約 439,955 件
https://w.atwiki.jp/utauuuta/pages/3998.html
ぜろのゆがみ【登録タグ collt(ですか) せ 曲 曲さ行 音飛女クユ】 作詞:collt(ですか) 作曲:collt(ですか) 唄:音飛女クユ 曲紹介 境目を揺蕩うように神秘的な曲 歌詞 (動画歌詞より転載) 綻ぶ宇宙の ヒモを手繰り寄せ 迎えた終焉は 100と0の鍵 山は谷となり 秘密のトンネルへ 何もない「時」は 逆さまの天地を 宙に落ちて行く 林檎は無言のまま 観測されぬまま 置き去りにされた 無数の焦点へ 1と1の壁 刹那死を選ぶ 秘密の箱を開け 何もない「今は」 逆さまの視野から 空に落ちて行く 過去は意味を失う 辿り着く収束の果てに あー思い出す生まれた日を 凍える星空を渡る 刹那に生まれた幾千の日々へ ゆらぎを掻き分けて 探した罅から 応える「はじまり」は 陰陽の嵐で 粒子に射抜かれた 秘密の抜け穴で 何もない「空」は 何もかもが満ちて 夜に溶けて行く ゼロのエネルギーで 眩しい星星の海に あー 思い出す別れた道 謳えよ 仮の物語 刹那に奏でる 幾千の日々へ 辿り着く収束の果てに あー思い出す生まれた日を 凍える星空を渡る 刹那に生まれた幾千の日々へ コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1473.html
翌朝、犯行現場である宝物庫の前に呼び出されたルイズは、丁度、教師達が醜い罪の擦り付け合いをしている最中に辿り着いた。 やれ宿直やら、責任やら、衛兵やら、とりあえず自分の所に火の粉が掛からないよう必死過ぎるその姿に、吐き気を堪えるのに精一杯だった。 さっさと自室に戻って、フーケを追う準備でもしたい所だが、呼び出された手前、そういう訳にもいかない。 仕方なく、なるべく教師の会話に耳を傾けないようにしていると、蒼髪の少女の姿が目に留まった。 「あんたも呼び出されたんだ」 「目撃者」 隣に立ち止まったタバサの簡潔な言葉に、ルイズは特に何の感慨も抱かなかった。 普通なら、素っ気無い対応に腹でも立てるところなのだが、昨晩、共通の敵に対して共闘した事で、破滅的であった関係に僅かだが上方修正が加わった為、タバサの必要最低限しか話さない対応も、そういう個性であると捉える事が出来るようになったのである。 それに――― 「そうそう……とりあえず、コレはあんたに預けておくわ」 そう言って、ルイズは制服のポケットから、一枚のDISCを取り出した。 昨日と同じ、そのDISCを受け取ったタバサは、傍目からでも強張ったのが見て取れる。 ルイズは、タバサの表情に、ニタリと哂ったが、すぐにこの頃、板についてきたポーカーフェイスに戻り、タバサへ言葉を続ける。 「何も、すぐに使えるようになれとは言わないわ。 だけど、昨日のあの力……使えれば便利だと思わない?」 昨日、自室に戻った後、ルイズはDISCを自分の頭に差し込んでみたが、案の定、吹っ飛ばされた。 ホワイトスネイク曰く、DISCのスタンドを扱えるようになるには、適正が第一条件であり、第二条件が、スタンドを制御する為の精神力であると言う。 ルイズは、その二つ共が欠落している為、DISCから弾かれ、タバサは、二つの内の前者、適正がある為にDISCから弾かれずに済んだのだが、スタンドを制御する為の精神力が足りなく、暴走と言う結果になったらしい。 つまり、精神力だけを補えば、暴走をせず、使いこなせるスタンド使いになれる可能性が、タバサにはあるのだ。 無論、今の所はDISCから弾かれているルイズも、適正は無いが、適性を補う程の精神力があれば扱えない事も無い。 事実、感情の高ぶりによって爆発的に増大した精神力で、一瞬だが、ルイズはDISCのスタンドを、その支配下に置いていた。 だが、持続的にその精神力を発揮出来るかと言われれば、ルイズは顔を顰めるだろう。 人の精神は、無尽蔵であるが、無限では無い。 一度に引っ張り出せる力の量には限りがあり、今だ成長段階にあるルイズがDISCのスタンドを完璧に使いこなせるように精神力の限界を上げるとしたら、後3年程度は必要になるだろう。 ホワイトスネイクから、この考察を聞いた時、3年と言う年月にルイズは、げんなりしたが、ある意味、決心がついた。 適正は、精神力よりも必要性が高い位置にある。 要するに、適正がすでにあるタバサは、ルイズよりも遥かに短い年月でDISCのスタンドを我が物として扱う事が出来るようになるのだ。 適材適所。 今、使えないモノが自分の手元にあるよりは、すぐに使えるようになる者の手元に置いておいた方が、よほど建設的であろう。 ルイズは、そう考えて、タバサにDISCを預けたのだった。 タバサはルイズの言葉をどう受け取ったのか、DISCを自分のポケットに仕舞うと 「努力する」 ルイズの目を真っ直ぐに見つめて、そう呟く。 やる気に満ちた目に、ルイズは上機嫌で、フフンと口ずさんだ。 「では、捜索隊を編成する。我と思う者は、杖を掲げよ」 タバサとルイズがDISCについて話している中、教師達の会話は、何処をどう転んだのか、フーケを捕まえ、盗まれた『破壊の杖』と言う代物を取り返すまでに進んでいた。 勿論、ルイズは捜索隊に志願する為に杖を掲げる。 回りから、生徒では頼りないだとか、『ゼロ』に何がとか聞こえてきたが、あえて全てを無視する。 「君は生徒なんだ、ミス・ヴァリエール。危険な事は教師に任せなさい!」 「なら聞きますが、ミスタ・コルベール。 30メイルもあり、宝物庫の壁も叩き壊したゴーレムと戦う覚悟がある方が、この場に他におりますでしょうか?」 本気で身を案じているのか、苦しげな表情で言葉を掛けてきたコルベールに対して、ルイズは問答無用と言わんばかりに返答する。 ルイズの口から出た言葉に、他の教師達はお互いの顔を見合わせるばかりで、誰一人杖を掲げる者は居なかった。 フーケを討伐すれば確かに名は挙がるが、基本的に皆、命が惜しいのだ。 自分以外、誰一人杖を掲げない光景に、ルイズは不満げに鼻を鳴らした。 教師とは、生徒を正しく導き、そして危険から守る為の人材だ。 それが、例え自分から志願したとは言え、危険に晒されようとしている教え子と同行しようとする者が一人も居ないとはこの学園も長くは無いなと、ルイズは思ったが、口には出さなかった。 「しかしなぁ、ミス・ヴァリエール……流石に君一人と言う訳には……」 困ったように一人はマズいと告げるオスマンの言葉に、ルイズの隣の少女が、その杖を掲げた。 「ミス・タバサ!! 君もなのか!?」 疲弊したかのようなコルベールの声に、タバサは掲げた杖を、無言でより高く掲げなおす。 「どういうつもり?」 「私にも責任の一旦がある」 タバサの言葉に、なるほどと呟いたルイズは、宝物庫に集まった教師を一度、じろりと見回した後に、 タバサを伴って、さっさとその場から立ち去ってしまった。 あわてて、フーケの居場所を知らせてくれたミス・ロングビルに道案内を頼んで、二人の後を追うように指示するオスマンだが、その顔は幾分、不安によって曇っていた。 「さぁ、どんどん食べてくださいね、サイトさん」 「お……おぉぉぉぉ!!」 朝の仕込みで忙しい厨房の片隅で、シエスタの朗らかな笑顔を見ながら、才人は目の前の豪勢な料理に叫び声を上げていた。 才人の様子に、厨房で働いている人々は本当に楽しそうに笑っている。 本来ならば、平民が貴族の屋敷に乗り込み、尚且つ、自分の意見を通すなど天地が逆さになってもありえないのだが、才人は、そのありえない事を仕出かし、シエスタを救い出してきたのだ。 噂好きのメイド達は、貴族に見初められた恋人を救い出した平民に狂喜乱舞し、料理人達は、才人の男らしい行動に、心の底から感心していた。 実際は、モット伯を再起不能に追い込んだのはルイズとホワイトスネイクであり、シエスタを救い出したのも、恋愛感情では無く、恩人の身を案じた為であるのだが、それは言わぬが花だろう。 ともあれ、厨房の面々が自分の為に、朝の仕込みの合間を縫って作ってくれた料理を食べる才人と甲斐甲斐しく給仕をしながら料理を頬張る才人を見ているシエスタは幸せオーラを振り撒いており、何人たりとも近づけない雰囲気を醸し出していた。 が―――――― 「―――ちょっと、探したわよ」 桃色のチェシャ猫は、その雰囲気を真っ向から打ち壊し、誰も近づけないはずの二人の至近距離まで近づいたのだった。 「ふぁっ! ふぁいづ!?」 ルイズと叫びたかったのだろうが、口の中に料理が詰め込まれている才人は、正しい発音が出来ず、あたふたと聞き苦しい言葉を発し続ける。 「食べてる最中は喋らないでよ、汚いわね」 そんな才人を、ルイズは嗜めると、当然と言わんばかりに才人の為に用意された料理の席に座る。 座席は才人の分しか用意されてない為に、才人から席を奪ったのは言うまでも無い。 「平民の癖に随分と豪勢なものを食べてるのね」 嫌味でも何でも無くただなんとなく口に出した言葉に、厨房の働き手達は一様に顔を顰めたが、ルイズはその事を特に気にした様子は無かった。 「何か御用なんですか?」 今だに口の中に物がある才人に変わって問い掛けたシエスタの言葉に、ローストビーフをフォークで突き刺しながら、ルイズは用件を告げる。 「サイト、今すぐに正門に来なさい。私の護衛としての初仕事よ」 簡潔にそう述べると、それだけで説明は終わりと、ルイズはローストビーフを口に運ぶ。肉厚のあるビーフは、咀嚼する度に肉汁と旨みを口内に広がらせ、一度食べれば病みつきになる事、間違いなしなまでに料理として完成度が高かった。 ルイズの傲慢とも取れる態度に、才人は溜め息を吐いてから、食べかけていた料理を一摘みする。 「行儀が悪いから止めなさい」 いや、お前がそこに座っているからだろ、と才人は言いたかったが、シエスタを救って貰う時の借りがある訳だし、強く言う事は出来ない。 とりあえず、破天荒を地で行くルイズの行動に目尻を吊り上げているシエスタと調理場の人々に一言謝ると、才人は部屋に置いてあるデルフを取りに調理場を後にする。 哀愁漂うその背中を見ながら、ルイズは絶妙な味付けの料理に舌鼓を打っていた。 タバサは自室で、フーケ討伐の為の準備を整えていた。 準備と言っても、何時も彼女と共にある大きな杖と彼女のトレードマークである眼鏡を布で拭いているだけなのだが、そこにはある種の気迫に満ち溢れていた。 「きゅいきゅい!!」 窓の外で、タバサの使い魔である風竜が、珍しく傍目から見てもやる気に溢れているタバサに驚きの鳴き声を上げているが、それすら、今のタバサの耳には入ってこない。 拭き終わった眼鏡を掛け、ぴかぴかに光る杖を右手に持ったタバサは、『雪風』の名に相応しく、ひんやりとした闘気を身に纏い、力強く、一歩を踏み出した。 「あら? タバサじゃない、こんな時間にどうしたの?」 一歩目から波乱に満ちていた訳だが。 「それで付いて来た訳?」 「不覚」 ぽりぽりと頭を掻くルイズとタバサの視線の先には、 赤髪の少女が、黒髪の使用人の少年と何事かを話している光景があった。 タバサが自室から正門の馬車へと移動する時、偶然廊下を歩いていたキュルケと鉢合わせしてしまい、あれよあれよと言う間に付いてくると言う方向で話が纏まってしまった。 勿論、タバサは危険だと反対したのだが、逆にそんな危険な所に友達を送り出すだけなんて出来ないと言われると、 もうキュルケのペースで話が進んでいってしまう。 結局、キュルケの同行を断り続ける事が出来なかったタバサは、仕方なく一緒に馬車へ移動してきたのだ。 「キュルケが強引なのは、今に始まった事じゃないけど……今回は、ね」 ルイズの言葉に、タバサは頷く。 二人とも、掛け替えの無い親友であるキュルケが危険な目に遭うのが、心配なのだが、当の本人は二人の苦悩を知ってか知らずか、馬車の席の中で、一番座り心地が良さそうな場所にさっさと陣取っていた。 「おーい、そろそろ出発するぞー!」 手綱を握った黒髪の使用人の声に、ルイズとタバサは杖を握る手の力を無意識に強めながら、馬車に乗り込んだ。 「それにしても……泥棒退治なんかする気になったわねぇ」 道中の暇潰しか、キュルケがタバサとルイズに訊ねるように言葉を呟くが、二人とも、フーケと戦う時の戦術を話に夢中になっており、キュルケの言葉に返答しない。 本来なら、ここでカチンとくるはずのキュルケであったが、二人の真剣な表情に文句を飲み込む。 プライド高く、目の前で行われた犯行を止められなかった事に対して、それなりに責任と怒りを感じているルイズはともかくとして。 普段物静かなタバサですら、何時も手にしている本を手放し、熱心に議論を交わしているのだ。 止めるのは野暮と言うものだろう。 「二人とも、随分とやる気に満ちてるみたいですね、ミス・ロングビル」 「………………」 「ミス?」 キュルケの言葉に気付かず、ロングビルは、対フーケについて話し合うルイズとタバサを、鷹のように鋭い目付きで見詰めていた。 「どうかされたんですか、ミス?」 「―――いえ、なんでもありませんよ、ミス・ツェルプストー」 再度の言葉に、ようやく返答するロングビルだが、やはり視線は二人に固定され、キュルケの方へと振り向こうともしない。 そこに何か、薄ら寒い感覚を感じたキュルケだったが、結局、ロングビルに話しかけるのも止め、道の凸凹に上下する馬車の揺れに身を任した。 フーケが潜伏していると情報があった小屋は、深い森の中にあり、 森の入り口まで来た五人は、目立つ馬車から降り、徒歩でその場所に辿り着いた。 森の中の開けた場所の中心にある小屋を、ギリギリ視界に入れられる地点で立ち止まった五人は、ルイズとタバサが道中立てた作戦を聞かされる。 一先ず、偵察役兼制圧役を小屋に突入させ、それでフーケを捕まえられれば良し。 捕まえられなければ、待機メンバー全員で各々の最大の火力を、小屋を出てきたフーケにぶつけると言う、今ある戦力で出来る最大限の作戦であった。 突入役には、才人、ホワイトスネイクが担当し、 待機メンバーは、ルイズ、タバサ、キュルケ、ミス・ロングビルである。 「あの、ミス・ヴァリエール。貴方の使い魔が突入役に入っていますが……一体何処に?」 突入メンバーにホワイトスネイクの名があるのに、その場に居ない事を疑問に思ったロングビルがルイズに訊ねると、彼女は右手を上げてそれに答えた。 「私ナラバ、ココニ居ル」 ルイズの右手が合図だったのか、ホワイトスネイクがルイズのすぐ傍に具現すると、ロングビルは思わず一歩後ろに下がってしまう。 ホワイトスネイクに慣れていないキュルケも同様である。 「サイトとホワイトスネイクは合図があるまで、小屋のすぐ傍で待機して」 「合図はどうするんだよ?」 「私が直接ホワイトスネイクに出すから、あんたはあいつの指示に従って」 ルイズの言葉に、才人は、溜め息を吐きながら頷くと鞘からデルフを抜く。 「あ~、ひさびさに外出たよ。あのメイド、きっちり鞘に入れやがって、喋れやしねぇじゃねえか」 ぶつくさと文句を吐くデルフを、片手で軽くノックをして黙らせてから、才人は静かに小屋に近づいていく。無論、後ろからホワイトスネイクも続く。 「タバサ、例の物は準備出来てる?」 小屋の窓から死角になる位置に到着し、合図を待つ才人とホワイトスネイクを見ながらルイズが問うと、タバサは僅かに首を動かし、鬱蒼と茂る森の木々の間にある空を指差した。 その返答に満足げにルイズは頷くと、キュルケとロングビルに杖を構えるように促し、自らもまた杖を小屋の方へと向ける。 それぞれが詠唱を終えるのを確認し、ルイズはホワイトスネイクへ合図を送るように指示を出す。 命令を受けたホワイトスネイクは、三本立てて指を才人に見えるようにすると、それを一本ずつ減らしていく。 3 2 1 0! 指が全て畳まれると同時に、才人とホワイトスネイクは小屋の中へと突入する。 才人とホワイトスネイクは意外性により相手の動きを止める為、わざわざ壁にデルフで穴を開け、その中から進入した。 中に入った瞬間、小屋全体へ視線を巡らす才人とホワイトスネイクだが、小屋の中には人っ子一人居ない。 「もぬけの空って……やつか」 「ドウヤラ、ソノヨウダナ。隠レル場所モ在リハシナイ」 警戒を解く才人とホワイトスネイクは、ルイズ達へ中には誰も居ない事を報告し、そのまま小屋の中の探索に入る。 普通なら、罠なりなんなり有りそうなのだが、その気配はしない。 「『破壊の杖』ね、仰々しい名前だけど、どんな形か分からないからには探しようが……」 ぼやく才人を尻目に、足で床に置いてある木箱を蹴るホワイトスネイクは、木箱の奇妙な重さに気がついた。 木箱だけを踏み壊すと、木箱よりも一回り小さい長方形の飾りつけられた箱が出てきた。 蹴ってみると、ずしりと重い。 どうやら中に何か入っているらしかった。 「どう、様子は?」 小屋の扉の方向から聞こえてきた声に、才人とホワイトスネイクは探索の手を止めて、扉の方向を見る。 そこには、ルイズとタバサとキュルケの姿があったが、ミス・ロングビルの姿が見当たらなかった。 「一人足りなくねぇか?」 「ミス・ロングビルなら辺りの偵察って言ってたわよ」 歩くだけで埃が舞う小屋に、顔を顰めながらキュルケが答えると、 一人じゃあ危ないから俺も一緒に偵察してくる、と言って、才人が小屋の外へと出て行く。 ちなみに、一人では危ないと考えていたのも事実だが、本音を言うと埃っぽい小屋の中に居たくなかったのだが。 ともあれ、才人が小屋の外へと出て、一人少なくなった小屋の中で、タバサとルイズはホワイトスネイクの足元にある奇妙な箱に気がついた。 明らかに木とは違う材質で作られたその箱に、二人は覚えがあった。 事前に、ロングビルから伝えられた情報によると、確かあのような形の箱に『破壊の杖』が保管されているらしい。 まさかと思いつつ、二人が箱を開けてみると、なるほど、その中には無骨なデザインの細長い筒のようなモノが入っていた。 見ようによっては、確かに杖に見えない事も無い。 「もしかして……これが『破壊の杖』?」 呆けたように呟くキュルケの言葉にルイズとタバサは、じっと『破壊の杖』と思わしき物体を見詰めていた。 もし、仮にこれが『破壊の杖』だとして、どうしてフーケはこんな場所に置いたままにしているのか。 まさか、ここに荷物を置いておいて、自分は何処かで朝食でも食べているとでも? どういう事なのか、ルイズとタバサがお互いの推測を述べようとした時、天を揺るがさんばかりの地響きが周囲に木霊する。 ざわざわと木の葉を揺らす地響きに、ルイズとタバサは下唇を噛み締めた。 「ナルホド……撒キ餌ダッタ訳カ」 「どういう事よ!?」 焦ったようにホワイトスネイクの言葉を問うキュルケに、ルイズは自分達がハメられた事に対する怒りを露にしながら叫んだ。 「つまり、釣られたのよ、私達!!」 叫び声に反応するかのように、ホワイトスネイクはキュルケを抱きかかえ、 老朽化の為か脆くなった壁を突き破り外へと逃げる。 ルイズとタバサは杖を片手に、ホワイトスネイクが開けた穴から、外へと出るのであった。 「くそっ! こいつ、斬っても斬っても、すぐに直りやがって!!」 「すぐに貴族の嬢ちゃん達が来るから、無茶すんなよ、相棒!」 外に出ていた才人は、ちょうどゴーレムが生成される場所に出くわし、なんとか倒そうとしたのだが、幾ら斬っても土同士が結合しあい、どうにもこちらの勝ちが見えてこない。 「こーいうゴーレムが相手の場合は、術者を倒すのが一番なんだがな~」 「居ないもんはしょうがないだろ!!」 30メイルの巨体からは想像も出来ない程に素早く振るわれるゴーレムの拳を、人間とは思えぬ反射神経と運動能力で避ける才人であったが、疲れを感じぬ石人形と人間では、どちらにとってジリ貧の状況なのかは目に見えている。 この状況を打開する一番の方法は、ゴーレムを操っている術者の無力化なのだが、才人の視界内に術者と思わしき人物は存在しなかった。 「もっと良く探せ! こんなにパワーがあるのに、近く居ないはずなんてねぇ!」 デルフから檄が飛ぶが、探そうにも目の前のデカブツが放ってくる拳が、才人の余裕を精神的にも肉体的にも奪っていってしまい、それどころでは無い。 「良いか、やっこさんの速さはお前さんの速さには追いついてない!! 落ち着いて対処すらぁ、お前さんに攻撃なんて当たりっこねぇよ!!」 使い手を落ち着かせる為にデルフが声を掛けるが、戦闘行為など数える程しかしていないのに、それだけで落ち着くはずなど無い。 結果、ゴーレムの攻撃に対して無駄な動きが多くなっていく。 「ちっ!」 焦りを含んだ舌打ちに反応するかのように、ゴーレムは左手を繰り出してくる。 それを切り崩す為に逆袈裟に切り上げるが、デルフリンガーが触れる前に、土で構成されているゴーレムの腕がハリネズミのように形を造り変えた。 「相棒!!」 今まで拳と言う避けやすい攻撃しかしてこないと思い込んでいた才人は、突然切り替わったゴーレムの攻撃に反応しきれずに、その身を岩石の針で貫かれ――――――なかった。 「シャアアアアァァァァ!!」 まるで、蛇の鳴き声のようだと、才人は砕かれる岩を目の前にしながらそう思った。 「たくっ、遅すぎるぜ、嬢ちゃん達」 ほっとしたかのような安堵を含みながら、デルフは才人の心の内を代弁するのだった。 「ホワイトスネイク!!」 自らの使い魔の名を叫びルイズの声に、才人は、ハッと我を取り戻し、目の前の股座を潜り、ゴーレムの背後へと回り込む。 ホワイトスネイクと才人の二人に挟み込まれたゴーレムは、集るハエを追い払うように、上半身をグルグルと回し、 前方と後方へ同時に攻撃をするが、先程の攻撃で用心深くなった才人と、元より慢心など有り得ないホワイトスネイクの二人には、1ミリも掠りはしない。 「キュルケ! タバサ! 併せて!」 ルイズ配下の二人によって撹乱しているゴーレムへ攻撃呪文を集中させる三人娘だが、炎で焼かれようが、風で吹き飛ばそうが、水で濡れようが、お構いなしにゴーレムは攻撃を続ける。 「どんだけ頑丈なのよ、あいつ!?」 忌々しそうにキュルケが吐き捨てるが、それでゴーレムの歩みが止まる訳は無い。 すでに、ゴーレムの攻撃対象は、ホワイトスネイクと才人から、メイジである三人へと移行しており、ゴーレムの周囲の二人は足止めの為の行動に切り替えていたが、完全に動きを止める事は出来ていない。 「タバサ! 例のヤツを!!」 有効打を与えられない事に苛立ったようにルイズが叫ぶと、タバサは頷き、空を目上げた。 一見すると何も居ないと思われる蒼穹から、凄まじい速度で何かが地上へと一直線に落ちてくる。 「きゅーーーー!!!」 口に樽を咥えたシルフィード。 傍から見ると間抜けな姿だが、それをしているシルフィードも、させているタバサも大真面目だ。 「今!」 タバサの合図と共に、シルフィードは口から樽を離し、眼下で暴虐の限りを尽くすゴーレムへと投下する。 「ナイス! タバサと、え~と、その、タバサの使い魔!!」 歓声を上げるルイズは、奪ってからすでに一日経ち、随分と身体に馴染んだ『水』の魔法の才能をフルに稼動させ、 一気に樽の中身をゴーレムの身体に浸透させた。 「キュルケ! 最大火力で!!」 「締めを飾ってあげるわ!!」 限界まで込められた魔力により胎動する感覚に、キュルケは笑みを浮かべながらそれを解放する。 火は炎となり、炎は焔となり、ゴーレムに染み込んだ純度の高いアルコールと周囲の酸素、それに魔力を糧とし、煉獄をこの世に再現させる。 ゴーレムは、罪を嘆き、罰を受ける罪人のように、膝を折り地面へと倒れ落ちた。 「……終わったのか?」 キュルケの焔から影響の薄い地帯にまで引いていた才人が、プスプスと炎に包まれているゴーレムに向かってぼそりと呟く。 「サァナ……ダガ、トリアエズノ危機ハ去ッタラシイ」 周囲を警戒しつつ、ホワイトスネイクがそう告げると、才人は溜め息を吐きながら、デルフリンガーを握っている手の力を緩める。 「ま~だ、気を緩めるんじゃねぇ。 ゴーレムが倒れただけで術者は、まだ健在なんだぜ」 「んな事言われなくても分かってるよ」 渋々、デルフを握る手にまた力を入れつつ、周囲を見回すとルイズやタバサも油断なく辺りを見回している。 ただ一人、キュルケだけが嬉しそうに自分が燃やしたゴーレムを指差しはしゃいでいた。 「見た、ルイズ!? ねぇ、見た、私の活躍を!!」 自慢げに語るキュルケにルイズは少し迷惑そうだったが、キュルケが居てくれたお陰でゴーレムを燃やす手間が省けたのも確かだ。 「助かったわ、キュルケ。 でも、まだフーケが残ってるから、気を抜かないようにね」 「もう、心配性なのね。 ゴーレムは倒したんだから、残ったフーケなんて牙の無い犬以下じゃない」 ケラケラと笑うキュルケだが、その笑いは、耳を劈く爆音によって掻き消えた。 完全にルイズ達の前に敗れ去ったかのように思えたフーケのゴーレムだが、燃え盛る火炎に包まれながら、芯に当たる箇所は奇跡的にも無事だった。 否、それは奇蹟では無い。 予め、ルイズとタバサが話していた作戦の内容を聞いた“そいつ”はゴーレムの胴体に当たる箇所をアルコールが浸透しない金属で作っていたのだ。 傍目から見ても分からないように、きちんと土を上から被せ、カモフラージュも忘れずに。 案の定、ゴーレムが炎上し、地面へと倒れ伏すと、ルイズ達はゴーレムを倒した事から油断してしまった。 勿論、ルイズ達には油断していると言う認識は無い。無いが、やはり強大な敵を打ち倒した後には、気が緩んでしまうのは仕方ない。 このような荒事に慣れているはずのタバサですら、僅かにだが、戦闘時よりも警戒が鈍っていた。 そして、それこそが“そいつ”の目的だった。 警戒の緩んだ、ルイズ達が取り囲むゴーレム。 今にも燃え尽きようとする四肢の土達に、無事な胴体の金属から魔力と指令が下る。 今すぐに、弾けて四散しろと言う、無慈悲で残酷な自害命令。 意思など無く、命も無い土は、その身を砕き、一斉に周囲360°に飛び散るのだった。 咄嗟に反応できたのは、鈍っているとは言え、様々な経験により研磨された意識を辺りに散りばめていたタバサだった。 ゴーレムが破砕し、燃え盛る岩石が自分を直撃する前になんとか風の防護壁を展開するが、岩石の弾丸はそれを容易く貫通し、タバサの身体を打ち付ける。 致命傷の箇所の防護壁は分厚くしていたお陰か、なんとか即死は免れたが、それでも、右手、腹部、左足に焼け焦げた石が直撃し、ジュウウウと言う肉が焼ける音と、骨の砕ける音が同時にタバサの耳に届く。 ルイズの場合は、もっと深刻だった。 突然の事態に、反応が遅れたキュルケを庇う為に、彼女を抱くような形でキュルケの前に立ったが、その為に詠唱をする時間が無く、凄まじい勢いの石の弾丸をモロに喰らってしまった。 奇跡的に背骨は折れなかったが、その代わりに、右肩の肩甲骨を砕かれ、 完全に右腕の機能が停止してしまい、握っていた杖が手からぽとりと落ちていく。 さらに、石としての硬度を保ったままの小さい粒達が散弾銃のようにルイズの背中を激しく撃ちつける。 ルイズの負傷により、ホワイトスネイクも足元から地面へと倒れ落ち、立ち上がる事すら出来なくなっていた。 「ルイズ、皆!?」 ただ一人、反則的な反射神経と動体視力によって、大きな岩石を避け、小さな石にしか当たらず比較的軽傷な才人が叫ぶが、彼の仲間で、その声に返答する者は居なかった。 第九話 戻る 第十話 後編
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1950.html
11話 校庭に突然現れた巨大ゴーレム。 全長30メイルはあろうかというその巨体の肩には、一人の女が立っている。 この女――フーケは、ほんの数秒前まで校庭の物陰に隠れて盗みの算段を立てていた。 なのにその物陰から出てきたのは、予想もしなかった好機がフーケに訪れたからに他ならない。 その好機とは、宝物庫の外壁に突然出来た無数の亀裂。 ホワイトスネイクの手によって逃れようの無い死に追いやられたラング・ラングラーの死に際の攻撃 ――ジャンピン・ジャック・フラッシュの鉄クズの砲撃によるものだ。 自分では傷一つ付けられないだろうと見積もっていた宝物庫の外壁。 それを突然現れた男が、恐らくは狙ってやったことではないのだろうが、容易く損傷させてしまったのだ。 勿論フーケは驚いた。 だが名うての盗賊として養った判断力が、これが逃さざるべきチャンスであるとすぐに知らせた。 そしてすぐにルーンを唱え、魔法を完成させ、ゴーレムを作り出したのだった。 「・・・・・・何ダ、アレハ?」 ラングラーとの戦いで満身創痍になったホワイトスネイクが呟く。 スタンド使いとの戦歴20年にも及ぶホワイトスネイクにとって、未知なる敵と戦う事は日常茶飯事である。 しかしこれほどまでに巨大で、そして圧倒的なパワーを感じさせる敵と遭遇したのは、これが初めてであった。 「あれは・・・ゴーレムよ」 ホワイトスネイクの呟きに、その近くにいたモンモランシーが答える。 「ゴーレム?」 「土のメイジが作る人形みたいなものよ」 「人形・・・トナルト、ギーシュガ作ッテイタ『ワルキューレ』トヤラと同列ノモノカ?」 「ええ」 「ダガアマリニモ大キ過ギルゾ」 「分かってるわよ、そんなこと! あのサイズ・・・わたしは土のメイジじゃないからよく分かんないけど、ドットやラインじゃきっと無理よ。 少なく見積もっても20、30メイルはあるんだから・・・」 「最低デモ、『トライアングル』ダト?」 「そういうことになるわ。どっちみちわたしたちじゃ無理ね・・・あんたもボロボロだし。 どこかに隠れてる方がよさそうね」 そう言ってモンモランシーは怯えた目でゴーレムを見上げる。 「肩ニ人ガ乗ッテルゾ。アレガ操作シテイルノカ?」 ゴーレムの肩の上に立つ人影を目ざとく見つけたホワイトスネイク。 「乗ってるの? わたしには見えないわよ」 「人間ノ視力デハ無理カ」 「しょうがないじゃない。あんたみたいな化け物じゃないんだもの」 「『化け物』ジャアナイ。『スタンド』ダ」 「どっちにしたって一緒よ。わたしみたいな人間からすれば、あんたは化け物に変わり無いわ」 「『感情的な人間』カラスレバ、カ」 「何ですって!?」 唐突に二人の間の空気が悪くなる。 そのとき―― 「ばばぶばびべぶべ! びびば! びびばぶばぶ!」 未だに水から出してもらえずにいたギーシュが激しく喚きだした。 「あ・・・・・・」 「オ嬢サンガ黙ラセタママデ放ッタラカシニシテオクカラ、今ニモ息ガ止マリソウダナ」 「う、うるさいわよ! あとお嬢さんとか呼ばないで!」 ホワイトスネイクに文句を言いながら、モンモランシーがギーシュに使った水の魔法を解除する。 その途端にギーシュを包んでいた水の塊が、ざばぁっと音を立てて落ちた。 「ゲ、ゲホッゲホ、ッ・・・た、助かったよ、モンモランシー」 「お礼なんていいから! さっさと逃げるわよ、ギーシュ!」 「そ、そうだね・・・ドットの僕じゃあ、あんな馬鹿でかいゴーレムはどうしようもないし・・・」 「そうよ! だから早く隠れるなり何なり――」 「だが断る」 「・・・はぁ?」 ギーシュが言い出したことの意味が分からず、唖然とするモンモランシー。 「このギーシュ・ド・グラモンが最も好むことの一つは、悪党から逃げるという提案に対してNO! と言ってやることだ・・・」 そう言っておもむろにバラの造花、もとい自身の杖を取り出すギーシュ。 そしてルーンを唱えようとしたところで―― ドシュン! どこからともなく飛んできたDISKがギーシュの額に刺さった。 そして差し込まれたDISKは、ギーシュが自分に何が起きているかを理解するよりも早く彼を昏倒させる。 「『命令』スル。1時間寝テイロ」 言うまでも無く、DISKを投げたのはホワイトスネイクである。 「ちょ、ちょっとあんた、ギーシュに一体何したのよ!」 「今カラ1時間寝ルダケダカラ気ニシナクテイイ。ソレヨリ・・・声ヲ出スナ。物音ヲ立テルナ」 そう言ってホワイトスネイクは自分の残り少ないスタンドパワーを、体の底から引きずり出す。 「ソシテ・・・コノ場カラ動クナ」 引き出したスタンドパワーを自分の周囲、半径10数メイルに集中。 そして「能力」を発動する。 まるでそこに誰もいないかのように、風が何者にも遮られずに吹き抜けているかのように。 偽装し、欺き、隠蔽する。 これがホワイトスネイクの能力、その3つ目の「幻覚」だ。 幻覚の対象を見た者の脳そのものに干渉し、 見たもの、嗅いだもの、聞いたもの・・・あらゆるものがホワイトスネイクが望んだものになる。 使いようによっては、記憶を奪い去ることよりも凶悪な能力だ。 ゴーレムの足が、ホワイトスネイクたちがいる場所から20メイルの位置に踏み込む。 ズシン、と地響きが立つ。 人影が立っている場所からなら、すぐにでもホワイトスネイクたちを発見できる状況だ。 人間のモンモランシーでさえ、ゴーレムの肩の上で、月明かりが人型に切り取られているのが分かるのだから。 モンモランシーがごくり、と唾を飲む。 どうか見つかりませんように。 そう願った瞬間、人影が頭をこちらに向けた。 思わず悲鳴を上げそうになるモンモランシー。 その口をホワイトスネイクの、ボロボロの手が塞ぐ。 「モ・・・モガ・・・」 「声ヲ出スナ・・・今ノ私ノパワーデハ・・・声マデモ誤魔化スコトハデキナイ」 塞がれた口でもごもご言いながらモンモランシーが抗議する。 人影はまだこちらに頭を向けている。 だが次の瞬間、人影は何も見なかったかのようにこちらから目をそらした。 それに従うようにゴーレムもまた一歩、地響きを立てながら踏み込んだ。 「見つから・・・なかったの? 思いっきりこっちを見てたのに・・・」 「ソウナルヨウニ私ガシタカラダ」 驚きを隠さないモンモランシーに対し、ホワイトスネイクは淡々と答える。 そうこうしている間にゴーレムは学院の校舎へと辿り着いた。 そしてその太い腕を振り上げると、宝物庫の外壁の、幾つものひびが入った部分に振り下ろす。 ドゴオオオォン! 学院中に響き渡る大きな音と振動を伴って、宝物庫の壁に大穴が開いた。 そして壁をぶち破ったゴーレムの腕の上を人影が素早く走り抜け、校舎に侵入する。 (ナルホド・・・アアシテ盗ミヲヤルノカ。 巨大ナゴーレムハ周囲ノ人間ヲ恐レサセ、ソノ場カラ退避サセル。 ツマリ現場ハガラ空キニナル。 ソコヲ狙ウ・・・トイウワケカ。 随分大胆ナ手口ダ。 ソノ場ニゴーレムヲ恐レナイヨウナ気骨アル者ガイレバ、自分モ危険ニナルノニナ・・・) その光景を見ながら、ホワイトスネイクが思考を巡らす。 やがて、人影が校舎に開いた大穴から出てきた。 その手には大きな黒い箱が抱えられている。 そして人影がゴーレムの掌の上に乗ると、ゴーレムはゆっくりとその巨体を動かし、 ズシン、ズシン、と地響きを立てながら去っていった。 ゴーレムも、人影も、最後までホワイトスネイクたちがそこにいたことには気づかなかった 「っはぁ~~、助かった・・・。」 それを見送って、モンモランシーが声を上げる。 ホワイトスネイクはゴーレムが十分に離れたのを見計らって、地面に横たわっているルイズを揺り動かす。 「マスター、起キロ」 「う、うん・・・・・・ッ! ほ、ホワイトスネイク! キュルケと青髪の子は!?」 意識を取り戻したルイズは、すぐにキュルケたちのことを口にする。 「重傷ヲ負ッテハイルガ、命ニ別状ハ無イ。ラング・ラングラーモ始末シタ」 「そう・・・よかった・・・・・・って、あの不届き者、殺したの!?」 「ソウダ。ソコニ奴ノ死体ガ転ガッテイル」 「・・・そう」 自分の使い魔が人間を殺したという事実を受け止めるルイズ。 そして自分の使い魔がした事を確かめるために、ホワイトスネイクが指し示した方向を見る。 「ッ!!」 凄惨な光景だった。 全身の血を一滴残らず周囲に撒き散らし、さらに全身が押しつぶされたかのようにベコベコになっているラングラーの死体。 そんなホラー映画顔負けのショッキング映像に加え、 ラングラーの血が自分にも降りかかっているのが分かった時には吐き気がこみ上げたが、 幸いにも消化しかけの物をゲロすることはなかった。 この一週間、ホワイトスネイクとのイザコザのために食欲が無かったのが功を奏したらしい。 「・・・あんた、一体何やったのよ?」 やっとのことで、喉から一言搾り出したルイズ。 「『ラングラーの体内気圧を限界まで低下させた』・・・トイウノガ私ノシタコトダガ、 ソレデハ分カラナイダロウカラ気ニシナクテイイ」 「気にするわよ。 ご主人様には使い魔がした事を知る権利があるわ」 「説明シタッテ分カルモンジャアナイシ、ソレニスル時間ナド無イ」 「何よそれ!」 むぅ~~、と唸るルイズ。 それを見て、これはまた険悪になるかな、と思ったホワイトスネイクは、 「起コスカ?」 キュルケとタバサを指し示してそう言った。 「バカ言わないでよ。重傷負ってるんなら起こしちゃダメに決まってるじゃない」 「分カッタ」 ホワイトスネイクは淡白に答える。 そしてそう言って周囲を見回したルイズは―― 「ちょっ、モンモランシー! あんた、何でここにいるのよ!?」 「それはこっちにセリフよ、ルイズ! ギーシュと二人っきりで歩いてたらいきなり変な奴と一緒に壁を突き破って出てきて、それにそれだけじゃないわ! あんたの使い魔、さっき言った奴と殺し合いまでしたんだから! わたし、心臓が飛び出るかと思ったわよ! ギーシュもギーシュであんたの使い魔のことを『あれは騎士だ!』とか訳分かんないこと言って興奮してたし・・・」 「え、ちょっとまって。ギーシュもいるの? あんた浮気されたから絶交だとか何とか言ってたじゃないの」 「一週間も経ったんだから許してあげてもいいかなーって思ったのよ! 別にいいじゃないの! わたしとギーシュの問題なんだから!」 「まあ、それはそうだけど・・・」 少々ヤケクソ気味のモンモランシーの剣幕に押されるルイズ。 ちなみに会話の当事者であるギーシュはまだおねんねの最中だ。 と、そうこうしてるうちに、ルイズはホワイトスネイクに、ものの見事に話をすり替えられたことに気づいた。 「ホワイトスネイク! あんたまだわたしが聞いたことに答えてないわよ!」 「ダカラサッキモ言ッタロウ。私ニハソレヲ説明スル時間ナドナイ」 「何でよ!」 「ラングラートノ戦イノ前ニ言ッタハズダ。 例エ生キ延ビタトシテモ、ソノ後自分デ自分ニ決着ヲ付ケルト」 それを聞いて、ルイズが固まった。 「何・・・ですって?」 「聞コエナカッタノカ? ツマリ私ハコウ言ッテイルノダ。『今から自決する』・・・トナ」 さも当然のように言うホワイトスネイク。 それを見て、ルイズは全部思い出した。 自分を主人と呼びながらも、自分がそれに足らない存在だと見なすかのような態度。 自分よりも優れた判断が出来るとでも言わんばかりの態度。 自分を、主人だと認めていない態度。 忘れていた怒りが、マグマのようにグツグツ煮えたぎった。 そして―― 「・・・の・・・・・・」 「・・・何ダ?」 「・・・・・・この・・・・・・」 プッツンした。 「このバカ蛇ぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」 そう叫ぶが速いが杖を振り上げ、一切の迷い無くホワイトスネイクに向けて振り下ろすッ! ドゴォォォォォン! 「ハグッ!」 至近距離でのルイズの失敗魔法の爆発が、ホワイトスネイクを吹っ飛ばすッ! ルイズ自身も今の爆発で後ろに吹っ飛ばされたが、すぐに起き上がってホワイトスネイクの方へ走る。 「そこをおおおおおお!! 動くなあああああああああ!!」 「何ダトォーーーーーーーーーーーッ!?」 突然ブチ切れた主人の暴挙に激しく混乱しながらホワイトスネイクが悲鳴を上げる。 そしてッ! メメタァッ!! 「ブゲアッ!!」 ルイズの100点満点の飛び蹴りがホワイトスネイクの顔面に炸裂したッ! さらにその蹴りの勢いでホワイトスネイクは3回半ほど後ろ回りをした挙句、校舎の外壁にごつんと後頭部を打ち付けた。 「グオォォッ・・・」 激痛でしゃがみこむホワイトスネイク。 ラングラーとの激戦、さらには限界状態での幻覚の使用。 それら能力と体力の酷使とご主人様の乱行とでホワイトスネイクはヘトヘトに弱りきっていた だがそんな彼に対しても、桃色髪の阿修羅は容赦しなかった。 当然モンモランシーもその光景を見ていたが、ルイズのあまりの凄まじさに何も言えなかった。 阿修羅――もといルイズは、そんな満身創痍を軽く通り越した状態のホワイトスネイクにおもむろに近づくと―― ドグシャアッ! 「ア・・・足ノ・・・小指・・・ヲ!」 口をぱくぱくさせながらホワイトスネイクが頭から崩れ落ちた。 足の小指を全力で、しかも革靴履いた足のかかとで踏みつけられたのだ。 痛いとかどうとかのレベルを超越している。 「この・・・この大バカッ!」 地面に突っ伏して呻いているホワイトスネイクにルイズが罵声を浴びせる。 「そもそも何なのよあんたは! サモン・サーヴァントで出てきてからご主人様差し置いて好き放題じゃないの! 決闘じゃギーシュを殺しかけるし! 自分がスタンドだからとか何とか言って訳分かんないこと言うし! それに、それに自分から死ぬなんて言うし!! あの不届き者と戦ってる時、だって、凄く心配してたのに! わたしがバカみたいじゃないの!! わたしが、わたしがどんだけ、あんたの事を心配したのか分かってるの!?」 ホワイトスネイクは倒れたままの状態でルイズの言葉を聞く。 ホワイトスネイクの今の体勢からではルイズの顔は見えなかったが、ちゃんと分かった。 言葉が途中から切れ切れになり、声が涙混じりになったのも、ホワイトスネイクには分かった。 そしてそれらの言葉の中の一つの単語が、ホワイトスネイクの胸中に響いた。 心配。 スタンド本体の力そのものであるスタンドたるホワイトスネイクにとって、それは全く縁の無い言葉だった。 とはいえ、言葉の意味を知らないわけではない。 しかし、その言葉が自分に対して矢印を向けていると言う事実に、ホワイトスネイクは驚いていた。 「マスター」 「・・・なによ」 ぐすっと鼻水をすすってルイズが答える。 「マスターハ・・・私ヲ心配シタノカ?」 そうホワイトスネイクが言うや否や―― ドグシャアッ!! 「フベッ!」 ホワイトスネイクの無防備な後頭部をルイズが容赦なく踏みつけた。 「当たり前じゃないのこのバカ蛇!! さっきから! さっきから何回もそう言ってるじゃないの!!」 後頭部の痛みを痛烈に感じ、そしてルイズの言葉を聞きながら、ホワイトスネイクは思った。 何てこった、と。 ここでは自分はスタンドとしては扱われないらしい。 自分が全存在を懸けて返済しようとした命令無視のツケの領収書を、この小娘はあっさりと突き返した。 さも当然、と言わんばかりに。 しかもそればかりじゃあない。 自分の力そのものであるスタンド――本体とまさしく一心同体であるものとは、まるで違う存在であるかのように、 あたかも他人に対するかのように心配などしてきたのだ。 自分をスタンドとして扱う気など、毛頭無いらしい。 今までの20年で積んで来たスタンドとしての立ち振る舞いの、その大半が一瞬で無用の長物になったように思えた。 何てこった。 こんなバカな話があるものか。 せっかく本体とのダメージ共有も無い分、よりスタンドらしく振舞えるものと思っていたのに。 何てこった。 これでは―― ――これでは、今はまだ死ねないではないか。 ホワイトスネイクはおもむろに起き上がった。 そして、ルイズと向き合う。 自分を一方的にボコボコにしたご主人様は、目に涙を溜めていた。 それを見て、改めてホワイトスネイクは思う。 やっぱり、まだ自分は死ねない。 こんな前途多難なスタンド本体――もとい、ご主人様を守ることなど、自分以外では難しすぎる。 他の者には到底任せられない。 そして、口を開く。 「・・・トリアエズ、謝罪ハシテオク」 「・・・とりあえず、って何よ」 尖った口調でルイズが返す。 「言イ訳ハ趣味ジャアナイガ、謝ルヨリ先ニスルコトガアルノダ」 「・・・何よ」 「コッチノ世界ニ、対応スルコトダ」 「・・・は?」 ホワイトスネイクの言ったことの意味が分からず、聞き返すルイズ。 「私ハコレデモ20年生キテイルガ、ソノ20年分ノ経験デハコノ世界ニハ到底対応デキナイ。 ツマリ・・・コッチノ世界ニ合ワセタ立チ振ル舞イヲ早急ニスル必要ガアル」 「だからどういうことよ!」 「ソウダナ、マズハ自分ニ自分デ決着ヲツケル・・・トイウノヲ撤回スルカ」 「・・・・・・本当に?」 疑いの強い目つきでルイズがホワイトスネイクを睨む。 「・・・本当ダ」 それを真っ直ぐに見返して、ホワイトスネイクが返す。 「本当に本当ね?」 「・・・本当ニ、本当ダ」 「だったら3つ約束して」 「何故ダ?」 「あんたがウソ言って無いんだったら、今からわたしが3つ言うことに約束して。いいわね?」 「・・・マアイイガ、何ヲダ?」 怪訝な顔をして聞くホワイトスネイクに、ルイズは真剣な顔で答える。 「1つ! わたしの言う事は最大限聞くこと! 2つ! わたしの身を守るのは、ほんとうにどうしようもない時だけ! 3つ! ・・・」 「・・・3ツ目ハ何ダ?」 「・・・わたしのことはルイズ、って呼びなさい」 「・・・マスター、ジャダメナノカ?」 「ダメ」 「何故ダ?」 「なんでもいいから! わたしにはルイズって立派な名前があるの! だからあんたもそれで呼びなさいってことよ!」 「マア・・・ソウイウコトニシテオクカ」 「何よその言い方! 文句あんの?」 「イヤ無イ。無イカラ、無イカラ私ヲ踏ンヅケヨウトスルンジャアナイッ!」 「いーや、踏んづけるわ。何だかよく分かんないけどまた腹立ってきたもの。覚悟しなさい」 「タカガ一週間ポッチノコトダローガッ! 私ハ体力的ニソロソロ危ウインダ! コレ以上ダメージハ受ケレンッ! ダカラヤメロト言ッテ・・・」 メメタァッ! 「ギャアァッ!」 結局ホワイトスネイクは踏まれた。 さっきと同じ足の小指を、さっきよりも強く。 そして、恐るべきジャンピン・ジャック・フラッシュと死闘を演じた強力なスタンドには不似合いな、情け無い悲鳴を上げたのであった。 しかし、この悲鳴・・・ひょっとしたら、産声なのかもしれない。 ルイズとホワイトスネイクの、「スタンド本体」と「スタンド」の関係ならぬ、「ご主人様」と「使い魔」の関係の。 ギーシュ:駆けつけた教師たちによって医務室に運ばれるが、 ケガ一つして無い上にすぐに目を覚ましたので自室へ戻った。 モンモランシー:ギーシュに付き添って医務室へ。 やはり何の問題もなかったギーシュにちょっぴり涙ぐみながら自室に戻る。 キュルケ:重傷。駆けつけた教師達によって医務室に運ばれる。 タバサ:重傷。駆けつけた教師達によって医務室に運ばれる。 オールド・オスマン:ルイズの部屋にラング・ラングラーが侵入した事件、そしてフーケ事件の処理で突如多忙になる。 こんな時に限ってミス・ロングビルがいないことを恨めしく思った。 ミス・ロングビル:現在地不明。魔法学院にはいないようだ。 ルイズ:軽症。医務室で水魔法の治療を受けてから自室に戻った。 ホワイトスネイク:重傷。発現状態を保つのもキツくなったので、ルイズの中に戻った。 ・ ・ ・ そして・・・ (ソーイエバ、ラングラーカラ記憶ト『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』ノスタンドヲ抜イテオイタノヲ ルイズニ言ッテイナイ気ガスルガ・・・マア、イイカ) 何日後か、何週間後かは分からないが、ルイズから一発蹴りを貰うことが決定したホワイトスネイクであった。 ラング・ラングラー:死亡。スタンドと記憶はホワイトスネイクの手に。 To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1648.html
「ポケットモンスター ダイヤモンド・パール」からコイキング→ギャラドスを召喚 ゼロの登竜門 第一章 ゼロの登竜門 幕間 『討伐の成果報告』 ゼロの登竜門 第二章 『土から鉄、そして鋼へ』前編 ゼロの登竜門 第二章 『土から鉄、そして鋼へ』中編 ゼロの登竜門 第二章 『土から鉄、そして鋼へ』後編 ゼロの登竜門 第三章 その1『tune the rainbow』
https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/1440.html
Finale ゼロの使い魔コンプリートイラストコレクション 兎塚エイジ アートワークス 発売日:3月25日 全500点以上のイラストを収録した『ゼロの使い魔』画集が登場! 13年の時を経て、ついに完結を迎えた伝説のライトノベル『ゼロの使い魔』――。 そんな『ゼロの使い魔』の世界を彩ってきた、兎塚エイジ先生による全イラストを収録した、 『ゼロの使い魔』のもう一つの集大成となる画集が登場! ここを編集 2006年7月放送開始。プライムビデオが配信開始。続編にゼロの使い魔~双月の騎士~がある。 http //www.zero-tsukaima.com/ 監督 岩崎良明 原作 ヤマグチノボル シリーズ構成・脚本 吉岡たかを キャラクター原案 兎塚エイジ キャラクターデザイン・総作画監督 藤井昌宏 プロップデザイン 飯塚晴子 動画検査 荻野信子、河野隆子、岡本弘樹、高橋真理子 美術監督 廣瀬義憲 色彩設計 石川恭介 撮影監督 丸茂力也 2DCG 向井吉秀 編集 後藤正浩 音響監督 高橋剛 効果 今野康之 調整 黒崎裕樹 録音 三浦拓也 音楽 光宗信吉 設定制作 中川二郎 アニメーションプロデューサー 松倉友二 アニメーション制作 J.C.STAFF プロデュース ジェンコ 脚本 吉岡たかを 絵コンテ 岩崎良明 二瓶勇一 上原秀明 佐々木皓一 鈴木洋平 福田道生 大上相馬 東海林真一 演出 岩崎良明 吉本毅 上原秀明 佐々木皓一 鈴木洋平 高島大輔 山内東生雄 上田繁 矢花馨 作画監督 藤井昌宏 つるあかりみなみ 柴田志朗 中島美子 篁馨 杉本功 亀井治 冷水由紀絵 木本茂樹 中村基 梶谷光春 プライムビデオ ゼロの使い魔 Ep. 1 "ゼロのルイズ" 監督 岩崎良明 再生時間 0時間23分 初公開日/初回放送日 2006年7月3日 提供 ゼロの使い魔製作委員会 ■関連タイトル ゼロの使い魔 Blu-ray BOX スペシャルCD2枚付 Finale ゼロの使い魔コンプリートイラストコレクション 兎塚エイジ アートワークス ゼロの使い魔 ~Last Song from ZERO~ ゼロの使い魔 主題歌集 ゼロの使い魔 サウンドトラック スペシャルCD~聞かないと、許さないんだから!~ ゼロの使い魔 ルイズBEST[CD+DVD] ねんどろいど ルイズ ゼロの使い魔ビジュアルコレクション 画集 兎塚エイジZeroゼロの使い魔イラストコレクション フィギュア・ホビー:ゼロの使い魔 原作小説 ヤマグチノボル/ゼロの使い魔 1巻 rakuten_design= slide ;rakuten_affiliateId= 053df7e0.7c451bd1.0c852203.190c5695 ;rakuten_items= ctsmatch ;rakuten_genreId=0;rakuten_size= 468x160 ;rakuten_target= _blank ;rakuten_theme= gray ;rakuten_border= on ;rakuten_auto_mode= on ;rakuten_genre_title= off ;rakuten_recommend= on ; 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Switch ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom Switch 世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER Switch ピクミン 4 大友克洋 Animation AKIRA Layouts Key Frames 2 小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女 1 ONE PIECE FILM REDデラックス・リミテッド・エディション 4K ULTRA HD Blu-ray Blu-ray 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ 完全生産限定版 Blu-ray 映画『ゆるキャン△』 Blu-ray 【コレクターズ版】 Blu-ray ウマ娘 プリティーダービー 4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! Blu-ray 天地無用!GXP パラダイス始動編 Blu-ray第1巻 特装版 天地無用!魎皇鬼 第伍期 Blu-ray SET 「GS美神」全話いっき見ブルーレイ Blu-ray ソードアート・オンライン -フルダイブ- メーカー特典:「イベントビジュアル使用A3クリアポスター」付 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 5th Live! 虹が咲く場所 Blu-ray Memorial BOX 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち Blu-ray BOX 特装限定版 地球へ… Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 神風怪盗ジャンヌ Complete Blu-ray BOX HUNTER×HUNTER ハンター試験編・ゾルディック家編Blu-ray BOX BLEACH Blu-ray Disc BOX 破面篇セレクション1+過去篇 完全生産限定版 MAZINGER THE MOVIE 1973-1976 4Kリマスター版 アニメ・ゲームのロゴデザイン シン・仮面ライダー 音楽集 テレビマガジン特別編集 仮面ライダー 完全版 EPISODE No.1~No.98 MOVIE リスアニ!Vol.50.5 ぼっち・ざ・ろっく!号デラックスエディション ヤマノススメ Next Summit アニメガイド おもいでビヨリ アニメ「魔入りました!入間くん」オフィシャルファンブック 『超時空要塞マクロス』パッケージアート集 CLAMP PREMIUM COLLECTION X 1 トーマの心臓 プレミアムエディション パズル ドラゴンズ 10th Anniversary Art Works はんざわかおり こみっくがーるず画集 ~あばばーさりー!~ あすぱら画集 すいみゃ Art Works trim polka-トリムポルカ- つぐもも裏 超!限界突破イラスト&激!すじ供養漫画集 開田裕治ウルトラマンシリーズ画集 井澤詩織1st写真集 mascotte 鬼頭明里写真集 my pace 内田真礼 1st photobook 「まあやドキ」 進藤あまね1st写真集 翠~Midori~ 声優 宮村優子 対談集 アスカライソジ 三石琴乃 ことのは 亀田祥倫アートワークス 100% 庵野秀明責任編集 仮面ライダー 資料写真集 1971-1973 金子雄司アニメーション背景美術画集 タローマン・クロニクル ラブライブ!サンシャイン!! Find Our 沼津~Aqoursのいる風景~ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会[復刻版] 梅津泰臣 KISS AND CRY 資料集 安彦良和 マイ・バック・ページズ 『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』編 氷川竜介 日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析 Blu-ray THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th Anniversary Celebration Animation ETERNITY MEMORIES Blu-ray おいら宇宙の探鉱夫 ブルーレイ版 Blu-ray 映画 バクテン!! 完全生産限定版 アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~ Blu-ray BOX 初回生産限定版 はたらく細胞 Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 Blu-ray 長靴をはいた猫 3作品収録 Blu-ray わんぱく王子の大蛇退治 Blu-ray 魔道祖師 完結編 完全生産限定版 魔道祖師Q Blu-ray Disc BOX 完全生産限定盤 にじよん あにめーしょん Blu-ray BOX 【特装限定版】 Blu-ray 鋼の錬金術師 完結編 プレミアム・エディション Blu-ray付き やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。完 限定版【同梱物】オリジナルアニメ Blu-ray「だから、思春期は終わらずに、青春は続いていく。」
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1332.html
「・・・・・・ふぅ」 夕焼けの赤が夜の闇に侵食されている時間帯。 シエスタは纏めた荷物を宛がわれた部屋の床に、ドサリと置いた。 「・・・・・・まったく、運が無いですね・・・・・・私も」 モット伯。 平民の娘を雇い入れては、食い散らかしていると言う黒い噂を持つ、 学院に近い土地に領地を持つ一流貴族だが、シエスタは前々から彼に目を付けられていた。 方々に手を回して、自分に対しての興味を逸らそうとしたが、今日、とうとう、モット伯の所で働くと言う事で話がついてしまった。 「貴族の方に毎夜、身体を求められる生活なんて・・・・・・平穏じゃないです」 不満げに呟くシエスタは、整理整頓されている荷物から、一つのバスケットを取り出す。 そこそこの大きさのバスケットを開くと中には、何かを包んだ薬包紙が大量に入っている。 薬包紙の一つに一つに、シエスタしか意味の分からないように組み合わせた文字で名前が書いてあり、 どう見ても一介のメイドが持つべき物で無い事が見て取れる。 「ここから才人さんの所へ戻るのは、ちょっと大変そうですけど・・・・・・仕方ないです」 なるべく早く戻りたい所であるが、急いでは事を仕損じる可能性がある。 しかし、だからと言って、ゆっくりしていたら自分の貞操が、あんな手の汚い貴族に奪われてしまう。 「それだけは嫌ですね」 初めては好きな人と決めているシエスタは、即効性と隠匿率の高い薬を手に取り、なんとかしてこれを飲ませる方法を模索し始めるのだった。 「くそっ! 頼む! もっと早く走ってくれよ!」 焦れたような才人の声に、彼を乗せて走っている馬は嘶きを上げて答えるが、今ひとつ速度が遅い。 「その馬、今日は街まで行って帰ったきた奴だから、疲れているのよ」 それに私も乗ってるしね、と才人の腰に捕まり、馬に乗っているルイズが喋るが、才人の耳に届く事は無い。 「頼む、頼む、頼む! 間に合ってくれ! お願いだ!」 必死なのも無理は無い。 マルトーからシエスタが、モット伯と言うルイズが言っていた貴族の下へ奉公に言ったと聞いて、ルイズの部屋へ戻った才人は、彼女に、モット伯がどんな人間なのかを聞いたのだ。 曰く、その者の屋敷へ行ったら、少女は貞操を奪われるだろう。 曰く、世話をするのは昼だけでなく、夜のベッドの上でも世話をしなければならない。 曰く、嬲るだけ嬲って飽きたら、そのまま金だけ握らせ路上に捨てられる。 主に少女に対する、様々な黒い噂・・・・・・と言うよりは、事実を告げられた才人は、真っ青な顔で部屋を飛び出した。 自分の恩人の、貞操の危機に才人は、この世界に来てから初めて本気で焦っていた。 使用人のそんな様子に、部屋に残ったルイズは、どうやらモット伯絡みで何かあったのだろうと推測し、才人の後を追うのであった。 そして、現在に至る。 すでに夜も大分更けてきた中、もうに床に入り、一戦始めている恋人達も居るだろう。 もしも、モット伯が、そんな連中のように床に入って準備をして、シエスタを待ち構えているのならば・・・・・・・・・・・・ 才人は、自分の頭に浮かぶ悪い考えを、首を振って否定し、ただ、早く屋敷に着けるように馬を走らすだけしか出来なかった。 一方、ルイズも才人程では無いにしても焦っていた。 モット伯の行為は、女として何よりも許せない行為であるし、何より誇り高いトリステインの貴族がすることでは無い。 そんな者が平然とした顔でのさばり、あまつさえ犠牲者を増やそうとしている事実が、ルイズの堪忍袋の尾に直撃していた。 才人の知り合いのメイドとやらが手篭めにされている現場に、もしくは事の終わった後とかに踏み込んだとしたら、間違いなく後の事を考えず、モット伯を文字通りこの世から消してしまうだろう。 勿論、そんな事をやって一番困るのはルイズであるが、困ると分かっていても、その事態に陥ったとしたら、確実にプッツンいくだろうし、ルイズ自身、それを止める事は出来ない。 故に、そのような困った事態にならないように、シエスタとか言うメイドが犠牲になる前に着いてくれるよう、ルイズは、疲れてへばっている馬の尻を、自前の鞭で酷く叩くのであった。 理由違えど、焦る才人とルイズの間で、買われてから一度も抜かれていない剣は、尻を叩かれて暴れる馬の揺れに合わせて、寂しそうにその身を揺らしていた。 「次はこの料理をお願いします」 「は~い、今行きます」 「ワインの数が少し足りないみたいだから、誰か倉庫に行ってとってきてくれない?」 「あっ、私、行きます」 厨房に飛び交う少女達の声に雑じり、聞く者に安堵の感情を抱かせる少女の声が響く。 シエスタがこの屋敷に来て最初の仕事となる厨房の手伝いに来て、まず始めに驚いた事は、厨房で料理している人が全て女性・・・・・・しかも、皆、年若い、少女と言っても差し支えない者達だったことだ。 組んだ人の話では、ここの雑用は料理から力仕事まで全て女性が行っており、男性は護衛の為のメイジと衛兵だけらしい。 ほんと、良い趣味してるわよね、と憎々しげに呟く女性の雰囲気から、恐らく全てのメイドがモット伯の夜のお世話をしているのだろう。 なんとなく、メイド達の活気が無いのも無理はないなぁと、シエスタと一人頷いた。 ともあれ、食事と言うのは口から摂取し、尚且つ料理の味で薬の苦味なども誤魔化しやすい。 幸いにして、シエスタと組んだもう一人のメイドは、愚痴を溢しながら自分の仕事に集中しており、何をしようが気付かれる事は無い。 適当に相槌を打ちながら、シエスタは薬包紙の中身を少しずつ、モット伯の料理へと混ぜていく。 シエスタが、何故このような薬を、大量を持っているのか。 それは、彼女の曽祖父が残した手記によるものだ。 東の地から来たとシエスタが聞いている曽祖父は、博識であり、 彼が暇な時に戯れに残した手記には、様々な豆知識にも似た生活の知恵が記されていた。 他人から嫉まれず、馬鹿にされないように生活していたシエスタは、曽祖父の残した手記を読むのが何よりの楽しみとなっていた。 手記の中には、自分がこれまで知らなかった事や、当たり前のように思っていた事の真実など、幼いシエスタの好奇心を満たす様々な事柄が書いてあった。 手の大きさで対象との距離を測る方法。 卵を片手で一気に三つ割る方法。 そして・・・・・・一つの言葉。 何故、曽祖父がその言葉を手記に記していたのかは、今となっては分からない。 ただ、曽祖父の手記に一貫して書いてあるその言葉は、 シエスタにとって、金銀細工の装飾品より、彼女の心を掴んで放さなかった。 ―――私は、ただ植物のように平穏に生きたかっただけだ――― 平穏に生きる。 言葉にすると単純だが、実際問題実践するとなると、案外大変なものだ。 それも、平民のような貴族のさじ加減一つで、死ぬような者は特にだ。 シエスタは、薄々気付いていた。 手記に記されている、この言葉を実行するには、何者の干渉を吹き飛ばす『力』が必要になると。 故に、彼女は『力』を準備していた。 非力で魔法も使えない自分の『力』 子供の頃から野山に入り、茸や薬草に関しての知識を高めていったシエスタは、その『力』の在り処を薬に求めた。 それが、この薬の山だ。 だが、準備をしていたこの薬の山も、今までは、まったくと言っていい程、役には立たなかった。 それもこれも、彼女には『立ち向かう意思』と言うものが、根本から欠落していた為だ。 平民にとって、一種の洗脳とも言える貴族へと畏怖は、平穏に生きると言う目標を持っているはずのシエスタからも、貴族に対する反抗心を奪っていた。 例え、薬の効力が100%だろうと、貴族ならばどうにかしてしまうのでは無いか? そんな疑念がシエスタの心にはあった――――――この間までは。 そう、平賀才人と言う少年が、ギーシュと言う学生だが、れっきとした貴族を倒してしまった時から、シエスタの心から、疑念も畏怖も消え去らしてしまった。 簡単な話だ。 自分と同じ身分の者が、貴族を倒した。 その事実がシエスタに、欠落していた『立ち向かう意思』を作り上げ、貴族が畏怖の対象では無い事を教えてしまったのだ。 こうなると、もはや彼女に怖いものは無い。 自信が付いたと言えば聞こえが良いが、簡潔に言えば、シエスタは調子に乗っていた。 普通の人間ならば、調子に乗った所で、貴族に対してのどうしようもないパワーバランスに、やがては気付くだろうが、シエスタの場合は、その限りでは無い。 何故なら、彼女は用意していた『力』があり、性質が悪い事に、その『力』は半端な貴族には太刀打ちできない程に強力であったからだ。 「どうぞ、メインディッシュでございます」 ソテーされた牛肉に濃厚なソースが絡められている料理をモット伯の目の前に出したシエスタは、テーブルに腰掛けている他の貴族を見渡した。 どれもこれも、下駄な笑みを浮かべて自分の事を――――――より正確に言うなら自分の体を見ている。 明らかに好色が見受けられるその目に、シエスタは吐き気をするのを堪えて、さっさと厨房へと引き返す。 彼女の耳には、聞く事すらおぞましい会話が流れてくる。 「ほぅ、あれが今日入った娘ですか。 なるほど、気立てのよさそうな娘ですなぁ」 「発育も中々で、これは味見のし甲斐があるのでは?」 「はて、味見とは何の事かな、私には何の事かさっぱりなのだが」 「これは失礼、伯爵。失言でしたな」 ガハハ、と耳に残る笑いにシエスタは無表情で口元を押さえる。 ふと、押さえている手に目がつく。 (嫌だ・・・・・・もう爪がこんなに・・・・・・) こまめに切っているはずのシエスタの爪は、何故か今日に限って異様に長くなっている。 伸びすぎた爪は、まるで獲物探して回る猛禽類の鉤爪のように、鈍い光を燈していた。 ルイズと才人がモット伯の屋敷へと着いたのは、彼らが食事を終え、酒を片手に談笑をしている最中であった。 途中、『疲労』のDISCを抜けば良い事に気がついたルイズが、馬の頭からDISCを抜き、凄まじい勢いになったので、予定よりも遥かに早く着く事が出来た。 その所為で、乗ってきた馬が(疲労を忘れさせていただけで、無くした訳では無いので)潰してしまったが、彼女にとってそれは些細過ぎる問題であった。 門番に、ヴァリエールの名を出し急ぎモット伯へ取り次ぐように言うと、彼女達は応接間へと通され、そこで待つように告げられた。 待つ事、十数分・・・・・・・・・・・・奇抜な衣装に身を包むモット伯と衛兵二人がルイズと才人の前に現れた。 「これはこれは、夜分遅くに一体何の用ですかな?」 もったいぶったようにゆっくりとした喋り方で、訪問の理由を問い掛けるモット伯にルイズは、フンッ、と鼻を鳴らすと手早く目的を告げる。 「今日、引き取ったメイドが居るでしょう」 「んっ? ・・・・・・あぁ、あの娘ですか。 確かに、居りますが・・・・・・何か御用でも?」 「あんたの犠牲者をこれ以上増やすのは、女として、貴族として許せたものじゃない。 だから、そいつは私が引き取るわ」 ルイズの発言に、モット伯は驚きのあまり目を丸くしてルイズを見ていたが、やがて、くすくすと忍び笑いをし始めた。 眉を顰めるルイズに、いやいや失礼と言いながらモット伯は口を動かす。 「はて、犠牲者とは一体何の事でしょうか? 私には皆目検討もつきませんが」 とぼけるモット伯の様子に思わず、プッツンしそうになったルイズであるが、彼女よりも辛抱ならない人物が、今、この場に居た。 「とぼけるな!! シエスタは何処だ!? 何処に居る!?」 自分自身驚く程の剣幕で、才人はモット伯に詰め寄るが、近づく前に衛兵の槍がその行く手を遮る。 「威勢が良いのは褒め所だが・・・・・・見た所、君は平民のようだな。 下がりたまえ。貴族相手にその態度・・・・・・命が幾つあっても足りないぞ?」 「うるせー!! 貴族貴族、そんなに貴族が偉いのかよ!! シエスタを返せ!!」 貴族が偉いのかよ、の件でルイズの眉が動いたが、まぁ、使用人の教育は後ですれば良いと、とりあえずルイズはその発言をスルーしたが、モット伯は違った。 彼も一応はトリステイン貴族。傲慢と自尊心の塊である彼は、貴族全般に言える事だが、侮辱に対して敏感である。 「・・・・・・貴族に対して、私に対して、その態度、気にいらんな」 「そりゃ良かった。立場を利用して女を嬲る奴に気に入られたら、鳥肌が出ちまう」 ルイズは思った。 もしかして、この使用人。人を怒らす事に関しては、かなりの腕を持っているのでは無いのか、と。 事実、モット伯は、明らかに怒りを抑えている表情をしている。 公爵家の娘である自分が連れてきた平民で無ければ、今すぐに八つ裂きにしているだろう。 「サイト、少し落ち着きなさい」 「俺は十分、落ち着いて――――――」 「いいから! 少し黙ってなさい!!」 幾ら挑発をして貰っても構わないが、戦闘になるのはマズい。 自分の怪我は、まだ完全に治っていない。 それはつまり、ホワイトスネイクもまた普段通りの性能を出せないと言う事だ。 これが、どうしようもないドットやラインクラスの連中ならば歯牙にも掛けない事なのだが、相手は、あの娘と同じトライアングルのメイジ。 なるべく戦闘は避けなければならない。 「君の所の平民は、どうも躾がなっていないようだね」 憮然とした顔で告げるモット伯に、ルイズは、えぇと頷きながら、一歩前へと進んだ。 ホワイトスネイクは、今は消えている。 あの奇妙な格好は見る者の警戒心を煽り、今からルイズがすることの邪魔になると考えたからだ。 「躾が出来ていないと言うのは同意しますが・・・・・・」 言いながらルイズは、モット伯へと近づいていく。 10メイル 「立場を利用して女を嬲る・・・・・・の件は、私も同意するところですね」 ゆっくりと、しかし確実に歩を進めるルイズ。 8メイル 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・何?」 険悪な表情で、自分の耳に入った言葉を聞き返す、モット伯。 6メイル 「ですから、自分が貴族であることを利用して女性を言いなりにするなんて 誇り高いトリステインの貴族がすることではございませんね」 くすり、と蔑みの笑みを溢す。 4メイル 衛兵の槍がそこから進むのを拒む。 どうやら、ここまでが限界のようであったが、もう十分に近づいた。 「なんという謂れ無い侮辱だ!! 幾ら公爵家の娘であろうが、これ以上の横暴は命を縮める事となるぞ!!」 「命を縮める? 縮めてるのは・・・・・・あんたの方でしょう!!」 瞬間、ホワイトスネイクが槍衾を越え、モット伯の眼前へ出現し、その魔手を振り上げ一気に振り下ろす。 誰も彼も、あまりにも突然過ぎる闖入者に反応できず、結果、ホワイトスネイクの手はモット伯の顔面に喰らいついた。 「サイト!!」 才人は、ルイズの一声に呆気に取られていた顔を切り替え、背中の剣を振り抜く。 間合いには、すでに入っている。 「キタキタキター!! やっと抜いてくれたな、相棒!!」 「あぁ、抜いたからには役に立てよ!!」 振り抜いた勢いのままの袈裟懸けで、槍を打ちつける。 槍越しに伝わってくる衝撃に堪らず手を放して、武器が無くなった衛兵にデルフを突きつけ 「まだやるか?」 戦闘の継続を確認する才人に、彼らは両手を挙げ降参のポーズを取った。 元より、はした金で雇われた連中だ。自分の命を危機に晒して戦う忠誠など無いに等しい。 「よくやったわ、とりあえず、そのままそいつらを見張っておいて」 手早く衛兵を無力化した才人に褒め言葉を口にし、ルイズはモット伯の頭に手を突っ込んでいるホワイトスネイクの隣に立つ。 「どう?」 「反吐ガ出ルトハ、コノ男ノ為ニアル、ト君ハ言ウダロウナ」 何時も通りの感情の揺れがまったく感じられない声を発しながら、 ホワイトスネイクはモット伯の頭から一枚のDISCをルイズへと差し出した。 「視テミルカ? 中々ニ刺激的ダト思ウガ」 差し出されたDISCを頭部へ挿しこむと同時に、モット伯の『記憶』がルイズへと流れ込んでいく。 泣き叫ぶ少女。 笑う男の声。 血に塗れたシーツ。 虚ろな目から零れる涙。 助けを求め、動く口。 あまりのおぞましさに、ルイズは乱暴にDISCを抜き取った。 「何よ、これ・・・・・・何なのよ、これ!!」 どうしてこんなに惨い事が出来るのか。 例え、平民の娘だとしても、このような扱いをして良いはずが無い。 湧き上がる不快感と嫌悪感から、ルイズは『記憶』DISCを抜かれ呆然としているモット伯を思いっきり、蹴っ飛ばした。 『記憶』DISCを抜かれた者は軽度の者ならば、自分が何者であるかを見失う程度であるが、今のモット伯のように全ての『記憶』を抜かれた者は、まさに生まれたばかりの人間のようになり、自分がどのように寝て、どのように起きて、どのように食べて、どのように生活していたかを全て忘れる。 つまり、今の彼のように心神喪失状態になり、何も考えられないようになるのだ。 だが、生温い。 あれだけの事をしていたと言うのに、たかだか生きる屍と化しただけでは生温い。 ルイズの考えを察したのか、ホワイトスネイクは、もう一枚、『記憶』では無く才能のDISCを抜き取ると、全力でモット伯の股間を蹴り上げた。 プチリ、と男性が聞くと発狂しそうな音が周囲に響く。 才人も、衛兵も、咄嗟に自分の切ない部分を押さえて、痛みを堪えるように顔を顰める。 それだけの事をやったのは確かなのだろうが、それでも憐れだと感じてしまうのは、同じ男性としての性だろうか。 どさり、と倒れこむモット伯の頭にルイズは『記憶』DISCを戻す。 「アグウワァァァァァァァァァ!!!!」 意識が戻ったモット伯は獣のような雄叫びを上げ、両手で股間を押さえ込む。 「無能ならぬ不能なんて、貴方らしい末路ね」 小馬鹿にしたかのように、フンッ、と鼻を鳴らし、今度は衛兵へと向きを変える。 凍りつく衛兵だったが、次の瞬間に始まった、醜い命乞いならぬ、息子乞いにうんざりとした顔でルイズはホワイトスネイクに命じる。 軽く頷いたホワイトスネイクは、DISCを二枚取り出し、それぞれの衛兵の頭に挿しこむ。 それっきり、彼らの口が開く事は無かった。 それどころか、彼らは無言で叫び声を上げるモット伯を抱え、応接室を出て行ってしまったのである。 「何したんだよ」 暫く呆気に取られていた才人であったが、明らかに挙動がおかしくなった衛兵の事を問い詰めるとルイズは、ふふん、と自慢げに口元を吊り上げる 「・・・・・・男として機能しなくなったんだから、今度は女として教育してあげるように『命令』しただけよ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うげぇ」 めくるめく官能的な男色を思い浮かべてしまい、思わず喉から胃液が出そうになる。 ホワイトスネイクが命令したのなら、容赦など欠片も存在しないだろう。 となると、良くて朝まで、下手をすると丸一日、掘られる事態に陥るに決まっている。 「自分が行った行為が、どれだけ苦痛な事か・・・・・・身を持って知りなさい」 ルイズにしてみたら殺されるより酷い仕打ちをしているつもりなのだが、実問題、不能にされた挙句にカマを掘られるのが、死ぬ事より辛いかは才人には分からなかった。 付け加えるなら、分かりたくも無い。 「さてと、さっさとメイドを連れて帰るわよ」 「良いのかよ、勝手に連れていって」 「良いのよ。向こうが難癖付けてくる頃には、私の怪我も治ってるから」 怪我が治ったのなら、別に騒動でも何でもござれだ。 まぁ、魔法の才能を奪われたと言うのに、その事を表立たせるような動きを、あの能無しが見せるはずも無いと思うが。 「ともかく、私が良いと言ったら良いのよ。ほら、分かったら、早くメイドの所に行って帰れるって事を知らせてあげなさい。きっと泣いて喜ぶわよ」 急かすルイズの言葉に、才人は今頃不安な気持ちで一杯であろうシエスタの事を思い出し、応接室から飛び出していく。 その後姿にルイズは、 「・・・・・・ご主人様に感謝の言葉ぐらい吐いてから行きなさいよ」 誰一人、自分とホワイトスネイク以外居なくなった応接室で、不満げにそう呟いた。 唐突に屋敷に響き渡った悲鳴に、爪きりをしていたシエスタは、薬が効く時間にしては少し早い事に首を傾げた。 (おかしいですね・・・・・・もう少し後に効能が出るはずなんですけど) おまけに、こんな叫び声をあげるなんて、予定には無い。 混ぜる分量でも間違えたか? いや、それは無い。 分量も確認したし、混ぜた料理を全て平らげたのも確認している。 どこにも、不手際など無く、完璧のはずだ。 しかし、そうなると、この叫び声は一体? 疑問と不安が織り交ざったような、言い知らぬ焦燥感に顔色が変わっていく。 「違う・・・・・・分量も完璧・・・・・・確認もした・・・・・・私は失敗なんてしていない。 だから、この悲鳴は私とは無関係・・・・・・」 呟きながら、シエスタは爪を噛んでいた。 ガリガリと、強く血が出る程に。 「・・・・・・タ・・・・・・ど・・・・・・・・・・・・シ・・・・・・」 ふと、耳に届く声に、シエスタは爪を噛むのを止めた。 聞き覚えのある声が、どたどたと足音を伴わせて、この部屋に近づいている。 シエスタは、その声の主が誰なのかに気がつくと、半ば呆然として立ち尽くしてしまった。 それは、ここに居るはずの無い、愛しい人の声。 忘れたくとも忘れられない、蠱惑的な手を持っている、自分に『立ち向かう意思』を教えてくれた人。 「シエスタ!」 「サイトさん!」 扉を凄まじい勢いで開き、聞き慣れた声と見慣れた姿で現れた少年に、シエスタは思わず抱きついてしまった。 先程の焦燥が嘘のように無くなっていくのが、シエスタにはまざまざと感じられた。 顔を見るだけで、声を聞くだけで、心の平穏が保たれる。 そんな心の拠り所が、目の前の少年である事を、シエスタは再認識することとなった。 「遅い」 屋敷の外に出た才人とシエスタに、ルイズが投げ掛けた言葉は、時間に対する文句であった。 「無茶言うな。シエスタの事を探すのにも時間が掛かったり、見つけてからも、二人で必要な荷物を見繕ったりとか、大変だったんだぞ」 「ふ~ん」 才人の反論に不承不承ながら、ルイズは納得した。 シエスタが、今持っている荷物は、手提げのバスケットと旅行カバンが一つ。 あれだけの時間で、それだけ荷物を纏めてきたのなら、むしろ褒めるべきが正しい形である。 「ところで・・・・・・どうやって帰るんだよ。 乗ってきた馬は、へばってもう走れないんだろ?」 「それなら大丈夫よ・・・・・・ここにも馬は居るから、それを借り――――――る必要は無さそうね」 何処と無く、緊張したような声色で告げるルイズの横で、ホワイトスネイクが何時も無表情であるはずの顔に憤怒を張り付かせ、空を見上げていた。 それに釣られて、才人とシエスタも空を見上げる。 二つの月が輝く空には、全長が6メイルもある竜がゆっくりと羽ばたきながら、ルイズ達へと下降していた。 地面へと降り立つ最中、竜の背中から少女の顔が覗く。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 沈黙のまま見つめあう二人に、薄ら寒いものを感じた才人は、一歩どころか、五歩程度ルイズから遠退く。 「何の用?」 竜が完全に地面へと降り立つと同時に、地面へと降りた少女へ、油断無く問うルイズに、 少女は、自分の背より大きな杖を地面へと落とす。 「話がある」 杖を落とすと言う事は、メイジにとって戦う手段を放棄すると言う事だ。 動物で言うならば、腹を見せ、降伏を誓う動作に等しい行為に、ルイズは少女の、話があると言う言葉の重さを悟る。 「話なら後で聞くから、今は学院に送ってくれる?」 地面に落ちた杖を拾い、訊ねるルイズに、少女は頷き自らの使い魔へと言葉を掛ける。 主の言葉に従い、その身を伏せた竜の背に乗るルイズに続き、才人とシエスタは少女へと軽くお辞儀をしながら、竜の背中へと乗り込む。 最後に少女が竜の首の部分に乗り、手でトントンと頭を軽く叩くと、竜はキュイキュイと鳴きながら、大空へと羽ばたくのだった。 初めて竜に乗ったシエスタは、馬では味わえない感触に興奮しながら、モット伯の屋敷の方を見る。 「サイトさんが来るのなら、お薬使うんじゃなかったなぁ」 あれも、結構高かったのに、と惜しむように呟く言葉は、風の音に紛れ、虚空へと消え去るのだった。 ベッドの上に寝かされているモット伯は、屈辱と怒りでごちゃまぜになりながら、下半身から絶えず発せられる痛みに悶えていた。 自分の事を運んできた衛兵達は、今は部屋の外で声を張り上げている。 聞こえてくる内容は、不手際から怪我をしたモット伯、即ち自分が、自らの魔法で治療している為、誰も彼もこの部屋に入っていけないと言うものだった。 最初、何を言っているのか分からなかったが、次第に状況が読めてくると、いますぐに違うと叫びたかったが、先程まで叫び声をあげていた喉は枯れ果てており、もはや単音すら満足に発音できない。 部屋の外に出ようとしても、今の自分は動くだけで激痛を伴い、立ち上がる事さえ儘ならない やがて、部屋の外に集まっていた気配が、次々と消失していく。 恐らく、衛兵の説明に納得して部屋の前に集まっていた人々が散っていったのだろう。 完全に人の気配が消え失せると、二人組みの衛兵が、部屋の扉を開け、モット伯が寝ているベッドの近くまでやってきた。 二人は、まるで死人のように虚ろな表情で、自らの服を脱いでいく。 (なんだ! こいつら、一体何をするつもりなんだ!?) 脳で理解はしているが、本能はそれを認める事を拒絶するモット伯であったが、二人がベッドの上に這い上がってくると、流石に認めるしかなかった。 (私の・・・・・・私のそばに近寄るなああ――――――ッ!!!!) あまりのおぞましさに喉が張り裂けんばかりばかりに叫ぶが、やはり、声は出ない。 最後の最後まで、手で掴まれ、服を無理矢理剥ぎ取られても、モット伯は叫ぶ努力をしたが、結局、それは実る事が無かった。 結局、彼は30分間、シエスタ特製のお薬によって心臓が停止するまで、自分がしてきた行為を味わう事となったのであった。 第七話 戻る 第九話
https://w.atwiki.jp/itmsanime/pages/870.html
【作品名】ゼロの使い魔 OP 【曲名】First Kiss 【歌手】Ichiko 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200 □■iTMS■□ 【作品名】ゼロの使い魔 ED 【曲名】ホントノキモチ 【歌手】ルイズ(CV 釘宮理恵) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200 □■iTMS■□ 【アルバム名】ゼロの使い魔 キャラクターCD1 ルイズ&才人 【歌手】ルイズ(CV 釘宮理恵) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□ 【アルバム名】ゼロの使い魔 キャラクターCD2 ギーシュ モンモランシー 【歌手】モンモランシー(CV 高橋美佳子) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□ 【アルバム名】ゼロの使い魔 キャラクターCD3 タバサ キュルケ 【歌手】タバサ(CV 猪口有佳)、キュルケ(CV 井上奈々子) 【ジャンル】アニメ 【価格】各¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□ 【作品名】ゼロの使い魔 キャラクターCD4 シエスタ アンリエッタ 【歌手】シエスタ(CV 堀江由衣) アンリエッタ(CV 川澄綾子) 【ジャンル】アニメ 【価格】各¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□
https://w.atwiki.jp/dai_zero/pages/28.html
ゼロの竜騎衆-01 ゼロの竜騎衆-02 ゼロの竜騎衆-03 ゼロの竜騎衆-04
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/643.html
「我が導きに…答えなさい!」 ズドォォーン! 「ゲホッ、ゲホッ…何だ? 『ゼロ』のルイズはサモン・サーヴァントも失敗か?」 「いや…何かいるぞ」 煙の中から現れた『そいつ』は…胸にハートを逆さまにしたような意匠を持ち、頭部からは後方へ反り返った角のようなものが生えていた。 ルイズは内心興奮しながら『そいつ』に歩み寄り、契約のを交わすための呪文を唱える 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 五つの力を司るペンタゴン…この者に祝福を与え我の使い魔となせ」 そして『そいつ』に口づけようとした瞬間、 ンーーーゥゥブ 彼女の顔のすぐそばを虫が後ろ向きに飛んでいった。 「!?」 周囲を見回すと、周りにいる他の生徒たちの動きもおかしい。まるで巻き戻されているかのような…… 「巻き戻っている…じ、時間が逆行している!?」 困惑するルイズに、『そいつ』が語りかける 「コレハ……『レクイエム』…ダ! オマエガ見テイルモノハ確カニ『真実』ダ…シカシ…… 実際ニ起コル『真実』ニ到達スル事ハ決シテナイ! ワタシノ前ニ立ツ者ハ、ドンナ能力ヲ持トート、絶対ニ! 行ク事ハナイ! コレガ、『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』!」 (……ハッ!?) ――宇宙の果てのどこかにいる私の使い魔よ…… (何を…喋っているの……私は!? わ……私はッ…! 始めから何も喚んでいないッ!!) ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール――召喚失敗
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2176.html
「うんまーい!!」 サーレーは学園の中の台所の中で料理を食べさせてもらっていた。かわいい女の子に出会えるは、うまい料理が食えるは、今日は超が付くほどラッキーデーだ。 ここが自分の世界と違う別世界だという絶望的事実を知ったこと以外は。 そこまで行くとサーレーの思考が一気に暗くなる。これでは家に帰ることが絶望的になってしまった。 (・・・・母ちゃん。大丈夫かな・・・・。) 何とかは絶対にするが少々悪いニュース過ぎた。と言うか今までそのことに気が付かなかったのがおかしいと思うのだが・・・・。 すると、暗い表情になったサーレーをみて心配になったシエスタがサーレーの顔を覗き込んだ。 「?」 「どうしました?もしかして・・・・おいしくなかったですか?」 その言葉を聴いてサーレーがはっとした顔でシエスタのほうを振り向いた。 そして急いで、その言葉に反論する。 「んなことねえよ!!うん!まじで!!」 サーレーは堅気の人専用の明るい笑顔を見せるとシエスタはそれを聞いて安心したのかニッコリと太陽な笑顔で返してくれた。 「・・・・・・・俺、この場所に永住しようかな・・・・?」 そんな訳行かないのはお前が一番知っているだろう!!サーレー!! シエスタと二人で色々と会話をし、色々とこの国の状況を聞きだしていると台所のドアがいきなり開いた。そのドアの中には四十絡みの髭面のコックの服装をした男がいた。 おそらくここのコック長だろう。サーレーは恰幅の良さといかにもベテランという雰囲気がそういう結論にたどり着いた。その男がサーレーを見ると口を開いた。 「あんたが貴族を相手に大暴れしたって言う野郎かい?」 どうやら、顔が笑顔だが目は笑っていないところを見るとなんだか俺を快く思っていなさそうだ・・・・。と、サーレーは結論づけた。 一応、相手の出方を見ようと多少、斜に構えながら本当のことを言った。 「そうだけど?何か?」 これで相手の真意が分かるだろう。サーレーはこの男を警戒していた。 もしかして、俺のボコッた貴族のガキの中にこいつの息子か娘でもいたのか!? そうなったら、ニコニコしながら杖を取り出して俺を仲間と取り囲んでボコボコに!! サーレーがあらぬ想像(本日すでに二回目。)をして顔を真っ青にしているさなか、目の前のコック長。 マルトーは感動で涙チョチョ切れだった。四十絡みのおっさんがみっともないことこの上ないがこの男はこれを毎回、自分に他人に良いことが起こるたびに泣く男。 とんでもないくらいの感動屋なのだ。年をとると涙もろくなるというがこの場合はチョット異常だ。異常といえばサーレーの勘違いも異常な妄想の域に行っているが・・・・。 しかもサーレー(と書いてヘタレよ呼ぶ)はこの涙をみて・・・・・。 (このおっさん!子供の復讐ができるからって涙流してやがる!! 殺す気だ!!どんな殺し屋でもこんな明確な意志はでねえ!!) もう呆れて感想を言うこともはばかれる・・・・。 「あの・・・・。サーレーさん?マルトーさん?」 シエスタもこの二人の間の空気がこの数秒間で微妙に変わったことを感じ取っていた。 それと同時に妙な嫌な予感も・・・・・。 ソウコウしているあいだにマルトーの感動ゲージがMAX!!! やばいぞ!!逃げろ!!サーレー!! 「わ、」 「わ!?(声に出して読むときは普段より一オクターブ高く言おう!)」 「われらが剣よぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 サーレーに向かって一直線にマルトーが向かってきた!!もちろん憎むべき貴族をぶちのめした自分たちの英雄に対して凱旋と感謝の意味で!! その巨体のダイブと強靭な腕による握激は常人に対しての死刑宣告でも会った!! 「うそだろ・・・・。くるな・・・・。くるなよ・・・。どこから来るんだ?いったい!!」 そしてサーレーは数日後自分のボスの数回目の断末魔に使われえる言葉を先取りして使ってしまうことになった!! おれの傍に近寄るなー!! ぼきゃぼきゃぼきゃ!! ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! サーレーがマルトーに抱き潰されてから数時間後 トリステイン魔法学院 食堂 「まったく・・・。あの蜘蛛頭どこ行ったのかしら・・・・?」 ルイズはしばらくしても帰ってこないサーレーを心配になって、あちこち探したのだかまったく見つからずにもう登校時間になってしまった為、仕方なく登校してきた。 サーレーが心配すぎて午前の授業もまったく身が入らなかった。 (まさか、逃げてないわよね?大丈夫よ!!たぶん・・・・。) そこまでルイズは考えるとなんだか悲しくなってきた。たぶん、なんて無いのだ。彼は家族のために故郷に帰りたかったのだ。ここから逃げるのは当たり前だ・・・・。自分の我が侭に付き合う義理は一切無い。 「なによ・・・・。裏切り者・・・・。」 ルイズは寂しい顔をしながら静かにつぶやいた・・・。彼は自分を裏切ることは無いことは分かっている。なにせ、彼とルイズは何一つ約束もしていない。あるのはただ一つ、自分から押し付けられた“契約”・・・・。 そして彼女は自分が改めて何も無い“零”なのだと気が付いた・・・・。“気が付いて”しまった・・・・。 「ああ、せめて素直になって友達くらい作ればよかった・・・・。」 ルイズは自分を肯定してくれる人を無意識に欲っした。そのまま彼女は泣きながらテーブルに突っ伏してしまった。 そんなルイズを影から心配する希少な人間が数名というところか。存在していた。 「彼女・・・。大丈夫かな?」 その一人、ギーシュ グラモンとその彼女、モンモランシーが泣き突っ伏しているのを遠くから心配そうに見ていた。 この二人は通常ならば敵対するか他の生徒と一緒におちょくるかしているのだが、この世界ではちょっと違っていた。 彼らは、確かに一時期彼女を馬鹿にしていたがとある理由からを影から助けている。 彼女に魔法を教えたり、クラスで孤立しないようにしたりといろいろ手を尽くしたのだが・・・。成功したとは言い難かった。むしろ彼女のプライドの高さに触れ、大失敗を喫した事の方が多かった。 でも彼らはあきらめなかった。表には出なかったが何とかしようと陰ながら努力してきたつもりだった。 やはり、学校一の女好きとして女の子の涙を見過ごすわけには行かなかったのだろう。 モンモランシーもそんなギーシュの愚直さとも言うべき優しさに、浮気ばかりする駄目男だが、惚れたと言ってもよかった。 ギーシュは見かねた様子で席を立つと静かに隣の最愛の恋人の耳元でつぶやいた。 「やっぱり、ちょっと探してくるよ・・・。」 「わかった。昼食はメイドの誰かに言って何とか残してもらうから。授業には間に合うようにネ。」 ありがとう、とギーシュは礼を言うと静かに無駄に豪華な装飾がしてある広い食堂を走り出した・・・。 ギーシュが外に出るとそこで二人、見慣れた人物を見かけた。燃えるような赤髪に背の高いグラマラスなからだの持ち主。そしてその横にはまったくといって良いほどの正反対の青い髪と小柄な眼鏡の少女が食堂の門の前に立っていた。 「あれ?キュルケにタバサじゃないか!食事に行かないのかい?」 よく見ると二人とも制服が少し汚い。・・・・・まさかと思うが。 「まさか・・・・。二人とも捜してたのかい?ルイズの使い魔。」 ニヤニヤと笑いながらギーシュが二人をみる。日ごろから馬鹿にしておいてこんなときに助けるなんて新手のツンデレ使いもいいとこだ。 「ニヤニヤ・・・・。」 「な、なによ!!その顔!!なんか悪い!?」 キュルケが明らかに焦った顔をして、さり気に肯定する。 「イヤー。何だかんだいってもルイズのことが可愛いんだなーって。」 なによ!と起こるのかなぁとギーシュは思っていたのだがそんなことなく「はあ・・・・。」と一つ大きなため息をつくと地面を見ながら、一言呟いた。 「あの使い魔。台所でなんか料理長の手伝いしてたわよ。」 「・・・・・へ?」 灯台下暗し 寝耳に水とキョトーンとした顔でキュルケを見るしかないギーシュだった。 そのとき・・・・・。 「なにすんのよ!!この馬「なめてんじゃねーぞ!!このションベンチビリの餓鬼!!」」 そのルイズと誰かの怒鳴り声の次にバンと物が打ち付けられる音が響いた。 二人は顔を見合わせると慌てて食堂の中に走って入っていった。タバサも二人の後に続くように食堂の扉に吸い込まれていった。 一方サーレーの方は・・・。 「いやーまったく悪かったなあ!!ガハハハハハハ!!」 マルトーが笑いながら、サーレーの体をバンバン叩いた。 そのたんびにサーレーの体がガクンガクンと前後上下に激しく動いた。 「うん。わかった・・・・。わかったから・・・。叩くの止めてくれ・・・。」 サーレーと会話したマルトーはサーレーがマルトーを貴族に親族がいて復讐に来たのかと思ったこと。 自分が召喚された経緯を話した。 そして、サーレーはマルトーが筋金入りの貴族嫌いだと分かった。 最初のほうなんか話したときにあからさまに嫌そうな顔をされたからだ。あと、最後のほうはマルトーとシエスタになら話しても大丈夫だと思ったからだ。 少なくとも、馬鹿にされることもないし、狂っていると思われることも無い。 実際、二人は別世界のくだりを不思議そうな顔でサーレーの話を聞いていたがサーレーの能力と持っていた携帯電話で何とか信じ込ませた。そして、家族のことも話した。案外、あっさり信じてもらったのでサーレーはあまりのあっさりさに驚いていた。 それどころか、マルトーは本気で憤慨し地団太を踏んで床を踏み抜きかけた。 「貴族の身勝手で一人の家族を不幸にしていいのか!!」と。 この二人のお人好しさにたまらずサーレーは二人に叫んだ。 いままでギャングという誰も信じてはいけない環境がこの二人のお人好しについて行けなかったのだ。 「お前ら!!俺の話がうそかもしれないのに!!よくそんな風に信じられるな!!」 サーレーの叫び声に二人がキョトーンとしてサーレーを見た。 「嘘・・・・なんですか?」 その顔のままシエスタが静かにサーレーに質問する。 「いや・・・・。二人ともあっさり信じてもらえるもんだから・・・つい・・・。」 その言葉にシエスタが寂しそうに笑いながら、安心したようにサーレーの言葉の中に隠されている質問の答えを話す。 「ここでは貴族の力が強くて私たちが弱いから・・・・力をあわせて生きていくしかないんです・・・。 私たちが、仲間同士で疑ったら終わりなんです・・・。」 「・・・・そうか・・・・。」 ああ、ここも一緒なんだ。と、サーレーは思った。力があるものは弱い人間を従えられるし、弱い人間は利用されるばかりなのかと・・・・。 「あ!私そろそろ行きますね!もうすぐ、朝食の時間ですから。」 「ん!そっか。じゃあな。」 そういうとシエスタは厨房から食堂に走っていった。 「さーて、俺も仕込みに戻るかな!」 マルトーも行ってしまおうとするとサーレーもマルトーについてくる。 「・・・?どうした?」 「朝飯の礼だ。なんか手伝うよ。」 「それじゃあ、皿洗いでも頼むか。」 マルトーがニッコリ洗いながら、サーレーの肩を叩いた。 そして 時間は現在の少し前に戻る ルイズは突っ伏して泣いていたが泣き顔をみんなの前で見せていることに気が付き、慌てて泣くのを止めた。 なにやらギーシュが急いで外に出たのが見えたが気にすることは何も無かった。 しばらく、だまって食事が運ばれてるのを見ているといきなり丁度、ルイズの座っている所から反対側の三年の列で怒鳴り声が聞こえた。 「おい!平民!!俺の、俺のマントにケーキひっくり返しやがって!!覚悟できてんだろうな!!」 柄の悪い、本当に貴族かと思うほどの濁声とジャラジャラとなにやらよく分からない金属のアクセサリーを付けるファッションセンス。 センスの悪さと服装の空気の読めて無さはギーシュ並み・・・・。と、明らかに不良だ。しかも、ここの学園の中でもあくどい事で知られる血管針団の一人、ペイジではないか。 その濁声の先にはか弱そうなメイドの少女が必死で頭を下げている。 「申し訳ありません!!貴族様!!どうかお許しを・・・。」 「誤ればすむ問題じゃねえんだよ!!覚悟しろよ!! 」 ヒッ、とメイドが小さく叫んだ。誰も近くの人間はメイドを助けに行こうとしない。というか助ける気も無いのだろう。たかが平民ごときに四人全員がトライアングル級の血管針団と喧嘩をするやつはいない。結局、こいつらは自分のことしか考えていないのだ。 そう考えると、ルイズは考えなしに立ち上がっていた。自分でも理由はわかっていなかった。 「ちょっと!止めなさいよ!!」 ルイズは二人の間に割って入る。ペイジは「アアン?」とルイズのほうを見た。 「これはこれは、ヴァリエールの不肖の娘、ゼロのルイズ様では御座いませんか~。今時人助けですか~。涙ぐましいことですね~。」 「いいからそのメイドを放しなさい!!あなた貴族でしょう!!誇りは無いの!?」 すると後ろのちょうどルイズの肩から声が聞こえてきた。 「それが無いんだなー。誇りなんかでご飯は食べれないよ~。」 ルイズが後ろを見るとそこには血管針団のリーダー:ボーンナム ド デスブロウド が自身の杖である折りたたみの金属の棍棒をルイズのほほにぐりぐりと突きつけながらニッコリと笑って答える。 彼の後ろには同じく団員のプラントとジョーンズも自身の杖である長いナイフとスティレット形の銀の杖を構えて立っている。 「いやーさ。僕らの家って誇りとか大事にしすぎてつぶれかけた家系だから、誇りとかドーデモいいんだよね。むしろ、だいっ嫌いなんだよ・・・。」 だからさ・・・・と、ボーンナムがルイズの耳元でぞっとするような冷たい声で囁く。 「能力も無いくせに誇りとか喚く君も嫌い。」 そしてボーンナムは自分に部下のプラントに命じた。 「プラント~。その女の子、僕の部屋に押し込んどいて・・・・。体で分かってもらおう・・。」 端正な顔から邪悪な笑顔を出しながらボーンナムが冷徹に命じた。 「はい。ボーンナムさん。」 プラントが無表情で命令を実行する。 「いや・・・・。止めて・・・・。お願いですから・・・・。」 そのメイド、シエスタが泣きながら連れて行かれていくのをみて、ルイズがボーンナムの腕をすり抜け、そのままプラントにタックルをかました。 ぬ、っといってプラントが少しよろめいた。 「なにするのよ!!ば「なめてんじゃねえぞ!このションベンチビリの餓鬼!!」」 プラントに気を取られて気が付かなかったが近くにはペイジがおり、即座にルイズの胸倉をつかみ地面に引き倒した。 ルイズは自分の懐の杖を掴もうとするがその手をペイジに胸倉と踏まれてしまった。 「げほっ!!」 「あぶねえあぶねえ。お前の爆発はラインか、もしかしたらトライアングルに届く火力だからな。」 ボーンナムが倒れたルイズを見下しながら嘲笑う。 「おやおや・・・・。もしかして、君も俺らの“説教”に混ざりたかったのかな? まさかゼロのルイズがエロのルイズとは!!」 そのまま、ジョーンズがルイズを立たせるとそのままルイズも一緒に連れて行こうとする。 「な、なによ!離しなさいよ!!この鬼畜!!」 「鬼畜で結構。きみ、顔は中々上玉だから楽しめそうだよ・・・・。」 「い、いや・・・・。」 ルイズはここでなぜ彼女を助けようと思ったのかわかった。自分を唯一否定しないひと、自分のすぐ上の姉が自分が平民を見捨てたなんて知ったら・・・・今度こそ私は一人ぼっちだ。そんなの嫌だと思ったからだ。結局、自分本位の考え方の末路だ。 改めてルイズは自分が自分のことしか考えてないのだと痛感してしまった・・・。 「さあ、二人とも行こうか・・・・。」 ボーンナムがニッコリと冷徹な笑みを二人に向けると同時にペイジがいやらしい笑みを二人に向けた。 それと同時に・・・・。 グワッーーーーーーーーーーーーーシャーーーーーーーーン!! なんといきなりペイジの体が中を浮いてテーブルに突っ込んだのだ。 「なんだーテメーら、ロリコンかよぉ!!よくこんなチンクシャに欲情できんなぁ!!」 こいつらチンピラと変わらない濁声だがどこかで聞いたことのある声。 そして、印象に残る甲殻類か蜘蛛の一種のような髪型。季節外れのノースリーブの服装。 そして何故か下半身の動きやすそうなズボンの上にエプロンをしていた。 「あんたどうして・・・・。」 ルイズはその男、サーレーを見上げる。何故、帰ってきたのかと問おうとする前にサーレーが口を開く。 「他人を助けようとするあんたの甘さが一つだけあんたに帰ってきたのかもな・・・・。」 「なんだ!!てめえ!!」 ジョーンズがサーレーに殴りかかるがそのパンチを右手で簡単に止められ・・・・。 「軽い軽い!魔法に頼りすぎると体鈍るよぉ~。坊主。」 最初のところまでは小ばかにしたように笑っていたが最後の坊主の部分はギャング特有の殺気を込めた迫力のある濁声を張り上げた。 ジョーンズの顔に左ストレートがめり込む。 「ブッ!!」 ジョーンズがペイジと折り重なるようにテーブルの上に吹っ飛ばされた。 貴族の一人の少女が近くのテーブルを飛ぶように滑ってくる二人をみて、ヒッ!と悲鳴を上げた。 その近くの男がその姿を見てサーレーに講義する。 ちなみに彼らはサーレーが昨日、二年生全員を相手に大暴れしたことなど知らなかったのでただの厨房の従業員かと思っていた。 「おい!平民!!こっちに被害を出す気か!!喧嘩なら外でやれ!!」 「そうだ!!」 「そのままボーンナムたちにやられちまえ!!」 周りからブーイングの嵐が吹き荒れるがそんなこと物ともせずにサーレーはギロリと周囲の野次馬を睨んだ。 一瞬、食堂内が水を打ったように静かになった。 「おまえらの中で、こいつらを助けようと思って行動したやつがいるのか?お笑いだぜ!! 平民だのゼロだの馬鹿にして、自分たちは安全なところで高みの見物しやがって!!自分のルールも誇りも自分で勝ち取ったものも無いくせに!!偉そうにしやがって!!お前らがより、ルイズのほうが数千倍価値のある人間だぜ!!まったく!!」 サーレーは一言、野次馬たちに激を飛ばすとルイズとシエスタを不良たちから引き離した。 「まったく、あいつら。やっぱり甘ちゃんだな。あんなのが将来軍人とか国の高官になるとかもうこの国終わったな・・・・。」 ギャングの自分には関係の無い話ではあるが、とサーレーは一人ごちた。 「・・・・・きみ、何してくれちゃってんの?」 ボーンナムが殺気満々の目でサーレーを睨んでいた。 「・・・自己満足。」 サーレーは軽く言うとニヤッと笑う。 ボーンナムもフッと笑うと杖をサーレーに向けた。 「そうだ君。決闘しよう。」 「はあ?」 サーレーは拍子抜けしたような表情で叫ぶがボーンナムはいたって本気だった。 「君が勝てば、この二人は放す。二度と近づかない。ただ、僕らが勝てばこの二人は僕らの“教育”を受けてもらう。いいね?」 「いや、全員だ。」 へっ?というボーンナムに対し、今度はサーレーが本気だった。 「ここにいる全員が平民とルイズを馬鹿にしねえ。それが条件だ。」 「・・・僕の一存ではどうにもならないけど、まあ良いや。」 「「「「「「「「いいのかよ!!」」」」」」」」 周りからまたブーイングの嵐になりそうだったが、サーレーとボーンナムのにらみで黙らせる。 「じゃあ、僕らは先に広場で待ってるよ。」 プラントとジョーンズが今だ気絶するペイジを抱えてボーンナムについていった。 それを見送ったサーレーにルイズが声を掛ける。 「あの・・・・ありが「何でなんですか!サーレーさん!!」」 いきなり横のメイドに邪魔をされた。 ちょっとルイズがむすっとした様子でサーレーとシエスタを睨んだ。 「殺されちゃいます!!何であんなこと・・・・。」「そうよ!!あの四人は学校でもトップクラスのメイジなのよ!!今すぐ誤って・・・・。」 ルイズもそういったが、その時にサーレーが二年相手に互角以上に渡り合った実力者であると気が付いた。 その二人のあせった様子にサーレーはヘラヘラ笑うと二人の肩をポンポンと叩くと、こう言った。 「ダイジョブだ。俺はあんな雑魚に負けねえ。二人とも俺の力、判ってんだろう? あ、あと悪かったな。いきなり居なくなって。」 サーレーがルイズに向かって詫びた。 「へっ?・・・・分かっているなら・・・良いわよ・・・。」 ありがとな、とサーレーは礼を言うと食堂を出て、広場の場所に進んでいった。 その後姿は今までのへたれの雰囲気は微塵もなく、とても頼もしく見えた。 さあ、真似しましょう。うまく、うまく真似しましょう。死と恐怖だけ真似しましょう。 いつもの如く真似しましょう。誰か誰もが泣き叫ぶような悪夢に真似しましょう。 ここには希望は一人もいません。遠い東国の少年も、金色の心を持つものも、運命のトリックスターはどこにもいません。 悪に対する取立人はこの国にはやってこられない。この世界にはやってこられない。ワクワクワクワク・・・・・・。 あの男の代用品がどこまで生きていられるか楽しみでしょうがない。まずはゆっくり調理しましょう。 邪魔者を消しましょう。彼女と邪悪な心の鉄球使いを使って今日は一組のイレギュラーを消しましょう。 ついでにキザな土使いとその彼女も消しましょう。邪魔で、邪魔で仕方ない・・・・。 ただのギャングには止められない。ただの少女には止められない。ただの戦士や百戦錬磨の武人なんかまず無理だ。ワクワクワクワク。 楽しくて楽しくて・・・・・。 楽しさだけで絶頂しそうだ!! さあさあ、皆さんお立会い!グランギニョル座の開演だ!! 同日 トリステインにて変死した政府高官の貴族の持っていた一通の手紙より・・・・・