約 1,036 件
https://w.atwiki.jp/junchankawaii/pages/98.html
事の始まりは、私が高校2年の時の春である。 そのとき、私『琴吹紬』は軽音楽部に所属し、新入生の勧誘活動に躍起になっていた。 そこで運命的に彼女『鈴木純』と出会う。彼女が唯一我がクラブに見学に来たのである。 そのときに出会った彼女の笑顔を見た瞬間に、私の心はとらわれた。 そう、私は彼女に一目惚れをしたのである。 そして、それは私の彼女を追い求める4年間に至る生活のスタートでもあった。 それ以来、彼女に向けライブ中にウインクをしたり 朝校門で待ち伏せ彼女に挨拶をしたり またあるときには彼女のリコーダーに口付け・・・ いやこれは大脳が発達した理性ある人間として断じてやっていないが まあ、そんな感じの私の彼女を振り向かせる努力の日々が続いたのである。 しかし私の涙ぐましい努力にも関わらず、彼女は宙に舞う花びらのようにあの手この手をひらりひらりと避け続けた。 まるであなたには私は高嶺の花だとでも言っているように・・・ この物語は、そんな天真爛漫な彼女と彼女を追い求める私の努力の記しである。 ただし、過度な期待してもらっては困る。 これはあくまで記録であるため、事実を記している。 皆さんご承知のように、現実の味は無味乾燥であり、苦い砂利の味である。 そのためいかにも心躍る甘酸っぱい話をご希望の方には 書店でそういったコーナーの本を手に取るか 翁にバニラ風味の香水をかけて手を仰いでにおいを嗅いでみてるかしていただきたい。 現実はカルーアミルクほど甘くはないのだ それでも最後まで聞いてくれた皆さんは口をそろえて言うだろう 「くだらん、貴重な時間を返せ」と。 あえて言おう、世の中を甘く見てはいけない現実に大きな期待をするほうが無理難題である。 そして、そもそもこんな時間に費やせるあなたの時間はそれほど貴重ではない。 しかし、こうは言っても想像してしまうから私も甘い、薔薇色の未来を・・・ さて前置きが長くなってしまったが、本題に入ることにしよう。 これは、ある日の私と彼女の一日の記録である。 ここからは当事者である彼女にも語ってもらうことにする。 最後に注意をしておくが くれぐれも爺にバニラの香水をかけるときは、同意を得た上行うように。 …… あれ、はい?私がお話するのですか? はい。・・・えっと、何から話せばいいのでしょうか? では、このお話は私『鈴木純』が、同じ大学に通う親友 『中野梓』の所属するバンド『放課後ティータイム』のライブの打ち上げに誘われたときから始まります。 梓がサービスでライブの券を無料でくれたことと ライブハウスが私のアパートから近いこともあって 私は迷わず梓のライブの誘いを快く二つ返事で承諾しました。 演奏については私も楽器を少し齧っていたこともあって 細かく話すと長くなってしまいますので割愛させていただきますが 言えば、素晴らしいの一言です。 約1時間にわたる演奏が終わった後 私は筋骨隆々なトサカ頭のおにいさん達の間を 残りの同胞が10体以下になったインベーダーのように 清楚なかに歩きで軽やかにかわしながらやっとの思いでライブハウスの出口に来ました。 おにいさん達は口々にでぃーえむしーでぃーえむしーと叫んでいましたが 何かのおまじないだったのしょうか? 出口で携帯を見ると周囲の雑踏で気づかなかったのですが、メールが届いていました 出口で携帯を見ると、周囲の雑踏で気づかなかったのですが メールが届いていました。 送信元 中野梓 件名 ライブの打ち上げ開催の件 内容 18時集合開始、場所はいつもの『居酒屋ふぉうえばー』、参加費特別無料也 也とは・・・。 梓は、この歳にもなって奇天○大百科をどうやら全話見ていないようで コロ○が奇天○斎の処に帰ったため、悲しいけれど現在には既にいないことを知らないようです。 私はただ『了解』とだけ返信しました。 さて、腕時計を確認すると大体16時でした。 集合場所が私のアパートから近く、また動いて汗もかいてしまっていたこともあったので 一度帰って着替えてから出直そうと思い、アパートに向かって歩き出しました。 するとアパートの入り口でお隣さんと出会ったのです。 お隣さんは名前を古河原俊之助さんと名乗る、不思議な雰囲気の方です。 そして、横を通りかかった私はふと声を掛けられました。 「はてはて、君はお隣さんのジュン・スズーキさんでしたっけな?」 「はい、鈴木純です」 そう私が答えると、にやりと笑って紳士は続けました。それにしても、何故欧米訛りなのでしょうか? 「うむ、では君にこれをあげよう私にはもう必要ないからね」 私は、突然ギターケースを手渡されました。 「では、さらば」 さっそうと身を翻して去る紳士の後ろ姿に私は得意げに言いました 「すぱしーば!」 彼は後ろを向いて手を振りながら言いました 「Не за что」 頂いたギターケースには年季の入ったアコースティックギターが入っていました。 ここでケースにギターでなく例の彼が入っていたら私としてもテンションが一時的に上がりましたが お隣さんも一時の思いつきによる近隣トラブルで部屋を追い出されるのはどうやら善しとはしないようです。 快く私はそれをいただくこととしました。 化粧直しと着替えが終わって時計を見るとどうやら集合時間に少し遅れてしまいそうでした。 でもお酒を飲むので自転車でなく、歩いて行こうと思います。 自転車も飲酒運転になるからです。 時刻は18時15分、いつもの居酒屋『ふぉうえばー』の暖簾をくぐり 店員さんに「放課後ティータイム」で予約していると伝えたら そんな名前の予約がないとのことでした。 そのため店先で、頭に思い浮かぶ人の名前を一通り述べましたが まさか『憂』の名前で予約をしているとは思いもよりません。さすがですね。 店員さんに案内されてお座敷の所へ行くと、放課後ティータイムの5人と憂がいました。 いつものメンバーです。 私は遅れてきたこともあって、一番入り口の傍の梓の隣に腰を下ろしました。 「とりあえず、麦酒でいい?」 そう誰かが聞いたので 私は「真澄の冷」をお願いしました。 今日の私はとりあえず真澄なのでした。 枝豆を食べて皆さんとお話していると、店員さんが、枡とコップに真澄を入れてくれました。 私のお酒が来ると、律先輩によって改めて乾杯の音頭が取られました。 コップを手に取り一口いただくと流石に真澄です。鮮烈な吟醸香! いつ何時いただいてもねりもの、魚介、何でも合います。言えば、素晴らしいの一言です。 ところで、枝豆があるのに何でひよこまめが大皿3皿も注文されているのでしょうか。 ひよこまめをお箸でつまみ見ると、なかなか可愛くほほえましいものでした。 そのとき 「えっと、ちょっとおトイレに」 と言って、さっきまで奥の席で突っ伏していた紬先輩が突然立ち上がり席を立ちました。 そういえば座っている場所が手前と奥ということもあったので久しぶりに会ったのに紬先輩とはあまりお話が出来ていませんでした。 …… さてここで一区切りし、交代して私である。 先ほどの彼女の回想に、何で汗のかいた服の着替えのシーンを克明に語らないのだ!重要なのはここだろ! と思い勢い余って彼女の語りに口を挟みそうになった『琴吹紬』がお話しをしよう。 まず先に、冒頭に加えて現在の彼女と私の関係を補足させていただく。 私は現在N女子大の2回生である。 先ほど紹介された彼女の親友の一人『中野梓』と一緒のバンド『放課後ティータイム』に所属する一人でありキーボード担当である。 生まれは誰もが知りうる大企業の社長の娘で、 学業優秀、容姿端麗、 その他色々話したいこと、話すべきことが山のようにあるが、長くなるのでこんな所で留めておく。 そして彼女は現在その梓ちゃんと同じKO大学に通う1回生だ。 梓ちゃんが言うには「大学に入ってから何をしているというより、なんだかふわふわしています」とのこと。 どうにか彼女とお近づきになりたいが 同じ学校だった高校時代に比べて進学先が違ったことで、彼女とは少し迂遠になってしまっている。 大学間と住んでいる所が近いこと、高校時代のつながりが唯一の頼みの綱である。 そのため、彼女とお近づきになるには、一日、いや一分たりともを無駄には出来ない。 私はこの時、入り口側の上座に腰を落ち着けていた。 知っているであろうか、飲み会の席で奥と手前に座る人は意外と話しづらいということを しかも顔がよく見えない。なのでテーブルに前のめりになりながら彼女を観察していた。 これが、彼女が突っ伏していたと表現した所以であろう。 何故このような戦略的大敗を帰した席に私が甘んじたのであろうか。 決して冗談で「私が一番偉いから、上座に座るわよ~」なんて言って、誰も否定してくれなかったことが原因ではない。 偶然に席に着いた順であり、神の采配であった。 この飲み会を機に彼女を 「お嬢さん、この後2つの席の予約があるんだ、ひとつは夜景の綺麗なバー、もうひとつは君の隣だよ」 など気の利いた台詞で誘い 「ええ、喜んで」 などという展開があれ万々歳であったが、どうやら世の中、カルーアミルクほど甘くはないらしい。 席の戦略的大敗、これは今更避けようがない事実であった。しかし、落ち込んでいては始まらない。 反省は次の成長に活かさなければならないのだ。 かの有名な詩人は言った 『大きなチャンスがあなたの前に姿を現す時はきっと来る。 その時、あなたはそれを利用できる準備ができていなければいけない』 イメージトレーニングを何百万遍と繰り返してきた私にとって、準備はすでに整っているといってもよい。 後はチャンスを招き入れるだけである。 主人公は時として自分がいかに不利な状況でも 屁理屈を捏ね繰り回して 詭弁ふるいにふるってでも行動に出なくてはならない。 そっちのほうが、話が盛り上がるのだ。 「えっと、ちょっとおトイレに」 そう言って私は立ち上り席を離れた。 お気づきかも知れないが、トイレに行くと言うのは口実であり、でまかせである。 諸君はこのような体験がないだろうか? サークルや会社の飲み会で、隣に座っていた同僚や友人が「トイレに行ってきます」の一言を残して席を立ち 数分後気づくと、さっきまで隣にいた彼が、刺身の妻ほどの存在感で、気になるあの子の隣にいて 自分の隣が実に面倒臭いあいつになっていたことが この現代流孫子的兵法を駆使しようというのだ。 というわけでトイレに行ってきます。誰かが「いっといれ」と言ったので、私は満面の笑み繕い、返した。 通りすがりに見た彼女は、枡を片手にひよこまめをつついていた。 15分後、トイレでイメージトレーニングを重ねに重ねて、他の一般客に不振な目で見られたため、慌てて部屋に戻ってきた。 しかし、扉を開けた瞬間から、何故か、みなの眼差しがこちらへ向けられている。 彼女は未だにひよこまめをつついていた。 これでは先ほどの策が打ちようもない。果報は寝て待て。 こう心に言い聞かせつつ、渋々、渋々渋々、渋々渋々渋々、渋々渋々渋々渋々 元の席に戻った私であったが、席につくと見慣れぬ光景が私の前に広がっていることに気づいた。 私の席に中ジョッキに並々と注がれた褐色に輝く美しい液体が置かれているのである。 一体、これは? …… 紬先輩が席を外した後のお話です。 私がちょうど気分を変えて、ウイスキーのロックを注文した時 「私たちの中で一番お酒が強いのはだれだろう?」ふとこんな話題が机上にあがりました。 一体誰が言い出したのかは未だに定かではありません。 後々聞いたところ、皆さん口をそろえて私じゃないと言ったので、言い出したのはきっと飲み会の妖精である唯先輩でしょう。 結構な量のお酒を飲んだとしても皆さん酔った姿を見せないとのことで、思った以上にこの議論は白熱しました。 するとその後まもなくはたまた誰が注文したのか、中ジョッキに並々と注がれたウイスキーが来てそれが皆さんの総意で紬先輩の席に置かれました。 これも誰が頼んだかは定かではありませんが、多分、皆さん口々に私じゃないと言ったので、きっと飲み会の天使である梓の仕業だと思われます。 あれ、ところで論点は、私たちの中で一番お酒が強いのは誰だろうってことじゃなかったっけ? こんな疑問が私の心にぽつんと湧きましたが、皆さんの総意でこの議題に対してこの結論に到達したので、多分私が間違ってたのでしょう。 そんなことを思いつつ私はウイスキーのショットグラスを片手に、ひよこまめで大皿にナスカの地上絵を模写していました。 …… さて目の前にある、この褐色の美しい液体であるが 多分私がトイレに長く入っていたため、親切な誰かが酔ったと勘違いしてウーロン茶を頼んだのでくれたのであろう。 なんて親切な。 ふと右側を見ると唯ちゃんが楽しそうに隣に座る梓ちゃんと その横に座る彼女鈴木純、正面に座る妹の憂ちゃんと話していた。 私はそっと唯ちゃんの前にそのウーロン茶を置いた。 ウーロン茶からは100年の歴史ある樽の香りが爽やかに漂っていた。 それから5分後だろうか10分後だろうか 私が正面に臥すりっちゃんとその横の澪ちゃんと普通に会話をしながら頭の中で次の策を練り直していた時のことだった。 私が右ひじを机の上に置いた瞬間、急に私の右腕にごおおおと言う音と共に重みが感じられたのだ。 気づくと、右手に先ほどの中ジョッキが納まっていた。 いや語弊があった。 正確に言うと、隣に座る唯ちゃんが思い切り私の右腕めがけて中ジョッキを滑らしたのである。 もちろん、彼女は一流のバーテンでもなんでもないただの一女子大生なので、ジョッキの勢いを加減できない 私が慌ててそれを制止したわけだが、結果、私の右手に先ほどの中ジョッキが収まった。 自然と涙が出るくらいぶつかった右手がめちゃくちゃ痛かったが、私は笑顔を作った。 梓ちゃんが言った 「あれ、ムギ先輩何を持ってるんですか?」 お前は何を言っている? 心でそう思ったが、それを言う前にどこからともなく一気コールが沸き起こり私の台詞はかき消された。 普段なら澪ちゃんが制止に入ろうものだが、今日は何故か入らない。 まさか前回の飲み会で彼女の焼酎水割りを焼酎9水1で作っていたのが原因だろうか。 しかしこれはこの日に行われたライブに負けるとも劣らない盛り上がりである。 皆の注目の視線が私に集まっていた。 この盛り上がりのためなら、ウイスキー水割り一杯くらい余裕である。 このときちょっとおいしいと思ったことを私は今でも後悔している。 そして彼女も私に注目しているはずと思い私は彼女の方を見た。 その瞬間、どちらにしても私は一気にジョッキを飲み干した。 自棄酒であった。 周囲からはおおと歓声が上がったが、これ以降私はこの日の表舞台から姿を消すことになる。 というよりこれ以降のこの日の記憶がないので語れない。 薄れ行く意識の中で最後に私が見たのは彼女が隣の梓ちゃんにひよこまめをあーんしていた光景であった。恥を知れ。 なんでウイスキーがジョッキに生の状態で入ってるんだよ、阿呆。 そう思ったが早いか否か、私はガクンと膝から崩れ落ちた。 やっぱり現実は無味乾燥な砂利の味である。決して甘くはない。 …… 紬先輩が席に戻ると、紬先輩は私たちとお話している唯先輩の前にそっとジョッキを置きました。 数分後、私はびっくりしました。唯先輩がそのジョッキを紬先輩の右腕めがけて それはそれはすごい勢いでジョッキを滑らしたのです。 紬先輩はジョッキをあわててつかみましたがゴチンと大きい音がしました。 それでも紬先輩はいつも通りニコニコ笑っていて、唯先輩は相変わらず私たちとお話しています。 痛くないのでしょうか? すると恒例の一気のコールが沸き起こりました。 コールの出所は最後まで皆さん口をそろえて私じゃないと言っていたので、きっと飲み会の妖精である澪先輩の仕業でしょう。 私は大皿にナスカの地上絵を模写することを再開しようと思いました。 私はひよこまめで大皿にナスカの地上絵を模写することを試みた第一人者であると自負し、フンスと気合を入れました。 その時、私は気づいたのです。 なんと私の約1時間半に及ぶ大作が、見るも無残に崩壊していていることに・・・ よく見ると隣に座っていた梓が口をむぐむぐしています。 そして箸で私の芸術の残骸を拾い上げ、ひょいと口に入れ、またしても口をむぐむぐしています。 この芸術を見もしないで。恥を知れ。 食べるなら、せめて味だけでなく芸術を味わって食べなさいよと怒り心頭です。 私は蓮華でナスカの地上絵(未完)を掬うと、それを隣に座っていた梓の口に力いっぱい押し込み 他にあった大皿のひよこまめもすべて一粒残らず梓の口に押し込みました。 私はこの日梓の隣に座った席の戦略的大敗を悔やみました。 梓が芸術を味わいつくした所で我に帰ると、紬先輩が空のジョッキを右手に、また机に突っ伏していました。 まもなくして、ラストオーダーの時間になりました。 その後唯先輩と澪先輩と梓と憂の四人は、床に臥した二人を背負いながら 二次会にカラオケにオールナイトで行くと言って私を誘ってくれましたが、私は丁重にお断りし帰路に着きました。 昼間ライブして、オールナイトでカラオケに行くとは、やっぱりこの人たちはさすがです。 それにしてもこの日はとても楽しかった日でした。 何で無謀にも紬先輩はジョッキを一気して床に伏すことになったのでしょうか。 わからないことを考えても仕方がないので、今度会ったときに聞いてみよう。 わからないことは調べるよりも聞いたほうが分かりやすいことが多々あります。 そんなことを思いながら自分の部屋の前に着くと 隣の部屋から大正琴の澄んだ音色と共に実に渋い声で歌うImagineが聞こえてきました。 いまじんおーるざぴーぽー♪ 鼻歌まじりに私は自分の部屋のドアを開けました。 前編 「Imagine」 おしまい 2 戻る
https://w.atwiki.jp/ngbc/pages/21.html
性能評価 火力 D 立ち回り A DAの決め易さ B ゲージ溜め能力 C 火力は並以下だが全キャラ中唯一3Fのしゃがみ技を有しており、 そこから端へ楽に運べるため相手のターンを作らせない立ち回りが出来る。 弱攻撃から繋がらないもののアインの牽制能力、汎用性も相変わらず高い。 通常技 ■遠B そこそこリーチが長いが硬直が長く、牽制ならアインの方が使いやすい。 ■遠D 大振りだが判定は強く、ジャンプ防止に優れる。 ■屈A 屈B・遠Aと並んで発生3Fと全キャラ中最速を誇る最重要技。 ■屈B 発生の早さに加え、空連打キャンセル可能なのでTSを抑止しやすい。 ■屈C 持続が非常に長く、下から上に広く判定が出るので重ねに最適。 ■屈D リーチが長くキャンセル可能。差し込む様に使う。 ■JC めくり判定が大きいが、ジャンプがかなりゆったりしているため当てづらい。 ■JD 横方向に判定が強く発生も早い。空対空に無類の強さを発揮する。 通常投げ ■スポットパイル CD同時 真上からの肘打ち。その場で強制ダウンするので中央でも起き攻めがしやすい。 特殊技 ■ワンインチ 6A 単発は中段。持続が非常に長い。 それなりに発生も速くガードを揺さぶれる。起き攻めの他ACTSから狙うのも強力。 超必のみキャンセル可なので、ヒートまで出し切ってGC狩りも有。 ガードされても中央ならそのまま貫通するので反撃されにくい。 キャンセル版は発生が若干早くなり必殺技でキャンセル可。ダウンもしないので連係、連続技の繋ぎとして使いやすい。 ■ニーアサルト 6B 弱攻撃からの繋ぎに。ガードされるとほぼ反確。エアトリガーで足掻け。 ただし通常版はキャンセル不可。使わないけど。 必殺技 ■アイントリガー 236+AorC 飛び道具判定。弱はダウンを奪える。 強は弱より発生が遅くダウンしないが若干威力が高い。どちらも弱攻撃からギリギリ繋がらない程度の発生。 単発止めや後述の派生を駆使し牽制や固め、対空など幅広い用途で使える。 なお、派生技はディレイが殆ど利かないのでヒットorガードを確認して使い分ける事は出来ない。 ■セカンドシュート アイントリガー中6+B アイン派生その1。こちらは純粋な飛び道具。 初段で相手の飛び道具を相殺しつつ出せる上に弾速が早めなので打ち合いに滅法強い。 ただし一部の超必系飛び道具に確定反撃を喰らう上、中距離だとTSからも反撃されやすいので相手とゲージを見ておく必要がある。 隙自体は大きめだが技中は空中判定になっているので、J攻撃を合わせられても大きな被害は受けにくい。 ■セカンドシェル アイントリガー中6+D アイン派生その2。飛び道具判定を斜め上に向かって出す。 炎のエフェクトが出さえすれば確実に相打ち以上を取る事が出来、追撃可能なので主に置き対空として使っていく。 ただし真上に判定がないので近距離の飛び込みに対してはまず機能しない。 画面端なら強攻撃から繋がる。 ■ブラックアウト 236+BorD アイントリガー中4+BorD 派生その3。移動技。この技だけは単発でも出せる。 出かかりは無敵でない上に全体モーションが長く、隙もそれなりにあるので使いづらい。 強で端脱出するぐらい。 ■クロウバイツ 623+AorC 弱は無敵なし。 飛び上がる直前の部分で当てればSCヒートが繋がるので、この部分を早出し対空として使う。 強は一応無敵が付いているが信頼出来る長さではなく、技自体の発生も遅いため使いづらい。 ■ミニッツスパイク 214+BorD(空中可) 地上版は後述のナロウスパイクに派生可能で、空中版は特殊判定。 どちらも強の方が威力が高く発生が遅い。また強は低座高のしゃがみに当たらない。 ■ナロウスパイク ミニッツスパイク中214+BorD ミニッツ派生技。下段。ミニッツのモーション中であればどのタイミングでも派生可能。 コンボや遠距離からの奇襲に使っていく。 先端を当てれば反撃は受けづらく、多少めり込ませれば単発ヒット確認からSCヒートドライブを決める事も一応可能だが、 中央なら貫通していくので出し切っても構わない。端付近なら先端当てからDAが入る。 ■エアトリガー J中236+BorD 見てから避けられ易く、状況によってはヒットさせても反撃が確定する。使わないに越した事はない。 超必殺技 ■ヒートドライブ[1] 236236++AorC 一応最大までためるとガード不能だが、基本的にはコンボ専用技。 空中・地上ヒットにかかわらず低空ミニッツで追撃が可能。 ■ヘブンズドライブ[1] 236236+BorD 弱攻撃から繋がるが威力が6B>弱ミニッツと大して変わらず、決めた後の状況もあまり良くない。 無敵も発生前に切れる。 トドメの削りに使うぐらい。 ■チェーンドライブ[2] 2363214+AorC 初段(サングラス)は通常飛び道具を貫通し、ヒットすると2段目(突進)が発生。 ヒート>空中ミニッツと殆どダメージが変わらない。 連続技 ◆屈A×2>DA ◆近B×2>DA 下段から狙えるが、ガード時は二発目が遠Bに化けてしまい不利となる。 ◆屈B>屈A>6B>ミニッツスパイク 基本コンボ。立ち喰らいが確認できればミニッツは強で。 低威力だがミニッツで大きくふっ飛ばすので端攻めに持ち込みやすい。 なるべく屈Bでヒット確認しGCを抑止。 ◆屈B×2>(ACTS)屈A>6B>ミニッツスパイク ◇屈B×2>(ACTS)屈A>DA DAの場合繋ぎが若干難しく、ゲージを消費するが下段から狙うならこちらの方が低リスクで使いやすい。 6Bへの繋ぎは安定しており、GC防止としても有効。 ◆JD>強空中ミニッツスパイク 主に逃げジャンプ空対空か、セカンドシェルの追撃に使う。ダメージも高くK'の対空では最も安定感がある。 ◆(アイントリガー)>セカンドシェル>前JD>強空中ミニッツスパイク ◇(アイントリガー)>セカンドシェル>(ダッシュ)弱クロウバイツ>SCヒートドライブ>弱空中ミニッツスパイク ◇(アイントリガー)>セカンドシェル>(ダッシュ)DA 中央の対空シェルからの追撃。 弱バイツは横軸攻撃判定のなるべく先端を当て、且つヒートは高めで拾うと低空ミニッツまで比較的安定するが 難しければバイツは省略でも構わない。 ◆屈C>6A(>ミニッツスパイク)>ナロウスパイク>SCヒートドライブ>弱低空ミニッツスパイク 中央の確定場面で。 ノーゲージでもナロウ止めがとりあえず最大ダメ。生出しアイン→シェル追撃という手もあるが。 ◆(端付近)屈C>6A(>ミニッツスパイク)>ナロウスパイク>立A>弱低空ミニッツスパイク ◆(端)弱アイントリガー>JD>強空中ミニッツスパイク ◇(端)弱アイントリガー>DA 弱アインの持続を重ねる。ガード時は屈Aから再度弱アインか、キャンセル6Aで連係へ。 相手が暴れを控え始めたら生出し6Aや投げで崩しに行ってもいい。 ◆(端)屈C>6A>弱アイントリガー>セカンドシェル>弱クロウバイツ>SCヒートドライブ>強空中ミニッツスパイク バイツSCのタイミングがやや難しい。 6Aを挟まず屈C単発ヒット確認からも狙え、ガード時はアインに更にディレイをかけてGCを防ぐ。 ◆(端)ナロウスパイク>DA他 端でナロウの先端を当てると追撃が可能。 対戦攻略 最速3F発生の屈B・屈Aは攻撃の起点、且つ守りの要となる最重要技。 特に屈Bは回転が速く、TSやダッシュを抑制し易い上座高が最低レベルなので飛び道具を避けたり対空に使う事も出来る。 アインは中~遠距離の牽制および近距離の連係の要となるが、中距離では見てからTS反撃されやすく シェル対空も機能しづらいので、自分から潜り込んでミニッツでさっさと端に運ぶか、それが難しければ距離を取ったほうが無難。 露骨にアインへのTSを狙ってくる相手には不意のダッシュ投げが割と有効。 遠距離では相手の飛び込みに対しシェルの先端がギリギリ当たるくらいの間合いを取るといい。 弱攻撃>アインは連続技にならないためGCを抑止しやすく、キャンセル受付の長い6Aと上手く駆使すれば端では延々と攻め続けることも可能。 弱アインヒット時は屈C>遅めアイントリガーの持続重ねや、屈Aを当て着地三択などの連係を組んで行く。 3F打撃のおかげで攻撃ターンを作りやすく守りも堅いが一撃の火力に劣るため、 しっかりした牽制と対空、間合い取りで相手を近寄らせずにじっくりチャンスをうかがい、 差し込み小足やGC屈Aからのミニッツで端に追い詰め、相手の暴れやGCを丁寧に狩りながら じりじりと確実にリードを奪っていくのが理想といえる。 試合が長引きやすいため、DAのチャンスは逃さないようにしたい。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7473.html
前ページ次ページゼロと魔砲使い 「大きなお城……」 それはある意味、トリステインの城にも匹敵するような立派な城であった。 大きな違いを挙げるとすれば、トリステインの城が国の象徴を兼ね備えたような優美な城であったのに対し、こちらは前線にて敵国と対峙する、質実剛健を思わせる要塞としての城であった。 塀は分厚く、今目の前で下ろされている跳ね橋も、巨大なゴーレムがその怪力を持って鎖を支えていた。 それは今でも城主が、いつでも戦いに赴ける心構えを維持している証ともいえた。 そんな無骨さの漂う城の中を、馬車は進んでいく。もっとも城の内部は、表面的な無骨さとは裏腹の、自然を生かした美にあふれたたずまいであった。木々は丹精され、堀に引かれた水はその役割とは真逆の公園じみた雰囲気をにじませている。 外剛内柔、という言葉がなのはの脳裏に浮かんでいた。 馬車が止まると、扉が外から開けられる。そこには外国の映画で見かけるような、絨毯で作られた道があり、その両脇にたくさんの使用人達が並んでいた。 「うわ……」 さすがになのはの口から言葉が漏れる。 「それではなのはさん、しばらくは先生でいてくださいね」 「はい」 道中なのはがルイズの使い魔であることはカトレアに話した。それを聞いたカトレアは、公爵にはともかく、使用人達にはなのはのことを教師として紹介するように勧めたのである。 「使い魔なんて言ったら、その身分は使用人以下になりますわ。人が使い魔になるなんて、それこそ始祖様ぐらいしか聞いたことがないですけれども、うちの家人は身分にはことのほかうるさいのが多いですから、そう名乗るのはおすすめできませんわ」 ルイズはカトレアの鋭さに内心ぎくりとしながらも、それじゃあどうすればいいのと聞いてみる。それに対するカトレアの答えが『家庭教師』であった。 「先生と言うことにすれば、たとえ身分が平民であっても無碍には扱われませんわ。ルイズが教えを請うべく頭を下げている人物に対して軽んじた態度を取ることは、ルイズを貶めることになりますもの」 「一理あるわね。それになのはにいろいろ教えてもらったのは事実だし」 「なら問題ないわね」 と、なのは本人の意志は無視して段取りが決まってしまった。 幸い今のなのはの服装は召喚された時に着ていた武装教導隊の制服だ。こちらでは少し奇異なデザインだが、ただの平民に見られるものではない。 そして馬車からまずカトレアがおり、次いでルイズ、そしてなのはが下りる。 そこにタバサの実家で見たペルスランと似た雰囲気の人物が、挨拶の声を掛けてきた。 「お帰りなさいませ、カトレアお嬢様、ルイズお嬢様」 「ご苦労様、ジェローム」 「久しぶりね。変わりはない?」 そう声を掛けるカトレアとルイズ。そしてジェロームと呼ばれた老執事は、礼儀正しく一礼して答えた。 「はい。いつも通りでございます、お嬢様。後ろのお方は?」 言葉は穏やかだが、目は鋭い。値踏みをするような光がそこに潜んでいる。 「わたしの私的な教師で、名前はなのは。身分こそ平民だけど、わたしにとって大切な先生よ。決して無碍には扱わないように徹底してね。身の回りのこととかまではいいけれど、貴族の賓客を扱う心得でいてちょうだい」 一瞬、ジェロームは驚いたように目を見張った。そしてルイズとなのはを見比べ、そして改めてなのはに一礼をした。 「歓迎いたします、ミス・ナノハ」 「はい。お世話になります」 なのはは一瞬訳が判らなかったが、どうやら一応合格点をもらえたようだ、と気を少し緩めた。歓迎してくれる人の前で敵地のように緊張していては失礼だ、と思ったのだ。 そして城の中を進んでいく途中で、なのはは脇のメイドに止められた。 「ナノハ様のお部屋はこちらになります」 「待って」 あ、はいとなのはが頷き掛けたところに、ルイズの声が割り込んだ。 「なのはの部屋はあたしの部屋と一緒よ。悪いけど寝室に予備のベッドを入れておいて」 「お嬢様!」 さすがにメイドが驚いて声を上げる。だが、ルイズははっきりと言った。 「言わなかったけど、先生はわたしの私的な護衛を兼ねているわ。荷物の中に大剣があったでしょう? あれも一緒に、先生の荷物は全てわたしの部屋に移しておいて」 「は、はい。かしこまりました」 有無を言わさぬその口調に、メイドの一人が慌てて飛んでいく。残ったメイドも何故か唖然としていた。 「カトレア様……」 そんな中で、この場では一番偉そうだったメイドがカトレアに声を掛ける。そんな彼女に対して、カトレアはいつもと同じように言葉を掛けた。 「いいのよ。ルイズの好きなようにさせて上げて」 「ですが……」 「いいの。あなたもびっくりしたと思うけど、とにかくルイズの言う通りにしてあげて」 「……はい。判りました」 結局なのははそのままルイズの部屋まで通されることになった。 ルイズの部屋は、さすがに大貴族の自室だけあって、それだけで高級マンション一軒分くらいの広さと施設が整っていた。 お付きのメイドが下がると、ルイズが目に見えるくらいはっきりと肩の力を抜いた。 「は~っ、疲れた。久しぶりに帰ってくると、なんか逆に緊張するわ。昔はこれが当たり前だったのに」 「お疲れ様でした」 なのはも肩の力を抜く。ここに来てからと言うもの、どうもなのはも落ち着かなかったのだ。 敵地ではないと判ってはいるものの、どうも注目を集めまくっていた気がする。 「あ、ここは本来使用人用の部屋とかもあるから、空いてるところ好きに使っていいわよ。ベッドもすぐに移させるから。まあ最悪、一緒に寝たって問題ないんだけど、ほら」 そういって見せてくれた寝室のベッドは、堂々たるキングサイズで、二人どころか三人で寝ても十分すぎるくらい広かった。 「なんか家のベッドを思い出します」 なのははミッドチルダにある自宅のベッドを思い出しつつ答える。 ここのベッドのような豪華な装飾は一切付いていないが、大きさだけは大人三人が寝ても十分な広さのあるものだった。 もっともルイズにしては意外だったようで、 「へえ、なのはの実家って、ひょっとしてお金持ち?」 「そんなことはないですけど」 慌てて否定するなのは。一応なのはは年齢に対してかなりどころではない高給取りではあるが、ここルイズの実家と比べたら及びもつかない。 ベッドがやたらに広いのは単なるなのはの好みだ。 気の合う親友達とちょくちょく一緒に寝泊まりしていたせいだろう。 もっとも、そのあまりにもの男っ気のなさプラス親友間の親密さが高町教導官レズ疑惑の原因となっていたのはなのはのあずかり知らぬことである。 そうこうしているうちに運び込まれた荷物がとどき、そのへんの片付けをしている内に公爵の帰還と夕餉の準備が整ったことを告げる知らせがとどいた。 もっともそれにはおまけがあり、 「お召し替えを」 ルイズ共々それなりの服に着替えさせられてしまうなのはであった。 ドレスまで行かなかったのが幸いだ。学院では普段メイド服を初めとするカジュアルな服が多かっただけに、緊張がぶり返す。 そしてルイズとなのはが出て行き、無人となった部屋の中では、 「やれやれ……俺またしばらく出番なしかよ」 デルフリンガーが一人黄昏れていた。 長辺が三十メートル近くありそうな大きなテーブルを、五人の人間が囲んでいた。はっきり言ってテーブルの大きさと人数が釣り合っていない。 上座に当たる位置に二人、五十前後に見えるやや白みがかった金髪の男性と、ルイズ達と同じ色合いの髪をした三十代後半から四十代前半に見える女性。 そして側面の席には女性が三人。カトレアとルイズ、そして何故か並んでなのはであった。 なのははてっきり自分は別と思っていたのだが、服を着替えさせられた辺りでこの展開は予想がついた。カトレアの策もあって、自分は貴族に準じた扱いを受けているということだろう。 そう思いつつ、失礼にならないようにルイズの家族達の方を見る。 その光景は、本来なら家族同士の心温まる光景なのだろう。 なのに。 なのははこの場の雰囲気から、どうしても家庭の団欒を感じ取ることが出来なかった。 あまりにも緊張感が満ちあふれすぎている。 そしてその発生源が、上座に座る女性なのは一目瞭然であった。 当主たる男性の持つ迫力も相当のものが感じられるが、こちらは明らかにルイズの顔を見てゆるんでいる。対して女性の発する気魄はとてつもないものだった。 なのはの主観で、これだけのプレッシャーを与えた相手はただ一人だけ。闇の書事件において、はやてを取り込んで敵対したリインフォースだけである。 とうてい民間人に出せる気魄ではなかった。明らかに武人、それも超一流のものでなければ持ち得ないような気魄であった。 その気魄が、どうも三割ルイズ、七割なのはに向いている。おかげでルイズは、せっかく家族での食事なのに緊張しまくっている。慰めようにも自分も同等の位置にいるので出来ない。 もっとも実のところ、上座で気魄を発している女性--公爵夫人カリーヌも似たようなことを思っていた。 ルイズにべったりついている正体不明の女性。カトレアはルイズの家庭教師だと言い、ルイズは同時に私的な護衛だとも言う。現に彼女の荷物の中には身の丈に似合わぬ大剣などもあり、しかもそれをルイズ自身が彼女のそばに置くことを容認している。 大貴族の娘としての教育は厳しくした筈である。そんな彼女が、怪しい人間を帯剣したも同然の状態でそばに置くとも思えない。つまりは事実上命を預けている。 カリーヌはそんな彼女に嫉妬に似た感情を覚えていた。 ルイズから見れば恐ろしい母親であっても、子供を愛していないなどと言うことは決してない。ただ本人の性格が子供を甘やかせないだけであって、愛情そのものはたっぷり持っている。 複雑な事情が、それを素直に出すのを妨げているだけである。 だが久しぶりに帰ってきた娘は、たった数ヶ月で見違えるような変貌を遂げていた。 ジェロームを初めとする使用人が、口を揃えて言った。 『ルイズお嬢様は、随分と大人になられた』と。 こうしてみるとまるで変わっていないように見えるが、使用人達の前に立つルイズは、前回の里帰りの時と一変していたという。エレオノール同様困った一面でもあったヒステリックな部分が姿を消し、言葉の端々に威厳と自信が感じられるという。 以前の彼女なら、メイドに無茶な命令をする時には決まって声を荒げていた。だが今回は有無を言わさぬ迫力を、静かに言葉に込めていたという。 ここまで性格が激変していたら、何かよほどのことがあったのは明白である。そしておそらくその原因に、娘の隣に座る女が絡んでいるのはこれもまた明白だった。 そして現に彼女は、自分から出ているであろう覇気を、柳に風と受け流している。 カリーヌの気魄をこうも易々と受け止められるのは、よほど気心の知れた相手か、あるいは--よほどの実力者か。 答えは決まっていた。 そんな女性達の思惑はさておき。公爵にしても今ひとつ落ち着かない晩餐はデザートも終わり、最後の飲み物だけになっていた。 そして公爵は、娘に向かって言葉を掛けた。 実のところ、ヴァリエール公爵は今回の娘の帰還に対して不安を感じていた。夏休みにはまだ間がある。おまけについ先日、魔法学院が謎の傭兵達に襲撃された。 この時娘はたまたま私用で場を外しており、巻き込まれていなかったと知ってほっとしたのだが、逆に言えば学院をサボっていたとも取れる。 そして今回の急な里帰り。しかも途中まで『王家の馬車』で送られてきたという。 これで娘が何か厄介事を抱えていないと思うようでは親失格である。幸い娘は明るいままで、おまけに随分と成長した様子である。 脇にいる見慣れない家庭教師だという女性のことも気になるが、それも娘の口から聞けるのだと思っていた。 だが、その娘から帰ってきた返答は。 ヴァリエールのあり方そのものを根底から覆す、超巨大な魔法であった。 娘はあろう事かこう言ったのだ。 「父様、わたしはトリステイン王家に変わり、この国を支える玉座に着くことになりました」 その瞬間、公爵は口にしていた茶を吹き出し、カリーヌは手にしていたカップを取り落とした。 カトレアですらその目を丸くし、言葉を掛けることすら出来ない。 そして使用人達は、主人達の失態をサポートすべく慌てて動き出した。 「ルイズ、それは一体どういうことだ。場合によってはおまえを不敬罪で裁かねばならないぞ」 「いえ、この事は大后妃様を初めとする、王家の方々の総意です。マザリーニ枢機卿ももちろん了承済みです」 父親の動揺にも全く動じずに答えるルイズ。 「それにしても何故いきなりそんな話が出る。全く理解出来んぞ!」 「いくら大后妃様が政務を投げているとはいえ、玉座を投げ捨てるほど非常識な方とは思えません」 両親の問いに、ルイズは次の爆弾を投げ込んだ。 「父様、報告がまだでしたが、わたしはつい先日、ようやっと自分の魔法に目覚めました」 「ん、そうか。それはめでたいが、それがなんの関係が……まさか!」 いきなりまるで別の話題を振られて混乱したものの、その妙に持って回った言い方に、二つの関係なさそうな話を繋げるものに公爵は気がついた。 「はい。お父様が考えた通りです。わたしの系統は--虚無、です」 「なんと……」 公爵の顔にも、得心が浮かんでいた。 「よりにもよって、我が家から『虚無』の系統が出るとは。なるほど、確かに正統なる王が不在の現在、始祖の血統の証たる『虚無』が出現したとしたら、王家の正統は我がヴァリエール家に移ることになる」 「さらにわたしは、この始祖の恩寵を持って、先のアルビオンにおける内乱の際、不逞の輩たるレコン・キスタ軍三万を撃滅し、アルビオン王家を滅亡の危機から救い出しました」 ルイズがそう言った瞬間、カリーヌの目がそちらに向いた。 「ルイズ」 その迫力は、今まで冷静沈着に見えていたルイズが、実は虚勢であったその仮面をあっさり落とすほどのものであった。だが次の瞬間、その仮面がかけ直されていた。 よく見るとどうやらテーブルの下で、なのはとか言った女がルイズの手を握ったようだった。 そのことにカリーヌはまた嫉妬を覚え、慌ててそんな自分を叱責して平常を取り戻した。 今は自分の感情に流されていい場面ではない。そう思ってのことであった。 「一つ確認いたします。あなたがアルビオンに赴いてその力を振るったのは、トリステイン王家の命ですか?」 「結果的にはそれに近いですが、違います」 ルイズはきっぱりとカリーヌの問いを否定した。彼女がアルビオンに行くことになった原因はアンリエッタの言葉が元であるから王家の命に近いのは否定できない。単純に否定したらそこをツッコまれるだろうとルイズは考えた。 こっそり念話でなのはとも相談して、その通りだとの答えももらっていた。 なので含みを持たせつつも否定するという答えをルイズは返した。 「何故わたしがアルビオンにいたのかと問われたら、そこに王家の問題が関わっていないとは言えません。ですがそれは決して命令ではありませんでしたし、よくある遠回しなものでもありませんでした。 あくまでもわたしが自発的に問題に関わると言ったのです。 そしてわたしが虚無に目覚めてアルビオン王家を救ったのは、偶然の要素も絡みました。 わたしが虚無の力に目覚めた時、そこがたまたま戦場で、かつわたしにもたらされた力が、その場の戦局を一変してアルビオンのテューダー王家を助けられるものだったと言うだけのことです。 そしてわたしは、身近な人が苦しんでいてかつそれを救うことが出来る時に、その手を差し出すのをためらうことが出来なかっただけです」 「むう……」 公爵はうなった。うなるしかなかった。 自分の娘は、自分にもたらされた力を、貴族の誇りに掛けて行使しただけだと言っているのが判ってしまっただけに、それを外部の政治的要素から否定するわけにはいかなかった。 もし今の娘を頭ごなしに怒れば、それは自ら娘達に教育した貴族としてのあり方を真っ向から否定することになる。 玉座に着くと言っているのも、その流れであろう。 理屈は判る。だが甘い、と公爵は思った。 まだ若い娘には、玉座を継ぐことの重さが判っていないのだと。 ところが娘の答えは、公爵の予想を越えていた。 「ですのでお父様、いえ、ヴァリエール公爵。お願いがございます」 今、娘は父親をはっきりと父ではなく貴族の一人として呼んだ。 すなわちそれは、次に続く言葉が私的なものではなく、公的なものであると言うこと。 公爵はこの瞬間、目の前にいるのが愛娘であるという事実を切り捨てた。 どうしても締め切れていなかった『緩み』がこの瞬間完全に公爵から消え去る。 今の公爵の態度は、娘ではなく、正しくも腹立たしい、あの枢機卿を前にしたものになっていた。 そして投下される弩級の爆弾。 「公爵。近くトリステイン軍はアルビオン王国軍救援に出兵いたします。その際、公爵には後方支援と逆侵攻に対する防衛、及び戦費の供出を求めます。詳しくは後ほど」 「ふざけるなあああっ!」 そして公爵は、目の前にいるのが娘であるということを忘れて叫んでいた。 「ルイズ、おまえは自分が何を言っているのか判っているのか! 王座を受け継ぐまではまだいい。おまえの系統が虚無であるとすれば、それは仕方ないことだからな。拒絶など出来ぬわ。 だが、言うに事欠いて戦の手助けをせよだと! おまえにそんなことを言わせたのはあの鳥の骨か! いや、あいつ以外におらん。許さんぞルイズ。玉座は百歩譲ってもそれは認められん」 「いいえ、公爵。それは認められません。非公式かつ機密ですが、この戦いは既に教皇聖下の内諾を得ており、その上、その戦いの場において、聖下御自らが戦場に立ち、レコン・キスタの掲げる『虚無の力』が偽りであることを証明していただけることになっています」 ルイズは冷静沈着に言葉を返す。それを聞いた公爵の顔が、傍目から判るほど土気色に変わっていた。 「……やられた。出遅れたか」 そして無理矢理絞り出すように、それだけの言葉をつぶやく。 それがきっかけとなったのか、土気色だった顔に血の気が戻ってくる。いや、いささか戻りすぎたのか、反転するようにその顔が真紅に染まった。 「ええい鳥の骨の奴め! 既にそこまで手を打っていたというのか! 忌々しいがこれでわしが娘を閉じ込めでもしようものなら反逆罪まで成立してしまうではないか! 反逆なんぞは恐れはせんが、奴の方に理がありすぎる! たとえ立ったとしても、今のままではルイズという虚無を旗頭に王位を簒奪しようとしているようにしか見えぬではないか! しかも、そんなことをしなくても時が経てば我が家は自然とその立場になるのだから、そもそも立つ意味すらまるで無い。残るのは娘かわいさの親馬鹿でわがままを言う公爵という評判だけではないか! 「もしくは戦費の供出を渋る吝嗇家という評判ですね」 憤る公爵に夫人がとどめを刺す。 それを聞いた公爵は、立ち上がると早足で食堂から退出していった。 「頭に血が上りすぎて冷静な判断が出来ん! ルイズ、続きはわたしが冷静になってからだ」 「了解しました。お父様」 公爵がルイズを名前で呼んだのに合わせて、ルイズも公爵を父と呼ぶ。 そしてその姿が食堂から姿を消すと同時に、カリーヌがルイズのことを見つめた。 公爵の何倍も冷たい目で。 その瞬間、あれほどの啖呵を切っていたルイズが、明らかに動揺した。慌てて覆い隠すものの、そこには先ほどまでの強度はない。 「ルイズ」 その一言でルイズが折れた。いや、へし折られた。 さっきまでの立派かつ気丈な姿はどこへやら。攻守所を変えたように真っ青になるルイズがそこにいた。 「さすがにお母様にまでは無理だったのね」 その隣で柳に風のカトレア。食事の時の方がまだ固まっていたような気がするのは気のせいであろうか。 ただ姉の言葉がいくらかルイズの緊張を解いたようだった。 「は、はい、お母様」 何とか返事が出来るところまでは回復する。 「お父様は鳥の骨の陰謀だ、と決めつけていらっしゃったみたいですけど、違うのではありませんか? 正直に答えなさい」 「は、はい。違います……あれはなのはとも相談したりして考えた、わたしの独断です」 「あの人に言う前に、まずわたしに説明してみなさい」 「はい……でも何故そう思ったのですか? お母様」 ルイズはいくらか落ち着きを取り戻してそう尋ねる。 カリーヌは少し緊張を緩めつつ娘の問い掛けに答えた。 「間違ってはいませんが急ぎすぎです。まして手段が陋劣ですもの。あの鳥の骨は人の弱みにつけ込むのに遠慮はしませんけど、親子の情を盾にするような真似は決してしませんわよ」 「それでですか」 納得するルイズ。が、 「それが出来るくらいならばとっくにマリアンヌ様は玉座に着いています」 母の苛烈さは娘の予想以上であった。 「で、聞くけど。なんであんなことを? あなただってあんなことを言えばあの人が激昂するくらい判らないわけがないでしょう?」 珍しく圧力のかかっていない母の問いに、娘は真面目な表情を浮かべて答える。 「はい。でもそれが必要だと思ったのです。 枢機卿から今のトリステインは、国を食い荒らす不忠な毒虫が大繁殖し、自らの保身のためにはいずれアルビオンを滅ぼしてこちらに向かってくるレコンキスタに国を売ろうとしているものまでいると聞きました。 幸いわたしが放った『虚無』の力のためアルビオン王家は持ち直し、トリステインが侵略される恐れは大分減りましたが、それでも現状は五分以下、相手より早くアルビオン王家を立て直さねば、結局は元通りになってしまいます。 ですが現在トリステインの国力は、先ほども言った毒虫に食い荒らされています。 そして現在もっとも必要とされているのは、名より実、アルビオン王家を立て直すためのお金や武器、食料といったものです。わたしが知るかぎり、迅速にそれを供給できるのは、堅実に領地を運営し、莫大な財を保持している我がヴァリエール家しかありません。 もっとはっきり言うと、わたしの手の届くところにあるもので姫様達に差し出せるものが、これくらいしか思いつかなかっただけです」 「そのためにヴァリエールの領民を泣かせるというの?」 「はい。もし本気でお父様が自領の保持にだけ汲々としているというのなら、わたしはお父様を軽蔑します」 ここだけは言い切るルイズだった。 そんな娘を見て、初めて頬を緩めるカリーヌ。 隣でカトレアが驚いていたから、かなり珍しいことなのだろう。 「ずいぶん、勉強したのね。それに、大人になったわね。つい先日まで、わがまま放題の子供だったのに」 「お、お母様」 かえってとまどうルイズ。が、慈母の微笑みは一瞬にして元の苛烈さに取って代わられた。 「でもいつの間にそんなことを勉強したの? あなたは自分があの人に対して何を言ったのか、自分でもまだ理解していないようだけど」 ルイズにも、母の言っているのが、父に向かっての放言が間違っていたというのではないことは理解出来た。だが、あの言葉には何か見落としがあったらしい。 「な、何かまずかったでしょうか」 「いいえ、内容は大変に正確でしたわ。少なくとも今動かねばアルビオンが落ちるのは間違いないでしょう。あなたの判断に間違いはありません」 母親ではなく、軍人の顔でカリーヌは答えた。 「ですが」 すさまじく力のこもった声がルイズ……ではない人物に襲いかかる。 ルイズは何故か矛先が自分からそれたのを感じて思わずきょろきょろとまわりを見回してしまった。 そして母の矛先は、何故かとなりのなのはに向かっていた。 「戦争のせの字も知らない家の娘が、何故ベテランの政治家か将軍のような物言いをさらりとこなすほど、この事態の本質を掴んでいるのでしょうかしら、家庭教師さん?」 その瞬間、ルイズとその使い魔は、冷や汗を垂らしながらお互い見つめ合ってしまった。 念のために言っておくが、別になのははミリオタでも天才軍師でもなんでもない。管理局という軍隊的な性格も持つ組織に所属しており、かつなのは士官であるから全くの素人とはいえないが、専門家と言うほどでもない。 あくまでもミッドチルダにおいて、ではあるが。 ルイズがこういう判断が出来たのは、アルビオンからの帰り道やロマリア行きの時間などの中、戦争について常識的なことをなのはから聞いていたためである。 それに対してなのはは基本的なこと、軍事作戦というものを理解している人物にとってはあたりまえなことを自分の体験として話しただけである。 補給の大切さや、戦術と戦略の違い、などなど。現代なら仮想戦記を読んだくらいで判る程度の知識でしかない。 だが、ここハルケギニアは、情報の持つ密度と流通速度が違いすぎた。 なのはがちょっとローカルな常識程度で語った知識ですら、この地においては貴族が士官候補生になって初めて学ぶ高度な知識だったのである。 ましてルイズは頭がよい。基礎となる知識さえ与えられれば、それを敷衍して現状を分析するのはそれほど難しくはない。 メタな話だが愛情を満たされた上恋愛感情で混乱していないこの世界のルイズに於いては何をいわんやである。 あるべき世界に於いて某男子に自意識が集中しすぎて暴発している知識と意欲と感情が、こちらは健全なバランスを保ったまま、正しい貴族としての誇りに結びついているのだ。 そんな中でルイズの得た結論が、父の持つ力を借りねばトリステインは苦しいと言うことだった。詳しくは知らないが、真っ当なトリステイン貴族の友人は、何故か皆貧乏をしているとルイズは知っている。 逆に小金を貯めていそうな貴族は、どうも毒虫側にばかりいそうだとルイズは直感した。 だとしたらたとえ枢機卿が大規模な粛正をしてもトリステインの財力が相当減るのではないかとルイズは考えた。そこに他国援助などということをしたら国が潰れてもおかしくはない。 ならば自分が国を継ぐことになるということを言うと同時に、お金なんかを出してほしいと、ルイズはある意味お小遣いをねだる感覚で公爵に要求したのだった。 ルイズの計算違いは二つ。 一つは自分の父親の持つ力……ヴァリエール公爵家の立場と実力を過小評価したこと。 もう一つは過去姫様と見た劇や王家の人々の態度を元に考えた台詞回しや態度の取り方が、ちょっとハマりすぎてしまったこと。 そういった勘違いの集積が、どうやらなのはに向いてしまったようだった。 決して間違いでないのがまたまずい。 確かになのはの持つ知識と人としてのあり方、ルイズに対しての態度はルイズのこれまでの人生を激変させてしまった。使い魔がまさにそういう存在であるかのように、ルイズの持っていた欠損を埋め、その人格を円熟させた。 だがそこには打算も意図もない。まさに始祖のお導きとしか言いようのない、出会いのもたらしたものなのだから。 だがそれは見方を変えれば、なのはがルイズを魔改造してしまったかのようにも見える。カルト宗教とかそういう方面的な。 家庭教師のカバーを使ったことも裏目に出ていた。 なのはが貴族ならまだしも、平民だと言ったのもまずかっただろう。 そんななのはに対して。 カリーヌは自分のもっとも信頼している、とある人物鑑定法をぶつけてきた。 「なのは、とか申しましたね。あなたは家庭教師であると同時に、私的な護衛を兼ねているとか」 「あ、はい」 嫌な予感を覚えつつも、そう答えるなのは。 「ならば、明日にでもその実力を見せてもらいましょう。娘が後々玉座に昇るかというのなら、その側につく人間の実力は、母として見極めておかねばなりませんから」 建前だ。絶対に建前だ。 なのはとルイズの内心は、心を交わすまでもなく一致していた。 そんな二人の様子を、カトレアが何故かニコニコとしながら見ている。 そしてなのはは、因果応報というか、自分が得意というか無意識的に行ってきた『なのは式説得術(笑)』を、今初めて相手からぶつけられようとしていた。 本人にその自覚は全くなかったりするのだが。 前ページ次ページゼロと魔砲使い
https://w.atwiki.jp/83452/pages/13264.html
事の始まりは、私が高校2年の時の春である。 そのとき、私『琴吹紬』は軽音楽部に所属し、新入生の勧誘活動に躍起になっていた。 そこで運命的に彼女『鈴木純』と出会う。彼女が唯一我がクラブに見学に来たのである。 そのときに出会った彼女の笑顔を見た瞬間に、私の心はとらわれた。 そう、私は彼女に一目惚れをしたのである。 そして、それは私の彼女を追い求める4年間に至る生活のスタートでもあった。 それ以来、彼女に向けライブ中にウインクをしたり 朝校門で待ち伏せ彼女に挨拶をしたり またあるときには彼女のリコーダーに口付け・・・ いやこれは大脳が発達した理性ある人間として断じてやっていないが まあ、そんな感じの私の彼女を振り向かせる努力の日々が続いたのである。 しかし私の涙ぐましい努力にも関わらず、彼女は宙に舞う花びらのようにあの手この手をひらりひらりと避け続けた。 まるであなたには私は高嶺の花だとでも言っているように・・・ この物語は、そんな天真爛漫な彼女と彼女を追い求める私の努力の記しである。 ただし、過度な期待してもらっては困る。 これはあくまで記録であるため、事実を記している。 皆さんご承知のように、現実の味は無味乾燥であり、苦い砂利の味である。 そのためいかにも心躍る甘酸っぱい話をご希望の方には 書店でそういったコーナーの本を手に取るか 翁にバニラ風味の香水をかけて手を仰いでにおいを嗅いでみてるかしていただきたい。 現実はカルーアミルクほど甘くはないのだ それでも最後まで聞いてくれた皆さんは口をそろえて言うだろう 「くだらん、貴重な時間を返せ」と。 あえて言おう、世の中を甘く見てはいけない現実に大きな期待をするほうが無理難題である。 そして、そもそもこんな時間に費やせるあなたの時間はそれほど貴重ではない。 しかし、こうは言っても想像してしまうから私も甘い、薔薇色の未来を・・・ さて前置きが長くなってしまったが、本題に入ることにしよう。 これは、ある日の私と彼女の一日の記録である。 ここからは当事者である彼女にも語ってもらうことにする。 最後に注意をしておくが くれぐれも爺にバニラの香水をかけるときは、同意を得た上行うように。 あれ、はい?私がお話するのですか? はい。・・・えっと、何から話せばいいのでしょうか? では、このお話は私『鈴木純』が、同じ大学に通う親友 『中野梓』の所属するバンド『放課後ティータイム』のライブの打ち上げに誘われたときから始まります。 梓がサービスでライブの券を無料でくれたことと ライブハウスが私のアパートから近いこともあって 私は迷わず梓のライブの誘いを快く二つ返事で承諾しました。 演奏については私も楽器を少し齧っていたこともあって 細かく話すと長くなってしまいますので割愛させていただきますが 言えば、素晴らしいの一言です。 約1時間にわたる演奏が終わった後 私は筋骨隆々なトサカ頭のおにいさん達の間を 残りの同胞が10体以下になったインベーダーのように 清楚なかに歩きで軽やかにかわしながらやっとの思いでライブハウスの出口に来ました。 おにいさん達は口々にでぃーえむしーでぃーえむしーと叫んでいましたが 何かのおまじないだったのしょうか? 出口で携帯を見ると周囲の雑踏で気づかなかったのですが、メールが届いていました 出口で携帯を見ると、周囲の雑踏で気づかなかったのですが メールが届いていました。 送信元 中野梓 件名 ライブの打ち上げ開催の件 内容 18時集合開始、場所はいつもの『居酒屋ふぉうえばー』、参加費特別無料也 也とは・・・。 梓は、この歳にもなって奇天○大百科をどうやら全話見ていないようで コロ○が奇天○斎の処に帰ったため、悲しいけれど現在には既にいないことを知らないようです。 私はただ『了解』とだけ返信しました。 さて、腕時計を確認すると大体16時でした。 集合場所が私のアパートから近く、また動いて汗もかいてしまっていたこともあったので 一度帰って着替えてから出直そうと思い、アパートに向かって歩き出しました。 するとアパートの入り口でお隣さんと出会ったのです。 お隣さんは名前を古河原俊之助さんと名乗る、不思議な雰囲気の方です。 そして、横を通りかかった私はふと声を掛けられました。 「はてはて、君はお隣さんのジュン・スズーキさんでしたっけな?」 「はい、鈴木純です」 そう私が答えると、にやりと笑って紳士は続けました。それにしても、何故欧米訛りなのでしょうか? 「うむ、では君にこれをあげよう私にはもう必要ないからね」 私は、突然ギターケースを手渡されました。 「では、さらば」 さっそうと身を翻して去る紳士の後ろ姿に私は得意げに言いました 「すぱしーば!」 彼は後ろを向いて手を振りながら言いました 「Не за что」 頂いたギターケースには年季の入ったアコースティックギターが入っていました。 ここでケースにギターでなく例の彼が入っていたら私としてもテンションが一時的に上がりましたが お隣さんも一時の思いつきによる近隣トラブルで部屋を追い出されるのはどうやら善しとはしないようです。 快く私はそれをいただくこととしました。 化粧直しと着替えが終わって時計を見るとどうやら集合時間に少し遅れてしまいそうでした。 でもお酒を飲むので自転車でなく、歩いて行こうと思います。 自転車も飲酒運転になるからです。 時刻は18時15分、いつもの居酒屋『ふぉうえばー』の暖簾をくぐり 店員さんに「放課後ティータイム」で予約していると伝えたら そんな名前の予約がないとのことでした。 そのため店先で、頭に思い浮かぶ人の名前を一通り述べましたが まさか『憂』の名前で予約をしているとは思いもよりません。さすがですね。 店員さんに案内されてお座敷の所へ行くと、放課後ティータイムの5人と憂がいました。 いつものメンバーです。 私は遅れてきたこともあって、一番入り口の傍の梓の隣に腰を下ろしました。 「とりあえず、麦酒でいい?」 そう誰かが聞いたので 私は「真澄の冷」をお願いしました。 今日の私はとりあえず真澄なのでした。 枝豆を食べて皆さんとお話していると、店員さんが、枡とコップに真澄を入れてくれました。 私のお酒が来ると、律先輩によって改めて乾杯の音頭が取られました。 コップを手に取り一口いただくと流石に真澄です。鮮烈な吟醸香! いつ何時いただいてもねりもの、魚介、何でも合います。言えば、素晴らしいの一言です。 ところで、枝豆があるのに何でひよこまめが大皿3皿も注文されているのでしょうか。 ひよこまめをお箸でつまみ見ると、なかなか可愛くほほえましいものでした。 そのとき 「えっと、ちょっとおトイレに」 と言って、さっきまで奥の席で突っ伏していた紬先輩が突然立ち上がり席を立ちました。 そういえば座っている場所が手前と奥ということもあったので久しぶりに会ったのに紬先輩とはあまりお話が出来ていませんでした。 さてここで一区切りし、交代して私である。 先ほどの彼女の回想に、何で汗のかいた服の着替えのシーンを克明に語らないのだ!重要なのはここだろ! と思い勢い余って彼女の語りに口を挟みそうになった『琴吹紬』がお話しをしよう。 まず先に、冒頭に加えて現在の彼女と私の関係を補足させていただく。 私は現在N女子大の2回生である。 先ほど紹介された彼女の親友の一人『中野梓』と一緒のバンド『放課後ティータイム』に所属する一人でありキーボード担当である。 生まれは誰もが知りうる大企業の社長の娘で、 学業優秀、容姿端麗、 その他色々話したいこと、話すべきことが山のようにあるが、長くなるのでこんな所で留めておく。 そして彼女は現在その梓ちゃんと同じKO大学に通う1回生だ。 梓ちゃんが言うには「大学に入ってから何をしているというより、なんだかふわふわしています」とのこと。 どうにか彼女とお近づきになりたいが 同じ学校だった高校時代に比べて進学先が違ったことで、彼女とは少し迂遠になってしまっている。 大学間と住んでいる所が近いこと、高校時代のつながりが唯一の頼みの綱である。 そのため、彼女とお近づきになるには、一日、いや一分たりともを無駄には出来ない。 私はこの時、入り口側の上座に腰を落ち着けていた。 知っているであろうか、飲み会の席で奥と手前に座る人は意外と話しづらいということを しかも顔がよく見えない。なのでテーブルに前のめりになりながら彼女を観察していた。 これが、彼女が突っ伏していたと表現した所以であろう。 何故このような戦略的大敗を帰した席に私が甘んじたのであろうか。 決して冗談で「私が一番偉いから、上座に座るわよ~」なんて言って、誰も否定してくれなかったことが原因ではない。 偶然に席に着いた順であり、神の采配であった。 この飲み会を機に彼女を 「お嬢さん、この後2つの席の予約があるんだ、ひとつは夜景の綺麗なバー、もうひとつは君の隣だよ」 など気の利いた台詞で誘い 「ええ、喜んで」 などという展開があれ万々歳であったが、どうやら世の中、カルーアミルクほど甘くはないらしい。 席の戦略的大敗、これは今更避けようがない事実であった。しかし、落ち込んでいては始まらない。 反省は次の成長に活かさなければならないのだ。 かの有名な詩人は言った 『大きなチャンスがあなたの前に姿を現す時はきっと来る。 その時、あなたはそれを利用できる準備ができていなければいけない』 イメージトレーニングを何百万遍と繰り返してきた私にとって、準備はすでに整っているといってもよい。 後はチャンスを招き入れるだけである。 主人公は時として自分がいかに不利な状況でも 屁理屈を捏ね繰り回して 詭弁ふるいにふるってでも行動に出なくてはならない。 そっちのほうが、話が盛り上がるのだ。 「えっと、ちょっとおトイレに」 そう言って私は立ち上り席を離れた。 お気づきかも知れないが、トイレに行くと言うのは口実であり、でまかせである。 諸君はこのような体験がないだろうか? サークルや会社の飲み会で、隣に座っていた同僚や友人が「トイレに行ってきます」の一言を残して席を立ち 数分後気づくと、さっきまで隣にいた彼が、刺身の妻ほどの存在感で、気になるあの子の隣にいて 自分の隣が実に面倒臭いあいつになっていたことが この現代流孫子的兵法を駆使しようというのだ。 というわけでトイレに行ってきます。誰かが「いっといれ」と言ったので、私は満面の笑み繕い、返した。 通りすがりに見た彼女は、枡を片手にひよこまめをつついていた。 15分後、トイレでイメージトレーニングを重ねに重ねて、他の一般客に不振な目で見られたため、慌てて部屋に戻ってきた。 しかし、扉を開けた瞬間から、何故か、みなの眼差しがこちらへ向けられている。 彼女は未だにひよこまめをつついていた。 これでは先ほどの策が打ちようもない。果報は寝て待て。 こう心に言い聞かせつつ、渋々、渋々渋々、渋々渋々渋々、渋々渋々渋々渋々 元の席に戻った私であったが、席につくと見慣れぬ光景が私の前に広がっていることに気づいた。 私の席に中ジョッキに並々と注がれた褐色に輝く美しい液体が置かれているのである。 一体、これは? 紬先輩が席を外した後のお話です。 私がちょうど気分を変えて、ウイスキーのロックを注文した時 「私たちの中で一番お酒が強いのはだれだろう?」ふとこんな話題が机上にあがりました。 一体誰が言い出したのかは未だに定かではありません。 後々聞いたところ、皆さん口をそろえて私じゃないと言ったので、言い出したのはきっと飲み会の妖精である唯先輩でしょう。 結構な量のお酒を飲んだとしても皆さん酔った姿を見せないとのことで、思った以上にこの議論は白熱しました。 するとその後まもなくはたまた誰が注文したのか、中ジョッキに並々と注がれたウイスキーが来てそれが皆さんの総意で紬先輩の席に置かれました。 これも誰が頼んだかは定かではありませんが、多分、皆さん口々に私じゃないと言ったので、きっと飲み会の天使である梓の仕業だと思われます。 あれ、ところで論点は、私たちの中で一番お酒が強いのは誰だろうってことじゃなかったっけ? こんな疑問が私の心にぽつんと湧きましたが、皆さんの総意でこの議題に対してこの結論に到達したので、多分私が間違ってたのでしょう。 そんなことを思いつつ私はウイスキーのショットグラスを片手に、ひよこまめで大皿にナスカの地上絵を模写していました。 さて目の前にある、この褐色の美しい液体であるが 多分私がトイレに長く入っていたため、親切な誰かが酔ったと勘違いしてウーロン茶を頼んだのでくれたのであろう。 なんて親切な。 ふと右側を見ると唯ちゃんが楽しそうに隣に座る梓ちゃんと その横に座る彼女鈴木純、正面に座る妹の憂ちゃんと話していた。 私はそっと唯ちゃんの前にそのウーロン茶を置いた。 ウーロン茶からは100年の歴史ある樽の香りが爽やかに漂っていた。 それから5分後だろうか10分後だろうか 私が正面に臥すりっちゃんとその横の澪ちゃんと普通に会話をしながら頭の中で次の策を練り直していた時のことだった。 私が右ひじを机の上に置いた瞬間、急に私の右腕にごおおおと言う音と共に重みが感じられたのだ。 気づくと、右手に先ほどの中ジョッキが納まっていた。 いや語弊があった。 正確に言うと、隣に座る唯ちゃんが思い切り私の右腕めがけて中ジョッキを滑らしたのである。 もちろん、彼女は一流のバーテンでもなんでもないただの一女子大生なので、ジョッキの勢いを加減できない 私が慌ててそれを制止したわけだが、結果、私の右手に先ほどの中ジョッキが収まった。 自然と涙が出るくらいぶつかった右手がめちゃくちゃ痛かったが、私は笑顔を作った。 梓ちゃんが言った 「あれ、ムギ先輩何を持ってるんですか?」 お前は何を言っている? 心でそう思ったが、それを言う前にどこからともなく一気コールが沸き起こり私の台詞はかき消された。 普段なら澪ちゃんが制止に入ろうものだが、今日は何故か入らない。 まさか前回の飲み会で彼女の焼酎水割りを焼酎9水1で作っていたのが原因だろうか。 しかしこれはこの日に行われたライブに負けるとも劣らない盛り上がりである。 皆の注目の視線が私に集まっていた。 この盛り上がりのためなら、ウイスキー水割り一杯くらい余裕である。 このときちょっとおいしいと思ったことを私は今でも後悔している。 そして彼女も私に注目しているはずと思い私は彼女の方を見た。 その瞬間、どちらにしても私は一気にジョッキを飲み干した。 自棄酒であった。 周囲からはおおと歓声が上がったが、これ以降私はこの日の表舞台から姿を消すことになる。 というよりこれ以降のこの日の記憶がないので語れない。 薄れ行く意識の中で最後に私が見たのは彼女が隣の梓ちゃんにひよこまめをあーんしていた光景であった。恥を知れ。 なんでウイスキーがジョッキに生の状態で入ってるんだよ、阿呆。 そう思ったが早いか否か、私はガクンと膝から崩れ落ちた。 やっぱり現実は無味乾燥な砂利の味である。決して甘くはない。 紬先輩が席に戻ると、紬先輩は私たちとお話している唯先輩の前にそっとジョッキを置きました。 数分後、私はびっくりしました。唯先輩がそのジョッキを紬先輩の右腕めがけて それはそれはすごい勢いでジョッキを滑らしたのです。 紬先輩はジョッキをあわててつかみましたがゴチンと大きい音がしました。 それでも紬先輩はいつも通りニコニコ笑っていて、唯先輩は相変わらず私たちとお話しています。 痛くないのでしょうか? すると恒例の一気のコールが沸き起こりました。 コールの出所は最後まで皆さん口をそろえて私じゃないと言っていたので、きっと飲み会の妖精である澪先輩の仕業でしょう。 私は大皿にナスカの地上絵を模写することを再開しようと思いました。 私はひよこまめで大皿にナスカの地上絵を模写することを試みた第一人者であると自負し、フンスと気合を入れました。 その時、私は気づいたのです。 なんと私の約1時間半に及ぶ大作が、見るも無残に崩壊していていることに・・・ よく見ると隣に座っていた梓が口をむぐむぐしています。 そして箸で私の芸術の残骸を拾い上げ、ひょいと口に入れ、またしても口をむぐむぐしています。 この芸術を見もしないで。恥を知れ。 食べるなら、せめて味だけでなく芸術を味わって食べなさいよと怒り心頭です。 私は蓮華でナスカの地上絵(未完)を掬うと、それを隣に座っていた梓の口に力いっぱい押し込み 他にあった大皿のひよこまめもすべて一粒残らず梓の口に押し込みました。 私はこの日梓の隣に座った席の戦略的大敗を悔やみました。 梓が芸術を味わいつくした所で我に帰ると、紬先輩が空のジョッキを右手に、また机に突っ伏していました。 まもなくして、ラストオーダーの時間になりました。 その後唯先輩と澪先輩と梓と憂の四人は、床に臥した二人を背負いながら 二次会にカラオケにオールナイトで行くと言って私を誘ってくれましたが、私は丁重にお断りし帰路に着きました。 昼間ライブして、オールナイトでカラオケに行くとは、やっぱりこの人たちはさすがです。 それにしてもこの日はとても楽しかった日でした。 何で無謀にも紬先輩はジョッキを一気して床に伏すことになったのでしょうか。 わからないことを考えても仕方がないので、今度会ったときに聞いてみよう。 わからないことは調べるよりも聞いたほうが分かりやすいことが多々あります。 そんなことを思いながら自分の部屋の前に着くと 隣の部屋から大正琴の澄んだ音色と共に実に渋い声で歌うImagineが聞こえてきました。 いまじんおーるざぴーぽー♪ 鼻歌まじりに私は自分の部屋のドアを開けました。 前編 「Imagine」 おしまい 後編
https://w.atwiki.jp/moemonss/pages/1490.html
とても強いストライクがいた。 戦場に出れば一度も背中を見せる事も無く常勝。 どのような相手であれ無敗。 左の鎌は鋼を裂き右の鎌は水を割る。 背の羽は天狗よりも早く。 彼の刃は正しく死神の鎌。 実しやかに囁かれるその伝説、全て真実でありそのような強さを持つストライクは実在した。 ただこの伝説に加筆をすればそのストライクが最後に戦場に経ったのは三十年以上前の事であると言う事。 年老いて尚その剣に錆は無いのだが戦場を駆け抜ける体力は抜け落ちており、山奥で仙人の様な日々を送っている。 独りではなく、若い雄のストライクと共に暮らしている。 彼は孤児であったが一目見た時に宝玉の輝きを見出され、自らの剣技を託すに相応しい跡継ぎとして育てている。 普段は優しい好々爺だが修行となればガラリと変わる。纏う覇気は針山の如く、一喝は鼓膜に突き刺さる。 その鬼の様な形相を見て若いストライクは何度自分が殺される夢を見たか分からない。 尚も修行から逃げ出さずに付き従っていたのは尊敬を胸に秘めていたからだろう。 強く気高い養父のようになりたいと云う無垢なる誇りを、時を重ねた今も尚抱き続け、血と汗が流れる一振りに込めている。 それは養父も感心する程想い。そうこうして春夏秋冬と時は流れ年月と共に腕を磨き続けてきた。 ある、日の事だ。 若いストライクは朝早くから義父に呼び出され道場の下座に居座っていた。 普段ならこの時間は素振りをしているはず。それを置いて言葉が有るというのであれば、余程の事なのだろう。 だが一緒に暮らしているはずの彼にはその用件が分からない。自分の落ち度は見当たらないし生活も困った風は無い。 考えに考え抜いている内に年老いたストライクが道場に入り、上座に座る。その表情には修行の時の様な真剣味を帯びていた。 「お前が武を始めてから幾年月が過ぎた…もうその刃を防げる者は多くないだろう。」 「全ては先生のお陰です。」 「だがこれより教えるは武の極致。その道中に潜む悪鬼羅刹の責苦を味わう覚悟はあるか?」 ふと、年老いたストライクの顔から険が剥がれ落ちて、修行時以外の、柔らかな微笑みが浮かび上がる。 「無理にとは言わん。だが進む為にはワシは心を鬼にせねばならん。そして、お前はワシを恨むだろう。」 だがその笑顔に刻まれたシワが、親心と武人としての矜持との間にある深い谷を物語っている。 「強さの最果てにあるものを見る代償…それを、お前は受け容れるか?」 閻魔大王の最終通告に、若いストライクは、口元を引き締めて、首を、縦に、降ろした。 「先生。俺は強さの果てにあるものが見たい。その為ならば如何な責苦も耐え切る所存です。」 「そうか…、お前は優しい。やはり、ワシの眼に狂いは無かった。」 ほっ、と息を吐くように。長い長い旅路が終わったような、安堵と共に。 それも一瞬、再び覇気を取り戻し、年老いたストライクは立ち上がって武の構えに則る。 「では本日より我等が路の踏破を始める。構えぃ!」 「はいっ!」 若いストライクも立ち上がり意気揚々と武の構えに則る。 瞳に燦々と輝く光を灯して。 その日の修行は普段よりも早めに終わった。 時間を切り上げた義父は今日は程良く体を休めてしっかりと食事を採る様にと言う。 初めての事では無い。そう言う日の翌日は山を下りて別門派の達人に教えを乞うのが常であった。 今回もそういう事なのだろう、若いストライクはそう考え学問の読書を終わらせると普段よりも早めに寝入る事にした。 空には三日月、手よりも先は宵闇に覆われ見るには辛く、かと言って灯りを使うのは勿体無い。 布団が敷いてある部屋にまで向かう、廊下へと出た、その時だ。 「…ッ!」 音も無く空気が揺れる。 揺らぎの正体である鎌を己の鎌で受け止める。 容赦の無い追撃を全て受け流し一瞬の隙を突いて懐へ、肘打ちを喰らわせようとしたが、咄嗟に距離を置かれた。 一体のストライクが居る。般若のお面で顔を隠しており闇の所為で全容は良く見えない。 ただ並々ならぬ実力者である事は分かる。先の不意打ちを防げたのは運が良かったからに他ならない。 偶然にも床が軋む音がして何気無しに意識をそちらに割けたから対応出来た。 もしも気付けなかったら最初の一撃で首が跳んでいた、自身へ向けられた殺意への恐怖を、噛み締める。 「貴様、何者だ!」 「…。」 闇に吼える。だが暗殺のストライクは何も答えずに斬りかかってきた。 止む無しと若いストライクも応戦する。生け捕って正体を吐かせたいのだが、手加減が通じる相手ではない。 狭い廊下では自在に飛び回る事は出来ない。正面対正面の、小手先と小手先の削り合いだ。 上段からの鎌を受け止める。追撃の肘も避けたが背と肩の体当たりを受けてしまう。 体勢が崩される。不味い。脚と羽を無理やりに動かして後ろへ回転。元居た場所を鎌が通り過ぎる。 仕切り直しと若いストライクは斬りかかる。受け流されるが構わない。踏み込んで肘鉄が本命。 確信を以て放った肘鉄は、しかし当たらなかった。暗殺のストライクはふわりと舞い紙一重で攻撃を無意味と化す。 踏み込みの所為で次の鎌は避けれない。正確無慈悲に首を刎ねる鎌を、驚く事に歯で受け止めた。 「…らぁっ!」 今度は暗殺のストライクが動けない。跳び膝蹴りが直撃し吹き飛ばされる。 この隙に義父の安全を確保したかった若いストライクであったが、それは出来なかった。 今の攻防で自分の認識を訂正せざる得なかった。暗殺のストライクは今まで自分が戦ってきた何者よりも強い。 今の跳び膝蹴りも、歯で刃を離したほんの一瞬の間に後ろに跳んで威力を殆ど零にまで抑えている。 今ここで捕えるか戦闘不能にしておかなければ必ず災いが降り注ぐ。そう確信した。 最悪は殺すか、殺されるか―――脊筋に寒気が流し込まれ頭がすっと冷えていった。 斬る。無心でそれを体現する。暗殺のストライクもまた同様。暗闇の廊下に幾つもの閃光が走った。 その一太刀一太刀が確実に首や臓物を裂く至高の業。二体のストライクは死線を潜り斬り結ぶ。 「…ッ!」 技量では暗殺のストライクが上手だった。紙一重からの反撃が若いストライクの胴を切り裂く。 無理な体勢から身体を動かせて危くも致命傷を避けるが、それが精一杯。 若いストライクは死を覚悟する。決死の一撃、それが通じ無ければ、己は死ぬ。 乾坤一擲の太刀。それすらも受け流される。待つのは死。死。だがそうはならなかった。 自分の首を切り落とす刃が来ない。若いストライクは直ぐさま距離を取る。 何故? と疑問を深め、よくよく耳を澄ませれば、暗殺のストライクの息は荒くなっている事に気付いた。 息が途切れ途切れだ。一撃を受け流す事は出来ても反撃に転じる為の体力が無かったのだろう。 勝機。若いストライクは怒涛の攻めに転じる。回復させる暇を与えない。攻撃は最大の防御。 先程まで神業染みた冴えを見せた暗殺のストライクであったがその動きは素人の目から見ても鈍っている。 暗殺のストライクは接近からの体当たりを喰らわせる。体勢は崩された。その首への一太刀。 闇を裂くような光線は、空を切った。若いストライクは紙一重でそれを避けていた。 己の技によって完全に開いた身体を最速の斬撃が見舞う。「燕返し」。若いストライクが得意とする技だ。 「なっ…!」 驚いたのは技を仕掛けた方。 戦闘能力を奪う為に腕を切り落とす為の一撃だった。 だが暗殺のストライクは避けるどころか自らの体を動かし打点をずらして急所を切り裂かれた。 よろよろと数歩後ろに歩いて、崩れるその体躯。その衝撃で般若のお面が剥がれ落ちる。 そこにあったのは、数刻前まで微笑んで声を掛けてくれた、養父の顔だった。 「せ、先生!?」 ぎょっとした、どころではない。地が割れ天が落ちてしまったような驚愕。 慌てて駆けつける若いストライクとは対照的に、年老いたストライクは安らかに微笑んでいる。 「最後の一撃、見事だった。戦いの中でワシの奥義を自分の物としていたとは。」 「何故こんな事をしたのですか!? 何故、俺達は、殺し合うような真似を…。」 「必要で有ったからだ。真剣で殺し合い、お前がワシを殺さなければ、強さの果てにあるものを見る事は出来ない…。」 年老いたストライクは血を吐き出した。腹の傷は致命傷。 仕掛けた本人であるからこそ若いストライクは誰かに助けを求める事が出来なかった。 「教えて下さい先生、こんな事をしてまで、一体何が見えると言うのですか! 俺には、俺には何も見えません!」 流れる涙は留まらない。 「強さの最果てにあるもの、それは無情の死だ。これでようやくワシも、死ぬことが、できる。」 言葉には悔いも恨みは一切無く、何処まで落ち着いていて。 「…父さん? 父さん、父さん? う、うわああああああああああああああああああああああああ!!!」 山奥で、哀しみを全て吐き出すような悲鳴が響く。 その一粒一粒を食いものにして目に見えぬ化物はニヤリと笑った。 とても強いストライクがいた。 戦場に出れば一度も背中を見せる事も無く常勝。 どのような相手であれ無敗。 左の鎌は鋼を裂き右の鎌は水を割る。 背の羽は天狗よりも早く。 彼の刃は正しく死神の鎌。 とても強いストライクがいた。 ただそれだけの話。
https://w.atwiki.jp/romeomail/pages/58.html
ふふふのハム太郎 521 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 00 22 54 O 今までありがとう。 僕(いつもの一人称は私)はいつも君と二人だった。 二人でよく鍋したよね。(キムチチゲと水炊きの二回だけ) 二人で一つの鍋を突つき合う…そんな関係になる子、これから僕にできるだろうか。いやできないだろう。 何でって?二人で材料を買っている時に○子(私)のことを思い出してやっぱやーめた、ってなるだろうからね。 でもどうしてそうなるのかは○子は分かってるかな? …………… …………… 分からなかっただろうね。きっと君には分からないんだ。 ほら、知りたくなったろう?○子はいつもそうだ、はぐらかすと食いついてくる。まるでハムスターみたい。 聞きたくてしょうがないだろうね、でもそれなら僕に電話すればいいんだ。 いつもの時間に、まだ消せてない僕の電話番号を読み込めばいいんだよ。 来るのは今日かな、明日かな。…○子なら意地張って一週間だね。分かってる。 ………ふふふ、今すぐ掛ける気になっただろう?お見通しだよ。 ○子のこと、一番分かってるのは僕だって、今やっと気付いたね。良い子だ。 待っていてあげるからすぐに掛けてくるんだよ。 ×男ー君の唯一の理解者ーより 二ヶ月前に相手のキモさが原因で別れた元彼。改行大杉と言われたから端折るけどメールは午前二時で私爆睡中→十分後に電話→登録消してて 誰か分からなかったから電源ごと切る→朝確認したら「男と一緒だから出ないの?そんなハムスターは〆頃さなきゃ」と追加メール →追加メールを共通の友人全員に転送→色々あって元彼フルボッコ(精神的に)で幕。 523 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 00 53 33 O ふふふ…だけならまだ笑えたが…ハムスター〆頃すって…大丈夫なんだろうか 524 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 01 08 31 0 521 乙、だがフルボッコに至るまでの色々を是非kwskしたい。 525 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 01 54 28 0 きめえええええ!!! 端折った部分kwsk 528 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 08 19 06 0 この才能を別の何かに生かせないものか。 529 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 08 31 36 0 これはキモ過ぎる・・・ ロミオメールって馬鹿馬鹿しくて笑えるもんが多いのに これはもうとにかくキモイ 531 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 09 01 31 0 精神病っぽい怖さがあるね。 534 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 11 22 45 0 「良い子だ」 でリアルに鳥肌。 535 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 11 44 46 0 はぐらかすと食いつくのかハムスターって 537 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 11 48 22 0 好きなものには直ぐに食らいついてくるぞ>ハムスター 539 :521:2009/11/25(水) 12 18 13 O 追加メールを転送して、食い付いてきた中の言いふらしタイプじゃない人たち(最初のやつを今言いふらされるのはまずいので)に 最初のメールを送り集まって相談。元彼とはサークル現役の時に知り合った(この時点では元彼はOB)ため、夏休みが近いこともありサークルの一部で呑もうぜ!と 相談したAくんが幹事になってくれて一部(追加メール送った全員+B子の提案でOBとOGにも相談し何人か来てもらった)で呑み会開催。 元彼はOB達に離してもらい、全員二杯ほど酒が入ったところで吊し上げ大会開始。 上座に座る状態になっていた元彼に超笑顔でB子が最初のメールを印刷した紙を裸でぴらっと渡す。見ていたら受け取った瞬間さっ!と表情が変わりぐしゃぐしゃにして 足の間に突っ込んだ。すぐに目を逸らしたけど「なんかすごい見てきてるよ」と別の子が耳打ちしてきたのがちょっと怖かった。 しかし人数分以上に二通のメールを写してコピーしてきていたため何事もなかったように全員に渡るキモメール紙バージョン。 場が次々凍り女の子の中には「キャー!」って叫ぶ子もいた。(流石にそれにはびっくりした) OB二人の協力があり、その二人が元彼の両側でガードしつつ三人で立ち上がる。 そこからは男が出るとこじれるだろうから私が「で、このメールの話なんですけど」と切り出し。 別れた後にこんなメール出すのはどういった了見ですか?→「んなっ、なっ、何…」 540 :521:2009/11/25(水) 12 34 49 O 答えて下さい→「な、鍋っ、するから来てって…」 何処がですか?どの辺りに「鍋がしたい」なんて書いてありますか?それとも鍋の話題から読みとれと?→「そっ、そっ、そうだよ!見たら分かるだろう!」 つかこれ書いてた時の気持ちは?ねぇねぇ今どんな気持ち?→「何で電話寄越さないで今言うんだ!今は楽しい呑み会なんだろう!このKY!」 私がいると言ったらスケジュール調整してきたんでしょう?わざわざ吊し上げられに来てくれて有り難う御座いました。 →「ええええっ、Aー!?」(ここでA、「はい、キモいんで^^」と一撃) で、このメールの意味は?こちらから電話をしなければいけないのは何故?キモいんですよ。別れた時にもどこが嫌なのか 言ったでしょう。この言い回しが嫌なんだよ。→「いやいやいや!こんなの俺送ってない!お前何俺を陥れうぇあようろおぉ」 いやいや、キモいから相談しようかとこれに入れてますが(microSDかざす)→「うあ゙ぁぁぁぁー!(テーブル乗り越えて来ようとするのをOBが止めると滑って座り込む)」 「頃す」って入れてきましたね。貴方も社会人なんだから分かりますよね。これ証拠になりますからね。→「うぞっ…嘘だあぁ…(上向いて泣き出したような声で)」 分かりましたか?もうメールも電話もしないで下さい。つか拒否してるけど、今日までにアド変して何回かメールくれてますよね(新事実なので周りどよめく) いつ頃されるかと気が気じゃありませんでした。「はい」は?→「やだ…やだやだあぁー…」 (入力しすぎで?一度全部打ち直しになり時間掛かりました。すみません) 542 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 12 42 07 O 概ねこんな感じで最終的にOBが駄々っ子化した元彼を連れ出して終了。 「やりすぎだったんじゃないの?」はまだしも「頃すを本気にするなんて痛い」と言い出した何人かは仕方なく切りました。 その後はそのまま呑み会(元彼の声、!がついていても一般的なデカい声じゃないので…「乾杯!」の声より小さいくらいなので迷惑はかかってないはず)を 続行したんですけど場所によりテンション違って(私付近は打ち上げ+やけ酒、「○子痛い」のテンション下がりグループ、「飲めるなら何でも」なのんびりグループ…) 何かみんなで飲んでる感じじゃないせいか早々に切り上げ、それからは元彼の影もなく平和です。 543 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 12 57 11 O まあ集団で誰かを吊し上げるだけでも痛いからね… 一人でも友人が残ったならラッキーだよ。 狭いコミュニティーで恋愛したらそのコミュニティーからは去る覚悟はしないとね。 あなたが悪くないからってあなたに味方してくれるってもんじゃないんだよ 544 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 13 00 01 0 壮絶だな テンションが下がるグループがいるのもわかるが サークルなんかのお互いの知り合いがたくさんいる状態だと 内輪で片をつけようとすると、何も知らない人で 仲介しようとする人間が出てきちゃうもんだしなあ。 521も係わったみんなもまとめて乙 548 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 15 22 05 O う~ん…私も多分テンション下がり組かな。仕方ないとは思うが…切られなくても自分から距離を置く。 恋愛関係に仲間だからって他人を巻き込むのは趣味じゃない。 とは言えあのキモさの男から逃げきるのも容易じゃなさそうだな…逆ギレ逆恨みが他の仲間にいかないことを祈る。 562 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 22 30 30 0 頃すメールが無ければね。 暴力で脅してくる相手はそれ以上の力を見せ付けてやることが 最大の防御になるから止むを得ない部分がある。 サークル関係なんてズルズルと集団での付き合いが続くし ふるい分けできて良かったよ。 564 :名無しさん@HOME:2009/11/25(水) 22 36 19 0 ふるいわけるもなにも、それ以前に信頼できる人(と、野次馬根性で不快に感じない人)を 最初からふるいわける根回しをした上で、充分な話し合いの後徹底的に吊るし上げるなら 特に不快感も感じないんだけど 539はいたずらに人巻き込んで不愉快な思いをさせておいて 「アテクシに同調しない人間なんていらないわ!」とか高慢に上から目線で話してるからムカつくんだと思う (編集注:この後521の対処について議論が続いた) 次のお話→ドーリア式の柱(578)
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8516.html
前ページ次ページルイズと夜闇の魔法使い タバサとマチルダを背に乗せたシルフィードは、闇の中をゆっくりと飛翔していた。 闇と言っても夜の闇どころの話ではなく、まさに一寸先すら見通せないほどの暗闇だ。 夜明けと共にウェストウッド村を出立した一行は一時間ほどでニューカッスル近郊まで辿り着いた。 そこから雲海に潜り込む形で大陸の下部へと移動し、ニューカッスル城の直下へと向かう。 マチルダの話によればそこに城へと通じる穴があるらしいのだが、誰もその手の観測技術や知識を持ち合わせていないので『直下』がどこにあるかがわからない。 なので一行はこうしてしらみつぶしに飛び回り穴を捜索しているのだ。 とはいえ、大陸と雲海によって光が阻まれたこの場では人の目はまったくと言っていいほど役に立たない。 背に乗る二人が魔法の灯をつけていても、1メイル先がようやくおぼろげに見えるかどうかというレベルなのだ。 タバサは真っ黒い雲を見つめながら、マチルダが風竜が必要と言っていた理由を理解する。 ここで頼りになるのはシルフィードの――風竜の名の通り、風の流れを読み取って周囲を探る能力だけだった。 そんな折、背後からゴン、と何かがぶつかる鈍い音と「いでっ」とくぐもった悲鳴が漏れた。 次いで背後の闇の中から怒号が轟いた。 「こらぁ、シルフィード! てめえわざとやってんだろ! なんでこんなギリギリのトコ飛んでんだよ!!」 柊だった。 出発する際シルフィードが柊を背に乗せるのを頑として受け入れなかったため、仕方なく彼だけは箒に乗ってロープで曳航する形になっているのだ。 「……確かに優秀な風竜だね」 ロープの端を握っていたマチルダが半ば感嘆交じりに言うと、シルフィードが「きゅいっ」と自慢気に声を上げる。 大陸の岩壁スレスレを飛行しながら、かつシルフィードよりも小さい柊がぶつかるような進路を選んでいる辺りかなり風を感じ取る能力が高いことが窺えた。 風竜の面目躍如といったところだろうか。 そんなこんなでシルフィードは(柊を岩壁にぶつけつつ)捜索を行い、ややあって大きな穴を発見した。 艦艇が進入することを想定してか穴はやや人為的に広げられた感があり、大きさも数百メイルはあるだろうことがわかる。 穴に進入してあとは上昇する段になりようやく箒に乗った柊がシルフィードの隣に並び、怒りを込めた視線をシルフィードに向けた。 「……お前、アルビオンに来る時のこと根に持ってんだろ」 「ぐるる……」 するとシルフィードは威嚇するように牙を剥いてきた。 一緒にマチルダがいるので喋りはしないものの、その視線からは明らかに敵意が篭っているのが見て取れた。 柊は忌々しげに舌打ちすると、眼を切って上方を見つめた。 暗闇が次第に晴れていき、やがて大きく開ける。 そこは天然の鍾乳洞を利用した港だった。 どこかに出航しているのかそれとももはや存在していないのか、艦艇の姿は見受けられなかったが、岸壁の上には幾人かの作業員らしき人間がいるのが見えた。 彼等はシルフィード達に気付くと悲鳴を上げ、それが波及するかのように全体に行き渡り我先にと逃げ出し始めてしまう。 この展開は既に予想済みであるので柊は特に彼等を引きとめようとはせず、シルフィードとそれに乗る二人に手で合図した後一人で岸壁の上へと着陸した。 それに合わせるように入口から武器を手にした兵士達が殺到した。 流石にここまで戦い生き抜いてきただけに兵士達は錬度も高く、彼等は一糸乱れぬ動きであっという間に柊を取り囲む。 ずらりと向けられた槍の穂先を前に、柊は両の手を上げて戦意がない事を示した。 「何者か!」 少なくとも現状では荒事に及ぶつもりがないことを察したのか、兵士の一人が誰何の声を上げる。 人数が多すぎて誰があげた声かはわからず、柊は軽く兵士達を見回してから答えた。 「トリステインの人間だ。あるお方から密命を帯びてここまで来た」 そう言うと兵士の中の幾人かが僅かに困惑した表情を見せた。おそらく彼等は新兵なのだろう。 実際、それ以外の大多数の兵士は微塵も緩んだ気配を見せず逆に柊に一歩詰め寄る具合だ。 まあ現在のアルビオンの情勢から行けばこの反応はやはり当然ではある。 問題はここからだ。 柊が上げた手の片方をゆっくりと下げ、懐へと伸ばす。 途端に兵士達の気配が剣呑さを増し、槍を持つ手に力が篭った。 彼等(特に新兵達)が先走らないように注意しつつ、柊は努めて緩慢な動作で懐からアンリエッタに書いてもらった親書を取り出す。 そして記された花押を見せ付けるようにそれを兵士達の前に押し出した。 「これが俺達がトリステインの密使である証だ」 そこでようやく兵士達全体に僅かながらの動揺が浮かんだが、それでも柊に突きつけられた槍が引かれることはない。 幾人かが顔を見合わせ「本物か?」などと呟いていると、包囲の一角が割れて一人の男が歩み寄ってきた。 周囲の兵士達よりも年輪と気配を帯びた壮年のメイジ。マントや衣服の意匠からみると兵士長や衛士に属する人間のようだ。 彼は腰に差した剣――いや、それを模した軍杖だろう――に手をかけたまま、柊に向かって口を開いた。 「花押はトリステインのものだが、それだけで信用する訳にはいかぬ。中身を改めさせて頂きたい」 台詞だけは穏便なものであったが、語りかけるそのメイジの空気には有無を言わせぬものがあった。 しかし柊は物怖じする事もなく首を振る。 「この親書はウェールズ皇太子に直接渡すよう言い遣ってる。アンタに渡すわけにはいかない」 言うとメイジの眉が僅かに持ち上がり、軍杖にかけた手に力が篭る。 それを制するように柊は再び懐に手を伸ばし、今度はアンリエッタから預かった水のルビーを取り出した。 柊はルビーを相手に示した後、それを床に置いてから岸壁ぎりぎりまで下がって距離を取る。 壮年のメイジは柊の動きを見計らってからゆっくりと歩み寄り水のルビーを拾い上げた。 「……これは?」 「身の証に、と預かってきたものだ。何でも王家に伝わるモノらしい。あんたがわからないなら、わかる奴に見せてくれ」 手の中のルビーを検分していたメイジに柊がそう言うと、彼はしばしの沈黙の後ようやく手を軍杖から離して兵士達に指示を送った。 槍が一斉に引かれ包囲の輪が大きく開かれる。 半分ほどが城内へと戻っていくのを見届けた後、壮年のメイジは柊に向かって声をかけた。 「生憎私では判別がつかぬゆえ、しかるべき方に確認を願おう。それまではこの場で待機して頂きたい」 「それは構わないが……あの二人を下ろしても? 風竜を飛ばせっぱなしってのもちょっと……」 「申し訳ないがそれはできない。その程度で風竜は疲弊などせぬし、疑惑が晴れぬままメイジを二人も上げる訳にはいかん」 「……わかった」 状況が状況だけに致し方ない所だろう。 嘆息交じりに柊が答えると壮年のメイジは軽く頷いてから踵を返し場内へと戻っていった。 ルビーは正真正銘本物なので山は越えたと言ってもいい。 強いて問題があるとすればそれをあの男が実は貴族派のスパイで、そのまま握り潰され賊として捕らえられる可能性だ。 しかしここまできたらもう腹を括るしかないだろう。 柊はシルフィードに乗る二人に声をかけた後、遠巻きにこちらを警戒する兵士達を一瞥して息を吐いた。 それから30分ほどをまんじりと待ち続けていると、先程のメイジが一人の老人を連れて港へと戻ってきた。 服装から言って兵士ではなく侍従あたりだろうか、その老人は柊の元まで歩み寄ると恭しく膝を折り懐から水のルビーを取り出す。 「紛う事なくトリステインに伝わる水のルビー、確認いたしましてございます。 彼の国より遠路はるばる……しかもこのような危地に赴いて下さった大使殿に対する非礼をお詫びいたします」 「い、いや。こんな情勢なんだから当然の対応です。だからそんなかしこまる必要は……」 見れば脇に控えるメイジまで膝を折っており、年上の二人にかしずかれた格好になる柊は慌てて手を振った。 恭しく差し出された水のルビーを受け取ってから二人に立ち上がるよう促す。 立ち上がった脇のメイジの指示で空中で待機していたシルフィードがゆっくりと岸壁に着地し、タバサとマチルダが下りてきたのを確認した後柊は改めて老人に向き直った。 「それで、えぇと……」 「パリーと申します」 「パリーさん。それで、俺達はウェールズ皇太子に親書を渡すように言われて来たんですけど、案内してくれますか」 するとパリーは頭を下げ、申し訳なさそうに言葉を返した。 「殿下は今朝方この港より出航され、城にはおりませぬ。夕刻には戻られる予定なのですが……」 「マジか……」 ここに来てすれ違いになる事は予想できず、柊は思わず渋面を作って唸ってしまった。 だが夕方に戻ってくるのはわかっているのだから、後は彼の帰りを待っていればいいだけのことだ。 しかし次いで放ったパリーの言葉は、柊の想定を更に越えた。 「つきましては、我等が主君たるアルビオン王――ジェームズ陛下より謁見を許されましたゆえ、ご案内いたします」 「……は?」 さらりと言ってのけたパリーの言葉に、柊は片頬を引きつらせて固まってしまった。 数十秒の凝固の後、かすれるような声でおずおずと尋ねる。 「いや、わざわざ王様、じゃねえ、国王陛下に謁見を賜るほどの事じゃないんですけど……」 「トリステインからの……そして恐らくはこの国最後となる大使の来訪でございますれば、最大の礼を以って応えるのが相応しかろうと陛下は仰っております」 「……」 自分達が来たことが何故国王にまで伝わっているのか――と口に出かけたが、声に出す直前でその理由を悟った。 先程身の証に渡した水のルビー。あれの真贋を確かめられる人物が他にいなかったのだろう。 ウェールズ王子がこの城にいない事がここにまで響いていたのだ。 ともあれ、そのような事を一国の王から提示されては断る事などできるはずもない。 柊は縋るようにして控えていたタバサとマチルダに眼を向けた。 すると変装のためか学院にいた頃のように眼鏡をかけているマチルダがにっこりととてもいい笑顔を浮かべる。 「わたくしはただの付き添いですから、玉体を拝するなど畏れ多い栄誉を賜るわけにはいきませんわ。風竜の面倒でも見て待っています」 続いてタバサが口を開きかけたが、それを封殺するように柊は彼女に詰め寄って両肩を掴んで叫んだ。 「頼むタバサ、一緒に来てくれ! 俺にはお前が必要だ!」 「……」 タバサは今にも土下座しそうな勢いで頭を下げる柊を半眼で見やると、諦めたかのように小さく溜息を吐き出した。 それを見計らったかのようにパリーは一礼すると、恭しく二人を促す。 「それでは大使殿、こちらへ」 ※ ※ ※ ……どうしてこうなった。 柊はくたびれた絨毯が敷かれた床を凝視しながら心の中で呻いた。 パリーに案内されて二人が訪れたのは城の天守にある広間だった。 城の規模からいって国王が居城とする事は想定されていなかったらしく、即席で誂えられた謁見の間であるようだ。 上座に添えられた玉座も質はいいものなのだろうが、仮にも一国の王が座するには些か見栄えがよくないはずだ。 はず、というのは柊が実際に見たのは入室した折に少し観察した空の玉座だけだったからだ。 「叛徒共の陣営を潜り抜けての来訪、大儀であった」 「……は」 上座から届くパリーの声に柊は少しだけ上擦った声で返すと、頭を深く垂れる。 王の御前にあって許しもなく顔を上げる事などできようはずもなく、柊はタバサと共に膝を折り床を凝視したままだ。 もっともそれはそれで柊には幸運だったのかもしれない。 何故なら頭を垂れて床を見る柊の顔は、これ以上ないほどの渋面だったからだ。 (……これからどうすりゃいいんだ?) 形式的に言えば口上か何かを述べるべきなのであろう。 しかし柊はこのような状況の当事者となった事がない。 状況だけで言うなら例えば『世界の守護者』として実質ウィザード達を纏める指導者たるアンゼロットと何度も会っているし、 ラース=フェリアでとある事件を解決した際にはその地――フレイス地方を治める炎導王と見えた事もある。 しかし両者共に質実と言った感じで、こういった形式や格式というものが先立ったものではなかったのだ。 柊は救いを求めるようにタバサをちらりと横目で見やった。 しかしタバサは跪いた姿勢のまま微動だにせず、柊の視線にも一切反応しない。 どうしていいのかわからず柊が固まっていると、上座からくく、とくぐもった笑い声が聞こえた。 「よい。そちらの娘はともかくそなたは貴族でないようだ……無理にとってつけた口上なぞする必要はない」 聞いたことのない老人の声。おそらくはアルビオン王たるジェームズ一世のものだろう。 陛下、というパリーの呟きが聞こえたが、ジェームズ王は更に続けた。 「貴族でなくとも太后……いや、今はアンリエッタか? あれに水のルビーを託されるに足る人物というだけで十分じゃ。……面を上げよ」 言われて柊は内心で大いに安堵の息を吐きつつ、ゆっくりと顔を上げた。 そして王の姿を見やり……少しだけ驚いた。 入室時には少し物足りない玉座だと思っていたのだが、その玉座とそれに座する王の姿はそれなりに似合っていたのだ。 端的に言ってしまって先程述べたアンゼロットや炎導王と比べると、覇気やカリスマと言ったような『王』と感じさせるようなものがほとんど感じられなかった。 ジェームズ王は柊とタバサの顔を見やった後、呟くように語った。 「して、何やら親書を預かっているとか」 きた、と柊は思った。 この謁見に至った経緯からしてここを避けて通る事ができないのは最初からわかっていた。 なので柊は再び頭を垂れると、努めて恭しく返した。 「無礼を承知で申し上げます。私が預かった親書は、王女殿下よりウェールズ皇太子に直接手渡すように厳命されています。 これに悖ることは殿下への忠誠に悖るに等しいこと。……ですので、例え陛下と言えどお渡しするわけにはいきません」 ところどころ言葉が怪しかったが即興なので仕方がない。 それより懸念すべきは、その言葉と同時に張り詰めたこの場の空気だ。 即座に手打ちにされても文句は言えない――実際に脇に並んでいる近衛達の反応ははっきりと敵対だった。 が、当のジェームズ王は憚る事なく大きな笑い声を上げた。 「いや、平民でありながら見事な忠誠である! 我が国にもそなたような若者がもっとおれば、このような醜態をさらす事もなかったかもしれぬな!」 王はしばしの間笑い続けると、疲れたように大きな息を吐いた後柊を見つめた。 「そなたの忠誠は認めよう。しかしながら、朕はウェールズの父であり、主である。 その朕に見せられぬ書状となれば、遺憾ながら息子と王女殿下に朕に対する含むところを疑わねばならぬ」 「な……い、いや、そんな含むところなんて!」 予想外の反応に柊は思わず顔を上げてジェームズ王を見やった。 しかし王は柊の視線を意にも介さず、言葉を続ける。 「肉親の陰謀や争いなど平民でも珍しくはあるまい。貴族ならばなおさらじゃ。ガリアしかり……我がアルビオンもしかり」 「陛下……」 どこか自虐的に言った王の言葉にパリーがいたたまれないと言った様子で呟いた。 そして彼は王に一礼すると、柊の下に歩み寄って跪き顔を突き合わせるように囁く。 「大使殿。含むところがないというならば、親書をお渡し下され。貴方の忠誠に疑いない事はこのパリーめがウェールズ王子にもお伝え申し上げますゆえ」 「くっ……」 こうなってしまっては渡さないわけにはいかない。 選択をあやまったかと歯噛みしながら、柊は懐から親書を取り出しパリーに預けた。 かたじけない、と囁きつつパリーは親書を手に再びジェームズ王の下に戻り、恭しくそれを差し出す。 王は軽く頷くと花押を切り親書を読み始めた。 痛いほどの沈黙の中ジェームズ王は黙々とアンリエッタの手紙を読み続ける。 そして最後まで眼を通した後、老王は皺を深めて軽く笑った。 「……若いな」 言ってジェームズ王は親書を閉じるとパリーに手渡し、玉座に腰を深く埋めて大きく溜息を吐いた。 パリーが親書を柊へと返却するまでの間彼は何事かを思案するかのように瞑目し、再び溜息をついてからようやくといった様子で跪く柊達に向かって口を開く。 「あいわかった。仔細はウェールズに任せるゆえ、あれが戻るまでこの城で留まるがよかろう。もはや陥落寸前の城ゆえ寛げぬやもしれぬが」 「……。ありがとうございます」 叩頭する柊にジェームズ王は一つ頷くと、軽く手を振って謁見終了の意を示した。 ※ ※ ※ 謁見を終えて御前を辞した柊とタバサは用意された部屋へと案内された。 部屋に入るや否や柊は酷く疲れた様子でベッドへふらふらと歩を進め倒れこむ。 「あ゛ーー、きっつ……」 あの手の畏まった場は柊のもっとも苦手とする所である。 はっきりいってこれならクリーチャーの群れに放り込まれた方がいくらかマシというものだ。 「フォローくらい入れてくれたっていいじゃねえかよ……」 言いながら柊は恨みがましげに椅子に座ったタバサをねめつける。 最初パリー達は柊達に個室を用意しようとしていたのが、柊はそれを固辞してマチルダを含めた三人を相部屋にしてもらったのだ。 状況的に言ってそんな贅沢を享受したくはないし、柊もタバサも相部屋というところを気兼ねする性格でもない。 マチルダには何の相談もしていないが、彼女もおそらく気にはしないだろう。 ともあれ、柊の非難の視線を浴びたタバサはしかし全く悪びれもしなかった。 彼女は窓から見える城内中庭を眺めながらボソリと呟いた。 「……私はただの付き添い。王の御前で許しもなく口を挟むなんてできるはずがない」 「……」 ぐうの音もでない正論を返されて柊はベッドに突っ伏した。 お互いに会話もなく、動きもないしばらくの静寂が続く。 やがて柊は何かを思い出したかのようにベッドから身を起こし、頭をかいた。 「一応連絡しとくか」 懐から0-Phoneを取り出してエリスに電話をかける。 ……が、反応がなかった。 呼び出し音が続いているので電源を切っている訳ではなさそうだが、彼女は電話に出なかった。 コールを続けながら一応ディスプレイで時間を確認してみる。 正確な時刻による区分はないものの、この時間帯なら大体学院は昼休みだったはずだ。 まあエリスにはメイド達の仕事の手伝いがあるので、それが忙しいのかもしれない。 柊はふうと溜息をつくと呼出を止め、タバサに顔を向ける。 「とりあえずロングビル先生呼んでくるわ」 柊がその名を呼んだのはニューカッスル城に赴く前、当のマチルダから自分の名は出さないように言い含められていたためである。 この部屋には柊とタバサしかいないのだがどこに耳があるかわからないし、そもそも学院で物別れになるまではその名で呼んでいたので柊としてはそちらの方が呼びやすかった。 「私もいく。シルフィードが心配」 「ここは一応味方の陣内だぜ?」 「あの子が何かしでかさないか心配」 「ああ、そう」 嘆息交じりに言って柊が立ち上がりかけたその時、手持ち無沙汰に握っていた0-Phoneが振動し始めた。 こちらから電話をかけたことに気付いたのだろう。 柊はすぐにボタンを押して語りかける。 「おう、エリ――」 『死ね!!!!!』 柊の耳を貫き、少し離れていたタバサにまで聞こえるほどの大絶叫が轟いた。 言うまでもなく、ルイズの怒号である。 そしてその一言だけで通信が切れた。 二人はしばしの間時間が止まったかのように固まり、やがて柊が改めて電話をかける。 エリスの0-Phoneの電源が切られていた。 「異世界人のくせしてケータイを使いこなしてんじゃねえよ……!?」 ベッドに自分の0-Phoneを叩きつけながら柊は呻き、そしてがっくりと肩を落とした。 怒っている事は予想できていたが、想像以上のキレっぷりだった。 何故エリスの0-Phoneをルイズが持っているのかはわからないが、とにかくもうこちらから連絡を取ることはできないようだ。 「仕方ねえ。とりあえずやることだけはやっとこう……」 嘆息交じりに柊は呟くのだった。 ※ ※ ※ ルイズ達を乗せたフネ――マリー・ガラント号は夜明けと同時にラ・ローシェルの港から出航し、陽が中天を頃合になってアルビオン大陸を臨む空域へと辿り着いていた。 しかしそこで神と始祖がそろってうたた寝でもしてしまったのだろうか、運悪く空賊に出くわしてしまったのだ。 所詮しがない商船でしかないマリー・ガラント号がそれなりの武装を携えた空賊船に抗えることができようもなく、それに乗ったルイズ達もあえなく捕まってしまった。 「……どうにかできなかったの?」 空賊船の船室に押し込められたルイズが、同じく捕らえられたワルドに呟いた。 現在でこそ杖を取り上げられて無力化されてしまっているが、空賊が襲ってきた時点で完調だったはずの彼が遅れを取るとは思えなかった。 しかし当のワルドは壁に背を預けたまま軽く肩を竦めた。 「こちらの戦力は事実上僕だけで、向こうにはメイジが複数いたからね。できなかった、とは言わないが、やれば少なからず犠牲が出ていただろう。 度合いによっては、賊を退けてもフネが飛ばない恐れもあった」 そう言われては反論することができず、ルイズは溜息をつく事しかできなかった。 「あ、あの。これからどうなるんでしょう」 エリスが不安げに尋ねると再びワルドが答える。 「おそらく荷を根こそぎ奪われた後、港か接岸できる岸で放逐といった所か……かの『凶鳥』とやらに出くわさなかっただけまだマシ、と言うべきかもしれないな」 「そんな……」 尋ねたエリスは勿論、それを共に聞いていたルイズの顔にも不安の影が滲む。 そんな時、船室の扉が音を立てて開いた。 エリスの表情に警戒が浮かび、ルイズは不安を押し殺すように歯を噛んで目線を険しくした。 そしてワルドもまた眼を細めて僅かに壁から身を離す。 入ってきたのは痩せぎすの空賊だった。 彼は三者を順繰りに眺めやった後、廊下にいるのだろう仲間に何事かを呟く仕草をした後ワルドに向かって言った。 「そこの伊達男はもう少し下がってもらおうか」 「あいにく、婦女子を置いて引くような浅ましい生き方はした事がないのでね」 眼光を鋭くして言い放つワルドに、空賊は軽く笑う。 「安心しな、今のところは話をするだけさ。俺もこれ以上近づかねえ」 「……ワルド」 それでも動こうとしないワルドを見やって、ルイズは彼に声をかけた。 すると彼はいささか不満そうに嘆息すると、ルイズ達を挟んで空賊の男と反対の位置にまで引き下がる。 それを見届けると男は少しだけ緊張を解いてからさて、と切り出した。 「お前さんがた、アルビオンに何の用だ?」 「旅行よ」 「トリステインの貴族様がこのご時勢のアルビオンに旅行? 何を観光するつもりだ?」 「あんたに言う必要はないわ」 不快を隠そうともせずに吐き捨てたルイズを見て、男は軽く肩を竦めた。 そして男は僅かに眉根を寄せて、再び切り出す。 「あんたらの乗ってたフネは貴族派相手の商船だったようだが、あんたらも貴族派なのかい?」 「……だったらどうだっていうのよ」 「俺たちにとっちゃどっちも『お客さん』だが、どっちかによって扱いが変わる。貴族派ならその辺の港で下ろしてそれで終わりだが、王党派だってんならもう少し同行してもらう事になるな」 「貴族派に売るつもり? 下賎な空賊の考えそうな事ね」 「商人がモノを売るのと同じさ。この場合情報屋の方が近いかもしれんがね。正しく"生きた情報"って奴だ」 言って男がくぐもった笑い声を上げると、ルイズは険しかった表情を更に歪め、拳を握る。 一方で憤懣やる方ないルイズを傍で見ていたエリスは、内心ではほんの僅かな希望を感じていた。 ここで形だけでも貴族派と偽っておけば、追及もそれなりにはあるだろうがどうにかごまかし解放されることもできる。 ……のだが、それはやはり『僅かな希望』でしかなかった。 何故なら、 「――冗談じゃないわ! 誰が貴族派なものですか!」 (……やっぱり) ルイズがまず間違いなくこう反応することは一ヶ月ほどの付き合いでも十分すぎるほど予測できた。 助けを求めるようにワルドに眼を向けたが、彼はどこか満足そうに笑みを浮かべて軽く頷くのみ。 思わず嘆息を漏らしてしまったエリスに気付く事もなく、ルイズは今にも掴みかからん勢いで空賊の男に向かって一歩を踏み出した。 そして彼女はいかにも尊大な態度で腕を組み、男に宣言する。 「わたしはさるお方からアルビオン王政府に対して任を賜ったいわば大使なのよ。大使としての扱いを要ぅっきゅうん!?」 「!?」 台詞の途中でいきなりひっくり返った声を上げたルイズに、その場にいた全員がぎょっと眼を剥く。 ルイズは僅かに身体を震わせ、まるで何かに耐えるようにスカートをぎゅっと握り締めて身をよじった。 「ル、ルイズ?」 「ルイズさん……?」 「お、おい。どうした? 大丈夫か?」 「なァ――んくっ、なんでも……ッ、ないわよ……!」 三人が怪訝な表情で見つめる中、ルイズは僅かに頬を紅潮させ歯を食いしばりながら呻いた。 「とにかく、そういう事なんだから……んッ、態度を改めなさいよね……っつぅ……」 「そ、そうか。よくわからんがまあいい。とにかくお前等、ただじゃすまないぜ」 どことなく気を殺がれた様子で空賊の男はそう漏らし、首を傾げながら部屋を出て行った。 男が部屋から姿を消し扉が閉まるのと同時、ルイズはその場に崩れ落ちて突っ伏した。 「ルイズ、どうしたんだ?」 ワルドが彼女の傍まで近づいて尋ねるが、ルイズはそれには答えず顔を伏せたままわなわなと震えている。 心配そうにエリスが屈みこみ様子を見ようとしたが、唐突にルイズはばっと跳ね起きた。 持ち上がった彼女の表情を見てエリスは背中に冷たいものが走った。 彼女の顔に浮かんでいたのは紛う事なく憤怒の顔だったからだ。 ルイズは素早く懐から0-Phoneを取り出し、エリスも驚くほどに流暢な仕草で操作し始める。 呆気に取られる二人をよそにルイズはこの0-Phoneに唯一繋がる相手――柊を呼び出した。 『おう、エリ――』 「死ね!!!!!」 フネが揺れたと錯覚するほどの大絶叫でそう吐き捨てた後、ルイズは速攻で電源を切り0-Phoneを壁に向かって思い切り投げつける。 派手な音を立てて0-Phoneが壁にぶつかり床に転がった。 「あぁーっ!? な、なんてことするんですかぁ!?」 エリスは顔を青くして駆け出した。 しかしルイズはそれを無視して再び床に突っ伏すと、頭をかきむしったりガンガンと床を殴り始める。 「こっ、ここ、殺す! あの男、殺してやるわ! よくも、よくもわたしに、わたしにあんな恥を!! し、しかも平民!! 空賊なんかの前でえぇぇえ!!!」 彼女は叫びながら服が汚れるのも構わず床をごろごろと転がってのたうち回る。 一方エリスは拾い上げた0-Phoneを大事そうに抱え動作を確認した。 月衣に入れておく場合が多いとはいえ、仮にも侵魔と闘うウィザード達が常備する機器だけに特に壊れた様子はない。 と、そこでエリスはルイズのこれまでの一連の行動の原因に気付いた。 0-Phoneを見てみるとルイズが柊にかけるより前に、柊の方から着信があったのだ。 バイブ設定にしてあったので着信音はならなかったが、ルイズの懐に入れていたそれがいきなり震えだしたのでびっくりしてしまったのだろう。 まあともかく、紆余曲折があったとはいえようやく0-Phoneを取り戻すことができた。 早速エリスは柊に連絡を取ろうとしたが、 「やめておいた方がいいと思うよ」 ルイズの事情を知りえないワルドがどこか困った顔をしながらも、エリスにそう言った。 「今ヒイラギとやらと話そうとしたら、ルイズがどうなってしまうかわからないからな」 「うっ……」 確かにここで当の柊と接触したらそれこそ今度は0-Phoneを窓から投げ捨てそうだ(はめ殺しだが破壊しかねない)。 そんな事をやってしまいそうなことも、やはりエリスにはわかってしまった。 少しだけ逡巡した後、エリスは深く溜息を吐いて0-Phoneをポケットに仕舞い込むのだった。 前ページ次ページルイズと夜闇の魔法使い
https://w.atwiki.jp/ruqs/pages/27.html
日時 教室 開始時刻 企画者 4月8日(水) 衣笠 18 00 長田・神野 4月11日(土) BKC 13 00 フリバ 4月15日(水) 衣笠 18 00 フリバ 4月18日(土) BKC 13 00 高橋 4月22日(水) 衣笠 18 00 石野田 4月25日(土) BKC 13 00 小川・前田佳 5月9日(土) BKC 13 00 前期総会(神野・石野田) 5月13日(水) 衣笠 18 30 井上・田口・中島 5月16日(土) BKC 13 15 伊良部 5月20日(水) 衣笠 18 00 高山 5月27日(水) 衣笠 18 00 高星 5月30日(土) BKC 13 00 小川・長田 6月3日(水) 衣笠 18 00 高島・前田佳・渡會 6月10日(水) 衣笠 18 00 長谷川・松崎・八木 6月13日(土) BKC 13 00 半田 6月17日(水) 衣笠 18 00 高島 6月24日(水) 衣笠 18 00 前田佳 7月1日(水) 衣笠 18 00 石野田 7月4日(土) BKC 13 00 小池田・辻野・渡會 7月8日(水) 衣笠 18 00 高星 7月15日(水) 衣笠 18 00 ジャンル別ペーパー・フリバ 2015年度前期 例会記録 日程 企画名 企画者 4月18日(土) ~RUQSへようこそ杯~ 高橋 4月22日(水) 現在2015年4月22日午後5時24分杯 石野田 4月25日(土) アスペ偏差値杯 小川・前田佳 5月9日(土) 只今2015年5月8日午前3時10分杯 神野・石野田 5月13日(水) ― 井上・田口・中島 5月16日(土) 第3回意味くじピーマンわけわかめ杯 伊良部 5月20日(水) 嵯峨野線は車両が少ない 高山 5月27日(水) ルックエストつー 高星 5月30日(土) 企画の名前とかいらなくないか?^^;杯 小川・長田 6月3日(水) ツール・ド・スプラトゥーン 渡會・高島・前田佳 6月10日(水) 朝倉南45歳どっくしーん!いとうあさこ杯 長谷川・松崎・八木 6月13日(土) 作問は計画的に 半田 6月17日(水) THE RUQS M@STER ~TRM1st~ 高島 6月24日(水) Angelic Angel杯 前田佳 7月1日(水) kwd Rising 石野田 7月4日(土) ジャンル別最強戦 小池田・辻野・渡會 7月8日(水) 蒼炎の刹那杯(訳:ただの青問杯) 高星 盛装スペ 第4回意味くじピーマンわけわかめ杯 伊良部 夏合宿 短期決戦杯 小川 〃 麻原彰晃死刑確定9周年あとひじきの日記念杯 長谷川・八木 4/18(土) ~RUQSへようこそ杯~ 高橋企画 自称RUQSで二番目にクイズ屋らしくないたかさん。による今年度初となる例会企画。編集者が遅刻したため記録がお粗末で申し訳ないです。 1R 「たかさん。」の「。」の部分は忘れないでね 12分50問ペーパー。 2R 好きなもの…酒、タバコ、女(大嘘 新入生と上回生に分かれて早押し。 新入生枠 5○2休。 上回生枠 変則7○3×。誰かがボタンを押した段階で自分でその後の問題文を作成し、企画者が意図したとおりに問題推測ができ、正答で2○。企画者が意図したとおりに問題推測はできなかったが正答で1○。誤答は1×。 3R 嫌いなもの…カレーライス、カイワレ大根 各新入生はトランプで上回生3人をランダム選出。新入生のみボタンにつくが、選出された上回生に回答をお願いできる。新入生が正答で1○、誤答で2休。上回生が正答でその上回生は抜け、誤答で2休。なお、2○で上回生を一人抜けさせることができる。 4R 計6回の骨折経験があります。 Aコース 7up-dwon Bコース 7○7× Cコース Swedish7 Dコース 7by7 5R 昨年度の企画は全て時間内に収まりませんでした(猛省 時間内に収めるためにこのラウンドは犠牲となったのだ… ExR バスの時間早まってんじゃねーよ… 新入生が全員6Rに進出するため上回生のみのラウンド。 第1Step トランプを使用し、人数もランダムに3組に分かれて3○1×各組1人抜け。田口、中島、長田が第2Stepへ進出。 第2Step 三人で5○2×1人抜け。田口抜け。 6R 現在午前8時3分…勝った… 決勝は7○3×。上回生ラウンドは石野田が4○差で優勝。新入生ラウンドはT君のトビによりK君が優勝。お疲れ様でした。 4/22(水) 現在2015年4月22日午後5時24分杯 石野田企画 開始30分前に印刷を始めた現会長石野田によるDPは時価な企画。印刷こそ遅かったがかなり独創的なルールであった。 1R クロスペーパークイズ 10分30問のペーパークイズ。新入生ペーパーの解答が上回生ペーパーの一部になっている。正解数の3倍がDP。上回生トップは神野、新入生トップはK君。 2R おやゆびあたためますか 新入生は4組全て、上回生は4組のうち一人二回参加できる早押しクイズ。一組におけるセット数と限定問題数は以下の表を参照。1○で6DP、5セット目の1問のみ1○10DP入る。 上回生 各セット1○で勝ち抜け。2×またはセット終了時に0○だった場合失格。 新入生 各セット1○で勝ち抜け。誤答1休。失格はなく5セット終了まで押すことができる。 セットカウント 限定問題数 1 9 2 7 3 5 4 3 5 1 3R ザ☆バラエティ 新入生は全部参加、上回生は1コース参加のチーム戦。DPがころころ変わったラウンド。 Aコース ボーダーラインクイズ 10問限定のボードクイズ。 Bコース プレッシャー説明力 問題作成早押しクイズ。 Cコース DEROっぽいやつがしたかったんだよ 5問限定の謎解きボードクイズ。???「平成教育委員会やん」 4R 協調性多答クイズ 時間内に収めるためにこのラウンドは犠牲となったのだ… 上回生決勝R カッティングクイズ 上回生全員参加の早押しクイズ。DP下位8名がDP順に並ぶ。正解で3ランクアップ、誤答で最下位。5問経過で下位2名が脱落し、上座にまだボタンについていない下位2名を補充。優勝は神野。最後に残っていたのは優勝者に加えて高星、小川だった。 新入生決勝R がんばれ1億 新入生全員参加の早押しクイズ。正解すると、「自らのDPを10倍にする」か「桁が0の最も大きい位を1にする」かを選べる。誤答すると、自らのDPの最大の桁が消される。DPが1億を超えたら勝ち抜け。ちなみにこのラウンドはT君が遅れて参戦し、3名での決勝となった。T君が優勝、2位のK君がロリータでの勝ち抜け、3位がA君となった。 4/25(土) アスペ偏差値杯 小川・前田企画 新歓祭につきBKC僻地での開催となった企画。半田が優勝。 5/8(土) 只今2015年5月8日午前3時10分杯 神野・石野田企画 「前よりは余裕ができました!( ; )」とのこと。現会長石野田と前会長神野による企画。高山が優勝、田崎が順優勝。 5/13(水) ― 井上・田口・中島企画 井上による脱出ゲーム、田口による地下クイズといわゆる田口問、中島によるアニメロゴクイズと難問がそれぞれ出題された。 5/16(土) 第3回意味くじピーマンわけわかめ杯 伊良部企画 事前告知が手厚かった伊良部による企画。Aコース優勝は半田、準優勝は前田佳。Bコースは運による要素がかなり大きかったにも関わらず、形式最短の4連答で神野が優勝、準優勝は小池田。 5/20(水) 嵯峨野線は車両が少ない 高山企画 当日に企画をする旨のメーリスが届いた企画。不謹慎問から画像や曲の問題など様々な要素が詰め込まれた。 5/27(水) ルックエストつー 高星企画 寝不足の高星による半年前の続編となる企画。ドラクエをモチーフにし、「新入生も上回生も楽しめる」を目指した企画となった。決勝はチーム戦で、神野をリーダーとした八木、小川、北脇チームが優勝した。 5/30(土) 企画の名前とかいらなくないか?^^;杯 小川・長田企画 取材を兼ねてOBの榎並谷さんと曽田さんがいらっしゃった回。石野田が優勝、神野が準優勝。 6/3(水) ツール・ド・スプラトゥーン 高島・前田佳・渡會企画 6/10(水) 朝倉南45歳どっくしーん!いとうあさこ杯 長谷川・松崎・八木企画 文学部三回生三人による企画。決勝は長田、高島、小川、立山、石野田、高山で行われた。 6/13(土) 作問は計画的に 半田企画 6/17(水) 髙島企画 6/24(水) 前田企画 7/1(水) 石野田企画 7/4(土) ジャンル別最強戦 小池田・辻野・渡會企画 7/8(土) 高星企画
https://w.atwiki.jp/suka-dqgaesi/pages/1185.html
131 :名無しさん@HOME:2008/02/14(木) 20 17 21 0 わたしがキレる前に旦那が切れて大暴れしちゃったのはここでいいんですかね? 標的にされたのはわたしでそれに怒ったのが旦那なんですが。 133 :名無しさん@HOME:2008/02/14(木) 20 21 33 0 131 とりあえずここでどうぞ 134 :名無しさん@HOME:2008/02/14(木) 20 22 52 0 ありがとうございます。 長くなりそうなのでメモ帳に書いてきます。 143 :131:2008/02/14(木) 21 33 52 0 旦那とは結婚4年目で共稼ぎしてます。子供なし。 最初に旦那の特殊事情を説明しておきます。 旦那の実家というのが地方のそれなりの旧家で旦那は本家の長男です。 地元のお年寄りには素で○○屋敷またはお屋敷と呼ばれていて外から見ると 横溝正史キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! みたいな家ですが、 中はリフォームされててつまらんw 無駄に広すぎる家です。 それでここは完全長子相続で、しかも当主認定されると生前相続なので 義妹さんは相続放棄して、全部旦那の持ち物です。 旦那と義妹は仲良しなので、うるさい親戚が死に絶えたら妹さんにも少しわけるらしいですが。 それで田舎の家屋敷と山と荒れ地が相続物件で、その代わりの義務として しばしば行われる親戚一族の大宴会(法要など名目はいろいろ)を主催しないといけないし 年に何度も草刈りや墓掃除で実家に帰らなくてはいけません。 それというのも旦那が○○家始まって以来の実家に住まずに暮らしている当主なので 交通費や手間が大変です。 実家に帰らないのはわたしも旦那も東京の大学を出てそのまま就職した会社を辞めたくない 事情があるからです。 これが気に入らないご親戚がいらっしゃる・・・。 実家の義父母はまあ陰口を叩くくらいで、わたしのご飯も食べてくれるし ウトの「今はそういう時代だから」という温厚な(内心は違うことありあり)の意見で トメは渋々黙ってらっしゃる印象です。 144 :131:2008/02/14(木) 21 34 27 0 たまにぽろっと嫌味が出ると、旦那がたしなめてくれるので、わたしとしては 将来の同居や介護は仕方ないかと思ってました。 (介護不要でウトの退職金で老人施設に行くということですがアテになりません)。 問題はウトの姉、旦那にとっての伯母の2人組です。 旦那から「江戸時代の亡霊みたいな婆どもだから気をつけろ」とあらかじめ警告されていましたが テンプレリピート婆コンビです。 「嫁子が旦那を東京に縛り付けてるので家屋敷が荒れる」 (荒れてません。飛行機で2ヶ月に一度土地管理や墓掃除に帰って作業してます) 「実家にも来たがらない。親戚をなんだと・・・」 (仕事の都合で行けなかったのは4年間で2回だけです) 「家に入らずに女が外で仕事するとロクなことにならない」 「子供も産まず・・・」 これが会う度に聞こえよがしにリピートされます。 旦那も親戚一同の前で声を荒げるわけにもいかず、あとでわたしに謝ってはくれますが 婆2人の発言権が強いのか厚かましいだけなのか、攻撃は一向にやまず 宴会でもわたしのつくった料理だけ残して帰ったりされて 旦那もわたしも帰省の面倒さも重なってきて、かなりいらついて夫婦喧嘩になったりしました。 145 :131:2008/02/14(木) 21 35 37 0 それで本題の今年のお正月の大宴会です。 わたしは例によって飯炊きとお膳運び奴隷をこなしつつ座敷(40人くらいいたと思います)を 走り回っていました。 そこで「嫁子は使えない」発言が始まりました。 誰も止めようとしてくれずに、調子に乗って「子作りできない役立たず」「○○家の料理も味が落ちた」 みんな黙ってしまい、微妙な空気の中で喋り続ける婆コンビ。 わたしはもう怒り心頭で言い返したい、でも旦那の立場が・・・とためらって棒立ちになっていました。 すると旦那が上座からすっと立ちました。 いきなり婆2人に手にしたコップのビールを浴びせかけました。 親戚一同一瞬ポカーン。 獣のような声で抗議しようとする婆2人に旦那、「いますぐ失せろ!」と怒鳴りつけ 止めに入ろうとする婆どもの夫に「俺止める前におまえらの女房の口ふさげ、何様だおまえら!」と。 ○○家では「おとなしくて頭が良くて目上の言うことをよく聞く坊ちゃん」キャラだった旦那が 自分より30以上年上の親戚をにらみつけてどやしつけているので、驚いて誰も止めず。 正直怖かったです。旦那。 「嫁を満座で馬鹿にされて黙ってるほど馬鹿だと思ってたのか?」 「お前ら還暦過ぎてから、こんな若造に説教されて何して生きてきた恥さらし!」 「どんだけ嫁子が草刈りやら掃除やらgrFKU 墓入れろとかいう墓乞食とは違う!」 「嫁子の料理はお前らにもったいない」 もう止まらなくなりました。 (もっとが~っと言ったのですが方言で分からないので標準語で大意だけです) 147 :131:2008/02/14(木) 21 36 40 0 なだめようとするウトにも「おやじ、あんたが日和見でいい顔ばっかりするから馬鹿がつけあがる」 トメが「恥ずかしいから」というと「こんな犬畜生と親戚で恥ずかしいのはこっちだ」と。 で突然携帯をとりだして従兄(婆夫婦片方の息子)に電話して 「いまからお前の恥さらしの親送り返す。お前の嫁が2人も逃げた理由がよ~~~く分かったわ」 と満座の前で従兄を罵りまくり、さらに婆夫婦に 「○○家が、いうのが得意だったな。なら誰が○○家の当主か思い知らせてやるわ。 2度とこの家の敷居またぐな。門から先に入るな。死んでも墓にも入れんから骨はどっか捨てとけ」 それで、婆2人の服をつかんで玄関まで引きずっていこうと。 さすがに重くて無理で、周囲にやっと止められました。 幸か不幸か、雰囲気は「旦那がもっともだ」という空気になったのですが 旦那は「黙って見てたやつが今頃言うな。お前ら自分の意見もないのか? 俺の嫁は何言われてもOKか? 婆がいうとうなずき俺が怒るとまたうんうんか。 どこまで腐ってるんだ?」 「もう墓なんぞヤブになっても屋敷がクモの巣だらけになっても文句言うな。 土地は売って嫁子と遊びに使う。子供もつくらんから俺が家滅ぼすのを 黙って見とけsdjykhl。いl」:@p」 こういうのがあるのがいかんと、仏壇をお膳で壊そうとして止められてました。 148 :131:2008/02/14(木) 21 38 14 0 婆夫婦は2組とも逃げ帰り、他の親戚はわたしに「ごめんなさい」と口々に謝って 帰っていきました。 旦那は床の間の日本刀(大小2刀。本物です)の前で怖い顔をして座っているので 誰も近寄りませんでした。 その後も義父母との間でいろいろあったのですが 「もうこういう集まりは2度としないからな」と言い捨てて帰ってきました。 帰り道、落ち着いてから旦那にお礼を言って「でも、あそこまでやってよかったの?」と聞くと 「いいわけないだろw」と。 「でも、あれくらいしないとお前の鬱憤が晴れないだろ?w」って言ってました。 1月はお詫びやご機嫌伺いや様子見の電話や手紙がどんどん来て 夫婦でお詫びをしたり脅かしたり対応が大変でした。 まさかこれで○○家崩壊はないと思いますが、旦那は話の通じる従兄弟世代やハトコ世代に 付き合いをシフトしようとしてるみたいです。 長くてつまらなくてごめんなさい。 149 :名無しさん@HOME:2008/02/14(木) 21 39 45 0 いや~、まだそういう〇〇家ってあるんだねぇ。 うちは夫婦ともに分家の分家の子だから、さっぱりわかんないw 150 :名無しさん@HOME:2008/02/14(木) 21 40 01 0 148 おおースカッとしたよ! 131旦那GJ! 151 :名無しさん@HOME:2008/02/14(木) 21 41 34 0 131 いい旦那だねー!かっこいいよ GJ! 152 :名無しさん@HOME:2008/02/14(木) 21 41 47 0 131 最後の一文いらん GJJJJJJJJ!!!!! 153 :名無しさん@HOME:2008/02/14(木) 21 41 59 0 だだだだだだ 旦那さんGJ! スゲエカッコいい!それでこそ◯◯家の御当主! まさに上に立つ人の器だ! 嫁子さん、あんたいい人めっけたね!テラウラヤマシスwwwwwwwww 184 :131:2008/02/14(木) 22 35 37 0 171(171のスカ) すごい! わたしもそういう機転が欲しい! みなさま たくさんのGJありがとうございます。 どこに行っても「博士」と同じあだ名のつく旦那があんなに恐ろしいとは思いませんでした。 わたしとしては旦那1人を悪者にしたので、旦那のキレっぷりが暖かく迎えられて嬉しいです。 次のお話→171
https://w.atwiki.jp/agama/pages/31.html
{{Otheruseslist|仏教の開祖|仏として神格化された釈迦|釈迦如来|紀元前7-6世紀頃のネパールの部族|釈迦族}} {{参照方法}} {{統合文字|迦}} {{インド系文字}} {{Infobox Buddhist |名前=釈迦 |生没年=紀元前463年? - 紀元前383年? |諡号= |生地=ネパールカピラヴァストゥ |没地= |画像=ファイル PrinceSiddhartha.JPG|214px|釈迦立像 |説明文=釈迦立像 |宗派= |寺院= |師= |弟子=舎利弗・目連|摩訶目犍連・摩訶迦葉 br/ 須菩提・富楼那|富楼那弥多羅尼子 br/ 迦旃延|摩訶迦旃延・阿那律・優波離 br/ 羅睺羅・阿難 |著作= }} {{Buddhism}} 釈迦(釋迦、しゃか、 サンスクリット|梵名:シャーキャ、शाक्य [zaakya]({{IAST|Śākya}})、一説に紀元前463年|前463年 - 紀元前383年|前383年、紀元前560年|前560年 - 紀元前480年|前480年等)は、仏教の開祖である。 本名(俗名)は、パーリ語形ゴータマ・シッダッタ({{IAST|Gotama Siddhattha}})またはサンスクリット語形ガウタマ・シッダールタ(ゴータマ・シッダールタ、ガウタマ・シッダルダとも)(गौतम सिद्धार्थ [{{IAST|Gautama Siddhārtha}}])、漢訳では 瞿曇 悉達多 (くどん しっだった)と伝えられる。 == 呼称 == 「釈迦」は釈迦牟尼(しゃかむに、シャーキャ・ムニ शाक्यमुनि [zaakya-muni]({{IAST|Śākyamuni}}))の略である。釈迦は彼の部族名もしくは国名で、牟尼は聖者・修行者の意味。つまり釈迦牟尼は、「釈迦族の聖者」という意味の尊称である。なお、釈迦族とは、様々な民族に経典を翻訳して伝える際に、注釈を加えてわかり易く説法する世襲制の祭司族または書記族の意味。 称号を加え、釈迦牟尼世尊、釈迦牟尼仏陀、釈迦牟尼仏、釈迦牟尼如来ともいう。ただし、これらはあくまで仏教の視点からの呼称である。僧侶などが釈迦を指す時は、略して釈尊(しゃくそん)または釈迦尊、釈迦仏、釈迦如来と呼ぶことが多い。 称号だけを残し、世尊、仏陀、ブッダ、如来とも略す。ただし、大乗仏教以後の仏教では仏陀・世尊・如来は釈迦牟尼だけではない。特に浄土真宗では単に如来というと阿弥陀如来を指すことも少なくない。 日本では、一般にお釈迦様、仏様(ほとけさま)と呼ばれることが多い。ただし、仏様は死者の意味に使われることも多い。 仏典ではこの他にも多くの異名を持つ。うち代表的な10個(どの10個かは一定しない)を総称して仏「十号」と呼ぶ。 === 呼称表 === 釈迦牟尼世尊 釈迦尊 釈尊(しゃくそん) 釈迦牟尼仏陀 釈迦牟尼仏 釈迦仏 釈迦牟尼如来 釈迦如来(しきゃじらい) 多陀阿伽度(たたあかど) 阿羅訶(応供)(あらか) 三藐三仏陀(正徧智)(さんみゃくさんぶっだ) == 生涯 == 釈迦は紀元前5世紀頃、現在のネパールのルンビニで誕生。父は釈迦族|シャーキャ族の王で、王子として裕福な生活を送っていたが、29歳で出家した。35歳で正覚(覚り)を開き、仏陀(覚者)となったことを成道という。まもなく釈迦のもとへやってきたブラフマンの勧めに応じて、釈迦は自らの覚りを人々に説いて伝道して廻った。南方伝ではヴァイシャーカ月(グレゴリオ暦4月~5月)の満月の日(ヴァイシャーカ月はインドでは2月にあたりインドは太陰太陽暦で満月の日は15日にあたるため、中国伝来の際2月15日 (旧暦)とされた)に80歳で入滅(死去)したとされている。 === 誕生 === 釈迦は現在のネパール国境付近(インド説も)のカピラ城|カピラヴァストゥ(kapila-vastu、迦毘羅衛 パーリ語:カピラヴァッツ)で、国家を形成していた釈迦族の出身である。釈迦の故郷であるこのカピラヴァストゥは今のネパールのタライ(tarai)地方のティロリコート(tilori-kot)あるいはピプラーワー(Piprahwa)付近を中心とする小さな共和制の国で、当時の二大強国マガタとコーサラの間にはさまれた国であった。家柄は王 (rāja) とよばれる名門であった。このカピラヴァスツ国の城主、浄飯王|シュッドーダナを父とし、隣国の同じ釈迦族のコーリヤの執政アヌシャーキャの娘・摩耶夫人|マーヤーを母として生まれ、ガウタマ・シッダールタと名づけられた。 ガウタマ(ゴータマ)は「最上の牛」を意味する言葉で、シッダールタ(シッダッタ)は「目的を達したもの」という意味である。ガウタマは母親がお産のために実家へ里帰りする途中、ルンビニの花園で休んだ時に誕生した。生後一週間で母のマーヤーは亡くなり、その後は母の妹、摩訶波闍波提|マハープラジャパティーによって育てられた。当時は姉妹婚の風習があったことから、マーヤーもマハープラジャパティー(パーリ語:マハパジャパティ)もシュッドーダナの妃だった可能性がある。 釈迦の生まれた年代に最新の研究をもってしても100年もの誤差が生じるのは、インドでは輪廻転生の考えから時間というものがさほど必要なものではないと考えられていたため、年代を記録する習慣がなかったことによる。インドなどの詳細は中国の文献によって知ることができる。 釈迦は、産まれた途端、七歩歩いて右手で天を指し左手で地を指して「天上天下唯我独尊」と話したと伝えられている。釈迦はシュッドーダナらの期待を一身に集め、二つの専用宮殿や贅沢な衣服・世話係・教師などを与えられ、クシャトリヤの教養と体力を身につけた、多感でしかも聡明な立派な青年として育った。16歳で母方の従妹の耶輸陀羅|ヤショーダラーと結婚し、一子、羅ご羅|ラーフラ をもうけた。なお妃の名前は、他にマノーダラー(摩奴陀羅)、ゴーピカー(喬比迦)、ムリガジャー(密里我惹)なども見受けられ、それらの妃との間に善星|スナカッタや優波摩那|ウパヴァーナを生んだという説もある。 === 出家 === 当時のインドでは、ウパニシャッド哲学を基盤としながら、ヴェーダ経典の権威を認めない六師外道と称される六人の思想家達、ジャイナ教の始祖となったニガンダ等が既成のバラモンを否定し、自由な思想を展開していた。また社会的にも十六大国|16の大国、多くの小国が争いを繰り広げ、混乱の度を増すさなかにあった。 釈迦出家の動機は、釈迦族が農耕民族であったため、幼少の頃に田畑の虫をついばむ鳥を見たことなどにより日常的にこの世の無常を感じていたが、決定的となったのは四門出遊の故事とされる。ある時、釈迦がカピラヴァスツ城の東門から出る時老人に会い、南門より出る時病人に会い、西門を出る時死者に会い、生ある故に老も病も死もある(四諦#苦諦(duHkha-aaryasatya)|生老病死:四苦)と無常を感じた。北門から出た時に一人の出家沙門に出会い、世俗の苦や汚れを離れた沙門の清らかな姿を見て、出家の意志を持つようになった。 私生活において一子羅ご羅|ラーフラをもうけたことで、かねてよりの念願の出家の志を29歳、12月8日夜半、王宮を抜け出て果たした。出家してまずバッカバ仙人を訪れ、その苦行を観察するも、その結果、死後に天上に生まれ変わることを最終的な目標としていたので、天上界の幸いも尽きればまた六道に輪廻すると悟った。次にアーラーラ・カーラーマを訪れ、彼が空無辺処(あるいは無所有処)が最高の悟りだと思い込んでいるが、それでは人の煩悩を救う事は出来ないことを悟った。次にウッダカラーマ・プッタを訪れたが、それも非想非非想処を得るだけで、真の悟りを得る道ではないことを覚った。この三人の師は、釈迦が優れたる資質であることを知り後継者としたいと願うも、釈迦自身はすべて悟りを得る道ではないとして辞した。そしてウルヴェーラの林へ入ると、父・シュッドーダナは釈迦の警護も兼ねて五比丘(ごびく)といわれる5人の沙門を同行させた。そして出家して6年(一説には7年)の修行の間、苦行を積んだ。減食、絶食等、座ろうとすれば後ろへ倒れ、立とうとすれば前に倒れるほど厳しい修行を行ったが、心身を極度に消耗するのみで、人生の苦を根本的に解決することはできないと悟って難行苦行を捨てたといわれている。その際、この五比丘たちは釈迦が苦行に耐えられず修行を放棄したと思い、釈迦をおいてムリガダーヴァ(鹿野苑、ろくやおん)へ去った。 === 成道 === そこで釈迦は、全く新たな独自の道を歩むこととする。ネーランジャナー(nairaJjanaa、尼連禅河、にれんぜんが)で沐浴し、村娘スジャータの乳糜(牛乳で作ったかゆ)の布施を受け、気力の回復を図って、ガヤー村のピッパラ (pippala) 樹(後にゴータマ・ブッダの菩提樹|菩提樹と言われる)の下で、49日間の観想に入った。そして、ついに12月8日の未明に大悟する。これを「成道」といい、古来この日に「成道会(じょうどうえ)」を勤修した。ガヤー村は、仏陀の悟った場所という意味の、ブッダガヤと呼ばれるようになった。 釈迦は、この悟りを得た喜びの中で、このまま浸っていようと考えた。一部の経典には「このまま無余涅槃に至ろうと考えた」との記述があることから、3カ月間禅定にあるまま死を迎えようとされたと思われた。ところが梵天と帝釈天によって衆生に説くよう勧められた(梵天勧請)。3度の勧請の末、自らの悟りへの確信を求めるためにも、ともに苦行をしていた5人の仲間に説こうと座を立った。釈迦は彼らの住むベナレス|バーラーナシー (baaraaNsii) まで、自らの悟りの正しさを十二因縁の形で確認しながら歩んだ。 そこで釈迦は鹿野苑へ向かい、初めて五比丘にその方法論四諦八正道を実践的に説いた。これを初転法輪(しょてんぽうりん)と呼ぶ。この5人の比丘は、当初は釈迦が苦行を止めたとして蔑んでいたが、説法を聞くうちコンダンニャがすぐに悟りを得、釈迦は喜んだ。この時初めて、釈迦は如来(tathaagata、タターガタ)という語を使った。すなわち「ありのままに来る者」「真理のままに歩む者」という意味である。それは、現実のありのままの姿(実相)を観じていく事を意味している。 初転法輪を終わって「世に六阿羅漢(漢:応供、梵:arhan)あり。その一人は自分である」と言い、ともに同じ悟りを得た者と言った。次いでバーラーナシーの長者、耶舎|ヤシャスに対して正しい因果の法を次第説法し、彼の家族や友人を教化した。古い戒律に「世に六十一阿羅漢あり、その一人は自分だと宣言された」と伝えられている。 === 教団 === その後、ヤシャスや富楼那|プルナなどを次々と教化したが、初期の釈迦仏教教団において最も特筆すべきは、三迦葉(さんかしょう)といわれる三人の兄弟が仏教に改宗したことである。当時有名だった事火外道(じかげどう)の、ウルヴェーラ・カッサパ (uruvela kassapa)、ナディー・カッサパ (nadi kassapa)、ガヤー・カッサパ (gayaa kassapa) を教化して、千人以上の構成員を持つようになり、一気に仏教は大教団化した。 ついでラージャグリハ(raajagRha、王舎城)に向かって進み、ガヤ山頂で町を見下ろして「一切は燃えている。煩悩の炎によって汝自身も汝らの世界も燃えさかっている」と言い、煩悩の吹き消された状態としての涅槃を求めることを教えた。 王舎城に入って、頻婆娑羅|ビンビサーラ王との約束を果たし教化する。王はこれを喜び竹林精舎を寄進する。ほどなく釈迦のもとに二人のすぐれた弟子が現れる。その一人は十大弟子|シャーリプトラであり、もう一人は十大弟子|マウドゥガリヤーヤナであった。この二人は後に釈迦の高弟とし、前者は知恵第一、後者は神通第一といわれたが、この二人は釈迦の弟子で、最初に教化された五比丘の一人である阿説示|アッサジ比丘によって釈迦の偉大さを知り、弟子250人とともに帰依した。その後、シャーリプトラは叔父の摩訶・倶絺羅(まか・くちら、長爪・梵士=婆羅門とも)を教化した。この頃に摩訶迦葉|マハーカッサパが釈迦の弟子になった。 以上がおおよそ釈迦成道後の2年ないし4年間の状態であったと思われる。この間は大体、ラージャグリハ(王舎城)を中心としての伝道生活が行なわれていた。すなわち、マガダ国の群臣や村長や家長、それ以外にバラモンやジャイナ教の信者とだんだんと帰依した。このようにして教団の構成員は徐々に増加し、ここに教団の秩序を保つため、様様な戒律が設けられるようになった。 === 伝道の範囲 === これより後、最後の一年間まで釈迦がどのように伝道生活を送ったかはじゅうぶんには明らかではない。経典をたどると、故国カピラヴァスツの訪問によって、釈迦族の王子や子弟たちである、羅睺羅|ラーフラ、阿難|アーナンダ、阿那律|アニルッダ、提婆達多|デーヴァダッタ 、またスードラの出身である優波離|ウパーリが先んじて弟子となり、諸王子を差し置いてその上首となるなど、釈迦族から仏弟子となる者が続出した。またコーサラ国を訪ね、ガンジス河を遡って西方地域へも足を延ばした。たとえはクル国 (kuru) のカンマーサダンマ (kammaasadamma) や、ヴァンサ国 (vaMsa) のコーサンビー (kosaambii) などである。成道後14年目の安居はコーサラ国の舎衛城|シュラーヴァスティーの祇園精舎で開かれた。 このように釈迦の教化され伝道された地域をみると、ほとんどガンジス中流地域を包んでいる。アンガ (aGga)、マガダ (magadha)、ヴァッジ (vajji)、マトゥラー (mathura)、コーサラ (kosalaa)、クル (kuru)、パンチャーラー (paJcaalaa)、ヴァンサ (vaMsa) などの諸国に及んでいる。 === 入滅 === 釈迦の伝記の中で最も克明に今日記録として残されているのは、入滅前1年間の事歴である。漢訳の『長阿含経』の中の「遊行経」とそれらの異訳、またパーリ所伝の『大般涅槃経』などの記録である。 涅槃の前年の雨期は舎衛国の祇園精舎で安居が開かれた。釈迦最後の伝道は王舎城の竹林精舎から始められたといわれているから、前年の安居を終わって釈迦はカピラヴァスツに立ち寄り、コーサラ国王波斯匿王|プラセーナジットの訪問をうけ、最後の伝道がラージャクリハから開始されることになったのであろう。 このプラセーナジットの留守中、コーサラ国では王子が兵をあげて王位を奪い、毘瑠璃王|ヴィルーダカとなった。そこでプラセーナジットは、やむなく王女が嫁していたマガダ国のアジャータシャトル(ajaatazatru、阿闍世王)を頼って向かったが、城門に達する直前に亡くなったといわれている。当時、釈迦と同年配であったといわれる。 ヴィルーダカは王位を奪うと、即座にカピラヴァスツの攻略に向かった。この時、釈迦はまだカピラヴァスツに残っていた。釈迦は、故国を急襲する軍を、道筋の樹下に座って三度阻止したが、宿因の止め難きを覚り、四度目にしてついにカピラヴァスツは攻略された。しかし、このヴィルーダカも河で戦勝の宴の最中に洪水(または落雷とも)によって死んだと記録されている。釈迦はカピラヴァスツから南下してマガダ国の王舎城に着き、しばらく留まった。 釈迦は多くの弟子を従え、王舎城から最後の旅に出た。アンバラッティカ (パ:ambalaTThika) へ、ナーランダを通ってパータリガーマ (パ:paaTaligaama) に着いた。ここは後のマガダ国の首都となるパータリプトラ (paataliputra、華子城) であり、現在のパトナである。ここで釈迦は破戒の損失と持戒の利益とを説いた。 釈迦はこのパータリプトラを後にして、増水していたガンジス河を無事渡り、ヴァッジ国のコーリー城に着いた。ここで亡くなった人々の運命について、阿難|アーナンダの質問に答えながら、最後に人々が運命を知る標準となるものとして法鏡の説法をする。釈迦はこの法鏡を説いてから、四諦を説いて「苦悩と苦悩の起源と、苦悩の絶滅と苦悩の絶滅への道との尊い真理を洞察し悟った。そして生存への渇望を根絶し、生存への誘惑をうちほろぼしたから、もはや生存に戻ることはない」と説法した。 次に釈迦は、このコーリー城を出発しナディカガーマを経てヴァイシャーリーに着いた。ここはヴァッジ国の首都であり、アンバーパリーという遊女が所有するマンゴー林に滞在し、戒律や生天の教え、四諦を説いた。やがてここを去ってヴェールバ村に進み、ここで最後の雨期を過ごすことになる。すなわち釈迦はここでアーナンダなどとともに安居に入り、他の弟子たちはそれぞれ縁故を求めて安居に入った。 この時、釈迦は死に瀕するような大病にかかった。しかし、雨期の終わる頃には気力を回復した。この時、アーナンダは釈迦の病の治ったことを喜んだ後、「師が僧伽|比丘僧伽のことについて何かを遺言しないうちは亡くなるはずはないと、心を安らかに持つことができました」と言った。これについて釈迦は、{{quote|「比丘僧伽は私に何を期待するのか。私はすでに内外の区別もなく、ことごとく法を説いた。阿難よ、如来の教法には、あるものを弟子に隠すということはない。教師の握りしめた秘密の奥義(師拳)はない。……自分はすでに八十歳の高齢となり、自分の肉体は、あたかも古い車がガタガタとなってあちこちを草紐で縛り、やっと保たれているようなものである。だから、阿難よ、汝らは、ただみずからを灯明とし、みずからを依処として、他人を依処とせず、法を灯明とし、法を依処として、他を依処とすることなくして、修行せんとするものこそ、わが比丘たちの中において最高処にあるものである」}}と説法したとされる。これが「自帰依自灯明、法帰依法灯明」の教えである。 やがて雨期も終わって、釈迦は、ヴァイシャーリーへ托鉢に出かけ、永年しばしば訪れたウデーナ廟、ゴータマカ廟、サーランダダ廟、サワラ廟などを訪ねた。托鉢から戻ると、アーナンダを促してチャパラの霊場に行った。ここで聖者の教えと神通力について説いた。 托鉢を終わって、釈迦は、これが「如来のヴァイシャーリーの見納めである」と言い、バァンダガーマ (bhandagaama) に移り四諦を説き、さらにハッティ (hatthi)、アンバガーマ (ambagaam)、ジャンブガーマ (jaambugaama)、ボーガガーマ (bhogagaama)を経てパーヴァー (paavaa) に着いた。ここで四大教法を説き、仏説が何であるかを明らかにし、戒定慧の三学を説いた。 釈迦は、ここで鍛冶屋の純陀|チュンダのために法を説き供養を受けたが、激しい腹痛を訴えるようになった。カクッター河で沐浴して、最後の歩みをクシナガラ|クシナーラー (kusinaara) に向け、その近くのヒランニャバッティ河のほとりに行き、マルラ (malla) 族(マッラ国)のサーラの林に横たわり、そこで入滅した。時に紀元前386年2月15日のことであった ref 釈迦の入滅年時については、仏典により色々な説がある。一般には紀元前486年(衆聖点記説)を用い、宇井伯寿の前386年説も仏教における学会で用いられている。 /ref 。これを仏滅(ぶつめつ)という。腹痛の原因はスーカラマッタヴァという料理で、豚肉、あるいは豚が探すトリュフのようなキノコであったという説もあるが定かではない。 仏陀入滅の後、その遺骸はマルラ族の手によって火葬された。当時、釈迦に帰依していた八大国の王たちは、仏陀の遺骨仏舎利を得ようとマルラ族に遺骨の分与を乞うたが、これを拒否された。そのため、遺骨の分配について争いが起きたが、ドーナ(dona、香姓)バラモンの調停を得て舎利は八分され、遅れて来たマウリヤ族の代表は灰を得て灰塔を建てた。ちなみに、その八大国とは、 # クシナーラーのマルラ族 # マガダ国のアジャタシャトゥル王 # ベーシャーリーのリッチャビ族 # カビラヴァストフのシャーキャ族 # アッラカッパのプリ族 # ラーマガーマのコーリャ族 # ヴェータデーバのバラモン # バーヴァーのマルラ族 である ref 1898年にカピラヴァットゥから約13キロメートル隔たったピプラーワーで、イギリスの駐在官ペッペが発見した遺骨の壺は、考古学的な鑑定の結果、現在では真の仏舎利として最も信憑性があるとされている(中村元(1970)および外務省HP参照)。この壺は当時のイギリス領インド政府からタイ王室に譲り渡され、仏舎利の一部は日本では覚王山日泰寺に納められている。参考:[http //www.mofa.go.jp/mofaj/area/thailand/jpth120/knowledge/temple.html 外務省HP:日泰寺] /ref 。 入減後、弟子たちは亡き釈迦を慕い、残された教えと戒律に従って跡を歩もうとし、説かれた法と律とを結集した。これらが幾多の変遷を経て、今日の経典や律典として維持されてきたのである。 == 入滅後の評価 == 釈迦の入滅後、仏教はインドで大いに栄えたが、大乗仏教の教義がヒンドゥー教に取り込まれるとともにその活力を失っていく。ヒンドゥー教は仏教を弾圧の対象とし、釈迦に新たな解釈を与えた。釈迦は、ヴィシュヌのアヴァターラ(化身)として地上に現れたとされた。偉大なるヴェーダ聖典を悪人から遠ざけるために、敢えて偽の宗教である仏教を広め、人々を混乱させるために出現したとされ、誹謗の対象になった。ただし逆に大乗仏教の教義をヒンドゥー教が取り込んだためヒンドゥー教が仏教化したと捉えることもできる。 さらにインドがイスラム教徒に征服されると、仏教はイスラム教からも弾圧を受け衰退の一途をたどる。イスラム征服後のインドではカーストの固定化がさらに進む。このなかでジャイナ教徒は信者をヒンドゥー社会の一つのカーストと位置づけその存続を可能にしたが、仏教はカースト制度を否定したためその社会的基盤が消滅する結果となった。元々インド仏教はその存在を僧伽に依存しており、回教徒によって僧伽が破壊されたことによってその宗教的基盤を失い消滅した。インド北東部の一部で細々と存続する以外にはインドで仏教が認められるようになったのは、インドがイギリス領になった19世紀以降である。因みにカースト制度の外にある不可触賎民の一部は仏教徒の末裔ではないかとの憶測も存在する。 釈迦の聖地のある、ネパールでも釈迦は崇拝の対象でもある。ネパールでは !--??年-- 現在、ヒンドゥー教徒が86%、仏教徒が8%となっている。ネパールでも仏教は少数派でしかないが、ネパールの仏教徒は聖地ルンビニへの巡礼は絶やさず行っている。なお、ルンビニは1997年にユネスコの世界文化遺産に登録された。 仏教は仏滅後100年、上座部と大衆部に分かれる。これを根本分裂という。その後西暦100年頃には20部前後の部派仏教が成立した。これを枝末分裂という(ただし大衆部が大乗仏教の元となったかどうかはさだかではなく、上座部の影響も指摘されている)。そして、部派仏教と大乗仏教とでは、釈迦に対する評価自体も変わっていった。部派仏教では、釈迦は現世における唯一の仏とみなされている。最高の悟りを得た仏弟子は阿羅漢(アラカン 如来十号の一)と呼ばれ、仏である釈迦の教法によって解脱した聖者と位置づけられた。一方、大乗仏教では、釈迦は十方(東南西北とその中間である四隅の八方と上下)三世(過去、未来、現在)の無量の諸仏の一仏で、現在の娑婆(サハー、堪忍世界)の仏である、等と拡張解釈された。また、後の三身説では応身として、仏が現世の人々の前に現れた姿であるとされている。とくに大乗で強調される仏性の思想は、上座部仏教には無かったことが知られている。 マニ教の開祖であるマニは、釈迦を自身に先行する聖者の一人として認めたが、釈迦が自ら著作をなさなかったために後世に正しくその教えが伝わらなかった、としている。 マルコ・ポーロは東方見聞録において釈迦の事を「もし彼がキリスト教徒であれば、イエス・キリストに劣らぬ聖者になったであろう。」 ref 青木富太郎訳による『東方見聞録』には、そのような記述は一切ない。そのかわり、フビライ・ハーンの事を「世界のすべてのキリスト教徒とイスラム教徒の王や皇帝たちでも、彼ほどの力は持っていないだろうし、彼ほどの業績はあげられないだろう。」とする記述がある。また、本書で、釈迦は一切登場しない。加えて、仏教という言葉は一切登場しない。仏教は、偶像崇拝教として登場する。 /ref と記述していれば、キリスト教徒としては最上の評価と言ってよい(ただし、キリスト教の教義にはいささか反するという指摘もある ref イエスは言った、曰く「なぜ私を善いと言うのか。」 – マルコによる福音書「金持ちの男」(10 18)、ルカによる福音書「金持ちの議員」(18 19) イエス、更に曰く「神以外、善いなどない。」 – マタイによる福音書「金持ちの青年」(19 17)、マルコによる福音書「金持ちの男」(10 18)、ルカによる福音書「金持ちの議員」(18 19) /ref )。 == 釈迦の像 == イエスの像が常に痩せている一方、{{要出典範囲|釈迦は中道を説くとあって、中肉の像である}}。悟り以前の苦行時代の釈迦の像は脂肪のほとんどない像である。入滅後400年間、釈迦の像は存在しなかった。彫像のみならず絵画においても釈迦の姿をあえて描かず、法輪やインドボダイジュ|菩提樹のような象徴的事物に置き換えられた。崇拝の対象はもっぱら仏塔であった。{{要出典範囲|釈迦の時代のインドには像を作る習慣が存在せず}}、仏像が作られるようになったのはヘレニズムの影響によるものである。 == 釈迦の生涯を伝える文献 == 修行本起経 〔大正・3・461〕 瑞応本起経 〔大正・3・472〕 - これらは錠光仏の物語から三迦葉が釈尊に帰依するところまでの伝記を記している。 過去現在因果経 〔大正・3・620〕 - 普光如来の物語をはじめとして舎利弗、目連の帰仏までの伝記。 中本起経 〔大正・4・147〕 - 成道から晩年までの後半生について説く。 仏説衆許摩房帝経 〔大正・3・932〕 仏本行集経 〔大正・3・655〕 - これらは仏弟子の因縁などを述べ、仏伝としては成道後の母国の教化まで。 十二遊経 〔大正・4・146〕 - 成道後十二年間の伝記。 普曜経 方広大荘厳経 - これらは大乗の仏伝としての特徴をもっている。 仏所行讃 〔大正・4・1〕(梵:Buddha-carita) 馬鳴著 Lalita vistara Mahavastu 遊行経 『長阿含経』中 仏般泥画経(パ: Mahaparinibbanna sutta ) 大般涅槃経 法賢訳 - 以上3件は、釈尊入滅前後の事情を述べたもの。 『自説経(ウダーナ)』 - パーリ語による仏典。日本語訳:[http //www.tok2.com/home/gengi/sutra/index.html] 注 〔大正〕とは、大正新脩大蔵経のこと。 == 釈迦を題材にした作品 == === 小説 === ヘルマン・ヘッセ 『シッダールタ』 === 漫画 === 手塚治虫 『ブッダ (漫画)|ブッダ』 中村光 (漫画家)|中村光 『聖☆おにいさん』 小泉吉宏 『ブッタとシッタカブッタ』(モチーフにしている) === 映画 === 『亜細亜の光』 (原題 "DIE LEUCHTE ASIENS" 1925年、ドイツ) 『釈迦』 (1961年、大映 (映画)|大映 釈迦役 本郷功次郎) 『リトル・ブッダ』(1993年、アメリカ合衆国|アメリカ 釈迦役 キアヌ・リーブス) === 音楽 === 田中正徳『世尊』(合唱曲) 貴志康一「仏陀 (交響曲)|交響曲『仏陀』」 伊福部昭「交響頌偈『釋迦』」(合唱を伴う管弦楽曲) == 注 == {{reflist}} == 参考文献 == {{refspam}} 中村元 (哲学者)|中村元 『原始仏教 - その思想と生活』 日本放送出版協会〈NHKブックス〉、1970年、ISBN 4-14-001111-4。 中村元 『釈尊の生涯』 平凡社ライブラリー、2003年、ISBN 4-582-76478-9。 『ゴータマ・ブッダ 決定版中村元選集 第11.12巻』 春秋社、1992年 早島鏡正 『ゴータマ・ブッダ』 講談社〈講談社学術文庫〉、1990年、ISBN 4-480-08928-4。 増谷文雄 『この人を見よ ブッダ・ゴータマの生涯、ブッダ・ゴータマの弟子たち』 佼成出版社、2006年、ISBN 4-333-02193-6。 渡辺照宏 『新釈尊伝』 ちくま学芸文庫、2005年、ISBN 4-333-02193-6。 水野弘元 『釈尊の生涯』 春秋社、1985年ほか 水野弘元 『原始仏教入門 釈尊の生涯と思想から』 佼成出版社、2009年、ISBN 4-333-02395-5。 羽矢辰夫 『ゴータマ・ブッダ』 春秋社、1999年 羽矢辰夫 『ゴータマ・ブッダの仏教』 春秋社、2003年 並川孝儀 『ゴータマ・ブッダ考』 大蔵出版、ISBN 4-8043-0563-7。 並川孝儀 『スッタニパータ 仏教最古の世界』<書物誕生>岩波書店、ISBN 4-00-028285-9。 宮元啓一 『ブッダが考えたこと これが最初の仏教だ』 春秋社、ISBN 4-393-13520-2。2004年 宮元啓一 『仏教かく始まりき パーリ仏典「大品」を読む』 春秋社、ISBN 4-393-13537-7。2005年 宮元啓一 『仏教誕生』 ちくま新書、1995年 宮元啓一 『ブッダ 伝統的釈迦像の虚構と真実』 光文社文庫、1998年 == 関連項目 == {{Wikiquote|釈迦}} {{Commons|Gautama_Buddha}} 仏教 チベット仏教サキャ派 灌仏会(花まつり) 成道会 涅槃会 ウェーサーカ祭 仏舎利 八大聖地 仏教美術 釈迦三尊 釈迦堂 仏陀 釈迦十大弟子 そのほかの弟子 - 莎伽陀、薄拘羅、劫賓那 ヒンドゥー教 - ヴィシュヌの十あるアヴァターラのうちの一つ。 釈迦頭 - 果物の一つ。 ヴィパッサナー瞑想