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(Lieselotte Von Helsing) 性別/女 年齢/15歳 種族/人間 出身地/クラグナント帝国 所有魔法能力/心眼介抱(ウィッシュセラピー) クラグナント帝国皇女。 姉のヴィルヘルミーネと同じく、帝国の正当な血族。 魔法能力を持たない姉とは違い、彼女は祈ることで対象の傷を癒す「心願介抱(ウィッシュセラピー)」の能力を生まれつき持つ。 後に第1次世界大戦へと発展したヘルシング公襲撃テロ事件時にはわずか1歳であり、姉のヴィルヘルミーネと共に王宮にいたためテロに巻き込まれなかった。 10歳になるまではただの皇族の人間であったが、ヴィルヘルミーネが軍人になると決心してから皇女の冠を譲り受け、皇女に即位する。 皇女になってから最初に行った公務は首都ベルニカにて国花であるヤグルマギクの配り歩きだった。 リーゼロッテもまた姉と同じく、聖女のような優しさと行動力を持つが、彼女は大人しく、清楚さを持っている。 若干筋肉質であり、貧乳スレンダー体系であるヴィルヘルミーネとは真逆で、肉つきが良く、巨乳グラマラスな体系。 過去に両親を失ったこともあり、親族への執着心が強くなった結果、レズ気質。 ヴィルヘルミーネに会うたび、見かけによらないパワーでタックル抱きつき、なかなか離れない。
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ようこそ、ヘルシア教Wikiへ! ■ヘルシア教(Hell-Sire)とは? 悪魔スーシーによるカルボナリを防ぎ、サニーサイドを目指す、世界平和と救済の伝道組織です。 詳しくは「ヘルシア教早分かり」へ。 ■ヘルシア教辞典について 2013年度HS総会の決定に基づくIT推進事業の一環として、ヘルシア教辞典は電子版・書籍版ともにこのウィキ・システムに統合されることになりました。 新しく、よりアクセスしやすくなったヘルシア教辞典をよろしくお願いいたします。 ■ページの編集について 現在、ページの編集はマンタロスや顧問団を中心とした臨時委員会のメンバーのみに許可しております。 将来的には「リブロ・ナレッジ編纂委員会」を組織する計画のため、編集者を募集しておりますので、希望される方は「リブロ・ナレッジ編纂委員会:委員の募集について」をよくお読みになり、臨時委員会の担当者へご連絡ください。 また、編集される際は、「編集のガイドライン」もご覧ください。 ■バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、お問い合わせフォームからご連絡ください。
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■ 「……では、試験官は私、八神はやて二等陸佐と」 「私、リインフォース空曹長が担当するです」 立体映像のディスプレイを通じて、金髪の男に声を掛ける。 口をへの字に結んだ仏頂面。 猛禽じみた双眸の眼光。 白人故に通った鼻筋と白い肌。 ベージュを基調とした空軍風の制服が、この上なく似合っていた。 今日初めて着た制服だろうに、着られるのでも着るのでもなく、完全に自分の一部にしている。 ……年季がちゃうなあ…… それはそうと、と気を取り直し、 「試験内容はミッション形式の模擬戦闘。任務達成の条件は、目標である敵指令核の確実な破壊や」 「敵戦力は、機械兵器多数に加えて高ランク魔導師二名。結構な大戦力ですよー?」 キーを叩き、『指令核』の映像を表示。拳大の結晶体が、薄蒼い輝きを放って浮遊している。 同時、擬似再現された廃棄都市の鳥瞰図をワイヤフレームで描画し、その位置を表示した。 現在彼がいる建物からは、丁度反対側の位置だ。 「時間制限は無し。ギブアップしない限りは続けられるで。但し―――」 「機械兵器は延々と増えていきますですよ?」 「あと、戦意喪失した魔導師に対しての攻撃は禁止や。大事な部下やからな……無闇に傷つけられとうない」 男が頷いたのを確認し、立体キーボードの左下、一際目立つ赤いキーを押した。ディスプレイの隅にタイマーが展開。 『-00.00.03.』 ……さあて、 『-00.00.02.』 三つのシグナルの内、一つが消えた。 『-00.00.01.』 その全てが消えた時が、模擬戦の開幕だ。 ―――『00.00.00.』 試験、開始。両腕を武器へと換えた男が、姿勢を低く駆け出した。 ……お手並み拝見、やなあ? ■ 左右の路地に影/四つ/青い塗装/球形浮遊銃座。 着地と同時に地を蹴る/右へ/二つを蹴り飛ばし破壊/逆側の残り二つに砲撃。発射された光弾ごと蒸発させる。余波で周囲の窓硝子が熔解。 周囲に敵がいないことを確認し、左腕に付けた腕時計/携帯端末を操作、地図を表示。 任務開始よりおよそ十分/目標まで八百メートル/直線距離。道はそれなりに入り組んでいるが、壁を破って進めば問題ない。即座に疾走を再開。 機械兵器―――複数種の浮遊/自走銃座もまた、数があろうと烏合の衆。反応/攻撃/戦術/防御/機動、全ての能力が低過ぎる。 故に、問題は、 「 見つけたっ!」 上空から飛燕の急襲を掛ける女/手には長杖/弾け飛ぶ空薬莢/光弾射撃/数は十六。 右腕を振るう/打ち払う/壁を粉砕/建物の中へ飛び込む。絡め手/あの弾丸の悪辣さは、数分前の邂逅で思い知った。シグナムの忠告に心中で感謝する。 軌道は放物線/弾速は視認可能/故に容易く躱せたが、直後に方向転換し背を襲うのは予測不能。肩は即座に再生したものの、数秒は行動を大きく制限された。 攻防の基点が腕だと見切る/動作の根幹となる肩関節を狙い打つ/こちらの思考の死角を突く/外見にそぐわぬ闘い巧者。 それはいい。恐るべきは弾幕のみ。砲撃は相殺可能/反応速度/接近戦の技量は二流―――白兵戦に持ち込めばどうとでもなる。 だが、 「せあぁッ!」 炸裂/粉砕/吹き飛ぶ壁―――自分とは逆側から壁を破って突入してきた破城鎚/紅い少女。火を噴き加速する戦鎚のヘッド/正しく攻城兵器じみている。 相対距離十メートル/鉄弾による四連打/左腕の攻性防御で砕いた。 こちらは砲撃はしない/クロスレンジ担当/体格によるリーチの短さを長柄の武器で補い、実弾の多重射撃をも扱う。 ……これが厄介だ。 接近しようとすれば槌の少女が押し止め、距離を取ろうとすれば杖の女が弾幕を放つ。 中距離戦を主に、遠近を互いに補うコンビネーション。汎用と一点特化/安定と爆発力の両立。理想的な戦闘単位だと思考する。現状/単独の自分では破れない。 一進一退を繰り返す/少しずつ接近している/だが遅過ぎる。今は配置を読んで避けているが、自律兵器との同時攻撃を処理できるかは分からない。敵の数が増える以上いずれジリ貧になる。 『ブリューナクの槍』は使えない。出の速い射撃/格闘で初動を潰される。そして発射後の隙もまた大きい/『バインド』とやらで完全に捕縛されれば投降せざるを得ない。 ARMSを完全展開して強引に突破するか?―――却下。一瞬でも制御をしくじれば/感情の手綱を取り違えれば即座に赤熱化し―――その先は考えたくもない。 ……何をやるにしろ手数が足りん……! 軽量級サイボーグ―――否、生身の特殊部隊上がりが二人もいれば容易く打破できる状況。が、その手数が無いのだ。 先ず高所へと脱出。直後に捕縛されることを覚悟し、『ブリューナクの槍』で指令核を狙撃する―――不可。 荷電粒子砲は地磁気の影響を受け偏向する。精密な観測データが無ければ精密狙撃は不可能。 そもそも、『確実な破壊』が目的である以上、目標は直接視認しなければならない。壁越しに吹き飛ばすなど愚の骨頂、倒壊したビルを掘り返すのは手間だ。 確実に追い詰められている―――だが面白いと、そう考えた。 こうも悩まされる戦いは、未だかつて無い。自分の弱点/欠点/強さの可能性が浮き彫りにされていく。 だが、打破する手段/戦術は既に見出した。自分を/アレックスを/キース・シルバーを/マッドハッターを/ARMSを―――舐めるな。 ■ 『00.04.46.』 「五分と掛からずに半分以上を突破……か。予想外やなあ」 実のところ、彼女が設定したのは『達成不可能に限りなく近い任務』だ。 完全に掌握された制空権、一対多という数の差、時間が経てば経つほど不利になるという構図。 単独での正面突破という絶望的な状況で、どれだけ足掻けるか、冷静な判断を続けられるか―――それを見る為の試験。 本来なら、スタート地点まで押し戻すかバインドで拘束してギブアップを勧告する予定だったのだが。 「二人掛かりでも完全には押さえ込めへん、と……」 リミッターと試験ゆえの縛りが無ければまた違うのだろうが、一対一では確実に負けるだろう。 あの砲撃が使える遠距離戦と、多角攻撃を避け切る体捌きに加えて再生能力が十全に発揮される近接戦闘。双方で勝利できる魔導師は、海を見渡してもそういまい。 更に。極端に不利な状況に持ち込まれれば退くことを厭わず、市街地という入り組んだ地形を利用して視界から逃れ、配置の穴を読み切り前進する戦術眼。 「一体、どんな経験積んでんねや……」 渡した情報は周囲の地形のみ。恐らく、拠点制圧戦の膨大な経験があるのだろう。こちらが意図して作った穴は全く無視し、思いもしなかったポイントを突破される。 横では、リインが細かく記録を取っていた。 「被弾は一発のみ……機動力は陸戦Aランクの平均値とほぼ同等。近接白兵戦と長距離砲戦で空戦AAと同等以上です?」 「現状の査定結果は?」 「陸戦……AAマイナス相当、です」 「数の差を覆す一手が無いのが不運……や、幸運かいな?」 広域殲滅型の能力は、戦力査定においてポイントが高い。即ち危険として見られることをも意味する。 それではまずいのだ。『放置してはおけないが、封印するには惜しい』その程度の戦力でなければならない。 今のところは、それを完全に満たしてくれている。 「この調子で行けば、万事上手く片付くなあ……と、通信?」 新たに展開されたウィンドウに、焦燥を顔に浮かべた眼鏡の青年が映る。 部隊長補佐であるグリフィス・ロウランだ。彼はその焦燥を口調に乗せ、 『クラナガン近郊で護送列車が襲撃を受けました! 積荷はレリックを含むロストロギアです!』 「な……! また列車やて!? それも昨日の今日で……護衛部隊は!?」 『陸士108連隊の三個分隊ですが……既に通信が途絶えています!』 出動要請は、ゲンヤ・ナカジマ三等陸佐が―――』 「あそこの三個分隊が……敵は何が出たんや!? まさか……」 『ガジェットだけではなく、魔導師と思しき敵も確認されています……緊急事態です!』 「……リイン!」 「はいです! リインフォース空曹長より通達、出動要請が来ましたです! 試験は中止、待機中の魔導師は戦闘装備でヘリポートに集合です!」 「都市部やとあたしは出れへん……スターズとライトニングが頼りやけど……」 隊長不在のライトニングと、それなりに疲労しているスターズの隊長二人。 新人達はBランクだ。限定状況ではAランク、あるいはそれ以上の戦力を発揮できるが、未知の、それも単体戦力で同等かそれ以上であろう相手には不安が残る。 が、捨て駒としては高くつく、などと考えた自分に背筋を冷やし、その方向には行かないよう自戒し思考を続行。 模索する。違法性は揉み消し可能な範囲内で、確実性が高く、被害を最低限に抑え、敵戦力を打倒できる手段を。 ―――当て嵌まる手段は、たったひとつだけだった。 ■ 蒼穹の下、炸裂音と金属音が多重する。 列車とはいえ、重要物件護送用のそれは装甲で鎧われている。上部での格闘も充分に可能だ。停車しているなら尚更。 他の分隊との通信はおろか、同分隊のメンバーとすら分断され、列車は停止してしまった。一刻も早く一人でも多く、敵を倒さなければならない。 故に。ギンガ・ナカジマは、その拳を振りかざす。 「……っせああッッ!」 全力で振った左拳が、銀髪隻眼の少女を打ち抜いた。 だが手応えは、ない。 「また幻影……!」 左から足音、咄嗟に跳躍。一瞬前までローラーを履いた足を乗せていた装甲に、六本のクナイが突き立ち、 「ち、気付いたか。仕事は完璧にしてくれクア姉……ランブルデトネイター!」 声と共に、その全てが爆破される。爆風を防護の力場で散らし退避。同時、翡翠色の魔力刃が飛翔、炸裂し、少女の姿を隠蔽していた幻術を破壊する。 別分隊の隊長だった同僚のフォローだ。どうやら合流できたらしい。 「生きているかいナカジマ捜査官!」 「私は何とか……気をつけて。あなたの相手は?」 両手両脚をバリアジャケットの上から装甲し、魔力で構成したスローイングダガーを右手に掴んだ金髪翠眼の優男。 顔に浮かべる余裕の笑みは、しかし僅かに引きつっていた。 「何とか倒せたよ。けど……もう、二人目がすぐ近くまで来ている。僕には分かる。 それも、今の僕達じゃ相手にならない。ここは一旦退くべきだ」 「一体、どういう―――」 「っ下だ!」 その叫びにつられて跳んだ。足場の無い空中に飛び出すが、彼女なら問題ない。 「ウイングロード!」 紺色の光が帯状に道を構成する。それに二人揃って着地したその瞬間、 重厚な列車の装甲が、一瞬にして分子の塵と砕け散った。 「……この感覚、その攻撃……」 突如として出現した大穴から、一人の男が現れる。 魔導師ではない。軍服の腰に長短の双剣を提げてはいるが、魔力は全く感じない。 だがその相貌。顔の造りそのものは、彼女の知るある魔導師と瓜二つ。 「やはり、お前か!」 その魔導師が、両の手に生んだ八つの刃を投げ放つ。 翡翠色の光を曳いて飛翔する魔力刃は、しかし抜き放たれた短剣の一閃で掻き消えた。 禍々しいまでに紅い刀身の峰には、剣という用途にそぐわない精緻なモールドが施されている。 「超振動に高密度AMF……逃げろナカジマ捜査官、いや、ギンガッ! 奴は、完膚なきまでに君の天敵だ!」 「仲間を置いて、逃げられるわけがないでしょう!?」 隙を突かんと飛んだナイフを、圧搾空気の一撃で吹き飛ばす。 「父さんが援軍を呼んでくれている……だから、それが来るまで持ち堪えます!」 カートリッジをロード、増えていく幻影を片っ端から叩き潰していく。 回線はとっくの前からオープンだ。今の言葉は、ガジェットを潰して回る他の同僚達にも伝わった筈。 「……僕が行こう。だけど二分だけだよ。今の僕だとそれ以上は持たない」 今の、という言い回しにギンガは引っ掛かるものを覚えたが、それこそ今はどうでもいい。 「二分もあれば充分……私がこいつらを倒せるわ」 「……随分と、言ってくれるな―――!」 銀髪の少女が、声と共に無数のクナイを投げ放ち、 手甲の魔導師は、さながら猫のように跳躍してそれを避け、 双剣の男は、それを迎え撃つように両手を広げ、 ギンガは、虚空に足場を展開し駆け抜ける。 ―――あと、二分! 前へ 目次へ 次へ
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Break Card WIZ-DOM 4F/4C スカラー♂/スチューデント♂ 5/(5)/5 レジストダークロア・ヴァンパイア・ヴァンパイア♂/プロテクトダークロア このキャラクターがダークロアのキャラクターを捨て札した場合、あなたのデッキの上からカードを1枚引き、≪このキャラクター≫にパワーカードとしてセット可能。 1:目標の≪ヴァンパイアまたはヴァンパイア♂1人≫を捨て札する。 4:≪ダークロアのキャラクター全て≫に(1)ダメージを与える。 「夢だったんだ、こうするの」 No.3193 Rarity R Illustrator 夢花李 Expansion 冥約の少女 カード考察 収録エクスパンション内で特に能力がサイクルしているわけでもないのに緑メタに特化しているのは、ある意味潔いというべきか。 汎用性を捨てた能力だけに嵌れば強力で、特に元ネタの関係でヴァンパイアアイコンには滅法強い。 スタンダード環境にてメタの一角を占め続けているレイチェル・ルォノヴァーラを筆頭に、 緑が大会のメタの一角を占めていることが多いので、このキャラの活躍の場は意外と多いかもしれない。 下のエフェクトは下手に撃つとアビリティと連動して余剰分のパワーカードを捨て札する羽目に陥る可能性があるので、 エフェクトで捨て札となるキャラの数はきちんと把握しておく必要がある。 また、自分のキャラクターも対象になるので注意。 元ネタは吸血鬼ものの古典中の古典の小説「ドラキュラ」にて、吸血鬼退治を行ったヘルシング教授。 SagaⅠのオリオンの少年Ⅱではヴァン・ヘルシングⅣというキャラが存在していた。数字を見るにどうやら代替わりしたようである。
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■ 「喰らえッ!」 「ロードカートリッジ……ナックルバンカー!」 拳と刃、打撃と投擲が交差。ギンガの左手で炸裂音。発生した防御力場が擲たれたナイフの鋭利を無力化し弾き飛ばす。 擦れ違ったその足が踏む戦場は、最早異形と化していた。 紺色の帯―――先天魔法『ウイングロード』による魔力の道が、今や目の粗い繭のような構造としてチンクにも足場を与えている。 相対する距離は二十メートル。存在する道は、直線で結ぶひとつ、並列する三本、下を潜る四本の合計八本。 機動力と近接打撃力、防御力では圧倒的にギンガが有利。だが、チンクにも三つの利がある。 ひとつは、中距離での圧倒的な手数。両手のみで同時八撃、隠し持ったスローイングダガーの数は十や二十ではない。 足を止めなければならないが、数十の刃を遠隔操作することも出来る。 そして、チンクの幻像を無数に生み出し、またその姿を隠蔽するクアットロという味方の存在。虚像は今なお増え続け、実像は既に隠されている。 『現状の』反応速度では追いつけぬ攻撃であっても、見当違いの位置を打つのなら危険性は無い。 尤も、ギンガもそこは承知の上だ。隙を突かせることはないが―――不利は否めない。 最後に、 「……どうした。倒すと言ってから、もう二分近く経ってるぞ?」 チンクの側には存在しない、時間制限。 「―――そうね」 だが、ギンガの顔に焦りは無い。 怪訝に思ったチンクは、その疑念を言葉として口に出す。 「奴を侮っているのか? だとすれば、その認識は甘いと言わせてもらおう。 魔導師ランクに換算して陸戦S-相当、それも単独での直接戦闘に特化したタイプだ。陸戦Aランクひとりで勝てるなどと……」 「侮る? 違うわ……信頼してるだけよ。 二分しか持たない、っていうのはね、二分は絶対に持たせるって意味よ。私たちの間ではね。 知らない仲じゃないみたいだし、相手の強さが分かってて油断するような奴じゃないわよ」 それに、とギンガは口を開き、 「ようやく、あなたを倒す目途が立ったしね。 ―――結構キツいから使う気なかったんだけどなあ、これ」 その双眸を、強く閉ざし――― 「……何?」 「行くわよ。十六秒で終わらせる……!」 ―――見開いた。虹彩が金の輝きを放つ。 瞬間、残像を残して加速。チンクは脚に回避の力を込め―――はたと、気付いた。 ギンガの先程までの戦術は、射撃や打撃で幻術を片端から打ち消しつつカウンターを狙うというもの。 敵であるチンク自身の姿は隠蔽され、二十数体もの虚像に囲まれている状況だ。極めて真っ当な判断と言える。 それが、何故。今になって、 何故―――こちらへ『真っ直ぐ』向かって来れる!? 偶然ではない。不可視化したチンクの回避運動―――左への跳躍を金色に変じたその両眼はしっかりと捉えている。 無数の虚像がそれぞれ全く別の動作を行っているにも関わらず、だ。 『クア姉、一体どういうことだ?!』 『……シルバーカーテン、解析されちゃったみたいねぇ』 幻術の解析、それ自体はさして珍しい技術ではない。否、故に幻術は廃れたのだ。 データを持ち帰られれば、次の闘いでは確実に見破られる。それは欠点としてあまりに重い。 『この数分で解析だと……あり得ん。別のパターンに切り替えは?』 『もうやってるわよぉ。頑張ってねぇ?』 『言われずとも……!』 だから、ジェイル・スカリエッティは一計を案じた。 幻術の固有値を自在に切り替え、同一の解析プログラムでは対応できないように変化させる。 それを可能としたのが、戦闘機人としての能力のほぼ全てを幻術管制に傾けたクアットロという筐体だ。 かくして前時代の遺物は、恐るべき援護型能力として現代に蘇った。 幾度見破ろうと、本来の意味では決して見破れない。翻る度に姿を変える、オーロラじみた絶対の虚像――― ―――それが、あっけなく破られた。 金瞳の焦点が揺るがない。隠蔽は継続しているというのに、ギンガの眼はチンクの動きを確実に『視て』いる。 ウイングロードを分岐させ、上へと逃れたチンクに左拳を打ち込んだ。 「な……!」 両腕を交差し、喉元狙いの一撃を受け止める。左手首を捻って腕を絡ませ、関節技に移行――― ―――衝撃が迸る。 ……馬鹿な、これは――― その驚愕を残し、チンクの意識は消え去った。 ゆっくりと、地上に落下していく。 ―――その全身から、血じみた赤い液体を垂れ流し。 ■ 高町なのはとキャロ・ル・ルシエ―――対空迎撃の二人が出撃するのを横目に、後方支援部隊と連絡を取る。 紅く焼け、熱波を吹く右腕―――冷却/放熱。 「……命中、か。やってみるものだな。 だがまだ照準が甘い。ロングアーチ、下方にニクリック修整を」 『は、はい!』 「新人! 十五秒後に高度二百で降下可能域だ……アレックス、あんたはどうする!?」 「可能なら降下する……対地迎撃は俺がやる。高度を五十まで落とせるか?」 「舐めんな、その程度なら余裕だぜ!」 ヘリパイロット/ヴァイス・グランセニックに頷きを返し、次弾を準備する。 荷電粒子砲による長距離狙撃―――不可能だと一蹴したのと同時、突き出されたそれ。 眼前に投影された立体映像/風景に重なる凹凸―――磁気マップ/荷電粒子の加速度その他の情報から、最適な射出方向を演算する。 共振を頼りに座標を入力/射撃し、直撃/胴体を消し飛ばした―――が、共振が消えていない。奴のコアは何処だ? 「チ―――仕留め損なったか」 『……何やて!?』 「倒したとしても、相手は奴一人ではあるまい……奴の能力は無傷での制圧には向かんからな。 そして奴が持っていた見慣れん武器……答えろ八神はやて。機動六課は、一体何を敵に回している?」 『それは……』 何故か躊躇う彼女―――問い詰めはしない。それよりも気になることがある。 四つの仮想照準/下部に触れる/そのひとつが歪み、拡大された風景が変化。 映し出されたのは、地に膝をつく人影/肩を掠める金髪/白い肌/翠の瞳―――自分のそれと同じ色合い。 まさか―――とは思う。だが、自分やレッドがここにいた以上、あり得ない可能性ではない。 他のキースシリーズもまた存在し、既に魔導師として働いているという可能性は。 「……まあいい。護衛部隊のリストから検索を頼む。金髪翠眼の男の名前を教えてくれ」 『……片手間やし、一分ぐらい掛かるで。直接聞いた方が早いんちゃうか?』 「相手が相手だ。そんな余裕があるかも分からん」 絶句する気配―――思考する。 アレが失敗作と称されたのは、特筆すべき能力を持たず、戦闘ユニットとして最大限に能力を発揮できる状況が極めて限られるという理由から。 逆説的に言えば―――単騎/近接戦闘に限れば、それに特化している分だけ奴が上を行く可能性もある。 自分の主軸は中距離戦闘、制御に難のある完全展開も出来れば使いたくはない。加えて奴には隠し手が二つ/抜いた短剣/腰の長鞘―――確率は極めて不利だと言わざるを得ない。 さて、どうするか――― ■ ―――"Nephilim" Ready for Combat. 閉じた目蓋の裏で、眼球が裏返るような感覚。 人間部分を主体としていた筐体が、機械部分へウェイトを移行する。 アナログからデジタルへ。思考の半分を数値と方程式に。データへと変換された戦闘記憶を解析。 要した時間は0.3秒。出力系、伝達系、共に戦闘稼動開始。 「―――行くわよ。十六秒で終わらせる……!」 眼を、開いた。 ―――Combat Open. Faculty Preparation. ―――Decompress "Queen of Heart" Complete. そして、両の瞳に『それ』が宿る。 二年前に目醒めた力。心臓の奥底に刻み込まれていた機械としての力は、それを完全に制御できる今でも多大な負担を強いる。 だが構わない。たとえ力尽き倒れても、肩を支えあう仲間がいるから。 どれが虚像か、何処に相手が身を隠しているのか―――手に取るように分かる。この眼を前にして、逃れ得る手段は自分の知る限り存在しない。 フェイントも無しに直線で突っ込んだ。上に跳んだ相手にただ一撃、左拳を打ち放つ。 ―――防御された。衝撃強化の術を乗せる余裕も無い。ガードの上からでは崩せない。 その余波で隠蔽が解かれる。緑色のブロックノイズを撒き散らし、銀髪隻眼の少女が姿を現した。 武器ではなく、腕を交差して拳を受け止めている。 ―――やれる! 直に触れているなら……! ―――Decompress "Lance of Mistilteinn" Complete. 両眼から力が消え、代わって左拳にそれが宿る。 一拍置いて、その一撃を解き放つ。 超震動が、敵の骨格を打ち砕く感触があった。 落下していく銀髪を眼の端に、列車の上へと飛び戻り片膝を突いた。 ―――"Nephilim" Combat Close. 脳裏にちらつくメッセージが消失した瞬間、全身に虚脱感が襲い掛かる。 両目と左腕は特に酷い。視界が僅かに霞んでいる。指先には感覚すらなかった。 それでも、ゆっくりと立ち上がり、自分にだけ聞こえるように、呟く。 「さて……まだ死んでないでしょうね、グリーン」 ■ 前へ 目次へ 次へ
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Dの魔境 デッド・オア・ヘルシング R 闇文明 (6) D2フィールド ■自分の手札からカードが墓地に送られた時、自分の墓地からコスト5以下の進化ではないクリーチャーを1枚手札に加える。(他のD2フィールドがバトルゾーンに出た時、このD2フィールドを自分の墓地に置く) ■Dスイッチ:自分のターンの終わりに、このD2フィールドをゲーム中で一度上下逆さまにしてもよい。そうしたら、自分の墓地のクリーチャーを全て自分の山札に加えてシャッフルする。相手は墓地から山札に戻したカードの枚数分、自分の山札の一番上からカードを墓地に送る。 作者:ギガドドン フレーバーテキスト Z/X世界の一つである黒の世界は弱肉強食を形に表した、まさしくこの世の地獄と言うべき死の世界だった。 収録 DMZX-01 「結成!ツルギ団」 関連 《D2H ハメツハデス》 評価 名前 コメント
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【ARMSクロス『シルバー』】 ガ・ボウ シャマルに支給。 待機状態は長鞘。展開すると鮮血じみた配色と異形の刃を併せ持つ魔獣の角とでも形容すべきメカニカルな短槍になる。 『ARMS殺し』の特性(ARMSのナノマシンを停止させるウィルスによってARMSの超再生能力を無効にするプログラム。ARMS殺しによって刻まれた傷は二度と癒すことができない)を持つ。 ただし模倣版ゆえにこの場合は再生が遅くなるという効果になっている。 半壊した護送列車 八神はやて(StS)に支給。 レリックなどを含むロストロギア運送のための特別列車。 三層構造の装甲で上部での格闘も可能となっている。 但し所々破壊されて穴が開いていたりするので運行するのは無理と思われる。 ベガルタ ブレンヒルト・シルトに支給。 禍々しいまでに紅い刀身を持った短剣。 『小怒』を意味するその短剣は本来斬るためのものではなく、柄から流し込まれた超振動を動力源に刀身内部に仕込まれた二種類の防御装置(AMFと電磁障壁)を稼動させる『楯』である。 ただし通常のAMFと違って単一方向への防御力は勝るが、単一方向以外への防御力は劣る。
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国際ヘルシンキ人権連合とは本部ウィーンの組織。 ニュース系 サーチエンジン(国際 ヘルシンキ 人権 連合 ウィーン) 関連項目 名前 コメント
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■ 現在時刻/九時ジャスト。陸戦用空間シミュレータ/擬似再現された森林の中で対峙する。 「……さて、始めるか」 長剣を右手に提げた女剣士/シグナム二等空尉―――意気揚々と。 「シグナム副隊長、私たちは書類の処理が……」 観客/橙色の髪を左右で括った少女/ティアナ・ランスター二等陸士―――気乗りしない顔で。 「ヴィータに連絡しておいた。私の独断だということも込みでな」 はあ、という溜息と共に、 「記録用サーチャーの設置、終わりましたー!」 観客/帽子の下で桃色の髪を揺らす少女/傍らに白い―――竜?/キャロ・ル・ルシエ三等陸士―――やけに楽しげに。 「よし、五、六……十八箇所か。中々上手い配置だ」 ありがとうございます、という声をバックに、 「……どうして僕だけアップを?」 観客/赤毛の隙間から鋼色の瞳を覗かせる少年/エリオ・モンディアル三等陸士―――柔軟/素振り/淡々と準備運動をこなしながら。 「次に私と闘うのはおまえだからだ―――上司をバトルマニア呼ばわりしたツケだと思え」 はい、というしかし引きつった悲鳴が響き、 「……何で、模擬戦をすることにしたんですか?」 観客/青がかかった短髪の少女/スバル・ナカジマ二等陸士―――こちらに視線を流しつつ。 「あの引き分けには納得できん。おまえも闘いたいのは分かるが私が先約だと言った筈だぞ?」 ああもう違うのに、という言葉を尻目に、 「……勝敗は?」 自分/戦闘服の袖を捲り上げる/前後に軽くステップを踏む/身体のギアを戦闘状態に引き上げる。 新造された左腕に違和感はない。朝の運動/ランニングで馴らしておいた。 シグナムの返答―――不敵な笑みと共に。 「お互い、それが分からぬ程に未熟ではあるまい?」 疾走の速度に追いつけずたなびく薄紫の髪/残像のように。 不意討ち―――だが甘い。 コントロール不全という側面を持つオリジナルとは違い、完全な制御下に置かれたアドバンストARMS。 それはARMS/珪素生命本来の反応速度を容易に引き出すことを可能とする。 炭素生命の神経細胞/通常、その伝達速度は速くとも秒速七十メートル―――珪素生命のそれと比べればあまりに遅い。 相手が亜音速戦闘サイボーグであろうとその初動を捉えられるほどの反応速度/それを遺憾なく発揮/斬撃の軌道を見切る。 胴を薙ぐ居合い/飛び退く/両腕に力を込めARMSを起動。破砕音/樹木を捻じ切る音と共に黒い甲殻を精製。 おお、と左右から挙がる驚きの声/何故か心地良さを感じる―――力を振るう快楽が後押しされる。 ■ ……あの居合いを完璧に避けるか!? この男ならそれぐらいはやる、と考えていた自分に気付き、驚愕と共に笑いが込み上げる。 相手の武器は、分かっているだけで三つ。 まず単純な格闘戦。技量は高く、あの腕が生み出す間合いと威力は大剣のそれに匹敵する。 次に腕の伸長。それは見切った。次に仕掛けてくれば返しの刃で断ち落とせる。 そして三つ目―――あの砲撃。 荷電粒子砲『ブリューナクの槍』と、この男は呼んでいた。昨日、部屋で話している時に聞いた呼称。 それ以外は砂漠で見たきりで、性能は未知数だが、 ……使わせる暇は与えん! 着地の隙さえ狙わない。姿勢制御さえ難しい空中にいる相手を狙えばそれでいい。 中段で薙ぎ払った慣性を殺さず一回転、跳躍し袈裟懸けに刃を叩き込む。 ―――防がれた。 黒い右手が、その甲でレヴァンティンの峰を叩いて受け流す。その反動によって着地された。 次はあちらの手番。よってこちらは腰の高さで剣を引き込む対応の構え。足は踵を据え、重い攻防に備える。 右から左へと首を刈る左の手刀、死神の鎌じみた一閃に剣先を合わせ押し留める。散る火花を潜って右の貫手が放たれた。 身を捻って胴狙いの一撃をかわす。同時に刀身を傾け左腕を上方向へ受け流し跳び退いた。 飛行魔法の補助によって、二十メートル余りの距離を跳躍する。 この間合いでは剣や槍は届かない。弾幕や拡散射撃による面制圧が重視される交戦距離。 つまり、それは、 「レヴァンティン―――!」 『Schlangeform!』 鍔元から空薬莢が弾き出される。薄紫の光が刀身にパーティングラインを描き出し分割。 レヴァンティンの中距離戦闘形態『シュランゲフォルム』、鞭状連結刃はその名の通り、蛇に等しい三次元機動を以って獲物に喰いつき絞め殺す。 正面、頭上、脊髄狙い、三時方向六十度。多方向から空を裂きうねる一秒足らずの四重攻撃。 超高速機動に対しては脆弱という性質を持つシュランゲバイゼンだが、この相手はテスタロッサ程に速くはない。 ……避けられるものか―――! ■ 「……シャーリー、データはちゃんと取れてる?」 陸戦用空間シミュレータの『管制塔』、外側に張り出した足場の上、二つの人影があった。 潮風に流れる長髪はそれぞれ黒と茶。前者は茶を基調とした事務担当の制服を着、丸眼鏡を掛けている。 その周囲には立体映像のディスプレイや仮想キーボードが多数展開しており、五指は蜘蛛のように忙しなくそれを叩く。 もう片方は青と白を基調とした教官服の腕を組み、視線の先には森林の中で挙がる土煙がある。 「服に仕込んだセンサが六種十四個……問題なく稼動していますよー?」 「そう、ならいいけど……何か面白いデータは取れた?」 「微弱な電磁パルスが検出されてます。あと、まあ、見ただけでも分かりますけど……魔導師でもない人間に出来る動きじゃないですね」 新たに展開したディスプレイに、サーチャーからの映像が四分割で表示される。 それぞれ別アングルの動画の中で、男が連結刃の多角攻撃を踊るような体捌きで連続回避。 「魔法無しであれに対処するの……確かにスバルじゃ勝てないねえ」 「シグナムさんもいい感じに本気ですねー、シュランゲフォルムの限界域データが取れてます。蓄積甘かったんで嬉しいなあ」 「……で、シャーリーはどう思う?」 「そうですね、そこそこって所 ……元軍人だって言ってましたよね? なら構想中ので良さそうなのがあるんですけど、もう五割り増しで開発予算回してもらえませんか?」 それが、この模擬戦の目的だった。 データを収集し、最適なデバイスを作成する指標とする。 ……シグナムが模擬戦を挑んでいたのは本当に偶然だったのだが、それを利用しない手はない。 「三割―――? 一割までならわたしのポケットマネーから出せるから、残りは何とか工面しなさい」 「はぁい」 会話しつつも、キーボードを操作する指捌きは淀みない。 表示されたインジケーターは六つ。その揺れ幅を映像と同期させて記録しておく。 「査定試験はまだですけど、戦力的には全く問題なさそうですね。 ……そういえば、どんな理屈で六課の保有を認めさせる気なんですか?」 「単体戦闘能力を持つ、有人格ロストロギア……って扱いで話を通すことにしたよ。 危険な遺失物を管理下に置く……六課の設立理由を盾にして、ね。 あと、対AMFに極めて有用な能力を保持している、ってことも付け加えて」 「ですか……でも、ロストロギアの実戦運用なんて……」 「その辺りはもう開き直ってるね。少なくとも、八神部隊長は。 使えるものは使うよ。汚い手なんか、六課を作るだけでもどれだけ使ったか」 例えば、はやてが六課を作らず特別捜査官として活動していたなら、 例えば、フェイトが六課に入らず執務官として活動をしていたなら、 例えば、なのはが六課に入らず教導官として教導を続けていたなら、 それだけで、どれだけのモノを護れたか分からない。 オーバーSランクの能力は、そんな仮定をさせてしまうほど強力だ。 その能力を束縛してまで六課に集中させている理由は、自分達三人のエゴに他ならない。 「……まあ、とりあえずの課題は……」 益体もない思考を断ち切り、分隊長としての思考を取り戻す。 「あ、決着付きそうですよ?」 見れば、二人はおよそ五十メートルの距離をおいて対峙していた。 周囲の樹木は、シグナムの攻撃の余波でそのほとんどが伐採され、白い断面を晒している。 足下に陣を展開し魔力を吹き上げるシグナムは、引き戻した連結刃を鞘に収め身を屈めた居合いの構え。 もう片方は、腰を落とし重心を沈め、両腕を前に突き出している。砲撃の姿勢――― ばちり、と独特の破裂音。 ―――あれはまずい。十年の経験がそう告げている。 「センサの感度絞って!」 「は、はい!」 そして、 光の槍が放たれた。 ■ 新人達四人は、その戦闘を食い入るように見つめていた。 気乗りしていなかったティアナまでもが、だ。 男が連結刃の多角攻撃に的確な対処を行う姿を見、驚愕の声を漏らす。 「凄い……」 「そうですねティアナさん。あんなの、僕達じゃまともに反応できるかどうか……うう、やだなあ……」 「まあ、エリオ相手にアレを使うほど大人気ない人じゃないだろうし……」 「……そういえばスバル。あんた、さっき何か言おうとしてたわね? 一体何言おうとしてたの?」 「陰口みたいで嫌なんだけど……アレックスさん、手加減とか怪我しないように配慮とか、そういうのはしてるのかなあ?」 「そりゃそうでしょ。多分だけど、シグナム副隊長も非殺傷設定なんだから……って、え?」 「……非殺傷じゃ、ない、ですよ……?」 見れば、男の服は所々に裂け目ができている。刃が掠めた痕跡だ。 それどころか、首筋と頬には浅い切り傷さえ―――見る間に消えていく。 「……お互いに、避けそこなったらそこで死ぬ、ってこと……!? 止めないと!」 「いや、それは大丈夫だよティア。 朝、ティアも聞いてたでしょ? 腕を落とされても闘える、まともな傷じゃ死なない、って。 ……でも、シグナム副隊長は」 「それも、大丈夫ですよ」 「エリオ君、何で?」 「キャロ、アレックスさんが、シグナム副隊長の攻撃を無視しないのは何でだと思う? あれだけの再生能力があれば、被弾しながら砲撃するか、斬られながら腕で攻撃すればそれだけで勝てるのに」 「それは……」 「そうか……『勝負』だからだね。そんな手を使ったら、それだけで負けなんだ」 口を詰まらせたキャロに代わって、スバルがその答えを語る。 「はい。二人とも、あくまで勝負に拘っていると思います。だから、相手に大きな傷を負わせたら『負け』になるんじゃないでしょうか?」 「……分かったわ。でもね」 ティアナは嘆息し、 「朝は否定してたけど、同類だと思うわよ? スバルもエリオも、そんなことを理解できるなんて―――」 自分には、それこそ理解出来ない。 そんな嘆きと嫉妬を、喉の奥で噛み殺した。 ■ 周囲を舞う刃の群れ―――さながら万華鏡。 それも乱反射ではなく、獲物の進路を塞ぐ毒蛇の様相。 毛糸球じみた鞭の絡まりを読み解く/攻撃の軌道を予測する/最適な回避方法を模索する―――ステップワークとシフトウェイト。 手を取り合うように身を踊らせる/弾く/避ける/潜り抜ける。 剣士が、剣へと戻った刃を鞘へと収めた。 再び炸裂音―――弾け飛ぶ空薬莢/二つ。薄紫の靄/余剰魔力の放射/今や激流。 気配が変わった/拡散し乱流と化していた殺気が直線へと変化―――砲撃、あるいはそろに類する攻撃が来る。 舐められたものだ。この距離での砲撃こそが、自分の切り札だと言ったのに―――正面から打ち砕いてくれる。 両腕を前へと揃え、腰を落とす。荷電粒子の精製/誘導/加速レールたる電磁場を放射――― 『ブリューナクの槍』を解き放つ。 ■ ―――まさか、と戦場にあるまじき思考が走る。 全方位からの多重攻撃を延々と捌き続ける男の姿が、その原因だ。 足捌きを駆使して最適な位置へと移動し続け、重心移動を次の回避への布石とする。そんな方法で対処されるとは思いもしなかった。 無論、完全にかわされているわけではない。だが、掠めるだけの斬撃はあの両腕に弾かれる。無理に直撃を狙えば刃列の粗点を的確に突かれ当たらない。 シュランゲバイゼンでは埒が明かない―――正面からの力勝負に持ち込むか? 彼は言っていた。中短距離からの砲撃による殲滅こそが、自分本来の戦闘だと。 ならば、この誘いには乗る筈だ。相対距離は五十メートル、連結刃を引き戻した。 鞘―――完全な魔力密閉によるパッシヴコンプレッサ―――に収縮した刀身を収め、カートリッジをロードする。 飛竜一閃―――ミドルレンジにおいて扱える最大攻撃。 だがそれとて、男の砲撃には及ぶまい。正面から激突すれば、槍の穂先に等しい集束によってこちらの攻撃そのものが貫かれる。 だからこそ、そこに自分の勝機がある。 「飛竜……」 噴き上がる魔力の隙間から、男の構えが垣間見えた。 こちらを真っ向から見据え、黒い両腕が紫電を散らす。 ……さあ、 「……一閃―――!」 決着だ―――! ■ 薄紫の激流が、男へと向けて迸る。圧縮された魔力を連結刃に乗せて打ち出す擬似砲撃魔法―――飛竜一閃。 迎え撃つは荷電粒子砲『ブリューナクの槍』。数万度に達する荷電粒子の奔流が、オゾン臭を撒き散らしつつ直進する。 激突、閃光―――余波として放散される魔力と荷電粒子が渦を巻く。 そして、その輝きが止んだ時――― ■ 双方ともが倒れず、しかと大地を踏み締めていた。 「……まさか、な」 「ああ……こんなことがあるものか?」 陽炎を揺らめかせる漆黒の腕は、シグナムの脇を潜ってその背後へ。 収斂し剣へと戻った炎の魔剣は、上段に振り上げられ脳天を狙う。 それも、互いの吐息が聴こえるほどの近距離で、だ。 「砲撃を目眩ましと牽制に使い、接近しての一撃……」 「お互い、全く同じことを考えていたのか……」 決着が、ついた。 「「……引き分け、だな」」 それも、極めて穏便に。 ■ 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/394.html
■ ―――あばよ、兄弟…… 惑星の核にも似た灼熱/最期に至った闘争の丘で、俺の意識は消え去った。 ―――その筈だった。だが、 「ここは……何処だ……?」 乾いた空気―――アリゾナを思い出させる砂漠の匂い。 上体を起こす。コンクリートの天井/閉じた硝子窓/昼過ぎを示すデジタル時計/木枠の扉―――寝台に仰向けに寝かされていたらしい。 右腕に点滴のチューブ―――研究所時代/カラーネームの無かった頃を思い出させる。引き抜いて放り捨てた。 肌に触れているのは慣れた感触/軍用コート。 右腕/左腕/右足/左足/胴/感覚器官=全身余すところ無く正常―――左腕? 『永遠に人の姿に戻らぬこの左腕こそが―――』 ARMSコアは体内に存在する。全身に分散したナノマシンは待機状態を維持。 顎に手を当て、考える。 ―――俺は、死んだ筈だ。 ジャバヴォックの爪、コアを破壊されない限りは不死とも言えるナノマシン群に死を植え付けるARMS殺し。 それによってコアを抜き出された以上、自分が生き残る可能性は完全にゼロだ。統括者を失った組織は崩壊するしかない。 ―――どういうことだ? 再生―――ありえない。 記憶の複製―――『死亡した』記憶は採取のしようがない。 ARMSコアの再移植による記憶の引継ぎ―――自分の中に不適合だったキースシリーズの記憶が無い以上、それもありえない。 と、廊下側に足音/ドアノブが回る音/蝶番の軋む音―――入ってきたのは白衣/眼鏡の女性/四十代前後/『ベティおばさん』を思い出させる風貌。 「……起きましたか?」 「ああ……ここは、何処なんだ?」 「第87観測指定世界の遺跡発掘所です。貴方は半日前、砂漠で倒れていたのを発掘員が保護しました。 ……思い出せますか?」 「第87……観測指定世界?」 ■ 日誌 2/13 例の意識不明者が覚醒した。アレックスという名前らしい。姓は無いそうだ。深く聞くのはやめておこう。 どうやら第97管理外世界の住人だったらしい。時空管理局のことも知らなかったのは当然だろう。 だが、何らかの次元災害に巻き込まれただけの一般人しては妙な事がある。 そもそも、第97管理外世界において、人間が外に弾き出される類の事件が確認されていないのが一つ。 そして、彼の話す『自分が死んだ』日付―――死因については教えてくれなかったが―――は大きく前のもので、現在とは十年前後の開きがある。 元の職業は軍人だと言っていたが、彼の身体には傷痕が一つとして存在していなかった。単に幸運だったか、後方指揮官だっただけかもしれないが。 また、運び込まれた際の血液検査で、体内に無数のナノマシンが存在しているのが分かっている。それについては明日にでも聴く予定だ。 ■ 寝台の上で目覚めてから、四日が経った。 白衣の女性/医務官/リール女史との質疑応答―――血液検査のみで非活性のARMSを検出された事には驚いた。 何が出来るかという質問―――治癒のみだと応える/目の前でその効果を見せる/前腕の肌を手刀で切り裂き二秒弱で再生。 地球にそんな技術は無い筈だという疑問―――極秘に開発されていたとだけ回答。 こちらからの質問/『地球』はどのように認識されているのか/複数の世界が存在するのか/今後、自分はどうなるのか―――etc。 リール女史の回答―――その全てが淀みなく。 第97管理外世界/時空管理局なる組織について/所在世界が判明しているので、そのまま送還するとの事。 書類関係の処理がある為、迎えが来るのは一週間後になる/追加の質問=帰還後の身の振り方について―――回答=そこまで世話は見れない。 それが二日目―――多少は疑っていた。何らかの手段で自分を甦らせた兄/ブラックの悪趣味な冗談か、或いは実験の一環かと。 だが、あれを見ては納得するしか無かった。 三日目―――リール女史から暇潰しにと誘われた発掘現場の見学/そこで見たもの。 空間展開型ディスプレイ/キーボード―――それはいい。実用性はともかく、エグリゴリでも研究はされていた。問題はもう一つだ。 魔法。 Magic/魔術/妖術という言葉が一般に持つイメージからはかけ離れた―――魔法。 装飾用としか見えない杖―――放たれた砲撃が、厚さ半メートル余りの石壁を粉砕する光景。 感想を聞かれる―――戦術兵器としての運用法がまず思い付く/自重する/無難に驚嘆を述べる。 四日目―――再度見学。チェス盤すら無いのではそれ以外に暇の潰しようがない。 何やら騒がしい―――聞き耳を立てる/「……ックが発見された!」「……物管理課に連絡は!?」 右から足音―――顔を向ける/リール女史/ありありと浮かぶ焦燥。 「大変な事になりました。早く避難しないと……」リール女史/顔に浮かぶ焦り。 「……何があった?」 「そうですね……発信機の付いた金塊が発見された、とでも言えば良いんでしょうか? 金塊を狙っている犯罪組織があり、私達の中に発信機を止められる人はおらず、対応出来る戦力も無い。 専門の部署に連絡を入れたけれど、到着するのは早くてもあと三十分後……敵は、今すぐに来るかも知れないのに……っ!」 突然の揺れ―――出口側から悲鳴。 その場にいた全員が顔を振り向ける/こちらへと駆けて来る発掘員達四十名余りを見る/その内数人の頭が青い光弾に吹き飛ばされる―――死。 逃げ惑う人垣越しに見える機械の影/身の丈ほどもある縦の楕円形/中央に配された黄色のカメラアイ/左右から伸びる赤い触手―――影の数は無数。 杖を持つ発掘員/八名が左右に散開した。正面の敵に対して最大数の射線を徹せる陣形。 内側四名が障壁を張り、残り四名が先頭の一体に一斉砲撃―――だが、四色の光条は、その全てが霧散する。 声―――「AMFだ! 純粋魔力砲では効かん!」「ベルカ式の奴はいないのか!?」 「……あれが敵か」自分の質問/至って冷静に/しかし高揚していることに気付く。 「ええ、そうです! 早く逃げないと!」リール女史の返答/焦燥と共に。 「逃げた所で、あの様子では三十分どころかその半分も持たんぞ―――俺が足止めする。逃げておけ」 砲撃を行った内の一人が胸を射抜かれ倒れ伏す/自分の言葉を証明するように二人目=障壁を熔かされ頭を鞭で潰される。 「無茶です!」焦燥に怒りが上乗せ「幾ら強力な再生能力があったとしても、素手では……!」 「再生能力しか無いと言ったが―――すまんな、あれは嘘だった」 「それは、どういう―――」リール女史の声/背中を向ける。 臨戦態勢へ移行/右腕のARMSを活性化/ナノマシンが増殖し配列を変換―――漆黒の外殻と長大な指/爪を備える腕へと変貌させる。 微かな悲鳴/「ひ……!?」「化物……!?」「何だあの男は!?」―――全て気にも留まらない。 キース・ブラックの呪縛/戦闘生命としての生は、あの闘争の丘で終わった。 故にここからは、あのオリジナル共と同じ―――自分の意志による戦いだ。 かつて、俺が出来なかったことを。 そう、右腕を構えて跳躍した。 ■ 目次へ 次へ