約 301,479 件
https://w.atwiki.jp/swxsp/pages/81.html
名阿 零湖 「ふふ、そうなのかい?君の血で染まってしまうね。クビキリは酷いことを言うなぁ。」 「裏切るの?僕を?…逃がさない逃がさない逃がさない!!僕の屋敷に入ったんだ。ねぇ…遊ぼうよ。」 「僕のクビキリぃ……ひっく……どうして傷つけるのぉ…!」 #ref error :画像URLまたは、画像ファイル名を指定してください。 【名前】名阿 零湖(なにあ れこわ) 【性別】男 【髪の色】?色 【瞳の色】?色 【年齢】25歳 【誕生日】?月?日 【血液型】?型 【身長】175cm 【一人称】僕 【二人称】君 【容姿】 【性格・その他】 爽やか病みな財閥のお坊ちゃま。 精神年齢が幼い頃に止まってしまっている為、我儘な発言が多い。 感情が高ぶったとき、少し幼い口調で喋る。 オリジナル特注の形のナイフとグロイぬいぐるみのクビキリを肌身離さず持ち歩く。 なにか事があるごとにクビキリに話しかける。気に入らなければ爽やかな口調で刺し切り。 病み独り言が大きく、周りの人に丸聞こえな為、いつもれこわの周りは誰も近づかない。 【好き嫌い】 好き⇒クビキリ 嫌い⇒ウラギリ 【関係】
https://w.atwiki.jp/bamboo-blade/pages/23.html
「石田先生、ちょっと…」 放課後、職員室へ向かうコジローは同僚の吉河に呼び止められた。 「?どうしたんですか、そんなところで」 まるで人目を避けるように小声で自分を呼び止める吉河に、 不審なものを感じたコジローが問いかける。 「その、実は…ここの生物準備室へ…中に勝手に入った生徒がいるみたいで…」 なぜか吉河は歯切れが悪く、いつもの元気のよさが無い。 「生物部の連中じゃないんですか?」 確か生物部は生物室と準備室を部室にしていたはずだ。 大方部員が勝手に出入りしているだけではないだろうか。 しかし吉河は頭を振る。 「その…近頃、準備室に生物部以外の子たちが勝手に出入りすることが多くて… しかも、なんか変な物を持って入ってるって噂があって」 そこで、ようやくコジローもピンと来た。 閉じられた空間。人目を忍ぶように集まる生徒。不審な物。 タバコ…あるいはシンナー? どちらにしろ、そんなものを持った生徒が出入りしている という噂があれば女性の吉河先生が出入り口で躊躇するのも、 自分を呼び止めるのも理解できる。 そうコジローは推測した。それが勘違いであるとは少しも疑わず。 「分かりました。じゃあ、俺が中に入ります」 「えっ、でも、その」 「大丈夫ですよ」 (俺だって剣道部の顧問だ。そこらの不良ぐらいになら負けん) そういうと心配している(とコジローが勘違いしている)吉河のほうへ微笑みかけ、 その後すぐに表情を引き締め準備室への扉を見据え、 コジローは勢いよく扉を開けて叫んだ。 「こらーーーー、おまえらっ、こんな所で……?」 しかしコジローの叫び声は途中で失速する。 「ナニを…している?!」 コジローと吉河の目の前に二人の生徒の姿が目に入った。 一人は髪の毛を茶色に染めピアスをした男子生徒で、上着を脱ぎシャツの前をはだけさせ、 どうやらズボンとトランクスも半分脱いでいるようだ。 なぜ「脱いでいるようだ」なのかというと、コジロー達のいる準備室入り口からでは 男子生徒の姿が女子生徒のせいで完全に見えないからだ。 男子生徒の上にセミロングの女子生徒がまたがっていて、男子生徒の姿を半分隠している。 男子生徒の方へ抱き合うようにしているので女子生徒は後頭部しか見えない。 スカートをはいたまま跨っているが、その内側で本来身に着けているはずの下着が 今は身に着けていないことなど、容易に想像できた。 そして準備室の中は、不思議な重低音で満たされていた。 「もー、だから言ったじゃん、そろそろやばいって」 「あーあ、コジローに見つかっちまったか。 おめーがすぐやらせてくれなかったからだぞ。おしおきだな」 「ちょっ…やだっ……先生……見てる……」 二人の教師にかまわず腰を突き上げる男子生徒。 そんな二人の痴態に呆気に取られるコジロー。 しかし数秒の思考停止の後、コジローの頭に急激に血液が流れ込み始める。 「お、お、おまえらあっ、な、何をしてい」 「だから、ナニでしょう。見りゃ分かるじゃないですか」 男子生徒は悪びれもせず答えた。 「ふざけんなあああああぁぁぁぁぁ」 コジローの絶叫が、準備室にこだました。 結局その後、30分に及ぶコジローの説教(女子生徒は吉河が説教を担当)が続いた。 -何でセックスしちゃいけないんですか- -だって俺等愛し合っているんですよ- -しょうがないじゃないですか。お互いやりたくなったんだし- -別にいいっすよ、見つかったのこれが初めてじゃないし- -こんな場所だから、こんな状況だから燃えるんでしょ- -ちゃんと避妊はしてるからいいじゃないですか- -別に俺実家の家業継ぐし、内申とか全然気にしてないし- なんというか、ふてぶてしいとかそういう次元を超えていた。 言葉の通じない、風習の違う外国人と話すような感覚。 30分後、男子生徒を帰らせた後、コジローはぐったりと疲れ果てていた。 それは吉河も同じだったようで、疲労が色濃く残る顔でふぅ、と大きくため息をついた。 「どうでしたか、吉河先生」 「なんていうか、その、近頃の子の考えることって…よく分からないですね」 弱弱しく笑って、吉河が答える。どうやら彼女のお説教もあまり 女子生徒に通じなかったらしい。 「そりゃまあ、あの子ぐらいの年ならそういうことに関心を持つのは 良くあることでしょうけど、でも…こんなとこであんな風に、 その、開けっぴろげにするのは、さすがにどうかと」 「ほんとにねぇ…今の時代はネットやらコンビニやらで簡単に 性の知識が仕入れられちゃいますからね。変に知識があるぶん、 おれらの世代よか性質が悪い。避妊してるからいいとか、 そういう問題じゃないんですけどね」 すると、突然興奮した吉河が顔をぐいとコジローに近づけまくし立てた。 「あ、それ私も言われました。本と、そういう問題じゃないですよね。 なんていうか、開き直ってるって言うか、ずれてるって言うか」 そこまで一気に言って、ふぅ、とため息をつく。 「でも、良かったんですか、学年主任を呼ばなくて」 そこで今日一番大きなため息をついてコジローが答える。 「ああ、実は大きな声じゃいえないんですけどあいつ等、これが一度目じゃないんです。 もう45回かな。教員に見つかってるの」 普段でも大きな目をより大きく見開いて吉河は驚く。 「え…じゃあ…」 コジローがうなずいて答える。 「もう、主任どころか、校長だって知ってるんすよ。 担任、学年主任、教頭に校長、保護者、本人達を交えての話し合いも 何度かあったはずですから」 「それで…効果は…あるわけないですよね。さっきの二人の態度からして」 「まぁ、子供が子供なら親も親って感じで、この子達がお互いに同意してるなら云々、 って感じであんまりきつく怒ってないみたいなんですよ。 二人とも成績は常に10位以内に入る秀才だし、学校側としてもあまり 問題を広げたくないみたいで。本人達もそのこと分かってるんでしょうね。 行為の最中に見咎められても全然動揺しなかったし。 あれじゃ注意した俺の方が悪いみたいだ」 そこで、急に吉河はコジローに謝った。 「ごめんなさい」 「え、何がですか?」 きょとんとするコジロー。 「その、私、中で何をしていたのか見てたんです。コジロー先生が来る前に、 準備室の窓から…。なのに私動揺しちゃって、扉の前でまごまごしちゃって…」 まあ、いくら教職の人間とはいえ、年頃の女性がそんな光景を見たら 普通は躊躇するだろう。 「まあ、しょうがないんじゃないですか」 「いえ、そんな風に慰めないでください。弁解しちゃいけない立場だってことは 誰より私自身が分かってますから。それに比べて、石田先生は偉いですよね。 あんなに堂々として。生徒達にも慕われてるみたいですし」 (生徒達に慕われてるというよりも、単になめられてるだけだと思うんだけどな…) それに、コジローは中にいるのが不良でタバコでも吸ってんだろう、 とおもって乗り込んだだけなわけで。 怒鳴り散らして生活指導室につれてって親に連絡すればいいと思ってたわけで。 まさか親を呼んでも効果がなく学校側が半場投げ出している 超のつく問題児供がくんづほぐれつしているとは思わなんで。 (まあ、でも…なんか憧れの視線で見られてるから、黙っとこう) そう、コジローはタバコやシンナー吸っていると勘違いしていた。 「なんか変な物を持って入ってるって噂があって」 と吉河が言っていたからだ。しかし、それはコジローの想像していたものと違っていた。 (まさかあんなものまで持ち込んでるとはね。まったく) 「だけど変ね…確かに、部屋の中を覗いた時何か変な物を持っていると思ったんですけど、 女の子の方は何も持っていなかったし。そっちの男の子は何か持っていましたか?」 急に思考を中断され、コジローはあわてて答える。 「え、いや、何も持っていませんでしたが」 嘘だ。本とは男子生徒のほうが「それ」を持っていて、それをコジローは取り上げた。 しかし、あの淫靡な物体をこの純朴そうな先生に見せるわけにはいかない。 「あれ、石田先生、何かポケットからはみ出てますよ」 「あ、じゃあ、俺、ちょっと部活行かなきゃ。 あ、教育主任には俺からあとでうまく報告しますから」 そうまくし立てるように言うとコジローは駆け足でその場を立ち去った。 何でこんなことになっちまったんだろうな… 武道館へ向かいながら、コジローは心の中で愚痴っていた。 そんな彼の手はズボンのポケットの中へ伸び、 そこにあるピンク色の小さな機械を隠すように手のひらで包み込んでいる。 -いいでしょう、これ- -結構高かったんすよ- -リモコン式って珍しいでしょ- -今日は昼からずっとあいつの中にこれ入ったままだったんすよ- -あいつのあえぐ顔見て、我慢なんかできないですよ- -この目盛り上げると、あいついい声で鳴くんですよ…- 参ったな…こんなもの持ってるとこほかの人にでも見られたら… ポケットに入っていたハンカチにその機械を包み、 人目を忍ぶように武道館へ入ると、入り口脇の荷物入れの棚にある 鞄の下に隠すようにハンカチごとそれを突っ込む。 自宅で沸かしてきたお茶の入った水筒だとか読みかけの小説だとか あんまり盗まれる心配のない荷物の入った鞄をおいている場所だ。 まあ、3年も引退して2年もほとんど幽霊部員な今、ここにおいとけば大丈夫だろう。 つーか、冷静に考えればこんなもんわざわざここに持ってくることなかったよな。 俺も意外と純朴だな。あいつ等の行為見て興奮して冷静な判断が出来なくなったか…。 「まあ、俺も学生のころは興味はあったしそればっかり考えてた時があったけど、 普通こんなもんまで学校に持ってくるか?」 「こんなもんってどんなもんですか、先生?」 「うわああああああ」 思わず3オクターブは高い声を出してしまうコジロー。 「あはははははは、女の子みたいな声出して凄いびっくりしてる」 「馬鹿、キリノ…いきなり声かけるからだろーが! てかどっから湧いてきた!」 防具を身につけたキリノが背後でけらけら笑っている。 「いや、普通に更衣室に居たんですけど。つーか遅刻してきてなんで切れてるんですか。 小テストの採点、10分ぐらいで終わるんじゃなかったんですか?」 「あっ、しまった」 そう、そもそもコジローが職員室へ向かっていたのは、明日までには終わらせなければ いけない小テストの採点がまだすべて終わっていなかったからだ。 「やべぇ、すっかり忘れてた」 「って先生、稽古は?」 「一人でやっとけっつーの。俺には大事な仕事があるんだよ」 そういって下駄箱で靴を履きなおしたコジローはふと武道館の中を振り返った。 いつもならかしましいキリノが、何も言ってこないからだ。 すると、キリノがコジローの荷物入れの棚をじっと見ていた。 面をつけていて視線の行く先は分からないがそんな気がした。 「おい、キ…」 しかし、気配に気がつき、キリノがコジローを見返して言い返す。 「あれえぇーどうしてまだいるのなかなー、大事な仕事があるんじゃないんですカー どうせ部活動なんて2の次ですもんねーだ」 わざわざ面をはずしてベーと舌を出して、そのまま面をつけて素振りを始めた。 (たく、可愛げのねぇ…やっぱ俺、なめられてるだけだわ) そう心の中で呟き苦笑すると、コジローは職員室へ向かった。 (あーあ、結構時間食ったな) 結局残りの小テストの採点には20分掛かった。 (何つーかもう今日は疲れたな。うん、もう武道館閉めて帰ろう) 武道館の鍵は顧問のコジローと部長のキリノが管理している。 とりあえず武道館へ行ってまだキリノがいるようならさっさと追い出して、 もしもう帰っているようならすぐ施錠を確認して帰ろう。 しかし、武道館にたどり着いたとき、コジローは異変に気づいた。 (あれ、入り口は開いているのに灯りがついてないぞ) もう日は落ち、真っ暗になっているというのに、武道館の中は照明ひとつついていない。 「おーい、キリノーいるのかー?」 すると、とたんに今まで人の気配の感じられなかった武道館の中で何かが動く気配がした。 (何だってんだ、いったい?) 訝しく思いながらも下駄箱で靴を脱ぎ、入り口の脇にある照明のスイッチを押す。 すると、荷物入れの棚の近くでぺたんと防具をつけたまま座っているキリノがいた。 「あっ、コジロー先生、なんか早かったね」 面をしていて表情は分からない。だが、妙にキリノの呼吸が乱れている。 「別に早くねーよ。遅れたぐらいだ。それよか灯りもつけず何やってたんだ?」 「いやー、ちょっと運動したら眠くなっちゃって…」 「で、防具つけたまま眠ったってわけか?器用なやつだな」 (さっきの変な物音は、俺の声で飛び起きた時の気配ってわけか) 「まあいいや、とりあえず出るぞ。ほら、部活は終わりだ」 「えっ、えーと、その、でも、ほら、サヤ待ってるから。 あとで鍵掛けるから、もう先生だけ帰っていいよ」 「へーえ、サヤがくるのか。そりゃ久しぶりなあ、おい。 …でも、今日の昼あいつに会って部活来いって言ったら、 逃げるようにしてどっかいっちまったけど、何でいきなり部活に顔出す気になったんだ?」 首を傾げるコジローに、慌ててキリノが呟く。 「え?エーとその、あの、なんか忘れ物更衣室にしたから取りにいくって言ってたよ。 えと、大事そうなものみたいだから。でもやっぱ、今日来ないかもね、 私の聞き間違いだったかも」 そこでようやくコジローは思い出した。 自分も大事なものを棚の中に隠していたことを。 (やべえ…すっかり忘れてた…) 「ああ、そうか、そうだなうん、じゃあ鍵は…」 そこで、キリノに見えないよう自分の体でキリノの視界から棚をさえぎりながら 鞄の下をまさぐっていたコジローの言葉がとまる。 そこにあるべきはずのものが、ひとつない。 (何でだ。確かに俺はここに隠したはずだ。隠した後、どこかに移動したのか? そうだ、それしか考えられない。俺は慌ててここにあれを突っ込んで、 その後キリノがいきなり話しかけてきて慌てて振り向いて。 その拍子に、下へ落としたのか?) 下を向くコジロー。しかしそこには何も落ちていない。 「おい、キリノ、俺がいないうちに男子来なかったか?茶髪でピアスのやつ」 「へ?ああ、ええと、その、誰も来てないよ」 そわそわしていたキリノは慌てて答える。 (そりゃそうか…もしあいつが取り返しに来てたら、 リモコンだけ残して持ってくのも変な話だよな) 参ったなぁ、と思わず呟くコジロー。 ふと閃き、目の前のリモコンの目盛りに触れる。 これで、あっちの方の振動音がすれば、場所が分かるかもしれない。 ただ、大きな音がしてキリノにばれると面倒だから、 大きな音がしないようほんの少しだけ目盛りを上げる。 すると振動音の変わりに背後から 「あっ」 というキリノの小さな声がした。 思わず振り向くコジロー。 (まさかキリノに気づかれた?) しかし、キリノの視線の先-相変わらす面をしていてその表情は見えないが-には、 ただ「必勝」と書かれた垂れ幕があるだけで、コジローが探している「玩具」は存在しない。 内心冷や汗をかきながら (良かった、ばれたわけじゃなかったか…) と安心しているコジロ-は気づいていない。 叫び声を上げたキリノの体が、わずかに震えていることを。 その両手が、内股の上で股間を何かから守るようにぎゅっと握り締められていることを。 …いやむしろ、「股間を何かから」ではなく、「股間から発せられる何か」 を外へ逃さぬため、といった方が適切かもしれない。 と、突然キリノは、ごろんと横になる。 「どうしたんだ、キリノ?」 「そ、…その、なんか、すごく今日は眠くて…」 「だったらお前、せめて着替えてこいよ。てかここで寝んな」 そういってキリノを立たせようと腕をつかむコジロー。 すると突然 「ひゃぁっ」 と甲高い声をあげるキリノ。 「どうしたんだ?体の具合でもわりいのか?」 驚いて手を引っ込めるコジロー。 「別に…そんあことは…ただ、もう動きたくないんっ、です… それに、先生、言ってたじゃないですか…よく食べて、よく運動して、 よく寝るのが体作りの基本だって…だから、少し眠らせて…」 そういうと、そのまま胎児のように体を半ば丸めるようにして動かなくなるキリノ。 (まあ、キリノが寝てくれればこっちとしても都合がいいか。今のうちに探しだすか) そう決心すると、キリノを起こさないように静かにしながら武道館の床の上から棚の中を くまなく探すコジロー。しかし彼が探しているものはそのどこにも見当たらない。 (くそーこのままじゃキリノが目ぇ覚ましちまうじゃないか。 こうなりゃしかたねえな…もうちょっと目盛りをあげるか…) 「ふぅぅ…」 苦しげな、切なげな声がまたキリノの口から漏れる。 驚いてキリノのほうを見ると、いつの間にか面を取り、その口に右手を当てて 必死に声を出さぬよう耐えていた。その額は汗でびっしょり濡れている。 「おい、どうしたんだよキリノ?ようすがへんだぞ!」 しかし、そんな風に心配するコジローを拒絶するキリノ。 「大丈夫だからっ、ほっとい…て…」 それだけ言うと、また口に手を当て、顔を背けるキリノ。 (なんか変だぞ。いつもの無駄な元気が微塵もない。 まさか、体調悪いのか?でもなあ、こいつは剣道部に入ってから 一度も体壊したことないし、さっきだって元気に素振りを…) そこで、はたと気づく。 (そうだ、素振りをする前、俺が職員室へ行こうとした時、 こいつは棚の方を見ていた。面をしていたけど、多分そうだった) まさか…まさか! いや、そうだ。考えてみれば、簡単なことだ。 (俺が武道館から出て、戻ってくるまで…ここにいたのは、こいつ一人。 そして…俺がここに戻ってきた後のこの中から感じた何かが突然動く気配) そう、コジローが職員室に向かった後、キリノは棚からあれを取り出したのだ おそらく鞄の下に隠したと思っていたそれは、その一部分がひょっこり 鞄の下から顔を覗かせていたのだろう。 -そりゃまあ、あの子ぐらいの年ならそういうことに関心を持つのは 良くあることでしょうけど- そして、キリノは、それを使ったのだ。しかるべき場所に、しかるべき方法で。 たとえ始めて実物を見たのだとしても、使い方を知っていたのは当然だろう。 -今の時代はネットやらコンビニやらで簡単に 性の知識が仕入れられちゃいますからね- 罪の意識などないだろう。 あったとしてもそれをはるかに上回るものがキリノの背中を押した。 -まあ、俺も学生のころは興味はあったしそればっかり考えてた時があったけど- 性に対する興味が、彼女の若い心を狂わせた。 すぐに帰ってくるであろう教師の存在を忘れ、 鍵が掛かってなければ他人がすぐに入ってくることが出来る場所ということを忘れ。 夢中で快楽をむさぼる中帰ってきた顧問に驚き、 もちろん衣服の奥で稼動する玩具を取り出す暇もなく、 リモコンのみ元の場所へ返す。 「なあ、キリノ。お前さあ、俺の物勝手に取ってねーか」 「なっ、なんっの、ことですかっそんあ人の物なんか、かってにとるわけなっ」 瞳はまるで薬物でも吸い込んだようにとろけて焦点が合っていない。 髪は乱れ汗まみれの顔に張り付き、妙に艶っぽい印象を見る者に与える。 -あいつのあえぐ顔見て、我慢なんかできないですよ- (そうだ。こいつは取ってないといっている。だったら) コジローの中で狂気の炎が燃え上がる。 (別に俺のしていることはいけない事じゃない。 ただ、なくし物を探すため、音を聞き取るために目盛りをあげるだけなんだから) -この目盛り上げると、あいついい声で鳴くんですよ…- ゆっくりと目盛りをあげてゆくコジロー。 ついに、彼の耳に重低音が聞こえてくる。目の前で悶える、教え子の衣服の中から。 「あぁ、ひぃあ、ああ、だめっ」 もはや、口を押さえる手が意味を成していない。 両眉はまるで泣くのを我慢する子供のように下がり、 キリノの腰は別の生物のように蠢く。 「なんかなぁ。音がするなぁ。…どっから聞こえてくるんだろう」 そうキリノに聞こえるようはっきりとした声量で呟くと、 コジローはキリノのほうへ一歩近づく。 キリノは必死になって自らの股間を両手でおさえつける。 キリノの肉に触れ振動は空気に震わせず音は小さくなる。 しかし失われた音になるべきエネルギーは反比例するように 快楽というエネルギーになり増加し、キリノの体と心を狂わせる。 「ああっいぃゃ、いやっいあぁぁっ」 とたんに自らの股間に押し付ける両腕の力が弱まる。 すると、それだけ肉へと埋まっていた玩具がまた空気に触れるようになり、 音が大きくなる。 「…また、音がし始めたな。そっちからか?」 また、わざと聞こえる声量で呟き、キリノの方へ近づく。 「ひぃっあぁぁっ」 その声を聞いたとたん、キリノはまた自らの股間を強く押しつけて音を消す。 そして、限界が訪れた。 「ああああぁぁぁぁっ、ひやぁああああぁぁぁぁぁっ」 甲高い声で叫ぶと、まるで何かが抜け出したようにキリノの体の動きが止まる。 そして、そのまま肩で息をしてぐったりと動かなくなった。 そんなキリノを見下ろしながら、コジローはゆっくりとリモコンの電源を切った。 次の日になった。 「ほらー先生ー早く早く!ちゃッちゃと稽古つけて下さいよー」 (つーかなんでこいつはいつもどおりなんだ?) 次の日、眠れない一晩を過ごしいまだかつてないローテンションで 学校に来たコジローを待ち受けていたのは、警察でもPTAでもなく いつもどおりの日常であり、今までどおりのキリノだった。 昨日の晩、目の前で快楽に震えるキリノを見たコジローはそこでようよく理性が戻った。 すべてはもう手遅れだったが。そして怖くなったコジローは、そのままへたった キリノを置き去りに、リモコンを鞄の下へ戻してそのまま学校をあとにしたのだ。 もはや弁解の余地はないほどのへたれっぷり。 さらにそのまま家に帰った後、キリノの姿を思い浮かべ5回も抜いてしまった。 (もう人としやっちゃいけないことだよなぁ) だから、こんな風に何事もなかったかのように自分に接するキリノを見ていると、 ほんとに昨晩のことは夢だったのではないか-そんな気分にすらなる。 「お前さ…警察行こうとかって、痛えぇぇぇーーー」 コジローの後頭部に突然キリノの竹刀が打ち込まれる。 「もーちゃんと指導してくださいよー」 「て、馬鹿。お前のせいでもう無理。頭痛い。本と痛い。今日は終了」 なんというか、今はキリノのそばには居づらい。 たとえ昨日の夜の出来事が、夢であっても、なくても。 ぶーぶーと文句をたれるキリノをよそに、さっさと身支度を整えて帰ろうとすると、 突然キリノが派手な音を立てて床に倒れた。 「おい、どうしたんだ?!」 慌てて近寄るコジローを大の字で見上げながらキリノは微笑みかける。 「運動したから一眠りしようかなーと。先生もどうですかー?」 一瞬、不思議な間が武道館を包む。 「…俺はもう帰らなくッちゃな。…じゃあ」 「探し物」 「あん?」 「…探し物あるんですよね。見つかったんですか?」 「いいや」 それはまだ見つかっていない。 今日、棚の鞄の下を調べても、そこにはリモコンしかなかった。 だとしたら何処にあるのか。いや、誰が持っているのかは、明白だ。 「じゃあ、探してください。今すぐに」 「何でそんなことする必要があるんだよ?」 「だって、泥棒扱いしたじゃないですか人のこと。 だから身の潔白を証明するためにも、先生には探す義務があります」 「…じゃあ、お前も探すの手伝えよ」 にっこりと微笑むキリノ。しかしその微笑みは、もはや少女の笑みではなかった。 「言ったでしょ、一眠りするって。その間、探しておいてくださいねー」 言うや否や、キリノはそのまま目を閉じてしまった。 しばらく、コジローは迷う。しかし、しばらくしてから、棚の前に行き、 リモコンを取り出した。 「警察…?行くわけないじゃないですか」 まるで寝言のようにキリノは呟く。その手が、そっと下腹部へと添えられる。 「だって昨日…私は寝てただけ。そして、先生は探し物をしていただけ。 いけないことなんて、何一つしてないじゃないですか…」 (…だけど、今俺のしようとすることは確実にしてはいけないことのはずだ…) そう確信しながら、コジローはリモコンから手を離すことが出来なかった。 その指が、ゆっくりと電源のスイッチへ伸びる。 「そしてこれからも…、部活が終わったら私は眠って先生は探し続ける…。 探し物が見つかるまで、永遠に…」 電源を入れる瞬間、コジローの頭の中にあの男子生徒の声が響きわたった。 -こんな場所だから、こんな状況だから燃えるんでしょ- 終わり 裏へ進む 作品保管庫へ戻る
https://w.atwiki.jp/nikkegg/pages/135.html
要約 登場ニケ エマ キリ ミカ エマとミカが一緒に焼いたクッキーを持って指揮官室を訪れる。 まだ慣れていなくて「とてもおいしい!」とは言えないが、指揮官に渡したかったと言って、指揮官はクッキーを食べることとなる。 そこでエマが「誰が作ったのか、どんな味がするか~ワクワクしながら食べられるように」と2人のクッキーを混ぜてしまい、エマとミカのクッキーロシアンルーレットが始まる。 エマのクッキーを選んでしまうと指揮官は当然のように気絶する。 1枚食べ終え、次を選ぼうとしているとキリが面談のために指揮官室を訪れる。 目の悪いキリは、机の上にあるクッキーの山を見て大量の虫と勘違いし、すべてのクッキーを粉々になるまで粉砕してしまう。 キリが、エマとミカに謝る中、指揮官はクッキーをすべて粉砕してくれたキリに心のなかでお礼を言った。 書き起こし + ... ◯エマ 指揮官~こんにちは~ ◯ミカ おじさん、こんにちは…! お食事はお済みですか? ◯指揮官 ①ああ、食べてきた + ... ◯ミカ うう…もうお済みでしたか。 ◯エマ あら、大丈夫よ~ 私たちが持ってきたのはスイールだから~ ②いや、まだだ + ... ◯ミカ あ!よかったです。えへへ。 実は、食べ物を持ってきたんです…! ◯エマ ふふ、スイーツだからお腹いっぱいには ならないかもしれないけど~ ◯指揮官 どうして急にスイーツを? ◯ミカ 実は… ゴソゴソ ◯ミカ エマと一緒にクッキーを焼いたんです。 まだ慣れていなくて、 すごくおいしいです!とは言えませんが… でも…おじさんに渡したくて持ってきました! ◯指揮官 ありがとう、いただきます ◯ミカ えへへ、はい! ◯エマ 健気でしょ~? あ、それから~ ゴソゴソ ◯エマ これもプレゼントするわ~ 隣で教えながら、私も一緒に焼いてみたの~ ◯指揮官 …… ありがとう…いただきます… ◯エマ 早く食べてみて~ できたてだからまだ温かいはずよ。 ◯ミカ 出来立てのうちに食べてみてください! ミカとエマが目を輝かせながら私を見ている ◯指揮官 わ、わかった… ゴソゴソ ◯エマ ふふ、指揮官~ 面白いことを考えたわ~ ザァッ エマは自分が焼いたクッキーと、 ミカが焼いたクッキーを混ぜてしまった ◯指揮官 ? ◯エマ 誰が作ったか、どんな味がするか~ ワクワクしながら食べられるように、 混ぜてみたの。 種類が違うから、食べたら すぐに分かるでしょうけど~ ◯ミカ わあ…!クイズみたいですね! 面白そうです。えへへ。 ◯エマ ふふ、そうでしょ~? ◯ミカ おじさん!どっちを先に食べますか? ミカは2つのクッキーを渡しに差し出した 私は… ◯指揮官 ①左のクッキーを食べる + ... ドキドキしながら、 左のクッキーを口の中に入れた サクッ …… …! ◯指揮官 酸っぱい ◯ミカ あっ、それは私が作ったクッキーです! 爽やかさを出すために、 レモン汁を入れたんです。 どうですか? ◯指揮官 おいしい ◯ミカ わあ、えへへ。 お口にあったみたいで嬉しいです! ②右のクッキーを口の中に入れた + ... ドキドキしながら、 右のクッキーを口の中に入れた サクッ …… …… ◯エマ …揮官…指揮官~? ん? ◯ミカ おじさん、大丈夫ですか? きゅ、急に気を失ったのでびっくりしました…! …今のは、どうやら エマのクッキーだったようだ ◯エマ あら、疲れが溜まってたのね~ 私が作ったクッキーには、疲れを取るものを たっぷり入れたの。 もっと食べてみて~きっと体にいいはずよ~ ふふ。 ◯ミカ 次はどれにしますか? 次は… ウィーン ◯キリ こんにちは、指揮官…! すみません! 仕事を片付けていたら、面談に遅れ… …ハッ! ひぃぃぃっ!? 虫がこんなにたくさん! し、指揮官!そこから離れてください…! 私がすぐに処理します! こ、この害虫どもめぇ! ガンガンガンッ サラサラ… 止める間もなく、キリは机にあったクッキーを 粉々になるまで潰してしまった ◯キリ 処理完了しました! ◯ミカ あっ…!クッキーが…! ◯エマ まあ。 ◯指揮官 キリ、虫じゃなくてクッキーだったんだ ◯キリ えっ、そんなまさか! いつもの虫より、ものすごい虫だったのに…! えっ…あれ? 本当にクッキーだ! そ、その…本当にすみませんでした!! キリはミカとエマに頭を下げて謝った 私はクッキーをすべて潰してくれたキリに 心のなかでお礼を言った
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/269.html
274 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/02/05(火) 19 14 06 ID JhQMpAs6 次のヤンガンまで長くてヒマだったんで ちょっとタイムマシーンで未来のヤンガン読んで来たよ BAMBOO BLADE #72 "コジローと初めて見る二刀流" ☆冒頭煽り「試合開始!」 「はじめっ!」 主審のユージの声で、 コジローと先輩による、練習試合前のエキシビション試合が始まる。 ☆トビラ煽り「どっちが強いの?」(コジローと先輩のぬいぐるみで遊ぶキリノ) 「ぬぅわぁぁぁぁ!!!」 試合開始早々、仕掛ける先輩。 コジローは変幻自在の二刀の動きに翻弄されて、 何をされたかも分からないままあっさり小手を取られてしまう。 「何だ、どうすりゃいいんだ、あの二刀…」 ”『上下太刀の構え』――― 左に大刀を振りかぶり、右に小刀で牽制を繰り出す攻防一体の構え” 得意満面の笑みで有頂天になる先輩。 「あぁ…今オレ、輝いている!!どうだ部員ども!」 特に何の反応もなく、くっちゃべる鎌崎の剣道部勢。近本だけは割と真剣に見てる。 「……ぬぅぅ、まだ分からんか!ならば!」 続けてさらに2本目が始まるも、先輩のプレッシャーが強くなるにつれ どんどん先輩が川添道場の内村さんの如く、巨大に見えてくるコジロー 無意識の内ににたじろいで場外線を割りかけるが、 真後ろでじっと見つめるキリノの目線に気付いて、 (―――――キリノ!?) いつぞやの、つい頼ってしまったキリノの姿と今のキリノが重なる。 (カッコだけの二刀流なんかに負けんなってか?) 「うおおぁぁああぁぁっ!!」 気合を入れ直して正面の先輩を見据える。 「(ふん、自力で持ち直したか…?)」 ちょっとうれしそうな先輩。だが、眼光は鋭いまま。 ”上下太刀の構え”の弱点は、小太刀を押さえれば片手一刀と変わらない事。 もちろんそれは先輩も承知の上で大刀を使い圧力を掛けてくる。 防戦一方で何とかしのぐコジロー、再び部員たちの回想が頭をよぎる。 (お前はいつもそうだよな…全国だとか、ムチャな事ばっかり言い出して) 二人だけだった頃、最初の練習試合、「全国に行くんですよ」のキリノ、5人揃った時、東城戦のタマのイメージ等が流れる。 (でも、お前のムチャに付き合わされてる内に、ちょっとは俺自身マシになれたのかもな) 「うおおおおおっ!!」 気迫を込めた渾身の打ち込みが小太刀をかいくぐり、先輩の面を捉える。一本! 開始線まで下がり、再びキリノの方を見やるコジロー。 (はは… また生徒に教えられてる…つくづく、ダメな顧問だな、俺って) うんうん、とちょっと嬉しそうなキリノ。 一方、まさかの一本に、焦りまくる先輩。 「しょうがねえな―――」 ☆ヒキ煽り「ついに石橋の本気が!?」
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/47.html
757 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 12 06 08 ID DFtK4V2Q 家に行ってみるも、コジローは出かけていた。 する事がなかったので、掃除を始めたきりのんだが ベッドの下のエロビを発見してしまう。 キョロキョロと周りを見回して「ちょっとだけ・・・」とビデオをセットしようと した時、コジロー突然の帰宅 コジロー「うー寒い寒い。ん?キリノ何してるんだ」 きりのん「亜qwせdrftgyふじこlp;@」 妄想が止まらない 760 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/11/17(土) 13 26 50 ID DFtK4V2Q 「ここここれは、ああああ、あの」 「ああ、先輩が貸してくれたビデオか。見たいのなら一緒に見るか」 後ろでキリノがあたふたしているのをお構いなしに、再生するコジロー 「ちょ、ちょっと・・・」 真っ赤になりながらもTVから目が離せないキリノをよそに、 キリノが持ってきた食べ物を発見し、勝手に食い始めるコジロー 「おっと、ビールを忘れてた」 買ってきたビールと冷蔵庫から出したお茶を机の上に置き、 「キリノ、ここに飲み物置いておくぞ」 「・・・」 「おい、キリノ」 「え・・・うん」 夢中になっているようだ。 「ってそれ俺のビール・・・」 ワッフルワッフル
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/493.html
クーラーの効いた職員室から一歩外に出ると、 もわぁっ、とした生暖かい空気が身体の表面にへばりつく。 それと同時にジジジジ、といつまでもうるさい蝉達の鳴き声が耳を劈く―――季節は、初夏。 (――――暑い暑いと思っちゃいたが…もう完全、夏だよな。) 自然と道場に向かう足取りも、重くなる。 廊下をのそのそ歩いていると後ろからタタタタ、と勢いよく駆けて来る上履きの音、と―――いつもの声。 「センセー、練習行きますよ!ほら急いで急いで」 そのままぐいぐいと自分の背中を押し出す声の主は当然、キリノ。 その両腕は、おっ、おい、と戸惑うこちらの反応など見ちゃいない。 そのままドドドと、道場まで導かれるかに見えた2つの足音は、しかし。 2階の渡り廊下の手前で急に動きを止める。 「……どうした?」 そのまま、勢いに押し出されたように2歩3歩と歩みを進めると、 後ろの自分を押して来たキリノはそこに立ち止まったままだ。 周りをぐるり、と見渡してみると… (そうか、ここは……) ”なんで逃げるんですか――― あんた顧問でしょう!?” ――――ちょうど1年前の今日、だったか。 今でも思う……あの時の自分の判断は正しかったのだろうかと。 立ち止まっているキリノも、当然その事を思い出しているのだろう。 ……ともあれ、もうそれも過去の事だ。いつまでも引き摺っていても仕方が無い。 「行くぞ、キリノ―――」 「……なんで黙ってたの?」 早くこの場を離れようとする自分に即、返って来たその言葉は… たしかに少しショックではあった。が、しかし。売り言葉には買い言葉。 「しょうがないだろ。あん時ゃ、ああするしか…」 「……あたし、先生のそういう所だけは嫌いですよ」 「嫌いも何もないだろ…」 「大事な事は何も言ってくれなくて、ごまかして……一人で背負い込んで…」 「当たり前だろ、先生が生徒に頼れるわけねーし……そもそも…」 ――――”そもそも”。その後に続く言葉は… 直感的にやばい、と思った時にはもう、紡ぎ出される自分の言葉に制御が利かない。 「そもそも……それはお前自身がもろにそうじゃねーか。何でもかんでも自分でやろうとしやがって」 「俺があの時、何の為にサヤを一緒にいさせたと思ってるんだよ」 「遅かれ早かれ、いずれお前の前から居なくなる俺なんかを頼ってどうする」 「あいつをもっと頼ってやれよ……友達、ならさ」 口を動かしながら、背中に冷や汗が滲むのが分かる。 自分が今言っている事が、どれだけキリノの気持ちを抉っているか。 ともあれ、その返答は一瞬の、閃光のような刺激と共にもたらされる。 ――――ぱしっ 「あたしが……誰を頼りにしたいのか、誰から頼りにされたいのか、なんでわからないの?」 その目からは涙を溢れさせ、小さな肩をわなわなと震わせるキリノ。 それはまるで―――あの日の再現だ。 そのまま、自分の横を抜け、走り去ろうとするキリノを… 棒のように動かないこの腕は、掴もうともせず。 鉛のように固まってしまったこの足では追う事もできない。 そして今ごろになって遅れてやってくる、ヒリヒリとした頬の痛み。 今日の暑さ以上に……ただ、寒気がした。 ▽▽▽ 「あー、だるー…先生、キリノは?メールの返事がこないんだけど」 あまりの暑さに、サヤが道場のスミで溶けている。 そしてそう言いながら、こちらの顔をちらり。 「うーん…今日はもう来ねえかもな…」 「何かあったんですか?…また」 心配そうにこちらを見るミヤミヤ。 その視線はやはり、こちらの顔の一点に注がれる。 「あんな事があっても、ケンカってするもんなんですね…」 発想をもはや異次元へと飛躍させるサトリ。 もちろんその目は自分の右頬を捉えて離さない。 「……ところで先生、そのほっぺた…」 タマがごく自然に、当たり前の声で、誰もが思うであろうふつうの疑問を発する。 うんうん、と力強く頷く残りの部員7名。 「あー…これはな…」 変に心配をかけるのもよくないと思い、何とか軽口でやり過ごそうとするものの… 逃がすものかよ、という勢いで訴えかけて来る8組の、目という目。 流石にこれは、やり過ごせる雰囲気ではない。 渋々と、今日の顛末を一から語り終えると―――― 「バッカじゃないの!?」 開口一番。いつもの口癖を炸裂させるサヤ。 すまんサヤ、言われなくても分かってる。俺がバカだ。アイアムペン。This is バカ顧問。 「…呆れた。私だってダンくんに怒ったりした事もあるけど…」 ミヤミヤ。すまんがこれはそう言うもんですらない。 俺がバカなだけだ。正しい事も、くそもない。 「……知らなかった。先生、そんな事を考えてたんですね…」 おっ、おい?サトリお前、去年の事は一体どういう決着をしたと思ってるんだ? しかしまあ、そういうものか。普通に顧みれば、あれはそんな大した事じゃなかった……のかも知れない。 「……謝った方が、いいと思います」 ―――そのとおりだ、タマ。 頬に残る、手形の痛みが。少しは引いた気がした。 ▽▽▽ それから翌日の放課後。 朝練にも昼練にも、キリノの姿は見えない。携帯もメールもつながらない。 だがサヤが昼休みにやって来て言うには、学校には居るらしい。 でも先生には会いたくない、と… -…キリノ、相当だよ先生、カクゴ決めなきゃ。 -ああ、わかってる。 肚を括り、教室にキリノを探しに行くと―――居た。 キリノは何やら俯いて本を読んでいて、傍に立つまで俺に気付かない。 こちらに気付き、ぎょっとなるその腕を引っ掴み、強引に立たせると…そのまま教室を出る。 「ちょっ、センセー?」 「…黙ってろよ、歩きながら喋ると舌噛むぞ」 早足がいざなう先は、勿論昨日と同じ… そして去年とも何も変わっていない、あの渡り廊下。 強引に連れて来られたキリノは昨日以上の拒絶を、これまたあからさまに表情に出している。 ……しかし、ここで引く訳にはいかない。 「―――済まなかった。昨日の事」 その言葉に、目を背けるキリノ。 「お前の気持ち、分かってやれなくてごめん」 「う…」、と背けた顔を赤らめ、目線を下にやるキリノ。 「でもその前に………一つだけ、弁解させてくれないか」 ひとつ、驚いた顔を見せ、オロオロと、慌てだすキリノ。 「あの時、黙ってたのは―――うぷ」 勢いよく左手でこちらの口の動きを押さえ、右手でそっと”内緒”のポーズ。 こちらの目を凝視しながら、頭をそのままふるふる、と数回横に振ると。 「わかってます……先生があの時、あたし達の為に黙ってくれてた事は…」 「キリノ…?」 「先生はそういう人だもんね」 その手を離した後は、完全にいつものキリノだった。 背を向け、どこか空に呟くように喋りだす。 「でもあたしが昨日……ガマンできなかったのは…」 のびをするように、両手を大きく天に広げ。 「きっと、先生のそういう所が…あたしと同じに見えたからかな」 その両手をぎゅっ、っと球体状に封じ込め… 「自分が嫌いなんですよ、あたし。分かってるのに…」 胸の手前に置き、くるっ、とこちらを向き直ると。 「何でも自分で解決しなくちゃ、自分だけで、って思い込んじゃうの」 両手の間の”空間”を見つめ、それに向けて話しているかのようなキリノ。 「だから―――先生があたし達にそれをしてくれた時――」 そのまま両手を前へ…こちらへ差し出す。 「嬉しかったけど、寂しかったんですよ。……えへへ」 涙目で、しかし笑顔で―――自分の気持ちを必死に伝えようとするキリノ。 差し出されたその”空間”にひょいと手を入れ、摘んでみると… 何かそれが、心のうちに、あたたかな空気となって広がるように感じる。 「―――俺ら、結局……似た物同士なんだろうな」 「あたしと……先生が?」 「そうさ。俺にとってのお袋がそうなんだが…… 甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる人に、わざとつっけんどんな態度をとったりとか、な」 「あ…」 様子が変わり、ややしょんぼりとした表情を浮かべるキリノ。 「あたし……サヤに一番、迷惑かけちゃったんだ…」 「…心配すんな。あいつなら、分かってくれるだろうさ―――なんせ、あいつは」 「?」 「お前が思ってるのの2倍はいい奴で、3倍まっすぐな奴だからな」 「ふふ…そうかも知れませんね」 キリノの表情にやわらかさが戻る。 それと同時に、渡り廊下に一迅の強い風がよぎる。 その風は、一年前の、そして昨日ここで行われた事、全てを吹き飛ばしてくれるかのようだった。 キリノはその風に髪を押さえながら、やがて風が止むと。 「あたし……あと8ヶ月したら、卒業したら―――まず一番に、先生に伝えたい事があるんすよ」 ”伝えたい事”。 それがどういう物であるかは、誰にでも想像がつく。しかし。 ―――奇遇だな、俺もだ。 そう言えたらどれだけいいだろうか。 想いを通じ合える事。そのよろこび。 それを教えてあげるのも教師の仕事、であってもいいかもしれない。だがしかし。 教師とか生徒であるとか以前に、このような中途半端な所で… 折角のこいつの気持ちを昇華させてしまうのは、何よりもキリノに失礼だ。 だからこそ―――― 「ああ、楽しみにしてるよ、キリノ」 ――――今はこれが、精一杯。 おわり
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/136.html
433 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 08 44 29 ID GEdacA45 タヌキさんの中ではずっとキリノはチャイナってイメージだったらしい。 で、コジローのスト2での持ちキャラは春麗。 もう、何て言うか、できすぎだろうw 452 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/04/14(月) 11 35 32 ID NDUVDdid 433 (厳密にはタヌキさんの日記参照) キリノ「おはようございまーす!」 コジロー「ぶほっ!な、何でまたそんなもん着てるんだよお前?」 キリノ「えー、先週からうちの高校制服が自由化になったじゃないですか…あっ、サヤ、おはよー」 サヤ「おっはよー」 コジロー「さ、サヤ…ここはソフト部じゃないぞ……」 サヤ「気にしない気にしない!」 ミヤミヤ「おはようございます」 コジロー「ミヤミヤ…お前までか……ゴルフ部じゃないんだってば…」 キリノ「まあまあ先生……で、どうっすか?」 コジロー「な、なにがだ?」 キリノ「皆の中で、どの格好が一番かわいいと思いました?」 コジロー「う、うむ…えっと……」 コジロー「お団子」 キリノ「にへへ…」 ――がばっ コジロー「……ッ!!夢、か…?」 コジロー「(ハァ……疲れてるのか、俺…)」 コジロー「顔でも、洗うか…」 ぱしゃぱしゃ、と言う洗面の音に混じって、ドアをノックする音。 ???「先生、おはようございまーす」 コジロー「ん?この声…いぃっ!?」 ―――窓の外に浮かんでいるのは、いつものポニーテールではなく……お団子のシルエット。
https://w.atwiki.jp/testest-umigamedb/pages/2053.html
2021年12月11日 出題者:たくみん タイトル:「SMプレイ」 【問題】 マイは何度も踏んだので喜んだ。 タカフミはマイに何度も踏まれたので喜んだ。 2人はそういう趣味なのだろうか? 【解説】 + ... キリ番の話である。 TwitterなどのSNSがまだなかったころ、交流は個人サイトに設置された電子掲示板やチャットなどが主流だった。 サイトにはたいていアクセスカウンターが設置されており、 キリ番を踏む(キリのいい数字のときにアクセスする)と掲示板に書き込む慣習があった。 たまに踏み逃げ(キリ番を踏んだのに書き込まないこと)されることもあったが、 マイはその都度、「やったーキリ番ゲットしたので記念カキコ」と書き込んでくれたので、タカフミは喜んだ。 《知識》《エロ》《瞬殺》 配信日に戻る 前の問題 次の問題
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/593.html
――――あのときから。 あの日、あの人への想いをはっきりと自分の中に見つけた瞬間に。 今迄感じた事のない喜びで体中が溢れんばかりに満たされた。 それは驚愕でもあり、嬉しい驚きだった。 その気持ちのままに零れた笑顔は今にして思うと、人生で一番の喜びを湛えていたかもしれない。 片思い。一方的な自己満足に過ぎないキモチ。おそらくは、明かされる事はこの先ない。それで構わない。 ただこの満ち満ちた気分を抱えながら自分は、自分のやるべき事をやっていけばいい。少しの寂しさは、あるけれども。 (そんな風に、考えてた…) 自分はそこまでお堅い人間ではないけれど。理性的な方ではあると思っていた。 セルフコントロールも、言ってはなんだが他の部員と比べれば利く方だという自負も、あった。 (…はずなのに、なぁ?) しかしながら。いつの間にか生まれた、この想いを相手に伝えたいという欲求は日々募りに募り続け… あの人との、今迄とは異なる関係を求め、今でも身体の中でうねり続けている。 いや、もしかすると実はそんな欲求はずっと昔からあって、知らないふりをしていただけなのかもしれない。 「……どうしたものかね」 心の声に、やっと実声が追いついた。 そう呟いてからも、キリノは姿勢を崩さず、試合場の真ん中にいる二人を見つめている。 そのうちの一人がそっともう一人の肩を叩くと、一人は俯いたまま自陣に戻り、そしてもう一人は… ゆっくりと此方に帰ってくるコジローを、キリノは複雑な思いで見つめていた。 「大人になってから…本気の出し方、忘れちまうぞ?」 激昂のあと静まり返った道場に、その声はやけによく響いた。いやむしろ心に、と言うべきか。 深い意味まで察する事は困難だったが、その言葉は自分に向けても放たれている。それはおそらく明白だった。 (大人に、なったんだねえ…先生。) 多少おどけ混じりにもそう考えてみると、不意に心臓が早く脈動を始める。 その余りの激しさに、音はもしかしたら道場中に響いているのではと錯覚するほどだった。 やがて試合を終えたタマが隣に座り、続いてユージに審判旗を預けたコジローがその隣に腰を降ろすと、 依然として自分を急かし続ける心臓の早鐘とは裏腹に、顔を上げる事ができない。 「………キリノ先輩?」 こちらの様子を気にしたタマが面を取り、訝しがっている。心配をかけるわけにはいかない。 「…んーん。大丈夫だよタマちゃん。お疲れ様。また、たくさん試合しちゃったね」 タマがそんな、と言って頬を染めると、その向こう側に、いつになく真剣な表情のコジローがいる。 そのまま見入ってしまいそうだったが、コジローはしばらくすると視線に気付いたのか、驚いたような顔を見せる。 「お、お前等……どーしたの?」 気が付けば、コジローを見ているのはキリノだけではなかった。 先鋒のサトリから、大将のタマまで。全員が面を着けようとするコジローに注視している。 「先生…ホントに石橋先生と試合するの?」 沈黙を破り、最初に言葉を発したのはサヤだった。 「勝てるんです…か?」 「無理はよくないぞ」 「殺されちゃうんじゃ…」 そのまま、皆が身を乗り出し、次々に不安を口にする。キリノも何か言わねば、と思うが、言葉が出て来ない。 コジローがそんな自分の信用の無さに苦笑を浮かべつつ、淡々と手ぬぐいを頭に巻いていると、 初めて、不安ではない純粋な励ましの言葉がその耳に届けられる。 「先生、頑張って下さい」 その声に反応し、う、とキリノが喉元まで出かかった言葉を飲み込む。先んじた声の主はもちろんタマ。 「おお、ありがとうなタマ」 コジローはそう言うと、少し目を見開いたままギュっと手ぬぐいを堅く縛った。 それと同時に、先程までの不安の声は熱い声援に変わる。 「そうだよ先生、頑張れっ!」 「見せて下さいよ、先生の実力を」 「が、頑張って下さい…!」 一度飲み込んだ言葉を咀嚼し、再び気持ちを乗せて伝えるまでのタイムラグ。 戸惑うキリノはその故に、周囲に溢れる声援のことばにも、自身の気持ちを乗せる事が出来ないでいた。 (いつもの自分だったら…) こんな逡巡は無かったろう。だが、どう足掻こうとも今の頭の中は真っ白であり、 「がんばって」のただ一言の発声方法もこの口は忘れてしまったかのようだ。 また自分の思い込みに違いないが、キリノはふしぎと、面を着けるコジローの所作がゆっくりに見え、 自分からの応援を待ってくれているようにさえ思えていた。 しかし焦れば焦るほどにますます言葉は出て来なくなり「あ…」とか「が…」とかの意味を成さない文字列を撒き散らすのみ。 そうこうしている内に、ついに面を着け終えたコジローは立ち上がると、 「じゃあ、いっちょ行ってくらぁ」 キリノの方へ向けて威勢良く、そう言い放つ。 それと同時に、キリノは先程の思い込みが実は思い込みではなかった事に気付いたのだが、時既に遅し。 両陣営からの声援が飛び交う中、コジローの身体はもう試合線の内に踏み出されようとしており、 声の出せないキリノとの距離は絶望的に拡がってしまった。 自分の不甲斐無さに、もういっそ涙まで零れそうだったが、もう一度だけ歯を食いしばり、声を出そうと藻掻いてみる。 「がん…ば…」 (頑張って、先生…!) それでもやはり気持ちだけが先に飛び、言葉は人間の声のかたちをなさない。情けなさと罪悪感で胸が締め付けられるようだ。 しかしその、伝わるはずの無いキリノの声に反応したコジローは、少しキリノの方を振り返り、軽く右手を挙げると、 「――――おう!」 しっかりと、そう答えた。 それはまるで、キリノの声にならない意思が何か不思議な力によってテレパシーのようにコジローに伝わったかのようだった。 (…え?) キリノはそれが、しばらく理解できなかったが、不意にその意味に気付くと、顔が赤くなるのを止めようがなかった。 声とは、想いとは違う。例えば調子によって様々に意味を変え、また善意のことばに悪意を、悪意のことばに善意を持たせる事も出来る。 それが声と言うものであって、また、どれだけ正しく伝えようとても少なからず誤解を孕んでしまうのを避けられない性質を持っている。 ところがそういう声の性質の壁を乗り越え、想いをそのままの形で伝えられるとしたら、また伝わってしまったとしたらどうか。 キリノが自分の裸の気持ちまで読まれてしまったような錯覚を覚えたのも、無理なからぬ事ではあった。 そしてそれはキリノ自信の気持ちにも、思わぬ効用をももたらす――――開き直り、という形での。 やがて審判役のユージの「はじめ!」の号令が鳴り響くと。 室江側からいのいちに、一際大きな応援の声が飛んだ。 「頑張れ、センセーっ!!」 【終】
https://w.atwiki.jp/bamboo-couple/pages/322.html
892 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/04/21(月) 22 07 50 ID SfzRosru 長文書きに入る前にローギアでひとつ書いてみた サヤ「おや、準備室から声が…」 コジロー「…よし、動かすぞ」 キリノ「あいた…先生、ちょいタンマ…」 コジロー「あ、すまん。…これでどうだ」 キリノ「あはは…今度はくすぐったいよぅ」 コジロー「あとちょっと、あとちょっとだから我慢しろって」 キリノ「ん…だめ…そこはダメだってば」 サヤ「あ、ああああ、ああんたたちっ 神聖なるまなびゃゎ、学舎でなにやってんのー!!」 キリノ「耳かきを…お願いしてたんだけど…」 コジロー「あとちょっとで取れそうなんだよ。でかいの」 サヤ「旅に出ます」