約 1,871,739 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8659.html
前ページゼロのペルソナ 正当なる虚無の担い手であるジョゼフの死、つまり完二たちがこの世界での役目を終えたということに他ならなかった。 ハルケギニアを訪れて、契約者との接吻から鋭い痛みを伴って刻まれたルーンは彼らの胸から消えてなくなっていた。 消えた印と開かれている扉。異世界から呼び出された使い魔たちは仲間たちと共に彼らの世界に帰るべきなのだろう。 実際にルーンが消えた今、完二も陽介もそしてクマも強い郷愁の念に駆られていた。 使い魔のルーンは主への忠誠のために過去いた場所への思い出などの感情を弱める働きをする。だから彼らは今、自分たちの世界へ強く惹かれている。 そうだというのに完二たちは銀色の扉をくぐることをためらった。 このまま扉をくぐってしまえば二度とこの世界を見ることはできない、ハルケギニアで出会った人々と、旅をしてきた仲間たちと二度と会えないという事実が彼らの決断を鈍らせている。 名残惜しそうにしている完二、陽介、クマを送り出したのは彼らのリーダーであった少年だ。彼は別れの挨拶の大切さをよく知っている。 「悪いな、相棒」 「スンマセン!恩に斬るッス!」 世界の力を持つ彼はワールド・ドアを維持することを約束すると完二と陽介はそれぞれルイズとタバサと共にアーハンブラ城へと戻っていった。 赤いカーディガンを羽織った長髪の少女――雪子はぽつりと言った。 「ねえ、巽くんや花村くんの挨拶しておきたい人ってどんな人かな」 「さあ」 流すように答えた口には薄い笑いが浮かんでいた。 ところで、と始めたのは直斗であった。 「クマくんはどうしてここにいるんですか?」 「ギクッ」 クマは会話に入ろうともせずに存在感を消すように立っていたのだが、いかんせんよく目立つキグルミ姿でそれは無理があった。 千枝とりせ、雪子は言っちゃったという顔をする。 「それは言っちゃダメだよ、直斗くん」 「そうそう」 「クマくん一人ぼっちなんだから」 雪子がそう言ったときクマは傷ついたのか「グサッ」とわざわざ口で言った。 実際、彼女らの言葉を間違いだと否定しきれないのがクマにはつらいところだった。 完二はシエスタ、陽介はイザベラに別れを言いに行っているのにクマには言うような相手がアーハンブラ城にはいないのだ。 「しどいクマ……いいもん!クマにはキュルケチャンがいるから!」 クマはキュルケに抱きついた。彼女は苦笑しながらよしよしとその頭をなでる。 クマはしばし撫でてもらい気持ちよさそうにしていた。しかし表情を曇らせてポツリと呟いた。 「でも……こうするのも最後なんだ……。使い魔のシルシも消えちゃったし……」 クマの言葉を聞いてクマを撫でるキュルケの手が止まる。そのまま数瞬の時が流れてからキュルケはその手でクマを押すようについた。 「あいて」 クマはその丸い体でボールのようにすってんころりんと倒れてしまう。 「な、ナニするんですかーキュルケチャン!あー、起き上がれないクマ!」 「あなたがらしくもなく、さみしそうにするのが悪いのよ」 「でもでも……」 ほら、と言ってキュルケは両手を伸ばしてクマの手をとった。少女の手を借りてクマは立ち上がった。 「例えルーンが消えてもあなたとわたしが過ごした時は消えないし、たとえ別々の世界にいてもわたしたちの関係は変わらないわ」 クマは上目づかいに不安といくらかの期待を込めながら尋ねた。 「わたしたちの関係ってナンですか……?」 「使い魔とご主人さま」 ガックリとクマは肩を落とす。もっと色気のある答えを期待していたのだが、それが打ち砕かれたと消沈する。 「クマ使い魔止まりですか……オ?」 クマの頬にキュルケの手が添えられる。そしてキュルケは唇をクマに重ね合わせた。 それを見たギャラリーたちは驚き、言葉にならない声を出す。 唇を離した後もボケっとしていたクマにキュルケが言った。 「わたしの大切な使い魔……それじゃ不満かしら?」 クマははっと気を取り戻した。 「と、とんでもないです!な、なんてゆーかうふふふふ」 クマは喋っている途中に先ほどの幸福を思い出す。 キュルケもふふっと笑う。それはとても魅力的で優しい笑みだった。 クマの胸に痛みと共にルーンが刻まれることはない。 代わりに彼の胸には確かな絆と幸福感があった。 アーハンブラ城のある一室。一つの机を三人が取り囲んでいた。 「そう……父上が……」 陽介とタバサから事の顛末を聞かされたイザベラは呟いた。 「なんとなくそうなるんじゃないかって思ってたんだ……」 「イザベラ……」 陽介はイザベラが落ち込んでいないかと心配する。たとえあのジョゼフといえでイザベラにとってはたった一人の父親だったのだ。 「大丈夫だよ、ショックだけどわたしにはタバサやおばさまがいるから。家族がいるから」 そう言ってイザベラは心配する陽介に少し笑ってみせた。疲れたようであるが決して作り笑いではない。 「でもヨースケまでいなくなっちゃうのは寂しいわ……」 「いきなりで悪りいな」 イザベラはゆっくりと首を振った。 「仕方ないよ。あんたは別の世界から来たんだろう?」 「信じてくれてたんだ?」 「信じるって言ったじゃない」 イザベラは苦笑し、陽介はそうだけど、と口ごもり気味に答えた。 「こっちに残る気はないのかい?あんたがその気なら女王の側近になれるよ?」 イザベラは陽介に残留の意思を尋ねた。 彼が望むならばガリア国の重鎮としての地位も用意できるうえ、彼はこの世界の救世主なのだ。 その気があればあらゆる富も名声も手に入れられるだろう。 「それ、すっげえ魅力的だな。元の世界に戻ったらそんなエラくなれるチャンスはねーな」 でも、と陽介は続ける。 「俺んちはただのスーパーのチェーン店……ってわかんねーか。 親父が大きな店の支店長くらいで、俺の住んでたのは何もないのがいいところみたいな田舎なんだ。 そりゃもうビックリするくらい田舎でな。でもな……俺はそんな町が大好きなんだ。 昔はキライだったんだけどな。今は早くあの町に帰りたくて仕方がねー」 陽介の胸の中には望郷の念が強くうずいていた。ルーンが消えたことにより彼は今までないほど故郷に恋焦がれている。 陽介は隣に座っているタバサに顔を向ける。彼女はイザベラに説明を終えてから黙ってうつむいたままになっていた。 「なんていうか……だから悪いなタバサ。俺帰らなきゃいけねーんだ。本当はもっと一緒にいてやりてーんだけど……」 タバサが顔を上げたとき陽介は続けるはずの言葉を失った。対面に座っているイザベラも目を点にしている。 彼らは信じられないものを見たようにタバサの顔を見つめていた。 タバサの顔に浮かんでいるもの、それは笑顔であった。歳相応の屈託のない笑顔のままタバサは喋り続ける。 「心配しないで、ヨースケ。あなたにいっぱい勇気をもらったから。 お母様もイザベラもいるから大丈夫。全部あなたのおかげ。それにわたし…笑えるようになったから」 陽介は驚愕から意識を取り戻し、そっかと呟いた。 「なら安心だな」 うんとタバサは頷く。 「あと、やっぱ笑った方が全然かわいいと思うぜ」 タバサは笑ったままだったが少し頬の朱が強くなる。 「なんだったら昔みたいに髪長くしたらどう?」 イザベラがタバサに提案した。陽介もそれはいいんじゃないかと同調するとタバサも少し思案顔をした。 2人が言うならばそれも悪くないと思っている。 使い魔のルーンが消えても陽介がこの世界に来てからタバサや出会った人々との間に築いた絆は変わらない。 完二はルイズが手綱を取ったペガサスで城に戻ってきてからシエスタを探して歩いていた。 どこにいるかはわからないので、メイドがいそうなところを探す。とりあえずは食堂に向かう。 そして食堂に着くまでの道のりでもう一振り挨拶をしておくモノに語りかける。 「おい、デルフ」 「なんでえ相棒」 完二の肩にかけられた剣がカチャカチャと答える。 「いや、ベツになんかあるってワケじゃねーけどよ。オマエともこれで最後なんだな」 「そうだなぁ……」 一人と一振りの間に沈黙が流れる。沈黙を破ったのは完二だ。 「これからどうすんだ?」 「どーすっかなぁ。もう役目は終わっちまったし。 もしかしてお前さんからルーンが消えたみたいに俺の意識も消えるんじゃねーかと思ったけど、んなこたあねーみてーだな」 デルフリンガーはぼんやりとしたように言った。 そんなデルフに完二は歩みを止めないまま喋った。 「役目が終わったつーならもう自由っつーことだろ?ならデルフがこれから自分で決めればいいんじゃねーのか」 「おっ、カンジにしてはなかなか気の利いたこと言うじゃねーか」 「オレにしてはってなんだ!してはって!」 「でもなあ…ま、とりあえずは嬢ちゃんちにでも居るとするさ」 「いいのかよ?」 「でーじょーぶだろ。始祖が作った剣だから聖剣なんて呼ばれて手入れだってちゃんとしてくれるかもな」 「んだそりゃ……」 完二は呆れた風だった。 「ま、6000年も待ったんだ。しばらく考えさせてもらうさ」 デルフリンガーとの会話が一段落ついたとき、完二は廊下でばったりとシエスタに会った。 シエスタは驚いたように完二を見つめていた。 完二も心の準備が出来ていなかったため驚いていた。 「シ、シエスタ…よ、よう……?」 完二の気の利かない挨拶を無視するようにシエスタは跳びつくように抱きついてきた。完二は顔を真っ赤にしてさらに慌てる。 「お、おお!?」 「戦いがあったって……ずっと前で戦っている人たちがいるって聞いて……カンジさんたちだと思って……無事で本当によかった……」 シエスタは完二の胸に顔を押し付けるように泣いていた。自分がどれほど心配をかけたかに気付いて胸が痛くなった。 「悪りい……。心配かけたみてえだな」 シエスタは首をぶんぶんと振った。 そして少しの時間の間、シエスタは顔を押し付けたままだった。それからシエスタは顔を完二の胸からはがした。 目が赤くなっていて、目からあごまでのラインが濡れていた。 非常に心配されていることがわかり、完二はそもそもシエスタに会いに来た理由を言い出しづらくなる。 だが言わないわけにはいかない。 「シエスタ、実はオレ帰るんだ」 「えっ?」 シエスタは疑問符を浮かべた。 「信じらんねーと思うけど、オレはもともと別の世界に住んでて、今から帰らねーといけねーんだ。たぶんもう会えねえ」 稚拙な説明だと自分でも思ったが、自分の言葉で説明しないといけないと完二は思った。 信用されるとは思っていなかったが、信用して欲しい。 「わかりました」 完二の予想に反し、シエスタは完二の期待通り信用してくれた。 あまりにもすんなりと信じてくれたため完二が戸惑ってしまう。 「んな、簡単に……」 「なんとなくカンジさんが普通じゃないって感じてて、別の世界から来たといわれた納得しちゃいました」 えへへと笑う。それから彼女はじっと完二を見た。 「そっか……。 んじゃあマルトーのおっさんや他のやつらにもヨロシク言っといてくれ。メシ美味かった、あんがとさんってな」 「はい、わかりました。その前に」 シエスタは完二に近寄って仰ぎ見る。 「高いな……カンジさんちょっとしゃがんでください」 「はっ?なんでだよ?」 「いいからいいから」 結局彼女に言われるままにカンジは膝を折る。 「目をつぶってください」 「ん?おお……」 よくわからないまま完二は目をつぶった。 それから完二の頬に何か柔らかいモノが触れる。 すぐにはそれが何かわからなかったが、直感的に悟り身を引きながら目を開ける。 先ほどまで完二の顔の近くにシエスタの顔があった。目をつぶる前よりもずっと近づいている。 彼女の顔はいくらか赤くなっていたが、完二の顔はそれよりもはるかに真っ赤だった。 「お、オマエ!ナニしたんだ!?」 シエスタは笑って答えた。 「諦めるために必要なことですよ」 「あ、諦めるって何をだ!?」 「もう、そんなこと女の子に言わせないで下さい」 それからシエスタは唇に指を当て、上目遣いに完二に言った。 「砂と汗の味でした……」 完二は口をパクパクとさせる。完二の代わりに彼の肩から掛けられた剣が笑い声を上げる。 「相棒、言われてんぞ!」 完二はシエスタに何も言えず、「るっせ!」と剣にだけ抗議した。 デルフリンガーはげらげらと笑い、シエスタもクスクスと笑っていた。 完二とシエスタは二人並んでアーハンブラ城の廊下を歩いていた。 シエスタが見送りをしたいと言ったからとりあえず馬を借りに行こうとしているのだ。 完二は先ほどの出来事が忘れられずに歩く姿さえぎこちなく顔も幾分赤いままだったが、シエスタはというと澄ましたものだった。 完二はその様子に、女という生き物の恐ろしさを感じずにはいられなかった。 とはいえ不快感を伴うものではなく、敵わないという思いになるものだったが。 なんとなくお互い喋らずに歩いているとちょうど反対側から誰かが歩いてきた。 長いピンク色の髪を歩調と同じリズムで揺らしているその姿はルイズであった。 ルイズと完二たちは互いに2歩か3歩ほどの距離をとって止まった。 ルイズは何かいいたげにモジモジとしている。何かを隠し持っているのか両手は背中に回されていた。 シエスタはその様子を見て何かを察したのか「お先に行かせてもらいます」と断りを入れてその場を離れていった。 シエスタがルイズにもあいさつをしていったあと、まだしばらくルイズは何かを躊躇していたが覚悟を決めた顔になり完二に歩み寄ってきた。 「これ、受け取りなさい!」 背に隠していたものを完二に突き出した。完二は言われたとおりに受け取って。そしてしげしげと見る。 「コイツぁ……」 それはあみぐるみだった。ぱっと見ではわからなかったが、ライオンであるようだ。 「最近なんかやってると思ったらこんなもん作ってたのか……」 既成品ではなく手作りであることは間違いなかった。 反対側の足の長さが不ぞろいであったり、中につめている綿の見えているところもある。 最近夜な夜な何かをしていると思っていたがこれを作っていたようだ。 「そうよ、悪い?」 なぜかルイズは唇を尖らせながら言う。 「いや、悪かねえよ。むしろコイツはイイと思うぜ、オレは」 そう言うとルイズの顔はパッと明るいものになる。 「えっ!ほ、本当……?」 「ウソなんて言わねえよ」 完二は手に持ったあみぐるみをしげしげと眺める。 たしかにバランスも悪いし、不出来なところも目に付くが、短い4本足と黄色い顔にこげ茶色の輪がついたその姿はどう見てもライオンであった。 ほんの一月前――いやそれより短かったか――ルイズは毛糸の塊を生産する以外できないような技術だったのだ。 目を見張る成長としかいいようがない。 「と、当然よ!このわたしが作ったんだから」 ルイズは腰に手を当てて胸をそる。威厳を出そうとしているようだが、顔はゆるみきり上機嫌であることは完二にも分かった。 それほど上機嫌なので、じゃあ前に作ったのはナンだよ。と質問するのはやめておくことにした。 ルイズは小さな胸をそらすのをやめて目を伏せがちに言った。 「あみぐるみを頑張って作ってたのも、なんかね……アンタがこうやって帰るってわかってたからなの」 完二はルイズの告白にキョトンとする。 「わかってたっつーと今日戦いが起こるってこととかもか?」 当然の質問だが、それにはルイズは静かに首を振る。 「本当になんとなく、あんたが近いうちにいなくなる……そう思ったの。わたしが虚無の使い手だからかしらね」 かもな。と完二は答える。 確かに近いうちに帰るとわかっていないと徹夜してまであみぐるみを作ったりしないだろう。 それにしても……と完二に別の疑問がわいてきた。 「どーしてあみぐるみなんだ?」 ルイズはもともと編み物は大の苦手であったはずだ。わざわざ苦手な贈り物をすることはないだろう。 もっともルイズが得意なものと言ったら乗馬くらいしか思い浮かばないが。 完二の素朴な質問にルイズは得意げな笑みを浮かべた。 「わたしが成長したってあんたに見せ付けるためよ。 魔法が使えるようになったってだけじゃない。あんたが来てからわたしは成長したつもりよ」 ルイズは完二の手にあるライオンのあみぐるみを撫でた。 「つまりこれがわたしの成長の証」 ルイズは自分によって作られたあみぐるみを愛おしそうに見つめた。 完二はルイズの言葉に強く共感した。いや共感以上であった。 以前渡したあみぐるみからルイズも自分にあみぐるみを作ろうとしただのだろうが、 彼も昔、成長したときにルイズだけでなく大切な人に自分の作ったあみぐるみを渡したことがあった。 自分を認めてくれて、何より自分に自分を認めさせてくれた大切な先輩で、大切な仲間。 ルイズにとって、自分がその人のような存在になれていると思うと完二は嬉しいと同時に少し照れくさかった。 完二は頬をぽりぽりとかいた。 「そだな……すんげー成長したぜ。最初に会った時はウルセーうえに、口だけだったしな」 「言い過ぎよ、このバカ」 ルイズは唇を尖らせて完二をたしなめる。ただその口調は柔らかい。 「本当はみんなでラグドリン湖に行けたらよかったんだけど」 グラン・トロワ宮殿の噴水の前で6人で交わした水の精霊に会いに行こうという約束は果たせない。 ただ、それが心残りであった。完二も忘れてはおらず、申し訳なさそうな顔を浮かべる。 「悪りぃな……」 「ううん」 ルイズは小さく首を振って謝ることはないと示す。 それから彼女は完二の目を見た。 「わたしは成長したから心配なんてしなくてもいいわよ。あんたがいなくなってもわたしは大丈夫だから」 強い言葉と強い意思、そして何よりも2人を繋ぐ強い絆を感じる。 どうやら完二が元の世界に帰るとき、心配しないように勇気付けてくれているようだ。 完二ははっと笑った。 「スゲー成長したっつっただろ。最初っから心配なんかしてねーよ」 ルイズは強くなった。強力な魔法が使えるようになったというだけではない。 彼女の心は強く成長している。完二はとっくにルイズのことを認めていた。 だが彼の想像とは違いなぜかルイズは不機嫌そうに頬を膨らませた。 「心配しなさいよ」 「はあ?心配すんなっつったのはテメーだろ?」 「それとこれとは別よ。使い魔はご主人さまの身を案じるものよ」 ルイズは指を立てて胸をそらしながら言った。 完二はタメ息をついた。 「意味わかんねーし、オメーまだオレを使い魔扱いしてんのかよ?」 「ルーンがなくなったからって使い魔じゃないと思ってるの? いい?そんなのがなくたってあんたはずーーっとわたしの使い魔なんだから」 やっぱり成長してねーんじゃ……。 と呆れたような気分が完二の頭の中に沸き起こる。しかしルイズの表情を見て完二は言葉につまる。 「わたしの使い魔なんだから特別よ。 たとえルーンがなくなっても別の世界に行ってもわたしたちの関係は変わったりしないんだから」 それは完二もはっとするような笑顔だった。 アーハンブラ城の東、ルイズたちが戦ったところに全員が集まっていた。シエスタとイザベラもいる。 完二たちの元いた世界たちの仲間はすでに扉をくぐっており、残っているのは完二たち3人以外ではワールド・ドアを開いている少年だけだった。 もう完二たちは世界扉を通って帰らなければならないのだ。 去っていく彼らに最後の別れの先頭を切ったのはシエスタだった。 「みなさんと過ごした日々は本当に楽しかったです。どうかご元気で」 そしてその胸に抱かれている剣もがちゃがちゃ音を立てて喋った。 「6000年の中で一番退屈しない一ヶ月だったぜ。元気でな」 次にアンリエッタ。 「あなたがたには感謝しなければいけないことがあります。 この世界のこともですが、わたし自身のことも。あなたがたがいなければ今のわたしはなかったでしょうから。 心から感謝しています」 そしてイザベラ。 「あんたたちがいなければきっとわたしは贅沢してバカしてただけだったんだろうね。 昔のわたしならそれでよかったと思ったのかもしれないけど、わたしは今がすごく好きだよ」 従姉にトンと背中を押されてタバサが喋り始める。 「わたしも今がすごく好きだから。みんなのおかげ。絶対に忘れない」 親友が話し終わってからキュルケが続く。 「あなたたちとの毎日はすごく楽しかったわ。忘れろなんて言われても忘れられないくらいにね」 最後にルイズ。 「わたしたちは仲間よ。絶対に忘れちゃダメなんだからね!」 完二たちは当然だというように答えた。 「当たり前だろ」 「クマ、ぜったい忘れない」 「忘れたくても密度濃すぎっから」 彼らは仲間なのだ。強い絆でつながれている。彼らの誰一人忘れることはないという強い確信があった。 灰色の髪をした少年が最後に確認する。 「もういいか」 みながこくりと頷いた。もう伝え残したことはない。 そしてこの世界で一ヶ月以上を過ごした完二、陽介、クマが順に扉を通っていった。 「ワルくなかったぜ、じゃーな」 「みんな元気でな」 「別の世界にいっても仲間クマ」 もう背中は押されたのだ。戸惑うことはない。 彼らは彼女たちとの絆を、笑顔を信じている 彼らは波打つ銀色の扉を通り、そして最後に扉をルイズと共に維持していた少年が通るとワールド・ドアこの世界から消えてしまった。 あとにはこの世界の住人だけが残された。 「行っちゃったわね……」 キュルケがポツリと言った。 「大丈夫」 タバサは確信を持ってそう言った。 「そうよ、大丈夫よ」 ルイズもわかっていた。それはキュルケも同様だった。 ハルケギニアは新しい局面を迎えた。 エルフの土地に隣接していた三種の魔物たちは姿を消し、東との強い交流が生まれるだろう。 そしてそれはエルフにとって人間たちとの戦いの後患がなくなったということでもある。 今、始祖の時代から存在した4つの血筋のうち二つは絶えて、4つの指輪は3つが正当な虚無の担い手と共に消滅し、始祖の使い魔も世界から姿を消した。 だがルイズたちに不安はなかった。 彼女たちの頼りになる使い魔たちはすでに自分たちの世界に帰ったが、彼女らと彼らとの間には印よりも言葉よりも確かな絆がある。 そしてそれはきっとこれからも彼女たちの行く先を示してくれるだろう。 こうして異世界の少女たちと少年たちの旅は完結する。 しかしたどり着いた彼女たちの新しい世界で、帰り着いた彼らの世界で人生は続いていく。 旅は終わらない。 前ページゼロのペルソナ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2581.html
back/ 薔薇乙女も使い魔menu/ next 幼いルイズは屋敷の中を逃げ回っていた。 迷宮のような植え込みの陰に隠れ、追っ手をやり過ごす。 二つの月の片一方、赤の月が満ちる夜。 「ルイズ、ルイズ、どこに行ったの?ルイズ!まだお説教は終わっていませんよ!」 遠くから母の声が聞こえる。いつものように、出来の良い姉たちと比べられ、叱られて いた。 探しにくる召使い達。皆が私の出来の悪さを噂している。 哀しくて、悔しくて、誰にも見つかりたくなくて、『秘密の場所』へ逃げ出す。 あまり人の寄りつかない、中庭の池へ。 池の周囲には季節の花が咲き乱れ、小鳥が集う石のアーチとベンチがあった。池の真ん 中には小さな島があり、そこには白い石で作られた東屋が建っている。島のほとりには、 小舟が一艘浮いていた。 ルイズは小舟の中に忍び込み、用意してあった毛布に潜り込んだ。 「泣いているのかい?ルイズ」 霧の中から声が聞こえる。 「子爵さま、いらしてたの?」 島の岸辺に現れたのは、マントを羽織った若くて立派な貴族。憧れの子爵。 つばの広い、羽付帽子に隠れて顔は見えない。 でも、帽子の下でニッコリ笑った。 島の岸辺から、そっと手を差し伸べてくる 「子爵さま・・・」 「また怒られたんだね?安心しなさい。僕からお父上にとりなしてあげよう」 ルイズは頷いて、その手を握ろうとした。 その時、風が吹いて霧が晴れた。 東屋の中に人がいた。 貴族を背後からジッと見つめる、子供の姿があった。 子供は両手に人形を抱き、背中に皮布で包んだ長剣をさしている。 みんな・・・ 幼いルイズは、子供と人形達に呼びかけようとした だが、声が出ない。誰も答えない 月明かりの下、ただ無表情にジッと貴族を見つめていた。 ルイズはさらに声をかけようとした。 やはり声がでない。体も動かない。 子爵が子供に向き、杖を構えた。 子供は手に長剣を構える。 人形達も宙に浮き、手にステッキや如雨露を持った。 やめて ルイズは叫んだつもりだった。だがどうしても声にならない。 顔も分からない貴族と、表情のない使い魔達が、睨み合う。 「やめてっ!」 ようやくルイズは叫んだ。 だが、その叫びを合図にしたかのように、彼らは駆け出した。 人形達は貴族の杖で、一瞬で粉々に砕かれた 杖と、剣が、ゆっくりと交差する そして互いの武器は、相手の胸を貫いて 「いやああああっ!」 ガバッ! ルイズは飛び起きた。 はぁっはぁっはぁっ・・・ 肩で息をする。布団を握りしめる手が、いや、全身が冷たい汗で濡れていた。 ルイズは外を見た。まだ夜明け前、空に光が差してきていた。 額の汗をぬぐうルイズの周りを、小さな赤と薄緑の光がクルクルと回っていた。 「ホーリエ、スィドリーム・・・大丈夫、ちょっとうなされただけよ」 「どしたい?ちょっとって感じじゃなかったぜ?」 壁に立てかけたデルフリンガーも声をかける。 「そ、そう・・・でも、もう大丈夫よ」 大きく息をつき、汗でじっとりと濡れたネグリジェを脱ぎ捨てる。ベッドを降りて、ク ローゼットの一番下の引き出しから下着を取り出した。 「なんで・・・なんであんな夢見たのかしら・・・」 少しずつのぼていく太陽を横目に、ノロノロと服を着始める。 ぼんやりと、さっきの夢を思い出す。 そして、ふと鏡台に視線を移した。 そこには、不安げな自分の顔があった。 そんなルイズを心配するように、二つの光球はふよふよと彼女の頭上に浮いていた。 アルヴィーズの食堂には、まだ人影はまばらだ。 ルイズは自分の席に着き、ぼんやりとしていた。 彼女の目の前には二つの光球がふよふよ漂っている。 「おはよう、ルイズ」 「おはよう、キュルケ」 珍しく早起きしたキュルケと、相変わらず無表情なタバサが彼女に寄ってきた。 「今朝はどうしたのよ、いきなり悲鳴なんか上げて。おかげであたしまで目が覚めちゃっ たわ」 「ああ、ごめん…ちょっとね、イヤな夢をみてね」 「ふーん。あんたでも悪夢なんか見るんだ」 「それくらい見るわよ」 軽く挑発したキュルケだったが、ルイズは浮かない顔でため息をついた。 二人は入り口横に置かれたテーブルを見た。イスには誰も座っていない。 「ところで、あんたの使い魔達はどうしたの?」 「あ、今はちょっと用事をいいつけててね。しばらく帰って来ないわ」 「あ~、なるほど。大好きな坊や達がいなくて寂しいんだぁ♪」 「ばっバカ言わないでよね!あんなヤツら、ちょっといないくらい・・・」 赤くなって否定したルイズだったが、その声はだんだん小さくなっていった。 「まぁまぁ、いいじゃないの。あたしだってフレイムがいなきゃイヤだもの。 ・・・さっきから気になってるんだけど、それ、何?」 キュルケは、タバサがさっきからじっと見つめている二つの光球を指さした。 「ん・・・ホーリエとスィドリーム」 ルイズは、ぼんやりと二つの光球を見つめながらつぶやいた。 「えっと、名前は分かったけど、何なのそれ?」 「使い魔」 「使い魔…誰の?」 「あたしの」 「…はいぃ?」 「あたしの、というか、真紅と翠星石の」 キュルケの口があんぐりとあいた。 タバサは、目が僅かに見開いた。 「使い魔・・・あのお人形達の?」 「ええ、使い魔、だと思うわ。あたしもよく分からないけど」 ルイズは魅入られたように、宙を舞う二つの光を見つめている。 「…え~っと、それってつまり、ルイズはぁ…その光のタマを使い魔にするお人形を使い 魔にする平民の少年を使い魔にした、て…事?」 「うーん、簡単に言うとそうなるかな?」 ようやくルイズはキュルケ達に向き直って答えた。 「ぜんぜん簡単じゃないわ・・・あんたの使い魔って、どんだけ増えてくのよ!」 ルイズはアゴに人差し指をあて、首をかしげた。 「えっと~、今のところ、これ以上増える予定はないかな?」 「普通、使い魔は増えないんだけど・・・」 絶句するキュルケと、やっぱり無表情なままのタバサをよそに、ルイズはぼんやりと考 えていた。 地球の学校って、どんなのかな・・・ 焼け付くような日差しに照らされたアスファルトの道路を、セーラー服と学生服の二人 が並んで歩いていた。 「みんな、ビックリしてたわね」 「まぁ、しょうがないさ。しばらくはヘンな目で見られるだろうなぁ」 「大変ね。でも、梅岡先生はとても喜んでいたわ」 「別に、そんなの関係ないよ。あれこれ気を使われて、鬱陶しいだけだ」 「そうね、しばらくは我慢ね。トリステインでも色々と注目されてるんでしょ?」 「うん。でも、いい加減慣れてきたよ。まだ油断は出来ないけどな。 そっちはクラス委員、やっと辞めれたな」 「ええ…後は、部活も辞めて、受験勉強に専念したいわ」 「受験、かぁ」 ジュンは、空を見上げた。 季節は、まだまだ夏。もくもくと天に昇る入道雲。 始業式と、二学期のクラス委員選挙を終え、ジュンは柏葉巴と帰るところだった。 「ねぇ、桜田君の家に行っていい?雛苺に会いたいの」 「…ああ、来なよ。あいつもきっと喜ぶ」 「…うん」 桜田家のリビングにはトランクが二つ、テーブルに置かれていた。 ソファーに座る巴は、雛苺を膝に乗せ、髪をすいていた。ジュンも蒼星石を抱えて、並 んで座っている。 TVはワイドショーを映していたが、見てはいない。二人とも人形達をじっと見つめて いた。 いつも無邪気に笑っていた雛苺も、生真面目で常識的な意見ばかりを言っていた蒼星石 も、今はもう、その口を開く事はない。二人とも瞼を閉じたままだ。あれほど元気に飛び 回っていた彼らの体は文字通り、ただの人形になっていた。 「ねぇ、ハルケギニアの人形も、雛苺みたいに笑うの?」 雛苺の大きなリボンを直しながら、巴が尋ねた。 「いや、こいつ等みたいな人形は、ハルケギニアでもありえないんだってさ」 巴は、僅かな失望を含む目でジュンを見つめる。 「でも、ガーゴイルっていう、ローゼンメイデンに近いモノはあるんだ。特にガリアって いう魔法先進国では、すごいのになると擬似的な自我を持たせた、人間と見分けのつかな いモノもあるってさ」 「あ、それじゃぁ」 巴の表情に光がさす。 「ん~、それでもローゼンメイデンにはほど遠いと思う。やっぱり、エルフの技ってやつ が鍵かもしれないなぁ。でも、ハルケギニアの連中って、エルフとすごく中が悪いんだっ てさ」 「エルフまでいるんだ。本当にファンタジーの世界なんだね」 「ああ。どんな姿の連中かまでは知らないんけどな。それにオークとかサラマンダーとか もいるし。でも、ファンタージって言うほど、夢のお伽話じゃぁないよ。現実世界なのは 地球と同じさ。なんでも魔法でお手軽解決、とはいかないな」 「そっか・・・先は長そうだね。ローザ・ミスティカも見つからないし。」 「うん。出来る事から少しずつやってくしかなさそうだなぁ」 「そう・・・」 二人はそれぞれの人形を膝に乗せて、しばらく庭を眺めていた。 TVのワイドショーでは『・・・の上空を飛び回っていた謎のトランクは、ここしばら く目撃情報が無く、警察では単なる愉快犯という可能性を・・・』というレポートを流し ていた。ジュンと巴は、薔薇乙女達がトランクに乗って街を飛び回っていた頃を思い出し ていた。 今はもう、ジュンの部屋のガラスが突っ込んできたトランクで、めったやたらに割られ る事もない。だが、そのホッとして良いはずの事実が、ジュンの胸に針を刺すような痛み を生む。 ジュンが、ふと口を開いた。 「まずは、協力してくれそうな『治癒』の使い手を捜そうと思う」 「ああ、水銀燈が探していた件ね」 「僕たちの秘密を守ってくれて、しかも心臓移植しか助かる手が無いような病気を治せる ような水のメイジとなると、そうそういないけど。それでもまだ、他に比べれば見つかり やすいと思うんだ」 「あらぁ、つまんないこと覚えてるのねぇ。もう忘れてると思ってたわぁ」 二人の背後から声をかけたのは、何時のまにやら来ていた水銀燈だった。 「ああ、お帰り水銀燈。捕まえた?」 「ええ。本当に手間かけさせるわねぇ。まったく恥知らずだわぁ」 ジュンに問われた水銀燈は、ヤレヤレという感じで廊下の方を振り向いた。廊下からは きゃーきゃーごめんなさいーだってだって私だってハルケギニア見たかったのー ごめんかしらーゆるしてー命ばかりはお助けなのかしらー という情けない叫び声が聞こえてきた。 そして、真紅と翠星石に廊下をズルズルと引きずられてきたのは、ツタでぐるぐるまき にされ、薔薇の花びらと黒い羽に埋もれた金糸雀と草笛みつだった。 「なーにを考えてるですかあんた達はー!あたし達の苦労を全部パーにするですかっ!」 「おまけに、わざわざ私達が帰ってきた時を狙うなんて、悪質にも程があるわ」 「だって、だって、見つかったら怒られるかしら?」 「か、カメラマンは時には命を賭けて写真を撮るのよ!芸術に妥協は許されないの!」 「あんた達の命なんか賭けなくていいのよぉ、おバカさぁん。真面目にやんなさぁい」 真紅と翠星石と水銀燈にとっちめられる二人を見て、巴はプッと吹き出した。ジュンは 本当にこんなんでやっていけるのかなぁ、と思いつつも顔はほころんでいた。 ふとジュンと巴は目が合い、さらに二人でクスクスと笑い出してしまった。 「それじゃ姉ちゃん、みんな、行ってくるよ」 「うー、でもジュンちゃん、たった一晩しか休んでないでしょ?今日も学校で色々疲れた んでしょ?出発は今でなくても、もう一晩休んで、土曜の朝からでも」 「ダメよ、のり。あたし達には使い魔としての役目もあるの。ルイズとの約束よ」 「そうですよぉ、その事は何度も説明したですぅ。あんのちんちくりんはスッゴイ寂しが り屋のクセに意地っ張りなんですからぁ。あたし達がついていてやらないとダメダメなヤ ツなんですぅ」 「うう、ジュンちゃん・・・」 ジュン達との再びの別れを寂しがるのりの肩に、ポンっと手が置かれた。 巴が真剣な顔で、首をふる。 桜田家の倉庫、大鏡の前には、彼らが初めてハルケギニアから帰還した時と同じく、何 人もの人と人形がいた。 その時と違うのは、今度はジュン達の出発を見送るために集まった事だ。 水銀燈は、相変わらず倉庫の外で背を向けている。黒い翼がパタパタとはためいてる。 水銀燈は肩越しに鏡前の真紅を睨み付けた。 「ふんっ、何をゴチャゴチャ言ってるのよ。鬱陶しいわね、さっさと行きなさぁい」 「分かってるわ水銀燈、後の事はよろしくお願いするわ」 水銀燈は悪態をサラリと返した真紅を見て、忌々しげに顔を背けた。その頬は、少しだ け赤かった。 「それじゃ、またな」 「心配しなくても、また戻るわ」 「あたし達がいなくてもしっかりしやがれですよー!」 輝く鏡面の中へ消えていく三人の背に、激励の言葉が贈られる。 「ジュンちゃーん!体にだけは気をつけるのよー!」 「頑張ってね。こっちの学校の宿題は任せてね」 「しっかり勉強するんじゃぞ、ジュン君。蒼星石を頼むぞい」 「あの、あの!向こうの写真、沢山取ってきてね!そのデジカメ小さいけど、メモリーは 8Gだからムービーも沢山入るからね!」 「頑張れかしらーっ!悪い魔法使いなんかに負けたら許さないかしらー!」 光の波が広がる異空間への扉は、ただの鏡へと戻っていった。 「頑張ってと言われてもなぁ。何からやったもんだろ」 「おいおい、しっかりしろよなぁ」 トリステイン魔法学院の早朝。 ちらほらと朝食に向かう貴族達を遠目に眺めつつ、広場でジュンは途方に暮れていた。 背中に皮布で包まれたデルフリンガー、腰にナイフ。服装は、先日街でデルフリンガー を買った日に一緒に買った小姓の服。人形達やルイズはいない。 珍しく一人で行動しているジュンの姿に気付く貴族もいたが、特に気にするでもなく食 堂へ歩いていく。 今はもう学院の中にジュンを知らない者はいないので、不審に思われる事はない。武器 を身につけていれば、ルーンの力で少々の危険からは自分で身を守れる。ルイズや真紅・ 翠星石も学院内にいるので、すぐに駆けつけれる。何より、『巨大ゴーレムと戦える剣技 を持つ平民』『マジックアイテム使いの少年』として知られたため、無意味に挑発される 事もないだろう。学院から出れば、小姓の服を着た彼は、どこかの貴族に奉公する平民の 少年にしかみえない。 そんなわけで、ようやくジュンも一人で堂々と行動出来るようになった。なので、朝の 着替え中なルイズの部屋から逃げてきた。 ジュンはストレッチをしながら、朝メシまで何しようかなぁ~っと考えていた。 「うーん、朝メシまで時間あるけど、今できる事は・・・」 ふと目を横に向けると、朝食の準備をするメイド達がいた。 「よし、仕事手伝うついでに情報収集」 「おめーさんは真面目だねぇ」 ジュンは厨房へ行く事にした。 「まさか・・・ホントにあるんですか?」 「ええ、『竜の羽衣』って言うの。地元の皆は、えと、タルブっていう村で、ラ・ロシェ ールの向こうにあるんだけどね。寺院に飾って拝んでるのよ」 「おいおい、いきなりだな」 ジュンは食堂の皿を並べるのを手伝いながら、シエスタに、何か珍しそうな『秘宝』を 知らないか尋ねていた。コルベールから頼まれた『異世界召喚物探索』について、軽く学 院の人々から情報を集めるため、とりあえず学院の人々の中で一番話しかけやすいシエス タに尋ねてみたのだった。 だが、いきなり『秘宝』の情報が出た。 「それって、どんな秘宝なんですか」 「えっとね、それを纏った者は空を飛べるっていうんだけど…まぁ、ぶっちゃけインチキ よ。ひいおじいちゃんは、あっと、『竜の羽衣』を持ってきたのは、あたしのひいおじい ちゃんなんだけどね。飛んでみろって言われても飛べなかったんだもの」 「なーんだぁ」 高価そうな花瓶に色とりどりの花を挿しつつ、ジュンはがっかりした。 「まぁそんなもんさ。お宝なんて、そじょそこらに転がってるもんかよ」 デルフリンガーの意見は、とってももっともだった。 だがジュンは花の配置を整えながら、せっかくの情報だし少し詳しく聞いてみよう、と 考え直した。 「あの、それってどんな形なんですか?」 「え?えーっとね、すっごく変わった形をしているの、あのね…」 と言ってシエスタは、花瓶の水を少し手につけて、水で秘宝の形を描いてみた。 だんだんと形になる『竜の羽衣』を見たジュンは、次第に目を見開き、最後には絶句し た。 「あのっ!これ、今でもあるんですか!?」 「え?もちろんあるわ。父が管理してるの。固定化の魔法もかけてあるのよ」 「見せて下さい!ぜひ、急いでお願いします!」 唐突に頭を下げたジュンにシエスタは驚き、だが何故か哀しそうに目を逸らした。 「う…ん、みせてあげれればいいんだけど…ちょっとすぐには無理だと思う」 「あ、すいません。それほど急いでませんから、いずれ暇が出来た時でいいですよ」 「あ、あの、そういう事じゃなくて…」 シエスタは、うつむいて唇を噛み、苦しそうにつぶやいた。 「あたし…ここを辞めるの。モット伯のところで奉公することになったの…」 それだけ言って、シエスタはトボトボと厨房へ去っていった。 ジュンは、何も言えず彼女の背中を見つめていた。 「辛いねぇ、シエスタも」 ジュンに声をかけたのは、籠いっぱいのフルーツを抱えたローラだった。 「あの子、あのモット伯に目をつけられてねぇ。可哀想に…おっと、子供に言う事じゃな かったわね」 口を手で塞いだローラは、さささっとテーブルに果物を置いていく。 「目をつけられて…デル公、もしかして」 「ああ、ボウズの想像通りだろうさ。貴族に泣かされるのは平民の常だけどよ。むごいわ なぁ」 ジュンはハルケギニアの身分制度に対する怒りと悔しさで、肩が震えそうになる。だが 同時に、モット伯という名に引っかかるモノを感じた。 彼はルイズの部屋に戻った。 ――ルイズの部屋 翠星石・ルイズ・真紅 「え~っとですねぇ、モット伯…確かに聞いたですねぇ。ルイズ、分かりますかぁ」 「ええ。王宮の勅使として時々トリステイン魔法学院に来てるわ。平民の若い娘に目を着 けると自分の屋敷に買い入れてる、ドスケベな中年貴族よ」 「でも、私やジュンはそんな事知らないわ。なのに名前は覚えてるのよね…なんだったか しら?」 頭を捻った彼らは、ふと隣の部屋を見た。 ――キュルケの部屋 キュルケ 「ああ、モット伯ね。ほら、『召喚されし書物』を欲しがってたっていう貴族よ。書物コ レクターなの」 ルイズ達は顔を見合わせた。 ――アルヴィーズの食堂 コルベール 「なるほどなるほど、そういう事ですか!では、私からモット伯に話してみましょうぞ。 急いでモット伯に連絡しましょう」 ルイズ達はコルベールに頭を下げた。 ――教室前 コルベール 「先ほど返答がありましたぞ、申し出に応じてくれましたぞ!」 ルイズ達は明るい顔で、キュルケを探した。コルベールも一緒に。 ――本塔バルコニー キュルケとタバサ 「え?あの本ならオールド・オスマンが資料にって」 ルイズ達もコルベールも呆れ果てた。 ――学院長室 オールド・オスマン 「いやじゃいいやじゃい!これは、大事な研究資料なんじゃー!」 「えーい!恥を知りなさい!」 オスマン氏は、エロ本をコルベールに奪われた。見苦しい学院長の姿に、ルイズ達も、 キュルケも、冷たい視線を送った。タバサは半泣きの老人を指さし、「セクハラ」とつぶ やいた。 ――モット伯邸執務室 モット伯 「おお!これだよコレッ!うむ、感謝しよう。約束通り、シエスタは諦めるとしよう」 ルイズ達は胸をなで下ろした。同時に、スケベなオヤジがエロ本をニヤニヤ読んでる姿 を、ルイズ達もコルベールもキュルケも、彼らを風竜で乗せてきたタバサまで、白い目で 見ていた。 ――――そして、次の日の朝。学院正門前 「それじゃ、いきましょー」 「ボウズの事はまかしときな」 「では、タバサどの。頼みましたぞ」 「うわあああ、すっごおい、あたし、竜の背中に乗ってるぅ~!」 いつものように本を読むタバサと、デルフリンガーを背負ったジュンと、コルベールと シエスタを乗せて、ルイズと人形達とキュルケに見送られて風竜は翼を広げた。 「ああんもう!なぁんであたし達は居残りなのよう」 「しょうがないでしょ、キュルケ。私達は授業があるんだから」 「だってタバサはどうなのぉ~特例だなんてずるーい!」 残されたキュルケとルイズは不満げだ。そして真紅と翠星石は不安げだ。 「一人で大丈夫ですかねぇ?あのチビだけじゃ不安ですぅ」 「まぁデルフリンガーもいるし、ルーンの力もあるし、大丈夫とは思うわ。それに、狙わ れるとすればあたし達ローゼンメイデンの方よ。あたしと翠星石が離れるのは危険だわ」 「うう~でもですねぇ~」 そんな彼らの想いをよそに、風竜は飛んでいった。 そして、タルブの村―――― 素朴な小さな村。上空から見ると、広大な草原が海のようで美しい。 そんなありきたりな村に、ありえない程場違いな建物が見えた。上空からでも一目で分 かるほど、ありえない。 このハルケギニアにしめ縄と鳥居なんて、絶対あり得ない。なのに、あった。 『竜の羽衣』は、明らかに和風な寺院の中に鎮座していた。 ジュンは、その姿に驚愕した。シエスタからの話で予想はしていたが、まさかコレだっ たとは。 「これが『竜の羽衣』ですな!?これが飛ぶのか!はぁ!素晴らしい!」 「これは、飛行機です。いえ…信じられないけど、これはゼロ戦って言います。僕たちの 国の、空を飛ぶための道具ですよ。 まさか、セスナとかじゃなくて、これだったのか…」 「へぇ~!それじゃ、ジュンさんとあたしって、同じ国の血が流れてたのねぇ」 「いやまったくおでれーた!奇遇も奇遇、しんじらんねーな~」 ゼロ戦が、くすんだ濃緑の機体が作られた当時のままに、静かに佇んでいた。 コルベールが、うーむ見た事もない金属だ翼は羽ばたかないのかうーむ、と唸ってる。 タバサはやっぱり無表情で無言だが、興味があるらしく機体をじっと見ている。 ジュンが機体に触れると、左手の包帯から光が漏れる。 なるほどな、これも確かに『武器』だよな ジュンは感心しながら、機体をなで続ける。 中の構造、操縦法が、ジュンの頭の中に鮮明なシステムとして流れ込んでくる。僕はこ れを飛ばせるんだ、と理解した。 燃料タンクを探し当て、そこのコックを開いてみた。なるほど、案の定そこはからっぽ だった。どれだけ原型を留めていても、ガス欠じゃ飛ばす事は出来ない。 「そ!それではジュン君!さっそくこれを飛ばして見てくれんかね!?」 コルベールが手を興奮で振るわせながら、ジュンににじり寄ってくる。ジュンは困った ように頭をかいた。 「いえ、これを飛ばすにはガソリンがですね。えと、ほら、この前研究室でぴょこぴょこ とヘビの人形が動いてたでしょ?」 「愉快なヘビ君の事かね?」 「油で動かしてましたよね。あれが、いえ、あれとはまた違ったガソリンというのが必要 なんです」 と言ってジュンは燃料タンクのコックから、コルベールに臭いをかいでもらった。 「この中に、ほんのちょっとだけどガソリンが残ってるようです。これを…樽五本分くら いあれば。まぁ、これが壊れてなければ、ですけど」 「おお、そう言う事か!なに、大変そうだが、必ず練成して見せよう!それにしても、僅 かな量が暖められもせずにこれだけ臭うとは、相当の爆発力だな…これだけでも素晴らし いというのに…それに翼の風車を回転させるという発想は…ううむ…」 コルベールはもう、ゼロ戦に釘付けだ。 「なぁ、ジュンよ」 「なんだいデル公」 背中のデルフリンガーがつぶやいた。 「このままほっとくとあのハゲ、ゼロ戦とやらをバラバラにしちまうかもな」 コルベールは、ベタベタと機体に触りまくり、舵面をキコキコ動かし、プロペラを回そ うと 「ちょ、ちょっと先生!あの、今日はこれくらいにして、どうやって学院に持ち帰るか考 えましょうよ」 「え?あ、いや、でももう少しだけ」 「あの~これはシエスタさんちの家のものですから、まずはシエスタさん家のご主人に言 わないと」 「う~うむ、そうですな。ではシエスタさん。君のお父さんに会わせてもらえますか?」 「はい、承知しました。おそらく父も快く譲ってくれると思いますわ」 村の共同墓地。 白い石で出来た幅広い墓石が並ぶ中に、黒い直方体の墓石があった。 「これですよ、旦那様方。この墓は生前、祖父さまが自分で作ったモノです。この墓碑銘 を読めた者に『竜の羽衣』を渡せと言う遺言でした」 シエスタの父に連れられて、コルベール達は共同墓地へ案内されてきた。 ジュンは墓石の前に座り、手を合わせ目を閉じた。 デルフリンガーが不審そうに尋ねてくる。 「んー?ジュンよ、そりゃ何の呪いだ?」 「僕の国の、日本でのお参りの仕方なんだ」 目を開けたジュンは墓石を読む。 「海軍少尉佐々木武雄 異界ニ眠ル・・・日本語だ。あの、この人はいつ頃亡くなられた んですか?」 「ん?じーさんが死んだのは、もう随分前だよ。うーん、何年くらい前だったかなぁ」 「いや、いいですよ。間に合わなかったのは同じなんだし」 「ジュン君…故郷が懐かしいのかね?」 「いえ、そういうわけじゃないんですよ。ただ、会えれば…と思って」 コルベールが気遣ってくれるのはジュンも分かっていた。タバサも黙ってジュンを見つ めている。だが、まさか『すいません、昨日自宅に帰ってました』とは言えない。 佐々木武雄が死ぬ前に会う事が出来れば、地球に連れて帰れたのに。そう思ってシエ スタの父に尋ねたジュンだったが、もはや意味のない考えと思い直した。 「ともかく読めましたから、『竜の羽衣』は持ち帰っていいですね?」 「ああ、構わんよ。どうせ管理費も高くて困ってたし」 「ではついでに、形見の品を見せて頂けませんか?僕の国のやり方で供養しようと思うん ですが」 「ふむ、どれでも持って行ってくれて構わんよ。同じ国から来た人になら、じーさまも喜 ぶだろうよ」 一行はシエスタの家に戻る事にした。ジュンは『地球から新たに持ってきたデジカメと かは、この佐々木さんの遺品やゼロ戦の中にあったモノなんだよー、て言う事にしよーっ と。これでかなり自由に地球からの品を持ってこれるぞ。しめしめ…』とか考えて、ほく そえんでいた。 夜 今夜はシエスタの生家で泊まる事になった。 こんな村で貴族を迎えるなどめったにないし、その後シエスタから詳しい経緯を聞いた シエスタの父は『そ、そんな事情だったとはつゆしらず、娘の恩人に対して無礼の数々、 平にお許し下さい!』とコルベールに平身低頭して恐縮しまった。 ぜひ村長の家で村を挙げての歓迎会を、と村長まで挨拶に来たが、ジュンもコルベール もタバサも、騒がしい事は望まなかった。 シエスタの家で歓迎の夕食を囲み、シエスタ達八人兄弟と父母を紹介された。久しぶり に家族に囲まれたシエスタは幸せそうで、楽しそうで、ジュンは羨ましくなった。 最後に家族がみんな揃ったのって、いつだったろう ジュンの周りには、以前とは比較にならないほど沢山の人がいる。 姉ののり、真紅、翠星石、ルイズ、幼なじみの巴、金糸雀、草笛さん、水銀燈・・・ なのに何故か、ずっと会っていない両親の事が思い出される。 ふとジュンは横のタバサを見た。 いつもと同じ、無口で無表情。なのに、何故だろう、自分と同じ目をしている、いや自 分より遙かに寂しく暗い目だ、ジュンはそう感じていた。 「おっほん。二人とも、故郷からも家族からも遠く離れて寂しいとは思う。だが、今は学 院で、仲間達に囲まれておるのですぞ。決して寂しいだけの毎日ではないことを忘れては いけませんぞ」 「そーだぜ。第一ボウズ、おめーにゃあんな可愛いご主人様までいるじゃねーかよ」 二人に気を使って、コルベールと、壁に立てかけられたデルフリンガーが励ましてくれ る。 「そだな、うん、そーですよね。んじゃ、とにかく食べるとしましょう!」 食事に手をつけるジュン。もちろん、学院の貴族向けな食事とか、地球のジャンクフー ドに比べれば、質素で味気ないモノばかりだ。それでも、何故かジュンにはとても美味し く思えた。 タバサは何も言わず、黙々と食べていた。どこにそんなに入るのかというくらい。 夕食後、ジュンは村はずれに腰をおろし、草原を眺めていた。 月明かりの下、草原の中を風が渡っている。 風が吹いている所だけ草が頭を垂れ、月明かりをキラキラと反射する場所が移動してい く。まるで波打つ海原のように、草原が煌めいていた。 デルフリンガーもシエスタの家に置き、今は腰のナイフしかもっていない。 「静か、だな」 ジュンは、久々に一人っきりになった事に気がついた。 ローゼンメイデンが来て以来、常に彼の周りには誰かがいた気がする。一人になったの はトイレと風呂くらいだろうか。 特にハルケギニアに来てからは、真紅と翠星石と共に、ルイズの後をついていっていた し、背中のデルフリンガーも四六時中しゃべりっぱなしだ。 「不思議だな、あれだけ一人でいたいと思ってたのに。今は一人が寂しいや」 ジュンは、草の中に大の字で寝っ転がった。 目の前には、地球の都会ではありえない星空が広がっている。 「どこに行ったかと思ったら、ここだったのね」 声の方を見ると、シエスタが立っていた。 「あ、探しに来たんですか。すいません、勝手に外に出て」 「いえいえいーのよ。横、いいかな?」 「ええ、いですよ」 シエスタは、ジュンの横に腰をおろした。 茶色のスカートに木の靴、草色の木綿のシャツ。広がる草原のような姿だった。 なら風に揺れる黒髪は、この星空だろうか。 「あの、本当にありがとう。助けてくれて」 「こっちこそ助かりましたよ。ゼロ戦が手に入るなんて」 シエスタは、草原を見渡した。 「この草原、とっても綺麗でしょ?」 「うん…こんな広い原っぱ、生まれて初めて見たよ」 「ジュンさんの国にはないの?」 「無いよ。僕の国は山だらけ、草原はほとんど無いんだ。平地は全部街と畑だから」 「へぇ~。ねぇ、ジュンさんとひいおじいさんの国の事教えてよ」 「ん・・・と、僕の国の事、かぁ」 ジュンは、当たり障りのない範囲で、日本の事を話した。 シエスタは目を輝かせながら、彼の話を聞いていた。 「凄いなぁ。ひいおじいさんもジュンさんも、そんな国から来たんだ」 「いや、別に凄い国でもないよ。むしろ僕にはハルケギニアの方が凄いよ。特に魔法がホ ントに」 「あら、あなたのお人形さん達って、ハルケギニアのゴーレムとかより凄いって噂じゃな いですか。なら、ジュンさんの国の魔法の方がもっと凄いですよ。『東の世界』かぁ、凄 いなぁ、憧れちゃうなぁ」 「あー、う~…」 ジュンは、なんだかロバ・アル・カリイエについて誤った情報が一人歩きしそうで困っ てしまった。とはいえ、次元の壁を越えて来ましたとも言えない。 「それにしても」 シエスタはジュンをじっとみつめた。 「ジュンさんって、14歳だったんですね」 「そうです・・・あの、言っときますけど、僕の国では同年代の子は、これで普通なんで すよ。みんな大体あと数年で、もう少し、30サントくらいは伸びると思います」 そんな保証はないけれど、つい言ってしまう。 「へぇ・・・そうなんだ」 シエスタは、ジュンの顔を覗き込んだ。彼女とジュンとの間が、すすっと狭まる。 「驚いたなぁ、あたしと3つしか違わないなんて」 シエスタの瞳に、何かゆらめく焔の様なモノが見えた気がした。 「ねぇ、ジュンさん」 「は…はい、なんでしょう?」 と答えつつ、ジュンはゆっくりとシエスタから間を開けようとする。 だが、同じようにシエスタも寄ってくる。 「今、好きな人とか、いるの?」 「え?えと、その、あの、まだ、いない、はい、いません・・・」 「そっか、いないんだ・・・」 しどろもどろで、目が泳ぐ。 そんなジュンにシエスタが、ピッタリと身を寄せた。 「あ、あの、その・・・」 「助けてくれたお礼、まだしてなかったよね」 「…え?」 ジュンの上に、シエスタが覆い被さった。 細い指が少年の頬を捕らえ しなやかな腕が彼の体に巻き付き 柔らかな胸が乱暴に押しつけられ 彼女の唇は、彼の唇と重ねられた。 二人の鼓動が、早鐘のように鳴り響く拍動が、互いに伝わる。 一瞬か、永劫か。どれくらいの時が過ぎたか、ジュンには分からなかった。 ようやく唇を離したシエスタは、硬直するジュンを熱い目で見下ろしていた。 ゆっくりと、名残惜しそうに体を離す。 「風邪、ひくわ」 シエスタに手をひかれ、ぎこちなく立ち上がるジュン。これ以上ないほど赤面して、言 葉も出ない。うつむいて、シエスタの顔もまともに見れない。 「うふふ…確か『契約』の時やってるから、まだ2度目かな?」 「う・・・」 ジュンはモジモジして、答える事も出来ない。今起きた事が、シエスタの唇の感触が、 ふくよかな胸が、からみついてきた腕が、シエスタが頭の中を駆けめぐり、他に何も考え られなかった。 「さ、帰りましょ。・・・キスとか、したい時は言ってね。待ってるわ」 そういってシエスタは、ジュンの腕を取って家へと戻っていった。 そんな彼らを遠くから見ていた影が4つ、正しくは二人と一本と一匹。 木陰のコルベール「いいですなぁ若いって。羨ましいですぞ」 屋根の上に伏せるタバサ「ショタコン」 タバサの横に置かれたデル公「かー!情けねー。それでも男か!?最後まで行けっての!」 家の影から頭だけ出した風竜「きゅいきゅい」 第一話 禁じられた遊び…? END back/ 薔薇乙女も使い魔menu/ next
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/3897.html
734 名前:220 1/2[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 09 02 06 ID d0+IWJaz 「え…?」 「ですから…あの」 「…」 「出来ちゃってて…」 「シエスター!」 「わわ、サ、サイトさん!」 最高じゃねぇか!遂に俺に子供が…お母さんがシエスタなら絶対良い子に決まってるさ! 「お、下ろして下さい…」 「おっと…ゴメン、はしゃぎ過ぎた」 「もう…」 うーん…今抱えてみたけど、まだウエストは細いみたいだな。つーことはまだまだ先か。 「あ、お弁当」 「あ、ああ」 「じゃあ今日もお仕事、頑張って来て下さいね?」 「おう、行ってきまーす!」 太陽が眩しいぜ… 「ふんふーん」 「…何よ?」 「いや、何でも」 「…あっそ」 相変わらず面白くなさそうな顔してやがる。そんなに俺が嫌いなのかよ。もう何年って横に居るのに。 「今日は登城だけだから…」 「わかった。それにしても…」 たまにはこんな質問をしてみても、良いよな。 「?」 「お前結婚しないの?見た目良いんだから彼氏ぐらいすぐ出来そうなのに…」 「あ…」 どうしたんだ?いきなり黙りこくって。 「俺だってお前の事が好きだった時期もあったんだぜ?」 「…バカ」 「?」 「わ、私は…良いじゃない…それよりアンタは…」 「子供が出来た」 「え?」 「ああ、まだ産まれるのは先みたいだけどな」 735 名前:220 2/2[sage] 投稿日:2007/04/30(月) 09 03 42 ID d0+IWJaz 「そう…なの」 なーんか歯切れ悪いな。体調でも悪い…いや、顔色は良いみたいだ。まあコイツのシエスタ嫌いは今に始まった訳じゃないし。きっと先越されたみたいな理由で怒ってんだろ。 「とにかく、お前も早く良い人…」 …うん? どうして泣いてんだ? 「おい?」 「な…何でもないわ」 「気にするなって。すぐに良い人が見つかるさ。もし俺が結婚してなかったら、俺から貰いに行きたくなるさ。きっと」 「…もう…いいから」 なんか…さっきより泣いてる感じ。慰めたつもりだったんだけどな。ま、城に着く頃には治まってるだろ。 「夢みたいです」 「うん?」 「こうして…私がサイトさんの隣に居られる事とか、一緒に寝られる事とか」 「それはシエスタが頑張ったからだよ。ずっと俺の事…好きになってくれてたし」 「でも…ミス・ヴァリエールは…」 「ルイズが?」 「いえ、何でも無いです。嬉しいんです。私がサイトさんのお嫁さん…」 「…ああ。これからもな」 「はい…」 誰が粗末にするもんか。こんなに俺を想ってくれてたんだ。俺はこれからもシエスタを… 何でだよ。幸せな筈なのに…誰かが泣いてる気がする。 俺の中に…他に大切な人が居る気がする。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5076.html
前ページ次ページ毒の爪の使い魔 ルイズがジャンガの手を借りて、自分の失敗魔法による大爆発で破壊された教室の片付けが終わったのは、 昼休みも目前と迫った時刻だった。 ジャンガは最初『めんどくさい』と手伝いを怠けるつもりでいたのだが、 『手伝いをしなければ飯を抜きにする』と言う、ルイズの言葉に渋々片付けを手伝ったのだった。 ともあれ、色々と手間取りながらも、なんとか片付けを終えた二人は昼食を取るため食堂へと向かった。 「ったく…後始末の手伝いさせられたのに、この量だ?…ざけんなよ」 ジャンガは皿からルイズに目を向け、小さな声でぶつぶつと呟く。先程の片付けの事を根に持っているのだ。 自分は別に何の非も無いのに本当ならば彼女だけでやるはずだった片付けを、 飯をダシに無理やり手伝わされたのだ。それなのに感謝の一言も無く、昼食の量も朝食と変わらず。 別に感謝される事事態に興味は無いが、これだけ何もないと流石に我慢がいかない。 「チッ、まぁいい。ガキの…それも”無能”のやることに一々イライラしてても仕方ねぇか…」 ジャンガはそう自分自身に言い聞かせると、昼食へと向き直った。 両手の爪を指のように使い、更に盛られたスープとパンを平らげていく。 瞬く間に空になった皿を床に置くとジャンガはルイズを見る。 まだ食事は終わっていない。量が違いすぎるのだから当然だが。 仕方なく、ジャンガは床に座り込んだまま時間が過ぎるのを待った。 ――そんな時だった……食堂全体に怒鳴り声が響き渡ったのは… 「どうしてくれるんだ!?」 「あん?ったく…今度は何だ?」 唐突に聞こえてきた怒鳴り声にジャンガは苛立ちながら首を伸ばす。 辺りを見回すとテーブルの一角に人だかりが出来ていた。 人だかりの中心に二人、一人はシエスタ、もう一人はキザっぽい見た目の金髪のメイジ(確かギーシュと言ったか?)だ。 「も、申し訳ありません!」 「フンッ、そうやって謝ったところで許されると思っているのか?」 「ほ、本当に申し訳ありません…ど、どうかお許しを…」 正に怒り心頭と言った感じのギーシュの怒声にシエスタは恐怖に怯えた表情でただ只管に頭を下げる。 どうも何かやらかした所為であのメイジの怒りを買ったようだが…。 「チッ、うるせぇな…」 本来ならば無視を決めるところだが、怒鳴られているのがシエスタでは、それはちょいと不味い。 ジャンガは深いため息を吐き、腰を上げる。 「めんどくせぇ…」 そう呟くと人だかりの方へと足を向けた。 「オイ、うるせぇぞ?」 そのジャンガの声にシエスタとギーシュが顔を向ける。 「ジャ、ジャンガさん…?」 涙で濡れた瞳を見開きジャンガを見つめるシエスタ。 彼女にしてみれば地獄に仏のような物だろう。 対してギーシュは不機嫌さを隠そうともしない表情で睨んでいる。 「何だね、君は?ああ…確かゼロのルイズが召喚した亜人か」 ギーシュは彼が何者かを理解すると直ぐに見下すような目で見据える。 尤もジャンガは身長が2メイル近くある長身なので、どうしても見上げる形になってしまうのだが…。 そんなギーシュの事はとりあえず置いとく事にし、ジャンガはシエスタに一体どうしたのかを聞いた。 曰く、彼女は給仕の最中にギーシュが落とした香水の瓶を拾い、それを彼に返そうとしたとの事。 曰く、その所為で彼の二股がバレてしまい、その相手の二人から怒りを買ってしまったとの事。 曰く、その所為で更に彼女がギーシュの怒りを買ってしまい、今現在の状況に至るとの事。 「くだらねェ…」 ごく自然にそんな言葉がジャンガの口から漏れた。 その言葉にギーシュは苛立ちを含んだ声を彼に叩きつける。 「くだらないだと!?君に何が解る?純粋な彼女達の心に傷を付け、泣かした…その罪深き行為を!?」 「テメェのな…」 「違うな、それは違う!彼女が拾った香水を僕の物かと尋ねた時、僕は知らないフリをしたんだ。 だとすれば少しは話を合わせようとしてもいいではないか?故にそれをしなかった彼女に全責任がある」 ここまで話を聞いてジャンガは心底呆れ果てていたと同時に懐かしさも感じた。 世の中には下らない奴がごまんと居る事は知っているが、これほどのアホはそうそう居ない。 まさかこんな異世界に来てまでお目にかかれるとは思わなかったが…。 「何処の世界にもアホは居るんだな?正直驚いたぜ…。まァ、ガキだから仕方ねェがな…」 「…聞き捨てならないな、その言葉?」 ギーシュは目付きを鋭くし、ジャンガを一層強く睨みつけた。 そんな彼の視線も何処吹く風……ジャンガは涼しげな表情で流している。 「ほぉ?聞き捨てならねェなら…どうするんだ?キキキ…」 そのジャンガの言葉を待っていたのか…、ギーシュは手にした造花のバラを突き付ける。 「決闘だ!」 「あんッ?決闘だ…?」 「そう…決闘だ。貴族への礼を知らないようだからな…、君に礼儀を教えてやろう」 ジャンガは自然と笑みを浮かべた。 「キキキ…、そいつはありがてェな。…で、此処でこのままやりあうか?」 ギーシュは身を翻すと食堂から出て行こうとする。 その彼の行動にジャンガは眉を顰めた。 「オイッ、何処へ行くんだ?今更ビビッたのか?」 「馬鹿を言え!下賎な亜人の血で貴族の食卓を汚したくないだけだ」 「ああ…、なるほどねェ…同感だ。まぁ、どっちの血で汚れるかってのは分からねェがな?」 「ふんっ、精々ほざいていればいい…。ヴェストリの広場で待っている!」 そう言い捨てるとギーシュは友人達と共に食堂を出て行った。 ジャンガはその後姿を見送るとシエスタに向き直る。 「よう、聞きたいんだがよ」 「ジャ、ジャンガさん……なんて事に…」 「あんッ?」 「あ、貴方…殺されちゃう……、貴族を本気で怒らせたら……」 シエスタは震えていた。先程までのそれよりも、一目で恐怖に駆られているのが解る。 何に怯えているんだ?ジャンガにはその理由が直ぐには理解できなかった。 考えてみれば、あの貴族の何がそんなに恐ろしいのだろう? と、後ろから別の声が聞こえてきた。 「ちょっと、ジャンガ!?アンタ、何勝手なことしてるのよ!?」 振り向いたジャンガは顔を顰めた。…予想通り、そこに立っていたのはルイズだった。 と、ルイズはいきなり彼の腕を掴むと、そのまま強引に引っ張って行く。 「オ、オイッ!?何処へ引っ張って行く気だ!?」 「ギーシュの所よ」 「あんッ?アイツの所だったら、テメェに連れてかれなくても自分で行くぜ」 「バカ!謝りにいくのよ…、今ならまだ許してくれるかもしれない」 ルイズは立ち止まらずに背中越しに彼に声をかける。 ジャンガは彼女の言葉に再び顔を顰める。 謝る? 誰が? 俺が? あのガキに? ジャンガは強引にルイズの手を振り解いた。 「なにするのよ?」 「謝るだぁ?ごめんだな、あんなガキに頭下げるなんてな」 ジャンガの言葉にルイズはイライラした。こいつはメイジの恐ろしさを何も解っていない…。 「いい…メイジと戦ったら無事じゃ済まないのよ?それこそ怪我で済めば幸運と言える位なんだから」 「…チッ」 最初っから自分が負けると言う事意外、目の前の小娘は考えていないようだ。 ジャンガは侮辱されているにも等しいその事実に正直憤っていた。 だが、ここで癇癪を起こすのも面倒だ。ジャンガは精一杯の忍耐を発揮し、怒りを腹の奥底へと押し込んだ。 大きく深呼吸をして気を落ち着かせ、周りに居る生徒に声をかけた。 「オイッ?ヴェストリの広場とか言うのは何処だ、知ってる奴はいるか?」 すると、一人の生徒が彼を案内するかのように顎をしゃくった。 「こっちだ、亜人」 「ありがてェ…キキ」 生徒に連れられて出て行くジャンガ、次いで野次馬根性を発揮して出て行く生徒達の後姿をルイズは呆れ果てた表情で見つめる。 「まったく…なんて自分勝手な使い魔なの?」 「あ、あの…ミス・ヴァリエール?」 声を掛けられ振り向くと、申し訳なさそうな表情のシエスタが立っていた。 「私の所為で、ジャンガさんが…ジャンガさんが…」 後悔の念に駆られるシエスタの目からまた涙が溢れそうになる。 ルイズはそんな彼女を励ますように両肩に手を乗せた。 「大丈夫よ、決闘なんて直ぐにやめさせるわ。あのバカにも怪我なんかさせないから」 「本当に…大丈夫でしょうか…?」 「勿論よ!」 ルイズはそうシエスタに言うと、ジャンガの後を追って食堂を後にしようとする。 「あ…ミス・ヴァリエール、私も一緒に行きます」 「え、いいわよ…貴方はここで待っていて」 ルイズはシエスタを留めようと同行を断ったが、彼女は首を振って否定する。 「いえ…このような事になったのには、私にも責任があります…。ですから…お願いです」 まだ身体は少し震えてはいるが、その瞳は力強い光を放っている。 ルイズは逡巡し、大きく頷いた。 「分かったわ、一緒に行きましょう」 「はい」 そして二人はヴェストリの広場へと向かい、今度こそ食堂を後にするのだった。 前ページ次ページ毒の爪の使い魔
https://w.atwiki.jp/moejinro/pages/1460.html
みずもぐら 夜が明け、朝となりました。痛ましくもててりんさんの無残な死体が見つかったようです 1 (もぐら村) みずもぐら -----------スタート-------------- 2 (狼がぶがぶ) みずもぐら ------会話STOP------- みずもぐら 8日目の朝です みずもぐら chjoin 天界部屋 へどうぞお入りください 1 (もぐら村) xこぅちゃx 【占いCO】MBさん● 内訳内容への発言を考えて占いました 3 (天界部屋) ROWLEYS (゜.゜)うーん、そうなんですよね ててりん あうあうあー 1 (もぐら村) Akizuki 霊媒結果→あかみさとさん●です。 3 (天界部屋) ふらぽ そういやシキさんは長持ちだなぁ…LOWさんとうちは最初に食われたのに…w 3 (天界部屋) ROWLEYS (*´・ω・)(・ω・`*)ネー 1 (もぐら村) シキワロス そうか・・・ 3 (天界部屋) ててりん めいどいーん 1 (もぐら村) Gavial ん・・・LW? 3 (天界部屋) こんぶて @4吊り さぁどうなるかなぁあああ 1 (もぐら村) エルレイナ こうちゃさん真ですね 3 (天界部屋) TeaRabbit いらっしゃいませ~ 3 (天界部屋) ふらぽ おつかりー 3 (天界部屋) あかみさと うほ 3 (天界部屋) デジュー オツカレサマー 3 (天界部屋) ててりん おつかれさまでしたー 1 (もぐら村) エルレイナ MBさん飼いましょう 3 (天界部屋) xバーバラx おつかれさまです 3 (天界部屋) TeaRabbit あら、カプさんじゃなかったw 3 (天界部屋) ROWLEYS いや、狼からみてうちは透け透けだったと思うので、COしてるシキさんよりは噛みやすかったと思いますよ 1 (もぐら村) Gavial 計算はあってる気がする。 1 (もぐら村) シエスタXX ふむふむ 1 (もぐら村) シキワロス 占い霊媒ともに真でみる 1 (もぐら村) エルレイナ 残り9名 1 (もぐら村) シキワロス それしか道がない (T) シエスタXX ふむふむ 3 (天界部屋) シンクロ お疲れ様です! 3 (天界部屋) ROWLEYS おつかれさまですー 1 (もぐら村) Capriccio 狐生きているかなぁ 1 (もぐら村) Gavial じゃ狐探しか 1 (もぐら村) MB わからん… 1 (もぐら村) エルレイナ ですね 3 (天界部屋) xバーバラx 自分は8月半ばか 1 (もぐら村) シキワロス 狐ケアいきます 1 (もぐら村) シキワロス あ 3 (天界部屋) xバーバラx 誤爆 1 (もぐら村) シエスタXX レイナの推理が当たっているなら 1 (もぐら村) シキワロス ついでに占い先予告もどうぞ 3 (天界部屋) TeaRabbit まさかのMBさん 1 (もぐら村) xこぅちゃx んとー 1 (もぐら村) シエスタXX なんで噛まれないのか不安だけど 3 (天界部屋) TeaRabbit 狼ですね 1 (もぐら村) シキワロス うちも不安 1 (もぐら村) シエスタXX 霊媒真で見ていいのかな 1 (もぐら村) シキワロス だけど引き返せない 3 (天界部屋) TeaRabbit ここでこうちゃさんを盲信できないのが兎です 1 (もぐら村) エルレイナ 占われてないのがエルレイナ、カプさん、がべさん、Emulaさんかな 1 (もぐら村) シキワロス もう一昨日くらいに霊真でみてた 1 (もぐら村) エルレイナ 抜けてたら補足おねがい~ 3 (天界部屋) ふらぽ 噛みやすい=ガードしやすいってのもあったんだけどね。まぁたまたまだ…w 1 (もぐら村) xこぅちゃx Emuさん、Gavialさん、エルレイナさん、Capriccioさんかな 俺が占ってないのは。 1 (もぐら村) シキワロス 見てたというよりみるようにした 1 (もぐら村) エルレイナ ああ一応あきずきさんもか 3 (天界部屋) あかみさと 完全にこうちゃさん真なのか・・・無念なり 1 (もぐら村) Gavial 合ってると思う。 1 (もぐら村) Akizuki ですね 1 (もぐら村) Gavial それいったらシキさんもだけどまぁいいじゃろ 3 (天界部屋) ROWLEYS しかし気になるのは霊が一人しかいないのに狼が噛みに行かないことと、あと共有噛みにいかないことですね。 3 (天界部屋) デジュー 完グレのがべさん占わず対抗の○占いか 1 (もぐら村) シキワロス まさかの共有騙りだったらそれはそれで恐ろしい結果を招くww 1 (もぐら村) シエスタXX シキさん真でみるなら 3 (天界部屋) こんぶて まぁ紅茶さん真でみないともうしょうがない進行してますからね 3 (天界部屋) TeaRabbit 霊媒が狼だったらもう・・・ 1 (もぐら村) エルレイナ あきずきさんとEmulaさん狐はないとおもうので、カプさんかがべさん占ってほしいかな 1 (もぐら村) Capriccio ん? 1 (もぐら村) MB こうちゃさん真だと私LWなんですか? 1 (もぐら村) エルレイナ ですね 1 (もぐら村) シエスタXX グレー吊って狐ケアが妥当かな 1 (もぐら村) Capriccio Akizukiさん占われてない? 3 (天界部屋) ててりん 確かに、なんで今日私だったんだろう 3 (天界部屋) こんぶて これでぶれるようだと村勝率落ちますし 1 (もぐら村) エルレイナ 占われてないですね 1 (もぐら村) Capriccio いや、こうちゃさんに 1 (もぐら村) シキワロス こうちゃさんとAkizukiさんともに真でみるなら、ですね 1 (もぐら村) Capriccio 3回目で占われているでしょ? 1 (もぐら村) エルレイナ でも狐が霊複数でてロラ濃厚な状況でCOするとも思えませんので 1 (もぐら村) Gavial こんぶて、MB、あかみさと、デジューの4人が狼ってことになってる(現状 1 (もぐら村) MB でもAkizukiさん視点だとまだこうちゃさんの真偽わからないはずじゃないですか? 1 (もぐら村) エルレイナ あきずきさん狐はないとおもいます 3 (天界部屋) TeaRabbit 呪殺出れば、間違いなくなるのですけれどね 1 (もぐら村) エルレイナ あきずきさん5日目即COしてるんですよ 1 (もぐら村) Capriccio あれ?メモのミス? 1 (もぐら村) xこぅちゃx では、Gavialさんを占います 1 (もぐら村) シキワロス 了解 3 (天界部屋) ROWLEYS 霊媒がすでに食われてて、狼が騙ってるとなると目も当てられない 1 (もぐら村) MB ついでにこうちゃさん視点でもAkizukiさんの真偽は不明のはずじゃ 1 (もぐら村) シエスタXX でも対抗いないんだよね 1 (もぐら村) Capriccio 私のメモだと、Akizukiさんがこうちゃさんに占われている 1 (もぐら村) エルレイナ あ 1 (もぐら村) エルレイナ ごめん 1 (もぐら村) xこぅちゃx 占ってるよ?Akizukiさんは。 3 (天界部屋) デジュー 霊媒とは殴り合いで吊るか、もしくはそもそも狼なのか 1 (もぐら村) Gavial 占われるらしい 噛まれる予感がしない占いしていっていいよね。 1 (もぐら村) エルレイナ 占われてマッスね 1 (もぐら村) エルレイナ あきずきあsん 1 (もぐら村) エルレイナ わたしのミスでした 1 (もぐら村) シキワロス 占ってるからなおさら。こうちゃさん真でみるなら 1 (もぐら村) エルレイナ ごめんなさい 1 (もぐら村) シキワロス 何が間違っても狂人 1 (もぐら村) シエスタXX 噛まれてる可能性はないんだっけ 1 (もぐら村) シキワロス 最悪の場合がね 1 (もぐら村) Akizuki なんか混乱してる・・・ 3 (天界部屋) こんぶて こうちゃ視点グレー Gavial エルレイナ Capriccio MB Emula 3 (天界部屋) TeaRabbit そういえばAkizukiさんって、こうちゃさんに白出されるタイミングで霊媒COしましたよね 3 (天界部屋) ROWLEYS 逆に霊媒がここまで残ってのはちょっと気味悪いですね 1 (もぐら村) Capriccio Akizukiさんはまず間違いなく真 1 (もぐら村) エルレイナ がべさん占うなら みずもぐら 残り時間2分です みずもぐら 残り時間2分です 1 (もぐら村) Capriccio で、現状こうtyさんも真だしね 1 (もぐら村) エルレイナ つるのはカプさんかわたし 3 (天界部屋) TeaRabbit あ、なんだか嫌な予感 1 (もぐら村) シキワロス まあそこは 1 (もぐら村) Capriccio どっちでもええよ? 1 (もぐら村) シキワロス LWだしランで 3 (天界部屋) ててりん 狩人警戒な可能性もあるといえばあるのかなあ 1 (もぐら村) Gavial つりはCapさんかな エルさんは最後のほうの口数的に狐じゃなさそう 3 (天界部屋) TeaRabbit でも僕のこういう推理はたいてい外れているから、大丈夫かなw 1 (もぐら村) エルレイナ 今日どっちかつっておけば 3 (天界部屋) こんぶて 詰んでる狼が占い偽に見せようとしてる って方が素直な解釈の気はしますね 1 (もぐら村) MB 私視点だとすもでんぱさん真かあかみさとさん真でこうちゃさんとAkizukiさんの両偽にしかならない 1 (もぐら村) エルレイナ こうちゃさん真なら狐対策も万全です 1 (もぐら村) Capriccio 一応 3 (天界部屋) ROWLEYS うちもー。真剣に考えてるつもりでも、いつも的外れなんですよね(*ノノ)テヘヘ 1 (もぐら村) シエスタXX ん~後半多弁残しもこわいので みずもぐら 残り時間あと1分です 1 (もぐら村) Capriccio ルール補足 みずもぐら 残り時間あと1分です 1 (もぐら村) シエスタXX エルさんでもいいんだけどな 1 (もぐら村) Gavial まぁどっちでも。 1 (もぐら村) Capriccio LWを吊った夜に狐を占った場合 1 (もぐら村) エルレイナ わたしでもおk 1 (もぐら村) Capriccio 村人勝利です 3 (天界部屋) デジュー アキズキ真なら狐探し、偽ならすでに窮地の可能性も 1 (もぐら村) Gavial ふむ。 1 (もぐら村) エルレイナ あ~ 1 (もぐら村) MB あー もういいか どう考えても勝てない 1 (もぐら村) シキワロス まあそうなんだけどww 1 (もぐら村) エルレイナ そういえばそうでしたねぃ 1 (もぐら村) シキワロス 4人 1 (もぐら村) シキワロス 1人はつって1人は占われる 1 (もぐら村) シキワロス 次の日2人 1 (もぐら村) エルレイナ まぁ一応狐吊り2回できるので… 1 (もぐら村) シキワロス 狼つってどっちか狐なら2分の1バトル みずもぐら 残り時間あと30秒です みずもぐら とみせて みずもぐら 残り時間あと30秒です 1 (もぐら村) Gavial 後二日で3日目でMBさん吊って終了ってのが今の絵図だよね みずもぐら 10秒 3 (天界部屋) デジュー まぁ、僕視点アキズキさん偽ってわかってるんだけどねー 1 (もぐら村) シキワロス GMさんwwwwwwwwww ふらぽ 鬼畜w 1 (もぐら村) Capriccio どっちやー>タイム 1 (もぐら村) Gavial 今日はCapさんかエルさんなー 1 (もぐら村) Akizuki つりはCapさんで? ててりん なにそれこわい 1 (もぐら村) シキワロス まあ占い先以外のどこかで みずもぐら ごめんごめん みずもぐら 日は落ちて、村人たちは今日の処刑者を決めなくてはいけません。 1 (もぐら村) みずもぐら ------STOP----------STOP------ 1 (もぐら村) みずもぐら ------STOP----------STOP------ 2 (狼がぶがぶ) みずもぐら ----会話可能時間です---- 3 (天界部屋) TeaRabbit 上手く進行できれば村勝ちが見えますね みずもぐら 各人は処刑する人の名をTELLでお願いします 3 (天界部屋) こんぶて 後は銃殺だより 出なければぎりぎりまでケアしてMBさん吊りかな その時までに役職と○しか残ってない状態になるのは確実ですね 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx 誤爆注意! 2 (狼がぶがぶ) Gavial ふははは(高笑い (T) Capriccio まぁ私はエルレイナさんに入れるしかないのですが (T) エルレイナ カプさんに投票します~ 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx さて、順調過ぎます 怖いです 2 (狼がぶがぶ) Akizuki いい感じに・・・w 2 (狼がぶがぶ) Gavial さぁCapさん吊ろうか 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx だねぇ 3 (天界部屋) TeaRabbit デジューさんが村人だったらもう絶望的な村になってますねw 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx ぶっちゃけ一番怖かったけど、村っぽい (T) Akizuki Capさん吊りで (T) xこぅちゃx Capriccioさんでお願いします 3 (天界部屋) デジュー 村だよ~ (T) Gavial Capさん指定だぢょ 3 (天界部屋) あかみさと デジューさんは村人ダヨ! 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx 投票完了しました (T) Emula Capさんー 2 (狼がぶがぶ) Akizuki 同じく~ (T) シキワロス Capriccioさんでお願いします (T) シエスタXX エルさんで 3 (天界部屋) デジュー ね~ 3 (天界部屋) あかみさと ね~ 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx ○でお願いねw (T) シエスタXX んーCOしたいよぅ 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx 占い案も何もないけどw 【占いCO】Gavialさん○ 予告通りの占いです。 (T) エルレイナ こうちゃさん真なら狼、狐共に詰み…頼むぞ~~ (T) シエスタXX でも怒られるんだろうなぁ 3 (天界部屋) TeaRabbit 仲がよろしいようで、うらやましいですw みずもぐら 残り時間あと1分です みずもぐら 残り時間あと1分です (T) MB こうちゃさんに投票します 2 (狼がぶがぶ) Gavial 白だしてるのがシエスタさんだからそこ噛むか・・・?というかここが一番狐くさいのか 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx そだね みずもぐら 残り時間あと30秒です みずもぐら 残り時間あと30秒です 3 (天界部屋) ふらぽ けしからんぜ 2 (狼がぶがぶ) Gavial まぁでもここ噛むしかないか。 2 (狼がぶがぶ) Akizuki 霊媒も○で大丈夫ですか エルレイナ 2票 Capriccio 6票 こぅちゃ 1票 みずもぐら 村人たちの話し合いによりCapriccioさんは処刑されてしまいました みずもぐら chjoin 天界部屋 へどうぞお入りください みずもぐら まもなく夜となり狼たちの時間です。各々狼に怯えつつも推理し、明日の昼へと備えましょう みずもぐら 役職の方はTELLをお願いします Capriccio 最後の審判でマタ会おう! あ、なので土葬でお願いします。 2 (狼がぶがぶ) Gavial うむ。 2 (狼がぶがぶ) Akizuki 了解 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx 大丈夫だね 3 (天界部屋) Capriccio えーと 3 (天界部屋) デジュー オツカレサマー 3 (天界部屋) TeaRabbit いらっしゃいませ~ 3 (天界部屋) Capriccio てんかいー? 3 (天界部屋) ててりん お疲れ様ですー 3 (天界部屋) xバーバラx おつかれさまでした 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx まぁこれで狐が勝ったとしたら 3 (天界部屋) デジュー あっとるよー 3 (天界部屋) Capriccio ぞんびいーんとも違うしな 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx こっちの作戦負けってことで。 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx 狐が上手だったとしか言いようがないw 3 (天界部屋) ROWLEYS |ω )おつかれさまでーす 2 (狼がぶがぶ) Gavial だぬ 2 (狼がぶがぶ) Akizuki うむ・・・ 3 (天界部屋) TeaRabbit コンクリート詰めでよろしいでしょうか~【土葬 3 (天界部屋) こんぶて あ、占い視点グレー4しかいないんだから、柱進行だったらあかみさと真も狐保護でケアできた可能性あったんじゃないかな… (T) シエスタXX シキさん護衛 フォーリンラヴ 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx ただ、これで 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx 村の方針が (T) Gavial シエスタさん噛むぢょ (T) シエスタXX てっぺきとすえな 2 (狼がぶがぶ) Gavial というわけでシエスタさんかみまし 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx 5人までに食われない役職吊りになったら怖い 3 (天界部屋) Capriccio キリスト教観点だとOKのはず>コンクリ詰め (T) Gavial がんばってもぐってね 3 (天界部屋) ふらぽ おつかーれ 3 (天界部屋) すもでんぱ cozyさんが死んだ・・・ 3 (天界部屋) デジュー うーん、難しかったなぁ 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx まぁ大丈夫だと思うけどね 3 (天界部屋) ふらぽ 死んだ…なぜだ! 3 (天界部屋) デジュー ん? (T) Gavial もーぐもぐもぐ 3 (天界部屋) すもでんぱ もにおだったからだ! 3 (天界部屋) cozy 生き返りました 3 (天界部屋) Capriccio 焼かれると駄目 3 (天界部屋) こんぶて ボウヤだからさ 2 (狼がぶがぶ) Akizuki 噛まれないのを疑われるのが心配ですね 3 (天界部屋) すもでんぱ おか 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx うん 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx けど、人数的にあり得ない 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx はず・・・w 3 (天界部屋) デジュー おかえり? 2 (狼がぶがぶ) Gavial というかこれでシエスタさん噛めなかったらこっちの人数上回って吊ればいい 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx そだねー 2 (狼がぶがぶ) Akizuki なるほど 3 (天界部屋) Capriccio それにしても 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx 今8だっけ? 2 (狼がぶがぶ) Gavial というわけで次の占いはエルさんねー 3 (天界部屋) Capriccio すもでんぱさんの狼 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx ほいほい 了解だよ 3 (天界部屋) Capriccio どうやってつけているのだろう 2 (狼がぶがぶ) Akizuki 了解 2 (狼がぶがぶ) Gavial 8だね 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx いや、もしそうだとしたら 3 (天界部屋) ふらぽ 筋肉? 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx 恐らく負けだね 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx 7になって終わり。 2 (狼がぶがぶ) Gavial 。。。あー みずもぐら 残り時間2分です みずもぐら 残り時間2分です 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx どう考えてもシエスタさん吊れないから。 3 (天界部屋) すもでんぱ 魔女っ子ぱぅわーで。 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx まぁ食えなかったらそうしようw 2 (狼がぶがぶ) Gavial 難しいな 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx 仕方ないよ 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx 素直に相手が上だと認めるしかないもんw 2 (狼がぶがぶ) Gavial あ、最悪占い結果黒にして。 3 (天界部屋) Capriccio シップブレンドで魔女っこって無かったかなぁ 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx 告発ね 2 (狼がぶがぶ) Akizuki えっと・・・ 2 (狼がぶがぶ) Gavial gdgdでごまかす ごまかされるきはしないけど 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx それだと、全囲い看破が怖いw みずもぐら 残り時間あと1分です みずもぐら 残り時間あと1分です 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx まぁいいさ 3 (天界部屋) TeaRabbit 「っこ」があるかどうか 3 (天界部屋) デジュー 他のとこは終わったんだろうか? 3 (天界部屋) ててりん 娘ならあったような 2 (狼がぶがぶ) Gavial Akizukiさんはそのままで 2 (狼がぶがぶ) Akizuki 今回は○でいいんですよね 2 (狼がぶがぶ) Gavial うむ 2 (狼がぶがぶ) xこぅちゃx ○でいいよー みずもぐら 残り時間あと30秒です 2 (狼がぶがぶ) Akizuki はい みずもぐら 残り時間あと30秒です 護衛:シキワロス 噛み:シエスタ 7日目へ 9日目へ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/942.html
アルビオンから脱出した一行は直接、トリステインの王宮へと飛んだ。 トリステインはレコン・キスタ侵攻の噂に殺気立っており、王宮へ突然やってきたルイズたちもあわや捕縛されるところだったが、そこにアンリエッタ王女が通りがかり、一行を招きいれた。 「そうですか……。ウェールズ様はやはり、父王に殉じたのですね…」 王宮内の王女の居室。キュルケとタバサ、それにギーシュは謁見待合室に残し、ルイズとリゾットは疲労に耐えながらもアンリエッタに事の次第を説明した。 キュルケたちの合流や空賊に化けたウェールズとの出会い。亡命の拒絶。ワルドとの結婚式の最中におきたワルドの豹変。 そしてウェールズの最期。 ルイズが主に説明し、足りない部分はリゾットが付け加えた。 話している間、アンリエッタの顔をどんどん曇っていく。ルイズは王女の心中を思い、身を切られるような思いを味わった。 任務は達成され、手紙は取り戻され、ゲルマニアとの同盟は守られるとわかっても、アンリエッタの心は晴れなかった。 「あの子爵が裏切り者だったなんて……。まさか、魔法衛士隊に裏切り者がいるなんて……」 アンリエッタは手元に戻った恋文を見つめ、はらはらと涙をこぼした。自らの選んだ護衛が恋人の命を狙ったことがショックだった。 「あの方は、私の手紙をきちんと最後まで読んでくれたのかしら? ねえ、ルイズ」 「はい、姫様…。ウェールズ皇太子は、姫殿下の手紙をお読みになりました」 「ならば、ウェールズ様はわたくしを愛しておられなかったのね」 アンリエッタは寂しげに首を振った。 「では、やはり……、皇太子に亡命をお勧めになったのですね?」 「ええ。死んで欲しくなかったんだもの。愛していたのよ、わたくし」 溜息をつき、放心したように呟く。 「…………わたくしより、名誉の方が大事だったのかしら」 「ウェールズも王女を愛していただろう。表現が違うだけだ……」 のろのろと、アンリエッタがリゾットに視線を移した。 「『ウェールズは勇敢に戦い、勇敢に死んでいった』。皇太子からの伝言だ」 そしてポケットから風のルビーを出す。フーケにでも渡そうかと思ったが、やはりアンリエッタが持つのが一番いい気がした。 「形見だ。最後に渡された」 「これは…風のルビーではありませんか。ウェールズ皇太子から、預かってきたのですか?」 「ああ………」 詳しく話せば自分が五万の敵を足止めしたことを話さなければならなくなるため、リゾットは頷いた。 アンリエッタはそのルビーを嵌め、呪文を呟く。リングが縮み、ちょうどいい大きさになった。 「勇敢に戦い、勇敢に死ぬ。殿方の特権ですわね。残された女は、どうすればよいのでしょうか」 風のルビーを愛しそうに撫でると、アンリエッタは寂しそうに微笑んだ。 「死んでいった者たちから何を受け継ぐかは残された者次第だ。ウェールズの死が無駄になるかどうか、それで決まる……」 「まるでご自分も残されたことのあるようなことを仰るのね……」 一瞬、アンリエッタの視線が射るような光を帯びた。 「………」 リゾットは答えない。ただ、視線を受け止めた。事実、リゾットは死に引きずられ、仲間の死を無駄にしかけた。 引き止めてくれたのは昔の、そして今の仲間たちだ。 リゾットにとっての仲間のような存在は、アンリエッタにはおそらく、ルイズしかいない。 「私がもっと強く、ウェールズ皇太子を説得していれば……」 あまりに落胆した様子のアンリエッタに、ルイズがうつむく。アンリエッタはそんなルイズの手を取った。 「いいのよ、ルイズ。貴方は立派にやってくれました。 お役目の通り、手紙を取り戻した以上、貴方が気にする必要はどこにもないのよ。亡命をお勧めしたのは、私の一存なのですから」 ルイズを元気付けるようににっこりと微笑み、努めて明るい声で語りかける。 「わが国とゲルマニアは無事同盟を結ぶことが出来るでしょう。そうなればアルビオンも簡単には攻めてはこれません。 危機は去ったのですよ、ルイズ・フランソワーズ」 ルイズはポケットから、水のルビーを取り出した。 「姫様、これ、お返しします」 「それは持っておきなさいな。せめてものお礼です」 「こんな高価な品を頂くわけにはいきませんわ」 「忠誠には報いるところがなければなりません。いいから、とっておきなさいな」 二人が退出しようとすると、アンリエッタがリゾットに声をかけた。 「あの人を、最後に送り出したと、仰いましたね?」 リゾットは頷いた。 「何故あの人を……。いえ、何でもありません」 一瞬、アンリエッタが憎しみの宿った目でリゾットを見た。 (俺が人を信用するように助言したようなものだからな……) リゾットはそれに気付いたが、胸にしまっておいた。恨まれるのは慣れている。 『恩には恩を、仇には仇を』。アンリエッタがリゾットを憎むなら、リゾットにはその憎しみを受ける義務がある。 王宮から魔法学院へ向かう空の上、キュルケはしきりに任務について尋ねてきたが、二人は何も喋らなかった。 キュルケは酷く残念がってギーシュにも尋ねていたが、ギーシュも中身を知るわけがない。 悔しがったキュルケが暴れたせいで風竜がバランスを崩し、ギーシュが落ちたりしたが、それは本編には関係ないので割愛する。 第十四章 土くれと鉄Ⅱ ~ 誉れなき戦い ~ 魔法学院に着く頃には既に夕方だった。風竜から降りた四人は、黙ったまま部屋へ戻る。 この数日の旅は移動と戦闘の繰り返しだったため、誰も彼もを激しく疲労させていた。 タバサなどは学院につく少し前からうつらうつらし始め、ほとんど眠ったまま夢遊病のようだ。 キュルケに掴まり、なんとか部屋へ戻っていく。部屋に入り際、半眼のまま手をぷらぷらと振った。意識はあるらしい。 「じゃあね…」 キュルケもあくびをかみ殺しながら自分の部屋に入る。 この中でもっとも体力に優れるリゾットも最後にガンダールヴとスタンドの力を全開にしたせいか、疲労が身体に蓄積し、体中に鉛を入れられているように重かった。 「しかし相棒、寝る前に怪我の手当てしたほうがいいんじゃねーか?」 一人疲労を感じないデルフリンガーに指摘され、身体を確認する。 ニューカッスルで最後に『治癒』をかけられたものの、術者が疲労していたこともあり、完治にはほど遠かった。 特に一定期間放置していた右腕の火傷はまだ少しひりひりと痛い。 治癒をかけてもらうほどのこともないので、厨房で常備薬を都合してもらうことにした。 「確かに……包帯くらいは替えたほうがいいな…。ルイズ、俺は少し厨房に行く」 「ん……分かった……。あ、でも、待って……」 ルイズに呼び止められ、招きよせられる。近づくと、手を握られた。 「何だ?」 「何となくよ……」 呟いて、ルイズは布団を頭から被る。赤くなった顔を、リゾットにそれを見られたくはなかった。 「あんたも、早く寝なさいよ……。仕事は…明日からで……いい…か…ら…」 ルイズは手を握ったまま告げ、次の瞬間には疲れによって眠りの世界へと旅立った。 リゾットは完全にルイズが眠るまで、そこに立っていた。 厨房に行くと、夕飯を出し終わったところらしく、マルトーたちが隣接する控え室で一時の休憩を取っていた。 リゾットに気付いて、気軽に声をかけてくる。 「よう、我らが剣よ! 久しぶりだな。どこ行ってた?」 何がそんなに愉快なのか、笑いながらバシバシと背中を叩いて来る。悪気はないのだろうが、そこそこ痛い。 「ああ。少し…ルイズのお伴でな……」 「あの我が侭嬢ちゃんのお付か。そいつぁ大変だったな。今日はどうした? 飯でも食っていくか?」 「いや……包帯を貰おうと思ってきたんだが……持ってないか?」 「包帯…? 何だ。怪我でもしたのか? よし、待ってな。……あれ? シエスタならどこにおいてあるか知ってたんだろうが…」 控え室に入り、そこら中をひっくり返しながらマルトーがぶつぶつ言う。そういわれてみれば、シエスタを見かけない。 「シエスタはどうした? 休んでるのか…?」 途端に控え室が静かになった。ただならぬ気配に、いやな予感が胸をよぎる。 「どうした…?」 「シエスタは……辞めたよ。モット伯って貴族に、急遽仕えることになってな。本人は、嫌がってたんだがな……。 ちょうど今朝早く、馬車で連れて行かれちまったよ」 マルトーがそれがシエスタにとって良くないことであるかのように言った。 (貴族に召抱えられるならば別に悪い話ではないと思うが……!) リゾットはそこである可能性に思い当たった。 「それは…………妾として、ということか…?」 マルトーが気まずそうに眼をそらす。その表情に浮かぶ罪悪感と恐怖でリゾットは自分の考えが正しいことを知った。 貴族が嫌いのマルトーではあるが、それでも貴族を恐れている。逆らうことは出来ないのだろう。 「所詮、平民は貴族の言いなりってことさ……」 そういって、リゾットに包帯を渡す。軽いはずの包帯が、酷く重く感じた。 日没後、包帯を巻き直したリゾットは、武装を整えて部屋の外に出る。 ルイズはあれから死んだように眠っており、とても起こすことができなかった。 念のため、タバサ、キュルケの扉もノックしたが、やはり出てこない。 ギーシュも戻ってこないので、後は足の着かなさそうな情報源というと一人しかいない。 「モット伯ぅ?」 やってきたフーケはその名を聞くと、露骨に顔をしかめた。 「あまり……いい印象はないようだな」 「そりゃね。ここでオスマンの秘書やってたときに王宮の勅使として何回か来たけど、私の身体を嘗め回すように見るんだよ。 怖気が走ったね」 その視線を思い出したのか、フーケは嫌悪感に身体を大きく震わせる。 「で、何でモット伯なの?」 「シエスタが連れて行かれた……」 フーケは頭の中で盗賊時代に調べたこの学院勤務の人間たちのリストを検索する。学院勤めのメイドだったはずだ。 「あの子ね……。そういえばモット伯はとっかえひっかえ平民の女を連れ込んじゃ手篭めにしてるって聞いたよ。本当だったみたいだね」 リゾットはその言葉にしばらく考えるような仕草をした。 「モット伯の屋敷はどこにある?」 「それなら知ってるけど。まさか、行くつもり?」 「……モット伯との交渉は可能だと思うか?」 「無理だね。奴に限ったことじゃないけど、モット伯は平民を見下してる。あんたが行っても会えるかどうかも分からないよ。 ましてシエスタって子を連れて行ったのは一応、手続きは合法だろうし。抗議したところで聞く耳なんて持たないだろうね」 リゾットはこの瞬間、穏便に済ませる選択肢を削除した。そこにデルフリンガーが口を挟む。 「なぁ、相棒よぉ。俺は相棒が好きだから忠告するぜ。モット伯のところに乗り込むなんてやめときな」 「なぜだ…?」 「相棒の今の状態じゃあ、強力なメイジには勝てねえよ。まだ疲れが尾を引いてるだろ?」 「モット伯は水のトライアングルメイジだよ。クラスとしては私と同じさ」 だが、それを聞いてもリゾットは首を振った。 「彼女にも恩がある…。苦しいときに受けた恩は他の恩よりもさらに価値がある」 「はぁ…。相変わらず義理堅いねえ」 フーケが溜息をついた。既に諦めているようだ。だが、デルフリンガーはなおも言葉を紡ぐ。 「せめて明日でいいじゃねえか。一晩ゆっくり寝りゃあ、あの貴族の娘っ子だって起きてくるし、相棒だって回復する」 「遅すぎる……。シエスタが心に傷を負うには一晩あれば充分だ」 シエスタの屈託のない笑顔を思い出す。リゾットはその笑顔が苦手だった。だが、苦手であることと嫌いであることは違う。 あの笑顔を汚したくはなかった。 「……貴族の妾になるのだって悪くないぜ? 食うには困らないしな。家族にだってそれなりに手当てが出る。 俺らの価値観で図るのはどうかと思うのよ」 「それをシエスタが望んでいるのならばな……」 デルフリンガーは何とかリゾットを思いとどまらせようと、ありとあらゆる理由を並べる。だが、一方で無理だということも分かっていた。この鋼鉄のような意志こそ、デルフリンガーがリゾットを見込んでいるところの一つなのだから。 見かねたフーケが口を出す。 「あんたが行くなら止めないけど、貴族の屋敷に乗り込んで剣を抜いたなんて知れたら、あんたのご主人様にも累が及ぶんじゃないの?」 それはリゾットも最初に考えたことだった。ルイズに迷惑をかけることだけは、あってはならない。 「問題ない……。変装する」 「だけどよぉ……」 さらに言い募ろうとするデルフリンガーの柄に、リゾットは手をおいた。 「『敵が強い』、『体調が万全じゃない』……。それはただの言い訳だ。 俺がいたチームの奴なら、与えられた状況で最善を尽くす。……諦めが悪いんだよ、俺たちは……」 もっと困難な任務など幾らでもあった。だが、リゾットたちのチームは常にそれを果たしてきたのだ。 リーダーたる自分がどうしてここで尻込み出来よう。 フーケはその言葉に、リゾットの、今はいないチームへの絶大な信頼を感じ取った。 そして近くにいる自分はまだそれほどには信頼されていないということも。 「状況が万全でなければやれない、なんて奴は………『覚悟』のないマンモーニだ」 「やれやれ……うすうす感づいちゃいたけど、相棒は馬鹿だね。しかもかなり重度の馬鹿だ」 「そうだね……。私、何でこんな馬鹿に付いてるんだろ……」 デルフリンガーが溜息混じりにいった言葉にフーケはぼんやりと同調する。 馬を出すため、厩舎へ向かうリゾットの背を、フーケはじっと見つめていた。 リゾットは馬に鞭を入れ、街道を疾駆する。 スタンドを利用すれば馬よりも速く移動できるが、スタンドパワーは向こうに着くまで温存したかった。 途中、もう一頭の馬が併走してきた。乗っているのはフーケだった。 「一緒に行くよ。そのシエスタって子を助けるのを手伝おうじゃないか」 「何故だ?」 「……言っとくけど、金は要らない。私は貴族が嫌いなのさ。モット伯みたいに権力で平民を好き勝手するような貴族はね。 一緒に行ってもいいだろ?」 「馬鹿なこと……なんじゃなかったのか?」 その言葉に照れたように、フーケは月へと顔をそらした。 「まあ、たまには馬鹿になってみるのも悪くない、と思ってね」 二頭の馬が暗い夜道を駆け抜ける。フーケは自分で思う以上に心が躍っているのに驚きながら、馬を走らせた。 モット伯の館から少し離れた森の中に、二人は馬をつないだ。ハルケギニア製の服(厨房からのお下がり)に着替えたリゾットは遠くから館を見て呟く。 「……犬がいるな」 背中に蝙蝠の翼を生やした犬を連れた衛兵が何組か邸内を巡回していた。犬は厄介だ。メタリカによる隠密も匂いは誤魔化せない。 「庭は広く、遮蔽物は…噴水くらいか……。準備に時間があればともかく、現状では気付かれずに潜入するのは困難だな……」 「どうする?」 フーケの問いに、リゾットはしばらく考える。 「二手に分かれる。俺が正面から乗り込む。お前はその隙に警備を掻い潜って中へ入り、シエスタを連れ出せ」 「待ってよ。それなら、私のゴーレムを使って正面から殴りこんだほうが目立つし、陽動効果が高いよ」 だが、リゾットはそれを否定した。 「だめだ。官憲に、取り逃がした土くれのフーケがこの辺りにいることを教えることになる。ラ・ロシェールに現れたことで、アルビオンに向いている捜査の眼を内側に向けさせるわけにはいかない」 「おや、気を使ってくれてるわけだ?」 「………」 いたずらっぽく笑うフーケを、リゾットは無表情に見返す。 「分かったよ。そういうことなら、潜入の方は任せて。あの屋敷の中ならよく知ってるから」 「よく……?」 不思議そうに尋ねるリゾットを見て、フーケは愉快そうに笑う。 「あはは、私が誰だか忘れたの? 貴族専門の怪盗、土くれのフーケだよ? モット伯の屋敷もターゲットとして調べてたのさ。ゴーレムで壊すにしたって、お宝の位置に見当つけないと壊しようがないからね」 「なるほどな……」 納得するリゾットに、フーケはもう一つ質問をしてみる。 「ところで、仮に私がメイドの子を連れ出したとして……そこからの宛はあるのかい?」 「路銀を持たせて田舎にでも返そうかと思っていた…。俺が騒ぎを起こせばメイドどころではなくなるしな……」 最悪の場合はモット伯を暗殺する、それでなくても脅すという手は考えていた。しかしそれも状況を見てだ。 「そうかい。まあ、あまりヤバイようだったら、私に任せて。一応、匿う場所に心当たりがないわけじゃない」 「……何から何まで、すまない」 自分の独断に仕事抜きで手伝ってくれるフーケに、リゾットは心から感謝した。長年鍛えられた無表情のせいで伝わったかどうか怪しいが。 「気にしないでいいよ。何しろあんたには会った時から優位に立ったことがないからね。偶には私が頼りになるところを見せないと」 「お前は頼りになるさ……」 「う……あ、そう? そう思ってくれてるなら、いいんだけど…」 言いながら、フードを深く被って顔を隠し、リゾットに背を向けた。 「じゃ、頼んだよ」 去っていくフーケを見送りながら、リゾットは貰った包帯を左手に巻いてルーンを隠す。 「デルフ、ここからは喋るな。インテリジェンスソードを使うという証拠も残したくはない」 「はいよ。……って、相棒、顔変わってねえ?」 「変装する、と言っただろう」 そういうリゾットの輪郭は骨ばったものに変わり、目の色も普通の人間の色に戻っている。 メタリカの磁力によって体内の鉄分を顔に凝縮し、骨格の整形を行ったのだ。 眼の色は元々メタリカの影響なので、スタンドを使えば一時的に元に戻すことは容易い。 (ただでさえ残り少ないスタンドのパワーを使ってしまうことになるが、仕方ない……) リゾットはデルフリンガーを抜き、屋敷へと進み始めた。 モット伯の屋敷前の門を預かる二人は、その夜も無聊を囲って雑談していた。 「そういや、モット伯はまた新しい女を連れ込んだらしいな」 「へぇ? そうなのか。初めて聞いたが」 「ああ、ちらっと見たけど、黒髪の、メイドっぽい服着た女だったぜ?」 「け、別にメイドとして雇ったわけじゃないんだろ。どーせ」 「まあな……今夜はお楽しみってわけじゃないか? あのスケベ……ん? おい! 止まれ、何だ貴様は!」 門番の一人が門に男が一人、近づいてくるのに気が付いて誰何の声を上げる。闇の中から姿を表した男は右手に剣を携えていた。 「何奴!? 武器を捨てろ!」 槍を構え、二人の門番はじりじりと距離をつめる。あと少しで槍の穂先が触れる、というところで、男は忽然と姿を消し、門番のすぐ横に現れる。門番の一人が膝から崩れ落ちた。気絶している。 「く、曲者! 曲者だー!」 残った一人は笛を鳴らし、屋敷中の衛兵を呼び集め始めた。 (始まったようだね……) フーケは笛が鳴り響き、大勢の衛兵が門へと駆けつけるのを森の樹の上から見ていた。もっとも、全ての兵がいなくなったわけではなく、裏口には翼を生やした犬を連れた兵が一人残っている。 (…あの一人と一頭は私が何とかするしかないか……) フーケは杖を構えると、人の腰ほどしかない小さな土のゴーレムを相手の死角になる場所に作る。それが終わると、『サイレント』の呪文を詠唱し始めた。 『サイレント』は『風』系統なので得意ではないが、比較的簡単で泥棒稼業には有用なため、フーケも覚えている。 呪文が発動し、音がなくなると同時に樹から飛び降り、加重と加速をつけた膝を入れる。秘書時代、オスマンがセクハラをする度に試してきた体術は見事に決まり、衛兵は声もなく倒れた。 気付いた犬が襲い掛かってくるが、間一髪かわし、その首につながれている手綱を取り、ゴーレムに渡す。ゴーレムは近くの樹にそれを括り付けた。その上でゴーレムに犬を締め落とさせ、ゴーレムを元の土に戻しておく。 (さて…さっさとシエスタを助けなきゃ……) 衛兵を音もなく倒したフーケはそそくさと裏口から中へと入った。 足音を殺しつつ、扉を一つ一つ開けていく。宝の場所は検討が着くが、どこにシエスタがいるか分からないからだ。 (モット伯の手の早さなら奴の寝室かな………) そう考えながら進むと、ある部屋の前にいることに気がつく。以前、フーケがこの屋敷を調べた際、謎の部屋が一つだけあった。それがこの部屋なのだ。 早く行かねばと思いつつも、盗賊の血がうずいた。決心すると、フーケは杖を取り出し、素早く『アンロック』を唱える。鍵をはずして中に入り……フーケは目を丸くした。 リゾットは衛兵たちに取り囲まれていた。もともと陽動を目的としているのだから、計算どおりの結果ともいえる。ただ、思ったより人数が多い。 先ほど、一人をあっという間に気絶させた手際を警戒してか、衛兵たちは遠巻きに見るだけでなかなか前に出てこない。 まずは犬がけしかけられた。一頭が翼を羽ばたかせて空から、他二頭が地上から襲ってくる。 先頭の一頭が襲ってくるところをかわし、デルフリンガーで胴を斬る。ほぼ間をおかずに空を飛んでいた一匹がさながら猛禽のようにリゾットの首に喰らいつこうと降下する。 リゾットはデルフリンガーを手放すと、右手の拳を犬の大口に叩き込み、左手で下あごをつかむと、顎を上下に思い切り引き裂く。いやな音がして、絶命した犬が地に落ちた。 だが、このとき既に、残った一匹はすでにリゾットの腕に迫りつつあった。牙が肉に食い込む。だが、その力はすぐになくなった。地面から突如現れた無数のメスに串刺しにされたからである。 「な、何だ……あれは…?」 「魔法……?」 「いや、しかし杖を持っていない……」 突然の出来事に騒然となる衛兵たちに、あえてリゾットは嘘をついた。 「先住魔法だ」 「な、何!?」 衛兵たちはとたんに弱腰になり始める。 「まさか、あいつ、エルフなのか?」 「いや、エルフにしては耳が普通だ」 「だが、アレを見ただろう? 先住魔法の使い手が相手ではとても我々では…」 「モット伯をお呼びしろ!」 (やはり、一般の人間は先住魔法を恐れているのか……) 先日戦ったワルドはスタンドを見て、先住魔法といった。その時の表情からして、ハルケギニアの人間にとってそれが忌まわしいものであるということを悟ったのだ。 (このまま、時間を稼げば作戦は半ば成功だな……) そう考えつつも、リゾットは疲労を実感していた。先ほど、最後の犬への対応が、普段よりもほんの少し遅れたのだ。もしもこの場の人間に一斉にかかってこられたら、少々分が悪い。 (急げよ……、フーケ) じりじりと遠巻きにしている包囲の輪を見ながら、リゾットはデルフリンガーを拾った。 モット伯の館の奥深く、モット伯の寝室の扉の前に、シエスタは立っていた。 湯浴みが済んだらモット伯の寝室に来いといわれ、諦めていた筈がやはり躊躇ってしまう。 だが、ここで断れば下手すれば故郷の家族にまで罪が及ぶ。貴族というのはそれだけの力があり、ましてモット伯は王宮とつながりがあるのだ。 (父様、母様、許して。私は、あんな好きでもない変な眉毛に奪われてしまいます…!) 心の中で血涙を流しながら父母に侘び、意を決して扉を開ける。 「遅かったな」 ゆり椅子に腰掛け、本を読んでいたモット伯がいらいらとした口調で話しかける。 「は、はい…。申し訳ございません」 その手にある杖を見て、シエスタは萎縮してしまう。貴族というのは平民にとって支配者であり、恐怖の対象なのだ。怒らせれば命がない。 そんなシエスタを見て、モット伯は一転していやらしい笑みを浮かべた。 「まあ、良いだろう。夜は長いのだ。私がゆっくりと教育してあげよう。ゆっくりとね……」 そういいながら分厚い本を閉じ、書棚にしまい始める。シエスタは自分の運命を呪った。しかし、そこでふとある人物を思い出す。 その人物とは何週間か前のこと、ヴェストリ広場で素手でメイジと決闘し、そして勝利を収めた平民である。 (彼は……リゾットさんはミスタ・グラモンの理不尽な言い掛かりにも決して引かなかった…) その一件はシエスタも含め、学院勤めの平民たち皆が希望を抱いた。『貴族の理不尽に何の手もなく従うだけが道ではない』。その希望をリゾットの中に見たのだ。 それを思い出したとき、シエスタは反射的に飾ってあった花瓶を手に取り、眼を閉じると、モット伯の後頭部に向けて渾身の力で振り下ろした! 派手な音が響き、花瓶が割れる。シエスタがおそるおそる眼を開けると、モット伯は床に倒れ伏していた。 (やってしまった……。これから……どうしよう…) とにかく、ここに留まっては命がない。逃げるのだ。 そう決断すると、扉を開けて外に出る。と、扉の外で中をうかがっていた人物にぶつかった。 「きゃっ!?」 「ひゃっ!?」 悲鳴が二つ重なり、両者は尻餅をつく。だが、シエスタは必死だ。この館にいる以上、今ぶつかった人物もモット伯の配下なのだろう。すぐさま立ち上がって、走ろうとする。そこで、腕を掴まれた。 「ちょっと待ちなよ! あんた、シエスタだろ?」 振り返ると、目深にローブを被った女性がシエスタの腕を掴んでいる。 「だ、誰ですか…? 貴方…?」 なんとなく声に聞き覚えがあるような気もしたが、訊いてみる。 「私はリゾットの…あー…部下さ。あんたを助けに来た」 「リゾットさんの!?」 女性はシエスタの言葉に反応せず、部屋の中を覗き、倒れているモット伯を発見し、クスクスと笑い始めた。 「貴族には何も出来ないお嬢さんだと思ったら……結構やるね、あんたも」 「は、はあ……。貴方、もしかしてミス・ロ…」 シエスタがフーケの正体に気づき、声を上げようとしたが、フーケに人差し指を口元に立てられ、遮られた。 「それは言いっこなし。今はあんたの味方さ。さ、警備を彼が引き付けてくれているうちに、逃げるよ。リゾットも助けに来てる」 『リゾットが助けに来ている』。その言葉に、シエスタは脱出の希望を見出した。リゾットなら何とかしてくれそうな気がしたのだ。 「はい!」 シエスタが元気よく返事をした直後、地獄の底から響くような声がした。 「……許さん……」 二人が恐る恐る振り返ると……額から血を流したモット伯が起き上がり、憤怒の形相でこちらに杖を向けていた。 花瓶からこぼれた水が浮き上がり、鞭のように宙を旋回し始める。 「貴族の私を傷つけた罪、絶対に許さん…。平民が! なぶり殺しにしてくれる!」 水の鞭が蛇のように素早く伸びる。だが、その一撃はシエスタには届かなかった。フーケがシエスタの手を引いて駆け出したからだ。 フーケもまたトライアングルメイジ。戦えば互角以上の戦いを繰り広げられる自信があったが、ここは屋内で、自分の得意な土がない。 さらに自分の正体を知られるわけには行かない以上、さっさと逃げるに限ると判断したのだ。 (あっちが冷静なら、さっきのアレで説得できるのだけど……) どうみても後ろから追ってくる男はキレている。聞く耳持つとは思えない。 と、廊下を曲がったところで、ここの衛兵らしき男にぶつかった。リゾットの先住魔法に見せかけたスタンドに恐れをなし、主人を呼びにきた男だった。 「何だ、お前たちは!?」 説明する暇すら惜しいと横を通り抜けようとしたところで、また水の鞭が襲ってくる。 「シエスタ、伏せな!」 間一髪、水の鞭は頭上を通り過ぎ、哀れな衛兵はもろに顔面に水の鞭を受け、血を吹きながら倒れた。 「危ない……。まだ走れるね?」 「は、はい! 頑張ります」 「ん、良い返事。もう少しよ」 再び二人は駆け出す。出口を目指して。 リゾットは先住魔法を警戒して遠巻きしている衛兵たちと戦っていた。 先ほどの脅しが功を奏したのか、敵はたまに2~3人及び腰で向かってくるだけだった。 もうすぐモット伯が呼ばれてくるという。リゾットにとって、これはむしろ好都合だった。 モット伯に直接、接触できるなら脅し、交渉、殺害、どれを取るにしてもやりやすくなる。 そのとき、正面玄関の扉が開き、フーケとシエスタが飛び出してきた。それに続いてモット伯が走ってくる。 リゾットはモット伯の顔を知らないが、杖を持っていることと、魔法で作り出したらしき鞭状の水を浮かべていることでモット伯だと検討をつけた。 その瞬間、リゾットは走り出していた。瞬時に距離をつめ、包囲していた衛兵の一人を蹴り倒す。 隙を突かれた兵士たちだが、すぐさまリゾットに向けて槍を突き出すが、その穂先は不自然な軌道を描いてリゾットを逸れた。 「メタリカ……」 反発磁力によって槍を回避したリゾットは減速せずにモット伯へと迫る。 「何だ、貴様は!」 モット伯は呪文を唱え、鞭にしていた水を凍らせると、矢のようにリゾットへと射ち出した。 リゾットはそれを回避しようとして……眩暈に襲われた。 無理やりガンダールヴを発動させ、スタンドまで使ったつけがここに来たのだ。 (しまった!) ダメージを覚悟したリゾットだったが、氷の矢は突如盛り上がった土の壁によって防がれる。フーケが杖を構えていた。 「何と!?」 驚くモット伯の前で土の壁が崩れ、その向こうにいた男が再び駆ける。 だが、まだ距離がある。これならば近くの噴水からもう一度水を巻き上げ、攻撃可能だ。 「メタリカ、力を振り絞れ!!」 ロォォォォドォォォォオォォ……。 男が何か叫んだが、モット伯は気にせず呪文を唱え、迎撃しようとして……口の中に鋭い痛みを感じた。 何か鋭い、硬い物が口の中に入っている。 (いつの間に?) 思考がよぎるのもつかの間、反射的に口の中のものを吐き出す。舌と頬の内側を傷つけながら、無数の刃物が出てきた。 「ひっ!?」 恐怖と痛みで怯むモット伯だったが、正しく事態を把握する前に接近したリゾットに殴り飛ばされる。 「うぉっ!?」 気がつくと、杖をフーケに奪われていた。 「お、おい…やばいぜ……。モット伯が……」 「勝ち目ねえな…」 「冗談じゃねえ……。これ以上、メイジや先住魔法の使い手の相手なんてやってられるか!」 衛兵たちの決断は早かった。主を残して逃げ出したのである。 もともと金で雇われているせいか、得体の知れない先住魔法らしき魔法の使い手とメイジに戦いを挑む気概はなかったようだ。 「ふぉ、ふぉい、ふぉまえひゃち!」 モット伯は逃げ散る衛兵たちを引きとめようとしたが、舌を傷つけられたため発音がままならず、喉に剣の切っ先を突きつけられているため、追うこともできない。 「さて……こいつをどうするかな……」 「ああ、こいつに関しちゃ、私に任してくれないか?」 「何か名案が?」 リゾットの問いにフーケは口元に微笑を浮かべて答える。 「き、きひゃまら、このわらしにひょんな真似をしてひゃびゃでしゅむとふぉもうなよ!(訳:き、貴様ら、この私にこんな真似をしてただで済むと思うなよ!)」 わめくモット伯を安心させるようにぽんぽんと肩をたたくと、フーケは懐からいくつかの小瓶を取り出した。 「ねえ、ジュール・ド・モット伯爵様。お屋敷の中で、こんなの見つけたんだけど」 それらを見た途端、モット伯の顔が蒼白になる。 「惚れ薬に媚薬、痛みを快楽に変える薬、その他色々……。 よくもまあ、シモ関係のご禁制の薬ばかりこれだけそろえたものだね。感心するよ」 フーケが開けた謎の部屋。そこはさまざまな薬品が調合・保管されている部屋だった。 その中にはご禁制のものも多くあったため、脅すネタとして持ってきていたのだ。 「自分で作ったのか買ったのかは知らないけど、これを持ってることが王宮にバレたらどうなるか、賢い伯爵様はわかるよね…?」 「わらしのもにょなどというひょうこはらい!(訳:私の物などという証拠はない!)」 「そんなこと言っていいのかい? きちんと調べればこれらの原材料や、薬そのものの入手ルートを洗って、特定できると思うけどね…。まあ、別に提出してもいいって言うなら提出しようかな……」 「ま、待ひぇ! ひゃらしを聞こうじゃらいか! 目的は金か? わらしのからびゃか!?(訳:ま、待て! 話を聞こうじゃないか! 目的は金か? 私の身体か?)」 直後、モット伯の杖が持ち主の股間を強打した。モット伯は口から血の泡を吹いて悶絶する。フーケは思わずロングビル時代のノリでツッコミを入れてしまった。 「誰がお前の身体なんかを狙うんだい!? 自分を知りな!」 そこから一転、声を落ち着かせて語る。 「何、別に大したことじゃあないんだよ。ただ、これからはもう心根を入れ替えて、女遊びはやめるんだね。あのメイドも学院へ戻すよ? あと、私たちについてはもちろん、詮索しない。いいね?」 「わ、わらった(訳:わ、分かった)」 「はい、交渉成立。とはいえ、証拠の品は押収しておくよ。あんたが妙な動きをしたら、即座に届けるから、そのつもりで」 モット伯は何度も頷いた。フーケはそれを確認して、モット伯の股間にもう一撃入れる。モット伯は低く呻き、気絶した。モット伯の杖は邪魔なため、へし折って捨てておく。 フーケは薬をしまいかけ、ふと、リゾットと以前交わした『トリステイン内で盗みをしない』という約束を思い出した。 「…この薬、貰うよ。あんたと交わした約束の違約になる?」 「……いや、好きにしろ。行こう、シエスタ」 不安そうに見ていたシエスタを促し、馬をつないである所まで歩いていく。 「あ、あの……貴方…ひょっとして……」 シエスタがリゾットにおそるおそる話しかける。 「ん……ああ、そうか……。まだ変装したままだったな……」 能力を解除し、元の顔に戻ると、シエスタにいきなり抱きつかれた。 「やっぱり、リゾットさん!」 「ちょっと待て……」 疲れていたのと不意をうたれたので支えきれず、リゾットはそのままばたりと倒れた。 「す、すいません!」 リゾットはシエスタに押し倒される格好になり、シエスタは顔を真っ赤にして退く。 「はっはっはっ、相棒、モテモテだね」 「本当、何で私、こんなのについてるんだろ」 デルフリンガーが冷やかすと、フーケはため息交じりにぼやいた。 フーケとは途中で別れ、学院へと戻る。フーケの存在とリゾットのスタンド能力については、シエスタに簡単に説明した上、口止めをする。 「それにしてもすごいですね、リゾットさん。ミス・ロングビルを改心させるなんて!」 ますます憧れと尊敬の目で見られ、リゾットは非常に居心地が悪い。 「ああ……。そうかな…」 などと曖昧な返事をしている。 そうこうしているうちに、学院へついた。学院へ戻るころには明け方になっていた。 馬を厩舎に返し、シエスタを水汲み場で別れる。別れ際、呼び止められた。 「リゾットさん! あの、その……」 もじもじしている。何かいう気はあるようなので、リゾットはその場で足を止めて待った。 「今はお疲れのようですから、後で! また今度、改めてお礼をさせてください!」 だが、それにリゾットは首を振る。 「気にするな。俺はお前から受けた恩を返しただけだ」 「いえ、でも、お礼したいので! お願いします!」 「お礼なのにお願いされるのか」 「え、ええ!? そうですね。えええっと、じゃ、じゃあ…」 何気なくしたツッコミに、シエスタはあたふたとあわてた。 「いいじゃねえかよ、相棒。ああまで言ってんだぜ? お礼の一つや二つ受け取ったって罰当たらねえよ」 「そうか……。分かった。では楽しみにしている…」 デルフリンガーの助言に、リゾットが頷くと、シエスタは屈託のない笑顔を浮かべてお礼を言い、帰っていった。 別れ際の笑顔に、リゾットは自分のしたことに間違いはないと、再認識するのだった。 部屋に戻ると、ルイズはもう起きていた。窓の外を見ながら、ぼそりと呟く。 「見てたわよ」 「……? 何をだ」 リゾットが問い返すと、ぐるりとリゾットの方を見た。 「ご主人様が疲れてお休みのときに、自分はメイドと朝帰りってわけ……? いいわねー、元気で……」 顔は笑っているが、目は笑っていない。リゾットはその表情に『不機嫌』を通り越して『怒り』のサインを見つけた。 内心、ため息をつく。どうせ報告するつもりではあったが、この状態のルイズを落ち着かせて説明するのは骨が折れそうだ。 「覚悟はいい?」 「信じないだろうが、言っておく。誤解だ」 「問答無用! このっ、馬鹿犬ーっ!!」 薄暗い朝の学院に、ルイズの魔法が炸裂した。 リゾット →二時間かけてルイズを落ち着かせ、事の次第を説明した。その後、疲労とダメージで倒れる。 ルイズ →一瞬、デレ期が到来するも、今回の事件で頭に血が上り、再びツンに戻りかけた。勝手に動いたことが気に入らなかったが罰だけは下さなかった。 土くれのフーケ →証拠のご禁制品を一部、裏で流して一儲けする。儲けはある場所に送金された。 シエスタ →学院つきのメイドに戻った。リゾットの世話を前にもまして熱心に焼くようになる。 デルフリンガー →魔法吸収機能覚醒で、リゾットにより扱ってもらえるようになり、ご機嫌な毎日。 モット伯 →玉が潰れた。以来、清廉潔白な貴族として知られるようになる。 ギーシュ →この日の朝、学院に到着。数日間留守にしたうえ、朝帰りとあって、またモンモランシーから誤解を受け、殴られた。 その後、周囲の証言で誤解は解け、モンモランシーに看護してもらう。
https://w.atwiki.jp/moejinro/pages/3172.html
5日目 マダム さわやかな朝がやってきました 村の川辺に無残に引きちぎられたみむっちゃさんの死体が見つかったようです… マダム 村人の皆様、今日もがんばってください 5日目スタートです 1 (マダム村) アリスイ 【占いCO】ゆっくりふとさん○ 進行の手順はたびたび提案していますが、具体的に誰をどんな色で見ているのかはなく発言数を稼いでいるようにみえたため カルシファー 【霊媒CO】ストーマーさん○! 1 (マダム村) カルシファー 【霊媒CO】ストーマーさん○! みむっちゃ あじゃぱ~ 1 (マダム村) カルシファー ごばったw 1 (マダム村) カルシファー そこ噛むのかぁ 1 (マダム村) ゆっくりふと んーどうしたものかな 1 (マダム村) すいさい あーあー絶対SGで残されるとおもったよ 1 (マダム村) アリスイ 狼的にはまだ狩人警戒してるんですかね 1 (マダム村) xバーバラx グレーはすいさいさんとシエスタSSさん 1 (マダム村) シエスタSS まじか 1 (マダム村) みむっちゃ 冥土いーん 1 (マダム村) みむっちゃ orz 1 (マダム村) すいさい 死者がよみがえった 3 (冥土) とよよ いっらっしゃいませー 1 (マダム村) すいさい 占:真狼 霊:狂 アリスイさん●残り2W 占:真狂 霊:狼 2W? 3 (冥土) とよよ あ、ちがった 1 (マダム村) すいさい これがこわいのよね 3 (冥土) マダム いらっしゃい 3 (冥土) みむっちゃ ・・・・冥土・イン 3 (冥土) トガリ いらはい 3 (冥土) デュビア おつかれさまー 1 (マダム村) カルシファー すいさいさんは目立ちすぎて狼には見えないんだよなぁ 1 (マダム村) アリスイ まあレアケースなんで・・・ 1 (マダム村) xバーバラx たしかに霊媒が偽だとかなり怖い 1 (マダム村) すいさい まあでも今の時点で続いてるってことはこれはないかな 1 (マダム村) カルシファー 私吊ろうとしてるけど 3 (冥土) とよよ IRRASSYAIMASE- 1 (マダム村) シエスタSS アリスイさん吊ったらダメなん? 3 (冥土) とよよ いっらっしゃいませー 1 (マダム村) すいさい レアケースだけどカルさんならやりかねんなというメタ 1 (マダム村) ゆっくりふと 残り2吊り 完グレ シエスタ すいさい 暫○ ふと バーバラ 占いアリスイ 1 (マダム村) カルシファー 今日はアリスイさん吊りが無難な気がするかな 1 (マダム村) アリスイ ここまで黒引けてないとちょっと厳しいな・・・ 1 (マダム村) xバーバラx 占い真狂だとは思いますけど吊りですかね 1 (マダム村) ゆっくりふと アリスイ吊って暫定○はグレー戻しの4択であるか 1 (マダム村) アリスイ 多弁は情報残してくれるから発言少ない人を占ったんですが・・・ぐぬぬ 1 (マダム村) ゆっくりふと おいィ? 1 (マダム村) すいさい んー 3 (冥土) みむっちゃ ベグってこないんだからバーバラさん念のために釣りたいけどなぁ 1 (マダム村) カルシファー 真狂だとは思うんだけど、狂狼の線もなくしたくはないからなぁ 1 (マダム村) ゆっくりふと アリスイ→バーバラ もしくは残り完グレ 1 (マダム村) シエスタSS そもそもさ マダム 5分経過 1 (マダム村) シエスタSS 真狂だとしたら 1 (マダム村) すいさい いかんな時間無いか 1 (マダム村) シエスタSS ペグルの止めなくね? 1 (マダム村) アリスイ とりあえず指定を 1 (マダム村) すいさい そうともかぎらん 1 (マダム村) カルシファー 【指定】アリスイさん 1 (マダム村) すいさい とりあえずべぐっとけば残った占いはもうノイズ 1 (マダム村) xバーバラx 指定了解 1 (マダム村) すいさい 残ってれば吊りで処分してもらえるでしょ 1 (マダム村) アリスイ 仕方ないですな・・・ 1 (マダム村) ゆっくりふと 残った占いの結果等どうしようもないし、狐もおらぬし村が占い吊りに使えば万歳ではないかな 狼視点では 1 (マダム村) シエスタSS 狼側からしたら真かもしれない占い残すのリスク高くね? マダム 残り1分 1 (マダム村) ゆっくりふと 早い段階で●が出ておればなーそれ吊ってからでよかったのだがの 1 (マダム村) すいさい 今回かけもあるしね マダム 20秒前 1 (マダム村) アリスイ 狼的には狂目で見てるってことじゃないですかね 1 (マダム村) すいさい 真狼なら 1 (マダム村) すいさい とよよさんつられのじてんでべぐらないとはおもうけど 1 (マダム村) マダム ---------STOP-------- 1 (マダム村) マダム ---------STOP-------- マダム 夜まで時間がありません 皆様今日の尊い犠牲をお選びください(会話はストップです) マダム 投票は直接私にtellでお願いします 制限時間は3分です (T) xバーバラx > アリスイさんで (T) すいさい > アリスイさん (T) カルシファー > アリスイさんでお願いしますー (T) ゆっくりふと > アリスイ (T) アリスイ > カルシファーさんに投票します (T) シエスタSS > やーべわかんね とりあえずアリスイさんだ! アリスイ5 カルシファー1 マダム 残り1分 マダム 20秒前 1 (マダム村) マダム ---------STOP-------- 1 (マダム村) マダム ---------STOP-------- マダム さよならアリスイさん…あなたの勇姿は忘れない マダム 日が沈み始めました よい子も悪い子も寝る時間です マダム 役職の方は私にTellお願いします アリスイ アワレ!アリスイはクズ肉めいた死骸となり、爆発四散!サヨナラ! (T) カルシファー > 霊媒です!アリスイさんの墓を荒らしにきました! (T) > カルシファー アリスイさんは村人でした (T) xバーバラx > ゆっくりふとさんをがぶがぶ (T) カルシファー > ヤッパリー! (T) > xバーバラx おいしく召し上がれ 3 (冥土) アリスイ アイエエエエ 3 (冥土) マダム いらっしゃい 3 (冥土) とよよ いっらっしゃいませー 3 (冥土) デュビア おつかれさまー (T) すいさい > アリスイさんは失敗だったきがする 3 (冥土) アリスイ おつかれさまです 3 (冥土) トガリ おつかれー 3 (冥土) アリスイ こちらは、どんなかんじですか? 3 (冥土) とよよ うーん、すいりすすんでいますかねー 3 (冥土) とよよ とりあえず、カルシファーさんは偽物です 3 (冥土) アリスイ なんと 3 (冥土) みむっちゃ おつかれさまんさー 3 (冥土) とよよ とてもぴんちです 3 (冥土) アリスイ その根拠は 3 (冥土) とよよ うち村人やし 3 (冥土) アリスイ ほほう 3 (冥土) デジュー ぐうダメだ眠いもう寝るおやすみなさい 3 (冥土) マダム おつん 3 (冥土) アリスイ おやすみー 3 (冥土) とよよ おつかれさまでしたー 3 (冥土) みむっちゃ おやすー 3 (冥土) デジュー zzz 3 (冥土) トガリ おやすみー マダム 残り1分 マダム 20秒前 1 (マダム村) マダム ---------STOP-------- 1 (マダム村) マダム ---------STOP-------- 4日目へ 6日目へ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2134.html
前ページ次ページユリアゼロ式 TYPE2「つっぱしるユリア」 朝、先に目覚めたのはルイズであった。 「まったく……いつまで寝てるのかしら。」 ルイズは隣で寝息を立てているユリアを見て、ゆうべ二度目の爆発で吹き飛ばされた後いつのまにか戻ってきて、 今度は寝込みを襲われそうになり三度目の虚無の魔法で爆発させて皆の安眠を妨害したことを思い出した。 「くかー………」 「しかし、可愛い寝顔ね。起きてたら襲ってきちゃうのが玉に瑕だけど。 や、やだっ私ったらそんな趣味はないのに……そんな…」 ルイズがひとり顔を真っ赤にさせてくねくねしていると 「る、ルイズさぁん……もうおなかいっぱい……これ以上入らないよぉ……」 (何か美味しい物をたらふく食べた夢でも見てるのかしら…) そんなことをルイズが思っていると 「お、お腹はルイズさんのでいっぱいだから、バイブはお尻のほうにお願いします………」 『ユリア100式マニュアル ダッチワイフであるユリア100式にとってアナルは別腹なのだ!』 「………」 そう寝言を言ってユリアはお尻をルイズのほうに向けた。 「ど、どんな夢を見てるのよ! この馬鹿!」 「ひゃうっ!」 ルイズはとりあえず尻を思いっきり蹴飛ばした。 (なっ、思わず蹴飛ばしちゃったけどなんだか罪悪感よりもこの気持ち……) (なっ、いきなり寝起きをルイズさんに蹴り起こされちゃったけどどこから沸いてくるこの気持ち……) 「「カイカン?」」 『ユリア100式マニュアル ダッチワイフであるユリア100式はMっ気が強く設定されているのだ!』 「じゃ、じゃあ朝ごはんを食べに行くわよ。」 「はっ、はい。」 とりあえずこの胸に生じた気持ちは今はしまっておいたほうがいいのではないかと思う二人であった。 「あら、その娘があなたの使い魔なのかしら?ルイズ」 部屋を出るとそこでクラスメイトのキュルケがいた。 「はっ、はい。わたし、ルイズさんの使い魔をやっているユリアといいま…きゃぁ!」 「うんうん。しってるわよ。昨日はルイズと情熱的なキスをしちゃって……ってフレイム!」 見ると、発情したキュルケの使い魔がユリアに襲い掛かっていた。 『ユリア100式マニュアル ダッチワイフであるユリア100式には催淫フェロモンが含まれているのだ!』 「ハァハァハァハッ」 「ちょ、あ……あん! ちょっとこらぁ!」 発情したフレイムは周りのことがまったく見えずただ、色気を放つ牝にのみ視線が向けられていた。 そして彼女は嫌がるような声を出しつつも、どこか両手を広げて来るのを待っているようにも見えて――― 「あんたも興奮するんじゃないわよ!」 キュルケとルイズは慌ててユリアからフレイムを引き剥がした。 「まさか私の使い魔が女の子を見て襲い掛かるド変態だったなんて……」 「まぁまぁ、でもあの子可愛かったですね。ペットみたいで。」 「あの子は私の使い魔よっ!」 朝食の時は彼女に床に座って食べてもらったが彼女は嫌な顔一つせずに食べていた。 しかし、使い魔は床に座って食べるのが当然だと思っていたのに彼女が嫌な顔一つせずに食べている表情を見ているとどこか心が痛むのはなぜだろうか? ああ、出来ることなら彼女と恋に落ちてみたい……… と思いつつ恋人であるモンモラシーと一緒に朝食を食べているギーシュであった。 『ユリア100式マニュアル ユリア100式はダッチワイフです。』 「今度私がとろろ料理を作りましょうか?」 「……とろろって何?」 そんな事をユリアとルイズは知る由も無かったのであった。 「はじめまして。私、この学院の食堂で給仕をしているシエスタという者です。」 「わぁ~ 本物のメイドさんだぁー」 昼休み。ルイズは顔見知りであったメイドのシエスタの元を訪れた シエスタがかしこまった礼をするとユリアは嬉しそうに手をぱちぱちとしている。 「えっと……この方がミス・ヴァリエールの使い魔のユリアさんですね。」 「ええ。この娘が本物のメイドさんを見てみたいっていうから。」 「よろしくお願いします!」 「え、ええよろしくお願いします……」 メイドに本物も偽者もあるのだろうか…と思わず苦笑してしまったシエスタなのであった。 「実は、ユリアさんは昨日の真夜中こちらで姿を見かけたのですよ。」 「なんですって?」 それに反応したルイズがすっとんきょんな声をあげた。 「なな、なんでユリアがま、真夜中にこんなところに来たのよ!」 「やっぱり見られてたんですね………ごめんなさい。」 「あんな真夜中に一人であんな事をされて……上手く出来ましたか?」 「はい! とっても気持ちよかったですよ!」 「ちょちょちょっと待って! あ、あんた、私が寝た後ここで何をしてたのよ? ちょっと聞くのが怖いけど。い、言いなさいよ!」 ルイズの顔が真っ赤になっているのをユリアは不思議に思ってたがその質問にはシエスタが答えた。 「ユリアさんは昨夜、ここのドラム缶風呂でお風呂に入っていたんです。」 ユリアの話によると三度目の爆発の後に無傷で部屋に戻ってきたユリアは、 ルイズから洗濯物のことを頼まれてたことを思い出してルイズの下着を持ちながらあちこちをうろうろしていたらしい。 「…それで、ここを見つけて下着を洗ってたまたま湯が入ってたこのドラム缶風呂に入ったと。 でも、なんでシエスタはそれを陰から見ていたのよ?」 今度はシエスタが赤くなる番であった。 「えっ、え~っと……それは……その……」 「えへへ……ちょっと……」 ユリアも顔を真っ赤にして答えない。それに苛立ったルイズが顔を近づけてもう一度シエスタに詰め寄った 「答えなさい。ユリアはお風呂で何をしていたの?」 「えっと……必死な声でミス・ヴァリエールの名前を呼んで………ぶっ」 『ユリア100式マニュアル ダッチワイフであるユリア100式の電気系統の充電は自家発電によってまかなわれているのだ!』 ルイズはシエスタを思い切り突き飛ばして背にあるドラム缶に激突させた。 「それって毎晩必要なことなのかしら、ユリア?」 ルイズはこめかみに青筋を立てながらユリアに聞いた。 「はっ、はい。できれば………毎日………」 「………そう。まあいいわ。お風呂に入るぐらいなら許してあげてもいいわ。ただし…」 「ただし?」 「その後で私に襲い掛かるのはやめることね。」 「えぇ~そんなぁ~~~~」 ユリアは心底残念そうな声を出した。とそこでいきなり名案を思いついたような顔になり、 「一緒にお風呂に入ればいいんですね!」 「ばっ、ばか! 何言ってるのよ! わっ、私が使い魔なんかと一緒にお風呂に入るわけ無いじゃない!!」 とか言いながら身体をくねくねさせているルイズ。 それを見たユリアはなぜかスイッチが入り 「じゃあ今すぐ一緒にお風呂に入りましょう!」 「って何いきなり服を脱ぎだすのよ! それに"じゃあ"って何よじゃあって! 接続詞の基本に立ち返りなさい!」 「いいじゃないですか。一緒にお風呂くらい入りましょうよ~」 「あんた一人で入ればいいでしょ……って服を脱がしにかかるなー!」 「あっ、あれ………私は、何を………」 ようやくシエスタが意識を取り戻した瞬間 「そんなの…ダメーーーーっ!」 またしても爆発。半脱ぎの状態にされたルイズは虚無の魔法でユリアを吹き飛ばした。 このことがきっかけで「ゼロのルイズ」と呼ぶ者はいなくなったという。 ただ、その代わりに「攻めのユリア、受けのルイズ」という呼び名がマリコルヌによって学院中に広められたそうだ。 しかし、ルイズは「私は女に走ったりはしない!」と ユリアは「私は攻めじゃなくて受けです!」と 両者ともにその呼び名を否定したのであった。 前ページ次ページユリアゼロ式
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/4319.html
605 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/10/30(月) 01 05 55 ID yTVM4+Wz 今日もサイトさんはボロボロ… 「いってぇ…」 頭に出来たコブをさすりながら、私の部屋にやって来た。もう就寝時間なのに、「ご主人様」を怒らせた為、寝床が無いという。 いいなぁ… そんなやりとりも毎晩出来るミス・ヴァリエールが羨ましく思う。 たまにしか無いチャンスだ。 「痛かったですか?」 こんな夜遅くでも、ちゃんと手当てしてあげた。サイトさんに触れる機会なんかそんなにないのだから。 でも…いつもボロボロだったら… サイトさんは…いつも私の側に居てくれるのかな… とりあえず、私のベッドの奥側に寝かせてあげた(押し込んだ)。 私がその隣に転がり込む。 「シ、シエスタ?」 「いつも…」 「…?」 「いつもミス・ヴァリエールとは一緒に寝てるんでしょう?」 「…」 やっぱり黙った。わかってる。一番はあの人なんだ。 でも、二番でも… 「二番目でも…」 「え?」 「二番目でもいいですから…私を愛してくれませんか?」 「…シエスタ」 あ… 後でミス・ヴァリエールに怒られてしまいますよ… 好きにしてくれていいですけど…子供だけはちょっと… サイトさんの子供なら…もう少しだけ…待って下さい… 私…無駄にお胸が大きいから、おっぱい沢山出ると思います。 って、そうじゃなくって。 今は…サイトさんと… 「シエスタ…」 「サイトさん…」 何でも許してしまう。お胸でも、その…ソコでも。 サイトさんならあげてしまいたい。 「ここに…どうぞ…」 私もいやらしい。こんなトコ…サイトさんに見せてる。指で、開いてる。 「…いくよ」 「はい…」 中の感覚なんてどうでも良かった。サイトさんが応えてくれる事に、意味がある。 あったかくって、でも中は熱いのが入ってて… 私も動いてます。サイトさんが…気持ちよくなればいいな… でも、加減を間違えちゃうと、 「…あ」 やっちゃった。 サイトさんの子供ならいいですけど、 もう少しだけ…私まだ一応…そういう歳じゃないと思います… 「…シエスタ?」 「はい…」 「ごめん…中で…」 「いいんですよ…サイトさんなら…」 それでもやっぱり…サイトさん…好きです… 甘えん坊のお父さんになるかな? 今でも私の…おっぱいを可愛がってるし… あっ…乳首はダメ…です… ネタに近い…正直スマン
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/468.html
「まぁ、気にすんなよルイズ」 あの後、魔法失敗の責任として2人は教室の後片付けを申し付けられていた …もっとも、片付けが必要だったのは魔法が直撃した少年の机周辺(しかもほとんどの被害が 少年に回っていた)だったため、1、20分ほどで終わっていたが ちなみに今2人は、昼食をとるため食堂へ向かって廊下を歩いている最中である 「…ほっといてよ」 ふてくされているルイズに慰めの言葉を送ったマタドーラだったが 帰ってきたのは、そんなそっけない返事だった ドラが使い魔 「努力と根性、略して…」中編 「ゼロ」のルイズ それが彼女のあだ名だった 「フライ」を使うと爆発 「レビテーション」を使っても爆発 「錬金」をしてもなぜか爆発 どんな魔法を使おうと、起きるのは爆発のみ 落ちこぼれで才能無しの「ゼロ」 それを本人から聞いたとき、マタドーラは複雑な気持ちだった しばらく沈黙を保ったまま廊下を歩く 「…俺も、さ」 先に口を開いたのはマタドーラだった 「落ちこぼれ、って言われてたときがあったんだ」 怪訝な顔をして自分を見るルイズに構わずマタドーラは言葉を続ける 「俺は、馬鹿力だけがとりえでさ。あとはほとんど駄目で、ほかの奴らから 馬鹿にされてたときがあって。でも、そいつらをぶっ飛ばそうとするのもなんか違うと思ってさ どうしようか、って思ったときに心の支えになってくれたのが2つあるんだ」 「2つ?」 「そう、1つは「親友」だな。俺とおんなじで、ドジで、間抜けな失敗ばっかりしてたけど 一度決めたことは何が何でもとことんやるような奴らでさ」 笑いながらどこか遠くを見つめるエル・マタドーラ 「ふうん…で、もう1つは?」 「ああ、それはな…」 と、そこに 「―――!!」 食堂からのわめき声が聞こえてきた 「? 何かしら」 「…行ってみようぜ」 首を傾げるルイズと、何かいやな予感がしたマタドーラは食堂へと急いだ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「君のせいで2人の女性が傷ついてしまった。どうしてくれるんだね!」 「も、申し訳ありません!申し訳ありません!」 涙混じりに謝るシエスタに、容赦なく怒りをぶつける貴族の少年 二人が食堂に着いたとき目にしたのはそんな光景だった 「…一体何があったんだ?」 「さあ…?」 首をかしげる二人がそばにいた生徒に尋ねてみると こんな答えが返ってきた 曰く、 貴族の少年(ギーシュと言うらしい)がポケットから香水を落とした それをシエスタが拾い、なんだかんだで二股がばれてひどい目にあった で、今現在「こうなったのは君が香水を拾ったせいだ」とシエスタに怒鳴り散らしている ということ 「…まんま八つ当たりじゃない、それ」 「…だな」 そう言って二人は呆れたような…いや、実際呆れた顔で今もシエスタに怒鳴りつけている ギーシュを見た 「…ったくしょうがねぇなぁ」 そう言って、マタドーラは騒ぎのも元へ駆け出す 「あ、ちょっと待ちなさいよ!」 ルイズもそのあとに続いた 「ええい、大体君g」 「そこまでにしときな、セニョール」 ギーシュの言葉をさえぎって、マタドーラが犬耳メイドの前に立つ 「マタドーラさん…!」 「何だね君は。人が話をしているときに…」 「どーでもいいよ、ンなこと」 彼はギーシュの文句を一言であっさりと切り捨てる 「な、何ぃ?」 「大体テメェが二股なんかするからこうなったんじゃねえか シエスタに怒るのはお門違いって奴だぜ」 あっさりと切り捨てられ動揺するギーシュにマタドーラはそう言葉を続ける 「そうだギーシュ、お前が悪い!」 「君は黙っていたまえマリーアントワネット」 「そうだお前は黙ってろマリオブラザーズ」 横から口を出してきた生徒(何故か包帯のぐるぐる巻きだった)がいたが 軽くいなして睨み合うギーシュとマタドーラ 「僕はマリコルヌだぁ!」という声が聞こえたが二人は無視した 「…思い出したぞ。君はミス・ヴァリエールが召喚した… どうやら君は、貴族に対する礼儀を知らないようだな」 「ああ、知らないね。もし知っててもテメェみたいなスネちゃま野郎には そんな態度取る気もないがな」 「…っ!良かろう、そういう態度を取るのなら…」 「どうしようってんだ?」 ギーシュの言葉にニッ、と笑ってそう言うエル・マタドーラ 「決闘だ!君に決闘を申し込む!」 そう宣言するギーシュに 「やだね」 と、そっけなく答えた 「………………………………は?」 間抜け面でポカンと口を開けたままギーシュは固まった 「やだって言ったんだよ。決闘とかは嫌いじゃないが、お前みたいな奴の相手は御免被るね …さ、行こうぜシエスタ」 「で、でも…」 「いいからいいから、あんなの放っとけばいいさ」 そう言って戸惑うシエスタの手を引いてそこを去ろうとしたとき 「…は、ハハハ、逃げるのか。そうか… やっぱり「ゼロ」のルイズが召喚した使い魔などこんなものか!」 その言葉がマタドーラの耳に入るのと、彼の目に同じくその言葉を聞いて 苦虫をかみ締めるような顔をした自分の主人を見て 「―― テメェ、今なんて言いやがった」 怒りも露に振り向いた