーか、身体もびっくりするほど小さいし、もっと食うべきだって言っても良いと思うんだよな)」 京太郎「(そうすれば和並の巨乳もさらに大きく…ってそれはさておき)」 京太郎「真屋さんの方は怪我とかありませんか?」 由暉子「はい。須賀さんが庇ってくれたおかげで何ともないです」 由暉子「…女としては情けない話ではありますが」 京太郎「いやいや、そんな事気にしないでください」 京太郎「大体、真屋さんは有珠山の選手でしょう?」 京太郎「それが怪我で牌を握れなくなった…なんて事になったらこっちの方が申し訳なくなっちゃいます」 由暉子「ご存知だったんですか?」 京太郎「勿論です。これでも全国に出てくる学校は全てチェックしてますから」 京太郎「(…世界が変わってから買い出しに行かされなくなって暇になったからなぁ)」 由暉子「それは素直に嬉しいですね」 京太郎「はは。まぁ、俺は敵側の人間なんで、素直に応援してあげる事は出来ませんけれど」 由暉子「敵…?」 由暉子「…………あれ、もしかして男の人じゃなくて女の人だったんですか?」 京太郎「男です」キッパリ 由暉子「そうですか。安心しました」 由暉子「こんなに可愛い女の子がいたら、ちょっと太刀打ち出来ないので」 京太郎「いや、俺は可愛いとは縁遠い気がしますよ」 京太郎「と言うか、太刀打ちって一体、何ですか?」 由暉子「有珠山は打倒瑞原はやりを掲げていますので」 由暉子「ゆくゆくは牌のお姉さんの座を奪うのが目標…らしいです」 京太郎「らしいって」 由暉子「個人的にはあまり興味がないものですから」 由暉子「ただ、皆と色々な事をするのは楽しいですし…」 由暉子「何より、先輩たちには返しきれないほどの恩があります」 由暉子「それを返すためにも全力で取り組む所存です」 京太郎「(…あぁ、なるほど)」 京太郎「(この子、ちょっと変…と言うかかなり天然入ってるけど)」 京太郎「(でも、一生懸命で友達思いの良い子なんだな…)」 京太郎「(さっきその独特の勢いにびっくりして敬語のままで…なんて言ったけれど)」 京太郎「(ちょっと悪い事をしてしまったかもしれない)」 由暉子「まぁ、そういう訳なので、今はこのインハイで目立とうと思っているんですが」 京太郎「ですが?」 由暉子「…ちょっと不安もあります」 由暉子「ここに来て周りを見れば私よりも可愛かったり綺麗な子ばっかりで」 由暉子「そんな人達の中で、一際目立つ事が出来るのかな…と」 由暉子「先輩たちは私ならば大丈夫だと言ってくれていますが…」 京太郎「…大丈夫ですよ」 由暉子「え…?」 京太郎「真屋さんは色々と独特な雰囲気のある人ですから」 京太郎「そのまま自然体でいれば、人の目も惹くでしょうし」 京太郎「何より、貴女はとても可愛くて魅力的です」 京太郎「顔立ちも整っていますし、スタイルだって抜群じゃないですか」 京太郎「正直、うちの貧乳幼馴染にも分けてあげて欲しいくらいですよ」 由暉子「…ごめんなさい、流石にそれは無理です」 京太郎「分かってます、言葉の綾ですから」 京太郎「まぁ、何はともあれですね」 京太郎「俺が言いたいのは真屋さんならインハイで一番目立つのも不可能じゃないって事ですよ」 京太郎「それは他の出場校全部をチェックしている俺が断言します」 由暉子「…須賀さん」 京太郎「まぁ、麻雀ではウチも負けませんけどね」 京太郎「こっちの雀士は粒ぞろいですから」 京太郎「アイドル勝負では負けても、麻雀では勝ってみせます」 由暉子「…ダメですよ」 由暉子「アイドル勝負でも麻雀でも…勝つのは私達、有珠山です」 由暉子「先輩たちはとっても欲張りで…そして頑張り屋なんですから」 由暉子「清澄がどれだけ強かろうと、私達が優勝してみせます」 由暉子「……でも」 京太郎「ん?」 由暉子「…ありがとうございます、須賀さん」 由暉子「こんな事先輩達には言えなかったので、少し…いえ、とても気が楽になりました」ニコ 京太郎「(うぉお…や、やべぇ…今の笑みドキッとした…)」 京太郎「(さっきまでほとんど表情が変わらなかったのに、この瞬間だけ子どもみたいに嬉しそうにして…)」 京太郎「(こんなの絶対反則だろ…!)」 由暉子「…須賀さんは不思議な人ですね」 京太郎「そ、そうですか?」 由暉子「はい。初対面の私がついつい弱音を漏らしてしまったのもそうですけど…」 由暉子「私が男性器に触れてしまったのにあっさりと許してくれるなんて…」 京太郎「その話はもう忘れましょう」 由暉子「…責任とらなくて良いですか?」 京太郎「とらなくて大丈夫です」 由暉子「……やっぱりこういう事に慣れてるんですか?」 京太郎「慣れてません」 由暉子「じゃあ、責任…」 京太郎「話題、ループしてますよ」 由暉子「…じゃあ、せめて連絡先だけでも聞かせてもらえないですか?」 京太郎「連絡先…ですか?」 由暉子「はい。さっき励まして貰ったお礼もしたいですし」 由暉子「それに生殖器同士で接触してしまった縁をここで終わりにするのも寂しい話ですから」 京太郎「接触はしてません」 京太郎「って言うか、それお願いですから他の人に言わないで下さい」 由暉子「……ダメですか?」 京太郎「ダメです」 京太郎「…まぁ、でも、連絡先交換してくれるのであれば、喜んでお受けしますよ」 京太郎「他の部員と違って、俺、麻雀弱いんで色々とアドバイスなんかも欲しいですし」 由暉子「私で良ければ何時でもお付き合いしますよ」 由暉子「ネト麻のアカウントも持っていますから対局も可能です」 京太郎「あ、じゃあ、そっちもまた聞かせてください」 由暉子「はい。勿論です」 京太郎「…はい。登録完了っと」 京太郎「…あ、そう言えば、真屋さんはどうしてここに?」 京太郎「そろそろ開会式も始まる頃だと思うんですが」 由暉子「………あ、そう言えば」 京太郎「そう言えば?」 由暉子「…私、トイレに行こうとしてたんでした」 京太郎「え?」 由暉子「……思い出したら尿意が」ブル 京太郎「ちょ、ストップ!ストップです!真屋さん!!」 京太郎「ここでやっちゃうと色々とアウトですから!!」 由暉子「頑張ります」 由暉子「…でも、トイレってどっちの方角にありますか?」 京太郎「…俺が入り口まで案内しますね」 由暉子「宜しくお願いします」フルフル ~インハイ会場~ 京太郎「(って訳でインハイもスタートした訳だけれど)」 京太郎「(あんまり俺がやる事がある訳じゃないんだよなぁ)」 京太郎「(勿論、俺の立ち位置はほとんどマネージャーだし、色々とサポートする事はあるけれども)」 京太郎「(でも、皆が見れない試合を見に行くくらいで牌譜作りとかを任されてる訳じゃなく)」 京太郎「(暇って程じゃないけれど…なんとなく手持ち無沙汰って言うか)」 京太郎「(もうちょい色々とやらせてくれても良いんだけどなぁ)」 京太郎「(気遣ってくれるのは有り難いんだけれど、俺だって皆の事をもっとサポートしたい)」 京太郎「(まぁ、とりあえずタコス娘のタコスは俺でも作れるようになったし)」 京太郎「(わざわざ外に補給しに行かなくても良くなったって言うのは大きいはずだ)」 京太郎「(これを期にまたいろんなことを任せてくれれば良いのになぁ…って)」 ネリー「んーっ!」ノビー 京太郎「(…あの特徴的な服は…)」 京太郎「…どうしたんです?」 ネリー「え?」 京太郎「もしかしてボタン届きません?」 京太郎「俺で良ければ押しましょうか?」 ネリー「…あ、じゃあ、そこの剛拳武茶って奴を…」 京太郎「はい」ピッ ガコガコン ネリー「ありがとう。助かった」ニコ 京太郎「いえいえ」 京太郎「じゃあ、俺はこれで」 ネリー「あ、ち、ちょっとまって」 京太郎「はい?」 ネリー「……」ジィィィ 京太郎「(…なんで俺は自販機の前にいた合法ロリを助けたらじっと見つめられているんだろう)」 京太郎「(しかも、視線に隙がない…って言うか、思いっきり値踏みされてるみたいな感じだし…)」 京太郎「(…とりあえず相手は臨海の大将だって事は分かるけど…何か気に障ってしまったんだろうか)」 ネリー「うーん……分かんない」 ネリー「…資産レベルは中金持ちってところだと思うのに…」 ネリー「なんでこんなにヤバイ匂いがするのかなぁ…」 京太郎「…え?」 ネリー「ねぇ。君のところって何かすっごいお宝とかない?」 ネリー「それも…多分、普通の資産では換算出来ないような奴」 京太郎「そんなものあるはずが…」 京太郎「(…いや、あるわ)」 京太郎「(結局、封印出来ないまま放置してたあの石版)」 京太郎「(今は実家のタンスに幾重にも布被せて隠してはいるけれど…)」 ネリー「…へぇ、あるんだ」ニヤ ネリー「ね、ちょっと色々と『お話』しない?」 京太郎「い、いや、俺、ちょっと忙しいんで…」 ネリー「忙しいって言っても、どうせ他校の偵察かなんかでしょ?」 ネリー「それなら大丈夫。私も同じだから」 ネリー「良ければ、色々と解説してあげたりもするよ」 京太郎「う…」 京太郎「(…確かにそれは魅力的だ)」 京太郎「(ド素人の俺とは違って、この人はあの名門臨海の大将)」 京太郎「(いずれ世界でも活躍する事を約束されている若手ホープなんだ)」 京太郎「(その人が解説してくれるとなれば、俺一人で色々と見て回るよりも効率が良い)」 京太郎「(それは…俺も分かってるんだけど…)」 ネリー「…どうどう?」 ネリー「『お話』するだけでこんなにサービスして貰えるなんて滅多にないよ?」 ネリー「普段ならお金取るからね!それもガッツリ!」 京太郎「どんだけ守銭奴なんですか」 ネリー「そりゃ未来のトッププロの解説だもん」 ネリー「安売りしちゃ相場崩して他のプロにも迷惑掛けちゃうしね」 ネリー「それくらい当然です」キリリ 京太郎「(…それっぽい事言ってるけど、確かこの人、まだプロじゃなかったんだよなぁ)」 京太郎「(それにまぁ…性格的にどう考えても守銭奴だし)」 京太郎「(多分、この人、まず何よりお金が好きってタイプだ)」 ネリー「あ、それと私に敬語使わなくても良いよ」 ネリー「もうわかってると思うけど、私一年だから、多分、同い年か、君の方が年上だから」 ネリー「呼び方もネリーで良いし」チラッ 京太郎「(…だから、話しようぜって事ですね分かります)」 京太郎「……分かったよ」フゥ ネリー「ホント!?」パァ 京太郎「あぁ。…でも、家の資産の事とか突っ込まれても応えられないからな」 京太郎「流石にそこまでは俺も知らないし」 ネリー「大丈夫。流石にそこまでは聞いたりしないよ」 ネリー「ただ、ちょっとお話して仲良くなって…それからちょっと調べるだけだから」ニヤリ 京太郎「…調べるって?」 ネリー「日本って便利だよね」 ネリー「お金は掛かるけどこーしんしょってところでほとんど資産が丸裸になっちゃうんだから」ニッコリ 京太郎「こえぇ…」 京太郎「(…なんだ、この合法ロリ)」 京太郎「(普通の高校生と発想が違うぞ)」 京太郎「(まぁ、外国育ちだから、価値観が違うのも当然かもしれないけど…)」 京太郎「(普通の高校生で興信所の事しってる奴なんてどれだけいるんだってレベルだと思うんだが…)」 ネリー「それに私はあんまり君のトコの資産には興味ないし」 ネリー「これでも色々とパトロンもいるから、大金持ちレベルとの付き合いもあるしね」 ネリー「中金持ちレベルだって分かってる君のところを調べて無駄金使いたくないもん」 京太郎「…ちなみにそれ何で分かるんだ?」 ネリー「え?匂い」 京太郎「こえぇよ、マジで」 ネリー「えー。なんとなくだけど分かるでしょ」 ネリー「お金の匂いとかそういうの」 京太郎「いや、普通は分からないし、分かったとしても相手のレベルを判断出来るレベルじゃないと思う」 ネリー「まったく…これだから平和ボケしてる日本人は」 京太郎「平和ボケは関係ねぇよ」 ネリー「むむむ…」 京太郎「何がむむむだ」 ネリー「まぁ、私が興味あるのは君の家の資産以外」 ネリー「それも私がビビビって来るような何かだけだから安心して」 京太郎「まったく安心出来ねぇよ」 ネリー「あ、もしかして私の事好きになった?」 ネリー「ダメだよ、私の事、好きにしたいならせめて大金持ちレベルになってくれないと」 京太郎「安心してくれ。貧乳にはまったく興味はない」 京太郎「(…ただ、どうしてだろうな)」 京太郎「(あまり人を見る目があるってつもりはないんだけれど…)」 京太郎「(この子はあんまり悪い子には見えない)」 京太郎「(まぁ、確かに守銭奴だし、価値観が違うって感じる事も多いけれど)」 京太郎「(でも、ここまでオープンだといっそすがすがしいって言うかさ)」 京太郎「(ちょっと変わった子ではあるけれど…まぁ、嘘のつけない子ではあるんだろう)」 京太郎「(まぁ、その価値観が独特ではあるから、色々と警戒が必要だけれども)」 京太郎「(こんな子にあの石版の事知られたらどうなるか分からないからなぁ…)」 京太郎「ま、それよりもそろそろ行こうぜ」 京太郎「あんまりここにいて試合始まっちゃ偵察の意味がなくなるし」 ネリー「そうだね。ってあ、そうだ」 京太郎「ん?」 ネリー「私、まだ君の名前聞いてない」 京太郎「あぁ。須賀だよ」 京太郎「清澄一年の須賀京太郎」 ネリー「あ、じゃあ、やっぱり同い年なんだ」 ネリー「多分、そうだと思って普通に話してたけどちょっぴり安心した」ニコ 京太郎「(…この子、守銭奴な癖に笑顔だけは綺麗なんだよなぁ)」 京太郎「(ロリロリしい外見に相応しい純真な笑みにころっと騙されそうに…)」 ネリー「…後、名前もあっさり教えてくれたし…これで調べるキッカケも出来たよ」ニヤリ 京太郎「ホント、油断も隙もねぇのな」 ネリー「ふふーん。油断する方が悪いんだよー♪」 京太郎「(…で、まぁ、色々と話しもしていたけれど)」 京太郎「(なんつーか、思った以上に常識的な話しかしなかった)」 京太郎「(まぁ、勿論、油断も隙もないのは確かなんだけれども)」 京太郎「(でも、思ってた以上に踏み込んだ話はしなかったっていうか)」 京太郎「(ごくごく普通の友人同士としての話で始終してた)」 京太郎「(本人は油断を誘う為だって言ってたけど…まぁ、そのとおりなんだろうな)」 京太郎「(実際、ネリーに用事が出来た頃には連絡先くらい交換してもいいかって気になってたし)」 京太郎「(…なんだか上手く乗せられちゃってる気がするんだけど…)」 京太郎「(まぁ、それがあんまり嫌じゃないっていうか)」 京太郎「(あっちも割りと正直で、打てば響くような会話を続けられるからそれなりに楽しかった)」 京太郎「(…まぁ、それももう終わっちゃったけど…あのネリーの事だ)」 京太郎「(まだ石版の事に何も確信を得られてないって事で、頼んでもないのに話しかけてくるだろう)」 京太郎「(それよりも今は喉が乾いてるしジュースジュース…っと)」 照「……あ」バッタリ 京太郎「あれ?」バッタリ 京太郎「(…ってアイエエエエエエ!?チャンピオン!?チャンピオンナンデ!?)」 京太郎「(いや、まぁ、一応、ここインハイ会場だし、エンカウントしてもおかしくないんだけども!!)」 京太郎「(でも、相手はチャンピオンだぞ!!去年一位だった人なんだぞ!?)」 京太郎「(まさかこんな普通の草むらみたいな場所でバッタリ会うなんて想像出来るか!!)」 照「……やっぱり京ちゃんだった」 京太郎「え?」 照「京ちゃんの匂いが尭深に染み付いてたから…きっと京ちゃんもこっちに来てると思って…」 照「一生懸命、探した甲斐があった…」ニコ 京太郎「いや、連絡先知ってるんだから、LINEの一つでもくれればよかったのに」 照「……久しぶりの再会には、やっぱりロマンが必要かなって」 京太郎「(あ、これ完全に忘れてたな)」 照「…それより久しぶり、京ちゃん」 京太郎「ですね。まぁLINEとかで連絡はしてますけど」 照「…以前に比べて連絡してくれる事は減った」 京太郎「い、いや、その…照さんも忙しいかなって思って」 照「忙しいけど、幼馴染をないがしろにするほどじゃない」 照「…………どうせ、おっぱいの大きい子に夢中になってたんでしょう?」 京太郎「い、いやぁ、んな事ないですよ、えぇ」メソラシ 京太郎「(…丁度、照さんが引っ越した時期とモモと知り合った時期が重なるけれど言わないでおこう)」 照「…隠してもバレバレ」 照「これでも私はお姉ちゃんだから」 照「京ちゃんがどういう本を何処に隠してるのかもバッチリサーチ済み」フンス 京太郎「プライバシー侵害で訴えるぞ、宮永」 照「…大丈夫。私はお姉ちゃんだから」 京太郎「それは何でも許される免罪符じゃないんだよなぁ…」 照「…それより京ちゃん」 京太郎「はい?」 照「お姉ちゃんに何か言う事ない?」 京太郎「あー…その、綺麗になりましたね」 照「…」テレテレ 照「…って違う。そうじゃない」 京太郎「あー…それじゃあ咲の事ですか?」 京太郎「知ってると思いますが、あいつもこっちに来てますよ」 照「…それも違う」 照「と言うか私に妹なんていない」スネー 京太郎「はいはい」 京太郎「じゃぁ…えっと…」ウーン 京太郎「…………すみません。分かんないっす」 照「…京ちゃんは本当にダメな弟」 照「略してマダオ過ぎ」 京太郎「マはどっから来たんだポンコツ姉」 照「そんなマダオな京ちゃんに私が応えを教えてあげる」 京太郎「聞けよ」 照「…………私の胸、2cm大きくなったよ」ドヤァ 京太郎「…………あ、おめでとうございます」 照「うん。ありがとう」 照「日頃頑張ってた成果が出ました」ニコリ 京太郎「…うん。で、それを俺に言った意味は?」 照「…京ちゃんおっぱい好きだから、大きくなった私の胸揉むかなって」 京太郎「まな板にどれだけ+してもまな板である事には変わらないんだよなぁ」 照「…」ゲシゲシ 京太郎「い、いてててっ」 照「まったく京ちゃんは素直じゃないんだから」 照「どれだけ釣らない態度をとっても私には京ちゃんの視線が胸にいってる事はお見通し」 京太郎「いや、照さん小顔だからそっち見ると自然にまな板まで視界に入るだけなんですが」 照「…」ゲシゲシ 京太郎「いてて!だ、だから脛は!脛はNGだって…!」 照「…揉みたいでしょ?」 京太郎「いや、まったく」 照「…揉みたいに決まってる」 京太郎「貧乳に興味はねぇよ」 照「揉みたいって言え」ギュルルル 京太郎「ちょ、待って!それ洒落にならない!!」 京太郎「それ絶対にダメな奴だから!!!」 照「…大体、尭深の胸を揉んだのに私の胸を揉まないとか不公平…」スネー 京太郎「貧乳と巨乳が同じ権利を享受出来ると思うなよ」 照「…私はこの日の為に頑張ってバストアップに勤しんできたのに…」 京太郎「どうせお菓子食べてたとかそんなのだろ」 照「…どうして分かったの?」 照「まさか私と離れてる間に京ちゃんがエスパーに…」ハッ 京太郎「目覚めてねぇよ」 照「…良かった」 照「私が京ちゃんに対して行ってるアレやコレやと言った妄想を知られたら生きていけない」 京太郎「俺も出来ればそれを知りたくなかったかなぁ」 照「ちなみに京ちゃんの匂いで私の下着はもうグチョグチョになってるから」 照「…後で履き替えるけど、今のショーツいる?」 京太郎「いらねぇよ!!!」 照「一応、シルクのだから扱き心地は良いと思うよ」 京太郎「そういう問題じゃねぇんだよ」 照「…………あ、すべすべよりもゴワゴワの方が好み?」 照「ごめん。私、あぁいうの肌があれて苦手だから…」 京太郎「種類の問題じゃないって言ってるダロォ!」 照「…………で、こうやって隙見せてるのに何時になったら揉んでくれるの?」 京太郎「俺はもう今の会話で完全に手一杯だったよ!」 照「…京ちゃんの癖に中々、上手な切り返し」 京太郎「そういう意味じゃないから!!」 京太郎「…と言うかアレだよ」 京太郎「久しぶりに会った幼馴染との会話がコレってどうなんだよ」 京太郎「他の男にこういう会話してないよな…?」 照「…もしかして独占欲?」クス 京太郎「寧ろ、照さんが嫁入り出来るかどうか心配してるんだよ、こっちは」 照「大丈夫。他の人の前では猫かぶってるから」 京太郎「…まぁ、記者会見とかだと結構、マトモっぽく見えるけどさ」 照「…見ててくれたんだ?」 京太郎「そりゃ…まぁ、幼馴染の晴れ舞台だしさ」 照「…そっか」ニコ 照「…でも、ごめん。私、京ちゃんの晴れ舞台とか見てなかった…」 京太郎「あぁ、うん。折角、いい話になりかけてたのに台無しになったな」 照「…だから、その分、身体でお詫びを…」 京太郎「いらねぇって言ってるだろ」 照「……京ちゃんのイケズ」 照「私…京ちゃんとズッコンバッコンするのを楽しみに今日まで待ってたのに…」 照「どうしてエッチな事してくれないの?」 京太郎「公衆の面前でそんな事言い放つ幼馴染の相手で一杯一杯だからだよ」 照「…普段は我慢してるんだからこれくらい許して欲しい」 京太郎「まぁ、それだけ信頼してくれてる事に感謝する気持ちがない訳じゃないけど」 京太郎「でも、出来れば異性って事で控えてくれると俺は嬉しいかな」 照「…まだこれは先走りだよ?」 京太郎「何故、それで例えようと思った」 照「こっちの方が京ちゃんも馴染みがあるかなって」 京太郎「うん。そういう心遣いはいらないかな」 照「…………まぁ、でも」 京太郎「ん?」 照「……こうやって私が自分を曝け出せるのは京ちゃんだけだから」 照「私が私でいて引いたりしないのは…京ちゃんだけだから」 照「だから…久しぶりに会えて…本当に嬉しい」ニコ 京太郎「照さん…」 照「…………じゃあ、再会を祝して、一緒にラブホ、行こっか?」 京太郎「せめて一分はこの雰囲気持たせろよ!!!」 京太郎「はぁぁぁ…」 京太郎「(疲れた…いや、ホント、マジ疲れた…)」 京太郎「(なんかこうアレだけ世界観が違うレベルで疲れきったわ)」 京太郎「(まぁ…決して楽しくなかった訳じゃないけどさ)」 京太郎「(初対面の他人ならともかく、相手は照さんだし)」 京太郎「(子どもの頃から見知った相手との会話はやっぱり久しぶりで…)」 京太郎「(まぁまぁ…楽しかったとそう言えるものではあったんだけど…)」 京太郎「(この前まで普通だったじゃん!!)」 京太郎「(俺が照さんと別れた時はあくまでも普通だったじゃぁああん!?)」 京太郎「(なのに、なんで再開したらオープンスケベの変態になってるんだよおおおお)」 京太郎「(いや、石版の所為なんだろうけどね!)」 京太郎「(ひいては俺の責任なんだろうけれども!!)」 京太郎「(…なんか俺が知らないだけで昔からあんな感じだったのかなぁって思うと)」 京太郎「(ちょっと…いや、結構、ショックを受けてる俺がいて…)」フゥ 竜華「…ね、そこの君」 京太郎「ふぇ?」クル 京太郎「(って、こ、この人は…!?)」 京太郎「(大阪の名門、千里山の大将…清水谷竜華さんじゃないか!!)」 京太郎「(おぉ…雑誌で見てたけど…やはり良いおっぱいだ…!)」 京太郎「(千里山はあまりおっぱい偏差値高くはないが…)」 京太郎「(その分、一人で他校のおっぱい担当と渡り合えるほどの大きさ…!!)」 京太郎「(だが…彼女が特筆すべきはおっぱいだけじゃない)」 京太郎「(生まれた時からおっぱい派閥であった俺でさえ認めざるを得ない…その太もも!!)」 京太郎「(く…思わず宗旨替えが脳裏に浮かぶほど…魅惑的なむっちりさ加減じゃないか…)」 京太郎「(これもう凶器だろ、どう考えても青少年の育成に不適切だって)」 京太郎「(18歳未満は見られないようモザイクを掛けるべきだとボクぁ思うな)」 京太郎「(…いや、それだったら余計にエロくなってダメか、うん)」 竜華「あ、あの…」 京太郎「あ、い、いや、ごめんなさい」 竜華「ううん。うちの方こそいきなり話しかけてごめんね」 竜華「その、さっきから結構、ため息吐いとるからちょっと気になって」 京太郎「あー…もしかして心配させちゃいましたか」 竜華「心配って程大したもんやないけどね」 竜華「でも、まぁ…目の前でそうため息を吐かれるとやっぱ気になるし」 竜華「何か悩み事があるんやったら吐き出していかへん?」 竜華「これでも口は硬い方やで」ニコ 京太郎「…天使だ、天使がいる」 竜華「え、えぇぇ…」カァァ 竜華「い、いきなりそんなん言われたら照れるやないの…」モジ 京太郎「(あぁ、なんて常識的な反応…)」 京太郎「(照さんで荒んだ心が癒やされていくのを感じる…)」 竜華「それに…うちは天使とかやあらへんよ」 竜華「一応、これでも下心もあって…あ、いや、その…別にナンパとかやないんやけど…」 竜華「で、でも、あの…君、可愛えぇし仲良くなれたらええなって…」 京太郎「お近づきになるどころか、もうそのまま恋人までいっちゃっても良いくらいっす」キリリ 竜華「え、えぇぇ…!?」カァァ 京太郎「はは。まぁ、流石に冗談ですけれど」 竜華「そ、そうやね。幾ら何でも早すぎやもんね…」 京太郎「でも、そんな風に気にしてくれて有難うございます」 京太郎「清水谷さんほどの美少女に気にしてもらえるなんてちょっと…いや、かなり嬉しいです」 竜華「…アレ、うちの名前…まだ名乗っとらへんよね?」 京太郎「あ、すみません」 京太郎「一応、これでも麻雀部員なのでめぼしい人はチェックしてて」 京太郎「その関係で清水谷さんの事も事前に知ってました」 竜華「そ、そうなんや…」 竜華「ちょっと照れくさいなぁ」テレテレ 京太郎「(可愛い)」 竜華「…で、君の名前は?」 京太郎「あ、申し遅れました」 京太郎「俺、清澄一年の須賀京太郎です」 竜華「あー…清澄っちゅーと、確かインターミドルチャンプの原村さんがいる…」 京太郎「です。まぁ、他にもポンコツとかタコスとか色々いますけど」 竜華「ぽ、ポンコツ?タコス…?」クビカシゲ 京太郎「あ、気にしないでください」 京太郎「清水谷さんのおっぱいに比べれば、あまりにも貧しい連中なので」 竜華「…おっぱい?」キョトン 京太郎「あ、いや、その…」 竜華「…須賀くんっておっぱい好きなん?」 京太郎「大好きです!」キリリ 竜華「へ、へぇ…そうなんや」 竜華「でも、今時、おっぱい好きって珍しい子やね」 京太郎「そうですか?」 竜華「うん。だって、今の流行りって手のひらに収まるサイズくらいやろ?」 竜華「あんまり大きすぎても見栄えが悪いっちゅーて相手はされへんらしいよ」 京太郎「何と勿体無い…!」 竜華「え?」 京太郎「良いですか!おっぱいとは宇宙の心です!真理です!!」 竜華「う、うん」 京太郎「その中には人類の夢と希望…!いや、ありとあらゆるロマンが詰まっていると言っても過言ではありません!」 京太郎「それを見栄えが悪い!?」 京太郎「手のひらサイズが流行だああ!?」 京太郎「清水谷さん、そのような流言に耳を貸す必要はありません!」 京太郎「おっぱいは常に正義! おっぱいイズびゅーてぃふる!!」 京太郎「貧乳や普乳よりも遥かに尊いのが貴女のおっぱいなんです!!!」 竜華「そ、そうなんやー…」 竜華「う、うん。まぁ…ともかく」 竜華「須賀くんがうちのおっぱいを気に入ってくれたのは良く分かったよ」カァァ 京太郎「(…ハッ、この流れ…!)」 京太郎「(昨日の尭深さんの時と同じだ…!!)」 京太郎「(さっきは意識してなかったけど…もしかしたら…)」 京太郎「(本当にもしかしたら…このまま清水谷さんのおっぱいを揉ませて貰えるかも…)」 竜華「……だーめ」カクシ 京太郎「え?」 竜華「そんな目で見ても触らしてあげへんよ」 竜華「流石に初対面の男の子にポンポン触らせるほどうちのおっぱい安くはないしね」 京太郎「ですよねー」 京太郎「(…まぁ、幾ら男と女の立場が入れ替わったってそう上手くいくはずないよなぁ)」 竜華「…まぁ、仲良くなってくれたらちょっとは考えてあげるかもしれへんけどね」クス 京太郎「な、仲良くなります!もう滅茶苦茶、仲良しになります!!」 京太郎「クレジットカードの暗証番号教える勢いで仲良くなりますとも!!」 竜華「さ、流石にそれはこっちが困るかなぁ…」 竜華「…まぁ、でも、須賀くんは本当におっぱいが好きなんやね」 竜華「さっきとは雰囲気、全然、違うよ」クス 京太郎「あー…まぁ、ちょっと色々あって気疲れしてただけですから」 京太郎「清水谷さんのおかげでおっぱいパワーも溜まりましたし元気百倍です」 竜華「ふふ。安い子やね」 竜華「じゃあ、おっぱいは触らせてあげんでもええかなー?」チラッ 京太郎「あ、すみません。俺、ちょっと今にも病院に運ばれそうなくらい元気がないんで…」 竜華「もう。流石にそんなんじゃ騙されへんよ?」 京太郎「ダメですか」 竜華「ダメでーす」クス 竜華「ま、元気になったんやったら良かったよ」 京太郎「すみません。そちらも忙しいでしょうに」 竜華「んーん。大丈夫」 竜華「うちは今、休憩中やったから」 竜華「寧ろ、ちょっと暇やったし須賀くんが通りがかってくれて渡りに船やったんや」ニコ 京太郎「なら、良かったッス」 竜華「それに…ちょっとコンプレックスやったおっぱいの事、褒めてくれたのなんて君くらいやしね」 京太郎「間違っているのは世界の方ですから」キリリ 竜華「…うん。いっそそこまで自分を信じられるのは凄いと思うよ」 竜華「それがおっぱいの事やと思うと、あんまり見習いたくはないけど」 京太郎「解せぬ」 竜華「まぁまぁ、一応、これでも2割くらいはほめとるし」 京太郎「残りの八割は?」 竜華「ドン引きしとるよ」 京太郎「ぐぬぬ」 竜華「ま、それでも須賀くんが面白い子やって言うのは分かったしね」 竜華「暇やったら君もここでちょっと一服していかへん?」 京太郎「え?良いんですか?」 竜華「うん。折角やし、色々と話も聞いてみたいしね」 京太郎「そ、そう言って俺から仲間の事を聞き出すつもりなんでしょう!?」 京太郎「俺がそのおっぱいに逆らえないって知ってて!!」チラッチラッ 竜華「うーん…」 竜華「じゃあ…こんなんどう?」タニマツクリ 京太郎「ぐふっ」 竜華「うわぁ…効果絶大やな」 京太郎「何でも聞いて下さい、貴女の下僕となった須賀京太郎が全てお答えします」キリリ 竜華「ホンマに安い子やねぇ」クス 竜華「まぁ、そんな風にかしこまらんでええよ」 竜華「今のところ、清澄の事にあんまり興味ないしね」 竜華「それよりも単純に須賀くんと仲良ぅなりたいから」ニコ 京太郎「ふんふふんふんふーん」 京太郎「(いやぁ…清水谷さんと過ごした時間は素晴らしかったな)」 京太郎「(流石にあのおっぱいは触らせてもらえなかったけど、すっごく常識的な人だったし)」 京太郎「(俺のくだらない会話にも何だかんだ言って付き合ってくれてた)」 京太郎「(やはり巨乳は心が大きくて余裕があるんだな、ハッキリと分かったよ)」 京太郎「(…まぁ、あんまり深くは言わなかったけど…あっちにも色々とあるんだろうけれどさ)」 京太郎「(一瞬、清水谷さんが見せた自己嫌悪の色は決して小さいものではなかったし)」 京太郎「(おっぱいが大きすぎるとあんまり良い顔をされないっていうのは事実だったんだろう)」 京太郎「(それを正す為にもあの石版を……い、いや、ダメだろ)」 京太郎「(確かに俺がやった事の責任を取る意味ではそれはアリかもしれないけれど…)」 京太郎「(でも、アレはそうそう簡単に使って良いものじゃないんだ)」 京太郎「(それが世界に与える影響を考えれば、もっと良く吟味しないと…)」 明華「あ、あの…」 京太郎「ん?」 明華「もしかして貴方…須賀京太郎さんでは…」 京太郎「(…なんか俺の方が名前知られてるって珍しいパターンだな)」 京太郎「(しかも、こんな美乳っぽい子に知られているなんて…)」 京太郎「(今日は清水谷さんとも知り合えたし、空から隕石でも降ってくるんじゃないだろうか)」 京太郎「(ってそれはさておき)」 京太郎「はい。そうですが…」 明華「や、やっぱり!」ガシッ 京太郎「お、おうふ」 明華「わ、私、フランスで貴方の記事を読みました!」 明華「日本のハンドボール界に世界で通用する逸材が現れたって!」 明華「試合のシュートもすごくて…!こっちでもすぐにでもやっていけると私も思います!!」ブンブン 京太郎「(な、何故だ…)」 京太郎「(どうして美乳美少女が俺の手をいきなり掴んだ挙句、ここまで興奮しているんだ…!?)」 京太郎「(い、いや、まぁ、中学の頃にやってたハンドボールでファンになってくれたっていうのは分かるんだけど!!)」 京太郎「(いきなり過ぎてちょっと…い、いやかなり追いつけないんだけれども!!)」 明華「で、でも、どうして、急にハンドボールを止めてしまったのですか?」 明華「私、貴方の試合を生で見られる事を楽しみにしていたのに…」シュン 京太郎「あー…その…深い理由はないんですが…」 京太郎「(…ぶっちゃけ、ハンドに行き詰まりを感じたってだけだからな)」 京太郎「(怪我とかそういう大した理由じゃないし…)」 明華「…」ゴクッ 京太郎「(…しかし、それをこのままこの人に言ってしまっても良いだろうか)」 京太郎「(明らかに俺に対して期待してくれているのが伝わってくる眼差しだし…)」 京太郎「(こ、ここはやっぱり…適当に誤魔化してしまおう)」 京太郎「じ、実は…膝に矢…もといボールを受けてしまいまして」 京太郎「以前のような動きが出来なくなってしまったんです」 明華「そ、そんな…」 明華「須賀さんはこちらでも特集が組まれるほどの逸材だったのに…」 明華「それが世界に羽ばたくのをずっと楽しみにしながら…貴方でオナニーしていた私は…一体、どうすれば…」 京太郎「(…うん。今のは聞かなかった事にしよう)」 京太郎「(と言うか、割りとマジで忘れてしまいたい)」 京太郎「(海外から俺のファンだって言ってくれる子が来たのに、それが照さんに並ぶオナニストだったとか…)」 京太郎「(正直、俺の人生の中でも2位にランクインするほどの黒歴史だからな)」 京太郎「(勿論、不動の一位は照さんだけれど)」 明華「で、でも、大丈夫です!」 明華「私の母は最先端医療にも関わる技術者ですから!!」 明華「きっと母の同僚ならば、貴方の傷を治してくれます!!」 京太郎「(うわぁ…とんでもない事になっちゃったぞ…)」 京太郎「い、いえ、大丈夫です」 明華「で、でも…」 京太郎「それにハンドボールへの未練って実はもうなくって」 明華「え?」 京太郎「元々、行き詰まりのようなものを感じてたんです」 京太郎「だから、俺は自分の怪我も積極的に治すつもりがなくって」 京太郎「それに今は麻雀をやってる方が楽しいので大丈夫ですよ」 明華「そ、そう…ですか…」シュン 京太郎「(やべぇ。目に見えて落ち込んでるよ)」 京太郎「(憧れの選手が再起不能だっただけならばまだしも…)」 京太郎「(昔の情熱を完全に失っている状態だからなぁ…)」 京太郎「(そりゃファンとしては落ち込んで当然だろう)」 京太郎「(正直、その気持ちが分かるだけに何とかしてあげたいけれど…)」 京太郎「(でも、ここで下手に何か言って希望を持たせる方が可哀想だ)」 京太郎「(だから…)」 京太郎「それに男ばっかりに囲まれているよりも、やっぱり女の子がいる環境の方が楽しいですしね」 京太郎「やっぱり男はボールよりもおっぱい追いかけてる方が正しい姿かなって」 明華「…………」 京太郎「…アレ?」 明華「…………私、貴方の事を誤解していました」 明華「私が貴方のファンになったのは…ただ実力や才能だけではありません」 明華「誰よりもハンドボールを楽しそうにプレイしていたからです」スッ 京太郎「え、えっと…」 明華「…でも、そんな人は最初からいなかったんですね」 明華「まさかそんな不真面目な人だったなんて…」 明華「…幻滅しました」プイッ スタスタ 京太郎「あ…………」 京太郎「(…やっちまったなぁ…)」 由暉子「~♪」 爽「あれ、珍しく上機嫌じゃん」 爽「何か良い事でもあった?」 由暉子「はい。さっき新しく友達が出来たので」 爽「へぇ。どんな子?」 由暉子「えっと」ポチポチ 由暉子「この人です」シャメミセ 爽「…………え?」 由暉子「どうかしました?」キョトン 爽「…男?」 由暉子「はい。男性です」 爽「イケメン?」 由暉子「多分、一般的にはそう呼べる顔立ちだと思います」 爽「…友達?」 由暉子「はい。馬乗りになった私をトイレに連れてってくれました」 爽「どんな過激なプレイしてんの!?」 由暉子「はい。生殖器同士が触れ合った私をトイレに連れてってくれました」 爽「どんな過激なプレイしてんの!?」 爽「つ、つーか、ちょっとまって」 由暉子「はい。待ちます」 爽「(お、落ち着け、私)」 爽「(これはかなりの大事件だぞ…)」 爽「(今まで私達以外にろくな友達がいなかったユキに友達が出来るだけならともかく…)」 爽「(しかも、男!イケメン!ただならぬ関係っぽい!!)」 爽「(その上、ユキがここまで上機嫌になるって事はかなり気に入ってる訳で…)」 爽「(割りとチョロいユキが堕ちないはずないじゃん!!)」 爽「(でも、この写メ見る限り、相手は大分遊んでる感じだし…)」 爽「(恋愛初心者なユキの手に負える相手じゃない…!)」 爽「(私としても出来れば応援してあげたいけれど…)」 爽「(でも、私だって今まで男の子と遊ぶ以上の事はした事ないし…)」グルグル ピポーン 由暉子「…あ」 爽「ど、どうかしたの?」 由暉子「京太郎さんからのLINEです」 爽「き、京太郎さん!?」 爽「(も、もう下の名前で呼んでいるなんて…)」 爽「(あの根暗だったユキがって思うと感慨深いものを感じるけれど…)」 爽「(でも、それ以上に騙されてるような気がしてお姉さん、心配だよ!?)」 由暉子「…~♪」 爽「(…で、でも、幾らユキが素直だって言っても、騙されてるかも、なんて言ったら気分を悪くするだろうし…)」 爽「(実際、私もその男の人を知ってる訳じゃないもんね…)」 爽「(……だから、とりあえず今は様子見に徹しておこう)」 爽「(で、後で皆を招集してその男の子の情報を集める…のがベストかな)」 爽「(しっかし…ユキに男友達かぁ…)」 爽「(…テンパって結婚しようとか言い出してなきゃ良いんだけど……)」 ネリー「んー…」ゴロゴロ ネリー「(夜になるとやっぱり暇だよねー…)」 ネリー「(これは自分の家だと電気代もったいないから早く寝よう!って気になるけど…)」 ネリー「(基本、寮暮らしで電気代掛かんないしー)」 ネリー「(何かお金稼ぐネタ探そうにも株価や為替のチェックも終わっちゃったしー)」 ネリー「(とは言え、寝ようとしても眠気が出てくる訳じゃないしー)」 ネリー「(今日は偵察ばっかりで麻雀も打ってないから疲れてないしー)」 ネリー「(それも特に得るものがなかったからちょっと今日一日無駄にしちゃった気分…)」 ネリー「(…あー、いや、でも…あのキョータローが居たか)」 ネリー「(私でも価値が分からないようなお宝を持ってる人)」 ネリー「(でも、その割には正直で…表情もコロコロ変わって)」 ネリー「(ちょっぴり馬鹿っぽいけど…でも、まぁ、男は多少、馬鹿っぽい方が愛嬌があるし)」 ネリー「(外見からして大分、チャラそうな感じだったから、きっと女をとっかえひっかえして遊んでるタイプだと思うんだけど…)」 ネリー「(それでも…あんまり嫌いなタイプじゃないんだよね)」 ネリー「(体を売る男の人とか見てきたし、貞操観念じゃお金稼げないって思ってるからかもだけど…)」 ネリー「(でも…キョータロー、私の事、嫌ったりしてなかった)」 ネリー「(この国では私の事を知ると嫌そうな顔をする人がほとんどなのに…)」 ネリー「(お金お金って言っても特に嫌わず、私の事を受け止めてくれて)」 ネリー「(まぁ…正直、名前が分かった以上、もう会う必要もないんだけどさ)」 ネリー「(名前さえわかれば、芋づる式に色々と調べる事が出来るし)」 ネリー「(寧ろ、出会ったところで特にお金になったりしないんだから適当に煙に巻くべきなんだろうけれど…)」 ネリー「(でも、また会っても良いって思うくらいには気に入っちゃってるし)」 ネリー「(…予定が合えば、また解説してやっても良いかなぁ)」 ネリー「(もしかしたら、私の金づるにもなってくれるかもしれないし…ね)」 咏「あ…あぁ…っ♪」クチュクチュ 咏「このままイかせてやる…ぅ♪」 咏「私の中でっ?子宮…でえっ♪」 咏「あは…はっ♪今更、嫌だって言っても…遅いぃっ?」 咏「このまま一滴も金玉の中に残らないくらい…にぃっ♪」 咏「レイプ…してやるぅっ?搾精レイプぅ…♪」 咏「泣きじゃくってもっ♪嫌がってもっ♪壊れてもぉおっ♪」 咏「容赦してやらな…いからあぁぁああああっ?」ビクン 咏「あ…あぁぁ…あぁぁぁ…っ♪」フルフル コテン 咏「(…あー…凄かった…)」 咏「(今のオナニー…人生で一番、気持ち良かったかもしれない…)」 咏「(今日初めて会った男をオカズにしたとは思えないほど妄想がマッチして…)」 咏「(子宮からイけちゃったぜ…♪)」ハフン 咏「(運命の赤い糸とか信じるほど子どもじゃないけど…)」 咏「(これだけ相性が良いなら…もしかしてあの子が私の運命なのかもねぃ)」 咏「(…ま、一般的に言う恋人とか夫婦とかじゃなくて…)」 咏「(精液奴隷としての運命…だけどさ…?)」ペロ 咏「(まぁ…でも、仕方ないよね…)」 咏「(こんなにエロい身体なのに…第二ボタンまで開くような格好しちゃってさ)」 咏「(その上、子どもっぽいくらい素直に喜ばれたら…もう我慢なんて出来るはずないって)」 咏「(存在そのものが女にレイプされる為にあるような子だよ)」 咏「(…だから、私が保護してあげないとねぃ)」 咏「(このまま放置してたら、どんな酷い女に奴隷されるかわっかんねーし…)」 咏「(私だったら多少はほら、大事にしてやらなくもないから…さ♪)」 咏「(…だから…早く私のモノになりなよ、京太郎…?)」ペロ 咏「(壊れるまで…ううん、壊れても…)」 咏「(その骨の髄まで…レイプし続けてやるからねぃ?)」 照「…うーん」 照「(私の誘い方は完璧だったはず)」 照「(その上、京ちゃんと離れてる間に、胸も大きくなって…より大人っぽくなったのに)」※当社比 照「(どうして京ちゃんは私とラブホに行ってくれなかったんだろう?)」 照「(…やっぱり照れてる? 照だけに)」 照「(………うん、今のは良かった)」 照「(心のボキャブラリーの中に登録しておこう)」ウンウン 照「(…まぁ、それはさておき)」 照「(問題は京ちゃんの事…)」 照「(渾身と言っても良い誘い文句が効果をなさなかった今、次の策を考えないと)」 照「(…折角、京ちゃんが東京にいるのに何もしないとか耐え切れないもんね)」 照「(インハイ中だったら邪魔者の咲も、私を止められないだろうし…)」 照「(このままグチュンと一発、京ちゃんとヤってセフレになりたい)」 照「(…って言うかならないと欲求不満で死んじゃう)」 照「(幼いころから私の性の対照は京ちゃんだけだった)」 照「(どれだけ格好良い男の子を見ても、どれだけ可愛い男の子を見ても…)」 照「(私はまったく心を動かされる事はなかった)」 照「(多分、それは私の身体が、もう京ちゃんじゃないとダメだから)」 照「(幼いころから一緒にいて、弟みたいに思っていて…)」 照「(私の事をお姉ちゃんって呼んでくれた京ちゃんじゃないと興奮出来ない変態が私…)」 照「(急にオスの匂いをさせるようになった京ちゃんで、一日中オナニーしまくった時から…)」 照「(私の身体は京ちゃん以外を受け付けなくなってしまった)」 照「(どれだけエッチにAVを見ても、オマンコが濡れないのに…)」 照「(京ちゃんの顔を思い浮かべただけで、もう疼いて止まらないくらいに)」 照「(…そんな私がもう一年以上も京ちゃんから引き離されて…マトモでいられるはずがない)」 照「(もう頭の中で何回だって犯した)」 照「(こそっと持って帰ったパンツで何百回もオナニーした)」 照「(…でも、もう妄想や匂いの薄れたパンツじゃ我慢出来ない)」 照「(私は…私は京ちゃんが欲しい)」 照「(ほかの人なんていらないから…京ちゃんとセックスがしたい…)」 照「(だから……)」 憧「(う、うわぁ…)」コソコソ 憧「(たまたま会場の中歩いてたら…なんか凄い光景を見ちゃった…)」 憧「(人が人を軽蔑する瞬間なんて普通見れるもんじゃないよね)」 憧「(いや、まぁ…正直、見たいもんじゃないけどさ)」 憧「(普通の修羅場とはちょっと違ったけど…下手に動けずに困ったくらいだもの)」 憧「(…しっかし、あの男も酷いよね)」 憧「(一体、何があったのか知らないけど…)」 憧「(ファンだって言ってくれてる女の子の前で、あんな事言うなんて…)」 憧「(見た目通りと言えば見た目通りなんだろうけど…それでも最低)」 憧「(なんか困った顔してるけど軽蔑されて当然でしょ)」 憧「(…ただ、あの男ほど酷いのは稀だろうけれどさ)」 憧「(多かれ少なかれ、世の中の男ってそんなもんだよね)」 憧「(どれだけ清純そうな男でも、腹の中には黒いもの溜め込んでいるだろうし)」 憧「(綺麗な笑みを浮かべて、内心、相手の事を軽蔑してるなんて珍しくともなんともない)」 憧「(勿論、例外はいるだろうけれど…そんなのは極少数でしょ)」 憧「(昔は良く日本男子なんて言ってたらしいけど…)」 憧「(でも、そんなの最初から幻だったか…)」 憧「(或いは男の社会進出によってほとんど絶滅しちゃってる)」 憧「(…だから、やっぱり女の子を裏切らない二次元が一番だよね)」ポチポチ 憧「(はぁ…今日も加州はイケメンだなぁ)」 憧「(綺麗だし一途だし…)」 憧「(リアルとは大違いだわ)」デレデレ 京太郎「(うーん…失敗だったなぁ)」 京太郎「(出来れば暗い雰囲気吹っ飛ばせれば…ってそんな風に思ってたんだけど)」 京太郎「(暗い雰囲気だけじゃなくて好感度までふっ飛ばしてしまうとは)」 京太郎「(ぐああああっ!惜しかった!本当に惜しかった…!!!)」 京太郎「(俺に対して、あそこまで好意を示してくれる美乳少女なんて少ないのに!!)」 京太郎「(絶滅危惧種だって言っても良い女の子にあそこまで失望されるなんて…!!)」 京太郎「(……出来れば連絡先の一つくらい聞きたかったけど…アレじゃもう無理だよなぁ)」フゥ モモ「…京さん?」ムスー 京太郎「ってモモ、どうしたんだ?」 京太郎「…なんか不機嫌そうだけど」 モモ「…これが上機嫌に見えたら、眼科言ったほうが良いと思うっす」スネー モモ「(…京さん、さっきの子にデレデレしてたっす)」 モモ「(近くに私が来たら…大抵、気づくはずなのに)」 モモ「(そんなの気づかないくらいにあの人に呑まれてて…)」 モモ「(まぁ…確かにあの人は綺麗だったと思うっすけど…)」 モモ「(…でも、やっぱりどうしても釈然としないっす)」 モモ「(胸の中、モヤモヤして…腹が立つっすよ」スネー 京太郎「えーっと…モモ?」 モモ「…何っすか?」 京太郎「…なんでそんなに怒ってるんだ?」 モモ「ふーんだ…」 モモ「京さんには教えてあげないっすよ」ツーン モモ「(…と言うか言えないッスよ)」 モモ「(私自身、どうしてこんなに腹が立つのか分かってないんっすから)」 モモ「(ううん…分かっているけれど…それはわかっちゃいけない事で…)」 モモ「(だから…)」 京太郎「もしかして、嫉妬か?」 モモ「~っ!」カァァ 京太郎「そっかー嫉妬かー」 モモ「ち、違うっすよ!」 モモ「と、言うか…ど、どうして私が京さんに嫉妬しなきゃいけないんっすか!」 モモ「べ、別に私は京さんの事なんてどうとも…」 京太郎「思ってない?」 モモ「…そ、そういう訳じゃ…ないっす…けど…」 京太郎「じゃあ、嫌いか?」 モモ「う………き、嫌いと言う訳でも…」 京太郎「なら、好きか?」 モモ「~~~~っ」プシュゥ 京太郎「はは。ホント、モモは可愛いなぁ」ナデナデ モモ「ふ、ふにゃあ…」フルフル モモ「(あうぅぅ…ま、また京さん気軽に私の頭撫でて…)」 モモ「(わ、分かってるっすか?)」 モモ「(それって…男の人のオチンチン周りを撫でるに近い行為なんっすよ…?)」 モモ「(ただ、心地良いのとはまた別の気持ち良さを…相手に与えるんっすから)」 モモ「(…普通、こんな事しちゃったら…そりゃもうオッケー状態だって思われても仕方ないっす)」 モモ「(何時でもレイプされても構わないんだって言う…ビッチアピールっすよ…っ)」 京太郎「まぁ、アレだ」 京太郎「嫉妬なんかさせちゃってごめんな」 モモ「べ、別に嫉妬してた訳じゃ…」 京太郎「でも、なんか俺が不機嫌にさせちゃったのは事実なんだろ?」 京太郎「だから、ごめん」 モモ「……………京さんは卑怯っす」 京太郎「何故かモモにはそう言われる事が多いけど、俺は普通だと思うぞ」 モモ「(ど、何処が普通なんっすか…)」 モモ「(自分で友達だって言ってる女の子の頭をこんなに気軽に撫でて…)」 モモ「(優しく…暖かく…胸の奥まで幸せにしてくれて…)」 モモ「(…そんな男の子が普通な訳ないっす)」 モモ「(…正直、私じゃなかったらレイプされてるっすよ?)」 モモ「(そっちから誘ったんだろうって…一滴残らず絞りとるような本気レイプされちゃうんっすからね?)」 モモ「(…まぁ、それが分かっているからこそ、京さんもこうして私の事をなでてくれているのかもしれないっすけど…)」 モモ「(…どっちにしろ、京さんが危なっかしい事には代わりがないっす)」 モモ「(今は良くても…何時か絶対、誰かにレイプされて…心から傷ついちゃうっすよ)」 モモ「(外見は淫乱そのものだし…色々と誤解されがちな仕草もするけれど…)」 モモ「(でも、京さんは今時めずらしいくらい純情なんっすから)」 モモ「(…だから、それを防ぐ為にも…)」 モモ「(私が…護ってあげなきゃ)」 モモ「(私の家で…他の誰にも合わないように…)」 モモ「(私だけを見て…私だけを撫でてくれるよう…にぃ…?)」ハァ 京太郎「…モモ?」 モモ「ハッ…」 モモ「(…私、何を考えてたっすか)」 モモ「(……いや、流石に監禁とかそういうのはダメでしょう)」 モモ「(そもそも監禁とか…ガチ犯罪じゃないっすか)」 モモ「(今はストーカーしても京さんが見逃してくれるっすけど…)」 モモ「(流石に監禁までやったら、京さんでも誤魔化せないっす)」 京太郎「…大丈夫か?」 モモ「だ、大丈夫っすよ」 モモ「(………でも、もし)」 モモ「(もし、絶対に見つからなくて…)」 モモ「(二人でずっと一緒になれるなら…私は……)」グゥ 京太郎「…ぷっ」 モモ「あ、い、いや、その…」カァァァ 京太郎「分かってる分かってる」 京太郎「たまたま腹が鳴っただけだよな」 モモ「そ、そうっすよ」 モモ「じ、実は最近、お通じが悪くてお腹の調子が」ワタワタ 京太郎「はは。じゃあ、健康に良い物でも食べに行こうか」 モモ「…良いんっすか?」 京太郎「俺も丁度、小腹がすいてきたところだしさ」 京太郎「折角だし、一緒にコンビニにでも行こうぜ」 京太郎「また今日も奢ってやるからさ」 モモ「…もう。普通、逆だと思うんっすけどね」 京太郎「いいんだよ、可愛い子におごるのは俺の趣味みたいなもんだからさ」 モモ「…また調子の良い事言って…」 モモ「…何時か監禁されたりしても…知らないっすよ?」 ~清澄宿泊所~ 和「…ふぅ」 京太郎「…あれ、和?」 和「あ、須賀くん」 京太郎「どうしたんだ、なんだか疲れてるみたいだけど」 和「…そう見えますか?」 京太郎「あぁ。だって、普段はため息なんか吐かないだろ?」 京太郎「なんかあったのか?」 和「いえ、改めて何かあったと言う訳ではないのですけれど…」 京太郎「けど?」 和「…少しネト麻に集中し過ぎまして」 和「何時もならリクライニングチェアであまり疲労も感じないんですが…」 和「ここはそういうのはないので何時もよりも疲れやすくって」 京太郎「あぁ、なるほど」 京太郎「(確かにここ和室ばっかでちゃんとした椅子もあんまりないもんなぁ)」 京太郎「(長時間ネト麻やってれば、そりゃネト麻魔神の和でも疲れるか)」 京太郎「(ましてや、和の場合、胸に重たいものぶら下げてる訳だしなぁ)」 和「…須賀くん?」 京太郎「え?」 和「また胸見てるのバレバレですよ」 京太郎「う…い、いや、ほら」 京太郎「なんだか重そうだって思ってさ」 和「…まぁ、実際、重いのは否定しませんけれど」 京太郎「だろう?だ、だからさ」 京太郎「俺がマッサージしようか?」 和「マッサージ…ですか?」 京太郎「あぁ。俺はこれでも元運動部だしさ」 京太郎「ストレッチやマッサージに関しては日常的にやってたし」 京太郎「そういうのには手馴れてる方だし、きっと和にも満足して貰えるんじゃないかと…」 和「…そう言って胸を触るつもりなんでしょう?」 京太郎「そんな事はしないよ!」 京太郎「でも、マッサージ中の事故は仕方ないよね!!」キリリ 和「…本当にもう…理解出来ないくらいのおっぱいフェチなんですから」フゥ 和「まぁ、良いですけどね、別に揉まれても減るものじゃないですし」 京太郎「…え?」 和「…いや、え、じゃないですよ」 和「自分から言ったんじゃないですか」 京太郎「あ、い、いや…でもさ…」 京太郎「(エロい事に忌避感持ってる和にそう言われるなんて思ってもなかったんだよ!)」 京太郎「(日頃から俺がおっぱいネタ言ってるのは知ってるし、引かれる事はないと思ってたけれど…)」 京太郎「(でも、拗ねた顔で釘の一つでも刺されると思ったのに…そんな事言われたら…)」ゴクッ 和「…?」タユン 京太郎「(…首傾げるだけでも揺れるあののどっぱいを心ゆくまで堪能してしまいたくなる…!)」 京太郎「(マッサージにかこつけて…思いっきり揉みしだいてやりたくなるじゃないか…!!)」 和「……それで、どうするんですか?」 京太郎「あ、え、えっと…」 京太郎「や、やるよ。い、いや、やらせてください!」 京太郎「何でもしますから!」 和「…いえ、何もそこまで言わなくても最初からやって貰うつもりですし…」 和「(…そんなにこのおっぱいが好きなんですかね)」 和「(正直、ここまで育っちゃうと男の人に引かれるだけであんまり好きではないんですけれど…)」 和「(…何だかんだと仲良くしていますが、やっぱり須賀くんは理解できないです)」ウーン ~京太郎の部屋~ 和「じゃあ、お願いしますね」ゴロン 京太郎「お、おうふ…」 京太郎「(あ、あの和が…俺の部屋に来て寝転んでる…!)」 京太郎「(い、いや…まぁ、正確にはここは俺の部屋じゃなくって、俺が寝泊まりしてるだけの部屋なんだけど…)」 京太郎「(それでも興奮するって言うか…もう夢見心地って言うか…)」 京太郎「(浴衣姿の和が布団にうつ伏せになってる光景だけで…もうムスコがウェイクアップしちゃいそうだ…)」 京太郎「(正直、浴衣を持ち上げるその安産型なお尻に思いっきりこすりつけたいけど…)」 京太郎「(でも、和がこうして俺に無防備な姿を晒してくれているのは信頼が故なんだ)」 京太郎「(その信頼は絶対に裏切りたくはないし)」 京太郎「(何より…仮にも気になってる女の子を傷つけるなんて男のやる事じゃないからな)」 京太郎「(ここはまじめにマッサージしよう)」 京太郎「じゃ、じゃあ…ちょっと重いかもしれないけど我慢してくれよ」ヨイショ 和「…いえ、これくらいなら大丈夫です」 京太郎「そ、そうか。じゃあ…始めるぞ」モミモミ 和「ん…♪」 和「(…須賀くん、言うだけの事はありますね…)」 和「(私の気持ち良いところを的確に揉みほぐしてくれて…)」 和「(思わず…声が出ちゃうくらいに気持ち…良い…)」 和「(…その上、一つ一つがとても丁寧で…じっくりやってくれるから…)」 和「(須賀くんのマッサージが終わったところはもう軽く火照って…)」 和「(筋肉も甘く蕩けちゃってる…みたいです…)」 和「(…正直、癖になっちゃうかも…しれません)」 和「(こんなの味わったら…電動マッサージとかじゃ満足出来ません…)」 和「(血の通った…人の手の…)」 和「(とても丁寧で優しいマッサージ…)」 和「(身体がこれじゃないと受け付けなくなっちゃいくらいに…)」 和「(私…ダメになっちゃいます…よぉ)」トローン 和「(それに…何より…)」チラッ 京太郎「しょっと…」モミモミ 和「(…須賀くん、きっと気づいてないですよね)」 和「(私の前に窓があって…その姿が見えちゃっている事…)」 和「(さっきまではちょっとぎこちなかったけれど…)」 和「(でも…今はとっても真剣です)」 和「(私の身体に全神経を集中してくれているのがハッキリと伝わってくるくらいに)」 和「(…そんな顔見たら…意識…しちゃうじゃないですか)」 和「(ただの友達だってそう思ってたのに…初めての男友達なんだってそう思ってたのに…)」 和「(そんなに真剣に私の事マッサージされたら…)」 和「(幾ら鈍感な私でも…気づいちゃうじゃないですか…)」 和「(本当は…須賀くんの事好きだったんだって…)」 和「(咲さんの言う通り…ずっとずっと意識しちゃってたんだって…)」 和「(…恋なんて知らなかった私が…それを知ってしまうじゃ…ないですか)」ギュゥ 和「(…私、嬉しくなって…しまってます…)」 和「(須賀くんが…私にこんなにも真剣になってくれている事)」 和「(私を誠心誠意癒やそうとしてくれている事)」 和「(…何より、今の私が彼の事を独占出来ている事)」 和「(それが…それがとてもうれしくて…堪りません)」 和「(これが…これが恋なんですね)」 和「(誰か一人にこんなにも気持ちが集まって…)」 和「(そして胸の奥から…嬉しく…幸せにさせられてしまうような心地…)」 和「(私、こんなの…こんなの初めてです)」 和「(でも…嫌じゃありません)」 和「(それはきっとマッサージが心地良いだけじゃなくって…)」 和「(相手が須賀くんだから…)」 和「(こんなに大きな胸で…男の人に驚かれる事も少なくない私に…)」 和「(それを好きだって言ってくれて…まったく忌避感なく接してくれて…)」 和「(そんな須賀くんだからこそ…私は…)」 京太郎「ふぅ…」 京太郎「(…とりあえず背中の方は終わったか)」 京太郎「(しかし…やっぱ凝ってるもんだなぁ)」 京太郎「(たまに咲相手にもマッサージするけど…こんなに凝ってないし)」 京太郎「(思わず、マッサージの方に集中し過ぎちゃったぜ…)」 京太郎「(まぁ…その御蔭で、あんまり不埒な事考えなかったんだけどさ)」 京太郎「(正直、和の身体って胸だけじゃなくてそのほかの柔らかいから…)」 京太郎「(下手に意識してたら勃起してたかもしれない) 京太郎「(まぁ、それはさておき…だ)」 京太郎「和、終わったぞ」スッ 和「お、終わって…ないですよ…」 京太郎「…え?」 和「…」コロン 京太郎「…………え?」 和「…まだこっちのマッサージが残ってます…から…」 京太郎「こ、こっちって…」 京太郎「(いやいやいやいやいやいや)」 京太郎「(待ってくれ、ほんとに待ってくれ)」 京太郎「(背中がまだ良いんだ、うん)」 京太郎「(あの素敵過ぎるのどっぱいが見えなくなってるからさ)」 京太郎「(で、でも…こ、ここで…仰向けになんてなられたら…)」 京太郎「(どうしても和のおっぱいを意識しちゃうっていうか…)」 京太郎「(マッサージしたくなるっていうか…!!)」 和「良い…ですよ」 京太郎「…な、何が…?」 和「だから…胸の…マッサージ…です…」 和「…須賀くん、こっちもマッサージ…したいんです…よね?」チラッ 京太郎「~~~っ」ゴクッ 京太郎「(あああああああ!もう!!!)」 京太郎「(ほんっとうにもおおおおおおおお!!)」 京太郎「(何なんだよ!本気でなんなんだよおおおおお!!)」 京太郎「(そんな事言われたらホイホイいっちゃうだろうが!!)」 京太郎「(マッサージとか関係なしに胸にダイブしたくなっちゃうだろおおおおお!!!!)」 京太郎「(正直、これだけ据え膳用意されたら食わない方が失礼だわ!!)」 京太郎「(一も二もなくケダモノのようにむしゃぶりつきたいのが本音だよ!!!!)」 京太郎「(………………でも、さ)」 京太郎「(…でも、これは本当に和の意思なのか?)」 京太郎「(いや、まぁ…ここで強制される理由なんてないし…和の意思である事に間違いはないんだろうけれども)」 京太郎「(それはまったく何の影響も受けていない和の意識なんだろうか?)」 京太郎「(…多分、違う)」 京太郎「(和は元々、そういった事に忌避感を感じているタイプだったんだから)」 京太郎「(自分から男を誘うなんて出来るはずがない)」 京太郎「(…だから、これはきっと俺が石版に書いてしまったあの言葉の所為)」 京太郎「(女が男に対して積極的になるっていう…あのルールに従った故なんだろう)」 京太郎「(…だから、俺はここで据え膳を食べる訳にはいかない)」 京太郎「(渋谷さんの時みたく軽く振れるだけならばまだしも…)」 京太郎「(マッサージまでしてしまったら…俺は間違いなく…最後までいってしまう)」 京太郎「(そして…最後までいったら、俺はきっと一生、後悔する事になるはずだ)」 京太郎「(気になってる女の子に酷い事をしてしまったんだと…負い目を抱え込み続ける事になる)」 京太郎「(…それは、嫌だ)」 京太郎「(だから…)」 京太郎「ご、ごめん!」 和「え…?」 京太郎「お、俺、ちょっと急用を思い出したからさ!!」 京太郎「ほ、本当は和の胸も丹念にマッサージしたいけど…!!」 京太郎「こ、今回は急いでるからナシにしてくれ…!」 和「え…あの…須賀くん…?」 京太郎「じゃ、じゃあ…またな、和!」ダッ 和「あ…」 和「(…逃げられてしまいました)」 和「(……相手から言われるのはともかく、自分から言うのは結構、勇気が必要だったんですけど…)」 和「(正直、ちょっと…いえ、かなり残念ですけれど…)」 和「(…でも、なんだか安心…と言うのは初心な須賀くんの姿が見れたから…ですよね)」 和「(あんなに派手でエッチな格好をしているけれど…あの反応を見る限り、やっぱり彼は純情で…)」 和「(そんなところが可愛いとそう思ってしまうほど、私はもう彼の事を好きになってしまっているんですから…)」 和「…………次は逃しませんよ、須賀くん」
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京太郎→穏乃 京太郎「元気だよなー、あいつ」 京太郎「むしろあいつとボウリングしてみたかった」 京太郎「無邪気なとこも眩しいっていうかさ」 京太郎「一緒にいたら童心を思い出しそう……スカート捲りとか」 京太郎「いや、冗談だけど。あいつのを捲ったら大変なことになりそうだし」 京太郎「ま、元気のいいちびっこは嫌いじゃない」
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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361874491/ 京太郎「東横ー。いるか?」 桃子「いるっすよ。席に座ってるっす」 京太郎「ああ、そこにいたのか。何やってるんだ?」 桃子「パソコンで麻雀をやってるっす。見ればわかるじゃないっすか」 京太郎「見ればってお前……」 桃子「……」 京太郎「……」 桃子「……はぁー。ノリ悪いっすね! ここは『いや見えねえよ!』とか言うところっすよ!」 京太郎「それで悩んでる奴にいきなりそんなこと言えるか!」 桃子「まったく、次からは気をつけるっすよ」 京太郎「はいはい……。で、麻雀って誰とやってるんだ? ネット麻雀ってやつ?」 桃子「んーネットはネットっすけど、学内ネットでやってるっす」 京太郎「そういうのもあるのか。てことは相手は同じ学校の人だな」 桃子「そうっす。麻雀部が最近始めたみたいっすね。掲示板にチラシが貼ってあったっす」 京太郎「へー。挑戦者来たれ! みたいな感じか?」 桃子「そういう感じではないっすね。チラシには麻雀に興味ある人歓迎って書いてたし」 桃子「何度か勧誘も受けてるから部員集めの一貫だと思うっす」 京太郎「初心者歓迎ってことか」 桃子「興味あるなら須賀くんもやってみたらどうっすか?」 京太郎「いや、俺はいいよ。ノートパソコン持ってないし、そもそも麻雀の役もわからないしな」 京太郎「興味はあるからよければ観戦させてくれ」 桃子「いいっすよー。私の勇姿を見るがいいっす!」 京太郎「おう、期待してるぞ」 桃子「くーっ! また勝てなかったっす!」 京太郎「麻雀部3人を相手に2位なら十分凄いじゃないか」 桃子「これでも麻雀の腕には自信があるんすよ。そこらの麻雀部員にも引けをとらないくらいには」 桃子「なのにこのかじゅって人にはなかなか勝てないっす」 京太郎「麻雀って運に左右されるんだろ? そういうこともあるさ」 桃子「20局以上打って勝ったのは数回だけ。さすがに悔しいっす……」 京太郎「20局で数回……。麻雀はよくわからないんだけど、それはどのくらい強いってことなんだ?」 桃子「ええと、そうっすね。風越女子は知ってるっすか?」 京太郎「そりゃもちろん。長野の女子麻雀部では一番強いとこだろ」 桃子「その風越でレギュラーになれる。少なくともそれくらい強いと思うっす」 桃子「まあもちろん、実際に打つのはダメって人も中にはいるっすけどね」 京太郎「そんなに強いのか……ん? なんか書いてるみたいだぞ」 かじゅ『打ち筋からしていつも打ってくれている人だろうか? 今日も来てくれてありがとう』 むっきー『また負けちゃいました。やっぱり強いですね。一度だけでも麻雀部に見学に来てくれませんか?』 カマボコ『しつこかったらごめんなー。でも毎日来てくれて本当に嬉しいんだ』 カマボコ『見学に来たから入れ、なんてことは言わないし、それに来てくれればきっと気に入ると思うんだ』 かじゅ『気が向いたら来て欲しい、と言いたいところなのだが私たちには時間がない』 かじゅ『だから君が麻雀のことを好きなら、ぜひ部室に来て欲しい。後悔はさせない』 京太郎「おお……。凄い勧誘だな。ほら、返事書こうぜ」 桃子「……今書くっす」 default player『気持ちは嬉しいです。でもごめんなさい』 ---default playerはログアウトしました--- 京太郎「……ってあれ?」 桃子「どうかしたっすか?」パタン 京太郎「いや、見学くらい行ってもいいんじゃないか? あれだけ熱心に言ってくれてるんだしさ」 桃子「……まあいいじゃないっすか。ほら、帰るっすよ」 京太郎「あっ、おい」 桃子「先に行ってるっすよー」 京太郎「ちょ、ちょっと待て。先に行かれたらまた見つからなく……」 桃子「校門から出るまでに見つけられなかったら明日の昼ご飯おごりっす!」タッタッタッ 京太郎「いきなり何言って……って待て、走るなー! 見つからなくてもおごらないからな!」 桃子「見つけたら私がおごってあげるから頑張って探すっすよー!!」タッタッタッ 京太郎「絶対見つけてやる……!!」 その後東横のことは校門の辺りで電話をかけて、その着信音で見つけた。 東横には卑怯っす! ノーカウントっす!! と怒られた。理不尽だ。 ---3日後--- 京太郎「東横ー、いるか? 今何やってる?」 桃子「パソコンで麻雀っすよ。見ればわかるじゃないっすか」 京太郎「見れたらこんなこと聞かないっての」 桃子「……他人のコンプレックスにズバズバ切り込んでくるっすね」 京太郎「この前スルーしたらノリ悪いとか散々言ったよな!?」 桃子「記憶にないっす!」 京太郎「まったく……。麻雀はこの間の麻雀部の人とか?」 桃子「そうっすよー」 京太郎「俺あれから役とか覚えてみたんだよ。また見せて貰っていいか?」 桃子「いいっすよ。今ちょうど終わったところなんでちょっと待つっす」 京太郎「了解」 桃子「……いつもはすぐ次の局に入るんすけど今日はちょっと時間かかるっすね。席を外してるみたいっす」 京太郎「まあそういうこともあるさ。ゆっくり待とうぜ」 京太郎「……ん? あれ、今日はこの前みたいにチャットで勧誘されてないんだな」 桃子「そうなんすよね。今日は勧誘してこないみたいっす」 京太郎「脈なしと思って諦めたんじゃないか?」 京太郎「4月が終わっても勧誘してたってことはメンバーが足りないんだろうし、他の人を探すことにしたとか」 桃子「そう、かもしれないっすね。まあ何度も断っちゃったししょうがないっす」 京太郎「……毎日のようにパソコンで打ってるんだし麻雀は好きなんだろ? なんで入らなかったんだ?」 桃子「んー、まあ大した理由じゃないっす。こういう体質っすから集団行動とか苦手なんすよ」 桃子「今までこんなに必要とされたことがなかったから嬉しかったは嬉しかったっすけどね。ただ……」 京太郎「ただ?」 桃子「言うのはちょっと恥ずかしいっすけど、やっぱり、直接言ってもらうのに憧れる」 桃子「目の前で、私の目を見て必要だって言って欲し――」 そこまで言ったとき、突然教室のドアが開かれ ゆみ「麻雀部3年の加治木ゆみだ!」 そんなことをいいながら、上級生が1人教室へと入ってきた。 穏やかな放課後に突如乱入してきたその人は、教室の真ん中までツカツカと足を進め、 忙しげに周りを見渡したかと思うと大きく息を吸い込んだ。 そして―― ゆみ「私は君が欲しい!!」 京太郎・桃子「「!?」」 大声でそんなことを叫んだ。 クラスメイト達は遠巻きにして成り行きを見守っている。 下級生の教室で突然あんなことを大声でいう上級生が相手だ。普通なら俺だって関わろうと思わない。 でも事情を知っているからにはどうにかしないとなーみたいな責任感が芽生えてしまう。 だからまずは、目を白黒させている友人を焚きつけてやろう。 京太郎「東横。よかったな、まだ勧誘諦めてなかったみたいだぞ!」 桃子「その笑顔をやめるっす!」 京太郎「でもほら、東横の望み通り直接誘いに来てくれたわけだし」 ワタシノハナシヲキイテホシイ!!> 桃子「まあそれは心底嬉しいっす」 桃子「須賀くんは茶化してると思うっすけど、私の中では嬉しさが溢れかえってるっすよ」 マジか。いやまあ茶化しているわけではないんだけど。 桃子「ただそれはそれとして、今あそこに行くのはちょっと恥ずかしいっす……」 ワタシニハキミガヒツヨウナンダ!!> 京太郎「注目の的になれるぞ。本望じゃないか」 桃子「限度があるっす!」 今も叫んでるもんな。見た目と違って情熱的な先輩らしい。 スコシデイイ、ハナシヲシヨウ!!> 京太郎「冗談はともかく、ここまで来てくれたんだし、麻雀部に入りたいとは思ってるんだろ?」 桃子「それはそうっすけど……」 京太郎「よし、じゃあ行くぞ」 桃子「ちょ、手を引っ張らないで……!」 ゆみ「頼む、姿を見せて――」 京太郎「あの、ちょっといいですか?」 ゆみ「!! ああ! もち、ろん……だ…………」 念願の新入部員が来たというのになぜか語尾が弱々しい。 ってそうか、東横のこと見えないんだったな。 ゆみ「その、もしかして君が私たちと麻雀を一緒にやっていた人、なのか……?」 俺しかいないと思って目に見えて落ち込む先輩。 美人のしゅんとした姿を見ていると、なんというか、もっといじめたくなってしまう。 まあかわいそうだからやらないけど。 京太郎「あれは俺じゃないですよ。ちゃんと女子です」 ゆみ「本当か!! あ、い、いや、これは君が悪いとかそういうわけではなくてだな」 落ち込んだ様子から一転して明るい表情に。そして間を置かず見せる焦った姿。 ああ、可愛いなこの人。クールビューティーな見た目とのギャップが凄くいい。 京太郎「大丈夫ですよ、事情は聞いてますしわかってます」 ゆみ「そ、そうか。ありがとう」 京太郎「それで俺の隣にいるのが先輩の探しているやつです」 ゆみ「……? すまない。隣には誰もいないように見えるのだが」 京太郎「見えないけどいるんですよ。ほら、ここです」 桃子「どうも、初めまして。東横桃子っす」スゥ ゆみ「」ビクッ 京太郎「あ、やっぱり驚きますよね。いつものことなんで気にしないでください」 桃子「他人に言われると無性に腹が立つっすね」 ゆみ「君は一体いつからそこに……いや、そうか。君はそういう体質なんだな」 桃子「自分で言うのもなんですけど、受け入れるの早いっすね」 ゆみ「チャットの会話から何か理由がありそうだとは思っていたのでな」 ゆみ「我ながら少々派手なことをしたかなと思ったが、結果的には間違っていなかったようだ」 京太郎「いま少々って言ったか?」ヒソヒソ 桃子「言ったっすね。ちょっと見習いたいっす」ヒソヒソ ゆみ「聞こえてるぞ……まあ、それはともかくだ。改めて言わせてもらいたい」 ゆみ「東横くん。私は、私たちには君が必要だ。麻雀部に入って欲しい」 加治木先輩は、真っ直ぐに東横の目を見つめてそう言った。 傍から見ていてもこの上なく真剣に言っているのだと感じる。 東横の望み通り、もしかしたらそれ以上のシチュエーション。 これならきっと麻雀部に入るだろうと東横のほうを見ると 桃子「…………」 あれ、なんか微妙な表情。 京太郎「東横?」 桃子「うーん」チラリ 京太郎「?」 ゆみ「……」ソワソワ 桃子「えっと、一つ条件、というかお願いがあるっすけど……」 ゆみ「何だ? 何でも言ってくれ」ガタッ 東横はなぜか加治木先輩ではなく俺の方を向く。 そして―― 桃子「……須賀くんも麻雀部に入って欲しいっす」 京太郎「……は?」 突然、そんなことを言い出した。 ゆみ「……その、須賀くん……でいいのかな」 京太郎「……へ!? あ、はい!」 ゆみ「今の東横くんの提案なのだが君としてはどうだろうか」 京太郎「ええと、そのですね……。と、東横? なんでいきなりそんなこと」 桃子「えっと、どうしても嫌なら無理にとは言わないっす。わけも……」チラリ ゆみ「?」 桃子「……別に隠すようなことじゃないしすぐ教えるっす。ただ、出来れば須賀くんにも麻雀部に入って欲しいっす」 桃子「ダメっすか……?」ウワメヅカイ 京太郎「う……」 京太郎「か、加治木先輩はどうなんですか」メソラシ ゆみ「あ、ああ。突然で驚いたが麻雀部としては断る理由はない」 ゆみ「……というか、その、入って貰わないと凄く困る」 ゆみ「君にとっても突然みたいだし困惑していると思う」 ゆみ「君にも都合があるだろう。だから助けると思ってとは言わない」 ゆみ「それでも、君がもし少しでも麻雀に興味を持っているなら、麻雀部に来て欲しい」 ゆみ「……だめだろうか?」ウワメヅカイ 京太郎「うう……!」 右を向けば東横が、左を向けば加治木先輩が、上目遣いで俺を見ている。 タイプは違うけれど美人といって差し支えない2人。 京太郎(……こんなの断れるかー!!) 京太郎「俺でよければよろしくお願いします」 ゆみ「本当か! ……ありがとう」フカブカ 京太郎「ちょ、頭を下げるのはやめて下さい!」 京太郎「さっき麻雀に興味があるなら来て欲しいって言ってたじゃないですか。だから入るんですよ」 ゆみ「……うん、そうか。須賀京太郎くん。入部してくれてありがとう」 ゆみ「東横くんは……」 桃子「女に二言はないっす! 加治木先輩、よろしくお願いします」 ゆみ「ああ、よろしく。……東横くん、ありがとう。君のおかげで私たちは大会に出ることが出来る」 桃子「私も興味があったからネトマしてたんですよ。何度も断ってたのに直接誘いに来て貰えたなんて……本当に嬉しいっす!」 桃子「それより、誘った私が言うのもなんっすけど須賀くんはこの場で決めちゃってよかったんすか?」 京太郎「どうせ放課後暇してたしさ。それに麻雀に興味を持ったってのも本当だぜ」 桃子「無理してないならよかったっす」エヘヘ ゆみ「2人とも、入部ありがとう」 ゆみ「それでは早速だが、2人がよければ今から麻雀部に来て貰いたい。部員の紹介もしたいんだ」 桃子「私は大丈夫っす」 京太郎「俺も特に予定はないです」 ゆみ「よし、じゃあ私は先に廊下に出ているよ。あまり長居しても迷惑だろうし」 京太郎(……はっ!? 急展開すぎてここが教室だって忘れてた) 京太郎(冷静になるとクラスメイトの視線が痛い……!!) ゆみ「ん? どうかしたか?」 京太郎「い、いえ、なんでもないです。廊下で待ってて下さい」 京太郎(明日の反応が怖いな……)ハハハ 加治木先輩が先導して、俺と東横はその後をついていく。 意識しないと声が聴こえないくらいの距離を取り、ついて来ているか確認しているのかときおりこちらを振り返る。 京太郎(東横と話しやすいように気を遣ってくれたのかな) 京太郎(せっかくだし今のうちに聞いておくか) 京太郎「なあ、東横。俺を誘った理由って何だったんだ?」 桃子「え? ああ、ほら、私ってこういう体質じゃないっすか」スゥ 京太郎「話してるときに消えるな!」 桃子「冗談っすよ。こうやって意識して消えることも出来るっすけど、基本的には人に見つけてもらえない厄介な体質なんすよ」 京太郎「ああ、知ってる。俺が見つけられたのも偶然だったしな」 桃子「加治木先輩が教室に来て、誘ってくれて嬉しかった。でも私がこういう体質なのは知らなかったじゃないっすか」 京太郎「まあそんな体質があるなんて普通思わないよな」 桃子「それで、こういう体質の私とコミュニケーション取るのって大変っすよね」 桃子「私から話しかければ驚かれる。話しかけて貰おうにも私のことは見えないから、いるかわからないところに声をかけるしかない」 京太郎「ん……楽と思ったことは確かにないな。けど面倒だとか思ったことも一度もないぜ」 桃子「ありがとうっす。須賀くんはそうやって受け入れてくれたっすね」 桃子「麻雀部の人たちは私を必要としてくれた。でもそれと私を受け入れるかっていうのは別っすよね」 桃子「加治木先輩もきっと私に合わせてくれると思うっす。だけど他の人たちもそうやって受け入れてくれるか不安だったっす」 桃子「だから私との付き合いに慣れてる須賀くんが入ってくれたら安心だなって。それが理由っすよ」 京太郎「……気にしすぎじゃないか?」 桃子「そういうと思ったっす。須賀くんは私の体質は知ってても苦労までは知らないっすからね」 京太郎「それを言われるとな……。まあ不安だっていうなら、俺でよければいくらでもいくらでも入るよ」 京太郎「でもあそこまでして必要としてくれる麻雀部だ。きっと東横の心配するようなことにはならないと思う」 桃子「私の取り越し苦労だったらそれが一番っすね。そうすると須賀くんには迷惑かけただけになっちゃうっすけど」ニコッ 京太郎「さっきも言ったろ。好きで入ったんだって。……お、着いたみたいだぞ」 ゆみ「ここが麻雀部だ。入ってくれ」ガラッ 京太郎「おじゃまします」 桃子「おじゃまするっす」 智美「ゆみちんおかえりー。期待の新入部員はどうだ……ってあれ?」 睦月「ええと、先輩。もしかして麻雀の相手はそっちの男の子だったんですか?」 ゆみ「ああいや、ちゃんと女子だったよ。ええと……」キョロキョロ ゆみ「すまない東横くん。姿を見せて貰えるか」 桃子「はいっす。私はここっすよ!!」バーン 智美「」ビクッ 睦月「」ビクッ ゆみ「」ビクッ 京太郎(おー、みんな驚いてるなー) ゆみ「すまない、どうもまだ慣れていないようだ……」ドキドキ 桃子「私は慣れてるので気にしないで欲しいっす」 ゆみ「そうか……なるべく早く慣れるようにするよ」 智美「ゆ、ゆみちん……」 ゆみ「ん? どうした」 智美「私はついに霊感を獲得したみたいだ!」 ゆみ「失礼なことをいうな!」 睦月「その、先輩。彼女が新入部員ですか? 今のは手品かなにかですか?」 ゆみ「ああ、彼女が今日から麻雀部に入部する東横桃子くんだ。今のについては彼女自身から聞いたほうがいいだろう」 桃子「改めまして、今日から麻雀部に入部することになりました東横桃子っす」 桃子「私は極端に存在感が薄くて、中々気づいて貰えない体質なんすよ。 さっきのも隠れていた訳じゃなくて私はずっとそこにいたっす」 桃子「こういう体質っすから迷惑かけることもあると思うっすけど、これからよろしくお願いします」ペコリ 睦月「そうだったのか……ごめんなさい、驚いてしまって」 智美「私もごめんなー。でももう驚かないぞ」ワハハ 智美「しかし世界は広いなー。こんな体質もあるなんて」 睦月「そうですね。目の前にいたのに気づけなかったなんて……」 京太郎(2人とも驚いたみたいだけど、気味悪がったりはしていない) 京太郎(別に特別な反応じゃない。普通の人なら誰だってこんな反応をするはずだ) 京太郎(まあでも……)チラリ 桃子「……」 京太郎「な、俺の言ったとおりだったろ」 桃子「……そうっすね!」 智美「ところでゆみちん。そこの金髪の子は誰なんだー」ワハハ ゆみ「ああ、こっちは須賀京太郎くん。彼も同じく新入部員だ」 京太郎「須賀京太郎です。麻雀は初心者ですがよろしくお願いします!」 睦月「うむ、よろしく。一気に2人も入ってくれて嬉しいよ」 智美「君も新入部員かー。鶴賀麻雀部史上初めての男子部員だな!」 睦月「まあ共学化したのも今年からですしね」 京太郎「ははは……泥を塗らないように頑張ります」 智美「頼むぞー少年」ワハハ ゆみ「さて、次は私たちが自己紹介する番だな」 智美「まずは部長の私からかなー」ワハハ 京太郎「えっ」チラリ 桃子「えっ」チラリ ゆみ「……私は部長じゃないぞ」 智美「……このくらいでは泣かないぞ」ワハハ 京太郎「す、すみません!」 桃子「ごめんなさい!」 智美「冗談だよ、冗談。期待通りの反応してくれて嬉しいぞー」ワハハ 智美「私は蒲原智美だ。麻雀部の部長をやってるぞー」 京太郎「いやその、すみません。よろしくお願いします、蒲原部長」 智美「智美」 京太郎「え?」 智美「智美って下の名前で呼んでくれ。私たち3年生は早ければ6月の頭には引退しちゃうからなー。早く仲良くなりたいんだー」ワハハ 京太郎「ええと、それじゃよろしくお願いします。智美部長」 智美「よろしくなー京太郎」 桃子「よろしくっす! 智美部長!」 智美「よろしく……モモって呼んでいいかー?」ワハハ 桃子「……! はいっす! 嬉しいっす!」 智美「よかったー。よろしくなーモモ」 睦月「じゃあ次は私が。私は津山睦月。部長たちとは違って2年生だ」 京太郎「よろしくお願いします、えっと……」 睦月「……? ああ、そうか。よろしく、京太郎くん」 京太郎「はい! よろしくお願いします、睦月先輩」 睦月「うむ」 桃子「私もよろしくっす! 睦月先輩!」 睦月「うん、よろしく。モモ」 ゆみ「さ、最後は私か……」 京太郎「どうかしましたか?」 ゆみ「い、いや。なんでもないんだ」 ゆみ「2人とも知っていると思うが改めて」コホン ゆみ「私は加治木ゆみ。3年生だ」 桃子「よろしくっす! ゆみ先輩もモモって呼んで欲しいっす」 ゆみ「ああ、わかった。よろしくな、モモ」 京太郎「よろしくお願いします、ゆみ先輩」 ゆみ「――!」カアァ 京太郎「……ええと、本当に大丈夫ですか?」 ゆみ「だ、大丈夫だ!」 ゆみ「よろしく、きょ、きょう……うぅ」 ゆみ「ちょ、ちょっと待ってくれ」スーハー 京太郎「はい、ゆみ先輩」 ゆみ「――――!!」カアァァァ 桃子(空気読まないっすねー) 睦月(あれはわざとやってるのかな) 智美(期待の新人だなー)ワハハ ゆみ「……その、すまない。須賀と上の名前で呼ぶことにしていいだろうか」 京太郎「え? え、ええ。いいですよ」 ゆみ「それと私のことも加治木先輩と呼んでくれると助かる」 京太郎「わかりました……」 京太郎(俺嫌われたのかな……)ズーン 桃子「そんなことないから安心するっす」ポン 京太郎「え、今の声に出てたか!?」 桃子「顔見れば須賀くんの考えてそうなことくらいわかるっす」 桃子「……あ、そうだ。今度から須賀くんも私のことはモモって呼んで欲しいっす」 京太郎「ああ、これから頑張ろうな。モモ」 桃子「一緒に頑張るっす! 京太郎!」 --------------------------------------- ゆみ「自己紹介も済んだことだし麻雀を打とうか。モモとはネットで何度も打っているが実戦での実力も知りたいしな」 桃子「私は実戦のほうが得意っすよー」フフフ ゆみ「それは楽しみだな。須賀くんも一緒に入ってもらっていいか?」 京太郎「いえ、俺は実戦どころかネットでもやったことないので……」 ゆみ「それなら最初は見学からだな」 京太郎「はい、そうさせてもらいます」 智美「誰か一人のをじっくり見てるといいと思うぞー」 京太郎「わかりました。じゃあモモ……」 桃子「あ、私はやめたほうがいいっすよ」 京太郎「え?」 桃子「勉強するつもりなら私のは見ないほうがいいっす」 京太郎「……? まあそういうなら。ええとそれじゃあ――」 京太郎(やっぱり強い人のほうがいいよな。かじゅは加治木先輩だろうし) 京太郎「加治木先輩。見てていいですか?」 ゆみ「わ、私か!?」 京太郎「だ、駄目なんですか?」 ゆみ「い、いや。ちょっと驚いただけだ」コホン ゆみ「私で良ければ参考にしてくれ」 京太郎「え、ええ。もちろんです」 智美「ゆみちん。そういうのちょっと直した方がいいなー」ワハハ ゆみ「わ、わかってるっ」 智美「じゃあ始めるぞー」タン 桃子「負けないっすよ」タン 睦月「ネトマで何度も負けてるけど、先輩として最初くらいは……!」タン ゆみ「私も譲る気はないぞ」タン ………… ……… …… … 【南二局】 智美「リーチ。ゆみちんをまくってやるぞー」ワハハ 桃子「……」タン 睦月(うーん……降りよう)タン ゆみ(蒲原の捨て牌は……)チラ ゆみ(こっちかな)タン ……… …… … 智美「テンパイ」 桃子「ノーテンっす」 睦月「ノーテンです」 ゆみ「テンパイだ」 智美「うっ、また止められてたか。今回はわからないと思ったんだけどなー」ワハハ ゆみ「蒲原とは何度も打ってるからな。なんとなくわかるさ」 京太郎(南二局まで終わって、振り込んだのは睦月先輩と蒲原先輩が一回ずつ) 京太郎(加治木先輩ももちろんだけど、他の3人も全然振り込まないな) 京太郎(……見ててもどうやって止めてるのかさっぱりわかんねえ!!) ゆみ「須賀くん? どうかしたか?」 京太郎「あーその。染め手とかは分かるんですけど、今のとかどうやって止めてるのかなと思いまして」 ゆみ「ああ、なるほど。基本的には捨て牌を見て予測しているんだ。筋とか色々あるんだが……まだ君には早いな」 京太郎「はい」キッパリ ゆみ「そう断言されても困るな」ハァ ゆみ「他にも相手を直接観察して理牌や目線を見ているが、これは慣れるまではやめたほうがいいだろう」 ゆみ「まあ特に理牌は相手の癖を知らなければわからないから、あまり使うべきではないのかもしれないが……ん?」 京太郎「」ポカーン 智美「」ポカーン 睦月「」ポカーン ゆみ「ど、どうした?」 京太郎「い、いえ。そんなことまで考えて麻雀をしているんだなと」 ゆみ「まあ必ず当たるわけではないし、そんなに大したことではないさ」 ゆみ「というか須賀くんはともかく、蒲原と津山は知っているだろう」 睦月「いえ、そういう技術があるのは知ってますがこんな身近に実践している人がいたなんて……」 智美「私はそこまでの余裕はちょっとないなー」 ゆみ「何もずっと見ているわけじゃないぞ? 重要なところだけ見ればいいんだ」 ゆみ「まあその辺りは対局が終わったら教えようか。雑談はこの辺りにして、次の局に行こう」 桃子「…………」 京太郎(そういえばモモのやつさっきから全然話してないな。集中してんのかな……?) 【南三局】 睦月(ラス親かあ。まだ焼き鳥だしここでなんとか)タン ゆみ(今のところトップで2位のモモとは約1万5千点差) ゆみ(配牌は四向聴か)タン タン タン タン タン タン…… 桃子「リーチっす」タン 京太郎(モモは索子の染め手っぽいな。これくらいはわかるぞ!) 睦月(一向聴から中々進まない……!)タン ゆみ(形聴は狙えそうだな)タン 智美(ううん、引きが悪いなー)タン 京太郎(あれ、リーチしたのにみんなあんまり反応してないな) 桃子「……」タン ゆみ(役牌が重なった。これなら上がりも狙えるか)タン 京太郎(索子!? しかも1枚も見えてない三索!?) 桃子「ロン! 立直、混一色で7700っすよ!」 ゆみ「なっ!?」 智美・睦月「えっ!?」 ゆみ「モモ、リーチ宣言は……」 桃子「ちゃんとしたっす!」 京太郎「俺も聞いてました。そんな小さな声じゃなかったと思うんですが……」 ゆみ「ん……そうか。それはすまない」 ゆみ(さっきの反応からして蒲原も睦月も、モモのリーチ宣言を聞いていない) ゆみ(かといってモモも須賀くんもそんな嘘を付きはしないだろう) ゆみ(つまりおそらく――――) 【南四局】 ゆみ(配牌はあまり良くないか……どこまで対抗できる分からないが、やるだけやってみるとしよう)タン 智美(今のは何だったんだー?)タン 桃子(フッフッフ。ネトマのリベンジ達成はもうすぐっすよー)タン 睦月(リーチが聞こえなかったなんて、こんなの初めて)タン ゆみ「チー!」タン 桃子(仕掛けが速いっすね) ゆみ「ポン!」タン 智美(東を鳴かれたかー。いや、でもこれは速いというか……) ゆみ「チー!」タン 睦月(こんな先輩らしくない無理矢理な仕掛けをなんで……?) ゆみ「ポン!」タン 京太郎(四副露!? なんでここまで急ぐ必要が……) 桃子(ううー、なるほど。そういう手もあるんすね……) ゆみ「ロン。東のみ」 1位 加治木ゆみ 2位 東横桃子 3位 蒲原智美 4位 津山睦月 【終局】 桃子「いやー参ったっす。初見では絶対負けない自信があったんすけどねー」 ゆみ「たまたま運がよかっただけだよ。トータルではおそらく私が負け越すさ」 桃子「そもそも東場で消えられるのが普通なんすよ。まさか南二局までかかるとは思わなかったっす」 京太郎「ええと、モモ。何の話?」 桃子「最後の二局のことっすよ。ゆみ先輩が私に振り込んだのは見たっすよね?」 京太郎「ああ。加治木先輩にしてはおかしいなと思った」 ゆみ「あのときだが、私にはモモの捨て牌が見えていなかった……いや、それでは正確ではないな」 ゆみ「私にはリーチ宣言も聞こえていなかった。モモのことが認識できていなかったんだ」 京太郎「……はい?」 睦月「よかった。聞こえなかったの私だけじゃなかったんですね」 智美「むっきーも聞こえてなかったか。私も聞こえてなかったぞー」ワハハ 京太郎「いや、確かにモモは存在感薄いですけど一緒に麻雀してて消えるなんて……」 桃子「ほら、来る途中にもやったじゃないっすか。私は自分の意志でも消えられるんすよ?」 京太郎「……あー。そういえば」 桃子「麻雀でやると私だけじゃなく牌も消せるんすよ。正確に言えば気づかなくさせるっすけど」 京太郎「つまり相手に警戒されなくなるし、振り込むこともなくなるってことか? そりゃすごいな」 桃子「気づかれない私の唯一の利点といっても過言じゃないっす! まあまさか初見で破られるとは思わなかったっすけど……」 京太郎「ああ、加治木先輩が鳴きまくってたのはそれで……」 ゆみ「破るなんて大層なものじゃないさ。たまたま運よく行っただけだ」 ゆみ「どうせ見えないなら防御するのも不可能だからな。上がられたら確実に まくられてしまうし、なら鳴いて速く手を進めてしまえというだけだよ」 桃子「まあ理屈ではそうっすけど……私が鳴けないから手が遅いってのもわかった上でやったんすよね。凄いっす!」 ゆみ「ネトマのときから極端な面前思考で気になっていたから試してみたんだ。上手くいって幸いだった」 京太郎「なんというか……追いつける気がしない」 智美「気にするな京太郎。私もだー」 睦月「私なんてリーチ宣言聞き逃したとしか思ってませんでしたよ……」 ゆみ「さて、じゃあもう1局打とうか」 桃子「次は負けないっすよー」 智美「京太郎、私が抜けるから代わりに入るんだー」ワハハ 京太郎「え!? でも俺ほんと初心者で……」 睦月「私も入ってすぐ打たされたよ。とりあえずやってみよう?」 ゆみ「とりあえず簡単なルールさえ分かっていれば大丈夫だ。別に練習だし軽い気持ちでいいぞ」 京太郎「……そうですね。よろしくお願いします!」 ………… ……… …… … 京太郎「」ズーン 智美「見事に飛んだなー」 桃子「見事に飛んだっすねー」 睦月「先輩の倍満と跳満に続けて振り込み……」 ゆみ「その、すまない。どうも運がよすぎたようで……」アセアセ 京太郎「い、いえ。手加減しちゃ練習になりませんしね……」ハハハ ――帰り道―― 智美「それじゃあ私たちはこっちだから」 桃子「また明日っすー!」 睦月「さようなら先輩。京太郎くん、また明日」 京太郎「はい、お疲れさまでした」 ゆみ「ああ、また明日」 下校途中の大きな交差点。鶴賀の生徒の多くはここで大きく二手に分かれて帰宅する。 俺達麻雀部もそのご多分に漏れず、俺と加治木先輩は右へ、部長と睦月先輩とモモは左へと分かれることになった。 京太郎「……」テクテク ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎「……その、加治木先輩自転車押してますけど家遠いんですか?」 ゆみ「あ、ああ。学校まで大体自転車で20分ちょっとかかるな」 京太郎「そうなんですか。……急いでるようでしたら俺に気を遣わなくても大丈夫ですよ」 ゆみ「いや、今日は特に何もないから大丈夫だ。途中まで……い、一緒に帰ろう」 京太郎「そうですか……」 ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎「……」テクテク 京太郎(……き、気まずい!!) 京太郎(なんか会話もぎこちないし、嫌われたのか苦手に思われたのか……) 京太郎(こっちから話しかけないほうがいいかな。でもこのまま無言ってのも……) 京太郎(うん、悪いところがあったら直せばいいんだしな。もう一回声をかけて) ゆみ「須賀くん!」 京太郎「は、はいぃ!!?」 京太郎(な、なんだ!? なんかしたか俺!?) ゆみ「その、だな……」 京太郎「……」 ゆみ「……」 京太郎「…………」 ゆみ「……すまない、ちょっと情けないことで話すのに心の準備が必要でな」 京太郎「……?」 ゆみ「ふぅ……」スーハー ゆみ「……その、私は男子と話すのが得意ではなくてな」 京太郎「……は?」 ゆみ「君に対してそっけない態度を取っていると思うのだが、決して君のことが嫌いとかそういうわけではないんだ」 京太郎「え、いやでも部活とか教室ではそんなこと全然」 ゆみ「麻雀なら君に対しては指導するという立場でいられるからな。普通に話すのに比べれば大した緊張はない」 ゆみ「教室は……あのときの私はどうかしていた」カァァァ ゆみ「部員を見つけることだけを考えていて、他のことは何も頭になかった。緊張なんてする暇もなかったよ」 京太郎「そうだったんですか」 ゆみ「だから、その、だな。君を不快にさせてしまったかもしれないが、決してわざとというわけではないんだ」 京太郎「ははは、嫌われたのかと思ってましたよ」 ゆみ「す、すまない……」シュン 京太郎「い、いえ。そういうつもりでは」 京太郎「言ってくれて嬉しかったですよ。言われなかったら誤解したままだったかもしれないです」 ゆみ「ん……そうか。そういってくれると助かる」 京太郎「でも意外ですね。男子とか苦手な風には見えないです」 ゆみ「ふむ、まあ女の子らしい見た目ではないからな」 京太郎「そんなことないですよ!」 ゆみ「はは……うん、そう言ってくれるのは嬉しいよ」 京太郎(本心なんだけどなあ……) ゆみ「男子と話すのが苦手な理由は、まあ単純に話す機会がなかったんだ」 京太郎「小さい頃から女子校だったんですか?」 ゆみ「いや、そういうわけではないんだが、私は小さい頃から何かと男子を注意するような役回りになることが多くてな」 京太郎「あー……」 ゆみ「今日一日一緒にいただけだが、何となく分かるだろう?」 京太郎「ええ、なんとなくわかります」 ゆみ「自分から言うことはそんなになかったんだが、女子から注意してくれとよく頼まれた」 ゆみ「そのせいで男子からは敬遠され、女子からはさらに頼られ、男子と普通に話す機会をほとんど持てなかった」 ゆみ「その上女子校に入学してしまったからな。自業自得ではあるんだが、慣れようがなかったんだ」ハハハ 京太郎「共学化したときとかはどうだったんですか?」 ゆみ「麻雀部に来るかもしれないと思ってやはり緊張したよ。結果は……まあ今日見た通りだが」 京太郎「あはは……」 ゆみ「まさか1人も入らないとは思わなかった。まあ確かに麻雀をやりたい子がわざわざ鶴賀に来るわけはないんだが」ハァ ゆみ「だから今日、モモと君、2人も入ってくれて本当に感謝している」 京太郎「モモはわかりますけど俺もですか?」 ゆみ「ああ、もちろんだ」 京太郎「でも俺は男子ですし、麻雀も初心者ですよ」 ゆみ「確かに大会には出たいし、そのために部員を集めていた。 でも私が卒業した後、部員不足で麻雀部が潰れてしまっては悲しいだろう?」 ゆみ「女子だろうと男子だろうと、麻雀の経験があろうとなかろうと関係ない。私は君が入ってくれてとても嬉しかったよ」ニコッ 京太郎「――!」カァァ ゆみ「うん? どうかしたか?」 京太郎「い、いえ。なんでもないです」 京太郎(ほんと先輩はストレートだな……!) 京太郎「そういえば部員って今日いたので全員なんですか?」 ゆみ「? あれで全員だがそれが?」 京太郎「いえ、麻雀の団体戦って5人でやるじゃないですか。1人足りないんじゃないかと」 ゆみ「ああ、そのことか。確かに説明していなかったな」 ゆみ「蒲原には幼馴染がいるんだが、その子が4人集まったら入ってくれると言っているらしいんだ」 京太郎「ああ、じゃあモモが入ったからその人も入ってくれるんですね」 ゆみ「そういうことだ。彼女は初心者と言っていたかな。君と一緒だ」 京太郎「へーそうなんですか。よかったです、1人初心者で気後れしてたんで……」ハハハ ゆみ「誰だって始めたときは初心者だよ。これから上手くなればいい」 京太郎「今日の加治木先輩とモモの会話聞いてたらそうは思えませんよ……」 ゆみ「モモのは彼女の生まれ持った資質だけど、私のは練習の賜だ。努力次第だが私くらいにはなれるさ」 京太郎「うーん、なれますかねえ」 ゆみ「なに、これから私たちが教えるんだ。独学で学んできた私より上手くなって貰わないとな」 京太郎「ははは、そうですね。ご指導よろしくお願いします」ペッコリン ゆみ「ああ、任された」フフッ 京太郎「それじゃあ俺はこっちなんで」 ゆみ「ああ、それじゃあ……もうこんなところか。君との話に夢中で気がつかなかった」 京太郎「ありがとうございます。――あ、そうだ。加治木先輩」 ゆみ「なんだ?」 京太郎「加治木先輩が男と話すの苦手っていうの、きっと思い込みだと思いますよ」 ゆみ「そうだったらいいが、現に私は君にぎこちない態度を取ってしまっていたと思うのだが……」 京太郎「全くないとは言いませんが、そういうのって大体俺が急に話しかけたときとかじゃないですか」 京太郎「多分話すのが苦手というよりは、何を話せばいいのか分からないんですよ」 ゆみ「それは確かにそうだが、その2つにあまり差はないんじゃないか……?」 京太郎「だってほら、先輩と俺、帰り道は普通に話してたじゃないですか」 ゆみ「ふむ、確かに言われてみればそうだな」 京太郎「あんまり固く考えなければいいんですよ。そうすればきっとすぐ直ります」 ゆみ「ああ、君の言うとおりかもしれないな。でも、須賀くんだからというのもあると私は思う」 京太郎「えっ……」ドキッ ゆみ「私に話しかけてくる男子はほとんどいなかったからな。高校に入ってからは須賀くんが初めてだ」 京太郎「あ、ああ。そういう……」 ゆみ「すぐには慣れないと思うが、これからも話しかけてくれると嬉しい」 京太郎「え、ええもちろんです」 ゆみ「ありがとう。それではまた明日。部室で」 京太郎「さようなら……」 京太郎「……」 京太郎「…………」 京太郎「天然でやってんのかあれは!?」 ――自室―― 京太郎「お、咲からのメールか」 京太郎「1日ぶりだな。どれどれ……」 咲『京ちゃん元気?』 京太郎『おう、元気だぞ。昨日はメールなかったけどどうしたんだ?』 咲『本を読んでたらそのまま寝ちゃって……』 京太郎『はは、お前らしいな』 咲『うぅ……そ、そんなことより、今日私文芸部に行こうとしたんだよ!』 京太郎『おお、ついに入部し……行こうとした?』 咲『う、うん。その、ドアの前までは行ったんだけど、中がすごく和気あいあいとしてて入りづらくて……』 京太郎『まあもう5月だからなあ』 咲『どうしよう京ちゃん! 私文芸部に入れないよ!!』 京太郎『いやそのくらい気にせず入れよ……そもそもなんで4月に入らなかったんだ?』 咲『ええと、ほら、清澄に行った友達がいるじゃない?』 京太郎『ウチの中学から清澄に結構行ってたよな? 図書委員のやつ?』 咲『ううん、そっちじゃなくて班で一緒だったクラスの子』 京太郎『ああ、あいつか。結構仲良かったよな』 咲『そうそうその子。まあ京ちゃんとほどじゃなかったけどね』エヘヘ 京太郎(俺基準って……まあいいか) 京太郎『それでそいつがどうしたんだ?』 咲『うん、その子に一緒に文芸部に見学に行かない? って誘ったんだけど断られちゃって』 京太郎『へー、見学くらい行ってくれてもいいのにな』 咲『まあ先週誘った私も悪かったんだけど』 京太郎『先週!? ちなみにあいつ部活入ってるのか?』 咲『入学してすぐ園芸部に入ったよ。私も見学に付き合ったの』 京太郎『断られるに決まってんだろ!!』 咲『やっぱりそうだよね……』 京太郎『っていうか4月に行ってない理由にはなってなくないか?』 咲『ええと、さっき言ったとおり4月の初めにあの子と一緒に園芸部に行ったんだけど、私も体験入部したんだ』 京太郎『咲は花育てるのも好きだったよな』 咲『うん、最初はお花を育てるの楽しいし、本は1人でも読めるからここに入ろうかなと思ったんだけど……』 京太郎『ふむふむ』 咲『園芸部って土とかお花の鉢運んだりするんだ。それが結構重くて……』 京太郎『あー、それがきつくてやめたのか』 咲『そのくらいじゃやめないもん!』 京太郎『え? じゃあなんでやめたんだよ』 咲『ええと、頑張って運ぼうとしたんだけどお花植えてるプランターこぼしちゃって……』 京太郎『お、おう。まあでも一回くらいならやめるほどではないんじゃないか』 咲『ううん、何度も』 京太郎『…………』 咲『無言はやめてぇ!!』 京太郎『ま、まあ居づらくなって園芸部やめたのはわかった。それで?』 咲『え?』 京太郎『体験入部のうちにやめたんだろ? なら文芸部だって体験入部期間に行けたんじゃないか?』 咲『そ、それはそのう……』 京太郎『……うん、言わなくていいぞ。大体わかった』 咲『うぅ……で、でも勇気出したよ! 先週は友達誘ったし、今日は部室の前まで行ったもん!』 京太郎『まあなんだ。咲が頑張ったのはよくわかった。でももう少し頑張ろうな』 咲『京ちゃぁん……』 京太郎『入っちゃえば意外となんとかなるもんだぜ。俺も今日部活入ったけどみんな歓迎してくれたよ』 咲『京ちゃん部活入ったの!? 何部?』 京太郎『麻雀部』 咲『麻雀……京ちゃん麻雀出来たっけ?』 京太郎『いや全く。完全に初心者だよ。でも歓迎してくれた』 咲『そっか』 京太郎『咲は麻雀出来るのか?』 咲『……うん、出来るよ。昔よく家族でやってた』 京太郎『へー、なら麻雀部入ったらどうだ?』 咲『麻雀部?』 京太郎『ほら、清澄の麻雀部って聞いたことないからきっと強くないだろ? なら5月からでもウチみたいに歓迎してくれるさ』 京太郎『それに麻雀部なら大会でお前と会えるかもしれないしさ』 咲『……そうだね。考えてみる』 京太郎『まあ最終的には咲が後悔しないようにすればいいと思うけどな』 咲『これだけ言っておいて結局それ? ……うん、でもありがと』 京太郎『おう』 咲『ところで京ちゃん。大会で会えるかもってもしかして女子と合同の部活なの? そういえば鶴賀って元女子校だったよね?』 京太郎『ああ、というか俺以外全員女子だよ』 咲『な、何それ!!』 京太郎『何って……去年まで女子校だったし麻雀部も俺含めて今のところ5人だしな。そういうこともあるだろ』 咲『どうせハーレムだー! とか思ってるんでしょ!』 京太郎『初心者俺1人だぜ? そんな余裕ねえよ。……まあ嬉しくないって言ったら嘘になるけど』 咲『京ちゃんのバカ! もう知らない!!』 京太郎「おおう……まあ部活入れないって相談してきたのに、俺は部活でハーレムだって言ったらそりゃいい気分はしないか」 京太郎「なんて返すかなあ。ってあれ、咲からメールが」 咲『言い忘れてた、おやすみ!!』 京太郎『おやすみ。別に男子が俺だけだから入ったわけじゃないからな!』 咲『うん……その、私急に怒っちゃったけど、京ちゃん怒ってない? 明日もメールしていいよね?』 京太郎『これくらいで怒るわけないだろ? 明日は俺からメールするよ』 咲『京ちゃんありがとう!!』 京太郎『俺も悪かった。また明日』 京太郎「10時半か。ちょっと早いけどもう寝……ん? 加治木先輩からメール?」 ゆみ『今日はありがとう。男子と話したのは久々だったよ』 京太郎『いえ、俺も楽しかったですよ。それにしてもアドレス交換しましたけど、まさか今日メール貰えるとは思いませんでした』 ゆみ『蒲原に話したらその日のうちにメールするべきだと言われたんだが……』 京太郎(早く仲良くなるようにって部長が気を遣ってくれたのかな……うん、まあ嬉しいんだけど) ゆみ『男子にメールしたのは初めてなのだが何かおかしなところがあっただろうか』 京太郎『いえありませんよ。せっかくですし、教本で気になったところがあるのでよければ教えて下さい』 ゆみ『勉強熱心だな。いいぞ、なんでも聞いてくれ』 京太郎『それじゃあ――』 ………… ……… …… … 京太郎「ロ、ロン!! 立直平和で裏ドラは……乗った! 3900です!」 ゆみ「む……」 京太郎「よっしゃあ! やっと加治木先輩から直撃取れた!」 智美「ついにゆみちんから直撃かー。気分はどうだー」ワハハ 京太郎「最高です!」 桃子「後は私から直撃取れば全員制覇っすね!」 京太郎「モモ、一度消えないでやってみないか?」 桃子「消える前に頑張るっす!」 京太郎「せめて東場は消えないでくれよ……」 桃子「気合で頑張るっす!」 京太郎「うぅ……」 佳織「うわー凄いね京太郎くん!」 京太郎「ははは、佳織先輩には負けますよ」 佳織「? 私加治木先輩からロンしたことないよ?」 京太郎「あははは……」 京太郎(代わりに初めての麻雀で役満上がってるんだよなあ……) 睦月「おめでとう京太郎くん。でもまだ打ってる最中だからほどほどに」 京太郎「あ、すみません。つい嬉しくて」 睦月「ふふ、私も初めてのときははしゃいだから気持ちはわかるよ」 京太郎「睦月先輩がはしゃぐのってあんまり想像つかないですね」 ゆみ「今の須賀くんのような感じだよ。まあそのうち見られるさ」 京太郎「そのうち?」 ゆみ「津山はプロ麻雀せんべいをよく食べているだろう?」 京太郎「そうですね。俺も睦月先輩に影響されて食べ始めましたよ」 ゆみ「いつの間に……まあいい。津山はレアカードが当たったとき、人が変わったように喜ぶんだ」 睦月「そ、そんなことないですよ!」 京太郎「へー。楽しみにしてますね」 睦月「しなくていいから!」 智美「3人とも、そろそろ次の局行くぞー」 ゆみ「そうだな。すまない」 京太郎「この勢いでトップを狙います!」 ………… ……… …… … 京太郎「結局3位か。配牌は良かったんだけどなあ」 桃子「京太郎は牌効率がまだまだっすね。いくら配牌がよくてもそれじゃ勝てないっすよ」 京太郎「一応考えてるつもりなんだけど難しいな。筋とか壁とかそういうのは決まってるから覚えやすいんだけど」 桃子「え? もう覚えたんすか?」 京太郎「ああ、教本読んだり加治木先輩に教わったりしてるからな。もうバッチリだ!」 桃子「見た目と違って真面目っすねー……ってゆみ先輩に?」 京太郎「見た目は関係ないだろ! そうだけどどうかしたか?」 桃子「部活でそんなにじっくり話してるの見たかなーと」 京太郎「ああ、帰ってからメールで教えて貰ってるんだよ」 桃子「む。個人指導っすね」 京太郎「まあそうなるな」 桃子「羨ましいっす!」 京太郎「は?」 桃子「私もゆみ先輩に教えてもらいたいっす!」 京太郎「それを俺に言われてもなあ」 ゆみ「私なら構わないぞ」 京太郎「加治木先輩!?」ビクッ ゆみ「あんまり驚かれると傷つくな……」 京太郎「す、すみません」 ゆみ「い、いや、冗談だ。気にしないでくれ。……それよりモモ、聞きたいことがあったらいつでもメールしてくれて構わないぞ」 桃子「ほんとっすか!?」 ゆみ「ああ、後輩の指導も先輩の役目だ。なるべく速く返信するよ」 桃子「嬉しいっす! ゆみ先輩大好きっすー!」 智美「ゆみちん、ちょっと来てくれ」コイコイ ゆみ「?」テクテク 智美「部員が集まって嬉しいのはわかるけど、最近ちょっと詰め込み過ぎてないかー?」 ゆみ「そんなつもりはないんだが……」 智美「牌譜持ち帰る量も増えたし、他校の研究も本格的に始めたんだろー?」 ゆみ「バレていたのか」 智美「これでも部長だぞー」ワハハ ゆみ「……まあそうだな。お前の言うとおり以前より熱心にやっているよ」 ゆみ「折角部員が集まったんだ。1回戦で負けて終わりなんて嫌じゃないか」 智美「それには同意だなー。でも少しくらい分けてくれてもいいんだぞ」 ゆみ「そうだな……」ムゥ 智美「私とゆみちんの仲だろ? 遠慮せず言ってくれていいぞ」 ゆみ「ん……こういうのはなんだが、私のほうが向いていると思うんだ」 智美「やっぱり私じゃ力不足かー」ワハハ ゆみ「いや、性格的に」 智美「想定外の方向から突き刺さったな……」 ゆみ「遠慮するなと言ったのはお前だろう」 智美「そっちから来るとは思わなかったぞ」 ゆみ「まあ1人でやったほうが効率的だというのもなくはないがな」 智美「じゃ、じゃあアドバイスの方なら! それなら私でも出来るぞ!」 ゆみ「私がやると言ったことだしな。それを任せるというのも」 ゆみ「それに……」チラッ 智美「?」 ………… ……… …… … 桃子「むっちゃん先輩! この間話してた喫茶店に行く話っすけど、今日の帰りどうっすか?」 睦月「今日は予定もないし……うむ、行こうか」 桃子「かおりん先輩はどうっすか?」 佳織「~♪」 京太郎「佳織先輩、モモが呼んでますよ」 佳織「えっ!? ご、ごめんね桃子さん」 桃子「私はこっちっすよ」 佳織「あわわわ……」 京太郎「気にしないでください。そのうち見つけられるようになりますよ」 桃子「京太郎が言うんじゃないっす!」 睦月「あはは、京太郎くんはどうする? 一緒に行く?」 京太郎「行きたいんですが課題が残ってるので……」 睦月「そう……あ、そうだ。この前約束したプロ麻雀カード、ダブってるやつ持ってきたよ」 京太郎「おお、ありがとうございます!」 佳織「キラキラだねー」 睦月「結構貴重なレアなんだ。大事にしてね」 京太郎「はい!」 ゆみ「」ジー 智美「どうしたゆみちん。恋する乙女かー」ワハハ ゆみ「なっ!? バ、バカを言うな!!」 智美(からかいがいがあるなー)ワハハ ゆみ「……私はあんな風に仲良くなれていないからな。せめて麻雀で距離を縮めたい」 智美「そんなことないと思うけどなー」 ゆみ「それに実際大した負担ではないんだ。頼ってもらえるというのは純粋に嬉しいしな」 智美「まあゆみちんがそういうなら。でも無理はダメだぞ」 ゆみ「ああ、わかってるよ」 京太郎「智美部長、加治木先輩! 早く帰りましょう!」 ゆみ「すまない、今行く……っと」フラッ 京太郎「大丈夫ですか?」 ゆみ「少しふらついただけだ。心配ない」 桃子「先輩も喫茶店行かないっすか?」 ゆみ「ありがとう。だけど牌譜の整理があるから遠慮しておくよ」 桃子「残念っす……」 智美(……やっぱり心配だなー) 京太郎「こんにちはー……ってあれ。部長だけですか」 智美「みんなまだみたいだなー」 京太郎「じゃあ来るまで教本でも読んで……」 智美「なあ京太郎、息抜きするなら何がいいと思う?」 京太郎「唐突ですね」 智美「いいからいいから」 京太郎「そうですねー……まあ普通に遊びに行くのが一番じゃないですか?」 智美「やっぱりそうだよなー」ワハハ 京太郎「急にどうしたんですか?」 智美「最近ゆみちん根詰めてるだろ? 息抜きに買い物に誘ったんだけど断られちゃってなー」 京太郎「そういえばたまに辛そうにしてますね」 智美「だろー? 大会まで時間がないのは確かだけど、あれで持つのか心配なんだ」 京太郎「時間がないといっても無理が続くほどではないですしね」 智美「気を抜いてくれればまた違うと思うんだけどなー。京太郎、何かゆみちんに息抜きさせるいい方法はないかー?」 京太郎「ただ誘うだけだとダメだったんですよね? うーん……」 智美「まあすぐじゃなくてもいいさ。考えておいてくれ」 京太郎「わかりま……」 ゆみ「」ガラッ 京太郎「」ビクッ 智美「」ビクッ ゆみ「ど、どうしたんだ?」 智美「い、いや。なんでもないぞー」ワハハ ゆみ「怪しいな……何かよからぬことでも考えてたんじゃないだろうな」 京太郎「そ、そんなことないですよ! それよりその雑誌はなんですか?」ガタタッ 智美(ナイスフォローだ京太郎!) ゆみ「バ、バカっ! 近い!」カアァァ 京太郎「はっ! す、すみません!」カアァァ 智美(……わざではないんだろうなー) ゆみ「ざ、雑誌だったな。これは麻雀の専門誌だよ」コホン 京太郎「そ、そういえばそういう名前の見たことあります」 ゆみ「初心者向けのコーナーもある。参考になるだろうから読んでみるといい」 京太郎「へー、読んでみますね」ペラペラ 京太郎「……ん?」 ゆみ「どうかしたのか?」 智美「どれどれ……高校生チャンプ宮永照?」 京太郎「ええ、はい」 智美「確かに美人だから気になるのもわかるけど、女子2人の前でそれは感心しないなー」ワハハ ゆみ「須賀くん、そうなのか……」ジー 京太郎「違いますよ!」 智美「ワハハ、冗談だ」 ゆみ「わ、私はわかっていたぞ」 京太郎「加治木先輩……まあいいです。えっと、前に住んでたところに宮永って幼馴染がいるんですよ」 ゆみ「なるほど、同じ名字だな」 京太郎「そいつも女子なんですけど、なんとなく雰囲気が似てるなーと思いまして」 ゆみ「宮永照のいる白糸台は東京だろう? 須賀くんは前に住んでいたところも長野だったと聞いた覚えがあるのだが」 京太郎「ええ、そうなんですけど他人の空似とは思えなくて」 智美「ふーん。なら親戚なのかもしれないなー。その子も麻雀は強いのか?」 京太郎「いえ、そもそも打ってるところも見たことが……」 京太郎「あ、いや。そういえば家族麻雀はしていたみたいです。俺も最近聞いたんですが」 ゆみ「ふむ、仮に宮永照がその幼馴染の親戚だとすると、我が部には高校生女子麻雀チャンピオンの 親戚の幼馴染がいることになるわけか」 智美「世間は狭いなー」 京太郎「近いのか遠いのか微妙な繋がりですけどね」ハハハ 佳織「何を話してるんですか?」ガラッ モモ「私も入れて欲しいっすー!」 佳織「わっ! 桃子さん!?」 睦月「最初からいたよ」クスクス 智美「みんな来たかー。今は京太郎が女子麻雀チャンプの知り合いだって話をしてたんだー」ワハハ 京太郎「ちょっと部長!?」 桃子「なんと、衝撃の事実っす! さては今までの麻雀素人っぷりも演技っすね!?」 佳織「京太郎くんそんな人と知り合いなの!? 凄いねー。でもおんなじ初心者だと思ってたからちょっと寂しいな」 京太郎「モモ悪ノリするな! 佳織先輩、智美部長のもモモのも嘘ですからね!?」 佳織「智美ちゃん嘘だったの? もう、信じちゃったじゃない」 ゆみ「正確にはチャンピオンの親戚の幼馴染かもしれないというところだな」 睦月「反応が難しいですね……」 京太郎「雑誌見てての雑談ですから! もうやめて下さい……!」 桃子「その屈辱は麻雀で晴らすっすよ! さあ勝負っす!」 京太郎「お前のせいでもあるからな!? 畜生、今日こそは勝ってやる!」 桃子「受けて立つっすよー!」 ゆみ「はは、今日は最初は1,2年生に譲ろうか」 智美「私たちは見学だなー」 睦月「ありがとうございます。モモも京太郎くんも、2人で盛り上がってるけど私も負けないよ」 佳織「私も頑張ります!」 ………… ……… …… … ――帰り道―― 京太郎「それじゃみなさんまた明日」 佳織「また明日」 睦月「さようなら」 智美「2人ともまたなー」 モモ「今日の雪辱はまた果たすっすよ!」 京太郎「今日だけで何度も果たされたよ!」 ゆみ「はは、4人ともまた明日」 京太郎「……」テクテク ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎(何度も一緒に帰ってるけど、やっぱり別れてすぐは会話が途切れるなあ) 京太郎(俺から話しかければいいんだろうけど……)チラ ゆみ「……」ソワソワ 京太郎(……うん、もうちょっと待ってみよう) 京太郎「……」テクテク ゆみ「……」カラカラカラ 京太郎「……」テクテク ゆみ「……す、須賀くんっ」 京太郎「はい、何でしょう」 ゆみ「その、だな。今日は初めての2位おめでとう」 京太郎「ありがとうございます!!」 ゆみ「うわっ」ビクッ 京太郎「いやもうほんと嬉しかったんですよ! いつ話振ってくれるかなってそわそわして……って」 ゆみ「」 京太郎「そ、その、すみません……」 ゆみ「ふっ、くくっ……」 京太郎「加治木先輩?」 ゆみ「ふふ、すまない。ついおかしくてな」 京太郎「う……ついはしゃぎすぎましたけど、初めての2位なんですよ。嬉しくて当然じゃないですか」 ゆみ「それにモモの上を行ったのも初めてだった」 京太郎「そうです。目標が2つ同時に達成できたんですよ。そりゃ喜びますって!」 ゆみ「うん、まあ気持ちはわかる。でもな」 京太郎「?」 ゆみ「まだ君は部に入って間もないが、その努力を私は誰よりもよく知っているつもりだ」 ゆみ「君はよく努力している。そんなに喜ばなくともこれから何度でもなれるし勝てるよ。私が保証する」 京太郎「加治木先輩……」ジーン ゆみ「うん? どうした」 京太郎「いえ、感動してました」 ゆみ「なっ!?」 京太郎「他人に真正面から評価されるってこんなに嬉しいものなんですね……!」 ゆみ「大げさだな……そういう感動はもっと大事なときに取っておいたほうがいい」 京太郎「じゃあ今度は1位になったときにまた言って下さい」 ゆみ「ん……まあいいだろう」 京太郎「はい、頑張ります!」 ゆみ「ではそのためにはもっと実力を上げなければな」 京太郎「え……」 ゆみ「須賀くんの牌譜も集まってきたしな。ちょうど言いたいことがあったんだ」 京太郎「ええと、今日のところはいい気分のままでいさせて頂けたりとかは……」 ゆみ「1位を目指すんだろう? わかっているとは思うが、須賀くんの実力はまだまだ足りていないぞ」 京太郎「それはまあ、最初に2位になった後はいつも通り3位や4位ばかりでしたし……」 ゆみ「なら勉強だ。まず君は対子を集める傾向があるな。何か意味はあるのか?」 京太郎「いや、その、ポンってどこからでも鳴けるから得だなーと」 ゆみ「まあそんなところだろうと思っていた」ハァ ゆみ「単純に有効牌の数を考えてみてくれ。塔子なら両面待ちで8枚、嵌張や辺張でも4枚あるだろ? 対して対子では2枚しかない」 京太郎「……おお、言われてみれば!」 ゆみ「まあもちろん場に出ている枚数や手役との兼ね合いもあるがな。基本的には対子より塔子を残すことを考えてくれ」 京太郎「勉強になります」 ゆみ「さて、次は……」 京太郎「ま、まだあるんですか!?」 ゆみ「当たり前だ……む、もうこんなところか」 京太郎「あ、分かれ道ですね。それでは俺はここで……」 ゆみ「帰ってからメールするから返信するように」 京太郎「ですよね……」 ゆみ「ああ、それじゃあまた夜に」カラカラカラ 京太郎「はい、さようなら」テクテク 京太郎「加治木先輩結構スパルタだよなあ。まあ親身になってくれてるってことだけど」テクテク 京太郎「……ん? あれ、なんで加治木先輩歩いて帰ってたんだ? ……ん、メールが」 ゆみ『さっきはああ言ったが、正直君がモモに勝てるのはもっと先のことだろうと思っていた』 ゆみ『モモのステルスは偶然だけで勝てるようなものじゃない。麻雀を初めて一週間ほどで勝てたのは誇っていいと思う』 ゆみ『君の打ち方については帰ってからメールで言うつもりだったんだが……その……』 ゆみ『君に言われたことが恥ずかしくて、誤魔化すように言ってしまった』 ゆみ『きつい言い方になってしまったと思うんだが、よければこれからも頼ってほしい。すまなかった』 京太郎「……頼らないわけないのになあ」ハハ 京太郎(歩いてたのはすぐメールするためだったんだな) 京太郎「さて、なんて返そうかな。まずは気にしてないということと、それからお礼と……」 ――自室―― ゆみ『今日はここまでにしておこう。また明日』 京太郎『ありがとうございました。また明日よろしくお願いします』 京太郎「ふー……おお、2時間も付き合って貰ってたのか!?」 京太郎「部長に言われたばっかりなのに頼りすぎた……ちゃんと息抜きのしてもらい方考えないとなあ」 京太郎「ま、今はそれより咲からのメールに返信を……っと」 京太郎『悪い悪い、返信遅れた』 咲『もーいつもはすぐ返ってくるのに1時間も来ないから心配したよ』 京太郎『悪かったよ。それより今日は何かあるのか?』 咲『ううん、特にはないかな。今日は京ちゃんの話聞かせてよ』 京太郎『その言葉を待ってた! 聞いてくれ!』 咲『な、何?』 京太郎『今日初めて2位になれたんだよ!』 咲『京ちゃんおめで……2位?』 京太郎『2位だよ! 悪いか!』 咲『すっごく喜んでたから1位になったのかなって思ったんだけど……』 京太郎『初心者が麻雀部相手に2位になったんだから十分凄いだろ!』 咲『京ちゃんも今は麻雀部じゃない』 京太郎『それはそうだけど! 初めてトップ2になれたんだよ!』 京太郎『咲も麻雀やってたなら初めて2位になったときの気持ちわかるだろー』 咲『……そうだね。きっと嬉しかったんだと思う』 京太郎『思う?』 咲『昔のことだもん。でも、うん。昔は楽しくやってた気がする。だから思う、かな』 京太郎『そうか……それと、咲に聞きたいことがあるんだけどいいか?』 咲『なあに?』 京太郎『今日麻雀の雑誌読んだんだ』 京太郎『それに高校生女子麻雀チャンピオンのインタビュー載ってたんだけど、そのチャンピオンの名前が宮永照っていうんだよ』 京太郎『その宮永照って人は東京の高校に通ってるんだけど、なんとなく雰囲気がお前に似てるから気になったんだ』 京太郎『もしかして親戚だったりするか?』 ………… 京太郎「メール返って来ないな……なんかマズイこと聞いちまったか? とりあえず……」 京太郎『その、答えにくかったら無理に答えなくていいぞ? こっちも突然聞いて悪かったし』 咲『ううん、大丈夫……その人は、宮永照は私のお姉ちゃんだよ』 京太郎『お前にお姉さんなんていたのか?』 咲『うん、京ちゃんと会う前にお父さんとお母さん別居しちゃってたから』 咲『私は長野でお父さんと住んでるんだけど、お姉ちゃんは東京でお母さんと一緒に住んでるの』 咲『……そういえば京ちゃんに私の家族の話したことなかったね』 咲『ちょうどいいし聞いてもらっていいかな? ちょっと相談したいこともあるんだ』 京太郎『確かになかったけど……俺が聞いていいような話なのか?』 咲『別に隠すようなことじゃないし気にしないで』 京太郎『そっか。それなら咲、久々に電話かけてもいいか?』 咲『うん、いいよ。……ありがとう京ちゃん』 京太郎『もしもし、聞こえるか?』 咲『もしもし、聞こえるよ』クスクス 咲『それじゃあ話すね。ええと、どこから話そうかな』 咲『家族麻雀をよくしてたって話はしたよね?』 京太郎『ああ、この間聞いた』 咲『私ね、実は家族麻雀そんなに好きじゃなかったんだ』 京太郎『そうなのか? 家族で出来るなんて楽しそうだななんて思ってた』 咲『うん、私の家ではね。お金をかけて麻雀やってたんだ』 京太郎『それで負けてたのか?』 咲『ううん、そんなことないよ。多分勝ち越してた』 京太郎『じゃあお金をやり取りするのが嫌だったとか?』 咲『それもちょっと違うかな。勝っても怒られてたんだ。負けたらお金を取られるし、勝ったら怒られる。京ちゃん、これどう思う?』 京太郎『なんというか……酷い話だな』 咲『でしょ? だから私は麻雀のことがそんなに好きじゃないんだよ』 京太郎『……』 咲『それで相談っていうのはここからなんだけど……』 京太郎『おう、ゆっくりでいいぞ』 咲『えっとね。京ちゃんが読んだっていう雑誌なんだけど、私も見たんだ』 京太郎『もう知ってたのか?』 咲『うん、お父さんから見せてもらってたんだ』 咲『私ね、一度東京へ、1人でお姉ちゃんに会いに行ったことがあるんだ』 京太郎『1人で行けたのか?』 咲『ちっちゃい子じゃないんだから行けるよ! 京ちゃんは私のことをなんだと思ってるの!?』 京太郎『悪い悪い。続けてくれ』 咲『うん、それで家まで行ったんだけど、お姉ちゃんは一言も口を聞いてくれなかった――』 咲『お姉ちゃん、きっとまだ私のこと怒ってるんだ』 京太郎『怒ってる?』 咲『家族麻雀の話で、負けたらお金を取られる、勝ったら怒られるって話はしたよね? それで私はどうしたと思う?』 京太郎『どうしたって……麻雀をやらなくなったとかじゃないのか?』 咲『ううん、違うよ。私はね、±0にしちゃえばいいんだって思ったんだ』 咲『それならお金を取られないし、取らないから怒られることもないから』 京太郎『……は? いや、そんなの狙ってできるものじゃないだろ?』 咲『狙ってやったんだ。狙えるようになったって言ったほうがいいかな。ちっちゃい私の精一杯の抵抗だった』 京太郎『……凄いな』 咲『あはは、ありがと。でもお姉ちゃんは私の勝ちを狙わないやり方が気に入らなかったんだと思う』 咲『きっと、だから今でも私と話してくれないんだ』 京太郎『……咲はお姉さんと仲直りしたいのか?』 咲『うん、だから雑誌の記事を見て、麻雀部に入ればお姉ちゃんとまた会えるかもしれないって思ったんだ』 京太郎『ああ、俺もそう思う』 咲『それで麻雀部に入ろうかどうか迷ってるの』 京太郎『結局文芸部には入らなかったんだろ? 麻雀部に入ればいいじゃんか』 咲『でもさ、京ちゃん。お姉ちゃんを怒らせた原因は麻雀なんだよ?』 咲『その麻雀を使ってお姉ちゃんに会おうなんて余計に怒らせたりしないかな?』 京太郎『それは……』 咲『麻雀部に入らなければ、時間はかかるかもしれないけどその内お姉ちゃんは私のことを許してくれるかもしれない』 咲『麻雀部に入ればすぐお姉ちゃんに会いに行ける。でも、もっと怒らせて私のことをずっと許してくれなくなるかもしれない』 咲『京ちゃん、私はどうしたらいいのかな……』 京太郎『……咲は麻雀のことどう思ってるんだ?』 咲『え?』 京太郎『だからさ、咲は麻雀のこと好きなのか?』 咲『……さっき言ったじゃない。あんまり好きじゃないよ』 京太郎『でもさ、それは勝つことじゃなくて、±0を目指してたからじゃねーのかな』 咲『……』 京太郎『俺はさ、麻雀始めたばっかだけど、勝てるとすげー楽しいよ』 京太郎『初めて3位になれたときでも嬉しかったし、今日初めて2位になれたときなんかは思わず叫んじまった』 京太郎『まだ1位になったことはないけど、なれたらきっともっと楽しいんだろうなって思う』 京太郎『咲はどうだ? 1位になって楽しいとか嬉しいって思うことなかったか?』 咲『……昔、まだ家族で仲良く麻雀でやってたとき、1位になれたら凄く嬉しかった』 咲『そうだね。京ちゃんの言うとおり、あの頃は家族仲良く、楽しく麻雀やってた』 京太郎『そっか。それなら咲は麻雀部に入るべきだ』 京太郎『今度は勝つことを目指して、楽しんで麻雀をすれば、それをお姉さんに見てもらえば、きっと咲のこと許してくれるよ』 咲『そう、かな』 京太郎『ああ』 咲『……うん、そうだね。会わなきゃ何も始まらないよね。わかったよ京ちゃん。明日、麻雀部に行ってみる』 京太郎『ああ、それがいいよ』 咲『相談に乗ってくれてありがとう、京ちゃん』 京太郎『気にするな……そうだ。咲、ちょっといいか?』 咲『何?』 京太郎『さっきお前麻雀部に入ればお姉さんにすぐ会えるみたいなこと言ってたよな? 県大会に勝つ前提とは随分偉くなったなあ』 咲『ふぇっ!? も、もう、揚げ足取らないでよ! 京ちゃんのバカ!』 京太郎『ははは……実際咲は強いのか?』 咲『京ちゃんなんか足元にも及ばないくらい強いよーだ!』 京太郎『……』 咲『な、何か言い返してよぉ……』 京太郎『いやまあ、あの宮永照と家族麻雀で±0狙ってるやつだと思うと……』 咲『お、お姉ちゃんだって高校入って上手くなってるはずだよ!』 京太郎『と言ってもなあ』 咲『うぅぅ……』グスン 京太郎『はは、冗談だよ』 咲『もう、あんまりからかわないでよ……』 京太郎『面白いからついな』 咲『ついじゃないよ! こっちは本気で気にするんだからね!』 京太郎『悪かったって。それじゃあな』 咲『またね。……京ちゃん、今日はありがとう』 京太郎『気にするなって。またなんかあったら電話しろよ。大会で会おうぜ』 咲『うん、大会で』 女生徒「残りは私がやっておくから。須賀くんは部活行ってていいよ」 京太郎「いいのか?」 女生徒「いいっていいって。私帰宅部だし。部活頑張ってねー」 京太郎「おう、ありがとな」 京太郎(今日こそは1位になるぞー! ……あ、階段に加治木先輩が) 京太郎「加治木先輩、これから部活に行くところですか?」ウエミアゲ ゆみ「ん、須賀くんか。そのつもりだよ」 京太郎「じゃあ一緒に行きましょう。昨日聞きそびれたところがあるんですけど途中で聞いていいですか?」 ゆみ「ああ、構わな……」フラッ 京太郎「加治木先輩!?」 ドタッドタタタタッ! 京太郎「いてててて……加治木先輩、大丈夫ですか?」シタジキ ゆみ「あ、ああ、大丈夫だ。ありがとう、今どく……痛っ!」 京太郎「どうしたんですか!?」 ゆみ「き、気にするな。なんでもないっ」 京太郎「なんでもないわけないじゃないですか! ……足ですか?」 ゆみ「……そうだとしても君に迷惑をかけるわけにはいかない。先に部室に行っていてくれ」 京太郎「……そういうこと言うならこっちにも考えがありますよ」ムッ ゆみ「?」 京太郎「だっことおんぶと肩を貸す。どれがいいですか?」 ゆみ「……は?」 京太郎「保健室まで連れて行くって言ってるんです。さ、だっことおんぶと肩を貸す。どれにします?」 ゆみ「ま、待て! そんなどれを選んでも恥ずかし……い、いや。そもそも必要ないと言っているだろう!?」 京太郎「あんな声出して何言ってるんですか。選ばないならだっこで運びます」 ゆみ「なっ」 京太郎「よいしょっと」グイッ ゆみ「う、うわっ! な、なんでよりにもよってお姫様だっこなんだ!? というかそもそも重いだろう!?」 京太郎「一番持ちやすいからです。それとむしろ軽いくらいですから大丈夫です……さあ、保健室まで行きましょうか」 ゆみ「わ、わかった! 肩を借りるから! だから下ろしてくれ!!」 京太郎「始めからそうやって人の好意を受け取ればいいんですよ……っと」 ゆみ「好意じゃないとは言わないが、とてもではないが素直には受け取れないな……」 京太郎「加治木先輩、腕はちゃんと肩に回しました?」 ゆみ「ああ、回した」 京太郎「じゃあ行きますよ。ゆっくり歩きますね」 ゆみ「ありがとう」 京太郎「……」 ゆみ「……」 京太郎(加治木先輩と話すのは最近慣れてきたけどさすがにあんなことした後だとキツイな……) 京太郎(なんであんなことしたんだろう……)ズーン ゆみ(ん……私が肩に手を回しやすいように少し屈んでくれているのか) ゆみ(その体勢で歩くのは決して楽ではないはずなのに。……優しいやつだな) ゆみ(さっきの強引な三択も、普段の須賀くんなら絶対にやらないはずだ) ゆみ(それでもやったということは、それはきっと――) ゆみ「なあ須賀くん」 京太郎「はっ、はい!」 ゆみ「そんなに力を入れなくても……いやそういう話になるかもしれないな」 ゆみ「その、さっきのことなのだが……」 京太郎「?」 ゆみ「さっきの君は怒っていたのか?」 京太郎「……当たり前じゃないですか」 ゆみ「……理由を聞いてもいいか?」 京太郎「決まってるじゃないですか。加治木先輩がまた無理しようとしたからです」 ゆみ「私は無理なんて――」 京太郎「してるから倒れたんです」 ゆみ「ぐっ」 京太郎「無理して倒れたのに、なんでさらに無理しようとするんですか」 ゆみ「君には――」 京太郎「関係ない、なんて言わないでくださいよ。自分が麻雀部にどれだけ大切か知らないわけでもないでしょう」 ゆみ「むぅ……」 京太郎「ほら、早く言わないとまたお姫様だっこしますよ」 ゆみ「や、やめろ! わかった、言うから!」 ゆみ「……麻雀部は私が麻雀をもっと本格的にやりたいから、なんて身勝手な理由で作ったんだ」 ゆみ「だから自分で出来ることなら自分でやりたい。他人に無駄な負担はかけたくない」 ゆみ「雑務は私がやるから、君たちには純粋にただ麻雀を楽しんで欲しいんだ」 京太郎「……はあ」 ゆみ「な、なんだ」 京太郎「加治木先輩は優秀なんですから、出来ること全部やろうなんて思ってたらパンクするに決まってます」 ゆみ「そんなことは……」 京太郎「実は部長から加治木先輩をなんとか息抜きに誘えないかって相談を受けてたんですよ」 ゆみ「何?」 京太郎「部活の仲間が辛そうにしてるのに純粋に麻雀を楽しむなんて出来ませんよ」 ゆみ「…………」 京太郎「あ、保健室ですね。その、無理しないって考えて貰えると嬉しいです」 ゆみ「……ああ」 京太郎「失礼します……先生はいないみたいですね」 ゆみ「ああ、外出の張り紙はないからすぐ戻ると思うのだが……」 京太郎「とりあえずこの椅子に座って下さい。湿布探しますね」 ゆみ「ああ、ありがとう」 京太郎「ええと、湿布は……お、あった」 ゆみ「ああ、それじゃ渡してく――」 京太郎「それじゃ脱がしますね。足上げて下さい」 ゆみ「ああ……って、え?」 京太郎「」スルッ ゆみ「んっ」 京太郎「」スルスルスルッ ゆみ「ふあ」 京太郎(綺麗な足だな……触ってみた――はっ!?) 京太郎(な、何やってんだ俺!? 咲の手当てずっとしてたからその癖か!?)ダラダラダラ 京太郎(か、加治木先輩が意外と平気にしてるかも……) ゆみ「……」カアァァァァ 京太郎(やっちまったー! ど、どうする!?) 京太郎(……ああ、でも白くてスラっとして艶々としてて、いつまでも見ていたくなるような――) ゆみ「す、須賀くん。あまり見られていると、その、恥ずかしいのだが……」カアァァァ 京太郎「す、すみません!!」バッ ゆみ「あ……」 京太郎「あ……」 謝ろうと顔を上に向けると、顔を真っ赤にした加治木先輩と目があった。 ゆみ「……」 京太郎「……」 ゆみ「…………」 京太郎「……………」 ゆみ「――き」 保険医「誰かいるの? ごめんね席外しちゃ……」ガラッ 保険医「……ええと、お邪魔だったかしら?」 京太郎・ゆみ「「そんなことないです!!」」 保険医「んー軽い捻挫ね。病院に行く必要はなし。湿布を貼ってれば明日、明後日には治ってると思うわよ。もちろん安静にね」 ゆみ「ありがとうございます」 保険医「それと疲れてるみたいね。顔色悪いわよ。若いから無理は効くでしょうけど、ちゃんと休みは取ったほうがいいわ」 ゆみ「……はい」 保険医「部活はやってるの?」 ゆみ「麻雀部に入ってます」 保険医「それならやっても大丈夫ね。これから行くのかしら」 ゆみ「そのつもりです」 保険医「そう。ここには松葉杖とかはないから、彼氏くんはちゃんと連れてってあげるのよ」 ゆみ「かっ……!? 京太郎「ただの後輩です!」 保険医「そう」クスクス 保険医「まあ無理はしないことね。大会も近いんだし怪我で実力を発揮できないのはつらいわよー」 ゆみ「……わかりました。ありがとうございます」 保険医「お大事にー」 京太郎「ありがとうございました」ガラッ 京太郎(……さっきまでは怪我に気が行って意識しなかったけど、肩を貸すとかなり密着するな……) 京太郎(加治木先輩、普段凛としてるけど触れると女の子らしく柔らかいんだな……特に胸とかバストとかおもちとか) 京太郎(それになんかいい匂いも……) ゆみ「須賀くん」 京太郎「ひゃいっ!」 ゆみ「ど、どうした?」 京太郎「い、いえ。なんでもないです」 ゆみ「そうか。……須賀くん、ちょっと聞きたいことがあるのだが」 京太郎「なんです?」 ゆみ「……君は躊躇せずお姫様だっこをしたり私のソックスを脱がしたりしてきたが……女性の扱いに慣れているのか?」 京太郎「……はい?」 ゆみ「普通はああいうことをやるときは多少なり躊躇するものだと思うのだが」 ゆみ「君は自然にやるものだからこっちも反応が遅れてな……」 京太郎「お姫様だっこなんて慣れてないですよ! やったのも初めてです!」 京太郎「……その、あのときはちょっとカチンと来まして、勢いでといいますか……」 ゆみ「ふむ」 京太郎「脱がした方はですね。その、幼馴染みの手当てをいつもやっていたのでついそれと同じように……」 ゆみ「なるほど……須賀くん」 京太郎「はい」 ゆみ「それは直したほうがいい。いつかきっと問題を引き起こす」 京太郎「あはは……でも大丈夫ですよ」 ゆみ「何?」 京太郎「大切な相手じゃなきゃあんなに焦ったりしませんから。そういう相手ならきっと怒るくらいで許してくれます」 ゆみ「――っ」カァァ 京太郎「加治木先輩?」 ゆみ「だからそういうところを直せと言っているんだ……」ハァ 京太郎「す、すみません。もしかしてそんなに嫌でした……?」 ゆみ「そういうわけじゃ……いや、もういいか」 ゆみ「須賀くん」コホン 京太郎「は、はい」 ゆみ「意地を張っていた私を引っ張ってくれてありがとう」 ゆみ「1人じゃ保健室へ行くのは正直厳しかったと思う。手当てをしようとしてくれたこと、嬉しかったよ」 京太郎「……はい!」 京太郎「すみません。遅くなりましたー」ガラッ 智美「おお、2人とも何してた……」 睦月「そ、そんなにくっついてどうしたんですか?」 ゆみ「くっつ……! あ、足を捻ったから肩を貸してもらっているだけだ!」 佳織「歩けないみたいですけど大丈夫ですか?」 ゆみ「ああ、座っていれば大して痛まないし、明後日には治ると言われたよ」 桃子「そんなに重傷じゃなくてよかったっす」 智美「今日は部活やらずに帰るのかー?」 ゆみ「いや、痛むのは足だけだし参加するよ。須賀くん、すまないが椅子まで運んでもらっていいか?」 京太郎「もちろんです」 ゆみ「……っと、ありがとう。対局が終わるまで君の牌譜を見ていこう」 京太郎「よろしくお願いします」 ………… ……… …… … 智美「それじゃそろそろ帰るかー」 ゆみ「まだ早くないか?」 智美「怪我人は早く帰って安静にしなさい」 ゆみ「む……」 京太郎「はは……そういえば加治木先輩、その足で自転車に乗れますか?」 ゆみ「さっきに比べれば痛みも引いているしまあ大丈夫だろう」 智美「……ゆみちん、ちょっと歩いてみてくれるか?」 ゆみ「ああ……痛っ」 智美「ゆみちん、そんな足で自転車漕ごうなんて無理はよくないぞー」 睦月「そうですよ。悪化しちゃいます」 ゆみ「そう言われてもな。バスを使おうにも私の家からバス停までは遠いし、両親も仕事だ」 京太郎「家まで肩を貸す……のはちょっと外では恥ずかしいですね」ハハ ゆみ「出来れば校内でもそう思って欲しいんだがな。もちろん感謝はしているが」ハァ ゆみ「それに、そもそも須賀くんに家まで付き合わせるのは悪いだろう」 京太郎「俺が歩く分には大丈夫ですよ。いい運動です」 ゆみ「ん、そうか……」 ゆみ「……ああそうだ。そんなことをしなくてもタクシーを呼んで――」 智美「思いついたぞー!」ワハハ ゆみ「もら……蒲原、嫌な予感はするがとりあえず言ってみろ」 智美「失礼な。今回は名案だぞー」 桃子「どんな案なんすか?」 智美「京太郎がゆみちんの自転車でゆみちんを送ればいいんだ」 睦月「ああ、二人乗りですか」 ゆみ「ま、待て。他人の前でそんな……」 智美「肩を貸すくらい密着してたんだからこれくらいは大丈夫だろー?」 ゆみ「うっ……」 佳織「でも智美ちゃん、二人乗りなんてやってたら危ないし注意されちゃうんじゃないかな?」 ゆみ「そ、そうだ。だからタクシーを――」 智美「非常事態なんだしいいだろー。それに学校が見えなくなるまではゆみちんを乗せて押せばいいし」 佳織「そっか。それもそうだね」 ゆみ「妹尾!?」 桃子「まあいいじゃないっすか。タクシーは高いっすし、それに二人乗りやってるくらいじゃ誰も見ないっすよ」 睦月「二人乗りそんなに嫌なんですか?」 ゆみ「い、嫌というわけでは……す、須賀くんはどうなんだ!?」 京太郎「二人乗り自体は中学の頃よくやってたので、加治木先輩が嫌でなければいいですよ」 ゆみ「」 桃子「問題が片付いたところで帰るっすー!」 智美「ゆみちん、置いてくぞー」 睦月「それじゃ、肩貸しますね」 ゆみ「ありがとう。ついでに頼みがあるんだがタクシーを――」 睦月「京太郎くん、自転車乗り場からはよろしく」 京太郎「任されました!」 ゆみ「ああ、うん。わかっていた。私はいい後輩たちを持ったよ」 京太郎「照れますよ」 睦月「照れますね」 佳織「照れちゃいます」 桃子「照れるっすよー!」 ゆみ「よし、お前たちは明日までに『麻雀何切る?』を1冊終わらせて来い」 智美「後輩たち、あんまりからかっちゃダメだぞー」ワハハ ゆみ「蒲原は2冊だ」 智美「ワハ!?」 智美「ゆみちん、ここまで自転車を押して貰った気分はどうだ?」 ゆみ「見られてばかりで全く落ち着かなかった……二人乗りくらい目立たないと言ったのは誰だ」 桃子「二人乗りじゃなくて京太郎が押してたじゃないっすか。6人いて1人だけ自転車に乗って押されてればそれは目立つっすよ」 智美「どこの女王様だって感じだなー」ワハハ 京太郎「まあ嘘は言ってなかったですね」 ゆみ「嵌められたか……」 桃子「人聞きが悪いっすねー」 睦月「まあまあ、明日には誰も覚えてませんよ」 ゆみ「そうだといいんだがな」ハァ 京太郎「じゃあ前乗りますね」 ゆみ「ああ、今後ろに移る」 京太郎「よっ……と」 ゆみ「……そ、それじゃあ捕まるぞ」ギュッ 京太郎「!?」ビクッ ゆみ「ど、どうかしたのか?」 佳織「わわわ……」カァァ 睦月「凄い……」カァァ 桃子「だ、大胆っすね」カァァ 智美「どうかってゆみちん、それはこっちのセリフだぞ」カァァ ゆみ「え、えっ?」 ゆみ「だ、だって少女漫画とかでは二人乗りするときはこうやってギュッと抱きしめて……」 桃子「どんだけ乙女っすか!」 智美「本気で言ってるんだよなー……」 ゆみ「ど、どこがおかしいんだ!? ちゃんと捕まらないと危ないだろう!?」 睦月「抱きしめなくても腰を掴んだり荷台やサドルを持ったりすれば落ちないのでは……」 ゆみ「……!!」 智美「いや、そんなその発想はなかったみたいな顔されてもなー」 佳織「と、とりあえず京太郎くんを離してあげたらどうでしょう?」 ゆみ「え?」 京太郎「」パクパク ゆみ「う、うわっ! す、すまない!!」バッ 京太郎「……はっ!? い、いえ! こちらこそ!」 桃子「何がこちらこそなんすか?」 京太郎「……いや、なんでもないぞ?」 桃子「ところで感想は」 京太郎「柔らかくていい匂いがし……しまった!?」 睦月「素直だね」 智美「正直者だなー」ワハハ ゆみ「」プシュー 桃子「……さて、それじゃあそろそろ帰るっすか」 智美「邪魔者はお暇するかー」 京太郎「ま、待った! せめてこの空気をどうにか――」 睦月「そうですね。早く帰りましょう!」 佳織(何でもいいからここから逃げ出したいなあ……) 京太郎「睦月先輩!? 佳織先輩もだんまりはやめましょうよ!」 智美「それじゃあまた明日なー」ワハハ 京太郎「ちょっとー!?」 スタスタスタスタ…… 京太郎「ほ、本気で帰りやがった……」 ゆみ「」プシュー 京太郎「え、ええと、その加治木先輩。さっきのは……」 ゆみ「い、いや、いいんだ。悪いのは私だから」 京太郎「そんなことは……」 ゆみ「と、ともかく! 自転車を出してくれ!」 京太郎「は、はい! 加治木先輩の家遠いですもんね!」 ゆみ「あ、ああ! 早く行かないと日が暮れてしまう」 京太郎「わかりました! それじゃしっかり捕まって――」ハッ ゆみ「あ……」ジー 京太郎「そ、そういう意味じゃないですからね!?」 ゆみ「わ、わかっている! それじゃあ荷台を掴んで……」 京太郎「大丈夫ですか?」 ゆみ「ああ、ちゃんと掴んでいる」 京太郎「それじゃ出しますよー」 ゆみ「よろしく頼む」 京太郎「……」シャー ゆみ「……」シャー 京太郎(中学のとき、咲とよくこんなふうに二人乗りしてたなー) 京太郎(初めてやったときは咲が憧れだったって言って横乗りしたっけ) 京太郎(ちょっと漕ぎだしたら咲が倒れそうになったからすぐやめたけど。あいつ悔しそうな感じで涙目になってたな) 京太郎(その後も何度か挑戦しようとしたから止めるのが大変だった。あいつ変なところで頑固だからなあ) 京太郎(咲とのどうでもいい話とか結構楽しかったな。そのうちあいつの重さがない自転車が物足りなくなったりして) 京太郎(風を切る感覚も感じる重さも似てるけど、見える景色はやっぱり向こうと違う。……当たり前か) 京太郎(……おんなじ長野なのにな)ハァ ゆみ「なあ、須賀くん」 京太郎「なんですか?」 ゆみ「二人乗りはよくやっていたと言っていたな」 京太郎「そうですね。前に言った幼馴染をよく乗せてました」ハハ ゆみ「そうか。……間違っていたらすまないのだが、今そのときのことを思い出してはいなかったか?」 京太郎「……もしかして声に出したりしてました?」 ゆみ「そういうわけではないが、ため息をついたり考え込むような顔をしていたからな」 京太郎「はは……加治木先輩には敵わないですね」 ゆみ「それで、これももしなんだが」 京太郎「何がです?」 ゆみ「今、寂しい、と思っていないだろうか」 京太郎「寂しい……ですか」 ゆみ「ああいや、違っていたらそう言ってくれ。別に何か特別な根拠があって言っているわけではないんだ」 京太郎「ん……考えたこともなかったですけど」 京太郎「けど、言われれば寂しかったのかもしれないです」 京太郎「俺、幼馴染……咲って言うんですけど、そいつと毎日メールしてるんですよ」 京太郎「昔からよくメールはしてたんですけど、引越す前は毎日なんてことはなかったです」 ゆみ「ふむ。聞いた私が言うのも何ではあるが、違うところにいるんだ。それくらい普通じゃないか?」 京太郎「いえ、そこじゃないんです」 京太郎「咲は地元の高校に行ったんで、やっぱり中学の友達もたくさん一緒のところ行ってるんですよ」 京太郎「咲とのメールにもよく出てくるんですけど、それがちょっと羨ましいなとかいいなとか思っちゃうんです」 京太郎「こっち来て使ってる道も、普段登校に使ってる道はもう見慣れた風景になってるんですけど」 京太郎「今こうやって違う道を行くとやっぱり全然見覚えがなくて」 京太郎「前のところはどこ行っても大体見慣れてたんで、自分はここの人間じゃないんだなとか感じたんです。 京太郎「それでさっきため息ついちゃったんですよ」 京太郎「そんなこと考えてると、俺はなんで1人でこっち来たのかなってちょっと後悔が」 ゆみ「……そういえば須賀くんがこっちに来た理由を聞いていなかったな」 京太郎「ああ、親の仕事の都合ですよ。まあ向こうで一人暮らしすることも出来たんで、決めたのは自分です」 ゆみ「高校生が1人で暮らすのは言うほど簡単じゃない。自分のせいだなんて思う必要はないさ」 京太郎「加治木先輩……」ジーン ゆみ「……まあ私もしたことはないからどんなものかわかるわけではないが」 京太郎「加治木先輩……」ジー ゆみ「と、ともかくだ! 自分が選んだからしょうがないなんて思わず、寂しければ素直にそう思えばいい。そのほうが楽になる」 京太郎「……そうですね。ありがとうございます」 ゆみ「……」シャー 京太郎「……」シャー ゆみ(あまり表情は明るくなっていないな……ああ) ゆみ「寂しくて、じゃあどうするかまで言わなければ片手落ちか」ボソッ 京太郎「何か言いました?」 ゆみ「いや、なんでもない」 ゆみ「……須賀くん。この先に急な坂道があるのが見えるか?」 京太郎「ああ、結構急ですね。しっかり捕まってください」 ゆみ「ああ」ギュッ 京太郎「っ!? か、加治木先輩!?」グイッ ゆみ「きゃっ! ハンドルを急に切るな! 危ないだろう!?」 京太郎「それはすみません! でも何ですかいきなり!?」 ゆみ「き、急な坂だからしっかり捕まったんだ。それに……」 京太郎「それに?」 ゆみ「……このほうがいいかと思ってな」 京太郎「……ええと、それは、まあ、さっきのも嬉しかったですけど」 ゆみ「そ、そういう意味じゃない! 君は寂しいのかもしれないと言っていただろう?」 京太郎「そ、そっちですか」 ゆみ「私は地元を離れてはいないから、君がどれほど苦しいか分からない」 ゆみ「でも、君のつらさを和らげたいとは思う。そのためにはこうするのがいいと思った」 ゆみ「君の故郷にいなかった私が君のその寂しさを埋めたいというのはおこがましいかもしれないが、それでも私を頼って欲しい」 ゆみ「君は、私の大切な後輩だからな」 京太郎「……そんなに心配されるような顔してました?」 ゆみ「ああ、何かしてあげたいと思うくらいにはな」 京太郎「……まったく、加治木先輩は背負い込みすぎですよ。 麻雀部のことだけで倒れちゃったのに、俺のことまで背負ってどうするんですか」 ゆみ「う……」 京太郎「でも、ありがとうございます」 ゆみ「ああ、いい声だ」 京太郎「これからも頼っていいですか?」 ゆみ「もちろん。いつでも頼ってくれ」 京太郎「それじゃ、加治木先輩も俺を頼ってください」 ゆみ「うん?」 京太郎「麻雀はまだ全然敵いませんけど、でも牌譜の分析とか出来ることはやりますから」 ゆみ「しかし……」 京太郎「ただでさえ倒れたのに、この上さらに加治木先輩に頼るなんて言ったら部長に何言われるかわかりませんよ」 ゆみ「だが私が勝手にやっていることで負担をかけるわけには……」 京太郎「加治木先輩が俺に大切だって言ってくれたのと同じで、俺にとっても加治木先輩は大切な先輩なんですよ!」 ゆみ「……それを言われるとはな」フゥ ゆみ「量を減らそうと思っていたんだが、そう言ってくれるならお願いするよ」 京太郎「任せてください!」 京太郎「…………」シャー ゆみ「…………」シャー --------------------------------------- ゆみ(……今まで意識していなかったが、背中、広いな。それに固い) ゆみ(男子とこんなに密着したのは初めてだが、体の作りがこんなに違うのか)ポー ゆみ(……前はどうだろう)サワッ 京太郎「」ビクッ ゆみ(腹筋の辺りも引き締まっている。細身だけど筋肉質だ。鍛えているんだな……今さらか。部活の前にお姫様だっこをされ――) ゆみ(いかん、自分で考えていて恥ずかしくなってきた)カアァァ ゆみ(いつの間にか鼓動も速くなっている)ドクンドクン ゆみ(こ、これは須賀くんに伝わっているんじゃないだろうか)ドクンドクン ゆみ(……もっとこう、トクントクンと可愛らしくならないものかな)ハァ ゆみ(……須賀くんも緊張しているんだろうか) ゆみ(……えい)ピト ドキドキドキドキ…… ゆみ(私よりも速い。私よりも緊張してくれているのか。……なんだか嬉しいな) ゆみ(心地いい音だ。もう少し、家に着くまでこのまま――) --------------------------------------- 京太郎(……ぴったりくっついてるな)ドキドキ 京太郎(加治木先輩と密着したの今日何度目だ!? 今まで一度もこんな経験なかったのに!) 京太郎(ああ、背中に柔らかいおもちが……いかん、運転に集中しろ集中!) 京太郎(ふー……うん、少し落ち着いてきた) 京太郎(柔らかく包まれてるみたいでなんか安心する。こういうの母性っていうのかな) 京太郎(加治木先輩が言ったとおり、ギュッとされてると寂しさが和らいできた) ドクンドクン…… 京太郎(……ん? なんだこの振動) 京太郎(これは……心臓の音か。もしかして加治木先輩も緊張して――) ゆみ「」サワッ 京太郎(って!? な、何やってんだこの人!?)ドキドキドキドキ 京太郎(寂しさなんか吹っ飛んだけど! ただでさえ我慢してんのに!) 京太郎(この人ついこの間まで男と話すの苦手とか言ってたよな!? 話してなきゃいいのか!?) ゆみ「ん……」ピト 京太郎(背中に耳を……まさか俺の心臓の音聞いてるのか? うおお、恥ずかしい!!) 京太郎(ど、どうしよう。何か話しかければ離れてくれ――) ゆみ「――もう少し、このまま――」ボソッ 京太郎(……まあ、俺も加治木先輩の音聞いたんだしお互い様か) 京太郎(家まであと少しだし、このままでいいか) 京太郎(俺もそのほうが嬉しい……って何考えてんだ俺)ドキドキ --------------------------------------- ――加治木宅前―― 京太郎「加治木先輩、家ってここですか?」 ゆみ「……ん? ああ、ここだ――」ポー ゆみ「――っ!?」バッ ゆみ「す、すまない! ずっとこんな、だ、抱き締めるような真似を……!」 京太郎「い、いえ、大丈夫です。全然」ドキドキ ゆみ「そ、そうか。それとその、さっきの君のお腹を確かめようと思ったのも……」 京太郎「そっちも少しくすぐったかっただけですから大丈夫です」ドキドキ 京太郎「……って確かめ?」 ゆみ「っ! な、なんでもない!」 ゆみ「そ、そんなことより」コホン ゆみ「私のためにこんな遠回りまでしてくれてありがとう、須賀くん」ニコッ 京太郎「っ!!?」ドキィ!! ゆみ「うん? どうかしたか?」 京太郎「い、いえ。なんでもないです」ドキドキ ゆみ「そうか、それならいいのだが……」 京太郎(な、なんだ急に? 加治木先輩の笑ったとこ初めて見たってわけでもないのに)ドキドキ ゆみ「なんだか顔が赤いな……もしかして私が重くて疲れたのだろうか」シュン 京太郎「」ムッ 京太郎「そんなことないです!!」 ゆみ「わっ!」 京太郎「部活の前にも言ったじゃないですか! 加治木先輩は重くなんてないです!」 ゆみ「そ、そうか。そこまで強く言われると照れるな……」カアァァ 京太郎「あ……すみません」 ゆみ「まあそう言ってくれたのは嬉しいよ。ありがとう」フフッ 京太郎「っ!」ドキッ 京太郎(さっきからのこれは) 京太郎(加治木先輩が自分のこと卑下するのがなんか嫌で、笑うと胸が高鳴って) 京太郎(ああ、もしかして) 京太郎(――俺、加治木先輩のこと好きになったのか) ゆみ「須賀くん? 本当に大丈夫か?」 京太郎「大丈夫です。むしろスッキリしました」 ゆみ「? まあそれならいいんだが」 京太郎「それより加治木先輩。牌譜渡して貰っていいですか?」 ゆみ「ああ、そうだったな。それじゃあ半分――」 京太郎「全部下さい」 ゆみ「何?」 京太郎「これからは牌譜の整理と分析は俺がやります」 京太郎「加治木先輩は作戦を考えたり自分の練習をしたり、加治木先輩じゃなきゃ出来ないことをやって下さい」 ゆみ「しかし……」 京太郎「最初はやり方を聞くことになると思いますけど、でもすぐに覚えます!」 京太郎「麻雀部の、加治木先輩の役に立ちたいんです!」 ゆみ「……自転車に乗っているとき、お願いすると言ったしな」フゥ ゆみ「わかった。それじゃあ牌譜の整理と分析は君に頼んだよ」 京太郎「はい!」 ゆみ「ちなみにこれだけあるんだが本当に大丈夫か?」ドサッ 京太郎「お、おお……すごい量ですね」 ゆみ「やはりこの量は……」 京太郎「いえ、大丈夫です! やってみせます!」 ゆみ「そうか……ただ、失敗を経験した者として言うが、無理だと思ったら私を頼るんだぞ」 京太郎「倒れる前に頼ります」ハハ ゆみ「それじゃあ須賀くん、自転車の鍵を取ってもらっていいか?」 京太郎「あ、はい、これです。足まだ痛みます?」 ゆみ「ん……歩くのは少しつらいな。まあ明後日には治ると言っていたから大丈夫だろう」 京太郎「そうですか……その、加治木先輩」 ゆみ「なんだ?」 京太郎「明日の行きも送らせて貰えませんか」 ゆみ「なっ!? あ、明日の行きとはつまり登校のことか」 京太郎「はい」 ゆみ「し、しかし登校時間には人も多いし朝からというのは目立ちそうだな……」 京太郎「二人乗りが目立つなら、人が多くなったらまた押しますよ」 ゆみ「余計に目立つだろう!?」 京太郎「じょ、冗談です」 京太郎「無理にではないですけど、もし痛むようなら明日も大変かなと思ったので……」 ゆみ「むぅ……」 京太郎「……」 ゆみ「……」 ゆみ「……そうだな。お願いしてもいいだろうか」 京太郎「はい、喜んで!」 ゆみ「ありがとう。それじゃあこれを」 京太郎「これは……自転車の鍵ですか?」 ゆみ「ああ、明日も来るんだ。自転車のほうが楽だろう? どうせ私は使えないしな」 京太郎「ありがとうございます!」 ----------------------------------------- 京太郎「そろそろ帰りますね」 ゆみ「ああ、今日は助かった」 ゆみ「保健室へ連れて行ってもらって、家まで送ってもらって、牌譜を引き受けてもらって、明日も来てもらう」 ゆみ「君には借りが随分と出来てしまったな」 京太郎「どれも好きでやってることですから。気にしないでください」 ゆみ「私はいい後輩を持ったよ。……何か埋め合わせをしないとな」 京太郎「いえ別にそんな……」 ゆみ「後輩に助けて貰いっぱなしの先輩というのも情けない。私に出来ることなら何でもいい、考えておいてくれ」 京太郎「……わかりました。考えておきます」 ゆみ「ああ」 京太郎「それじゃあ加治木先輩、また明日」 ゆみ「また明日。今日はありがとう」 京太郎(いい後輩かあ……)シャー 京太郎(いつか、後輩としてじゃなく俺を見てもらえるように、頑張ろう) -----------------------------------------
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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377983742/ 陽光を遮る葉と梢の天蓋。木の根と緑の苔の絨毯。 緑葉の合間から差した日差しに一瞬だけ視界が眩み、俺は目を細めながらそれを手で遮る。 真夏の暑さを感じさせない木々の隙間を縫うように、僅かに湿った苔に脚を取られない様に気を配りながら緩く傾斜した地面を進む。 何故、俺がこんなところを1人で歩いているのかと問われれば単に高鴨穏乃のお目付け役を仰せつかったからである。 宿泊施設から少し行った場所にある森林の先にある小高い丘へ行きたいと言い出し穏乃が俺を誘い、 拒否しようとしたところをその友人と顧問に言い包められてこんな場所までわざわざ付き合ってここまで来たのだが、 現地に着いた穏乃は俺の存在など忘れてしまったかのように、 弾かれたように走り出し俺が声をかける間もなく木々の奥へと消えていった。 仕方なく穏乃の走り去っていった方向へとゆっくりと歩き出し林へ足を踏み入れて今に至る。 アウトドアやサバイバルの経験も知識も皆無な俺は、 森の中で他人を追跡する術など存在せず脚と目と耳を使って地道に少女を探すことにした。 京太郎「とは言え、見付からない」 もう少し先まで行ってみようか、そう思いさらに歩を進めようとしてふと違和感に気付く。 鼻先を掠める、濃い緑の匂い。 まるで深い森に迷い込んだかのような感覚。 一陣の風が吹き抜ける。耳朶を打つ音。 京太郎「…………っ」 俺はそれを声と認識した。誰かが呼んでいる。 何故そう思ったのか、そう感じたのかは俺にもわからない。 不思議と恐怖心はなかった。俺は向かおうとしていた方から踵を返し、 風が吹き抜けていった方、俺を呼ぶ声の方へと歩き出した。 歩き続けていると開けた場所に出た。 展望台、っというほど整備はされていないがハイキングコースかなにかのなのか歩くには さほど苦労はしない程度には均された高台といった感じか。 落下防止の欄干が左右に伸び、その向こう側には街並みが見える。 視線を巡らせると、見慣れたポニーテールと上半身をすっぽりと覆ったぶかぶかのジャージ姿の背中が目に入った。 俺はガシガシと後頭部を掻くと、そちらへゆっくりと近付いていく。 後数歩というところまで来て、俺は先にも感じた違和感を再び感じた。 目と鼻の先にいる少女から漂う、霞にも似た儚さ。 これは本当に俺の知る高鴨穏乃なのか? 普段の騒がしさをまるで感じない、なんて静かな気配。 俺は違和感を振り払い穏乃の背後に立つ。 京太郎「おい」 俺は緩く拳を握り、手の甲で穏乃の頭を後ろから小突く。 穏乃「お?」 そこまで来てようやくこちらに気付いたのか、打たれた頭を片手で押さえながらこちらに振り返る。 穏乃「お! おっす京太郎」 手を上げて気軽に挨拶してくる穏乃、同じように片手を挙げてそれに応じる。 京太郎「おっす。…………じゃねぇよ、勝手にどっか行くなよ。心配するだろ」 穏乃はそんなことを言われるとは思っていなかったのか目を丸くする。 穏乃「心配してくれたの?」 京太郎「まぁ多少はな、いくら穏乃がこういうとこに慣れてるっていっても目の届かないところに行かれるとな」 穏乃「そっか」 小さく微笑む。 穏乃「私はずっと京太郎の近くにいたけどなー」 京太郎「あん?」 穏乃の言葉に俺は怪訝な声を上げる。ずっとというのはここに着てから、っということだろうか? 京太郎「いやいや、お前ここに着いた途端俺のことなんて放って1人で突っ走っていったじゃん」 穏乃「ん~、そうだけどそうじゃないというか」 顎に人差し指を当て天を仰ぎながら考え込むように言葉を選ぶ。 穏乃「京太郎、途中で道に迷ってたよね。あのまままっすぐ進んでたら急な坂になってたよ?」 穏乃「もしかしたら、足を滑らせて転んで怪我してたかも知れなかったよ」 京太郎「は?」 穏乃の言葉が理解できなかった。俺とこいつはつい今再会したばかりで、森を抜ける間は別々に行動していたのだから、 こいつが俺がどの道をどう歩いてきたのかなど知っているはずがないのに。 穏乃「だから呼んであげたんだ。そっちじゃないこっちだよって」 京太郎「……」 あの音……俺が感じていた風の中にあった声は俺を呼ぶ穏乃の声だったというのか? そんなバカな。和ではないが、そんなオカルトありえない。 普段ならそう考えるはずなのに、何故か穏乃の言葉がゆっくりと身体に浸透していきすんなりと受け入れることができた。 京太郎「穏乃は、ずっと俺と一緒にいたのか?」 穏乃「うん!」 元気よく朗らかに頷く。よく知る穏乃らしい笑み。 穏乃「私はいつでも、何処にでもいるよ。京太郎の見るもの感じるもの」 自由を知る鳥が両翼を広げるように、穏乃はその両腕を左右に目一杯広げる。 穏乃「風の先にも大地の上にも」 そしてその右の人差し指の先がゆっくりと俺の胸に触れる。 穏乃「京太郎の中にもね」 そういって笑う穏乃の笑顔にはどこまでも透き通るような純真さがたゆたっていた。 京太郎「俺は……」 胸に触れる穏乃の指。 京太郎「俺はそういう観念的な話はよくわからないけど」 そこから繋がる右手をそっと握る。 京太郎「そのどれでもない今、目の前にいて手に触れられる『この』穏乃がいいな」 ハッと息を呑むのが聞こえた。 穏乃「あは、そうだね」 頬を掻きながら照れたように笑う。 穏乃「私もそう思う」 そういって穏乃は俺の手を握り返してきた。 京太郎「なにをしてたんだ?」 穏乃「風と話してた」 京太郎「そっか」 抽象的でいまいち要領を得ないが、俺ははっきりと頷く。 俺達は肩を並べて眼下に木々の群れとその先に見える街並みを眺めている。 穏乃「中学生の頃……」 急な切り出しに、俺は疑問に思うでも戸惑うでもなく静かに耳を傾ける。 穏乃「流れでみんなバラバラになっちゃって、だから山に1人でいることが多かった」 穏乃「だから自分ってものがハッキリと感じ取れたし、いろいろ考える時間もあった」 穏乃「いつしか意識は自然の中に溶け込んで、深い山のすべてと一体化してるようなそんな感覚」 京太郎「風……いや、大地と語るって感じだな」 穏乃「! そっか。うん、そうだね」 穏乃「ほっ!」 掛け声ひとつ。穏乃は勢いよく地面を蹴ると、その勢いで欄干の上に立つ。 京太郎「おい、あぶな、」 穏乃「とう!!」 そこまで言いかけて俺は言葉は霧散して消えた。細い手摺りの上で器用にターンを決めると、俺のほうに向かって跳びかかってきた。 穏乃は身長も相まって身体が非常に軽い。けれど勢いがあればそれなりの運動エネルギーが生まれ、当然衝撃もある。 それでも俺はなんとか踏ん張り、背中と膝裏に腕を回して横抱き、所謂お姫様抱っこの状態で受け止める。 ここで倒れ込んでは男の沽券にかかわる! 京太郎「バッカ野郎! 危ねぇだろ!」 穏乃「京太郎なら受け止めてくれるった信じてた」 一点も曇りもなく本当にそう思っているかのように言われ、俺は僅かに言葉に詰まる。 京太郎「それでもダメなもんはダメ。次はないからな」 穏乃「はーい!」 わかってないなこいつ。 俺は穏乃を落としてしまわないように、しっかりと抱き上げる。 肌に感じる体温と、微かに聞こえる吐息の音。 穏乃は俺の中にも自分はいるといっていた。けれど当の本人は今、俺の腕の中にいる。 それは俺の内なる世界と外なる世界。 俺の見ている世界と、穏乃の見ている世界は別々でそれは互いに不可知の領域のははずだが。 京太郎「なにを見てるんだ?」 穏乃「空、かな」 視線をたどり同じように空へと目を向ける。 晴れ渡った何処までも続くような青空。 俺の見ている青空と穏乃の見ている青空は果たして同じものなのか。 感覚所与、感覚与件、センス・データそう呼ばれる外界からの情報を内面で構築して世界を感じている。 だから人は内なる世界と外なる世界の二重構造を持っている事になる。 ならその世界はどうやって線引きされるのか。 人は外なる世界の共通部分で間接的にしか交われないのか。 自分、青空、木の根、虫、土、梢のざわめき、穏乃。 そよ風が吹き抜ける。 京太郎「!」 一瞬、自分が何処にいるのかわからかった。 ただ俺が感じるすべての中に俺自身も含まれているんだと、上手く言葉にできないがそんな気がした。 京太郎「穏乃」 穏乃「ん?」 下から穏乃の大きな瞳が俺を見上げてくる。 京太郎「少しだけわかった気がする」 これが穏乃の感じている世界。 穏乃「~♪」 それを感じ取ったのか穏乃はなにもいわず俺の首筋に鼻先を近づけてくるだけ。 穏乃「もっと、いろんな世界を感じたい」 穏乃「もっとずっとずっと遠くへ行きたいね。京太郎と一緒に」 京太郎「たとえば?」 穏乃「そうだな~」 再び青空を、その先にあるずっと向こうも見据える穏乃。 穏乃「この深く蒼い瞳のような空の終わりまで……かな」 幕間- __ ´ ` 、 / / \ / / 、 ヽヘ / / / | ヘ ヽ ィ ,. -――-j / /l / / | l _ λヽ . { ( /" ̄ ̄ ̄ ̄/ / / | !__/;イ /l 斗!| { | | l 「!i } \.、 /´ / / /彡| ´| ///ノ/ ムリ.lλ|| |j |リ ` `ー――- __ , イ/ / / ,. 、 l l伝丁` ム '乏灯ハn /.ハ `二ニ=‐- / / {⌒゚l 代ツ ゞ' ハ 〈イ ヾ { , -‐ 二_____ __// 人___l |"" ` ". l ヽ_ У`ー-. __ \、 // ̄ , ィ´ ア //__ イ l | ( ̄ア イ | |入 ̄ `ヽ_ヽ\マ、 `ー//===テ´ ,、 >-‐´ ̄ ̄ 八 l ト` x _´ .イ .l | ⅰ `ト \.\` ` ==イ`ー┴' ̄`´ ̄`ー….  ̄ - _ \ | ヽlλ|/Yヽ_レ、 人/イ ハ ` 、 } .r- ` /ミ ` ー _ - _ \ .| ヾ「 ̄`r{ . . . .{ { 彡イ ヽ_ ヘ __ノ . `  ̄└- _ ― ` / 入 . . 水\__ト |  ̄ ヽ ヾ、  ̄ ̄ ̄ ̄¨¨ ̄ アァ―ァ‐‐ァ‐-‐ァ…'ー―‐-- ____/ ー、 .` ./ λ . / . } |ヽ. // { /_ イ / / `ヽ、. ヽ∧/ ´ | l j | リ `ー=ニ二二__ イ /_r‐く ` o 丿 ノイ ノ `ー―一' /| ̄`>‐  ̄ ヽ、 ィ __ ´ ー‐ ' ` ー―一「 ̄ ̄ . / くヽ ー一o / マ . . . . ./ \\ o r´ あいむしんかーとぅーとぅーとぅーとぅとぅートゥットゥルー } . . . ハ ー` -―一 ´ r'ーf クロチャー☆なのですのだ! rー ´ . . .ヽ \ o __ィ /__ . | ヽ . . . . . . /\__ ` 大o / . . . `ヽ \ . / ./ . . . . . `ヽ /{ . |ヽ/ . .ヽ . . ./ `У . . . . . . . ハ`´ . . . ヾ、 . . . . . . . 〉´| ィ'`ー、 . . . . { . . | . . . . . . . . \_/ λ {三三三天 ̄ ̄| . . . . . ._イト----一 /| ` ̄` <_入  ̄ ̄_ハ|////////| `マ ̄ ̄///ハ.////////| V//////∧/////// ∨/////.∧//////’ ヽ//////ハ/////.j /! ______,イ//∟_____________イi , _, r '' " " _,._,._,._,._,._,_,._, ~`''ー-.、 // _,r''""◎ ヽ _,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._~`''ー-.、 / / ゙ヾ,, | _,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,.. ~`''=´ | ∠´___ ノ_,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,. _..-‐'''" \ ヽ ~`''ー-.、_______________________________,,...-‐'''" \ ヽ \ | \| / 、 \ r三ミY_ソヽ _/ / / / / ヽ ヽ / iソ \ /// /< ハi Vハレ ! ハ / / \ / ハ ! ハ! V\ イ´Vハ ハ / / <魚ぉぉぉぉぉぉぉマグロォォォォォォォッ!!! \ / i V ハ { r≠ミ r≠ミ } ノ リ ,.´ / \ V i ゝ 、、 丶 、、イ レ´ / /、 \⌒{ { /⌒ ┐ ! } / / \ \{ .{ i ′ ィ レ / \ { .ト\ ー ´ / ,.} } / / \ V{ Y  ̄ Ti ´} _/ } .j /. / \ V ゙三 ニ 〉〉彡 レ / i {\ / ヽ《 / Vi ハ { ヽ }} ヽ ; ´ ハ ハ{ V }} V / V { \ { }} V V\ 、 ! }} ', ` ゝ } }} ; l }} i. } }} ' ! }} } __,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__ > ´ ̄ / ` `、 、 、 - ´ / ' } ヽ ヽ\ \ `  ̄ >' / , | ∧/! | } ヽ ヽ /,ィ / ' / /| _/,.ム斗}-/ ハ . {/.' ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ } | . <それカツオだけど… / イ/{ ! ィ斧从}/ Vzソ ノ /イ , <__ ´// 从{ Vソ / / イ- 、 | {'{ { , ' /' ⌒ } | 从Ⅵ u /. ノ | 叭 v_ ̄ヽ ,rー' 从 、 イj / / . < |' /}/ 、__ ´ } イ从/ | |/ 「 ̄| 「 ̄ ̄ ̄ ̄} |//l| |//////// 、 ,. <// ∧ |//////////> 、 / \ ,.' \ / \ / . . . . . . . . ', . ` .、. / ヽ ヽ 、 Χ 、 . !¨ヽ 、 ヽ 牌 / \、 . /`ΧV ', 「 } . . . . \\. . / ヽ/ヽ代J}ヽN !) / . . . . . ヽ の / ; イ ハ \__ `' V ! 「 ! ! ヽ ヽ }ヽ} // |/ .V 〉 ` リ .| /! ハ } ハ } \! ヽ 悪. / | V ト、 ,_ァ / ´ ̄¨| √} 厂 }!、 j V / `i r- 、 j . . !/`、| / >、 魔. V j! } 「! l / /\ `>、 j ハ l l ヽ ... ≧x を 叩 /y ! 〉、 > 7/ /=l ,_... / } /´ V / い 〃 { /=≦ム //' ∨ _ ,小 `ー―.v´ >'"¨∨/ て x ´ / ハ Lヘ´ 'i / / / , , ,. 砕 / ;イ / く ` , , l / | / }` } ! く | / l / / . . l l l / l / / . , ! N / ,7 ..... . j | 〃 ,’ { _.. -‐……‐- .._ ´ `丶、 / 、 \\ \ `、 ヽ /, i i、 `、 `、 // i | 「\ \ ゙, ゙, ; .. . '/ , i |j `、-‐…‐-ミ.゙. 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V / 〃 ̄ i / ヽ ヽヽ ) V 〃 // Vハ ハ / 〃 / ノハ ハ / 〃 / ∨ / 》 ′ / 〃 { / 〃 l /〃 〃 ヾ ヽ 〈〃 《 》 〉 /三三三〃三三三ミY └┬―‐ Tニl ̄  ̄! ' { / l }´ { l l l | l 、 l { ,′ ! ,′ r 、 ! ,′ ', ├  ̄ \ } l ! -<\_ミ} | | └ '´ ,. ´ ̄ ̄ ` 、__ / , / /⌒Y / / , | ̄\ . ' ' /__/ , | \__ / / ///\/ / .' 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' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! ¨ ,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(自販機で飲み物を選んでるはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! ¨ ,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(今日の晩御飯は筑前煮がいいなと思ってるはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! //// ///,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ ー ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(黒糖を食べてるはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! ¨ ,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(スクエア三大ゲーは武蔵伝とアインハンダーと後1つなんだろうと考えてるはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! ¨ ,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(純刃マラソンに飽きてきたはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! ¨ ,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(京太郎に会いたいなーと思ってるはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! ¨ ,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(京太郎に会えて嬉しいはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! //// ///,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ ー ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(京太郎が黒糖を持って来てくれて嬉しいはるる) ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l \ , ! ┘└ ¨ ,' l \ /. , ! ┐┌ ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! /(京太郎が黒糖を持って来なくて怒ってるはるる) / | |.. . ゙、 . ゙、゙、. \ |. i | i |. ∧ 、.i. .i . ` 、. ! | |、 | | i | ! | | | 、 > | | i 「! ヽート!、 リ ! |ハ ト | ̄ ̄. ,..-、| i | !゙、 _、!二゙、-| イ リ ! |ヽ | / へ.゙、 丶ヾヽ ´{ i` ヽ! 1!| /| !ノ゙、リ ヽ \ !丶  ̄ Vイ ハ |\ i. 丶 \゙、 ` リ ` 「ちょっと待てなんかおかしくないか?」ヽ `┬ 、 ヾ / i ;ィノ U ,....-ィ /,, ‐レリ _  ̄ /゛=!_ \ `ー-、_ _/ ゛== 、 \ / ̄ヽ、 ゛===-、 ハ ヽ / / l l l ', ∨ l , ヽ ! / ,' l! l ', ∨ ! ' ! l / / l ! l! l l !l } '; 丶、! !/ / / ,' l ,' l l ! }l ; ', Y 从 _ / // // / 〃l /,' ,' /.}/ ∧ γ! | .斗均弍ミ、-' ' /_ _ / ./ /// / / 〃 ヽ { ! |,《 ) 汽 戔芝ミt-'-- ' ' / ヽ, l ! ..{ リ ) 灼 ! くヽ l |. ゝ ==' { // l 「?」 \ , ! ¨ ,' l \ /. , ! ' / l / < .', |ヽ __ ィ ! / /, ! >..., ィ ´| ,' / ´ / ', l /` ー ´ .! / / | |.. . ゙、 . ゙、゙、. \ |. i | i |. ∧ 、.i. .i . ` 、. ! | |、 | | i | ! | | | 、 > | | i 「! ヽート!、 リ ! |ハ ト | ̄ ̄. ,..-、| i | !゙、 _、!二゙、-| イ リ ! |ヽ | / へ.゙、 丶ヾヽ ´{ i` ヽ! 1!| /| !ノ゙、リ ヽ \ !丶  ̄ Vイ ハ |\ i. 丶 \゙、 ` リ ` 「なんで俺に会えた時より、俺が黒糖持って来た時の方が嬉しそうなんだよ」ヽ `┬ 、 ヾ / i ;ィノ U ,....-ィ / 「そんでなんで俺が黒糖持って来なかったらそんな怒ってんだよ」,, ‐レリ _  ̄ /゛=!_ \ `ー-、_ _/ 「その感情を式で表すと、俺+黒糖=正の値で、俺-黒糖=負の値」 ゛== 、 \ / ̄ヽ、 ゛===-、 「この不等式を解くと黒糖>俺という事になるが?」 / / / | ∨ |∨ | l | |./ l | ||V ∨ 斗-l l | /  ̄ \i/ | |i| | l ∨ l\ | l | l | /||! | |l| ⊥ヽ ∨ \\l └‐' || l 自 そ||l l ぃイ l \\>‐'´ x-‐==气 | 慢 れ.l |l l ぃヽ ´ ‐'´勹 |」 l : が{ l ヽ斗 x_=气 ∨二ノ| 〉 |i 〈'´ ) | /// | //\ _ / |i ∧ 乂ン | l | .(つ li ∧ /// ′ | | l lニ⊇|i ∧ . ‐ ァ / | | |/ ̄└ュ | |i ヽ ` | | |l /└‐┘|i ||  ̄ ¨ ―-< /| | 八 さ す が は る る ! 最初に耳にしたのは水音。 勢いよく噴出した水が地面を叩く音に、徐々に意識が覚醒してくる。 小さく震えた目蓋の隙間から夏の日差しが差し込み、視界が白く染まる。 右手で目元を擦りながら現状確認すると、どうやら場所は屋外。 いまだにぼんやりとする頭でようやく状況を把握する。 夏の昼下がり、旅館の中庭の木陰にベンチを見付けた俺は食後の昼休みとばかりにそこで優雅に昼寝を決め込んでいたのか。 ?「ごめんね。起こしちゃったかな?」 この頭がふにゃふにゃしてきそうな癒し系ボイスは……。 京太郎「宥さん?」 声の方に視線を向けると、中庭の隅に設置された花壇に水遣りをやっている宥さんの姿が目に入る。 8月の太陽光の下、相変わらずのコートにマフラーの重武装形態。マスクとメガネはしていないのでフル武装形態ではない。 俺が投げ出したいた両脚を地面に下ろし、ホースで水遣りをやる宥さんをしばらく観察する。 宥「~♪」カタカタカタカタ 表情だけなら機嫌が良さそうなんだが、その実は全身を駆使して凄まじいビートを刻んでいる。 夏場と言えど冷水は宥さんには堪えるようだ。大丈夫かなこの人? 京太郎「あの」 宥「ん~?」 故につい声をかけてしまった。 京太郎「よかったら代わりましょうか? 水遣り」 宥「ありがとう。でも大丈夫だよ? 私、慣れてるから」ニコ 笑顔でやんわりと断られてしまった。 食い下がってもいいのだがあんまりしつこいのも鬱陶しいかなと思うので、ここは静観することにする。 宥「~♪」カタカタカタカタ 可愛い。 高く上げたられた水流の放物線が太陽の光を反射、屈折させ円弧状の大気光学現象。所謂、虹を作り出す。 花壇に植えられた花々と、水滴と光の乱反射。その中に立つ宥さん。それは間違いなく現世に光臨せし女神そのものだった。 ああ゛~ゆうキチになる~。 宥「ごめんね。待たせちゃって」 京太郎「いえ、俺が勝手に待ってただけですから」 さすがに後片付けは手伝わせてもらう。 水を抜いたホースを巻いて、蛇口の脇に寄せておく。 宥「うう……ちめたい……」 両手と両目をギュッと瞑り寒さに震える宥さん。 俺は無言で両の手の平を前に差し出す。 意図を察した宥さんが俺の両手を握る。 宥「あったか~い」ポヤァー あら咲いてる。 京太郎「喜んでもらえてよかったです」 宥さんは手があったかくて幸せ。俺は宥さんと手を繋げて幸せ。 誰も損をしない完璧な構図。これこそ世界平和の第一歩である。 京太郎「他のメンツには俺の手は冷たいとあまり評判はよくないんですけどね」 宥「そうなんだ」ムム なにやら考え込む宥さん。 宥「手が冷たい人は、心も冷たいっていうよね?」 京太郎「……」 本当は逆で手が冷たい人は心が温かいというのが通説だが。とは言えそれを自分で訂正するのはなんかイヤだ。 俺が渋い顔をしていると、俺を観察していた宥さんと視線が衝突する。 宥「~♪」ニコ 微笑む宥さん。脳裏に雷光。 からかわれたんだ、からかわれたんだ! ちくしょうなんか恥ずい! 京太郎「まったく、人が悪いですよ宥さんも」 宥「ごめんね? なんだか京太郎君が可愛くって」 可愛い……か。 まぁ宥さんがそれで笑ってくれるんなら俺は甘んじて弄られキャラに徹しようか。 京太郎「そういえば宥さん手袋も持ち歩いてましたよね? そっちを使ってもよかったんじゃ」 宥「あ……そ、そうだね」ゴソゴソ 普段、腰の辺りに紐で吊られている宥さんの手袋。 宥「あ、あれ……」 京太郎「どうしました?」 宥「あの、手袋なくなっちゃって……」 京太郎「え? 落としちゃったとかですか?」 宥「う、うん……たぶん……」 宥「どうしよう……」 心なしかいつもより振るえが大きい気がする。目元もフルフルしている。 京太郎「あれって大事なものなんですか?」 宥「うん……玄ちゃんがプレゼントしてくれた大切な……」グス あちゃ……そういうことか。 京太郎「じゃあ、探しにいきますか」 なんでもないことのように言う。 宥「え、でも……」 京太郎「いいからいいから。どうせ俺、昼寝くらいしかやることないですし」 そういって俺は宥さんの手を取って歩き出す。 京太郎「狭い旅館ですし、2人ならすぐ見付かりますよ」 いまだオロオロしている宥さんに笑いかける。 宥「うん」コクン 俺の言葉に少しだけ笑ってくれた。 宥「それで、どこを探せば」 京太郎「まぁ中庭周辺にはなかったですし、あるとすれば館内ですね」 ?「あれ?」 俺と宥さんがこれからの捜索方針を話し合っていると横合いから声がかかる。 玄「おねーちゃんに京太郎くんではないですか」 それは宥さんの妹さんの玄さんだった。 京太郎「こんちは、玄さん」 宥「く、玄ちゃん……」 罪悪感か、少したじろぐ宥さん。 玄「御二人はなにをしてたですのだ?」 京太郎「ああ、花壇で少し」 玄「ボードゲーム?」 京太郎「玄さん、そのボケめっちゃ突っ込み辛い。流しで」 玄「う、はい……」 俺はこっそり宥さんに耳打ちする。 京太郎「この際だから玄さんにも協力してもらいます?」 宥「でも……」 京太郎「大丈夫、玄さんはそんなことで怒ったりしませんよ」 京太郎「逆の立場なら。宥さんは玄さんを怒りますか?」 宥「ううん」フルフル 京太郎「なら大丈夫ですよ」 宥「うん」 玄さん「2人ともどうしたの?」 京太郎「ああ。玄さん、実は……」 玄「ふ~む、なるほどなるほどなるほど~」 宥「ごめんね玄ちゃん。玄ちゃんがせっかくプレゼントしてくれたのに」 玄「おねーちゃん!」ダキ 宥さんに力一杯抱き付く玄さん。 玄「そんなに大事にしてくれてたなんて感激だよ!」 宥「玄ちゃん……///」 玄「おねーちゃん……///」 見詰め合う2人。 京太郎「あの」 宥玄「わわわっ!?」 俺が声をかけると慌てて離れる宥さんと玄さん。前々から思ってたけどなんかこの2人怪しくない? 京太郎「それで、玄さん。なにか心あたりとかないですか? どこかで見掛けたとか。もしくわ宥さんがうっかり仕舞い込みそうな場所とか」 玄「おねーちゃんがうっかり置いてきそうな場所…………………………………………こたつ?」 宥(妹にダメな子って思われてる!?) それからあーでもないこーでもないと議論し玄さんは別れて別の場所を探すことになった。 じゃあ三手に別れようと俺も別の場所に向かおうとしたところ、玄さんに宥さんに着いててほしいと頼まれた。 理由を聞いても教えてくれず、玄さんは「真実はいつもじっちゃんの名に懸けてたった一つのQ.E.D.!」 とか言いながらさっさと行ってしまった。大丈夫かなあの人? 少し心配だ。 京太郎「ね? 言ったとおりでしょう」 宥「うん」 京太郎「いい妹さんですね」 宥「私には勿体無いくらいの、自慢の妹だから」 京太郎「それ、玄さんに直接言ってあげるといいですよ。まったく同じ返ししてきますから」 その光景を想像すると、つい口元がニヤけてしまう。 松実姉妹恐るべし。 阿知賀女子の泊まる部屋。 初日に俺が炬燵を運んだあの部屋にやってきた。 宥「う~ん」 着くや否や。宥さんは炬燵布団を捲るとそのまま炬燵の中に頭を突っ込んで探し出す。 京太郎「ま、宥さん! ちょっと」 四つん這いで頭を突っ込んでいる姿勢はまぁなんというか臀部を突き出すような姿勢でもあるわけで、 なんというか……物凄く目のやり場に困る。 宥「ない~」 ないなら早く出てきて下さい! 俺の切なる願いなど露知らず宥さんはさらに腹ばいになってどんどん奥へと潜っていく。 ああっ! そんなズルからスカートの裾が捲くれ上がって……いいぞ、もっとやれ! いや違う! 目を覚ませ俺! 京太郎「宥さん! ちょっと待って」 自分の欲望に決して屈したりしないという内なる絶対律。感情を理性で屈服させ、制止に入る。 宥「京太郎く~ん……」 布団越しに聞こえる篭った声。 宥「引っ張り出して~」 ええ~、もうなんなのこの人ぉ~? 京太郎「もしかして、もしかすると俺を誘惑してるんではなかろうか」 宥「なに~?」 京太郎「なんでもないです」 俺はいわれたとおり宥さんを引っ張り出そうとし、……て、硬直する。 京太郎「」 どこを持てというんだこの人は。 京太郎「あの、どこを持って引っ張れば……」 宥「脚でいいよ~」 そういって自らの脚をパタパタと漕ぐ。 これに触れろというのか。 京太郎「わ、かりました……」 搾り出すような声で承諾。俺はゆっくりと宥さんの脚に触れる。 フニッ 柔っこい! 温かい! 俺の理性は脳髄をぶち抜き成層圏まで達しそうだった。 落ち着け俺。ここで不埒な事をして宥さんからの信頼を損なっては俺の築いてきた人物像とかなにか大事なものが失われる、永久に。 そうだ。俺はただ宥さんの脚を持って後ろに引き宥さんを炬燵から引っ張り出すだけの機械。 心を無にしろ。心象風景は深山の清流。 ガラッ 憧「は~暑、い……」 京太郎「」 穏乃「憧~どうしたんだよ、早く入れよー」 憧「……」 ピシャリ 1mmの弁解を挟む余地もなく、戸は無常にも閉められた。 憧のあの目が忘れられない。 男子高校生が巨乳物のエロ本をこっそり購入しているのを目撃した時のような、 そいつをゴミとしか思っていような氷結地獄の冷血な視線だった。 いや、その状況に実際に出くわした事があるのでかなり正確な表現だと思う。 宥「京太郎君。大丈夫?」 気遣わしげに声をかけてくれる宥さん。 京太郎「はい、まぁなんとか……」 乾いた笑いを浮かべつつ、なんとか返事を返す。 女性の前では弱さを見せない。 女性の目の届く範囲で格好をつけたがるのは男の悪い癖だが、一方で見栄を張らなくなった男は最低の生き物だと思う。 そんなことは今はどうでもいい。 京太郎「ここにもなかったですね」 俺はフラつく膝でどうにか立ち上がる。 京太郎「ありませんでしたね」 宥「うん……」 意気消沈の宥さん。 京太郎「宥さんは本当に玄さん、大切なんですね」 宥「うん……うちおかーさんいなくて」 そういえば少し聞きかじっただけだが宥さん達のお母さんは2人が小さかった頃に他界しているらしい。 詳しくは知らされていないががないが、その辺りのことも伺っていいのだろうか。 宥「私、こんなだから玄ちゃんいつも私のこと助けてくれて」 宥さんの独白が続く。 宥「それで、ある時に玄ちゃんがあの手袋をプレゼントしてくれて『これでもいつでも寒くないね!』って……」 思い出は記憶。想いは無形。けれど形に残しておきたい大切なものも確かに存在する。 京太郎「元気出してください。絶対見付けますから!」 それにないより俺はこの人に笑っていてほしいから。 ?「あ、いた」 俺が宥さんを励ましていると、背後から声がかかる。 この平坦な声の主は、 灼「やっと見付けた」 鷺森灼先輩がゆっくりとこちらに歩いてくるところだった。 京太郎「チューッス!(舎弟風)」 灼「ん」 俺の挨拶に目礼で返してくる鷺森先輩。いやん、もっと構って! 灼「宥さん、これ」 そういって差し出したのは件の、 宥「これ、私の手袋」 灼「落ちてるのを見付けて、汚れてたから洗ってから返そうと思って」 灼「それで乾くのを待ってたら玄が探してたって」 灼「だから持って来、」 宥「」フルフル 灼「宥さん?」 宥「灼ちゃん!」ダキッ 灼「わぷ!?」 宥「ありがとう。本当にありがとう」 感極まったのか鷺森先輩に抱き付く宥さん。身長差の所為で先輩の顔の下半分くらいが胸元に埋もれている。けしからんもっとやれ! 俺も宥さんに抱き付かれたい。そして、俺も先輩に抱き付きたい。 2人ともそこ代わってくんないかなぁ。 ………………それ俺が俺と抱き合ってるだけじゃねぇか。恐ろしく最悪な絵面だ。 一瞬でも想像してしまった自分の妄想力を呪い殺してやりたい。 灼「宥さん、胸……苦し」 宥「わわ、ごめんね。灼ちゃん!?」 鷺森先輩の言葉に慌てて拘束を解き、解放された先輩に紅潮した顔で謝る宥さん。 なんか和んだ。 かくして今回のちょっとした騒動は解決した。 小説の物語のように劇的な顛末など存在せず、終わってみれば俺達が無駄に騒いだだけになってしまったようだ。 鷺森先輩と別れて中庭。 俺と宥さんはさっきまで俺が昼寝をしていたベンチに肩を並べて腰を下ろしていた。 宥「ありがとう。京太郎君。おかげで無事に見付かって」ニコニコ 両手に手袋を嵌めた宥さんが嬉しそうに笑いながらお礼を言ってくれる。 京太郎「いやいや、俺はなんにもしてないですから」 謙遜でも過小評価でもなく事実そのものでもある。 もうちょっと俺の活躍する場面があっても良かったんじゃないかなぁ~とも思う。 宥「そんなことないよ。京太郎君が励ましてくれたときとっても嬉しかったから。だから」 俺の手を取る宥さん。布越しに伝わる宥さんの手の温もりが心地良い。 宥「ありがとう。これからもよろしくね」 そういって微笑む宥さんの手を俺は優しく握り返した。 それを俺の答えとして。
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美穂子「……えと、綺麗な玄関?ですね」ニコ 京太郎「あ、ありがとー……ございまーす……」 美穂子「わあ、あれ、あの、あれですね、あの、綺麗な玄関」ニコ 京太郎「玄関……お好きなんですか?」 美穂子「い、いえ……」カアア 京太郎「あ、そうなんすか……えと」ウツムキ 美穂子「……」ウツムキ 京太郎「(……なんでこんなことになったんだったかしら……)」 …… … 優希「おお犬!見ろ!まるで城のようではないか!」 京太郎「え、お前そんなあれだっけ、口調だっけお前」 優希「そうだじょ」 京太郎「それそれ!なんだお前普通じゃん」 優希「おかしなやつだじょ。あの城にいってみよう」 京太郎「あの城って魔王が住んでるって噂じゃん、なんかこえーよ」 優希「マジ?ちょー行ってみたいんだけど」 京太郎「いやだなー」グイグイ そして俺は引っ張られるままに魔王の城へ向かったのだった…… …… … 京太郎「う……むにゃ」パチン 京太郎「?」キョロキョロ 京太郎「あれ、ここは……」 美穂子「あ、あの……」 京太郎「?」 美穂子「あの、清澄高校の方、ですよね……」 京太郎「ええ……そちらは……」 美穂子「あ、えと、風越女子高校麻雀部のきゃぷてんをやっております、福路です」ペコリ 美穂子「あの、もう決勝始まってるんですけど……」 京太郎「え、マジっすか!?」 美穂子「おはなをつみに……その、きたんですが、気持ちよさそうに寝てらしたので……」モジモジ 京太郎「あ、すみません、どうも……」ポリポリ 美穂子「宮永さんが活躍されてますので、早く見に行ってあげたほうがいいんじゃないでしょうか?」ニコ 京太郎「そうですね……起こしてくれてありがとうございます、じゃ、行ってきます!」タタタ… ポツーン 美穂子「(かわいい……)」 タタタ 美穂子「あれ?」 京太郎「あの、メルアド聞いてもいいッスか?」チャラッ …… … 京太郎「(そんで、決勝終わってメールしたら……)」 無題 京太郎ッスけど、さっきは本当にありがとうございました! Re いえいえ、まにあってよかったですね Re あの、怒ってます? Re おこってないです Re ……あの、今度食事とか一緒にどうです? Re いいです 京太郎「(どっちなんだ……!!!!!!!!!)」 ~食事処『でいさーびす・ぱらだいす』~ 京太郎「……変な店名っすね」 美穂子「しーっ、ですよ」クスッ ~ 京太郎「福路さんはその、キャプテンとかやっててよかったって思うことあります?」 美穂子「そうですね……なんていうか、私だけ三年生で、みんな年下なんですけど」 美穂子「みんないい子たちなんです。かわいくて、大好きで」 美穂子「目に入れても痛くないっていうか……そんな子たちと一緒に麻雀してると、ぽかぽかするんです」ニコッ 京太郎「そうなんですか……いいなあ」 美穂子「須賀くんも、そうじゃないんですか?」 京太郎「あ、そういえばそうっすね。……みんな、良い奴だし……大好きっす。でも……」 京太郎「……や、なんでもないっす」ニコ 美穂子「?」 …… 美穂子「らからぁ、もうすぐそつぎょーなのぉ!!!!!!!」机バーン 美穂子「もう……これまでみたいに、みんなに会えなくなっちゃうの……」グスッ 美穂子「もーどーしていいかわかんないよ!!!!!!」 京太郎「(コーラでめっちゃ酔ってる……)」 京太郎「……でも、それはみんなも同じことっすよ」 美穂子「ふぇ?」 京太郎「みんな、福路さんがいなくなるのが悲しいんです。でも、しょうがないじゃないっすか」 京太郎「学校っていうのはいつか卒業しなくちゃいけないものなんす」 京太郎「そういうシステムなんすよ……」 美穂子「しすてむ……むーっ……!!!」 美穂子「……ふふっ」 美穂子「ありがと、須賀くん、おもしろかったよ」ニコッ 京太郎「いえ」ニコッ 美穂子「……あ、須賀くん、さっきなんか言いかけてなかった?」 京太郎「あ、いや、あれは……しょーがないことっつーか」 美穂子「……つべこべいわず、お姉さんに打ち明けるのだーっ!!!!!!」ガバッ 京太郎「」ジタバタ 京太郎「……実はその、麻雀は俺からっきしで……」 美穂子「ふんふむ……」 京太郎「いっつもみんなに迷惑かけるんすよ。俺がもっと上手かったら、咲の練習相手にだってなってやれるのに……!」 美穂子「……咲?ああ、宮永さんのこと……」ムスッ 京太郎「……でも、しょうがないんすよ……そんな早く強くなれるわけねーし」 京太郎「だから、もっと頑張らなきゃ、ダメなんす……」ニコ 美穂子「……い」ボソッ 京太郎「へ?」 美穂子「しょーがないことなんてない!!!!!!!」机バーン 美穂子「きょーたろーくんわぁ、つよくなりたいんでしょ?」 京太郎「……はい」 美穂子「じゃあ甘えんな!!!!!浸るな!!!!!貪欲になればいーじゃん!!!!!!」 京太郎「」 美穂子「男の子がそんななよなよしてちゃダメだよ!!!!!」 美穂子「私が見こんだ男の子なんだから!!」蒸気プスーッ 京太郎「……え?」 美穂子「あ、えと、そーゆう意味じゃないから!!!!!!」アタフタ 美穂子「えっと、」 美穂子「今度から特訓だよ!!!!家に雀卓あるんでしょ?私が特訓してあげるよ」 京太郎「ま、マジっすか……?」 美穂子「うん、マジ」 京太郎「……ありがとう……ございます!!!!!!よろしくお願いします……っ!!!!」ペコ 京太郎「……俺、強くなりたいっす……!!!!!」ポロポロ 美穂子「泣くな泣くなー」ナデナデ …… 美穂子「」ハッ 美穂子「あ、あれ……?」 美穂子「ここは……」 美穂子「京太郎くん……あ、肩貸してもらっちゃってる……ありがとうございます……」ペコ 美穂子「あ、あれ……?なにこれ」 路上 吐瀉物 京太郎「福路さん、その……さっき」ユビサシ 美穂子「……まじ、ですか?」 京太郎「マジっす」 … …… 京太郎「(……ってことが)」 美穂子「(あったんだっけ……)」 二人「………」 二人「……えと」 京太郎「あ、お先に」 美穂子「う、うん……あの、ですね」 京太郎「はい」 美穂子「かえって、いいですか?」 京太郎「だめです」 美穂子「そう、ですか」 京太郎「いや福路さんが言ったんじゃないっすか来るって!!!!!!」 美穂子「私はその!!!!!酔っただけでその……あれだし……勢いっていうか……」ゴニョゴニョ 京太郎「……俺、あのとき嬉しかったんすよ」 美穂子「……それは……ありがとう、ございます……」カアア 京太郎「……福路さん」 美穂子「はい」 京太郎「お願いします」ペコ 美穂子「(……断れないの、知ってるくせに……)」 京太郎「」チラ 美穂子「……いいです」 京太郎「どっちですか!?」 美穂子「いいですー」ニコッ 後ろ手にドアが閉じられて、カン
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都内某所に存在する、巨大な学園。 近年若年層に増加してきた、超能力――オカルト能力者を保護、監察、監督し、 その特異な能力を、停滞しがちな近年の人類の先進とすべく育成する――。 ここはそんな彼らの生活の基盤となる、学園都市であった。 新たなる風を、世界に送るために日夜能力に磨きをかける生徒たち。 しかし、光があるところに闇がある。 人のいる場所には、摩擦が生まれ、やがてそれは軋轢となる。 未来を目指す超能力を、今の欲望を叶えるために利用する。 そんな――所謂超能力犯罪も存在していた。 法になき悪は、法では裁けない。 ときの内閣によって制定された、 『精神感応によって引き起こされる超常現象(以外超能力)とそれに伴う不当事由に関する法』は、 未だその詳細は定まらず、十分な判例が存在せず、リベラリストの弁護士の手により、半ば形骸化していた。 だけれども――法のあるなしは問題ではない。 法では涙を拭えない。法では人を癒せない。 誰かの心を助けるのは、いつだって人間の手によってなされるもの。 闇があれば、光もある。 実際オカルトじみた超能力者たちとは異なる、孤高のヒーロー。 『魔法使い』が――このまちには存在する。 京太郎「貴女の思い出は、俺が取り返してみせる」 京太郎「俺が、貴方の最後の希望になる」 京太郎「さあ――ショータイムだ!」 強力であるが1つの力しか使えない超能力者に対して――。 『魔法使い』となる主人公は、4つのフォームを使い分けて対抗する。 ――炎を操る、フレイムフォーム。 京太郎「マジカル☆ファイヤーが利かない……?」 京太郎「だったら、マジカル☆フレイムスパローの出番だな」 京太郎「なるほどな……随分と、数を揃えやがって」 京太郎「いいぜ」 京太郎「こうなりゃ、召喚魔法だ」 京太郎「マジカル☆スライム(モロトフカクテル)!」 京太郎「マジカル☆ゴーレム(ガソリン入りドラム缶)!」 ――光と電気を操る、『シャイニングフォーム』。 京太郎「スタンロッドよし、スタンガンよし」 京太郎「テーザーガンよし、塩水よし、裸二股コードよし」 京太郎「スタングレネードよし! 軍用フラッシュライトよし!」 京太郎「フォームチェンジ完了!」 ――気体と風を操る、『ストームフォーム』。 京太郎「マジカル☆ハバネロスプレー!」 京太郎「マジカル☆圧縮水素ガスベアリングガン!」 京太郎「マジカル☆釘打ち機!」 京太郎「強敵だったな……」 京太郎「まさか、俺に……マジカル☆一酸化炭素ガスを使わせるなんて」 ――そして、固体を司る『グランドフォーム』。 京太郎「いつから……魔法使いが、素手じゃ何も出来ないと錯覚していた?」 京太郎「マジカル☆マーシャルアーツ!」 京太郎「マジカル☆フリーランニング!」 京太郎「マジカル☆鉄山靠!」 京太郎「マジカル☆崩拳!」 京太郎「マジカル☆劈拳!」 京太郎「マジカル☆カウロイ!」 京太郎「マジカル……えーっと、リバーブロー!」 京太郎「マジカル☆キドニーブロー!」 京太郎「マジカル☆ストマックブロー!」 京太郎「マジカル☆コークスクリュー!」 京太郎「マジカル☆スープレックス!」 京太郎「マジカル☆パイルドライバー!」 京太郎「マジカル☆テキサスニーホールド!」 京太郎「んううう、うううう!(マジカル☆毒霧!)」 京太郎「マジカル☆シャイニングウィザードからの――」 京太郎「マジカル☆轢き逃げアタック!」 そして……。 京太郎「全ての魔法が通用しない……だと?」 京太郎「なら、これを使うしかないな」 京太郎「師匠直伝……マジカル☆古代超能力カラテを」 京太郎「この街にいる以上、俺だって超能力者だ」 京太郎「普通にやってたら、野球ボールを50キロで飛ばす事もできない」 京太郎「そんな、落ちこぼれだけどな……」 京太郎「力がないなら、技を磨けばいい!」 京太郎「ひとつひとつがちっぽけなら……繋ぎ合わせればいい!」 京太郎「全身の関節を超能力でフル稼働!」 京太郎「ひとつひとつを、40キロで動かせば――」 京太郎「末端の速度は、音速を超えるッ!」 京太郎「これが俺の最終奥義!」 京太郎「マジカル――真・マッハ・拳ッ!」 京太郎「でも殴ると痛いから、ボールを投げるぜ!」 京太郎「喰らいな……」 京太郎「マッハ5の、マジカル☆レーザービームを、なッ!」 ――オカルトスレイヤーKYO。 ――毎週土曜深夜32時、放送予定! 京太郎「あんたら、ちゃんとした超能力者は――この世界の希望なんだ」 京太郎「俺とは違って、いくらでも人を助けられる力があるんだ」 京太郎「なんでそれが……絶望を生み出しちまってんだ」 京太郎「超能力が絶望を生むなら――」 京太郎「俺が、魔法が……希望を取り戻してやるよ!」 京太郎「俺は魔法使い……人の笑顔を守る魔法使い……」 京太郎「正しい人間関係は、正しい挨拶から生まれる」 京太郎「俺は、挨拶の魔法使いだ!」 京太郎「サヨナラ! ハイクを読む暇なんて与えない!」 __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ やえ「あのバカ……これでスタントなしだなんて」 やえ「手に怪我でもしたら、どうするのさ」 菫「……いや」 菫「いいんじゃないか、魔法使い」 菫「リアル……邪道ものの魔法少女に、勧善懲悪のヒーローものを加えたんだろう」 菫「アリと言えばアリだ」 やえ「……は?」 菫「これで、ファンが増えるかもしれないし……」 菫「あいつもランカーになったんだから、二つ名が必要だろう」 菫「オカルトスレイヤーKYO……オカルトスレイヤーでいいな」 やえ「……」 菫「あいつのスタイル的にも、実にぴったりでいいんじゃないか!?」 菫「なあ!」 やえ「……」 やえ「……それでいいんじゃないの、もう」