約 1,036 件
https://w.atwiki.jp/chisato_ojosama/pages/354.html
前へ ずっと話し込んでいたら、さすがに夜風で部屋が冷たくなってきた。舞波さんはクシュンと小さなくしゃみを1つすると、チェストからブランケットを引きずり出して、2人の足を隠すように広げてくれた。どうやら、まだ話は続くらしい。 「少し前に、お嬢・・・千聖のお父様の大きなお祝い事があって、それまで全く関わりのなかったうちの家族も、招待されたんです。 私はこんな状態だし、両親だけ行く予定だったけど、是非出席をとお願いされてしまって。そこで、初めて千聖と出会いました。」 ***************** “「舞波ちゃん、勉強はどう?」 「忙しい時期でしょう?友達はできたの?」 某高級ホテルの、結婚式でしか使われないような庭園レストラン。 硬直するお母さんの手をテーブルの下で握りながら、私は目の前のご婦人に、学校には行っていないんです、返事をした。この人、誰だっけ。・・・父方の叔母さんの小母さん、だったかな。 さっきお母さんが、私が学校に行っていないっていう説明をしていたはずだけど・・・それでも私に、直接聞かなければ気が済まなかったのかな。変な人。 「まあ、可哀想。うちの姪子はね、舞波ちゃんと同い年で、おかげさまで進学校に合格して、今日は部活で忙しいから来れなかったけれど・・・あぁ、ごめんなさい。こんな話、辛いわよね?」 「いえ、別に。お気になさらないでください。」 私のリアクションが予想と違ったのか、その人はあからさまにつまらなそうな顔をして、目の前のテリーヌに乱暴にフォークを刺した。 やっぱり、来ないほうが良かったのかな。 自分が何を言われても別に大丈夫だけれど、お母さんやお父さんが辛そうなのは嫌だと思う。どうして私がこの宴に呼ばれたのかよくわからないし、気持ち悪くなったとか適当な理由をつけて、そろそろ退席する準備をしようかな。 せっかく東京に出てきたのだから、こんなところでモヤモヤしていないで、両親と観光に行った方がよっぽど楽しそうだ。 「ご歓談中、失礼いたします。石村舞波さんでいらっしゃいますか」 「あ、はい。」 そんなことを考えていると、ふいに後ろから声をかけられた。黒いスーツにリボンタイの初老男性――今日はあちらこちらで同じ服装の人を見かけるから、執事さんだろうか――が、振り向いた私に一礼して、スッと青い封筒を差し出してきた。 「千聖お嬢様から、こちらをお預かりして参りました。」 「私に?」 「出来れば、早めに目を通していただきたいとのことです」 「はぁ・・・」 私は横目で、上座に陣取る家族の方を伺い見た。 本日の主役である、精悍な顔立ちで存在感のある凛々しい旦那様。 次々挨拶に訪れる客人に、愛想良く対応する美しい奥様。傍らの揺り籠では、赤ちゃんが眠っている。 そして、その隣に座っているのが、この手紙の差出人である、千聖お嬢様だった。 男の子みたいに短くそろえられた髪。旦那様譲りの小麦色の肌。中学2年生と聞いていたけれど、それよりもずいぶん幼く見える。 せわしなくキョロキョロ動くビー玉みたいな目が可愛くてジッと見つめていると、思いっきり視線がぶつかってしまった。 「あっ」 「あっ」 かなり席は離れているけれど、同時ぐらいにお互い息を呑んだのがなんとなくわかった。 「舞波?」 「ちょっと、外出てくるね。」 私が席を立つと、視界の隅っこで、千聖お嬢様も慌てて立ち上がったのが見えた。ジュースでもこぼしちゃったのか、軽い悲鳴と奥様の叱咤の声が聞こえる。 その声を背に、一足先に私は中庭へと足を運んだ。 美しい草花に囲まれたベンチで目を閉じてぼんやりしていたら、さっきまでの少し沈んでいた気持ちが落ち着いてきた。 そろそろ、来るかな? なんとなくそう思って、目を開けて姿勢を正した。 ジャストタイミングだ。数秒遅れて、蔦の絡まる柱の陰から、千聖お嬢様がよたよたと歩いてきた。慣れないミュールのヒールが憎らしいのか、困った顔で何度も踵と地面を見比べている。 「千聖お嬢様、こんにちは。はじめまして」 「きゃっ!」 いきなり声をかけたから、驚かせてしまったらしい。小柄な体が派手によろける。 私はベンチから離れて、よろけた千聖お嬢様を受け止めるように手を差し伸べた。 「あ・・・」 一瞬、触れた肩が強張った。そっか、触られるのは苦手なのかな。あまり気を使わせないよう、なるべく自然に手を離して、「大丈夫ですか?」と声をかけた。 「えと、はい、大丈夫です。支えてくださって、ありがとうございます。」 緊張しぃなのか、お嬢様はほっぺたを赤くして、若干モゴモゴした口調になっていた。 「あの、舞波さん。ありがとうございます。」 「え?」 「だって、お手紙、すぐに読んでくださったのでしょう?だからここに・・・・」 そう話しだしたお嬢様は、私の手元に視線を移すと、不思議そうな顔をした。 「あら・・?読んでいらっしゃらないの?でも、それならどうして?」 しまった。もらった手紙を持ったままにしていたから、シールでしっかり封をした、開けられた形跡のない封筒が、お嬢様の目にとまってしまった。 執事さんに聞きましたとか、言い訳できなくもなかったけれど、なんとなくこのお嬢様には嘘をつきたくなかった。・・・というより、話してもいい、となぜか思えた。自分の、特殊な能力のことを。 「お嬢様。話半分で聞いていただきたいのですが、実は私・・・」 「・・・そう、だったの。とても勘がすぐれているのね。だから、千聖のお手紙の内容が、読まなくてもなんとなくわかってしまった」 丁度話の区切りがついたところで、お嬢様は微笑した。 ライトイエローのドレスから伸びるお嬢様の小麦色の足が、庭園の土を軽く蹴って、二人乗りのブランコが緩やかに動く。 「驚いたわ。お呼び出しした場所までわかるなんて」 「なんとなく、ですけど。イメージが沸いてくるんです。」 驚いたとはいうものの、私の能力の話を聞いても、お嬢様は特別大きなリアクションは起こさなかった。最初は両親でさえ軽くパニックを起こしたというのに、この反応は新鮮だった。 「まるで、魔法使いのようね。千聖のクラスにも、魔法に憧れている方がいるのよ。あんまり話したことがないけれど・・・きっと、すぎゃ・・彼女が聞いたら、うらやましがるわね。」 「でも、百発百中ではないんですよ。外れれば人に迷惑をかけるし、あんまりお見せするものではなかったですね。すみません、不注意でした。」 私が頭を下げると、千聖お嬢様は不思議そうな顔をした。 「どうして?失敗は誰にでもあることでしょう。千聖も走るのがとても得意だけれど、転んでビリになってしまうこともあるわ。舞波さんもせっかく素敵な力をお持ちなのだから、失敗を恐れることはないと思うけれど・・・ きっとその能力は、人を笑顔にする素敵なものなのではないかしら。・・・舞波さん?どうなさったの?」 「いえ、あの・・・」 あまりにも予想外なお嬢様の言葉が心に刺さって、私は身動きが取れなくなってしまった。ここ数年、淡々と、心を揺さぶられることなく生きてきた私にとって、リハビリもなにもかもすっ飛ばしたいきなりの激情だった。 「舞波さん?」 「あ・・・すみません、何かそんな風に言ってもらえるなんて、びっくりして、目から鱗っていうかっ」 何とか場をつなごうとして口を開くと、昂ぶっていた神経がそうさせたのか、いきなり涙があふれた。 「ごめ、ちょっと、すいません、私ったら」 「まあ。舞波さんたら、目から鱗じゃなくて涙が零れてしまったのね」 私の目じりを、お嬢様が優しくハンカチで拭いてくれる。バニラのいい香りがした。 「あのね、舞波さん。今日ここに舞波さんを強引にお誘いしたのは、私なの。」 「どうして・・・?」 「わからないわ。お父様から、遠縁の親戚で年の近い方がいるって聞いたときに、なぜか無性に会いたくなったの。きっと、素敵なお友達になってくださるような気がして。これは、きっと千聖の超能力ね。舞波さんに出会えてよかった」 お嬢様はそう言って、ウフフと笑った。 「よかったら、これから千聖のおうちに遊びに来ない?ここから近いの。車で10分ぐらいよ。せっかくお友達になれたのだから、もっと千聖のことを知って欲しいわ。」 「でも」 「お願い。ね、舞波さん?舞波さんのお父様とお母様にも、千聖からお願いしてみるから」 「ウフフ、わかりました。では、2人で交渉してみましょう。」 「本当?嬉しい。後で妹弟のことも紹介するわね。そうね、まずは、会場に戻りましょう。」 千聖お嬢様はパァッと明るい表情になって、勢いよくブランコを飛び降りた。 「もう、お嬢様ったら、ミュールで危ないですよ」 「大丈夫よ。早く行きましょう、・・・舞波、ちゃん」 「もう、そんなに急かさないでくださいって。・・・・千聖。」 一歩間違えれば大変な無礼にもなるけれど、きっと、これがお嬢様の望み。案の定、お嬢様・・千聖は少し目を丸くした後、目をくしゅっと細めて笑った。 「やっぱり、舞波ちゃんはすごいのね。千聖の自慢のお友達だわ。」 まるで羽でも生えているように、軽やかな足取りで、千聖は走る。その背中を見つめ追いかけながら、私は初めて、この能力を持って生まれてきたことに心から感謝した。 次へ TOP
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/1349.html
「とにかくだ。武術に筋量は必要ない」 「本当にそうなんスか? キャプテンブラボー」 手を挙げたのは中村剛太。武術……というか鍛錬とは無縁そうな人物である。 「剣術はなんとなく分かりますけど、殴ったり蹴ったりするのはけっこう力要りますよ? そうでもしなきゃナックルダスターや スカイウォーカー通りませんってホム相手に」 前半耳にした瞬間わずかに目の色変えた男がふたり。 (……フ。剣士でもマッチョな奴は居たけどな) (飛天御剣流。総角の振るう流派の何代目かの継承者が確か……) 最近思うところあり古流について調べている秋水だから思い当たる。平生バネの付いたひどく重い外套で力を押さえていた 男の話を。 「ブラボー。流石は戦士・剛太。なかなか鋭い質問だ」 話の腰を折られた形だが防人は涼しい顔だ。むしろ質問大歓迎という風でこう述べる。 「じゃあとりあえず順を追って説明する。ああ戦士・斗貴子たちも必要と思ったらメモしなさい」 普段の剛太ならば面倒くさそうに後頭部をかくところだが、今回は違う。目下講義を受けているのは斗貴子のためだ。来る 戦いのため僅かでも強くなろうとしている。のでメモを取りたいのだがそこは平素の無精癖、「俺けっこう記憶力いいしいいや」 とばかり携帯してない。 「はい」 「かじったのあるじゃん。やる。垂れ目」 助け舟は女性陣だ。桜花が手持ちから数枚破り差し出した。筆記用具は歯型だらけの茶色い鉛筆が香美から供出された。 「フ。お前意外にモテるな」 「うっせえよ」 総角の茶々は無視。用紙を核鉄に当て──ボード代わりだ。臨機応変だが少々だらしないのが剛太流──筆記開始。 「要するに筋力って奴は縮む力と速度だ。まぁ一口に縮むと言っても色々あるが今日は省く。分かりやすくいえば──… 縮む速度 × 縮む力 だな」 「ふんふん」 武術と無縁な剛太でも大変分かりやすい説明だった。なまじ頭のいい彼だから長話は嫌いである。一般常識の講義に対し 「で、結論なんだよ?」と居眠りこいて後でググってそれでよい点採っていたのが研修時代。防人の説明はそんな性格を 踏まえた速成即席の単純授業だった。数多くの戦士を育ててきた年季を感じ秋水はますます敬意を深めた。 「なお細かい説明がご入用でしたら後ほど不肖が解説する所存!」 「やだよ長くなりそうだし」 「そうは仰られますが剛太どの! 知識といいますのは長く険しき道をかきわけかきわけ進み続けてようやくですねっ?」 「拒絶しても火ぃつくのかよ!」 剛太は詰め寄られた。 「長いのお嫌でしたらCD! 不肖がポイント別に5分づつ区切って説明いたしまするCDを作成生産のうえ配布! 寝る前 ご飯食べてる時おヒマな時のながら用にちょびちょび聞きますれば効果覿面知らぬ間に熟達するコト必然! 隙間時間が 有効利用できるコト請け合いですっっ!!」 ロバ少女のどんぐり眼に火が灯った。胸の前で拳を固めきゃいのきゃいのと騒ぎ立てる。「実況つーか喋るの好きすぎだろ お前……」上背を押しやられる形で剛太はドン引きした。 「む。気乗りされぬご様子。ならばいまなら不肖が読み上げまする百人一首ならび円周率20万桁詠唱のCDもセットで……」 「いらねえ! 最後の地味にすげェけどいらねえ!! 「あ、私は聞きたいです」 「毒島が釣られた! 円周率に釣られた!」 毒島がちょっと頬を染めながら頷くと(ガスマスクの頬である)小札は澄み渡った鳶色の瞳をいっそう輝かせた。 そして全力で握手。色々気が合うらしい。 「というコトでらじかせどの一席お付き合いのほどREADYでありますレディのゴー。けほん」 農家のおばあさんのような平坦で抑揚なき牧歌的な声をあげながら。 一団から少し離れたところで正座状態の小札が万歳しつつペコリとお辞儀。向かいにはラジカセ。紫の座布団に乗っている。 「あれ……上座よ…………」 「分かったから笑うな! 桜花お前最近笑いすぎだぞ!!」 斗貴子の怒声も空しく銀成学園生徒会長は麗しい顔を俯かせブルブル震える。電化製品をもてなす姿がツボに入ったらしい。 『はは! 小札氏にとって録音機器は神だからな!! いまの気持ちたるや伝説の棋聖と差し向かう駆け出しの少女棋士!!』 「だからって……上座…………ラジカセ座布団に乗せて上座…………」 いよいよ切迫、引き攣った声を上げる桜花をよそにマイクを刺しなにやら吹き込み始める小札。 タイマーをセットしたのを見るとホントに5分区切りで行くらしい。 「あ、あと……CD作れるラジカセって何……? あるの、あるのそれ……?」 「知るか!! 笑いながらツッコむな!」 『小札氏がマジックで出したからな! 常識外れでも仕方ない!!』 「でだな。筋力のうちトレーニングで鍛えられるのは縮む力の方だけだ」 「なるほどなるほど。縮む力だけと」 ひとりごちながら鉛筆を走らせる後輩に 「というか珍しいな。剛太がマジメに勉強しているところ始めてみた」 斗貴子は感心したような不思議そうな目を向けた。 (たぶん姉さんが入れ知恵したな。さっき話した時) 嫣然と微笑む──やや剛太に対する不憫を混ぜながら──桜花を思いだし悟る弟。 「ん? そーいや筋肉って鍛えりゃ鍛えるほどデカくなりますよねキャプテンブラボー」 剛太は顔をあげた。気付きがそこに満ちている。 「縮む力……でしたっけ。ソレ高めて筋力つけた場合、もう片方、ええと、ああそうだ縮む速度。コレ落ちずに済むんですか?」 「ブラボー。キミはつくづく鋭いな」 「……なにをあの男は言ってるのだ?」 「…………さあ……です」 良くわからないという年少組ふたりに呼び掛けるよう防人。 「戦士・剛太。キミはつまりこう言いたいんだな? 『筋トレのしすぎで体が大きくなればそのぶん動きが遅くなる。それは筋肉 の縮む速度に影響するのか』……と」 「ええまあ。そんなトコ」 「答えはノーだがイエスでもある。理論上は力の強い者ほど速い。まあ実際は結果として違うが……フム。どうしたものか」 防人は軽く唸りながら秋水を見た。なぜ見られたか分からず彼は少したじろいだが微かな笑いと実直な目線に役割を悟る。 (成程。さすがキャプテン) 何を目論んだか理解すると林檎を齧ったような清涼感が全身いっぱいに広がった。 「そうだな。戦士・剛太。キミのいうケースもあるにはある。ただ説明するとなると少々フクザツでな。決戦まで時間がない。 今回は駆け引きに関する部分……心理面なものだけ説明しよう。」 「えーと。じゃあ俺の言ったのと逆。筋肉鍛えすぎたばかりに縮むのが遅くなって、だから動作もノロくなるケース、と」 「ブラボー。察しがいいな。火渡を出し抜いたのも納得だ」 「ぐ……。そろそろあの男(剛太)の言ってるコトが分からなくなってきた……」 無銘は頭を抱えた。鐶は「そんな時は……ビーフージャーキー……食べます?」と差し出した。 「なに簡単な話だ。心理的な問題だ」 (分からん。だがビーフージャーキーは今日もうまい) ぱくぱくと咀嚼しながら聞く。防人の説明を。 「誰だって鍛えた筋肉は使いたいと思う。するとつい意識を集中してしまう。だが筋肉ってやつは難しくてな。意識し力むと 却って性能を発揮しない」 「要するに力込めると縮むの遅くなるって訳ですね」 「ブラボー。そういうコトだ。極端な話、縮む力を2倍にしても速度が4分の1なら意味はない。実質半減だからな」 やっと無銘は分かってきたようだ。「力むの良くないのだな」と頷いた。 「言い換えればだ中村。相手に無理な力みを与えれば本来の性能を発揮させず済む」 「それが武術の真髄って訳? でもホムに通じるのかソレ? あいつらカナモノっぽいだろ、筋肉とかあんの?」 「え」 秋水の瞳が瞬いた。 「え」 答えが来るとばかり思ってた剛太も虚をつかれた。 まじめくさった顔つきで考え込む秋水。 「そういえば分からないな。あるのだろうか」 「いやお前元信奉者だろ! ソレぐらい知っとけよ!!」 「なんだなんだお前たち。いつの間にか打ち解けているな。ブラボーだ」 防人はメイドカフェの件について何が出てきてどう倒されたか位しか聞いていない。剛太と秋水の変化が意外らしい。 「というかキャプテンブラボー! どうなんですか!」 「ホムンクルスの筋肉か? そういえばあまり研究進んでいないな。弱いのは似たり寄ったりだし……」 聞けば生け捕りは難しいらしい。人間型で強い者はだいたい武装錬金を持っている。それを制そうとすればより強い力で 叩き潰すほかない。よって強さの秘密は未解明。司法解剖も不可。死ねば塵なのだ、ホムンクルスは。 「ただ複雑な構造のホムンクルスほど挑発に弱い傾向がある。クモのように手が多い奴とかな。激昂すると体の操作を 誤り隙が生じる」 「! そうか。ホムンクルスは高出力。それゆえ人間相手に修練する必要はない」 「持ち前の力振るってるだけで食事できるもんな」 「強いが鍛えていない。それ故アイツらは不測の事態にひどく弱い」 人間でさえ怒りに我を忘れれば足が縺れ転んでしまう。2本しかない足すら精神状態如何で操作過つのだ。いわんや 動植物型ホムンクルスをや。指に多寡あり足は無数で羽さえあり触手については数千本……。人間より遥か入り組む デバイスを、修練もなくどうして完璧に使いこなすコトができよう。 「俺が筋肉を通じ今回知って欲しいのはそういう部分だ。力の出し方そのものじゃない」 「最初さっぱりでしたけど内容聞けば一発ですよ一発。要は仕組みの穴をどう突くかでしょ。人間もホムも自分の体カン ペキに使いこなせてない奴があまりに多いから、うまく立ち回って、本領発揮できなくすりゃあ勝てると」 (言うほど簡単じゃないぞ中村) 相手を心の方から崩すのもまた難しい。他者の心を崩さんとするとき先立って崩れるのが自らのそれだ。「崩してやる」 そう思って攻めるコトの弊害を剣道経由で十分知っている秋水だから剛太は少し危なっかしい。 (ま、こうなるのは見えていたがな) 防人は「予想通り」という顔をして秋水を見る。剣客としてすべきコトが自ずと分かった。 話、続く。 「で、こっちから攻める場合の話だ。一般的に筋力といって思い浮かべるのはさっき言った縮む力だ。ただコイツは力んで出 せるものじゃない……ってのも説明済みだな。筋量を増やしても結果的には変わらない」 「鍛えて筋骨隆々になれば力出せそうな気がするが違うって訳か。メモだなメモ」 「なんだと! じゃあ柘植の飛猿は無力な役立たずなのか!!?」 「……君が反応するのはそこなのか?」 悲痛な叫びを上げる無銘に秋水は少し呆れた。 「ならどうすりゃ効果的に力出せるんすかブラボー?」 「出すというか、効果的に伝える方法なら3つある」 腕組みしたまま横向きの三本ピースを作る防人。 「1つ目はズバリ重力」 「脇構えのとき話したアレですね」 「そうだ。戦士・剛太。ちょっとジャンプしてみろ。膝を伸ばしたまま爪先立ちして背伸び。踵を落としてから飛べ。着地も爪先 立ちだ」 従う。豊かな髪が揺れた。 「キミはいま何気なく飛んだが、実をいうと体は無意識に重力を使っている」 「?? 飛んだのにですか? カンペキ重力に逆らってるじゃないですか」 「と、思うだろう。爪先立ちだというところがミソでな。飛ぶ直前、ちゃんと踵を下ろしたな?」 「ええまあ」 「踵を降ろしたときアキレス腱は落下の運動エネルギーを蓄えている。つまり重力を溜めた。跳躍時ほかの筋肉はすでに 説明した縮む速度と縮む力の掛けあわせでパワーを発揮するが、アキレス腱は違う。貯蔵した重力を解放している」 「つまり重力が俺を打ち上げたんスか? ……まじすげえっすね重力。つーか人間の体」 右膝から下を横向きに跳ね上げしげしげ見る。 「これを脇構えのときに説明した『抜重』……足に体の重みをかけず完全に脱力する行為と組み合わせるとより効果的だ」 「破壊力が増すんですか?」 「やれやれ。キミは破壊力にこだわりすぎだぞ」 ため息をつき首を振る防人に剛太は呆れる。秋水ともども。 「いや言われましても。というかブラボーに教えてもらってるんですよ? あれだけ破壊振りまける人に教えて貰ったらそりゃ 拘るでしょ破壊力」 「俺そんなに色々壊してるか?」 防人は心底意外そうだ。秋水に問う。 「ええまあ、色々……」 火渡との件で一線を退いた感のある防人だが、鐶との戦いではそれをまったく感じさせなかったという。桜花から色々 聞いた。秋水さえ下した鐶相手に互角の戦いを繰り広げたと。時速300キロ以上で急降下してきた鐶を一撃必殺ブラボー 正拳で迎撃し引き分けたと。踏み込んだアスファルトが広範囲に亘ってヒビ割れたと。衝撃で周辺施設のガラスが砕けたと。 (ビルだって幾つも壊したというし……) 「?」 ある意味人間兵器な防人だが自分の危険性をよく分かってないらしい。 「まあいい。俺が言いたいのは破壊力を上げるコトじゃない。元ある攻撃力を効果的に伝えるコトだ。そうすりゃ自然に数倍 まで引きあがる」 (ブラボーの場合数倍どころか数百倍ぐらいに見える……) 呻く剛太。秋水も追随。総角が敬服するのも無理はない……改めて実感だ。 「で、効果的に伝える方法だが。あまり深入りすると話が見えなくなるんでな。実際やろう」 つかつかと剛太に歩み寄った防人。の姿が急に消えた。 「え? ブラボー消え……あれ?」 剛太は仰天した。拳。それがみぞおちの前にある。ニカリと笑う防人の顔も間近にいる。 「い、いつの間に来たんすか? 飛んでくる気配なんて微塵も……」 「それを消すのが重力だ」 拳を引っ込め数歩下がる防人。 「何度も言うが決戦まで時間がない。体術に関しては仕上げる時間がない。だから俺がキミたちに伝える技術というのは あくまで駆け引き的なものだ。本来修練の果てやっと悟る武術の心構え……真髄の方からまず教える」 「いま気配も悟らせず突っ込んできたのがその1つ……」 やっと青くなる剛太。殴られかけた恐怖がよぎる。 防人がどれほど強いか知っている。一線を退いたとはいえ殴られればまだまだ相当痛いだろう。 「武術において大事なのは敵意を悟らせないコトだ。迂闊に気配を出すとそれだけで避けられる。だが……いま俺がやった ように重力をうまく使えばまず察知されない。力の伝達がムダなくできる。身もフタもないコトをいえばだ。殴れる」 「……いったい何をやったんですか?」 「たいしたコトはしていない。ただの騙しだ。結果から言えば俺はただ重心を時速6.5キロで16センチばかり沈めただけだ」 「たったそれだけ! 俺なんかの目には神業来たようにしか見えませんでしたよ!?」 具体的……しかも決して高くない数字の羅列に掠れた声が張りあがる。 「そう。タネさえ聞けば大したコトはないだろう。しかし俺は重心を落としながら抜重しつつ全身の筋肉を連動、踏み出しながら 拳を突き出した。そうすると爆発的な加速が生まれる。加速するとパワーもまた必然的に高まる」 「一流選手の反応時間は0.35から0.4秒。一般的なストレートの突きは0.3秒。十分対応できる範囲にある」 「なんだよ早坂。いきなり解説かよ」 「しかし重心を6.5キロで16センチ落とした場合の所要時間は0.18秒」 「れ、0.18秒! ってコトは!!」 「そう。人の認知の外にある」 「これはいわば攻撃の起こりだが、まず察知されない。実際キミだって反応できなかったろ」 「気付いたらもう近づかれてました」 「でも俺はメチャクチャ早く動いた訳じゃないぞ? キミならなぜか分かるはずだ」 「あー……。重力っすよね。最初言いましたもんね。重力に任せて重心沈めたと」 意識によって動かすべき体を重力に動かさせる。0.18秒だから気付かれない訳ではない。攻撃の気配そのものを発さぬ からこそ悟られない。 「ブラボー。これもそれなりの修練はいるが目指すところは単純だ。『相手に攻撃を察知させない』。たったそれだけを実現 するため俺は体を鍛えた。いいか。鍛錬そのものが目的じゃない。武術的な機微で相手より優位に立つため鍛えるんだ」 「突き詰めれば中村。キミと武術の相性は案外いい。最終的には智謀や精神がモノをいう世界なんだ」 だからやってみよう。熱を帯びた口調で誘う体育会系ふたりに剛太はかなりたじろいだ。 「興味がねえ訳じゃないけど時間ないって。やる時間が。というかブラボー、力効果的に伝える方法の残りは?」 「待て中村」 制止する秋水に剛太は怪訝な顔。何か重力について聞き残したコトでもあるのだろうか? 取り合えず向き直り話を聞く。 「君は奥義ばかり手っ取り早く求めすぎだ。もっとこう地道な鍛錬をだな」 「なにかと思えば説教かよ!! お前好きなのか鍛錬!」 「ああ。昔は義務感でやっていたが今は鍛錬そのものに落ち着く。素振り1つやるだけでも心洗われる気分だ」 「しみじみ語るな!! そこまで好きか剣道!!」 もちろんだ。辛いコトもあるし夏場の防具はひどい匂いだがそれでも好きだ……生真面目にかつ力強く頷く秋水にただ呆 れた。 「この剣術オタクが! もういいっすキャプテンブラボー。残りお願いします」 力を効果的に伝える方法。残りは──… 「2つ目はテコ。最後は間接の力」 「テコと……間接」 「そうだ。人間の体にはおよそ600の筋肉があるがいずれも単体では威力を発揮できない。他の筋肉と複合して初めて 最高のパフォーマンスを発揮できる。さっきの突きもその応用だ」 「じゃあバルスカと似たようなもんですね」 「ん?」 「アレ。ひょっとして知りませんでしたブラボー? 先っぽについてる鎌が目にも止まらねェ速度で動く時って必ず他の可動 肢と連動してるんすよ。ホムの目玉アタマごと突き刺しに行くとき先端そのものも動いてますけど、太ももの辺りとか途中の 間接部分とか勢いよく動いてます」 (…………君は津村を見すぎだ) 本体を眺めているうち気付いたのだろう。凄いのか凄くないのか良く分からず秋水は呻いた。防人もちょっと頬に汗。 「ま、まあ例えはともかく」 「ともかくって何ですかブラボー。先輩はすごいんスよ!」 (君……俺の剣術好き貶せないのでは……」 楽しそうに語る剛太に呆れた。男というのはどうも他人の趣味に狭量らしい。 「ともかく! 連動という点では筋肉もバルキリースカートも同じだ。あっちが速度を稼いでいるように筋肉も力……縮む力を 稼げる」 「テコってのはアレっすねブラボー。斗貴子先輩が敵の生首ぶっ刺したまま鎌ふりかざしたら予想以上の破壊力が生まれて 敵ミンチ! みたいな!!」 斗貴子が絡んだせいか剛太の理解力は飛躍的に向上した。語る顔ときたらエビス様もビックリの緩みぶりだ。 ちなみに桜花もまだ小札の件がツボで笑っている。賑やかしい御前が先ほどからまったく会話に加わってこないのは、本 体が、めくるめく笑撃にいま1つの人格を操作する余裕をすっかり奪われているからだ。 響く笑い声。和やかだが秋水はちょっといたたまれない気分だ。 「間接についても似たようなモンだ。骨組みを伝わる力や回転を調整すれば少ない労力でより大きな力を発揮できる」 「というコトは戦士長」 初めてココで斗貴子が話に入ってきた。無銘や鐶はと肩越しに見れば香美(というか後頭部の貴信)から噛み砕いた防 人の説明を哺(ふく)ませて貰っている。「年長者だな」。剣道部で副部長として最近ようやく後進の育成に当たり始めた 秋水だから貴信のそういう部分は好ましい。 とにかく斗貴子が会話に加わる。骨組みや回転に反応した以上議題は1つだろう。(というかバルスカという単語に 引き寄せられた) 「だな。パワー型に劣勢を強いられるキミの武装錬金でも戦いようはある」 (…………これはかなり大きい。バルキリースカートの特性は高速精密機動。武術……特に合気の呼吸を取り入れれば) (マレフィックとかいう強そうな連中との戦いに役立つ) 秋水と剛太は頷きあった。斗貴子も気付いたようで「だったらもう少し早く言って下さい」と嘆息した。 「まあ、どうせ以前の私じゃ危なっかしかったからでしょうけど」 「そ。でも今は違う。俺のさっきの言葉に何か考えるところがあるようだしな」 精悍な顔に好ましさを滲ませながら指差すと斗貴子は軽く目を逸らす。まだ気持ちの整理がついていないのがよく分かった。 「筋肉に話を戻そう。色々利点を話してきたが、実は難点が1つあってな」 「難点?」 「ああ。全身の筋肉を協調させるにも訓練がいる。ただ鍛えればいいってもんじゃない。それぞれの筋肉のつながりを理解 した上で無理なく力を入れず動かす訓練がな」 斗貴子は頷く。 「話はだいたい聞いていた。ヘタに力めば縮む力や縮む速度が失われる。重力だって効果的に使えない。テコも間接もな」 「そんな。筋肉って600ぐらいあるんでしょ? 今からじゃとても決戦間に合いませんって」 「だから絞る。戦士・剛太。キミがこなすのは2つでいい。2つの型のフォームだけ徹底的に作り上げる。長い目で見れば あまり好ましくないが2つのフォームに関わる筋肉だけを重点的に調整する。もちろん全身のコントロールも軽くレクチャー するが…………そちらはキミの理解力と自主性に賭ける」 「2つ……? なんですか?」 「決まっているだろう中村。ナックルダスターとスカイウォーカー。平たく言えば拳打と蹴撃」 剣客らしい古風な言い回しに「いやアッパーとハイキックっていえよ」と呆れつつ剛太。すっと真顔に変化する。 「鍛えりゃ先輩助けられますね?」 「キミ次第だ」 防人はニカりと笑う。やる気を認めた証拠である。 (これも大きい。モーターギアは破壊力に劣る武装錬金。ゆえに基本は遠距離攻撃) (だが剛太自身の攻撃力が増せば近接戦闘でも十分戦力になる。武術から駆け引きを学べば、なお) 斗貴子の横で秋水は考える。 自らのすべきコトを。 かつて貴信と香美の能力を暴き、秋水の戦いを支えてくれた剛太に。 何をすれば報えるか……と。 「それから各自に課題を与える。まず桜花。キミは──…」 2時間後。 「キツい……マジにキツい……」 真白になって横たわる剛太の姿があった。 「こらこらバテるのはまだ早いぞ。ナックルダスターもスカイウォーカーもまだ50発ずつしか練習してないだろうが。休むなら せめて全身運動してから休みなさい。整理運動になる、やった方がのちのち楽だし立ちなさい」 伏せる垂れ目。力なく手をあて一言。 「……もうダメ。動きたくない」 「やれやれ」 腰に手をあて嘆息する糸目の防人。秋水も続けて呼びかける。 「中村……」 「なんだよ……早坂」 「君は体力ないのか? いつも使ってる技だろう。途中20分も休憩入れれば十分こなせる量だと思うが」 「うるせえよ」 うつ伏せになって顔を背ける剛太。顔色はそろそろ土気色だ。声もハリがない。床の冷たさが鼻先にこたえたのか、顎 を床に乗せ直し唇も尖らす。 「同じように見えても普段使ってねェ筋肉いろいろ使ってんの! それが1分にだいたい1発だぞ1発…………。キツい……」 50×2プラス休憩20分。現実的すぎるメニューだからこそ疲労もリアル。 「だいたい俺はお前やブラボーのような体育会系じゃないの。頭使って戦うタイプ」 「……。それで思い出したが中村。後で俺と──…」 「よく分からないが剛太。休むならちゃんと休め。おかしな休み方すると却って疲れるぞ」 「先輩」 秋水を遮った斗貴子が傍にしゃがみ込む。それだけで剛太は輝きに包まれ至福の顔だ。 「さっきから姿が見えなかったが。津村。君はどこに──…」 「風呂を沸かした。布団だって上(管理人室)に敷いてある。夜も遅いしもう休め。休息も核鉄当てて眠るのも特訓だ」 (はは! 意外に優しい!!) (優しいじゃん) (我知ってるぞ! ああいうのをよくできた副部長というのだ!!) (…………でも……逆効果……なのでは) 総角が笑い小札がいまだ円周率を唱える中。 「いーえ大丈夫! 俺まだまだ全ッ然やれますってば先輩!」 剛太は跳ね起きた。速攻で拳を突き上げたり高く蹴り上げたりした。掠れた声が熱く燃える。 「先輩に励まされていつまでも寝ていられるかってんだ! キャプテンブラボー! もっとキツい特訓をお願いします!!」 「ブラボー!! その意気だ戦士・剛太!! 頑張れば! 頑張っていればいつか報われる時も来るッ!!」 「はいブラボー!! おおおおおおおおおお!! 調子出てきた! 見てください先輩! 出てきましたよ先輩!!」 「落ち着けお前ら!!」 目を三角にして叫ぶ斗貴子に秋水は思う。ああ翌日筋肉痛で動けなくなるなと。剣道部の後輩はテンションをあげるたび よくそうなる。 チーン。 頭にタンコブをこさえた剛太が幸せそうに微笑んでいる。目を三本線にし鼻水を少し垂らし。 「まったく。熱を入れるのはいいが少々ハシャギすぎだぞ。分かってるのか。決戦前だぞ」 ここで潰れたら意味がない。ガミガミと説教する斗貴子だが剛太はまったく動じない。むしろ怒られるたび回復している らしかった。 「聞いてるのか!! ああもう正座してろ正座! 少し頭を冷やせ!」 呆れ果てた斗貴子が離れる。剛太は従順だ。「ウフフ。先輩に正座命令された先輩に正座命令された」とご満悦だ。 「津村」 「なんだ?」 振り返ったショートボブの凛々しい少女に言うべきか言わざるべきか悩んだ秋水がそれでも吐露を選んだのは、らしくも なく気焔をあげ特訓に挑む剛太がいたたまれなくなったからだ。 「中村は君にいいところを見せたいんだ。だから頑張ってる」 「ん? あ、ああ。そうだな。昔からああだ。私の前だと妙に張り切る。何故だろうな」 「……」 まったく分かってないのが分かった。 「ああそうか。サバイバル訓練を担当したからか。情けない姿を見られた分、取り返そうとしているんだな。やっと分かった」 (中村……」 無理解にも気付かず幸せそうに正座続行中の彼を見て思う。 (不憫だ) 「しかし珍しいな」 「何が?」 腕組みする斗貴子も少し言いよどむ。どうもお互いまだ遠慮があるようだ。普通に話すようになってまだ間もない。 「君が他人を、剛太を気にかけるなんて」 「……変わらないようで変わっていくのが人間だ。今だからこそそう思う」 前歴は違った。桜花以外見えていなかった。世界に無関心で人にも無関心で。剛太に憐憫の情が動くのは大きな 進歩だろう。 「津村。君だって例外じゃない。悩むのは分かる。だが無理に結論を決めるな」 「戦士長のさっきの話、か」 斗貴子は難しい顔だ。 「俺がとやかくいう権利はない。だが君まで俺のようになる必要はない」 沈黙が返る。彼らにとって言葉を尽くすべき議題ではない。カズキ。秋水は刺した。斗貴子が傷つけてでも守ろうとした 彼の命を……奪わんと、した。 「誰かを守りたい。そう願うのはきっと正しい。だがあらゆる災厄から守る事と何もかも敵視する事は似ているようで違うん だ。だから俺は誤った。誰かの日常に欠かせない大事な存在さえただの敵だと思い込みそして刺した。俺にとっての姉さ んのような存在なのに、気付けず、慮るコトもできず……。君が俺にわだかまりを抱くのは当然だ」 「……」 「このまま行けばいつか君は俺になる。誤り、誰かの大事な存在を傷つけそして果てない怒りを買う。君がホムンクルス に抱いているような憎悪を今度は君自身が受けるんだ。ともすれば周りも……それを」 剛太は懸命だ。膝が笑う中、上段回し蹴りとアッパーを何度も何度もやっている。 汗を散らしながら励む後輩の姿に一瞬斗貴子の目が優しくなるのを秋水は見逃さなかった。 「澱んだ感情に見境などない。俺を見たはずだ。俺たちを殺さんとした君ではなく守らんとした武藤を刺した俺の姿と 俺の目を。道理は、通じない。復讐は波及する。苦しめるためむしろ周りこそ攻め立てる。それは君をますますもって 苦しめる。だから……急ぐな。結論を」 「…………」 「戦士長も言っていた筈だ。君だって誰かの日常の一部なんだ。慕うものだっている。武藤さんはそうだし……中村も同じだ。 だから彼や武藤さんを悲しませるような真似はしないでくれ。少しでいい。気持ちは……汲むべきだ」 重い口が開いた。 「覚えてはおく。だが……」 背中を向け斗貴子は遠ざかる。 「ずっとホムンクルスを憎んできたんだ。すぐ何もかも変えられる訳はない。しばらく考えさせてくれ」 疲れきった声。カズキを失って沈んだ彼女に防人の問いは少し酷だろう。だがだからこそ引き上げる行為を敢行したのだ ろう、防人は。必ずしも正しいとはいえない難しい判断。だがやらねばレティクルとの戦いで捨て鉢になりかねない。故の調整。 キャプテンであるコトの複雑さを秋水は感じた。 (それでも……考える、か。急ぎはしないんだな君は) ほんのわずか。ほんの僅かだが言葉は通じたようだった。 「足……シビれる……で、でも、先輩の命令だと考えるとこれはこれで気持ちイイ……」 ビリビリと震えながらもやっぱり多幸感あふれる剛太である。 「イヌか!」 「無銘くんに言われなくない……です」 「いま分かったぞ。あの男……ヘン!!」 「だからそれも…………無銘くんに言われたく……ない、です」 無銘と鐶(ちなみに防人の指導のもと組み手をしていた。人型になって間もない前者は体の試運転。基本ノーガードな後 者は初歩的な防御の練習。ある意味実力均衡な組み合わせに秋水は防人の指導者としての素養を見た)が呟くなか、 防人は右手の槌で左を拍つ。 「ふむ。他の皆も疲れているようだしいったん解散。好きな場所に行きなさい。残りたい者はまあ適当に休憩したのち続行」
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8274.html
前ページゼロのチェリーな使い魔 フリオニール達が「スカボロー」の港でルイズとワルドを待ち伏せしていた頃 ルイズとワルドの乗った船がフリオニールの想像通り空賊の軍艦に拿捕されていた。 捕まえた船にトリステインの貴族が二名同乗していたので、賊はとりあえず軍艦の船蔵に 軟禁し、賊の一人がアルビオン行きの目的を問いただすときびすを返して蔵から出て行った。 空賊なんぞに屈服してたまるものか、と毅然とした態度を崩さないルイズにワルドが 「いいぞ、ルイズ。さすがは僕の花嫁だ」 すっと近づき肩を抱いて励ます。ポイントを稼ごうと躍起になっているようだ。 しばらくすると先程の賊が二人の元へやってきて 「お頭がお呼びだ」 船長室へと案内した。 狭い廊下を通り細い階段を上るとある一室の中へ入るよう促された。二人はドアを開けて 中を見渡すと豪華なディナーテーブルがあり、上座に派手な服を着飾り水晶の付いた杖を 握った男が鎮座しているのを確認した。恐らく元メイジの船長だろう。 「さぁ、名前を言え」 「大使としての扱いを要求するわ」 ルイズは恐怖に震えながらも空賊のお頭に一歩も引くことはなかった。 押し問答の末、このお頭こそがアルビオン王国の皇太子ウェールズ・テューダーその人で あることが判明した。 ウェールズは賊に扮した変装を解き、拿捕は敵の補給路を絶つ為であることを弁明すると 「アルビオン王国へようこそ大使殿。君達を試すような真似をしてすまかった。外国に 我々の味方がいるなど夢にも思わなかったのだよ」 歓迎の挨拶と無礼の謝罪をした。 ルイズとワルドは居住まいを正し自己紹介を済ますと、 「アンリエッタ姫殿下より密書を言付かって参りました」 ルイズは胸のポケットからアンリエッタの手紙を取り出した。 恭しくウェールズに近づき手紙を渡そうとしたルイズだったが 「あの・・・失礼ですが、本当に皇太子様ですか?」 躊躇いがちに伺った。するとウェールズはクスクスと笑い出し 「さっきまでの変装を見ていれば無理もない。僕はウェールズさ。何なら証拠をお見せしよう」 ルイズの指にはめられた指輪を見つめて言った。 この指輪はアンリエッタがルイズに手紙を託す際に困った時の旅の資金にでも、とプレゼントした ものでルイズはこれから一体何が起こるのか好奇心に駆られた。 ウェールズは自身の薬指に光る指輪を外すとルイズの手をとりアンリエッタの指輪に 近づけた。二つの宝石は共鳴し合い虹色の光を放った。 「僕の指輪はアルビオン王家に伝わる『風のルビー』だ。君が嵌めているのはアンリエッタの 『水のルビー』。そうだね?」 ルイズはコクリと頷く。ウェールズは微笑を浮かべ 「水と風は虹を作る。王家の間にかかる虹さ」 大使を労った。ルイズは改めて謝罪の言辞を述べ手紙をウェールズに手渡す。 ウェールズは大事そうに手紙を受け取り花押に接吻すると封を開け便箋を取り出した。 真剣な表情で手紙を読み耽るウェールズ。途中驚いたように目を見開いた瞬間があったが 最後の一行まで読み終えるとルイズとワルドを笑顔で見つめ 「了解した。しかし、姫より返して欲しいと頼まれた物は今手元にはない。ニューカッスルの 城にあるのだ。僕の宝物だからね。多少面倒だがお二人にはご足労願いたい」 ニューカッスルまで同行するように促した。 ローブをまとった怪しい男と対面するフリオニール達。 「いいんじゃない?そのかわりガゼネタ掴ませたら承知しないわよ!」 キュルケは他に当てがあるわけではないので、ラ・ロシュールから出港した船に男女一組の 貴族が乗っていて昼頃にはこのスカボローに到着しているはずである旨をローブの男に 伝えると金貨10枚を支払った。 持ち逃げされたら困るから、という理由でフリオニールがローブの男に付き添うことになり 約束が違うとゴネるローブの男の袖を引っ張ってレストランから出て行った。 フリオニールはローブの男と共に波止場をはじめ裏通りのカジノなど人が集まる場所へ 出向いて聞き込み調査をしたが目ぼしい情報を得られなかった。 どういうことだ!と怒るフリオニールにローブの男はおずおずと 「お客さん、何かの勘違いではありませんかね」 「そんなことはない!ラ・ロシェールの発着場には船はなかったんだ!」 「でしたら賊に捕まったとしか・・・」 「やっぱりそうか!?くそっ!」 「・・・お客さん、これは噂なんですがね・・・」 ローブの男は顔を近づけると小さな声で 「王党派が空賊に化けて反乱軍の物資を横取りしているそうな」 「本当か!?」 「まぁ、あくまでも噂ですし実際に目撃したものはいませんがね」 「王党派はどこにいるんだ?」 「はぁ、ニューカッスル城に篭って最後の抵抗をしてますが」 フリオニールは「ご主人様」からアルビオン行き同行を言いつけられたが何の用事で出向いて いるのかまでは判らない。 王党派が味方であるにせよ敵であるにせよニューカッスルへ行けば手がかりが得られる かもしれない、と顎に手を当てて思考を巡らせていたが意を決して 「ニューカッスルまで案内してくれ!」 「しかし、あそこは今激戦区ですよ?」 「かまわん!」 「じゃあ、保険金としてあと金貨40枚を」 ローブの男は右手を差し出し甲高い笑い声を発するのであった。 フリオニールはローブの男を伴って波止場のレストランへ戻り今後の対応を協議する。 行き違いになっては困るのでキュルケを留守番役とし、とりあえず様子見という形で フリオニール、タバサ、ローブの男の3人が出向くことになった。 留守番に文句を言うキュルケを懸命に宥めている間にシルフィードが夕日を背にやってきた。 立派な風竜を目の当たりにしローブの男はゴクッと唾を飲むと 「いやぁ、立派なドラゴンですな。これなら明日未明にはニューカッスルに着くでしょう」 お世辞を言いつつ保険金の催促をした。 やってられない、とばかりにキュルケは憤然と財布から金貨10枚を抜き出すとローブの男に 乱暴な手つきで渡した。 ローブの男は提示した金額より低い額を渡されたので文句を言おうとしたが、このような ドラゴンを飼い慣らしている連中はきっと只者ではないと考え直しひひひっ、と薄気味悪い 声を出して金貨を受け取った。 その日の夜 ルイズはニューカッスル城に無事到着しウェールズからある物を受け取ったことにより この度のミッションの折り返し地点まで来た筈なのだが何故か物憂げな表情だった。 無理もなかった。アンリエッタより受けた密命は以前、アンリエッタがウェールズに送った ラブレターを取り戻すことだったのだ。しかも内容は始祖ブリミルに誓った愛の告白が 刻まれている。始祖に誓う愛は婚姻の際の誓いである。アンリエッタがこれから嫁ごうと するゲルマニアの皇室にその手紙が伝われば重婚の誹りを受けて婚約解消となってしまう。 そうなればゲルマニアとの同盟関係も破談しレコン・キスタへ小国トリステイン1国で 立ち向かわねばならなくなるだろう。 アンリエッタは王女としての責務を果たそうとしウェールズはそれを認め自ら身を引こう としている。 深い絆で結ばれているのに引き裂かれる数奇な運命。アルビオン王家を窮地に追いやった レコン・キスタと呼ばれる反乱軍に対する怒りがルイズの心にふつふつと湧いた。 しばらくして怒りが治まると自身の使い魔がハルケギニアへ来る前にそのような組織に 属していたことをふと思い出した。 (あいつ、何やってるのかしら!?) ラ・ロシェールではぐれて以来顔を見せないフリオニールに対し不安と苛立ちを募らせる ルイズの元へワルドがやってきた。 「さぁ、ルイズ。これからパーティだ」 「ええ」 ルイズは一言返事をするとワルドと共に大使を歓迎するパーティ会場へ足を運んだ。 宴も終わり宮廷内が静けさを取り戻した頃 ニューカッスル城近郊まで到着したフリオニール達はシルフィードでこれ以上進むと捕らえられて 尋問を受けることになるだろうと考え徒歩で森の中を抜けることにした。 しばらく歩き兵隊に見つかることなく辛くも城外までたどり着いたが、城は軍艦や大勢の 兵士に取り囲まれていて落城一歩手前の様相だ。 森の木陰に隠れながら本当にここにルイズがいるのだろうか?と半信半疑になるフリオニールに ローブの男が 「着きましたぜ。さぁ、宝物庫目指して頑張りましょうや」 揉み手をして言った。この男の目的が火事場泥棒であることを理解したフリオニールと タバサはジト目でローブの男を見る。 男はひひひっ、とバツの悪そうな笑いを発すると 「何なら私がこっそりと中の様子を偵察してきましょうか?」 城へ忍び込むと言い出した。どうする?とタバサにアイコンタクトをとるフリオニール。 「え~と、桃色の髪の小柄な少女と羽帽子をかぶった口ひげの大男ですね」 ローブの男は再確認するようにぶつぶつ呟くと例によって右手を差し出した。 しかたがない、とフリオニールは背中のデルフリンガーを外して男に差し出す。 「これ、新金貨20枚で買ったんだ。本当はもっと値が張るらしい」 「あ、相棒!この俺っちを身売りするなんてひでぇじゃねぇか!」 「我慢してくれデルフ!あとでルイズさんに頼んで買い戻すから!」 「こんな怪しい奴に渡して大丈夫かよ・・・」 ローブの男は口元をニヤつかせてデルフリンガーを受け取ると 「私の記憶が確かならば通用口は向こうですな。では行ってきまっせ。もしお目当ての 人がいれば「外でお友達が待っている」と伝言しときますよ」 闇夜に消えるように静かに城壁に近づいて行った。 前ページゼロのチェリーな使い魔
https://w.atwiki.jp/ruqs/pages/24.html
例会記録 日々の例会の記録など。 前期は2回生以上の上回生、後期は1回生の企画がメイン。 2013年度後期 日程 企画名 企画者 企画書 2月 13日(木) グリザイアのなんとか杯 神野 2月 11日(火) EQIDEN2014 メンバー選考会 西浦・藤井・柿沼 1月 8日(水) 斉藤 12月25日(水) 井上・中島克 12月21日(土) 総会 12月18日(水) 前田 12月14日(土) 山本り 12月11日(水) 川西 12月 7日(土) 長谷川 12月 4日(水) 石野田 11月27日(水) 半田 11月23日(土) 藤新 11月20日(水) 松田 11月13日(土) 伊良部 10月23日(土) 山本ゆ 10月19日(土) 辻野 10月16日(水) 澤 10月12日(土) 小池田 10月09日(水) 松崎 10月05日(土) 八木 10月02日(水) link_anchor plugin error 画像もしくは文字列を必ずどちらかを入力してください。 高山 2/13(木) グリザイアのなんとか杯 神野企画 やはり合宿中もイケメンだった神野による企画。 1R 果実 -LE FRIUT DE LA GRISAIA- 30問のペーパークイズ。制限時間は企画名にちなんで、PCゲーム『グリザイアの果実』のオープニングテーマである飛蘭のシングル『終末のフラクタル』(約4 43)2回分だった。 2R 迷宮 -LE LABYRINTHE DE LA GRISAIA- 1Rの上位から順に3つのコースを選べるコース別クイズ。各コース60問限定。各コース上位3名が4Rに進出。コースは以下の通り。 「-グレースケール-」 10○4×の上座クイズ。1Rの順にボタンに就き、問題に正解すると2ランクアップ。1位席で正解すると3○、2位席か3位席で正解すると2○、4位席以下で正解すると1○が付く。誤答すると最下位席に転落し1×。最下位席で誤答すると2×が付く。 このコースで武澤、澤田、松崎の3名が4R進出。 「-ワールドエンド-」 このコースを選んだ全員が30ポイント持った状態で始まるアタックサバイバル。1問正解ごとに他の人のポイントを-1。誤答の場合自分のポイントを-2し、さらに1休。 このコースで西浦、石野田、半田の3名が4R進出。 「-創世のタナトス-」 2○2×1人抜けを繰り返し、勝ちぬけた人に3ポイント、その他の人に○の数-×の数のポイントが入る。また、このポイントは0以下にならない。ポイントが10に達したら勝ち抜け。 このコースで柿沼、田﨑、高山の3名が4R進出。 3R 安息 -LE RESTA DE LA GRISAIA- 2R敗退者のみで行われる敗者復活ラウンド。このラウンドで3名が復活できる。ルールはローリングで3○1×で40問限定。1Rの順位順に並び、上位5人までがボタンに就く。問題の正解者を除いてボタンに就くメンバーを入れ替える。×に厳しいルールに加えなかなかの難問もあり、トビの人も多かった。 ここで中島克、井上、伊良部の3名が復活。 4R 方舟 -LE ARCHE DE LA GRISAIA- 2Rを勝ち抜けた9名と3Rで復活した3名の計12名で行う早押しボードクイズ。40問限定。押して正解で+4/不正解で-2、押さずに正解で+1/不正解で0を加算する。10問ごとに締切を設け、その時点で下位2名が脱落し、ポイントをリセットする。ポイントが同じ場合は1○1×を行い脱落者を決定する。40問終了時に最後の脱落者を決め、残った4名が5Rに進出。 このラウンドで武澤、松崎、柿沼、石野田の4名が決勝進出。 5R 楽園 -LE EDEN DE LA GRISAIA- n○m×の早押しクイズ。nはセット数で、mは1から始まり、3セットごとに1増える。例外として9セット目は10○4×のルールを適用する。決勝進出者4名は敗退者を獲得し、チームを作る。決勝進出者はチームから1人選出し、1度だけボタンに就かせることができる。3セット先取した人が優勝。 最終的には井上とコンビ押しをしていた武澤が優勝をもぎ取った。 【ペーパー1位】西浦、武澤 20/30点 【優勝】武澤 【W.A.】『THE IDOLM@STER』(今年の1月25日に『輝きの向こう側へ!』という劇場版も公開された/、765プロダクションを舞台としたアイドル育成ゲームは何でしょう?) 2/11(火) EQIDEN2014 メンバー選考会 西浦・藤井・柿沼 1st round ① ローリング EQIDEN本番と同じ12個の早押しボタンを使って行う、【1〇1×】早押しクイズ 初めにボタンにつく順は当日ランダムに決める ボタンを点けると、正解・不正解にかかわらず待機列最後尾へ。正解 +2 pt、不正解 -2 pt 30問ごとに解答席を総入れ替えする 合計600問限定 3問連続スルーの場合は全員交代とする 順位判定基準はポイント→正解数→誤答数 ――ここまでのポイント上位 16人が 2nd round 進出―― 選考会の第1ラウンドはローリングクイズ。EQIDENで求められる力である、「基本問題」を、「できるだけ誤答せず」「確実に」「早く」「押して」「正解する」という条件をよく反映したルールとなった。 38○3×と、圧倒的正解数と誤答の少なさで70ポイントをたたき出した武澤が首位を獲得した。2位から6位には神野、長谷川、前田、荒樋、田崎と手堅く正解を重ね、誤答を防いできた面々が並び、8位以下に並ぶ澤田、石野田、鈴木、松崎とは正解数こそ並ぶ状況ではあったものの、誤答数で差をつける格好となった。特筆すべきは7位の田本であるが、「ボタンをつけた回数」という意味では圧倒的首位であることには間違いはないのだが、35○と首位に肉薄する正解数をたたき出したものの、16×という正解数によってポイントを下げた。 ともかくも、必要とされる基本問題の知識を動員し、しっかりと押すべきところで押せたかで明暗が分かれるラウンドとなった。 その他の通過者:高橋、井上、内藤、高山、半田 2nd round 総当たり 一対一で総当たりの、【2〇2×】早押しクイズ。対戦は 8組同時に行う 同時に行ったすべての対戦の決着がついてから次のセットを行う 勝ち点は、勝利:3点、敗北(1〇):1点、敗北(0〇):0点 開始時に 9 - n 点のボーナスが与えられる( n はローリング順位) 順位判定基準は「合計勝ち点」→「1st round のポイント」→「勝利数」 ―― 1~6位の 6人は EQIDENメンバーに決定、7~10位は最終決戦へ―― 「同時に多くの人数がボタンについている」というEQIDENで意識しなければならない状況を感じさせるような、総当たりクイズ。16人の進出者が自分以外の15人とすべて戦うという長丁場である。先のラウンドと違い、大きなひずみを後半になって取り戻すことはできないため、戦略を意識しつつも確実に勝ちを積み重ねていかなければならず、また絶対的な能力も反映されてしまう、という厳しいラウンドであった。 ここでも首位を獲得したのは41点をたたき出した武澤であった。勝負には負けてもほとんどの対戦で1○以上を保持しており、堅実な点数の獲得が功を奏した格好となった。アドバンテージの少なさにもかかわらず、武澤と同点で2位となったのが田本であった。勢いのある押しで計13人に勝利し、ポイントを積み上げたのは知識と押しの強さの賜物であろう。 その他の通過者:石野田、前田、神野、荒樋…勝てる試合に堅実に勝ち続けた結果がもたらした勝利である。 最終決戦進出者:松崎、内藤、澤田、長谷川 最終決戦 ( )問限定の【1〇1×】の早押しクイズを何セットか行う(…問題数は非公開) 各セット1位と2位のみを決定し、1抜けに2点、2抜けに1点が与えられる ×を負ったものは-1点 トビ残りの場合はどんな状況であっても1点しか与えられない 全セット終了後、得点の高い2人が勝ち抜け ―― EQIDENメンバー 10人が決定―― 前ラウンドで7位~10位に残ったメンバーから2名を選出する最終決戦。各セット1○1×という非常にスピーディーな展開を見せた。半分にしぼられる、というプレッシャーの中、見事勝ち抜けることができたのは松崎(33点)、澤田(32点)の両名であり、長谷川(21点)、内藤(15点)と差をつけた。4名とも誤答数にはさほど差はなかったが、2抜けであろうと積極的に点を積み上げられたかどうかという点で差をつける結果となった。 こうして選出された8名と企画者の藤井、柿沼がEQIDEN2014のメンバーとして選出され、選考会の幕は閉じられた。
https://w.atwiki.jp/trinity_kristo/pages/680.html
大乗仏教では特に般若波羅蜜(智度)が、空の思想や菩薩の在り方とともに重要な用語として位置づけられ教説されたこと、如来蔵説が唱えられたことなどがある。 これは、衆生皆菩薩・一切衆生悉有仏性・生死即涅槃・煩悩即菩提などの如来蔵思想や、釈迦が前世において生きとし生けるものすべて(一切衆生)の苦しみを救おうと難行(菩薩行)を続けて来たというジャータカ伝説に基づいて、自分たちもこの釈尊の精神(菩提心)にならって六波羅蜜の概念の理解を通じ善根を積んで行くことにより、遠い未来において自分たちにもブッダとして道を成じる生が訪れる(三劫成仏)という修行仮説や死生観(地獄や空色を含む大千世界観)へと発展していった。そうした教義を明確に打ち出した経典として『華厳経』、『法華経』、『浄土三部経』、『涅槃経』などがある。 これらの経典は、釈迦の死後500年以上経ってから書きはじめられたものであり、釈迦が生前語っていたという形式によって書かれているが、実際に釈迦が語った言葉であるとは考えられていない。(キリスト教での外典に近い存在である) 大乗仏教で読まれる仏典 大乗でも読まれる上座部仏典 パーリ仏典と共通の口頭伝承のお経である。 『蛇喩経 Alagaddūpama-sutta』(パーリ語経典中部第22経)〔『筏喩経』~『中阿含経』(大正蔵26)第54巻第200経『阿梨吒経』より抜粋〕:目的と手段を取り違えた場合に起こる悲惨さを説く。 『箭喩経(小マールキヤ経) Cūḷamālukya-sutta』(パーリ語経典中部第63経)〔『中阿含経』(大正蔵26)第221経『箭喩経』、『箭喩経』(大正蔵94)〕:釈迦が、比丘マールキヤプッタに「毒矢のたとえ」で有名な説法をする。 『戒香経』(大正蔵117)、『雑阿含経』(大正蔵99)第38巻『比丘相応』、『別訳雑阿含経』(大正蔵100)第1巻:仏戒を持つ男女は、その徳の故に、ふくいくとして遠くまでよく薫り、何のような香木、華果にも勝れる。 ただこれだけの事を述べた経。 『央掘摩経(アングリマーラ経) Aṅgulimāla-sutta』(パーリ語経典中部第86経)〔『鴦掘摩経』(大正蔵118)、『鴦崛髻経』(大正蔵119)、『央掘魔羅経』(大正蔵120)〕:『アングリマーラの物語』として有名である。 『等見品第三十四(二)』~『増一阿含経』(大正蔵125)第26巻:『琉璃王経』(大正蔵513)とほぼ同内容。 大乗仏典 主にサンスクリット語で書かれた経典の漢訳である。 アシュバゴーシャ『仏所行讃 Buddhacarita』〔曇無讖 訳『仏所行讃』(大正蔵192)〕:古代インドの仏教詩人アシュバゴーシャ(馬鳴<めみょう>)のサンスクリット叙事詩『ブッダチャリタ』を漢訳したものであり、ゴータマ・ブッダの生涯を語っている。 『大品般若経序品』~『Pañcaviṃśatisāhasrikā-prajñāpāramitā Sūtra』の鳩摩羅什 訳『摩訶般若波羅蜜経』(大正蔵223)第27巻: 『般若波羅蜜多心経 Prajñā-pāramitā-hṛdaya』〔玄奘三蔵 訳『般若波羅蜜多心経』(通称『般若心経』)(大正蔵251)〕:『菩薩が全ての生き物の幸福を追求するとき生ずる、あらゆる困難に打ち勝つ智慧』という意味である。 『法華経 Saddharma Puṇḍarīka Sūtra』〔鳩摩羅什 訳『妙法蓮華経』(大正蔵262)、竺法護 訳『正法華経』(大正蔵263)、闍那崛多・達磨笈多共訳『添品妙法蓮華経』(大正蔵264)〕:「正しい教えである白い蓮の花の経典」の意。仏法について説いた経典。 『華厳経 Avataṃsaka Sūtra』〔東東晉天竺三藏佛馱跋陀羅 訳『大方廣佛華嚴經』(大正蔵278)、于闐國三藏實叉難陀 訳『大方廣佛華嚴經』(大正蔵279)〕:「大方広仏の、華で飾られた(アヴァタンサカ)教え」の意。「大方広仏」、つまり時間も空間も超越した絶対的な存在としての仏という存在について説いた経典である。 『勝鬘師子吼一乗大方便方広経 Śrīmālādevī-siṃhanāda Sūtra』(通称『勝鬘経』)〔『勝鬘師子吼一乗大方便方広経』(大正蔵353)〕:王妃という在家の女性を主人公とする経典。 『浄土三部経』:『無量寿経 Sukhāvatī-vyūha』〔『大宝積経』(大正蔵310)より菩提流志 訳『無量寿如来会』、康僧鎧 訳『無量寿経』(大正蔵360)、支婁迦讖 訳『無量清浄平等覚経』(大正蔵361)、支謙 訳『阿弥陀三耶三仏薩楼仏壇過度人道経』(大正蔵362)、法賢 訳『大乗無量寿荘厳経』(大正蔵363)〕 『阿弥陀経 Sukhāvatī-vyūha』〔鳩摩羅什 訳『阿弥陀経』(大正蔵366)、玄奘 訳『称讃浄土仏摂受経』(大正蔵367)〕 『観無量寿経 Amitāyurdhyāna Sūtra』〔『観無量寿仏経』(大正蔵365)〕 『弥勒六部経』『上生経』〔沮渠京声 訳『観弥勒菩薩上生兜率天経』(大正蔵452)〕:釈迦が、弟子弥勒が兜率天(とそつてん)に生まれ変わると予言し、その通りになる。 『下生経』〔竺法護 訳『弥勒下生経』(大正蔵453)、鳩摩羅什 訳『弥勒下生成仏経』(大正蔵454)、義浄 訳『弥勒下生成仏経』(大正蔵455)〕:将来、兜率天での修行を終えた弥勒がバラモンの子として下生し、悟りを開いて弥勒如来になる。 『成仏経』〔鳩摩羅什 訳『弥勒大成仏経』(大正蔵456)〕 『弥勒来時経』(大正蔵457) 『維摩経 Vimalakīrti-nirdeśa Sūtra』〔『維摩詰経』(大正蔵474)、『維摩詰所説経』(大正蔵475)、『説無垢称経』(大正蔵476)〕:内容は中インド・ヴァイシャーリーの長者ヴィマラキールティ(維摩詰、維摩、浄名)にまつわる物語である。 『四十二章経』(大正蔵784):仏教最初の漢訳経典とされる経典。 竜樹=ナーガールジュナ『根本中頌 Mūlamadhyamaka-kārikā』〔青目 釈『中論』(大正蔵1565)〕:戯論が無意義にして害多きことを示すを唯一の目的とする書。 偽経と疑われるもの 『大般若経理趣分』~『大般若波羅蜜多経 Mahāprajñāpāramitā Sūtra』の玄奘三蔵 訳『大般若波羅蜜多経』(通称『大般若経』)(大正蔵220)第578巻:西遊記でおなじみの三蔵法師(玄奘三蔵)がインド(天竺)に仏教の真理を求める旅によって得られた経典がこの『大般若波羅蜜多経』であり、ここには生きとし生けるもの、命あるものすべてが共存して行くための重要な教えが書かれている。『空』の思想が根本として説かれており、般若は智恵を意味し、智恵は人間の本来の持っている力を最大限に引き出すことが出来る。その『大般若経』全600巻の心髄を表わしている経である。 『大悲心陀羅尼』〔『千手千眼観世音菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経』(大正蔵1060)など〕: 鳩摩羅什 訳『梵網経盧舎那仏説菩薩心地戒品第十』(通称『梵網経 Brahmajāla Sūtra』)(大正蔵1484):上巻は菩薩の階位である四十種類の法門を述べたものである。下巻は十重四十八軽戒と呼ばれる禁戒を述べたもので、父母に孝順であることなど、中国的な内容が見られる。パーリ仏典の『梵網経』とは全く関係がない。 鳩摩羅什 訳『大智度論 Mahā-prajñāpāramitā-śāstra』(大正蔵1509):摩訶般若波羅蜜経27巻の解説書であり、仏教全体の解説書でもある。 『舎利礼文』:仏陀釈尊が御入滅し、火葬された後に残された遺骨、いわゆる仏舎利に対する、礼敬の意を述べた文言である。よって、狭義でのお経、つまり仏陀の言動録である経典ではない。 日本の大乗仏典 『答叡山澄法師求理趣釈経書』 親鸞聖人『正信念仏偈(正信偈)』:親鸞聖人の「教行信証」の最後に出てくるもので、「教行信証」のエッセンスともいわれる。 『曹洞教会修証義』:在家信者と僧侶のための「曹洞宗教化の標準書」と呼ばれ、法要・葬儀・施食会などで読経される。 密教仏典 『般若波羅蜜多理趣百五十頌 Prajñāpāramitā-naya-śatapañcaśatikā』(通称『理趣経』)〔玄奘三蔵 訳『大般若波羅蜜多経』(通称『大般若経』)(大正蔵220)より『大般若経理趣分』、不空 訳『大楽金剛不空真実三摩耶経』(大正蔵243)〕:理趣とは、道筋の意味であり、「般若の知恵に至るための道筋」の意味である。他の密教の教えが全て修行を前提としている為、専門の僧侶でないと読んでもわからないのに対し、『般若理趣経』は行法についてほとんど触れておらず、一般向けの密教の入門書という位置づけだと考えられている。 『大毘盧遮那成仏神変加持方等経の帝釈天と名付くる法門 Mahāvairocanābhisaṃbodhivikurvitādhiṣṭhānavaipulyasūtrendrarāja nāma dharmaparyāya』〔『大毘盧遮那成仏神変加持経』(通称『大日経』)(大正蔵848)〕:宇宙の真理を体現する法身仏である大日如来が、菩薩の代表である金剛薩たちの質問に答えるという形式で書かれている。 『金剛頂経(真実摂経) Vajraśekhara Sūtra』〔『不空訳『金剛頂一切如来真実摂大乗現証大教王経(大教王経)』(通称『金剛頂経』)(大正蔵865)〕: WEB大正新脩大蔵経目録 つばめ堂通信 http //www.horakuji.hello-net.info/dhyana/texts/zou-agon_kyou/index.htm 2017-08-09 お経にはどんな種類がある
https://w.atwiki.jp/tousounokeitou/pages/484.html
『ギンガに旅立て、ミト王子』-2 作者・ユガミ博士 26 バードランド星・領主の館*** その夜、バルバンのアジトとなっている領主の館では酒盛りが行われていた。 その上座の位置にはバルバンの幹部である銃頭サンバッシュと闇商人ビズネラ が酒を飲んでいた。 サンバッシュ「もっと、酒だ。酒を持って来いー!。」 ビズネラ「サンバッシュさん、酒の飲みすぎは体の毒ですよ。」 サンバッシュ「うるせー!、今は飲みてー気分なんだよ。」 そう言って、サンバッシュは部下が持ってきた酒を飲んでいった。 サンバッシュ「(Gショッカーだが何だが知れねぇが、俺達がバルバンが 何で、こんな所にいなきゃいけねぇんだ?。船長の命令だから 仕方がねぇが、ギンガマンに借りを返せねぇとはよ・・・。)」 現在、バルバンはGショッカーのエドン国侵攻のためにこのバードランド星を 占領した。だが、サンバッシュは2度も自分達を地獄へと葬ったギンガマンに 復讐が出来ない事に苛立っていた。 ヤートット「ヤートヤートット。」 サンバッシュ「何!?、侵入者だと。」 ビズネラ「早くここに連れて来なさい。」 ヤートット「ヤートット。」 ヤートットは侵入者を連れてきた。その侵入者は背の低い老人とシルクハット をかぶった背の高い中年の男性の2人組みだった。 背の低い老人「こりゃー、離さんか!。このわしを誰だと思っている、 エドン国家老カミシモノカミ・ゴクロータ・アリフレテルド・ バルジャンじゃぞー!。貴様等ー、エドンの者ではないな。 この星で何をしておるー!。」 ビズネラ「エドン国の家老ですと。」 サンバッシュ「ほう・・・、そいつが本当なら後で利用できそうだな。 こいつらを牢屋にぶちこんどけ。」 バルジャン「何をー!、あっ、離せ。」 ジンナイ「旦那様、落ち着きましょうよ。」 バルジャン「こりゃー、ジンナイ。お前は何故、そういつものんきなんじゃ。」 バルジャンと従者のジンナイは牢屋へと連れて行かれた。 サンバッシュ「全く、やかましい爺さんだったな。おい、この星の女に 酌させろ。」 サンバッシュの命令の後、フードをかぶった女性達が酒盛りをしている ヤートット達を酌するのであった。 27 だが、その女性の1人がかなりの巨体で、顔を見てみるとひどい醜さだった。 おもわずヤートット達も・・・。 ヤートット「ヤート(オエー)。」 吐き気がした。お気づきの方もいるであろう。ここにいる女性はミト王子達 御一行の変装である。王子達がバルバンを引き付けている内に、J9が奴隷 となっているバードランド星の住民を逃がす算段となっている。 ビズネラ「ん・・・。何だか眠気が。」 ヤートットA「ヤ~~ト。」 ヤートットB「zzz。」 酒には睡眠薬が仕込まれており、バルバン達は次々と眠り始めた。そして、 全員眠りについたと確認するとミト王子達はフードを脱いだ。 スケさん「どうやら、全員眠ったようですな。」 ミト王子「うん、後はJ9が住民の皆を開放するだけだね。」 サンバッシュ「何を開放するって?。」 ミト王子御一行「!?」 ミト王子達は驚いた。眠っていたと思っていたサンバッシュが起きていたのである。 サンバッシュ「俺は色んな修羅場を今まで、くぐってきたんだ。眠り薬ぐらい 気づかない程馬鹿じゃあねぇぜ。テメェら、起きやがれー!。」 バン!バン! サンバッシュは銃を天井に向かって撃ち、その銃声で他のバルバン達は 目を覚ました。 サンバッシュ「侵入者だ。この場で処刑だー!。」 カクさん「王子、これは戦うしかありませんな。」 ミト王子「こうなっては仕方が無い。行くぞ、スケさん、カクさん、 シノブさん。」 スケさん&カクさん&シノブ「「「応!。」」」 ミト王子達は剣を取り出して、バルバンとの戦闘が始まった。 ミト王子「とりゃぁぁぁ。」 ヤートットA「ヤト~~~。」 カクさん「どすこ~い。」 ヤートットB「ヤートット。」 シノブ「ハッ!」 ヤートットC「ヤートット。」 ミト王子達の攻撃にヤートット達は次々と倒されていった。 サンバッシュ「喰らえ!。」 サンバッシュの銃弾がミト王子に向かって放たれた。 28 ズキューン だが、別方向からの銃弾がサンバッシュの銃弾の弾道を外した。 その銃弾が放たれた方向を向くと、そこにはJ9の面々が終結していた。 コルシザー「サンバッシュ様、あいつら脱走者を逃がした一味ですぜ。」 サンバッシュ「貴様らは、何者だー!。」 アイザック「宇宙の始末屋、コズモレンジャーJ9だ。」 お町「奴隷となっているバードランド星の住民はもう開放済みよ。」 キッド「後はあんた等の始末だけさ。」 言うやいなや、J9はそれぞれの武器で、コルシザーを攻撃した。 キッド「これは対エイリアン用の銃弾だ。受け取りな。」 お町「そして、これは対エイリアン用の小型爆弾よ。」 ズキューン! ドカーン! コルシザー「ぐわぁぁぁ。」 コルシザーは倒れた。 サンバッシュ「コルシザー!、テメェ等よくも・・・。」 ミト王子「さぁ、おとなしく降参しろ。」 サンバッシュ「クッ・・・『サンバッシュさん』ビズネラか。」 いつのまにか消えていたビズネラからサンバッシュに通信が入った。 ビズネラ『例の物の準備が整いました。いつでも出撃できます。』 サンバッシュ「良し。」 そう言うとサンバッシュは隠し通路へと消えていった。一方、コルシザー の方も再び立ち上がり、懐からボトルを取り出した。 コルシザー「バルバエキス!。」 コルシザーはボトルの蓋を開けて、中に入っているバルバエキスを飲んだ。 バルバエキスはバルバンの魔人達が持つ巨大化ができる液体である。 ただし、服用した者は自らの命を縮めるという副作用があるため、最後の 手段なのである。 コルシザー「効くぜー。」 アイザック「いかん、皆すぐにここを離れるんだ。」 コルシザーは巨大化し、建物は崩れていった。ミト王子達とJ9は アイザックの指示によって何とか事なきを得た。 29 スケさん「王子、あれを。」 ミト王子「ん!?。」 スケさんの指差す方には宇宙戦艦が上空を浮かんでいた。そして、その戦艦 から一体の人型ロボットが現れた。そのロボットの姿は何と、サンバッシュ そっくりの姿だった。 サンバッシュ「どうだ、ビズネラに特別に作らせた俺専用の戦闘ロボット、 その名もサンバッシュロボだ。本当はギンガマン相手に使う つもりだったが、試運転に相手させてやるぜ。」 スケさん「王子。」 ミト王子「うん、クロス・ソード。」 アイザック「ボウィー、ブライサンダーを寄越してくれ。」 ボウィー『OK。ちょっと待ってね。」 ミト王子は腰に下げてある剣を上に向けて、宇宙船POUH号に搭載されて ているエースレッダー、コバルダー、アオイダーを呼び出し、アイザックは ブライサンダーを呼び出し、J9は中へ乗り込んだ。 スケさん「控え、控え、控えおろー。こちらにおわすお方こそ、 トクガー16世、エドワード・ミト王子なるぞ。」 ビズネラ「何ですと!?。」 サンバッシュ「あの小僧が。ウソならもっとましなウソをつくんだなぁ。」 ミト王子「ならば、しかとその目で見よ。行くぞ、スケさん」 スケさん「応。」 ミト王子「カクさん。」 カクさん「応。」 ミト王子「クロス・トライアングル。」 ミト王子達の乗る3機のロボットはそれぞれ変形を開始した。エースレッダーは 頭部・胸部へ、アオイダーは両腕・腹・腰へ、コバルダーは両足となった。 その3機が縦に合体していき、エドン国が誇る最強のロボット、ダイオージャと なった。そして、胸のエドン国王家の証であるエンブレムが光輝いた。 コルシザー「ははー。」 サンバッシュ「馬鹿か、エドン国の住民じゃねぇだろー!。」 コルシザー「あ、つい・・・。スイマセン。」 思わずコルシザーは頭を伏せてしまい、サンバッシュに起こられる。 アイザック「我々も行くぞ。ブライシンクロンマキシムだ。」 アイザックの掛け声に、ブライサンダーはシンクロン原理によって巨大化し、 戦闘機ブライスターにさらに変形して、スーパーロボット・ブライガーと なった。ブライガーはダイオージャの隣へと降り立ち、サンバッシュ達と 睨み合う。この戦いの勝者は如何に。 30 ○ミト王子御一行→J9と協力して、奴隷となったバードランド星の住民を 開放。ダイオージャに乗り込む。 ○コズモレンジャーJ9→ミト王子御一行と協力して、バードランド星の 住民を解放し、ブライガーに乗り込む。 ○バルジャン・ジンナイ→バルバンに捕まる。 ●銃頭サンバッシュ→専用ロボット・サンバッシュロボに乗り込む。 ●闇商人ビズネラ→サンバッシュロボを用意する。 ●コルシザー→J9にやられた後、バルバエキスを飲み、巨大化する。 【今回の新登場】 ○バルジャン(最強ロボダイオージャ) エドン国の家老で王子の世話役を勤める元気なご老人。口うるさいのが玉にキズ。 本名は“カミシモノカミ・ゴクロータ・アリフレテルド・バルジャン”。 ○ジンナイ(最強ロボダイオージャ) バルジャン付きの従者。宇宙船の操縦者。 ●銃頭サンバッシュ(星獣戦隊ギンガマン) サンバッシュ魔人団のリーダー。銃とバイクと愛用する。部下共々、ノリと 思いつきで行動する。調子の良い性格をしている。 ●闇商人ビズネラ(星獣戦隊ギンガマン) 協力な武器を作って売り歩く武器商人。右腕に光線中を仕組んでいて、バルバ エキス入りの弾丸を魔人に撃ち込み、巨大化させる為の巨大化銃なるものを もっている。星獣を鋼星獣に改造した張本人。バットバスとは旧知の仲で 財産が没収された後、彼の作戦参謀となったが終盤に見限られる。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/3170.html
登録日:2011/12/13 Tue 12 33 27 更新日:2024/04/29 Mon 21 26 38 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 ひみつ道具ではない アクマロ一派 アベコンベ アヤカシ スーパー戦隊シリーズ ライオン 今週の怪人 侍戦隊シンケンジャー 入れ替え 入れ替わり 外道衆 尊厳破壊 怪人 戦隊怪人 戦隊悪役 檜山修之 火車 筋殻アクマロ アベコベ! アベコベ! アベコンベ! アベコベ! アベコベ! アベコンベ! 入替王 アベコンベ 恐怖! 絶望! 死へのカウントダウン! 参上! 恐怖の 新たなアヤカシ その名は入替王! ア! ベ! コ! ベ! アベコンベ! ―これは、人類を恐怖に陥れた、熱いアヤカシの物語である。 △メニュー 項目変更 -アニヲタWiki- 第二十七幕 入替人生 いれかえじんせい フハハハ!つまらねぇ物ほど、入れ替え甲斐があるってもんだ…… アベコンベとは、『侍戦隊シンケンジャー』に登場したアヤカシの一人。 CV:檜山修之 【概要】 上下あべこべの顔の様な、渦巻く雷雲の様な姿のアヤカシ。 胸に上下に目があるライオンのような顔があり、そこから喋る。 後半の幹部『筋殻アクマロ』の一派として登場。(*1)血祭ドウコクも知らないアヤカシで、アクマロ登場前に露払いとして出陣した。 一人称は「あっし」。べらんべえ口調で話しており全体的に性格は威勢のいい江戸っ子。 主君であるアクマロを主と呼んで敬うなど、外道衆としては忠義は高め。 ルーツは『火車』。 【能力】 武器は上下に刃のついた長巻『筋雲重長巻(すじぐものかさねながまき)』を持ち、胸の口からは火球を打ち出す。 両手の触手を伸ばし、先端に付いた針で刺した相手の魂を入れ替える能力を持つ。 この手の能力はたいてい人と人を入れ替えることが多いが、こいつはそんな生っちょろいことはしない。 アクマロが進出する先駆けにと人間世界に乗り出し、手当たり次第に道行く人の魂を物と入れ替えていった。 そう、こいつは非生物とすら人格を入れ替えることが可能なのだ。 そして駆け付けたシンケンジャー達の魂までも、物と入れ替えてしまう。 殿→招き猫 茉子→扇風機 源太→寿司 流ノ介→小便小僧 流ノ介ェ…… またアベコンベの入れ替えの犠牲者は『入れられた物』のポーズをとる。 これにより、小便小僧と入れ替えられた流ノ介の身体は、小便小僧のポーズを、あろうことかことはの前でとってしまう。しかもいい笑顔で。 そのせいで流ノ介は堂々と股間を晒す羽目になってしまった。 と、このように非常にシュールかつギャグ色全開の様相を生み出したが、外道衆がそんな面白いギャグ展開を引き起こすだけの存在であるはずもなく…… 物になっちまった人間は、人間から物としか扱われやせん。何しろ喋れねぇんですからねぇ! 人間達はそれと知らずに、人の命を奪ってしまう。知ってても知らなくても、人殺しは人殺し…… この世を!人が人の命を奪う『地獄』にしてみようってんでぇ! 実は人間の魂が入った『器物』のダメージは本人への苦痛となり、人間の魂が入った『器物』が壊されると被害者も死ぬ。 この特徴こそがアベコンベの能力の肝。魂を移し替えた器物を破壊してしまえば、如何にシンケンジャーであろうと呆気なく死んでしまう。 初戦では招き猫に丈瑠の魂を移し替えると、招き猫の方を破壊してさっさと仕留めようと目論んでいた。 劇中では入れ替えられた人達の、「いつ壊されるかわからない」「何か言いたくても言えない物になってしまった」といった恐怖で、三途の川の水を増やしていき、裏の狙いと合わせて不機嫌だったドウコクを愉快にさせている。 【活躍】 アベコンベとの初戦を終えたシンケンジャー勢はというと、招き猫のポーズのままの殿を上座に、流ノ介は小便小僧ポーズのままトイレに放置、源太in寿司は痛みかけたりとかなりカオス(*2)。 しかも源太in寿司は、ラップをかけ冷蔵庫に入れられる途中で放置、さらに猫が迫るという大ピンチに。 その後アベコンベが再度人間界に繰り出すと、二人で戦う事を決意した千明とことはが対峙、再戦する。 アベコンベは仲間と同じように入れ替えてやろうと千明に針を向ける。 が 千明の捨て身の作戦で、自分と入れ替えられてしまう。 千明inアベコンベは「元に戻す方法を教えろ」と、アベコンベin千明を入れ替え能力を使い、サッカーボールに入れて蹴っ飛ばす等の拷問を加えて翻弄。 観念したアベコンベin千明は、自身の弱点をシンケンマルで攻撃し、入れ替えられた魂を元に戻した。 身体は戻ったが致命傷を受けたアベコンベは、身体が戻ったスーパーシンケングリーンの『真・木枯らしの舞』で倒された。 恥の掻きっ放しで終われねぇ! 終わってもらわなきゃ困るんだよ! 続く二の目も、二人が操るダイカイシンケンオーであっという間に撃破された。 その後無事元の身体に戻ったシンケンジャー勢だが、殿は招き猫ポーズを写メされてたり、源太は寿司恐怖症になったり、流ノ介は茉子姉に避けられてたりと、戻った後もロクな目に遭ってなかった。 茉子は…「身体バッキバキ」と訴えたのみで比較的マシだった(「よかった…扇風機で」) 【余談】 『火車』は常に人間の身体を狙う火を纏ったネコのような化け物らしく、アベコンベの火球と「魂を入れ替えよう」と人間を狙う様子がそのルーツだとされている。 アベコンベを演じた檜山修之氏は、前年の『炎神戦隊ゴーオンジャー』および後年の『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』でも、戦隊ヒーローと入れ替わってしまった怪人役を演じている(前者は事故に近いものであったが)。 また、アベコンベの胸にライオンの顔(*3)があるが、過去に檜山氏が主役を演じた勇者王ガオガイガーの主役ロボット・ガオガイガーの胸にも、ライオンの顔がある。 某猫型ロボットのひみつ道具にも同じ名前の道具があるが、あちらの能力は『機能・属性の逆転』。入れ替えとはまた違う。 なお、リメイク版パワーレンジャーサムライにはこの回をリメイクした「trading places」という回がある。ほぼ原作に準じているが、文化の違いや設定等を考慮してか、レッドは招き猫ではなくノームの置物に、ブルーはしょんべん小僧ではなくオルゴールのバレリーナに、ゴールドは寿司ではなく魚に入れ替えられている(唯一ピンクは原作と同じ扇風機)。またグリーンのいじりや写真撮影の的にされたのはレッドではなくブルーだった。 追記・修正は、魂を入れ替えられた物が壊されないうちにお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ドラえもんのひみつ道具に似たような名前があったな・・・。 -- 名無しさん (2014-02-01 20 23 20) 戦隊ではもはや恒例行事、デカブルーが犯罪者と入れ替えられデリートの危機に遭ったり、ゴーカイジャーでは似た能力の行動隊長が「地球の首脳陣とスゴーミンを入れ替えて地球を明け渡させる」計画をしていたり(実際入れ替わったのはにルカとハカセだけで済んだが) -- 名無しさん (2014-02-01 20 28 45) キョウリュウジャーのは入れ替わりよりデーボス学園の方がメインといえる珍しい事態に -- 名無しさん (2014-02-01 21 27 53) ギャグ系になりがちな入れ替わりネタを恐怖系にしたところが凄い -- 名無しさん (2014-05-12 20 56 14) 冒頭の歌止めろwww -- 名無しさん (2014-10-30 18 39 52) ルパンレンジャーで戦隊ヒーローと入れ替わったこいつと声が同じな怪人が出てた -- 名無しさん (2019-02-18 01 21 42) 一番↑ そういえば先駆者となるひみつ道具の方はまだ記事化されていないんだよね -- 名無しさん (2019-05-19 11 40 26) ワタシ、伝承ルーツは「アベコベ」だけに「天邪鬼」かと思ってた...「ナリスマシ」と同様に、鬼太郎でもカシャ×入れ替わり騒動があったから・・・それで気付くべきだった。 -- 名無しさん (2019-05-19 12 47 18) 今日久しぶりにこの話見た この回の千明凄いカッコイイ 初めて見た時はチャラ男キャラのイメージ変わった話だったなあ -- 名無しさん (2019-06-08 10 11 54) 怪人の中の人が前作で似た回の怪人を演じていたり、戦隊メンバー自らが怪人と体を入れ替えるというシーンから、前作の体入れ替え回のパロディとして作ったっぽいね。 -- 名無しさん (2019-06-08 20 53 30) 檜山さん戦隊怪人する時は大抵ギャグ回説w -- 名無しさん (2019-06-08 23 17 21) つべのサムネの破壊力w -- 名無しさん (2019-06-13 01 02 11) ある意味最大の被害者は小便小僧に入れ替えられた流ノ介だな -- 名無しさん (2019-08-15 10 26 10) 源ちゃんが危うく猫に食われそうになって発した絶叫があまりに迫真過ぎて笑っちゃう -- 名無しさん (2020-01-28 11 26 16) 空き缶にされた女の子が潰される直前で、源太と同じくらい危なかったと思う。 -- 名無しさん (2023-08-31 21 38 26) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/stairs-okai/pages/358.html
ずっと話し込んでいたら、さすがに夜風で部屋が冷たくなってきた。舞波さんはクシュンと小さなくしゃみを1つすると、チェストからブランケットを引きずり出して、2人の足を隠すように広げてくれた。どうやら、まだ話は続くらしい。 「少し前に、お嬢・・・千聖のお父様の大きなお祝い事があって、それまで全く関わりのなかったうちの家族も、招待されたんです。 私はこんな状態だし、両親だけ行く予定だったけど、是非出席をとお願いされてしまって。そこで、初めて千聖と出会いました。」 ************ “「舞波ちゃん、勉強はどう?」 「忙しい時期でしょう?友達はできたの?」 某高級ホテルの、結婚式でしか使われないような庭園レストラン。 硬直するお母さんの手をテーブルの下で握りながら、私は目の前のご婦人に、学校には行っていないんです、返事をした。この人、誰だっけ。・・・父方の叔母さんの小母さん、だったかな。 さっきお母さんが、私が学校に行っていないっていう説明をしていたはずだけど・・・それでも私に、直接聞かなければ気が済まなかったのかな。変な人。 「まあ、可哀想。うちの姪子はね、舞波ちゃんと同い年で、おかげさまで進学校に合格して、今日は部活で忙しいから来れなかったけれど・・・あぁ、ごめんなさい。こんな話、辛いわよね?」 「いえ、別に。お気になさらないでください。」 私のリアクションが予想と違ったのか、その人はあからさまにつまらなそうな顔をして、目の前のテリーヌに乱暴にフォークを刺した。 やっぱり、来ないほうが良かったのかな。 自分が何を言われても別に大丈夫だけれど、お母さんやお父さんが辛そうなのは嫌だと思う。どうして私がこの宴に呼ばれたのかよくわからないし、気持ち悪くなったとか適当な理由をつけて、そろそろ退席する準備をしようかな。 せっかく東京に出てきたのだから、こんなところでモヤモヤしていないで、両親と観光に行った方がよっぽど楽しそうだ。 「ご歓談中、失礼いたします。石村舞波さんでいらっしゃいますか」 「あ、はい。」 そんなことを考えていると、ふいに後ろから声をかけられた。黒いスーツにリボンタイの初老男性――今日はあちらこちらで同じ服装の人を見かけるから、執事さんだろうか――が、振り向いた私に一礼して、スッと青い封筒を差し出してきた。 「千聖お嬢様から、こちらをお預かりして参りました。」 「私に?」 「出来れば、早めに目を通していただきたいとのことです」 「はぁ・・・」 私は横目で、上座に陣取る家族の方を伺い見た。 本日の主役である、精悍な顔立ちで存在感のある凛々しい旦那様。 次々挨拶に訪れる客人に、愛想良く対応する美しい奥様。傍らの揺り籠では、赤ちゃんが眠っている。 そして、その隣に座っているのが、この手紙の差出人である、千聖お嬢様だった。 男の子みたいに短くそろえられた髪。旦那様譲りの小麦色の肌。中学2年生と聞いていたけれど、それよりもずいぶん幼く見える。 せわしなくキョロキョロ動くビー玉みたいな目が可愛くてジッと見つめていると、思いっきり視線がぶつかってしまった。 「あっ」 「あっ」 かなり席は離れているけれど、同時ぐらいにお互い息を呑んだのがなんとなくわかった。 「舞波?」 「ちょっと、外出てくるね。」 私が席を立つと、視界の隅っこで、千聖お嬢様も慌てて立ち上がったのが見えた。ジュースでもこぼしちゃったのか、軽い悲鳴と奥様の叱咤の声が聞こえる。 その声を背に、一足先に私は中庭へと足を運んだ。 美しい草花に囲まれたベンチで目を閉じてぼんやりしていたら、さっきまでの少し沈んでいた気持ちが落ち着いてきた。 そろそろ、来るかな? なんとなくそう思って、目を開けて姿勢を正した。 ジャストタイミングだ。数秒遅れて、蔦の絡まる柱の陰から、千聖お嬢様がよたよたと歩いてきた。慣れないミュールのヒールが憎らしいのか、困った顔で何度も踵と地面を見比べている。 「千聖お嬢様、こんにちは。はじめまして」 「きゃっ!」 いきなり声をかけたから、驚かせてしまったらしい。小柄な体が派手によろける。 私はベンチから離れて、よろけた千聖お嬢様を受け止めるように手を差し伸べた。 「あ・・・」 一瞬、触れた肩が強張った。そっか、触られるのは苦手なのかな。あまり気を使わせないよう、なるべく自然に手を離して、「大丈夫ですか?」と声をかけた。 「えと、はい、大丈夫です。支えてくださって、ありがとうございます。」 緊張しぃなのか、お嬢様はほっぺたを赤くして、若干モゴモゴした口調になっていた。 「あの、舞波さん。ありがとうございます。」 「え?」 「だって、お手紙、すぐに読んでくださったのでしょう?だからここに・・・・」 そう話しだしたお嬢様は、私の手元に視線を移すと、不思議そうな顔をした。 「あら・・?読んでいらっしゃらないの?でも、それならどうして?」 しまった。もらった手紙を持ったままにしていたから、シールでしっかり封をした、開けられた形跡のない封筒が、お嬢様の目にとまってしまった。 執事さんに聞きましたとか、言い訳できなくもなかったけれど、なんとなくこのお嬢様には嘘をつきたくなかった。・・・というより、話してもいい、となぜか思えた。自分の、特殊な能力のことを。 「お嬢様。話半分で聞いていただきたいのですが、実は私・・・」 「・・・そう、だったの。とても勘がすぐれているのね。だから、千聖のお手紙の内容が、読まなくてもなんとなくわかってしまった」 丁度話の区切りがついたところで、お嬢様は微笑した。 ライトイエローのドレスから伸びるお嬢様の小麦色の足が、庭園の土を軽く蹴って、二人乗りのブランコが緩やかに動く。 「驚いたわ。お呼び出しした場所までわかるなんて」 「なんとなく、ですけど。イメージが沸いてくるんです。」 驚いたとはいうものの、私の能力の話を聞いても、お嬢様は特別大きなリアクションは起こさなかった。最初は両親でさえ軽くパニックを起こしたというのに、この反応は新鮮だった。 「まるで、魔法使いのようね。千聖のクラスにも、魔法に憧れている方がいるのよ。あんまり話したことがないけれど・・・きっと、すぎゃ・・彼女が聞いたら、うらやましがるわね。」 「でも、百発百中ではないんですよ。外れれば人に迷惑をかけるし、あんまりお見せするものではなかったですね。すみません、不注意でした。」 私が頭を下げると、千聖お嬢様は不思議そうな顔をした。 「どうして?失敗は誰にでもあることでしょう。千聖も走るのがとても得意だけれど、転んでビリになってしまうこともあるわ。舞波さんもせっかく素敵な力をお持ちなのだから、失敗を恐れることはないと思うけれど・・・ きっとその能力は、人を笑顔にする素敵なものなのではないかしら。・・・舞波さん?どうなさったの?」 「いえ、あの・・・」 あまりにも予想外なお嬢様の言葉が心に刺さって、私は身動きが取れなくなってしまった。ここ数年、淡々と、心を揺さぶられることなく生きてきた私にとって、リハビリもなにもかもすっ飛ばしたいきなりの激情だった。 「舞波さん?」 「あ・・・すみません、何かそんな風に言ってもらえるなんて、びっくりして、目から鱗っていうかっ」 何とか場をつなごうとして口を開くと、昂ぶっていた神経がそうさせたのか、いきなり涙があふれた。 「ごめ、ちょっと、すいません、私ったら」 「まあ。舞波さんたら、目から鱗じゃなくて涙が零れてしまったのね」 私の目じりを、お嬢様が優しくハンカチで拭いてくれる。バニラのいい香りがした。 「あのね、舞波さん。今日ここに舞波さんを強引にお誘いしたのは、私なの。」 「どうして・・・?」 「わからないわ。お父様から、遠縁の親戚で年の近い方がいるって聞いたときに、なぜか無性に会いたくなったの。きっと、素敵なお友達になってくださるような気がして。これは、きっと千聖の超能力ね。舞波さんに出会えてよかった」 お嬢様はそう言って、ウフフと笑った。 「よかったら、これから千聖のおうちに遊びに来ない?ここから近いの。車で10分ぐらいよ。せっかくお友達になれたのだから、もっと千聖のことを知って欲しいわ。」 「でも」 「お願い。ね、舞波さん?舞波さんのお父様とお母様にも、千聖からお願いしてみるから」 「ウフフ、わかりました。では、2人で交渉してみましょう。」 「本当?嬉しい。後で妹弟のことも紹介するわね。そうね、まずは、会場に戻りましょう。」 千聖お嬢様はパァッと明るい表情になって、勢いよくブランコを飛び降りた。 「もう、お嬢様ったら、ミュールで危ないですよ」 「大丈夫よ。早く行きましょう、・・・舞波、ちゃん」 「もう、そんなに急かさないでくださいって。・・・・千聖。」 一歩間違えれば大変な無礼にもなるけれど、きっと、これがお嬢様の望み。案の定、お嬢様・・千聖は少し目を丸くした後、目をくしゅっと細めて笑った。 「やっぱり、舞波ちゃんはすごいのね。千聖の自慢のお友達だわ。」 まるで羽でも生えているように、軽やかな足取りで、千聖は走る。その背中を見つめ追いかけながら、私は初めて、この能力を持って生まれてきたことに心から感謝した。 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
https://w.atwiki.jp/byakumu2/pages/2778.html
製作者 雨傘 黒須恭介 kurokyousuke_unit.bmp 黒須恭介 身長:178cm 体重:72kg 血液型:A 年齢:22歳 誕生日:4月8日 外見的特徴: 一人称:普段は「僕」 演出時は「私」 二人称:「君」 名前を呼ぶ際は、基本的に名前で呼び捨て 口調:芝居がかって大仰 レーネの前ではただのシスコン 学校:クルセイド学園 大学芸術学部 所属:なし 家族構成:レーネ=アルトバウム(義妹) 演出家を自称する大学生 大学では演劇やオーケストラをはじめとした様々な舞台芸術に関して勉強している。 昔は人を人とも思わない非道な性格だったが、外国を旅していた時に孤児のレーネを引き取って大分丸くなった。 義妹のレーネを溺愛しており、普段は芝居がかって黒幕チックなキャラも、レーネの前ではただのシスコンに成り下がる。 レーネの入学時、悪い虫が付かないようにと女子校の聖乙女学園に入学させているあたり、シスコンが如実に表れている。 任意の空間展開を行う能力を持ち、名前は『黄金劇場』 目の届く範囲にいる生物を任意で取り込み、異空間を生成する。 劇場内部は地形や天候を操作することができ、取り込んだ者を役に合わせて強化・弱体化する事も可能。 劇場内部での操作能力を総じて舞台装置と呼んでいる。 以下、その詳細(弱点に成り得る部分) 誰でも使える出入口が存在する。 発動時、必ず役者(取り込む対象)と観客(取り込まない対象)が一人ずつはいないと発動できない。 空間操作などの能力を持つ者には強制力が低く、取り込みや舞台装置が効果を及ぼさない。 観客から自力で入ってきた者に対しても舞台装置の効きが悪い。 書物型フェイティア『舞台台本』を所持。 フェイティア能力は読み上げることで黄金劇場外でも一部の舞台装置(天候操作など)の能力使用を可能にするというもの。 日常的にも役立ちそうだが、黄金劇場の内部では何の役にも立たない。 「役者は揃った。開け、黄金の劇場よ!」 「観客一同ご照覧あれ。さあ、今宵の恐怖劇を始めよう」 「成っていない……嗚呼、成っていない。まるで見るに堪えないな君の脚本は」 「レーネーー! 会いたかった、会いたかったよレーネ。どうだった、クルセイド学園は? 何かあったら、すぐにお兄ちゃんに教えるんだよ」 パイロットアイコンは熾天セラフ様の「FREE_167.bmp」「FREE_167(ce).bmp」を指定させていただきます。 パイロット 黒須恭介 恭介, きょうすけ, 男性, 人間, AAAA, 160 特殊能力 ハンターLv-5=(シスコン) レーネ=アルトバウム, 1 シスコン=解説 シスコンが祟り、レーネに対する攻撃・防御力が半減する。, 1 146, 149, 142, 153, 157, 153, 普通 SP, 60, 感応, 1,ひらめき , 1, 祝福, 11, 激闘, 19, 戦慄, 26, 威圧, 40 FREE_167(ce).bmp, -.mid ##いわゆる通常バージョン。といっても、そこまで弱体化してないけど ##味方キャラで使うときはこちらでどうぞ ##特殊能力『シスコン』はお相手のレーネにも非表示でハンターをつけて表現 黒須恭介(黄金劇場) 恭介, きょうすけ, 男性, 人間, AAAA, 180 特殊能力 ハンターLv-5=(シスコン) レーネ=アルトバウム, 1 シスコン=解説 シスコンが祟り、レーネに対する攻撃・防御力が半減する。, 1 146, 159, 150, 158, 163, 161, 普通 SP, 60, 感応, 1,ひらめき , 1, 祝福, 11, 激闘, 19, 戦慄, 26, 威圧, 40 FREE_167.bmp, -.mid ##敵キャラ前提で総じてハイスペック ##(黄金劇場)とかついてますが、別に劇場内でなくても使ってください。 ユニット 黒須恭介 黒須恭介, くろすきょうすけ, (人間(黒須恭介専用)), 1, 2 陸, 4, M, 8000, 180 特殊能力 性別=男性 攻撃属性=夢 夢=解説 夢干渉 現実世界と意識世界の狭間に存在するモノをとらえる攻撃 3800, 200, 800, 90 CACA, kurokyousuke_unit.bmp 格闘, 1000, 1, 1, +20, -, -, -, AAAA, +20, 突 投石, 1000, 1, 3, +0, -, -, -, AAAA, +15, 実複 ##黄金劇場とは比べ物にならない低スペック ##特に武装の貧弱化がひどい 黒須恭介(黄金劇場) 黒須恭介, くろすきょうすけ, (人間(黒須恭介専用)), 1, 2 陸, 4, M, 10000, 200 特殊能力 性別=男性 攻撃属性=夢 夢=解説 夢干渉 現実世界と意識世界の狭間に存在するモノをとらえる攻撃 4000, 240, 800, 90 BAAA, kurokyousuke_unit.bmp 開幕の躍動, 1000, 1, 1, +20, -, -, -, AAAA, +20, 突 静寂は歌声, 1200, 1, 2, +10, -, 10, -, AAAA-, +10, P音風 万雷の喝采, 1300, 3, 5, +0, -, 30, 110, AAAA, +15, 雷 巻末の落涙, 1400, 1, 3, +5, -, 10, -, AAAA, +0, 水 機械仕掛けの天幕, 1600, 1, 3, +15, -, 80, 120, AAAA, +20, - ##敵キャラ前提の能力調整 ##軟弱キャラと思わせておいて、自分のフィールドでは強いキャラ。 メッセージ 黒須恭介 回避, 成っていない。嗚呼、成っていないな 回避, いまの君は、役者としても三流以下だ 回避, そんな演舞では使えないよ 回避, 嗚呼、見苦しい。なんと見るに堪えないものか 回避, このような劣等が存在するとは、世界はかくも残酷だ 回避, 見事だよ、喜劇のピエロとして及第点だ 回避(対レーネ=アルトバウム), あ、危ないじゃないか、レーネ! 回避(対レーネ=アルトバウム), 流石は僕の義妹だ……と言いたいが、あぶなかったよ!? ダメージ小, 成る程悪くはない。悪くはないが、それだけだ ダメージ小, 出だしとしては十全。見どころはあるようだ ダメージ小, 盛り上がりには欠けるが、及第点としておこう ダメージ小(対レーネ=アルトバウム), な、何をするんだい、レーネ ダメージ小(対レーネ=アルトバウム), 待ってくれレーネ、まずは話し合おう ダメージ中, 然り然り。これでこそ舞台は盛り上がるというもの ダメージ中, さあ、見せてくれ。君の持つ可能性の翼を ダメージ中, これは面白い、興味を惹かれる。 ダメージ中(対レーネ=アルトバウム), これがまさか、うわさに聞く反抗期……? ダメージ中(対レーネ=アルトバウム), 痛い、痛いってレーネ ダメージ大, そう、これだ! さあ見せてくれ、この舞台の終幕を! ダメージ大, かくて英雄は誕生せり。この台詞、早く言わせてもらいたいものだ ダメージ大, 残るは、憎まれ役による幕引きのみ ダメージ大(対レーネ=アルトバウム), レーネ、お兄ちゃんは泣きそうだよ ダメージ大(対レーネ=アルトバウム), いや、すまなかった。何が悪いのかわからないけど、とりあえずすまなかった! 破壊, そして観客はこう語る。駄作であった、と 破壊, 嗚呼、私は満足のいく舞台であったよ 破壊(対レーネ=アルトバウム), ぐぅ……まあ、相手がレーネだったからいいか 射程外, 退屈は人を腐らせる。悪手だよ、それは 射程外, 構いはしない。すべては脚本のまま事が進む 射程外(対レーネ=アルトバウム), 流石は我が義妹だ。どうすればいいのかわかっている かけ声, さあ、恐怖劇の開幕だ かけ声, ここで争うのも、一つの定め かけ声, 演目は定まった。開幕といこう かけ声, すべては脚本のままに かけ声, 私の舞台を見せるとしよう。だから君も、魅せてくれ かけ声, では、今宵の恐怖劇を始めよう かけ声(反撃), 構いはしないが、今度はこちらの手番だ かけ声(反撃), よく魅せてくれた。ならば私も報いろう かけ声(反撃), すべては脚本のままに かけ声(反撃), 私も動くこととしよう。サンドバックでは舞台に映えない かけ声(反撃), 然り然り。攻防の図こそ、観客の目を引き楽しませる かけ声(反撃), では、今宵の恐怖劇を始めよう かけ声(対レーネ=アルトバウム), れ、レーネ!? いったいどうして君がここに…… かけ声(対レーネ=アルトバウム), いや、その、ここにいるのは事情があってだね…… かけ声(機械仕掛けの天幕), この先は、君らでも知っている展開だ かけ声(機械仕掛けの天幕), 花よ散れ、これにて終劇だ かけ声(機械仕掛けの天幕), 舞い散るは花、零れるは生命。機械仕掛けの神様よ、今こそ幕を引く時だ 攻撃, 響けよ天地へと。これが活劇だ 攻撃, さあ踊れ、集いし者たちよ 攻撃, さあ歌え、擾乱の詩を 攻撃, 沈黙は美徳などではない。さあ、わめくといい 攻撃, 疾く羽ばたくといい。そして舞い上がれ天の上座へ 攻撃, 鎖は絡んだ。あとは歯車の回転を待つのみ 攻撃, ノイズは不要だ。演出家として消しておこう 攻撃, 君の出番ではないのだ、消えるといい 機械仕掛けの天幕, デウス・エクス・マキナ。さあ、舞台に幕を落とせ 機械仕掛けの天幕, みな好むのだろう? 大団円は 機械仕掛けの天幕, そして詩人はかく語る。アポテオーズ、と とどめ(機械仕掛けの天幕), かくて舞台は幕を閉じる アニメ 黒須恭介 格闘, 格闘 投石, 投石 開幕の躍動, 打撃突撃 静寂は歌声(準備), 光球集中 緑;音符 静寂は歌声(攻撃), 気斬 緑 静寂は歌声(命中), 超斬撃 万雷の喝采(準備), 光球集中 黄 万雷の喝采(攻撃), 大落雷 万雷の喝采(命中), 大落雷;爆発 巻末の落涙(準備), 光球集中 青 巻末の落涙(攻撃), つらら 巻末の落涙(命中), つらら 機械仕掛けの天幕(準備), 光球集中 白;光大噴出 機械仕掛けの天幕(攻撃), 大光柱
https://w.atwiki.jp/isekaikouryu/pages/2568.html
フタバ=スズキ八代目竜将軍が高級料亭『ハナブサ亭』へやってきたところ、ちょうど屯していた岡っ引たちが引き上げていくところだった。 彼自身はいつものように威厳も何もあったものではない着流し姿である。 それでも役人ともなれば将軍閣下の顔を覚えていない者などおらず、横を通るたび一様に略式ではあるが礼を欠かさず行っていく。 「なんでぇこりゃあ」と気の抜けた声を漏らした将軍はハナブサ亭の白塗りの塀沿いに歩を進め、門を潜ろうとしていた町方同心を捕まえた。 横合いからかかった無遠慮な声に鋭い視線を向けた魚人の同心は将軍と分かると態度を一転、背に鉄棒が入ったように姿勢を正す。 わけを聞かれて同心が口を開いたのと、その“わけ”が運び出されるのはだいたい同じ拍子だった。 岡っ引たちに縄をかけられて連れて行かれるのはいかにもごろつきといった風体の男たちだ。 ハナブサ亭の枯山水で構成される雅な庭園からぞくぞくと運び出されていく男たちは何故か皆氷漬けとなっている。 肉体の一部につららが垂れ下がっていたり、はたまた全身が霜で覆われていたり。それだけで何者の仕業か理解するのに時間はかからなかった。将軍にとっては。 「ガンセのやつ、無茶をしやがって」 苦笑いと共に同心と岡っ引たちを労って店の敷居を跨ぐ。 凍えているせいで威勢の悪いごろつきたちの罵声を背中に聞きつつ岡っ引の最後のひとりとすれ違い、玄関で待っていた女将に「よう」と手を上げて挨拶した。 深々と頭を下げた居住まいの美しい女将とはしばらくの付き合いである。“会合”に『ハナブサ亭』を使いだしてもう久しい。 ハナブサ亭に降って湧いた災難の火種となったのは我々だろうという限りなく正しい推測から女将に謝罪しつつ、ドニー杉で出来た廊下を女将の背を追って渡っていく。 木張りの廊下にひんやりとした空気が漂っているのは普段通りだが、どことなくその温度がいつものそれより低い気がするのは先程のごろつきたちの様子を見たからだろう。 やがて到着した巨大な襖―ハナブサ亭は外来の客のことも考え天井がかなり高い―を女将がしずしずと開けたところ、大規模の会食場には既に3人の待ち人が酒盃を空けていた。 一歩踏み入れて開口一番、将軍はその中のひとりに若干非難めいた口調で声を掛けた。 「おいガンセ!てめぇこの店に迷惑かけてんじゃねぇよ! 店のもん何にも壊さなかったろうな!」 ミズハミシマの陸と海を繋ぐ海神気道橋や祀り舞台を一望できる最も位の高い部屋を雷鳴のような笑い声が満たす。 「は は は は は ! てことは表のを見たかい殿様よォ!安心しろよォ、どいつもこいつも店の門前で片付けてやったぜェ? クロツグの透破どもが張ってるてのに馬鹿な連中だぜェ!」 げらげらと豪快に笑う凶悪な人相の鱗人を含めた、6つの瞳が一斉に将軍の方を向く。 小さな影、大きな影、途方も無く巨大な影。それぞれがフタバ=スズキ将軍を待っていた者たちだった。 「ガンセ……お前な! そういう楽しげなことを一人でやっちまいやがって!どうして俺を待たねぇ! 待てよ、そうか伝令をよこしたのはお前だったなクロツグ?お前か!『少し遅れてやってこい』と俺を仲間外れにしやがったのは!」 「確かに大樹様にそうお伝えしたのは“私ら”のひとつですが、発端は“私ら”ではありません。 そこの図体のでかい腹黒です」 将軍の恨みがましい視線を事も無げに受け流し、小さな影はそのすぐ横に“聳え立っていた”巨大な影をちらりと睨む。 「そりゃあ、まあ、そうでしょう上様。 あんな大立ち回りの最中に上様をお呼びするわけには、まあ、いかんでしょうよ。 いくら上様が喧嘩を買いたげになさっていてもそれをお咎めするのが拙の仕事ですし、それにそもそもの言い出しっぺはガンセですよ。なあ、ガンセ?」 巨大な影が苦笑交じりにじろりと対面の席に座る鱗人に瞳を向けると、若干ばつが悪そうに頬をかきつつその男は釈明を始めた。 「ま、まあなァ? 元を正せば俺が招いちまった連中だしよォ?ケジメつけんのは俺の仕事ってもんよォ、いくら殿様でもそんなことをさせるわけはいかねぇわなァ。 しかし詳しいことは後で話すがァ、これで今日の俺様の『議題』は無くなっちまいやがったぜェ。となりゃあ、俺はここにタダ酒飲みに来ただけってわけだァ! は は は は は は は は !」 男の長く裂けた口がにんまりと歪み、手のひらよりも大きな盃になみなみ注がれた酒を勢い良く喉の奥に流し込んだ。 三者三様、ひとつとして似た性質のない人格たち。席の上座へ向かって畳を踏みながら将軍は喉の奥で笑った。 この凸凹とした三人組こそミズハミシマに名高い三将。水精霊の寵愛を一身に受ける者。フタバ=スズキ八代目竜将軍が懐刀にして最強の切り札たち。 《凍えのガンセ》、《煙りのクロツグ》、《流れのキザン》。 敬意と畏怖を込めて遍く民たちに《三本槍》と称される、万夫不当の猛将たちである。 「そら、いつまでもじゃれてんじゃねぇよ! いつもの《サツキ会》、始めっぞお前ら!とりあえずは好きなだけ飲み食いしやがれ!」 部屋の最も奥に設えられた席へ将軍がどっかと座り込むと、3つの影が一斉に居住まいを正したのだった。 「あの方々の定例報告会、《サツキ会》にあなたがお料理を運ぶのは初めてだったわね」 厨房で料理の配膳を待っていた新入りに女将が再三の忠告を行った。 台所に忙しさはない。今日は貸し切りだからだ。ただ、奇妙な緊張感があった。張り詰めているようで緩んでもいる。 それはあのフタバ=スズキという将軍の人となりが生み出しているものなのか。 「知っての通り、フタバ=スズキ八代目竜将軍と《三本槍》の方々による個人的な近況報告会がサツキ会よ。 公的な会合ではないけれど、ミズハミシマという国の運営の一端を担っている大事なものなの。 あなたはここで働きだして1年だったわね。将軍様が是非新人には経験を積ませよとおっしゃるからあなたにお料理をお届けさせるけれども、くれぐれも注意するのよ。 それから………」 鱗人の女将の口が酸っぱくなるほどの注意を受けた後、ようやく送り出されたのがつい先程のこと。 さぞや真剣な顔つきで話し合いが進められているのだろう―――とは、この料亭の誰もが思わないことだ。 なんせ――――普段のサツキ会は、スズキ将軍の幹部たちの報告会と称した酒飲み会でしか無いのを皆知っている。 「さて、さっきも言った通りよォ。あの残党共が俺の懸念材料としてここに持ち込む議題だったわけよォ。 ヤツらはゴリガシラのジジイの領地で悪どいシノギをやってた極道でよォ、アクロ組てんだがァ…調子にに乗ってこの竜宮城下にも足を伸ばしてきたってわけだ。 勿論乗り込んでぶっ潰してやったんだがちょいと逃しちまっててよォ?そいつがちと心配だったんだがァ…。 何のことはねェ、俺に仇討ちしかけてきやがったがなァ。網を張ってないわけねェってのになァ!は は は は は !」 鱗人の横に座り『瑠璃海老の酒蒸し』を配膳すると「ありがとよ」と男臭い笑い方で礼を言ってそのまま殻ごとばりばり食べ始めてしまった。、 鎧のように分厚く硬質な光を放つ鱗の下に巨岩のように盛り上がった筋肉を閉じ込め、そしてそれと同等かそれ以上にいかつく大きな顎を持った大男。 下は紺色の袴、上は着物を肩に羽織っただけの裸といった装い。着物は金糸をふんだんに使ったひどく派手な錦模様で、男の人となりを示しているかのようだった。 背中側を黒々とした体皮が覆っているが喉から腹にかけては目の覚めるような美しい淡黄色であり、額から盛り上がった瞳には獰猛な荒ぶる意思の中にどこか静やかな知性が宿っている。 それらも相まってただの乱暴な傾奇者と思わせぬ何かを感じさせる男だった。 名をガンセ。ミズハミシマ最大の護りを敷かれる竜宮城下には3つの奉行所『竜宮奉行』があるが、その全体を統括する立場にいる重臣である。 薙刀《轟丸》を有し、水精霊の亜種たる氷精の加護を一心に受ける実力者のひとり。歯向かった者は尽く氷漬け、《凍えのガンセ》。 「ゴリガシラのジジイもカンカンさァ!は は は は ! 手を焼いていた連中がようやく見せた弱みだ、今頃やっきになって潰しにかかってんじゃねェかァ?ゲコゲコうるさく鳴いて奉行所に怒鳴りつけてる最中だろうさァ! なあクロツグ!てめェの“海風”はどういう風向きだァ?」 「……およそあなたの想像通りに“風”は吹いているようだ」 ガンセの対面の席に折り目正しく正座で座っている小さな、とても小さな影からそれは発せられていた。さほど大きくはないのによく通る声だった。 「今ゴリガシラ公の使者がこちらに向かっている。支部壊滅の報を受けて竜宮奉行所とアクロ組撲滅の協力体制を取りたい、という旨を持ってな。 ガンセ、すぐにもあなたの元にも報がやってくるだろう。これはあなたの管轄だ。 “私ら”のひとつによれば、そういうことだ」 空になっているお猪口に酒を注ごうとすると「いただこう」と女はお猪口を片手で支えつつ、己の見解を述べた。 2メトルはゆうにあるだろうガンセと比べれば何回りも小さい。銀糸による飾りがあるので辛うじて喪服には見えぬ黒い着物を来た小さな姿だ。 しかし、その姿もまた特異。服の飾りにある銀糸の美麗さが霞むほど美しい、銀の髪。そこから冷気を発しているように錯覚するほどだ。 公務においては短髪にすら思えるほど複雑に編み込んでいる髪も今は解いて肩口まで垂れ下がっている。誰もが羨むような艶やかな髪。 その髪の中から突き出ているのは髪とはまた違った艶やかさを放つ白亜の角だ。二又に分かれたその角が彼女を竜人なのだということを示している。 褐色のきめ細かい肌を視線でなぞっていけば細面に二つ並んでいる藍色の目に行き当たる。深海のように昏い蒼さに宿る冷たさだけで姿全体から感じる線の細さが引き締められて余りある。 細面から刃の切れ味すら感じるのに纏う雰囲気は深山にかかる濃霧のように不気味さを持った女だった。 華奢で一見若枝のような危うさが四肢にはあるのにその実は手先の指一本、つま先の爪ひとつまで全身が是凶器である。それだけの実力無しにこの席にいることは許されない。 《煙りのクロツグ》、竜宮島における隠密忍軍の頂点。 首長オトヒメと主従関係を結び領地を分けられた諸侯たる『海守』たちの全ての領地に“海風”を飛ばし、それに飽き足らず世界中に“風”を吹かせるミズハミシマの耳の長。 先に話に上がっていたゴリガシラも南部の海守だが、当然その“海風”は彼の元へも吹き付けている。既に届くはずの情報の内容もすっぱ抜かれて使者より先にここへ届いているのがその証拠だ。 ぐい、とお猪口に注がれた酒を飲み干したクロツグは、落としていた視線を上げる。見つめられれば多くの胸をざわめかせる藍の瞳がガンセを見た。 「……………ところで、たった今しがただが。 “私ら”のひとつがお前が吹き飛ばした残党共の残りの行き先を捉えたぞ。 お前、“私ら”が張ってるのを知ってわざと何人か逃したろう」 「………俺が出向くかァ?」 先程からこの部屋には自身しか足を踏み入れていないのに、いかにしてその情報を得たのか――驚く新人給仕を他所にガンセの目が鋭い光を帯びる。 ただそれだけでこれまでの豪快奔放とした態度から冷たい刃の温度まで下がる。火でありながら氷。冷たくありながら熱い。ガンセという男の有り様だ。 上座で腕組みをするフタバ=スズキ将軍と、ぐい呑みを摘んでいたキザンの視線もクロツグに集中する中、ことりと小さな音を立てて膳にお猪口をクロツグが置いた。 「必要ない。“私ら”で処理をする。 追って沙汰は知らせよう。それでよろしいでしょうか、大樹様」 「おう、任せるぜ。“海風”に間違いはねぇだろう。いいな?ガンセ」 「殿様がそう言うなら、俺ァ何も言うことは無ェよ」 「………では、大樹様。途中ながら暫しの退席をお許し召されよ」 クロツグが双方からの断りを得た途端、新人給仕は視界の違和感に目を瞬かせた。 室内に立ち込め始めるは、霧。最初は薄っすらと、しかし白墨が流し込まれるように急激に濃く漂い始める。 やがて視界もおぼつかなくなった。室内だというのに右も左も分からなくなる―――と。 控えめに、だが確かに新人給仕の手を引く力がある。大きい。樫の枝でも差し向けられたかのような。 この濃霧の中ではただひとつの確かな感覚だ。思わずぎゅっと握りしめていれば、霧は徐々に晴れていく。 実時間では20秒も無かったのではなかろうか。晴れた先、新人給仕が見たのはこちらに手を差し伸べるキザンの姿と、その横に座っていたクロツグの空席だ。 「……いつものように霧に“溶けやがった”か。はっは、奴らも不幸だな」 「まったくだぜ殿様ァ。 俺が行ってりゃ氷漬けになるだけで済むってのによォ。クロツグが行きゃァ容赦なしだぜェ」 「まぁ、これで一安心だねぇ。後始末は頼むよガンセ? ああ。もう大丈夫だよ。クロツグは足取りを掴ませないことに関しては徹底しててね。でも、まあ、こうしてみると結構派手だよねぇ」 遥か上、天井すれすれから人を安心させる緩やかな視線が差し向けられ、ようやく我に返って新人給仕は飛び退いた。 2対の手槍、《竹割長光》。それを腰に帯びた《煙りのクロツグ》率いる隠密忍軍は噂ばかりの先行する謎の多い存在だ。 筆頭のクロツグは水精霊でも特殊な亜種と縁があり、時に天候すら操るという眉唾な話もある。 ………しかし謎という点では。その横に座っていたこの巨漢も、さして変わらないかもしれない。 ただ、座っているというよりは聳え立っている、と言ったほうが表現としては近いものだった。 それは小さな山だ。大柄な鱗人であるガンセが横にいても遠近感が狂うほどの巨漢だ。 「まぁ、クロツグが帰ってくるまでに拙の話をしようか。 ……あ、お酒注いでくれる?はは、まあ、ありがとう」 へらり、と気の抜けるような笑顔は新人給仕の頭上2メルトルも上に浮かんでいる。 身の丈3メトル、いや3メトル50サンチはあるだろう。白い格子の中に淡い黄色の斑点を宿した独特の模様で皮膚は覆われている。 服装は華美すぎず質素すぎずといったもので、ところどころ装飾のある乳白色の羽織に黒の袴という出で立ちだ。 例えるなら巨大な巌がミズハミシマの正装を着こなしているようなものだが、圧倒的な存在感にも関わらず見た目ほど圧迫感を感じさせないのはこの巨岩の内面がそうさせるのかもしれない。 ちびちびとぐい呑みを傾けながら全員を見下ろすその瞳は身体に反比例するように小さく、だがしかし険しさはない。穏やかな光を湛えていた。 トロールの平均身長すら超えるこの男は、だがしかしトロールではなく、ミズハミシマでは珍しい高級官吏を担っている魚人である。 猪首から映える扁平とした頭からぐつぐつと大釜が煮立つ音が響く。“小さく”笑っているのである。 「で?キザンよ。 お前からはどうだ?オオミズチノトゲマロの爺さんと顔つき合わせて金ぶん取ってくるのがお前の仕事だが、うまくいってんのかい」 「いやあ、まあ、上様。あの方はさすがですねぇ。 先日海将棋のお手合わせをしたのですが、あの翁公はああ見えて攻めっけの強い戦いっぷりでして」 「うへえ。俺ァ、あの爺様とはなるべく顔合わせたくねェや。 よくやるぜ腹黒野郎。お前じゃなきゃあの爺様の相手は務まんねェ」 「はは。まあ、でも、ある程度は、ね」 ちらりとキザンの流し目が新人給仕に送られる。 口が堅いことで知られるハナブサ亭でも、給仕がいる場所では出来ない話、ということらしい。そこでようやく新人給仕はこの場に居付きすぎたことに気がついた。 慌てて失礼しましたと詫びを入れ退出しようとしたところで、「ところで」とキザンの話が再開した。 「で、ここからは正味の本題。 まあ、来ますよ――――海嵐」 途端、どっと溜息がふたつ上がった。フタバ=スズキ将軍とガンセのものだ。この場にクロツグがいれば…溜息はしなかったかもしれないが、やれやれと頭を振るくらいはしたかもしれない。 嵐たる『海嵐』を察知することなど、誰にもできることではない。だが、この場にいる男は別だ。この、《流れのキザン》は特別だ。 十字槍《波潜》の持ち主キザンは“流れる”水精霊に愛された男である。彼が一声かければ海中の水精霊が耳元に囁くのだ。海流の行方を。 「………やれやれ、いつ来る?」 「4日もすれば勢いも出てくるでしょう。そう水精霊は言ってますよ。 というわけで、お二人はよろしくお願いしますよ」 「そろそろ時期だとは思ってたがなァ………しゃーねーやァ。 ここから帰ったら3つの奉行所に出回りゃなァならねェな。アクロ組残党どころの話じゃ無くなってきちまいやがったァ。殿様ァ?」 「おう。俺の名前で全国に注意報を発布させるぜ。 今年もなんとか乗り切らにゃならねぇな。ガンセ!竜宮城下は頼んだぜ!」 「応よォ殿様、竜宮城の城下じゃなにひとつ損害を出させやしねぇよォ」 「よし。キザン!」 「まぁ、発布する内容の草案を考えなければなりませんねぇ。こっちで考えておきますがよろしいでしょう?上様」 「ああ、任せるぜ。 あとはクロツグが戻り次第………」 会談の場は突如として海嵐の対策会議所となりつつある。 酔漢の顔つきから一転、国の運営を司る者の表情となった三人を後に、失礼しましたと新人給仕は襖を閉めるのであった。 「『あちら』は海嵐の会議の真っ最中、か?」 1本1本運んでいたのでは間に合わないため、酒瓶の入った木箱ごと運ぶ決心を固めた新人給仕に後ろから声がかかる。 誰もいなかったはずの場所からだ。思わず振り返れば、柱の影からどろりと沸き立つような冷ややかな影がある。 装いを変えたクロツグだった。着込んでいた着物ではなく、いかにも忍びといった軽装。 請け負った仕事をもう終わらせてきたというのか。新人給仕の顔を見たクロツグは然りと頷く。 「だろうな。時期が時期だし、キザンが早めに予定を合わせてきたのはそういうことだろう。 “私ら”のひとつを忍ばせても即座に感知する化物しかあの場にはいないが、そのくらい“風”が流れてこなくても予測はつく。 “海風”を全国の海守へ差し向ける必要があるな。毎年のことだが面倒な仕事だ。手配しておくか………」 こりこりとこめかみを揉んでいたクロツグが新人給仕の視線に気づく。 給仕としては、絡繰や人形に似た作り物めいたクロツグが人間らしい仕草をしているのがどこか可笑しかったのだ。 ふん、とクロツグの細面が鼻息をついた。不快そうな感情はない。 「“私ら”とて面倒は面倒さ。海嵐については注意を細部まで行き渡らせよというのが首長オトヒメ様の厳命だ。 本当の意味で全国を駆けずり回らねばならん。“海風”の速度はミズハミシマで一等だからな。全く、忍びが飛脚の真似事とは聞いて呆れる」 物陰で腕組みをしたままクロツグが話を続ける。意外と公的な場以外では饒舌な性分なのかもしれない。 「だが不満はない。大樹様、フタバ=スズキ八代目竜将軍様にはな。 その一点でガンセとキザン、あの人知を超えた化物どもも結束しているのだろうよ。 ……いかんな、喋りすぎだ。秘密は口が裂けても割るつもりはないが、引き換えどうでもいいことなら滔々と喋ってしまうのは“私ら”の悪い癖だ」 気を取り直すように軽く咳払いするとふいに酒瓶の入った木箱をクロツグはひょいと担ぎ上げた。 慌てて止めてもまるで聞き入れもしない。すたすたとサツキ会の面々が待つ宴会場へ歩き去っていく。 鱗人である自分よりひとまわりも小さなその竜人の背を見ながら、新人給仕はふと思う。 ――――もしかしたら、愛想が悪いだけでいい人なのかもしれない。この人も。 久しぶりの将軍配下登場。ミズハミシマ最高戦力の面々もしっかりキャラが立っていて時代劇めいた光景が浮かんでくる。言い回しや語句もしっかりそれっぽくてちょっとほっこりする流れにわむ -- ((代理)) 2016-10-15 21 53 00 適度な騒ぎと緊張感のあるそこそこ平和な世の中のミズハミシマは時代劇のテンプレだな -- (名無しさん) 2016-10-15 23 49 49 三本槍と将軍がそろうと大岩三つに囲まれた細い女性ということに?VIP部屋も思わず手狭に -- (名無しさん) 2016-10-16 20 39 05 上でドンと構えているんじゃなくて細々と働いているのな三本槍 -- (名無しさん) 2016-10-27 06 58 52 今のミズハミシマの治安や統治レベルってどれくらいなんだろうね。いっぱいある島はそれぞれ自治区みたいなものなんだろうか -- (名無しさん) 2016-12-19 08 54 12 異世界の文化レベルや国家体制から成熟度合いは人間が思っている以上に進んでいるのかも知れない。ノスタルジックと現代の合わせたものみたいだ -- (名無しさん) 2017-03-28 19 05 03 名前 コメント すべてのコメントを見る