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【クリアリ】クリフトとアリーナの想いは Part13【アリクリ】 67 名前 名前が無い@ただの名無しのようだ Mail sage 投稿日 2013/05/17(金) 00 21 35.26 ID pUm42JpKO あいつはいつだって他人の望みを手伝うことばかりに懸命で 自らの望みはひたすら深くへしまい込み 決してその手を伸ばそうとしなかった。 だけど馬鹿正直で嘘のつけないあいつが 真実望んでいるものなんて俺達には見え過ぎる程見えていて。 ――俺は、俺達はそんなあいつの望みを叶えてやりたかった。 「勇者よ、よくぞこの世界に光を取り戻してくれた! そしてこの城の者達を魔の呪縛より解放してくれたこと、 どう感謝してもし尽くせぬ。 …わしに出来ることがあればなんなりと申せ、望みの褒美をとらせよう!」 予想通りのサントハイム王の言葉に 玉座の前の俺達は、そっと目配せをする。 そう、この機会を逃す訳にはいかなかった。 「いいえ、王様。 この旅の成功は俺の力によるものじゃありません。 …――クリフトが居なければ 今のこの世界もこの城もありはしなかったでしょう!」 俺の言葉にぎょっとしたように目を見開き、 それから王に訂正しようと慌てて口を開きかけるあいつ。 それをさせまいと、俺達は言葉を連ねる。 「そうよ、クリフトの癒しの力がなかったら あたし達みんな棺桶から出れやしなかったわ!」 やっぱこういうのが上手いのはマーニャだ。 「それに食事や買い出し、宿の確保も 一流商人顔負けの手配ぶりでしたよ! 特にあの安く仕入れる交渉術は 是非私の店でも披露して頂きたいものです!」 褒めるのはいいけど、 どさくさ紛れにスカウトするなよな、トルネコ。 「クリフトさんのあの鬼神のごとき闘いぶりも 素晴らしいものでしたわ。たとえ光の壁に阻まれていようとも臆せず 即死呪文をかけようとする勇猛果敢っぷり、 私には到底真似出来ません」 …うん、ミネア。えーと、褒めるんだよな、今。 クリフトを褒める打ち合わせしてたよな、俺達。 「なによりクリフト殿はUNOの腕前も中々のもの、この私が何度負けた事かっ…!」 ………悪かった。全部俺が悪かったから 今、馬車の中の話題をするのはやめてくれライアン。 そして俺達の打ち合わせの外に居たブライ。 ブライはあいつと…きょとんとした顔のままのアリーナ、俺を順に眺め。 それからふん、と小さく笑ってから、ゆっくりと言葉を紡いだ。 「………なにより、姫様をこのサントハイム城まで無事にお返しする為、 ただひたすらに身を削り命をかけ つくし続けたクリフトの忠義。 陛下、…わしは…こやつを認めざるを得ませんわい」 口調はいつもの苦々しげなまま、 それでもどこか愉快そうに。 「…み、皆さん…」 ここに至って初めてあいつは俺達の思惑を察したのだろう。 唇を震わせ、感極まったようにあいつは俯いた。 「そうか…それはクリフト、大義であったな。 そなたのような優れた家臣をもってわしは実に嬉しい。 さあ、何か望むものはあるか? 何でも褒美をとらせよう、クリフトよ!」 サントハイム王が高らかにそう宣言する。 ――――今だ、さあ、言うんだ、クリフト! 俺達の無言の後押しを受けて 俯いていた顔をあげ、あいつは …クリフトはようやく自らの望みに、手を伸ばして。 「……陛下! 恐れながら申し上げます!…わ、私が望みますのは…」 「ダメよお父様! クリフトは褒美欲しさに何かをするような人間じゃないわ! そんな言い方はしちゃダメ! 大体クリフトは褒美をチラつかされたりするのだって大嫌いなんだもの。 ずっとクリフトは言ってたわ、サントハイムのみんなが笑顔を取り戻してくれる、 それが一番の望みだ、って。 …だから、いいの、これ以上何もいらないのよ。 …ねっ、そうでしょ、クリフト!」 …………そしてその伸ばされた手を華麗にへし折った姫君は キラキラとした極上の笑みを浮かべ 傍らの神官の同意の言葉を待っていた――。
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クリフトとアリーナの想いは Part4.2 575 :【舞姫と神官】1/6 ◆cbox66Yxk6 :2006/03/16(木) 12 17 15 ID o4ZCiKxA0 「あ、姫様!」 「ライアンさん、手合わせ、願えます?」 アリーナは逃げ出した。 「姫様、あの・・・」 「トルネコさん、私の武器のことなんですけど・・・」 アリーナは無視をしている。 「姫様?」 「眠くなってきちゃったわ。おやすみなさい、ブライ」 アリーナは眠ってしまった。 なぜ?どうして?一体何が? 「あ~あ、見事に無視されちゃって」 妙に愉快そうに笑いながら、グラスを片手にマーニャは鉄の扇をパタパタと煽いだ。 その声で我に返ったクリフトは、むっとした顔でマーニャを見据える。 「さては、マーニャさん、何かご存知ですね」 (あらあら、目が据わっちゃって・・・相当応えているみたいね) 大事なお姫様のこととなると見境がなくなるからねぇ・・・。 マーニャが苦笑していると、クリフトはさらに不機嫌になる。 「マーニャさん!」 普段のクリフトからは想像も出来ないほど、鋭い視線。 (ほんとに、からかい甲斐のあるヤツよね) マーニャはグラスの中身を揺らしながら、しばし思案する。そして、クリフトに艶然と微笑みかけた。 「知ってるわよ。でも、ただで教えるわけにはいかないね。・・・そうね、あたしに飲み比べで勝てたら、教えてあげる」 「受けてたちましょう」 「決まりね」 こうして壮絶なる飲み比べが始まった。 (く、やるわね、こいつ) マーニャは内心舌を巻いていた。すでに酒場のカウンターは酒のビンが林立状態だ。 マスターは大口の客を捕まえたと喜んでいいものかと少し不安げな表情でこちらを窺っている。 いつもほとんど酒を飲まないクリフトのことを下戸だと高くくっていたのが、どうしてどうして、酒好きライアンも真っ青な飲みっぷり。それでいて乱れたところがまったくない。 マーニャはいつも以上に酔いの回った自分にため息をつきつつ、宣言した。 「あぁ、もう、いいわよ。教えてあげる。一回しか言わないからよく聞きなさいよ」 この声に、クリフトがほっと息をつくのがわかった。 何気にかれもかなり限界に近かったらしい。 悔しい気分もあったが、一度口にしたことを撤回しては女が廃るってもんさ、と気を取り直す。 そしておもむろに口を開いた。 「いや、何。ちょっと男と女の夜の営みについて、話しただけ」 その言葉を聞くや否や、クリフトは顔を真っ赤にした。 「マーニャさん、なんてことを!」 姫様は、姫様は・・・。 あまりのことに言葉が続かない。 マーニャはそんなクリフトの様子を見て、クスクスと笑った。 そしてさらに火に油を注ぐ。 「いいじゃないの、いずれは知ることなんだし」 あんただって、やりやすくなるでしょ? 含みを持たせて流し目を送ると、クリフトは涙さえ浮かべながら言い放った。 「何てことをしてくれたのです!それは、私が手取り足取り、一から姫様にお教えしようと思っていたというのに!!」 煩悩神官の本音、ここにあり。といったところだろうか。 この発言にはさすがのマーニャも驚いた。 「えっと、それは、悪かったわね」 「本当に!あぁ、私の10年来の夢が・・・」 ぶつぶつと己の野望(欲望?)を呟き続けるクリフトに、実は相当酔いが回っていたらしいことを知る。 (へぇ、意外と、ねぇ) 野心家だったのね。 妙な感心の仕方をしながら、マーニャはクリフトを見つめる。 その様子があまりに悔しそうでちょっと可哀相になった。 (結構かわいいわね。そうよね、こう見えて苦労してるもんねぇ、こいつも) 思わず涙ぐんだマーニャ自身、思考がかなり危うくなっている自覚がない。 飲んだ量を考えればわかりそうなものだが、このときのふたりは正常な判断が出来る状態ではなかった。それゆえに見られる、珍しい光景。 がっくりとうなだれ落ち込んでいるクリフトに、昔のミネアの姿が重なった。 マーニャはクリフトの頭に手を伸ばすと、躊躇することなく抱き寄せた。 「あぁ、よしよし、あたしが悪かったわ」 悔し涙を流し続けるクリフトを胸元に引き寄せ、幼い子にするようによしよしと頭を撫でる。 クリフトはそのふくよかな胸すら感じないのか、しくしくと泣き続けている。 本人たちの思惑はどうであれ、その姿は、客観的に見れば相当『親密』な間柄を連想させた。 酒場にいた客たちがからかうのも忘れ、思わず目を逸らしてしまったぐらいだ。 二人のやり取りから大まかな事情を知っていたマスターは、顔色一つ変えずに見守っていたが、ふと視線を感じて階段を見やった。 2階の宿屋につながる階段に佇んでいたのは、艶やかな赤毛の少女。 彼女はふたりの様子にかなりショックを受けているように見えた。 マスターはため息をつく。 (酒は飲んでも呑まれるな) 酒場マスター歴15年。きっとこの先もこの座右の銘だけは変わらないだろうと、ひそかに思った。 翌日も、クリフトは最愛の姫に徹底的に避けられていた。 「あーあ、見事に逃げられて」 マーニャの言葉にクリフトがきっと睨む。 「さては、マーニャさん、何かご存知ですね」 いくつかのやり取りが行われ、マーニャは挑発的な物言いをした。 「ただで教えるわけにはいかないね。あたしと飲み比べて勝てたら、教えてあげる」 「望むところです」 「「マスター、お酒!」」 ふたりの会話を聞いていて、マスターは眉をひそめる。 どうやら、彼らは昨晩の記憶がないらしい。 昨夜と同じ流れの会話を交わしながら、飲み比べに入ったふたりを横目に頭を振った。 (おかわいそうに) 思わず、昨夜のことを話そうかと口を開きかけたが、何を思いついたのか、にこやかに笑いながら立ち上がると、鼻歌交じりに酒が保管してある地下へ降りていった。 「そうそう、今月は赤字だった」 人情家の酒場のマスターも、商売人。 このあと、連夜に渡って行われた飲み比べにより、売り上げを前月比2倍まで伸ばしたマスターは、ほくほく顔でこういった。 「お客様は神様です」 「うわ、何だよ。この請求額!?」 クリフトとマーニャの飲み比べは、ソロのこの一言によって打ち切られることとなる。 そして飲み比べが終わった後も、相変わらずアリーナに避けられ続けるクリフトの姿があった。 マーニャは笑った。 ・・・お~ぉ、見事に避けられちゃって。でも、クリフト、あんた結構幸せかもよ? アリーナが避けてるのってあんただけなんだよね。 それはさ、アリーナにとってあんただけが『男』だってこと。 アリーナの後ろを必死になって追い掛け回しているクリフトをグラス越しに眺め、マーニャは 呟いた。 「煩悩神官に乾杯!」 ・・・早く『願い』が叶うといいわね。 (終)
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適性4の選手のみ表示 先 中 抑 【右投げ】 【左投げ】 【右投げ】 Pランク クリス・カーペンター 黒田博樹 ジャスティン・バーランダー[最多奪三振] ダン・ヘイレン ロイ・ハラデー Gランク ジェイソン・マーキィ バートロ・コローン マット・ケイン Sランク ショーン・マーカム チャド・ビリングズリー Bランク ジェイムズ・マクドナルド ジェフ・ニーマン 【左投げ】 Pランク クリフ・リー クレイトン・カーショウ[最優秀防御率] ヨハン・サンターナ Gランク ジオ・ゴンザレス[ポストシーズン] ジョン・ダンクス 陳偉殷 マーク・バーリー マット・ハリソン[ポストシーズン] Sランク Bランク チャーリー・ファーブッシュ 名前 コメント 更新日:2012-11-08
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クリフトのアリーナの想いはPart12.5 73 名前 1/8 Mail sage 投稿日 2012/01/18(水) 02 33 13.25 ID PE5bo6oc0 冒険後の話で一つ書きました。 ちょと長くなりましたが。 アリーナたちがサントハイムに帰還してから半年。 着々と復興は進み、城は元通りの美しさを取り戻しつつあった。 だがそこに、頭を抱える人物がいた。 「足りませんな」 「足りぬか」 サントハイム王、ブライ、それに大臣たち。 「失業者も増えておると言うのに」 「しかしこれ以上国民に負担はかけられん」 「うーむ…」 復興は進んでいたが、空白の数年間、ほぼ国としての機能が停止していたのだ。 その間に職を失った者、整備されなくなった道路、廃墟と化した関所など、 まだまだ問題は山積みだった。 アリーナとの結婚と引き換えに、多額の寄付を申し出る有力者も少なからずいたのだが、 これまで苦労をかけっぱなしだったアリーナに、そのようなことはさせたくないと サントハイム王は親心から縁談を断り続けていたのだが。 「…やはり、アリーナ様に…」 「…」 大臣が何か言いかけたが、王はまだ決心がつかなかった。 「そのことなんですが、陛下」ブライが口を開く。 「私にひとつ、案があるのですが」 「なあに、話って」 アリーナの格好ときたら、旅をしているときよりも酷いものだった。作業着に安全靴。 本人たっての希望で、彼女はあちこちの現場で復興作業に追われていた。 ブライも王もいい気はしなかったが、一人で10人分の仕事をこなすのだから文句は言えなかった。 「今度、武道大会を開きたいと思う」 「あら、素敵ね!」アリーナが目を輝かせる。 「私も出ていいのかしら」 「いや、お前は主催として見物していてもらう」 「えー。つまんない」 ふくれっつらになるアリーナの横には、一緒に呼び出されたクリフトが立っていた。 (姫様らしい)アリーナの顔を見たのは1ヶ月ぶりだった。自然と笑みがこぼれる。 「大会では参加費を徴収し、これと観戦チケット代を財源にあてようと思っている」 「ふーん。たくさん集まるといいわね」 自分が出られないと分かった途端、アリーナの興味は削がれたようだった。 「優勝商品なのだが、現金か、アリーナとの結婚か、どちらかを選べるようにしようと思う」 「ふーん…って、え!?」 「は!?」 アリーナとクリフトの声が響く。 「ななな何勝手なこと言ってんの!冗談じゃないわよ!」 「へへへ陛下。それは、本気で仰っているのですか?!」 「落ち着け2人とも。これは、復興資金を集めるのが目的。 エンドールの大会は実に多くの参加者が集まったと聞く。要はそのパクリだな。 それでだ、クリフトには、サクラになってもらおうと思う」 「サクラ…ですか?」 「うむ、クリフトには出場してもらい、ぜひとも優勝してもらいたい」 「えええっ!?」 今度はアリーナとクリフトの声がハモった。 「まあ待て。クリフトには賞金の方を選んでもらってかまわん。当然ながら賞金は受け取ったフリになるわけだが」 「…セコ」アリーナがつぶやく 「参加費は集まるわ入場料は取れるわサランには人が集まるわで経済効果が期待できるだろう、ん?」 「…」(ああ、そういうことですか…) 一瞬胸が高鳴った自分のなんと愚かなことか。 「しかし陛下、私が優勝するとは限らないのでは…いえ、全力は尽くす所存ではありますが」 「うむ。念のため、勇者殿とライアン殿にも使いを出した。」 「ふーん。どうせ賞金はあげないんでしょ。ずるがしこいっていうかなんていうか」 「まあまあ。もちろん、参加費は受け取らないし、最大限のもてなしで迎えるつもりだ。」 「ブライでしょ、これ考えたの。まったくもう。」 「ほほほ。まあ、もし万が一どこの誰とも知らないものが優勝しても、よいではありませんか。 それだけ強い者であれば、相手に不足はないでしょう」 それまで黙っていたブライが高らかに笑う。 「冗談やめてよ。もう。」 時は流れ、大会当日。 「久しぶりだな、クリフト。」 「ソロさん。ライアンさん」 出場者控え室でそわそわしていると、懐かしい2人がやってきた。 「お前も出るんだって?ザキはやめてくれよ」 「公衆の面前で唱える勇気ありませんよ」 「随分と参加者が多いようだな」ライアンがつぶやく。 「はい。やはり、姫様と結婚…というので話題を呼んだようで」 「…ふーん。アリーナってけっこうモテるんだな」 「どうなんでしょうね。腕試しや、賞金が目的の方もいるでしょうし」 「クリフト、それでお前は何が目的なんだ?」 「分かってるくせに聞かないでください」 クリフトがむっとした声で答えた。はいはい、とソロが笑う。 「マーニャさんたちは来てるんですかね」 「2人とも、サランで遊んでるよ。出店とか色々出てたから」 「トルネコも家族で来ると言っていたから、後で来るだろう」 「そういえば、ソロさんは一人ですか?」 問いかけられて、ソロは下を向く。 「それがさあ。朝ふざけて俺アリーナと結婚したらサントハイムの王になるのかなーとか言ったんだよ。 そしたらシンシア怒っちゃって、勝手にしろって追い出された」 「…」 クリフトが笑いをこらえる。 「不用意だったな」ライアンが笑って言う。 「負けないぜ、二人とも。」 「ああ」 「…ええ」 「あーあつまんない。私も参加したかったなあ」 久しぶりにドレスに身を包んだアリーナは、特設スタジアムに用意された高台の特別席から、 リングをぼうっと眺めていた。 「何を仰いますやら。姫様をダシにしたおかげで、ほれ、この参加者と観客の数。 笑いが止まりませんな」 満員になったスタジアムを見渡しながら、ブライがほくそ笑んだ。 「ま、いいけど」 (つまんない。出たかったなー。誰が優勝だろ。やっぱりソロかな?でも、力だけならライアンよね。クリフトは…どうなんだろ) 「魔法の使いどころや戦法で、勝者が決まるでしょうな。さて、誰が優勝しますやら」 アリーナの考えを読んだのか、ブライが呟いた。 大会はトーナメント方式で、順調に3人が勝ち進んだ。 クリフトは難無く準決勝戦の相手を倒した。もう一つの準決勝戦である、ソロ対ライアンの試合はもうすぐ始まる。 (クリフトって、こうやって見ると、強いのよね) アリーナは旅の間はソロやライアンといった達人を見慣れていたため、クリフトのことはそこそこ戦える回復役、 くらいにしか思っていなかった。 「…いつの間にかあんなに強くなってたんだなあ」 「おし。行くか。」「本気で戦わせてもらうぞ」 ソロとライアンは気合十分だ。 クリフトはリングの下から、「2人とも頑張ってください」と声をかけた。 試合開始の合図が鳴る。剣で打ち合う2人。 (ソロさんもライアンさんも強いもんな…決勝でどっちとあたっても、勝てる気がしない) 少しソロが押されているように見えるが、即座に回復し、反撃する。 (魔法がある分、一対一ではソロさんが有利なのかも) 一進一退の攻防が続く。 客席から、聞きなれた声で「ライアン行けー!」「ソロさんもがんばってー!」という声がする。 ライアンの放った一撃が、ソロの剣を床に落とした。 「!やべ」 ソロが剣を拾おうとしたそのとき、ライアンがすかさず剣を繰り出してきた。 「ライデイン!」 閃光が走り、ライアンの剣を直撃する。 「ぬわっ」 ライアンも剣を取り落とした。 その瞬間、ソロは剣を拾い、反撃に出る。 「…参った」 ソロの剣を喉元に突きつけられ、ライアンが唸った。 「お疲れ様でした。すごい試合でした。」 リングから降りた二人にクリフトが駆け寄る。 「はぁはぁ、めっちゃ疲れたわ・・・」 「さすがでしたな、ソロ殿…はぁはぁ」 「なんか、これが決勝戦でよくない?」 客席で勝手なことを言っていたのはマーニャだった。 決勝戦は1時間の休憩を挟んでからだ。 (勝っても負けても、何が変わるってわけじゃないんですよね) クリフトが勝とうが負けようが、賞金が出るわけでも、アリーナが結婚するわけでもない。 それに、ソロ相手に勝てる気もしない。 (でも、勝ちたい。) 「全力で行くぜ」 「はい。よろしくお願いします。」 試合が始まった。 (速いな…)魔法を唱えるのが速いし、次の動作に移るのが速い、とソロは思った。 一撃一撃は重くは無いが、なかなか隙が無い。 (ダメージ与えるそばから回復されちゃあ、たまんねえな) 「一気に決めてやるぜ、クリフト!」 ソロが畳み掛ける。 (やっぱり強い) クリフトは必死でソロの攻撃を受け流す。 (まともにくらったら、まずい…) 勝ちたい。姫様にいいところを見せたい。我ながら、子どもみたいな理由だ、とクリフトは思う。 「クリフトがんばれー!!!」 ふいにアリーナの声が会場に響き渡った。 2人は剣を構えたままにらみ合った。2人とも、だいぶ息が上がっている。 「往生際悪いぜ、クリフト」 「ソロさん、こそ…」 「俺もシンシアとの仲がかかってるからな。負けるわけにはいかないんだよ」 「それと試合と何の関係が…」 「うるせーな。優勝して、アリーナとは結婚する気ありません!って宣言しないといけないんだよ、俺は!」 その瞬間。 「隙ありいいいいい!!!」 ソロの放った一撃が、クリフトの剣を叩き落した。 「あっ!」 「どりゃあああああ」 ソロの渾身の一撃が、クリフトを盾ごと吹き飛ばした。 「疲れたあ…」 「良い試合だった。クリフト殿も惜しかったな」 「いえ、私なんて全然…」 「何を言う。最後の一瞬の隙が実に惜しかった。ソロ殿の集中力もだいぶ切れていたし、持久戦に持ち込めば勝てたのではないか?」 「とんでも、ないです…」 「クリフト、お前さ…」 ソロが何か言いかけたそのとき。 「みんなお疲れ様!」アリーナが駆けてきた。 「よーアリーナ。これで俺と結婚だな」 「バカ言わないで。3人とも、すごいかっこよかったよ!」 クリフトが目を伏せる。 「おい、何テンション下げてんだよ!」 「べ、別に」 「おいアリーナ、こいつお前にかっこいいとこ見せたかったんだぜ~なのに悪かったな!な!クリフト!」 クリフトにヘッドロックしながらソロが笑う。 「ちょ、な、何言ってるんですか」 「…うん。かっこよかったよ、クリフト」 「あ、ありがとうございます…」消え入りそうな声でクリフトは答えた。 「この後ね、優勝者へのインタビューがあるから。くれぐれも私と結婚するなんて言わないでよね」 「ああ、そんな冗談今度こそシャレにならん」 その後、ソロは高らかに家でかわいい彼女が待っているので結婚はしません! 賞金はサントハイム復興のため寄付します!などと宣言していた。 「皆の者、今日は遠路はるばるご苦労だった。おかげで大会は大成功だ。 心より感謝する」 マーニャとミネア、トルネコ一家も加わって、 約束したとおり、その夜はソロたちを労っての晩餐会が開かれた。 「意外に盛り上がったわね、決勝戦」 「クリフトさん、あんなに強かったのね」 「そりゃあ、いいとこ見せたかったんですよ。ね、クリフトさん。あれ、クリフトさん?」 トルネコが声をかけた先にクリフトはいなかった。 「あれ?さっきまでいなかったあ?」マーニャが首を傾げる。 「なんか教会に用事がとか言ってたけど」ソロが答える。 「俺ちょっと見てくるわ」 サランの街には多くの旅行者が訪れ、街灯が明るく街を照らしていた。 その様子は城からもよく見える。 「大成功だな、ほんと。よかったよかった」 教会の扉を開けると、椅子に腰掛けるクリフトの背中が見えた。 「何やってんだ?」 「あ。ソロさん…」 言いながら、ソロはクリフトの隣に座る。 「どうしたんだよ」 「いえ、なんだか気まずくって」 「なんでだよ。俺に負けたくらい、どうってことないだろ」 「いや、そうじゃなくて…なんというか」 「…お前さ。途中で手抜いたろ?」 「え?」 「ふっとお前から戦意が消えたんだよ。そこで一発叩き込んだわけだけど」 「…あー…」 「俺を勝たせようとか思ってくれたわけ?」 「いや、別に…大体、優勝しなくたって、誤解くらい解けるでしょう、あなたたちなら」 「ま、そーかもな。早く帰って謝らねーと」 クリフトが視線を落とす。 「なんだってんだよ。お前」 「ふと、思ったんですけど」 「ん」 「私がもし優勝してたら、姫様ではなく賞金を選ぶと宣言しなければいけなかったわけですよね」 「…まあ、そうなるな」 「あ、そうなるか、とか思ってしまって」 「なるほど」 「いや、別に元々、結婚なんて出来るわけないですし、宣言したところで、姫様にとってはそれが当たり前なのは分かってるんですが」 「…」 「そしたらなんだか、姫様の顔を見るのが辛くなってしまって」 うーん、とソロは腕組みして唸った。 「…あんまり思いつめんなよ。とりあえず、アリーナはしばらくは結婚とか考えなくてよくなったんだし。 戻って飲もうぜ」 「…はあ…」 ゆっくりと2人で立ち上がる。 「サントハイムの料理、俺けっこう好きかも。けっこう香辛料とか効いてて…」 突然、ソロが言葉を失った。 「ソロさん?」クリフトがソロの視線を追う。 そこにはアリーナが立っていた。 「姫様。どうしました?」 涼しい声を取り繕って口を開いたが、は、と我に返る。 ―いつから。どこからどこまで聞かれていた? 「あ、あのいつからそこに」 「…」 アリーナは答えない。みるみる真っ赤になる顔色から、全て聞かれてしまったんだとクリフトは悟った。 「…」 なんて。 なんて、言い訳したら。 (こうなったら) 「あの、姫様、その、行きましょうか。みなさん待ってますよ」 (シラを切り通す!) アリーナの横をすり抜け、歩き出したそのとき。 アリーナがクリフトの服の裾を掴んだ。 「姫様?」 「…クリフト、今日かっこよかったよ」 「あ、ありがとうございます」 「がんばれーって、言ったの、聞こえた?」 「え。…幻聴かと思っておりました…」 「やだ。違うよ」 アリーナが笑った気がするが、クリフトは振り返れない。 ソロはアリーナとクリフトの顔を交互に見ると、 「あー俺、さ、先行くから!」 猛ダッシュして見えなくなってしまった。 (…ソロさん、ひどい…) クリフトはしばしこの状況に絶望したが、そうも浸っていられない。 「さ、行きましょう姫様。しかしソロさんは何一人で走って行ったんでしょうね」 クリフトはあくまでもシラを切り通すつもりだ。 「待って」 「…はい」 「さっきの言葉の意味、ちゃんと教えて」 クリフトの背筋が凍りつく。 「な、何のことでしょう。私は何も」 「聞き間違いじゃなかったら、とっても嬉しいことだったと思うの」 「…え?」 「だ、だからあの、やだもう、恥ずかしい」 アリーナはクリフトの背中に顔を埋めた。 「何ー遅くない、あの2人」 「なあマーニャ、賭けないか」 「何が?」 「戻ってくる二人がどんな顔してるか」 「えー?」 俺は真っ赤な顔してくるに一票だな、そうソロが言ったとき、静かに扉が開いたのだった。
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クリフトのアリーナへの想いはPart5 51 :【日光浴】1/2 ◆cbox66Yxk6 :2006/04/24(月) 08 46 58 ID 5mLm5+hB0 「日光浴はお好きですか?」と訊かれれば、クリフトは「はい」と答えるだろう。また、 「海水浴はお好きですか?」と訊かれれば、クリフトは「はい」と答えたに違いない。 では、「日光浴と海水浴ではどちらがお好きですか?」と訊かれたら? クリフトは海辺の村の外れにある岩場でのんびりと日光浴を楽しんでいた。 海よりのさわやかな風が吹き抜け、彼の蒼い髪をふわりと撫でる。 「海水浴、か」 ふと漏れた一言に彼は自嘲気味に笑い、程近いところで泳ぎを楽しむたびのメンバーたちを見やった。 クリフトが『海水浴』をしなくなってどれくらいが経つのか。 サントハイムの城下町サランから、海はそれほど遠くない。ゆえに、夏ともなれば子供たちはこぞって海に出かけ泳ぎを楽しむ。クリフトとて、神学校の友人とよく遊びに行ったものだ。 取り立ててうまい方だったとは言わないが、クリフト自身それなりには泳ぐこともでき、海水浴が好きだった。しかし最近では海水浴より日光浴をするようになっていた。 なぜか? クリフトは「気持ちいい~」とはしゃぎまわっている赤毛の少女をちらりと見ると、うっすらと頬を紅潮させた。 ここ数年でますます女性らしくなったアリーナ。その美しさにクリフトは軽い眩暈を覚える。 そう、原因は彼女。 16の夏、彼は彼女といっしょに海に泳ぎに行った。そしてそれ以来一度も『彼女』とともに 泳いだことはない。 若かったあのとき、彼は判断を誤ってしまった。 彼は知らなかったのだ、日光浴よりも海水浴の方が『危険』だということを。 海の中にいれば『それ』を知られることはない。 しかし、いつまでも海の中にいればどうなるのか。 クリフトはそのときのことを思い出すと、胸が苦しくなる。 冷たい海水に長時間さらされているとどうなるのか。彼はそれを体験した。 足に激痛が走ったと思った矢先、海面が頭上に広がり・・・。 気がつくとクリフトの胸は海水で満たされていた。 息ができずにもがけばもがくほど、苦しみはひどくなり・・・あの時偶然居合わせた友人がいなければ自分は溺死していたのかもしれない。 一瞬だけよみがえった恐怖に身を震わせると、クリフトは己のある部分に一瞬だけ視線を送り、深々とため息をつく。 「いつになったら・・・」 姫様と一緒に『普通』に泳げるのでしょう・・・。 分厚い神官服はクリフトを辟易させていたけれども、いまはどんな鎧よりも頼もしい。 しばし遠い目をしていたクリフトだったが、邪念を追い払うかのごとくかぶりを振ると瞑目し、さわやかな光と風を体感することに神経を注いだ。 クリフトは海水浴が好きだ。しかし、「海水浴が好きか?日光浴が好きか?」と訊かれれば、彼は迷わずにこう答えることであろう。 「私は、海水浴より日光浴が好きです」 しかし、胸のうちではこう答えることであろう。 「いつか私が大人になりきった時は、海水浴と答えたいものですね」と。 ―――――少年はこうして大人の階段を昇る。 (終)
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クリフトのアリーナへの想いはPart6 長編6/12 1へ2006.03.09 99 :1/9 (前前スレ506):2006/08/23(水) 11 24 15 ID BkjLGtBX0 エンドールより帰国して数日、アリーナ姫の様子がおかしい。サントハイム城内ではそんな噂話が飛び交っていた。そば仕えのメイドたちから城の庭師、厨房のコックや下働きの子供にまでそんな話が伝わっているらしい。事実、エンドールを訪問し戻ってきてからのアリーナは、それまで日課であった武術の稽古をしなくなった。訓練場を訪れては兵士たちに手合わせを申し込むこともなくなり、厨房にやってきてはおやつをつまみ食いしたり、庭の水遣りを手伝ったり、子供たちと無邪気に遊ぶこともなくなってしまったのだ。部屋の中にいることが増え、たまに城の中を散歩するのみ。あれほどおてんばだったアリーナがすっかりおとなしくなってしまい、城の中の雰囲気も少し覇気がない様に感じられる。 「いやはや、アリーナ姫をエンドールに向かわせてようございましたな、陛下! 姫のあのご様子から察するに、きっとラスダ殿のことを気に入ら れたのでしょう」 そんな場内の様子とは正反対に、王座の間ではアリーナにお見合いを勧めた張本人である大臣の満足そうな声が響く。 「ふむ、そうかのう。わしはアリーナに元気がないようで、少々心配しておるのだが……」 サントハイム国王は髭に触れつつ、少し渋い顔をした。 「女性と言うものは好意を持った殿方に対しては多少しおらしくなるものです。おてんばなアリーナ姫ももうひとりの女性です。きっと花嫁修業にも積極的に取り組まれるはずでしょう。のう、ブライ殿」 「…そうだとよいがのう」 所用にて王座の間へ出向いていたブライもその会話に巻き込まれた。心底喜んでいる大臣の様子に水を差すわけにもいかず、中途半端な言葉でその場をしのぐ。 「ラスダ殿がサントハイムへ来ていただければわが国も安泰ですぞ。姫様がその気とあらば、早速具体的な準備にも取り掛からないと」 大臣は生き生きとした表情で執務室へと向かいその場を立ち去った。 『その気』であるのはアリーナではなく大臣の方だとブライは心の中でぼやいた。ブライには到底アリーナがその気になったとは思えなかったが、 女性の心理は複雑だ。何かの拍子に気が変わったとしてもおかしくはない。 アリーナが結婚するとなればこんなにめでたいことはない。ブライも大臣と同様にこのサントハイムに長らく仕え、その発展を願ってきていた。 それなのに喜ばしさだけに満たされることのない心に、ブライは妙な胸騒ぎを感じていた。 教会の奥に与えられた狭く質素な部屋の中。蝋燭に火を灯し、クリフトは静かに本を読みふけっていた。外は真っ暗な夜の闇。真夜中を過ぎているというのに、クリフトはページをめくる手を止めることなく床に就こうともしなかった。 品行方正な神官の振りをして……自分の欲求を抑えることができなかった。神に仕える者としての自分自身に失望する一方で、ひとりの男としてアリーナを強く想う事実を認識する。それでも日を追う毎に心の中に降り注ぐ後悔の感情に、クリフトは今日も眠れぬ夜を過ごしていた。 スタンシアラを訪れた小旅行の後、クリフトは意識的に毎日を忙しく過ごし、自らに休息を与えなかった。常に何かしていないと、忙しく何かに取り組んでいないと、ふとした瞬間の思考の隙間にアリーナのことを思い浮かべてしまうからだ。 「はあ……」 昼間耳にした噂話が気になり、読書に集中できない。クリフトは栞を挟んで本を閉じた。そして重いため息をひとつ。 アリーナの様子がおかしい。武術の稽古もしなければ城の外へ出たいとせがむこともない。部屋にこもりがちだと聞いた。クリフトは気になって仕方がないのに誰に詳しく聞こうとしなかった。 スタンシアラから帰ってきてから、クリフトはアリーナとほとんど顔を合わせていない。廊下ですれ違うことはあっても、挨拶のみで通り過ぎるだけ。以前のようにどんなに忙しくても少しの間立ち止まり、他愛もない会話をすることを避けてきた。そばにはもう、いられないのだと確信したからだ。自分の心の奥底にある情熱が、制御できなくなってしまうのを恐れて。 眠れないままただ過ぎる時間はひどく長く感じられ、苦痛に思うようにさえなる。クリフトはおもむろに立ち上がると、風に当たるため外に出て行った。 半分に欠けた月がサントハイム城を照らし出す。細切れになった雲がゆっくりと動いていく様子が城壁から確認できた。この様子では明日もきっといい天気になるだろうと、思いをめぐらせながらクリフトは城壁を歩く。 夜風がクリフトの夜着をくすぐって遠くへと吹き抜けていく。 城壁を一周したら部屋に戻ろうと決めて歩いていたクリフトは、ふと何かが視界の隅にちらついたような気がして、立ち止まりその方向へと視線を向けた。南西の城壁、場内へと降りる階段の踊り場付近。ひらりと何かが翻っている。 「姫さま!」 そこにはアリーナの姿があった。薄く頼りない夜着に身を包み、明るいオレンジ色の髪を風に弄ばれるまま海のほうを眺めている。クリフトの視界の隅にちらついたのは、肩に羽織ったケープだった。 「クリフト?」 「姫さま。こんな時間にこんなところで、何を……」 「クリフトこそ、何してるのよ」 「私は、……少し、眠れなかったものですから」 「あら、わたしと一緒ね。なんだか眠くならなくて、ずっと部屋にいるのも退屈だから出てきちゃったわ」 「お戻りください。見張りの者が心配します」 「ちょっとくらいいいじゃない。それに、クリフトがいてくれるなら危ないことなんてないって、みんな思ってくれるわ」 クリフトのほうを向き直り見上げながらそうやって言葉を交わした後、アリーナはまた海のほうへと視線を向けた。音の消えた城に波の音が微かに届いてきている。 部屋に戻るよう促すもそう簡単に言うことを聞いてくれるような姫ではないことをクリフトも重々承知している。かといってこのままほうっておくわけにもいかず、クリフトも階段を降り踊り場へと移動する。 「クリフトとおしゃべりするの、なんだか久しぶりね」 「そうですね。姫さまは元気がないご様子だと、城の者が噂をしております。お身体の具合でも、悪いのですか?」 「ううん。そんなことないわ。わたしは元気よ」 そう言ってアリーナはにこっと笑った。その笑顔にクリフトは安心する。 しかしその笑顔も一瞬で、すぐにどこか不安げな表情に変わる。 「……わたし、きっとラスダと結婚するのね。好きなのかどうなのか、わからないのに」 結婚、という言葉にクリフトの身体が竦む。それなのに、アリーナはまるで他人事のようにその言葉を口にする。 「結婚して、毎日一緒にいたら、わたしはラスダのこと好きになるのかな」 「………」 「好きに、なるのかなぁ……」 一国の姫という立場においては、恋愛も決して自由ではない。エンドールのモニカ姫とボンモールのリック王子の結婚が世界中を駆け巡る大きなニュースになったのも、王家というものがいかに格式高く在り、恋愛において個人の感情や自由のないことの裏返しであるからだ。 「どうやったら、好きになるのかな。どういう風に思うことが、好きになるってことなのかな」 「ラスダ様はよいお方です。先日サントハイムを訪れた際対応いたしましたが、私のような者にもお優しく礼儀正しい方でした。きっと、姫さまを大切に思ってくださいますでしょう」 「でも、わたしはわかんないんだもん。わかんないのに、大臣やお父様が言うように簡単に結婚することが、正しいって思えないの。納得できないの!」 「陛下や大臣殿は簡単に結婚を勧めておられるのだとお思いですか? 姫さま。あなた様のために大臣殿はいくつもの国と連絡を取り合い、姫さまにふさわしいお相手をずっと探してきておられたのですよ」 「そんなこと言ってるんじゃないの。そういうことはわたしにだってわかってるの」 「ならば何に納得できないとおっしゃるのですか? ラスダ様はエンドール王の甥にあたるお方。サントハイムに移り住むことも快諾してくださっています。こんなによいお方、他にはおられないと思いますが…」 「だから! そんなこと言ってるんじゃないって言ってるのよ!」 アリーナは少し涙目になりながらクリフトを睨み上げた。 ラスダの気持ちを真剣に受け止めているからこそ、アリーナはどうしたらいいのかわからなくなる。結婚するのなら自分もラスダのことを好きにならないと。でも、その感情の所在を確かめられずに、それ以前に、その感情自体がどういうものなのかをわからずにいる自分自身が不安で不安で、しかたなくなる。 一方クリフトは、少々冷たく言いすぎたと今し方の発言を悔やんだ。けれども、そんな風に冷たく言い放ちでもしない限り、自分の心も抑えられない。好きな女性に違う男を勧めるなど、心を冷たく凍らせないとできはしないことだ。しかし、そうした行動が結果的にアリーナの心に傷を負わせた。 アリーナをなぐさめることよりも、自分の心が傷つくのを防ぐことを選んでの言葉。アリーナの瞳に涙が浮かぶのを見ていられず、クリフトは俯き唇を噛んだ。 アリーナはきつくクリフトを睨み、また海のほうへと視線をそらす。 「姫さま……」 「説明してよ、好きになる気持ちを。それがわかってたら、とっくに結論は出てるわ」 「………」 「そんなに一方的に言うんなら、クリフトがわたしに教えてよ。ちゃんとわたしが理解できるように、教えなさいよ!」 アリーナは今にも涙が出そうになるのを必死の思いでこらえた。なぜだかわからないが、ひどくイライラして仕方がない。いつだってアリーナの最大の理解者であり味方であったクリフトが、自分の言うことを正面から受け止めることなく、一方的にアリーナも十分に承知している当たり前のことをまくし立てることが腹立たしかった。不安でたまらないのに、そしてどうしたらいいのかわからないと訴えているのに、話は噛み合わずまったく取り合ってくれないクリフトの態度に大きな溝を感じてしまう。 最初はさざ波のように小さかった不安が、クリフトと話したことによって大きな津波のように姿を変える。クリフトと話せば少々の不安は大きくなることなく小さなままでアリーナの心に留まり、いつしか消えていくことが当たり前だったのに。今はクリフトの言葉ひとつひとつがアリーナの繊細な心に細やかな傷をいくつもつけていく。 「……っ!?」 突然、アリーナの身体は強い力に包み込まれた。心の中の幻であるはずの津波に、本当に飲み込まれてしまったのかと思うほどの強い力に。 「私は…っ!」 「クリフトっ?」 「姫さま、私はずっと…ずっとあなたのことが好きでした」 冷ややかに凍らせていたはずの感情は、クリフトが自ら心の一番奥底に押し込めたはずの情熱に一気にとかされてしまった。気がつけばその腕にアリーナを抱き、強く自分のほうへと引き寄せる。クリフトの頭の中からはあらゆる理性と常識が消え去り、アリーナを強く抱きしめることだけを考えていた。 心が、ひどく焼けつく。 「あなたのことを、想っていました。こんな風に抱きしめたいと、何度も何度も思いました。私が姫さまに教えられる『好きだ』という感情は、こ れがすべてです。お許しください…!」 クリフトの腕の中で、アリーナはほとんど呼吸もできないほどの緊張を感じていた。力強く自分の身体に巻きつくクリフトの腕。こんなにも上ずったクリフトの声は普段と全然違っていて、今まで聞いたこともない。急にアリーナの心臓が高鳴り始めた。薄い夜着越しにクリフトに伝わってしまいそうで、それがとても恥ずかしいような気がして、アリーナは逃れようと小さく身じろぎをした。しかしクリフトの腕は解けることなくアリーナを捕えて放さない。 「姫さまにお見合いの話が舞い込むたび、私はあきらめなくてはいけないと思っていました。姫さまにふさわしいのは私ではないと、わかっているのです。仕えているだけのただの家臣という立場であることも自覚しております。それでも、あなたを想わない日はないのです。昨日も、一昨日も、ソロさんと旅をしている間も。毎日あなたを愛しいと思います。毎日あなたの笑顔に安心するのです」 今まで何年も感情を押し殺してきたせいだろうか。何のために気持ちを抑えてきていたのかわからなくなってしまったように、クリフトは内に潜めていた激しい想いをアリーナにぶつけた。 「お許し、ください……」 その腕とは裏腹、力ない声となりそう許しを請う。 叶わないことはわかっている。アリーナとの間にある絶対に踏み越えられない線があることも。それでも今この瞬間だけは、そんなものを全部無視して、誰にも渡すものかと力強くアリーナを抱きしめる。 「誰かいるのですか?」 突然、強い光がふたりの姿を照らし出す。夜間警備の兵士がたいまつを片手に城壁からふたりのいる踊り場を見下ろしていた。 「姫様! クリフト殿!」 兵士の声に我に返ったクリフトはようやくアリーナから離れる。 「クリフト殿……あなたは、今何を……」 この恋は叶うはずもない泡沫のようなもの。 誰に認められることもない、許されることもない、禁じられた感情。 まだアリーナを抱きしめた感覚の残るその腕をやり場なく垂らしたまま、クリフトは呆然と自らを見下ろす兵士の姿を見上げていた。 世界を救った英雄のひとりが、ある国のお姫様と結ばれるなど。 昔々の、御伽噺。 END. 前2006.08.11 続き2006.09.28
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クリフトのアリーナへの想いはPart5 261 :【世界の均衡】1/9 ◆cbox66Yxk6 :2006/05/19(金) 21 28 55 ID lYbCMOsv0 スタンシアラ王は玉座に腰掛けながら、眉間にしわを寄せた。 「せっかく世界が平和になったというのに・・・」 魔族の脅威が去り、毎日笑い暮らしている予定だったにも拘らず、スタンシアラ王の心中は穏やかではなかった。 原因はわかっている。それは、世界の不均衡さだ。 世界を平和に導いた者、勇者ソロ、王宮の戦士ライアン、エンドールの大商人トルネコ、モンバーバラの美しき舞姫マーニャ、神秘の占い師ミネア、サントハイム王女アリーナ、サントハイムの重鎮ブライ、神官クリフト。そして独自の情報網で得た極秘情報によれば、ロザリーヒルというところにピサロというとてつもなく強い者がいるという。 そう、スタンシアラ王が気を揉んでいるのは、この者たちの偏りだ。 勇者ソロはブランカ、ライアンはバトランド、トルネコがエンドール、マーニャとミネアがキングレオ、ピサロは小さな連合国が集うロザリーヒル周辺。と、ここまではよい。 問題は、自国スタンシアラに導かれし者がいない上に、親交深いサントハイムに3人という事態。 スタンシアラ王は玉座から立ち上がると、握りこぶしを作り、ぎりりと歯軋りをした。 「ずるいぞ、サンちゃん!!」 遠くサントハイムの城でのんびりと過ごしているであろう友人を思い、スタンシアラ王・通称スタン君は、娘があきれ返るほどしつこく「ずるい」を連呼していた。 「ほう、スタンシアラから親書、とな?」 「御意」 恭しく差し出された親書を取り上げ、目を通していたサントハイム王だったが、顔色を変えるとわなわなと玉座から立ち上がった。 「な、なんということだ!!」 その切羽詰った様子に、年若い近習は首をすくめ、ブライは眉をひそめた。 「陛下」 どうされました? 言外に訊いてくるブライに、目線だけで指し示しながらサントハイム王が促す。 立ち上がったときに取り落とした親書を拾い上げ、すばやく目を通したブライは低い声で唸った。 「これは・・・」 困ったことになりそうですな。 そこに書かれていたこと、それは・・・スタンシアラの王女とクリフトの縁談であった。 「なるほど、そういうことですか」 内密の話があると告げられ連れてこられた王の私室で、事の次第を告げられたクリフトは顔色も変えずそう答えた。 てっきり慌てふためくものと思っていた王とブライはお互いに顔を見合わせ、不審そうな顔をした。 「それだけ、か?」 他に何か反応は? そうおずおずと切り出したブライに、クリフトはきっぱりと言い切る。 「まぁ、予想の範疇でしたから」 別段驚くようなことでもないですね。 平然と言ってのけるクリフトに、サントハイム王の目がやや細まった。 「ほう、予想の範疇とな」 で、どうする気じゃ? 王の言葉に、クリフトは少し意地悪げな表情をみせる。 「私を、スタンシアラに差し出すわけにはいかないのでしょう?」 でなければ、内密にする必要もないでしょうし。 クリフトは口の端をほんの少しだけあげる。 「でしたら、そうならないようにするだけですよ」 アリーナと接している時には滅多にみせない不敵な笑い。それは老練な政治家を思わせるしたたかな笑い。 (こやつ、いつの間に) こんな表情をするようになったのか、とブライが内心で驚いていると、いつもどおりの穏やかな雰囲気に戻ったクリフトが、明日の天気のことでも話すかのようにのんびりと口を開いた。 「では、スタンシアラへ行ってまいります。どうかこのことは姫様にはご内密に・・・」 それだけ言い終えると、静かに部屋をあとにした。 残された王とブライは狐につままれたような顔をしていたが、扉の閉まる音で我に返った。 しばらく奇妙な沈黙が部屋を満たしていたが、やがてサントハイム王がぽつりと呟いた。 「のう、何とかなるような問題であったか?」 「さぁ、しかし・・・姫様が絡んでおりますからな」 多分、大丈夫であろうか、と。 そう返したブライであったが、さすがに事が外交問題なだけに完璧に不安を拭い去ることはできなかった。 実のところを言うと、この問題を事前に封じ込める手立てがなかったわけではない。 ブライは自室の椅子に座りながら、思考の海に身を委ねていた。 机の上に置かれたお茶がすがしい香りを運んでくる。その香りを堪能しながらブライは蒼い髪の青年を思う。 この事態を防ぐ事前の策、それは、クリフトとアリーナを婚約させてしまうことであった。 そうすれば、クリフトという重要な人物が国外に流れることも防げる上、何より好きあったふたりが結ばれるという非常に喜ばしいことであったからだ。ただ、それを許さないのが身分の壁。 アリーナに兄弟があれば別だったのかもしれないが、アリーナはいま唯一の王位継承者といってよい立場にある。それ故、外交問題上その相手が一介の神官であるわけにいかず、クリフトの官位がそれ相応になるまでは話を進めるわけにはいかなかったのだ。もちろん、クリフトをただのお飾りとしてまつりあげることは可能かもしれないが、それではアリーナひとりに外交の負担がかかり過ぎてしまう上、クリフトの高い外交能力すら押し殺してしまうこととなる。それはサントハイムにとって痛手であり、それくらいならば有能な臣下として政務に関わらせたほうが有益であるとも言える。そう、クリフト自身が問題なのではない。サントハイム国内でクリフトのことを悪く言うものはおそらくほとんどいないであろうし、彼自身言わせないだろう。何といっても彼には『ザ』から始まる素敵な最終兵器があるから。だが、国外ともなればそうはいかない。 神官の身分のまま王族の仲間入りをしたとて、格式を重んじる伝統国家から疎んじられるのは目に見えている。表立って事を荒立てなくとも、水面下で貶められるのは必定だ。それ故、アリーナの婿は、諸外国から文句の付けようのない身分を持っていることが条件ともいえる。だからといって、官位制度をまげてクリフトに高い身分を与えることも反発を呼ぶのが必至であり、クリフト当人だけでなく、クリフトを密かに応援するものたちの頭を悩ませてきた。 それはサントハイム王も承知していて、数々数々数々の嫌がらせはしていたものの、一応はクリフトとアリーナの仲を認めていたのだ。これはクリフト自身もわかっているらしく、だからこそ悲観することなく日々精進していたのだが・・・。 ブライはすっかり冷めてしまったお茶をすすりながら、深々とため息をつく。 「こんなことになるくらいなら、無理矢理にでも婚約させておくのだった・・・」 サントハイムでは問題になることでも、お国が違えば事情も違う。 王女が何人も存在するスタンシアラでは、クリフトが平民であろうが全くといってよいほど問題にならない。むしろ、一神官が王女と結婚するということは民衆にとって喜ばしいことでもあり、王家にとっても民衆の受けを良くするに、絶好の機会とも言える。しかも、クリフトはただの平民ではなくサントハイム王宮付神官というしっかりとした身分を持っている上、あの『導かれし者』のひとりなのである。これで、歓迎されない謂れはない。 正直言って非常にまずい状態なのである。 進退窮まるという言葉があるが、まさにこのことを言うのであろう。 現時点でアリーナとの婚約がなされていない以上、今更それを行えば、「サントハイムに不穏の動きあり」と近隣諸国にいらぬ疑いを招くことになりかねない。それは平和に向かって躍進している世界の調和を乱すこととなるし、万が一主要国の首脳会談の折に、勢力均衡を唱えられでもしたら、クリフトとアリーナは永遠に結ばれることはないだろう。それでも強引に推し進めれば他国までもを敵に回しかねないのである。 「どうしたものかのう・・・」 王と丸一日考え続けて、それでも何一つ打開案が見つからず、クリフトに相談したものの、だからと言ってどうにかなるとは思っていなかった。 「どうなるんじゃろ・・・」 「ただいま戻りました」 スタンシアラ王の書簡を携えてクリフトが現れたのは、3日後のことであった。 その間、アリーナにクリフトの所在を聞かれては肝を冷やしてきたふたりは、クリフトの姿をみてほっと息をつき、同時に不安で胸がいっぱいになった。 それは、クリフトが難しい顔をしていたから。 (やはりだめだったのかのう?) ブライと顔を見合わせ、内心嘆息したものの、とりあえずはことの経過を知るしかなく、サントハイム王は恐る恐る訊ねた。 「して、どのように?」 これに対して、クリフトは深々とため息をついてみせると、「大変なことになりました」とだけ言い、書簡を差し出した。 サントハイム王は、このとても心臓に悪そうな書簡を自らが受け取るべきか迷った末、ブライに書簡を開かせると目を通すように促した。 (陛下、ずるいですぞ) わしだって命は惜しい。 心のうちで、そう呟いたものの命令に逆らえず、ブライはしぶしぶ書簡に目を落とした。 瞬間、ブライは目が零れ落ちんほどに見開き、絶句した。 「なんじゃ?」 ・・・まさか『ザ○キ』とか書いてないだろうな。 サントハイム王がただ事でない雰囲気に恐怖を感じたものの、ブライからの返答が得られないので、仕方なく書簡を手にし文字を追った。 と、顎がはずれんばかりに口を開き、クリフトに視線を送った。 スタンシアラ王の書簡には、非常に簡潔に以下のことが書かれていた。 サントハイム神官クリフトをわが養子として迎える。詳しいことは後ほど正式な書簡にて。 スタンシアラ王 「ということです」 何だか大変なことになってしまいましたね。 事も無げに言い切ったクリフトに、ブライが掴みがからんばかりの勢いで詰め寄る。 「おぬし、どうやったのじゃ?」 今にも血管が切れそうなほど興奮しているブライを落ち着かせると、クリフトはにっこりと微笑んだ。 「娘婿と親子の絆、どちらが堅固でしょう?」 ただ一言だったが、ブライはクリフトの言わんとするところを正確に悟った。 つまりクリフトはスタンシアラ王にこう言ったのである。 万が一そちらの王女とうまく行かず、離婚にでも至れば、私との縁は悪縁となりますよ。 でも、養子という形を取れば簡単には縁は切れません。 どちらを望まれますか?と。 「おぬし・・・」 言うべき言葉が見つからず、口をつぐんだサントハイム王に向き直ると、クリフトは改めて礼をとった。 「正式な発表はもう少し先になるかとは思いますが、このように事態を収めましたことご報告申し上げます」 ・・・いろいろと忙しくなりそうですね、お義父上。 クリフトはサントハイム王へまっすぐに視線を向け、含みのある微笑を浮かべた。 その微笑の意図するところに気づいたサントハイム王は、赤くなったり青くなったりと目まぐるしく顔色を変えた。 そう、クリフトはスタンシアラ王にもうひとつ話を持ちかけていたのだ。 もし私とアリーナ姫が結婚し子供に恵まれますれば、『導かれし者』同士の間に生まれた子供になりますね。そして、私を養子に迎えてくださった陛下は、その祖父・・・。 これほどまでにスタンシアラ王の心を揺さぶるものがあったであろうか?自分の娘との間の子では導かれし者の血は半分に。しかしクリフトを養子に迎え、アリーナ姫との婚姻を結べば・・・。 そしてその子供と自分の国の後継者を娶わせれば・・・。 「スタンシアラ王が非常に『聡明』な方で助かりました」 クリフトはそれだけ述べると辞意を示し、愛しの姫君に会うために静かに部屋を出て行った。 「あ、クリフト。おかえりー」 どこいってたの~? クリフトの姿を見つけたアリーナの嬉しそうな声が扉の向こう側から響き、それにやんわりと答えるクリフトの声が重なった。 「姫様、子供は何人欲しいですか?」 「まぁ、その・・・」 よかったですな、大事に至らなくて。 ブライに言葉に、王はふん、と鼻を鳴らし、そっぽを向いた。 確かに、優秀な人材が国外に流出するのも防げた上、今まで懸念していたアリーナの結婚話まで一気に解決した事態は歓迎すべきものなのかもしれない。しかも、それがクリフトの機転によってなされたのであれば、彼を心底褒めてやるべきなのかもしれない。 しかし、とサントハイム王は思う。 (なんじゃ、この胸に広がる敗北感は!) 妙に腹立たしさを感じた王は、傍らに控えるブライに八つ当たりをする。 「なんとまぁ、かわいげのない性格に育ったものよな」 そちの育て方が悪かったのだ! 王にそう責められ、ブライは表面上畏まったように見せたものの、心のうちではこう叫んでいた。 (わしの人生において一番の失策は、陛下、あなたを育てたことかもしれませんぞ) 「かわいげのない息子は、いやじゃ、いやじゃ、いやじゃ・・・」 子供のように癇癪を起こし手足をジタバタとさせ、あげくしくしくと泣き出した王の傍らでブライはため息を禁じえなかった。 子供の頃から目をかけていたクリフト。 教育係として仕えたアリーナ。 そしてこのサントハイム王・・・。 ブライの教育の賜物といえる三人を思い浮かべ、己の力のなさを痛切に感じ落胆したブライは、この日、本気で宮廷を辞すことを考えたという。 スタンシアラの王女は妙に上機嫌な父王の姿に、少しだけ哀れみを感じていた。 「なんと見事にはめられたのでしょう・・・」 昔から、突拍子もなくて「お馬鹿」な父親だとは思っていたが、ここまでとは・・・。 先の魔軍戦争の折のしかめ面はどこへやら、顔の筋肉が緩みっぱなしの王は娘の目から見ても少々情けない。 王女は言葉巧みに父王を丸め込んでいった得体の知れない青年を思い出し、ため息をついた。 彼が提示した案は確かに悪くはない。だが、父王は肝心なことを忘れている。 「結局、スタンシアラ在住の『導かれし者』は手に入らなかったわね」 如雨露を片手に花に水をやり始めた父王の背中を見つめ、王女はそっと目頭を押さえた。 「アリーナ姫とクリフトさんの子供が成人するのはいつかしら・・・」 長生きしてね、お父様。 娘の心も露知らず。 小躍りを続けたスタンシアラ王はその日、お城のバルコニーから水路へ、2回宙返り1回捻りの見事な飛び込みを披露した。 この時、この王の勇気ある挑戦にひどく心を打たれたスタンシアラの国民は、王の雄姿を大いに褒め讃え、子々孫々にまで言い伝えた。 そしてその偉業はこの後、おめでたい行事の折に欠かさず行われこととなるスタンシアラ名物『王様ダイブ』と呼ばれる危険極まりない余興へと進化を遂げ、国民の間で大流行が起こった。 だが、ある文献によれば、スタンシアラ暦582年スタンシアラ王14世の御世に、そのけが人の多さから飛び込み禁止令がだされ、一時下火となったという。 それでも昔を懐かしみダイブする者は後を絶たず、スタンシアラ王国も水路の整備や浄化・危険物の排除といった手段をとり、暗黙のうちに容認していくこととなる。これは王命が民意に負けたという意味で非常に稀有で画期的な事例となるが、それはまた別の話である。 (終)
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クリフトのアリーナへの想いはPart5 長編2/12 1へ2006.03.09 73 :1/11(前スレ506):2006/04/26(水) 17 53 37 ID TnpmGh+k0 暖かな日差しが降り注ぐテラスで、アリーナはそば仕えのメイドと向かい合って座っている。ふたりの間の小さな丸テーブルの上には小瓶がいくつか置いてある。アリーナは右手をメイドのほうに差し出し、少し退屈そうな様子だ。 今日は午後からエンドールの使者がサントハイムを訪れるとのことで、冒険の間していた格好とまではいかないが、普段から動きやすい服装のアリーナも今日はドレスを身に着けている。ただでさえ好んで着ようとはしないドレスを着さされているだけでなく、爪の手入れもするように命ぜられ、アリーナは少々不機嫌そうである。 「ねぇ、まだ?」 「まだですよ、姫様。今は爪の形を整えているだけですから。これから色をつけていくんですもの」 「爪なんてどうでもいいのに」 「もう少し、辛抱してくださいな」 アリーナが小さいころからの長い付き合いになるメイド、メロは彼女の扱いというものを熟知している。退屈でたまらない様子のアリーナを優しくなだめ、今度は左手を出すようにと促した。 こうなってはあたりの様子を観察するくらいしかすることがない。さすがにエンドールからの公的な客人とあってか、城内の様子もいつもよりあわただしく感じられる。兵士たちがいつもより大勢警備につき、通路に飾っている色とりどりの花の手入れをメイドたちが行っている。 「あれ…?」 兵士長と共になにやら話をしているのは、神官服を身にまとった見慣れた彼だ。城内は吹き抜けになっているため、アリーナのいる2階のテラスから大通路の様子はよく見える。城の入り口の警備についてだろう、最後のチェックをしているらしい。しばらく兵士長と話した後、クリフトは頭を下げ足早に通路を歩いて行く。そう言えば数日前に会ったとき、忙しいと言っていたような気がする。 次にクリフトはアリーナもよく知っている年配メイドと話をし始めた。 クリフトは自分の存在には気がついていないらしい。アリーナは少し楽しい気分になってきた。クリフトの行動を盗み見しているのは悪いことかもしれないが、クリフトの表情やちょっとした仕草がいかにも彼らしくて、少し笑えてさえしまうのだ。 年配メイドとの打ち合わせも終わった様子で、次に目的とする場所へと歩いて行くクリフト。そこへひとりの小柄なメイドが小走りでやってきた。 「あ」 先日、そのあたり一面を真っ白に変えてしまったあのメイドだった。何か話をしているようだが、当然その会話の内容まではアリーナのところに届くはずもなく、ふたりの様子がなぜか気になるアリーナはそわそわとしてしまう。心なしか彼女の頬は染まって見える。クリフトはというと、いつものやさしい笑みで対応している。 「ねぇ、メロ」 「はい?」 アリーナの声にメロは手を止めて顔を上げる。 「……クリフトって、女の子に人気あるの?」 てっきり『まだ?』と尋ねられると思っていたメロは言葉に詰まる。アリーナの視線の先を見遣れば、クリフトがひとりのメイドと向かい合っている様子があった。 「クリフト様は、とにかくお優しいですから。私たち使用人どものことも、気にかけてくださいますし…」 「ふぅん……」 「それに、見た目も素敵ですし。整ったお顔立ちをされていますから、メイドたちの間では憧れの存在ですよ。私も独身のころは気になっていましたわ」 メロは少し冗談めかしたようにそう言った。そしてまたアリーナの手元に視線を戻し、爪に淡い色を重ねて行く。 「そうなんだ。知らなかった」 クリフトはメイドと別れ、教会のほうへと向かい歩いて行った。メイドはクリフトの背中をしばらく見送った後、どこかへと行ってしまった。アリーナが最後に見た彼女の表情は何とも言えぬうれしそうなものだった。 どういうわけか、アリーナの胸の中はざわついている。ざわつきの原因を把握できないアリーナは、妙なもやもやとした感情を抱え表情を曇らせる。自分の知らなかったクリフトの一面を見てしまったようで、先ほどの楽しい気持ちが一変、どうしていいのかわからない複雑な気持ちになってしまった。 「どうして、そんなことをお尋ねになるのです?」 終わりましたよ、と言う言葉の後にメロはそう続けた。 「どうしてって……、なんとなく」 アリーナはきれいに整えられ上品な色をつけられた自分の手を眺めながら曖昧に返事をした。 「姫様がそんな質問をするなんて、初めてです。私、少し驚きました」 「そうかな?」 「ええ。姫様も、男性に興味をもたれるようになられたのかな、と」 「そんなんじゃないわ! だってクリフトは、ずっと前から一緒だから…違うの」 何が『違う』のかよくわからないまま、ただ否定だけをしたくてアリーナはそう言う。 ずっとずっと昔から、アリーナが物心ついたときにはすでにクリフトがいた。サランの教会で育った彼は勉学が非常に優秀であり、神父の勧めと国王の希望もあって、神学校に通いながら城にも出入りするようになった。 アリーナの勉強の面倒を見、時には勉強以外の面倒を見るハメにもなった彼と、世界中を旅したのはもう1年以上も前になる。世界が平和になりサントハイムにも人々が戻り、アリーナにはまた退屈なお姫様暮らしが始まった。それまで毎日一緒にいたクリフトは、冒険の間アリーナを補佐したという功績を認められ、城の庶務を任されることが増えた。もちろん、神官としての勤めも果たしているのだから、なかなか忙しい立場になったとは聞いている。 今になってアリーナは気づく。旅に出る前のほうが、旅をしているときのほうが、クリフトが近くにいてくれたような気がすると。 「絶対に、違うの」 焦ったように言うアリーナにメロは小さく笑う。そして立ち上がるように促すとアリーナの背後に回りドレスの襟を整える。座っている間に形の崩れてしまった背中で結えられているリボンもしっかりとその形を直して行く。 「今日お見えになる方、姫様のお気に召されるとよろしいですね」 「え? なんのこと?」 自分の言葉にまったく何のことかわからないという、きょとんとした表情のアリーナを見て、逆にメロが驚かされる。 「姫様? お聞きになっていないんですか?」 「だから、何が?」 「今日エンドールから来られるお方は、姫様のお見合い相手だと私たちは大臣様から言われているんですけど……」 「そ、そんなこと聞いてないわ!」 ドレスを身に着けるよう言われ、さらには爪の手入れまで。大臣からは『エンドールからの使者が来る』とだけしか聞いていない。無論、父王からも何も聞いてはいない。今朝会ったブライも『失礼のないように』としか言わなかった。 「大臣の奴、だましたわね!!」 こうなってしまうとアリーナには手がつけられない。 もちろん、アリーナも冒険後は彼女なりに姫として勤めを果たしてきた。 お見合いを大臣がしきりに勧めてくるのも、何のためであるかはわかっている。それでもとてもそんな風な気にはまだなれないと大臣には何度も伝えてきた。それなのに自分に嘘をつき見合いを強引に押し進めるやり方がアリーナは気に入らない。 いっそ城から抜け出してお見合いをすっぽかしてやろうと思ったが、今日は警備の兵士が多い上に動きにくいドレスを着ている。アリーナにとって不利な状況ばかりが重なってしまっている中で、できることはと言えば立てこもりしかない。 「姫!もうお時間ですぞ!」 「出てきてくださいませ、アリーナ姫様!」 数名のメイドと大臣がアリーナの部屋の前でしきりに呼びかけている。 扉には鍵がかかっていて開かないうえに、アリーナが中から鏡台やベッドを扉の前に寄せてしまっているため強行突破もできない状況だ。 「姫!聞こえておられるのですか?」 「聞こえてるわ!でも、お見合いなんて話は聞いてないの!」 「お相手はもうお待ちになっておられるのですぞ?」 「だから聞いてないって言ってるの!だますなんて許せないわ!」 「姫!」 騒ぎを聞きつけたブライもメイドとともにアリーナの部屋の前にやってきた。アリーナの部屋の前には大臣をはじめ、数名のメイドに兵士まで集まっていてちょっとした人だかりができてしまっている。 「困ったもんじゃのぅ…だからワシは反対じゃと言うたのに……」 ブライは髭を触りながら深いため息をついた。 「……奴を呼んでまいれ」 こんな状況になればお呼びがかかるのはクリフトだ。 アリーナがなかなか来ないこと、大臣もメイドに呼ばれどこかへと行ってしまって戻らないことを不審に思えども、大臣からエンドールご一行の接待を任されてしまっては様子を見に行くこともできない。そろそろ接待のためのネタも尽きてきて、アリーナがいまだ姿を見せないことに対する言い訳も苦しくなってきた頃。 「申し訳ありません、アリーナ姫は少し気分が優れず……」 大臣が戻ってきてクリフトが何度も繰り返した言い訳を、また今更のように先方に申し訳なさそうに言い始めた。 「大臣殿?」 「クリフト、交代じゃ」 「は?」 メイドに耳打ちをされ、ようやくこの事態の原因を知ったクリフトは、先方に向けて愛想笑いをして一旦その場を離れることにした。向かう先は当然、アリーナの部屋だ。先ほど上の階でなにやら物音がすると思ったが、メイドからあらかたのことを聞きクリフトはすべてを把握した。物音はアリーナがバリケードを作っていたときのもの。このお見合いをアリーナが聞いていなかったと知り『やりかねないな』とクリフトは思った。 階段を上がりしばらく廊下を歩けばすぐに人だかりが見えた。メイドたちが必死に呼びかける声と、それに反抗するアリーナの声。 「ブライ様」 人だかりからは少し離れたところに佇み事態を見守っていたブライにクリフトは近づいて行った。 「待っておったぞ」 「はぁ…」 「この状況じゃ。お前に任せたからの」 そう言うとブライは『やれやれ』と腰をさすりながら下の階へと向かっていった。おそらくはもうこれ以上間が持たないであろう大臣に代わり、接待をするためだろう。 「すみません、ちょっと失礼します」 ブライを見送ったあとクリフトは、人だかりをかき分けてアリーナの部屋の扉の前に立った。ドアノブに手をかけるも鍵のせいで抵抗があり開かない。 クリフトはひとつ息をついた後、ドアをノックした。 「姫さま」 応答はない。あたりのメイドや兵士たちも、静かにアリーナの返事を待った。 「姫さま、私です」 「……クリフト?」 「はい。下で皆さんがお待ちです。出てきてください」 「イヤよ」 「姫さま」 「イヤったらイヤなの! わたし、お見合いだなんて知らないわ!」 アリーナの言葉はかたくなな気持ちを表している。今回は手強そうだとクリフトは苦笑いを浮かべそうになった。 いつだったかもこんなことがあった。あれは何かの行事だったか、習い事だったか。アリーナがどうしても嫌だと駄々を捏ね、クリフトが説得に入ったのだ。まだ子供だったその当時のことを思い出すと、アリーナが立てこもった理由はかわいらしいもので、今は理由が『お見合い』と言う、クリフトにとってもなんとも言えない深刻なものだからたちが悪い。 「姫さま。そうおっしゃらず……。大臣殿も、姫さまのことをお考えになってのことですから」 「わたしに何にも言ってくれなかったのに、何でわたしのためなの? お見合い、クリフトから断っておいて!」 「そんな無茶をおっしゃらないでください」 「絶対にイヤ!」 クリフトはため息をついた。アリーナの言っていることももっともだ。 だがもう既にエンドールから客人がはるばるやってきており、しかもそう短くはない間待たせているのだ。アリーナにはかわいそうだが、これ以上待たせるのは当然失礼に当たる上、国家同士の関係にもヒビを入れかねない。 「姫さま。これ以上わがままをおっしゃるのであれば、私も怒らなければなりません」 「………」 「今回のこと、姫さまは詳しいことをお聞きになっていなかったと。私も今メイドより聞きました。大臣殿が勝手に決めたことだと姫さまがお怒りになる気持ちもわかります。ですが、もうエンドールからお越しになられているのです。お迎えする側として、失礼に当たることだと姫さまもおわかりになるでしょう?」 扉の向こう側で、少し語気の強くなったクリフトの声にアリーナは何も言えなくなってしまう。クリフトの言っていることが揺ぎ無く正しいからだ。それはアリーナもわかっている。 「わかってるわ。でも!」 「でも、じゃありません!」 きっぱりと言うクリフトに、アリーナは泣きたい気持ちになってしまう。 勝手に話を進めたのは大臣だ。自分は何も悪くないのに。 「姫さま、出てきてください。ひとまずは出てきて、お会いになってください。王様も大臣殿も心配しておいでですよ」 「………」 「この度のこと、大臣殿には私からよく申し上げておきます。姫さまのお気持ちを無視してお見合いの話を進めたこと、王様にもお話しておきます。 代わりにと言っては何ですが、姫様に数日どこかお出かけできるようにして差し上げてくださいと、頼んでみます」 クリフトの声はいつの間にか、いつもの優しいそれになっていた。 「……お願いですから、姫さま」 そう言うとクリフトも黙った。アリーナが怒るのは当然で、もちろんクリフトもアリーナの肩をもってあげたい。それなのに、傷ついているアリーナを説得し、お見合い相手に引き合わせなくてはならないとは、情けなくもあり、悔しくもあり。 しばらくの間あたりは静まり返り、妙な緊張感に包まれた。 そうしてもうどのくらいか経った後、部屋の中からガタガタと物音がして扉が開いた。 「姫さま!」 そこにはふくれっ面のアリーナが立っていた。クリフトの説得に応じる気になったのだろうが、やっぱり納得がいかず面白くないからであろう。 不機嫌さを隠すことなく見事に表している。 「上手に言い訳してよね!」 アリーナは少しきつめの口調でそう言うとクリフトを睨んだ。 その様子にクリフトはほっとした様子で微笑むと『はい』と返した。 そしてアリーナは不意にクリフトに向かって手を伸ばした。立てこもりを決行したことで、せっかくきれいにした爪も無残なことになってしまっている。 「連れて行って。ひとりで行くのはイヤだから」 突然のことにクリフトは少々戸惑いの表情を浮かべるも、少し間をおいて意を決したようにうなずくと、アリーナの手を取った。 アリーナの手は小さい。アリーナの手を取ることなど、旅の間もそうあることではなかった。自分の手が汗ばんではいないか、おかしな緊張感を覚えながらその手を引いて歩いて行く。 あの階段を下りてしまえば、アリーナはお見合い相手と対面することになる。本音を言えばそんなことはさせたくもなくて、ずっとずっと、この手を握り続けていたい。 「クリフト、痛いわ」 「あっ、申し訳ありません」 物思いにふけるあまりに、つい手に力が入ってしまったようだ。慌ててクリフトは力を緩める。それに対しアリーナはにっこりと笑って無言の返 事をした。切なくなる気持ちを抑え、クリフトも笑顔でそれに応えると、ゆっくりと階段を下り始める。 「さぁ、皆さんがお待ちですよ」 END. 前2006.03.09 続き2006.05.01
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