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ウルラ モンゴル帝国皇帝の系譜に登場する人物。 関連: ヨブクル (父)
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角膜に映しだされている光景を、俺は夢だと思いたかった ハルヒと朝比奈さんが …… 血まみれで伏しているというのは 一体どういう冗談だ…? 気付くと俺は二人の前にいた 考えるよりも先に体が動いてしまったらしい 「大丈夫かよ!?おい!?!しっかりしろ!!!!!」 「キョ…キョン…!!みくるちゃんが…!!みくるちゃんがあ!!!!」 「しゃべるな!!お前だってケガしてんだろ!!?」 「違う…!!あたしはケガなんてしてない!!…みくるちゃんが…あたしを…あたしをかばって…!!!!」 …… え? じゃあ、ハルヒの服にべったり付いているこの血は何だ? …… 全部…朝比奈さんの血…… …!? 「う…ぅ、ぅぅ……!」 悲痛な様で喘ぐ…彼女の姿がそこにあった 「朝比奈さん!!!!しっかりしてください!!!!…朝比奈さん!!!!」 「ょ…ょかった…すず…涼宮さんがぁぶ、無事で…!」 「朝比奈さん!!?」 「わた…し…やくにた…てたかな…ぁ…ぁ…!」 理解した 彼女は秒単位という時間の中で自らハルヒの盾となった あのとき奴の一番そばにいた…彼女は 『ねえキョン君…私って本当にみんなの役に立ってるのかな…?』 つい先ほどの彼女の言葉が頭でこだまする 朝比奈さん…あなたは…そこまで思い悩んでいたんですか…!? 「あ…あたしのせいだ…!!あたしがボーっとして動こうとしなかったからみくるちゃんが…!! あたしのせい…あたしのせいでみくるちゃんが…っ!!いやあああああああああああああ!!!!」 頭を抱え絶叫しだすハルヒ 「よせ!!ハル」 言いかけてやめた。ふと、気付いたからだ…俺の横へと立っている人物の存在に。 「あなたは涼宮ハルヒを連れ、ただちにこの場を立ち去るべき。周囲の急激な悪化により 彼女の精神は極限状態。これ以上の錯乱は彼女の自我そのものを崩壊させる。 神としての記憶を覚醒しかねない極めて危険な状況。」 長門… …… …!! 今の俺に長門の声は届かなかった 「長門…!!お前…!!」 気でも狂ったのか、俺は長門に掴みかかっていた。 「…銃で必死に迎撃してくれてた古泉と違って…お前は一体何をしていた!? お前なら…!!今の攻撃からみんなを守ることなど造作もなかったはずだろう!? …なぜそれをしなかった!?答えろよ長門ッ!!!!答え」 頬に鈍い痛みが走った 俺は古泉に殴られた 「てめえ…!何しやがる!?」 「あなたこそ…こんなときに何をやってるんです!?涼宮さんを連れてただちに逃げろと… 今長門さんに言われたばかりでしょう!?どうしてそれに従おうとしないんです!?」 「お前…!!!今にも死にそうな朝比奈さんは無視か!?それに長門は…!」 「おいおいおい、九曜さん。ちょっとやりすぎじゃ?死人がでそうな状況なんだが。」 「…関係のない人に重傷を負わせてしまったぶん多少の罪悪感はありますが…ま、仕方ないですね。 ある意味当然の報いですよ。なんせ、私たちは問答無用で先ほど殺られそうになったわけですから。」 「-----------身の程を-------------------------------知るべき」 炎上した隣家の方角から歩いてくる… 不快な言葉を発する三人組が… …… そして、俺はこいつらの顔を知っている 未来人藤原 超能力者橘京子 天蓋領域周防九曜 …藤原。やっぱりてめえらの仕業だったわけか…! 「…長門さんと同程度か、それ以上の力を有する周防九曜…。天蓋領域という名の化け物に 彼女は…長門さんは情報操作をかけられ、一切の身動きがとれない状態でした。」 !! 「それでも彼女は抑圧されてもなお、力を行使し被害を最小限にとどめました… 朝比奈さんを助けることが叶わなかったのは…彼女の力が不完全だったためです…。 もちろん、僕の力量不足でもありますがね…。逆に、その不完全な力さえもなければ今頃僕も、 そしてあなたもタダではいられなかったでしょう。最悪の場合死んでいたかもしれません。」 …ッ! …よくよく考えてみれば、長門や古泉が死に物狂いで頑張ってる中、俺は何をしていた?? 自分を守ることで精一杯だったじゃないか…!?いくらハルヒと朝比奈さんとに 距離があったとはいえ…、、、、そんな俺に、長門を批判できる資格なんかない…!!! 「長門…俺はお前にひどいことを…!本当に申し訳ない!この通りだ…!」 俺は長門に…誠意をもって謝罪した。 「…私が周防九曜に対し後れを取ったのは事実。だから、あなたが謝ることは何一つない。」 「しかし…!」 「私のことはどうでもいい。一刻も早く涼宮ハルヒを連れてここから立ち去るべき。」 …さっきも言われたな。頭に血が上ってたが、確かにそんな覚えがある。 …… ああ、わかってるさ。そうせねばならないほど窮した事態だってことは だが 「朝比奈さんはどうすんだ!!?重体の彼女を放置して、俺とハルヒだけ逃げろってのか!!?」 「…朝比奈みくるは、これから私が全力を尽くして治療にあたる。」 「!確かにお前にならそれが可能だな…だが、あいつらの相手はどうすんだ!? お前が治療に専念する間……、、!!まさか古泉一人に戦わせるつもりか!?無茶だ…! 相手にはあの天蓋領域だって」 「…幸か不幸か、涼宮さんの重度の乱心により…この場は閉鎖空間と化しつつあります。 となれば、僕も超能力者として…本来の力を存分に行使できるようになります。」 古泉… 「わかってんのか!?それでも1対3には変わりねーんだぞ!?」 「…涼宮さんにもしものことがあれば世界は終わりです。あなたもそれは十分承知のはず。」 「しかし…!」 「…以前ファミレスにてみんなと誓ったではありませんか。我々は協力して…みんなで涼宮さんを守る!…とね。」 …こいつは、自分の死を覚悟しているのか?仲間を守るために… …… 長門も同様にそうだろう。 朝比奈さんにしてもそうだ、命を擲ってでもハルヒを守ろうとした。 みんな覚悟を見せつけている 絶対に3人の覚悟は無駄にできない!!!!なら、俺にできることは一つ 「ハルヒ!来い!」 強引にでもハルヒの手を握り、連れて行こうとする俺。 「嫌!!放してよ!!!!放して!!!!みくるちゃんが!!!!! みくるちゃんがああああああああああああッ!!!!!!」 ハルヒもハルヒで相当つらいんだろう…気持ちはわかる。だが、今は我慢するんだ…! みんなの意志を…覚悟を…どうか酌みとってやってくれ!!! そして…みんな… どうか死なないでくれ!!!! 俺は3人に背を向け、ハルヒとともに走りだした。 「…はん、ようやくお喋りは終了か。じゃ、とっととそこをどいてもらおうか。計画に支障が出る。」 「その先にいるターゲットに私たちは用があるんで。早くしないと逃げられちゃいますしね。 それに、閉鎖空間と化したこの場で猛威を揮えるのは…決してあなただけではないってことも どうかお忘れずに。だって、私も同様に超能力者なんですから。」 「それくらい承知の上です。それでも、あなた方が何を言おうと僕はここを通しません…!」 「古泉一樹…朝比奈みくるの治癒がもう少しで終わる。 そのときまで、どうか耐えしのいでほしい。終わり次第、私も参戦させていただく。」 「それは頼もしいですね。ぜひともお願いします。」 …… 「一応忠告はしてあげたんですけど。じゃあ、仕方ありませんね。」 「結局こうなるのか。面倒なヤツらだ…。」 「---------邪魔」 「「はぁ…はぁ…はあ!」」 一体どれくらい走ったのだろうか…、俺たちはすでに息をきらしてしまっている。 行く宛てもなく…ただただ走り続けた。藤原たちから離れることだけを考え…ただただ走り続けた。 轟音爆音が鳴り響く 火の手が上がっている …俺たちが先ほどまでいた場所からだ。 …… ところで、俺にはさっきから妙な違和感がある。市街地を走りぬけていて気付いたのだが… 人一人歩いていない、というのはどういうわけだ?確かに、時刻は夜の10時をとうに過ぎてしまっている。 ゆえに、人通りが少ないのは理解できる。だが、人一人見当たらないのはどう考えたっておかしい。 …これも長門、ないしは周防九曜の情報操作に起因したものなのだろうか? それともさっき古泉が言っていたように、この世界が閉鎖空間と化しつつあるから…? っ! ふとハルヒの手が放れる。酷く塞ぎ込み、その場にしゃがみこむハルヒ。 「もう…あたし…、走れない…!」 「…そうだな…随分走ったし、ちょっと休憩するか。」 「…ねえキョン」 「何だ?」 「そもそもさ…何であたしたちこんな必死になって走ってんの…??」 「……」 「さっきまでさぁ…あたしたちお菓子とか食べながらみんなで騒いでたじゃないのよぉ…!? あれは一体何だったの!!?夢!?どうして…こんなことになってるの…!!?」 「……ハルヒ…」 「この状況は一体何よ!??家が吹き飛ぶわ、破片が飛び交うわ…そのせいでみくるちゃんが…!!」 …ハルヒの疲弊は、どうやら単なる息切れによるものだけではないらしい。 「ち、違う…!!あたし…あたしのせいでみくるちゃんが!!みくるちゃんを助けないと!!」 「落ち着け!!落ち着くんだハルヒ!!気持ちはわかる!!わかるから…どうか落ち着いてくれ!!」 「嫌ぁ…!放して…!みくるちゃんが…みくるちゃんがぁ…!!」 ……、 最悪の状況と言っていい。俺は…どうすりゃいいんだ? 極限状態なまでに錯乱した…今のハルヒに一体どんな声が届くってんだ…?仮にハルヒの立場だったとして、 今頃俺はどうしていただろうか?発狂していたのだろうか?だとして、そんな半狂乱な俺を… 俺はどうすれば救ってやれる??何をすれば救ってやれる!? その瞬間だった 「あ…、ああっ…、……」 卒倒するハルヒ …… …ハル…ヒ? 「ハルヒ!?おいしっかりしろ!!!!大丈夫か!!?ハル」 !? 何だこの揺れは…?地震…??規模こそ小さいが、一昨日見た夢を思い出さずにはいられなかった… …… …冗談がすぎるぜ…世界が滅ぶのは12月23日の段取りだったはず… 今日はまだ12月1日だぞ…!?今日で…終わるのか?何もかも…!? 「今のハルヒの失神は…、まさか!覚醒しちまったのか!?」 …何なんだこの展開は…??ここまで頑張ってきたのに…頑張ってきたってのに、 全部水の泡で終わるのか?そんな…そんなこと…ッ! しかし いくら威勢を張ったところで、もはやどうしようもないことには変わりない。 ここまで【絶望的】という言葉が似つかわしい状況もない。 …… とりあえず、地震は収まったようだが… 俺が放心状態であることに、変わりはなかった… 「た、大変!!涼宮さん…その様子だと、神としての記憶を取り戻してしまったんですね…!」 はて、この場には俺とハルヒしかいないはず。ついに俺も幻聴が聞こえるなまでに廃物と化してしまったか。 「ふう…あなた達のこと探したんですよ…って、キョン君聞こえてますか…?大丈夫ですか!?」 !! 「あ、あなたは…」 「よかった…あなたまでおかしくなってたら、それこそ終わりだったわ…!」 「朝比奈さん!!」 いつしかお会いした大人朝比奈さんが…俺の目の前に立っている。 光明が射すとはこういうことを言うのだろうか? 例えるならば WW2独ソ戦にて、モスクワ陥落を【冬将軍到来】により間一髪のところで防いだソ連。 池田屋事件にて、維新志士らにによる窮地を別動隊の【土方歳三ら】に助けられた近藤勇。 日露戦争にて、物資・国力ともに限界だったところを【敵国の革命運動】により難を逃れた日本。 関ヶ原の合戦にて、数による劣勢を【西軍小早川秀明の裏切り】により勝敗を決した徳川家康。 元寇にて、大陸独自の兵器や戦法で撹乱する元軍を【神風(暴風雨)】により撃退した鎌倉幕府。 キューバ危機にて、米ソによる核戦争を【ケネディ大統領の働き】で回避した当時の世界。 ワールシュタットの戦いにて、【オゴタイ=ハンの急死】により領土を守り切った全ヨーロッパ諸国。 2・26事件にて、不運にも義弟の【松尾伝蔵陸軍大佐の身代わり】で暗殺を逃れた岡田啓介首相。 1940年にて、【杉原千畝リトアニア領事によるビザ発行】でナチスによる迫害から逃れたユダヤ人。 クリミア戦争にて、【フローレンス・ナイチンゲールの必死の看護】により命を救われた負傷兵たち。 …挙げればキリがない。 それくらい、絶望的渦中にある今の俺からすれば…彼女の存在は例文の【】に値する。 「朝比奈さん…俺は…。俺は!どうすればいいんですか!!?」 彼女が今ここにいるということは、間違いなく何かしらの理由があるはず。そうでもなければ、 朝比奈さん小の上司でもある彼女が…自らこの時代へとやって来ることなどありえない。 だとすれば、彼女は知っているはずだ…俺が今何をすべきなのかを…! 「落ち着いてキョン君!まずは状況をしっかりと把握しましょう。それによってあなたの成すべき事も… 決まってくるわ。だから、涼宮さんがこうして倒れるまでの間一体何があったのか…私に話してほしいの。」 話す内容によって、彼女が俺に与える助言もまた違ってくるのだろうか。 俺は…事の一部始終を洗いざらい打ち明けた。 …… 「なるほど…つまり、あなた達は藤原君たちに追われていたのね?」 「はい…そのせいでこの時代に来ていた朝比奈さんが…重傷を負ってしまって…っ!!」 「…それは。さぞかし大変だったのでしょうね。」 「なぜ驚かないんです!?彼女が消えてしまえば、大人であるあなたも消えてしまうんですよ!?」 「そのくらい心得てるわ。でもね…逆に言えば、今大人である私が この場にいる…生きてるってことは、つまり彼女はまだ死んでないってことよ。」 ! 「そして、あなたと涼宮さんがここまで逃げてくるまで随分な時間が経過してる。 ともなれば、私だけでなく長門さんや古泉君も無事だってことが推測できるわね。」 「意味がよくわかりません…どうして長門や古泉までも無事だって言えるんです!?」 「考えてもみて。私は…自分で言うのもなんだけど、戦闘に関しては全くの素人。ゆえに、 殺されるのも容易いわ。万一私の傷が完治したとしても、その後無事でいられる可能性は極めて低い。」 「……?」 「つまり、長門さんや古泉君が死んで私が生きてる状況ってのは 常識的に考えて絶対にありえないのよ。 だってそうでしょう?彼らは私なんかより桁違いに強いんだから。まあ…逆は可能性として十分ありえるけどね。 私が死んで彼らが生きてるっていうのは…自分で言っててちょっと悲しいけど。」 なるほど、確かに理屈に当てはめて考えればそうなる。…実に的確な指摘だった。 「ありがとうございます朝比奈さん。3人が生きてるってことがわかって…俺、安心できました!」 「ふふ、さっきよりも落ち着きを取り戻したようで何よりね。状況の把握は大切に…ね。」 朝比奈さんはこれを見越して話してたってのか…?さすが大人の貫録だ。 「それで藤原君たちは…どんな様子だったの?」 「どんな様子って、俺たちを殺しにかかってきたとしか…。」 「一体誰を殺そうとしていたのかしらね、彼らは…」 「…?ハルヒを除く俺たち全員なんじゃないですか?それからハルヒを拉致でもして… おおかた記憶を覚醒させるつもりでもいたんでしょう。…結果として覚醒しちゃいましたけど…。」 「でも…彼らがあなたたちの殺害、ないしは涼宮ハルヒの拉致を明言したわけではなかったんでしょ?」 …… 彼女は彼らの目論見について、何か知っているのだろうか…? 「…キョン君、今あなたが言った推理は、おそらくはずれよ。」 …はずれ??どういうことだ? 「単に、あなたたちは成り行きで彼らの障壁となってしまっただけ。彼らからすれば、 初めからあなた達は眼中になかったわ。ましてや、殺害など論外ね。」 …?彼女の言っている意味がよくわからない。 「じゃあ、藤原たちの目的は他にあったってことですか??…それは何ですか!?」 「…混み合った話はまた後にしましょう。涼宮さんをこのまま放置したまま話し続けるのも…胸が痛むわ。」 …確かにそうだ。倒れてるハルヒをどうにかせねばなるまい。 「とりあえず、彼女を背負ってこっちに来てくれないかしら?いつまでもここが安全とは限らない。 閉鎖空間と化しつつある現状では先ほどの地震といい、何が起こったっておかしくないもの。」 朝比奈さんの言う通りだ。 …俺は彼女の言うことに素直に従い、ハルヒのもとへ駆け寄った。 「…ハルヒ、大丈夫か…??」 …… 返事がない…どうやら本当に気絶してしまっている。俺は連れていくべく…ハルヒの肩を担ごうとする。 その時だったか ? 背中が妙に熱い …… …何だこの不快感は? いや、不快なんてもんじゃない…これは 生物に 本来あってはいけないものだ 「う…!!あ!!!!が…ああ…っ!!!!!」 猛烈な激痛 混沌とする意識 一体 何が起こった 俺は 背中を手で 触ってみる …… 何だ このどす黒い 赤い液体は 意識が 朦朧とする 「キョン君…さっき私に聞いてましたよね?自分が今成すべき事を。それはね、 死ぬことよ。」 「冥土の土産に教えてあげる。藤原君たちの本当の狙いはね、私の抹殺よ。」 「まさか、涼宮ハルヒを昏睡状態に陥れた犯人が 私だったなんて想像もしなかったでしょ。」 俺 を 立って 見下ろす こいつは 誰? 「まさか、ここまで上手く事が運ぶなんてね。アハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!」 俺 を 見下し 笑う こいつは 誰? 意識が途絶えた …… ここはどこだ?辺りが真っ暗で何も見えない……そうか、あの世か。俺は死んじまったのか 2012年12月1日22時23分 俺は朝比奈みくるに刺殺された
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第2話 ~ヒーローと目撃~ はっ!!今の夢は…一体?……あれは…ハルヒか?どこかの学校の校庭にいたのは分かったが一体何処の…… 「あぁ~!!キョンくん何でもう起きてるの?」 「ん、ああ。ちょっとな。」 俺は今朝の夢のことが気になってずっとぼーっとして歩いていた。 何だったんだろうな?あの夢は。ハルヒが出てきたような気がするが… 教室に着くとドアを開けた途端太陽のような笑顔のハルヒが俺に突撃してきた。 「キョン!!今すぐ一緒に来なさい!さぁ行くわよ!!!」 「おぉわっ!!ちょっと待て、授業はどうすんだ。」 「そんなもんサボるに決まってるでしょ!」 そう言ってハルヒはいつかのように俺のネクタイを引っ張って無理矢理俺を部室まで引っ張っていった。 ドカン 「ヤッホー!キョン一丁お待ちぃ。」 お待ちって誰が待ってるってんだ…って何でお前ら… そこにはSOS団全員+鶴屋さんが揃っていた。 「それでは皆さん!これよりSOS団七夕緊急ミーティングを開始します!!」 「おいおいそんなもん放課後にやればいいだろ、 何で今授業をサボってまでやる必要があるんだ?」 「必要な事なの!!大体、あんたはどうせ授業何ていつも寝てるんだから関係無いでしょ。」 ま、まあ確かに殆どの授業で寝てるのは確かだが… 「それでは今日の議題は、七夕についてです。」 「で、七夕がどうしたんだ。」 「はいそれじゃあキョン、七夕と言ったら何?」 そりゃあ天の川とか、短冊とかだろ。 「確かにその通りね。じゃあその短冊を掛ける物は?」 そんなん笹に決まってるだろうが。 「そうよ!短冊は笹に付けるものよ。それは万国共通の事だわ。 そんでもって幾ら織り姫と彦星でも全ての人の願いを叶えてあげる事は不可能だわ。」 だからそれが一体どうしたって言うんだ。 「そこで笹よ!!やっぱり彦星もどうせなら 良い笹に掛かってるお願いの方が叶えてあげたくなるもんじゃない? いえ、そうに決まってるわ。」 ……相変わらずこいつの理論は訳が解らん。朝比奈さん、そんな貴重な事を聞いたみたいな顔する必要無いんですよ。 全部デマなんですから。それとも未来には七夕が無いのか? 「と、言う訳で、今日はSOS団プレゼン!!笹取り大会を開催します!!」 あー何だ、ツッコミたいとこは色々あるが 「おいハル「意見のある人は挙手をして発言しなさい!!」 ったく、コイツはそんなに俺にしゃべらさせたくないのか? 「は~い。」 「はい!鶴屋さん!!」 俺が挙げる前に鶴屋さんが挙げてしまった。 「笹取り大会って具体的に何をするんだい?」 確かにそれは気になるな 「そうね…じゃあ2人1組に分けて、それぞれ笹をとって来て一番良い笹をとって来たペアの勝ちってのはどう!」 じゃあって、今考えたのかよ! 「ちなみにペアはくじ引きで決めるわよ。それじゃあ有希から順番に行くわよ!はいっ…」 今回はいつもの爪楊枝に3色の印を付けていた。 しっかしハルヒもまた面倒なことを思い付いたもんだ。 まあしかし、今日の俺は余程ついているらしい。 「…青……」「緑だ。」「青ですね。」「赤にょろっ!!」「ぁ、緑です。」「赤だわ!!。」 今の会話で分かってもらえたかどうかいささか不安だが、 そう俺はなんと俺の天使様、つまり朝比奈さんとペアになったのである。 当の朝比奈さんはと言うと、自分の楊枝の先を少し赤くなりながら見ていたが、 暫くして俺の方を見て、はにかみながら会釈をしてくださった。いや~、心がどんな宝石よりも綺麗になる気がするね。 …ん?いつもだったらここで我がまま団長様がアヒル口で文句の1つや2つ言ってくるのに、何も言ってこないなんて珍しいな。 「それじゃあ皆!時間が無いから早く行くわよ。」 「行くって何処に行くんだ?」 「鶴屋山よ。」 何でも「この前ハルにゃん達が宝探しした山にさ、竹の密生地帯があるからそこを使うにょろ!」だそうだ。 んでもって俺達は今バスに乗っている。俺は朝比奈さんと鶴屋さんと一緒に座ってるハルヒから距離を取り、 古泉と長門に昨日休んだ理由を聞いてみた。 「近頃情報統合思念体は涼宮ハルヒという個体を2体観測した。しかし、涼宮ハルヒの近辺での情報改変は観測されていない。その真相を調査するため休んだ。」 何だと!?ハルヒが2人ってどういう事だ? 「詳しくは解っていない、涼宮ハルヒの能力が人格化し、涼宮ハルヒ本人から離別し行動している。」 え~とつまり、ハルヒの能力に人格が出来てそれはハルヒ本人とは別の意思を持っているって言うことか? 「その通りです。そしてその別の人格が涼宮さん本人とは別の肉体をもち、別の行動をしているようです。」 なる程、じゃあ元のハルヒは能力を失ってるのか? 「はい。しかし今そこにいらっしゃる涼宮さんが能力を持っていない訳ではありません。 なぜなら、彼女、つまり能力を持った涼宮さん、ここでは、そうですね…涼宮さん(能)とでも呼びましょうか。 彼女が現れるのは、涼宮さんが夜中に眠っている間だけだからです 。それ以外の時間は涼宮さん(普)の中で眠っているようです。」 何でそんな事になってんだ? 「それはまだわかっていません。しかし「3年前の七夕が関係している。」 今の今まで空気のように振る舞っていた長門が突然割り込んできた。 独りで歩いてて寂しくなったのか? 割り込まれた古泉はやれやれといったように肩をすくめてみせた。ちっ、様になってやがる 「彼女が出現したのは4年前の七夕のジョン・スミスが深く関わっていると思われる。気をつけて。」 「どう気を付けろというんだ。」 「それは………」 長門は急に俺から目を逸らし、明後日のほうを見ながら 「あなたに託す。」 はぁ、誤魔化したって無駄だぞ長門、要は分からないんだろ。 「やれやれ。」 しかしそんなごまかしたりする長門も珍しくて、なんだか可愛かった。 「さぁ、着いたにょろ!」 そして今俺達は鶴屋山の裏側の中腹くらいにいる。 「こっから山の麓近くまでずっと竹藪になってるっさ!!気にった竹を見つけたら好きに採ると良いよ!!」 採るったって、一体何で採るんです?まさか素手なんて事は…「あっ、そっかそっかぁちょろんと待っててね。」 そう言って鶴屋さんは、山の上の方に向かって歩きだした。ちょろんとっていうのはまた30分程なのだろうか? しかし俺の懸念も空振りに終わり鶴屋さんは2分程で戻って来た。のだが… 「皆さん、お久しぶりでございます。」 何故かその隣に新川さんが居た。何故だ?意味が分からん。 俺がよほど怪訝な顔をしていたのだろう、古泉が突然解説しだした。 「新川さんには良い笹の審査員をして貰います。僭越ながら僕が先ほど呼ばせていただきました。かまいませんか?涼宮さん。」 「ええ、構わないわよ。確かに審査員無しじゃ誰が一番か決められないわね」 じゃあお前はどうやって勝負を決めるつもりだったんだよ。 「ありがとうございます。それでは新川さん。」 「かしこまりました。」 そう言って新川さんは何処から出したのか、 ちょっと大きめの鉈を3つそれぞれ俺と古泉とハルヒに渡した。そして 「それで竹を切って下さい。」 といって、もう1つ鉈を取り出し、 「この様にしてください…」 と言った。そしてふーっと息を吐いたかと思うと、突然カッと目を見開いて 「SUNEEEEEEEEEEEEEEKU!!!!」 と叫びながら鉈を一振りした。 一瞬だった。そして気付くと、新品のトイレットペーパー並みの太さの竹が真っ二つになっていた。スネークって一体…? ハルヒは目を爛々と輝かせ 「スッゴいわねぇ!!どうやったらそんな事が出来んの?」 と嬉しそうに言っていた。 鶴屋さんは爆笑していたし、長門と古泉はいつも通りだった。しかし朝比奈さんはよほど新川さんの顔が恐かったのか、殆ど半泣き状態だった。因みに俺は声一つ出せなかった。 「じゃあみんな!!1時間後にまた此処に竹を持って集合ね。さあ、行きましょう鶴屋さん!!」 「ラジャーっさ!!」 そう言ってハルヒと鶴屋さんはものすごい速度で竹藪に消えてった。 「それでは長門さん、僕達も行きましょうか。」 「………」 長門は3ミクロン程頷いて古泉と歩いていった。 さて、俺達もそろそろいこうかね。 「さ、行きましょうか、朝比奈さん」 「…あ、はい。」 そうして俺達も竹探しに向かった。 しばらく歩いてからのことだった、突然朝比奈さんが俺の方に向き直り、潤んだ上目遣いで俺を見て 「キョ、キョンくん!あ…ぁあの、昨日はごめんなさい。せっかくキョンくんが遊びに来てくれたのに…本当にごめんね。」 と言いながら、頭を腰より下まで下げて謝った。 「そんな謝らなくて良いんですよ。俺は気にしてませんから。」 俺は出来るだけ朝比奈さんをなだめるようにいった。 「でもぉ、自分から呼んでおいて部屋に入れた途端に寝ちゃうなんて、わたし…最低です。」 そういえば朝比奈さん(小)は朝比奈さん(大)に眠らされた事は知らないんだもんな。 そりゃあ朝比奈さん(小)本人にしてみれば、突然寝ちまったようにしか思えないよな。 しかしまずいな、朝比奈さんはもう顔を上げては居るが、今にも泣きそうな顔をしている。 朝比奈さん(大)のことをいうわけにもいかないし……しょーがない。 「じゃあこうしましょう朝比奈さん。今度また改めて俺を家に招待して下さい。それでどうですか?」 「ぇ、で、でも…キョンくんはそんな事で良いの?」 「ええ勿論ですよ。その代わり、その日は朝からお邪魔させてもらいますよ。それでおあいこです。良いすよね?」 俺はこれ以上朝比奈さんに文句を言わせないように言った。 「あ、じゃあ…そんな事で良かったら、今度の日曜にでも、また遊びに来て下さい。」 勿論かまいませんよ。来週の日曜ですね。たとえハルヒの奴が何を言おうが、遊びに行きましょう。 「うふ、ありがとう。キョンくん」 朝比奈さんはもう涙目では無く、とてもこの世のものとは思えない天使のような笑顔で俺を見つめて言った。俺も朝比奈さんを見つめ返した。 ガサガサッ 「ひえっ!!」 突然俺達の横にある茂みから音がして朝比奈さんは俺に抱きついてきた。あ~、このまま天に召されても悔いはないね。 「にょろにょろーん!!」 茂みの中からは鶴屋さんが出てきた。あれ?ハルヒが居ないようだが… 「おーいキョンくん。みっくるぅ!!ハルにゃん見なかったかい?はぐれちゃったんだよ~。」 ハルヒですか?見てませんが… 勿論かまいませんよ。来週の日曜ですね。たとえハルヒの奴が何を言おうが、遊びに行きましょう。 「うふ、ありがとう。キョンくん」 朝比奈さんはもう涙目では無く、とてもこの世のものとは思えない天使のような笑顔で俺を見つめて言った。俺も朝比奈さんを見つめ返した。しかしそんな良い空気の時に…… ガサガサッ 「ひえっ!!」 突然俺達の横にある茂みから音がして朝比奈さんは俺に抱きついてきた。あ~、このまま天に召されても悔いはないね。 「にょろにょろーん!!」 茂みの中からは鶴屋さんが出てきた。あれ?ハルヒが居ないようだが… 「おーいキョンくん。みっくるぅ!!ハルにゃん見なかったかい?はぐれちゃったんだよ~。」 ハルヒですか?見てませんが… 「そおかぁい。そんじゃスモーk「持ってません。」 「にょろーん。まあそんな事より…お熱いねぇお二人さん。はっはっはぁぁ!!」 「ひょ!!だ、だ、だだめです。また同じ穴の二の舞ですぅ」 朝比奈さんはよくわからない事を言って俺からパッと離れ、顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。あぁ俺の至福の時が… 鶴屋さんさんは気付いたら消えていた。 5分後朝比奈さんはまだそっぽを向いていた。これじゃ笹が取れないまま帰ってハルヒにどやされちまうな。 「朝比奈さん、そろそろ行きましょう。時間がきちゃいますよ。」 「うぅ。」 顔を真っ赤にして唸りながら振り返り俺の方へ寄ってきた。 その時 「朝比奈さん!危ない!!」 「ふぇ?」 朝比奈さんは小さな崖から足を滑らせバランスを崩していた。 俺はとっさに朝比奈さんを抱き止めたが、結局2人して落ちてしまった。 こうなったら朝比奈さんへのダメージを出来るだけ減らすしかない! そう思った俺は自分の体を下にして朝比奈さんを包み込むように抱き締めた。 「ひょえぇ~~~~~!!!!」 恐怖のあまり朝比奈さんはとんでもない音量の叫び声を上げていた。 崖は10メートル以上もあったが、幸い地面に落ちる直前に一度木に引っ掛かってクッションになったため、大した怪我はしなかった。 しかしこれは暫く動けそうに無さそうだ。 それに俺は今仰向けに倒れており、朝比奈さんは俺の上にうつ伏せに倒れていた。 そう、俺達は今抱き合っているような構図になっている。 いや~何で今日はこんなについているんだろうね? 「ふぁ!!ぁ、ぁ、ごめんなさい!!」 と朝比奈さんは言ってガバッと体を起こした。 あぁ朝比奈さんそれでも今度は馬乗り状態になって別の所がものすごく気持ち、いやっな、なんでも無い!!只の妄言だ。 「ああ、朝比奈さん、大丈夫ですか?怪我は有りませんか?」 俺は朝比奈さんに手を差し向けながら言った。 「ぁ、はい。勿論大丈夫です。」 それは良かった。怪我をしてまで守った甲斐が有ったというものだ。 それから朝比奈さんは俺の差し向けた手を両の手で包み込むようにして取って、 「キョンくんが…守ってくれましたから。……すっごくかっこ良かったですよ。ありがとう」 と言って朝比奈さんは真っ赤になった。きっと俺の顔も真っ赤だろう。 「キョンくんはわたしのヒーローですね。いっつもわたしを助けてくれて、励ましてくれるし。それに今だって、ね?」 朝比奈さんは既に赤くなっている顔を更に真っ赤にして、やっぱりまだぎこちないウィンクをした。 余りの可愛いさに俺は朝比奈さんをどおしようもないほど愛おしく思い、 思わず朝比奈さんの手を引き、また俺の胸の上に倒して、抱き締めてしまっていた。 いかんな。いつもは抑えられるのにな… 「ふ、ふぇ?キョンくん?」 「すいません朝比奈さん。暫くこのままで居させていて下さい。」 「ぁ……はい。」//// そして朝比奈さんは俺の胸に顔をうずめて気持ちよさそうな声をあげた。 俺はそんな朝比奈さんの頭を撫でながら抱き締めていた。 最高だ~。死ねる!!今ならラオウのポーズで死ねる。 しかしキョン達はこの時自分たちを見撃して去っていった存在に気付いていなかった。 そう、鶴屋さんとはぐれたハルヒの存在に。ハルヒが自分たちを見ていた事に。 ハルヒは鶴屋さんを探している時にキョン達が崖から落ちたのを見て、崖の下に大慌てで降りてきたのだが、キョンとみくるが抱き合って居るのを見て走って逃げていったのだ。 ハルヒは普段なら確実にキョンを怒るのに、気付いたら逃げ出していた自分に困惑していた。 「…キョンと……みくるちゃんが?……そんな…なんで?………嘘でしょ?」 誰も気付きはしなかったがハルヒは独り涙を流していた。 涼宮ハルヒの方舟 第2話 ~ヒーロー・目撃~ おわり 第3話へ
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ギルラ ギビルの別名。
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第四章 あれ?ここはどこだ?そうか病室だったな。もう朝か寝ちまったようだ。今日が土曜日でよかった。 時計は午前9時を指していた。 周りを見渡すとハルヒがベットで横になり眠っていて朝比奈さんも俺と似たような体制で眠っていた。 古泉と長門はどうしたんだ?俺の記憶が正しければ病院に駆けつけいたはずだ。 探そうか迷っていると古泉と長門が病室に戻ってきて病室を出てどうやら医者と話してきたらしく話がある俺と言ってきた。 「とうとうこの時が来てしまったようです。涼宮ハルヒの能力が今にも消えようとしているのです。」 「おいおい仮にも神なのに力が消えるなんてことありえるのか?」と返す俺。 「いえ、涼宮さんは神などではありません。気づいてはいましたがそれで納得してしまうと僕も行動できなくなるのでね。 このような事態になってはそんなことはもはやどうでもいいです。 涼宮さんの強い思いが神にも匹敵する力を手に入れたのです。今にもその力が消えようとしている。意味がわかりますか?」 「世界が狂わなくて済むんじゃないか?」と返してみる。 「ええ、確かにそういうことになりますが我々はとても大切で大きなものを失うことになります。それでもいいのですか?」 「まさか、お前ハルヒの能力が消えたら死ぬとか言い出すんじゃないだろうな?」 「そのまさかなのですよ。『何故そんなことがいえる?』なんて聞かないで下さいよ。わかってしまうのだから仕方ありません。 あなたも気づいていたでしょう?最近涼宮さんに変化があった。普通に考えてあのような能力をもってしまった人間…体への負担は想像を絶するレベルだと思います。 最近涼宮さんの精神面で弱気になっているのはわかっていたのですが、僕が感じていた違和感は肉体の弱化です。これに気づくべきでした。 長門さんから聞きました恐らくジョンスミスに会いたいと言う願いを実現させた瞬間に体に限界が来てしまったようです。現状涼宮さんの能力だけを消す方法は見付かっていません。このままでは1週間と持たないでしょう。ですが1つだけ方法があります。それは…」 「ハルヒに今までのこと、その能力について話す…か?」俺は割って入った。 「そうです、ですがこれは危険です、場合によっては涼宮さんの力が暴走し取り返しのつかないことになります。」 わかっている。それはわかっているが、それしか方法は無いんだろ?どうなろうがハルヒの責任さ。 「そういうと思ってました、涼宮さんに話す役は買って出てくれますね?」 「俺がやるしかないな、俺はハルヒにとっての鍵であり、SOS団その1なんだろ?」そう言って俺はハルヒのいる病室に戻った。 俺は朝比奈さんと長門に病室を出てもらい糞まじめな顔でハルヒにこう言った。 「ハルヒ、とてもまじめで真剣な話があるんだ。聞いてくれ。これはSOS団員全員の正体に関わる重要な話だ。」 「何?しんどいんだから手短に話しなさいよ?どうせあんたのことだからくだらない話なんでしょうけど。」そういいハルヒは体を起こした。 「実は長門と朝倉は宇宙人に作られた人造人間で…」 「はあ?有希のことは一年ぐらい前に聞いたけど朝倉もそうなったの?」そう皮肉そうにハルヒが割って入った。 俺は無視し続けた。 「そして朝倉はある理由から俺を殺そうとした理由はある人間に刺激を与えるため、そして俺は長門に助けてもらったんだ。そして長門は朝倉を消滅させ、カナダに転校という事にした。 それでこの前の雪山で不思議なことがあったろ?あれは集団催眠なんかじゃない、長門によれば敵宇宙人の攻撃だそうだ。あの時も長門のおかげで何とかなった。 朝比奈さんの正体は未来人だ。朝比奈さんはある人物に過去に一定以上の過去に行く道を閉ざされてしまい過去に戻る方法を見つけに過去に来たらしい。過去にいろいろとグレードアップした朝比奈さんに俺は何度か会ったからな、間違いないグレードアップした朝比奈さんは何度も俺にヒントをくれ助けてくれた。 違う未来人に未来を書き換えられそうにもなったがグレードアップした朝比奈さんのおかげで何とかなった。俺が一度お前に『朝比奈さんが誘拐された。』って電話掛けたことがあったろ?あの時誘拐されたのは実はその一週間後から来た朝比奈さんなんだ。気が動転して何も知らないお前に電話してしまった。反省してるよ。」 ハルヒはこの辺であきれたように黙りこくったがやはり無視し続けた。 「そして古泉、こいつは実は超能力者なんだ。こいつは仲間とある人間が不機嫌になると現れる閉鎖された空間で青い巨人といつも戦ってる。こいつのバックには機関と言う組織がある、実は夏休みでの孤島やら雪山でのやらせ殺人事件のときの荒川さんや森さん田丸さん兄弟、全部その機関の人間なんだ。俺たちのために裏でいろいろしてくれているらしい。」 青い巨人と言うところで一瞬ハルヒが反応したかのように見えたが興味はなさそうで、こう俺に質問した。 「どうしてあんたの周りにはそんなに不思議な人間がいるのかしら?そんなこといって私が喜ぶとでも思う?それにあんたと私には何も無いの?聞くだけなら聞いてやってもいいわよ。」 と言うことなので教えてやることにする。 「実はな、お前の隠された正体のほうがおもしろいぞ?ハルヒ、ある人物ってのはお前なんだ、実はお前には願望を実現する能力があるんだ。思い当たる節があるだろう?そしてその能力のせいでお前の体は蝕まれているんだ。」 もはやハルヒはもはや聞く耳も持っていないようだったが俺は続けた。 「そして俺の正体だ、これが一番おもしろいぞ?実はな俺の正体はジョ…」 そのときだ。急に窓ガラスが割れているはずの無い人間…いや人造人間が飛び込んできて一目散に俺の脇腹を刺した。 一瞬の出来事だった。 「な………に………?………」 目が霞む瞬間ドアを開け急いで入ってくる長門、古泉、朝比奈さんと呆然としているハルヒの顔が見えた。意識が朦朧としていく… 「あなたが何故ここにいる?」と長門が怒ったような口調でいい俺の脇腹に手を当て怪我の治療をしてくれる。 放心状態で見ているハルヒ。 馬鹿にするように「なんであなたにそんなこと言わなきゃならないの?私の目的はあなたとそこの人間…もう死体かしらね。」 朝倉がその言葉を発した瞬間だった。 病院から見える青い空が急にどっかの龍を出したときのように真っ暗になった、その成果も知れんが一瞬外の雰囲気そのものも変わったようにも見えた。 そして例の巨人が暴れだす…しかも窓から見えるだけで50体は見える。これが世界中で怒っていると言うのだから恐らく大量に血を流し今にも死にそうな俺を前にしたからだろう。 古泉が言った。「これはまずい、世界規模で閉鎖空間が発生してしまったようです。このままでは非常にまずい…涼宮さんの前で…いやそんなことを言っている場合ではない。急いで行かなくては。キョン君後は頼みます。」 それから例の赤玉になり新人と戦うため飛んで言った。 ハルヒの前なのにナイフ持ってニヤニヤしている朝倉、そして病院内の閉鎖空間化… しかしハルヒは夢でも見ているかのような顔をしている。朝比奈さんは気絶したようだ。 長門のおかげで何とか回復できた俺は朝倉に聞いた。 「どうしてお前がここにいるんだ!?」と。 朝倉は待っていましたと言うよな顔でこう返した「敵の情報生命体がいるのには気づいているでしょう?、情報統制思念体って言うの。その情報統制念体って言うのが私のバックアップを作っていたの。そして作り直してもらったの。前の私が偉くお世話になったようね。きっちりお礼をさせてもらうわ。」 そして朝倉は長門に襲い掛かった、長門はなんなく避けた。それを戦闘の開始のように二人が先頭を開始した。長門はうまいこと朝倉をドアの付近に誘い朝倉をふっとばし病室から出しことに成功した。 俺は思った。またこいつらが戦いを始めるのか…としかしここは朝倉の情報制御空間とやらではないとは言え俺とハルヒを守りながらとなると勝ち目はあるのだろうか。古泉も。 9回裏にツーアウト満塁であと3点で逆転勝利できるのに4番のバッターが怪我したってぐらいまずい。 これからいったいどうなっちまうんだ全く、やれやれ。 第五章
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プルラ アボリジニーのングルクウォンガ族神話に登場する人物。
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リルラ ルガルバンダの別名。
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キョン「ただいまー」 ハルヒ「足りたでしょ?」 キョン「あぁ。すき焼き肉1パック498だった。」 ハルヒ「広告に書いてあったでしょ?ちゃんと見なさいよね?」 キョン「いっちょ前に主婦じゃねぇか…ハルヒ。」 ハルヒ「ふふん♪」 キョン「なぁハルヒ、久しぶりに朝比奈さんたちも招待しないか?」 ハルヒ「いいわね~っ!じゃお肉足りないからもっかい買って来て~。はい1000円。」 キョン「…………」 俺はハルヒに渡された1000円を握り締め、近くのスーパーへいわゆるおつかいに来ている。 しかし二度目のご来店となるとさすがに恥ずかしいな。 俺は先程と同じ段取りでカゴにすき焼き肉を二つ放り込む。 「さて、」 お会計を済まそうとさっさとレジへ進もうとしたその時、何やら見たことのある二人がカートお押しながら仲良く並んでショッピングを楽しんでいた。 古泉とみくるさん夫妻だ。 全く…そのままジャスコかなんかのCMに出ればいいってくらいの美男美女だ。 どうせ後で呼ぶのもあれだしな、今声をかけておこう。 買い物カゴを持ったまま不審者の様に古泉たちの後を追い、声をかけた 「おい古泉。」 「なんでs…」 恐る恐る振り向いた二人の顔が俺を見た途端にいつものニヤケハンサム面と天使の微笑みに変わった。 「キョンくん!!」 声をかけた古泉よりも真っ先に返ってきたのはみくるさんのエンジェルボイスだった。 「おやおや、奇遇ですね。ハルヒさんはどうしました?」 「いや、ハルヒに頼まれた使いなんだ。」 このニヤケハンサム面を拝むのも何年ぶりだろう。 いやしかしまさかこいつが俺の中の永遠のアイドル(旧)朝比奈さんをモノにするとはっ!! こいつめっ…!こいつめっ…! などと考えてる場合じゃないな…。 早いとこ伝えておこう。 俺が事の説明を話しているとみくるさんは目を輝かせて 「いいですね~♪」 と言って古泉に同意を求める様な仕草をした。 「では僕たちも材料を買いましょうか。」 快く古泉は頷いた。 「肉はもうこれで十分だからな。あとは適当に野菜とかで良いんじゃないか?」 「そうですか。では、ビールとおつまみを見に行きましょうか。」 「だな。」 「じゃあ私はお野菜見てきますね♪」 そしてみくるさんは頭の上に「♪」でも出てきそうなくらいの足取りで青果コーナーへと向かった。 さすがにビールとおつまみ代を古泉…いやみくるさんに出さす訳にはいかないな。 少々痛いが乏しい俺のポケットマネーで賄うとしよう。 古泉と飲むのも成人して以来か… 酒やつまみを適当にカゴに放り込みながら古泉に話しかけた。 「なぁ古泉…」 「何ですか?」 「お前、成人式以来長門に会ったか?」 「いいえ。しかし毎年年賀状は送ってくれますし、さほど心配もしてなかったのですが…。」 そう、長門は毎年あのパソコンでうった様な文字で年賀状を送っては来るものの…それ以外に長門と連絡を取ることが無かった。 しかし年に一度の生存確認で大概俺とハルヒは安心していた。 何てったってあの長門だ。 今になっては「元」宇宙人だが。 今から約7年前、高校を卒業して1年たち、卒業後もしばらくは行われていたSOS団の活動も治まって、俺とハルヒは社会に程々に順応していた。 ハルヒくらいの頭なら大学へ行ってもおかしくないが… ある日突然「キョンっ、一緒に暮らすわよっ!」な~んて言われた日にゃ俺もびっくりしたね~。 なんせあの不思議大好き野郎と暮らすんだからそりゃもう高校時代より疲れる生活が待っていること請合いなので俺も断ったんだがな…。 俺の安月給じゃ生活できんぞってな。 ところがあのハルヒは、「あたしも出すわよ、生活費くらい。」 最初自分の耳を疑ったがその後にまた俺の心の朝日新聞の一面を飾る様な一言がハルヒの口から言い放たれた。 「好きなのよ…あんたのことっ!!」 なんて強引な告白の仕方があるだろうか? それからと言うものハルヒは気が強い普通な女の子となってしまったのである。 その時の古泉曰く、徐々にハルヒの世界を変える力は失われていっているらしかった。 「そうなれば僕の能力も無くなり、朝比奈さんや長門さんたちそれぞれの役目も終わります。」 両手を拡げそう言った後、俺は気付いた。 ハルヒを見守る必要が無いなら古泉を除いた二人はどうなるんだ? 古泉は元は普通の人間、まぁ朝比奈さんもそうだが、そうなると朝比奈さんは未来に帰り、長門は消えてしまうんじゃ… 「鋭いですね…」 ニヤケた面が真顔になった。 古泉と意見が合ったりするのは年に数えるくらいだが… 珍しい事もあるもんだな。 「おや、僕はただハードな青春を共にした仲間と離れたくないだけですよ。」 「あとどれくらいで無くなるんだ…?」 「保って2日といったところでしょうか?」 「行くか…!急いだ方がいいだろう?」 「わかりました。」 「僕は朝比奈さんに話をつけてきます。長門さんを頼みました…!」 「わかった!!」 急いで走って着いたあのマンション… 卒業した後も長門宅には行ってたからな、自宅はここで間いない! 急いでベルをならした。 ……………………… 出ない!?まさか…! 「長門!」 珍しく長門がエントランスから直接鍵を開けにきた。 少し目が潤んだ様に見えるのは気のせいか。 そしてゆっくりとエントランスのドアが開けられた。 「長門っ!話がある!!」 「………(コクン)」 「あのな、長門…」 「私もあなた達に話があったところ。」 「涼宮ハルヒの能力があと26時間42分8秒で失われる。だからお別れを言おうとした。」 「その事なんだがなぁ長門、俺はそうはさせないぞ…。」 「……。」 「いつだったか俺言ったよな?お前がもし情報なんとかに消される様なことがあったらハルヒに全部話して何としてでも見つけ出すって!」 「以前は私のバグが原因。でも今は任務が終わった。だから情報統合思念体は」 「長門っ!!」 俺が叫んだせいで長門が少し驚いた顔をした。 くそっ写メ撮っとくんだったぜ… 「結局はその親玉に消されるんだろ?そんなの俺は認めないぞ!!」 熱くなり過ぎたか、俺は長門の腕をつかんでいた。 その時、長門の頬をわずかな水分が滴った。 「だからな、長門。今からハルヒに全部話そうと思うんだ…。」 「…そう。」 俺は長門の腕を掴んだままハルヒの待つ自宅へと走った。 そしてマンションの前に着くと先に古泉と朝比奈さんが居た。 あとから聞いた話しによると、朝比奈さんは判りやすく荷物をまとめて準備していたという。 なるほど、この時すでに……っ!!! 「キョンくん、……ぅぇっありがとう~…!!グスン…。」 古泉の隣りの朝比奈さんの顔は涙でぐしゃぐしゃだった。 「では、行きましょうか。」 「おう。」 「ハルヒ!」 「なっ…何!?みんな揃って…!?」 いやぁ~あの時のハルヒの顔も見物だったね。 なんせみんな血相変えて走り込んで来たんだからな。 「いいですか涼宮さん、これから僕らが話す事は全て事実です。」 それから小一時間今まであった出来事を洗いざらい吐いてやった。 長門が宇宙人、朝比奈さんが未来人、古泉が超能力者でお前はとんでもない力を持っているという話。3人の役割、そして役目を終えた長門や朝比奈さんがいなくなると言う事を。 「有希を消しちゃうなんて許しがたいことだわっ。それにみくるちゃんも!団長の許可無しに未来へ帰っちゃうなんて駄目じゃない?!」 ハルヒの言葉を聞いた朝比奈さんはさらに涙の量を増やし 「涼宮さぁ~ん……」 声を荒げて泣き出した。 そしてハルヒから 「で、有希やみくるちゃんはほんとにそれでいいのね?」 と確認されると長門と朝比奈さんは頷いた。 やっぱり団長は頼りになるなと実感させられたときであった。 「有希、その能力はどうやって使うの??」 「心の中で、今まであなたが思っていた通りの私達を想像すればいい。私も協力する。」 そう言ってハルヒと長門は目を瞑り、念じ始めた。 しばらく瞑想していたハルヒと長門に割って入る様で悪いが俺は万能宇宙人である長門に最後の疑問を聞いてみた。 「すまんが長門、この後の歴史はどうなるんだ?」 「情報の操作は得意。今はそれも含め涼宮ハルヒに協力している。」 「そうか。そうだったな。」 「そう。」 それからややあって、長門は一言だけ俺に告げた。 「終わった。」 その場にいる全員の肩の荷が降り、朝比奈さん達はペタンと腰を下ろし、また泣き出した。 ハルヒは笑顔で俺に言った。 「こんな面白いこと黙ってたなんて信じられないわ!!今夜はみんなでキョンに説教よ!!」 その後俺とハルヒが住むマンションで「すき焼きを大いにた盛り上げるための涼宮ハルヒのキョンを説教する会」が行われた。 ハルヒが消えちまった後の鍋もうまかったがあの時のすき焼きも申し分ないくらいうまかったな。 前置きが長くなったがその後普通の女の子になった長門を成人式の日以来見ていない。 出るか不安だったが長門の携帯に何年ぶりかに電話をかけてみる。 ……………… 「…もしもし。」 「長門か?」 「…。」 恐らく受話器の向こうで頷いたのだろう。 「久しぶりだな。」 「…。」 あの、長門さん?受話器の向こうの頷きは俺には見えないから少しはしゃべってくれよな。 「…わかった。」 「変わらないな。」 「…そう。」 「今日俺んちにみんなを呼んでまたすき焼きでもしようと思うんだが。」 「くるか?」 「……行く。」 「そうか。ならもう古泉と朝比…みくるさんは来てるからな、待ってるぞ。」 「わかった。」 そう言って長門は電話を切った。 長門の家からここまでは電車で一駅、さほど来るのに時間はかからないだろう。 ハルヒとみくるさんも仲良くすき焼きの準備を…… 「みくるちゃぁん!折角だから裸にエプロンやってみない!?」 「ふぇ~~!!」 ハルヒ!人妻バージョンのみくるさんも見てみたいのは山々だが夫の前だ!!自重せい! おい、古泉、ニヤけてないでお前もなんか言え! 「変わらないのはあなたもハルヒさんも一緒ですね。」 とチラシのモデルから雑誌のファッションモデルに進化したスマイルで俺に言った。 しかたないな…。 「やめろ!ハルヒ!!一昔流行ったしゃぶしゃぶじゃ無いんだぞ!」 懐かしいな…まさか今になってこのやりとりをするとは。 「しゃぶしゃぶ?今はすき焼きを作ってるのよ??」 「わかってる!これ以上言わせるな!!」 古泉夫妻がそれをみて笑っていた。 古泉、後で覚えておけ。 「それは恐ろしいですね。」 こいついつの間にビール一本空けやがったっ! 「一樹くんは酔ったら手強いですよ?」 みくるさん、それはどう手強いんですか? 「ふふ♪禁則事項です♪」 人妻最高!……っ!? 「キョン?何鼻の穴膨らましてんの!?」 油断した…ハルヒを止めていた途中だった… ―ピンポーン― するとチャイムが鳴った。 きっと長門だろう。 インターホンのモニターを覗き込む。 ……………誰だ? モニターの向こうには髪は肩まであり、 背は高くないもののスラッとしてて清楚な感じの女性が立っていた。 「なぁハルヒ、知り合いか?」 「有希じゃないの―??」 準備していたハルヒはエプロンで手を拭き、いそいそとモニターに目を向けた。 「すいませんどなたですか―?」 「…長門有希………………です。」 『ぇえ―っ?!!!!』 一同は驚きの声をあげ、俺を挟み込むかの様にモニターを我先にと覗いた。 みくるさん、肉の塊が…そして古泉、顔近いぞ。 「今開けるわね!!」 鍵を開け、進化した長門をリビングに招待する。 しかしこうも変わっちまうとちょっと畏まってしまうな。 「変わったな、長門。」 「そう?」 「背も少し高くなったんじゃないか?」 「あれから…少し伸びた…わ。」 伸びた…わ って…。 少し無理してるな、ここでは普通の長門でいいんだぞ? 「そう。」 「人ってのはこうも変わっちゃうもんなのね―。」 ハルヒは長門を珍しいものを見る様な目で長門を見つめる。 無理も無いがな…。 あの時は制服しか着てなかったし、今はan〇nにでも乗ってそうなくらいの美人だ。 「あれから何か変わった事はあったか?」 「特には。強いて言えば制服が入らなくなった。」 今のは長門なりのジョークだろう。古泉も相当ウケている。 「フフフ………ケラケラケラwwwwww」 ウケすぎだろ!いかん、こいつ完全に逝っちまってる。 「しかし突然そんなに変わられるとさすがの俺も驚いたな。」 「対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェイズに基本的な身体の成長は無かった。 あの時の情報改竄によりあなた達と同じ有機生命体になったことにより、今までの反動が訪れた。」 「よくわからんが人間になって遅れた分一気に成長したってことか?」 「そう。」 久々に長門の顔を見たが前の幼かった長門とは一転、ハルヒやみくるさんが居なければ確実に心魅かれていただろうね。 「ところで長門…前みたいに金に自由は利かないだろう?仕事とかしてるのか?」 元宇宙人に超現実的な質問をしてみる。 古泉は元機関とやらの誼で何かの研究をしているらしい。 かという俺はハルヒの紹介で夫婦揃ってA〇ショップの店員だ。 携帯ショップの何が悪い! 言っとくがハルヒのユニフォームの似合いようははんそk…話が脱線したな。 「ファッションデザイナー。」 !? 「有希―!すごいじゃない!?」 「長門さん昔から多才でしたもんね~♪」 「マッガーレ」 「こら古泉!スプーンを力ずくで曲げるな!! しかし長門、専門学校とか行ってたっけ?」 今日日学生のバイト代で行ける学校なんてどっかのお笑い芸人養成所くらいだ。 「親玉から仕送りみたいなのがあったのか?」 「定期的に。その一部を蓄えていた。」 「そんなとこまでしっかりしてたんだな。」 そんな話をしながらビールをちびちびやっていた。 すると長門はハルヒ達のいるキッチンへと向かって行き 「手伝う。」 と一言言い、下準備を始めた。 あの時からようやく人並みの生活をできる様になったのか。 そういや表情に乏しく、この俺の眼力でようやく変化したのが伺えたあの長門だが、今は誰が見ても分かるだろう。 楽しそうだった。 笑いながら作業する美女3人を見ていると心から幸せだと思うね、うん。 「はたしていつまで続きますかね、永遠にこの状態だといいのですが…。」 いきなりマジに戻るな!空気読め!顔を近付けるな!酒臭い!! 「……。今我々はその長門さんの元親玉、情報統合思念体について研究しています。みくるさんにも手伝ってもらってね。」 「何?!完全に情報を操作したわけじゃ無かったのか?!しかもみくるさんまでそのいかがわしい仕事を…」 「えぇ。いくら前の長門さんでも何億年前の情報から操作するのは無理だったと思われます。」 「で、何かまずい事でもあったか?」 「もしあなたが大事にしていた息子をさらわれて、もうあなたのもとに戻らないと分かった時、あなたならどうします?」 「一生さらった奴をゆるさねぇな。」 「そうです。」 まさか…………。 情報なんとかがそんな子供思いのお父さんだったとはな。 「ということは、結果長門は情報思念体から千切られて無理やり人間にされちまったようなもんか…。」 「本人の意思もありましたし、無理やりという表現は正しくないですが。まぁそんなところです。」 そうだな、俺が長門の親ならあんな可愛い娘をさらった奴に制裁をくわえる。 「しかし今のところ、何の動きもありません。安心してもいいでしょう。」 「そうかい。ま、長門の親以上に怖いのがうちのハルヒなわけだが。」 なんだがまた俺だけ2Gくらいの圧力がかかったくらい体が重くなった。 飲み直すぞ、古泉。 「はいw」 「できたわっ♪」 そうこうしてるうちにすき焼きが出来上がったみたいだな。 ん~いい匂いだ。 さっきのことは一旦忘れて、今日はみんなの再会を祝してSOS団すき焼きパーティーだ。 そうだ、今度また不思議探ししないか? 駅前とかじゃなくどっかの温泉とかな…。 ん、うまい!!! 涼宮ハルヒのすき焼 ―完―
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「明日の9時に駅前に集合よ!!15分前にはちゃんと来ておきなさい。 来ないと死刑だから!」 お前のせいで俺の1週間の内の貴重な2日間の休みがなくなるんだよ!! とは言えるわけもなく俺は青菜に1kgぐらいの塩をかけた状態で家に戻った どうせなら俺と朝比奈さんその他の憂鬱として小説を出してほしいものだ 翌朝、煩くも目覚まし時計のベルが鳴った と同時に妹がニードロップ 毎度騒がしい妹だ 時計を見ると8時40分 やべぇ寝過ぎた!! 俺は闇討ちに遭った坂本竜馬のように焦りながら自転車を漕いだ と同時に不可解な違和感を覚えた とそんなことより急がねば! 駅前に着くと驚愕した 他人が俺の顔を見ればツチノコを見つけた1農民の顔に見えただろう 「遅いじゃない!罰金!」聞き慣れただろう声のトーンが異常に高い ちっさいハルヒがそこにいた 「やぁ、おはようございます」不機嫌な俺をさらに不快にさせる声が聞・・・ 古泉もやけに小さかった 何か[禁則事項]の黒ずくめの男にでも薬を飲まされたのか?おい 「おはようございます、キョンくん」 砂漠で水があれば自分より先に飲ませるであろう人物の声を聞き振り返りまた驚いた 大人みくるがそこにいた 朝から感じていた違和感はまさにこれで ざっと周りを見渡してしたくもないが現状を把握した 大人は子供に 子供は大人になっているようだ しかも高校生以上が子供で中学生以下が大人になっているようだ 今すぐにでも現実逃避したい それと1つだけ疑問に思った なぜみくるさんだけ大人なんだ ロリか!この世の陰謀か!! と嘆いてる時に下腹部に弱い衝撃が走った ハルヒ(小)が俺にドロップキックをしたからだ 「もう!何ごちゃごちゃ言ってるの!さっさと行くわよ」 はいはいと答えた刹那に何故小さいこいつの尻にしかれなきゃならんのだということを心の中で叫び駅を後にした さてこの状況を見た人にどう説明しようか 一見すると美少女にどう見てもかっこいいとは言えない普通の俺―(自分で言っちまった・・・)―の凸凹カップルと その娘2人と息子1人だ っと・・・その前に影みたいな存在のこいつの状況も教えんとな・・・ いたって普通だ 昨日見かけた姿となんら変わりない さすが宇宙人と言うべきか 言わないほうがいいだろうな それよりなんで俺とお前が普通なんだ?またハルヒの迷惑この上ない願いか? 「・・・違う」ではなんだ?まさかお前の力か? 「・・・そう」俺は頭を抱えた まさか黒幕がこいつだったとは・・・ じゃ・・・なんでこのような世界にお前は変えたんだ?何か不満でもあったのか?ハルヒに 「違う」はっきりと断った 「はっきりといえば私ではない 私はこの状態に食い止めてるだけ」 は?と首を捻る フェルマーの最終定理を解いてる学者の姿が想像できたね まぁ俺にはsinθもわからんがな 今日の俺は自虐傾向のようだ もし夢ならば覚めてくれ 「朝倉の来襲」俺は耳を疑った 朝倉はお前が消したんじゃないのか? 「詳しく言えば朝倉馨の力によりこの世界は捻じ曲げられてしまった」 ぷっと吹き出しかけたがこいつの顔を見ると欠伸もできない いや・・・こいつはいつも無表情なんだがな 宇宙人でも新人さんがいるんだな が、俺が命を狙われることもなさそうだ 「そしてあなたの命を狙っている」緩んでいた俺の顔が空気を一気に抜いたペットボトルみたいに強張った おいおい冗談だろ・・・なんでまた俺が狙われなければならんのだ もしかして妹さんとかそういうことじゃないだろうな 「当たり」躊躇なく答えやがった まったく・・・ 神様よ もうちっと普通なところへ命を授けてくださらなかったのか もちろん人間で つうかこんなので当たったって嬉しくとも何ともねぇよ っていうかなんでハルヒや古泉は小さくされてしまったんだ? 「4年前の涼宮ハルヒには世界を改変する力がなかった だからそこに目をつけた 古泉一樹も同じ」 あぁなるほど・・・って納得できるかぁ!!今俺の不満は休日を削られたことからそちらに向けられた やれやれ貧乏くじ引かされてしまった・・・ 「世界を元に戻すにはあなたを狙って相手が姿を現した時に迎撃する そして世界を元通りに改変する」 つまり俺はお前に守られてるから命を落とすことは無いんだな? 「保障はできない」 おい! 「何してるの?早く来なさい!」ったく小さくなっても気は大きいままなんだな こいつはよぉ!! 「ははは まぁそこも魅力の1つでしょう」こいつの笑顔の気持ち悪さも同じだな っていうか顔近い!あと2mmしかねぇじゃねぇか 「なんか 朝起きたらいつもの服着れなくて・・・成長期でしょうか」恐らくあなたは成熟期でしょう というより今は究極体の方があってますよ とまぁハルヒと古泉が小さくなり朝比奈さんが大きくなった以外は変わることもなく・・・とは言い切れないが奇妙な1日が終わった 「明日は休みにするわよ!とりあえず自主活動で謎を探してくること!!解散!」 と今日の憂鬱感の70%を占める原因となった奴の声を聞き俺は帰路についた 長門込みで 「明日駅前に来て」またか・・・んで何時なんだ?「1時」1時かえらい遅いもんだ それならぐっすり寝させてもらうぜ 「朝1時 駅前に来て 恐らくこの現象の渦中の人物が来る それを仕留める」 俺の週末は恐らくBAD ENDで飾られるであろう 予感が的中した 仕方ないなと思い今日は早めに寝た 時計のアラームが鳴りもう少しと考えているうちに1時を指そうとしていた デジャヴだな・・・ってゆっくりしてる暇はねぇ 急いで着替え歯を磨き自転車で飛ばしていった すると途中で「やっほ~キョンくん どうしたのこんな時間に?まさか気になるあの子のところへ?」 貴方はいつでも明るいですね 周りは暗いのに それよりその質問の答えはNOです あながちハズレでもないが 「ははは嘘嘘 やっぱりキョンくんはおもしろいね~」どこが面白かったんだろう この人の笑いのツボが知りたい それよりあなたこそなんでここにいるんですか?「まずはキョンくんから言ってよぉ」 不安を覚えながら体がなまってはいけないのでサイクリングと答えた ハルヒのせいでなまることはないがな 「わたしもちょっとジョギングだよ 体がなまってはいけないからね ははは」 なんだ同じ理由ですか 奇遇ですね やっぱり運動に勝るもの無しですね あぁそれより急いでますので また明日会いましょう とお辞儀するとヒュッと首元を何かがかすった 手で触ると血が出てる 何故? そして次の瞬間安堵が絶望へと変わった「そしてあなたを殺しにきたの」 俺はイマイチ理解できなかった さっきまでフレンドリーな鶴屋さんがこんどは刃物を持って襲って来ただと? えぇっとこの場合某RPGではコマンドが出るんだったな・・・よし「ガンガンいこうぜ」・・・と って俺は何を考えてんだ!! あまりの出来事に気が動転しているようだ 恐らく鶴屋さんではないだろうが念のため聞いてみるか お前は誰なんだ?鶴屋さんではないな? 「あら?この顔の主は『鶴屋』っていうの?今日貴方を探しているときに公園にいたから真似してみたの どう?上手い?」 えぇ上手かったですよ 恐らく将来は主演女優賞をもらえるでしょう その時は俺も招いてくださ・・・って何を考えてるんだ・・・ いかん!いかん! 本当に俺は頭が混乱しているようだ 誰か一発叩いてくれ あとで100円なら払ってやる って眼前の鶴屋さんであっただろう物体しかいないが 「申し遅れました 私朝倉涼子の妹朝倉馨です 実は姉があなたを殺し損ねたそうなので私が代わりに来ました これから殺す相手に目的を告げるのは面倒くさいけど一応私のポリシーです」 これはこれは行儀よく ってまた命を狙われるのか俺・・・ 頼むから誰か来てくれ 谷口でもいいから お前の好きだった朝倉涼子によく似た妹さんがいるんだぞ ル●ンダイブしてでもいいから飛んできてくれ いや実際使えないなあいつは 恐らく縮こまってるだけだろうな 来るな谷口! 脳内から消えろ谷口! 「決心ついた?」 消去法だ・・・ハルヒは駄目だ小さいからな ってか来たって何もできないしな 古泉は使えないな ハルヒ同様小さいし閉鎖なんとかでしか能力を発揮できない 一緒にいるのも嫌だしな 朝比奈さんは恐らく大人でも無理だろう あいつをどこかに飛ばすことはできるだろう でもそのあとは? 最後の綱は長門だが1km以上離れているここはわかるのか? 前みたいに登場はしてくれるのか? 俺はライオンににらまれた猫みたいに震えながら後退りしつつ長門の登場を待った ドンッ 背中が無き壁にぶつかった え? 「ちょっとこの空間だけを切り取ったから逃げ出そうとしたって無駄よ」 今の俺の脳内では長門の顔と谷口の顔が浮き沈みしている えぇぃ谷口!!何故お前は俺にそんなに固執するんだ!!いい加減消えてくれ! 「空間の切り口があまりにも粗雑すぎる 切り屑も消去できていない あまりにも幼稚 だから私に気付かれる」 待ち望んでいた声が聞こえた 空耳じゃないよな? そこには長門がいた やっと来てくれたか長門 それにしてもかなり離れているぞ長門 間に合うのか?「だ」・・・?「いじょうぶ」 うわっいきなり現れるな長門 びっくりするじゃねぇか まぁつべこべ言える立場じゃないんだがな 「あら?こんにちは あなたのことは姉から聞きました あなたに邪魔されたそうですね」 「朝倉涼子は優秀でありながらも穴がありすぎた だからそこを突いた」 「では復讐としてあなたと対峙してもよろしいのでしょうか」「いい ただし勝つのは私」 なぁ俺帰っていいよなぁ もう目的は果たしたんだし・・・今日学校あ・・・今日日曜日だったな 口実にならないようだ とりあえず寝させてくれ・・・俺普通の人間じゃないか ってかなんで俺こんなに弱気なんだ 睡眠不足のせいか よし寝させてくれ 睡眠に勝るもの 「離れないで」俺の愚痴は中断された 「もうっなんでこんなに小さくなってんの?いくら医学が進歩したからってこんな薬なんてありえない・・・ なんでキョンと有希だけ変わってないの?みくるちゃんは大きくなってるし もういいわ明日になれば原因不明の薬も消えるでしょ 効く薬でも効力はいずれは消えるわけだし 明日起きたらキョンに聞いてみなきゃ 何故あんたと有希だけ変わってないの?ってね そしてキョンを脅して元に戻してもらうの この体じゃ駅まで行くのにも一苦労なんだから まぁ子供料金で電車に乗れるというメリットはあるけど そんなに電車使わないし ごちゃごちゃ考えるのはやめ おやすみなさい」 「おやおや建物がやけに大きい思ったら僕が小さくなっていたのですね このままじゃ他人に顔向けできませんよ 寝てる間に直ってることを祈ります」 「え?誰この人?ひゃっ私?何でこんなに大きいんですか・・・これじゃ服が着れない・・・明日買いに行きましょうか・・・おやすみなさい」 後ろで何か幼き時に結構はまっていたシューティングゲームのゲーム音のような音がする 戦況を見たい でも見たくない 俺がそんな葛藤の中で異様に谷口の顔が浮かぶのに嫌気が差した 頼むからお前がスケープゴートになってくれ谷口・・・ ちらっと戦況を目にしてみる さすがに俺1人を抱えて戦うのは無理があったのだろう 朝倉妹相手に苦戦しているようだった なぁ俺を帰らせてくれないか?俺がいても足手まといだろう 「この空間を一時的に元の空間に戻す際 一瞬の隙を作ってしまう そして負ける そうならないためにも帰すわけにはいかない」変な誘拐犯に捕まった気分だぜ 俺を殺そうとしてるのは第三者だがな 「それに・・・」長門が言葉を紡いだ「あなたがいれば戦闘に集中できる」おいおい逆じゃないのか? その問いには答えなかった 俺の後ろで破裂音がした 振り返ってみると朝倉妹が倒れている 「あなたは朝倉涼子より優秀 しかし勝ちを急ぎすぎた それが敗因」 長門は朝倉妹に対し冷静な口調でそう言った 某ゲームのファンファーレが俺の頭でエンドレスに流れている そろそろ眠気こらえるのも限界かもな 朝倉妹より長門のほうが相当痛手を負っている 俺にしてみりゃ長門が負けのように思える 大丈夫、このくらい平気と言い放ち体を再生させた ほんとに便利な奴だよな まったく 人間なんざ指切っただけでギャーギャーわめき、ちょっと頭打っただけで集中治療もんだ 宇宙人になれると広告が貼ってあるならば土曜日と日曜日どっちを休みにしてどっちを探索にするかと訊かれるぐらい迷うな そんときゃ人間を捨てるだろうな いかん思考回路がショートし始めた とりあえず寝させてくれ 頼む 「まだ世界の修復が終わっていない」あっさり断られたようだ 「やっぱり姉が敵わないのに私が敵うわけないよね 姉の言いつけも果たせなかったし」 そういい残すとこれまた姉と同様に砂になって消えていった 透明になるとかそういう消え方を望んだんだが 時計の短針は5時を指そうとしている 早く修復してくれ長門 「かなり複雑 でも半時間あれば修復できる」あと半時間も待たなければいけないのかよ 「待たなければ帰れない」そうだったここは隔絶された場所だった 選択肢は1つしかなかったのだ もういっそのことここで寝るか? 半時間かかるとはよく言ったもんで半時間を10分オーバーして世界が元に戻った すぐにでもベッドインしたかったが命の恩人を置いていくのも気に食わんので長門を後ろに乗せて自転車を漕いだ すまなかったな長門 お前には頭が上がらないぜ「いい」と言って本を読み始めた 眠くないのか?長門 とりあえず長門の住んでいるマンションの前に着くと長門を下ろしてやった 顔の筋肉をミクロ単位で動かし「ありがとう」と言う長門を後にして俺は帰宅した もう6時か 長くて2時間ぐらいだろうな あとは人間目覚しによって布団を剥ぎ取られるだろうな シャミセン お前が羨ましいぜ そういい残し俺は安眠を得た 起きる もう朝か ってか寝るときも朝だったが 時計を見る11時を指そうとしている いけねっ寝過ごした!!何故こんな肝心なときにあいつは起こしに来ないんだよ くそっ! 急いで自転車をこぐ ちくしょう 家の鍵をどこかで落とした方がよっぽどマシだぜ 駅へ着くと誰もいなかった そうだよな やっぱりみんな怒ってるだろうな 古泉なら待たせても何も感じないが朝比奈さんを待たせることはできないな ハルヒもだ 別の意味で しばらくすると眠い目をこすりながら朝比奈さんが来る あれ?どうしたんですか? 「あれ?キョンくん いつもより早いですね 12時集合なのに」 12時?俺は9時と聞いていたはずだが? 「へっ?私の間違いかしら やだぁ また怒られる」と真珠のような涙を浮かべてる それより確かに修復されたようで昨日のような大人な朝比奈さんではないようだ 俺としてはもうちょっと大人みくるでいてほしかったがな そう泣きじゃくってる朝比奈さんをなだめていると 古泉が早朝にもかかわらず他の人が見れば爽快ともいえる微笑みを振りまきながら 駅前へ歩を進めている もう元に戻りやがったのか 小さいほうがハルヒが落ち込んでる日よりも気分が良かったぜ こっちはいろいろあってろくに寝てねぇのになんでお前は寝起きなのにそんなに機嫌がよさそうなんだ 「おはようございます おぉ珍しくキョンくんがいるじゃないですか」いて悪いのかよ (昨日のことは機関の方でも騒がれていました なので僕もそんなに寝ていません) なんでそんなに平気にいられるのかを訊こうとしたが長門到着で訊くのをやめた もともと聞きたくもなかったがな 長門?お前の仕業か?時計の針を早めたのか?「ちがう」じゃぁなんだってんだ? 「みんなが覚えている涼宮ハルヒの決めた集合時間を3時間ずらしただけ」 そうだよな お前も眠かったんだよな 宇宙人でも睡眠時間は必要だもんな と一人で考え込んでいると今日限定食事の幹事兼団長さんがお出ましだ もう小さい姿じゃないらしい 一泡吹いただろうと言いたかったがそんなことを言った2秒後には絞められて逆に吹かされているだろう 「あれ?キョンもめずらしく早めに来てるじゃない ちゃんと昼飯は摂ったわね皆」 そんなの聞いてねぇぞ お前がおごりじゃなかったのかよ「・・・そういうことにした」おい! 「何言ってるの?あたしちゃんと言ったわよみんなに まさか食べてないって訳じゃないでしょうね」 ああ まったくそうだよ「ははぁんつまりあんた今お腹空いてるわけか・・・」 何を企んでいるんだよお前は「ってことで今日はキョンの奢りね あたしたちデザート欲しくなっちゃったから」 勝手に話すりかえんなよ お前の言ったことだろう でなんで朝比奈さんも了承してるんですか 長門そんな目で俺を見るな いくらでも奢るから 財布にあった重量感が消えそうだ 今の俺にとって 平凡な日常はこんなのかも知れない -fin-
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もしハルヒが日記帳、もしくはブログなんかを日々つけていたとしたらどんな文章を書いているのか、まぁ確かめる術はどれだけ権謀術数を極めてもゲーデル命題の如く不確定の問題として終わりを告げてしまうのだろうが、まぁここは読者の特権、言論の自由がブラウン運動並みに行き交うこのブログ空間に、徒然なるままに載せてみようかとか考えた末の、結実した成果がこれである。 キョンなら何と言うだろうか?全く悪趣味なことを考えやがる、とこれを唾棄するのかもしれないが、本当にあるなら見てみたい気がする、と彼の中で悪魔の囁きが首をもたげかけたあたりで、古泉にその心情を見抜かれ、「あなたが見せて欲しいと言えば、見せてくれるんじゃないですか?あなたがたは理想形といっても良いくらいの信頼感で、結ばれているのですから」などと保険会社の営業担当者並みの笑顔を浮かべながら訳知り口調で口走り、タダほど怖いものは無いということの証明となりそうなスマイルだなと、キョンが感想を心の中で一人ごちることだろう。 そんなこんなで、キョン口調を真似た一読者のお送りする『涼宮ハルヒの回想』。挿絵も全く無く更に横書きなため読みづらいことこの上ない感じで、誰にも気取られずにスタート! 『涼宮ハルヒの回想』 あたしはよく、寝る前にふと見慣れた天井を見つめながら考え込む癖があった。最近はもうないけれど、去年の今ごろ、北高に塾に行かず独力で合格してから、周りの本当につまらないクラスメイトたちのお別れ会とかいう互いの思い出作りに奔走する、本当にくだらない集まりに行くのも当然断って、ただ、ひたすら何も起きずに中学生が終わっちゃったことへの後悔と、これからあの北高に行くことへの少しの期待感とが混じり合った、感傷にも似た感情を抱いていた三月の下旬頃は、よく、こんなことを考えてた。ていってもそれは、その時まで考え通しだったことをまた、同じように繰り返していただけだったんだけど。 このまま何も起きずに、変な出来事、宇宙人、異世界人、未来人、幽霊、妖怪、なんでもいいのよ、面白そうなものと何も出会わずに、それなりに人生を歩んで、つまり大人になって、定番の家族ドラマみたいに安定した家庭を築かされて、やることと言えば誰かの世話、日常の人間関係の保全、公私問わず社会が押し付けてくるその他諸々の義務、普通の人が普通にやらなきゃいけないこと・・そういった本当につまらないこと、別にあたしでなくても良いような物事しか経験しないで人生を終えるようなことがあったらどうしようって、ほんと、いつものように焦ってた。焦りの気持ちが心の中で一定量を越えると、あたしは布団の中にうずくまって、早く眠りにつこうとした。夢の中くらいでしか、あたしが触れ得る非日常らしい世界が待っていないことを、どこかで知っていたからなのかもしれない。早く寝てしまおう、寝て起きたら、いつのまにか現実が夢に置き換わっていて、もしかしたらあたしのところにも変な出来事が訪れるかもしれないって。今日も何も無かったことの苛立ちを、夢の中で晴らそうって、考えるようになっていたのかもしれない。 そうした夜はいつものようにやってくるし、朝はまた相変わらずの顔で今日も元気に人生を過ごそうと励ましてくる。外へ出ても拡がっているのは、次元断層の隙間なんて1ミクロンもない当たり前の世界、平凡な日常。空を見てもアダムスキー型UFOの群体なんて飛んでないし、ただ、どこかの唱歌の歌詞にありそうな「雲ひとつなく晴れ渡る青空」が、のっぺりとした顔で眼前に広がっているだけ・・。あたしじゃない誰かの元に、ちっとも普通じゃない、とっても面白い出来事が天賦人権のように与えられている代わりに、あたしのところには安全で、安定した、時間の相対性なんて微塵も感じさせないような絶対的で堅牢な平和が、要りもしないのに日々あたしの上に降り注いでくる。あたしの中学生活の三年間は、そうした絶対的秩序と言う刑務所からの大脱走のために、そのほとんどを費やされてきたって言っても、ほんと、言い過ぎじゃないわね。それくらいに、あたしは「いろんなこと」をやっていたから。ネットで評判になってた、一枚ウン千円もする霊験あらたかなお札を、親父に小遣い前借りして三ダースほど購入して、教室の窓全てに貼ってまわったり、七夕の日に校庭で、「あたしはここにいる」って意味の、地球外生命体にも見えるくらい大きな絵文字を石灰で描いてみせたり・・。そう、このとき、校庭にやってきた男・・あれ、何て名前だったっけ?・・北高の制服を着た、あたしの絵文字製作事業を手伝ってくれた男が、あたしの中で唯一の「おもしろいこと」への鍵だった。あいつは未来人、宇宙人、超能力者、異世界人について、何故だか知らないけれど知っているように思えた。ただ、あたしみたいな中学生のくだらないたわ言を、そこらへんのくだらない大人やクラスメイト達みたいに言葉面の上で同意しておいてあたしのことを避けるような態度には、少なくとも思えなかった。 なにより、あたしの本当に端から見たらばかげてる絵文字製作を、あの男は無駄口叩きながら、でも、真剣に手伝ってくれた。あたしは最初、手伝ってくれるとは思っていなかった。当然でしょ?いきなり誰だかわからない女の子に、そんなことを手伝えっていわれたら、普通は親御さんを探すか、家は何処かとか、聞いてくるはずよね。もしくはあたしの言葉に苦笑いして、じゃあねと手を振るか、そんなことしても変わるわけない、宇宙人なんて、NASAの丁稚上げで、未来人に至っては、ネタ的に面白いから、小説の物語を進めるためのファクターとして流行しただけなんだよって、日常的な言説を持ち出して説教したりするのが、考えうる一般の人の対応だと思うの。 あの男は、あたしの言葉を受け止めるのでもなく、説教するわけでも、話題をそらすわけでもなくて、ただ一緒に、世界を変える行動を手伝ってくれた。それがあたしにとっては、一番嬉しかったことだった。 あたしは、世界が面白くなる行動を起こすんだって思っていた。世界に、あたしはここにいるんだって、訴えたかったのよ。でも・・もしかしたら、世界に訴えたかったんじゃなくて、ただ、誰かと一緒に、「何か」をしたかっただけなのかもしれない。「あたしの世界」は、あたしだけじゃ変わらない、誰かと一緒に、何かをやることで面白くなるのかもしれないって、あの数十分間の間に、少し思った。 それが、SOS団を作る素地になっていたのかも・・しれないけど、 よくは分からないわ、北京で蝶が羽ばたいたからなのかも、しれないしね。 あのときの感じを、信頼してよかったなって、ほんと、今なら言える。あのときの感触を信じて、わざわざ山の上にある県立の普通レベルの北高にいったからこそ、あたしは萌え記号の塊みたいなみくるちゃんに会えたし、無口キャラで眼鏡っ娘の有希とも会えた。入学してまもなくの五月に転校してきた謎の転校生の古泉くんとも、北高に行ってなかったら会えるわけも無かっただろうしね。まぁ、キョンは別になんでもないんだけど、あいつがぐだぐだ垂れた説教が無かったら創部っていう手段を考え付かなかったかもしれないし、SOS団結成も無かったのかもしれない・・なんていうのは、ちょっと、いえ、かなり誉め過ぎね、キョンはただの団員、それ以上でも以下でもないんだから。SOS団が結成されたのは必然なのよ、シュレーディンガーの猫みたいに観測者の存在なんかで確率論に堕さない、これだけは変わらない、唯一つの真実なの!神様がサイコロを振ろうともね! ――三月下旬、SOS団団長涼宮ハルヒ、記す。