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「やれやれ、やっと終わった…」 日本史の先生はつかれきった声を出して、社会科準備室のドアを開けた。 「あ、朝一から夏期補講お疲れ様です。お茶冷えてますよ。」 コジローがそう言って冷蔵庫を開ける。そして日本史の先生の湯飲みに 冷えた麦茶を注ぎながら尋ねる。 「どうでしたか?『ゼロからの近代政治史』の反響は。」 「んー、歴代の内閣総理大臣の名前と支持母体を暗記しろといったら、 悲鳴を上げていたよ。東さんなんか、この世の終わりのような顔をしていたね。」 「そりゃ、東なら、ね…」 「でも、私立文系で受けるなら、それくらいは覚えておかないとダメだよ。」 「そりゃあそうなんですがね…」 コジローも返す言葉がないようだ。 「ああ、でもさ、君のところの奥さんは、こういうの得意そうだけどね。」 「え、キリノですか?確かに集中したときは簡単に憶えるけど、でも、またなんで?」 「なんでって、そりゃ、力があるのにもったいないからだよ。今からでも進学しないの?」 「いや、それはその…」 コジローが返答に窮したのを見て、追求をあきらめたのか、話題を変えた。 「ま、いいか。さて、石田先生は、これからが本番でしょ?気をつけてね、合宿。」 「あ、ハイ。事故のないように行ってきます。」 そこへ、社会科準備室のドアがノックされた。 「失礼します。先生、荷物を取りに来ました。」 「おう、誠はその保冷庫を頼む。ユージとダンは、このポカリの箱な。 それじゃ、行ってきます。」 コジローは一礼すると、荷物を持って社会科準備室から出て行った。 「よし、みんなそろったな。出発前に確認するが、トイレに行きたい者はないか?」 「先生、遠足じゃあるまいし…」 ダンが軽口をたたくと、キリノが、 「あ、あたし行ってくるね。さとりん、行こう?」 と、東の手を引っ張っていってしまった。あっけにとられていたユージがたずねる。 「いいんですか?先生、キリノ先輩に合宿を手伝ってもらって…」 「まぁ、あいつからやりたいって言い出したからな。総体前の強化合宿だから、 あいつも気になるんだろう。それに女子の細かいところは、俺じゃ手が回らないから、 あいつに助けてもらえたら、俺自身助かるし。今のだって、ダンの軽口で、 東がトイレに行きたくても行けないのを救ってくれたじゃないか。」 「そうですね…でも、自腹を切ってついてきてくれるなんて…」 「ま、久々にお前たちと楽しくやりたいんだろ。だから、気にするなって。 ほら、戻ってきた。さあ、今度こそ出発だ。」 そう言って、コジローはマイクロバスに乗り込んだ。 昼過ぎには目的地に着いた。まず宿舎となる民宿へ行き、部屋割りをして 荷物を降ろす。それから食事を済ませ、練習会場となる体育館に着いた。 「礼!お願いします!」 「「「「「「お願いします!」」」」」」 ダンの号令に合わせて、練習が始まる。総体前とあって、みんな気合が入っている。 ただし、練習のし過ぎで本番の試合で動けなくなっては元も子もない。ころあいを 見計らってコジローが号令をかける。 「よし、十分間休憩!」 「「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」」 みんなは面と篭手をはずして引き上げてくる。キリノがニコニコしながら、 ポカリを差し出す。 「はいはい、お疲れ。はい、タマちゃん、ユージくん。これはミヤミヤとダンくん…」 「キリノ先輩、練習に入ってくださいよ、せっかく来たんですから。」 ポカリを受け取ったダンがいう。 「えー、だって引退してから時間がたっているから、みんなにとうてい ついていけないよ。あたしはサポート役、マネジャーで十分。」 そこへコジローが顔を出す。 「そうだな。代替わりしたんだから、けじめはちゃんとつけないと。 キリノが入ったら、お前たちはキリノに頼るかもしれないし。 それじゃ合宿の意味がない。」 「ほらね、センセーもこう言っているし。」 「えー、一番頼っているのは先生じゃんか!」 ダンが不平の声をあげる。 「ダンくんの言うとおりです!」 ミヤミヤも続く。 「まぁ、まぁ、それよりも練習をしましょうよ。」 聡莉がなだめるが、ブーイングはなかなか収まらなかった。 練習を終えてから、風呂と食事を済ませる。ただし強化合宿と銘打つだけあって、 夜には地元の道場との練習試合を行った。このように初日からハードな練習のためか、 夜間練習後にシャワーを浴びて、ミーティングを済ませると、みんなばたばたと 倒れこむようにして眠りについた。キリノは女子みんなが寝息を立て始めたのを 確認すると、食堂にいるコジローのもとへ向かった。 「センセー、女子はみんな寝たよ。」 「そうか、見張りありがとうな。」 「どういたしまして。」 キリノはコジローの横に座る。 「えへへへ。センセー、ようやく二人きりだね。」 「そうだな…でも、合宿に来ているんだから、それを考えろな?」 「えー、でも…」 「だって、ここは民宿だから、何かあったら、筒抜けだろうが!」 「はーい、わかりました…」 といいつつも、コジローに身を寄せる。コジローは、キリノの肩に手を回して 引き寄せた。 「キリノ、ありがとうな。」 「ううん。センセーが頑張っているから、あたしは一緒にみんなを応援したいだけ。」 「ああ、実際助かっているけど…ホント、あいつらの言うとおり、俺はお前に 頼りっぱなしだと思う。お前はどうなんだ?俺の相手も含めてサポート役ばかりで、 お前はそれでいいのか?」 「それでいいのかって、どういうこと?」 「いや、大学進学とか考えなくていいのか?ほら、卒業してすぐ俺のところに来たけど、 お前は大学に行く力があるわけだし。」 「センセー。あたしはちゃんと自分の進路を見つけたよ。大学に進むだけが 進路じゃないでしょ?あたしは、頼りないセンセーを助けて、ステキな家庭を作って、 いい子どもたちを育てるのが夢なの。」 「ははっ、頼りないか…」 「でもね、センセーがものすごく頑張っているから、あたしはそれを応援したいんだ。 だってさ、あたしたちが親や先生、先輩からしてもらった以上のことを次の世代に してあげればさ、きっと次の世代はグッと成長しているはずだよ?それを繰り返して いくのが、進化とか、進歩とかいうものじゃないかなぁ…あたしはもう充分に、 みんなの愛情を感じているから、次の世代に、あたしたちの子どもに伝えたいの。」 「キリノ…お前って…」 コジローはキリノを抱きしめて言った。 「よし、やるぞ俺は!明るい未来のため!キリノ、サポート頼むぞ!」 「うん!でも、眠い…」 「しょうがねぇなぁ…ま、でも、頼りにしてるぜ、奥さん!」 そう言ってコジローは寝息を立てている妻を抱きかかえて、女子の部屋へ連れていった。 次の日は、朝は軽めのメニューをこなし、昼からは地元の高校と練習試合の予定だった。が、 「え、食中毒?」 電話の向こうで、相手の先生が申し訳なさそうな声で伝える。 『いや、こちらも合宿をはっていたら、生野菜の中に…』 「それじゃあ、仕方ないですね。どうぞお大事にしてください。」 コジローは静かに受話器を置いた。 「先生、どうするんだ?結局。」 ダンが不安そうに聞く。無理もない。午後からは地元の高校の道場で試合をするつもりなので、 体育館の予約は入れていない。つまりまるまる昼からの行き場がなくなったのだ。 「そういうときは、気分転換に泳ぎに行こうよ!」 久しぶりに聞く声に振り返ると、西瓜を入れた網を持ったサヤがいた。 「サヤ、おまえ何で…」 「何でって、合宿の激励と差し入れだよ?」 「そりゃありがたいけど、泳ぎに行くって、そんな用意…」 「もちろんあるよね?」 サヤの声にみんながウンウンと頷く。 「さてはおまえら…」 「かたいこと言いっこなし。さぁ、行こう!」 キリノが立ち上がって言う。 「キリノ、お前まで…あ、でも、俺の水着がないぞ?」 コジローの抗議の声をサヤが遮る。 「あ、大丈夫。差し入れの西瓜と一緒にキリノのお母さんから預かってきたから。」 「お義母さんから?」 コジローは一抹の不安を抱きながらもサヤから水着袋を受け取った。 「ま、普通の水着だわな…」 コジローは民宿の男部屋で水着に着替える。戦々恐々としながら水着袋を 開けたが、中身は単純な紺色のトランクスタイプの水着とバスタオルとビーチサンダルだった。 コジローが男子連中を引き連れて浜辺に行くと、すでに女子は浜辺に出ていた。 コジローは妻の姿を探す。案外簡単に見つかった。麦わら帽子に、剣道で使っていた 手ぬぐいを巻いている。そして水着の上には服を羽織っていた。 (まぁ、あいつらしい格好だな。) そう思いながら近づいていくと、キリノは地面に向かって何かブツブツ言っている。 「キリノ。」 「あ、センセー。」 振り返った姿を見て、コジローは愕然とした。前回海に行ったときのハイビスカスの 水着とばかり思っていたら、なんと着用していたのは学校指定の水着。 (なにゆえそんなものを…) 動揺を隠してコジローは尋ねる。 「何をやっているんだ?」 「ほら、カニさんがいるから、『少しお庭を借りるね』と言っていたんだ。」 確かにキリノの前には小さなカニがいる。コジローは、キリノらしいと苦笑した。 そこへサヤの声がとどく。 「さぁ、西瓜割りをやろうか!」 「よし、行くか!」 コジローが立ち上がろうとするのを、キリノは肩を押さえる。 「センセーはダメ。」 「なんで…」 「だって、全部食べちゃうもの。」 「そんなわけあるかい!」 「えへへ、理由なんてどうでも良いんだ、それ、埋めちゃえー!」 キリノのかけ声に、部員たちが集まって、あっという間にコジローを 埋めてしまった。 「おーい、どうにかしろー!」 コジローの抗議もむなしく、みんなは別のところに去っていった。 なんとかして脱出したコジローが聞くところによると、結局西瓜はタマが 粉砕してしまったらしい。 コジローは海の家から浜辺をながめている。みんな楽しそうに遊んでいる。 ダンとミヤミヤはタコ?で遊んでいる。タマとユージは砂の城作り。 東は浮き輪でプカプカ浮かんでいる。他の部員はサヤを中心にボール遊びをしている。 「あー、平和だねぇ。」 つい、そんな言葉もでる。ただ好事魔が多し。入道雲が沸き立ったたかと思うと、 なま暖かい風が吹き、やがて嵐が来た。 「おーい、みんな戻ってこい!」 コジローの声に答えて、みんな海の家にやってきた。でも誰か足りない。 「おい、キリノは?」 「え、カニやフナムシを探しに行くって、あっちへ…」 誠が指さした先には岩陰があった。今は雨と波でかすんでいる。 「よし、俺が見に行くから、お前たちはここを動くな。二重遭難が怖いからな。 見つけたら携帯で連絡する。でも、連絡がなかったり、晴れても戻ってこなかったら、 ダン、110と119だぞ。」 そう言うとコジローは、水着袋をかかえると大雨の中飛び出していった。 波しぶきにさらわれそうになりながらも、どうにか岩陰についた。 果たせるか、岩陰の洞窟にキリノはいた。 「おい、キリノ!」 「あ、センセー…」 「心配したぞ…」 そう言ってコジローは妻を抱きしめる。 「うん。気がついたら波も高くなって、ここから動けなかったんだ。」 「無事でよかった。まず、これで水を拭け。」 そう言ってバスタオルを渡す。それからダンに携帯で連絡をする。 「ああ、俺だ。無事に見つかったから、落ち着いたら帰るな。」 コジローは通話を終えると電話を水着袋に入れた。そして妻の方を 見ると、キリノはポロポロ泣いていた。 「ゴメンね、センセー。えらそうなことを言っておきながら、足手まといで…」 「そんなことを言うな。俺はどれだけお前に助けられているか。 それに比べればこんなことぐらい…」 コジローはそう言って妻を抱きしめる。どれくらい立っただろうか、キリノが口を開く。 「ねぇ、センセー…」 「どうした。」 「もっと、体の中から暖めて…」 そう言ってキリノの方から、夫の首に手を回した。 唇を、 重ねた。 舌を絡ませた。 肩紐をずらして、 胸をあらわにした。 舌を絡ませながらも、 掌で乳房を、指で乳首を 揉む、おす、こねる、つまむ。 時にやさしく、時に強く、乱暴に。 妻は悲鳴をあげた。それを合図にして、 水着を、一気に腰まで引き下ろした。 舌は耳朶を、胸を、臍を這い回る。 あん、やんと妻は喘ぎ声をあげた。 妻の腋に手を入れて持ち上げて、 生まれた時の姿にしてしまう。 股間に指を這わせてゆく。 湿り気を帯びた泉へ、 指が侵入していく。 声が大きくなる。 声にあわせて、 指の動きが、 加速する。 声にならぬ 声で妻は泣く。 金髪をやさしく なでる。目と目が あう。それを合図に 夫は妻の中へ入っていく。 妻はまた、喘ぎ声をあげる。 少しずつ腰の動きが加速する。 センセー、センセーと妻はねだる。 背徳感故か、夫の背中に電気が走る。 夫は腰の動きを加速させる。音が響く。 妻の唇は青紫色から、つややかな桃色へと 暖かみを取り戻し、喘ぎ声を上げるばかり。 その唇を、夫は乱暴に奪い、蹂躙する。 お互いの気持ちが高ぶり、腰の動きは コントロールが効かない。その時が 近づいているのが、二人にわかる。 夫は歯を食いしばり、時間を稼ぐ 妻は足を夫の腰に回していた。 すでに二人とも獣だった。 夫は精を中にはなった。 妻は身体を浮かした。 絶叫が洞窟に響く。 痙攣が収まり、 二人は肩で 息をして いた。 二人が落ち着く頃には、嵐も落ち着いてきた。 「さて、そろそろ戻ろう。みんな心配しているそ。」 「え、でも、このままじゃ…」 確かにキリノの肩や胸には、桜色のそれとわかる印がついていた。 「すまん、キリノ…ついつい調子に…」 「だから、Tシャツと短パンをを貸してね。」 そう言うとキリノはコジローの水着入れからTシャツと短パンをとると、 水着の上から着た。 「ところでキリノ…」 「なんで前のビキニの水着じゃないんだ?」 「だって、みんな学校指定なのに、あたしだけビキニじゃ 浮いちゃうでしょ?」 「それもそうか。」 「それに…」 「それに?」 「学校指定の方が、先生が萌えるんじゃないかって。」 「俺はそんなに不純じゃない!」 コジローは義理の母親を思い浮かべながら叫んだ。 「でも、教え子に手を出している時点で…」 「説得力がないよね。」 振り向くと誠と忍が洞窟の入り口から顔を出していた。 「心配だから迎えに来たぞ。」 ダンや他のみんなも顔を出す。 「セ、ン、セ、イ?」 鬼の形相でサヤが仁王立ちしている。 「これは合宿であって、新婚旅行じゃないですよね。」 「そ、そりゃ当たり前だろ!」 「じゃ、そんなにイチャつく元気があるんなら、夜間練習頑張りましょうね?」 そう言いながらサヤはコジローを引っ張っていった。 「いいんですか、キリノ先輩…」 忍がおそるおそる聞く。 「え、なにが?」 ねこ口でキリノが逆に尋ねる。 「いや、失礼ですけど、あんな情けない人が、その、連れ合いで… 今からでも大学に入って、もっとステキな人を…」 忍の言葉を制して、キリノが答える。 「うん、確かに情けないよね。でもね、そこがいいんだな!」 満面も笑みで、批判はゆるさんとばかりに即答するキリノにつられて、 みんなも笑い出す。 「お迎えありがとうね、じゃあ、夜間練習ガンバロー!」 そう言ってキリノは立ち上がり、洞窟の外へと歩いていく。みんなも つられて歩き出した。浜辺には庭を取り戻したうれしさか、カニがたくさん闊歩していた。
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――どんな人間にも、1年に1度。 等しく必ず訪れる特別な記念日という日がある。 もっとも大抵の場合、それが「特別」であるのは精々20回目くらいまでで、それ以降は ただ記入の上の数字に1を加えるだけの味気ないイベントに成り下がるのだが。 さてまぁ、それはさておき期末テストを前日に控えたここ、千葉家でも。 ご多分に漏れず16回目のそれを祝うパーティが、賑々しく行われようとしていた。 「ハッピーバースデイキリノ!」 きれいな和音で同時に声を上げたのはキリノの友達の、髪の短い子と長い子、そしてサヤの3人。 照れくさそうに頭をかく今日の中心人物のキリノに3人が一斉に口を開く。 「いやーしかし相変わらずキリノの部屋は悪趣味だねえ」 「しかも、変なモノが前より増えてない?」 「これなんかこないだ買った奴でしょ、あのかわいいもの屋さんで」 言外にあんた絶対彼氏なんか居ないよね、とでも 言い含められているかのようなその発言の裏を知ってか知らずか。 温厚さでは定評のあるキリノのこめかみが小さくふるえる。ぴくぴく、ぴく。 ……お祝いしてくれるのはもちろん、すごく有難いのだけれど。 「って、なんであたしの誕生会をあたしん家でやるわけぇ!?」 -しかも上がり込んで開口一番に言うのが人の趣味にダメ出しかい? そんなキリノの態度を意にも介さず、 この集まりの首謀者…サヤが今回の主旨を述べる。 「だって、明日もうテストじゃん!だから折角だしお勉強会を兼ねてって事で…ね?」 あとキリノん家ならメンチカツも食べられるし。 ついでに学年20位のヤマにも肖ろうって、ね。 …とは、サヤとだいたい同じ位の成績のショートっ子の言である。 なにはともあれ。 「でも、あたしのお誕生日、ホントは明日なのになぁ…」 「まぁまぁ、テスト始まっちゃったらこういう事も出来ないしさ」 比較的面子の中では物分りのいい方のロングっ子が その、どうしようもない根本的な問題に苦しいフォローを入れる。 そう、キリノの誕生日は本当は翌日なのだ。 「そうそう!今日はバースデイイブって事で!…と言う訳でキリノ、早速だけどここ教えて?」 ほぼ開き直っているサヤが巧みに話題をそらす。 キリノとしては、なにやら燻るものはあるが仕方がない。 かくしてここに、謎のお誕生勉強会…が、始まったのである。 ※ ※ ※ ※ 「あ~、もうっ!物理なんかこの世から消えてなくなっちゃえばいいんだ!」 …とは、最初に勉強会を切り出した人物の言である。 4人、やや大きめのちゃぶ台机に差し向かう形で勉強していた一角がぽこんと空き、 そこに居た人物は、全身を伸ばすように後ろに倒れ込んでいる。もちろんサヤのことだ。 が、その意見に同調するように他の3人も手を止める。 「いやいやいやいや。無くなるべきなのは文系科目だって。ちっとも具体的じゃないんだもん」 「あたしは…強いて言うなら英語は難しいわねえ、リスニングなんて何言ってるのか全然わからないし」 「漢字ぃ~、あれだけは駄目ぇ~」 流石にテスト前の根詰めた勉強にうんざりして来ていたのか、 各人各様に勝手な事を喋っていると、計った様にサヤが切り出す。 「…勉強会、一時中止っ!お誕生会の続き、しよう!」 おぉ!と全員が答える。 それと同時にキリノ以外の3人はカバンを物色し始め、そして。 『じゃあ、はいキリノ、これ誕生日プレゼントね』 ショートっ子とロングっ子が一斉にカバンから自分のプレゼントを取り出す。 ショートっ子の方は包みがやや大きく、ロングっ子の方は小さな包みだ。 一日違いとは言え、心のこもったプレゼントに目頭が熱くなるキリノ。 「2人とも、ありがとぉ~! 開けてみてもいい?」 「どうぞどうぞ」 キリノが丁寧に包装紙を剥がすと… まず少し大きな包みの方の中には、小振りなティーセット。 「あんた、お茶好きでしょ?緑茶もいいけどたまには他のお茶も、って思ったんだけど…」 セットの袋にはラベンダー、と書かれている。 たちまち最近のマイブームらしい、花言葉を反芻してみるキリノ。 -ラベンダー。 …花言葉は”あなたを待っています”だったっけ?ふむふむ。 少し不安そうにこちらを眺めるショートっ子に全力で笑顔を返し、 ロングっ子の小さい包みを丁寧に開くキリノ。 包みの中から出て来たのは、リップグロス。 「あんた本当にこっち方面疎いからね。たまにはこういうのでも塗って勉強しなさいな」 色はローズピンク。 -ローズ。 …花言葉は”あなたのすべては可愛らしい”とかだっけ。…なんか照れるなぁ。 ロングっ子にも笑顔を返し、改めて2人に向き直る。 「ありがとぉ~、本当に嬉しいよっ!大事に使うね?」 見つめあって少し目を潤ませる3人。そこに。 「…オホン。」 ひとつ咳払いを入れると、一気に空気が淀む。 3人が振り返った先には、Zo-3を携えキリノの豹柄のベッドに腰掛けるサヤ。 (あんた、ギターなんかどこから出したんだ…?) 脳内で瞬時に3つのツッコミが叩き込まれるが、 その声は今まさにキリノにプレゼントを届けんとする目の前の人物には届きそうもなかった。 「みんな甘ぁいっ!こういうのはお金で買えるものじゃダメなの! と言う訳でこの曲をキリノに捧げます!題して”ブーゲンビリア”!」 そう言うや否や、髪を後ろで纏めると。 いつのまにセットしたのか、キリノの部屋の古めかしいラジカセの再生スイッチを入れる。 流れ出すマイナー調のメロディに合わせ、1,2,3とリズムを取ると 合ってるんだか間違っているのか分からない運指でギターを弾き倒しつつ、さけぶサヤ。 唖然とする他の3人と反比例するかのようにテンションを上げて行く歌詞。 ……はっきり言って近所迷惑にも程があるのだが、 ある意味サヤの家以上にサヤの突飛な行動には慣れっこになっている千葉家ではそうはならない。 現に隣の部屋では同じくテスト期間で勉強中のたっくんと宿題をする妹が足でリズムを取っていた。 「サヤちゃんギターうまくなったねー」 「そうだな!でもこれラブソングかな?」 そして姉の部屋では…いよいよクライマックスを超え、収束するメロディの源。 ぜは、ぜは、と額に汗を浮かべながらギターの腹でぽんぽん、とリズムを取り、最後のフレーズへ。 「キリノ、お誕生日おめでとぉぅおぅお~~~~~」 ジャカジャカジャカジャン。 一心不乱にギターをかき鳴らすと同時にかけられるその言葉は、一気に涙腺を緩ませる。 はいこれ録音した奴ね、家だから大きい音出せないんで、録音状態あんましよくないけどさ、あははっ。 ……と、差し出されたテープのラベルには、どうやら歌詞の中でキリノを例えていたらしい花の名前がある。 -ブーゲンビリア。 …花言葉は”あなたは魅力に満ちている”。 …さ、サヤってば? ぽろぽろぽろ。 粒状の液体が頬を伝う。 「あたしゃいい友達持ったねえ…」 「あぁもう、めでたいんだから泣かないの!…一日ズレてるけどっ!」 「ちょっ、サヤ、それ泥縄…」 「まあまあ、いーんじゃないの?」 こうして、テスト勉強を兼ねた勉強会…もとい、キリノのお誕生イブを祝う会は閉幕された。 気が付くと、全員勉強なんて30分もやってないと言う結果を残して。 ※ ※ ※ ※ 一方その日の夜、こちらはテストを作る側の家。政経担当の室江高非常勤講師は 本来の〆切りをとうに過ぎたテストプリントの作成に余念がな…いや、悪戦苦闘していた。 「ああ、もう。去年のプリントどこしまったっけなあ?」 がさ、ごそ。 部屋を借りてわずか数年の生活で完全に物置と化したフスマ奥に顔を突っ込み、 色んな物が置かれた棚やら蓋やらを掻き分け去年のプリント群を探す。 …どうやら結局作成は間に合わず、今年も使いまわしでしのぐ気のようである。 「まあ、しょうがないよな、うんうん。時間ねーもんな」 受け持ちの政経の試験はテスト期間でも最後の方である。 〆切りには間に合わないとは言え、やる気を出せば間に合いそうなものなのだが… まだこの頃の彼には、そんな気合は到底、ない。 そうこうしてる内にどこか肘の当たり所がまずかったか、それとも天罰が下ったか。 フスマの奥から崩れ落ちる色んなものの雪崩に巻き込まれる。 (どんがら、がっしゃん!) 大きく崩れた荷物に押し倒されるように倒れ込むと、 なんとか身体を支えている右の掌に奇妙な感触がある。 「あいててて… ん?なんだこりゃ、傘か?」 開いてみないと柄はよく分からないが… それは見るからにシュミの悪そうなデザインの、しかし小振りで使い易そうな傘であった。 何故そんなものがここにあり、大事に物置にしまってあったのかは忘れてしまったが… -多分、おふくろのだな。このセンスの無さは。 -そういえば、車に積んであった傘、どっかいっちゃったんだよな。 「丁度いいか」 ひと息入れよう、とばかりに車のキーを取り出し、車庫に向かう。 トランクに傘を入れると、そのまま車に乗り込み現実逃避のドライブを鼻歌交じりに数時間。 -探すのをやめたとき 見つかること事もよくある話で~、ってな。 彼が長時間のパトロールを終えて帰宅し、 結局見つからない去年のプリントに焦りまくるのは、 凡そ太陽が昇り始める午前5時を回っての事だった。 ※ ※ ※ ※ 「あっ、コジロー先生」 「おう、キリノ」 コジローが帰宅してから約8時間後。 初日のテストが終わり、帰ろうとする下駄箱の前でばったり。 試験期間中は当然剣道部も部活をするわけにいかず、 今日のテスト結果に真っ青だったサヤも含め、部員は皆下校してしまっている。 一方のキリノはと言うと。 「あー、朝出るときには晴れてたのにねえ?」 「珍しいな、お前が傘忘れるだなんて」 ……と言うわけで、帰るに帰れず立ち往生していたのだった。 傘、か。傘と言えば、そういえば。 「俺の、やろうか?」 「えっ、いーんすか?」 「ああ、車に積んであるから、ちょっと待ってろ」 あんなもんで良ければ、いくらでも。 即座に学校の駐車場の車に向かい、 少し濡れながら取って来た奇妙な柄の傘をほれ、と差し出すコジロー。しかし。 ありがとうございますっ、と受け取ろうとするキリノの手が、ぴたと止まる。 -そう言えば、今日は。 「あっ…いや、でも」 「…なんだよ?別に開いても爆発とかしねーと思うぞ?」 -そうじゃなくって。 -誕生日プレゼント… この場合、言うべきだろうか?……いや、別に言った所で。 珍しくまごつくキリノに違和感を覚えつつも、とりあえずその手に握らせるコジロー。 「いいから、とにかく開いてみろって」 渋々受け取ったキリノが傘を開くと――― その一面には、無数の、満開のひまわりがあしらわれている。 「うっひゃー、さすがおふくろのセンスだな」 「これ、先生のお母さんのなんすか?」 反射的に昨日を思い出す。 -ひまわり。 …花言葉は…えっと、えっと、えっと…?! ぼむっ。 いい音を立てて壊れ行くキリノの脳細胞。 「おいおい、大丈夫なのかよ?頭から煙でてるぞ…?」 「だ、大丈夫っす。大丈夫だいじょうぶ!」 なんとか思考を整えなおし、改めてコジローのくれた傘をまじまじ眺める。 -コジロー先生の、お母さんの傘。 -ひまわりの花言葉は、”あなただけを見つめてる” -出会った日から、今でも、ずっと? 大昔に聴いた覚えのある流行歌のワンフレーズとともに。 途端に会った事もない人の姿が浮かび上がる…気がする。 -ずっと、コジロー先生を見て来た傘、かあ。 柄を握る手に、力がこもる。 「ありがと、コジロー先生。大切に使うね?」 「おぉ、そうしろよ。しょぼいけど俺からの誕生日プレゼントって事で。 まあお前ひまわりみたいな奴だし丁度いいだろ。似合ってると思うぜ?」 ――誕生日、プレゼント。 打ち消えたはずのその言葉に一瞬、心拍数があがる。 「…知ってたんすか?」 「まあ部員名簿に載ってるしな。それ位は当然だろ?」 ……うん。そう言えば、こういう人だったっけ。 そんな理解が頭をよぎると、無性に楽しい気持ちになるキリノ。 そして帰る前に気になっていた点が、ひとつ。 「ところで、コジロー先生?」 「おっ?おう」 「…どうかしたの?目の下のクマすごい事になってるよ?」 「いや、別に何でもねぇんだが…」 「寝てないんじゃないっすか~?駄目っすよ先生は無理しちゃあ。一生懸命になると周りが見えなくなっちゃうんだから」 「う、うっせえよ!傘やったんだから生徒はさっさと帰ってテスト勉強でもしろって!」 「はっは~い♪ それじゃあね先生、さよならー」 そう言って去るキリノの背姿を目で追いながら。 -また、あいつは。 -おふくろみたいな事を言いやがって。 おふくろ。そしてキリノ。ひまわり。 全く繋がりの無い二人の人間を重ねて思い出すと。 あの傘の思い出が何故か鮮明に思い出される。 -思い出した、あの傘。 -俺が母の日にプレゼントした、初めての… なんとなく家に置いておくのが照れ臭くなって、こっちに持って来ちまったんだっけ。 -たは。俺のセンスも大概だな。 -しかも、二回も…か。 などと一人ごちると、自身も家路に着く。 「……さて、頑張ってテストこしらえるかぁ!覚悟しやがれ生徒ども!」 ※ ※ ※ ※ さらにそれから、ず~~~っと後の話。 「キリノ~っ」 「お?あぁ、おはよーサヤぁ」 「おっはよぉ~」 「よくあたしって分かったねえ?」 「…こんな傘、キリノ以外いないよ…」 「えーっ、そうかなあ?」 ふふふ、サヤにはまだこのセンスは分からないだろうねえ。 この世界にはもう一人居るんだよ、あたしと同じ物好き… ううん、あたしよりずっと物好きな人が、ね。 「ひまわりの花言葉は…」 「えっ、何それ?」 「へへっ、教えてあげないよー」 ―――まもなく梅雨が終わると、満開の季節。 ―――キリノの季節は、もうすぐそこである。
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目 亜目 下目 subinfraordinal group superfamily group 上科 科 カマキリ目 Mantodea †Santanmantidae Eumantodea Chaeteessoidea カマキラズ科 Chaeteessidae Spinomantodea Mantoidoidea Mantoididae Schizomantodea Metallyticoidea ケンランカマキリ科 Metallyticidae Artimantodea Amerimantodea Thespoidea Thespidae Acanthopoidea ナンベイカレハカマキリ科 Acanthopidae Angelidae Coptopterygidae Liturgusidae Photinaidae Cernomantodea Chroicopteroidea Chroicopteridae Nanomantoidea Leptomantellidae Amorphoscelidae Nanomantidae Gonypetoidea コブヒナカマキリ科 Gonypetidae Epaphroditoidea Epaphroditidae Majangidae Haanioidea Haaniidae Eremiaphiloidea Rivetinidae Amelidae Eremiaphilidae カレエダカマキリ科 Toxoderidae Hoplocoryphoidea Hoplocoryphidae Miomantoidea Miomantidae Galinthiadoidea Galinthiadidae Hymenopoidea ヨウカイカマキリ科 Empusidae ハナカマキリ科 Hymenopodidae Mantoidea Dactylopterygidae カレハカマキリ科 Deroplatyidae カマキリ科 Mantidae
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33 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/05/21(水) 06 18 00 ID utOVEPfQ 「なあ…いい加減結婚したんだから『先生』はやめろよ」 「まだ言ってるんすかー? 『コジロー先生』で慣れちゃったから今更ですよぉ」 「だって、あ…『あなた』とか、言われたいし…」 「いっそのこと『コジロー』でいきましょうか!」 「(聞いてねえ…)じゃあお前は?」 「『きりのん』って呼んで…?」 「き…きりのん? なんじゃそりゃ」 「んんんっ///」ビクビク 「きりのん?」 「はうぅ~///」ビクンビクン 特にオチはない 37 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/05/21(水) 08 07 33 ID 5cp5pj1r サヤ「先生ってなんかヘアスプレーとか使ってんの?」 コジロー「霧のやつなら持ってるぞ」 キリノ「んんんっ///」 ミヤミヤ「先生、私に突き教えて下さいよ」 コジロー「だからまだ早いって言ってるだろ、本当に何度言ってもきりのない…」 キリノ「んんんっ///」 ダン「俺たちはいつになったら試合できるんだ?」 コジロー「すまんが団体戦は…、三人きりのまましばらく頑張ってくれ」 キリノ「んんんっ///」 さとりん「先生って外国旅行行ったことあるんですか?」 コジロー「あるわけないだろ!行きたいとこならあるけどな、ハワイ、ワイキキ、リノ、グァム…」 キリノ「んんんっ///」 本当にごめんなさい… 39 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/05/21(水) 08 15 08 ID FLi6gMtB コジロー「キリノ!一度きりのチャンスなんだ!二人きりの夜を一緒に過ごしたい!」 キリノ「せんせぇ、ダメ…っ!」 コジロー「ダメなの!?」 便乗した
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91 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/04/22(火) 22 31 37 ID qx9WS+oB 最後のインターハイ。その試合前。 コジロー「泣いても笑ってもこれが最後だ!言いたいことあったらいまのうち言っておけよ」 キリノ「そうだなぁ。先生ってさ、名前ミスマッチだよね。 名前は虎侍!って仰々しいのに名字は地味」 コジロー「んな事いま言うな」 キリノ「大事なことだよっ!女の子は結婚したら名字変わるんだから! ん~…石田キリノ…あ、そんな悪くないか」 コジロー「俺が養子になったら…千葉トラジ…意外といけるな。 …おいおいおい。ってなんだそりゃ、おい」 キリノ「女の子は16で結婚できるの!リアリティあるんだよ!」 コジロー「ねーよ!話題飛びすぎ!」
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律「キリーンスマッシュ!キリンスマッシュ!」 唯「キリーンスマッシュ!キリンスマッシュ!」 澪「ムギ…あれ、何?」 紬「キングオブコントよ、うふふ」 梓「もう先輩達、あんなのの何が面白いんですか!」 澪「そうだぞ、くだらないことやってないで練習しよう」 律「そんなこと言わないでさー、澪もやろうよ~」 唯「そうだよ澪ちゃん!やってみたら楽しいかもしれないんだよ!」 澪「わ、私はやらないぞ!」 唯「澪ちゃん、着ぐるみもあるんだよー?」 梓「いい加減にしてください!」 律「あ、梓?」 梓「私はああいうネタ嫌いなんです。そもそもコントじゃないし…。そんなことして遊んでる暇あったら練習しましょうよ!」 律「ちぇっ、梓のけち」 澪「こら律!」 唯「ねえねえあずにゃん、せめて象の頭だけつけてもいい?」 梓「だめです!どうやって歌うんですか!」 梓「ムギ先輩も早くそれ脱いでくださいね」 紬「あ、さわ子先生に動物の衣装作ってもらえないかしら」 唯「いいねムギちゃん!ナイスアイデアだよ!」 梓「だめです!練習の準備してください!」 澪「まあまあ梓。ほら、みんなもそれ脱いで練習しよう」 ズンチャズンチャズンチャズンチャ チャッ チャッ チャッ チャッ 唯「キリーンスマッシュ!オア、キリンレシーブ…はっ!?」 澪「唯!」 梓「律先輩!ふざけないでください!」 律「ははは、じ、冗談だよ梓。でもほら、やけにあのリズムが頭に残っちゃってさ…わかるだろ?」 梓「わかりませんよ!ムギ先輩もちゃっかり伴奏いれてるし…もう!」 ガタッ タッタッタッタッタッ… 澪「あ、梓!はぁ…お前らのせいで梓帰っちゃったじゃないか!」 唯「あずにゃん…」 紬「梓ちゃん…」 律「キリンレシーブ!」ゴッ! 澪「いい加減にしろ!」 律「だっ、だから冗談だってば!しょうがないな、明日ちゃんと謝らないとなぁ」 澪「今だよ、律。早く梓を追いかけよう」 律「そんなこと言ったって、梓がどこに行ったのかなんてわかんないじゃんか」 澪「それはそうだけど…」 紬「みんなで手分けして探してみましょうか」 澪「そうだな。とにかく梓を見つけたら説得して音楽室に連れて帰ってきて、みんなで謝ろう」 唯「あずにゃん…あずにゃ~ん」シクシク 紬「唯ちゃん…」 唯「あんなに面白いのに、なんで」シクシク 澪「…面白さを説得するわけじゃないからな?」 唯「わかってるよ澪ちゃん!あずにゃんを連れ戻すんだよね!」 澪「そ、そうだ!よし、みんな行こう」 唯律紬「おーーーーっ!」 唯「私、憂に電話してみるよ!」 紬「その意気よ唯ちゃん!がんばってね!」 律「レッツゴー!!」 タッタッタッタッタッ 澪「その走り方はやめろ」ゴッ 紬「あずさちゃん、どこに行ったのかしらね」 律「家に帰っちゃったのかもなぁー」 澪「そうだな。律、梓の家に行ってみようか」 律「怒ってるくせに、なんだかんだあたしと一緒にいたいのね澪ちゅわん♪」 澪「ち、違う!ほら、梓の家の人とか会ったことないから一人だと恥ずかしいし…///」 紬「うふふ、じゃぁ私は学校の中を探してくるわね」 澪「あ、携帯忘れた。取りに行ってくるから、律先に校門で待っててよ」 澪(みんな、なんであんなにハマってるんだろう…。) (少なくともみんなのを見てる分には面白くはないんだけど、私がおかしいのかな) (やっぱりプロがやると面白いのか、それとも唯が言ってたみたいにやってみたら面白いのかな…) 澪「あ、着ぐるみが出しっぱなし…」 モゾモゾ 澪「キ、キリ~ンスマッシュ…///」 律(キラーン!) 澪「はっ!?」 律「ほんとは澪もやりたかったくせにー、ウリウリ」 澪「違う!違うんだ律!梓を探すんだろ?!だからこれはみんなの気持ちを理解するために…」 律「梓の気持ちにならなきゃ意味ないじゃ~ん。言い訳は見苦しいぞ?澪ちゅわん♪」 澪「違うんだ!…みんなには言うなよ?」 律「わかってるって。帰ってきたら一緒にやろうな?」 澪「律ってば!!!」 唯「そっかぁー、憂も知らないかぁ」 憂『お姉ちゃん、梓ちゃんには電話したの?』 唯「ハッ!してない!!盲点をついたね憂!」 憂『なんか違う気もするけど…もし繋がらなかったら私からも電話してみるよ』 唯「あ、ねえ憂。キリンスマッシュは面白かったよね!?」 憂『うんっ!』 ―――― 紬「あ、梓ちゃん」 梓「ムギ先輩…グスッ」 紬「ごめんね梓ちゃん、わたしもみんなみたいにハシャいでみたかったの」 梓「いいですよもう。2700が嫌いなわけじゃないんですけど、あんなネタで900点とれるのが納得できないです」 紬「そうね、私もロバート好きだけど同じ気持ちよ。みんなも反省してるから、音楽室に戻って来てくれないかしら?」 梓「…わかりました。ちゃんと練習しましょうね?」 紬「うん!ちなみに梓ちゃんは好きな芸人とかいるの?」 梓「…ラーメンズ」 ―――― 澪「あ、ムギからメール…。律、梓が戻ってきてくれたって!」 律「そっか、梓が帰ってきたなら澪のキリンスマッシュはお預けかな」 澪「しつこいぞ律!…それに、梓はラーメンズが好きなんだって!ワクワク」 律「ラーメンズ?」 澪「え、律はラーメンズ知らないのか?」 律「聞いたこともないや」 澪「なあ、部活終わったらウチこいよ!ようつべでもニコニコでも見れるからさぁ、一緒に見よう!!面白いネタがたくさんあるんだよっ!」 律「え、私はいいよ。そもそもようつべって何だ?ニコニコとか…なんか澪、変だぞ?」 澪「えっ」 ―――― 唯「あずにゃーーーん!!帰ってきてくれたんだね!!」 梓「もう、唯先輩抱きつくのいい加減やめてください」 唯「良かったよう、もう会えないかと思ったよー」 梓「大袈裟ですよ、みんな帰ってきたら練習しましょうね?」 紬「ねえ唯ちゃん、梓ちゃんはラーメンズが好きなんですって」 唯「ラーメンズ?」 梓「知らないんですか?チバ、シガ、サガですよ」 唯「わかったあずにゃん、クイズだね!」 梓「違います」 紬「唯ちゃん、梓ちゃんは芸人の採点に納得がいかなかったんだって」 唯「た、たしかにダウンタウンに振られてもみんなスベってたもんね!」 梓「そういうことじゃないです。まぁ、確かにみんな酷かったですけど…」 澪「ただいま、梓。ほら律」 律「ああ、ごめんな梓。ちゃんと練習はするよ。そんなことより澪ったら一人で」 澪「こら律!余計なことは言わなくていいから!梓、私達が悪かったから機嫌なおしてくれな」 梓「もういいですよ。ムギ先輩がお茶準備しちゃったし、そしたらちゃんと練習しましょう」 唯「…あ、澪ちゃん澪ちゃん!」 澪「どうした唯?」 唯「ハゲた爆弾岩!」 澪「えっ」 梓「プッ!クククク…!」 澪「」シクシクシクシク 梓「ゆ、唯先輩!なんてこと言うんですか!プフッ!」 澪「」シクシクシクシク 唯「ご、ごめんね澪ちゃん!りっちゃんに言うべきだったね!」 律「私はカチューシャしてるだけだろ!…プスッフフフフ」 澪「」シクシクシクシク 梓「やめてくださいよもう!」プルプル 紬「そうよ唯ちゃん!今のはあんまりだわ!」 澪「」シクシクシクシク 律「と、とにかく練習はじめようぜ」 紬「そうね、ほら澪ちゃん。梓ちゃんも帰ってきたし、元気出して」 澪「ムギ…うん」グスッ 唯「ねえねえあずにゃん、さっきのチバ、シガ、サガってなあに?」 梓「ラーメンズのネタですよ。都道府県とか地名を面白おかしくもじってるんです」 紬「そうそう、語呂のいい言葉とかね」 律「へぇー、私も知らなかったよ」 梓「で、だいたい最後に電車のマネして言うんですよ。『えー、次はー』」 澪「し、シンバシっ!!」…/// 一同「えっ」 おしまい 戻る
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459 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/03/29(土) 22 27 35 ID xsnkoHh0 436(続・結納の儀) 太眉「お弁当、美味しかった~……あれ?キリノ寝ちゃった?」 コジロー「ああ、なんかこいつも朝早かったんだってよ」 メガネ「そりゃあ、こんなに沢山作ってたら、ね」 ぽちゃ「しっかりしてるように見えてもまだ1年生だもんね」 サヤ「…ちょっと、あたしのセリフ全部取らないで下さいよ先輩がた!……まあともかく…」 メガネ「うん」 太眉「……だよね」 ぽちゃ「そうだね。……コジロー先生?」 コジロー「お、おう?」 一同『この子、よろしくお願いしますね』 メガネ「あ、飲み食いの後片付けは私達がやっておきますので」 ぽちゃ「先生は引き続き、場所取りとキリノの面倒、お願いしましたよ?」 太眉「お腹一杯になったし、2on2でバレーでもやろうか、ねっサヤ?」 サヤ「しょうがないですねえ……じゃあね、先生。キリノお願いね?」 コジロー「おっ、おいおいおい!……行っちまった」 キリノ「(…スヤスヤ…)」 コジロー「(まったく、呑気に寝息立てやがって)」 コジロー「…くわぁ……」 コジロー「(そういや、俺も寝てないんだった)」 コジロー「…ん……いかんな、これは……」 がくり。 … …… ……… 太眉「ただいまー、っと……あら、まあ」 寄り添うように大の字で眠るコジローとキリノ。 メガネ「…これはこのまま置いておくしかないわね」 ぽちゃ「あたしのひざ掛け、掛けといてあげよ」 太眉「サヤ、来年から大変だろうけど頑張ってね、ふふ」 サヤ「うっ……頑張ります」 ぽちゃ「さて、それじゃああたしらは二次会行きますか」 メガネ「そうしましょうか」 太眉「カラオケにしよう!」 サヤ「おー!」 立ち去る4人。残される2人。 コジロー「(…グウ…)」 キリノ「(…スヤスヤ…)」 おしまい?
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ここは、任天堂の里です^^ 任天堂以外に、ラチェクラ系などのアクション、RPG系などもやります^^ メニューから、行きたい所を選んで下さい^^ 今日 - 昨日 - 合計 - キリ番は、100単位で、ゾロ目、言葉もおkです。 キリ番をGETした方はメニューのキリ番報告ページに書いて下さい。
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卒業後いろいろあったが治まるところに収まったコジローとキリノ。 平穏な日常に突如、コジローの出張ということで初めて3日ほど一人ぼっちに 毎晩やることはやっていただけにさびしさの余り一人で・・・ キ「んっ はぁ、コジローセンセェ・・・ 」 キ「もう3日目だよぉ・・・さびしいよぉ・・・」グス コ「はぁ疲れた、ただいまキリノ・・・!?」 キ「センセ・・・ェ」 コ「先生はやめろよキリノ、てかお前・・・何してるんだ?」 キ「もう!ばかぁっ」 コ「おい、むぅっ」 はぁ……ちゅっ、ちゅるっ……んっ……はっふ……はむっ コ「ぷはぁ、そんなにさみしかったのか、ごめんな」 なでなで キ「ぐすっ うぅ、ご飯も寝る時もずっと一人ぼっちで寂しかったんだよぉ」 コ「そうかそうか、ホントにごめんな・・・キリノ」 なでなで ・ ・ ・ キ「夕食は帰宅祝いということでメンチカツでーす!」 コ「お!待ってました~ 出張中お前の飯が楽しみで仕方なかったんだ!」 キ「てへへ、照れますなぁ ほいっ」 コ「はふはふ やっぱりうまいなぁ!さすが実家が惣菜屋なだけあるな!」 キ「えー、その褒め方は聞き飽きたよセンセー」 コ「そ、そうか・・・さすが俺の奥さんだ ありがとうなキリノ、あと先生はよせよ」 キ「んー じゃあ・・・・・・・・・アナタ///」 コ「よ、余計照れるじゃねーか!もういいよ先生でよぉ!」 キ「うふふ、虎侍さ~ん」 スリスリ コ(可愛いやつめ・・・) なでなで コ「ゲフッ はぁ~食った食ったー ごちそうさん」 キ「お粗末さまでしたーっと」 カチャカチャ 紀梨乃は皿洗いを始める コ「なぁキリノ?」 キ「はい~?」 コ「たかが3日の出張であんなに寂しがることはないだろうに」 キ「えーーーー!3日もだよ?3日!」 コ「3日であんな状態になるのか?」 キ「うっ、こ、こんな体にしたのはセンセーなんだからぁー!」 ポカポカ コ「わわわ、わかったわかった。俺が悪かったから・・・な?」 キ「むー、じゃあ・・・・・・・・・いっしょにお風呂入ってくれたら許してあげる・・・」 コ「・・・・・・・・・え?」 キ「別に恥ずかしがるものじゃないでしょ、もう夫婦なんだし・・・」 コ「お、お、俺が恥ずかしいわ!」 キ「じゃーもうご飯はコンビニ弁当でいいんだね~?」 コ「入らせていただきます」(土下座) 「えへへー、じゃあ先に入っててねー♪」 「お、ぉおう!」 実際に2人で風呂に入るのは慣れてなく、コジローは緊張していた。 ・ ・ ・ 「それじゃあお背中流しますねー」 キリノはコジローの背中を流してゆく。 「何黙ってるんすかー?」 「い、いや、緊張してな」 「ふーん♪」 「もう教師と教え子でもないのに何緊張してるんすかねー。」 「うっ」 「夫婦っすよ?夫婦、幼な妻ですよ~」 「キ、キリノ、その・・・なんだ」 「ふにゅ?」 「我慢できなくなるから・・・そろそろ・・・な?」 「別に我慢しなくても・・・いいよ?」 (・・・我慢、我慢だ俺!) 「はいっとー終わりましたよー」 (ふぅーとりあえず浴槽で心を落ち着かせねば・・・) (くそ!早く収まりやがれマイサン!) コジローが必死になだめている間に 「とう!」 ザバーン 「うわ!キ、キリノ!びっくりするだろうが!」 「はぁ~いい湯っすねぇ~」 「そ、そうだな・・・」 「ちょっと前開けてー」 「ん?ああ」 「よいしょっと」 「お、おい、この格好は・・・」 コジローがキリノを後ろから包み込むような体制になっていた。 コジローは恥ずかしさの余りあわてて上がろうとする。 が、 「も、もう少しこのままで・・・」 (・・・どうした・・突然・・・) 「やっぱり・・・落ち着くんすよ・・・」 「ああ」 「センセェ・・・」 (先生って・・・まぁいいか) 「私ね、センセェがいない間・・・寂しくて・・・切なくて・・・」 (こんなに俺のことを想ってくれているなんて・・・キリノ・・・) 「出張に行った日の夜も・・・その次の日の朝も・・・気がついたら・・・」 (・・・) 「センセェのこと考えてて・・・頭から離れなくて・・・」 (・・・) 「また・・・どこかに行っちゃうんじゃないかと思って・・・うぅ」 「待たせてごめんな・・・キリノ」 愛おしく大切に抱きしめた
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開幕 時の流れの中で、いつしか名を失った島…ロレンソとキリは、岸に船を付け夜闇に包まれた島に上陸した。 ロレンソ: ここが『名も無き島』か… 不思議な場所だな。 それに夜だというのに こんなにも明るい… スイキョウ: 『真なる星落とし』の儀式が 佳境に入っておるということじゃよ。 ふぉふぉふぉ。 キリ: 何やつ! @スイキョウ、現れる スイキョウ: よっしゃよっしゃ。 ロレンソ: あなたはあの時の仙人… スイキョウ: ようこの地まで来たな、ロレンソよ。 鬼哭の面を使った 星落としの儀式は最終段階に入った。 残された時間は後わずか。 急いだ方が良いじゃろうて。 ロレンソ: …あなたは 相変わらずの傍観ですか? スイキョウ: わしのような浮世を捨てた者が 直接この件に関わるのは どうかと思うからな、ふぉふぉふぉ。 キリ: …急ぎましょう、ロレンソ殿。 どこで儀式が行われているのか、 探さねばなりません。 きっとムウもそこに… ロレンソ: そうだな… では失礼させてもらいますよ、 さようなら。 スイキョウ: ふぉふぉふぉ。 随分嫌われてしもたようじゃな… @ロレンソ、去る スイキョウ: ………… そこに潜んでいるお前さん、 そろそろ出てきたらどうじゃ? サンジ: へへ、俺の気配に気付くたァ、 なかなか食えねェじいさんだね。 スイキョウ: 幕府に命ぜられて 『星落とし』の力を奪いに来たか。 ただ、もうその気は無いようじゃが? サンジ: へへ… お見通しってわけですかい。 サンジ: あんなに情熱的な 異人さん達の姿を見ちまったらねェ。 あっしみたいなドブネズミだって、 感ずる所があるってモンでさぁ。 サンジ: …こうなった以上、 戦いの顛末を見届けンのが 今のあっしにできる唯一の事だ。 最後まで、しっかり見届けやすよ。 スイキョウ: …良いものじゃな、 人の身であるという事も。 その小さき心の有りようも、 今となっては愛しく感じるわい。 スイキョウ: …ひょ? サンジ: どうしたんだい、じいさん? スイキョウ: いやいや、今また一人、 この島にたどり着いたようじゃ。 役者は揃ったというわけじゃな。 ふぉふぉふぉ。 彼の島の 名無しと人の 夕暮れは 上無き天に 糠星ぞ照る 千秋楽 神無島 西の穿ち ガモン: やはり来たか、ロレンソよ。 ロレンソ: お前はガモン! なぜここに!? ガモン: ぐふふ… わしの情報力をなめるでない。 幾つかの古文書を紐解けば、 この島の存在が書かれておるわ。 ガモン: …どうやらこの島のいずこかに 黒巫女はおるようだな? ロレンソ: 星落としの力… まだ狙っているのか? ガモン: 無論だ。 あれは変革者たる わしこそが持つべき回天の力! 変革に犠牲は付きもの! そうやって歴史は動いてきたのだ! ロレンソ: まだ、そんな事を…! …時間がない、問答は無用だ。 行くぞッ! ガモン: ぐふぅ… わ、わしの負けだというのか? 和国の新しき時代を望む このわしに正義が無いというのか? ガモン: 答えろロレンソ! わしのどこに否があるというのだ!? ロレンソ: 多くの犠牲を厭わない お前の改革とやらに正義は無い… ただそれだけの事だ。 キリ: 時間がありません… ロレンソ殿、行きましょう。 ロレンソ: ああ。 …さらばだ、ガモン。 @ロレンソ、去る ガモン: …ならばロレンソよ! わしの代わりに、お主が変革者たれ! 黒巫女を倒し、幕府を倒し、 和国に光をもたらしてくれぇーい! 南の絶え 森の抜け、海辺へ出た所で幻魔と刃を交える女剣士を目にした。女は幻魔を一刀両断すると、ゆっくりとロレンソの方を向いた… イサミ: おう、久しぶりじゃの! ロレンソではないか! ロレンソ: イサミさん… ど、どうしてこんな場所に!? イサミ: いやぁ~、それがのう。 火の国まで、あのくノ一を 負った所までは覚えとるんじゃが… 頭に血が上ってしもうてなぁ。 そこから先は記憶が曖昧なんじゃ。 イサミ: 確か、あの陰陽師を追いかけて ここに辿り着いたような覚えが… …ところでここはどこじゃ? ロレンソ: (なんという強運の持ち主なんだ…) キリ: ロレンソ殿、どうやらムウは この辺りにはいないようです。 先を急ぎま… イサミ: ! き、貴様は 鬼哭の面を盗んだくノ一! キリ: あなたは出雲神殿の… イサミ: やかましか! やかましか! やかましかぁ! ええい、今すぐにでも そっ首を叩き落してくれる! うらああ、ちぇすとォォォォーーッ! キリ: ………… @ロレンソ、イサミの攻撃を弾く ロレンソ: 待て、イサミさん! イサミ: なぜ止める!? イサミ: ふ、ふふ、そうか… おまんも裏切り者じゃったかぁ! ならば一緒に成敗してくれるわ! 喰ぅらえぇ! 天誅ぅぅーーーー! イサミ: なんということじゃ… ウチが裏切り者に負けるとは… 出雲の神さん達は… ウチを見捨てたもうたのかぁ~! ロレンソ: イサミさん… 頼むから落ち着いて聞いてくれ! もはや敵とか味方とか 言ってる場合じゃない! ロレンソ: 星落としはもうすぐ発動してしまう… 今すぐにも止めなくてはならない! そのためには キリさんの協力が必要なんだ! イサミ: ………… 神託に選ばれたおまんが そこまで言うなら仕方なか… 納得はせんが、信じてやる… キリ: …申し訳ありません。 イサミ: 勘違いするなよ! おまんを許したわけじゃなか! いずれその罪は償ってもらうきに、 覚悟しときや… イサミ: ! ロレンソ: どうしたんだ、イサミさん? イサミ: …団体さんが来おったようじゃな。 キリ: おそらく… シャダイの放った幻魔でしょう。 イサミ: ………… ここはウチに任せて おまんとくノ一は、ムウを捜せ。 ロレンソ: しかし、その傷では… イサミ: 時間が無いんじゃろうが! ウチを気遣っている場合か! 怪我してようと、 ザコ幻魔の群れごときに 遅れを取るウチではないきに! ロレンソ: 分かった… ハヅキさんも心配してるから、 早めに出雲に帰ってあげてくれよ。 …キリさん、行こう! イサミ: …くノ一! ロレンソを任せたぞ! キリ: 命に代えても。 イサミ殿もご無事で… @ロレンソ、去る イサミ: ふ、これが女の花道じゃ。 パアッと一花咲かせてやろうかの。 ハヅキ、ドウジ様、済まんな… …ちぃえええええぇぇーーーーー! 東の果て 耳の奥にいつまでも響くイサミの雄叫びに押されるように…ロレンソたちは北へ北へと走り続けた。追い風に乗って走ること数刻不意に、小柄な人影が立ち塞がった。 ミロク: …やはり会うたな、ロレンソ殿。 ロレンソ: ミロク様… やはりこの島にいらっしゃいましたか… ミロク: わしには判っておった… 黒巫女衆が抹殺された顛末も… それを知りながら、あの子を育て、 …そして星落としが起こってしまった。 ミロク: この上、さらに星が落ちるのであれば それはあの子を育てたわしの責任じゃ。 ミロク: ロレンソや… 老い先短いババたっての頼みじゃ。 ムウとの対決、譲ってはくれぬか? ロレンソ: ………… …悪いが断らせてもらいます。 あなたはムウと刺し違える気でしょう? ミロク: ! ロレンソ: 育ての親が子と争うのを 黙って見てるワケにもいきません。 それに、やはり、 ここは僕が行くのが筋でしょう。 ロレンソ: ヒミカさんとも約束したんです。 きっと、あなたを連れ戻すって。 ミロク: ………… しぇしぇ、しばらく見ぬ内に 言うようになったではにゃいか… ミロク: …ならば、その言葉に 実力が伴っているか見せてみよ! 千里眼のミロク… 本気で参るぞい! ミロク: えしぇしぇ… …まさか本気のわしに、 お前しゃんが勝ちおるとはのぅ… 今のお前しゃんになら ムウの事を任せてもよかろう… ロレンソ: …すみません。 ミロク: 謝ることはにゃい。 横槍を入れたのはわしの方じゃ。 行くがよい、ロレンソ殿。 ミロク: 行ってムウの頭に お前しゃんのゲンコツを 喰らわせてやるがいい。 わしの分も頼んだぞ。 ロレンソ: はい、任せてください! 北の極み キリ: …むっ? ロレンソ: どうした、キリさん。 キリ: この気配…… @画面、光る ロレンソ: こ、これは…!? 火焔幻魔、ヒノオロチか! キリ: しまった、罠です… ロレンソ殿、三方から囲まれました! シャダイ: ひゃっほ~ぅ、クズめらが! @シャダイ、現れる シャダイ: …まんまと麻呂の仕掛けた 『業火呪縛陣』に掛かりおったわ! このような光景を見ると 風流人の麻呂は、ついつい 一句詠んでしまいたくなる… シャダイ: 『バカどもめ 飛んで火に入る 夏の虫』 ひゃ~ほほほほうっ! キリ: シャダイ、姑息な真似を! シャダイ: おやおやおや、 裏切り者のキリではないかぇ。 何ゆえ、ムウ様を裏切ってまで、 このような凡愚についておるのやら。 キリ: 裏切ったわけではない! あの人を思うからこそ… 星落としを止めねばならないのだ! ロレンソ: キリさん… シャダイ: 低能な猿の言うことなど 麻呂にはさーっぱり理解出来ぬわ。 ムウ様の事を想っているのなら、 ムウ様の目的に協力すべきじゃろ? シャダイ: …もっとも、 鬼哭の面が手に入った以上 貴様などどうでもよいのじゃがな。 ひょーーーほほほほ。 ロレンソ: 哀れだな、シャダイよ… 自分の醜さに気づかないのか? シャダイ: ま、麻呂が醜いじゃとぅ!? ロレンソ: ああ、この陣が お前の醜さを物語っているぞ。 安全な場所に身を隠していないと 物を言うこともできないのか。 ロレンソ: 臆病者で、何の信条も持てない。 だから、ムウのような力を持つ者に 盲従することで自らの安心を得ようとする。 それがお前だ! シャダイ: き、貴様ァ… シャダイ: まあよい… 精々さえずるがいいでおじゃる。 これから業火に炙られて 焼け死ぬんじゃからなああ! うひょほほほほほ~っ! シャダイ: くきえぇぇぇっ! そ、そんな…馬鹿なぁ! 麻呂が、麻呂がァ 圧倒的に有利なはずだったのに… ロレンソ: 教えてもらおうか。 ムウはどこで儀式をしている? シャダイ: 麻呂を甘く見るでない! たとえこの命失われようとも、 ムウ様に対する忠誠が 揺るぐ事はないでおじゃる! ロレンソ: そうか… ならばその忠誠心、 見事に証明してみせるがいい! このロレンソ、 貴様のような邪悪を誅するに 一片の躊躇もないぞ! シャダイ: ひゃ、ひゃひぃぃぃ! 言います、言いますから 命だけはお助けを~っ! シャダイ: ムウ様は島の中央、 『星稜』と呼ばれる古の祭壇で 儀式を行ってまする~! ロレンソ: たいした忠誠もあったもんだ。 『星稜』… キリさん、行こう。 もう一刻の猶予もない! キリ: はい! @ロレンソ、去る シャダイ: …麻呂に背中を 見せるとは愚かなりっ! 貴様らには麻呂の全術力を込めた 超強力『怨霊招来』を食らわせてやる! ふはぁーっ、死ねぇ… メリー・ルー: メリー アルティメット スマーッシュ! @メリー、シャダイを殴る シャダイ: ぐはっ! @メリー、現れる メリー・ルー: 人のバックを狙っておいて、 自分のバックが隙だらけじゃ 世話ないデース。 メリー・ルー: ロレンソ… アナタのやり方で大切なモノ、 本当に守りきれるのか ルッキングさせてモライマース。 メリー・ルー: そして、そのジャスティスが 口先だけでないことを メリーに証明してクダサーイ。 星稜 島のほぼ中央にある、満天の星空に向かって伸びる祭壇。それはまるで天と地を結ぶ一筋の橋であった。ロレンソとキリは、とうとうその場所へと辿り着いた… ムウ: ………… ロレンソ: 何とか間に合ったようだな… 黒巫女ムウよ、 儀式を今すぐにやめるんだ! キリ: ムウ… もうやめましょう… 哀しみから生まれるのは やはり哀しみばかり… キリ: 鬼となり、世の哀しみを 一人で背負おうとするのは… もう…やめてください… ムウ: ………… 偽りの上に立つ世も、また偽り。 偽りが偽りを覆い、 まこと虚無なる今の世には、 絶えて一人の生者もおらぬ。 …うごめき、貪る影はみな屍ぞ。 ロレンソ: 確かにこの世界は 不正や悪徳に満ちている… そして、残念ながら それに身を浸してしまう 人間がいるのも事実だ。 …幕府による 黒巫女衆の悲劇の隠蔽もその一つ。 ロレンソ: もし、真実が表沙汰になっても 目を背けながら生きる人間は 幾らでもいるかもしれない。 自らの心の悪しき部分を 見つめるのは勇気がいることだから… ムウ: 我が求むるは穢れなき清浄… 仮初めの世も人も、 あさましく腐臭を放つのみ。 浄化の炎に灼きつくされ、 一握りの灰になってこそ美しい。 ロレンソ: それは違う! 僕は、この和国を旅して 多くの人々に出会った。 確かに偽りにまみれた者もいたが、 自らの真実と正義を信じて 前に進もうとする人間も数多く見てきた! ロレンソ: 全てを焼き尽くして終わりだなんて そんな単純なものではないはずだ! 僕は信じる… そういった真実の輝きに満ちた人々を! ムウ: ならば力をもって証を立てよ。 敵わぬのであれば、 全てを灰にするより他はない。 ロレンソ: 分かった… ならば見せよう… 僕の中にある真実と正義を! …鈍い光がムウの額を走った。甲高い音と共に『鬼哭の面』は二つに割れ、滑り落ちた乾いた音を立てた。 ムウ: ………… 異邦人殿… よくぞ証を立てましたね。 ロレンソ: あ、あなたが…黒巫女ムウ? ムウ: ええ…見事でした、異邦人殿。 人の真実と自らの想いを 信じ続けることが出来る強き魂、 しかと見届けさせてもらいましたよ。 ムウ: 神託を受けたのが あなたのような人でよかった。 キリ: ムウ…! ムウ: キリ… また会えるとは思わなかった。 あなたは優しい子。 最後まで私に付き合えるとは 思っていなかったから… ロレンソ: 星は…星はどうなったんだ? ムウ: ………… 星は虚空へと還りました。 ムウ: しかし再び、 生ける亡者が地に溢れる時… 夜空に輝く星たちが 哀れなる魂の欠片である事を 人々が忘れる時… ムウ: 今度こそ、星は天を下り、 全ては無へと還るでしょう… ロレンソ: ムウ!? ムウ: …さらば… 真実の輝きを持ちし異国の者… そして、我が妹キリ… もはや今生では… 会うことが…無いと信じます… ムウ: …異邦人殿… ヒミカと…ミロク様に… …どうか…伝えてください… …さようなら… …今までありがとうと… @ムウ、消える ロレンソ: ムウ… キリ: …ムウは… あの人は… どこへ消えたのでしょうか? ロレンソ: 分からない… しかし、ムウのあの素顔… 憎しみで星を落とそうとした者には とても見えなかった…。 ロレンソ: もしかしたら、 ムウは人の真実を知った上で 敢えて鬼哭の面を被ったのだろうか。 人に…その本当の輝きを教えるため… ロレンソ: もし再びムウが現れるとしたら… それは、人々がその輝きを 失った時なのだろう。 キリ: …ええ。 ロレンソ: …帰ったら、忙しくなりそうだな。 まず、ムウの残した言葉を ミロク様や、ハヅキさんや、 ドウジ様たちに伝えよう。 キリ: ………はい。 出来る限り多くの人に伝えます… 居なくなってしまった人達に 報いるためにも… ロレンソ: 和国もこれから 大変なことになりそうだ… 諸外国を牽制しつつ、 急いで星落としの混乱に 収集をつけることになるだろう。 僕にも手伝えることが あるといいんだが… ロレンソ: ………… キリさん… 僕は本国へ帰ったら 外交官を目指そうと思う。 少し時間はかかるかもしれないけど、 歩んでみたいんだ、父さんの行った道を… ロレンソ: そして、戻ってくるつもりだ… 父さんと母さんと… 僕が愛するこの和国へ。