約 1,871,738 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5304.html
前ページ黄金の使い魔 アイオリアはジュール・ド・モット伯爵の邸宅の前に立っていた 隣には自分を兄と慕う少女が居る 事の始まりは少し時間を遡る、朝の日課 シエスタとの洗濯の時間に いつになっても現れないシエスタに、病気にでもなったのかと心配したアイオリアが 他のメイドに尋ねた所、貴族に妾として買われていった事が発覚 兄様が行くなら私も、と聞かない少女を連れ いざシエスタを取り戻さんとやってきた訳である ちなみに主人であるルイズはこの事を知らない モット伯の邸宅には門には門番が、敷地内には見回りの平民兵士が相当数おり 恐らく邸内にも相当数詰めていると思われる 下級貴族も雇われている事だろう 「さて、今から邸内に向かう訳だが彼等は雇われているだけだ、怪我人は出したくない」 「私が囮に」 「怪我人は出したくないと言ったはずだ、タバサ。」 「私なら―――」 言いかけたタバサの頭の上にアイオリアの手が置かれる 「女性を囮役にしたとあっては私の立つ瀬がない、ここは任せてもらえないだろうか」 「はい、兄様」 タバサの頬に少し赤みが刺す 「タバサには上空で待機いていて貰いたい、シエシタを見つけ出したらそこの窓を割る。それを見つけ次第そこからシルフィードにシエスタを乗せて学院に飛んでくれ」 ――――それでは、兄様が と思ったタバサだったが、任せると言ってしまった手前言い出せず 「わかりました」 と不安気な顔で言うのだった 「案ずるな、このアイオリア。こんな所安々と倒れはせんよ」 そう言うとアイオリアは邸宅の方に歩いて行った、堂々と 正面から 屋敷に近づいてくるアイオリアに対し門番が立ちはだかる 「誰だ貴様!こことモット伯の屋敷としっての事か!」 「歩を止めよ!しからざれば攻撃する!」 「ここの主人に様がある」 アイオリアは歩みを進める 「貴様ァアアア!」 アイオリアに槍が突き立てられる、 槍が折れる 敷地内の衛兵が応援に呼ばれ アイオリアに対し弓を射る、斬りかかる、突き立てる その全てが徒労に終わった 屋敷の前まで来たアイオリアはドアに手をかける ドアを開けた瞬間に 魔法が弾幕のようにアイオリアを襲う ドアは粉々に砕け散り、粉塵が立ち込める しかしそれすらも徒労に終わったと知った時、 もはやアイオリアに立ち向かう物は居なくなっていた 「ジュール・ド・モットはどこだ」 粉塵から姿を現した黄金の獅子の問いかけに対し、雇われ貴族はそれに答える以外の道を知らなかった 寝室のドアを開ける、そこにはベッドの上で卑猥な格好をさせられたシエスタとそれに迫るモット伯の姿があった 「アイオリアさん!!!」 「なんだ貴様は!!!!!」 とっさに杖をベッドの脇に置いてある取る ―――危機一髪、と言ったところか・・・ 「俺の名はアイオリア、獅子座(レオ)のアイオリアだ!」 「衛兵は!衛兵はどうした!!!侵入者だ!!!!!!」 しかし、答える声は無い 「その娘を返してもらえないだろうか」 アイオリアは怒りを押し殺して、あくまで紳士的に尋ねた 「たわごとを!私の二つ名は『波涛』!『波涛』のモット!トライアングルのメイジだ!杖も持たず無断で侵入した事、後悔するがいい!」 ベッドの脇に置いてあった杖を取り構えを取り、魔力を集中させる 「・・・そうか」 アイオリアはシエスタに向かって歩いて行く その瞬間空気中の水分から水が生まれ、濁流となりまさに龍の様にアイオリアに襲いかかる しかし吹き飛ばされる所かその場に留まる事もなく、アイオリアは歩みを進める まるで何事も無いかのように アイオリアはモット伯を無視してシエスタを抱えると拳で窓を割る そしてシルフィードの背にシエスタを乗せると 「兄様も」 と手を差し出すタバサの手を断り 「行け、私にはまだやる事がある」 とモット伯の方へ向き直った 「さて、ジュール・ド・モットよ・・・、何か言う事はあるか?」 「ひ、、ひィッ!!!」 モット伯はその場でへたり込むと、やみくもに魔法をふるう 無数の氷の刃、巨大な濁流、巨大な氷の竜巻 その全てが無意味だった 腰が抜けてしまって、立てなくなったジュール・ド・モットの脛を踏みつける 鈍い音して、モット伯の足に関節がひとつ増えた ―――――――――――――――――――-ッ!!!!! 悲鳴が邸内に響き渡る 「ぉお・・!!! お前・・・は馬鹿か!? 伯爵であるこの私に・・・王宮の官吏であるこの私に!!!こんな事をして許されると思っているのか!?」 モット伯は言わば貴族流の命乞いをアイオリアにする しかし、それがアイオリアの怒りにさらに油を注ぐ結果になってしまった 「では聞くが、貴族は平民に何をしても許されるのか! 貴族とは自己の欲望の為に、力を見せつける為に 弱い者を足蹴にしても良い物なのか!!!」 「あ・・・当たり前だ!!貴族あっての平民だ!!私が私の道具を思い通りにして何が悪い!!」 震える声でモットは言う その姿にはもはや貴族の威厳等かけらも無く、血と糞の詰まった肉袋が恐怖に怯え、縋る様な目でこちらを見ている 反省の念があれば許すつもりであった、しかしこの肉袋は自分が悪い事をしているという認識すらない 「残念だ・・・!あの世で今まで足蹴にした者達に詫びよ!!!」 そういうとアイオリアは右腕を伸ばし、拳を放とうとした しかしまさにその時、アイオリアの背中に少女がしがみついた 学園に帰ったはずのタバサである 兄が心配だったタバサはシエスタとシルフィードを先に学園に帰らせ 自分は残って様子を見ていたのだった 「兄様・・・、だめ・・・」 タバサは震える声で言った 「止めるなタバサ!こいつは最早貴族などでは無い、欲望の走狗に成り下がったクズだ!!」 怒れる黄金の獅子は、その牙を尚も肉袋に向けようとする 「だめ・・・ルイズが・・・」 ここでアイオリアはハッと気付き、考える ここでこいつを殺せば 主人であるルイズに累が及ぶ事は避けられない しかも王宮の勅使を殺したとあればラ・ヴァリエール家の3女とはいえどう軽く見積もっても重罪 しかし己の非を認めない、傲慢な欲望に溺れたこのクズをを聖闘士として、いや男として見過ごす訳にはいかない 「くっ・・・・・・!!!」 行き場を無くしたアイオリアの怒りが、部屋の壁を消滅させる 結果として肉袋(元ジュール・ド・モット)は条件付きで許された 弱者に対し、己の力を持って理不尽な要求をしない事 今日の事を公にせず、またアイオリアの罪の一切を問わず、その周りの者に累を及ぼさない事 シエスタや今まで手をかけた者に対し相応の慰謝料を払う事 以上の3つの誓いを反故にした場合、その命を持って償わせる事 この4つの条件で許す旨を伝える際、終始アイオリアは苦虫を噛み潰したような表情だった 一段落し、二人はモット邸の庭園に腰掛け月を見上げながらシルフィードを待つ 「先ほどは済まなかった、これでは兄失格だな」 悔しそうに言うアイオリアにタバサは 「そんな事無い」 と短く呟くと、兄の胸に顔を埋め、その瞼を閉じるのだった 前ページ黄金の使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6676.html
前ページ次ページゼロの社長 「『姫様』、失礼します。起床の時間です。」 アニエスが扉を叩き、ノックがアンリエッタの部屋に響く。 普段ならば、侍女達が支度をしに来るのだが、今日は特別だった。 今この部屋にいるのは魔法でアンリエッタに扮したシエスタであり、それを知っているのは極わずかの人間のみ。 またシエスタ自身からボロが出ないためにと、アンリエッタが一番信用できるアニエスにシエスタの事を任せたのだった。 「・・・『姫様』?失礼します。」 一向に主からの返事が無いため、扉を開けて入ると、そこには目の下に少しクマができている アンリエッタの姿をしたシエスタがいた。 心なしか少し顔色も悪い。 「・・・・・・眠れなかったのか?今日は魔法学院での使い魔品評会に出席する事になっているから、しっかりと寝ておけといったはずだが?」 「そうなんですけれど・・・あいたたた、頭痛が。」 シエスタは昨晩、結局空腹と緊張で一睡もできないままだった。 もっとも、ただの平民だったはずのシエスタがいきなりお姫様の代役。 その心情は推して知るべしと言ったところだろうか。 「とりあえず何か腹に詰め込んで、学園までの馬車の中で眠っておけ。近づいたら起こしてやる。」 「はい。すみません・・・」 ふぅ・・・とため息が出てしまうのは、二人とも同じようだ。 (初日からこれでは先が思いやられるな。姫様たちがアルビオンから行って帰ってくるのに少なくとも5日。 何とか隠し通せれば良いが・・・不安だな。) 一方で、夜通しずっと走りつづけたルイズ達一行を乗せた馬車は、現在昼を過ぎた頃、やっとの事で『港町ラ・ロシェール』にたどり着いた。 「早い・・・ふつう馬で2日の距離なのに。」 「それは馬に乗ってゆっくりしていった時の話だよ。 実際それよりかなりスピードを出せていたし、姫様から頂いたラ・ロシェールまでの地図から最短距離で行けば、 このくらいの時間につけるのはわかっていた。」 ちなみに馬車の速度が通常よりも早くできたのにはわけがあった。 レビテーションの応用で、馬車そのものを浮かせることで荷重を減らすというように利用し 馬への負担を減らしてはどうかというアイデアを海馬が提案し、実行したためである。 なお、馬のコントロールを海馬が担当。コルベールとタバサが交代でレビテーションの制御をしていた。 しかしこの方法。傍目から見たら非常に不気味である。 馬が馬車を引くというよりもむしろ疾走しているくらいの速度を出しているにもかかわらず その背には馬車が繋がっており、しかも馬車が空を浮かんでいる。 実際にラ・ロシェールまでの道でこれを見かけた人々の間で、あの道には夜幽霊馬車が出るという噂が後々に広まったとか広まらないとか。 「便利なものだな、魔法というのは。」 「こんな事に使おうと思うのはあんただけだと思うわ。」 けろっとしている海馬とは対称的にルイズが顔色悪そうに馬車から降りてくる。 まぁ、そんな速度で走ってる馬車は左右に曲がれば当然のように揺れる。 凄く揺れる。 ある程度吹き飛びそうになる分には二人がコントロールしたものの、それでも細かく曲がり道があった場所でも 何もしないで座っていたルイズの脳みそは激しくシェイクされ、完全に乗り物酔いといった状態だった。 なお、キュルケ、アンリエッタ共にその提案に対して即座に『絶対に揺れる』と判断し 眠りのポーションを使用して睡眠をとるといった対策をとった。 海馬、コルベール、タバサが平気な理由は三人曰く「慣れている」とのことだった。 「うぇ…気持ち悪い…」 「だらしないわねぇ、ルイズ。これからが本番だって言うのに。」 「うっさい。そそくさと寝てた奴に言われたくないわよ…うぇ…」 「ほらほら、きついなら吐いてきなさいよ。一回吐いちゃえばすっきりするわよ。」 「日陰のところで休んでいろ。乗り物酔いは暫くすれば直る。」 ルイズの状態が酷いので、アンリエッタが木陰へと連れて行く。 「も、申し訳ありません姫様…」 「気にしないの。それより、今は姫様じゃなくて…なに?」 流石に服装を変えているとは言え、姫様姫様と連呼していれば気づかれてしまう。 そして一応の対策として、アンリエッタには海馬が適当に偽名をつけた。 「すみません…ピケル様…」 徹夜ということもあってか木陰に入ったルイズはそのままアンリエッタの膝の上で寝てしまった。 そのすやすやと寝てしまったルイズの寝顔を見ながら、アンリエッタは微笑んだ。 「もう、ルイズったら。様はいらないのに。」 偽名とは言え、ルイズが自分を姫ではなく名前で読んでくれることが、少し嬉しかった。 場所は変わってトリステイン魔法学院。 正門前には生徒たちが整列しており、一糸乱れず「姫殿下御一行」を待っていた。 一方でその待たれている姫様はといえば… 「姫様!姫様!そろそろ魔法学院に到着します。起きてください。」 夢の真っ只中にいた。 夜睡眠をとっていなくて、不味いとはいえ食事をとり、馬車の適度な揺れに揺られていれば 意識はすぐに夢の国へご招待であった。 「………ハッ!?」 ガバッと、正門直前で目を醒ますシエスタ。 流石に馬車の中で爆睡していたと言う噂が広まるのは不味い。 姫様的に。 「ふぅ…危ない危ない。」 「本当にしっかりしてくれ…」 ふと寝ぼけ眼でシエスタが学院のほうを見ると、仕事仲間のメイド達が駆けより、馬車のほうへと真紅の絨毯を敷いていた。 シエスタが何気なく手を振ると、そのメイドの少女は顔を真っ赤にして頭を下げ、そそくさと帰ってしまった。 (あ、そうか。私今姫様なんだっけ。) 普段とは違う視点で普段いる場所を見ると、新鮮だなあと他人事のように考えていると、馬車の扉が開いた。 「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおな――――――り――――――――!!」 「あまり気負わなくていい。落ち着いて、城で出る前に教えた通りにやればいい。」 アニエスの言葉を無言で頷き返し、シエスタは馬車から降りた。 しゃん!という杖の音がまっすぐに響き、姫の進む道を作り上げている。 (落ち着いて、気取らず慌てず優雅に。そして何より大切な…) シエスタは笑顔を見せ、大きく手を振った。 そして一歩づつ、本塔の玄関で待つオスマンとロングビルのほうへと歩んでいった。 その歩みを後ろに続きながらアニエスは思った。 (急ごしらえの代役の割には様になっている。…が、あの笑顔は薔薇というよりも、向日葵だな。) 「ただいまより、本年度の使い魔お披露目を行います。」 司会進行役の教師の声が響く、学院内の広場に特設されたステージでは、生徒たちが次々と 春に召喚した使い魔を紹介していた。 シエスタと学院長は、特設テントの下に用意された椅子に座りながら、次々と披露されていく芸を眺めていた。 「国のためとはいえ王女の代理とは、また難題じゃのう。」 オスマンはなんでもない風を装いながらシエスタに話し掛けてきた。 シエスタも、視線を変えずに答える。 「はい。でも、学院長やアニエスさん達のおかげで、今のところ支障なくすんでいます。」 オスマンには、詳しい事情をアンリエッタ本人から伝えていた。 流石に王女自身が戦地に乗り込むという危険極まりない作戦に反対はしたものの、 アンリエッタの強い意志と同行する海馬、コルベールを信じた上で協力する事となったのだった。 シエスタにかかっている変身の魔法も、オスマンの力による部分が大きい。 「学院長。これは極秘裏の事ゆえ…」 「大丈夫。このテントの中の会話は外には聞こえないようにしてある。」 そう言いながらステージのほうを見ると、モンモランシーがバイオリンと共に使い魔のカエルと音楽を奏でていた。 「だが、問題は姫殿下たちのほうじゃ。いくら海馬くんたちが付いているとは言え、今のアルビオンは戦場。 何事もなく戻ってきてくれればよいが…。」 そう言われてシエスタは再確認した。 なんでもない風に行ってしまったけれど、海馬たちが向かった先は戦場。 そこに行く危険を犯しているアンリエッタ姫殿下の代理人として過ごさねばならない以上、下手な真似はできない。 シエスタはそう思い直しながら、海馬たちの無事を祈っていた。 「ん…。あれ?」 ルイズが目を覚ますと、既に外は夜だった。 「目が覚めた?ルイズ。」 傍らで本を読んでいたアンリエッタが話し掛けてくる。 「馬車から降りた途端倒れてしまったから、とりあえず近くの宿で部屋を借りたの。 他の者はアルビオン行きの船の手配とかで、今は出払っているけど。」 「申し訳ありません。せっかく早く着いたのに、私のせいで足止めを…」 「気にしないでルイズ。予定よりも早くこれたんだもの。少しくらい―――」 「でもっ!急がなければいけないのに!」 「どちらにしても、アルビオンに出航できるのは明日になるわ。ちゃんと体調を整えて明日に備えましょう。 そろそろ皆戻ってくる頃でしょうし、食事にしましょうか。」 「………はい。」 アンリエッタの笑顔と優しい言葉こそがルイズにとっては辛かった。 アンリエッタの為に、ゼロの自分でも何か役に立てれば… そう思っていたのに幸先から足手纏いになってしまったことが、辛く悔しくて堪らなかった。 程なくして全員が戻ってきたので、場所を酒場に移すことになった。 いくつもの食事が運ばれてきて、皆一様に食事を満喫していた。 アンリエッタは、今まで食べてきたものより遥かに美味しいと喜んでいたし、 タバサはなぜか延々とハシバミ草のサラダばっかり、それもその量がその小さい体のどこに納まるのかというくらいたくさん食べていた。 だが、ルイズはといえば余り食が進んでいなかった。 その様子が気になったのか、珍しく海馬のほうから声をかけてきた。 「まだ体調が戻らないのか?」 「えぇ…ちょっと食欲がなくて。でも、もう大丈夫よ。」 「そう言うことは健康そうにものを食べてから言うんだな。」 「うるさいわね…。あんたに何がわかるのよ…。」 と、その時、ガシャーンと大きな音がして酒場の扉が開かれた。 風体の悪そうな連中が数人…いや、十数人か。 その連中は他の客を押しのけまっすぐにこちらへと向かってきた。 「なっなに!?」 先鋒の二人の剣が、ルイズとアンリエッタのほうへと向かっていく。 ガキン、とそれを武器屋で買った剣で受け止める海馬とコルベール。 海馬は強引に押し返し薙ぎ払うように一人目を切り伏せる。 一方、コルベールもどこで覚えたのか、相手をものともせずに気絶させた。 「ほう、やるじゃないか。しかしこいつら…」 「…おそらく傭兵だろう。彼女が姫殿下だと知ってか知らずかは判らないが、ここで戦闘を続行するのは危険だ。ミス…いや、キュルケ。」 「ルイズとピケルを連れて外へ出ろ!店の中のほうが闘いにくい。適当な窓を蹴破って港へ向かえ! タバサは俺たちの援護を!適当にあしらったら合流する!」 「オッケー!こういう荒事って、ちょっとわくわくするわ。行くわよ、二人とも!」 「……了解」 キュルケを先頭にルイズ、アンリエッタと続いて玄関から向かって一番奥の窓を蹴破り、3人が外へ出たのを確認すると 残った3人は周りの傭兵達へと戦闘を開始した。 海馬はなぜか、初めて剣での戦闘を行うというのに、体の軽さを感じていた。 (ふむ、これが爺の言っていたガンダールヴの力か。便利なものだが…こんなもの俺には必要ないっ!!) 数人を切り倒したところで、トン、と背中がぶつかったタバサから声がかけられた。 「……質問」 「何だ。」 「ピケルって何?」 「デュエルモンスターズの、魔法の国の王女の名だ。」 「……納得」 「さぁ~て、このあたりが良い感じかしら」 キュルケ達が走り抜けた先は古びた連兵場だった。 かつては栄華のあったこの場所も、今ではただの置き物場。 夜の闇も相まってそこは酷く寂れているように感じられた。 「ルイズ、追っ手の数は?」 「9人。走りながら数えたわ。」 「それじゃ、一人頭3人って所かしら?」 などと言っている傍から傭兵たちが襲い掛かる。 が、その凶刃は彼女達に届く事はなく、一様に通り過ぎた白い閃光によって叩き折られていた。 そしてその白い光はアンリエッタの目の前に降り立ち、白銀の猛虎へと姿を変える。 「ちょっ!?ええっ!?」 「ドゥローレン!我に刃を向ける不届きものを成敗しなさい!」 突如として現れた巨大な虎に驚く傭兵達。 いや、驚いていたのはキュルケもだった。 海馬と同じデュエルディスクを、あろうことかトリステインの王女様が持っているなんて。 そんなことを考えていると、相手の傭兵達にも動きがあった。 所詮獣。数で押せば勝てるとふんだのか、4人がドゥローレンを囲み予備の刀で襲い掛かる。 ただの獣相手ならば、熟達した彼らの技量があれば倒す事は可能だっただろう。 現に彼らは過去にいくつかのモンスター退治を行った事があり、ドゥローレンぐらいの大きさの獅子を仕留めた事もあった。 しかし、その一瞬の油断が命取り。 彼らの目の前にいるのはただの虎にあらず。 ドゥローレンは結界を護る氷の一族のなかで、虎王の名を持つ最強の虎。 その鋭い爪は傭兵達の鎧を軽々引き裂き、ドゥローレンの周りには相手を寄せ付けない吹雪が舞っていた。 迫り来る傭兵達を次々になぎ倒していく氷結界の虎王。 あっという間に追っての内6人が倒される。 「さて、これで6人。私とルイズのノルマは終了でいいかしら?」 ふと見れば、残りの3人は慌てて逃げ出していた。 「なによ、私らが出る幕ないじゃないの。ねぇ、ルイズ」 「うん…そうよね…」 敵を撃退したというのに、なにやら浮かない表情のルイズ。 アンリエッタはといえば、ドゥローレンを戻してデュエルディスクをまたメイド服のスカートの中に仕舞っていた。 「さぁ、港まで急ぎましょう。」 「え、えぇ…。ほら、行くわよルイズ。」 そんな様子を眺めながら、ルイズは思っていた。 (姫様があんなに強いのなら…、私は一体何のためにここにいるのよ。) ルイズ達は途中で空中から探索に来ていたタバサと合流し、シルフィードの背にのって港まで飛んでいった。 港には海馬とコルベールも既に来ており、アルビオンへの貨物船の船長と話をしていた。 「今から船を出すように言っておいた。敵に狙われた以上、この町に長くとどまるのは危険だからな。」 「いや、ですから。今から出るんじゃ風石の量が足りないんですってば。 今から出航しても途中でおっこっちまいますよ。」 中年の船長はまだ承諾してないと、慌てるように返す。 「風のメイジがいればその分は補えるでしょ?」 「…(コクン)」 「さっきも言ったがこれは王国の勅命だ。断れば、それは貴様の命で償える程度のものかな?料金は積荷の分まで含めて出してやる。さっさとしろ!」 「は、へい。わ、わかりました。すぐにでも!!!」 海馬の脅迫におびえる船長。 船長は駆け足で船員達を集めて、船の出航準備をはじめた。 「お疲れ様です、『姫様』。」 「ありがとう、ア…アニエス。」 学院から城に戻ったシエスタは、ふぅ、と疲れのため息を吐いた。 緊張と周りにいた学生達を騙しているという罪悪感からの疲れがあったが、戦地に向かったアンリエッタや海馬のことを思えば この程度の事で根を上げるわけにはいかないと、気合を入れなおす。 「でも、あのお料理だけは…」 これから出るであろう夕食の事を思いだし、少し憂鬱な気分になる。 「それなら、食事のときに酒を飲んだらどうか?。 少し位酔いが回れば、多少物の味などわからないでしょう。」 「酔っている上に戻しそうな位不味いものが出てきたら…。」 あの冷めた上に油が浮かんで固まった正直スープといってはスープに失礼な存在を思い出した。 他にも、妙な匂いのするサラダとか、火のとおり方が半端な温野菜。 昨日の食事でちゃんとした味になっていたのは… 「『姫様』に言う言葉ではないがパンでもかじってるしかないんじゃないか?」 「うぅ…でも、ここで付くられている料理よりはお酒は味の心配がいらなそうです。」 思えば、これが悲劇の幕開けであった。 もともとトリステイン城の料理は決して不味いものではなかった。 素材は各地から最良のものが届けられるし、料理人も名の知れたものが集まってはいた。 が、しかし王城の料理というものは、まず完成しても毒見のために数人が試食し、 調理場から食堂までの長い通路や階段通過した上で食卓に並ぶ。 これではどんなにアツアツの料理が作られてもつく頃には冷め切ってしまっている。 名の知れた料理人達も、いつしかどうせ冷めて不味くなったものしか王族の口には入らないと怠惰な姿勢になり、 その料理脳でも錆び付いていった。 もはや彼らは料理人ではなく、ただの作業員と化していた。 今日も作業が終わり、片づけが始まるまで酒瓶を片手に談笑していたのだが なにやら慌しい声と、ドスドスといった力強い足音が近づいてくる事に気づいた。 「この料理を作ったものはだれだぁ!!!!!!!!」 シーン…と、談笑に興じていた者達も全員が全員、調理場の扉のほうに視線が集中した。 そこにはいつも微笑を絶やさず、美しい花のようだった表情を怒りの色に変えて今にも襲い掛からんとするアンリエッタ王女の姿があった。 しかもその手には、先ほどまで食卓に並んでいた幾つかの料理が載った皿が乗っていた。 「ひ、姫殿下。一体なにが…」 料理長が慌ててアンリエッタ王女の前へと駆け寄る。 いつもと変わらないような料理を出したはずだったのだが、まさか怒鳴り込まれるとは思ってもいなかった。 それは回りの料理人達も同じようで、わけがわからないという表情だった。 「なにが…ですって?えぇ、答えてあげましょう。 あなた達に料理をする資格はなぁい!これなら…いえ、魔法学院の食堂のまかないと比べるのも失礼だわ!」 慌てて追いついたアニエスが、周りでおろおろする侍女達から話を聞くと、 どうやら昨日と同じく食欲がなさそうだった王女が、パンをかじりながらワインを一口飲んだ途端豹変。 いきなりいくつかの皿をつかんで飛び出していったとのこと。 途中で調理室までの道を聞かれたメイドも、あんな恐ろしい表情の姫様は見たことが無いと涙を流していた。 「ひっ、姫様。落ち着いてください。ちゃんと話をしなければ料理人達もわかりませんよ。」 「なら言ってあげるわ。毎食毎食こんなものを出されて、もう我慢の限界! これが料理!?ふざけるにも程があるわ!せっかく育てられた材料をこんなゴミに変えられて、 お百姓さんたちがこれを見たら何度涙を流す事か!!」 急に今度は泣き出す始末。 アニエスは、この元凶が酒だと直感で判断した。 (しまった…彼女に酒を飲ませるんじゃなかった。まさかこんな結果になろうとは…) しかし、そのアンリエッタの発言に少しはプライドがあったのか今度は料理長のほうが怒りを顔に表してきた。 「わ、我々が作ったものをゴミとおっしゃりますか!? ならばこちらも言わせて頂きたい。せっかく作った料理を、毒見や長い廊下を使うことで、ゴミに変えているのは誰だと!」 「料理長!姫様に対してその口の利き方は…」 「いえ!確かに平民の身分ではありますがこのヨシーオ・マルイ。亡き先王直々にこの調理場を任された―――」 「プッ…くくく…あっはっはっはっは」 今度は笑い出した。もう酔っ払いは手がつけられない。 とにかく放って置けば大変な事になると判断したアニエスは強制的にでも自室に連れ帰る判断をした。 「りょ、料理長。姫様は酔っておられる。今日はこの辺で…げっ!?」 ふとシエスタのほうを見ると、その目は据わっており笑い声とは対称的なまでに冷えていた。 「こんなものを作っておいて料理長?先王から任された? 」 そう言うと料理人たちを押しのけて、シエスタは食品庫からいくつかの材料を取り出してきた。 そしておもむろに手袋を投げ捨てるとそれらの材料を使って料理をはじめた。 「なっ!なにぃー!!姫様の包丁が…早すぎて見えない!?」 「みっ、見せ掛けだけだ。あんなスピードで扱えば雑になる。」 ざわざわと料理人たちも周りの侍女たちも誰もがシエスタの料理姿に見とれ始めた。 あっという間に前菜が完成し、次の料理に取り掛かる。 「こっ…これは…」 「なんと…」 あまりの味の違いに、愕然となる料理長や他の料理人たち。 次々に繰り出される魚料理、肉料理、スープ、デザートまで全てがあの食卓に並ぶものとは比べ物にならない味わい。 フルコースが出揃う頃には、この料理場には久しく無かった美味の匂いが立ち込めていた。 料理長は脱帽し、がっくりと膝を落とした。 「姫殿下…。あなたの料理の腕前はわかりました。しかし…」 「理解するところが違っています。…料理長、もう一度、それを食べてみてください。」 シエスタが差し出したのは、最初のほうに出した魚の料理と同じもの。 いくつかの調味料に魚を漬け込み焼くというシンプルな手法の料理だが、それは素材の味を生かした料理だった。 しかし、最初の内に作ったそれは既に冷めていた。 「…………美味い…。」 「確かに、毒見や長い廊下は、作り立てを食べる料理には厳しい相手かもしれない。 しかし、ならば調理法でそれを克服する事をどうして考えないのか。 これは漬け込む調味料を濃い味にすることで、熱を失い冷めてしまった後でも味を保つ事ができる。」 「………」 「料理とは、ただ食べるだけのものではありません。材料を作る人、それを調理する人、 いくつもの人の手を通って食卓に並ぶものです。 先王も、あなたの料理に感動してここを任せたはず。ならば…」 そう言うとシエスタは、動き回ったせいと酔いのせいか、ふらっと倒れた。 転ばないようにアニエスが抱きかかえると、シエスタはそのまま眠ってしまった。 「料理長…あのだな、姫様は大変酔っておられてだな。今日のことはその…」 「我々は…今まで何を作っていたんだ。」 「へ?」 見れば周りの料理人たちまでもが涙を流し始めていた。 「お酒に酔われていたとは言え、姫様にあのような言葉を言わせてしまうなんて… あえさまつ料理まで…」 「俺たち、間違ってた。間違ってたよ!」 「料理長!!もう一度、ちゃんとした料理を!」 「あぁ、このままじゃ俺たちはただの負け犬だ!!」 (……なんだ、この状況。) アニエスが戸惑っていると、料理長が泣きながらシエスタの作った料理を味わっていた。 「あんた…姫様が起きたら、伝えてくれないか?明日からは今まで以上のものを作って見せるから、 先王に頼まれた食卓を、二度とあんなもので覆ったりしないと誓うと。」 背にシエスタを抱えながら、アニエスは答えた。 「それは、私の口からよりも、お前達の料理でお伝えすればいい。」 そう言って調理場から立ち去っていった。 結局その夜、調理場から明かりが消える事は無かった。 次の日の朝食は、無駄なく飾らず、思い直した彼らの素直な気持ちが表現されていたが、 シエスタは昨夜の記憶がまるでなく、何があったのかと不思議に思っていた。 前ページ次ページゼロの社長
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8073.html
前ページゼロのメイジと赤の女王 「よいしょ、っと…」 軽く声を掛けて、陽子は黒焦げになった机を持ち上げた。 爆発から二時間後、ようやく目を覚ましたシュヴールズは、ルイズに教室の後片付けを命じた。その際に魔法の不使用を言い渡されたが、彼女の場合、それにあまり意味はないようだ。 しかし「失敗を恐れずに」とか云っときながら罰を与えるとは。教職に向いているとはとても思えない女性の言動にやや呆れながら、陽子は壊れた机や窓ガラスを片付け、雑巾をかける。 ルイズは徹頭徹尾仏頂面で、申し訳程度に煤のこびりついた机を拭っていた。 眉間にしわを寄せ、だんまりを決め込んでいるルイズに触るのは得策ではないだろうと、陽子も何も言わずに黙々と掃除を続ける。 重苦しい沈黙の中、聞こえるのはただ作業する物音だけだった。 「…なんか、言いたいこと、あるんじゃないの?」 ふいに、ルイズが口を開いた。 え、と陽子が振り返ると、ルイズは俯いたまま、小さな唇を戦慄かせていた。 「……なにか、って?」 ルイズの意図がわからず首を傾げる。しかしルイズはそれを嫌味か何かととったようで、途端に溜め込んでいた感情を爆発させた。 「言わせる気?!何よ、あ、あんただって、私が無能だって思ってるんでしょう?!今のでわかったでしょ、私が『ゼロ』だって! 私が魔法を使えないから、私の使い魔になるのが嫌だったんでしょ! 魔法が使えないなんて、そんなの貴族じゃないってい、言いたいんでしょ!」 「え…ちょ、」 落ち着いて、慌ててなだめにかかるが、ルイズはもう陽子のことなど目に入っていないようだった。 せっかく呼び出すことが出来た使い魔の前でまで、無様な姿をさらしてしまった。召喚も、契約も、ただの人間とはいえ成功した、だから今度こそ。 ちっぽけな期待は打ち砕かれ、今までのどんな失敗よりも鋭くルイズの胸を打った。みっともない、こどものようだと思考の隅で思いながらも、鬱屈を吐き出すようにルイズは叫ぶ。 「知識なら同じ学年の誰にも負けないわ!それだけのことはしてきたもの!ううん、実技だって誰にも負けないくらい練習した!どんな詠唱も発音まで完璧に言えるのよ! それなのに、いっつも失敗するの!ゼロ!ゼロ!ゼロ!私は、き、貴族なのよ!?誉れ高いヴァリエール!なのに魔法が使えない!だから私は貴族じゃないって、みんな言うのよ! 私は、…私は!き、貴族なのに!お母様たちのように立派な貴族になれるようにって、ず、ずっとそう思ってきたのに!そうあるよう、ずっと頑張ってきたのに!」 言ってしまった。 熱い頬と裏腹に、ひんやりと冷えている思考の隅で、ルイズは後悔した。 こどものような癇癪を起こしてしまった。ただでさえ『ゼロ』などという不名誉な称号を与えられているというのに、こんな振る舞いをしては、もう本当にただの子供ではないか。 この少年も、きっと大多数のように馬鹿にした目でルイズを見るのだ。 ほら、魔法も使えない貴族になど使われたくないと、冷めた目をして、そのくせ口ではお追従を吐いて。 それとも、変に遠慮のない彼なら声にして言うだろうか。ああ、もしかしたら、そのほうがマシなのかもしれない――――。 …罵声は、聞こえない。侮蔑の眼差しも、嘲笑も、哀れみすら。 断罪を待つようにうなだれていたルイズは、沈黙に耐え切れず少しだけ顔を上げる。おのが使い魔の顔に、失望を見るのが怖かったけれど、仕方がない。 魔法を使えないのはルイズの不徳で、彼にはふがいない主人を責める程度の権利はある。 けれど、彼は何も言わなかった。赤毛の少年はぽかんとしてルイズを見ていたが、その瞳に映る色は、感嘆、だった。 「……なによ」 その瞳が不可解で睨みつければ、彼は特に不快に思ったふうもなくゆるりと首を振る。 「いや…。ルイズはすごいなって」 「何よそれ、皮肉?!」 間髪入れずに噛み付くルイズに、落ち着いて、と静かに苦笑する。 「いいや。本心だよ。ルイズは、戦おうとしているだろう?わたしは逃げていたから。云いたいことは全部飲み込んで、必死で良い子の振りをして。 …結局、だから、わたしには何にも残らなかった」 以前剣が見せた幻を思い出し、陽子は自嘲げに笑んだ。 教師も、友人も、両親でさえ、陽子のことを得体が知れないと言い、そして、故国に陽子の居場所はどこにもなかった。 出来ることならもう一度、彼らとちゃんとした関係を築けるよう、努力したかった。そのチャンスを与えられたかった。 それを許されなかった後悔は、いまだやわらかな傷跡として、ふとした折に痛みを生じさせる。春の美しい国、その中に小さく故郷を見るたびに、陽子の胸は切なく鳴いた。 この痛みがただ穏やかなぬくもりをなすまでには、まだまだ時間がかかるだろう。 陽子の顔に影が差したのを見て取り、口ごもったルイズに、陽子はやわらかな瞳を向ける。 「努力はあなたを裏切らないよ、ルイズ。あなたが頑張っていることは、わたしが知ってる。きっと他にも知っている人がいるよ。 …そしてね、ルイズ。生まれとか、血筋とか、そういうものは、きっとあんまり関係ないんだ。あなたは貴族たろうと努力しているね。多分それが、貴族として一番大事なことで。 だからあなたは、立派な貴族なんだと思うよ」 きれいごとだ、とルイズは思った。口先だけの、下手な慰めだと。 けれど、少年の言葉はすんなりルイズの心に沁みた。彼は「自分は逃げていたから」と言ったが、多分、そんなことはないのだ。彼もまた戦っている。 だから、ルイズと同じように、何かを目指して頑張っている者の言葉だから、頑なになっていたルイズの胸の奥まで、こんなにもあっさりと届いた。 「………平民風情が、生意気言わないで」 ルイズはきつく少年を睨んだ。けれど、おそらく彼にはわかっているのだろう。微笑ましそうな碧の瞳には、耳を真っ赤に染めた少女が映っている。 さあ、と陽子はルイズに笑いかける。 「あとはわたしがやっておくよ。ルイズは顔を洗って、着替えておいで。そうしたら丁度お昼の時間だ」 * ようやく片付けも終わり、陽子が食堂に向かった頃には、既に食事が始まっていた。 「…この中に入っていくのも、なんだか気がひけるな」 用事で遅れて、ひとり授業が始まっている教室へ入っていくあの感覚だ。数十対の目がぐるんと陽子を指す。 あれいやなんだよな、と思いつつ、少ない朝食で重労働をしたため鳴き出している腹を押さえる。最後の手段として宝珠があるが、それはまだちょっと遠慮したい。 さてどうするか、と陽子が考え込んでいると、そこに救いの神が現れた。 「あら、ヨウシさん?」 「シエスタ」 空のトレイをささげた黒髪の少女は、食堂の入り口で固まっている陽子にきょとんとする。 「どうされたんですか、こんなところで?ミス・ヴァリエールはもう中で食事をされてらっしゃいますよ?」 「ああ…。ちょっと、わたしは用事があって、遅れてしまって」 今から入るのもいかがなものかと思ってね、と苦笑すれば、まあ、とシエスタは口許に手をやった。 「では、ヨウシさん、厨房へいらっしゃいません?」 「え?」 「わたしたちの賄いでよろしければ、お出しできると思いますわ」 確かにおひとりでこの中には入りづらいですね、笑うシエスタに陽子も笑う。 「…じゃあ、すまないけれど、お言葉に甘えようかな」 「はい、どうぞ」 微笑んだ少女は、楽しそうにトレイを胸に抱いた。 賄いと言って出されたシチューの味は、かなりのものだった。聞けば貴族に出す食材の余りを使っているらしいので、それは豪華なものだと感心する。 そういえば洋食を食べるのはどれくらいぶりだろう、シチューくらいなら慶でも作れるかもしれないな。 嬉々として協力してくれそうな顔と、渋い顔で嗜める顔を思い描き、どうやって石頭を言いくるめようかと考える間にも、口と手は止まらない。あっという間に完食して手を合わせる陽子に、シエスタは嬉しそうに笑う。 「本当にお腹がすいてらっしゃったんですね。おかわりもありますよ?」 「いや、もうお腹いっぱいだ。ありがとう、すごく美味しかった」 よかった、目を細めるシエスタが重そうなトレイを持っているのをみて、陽子も席を立つ。 「手伝うよ、シエスタ。昼食のお礼に」 「まあ。…それじゃあ、デザートを配るのを手伝って頂けますか?」 「わかった」 彼女の手からトレイを取り上げ、ふたり連れ立って食堂へ向かう。陽子がケーキの乗ったトレイを持ち、シエスタがそれをひとつずつ配膳する。 傍では巻いた金髪の少年が、友人らしき少年たちとなにやら賑やかに騒いでいた。 「なあギーシュ、今は誰とつきあっているんだ?」 冷やかすような調子の声に、ギーシュと呼ばれた少年は傲慢に笑う。 「つきあう?僕にそのような特定の女性はいないよ。薔薇は多くの人を喜ばせるために咲くものだろう?」 そんな会話を聞くともなしに聞いていた陽子は苦笑した。なんとも気障な台詞である。ま るでミュージカルやオペラに出てくる色男のようだ、と少年をみていると、彼のポケットから何かが転がり落ちた。あ、と陽子が声を出すと、それに気づいたらしいシエスタがトングを陽子の持つトレイに置いた。 「ちょっと行って参りますわ」 液体が入った小瓶を拾い上げるシエスタに頷き、陽子は配膳を再開する。トレイの上のケーキは既に四分の三ほど配り終えており、これならひとりでも配ってしまえる。 慣れない手つきでなんとか配り終えて、さてシエスタは、と食堂を見回した途端、少女の甲高い声が響いた。 「嘘つき!」 見れば金髪の少年が、頭からワインを滴らせ、去っていく少女を唖然と見送っているところだった。 (…痴話喧嘩かな) 金髪の少年は、先程自分を薔薇とたとえた少年だった。あれならそうであってもおかしくないな、と目を逸らしシエスタを探すが、申し訳ありません、と蚊の鳴くような声にはっとする。 そちらに視線をやれば、泣きそうな顔をしたシエスタが、少年に頭を下げていた。 「君が香水瓶を拾ったおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。いったいどうしてくれるんだね?」 「も、申し訳ありません…!」 「僕は君に声をかけられたとき、知らない振りをしたじゃないか。話を合わせるくらいの機転をきかせてもよかっただろう?」 「…申し訳ありません…」 ひたすら恐縮して縮こまるシエスタの姿に、怒りが沸いた。 何を言っているのだ、こいつは。 地位と権力を持って立場の弱いものをいたぶる、それは陽子の最も嫌うものだった。ずかずかと間に割って入り、シエスタを背に庇う。主上、呆れたような溜め息は聞かなかったことにした。 「…なんだね、君は?」 「ヨウシさん…」 胡散臭そうな少年の視線と、縋るようなシエスタの眼差しを受けて、陽子は少年を睨みつける。 「…見事な責任転嫁だが、そもそもの原因は二股をかけたお前にあるんじゃないのか?」 どっ、と周囲から笑いが沸く。 「そのとおりだ!ギーシュ、お前が悪い!」 ギーシュの頬に赤みが差した。怒りを取り繕うかのかのように薄ら笑いを浮かべ、鼻を鳴らす。 「…ああ、君はゼロのルイズが呼び出した平民君だったか。さすがはゼロだな、貴族に対する礼儀すら知らない輩を呼び出すとは」 「貴族を名乗るのならば、まずはそれ相応の振る舞いを身に着けろ。お前の今の言動はただの我が侭な子供の八つ当たりにしか見えなかったが」 冷ややかな眼差しに刺され、ギーシュはぎりと歯を噛んだ。平民とはいえ女性を傷つけるつもりはなかったが、これなら存分に気を晴らすことが出来る。よかろう、ギーシュは胸に刺していた薔薇を抜き取った。 「君に礼儀というものを教えてやろうじゃないか。丁度いい腹ごなしだ」 「…なるほど」 酷薄に笑んだ陽子にギーシュはくるりと背を向ける。 「場所はヴェストリの広場だ。準備が出来たらきたまえ」 取り巻きを引き連れ食堂を出て行く少年に、どこまでも気障な、と鼻を鳴らし、陽子はシエスタへ振り向いた。彼女はがたがたと震え、真っ青な顔をしていた。 「シエスタ?もう大丈夫だよ」 あいつは行っちゃったから、肩をぽんぽんと叩いても、彼女の震えはおさまらない。 「…あ、あなた、殺されちゃう…。貴族に逆らったりなんかしたら…」 「え?」 堪え切れなかったかのように、シエスタは脱兎のごとく逃げ出してしまった。…そこまで、平民に貴族の恐怖は根付いている。 やれやれ、と頭をかいたところで、目下一番の問題が陽子の背をどついた。 「何やってんのよあんた!見てたわよ!」 「ああ、ルイズ」 「ああ、じゃないの!あんた何勝手なことしてんのよ!決闘?馬鹿じゃないの!」 「えっと…」 やっぱり怒られるだろうな、とは思っていたので、苦笑しきりだ。ルイズは陽子をじろりとねめ上げる。 「謝ってきなさい。今なら許してくれるかもしれないわ」 「それは嫌だ」 即答する陽子に、予想はしていたのかルイズは大きな溜め息を吐く。 「あのね?怪我だけじゃすまないのかもしれないのよ。いいから謝っちゃいなさい。…平民は、絶対にメイジに勝てないのよ」 「…だれがそんなことを決めたの?」 「…え」 冷えた声に、ルイズは目を見張る。陽子は、静かに怒っていた。 ここ一日で大分この世界のものの考え方もわかってきた。民主主義の世で育ってきた陽子には、それが滑稽にさえ思えることも。 何故貴族であるのか――――それをわかっていない連中が多く思えるのは、ここにはこどもしかいないからなのか。 「上に立つものの、その力は何のためにある?――――民のためでなければならないはずだ」 「………」 何も言えずに口を噤むルイズに背を向ける。 「ヴェストリの広場って?」 「こっちだ、平民」 遠ざかる背中に、ルイズは吐き捨てる。 「…使い魔のくせに。なによ、平民のくせに」 それなのに、上に立つものの責任を説いた少年の眼差しは、まるで王者のようだった。 前ページゼロのメイジと赤の女王
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/3796.html
5 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/27(水) 23 56 10 ID DXEFiIkN 八ヶ月におよぶ戦争が終わり、トリステインに一人の英雄が生まれた。 七万の大軍を単騎で止めた少年、剣と弓と槍と魔法の嵐を受け止めながらもアルビオンの将軍に肉迫した剣士、 魔法の使えない人間でありながらシュバリエの称号を持ち、水精霊騎士隊の副隊長を務めるサイト・シュバリエ・ド・ヒラガの名はトリステインだけでなく他国にも広がった。 広がりすぎた名前は必ずしも良いことばかりではない。ルイズとシエスタはそう思うようになるまでさほど時間はかからなかった。 「ミス・ヴァリエール、ずいぶん沢山きましたね」 「枚数よりも重さで計ったほうが早そうね」 二人の前には大量の手紙が積まれてる。 宛先はすべてサイト・シュバリエ・ド・ヒラガである。 手紙の内容は殆どが貴族の令嬢からの見合いで差出人はトリステインだけでなく様々な国からきていた。 「にっくいゲルマニアからの手紙は念入りに焼くのよ」 「はいっミス・ヴァリエール」 手紙の届く日はサイト宛ての手紙をルイズとシエスタが焼くのが日課になっていた。 6 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/27(水) 23 57 11 ID DXEFiIkN 才人は文字が読めない。才人に見せても大丈夫と思って開けると魅惑の魔法が飛び出したり、風の魔法で声が出てきて才人に想いを語り始めたりするのでルイズは開封前に焼く事を決めてしまった。 「相棒、もてもてだねぇ」 「まぁな」 頭をかきながら笑う才人の足をルイズとシエスタが丹念に踏み潰した。 転げ回る才人をルイズがとどめを刺しているとフクロウが飛んできた。 ルイズがくくりつけられた手紙を読む。 「姫さまからあんた宛ての手紙ね。すぐにお城にきなさいって」 「なんで?」 「そこまで書いてないわよッ」 才人は首を傾げながらも、出かける用意をしてお城に向かった。 「ミス・ヴァリエール、あの手紙おかしくないですか?」 「なんで?」 「・・・女の勘です。あの手紙からいつもサイトさん宛てにくる手紙と同じ匂いがしたんです」 「フクロウまで使ってそんなことする姫さまじゃ・・・・・・・」 ルイズも自分で言って気がついた。 姫さまは才人を手に入れる為なら手段を選ばない女だと。 「・・・姫さまならやりかねない・・わね」 二人はお城に向かった。 7 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/27(水) 23 58 13 ID DXEFiIkN 一方、お城についた才人は執務室ではなくアンリエッタの寝室に通されることになった。 才人は寝室の扉をノックする。 どうぞ、と かわいらしい素のアンリエッタの声がした。 才人は初めて通された寝室に気圧されながらも名前を名乗り扉を開ける。 「お久しぶりね、サイトさん」 アンリエッタが座る椅子の横にもう一人誰かいた。 「サイト・・・久しぶり」 優しい声、美しい金色の髪、長い耳、そして桃りんご、ティファニアがそこにいた。 「テファ?テファじゃないか!久しぶりだなぁ」 驚く才人にティファニアは自分の代わりにアニエスが子供達の世話をしていること、アンリエッタに呼び出されてお城にいることを説明した。 「姫さま、テファがいるってことは任務があるってことですか?」 才人が呼び出された理由に話を振るとティファニアはぴくんと動き、赤くなった。 「ええ、任務というほど難しい仕事ではありません」 才人はシュバリエの顔で任務を聞く。 「・・・アルビオンは今、トリステイン、ガリア、ゲルマニアの三国によって共同統治されているのは知ってますよね」 「はい」 8 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/27(水) 23 59 21 ID DXEFiIkN 「近い将来、アルビオンの貴族から王を出さなければならないことも知ってますよね?」 「はい」 「そのアルビオンの王を作ることが今回の任務になるの」 「はい?」 「ですからサイトさんにはアルビオンの王を作る任務についてもらいます」 「作るって・・・・・」 才人が助けを求めるようにティファニアを見るとティファニアは腕と桃りんごをもじもじさせて真っ赤になっている。 「今からサイトさんはティファニアさんを孕ませる任務についてもらいます」 才人の頭は酸欠になり、口の中はカラカラになってアンリエッタを見る。 「早い話が男女の睦み事をティファニアさんとしてもらって子供を作ってもらおうということです」 「でも、姫さま・・・・」 「なんでしょう?生まれた子の性別ならどちらでも問題ないのですよ?」 「いえ、そうではなくて、なんで俺なんすか」 ティファニアが下を向いてもじもじし始めた。 「七万の大軍を単騎よく止めた英雄であることと・・・・」 アンリエッタは下を向いて真っ赤になったティファニアを見てから言葉を続ける。 「ティファニアさんの希望です」 才人はティファニアをみて かはっと息を吐く。 9 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/28(木) 00 00 20 ID DXEFiIkN 「でも姫さま、テファはアルビオンの貴族だけど・・・」 「ええ、ハーフエルフであることは問題にはなりません。ティファニアさんは子供を産んでも王族にはなりたくないそうですし、子供はエルフの特徴が残らなくなります」 才人はティファニアに助けを求める。 「テファ、子供を作るってことは・・・・その・・・・しなきゃならないんだぞ?本気でこの話受けたのか?」 ティファニアが真っ赤になって桃りんごがゆよんと揺れる。 「女王陛下から手紙が来た時は驚いたけど、外の世界を見られるし、サイトに・・・会えるし・・・」 ティファニアはもごもご言って下を向いてしまった。 「テファ、子供を作るってどんなことかって分かっているのか?」 ティファニアはこくんと頷く。 「テファ、本当に本気で話しを受けたのか?」 テファはまたこくんと頷く。 「友達だから、いいの」 それだけ言ってティファニアは黙ってしまった。 アンリエッタが才人の前に出てきた。 「もうわたくしとティファニアさんは決めてしまったのです。後はサイトさんのお覚悟次第なんですよ?」 アンリエッタが才人の目を覗きこむ。 「サイト・・・・」 10 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/28(木) 00 01 28 ID DXEFiIkN ティファニアもすがるような眼差しで才人を見る。 「でも・・」 ティファニアが桃りんごがゆよんゆやんと揺れている。 「でも、でも・・」 アンリエッタの胸もぽよんぽやんと揺れている。 才人が二人の胸を交互に見て溜め息をつく。 「この任務が無事に成功すればアルビオンから戦争の火種を消すことが出来るのですよ?」 「戦争?」 「ええ、欲の皮の突っ張った貴族が仲良く共和国を続けられると思っているのですか?」 「それは・・」 「共和国の形をとれば内戦と分裂は必ずや起こるでしょう。しかし、テューダー家に近い貴族がアルビオンの王となれば下につく貴族は反乱を起こしにくくなります」 「・・・・」 「サイトさんとティファニアさんが子供を作ることは、これから起きる内戦の死傷者を少なくする事でもあるのです」 「姫さま、子供ってのは必ず出来るものじゃないですよ」 ティファニアが赤くなり才人の側の寄り添う。 「サイトとならたぶん大丈夫だと思う」 才人の腕に桃りんごが当たる。 「テファ?」 「・・・・女の子が卵を抱える日・・・なの」 ティファニアは真っ赤になって桃りんごの間に才人の腕をめり込ませる。 11 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/28(木) 00 02 43 ID nVFGeSXV 不意打ちに才人は抵抗できない。 「サイトにいま抱かれたら・・・できる日なの」 才人が桃りんごに腕を掴まれて固まっているとアンリエッタが二人をベッドまで押していた。 「サイトさん、アルビオンを救う為なのですよ?任務なんですから抱かないとダメなんです」 アンリエッタが才人の服を脱がす。 「友達だから、いいの」 ティファニアも桃りんごを包む布の留め金とベルトを外して手で布を抑える。 才人は裸にされ、ティファニアは前面の布一枚になった。 「サイト、抱いて・・・」 ティファニアはころんとベッドに横たわる。 才人の喉がごくりと音を立て、ティファニアがぴくんと音に反応する。 才人はティファニアに覆い被さり唇を重ねる。 ティファニアの柔らかい腕が才人をそっと包み込む。 才人の胸に桃りんごが押し付けられてティファニアの太ももに才人のソコが布ごしに当たる。 才人の舌がティファニアの唇に挨拶するとティファニアの舌も挨拶を返す。 才人の手が金色の細い髪を撫でると才人の背中に回ったティファニアの手が背中をさする。 ティファニアの舌が遠慮がちに伸びて才人の舌をくすぐる。才人の舌も伸びてティファニアの舌をくすぐる。 12 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/28(木) 00 03 46 ID nVFGeSXV ティファニアはこくんこくんと才人の舌から流れるものを飲み込む。 才人の唇が離れるとティファニアは耳まで赤くなって荒い息をしていた。 才人とティファニアの間にある一枚の布を口でくわえて引きずり、脱がす。 ティファニアの赤くなった顔の下の初雪のような白い肌、大きくて柔らかな胸、くびれた腰のライン、オンナノコの証を彩る金色の細い毛、全てが美しかった。 「・・・恥ずかしいから・・あまり見ないで」 才人が布をくわえたままティファニアに見とれていると抗議の声があがる。 「テファ、綺麗だ」 ティファニアの白い肌が少し赤み帯びる。「綺麗で可愛いよ、テファ」 ティファニアの体が赤くなった。 アンリエッタがいつの間にか裸になりティファニアの横に座りささやく。 「ティファニアさん、気をやるときはサイトさんに一声かけてからにしてくださいね?」 ティファニアはふるふると首を振って拒否した。 「たまらなくなった時に?いく?ってサイトさんに教えるとサイトさんががんばってティファニアさんをこすりあげてくれますよ?」 ティファニアは毛布を掴んで顔を隠してしまった。 13 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/28(木) 00 04 54 ID nVFGeSXV 「テファ、テファの可愛いところ見てみたいんだ。それに、教えてくれないと出してあげないよ?」 ティファニアの掴んだ毛布を才人は剥ぎ取り、唇を重ねる。 「今のは約束のキスだからね」 ティファニアはこくんと頷く。 才人は再び唇を重ねる。指で胸の先端を摘み、動かした。 「ん・・・むぐ・・・」 重ねたままの唇から吐息が漏れる。 指先が胸の先端をくるくる回ると更に吐息が大きくなった。 唇が右の胸の先端を吸い上げると先端が硬くなり、ティファニアの体が左へ跳ねた。 左の胸の先端も吸い上げると吐息を大きくしながら右へ跳ねた。 才人の手がティファニアの腕を上にあげると金色の細い腋毛が挨拶してきた。 才人も唇と鼻を埋め込んで挨拶を返す。 「あっ・・・やっ・・・」 ティファニアの恥ずかしがる姿に興奮し、両方の腋を交互に鼻を差し込み深呼吸するとメスの匂いが才人の鼻腔を包み、才人のソコはティファニアの太ももをつつく。 ティファニアも太ももをつつくものが何か理解すると腋毛の中に溜め込んだメスの匂いをさらに解放する。 匂いを堪能した才人は首筋に唇を這わせて匂いを吸い上げながら肌を甘噛みする。 14 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/28(木) 00 06 09 ID nVFGeSXV 「だめ・・・首・・弱いの・・・」 ティファニアは自分から弱い部分を告白する。 「テファ、可愛い」 才人はささやきながら首筋と長い耳を甘噛みする。 「やぁぁん」 ティファニアの弱い抵抗を押さえて首筋を甘噛みしたまま手をオンナノコの証を探る。 ティファニアの上半身がぴくんと一瞬縮み、才人の手がオンナノコの証に触れた事を知らせる。 才人の手はティファニアの太ももを開かせてオンナノコの証全体を軽く下から上に撫でる。 ティファニアの吐息が荒くなり、腕が才人をぎゅっと抱きしめる。 「舐めてって言って」 いじわるな才人の命令にティファニアは顔を赤くして才人を見る。 「言ってくれなきゃ出してあげないよ?」 ティファニアは もういじわる と呟きながら足を少し開く。 「舐めて・・・・」 ティファニアの顔が期待の顔に変わる。 ティファニアのソコは濡れてきらきら光っていた。 才人はティファニアの桃りんごとその間の可愛い顔を眺めながらぬるぬるのオンナノコの証を舐めあげる。 「んっ・・・」 舐めあげるたびに桃りんごがふるっと動きティファニアの顔が快感で歪む。 「テファ、綺麗だよ」 才人は魔法のささやきでティファニアの足をさらに開かせてオンナノコの証に鼻と唇を埋める。 15 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/28(木) 00 07 17 ID nVFGeSXV 「だ、だめ!」 舌を深く差し入れると抵抗された。 足を押さえつけてさらに舌を潜り込ませると抵抗が止み吐息が大きくなった。 オンナノコの証全体が膨らむのを舌先と鼻で堪能すると唇を小突起のフードに当てる。 「いや・・・いやぁ」 抗議の声を無視してフードの上から押すように舐めると腰が かくんと引っ込んで抗議の声が止まった。 指でフードを持ち上げると小突起が顔を出す。 「だめぇ・・・・剥かないでぇ」 ティファニアの小突起は少し大きめだった。 息を吹きかけるとぴくんと体が跳ねた。 舌先で小突起の周りを回ると吐息が大きくなり、手で抵抗された。 クレバスの中に指を埋めて舌先で小突起をこすりあげると体をよじらせて抵抗された。 そのまま抵抗を無視して指と舌を動かすと両足が才人の頭を挟み込み、才人の頭を固定した。 固定された才人は指だけを動かしてティファニアを追い詰める。 ティファニアのクレバスの中に上の方だけ柔らかい部分を発見した才人は指でソコを掻く。 「いや・・・いや・・・・いやぁ・・・」 ティファニアがみるみるうちに高まっていく。 才人が両足の抵抗をかいくぐり舌先を小突起の付け根を舐め擦りながら吸う。 16 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/28(木) 00 08 31 ID nVFGeSXV 指をクレバスの中で折り曲げる。 「いくっ!!いっちゃう!!」 ティファニアがのけぞる。 才人の指と舌をさらに速く、強くする。 「いやぁぁぁぁだめぇッ・・・い、いくっ!!」 体が跳ねてクレバスの中の空気が ふしゅっと搾り出される。 才人がさらに煽ると絶頂の最中のティファニアは腰を才人の顔にこすりつけ始め、クレバスの中の指を締め付ける。 ティファニアの絶頂が引き、腰がすとんと落ちた時、才人の顔はティファニアの成分でびっしょり濡れていた。 「可愛いかったよ、テファ」 顔をあげてティファニアを見るとティファニアは耳の先から胸元まで真っ赤になっていた。 「テファ、入れてっておねだりして」 ティファニアは素直に足を開き才人を甘く睨む。 「い、入れてください・・・・」 才人のソコがティファニアのソコに埋まり、ティファニアの口から んふっ と吐息が漏れる。 才人のソコがゆっくりと奥まで進み、ゆっくりと引き抜かれる。 ティファニアの吐息が引き抜かれる時に少し大きくなり、入り口あたりで腰をよじるのを才人は見逃さなかった。 「テファ、気持ちいい?」 先ほど指で触って柔らかかった部分を丹念にすりつぶしながらティファニアに質問する。 「し、知らないッ」 ティファニアは真っ赤になりながら顔を逸らしとぼける。 「いきそう?」 ストロークを深くして敏感な部分と奥を往復する。 「知らないッたら知らないっ」 ティファニアの息がどんどん荒くなる。 「綺麗だよ、テファ」 敏感な部分だけを細かくストロークさせる。 「そ、そこばっかり擦らないでッ」 ついにティファニアが白状する。 桃りんごを両手でこねながらグラインドさせるとティファニアのソコが搾り始めた。 「テファ、出して欲しかったらおねだりして」 ティファニアの体が反り始めた。 「卵を抱えた・・・・ティファニアに・・・・たくさん・・・出してくださいッ」 才人は親指でオンナノコの証のフードをしごきながら敏感な部分を中心にストロークさせる。 「いやッ剥いちゃだめぇぇあぁぁぁだめだめだめぇぇいくッいくぅッ」 才人は絶頂の最中のオンナノコの証を割り入れるように奥までストロークを潜り込ませて精を何度も打ち込んだ。 絶頂が終わるとティファニアはオンナノコの証から精を垂らしながら気絶していた。 ティファニアの口から少し出てる涎と満足そうな顔が才人にやすらぎを与えていた。 59 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/28(木) 23 55 31 ID nVFGeSXV 「ご苦労様、サイトさん」 アンリエッタは才人ねぎらい、首筋にキスをする。 「サイトさん、次の任務があるのですが・・・聞いてくれますか?」 アンリエッタは少し上目づかいでサイトを見る。 「・・・・なんでしょうか?」 才人も何かすっきりした顔で返す。 「わたくしの夜伽役を受けてもらいたいのです」 アンリエッタは少し赤くなっている。 「夜伽役ってなに?」 才人は赤くなったアンリエッタの言葉が分からず聞き返す。 「わたくしと男女の睦み事をする役目・・・です」 才人は少し驚いた顔でアンリエッタを見る。 「これは女王としての命令なので断る事はできませんよ?」 アンリエッタは才人の後ろから手を伸ばして才人のソコを握る。 「ひ、姫さま?」 「アンと呼んで・・・・・」 背中に胸が当たる。 「・・・くださいまし」 才人の耳に息を ふっと吹きかけると才人の体が一瞬縮んだ。 「サイトさんは横になっていてくださいまし」 仰向けになった才人のソコにアンリエッタが近づく。 アンリエッタは胸の双球を両手で開き、才人のソコを挟み込む。 才人のソコはひんやりして柔らかいものに包まれ、しごかれていた。 60 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/28(木) 23 56 21 ID nVFGeSXV 「どうですか?サイトさん」 才人のソコをむにむにとしごきながらアンリエッタは才人の顔を見る。 「や、柔らかい・・・です」 アンリエッタは強く挟み込んでしごく。 才人は んっと声を出し、才人のソコは一番硬い状態になっていた。 「サイトさんの声、もっと聞かせてくださいまし」 アンリエッタは体を反転させてオンナノコの証を才人の顔に押し付け、才人のソコを深く頬張る。 才人の目の前にオンナノコの証が上下に揺れておねだりをしていた。 才人は舌先を尖らせてクレバスの入り口をつついた。 「んふっ」 アンリエッタの腰が押し付けられて入り口にあった舌先がいきなり根元まで入ってしまった。 舌を入れたまま手でアンリエッタの胸の先端を甘くつねると舌がきゅっと締め付けられた。 そのまま手は背中やお腹を撫で続けるとオンナノコの証がメスの成分を出し始めた。 才人の舌が小突起を押すとアンリエッタは才人のソコを飲み込む。クレバスを広げて舌で舐め擦ると腰がぴくんと上下に揺れ、才人のソコはアンリエッタの頬の内側と舌でこすりあげられた。 61 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/28(木) 23 57 12 ID nVFGeSXV クレバスからアンリエッタの成分が太ももまで垂れ始めた頃、アンリエッタの腰がそのまま前にずれて才人のソコと触れ合う。 「サイトさん、夜伽役の話、受けてもらえますね?」 才人はこくんと素直に頷く。 「ふふっ よろしくね、サイトさん」 アンリエッタがお礼を言うと同時にオンナノコの証が才人のソコを包み、ゆっくり飲み込む。 根元までアンリエッタの腰が沈み、才人のソコがアンリエッタの奥をこつんとつつくとアンリエッタの体が ふるるっと揺れた。 才人の見た目からはアンリエッタの大きなお尻が ふるるっと揺れ喜んでいるように見えた。 アンリエッタのお尻が上下に動く、才人も合わせて下から突き上げる。 上下のリズムの中で腰を突き上げたまま左右に振るとアンリエッタの吐息が大きくなりお尻の穴がすぼまるのが見えた。 奥を強めに突くとアンリエッタの腰が円運動を始め、逃げる。 広がったりすぼまったりするお尻の穴が可愛いくて親指でそっと撫でる。 アンリエッタのソコがきゅっと絞るたびに撫でているお尻の穴もきゅっとすぼまる。 62 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/28(木) 23 58 00 ID nVFGeSXV 円運動で突き上げから逃げるお尻を逃げた腰ごとがっちり掴んで奥を突き上げる。 声をだすまいと頑張っているアンリエッタの可愛い口から あひっとか はひっとか卑猥な吐息が混ざり始める。 「アン」 「はい?」 「気をやる時は いくって言ってくださいね?」 「・・・・・・」 アンリエッタは答えない。 「アンのここはたまらなくなっているみたいですよ?」 「・・・・・・」 アンリエッタはまた答えない。 「じゃあ、アンのいけない体に聞いてみますね?」 才人はお尻をがっちり掴んで突き上げる。 アンリエッタの奥の感触が少し緩くなり、入り口が締まり始めた。 「体は正直ですね、アン」 アンリエッタはお尻を前後運動させて才人を先に果てさせようとする。 才人の親指がアンリエッタのお尻の穴に少しだけ埋まる。 「サイトさんッそこはだめです。指を抜いてッ」 アンリエッタの命令に背き、才人のソコはアンリエッタの奥をこすりあげる。 「だ、だめッお尻の指ッお尻の指抜いてッ」 アンリエッタの背中が反り始めてお尻が突き出される。 お尻に少しだけ埋まった親指は動かさないで細かいピストンで奥を掻き回す。 63 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/28(木) 23 58 43 ID nVFGeSXV 「いくッお尻の指抜いてッいっちゃうッ」 アンリエッタのお尻の穴が一瞬 むくっと盛り上がりると同時にオンナノコの証が才人のソコを締め付ける。 「あぁぁぁぁぁぁあひッィいくぅぅぅぅ」 獣のようなアンリエッタの声をもっともっと聞きたくて才人は絶頂の最中ので痙攣し始めたオンナノコの証に向かって何度も何度も突き上げて、精を奥に打ち込んだ。 お尻の穴に少しだけ埋まっていたはずの親指はアンリエッタの絶頂の最中の動きで自然と飲み込まれていた。 アンリエッタのお尻の穴から親指を抜くとアンリエッタは腰をがくがくさせて前に くてっと倒れた。 才人は腰が抜けたアンリエッタの体を仰向けに直してあげて腕枕をしてキスをする。 「とっても可愛いかったよ、アン」 腕の中のアンリエッタをいたわり、またキスをする。 突然、才人は頬をつねられた。 「サイトさんッ」 「ひゃ、ひゃいッ」 「女の子のお尻の穴に指なんか入れないでくださいッ」 「ひゃい」 「やめてって言ったのに気をやってる最中も指入れてたでしょッ」 「ひゅいまひぇん」 アンリエッタは恥ずかしがりながら怒り、照れるという複雑な顔で才人の頬をつねりあげた。 64 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/28(木) 23 59 24 ID nVFGeSXV アンリエッタが才人にのしかかる。 「夜伽役の忠誠には報いる所が必要ですわね」 アンリエッタがいたずらっぽい笑顔で才人を見る。 「・・・アン?」 アンリエッタの危険な笑顔に才人は動けなかった。のしかかったアンリエッタは素早く才人を制圧した。 アンリエッタ唇と舌が才人の唇と舌を上から押さえつけるように重なる。 アンリエッタの胸が才人の体にむにむにと押し付けられる。 アンリエッタのオンナノコの証が才人の太ももにこすりつけられる。 「アン、な、何を・・・・むぐっッ」 電光石火の早業で才人にのしかかったアンリエッタは才人のソコを再び元気にさせる。 「トリステインの女王のお尻の穴に指を入れるような夜伽役にはお仕置きが必要ですッ覚悟してくださいッ」 アンリエッタの手が才人のソコを握り、アンリエッタのソコに再び飲み込まれる。 才人のソコが全て埋まるとアンリエッタは舌を才人の唇に割り入れて掻き回し、腰を速く打ち付ける。 「んんっ・・・・・むぐッ・・・んッ」 才人が抵抗しようにものしかかったアンリエッタは腰の打ち付ける速度を緩めない。 高まっていく才人が逃げようとするとアンリエッタの胸と手が才人を包んだ。 65 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/29(金) 00 00 13 ID Y6NWXryv アンリエッタの唇とつながっている才人の唇が荒い吐息を吐き出して才人の限界を知らせる。 才人の吐息と荒い鼻息を感じてアンリエッタの腰がさらに速く強くなる。 才人はなるべく違う事を考えて気をやらないように耐える。 アンリエッタは才人の腰が少し動き始めたのを感じて重ねた唇から唾液を少しづつ流し込む。 才人がこくんこくんとそれを飲む音を聞きながら腰を深く打ち付ける。 「んんッ」 才人はアンリエッタの唇を重ねたまま腰を打ち付ける攻撃の前にあっさりと陥落してしまった。 才人がアンリエッタの中に精を打ち込むのと同時に扉が ばたんと開き、ルイズとシエスタが入ってきた。 ルイズとシエスタが扉を開けるとベッドの上で足を開いたまま気絶している胸の大きなハーフエルフとぴくぴく蠢く才人の上で必死に口を吸いながら腰を打ち続けるアンリエッタがいた。 「姫さまッ!!」 ルイズが近付こうとするとアンリエッタは才人から口を離してルイズを止める。 「ルイズ、いま取り込み中ですよ?サイトさんが気をやってる最中ですからしばらくそこで見てなさい」 アンリエッタの下で才人は荒い吐息で蠢く。 66 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/29(金) 00 01 01 ID Y6NWXryv 二人が呆気に取られている間にアンリエッタの動きが止まって才人から離れる。 ルイズは杖を構える。 「姫さま、それはわたしのものです。次は平手打ちではすまないと言ったはずです」 アンリエッタはルイズの杖を無視して才人の胸板を愛おしそうに撫でる。 「サイトさんには・・・いえ、彼にはわたくしの夜伽役を受けてもらったの。ですから何も問題ないはずですよ?ルイズ・フランソワーズ」 ルイズの杖がわなわな震える。 「そんな言い訳が通るわけないでしょッ」 「いいえ、言い訳ではありません。女王たるもの情夫の一人や二人、抱えることが出来なくては女王としての格が落ちます」 「あんたの格なんてどうでもいいのよッそこのおばけ胸のハーフエルフは何ッ?」 「ティファニアさんはアルビオンの王を産んでもらう為に彼の子種を分けてあげただけですよ?」 ルイズの肩が怒りで震える。 才人も恐怖で震える。 ルイズがエクスプロージョンを唱えようとした時、つむじ風がルイズの杖を包み、手から杖を奪った。 杖が軽い音を立てて落ちた先にタバサが立っていた。 「何よ!あんたッ!」 ルイズはタバサに吠える。 67 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/29(金) 00 02 37 ID Y6NWXryv 「あら?あなたオルレアンのシャルロット姫・・・・いえ、今はタバサと言う名前でしたわね」 タバサはルイズを無視してアンリエッタの前に立つ。 「タバサさんも彼を狙っていたの?」 タバサはこくりと頷く。 「彼はたった今わたくしの夜伽役になったのよ?タバサさんのものにはならないのですよ?」 タバサは表情を変えずに即答する。 「問題ない」 アンリエッタはしばらく考える。 「たしかに・・・彼は英雄・・・故に一般の人間の常識にはめ込む必要はない・・・ですわね」 ルイズは何だかわからないという顔になる。 その言葉でシエスタの顔が明るくなる。 「ミス・ヴァリエール!!サイトさんはこの中の全員と結婚して子供を作っても問題ないってことですよっ」 「なんでよッ」 タバサが答えを言う。 「英雄だから」 タバサはそれだけを言うとシャツのボタンをはずした。裸の才人を朱に染まった顔で眺めながらシャツとスカートとシュミーズを無造作に脱ぎ捨てる。 タバサは白いタイツだけ穿いた状態でルイズを見る。 「みんなのもの」 その言葉だけで充分といった感じて才人に抱きつく。 「ミス・ヴァリエール、わたしたちも脱ぎましょう。このままだとサイトさん盗られたままになっちゃいます」 シエスタはルイズの服を脱がし始める。 アンリエッタはティファニアを起こしてベッドに座らせる。 「バカ犬はあたしのだかんねッ恋人みたいな顔したらひどいんだからッ」 才人がその声で縮まる。 タバサが縮まった才人を押し倒した。 95 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/29(金) 23 56 18 ID Y6NWXryv 「お兄ちゃん・・・・」 それはタバサがルイズに気を使って選んだ言葉だった。 「お兄ちゃん・・・キスのしかた・・・教えて・・・」 タバサの魔法の囁きは才人の心をわしづかみにした。 「・・・タバサ?」 タバサは才人の首を甘く噛む。 「シャルロットって言って」 タバサは朱に染まった額を才人にこつんと当てて甘く睨む。 「シャルロット」 才人が名前を口にするとタバサはほっぺたを才人にすりすりし始めた。 「キスの仕方教えて」 才人は かはっと息を吐き出し、タバサの上に覆い被さって唇をタバサの唇にゆっくり近づける。 下から待てなくなったタバサの腕が伸びてタバサの方から唇に触れた。 才人は不意打ちに驚き唇を離そうとするとタバサの舌が才人の舌を絡めとった。 覆い被さった才人にからみついたタバサの腕が解ける頃にはタバサの口の回りは才人の唾液でいっぱいになった。 才人の手が膨らみきっていないタバサの胸を撫でる。 手に柔らかい突起が当たりタバサが ひゃっと声をあげて跳ねる。 指先だけで突起の回りをくすぐるとタバサの足がもじもじし始め、突起をつまむとからだをよじって抵抗した。 96 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/29(金) 23 57 22 ID Y6NWXryv 突起を口に含んで舌先をくるくる回すとタバサの吐息が漏れて抱きしめられた。 吸いなから片方の突起をつまむと んんッと吐息が漏れて両方の突起が硬くなった。 「脱がして」 タバサの白いタイツはオンナノコの証の部分だけ染みを作っていた。 タバサの言葉を無視して染みの部分に鼻をうずめて深呼吸しながら舌先でつつくとメスの匂いがした。 才人は白いタイツと下着を一緒に下ろす。 タバサの体温とメスの匂いを混ぜた熱気が才人の顔にふわりとあたり目と鼻の粘膜を包む。 白いタイツの中はメスの匂いで蒸れていて才人のソコはすぐにそれに反応する。 「あまり見ないで」 タバサのソコは茂みがなかった。 「綺麗だよ、シャルロット」 才人はタバサの眼鏡を外して唇を重ね、茂みのないスリットを筋にそって指先を這わせる。 「生えているコが好きなの?」 才人はタバサの両腕をあげてタバサの幼い腋毛を鑑賞する。 髪の毛と同じ色の腋毛に鼻を差し込みメスの匂いを吸いながら味見する。 「お兄ちゃんのヘンタイ」 タバサからの抗議の声でますます興奮し、両方の腋毛を味わう。 タバサのメスの匂いは物足りないくらいに薄かった。 97 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/29(金) 23 58 23 ID Y6NWXryv メスの匂いを求めて唇はスリットの筋にたどり着く。 まだ幼く見えるつるつるのオンナノコの証には芸術品のように美しい一本の筋があった。 閉じた筋を舌先でなぞると吐息が漏れた。 舌先で押すと自然と足が開いた。 少しだけ開いた足を膝を折り曲げてあげて足を開かせる。 「お兄ちゃん・・」 オンナノコの証が全部見える格好になりタバサは恥ずかしがる。 「よく見せてシャルロット」 才人の顔がオンナノコの証に近づくのをタバサは膝を折り曲げて待つ。 才人の舌先がオンナノコの証のスリットを丁寧に何度もえぐる。 舌先がメスの成分で覆われて、オンナノコの証の中に舌先が滑り落ちる。 舌をオンナノコの証の中で踊らせると足がぴくんと動き、メスの匂いが鼻腔を包む。 スリットの下へメスの成分が流れると才人の唇が音を立てて吸い上げる。 「音立てないで」 タバサの顔が膝の間で真っ赤になっていた。 お詫びにスリットの上の小突起をほじくり返すとタバサの腰が上下に揺れた。 小突起のフードを舌先で形をなぞり、手を胸の可愛い突起に伸ばすとタバサの吐息が大きくなった。 98 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/29(金) 23 59 25 ID Y6NWXryv 「お兄ちゃん・・」 タバサの膝がもじもじ擦り合わさって何かを訴えている。 「なに?シャルロット」 「おしっこ」 「ト、トイレかっ」 「飲んで」 「え?」 「飲んで」 タバサの膝が開き、才人の唇が吸い付いてくるのを待つ。 「いいけど、気をやる時はいくって教えるんだぞっ」 タバサはこくんとと頷く。 才人の手がスリットを広げ、口はおしっこの穴と小突起を丸ごと包む。 余った片方の手をオンナノコの証の中に潜り込ませる。 タバサの顔が期待の表情に変わった。 「そんなに期待した顔するなよ」 タバサは真っ赤になって横を向いてしまった。 才人の指がオンナノコの証を広げ口の中の舌が小突起を舐め擦る。 吐息が大きくなったのを感じてオンナノコの証の中に潜り込ませた指を動かした。 タバサの吐息が大きくなり腰が上下に揺れる。 99 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/30(土) 00 00 54 ID Y6NWXryv 息が荒くなったタバサの腰が左右に逃げ始め、オンナノコの証が指をぎゅっと握り締めた。 「お兄ちゃん、いくッ・・・いっちゃうッ」 才人はとどめにおしっこの穴と小突起を強く吸い上げる。 「出ちゃう!!出ちゃうぅぅ・・・・い、いくぅッ」 オンナノコの証の律動に合わせて、おしっこの穴から勢いよくおしっこが出た。 ぴくんぴくんと可愛く揺れるタバサの腰に合わせて吸い付いてる才人の喉もこくんこくんと音を鳴らして揺れる。 タバサの腰が ぷるるっと震えて最後のおしっこを出すとオンナノコの証から大量にメスの成分が出ていた。 才人の舌がオンナノコの証の中に差し込まれストローで吸うように大きな音を立てて吸い上げる。 いままで薄かったメスの匂いが急に濃くなり、才人のソコが反応する。 才人の両手がオンナノコの証を広げ、才人のソコが近づくとオンナノコの証から空気が くしゅっと出てきた。 才人のソコがオンナノコの証の中にゆっくり侵入する。 タバサの奥まで侵入すると あふぅっと吐息が漏れた。 才人はゆっくりと腰をグラインドさせてタバサの顔を眺める。 タバサの息が荒くなり、顎の角度があがった。 100 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/30(土) 00 01 43 ID 7uODFYE1 今度は胸の先端をつまみながら速いストロークで擦りあげる。 タバサの吐息が大きくなり、細い腕が伸びて才人と密着する。 くっついて離れないタバサの口に舌を差し込み、体重をかけて奥までとどくグラインドをする。 タバサの鼻息が荒くなりしがみつく腕が締まる。 才人もタバサをぎゅっと抱きしめて力強いストローク繰り返すとタバサの足が才人に絡みついた。 タバサの手足が才人に絡みついた状態になり、才人は奥をすりつぶすように丹念にグラインドさせる。 「お兄ちゃん・・」 タバサの瞳が潤む。 「いきそうなのか?」 タバサはこくんと頷く。 「がまんしなくていいよ」 タバサの足がさらに深く絡みつき、腰が前後に動く。 才人はタバサの奥まで当たるストロークを何度も何度も繰り返す。 「お兄ちゃん・・お兄ちゃん・・お兄ちゃん・・お兄ちゃん」 タバサが切なそうに何度も呼ぶ。才人もシャルロットの名を何度も呼ぶ。 「お兄ちゃん、いくッ・・・・いくッ」 背中に回ったタバサの手が爪を立てて才人に印をつける。 うねりだしたタバサの腰をソコで押さえ付けるように力強いストロークを何度も何度も名前を呼びながら繰り返した。 101 :仁義なき家族計画 ◆manko/yek. :2006/12/30(土) 00 02 32 ID Y6NWXryv 「いくぅぅぅッ」 オンナノコの時間がきたタバサの体は才人に絡みついたまま精が打ち込まれるのを腰をうねらせてせがむ。 才人も組み敷いたタバサの体温とオンナノコの摂理の律動に共鳴して腰を押し付けるように精を打ち込んだ。 二人の腰が止まり、才人に絡みついた手足が解けてタバサの体が とすっと落ちるとオンナノコの証から精が こぷっと垂れた。 二人が見つめ合い、恋人同士のように荒い息で唇を重ねていると回りから咳払いが四つ聞こえてきた。 二人が回りを見ると四人がそれぞれの表情で二人を見ていた。 タバサは才人に抱きついて耳元で ダイスキと囁いて離れた。 シエスタがルイズを押す。 「ミス・ヴァリエールの番です」 「な、なな、なんでよッ」 「何の為にここに来たんですか?」 ルイズは赤くなって嘘をつく。 「つ、使い魔を連れ戻しに来ただけよッ」 「裸同然の格好でいままで待ってたのに、ですか?」 「・・・・・」 シエスタはルイズをじっと見つめる。 「わかりました」 裸のシエスタはそれだけ言って才人にしなだれかかる。 125 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/30(土) 23 57 04 ID T8nzr1Dm 「サイトさん、この前のカップを割ったメイドの続きをしませんか?」 「・・・うん」 「あの後ですね、カップを割ったメイドは無体な旦那さまに縛られちゃうんです」 「そうなのか」 「紐なら持ってきたので試してみましょう」 「縛るって・・・・」 「試しです。試し」 シエスタはベッドの端に紐を通してころんと横になる。 「無体な旦那さま、どうぞ」 才人の前には縛られるのをシエスタが待っている。 「こ、この・・メイドってば!」 才人は かはっと息を吐き出しシエスタの両手をあげて紐で手首を縛り、ベッドの端に括りつける。 「サイトさん、無体な旦那さまは縛られて身動きできないメイドに無理やりひどいことをするのが好きなんです」 裸で両手を上げたまま縛られたいやらしい体つきのシエスタを見て才人は無体な旦那さまの気持ちがよくわかった。 「とりあえず割ったカップを理由にお仕置きしてください」 才人の喉からごくりと音がなる。 才人はシエスタの足を持ち上げて太ももとお尻をぱんぱんと叩く。 「わしの大切なカップを割りおって!!」 ぱんぱんとシエスタのお尻を叩くと手のあとがシエスタの肌に刻まれる。 126 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/30(土) 23 58 04 ID T8nzr1Dm 「お許し下さいって言ったら、わしに奉仕しろって言ってひどいことしてくださいね?」 才人は頷くとシエスタのお尻を叩いた。 「お、お許し下さい、旦那さま」 シエスタの演技が才人に火を付けた。 「シエスタ、俺に奉仕しろ!!」 アドリブでシエスタの名前を入れただけだったが、シエスタの顔が赤くなった。 「だ、旦那さま・・・・むぐッ」 サイトが身動きできないシエスタにのしかかり、胸を揉みながら唇を荒々しく奪う。 「だ、旦那さま・・・や、やめて・・んぐッ・・・やめてくださいまし」 シエスタが紐を引っ張り嫌がる演技をして才人を誘う。 シエスタの足の間に膝を割り込ませて首筋と耳を鼻息を吹きかけながら舐め回す。 シエスタの吐息を塞ぐようにまた唇を奪い舌を差し込む。 オンナノコの証が膝にメスの成分をなすりつけ始めた。 「これはなんだ?」 才人はオンナノコの証からメスの成分を指ですくい取りシエスタの前でメスの成分が糸をひくのを見せつける。 「俺に奉仕したくてたまらないんだろう?」 シエスタは赤くなってメスの成分から目を逸らして否定する。 「そ、そんなこと・・ありません」 128 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/30(土) 23 59 04 ID T8nzr1Dm 才人はシエスタの胸の先端を甘くつねる。「では、このいやらしい体にきいてみようか」 才人の唇が胸の先端を吸い、手をオンナノコの証をこすりあげる。 「や、やめてくださいまし旦那さま」 「体はもっともっと と言っておるぞ?」 オンナノコの証をさする手を速く動かしてわざと音を出し、腋毛に鼻をうずめて何度も深呼吸するとシエスタの吐息が大きくなった。 「こんなになっておるではないかッ」 才人がシエスタの足を開いて持ち上げる。 「み、見ないでくださいまし」 シエスタのメスの成分がシーツに地図を書いていた。 「体は正直だな、奉仕したくて涎を垂らしておるぞ」 才人のソコがオンナノコの証の入り口に埋まる。 「ああっ旦那さま、お許しを・・・」 紐を引っ張り抵抗するシエスタの膝を曲げて腕で押さえ付ける。 才人のソコがいきなり ぞぶりと奥まで入った。 才人もシエスタも演技か本気かわからなくなっていた。 才人のソコがシエスタの奥をゆっくり擦り回すとシエスタを縛る紐がぴんと引っ張られてシエスタの表情が変わった。 唇を奪いながら腰を強く打ちつけるとシエスタの鼻息が次第に荒くなっていった。 129 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/31(日) 00 00 04 ID T8nzr1Dm 乱暴に腰を振っていると、すぐにオンナノコの証がソコを強く握り、熱くなった。 「も、申し訳・・あひッ・・あ、ありません。シエスタは気をやってしまい・・ます。んッ・・お許しを・・」 シエスタの腰がゆっくり上下に動き限界を才人に告白する。 「わしより先に果てるとは何事かッ」 シエスタの腰が浮き始める。 「発情してる所をよく見せろ!!」 才人はシエスタの足を開いて絶頂を迎えるオンナノコの証とシエスタの顔をじろじろ眺めながら荒々しいストロークを繰り返す。 「や、やめッ・・はひッ・・・ご無体なッ」 オンナノコの証の色が鮮やかな赤色に変わり、メスの成分が腰を打ちつけるたびに飛沫を飛ばす。 「いくっ・・・いくッいくッッッぁはぁぁぁぁぁん」 むにむにと蠢く壁を才人のソコが遠慮なく引っ掻く。 シエスタが奏でる卑猥な嬌声がさらに高く大きくなる。 オンナノコの証が満足すると律動が弱くなり、才人のソコを包む圧力がやさしくなる。 シエスタの絶頂がゆっくりと引いていく。 才人はだらしない顔になったシエスタの涎を舐め取り、何事もなかったように腰を振る。 130 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/31(日) 00 01 04 ID T8nzr1Dm 「サ、サイトさん、わたし・・またッ・・・」 シエスタの腰が びくくっと動く。 「シエスタの顔、すごくやらしい顔になってるよ」 「み、見ないでくださいっ」 オンナノコの証が にゅるにゅると蠢き、再び絶頂を迎える準備をする。 「シエスタ、そろそろ出すぞ!」 「はいっ・・・な、中に・・私も、もう・・・」 オンナノコの瞬間を確認した才人のソコは精を出さずに引き抜かれて、才人がシエスタの顔にまたがる。 「ふええ?・・・サ、サイトさん?」 「飲んで」 抵抗するシエスタの口にソコをねじ込む。 才人の手がシエスタの頭を掴み、ソコを根元まで入れて腰を打ちつけると、シエスタが抵抗し、縛った紐を何度も引っ張る。 「だ、出すぞッシエスタッ!!」 ソコがシエスタの口の中で何度も往復して膨らみ、律動を刻みながら精を出す。 シエスタは口の中で受けとめた爆発をこくんと飲み込む。 律動が終わり、才人のソコがシエスタの口から引き抜かれる、飲みきれなかった精がシエスタの口から流れ出た。 咳き込むシエスタの背中をさすり、落ち着かせるふりをして四つん這いにさせる。 「中で出して欲しかったら・・・わかっておるな?」 131 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/31(日) 00 02 08 ID jCP9DRBj シエスタは四つん這いのまま片手でオンナノコの証をめくる。 「旦那さま、御寵愛を・・・」 才人のソコがオンナノコの証に再び侵入する。 シエスタの大きなお尻をしっかり掴み、お尻を引き寄せると同時に腰を打ちつける。 「あひッはひぃぃんッ」 シエスタの口から切ない声が漏れる。 声を聞きたくて何度も何度も骨盤と背骨にひびかせるくらいに打ちつける。 「また・・い、いっちゃうぅ」 シエスタのお尻が上がり、切ない声が静かになり、肉と肉を打ちつける音だけが二人を支配する。 シエスタが押し付けてくるお尻を腰から掴み、一番奥を音を立てて速く強く乱暴に突く。 「はぁぁん・・・いくッ・・・いくぅぅ!!」 オンナノコの証がメスの成分を ぷしゅっと才人に吹きかける。 才人はメスの成分を体に浴びながら、蠢く壁の奥に精を打ち込んだ。 精を打ち込み終えてソコを抜くと穴が開いたままのオンナノコの証から精が出て、メスの成分を吸い取ったシーツの上に雫をおとした。 シエスタの紐を解いて仰向けにしてあげると、荒い息のシエスタはまだメスの顔のままだった。 132 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/31(日) 00 03 10 ID jCP9DRBj 「サイトさんの・・・飲んじゃいましたっ」 シエスタの口には発情させる成分が残っていた。 「ごめん・・・ちょっと・・・やり過ぎた」 才人は縛られたままめちゃくちゃになったシエスタを思い出して少し反省した。 「あの・・・わたし、嬉しいですっ」 起き上がり、膝を抱えて恥ずかしそうにするシエスタは可愛いかった。 「サイトさんの・・・もう一度・・・飲みたいですっ」 足の指を交互に握ったり、開いたりしてもじもじしながらシエスタは才人のソコに手を伸ばす。 伸びた手が才人をびくんとさせた時、咳払いが四つ聞こえた。 「続きは帰ったら・・」 シエスタは名残惜しそうに握ってからルイズの側に寄る。 「ミス・ヴァリエールの番ですよ?」 「・・・・」 ルイズは黙ったまま動かない。 「サイトさんを連れ戻しにきたんですよね?」 「・・・・」 ルイズの顔が赤くなった。 シエスタがルイズの背中を押して才人の前に立たせる。 「い、い、いい、い、犬っ何でにやけてんのよっ!!」 ルイズの格好は裸に黒いニーソックスを履いた状態だった。 「何でそれだけ脱がないんだよっ」 「つ、つ、使い魔なんかに全部見せるわけないでしょうがッ」 黒いニーソックスはルイズにとって最後の砦らしかった。 「連れ戻しに来ただけなんだろ?」 「・・・・違うわよッ」 「じゃあ、何しに来たんだよ」 ルイズは真っ赤になって何か言おうとしているが言葉にならなかった。 「ミス・ヴァリエール、こういう時は思い切りが大事ですっ」 シエスタがルイズを才人に向かって押し倒す。 「な、なな、何すんのよッ」 才人の腕の中にルイズが ぽすっと倒れた。 173 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/31(日) 23 59 05 ID jCP9DRBj 才人とルイズの目が合い、お互いに恥ずかしそうに目をそらす。 「い、い、犬」 「わん」 「あたしはね、公爵家の三女なの」 「わん」 「結婚しても三ヶ月はゆ、ゆゆ、ゆ、許さないの」 「わん」 「・・・・き、今日は、と、ととと、特別なんだからッ」 ルイズの細い腕が才人の肩を捕まえて二人の唇が重なる。 肩に置かれた細い腕は背中に回り、ルイズが才人を押し倒した。 「あんたはあたしの使い魔なんだからッ」 ルイズが才人の首筋を甘噛みして吸い上げる。 「・・・つ、つ、使い魔なんだから・・・あたしのものなのッ」 ルイズの甘噛みは首筋から肩、腕まで続き、ルイズの印が才人の体に刻まれた。 甘噛みに耐えられなかった才人がルイズをぎゅっと抱きしめるとルイズはおとなしくなった。 ルイズの髪の匂いが才人の心を甘く痺れさせ、匂いを求めて髪に鼻をうずめて抱きしめる。 ルイズも才人の首筋の下で足をもじもじさせて深呼吸していた。 才人のソコが反応し、何かを訴えるようにルイズの体をつつく。 くすぐったそうにするルイズの背中を撫でてあげるとルイズの体がぴくんと跳ねた。 ルイズの深呼吸が終わると再び唇が重なった。 174 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2006/12/31(日) 23 59 59 ID jCP9DRBj ルイズの舌先は押し倒された才人の口を容赦なく掻き回す。 ルイズの体に当たるソコを腰をあげて押し付けると、鼻息を荒くして体を押し返してきた。 ルイズの体が少し離れ、才人のソコに視線を感じた。 「ななな、何よっ!こんなにしてッ」 才人のソコが怒られた。 「いや、怒られても・・困る」 才人のソコを弁護すると、ルイズの人差し指がソコをつつく。 「つつかれても・・困る」 ルイズの手が覚悟を決めたようにがっしりとソコを握った。 才人の体が びくっと反応した。 才人の変化にルイズも赤くなる。 ルイズの手がもにもにと蠢く。 才人が んっと声を漏らして体をよじった。 「動かないでよっ」 無理な注文がきた。 才人はルイズの下で耐える。 ルイズの顔がソコに近づいて息がかかる。 「ルイズっ・・・・」 才人が言いかけた時、ルイズの唇が軽くソコに触れた。 才人の体が びくっと動くとルイズの唇が何かを理解したようにソコの先端に唇を当てる。 才人が期待をした目でルイズを見守る。 真っ赤になったルイズと目が合い、ルイズの口がゆっくり開き、ソコの先端が入る。 才人の体が跳ねた。 175 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 00 07 27 ID Wh09sSLe 「ルイズッ歯を立てないでくれッ」 激痛で跳ねる才人を抑え付けて唇が再び入る。 才人が びくっと動いた。 赤い顔で鼻息を荒くして口にソコを含むルイズはオトコノコの匂いを求める。 オトコノコの匂いに包まれたルイズは更に深く飲み込もうとしてソコに顔をうずめる。 才人が んっと声を漏らし、ルイズに興奮を伝える。 「なんか出てきたわよ」 ルイズの握ったソコの先端にはオトコノコの成分がついていた。 「・・・・」 才人の恥ずかしそうな顔がルイズを興奮させた。 ルイズの口がオトコノコの成分がついた先端を飲み込む。 口の中でソコが舌でくすぐられる。 才人の腰が かくんと動くがルイズはソコを離さず、オトコノコの匂いを吸い込みながら成分を舐めとる。 「・・・ルイズのも舐めたい」 ソコに顔をうずめてオトコノコの匂いを集めていたルイズを起こして顔を見ると、発情したメスの顔になっていた。 発情した顔に唇を重ねながら押し倒して首筋に甘噛みすると ひゃんと声が漏れてルイズが跳ねた。 首筋から肩にかけてのなだらかな部分を唇でなぞりながらオンナノコの匂いを吸い込むとルイズの吐息が漏れてきた。 176 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 00 16 18 ID Wh09sSLe オンナノコの匂いを集めながら首筋を強く吸うと才人の印が白い肌に刻まれた。 首筋に才人の印をたくさん刻むとオンナノコの匂いが更に強くなった。 オンナノコの匂いを堪能しながらルイズの胸の先端を目指して唇を這わせると手で唇を塞がれた。 「胸は・・・だめ」 抵抗するルイズの手をシーツに押さえ付けて胸の先端に軽く唇が触れると ふぁぁッと可愛い声が漏れた。 舌でなだらかな膨らみの形をなぞり、螺旋を描いて先端に吸い付くとルイズの体が跳ねた。 口の中で先端を舌を絡めて吸いあげると吐息が激しくなった。 オンナノコの匂いが強くなった首筋に戻り印を刻んでから腋のオンナノコの匂いを集める。 わずかに生えそろったルイズの腋毛はオンナノコの匂いとメスの匂いを解放して才人を誘う。 腋毛を舌で立たせるとメスの匂いが強くなった。 両腋のメスの匂いを堪能するとルイズの腰がもじもじ動いた。 ぴったりと閉じた黒いニーソックスを手でこじ開ける。 「ぃやぁぁッ」 黒いニーソックスを閉じようと抵抗するが才人の手が膝を曲げると抵抗が弱くなった。才人はルイズの秘密を開いた。 177 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 00 17 18 ID Wh09sSLe オンナノコの証から溢れたメスの成分が内股から黒いニーソックスまで道を作っていた。 「ルイズ、綺麗だよ」 魔法の言葉で黒いニーソックスは才人を歓迎するように開いた。 オンナノコの証に顔を近づけると内股と黒いニーソックスからもメスの匂いがした。 黒いニーソックスのメスの成分を吸い取るとルイズがぴくんと反応した。 内股のメスの成分を綺麗に舐めとるとオンナノコの証がさらに溢れた。 ルイズの期待した顔を見ながら、大げさにスリットを下から上にゆっくり舐めあげる。 「ふあぁぁん」 ルイズの体が嬉しそうに跳ねて可愛い声が漏れる。 オンナノコの証からお尻に向かってメスの成分が新しい道を作った。 オンナノコの証に舌を尖らせて深く潜り込ませると黒いニーソックスが抵抗した。 黒いニーソックスをなだめてオンナノコの証をめくると、薄桃色の小突起を発見した。 めくったまま小突起に舌先を当てながらスリットの上だけを守る茂みに鼻をこすりつける。 「やぁぁぁん」 鼻をこすりつけた振動が小突起を震えさせた。 小突起を下から上に舐め擦るとルイズの腰も上下に動いた。 178 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 00 18 19 ID Wh09sSLe オンナノコの証から湧き出るメスの成分を舌で ちゅっと吸うと腰がかくんと引っ込み、さらにメスの成分が出てきた。 小突起も舌で ちゅっと吸うと腰がくねり、卑猥な吐息が漏れた。 腰を押さえて連続で吸うと吐息を大きくしながら背中が反り始めた。 ルイズの手が才人を押さえて何かを訴える。 ルイズの目が才人を欲しがっていた。 才人はオンナノコの証にソコを当てる。 「気をやる時は いくって言えよ?」 ルイズが発情した顔で甘くにらむ。 「お、女の子はそんな い、い、いやらしいこと言わないんだもん」 才人のソコはオンナノコの証の中に入らずにスリットをこすりあげた。 「や、やぁぁぁ、いじわるしないでぇ」 ソコの裏側がオンナノコの証をごしごしとこすりあげる。 「いくって言わないとこれで終わらせちゃうよ?」 ごしごしが速くなりルイズが切ない声を出す。 「ほら、お尻の穴が膨らんできたよ?」 高まったルイズがあともう一押しという所で才人のソコが離れた。 「・・・ちゃんと・・・・言うからぁ・・・」 涙目になったルイズがオンナノコの証を見せたまま真っ赤な顔で約束してくれた。 179 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 00 19 05 ID Wh09sSLe 才人はルイズに唇を重ねてからゆっくりとオンナノコの証にソコを奥まで差し込んだ。 「ふあぁぁぁ」 限界だったルイズにソコが奥まで侵入してルイズは爆発寸前にまで追い込まれた。 ソコを奥から動かさないでルイズをじっと見つめる。 「がまんしなくていいんだよ?」 震えながら はひっと息を飲み、ルイズが耐えている。 「動かさないで見ててあげるからね?」 ルイズの息が次第に荒くなってゆく。 オンナノコの証が にゅるっと蠢いた。 「見みないでぇ」 才人が ぴくっと反応するとルイズの手が枕を強く握り締めた。 「・・・いくッ・・・」 オンナノコの証がソコを強く搾り、腰が浮く。 「い、いやッ・・・だめぇッ・・・見ちゃだめぇッふあぁぁぁぁぁぁあん」 枕をぎゅっと握って腰を突き出し、女の子のどうしようもない瞬間を才人に伝えた。 押し付けられたオンナノコの証が興奮を律動に変えてソコを圧迫する。 才人はルイズの最も可愛い瞬間を眺めながら圧迫に耐えた。 「綺麗だよ、ルイズ」 荒い息のルイズを抱きしめて唇を重ね、オンナノコの時間を延ばす。 ルイズが息を落ち着かせる頃にソコをゆっくり動かすと再びルイズに火がついた。 180 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 00 19 57 ID Wh09sSLe 「だめぇ・・・」 自分の体が自分のものではなくなる不安がルイズを包んでいた。 「離さないから・・・大丈夫だよ」 才人の腕と唇が不安を溶かす。 ルイズの体から すっと何かが抜けた。 「全部俺で染まるぐらいにめちゃくちゃにしてあげるから・・・しっかり掴まってて」 ルイズにこれから起こることを予告してあげると、オンナノコの証がしっかりソコに掴まった。 「な、なによッこんな時だけそんな顔してッ」 言葉とは逆に黒いニーソックスが才人をしっかり挟み込む。 才人がソコをゆっくり動かす。 敏感になっているルイズに物足りないと思わせるくらいにゆっくり動かす。 ルイズの腰が足りない所を自分から擦り付ける。 物足りない所はソコの形に合わせて場所を変え、ルイズの腰はそのたびにソコを求める。 物足りない感覚が蓄積したオンナノコの証はルイズをメスに変えていく。 心は高く昇り詰めてもオンナノコの証は物足りない感覚で抑えられてゆっくりと昇り詰める。 メスになったルイズが足りない感覚に我慢が出来なくなった。 黒いニーソックスが才人を固定し、腰がメスの本能のまま振られる。 189 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 01 12 47 ID Wh09sSLe 「ふあぁん」 自分から求めた刺激にルイズは驚きながらも受け入れた。 高く昇り詰めた心に追いつく為にルイズはメスの本能に従った。 「さっきから同じ所ばかり擦ってるよ?」 才人の言葉でルイズの腰が はっとして止まる。 「気持ちいいトコロまるわかりだよ?」 いまさら腰を止めても遅かった。 才人のソコが物足りない所をゆっくりほぐしていく。 「だ、だめッ・・・だめだめぇ」 ルイズの腰が逃げても黒いニーソックスはルイズを無視して才人を離さない。 「ここでしょ?」 才人の腰がぐりんぐりんと回り、物足りない所を擦り回す。 「らめぇぇ・・・」 抑えながら昇り詰めた体は物足りない所をゆっくり擦り回されて、ルイズを満たす。 「らめッらめぇえ・・・いっちゃうッ」 オンナノコの証が才人を急かす。 ソコが力強く激しく物足りない所を引っ掻き回し、才人の爆発が近づいている事をルイズに知らせる。 「ひぐッ・・・・ひぐッ・・・いっひゃうぅ・・・ふゃぁぁぁぁぁん」 黒いニーソックスの先をぴんと尖らせ才人の腰を包んだ状態でルイズはオンナノコの瞬間を迎えた。 190 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 01 14 59 ID Wh09sSLe 才人のソコもメスの本能で振られる腰とオンナノコの摂理で搾られる運動によって精を爆発させた。 律動で蠢く二人の動きが止まるとお互いに唇を求めあった。 「い、今一緒に・・・」 「・・うん」 ルイズも才人も同じ感覚を共有した感激を唇で確かめ合う。 「や、やんっ」 オンナノコの証に入ったままのソコが膨らみ始める。 「またなの?」 「ごめん」 謝る才人とは逆にソコは節操なく大きく硬くなった。 「ごめん」 才人がもう一度謝るとソコが動き出した。 才人が黒いニーソックスを掴まえて甘く噛む。 「だ、だめぇ」 オンナノコの証が ぷじゅっと空気を出してルイズの言葉を否定する。 膝を曲げて黒いニーソックスの先端を舐めて噛むと黒いニーソックスは先を尖らせて歓迎した。 ルイズの気持ちいいトコロを熟知したソコは遠慮なくオンナノコのツボを突く。 「だめッそこはだめぇ」 興奮で膨らみきった状態のオンナノコの証は気持ちいいトコロを柔らかくしてソコを受け入れる。 才人の腰は止まらない。ルイズ一人では届かない物足りない所を荒々しくこすりあげる。 「本当にらめぇッ」 才人の祈るような顔とルイズのだらしなくていやらしい顔がお互いを見つめ合う。 「許ひて・・許ひてぇ・・また、いっひゃう」 メスの本能が精を奥で溜め込む為にソコを導く。 「ルイズ、腰 振ってみて・・・めちゃくちゃにしてあげるから」 「やぁぁぁ」 才人が腰を突き出すと同時にルイズも腰を突き出していた。 「これ、らめぇッ」 ルイズの腰は止まってくれなかった。 才人のソコは力強さを増して突き出されたルイズの腰にぶつかってくる。激しい快感に呼吸がそのたびに止まる。 女の子のどうしようもない瞬間がルイズの腰から背中に広がる。 ルイズの体が腰を突き出したまま震えて、オンナノコの時間が来たことを教える。 卑猥な嬌声が才人を促す。 絶頂を連続で昇り詰めた女の子特有のいやらしいメスの顔を眺めながら才人は精を一番奥に何度も溢れるまで打ち込んだ。 二人が力尽きて重なり、荒い息のまま唇を貪り合いう。 お互いに与えあった証が道を作り、シーツに広がっていた。 191 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 01 16 10 ID Wh09sSLe 腕の中でルイズが才人をついばんでいると四人が咳払いをした。 「あによッあんたたち!!」 ルイズは四人を睨みつける。 「サイトはあたしの使い魔なのッ!!だからあたしのものなの!!」 黒いニーソックスが才人に絡みつき才人を独占する。 「ミス・ヴァリエール、サイトさんはみんなのものですっ」 「わがまま」 「いまから夜伽役の任務があります。ルイズ、サイトさんから離れなさい」 「ね、念には念を入れて、もう一度サイトと・・・・だ、大事な、に、任務だし」 四人が才人ににじり寄る。 「た、たすけて・・・」 才人は心の底から願った。 ごきゅり と五人が何かを飲み込み手が伸びる。 才人はお腹を空かせた獅子の群れに投げられた兎になった。 誰かがいつの間にか手を縛り、五人が代わる代わる才人に乗る。 才人はオトコノコの限界を初めて体験した。 五人が満足した顔で才人の側で寝息をたてる頃には干からびたサイト・シュバリエ・ド・ヒラガが出来上がっていた。 生気のない目で天井をぼんやりと見ながら才人は、女の子からの手紙には気をつけようと思った。 192 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 01 17 25 ID Wh09sSLe 数年後、アンリエッタから屋敷をもらった才人はルイズ、シエスタ、タバサ、ティファニアと子供達に囲まれて暮らしていた。 「ミス・ヴァリエール、ずいぶん沢山きましたね」 窓から外を見るシエスタが呆れる。 「魔法で吹き飛ばした方が早そうね」 二人が見る先には才人を囲む記者団がいた。 「シュバリエ、アンリエッタ女王陛下との間に隠し子が・・・」 「ガリアの王族との間に隠し子が・・・」 「アルビオン王族候補の父親がシュバリエだという話しは・・・」 記者団は才人に詰め寄り、質問責めにする。 「だから俺は隠してないって!!全部俺の子だって言ってるだろっ」 才人も負けじと開き直って構える。 「しかし、三国の王族と関係を持つだけでなく、ラ・ヴァリエール家の三女とタルブの平民とも結婚しているのはどうかと思いますが?」 意地悪そうな記者が才人に食らいつく。 才人は満面の笑みで答える。 「問題ないだろ?俺、英雄だし・・・全員俺の女だから結婚するのは当たり前だろ?」 意地悪そうな記者は馬鹿には勝てないと首を振り退散した。 「サイトさん、お昼にしましょう」 「パパ、お腹すいた」 シエスタが子供達に囲まれて出てきた。 「ああ、いまいく」 才人は記者団を振り切って屋敷の中に入っていく。 「シュバリエ、最後に一つだけ」 気の弱そうな記者が才人の背中に質問を投げかける。 「シュバリエはハルケギニアを統一する気なんですか?」 才人は背中を向けたまま答える。 「・・・そんなつもりはさらさらねぇよ。俺の女がたまたま王族とか王族候補だっただけだよ。それにな、英雄ってのはそういうもんだろ?」 屋敷の扉が閉められて記者団は呆然としてとり残される。 「羨まし過ぎる!」 「タイトルは鬼畜王でいくか」 「まともな記事にならねぇよ」 記者団は口々に不満を垂れて帰っていった。 193 名前:仁義なき家族計画 ◆manko/yek. [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 01 18 25 ID Wh09sSLe 昼食が終わると、ティファニアが桃りんごをもじもじさせながら手紙を差し出してきた。 「テファ?」 「二人目を作らないと・・・一人だけだと、もしもって事があるから・・・に、任務だし」 桃りんごに目を奪われている才人の袖が後ろから ついついと引っ張られる。 「シャルロットもか?」 タバサはこくんと頷く。 タバサは上目づかいで はにかんだ顔をして手紙をぎゅっと握りながら差し出す。 ティファニアとタバサの手紙を受け取るとシエスタが つつっと側に寄ってきて手紙を才人の手に握らせる。 「シエシエ?」 「こ、今夜は、せ、精のつくものを作りますからね、だ・ん・な・さ・まっ」 シエスタが うふっと可愛く笑う後ろでルイズが手紙をぐしゃっと握り締めて才人を睨みつける。 「サイト」 「な、なに?」 ルイズは潰れた手紙を真っ赤な顔で才人に突きつける。 「べ、べべべ、べ、別にアレが、す、す、好きになっちゃった訳じゃないからねッ き、貴族の家庭は子供を た、沢山作るのが常識ってだけだからねッ」 才人は四通の手紙を持って窓の外を見るとアンリエッタの馬車が近づくのが見えた。 五通になりそうだなと才人は窓を見ながら呟いた。 手紙を持って複雑な顔する英雄を午後の日差しが頑張れと励まし照らしていた。 おしまい
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8077.html
前ページ次ページ虚無と最後の希望 level-24「境遇」 ワートホグが地を駆ける、水素エンジンが唸りを上げて四輪に駆動力を与えて進む。 それを運転するのはSpartan-117、通称マスターチーフと呼ばれる大男。 緑色の所々色が剥げたヘルメットの前面に、金と橙の合い色には流れる景色を映し、それをヘルメットの内側から捉えていた。 ペダルを踏み込みエンジンを回し、出来るだけ揺れないよう注意を払いながらハンドルを動かす。 その運転するマスターチーフの隣、助手席に座るのは二人の少女。 ピンクブロンドの長い髪を揺らす小柄なルイズと、肩で揃えたつややかな黒髪のシエスタ。 高速で流れる、馬の最高速度以上で流れる景色。 疾うに慣れたルイズは馬とは違う景色を眺め、初めて乗るシエスタは堅く瞼を閉じ身を縮こませてルイズにしがみ付いていた。 「ほら、そんなにしがみ付かなくても危なくないわよ」 車体が揺れるごとにシエスタは小さく悲鳴をあげ、腕を強く握られるルイズは少々うんざりしていた。 危なかったら乗るわけないじゃないの、とシエスタに言い聞かせる。 そう言われて、勇気を振り絞り瞼を開き、楽しむと言うほどではないが流れる景色と風を感じていた。 そんな事が起こりつつも、チーフはワートホグは何時間も走らせる。 馬で行けば軽く三日は掛かるだろう道のりを、三分の一にまで縮めようと進む。 馬と違って、チタニウム合金を主とした車体と水素燃焼によって回るエンジンは休憩を必要とせず。 満タンまで高濃度水素水を補充しておけば、距離にして八百キロ近くまで走らせることが出来る。 トリステイン魔法学院からタルブの町を二往復してもまだ余裕がある。 無論車がそれを可能としても、搭乗者はそれに耐えられない。 早朝からワートホグを走らせ、二度休憩を挟んでも行程の三分の一を消化していた。 日は高く上り、時間帯としては昼食を取るくらいの時間。 半日戦い続ける事が出来るマスターチーフと違って、助手席に座る二人は未だ成人していない女性。 体力的にチーフが問題なくとも二人には問題がある、故に昼食を取るついでに休憩を挟む事とした。 ワートホグのスピードを緩めつつ、空に向かって左手を振る。 それを見ていたのは空を羽ばたく青い風竜、一つ鳴いてその背に乗る二人へと声を掛けた。 タルブへと行ける街道の脇、六人座っても余る手頃な広さ。 「ごはんー、ごっはんー」 と人型に変身して全身を包むローブだけを纏ったイルククゥが、おなか減ったーと足をばたばた動かしていた。 それを見てタバサが自身より長い杖を操り、ちょうど良い高さの倒木に座ったままイルククゥの脳天に振り降ろした。 じっとしていろ、まるでそう言わんばかりに一度見て、手に持っていた本に再度視線を落とす。 「いたいのね!」 叩かれ両手で頭を押さえ、ごろごろと転がるイルククゥ。 「ほらほら、そんな風に転がってるとまた叩かれるわよ?」 それを見てキュルケがイルククゥを引っ張り起こし。 「すぐ出しますから、じっとしててくださいね」 と、シエスタが包装していたサンドイッチを取り出し。 「うるさいわねぇ」 ルイズはその光景を見つつ、手に持ったコップに入った水を飲む。 「あ、ありがとうございます」 チーフは銃座の隙間に乗せてあった荷物を解き、中から食事に必要な道具を取り出してシエスタに渡す。 そのまま背中のバトルライフルを手に取り、セーフティを外してワートホグの傍らで待機する。 「はい、どうぞ」 座っている各々にサンドイッチを渡していくシエスタ。 「チーフさんも」 そう言ってチーフにも手渡してくるも。 「食事は間に合っている」 右手のひらを向け、ゆっくりとサンドイッチを押し返す。 チーフは朝ルイズを起こす前に十分な食事を取っていた、昼食を一度抜いた位で力が出なくなる訳でもない。 学院ほど安全ではない街道で、態々隙を晒してまで無理やり食事を取るほど切羽詰っても居ない。 そんな考えがあり、「すまない、ありがとう」とシエスタに断るが。 「食べるのね!」 と口端にパンくずをつけたイルククゥがいつの間にか傍に居て、シエスタからサンドイッチを横取りして突き出してくる。 「食べていいぞ」 それを見てチーフは逆に進め、それを聞いたイルククゥは手に持つサンドイッチを反射的に頬張ろうとしたが。 はっと気が付いて、開けた口を閉じる。 「これはお兄様の分なのね」 そう言って無理やり手に持たせてくるイルククゥ、それに視線を落とせば。 「私も食べた方が良いと思います」 シエスタもその方が良いと言う。 「警戒するのは分かるけど、思いっきりメイジだと分かるのに襲ってくる馬鹿なんて早々居ないと思うわよ?」 倒木に腰掛けているキュルケ。 「食べられる時に食べる」 同じようにタバサも相槌を打ち。 「チーフが食べたくないって言ってるんだからいいじゃないの」 ルイズだけが好きなようにさせろと言った。 「すまないが今は必要ない、食べていいぞ」 そう言ってイルククゥに手渡すが。 「だめなのね! これはお兄様が食べるの! だから早くそれを取るのね!」 サンドイッチを持っていない右手の人差し指をチーフのヘルメット、つまり顔へと向ける。 「………」 チーフはなるほどと思う、アルビオンの時と同じように顔見たさに無理やり勧めてくるイルククゥ。 あの時のがよほど悔しかったのか、意固地になったように腕を振っている。 他の四人もチーフの顔へと視線が注がれ、興味があると言った感じが見える。 「それは駄目だ」 だからこそもう一度しっかり言っておく。 「軍法で決められている、必要性がない限り絶対に見せる事はない」 例えチーフが軍法を犯し、処罰する必要が出てきたとしても。 判決を決め罰を下す者が居ない、今現在軍法を知り従う者がチーフしか居ないからだ。 法とは定められた事に多数の者が従い、違反すれば強制的に制裁を加える事実により秩序を生み出す物となる。 たった一人、単身のみでは法に従う事は出来ても、法を執行する事は出来ない。 法を犯し罪を咎める者が居らずとも、自身を律して歪みを生まないようにする。 自分だけしか居らず誰にも知られないから、そんな事で法を犯していれば帰った時に必ずその歪みがどこかで現れる。 マスターチーフの役目からすればそんなものは必要としないし。 そもそも幼少の頃より命令と軍法は絶対遵守と叩き込まれているのでわずかにも思わない。 「腹が減っているんだろう」 50センチ以上もの差、見上げるイルククゥと見下ろすチーフ。 「二人を乗せて飛ぶんだ、遠慮無くしっかり食べろ」 イルククゥが力を入れすぎたせいか、少し歪んだサンドイッチを出来るだけ優しく握らせる。 それを握らされるイルククゥは不満そうに頬を膨らます。 「分かってくれ」 イルククゥよりも二周りも大きな手を肩に置く。 「じゃあ見なくていいからどんな顔なのか教えて欲しいのね!」 別の方面からのアプローチ、せめて想像できるだけの情報が欲しいとイルククゥ。 それに対してチーフ、ではなくルイズが割り込む。 「そこのばか竜! チーフが出来ないって言ってるでしょ!」 「ちび桃には関係ないのね! シルフィはお兄さまに聞いてるのね!」 「なんですって!?」 ルイズとイルククゥが睨みあい、自分でこの話を終わらせる発言をしてしまった。 「お姉さまはお兄さまに守ってもらえばいいのね! もう少しすればお姉さまだってタマゴを生む年頃な──」 そこまで言ってイルククゥの頭に、先ほどより強烈な打撃。 「い、いたいのね!」 ガツンと結構大きな音と共にイルククゥの頭が大きく下がる。 頭を抑えながら振り返ればそれを行ったタバサが感情の無い表情で再度振り下ろしていた。 一方なるほど、竜は卵生なのかと叩かれたイルククゥが放り出したサンドイッチを受け取りながら、違う事を考えるチーフ。 「お兄さまならお姉さまをちゃんと守、いたいいたい!」 転がるイルククゥに追撃を掛ける、タバサはこいつは何を言ってるのかと言う様に黙々と振り下ろし続ける。 「ま、まだ叩く気なのね!? シルフィの頭がでこぼこになっちゃうのね!」 逃げ出すも追いかけて杖を振る。 人型のまま走るも、機敏なタバサがすぐさま追いつきがんがんと振り下ろす。 「ちょ、ちょっと……、もうそれ位で許してあげたら……?」 つい先ほどまで怒っていたルイズさえ冷静になるような光景。 その声を耳にしたタバサは僅かに顔を向けて一言。 「言っても分からない」 と、構わず叩き続けていた。 その後、もうこの事は話にしないと半泣きのイルククゥが謝ってくる。 タバサも迷惑を掛けてごめんなさいと謝ってきて、咎める理由も無いのでチーフは気にするなと返した。 そんな光景を、倒木に座って眺めるルイズとキュルケ。 「まぁ、確かにチーフの顔を見てみたいと思うけど、犯罪になるなら無理よねぇ」 「それなら無理よ、無理。 誰にも見せてやれないんだから」 「そうねぇ、大体イメージ通りだと思うけど」 声やその性格と、それ位しか判断材料は無いが。 鋭い眼差しに、緩みという物を知らない引き締まった顔。 十人が十人、マスターチーフの顔を見て軟弱な男とは見ないだろう。 そんな素顔があのヘルメットの下にはあると、容易に想像できた。 「機会があれば見られるかもしれないけどね」 「……そうね」 ヘルメットを外した僅かな隙に覗き見るか、進んで見せてくれるか。 前者はともかく、後者だと帰ることを諦めた時。 今回の事もあり、やっぱりチーフは帰る気が無くなっていないとそう考えるルイズだった。 昼食後、腹ごなしの為少々時間を置いた後、一行はワートホグやシルフィードに乗り込んで進みだす。 そのまま街道を進み続けて昼を越え、夕暮れを越え、訪れたのは夕闇。 夜通し走り続けるのは負担をかける、完全に日が落ちる前に寝床を作っておこうとワートホグを停めた。 チーフのみならば野晒しであっても、着込んでいるアーマーが雨風を防ぎ内部で空調を整える為問題ないが。 やはりチーフ以外のルイズたちはそんな物はない為、雨風を凌ぐ物が必要。 適度な設営スペースにテント、UNSCが使用する簡易テントを黙々と一人で組み上げていく。 ハルケギニアで使用されるテント、天幕とは隔絶した機能性を持つ。 完全に雨を凌ぎながらも、高い通気性を保持している為に蒸し暑い夜でもそれなりに過ごせるだろう。 5人で寝る分でも十分な広さ、そのテントを立て上げ組み上げた。 彼女らが上に掛ける毛布も中に置いてある、寝床の準備は整った。 そうしてチーフは空を見上げる、そこにはこの惑星の周りで公転する衛星が二つ。 緑青の光を放つ一つ目の月と、もう一つはそれより小さく見える赤を薄めたような色を放つ月。 恐らくは衛星として構成する物質がそれぞれ違うのだろう、その差が太陽光を反射して見える色の違い。 勿論天文学など全く持って分からないので、それがただの予想でしかないのだが。 その明るい月の光を浴びながら、夕食の為火に掛けられた鍋の周りに集まり5人。 鍋の前に座り、中をかき混ぜつつシエスタが小瓶を鍋の中へと振りかける。 なんでも彼女の生まれ故郷、タルブに伝わる料理だそうで『ヨシェナヴェ』と言うらしい。 作り方は非常に簡単で、沸騰させたお湯にいろんな食材を入れるだけ。 肉や野菜、出汁にキノコを入れて、シエスタが先ほど振り掛けていたのはヨシェナヴェ用の調味料らしい。 もう一つ火に掛けている鍋には、黄白色のとろみがあるスープ。 こちらも一般的なシチューではなく、シエスタの曽祖父が伝えたタルブ独特のシチューらしい。 それを前にチーフを除く5人の嗅覚を刺激し、食欲をそそる。 そうして食事が始まり、イルククゥが勢いよく食べ始め、黙々とながらもイルククゥに劣らぬ速度でタバサが続く。 その様子を見ながら、ルイズとキュルケとシエスタは食べ始める。 チーフは来た道と行く道を見て、どちらからも通行が無い事を確認する。 今居る場所は小さな森のすぐ脇、十分もあれば通り抜けられるほどの小さな森。 ここなら襲われてもワートホグの壁に出来、遮蔽物の多い森へと逃れる事も出来る。 その逆も可能と、一番気が緩むだろう食事時に気を引き締めるチーフ。 「……チーフ、野外だから仕方ないとは思うけどね。 お昼も言ったように私たちはメイジなのよ?」 座るキュルケが、食事を始める前に辺りを見回すチーフを見て話す。 「ルイズやメイドはともかく、私やタバサは自分で自分の身を守れるわ。 チーフだって人間でしょ? ずーっと食事も睡眠も取らないなんて駄目よ。 少なくともチーフが食事を取るくらいの時間は作れるわ、その少しの時間だけでも私たちを信用してくださらない?」 そう言ったキュルケはタバサに視線をやり、もう一度チーフへと向ける。 真っ直ぐ見つめるキュルケに、タバサも同じようにチーフを見て杖を手に取って立てる。 シチューを口に含んでいたルイズは飲み込み、口を拭いてからチーフを見て言った。 「癪だけど、キュルケの言う通りだわ。 私が寝る時もずっと立ってるし、いつ寝てるかもわからないし」 デルフリンガーだっけ? 私が寝てる時も立ったままよね? と、ルイズがチーフの腰にぶら下がる剣に向かって聞く。 「娘っ子が言うとおりだな、相棒が座ってる時なんて鉄の部屋に篭ってる時ぐらいだ。 頭に被ってる金ぴかのせいで、目を開けてるかどうかすらわかりゃしねぇよ」 カチンカチンと金具を鳴らしてデルフリンガー。 喋れると言うだけで食事の時など、顔が見えないよう物陰に置かれている。 勿論ヘルメット前面、デルフいわく金ぴか部分は完全不可視。 外からは見えないので、表情どころか瞼を開いているかさえも分からない。 「お兄さまは、ちび桃助けに行った、ときもずっと起きて、たのね」 モグモグと食べながらイルククゥ、器用に咀嚼しながら口を尖らせていた。 「………」 キュルケが、タバサが、イルククゥが、シエスタが、そしてルイズがチーフを見る。 その視線には有無を言わせないと言う意思が有った、断っても何かしらに理由を付けて食事などを取らせようとしてくるだろう。 「……わかった」 逆らっても良い事はなさそうだ、そう考え休憩を取る事を選ぶ。 「だが、そちらの食事が終わってからだ」 「いいえ、先にチーフね」 「そうね、先に食べて」 「睡眠も必要」 「食事と睡眠を取らないなんて、私も駄目だと思います」 「そしてお兄さまの顔──」 イルククゥの頭に杖が振り下ろされる。 「それは冗談よ、覗かないし寝ている時も近寄らないから」 「……わかった、少しだけ休ませて貰う」 食える時に食う、寝れる時に眠ると。 敵襲に警戒はするが、次に安心して休息が取れるかどうか分からない。 ここは彼女たちの好意を受け取っておくと、チーフはそう考える。 そうして腰からデルフリンガーを外し、ワートホグに立てかける。 「周囲は見えているな」 「見えねーが分かるぜ、誰か近寄ってきたら教えるさ」 それを聞いて頷くチーフ。 「はい、どうぞ」 歩き出してシエスタが皿によそったシチューとスプーン、そしてパンを受け取りそのまま森へと入る。 丁度良さそうな太い木の影に入り、しゃがみこんでヘルメットへと手を掛ける。 「い、いたいのねー!」 後ろで何かを叩く音と、イルククゥの悲鳴が聞こえる。 やはり覗こうとしてタバサに叩かれ止められたのだろう。 それを聞きながら、僅かに空気が抜ける音を出してヘルメットを脱ぐ。 明るい月からの光を木々の葉の天井が遮り、僅かばかりにチーフの素顔を浮かび上がらせた。 まず一番に目に入るのは、その肌の色だろう。 不自然なまでに、病的と言って良いほど青白い肌色。 それは先天性白皮症や先天性色素欠乏症と言った、いわゆるアルビノと言った遺伝子疾患などではなく。 長年アーマーを着続けているせいで、日光などでの日焼けが殆ど無い為に起こるもの。 勿論その対策も講じてある為、これが原因の病気に掛かる事は無い。 その青白い肌を下地に、見えるのは短く刈り込んだ少々くすんだ茶色の髪。 顔全体的は彫りが深く、その鋭く深い眼差しは髪色と似たブラウン。 少々高い鼻に緩みを知らない引き締まった口元、硬い物でも難なく噛み砕きそうな力強い顎。 青白い肌色であったが、誰が見ても軟弱には見えない屈強な男の顔がそこにあった。 その素顔を晒したままで五分ほどの食事、最後に水を飲み干してヘルメットを被り直す。 イルククゥを除く4人は流石に覗きにはこなかったようだ、覗こうとした者は魔法のロープで簀巻きにされ地面に転がっていた。 「美味かった」 木の裏から出て、皿を重ねながらシエスタに言う。 別にこう言った料理を食べれないと言うわけではないが、大体はレーションなどで代用してしまう。 詳しく言えば時間が無かったりする、そんな事で食事に時間を掛ける事は殆ど無い。 その後は眠れという三人に断って一悶着、なぜか我慢大会になった。 それも数時間と経たず、睡魔で瞼が落ちて眠りにつくルイズ。 首が前後して倒れそうなるルイズを抱え上げ、設営したテントの中へ。 キュルケとタバサ、シエスタは最初から諦め疾うに就寝していた。 ルイズを寝かせて毛布を掛ける、そしてテントの外へ。 イルククゥはシルフィードへ、風竜に戻ってテントのすぐそばで横になっている。 未だ幼生とは言えその体躯は全長6メートルほど、居るだけで獲物と見て襲撃を掛けようとする夜盗などの牽制になる。 「我侭な娘っ子の子守も大変だねぇ、ありゃ将来男を尻に敷くね」 絶対だ、とデルフリンガーが断言した。 「……まだ子供だ、あれで良い」 「いやいや、ありゃ中々厳しいと思うんだがね」 子供だから我侭を言って良いと言う訳ではないが、無邪気や純真で過ごす時も大事だろうと。 6歳の時からSPARTAN-Ⅱ、スーパーソルジャー計画の被験者候補として訓練付けの毎日だったチーフにとって16歳、地球の時間で言えば17歳のルイズが過ごしてきた子供時代に相当する物を、チーフは持っていないのだ。 6歳の頃に才能ありと見出されフラッシュクローン、高速人体複製技術によって作られたクローン体と入れ替えにより拉致紛いに連れ去られた。 そこからはずっと訓練付け、同様に連れてこられた被験者候補の子供たちと生活を共にする。 それから八年後、14歳になる頃にチーフたちは死ぬ確率と半永久的な障害が発生する確率が高い、スパルタンになる為の増強手術を受けさせられた。 結果半分以上となる30名が死亡し、12名が半永久的な障害を持つ事となる手術を乗り越えたチーフ。 その後術後の回復を図るという名目で送られた宇宙空母内で強いられたのは、四対一での死闘であった。 相手はO.D.S.T、前線に出る兵士の中で精鋭と言われる軌道降下強襲歩兵との徒手格闘戦。 そこでチーフは始めての殺人、4人のO.D.S.Tの内2人を殺害し、残り2名に重傷を負わせる事となる。 初めての任務も同年に行われ、銃を手に持ち反乱軍を相手に生死が掛かった任務をこなした。 そんなチーフにして、今のルイズの生活は輝かんばかりに尊いものに見えるのだ。 勿論厳しいと言えるだろう人生に匹敵するような時間を、ルイズは過ごさないだろう。 恐らくは虚無だと思われるが、今のルイズはその虚無の魔法を使えるわけでもない。 そうなれば戦争が起こり、戦場に出る事も無いだろう。 結局は戦わない事に越した事は無いと、双月を見上げるチーフだった。 翌日、一番最初に目を覚ましてテントから出て来たのはシエスタ。 地平線から日が顔を出す前に起きる辺り、メイドの鏡だろう。 食事の用意を手早く、三十分もすれば食事の準備が整う。 匂いにつられて起きるのはシルフィード、その巨体を持って迫るのでシエスタが戦く。 危ないので人型になって待っていろと言えば、素直に頷いてさっと全裸の人型に変身する。 それはそれで全裸と言う状態に慌てるのはシエスタで、急いでイルククゥにローブを被せてチーフを見る。 「見ちゃ駄目です!」 そう言ったのを聞いて。 「そうだな」 と相槌、すぐにでも食事の準備が整うよう手伝っていた。 そんなこんなで全員が起床し、昨日の晩の事でルイズが文句を言いながらの食事。 終われば少し時間を置いて、ワートホグやシルフィードに乗ってタルブへと向かう。 数時間ワートホグを飛ばして、昼過ぎにはタルブの町に到着した。 大きな音を立てる鉄の箱と、降りてくる風竜に驚きつつも、その中からシエスタを見つけて問いかける町民たち。 簡潔に説明し、シエスタの家へと向かう事に。 シエスタが「ただいま」と先頭で入り、ルイズたちが続いて、最後にチーフが頭を下げながらドアを潜る。 最後に入ってきた現れた緑色の鎧を着た大男に驚くシエスタの父に、シエスタは怪しい人物ではないと説明。 その後チーフは来た目的、ペリカンの事とその操縦者であったシエスタの曽祖父の事を聞きたいと切り出す。 ならば孫であるシエスタの祖父、操縦者の子である祖父に話を聞いた方が良いだろうと部屋の奥へと一行は進もうとするが。 「……申し訳ありません、貴族様。 父はかなりの高齢でして、余り多くで押し掛けると……」 シエスタの父が申し訳なさそうに言うと。 「すぐ死ぬわけじゃないでしょうけど、途中で体調を崩されてもチーフが困るわね」 ルイズが口を開く前にキュルケが何も言えない様に一言。 ギロリとルイズがキュルケを睨むが、飄々としたキュルケは逆に笑みさえ浮かべる。 「ああ、ルイズ。 ペリカン見た事ないんでしょ? だったら早く見ておいた方がいいわよ、ほんとあんなのが空を飛ぶなんて思えないんだから」 「え、ちょっと!」 グイグイとルイズの背中を押してキュルケ、ここに来て身長差。 20サントほどの差は、ルイズには抗いきれない力を生み出して玄関へと押し出されていく。 そんな状況にルイズは助けを求めチーフを見るも。 「終わったらすぐ向かう」 迷いなく見捨てられた。 「……なんじゃ、お前さんは」 ドアを開け、部屋に入るなりの一言。 所々塗装が剥げた緑色の金属と、その下に黒いスーツを纏った身長2メートルを超えた存在が行き成り入ってくれば出てもしょうがない言葉。 ベッドに寝て、顔だけを僅かに向けチーフを見る白髪の老人。 「貴方の父の話を聞かせてもらいたい」 チーフはベッドの脇に膝を着いてしゃがみ、老人を見る 彼がシエスタの祖父であり、ペリカンを操縦した人物の息子。 自分は貴方の父と同じ惑星、では通じないので、少し崩して同じ国の出身者だと話して彼が何処から来たのかなど聞かせて欲しいとチーフは言う。 それを聞いた翁、何度か瞬きをしてチーフへと声。 「……お前さんも同じかね?」 「……はい」 ゆっくり、かつ深く頷く。 それを見て翁は顔を戻して天井に視線を向けた。 「私が知る事は少ない、母も多くを知らないだろう。 父は自身の事を多くを語ろうとせず、その癖どうでもいい事ばかりを喋っていた」 そうして翁は語る、黒目黒髪の父は働き者でよく自分も遊んでもらったと話す。 仕事が終わり、疲れているだろうに自分が遊んでと言えば笑顔を向けて遊んでくれたと。 「名前は」 「……タケオじゃ」 「貴方はペリカンが飛んでいる所を見た事は」 「ある、が乗ってみたいと言っても乗せてくれんかった」 残念そうに翁、チーフはそれを見て振り返る。 ドア付近に居たシエスタとその父に視線をやり。 「遺品などは」 「少ないですがありますよ」 「見せてもらっても」 「分かりました、今持ってきます」 二人して部屋を出て、遺品を取りに行った。 「……父は優しかった、いつも笑顔を浮かべて遊ぶ私を見て微笑んでいた」 翁は再度語り出し、チーフはそれに耳を傾ける。 「……私が少しだけ知っている事を話そう。 父はこの大地ではない、どこか誰も知らない場所で生まれたと言う」 そして父は戦う者であり、帰らねばならなかったと翁は話す。 「だが帰る方法はない、だからこそ私たち家族と居る事を選んだと言っておった」 チーフはそれを聞いて少なからず落胆した、帰る手段がないという事に。 残る手段は二つ、サモン・サーヴァントの逆、召還の魔法か。 救難信号を受け取った友軍に迎えに来てもらう事位。 後者は後者でかなり確率は低い、何せ救難信号は疾うの昔から出しているだろう。 少尉が地球へと帰れなかったのは、もう数十年と救援が来ていないと言う事だからだ。 「……感謝する」 落胆せざるを得ないが、収穫があったのは間違いない。 チーフとしては得たくはない事実ではあったが。 翁、シエスタの祖父に礼を言って立ち上がった時、ドアが開いて両手に一杯の物を持った二人が入ってきた。 「お待たせしました、これが祖父の遺品です」 腕の内にはチーフにとって見慣れた物、海兵隊の戦闘服があった。 ヘルメットと銃弾などを防ぐバトルアーマー、袋の中にはジャラジャラと金属、解体された銃器。 シエスタが持っていたヘルメットを受け取り、内側に手をあてレコードチップがあるかどうかを確かめる。 手に感触、そのまま掴み引き抜く。 「……なんですかそれ?」 「情報だ」 聞いてきたシエスタに言って、チーフは後頭部にあるスロットへチップを差し込む。 差し込み確認の文字がヘッドアップディスプレイに映り、チップ内容の検索へと以降。 だが検索がすぐに停止し、暗号が掛けられていると警告を発する。 その暗号に対し、UNSCの正規の暗号解読を掛ければすぐに解除される。 それと同時に再生、PLAYの文字が表示される。 『──これを聞いていると言う事は、暗号を正しく解除したって事なんだろう』 その言葉から始まる、チップに残された音声データ。 それを再生する直後におかしな事に気が付いた。 ヘッドアップデイスプレイには『 録音再生ビュー[ 2531.6.17.22 36 43 ]開始』と表示されていた。 これを見てチーフは矛盾が発生していると考えた、シエスタの曽祖父が現れたのは今から百年ほど昔の事。 チーフが知る年月、今は西暦2553年であると言うのに、この音声データ開始日時は西暦2531年となっている。 『自分はUNSC海兵隊、タケオ ササキ少尉。 任務の為にここ、タルブの町に腰を据える事になった』 この記録日時が正しければたった二十二年、二十二年前にタルブへと現れ、今から十数年前に亡くなったと言う。 ありえない、時間の流れが狂っている。 『任務内容は情報収集、ある程度の情報を集めた時点で俺たちの一部言語が通用する事がわかってその言語に通じる俺が選ばれた』 とりあえず年月の矛盾を一度頭から外して聞く。 周囲を探索して状況把握に努め、この大地が未知の惑星、それも人類が知り得ていない銀河系と判明した事。 この惑星固有と思われる原住生物を調査したり、人類に極めて類似した直立二足歩行を行う生物の発見など。 高度に組み上げられた言語を持ち、円滑なコミュニケーションを可能として生息する生物。 当初殖民してきた地球人類ではないかと言う疑問が浮かび上がったが、調べれば調べるほど科学技術。 特に機械工学が全くと言っていいほど見られない、地球人類が五百年以上前に過ごしていた時代と近いなど。 それはチーフのある程度の予想と一致していた、無論魔法などと言う科学技術では説明がつかない様なものがある。 そんな物があると信じられていたのは二十世紀より前の、今から六世紀以上昔の妄想や想像、創作物の大昔。 チーフも体験し、現在進行形でその恩恵を受けていなければ。 魔法が存在すると主張する人物の肩に手を置いて、ゆっくり休めと休息を促していただろう。 音声記録が所々途切れつつ、年を経て、数ヶ月から数年のスパンで語られる情報。 数分の報告後に一度終了し、再開された時には声に張りが無くなっている。 それは老化を表現していた、生物なら何に対しても起き得る現象。 数十年掛かり、そして帰る事が叶わなかった一海兵隊員の言葉。 これはチーフにおける、来るかもしれない未来の一つだった。 「………」 「ちーふさん? どうしたんですか?」 「……タケオがタルブに現れたのは何年前だ」 「えっと……、今からですと百年ほど前ですね」 やはりおかしい、どう考えても年月の矛盾が浮かび上がる。 録音開始の時点で2531年で22年前、終了の最終日付は2601年の50年ほど先の未来。 そして今知る、アーマーでカウントされている日付は2553年。 この世界の公転周期は384日、正確かどうかは判断しかねるが、これから考えると地球との時差は5年前後のはず。 レコードチップの日付が正しければ、チーフが今知る年月は2620年前後でなくてはいけない。 チーフが今知る年月が正しければ、このレコードチップの開始日付は2453年前後でなくてはならない。 いくら考えようと整合性が合わない、何度確かめてもそのズレは変わらない。 「そうか」 これが帰るための足掛かりになるか、疑問に思わざるを得ない。 実は関係していると言う話で調べるにしても、時間が歪む原因を調べるには相応の大規模な設備が必要となる。 無論そんなものを保持しているわけが無いチーフにとって、調べる事は夢のまた夢に過ぎない。 つまり否が応にも無視しなくてはいけない事実、そうと決めたらすぐに頭を切り替える。 その後シエスタの父と祖父に礼を言い、ペリカンのことを話す。 自分はあれを今必要としている、申し訳ないがペリカンの所有権はシエスタの曽祖父ではなく彼が所属していた軍の物。 飛べるようであれば自身が利用するが、飛べないようであるなら動かせないよう中を完全に破壊すると断る。 それを前に翁はペリカンの中には入れたら自由にしていいと言った。 チーフの言葉が本当であれば、息子である翁ですら開けられない乗客室兼貨物室のドアを開けられるはずだと。 チーフはそれに頷き、翁の部屋を後にし開けられるかどうかを確認する為にシエスタがチーフの後について歩く。 ペリカンが置かれている場所はタルブの町から少し離れた草原の傍。 建てられている寺院の隣に木の板で覆われた、高さ10メートル、縦横40メートルはある大きな掘っ立て小屋があった。 その掘っ立て小屋の壁に付いた簡素なドア、2メートルほどのそれを潜りながら小屋の中に入る。 中に入れば、視界に広がる鋼鉄の塊。 鳥類のペリカンと呼ばれているが、別に姿形が似ていると言うわけでもない。 真上から見れば大きな三角の下から小さな三角が縦に食い込み繋がっているように見える。 正面から見れば丈夫に丸みを持つ縦に潰れた逆三角形。 コックピットから乗員室まで太く、全体で見れば申し訳ない程度に可動式翼が付いている。 縦に周る左右の可動翼スラスターと、機体後部に付いた同様の二つのスラスター。 そしてその可動翼の下部に一つずつ付いた小型スラスター。 メイン四つとサブ四つの偏向推力で姿勢制御を行う、垂直離着陸機。 その偏向推力は大気圏離脱を可能とする推力を長時間発生させる事が出来、宇宙空間でも航行が可能。 機体表面には放熱シールド加工されており、大気圏突入も可能と言う多目的航空支援機。 「ねえ、チーフ。 これって本当に飛ぶの?」 小屋に入るなり機体表面の状態を確かめていたチーフに、先に来ていたルイズが問い掛ける。 この世界の住人からすれば、このような金属で出来た物体が風石無しで飛ぶなど思いもよらないだろう。 「今確かめる」 歩き出してペリカン後部へと回り込んで、きっちりと閉まっているカーゴハッチの隣のパネルを開く。 素早くパネル操作、ハッチ開放を入力する。 そうすると音を立ててカーゴハッチが下開きにて開く、それを見てシエスタとその父は驚きを表情に表した。 何をしようとも開かなかったのが、軽く触るだけで自動的に開くなどと思いもしていなかったのだ。 チーフはそのままカーゴ、乗員室兼貨物室に入り、その奥のコックピットへのドアへと向かってスライドしたドアを潜る。 「………」 前後として座席が並んでいる複座型のコックピット、それの前に座って目に見える損傷が無いか確かめ。 完全に停止している計器を触り、コントロールシステムを立ち上げる。 「はぁー、すごいわねぇ……」 チーフと同じように乗り込み、コックピットへと顔を出すルイズ。 「何してるか分からないけど、これって飛ぶの?」 続いてルイズの後ろから頭を出すキュルケ、視線の先はコックピットの外で外から見つめてくるタバサに向けられている。 チーフは燃料の残量、可動翼スラスターの動作、コントロールシステムと異常が無いか調べ上げ。 「飛べる」 そう断言した、シエスタたちの話が本当であれば製造されて100年以上経過しているにも拘らずどれもが正常値。 恐らくは固定化の魔法でも掛けられているのだろう、でなければ錆一つ無いほどの整備を施した少尉に感服する。 ペリカンに搭載されているモーショントラッカーを起動、ミョルニルアーマーのとは比べ物にならないほどの広範囲。 ペリカンに匹敵するような大きさの動体反応は無く、強化ガラスを通して小屋の天井を見上げる。 飛ぶにしても天井が邪魔になる、そう考えた所で通信に反応があった。 それはペリカンから別の何かへと通信。 チーフが開いた訳ではない通信、それに危険を感じてすかさず通信を遮断しようとするが。 『……おや? 誰かと思えばスパルタンとは、予想外でしたね』 通信機越しに、僅かに入るノイズの向こうに女性の声が聞こえた。 「誰だ」 唐突の通信に硬くしたチーフ、だが相手は何事も無く名乗る。 『これはこれは、私はフェニックス級強襲揚陸艦『スピリット・オブ・ファイア』艦載A.I、『セリーナ』。 歓迎しますよ、S-117』 前ページ次ページ虚無と最後の希望
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/3816.html
386 名前:ある日の出来事 ◆yJjGBLHXE6 [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 16 24 ID 9C/4JDgn それは〜よく晴れた日のことじゃった〜 「・・・・っんの、バカ犬ううううううっっ」 「ちょ、待てルイズ、誤解だっ・・・ぎゃああぁぁayつえjwhぐばpがんb@」 縦に長い塔の一室から、ルイズと呼ばれた桃色がかった茶色の髪をした少女の怒号と 肉の塊を殴打する音が聞こえてきた。 「あんたはっいったいっ何回っ言えばっ分かるッワケッ!?」 「・・・かはっ・・・くはっ・・・・・・gふぇあ・・・・・・・」 がっごっ、と声の合間に、もはや痙攣を繰り返すしか出来ない人らしき物体を叩く音が断続的に響いている。 「あんたはもう今日ご飯抜き〜!!」 一瞬窓が光りガラスがたゆんだかと思うと、耳を破るような爆音と共に窓ガラスが四散し、一つの人影が吹き飛んできた。 「・・・ったく、才人のバカ・・・・・・」 肩で息をしながらルイズはドアを足で蹴り破ると、ずかずかと何処かへ消えていった。 一方、才人と呼ばれた黒髪の少年は地面で横たわっていたかと思うとゆっくりと 身体を起こし、胡坐を掻くと深くため息をついた。 「いてて・・・ったく、あそこまでやる必要ねぇじゃんか。ちょっと下級生に囲まれてただけだっつの」 やってらんねぇなぁ、と頭を振って立ち上がると才人も何処かへ消えていった。 388 名前:ある日の出来事 ◆yJjGBLHXE6 [sage] 投稿日:2007/02/10(土) 23 20 19 ID 9C/4JDgn 「・・・でね、才人ったら女の子にちやほやされてたからって鼻の下でれでれと 伸ばしちゃって。『今度遊びに行きましょうよ〜』なんて言われて、尻尾振っちゃってさ〜」 「本当、いい加減にして欲しいですよね〜やっぱり今度二人でガツンと言わなきゃだめですよね〜」 「いいね〜シエスタいい事言う〜。ガツンと、よねガツンとぉ〜!!」 「そうだ〜〜〜〜〜」 「お〜〜〜〜〜〜」 先ほどの部屋にルイズともう一人、シエスタの姿もあった。 ・・・が二人の周りには宴会でしか消費しないような量のワインの空き瓶も転がっていて 今も尚、新しい瓶に手をかけて二人は更に顔を赤くしながら愚痴談義に花を咲かせている。 「サイトさん帰ってきたら説教れすね〜」 「ほうね〜」 ・・・もはや、ろれつが回っていない。 そうして女二人、どす黒いオーラを纏いながら楽しそうにワインを空けていくのだった。 「・・・いやサイト、それはお前が悪いと思うぞ?」 「なんでだよギーシュ、普通のことじゃねぇか」 「いやだってお前、ルイズが居るのに他の女に現を抜かしてたら、 そりゃルイズだって気持ちのいいものではないだろう?」 「ん〜〜」 「・・・それよりそろそろ僕のヴェルダンテを放してくれないか?」 才人は巨大モグラをぬいぐるみのように抱きかかえながら、ギーシュという金髪の男に管を巻いていた。 「だいたい君はだね、一人に決めた人がいながらあっちにふらふらこっちに・・・」 「うっせえ、お前だって似たようなもんじゃねぇか」 「なにをいう!僕はいつだってモンモランシーひとす・・・」 「あ、姫様が空飛んでる」 「え!?どこどこ!?」 「ほれみろ、どこが一筋だこの色ボケ隊長」 ぱくぱくと何か言いたそうに口を動かすギーシュを尻目に立ち上がって歩き始めた。 「しょうがねぇなあ・・・後何発か殴られて許して貰うか・・・」 「いやだからヴェルダンテはおいていきたまえ〜!!」 脇に抱えていたヴェルダンテをおいて才人は真っ直ぐに寮のある方へと歩いていった。 441 名前:ある日の出来事 ◆yJjGBLHXE6 [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 23 37 34 ID K+qHS+Aa 「おーい、ルイズ?」 才人がコルベールやマルコーと少し話をしてから部屋に戻ると、何故か鍵がかかっていた。 出かけているのかと思い何回かノックをずるが返事が無い。 「なんだ、どっかでかけてやがんのか?」 才人が探しに行こうとすると、ガチャっと鍵が開いた。 「なんだよ、中に居るんじゃん。なんだって鍵なんて・・・」 はいるぞー、とドアを開けて中に入り、そしてルイズに頭を・・・・・・下げられなかった。 目の前の光景に才人は完全に固まってしまったのだ。 「あ・・・え・・・お・・・?」 「お〜さいと〜おそい〜」 「おかえりらは〜い」 部屋の中はいつもの整然としたものとは全くに別物だった。床には、もはや数えるのを 諦めざるを得ないほどの空き瓶が転がり、机の上には厨房からちょろまかしてきたのだろう。 木の実やらがたくさん入っている大皿が乗っかっていた。 そしてその傍らで顔を真っ赤にしたルイズとシエスタが酒盛りをしていた。 ・・・・・・もはやジョッキは意味を成さず二人とも瓶から酒を煽っている。 「おいさいとぉ」 「とぉ〜」 「おまえもちょっろこっちこい」 だいぶ出来上がっているらしく、二人してろれつは回っていなかった。 「ちょ・・・ちょっとお前ら飲み過ぎだって、ベロベロじゃねぇか」 「よっれません〜ちょっとふらふらするだけですぅ〜」 「それにすこしふわふわするだけれすよぉ〜〜」 ・・・世間一般ではそれを『泥酔』というのだが・・・ 「お、おいルイ・・・」 「うるせぇ、こっちこい」 「いやちょっ、酒臭せ・・・なぁシエス・・・」 「ヴァリエールさまがこいってんだろぉ〜」 たちが悪いことに絡み酒だ。 とりあえず酔っ払いには逆らわないでおこう、何されるか分かんねぇし、と 才人は二人のアルコール臭を我慢して机の隣に近づいた。 442 名前:ある日の出来事 ◆yJjGBLHXE6 [sage] 投稿日:2007/02/11(日) 23 38 18 ID K+qHS+Aa 「よし、ちょっろそこすわれ」 「すわれ〜」 へいへい、と才人は内心で嘆息しつつそのまま下へ、ちょうど二人の足元にくるような 位置にしゃがみこんだ。二人とも相当酒が入っているせいで、口調とテンションがおかしくなっているらしい、 顔を見合わせては、へへ〜、と笑いあっている。 「らいたいね〜あんたわたしというご主人様が居るくせに、なにをあっちにふらふらこっちにふらふらとぉ〜」 「そおですよぉ〜サイトさん、わらひたひろらにがふまんらんれすかぁ〜!?」 「そ、それは」 「「うるせぇ、だまれ」」 女二人+酔っ払い+悪いのこっち=もはや怖いものなし と才人が瞬間的に頭の中で新しい公式を組み立てている間も、ふたりして手に持った瓶で 小突きながら説教が続いていく。 「やっぱり・・・こうなったらお仕置きが必要よね。ねぇシエスタ?」 「さんせぇ〜」 才人が立ち上がろうとするとその膝を踏み付けられた。 「おいサイト・・・脱げ」 「へ・・・?」 「ぬ・げ」 ルイズとシエスタがワイン瓶を振りかぶって脅しつけているので、仕方なく才人は もそもそと脱ぎ始めた。目の前ではシュプレヒコールが沸き起こっている。 才人が完全に脱ぎ終わるとルイズが椅子から立ち上がった。 「さてと・・・どうしてあげようかしら」 577 名前:ある日の出来事 ◆yJjGBLHXE6 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 03 50 50 ID nSmN4fwH 窓からはすでに夕焼けが差し込んでいる部屋が一つ。 その部屋の中には三人の若い男女の姿があった。ルイズとシエスタ、それに才人だ。 が、部屋の空気はお世辞にもほのぼのとしたものでは無かった。 少女が二人共酒の臭いを発し、才人にいたっては真っ裸に向かれているからだ。 「・・・で、ろ〜します?ミス・ヴァリエール〜」 「ん〜ほうねぇ・・・とっちゃおうか、これ」 そう言って、机の上の杖を手に取り才人の息子を先で突っつく。 ・・・とっちゃ・・・え?・・・去勢ってやつっすか!それ! 才人は思わず額から大量の汗を流す。 「え〜らめれすよぅ、そんなことしたらもう楽しめませんよ〜」 「ん〜それもそうねぇ〜」 そんなことを言いながら楽しそうに笑いあう二人、世の男性諸君にとっては死活問題だというのに・・・ 「ま、いいわ取るのは勘弁してあげましょ」 おめでとう、才人危機一髪。 ともあれ、何とか二丁目への道は閉ざされたようで、才人はほっと息をつき椅子の上であーでもないこーでもないと話し合っている二人を眺めている。 「・・・気絶するまで蹴りこんで・・・貞操帯つけて・・・」 「いえ・・・鞭で・・・中庭・・・吊るし上げて晒すとか・・・」 ・・・鬼や、あんたら鬼や・・・ 才人がそんな不穏当な会話を直接耳に流し込まれる、ある意味究極の拷問を受けていると、不意にシエスタがぱんっと手を鳴らした。 「ほうれす!他の子に反応しないよう・・・搾っちゃいましょう!!」 「あぁ〜ひえすたあったまい〜」 「じゃあ〜あばれると面倒れすねぇ・・・えい♪」 思考回路がついていかずに呆けている才人の頭にシエスタがワイン瓶を振り下ろした。 578 名前:ある日の出来事 ◆yJjGBLHXE6 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 03 52 28 ID nSmN4fwH 「いてて・・・なんだって・・・ん?身体が動かねぇ・・・」 才人が目を開けると部屋に備え付きのベッドに寝かされ・・・縛られていた。 「え?ちょなんで?」 「やっと起きたわね?犬」 声のした方を向くとルイズが才人の息子を弄り回していた。 「覚悟しなさい?動かなくなるまで搾りつくしてあげるから」 そういうといきなり弄んでいた手を止め、大きくなり始めていた怒張をその小さい口の中に頬張った。 「ん・・・じゅぷ・・・らによ、もうおっひふひてるらない・・・」 「うあっ・・・だ、だってルイズきもちよす・・・」 ルイズは才人が喋るのを遮るように、上下にしごくように動かしていた口を先端付近で止めて搾り出すように吸い上げた。 「ぎっ・・・ああああつっっ!?」 「うるはいわね・・・おひおきらんらから、らまってらはい」 根元まで咥えながら、もごもごと話しかけるルイズ。 もちろんその間も刺激を加えていくのをやめようとしない。 喋るときの振動がそのまま快感となって才人を追い詰めていく。 「ちょ・・・喋るとっ・・・ごめんっルイズっ」 四肢を縛られてまともに動かせない中で、それでも才人は腰を浮かせてルイズの口腔の奥に押し付けるようにして溜まっていた白い欲望を吐き出した。 「―――――――!!」 ルイズは突然吐き出された迸りに一瞬驚いた表情を見せるが、すぐに自ら根元まで咥え込みなおして才人の吐き出すモノを残らず飲み干した。 「んっんくっ・・・くっ・・・んくんっ」 ルイズが喉を鳴らして全部飲み終えて口を離すと、先ほどまで繋がっていた所から光に反射して光る一筋の白い糸が橋を架けた。 「・・・・・・ちょっと、もう出しちゃったの?これだからサカリのついた犬は・・・」 「しょ、しょうがねえだろ!いきなりだったんだからよ!!」 「ふぅん・・・ま、それだけ元気なら・・・まだまだ出るわよね?」 ルイズは才人のお腹の辺りに座り込んでそう囁くと、右手を高々と掲げ、指を鳴らした。 579 名前:ある日の出来事 ◆yJjGBLHXE6 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 03 53 11 ID nSmN4fwH 何を、と才人が言おうとすると、不意に視界が何かで塞がれた。 「―――わぷっ!?」 突然のことに才人は声を上げようとするが、顔全体を塞がれているため、もごもごとしか音が出てこない。 「やっ・・・サイトさん喋っちゃ・・・きゃっ!・・・」 視界を塞いでいたものがビクッと跳ねて、少し顔が自由になると塞いでいたものを見ることができた。 「シ、シエスタ!?」 「へっへ〜お・し・お・き・ですよ〜」 シエスタは、自分のスカートの中に潜り込んでいる声の主に向かって告げた。 「いきますよ・・・必殺っ!おしおきプレス〜!」 言葉と同時にシエスタは勢いよく才人の顔面に座りなおした。 「んふふ・・・どぉですか〜サイトさん?」 必殺、て・・・殺したらあかんよ〜 シエスタは才人の顔を押しつぶしつつ腰を動かし、とろんとした表情になっていく。 「あ、これ結構気持ちいいですね・・・」 シエスタの秘裂からねっとりとした蜜が溶け出してくる。 蜜は才人を刺激するのには十分なほど雌の臭いを放っていた。 口の中に入ってくる蜜と直接鼻をくすぐってくる臭いに、才人はすぐに元気を取り戻す。 「ふん、やっと大きくなってきたわね・・・でもアンタなんかこれで十分よ」 そういってルイズは両足でビンビンのそれをはさんでしごいていく。 「わぁ、サイトさんのぉ・・・こんなに・・・おっき・・・」 惚けた目で覗き込むと、シエスタはルイズがはさんでいるその上を咥えこむ。 580 名前:ある日の出来事 ◆yJjGBLHXE6 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 03 54 18 ID nSmN4fwH すでに暗くなった部屋には布ずれの音と粘り気のある淫猥な水音、そして三つの息つく音だけが響いていた。 才人はルイズの絹の靴下ごしに伝わる体温とシエスタの上下の口の温かさと臭いが生み出す快感に必死に耐えていた。 しかし、二人の絶妙な責めにあっという間に限界は陥落する。 「ルイズっシエスタっ・・・ま、また出っ」 才人は一回大きく腰を跳ねさせると音が聞こえそうなほどの勢いで迸りをぶちまけた。 「きゃっ!っわぁ・・・すごい、サイトさんがいっぱいです・・・」 シエスタは跳ねた勢いで思わず口を離してしまい、飛んできた迸りを直接顔で受け止めた。 受け止め切れなかった迸りは重力に従って下にあるルイズの白磁の足とそれを包む靴下を汚している。 「なによ、またなの?」 「う、うるせぇな」 「しかもなんかさっきよりも量が多いじゃない、しょうがないわね・・・それにまだ元気なままだし」 ルイズは、はぁ、と聞こえよがしにため息をつくと、才人の怒張の真上辺りに膝立ちをすると、スカートをたくしあげて自分の秘所を外気に晒した。 見ると、すでにそこは蜜があふれ出して太ももの内側をなぞり、シーツにまでしみを作っていた。 「いい?まだおしおきは続くんだからね?」 そういうとルイズは自らをあてがい、一気に腰を沈めてそそり立つ塔で貫いた。 「んっ、あ・・・はぁ・・・サイト、おっき・・・」 ルイズは一息吐いた後、才人の腹筋に手を乗せてグラインドを始めた。 シエスタはいつの間にか才人の上から退き、横でじっくりと観察を始めている。 「ふっあっ・・・な、なによぉいつもより・・・固くて、おっきいじゃないっ」 ゆっくりとした動作は次第に速く大きくなっていき、今では全てを楽しむように先端から根元までを吐き出しては飲み込んでいく。 ルイズは徐々に顔を赤らめて、才人との営みに夢中になっていく。 才人は縛り付けられた手足を踏ん張り、ルイズが沈むのに合わせて高く腰を突き上げた。 「きゃあ!ちょ、ダメぇ・・・さっきより深いとこきてるうっ」 二人のグラインドが重なり、才人が腰を上げるたびにルイズの最奥をノックしていく。 「あああっいいのぉっおくっおくっコツコツって当たってるよおぉっ」 ルイズは口をだらしなく開けて喘ぎ、その小さいあごを涎がなぞる。 お互いの腰をぶつけ合うようにして、二人は共に絶頂へと昇りつめていく。 「サイトっサイトぉっも、もうらめぇあっあたしいっちゃっ・・・」 「お、おれも、もうそろそろっ・・・」 「なかっなかでいいからぁっ・・・いっしょにっおねがいっ」 言葉を交わすほどに二人はより激しく求め合い、貪りあっていく。 581 名前:ある日の出来事 ◆yJjGBLHXE6 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 03 55 14 ID nSmN4fwH 「くっ・・・だ、出すよ、ルイズっ」 「きてぇ・・・サイトのいっぱいきてぇっ!」 跳ねるように才人が腰を突き上げて、その怒張から大量の迸りをルイズの子宮へと詰め込んで行く。 「やああぁっあついのいっぱい入ってぇ・・・あ、あはああああんんっっ」 追いかけるようにしてルイズも絶頂を向かえて背を弓のように仰け反らせる。 才人が腰を打ちつけるのをやめると、脱力したルイズは才人の上に寄りかかる。 倒れることで、入りきらなかった白濁がこぼれ、ベッドにしみを作っていった。 「サイト・・・」 「ルイズ・・・」 どちらとも無く見つめあい唇を重ね合わせると、二人は力尽きて眠りに・・・ ・・・落ちなかった。 シエスタがルイズを無理やり引き剥がし、才人の上にのしかって来たのだ。 「さあ、サイトさんっ今度はわたしの番ですよっ」 シエスタが才人の上で嬉しそうに笑っている。 「あ、ちょ、ちょっとぉ!私だってまだ満足したわけじゃないんだからねっ」 ルイズが膨れっ面をしながらも観念してサイトの横に周って座り込む。 「じゃあどっちが多く出来るか勝負ですっ」 「臨むところよっ」 ルイズとシエスタは静かに火花を散らす。 「え?え?・・・も、もう勘弁してくれぇえええ!!」 日が沈みかけた部屋に、才人の悲鳴がこだました。 「・・・まったく、隣は元気ねぇ。ねぇ、ギーシュ?」 「は、ははははいっ、そうで御座いますねモンモランシーさまっ」 優雅にワインを飲むモンモランシーの下に土下座しているギーシュの姿があった。 どうやら才人との会話を聞かれていたらしい。 「さてと・・・」 「すいませんごめんなさいゆるしてください」 ・・・まぁ、こっちはこっちでひと悶着あるのだが、それはまた別のお話。 ん?次の日?次の日は・・・実は虚無の日だったりする。 <おしまい>
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7056.html
前ページ次ページゼロと世界の破壊者 第3話「朝日は昇って」 気がつくと、ルイズは風が吹き荒ぶ荒野のど真ん中にいた。 (…あれ?私、こんな所で何してるだろ…?) ルイズは思い返す。 写真館で士達と別れた後、食堂で夕食に無事ありつける事が出来て、お風呂に入って、授業の予習復習もして、それでベッドにぶっ倒れた筈だ。 今日は相当疲れが溜まっていたからすぐに眠りに落ちたと思われる。 (…あぁ、じゃあこれは夢だ。私、夢の中にいるんだ…) ルイズは今自分が夢の中にいる事を理解した。 それにしても殺風景な夢である。殺伐とした荒野に、ルイズはただ一人佇んでいる。 折角夢の中にいるんだから、こう言う機会にしか会えない人と会えれば良いのに。例えば大好きなちいねえさまとか、憧れのワルド様とか、幼なじみのアンリエッタ姫殿下とか…。 などと考えていると、突如異変は突然起こった。 ルイズの周囲で爆発が巻き起こった。 「きゃあっ!!」 思わずその場でしゃがみ込むルイズ。 (な、何!?一体何が起こったの!?もしかしてゲルマニアの侵略!?それともガリア!!?) その様に考えを巡らせている間も、ルイズの周囲では次々と爆発が起こり続けた。 それに続き、爆発音とは違う轟音と共に、ルイズの前に、見た事も無い鉄の馬の様なモノに跨がった、全身甲冑で覆われた戦士達が現れた。 それも一人や二人ではない。鉄馬に跨がっていない戦士も含めるとそれこそ数えきれない程、大地を覆い尽くさんばかりの戦士達が身、一様に『何か』に戦いを挑んでいるかのようだった。 巨大な鉄馬が振り上げた前脚から火を吹く。 爆煙の中から現れた赤いドラゴンと黒いドラゴンが、鉄馬に跨がった戦士達が、爆発の間をくぐり抜け、『何か』へと突貫してゆく。 (何よ!?一体なんなのよ!?何が起こっているって言うの!!?) 必死に状況を理解しようとするが、全く理解出来ない。それどころか声の一つすら上げられない。 鉄馬がルイズのすぐ前を走り抜けてゆく。 空の異変を感じて見上げてみると、そこにもまた空を覆い尽くさん程の戦士達が空を駆けていた。 ある者は空を駆ける鉄馬に跨がり、ある者は自分の背の翼を使い、彼らもまた『何か』を目指している。 城を背負った巨大なドラゴンが『何か』の攻撃を受けて不時着する。 そのドラゴンが切り崩した山の向こうから、巨大なゴーレムが戦士を乗せて現れた。 更にその向こうからも、更に多くの戦士達が『何か』を目指してルイズの目の前を駆けてゆく。 しかし、戦士達は次々と起こる爆発に巻き込まれ、一人、また一人と傷つき倒れてゆく。 新たに現れた空を駆ける白いドラゴンと黒いドラゴンも、渾身の攻撃も虚しく『何か』の攻撃で撃墜されてしまう。 『何か』の攻撃は更に激しさを増し、戦士達は次々と倒されてゆく。 爆発は四方八方で起こり、爆発の度に戦士達の断末魔の叫びが無作為に響き渡る。 その惨状を前にして、ルイズは思考する事も叫ぼうとする事も叶わず、ただその惨劇の推移をその中心で傍観する事しか出来なかった。 鉄馬が、ゴーレムが、戦士達が、次々と倒されてゆき———、そしていつしかルイズの周りには、戦士達の屍だけが積み上がっていた。 そして仕上げとばかりに、巨大な爆発が巻き起こる。 「きゃあっ!!」 ルイズは悲鳴を上げ、耳を覆った。 すると今の爆発の反動でか、目前の赤いドラゴンの屍がゆっくり、大地に伏した。 そしてその向こうから『何か』が現れた。 逆光が差し、正確な姿は確認出来ないが、黒い甲冑、緑色の大きな眼、その姿は一見周囲に倒れた戦士達と似た格好だった。 また逆光の中にあっても、その腹に据えられたベルトのバックルの形だけは、ルイズははっきりと見る事が出来た。 そしてその『何か』の姿を目にした時、ルイズは何故か、その名をごく自然に口にした。 「…ディケイド」 ——— 「…………っ!!!」 ルイズは目を覚ました。ぱっちりと瞼が開き、窓から入ってくる日の光がまず目に入る。 それからゆっくりと上体を起こし、周囲を見渡す。 見慣れた部屋。紛れも無く、昨晩ルイズが突っ伏した自分の部屋のベッドの上である。 「…何だったのかしら、今の夢…」 ベッドの上に座り込みながら、さっきまでいた夢の世界を振り返る。 …全く何がなんだか判らない。 見た事も無い場所、見た事も無い光景、無い無いづくしで全く不可解な夢だった。何故こんな夢を見たのかも、ルイズには見当もつかなかった。 「…相当疲れてたのかしらね」 ルイズは昨日の出来事を思い出す。 まさか昨日のアレも夢じゃないでしょうね?とも考えたが、むしろそれはそれで喜ばしいと思った。 寝ぼけ眼を擦ろうと手で頬に触れた時、ルイズははたと気がついた。 自分が泣いていた事に。 瞳から溢れた涙が、ルイズの頬を濡らしていたのだ。 「ちょちょ…なんで私ったら泣いてるのよ」 さっきの夢に泣ける要素なんてあったのか?と疑問に思う。まぁ確かに昨日の出来事はある意味泣きたくなったけど。 涙を拭う為に両目をぐじぐじと拭っていると、コンコン、と扉がノックされた。と思ったら、ガチャリと鍵が開く音がし、静かに部屋の扉が開かれた。 「…ルイズちゃん、起きていますか?」 扉の向こうから現れたのは昨日ルイズが召喚してしまった館の住人、夏海だった。 突然扉の鍵が解錠され扉が開いた事に驚いていたルイズだったが、そこから夏海が顔を出した事で昨日の事を思い出した。そう言えば、昨日士に合鍵を渡したんだっけ。 …だったらなんで夏海が来るのだろう? その夏海はと言うと、ルイズの姿を確認するといきなりその場で硬直してしまった。 ルイズが一体何が起こったのか首を傾げてると、夏海のその後ろからもう一つの頭が部屋の中を覗き込んだ。 「どうしたの夏海ちゃん?ルイズちゃんもう起きてた?」 その頭はユウスケのものだった。 と、夏海は咄嗟にユウスケの頭を遮り、そのまま部屋の外へ追い出そうとする。 「っちょ!な、夏海ちゃん!?一体何!!?」 「駄目です!ユウスケは外に出ててください!良いから早く!!」 結局夏海はそのままユウスケを外へと押し出し、扉を閉めると内側から鍵を掛けた。 その部屋の主であるルイズはと言うと、何が起こったのか理解するため寝ぼけていた脳をフル回転させていた。 すると夏海がルイズに向き直り、つかつかつかとベッドの傍まで歩み寄って来た。その時の夏海の表情にいやに迫力があって、ルイズは思わずベッドの上で後ずさってしまった。 「ルイズちゃん、もしかしていつもその格好で寝てるのですか!?」 夏海がベッドの前で立ち止まり、さあいざ何を言われるのだと身構えていると、意外にも服装について咎められただけだった。 ルイズは自分の格好を見る。何て事は無い、いつものネグリジェだ。 するとルイズは、あぁ、と夏海の奇行の理由を理解出来た。つまり夏海はルイズのあられもない寝間着姿をユウスケに見せない様にしていたのだった。 「もしかして士くんが来てもその格好のままだったのですか?」 「そうよ?」 士は男とは言えルイズの使い魔だ。ルイズの中では他の使い魔と同様、獣同然の扱いなのだ。 夏海は頭を抱えてはぁと溜息をついた。 「…判りました、毎朝起こしにくる役目は私がやります。…それと、洗濯も…」 そう言って夏海は足下に散乱した小さな布切れを拾い上げる。それは昨日ルイズが寝る前に脱ぎ散らかしたパンティだった。他にもブラウスやキャミソールなど、男性の目に毒なものが無造作に脱ぎ散らかされていた。 「…そう?ま、私はやってくれるんなら誰でも良いんだけど」 正直な所、一刻も早く使い魔としての自覚を持ってもらうためにも士にやってもらいたいと考えていたが、夏海のこの様子だと断固としてやらせないつもりだろう。夏海の中では士は使い魔である前に一人の男なのだ。 「それじゃ、私着替えるから」 「はい」 「…」 一瞬の沈黙がルイズの部屋を訪れる。 夏海は着替えると言うなら早く着替えれば良いのに、とベッドから降りてそのまま立ってるだけのルイズを見て思ったのだが、ルイズが求めているのはそうではなかった。 「着替えさせて」 「…着替えも手伝うんですか?」 「そうよ、着替えはそことそことあそこに入っているから」 夏海はルイズに指差されたクローゼットに向かい、その中から新しい下着やブラウスを取り出す。 そう言えばテレビのドラマだか映画だかで偉い貴族が召使い達に服を着付けてもらってたシーンを見た事があった事を思い出した。それと、これは断固として朝は士には任せられないとも思い直した。 着替えが終わり、ルイズは今日の授業の準備を、夏海は足下に散乱したルイズの下着やらを拾い集めていた。この後、洗濯してもらうのだ。 他にも部屋の掃除もしてもらいたいのだが、それだけでも士にやってもらおうと、ルイズと夏海は合意した。 「そう言えばそのツカサだけど、何でツカサじゃなくてナツミが来たの?」 付け加えれば外にいるユウスケも、であるが、士が来た様子は無い。予想はしていたが来ないとなるとやはり腹が立つ。 夏海は洗濯物を胸に抱えたままルイズに向き直ると「聞いてください!」と今朝起こった事を話し始めた。 曰く、士がルイズを起こしに行くと昨日の内に聞いていた夏海は士を起こそうとしたのだが、士は既にいなくなっていた。 ちゃんと自分の役割をきちんとこなしてるんだなぁとちょっとだけ感心するのも束の間、その枕元にはルイズの部屋の鍵が置いてあった。 仕方無く丁度起き出したユウスケを伴ってルイズの部屋までやって来たが、案の定、士の姿は無かった、と言う事らしい。 「…あんのバカ使い魔…!役に立たないにも程があるわ…!」 話を聞いたルイズは憤慨した。役に立たないどころか任務を放棄するなど、使い魔としてあるまじき行為である。 そして士に対して憤慨していた人はここにもう一人。 「本っ当に許せません。士くん、罰としてご飯抜きです!」 他ならぬ夏海である。 ルイズは士に対してどんな罰を加えてやろうか思案していたが、その内容を夏海から提示され「いいわね、それ」と互いににやりと笑い合った。 何となく、この人とは良い付き合いが出来そうだ、とルイズは思った。 ルイズと夏海が部屋を出ると、そこで繰り広げられてた光景に二人は眼をまん丸くした。 「……あ、夏海ちゃん、ルイズちゃん…」 さっき夏海に追い出されたユウスケが、二人の顔を見て硬直した。 その傍らには、赤い髪の女がユウスケの腕にその豊満な胸を押し当てていたのだ。 それこそルイズの宿敵、ツェルプストーことキュルケであった。 「あら、おはようルイズ」 キュルケはルイズに気が付くとそちらを向いてさらりと朝の挨拶をした。 が、ルイズはそれどころではなかった。 「こ、ここここの色ボケツェルプストー!アアアンタ朝っぱらからこんな所でナニ…いや、何やってんのよ!!?」 顔を真っ赤にして捲し立てる様に尋ねるルイズだったが、それとは対照的にキュルケはしれっと回答する。 「何って、あたしはただ部屋の外にいた彼に朝の挨拶をしてただけよ。彼ったらなかなか反応が可愛いんだもん、ちょっとからかっちゃった」 そう言ってキュルケはユウスケの顎を艶めかしく撫でる。刹那、ユウスケの背筋がびくりと震える。 ユウスケはキュルケの腕を強引に解きほぐすと、逃げる様にルイズの背後に駆け込んだ。 夏海がユウスケを睨みつけたが、ユウスケは顔をそらして無視する。 キュルケは残念そうに下唇を人差し指で押さえた。そしてルイズの背後にいる二人を見た。二人とも昨日ルイズが喚び出した家から出て来た住人と思しき人物だったが、そこにルイズが契約した長身の男がいない事に気が付いた。 「あら?ルイズ、あなたの使い魔は何処行ったの?」 ルイズの頬がひくついた。どうする?本当の事を言えば、キュルケにバカにされる事は必死だ。 直ぐさま虚勢を張る事に決めた。 「あ、あいつなら別の仕事を頼んでいるの。今はここにはいないわ」 「ふぅん、てっきりルイズの世話が嫌でサボッてるのかと思ったわ」 見事本当の事を言い当てられてルイズの心に矢がぐさりと突き刺さる。 キュルケ・フォン・ツェルプストー、彼女の女の勘は人一倍に鋭いのだ。 「それにしても平民を使い魔にするなんてねぇ〜。流石に家ごと喚び出した事には驚いたけど、諸々考えると実にあなたらしいわよね、ゼロのルイズ?」 ルイズは眉をひそめた。 「ど、どういう意味よ?」 「言った通り。規模が大きかったってだけで、結局は失敗魔法だったって事よ。判った?ゼロのルイズ?」 2回目。ルイズは頬を赤く染めてキュルケからぷいと目を逸らす。 「う、うるさい!」 「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って一発で成功したけどね」 「あっそう」 「どうせ使い魔にするならこういうのが良いわよねぇ、フレイム」 キュルケは、勝ち誇った声で使い魔を呼んだ。キュルケの部屋からのっそりと、真っ赤で巨大なトカゲが現れた。むんとした熱気があたりを満たす。 「モンスター!?」 ユウスケが夏海を庇う様に前へ出る。思ったより男らしい所もあるんだ、とルイズとキュルケは揃ってユウスケを見直した。 「警戒しなくて大丈夫。この子は私の使い魔フレイム。見ての通りサラマンダーよ…って、もしかしてあなた達、この火トカゲを見るのは初めて?」 昨日光写真館が召喚された現場にキュルケもフレイムと一緒に居合わせていたのだが、ユウスケ達には群衆の中の一人としか捉えていなかった。なのでこうして間近でサラマンダーを見るのは初めてである。 ———似た様なモンスターとは何度も遭遇していたけれど。 「どう?見てよこの尻尾!ここまで鮮やかで大きな炎の尻尾は間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ?ブランドものよぉ。好事家に見せたら値段なんか付かないわよ?」 「そりゃよかったわね」 苦々しい声でルイズが言った。 「素敵でしょう。あたしの『微熱』の二つ名にぴったりよ」 ほっほっほ、とキュルケは大きな胸を揺らしながら高笑いを上げると満足したのか「じゃあね、お先に失礼」と炎の様な赤髪をかきあげ颯爽とその場から去って行った。 その後ろからちょこちょこと大柄な体格に似合わない可愛らしい動きでフレイムが追って行った。 「…く、くやしー!何なのよあの女!何であのバカ女がサラマンダーで私があの唐変木なのよっ!!」 取り残されたルイズはその場で盛大に地団駄を踏んだ。 まぁまぁと、夏海とユウスケに宥められるが、ルイズの怒りは収まらない。 それどころかその怒りは憎たらしいキュルケから、今この場にいない自分の使い魔へも飛び火した。 「わ、私がこんな辱めを受けてるって言うのに…こんな時にあいつは何処で何してるのよ…あのバカツカサぁーーーーーっ!!!」 ルイズの大声が女子寮に響き渡った。 未だに寝ぼけ眼だった多くの女生徒達が、この朝ルイズの叫び声で完全に目を覚ます事になったと言う。 「えっほ、えっほ」 学院に給仕として勤めている黒髪の少女、シエスタ。彼女は今、大きな籠を持って洗濯場を目指して小走りしていた。 彼女の持つ籠の中には昨日の内に集めておいた学院中の貴族様の洗濯物が入っている。 落とさない様に慎重に、それでいて可能な限り早く洗濯場に辿り着き、洗濯を終わらせなければ。シエスタには洗濯以外にも仕事は山ほどあるのだ。 そんな折、シエスタはふと足を止めた。中庭に見慣れない服を着た見慣れない男性が立っていたのだ。 男性は芝の上に佇んで、何やら首から下げた箱の中を覗き込んでいた。 一瞬不審者かと思い衛士か職員の人を呼びに行こうと考えたが、昨夜仕事仲間がしていた話を思い出した。 なんでも昨日使い魔召喚の儀式で、ミス・ヴァリエールが平民の一家を家ごと喚び出したと言うのだ。喚び出された家は今も儀式が行われた中庭にそのままにされ、そこの平民達も住み続けていると言う。 シエスタも今朝仕事の合間に目にする機会があったが、本当に昨日まで何も無かった庭に立派な家が一軒建っていたので、心底驚かされた。 その時に、男の人と女の人がその家から出て行く所も目にしていた。二人とも自分と同じ珍しい黒髪だったので、特に印象的だった。 とすると、彼もその家の住人である可能性がある。 儀式の直後に行われた教職員会議で、ミスタ・コルベールがその家に関する全責任を持つと宣言したため、その家は事実上ミスタ・コルベールの私物と言って過言ではない状態となったと聞く。 つまりもしその住人を不審者と誤報すれば、ミスタ・コルベールを不審者と誤報するも同じなのだ。 とは言え不審者の可能性もあるその男性をそのまま見過ごすワケにもいかない。最近は『土くれのフーケ』なる盗賊が世間を騒がしているとも聞くし。 シエスタは意を決して、その怪しい男性に話しかけた。 「…あの、何をしてらっしゃるんですか?」 シエスタがおそるおそる話しかけると、それに気付いた男性———士は、カメラから目を離してシエスタの方を向いた。 「写真を撮ってたんだ。この世界は昨日来たばかりだからな」 「は、はぁ」 シャシン、と聞き慣れない単語を耳にして、シエスタは生返事を返すしか出来なかった。 そこで士もこの世界に写真と言うものが存在していない事を思い出した。が、まぁ良いかとその問題は放置する。それと記念にと、首から下げたカメラでシエスタを撮る。 シエスタは今何をされたのか判らず、士の行動に首を傾げていた。 士はカメラから目を離すと、シエスタが抱えていた籠に目が行った。 「それにしても…随分な荷物だな。重くないのか?」 シエスタが抱えていた籠はかなり大きく、しかもそこには洗濯物が山の様に積まれていた。とてもじゃないが目の前の少女が持ち上げられる様なものには見えなかったが、現実に少女は苦もなく持ち上げていた。 「えぇ、これでも幼い頃から鍛えてるんです」 と、シエスタは余裕と言わんばかりに微笑んで見せた。 「アンタも魔法使いなのか?」 「いえ、私は平民です。貴族の方々のお世話をする為に、ここでご奉公させていただいてるんです」 じゃあそれは単純な腕力か、と士は心の中で苦笑した。 と、シエスタは世間話をしてる場合じゃない事を思い出した。今はこの目の前にいる見知らぬ男性の身元を確かめなければ。 「…あの、もしかしてミス・ヴァリエールが召喚したお家の方…ですか?」 「ん?あぁ、ルイズの事か。よく判ったな」 「えぇ、召喚の魔法で平民をお家ごと召喚したって、学院中で有名になってますから」 それと苦笑いを浮かべて「お家を一度見てみようとする人が貴族・平民を問わずかなり居そうですよ」と付け加えた。 これには士も苦笑いを浮かべる他無かった。 「…あ!そう言えばまだ名前も名乗ってませんでしたね。私はシエスタと申します」 「俺は門矢士だ。士で良い」 「ツカサさんですね、宜しくお願いします」 随分と珍しい名前だとシエスタは思いながら、笑顔で返す。 そして士が不審者でないと判り、軽い安堵感を覚え小さく一息吐き出す。 「どうした?」 「いえ、最初ツカサさんを見た時不審者かもって思ったんです。『土くれのフーケ』だったらどうしようって」 「土くれのフーケ?」 聞き慣れない言葉に首を傾げる。 「ご存じないんですか?今巷を騒がすメイジの盗賊で、何でも貴族様の宝を次々と盗んでるって、平民の間でも噂になってるんです」 「盗賊…泥棒か…」 泥棒と言う単語から、士の脳裏にあの気に食わない男の顔が浮かんだ。 『士、ナマコは食べられる様になったかい?』 いつものお決まりの台詞と笑顔が頭に浮かび、士の顔が一気に不機嫌になる。 それを見たシエスタは思わず肩を震わせた。 「あっ、あの、どうしたんですか…!?」 「いや、ちょっと嫌なヤツの事を思い出してな…」 改めて考え直せばあいつが魔法使いだなんて聞いた事が無い。『土くれのフーケ』とあいつは別人だろうと士の中で結論付く。 シエスタは士の様子を前にオロオロしながらも、そろそろ洗濯に向かわないとその後の仕事に支障を来すと思い、そろそろお暇する事にした。 「じゃ、じゃあツカサさん、私はそろそろ…」 「あぁっ!士くん!!」 シエスタがその場を去ろうと思った時、突然別の方角から女性の声が響いた。 シエスタと士がそちらの方を振り向くと、そこにはシエスタがさっき件の家から出てくるのを見た黒髪の男女———夏海とユウスケがこっちに向かって歩いて来ていた。 ズンズン、と言う効果音が似合いそうな足取りで、夏海は士に向かって一直線で歩いて行った。 「よお夏みかん、どうしたんだ?こんな所で———」 そして間髪言わせず士の首元に親指を突き立てる。秘伝・笑いのツボ押しだ。 「あはははは!な、夏海、お前、いきなり…あはははは!」 即座に大笑いを始める士。 シエスタは退場するタイミングを見失い、ただ目の前で起こっている惨状に戸惑うだけだった。 「どうしたって言うのはこちらの台詞です!こんな所で何をやってるんですか!?」 なんとか笑い地獄から脱出した士は、首元を押さえながら夏海の問いに応える。 「…ったく、写真撮ってたんだよ。この世界には昨日来たばかりだからな」 「写真って…ルイズちゃん放って何やってるんですか!?」 「お前らが行ったんだから、別に良いだろう」 「そう言う問題じゃありません!士くんはルイズちゃんの使い魔になったんですよ!?」 「だからって、あいつの下僕になるつもりは無い」 それを聞いて、夏海は顔を真っ赤にさせて頬をぷくぅと膨らませた。 ユウスケは頭を抱え、完全に部外者と成り果てたシエスタは端であわあわしていた。 「士くん、罰として今日はご飯抜きです」 「はぁ!!?」 「お爺ちゃんにもそう言っておきますから」 そう言って夏海は踵を返して写真館の方に向かって歩き出した。 「ちょっ…!な、夏海…?」 「ご飯が欲しかったらルイズちゃんに謝って食べさせてもらってください」 そうして夏海はそのまま振り返らず歩き去って行った。 すると今度はユウスケが士に肩をポンと叩く。 「残念だが、お前が悪い」 とだけ言って、夏海の後に続く。 「そうそう、ルイズちゃんは朝食を取りに食堂行ってるって」 そうとだけ言い残し、ユウスケも写真館の方向に消えて行った。 その場に残されたのは、呆然と佇む士とシエスタのみだった。 「シエスタ」 「はい!?」 いきなり名を呼ばれて思わず声が裏返る。 「食堂って何処だ?」 どうやら素直にルイズのもとに向かうらしい。 士はシエスタに本塔にある食堂の位置を教えてもらうと、すぐに本塔に足を向けた。 「…あのっ!」 すぐに本塔に向かおうとする士を、シエスタが呼び止めた。 士が怪訝そうな顔で振り向くと、シエスタは少し迷った様な素振りを見せたが、すぐに真剣な顔つきになって士に向き直った。 士がアルヴィーズの食堂まで辿り着くと、その入り口にはルイズが仁王立ちで待ち構えていた。 「ごきげんよう、ツカサ。今頃参上だなんて良いご身分ねぇ…」 ルイズは怒鳴り散らしたい衝動を精一杯抑えてあくまで優雅に、笑顔を作って士を迎えた。だが無理をして笑顔を作っているため、口元がかなり引きつっている。 「…おう」 しかし返って来たのは意外にも気のない返事だった。ルイズは眉をひそめた。 「そうそう、朝食だけど『アルヴィーズの食堂』は貴族しか食事出来ない決まりなんだけど、私の特別な計らいで私と一緒なら食事しても良い事になったわよ。でも私はもうとっくに朝食済ませちゃったのよね。だから残念だけどアンタは朝食抜きよ!」 本当はこの台詞を良いたいがために少し早めに食事を切り上げたのだ。いつもより少し早いペースで食料を流し込んだため、今の台詞を言いながら少し戻しそうになったが、威厳を損なうためなるべくそんな素振りは見せない様にする。 「…ま、朝食一つ抜いたくらいで死にゃしないだろ」 だが返ってきた返答はあっさりしたものだった。 「…だったら昼食と夕食も抜いてやりましょうか」 まったく反省の色を見せない士に更なるお仕置きメニューを課す。 流石に士も「そりゃ勘弁だ」とお手上げのポーズを取る。 だがまったく気持ちの乗ってない態度にルイズは更に苛立ちを増した。 「…そんな事よりも、アンタ、今朝の事で私に何か言わなきゃならない事があるんじゃないの!?」 少し声を荒げてそう言ったルイズ。 「今朝の事?…あぁ、お前の間抜けな寝顔を撮れなかった事は残念だったな」 ぷちっ。ルイズの中で何かが切れた。 「アンタねぇ…使い魔の分際で主人の言う事聞かないってどう言う了見してんのよ!?ふざけんじゃないわよ!!」 溜め込んでいたものを一気に吐き出すが如く怒鳴り散らす。周囲の道行く生徒達の視線がルイズ達に突き刺さるが構いやしない。今はこのどうしようもない使い魔に最低限の礼儀を教え込む事が最重要課題である。 やれやれと士は溜息を付いて肩を竦めた。 「わかったよ、謝れば良いんだろ、謝れば」 仕方無く士は頭を下げた。 「ダメよ!謝るんなら土下座なさい!頭を地面に着けて心から許しを請いなさい!」 「お前こそふざけんな」 ルイズと士の視線が交わりバチバチと火花を散らす。 周囲の生徒達が野次馬と化している。それには流石にルイズも気になりだす。 「…良いわ。仕方無いから今回は許したげる。ただし今日は一日食事抜き!それに今度使い魔の仕事サボったらもっとキツいお仕置きだからね、覚悟しなさいよ!」 「フンッ!」と、士は腕組みをしてそっぽを向いた。 「とりあえず今日の授業は使い魔同伴だから、これから私に着いてくること!あと午後は授業に出なくていいから部屋の掃除やっておいてよね!」 それだけ言うとルイズは踵を返して教室へと廊下を歩き出した。 士もルイズに続いて歩き出す。 とりあえず自分の後ろについて来る事に一先ず安堵する。 が、こいつを教室へ連れて行った後の事を思うと、それはそれで気が重くなってくるのであった。 士は自分の少し前を行く桃色掛かったブロンドの髪の後を追いながら、それを忌々しげに眺めていた。 (まったく、何でシエスタはあんな事を言ったんだか…) そして、先刻のシエスタの言葉を思い出していた。 『…ミス・ヴァリエールの事、余り悪く言わないであげてください』 『…何でだ?』 思わず聞き返した。 士には、シエスタがルイズを擁護する理由に見当がつかなかった。 『…それは、確かにミス・ヴァリエールは気難しくてお厳しい方ですけれど、でも、とてもお優しい方なんですよ』 『…優しい?あいつが?』 士は耳を疑った。 あの生意気で高慢ちきなルイズから一番遠いと思われる単語だったからだ。 『えぇ。流石に、貴族と平民と言う区別はちゃんと付けるお方ですが、その上で平民にもとても良くしてくださって、かく言う私もこの学院で働き始めの頃、少しだけお世話になった事があるんですよ』 そう言ってシエスタははにかんだ笑みを作って見せた。 『ほぉ…』 士は少しばかり驚いた。まさか平民であるシエスタからこのような言葉が聞けるとは思っていなかったからだ。 昨日、貴族と平民の関係はルイズから聞いていた。 魔法が使える貴族に平民は従いそれを敬うべき、と言うのがこの世界での常識らしい。はっきり言って、士はこの話を聞いて胸くそが悪くなった。 力在る者が力無き者を支配すると言うこの世界の構図は、これまで旅してきた世界で士が否定してきた事だからだ。 ライダーとアンデッドが手を組んで人間を支配しようとした剣の世界、ファイズの世界のラッキークローバーの連中もオルフェノクによる人類の支配を目論み、 アギトの世界のアンノウンは愚かな人間が力を持つ事を許さず、カブトの世界のワームもまた人類の支配を目論んでいた。 そして士は彼らの野望を悉く否定し、破壊していったのだが、どうやらこの世界ではその支配が当たり前になってしまっているようだった。 …多少マシなのは、支配しているのがアンデッドやワームと言った化け物でなく『力を持った同じ人間』である事だろうか。 だがそれ故に士はルイズを含むこの世界の貴族と言うモノに良い感情を持っていなかったのだが、そこにシエスタのあの言葉だ。 相手が貴族だからとか、敬うべき相手だからとか、そう言う義務感から出た言葉ではないと言う事は、シエスタの表情を見れば明白だった。純粋に、ルイズに敬意を表しているからこそ出た言葉なのだ。 『それに、あの方は…』 シエスタは更に言葉を続けようとしたが、その途中ではっとなって、少し悩んだ素振りを見せたが、 『…ここから先は、私の口からはちょっと…』 と、結局そのまま口を噤んでしまった。 あの時シエスタが何を言おうとしたのか判らない。聞いても『いずれ、わかると思います』とはぐらかされてしまうだけだった。 だがそこに『ルイズと言う人間』を知る手掛かりがある事を士は直感的に理解していた。 士は今までルイズを"貴族" "支配者"として見るばかりで、どうやら"人間"として見る事を無意識的に失念してしまっていたみたいだ。 (相変わらずこの世界でやるべき事ってのはよく判らん。どうやら暫くこいつの面倒を見なけりゃならないみたいだからな、こいつの事を知っておく必要はあるのかもしれないな) 何せルイズとは会って1日も経っていない。その間に士が知ったルイズの事と言えば『我が侭で生意気な貴族で魔法使いのガキンチョ、でも実は優しい、…らしい』と言う程度だ。 士は、首から下げた2眼カメラで前を歩くルイズを捉えた。ルイズはひたすら前を歩いている為、レンズ越しから覗けるのはルイズの後ろ姿だけだった。 (果たして、こいつの本当の顔はどんな顔してるんだかな) 士はそのままルイズの背中に向けてシャッターを押した。 カシャッと言うシャッター音と共にカメラの中のフイルムにその像が焼き付けられる。 シャッター音に気付き、ルイズが士の方に振り向いた。 「何?」 気怠そうな口調でルイズは尋ねる。 「良い絵だったからな、撮らせてもらった」 「後ろ姿が?」 「たまにはそんなのを撮ってみたくもなる」 「そんなもんなんだ」 終始気怠げな口調で士と会話し、ルイズは再び前方に向き直って教室へと歩き出した。 そして士も、そんなルイズの後に続いて歩き出した。 (こいつの本当の顔、撮ってみるのも悪くない) 士は心の中でカメラマン魂を滾らせていた。 ———もっとも、出来上がった写真の出来云々は別として。 前ページ次ページゼロと世界の破壊者
https://w.atwiki.jp/moejinro/pages/1485.html
8日目 Navi さわやかな朝がやってきました 自宅にて EVANSさん の遺体が見つかったようです… EVANS ぐええ・・、ぼくが死んだらHDDは抹消しといてください・・・ 2 (ゾンビ部屋) せんこ 食べ・・・え?w Navi 村人の皆様、今日もがんばってください Navi 昼の部スタートです 1 (なび村) レリック 【占い結果】ウツボンさん黒でした。 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa まだ狼いるのかー・・・ 1 (なび村) シエスタXX 何はなそうか 1 (なび村) レリック せんこさんの死因 1 (なび村) Emula ・・・ 1 (なび村) レリック 誰っすか入れたの 1 (なび村) Lumiya ちとgdgdになって申し訳ない 1 (なび村) ウツボン お、俺に黒か、俺視点レリックさん黒確定、やっぱ狐はせんこさんだったのかなぁ 2 (ゾンビ部屋) EVANS お疲れ様でした。 2 (ゾンビ部屋) せんこ おつかれ~んヽ(。・w・)ノ 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa おつかれさまですー 2 (ゾンビ部屋) ミキハウス お疲れ様です 2 (ゾンビ部屋) シンクロ お疲れ様ですYO!YO! 2 (ゾンビ部屋) ACT お疲れ 1 (なび村) シエスタXX んー 2 (ゾンビ部屋) デジュー オツカレサマー 1 (なび村) シエスタXX レリさん黒もあるんだっけ 2 (ゾンビ部屋) せんこ これどっち吊っても終わりかw 2 (ゾンビ部屋) EVANS 推理が1つ、また1つと外れていることが分かるたびに 1 (なび村) Emula ウツボン>レリックの順で吊りかな… 1 (なび村) レリック まあ共有2の請ってる時点で、もう私黒でもいいやって思える 2 (ゾンビ部屋) EVANS 何が何だか分からなくなっちゃいました 1 (なび村) ウツボン うん、そうすると占い結果は全撤回かな 1 (なび村) シエスタXX んーーー (T) せんこ > 総評:狐にやさしくない村でした! 1 (なび村) シエスタXX なんか怖いのは俺だけなんか 1 (なび村) Lumiya 一応聞いておきますが占いどちら真とみておりますかね? 1 (なび村) レリック 一応私が占ってないのはシエスタさんのみです 2 (ゾンビ部屋) EVANS そもそも占い真狂、霊能真狼はあたっているのでしょうか。それすら自信なくなってきちゃいました。 1 (なび村) シエスタXX ヨロイさんかな 1 (なび村) シエスタXX でも 1 (なび村) ウツボン 俺もヨロイさんかなぁ 2 (ゾンビ部屋) ACT メタだけどウツボンさんの失言を考えるとその内訳だと思います 2 (ゾンビ部屋) ひなっち 私を信じてくれないのですか; 2 (ゾンビ部屋) ヨロイモグラ アリガトウ!アリガトウ! 2 (ゾンビ部屋) シンクロ ひなっちさんを信じて差し上げましょう 2 (ゾンビ部屋) EVANS 失言ありました? 1 (なび村) シエスタXX なんか引っかかるんでけど (T) ウツボン > 日数計算ていうかそもそも噛み先をミスってる件について・・・なんというgdgd 2 (ゾンビ部屋) ミキハウス チラッ 1 (なび村) Emula レリックさんだったけど今は結構あやふやに… 2 (ゾンビ部屋) ACT あと占い真狼だともぐらさんを噛んだ理由が分からないかな 1 (なび村) Lumiya ふむふむ 2 (ゾンビ部屋) ACT あの誤爆です 2 (ゾンビ部屋) シンクロ その代わりにボクのことを可愛らしいと妄信するのです! 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa では私はもぐらさんをつまみ食いー 2 (ゾンビ部屋) ひなっち ムリデス 2 (ゾンビ部屋) EVANS もぐらさんをかんだ理由、真狼でも信用勝負とは限らないですし 2 (ゾンビ部屋) EVANS 無理はないと思いますよ。 2 (ゾンビ部屋) デジュー もぐらさん狂でシエスタさん狼ってありえると思う? 1 (なび村) シエスタXX レリさん狂なら 2 (ゾンビ部屋) シンクロ 2 (ゾンビ部屋) EVANS そこなんですよーひっかかるのが 2 (ゾンビ部屋) ひなっち ムリデスはシンクロさんにいったのです^^; 1 (なび村) せんこ ヽ(。・w・)ノ・・・・ Navi 5分経過(後2分) 1 (なび村) せんこ ごb 2 (ゾンビ部屋) せんこ ヽ(。・w・)ノ・・・・ 2 (ゾンビ部屋) EVANS 逆囲いとかあるのかなーって。 1 (なび村) シエスタXX この結果がおかしいのかな? (T) ウツボン > この時点で残ってるのかシエスタさんと共有二人じゃダメジャン・・・俺は馬鹿か 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa せんこさん・・・ 2 (ゾンビ部屋) せんこ なななななんでしょう! 2 (ゾンビ部屋) ミキハウス 黄泉がえりですね 1 (なび村) シエスタXX むずかしく考え過ぎかな 2 (ゾンビ部屋) ひなっち せんこさん結局何者なんでしょう・・・ 2 (ゾンビ部屋) EVANS 残った占い、十中八九狂で見てるんですが 2 (ゾンビ部屋) デジュー でもレリックさん真になるとせんこさん狐はなくて 2 (ゾンビ部屋) デジュー 狼でもない 2 (ゾンビ部屋) せんこ せんこです 1 (なび村) レリック 私が狂だったら、たぶんウツボンに黒ださないかな 2 (ゾンビ部屋) デジュー せんこだな 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa 転生前にフライング蘇り・・・w (T) ウツボン > あそこでPさん噛んだのが間違いだったんや・・・ 1 (なび村) シエスタXX そうかな Navi あと1分 2 (ゾンビ部屋) EVANS だとしたら 1 (なび村) ウツボン うーむ 2 (ゾンビ部屋) EVANS 狂人はすごいとこに●だしますね 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa 姉が爆笑してるのでGJでした Navi 20秒前 1 (なび村) シエスタXX 今日はウツさんに入れるか 2 (ゾンビ部屋) EVANS ウツボンさん逆囲いってことですかね。最後の最後に。 1 (なび村) Lumiya 前日いってた通りウツボンさん疑っております 1 (なび村) ウツボン 俺はレリックさんに入れるかな Navi 夜まで時間がありません 皆様今日の尊い犠牲をお選びください(会話はストップです) 2 (ゾンビ部屋) デジュー 普通にウツボンさんLWでいい気がする。もしくはレリックさんも狼 3 (GREEN) Navi 会話可能時間スタート 3 (GREEN) Navi ---------------------------------------- Navi 投票は私に直Tellでお願いします 1 (なび村) Navi -------------------------- 1 (なび村) Navi 8日目終了 1 (なび村) Navi -------------------------- 2 (ゾンビ部屋) EVANS もしくはの内訳がww 3 (GREEN) ウツボン 噛み先みすってるわああああ!ごめんよおおおおおorz (T) シエスタXX > ウツさんで (T) Emula > ウツボンさん (昨日はウツボシと間違ってたヒャッホウ) (T) Lumiya > 投票 > ウツボンさん (T) ウツボン > lumiyaさんに狼牙風々 2 (ゾンビ部屋) EVANS ちなみにぼくがPシステムさん非狼を見てたポイントはたった1つで 2 (ゾンビ部屋) ひなっち これで勝負がきまるのかな? (T) ウツボン > 拳! 2 (ゾンビ部屋) せんこ おねーさん横でみてるの?w 2 (ゾンビ部屋) EVANS 1日目の「動画目的はどうがと思う」が華麗にスルーされてたからです 2 (ゾンビ部屋) Pシステム そういえばすごく非狼扱いしてましたよねー 2 (ゾンビ部屋) せんこ (;゚д゚) 2 (ゾンビ部屋) Pシステム つまりどういうことだってばよ (T) レリック > Luimyaさんかなー。ウツボンさん的に私が偽であるとこわかってるはずなのに…票合わせられないじゃん。まあ、ゴメン、本当にゴメンと言っておく 2 (ゾンビ部屋) EVANS 誰にも絡まれないってことは 2 (ゾンビ部屋) EVANS そういうことなんだろうなって思いましたw 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa 人狼のイベント見てるって言ったら私も見る!って 2 (ゾンビ部屋) せんこ おねーさんこんばんは!せんこですヽ(。・w・)ノ 2 (ゾンビ部屋) Pシステム なんだか釈然としないw (T) シエスタXX > 今更確認だけど占い噛みと狐銃殺同時でも狐死ぬよね? 3 (GREEN) ウツボン 噛み先考えるときは、最終的に誰を残すかを考えながら噛まなきゃ未来はないorz (T) > シエスタXX はい、同時にお亡くなりになりますね~ (T) ウツボン > lumiyaさんでお願いします 2 (ゾンビ部屋) せんこ うちの輝かしい(笑)活躍を見たいときは1/2の新春人狼の動画を見てね!← (T) シエスタXX > おk ありがと~ Navi 20秒前 (T) レリック > やっぱ変更シエスタさんで (T) > レリック 了解です~ ウツボン3 Lumiya2 シエスタXX1 Navi さよなら ウツボンさん …あなたの勇姿は忘れない 2 (ゾンビ部屋) EVANS 投票結果見れないので、推理もこんなかんじになっちゃいます。自分の場合w>Pさん 2 (ゾンビ部屋) すねすき すねすきの愛の物語を見たいときは1/2のMoE人狼動画を見てね! 2 (ゾンビ部屋) ヨロイモグラ MoE始めたきっかけが人狼動画だったニャー ウツボン K O , ウツボン 人狼「この狼牙風々拳を破らぬ限り貴様に勝ち目はない!」 ウツボン ウツボン「ウーワウーワウーワ・・・」 Navi 日が沈み始めました よい子も悪い子も寝る時間です Navi 役職の方は私にTellお願いします 2 (ゾンビ部屋) せんこ すねちんめぇえええw 3 (GREEN) ミキハウス お疲れ様です… 2 (ゾンビ部屋) すねすき |ω・)ふふふ 4 (パリっ子) Emula 終わったんだろうか・・・ 4 (パリっ子) Lumiya うーん、頭がこんがらがっとる 2 (ゾンビ部屋) ヨロイモグラ そしてウツボンさん吊っても終わらないかー 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa 動画は全部保存してありますー 2 (ゾンビ部屋) せんこ おぉー 4 (パリっ子) Emula なんか翌日も続きそうな気がしてならない… 2 (ゾンビ部屋) せんこ じゃあ今一度1/2(ry 2 (ゾンビ部屋) ウツボン ゾンビイィイイイン! 2 (ゾンビ部屋) デジュー オツカレサマー 2 (ゾンビ部屋) ミキハウス お疲れ様です 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa おつかれさまですー 2 (ゾンビ部屋) すねすき 新春人狼はその36だったかねぇ 2 (ゾンビ部屋) EVANS お疲れ様ー 2 (ゾンビ部屋) ヨロイモグラ おつかれさま~ 2 (ゾンビ部屋) せんこ おつさま! 2 (ゾンビ部屋) すねすき おつかーれーさまー 2 (ゾンビ部屋) ACT おつかれ! 2 (ゾンビ部屋) EVANS 最後までウツボンさんが狼に見えなかったー 2 (ゾンビ部屋) シンクロ せんこさんの動画云々はボクにいっているのかなぁ とおもっていました。 お疲れ様です 2 (ゾンビ部屋) せんこ 実は差異整数でもかなり上位にある1/2 2 (ゾンビ部屋) Akizuki お疲れ様です~ (T) レリック > ってかこれで終了かー。 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa 串カツもらったー、これで飢えずにすみます! 2 (ゾンビ部屋) ウツボン またゾンビ村作ってしまった・・・ 4 (パリっ子) Lumiya 一応レリックさん視点でみたら●2、霊媒ロラで●1で片付いてる 2 (ゾンビ部屋) せんこ 再生数! 2 (ゾンビ部屋) EVANS あ、自分もwっw>ゾンビ村 2 (ゾンビ部屋) デジュー これで終わんないならレリックさんLWかなぁ 2 (ゾンビ部屋) EVANS 最初おつかれーって言っても誰も反応なくて寂しかったです、ゾンビ村 2 (ゾンビ部屋) ウツボン 寂しいですよね、あれ・・・ 4 (パリっ子) Emula ふむ 2 (ゾンビ部屋) ミキハウス そのまま、ch保持してれば二人村に 4 (パリっ子) Lumiya コレで終わってなかったらレリックさん吊りたいですね 2 (ゾンビ部屋) せんこ うちもさっきやらかした 問題ない 2 (ゾンビ部屋) ウツボン ←3回目 2 (ゾンビ部屋) シンクロ 大丈夫だ 2 (ゾンビ部屋) シンクロ 問題ない 2 (ゾンビ部屋) デジュー ゾンビ村大人気 2 (ゾンビ部屋) シンクロ エルシャダーイ 2 (ゾンビ部屋) EVANS 次から 4 (パリっ子) Emula ですねぇ 2 (ゾンビ部屋) ウツボン ああ、また今回もダメだったよ・・・ 2 (ゾンビ部屋) EVANS ゾンビ村間違えて立てたら保持しとくローカルルールにしましょう 2 (ゾンビ部屋) ウツボン 先生!専用CHにも入らなきゃいけない人はゾンビ部屋にはいれなくなります! 4 (パリっ子) Lumiya 正直共有でここまで残るのは予想外っ 2 (ゾンビ部屋) Akizuki そうなんですよねw 4 (パリっ子) Emula 確かにw 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa チャンネルがゾンビ村で埋まる・・・とかですか? 2 (ゾンビ部屋) EVANS 専用CHってなんでしたっけ 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa 狼と共有? 2 (ゾンビ部屋) Akizuki 狼CHとか 2 (ゾンビ部屋) せんこ そそ 2 (ゾンビ部屋) ミキハウス 共有 狼じゃないですかね 4 (パリっ子) Lumiya ひどいグレー噛みが多いんだけどなんなんだこれはっ 2 (ゾンビ部屋) ウツボン 専用CH、村、ゾンビ村の3つで埋まってしまいますね 4 (パリっ子) Emula 狐さがしなのかな 4 (パリっ子) Emula そこが変なんですよね 2 (ゾンビ部屋) EVANS そういえば自分 2 (ゾンビ部屋) EVANS 未だに人外引いたことないんですよねMoE人狼 2 (ゾンビ部屋) ミキハウス 真っ白だー! 4 (パリっ子) Emula 占いも噛むし 1 (なび村) Navi -------------------------- 1 (なび村) Navi -------------------------- 4 (パリっ子) Lumiya これでシエスタさん狐だったら笑う 2 (ゾンビ部屋) ウツボン 驚きの白さ Navi すがすがしい朝がやってきました 村人は昨日のまま全員元気な姿で顔を合わせることができたようです Navi 村人勝利END Fin 1 (なび村) シエスタXX ととと当然じゃないか! 2 (ゾンビ部屋) ACT GJ 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa おぉ!!! 2 (ゾンビ部屋) すねすき おおー 4 (パリっ子) Emula お 2 (ゾンビ部屋) せんこ オワタ 1 (なび村) ミキハウス お疲れ様です 1 (なび村) EVANS お疲れ様でしたー 1 (なび村) デジュー お疲れ様! 2 (ゾンビ部屋) ヨロイモグラ おつかれさま~ 1 (なび村) Emula おつかれさまー 1 (なび村) ACT お疲れ様でした! 2 (ゾンビ部屋) ウツボン 共有ェ・・・ 1 (なび村) Akizuki お疲れ様~ 1 (なび村) ヨロイモグラ おつかれさま~ 1 (なび村) レリック おつかれさまー 1 (なび村) Lumiya 共有が両方生存ってなんなの!!!!!!! 1 (なび村) ウツボン お疲れ様です 2 (ゾンビ部屋) ひなっち 配役が気になるところ・・・ 1 (なび村) Lumiya おつかれさまですー 1 (なび村) Pシステム おつかれさまです 1 (なび村) EVANS いっぱいミスリーしてごめんちゃい! 1 (なび村) デジュー 共有生き残ったね~W 1 (なび村) Emula 気が抜けたー 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa ペパ様・・・w 2 (ゾンビ部屋) シンクロ せんこさんにも嫌われてしまったのかとおもいました! 1 (なび村) ウツボン 俺が噛み先ミスったのがいけなかったんや・・・ Navi それでは役職発表です! レリック どろーん 1 (なび村) Akizuki この村はニュータイプだよ・・・・ 1 (なび村) シンクロ お疲れ様ですYO!YO! 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa ドキドキ・・・ Navi 人狼 ウツボン ミキハウス Akizuki Navi 占い師 ヨロイモグラ Navi 霊媒師 ひなっち Navi 狩人 ACT 1 (なび村) ミキハウス 共有マジエスパー Navi 狂人 レリック 1 (なび村) ウツボン 村人RPすると噛み先に思考が回らなくなるんだよなァ・・・ Navi 妖狐 せんこ 1 (なび村) せんこ こんなかわいいもにゅこんがせん狐なわけないじゃない!ヽ(。・w・)ノ Navi 共有者 Lumiya Emula 1 (なび村) ACT ちょっとまって 2 (ゾンビ部屋) せんこ ナイナイ Navi 以上でした! デジュー アクトさんww 1 (なび村) EVANS えええええええええええww 1 (なび村) ACT 狩人じゃないよ 1 (なび村) ミキハウス 2連続マジ勘弁です 1 (なび村) Emula あれ?w 1 (なび村) ACT TELLもらってないです 1 (なび村) Pシステム ふぇぇ・・・ 1 (なび村) ウツボン マジ共有自重w 1 (なび村) Akizuki なんだってー 1 (なび村) せんこ え? 1 (なび村) EVANS え? 1 (なび村) ミキハウス え 1 (なび村) Akizuki 波乱の予感w Navi え 1 (なび村) ウツボン エア狩人・・・だと・・・俺ずっと警戒してたのにww 1 (なび村) デジュー アレ? 1 (なび村) Emula ゴゴゴゴゴゴゴゴ 1 (なび村) ミキハウス これは… 2 (ゾンビ部屋) Eleanoa Navi様・・・w 1 (なび村) Lumiya まさかの狩人不在村だと・・・! 1 (なび村) ヨロイモグラ 本物の狼だったのか Akizukiさん・・・ 1 (なび村) すねすき エア狩人・・・新しい 1 (なび村) EVANS つまりこれは、狩人なしで村勝利・・・ 1 (なび村) デジュー さては・・・? 1 (なび村) ひなっち ナビさんこれはいったい・・・ 1 (なび村) ウツボン 共有さっさとカンデレバコンナコトニハナラナカッタノニナー! 1 (なび村) ACT まさか・・・ 1 (なび村) せんこ なびん確認中 1 (なび村) Akizuki 自分が狩人です(きりっ 1 (なび村) Lumiya だうと 1 (なび村) ミキハウス Akizukiさんはほんまもんの狩人だったんや! 1 (なび村) EVANS Naviさんが深呼吸をしているようです シエスタXX どうだった? せんこ dkdk 1 (なび村) ひなっち 狩人不在村? 1 (なび村) Lumiya てかやけにCO多いと思ったらひどい狼スナイプしてたのか・・・ 1 (なび村) Emula ((( 3[布団] 1 (なび村) ミキハウス ひどいなんてもんじゃないですw 1 (なび村) EVANS MVPは共有ですねw 1 (なび村) ウツボン ←村人RPしすぎてか岬をミスリまくった人 1 (なび村) EVANS ミキハウスさん指定はちょっとずるい気もしましたがw 1 (なび村) ACT えっと他に名乗り出てないってことは本当にTELL忘れ??? 1 (なび村) ひなっち MVPは不在狩り日とかと・・・ 1 (なび村) Akizuki 共有がニュータイプだからw 1 (なび村) せんこ あのあきずきさんの指定関係とうち指定はほんと泣きそうだったよ! 1 (なび村) Akizuki 狐は排除するのです! 1 (なび村) Lumiya てかせんこさんケアをすっかり忘れてて危なかった! 1 (なび村) せんこ えへヽ(。・w・)ノ 1 (なび村) Lumiya あとからうわーてなってたんだ 1 (なび村) ウツボン 一瞬狐勝ちかと思った 1 (なび村) ヨロイモグラ 完全にAkizukiさん狐だと思ってた 1 (なび村) せんこ うつぼんさんなんで吊ってくれなかったの! 1 (なび村) EVANS ぼくもです 1 (なび村) Lumiya でもせんこさんが吊れたっていう Navi ぎゃあああああああああああああああああ 1 (なび村) EVANS 共有してい無視した村ないす! 1 (なび村) ACT www せんこ なびいいいいいいいいいいいいいん すねすき まさかww 1 (なび村) Lumiya そしてNavi発狂 ミキハウス Oh… レリック のーかん。のーかん ヨロイモグラ ヒッ Navi TELLしてなかたあああああああああ Eleanoa まさか・・・ 1 (なび村) デジュー 動画化決定!! ヨロイモグラ ぎゃぁぁぁぁぁ ACT www せんこ やっちまったな! すねすき うわああww EmulaはNaviをツンと突付いた Akizuki おわーーー デジュー ヤッチマッタナー 1 (なび村) ウツボン シオニーちゃんオオスギィ! ひなっち 狩人不在村決定 デジューはNaviをツンと突付いた ミキハウス 没収試合になってくれえええ EVANS いいじゃない村勝ったんだからw Emulaの中身が出てきた せんこ なってくれえええええええ レリック 一回も守りのrellこなかったことになぜ気づかない せんこ そういえば・・・w Navi だって ACT 初日死亡>レリックさん デジュー だって初日に吊られてるもんw せんこ 一回も護衛tellきてないのに気づかなかったんだねw ウツボン 動画化したら俺フルボッコ確定じゃないですかヤダー! Navi 2日目に吊られたんですもの・・・ せんこ あー・・・w Akizuki 初日吊られてるえw Lumiya なるほど・・・! Lumiya そっちの意味でもひどいスナイプだったのか・・・! ミキハウス 初日から共有抜けばよかったんや!そしたらスナイプなんてなかったんや! EVANS w Navi なんといか Emula なんともw デジュー 歴史に残る村だった・・・ EVANS 初日共有抜きとか狂気の沙汰ww レリック 結果はかわらなかったということで Navi みんなごめんね! Eleanoa そんなNavi様が好きですー シエスタXX んま狩人だっただけよかったじゃん すねすき ある意味面白い村になったね ウツボン 共有ぬいとけば最後に共有と白ばっか残ってるなんて状況にならなかったのに・・・ Akizuki 面白かったからおkです! せんこ うんいい村だったw ミキハウス 面白かったですねw 4 (パリっ子) Emula なんとも良く勝てたですねw ウツボン 面白かったですけどw Eleanoa おつかれさまですー Lumiya グレーばっか噛んでなんなんだって感じでしたよ! 村人勝利 役職 人狼 ウツボン ミキハウス Akizuki 占い師 ヨロイモグラ 霊媒師 ひなっち 狩人 ACT (TELL忘れにより不在) 狂人 レリック 妖狐 せんこ 共有者 Lumiya Emula 進行による不備がありましたことをここにお詫び申し上げます 7日目へ 2012年4月28日全ログへ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5336.html
前ページ次ページ毒の爪の使い魔 教室を出てからもジャンガは暫くルイズを解放せずに歩き続けた。 広場に面した通路に来て、漸く胸倉を掴み上げる爪を離した。 首が絞まっていたルイズは、床に落下した途端、大きく咳き込んだ。 「ごほっ、げほっ」 「テメェに聞きたい事があるゼ?」 そんなジャンガの言葉にルイズは恨めしげに見上げる。 「な、何よ…授業中にいきなり」 「授業中も何も関係無ェだろうが?テメェがいた所で爆発起こして邪魔するか、 邪魔にならないように隅で本を読むしかネェじゃねェか?…そんな奴が一人居なくなったところで、 大して支障は無ェだろうが。違うか?」 「…っ」 痛い所を突かれ、ルイズは悔しげに歯噛みする。 それをつまらない物でも見るように、見下ろすジャンガ。 「フンッ…、まァ、そいつは置いといてだ……テメェ、モット伯って知ってるか?」 ルイズは驚き、顔を上げる。 「モット伯!?あ、あんた…そんな事聞いて、どうする気なのよ…?」 「別に…ただ、気になっただけだ」 「気になるって……何でモット伯を気にするのよ?」 「モット伯の所に、あのシエスタ嬢ちゃんが仕える事になったゼ」 「…え?」 ジャンガの言葉に驚き、目を見開くルイズ。 「シエスタが…本当?」 「ああ…、今朝迎えの馬車に乗り込む所に出くわしたゼ。実に寂しげな顔をしていたっけな~?」 それを聞いたルイズの顔はどんどん曇っていく。 「そんな、急に…」 「モット伯の事、教えろ」 「…モット伯は王宮の勅使よ。学院にも偶に来るわ。…いつも偉ぶってて、私は好きじゃないけど」 「勅使ィ?」 「簡単に言えば、王宮の重要な命令なんかを伝える役目を担ってる官吏の事よ。ようは王宮の御偉い様ね」 「…んだ?命令伝えるなんざ、手紙でも送りゃ済む事じゃねェか…。わざわざ”そんな事”にまで役目与えるなんてな…」 ”そんな事”の部分を強調するジャンガにルイズはムッとした。 「勅使が伝える事は外部に洩れてはいけない、洩らしてはいけない本当に重要な事なの。 伝書フクロウなんかで運んだら、万が一他人に盗み見られるかもしれないじゃないの。 だからこそ、王宮では信頼に値する実力の伴った貴族を勅使に任命するのよ。解った!?」 「あ~はいはい…、実に良く解る説明だったゼ」 爪で器用に耳の穴を穿りながら、ジャンガは生返事を返す。 「でだ…、そんな御偉い勅使の”貴族様”がなんだって、こんな所で働いてる小娘一人をわざわざ引き抜いたりするんだ? 御偉い様なんだからよ…召使なんかには事欠いていないんじゃないか?」 その質問にルイズは難しい顔をする。 「…多分、自分の妾にするのだと思うわ…」 「はァ?」 間の抜けた声が口から漏れた。 妾……つまりは、最初から”女”として扱う為に雇ったと言うのだ。 「貴族にも色々いるし、噂でしか聞いてないけど…。そう言う話もあるって事…」 「ハンッ、想像していたよりも、貴族ってのは性質が悪いみたいだな。…獣以下だゼ」 ジャンガの最後の言葉にルイズはキレた。 「あ、あんた、今のは貴族全員に対する最大の侮辱よ!?」 「事実を口にしただけだぜ…?この間のキザ野郎もそうだが、平民に対して人としての接し方をしてるとは思え無ェよな? まるで牛馬に対するような、家畜同然の扱いだ」 「そ、それは…」 「テメェだってそうだろう…、俺様を使い魔だと言って、こっちの言い分なんか聞きもせずにこき使ってくれたくせによ? …もうそんな命令は受けたりしネェけどなァ~。キキキ、お前もモットって奴と同じだゼ」 「違う、私は違う!私は…」 「どう違うってんだ?違う所を探す方が難しいぜ…。――ああ、”魔法が使えない”って所は違うかもな…キキキキキ!」 「くく~~っ!!」 悔しがるルイズ。と、唐突にジャンガは笑いを引っ込める。 「な、何よ?」 「まァ……貴族はクソだが、平民もクソが多いよな…」 「え?」 「例えば…こんな奴等さァァァーー!!」 叫びながら、ジャンガは後ろへと振り向きざまにカッターを放つ。 唸りを上げて飛ぶカッターは少し離れた所の壁を大きく抉る。 煙が立ち込め、壁の欠片がパラパラと降り注ぐ。その光景にルイズは呆然とするしかなかった。 「あ、あんた…いきなり何を――」 「おい…そこに居るんだろう?」 ルイズの言葉を遮って、ジャンガは崩れた壁を見ながら声を掛ける。何だろうと思い、崩れた壁を見る。 煙が晴れ、そこに数人の給仕の男女の姿が見えた。突然の事で皆一様に震えている。 その給仕達に向かってジャンガは歩み寄るや、男の一人の胸倉を掴み、高々と持ち上げた。 首が絞まり、息苦しさに苦悶の表情を浮かべる。 ジャンガはそんな事は気にも留めずに給仕の男を睨み付ける。 「おい…さっきからウルせェんだよ…。陰で隠れてこそこそしやがって、正直ウゼェぜ」 「ちょっ、ジャンガ!いきなり何を!?」 怒鳴るルイズにジャンガは不思議そうな表情を向ける。 「お…こいつらの事を庇うのか?…こいつらが今何を言っていたか知りたいか?」 「え?」 「こいつら、さっきからここに隠れてテメェの悪口を言ってたんだよ。無能なのに貴族で生意気だとか…、 とんでもない奴を召喚しやがってとか…、使い魔の主人のくせに管理できてないとか…、 そりゃもう色々とな…。正直、あまりのバリエーションの多さに俺でも脱帽しちまったぜ…キキキ」 「……」 「ま、無力な雑魚共が出来る事といやぁ…これ位だろうけどな。――俺としてはウゼェ事極まりねェ…」 そこまで言ってジャンガは給仕の男を自分の眼前に引き寄せた。 息が掛かるほどの距離で睨み付けられ、給仕の男は震えるばかりだ。 震える男にジャンガは威圧感タップリに言った。 「お前等が別に貴族の奴等をどう思おうと、どう悪く言おうと関係無ェさ…。だがよ、そういうのは俺のいない所で言いやがれ。 ウゼェんだよ…、今度俺の近くで同じ事をしたら……」 そこで一旦言葉を切ると、一層濃い殺気を含んだ視線をぶつける。 「殺すぞ?」 ――たったの一言だった。しかし、その一言に掴まれた男だけでなく、他の給仕も全員、一様に激しく何度も首を縦に振った。 それを見ると、ジャンガは男の胸倉を掴み上げる爪を離した。 地面に落下した男は、その場で息を整えるもせずに咳き込みながら、ほうほうの態で逃げ出す。 他の給仕達も男が逃げ出すと同時に蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。 その様子を見て、ジャンガは笑った。 「キキキ…全くよォ、互いに憎み合っている様は見ていて楽しいぜ。 貴族も平民もやってる事は同じだってのによ…それにすら気付いてねェかな?キキキ…馬鹿ばかりだな」 「な、何よ…煩いんじゃなかったの?」 「あン?…別に見ている分には楽しいさ、当然の事だろう?ただよ…、俺が話をしている時に横槍を入れるのが気にくわねェんだよ」 「そう…」 「フンッ……もうテメェに聞く事も無ェ…、教室に戻るなり部屋に戻るなり好きにしやがれ」 「その積りよ!」 ルイズはスカートに付いた埃を払い、踵を返すと教室へと戻っていった。 ジャンガはもう一度つまらなそうに鼻を鳴らすと、その場から立ち去った。 夕方… オレンジ色に染め上げる夕日、輝きを増してきた二つの月が空に浮かんでいる。 それらを本塔の屋根の上で見上げながら、ジャンガはポツリと呟いた。 「…不味かったな、昼食…」 あの後、適当に時間を潰し、昼食をいつもの通り厨房で食べた。 マルトーとか言うオッサンは嫌な顔をしていたが、相手の機嫌を損ねるとどうなるかは解っているので、 嫌な顔をしながらも最高の料理とワインを出したから別にいい。――しかし、何か物足りなかった。 今までと同じような食事だ。実際、味は悪くない。違いは無いはずである。 …あるとすれば、いつも怯えながらも厨房の連中でただ一人、笑顔で居続けた例の小娘が居なかった事位か。 小娘一人居なくなっただけで、なんでこんなに飯が不味く感じるのだろうか? 不思議……と言うよりは不愉快だった。 「チッ…」 ジャンガは舌打し、目を閉じた。少し…と言うよりはかなり早いが、眠ってしまえば嫌な事も忘れられる。 そう考え、ジャンガは夢の世界に意識を委ね様とした。…が、その考えは直ぐに打ち砕かれた。 目を閉じた瞬間、例の小娘の顔が浮かんだのだ。それも最後に別れた時の寂しげな表情をして…。 (ああ……全く、ウザってェ…) イライラを募らせながら、何とか視線を小娘から逸らそうとするが、それも叶わなかった。 やがて、小娘は会釈をし、馬車へと走っていく。 (クソが……いつまで続くんだよ――って、ん?) イライラが頂点に達しようとした時、ジャンガはある事に気が付いた。 馬車の扉が開け放たれた時に、中に赤く丸いずんぐりとした生き物が見えたのだ。――その生き物にジャンガは見覚えがあった。 生き物が何であるのか理解した瞬間、ジャンガは両目を見開いていた。 跳ね起き、ポツリと呟く。 「何で…ここにいるんだ?」 解らない。ここが自分の居た世界とは違うのは既に承知の事実。…では、何故”あれ”がここに居るのだ? 自分の様に召喚されたのか?ルーンは見当たらなかったが、逃げ出したりしたのだろうか? …いや、もっと単純な理由がある。そう”あいつ”だ。 「…確かめるか」 ジャンガは立ち上がると本塔の上から消えた。 寮塔の玄関ホールにある噴水。 その縁に腰掛け、二人の生徒が話をしている。ギーシュとモンモランシーだ。 モンモランシーはギーシュから手渡されたのであろう、ブローチを嬉しそうな笑顔で見ている。 「素敵、ミスリル銀のブローチね」 「君にお似合いだろう、モンモランシー?」 その言葉にモンモランシーは怪訝な表情を浮かべると、ギーシュを見た。 「これでこの間の事を帳消しにしようっての?」 モンモランシーの言葉にギーシュはふと笑みを浮かべる。 その笑顔にモンモランシーはドキッとしたが、辛うじて顔には出さずにすんだ。 「な、何よ…そんな顔しちゃって?」 「モンモランシー……僕は間違っていたよ」 「え?」 ポカーンとするモンモランシーだが、ギーシュはそのまま言葉を続ける。 「僕は多くの女性に対して同じように接するのが正しい事であるとして信じてきた。 だが、それは間違いだった。この間の事で理解したよ…真に愛する者はただ一人しかいないのだと。 君はあの時、あの凶悪な亜人を目の前にしながら、僕を庇ってくれた。 …嬉しかったよ、本当に。そして、同時にこんなに優しい君をちゃんと見つめていなかった自分を恥じたよ。 これからは君を見続けるよ。無論、必要な時には一人の男として他の女性に接したりするだろう。 だが、愛するのは君だけだ…モンモランシー。約束する、もう君を悲しませたりはしないよ、僕のモンモランシー」 モンモランシーは別人を見るような目で目の前の男を見た。 あの決闘騒ぎ以前の彼ならば、こんな台詞を吐く事は……あったかもしれない。 (それはどうでもいいわ!) 心の中で叫ぶ。…とにかく、今のギーシュは以前とは違う。 軽い軟派な男ではなく、文字通りの”漢”だ。 モンモランシーは確信していた、今の彼ならば全てを信じて上げられる…と。 「…いいわ、信じてあげる。――絶対に、私を泣かせないでよね?」 「ああ、約束するとも」 そう言うと、ギーシュはモンモランシーの顎に手を添え、目を閉じる。 モンモランシーもウットリとして目を閉じる。 目を閉じた二人の距離は徐々に近づき、そして―― 「おー、おー、熱いねェ~?」 ――唐突に聞こえてきた声に、二人は目を開き、声の方に顔を向ける。 ニヤニヤしながら長身の亜人が自分達を見下ろしていた。 「ジャ、ジャンガ!?」 ギーシュは反射的に立ち上がり、モンモランシーを背に庇う。 モンモランシーは心配そうにギーシュを見つめる。 「き、君は…ま、また、人の恋路を邪魔しに来たのか…?」 「キキキ…、そりゃお前…こ~んな楽しい事をやっている所へ首を出さない訳が無いだろうがよ?」 「傍迷惑よ!」 叫ぶモンモランシーだが、 「――嘘だがよ」 直後のジャンガの言葉に脱力し、一瞬こけそうになった。 しかし、ギーシュは変わらずジャンガを睨み付けた。 「一体、僕達に何の用が有るんだ!?」 そう叫ぶギーシュにジャンガは目を向ける。ギーシュはその目に一瞬、決闘の時の恐怖を思い出し震え上がったが、 直ぐに立ち直ると杖である造花のバラを構えた。それを見てもジャンガは笑うだけだ。 「キキキ、そんなにカリカリすんじゃねェよ。――テメェに聞きたい事が有るのさ」 「へ?」 唐突なその言葉にギーシュはポカンと口を開けた。 その夜… 夕食を取っていたルイズの下に珍しく、料理長のマルトーがやって来た。 「あの、貴族様…お食事中に申し訳ないんですが…」 「何?」 ルイズはスプーンやフォークを動かしていた手を止め、取り出したハンカチで口元を拭う。 「その、貴方様の使い魔の事なのですが…」 「……ジャンガがどうかしたの?」 また何かしでかしたか…、ルイズは頭痛がする頭を抱え込む。――しかし、返ってきた答えは予想外の物だった。 「いえ…いつもならば既に姿を見せているはずの時間なのですが…、一向に厨房に現れないので…。 折角の料理も冷めてしまうので…それで、主人である貴方様にお尋ねしたのですが……ご存知ではないですか?」 ルイズは驚いた表情でマルトーを見る。 「あいつが…いないの?」 「へ、へぇ…」 どうしたのだろうか?まさか、何処かで遊び呆けているのか? 悩んでいるとテーブルを挟んだ向かいで、モンモランシーと食事をしながら談笑していたギーシュが口を挟んできた。 「あの亜人がいないのか、ルイズ?」 「ええ…そうみたい。何か知ってるの?」 「いや、実はさっきの事なのだが、あの亜人がモット伯の屋敷の場所を尋ねてきてね」 「モット伯ですって!?」 驚き、声を上げるルイズ。昼間の件もある、一体あの亜人はモット伯の屋敷に行って何をするつもりなのだ? ルイズは唐突に席を立つと、そのまま食堂を出て行こうとする。マルトーはルイズの背に声を掛ける。 「あの、貴族様…どちらへ?」 「…貴方には関係ないわ」 「食事は?」 「片付けておいて。もういらないから」 そう言うとルイズは食堂から出て行った。 ――ここで少し時間を遡る… ――ルイズが食堂を出る約二時間前―― ギーシュから場所を聞いたジャンガは、今モット伯の屋敷の前へと来ていた。 「来たはいいが…さて、どうするかねェ~?」 と、門前で腕組みをし、悩んでいるとジャンガの存在に気付いた一人の衛兵が駆けて来た。 「誰だ!?」 「お~お~…こりゃ好都合だ」 「何者だ貴様!?亜人がここへ何のようだ!?」 「ムゥッ!」 衛兵の声の後に聞きなれた可愛らしい叫び声が聞こえ、ジャンガは目を向ける。 そこには予想通りの物が居た。 ジャンガは口の端を持ち上げ、ニヤリと笑った。 一方、屋敷内では… モット伯が雇ったばかりのシエスタを自室へと呼び寄せていた。 シエスタは学院のとは違う給仕の服を身に着けている。 黒ではなく赤が強調されているのもそうだが、スカートは格段に違う。 学院の物と比べても短すぎ、太股までが見えてしまっている。無論、モット伯の趣味だ。 モット伯はそんなシエスタを頭の上から爪先まで舐めるように見つめる。 「どうだ、仕事には慣れたか?」 「はい、大体は…」 「そうか…まぁ、余り無理はせぬようにな」 そう言ってモット伯はイスから立ち上がり、シエスタの後ろへと回ると肩に手を置くと、そのままシエスタに顔を近づけた。 突然の事にシエスタは驚き身を竦ませる。モット伯は彼女の耳の傍で囁くように言った。 「私はお前をただの雑用の為に雇った訳ではないのだからな…、シエスタ…」 「あ、あの…」 どうしたらいいのか解らず、シエスタはただうろたえるのみだった。 その時、扉が叩かれた。モット伯はシエスタから離れ、扉に向かって声を掛ける。 「何だ?」 「ジャンガと名乗る亜人が伯爵に面会したいと言っております」 「ジャンガ?知らぬ名だな…。しかも亜人だと?」 怪訝な顔をするモット伯の横でシエスタは動揺を隠せなかった。 (まさか…どうして?) 何故彼が、ここに来たのか…シエスタには理由が解らない。 そして、彼女はモット伯に言われ、疑問を残しながら部屋を退室した。 モット伯の部屋へと通されたジャンガは屋敷の豪華さに忌々しげに鼻を鳴らした。 「ハンッ…成金趣味丸出しだな…」 「君かね、私に面会したいとか言う亜人は?」 聞こえてきた声にジャンガは視線を前に向ける。 豪華な屋敷に負けないくらい立派な服に身を包み、赤いこれまた立派なマントを羽織った男が居た。 どうやら彼がモット伯らしい。ジャンガはこれと言った感情も表さずにモット伯を見据える。 「モット伯ってのはアンタの事か?」 「下賎な亜人風情が、貴族に馴れ馴れしい口を聞くな!」 ジャンガの言葉にモット伯は怒鳴った。 しかし、ジャンガがその程度の怒鳴り声で怯えるはずも無く、爪で頬を軽く掻く。 「まァそんなにカッカするんじゃねェよ…、血圧が上がるゼェ?」 「ふんッ!…それで、亜人風情が貴族の屋敷に何の用だ?」 「そりゃ、用があって来たのさ…。大体、用も無けりゃ、こんな所に来やしねェよ。 ――テメェみたいな…女抱く為に立場を利用する阿呆の所なんかにはな…キキキ」 「貴様!亜人の分際で貴族を侮辱するか!?」 痛い所を突かれ、逆上したモットはイスから立ち上がり、壁に立て掛けてあった自らの杖を取る。 「そこへなおれ!」 「待ってください、伯爵!」 扉が開き、シエスタが部屋に入ってきた。ジャンガはシエスタに目を向ける。 「何だ、嬢ちゃんか?」 シエスタはモット伯の前に跪く。 「伯爵、この者の無礼をお許しください」 「ならぬ!かような亜人風情の無礼を許していてはジュール・ド・モットの名が廃る。そこを退かぬか、シエスタ!?」 「出来ません!」 「何!?」 「モット伯、私はどのような罰でもお受けいたします。ですから、ジャンガさんの事を許してください」 驚くモット伯に顔を上げたシエスタは懇願した。 幾分か気持ちが落ち着いたのか、モット伯はシエスタに尋ねた。 「お前はその亜人とどのような関係なのだ…シエスタ?」 「…私が向こうで給仕をしていた時の知り合いです。ジャンガさんは、私に良くしてくれたとある貴族の方の使い魔でして…」 「フン、なるほどな」 つまらなさそうに鼻を鳴らすモット伯に、シエスタは懇願を続ける。 「お願いですモット伯、ジャンガさんがここに来たのは私の責任なのです。ですから、罰を与えるなら私に――」 「テメェ……本当のバカだな?」 シエスタの声を遮って、ジャンガの声が部屋に響いた。 その声にシエスタは思わず振り返ると、下らない物を見るかのようなジャンガの顔が目に入った。 「ジャンガさん?」 「俺がいつ…”テメェの事で来た”なんて言った?勝手に勘違いしてんじゃネェよ、ウザってェ…」 「そ、そんな…」 「ま、そんな事よりもだ…」 悲しそうな表情を浮かべるシエスタを気にも留めず、ジャンガはモット伯を見据える。 「テメェによ…聞きたい事があるんだがな~?」 「貴様、何処までも無礼な態度を――」 「ああ、もう最後まで話しは聞きやがれ。ッたく…貴族ってのは本当に要領が悪すぎる奴ばかりだゼ」 悪態を吐きながら、ジャンガは顎をしゃくる。 モット伯が目を向けると、そこには自分が…否、正確には自分が雇っている幻獣が使役する幻獣がいた。 「ムゥ?」 頭と身体の区別が無い、いわゆる”一頭身”の幻獣は、ほぼ身体全体を傾ける。 その仕草は見る物が見れば間違いなく可愛らしいと言うだろう。 モット伯はジャンガに視線を戻す。 「その幻獣が何だと言うのかね?」 「キキキ、いやなに……こいつらは俺の知っている幻獣だ…。『ムゥ』って名なんだがよ…、こいつはお前が使役してるのか?」 モット伯は、何だそんな事か…、とでも言うかのように鼻を鳴らす。 「違うな。それは私が雇っている、とある幻獣が使役しているのだ」 その言葉にジャンガは目を光らせ、口の端を吊り上げる。 「ほゥ?そうかい…」 「聞きたい事はそれだけかね?では、貴族を愚弄した罰を受けてもらおうか」 杖を構えるモット伯にシエスタは慌てて懇願する。 「待ってください、モット伯!お願いです、ジャンガさんへの罰は私が受けますから、どうか!?」 「ええい、お前は下がっておれ、シエスタ!」 そんな二人の会話も何処吹く風…、ジャンガは自分の予感が当たった事に笑いを隠せずにいた。 (キキキキキ…、なるほどねェ~…”あいつ”も来ていたとはなァ…。キキキキキ…) 「キキキキキ…、キーーーッ!キキキキキキーーーッ!!」 突然、大声で笑い出したジャンガに、シエスタもモット伯も呆然と見つめる。 ジャンガは一頻り笑うと静かに呟いた。 「随分とまた……回りくどい真似をしやがるぜ…」 そして目を見開き、高らかに叫んだ。 「居るんだろ!?出て来いよ、ジョーカーーーー!!!」 「のほほほほ、いつお呼びしてくれるか…ドキドキしながら待っていましたよ、ジャンガちゃん♪」 何処からともなく、場の雰囲気にそぐわない陽気な声が聞こえ、唐突に一体の幻獣がその姿を現した。 その姿は一目見ると、誰もが道化師=ピエロを思い浮かべるだろう。 ムゥと呼ばれた幻獣と同じ頭と身体の区別が無い一頭身…大きさは一メイルほどだろうか? 白い顔には黒い十字マークのような目とギザギザの歯が描かれたような笑みを浮かべた赤い口、 オレンジと赤の縞模様をした身体、その身体(頭部?)の一部が背後に向かって突き出し、下巻きに緩やかなカーブを描いている。 白い手袋をしたような手や先の曲がった紫色の靴を履いた足は腕や腿で繋がっておらず、両手や身体はフワフワと宙に浮いているような感じだ。 何とも珍妙な…ハルケギニアでは見ない種類の幻獣である。 ジャンガは笑いながらピエロの幻獣を見つめる。 「よう、久しぶりだなァ…ジョーカー?」 ジャンガにジョーカーと呼ばれた幻獣は左手を口元に当てて笑う。 「のほほほほ、それは此方もですよ…お久しぶりですネェ~ジャンガちゃん」 「相変わらずのようだなァ?…率直に聞くが、あの馬車にムゥを乗っけたのはお前か?」 「その通りですよ。いやァ~ジャンガちゃん早く来ないかなァ~と、ワタクシ胸をトキメかせて待っていましたよ」 二人はそれまでの場の雰囲気などそっちのけで談笑する。まるで、仲の良い旧友に出会ったかのような…そんな感じだった。 たまらず、モット伯が怒鳴った。 「ジョーカー!貴様、その亜人と知り合いなのか?」 「あ、はい、そうですよ~♪ワタクシの無二の親友です、のほほほほ」 「親友ねェ~、あのガキ共が使うような歯の浮く台詞を、よくもまァ平気で言えるもんだなァ?」 「のほほほほ、他意は有りませんよ?」 そうやって再び楽しい会話を始めようとする二人にモット伯は再び怒鳴った。 「え~い、黙れ!ジョーカー!貴様の親友であろうと関係無い、その亜人はこのジュール・ド・モットを侮辱したのだ。 貴様の幻獣共を呼び出し、即刻そやつを捕らえよ!」 しかし、ジョーカーはモット伯を見つめ、動こうとしない。モット伯は苦虫を噛み潰したような顔をする。 「どうした、ジョーカー!?」 「あ、いえ……どうして貴方の命令を聞かなければならないのかと、そう疑問に思っただけですよ?」 「何!?」 ジャンガはその時、ジョーカーの身体の右側面に刻まれたルーンに気が付いた。 「おい、ジョーカー…お前、まさかそのオッサンに召喚されたのか?」 「まさか?こんな人に仕えても面白くなさそうですからネェ~…小悪党のいい例ですし」 「貴様…、ジョーカー!?主であるメイジから逃げ出し、行く当ての無かった貴様を拾ってやった恩を忘れたか!?」 叫ぶモット伯にジョーカーは怪訝な表情を浮かべる(と言っても、実際殆ど変わらないのだが)。 「はて?ワタクシ…いつそのような事をおっしゃいましたか?ワタクシは『ここで働かせてもらえませんかネェ?』と言っただけですが?」 「ぬっ!?」 ジョーカーは再び手を口元に当て、片方の目の形を変え、如何にも可笑しいと言う表情を見せる。 「まァ…出会いのイベントとしては上々な出来でしたかね?役者が大根でシナリオの半分もこなせてませんでしたが…」 「キキキ…なるほどねェ。俺と会う為だけにこいつを利用したのか……いいねェ、そういう所…変わってなくて嬉しいぜ。キキキキキ」 「お褒めに預かって光栄ですネェ~、のほほほほほほ♪」 二人の笑い声が部屋に響き渡る。 一頻り笑うとジャンガはジョーカーに言った。 「さてと…それじゃ仕上げと行くか?」 「はいな~、ジャンガちゃん♪」 ジャンガの言葉に嬉しそうに返事をするジョーカー。 「おっと、その前に…ジョーカー?」 「はい?」 「仕上げの前にそこにいる…シエスタ嬢ちゃん、眠らせてくれねェか?」 ジャンガに顎で示された所には跪いたままのシエスタがいた。 ジョーカーは納得するとシエスタに向かって右手を飛ばす。彼女の頭の上に掌を翳す形で停止した右手の掌から、紫色の輝きが放たれる。 途端、シエスタは目を閉じ、繰り糸を手放された人形のようにその場に倒れ込む。 「何?」 「がっ!?」 「ぐっ!?」 モット伯が驚くや、衛兵の呻き声が聞こえた。 見れば、ジャンガが後ろに居た衛兵二人の胸を両手の爪で貫いている。 爪を引き抜くと同時に倒れる衛兵。 ジャンガは爪から血を滴らせながら、モット伯へと向き直る。 「キキキ…次は、テメェだな?」 「き、貴様……私の二つ名は『波濤』のモット!トライアングルの――」 「メイジだって言うんだろ?…聞き飽きたゼ、その手の台詞はよ」 耳を穿りながらそう言い捨てるジャンガ。その相手の態度にモット伯は激怒した。 「お、おのれ、その余裕も今のうちだ!」 「どうでもいいがよ……テメェらメイジは杖は大事なんだろ?」 唐突なその言葉にモットは怪訝な顔をする。 「それがなんだ!?」 「手放していいのかと思ってな…?ああ、いや違ったな。手放しちゃいねェな…。 にしても、繋がってなくても放さないってのは…凄ェもんだゼ、キキキ」 何の事だ?目の前の亜人は何を言っている? 唐突にジョーカーが笑った。 「のほほほほ、いやいや…相変わらず凄いですネェ~。やられたご本人、全く気が付いていないのですから」 「な、何の事だ!?」 「貴方の足元を見れば解ると思いますがネェ~?」 「ん?」 言われるがまま足元を見る。そこには人の腕が落ちていた。 誰の腕だ、と思う前にその腕の握っている杖や服の袖に見覚えがあった。いや、見覚えがありすぎる。…だってそれは、自分の物だから。 恐る恐る自分の右腕を見ると…無かった。…肘から先が綺麗さっぱり。 一瞬、思考が停止した。 「な、な、何だとーーー!!?」 その絶叫と共に、止まっていた時間が動きだしたかのように、モット伯の腕の断面だから激しい血飛沫が迸る。 瞬間、音も無く駆け寄ったジャンガによってモット伯はその胸を貫かれた。 モット伯はパクパクと陸に上げられた魚のように口を動かし、やがて事切れた。 死んだモット伯を見下ろし、ジャンガは心底楽しそうに笑う。 「キーーーッ!キキキキキーーーッ!!!感謝しなオッサンよォ~…秒殺してやったんだからなァ。何処かの気障ガキと比べたら幸せなもんだぜ…」 「のほほほほ、お休みなさ~い、モット伯さん。のほほほほ♪」 ジャンガに同調するようにジョーカーも実に楽しげに笑う。 と、扉が叩かれ、衛兵の声が聞こえてきた。どうやら、騒ぎを聞きつけてきたようだ。 ジャンガは笑いを止め、ジョーカーに向き直る。 「よう、ジョーカー…シエスタ嬢ちゃんを見ていてくれるか?」 「あ、はい、いいですよ。ジャンガちゃんは”お掃除”に行くんですか?」 「いや、夜も遅いからよ…”寝かし付けてくる”」 ニヤリと笑うジャンガ。それにジョーカーも笑みで答え、手を振って見送った。 扉を開けると、向こうに衛兵が屯していた。 ジャンガとその姿に怯む衛兵達の姿が扉の向こうに消える。 ――約十分間ほど、モット伯邸に大勢の悲鳴と断末魔、狂ったような笑い声が響き渡った―― 静寂が支配したモット伯邸… モット伯の部屋ではジョーカーが未だジャンガを待っていた。 ジョーカーが座った椅子の足元にはシエスタが寝息を立てて眠っており、離れた所には二人の衛兵と右腕を切り落とされたモット伯の死体がある。 そんな中、ジョーカーは椅子に座ったまま両足をパタパタと動かし、鼻歌を歌いながらジャンガを待っている。 その光景は実にシュールだった。 と、扉が開いた。入ってきたのはジャンガだった。 「あ、ジャンガちゃん、お疲れですネ。終わったんですか?」 「ああ、もう全員眠ったぜ?キキキ…寝付きのいい奴らばかりで、助かったゼ」 「のほほ、それはそれは。では、後はワタクシが後始末をしておきますので」 「キキキ…、それでだ」 「はい?なんですか?」 ジャンガは爪でシエスタを指し示す。 「そいつの頭の中を弄ってくれるか?とりあえず、メイジ崩れの盗賊連中が大挙して襲ってきて、そいつは慌てて逃げ出した。 そんで、俺とは森の中であって、気絶した…そんな感じにやってくれや」 「のほほほほ、お安い御用です。では、シエスタさん…少~し頭の中に失礼させてもらいますよ?」 そう言ってジョーカーは先程と同じようにシエスタの頭の上に右手を翳した。 ――モット伯邸の門の所までジョーカーはジャンガを見送る事にした。 「それでは、ワタクシはこれから後片付けに戻りますね?」 「ああ、頼んだゼ…」 シエスタを横抱きに抱きかかえながら、ジャンガはジョーカーを見つめる。 ジョーカーはそこでふと思い出したようにジャンガに尋ねる。 「そう言えばジャンガちゃん?」 「ん?」 「何でその方だけは助けたんです?」 「…別に深い意味は無ェ。…ただ、こう言うお人好しなバカは使いようだからな。助けておけば、後々役に立つだろうって事さ…キキキ」 「なるほど…それもそうですね。では、ワタクシはこれで、またお会いしましょうジャンガちゃん♪」 「ああ、俺は暫くは魔法学院に居座ってる積りだ。ま、暫くはお互い好きにやろうや…」 「そうですね~、のほほほほほ♪」 「キキキキキ」 二人の笑い声は闇夜に木霊した。 ジョーカーと別れ、ジャンガは森をシエスタを抱きかかえながら、一路魔法学院へと向かった。 途中の森の中でジャンガはふと、腕の中のシエスタを見た。 ジョーカーの眠りの幻術が掛かっているとはいえ、実に気持ち良さそうに眠っている。…本当に気持ち良さそうだ。 ――もう~歩けな~~い~~、だっこして~~―― ――テメェは飲みすぎなんだよ…、ッたく…―― また、昔の光景が脳裏を過ぎる。頭痛がし、左手にも痛みが走った。 「チッ…」 舌打ちをし、ジャンガは頭を振った。 徐に月を見上げる。…実に綺麗な月だった。 「いい月夜だな…」 そうジャンガが口にした直後、遠くから馬の蹄の音が聞こえてきた。 目を凝らすと遠くから桃色の髪を揺らしながら、一人の少女が馬に乗って此方に向かって来てる。 「チッ…無粋な野郎が来やがったゼ…」 ジャンガの横を通り過ぎ、少女=ルイズは馬を止める。 「ジャンガ!あんた、何やってるのよ!?」 「んだよ、テメェには関係無ェだろうがよ?」 「関係無いって……」 そこでルイズはジャンガの腕の中で眠るシエスタに気が付いた。 「シエスタ!?ジャンガ…どう言う事!?」 「どうもこうも…この森を歩いていたら嬢ちゃんが歩いてきてよ、随分と疲れた様子だったぜ? 話を聞く限りじゃ、モット伯の屋敷にメイジ崩れの盗賊が入ってきたらしいゼ?嬢ちゃんは必死で逃げてきたんだとさ。 んで、一通り話したら気絶しちまった…ってことさ」 一応筋は通っているようだ。…が、ルイズは一つ気になった事があった。 「あんた…随分前に出たんじゃない?何でこんな所を歩いていたのよ?」 「…別に。ただ道に迷っただけだ」 「…凄く見通しのいい道ばかりなんですけど?」 「……」 二人の間に沈黙が広がった。 「あんた…何をやっていたのよ?」 「…別に?」 ルイズは反射的に道の先に目を向ける。遠くにモット伯の屋敷の明かりが見えた。 そんなルイズにジャンガは声を掛けた。 「止めときなァ、屋敷には近づかない方がいいゼ~?…死にたくなけりゃよ」 「ジャンガ……あ、あんた…」 声を振るわせるルイズを笑みを浮かべながら見つめるジャンガ。 「いいじゃねェかよ…俺達には関係無ェんだからよ。所詮はお偉いさん達の間の問題だ…。キキキ、気にする事は無ェゼ」 そう言ってジャンガは歩き出した。 色々と言いたかったが相手は聞きもしなさそうなので、ルイズは諦めるとジャンガの後を追って馬を歩かせる。 ルイズはもう一度、モット伯邸を見た。闇夜に薄っすらと浮かぶ屋敷の明かりは不気味な感じがした。 その頃、モット伯邸では… 「いや~申し訳ありませんね、ガーゴイルを送ってもらって助かりましたよ…。流石にムゥちゃん達だけでは細かい作業は無理な物ですからネェ~」 ジョーカーは人形を手にしている。何処にでもありそうな普通の人形だった。 その人形へとジョーカーは語り掛けていた。…誰かと話をするかのように。 「あ、それよりも、タバ…シャルロットさん、もう完全に完治したみたいなので、”仕事”には戻れると団長さんに伝えといてください。 いえいえ…、今はあの方も私の取ってきた例の”オルゴール”に夢中でしょうしね……他の準備など諸々は遅れても仕方ないでしょう。 あのお方はマイペースですからね…のほほほほ。あ、いえいえ…バカにした訳ではないですよ?本当ですよ。 ワタクシですか?もう少し、あの学院を見ていようと思いますね。…いえ、何か物凄く楽しい事が見つかりそうなんですよ。 こういう時のワタクシの感は当たるんですよ…いえ本当ですよ? まァ、暇は貰っていますし……もう暫くは此方に居ます、はい…そう言う事で。 …では、またお会いしましょう。あのお方にもよろしく伝えて置いてくださいネェ~、のほほほほ♪」 話し終えたらしく、ジョーカーは人形をポイと宙に放る。瞬間、人形は消しゴムで擦るように消えた。 「…始祖の残せし秘宝ですか…。ただのオルゴールでは無いと思ってましたけど…とんでもない代物だったんですネェ~? それにしても、あのオルゴールの本来の持ち主の方々…既に偽者に摩り替っているなんて夢にも思わないでしょうね」 ジョーカーはそう言うと、一人楽しげに笑うのだった。 ――翌日、 モット伯邸が何者かに襲われ、モット伯以下…使用人、衛兵の区別無く全員が皆殺しになると言う大惨事に、 学院は愚か…トリステイン中がひっくり返るような大騒ぎとなった。 モット伯邸へと向かった使い魔ジャンガと主人のルイズ、唯一の生き残りであるシエスタは重要参考人として王宮からの使いに事情を聞かれたが、 有用な情報は得られず、シエスタの記憶も曖昧な所が多かった為、状況証拠から事件はメイジ崩れによる強盗だと言う事で決着が付いた。 シエスタは再び学院で雇われる事となり、全ては元の鞘に収まった……かに見えた。 実際は、ルイズがジャンガへの嫌悪感をますます募らせたり、記憶を改変されたシエスタがジャンガを恩人と慕ってより一層懐いた…などの変わった所もあったのだった。 前ページ次ページ毒の爪の使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5476.html
前ページ次ページゼロの社長 「さて…ルイズを預けたは良いものの、寝床を確保せねばならないか。」 ルイズを医務室に預けた海馬は、学園をうろうろしていた。 とはいっても、勝手に建物の中をうろうろしているわけにも行かず、警備員がいる以上学院の外に出ることも駄目。 (ふむ、モンスター召喚のほか、これについて色々と調べておきたい事はあるが、ここでまたやたらに騒ぎを起こすわけにもいかん。 しかたがないが、それは後に回すとして…) ドンッ などと考えていると、後ろから何かにぶつかられた。 「あいたぁ…うわ、洗濯物がっ!」 「ぬぅ、人にぶつかっておいて先に洗濯物の心配とは…」 海馬が振り返ると、そこには凄い量の洗濯物が散乱し、それを拾っているメイド服の少女がいた。 少女は海馬の声を聞き、しまったという顔をしながら慌てて立ち上がり頭を下げた。 「もっ申し訳ございません、前がよく見えなくて。失礼しました、ミスタ…あれ?」 そこで少女は海馬のほうを見たが、少女にとって海馬は見覚えの無い相手だった。 だが、出で立ちや全身からあふれ出る威圧感。そして何よりその眼差しから、貴族に間違いないだろうと判断した。 見覚えの無い相手だろうと貴族は貴族。 平民である自分が貴族に不快な思いをさせた。 その事に恐怖した少女は必死に謝罪をした。 「申し訳ございません!平民風情が貴族の方にとんだ失礼を!どうかお許しください!」 目に涙をため海馬に許しを請う少女。 「何を勘違いしているかしらんが、俺は貴族などではない。確かに貴様の不注意ではあるが、そこまで気にするような事ではない。」 「貴族じゃない?え?だって…」 確かに良く見ると、羽織っているのはマントっぽくはあるが実際はコートである。 「それでも、すみませんでした。でも…あれ?おかしいなぁ、私、この学院の人の顔は大体覚えているのですが…。」 「知らなくても無理は無い。俺は昨日ここに呼びだされた、使い魔だからな。」 「使い魔!?え?だってあなたは人間で…」 と、少女が言い終わる前に、海馬は左腕のルーンを少女に見せた。 「あっ!もしかして。ミス・ヴァリエールが平民の使い魔を召喚したって言う噂をさっき耳にしたのですが、あなたが?」 「そうだ。俺の名は海馬瀬人。今はルイズの使い魔をしている。」 「あ、申し遅れました。私はシエスタ。この学院でメイドとして働かせて頂いてます。」 礼儀正しく頭を下げるシエスタ。 「ところで、瀬人さんはどうしてこんなところへ?もう時間も遅いですし、ミス・ヴァリエールのところに戻られたほうが…。 それに、さっきなんか凄い音がして、何でもドラゴンが学生寮につっこんだとかで、大騒ぎになっていましたよ。」 「ふむ…そのドラゴンが突っ込んだ部屋というのが、ルイズの、つまり俺もいた部屋でな。 ルイズは気絶してしまったので医務室に運んだは良いものの、あの半壊した部屋に戻るわけにも行かず、どうしたものかと思ってな。」 もっとも、部屋を壊したドラゴンを呼び出したのは他ならぬ海馬であるのだが、もちろん口にはしない。 「ええっ!?良くご無事でしたね?…あっ、そう言うことでしたら…少し待っていただけますか?」 そういうとシエスタは、ぱぱっと落ちている洗濯物を拾い上げ桶に詰めこみ、持ち上げた。 「よいしょっと…。瀬人さん、もしよろしければ、私の部屋にいらっしゃいませんか? ちょっと狭いですけれど、外で寝るよりはましかと思うんですが?」 「ふむ…寝所を貸してもらえるのは願っても無いが、迷惑ではないか?」 「大丈夫ですっ。それに、困ったときはお互い様ですよ。それじゃあ、私はまずこれをおいてきますので、少し待ってていただけますか?」 そういってよたよたと重い洗濯物を持って行こうとするシエスタ。 流石に量が多すぎるのか、見るからに危なっかしい。 これでは先ほどのように誰かとまたぶつかりかねない。 海馬は無言でシエスタから桶を奪い取った。 「えっと、瀬人さん?何を…」 「困ったときはお互い様なのだろう?それで?これはどこへ運べば良いんだ?」 「そんなだめですっ!これは私の仕事ですし、貴族の使い魔さんにそんなことをさせるわけには…」 「勘違いするな。俺は早く寝床に就きたいだけだ。」 シエスタに目を合わせず、先へどんどん進もうとする海馬。 「あぁっ!そっちじゃないです。…すみません、じゃあお願いします。」 洗濯物を片付けた後、海馬はシエスタの部屋へと招かれた。 その後どちらがベットで寝るかで一悶着があったりするのだが、結局シエスタがベットで、海馬は毛布だけを受け取り床で寝ることになった。 翌朝、海馬は何かカチャカチャという音で目がさめた。 「ぬ…?朝か…?」 「あっ、起こしちゃいましたか?」 シエスタは朝食の用意をしていたようだ。 「瀬人さんの分もいっしょに作っちゃったので、よろしければ食べてください。」 小さな机の上には、二人ぶんの朝食が用意されていた。 海馬は椅子を引き腰掛ける。 その向かいにシエスタが座る。 「大した物じゃないですが…お口に合えば良いんですけど。」 「わざわざすまないな。頂くとしよう。…ほぉ、これは。」 そういえば、これが海馬がハルキゲニアに来て最初の食事となる。 一口口に入れただけで海馬は感嘆の声を上げる。 「あの…口に合いませんか?普段どおりのものしか作れなくて…」 「いや、なかなかの味だ。そんなに謙遜する事は無い。」 (食事の姿もなんていうか…あれ?こういう時どう表現するんだっけ? 整ってる…?ん~なんか違うなぁ。あぁ!あれだ!) 「ふつくしぃ」 「?あまりじろじろ見られるのは、愉快ではないのだが…?」 「はえっ!?あっ、すみません。」 気づかないうちに、シエスタは海馬のことを見つめていたようである。 慌ててごまかすように朝食を取るシエスタ。 「うむ、なかなかの味だったぞ。礼を言う。」 「いえいえ、お粗末さまでした。」 そういって食器を片付けるシエスタ。 「しかし、起床の時間が早いのだな。まだ日が登ってそうたってなさそうだが?」 「私たちはまず、貴族の方々の朝食の時間までに、食堂でその準備などをしなくてはなりませんから。 ですから、普段からこのぐらいの時間に起きているんですよ。 …って、まっずーい!急がないとお仕事に遅刻しちゃいます!」 空模様を見て時間を察すると、シエスタは慌てだした。 「まだ時間はありますけれど、もう少ししたら貴族の方々の朝食の時間なんです。 」 「ふむ、そうか。仕事ならば邪魔してはまずいな。 それにルイズの様子も見ておかなければならないしな。 世話になった。この借りは必ず返させてもらう。」 「そんな、借りだなんて思わないで下さい。困った事があったら、いつでも言ってくださいね。」 「ならばシエスタ。貴様が困ったことがあれば、俺にも声をかけろ。 できる限り力になってやる。」 「はいっ、ありがとうございます。瀬人さん。」 シエスタの部屋を後にし、海馬はルイズが眠る医務室へと向かった。 医務室の扉をノックしてみたものの、中からは返事が無いため、勝手に入ることにした。 そのとき、廊下の向こうから見覚えのある顔がこちらに向かってきているのに気が付いた。 コルベールである。 コルベールは海馬の姿を確認すると、こちらへ駆け寄ってきた。 「瀬人君。ミス・ヴァリエールの容態はどうなんだい?」 「いや、俺も今ここに来たばかりだ。ノックをしたが返事がないのでな。」 「そうか。いや、ミス・ヴァリエールに部屋の修理ことについて連絡してくるようにと、オールド・オスマンに命じられてね。 しかし大変だったね。君は、怪我は無いのかい?」 「問題ない。とりあえずルイズの様子を見に行く。」 そう言うと医務室にずんずんと入っていく海馬。 ベットの上にはぶつぶつと寝言を言いながら寝ているルイズがいた。 「うにゅ~…もう食べられない…」 「…みたところ重症というわけではなさそうだね。」 「そのようだな。」 そう言うと海馬は気持ちよさそうに寝ているルイズの頭をガシッ!っと鷲づかみにし、そのまま数度シェイクした。 「うぼあっ!?なっ!なにごと!?」 予期しない謎の攻撃に慌てて目を醒ますルイズ。 「目はさめたか?」 「ちょっ…瀬人君。元気そうに見えても一応怪我人なのだから、あまり無茶な起こし方は…」 「醒めるに決まってるでしょう!!!!ああああんたはご主人様を何だと思って…って、ミスタ・コルベール!?」 「おはようございます。ミス・ヴァリエール。」 怒りを海馬にぶつけようとしたとき、ルイズは海馬以外に意外な人物が部屋にいる事に気が付いた。 よく見るとここは自分の部屋ではない。 そうだ、医務室だ。なぜ自分はこんなところに? などと考えているうちにコルベールから口を開いた。 「昨日のドラゴン騒ぎで気絶した君を、彼がここまで運んだんだそうだ。 しかし災難だったね。ドラゴンに部屋に突っ込まれるなんて。」 そうだ、昨日! ルイズは昨日の惨劇(主にルイズの部屋が)の事を思い出した。 「なにぶん急なことでしたが、あなたの部屋の修理は今日中には終わるとのことです。 体調に問題がなければ安心して授業を受けなさい。それじゃ、お大事にね。」 用件を伝えるとコルベールは医務室から退室しようとする。 「あっ、ミスタ・コルベール!お聞きしたい事が…」 「うん?なんだい?」 「あのドラゴンは…その…」 「あぁ、確かに不思議な話だね。この付近にはドラゴンが生息しているような場所は無いのに、一体どこから現れたのか。 そもそも目撃者は君と君の使い魔である瀬人君。そして飛び出す瞬間に部屋に入ったというミス・ツェルプストーの3人だけだ。 もしかすると、いまだ発見されていない新種のドラゴンかもしれない! そう考えたらわくわくしないかい?」 教師と言うより、未知の生物に心躍らせる少年のような笑顔の禿げたおっさんがそこにいた。 コルベールはドラゴンそのものに興味を抱いているようで、事件そのものの不審点には気がついていないようだった。 「それでは、ミス・ヴァリエール。お大事に。」 そういうとコルベールは医務室から去っていった。 「……なんかややこしい事になっちゃっているような気がするわ。」 「ふむ…それで、これからどうする?」 「とりあえず着替えて朝食に行くわ。制服の代えは大丈夫かしら…」 「そうではない。俺がどうすると聞いたのは、俺の力の事だ。」 的外れな解答を返すルイズに呆れながら、海馬は自分の左腕のデュエルディスクを指差しながら尋ねた。 「うん、そうね。正直このままでもいいような気がするわ。」 「と、言うと?」 「そのままの意味よ。結果的にばれなかった物を、わざわざ公表する事も無いでしょ?」 「ふむ…意外だな。珍しい力を持った使い魔として表沙汰にすれば、自分の評判につながるとでも言い出すかと思っていたのだが。」 「確かに、そうしたいって少しは思ったわ。でも、ものには限度がある。」 「強力すぎる力は、安易に晒すものではないと?」 「ええ。ミスタ・コルベールの話を聞いている間に少し考えたの。 あんたは無作為にあのドラゴンを召喚したわ。 そしてあの時あんたは言った。 『モンスター、魔法、罠の3種類のカードを組み合わせた40枚のカードのデッキを これに装着し、知恵と勇気をもって戦う、それがデュエルだ!』 つまり、40枚のカードがそこにはセットされている。 40種類の、私たちには未知の『魔法』をあなたは使えるといって差し支えないはずよ。」 このルイズの洞察力に、そして何よりも、未知の事を自らの常識の殻で否定せず受け入れる柔軟な思考力に海馬は素直に感心した。 「ふむ、なかなかの洞察力だ。」 「あんたの力はまだ未知だけど、故に下手に知られればアカデミーなんかにつれていかれちゃう可能性だって否定できない。 だから今はこのまま。無理してばらさなくてもいいと思うの。」 「ふっ、なるほど。見た目などよりは意外とモノを考えられるようだな。」 微笑を浮かべて医務室を後にしようとする海馬。 心なしかその表情は満足げだ。 「ちょっと!見た目よりとは何よ!見た目よりとはーっ!」 「朝食の時間に遅刻するぞ、ルイズ。」 「話を変えるんじゃないわよ!」 廊下をにぎやかにしながら、珍しい使い魔とその主人は、医務室から去っていった。 前ページ次ページゼロの社長